長田百合子※事実上のパート12

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224いやあ名無しってほんとにいいもんですね
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「出会い そして別離(わかれ)のいのち」(抄)
           2006年5月26日 山陽教区安芸南組仏婦連大会@善福寺

1、別れのいのち
 ただいまご紹介にあずかりました同朋大学の中村薫と申します。愛知県一宮市の養蓮寺の住職をしております。
一九四八年生まれですので、五十八歳になります。
 今日は私の個人的なお話しを申しあげるつもりですけれども、それは決して個人的なことにとどまらないということを
理解していただけたらと思っております。
 実は、二年前の二〇〇四年七月十一日に、二十九歳になる私の長女が、夫と子ども一人をおいて、
自らいのちを絶っていってしまったのです。人生には三つの坂があると、よく言われます。上り坂、下り坂、そして
「まさか」という坂です。まさしく「まさか」の坂でした。そういう出来事に私は遭遇しました。
225いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/11(木) 18:59:53 発信元:211.134.89.37
2、娘の死
 四年ほど前から、私の娘は躁鬱病に苦しんで治療を受けていました。そんな中、私たちは大変な失敗をしてしまったのです。
 自死する半年ほど前に、「お父さん、もう一人子どもがほしい」と娘から相談を受け、
「ああ、それはいいね」と、私は答えました。
 私の子どもたちは六人兄弟です。娘としては、大勢の兄弟の一番上で育った自分には女の子が一人しかいないから、
もう一人赤ちゃんがほしい。そう思ったわけですね。けれども、娘は向精神薬を常用しており、薬の副作用を心配していました。
 その当時、私は薬についてよくわかっていなかったので、薬は必ず副作用があるから、
あまり好きではありませんでした。たとえば、●●という薬を飲むと、(略)という副作用があります。
 しかし、副作用があるからといって、今まで飲んでた薬を突然やめたら大変です。
ちゃんと医者の指示に従って服用しないといけないし、自分で勝手に飲む量を減らしたり増やしてはいけません。
皆さん方でも薬を常用されている方は勝手にやめないようにしてください。お医者さんに相談されることをお勧めします。
 そして、最近は医療も進み、薬もよくなりましたが、鬱病になると自殺願望欲が出てくる場合があります。
鬱病で特に恐いのは回復時です。自殺願望欲は鬱病が回復する時に起こりやすいと言われています。
226いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/11(木) 19:00:48 発信元:211.134.89.37
 そういうことを私たちはまったく知らずにいました。あまりにも躁鬱病のことを知らなすぎたのです。
娘が躁の時は騒いでいますからわかりますけれども、鬱の時は黙ってますので、具合が悪いとはわかりませんでした。
むしろ治ったと思ってたぐらいです。そのうちによくなるんだろうと甘く考えていました。愚かでした。
 娘はその年の五月から、実家である私どものお寺で療養していました。鬱の時には、医者の指示に従って薬を飲み、
静かに身体を休めることが一番いいのです。それなのに私たちは、心の病を頭では理解しているつもりでも、
娘をつい励ましてしまったのです。「そんなにゴロゴロせず、掃除でもしたら」
「しっかりやりなさいよ」「大したことはないよ」と言っては、庭掃除や、買い物の手伝いなどをさせていました。
 ところが、鬱病患者に対して励ましはいけない、休んでいるのが一番だということを、あとになって医者に知らされました。
 娘が亡くなってから、私のところへいろんな方が相談に来られます。皆さんは考えもつかないでしょうが、
鬱病の方のお話によりますと、たとえばここにコップがあって、それを片づけるという、たったそれだけのこ
とができないそうです。他人から見たらなまけているように見えるかもしれませんけれども、それができない。
鬱病というのはそういう金縛りのような状態になってしまうのです。ところがまわりの人にはその苦しみがわからない。
 鬱病の人の多くは、私の知る範囲では非常に真面目な人です。生真面目。一生懸命にがんばる人なのです。
たとえば、本人がいない時にはその人の悪口を言ってても、本人が来たとたん愛想を言うような人だったら大丈夫です。
まず鬱にはならない。しかし、鬱病の人はそれができず、自分を責めてしまいます。
 私の娘も悩んでいたんでしょう。薬を飲んでいるために朝が起きれない。頭がどうもボーとしている。
だから、夫を仕事に送り出し、子どもを保育園に連れて行くという、たったそれだけのことができない。
それで自分を責めてしまう。
 娘にとって死ぬほどつらいことだったのですね。ところが、私たちは娘の苦しみを理解せず、
「やる気がないな」という程度にしか感じてなかったのです。
227いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/11(木) 19:01:45 発信元:211.134.89.37
3、本当のカウセリング

 最近、杉浦昌子という人が、ひきこもりの男性を無理に連れ出して不法に監禁、死亡させたとして逮捕されました。
その人のお姉さんが長田百合子という人です。この姉妹はお金を取って、ひきこもりを無理やり引っ張り出すことを
しています。ところが、うまくいかない場合があり、損害賠償を請求されたりしていたのですが、
とうとう人を殺してしまい、問題になったわけです。
 私の娘もその長田百合子に出会い、「向精神薬なんか飲んでたら廃人になってしまう。薬を飲むのをやめろ」
と言われたのです。
 娘は子どもがほしいと思ってましたし、薬を飲むと頭がおさえられるような状態になります。
それで、お医者さんに相談せずに勝手に、五月二十四日から七月六日まで薬を飲むのをやめてしまったのです。
ところが薬をやめた反動で、七月七日に発作的に薬を多用し、中毒症で入院しました。薬を飲んでしまった自分を
責めたのかもしれません。そして、娘は七月十一日に自らいのちを絶ってしまいました。
 今から考えると愚かなことなのですけれども、薬をやめたら自殺するかも知れないということは
知識では理解していても、まさか我が子が自死することはないと、私は思い込んでいたのです。
躁鬱病には薬とカウンセリングが車の両輪のように必要なことが、娘のいのちと引き替えにようやくわかりました。
娘にすまないという思いでいっぱいです。
228いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/11(木) 19:02:41 発信元:211.134.89.37
4、一人の死は家族の悲しみ
 
 長男は娘と一歳半しか違いません。ケンカもする仲のいい二人でした。長男は
特にお姉ちゃんに厳しかった。「お姉ちゃん、もっとしっかりしないと。そんなふうに
フラフラしてたら駄目だ」と叱りつけたこともありました。
 長男だけではありません。次男も三男も、次女も三女も、
どうしてお姉ちゃんは死んでしまったのか、何かできなかったのかと、繰り返し考えています。
 娘が自死した時、三女は不登校から非行に走っていました。十二歳ほど年が違うお姉ちゃんに
とってもかわいがってもらっていた三女ですけれど、どこかで挫折したんでしょう、中学校に行かなくなって、
不登校になり、いろんな友達が集まってきては夜遊びしたり、プチ家出をしたりしてました。
シンナーを吸い、暴走族に入ろうかというところまでいきました。
お姉ちゃんは潔癖ですから、それは許せない。三女は「私は私だ」と、姉妹でにらみ合ってたみたいです。
 その三女もお姉ちゃんの自死にショックを受けます。お姉ちゃんは生きたいと言ってたのに死んでしまった。
私は何もしたいことがない。私がいなかったらお父さんやお母さんが苦しまなくてもすむ。
私が死んだほうがよかった。死んでしまいたい。