今年の夏も置き去り・・・
B.G.M『夏をあきらめて』
白い肌も痛々しく・・・
4 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/22(月) 02:04:24 発信元:220.106.36.195
5 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/22(月) 03:47:03 発信元:219.125.148.200
宿題も残してな
6 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/22(月) 03:56:40 発信元:61.22.169.224
来年も間違えずに、きっとあの季節は来るよ
だから笑顔で見送ろう
そして次の夏までには、また一歩前に
今年の夏もバイトの面接だけで終わった
8 :
ユダ ◆MK0I5sRxe2 :2005/08/22(月) 09:02:39 発信元:210.228.189.56
グッバイババーイチェリーボーイ
今年の夏こそおさらば…
熱く、そして痛すぎる夏よこれから…
ヒグラシが鳴いている
ラジオからはホテル・カルフォルニア
一瞬の夏
通り過ぎたにわか雨
11 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/22(月) 23:25:22 発信元:218.230.128.227 BE:380873478-##
↑の、秋元康の詩集に似たようなのあった覚えがある
12 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/23(火) 02:16:56 発信元:221.188.239.15
夏嫌いだからいいお(´ё`)
13 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/23(火) 02:41:49 発信元:210.153.84.199
梅雨時期に振られじめじめ過ぎてゆく今年の夏…orz
14 :
ユダ ◆MK0I5sRxe2 :2005/08/23(火) 02:47:31 発信元:210.228.189.56
もう九月か。年をとると月日が早いのぉ。
15 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/23(火) 03:40:01 発信元:61.22.169.224
夏は一番詩的だと思う
だから一番素敵だと思う
夏が好き
特に夏の終わりが好き
朝夕涼しくなったな・・・in 滋賀県
18 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/23(火) 18:07:16 発信元:219.105.179.204
田舎は涼しいよ・・・
窓開けて寝てるとヤバイ in 三重
なーつがすーぎー
かぜあーざみー
21 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/24(水) 00:57:47 発信元:219.125.148.211
誰のあこがれに
さまよう〜
あーおぞらーにのこさーれたー
私の心は夏模様
ラジオ体操のOPが淋しく聞こえる。
朝から暑い日に聞こえてこそ夏休みを実感できるのだが
26 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/24(水) 11:19:52 発信元:61.22.169.224
盆も良い
死者が黄泉から帰る季節
迎え火を焚こう
彼らが迷わないように
28 :
ゆだ ◆MK0I5sRxe2 :2005/08/24(水) 21:57:56 発信元:210.228.189.56
>>26なす様に乗った御一行を、向こうで迎えるのですね。
>>27じゃない事位分かってるよー。揚げ足取りヨクナイ。
別に揚げ足取りじゃないじゃん。俺の馬鹿。
30 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/25(木) 01:46:31 発信元:219.162.177.103
31 :
ゆだ ◆MK0I5sRxe2 :2005/08/25(木) 01:52:04 発信元:210.228.189.56
なんか口ずさんでしまいます。はい。
この時期聞くとしんみりしてしまう曲
@ホテル・カリフォルニア(イーグルス)
A夏休み(吉田拓郎)
B夏をあきらめて(サザン、もしくは研ナオコ)
・・・歳がばれてしまうな
>>32 上二つはよくカラオケで歌う
そんな俺はギリギリ20代
この時期聞くとうれしい曲
@夏祭り(ホワイトベリー)
A夏はマシンガン(しらない)
B車輪の歌(バンプオブチキン)
車輪の歌は夏っぽいとおもう
もうすぐ日テレのアレがはじまるな・・・
どうでも良いけど
もちろん見るだろ?
@天体観測
A少年時代
Bお願いセニョリータ
何でVIPでレンジが叩かれてんだろ?ハピマテのライバルだったからかな…
37 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/28(日) 01:14:08 発信元:219.166.11.54
39度のとろけそうな日
炎天下の夏・・・
誰の何て曲だったっけ?
>>36 古今東西のミュージシャンから盗作してるからだよ…
| |\ /| |
| |::.::.\__________/ : ::| |
| |:::.::.:.:.| \ │ / |::::::::::.| |
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| |:::.::.:.:.| ─( ゚ ∀ ゚ )─ .|.::::::::::| |夏の扉
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| |:::.::.:.:.|( ゚∀゚) . . . \ . つ::::::.:| |
| |:::.::.:⊂ つ . | |:::::::::| |
| |:::.::.:.:.| ヽノ____/ .人 .|::::::::::| |
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|_|,.. '"  ̄ "' ::.,.::|_|
40 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/08/29(月) 02:54:53 発信元:61.22.169.224
>>37 センチメンタル・バスのSunnyDaySundayだな
僕の中でも思い出の夏曲です
>>40 サンクスコ 思い出した!
まだそんなに経ってないのに遠く感じるね
アフロの女の子結構好きだった
43 :
夏:2005/09/07(水) 20:21:04 発信元:211.2.5.163
サヨウナラ
また来年ね・・・
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::。:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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:::::::::::::::::...... ....:::::::゜::::::::::.. (___ )(___ ) ::::。::::::::::::::::: ゜.::::::::::::
:. .:::::。:::........ . .::::::::::::::::: _ i/ = =ヽi :::::::::::::。:::::サヨウナラ
:::: :::::::::.....:☆彡:::: //[|| 」 ||] ::::::::::゜::::::また来年ね・・・
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::::::...゜ . .::::::::: /ヽ ノ ヽ__/ ....... . .::::::::::::........ ..::::
:.... .... .. . く / 三三三∠⌒>:.... .... .. .:.... .... ..
:.... .... ..:.... .... ..... .... .. .:.... .... .. ..... .... .. ..... ............. .. . ........ ......
:.... . ∧∧ ∧∧ ∧∧ ∧∧ .... .... .. .:.... .... ..... .... .. .
... ..:( )ゝ ( )ゝ( )ゝ( )ゝ俺たち残して逝きやがって・・・ ..........
.... i⌒ / i⌒ / i⌒ / i⌒ / .. ..... ................... .. . ...
.. 三 | 三 | 三 | 三 | ... ............. ........... . .....
... ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ∪ ............. ............. .. ........ ...
三三 三三 三三 三三
三三 三三 三三 三三
夏の終りの感傷に浸るまもなく
台風の心配だよ
今年も当たり年だな
46 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/09/11(日) 01:10:17 発信元:219.162.185.83
明日には、一歩前に
明後日には、もう一歩前に
そうやって毎日を過ごせば
きっと後悔はしない
次の夏には、もっともっと強くなって
あなたを迎えにいこう
九月も半ばなのにこの蒸し暑さは何?
過ぎ行く夏を惜しんだのは何のため?
でももう少し・・・2005夏
48 :
夏:2005/09/16(金) 09:24:24 発信元:211.2.6.109
ゴメン来週までいさせて
49 :
秋:2005/09/22(木) 00:13:09 発信元:125.0.148.253
そろそろいい?
んーん、まーだ☆
もう少しだけ待ってね。
今日は予報だと最高33度だもんな。
真夏と変わんない・・・orz
52 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/09/24(土) 17:27:38 発信元:60.40.176.54
シベリアの夏は短い
硬く閉ざされた凍土は融け
みどりの草原が顔を出す
レナ河のほとり、ソーチエンツィの村では
今年も夏祭りの準備が、滞りなく進む
女たちはクミス(馬乳酒)の下ごしらえ
男たちは鮒を釣りに、鹿を狩りに
一年で最も、シベリアが活気付く時期であろう
少年が、14歳のときであった
少年の名はアルク
彼は若くして、弓術と馬術に長けていた
よくなめされた狼の皮のチョッキは狩人の証
同年代の牧童達の、憧れるものであった
祭りの夜は近づく
十分に獲物は溜め込んであったが
村の男衆の、旺盛な食欲を考慮して
アルクは今日も、狩りに出ることにした
突き抜けるような青空
朝の草原を、愛馬レグルスと共に駆ける
春がきてもなお、氷はとけることなく
夏になってようやく、生命の息吹を感じることができる
短い夏が過ぎれば、また雪と氷に大地は閉ざされる
つかの間の夏
あらゆるいのちは、それを大切に大切に生きる
だからこそ、シベリアの夏は美しいのだ
空と大地とが交わる地平線
そよぐ風に、揺れる小さな野の花
この景色よりも美しいものを、少年は知らない
イルルフスキーの大草原を抜け
ヴェルホヤンスクのふもとの森に着く
カラマツの並木の一本に馬を繋いで
少年は優しく声をかけた
「今日はすぐ戻ってくるからな」
「おとなしくしててくれよ」
ぶるるん、とレグルスは答えた
続けて、続けて ノシ♪
57 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/09/27(火) 17:36:58 発信元:220.96.238.200
静謐な森の奥の奥
森ぜんたいが、小さな秘密を隠し抱くかのように
聖なる泉が、そこにある
青くほのかにかがやく泉は
ラピスラズリという宝石が、溶け込んでいるからだ
と少年は聞いたことがある
狩りの前にはそこで祈りを捧げ、水で弓矢を清めることが
狩人たちの掟となっていた
歩き慣れた森の小路は
いつものように少年を泉へと導く
ただし、いつもと違ったのは
美しい歌声が、微かに
泉のほうから聞こえてくることだ
村の女が、水を汲みに
わざわざここまで来るはずはない――
そう考えた少年は、なぜだかわくわくしてきた
少しでもはやく声の主をたしかめようと、足を速めた
視界が開ける
少年は目を凝らした
まっ白い、少女だ
白いワンピース
それ以上に白い肌
絹のような長い髪も、銀髪というよりは白に近い
青い泉のほとりで、白に包まれた少女が
優しい歌声を奏でている
目が、その少女から離せない
胸が、自分のものじゃないみたいにどきどきする
少年は、黙って少女をみつめることを
なんだかとてもいけないことのように
恥ずべきことのように感じていた
ふと
少女は、歌うのをやめた
そして微笑むような、いつくしむような
優しい表情を、ゆっくりと少年に向けた
(――気付かれてたっ!)
61 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/09/29(木) 17:49:36 発信元:60.33.198.219
「…つ、つつつつ、つ続けてっ」
彼女と、目が合った―――真っ白い少女の、真っ赤な瞳
少女はふわりと微笑むと(少年にはそう見えた)
少年のよく知らない歌を
また続きから歌い始めた
少年の胸は、いままでのどの瞬間よりも早く脈を打った
少年の知る、村のどの少女にもない
何か言葉に表せないような魅力を、彼女はもっていた
とつぜん、切れの悪い部分で、少女は歌を止めた
「やっぱり、ダメ」
「誰かに見られてると、うまく歌えないの」
少女は目を細めて、いたずらっぽく微笑う
白く雪のように溶けそうな肌に
くりっと丸い、紅い瞳
うさぎみたいだと、アルクは思った
しかし言葉にはならない
何も言葉が見つからない
「あなた、狩人さんね」
話す声も歌声と同じく、耳に心地よく残る
少年は、恥ずかしさのあまり震えた声で話した
「きみは…?」
63 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/10/03(月) 03:14:08 発信元:216.142.90.62
もう夏じゃないし
64 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/10/05(水) 17:07:01 発信元:60.45.108.205
65 :
夏:2005/10/05(水) 20:00:25 発信元:219.116.66.175
私はあなた方の望む時にいつでも訪れます
そう・・・青春が人生のある一時期だけではなく心のあり方であるように
66 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/10/07(金) 07:27:20 発信元:211.126.49.248
きれいな指してたんだね
67 :
◆prGJdss8WM :2005/10/07(金) 10:52:32 発信元:210.228.189.77
69 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/10/17(月) 13:56:06 発信元:220.111.190.178
もうすっかり秋か…
70 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/10/17(月) 14:22:05 発信元:222.7.56.109
秋雨前線@神奈川西部
鬱気味…orz
71 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/11/13(日) 21:23:39 発信元:220.111.187.10
冬…
72 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/11/15(火) 00:36:06 発信元:220.159.99.207
秋まで俺を通り過ぎてゆくのか…orz
73 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/11/15(火) 01:02:49 発信元:219.125.148.213
そのうちまた夏がくるよ
雪山は僕のことを待ってくれているのでしょうか?
ツンデレよりツンドラが好き
76 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/12/05(月) 00:11:27 発信元:58.90.59.74
初雪が降りました
77 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2005/12/29(木) 15:42:14 発信元:61.22.171.71
雪積もり杉
78 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/03/09(木) 08:44:25 発信元:219.125.148.203
もうすぐ春ですよ
そしてまた、あの夏がやってくるんだな。
蒸し暑くて、寝苦しくいあの季節が。
80 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/06/30(金) 07:15:05 発信元:221.190.143.226
JIMEJIMEするぜ…
81 :
ロンリー ◆Lonely.K5c :2006/06/30(金) 09:08:35 発信元:222.7.56.249
今年もあの生ぬるい風が夏を呼ぶ
guest
guest
83 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/13(日) 07:21:18 発信元:61.22.168.141
お前ら夏だ夏だって浮かれてるけどな
84 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/13(日) 12:43:26 発信元:218.222.1.169
うかれてないよ
85 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/14(月) 02:32:12 発信元:61.22.168.141
お前ら夏だ夏だって浮かれてないけどな
そんなに浮かれてっと、浮き輪になっちまうぞ。
87 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/18(金) 00:21:39 発信元:211.18.111.196
夏は何回俺を残していったのだろう…
88 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/18(金) 01:27:35 発信元:125.203.217.135
中学生です。
夏休みワーク、読書感想文、
課題の絵とかポスター、自分の成績良くするための自主勉・・・
などが、ありました。
今は3年生だからそういう宿題はありませんが
けっこうきつかったですね。
89 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/18(金) 11:36:31 発信元:58.0.45.40
夏ほど暇ですることのない季節は無い
盆はずっと寝てたよ・・
90 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/24(木) 10:33:54 発信元:220.96.236.106
終 わ る
91 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/08/30(水) 08:25:17 発信元:125.174.137.119
じわじわと秋の気配が...
92 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2006/09/08(金) 00:21:59 発信元:220.111.188.158
涼しい…
少女は鈴のように小さく震える声で
「スピカ」
と答えた
「う、歌が、好きなんだね」
「ええ」
しどろもどろでアルクは、必死に会話を繋げようとする
「…スピカは、村の子なの?」
「そうよ」
「そ、その…夏祭りには…来るの?」
「あら」少女はふわっととろけるような笑みを見せて、「デートのおさそい?」
アルクは、今にも失神しそうなくらい恥ずかしくなった
(少女の言葉は、アルクをあざけるような調子では、決してなかったのだが)
もっと彼女と仲良くなりたいという素直な欲求が
とても恥ずかしいものであるように、アルクには思えてきた
「な、なんでもないっ」
駄目だ、彼女と話していると、自分が自分じゃないみたいだ
アルクは急いできびすを返した
「あっ」
脱兎のごとく駆け出す少年
スピカの声は、もはや彼には届いていなかった
びゅん、と風が吹きぬけるような速さで、少年は走り去ってしまった
彼を見送ったのち少女は、ふと足元に目をやる
皮製の矢筒…彼の落としていった物だろうか
彼女は、それ大事に拾いあげ、胸に抱きしめた
初夏の夕暮れ
アルクは小屋の前にぼうっと座って、はるか稜線に沈んでいく夕陽を眺めていた
アルクの村での仕事は主に狩りであるが、ここ5日間は
夏祭りのイベントのひとつである「熊送り」(熊の霊を天に差し戻す儀式)――
この儀式のために捕らえられた雄、雌つがいの熊を
熊小屋の前で見張る仕事を与えられている
「熊の番人」である
他の少年少女がしきりに練習しているような
歌や楽器の演奏、踊りなどは得手ではなかったため
彼は進んで「熊の番人」の役を引き受けた
陽が沈むと、初夏とはいえ凄まじく冷えこむ
彼はコートを羽織り、ぎゅっと身を縮めながら
とりとめのない考え事に思いを馳せた
――スピカ
何度も彼女のことが頭を巡る
綺麗な名前
真っ白い肌
透き通った声
また会えるかな
会って話したいな
少年の想いは、ふっと吐き出した白い息のように
はかなく漂って、散って、夜空に溶けた
夏の星座が輝きだす
夏の訪れを祝っている――
アルクは次の日、もう一度スピカに会いに森へ向かった
置き忘れた矢筒を取りに来たんだ、とか
不器用な口実を用意して
少女は変わらず、聖なる泉のほとりで歌っていた
アルクを見つけると、満面の笑みを浮かべて
「きてくれたんだっ」
とアルクに近づいた
大きく鳴り出す胸を抑えて、少年は
「わ、忘れ物…取りに来たんだよ」
と告げた
やっぱり彼女を前にすると、うまく台詞が出てこない
「あ、これ?」
「うん、あ、その…ありがと」
「はいっ」
スピカの細くて、綺麗な手がアルクに触れそうになる
彼は矢筒を受け取ると、慌てて手を引っ込めた
「あ、それと」
「なあに?」
「その…昨日は…ご、ごめん」
スピカは可愛いまなざしで「?」とアルクを見つめた
「あっ、いや、さ」アルクは慌てて言葉を探す「歌…邪魔したかなって…今日も」
「んーん、いいのいいの」
昨日より距離が近い気がする
手を伸ばせば触れてしまう距離
「聴いたことない歌だった…あれは、夏祭りの歌?」
「ううん」スピカはまぶたをそっと伏せて、かぶりをふった「私の、大すきなうた」
瞳をとじたまま、彼女は歌い始めた
あの時聴いた歌だ――綺麗で、切なくて、でも暖かくて、不思議と懐かしい歌
歌詞はアルクの知らないことばだった
でも、意味がわかるような気がする
すごくすごく美しくて、悲しい詞
数小節を歌い上げて
彼女はふたたび目をひらいて
「どうかな?」と照れたように尋ねた
「うん、すっごく綺麗だよ」
アルクの言葉は、歌の感想というよりも
スピカの印象を率直に述べたものであったから
彼女は驚いた
「えっ」彼女の白い頬に少し、赤みがさした
105 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/21(日) 17:50:06 発信元:124.96.224.40
言った後に気づいて、アルクも赤面する
「あっ、うん…その、キレイな、歌声だった」
「えへへ」照れる気持ちは、隠せない「ありがと」
それから次第に緊張の糸はほどけて
アルクとスピカは、ときに聞き手となりときに話し手となり
おたがいを少しずつ知っていった
アルクが村の悪童たちのいたずら話や冒険譚を
あまりにおもしろい調子で話すものだから
スピカはおかしくておかしくて、おなかを抱えて笑った
笑いすぎておもわず咳き込むスピカをみて、アルクは心配そうに声をかけた
「大丈夫?」
「うん、だいじょぶ、生まれつき、ちょっと身体が弱いだけだから」
可笑しさの余韻を涙に浮かべて、幸せそうな笑顔で彼女は応えた
いっぽうスピカの話し方は愛らしく、茶目っ気があり
それでいてときどき気品のようなものも感じさせる
お嬢様なんだな、とアルクは思った
アルクはふと、気になっていた質問をスピカにぶつけた
「スピカは、どうしてこんなところにいるの?」
瞬間、スピカの表情が曇った
いまにも泣き出しそうな、遠いむかしに何かを諦めてしまったような
それでいてどこか満たされたような、むずかしい表情をして
彼女は、ぽつりと答えた
「迎えを、待っているの」
「迎え?」おうむ返しに問い返すアルク
「わたし、迷子なの」
これ以上訊かないで、といった口調
目の前で扉が閉ざされてしまったような思いがして
アルクはそれ以上たずねることが出来なかった
りぃん、と遠くで虫が鳴く
ふっとスピカが空を仰ぐと
橙と紫の混じった夕焼け空がひろがっていた
「きれい…」
夕焼けの色を瞳にやどして、見とれたように彼女はつぶやいた
アルクは空の色なんかより、スピカに見とれてしまいそうになる
真っ白い少女は、世界の色彩をぜんぶ吸いこんで、輝くようだった
「ね」くるりと視線をアルクに戻して「夏祭り、明日の夜だよね」
「うん」アルクは答える「その、さ…明日なんだけど」
鼓動が――しばらく姿をひそめていた、あのドキドキが――また胸を乱暴に叩きはじめる
どくん、どくん、どくん、どくん
少年は必死の思いで、言葉を紡ぎだした
「い、いっしょに、その…見て回らない?」
一瞬の驚いた表情――
(その一瞬で、アルクは期待と不安と後悔と恥ずかしさと全ての感情を一度に経験した気がした)
そののちスピカの顔に、本日最高の笑顔が浮かんだ「――うんっ!」
「ほんとに!?」
「うん、やくそくね?」
「うん!絶対な!」ふつふつと、遅れて安堵が少年をつつむ「…良かった…」
想いを告げるのは、その時かな?
でもなんて言ったらいいか、わからないや
アルクの想像は時間を越えて、明日の夜まで羽ばたこうとするが、うまくいかない
とにかく、明日がたのしみでしょうがなかった
109 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2007/01/21(日) 17:56:58 発信元:124.96.224.40
「でもね、その」スピカがほんの小さな声で、口ごもる「わたし、ほんとはね」
「ん?」アルクの耳には届かなかったようだ
「ううん、なんでもない」ちら、と彼女はまた空を見あげる「あ」
空はすでに、宵の紺色へと染まろうとしていた
「まずいっ」アルクは気付く「熊の番、交代の時間だ」
明日の夕方、日の沈む前に、またここに迎えにくるよ
約束を交わして、荷物をまとめる
「じゃあ、また明日な」
「うん…またね」
二人は、そういって、別れた
350光年の、別れを告げた
110 :
・?・:2007/05/07(月) 00:06:17 発信元:220.159.15.246
今年も夏が来るのか・・・
112 :
spica:2008/02/09(土) 21:23:38 発信元:122.211.13.151
――夜がきて、わたしのこころは宙に舞う
さみしい夕暮れも、せつない虫の音も
ぼんやりと忘れ
ゆっくりと離れ
夜空に浮かぶ、ひとつの蒼白い星になる
わたしはスピカ
ヴァルゴのアルファ
ひとは死んだら、星になる
星は死んだら、何になる?
想いは果てない
君には逢えない
ひとりぼっちのスピカは、また夏をさまよう
真っ白い肌、真っ赤なひとみ
ともだちなんていなかったわたしと
仲良くしてくれたはじめてのひと
恋かもしれない
誰にもいえない
そっと気持ちはかくしたままで
わたしは、明日を楽しみにしている
113 :
spica:2008/02/09(土) 21:24:25 発信元:122.211.13.151
本当に、本当に楽しみなの
ああ、ほんとうに、子供みたい
スピカは眠れずに、くるんと寝返りをうつ
ぱちりとひとつまばたきをすると、
きらりと星屑が粉のように舞った
小さなひとつの思いつき
ゆびさきに灯る星の光で
あなたの姿を探してみよう
青を湛えるひみつの泉から
森を抜けたら、広い広い丘
すすすっ、と指でなぞる
木々も短い草たちも、夏を全身に浴びておおきく伸びをする
まるい月にあかるく照らされて、みんな輝くように美しい
ひんやりと静かな夜に抱かれ、シベリアの夏は眠る
ゆっくりとスピカの視線は南に向かって――
114 :
spica:2008/02/09(土) 21:25:15 発信元:122.211.13.151
みーつけたっ
滔々と流れるレナの大河のほとりに、小さな集落
その中心の広場には、荒く丸太でこしらえた小屋
そこに背をあずけて座り、うつら、うつら
アルクの小さな影が見える
(暖かくして寝ないと、風邪ひいちゃうよ)
でも気持ち良さそうな寝顔に誘われて、スピカまで眠たくなってしまう
(幸せな夢をみているのね
わたしも一緒に寝ていいかな?)
静かに目を閉じると、また星屑が舞って、儚く消える
(でもね、わたし、ほんとはね)
こぼれそうになる涙のしずくを抑えながら、少女は言った
(ここに居ちゃいけないの)
115 :
spica:2008/02/09(土) 21:25:47 発信元:122.211.13.151
はっ
とアルクは目を覚ました
いけない、少し眠っていたみたいだ
慌ててあたりを見回すが、異常はないようだ
どの家も灯かりが落ちて、寝静まっている
星の様子を見ると、まだ深夜というには早い時刻か
「スピカ――?」
呼ばれた気がした
きっと気のせいじゃない
スピカが、寂しがっている
彼女は、どこで眠るのだろう?
あの森から集落まで、どうやって戻るつもりだろう?
馬の脚でもずいぶんと時間がかかるはずだ
そんな程度のことに頭が回らなかった自分が情けない
スピカのことが気になってしょうがない
熊の番を放り出して、村の役場まで駆けた
116 :
spica:2008/02/09(土) 21:26:39 発信元:122.211.13.151
村役場は宿場と酒場をかねており、一階はこの時間でも暖かい雰囲気に満ちていた
祭りの準備を終えた村の衆が、それぞれウォッカのグラスを片手に談笑している
ばん、と木戸を乱暴に開いて、アルクが現れた
酒で上機嫌な男達は、少年を明るく迎え入れた
「おおアル坊、どうした荒い息して」
「ん、熊の子守じゃないのかお前」
「まぁこんな夜くらい、あいつらも大人しくしてらぁな」
「こっち来て飲め飲め!お前もご苦労さん」
曖昧な表情で誘いを受け流しつつ、視線をぐるりと巡らす
奥のカウンターで、アルクの父と村の長が酒を酌み交わしているのが見えた
「親父っ」駆け寄るアルク
「おお、お前か――どうした」赤い顔をして父は答える
「スピカって子、知らないかな」
「うん?ああ…なんだ?」
聞いているのか居ないのか、といった調子だ
ここまで酔っている父はあまり見たことがない
祭りを楽しみにしているのは子供達だけじゃないんだな、と息子は思った
117 :
spica:2008/02/09(土) 21:27:11 発信元:122.211.13.151
「スピカを、知っているのかね」
助け舟を出してくれたのは、隣に座る村長だった
威厳と優しさを持つ声でアルクに語りかける
豊かに髭を蓄えているが、年のころは父とさほど変わらない
「あっ、いえ、少し話したくらいです」
「――話した?」
興味を持った様子で、村長はアルクに椅子を勧めた
遠慮なく腰掛けると、少年は説明を急くように真剣な眼差しを村長に向けた
「スピカといえば、村いちばんの郷士のひとり娘だよ」
村長も、父のペースに合わせてしたたか飲んでいたようだが
その口調はしっかりしたものであった
アルクは、その一言一句を聞き逃すまいと耳を傾けた
118 :
spica:2008/02/09(土) 21:27:55 発信元:122.211.13.151
「あの子は、альбинос(アリビーナス:アルビノ)だ」酒場の賑わいのなか、村長は静かに語る
「それに生まれつき、身体の抵抗力が弱い子であったのだよ」
その聞きなれない単語の意味が良くわからなかったが
ちょっと身体が弱いだけだから――スピカも同じことを言っていたことを思い出した
その郷士と村長は旧知の仲であり、よく娘の自慢話を聞かされたこと
スピカは歌がとても好きで、村長もその繊細な歌声に心を打たれたことなど
宝石を一つずつ拾い上げては眺めるように、彼は嬉しそうに思い出を語った
「ただ、彼女は、陽の光を浴びることが出来なかった」村長の表情が微かに曇る
「スピカは、ずっと家で過ごさなければならない、そういう身体なのだ」
「え、でも彼女は、森の中で――歌っていました」
「ほう」村長は、ぜひ続きを聞かせてはくれぬか、とアルクを促した
119 :
spica:2008/02/09(土) 21:28:42 発信元:122.211.13.151
彼女と初めて会ったときのこと
彼女と話したたくさんのこと
彼女の優しい歌声や、微笑み
今度はアルクが、嬉しそうに語る番だった
途中で父が「おう、そりゃホの字って奴だな」などと茶々を入れてきたので
アルクは鬱陶しそうに父を遠ざけたが
内心、スピカのことを思い出すだけで、つい胸が高鳴る自分にも気づいていた
事情を話し終えたアルクは、ここに来た理由ともいえる質問を投げかけた
「それで、スピカは――その、今もそのお屋敷に住んでいるんですか?」
「いや…」村長は、遠い目をして答えた「今は、居らん」
「それじゃあ、どこに?」
長い沈黙の後、ようやく村長は口を開いた
「星だ」
「星?」
「スピカは、星になったよ」
「――それって」
「一年前の、春のことだ」震える声で、告げた
「流行りの病で、息を引き取ったよ」
ふーん
121 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2008/08/10(日) 23:37:21 発信元:219.125.148.106
夏のノルマは低めで…
123 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2008/09/05(金) 17:32:05 発信元:218.41.62.92
ちょっと今日は涼しかった
そろそろ夏が終わり始めているな
124 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2008/09/05(金) 21:33:21 発信元:118.0.241.133
Sound Horizonのエル思い出した。
夏が俺だけ残して通り過ぎていく、ということは
永遠の夏 ということか
それもまたいいものだな
126 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2008/09/09(火) 19:37:42 発信元:219.125.145.22
夏も終わりだねぇ
127 :
いやあ名無しってほんとにいいもんですね:2008/09/11(木) 11:33:04 発信元:61.118.152.56
過ぎゆく夏の儚さがたまらない
これから涼しくなっていく
ハァ・・・切ない
秋の訪れはいつも切ない
昼はセミが鳴いてるが
夜は虫が鳴いている
切ない