>>37 常駐スレでみつけたんで、まあ暇つぶしによんでくれ
吉田兼好『徒然草』より
芸事や稽古事を始めようとする人で
「下手なうちは人に隠しておこう。こっそりと稽古をして、うまくなってから人前に出て披露するのが恥をかかなくていい」
などと言う人がよくいるが、こんなことを言う人はけっしてどんな芸も身につけることは出来ないものだ。
むしろ、まだ下手なうちからうまい人の中に混じって、まわりからけなされたり笑われたりしても、
それを恥とはせずに、平気で受け流すようにしないといけない。そうして、怠けず自己流にならずに、長年の間稽古に励んでいるなら、
たとえ生まれつきの才能がなくても、才能があるのに怠けている人よりも早く上達できるものだ。
そして、そういう人が最後には能力を飛躍的に伸ばして、誰もが認める第一人者となるのである。
今でこそ天下の名人と言われているような人も、最初は下手だと言われて、
ひどい恥をかいたこともあったのである。
しかし、そんな人が、その道の決まり事を厳密に守り、しきたりを重視して我流に流れないことによって、世に名の知られた名人となって、多くの人たちを教え導く立場についているのである。
このことは、どの芸事でも同じことである。(第150段)