サイバー上、且つ一般に知られていない事例ということで、説明を長くせざるをえませんでした。
面倒臭いとは思いますが、何かしらお答え頂けると嬉しいです。
質問
「Agame」というオンラインゲームがある。Agameは5月1日にβサービスを実施することにより
稼動し、5月31日にβサービスを終了。6月2日から正式サービスを開始した。
Agame内では、キャラクターに付属する仮想ペットを利用できる。仮想ペットには維持費が必要であり
その維持費は、βサービス期間中は、1時間につき100ゲームポイント(ゲーム内特殊通貨)であった。
なお、ゲームポイントは、オンラインポイント(第2のゲーム内特殊通貨)と交換することにより入手
できる。したがって、プレイヤー(当該ゲームを利用している消費者)は、一定の手段によりオンライン
ポイントを入手し、それをゲームポイントと交換し、交換したゲームポイントを使用して仮想ペット
を維持していた。その際のレートは、1ゲームポイント=1オンラインポイントであった。
このような状態でβサービス期間である1ヵ月が経過し、βサービスは終了した。また、5月20日ごろには、
正式サービスの料金体系が発表され、その料金体系は月額課金チケットA(1,000円で1ヵ月間当該ゲームをプレイ
できる+ゲーム内通貨1000オンラインポイント)とアイテム課金チケットB(1,000円で、ゲーム内通貨
1000オンラインポイントを購入できる)の両方であった。発表した時点で、すでにチケットは購入可能であった。
Aは、正式後もAgameをプレイしようと思い、チケット購入を考えた。まず、チケットAについて、
これを買えば1月遊べて、更に仮想ペットを10時間維持できるのは安いと思い、チケットAを6月1日
に購入した。さらに、ペットはもう少し使うであろうと考え、チケットBも6月1日に購入した。
さて、6月2日の正式サービス当日の開始時間1時間前に、突如として公式発表があった。内容は
「1ゲームポイント=20オンラインポイントにする」というものであった。Aはこれを見て愕然とした。
なぜなら、買ったチケットで、ペットを20時間維持できるはずだったのに、1時間しか維持できなく
なったからだ。Aとしては悔しい。ここで、Aが法的に何らかの手段を取りうるか。
特殊用語
・オンラインゲーム=ネット上で、キャラクターを操作して遊ぶゲーム。
・月額課金=オンラインゲームの課金体系の1つ。消費者は、料金を支払う事により、
当該オンラインゲーム内で一定の期間、自由にキャラクターを操作できる。
(月額1,000円を支払ったので、1ヵ月間自由にそのゲームをプレイできる等)
・アイテム課金=オンラインゲームの課金形態の1つ。ゲーム上で有用なアイテムやデータ等を
商品として、消費者に売るという形態。(アイテムを1つ500円で売る等。)
・βサービス=オンラインゲームの性質上、ゲーム内のデータ、サーバ等に不具合がないか調べる
為の期間。通常オンラインゲームは、まずβサービスにより、無料で消費者に当該ゲームをプレイ
させる。そして、消費者はゲームをやることによってゲームの不具合等を調べ、それをゲーム運営
会社に知らせる。一定の不具合が取り除かれたと判断した後に、運営会社はβサービスを終了し、
正式サービス(有料)に移行する。
私見
Aは民法95条の錯誤無効を主張できる。錯誤無効の要件は、表意者に重過失がないことと、法律要素
の錯誤であること、である。
まず、Aの重過失の有無について、1月というβ期間、ゲーム通貨のレート設定は一定であり、
いかにβ期間にデータの修正がありえるとはいえ、レートが20倍になるなどということは予想し難い。
また、仮に20倍になるのであれば、実際の運営会社と消費者との間の取引に重大な影響を与えるのは
当然であるから、もしそのような変更がなされるならば、運営会社はチケット販売に先立って、
その旨を報告すべきであり、また通常は消費者もそれを期待している。そのような状態で、消費者は
運営会社の運営する公式サイトからしか、情報を得られないのである。したがって、Aが公式サイトの
情報を見ているならば、最大限の注意力を払っていたといえるし、かつβ時の状況を考慮すれば、
Aに重過失があったとはいえない。次に法律要素の錯誤であるかどうかについて、Aチケットはともかく、
Bチケットはまさに仮想ペット維持の為の商品であり、それ以外の用途が現状では存在しない以上、
消費者は、ペットを10時間維持するためにチケットを買ったといえる。しかし、突然のデータ変更により、
これが10時間どころか30分になるとすれば、消費者の購入動機と明らかに食い違っている。
動機の錯誤ではあるが、ペット維持時間とチケットBとの関係はイコールであるから、チケットBを購入
すること自体に、動機が表象されていると言える。したがって、本件は法律要素の錯誤といえる。
以上から、Aは運営会社に対して、チケットB購入契約の錯誤無効を主張できる。
以上、詳しい方間違い指摘等よろしくお願いします。
(運営側の悪意の有無、Aチケットについては、まだ考え中です。長くて申し訳ないです)
追記 オンラインポイントは、正式サービス後には、チケットAないし
Bを購入することによってしか入手できないことは、事前に知らされていた。
βサービス時には、一日に一定値が、勝手に補充されるようになっていた。
お聞きします。
名誉毀損罪の公訴時効は3年ですが、告訴は6カ月以内にしなければ
公訴時効の3年というのは無意味になるのですか。