やさしい法律相談part151

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232無責任な名無しさん
強迫性障害とは、不快な考えが頭に何度も浮かぶため、その不安を振り払う目的から同じ行動をくり返してしまう病気です。
手を何度も洗わずにはいられないとか、戸締まりを何度も確認しなくては気がすまないなど、誰でもたまには経験する行動なのですが、
それが習慣的かつ非常にエスカレートして生活に支障をきたすほどの状態が強迫性障害です。
そして、患者さんが自分の不快な考えについて「こだわりすぎだ」と判断できるにも関わらず、こだわらずにいられないことが特徴です。
以前は、強迫神経症と呼ばれていたのですが、“神経症”という概念が世界的に使用されなくなり、強迫性障害と呼ばれるようになりました。
強迫性障害は英語でObsessive Compulsive Disorderというため、その頭文字をとってOCDと言われています。
233無責任な名無しさん:2005/12/06(火) 17:43:58 ID:WGfe7S3X
強迫性障害の患者さんは、アンダーラインを引いて示したような「あいまいなこと」「抽象的なこと」に対して不安や混乱を感じることが比較的多いようです。
また、心配事を映像化して空想するために不安をさらに強くしたり、現実と空想の区別への確信をさらに得にくくしてしまうこともあるようです。
不安が強いのは実際の危険性が高いからだと誤解して感じてしまう場合も少なくありません。
さらに、心の中の思考や空想に対する責任と、自分の行動への責任の重さは違うという「当然の常識」が直感的に理解できなくなっている人もいます。
そして、現実の事態に適切に対処する行動をコントロールするのではなく、思考や不安をコントロールして安全を守ろう、責任を果たそうと考えてしまうのです。
このため、本人なりの安全への努力が、周囲の人間から見ると問題の解決にならない矛盾した行動として見えることもあります。
234無責任な名無しさん:2005/12/06(火) 17:44:38 ID:WGfe7S3X
強迫性障害という病名があまり耳慣れないせいか、とても特別な病気というイメージがあります。
しかし、実際にはそれほど稀な病気ではなく、一般人口の1.3〜2%に認められるといわれています。
人口の2%として計算すると、日本でも約250万人もの患者さんがいることになります。
また、強迫性障害の患者さんが治療を受けることでどれくらいよくなったかというデータもありますので、
参考までに補足しておくと、適切な治療を受けた強迫性障害の患者さんのうち約1/4の人は著明に改善し、
残りの1/2の人もある程度改善したと報告されています。
強迫性障害は治りにくいというイメージがあるようですが、適切な治療を継続すれば症状が改善される病気なのです。
235無責任な名無しさん:2005/12/06(火) 17:45:03 ID:WGfe7S3X
強迫性障害を発症して何年も経過してから医療機関を受診するというのは決して珍しいケースではありません。10年以上も経過していることもあります。
患者さんは自分の強迫行為や強迫観念に対してばかばかしさや、無意味さを感じているので、家族や周囲の人に知られて「頭がおかしい」と思われないかと不安に思い、
自分の中にじっと閉じ込めてしまうことが少なくないようです。もっとも、最近では、強迫性障害の患者さんが必ずしも常に自分の行動や考えに無意味さやバカばかしさを感じているわけではないという見解も出てきました。
そのため、強迫性障害の診断基準でも、「ある時点で、強迫観念または強迫行為が過剰である、または不合理であると認識したことがある」というように、ずっと継続して自分の行為や考えに不合理さを感じていなくてもよいとされています。
そうして考えれば、患者さんは自らの心配事について半ば本気で悩んでいることも多いわけで、その場合は心配の内容に一致した科を受診することはあっても(エイズ恐怖の患者さんがエイズ検査を希望して受診するなど)、
心配のしすぎを主訴として精神科や心療内科を受診しようと思わないのも無理はないでしょう。
いずれにせよ、強迫性障害の患者さんは他人から自分がどう見えるかをきちんと判断することはできており、決して“頭がおかしくなってしまった"のではないということを理解してください
236無責任な名無しさん:2005/12/06(火) 17:45:32 ID:WGfe7S3X
1980年ごろより、強迫性障害の要因として、脳の一部(大脳基底核領域)における機能異常が指摘され始め、その機能異常には脳内神経伝達物質の1つである“セロトニン”が関与しているのではないかという仮説が立てられるようになりました。
この仮説では、私たちの脳の中には、「汚れを避ける」や「安全を確認する」といった情報をコントロールする部分があり、この部分に異常が起き、情報のコントロールが不能になったときに、強迫性障害のさまざまな症状が現れるのではないかと考えられています。
そして、その情報のコントロールのために重要な役割を果たしているのが、神経伝達物質のセロトニンであると言われています。セロトニンは脳内の情報を神経細胞から神経細胞へ伝達する役割を担っているのですが、
強迫性障害の場合、神経細胞から放出されるセロトニンの働きに何らかの問題が生じて、
十分な情報の伝達が行なわれず、脳の強迫性障害に関わる部分での機能異常が生じると考えられています。
237無責任な名無しさん:2005/12/06(火) 17:46:03 ID:WGfe7S3X
治療における多くの研究においても、
セロトニン系の異常と強迫性障害の関わりが裏付けられています。
強迫性障害の治療には、抗うつ薬が使われることがほとんどですが、
その中でも特に、「セロトニン系に強く作用するくすり」の効果が高いことが分かっており、
うつ病に効果があってもセロトニン系に作用しない薬では強迫性障害には効果がないともいわれています。
セロトニン系の異常を中心とした生物学的要因のみで強迫性障害を説明することはできませんが、強迫性障害の患者さんの中には、
自分が何度も確認しないと落ち着かないのは性格の問題だからしかたがないと考える方も多いため、さまざまな原因によって生体に異常が起きた結果、
強迫性障害の症状が現れる可能性があることが分かってきたことはとても重要なことだと思います。また、からだに異常が生じているのであれば、それを治療によって修正することで、
強迫性障害のいろいろな症状もよくなると考えることができます。