【法律論議】ライブドアvsフジテレビ【第6回期日】

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118無責任な名無しさん
日経産業新聞

ニッポン放送の取締役会は新株予約権発行を全会一致で決議。四人の社外取締役も賛成したが、
東京高裁は違法と判断した。ニッポン放送は裁判で「企業価値の増減の観点から、取締役会が
防衛策発動の是非を決められる」と主張した。しかし高裁は米国では一般的なこうした考え方を
明確に否定した。差し止めの結論自体には賛成しても、この点には法曹関係者の間でも異論がある。
敵対的買収に対し、米国では独立した社外取締役が企業価値の動向などを判断し、買収提案を受け入れるか決めるのが一般的。
米裁判所はこのプロセスが適正か審査し、妥当なら取締役会としての最終判断を尊重する。
買収防衛策を検討している経済産業省の「企業価値研究会」も、こうした考え方を取り入れた報告書を近くまとめる予定だが、
今回の高裁決定には「取締役会の判断プロセス」をチェックする視点は薄い。「高裁決定の底流には日本の社外取締役への
不信感がある」と企業法務のベテラン弁護士は指摘する。
久保利氏はかつて総会屋に対抗し、ここ十年は企業統治確立に向け論陣を張ってきた。その久保利氏が「裏口から入ってきた
買収者から企業価値を守る適切な防衛策」と考えたものが、司法判断で否定された。ただ、久保利氏の側にも抜かりはなかったか。
多くの弁護士が指摘するのが、久保利氏が直接ライブドア側と接触、買収後の事業計画を聞いておくべきだったという点だ。
その上で取締役会できちんと議論して予約権発行を決議。裁判になっても会談や議論の記録を提出すれば、司法の受け止め方が
変わっていた可能性もある。
もう一つは予約権の発行規模があまりにも大きかったという指摘だ。予約権がすべて行使されればフジの持ち株比率は約六割に達する。
もしフジの持ち株比率が、予約権決議時のライブドアと同程度にとどまる内容だったらどうだったろうか。これなら、フジが予約権を
行使しても、その後、フジとライブドアは委任状争奪戦を演じることになり、他の株主の判断を仰ぐ余地が生じる。
高裁は企業価値は株主が判断することと述べており、結論が変わったかもしれない。(編集委員 三宅伸吾)