1 :
1:
司法試験で過去出題された事案問題とそれに対する現役受験生の解答を提示します。
気が向いた方は、批判・感想・意見なんでもよいのでコメントもらえればうれしいです。
よろしくお願いします。
2 :
1:04/12/20 14:10:54 ID:4N16PNOF
司法試験/刑事訴訟法/昭和59年第2問
【問題】
甲に対する殺人被疑事件を捜査していたところ、たまたま同人に恐喝の嫌疑が生じたので、まず恐喝事件で甲を逮捕、勾留した上、その身柄拘束期間を利用して右殺人事件について甲を取り調べた。このような捜査方法の適否およびそのから生じ得る問題点を論述せよ。
3 :
1:04/12/20 14:12:58 ID:4N16PNOF
1 本問逮捕・勾留の適否
(1)
本問逮捕は、殺人被疑事件を捜査中にたまたま発見された恐喝罪の嫌疑を被疑事実としてなされている。
しかし、これは実質的には殺人罪取調べの目的でなされた逮捕であり、逮捕権を濫用したものといえ許されないのではないか。
(2)
思うに、そもそも逮捕が、令状主義のもと特定の被疑事実を単位としてなされる以上、専ら別の重要犯罪を取調べる意図で軽い被疑事実により逮捕することは妥当ではない。
しかし、別の重要犯罪を取調べる意図を有しているか否かの認定は、専ら捜査機関の主観を立証する以外に手段がなく、逮捕状発布の時点では認定し得ない。
とすれば、捜査機関の主観で逮捕の適法性を峻別することはできない。
逮捕・勾留の適法性は、あくまで令状の記載を客観的に検討し、令状の記載と現実の逮捕の間に対応関係が認められるかにより決すべきといえる。
(3)
本問においては、甲には恐喝の嫌疑があり、これに基づき令状が発布され身柄拘束されている以上、捜査機関がなした本件逮捕は適法である。
(4)
そして、先行する逮捕が適法である以上、それに続き勾留も、要件を具備する限り、適法である。
2 本問逮捕勾留から生じ得る問題点
もっとも、本問逮捕・勾留が適法であるからと言って捜査権の濫用が許容されるわけではなく、捜査権の適正は取調べ段階において厳格に図られなければならない。
4 :
1:04/12/20 14:13:56 ID:4N16PNOF
3 本問取調べの適否
(1)
では、本件逮捕・勾留中に、殺人罪につき取調べすることは許されるのか。余罪取調べの限界が問題となる。
(2)
思うに、身柄拘束被疑者においては、法198条1項但書の反対解釈により、取調受忍義務が肯定される。
もっとも、受忍義務の前提たる身柄拘束は被疑事実を単位として認められるに過ぎず、この反射として取調受忍義務も被疑事実との関連で肯定されるにすぎない。
このことから、余罪を取調べる場合は、身柄拘束被疑者であっても在宅被疑者の地位(法1981項但書)を有し、出頭許否・退去自由が認められる。
(3)
本問においても、余罪たる殺人罪の取調べについては、甲に出頭許否・退去自由を実質的に保障した場合に限り許される。
4 本問取調べから生じ得る問題点
上記甲の権利を担保するため、出頭許否・退去自由なく強制的になされた取調べにより収集された証拠は、その証拠能力が否定される。
また、身柄拘束中の取調べが密室で行われることに鑑み、その適正を実質的に保障するため、接見交通権(法39条)をはじめとする被告人の防御権を確保する制度が適切に運用されなくてはならない。
(以上、24字/49行)
5 :
1:04/12/20 14:23:52 ID:4N16PNOF
【灯油染み込んだティッシュ、放火との関連捜査】
さいたま市の量販店ドン・キホーテ連続放火事件で、大宮大和田店(同市見沼区)で13日夜に婦人服などが焼けた現場に、放火に使ったとみられる灯油を染み込ませたティッシュペーパーが入ったレジ袋が残っていたことが16日、埼玉県警とさいたま市消防局の調べで分かった。
県警は、15日の火災の際に買い物かごを盗んだ疑いで逮捕した同市の無職の女(47)と放火の関連を追及。同日の放火現場でも、油を染み込ませたタオルが見つかっており、可燃物を使う手口に共通性がある。
女は15日の行動について「午前中に自宅近くでパチンコをして負け、大宮大和田店に行った。店から買い物かごを持ってそのまま車で逃げた」と供述。かごの中や車内には、腕時計などの商品もあった。
上記解答は、余罪取調べについて、受忍義務を否定し、実質的に出頭拒否・退去自由を認めた上で許容する立場ですが、最近この記事を読んで色々と考えてしまいました。
余罪取調べは実務においては日常茶飯事だと思うのですが、「出頭拒否・退去自由を認めた上で」というのはやはり実際的ではないですよね。
実際はどのあたりで実体的真実と被疑者防御権の調和が図られているのでしょう。
6 :
1:04/12/20 14:26:17 ID:4N16PNOF
とりあえず、こんな感じで懐かしの問題及び解答をアップしていきたいと思います。
7 :
1:04/12/20 18:37:54 ID:4N16PNOF
ああああああああああああああああ
8 :
無責任な名無しさん:04/12/20 19:00:07 ID:jmTRmnp7
終了
9 :
無責任な名無しさん:04/12/20 20:37:54 ID:jmTRmnp7
再開
10 :
無責任な名無しさん:04/12/20 20:40:08 ID:5d8zBKFu
戦前の頻出問題
1 我ガ憲法ニ於テ国体ハ如何ニ表現セラルルヤ
2 帝国憲法ト皇室典範ノ関係ニツイテ論ゼヨ
12 :
1:04/12/21 14:36:40 ID:TaRZn7/0
おい実務家
誰か相手してや
13 :
1:04/12/21 14:37:02 ID:TaRZn7/0
14 :
1:04/12/21 14:38:54 ID:TaRZn7/0
司法試験/刑事訴訟法/平成2年第1問
【問題】
甲は、複数の賭博行為により逮捕・勾留され、常習賭博罪で起訴されたが、公判係属中に保釈された。甲について、右と常習一罪の関係に立つ別の賭博行為が後に判明したとき、甲を改めて逮捕・勾留できるか。
15 :
1:04/12/21 14:39:18 ID:TaRZn7/0
【解答】
1
刑事訴訟法は逮捕・勾留につき身柄拘束期間を厳格に規定している(法205条、208条等)。
これは被疑者に対する捜査権の濫用を抑止すること目的とする。
しかし、同一犯罪事実につき逮捕・勾留を複数回にわたり認めるのであれば制限期間を法定した意義は実質的に没却される。
そこで、法定された身柄拘束期間の厳格性に鑑み、当期間の意義を実効化するため、同一犯罪事実については逮捕・勾留は原則として一回しか許されないという規範が導かれる(一罪一逮捕・一勾留の原則)。
2
本問における甲は複数の賭博行為に基づき逮捕・勾留、そして常習賭博罪の嫌疑で起訴されている。
そこで、別の賭博行為により再逮捕・再勾留することは、上記「同一犯罪事実」のとらえ方如何で一罪一逮捕・一勾留の原則に抵触するものとして許されないおそれがある。
本問において甲を改めて逮捕・勾留することができるか、「同一犯罪事実」の判断基準が問題となる。
3
思うに、そもそも逮捕・勾留が令状主義のもと明示された被疑事実を単位として認められる。
このことに鑑みれば、犯罪事実の同一性も被疑事実を基礎として判断すべきといえる。
そして、被疑事実が総合して常習一罪を構成する場合、刑罰権の発生を認定する刑事訴訟においては、現実になされた個々の被疑事実ではなく、一つの刑罰権に対応する総合された被疑事実を一つの犯罪事実として取り扱うべきである。
16 :
1:04/12/21 14:39:56 ID:TaRZn7/0
4
ここで上記3の基準につき本問事実をあてはめると、保釈後判明した別の賭博行為は、被疑事実を構成する賭博行為と常習一罪の関係にあり、同一犯罪事実であるといえる。
よって、甲を改めて逮捕・勾留することは、一罪一逮捕・一勾留の原則に抵触し、原則として許されない。
5
(1)
もっとも、一罪一逮捕・一勾留の原則は条文に直接規定された規範ではなく、拘束期間の厳格性を貫徹するために間接的に導かれる規範であるから、一定の必要性と許容性を具備する場合は例外が認められる。
本問においては、別の賭博行為が判明しており必要性の要件は認められるため、いかなる場合に再逮捕・再勾留が許容されるかが問題となる。
(2)
思うに、法はおよそ当事者に不可能を強制するものではないから、当該賭博行為の判明が逮捕・勾留の前には不可能であった場合、再逮捕・再勾留も許容される。
そして、不可能否かの判断は、捜査機関の身柄拘束権濫用を抑止する観点から、捜査機関の主観を考慮せず客観的に決すべきである。
(3)
本問において事情は明らかでないが、例えば、保釈後に甲が改めて当該賭博行為を行った場合、逮捕・勾留の以前にその発見を行うことは客観的に不可能といえる。
よって、このような事情がある場合は、甲を改めて逮捕・勾留することも可能である。
以上
17 :
1:04/12/21 14:45:05 ID:TaRZn7/0
ここは司法試験を通過して実務について者が懐かしの過去問を振り返るスレです。
あと猫の手も借りたいほど必死の現行受験生にアドバイスしてやるスレです。
18 :
無責任な名無しさん:04/12/21 20:48:51 ID:0IqM8Jpt
さらしあげ
19 :
無責任な名無しさん:04/12/21 20:55:02 ID:YYc7VBO+
(・∀・)ニヤニヤ
20 :
1:
ぼちぼちですなー