Q:地方参政権付与法案は違憲ですか?
A:永住外国人の地方参政権のうち、被選挙権を除く選挙権については合憲、というのが現在の有力説です。
裁判所も一貫して許容の立場を取っています。
代表的な判例として金正圭の地方選挙権訴訟の最高裁判決(1995.2.28)があります。
http://www.nipponkaigi.org/reidai01/Opinion1(J)/sanseiken/siryo.htm
この判決自体は憲法15条における選挙権の保証は日本国籍を持つものに
限られるとして訴えを棄却したものですが、傍論において
仮に立法上永住外国人の選挙権を認めたとしても、憲法上これは許容される、
といった見解を出しています。
Q:単なる裁判官の個人的な解釈では?
A:前項の金正圭裁判の大阪地方裁判決(1993.6.29)でもほぼ同じ趣旨の
傍論が述べられています。
「仮に右の者に参政権を付与することが憲法に違反しないとの立場を採り得る
としても、これを付与するか否かは立法政策の問題に過ぎない」
また、李鎮哲地方選挙権訴訟の地方裁判決(1994.10.5)においても
「市町村レベルでの選挙権を一定の外国人に認めることは憲法の許容されているところである」
と、明確な判断を打ち出しています。
(ただしこの判決においては許容される選挙権の範囲を市町村までに留めている)
以上のことから裁判所の立場は”許容”で一致していると見るのが自然です。
Q:判決本文に関わりの無い単なる傍論であり判例拘束力は無いのでは?
A:立法審議上は関係ありません。
また、前項で示された裁判所の立場なども踏まえると
仮に違憲立法審査を請求しても上の傍論を引用した上で却下される可能性が
高い、とみるべきでしょう。
Q:憲法学者の見解として明らかに違憲である、というものがありますが。
A:全面禁止説(国政、地政ともに憲法上禁止されている)とする論者も
日大の百地教授を筆頭にごく少数存在しますが、現在のところ彼らの
主張を裏付ける判例はありません。