66 :
逆転有罪判決の事例(1):
特報;いわゆる兵馬俑殺人事件につき、「被告人の関与の度合いが不明」として無罪
とした1審判決が
控訴審にて破棄されて、懲役12年が宣告された事例
控訴審裁判所が、判決終了後、職権で勾留の措置を取った事例
事件番号:平成14年(う)1073号
被告人に対する 殺人 被告事件について、
京都地方裁判所が 平成14年2月22日に言い渡した判決に対して
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/webview/ 検 察 官 か ら 控訴の申し立てがあつたから、
当裁判所は、次のとうり 判決する。
主 文
原判決を破棄する。
被告人を 懲役12年に処する。
原審での 未決勾留日数中960日を、その刑に算入する。
原審および当審での訴訟費用は、いずれも 被告人の負担とする。
理 由 の 要 旨
序論:
本件 控訴の趣意は、京都地方検察庁(
http://www.kensatsu-kyoukai.gr.jp/ppo/ppo_kyoto.html)検察官Pk作成の 控訴趣意書
に
これに対する答弁は、
主任弁護人 若松芳也、副主任弁護人.高野嘉雄、ほか1名作成の 答弁書 に記載されているから
これらを援用して、説明に替える。
67 :
逆転有罪判決の事例(1):04/07/05 17:12 ID:MBcwlp5b
第1.検察官の控訴趣意
論旨は、要するに、 「原判決は、本件 殺人事件について 無罪を言い渡したが、
多々の状況証拠を検討すれば、被告人が実行犯であることは明らかであり、
原判決には、判決に影響を及ぼすべき 事実誤認がある。」 というのである。
第2.当裁判所の検討
1.本件発生の経緯
関係証拠によると、本件が発生した経緯は、以下のようなものと認められる。
@平成9年3月21日の16時20分から30分にかけて、被害女性(66歳)は、ベンツ車から降り、
N学園駐車場にクルマを停め,京都市中心部の繁華街で,友人と食事をした。
Aそして、食事を終えて タカシマヤ前で友人と別れた被害者は、ふたたびN学園駐車場へ向かった。
B被害者は、同日21時10分過ぎ、N学園駐車場にて 刺し傷を負っているところを発見され、
病院へ搬送されたが、翌日未明、肝臓刺損により 死亡 した。
2.本件現場の状況
なお、現場の状況については、 原判決が指摘するとおりである。、
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/webview/D5B03F67D6CFE58549256B950036CEA0/?OpenDocument 3.犯行態様について
被害者の語った内容によると、「後ろから、いきなり男がやつてきて、『プリンスホテルに台湾の人が来ているから
一緒に行こう』と言ってきたので、『嫌や』といったら、いきなり刺された」
というものである。
(なお、原審12号証の状況と 被害者自身の供述から、被害者後方は 北方であった
ことが認められる。)
68 :
逆転有罪判決の事例(3):04/07/05 17:14 ID:MBcwlp5b
3-2.犯行「直後」における,目撃供述について
@Yx供述;
すなわち、Yxは、犯行時間帯に、現場から「白っぽい、ハーフコートの男が逃げ去った」
と述べている。
AI供述:
Iは、犯行時間帯に、本件駐車場から、「柵を飛び越えて、男が東方に走り去った」
と述べている。
そして、これら@Aの供述は、細部の食い違いについては、記憶違いにより合理的に説明できるものであり、
現場から走り去った人物は、本件 実行犯であることが明らかである。
3-3.犯行態様についての総括
以上の事実から、@本件は、モノ盗りによる 犯行ではなく、
A台湾関係者と被害者の つながりを知っている人物が 実行犯であり、
B実行犯は、人体の枢要部を,何度も突き刺しており、
確定的殺意が認められる。
4.目撃供述等の検討
@被害者自身の供述;
被害者は、犯行直後、病院へ搬送された際に、警察官に対して会話をしており、
その内容は、京都府警察官において 録 音 されているが、
「犯人は、知らない人。白髪まじり。小太り。年齢は50歳くらい」というものである。
69 :
逆転有罪判決の事例(4):04/07/06 12:38 ID:N99fM5Zg
AYx供述:
同人によると、実行犯は、
・身長165センチ以上であり
・体格は 中肉中背
・公判廷(注:京都地方裁判所.刑事法廷)の被告人は、犯人のイメージとは 違 う。
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_access.nsf/3e7559fdc45c994e49256b13000483a3/0dd69260fe2448de49256b5e00124639/V4Map/0.B2?OpenElement&FieldElemFormat=jpg ・京都市内のATMの「防犯ビデオ」に映された 「コートを着た,被告人」
の画像をみたが、被告人と犯人は似ているが、そうではない ように思う。
__Yxは、現場から20メートル離れた地点で、実行犯を目撃している。
BI供述:
同人によると、実行犯は、
・身長170センチくらい
・その、コートの色は、アイボリーというか、ベージュ色。
・被告人と 犯人が 同一か、どうか 断定はできない。
・法廷内の被告人が 犯人と同一か、断定できない。
___ Iは、現場から10メートル離れた位置から、実行犯を目撃している。
5.被告人と、被害者との接点 等
**(1)証拠上、認められる事実
なお、証拠によると、以下の事実を認めることができる。
@参考人Hの、平成14年11月__1審判決「後」作成__大阪「高」検での供述調書
同調書(控訴審「検察官請求」甲9号)によると、以下の事実を認定することができる。(刑事訴訟法321条1項二号「前」段)
(1)そもそも、Xは、専修学校のN学園に参画していた。
(2)その後、同学園の 経営者は 被害女性に変更され、同女は、「理事長」に就任した。
(3)被害女性は、上記Xと共同で、中国大陸の古美術品である 「兵馬俑」取引に着手した。
70 :
逆転有罪判決の事例(5):04/07/06 12:38 ID:N99fM5Zg
A被告人と 「オフィスK」の関係
関係証拠によると、以下の事実を認めることができる。
(1)、上記Xは、Nが経営する「オフィスK」へも関与していた。
(2) 平成7年5月、被告人は、Nの下で働くようになり、「オフィスK」にも定住し、
普段は、Nの運転手をするようになつた。
(3) そして、被告人は、ツートン色のベンツを愛用していた。
(4)そして 平成8年3月には、被告人は 上記Xとも面識を持つようになった。
**(2)本件前後の、被告人の行動
なお、これを評価する 関係者Kの供述は、<原判決自身が述べるように>
・虚偽供述をする利益もなく
・電話通話明細などの客観的な記録(→当審第7回公判にて、証拠採用された分を 含む)にも合致し、
これを信用することができる。
@K供述 :
K供述によると、次のような経過があったことが認められる。
(1)平成9年3月18日、Kと被告人は、京都国際ホテルで,初めて顔を合わせた。
(2)そして、被告人は、Kに対して 「学校のおばちゃんを このベンツに乗せるから,
そのときには、あんた、1人で このベンツを運転して 帰ってくれ」
と述べた。
(3)そして、コレを聞いて、K自身は、 「ヤバイな、と思った。」(原審公判速記録).
(4)また、被告人は、「 台 湾 マ フ ィ アよりも先に、おばちゃんを捕まえないと
いけない。」と,事 件 当 日 ,Kに 言った。
http://school4.2ch.net/test/read.cgi/shikaku/1048764259/187
71 :
逆転有罪判決の事例(6):04/07/06 12:39 ID:N99fM5Zg
(5)事 件 当 日,Kと被告人は、被告人管理にかかる「ツートン.ベンツ」に乗り,
犯 行 現 場 付 近 で、被害者を見張っていた。
(6)そして、被害者が、自分のベンツに乗車したのをみると、41分ほど、これを追跡していたが、
「おばちゃんに気づかれないよう、間に、クルマを1台、入れてくれ」と 被告人はKに
告げた。
(7)そして、間に1台、クルマを入れて 尾行 を続けていたものの、被害者運転の車両を見失ったが、
被告人は、 「おばちゃん、つかまえてくるから。」と告げて、Kを帰した。
(8)その後、Kのところに被告人から電話がかつてきて、 「ヤバイことになった」と告げられた。
A「オフィスK」関係者からの送金
先に触れたように、被告人は、事件「前」は、オフィスKに住んでいたものであるが
事件後は、愛知県の知人や大阪府など、住 所 を 転 々 と しており,
さらに、平成9年5月から 平成10年5月にかけて,合計300万円ものカネが、
オフィスK関係者から、被告人の銀行口座へと振り込まれている。
Bツートンベンツの処分状況
関係証拠によると、
被告人は、みずから愛用していた ツートンベンツを、事件後、上記Xを通じて
売却処分したことが認められる。
72 :
逆転有罪判決の事例(7):04/07/06 12:39 ID:N99fM5Zg
6.いわゆる、不審車両問題について
なお、<原判決>は、本件現場に、被告人の運転する「ツートンベンツ」以 外 の
不審車両も存在した___と<認定>して,
このことから,被告人「のみ」が 実行犯とは限らない 旨を判示している。
そ こ で 検 討 を す る が、
@Y1供述について:
Y1は、その不審車両について以下のように述べる。
(1)車内には、茶髪の若い男と、ヤクザ風の角刈りの男がいた。
(2) 2回目の目撃場所は、1回目の目撃場所よりも、N学園駐車場に近かった。
__ところで、a)Y1の目撃したベンツと、被告人のツートンベンツは ほぼ同一と認められること
b)その一方、Y1が目撃した 不審車両は これだけであり、被告人運転の
ツートンベンツについて、Y1は見ていないこと
c)2人の男の容貌は、Kと被告人に よく似ていること
【要旨第1】 これらから、Y1の目撃した「不審車両」は、被告人のツートンベンツと認められる。
そもそも、Y1が、本件「不審車両」を目撃していたのは、事件「前」のことである。
それゆえ、Y1の 記憶 の 細部 については、思い込み などにより 記憶の変容 などを
来している 疑 い を否定できない。
よって、Y1供述を仔細に検討すれば、「Y1の目撃したベンツ」こそ、
被告人のツートンベンツであると認められる。
73 :
逆転有罪判決の事例(8):04/07/09 10:40 ID:+zz6/y6b
AY2供述について:
Y2は、以下のように、原審公判で述べる。
(1)「この,不審車両」のナンバーは「33番」で,珍しいなと 私は思った。
(2)このベンツ車から、小太りの男が歩いてゆくのを、私は見た。
ところで、Y2が、この不審車両を見たのは、事件「 前 」のことであるから,
その、目撃証言の 細部 には ,記憶違い などが発生している 疑い を排除できない。
また、ナンバープレートの詳細についても、イヌの散歩ごときで
正確に 認 識 できたのか、どうかは 疑 問 が残る。
さらに、ア)Y2の見た 小太りの男 は、被告人の容貌と、ほぼ似ていること
イ)目撃された「不審車両」の色は、「被告人のツートンベンツ」の色と 似ていること
なども併せて検討すれば、
Y2の目撃した不審ベンツは、被告人の車両であつたと <認定>できる。
【要旨1の2】結局、原判決は 誤った事実カンケイを前提にして 推論を行っているのであり、
当裁判所においては、その結論を是認することは できない。
次に、被告人が 犯人であることについて、「積極的に」作用する事実について 検討を加える。
74 :
逆転有罪判決の事例(9):04/07/09 10:41 ID:+zz6/y6b
7.被告人が 犯人であることにつき、「積極的に」作用する事実
(1)証拠上、認められる事実
@事件の発生した時間帯と、被告人の「被害者への,監視行動」は、重なっていること
A実行犯の行動と、被告人が K運転手(原審 証人)に話した内容が ほぼ一致すること
B犯行現場における 目撃証言 などの検討
C被告人は、K運転手に 「台湾マフィアよりも先に……つかまえな イカン」などと述べ、
被害女性と 台湾関係者との ツナガリを知っていたこと
(2)現場における 目撃証言等の 検討
75 :
逆転有罪判決の事例(10):04/07/10 23:09 ID:4U+mc21O
次に、本件発生の近接した時間帯における 被告人の容姿が、実行犯の容姿と
似ていることについて 検討を加える。
@被害女性の供述
被害女性は、(1)救急車で病院へ搬送される際への 救急隊員への回答
(2)病院へ臨場した警察官らへの返答で、
実行犯について述べていて,
これらは 被告人の 事 件 当 日 の 容姿と ほぼ合致するものである。
A前記目撃者らの供述
なお、Yxおよび Iは、いずれも 原審法廷では、被告人を実行犯とは
断定できない旨を述べるけれども、
(1)被害者の供述と 目撃者の供述の 共 通 部 分
(2)Y1供述 とY2供述を巡る 問題 から
「実行犯と思われる人物」は 被告人と認めることができるのである。
Bここまでの小括
すなわち、@Aから,被告人が 何者かの依頼により、被害者に対して何らかの「非日常的な行為」をしようとしていた
ことが推認できるのである。
とりわけ、その「依頼者」は、オフィスK と関係ある人物であったことも 推認できる。
そして、これを 「他 の,状況証拠」と合わせて検討すれば
被告人が 本件の 実行犯 であることを 【認定】することができる。
ついで、本件発生「前」「後」それぞれにおける、被告人の特異言動について 触れる。
(3)本件発生 前後 における,被告人の特異言動
76 :
逆転有罪判決の事例(11):04/07/11 12:35 ID:uz5MOpeb
@ 事件の「 後 」は、住居を転々として、「住所不定」になっていたこと(
>>71 参照)
A 事件後、オフィスK の関係者から、銀行送金がされている 事実 (
>>71 参照)
B オフィスK ともツナガリのある X(
>>69 参照)を通じて、ツートンベンツを 売却処分 したこと
C運転手を命じたKに対して、口止め工作 を 被告人が していたこと
とりわけ、被告人は、K(
>>70 参照)に対して、「京都市内での 自分の行動は、警察には
話さないでくれ」と電話連絡している。
D知人のSに対する 会話で、殺 人 を 示 唆 する発言をしていること
(1)被告人は、知人Sに対して、 事 件 後 、「ワシの人生,もう,終わりや」
(2)同じく、「ヒトを殺すと、カネになる」
(3)同じく、「コロシの世界は、ビジネスだ。」__などと発言しているのであり、
これら(1)(2)(3)の発言が 信用できること自体は、<原判決も>認 定 するところである。
さらに被告人は、
E知人のK2に対する 殺人を示唆する告白
K2の 検事調書 によると, 被告人と K2の間で、は次のような会話があった。
(1)時期は、平成9年3月下旬から、同年4月下旬にかけて
(2)会話内容の要旨は、
K2 「お前、早く、自首せい。」
被告人 「いや、自分は、上の人の名前は、どうしても出せないから、無理だ。」__というものである。
77 :
逆転有罪判決の事例(12):04/07/11 12:36 ID:uz5MOpeb
78 :
逆転有罪判決の事例(13):04/07/11 12:36 ID:uz5MOpeb
8.被告人が実行犯であることにつき、「消」極的に作用する事実
1)被害者への監視行動について
@原判決の判断の要旨
<原判決>は、被告人により 事 件 当 日 に 実施されていた ,被害女性への監視活動につき、(
>>70)
(1)必ずしも、被告人による監視行動は、被害女性の殺傷を目的としていたとは 限らないこと
(2)単 な る ,監視活動 であった可能性も、否定できない__などと 評 価 している。
A当裁判所による検討
そこで、当 裁 判 所 として検討してみるに、
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_home.nsf/CoverView/HP_K_Osaka?OpenDocument (@)被告人は、運転手役のKには、本件犯行の 幇助をさせる意図すら、なかつたこと
(A)Kには、ツートンベンツを運転して帰るように 指示 をしていたこと(
>>70)
(B)Kには、被告人は、被害女性につき、必要最小限の情報しか、与えていなかつたこと
(C)しかも、被告人は、事 件 当 夜,初めて、被害女性と 接触する 機会 をみつけたこと
__これら4点に照らすと、<原判決の>認定には、合理的な根拠は なく,
被告人に、被害女性を 拉 致・監 禁・殺 害 する意図 が なかつたとは 断定できない。
<原判決>の説示は、不適切である。
2)被告人の,「実行犯」可能性について
@原判決の判断要旨
<原判決>は、本件事件直後に 「実行犯」らしき人物をみた
YxとIの 2名の目撃証言を重視している。
とりわけ、Yxと Iが、「中肉 中背の人物が 犯人だつた」「被告人が 犯人か、断定できない」
と 原審公判で述べたところを 重視している。(
>>69 参照)
79 :
逆転有罪判決の事例(14):04/07/11 12:37 ID:uz5MOpeb
A当裁判所としての 検討
そこで当裁判所として 検討する。
(@)総論
そもそも、「大柄,小太りな男が 犯人」とする 被害女性の供述と、
上記 Yx とIの目撃供述には、共 通 の 要 素 が含まれている。
(A)各論
しかも,
・本件は、夜間の犯行であり、
・Yxと 事件現場とは20メートルの距離を隔てていたこと
・Iと事件現場とも、10メートルの距離を隔てていたこと__に照らせば、
被害者の供述と、2名の目撃供述の 共 通 部 分 から,
被告人が 実行犯であることを 推認することは 可能である。
【要旨第3】そもそも、本件は、直接証拠に乏しく、
間接証拠を積み重ねる手法により 事実認定をするほか ない事案であるが、
<原判決>は、状況証拠を 個 別 に 検討するのみであつて、
これを 総 合 的 に は 検討するに乏しいのである。
従って、このような <原判決の>手法は、 状況証拠による 事実認定の
一般的な手法とはいえず、
当裁判所としては、到底、これを維持することはできない。
80 :
逆転有罪判決の事例(15):04/07/12 10:07 ID:8HS6lcv0
3)実行犯が, 台湾のLiの意向を受けた者である可能性について
弁護人は、当審において、本件の 実行犯は 台湾のLi やCoの意向を受けた者である
可能性が高い旨を指摘するので 以下、検討する。
http://school4.2ch.net/test/read.cgi/shikaku/1048764259/187 しかしながら, (1)捜査官の N の当審公判における証言による限り、Liの意向に沿って
本件 実行行為がされたとは 認めがたく、
(2)しかも、被害者の親族 の 原審証言によつても,いまだ、兵馬俑の残代金
が払われてはいないことが認められる。
(3)また、弁護人の述べるような、 LiとCaらの対立が、本件殺人の引き金
となったような 可能性も,証 拠 上 は 見出せない。
結局、(1)(2)(3)より,台湾関係者には、殺人の動機が存在するとはいえない。
弁護人の主張は、採用の限りでは ない。
4)S供述について(
>>76 参照)
@原判決の要旨
原判決は,Sの供述について、「これによっても,被告人が 当初から
被害者殺害を意図していたか、どうかは 不明である」旨を説示している。
A当裁判所の検討
そこで検討をするに,
原 判 決 の よ う に、S供述を 限定的に 理解する必要性など、関係証拠を精査しても
見出せないほか、
【要旨第3の2】 関連性の認められる限り、状況証拠は 総 合 して、これを評価すべきであり
<原判決は> これに反しているから,到底,これを維持することはできない。
81 :
逆転有罪判決の事例(16):04/07/12 10:08 ID:8HS6lcv0
5)動機が解明されていないことについて
@原判決の要旨
原判決は、本件において、未だ、その動機が充分には解明されたとはいえない旨を説示
している。
A当裁判所の検討
そこで検討するに、
(@)被告人が、被害者に対して、「何らかの,〈非〉日常的な行為」を意図していたこと (
>>75 参照)
(A)その他の状況証拠 との 総 合 評 価
_____これらにより、被告人を実行犯と認定することに妨げとなるような事情は見出せない。
9.事実認定の 総括
結局、以上に述べてきたような状況証拠から、被告人が 本件の実行犯であったことは 優に認定できる。
これに反する<原判決>は、これを 維持することはできない。
検 察 官 の 論 旨 は、理 由 が あ る。
第三.破棄自判
よって、刑事訴訟法397条により,原判決を破棄し、
同法400条但し書きにより、当裁判所において、さらに判決することとする。
82 :
逆転有罪判決の事例(17):04/07/12 10:10 ID:8HS6lcv0
(罪となるべき事実)
被告人は,平成9年3月21日午後9時10分ころ,京都市南区【以下略】所在の学校法人甲学園乙専門学校駐車場において,
被害女性(当時66歳)に対し,殺意をもって,同女の胸部など数か所を刃物で突き刺し,よって,同月22日午前零時27分ころ,同市*
区【以下略】所在の京都大学医学部附属病院において,肝臓刺切創に基づく失血により同女を死亡させて殺害したものである
(証拠の標目)(法令の適用) ……いずれも、法廷では、朗読を省略した。
(量刑の理由)
本件は、いわゆる 殺人 の事案であるが、
被告人が犯行を否認しているため,未だ、動機などには解明できないものが残っている。
助けを求める被害者に対して、殺意をもって 敢行された 本件は、まことに残虐なものであり、
被害者死亡という 結果 も 重大 である。
被害者本人や親族の被害感情にも照らし合わせると、被告人の刑事責任は重大である。
そうすると、被告人にはこれまでに 前科前歴がない ことを考慮しても、
主文程度の量刑は、やむをえないところである。
2004年7月02日
大阪 高等 裁判所 第6刑事部