地裁と高裁、どっちがリベラル?

このエントリーをはてなブックマークに追加
26組織的犯罪対策法の事例
件番号:平成15年(う)1708号
被告事件:「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」 違反
http://www.annie.ne.jp/~schim/ultima_ratio/joubun/soshiki/

原審:京都地方裁判所

被告人に対する 「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」 違反 被告事件につき、
平成15年9月25日、 京都 <地方>裁判所の 言い渡した判決につき、
被告人から 控訴の申し立て があつたから 
当裁判所は つぎのとうり 判決する

            主  文

         本件 控訴 を 棄却 する。

          理 由 の 要 旨

 第1.控訴趣意

本件控訴の趣意は、 弁護人作成の 控訴趣意書 に、
これにたいする答弁は 検察官作成の 答弁書に
記載されているとうりであるから これらを引用する。

論旨は、「被告人を 懲役1年6ケ月 および罰金200万円 に処した 原判決は
重すぎるので、執行猶予が 相当である」 というのである。
27組織的犯罪対策法の事例:04/02/07 22:31 ID:xKv8OGuU
第2.検討

そこで、記録を調査し、 当裁判所における 事実調べの結果をも 併せて検討するに
原判決が その (量刑の理由) の項目で 説示するところは いずれも正当であり、
当裁判所も これを是認することができる。
以下、所論に鑑みて、若干、補足して 説示する。

(1)証拠上認められる事実

関係証拠によると、争いのない事実として、
本件は いわゆる 派遣型ヘルスの責任者だった被告人が、
合計293件の 違法営業による「 不 法 収 益 」につき、
他 人 名 義 の 銀 行 口 座 に 振 り 込 ん だ という
「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」 違反 の事案である。

(2)実質的争点

所論は、「これらの 違法営業については、すでに病死した オーナーが最高責任者
    であり、 被告人は 従たる地位にあった」旨を指摘する。
し か し な が ら、関係証拠によると、
原判決 が指摘するように 従業員Yに対して
 被告人は こまごまとした指示を出すなどしており、

結局のところ、捜査の手が 被告人自身に及ばないようにという目的で
当該口座への振込みをしているのであって、
これらの 「 不 法 収 益 」は、およそ10ヶ月の間で 1億円にものぼる。

さらに、被告人が京都地区の 責任者たる地位に就いてからは、平成12年9月から
同14年2月までの間に
○32億円もの 売り上げを計上するなどしているのであり、
従業員Yにも 細かな指示を与えていたことも 証拠上、認められる
28組織的犯罪対策法の事例:04/02/07 22:31 ID:xKv8OGuU
また、所論は、「被告人は、形式的な店長に過ぎなかった」旨を主張するが、
関係証拠によると、オーナーが病死してからは 実質、被告人が 最高責任者に準じる地位に
あったと認めるのが相当である。

さらに、被告人が京都地区の 責任者たる地位に就いてからは、平成12年9月から
同14年2月までの間に
○32億円もの 売り上げを計上するなどしているのであり、
従業員Yにも 細かな指示を与えていたことも 証拠上、認められる。

(3)小括

以上 説示してきたように、被告人は、本件組織において、きわめて重要な位置にいた
と認められる。これに反する 所論は、採用できない。

(4)総括

すると、被告人の刑事責任は きわめて重大であるから

@すでに 追徴保全命令により 被告人名義の財産が 封鎖されていること
A家族の協力を得て、100万円を、贖罪寄付 したこと
Bこれまでには 前科前歴はないこと
C反省状況

などを総合考慮しても、被告人を懲役1年6月および 罰金200万円(追徴金1億1743万円)
に処した 原判決の量刑は、 刑期の点を含めて やむをえないのであり、

これが 「重過ぎて 不当である」とまでは、いえない。

論旨は 理由がない。