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一部無罪の判決例:
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一部無罪の判決例:04/11/11 18:10:03 ID:S2r+TGmm
主 文
原判決を破棄する。被告人を懲役1年2月に処する。原審での未決勾留日数中、40日を
その刑に算入する。
本件 公訴事実中、窃盗の点について、被 告 人 は、無 罪。
理 由(要 旨)
序論.
本件 控訴の趣意は、弁護人作成の控訴趣意書に、これに対する答弁は
大阪高等検察庁検察官作成の 答弁書に記載されているから、これらを引用する。
第1.控訴趣意
▽(1)事実誤認の主張
論旨は、「被告人は、原判決が認定・説示する 第2の事実(窃盗事件)については
犯罪の意思がなく、無罪であり、本件は あくまでも S男の単独犯行である。
これに反して、被告人を 本件窃盗の 共同正犯と認定した原判決には、判決に影響を及ぼすべき
事実誤認がある。」というものである。
▽(2)量刑不当の主張
論旨は、「被告人を懲役1年6月の実刑に処した 原判決は、これが、重すぎて不当である」
というのである。
第2.当裁判所の判断
そこで、記録を調査し、当裁判所における事実調べの結果をも 併せて検討する。
▽(1)事実誤認の主張について
そこで、検討する。
(なお、論旨は、正確には、「事実誤認 乃至は 法令の解釈適用の誤り」を主張する趣旨であると解される。
137 :
一部無罪の判決例:04/11/11 18:10:41 ID:S2r+TGmm
**(1)証拠上、認められる事実
記録を調査し、当審での事実調べの結果をも併せて検討するに、
・被告人じしんの 検察官調書
・被告人じしんの 警察官調書
・被告人に対する,現行犯人逮捕手続き書
・問題の「被害店舗」の警備員T子の 当審公判での 法廷証言
・写真撮影報告書2通
・実況見分調書2通 ___などによると、次の事実が認定できる。
すなわち、事件当日、奈良県大和高田市に所在する 大型商業施設「M」店を訪れた
被告人およびS男は、カバン(約3800円相当)や1900円相当の商品を手に取り、眺めるなどしていた。
その際、S男の行動に不審を感知した 同店警備員のT子は、S男の行動を、以後、注意深く観察した。
S男は、T子に監視された状態のままで、エスカレータ内で、〈問題の,手提げカバン〉を持って
上の階に移動した。
さらに、S男および被告人は、かねてから行く予定であった 携帯電話ショップへ立ち寄り、
所用を済ませたものの、同階での レジ精算を済ませないまま 店から出たところを
警備員T子に咎められ、
そのまま両名は、保安室へと連行された。
(なお、この際、S男は 保安室から立ち去り、そのまま被告人「のみ」が その場に残され、
被告人が所持するバッグの中から、「未清算商品」二点が発見された為に、
被告人「のみ」が、その場で現行犯逮捕された。)
なお、大型商業施設「M」大和高田店は、地上部分4階.地下部分2階の建物であり、
買い物客が 商品を購入する際には、
・直営店のレジ
・または、その階のレジ___の、いずれかのレジで精算することになっている。
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一部無罪の判決例:04/11/12 19:17:24 ID:70bhmtJn
**(2)S男の行為
これらの事情に加えて、S男の捜査段階供述と 原審.法廷証言 などを併せて検討するに、
・S男の行為は、いわゆる 「包括一罪」 と解すべきものであつて、
被告人所持のバッグに、「当該 未清算商品」が
S男によって「入れられた」時点においては すでに、「既遂」(きすい)に達していた
ことが認められる。
(なお、S男が手にとって、メガネ店から持ち去った サングラス1点については、
公訴事実には含まれてはいない。)
**(3)被告人の供述について
なお、被告人は当審公判において、
「わたしは、あくまで、S男と一緒に 携帯電話の手続き更新のために、
この商業施設にいっただけ」であり、「S男の行為には、なんら、気付かなかった」
などと述べる。
また、捜査段階においても、警察官調書(KS)・検察官調書(PS)のいずれにおいても、
自白こそしているものの、「S男が、これらの品物を 自分のために買ってくれるものと信じていた」などと 調書記載 がされている。
結局、被告人の当審公判供述には、自己の刑事責任を軽減する意図で 誇張に表現されている
部分も含まれているものの、
全体として見れば、本件については 一貫した供述をしていることが明らかである。
139 :
一部無罪の判決例:04/11/12 19:18:03 ID:70bhmtJn
また、S男も、原審公判供述などにおいて、
・窃盗の意思が発生した時点
・被告人自身の、この事件についての認識__について、
「店舗3階で、被告人から 『どうするの? 売り場に品物を返してきなさいよ』
と言われたが、自分自身としては、そのまま、これらの品物を万引きするつもりになった」
「品物2点については、被告人に内緒で、これらを被告人にプレゼントしようと思い、
ひそかに、被告人の所持品の中に、入れておいた」などと供述している。
すると、S男の供述内容は、被告人の公判供述と概ね 符合 しているのであり、
被告人供述の信用性を否定する余地はない。
**(4)事実認定の 結論
【要旨第1】すると、被告人は、S男との間で、商品窃取の共謀 を遂げたとは
認められない。
また、被告人が、自己の所持品の中に 「未清算商品」があったことに気付いた時点では、
すでに、S男による窃盗は、「既遂(きすい)」に達していたのであり、
これらについて、被告人に刑事責任を問うことはできない。
結局、原判決には、所論指摘のような 事実誤認ないしは法令適用の誤りがあり、
これらが判決に影響を及ぼす事は明らかである。
論旨は、理由が「ある」。
第三.破棄自判
よつて、刑事訴訟法397条1項(=控訴趣意に「理由がある」とき)により 原判決を破棄
するが、
140 :
一部無罪の判決例:04/11/12 19:18:39 ID:70bhmtJn
【要旨第2】原判決は、覚せい剤事件と 窃盗事件を 刑法45条の「併合罪」
として、1個の刑を課しているから(科刑上一罪),
結局、原判決は、「全部」破棄を免れない。
そこで、量刑不当の主張についての 判断を省略して、
刑事訴訟法400条但し書きを適用して、当裁判所において、さらに判決をすることとする。
(罪となるべき事実)
被告人は、法定の除外事由がないのに、
平成16年2月11日頃、奈良県北葛城郡≪以下略≫の自宅において、
フェニル.メチル.アミノ.プロパンを含む 覚せい剤を、水に溶かして注射し、
もって、覚せい剤を使用した____ものである。
(証拠の標目)(法令の適用)__朗読省略