地裁と高裁、どっちがリベラル?

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1201審判決後の 事情の変化
判示事項:いわゆる 1審判決後の 事情の変化 を考慮して、
       原判決が破棄された事例 (刑事.量刑)

判旨 (一)原判決言い渡し時点においては、刑期の点も含めて
          その量刑は妥当であった
    (二)ただし、当審の事実調べの結果を踏まえると、原判決の言い渡した刑は
       現時点では、被告人に酷であるから、当審において破棄するのが相当と
       認められる。

2004年9月2日判決宣告.
裁判所書記官○○○○

事件番号:平成16年(う)964号
被告事件名:窃盗被告事件

                  主 文
原判決を破棄する。
被告人を懲役1年に処する。原審における未決勾留日数中、50日を その刑に算入する。
この判決確定の日から5年間、被告人に対して、その刑の執行を猶予し、
同期間、被告人を保護観察に付する。
                   理  由(要旨)
序論.
   本件 控訴の趣意 は、弁護人作成の控訴趣意書に、これに対する答弁は、
検察官作成の 答弁書 記載のとおりであるから、これを 引用 する。

第1.控訴趣意
        論旨は、要するに、被告人を懲役1年6月の 実刑 に処した原判決は、
これが重過ぎて不当である、 というのである。
1211審判決後の 事情の変化:04/09/09 11:49 ID:miUiGeRK
                          第2.検討

そこで、記録を調査して検討するに、原判決が、その量刑の理由の項で述べるところ
は、
その「言い渡しの時点」においては、すべて相当なものであったと 認められる。
すなわち、本件は、
スーパー店内で、ベビーカーにあった他人の財布を窃取した、という 窃盗1件の事
案であるが、
・その手口は、きわめて大胆であるし、
・被告人は、平成10年10月に、窃盗罪で懲役1年4月・執行猶予4年の判決を受
け、
・本件は、 その 執行猶予期間中の犯行 であり、
・さらには、この執行猶予期間中に、同種余罪を繰り返していたことからすると、

本件において、被害品が還付されており、本件じたいの 実害 はないこと を考慮しても、

被告人の刑事責任はきわめて重大といわなくてはならない。

しかしながら、当審における事実取り調べの結果、1審判決後、

・被告人は、内縁関係にあった夫と、正式に婚姻したこと
・夫の健康状態が深刻であること
・夫じしん、現在は 生活保護を受給しながら暮らしており、
・被告人にとっても、公的扶助を受けながらの 生活が期待できること

・控訴審において、被告人が、さらに、反省を深めていること
1221審判決後の 事情の変化:04/09/09 11:49 ID:miUiGeRK
などの事情が伺えるのであり、これらの事情に照らせば、原判決の量刑は、
現時点では 重きに失することと「なった」 というべきである。

                 第3.破棄自判
そこで、
刑事訴訟法397条「2」項により 原判決を破棄し、同法400条但し書きに従
い、
当審において、さらに、判決する。

原判決の認定した(罪となるべき事実)を、その挙示する (証拠) により 認定
し、
その掲げる (法条) に、
・刑法25条2項 (再度の執行猶予),
http://www.houko.com/00/01/M40/045.HTM#s1.4
・刑法25条の2 (保護観察)
・刑事訴訟法181条1項「但し書き」(訴訟費用の免除)を それぞれ,さらに 適用して

主文のとおり判決する。
                                  2004年9月2日.
                                大阪高等裁判所 第1刑事部
                           
                                 裁判長 裁判官 瀧川義道
                                  裁判官     竹田隆
                                 裁判官     増田周三