457 :
452:
「初診時、患児の意識レベルはどうたったのか」が、この問題を考える多くの方々の判断基準の一つ
になっていることは間違いないと思います。
当時の新聞記事の一部をテキストで保存していましたので転載します。
1999年7月14日付(朝刊)の毎日新聞
7月13日の記者会見で、院長は『最初に来院した時のぐったりした状態は、のどを突いたショックと
のみ込んだ血を吐いたことが重なったためと判断し、割りばしが頭蓋骨を貫通していたとは考え
なかった』と説明した。
1999年7月14日付(朝刊)読売新聞
病院長の記者会見によると、耳鼻咽喉科の医師が診察し、
1)「口を開けて」などの呼びかけに反応した
2)呼吸や瞳孔に変化が見られなかった
3)割り箸が頭蓋内まで刺さるとは考えられなかった
ことなどから、脳に異常はないと判断した。
その上で、傷口の手当をして化膿止めの薬などを処方し、『変化があったらいつでも連絡して』と伝え、
帰宅を指示した。(中略)
母親は「『帰って大丈夫ですか』と何度も尋ねたが、『大丈夫』と言われた」と話している。
458 :
452:02/08/16 19:28 ID:3K4xVACu
>>457つづき
1)の呼びかけに反応したことが、担当医の「意識障害はない」と判断した根拠になっているようですが、
これについて母親は、事故直後に掲載された週刊文春の手記の中でこう述べています。
「首もグラグラしている状態で、ひとりで診察室の椅子に座れませんでした。意識はほとんどなく、
ぐったりした様子で、医師の呼びかけにも、かすかにうなずく程度でした」
1)に関わることについて、病院長記者会見の内容と重要な食い違いが母親の手記には見られます。
病院長は「呼吸や瞳孔などに変化は見られなかった」ことを「脳に異常はない」と判断した根拠の
一つとして挙げています(7/14付読売)が、手記では
「瞳孔を調べるようなことはしていない」とあります。
他にもいくつか食い違いが見られますが、その中でも重要と思われるのは、次の点です。
病院長記者会見:「変化があったらいつでも連絡して」と伝えて帰宅を指示した。(7/14付読売)
母親の手記:「柔らかいものを食べさせ、薬は必ず飲ませる。お風呂は避け、ゆっくり休ませて。
傷口を縫うかどうか決めるので、月曜日午前に外来へ来るように」のみで、「急変云々」とは言われていない。
459 :
452:02/08/16 19:31 ID:3K4xVACu
>>458つづき
また、CTを撮らなかった理由について、病院側から両親への説明(7/12、患児死亡後)が手記にあります。
「(頭部を打って)救急車で当院へ来る子供はみなぐったりしている。被曝の問題もあるし、全員にCTを
撮るわけには行かない」
「一時的にぐったりしているけれども頭蓋内損傷がない患児」と一緒であろう、と判断した根拠が確固と
したものであればこの論法も通るでしょう。
前述の瞳孔checkの有無も含めて、意識レベルの見極めどのように行われたのか、具体的には、
神経学的診察がどのくらい行われたのか、が最大のポイントになると考えます。
これは裁判で明らかになることでしょうが。
460 :
452:02/08/16 19:47 ID:3K4xVACu
>>459補足。
>神経学的診察
について。
以前この問題についてやり取りした脳外科医は、このケースのような場合にチェックする項目として
次のような回答をしました。
(以下引用)
外傷で子供がぐったりしていた場合,少なくとも疼痛刺激等で覚醒させます.覚醒して,明らかな麻痺,
小脳症状,体幹失調,眼球運動異常がない場合は,帰宅させます.帰宅時には,頭部外傷についてまとめた
文章を用意してありますので,それをご両親に持たせ,何か異常と思われることがあれば,すぐに連絡する
様にお話ししています.
覚醒しない場合は,CT等の検査をすることになります.
(引用以上)
今回の患児の場合、母親の言うように「呼びかけに対してかすかにうなずく程度」だったとするならば
疼痛刺激で「覚醒」させることからして難しかった可能性もあろうかと思います。
一方、転倒し、くわえていたものがのどに突き刺さったということは、転倒の際に手をつくことができなかった
と考えられますから、顔面を強打していることを想定する必要があります。
となると頭蓋骨内の損傷を念頭においておかなければなりません。そういう目で患児を観察すれば、
「意識レベルの低下」に注意を向けるのは医師として当然の思考パターンであるはずだと私は思いますし、
もし意識レベルのチェックに自信がないのであれば、脳外科医や小児科医をコールするべきだったと思います。