刑法の勉強法 29

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906氏名黙秘
>>905
抽象的法定的符合説が破綻していることは次の事例でわかるだろう。

周囲を弾丸を通さない防弾ガラスで囲まれた部屋があり、その外に人がいる。
甲は上記部屋の中の動物Aに対して傷害の故意で弾丸を発射したが弾丸がそれ、
防弾硝子を貫通しXが死亡した。
上記事例において、甲は防弾ガラス外の人間が死ぬことを認識していないから
甲には殺人既遂罪は適用されない。せいぜい過失致死罪しか成立しない。

さて、上記事例で、甲が狙っていたのが上記部屋の中にいる人間Bだったとしよう。
甲はBに対する殺意をもって弾丸を発射したところ、Bには当たらず
防弾ガラスが割れてXが死亡した。
この場合、抽象的法定的符合説は、Bに対する殺人未遂罪+Xに対する殺人既遂罪を
認めることになるだろう。

上記2つの事例を見れば、抽象的法定的符合説が悪らつな殺意を転用していることが
明らかだろう。