日弁連会長選:主流派VS著名弁護士 法曹人口問題が争点
2010年1月6日 2時30分 更新:1月6日 3時4分
6日公示の日本弁護士連合会の会長選が、かつてない盛り上がりをみせている。
立候補するのは、現執行部の路線を継承する前副会長の山本剛嗣(たけじ)氏(65)
と、多重債務問題への取り組みで知名度の高い宇都宮健児氏(63)。従来は主流派
の事前調整で擁立された候補の信任投票の様相だったが、今回は激戦模様。法曹人口
問題への対応が最大の争点で、若手弁護士の支持取り込みもカギだ。
会長選は全国約2万7000人の弁護士全員が投票権を持つ。投開票は2月5日。
任期は4月から2年間。
これまでは大規模弁護士会の主流派が調整し、東京の3弁護士会や大阪弁護士会の
会長経験者を「統一候補」として擁立するのが通例。その流れで今回は元東京弁護士
会会長の山本氏が推された。
これに対し宇都宮氏は「政権交代など政治・社会情勢が変化する中、市民のための
日弁連をつくる好機」と挑む。東京弁護士会所属でオウム真理教犯罪被害者支援機構
の理事長を務め、08年末の「年越し派遣村」で名誉村長になった。
日弁連の最大課題は法曹人口増員。政府は司法試験合格者を10年までに段階的に
年3000人に増やし、18年に法曹人口を5万人とする計画を立てた。しかし、質
の低下や過当競争への懸念が弁護士の間に強く、日弁連は09年3月「今後数年間の
合格者数は現状の年2100〜2200人を目安に」とペースダウンを提言した。
山本氏はこの提言作りにかかわり、会長選にも同様方針で臨む。「09年の合格者
数2043人を当面の目安とする」と強調。一方、宇都宮氏は「合格者数を1500
〜1000人に減らすべきだとの一部弁護士会の決議に耳を傾け、現状より合格者を
減らす」と現執行部との違いを鮮明にしている。
「組織票」による票読みが難しくなってきた中で、若手弁護士の投票動向がカギに
なり、両陣営とも若手の支援強化を掲げる。【銭場裕司、伊藤一郎】
http://mainichi.jp/select/today/news/20100106k0000m040146000c.html