週刊スパ 2月12日号
「佐藤優のインテリジェンス人生相談」より
今週の教訓 泥沼の法曹界とは関係をもたないのが賢明だ
今週の参考文献 「反転」 田中森一 幻冬舎
この種の問題に過剰反応することはないと思います。大きな意味で、法科大学院など
というものが司法試験の予備校で、そこで教えている司法試験の考査委員たちは、何
らかの形でこれから出す問題の「漏洩」を行っているからです。「漏洩」がこの人たち
のメシの種なのですから、いくら批判してもそれはなくなりません。司法太郎さんが
指摘するように、これだけ漏洩が起きているのに、国は再試験を行わないというのが、
確かにおかしいのです。それが放置されているのが、国民の眼に明らかになるのは、私
はいいことだと思います。国民が「法曹とは、実にいいかげんな世界だ」ということを
実感するための材料になるからです。更に「漏洩を知りながら試験に合格した人は、そ
れを告白することなどなく、司法修習に進んでいる」というのもその通りで、このよう
な低いモラルの人こそが、司法官僚としての出世街道を登る資質があるわけですし、ま
た、悪徳弁護士となって大儲けすることもできるのです。(中略)
弁護士も本格的な競争時代に入り、下流弁護士が8割くらいになると思います。そうな
ると、競争が怖いと怯える司法修習生は、裁判官や検察官を志向するようになります。
こうして裁判官、検察官のレベルの低下が進んでいきます。これは、構造的問題なので、
小手先の改革をしても流れは変わりません。一般国民としては、このような泥沼の法曹
界とは極力関係をもたず、自分たちの問題は、極力、当事者間の話し合いで決めるとい
うのが賢明と思います。