1 :
氏名黙秘:
あの頃にはなかった宿命的な響きだ。
ー ホ・ウ・ム・ハ・カ・セ
僕はもう一度口に出して言ってみた。
2 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 05:41:38 ID:???
糞スレ建てんな
削除依頼しとけよ
3 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 07:15:58 ID:???
4 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 22:52:20 ID:???
「国境の南、多摩の西」と彼女は言った。
「なんだい、その多摩の西っていうのは?」
「そういう場所があるのよ」と彼女は言った。
「ヒステリア・ヒガシナカノという病気のことは聞いたことがある?」
「知らないな」
「昔どこかでその話を読んだことがあるの。卒一の頃だったかしら。
何の本だったかどうしても思い出せないんだけれど…、
とにかくそれはヒガシナカノに住む中大の司法試験受験生がかかる病気なの。
ねえ、想像してみて。
あなたは司法試験受験生で、ヒガシナカノの荒野にたった一人で住んでいるの。
そして毎日毎日基本書を読んでいるの。
見渡すかぎり回りには何もないの。
北には北のLECが
東には東のセミナーが
南には南の伊藤塾が
西には西の辰巳があるの。
ただそれだけ。
あなたは毎年5月の第二日曜になると町に出て試験を受け、
それが不合格に達すると、勉強の手を休めて多摩クリスタルに逝き、
中大の没落を象徴するかのように夕日が沈むと家に帰って眠るの」
「それは渋谷界隈でマコツのLiveを受けるのとはすいぶん違った種類の
人生のように聞こえるね」
「まあね」
と言って彼女は微笑んだ。そしてほんのちょっと首を傾げた。
「すいぶん違うでしょうね。それが何年も何年も、毎日続くの」
5 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:01:31 ID:aooNDZc4
おもろいです。
6 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:05:45 ID:???
うまいね(笑)
7 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:12:59 ID:???
元ネタはノルウェイの森だっけか?
8 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:30:07 ID:???
島本さん
9 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:33:43 ID:???
僕は魔骨に電話をかけ、択一にどうしても合格したいんだ。
話すことがいっぱいある。話さなくちゃいけないことがいっぱいある。
世界中に択一以外に求めるものは何もない。択一に通って論文を受けたい。
何もかもを基礎マスターからはじめたい、と言った。
魔骨は長い間電話の向こうで黙っていた。
まるで日本中のベテの涙が世界中の芝生に振っているようなそんな沈黙が続いた。
僕はその間ガラス窓にずっと額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがて魔骨が口を開いた。
「公務員試験はどうなんだい?」と彼は静かな声で言った。
僕は今何歳なのだ?
僕は受話器を持ったまま顔を上げ、受験制限年齢をぐるりと見まわしてみた。
僕は今何歳なのだ?でも何歳なのか僕にはわからなかった。
見当もつかなかった。いったい僕は何歳なんだ?
僕の目に映るのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の択一合格者の姿だけだった。
僕は公務員試験を受けることのできない年齢のまん中から魔骨を呼びつづけていた。
10 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:35:38 ID:???
みどり
11 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:36:42 ID:???
>>4つづき
「そしてある日、あなたの中で何かが死んでしまうの」
「死ぬって、どんなものが?」
彼女は首を振った。
「わからないわ。何かよ。東大から早稲田から慶応から、
中大を通り過ぎて、合格して行く若手達を毎年毎年繰り返して見ている
うちに、あなたの中で何かがぷつんと切れて死んでしまうの。
そしてあなたは地面にデバイスを放り出し、そのままなにも考えずに
ずっと渋谷に向けて歩いていくの。渋谷のマコツに向けて。
そして憑かれたように何日も何日も呑まず喰わずで歩きつづけて、
そのまま地面に倒れて死んでしまうの。
それがヒステリア・ヒガシナカノ」
僕は大地につっぷして死んで行く中大ベテの姿を思い浮かべた。
「渋谷のマコツにはいったい何があるの?」と僕は訊いた。
彼女はまた首を振った。
「私にはわからない。そこには何もないのかもしれない。あるいは
合格できる何かがあるのかもしれない。でもとにかく、それは
中大駅前校とは少し違ったところなのよ。」
ナット・キング・コールが『プリテンド』を歌うと、
ベテも小さな声で現役のころよくやったようにそれに合わせて歌った。
プリテンニュアハピーウェニャブルウ
イティイズンベリーハートゥドゥー
12 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:39:56 ID:???
ちょっと泣けるww
13 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:48:23 ID:???
「ねえお客さん」と突然運転手が言った。僕はシケタイ5の最初のページにやっと辿り
ついたところだった。「三振Wロースクール生って本当にいると思います?」
「サンシンダブルローセー?」僕は呆然としてバックミラーの中の運転手の顔を眺め
た。運転手もバックミラーの中の僕の顔を眺めていた。
「ダブルローセーって、あの新司法試験ごときに三回も落ちる・・・?」
「そうです。実在すると思いますか?」
「Wロー生的な存在とか、メタファーとしてのWロー生とか、就職浪人生と
か、パラサイト・シングルとか、そういうんじゃなくて本当の三振Wロー生?」
「もちろん」と運転手は言ってから五十センチばかり車を前進させた。
「わからないな」と僕は言った。「わからないよ」
「わからないじゃこまるんですよ。信じるか信じないか、どちらかにして下さい
よ。」
「信じない」と僕は言った。
「三振Wロー生の存在は信じないんですね」
「信じない」
僕はポケットからタバコをひっぱり出して口にくわえ、火をつけない
まま唇の上で転がした。
「予備試験特攻ヴェテはどうです?信じます?」
「予備試験特攻ヴェテはいるような気がするな」
「気がするじゃなくて、イエスかノーで答えてくれませんか」
「イエス」と仕方なく僕は言った。「信じるよ」
「予備試験特攻ヴェテの存在は信じるんですね?」
「イエス」
「しかし三振Wロー生の存在は信じない」
「信じない」
14 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:50:32 ID:aooNDZc4
つづくといいなぁ・・このスレ。
15 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:52:55 ID:???
「それでは三振Wロー生と予備試験特攻ヴェテの違いとはいったいなんですか?」
「予備試験特攻ヴェテとはつまり佐藤工事的存在を軸とした価値転換だな」と僕は口から
でまかせを言った。そういうのはとても得意なのだ。
「ふうん」
「しかしWロースクールというのは、佐藤工事的存在に対するアンチ・テーゼだ」
「つまり価値転換は認めるが、アンチ・テーゼは認めない、と」
「白痴を認めると、もうキリがないからさ」
「お客さん、インテリですね」
「ははは、近大ローに三年も通ったから」
運転手は前方に蜿々と続く車の列を眺めながらシケモクを口にくわえてライ
ターで火をつけた。俊徳道界隈の匂いが車内に漂った。
「でもね、本当に三振Wロー生がいたらどうします?」
「参っちゃうだろうね」
「それだけですか?」
「いけないかな?」
「いけないですよ。ローの信念というのはもっと崇高なもんです。
自分の頭で考え、自分の言葉で答えていただけませんか?」
なんだかピロシの説教みたいだ。
16 :
氏名黙秘:2007/08/24(金) 23:57:25 ID:???
wktk
17 :
氏名黙秘:2007/08/25(土) 00:02:25 ID:???
このオサーン、ピロシなんだぜ
18 :
氏名黙秘:2007/08/25(土) 00:06:31 ID:???
「そういうものかな?」
「そういうものです」
僕は火のついていないタバコをくわえたままため息をついた。「で、
あなたは三振Wロー生の存在を信じてるの?」
「信じてます」
「どうして?」
「どうしてって、信じてるからですよ」
「実証できる?」
「信念と実証とは無関係です」
「そういえばそうだな」
僕はあきらめてシケタイ5に戻った。憲法総論、憲法と立憲主義・・・
「でも実証できますよ」と運転手が言った。
「本当?」
「本当です」
「どんな風に?」
「だって私は佐藤工事だから・・・」
僕はしばらくのあいだ黙り込んだ。
くわえていたタバコにようやく火をつけ
僕の両手はゆっくりと生白い運転手の首筋へと向かった。
19 :
氏名黙秘:2007/08/25(土) 00:07:16 ID:???
塾生はおそろしく基本書を読まない。
彼がシケタイと論パ以外の活字を読んでるところにお目にかかったことがない。
僕が時折時間潰しに読んでいる重点講義を、彼はいつもまるで蠅が蠅叩きを
眺めるように物珍しそうにのぞきこんだ。
「何故基本書なんて読む?」
「なぜシケタイなんて読む?」
僕は砂糖工事憲法と芦部憲法を1ページずつ交互に読みながら、
塾生の方も見ずにそう訊き返した。
塾生はそれについてずっと考え込んでいたが、5分ばかり後で口を開いた。
「シケタイの良いところはね、全部予備校答案になって出ちまうことだね。
ワン・アウト一塁ダブル・プレー、何も残りゃしない。」
20 :
氏名黙秘:2007/08/25(土) 00:18:01 ID:???
本当に基本書を読まない塾生なんて存在するのだろうか、僕は直子さんに尋ねた
「彼らはメタファーなのよ。そう、現実から逃避し堕落した象徴的存在なの」
それを聞いた僕は、ジョン・コルトレーンのレコードに針を置いた後、読みかけの伊藤眞『民訴』を開くとすぐに眠りに就いた
21 :
氏名黙秘:2007/08/25(土) 00:45:39 ID:???
22 名前: 氏名黙秘 投稿日: 2001/05/09(水) 17:33
「ベテの5年後のこともっと知りたい?」
「興味はあるね、いささか」
「ねえ、私は「ベテの5年後をもっと知りたいって質問したのよ。
そんな答えっていくら何でもひどいと思わない?」
「もっと知りたいよ、そのことを」と僕は言った。
「本当に?」
「本当に」
「もうすぐロースクールで受験資格も危なくなるとしても?」
「そんなにひどいの?」
「ある意味ではね」と彼女は言って顔をしかめた。
ピース。 恵美子が言った。
22 :
氏名黙秘:2007/09/01(土) 09:46:46 ID:???
村上
23 :
氏名黙秘:2007/09/08(土) 01:48:37 ID:8xKA4YN8
「司法試験の採点を担当する教授が、生徒に試験問題を教えちゃうんだ」と僕は言った。
「いくらなんでも、それって出来の悪い冗談よね?」と彼女は言った。
「冗談もなにも本当の話さ。司法試験なんてくだらないよ。こんな試験に関わる奴なんてくだらない奴ばかりさ」
と僕は吐き捨てるように言った。
「あなたはどうして司法試験なんて受けようとするの?」と彼女は言った。
「僕と司法試験はくだらないと言う点でとてもよく似ているんだ。僕もくだらないし、司法試験もくだらない。
だから司法試験を受けようとするんじゃないかな。お互い相通じるものがあるんだ」と僕は言った。
「私の理解力が足りないだけかもしれないけど、あなたの説明はよくわからないわ」と彼女は言った。
僕にだってよくわからないことが彼女に分かるはずもなかった。
裁判官や検察官や弁護士に世界を良くする役割を期待してはいけない。
僕にわかることなんてせいぜいこの程度のことにすぎないのだ。
24 :
氏名黙秘:2007/09/08(土) 02:48:47 ID:???
25 :
氏名黙秘:2007/09/08(土) 03:03:22 ID:???
司法浪人には優れた点が二つある。
まずセックス・シーンの無いこと、それから一人も人が死なないことだ。
26 :
氏名黙秘:2007/09/09(日) 03:21:09 ID:AqwaJ5Tv
サンダースは「ホシノちゃん、世界の万物はメタファーなんだ。糞ベテという存在は井戸の底のように深い闇をかかえちょる。メタフォリカルな意味でね」といった。
27 :
氏名黙秘:2007/09/14(金) 02:08:41 ID:???
28 :
氏名黙秘:
あげ