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479柴田先生は間違ってない
>>472-474を読むと、451さんは「(債務不履行があった後の)賃料に対する差押さえ」と
「(担保権実行のための)不動産に対する差押さえ」を混同しているようです。

「賃料に対する物上代位が注目を集めるようになったのは、バブル経済の崩壊により地価が下落し、
売却による債権回収が困難になってからである。それまでは抵当権者はもっぱら抵当不動産の
交換価値に関心を持ち、賃料からの債権回収などほとんど問題にならなかった」(内田貴民法V2版400p)

まずB説は、最近の考え方で道垣内先生や鎌田先生が唱えられた説だそうで
「独立している」というのは、「物上代位は、本来は担保物権の及ばない物に対して
担保物権の効力を及ぼす制度であるから、(旧)371条1項を法定果実にも適用して
法定果実には抵当権の効力が及ばないと解しても、そのことだけでは、賃料への
物上代位を否定する理由の十分な説明になってない」ことだそうです。(百選5版183p)
480柴田先生は間違ってない:2006/02/03(金) 23:08:45 ID:f1J7gpMA
A説をXとYに分けると
AーX(起草者、判例、我妻などかつての通説)
AーY(近年の学説の多数説)
X説:旧371条1項の「果実」には「法定果実」は含まない
   いいかえると、抵当権の効力は附加一体物としての賃料に及ぶ→304条による賃料への物上代位を肯定
Y説:旧371条1項の「果実」に「法定果実」は含まれる。
   いいかえると、抵当権の効力は附加一体物としての賃料に及ばない→304条による賃料への物上代位を否定

しかし、旧371条1項は「果実」とあるだけである。X説は条文の位置なども理由にして、天然果実のみと
縮小解釈しているが、すなおに読めば天然果実と法定果実の両方を含むはずである。
また、304条は「賃貸・・によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても行使することができる」
とあり、それを372条が抵当権にも準用しているのだから、抵当権の非占有担保物権性を理由にして
売却等と違い賃貸には準用されないとするY説も文理を離れた縮小解釈をおこなっている。

つまり、X説Y説とも矛盾はないけれど、旧371条1項と304条をそのまま読むならば
「旧371条1項により抵当権の効力は附加一体物としての賃料に及ばない」にもかかわらず
「304条により抵当権による賃料への物上代位はできる」ということになり矛盾がでてくる。

「入門民法」は読んでませんが、2002年出版の「合格論文機械的作成法」64-5pで、旧法時代の
この問題について、「複数の条文が適用できる場合」として簡単に解説されてます。