1 :
ヴェテ某:
ヴェテ山月記
ヴェテ某
隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名をヴェテ榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。
いくばくもなく官を退いた後は、故山かく略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら法律に耽った。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、法曹としての名を死後百年に遺そうとしたのである。
しかし、合格は容易には叶わず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。
2 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:27:23 ID:???
この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。
数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の受験に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。
一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。
或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。
その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
3 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:28:10 ID:???
翌年、監察御史、陳郡の袁人參という者、勅命を奉じて嶺南に使し、途に商於の地に宿った。
次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、駅吏が言うことに、これから先の道に人喰ヴェテが出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。
袁人參は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、駅吏の言葉を斥けて、出発した。
残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛ヴェテが叢の中から躍り出た。
ヴェテは、あわや袁人參に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。
その声に袁人參は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。
「その声は、我が友、李徴子ではないか?」
4 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:28:43 ID:???
袁人參は李徴と同年に大学に入学し、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な袁人參の性格が、峻峭な李徴の性情と衝突しなかったためであろう。
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は隴西の李徴である」と。
袁人參は恐怖を忘れ、馬から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。
李徴の声が答えて言う。
自分は今や異類の身となっている。どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。
しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友李徴であったこの自分と話を交してくれないだろうか。
後で考えれば不思議だったが、その時、袁人參は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。
5 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:29:16 ID:???
研修所の噂、旧友の消息、袁人參が現在の地位、それに対する李徴の祝辞。
青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、袁人參は、李徴がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。
草中の声は次のように語った。
今から一年程前、自分が旅に出て汝水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。
声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。
無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は山林に入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手で地を攫んで走っていた。何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々と岩石を跳び越えて行った。気が付くと、手先や肱のあたりに毛を生じているらしい。
少し明るくなってから、谷川に臨んで姿を映して見ると、既にヴェテとなっていた。自分は初め眼を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。
6 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:29:29 ID:???
宇宙すごいのコピペスレかと思った
7 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:29:48 ID:???
どうしても夢でないと悟らねばならなかった時、自分は茫然とした。
そうして懼れた。全く、どんな事でも起り得るのだと思うて、深く懼れた。しかし、何故こんな事になったのだろう。分らぬ。全く何事も我々には判らぬ。理由も分らずに押付けられたものを大人しく受取って、理由も分らずに生きて行くのが、我々生きもののさだめだ。
自分は直ぐに死を想うた。
しかし、その時、眼の前を一匹の択一落ちが駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。
再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は択一落ちの血に塗れ、あたりには択一落ちの毛が散らばっていた。
これがヴェテとしての最初の経験であった。
それ以来今までにどんな所行をし続けて来たか、それは到底語るに忍びない。ただ、一日の中に必ず数時間は、人間の心が還って来る。そういう時には、曾ての日と同じく、人語も操れれば、複雑な思考にも堪え得るし、経書の章句を誦んずることも出来る。
その人間の心で、ヴェテとしての己の残虐な行のあとを見、己の運命をふりかえる時が、最も情なく、恐しく、憤ろしい。
8 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:30:33 ID:???
しかし、その、人間にかえる数時間も、日を経るに従って次第に短くなって行く。今までは、どうしてヴェテなどになったかと怪しんでいたのに、この間ひょいと気が付いて見たら、己はどうして以前、人間だったのかと考えていた。
これは恐しいことだ。今少し経てば、己の中の人間の心は、獣としての習慣の中にすっかり埋れて消えて了うだろう。
ちょうど、古い宮殿の礎が次第に土砂に埋没するように。そうすれば、しまいに己は自分の過去を忘れ果て、一匹のヴェテとして狂い廻り、今日のように途で君と出会っても故人と認めることなく、君を裂き喰うて何の悔も感じないだろう。
一体、獣でも人間でも、もとは何か他のものだったんだろう。初めはそれを憶えているが、次第に忘れて了い、初めから今の形のものだったと思い込んでいるのではないか?
いや、そんな事はどうでもいい。己の中の人間の心がすっかり消えて了えば、恐らく、その方が、己はしあわせになれるだろう。
だのに、己の中の人間は、その事を、この上なく恐しく感じているのだ。
ああ、全く、どんなに、恐しく、哀しく、切なく思っているだろう! 己が人間だった記憶のなくなることを。
この気持は誰にも分らない。誰にも分らない。己と同じ身の上に成った者でなければ。
9 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:31:05 ID:???
ところで、そうだ。己がすっかり人間でなくなって了う前に、一つ頼んで置きたいことがある。
袁人參はじめ一行は、息をのんで、叢中の声の語る不思議に聞入っていた。声は続けて言う。
他でもない。自分は元来法曹として名を成す積りでいた。しかも、業未だ成らざるに、この運命に立至った。曾て作るところの答案数百篇、固より、まだ世に行われておらぬ。遺稿の所在も最早判らなくなっていよう。
ところで、その中、今も尚記誦せるものが数十ある。これを我が為に伝録して戴きたいのだ。何も、これに仍って一人前の法学徒面をしたいのではない。
作の巧拙は知らず、とにかく、産を破り心を狂わせてまで自分が生涯それに執着したところのものを、一部なりとも後代に伝えないでは、死んでも死に切れないのだ。
袁人參は部下に命じ、筆を執って叢中の声に随って書きとらせた。
李徴の声は叢の中から朗々と響いた。長短凡そ三十篇、格調高雅、意趣卓逸、一読して作者の才の非凡を思わせるものばかりである。
しかし、袁人參は感嘆しながらも漠然と次のように感じていた。
成程、作者の素質が第一流に属するものであることは疑いない。
しかし、このままでは、第一流の答案となるのには、何処か(非常に微妙な点に於て)欠けるところがあるのではないか、と。
10 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:31:48 ID:???
論証を吐き終った李徴の声は、突然調子を変え、自らを嘲るか如くに言った。
羞しいことだが、今でも、こんなあさましい身と成り果てた今でも、己は、己の論稿がジュリストに掲載されている様を、夢に見ることがあるのだ。岩窟の中に横たわって見る夢にだよ。嗤ってくれ。
法曹に成りそこなってヴェテになった哀れな男を。(袁人參は昔の青年李徴の自嘲癖を思出しながら、哀しく聞いていた。)
そうだ。お笑い草ついでに、今の懐を即席の論証に述べて見ようか。このヴェテの中に、まだ、曾ての李徴が生きているしるしに。
袁人參は又下吏に命じてこれを書きとらせた。その論証に言う。
偶因狂疾成殊類 災患相仍不可逃
今日爪牙誰敢敵 当時声跡共相高
我為異物蓬茅下 君巳乗車召気勢豪
此夕渓山対明月 不成長嘯但成口皐
時に、残月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。
人々は最早、事の奇異を忘れ、粛然として、この元法学徒の薄倖を嘆じた。
11 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:32:36 ID:???
李徴の声は再び続ける。
何故こんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように依れば、思い当ることが全然ないでもない。
人間であった時、己は努めて人との交を避けた。人々は己を倨傲だ、尊大だといった。
実は、それが殆ど羞恥心に近いものであることを、人々は知らなかった。勿論、曾ての郷党の鬼才といわれた自分に、自尊心が無かったとは云わない。
しかし、それは臆病な自尊心とでもいうべきものであった。
己は法律によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて法律友と交って切磋琢磨に努めたりすることをしなかった。かといって、又、己は俗物の間に伍することも潔しとしなかった。
共に、我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心との所為である。
己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。
己は次第に世と離れ、人と遠ざかり、憤悶と慙恚とによって益々己の内なる臆病な自尊心を飼いふとらせる結果になった。
人間は誰でも猛獣使であり、その猛獣に当るのが、各人の性情だという。
己の場合、この尊大な羞恥心が猛獣だった。ヴェテだったのだ。
これが己を損い、妻子を苦しめ、友人を傷つけ、果ては、己の外形をかくの如く、内心にふさわしいものに変えて了ったのだ。
12 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:33:08 ID:???
今思えば、全く、己は、己の有っていた僅かばかりの才能を空費して了った訳だ。
人生は何事をも為さぬには余りに長いが、何事かを為すには余りに短いなどと口先ばかりの警句を弄しながら、
事実は、才能の不足を暴露するかも知れないとの卑怯な危惧と、刻苦を厭う怠惰とが己の凡てだったのだ。
己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる法律家となった者が幾らでもいるのだ。
ヴェテと成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
それを思うと、己は今も胸を灼かれるような悔を感じる。
己には最早人間としての生活は出来ない。
たとえ、今、己が頭の中で、どんな優れた法律を作ったにしたところで、どういう手段で発表できよう。
まして、己の頭は日毎にヴェテに近づいて行く。
どうすればいいのだ。己の空費された過去は?
己は堪らなくなる。
そういう時、己は、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。
この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。
己は昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
しかし、未習どもは己の声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹のヴェテが怒り狂って、哮っているとしか考えない。
天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人己の気持を分ってくれる者はない。ちょうど、人間だった頃、己の傷つき易い内心を誰も理解してくれなかったように。
己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。
13 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:33:41 ID:???
漸く四辺の暗さが薄らいで来た。木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。
最早、別れを告げねばならぬ。酔わねばならぬ時が、(ヴェテに還らねばならぬ時が)近づいたから、と、李徴の声が言った。
だが、お別れする前にもう一つ頼みがある。それは我が妻子のことだ。彼等は未だ埒略にいる。固より、己の運命に就いては知る筈がない。君が南から帰ったら、己は既に死んだと彼等に告げて貰えないだろうか。
決して今日のことだけは明かさないで欲しい。
厚かましいお願だが、彼等の孤弱を憐れんで、今後とも道塗に飢凍することのないように計らって戴けるならば、自分にとって、恩倖、これに過ぎたるは莫い。
言終って、叢中から慟哭の声が聞えた。袁もまた涙を泛べ、欣んで李徴の意に副いたい旨を答えた。
李徴の声はしかし忽ち又先刻の自嘲的な調子に戻って、言った。
本当は、先ず、この事の方を先にお願いすべきだったのだ、己が人間だったなら。飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい法律業の方を気にかけているような男だから、こんな獣に身を堕すのだ。
14 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:34:31 ID:???
そうして、附加えて言うことに、袁人參が嶺南からの帰途には決してこの途を通らないで欲しい、その時には自分が酔っていて故人を認めずに襲いかかるかも知れないから。
又、今別れてから、前方百歩の所にある、あの丘に上ったら、此方を振りかえって見て貰いたい。自分は今の姿をもう一度お目に掛けよう。勇に誇ろうとしてではない。
我が醜悪な姿を示して、以て、再び此処を過ぎて自分に会おうとの気持を君に起させない為であると。
袁人參は叢に向って、懇ろに別れの言葉を述べ、馬に上った。叢の中からは、又、堪え得ざるが如き悲泣の声が洩れた。
袁人參も幾度か叢を振返りながら、涙の中に出発した。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。
忽ち、一匹のヴェテが草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。
ヴェテは、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
以上
15 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:34:59 ID:rAba3cGY
>>1-14 クソスレ乙。
その情熱だけには感動した。
中島敦か。
山月記、名作だよな。
あのひとって、何歳まで生きたっけ?
ひょっとして、ここのヴェテのがすでに(ry・・・
16 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:38:30 ID:???
おもろい。
17 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:39:06 ID:???
私はすでに人間ではない。
もはやヴェテにその身を窶してしまっている…。
18 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:41:52 ID:???
19 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:45:14 ID:???
李徴は今で言う自己愛性人格障害だったんだと思うが…
司法試験目指す人にも相当数いるタイプだからわりと合ってるかも
20 :
訂正:2005/11/05(土) 19:49:00 ID:???
> そういう時、己は、向うの山の頂の巖に上り、空谷に向って吼える。
> この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。
> 己は昨夕も、彼処で月に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
そういう時、己は、2chの司法試験板に現れ、クソスレに向って吼える。
この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。
己は昨夕も、他スレでロー生に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
21 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:53:32 ID:???
>>18 たぶん
>>1もあなたと同様、火垂るの墓スレでそれ見てこの糞スレを
思いついたんだと思いますよ。
22 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 19:56:20 ID:???
23 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 20:08:23 ID:???
>己よりも遥かに乏しい才能でありながら、それを専一に磨いたがために、堂々たる法律家となった者が幾らでもいるのだ。
ヴェテと成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
己よりも遥かに乏しい才能でありながら、
それを専一に磨いたがために、
堂々たる法律家となった者
これがヴェテだろうと思う。
24 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 20:10:38 ID:???
低学歴合格者と高学歴ヴェテの対比だな
25 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 20:15:42 ID:???
>ヴェテと成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
三振博士と成り果てた今、己は漸くそれに気が付いた。
の方がいいかもな。
26 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 20:18:42 ID:???
三振博士は無害でおとなしいもの
ヴェテは牙をむく
27 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 21:13:49 ID:???
松浦晋二郎は、朝起きたらヴェテになっていた。
28 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 21:26:15 ID:???
故人とは友人の意味
高校時代やったなぁ
29 :
氏名黙秘:2005/11/05(土) 23:23:10 ID:???
未収になった夢を見た
夢の中で俺はポテンシャルポテンシャルと声高に叫んでいた
起きたら俺はベテだった
俺は未収の俺が見てる夢かもしれないと思った
30 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:01:53 ID:???
三振記
関西の○○は博学才穎、昭和の末年、若くして名を東大卒業者名簿に連ね、ついで江南商事に入社したが、性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、社畜に甘んずるを潔しとしなかった。
いくばくもなく社を退いた後は、故山六甲に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら法律に耽った。部下となって長く膝を俗悪な上司の前に屈するよりは、法曹としての名を死後百年に遺そうとしたのである。
しかし、合格は容易には叶わず、生活は日を逐うて苦しくなる。○○は漸く焦躁に駆られて来た。
31 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:07:00 ID:???
この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て東大に合格した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。
数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方公務員の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の受験に半ば絶望したためでもある。曾ての同窓は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才○○の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。
一年の後、公用で旅に出、汝水のほとりに宿った時、遂に発狂した。
或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。
その後李徴がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
32 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:09:49 ID:???
>>31 訂正
この頃からその容貌も峭刻となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て東大に合格した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。
数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方公務員の職を奉ずることになった。
一方、これは、己の受験に半ば絶望したためでもある。曾ての同窓は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才○○の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。
一年の後、公用で旅に出、琵琶湖のほとりに宿った時、遂に発狂した。
或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駈出した。彼は二度と戻って来なかった。附近の山野を捜索しても、何の手掛りもない。
その後○○がどうなったかを知る者は、誰もなかった。
33 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:10:23 ID:???
はしょりすぎだお
34 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:21:39 ID:???
数年後、東京地方検察庁検事の●●という者、特命を奉じて大阪に使し、途に大津の地に宿った。
次の朝未だ暗い中に出発しようとしたところ、事務官が言うことに、これから先の道に人喰三振博士が出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。今はまだ朝が早いから、今少し待たれたが宜しいでしょうと。
●●は、しかし、供廻りの多勢なのを恃み、事務官の言葉を斥けて、出発した。
残月の光をたよりに林中の草地を通って行った時、果して一匹の猛三振博士が叢の中から躍り出た。
三振博士は、あわや●●に躍りかかるかと見えたが、忽ち身を飜して、元の叢に隠れた。叢の中から人間の声で「あぶないところだった」と繰返し呟くのが聞えた。
その声に●●は聞き憶えがあった。驚懼の中にも、彼は咄嗟に思いあたって、叫んだ。
「その声は、我が友、○○君ではないか?」
35 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:26:01 ID:???
●●は○○と同年に大学に入学し、友人の少かった李徴にとっては、最も親しい友であった。温和な●●の性格が、峻峭な○○の性情と衝突しなかったためであろう。
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は関西の○○である」と。
袁人參は恐怖を忘れ、車から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。
李徴の声が答えて言う。
自分は今や異類の身となっている。どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。
しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友○○であったこの自分と話を交してくれないだろうか。
後で考えれば不思議だったが、その時、●●は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。
36 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:26:46 ID:???
>>35 訂正
●●は○○と同年に大学に入学し、友人の少かった○○にとっては、最も親しい友であった。温和な●●の性格が、峻峭な○○の性情と衝突しなかったためであろう。
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は関西の○○である」と。
袁人參は恐怖を忘れ、車から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。
李徴の声が答えて言う。
自分は今や異類の身となっている。どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。
しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友○○であったこの自分と話を交してくれないだろうか。
後で考えれば不思議だったが、その時、●●は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。
37 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:27:50 ID:???
さらに訂正。
●●は○○と同年に大学に入学し、友人の少かった○○にとっては、最も親しい友であった。温和な●●の性格が、峻峭な○○の性情と衝突しなかったためであろう。
叢の中からは、暫く返辞が無かった。しのび泣きかと思われる微かな声が時々洩れるばかりである。ややあって、低い声が答えた。「如何にも自分は関西の○○である」と。
●●は恐怖を忘れ、車から下りて叢に近づき、懐かしげに久闊を叙した。そして、何故叢から出て来ないのかと問うた。
○○の声が答えて言う。
自分は今や異類の身となっている。どうして、おめおめと故人の前にあさましい姿をさらせようか。かつ又、自分が姿を現せば、必ず君に畏怖嫌厭の情を起させるに決っているからだ。
しかし、今、図らずも故人に遇うことを得て、愧赧の念をも忘れる程に懐かしい。どうか、ほんの暫くでいいから、我が醜悪な今の外形を厭わず、曾て君の友○○であったこの自分と話を交してくれないだろうか。
後で考えれば不思議だったが、その時、●●は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。彼は部下に命じて行列の進行を停め、自分は叢の傍に立って、見えざる声と対談した。
38 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:30:31 ID:???
高校の頃ふてくされて勉強せずに過ごしていたら
国語の先生が、コレ読めって強く勧められた。買いにいった。
よんで、ああ俺のことを風刺したいのかと思って変な気分になった。
でも厚は好きでちくま文庫の全集をブックオフで買った。文字禍も
ここでパロディに出来そうだ
39 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:40:46 ID:???
研修所の噂、旧友の消息、●●が現在の地位、それに対する○○の祝辞。
青年時代に親しかった者同志の、あの隔てのない語調で、それ等が語られた後、●●は、○○がどうして今の身となるに至ったかを訊ねた。
草中の声は次のように語った。
今から数年前、自分が旅に出て琵琶湖のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。
声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。
無我夢中で駈けて行く中に、何時しか途は下位ローに入り、しかも、知らぬ間に自分は左右の手でローの課題を作成していた。何か身体中に力が充ち満ちたような感じで、軽々とローの課程を跳び越えて行った。
気が付くと、手先や肱のあたりに新司法試験の答案用紙があるらしい。
3度受験してから、法務省に臨んで掲示を見ると、既に三振博士となっていた。自分は初め眼を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。夢の中で、これは夢だぞと知っているような夢を、自分はそれまでに見たことがあったから。
40 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:44:09 ID:???
山月記のおっさんは科挙受かってるっちゅーねん。
ヴェテみたいな生ゴミといっしょにすんなボケwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
41 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:46:14 ID:???
ああそうだった。三島みたいなことして失敗した人だったな
42 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:46:57 ID:???
>>38 >文字禍も
>ここでパロディに出来そうだ
おれは「名人伝」が好きだな。これもパロディにできそうだ。
「至為は為すなく、至言は言を去り、至射は射ることなし。」とかな。
弁護士になっても、何もしゃべらないで目的を達したいものである。
ここまで、書いてきたが、もう疲れた。
夜中に何やっているんだとも思う。
もう寝る。
43 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 02:49:48 ID:???
六法見て、コレ、なんだったっけっていうおちか。
ともあれ乙
44 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 03:58:14 ID:???
ロー生のりちょうは歯がくさいね。
45 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 04:24:08 ID:???
46 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 04:28:37 ID:???
47 :
魯迅:2005/11/06(日) 04:50:27 ID:z/yZyWYH
私は12歳のときからさる二流塾に入った。親がいうには、お前は見るからに気が利かないから、
エリート塾ではついていけまい。二流塾でじっくりと補習するように、と。
その塾の先生は、たしかに気はおけないが、いつっこい分からず屋も少なくなかった。
わたしは塾では自分の勉強に生を出した。どうにかついていけたが、授業はなにしろ単調で退屈だった。
塾長は仏頂面、先生たちはむっつり、これでは陽気になれない。ただベテイーツーの授業のときだけは、
笑い声がでた。それで、いまでも覚えている。
ヴェテイーツーは、この二流塾の先生でただ一人東大出身だった。
背がおそろしく高く、顔が青白くて、ごま塩のあごひげをぼうぼうに生やしていた。
出身は東大には違いなかったが、卒業して何十年もたって大学時代の友人とは一人も付き合いが
ないみたいだった。
人と話すときは、二言目には、「・・・が問題となる。思うに・・・けだし・・・・これを本件に・・・と解すべきである」
なので相手はチンプンカンプンである。いかにも司法ヴェテそのものなので人がヴェテイーツーというあだ名をつけたのである。
ヴェテイーツーが7月になっても授業を続けていると、「先生! 今年も択一落ちですかあ」とヴェテイーツーに声をかける。
するとヴェテイーツーが顔を真っ赤にして抗弁する。
「思うに択一落ちとは司法試験合格を目指して択一試験に落ちたものをいう(判例同旨)。
これを本件に見るに、先生は諸君の教育にすべてをささげ余技として択一を受験したにすぎない。
よって先生を択一落ちと解すべきではない。」
そのあと
「もっとも合格すればいいなと思わないわけではない。」とか、何とかで
「信義則によって」とむつかしい話になる。そこで一同どっと笑いこけて、教室の内外に快活な空気があふれる。
48 :
魯迅:2005/11/06(日) 04:56:52 ID:z/yZyWYH
人が陰で噂しているのを聞くと、ヴェテイーツーは在学中に択一に合格した人間なのである。
ところがいかにもがいても論文試験に合格できなかった。そこでだんだんと貧乏になって、
乞食をせんばかりに落ちぶれていた。さいわい有名私立中学受験の経験がある東大法卒なので、一流学習塾で教鞭をとって
かつかつその日の糧にかえていた。ところが惜しいかな。軽い鬱が入っていた。仕事を始めて何ヶ月もたたないうちに、寝坊で授業に何度も穴を開けて、
一流塾には居られなくなってしまった。仕方なしにヴェテイーツーは二流塾で軽い授業だけを受け持つようになった。
私たちの二流塾では欝で多少授業に穴を開けても厳しいクレームはなく
一月以内に補講をすれば、きれいに罪が消えてしまうのだった。
生徒がまた口を出す。「先生! ほんとうに法律が得意なんですか!」
ヴェテイーツーは、相手の顔を眺めて、口を利くのも大人気ない、という風を見せる。
すると今度は「先生! どうして、択一にも落ちるんですか!」と追い打ちがかかる。
それを聞くとヴェテイーツーは、いっぺんにしおれて、口の中で「平成8年度から刑法の出題傾向が変わって・・・」
と口の中で何やらぶつぶつ言うが、何を言ってるのかわからない。
このときとばかり、みんなでどっと笑う。教室の内外に快活な空気があふれる。
49 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 05:01:09 ID:???
テーマは学歴コンプレックスかよ
50 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 05:02:07 ID:???
この調子で司馬スレもなんとかのびないかなあ。
とめられないだけましなていだ。
51 :
魯迅:2005/11/06(日) 05:12:42 ID:z/yZyWYH
あるときなど私にむかって「憲法の予習をしてきたかね」と話しかけてきた。
私がかすかにうなずいてみせると「では試験してやろう。最高裁判所の長官を任命するのは誰かね」
私は乞食同然の男が私の試験をするなんて、と思ったものだから、そっぽを向いて、相手にならなかった。
ヴェテイーツーは、しばらく待ってから、親切な口調で「知らないかな・・・教えてやるから、
おぼえておくんだよ。こんなことはおぼえてく方がいい。いまに自分で司法試験を受けるときに、役に立つからね」
司法試験をうけてヴェテイーツーのようになってしまうなんてとんでもない話だ。それに私たちの時代にはロースクールが主力になって
司法試験は終ってしまう。おかしいやら、うるさいやらで、私は吐き出すように
「教えてもらいたくなんかないよ。天皇じゃないか。」と言ってやった。
ヴェテイーツーは、すっかり上機嫌になって、首をうなずかせて、「そうだ。そうだ・・・・
天皇の国事行為には他に何があるか知っているかな」私はうるさくてたまらず口をとがらせて、
遠くに離れて行ってしまった。
52 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 05:13:21 ID:???
> これから先の道に人喰ヴェテが出る故、旅人は白昼でなければ、通れない。
> しかし、その時、眼の前を一匹の択一落ちが駈け過ぎるのを見た途端に、自分の中の人間は忽ち姿を消した。
> 再び自分の中の人間が目を覚ました時、自分の口は択一落ちの血に塗れ、あたりには択一落ちの毛が散らばっていた。
> これがヴェテとしての最初の経験であった。
> そういう時、己は、2chの司法試験板に現れ、クソスレに向って吼える。
> この胸を灼く悲しみを誰かに訴えたいのだ。
> 己は昨夕も、他スレでロー生に向って咆えた。誰かにこの苦しみが分って貰えないかと。
> しかし、未習どもは己の声を聞いて、唯、懼れ、ひれ伏すばかり。山も樹も月も露も、一匹のヴェテが怒り狂って、哮っているとしか考えない。
53 :
魯迅:2005/11/06(日) 05:27:29 ID:z/yZyWYH
ある日、たしか最後の司法試験の出願日の二三日前のこと、塾長は、私たちに
問題を解かせながら机の上で書類を整理していたが、ふと
「ヴェテイーツーはしばらくこないな。まだ補講が4時間たまっている。」と言った。
生徒の一人が「こられるもんか。逮捕されたんだもの」
「ほう」と塾長。
「ヴェテイーツー先生は、相変わらず変だよ。こんどはよっぽどどうかしてたんだな。
人もあろうにピロシ大先生にボーガンを撃った。」
「それからどうなったね」
「どうなったって? 高輪グリーンマンションの隣のホテルで72時間連続で任意取調べを受けて
それから逮捕状さ。」
「それから?」
「それから精神鑑定さ」
「精神鑑定になってどうなった。」
「どうなった? 知るもんか。不起訴になっただろうさ。」
54 :
魯迅:2005/11/06(日) 05:43:44 ID:z/yZyWYH
最後の最終合格者発表が過ぎると秋風は日ましに寒くなって、あっという間に冬の訪れである。
私はなぜか脈絡もなく大阪南港にいてコートの襟を合わせて震えていた。
私は眼をつむってじっとしていた。と、不意に「・・・が問題となる。思うに・・・」という声が聞こえた。
その声はごく低いが、耳慣れた声だった。
眼をあけて見たが、誰も居ない。立ち上がって資材置き場の方を眺めた。
すると同所にヴェテイーツーが、倒れていた。その顔は黒ずみ、やせて見る影もなかった。
頭部を洗面器の底や皮バンドで多数回殴打されたらしい。
私を見ると「判例同旨」といった。
55 :
魯迅:2005/11/06(日) 05:48:44 ID:z/yZyWYH
ヴェテイーツーは、低い声で「ころんだんだ。こ、ころんで・・・・」
その眼は、もう何も言ってくれるなと嘆願しているようであった。
私は気の毒に思いバットで介錯してやった。
それから今まで、私はついぞかれを見かけないーたぶんヴェテイーツーは死んだに違いない。
56 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 06:21:32 ID:???
ID:z/yZyWYH構想力なさ木彡
57 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 07:03:27 ID:???
いいな、暇で。
58 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 07:25:43 ID:???
>>56ピアニストを鬱な。
もとネタ知らんのでおれは素直に読んで
すこしワロタ
59 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 12:15:36 ID:???
>>56 元ネタは、科挙を目指していた者が、
科挙制度が廃止になった後、うまく適応できなかった、
という話だろう。
60 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 12:41:32 ID:???
「ロー生の李徴は博学才穎・・・・・・」にしたほうがいいと思われる。
そのほうが放火大学院時代にマッチする
61 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 12:48:14 ID:ttoSFUbs
62 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 13:04:08 ID:???
もちろん、タイトルは「三振記」とした方がいいのである。
ただ、意味は同じだがタイトルに格調を持たせるため、
「山申記」というのもいいだろう。
63 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 13:04:49 ID:???
ローに甘んじるのを潔しとしなかったというほうがいいんじゃない?
64 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 15:10:48 ID:???
>ローに甘んじるのを潔しとしなかったというほうがいいんじゃない?
というよりも、
新試験合格者に甘んじるのを潔しせず、
旧試験合格者としての名を死後百年に遺そうとしたのである、
という方が適当であるかも知れんな。
65 :
魯迅:2005/11/06(日) 21:36:19 ID:???
66 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 22:05:05 ID:???
遠藤周作のパロディきぼんぬ
67 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 23:05:45 ID:???
>>60は
>>44のぱくり。カエレ(・∀・)
44 :氏名黙秘 :2005/11/06(日) 03:58:14 ID:???
ロー生のりちょうは歯がくさいね。
46 :氏名黙秘 :2005/11/06(日) 04:28:37 ID:???
>>44 そらみみすとか。
68 :
氏名黙秘:2005/11/06(日) 23:11:06 ID:???
>>64を参考に
>>1変更
隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を優秀答案に連ね、ついで特待生に補せられたが、
性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、ロースクールに甘んずるを潔しとしなかった。
いくばくもなく大学を退いた後は、故山かく略に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら現行に耽った。
ロー生となって長く膝を俗悪な教授の前に屈するよりは、現行合格者としての名を死後百年に遺そうとしたのである。
しかし、合格は容易には叶わず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。
69 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 18:53:23 ID:???
お前らヒマでほんとに羨ましいなwww
70 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 19:38:37 ID:???
このスレ、文章が長くて読む気がしない
71 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 20:26:09 ID:???
>>70 >このスレ、文章が長くて読む気がしない
もっともである。
要約しよう。
「山申記(さんしんき)」
ロー生の李徴が新司法試験を三振した結果、
山申(やまざる)となり、その醜態のままで、
共に司法試験をめざした旧友に出会う。
彼はすでに法曹界で目覚しく活躍している。
李徴は彼と会話を交わた。
この話は、その会話を記録したものである。
72 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 20:48:24 ID:???
こんなシンプルな小説の本意も捉えられない奴いるんだ…
なぜ虎なのかとか読んでないのかよ
73 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 21:10:23 ID:???
虎=タイガーマスクってことぐらい俺だって分かるよ。
74 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 21:54:45 ID:???
誰もこの小説の本意なんぞ問題にしていないんだが。
75 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 21:57:01 ID:???
なぜトラなのですか
76 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:00:40 ID:???
元ネタである中国の話(伝奇小説?)で、虎だったから。
77 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:01:17 ID:???
とらになっちゃうんだお
78 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:03:02 ID:???
虎になる=アル中
79 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:07:14 ID:???
小説のパロディすら満足に出来ない奴って(ry
80 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:08:26 ID:???
このスレで、山月記をパロディーにしているようなんだが、
考えようによれば、山月記自体がパロディーかもしれないな。
元ネタである「とらになっちゃうんだお」という単純な怪異譚に、
近代のインテリの自我をはめ込み、
かつ中島敦自身の人生と考えを反映させているかな。
(東大を出ながら、妻子の衣食のために、意に沿わぬ仕事をしながら、
でも文学も諦めきれず、文壇と無縁のまま作品は書き続けてきた、、、)。
81 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:10:16 ID:???
>>80 なんだ。安物のマンコに中出しして失敗したタダのダメ男なのか中島って。
82 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:12:53 ID:???
いい指摘だ>80
83 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:13:24 ID:???
マンコも東京帝大だから安物じゃないぽ。
84 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:17:29 ID:PNM9qQHh
トラウマ!?(・∀・)
85 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:19:57 ID:???
ウマシカ
86 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:21:27 ID:???
> 元ネタである「とらになっちゃうんだお」という単純な怪異譚に、
> 近代のインテリの自我をはめ込み、
> かつ中島敦自身の人生と考えを反映させているかな。
その通りだろうな
元ネタはあったんだろう
いや鋭いな御主
87 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:27:41 ID:???
山月記は「人虎伝」という唐の時代の小説に基づいて、これに中島敦の解釈とひねりをくわえたものだそうだ。
(小学館文庫「山月記」より)
88 :
氏名黙秘:2005/11/07(月) 22:58:15 ID:???
芥川式ってことね
89 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 00:35:04 ID:???
意に沿わない仕事でもないだろ。
南太平洋の島で日本語教師として楽しそうに教えていたらしいよ。
90 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 00:53:11 ID:???
>>86解釈ってコロンブスの卵。人から聞いて膝を
打つが、なんだ俺でも出来そうだなと思ってしまう。
良い例が法解釈とか司法試ry
91 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 01:38:12 ID:???
>>89 >鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を(嬉々として)拝さねばならぬことが、
往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。
かもしれない。
92 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 01:54:39 ID:???
うろ覚えだが、
元ネタの人虎伝では李徴が人妻と不倫してて、
夫にばれそうになったから放火して殺してしまう。
その罰として虎になってしまうんだな。
93 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 01:56:36 ID:???
94 :
氏名黙秘:2005/11/08(火) 07:20:30 ID:???
盛り上がってきました
95 :
氏名黙秘:2005/11/12(土) 20:29:44 ID:???
age
『ヴェテ十夜』 第三夜
こんなヴェテを見た。
六つになる子供を負ってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にかローを受けて、未習コースに入っている。自分が御前はいつローに入ったのかいと聞くと、なに昔からさと答えた。声は未習の声に相違ないが、言葉つきはまるで既習である。しかも対等だ。
左右は高田馬場である。路は細い。詐欺の影が時々闇に差す。
「答練の時期へかかったね」と背中で云った。
「どうして解る」と顔を後ろへ振り向けるようにして聞いたら、
「だって詐欺が水増しするじゃないか」と答えた。
するとLとWがはたして二倍ほど水増しした。
自分は我子ながら少し怖くなった。こんなものを背負っていては、この先どうなるか分らない。どこか打遣ゃる所はなかろうかと向うを見ると闇の中に大きな予備校が見えた。あすこならばと考え出す途端に、背中で、
「ふふん」と云う声がした。
「何を笑うんだ」
子供は返事をしなかった。ただ
「御父さん、重いかい」と聞いた。
「重かあない」と答えると
「今に重くなるよ」と云った。
自分は黙って予備校を目標にあるいて行った。高田の中の路が不規則にうねってなかなか思うように出られない。しばらくすると二股になった。自分は股の根に立って、ちょっと休んだ。
「石が立ってるはずだがな」と小僧が云った。
なるほど八寸角の石が腰ほどの高さに立っている。表には左り魔骨塾、右巽とある。闇だのに経営の赤字が明かに見えた。赤字は工事の血のような色であった。
「左が好いだろう」と小僧が命令した。左を見るとさっきの予備校が闇の影を、高い空から自分らの頭の上へ抛げかけていた。自分はちょっと躊躇した。
「遠慮しないでもいい」と小僧がまた云った。自分は仕方なしに予備校の方へ歩き出した。腹の中では、よくローのくせに何でも知ってるなと考えながら一筋道を予備校へ近づいてくると、背中で、
「どうもローは不自由でいけないね」と云った。
「だから負ってやるからいいじゃないか」
「負ぶって貰ってすまないが、どうも人に馬鹿にされていけない。親にまで馬鹿にされるからいけない」
何だか厭になった。早く予備校へ行って捨ててしまおうと思って急いだ。
「もう少し行くと解る。――ちょうどこんな晩だったな」と背中で独言のように云っている。
「何が」と際どい声を出して聞いた。
「何がって、知ってるじゃないか」と子供は嘲けるように答えた。すると何だか知ってるような気がし出した。けれども判然とは分らない。ただこんな晩であったように思える。
そうしてもう少し行けば分るように思える。分っては大変だから、分らないうちに早く捨ててしまって、安心しなくってはならないように思える。自分はますます足を早めた。
雨はさっきから降っている。路はだんだん暗くなる。ほとんど夢中である。ただ背中に小さい小僧がくっついていて、その小僧が自分の過去、現在、未来をことごとく照して、
寸分の事実も洩らさない鏡のように光っている。しかもそれが自分の子である。そうしてローである。自分はたまらなくなった。
「ここだ、ここだ。ちょうどその委員会の席だ」
雨の中で小僧の声は判然聞えた。自分は覚えず留った。いつしか法務省の中へ這入っていた。一間ばかり先にある黒いものはたしかに小僧の云う通り委員会と見えた。
「御父さん、その委員会の席だったね」
「うん、そうだ」と思わず答えてしまった。
「平成十五年だろう」
なるほど平成十五年らしく思われた。
「御前がおれたちを殺したのは今からちょうど百年前だね」
自分はこの言葉を聞くや否や、今から百年前平成十五年のこんな闇の晩に、この委員会で、万人のヴェテを殺したと云う自覚が、忽然として頭の中に起った。おれはピロシであったんだなと始めて気がついた途端に、背中のヴェテが急に石地蔵のように重くなった。
以上
103 :
氏名黙秘:2005/11/13(日) 23:24:49 ID:???
乙。ワロスw
104 :
氏名黙秘:2005/11/18(金) 23:49:50 ID:???
腹痛いw
お前ら最高だわ。
山月記は司法試験やろうとする椰子なら誰でも「漏れも虎になっちゃったら
どうしよう」とか思っただろうな。
漏れもリア厨の頃怖かったが、ほんとに怖かったのは虎になる事よりも
りちょーの詩が「一流と呼ぶには何かが足りない」事だった稀ガスorz
105 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 01:02:38 ID:???
虎になったのも、一流になれなかったのも、原因は同じじゃねーか。
無駄なプライドだよ。
人生において、これほど有害なものはない。
106 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 05:26:47 ID:???
> りちょーの詩が「一流と呼ぶには何かが足りない」事だった稀ガスorz
これ残酷だよな…
流れ的には褒めただけでもいいのに
要するに一流ならそもそもこういう経緯はたどらず、
高官になってたはずということか
107 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 07:41:04 ID:???
だから、性がケンカイで人と交わることをしないやつだったから、
たとえ天賦の才はあっても、詩作の面においても一流になれなかったとか、
そういうことだろ。
謙虚な気持ちで人と交わることによって、技能も磨かれるんだよ。
たとえ自分よりも能がないように見える相手でも、なんかしら自分にないところ、
学ぶべきところを持っている。
自分の周りにはバカしかいないというような不遜な態度で生きていたら、
人から何も学ぶことができないということだな。
わかったか、ヴェテども。
くだらんプライドは捨てて、下位ローでも逝きな。
108 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 08:03:16 ID:???
そういう教訓話が随所にあるから心にグサグサ突き刺さるんだな…
109 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 08:14:46 ID:???
それも教訓話くさくなくて
自己反省の文章のようだしな
110 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 08:23:53 ID:???
自分のことが晒されているようで正直不愉快だ…
111 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 08:30:56 ID:???
ワロスw
112 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 09:45:10 ID:???
>107
お前のようなのを「性、狷介」と言うんだろうな。
113 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 09:51:16 ID:???
漏れはむしろ他人に対する情愛の無さが詩作において万人の心を打つ
「一流」足り得なかった理由だと思う。
「学ぶ姿勢」以前の問題で。
114 :
氏名黙秘:2005/11/19(土) 21:06:09 ID:???
大学卒業する頃に読むべきだったな…
115 :
氏名黙秘:2005/11/26(土) 01:24:25 ID:???
面白い
116 :
氏名黙秘:2005/11/29(火) 03:52:20 ID:???
牛人
117 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 12:29:15 ID:???
保守
118 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 12:39:52 ID:???
中島敦って典型的なヴェテ顔だよな
119 :
夏目:2005/12/04(日) 14:39:53 ID:???
新作が出ないんで過去ログから旧作回顧。
_________
砂糖工事は時計を出して見て、追々ゆるりと話す積だが、先づ大体の事を呑み
込んで置いて貰はうと云つて、夫から教育の精神について長い御談義を聞かし
た。おれは勿論いヽ加減に聞いて居たが、途中から是は飛んだ所へ来たと思つ
た。砂糖工事の云ふ様にはとても出来ない。法学部の教員のようなものをつら
まへて、高い教養をつけさせろの、現在の司法試験のレベル以上の法律的素
養を養えだの、学問以外に個人の徳化を及ぼさなくてはよき法曹は作れないの
と、無暗に法外な注文をする。そんなえらい人が安月給でわざわざロースクー
ルで教えるもんか。おれは嘘をつくのが嫌だから仕方がない、だまされて来た
のだとあきらめて、思ひ切りよく、こヽで断わつて帰つちまはうと思つた。到
底あなたの仰やる通りにや出来ません、此審議会はなかったことにしませうと
云つたら、砂糖工事は狸の様な眼をぱちつかせておれの顔を見て居た。やがて、
今のは予算を通すためのスローガンである、われわれがスローガン通り出来な
いのはよく知つて居るから、心配しなくつてもいヽと云ひながら笑つた。その
位よく知つてるなら、始めからロースクールなんか作らなければいいのに。
120 :
夏目:2005/12/04(日) 14:41:18 ID:???
この調子で二時間目は思ったより、うまく行った。ただ帰りがけに学生の一人
がちょっとこの理論を解釈をしておくれんかな、もし、と実務家が知っていそ
うもないオナニー少数説の基本書を持ってせまったには冷汗を流した。仕方が
ないから何だか分らない、俺は実務ではこうやってたんだと急いで引き揚げた
ら、学生がわあと囃した。その中に出来ん出来んと云う声が聞える。べらぼう
め、先生だって、出来ないのは当り前だ。出来ないのを出来ないと云うのに不
思議があるもんか。そんなものが出来るくらいなら安月給でこんな下位ローへ
くるもんかと控所へ帰って来た。
121 :
夏目:2005/12/04(日) 14:42:14 ID:???
翌日何の気もなく教場へはいると、黒板いっぱいぐらいな大きな字で、読売
先生とかいてある。おれの顔を見てみんなわあと笑った。おれはばかばかしい
から、読売に叩かれちゃおかしいかと聞いた。するとベテの一人が、しかしあ
んな学説も知らんのはすぎるぞな、もし、と言った。判例さえ知っていればお
れが実務をやるのに不足があるもんかと、さっさと講義をすまして控所へ帰っ
て来た。
十分たって次の教場へ出るとこの先生二期目の課題なり。ただし笑うべから
ず。と黒板にかいてある。さっきは別に腹もたたなかったが今度はしゃくにさ
わった。冗談も度をすごせばいたずらだ。焼餅の黒焦げのようなものでだれも
ほめ手はない。ベテはこの呼吸がわからないからどこまで押していってもかま
わないという了見だろう。落ちこぼれ社会人とクソベテしかいないような下位
ローに入って、ほかになんにも芸がないから、読売の記事を日露戦争のように
触れちらかすんだろう。
哀れなやつらだ。入門講座の時から、こんなに教育されるから、いやにひ
ねっこびた、植木鉢の楓みたようなベテができるんだ。むじゃきならいっしょ
に笑ってもいいが、こりゃなんだ。子供のくせにおつに毒気を持ってる。おれ
はだまって、二期目の課題を消して、こんないたずらがおもしろいか、ひきょ
うな冗談だ。君らはひきょうという意味を知ってるかと言ったら、自分の無能
を笑われて怒るのがひきょうじゃろうがな、もしと答えたベテがある。
やなやつだ。わざわざ仕事を減らして、こんなやつを教えに来たのかと思っ
たら情けなくなった。よけいな減らず口をきかないで勉強しろと言って、授業
を始めてしまった。それから次の教場へ出たら読売に書かれると減らず口がき
きたくなるものなりと書いてある。どうも始末におえない。あんまり腹がたっ
たから、そんな生意気なやつは教えないと言ってすたすた帰ってきてやった。
ベテは休みになって論証カードを覚えられると喜んだそうだ。こうなるとロー
より現行のほうがまだましだ。
122 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 15:30:55 ID:???
ワロタ
お前を尊敬するw
123 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 22:57:50 ID:???
おもろいんだけど。
現代に暮らしながら、よく言文不一致の文章がかけるね。
124 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 23:03:33 ID:???
元ネタがあるからな。
それをらしく改変するのはそんな大変じゃ無い。
むしろセンスが問われるがw
125 :
氏名黙秘:2005/12/04(日) 23:27:05 ID:???
中嶋敦といえば「弟子」のラストは感動的だね
126 :
氏名黙秘:2005/12/05(月) 11:16:24 ID:???
「六法?何それ?」って言って尊敬されるのは、
我妻でも難しいだろうな。
むしろ痴呆ry
127 :
氏名黙秘:2005/12/06(火) 17:08:07 ID:???
弟子って初めて読んだ。
正直に白状すると文学作品で横書きってきついんだけどorz
かなり読みにくかった。
それって漏れだけ?
横書きの本があるのか。
そりゃ読みにくいな。
ウチのは新潮文庫版。
129 :
氏名黙秘:2005/12/07(水) 09:43:06 ID:???
リンクで貼ってある青空文庫で読んだんだよね。
PCの画面て事もあるのか、さっぱり集中出来なくて参ったよ。
電脳文庫が何故売れないかとか言ってる養老猛子はもう馬鹿かと。
130 :
氏名黙秘:
すまん立花隆だったorz
逝って来る