大手事務所の採用活動には、構造的な問題があるのです。
採用担当者は、1年に20人から30人の「優秀な若手」
の採用を義務づけられている訳ですが、実際にそれだけの
人数を採用することは非常に大変です。
まず、他の事務所との競争があります。
じっくりと面接を重ねて、真に良い人を採用する、などと
言っていると、他の事務所に採られてしまうという懸念が
あります。
また、コストの問題もあります。大勢の修習予定者と面接
を重ねるためには(20人採用するためには、どれほどの
人数と面接する必要があるかを考えて下さい)莫大なコスト
がかかるのです。
さらに、採用担当のモチベーションの問題があります。
中小規模の事務所と違い、多少「荒い」採用をしても、自分
と一緒に仕事をする可能性は低いのであるから、そこまで
真剣に「相性」を検討する必要は無いと考えてしまいがちで
す。むしろ、手っ取り早く採用活動を終えるために、形式的
な条件のみで採用することになりがちです。そして、もし
「使えない」人間を間違って採用してしまったら、辞めて
もらえば良いだけだ、とドライに割り切ることが可能です。
ことは、コスト倒れになってしまいます。更に言えば、採用
担当の保身の要素もあります。変な人を採用してしまっても
若くて学歴が良かったから採用した、ということは、一応の
(他のパートナーに対する)言い訳となります。
まあ、一つの期に20人採用したとして、優秀な5人が残って
くれるのが、事務所経営的にはベストなのですから、頑張って
採用しても、大半は兵隊な訳ですから、人数さえ揃えればあとは
どうでもよくなってしまいますよね。