「このままでいいのか。毎日が不安です」。Aさんの表情が曇る。この四月から東日本の某法科大学院に通っている。そこの教員たちに関する“内部告発”を、Aさんが始めた。
弁護士の実務家教員。司法試験の受験経験がある学生から、法律理論について突っ込んだ質問を受けると、答えられない。「とにかく、私は実務でこうしていたのだ」と、逆ギレする。
著名な刑法の教授。授業の大半は自慢話と学会の裏話。面白いのだが、全く実にならない。
年配の教員。配った資料のあちこちに「禁治産者」とあった。学生が「先生、これは旧名称で、今は被後見人ではないですか」と言うと、「全部そう置き換えて読めばいいじゃないか」。
そういう授業はボイコットして自主授業にしたい。だが、単位をもらえないと新司法試験が受験できない。
「人質の気分です」 すでに支払った入学金100万円授業料200万円は戻ってこない。さらに来年再来年と授業料計400万円支払わなければならない。
(以下省略)
読売新聞6月26日付 編集委員による解説記事
編集委員が読む【二期目の課題 「授業力」の格差】