【基本書中心主義について―4―】
理解できなかったらもう1回、それでもダメならもう1回!
いまでは笑い話だが、当時ではかなりまともなアドバイスだった(と思う)。
こういうことを中央大学の法学部教授たち、OBたちは平然と言っていたし、
司法試験受験生の必読書だった「受験新報」の巻頭言にも似たようなことが
繰り返し繰り返し書かれていたと記憶している。
昭和50年代の「500人時代」の勉強法は、まず(1)基本書を読むこと。
そして徹底的に理解する。
次に(2)基本書をベースに論点ノートを作る(論点をつぶす)。
そして(3)答練を受ける。再び基本書を読む。この繰り返しだったようだ。
伊藤真が「長い長い論点つぶしの年月がある」と書いたのは、
まさに(1)と(2)の段階で、この段階を終えるのに5年以上かかってしまう
のが通常だったのではないだろうか。
大学1年の夏、ぼくは(1)の段階であえなく挫折した。
(続く)
【基本書中心主義について―5―】
夏休みを目前にしたある日、後ろからポンと
肩を叩かれた。
振り返ると、髪をサッパリ切って爽やかになった
T君がいた。
おかしいな、あんなに油ギッシュだったのに…。
「なんか、あったの?」
一応、きいてみる。
「来週から3日間、集中特訓があるんだよ」
集中特訓?なんじゃそりゃ。
T君は、気合を入れる意味でバッサリと散髪して
きたらしい。う〜ん、なんの特訓か、すごく気になる。
「基本書読み込み特訓だよ」
T君は目をギラギラさせて言った。
(続く)
【基本書中心主義について―6―】
基本書読み込み特訓!?
T君は初参加なので、具体的な内容は知らないと言う。
自分の使用している基本書を当日持参するようにとの
ことらしい。
その特訓に参加すると、あの難解な基本書がスラスラ
読めるようになるのだろうか?
「基本書読み込み特訓」とはどんな特訓なのか、
まだ司法試験に未練を残していたぼくは、
1週間後、特訓が開催されている教室を覗きに行った。
(続く)
【基本書中心主義について―7―】
将来役に立ちそうなレジュメでもあったら盗んでこよう、
などと胸を膨らませて教室を覗いてみた。
しかし、シーンと静まりかえった教室にページをめくる音だけが
響き渡っているだけだった。
受講生(?)は30人ぐらいいただろうか。
クソ暑い夏、狭い教室に缶詰めになって黙々と基本書を読んでいる。
これを朝から晩までやる。
う〜ん、まさに司法試験という感じだ。これも青春だなぁ。
「試験に出る英単語」の森一郎のはしがきを思い出した。
議論したり、教授が指導するわけではない。ひたすら読む。
基本書の精読というものは、1人でやると非常に辛く、だらけてしまう。
だから、仲間と一緒に机を並べて頑張ろうというわけか。
とにかく、基本書を理解しなければ司法試験というゲームは始まらない。
そういう時代が、かつて存在したのだ。
(続く)
【基本書中心主義について―8―】
だれがそう名付けたのか、「教科書」ではなく「基本書」などと呼ばれる。
その理由は、内容の難解さに敬意を表する意味が込められているからだろう
なんて思ったことがある。マジで、初心者には意味不明だ。
せっかく法学部に入ったんだから、よぉーし、頑張っちゃおうかな!
と意気込んでも、たいてい一瞬で砕け散る(はずだ。ふつう)。
1ページ読んでは寝て、また1ページ読んで寝る。
ある漫画で、不眠症の女性がバッファリンを飲むシーンを見たことが
あるが、眠りたいのなら絶対に「基本書」だろうと思ったものだ。
そして同時に、自分はかなり頭が悪いんじゃないのかと真剣に悩む。
大学1年の冬、後期試験が近づいて再び「基本書」と再開することに
なった。
「自分には脳ミソが足りない」という命題をまだ完全に認めたくないぼくは、
T君が真法会の先輩にしたのと同じような相談を民法の教授にした。
「サッパリ理解できないのですが、自分には才能がないのでしょうか?」
(続く)
【基本書中心主義について―9―】
教授は真面目に答えてくれた。
「うーん、たしかにいきなり基本書というのは難しいかもしれない。
最初はもっと平易な入門書から読んだほうがいいかもしれないねぇ」
えっ!? 真法会の先輩のアドバイスとはちょっと違うぞ。
これは期待できるかもしれない。
教授は天井を少し見上げてから、キッ!とぼくの目を見つめて言った。
「まずは我妻先生の民法案内を読んでみることだね。これはねぇ、
初めて法律を学ぶ人にはもってこいの本なんだよ」
教授は熱く語る。この「民法案内」という本を読んで、まず民法とは何か、
法律的なモノの見方や考え方をつかんでから基本書を読むべしと言う。
なるほど…。
ぼくは早速、大学の生協で民法案内を買った。
そして、帰りの電車を待つ多摩動物公園駅のホームで、買ったばかりの
民法案内を袋から出して、開いてみた。
なんか大きな活路が見えるかもしれない!
ワクワクしながら読み始めてみた。
しかし、電車が高幡不動の駅に着く頃には、ぼくの大きな希望は早くも
砕け散っていた。
全然分からない…。
(続く)
【基本書中心主義について―10―】
少年ジャンプやプレイボーイ程度しか読まないぼくにとって、
我妻先生の「民法案内」はかなりハードルの高い本だった。
そういえば、大学入試のために小林なんとかという人の本を
読んだことがあるが、う〜ん、それ以上に苦痛じゃ。
「案内」というぐらいだから、もっとやさしい内容かと思っていたが、
甘い甘い。唯一理解できたのは、我妻という先生はすごく勉強が
できた人なんだなー、ということだった。
結局、司法試験「受験生」にすらなることができないまま、
大学4年になってしまった。
こんなことなら入学と同時に予備校に通っていればよかった、
などと後悔しても遅かった。
(続く)
【基本書中心主義について―11―】
今思えば、予備校に通うことを「かっこ悪い」と考えたことが
大きな障害になった。
しかし、こういう考えは当時は決して少数派ではなかった。
ある学者が法律雑誌に書いていた。
「親の経済力を背景に予備校などというところに通い、雑魚本
を暗記して司法試験に合格する。そんな人間が、一体いかほどの
法曹になれるというのだろうか…」
そのとおりだ! と思った。
そんな風に意地を張って独学を貫こうとした学生はわりと多かった
(のではないだろうか)。
特に中央大学はその風潮が強かったかもしれない。
しかし、転機は訪れた。
就職活動シーズンに突入した大学4年の春、生協でふと手にした
レックのパンフレットが人生を変えた。
司法試験全7科目入門講座。
入門講座だけで合格レベルに!などと書かれたあのパンフレットだ。
(続く)
【基本書中心主義について―12―】
司法試験予備校のパンフレット。
ぼくは学食の隅の席に座って、何度も何度も穴があくほど
読み返した。
階段を1段上ったところで転げ落ちるイラスト。
<他校>とか書いてある。
その隣に、階段を2段上ったところで笑っているイラスト。
ガッツポーズで「最終合格!!」とある。レックのことだ。
トップページには笑顔の合格者の写真が2発。
入門講座→択一基礎力完成講座→論文基礎力完成講座
→最終合格!!なんて図がある。
「レックの2年合格システムで受かりました!という体験記。
ぼくでも2年で受かるような気がしてくるから不思議だ。
「そりゃぁ、金さえ出せば合格させてくれるんだろう、当然」
と思った。反町会長の「ご両親へ」を何度も読んで暗記した。
よし、これを言おう!
いつしか、ぼくの頭の中は「司法試験合格作戦」から「親に
いかに金を出させるか作戦」に変わっていた。
(続く)
【基本書中心主義について―13―】
基本書学習という「入り口」で挫折したぼくにとって、予備校は
最後の最後の、頼みの綱だった。
本音を言えば使いたくなかった。
「勉強というものは独力でやるもの。金で合格を買うなんて邪道」
という信念(?)というか、クソみたいなプライドがあった。
仕方がない。何も残せないまま大学4年だ。
強がりを言っている場合じゃない。
それは、「自力本願」から「他力本願」への転換だった。
金で司法試験合格を買おう。そう決心した。そして、水道橋のレック
東京本校に向かった。駅を降りて神社の前を通りながら思った。
「仕方がない。2年の辛抱だな」と―。
今思い出だすと、まったくお恥ずかしい。
(続く)
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART1】
自信過剰なところがありながら、実は結構小心者で、
意外と情に厚いところがある青年だった。彼は、
高校からの帰り道、いかにして成りあがろうかと考えていた。
柴田孝之16歳。高校1年生。三重県の菰野という田舎町で
育った彼は、東京大学への進学を目指して日々勉強に打ち込んでいた。
「それにしても、つまらねえな」
彼の口癖だった。このままストレートに大学に進んでも
社会に出るのは早くて7年後だ。それまでに僕はもっと
世間からも、女からも認められたい。世の中をあっと言わせる
ことは何かないのか。
テレビでは大学受験生にしては年をとった人々が、歓喜の
声をあげていた。「なんだろう?」
司法試験の合格発表だった。
これだ!!彼の頭の中に、将来の成り上がりの
構図が浮かび上がった。
東大になんて入る前に、司法試験受かればいいんじゃないか。
この思い付きが彼の人生を変えていくことになるのだ。
(つづく)
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART2】
柴田は、早速、町にひとつしかない本屋に行った。
どこの田舎町にもあるさびれた、小さな個人経営の本屋だ。
「司法試験の本をください」
70歳をゆうに超えたと思われる店主が聞き返した。「何の本だって?」
「司法試験の本です」
柴田は繰り返した。
「僕、司法試験を受けるんです」
「ああ・・、ううう・・」
老店主は明らかに混乱していた。
無理もなかった。人口1万人にも
満たないこの町で「司法試験」などという
ものにチャレンジするものなど
いるわけがないのだ。
柴田は田舎に生まれた自分の境遇を呪った。
「仕方がない。市内に買いに行くか・・・。」
やりきれない気持ちを抱きながら、1日に4本しか
来ない、バス停へと向かった。
「次のバスは・・・、6時20分か・・。
2時間待ちだな・・・。
彼は、かばんから 試験に出る英単語(通称シケタン)
を取り出すと、付箋の貼ってあるページから暗記を始めた。
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART3】
バスに乗って30分程。5階建ての書店に着くと
柴田の心は高鳴った。いつもそうだ。新しい書籍が色々な世界に引き込んでくれるのだ。
一回の受付で尋ねた。
「司法試験の本を買いたいのですが」
25歳くらいと思われるその女性はにっこりと微笑みながら言った。
「4階です」
「あのう、僕、司法試験受けようと思うんです。
結構難しいんですよね、あの試験って。」
聞かれてもいないのに柴田はよくしゃべった。
4階には色々な本があった。それにしても、あまり体裁のきちんとしたものがないように思われた。
柴田は、とりあえず、分厚い法律の本を手にとってレジへ持って行った。
「2万5千円です」
「はあ?」
6科目で一冊づつ買っただけだぞ。そんな訳はないだろう。柴田は、値段を確認した。
「・・・・・・」
すべての本を元の場所に戻し、受験新報のみを買うと、失意のうちに家路についた。
「先は長いなあ・・・・。」
でも、このとき彼は自分の思い違いにまだ気づいていない。
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART4】
家に帰ると、柴田は受験新報を熟読した。昨日買った新しいエロ本はとにかく後回しだ。
司法試験は、理論的には、一歳の子にも受験資格があるらしい。じゃあ、問題ないな。さて、どんなもんだ。
その月の受験新報は、その年の論文試験の解答を解説していた。
「何だ、結構なんとかなりそうだな」
次の日法務省に電話した。
「司法試験を受けたいんですが」
「4年制大学で一般教養の単位を修得されていますか?」
「は?僕、高校生なんですが・・・」
「それでは、一次試験からの受験になりますね」
「一次試験?」
「ええ」
「・・・・・・・」
なんだ、だめじゃねえか。一次試験なんて聞いてねえぞ。また明日本屋に行かなくちゃなんねえじゃねえか・・。
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART5】
休みをつぶして本屋をめぐったが、いくら探しても見つからない。
もう4件目でここにもありそうになかった。
「司法試験の一次試験の過去問なんてどこにあるんだよ」
もう帰ろうと、家路についた。
まあ、ぶっつけ本番でやってみようか、
そんなことを考えていた。
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART6】
東大を目指すのは、金持ちになりたいからだった。
でも、東大に行かなくても司法試験に合格すれば、
一気に夢に近づくと思った。
司法試験一次試験は、僕の目標を18歳東大合格から
17歳司法試験合格へとステップアップする夢の舞台。
夢を実現するには少し不似合いな小雨そぼふる日、
一次試験が始まった。
そんなに難しい試験ではなかった。さて、択一の
準備をしなくてはいけないな、なんて思いながら
筆を走らせるのは楽しかった。
「やっぱり、俺の人生って最高だね。」
「僕の人生の第二幕は、社会正義の実現に尽くします」
新聞のインタビューにはそう答えようと考えていた。
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
乙です!
>>315 訴訟法はパターン集の方がだいぶ多い。
他は同じぐらい。
塾便り?アクセク拒否されますた。
貼ってくださってるかた、本当にありがとうございます!!
面白く読まさせていただいてます
見れない・・・
続きがあったら、おながいします_| ̄|○
このスレ面白いあげ
本当に面白い!!
続きを頼みます
以前、ブロック関係の話をうpしてくれてありがとう
崑崙がベスト
346 :
氏名黙秘:04/05/26 14:12 ID:NbgmMnHw
だれか、本試験であのまま書いてみてほしい。
これだけいっぱい色んなスレが立ってるんだからさあ
ここでの話題は、タイトル通り「論証集」オンリーにしてほしいと思うんだけど。。。
皆さん、各人が持ってる論証ってどんな方法で準備・ストックしたものですか?
何か一種類の論証集にちょっと手を加えてとか、キーワードをマークしたりとか
ですか?
あるいは、いくつかの論証集を照らし合せながら自分で作ったものですか?
その際、PCとかで作る人は多いんでしょうか?
あとで足したり削ったり・・修正する為にも、PCなどで作った方が
融通がきくような気もするんですが、どうなんでしょう?
論証集っているんですか?
まだ入門終わったばっかりなんですけど、「ブロック集」
たるものは時間がなくて覚える暇ないんですけど・・・。
俺は、極端かも知れんが、
井上先生の論証集と、崑崙を併用するのがいいと思う。
井上先生の論証集でよく理解して、崑崙で確認するというのもあるが、
(崑崙は、特に民法は井上先生の論証を参考にしているのではと思える節もある)。
ほんとは、どのような長さにでも自在にかけるようにするというのが理由だ。
>>349 >入門終わったばっかりで、時間がなくて覚える暇ない???
ん??どういうことなんだろう? 覚える時間作れよ!
時間がなくて無理なんだったら、この試験はやめたらどう?w
論証集なんていらんだろ。
結論と理由を理解すれば十分
>>351 個人的には、
>>352の方のように思ってるんですよ。
それと、問題検討とやらがとにかく多くて、
それで手いっぱい的なところがあって・・・。
ただ、まだ初学者段階だから、自分の考えが間違ってて
論証集を覚えるべきなんじゃないか、って悩んでるとこなんですよ。
ベーシックな部分は論証覚えるべき
355 :
352:04/05/27 02:40 ID:???
>>351 ごめん、誤解を与えたかも。
一度論証の形で結論・理由を覚えることは必要。
それができたらもう論証集はいらないってこと。
基本書で論理の流れをおさえる方がいい。
論証集の論証なんて書けないからね。
356 :
352:04/05/27 02:42 ID:???
要は論証集程度の知識を覚えたら
あとはどんな長さででも書けるように訓練しろってことね
>>355 わざわざありがとうございます。
という事は、ガチガチに覚えなくても良いって事ですよね。
少し気が楽になりました。
また、基本書も覗いてみます。
358 :
355:04/05/27 02:46 ID:???
>>357 はじめはガチガチに覚えないとなかなか定着しないよ。
なんせ量が半端じゃないからね。
>>358 やっぱり大変な試験ですね。
予想以上です。
でも努力します。
ありがとうございます。
>>348 私もパソコンで作ろうと考えてるんですが、ネット以外ほとんどしたことがないので
全然わかんないです。
ワードでやるんですか?(マイドキュメントとかなんとか?)
フォルダが一杯できるんですよねえ?
Access とか Excel とかで、って聞いたこともあるんですけど・・・
どなたか教えていただけるとうれしいですね。
論証でインプット、問題でアウトプット
この両者のバランスが大事でしょ。
>>360 テキストでやるのがいい
でもメモ張はダメ、秀丸とか使いやすいの選ぶ
363 :
360:04/05/27 13:14 ID:???
>>362 超初心者の私にもわかるように、もう少しかみくだいて
初歩的な解説からお願いできると有り難いんですが・・・。
すいません。
まず、秀丸を検索してみては?
>>超初心者の私にもわかるように
んじゃ分からんでもよいのでは(w
勉強に使えるパソコンスレでも読んでみれば?
ただし初歩的な知識は自分で身に付けた後で。
解説しようにも全体構造編ぐらいは理解していないと…
>>363 このスレではなんだから勉強に使えるパソコンスレで質問してクリ
わかる範囲でレスするよ
コピペの続ききぼん