イサヲの司法試験講座

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59氏名黙秘:03/11/26 02:35 ID:???
【基本書中心主義について―16―】

「伊藤真」という名の司法試験界のカリスマ。

彼は大学4年で司法試験に合格した後、レックで
指導を始めたが、頂点に登りつめるまでさほど時間は
かからなかった。

「論点ブロックカード」

彼が編み出したと言われる魔法の道具。
基本書をわかるまで読めという根性論が
幅を利かせていたこの時期、まさに
救世主として名をはせたのだった。

「やればできる。かならずできる」

みんなを虜にさせた言葉も今となっては
懐かしい。

(つづく)
60氏名黙秘:03/11/26 02:38 ID:???
【基本書中心主義について―16―】

 生きていくうえで最も重要なのは「勘」ではないだろうか
と最近思うのだが、その時のぼくの勘は果たして正しかった
のだろうか。
 
 「伊藤先生の講義にしよう!!」
 一度も会ったことがないのに、すでに心は決まってしまった。
「一番人気は伊藤先生」と教えてくれた受付の女の子に深々と
頭を下げて感謝した。

 2日後、ぼくは伊藤真の無料ガイダンスに出席した。
岩崎先生のガイダンスの時も満員だったが、今回はそれ以上だ。
 「そこ、詰めてくださーい!!」レック社員の声が会場に響く。
3人掛けの机に3人。
隣の人と肩が触れるぐらいギュウギュウ詰めだ。

 岩崎先生の時と比べると、出席者の目つきが真剣に見える。
会場担当者の数も多い。
「やはり、大御所なんだろう」期待は膨らんだ。
 そして、会場がシーンとなった。ついに現れた!!
 
(続く)
61氏名黙秘:03/11/26 02:39 ID:???
【基本書中心主義について―17―】

 「みなさん!こんにちは!!」

 スラッとした体格と爽やかな笑顔。そして何よりも声がイイ!!
マイクがいらないぐらい、教室全体に響きわたる声。
 その明快な語りは、とにかく説得力があるとしか言いようがない。

 周りの学生たちも身を乗り出して聴いている。
まるで、吸い込まれるようだ。すごい!すごい、すごいっ!!
ぼくは一瞬で彼のトリコになってしまった。
 迷いはすべて吹き飛んだ。
新興宗教にハマル瞬間というのは、こういうものかもしれない。
 
 伊藤真がマイクを持ってから、まだ10分ぐらいだろうか、
ぼくは話の終わりを待たずに教室を出た。
 ダッシュだ!!
 
 「まだ間に合うだろうか?定員になっていないだろうか?」
 ハラハラしながら5階から2階への階段を一気に駆け下りた。
そして、即行で申し込んだ。

 予感は的中した、やはりすごい講師だ!(と思った)
 「伊藤先生は、ぼくの人生を変えてくれました」
合格体験記にはそう書こうと誓った。
 
 そのとおり、本当に人生を変えてくれたのだ。

(続く)
62氏名黙秘:03/11/26 02:39 ID:???
【基本書中心主義について―18―】

 「みなさんは、そこに座っているだけでいいんです!」
伊藤真は口癖のように言っていた。

 予習は効率が悪いから不要と言った。
講義ではよく、「ここは出ません!」と言い切った。
 まるで、自分が試験問題を作っているかのようだった。

 論点については格付けをした。
「これはAランク… いや、うーんと…Bプラスぐらいかな…」
いま思えば「おいおい」という感じだが、当時はそう思わない。
 消しゴムで消す音が教室中に響きわたった。

 伊藤真の講義を聴いて、言われたとうりにしていれば受かる。
彼の言うことすべてが合格のための「法」だった。
 だから、彼の一言を聴き逃すことは許されなかった。
ぼくは、クラスリーダーに見つからないようにカセットに録音した。

 自宅に帰って板書を書き直し、不明なところはテープで補充。
「ここは、ブロックです!」と言われたところは「ブロック化」した。
 C型答練に合わせて暗記した。いつも25−28点だった。

 こうして、ぼくのレック1年目はあっという間に過ぎた。

(続く)
63氏名黙秘:03/11/26 02:44 ID:???
【基本書中心主義について―19―】

 小・中、高校と、決して優等生ではなかったぼくにしては
上出来だった。
 伊藤真の入門講座を一度も欠席しなかったのだ。
「座っているだけでいいですから」という掟(?)を破って
予習もしたし、ブロックカードも用意した。答練も受けた。

 ぼくオリジナルの「入門講座ノート」もいい感じに仕上がって
いる。物権変動の明認方法のあたりなんか、緑と茶の色鉛筆
を使ってカラーに仕上げた。タックインデックスも付けた。

 ブロックカードのカバーは、憲法は赤で民法は黄色、刑法は
青だ。ラベルはネームランドできれいに作った。

 Aランクの論点は金色のシールを貼った。Bランクには銀、
Cランクには赤。重要度が一目で分かる。

 「完璧だっ!!」
合格への準備は整った。万全だ、そう思った。

(続く)
64氏名黙秘:03/11/26 02:45 ID:???
【基本書中心主義について―20―】

 伊藤真の入門講座を受けて以来、何かが変化した。
町を歩いていても電車に乗っていても、何かが違った。
自分に自信がついたというか、何かが取り付いている
ような、そんな不思議な状態だった。
憲法の崇高な理念から見下ろすと、世のすべてが下等に
映った。

 「そもそも…」が口癖になった。
ベテラン風の受験生を見ると「クソが!」と思った。
後ろから石を投げつけてやりたい気分になった。
 かなり生意気な、勘違いのくそガキだった。

 どこかで力試しをしてみたい、そんな衝動にかられた。
たまたまレック近くの丸沼書店で、おもしろいものが
目に入った。
「NESゼミナール」というマイナーな予備校の定義カードだ。

(続く)
65氏名黙秘:03/11/26 02:46 ID:???
【基本書中心主義について―21―】

 伊藤真はよく言っていた。
「定義を大切にしてください。定義がビシッと書けるかどうか、
これで答案の印象がグッと違ってきます」

 そういえば、ぼくはまだ定義カードというものを用意していな
かった!まずい!これは重大なミスだ。
完璧と思ったぼくの合格ツールに穴があったのだ。
なんとしてでも定義カードを用意しなければいけない。
 全体構造テキストから書き写そうか?いや、時間がない。
今年の論文・口述に間に合わないじゃないか!
 真剣にあせった。

 買うか?
いや、できることなら、マイナーな「NESゼミナール」のカード
は避けたい。しかし、レックの出版物リストにはない。
セミナーからも出ていない。

 困った。とりあえずこのNESゼミナールの定義カードで妥協
しよう。必要があれば補充しよう。
 ぼくはまず、お得意科目の刑法のカードを買った。
たしか2,000円ぐらいだったと思う。決して安くはなかった。
 しかし、問題が発生した。

(続く)
66氏名黙秘:03/11/26 02:46 ID:???
【基本書中心主義について―22―】

 定義の言い回しが全体構造テキストと違う!!
買った後で気がついた。ブロックを暗記するときに、
一緒に覚えてしまった定義もある。
 これを、いちいち修正しながら覚え直すのは大変だ。

 しかし、何よりもあせったのは、全体構造テキストや伊藤
先生の板書に書かれている定義と丸ごと違う定義があったことだ。
 これはさすがに不良品だろう。。。
半分ぶち切れて、返品してもらおうとNESゼミナールに向かった。

 秋葉原という、司法試験とは不似合いの場所にNESゼミナール
はあった。
 古い雑居ビルの狭い通路を通ると、ダンボールが雑然と積まれた
横に入り口があり、中に入ると、カウンターの向こうで数人がゼミを
していた。その中にいた40代後半のリーダー格のベテラン受験生
らしき係員が出てきた。
 
 ぼくは、入門講座を修了したら実力者の仲間入りだと信じていたの
で、その係員にいきなり議論を吹っかけた。

(続く)
67氏名黙秘:03/11/26 02:47 ID:???
【基本書中心主義について―23―】

 「この、実行行為とは、っていう定義ですけど間違いですよね!
不良品じゃないですか!?」
 自信満々に言い放った。
すみませんミスでしたと、あなたかなりできますねと、そういう
「結末」を描いていた。
 「実行行為とは」と書かれたカードの裏側にはこう書いてあった。

 基本的構成要件に該当する行為。 

 レックでは法益侵害惹起の現実的危険性を含む行為をいうと
習った。全然違うじゃないかっ!!
 間違った定義を載せるなと言って、ぼくは係員に迫った。

 ところが、係員は気の毒そうな顔をして、まるで出来の悪い
生徒を見るような目をして、こう言った。
 
 「あ、これ団藤説だから」

 え??? 
その時ぼくは、係員の言っている意味が全然理解できなかった。

(続く)
68氏名黙秘:03/11/26 02:48 ID:???
【基本書中心主義について―24―】

 ある学者が言った。
「法律は九学(苦学)せよ。四学(史学)と五学(語学)」

 条文などの背後に流れている歴史的背景、立法の趣旨。
そして定義。すなわち、判例や学説によって定立された規範。
 この2つは法律学習の二本柱なのではないだろうか。

 ところで、先ほどの実行行為の定義について、最近の予備校
では2つの定義をきちんと(?)教えてくれるようだ。

 「実行行為とは、形式的には――、実質的には――」
という論証カードをよく見かけるし、また予備校本などでは、
(1)形式的アプローチ;基本的構成要件に――
(2)実質的アプローチ;法益侵害惹起の――
という記載をよく見かける。

 このスレを大学の新入生が見ているかもしれないので、
早いうちにやる気をなくしてもらうためにややマニアックな話
をしよう。実行行為の実質的意義としてよく見かける定義は
たいてい次の2つのどちらかだ。
 A. 構成要件的結果発生の直接的・現実的――行為をいう。
B. 法益侵害惹起の直接的・現実的――行為をいう。

 違いは「構成要件的結果発生」という部分と「法益侵害惹起」
という部分。この違いには大きな、おーきな意味があると思うが、
何も考えずにごっちゃに使っている予備校は、けっこう多い。

(続く)
69氏名黙秘:03/11/26 02:50 ID:???
【基本書中心主義について―25―】

 某予備校の論点カードを見ると、不作為犯のカードはAの定義、
間接正犯ではBの定義を使っている。なぁーんも考えていないのだ。
 バイトの学生が手分けして作ったんだろう。1人は大塚説で
1人は大谷説を採っているのかもしれない。
これが1冊の書物としてまとまっている(目次なんかが付いちゃって)。 

 で、何も知らない受験生としてはこれを「暗記」するわけだ。
問題でここを突っつかれなければ、致命傷となることもなく合格。
むしろ、こういう細かいところを日ごろ意識している受験生の方がハマル。
ベテラン行きの電車に乗ってしまう(危険性大だ)。
 勉強という労働と合格という効果との「費用対効果」を考えたとき、
何も考えずに暗記したほうが早いのかもしれない。

 勉強を始めたばかりの頃は、実行行為の定義について実質的意義だけ
を覚えておけば形式的意義は知らなくてもよかった。
 でも、「放火罪の実行の着手」なんていう判例百選の刺激的な解説
を読んだりしちゃうと、「これじゃいかん!!」なんてことになる。
 で、こういうことを知った人が果たして実力者なのか、
果たして早く受かるのかというと、そうでもない。

 いやむしろ、細かいことは知らないほうが早いはずだ。
見ないほうがいい。見えないほうがいい。
 基本書という扉を開くことは、いわば泥沼や地雷がいくつもある
富士の樹海に足を踏み入れることを意味する。
 そしてその「実行行為」の時に気合が入っていればいるほど進む
距離も長いから、ハマル確立が一層アップする。
 少なくとも、ぼくの場合はそうだった。

 「基本書でしっかり理解しよう!」という「実行行為」がぼくの
10年を奪った。
70氏名黙秘:03/11/26 02:57 ID:???
ああ、続きを読みたい。続きのログを持っている人がいたらよろしく。
71氏名黙秘:03/11/26 03:54 ID:???
続きはなかったんじゃないか?
36歳独身作だよね,これ。
72氏名黙秘:03/11/26 04:04 ID:???
おもろい。
いっきに読んだ。人事とは思えん。とくに塾長のあたり
73氏名黙秘:03/11/26 04:09 ID:???
おもろいか?
74氏名黙秘:03/11/26 04:22 ID:???
>>73
うん。めちゃおもろい。俺も初めて塾長の講義受けたときこんな感じを
味わったよ。
まあでもこの人と俺が違うのは暗記に対する自信かな。
俺は論証パターン見たとき、こんなにたくさん暗記できねえよ!
って感じた。だから覚えるのは定義とキーワードだけにしてなるべく自分で考える練習をしてる。
規範定立も自分で考える。しょせん法学は規範の学問だって自分に言い聞かせて。
75氏名黙秘:03/11/26 17:26 ID:???
>>71
続きはないのか?
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1016801997/
この最終と思われるスレのログを持ってないからどこで終わったのかも知らなかった。これで終わりとは残念だ。
76氏名黙秘:03/11/26 21:19 ID:???
当時リアルタイムで読んでたけど,ある日パターリと連載が止まった。
たしか2002年の択一前あたりだったと思う。

壮大なネタスレだったのか,あるいは中の人が氏んだのか……。
77氏名黙秘:03/11/26 21:38 ID:???
136 名前: 35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日: 02/05/14 11:21 ID:r0/aC5b6
人生は長い。


35歳独身はこの意味深なレスを最後に司法板から消えた。
なお偽独身は合格し日本を去った模様。
78イサヲ:03/11/27 01:48 ID:nl1fpw4U
六法全書ヲスミカラスミマデアタマニタタキコムベシ。
79氏名黙秘:03/11/27 01:58 ID:???
イサオはどうでもいいからこの人の読みたいヨ
80イサヲ:03/11/28 02:34 ID:Rb7NTPxM
ココハイサヲノスレッドダ。
ココニクルシジュケンセイハカンペキデナクテハナラナイ。
イサヲノオシエヲウケルコトヲユルサレルノハソレカラダ。
81イサヲ:03/11/29 01:54 ID:D10SBIgb
イサヲハユウシュウナヤツダケヲアイテニスル。
82氏名黙秘:03/11/29 02:36 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART1】

自信過剰なところがありながら、実は結構小心者で、
意外と情に厚いところがある青年だった。彼は、
高校からの帰り道、いかにして成りあがろうかと考えていた。

柴田孝之16歳。高校1年生。三重県の菰野という田舎町で
育った彼は、東京大学への進学を目指して日々勉強に打ち込んでいた。

「それにしても、つまらねえな」

彼の口癖だった。このままストレートに大学に進んでも
社会に出るのは早くて7年後だ。それまでに僕はもっと
世間からも、女からも認められたい。世の中をあっと言わせる
ことは何かないのか。

テレビでは大学受験生にしては年をとった人々が、歓喜の
声をあげていた。「なんだろう?」

司法試験の合格発表だった。

これだ!!彼の頭の中に、将来の成り上がりの
構図が浮かび上がった。

東大になんて入る前に、司法試験受かればいいんじゃないか。

この思い付きが彼の人生を変えていくことになるのだ。

(つづく)
83氏名黙秘:03/11/29 02:38 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART2】

柴田は、早速、町にひとつしかない本屋に行った。
どこの田舎町にもあるさびれた、小さな個人経営の本屋だ。

「司法試験の本をください」
70歳をゆうに超えたと思われる店主が聞き返した。「何の本だって?」

「司法試験の本です」
柴田は繰り返した。
「僕、司法試験を受けるんです」

「ああ・・、ううう・・」
老店主は明らかに混乱していた。
無理もなかった。人口1万人にも
満たないこの町で「司法試験」などという
ものにチャレンジするものなど
いるわけがないのだ。

柴田は田舎に生まれた自分の境遇を呪った。

「仕方がない。市内に買いに行くか・・・。」

やりきれない気持ちを抱きながら、1日に4本しか
来ない、バス停へと向かった。

「次のバスは・・・、6時20分か・・。
2時間待ちだな・・・。
彼は、かばんから 試験に出る英単語(通称シケタン)
を取り出すと、付箋の貼ってあるページから暗記を始めた。
84氏名黙秘:03/11/29 02:40 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART3】

バスに乗って30分程。5階建ての書店に着くと
柴田の心は高鳴った。いつもそうだ。新しい書籍が色々な世界に引き込んでくれるのだ。

一回の受付で尋ねた。
「司法試験の本を買いたいのですが」
25歳くらいと思われるその女性はにっこりと微笑みながら言った。
「4階です」
「あのう、僕、司法試験受けようと思うんです。
結構難しいんですよね、あの試験って。」
聞かれてもいないのに柴田はよくしゃべった。

4階には色々な本があった。それにしても、あまり体裁のきちんとしたものがないように思われた。

柴田は、とりあえず、分厚い法律の本を手にとってレジへ持って行った。

「2万5千円です」

「はあ?」

6科目で一冊づつ買っただけだぞ。そんな訳はないだろう。柴田は、値段を確認した。

「・・・・・・」

すべての本を元の場所に戻し、受験新報のみを買うと、失意のうちに家路についた。

「先は長いなあ・・・・。」

でも、このとき彼は自分の思い違いにまだ気づいていない。
85氏名黙秘:03/11/29 02:41 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART4】

家に帰ると、柴田は受験新報を熟読した。昨日買った新しいエロ本はとにかく後回しだ。
司法試験は、理論的には、一歳の子にも受験資格があるらしい。じゃあ、問題ないな。さて、どんなもんだ。
その月の受験新報は、その年の論文試験の解答を解説していた。

「何だ、結構なんとかなりそうだな」

次の日法務省に電話した。

「司法試験を受けたいんですが」

「4年制大学で一般教養の単位を修得されていますか?」

「は?僕、高校生なんですが・・・」

「それでは、一次試験からの受験になりますね」

「一次試験?」

「ええ」

「・・・・・・・」

なんだ、だめじゃねえか。一次試験なんて聞いてねえぞ。また明日本屋に行かなくちゃなんねえじゃねえか・・。
86氏名黙秘:03/11/29 02:42 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART5】

休みをつぶして本屋をめぐったが、いくら探しても見つからない。
もう4件目でここにもありそうになかった。

「司法試験の一次試験の過去問なんてどこにあるんだよ」

もう帰ろうと、家路についた。

まあ、ぶっつけ本番でやってみようか、
そんなことを考えていた。
87氏名黙秘:03/11/29 02:42 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART6】

東大を目指すのは、金持ちになりたいからだった。
でも、東大に行かなくても司法試験に合格すれば、
一気に夢に近づくと思った。

司法試験一次試験は、僕の目標を18歳東大合格から
17歳司法試験合格へとステップアップする夢の舞台。

夢を実現するには少し不似合いな小雨そぼふる日、
一次試験が始まった。

そんなに難しい試験ではなかった。さて、択一の
準備をしなくてはいけないな、なんて思いながら
筆を走らせるのは楽しかった。

「やっぱり、俺の人生って最高だね。」

「僕の人生の第二幕は、社会正義の実現に尽くします」

新聞のインタビューにはそう答えようと考えていた。
88氏名黙秘:03/11/29 02:43 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART7】

「以下の2名を合格とする」

それだけだった。齊藤○○、池田☆☆。

「え?」

試験に失敗したことのない私は、しばらく意味がつかめなかった。

「落ちたんだ・・・」

はじめての挫折だった。何にも考えられない。こんなにつらいんだ・・・・。
ベットに入ってエロ本を読んでも、そんな気持ちにはならなかった。



というのは、嘘で、思わず4回も抜いてしまった。
あの頃は確かに若かった・・・。
89氏名黙秘:03/11/29 02:44 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART8】

平成3年4月。僕はキャンパスライフを満喫していた。
東大生になっていた。文1だった。全てが思い通りに
なるはずだった。

しかし、何かが違った。

コンパなるものに出てみても、東大生である
私がもてるわけではない。それどころか、
聞いた事もないような大学のやつがもてている。

「僕ちゃん東(洋)大でーす。」
なんて、許せないギャグをかましている
やつがお持ち帰りをしていた。僕は、
後をつけたのだが、途中で気づかれて
まかれてしまった。

ストーカー。

今であれば、私はそういわれていたのだろう。
90氏名黙秘:03/11/29 02:45 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART9】

私は迷っていた。私の方程式が通用しない事に気づいてしまった。

東大入学→もてもて→女喰いまくり→一流の女と結婚

今の私は、

東大入学→コンパ狂い→もてない→ストーカー→オナニー一日5回

このままでは、まずい。でも何をすれば良いのかわからない。
女の子の家を後をつけて突き止め、にやついた顔で帰宅する途中で私は決意した。

「そうだ。司法試験をうけなくちゃ」

やっぱり、東大に受かったぐらいではだめなんだ。

このときの私は、司法試験のベテランが泥沼に
はまるかのように、ずれていっていることには
気づかなかった。気づけるはずもなかった。
91氏名黙秘:03/11/29 02:45 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART10】

「LECがいいわよ、きっと。伊藤先生、とっても教えるのがうまいの」

語学のクラスが同じ女の子が、僕に教えてくれた。なんでもとっても
やる気にさせてくれる先生らしい。

「私、裁判官になりたいの」

私にLECを紹介してくれた女の子は、
田中みさえといった。古風な名前に
ぐっときたが、もっと僕をわくわく
させたのは、同じクラスのやつの言葉だった。

「彼女、ヤリマンらしいぜ」

ヤリマン!!なんて素敵な響きなのだろう。

童貞のまま、20を迎えようとしている私は
明らかにあせっていた。

しかし、このとき、田中みさえが誰に対して
ヤリマンなのかを私は知る由もなかった。
92氏名黙秘:03/11/29 02:46 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART11】

「LECがいいわよ、きっと。伊藤先生、とっても教えるのがうまいの」

語学のクラスが同じ女の子が、僕に教えてくれた。なんでもとっても
やる気にさせてくれる先生らしい。

「私、裁判官になりたいの」

私にLECを紹介してくれた女の子は、
田中みさえといった。古風な名前に
ぐっときたが、もっと僕をわくわく
させたのは、同じクラスのやつの言葉だった。

「彼女、ヤリマンらしいぜ」

ヤリマン!!なんて素敵な響きなのだろう。

童貞のまま、20を迎えようとしている私は
明らかにあせっていた。

しかし、このとき、田中みさえが誰に対して
ヤリマンなのかを私は知る由もなかった。
93氏名黙秘:03/11/29 02:48 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART12】

肩がふれた時のドキドキがいつの日からか、あまり感じなくなった。
大人になったというより、擦れてしまった事を悲しく思う。

でも、その時の僕は、みさえを見つめているだけでドキドキした。
人間の幸せなんて、案外こんなものなのかな。お金でも学歴でも
なくて、「ドキドキ」。いつも君をみつめていたかった。

授業が終わって僕とみさえは、近くのオムレツ屋に行った。

「ここ、きのこオムレツがおいしいんだ」

「そうなんだ。じゃ、わたしそれにするね」

「僕もそうするよ」

もう裁判官なんてどうでもいい。君を抱くことができれば
僕は司法試験なんてどうでもいいんだ・・・。

そのときの僕は本気でそう考えはじめていた。
94氏名黙秘:03/11/29 02:49 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART13】

「10月から通うことにしたわ。伊藤先生の講座人気あってギリギリ入れたの」
「柴田君は、どうするの?」
僕は混乱した。僕と一緒に通ってくれるんじゃなかったのか?
「ぼ・僕は独学だよ」
「え!!独学!?」
「伊藤先生がガイダンスで言ってたわ。独学するとベテランになっちゃうんだって」
「いいんだ。お金の無駄だよ。僕は一人でやってみるよ」
お金は君との新婚生活にとっておくよ、と言いかけてやめた。
「じゃあ、お互い頑張ろうね。自習するときは一緒に図書館でしようね。」
僕は少しほっとした。やっぱりこの子、僕のことが好きだったんだな。
「何曜日に通うの?」
「火・木よ」
「そっか。終わるの9時だっけ?」
「うん、そうよ。」
「じゃあ、その後会えるね」
「・・・、ごめんね。その後、自習室で勉強したいの」
「そうか・・。じゃあ、しょうがないね・・。」

まあ、月・水・金は会えるし、土日はどちらかデートできるに違いない。」

悪くない。
しかし、このとき僕はレックの自習室は9時半までしか開いていないことを
知らなかった。彼女のその後の行き場所も・・。
95氏名黙秘:03/11/29 02:50 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART14】

「ちょっと、驚かせてやろう。」ほんのいたずら心だった。

僕は、入門講座が終わる彼女を待っていた。悪気はなかった。
ただ、彼女に会いたいだけっだった。
9時がすぎて僕は、授業が終わった頃を見計らって
教室に入っていった。

「・・・・・・・・・・」

何が起こっているのか一瞬理解できなかった。
彼女が抱きしめられているのはわかった。
それを抱きしめているのが誰かは、そのときはわからなかった。
僕はレックを後にした。
次の日、彼女は何事もなかったかのように
図書館にいた。

「柴田君、結構法律の勉強って私に合ってるみたい」

彼女はいたずらっぽく笑った。

「そう・・」

彼女の笑顔が少し寂しかった。昨日の彼女は本当に
みさえだったのだろうか・・・。
96氏名黙秘:03/11/29 02:51 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART15】

大学での生活も、11月の声を聞くようになると、何か少し
もの悲しい、淡々としたものになる。

何か楽しい事が待っているような気がしていたキャンパスライフも、
一人で生きていく事の予行演習に過ぎないのだ、そんなことがわかる
とたまらなく寂しい。でも、それが大人になるってことなんだろうな。

「今年の冬も暖冬です」電気屋の横を通ると、キャスターが
昼のニュースで告げていた。「暖冬はこれで4年連続です」

そうか、僕の高校時代は毎年暖冬だったんだ。気づかなかった。
今こうして、季節を感じることができるだけでも、素敵な事なんだな。
ふらりと立ち寄った本屋で、アイドルの写真集の品定めをしたあと、
図書館に向かった。なんだか無性にみさえに会いたくなった。

「柴田君」

みさえの声はいつもやさしい。
レックの教室で伊藤真に抱かれていたことは
きっと幻に違いないと思えてしまうのだ。

「冬が来るんだな」

ずっと、みさえと支えあっていけるのだろうか。
少し不安になった。

「みさえ、一緒に行きたいところがあるんだ」
97氏名黙秘:03/11/29 02:51 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART16】

新宿のバスターミナルは、平日のせいか閑散としていた。
津行きの深夜バスは、22時半にターミナルを出発する。

「僕の生まれ育った菰野(こもの)に行こう」

みさえは少し驚いた顔をして、でもこっくりと頷いた。

「でも私、泊まりの準備してないよ」

「なんとかなるよ」

「そう?でも突然だね。いったいどうしたの?」

「見せたいものがあるんだ」

そう、あれは高校の合格発表の帰りに立ち寄った
思い出の場所。

「僕の・・、原点なんだ」

「原点?」

「そう、原点・・。」

バスへの最終案内が待合室に響いた。
「さあ、行かなくちゃ。コーヒー買ってくるよ」

「・・・・・・」

そう、あれは4年前の寒い冬の出来事だった。
98イサヲ:03/12/02 21:20 ID:N1v/gf1t
^コンナハナシハゴハットダ。
99氏名黙秘:03/12/02 22:43 ID:???
続きが読みたい・・
100氏名黙秘:03/12/02 22:59 ID:???
尾藤イサオ
101氏名黙秘:03/12/04 01:08 ID:???
kusosure
102イサヲ:03/12/04 01:49 ID:O2HJiAO9
ショウセツヲカクナドトハモットモムダナコウイダ。ジカンノムダダ。
103イサヲ:03/12/04 22:21 ID:O2HJiAO9
ワタシ、クドーイサヲ二ケイレイセヨ。
104氏名黙秘:03/12/04 22:51 ID:???
削除依頼出てたwwwwwww
105イサヲ:03/12/08 02:03 ID:UlhPwhnZ
>>104 ユルサンユルサンユルサン!!!
106イサヲ:03/12/09 02:04 ID:ubrrtVMo
ゼッタイサクジョハサセン
107氏名黙秘:03/12/09 11:17 ID:???
超おもしろいんだげど!!
あげーーーーー!!!
108イサヲ
ヤレルモノナラヤッテミロ。フイイシンデカミスルゾ。