1 :
イサヲ :
03/11/22 23:26 ID:HWpFxpgg 司法試験のプロフェッショナルクドーイサヲによる超特急司法試験合格 講座。受かるためにはなにものもじさず。必殺テクニック伝授いたします。 cliantの皆さん、さあ来たれ!
2 :
氏名黙秘 :03/11/22 23:27 ID:???
1 イサヲ New! 03/11/22 23:26 ID:HWpFxpgg 司法試験のプロフェッショナルクドーイサヲによる超特急司法試験合格 講座。受かるためにはなにものもじさず。必殺テクニック伝授いたします。 cliantの皆さん、さあ来たれ!
3 :
氏名黙秘 :03/11/22 23:28 ID:???
くどい竿?遅漏か?
4 :
氏名黙秘 :03/11/22 23:29 ID:???
イタイ。マムコイタイ。まじでイタイよ、マジイタイ。 マムコイタイ。 まず広い。もう広いなんてもんじゃない。超広い。 広いとかっても 「直径5aのデカマラ?」 とか、もう、そういうレベルじゃない。 何しろ直径10a超で収縮自在。スゲェ!なんかカリとか無いの。チン長何aとかどんな形だとかを超越してる。無限だし超広い。 しかも産卵してるらしい。ヤバイよ、産卵だよ。 だって普通はティムポとか産卵しないじゃん。だって自分の子宮を鳥の巣代わりにされたら困るじゃん。ノリマキセンベイの頭と同レベルとか切ないっしょ。 原が膨らんで、一週間前までウエスト60aだったのに、今はCGでデフォルメされてるかもしれないけど余裕で100aオーバーとか泣くっしょ。 だから人間とか産卵しない。話のわかるヤツだ。 けど触手はヤバイ。そんなの気にしない。産卵しまくり。しかも本体に入らない量が出てくるくらい多い。ヤバすぎ。 入らないっていたけど、もしかしたら触手の本体で作られてるかもしんない。でもそうすると 「じゃあ、触手の本体ってナニよ?」 って事になるし、それは誰もわからない。ヤバイ。誰にも分からないなんて凄すぎる。 あと超堅い。金属バットくらい。油圧で言うと272MPa。ヤバイ。適当すぎ。銃で本体撃つ暇もなく死ぬ。怖い。 それに超骨とか無い。超ヌルヌル。それに超エロエロ。植物とか平気で出てくる。人間犯す植物て。エロ漫画家でも言わねぇよ、最近。多分。 なんつっても触手は馬力が凄い。一週間とか平気だし。 うちらなんて大げさに一晩中とか言ってもたかだか数回しただけで痛くなるからもうやめたり、あんまりやると文字通り壊れちゃって使い物にならなくなったりするのに、 触手は全然平気。穴ならなんでも良いみたいに扱ってる。凄い。ヤバイ。 とにかく貴様ら、触手のヤバさをもっと知るべきだと思います。 そんなヤバイ状態で一週間ヤられて意識保ちながらまだこんなコピペを書ける私とか超偉い。もっとがんばれ。超がんばれ。もう死にたい。
/ ,,r'~ ̄`ヽ、ヽ____/ ,,r'~ ̄`ヽ、 \ / .ヽ / ヽ / __|_ / / l l |ヽ | ヽ / | / | ヽ\`` / / | ) ヽ ヽ / ./ /へ | | /へ \ ヽ _| \ ヽ/ / / \_ノ ノ V / \_ノ \ つ r'ノ
6 :
イサヲ :03/11/23 15:34 ID:bIYHj524
isawo ha inainoka
7 :
氏名黙秘 :03/11/23 15:35 ID:???
isao.net
8 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:51 ID:???
【論点ブロックカードについて―1―】 論点部分について抜き書きしてまとめた出版物として、 初と呼べるのは(ぼくの知る限り)、 法曹同人の「論証研究」だったと思う。 決して伊藤真が最初に考案したものではないし、 論理を→でつないでいく方法も、古くは Wセミナーの矢田講師の板書に見られる。 つまり、レック伊藤が初めてではないというのを前提に 議論を開始したい。 法曹同人の論証研究は隠れた名講師といわれる井上さん (下の名前は忘れた)。 伊藤真が受験生のころ、井上さんの講義でよく手を挙げていた という大ベテランの証言もある。 つまり、伊藤先生は井上先生に習ったわけね。 それをレックで応用した。んで、大ブレイク! 法曹同人の「論証研究」よりも有名になった。 なぜか? ここに受験生を…するトリックがあるのだ。(続く)
9 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:51 ID:???
【論点ブロックカードについて―2―】 細長い長方形をしたレックオリジナル「論点ブロックカード集」。 昭和60年当時の受験生ならだれでも欲しがるグッズだっただろう。 レックの「論文基礎力完成講座」を受講しなければ手に入らない。 市販は一切されていない。 「キソ完」の受講生にコピーをお願いすると絶対に嫌がられる、 そんなシロモノだった。 論証内容は当時としてはほぼ完成品。そのまま答案に使える出来だった。 しかし、カードの下には小さく「※ 丸暗記は避けましょう」などと書かれてる。 つまり「不完全なものだから講義の中で随時手を加えていく」あるいは、 「自分の努力でホームラン答案に直結する秘密兵器に仕上げていく」 そんな宣伝内容であった。 これは実は、論証の内容について誤りがあった場合などに備えて 批判をかわすための「逃げ」を打っていただけなのだが、 受講生はこれを信じて、自作の論証の作成作業に邁進することとなる。 当時、自習室では大半の司法受験生が基本書や判例百選を山積みにして、 一日中、カタカタと狂ったようにひたすらカードを作っていた。 それは異様な光景であり、ぼくもその1人だった。(続く)
10 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:52 ID:???
【論点ブロックカードについて―3―】 その練習が果たして効果的なのかどうかは、 「段階に適応しているか」で決まるように思う。 ブロックカードを作成する「論文基礎力完成講座」は、 入門講座を終了した2年目の受験生、すなわち 「つい最近、私も始めたのよ司法試験!」 という受験生が主な対象だった。 そんな、 「なんちゃって受験生」が自ら考えて論証を組み立てられるわけがない。 結局、ブロックカードやパーフェクトテキスト、 その他答練の模範解答などを「書き写す」作業に没頭することとなる。 当時はワープロなんて使う受験生は皆無だったから当然手書き。 印字ならば1ページで済むものが2ページ、3ページに膨らむ。 分厚いカード集を脇に抱え、 なんだかよくわからないが「勉強したなぁ」という充実感はあった気がする。 (続く)
11 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:53 ID:???
【論点ブロックカードについて―4―】 某司法試験予備校の社長がある雑誌で言っていた。 「いまの世代の子ども達は学習塾世代なんです。 つまり、何か作業をさせて形に残してあげる。 そうすると父兄は安心するんです」 当時2年目の受験生だったぼくは、いつか花開く日が来ると信じて、 カード作成作業に1年以上を費やした。 当然頭には残っていない。 それだけでなく、当たり前の条文知識も身に付けないまま、 いつ訪れるかわからない「論文試験日」のために 完璧なブロックカード集を作ろうとしていた。 そんな右も左もわからない、ぼくたち新入生を葉玉講師が煽る。 「いいですか、みなさん!!第一問の答案を書きながら、 第二問の答案を足で書く、そういうイメージですよ!! 考えて書いちゃいけません!吐き出すんです!!」 うつろな眼差しで大きくうなずく受講生たち。 それはまさに、正月特訓の日能研の子ども達そのものであった。 (続く)
12 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:54 ID:???
【論点ブロックカードについて―5―】 「500人時代」といわれる当時の論文試験。 これを突破することは並大抵のことではなかった。 合格のためには努力や能力を超えた「何か」が必要だ― そう考えるのが普通だった。 ある日、講義の休み時間に伊藤真が紹介した。 「今年やっと合格したぼくの弟子です。苦労人です」 テクノカットに刈り上げた(死語?)リクルートスーツの青年。 「みなさん、はじめまして岡伸之と申します。 私は毎年、総合Aで落ち続けました」と、 毎年Aで落ち続けた苦悩の日々を (涙ながら、ではなかったが)熱くとうとうと語り始めた。 (続く)
13 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:54 ID:???
【論点ブロックカードについて―6―】 自分に何が足りなかったのか、熱いお話は約30分ぐらい続いた。 しかし、教室の空気は冷めていた。 周りの現役東大生は「頭悪いんじゃないの、こいつ」 とでも言いたげに、見下したような笑みを浮かべていた。 ぼくも「えっ!?司法試験て、そんなに難しいの?」 などとマジで思っていた。 岡さんは最後にこうしめくくった。 「みなさん、いいんです、これで。 このまま、このままのやり方を変えることなく、 伊藤先生を信じてついて行ってください。 このままですよ、このまま」 みんなが歩いて上る山の頂上付近までヘリコプターで飛ぶ、 そう思わせてくれる「ブロックカード」。 努力や能力を超えた「魔法」があれば簡単、 そう信じていた。 それは、楽して受かりたいという当時のぼくの志向に ぴったりフィットした。 その時はまだ、自分の合格のイメージと 現実の合格ラインとの違いに気が付いていなかった。 (続く)
14 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:55 ID:???
【論点ブロックカードについて―7―】 かつて、レックの反町会長はある法律雑誌の対談で、 辰巳法律研究所を指してこう言った。 「あそこには本物の受験生がいる」―。 レックに生息する受験生は偽者か?と突っ込みたくなるが、 実際、多くの受講生はぼくと同様に「錯誤」に陥っていた(と思う)。 飲み会の席で伊藤真に尋ねたことがある。 「先生、毎年1000人ぐらいいる入門講座の受講生のうち、 本当に2年ぐらいで受かるのは何人ぐらいいるんですか?」 彼はニコッと笑ってこう言った。 「4、5人じゃないの」 即答だった。 (続く)
15 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:56 ID:???
【論点ブロックカードについて―8―】 短期合格の予定が狂い始め、やや不安になっていた頃、 あちこちの答錬で常に高得点を叩き出している女の子がいた。 高橋めぐみ。 おそらく、勉強を開始してまだ1年ぐらいだろう。 なのになんでや? 彼女は慶応在学中一発合格を果たし、後に(受験界では)有名人。 開成出身の友人が、 「四谷大塚の頃から名前をとどろかせていたよ」 と言っていた。 そんな才女には、いつも決まって持ち歩く2つの必勝「グッズ」があった。 (続く)
16 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:56 ID:???
【論点ブロックカードについて―9―】 彼女が自習室や答練会場に必ず持っていくグッズ。 それは、薄茶色の分厚いバインダーと自作のブロックカード集だ。 ぼくはその内容が見たくて見たくて、彼女の後をつけたことがある。 そして、自習室で彼女が席を立った時、 ついに「覗き」に成功した。 バインダーは入門講座の板書。まぁ、これはいっか。 問題はブロックカードの中身だ。 ここに合格の秘密があるような気がして、 ドキドキしながら覗き込んだ。 ぼくの目に飛び込んできたものは驚く内容だった。 (続く)
17 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:58 ID:???
【論点ブロックカードについて―11―】 「ちょっと、あなた何してるの?」 「いや、あの・・・・」 彼女は明らかに怒っていた。 彼女は私の持っていたブロックカードを ひったくると、かばんの中に戻した。 「めぐみ泣いちゃうから!!」 そう言い残すと、自習室を後にした。 そのとき彼女の携帯が鳴った。
18 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:59 ID:???
【論点ブロックカードについて―12―】 電話に出た彼女の顔色が変わった。 「何でそんなこと言うの・・・・。」 寂しそうに曇る彼女の表情を見ていると、誰と話しているのか 気になった。 「だって、あなたの子供じゃないの。どうして 堕ろせなんていうの?」 彼女は涙声になっていた。私は「堕ろせ」などという ただならぬ言葉を聞いて、胸騒ぎがした。 「伊藤先生、私のことは遊びだったんですね」 彼女は伊藤真と話していたのだ。またしても 真の魔の手に、将来のある女の子が・・。 これは、後から聞いた話だが、真はこんなことを 言っていたらしい。 「やれば、できる。必ずできる。」
19 :
氏名黙秘 :03/11/26 01:59 ID:???
【論点ブロックカードについて―13―】 「とにかく会って話がしたいの」 めぐみは、涙声になって言った。 いつもの気の強い彼女ではなく 一人の女になっていた。 彼女は自習室を後にした。 私は、彼女の後をつけた。 彼女はちょっとさびれた喫茶店に入っていった。 その喫茶店の名は「憲法」 入り口にかけてあるメニューを見て 目を疑った。「個人の尊厳パスタ」って 何だろう?
20 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:00 ID:???
【論点ブロックカードについて―14―】 法曹同人の論証研究はレックの論点ブロックカードよりも先に生まれた。 にもかかわらず、それほど受験生に広まらなかった。 「司法試験なんて簡単!!」と錯覚させる魔法にはならなかったのだ。 なぜか? 理由は簡単だ。実践的でないからだ。 文章が長くてそのままでは答案に使えない。 基本書の記述を正確に引用しているため、表現が硬い。 そんな風に見えた。 だが、レックの論点ブロックカードは違った。 答案にそのまま吐き出せる、文章も柔らく説得的に見えた。 「これをそのまま書けばホームランじゃん?」 なんて思わせてくれた。 それはまるでカンニングペーパーを手にした時のような 安心感というか喜びというか、 そんな気分に似ていた。 ぼくの脳ミソはいつしか思考することを忘れ、 完璧な「カンニングペーパー」を追い求めていた。 (続く)
21 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:01 ID:???
【論点ブロックカードについて―15―】 そこに現れたのが高橋めぐみだ。 各予備校の答練で27、28点台をキープ。 常に成績優秀者の上位に名前がある。 そんな彼女のブロックカードは一体どんなシロモノなんだろう。 学者の問題意識? 最新判例? ドキドキしながら覗き込んだ。 「なんじゃ、こりゃ??」 ぼくの目に飛び込んできたのは、あっさりとした箇条書き。 たったの3行。 1行目には「結論として、肯定すべきと解する」とか書いてある。 2行目には(必要性)という見出しがあって、キーワードが2つぐらい。 3行目には(許容性)という見出しがあって、キーワードが2つぐらい。 期待して損したわ、すぐにそう思った。 「こんなもん、使えない」 当時のぼくは、高橋めぐみのブロックカードに 「失格」という判定を下したのだ。 (続く)
22 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:03 ID:???
【論点ブロックカードについて―16―】 法哲学の尾高先生は言った。 「法の解釈は理論と実践の統合体である」―。 また、悪魔の大典といわれる「民法講義」の冒頭あたりで 我妻先生は言う。 法的安定性と具体的妥当性の調和は難しい。 だが、両者がぶつかり合ったときは法的安定性を優先すべきだと。 つまり、法の解釈は、 (1)法的安定性と(2)具体的妥当性の両面から理由づけられれば、 これは最強の理由づけといえるのではないか(と、今は思う)。 (続く)
23 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:04 ID:???
【論点ブロックカードについて―17―】 法的安定性は、原理・原則とか制度趣旨とか条文とか、 体系性というか、普遍性というか、うまく説明できないけどそういうイメージで、 具体的妥当性は、利益衡量から得られる妥当な結論のこと(かな)。 刑法の斎藤先生は日練の解説で 「下級審から最高裁までの判例を全部並べたら、そこに一貫した理論はあるか?」 と言い、渥美先生は、 「大切なことは、当該原理・原則がどこから来てどこへ行くのかということだ」 などと言う。 「具体的妥当性の観点から、肯定すべきである」という必要性と、 「法的安定性の観点から、そのような解釈も許される」という許容性、 この2面から理由づければ説得的なのではないか。 こんなことをふと思ったのは、 高橋めぐみのカードを覗いてから、遠く5年後のことだった。 (続く)
24 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:05 ID:???
【論点ブロックカードについて―18―】 論文基礎力完成講座が終盤にさしかかったある日、 伊藤真は一冊の本を持ってきた。 鈴木竹雄の「会社法」。 当時(今もか?)の代表的な会社法の基本書で、 300ページ程度しかない本だ。 ところが、扇子のように開いて分厚く膨んでいる。 見ると、あちこちのページに論証カードが挟んである。 正確にいえば貼り付けてある。 「論点のある箇所に、答案ではこう書くというものを 書き込んでいたんですが、書き込みきれないのでこうして カードにして貼り付けたんです」 伊藤真は説明を始めた。 (続く)
25 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:06 ID:???
【論点ブロックカードについて―19―】 初めて見る伊藤真のブロックカード。 何か特別な作り方でもあるんだろうか? 「ブロック、なんて言うとね、ブロック塀のブロックを イメージしますよね?でも、本当は違うんです」 えっ!?という表情の受講生たち。 ――「ブロック」という言葉の響きは、どう考えてもブロック塀の ブロックだろう?論点のかたまりをつなぎ合わせて答案を作る。 違うのか? まるでタネ明かしでもするように、ニコニコしながら説明を続ける。 「94条2項の類推とかね、答案の中で繰り返し書く部分がありますよね。 こういうものはあらかじめカードにして準備しておけばいいんじゃないか。 そう考えたのがブロックカードの始まりなんです。 つまりね、まず答案ありき、なんです」 うーん…。 講義終了後、しばらくしてもずっと考えていた。 そして思考することを忘れたぼくの頭の中では 「ブロックカードは答案から作る」 という2つが、繰り返し繰り返し反復再生されていた。 (続く)
26 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:07 ID:???
【論点ブロックカードについて―20―】 ―ブロックカードは答案から作るのか…。 気が付くと高田馬場で降りていた。 Wセミナー東京本校の購買部。 答練の解説レジュメを製本して一般販売していた。 答練レジュメが販売されることが少なかった当時、 Wセミナー「論文講座問題集」は合格体験記などでよく目にした。 「前期・後期の2年分で重要論点はとりあえずつぶせる。 解答例は受講生が実際に書いた方を使え」ー。 これが合格者の多くの評価だったと記憶している。 2年分を買い、すぐに解答例をコピーし、レックの自習室へ。 解答例の論点部分をカッターで切り抜き、糊でカードに貼り付ける。 いま思い出せば「あほや」と恥ずかしくなる作業だが、当時は真剣だった。 切り抜いた後には大量の「紙クズ」が残る。 「このように…と考えると…となる。そこで次に…が問題となる」とか、 「これを本問についてみると、…」という紙クズをグシャッと丸めて、 ゴミ箱に捨てた。 本当は、紙クズにすべきはそっちではなかった― なぁーんて、その時にはこれっぽっちも思わなかった。 (続く)
27 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:08 ID:???
【論点ブロックカードについて―21―】 ぼくが必死に切り貼りしていたのは「規範定立」といわれる部分だった。 争いのある点について自分の立場を論じる部分、といってもまあいいと思う。 この自説を論じる部分の書き方は予備校の努力(?)により、 ずいぶん進歩したような気がする。 ぼくが大学に入った昭和58年、大学生協の書籍売り場にあった 「模範解答集」の書き方はおよそ次のようなものだった。 「この点につき、Aという説がある。しかし、この説は…ゆえに妥当でない。 次に、Bという説がある。しかし、この説は…ゆえに妥当でない。したがって、 Cと解すべきである」 これに対して、レックのブロックカードは「思うに、…。とすれば、…。 よって、…と解すべきである」といった書き方で、 「なんだか、説得的でかっこいい!」とか思ったものだった。 ぼくは、この規範定立部分にすごいこだわりを持ってしまった。 ここの部分でビシッ!!とした内容を書けば、 そりゃあもうホームラン答案間違いなしでしょ、と信じて疑わなかった。 (続く)
28 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:09 ID:???
【論点ブロックカードについて―22―】 論点ブロックカードというものに強いこだわりを持っちゃった、 その犯人が伊藤真以外にもいるとしたら、当時の合格体験記だろう。 まだ純粋だったぼくは、合格体験記というのは合格者が後輩のために正直に 合格の秘訣を告白するもんだと思っていた。だから多くを鵜呑みにした。 当時の合格体験記は、あちこちに「ブロックカード」という言葉が踊っていた。 そんな中で特に印象に残った合格体験記があった。 同志社大の伊藤公量という合格者が書いた体験記だ。 すなわち、法曹同人の「論証研究」には別売りのカセットテープがあるらしいが、 その論証本をテープを聴きながら読んだという。テープのスピードは3倍速。 これをひたすら繰り返すと、ある日突然、まるで天才になったかのように論証が スラスラと言えるようになる!! こんなすごい(?)「秘技」が告白されていた。 んな時代だったから、より完璧な論証を追い求め、絶対覚えきれない量の ブロックカードを(根保証まで)そろえるという勉強(つか作業)の方向性は、 複雑なものより単純なものを目指した高橋めぐみの方向性とは正反対だった。 (続く)
29 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:11 ID:???
【論点ブロックカードについて―23―】 「覚えたのに書けない」―。 こんな壁にぶつかるまでに時間がかかってしまった。 司法試験長期化の原因の一つだ。 範囲指定のある論点中心の答練を受けている間は 気が付かなかった。 「おれって、けっこう優秀?」なんて思っていたし。 ところが、次第にぼくの周りでも「書けないよね…」という声が ちらほらと聞こえてきた。 「ブロックさえあれば司法試験なんて簡単」と考えていたぼくにとって 最初の壁だった。 (続く)
30 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:11 ID:???
【論点ブロックカードについて―24―】 伊藤真はよく言っていた。 「答練が強制の契機となるんですね。 答練をペースメーカーにして、ブロックを記憶するんです」 彼の真意はわからないが、少なくとも当時のぼくは 答練に合わせてブロックを覚えてそれを吐き出す、 これを繰り返すのが「論文対策」だった。 こんな作業が本当の意味での実力アップに結びつくはずはなく、 その科目が終われば消える「はかない実力」だった。 しばしば司法試験の勉強は「ざるで水を汲むようなもの」 と言われるが、 ブロック暗記は「ワクで水を汲むようなもの」だった。 答練の1週間後には消えていた。 後になってよく考えてみれば、問題である以上、 「書く」という行為よりも前に「解く」という思考が先行することは当然だ。 そんな当たり前のことに気がつかなかったのは、 1枚のカードを「全体」ととらえていたからだろう、といまは思う。 (続く)
31 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:12 ID:???
【論点ブロックカードについて―25―】 1枚のカードを「全体」ととらえていた、これは致命的なことだった。 そうではなく、1通の答案を「全体」ととらえるべきだった。 誤解の原因は「問題提起」「規範定立」「あてはめ」という用語だ。 この3つの使い方をよくわかっていなかった。 論点ブロックカードを作り始めた頃、問題提起、規範定立、あてはめは 1枚のブロックカードの3つの部分だけを指すものだと思っていた。 「肯定すべきか否かが問題となる」という論証の始まり部分が 問題提起で、「思うに、…とすれば、…よって肯定すべきと解する」 という部分が規範定立部分、そして、 「これを本問についてみると、…ゆえに肯定すべき」という部分が あてはめだ。 実際、多くの受験生もそのような意味での使い方が多いと思うし、 受験界で一般的かもしれない。 でも、卒業後にもぐった某大学の講義で耳にしたこの3つは、 ぼくの使い方とは違っていた。 (続く)
32 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:12 ID:???
【論点ブロックカードについて―26―】 暇つぶしにもぐった大学の講義で、 教授(名前はわからん)はおよそ次のような意味で使っていた。 「問題提起」というのは、憲法第一問とか刑法第二問など、 問われている問題全体についての問題提起のこと。 たとえば「本問におけるAの請求は認められるか」という 部分を問題提起という。 「規範定立」は、結論を導くための道筋。 たとえば、外国人に人権は認められるか、 性質上どうか、限界はどうか、審査基準いかん、 という一連の流れ、ここが規範定立部分。 最後に結論として、「以上により、Aの請求は棄却されるべき」 などという部分が「あてはめ」だ。 正確には違うかもしれないが、およそこんな内容だった。 教授は、問題提起、規範定立、あてはめというものを 一通の答案レベルで使っていたのだ。 (続く)
33 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:13 ID:???
【論点ブロックカードについて―27―】 まだベテランなんかじゃねぇぞ、などとあせり始めたある日、 辰巳の喫煙所で大谷ゼミ出身のベテランと知り合いになった。 「前田先生がさぁ、私は隠れ行為無価値論者ですからって 講義で言ってたの知ってる?」 などとマニアなことを教えてくれるベテランだった。 その彼が、「大谷先生がゼミの教室に置き忘れた採点基準メモを 見たことがある」なんて言った時は驚いた。 「なになに!?」 平成元年だか二年だか忘れたが、中止犯が出題された年だ。 大谷先生のメモには3つか4つ、「中止犯の法的性格」とか、 論点名が書いてあっただけだという。 その話を聴いて「なぁーんだ、つまんねえ!」と二人で笑った。 当時のぼくたちは、確かに合格から遠かった。 (続く)
34 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:14 ID:???
【論点ブロックカードについて―28―】 「規範定立が長いんじゃないの?」 という突っ込みが入らないのでもう少し続けよう。 みなさんは「○×△の法則」という言葉を耳にしたことが あるだろうか? ある試験委員が学生にうっかり口走ったという論文答案 の採点法だ。 出所不明の根も葉もない噂なのだが、興味 深い内容なので紹介する。 「○×△の法則」とは、論文試験の答案の採点法が「○×△」 ということだ。 すなわち、答案を採点するやり方として、最初からいきなり点数 を付けてしまうのではなく、一瞬ザッと眺めてみて(直感的に?) 答案用紙の右上に○とか×を付けていくらしい。 つまり、採点作業の第一歩は、○答案、×答案、△答案の 3つに大雑把に「仕分け」をすることらしい。 (続く)
35 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:15 ID:???
【論点ブロックカードについて―29―】 最初は×答案を決める。 白紙を含む23点以下のいわゆる不合格答案だ。 次に○答案。ホームランを含む26点以上の優秀答案だ。 最後に残るのが△答案。 24点とか25点などの合否ライン上にあると思われる答案だ。 つまり、最初に全体の答案の上下を決め、 「今年はこのレベルか…」などと、おおよその平均を把握するらしい。 こうして、一通り仕分けを済ませてから具体的な点数を入れていく。 最も試験委員を悩ませるのが△答案らしいが、 全体的には、最後までしっかり読まない答案がけっこう多いらしい。 この噂を真に受けるとすると、 「論証の出来不出来なんて合否を左右しないんじゃないの?」 とも考えられる。 (続く)
36 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:15 ID:???
【論点ブロックカードについて―30―】 よく、ワンセンテンス・ワンテーマなどといわれる。 そういった答案が実際に高い評価を受けているのを見ると、 前述の○△×方式も、あながち嘘とはいい難い。 全日空の社員だった人が、マーケティング理論を応用して 3年かそこらで合格したことがあったが(しかも500人 合格時代に)、マーケティングが何よりも合理性を重んじる 学問ということからすれば、納得がいく。 要は、以下の3要素が大切なのだ。それが採点基準と言ってもいい。 @法律を使った文章で、きちんと条文を使っていること。 Aなによりも、@を前提として、すっと読めるものであること。 B司法修習所で鍛えればものになるという可能性を感じさせること。 といっても、それが難しいのだが・・・。 (続く)
37 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:16 ID:???
【論点ブロックカードについて―30―】 優秀答案とはいかなる答案か―。 ぼくのような択一止まりの受験生でも考える疑問だ。 論文8連敗のベテランSさんにとっては、もっと深刻だった。 彼はいつも悩んでいた。「G科目が毎年違う」からだ。 足を引っ張る致命的な科目が毎年、違う。 昨年は民法で落ちた、今年は刑法で落ちたという具合だ。 彼は、平成2年の刑法の問題(間接正犯の実行の着手)で、 間接正犯概念を否定したらしい。 答案の内容について詳しくは聞いていないが、 彼は「説得力があった」と言う。しかし、G。 これで、その年は落ちたらしい。 (続く)
38 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:17 ID:???
【論点ブロックカードについて―31―】 当たればホームラン、外れれば空振り三振という答案を書く 通称・実力者、別名ベテランは意外に多いと思う。 そういう人たちに対してこそ、ブロックカードは有効なのかもしれない。 司法試験の勉強を始めたばかりの自称・受験生が手を出すモノではない、 ぼくはそう思う。 具体的に言おう。 伊藤真は昭和56年に司法試験合格後、 レックで「黒木正爾」という名前で講師のアルバイトをしていたらしい。 アルバイトの時期が司法修習と重なっていたかどうかは知らないが、 当時を知る大ベテランの話によると、 「黒木講師」の名は全国にとどろいたらしい。 驚くべきことは、黒木講師の信者は長年論文に落ち続けている 「ベテラン」たちだったという事実だ。 決して、若手受験生を相手に短期合格をうたう講師ではなかった。 おもしろいものを次に紹介しよう。 (続く)
39 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:17 ID:???
【論点ブロックカードについて―31―】 当たればホームラン、外れれば空振り三振という答案を書く 通称・実力者、別名ベテランは意外に多いと思う。 そういう人たちに対してこそ、ブロックカードは有効なのかもしれない。 司法試験の勉強を始めたばかりの自称・受験生が手を出すモノではない、 ぼくはそう思う。 具体的に言おう。 伊藤真は昭和56年に司法試験合格後、 レックで「黒木正爾」という名前で講師のアルバイトをしていたらしい。 アルバイトの時期が司法修習と重なっていたかどうかは知らないが、 当時を知る大ベテランの話によると、 「黒木講師」の名は全国にとどろいたらしい。 驚くべきことは、黒木講師の信者は長年論文に落ち続けている 「ベテラン」たちだったという事実だ。 決して、若手受験生を相手に短期合格をうたう講師ではなかった。 おもしろいものを次に紹介しよう。 (続く)
40 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:18 ID:???
【論点ブロックカードについて―32―】 かつてレックでは「起案例百撰」という論証集のようなもの を出版していた。 レックの答練で受講生が書いた答案の中から 論点の部分を抜き出して掲載した。 主な基本論点はほぼ網羅してある。 論証はそれぞれ罫線で四角に囲まれ、最後に<評>として、 伊藤真がコメントを記している。 「流れのある、迫力のある答案」とか、 「前半で―と書いて、後半で―と書くのは論理矛盾」といった具合だ。 出来のいい論証だけでなく、いま一歩のものも収録してある。 これが発展して「論点ブロックカード」になったのかは知らないが、 いろいろな書き方があって、今読むとおもしろい。 近年の「金太郎飴」答案とは一味違って興味深い。 長年の「悩み」がにじみ出ているからだ。 そんな「起案例百撰」のはしがきを紹介しよう。 (続く)
41 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:19 ID:???
【論点ブロックカードについて―33―】 は し が き 「新起案例百撰」E型ノート実例集を、上梓する。 本書の旧版において、我々は、次のように記した。 ☆ ☆ 万巻の論点レジュメも、1片のE型ノートの答案には 及ばない。 その気迫をこめて編集したのが、この「起案例百撰」 E型ノート実例集である。 論文合格に向けて日夜勉学に勤しむこと久しくなると、 また、各種答練において似たような問題の答案を数多く 書く訓練を積むと、繰り返し出題され、したがって確実・ 迅速に書き上げなければならない原理原則そして論点が、 次第にみえてくる。 それまでには、「長い長い」論点つぶしの「年月」がある。 (続く)
42 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:19 ID:???
【論点ブロックカードについて―34―】 私達の編集した本書の実存価値は、かような「長いトンネル」 から、今まさに抜け出そうとしている受験生の方々にある。 すなわち、本書は、論文合格に必須の原理原則・主要論点を、 かのリーガルマインドの手法で推敲し、本試験用にそのまま役立 つように完成させたものであり、本書を熟読吟味して、なおその 真価を感得しえない方は、現在の論文合格の実力が、いささか 不足気味である、と自覚されることを希望する。(中略) 我々は、本書が、茫洋とした司法試験砂漠において、滋養に満ちた、 清澄なオアシスたらんことを願う。 昭和59年10月10日 司法試験問題を考える会編 代表 伊藤 真
43 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:21 ID:???
【論点ブロックカードについて―35―】 論点ブロックカードは「無から有を生み出す」道具ではなく、 「有を限りなく無にしていく」、そういうツールなのではないか。 自由な発想で書ける人は、カードで論証を固めてしまって、 なるべく大崩れしないように守る。 こういう使い方なら意味があるのかもしれない。 論点についての理解がほとんどゼロのまま、 論証の「パターン」だけを押さえても使い物にならない。 「よくわからないから覚えちゃえ!」という使い方は、 出題範囲が限定されていて暗記準備が可能な答練でなければ さほど威力を発揮しないのではないか。 こんなことをグダグダと考えて見切りをつけたのは、 辞典のような量のブロックカード集を完成させた時だった。 「きっちり理解しなければダメだ!」などと考えて、 ぼくは次の扉を叩いた。 「基本書中心主義」―。 しかし、ここにも悲劇が待っていた。 (論点ブロックカードについて―終わり)
44 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:22 ID:???
【基本書中心主義について―1―】 司法試験の勉強を通じて学んだ大きな教訓は 「改革は緩やかに」ということだ。 壁にぶつかって、次の一歩を踏み出そうとする時、 別列車を発車させてはいけない。 リスクが大きすぎる。 現在のやり方、今までやってきたことを土台にして、 緩やかに修正を行うべきだった。いま、そう思う。 予備校学習が飽きてきたせいかもしれない。 あるいは、多少知識が付いて生意気になり始めていた のかもしれない。 「これでは足りない」と思った次の一歩に基本書精読を 選んだことは結果的には失敗だった。 いやむしろ「失敗するようなやり方をした」と言ったほうが 正確かもしれない。 (続く)
45 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:24 ID:???
【基本書中心主義について―2―】 かつて、中央大学には「真法会」というベテラン養成所があった (いまは知らん)。 その名誉ある(?)会員試験に同級生のT君が合格した。 彼はまるで現役合格を手中に収めたかのように喜んでいた。 思えば、バブル真っ只中の派手な学生時代だった。 多摩動物公園駅近くの駐車場にはポルシェやベンツなどの高級車が ズラッと並んでいた。 そんな時代に1年生から司法試験に打ち込むなんて、絶対に「変人」 だと思うが、T君はまさにそういうタイプだった。 地下の生協で買った「中央」のロゴ入りTシャツを3日連続で着てくるような 彼とはあまりお友達になりたくなかったが、真法会に合格したとあっては 邪険にはできない。 ぼくも多少は司法試験に関心があったので彼に勉強方法をきいた。 「ねえねえ、おれさぁ、独学で在学中合格したいんだけど、どんなやり方 がお薦めなのかなぁ?」 彼は、先輩からの受け売りだったが親切に教えてくれた。 「基本書を自分のものにすることだね。1回目はサラッと全体を眺めるように 読む。2回目はややじっくりと落ち着いて読む。3回目は、重要なポイントを 意識しながら腰を据えてしっかり読むんだよ」 (続く)
46 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:24 ID:???
【基本書中心主義について―3―】 T君は続ける。 「1回で理解しようとしたらダメだよ。最低、3回は読まないとね」 自信満々に熱弁するT君。しかし、実は3回読んでも理解できない 基本書があるらしい。 T君はある日、真法会の先輩に相談した。 「先輩、サトコウが全然わかりません」 彼は、基本書を変更しようかどうか、真剣に悩んでいた。 しかし、先輩は明るくこう言った。 「いいか、それはな、読み方が甘いんだ。もう1回読め。 それでも理解できなかったらもう1回読め!その繰り返しだ。 いつか必ず理解できる」 (続く)
47 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:25 ID:???
【基本書中心主義について―4―】 理解できなかったらもう1回、それでもダメならもう1回! いまでは笑い話だが、当時ではかなりまともなアドバイスだった(と思う)。 こういうことを中央大学の法学部教授たち、OBたちは平然と言っていたし、 司法試験受験生の必読書だった「受験新報」の巻頭言にも似たようなことが 繰り返し繰り返し書かれていたと記憶している。 昭和50年代の「500人時代」の勉強法は、まず(1)基本書を読むこと。 そして徹底的に理解する。 次に(2)基本書をベースに論点ノートを作る(論点をつぶす)。 そして(3)答練を受ける。再び基本書を読む。この繰り返しだったようだ。 伊藤真が「長い長い論点つぶしの年月がある」と書いたのは、 まさに(1)と(2)の段階で、この段階を終えるのに5年以上かかってしまう のが通常だったのではないだろうか。 大学1年の夏、ぼくは(1)の段階であえなく挫折した。 (続く)
48 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:26 ID:???
【基本書中心主義について―5―】 夏休みを目前にしたある日、後ろからポンと 肩を叩かれた。 振り返ると、髪をサッパリ切って爽やかになった T君がいた。 おかしいな、あんなに油ギッシュだったのに…。 「なんか、あったの?」 一応、きいてみる。 「来週から3日間、集中特訓があるんだよ」 集中特訓?なんじゃそりゃ。 T君は、気合を入れる意味でバッサリと散髪して きたらしい。う〜ん、なんの特訓か、すごく気になる。 「基本書読み込み特訓だよ」 T君は目をギラギラさせて言った。 (続く)
49 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:26 ID:???
【基本書中心主義について―6―】 基本書読み込み特訓!? T君は初参加なので、具体的な内容は知らないと言う。 自分の使用している基本書を当日持参するようにとの ことらしい。 その特訓に参加すると、あの難解な基本書がスラスラ 読めるようになるのだろうか? 「基本書読み込み特訓」とはどんな特訓なのか、 まだ司法試験に未練を残していたぼくは、 1週間後、特訓が開催されている教室を覗きに行った。 (続く)
50 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:27 ID:???
【基本書中心主義について―7―】 将来役に立ちそうなレジュメでもあったら盗んでこよう、 などと胸を膨らませて教室を覗いてみた。 しかし、シーンと静まりかえった教室にページをめくる音だけが 響き渡っているだけだった。 受講生(?)は30人ぐらいいただろうか。 クソ暑い夏、狭い教室に缶詰めになって黙々と基本書を読んでいる。 これを朝から晩までやる。 う〜ん、まさに司法試験という感じだ。これも青春だなぁ。 「試験に出る英単語」の森一郎のはしがきを思い出した。 議論したり、教授が指導するわけではない。ひたすら読む。 基本書の精読というものは、1人でやると非常に辛く、だらけてしまう。 だから、仲間と一緒に机を並べて頑張ろうというわけか。 とにかく、基本書を理解しなければ司法試験というゲームは始まらない。 そういう時代が、かつて存在したのだ。 (続く)
51 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:28 ID:???
【基本書中心主義について―8―】 だれがそう名付けたのか、「教科書」ではなく「基本書」などと呼ばれる。 その理由は、内容の難解さに敬意を表する意味が込められているからだろう なんて思ったことがある。マジで、初心者には意味不明だ。 せっかく法学部に入ったんだから、よぉーし、頑張っちゃおうかな! と意気込んでも、たいてい一瞬で砕け散る(はずだ。ふつう)。 1ページ読んでは寝て、また1ページ読んで寝る。 ある漫画で、不眠症の女性がバッファリンを飲むシーンを見たことが あるが、眠りたいのなら絶対に「基本書」だろうと思ったものだ。 そして同時に、自分はかなり頭が悪いんじゃないのかと真剣に悩む。 大学1年の冬、後期試験が近づいて再び「基本書」と再開することに なった。 「自分には脳ミソが足りない」という命題をまだ完全に認めたくないぼくは、 T君が真法会の先輩にしたのと同じような相談を民法の教授にした。 「サッパリ理解できないのですが、自分には才能がないのでしょうか?」 (続く)
52 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:29 ID:???
【基本書中心主義について―9―】 教授は真面目に答えてくれた。 「うーん、たしかにいきなり基本書というのは難しいかもしれない。 最初はもっと平易な入門書から読んだほうがいいかもしれないねぇ」 えっ!? 真法会の先輩のアドバイスとはちょっと違うぞ。 これは期待できるかもしれない。 教授は天井を少し見上げてから、キッ!とぼくの目を見つめて言った。 「まずは我妻先生の民法案内を読んでみることだね。これはねぇ、 初めて法律を学ぶ人にはもってこいの本なんだよ」 教授は熱く語る。この「民法案内」という本を読んで、まず民法とは何か、 法律的なモノの見方や考え方をつかんでから基本書を読むべしと言う。 なるほど…。 ぼくは早速、大学の生協で民法案内を買った。 そして、帰りの電車を待つ多摩動物公園駅のホームで、買ったばかりの 民法案内を袋から出して、開いてみた。 なんか大きな活路が見えるかもしれない! ワクワクしながら読み始めてみた。 しかし、電車が高幡不動の駅に着く頃には、ぼくの大きな希望は早くも 砕け散っていた。 全然分からない…。 (続く)
53 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:31 ID:???
【基本書中心主義について―10―】 少年ジャンプやプレイボーイ程度しか読まないぼくにとって、 我妻先生の「民法案内」はかなりハードルの高い本だった。 そういえば、大学入試のために小林なんとかという人の本を 読んだことがあるが、う〜ん、それ以上に苦痛じゃ。 「案内」というぐらいだから、もっとやさしい内容かと思っていたが、 甘い甘い。唯一理解できたのは、我妻という先生はすごく勉強が できた人なんだなー、ということだった。 結局、司法試験「受験生」にすらなることができないまま、 大学4年になってしまった。 こんなことなら入学と同時に予備校に通っていればよかった、 などと後悔しても遅かった。 (続く)
54 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:31 ID:???
【基本書中心主義について―11―】 今思えば、予備校に通うことを「かっこ悪い」と考えたことが 大きな障害になった。 しかし、こういう考えは当時は決して少数派ではなかった。 ある学者が法律雑誌に書いていた。 「親の経済力を背景に予備校などというところに通い、雑魚本 を暗記して司法試験に合格する。そんな人間が、一体いかほどの 法曹になれるというのだろうか…」 そのとおりだ! と思った。 そんな風に意地を張って独学を貫こうとした学生はわりと多かった (のではないだろうか)。 特に中央大学はその風潮が強かったかもしれない。 しかし、転機は訪れた。 就職活動シーズンに突入した大学4年の春、生協でふと手にした レックのパンフレットが人生を変えた。 司法試験全7科目入門講座。 入門講座だけで合格レベルに!などと書かれたあのパンフレットだ。 (続く)
55 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:32 ID:???
【基本書中心主義について―12―】 司法試験予備校のパンフレット。 ぼくは学食の隅の席に座って、何度も何度も穴があくほど 読み返した。 階段を1段上ったところで転げ落ちるイラスト。 <他校>とか書いてある。 その隣に、階段を2段上ったところで笑っているイラスト。 ガッツポーズで「最終合格!!」とある。レックのことだ。 トップページには笑顔の合格者の写真が2発。 入門講座→択一基礎力完成講座→論文基礎力完成講座 →最終合格!!なんて図がある。 「レックの2年合格システムで受かりました!という体験記。 ぼくでも2年で受かるような気がしてくるから不思議だ。 「そりゃぁ、金さえ出せば合格させてくれるんだろう、当然」 と思った。反町会長の「ご両親へ」を何度も読んで暗記した。 よし、これを言おう! いつしか、ぼくの頭の中は「司法試験合格作戦」から「親に いかに金を出させるか作戦」に変わっていた。 (続く)
56 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:33 ID:???
【基本書中心主義について―13―】 基本書学習という「入り口」で挫折したぼくにとって、予備校は 最後の最後の、頼みの綱だった。 本音を言えば使いたくなかった。 「勉強というものは独力でやるもの。金で合格を買うなんて邪道」 という信念(?)というか、クソみたいなプライドがあった。 仕方がない。何も残せないまま大学4年だ。 強がりを言っている場合じゃない。 それは、「自力本願」から「他力本願」への転換だった。 金で司法試験合格を買おう。そう決心した。そして、水道橋のレック 東京本校に向かった。駅を降りて神社の前を通りながら思った。 「仕方がない。2年の辛抱だな」と―。 今思い出だすと、まったくお恥ずかしい。 (続く)
57 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:34 ID:???
【基本書中心主義について―14―】 「司法試験はね、ずいぶんと楽になりました。みなさんはね、 ホントに恵まれてますよね!」 軽快な口調で話す岩崎講師。レック入門講座のガイダンス 会場は満員御礼の大盛況だった。 教室の一番後ろの入り口付近には、入門講座で使用する 「全体構造テキスト」が全科目並べてある。 そして、そのすぐ隣に有斐閣双書の民法が全巻、全体構造 テキストよりも高く上に積まれている。 岩崎講師は両手をいっぱいに広げて言う。 「我々が受験生の頃はね、我妻先生の民法講義っていう、 こぉーんなにある本をね、必死の思いで読んだもんですよ。 双書でも10冊ぐらいあるんですからね」 そう言って、教室の後ろの方を見る。会場の学生たちもみんな 一斉に振り返る。 「あー こりゃあ、大変だ」という表情。 「でもね、みなさんはその必要はありません。これだけ、これだけで いいんですからねっ!」 (続く)
58 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:34 ID:???
【基本書中心主義について―15―】 合格に必要なことは、たいてい予備校がやってくれる。 受講生はカリキュラムに従って、講師が指示したとおりにやれば受かる。 「役割分担」、そんな言葉も使っていた。 あの難解な基本書をプロが解読し、平易な薄い本にまとめた。 ぼくたちは、講義を聴いてその内容を理解すればいいだけだ。 なんてラクチンなんだ! 帰宅後、「卒業旅行に行かないからレックに行かせてほしい」などと説得、 めでたく親から金を引き出すことに成功した。 翌日、レックの受付に申し込みに行った。 しかし、最後の最後でまだ踏ん切りがつかない。 「基本書を買って残りを懐に入れようか?」などと迷いながら、受付の女 の子にきいた。 「あのー、岩崎・萬年山の生クラスを申し込もうと思ってるんですが、 ぶっちゃけた話、何先生のクラスが一番人気ですか?」 必死だった。 意外にも、彼女は表情をまったく変えずにサラッと答えてくれた。 「あ、もちろん伊藤先生です」 ぼくはまだ、伊藤先生のガイダンスを聴いていなかったのだ。 (続く)
59 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:35 ID:???
【基本書中心主義について―16―】 「伊藤真」という名の司法試験界のカリスマ。 彼は大学4年で司法試験に合格した後、レックで 指導を始めたが、頂点に登りつめるまでさほど時間は かからなかった。 「論点ブロックカード」 彼が編み出したと言われる魔法の道具。 基本書をわかるまで読めという根性論が 幅を利かせていたこの時期、まさに 救世主として名をはせたのだった。 「やればできる。かならずできる」 みんなを虜にさせた言葉も今となっては 懐かしい。 (つづく)
60 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:38 ID:???
【基本書中心主義について―16―】 生きていくうえで最も重要なのは「勘」ではないだろうか と最近思うのだが、その時のぼくの勘は果たして正しかった のだろうか。 「伊藤先生の講義にしよう!!」 一度も会ったことがないのに、すでに心は決まってしまった。 「一番人気は伊藤先生」と教えてくれた受付の女の子に深々と 頭を下げて感謝した。 2日後、ぼくは伊藤真の無料ガイダンスに出席した。 岩崎先生のガイダンスの時も満員だったが、今回はそれ以上だ。 「そこ、詰めてくださーい!!」レック社員の声が会場に響く。 3人掛けの机に3人。 隣の人と肩が触れるぐらいギュウギュウ詰めだ。 岩崎先生の時と比べると、出席者の目つきが真剣に見える。 会場担当者の数も多い。 「やはり、大御所なんだろう」期待は膨らんだ。 そして、会場がシーンとなった。ついに現れた!! (続く)
61 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:39 ID:???
【基本書中心主義について―17―】 「みなさん!こんにちは!!」 スラッとした体格と爽やかな笑顔。そして何よりも声がイイ!! マイクがいらないぐらい、教室全体に響きわたる声。 その明快な語りは、とにかく説得力があるとしか言いようがない。 周りの学生たちも身を乗り出して聴いている。 まるで、吸い込まれるようだ。すごい!すごい、すごいっ!! ぼくは一瞬で彼のトリコになってしまった。 迷いはすべて吹き飛んだ。 新興宗教にハマル瞬間というのは、こういうものかもしれない。 伊藤真がマイクを持ってから、まだ10分ぐらいだろうか、 ぼくは話の終わりを待たずに教室を出た。 ダッシュだ!! 「まだ間に合うだろうか?定員になっていないだろうか?」 ハラハラしながら5階から2階への階段を一気に駆け下りた。 そして、即行で申し込んだ。 予感は的中した、やはりすごい講師だ!(と思った) 「伊藤先生は、ぼくの人生を変えてくれました」 合格体験記にはそう書こうと誓った。 そのとおり、本当に人生を変えてくれたのだ。 (続く)
62 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:39 ID:???
【基本書中心主義について―18―】 「みなさんは、そこに座っているだけでいいんです!」 伊藤真は口癖のように言っていた。 予習は効率が悪いから不要と言った。 講義ではよく、「ここは出ません!」と言い切った。 まるで、自分が試験問題を作っているかのようだった。 論点については格付けをした。 「これはAランク… いや、うーんと…Bプラスぐらいかな…」 いま思えば「おいおい」という感じだが、当時はそう思わない。 消しゴムで消す音が教室中に響きわたった。 伊藤真の講義を聴いて、言われたとうりにしていれば受かる。 彼の言うことすべてが合格のための「法」だった。 だから、彼の一言を聴き逃すことは許されなかった。 ぼくは、クラスリーダーに見つからないようにカセットに録音した。 自宅に帰って板書を書き直し、不明なところはテープで補充。 「ここは、ブロックです!」と言われたところは「ブロック化」した。 C型答練に合わせて暗記した。いつも25−28点だった。 こうして、ぼくのレック1年目はあっという間に過ぎた。 (続く)
63 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:44 ID:???
【基本書中心主義について―19―】 小・中、高校と、決して優等生ではなかったぼくにしては 上出来だった。 伊藤真の入門講座を一度も欠席しなかったのだ。 「座っているだけでいいですから」という掟(?)を破って 予習もしたし、ブロックカードも用意した。答練も受けた。 ぼくオリジナルの「入門講座ノート」もいい感じに仕上がって いる。物権変動の明認方法のあたりなんか、緑と茶の色鉛筆 を使ってカラーに仕上げた。タックインデックスも付けた。 ブロックカードのカバーは、憲法は赤で民法は黄色、刑法は 青だ。ラベルはネームランドできれいに作った。 Aランクの論点は金色のシールを貼った。Bランクには銀、 Cランクには赤。重要度が一目で分かる。 「完璧だっ!!」 合格への準備は整った。万全だ、そう思った。 (続く)
64 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:45 ID:???
【基本書中心主義について―20―】 伊藤真の入門講座を受けて以来、何かが変化した。 町を歩いていても電車に乗っていても、何かが違った。 自分に自信がついたというか、何かが取り付いている ような、そんな不思議な状態だった。 憲法の崇高な理念から見下ろすと、世のすべてが下等に 映った。 「そもそも…」が口癖になった。 ベテラン風の受験生を見ると「クソが!」と思った。 後ろから石を投げつけてやりたい気分になった。 かなり生意気な、勘違いのくそガキだった。 どこかで力試しをしてみたい、そんな衝動にかられた。 たまたまレック近くの丸沼書店で、おもしろいものが 目に入った。 「NESゼミナール」というマイナーな予備校の定義カードだ。 (続く)
65 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:46 ID:???
【基本書中心主義について―21―】 伊藤真はよく言っていた。 「定義を大切にしてください。定義がビシッと書けるかどうか、 これで答案の印象がグッと違ってきます」 そういえば、ぼくはまだ定義カードというものを用意していな かった!まずい!これは重大なミスだ。 完璧と思ったぼくの合格ツールに穴があったのだ。 なんとしてでも定義カードを用意しなければいけない。 全体構造テキストから書き写そうか?いや、時間がない。 今年の論文・口述に間に合わないじゃないか! 真剣にあせった。 買うか? いや、できることなら、マイナーな「NESゼミナール」のカード は避けたい。しかし、レックの出版物リストにはない。 セミナーからも出ていない。 困った。とりあえずこのNESゼミナールの定義カードで妥協 しよう。必要があれば補充しよう。 ぼくはまず、お得意科目の刑法のカードを買った。 たしか2,000円ぐらいだったと思う。決して安くはなかった。 しかし、問題が発生した。 (続く)
66 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:46 ID:???
【基本書中心主義について―22―】 定義の言い回しが全体構造テキストと違う!! 買った後で気がついた。ブロックを暗記するときに、 一緒に覚えてしまった定義もある。 これを、いちいち修正しながら覚え直すのは大変だ。 しかし、何よりもあせったのは、全体構造テキストや伊藤 先生の板書に書かれている定義と丸ごと違う定義があったことだ。 これはさすがに不良品だろう。。。 半分ぶち切れて、返品してもらおうとNESゼミナールに向かった。 秋葉原という、司法試験とは不似合いの場所にNESゼミナール はあった。 古い雑居ビルの狭い通路を通ると、ダンボールが雑然と積まれた 横に入り口があり、中に入ると、カウンターの向こうで数人がゼミを していた。その中にいた40代後半のリーダー格のベテラン受験生 らしき係員が出てきた。 ぼくは、入門講座を修了したら実力者の仲間入りだと信じていたの で、その係員にいきなり議論を吹っかけた。 (続く)
67 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:47 ID:???
【基本書中心主義について―23―】 「この、実行行為とは、っていう定義ですけど間違いですよね! 不良品じゃないですか!?」 自信満々に言い放った。 すみませんミスでしたと、あなたかなりできますねと、そういう 「結末」を描いていた。 「実行行為とは」と書かれたカードの裏側にはこう書いてあった。 基本的構成要件に該当する行為。 レックでは法益侵害惹起の現実的危険性を含む行為をいうと 習った。全然違うじゃないかっ!! 間違った定義を載せるなと言って、ぼくは係員に迫った。 ところが、係員は気の毒そうな顔をして、まるで出来の悪い 生徒を見るような目をして、こう言った。 「あ、これ団藤説だから」 え??? その時ぼくは、係員の言っている意味が全然理解できなかった。 (続く)
68 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:48 ID:???
【基本書中心主義について―24―】 ある学者が言った。 「法律は九学(苦学)せよ。四学(史学)と五学(語学)」 条文などの背後に流れている歴史的背景、立法の趣旨。 そして定義。すなわち、判例や学説によって定立された規範。 この2つは法律学習の二本柱なのではないだろうか。 ところで、先ほどの実行行為の定義について、最近の予備校 では2つの定義をきちんと(?)教えてくれるようだ。 「実行行為とは、形式的には――、実質的には――」 という論証カードをよく見かけるし、また予備校本などでは、 (1)形式的アプローチ;基本的構成要件に―― (2)実質的アプローチ;法益侵害惹起の―― という記載をよく見かける。 このスレを大学の新入生が見ているかもしれないので、 早いうちにやる気をなくしてもらうためにややマニアックな話 をしよう。実行行為の実質的意義としてよく見かける定義は たいてい次の2つのどちらかだ。 A. 構成要件的結果発生の直接的・現実的――行為をいう。 B. 法益侵害惹起の直接的・現実的――行為をいう。 違いは「構成要件的結果発生」という部分と「法益侵害惹起」 という部分。この違いには大きな、おーきな意味があると思うが、 何も考えずにごっちゃに使っている予備校は、けっこう多い。 (続く)
69 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:50 ID:???
【基本書中心主義について―25―】 某予備校の論点カードを見ると、不作為犯のカードはAの定義、 間接正犯ではBの定義を使っている。なぁーんも考えていないのだ。 バイトの学生が手分けして作ったんだろう。1人は大塚説で 1人は大谷説を採っているのかもしれない。 これが1冊の書物としてまとまっている(目次なんかが付いちゃって)。 で、何も知らない受験生としてはこれを「暗記」するわけだ。 問題でここを突っつかれなければ、致命傷となることもなく合格。 むしろ、こういう細かいところを日ごろ意識している受験生の方がハマル。 ベテラン行きの電車に乗ってしまう(危険性大だ)。 勉強という労働と合格という効果との「費用対効果」を考えたとき、 何も考えずに暗記したほうが早いのかもしれない。 勉強を始めたばかりの頃は、実行行為の定義について実質的意義だけ を覚えておけば形式的意義は知らなくてもよかった。 でも、「放火罪の実行の着手」なんていう判例百選の刺激的な解説 を読んだりしちゃうと、「これじゃいかん!!」なんてことになる。 で、こういうことを知った人が果たして実力者なのか、 果たして早く受かるのかというと、そうでもない。 いやむしろ、細かいことは知らないほうが早いはずだ。 見ないほうがいい。見えないほうがいい。 基本書という扉を開くことは、いわば泥沼や地雷がいくつもある 富士の樹海に足を踏み入れることを意味する。 そしてその「実行行為」の時に気合が入っていればいるほど進む 距離も長いから、ハマル確立が一層アップする。 少なくとも、ぼくの場合はそうだった。 「基本書でしっかり理解しよう!」という「実行行為」がぼくの 10年を奪った。
70 :
氏名黙秘 :03/11/26 02:57 ID:???
ああ、続きを読みたい。続きのログを持っている人がいたらよろしく。
71 :
氏名黙秘 :03/11/26 03:54 ID:???
続きはなかったんじゃないか? 36歳独身作だよね,これ。
72 :
氏名黙秘 :03/11/26 04:04 ID:???
おもろい。 いっきに読んだ。人事とは思えん。とくに塾長のあたり
73 :
氏名黙秘 :03/11/26 04:09 ID:???
おもろいか?
74 :
氏名黙秘 :03/11/26 04:22 ID:???
>>73 うん。めちゃおもろい。俺も初めて塾長の講義受けたときこんな感じを
味わったよ。
まあでもこの人と俺が違うのは暗記に対する自信かな。
俺は論証パターン見たとき、こんなにたくさん暗記できねえよ!
って感じた。だから覚えるのは定義とキーワードだけにしてなるべく自分で考える練習をしてる。
規範定立も自分で考える。しょせん法学は規範の学問だって自分に言い聞かせて。
75 :
氏名黙秘 :03/11/26 17:26 ID:???
76 :
氏名黙秘 :03/11/26 21:19 ID:???
当時リアルタイムで読んでたけど,ある日パターリと連載が止まった。 たしか2002年の択一前あたりだったと思う。 壮大なネタスレだったのか,あるいは中の人が氏んだのか……。
77 :
氏名黙秘 :03/11/26 21:38 ID:???
136 名前: 35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日: 02/05/14 11:21 ID:r0/aC5b6 人生は長い。 35歳独身はこの意味深なレスを最後に司法板から消えた。 なお偽独身は合格し日本を去った模様。
78 :
イサヲ :03/11/27 01:48 ID:nl1fpw4U
六法全書ヲスミカラスミマデアタマニタタキコムベシ。
79 :
氏名黙秘 :03/11/27 01:58 ID:???
イサオはどうでもいいからこの人の読みたいヨ
80 :
イサヲ :03/11/28 02:34 ID:Rb7NTPxM
ココハイサヲノスレッドダ。 ココニクルシジュケンセイハカンペキデナクテハナラナイ。 イサヲノオシエヲウケルコトヲユルサレルノハソレカラダ。
81 :
イサヲ :03/11/29 01:54 ID:D10SBIgb
イサヲハユウシュウナヤツダケヲアイテニスル。
82 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:36 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART1】 自信過剰なところがありながら、実は結構小心者で、 意外と情に厚いところがある青年だった。彼は、 高校からの帰り道、いかにして成りあがろうかと考えていた。 柴田孝之16歳。高校1年生。三重県の菰野という田舎町で 育った彼は、東京大学への進学を目指して日々勉強に打ち込んでいた。 「それにしても、つまらねえな」 彼の口癖だった。このままストレートに大学に進んでも 社会に出るのは早くて7年後だ。それまでに僕はもっと 世間からも、女からも認められたい。世の中をあっと言わせる ことは何かないのか。 テレビでは大学受験生にしては年をとった人々が、歓喜の 声をあげていた。「なんだろう?」 司法試験の合格発表だった。 これだ!!彼の頭の中に、将来の成り上がりの 構図が浮かび上がった。 東大になんて入る前に、司法試験受かればいいんじゃないか。 この思い付きが彼の人生を変えていくことになるのだ。 (つづく)
83 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:38 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART2】 柴田は、早速、町にひとつしかない本屋に行った。 どこの田舎町にもあるさびれた、小さな個人経営の本屋だ。 「司法試験の本をください」 70歳をゆうに超えたと思われる店主が聞き返した。「何の本だって?」 「司法試験の本です」 柴田は繰り返した。 「僕、司法試験を受けるんです」 「ああ・・、ううう・・」 老店主は明らかに混乱していた。 無理もなかった。人口1万人にも 満たないこの町で「司法試験」などという ものにチャレンジするものなど いるわけがないのだ。 柴田は田舎に生まれた自分の境遇を呪った。 「仕方がない。市内に買いに行くか・・・。」 やりきれない気持ちを抱きながら、1日に4本しか 来ない、バス停へと向かった。 「次のバスは・・・、6時20分か・・。 2時間待ちだな・・・。 彼は、かばんから 試験に出る英単語(通称シケタン) を取り出すと、付箋の貼ってあるページから暗記を始めた。
84 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:40 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART3】 バスに乗って30分程。5階建ての書店に着くと 柴田の心は高鳴った。いつもそうだ。新しい書籍が色々な世界に引き込んでくれるのだ。 一回の受付で尋ねた。 「司法試験の本を買いたいのですが」 25歳くらいと思われるその女性はにっこりと微笑みながら言った。 「4階です」 「あのう、僕、司法試験受けようと思うんです。 結構難しいんですよね、あの試験って。」 聞かれてもいないのに柴田はよくしゃべった。 4階には色々な本があった。それにしても、あまり体裁のきちんとしたものがないように思われた。 柴田は、とりあえず、分厚い法律の本を手にとってレジへ持って行った。 「2万5千円です」 「はあ?」 6科目で一冊づつ買っただけだぞ。そんな訳はないだろう。柴田は、値段を確認した。 「・・・・・・」 すべての本を元の場所に戻し、受験新報のみを買うと、失意のうちに家路についた。 「先は長いなあ・・・・。」 でも、このとき彼は自分の思い違いにまだ気づいていない。
85 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:41 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART4】 家に帰ると、柴田は受験新報を熟読した。昨日買った新しいエロ本はとにかく後回しだ。 司法試験は、理論的には、一歳の子にも受験資格があるらしい。じゃあ、問題ないな。さて、どんなもんだ。 その月の受験新報は、その年の論文試験の解答を解説していた。 「何だ、結構なんとかなりそうだな」 次の日法務省に電話した。 「司法試験を受けたいんですが」 「4年制大学で一般教養の単位を修得されていますか?」 「は?僕、高校生なんですが・・・」 「それでは、一次試験からの受験になりますね」 「一次試験?」 「ええ」 「・・・・・・・」 なんだ、だめじゃねえか。一次試験なんて聞いてねえぞ。また明日本屋に行かなくちゃなんねえじゃねえか・・。
86 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:42 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART5】 休みをつぶして本屋をめぐったが、いくら探しても見つからない。 もう4件目でここにもありそうになかった。 「司法試験の一次試験の過去問なんてどこにあるんだよ」 もう帰ろうと、家路についた。 まあ、ぶっつけ本番でやってみようか、 そんなことを考えていた。
87 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:42 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART6】 東大を目指すのは、金持ちになりたいからだった。 でも、東大に行かなくても司法試験に合格すれば、 一気に夢に近づくと思った。 司法試験一次試験は、僕の目標を18歳東大合格から 17歳司法試験合格へとステップアップする夢の舞台。 夢を実現するには少し不似合いな小雨そぼふる日、 一次試験が始まった。 そんなに難しい試験ではなかった。さて、択一の 準備をしなくてはいけないな、なんて思いながら 筆を走らせるのは楽しかった。 「やっぱり、俺の人生って最高だね。」 「僕の人生の第二幕は、社会正義の実現に尽くします」 新聞のインタビューにはそう答えようと考えていた。
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氏名黙秘 :03/11/29 02:43 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART7】 「以下の2名を合格とする」 それだけだった。齊藤○○、池田☆☆。 「え?」 試験に失敗したことのない私は、しばらく意味がつかめなかった。 「落ちたんだ・・・」 はじめての挫折だった。何にも考えられない。こんなにつらいんだ・・・・。 ベットに入ってエロ本を読んでも、そんな気持ちにはならなかった。 というのは、嘘で、思わず4回も抜いてしまった。 あの頃は確かに若かった・・・。
89 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:44 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART8】 平成3年4月。僕はキャンパスライフを満喫していた。 東大生になっていた。文1だった。全てが思い通りに なるはずだった。 しかし、何かが違った。 コンパなるものに出てみても、東大生である 私がもてるわけではない。それどころか、 聞いた事もないような大学のやつがもてている。 「僕ちゃん東(洋)大でーす。」 なんて、許せないギャグをかましている やつがお持ち帰りをしていた。僕は、 後をつけたのだが、途中で気づかれて まかれてしまった。 ストーカー。 今であれば、私はそういわれていたのだろう。
90 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:45 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART9】 私は迷っていた。私の方程式が通用しない事に気づいてしまった。 東大入学→もてもて→女喰いまくり→一流の女と結婚 今の私は、 東大入学→コンパ狂い→もてない→ストーカー→オナニー一日5回 このままでは、まずい。でも何をすれば良いのかわからない。 女の子の家を後をつけて突き止め、にやついた顔で帰宅する途中で私は決意した。 「そうだ。司法試験をうけなくちゃ」 やっぱり、東大に受かったぐらいではだめなんだ。 このときの私は、司法試験のベテランが泥沼に はまるかのように、ずれていっていることには 気づかなかった。気づけるはずもなかった。
91 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:45 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART10】 「LECがいいわよ、きっと。伊藤先生、とっても教えるのがうまいの」 語学のクラスが同じ女の子が、僕に教えてくれた。なんでもとっても やる気にさせてくれる先生らしい。 「私、裁判官になりたいの」 私にLECを紹介してくれた女の子は、 田中みさえといった。古風な名前に ぐっときたが、もっと僕をわくわく させたのは、同じクラスのやつの言葉だった。 「彼女、ヤリマンらしいぜ」 ヤリマン!!なんて素敵な響きなのだろう。 童貞のまま、20を迎えようとしている私は 明らかにあせっていた。 しかし、このとき、田中みさえが誰に対して ヤリマンなのかを私は知る由もなかった。
92 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:46 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART11】 「LECがいいわよ、きっと。伊藤先生、とっても教えるのがうまいの」 語学のクラスが同じ女の子が、僕に教えてくれた。なんでもとっても やる気にさせてくれる先生らしい。 「私、裁判官になりたいの」 私にLECを紹介してくれた女の子は、 田中みさえといった。古風な名前に ぐっときたが、もっと僕をわくわく させたのは、同じクラスのやつの言葉だった。 「彼女、ヤリマンらしいぜ」 ヤリマン!!なんて素敵な響きなのだろう。 童貞のまま、20を迎えようとしている私は 明らかにあせっていた。 しかし、このとき、田中みさえが誰に対して ヤリマンなのかを私は知る由もなかった。
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氏名黙秘 :03/11/29 02:48 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART12】 肩がふれた時のドキドキがいつの日からか、あまり感じなくなった。 大人になったというより、擦れてしまった事を悲しく思う。 でも、その時の僕は、みさえを見つめているだけでドキドキした。 人間の幸せなんて、案外こんなものなのかな。お金でも学歴でも なくて、「ドキドキ」。いつも君をみつめていたかった。 授業が終わって僕とみさえは、近くのオムレツ屋に行った。 「ここ、きのこオムレツがおいしいんだ」 「そうなんだ。じゃ、わたしそれにするね」 「僕もそうするよ」 もう裁判官なんてどうでもいい。君を抱くことができれば 僕は司法試験なんてどうでもいいんだ・・・。 そのときの僕は本気でそう考えはじめていた。
94 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:49 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART13】 「10月から通うことにしたわ。伊藤先生の講座人気あってギリギリ入れたの」 「柴田君は、どうするの?」 僕は混乱した。僕と一緒に通ってくれるんじゃなかったのか? 「ぼ・僕は独学だよ」 「え!!独学!?」 「伊藤先生がガイダンスで言ってたわ。独学するとベテランになっちゃうんだって」 「いいんだ。お金の無駄だよ。僕は一人でやってみるよ」 お金は君との新婚生活にとっておくよ、と言いかけてやめた。 「じゃあ、お互い頑張ろうね。自習するときは一緒に図書館でしようね。」 僕は少しほっとした。やっぱりこの子、僕のことが好きだったんだな。 「何曜日に通うの?」 「火・木よ」 「そっか。終わるの9時だっけ?」 「うん、そうよ。」 「じゃあ、その後会えるね」 「・・・、ごめんね。その後、自習室で勉強したいの」 「そうか・・。じゃあ、しょうがないね・・。」 まあ、月・水・金は会えるし、土日はどちらかデートできるに違いない。」 悪くない。 しかし、このとき僕はレックの自習室は9時半までしか開いていないことを 知らなかった。彼女のその後の行き場所も・・。
95 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:50 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART14】 「ちょっと、驚かせてやろう。」ほんのいたずら心だった。 僕は、入門講座が終わる彼女を待っていた。悪気はなかった。 ただ、彼女に会いたいだけっだった。 9時がすぎて僕は、授業が終わった頃を見計らって 教室に入っていった。 「・・・・・・・・・・」 何が起こっているのか一瞬理解できなかった。 彼女が抱きしめられているのはわかった。 それを抱きしめているのが誰かは、そのときはわからなかった。 僕はレックを後にした。 次の日、彼女は何事もなかったかのように 図書館にいた。 「柴田君、結構法律の勉強って私に合ってるみたい」 彼女はいたずらっぽく笑った。 「そう・・」 彼女の笑顔が少し寂しかった。昨日の彼女は本当に みさえだったのだろうか・・・。
96 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:51 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART15】 大学での生活も、11月の声を聞くようになると、何か少し もの悲しい、淡々としたものになる。 何か楽しい事が待っているような気がしていたキャンパスライフも、 一人で生きていく事の予行演習に過ぎないのだ、そんなことがわかる とたまらなく寂しい。でも、それが大人になるってことなんだろうな。 「今年の冬も暖冬です」電気屋の横を通ると、キャスターが 昼のニュースで告げていた。「暖冬はこれで4年連続です」 そうか、僕の高校時代は毎年暖冬だったんだ。気づかなかった。 今こうして、季節を感じることができるだけでも、素敵な事なんだな。 ふらりと立ち寄った本屋で、アイドルの写真集の品定めをしたあと、 図書館に向かった。なんだか無性にみさえに会いたくなった。 「柴田君」 みさえの声はいつもやさしい。 レックの教室で伊藤真に抱かれていたことは きっと幻に違いないと思えてしまうのだ。 「冬が来るんだな」 ずっと、みさえと支えあっていけるのだろうか。 少し不安になった。 「みさえ、一緒に行きたいところがあるんだ」
97 :
氏名黙秘 :03/11/29 02:51 ID:???
【司法試験の森ーー指導者たちが立ち上がるそのときーーPART16】 新宿のバスターミナルは、平日のせいか閑散としていた。 津行きの深夜バスは、22時半にターミナルを出発する。 「僕の生まれ育った菰野(こもの)に行こう」 みさえは少し驚いた顔をして、でもこっくりと頷いた。 「でも私、泊まりの準備してないよ」 「なんとかなるよ」 「そう?でも突然だね。いったいどうしたの?」 「見せたいものがあるんだ」 そう、あれは高校の合格発表の帰りに立ち寄った 思い出の場所。 「僕の・・、原点なんだ」 「原点?」 「そう、原点・・。」 バスへの最終案内が待合室に響いた。 「さあ、行かなくちゃ。コーヒー買ってくるよ」 「・・・・・・」 そう、あれは4年前の寒い冬の出来事だった。
98 :
イサヲ :03/12/02 21:20 ID:N1v/gf1t
^コンナハナシハゴハットダ。
99 :
氏名黙秘 :03/12/02 22:43 ID:???
続きが読みたい・・
尾藤イサオ
kusosure
102 :
イサヲ :03/12/04 01:49 ID:O2HJiAO9
ショウセツヲカクナドトハモットモムダナコウイダ。ジカンノムダダ。
103 :
イサヲ :03/12/04 22:21 ID:O2HJiAO9
ワタシ、クドーイサヲ二ケイレイセヨ。
削除依頼出てたwwwwwww
105 :
イサヲ :03/12/08 02:03 ID:UlhPwhnZ
106 :
イサヲ :03/12/09 02:04 ID:ubrrtVMo
ゼッタイサクジョハサセン
超おもしろいんだげど!! あげーーーーー!!!
108 :
イサヲ :
03/12/11 01:50 ID:qfdyHxRp ヤレルモノナラヤッテミロ。フイイシンデカミスルゾ。