新☆基本書スレッド【第10刷】

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831氏名黙秘
親族法・相続法を勉強する必要があったので、この夏、幾つかの基本書を読んでみた。
その感想。

大村敦志『家族法』
 まず、この本は『家族法』というタイトルだが、いわゆる「親族法」の範囲を取り扱っている。
確かに、解釈はきめ細かい。つまり、あまり拙速に断定することなく、幾つかの対立利益や
考慮要素を取り込んで解釈している。しかし、その分、何か物足りなさを感じるのも事実。
単純に大村先生の考え方を知りたい、と思ってる人には余り向いてないかも。
 ただ、「家庭」を取り扱う解釈は慎重であるべし、という一貫した解釈観は強く感じる。
 あと、質・範囲ともに、司法試験の――少なくとも択一の――レベルを凌駕してる。人工授精の話とかも
あるしね。

潮見佳男『相続法』
 分かり易い。全体として説明が上手だと思う。数ヶ所、個人的に別の基本書を参照せねば理解できない
部分はあったけれど、漏れの頭ではどんな基本書でもそういう箇所があるので、特に分かりにくい訳では
ないと思われ。
 今回読んだ本の中では、1番試験的に向いていた。
 ただ、『債権総論』のように、新しい潮見体系を提示している、とかいう要素は皆無。勿論、所々で
書かれている判例・学説への批判は目から鱗のものが多いけれど。