【鬱】村上春樹的司法試験【part3】

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1氏名黙秘
僕はマコツに電話をかけ、択一にどうしても合格したいんだ。
話すことがいっぱいある。話さなくちゃいけないことがいっぱいある。
世界中に択一以外に求めるものは何もない。択一に通って論文を受けたい。
何もかもを択一から最初からはじめたい、と言った。
マコツは長い間電話の向こうで黙っていた。
まるで世界中の細かい雨が世界中の芝生に振っているようなそんな沈黙が続いた。
僕はその間ガラス窓にずっと額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがてマコツが口を開いた。『君、今どこにいるんだ?』と彼は静かな声で言った。
僕は今どこにいるのだ?
僕は受話器を持ったまま顔を上げ、電話ボックスの周りをぐるりと見まわしてみた。
僕は今どこにいるのだ?でもそこがどこなのか僕にはわからなかった。見当もつかなかった。
いったいここはどこなんだ?僕の目に映るのはいずこへともなく歩きすぎていく無数の人々の姿だけだった。
僕はどこでもない場所のまん中からマコツを呼びつづけていた。

村上春樹的司法試験
http://ebi.2ch.net/shihou/kako/989/989382499.html

【鬱】村上春樹的司法試験【再】
http://school.2ch.net/shihou/kako/1020/10204/1020409187.html
2氏名黙秘:03/04/29 19:09 ID:???
>>1
ノルウェイの森か。懐かしいな。
3氏名黙秘:03/04/29 19:10 ID:???
「毎年択一前になると立つのよね」と緑は言った。
4氏名黙秘:03/04/29 19:11 ID:???
29 名前: 氏名黙秘 投稿日: 2001/05/10(木) 09:50

何をしているのか? 男はフランス語で訪ねた。
「司法試験」僕は英語で答えた。
「司法試験?」
僕は簡単にルールを説明してやった。5月になったらバッターボックスに入る。
法務省が問題を投げる。僕らがそれをひっぱたく。口述まで走って一点入る。

男はしばらく聞いていたが、僕が択一にダブルプレーを三度くらった話を
聞き終わると、何故就職しないのかと僕に訊いた。
「もうベテだからさ。」
「じゃあフランスでは何の職業が人気がある?」
「キャリアスタッフ」
ありゃ、派遣企業だ。
「公務員。」
「糞(メルドー)だ。」
男はそういうとテーブルに戻った。
5高句麗 ◆OIZKOUKURI :03/04/29 19:15 ID:???
高句麗タイムスVOL.1

2chの削除荒らし削除屋@そら ★について

この削除人は常連の言う事を間に受けて依頼されたスレ全部を
よくかんがえもせずにバンバン削除していきまつ
こういう削除人にはこれを読んでる多くの人が被害にあってるとおもいまつ

ガイドラインによると

削除する人の心得
「消さなければならないもの」「消してはいけないもの」は、削除する一人一人が冷静に判断しなければなりません。
削除ができるという権限は、一歩間違えれば荒らしにもなりかねないものです。
削除人(削除屋)は、削除という手法で「できるだけ住人さんが快適に過ごせるように」
「ほんの少しだけ掲示板の方向性を指し示す」、そんなお仕事なのです。
利用者を尊重し、利用者と共に歩む、それでこそ削除人・削除屋だということを忘れずに。

だからこれは許されちゃいけないことでつ
削除人は力を持ってるぶん普通の荒らし以上にたちが悪い存在だし
これは2ch運営の腐敗を招く原因にもなりまつ
高句麗はこの削除人空という悪の削除荒らしと戦いまつ!

http://qb.2ch.net/test/read.cgi/accuse/1051580111/

削除人空は自分の行動に責任がもてるならこのスレに書き込んでね
んがんぐ
6氏名黙秘:03/04/29 19:16 ID:???

翌週の日曜日の短答本試験会場にはマコツは見あたらなかった。
僕は会場の中をざっとみわたして彼がいないことをたしかめてから
教室に向い、試験監督がくるまで「マコツからの手紙」を読むことにした。
彼は去年と同じ、60億の細胞のことを書いていた。誰でも不安になることや
受験できることのありがたさについて書いていた。そして、いつも僕たちのことを
考えている、と。
マコツと別れて8年、彼と会えなくなって僕はどれくらい彼のことを求めていたか
がわかるようになった。
君のいなくなったLECは退屈きわまりないが、自己訓練のつもりで行き、
自習している。君がいなくなってから、何をしてもつまらなく感じるように
なってしまった。一度君に会ってゆっくりと話がしたい。
もしできることならその君の作った塾をたずねて、何時間かでも面会したい。
せめて塾便りを送って欲しい。だが塾生でない僕にそれは可能だろうか?
そしてもしできることならまた前のように「こんにちは。LEC専任講師のマコツです。」
と言ってほしい。
やがて憂鬱そうな顔をした小柄な試験監督が入ってきてハンカチで額の汗を拭いた。
7氏名黙秘:03/04/29 19:22 ID:???
「受験生の択一直前の逃避行動を分析したデータが載ってるわ。
26,32%の受験生が村上春樹なんだって」
 それから僕たちは、
そのデータを掲載した朝日新聞日曜版の上で、セックスをした。
8氏名黙秘:03/04/29 19:26 ID:???
彼らのうち求めたものの多くは、すでに他界してしまっていた。
もうベテから進むこともできず、戻ることもできない。
深いマコツ塾の森の奥に永遠に・・・。
限りない喪失と挫折を描く。
今いちばん哀しい100%真実のドキュメント小説。
9氏名黙秘:03/04/29 19:50 ID:???
No40の履行補助者の過失を解き終えたところで、
僕は女性監督官に向かって挙手をした。
グリーンのミニのワンピースの若村麻由美に似た女性だった。
残り時間は105分。女性監督官をトイレでレイプしても、
十分に刑法20問を解き終える時間だ。
「やれやれ。早漏がこんな時に役に立つとは」
若村麻由美が、ドアの前に立ち、席を離れるように促した。
「強姦罪(刑法177)?
 確か挿入した時点で既遂だったな。ということは、射精は
 不可罰的事後行為?」
低声で呟いたつもりだったのに、受験番号12743が僕を一瞥した。

                        つづく
(スマソ。春樹ニナッテイナイ)
10 ◆HARU.0/weU :03/04/29 20:24 ID:???
いとまこつ的宇宙
11氏名黙秘:03/04/29 20:47 ID:???
海辺のマコツ
12氏名黙秘:03/04/29 20:49 ID:???
>>301
「春の集会」って性豊凶の行事?
1312:03/04/29 20:50 ID:???
誤爆スマソ
14氏名黙秘:03/04/30 05:39 ID:???
無理があろうとは思うが、がんばってみる。

「僕は法律を愛してきたし、今でも同じように愛しています。しかし僕と合格の
あいだに存在するものは何かしら決定的なものなのです。そして僕はその力に
抗しがたいものをかんじるし、このままどんどんベテに押し流されてしまいそうな
気がするのです。僕が法律に対して感じるのはおそろしく静かで厳しく澄んだ論理
ですが、合格に対して僕はまったく違った種類の感情を覚えるのです。それは、動き
変化し、過ぎ去ってゆくのです。そしてそれは僕を動揺させるのです。僕はどうして
いいのかわからなくてとても混乱しています。決して言いわけをするつもりでは
ありませんが、僕は僕なりに勉強してきたつもりだし、誰に対しても嘘はつきません
でした。誰かを傷つけたりしないようにずっと注意していました。それなのに
どうしてこんなベテになってしまったのか、僕にはさっぱりわけがわからないのです。
僕はいったいどうすればいいのでしょう?僕は山本先生しか相談できる相手が
いないのです」
15氏名黙秘:03/04/30 06:44 ID:DGqtKix6
最後が最高にうけた!
16氏名黙秘:03/04/30 07:09 ID:???
>>9
hagesikuwarota
17第二話:03/04/30 12:04 ID:???
【9から続く】
麻由美のハイヒールが発する音が、巨大な鯨の小腸のような廊下にこだました。
水を飲むことも許されず、耳栓を着用することも許されない三時間半。
トイレに行くことだけが、監視つきで許される。特別権力関係を激しく感じさせる三時間半だ。
麻由美がトイレの前で立ち止まり、こちらを向いた。
「あなたが今、何を考えているか、当ててみましょうか」
麻由美に分かるだろうか。僕は今、No38の売主の担保責任の正答率を予想している。
「去年の受験生の中にも、あなたのような人がいたわ。
 その人、『ドアロックが壊れて、外に出れない』とか言って、あたしを呼び寄せたの」
欺く行為は強姦罪の構成要件要素ではない。
「そして、あたしがドアの前に立つと、突然引きずりこもうとしたのよ」
実行の着手ありだな。
「それから、彼が何て言ったと思う?
『漏れ、辰巳の総択2回とも合推超えてるよ』っていうの。
 それって、そんなに価値があること?そんなこと自慢すれば、
 女の子がセックスさせてくれるとでも思っているの?」
「女の子はどうだか知らないけど、辰巳は価値があると思っているだろう」
「それなら、その辰巳とやらとセックスすれば?」
「総択はセックスではなくて、オナニーなんだ」
「あなた達が女性と接する機会って、他にないの?
 どうして試験監督の女性ばかり狙うのよ。
 受験生の中にだって、たくさん女の子いるでしょう?」
「彼女たちは、『不倫』という言葉から、
 民法770条と719条しか連想できないないんだ。
 管理委員会と辰巳が、そんな風に飼い馴らしてしまったんだよ」

                       つづく
(次回ハ、肢別本ノ債権総論読了後ニ掲載予定)
18氏名黙秘:03/04/30 14:43 ID:???
【17から続く】
麻由美の中に2度、精を放った。
時間にして4分10秒、刑法1問分のロスしかない。
「ありがとう。2chの禁オナニーマラソンに参加していたから、
 1月分たまっていたんだ」
「大事な試験中に、こんなことをしていていいのかしら?
 あなた、問題集表紙の『受験上の注意事項』は読んだの?」
「15.不正の手段によって試験を受け、又は受けようとした者に対しては、
 試験を停止し、又は合格の決定を取り消すことがあります。
 試験中に、試験とは無関係に違法な行為をしようとした者に対しては、
 適用できないと思うけど」
「それ以前の問題じゃないの」
 セックスしたとたんに、麻由美の生理が始まったようだった。
五日ばかり遅れているから、心配していた、と麻由美は言った。
「タンポンを入れるから、少しだけ待ってね」
僕は、その間に、携帯から【2003年択一本試験総合スレッド】に
合格点予想を送信した。
「やれやれ。また、高句麗に先を越されたみたいだ」

                  つづく
(次回ハ肢別本ノ債権各論読後ノ予定)
19第四話:03/04/30 16:02 ID:???
【18から続く】
今年も択一試験が無事に終了した。
ここからまた、ヴェテとしての年輪を重ねることになるともいえる。
麻由美は、解答用紙の整理をしている。
すし丸のベテランすし職人のような鮮やかな手つきだ。
これも年輪かもしれない。
試験開始前から気になっていだのだけど、
突撃隊がなぜ択一を受けているのだろう?
確か、国土地理院に任官できなかった突撃隊は、
雪印乳業でチーズを作っているはずだ。
「やれやれ。突撃隊もリストラか」
麻由美の隣りに立っている男性の監督官が、退場を許す旨を宣言した。
これから、予備校のパンフ攻めをかいくぐって帰宅しなければならない。
黒板の前で麻由美と目が合った。
来年はローへ進学するから、もう麻由美には会えないかもしれないと、
僕は思った。

                      つづく
(次回コソ肢別本債権各論ヲ読了後ニ掲載予定)
20氏名黙秘:03/04/30 16:25 ID:ry6/Wttr
今年はもう立たないのかと思ってた
》1さんありがとう
21第五話:03/04/30 18:10 ID:???
【19から続く】
「ねえ、過去ログ見てみなさいよ。あなたこのスレの趣旨ぜんぜん
 取り違えてるから」
 と突然麻由美がベットの中で言った。
「それに、本試験中にセックスするなんて、ちょっと異常だと思わない」
「民法の肢別本と刑法の7年度以降の過去問以外は、やらないんだ。だから、
 過去ログも見ない。それに、緑よりも麻由美とやりたかった」
「それって変よ。春樹のパロディ以外はダメなのよ、ここは」
「春樹の本は持っているけど、こんな忙しい時期に、パロっている暇なんかないよ」
 と僕は笑った。
「原文覚えてないの?」と麻由美はため息をついた。
「覚えているようだったら、ヴェテやってないか」
22番外編一話:03/04/30 18:21 ID:gS3/GbB8
「司法試験やめたんだって?」
「二ヶ月も前の話だぜ」
と僕は窓の外に目をやったまま言った。サングラスを外すと目が痛んだ。
「どうしてやめたんだ?」
「個人的なことだよ」
「知ってるよ」
と彼は我慢強く言った。「個人的じゃない撤退なんて聞いたことも無い」
僕は黙っていた。お互いの答練の点数に触れないことが長年に渡る我々の
暗黙の了解だった。
「余計な詮索をするつもりは無いんだ」と彼は言い訳した。
「でも君は伊藤真塾長のゼミではあんなに楽しそうに外国人の参政権の
論点を語っていたしさ,ちょっとしたショックだったんだよ。それに君は現行
が続く限り受け続けると思っていたからね」
「ずっと受けていたよ。それに塾長が嫌になったわけでもない」
相棒は困った顔をして黙り込み,あいかわらずもう本試験では使えない
青いボールペンの先で手のひらをつつきつづけていた。彼は濃いブルー
のシャツに黒いネクタイを締め,髪にはきちんと櫛が入っていた。
オーデコロンとローションの匂いは揃いだった。僕はギルティギアの
図柄のTシャツに,真っ白になるまで洗った古いリーヴァイスと手垢に
まみれた肢別本といういでたちだった。誰が見ても彼のほうがまともだった。
23番外編二話:03/04/30 18:40 ID:???
「とにかく,我々は変わったと思わないか?」
「同じだよ。誰も変わってない,何も変わってない。」
「本当にそう思ってる?」

「先週君は,つまり我々は,渥美刑訴で書く論文攻略ゼミを開いた。
実際のところ悪くないゼミだった。評判もよかった。でも君はこの何年か
渥美刑訴を読んだことなんてあるのか?」
「ないよ。刑訴法220条1項2号準用説は嫌いなんだ」
「俺も無いよ。結局そういうことさ。少なくとも昔の俺たちはきちんと基本書
を読んで,それが誇りでもあったんだ。それが今は無い。昔のセミナーの
講義テープをヤフオクで買って講義してるだけさ」
「渥美刑訴は本質を捉えているよ。3年次合格だし,城の法理だし,都市社会
の犯罪との戦いだし,マグナッブ=マロウリ法理だ」
「じゃあ自分で答案に書けよ」
僕はソファーに沈み込んで,ゆっくりと手足を伸ばした。
24第六話:03/04/30 19:18 ID:???
【21から続く】
「今日は2chばかりなのね」と麻由美は言った。
「肢別本詰め込みすぎて、頭が痛いんだ」
「勃起すると扁桃腺が痛くなる病気のことは聞いたことがある?」
「知らないな」
「昔どこかでその話を読んだことがあるの。任官一年目のことだったかしら。
 何の本だったかどうしても思い出せないんだけど…。
 とにかくそれは蒼井そらのDVDを見た司法試験受験生がかる病気なの。
 ねえ、想像してみて。
 あなたは司法試験受験生で、八王子の田園地帯にたった一人で住んでいるの。
 そして、毎日毎日蒼井そらのDVDを見てるの。
 ただそれだけ。
 そして、勃起するたびに扁桃腺を腫らし、ボーっとした頭で、
 総択2回目を受講し、合推マイナス7点で鬱になるのよ」
「それは、あと10日で過去問2回は回そうっていうのとは
 ずいぶん違った種類の人生のように聞こえるね」
「まあね」と言って麻由美は微笑んだ。そして、ほんのちょっと首を傾げた。
「ずいぶん違うでしょう。そして、それが何年も何年も、毎日続くの」
25bloom:03/04/30 19:21 ID:tXhJgQmH
26氏名黙秘:03/04/30 23:29 ID:Jly1NiDE
まこつは言った。
「ベテの人生は基本的に、彼が最初に論文を受けた25歳の時点で停止している。
いや、そのポイントは25歳ではなく、もっと前かもしれない。僕にはそこまではわからない。
しかし君はそのことを理解しなくちゃいけない。
彼の魂に埋め込まれた時計の針はその前後のどこかでぴたりと停まっているんだ。
もちろんそのあとも外の時間は流れつづけているし、それはもちろん彼に現実的な影響を及ぼしている。
でもベテにとってはそんな時間はほとんど意味を持たない」
「意味を持たない?」
27氏名黙秘:03/04/30 23:36 ID:jrN4+eVb
続き→
まこつはうなずく。
「ないも同然ということだよ」
「つまりベテはずっと、その停まった時間の中で生きてきたわけ?」
「そのとおりだよ。しかしどのような意味合いにおいても、彼は生ける屍なんかじゃない。
あと二・三年もすれば、それは君にもわかるはずだ」
28氏名黙秘:03/04/30 23:37 ID:RbNKR8sr
まこつは手を伸ばして僕の膝に手を置く。とても自然な動作だ。
「田中カフカくん、僕らの人生にはもう後戻りができないというポイントがある。
それからケースとしてはずっと少ないけれど、もうこれから先には進めないというポイントがある。
そういうポイントが来たら、良いことであれ悪いことであれ、僕らはただ黙ってそれを受け入れるしかない。
僕らはそんなふうに生きているんだ」
29氏名黙秘:03/04/30 23:49 ID:5WKYKZVU
「もうひとつ、君に知っておいてほしいことがある」とまこつは言う。
「それはベテはある意味では心を病んでいるということだ。
もちろん僕だって君だって、心を病んでる。
多かれ少なかれ。それは間違いない。
しかしサスはそういう一般的な意味を超えて、《もっと個別的に》病んでいるんだ。
魂の機能が普通の人とは違った動きかたをしていると言っていいかもしれない。
しかしだから彼が危ういとか、そういうんじゃない。
30氏名黙秘:03/04/30 23:56 ID:4c5IDhLe
続き→
日常生活においては彼は極めてまともだ。
ある意味においては僕よりまともだ。
ただ彼についてもしなにか不思議なことがあったとしても、それは気にしないでほしい」
「不思議なこと?」と僕は思わず聞きかえす。
まこつは首を振る。
「僕はサスのことが好きだ。期待もしている。
君も同じような気持ちを彼に対して抱いてくれる」
それは僕の質問に対する直接のこたえにはなっていない。
しかしまこつはそれ以上なにも言わない。
「やればできる。かならずできる。」
そう繰り返すばかりだった。
31氏名黙秘:03/05/01 00:05 ID:???
面白い。がむばれー!
32番外編三話:03/05/01 00:26 ID:???
>>23より
「我々は昔受験生だったよな」と相棒が言った。
「今でも受験生だよ」と僕は言った。「ずっと力をあわせてやってきたんだ」
「撤退して欲しくなかったんだ」
「知ってるよ」と僕は言った。「でもそろそろロースクールの話をしないか?」
彼は肯いて自然食品を缶に戻し,指の先で瞼をこすった。
「佐藤幸治が来たのは今朝の11時だった」と相棒は言った。
33氏名黙秘:03/05/01 00:54 ID:jGoma/8a
「正直に告白すると、私は生まれてこのかた一度も働いたことがないのよ」と彼女は言った。
「一度も?」
「ただの一度も。アルバイトしたこともないし、就職もしなかった。労働と名のつくものを経験したことがないの。私はいつもずっと一人でデバイスを読んでいただけ。」
「デバイスを使っている方が、あるいはまともなのかもしれないよ」と僕は言った。
そして彼女の手を放した。
「シケタイを読んでいるとね、いろんなものがだんだん魔コツ、いや磨耗していくんだ。少しずつ、知らないうちにすり減っていくんだ」
34氏名黙秘:03/05/01 01:06 ID:40VjbsvV
「でもあなたにはわかってないのよ。何も生み出さないというのが、どんなに空しいものかということが」
「僕はそうは思わないね。君はいろんなものを生み出しているような気がするな」
「たとえばどんなものを?」
「たとえばかたちにならないものを」僕は言った。
僕は膝の上に置いた自分の論証パターン集に目をやった。
島本さんは第一版のデバイスを手に持ったまま長い間僕を見ていた。
「それは手作りの論証パターンのようなもののこと?」
「そう…だよ」と僕は言った。
刑法。出た。A君の発言に矛盾しないものの( )に入る語句問題が3題。
虫食い算型穴埋め問題が5題。
解く。出来る。ハイレベルで鍛えた実力。林冲は狂喜した。
やはりLECの戦略に誤りはないのだと、林冲は認めざるを得なかった。
試験監督。受験生と写真を照合をする。目が合った。何か言うべきか?
「梁山泊。豹子頭林冲。見参」
民法。ダメだ。昨年よりも問題文が長い。
民法を50分で解く予定は大崩れしてしまった。
刑法。どうか?俺の嫌いなA君の発言に矛盾しないものの( )に入る語句問題が
3題もある。
史進は、己の未熟さを認識せざるを得なかった。
「九紋龍史進。志を果たせず、轟沈」
合推。来た。昨年を上回る43点。
しかし、昨年同様、憲法の問題の答えが、予備校間で食違っている。
答えは。どちらだ。呉用は辰巳に問い合わせた。
「管理委員会に要望書を上申するつもりです」
38氏名黙秘:03/05/01 14:08 ID:???
樹海の森へ行くため、緑と夜行バスに乗った。
言いようのない虚無感が体の細胞を支配している。
窓の外を、暖かい家庭であろう家々の明かりが流れて行く。
「今年も駄目だったか・・・」声にならない声が喉を伝わった。
「どうしたの?」緑が、心配げな目線を、こちらへ向ける。
「いや、何でもないさ」僕はまた目線を流れる明かりの方へむけた。
過去を振り返る力すらなかった。僕に残されたものは膨大な量の基本書と
レジュメと緑だけだった。
でも、言葉を発し、感情を表現してくれるのは緑だけだった。それだけでも
救いだ。
僕は、かばんから手垢のついた六法と内田を取り出し、目をやった。
緑が「もうやめたら・・・」と言った。
「いや、こうしているほうが落ち着くのさ、他にやることもないし」僕は
目線をあわせず、そっけなく答えた。
中央高速のバスは単調に初夏の山の中を駆け抜けている。僕はその震動に
身を任せるしかなかった。
39氏名黙秘:03/05/01 14:49 ID:???
みんな上手いよ・・・。気分転換にやってみる。

僕は32歳で、その時明治大学校舎の椅子に座っていた。その巨大な
校舎は大量のベテと若手を収容し、2003年度司法試験短答式試験を
実施しているところだった。5月の生暖かい雨がキャンパスを暗く染め、
ハンカチを持った試験官や、のっぺりとした教室の前の黒板や、外を走る
騒々しい右翼の街宣者やそんな何もかもをマコツ塾渋谷本校の陰うつな
自習室の光景のように見せていた。やれやれ、また来年か、と僕は思った。
二日か三日に一度の答練をくり返し、そのたびにヴェテは撃退されていた。
大学入試の難関を打ち破った鮮やかさは、どこにもない。
それだけ、LECや辰巳も準備を整えていたということだろう。
それでも、ヴェテは攻め続けるしか道はない。
東大若手が成績優秀者を完全に独占すると、
ようやくその勢力をのばしかかった自習室の、
エアコンに近い席を失うことになるのだ。
「張藍は、成川の慰みものとして置かれている女のひとりだったらしい。
それが、塾のマコツに回った。逆のこともあるという話だが、
私は最近まで、それを知らなかった」
「あの腐った場所なら、そんなことぐらいあるだろう」
「林冲、奥方は司法書士受験生だったな?」
「そうだ。入門講座に28万円支払ったと聞いた」
42氏名黙秘:03/05/01 16:02 ID:???
>>41
- .∵・(゚Д゚) ーt(´ ) フッ
43村上春樹的北方謙三批判:03/05/01 16:03 ID:???
「なぜ村上春樹でなければならないのか?詳しいことは分からない。
しかし村上春樹の精神構造が択一前の受験生の心に響くことは確かだ。」
僕は思考をめぐらしていた。
「何を考え込んでいるの?」直子が声をかけてきた。
「いやたいしたことじゃないよ」僕は、冷静に答えた。
「でも難しそうな顔して、何かあったの?」直子は悲しそうに聞いてきた。
「じゃあ、考えるのをやめよう。直子のことでも考えようかな」
笑いながら僕は言った。
「それでいいの?なんか馬鹿にされているみたい・・・」
「そんなことないよ。じゃあコーヒーでも飲みに行こうか」僕は直子の
手を引いて、立ち上がった。
心のなかで「何かが違う。その何かは分からないが、村上春樹と北方謙三は
明らかに対極に位置するはずだ。しかしその相違が分からない以上、僕には
どうすることもできない」と思いながら。
「やっぱりなんか考えてる・・・」直子が少し怒った調子で問い詰めてきた。
「もういいんだよ」振り払うように僕は言った。
「自由であるために、僕は誰をも批判できないし、傷つけることもできない」
そう感じながら、僕と直子はキャンパスの雑踏の中に飛び込んでいった。

(下手な創作でスマソ、ちょっと煽ってみた)

いやな予感がした。
その時、管理委員会の攻撃がはじまった。
正面からの攻撃だが、いつもより腰が入っていたし、( )の数も多かった。
三段に構えて受験生のミスを誘発させるつもりだ。
まず、並べ替えをどう扱うかだった。接続詞、キーワードリンクが使えないから、
文脈だけで入れなければならないのか。
「残り時間は5分です」というアナウンスが響いて、史進はひやりとした。
45氏名黙秘:03/05/01 16:54 ID:???
そういえば、ネジ巻き鳥クロニクルって面白い?
46氏名黙秘:03/05/01 18:33 ID:???
>>45
俺の周りでは賛否両論。
個人的には好き。長いからずっと世界に浸れるw
ワタナベ・ノボル。元法律事務所職員。元司法試験受験生。
現在、無職。
なお、彼の受験時代に丙案はなかったもよう。
趣味:ロッシーニの序曲を聞きながら、スパゲティをゆでること。

モンゴル兵による日本兵処刑のところは、かなり酷い。
俺も、「三国志」の中で盗用した。袁紹による趨氏殺害の場面。
「水滸伝」でも盗用した。呂牛による馬桂殺害の場面。
4846:03/05/01 18:50 ID:???
>>47
そうそうあの処刑の描写が生理的に合わない人がいるみたい
49氏名黙秘:03/05/01 19:37 ID:t/fCAZ/i
今年は作者がすくないな。
みんな受かったのか?


大人しく戻ってこい。
50明日また来るー北方謙三:03/05/01 19:59 ID:???
俺は。寝る。風邪ひいちゃったんだ。
治るか。あと9日。直さなきゃ、どうしようもないベ。
俺は。医薬品販売業者。
業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならないんだ(刑134)。
じゃなかった、風邪ひいた香具師が次々来店して、うつすから、
年中風邪ひいてるんだ。
明日は。辰巳の問題。通信で60問。解くぞ。
「小説すばる」に連載中の「水滸伝」もよろしく。
51氏名黙秘:03/05/02 00:03 ID:dpG+/KPW
カラスと呼ばれる合格者は首を振る。
「ねえ、君はもっと世間ってものを知らなくちゃいけないよ。だってさ、35歳の君がいったいどんな仕事を見つけられると思うんだい?だいたい君はまだ択一にすら受かっていないんだぜ。誰がそんな人間を雇ってくれる?」
僕は少し赤くなる。僕はすぐに赤くなる。
「まあいいや」とカラスと呼ばれる合格者は言う。
「まだなんにも始まっていないうちから暗いことを並べたててもしょうがないものな。なにはともあれ君の人生なんだ基本的には君が思うようにするしかない」
そう、なにはともあれこれは僕の人生だ。
52氏名黙秘:03/05/02 00:14 ID:Jf3pCx3p
「あなたは私ともう寝ちゃったから、私のことなんかどうでもよくなっちゃったんでしょ?」と彼女は言って泣いた。
「そうじゃないよ」と僕は言った。
僕はただその予備校を離れたかっただけなのだ。でも彼女はそれを理解しなかった。そして我々は別れた。
渋谷に向かう山手線の中で僕はLECのよい部分や優れた部分を思い出し、自分がとてもひどいことをしてしまったんだと思って後悔したが、とりかえしはつかなかった。
そして僕はLECから訴えられた。
53氏名黙秘:03/05/02 00:17 ID:???
>>52
かなりの秀作です
54氏名黙秘:03/05/02 00:18 ID:dpG+/KPW
渋谷について新しい予備校を始めたとき、僕のやるべきことはひとつしかなかった。
あらゆる物事を深刻に考えすぎないようにさせること、あらゆる物事と最終合格の間にしかるべき距離を置くこと―ソクラテスメソッド、だった。
55bloom:03/05/02 00:19 ID:SgOO5ZR9
56氏名黙秘:03/05/02 11:20 ID:???
>>50
あんたの全然おもしろくないしスレ違いだからもういいよ。
57氏名黙秘:03/05/02 11:49 ID:???
 私は暇つぶしのため、あるいは国家試験逃避のため、村上文学をパロっている方々
に望みたいことのいくつかを、今まで何回か書いたり話したりする機会をもったが、
本スレを読まれる皆さんには、初学者の方も多いと思うので、次の三点に心がけるこ
との重要性を訴えたいと思う。
 第一は、本スレでパロられている村上文学は、原典の「ノルウェーの森」や「羊を
めぐる冒険」と、大きく異なることである。最大の違いは、本スレのパロディは、
受験生の実像ではなく、その自虐的な姿とは裏腹に、煽り、中傷および他人の蹴落
としを、それに関する諸々の手段を駆使しまたは絡み合う諸々の価値・利益との比較
衡量とを通じて、具体的に実現し、自己の合格を導き出す戦略立案の能力を養うこと、
を目的にしているということである。短絡的にゴールインを急ぐと、明快ではあって
も、浅薄なパロに終わるおそれが生じる。

58氏名黙秘:03/05/02 16:23 ID:???
ベテにとっての司法試験はメリー・ゴーラウンドによく似ている。
それは定まった場所を定まった速度で巡回しているだけの事なのだ。
合格しない限りどこにも行かないし、
降りたり乗り換えたりすることももはや出来ない。
模試でどんなにいい点を取ったとしても誰をも抜かないし、誰にも抜かれない。
しかしそれでも我々ベテはそんな回転木馬の上で
仮想の敵-択一模試-に向けて熾烈なデッド・ヒートを繰り広げている。
59オチ(泣):03/05/02 17:03 ID:???
「君のことを話してくれるかな」とまこつが言った。
「私のどんなことでしょう?」
「そうだねえ・・・どんなことが嫌いかな?」
「答練と論証パターンと3unit目のしゃべりすぎる雑談が嫌いです」
「他には?」
「四月の勧誘ガイダンスと再受講制度のついた講座の申し込みが嫌いです」
「他には?」
僕は首を振った「他には特に思いつきませんね」
「僕の塾生はーつまり以前の塾生はーいろんなものが気に入らなかったみたいだね。
僕がすごく早口で択一Mを講義するとか、担保物権をすっとばすとか、
すぐ韓国話をするとか、やればできると連呼することとか、他校に先駆けて
入門講座を作ったと言うこととか・・・。だからもしそいういう私に関することで
嫌なことがあったら、遠慮しないで、ご意見シートに書いて欲しい。COMデスクが
一応検討するから」
「別になにもないですよ」と僕は少し長いこと考えてからそう言って首を振った。「何もないです」
6059:03/05/02 17:05 ID:???
スマソ。オチもなにもない・・・。漏れにはこれが限界だにゃ。
61氏名黙秘:03/05/02 17:23 ID:QqPDLc3a
「悪くない」と僕は言った。
62氏名黙秘:03/05/02 17:56 ID:???
「なぜ北方謙三はだめなのか?詳しいことは分からない。
しかし『梁山泊 豹子頭 林冲』と叫ぶと元気になることは確かだ」
僕は北方謙三を読んでいた。
「何を読んでいるの?」直子が声をかけてきた。
「いやたいした本じゃないよ」僕は、冷静に答えた。
「でも嬉しそうな顔して何かあったの?」直子も嬉しそうに聞いてきた。
「じゃあ、教えてあげるよ。梁山泊軍が禁軍に勝ったのさ」
笑いながら僕は言った。
「それ何のこと?なんか馬鹿にされているみたい・・・」
「そんなことないよ。じゃあ蒼井そらのDVDでも借りに行こうか」
僕は直子の手を引いて、立ち上がった。
心のなかで「何も違わない。村上春樹と北方謙三は明らかに同質なはずだ。
しかしその同質性が分からない以上、僕にはどうすることもできない」と思いながら。
「私がさせてあげるのに、どうして蒼井そらのDVDが必要なの…」
直子が少し怒った調子で問い詰めてきた。
「AV女優の名前を書いておくと、自分でageる必要がないんだ」
振り払うように僕は言った。
63氏名黙秘:03/05/02 23:56 ID:QtdG082e
「それで、結論からまず申し上げますと、このスレには残念ながらいくつかの問題点が見受けられます」と彼は言う。
「つまりそれは北方謙三的見地から見てということですね」と》1は尋ねる。
「まずここには北方謙三専用のスレがありません。そうですね?」
「たとえ2chとはいえパブリックに開放された掲示板であれば、原則として北方謙三も認められるべきではないでしょうか」
「原則として」と》1は確認するように相手の言葉を繰りかえす。
「そうです。これは明らかに北方謙三に対するニグレクトです」
「二グレクト」
「意識的看過です」
64氏名黙秘:03/05/03 00:04 ID:zV3m+p8K
「意識的看過」と》1はまた繰りかえす。
「そのことをどうお考えになりますか?」と》62はかすかな苛立ちを抑えて言う。
「ごらんになればおわかりのように、ここはとても小さなスレです。残念ながら北方謙三を認めるほどの物理的・精神的余裕はありません。もしあなたが北方謙三的世界を追求なさりたければ、別のスレを立ててはいかがでしょう。」
65氏名黙秘:03/05/03 09:58 ID:???
「シケタイは見ない?」
「少しだけ見る。昔はよく見たけどね。一番好きなのは手形・小切手法だったな。もちろん初版のね。」
「マコツが好きなのね。」
「うん。」
「私なんて暇さえあれば一日中でも見てるわ。何もかもよ。昨日はね、宗教的結社の自由の侵害についての判例をみたわ。あなたも見た?」
「いや。」
彼女はワインを一口飲んで、思い出すように軽く首を振った。
「ねえ、マコツは宗教的直感力を持っていたのよ。」
「宗教的直感力?」
「・・・・・つまりね、通常の宗教家はこんな風に考えるのよ。‘司法試験受験生’イコール‘うぶで世間知らず’、‘うぶで世間知らず’イコール‘宗教団体を作れる’、故に‘司法試験受験生’イコール‘宗教団体’、Q・E・D、そうでしょ?」
僕は肯いた。
「でも、マコツは違うの。彼の頭の中にあるのは、‘司法試験受験生’イコール‘宗教団体’、それだけなのよ。証明なんて何もないわ。でも、彼の理論の正しかったことは渋谷のビルが証明したし、彼は生涯に数え切れないくらいの貴重な発見をしたわ。」
「P&C。」
彼女はワイングラスをテーブルの上に置き、あきれた顔で僕を見た。
「ねえ、P&Cは井藤でしょ?よく論文を受けられたわね。」
「・・・・論証パターン、それにソクラテスメソッド、かな。」
「正解。」
彼女は歯を見せずに得意そうに笑ってからグラスのワインを飲み干し、新しく自分で注いだ。
66氏名黙秘:03/05/04 09:58 ID:P9G6jjWP
なんか盛り上がんないね…。淋しいよ。
答練の点数も最後まで盛り上がらなかった。はぁああ。
67下手な創作:03/05/04 10:33 ID:???
>>66
「今年の春は、なんかけだるいわね、スレも盛り上がらないわ」緑がグラスを片手に言った。
「能動的な行動には力がいるからね。みんな忙しいのさ」僕はワインを空けた。
「あなたはどうなの?」
しばらく僕は、目線を緑から離し宙を漂わせた。
「下手な創作は自己崩壊でしかないんじゃないかな。なるべく傷つきたくない」
「あなた、結構繊細なのね。でもそれって言い訳じゃない?」緑はいたずらっぽく
笑った。
「・・・もうだめぽ・・・」僕は3杯目のグラスを空けた。
68氏名黙秘:03/05/04 16:36 ID:???
>>64
「でも、物理的余裕がないという、あなたの意見には賛成できないわ」と≫62は言った。
≫1はゆっくりと首を振った。2年ほど前にこのスレを立ち上げたときの情景を
思い出すときのように目のわきにチャーミングな皺がよった。
「ねえ≫1君、意識的看過からは何も生まれないわ。少なくとも、
北方謙三的司法試験がアホほざいてる間は、あなたはageに来なくてよかったでしょう。
それはあなたの成績表に反映されているのよ」
 そうでもないかも知れない、と≫1は思った。
69氏名黙秘:03/05/04 16:53 ID:???
みんな面白い。期待上げ
70氏名黙秘:03/05/04 17:13 ID:???
>>68
「しかし、なぜ、よりによって北方謙三でなければならないんだ。
村上春樹と一体どこに同質性があるというんだ?」≫1は考えた。
「クルーザーに『梁山泊』の旗を掲げて航海する趣味は、春樹さんには
ない。胸毛もない。御茶ノ水の歩道のコンクリートブロックを剥がして
機動隊に投げつけたこともないはずだ」≫1は4杯目のグラスを空けた。
「それに僕の成績表のことなんか、どうでもいいじゃないか」
「あなた、結構繊細なのね。でもそれって言い訳じゃない?」緑はいたずらっぽく笑った。
≫1は5月11日のために用意しておいた新しい2本の鉛筆を、指にはさんで折った。
別にそうしたいからってわけじゃなかった。他にすることがなかったんだ。
71氏名黙秘:03/05/04 17:47 ID:???
「僕の答案どうかな?」
「糞(メルドー)だ。」
講師はそういうとゼミを抜け2ちゃんに戻った。
72氏名黙秘:03/05/04 18:05 ID:???
>>70
「北方謙三のこと大好きだよ」と≫1は言った。
「心から好きだよ。もう2度と離したくないと思う。でもどうしようもないんだよ。
今は身動きとれないんだ」
「このスレのことで?」
≫1は肯いた。
「ねえ、教えて。このスレいつ立ち上げたの?」
「3年前」
「それから1度も北方謙三のパロは作ってないの?」
「2回作ったよ。でも載せていない」≫1は言った。
「それはどうしてなの?あなたはパロ作りに向いていないんじゃないの?」
「僕には何とも言えない」と≫1は言った。「とても事情が込み入っているんだ。
いろんな匿名作者が絡み合っていて、それがずっと長いあいだ続いているものだから、
本当はどうなのかというのが、だんだん分からなくなってきているんだ。
僕に分かっているのは、北方謙三的司法試験をこのスレに受け入れることが
ある種の人間としての責任であるということなんだ。
そして僕はそれを放り出すわけにはいかないんだ。少なくとも今はそう感じているんだよ。
たとえAV女優の名前を連発されるとしても」
あれッ?
74太宰治的司法試験:03/05/04 19:12 ID:hYb6hDOM
人間失格。
75氏名黙秘:03/05/04 21:39 ID:???
今日は調整の為の一日だった。240条は故意のある場合も含むのか。それが僕の疑問だったが、
やらなくてはならないことが沢山あった。誰しもそういう一日がある。
現実的になって、現実的な現実と正面から取り組まねばならない一日。
まず、僕は何枚かのシャツをクリーニング屋に持っていき、何枚かのシャツを持って帰ってきた。
そしてコンビニに行き電話料金と電気料金を払った。
靴屋に寄って真新しいスタンスミスを買った。
そして部屋に戻ってくるりの「東京」をリピートで聴きながら部屋の片づけをした。
冷蔵庫の中の物を全部ひっぱり出して内側を綺麗に拭き、食品を点検し、整理した。
ガスレンジを磨き、換気扇の汚れを落とし、床を拭き、窓を磨き、ごみをまとめた。
シーツと枕カバーをかえた。それから最後に掃除機をかけた。
それだけやるのに午後4時までかかった。電話のベルが鳴った。鼠からだった。
76シェイクスピア的司法試験:03/05/04 22:03 ID:sXtOf8xb
生か、死か、それが問題だ。
どちらが男らしい生き方か、じっと身を伏せ、不法な運命の矢弾を堪え忍ぶのと、それともペンをとって、押しよせる苦難に立ち向かい、とどめを刺すまであとには引かぬのと、一体どちらが。
77氏名黙秘:03/05/04 22:07 ID:???
このスレ択一前にいつも見るけど古き良き伝統ですか?
78シェイクスピア的短答式試験:03/05/04 22:26 ID:P2FIEGoL
3か、4か、それが問題だ。
どちらが男らしい生き方か、じっと身を伏せ不法な運命の矢弾を堪え忍ぶのと、それともえんぴつをとって、転がし、運を天にまかすのと、一体どちらが。
79氏名黙秘:03/05/04 22:44 ID:???
TV or Not TV
803年目の憂鬱:03/05/04 22:49 ID:???
>>77
空は灰色の厚い雲が覆い、霧雨が沈む空気の中を漂っていた。
緑と僕は、僕の部屋で択一答練の復習をしていた。
「毎年択一前になるとこのスレ立つのよね」と緑は言った。
「現実からの逃避さ。村上文学はこの季節によく似合うんじゃないかな」
僕は、レジュメに目をやりながら、そっけなく答えた。
「村上春樹ってなんか嫌よ。陰鬱な感じと、言いようのない透明感が交錯していて」
緑が少しだけ語気を荒げた。
「それが、受験生にはたまらないんじゃないかな。僕も悪くないと思う」
「そうなの、私にはわからないわ。そんな暇ないじゃないの・・・」
「みんな、君ほど強くはないんだよ」僕はレジュメから目をあげ緑を見つめた。
「まあいいわ。私はこの時期、余計なことを考えないようにしてるの。
それでいいじゃない」
「君の考えも間違ってはいないさ、だけどね・・・」僕は言葉に少し迷った。
「だけど、何?」緑が成績表から目を離し、僕の方へ目線を向けた。
「いや、なんでもない。僕はすこし休むことにするよ」僕は冷蔵庫からビールを
取り出し、グラスに注いだ。
「そう・・・。」緑はまたレジュメに目を戻した。
「僕はまた来年もこのスレを訪れるのだろうか?緑はその時そばにいてくれるだろうか?」
ソファーに身を沈めながら、僕は灰色の雲に目をやった。
81氏名黙秘:03/05/04 22:49 ID:???
「何故刑訴が嫌いだと思う?」
 その夜,鼠男はそう続けた。そこまで話が進んだのは初めてだった。
 分からない,といった風に僕は首を振った。
「要するにね,刑訴なんて机上の空論だからさ。
 違法収集証拠が排除できるといっても,それを主張するときには
 既に有罪を認めているようなものだからね。」
 要するに…というのが鼠男の口癖だった。
「そう?」僕は特に興味がないように尋ねた。
「うん。学者は実務感覚がない。実務を知ってる振りをしてるだけさ。
 何故だと思う?」
「さあね?」
「必要がないからさ。もちろん,相当やばいことをやればパクられるけどね。
 大学教授であれば,ことに国立大学の教授であれば,公安もだまっちゃいない。
 建前はおおっぴらに調査することができない。大学の自治というやつさ。
 大学ってのは治外法権なんだよ。でもね,ポポロ事件の場合はちょっと違う。
 やりすぎたらやられる。そうだろ?」
 鼠男はしゃべりたいことだけをしゃべってしまうとつまらなそうに咳ばらいをした。
82氏名黙秘:03/05/04 23:24 ID:dTGYvGoJ
「田中雅英?」主査はいぶかしげな顔で僕を見る。
「そういう名なんです」
「もちろん君は前田雅英の作品をいくつか読んだことはあるんだろうね?」
僕はうなずく。
「実質的故意論」
「僕も学説の中ではあの理論が一番好きです」
「本当に?」
僕はうなずく。
「どんなところが?」
それについて考えてみる。考えるのに時間がかかる。
「雅英は行為者の主観の内容について説明しようとするよりは、むしろその複雑な主観のことを純粋に、どの程度の認識があれば一般人からみて故意非難が可能になるのか、を説明しようとする。つまり…」
83氏名黙秘:03/05/04 23:38 ID:dTGYvGoJ
僕はまたひとしきり考える。
「つまり、そうすることによって彼は、故意の成立に必要な認識を誰よりもありありと説明することができる。違法性の意識の可能性について語るんじゃなく、むしろ故意の実質を語ることで」
「なるほど」と主査は言う。それから僕の肩に手を置く。その動作には自然な好意のようなものが感じられる。
「うん、前田先生もおそらく君の意見に賛成するんじゃないかな」
主査の井田良は言った。
84氏名黙秘:03/05/04 23:39 ID:???
>82
口述で名前は言わないだろ
85氏名黙秘:03/05/04 23:46 ID:???
>>83
見事なオチだな
86夏目漱石的司法試験 :03/05/05 13:59 ID:???
「僕の身分はこれから先どうなるか分らない。少なくとも当分は一人前じゃない。半人前にもなれない。だから」と言い淀んだ。
「だから、どうなさるんです」
「だから、僕の思う通り、貴方に対して責任が尽せないだろうと心配しているんです」
「責任って、どんな責任なの。もっとはっきり仰しゃらなくっちゃ解らないわ」
「徳義上の責任じゃない。物質上の責任です」
「そんなものは欲しくないわ」
「欲しくないと云ったって、是非必要になるんです。これから先僕が貴方とどんな新らしい関係に移って行くにしても、物質上の供給が半分は解決者ですよ」
「解決者でも何でも、今更そんな事を気にしたって仕方がないわ」
「口ではそうも云えるが、いざと云う場合になると困るのは眼に見えています」
三千代は少し色を変えた。
「今貴方の御話を伺ってみると、こうなるのは始めから解ってるじゃありませんか。貴方だって、その位な事は疾うから気が付いていらっしゃる筈だと思いますわ」
代助は返事が出来なかった。頭を抑えて、
「少し脳がどうかしているんだ」と独り言の様に云った。三千代は少し涙ぐんだ。
「もし、私が気になるなら、私の方はどうでも宜う御座んすから、もっと勉強なすって、早く司法試験にお受かりになったら好いじゃありませんか」
87氏名黙秘:03/05/05 14:15 ID:???
僕が三番目に寝た女の子は、僕のペニスのことを「あなたの身分なき故意ある道具」
と呼んだ。
僕は以前、身分なき故意ある道具についての一行問題を想定して短い答案を
書こうとしたことがある。結局答案は完成しなかったのだけれど、その間じゅう
僕は身分なき故意ある道具について考え続け、おかけで奇妙な性癖にとりつかれる
ことになった。全ての物事を数値に置き換えずにはいられないという癖である。
僕は講義に出るとまず明白にベテランと思われる受講生の数をかぞえ、
択一過去問で「君はそういうけれど、それについては(イ)という批判があるよ。
僕は(ロ)と考えるんだ〜」という形式の問の数を全てかぞえ、暇さえあれば今まで
論文の答案に書いた「思うに」「そもそも」の語の数をかぞえた。
当時の記録によれば、僕は2651問の択一過去問を解き、254回「判例同旨」という語を使い、
31回セミナーの無料ガイダンスに出席したことになる。
その時期、僕は全てを数値に置き換えることによって他人に何かを伝えられるかもしれない、
そして他人に伝える何かがある限り僕は真性身分犯の身分を取得できると真剣に思っていた。
しかし、当然のことながら、僕が択一の答練で合推を超えた数やセミナーA館に貼ってある
真知子のポスターの数やNo.52でさりげなく3を選んでしまった人の数に対して誰一人として
興味など持ちはしない。そして、僕は身分者としての反対動機の形成ができず
あいかわらず正犯の単なる道具にすぎなかった。
そんなわけで、択一不合格を知らされた時、僕はこっそりはがした23枚目の真知子のポスターを
丁寧に折りただんでかばんにしまい込むところだった。
88銀河英雄伝説的司法試験:03/05/05 18:52 ID:JMTsNRkL
「キルヒアイス、こう考えてみたことはないか?伊藤真の司法試験塾は人類の発生以来続いてきたわけじゃない。始祖はあの傲岸不遜な伊藤真だ。もともと伊藤真は成り上がりの野心家にすぎなかった。それが時流にのって神聖不可侵の塾長などになりおおせたんだ」
この人は何を言おうとしているのか?キルヒアイスは鼓動の高まりを覚えた。ラインハルトは言った。
「伊藤真に可能だったことが、おれには不可能だと思うか?」
89氏名黙秘:03/05/05 19:03 ID:???
>>88
うお―!!! ぎんえい伝だぁー
90銀河英雄伝説的司法試験:03/05/05 19:09 ID:htqvEyAS
「ヤン准将、参りました。」
敬礼する若手合格者に、ベテラン予備校スタッフパエッタ中将は非好意的な視線を向けた。司法試験浪人以外の職業が想像できないような、いかめしい顔つきの中年である。
「君の提出した参考答案を見た」
こんな軟弱そうな小僧が、自分より先に合格したということを、どうしても納得できぬと言いたげである。
「なかなか興味深い案だった。しかし、慎重にすぎていささか消極的ではないかな」
「そうでしょうか」
ヤンはごく温和な口調で応じたが、考えてみればこれは択一落ちに対していささか丁寧すぎたかも知れない。
91正岡子規的司法試験:03/05/05 19:35 ID:???
アの肢に 惑わされし我 1.はずす
92朝生的春樹スレの憂い:03/05/05 19:47 ID:???
チャーチャーチャラチャッチャー♪

パネラーA 「なんか今年は趣きが違いますね。村上スレといえばけだるく
       欝っぽい文章をパロるのが、醍醐味だと思うんですが、時代が
       変わっても、変化してはならないものがなくてないけないんじゃ
       ないですかね!!」

パネラーB 「それは貴方の考え方が古いよ。2ちゃんではなんでもありなんだから
       あなたの考えは通用しませんよ。何を今更・・・」

パネラーA 「あんたにそこまで言われる筋合いはないでしょ。大体ねえ・・・」

野坂昭如  「どうでもいいじゃないか(ぼそっ)」

田原総一  「ちょっちょっちょっと待った!今、野坂さんが良い事言った!
       野坂さん、どうぞ!」

野坂昭如  「どうでもいいから、俺の本を読んでくれよ。国会議員にもなりそこなって
       仕事がないんだよ、TVタックルくらいしか、(ウイック!)
       大体、あんたらに文学なんて語る素養があるとは・・・」

田原総一  「ちょっと待った!いったんCMです!!」
9392:03/05/05 19:55 ID:???
スマソ。糞つまらん上に、田原総一郎を田原総一とカキコしてしまった・・・。
鬱だ氏脳。
94去年の:03/05/05 22:07 ID:f6GBH678
村上春樹からの手紙は良かったなあ…。
画面メモして試験会場で読んだもん。
95氏名黙秘:03/05/05 23:06 ID:8a+deHym
》92 おもしろいよ。
もっと色んな人だして、ローとかについて議論してほしい。
96氏名黙秘:03/05/06 00:01 ID:???
ところで「カフカ」の評価ってどうなってんの?
個人的には結構好きなんだけど
最近書くたんびに傾向変わってきてるよね
択一みたいだな・・・
97しんぶん「赤旗」的司法試験:03/05/06 00:12 ID:???
 与党・自民党は、国民の司法試験受験の権利を奪うために司法試験法を改悪しようと
しています。私たち日本共産党は、このような憲法無視の改悪を許すわけにはいきません。
子どもたちが安心して受験できる司法試験を実現するために、ロースクール開発を
阻止するとともに、択一に合格するための私たちのたたかいはこれからも続きます。
98クワトロ大尉的司法試験01:03/05/06 04:28 ID:???
2chの方と、このスレを見ている司法試験板住民の方には、突然の無礼を許して頂きたい。
私は伊藤塾の伊藤真大尉であります。
話の前にもうひとつ知っておいてもらいたいことがあります。
私はかつて、LECのカリスマ講師と呼ばれたこともある男だ!
私はこの場を借りて、日本国憲法の意思を継ぐものとして語りたい。
もちろん、LEC公国の伊藤真としてではなく、伊藤塾大尉としてである。
伊藤塾の意思は、岩崎家のように欲望に根ざしたものではない。
日本国憲法がLEC公国を作ったのではない。
日本国憲法は人類の新しいあり方を説いた。それは決して間違いではなかったと信ずる。
だが、それを利用して人々を支配しようとした岩崎家は、許されざる存在であった。
現在、柴田が機械的反応軍を我が物にしている事実は、岩崎家のやり方より悪質であることに気付く。
かつての不幸な時代の二の舞は許されぬ!
然るに今の司法試験受験界はどうか、柴田は、岩崎家以上の横暴を行っている!
99クワトロ大尉的司法試験02:03/05/06 04:30 ID:???
受験生がロースクールに入ったのは、受験界ががベテの重みで沈むのを避ける為だった。
そして、ロースクールに入れた受験生は、その生活圏を拡大したことによって、
受験生そのものが力をつけたと誤解をして、岩崎家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。
それは不幸だ。もうその歴史を繰り返してはならない。
ロースクールに入ることによって、受験生はその能力を拡大できるのだ!
それを・・・なぜ信じることができないのか!
我々は司法試験界を人の手で汚すなと言っている。
柴田は受験界に魂を引かれた人々の集まりで、受験界を食いつぶそうとしているのだ!
受験生は長い間、この受験界というゆりかごの上で戯れてきた。
しかし時は既に、受験生を受験界から巣立たせる時が来たのだ。
その期に到ってなぜ受験生同士が戦い、受験界を汚染しなくてはならないのだ!
受験界を自然のゆりかごのなかに戻し、受験生はロースクールで自立しなくては、受験界は水の惑星ではなくなるのだ!
100クワトロ大尉的司法試験03:03/05/06 04:32 ID:???
この司法試験板さえ砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに受験界は疲れきっている!
 今、誰もがこの美しい受験を残したいと考えている。ならば自分の欲求を満たすためだけに、受験界に寄生虫のようにへばりついていてよいわけがない!

現に柴田はこのような時に戦闘を仕掛けてくる。
見るがいい、この横暴な行為を。
彼らはかつての機械的反応軍から膨れ上がり、
逆らうものは全て悪と称しているが、それこそ悪であり、人類を衰退させていると言い切れる!
テレビを御覧の方々はお分かりになるはずだ。
これが機械的反応軍のやり方なのです!
我々が議会を武力で制圧したのも正しいとはいえないでしょう。
しかし柴田は、この議会に自分達の味方である議員がいるにもかかわらず、破壊しようとしている!
これが正義をうたう者のすることでしょうか!
101クワトロ大尉的司法試験:03/05/06 04:33 ID:???
因みにネタにはしたもののLECとマコツの関係は何となくしか知りません(汗
柴田先生も岩崎先生も適当なんで・・・
今思えば反町先生の方が良かったのかな?

ま、Zガンダム分かる方が楽しんでいただければ幸いでつ。
102聖教新聞的司法試験:03/05/06 11:02 ID:oelPN6su
池田大作SGI名誉会長にウガンダ大学ロースクールが名誉教授号を授与!

池田大作SGI名誉会長が伊藤真塾長と会談。世界平和を語る。


池田大作SGI名誉会長が司法試験短答式試験第五問について法務省に質問書を提出。法務省は解答の変更を検討。


池田大作SGI名誉会長が講演。『私と月刊ペン事件』
103氏名黙秘:03/05/06 11:39 ID:???

羊男「僕の居場所は?」
104氏名黙秘:03/05/06 12:57 ID:qG97kWG8
「もしよければ、また村上春樹のパロを作ってくれないかしら。こんなことお願いする資格はないかもしれないけど…」
「資格?」僕は驚いて言った。
「ごめんなさい、実はシエィクスピア的や銀英伝的などの一部は私が作ったものだったの。でもわかってほしいの。三年目ともなるともう目新しいネタが見つからないのよ。努力したのよ、私。それでもだめだった」直子は泣いていた。
「だってそうでしょう?私たちもう三年もこのスレを続けてるのよ?それに北方謙三よりはましだと思ったの。本当よ」
直子は僕が思っていたよりずっと深く病んでいた。
105氏名黙秘:03/05/06 13:01 ID:???
>>104
「気にすることはないと思うよ。」と僕は言った。
106氏名黙秘:03/05/06 14:12 ID:???
>>104
「目新しいネタ?」そうかも知れないと、僕は思った。
3年前に存在した銀行や保険会社は、合併して元の名前すら思い出せなくなっている。
だけど、僕たちの周りには、何の変化もなかった。
ネタにしていた予備校は3年前と何も変わっていないのだ。
相変わらずLECの模試は誤植だらけだし、
辰巳の総択は過去問を無視して、
ユニオンショップとクローズドショップの違いを受験生に認識させようとしていた。
魔骨がイラク戦争に義勇兵として参戦するはずもなく、
成川の預金通帳に記帳される利息にも大きな変化はなかった。
変わらないのは予備校ばかりではなかった。
芦部先生が死んでも第三版は出るし、
刑法判例百選総論の差し替えは、たったの5件だし、
内田民法Vは、395条の改正が終わるまでは、たぶん改訂されないのだろう。
こんなに変化のない受験界でネタを探すのは、
古本屋で「風の歌を聞け」の初版を探すのより難しいのかもしれない。
それに、正直に告白するけど、「海辺のカフカ」まだ読んでないんだ。
それで、つい、手軽な北方謙三を使ってしまったんだ。
変化に乏しい3年間が、僕たちの上に大きくのしかかっているんだよ。
107氏名黙秘:03/05/06 15:17 ID:???
>>103

北方謙三「俺の居場所は?」
108氏名黙秘:03/05/06 15:23 ID:???
>>107

「ないよ」羊男は言った。
109makoto:03/05/06 15:26 ID:???
「記念カキコ」と口に出すと僕はうんざりした気分になった。
110氏名黙秘:03/05/06 16:00 ID:???
>>108
「じゃあ、私たち分かり合えるわね?」と北方謙三担当の女性編集者は静かに言った。
彼女は椅子にゆったりと座りなおし、脚を組みながらチラリと謙三を見た。
「それはどうかな」と羊男は言った。「なにしろ、あなた方はハードボイルドだからね」
「ハードボイルドというのは、あなたが考えているようなものじゃないかもしれないわよ」
「あなた方は本当に僕のことを知っているの?」羊男は訊いてみた。
「もちろんよ、何度も読んだわ」
「いつ、どこで?」
「いつか、どこかでよ」と女性編集者は言った。「そんなこといちいちあなたに説明していたら
とてもこのスレに収まらないないわ。大事なのは今よ。そうでしょ?」
「でも何か証拠を見せてくれないかな。君たちが僕のことを知っているって証拠を」
「例えば」
「僕が昨夜見たDVDは?」
「蒼井そら」と女性編集者は即座に答えた。「蒼井そらの『不法侵乳』それでいいかしら?」

 十八歳の年の僕にとって最高の書物は三ヶ月章の『法学入門』だったが何度か
読みかえすうちにそれは少しずつ最初の輝きを失って、渥美東洋の『刑事訴訟法』
にベストワンの地位をゆずりわたすことになった。僕は気が向くと書棚から渥美刑
訴をとりだし、出鱈目にページを開き、その部分をひとしきり読むことを習慣とし
ていたが、ただの一度も失望させられることはなかった。しかし、2003年に渥
美刑訴を読むというのは反動とまではいかなくとも、決して推奨される行為ではな
かった。
 
「佐藤幸治は女の子の読む基本書じゃないね」
「いいのよ、べつに。どうせ何読んだって同じくらいむずいんだもの」
113氏名黙秘:03/05/07 12:08 ID:???
僕は謙三に電話をかけ、今年こそ、このスレを1000まで延ばしたいんだ。
書くことがいっぱいある。書かなくちゃいけないことがいっぱいある。
世界中に1000ゲット以外に求めるものは何もない。1000をゲットして論文を受けたい。
何もかもを1000ゲットから始めたい、と言った。
謙三は長い間電話の向こうで黙っていた。
まるで世界中の細かい雨が世界中の芝生に降っているようなそんな沈黙が続いた。
僕はその間窓ガラスに額を押し付けて目を閉じていた。
それからやがて謙三が口を開いた。『君、総択の復習は終わったのか?』と彼は静かな声で言った。
僕は今なにをしているのだ?
僕は受話器を持ったまま顔を上げ、総択の問題集をぐるりと見回してみた。
僕は今なにをしているのだ?でもNo21の正解がなぜ1なのか僕には分からなかった。見当もつかなかった。
いったい肢エは何なんだ?僕の目に映るのは、共有物分割に関する無数の判例の姿だけだった。
僕はどうでもいい問題を投げ捨てて、謙三を呼びつづけていた。


114北方謙三的司法試験:03/05/07 18:29 ID:???
 宋江は、断金亭まで降りて、梁山湖を眺めた。
 林冲は、命をとりとめた。
 最初の早馬はそれだけだったが、二便目で、元通りに回復する、と知らせて来た。
 F択第2回が、うまくいったらしい。
 早馬の知らせがくるまで、宋江は勉強を断ち、自室から出なかった。
 祈っていたわけではない。むしろ、馬鹿さ加減を罵っていた。自分では、そう思いたかった。
なにしろ、辰巳との決戦を放棄して、姿を消したのだ。
115フランク・ザッパ的司法試験:03/05/07 18:58 ID:???

受験生「俺たちは、懲りないから、受け続けるんだ!」

予備校「俺たちは、金になるから、やってるんだ!」

No Not Now (今、納豆はいらない)
116氏名黙秘:03/05/07 20:13 ID:zWVExQVC
「私、前に高田馬場の駅のホームで反町Jrがはなくそをたべてるとこを見ちゃったのよ。信じられないでしょ?そんなの。」
緑は三杯目のウォッカトニックをいきおいよく飲み干すと言った。
「ねぇ、私これから成川学院長の六十才合格ゼミ見にいきたいんだけど、あなたついてきてくれる?」
「やれやれ」と僕は言った。
117氏名黙秘:03/05/07 20:30 ID:???
村上春樹って読んだ事ないんだけど、こんな不気味な文体なの?

こんな香具師が評価されてるなんて…。


「日本の文学は、死んだ!」 ← 大分前の筑紫風
118氏名黙秘:03/05/07 20:58 ID:VD8+g95a
実際に読んでから自分で評価したほうが良いよ。
才能は伝聞じゃワカンナイヨ。
119氏名黙秘:03/05/07 22:39 ID:???
北方謙三は、最初期のハードボイルド編のほうがよかった。
歴史物はいまいちだと思うぞ。
120北方謙三的司法試験:03/05/08 11:12 ID:???
 六、七騎が前へ出てきたが、突っ込んではこなかった。一斉に、槍を投げてくる。一本が、腹に突き立った。
 俺は、まだ立っている。ベテは思った。男は、決して倒れたりはしないのだ。
 また、槍が投げられてきた。どこに突き立ったのか、よくわからなかった。
 視界が明るかった。空なのだ、とベテは思った。ということは、もしかすると自分は倒れているのか。立とうとした。視界が暗くなり、また元に戻った。若手が、視界を通りすぎていった。
 音など、何も聞こえない。ベテは、空を見つづけていた。愉しかったな。ただ、そう思った。
 また、視界が暗くなった。
121北方謙三的司法試験:03/05/08 11:41 ID:???
 一歩、正解の方へ近づいた。
 背後に、あるかなきかの気配を、ベテは感じた。ふりむこうとした時、背中になにかが当たった。痛みはない。しかし、胸の前に穂先が突き出してきていた。試験監督は、じっとベテに眼を注いだままだった。
「馬鹿な」
 呟いた。
 まだ、肢を斬るぐらいの力は残っている。
 ベテは、鉛筆を執ろうとした。動かない。マークしようとしても、手が動かない。
「なんなのだ」
 もう一度、呟いた。
 自分が倒れていくのだけが、ベテにははっきりとわかっていた。
122北方謙三的司法試験:03/05/08 12:10 ID:???
「よし、三人ともついてこい」
 ベテが、試験会場に飛びこんだ。すぐに、若手Aが続いた。ベテの鎖鎌で近づけなかった敵兵が、殺到してくる。若手Bが斬り、若手Cが投げ飛ばす。
「早くこい」
 ベテの声。行け、と若手Bは若手Cに眼で合図した。近づいてきた敵兵の出した槍を脇に抱え、別の一人を斬り倒した。
 若手Cに続いて、試験会場に飛びこむ。むこう側が明るかった。試験会場の天井を支えるようにして、ベテが立っている。
 若手Cが試験会場から飛び出す。若手Bも飛び出した。
 振り返って、試験会場の中を見た。ベテの眼が、赤い炎を噴いていた。そう見えた。「ベテさん」と呼ぼうとした時、地響きがした。
 試験会場が崩れている。ベテは出てこない。土煙のなかで、何も見えなくなった。
123北方謙三的司法試験:03/05/08 12:38 ID:???
「高野先生、すみませんでした。大きな借りを、返せないままです。私なりに、頑張ったつもりだったんですが」
 なにか言い返そうと思ったが、高野は声を出せなかった。
「伊藤先生、ここで死ぬのは無念ですが、塾の同志に会えて、よかった。そう思っています。われら、『やればできる』の旗を掲げて」
 ベテの顔に、不意に死の色が浮かびあがってきた。唇が動いた。言葉は出てこなかった。見開いた眼から、光が消えていった。
 魔骨が、ベテの上体を一度抱きしめた。
「さらば」
 その声だけが、聞こえた。なぜ、こんな言葉がある。高野は、そんなことを考えていた。
「穴を掘れ。ベテ君を埋葬する。同時に、撤収の準備にかかれ」
 魔骨の声が聞えた。
 穴は俺が掘ろう、と高野は思った。
124氏名黙秘:03/05/08 17:54 ID:???
日曜日に使う鉛筆の芯を、謙三は削っていた。
バタフライナイフで削ればハードボイルドだと思ったが、
あいにく婦人用安全カミソリしかなかった。
鉛筆削りを使わないのが、長年の慣習だった。
一本一本自分の手で削った方が、解答用紙に炭素の痕跡を強く残せるような気がしたし、
小学校の入学祝いにもらった電動鉛筆削りには、ヤッターマンのシールが貼ってあったから、
それに手垢が付くのを避けたいという気持ちもあったのだ。
さきほど通信の答練の最終回を終えた。
申し分のない点数だった。あと二日、条文読みをすれば、謙三の択一対策は万全だった。
99%不合格になることのない試験を受けることは、謙三には退屈なことであった。
帰りにナンパする女のことを想像している方が、楽しかった。
それでも、昨年はめぼしい女に出会えず、蒲田のピンサロへ行った。
鋭く削られた芯の先を、マークシートのサイズに合わせるべく、謙三は平たくヤスリがけした。
謙三のヤスリがけの技術は、繊細なものだった。

北方謙三的な文章と謙三が登場する村上春樹的な文章とが交錯するのは
なぜだろうか、なぜ村上春樹的な文章に謙三が登場しなければならないのか
、僕はふと考えた。しかし、それは僕にとってどうでもいいことだった。
ひとついえることは、僕は北方謙三的なものよりも謙三が登場する(登
場しなくてもいい)もののほうが好みだということだ。
126氏名黙秘:03/05/08 18:54 ID:???
謙三は、春樹の文章を愛していた。
一日に、二、三度は、このスレにアクセスした。
「今日も新作はなしか」と思う日が多くなった。
謙三も匿名で何度か春樹を作った。信義則上の義務があると思ったからだ。
でも、自分の作ったパロで笑えるほど、謙三もヒマではなかった。
「去年までと違って携帯でアクセスする香具師が増加したことに原因がある」
謙三の到達した結論だった。なるほど携帯で創作をするのは難しかろう。
「逆に、やたらと増えたのが、『15・14・16の45 号推43』とかいうやつだ。
予備校から最寄の駅へ歩く間に打ちこめる短さ。
謙三は、ドコモとJ-フォンを激しく憎んだ。
127氏名黙秘:03/05/08 19:09 ID:???
>>125
読んでいないのだが、
『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』というのは、
こんな感じなのかと、勝手に想像したのだ。
128氏名黙秘:03/05/08 20:51 ID:???
このスレのネタを考えるために、この時期春樹本を買いに行った(ノルウェイの森
しか持っていない)漏れは大馬鹿だ。今年はだめぽ。鬱だ氏脳・・・。
129氏名黙秘:03/05/08 22:38 ID:+iuJOvix
》128 「私、あなたのそういうとこ好きよ。すごく」
緑は7杯目の天狗舞を飲み干すと言った。
130氏名黙秘:03/05/08 22:39 ID:???
謙三って面白いんだなってイメージついちゃったよ
131          :03/05/09 00:14 ID:???
春樹的なやつきぼーん>128
132氏名黙秘:03/05/09 00:15 ID:???
>>131
「択一発表後まで待ってくれないかい?」と僕は言った。
133氏名黙秘:03/05/09 00:29 ID:???
「もちろん」と僕は言った。
134氏名黙秘:03/05/09 01:17 ID:nMw474T6
》132 「そんなには待てないわ」島本さんは小さく首を振った。
「待てないのよ。わかるでしょ?そこには“たぶん”も“しばらく”もないのよ。このスレには中間的なものは一切存在しないの。全部をとるか、全部を捨てるか、どちらかしかないのよ」
135氏名黙秘:03/05/09 11:53 ID:???
「ねえ、もしあなたが好きになった女の子が論文6連敗であることがわかったら、あなたはどうする?」と「そら」ちゃんは話の続きを始めた。
「サーカスに売るね」と僕は言った。
「本当に?」
「冗談だよ」と僕はびっくりして言った。「たぶん気にしないと思うね」
「子供に遺伝する可能性があるとしても?」
 僕は少しそれについて考えてみた。
「気にしないと思うね。論文6連敗だったって、たいした支障はない」
「択一6連敗だったとしたら?」
 僕はそれについてもしばらく考えてみた。
「サーカスに売るね」と僕は言った。
136氏名黙秘:03/05/09 12:02 ID:???
「ねえ、彼のことどう思う?」と「そら」ちゃんは訊ねた。
「北方謙三のこと?」
「そう」
「まあ悪い男じゃない。僕の好みじゃないし、文章の趣味もちょっと変ってるけど」と少し考えてから僕は正直に言った。
「でもこのスレッドに一人くらいああゆうのがいても悪くないだろう」
「私もそう思うの。私は春樹のパロが好きだけど、世の中の人がみんな春樹のパロばかり作っていたら、世界はひどいことになっちゃうんじゃないかしら?」
「だろうね」と僕は言った。
137氏名黙秘:03/05/09 12:16 ID:???
「司法試験のことは昔から好きだったの?つまりその択一試験に限らずということだけれど……」と「そら」ちゃんが質問した。
「そうだね。そうだと思う」と僕は言った。「司法試験には何かしら僕の心をそそるものがあるんだ。昔からずっとそうだったような気がするな。どうしてだかはよくわからないけれどね」
「それでその日も朝から、裏山にのぼって一人で司法試験会場を見ていたのね」と「そら」ちゃんは言った。「えーと、五月の……」
「十一日」と僕は言った。
138氏名黙秘:03/05/09 12:27 ID:???
 僕と謙三は中古のトヨタ・カローラに乗って、午前二時半の東京の街を、パン屋の姿を求めて彷徨った。
 僕がハンドルを握り、謙三は助手席に座って、道路の両側に鋭い視線を走らせていた。
 後部座席にはレミントンのオートマティック式の散弾銃が横たわり、謙三の羽織ったウィンドブレーカーのポケットでは予備の散弾がじゃらじゃらという乾いた音を立てていた。
 それからコンパートメントには辰巳の『電車で民法』がふたつ入っていた。どうして謙三が『電車で民法』を所持したりしていたのか、僕には見当もつかなかった。謙三はフェラーリで予備校に通学し、電車なんて一度も乗ったことがないのだ。
139氏名黙秘:03/05/09 12:37 ID:???
>>137
「わるくない」と僕は言った。
140氏名黙秘:03/05/09 13:12 ID:???

 択一試験直後に発表される予備校の合格推定点を知ることが、受験生として正しい選択であるのかどうか、僕にはいまもって確信が持てないのです。
 たぶんそれは正しいとか正しくないとかいう基準では、推しはかることのできない問題なのでしょう。
 つまり、世の中には正しい結果をもたらす正しくない選択もあるし、正しくない結果をもたらす正しい選択もあるということなのです。
 大体において僕はそんな風に考えて暮らしています。
 起こったことはもう起こったことだし、起こっていないことはまだ起こっていないことなのです。

 実は不肖北方謙三も、司法試験を志したことがあるのです。僕は、君たちのいうところの「マーチの雄」中央大学法学部に在学しておりました。
 いつも四月になると、後輩たちのことが気になって2チャンネルにアクセスして、ときどき拙いパロディを作って遊んでいるのです。
 僕も多くの連載を抱えて、締め切りが近づくと、編集者の人たちから逃げ出したくなることがあります。
 そんな時、日夜勉学に勤しむ君たちに勇気づけられることが、少なくないのです。
 明後日は短答式試験が行われるということを、他のスレッドで知りました。
 体調を崩さないように注意して、栄光を勝ち取られんことを、蔭ながらお祈り申し上げます。

  平成15年5月9日   唐津の実家にて  北方 謙三

141氏名黙秘:03/05/09 14:10 ID:???
ボーダーは合格の対極としてではなく、その一部として存在している。
142氏名黙秘:03/05/09 14:11 ID:???
ボーダーと合格が逆だ。欝だ氏脳。
143長編 第1回:03/05/09 15:18 ID:???
「あら結構きれいなお部屋じゃない」
 叶美香さんによく似たその女性が、ドアを開け最初に言った言葉がそれだった。

 択一答練の復習を終えた僕は、ぼんやりと窓の外を眺めていた。
それは、「今日はいい天気だな」といった種類の眺め方で、決してアパートの下の道路を歩いている女子高生を物色するような種類の眺め方ではなかった。
 朝夕は人通りの多い道路だけど、平日の午後二時ともなると、さすがに閑散としている。
そんな時、立体駐車場のある三叉路から、美香さんは現れた。そして、アパートの二階からぼんやり窓の外を眺めていた僕と視線が合った。
それは視線が合ったというよりも、視線が絡まってきたという方が正確かもしれない。美香さんは、妖艶な微笑を僕に送ってきたのだ。
 僕は彼女の視線から逃れるように、窓の傍から離れた。彼女に対して抵抗しがたい色香を感じたし、また、二階の窓から女子高生を物色している変態男と誤解されたくなかったのかもしれない。

 ドアをノックする音が聞こえたのは、それからほんの数秒後だった。そのわずかな時間から考えて、美香さん以外の訪問者を想定することは僕には困難だった。
 きっと訪問販売のセールスに違いない。早々に追い返すに限ると思って、僕はドアを開けた。
「あら結構きれいなお部屋じゃない」そう言って美香さんはクリームイエローのパンプスを脱ぎ、僕の部屋に歩いていこうとした。
「ねえ、あなた彼女はいるの?」
「いないと思うけど」と僕は歯切れの悪い返事をした。美しい女性を前にすると、彼女はいないと嘘をついてしまう自分の習性がなさけなかった。
「スキンとか持ってる?」
「スキン?」なぜ僕が今出会ったばかりの女性にスキンの所持の有無を回答しなければならないのだ。
 こんな風に美香さんとの出会いは、唐突な会話から始まった。
144氏名黙秘:03/05/09 15:28 ID:???
「永沢さん・・・」
「やれやれ、ちびまる子ちゃんか」
145長編 第2回:03/05/09 15:54 ID:???
>>143
 僕には付き合い始めて三ヶ月になる彼女がいた。まだセックスはしていない。
 彼女とは、郷里の唐津から帰京するとき日本エアシステムの機内で知り合った。
 空の上で知り合ったから、仮に名前を「蒼井そら」としておく。いいだろう?
「特だね」の佐々木恭子アナをもう少しかわいくした感じの女の子と思ってもらえれば、だいたい間違いはない。
 その「そら」ちゃんは、週に二日か三日は何の前触れもなく僕の部屋にやってきて、翌朝大学へ行く。
 彼女は決して僕のペニスに触れようとしないし、ペニスを挿入されるべき場所にも触れさせようとしない。
 でも、それ以外の場所ならどこを触っても怒らないし、五分以上続く長いキスも拒まなかった。

 美香さんと二人でいるところに、突然「そら」ちゃんがやってくるのを僕は怖れた。でも、そんなに大切な彼女というわけではなかった。
 彼女にも僕以外の彼氏がいたし、僕にも「そら」ちゃん以外にセックスをする相手がいた。その相手は、近くの美容院で働いていて、その近くのマンションに住んでいた。
 田中美佐子によく似た年上の女性なんだけど、仮の名前を「しど」ちゃんとしておこう。
「そら」ちゃんの次に登場したから「しど」ちゃん。いいだろう?
146長編 第3回:03/05/09 16:15 ID:???
>>145
 それでも択一試験を控えた僕は、無用のトラブルに巻き込まれて、無為な時間を費やしている閑はなかった。
 それに、村上春樹的司法試験からの新作の催促もうるさい。美香さんに付き合っている時間はなかった。
「どうしてあなたは突然人の部屋に上がりこんで、僕に彼女がいるかとか、スキンを持っているかとか訊ねるのだろう。
もしかして、スキンのセールスの人?」
「スキンのセールスって?」
「たとえば、次は僕にこんなことを言おうとしてたんじゃないですか。彼女もいないんじゃ、オナニーばかりしているんでしょ。
あたしが教えてあげるから、ズボンを脱いで。それから、あなたは、僕の怒張したモノにスキンを被せ、そのしなやかな指でシコシコする。
そうしておいて、射精後の僕に向かってこんなことを言う。
これはとても特別なスキンなの。ミック・ジャガーやポール牧も使っているの。だから1ダース5万円もするのよ」
「面白い人ね、あなたって」美香さんは大笑いしながら言った。

147長編 第4回:03/05/09 18:40 ID:???
 美香さんは、意外にも村上春樹のファンだった。
「でも一つだけ許せない部分があるの。無駄な修飾が多すぎるのよ。この傾向は、
『ノルウェー』の頃まではなかったの。それ以降ね。たとえば
>>138
を見てくれる。『鋭い視線』の前には【肉食獣のような】という修飾があったの。
散弾銃は【硬直した細長い魚のような格好で】横たわっていたの。【 】の部分は
削除せざるを得なかったのよ。
 10年ほど前に全集が出版されたとき、『風の歌を聞け』以外は大きく改訂されていたわ。
あたしの好きな短編集『中国行きのスロウボート』なんかもうズタズタ」
「確か月報の中で春樹さんは、その改訂によってやっと読めるものになったとか言ってた
よね」
「反対だわ。文庫本で読む『中国行きのスロウボート』の方がずっといいのよ」


148氏名黙秘:03/05/09 19:32 ID:???
「いつも同じ肢を間違えるんだ」と僕は目を閉じたまま友人に言った。
 長い間その肢を見つめていると、まるで自分が微妙なバランスをとりながら不安定な
空間に浮かんでいるような気がした。たぶんそれは廃品処分寸前のW大学の机で問題
を解いているせいだろう。それから前の席のヴェテさんの強い匂いのせいもあるかもしれない。
その匂いはまるで微妙な羽虫のように僕の右脳の中にもぐりこんで、僕の脳細胞を伸ばしたり
縮めたりしていた。
149松井 :03/05/09 20:03 ID:???
「これはレモンの匂いですか?」
「いいえ、夏みかんです」
150氏名黙秘:03/05/10 00:00 ID:NCvqh1K0
》144 おもしろすぎ
151氏名黙秘:03/05/10 00:13 ID:HZre/yd2
「最初に君に会ったときから僕はこう感じているんだ。君は択一合格を強く求めているのに、その一方でそれを懸命に避けようとしているって。君にはそう思わせるところがある」
僕は黙っている。
「経験的なことを言うなら、人が合格を強く求めるとき、それはまずやってこない。人が合格を避けようとするとき、不合格は向こうから自然にやってくる。もちろんこれは一般論にすぎないわけだけれどね」
「その一般論をあてはめて、僕の場合はいったいどうなるんですか?」 「むずかしい問題だ」といって大島さんは笑う。
152氏名黙秘:03/05/10 02:21 ID:OrffXCwm
誰か前スレの村上春樹からの手紙はりつけてくれない?携帯から見れないんだよ。
今年はあんまり前向きなのがないな…ま、贅沢か。
あと一日でどこまで伸びるかな?
153氏名黙秘:03/05/10 02:25 ID:???
>>152
「少し待ってくれない?探してみるから。」と緑は言った。
154氏名黙秘:03/05/10 02:28 ID:???
>>152
「見つかったけど、本文が長すぎますってエラーが出るわ。ごめんなさい」
と緑は寂しげに言った。
155春樹からの手紙(前半):03/05/10 02:29 ID:???
村上春樹からの手紙

拝啓。司法試験受験生の皆様、本試験直前の頃、いかがお過ごしでしょうか。僕はあいかわらず
毎朝4時に起きてジョギングをこなしています。よく「走りながら何を考えているのか」というような
ことを訊かれますが、そういうときには僕はきまって、司法試験受験生の幸多き未来を祈りながら
走っている、と答えます。そう言うと相手は、「あれ?」という顔をしますが、本当のことなのだから
仕方ありません。

さて、ここにこういう掲示板があって、いわゆる「ネタ」で皆さんが楽しんでおられるという話は
安西水丸さんから聞きました。早稲田大学文学部キャンパス前にある、「レトロ」という今風の
カフェのご主人が昔、乃木坂のバーで働いていたころ安西さんと知り合って、それ以来そのご主人
を通して司法試験受験生やら公認会計士受験生やら、いろいろと苦労なさっている若い人達の話を
聞いていたのです。

僕も一応早稲田大学を卒業したことがある身なので、それなりに関心をもってそれらの話しを
聞き、僕の知らない世界で日夜、過去問を解いたり、分厚い教科書を読んだり、六法全書を
読みこんだりしている人達がいるんだなあ、と思いながら自分の学生時代のことを思い出したり
しています。でもどの話も、僕にとっては遠い世界のことで、いまひとつピンとこなかったんですね。

すこし自分の事を話し過ぎたかもしれません。21世紀の法曹を目指している方々に、何か励みに
なるような文章を書いてくれ、と言われたのですが正直言って何を書いたらよいものか、こうしている今も
僕にはよくわからないのです。
156春樹からの手紙(後半):03/05/10 02:30 ID:???
でも今日、大磯の海岸前の国道を、近くにキャンパスを持つ有名私立大学の学生らしき若者達が
サーフボードを車の屋根に載せて、意気揚揚と通りすぎていくのを見ているうちに、君達のことを思いだし
いてもたってもいられない気持ちに駆られて、パワーブックの電源を入れたのです。

僕は君達に与うべき知識を何も持ってはいません。だから試験直前の時期に、なにか気の利いた言葉を
臆って君達にリラクゼーションをもたらす、という芸当はできません。あるいは誰かが言っているように
憲法前文―”まえぶん”と読むんだそうですね。今まで知りませんでした。―を読むのが効果的なのかも
知れません。

憲法を作った人達の理想を思い出せ、とか言う人もいますが、さすがにそれは違うんじゃないかと思いますが。
そんなものはロバのウンコです。どんなときでも、大切なのは熱いハートとクールな論理です。鋭くあろうと
思わないでください。理論なんて結局間に合わせのものに過ぎないんですから。

そういうわけで、僕は僕の仕事をし、君達は君達の課題をなんとかこなしながら時間というのは過ぎていく
わけですが、どうか最後まであきらめないでください。

最後に、羊男世界がいつまでも平和でありますように。

平成14年5月7日  大磯にて
157氏名黙秘:03/05/10 02:31 ID:???
>>152
「これでいいかしら?」ちょっと嬉しげに緑は言った。
158氏名黙秘:03/05/10 09:05 ID:1AdqunoI
》157 「ありがとう。私のわがままに付き合ってくれて。あなたってとてもいい人ね」島本さんは言った。
159氏名黙秘:03/05/10 11:53 ID:???
「今日は謙三が来てないね」
「いないと寂しいね」緑が言った。
160一心太助的司法試験:03/05/10 13:34 ID:???

「オイラ、魚屋。明日は魚河岸から試験会場に直行するぜ。
 ちょっと魚くせえけど、堪忍してくんな。じゃあな、アバヨ!」
161観月ありさ的司法試験:03/05/10 13:42 ID:???
「そんなのぜったい間違ってる。マークシートで人の一生が
決まってしまうまんて。そんなことは私が許さない!」
とありさは吠えた。 
162グレートサスケ的口述試験:03/05/10 14:50 ID:???

「僕はこの顔で、択一も論文も通過してきたんですよ?」
163グレートサスケ的口述試験:03/05/10 16:07 ID:???
>>162
「試験で眼鏡『等』を着用する人は、着用した写真を願書に貼付しなければならないみたい」
「そうすると覆面を着用して受験する人は、覆面を着用した写真を貼付すべきことになるよね」と僕は言った。
164馳星周的司法試験:03/05/10 18:09 ID:???
ロースクール--忘れていた記憶が蘇った。ぼやけていた顔が形を
持ち始めた。半角板とヴェテ煽りをやめ,身体を作った。2ヵ月後,
龍谷ローに居た。かつてのA判定は戻らなかった。それでも,韓国人
の講師は俺の知識と論理構成に頷いた。

麗しの法科大学院--灼熱のロー。サスペンダーと左翼の匂い。
薄汚れたシケタイ(初版)と論証パターンの香り。人はいいが
でたらめな龍谷法学部プロパー生。基本書もろくに読めない教授。
毎日の塾長への祈り。高い学費。鬱屈が溜まった。
165北方謙三的司法試験:03/05/11 09:40 ID:???

いざ出陣でござる。

御同族の方々が、みごと敵を打ち倒し、勝利されることを確信しておる。
166氏名黙秘:03/05/11 10:10 ID:???

○○的ってワラタ
面白い
167氏名黙秘:03/05/11 10:38 ID:???
大変だ
168ヤケクソ春樹的司法試験:03/05/11 19:14 ID:???
「どうだった?少し易化したみたいだけど?」と緑は言った。
「・・・もうだめぽ・・・」僕は声にならない声で言った。
「えっ?何?大丈夫なんでしょ?」緑は冷静に言った。
「うるさい、ぼけ、ブス」と僕は言った。

鬱だ氏脳。。。
169文学部生:03/05/11 21:05 ID:iuKTKJOH
春樹はカミュのパクリと言ってみる。
あくまで文体のことだけど。。。
170元祖スレの1:03/05/11 21:10 ID:IXqySQMu
「そうだね」と彼は言った。

僕は公務員になったし、この2年は色々な事があった。
この悲しみと限界に満ちた世の中に、今日はみなささやかな抵抗
をしていた。それは神々しくもあったし、なんだかうんざりする
ような光景だった。

I am perfectly empty.やれやれ。

171元祖スレの1:03/05/11 21:16 ID:IXqySQMu
元祖スレの1、4、6、12、22、29、30、36、89が自分の作品。
久しぶりに見たら続編スレッドがたっててびっくりしました。
みんながんばってるね。俺も、もうちょっとがんばるよ。
172氏名黙秘:03/05/11 23:23 ID:3NtVVNnq
>>94
ありがとう。そう言っていただける人がいて本当に嬉しいです。
いまはDJとしての生活がメインで2ちゃんねるどころか、司法試験すら
手をつける暇もありません。休日はもちろん、会社帰りにも毎日のように
回してるものですから。何ヶ月かぶりに掲示板をみました。

いちおう原稿用紙で80枚くらいのやつが書きかけのままあるんですが
止まっています。ごめんなさい。論文が終わったらやってみます。って去年も
言ってましたよね。
173氏名黙秘:03/05/12 02:06 ID:i3q2oOw1
落ちてこそ浮かぶ瀬もあれ司法試験
174森川キャサリーン的司法試験:03/05/12 10:55 ID:???
 択一試験を終え帰宅すると、Wセミナーからメールが来ていた。
だいたい次のような内容であった。

成川学院長「諸君!択一試験お疲れさま。成果はどうだっかな?
Wセミナーでは、諸君の疲れた心と体を癒すために、1泊ツアーを準備したよ。
信玄公旗掛松を見て、水俣で水銀入りの魚を食べ、宇奈月温泉に宿泊するよ。
ツアーガイドはあの森川キャサリーンさんだ。
それでは、キャサリーンさんからごあいさつをいただこう」
森川キャサリーン「もう戻って来れないのよ。あなた達」
175氏名黙秘:03/05/12 10:57 ID:???
>>174
いいオチだ(w
176:03/05/12 10:58 ID:DU6TA6vV
すっごく久しぶりに司法板見たんですが、復活したのですね。
わたしは択一初受験の時に、このスレに励まされて受かりました。
職人さん、頑張ってくださいね。
177レペタ的司法試験:03/05/12 11:08 ID:???
「どうやらこのスレには本物の蒼井そらがカキコしているらしい」とレペタは言った。
「ちょっと待ってください、レペタさん。なにか根拠でも?」と刑事コロンボは訊いた。
 レペタはコロンボの話しをメモっていた。そればかりではなかった。
 レペタは自分の話しをもメモっていた。それもしゃべるのと同時に。
 それはジョージ・ベンソンがギターを弾きながらスキャットするのに似ていた。
「アダルト・サイトの工作員がいるんですよ、このスレには。そこから情報が流れたのでしょう」
 レペタのペンは動き続けていた。
178氏名黙秘:03/05/12 11:12 ID:???
何でもあり的な展開にワロタ
179レペタ的司法試験2:03/05/12 11:18 ID:???
 来日して最も困ったのが、箸の使い方だった。
 お弁当のゆで卵がうまくはさめなかった。
 レペタは試みに得意のペンを2本使ってゆで卵を食べようとしてみた。
「これなら上手く食べられる」とレペタは思った。
 東京地方裁判所の傍聴席での出来事だった。
180一心太助的司法試験:03/05/12 11:46 ID:???
 
「てやんでぇ!択一落ちぐらいでクヨクヨするんじゃないよ。
 オイラ、魚屋。毎日ウロコ落としてら。じゃあな、アバヨ!」
【受験生活の中で埋もれてしまった君の文学的才能を発掘しよう】
  村上春樹的司法試験では、フレッシュな作者の投稿を募集している。
  村上作品のパロディを中心にしてほしいが、特にジャンルを問わない。
  作品が掲載されても何の特典もない。
  それどころか、論文落ち、受験生活の長期化に対しては、当委員会は何の責任もとれない。
  なお、「記念カキコ」「応援カキコ」も大歓迎。
  ただし、『やれやれ』とか『カッコ−』とか、村上作品のタイトルとかを
  書き添えることを忘れないでね^^
  若くて才能あふれる諸君の投稿を待っている。

      五月吉日 村上春樹的司法試験管理委員会
182氏名黙秘:03/05/12 13:39 ID:???

「あと23日でベテさんの脳の血管は爆発するよ。パチン……OFFさ。23日。
 たいした時間じゃないがね」
 風が彼に向かってそう囁いた。
183方丈記的司法試験:03/05/12 13:58 ID:???
 
 書き込まれる合推は絶えずして、しかももとの合推にあらず。
 スレに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、
 久しくとどまりたるためしなし。
184氏名黙秘:03/05/12 14:33 ID:???
「なあ、ジェイ、駄目だよ。
 みんながそんな風に覚えず考えずに肢3にマークしたって何処にもいけやしないんだ。
 こんなこと言いたくないんだがね……、
 俺はどうも余りに長くそういった世界に留まりすぎたような気がするんだ。」
185氏名黙秘:03/05/12 14:43 ID:???
みんな教養があるなぁ。
186氏名黙秘:03/05/12 15:00 ID:???
教養というより村上作品をこよなく愛してますね。
187氏名黙秘:03/05/12 16:27 ID:???
>>171 元祖≫1君へ
三つぐらい無断で改竄しちゃてたみたいだ(≫1他)。
悪意はなかったんだ。手もとに春樹本がなかっただけなのさ。
許してクレタポルテ。
188長編 第4回:03/05/12 18:01 ID:???
>>146
 結局僕は美香さんとセックスをした。今三度目の精を放ったところだ。
それでも僕の怒張は萎えていなかった。今も美香さんの中にある。
 高校生の頃、エロ小説で仕入れた知識によると、男と女は同時にオルガスムスに
達するのが理想なのかと思っていた。しかし、現実の女性の欲情は、高校生の想像
力をはるかに上回っていた。僕が寝たほとんどの女性は、オルガスムスが継続する
ことを望んでいた。まるで同時履行の抗弁権を奪う履行の継続のように。
 美香さんも例外ではなかった。今も僕の腰のグラインドに合わせて、数秒ごとに
押し寄せるオルガスムスの波のなかにいる。
「auf,unf,択一試験前夜の受験生は美味しいわよって、姉が言っていたけれど、
本当ね、ouh,unf」
「それって、誉められている気がしないんだけれども……」
「くさしたつもりなんだけれど……。択一前日の糞スレの乱立見れば誰でもそう思うわよ」

 四度目の精を放ったところで、ようやく僕の怒張は萎えた。そんなとき僕の携帯の
着信音がした。「そら」ちゃんからだった。
 そらちゃんは最近ヨガに凝っている。新しいヨガのポーズを練習するために僕の
手助けが必要なんだそうだ。彼女のマンションは女子大生ばかりが住んでいて、男子
禁制だった。僕は「大奥」と呼んでいた。だから、ヨガの練習はラブホでする。
「あなたの彼女から?本当は彼女いるんでしょ?」と美香さんは訊いた。
「明らかにいないかと訊かれれば、消去法によって消されるね」
「そう、とか、いいえ、とか短く答えられないの?」
「管理委員会に言ってほしいね。そんなことより、これから急に人に会わなければ
ならなくなったんだ。美香さん、駅まで送っていくよ。家はどこ?」
「隣り。このアパートの隣りのオレンジ色の屋根の家」
「人工授精とか、わいせつホームページとか。。。
今の私にはなんだか
ついていけない問題ばかりなのよ」
そう言ったきり、
美佐子は海の碧黒さだけを追い求めるような目をした。

長い髪を5月の夜風がゆらした。
自慢の髪に、消せない髪留めのゴムの跡を見たとき、
僕は無性に彼女を抱きしめたくなった。
190長編 第5回:03/05/12 18:15 ID:???
>>189
「驚いたなあ」と僕は言った。「ちっちゃな女の子を見かけたけれど、あの子は
美香さんの・・・・・・」
「娘よ。四つになるわ」
 僕の脳裏に民法770条と719条が強迫観念のように浮かんできた。それでも
平静を装って、僕は美香さんに尋ねた。
「ご主人の仕事は?」なんていう馬鹿げた質問をするんだ。これじゃ、まるで
近所の興信所おばさんじゃないか。
「設計の仕事をしているわ。今ごろ家で図面引いているんじゃないかしら」
「ウチーーー」
「どうしたの?会いたい?」
「ウチーーーにいらっしゃるんですか?」
191氏名黙秘:03/05/12 18:17 ID:tsOfo4cj
完璧なべテなんて存在しない。
完璧な論文答案が存在しないようにね。
思えば、司法試験は僕らをどこへも連れて行ってはくれなかった。
192氏名黙秘:03/05/12 18:25 ID:???
僕の前の席に、羊が座った。
羊は、試験開始と同時に試験問題を食べてしまった。

「めええええー!!」
満足げな声だけが、静かな部屋に響いた。
193氏名黙秘:03/05/12 18:26 ID:???
>>192
面白い
194氏名黙秘:03/05/12 18:41 ID:???
>>192
紙を食べるのってヤギじゃないの…?
195長編 第6回:03/05/12 19:16 ID:???
>>190
 とにかくあまり「そら」ちゃんを待たせるわけにはいかなかった。僕は美香さんと
分かれると、渋谷へ急いだ。
「そら」ちゃんは僕のことを「おにいちゃん」と呼ぶ。自分では左とん平に似ていると
自負しているのだが、そらちゃんには僕の顔が若乃花に見えるらしい。
これにはとても困ることが一つあった。先週末も渋谷のラブホでヨガの練習に付き合わされた
のだが、会計をしているときに「おにいちゃん」を連発されたので、窓口のおばさん
から変な目で見られたのだ。
「そら」ちゃんはハチ公前で、「貞友民法LIVE過去問解説」を目印にして待っている
はずだった。2ヶ月前まではLECの択一過去問「民法」を目印にしていたのだが、友人が
貞友のほうが目立つと教えてくれた。改訂されたデバイスの方が目立つかなとも思ったが、
デバイスは重すぎた。
196氏名黙秘:03/05/12 19:26 ID:???
>>192
そうだ。いくら考えても紙を食べるのはヤギだ。
197氏名黙秘:03/05/12 20:11 ID:???
ところが、それはまぎれもなく羊だったのだ。

羊の声に気づいた試験官が、新しい問題を持ってきた。
羊はおもむろに、
ペーパーナイフで丁寧に封をあけ、
落丁がないか、確かめていた。
198???:03/05/12 20:36 ID:aIigks6w
>>197
おもろいーーーー
199氏名黙秘:03/05/12 20:41 ID:???
>>194
オーケー 間違えは認めよう…
確かに紙を食べるのは羊ではなくヤギだ…

大した違いじゃないがね。

本当に大した違いじゃないんだ。遅い朝飯か早い昼飯の違いくらいだ…




僕は頭が混乱した…
200氏名黙秘:03/05/12 23:25 ID:???
>>199
鹿だって紙を食べる、いわんや羊をや。
201勘違い騎士道的司法試験 @:03/05/13 10:28 ID:???
「ゴラァ。もう一軒行くぞ!」そらちゃんの声だった。わがゼミの択一慰労コンパの
一次会終了後のことだ。
 蒼井そら。23歳。わがゼミのアイドルといってよかった。いわゆるロリ巨乳である。
ルックスよし、論文A評価の彩色兼備の美女である。しかし、それはそらちゃんが
素面のときの話しで、彼女は酒乱であった。
 事情を知らない新入生たちは、「そら先輩ってカワイイですね」とか言って憧れて
いたが、それも新歓コンパまでだった。
 酒乱のそらちゃんを宥めてタクシーにのせるのは、わがゼミで最も体格のよい僕の
仕事とされていた。
「そうだ、そらちゃん。もう一軒行こうな」
 僕はそらちゃんの手を引いてタクシー乗り場へ向った。他の連中は「先に二次会へ
行ってます」と僕に目で合図を送った。僕も合図を返して、歩き始めた。
「ゴラァ、謙三!二次会はいずこで行うのじゃ?」
 そらちゃんの酒乱は、いつも同じパターンの特徴がある。怒り上戸と泣き上戸が10
分おきに交互にやってくるのだ。今は怒り上戸モードで、このステージのそらちゃん
はサムライ言葉を使う。
202猟犬:03/05/13 10:32 ID:???
>>200その他数名

つーか、本気で言ってますか。
僕の実家は羊の農場ですから僕は羊に詳しい日本人トップ0.1パーセント、
羊に詳しい司法試験受験生&法曹トップ0.0001パーセントくらいに
入ってると思いますけど、羊は紙は食べません。
いや、もちろん、人間だって飢えればウンコでもなんでも食べるだろうという意味
では羊だって紙を食べるかもしれませんが、少なくとも、ノーマルな状態では、羊は
紙は食べませんよ。
203勘違い騎士道的司法試験 A:03/05/13 10:45 ID:???
>>201
「いつも行くカフェ丸玉だよ」と僕は言った。
「ゴラァ、謙三!たばかるではないわ。この方角はタクシー乗場であろうが」
「少し風にでも吹かれた方がいいよ、そらちゃん。少し遠回りだけれども、必ず二
次会行くからさ」
 突然そらちゃんが、泣き上戸モードに入った。このステージのそらちゃんは祇園
の芸者言葉を使う。
「うちを騙して、つれないお人やすなー。そんなにアチキがお嫌いどすエー」
 よくない兆候だった。混乱して祇園芸者と吉原芸者がごちゃまぜになっていた。
こういう状態の次には、必ずといっていいほど嘔吐が来る。
 来ターーーーー。
「ウゲェ。オエッ。・・・」
 やれやれ。僕はそらちゃんの背中をさすった。以前、「蒼井さんの背中より胸を
さすりたいな」とか冗談を言ったゼミ員は、そらちゃんに抱きつかれたまま、嘔吐
されたことがあった。

 そらちゃんの嘔吐が一段落したので、引きずるようにして、タクシー乗場へ急いだ。
そこに、あの空手三段の英国人が現れたのだ。
204勘違い騎士道的司法試験 B:03/05/13 11:02 ID:???
>>203
 運悪く、その時そらちゃんは、泣き上戸モードだった。
「ヘルプミー!そこの外人、ヘルプミー!」
 声をかけられた英国人は、僕がそらちゃんを拉致して、どこかへ連れて行こうとし
ていると勘違いしたのかもしれない。険しい目をして、僕に近づいて来て、
「What are you doing?」と訊いた。
 事情を説明しようと思ったが、地方出身者である僕は、なぜか外人を見るとアガって
しまうのだった。それに、中学三年のときに英検3級をとってはいたが、英会話の実力
はゼロに等しかった。
「ドント、ウォーリー。アイアム、ア、スチゥーデント」
 僕は何を言っているんだ。英国人は一層不可解に思ったのであろう。恐い目をして
近づいて来たから、僕も怖くなった。
「アイ、ライク、ルール、オブ、ロー。アイ、ライク、ビートルズ」
 僕は英国に対するありったけの好意を示したつもりだったが、相手には通じなかった
ようだ。
「Hey,boy.Shut up」
 回し蹴りが来た。
 目の前が暗くなった。
205氏名黙秘:03/05/13 11:49 ID:???
>>204
 被害者のファイティングポーズが抜けてる。減点1
206氏名黙秘:03/05/13 12:08 ID:???
>>204
 そらちゃんの名前を連発しても、
 AVから出演依頼は来ないぞ、謙三。
207氏名黙秘:03/05/13 12:41 ID:???
>>204
 泣き上戸モードのそらちゃんが「ヘルプミー」と言っている。
 祇園の芸者言葉を使っていないから、減点1.
208氏名黙秘:03/05/13 12:48 ID:???
>>207
「ヘルプミー」がないと、この物語が成立しません。
 ≫207君、減点1.
209:03/05/13 13:34 ID:WvpkE7dX
>>199
遅い朝ごはんか早い昼ごはんかの違いかって、わたしも印象に残ってますw
妙に納得してしまった記憶があるんですが・・・。
210氏名黙秘:03/05/13 13:35 ID:???
>>204
つまらん。
211:03/05/13 14:12 ID:???
紙は食メェ〜〜ないヨ〜〜
メェェ〜〜
212氏名黙秘:03/05/13 15:11 ID:???
みなさん、ライ麦〜読んだ?
213氏名黙秘:03/05/13 16:28 ID:DyNgUEBx
あらゆる問題は通り過ぎる。
誰にもそれを答えることはできない。
僕たちはそれでも勉強している。
214氏名黙秘:03/05/13 16:33 ID:???
 牧場は山頂に近いゆったりとした台地を利用して広がっている。その広大な敷地
にはおよそ200頭もの羊が放牧されていた。
 僕はそこで不自然な光景を目の当たりにしてしまった。
「やはり羊は紙を食っていた」
 首に受験票をぶら下げた羊が紙を食っていたのだ。
215192,197:03/05/13 16:36 ID:???
僕は必死に闘っていた。
「3年半探し回った羊が、今目の前に座っている」

だが、今はとにかく
このマークシートを仕上げなければならないのだ。

5時だ。
5時になってから、羊のことは考えるんだ。
それまでは、まず
この政教分離をやっつけなければならない。


216氏名黙秘:03/05/13 16:45 ID:???
>>215
「紙を食った羊の目的はいったい何だったんですか?」
「わからん」羊博士は吐き出すように言った。「わからんのだ。羊は私にそれを教え
なかった。しかし奴には大きな目的があった。それだけは私にもわかった。人間と
司法試験の世界を一変させてしまうような巨大な計画だ」
217:03/05/13 16:47 ID:WvpkE7dX
>>212
ライ麦は本屋でみかけたけど、買わなかったですー。
でもなんか100円くらいの薄い図書館推薦本みたいな、高校の副読本
に使用されるものが売っていたので買いました。
ボクシングならってた人がでてくるやつ。
文庫だと何に収録されてたかわすれちゃったけど・・・・。

てか、春樹全集は必携ですかね?

218氏名黙秘:03/05/13 17:39 ID:???
>>217
「凝った装幀が多いからハードカバーを買うのよ」と緑は言った。「文庫本は、この
 スレッドのために買ったわ。全集は高いから、やめたの」
219氏名黙秘:03/05/13 18:01 ID:???
 ベテは目の前に並んだ6冊の択一過去問単年度版をぼんやりと眺める。過去問集の
あいだからジェイの後姿が見える。
 引退の潮時かもしれない、とベテは思う。この店で初めて過去問を解いたのは二十一
の歳だ。何千問の問題、何十冊の本、何十枚の受講生証。何もかもが、まるではしけに
打ち寄せる波のようにやって来ては去っていった。俺はもう既に充分なだけの問題を
解いたじゃないか。もちろん三十になろうが四十になろうが幾らだって問題は解ける。
でも、とベテは思う、でも老眼の俺に六〇問はきついんだ。

220氏名黙秘:03/05/13 18:16 ID:???
「つまり出題者の頭の中には人跡未踏の巨大な過去問の墓場のごときものが埋まって
おるわけですな。大宇宙をべつにすればこれは人類最後の未知の大地と呼ぶべきでしょう。
 いや、過去問の墓場という表現はよくないですな。何故なら司法試験の墓場という
糞スレを連想させますからな。正確には過去問工場と呼んだ方が近いかもしれません。
 そこでは、無数の記憶や認識の断片が選り分けられ、選り分けられた断片が複雑に
組み合わされて肢を作り、その肢がまた複雑に組み合わされて問題を作り、その問題
がシステムを作り上げておるからです」
「そしてその過去問工場から発せられる指令によって受験生の行動様式が決定されて
いるというわけですね」
「そのとおりです」と永山は言った。
221動画直リン:03/05/13 18:17 ID:jSqf/uTT
222氏名黙秘:03/05/13 18:17 ID:80Dmc9j+
システムなんかどうでもいいのよ!!
223春樹はジャズばかりでなく現音も小説に登場させろよな:03/05/13 18:18 ID:Ks9Xu9Qg
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投稿してくださいね。ゲソちゃん本人(!)の参加もあるかも。
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224氏名黙秘:03/05/13 18:25 ID:???

羊たちはあのブルーの目でそれぞれの好みの紙をみつめているのだろう。
225氏名黙秘:03/05/13 18:39 ID:???
 スレ荒しを殺すのは冬の寒さでもなく食料の不足でもない。彼らを殺すのは
自らが引き受けた自我の重みなんだ。そして春が来ると新しいスレ荒しが生まれる。
死んだスレ荒しの数だけ新しいスレ荒しが生まれるんだ。
 そしてそのスレ荒したちも成長すると掃き出されたスレ荒しの自我を背負って
同じように死んでいくんだ。それがバカさかげんの代償なんだ。
226氏名黙秘:03/05/13 19:29 ID:???
 予備校の問題について何かが書けたとしても、本試験問題については何も書けない
かもしれない。しかし、今、僕は書こうと思う。うまくいけばずっと先に、何年か
何十年か先に、救済された自分を発見することができるかもしれないから。
227氏名黙秘:03/05/13 19:50 ID:???

「ひとつ質問していいかい?」
「喜んで」
「君は何を学んだ?」
 若者が微かに動揺し、副査が笑った。そして再び永遠の静寂が試験会場を被った。
 若者はポケットから拳銃を取り出し、銃口をこめかみにつけ、そっと引き金を引いた。

228氏名黙秘:03/05/13 19:55 ID:???
刑法の相変わらずの穴うめに切れそうになっているとき、
羊が手を挙げた。

そうして、
試験官にマークシート(60問塗りつぶしてあった)を渡すと、
身の回りのものを整理して、
静かに部屋を出て行った。

席を立つとき、
横目で僕の方をちらと見て、にやっと笑った気がした。
229氏名黙秘:03/05/13 20:00 ID:???
>227
近頃の若者はこらえ性がない
230氏名黙秘:03/05/13 20:10 ID:???
「択一が終わるとスレが伸びるのよね」と緑は言った。
231氏名黙秘:03/05/13 20:10 ID:???
「私が『憲法の歴史的背景』をリクエストするときはここに100円入れるのが
決まりなの」と直子が言った。「この講義がいちばん好きだから、とくにそう
しているの。心してリクエストするの」
「そしてそれがワシの煙草代になるわけじゃ」
 加藤晋介は指をよくほぐしてから『憲法の歴史的背景』を講義した。彼のしゃべる
話しには筋が通っていて、しかもそれでいて感情に流れすぎるきらいがあった。
 僕もポケットから百円玉を出して貯金箱に入れた。
232氏名黙秘:03/05/13 20:46 ID:???
>>227

若者はベテの対極としてではなく、その一部として存在している。
233氏名黙秘:03/05/13 21:08 ID:???
「ところで僕が返してほしいと思った時にはどうすればいい?」
 法務省は僕の質問の意味がわかりかねる様子だった。
「失われた青春を、かい?」
「そう」
 法務省は腕組みしながら考え込んだ。
「そういった例は一度もないんだ。失われた青春を返してほしいなんて言った香具師
 はね……。青春ってのはつまりは弱くて暗い心なんだ。誰がそんなものを欲しがる?」
 わからない、と僕は言う。
「いろんな蝿がその弱くて暗い心に群がるんだ。憎しみ、悩み、弱さ、虚栄心、自己憐憫、
 怒り……」
「不合格」と僕はつけ加えた。
「不合格」と彼も繰り返した。「誰がそんなものを欲しかる?」
234氏名黙秘:03/05/13 21:11 ID:???
>233
上手い
235氏名黙秘:03/05/13 23:40 ID:???
「和光って本当にそれほど悪くないと思う?」とレイコさんが訊いた。
「良い町です」と僕は言った。「そのうちに訊ねていきます。」
「本当?」
僕は肯いた。「でも、その前に論文書きます」
「あなたの論文好きよ。直子は全部焼いちゃったけど。あんないい論文だったのにね」
「22点の論文なんてただの紙です」と僕は言った。「燃やしちゃっても心に残るもの
は残るし、とっておいても残らないものは残らないんです」
「正直言って私、すごく怖いのよ。ひとりぼっちで和光に行くのが。だから論文書いて
ね。あなたの論文読むといつもあなたがとなりにいるような気がするの」
「僕の論文でよければいくらでも書きます。でも大丈夫です。レイコさんなら、修習に
いってもきっとうまくやれますよ」
236氏名黙秘:03/05/14 01:06 ID:yfJ1ubnK
終わったとたんのびたねぇ!択一前にあげるのは大変だったよ…。あとはまかせた(笑)

>>172 「どんなときにも大切なのは熱いハートとクールな論理です」にはぐっときました。
お仕事と試験の両立、大変なことと思いますが頑張ってください。
237氏名黙秘:03/05/14 03:03 ID:???
「き、君は何を受験するの?」と彼は訊ねた。
「司法試験」と僕は答えた。
「司法試験って法律やるの?」
「いや、そういうんじゃなくてね。2ちゃんを読んだりしてさ、あおったりするわけさ。
ベテハケーンとかベテ氏ねとかね。」
238氏名黙秘:03/05/14 03:23 ID:???
「でもそれじゃ危なくってしようがないだろう」と僕は言った。「どこかにマークミスがある、
でもそれがどこにあるかは誰も知らないなんてね。落っこっちゃったらどうしようもないじゃないか」
「どうしようもないでしょうね。はい、筆記具を置いてください、それでおしまいだもの」
「そういうのは実際には起こらないの?」
「ときどき起こるの。20人か30人に1人くらいかな。マークがずれちゃって、どれだけ探しても
みつからないの。そうすると受験生は言うの、あれは二年目のジンクスだって」
「あまり良い落ち方じゃなさそうだね」と僕は言った。
「ひどい落ち方よ」と彼女は言って、鞄に差し込まれた伊藤真の手紙を手で払って
落とした。
239氏名黙秘:03/05/14 03:32 ID:???
「そのまま平均点を割ってあっさり落ちちゃえばいいけれど、何かの加減で一点差くらいで
すんじゃったらどうしようもないわね。声を限りに叫んでみても誰にも聞こえないし、
法務省が助けてくれる見込みもないし、まわりには若手やらベテやらがうようよいるし、
一点差で落ちていった人たちの受験票があたり一面にちらばっているし、
暗くてじめじめしていて。そして上の方には合格者の掲示がまるで冬の月のように
小さく小さく浮かんでいるの。そんなところで一人ぼっちでじわじわと落ちていくの」
240氏名黙秘:03/05/14 11:10 ID:???
「どうだい、離れてしまうと奇妙なもんだろう、受験生ってのは?」
「そうだね」
「あんなものは何の役にも立ちゃしないんだ。そのくせ口だけは一人前ときてやがる。
あの講師は嫌だとか、この講師は良いだとかね。受験生が何かの役に立ったことが
これまでに一度でもあったかい?」
「ないよ」
「そうだろう」とボス弁は憎々しげに言った。「あんたもきっと後悔はしないよ」
「だと良いね」と元LEC講師は言った。
241氏名黙秘:03/05/14 11:19 ID:???
「あなたの学歴もそのうちに死ぬわ」と図書館の女の子は言う。「学歴が死ねば、明るい未来も
死ぬ。そして暗闇がやってくるわ」
「そして春樹がそれを守ってくれる」
「そう」と図書館の女の子は言う。「だって、そのためにあなたはこのスレに来たんでしょ?」
242氏名黙秘:03/05/14 11:28 ID:???
>>237-239
熟練した職人の復帰だな。歓迎。
243氏名黙秘:03/05/14 12:33 ID:???
「レイコさん、僕はいつまで春樹の仮面を着けていなきゃならないんだろう?
 新人は創作してくれないのかね」がっかりしたように謙三は言った。
「今の若者は生まれたときから観客でいることに慣れているから、創作が苦手なのよ。
 でもこのスレの新人は頑張っているわ。それに一人有望な職人が復帰したし、ぜいたくは言わないの」
「観客ねえ。君とセックスした『僕』って奴も、自分からやりたいとは言わなかったよな。
 それにそのギター貸して下さい。僕もノルウェーの森を弾きたいんです、とも」
244:03/05/14 13:18 ID:5FuV87NL
突撃隊ネタは良いですねぇ。なんとも言えない物悲しさが感じられます。
彼は結局家が破産して、働くことになったのかなと想像しています。
245氏名黙秘:03/05/14 13:37 ID:???
 自己採点を終える。これはなんだ?と僕は考える。考えるだけではなく実際に口に
出して自分自身にそう問いかける。「これはなんだ」と。
 でもそれは無意味な質問だ。問いかけるまでもなく、答えは始めからわかっている。
これが僕の得点なんだ。僕の人生。僕という現実存在の付属物。特に認めた覚えもない
のにいつの間にか僕の属性として存在するようになったいくつかのケアレスミス、
時間不足、ラッキー。
 僕は去年のボーダーにすら含まれていない。
246氏名黙秘:03/05/14 14:04 ID:???
 引出しの中にきちんと折ってくるくる丸められた予備校のパンフが沢山詰まって
いるというのは人生における小さくはあるが確固とした幸せのひとつ(略して小確幸)
ではないかと思うのだが、これはあるいは僕だけの特殊な考え方かもしれない。
 なぜならひとり暮らしの独身者をべつにすれば予備校のパンフをおかずにして
オナニーをするという男性は、少なくとも僕のまわりにはあまりいないからである。
247氏名黙秘:03/05/14 14:14 ID:???
「どうするの?」とユミヨシさんは訊いた。
「二人で講師控室の方に行ってみよう」と僕は言った。「僕は二人の人物に会う
目的でWセミナーに戻ってきたんだ。一人は君で、もう一人はその相手だ。
彼はこの部屋の奥の方にいる。そして恐い顔をして受講生の質問を受けているんだ」
「大丈夫。儲かるのは、私だけですよ、って言う人ね?」
「そうだよ。彼だ」
248氏名黙秘:03/05/14 14:33 ID:???
「今までの感じはわかってもらえたかしら?」
「大体わかる」と僕は言って肯いた。「未登記の所有者乙から丙は賃借した。
しかし、乙は対抗問題で丁に負ける。乙の賃貸権限が初からなかったと考えれば、
丙は家屋を明け渡たさざるを得ない。でも、何かおかしい」
 彼女はため息をついた。「自慢するわけじゃないけど、私は2ちゃんで言われている
ほど頭の悪い講師じゃないんです。少なくとも女性講師にしては優秀な方だと思うわ。
伊藤塾をクビになったからって、それだけで普通の女性みたいにきゃあきゃあわめいたり
しないわよ。そりゃ悔しいことは悔しいけれど、そういうのに負けちゃいけないとも
思うの」
「梁山泊 豹子頭 林冲 見参!」と叫びたい!
村上作品には男同士の会話が少ない。
緑や直子の台詞ばかりパロっていると、オカマになっちゃいそうだ。
だから、時々謙三に戻らないと、困ったことになるのだ。
家族で食事をしているときに、頭の中でパロ作っていると、
ペロッと『そうかしら?』とか言ってしまうのだ。
両親が変な目で漏れを見たぞ。相手が彼女だったら、どうするんだ!
「行くぞ、百里風。敵陣まで駈けるのだ。目指すは高?の首。ドリャー」
250氏名黙秘:03/05/14 17:47 ID:???
「そのとき思ったわ、私。こいつらみんなインチキだって。適当に偉そうな言葉ふり
まわしていい気分になって、受験生の頭を悩ませて、2ちゃんに愚痴書き込ませる
ことしか考えていないのよ、あの人たち。
 そしてロースクールが開校したら、基礎講座短くして、適性試験対策講座だの
司法書士講座だのにさっさと転向して、デバイスなんか読んだこともない受講生を
相手に不動産登記の添付書類を板書するのよ。おかしくって涙が出てくるわよ」
251AVカメラマン的司法試験:03/05/14 18:22 ID:???
 もしこの世に完全なものがあるとすれば、それはそらちゃんの裸体なのだ。そして
それはそもそもの始まりからそこに存在していたのだろう。空に雲が流れ、雨が大地
に川を造りだすように。
 乳房はそれを一枚のCカップブラに捉えるにはあまりに巨大であり、その息づかい
はあまりにも強烈であり、その曲線はあまりにも優美だった。そして僕はその裸体
をビデオテープに録画するたびに果てのない無力感に襲われることになった。○○○○
は挿入する角度によって信じがたいほど大きく表情を変え、その正確な把握を困難なもの
にしていた。
252AVカメラマン的司法試験:03/05/14 19:27 ID:???
 あらゆるものから何かを学び取ろうとする姿勢を持ち続ける限り、ベテになること
はそれほどの苦痛ではない。これは一般論だ。
 二回目の受験の頃からずっと、僕はそういった生き方を取ろうと務めてきた。
おかげで若手から何度となく手痛い打撃を受け、罵られ、誤解され、また同時に多くの
受講料を支払った。様々な講師がやってきて僕に語りかけ、まるで橋をわたるように音を
立てて僕の上を通り過ぎ、そして二度と戻ってはこなかった。若手たちはその間じっと口を
閉ざし、基本書を読んでいた。そんな風にして僕は丙案最後の年を迎えた。
253氏名黙秘:03/05/14 19:47 ID:???
 秋がやってくると、彼らの体は灰色の失望に覆われることになる。それは純粋な
意味での失望だった。他のどのような種類の失望もそこに介在することはできなかった。
彼らの失望は失望として世界に生じ、失望として世界に存在した。すべての空とすべて
の大地のはざまにあって、彼らはまじりけのない失望に染められていた。
254氏名黙秘:03/05/14 19:58 ID:???
>>253
秋がやってくると、彼らの体は黄金色の歓喜に覆われることになる。それは純粋な
意味での歓喜だった。他のどのような種類の歓喜もそこに介在することはできなかった。
彼らの歓喜は歓喜として世界に生じ、歓喜として世界に存在した。すべての空とすべて
の大地のはざまにあって、彼らはまじりけのない歓喜に染められていた。
255212(遅レス):03/05/14 20:47 ID:???
>>217
ライ麦の野崎滋訳の本なら持ってます。

全集は好みによるんじゃないですか。私は単行本を買います。
256氏名黙秘:03/05/14 22:23 ID:???
個人的には全集についてる自作を語る冊子みたいのが凄い気に入ってる
257氏名黙秘:03/05/15 10:54 ID:???

「いつお墓に入るの?」
「明日だね。今日有事法案が衆議院で可決されるんだ」
 彼女は黙っていた。
「ゴールデンウィークにはまた帰ってくるさ。5月3日が誕生日なんだ」
258氏名黙秘:03/05/15 11:10 ID:???
>246
まちこたんのあったら UPplz
259氏名黙秘:03/05/15 11:16 ID:???

「口述試験を言葉で説明することはできない。それはちょうど、受験生のあらゆる
知識を呑みこむるつぼなんだ。気が遠くなるほど美しく、そしておぞましいくらいに
邪悪なんだ」
260氏名黙秘:03/05/15 11:50 ID:???
>>258
「まちこ」というキーワードぐらい僕の頭を混乱させる言葉はなかった。二年ほど前、
そう「まちこ」というキーワードが頻繁にスレッド上をさわがせていた頃、僕は受験新報
のWセミナーの広告に「まちこ」の写真が掲載されていないか、探してみた。なかった。
 予備校もない地方都市で受験生活を送っている僕にとって、受験新報は唯一の情報
源であったが、成川学院長は田舎者には「まちこ」の写真を見せない方針を確固として変
えなかった。
 僕の混乱は今も続いている。「まちこ」というキーワードを目にするたびに、
渡辺真知子の巨体が脳裏に浮かんでしまうのだ。
261氏名黙秘:03/05/15 12:12 ID:???

太ったマチコ(彼女の脚は象を連想させた)は廊下を歩きながらコホコホと不吉な咳をした。
262氏名黙秘:03/05/15 12:35 ID:???
7月に誰かが彼のいないあいだに前田の基本書を盗み、かわりに行為無価値の団藤の
基本書を置いていった。団藤の基本書を読みながら論文が書けるのかどうか知りたいという
ただそれだけの理由からだった。すごく喜んで書いてたぜと僕が適当なことを言うと、
誰かがそれを今度は牧野英一の基本書にとりかえた。基本書が変るたびに突撃隊はひどく混乱
した。
263氏名黙秘:03/05/15 12:58 ID:???
「あなたは仕事にいかないの?」
「行こうにも仕事がない」と僕は言った。
「失業?」
「まあね。そもそも仕事に就かなかったんだ」
「これまでどんなことをしていたの?」
「弁護士になったときにおよそ役に立たないようなことだよ」と僕は言って、話の
素早い流れを切るためにゆっくりと深呼吸した。
「2ちゃんで他人をあおったり、村上春樹の本に付箋紙を貼ったり、
まちこの写真を探したりね、そんなこと」
「合格しようと思わないの?」
 僕は煙草を出して口にくわえ、マッチを擦って火をつけた。近くの樹上でねじまき
鳥が鳴いていた。ねじまき鳥は五回か六回ねじを巻いてから若木に移っていった。
264氏名黙秘:03/05/15 13:03 ID:qK2FObTL
>>262
「突撃隊は大好きなキャラよ。≫262君頑張って」と緑は言った。
265パナウェーブ的司法試験:03/05/15 14:49 ID:HAyAX3DD

「わかったわね。白よ。論文答案は真っ白でなくちゃ、タマちゃんは助からないの」
「ちょっと待ってください、千乃代表。何ね、うちの加美教授がね、真っ白はまずか
ろうって言うもんですからねー」と刑事コロンボは言った。
【受験生活の中で埋もれてしまった君の文学的才能を発掘しよう】
  村上春樹的司法試験では、フレッシュな作者の投稿を募集している。
  村上作品のパロディを中心にしてほしいが、特にジャンルを問わない。
  作品が掲載されても何の特典もない。
  それどころか、論文落ち、受験生活の長期化に対しては、当委員会は何の責任もとれない。
  なお、「記念カキコ」「応援カキコ」も大歓迎。
  ただし、『やれやれ』とか『カッコ−』とか、村上作品のタイトルとかを
  書き添えることを忘れないでね^^
  若くて才能あふれる諸君の投稿を待っている。

      五月吉日 村上春樹的司法試験管理委員会
267氏名黙秘:03/05/15 16:08 ID:???
 僕は設問の論点の基本書の該当ページを頭に思い浮かべようとしたが、実際に僕が
思い浮かべることができるのは、逆光を浴びた写真のようなひどく漠然としたアダル
ト本の裸体に近いものだった。
 強い太陽の光が瞼をとおり抜けて僕の暗闇を不安定に拡散させていたし、それに僕
はどれだけ努力しても基本書の該当ページを正確に思いだすことができなかったのだ。
 僕が思い浮かべることのできる論点の姿は、まるで失敗した似顔絵のようにどこと
なくいびつで不自然だった。特徴だけは似ているのだが、肝心な部分がすっぽりと欠
落している。自説の論理がどのような歩み方をしたのかさえ、僕にはもう思い出せな
いのだ。
268氏名黙秘:03/05/15 16:26 ID:???
「いちばん大事なポイントは統一性なんです」>>125は言った。「どんな素晴らしい
パロディも、まわりとのバランスが悪ければ死んでしまいます。文体の統一、品性の
統一、作家の統一 ― それが今のこのスレッドに必要なことなんです。
 調査によれば、受験生は一日のうちいちばん長い時間を村上春樹的司法試験ですご
します。村上春樹的司法試験は受験生の仕事場であり、書斎であり、居間なんです。
だから>>125は村上春樹的司法試験を少しでも居心地の良い場所にしようと努めています。
北方謙三は関係ありません。

PS 最近見かけないけど、勉強ばかりしてるの?
269氏名黙秘:03/05/15 16:44 ID:Ea5S+04m
>265 「ちょ、ちょっとまってよ、なぜ加美教授?まさかゼミ生?」僕は激しく混乱していた。
「それに教授は定年退官したよ。静かに暮らしているんだ、いまさらこんなところに引きずりださないでくれないか」
270氏名黙秘:03/05/15 17:11 ID:???
>>269
以前加美先生の会社法の教科書使っていただけ……。ゼミ生ではない。
コロンボの「うちのカミさん」と偶然語呂が合ってしまったんだ。スマソ。
271氏名黙秘:03/05/15 17:17 ID:jzfIFCCo
「やれやれ」と、額の汗を拭いながら元ゼミ生の僕は言った。
「近いうちに改訂版がでるはずだから、よかったらまた読んでみてくれないかな。よかったら、ね」
272氏名黙秘:03/05/15 18:18 ID:???
 そうゆうのは世の中にはよくある例なのかもしれないけれど、僕は予備校のテキスト
がそもそもの最初からあまり好きになれなかった。
 そして日がたつにつれ、そんなテキストを無理やり読ませようとする予備校そのもの
に対しても少なからず疑問を抱くようにさえなっていた。
「あなたは物の見方が狭すぎるのよ」と予備校は僕に言った。
「そうかもしれないけど、つまらないテキストを読まないっていうのもひとつの見識だ
と思う」と僕は説明した。
「いつからそんなに偉くなったの?」と予備校は言った。
「嫌にからむね」と僕は言った。「法務省発表の合格点と5点もくい違ったから?」
273:03/05/15 18:32 ID:q18rw9rK
>>212
文庫は、5年くらい前のものまでは全部持ってますー。
ハードカバーので買ったのもあるんですが。
やはり全集を本棚に並べたいような気がします。

春樹さんは、エッセイもいいですよね。
わたしは文才がないからうまくできないけれど、文才ある方、
エッセイの春樹さんもおながいしまつ。


274氏名黙秘:03/05/15 18:53 ID:???
 町の予備校から司法試験受験生が消えてしまったことを、僕は新聞で知った。受験
生消滅の記事は地方版のトップに載っていた。「○○町で受験生が行方不明」という
地方版にしてはかなり大きな見出しがまず目につき、それから「町民のあいだに不安
強まる。管理責任追及の声も」という一段小さな見出しが続いていた。
 何人かの警官が受験生のいない予備校を検証している写真も載っていた。受験生の
いない予備校はどことなく不自然だった。必要以上にがらんとして無表情で、それは
北方謙三抜きで延びてゆく村上春樹的司法試験のように見えた。
275273のリクエスト:03/05/15 19:09 ID:???
 僕は若い頃はそれほど試験に落ちる人間ではなかったのだが、もともと勉強が嫌いで
パロディばかり作っているものだから、齢をかさねるにつれて、まあ人並みか人並みを
わずかに越えるくらいには試験に落ちるようになった。
 ひと仕事終えてパロディを作るときの気分というのは、たしかに人生における小確幸
(小さくはあるが確固とした幸せ)のひとつである。
276:03/05/15 19:11 ID:q18rw9rK
>>275
(ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-
そうそう、ほんとそんな感じのたらたらと続いていく淡々とした文章ですよね。
小確幸は、春樹さんに聞いてみようを読んで初めて読み方がわかりました。
良い言葉ですよね。
277Good Night:03/05/15 20:02 ID:???
「やっと勉強モードになったのね」と緑は言った。
「15時間くらい2ちゃんを離れるから、夜中に読んだ人、
 面白いなーとか、気の毒だなーとか思ったら、ageてやって下さいね^^」
278氏名黙秘:03/05/15 22:57 ID:???
「ねえ、ワタナベ君?」と僕の耳もとでマコツが言った。
「うん?」
「論文書きたい?」
「もちろん」と僕が言った。
「でも、待てる?」
「いいや、ベテだから」
279氏名黙秘:03/05/15 23:34 ID:???
「僕らは変人なのかな?」
「あなたはそうじゃないと思うの?」

彼女の顔にはもう微笑は浮んでいなかった。
280氏名黙秘:03/05/15 23:38 ID:???
「禿タカは何を食べるんだっけ?」
「名も無きヴェテの死体。」と僕は言った。「禿ワシとはぜんぜん違うんだ」
281氏名黙秘:03/05/16 08:58 ID:v7+npJ8N
「エウリピデス」と彼女は簡潔に言った。
「辰巳。『いいえ、法務省だって不幸な受験生の言うことには耳を貸そうとはなさらないのです』。去年抗議しても無駄だったでしょ?」
282くされDJ:03/05/16 10:04 ID:wCC+jUWB
「ライ麦〜」は原書で読むことを奨めます。。講談社から文庫本で出ています
ので(800円くらいだったかな?)勉強の合い間の息抜きにお薦めします。

ホールデンの慎重深さとか、頭の切れ具合が日本語だとどうしても伝わり
にくいみたいです。彼はとても繊細でクールな、東部中産階級の子弟なん
ですよね。春樹(村上)さんは「あれは実はとても怖い小説なんだよね」
とどこかで仰っていましたが、その「怖さ」を確かめるためにも、ぜひ
原書に当たってみることをお勧めいたします。

ちなみに角川文庫のサリンジャーの訳者は、拙者の伯父であります。
でも春樹(角川)とケンカして、絶版にされてしまいました。伯父はとうに
亡くなったのですが、「サリンジャーを残しておいてくれたら、経済的に
助かったのだけど」と伯母は言います。

こんや六本木PEAKで回します。近所に住んでる受験生のかた、遊びに
いらしてください。1ドリンク1500円です。
283くされDJ:03/05/16 10:04 ID:wCC+jUWB
   ON

 やあ、みんな今晩は、元気かい?僕は最高にご機嫌に元気だよ。みんなにも半分わけてやりたいくらいだ。
こちらはおなじみ「伊藤コマツの司法試験塾・択一過去問復習講座」の時間だよ。僕がこの講座を担当する
塾長のコマツ、よろしく。これから9時までの素晴らしい土曜の夜の3時間、イカした択一過去問をガンガン
解いていく。なつかしい問題、想い出の問題、楽しい問題、踊り出したくなる問題、うんざりする問題、吐き気
のする問題、何んでもいいぜ、どんどんリクエストしてくれ。メールアドレスはみんな知ってるね。いいかい
間違えないように送信してくれ。出して損、受けて迷惑、間違いメール、少し字余り、なんてね。よーし、みんな
今年の択一はダメだったわけだけど、そんなことはゴキゲンな過去問を解いて忘れよう。いいかい。素晴らしい
過去問ってのはそういうためにあるんだぜ。可愛い女の子と同じだ。オーケー、一問目。これをただ黙って解いて
くれ。本当に良い問題だ。劣等感なんて忘れちまう。昭和56年度第90問「刑法上の暴行概念について」。
3分30秒後に会おう。
284くされDJ:03/05/16 10:05 ID:wCC+jUWB
OFF

…ふう…なんて難問だい、まったく…

 …ねえ、リクエストもっとないの? …悪問だよ、こりゃ…おい、よしてくれよ、俺はね、一発合格だから
択一プロパーの勉強なんてまともにやってるヒマなかったんだよ…

…そう、こんなもんだ…

…ねえ、喉が乾いちゃったよ、誰かよく冷えたコーラ持ってきてくれない? 
…大丈夫さ小便なんて出やしないよ。俺の膀胱はね、特別に頑丈に…そう、ボーコー…

…ありがとう、ミッちゃん、素敵だよ…うむ、よく冷えてる…

…ねえ、栓抜きがないよ…

 …馬鹿言え、歯で開くわきゃないだろ? …おい、解答時間が終わるよ。時間がないんだ、悪ふざけはよせよ
…ねえ、栓抜き!

…畜生…
285くされDJ:03/05/16 10:05 ID:wCC+jUWB
ON

 素晴らしいね、これが択一だ。昭和56年度第90問「刑法上の暴行概念」、少しは気楽になったかい?
ところでこの問題の正答率、何パーセントだと思う?37%だぜ、37%。昭和56年度にしても低過ぎる。
これじゃ橋田壽賀子ドラマの視聴率だ。37%っていえば鉛筆を転がして決めてもたいして変わらないくらいの
正答率だ。信じられるかい?オーケー、おしゃべりはこれくらいにしよう。どんどん過去問を紹介する。
平成12年度第19問「予算と決算の議決」、乗ってくれよ、ベイビー。
286くされDJ:03/05/16 10:05 ID:wCC+jUWB
OFF

 …おいおい、もういいよ、マイク・スタンドの角で開けちゃったよ…

…ふう、うまい…

…大丈夫だよ。しゃっくりなんて出やしないさ。心配性だね、あなたも…

 …ねえ、佐藤憲法にはなんて書いてある? …他の基本書には該当個所がないんだろう?…

…おい、ちょっとまってくれ、何故予備校に基本書が一冊も無いんだ?
犯罪だよ、そりゃ…

 …わかったよ、もういいよ。それはそうと今度はビールが飲みたいね。グッっと冷たい…

…おい、参ったね、しゃっくりが出そうだよ…
…ムッ…
287くされDJ:03/05/16 10:21 ID:wCC+jUWB
9時15分に電話のベルが鳴った。
 僕は居間の藤椅子に横になって、缶ビールを飲みながらひっきりなしにチーズ・クラッカーを
つまんでいる最中だった。
「やあ、こんばんは。こちら井藤コマツの司法試験塾。ネット中継聴いててくれたかい?」
 僕は口の中に残っていたチーズ・クラッカーを慌ててビールで喉の奥に流し込んだ。
「ネット中継?」
「そう、インターネット。文明が産んだ…ムッ…最良のシステムだ。書籍よりも即時性があり、
テレビと違って双方向性があって、ラジオよりずっと情報量が多い。君は今何してた。」
「音楽を聴いてました。」
「チッチッチッ、駄目だよ、そりゃ。動画配信を見なけりゃ駄目さ。音楽を聴いたって孤独になる
だけさ。そうだろ?」
「ええ。」
「音楽なんてものは朝起きてコーヒーを作るときのBGMにでも聞き流すもんさ。わかったかい?」
「ええ。」
「よーし、…ムッ…これで話ができそうだね。ねえ、しゃっくりの止まらなくなった講師と話した
ことあるかい?」
「いいえ。」
「じゃあ、これが最初だ。パソコンの前のみんなも初めてだよね。ところで何故僕が放送中に君に
電話してるかわかるかい?」
「いいえ。」
288くされDJ:03/05/16 10:21 ID:wCC+jUWB
「実はね、君にリクエスト問題をプレゼントした女の子が…ムッ…いるわけなんだ。誰だかわかる
かい?」
「いいえ。」
「リクエスト問題は平成12年度第9問「人権規約の法的拘束力」、なつかしい問題だね。どうだい
これで見当はついた?」
 僕はしばらく考えてから全然わからないと言った。
「ん…、困ったね。もし当たれば君に新刊の内田民法Wが送られることになってるんだ。思い出して
くれよ。」
 僕はもう一度考えてみた。今度はほんの少しではあるけれど記憶の片隅に何かがひっかかっている
のが感じられた。
「平成12年度第9問…、どう思い出した?」
「そういえば、クラスの女の子に答え合わせの為に浦部法穂を借りたことがあるな。」
「どんな女の子?」
「答練の最中に落としたコンタクト・レンズを捜してあげて、そのお礼に基本書を貸してくれたんだ。」
「浦部法穂ねえ。ところで本はちゃんと返した?」
「いや、失くしちゃったんです。」
「そりゃまずいよ。買ってでも返した方がいい。女の子に貸しは作っても…ムッ…借りは作るなって
ね、わかるだろ?」
「はい。」
「よーし。おととしの択一後に浦部憲法を貸してくれた彼女、もちろんネット中継は見てるね?えーと
それで彼女の名前は?」
 僕はやっと思い出した名前を言った。
289くされDJ:03/05/16 10:21 ID:wCC+jUWB
「ねえ、彼が最新版を買って返してくれるそうだ。よかったね。…ところで君は幾つ?」
「25です。」
「素敵な年だ。無職?」
「院生です。」と僕は口からでまかせを言った。
「…ムッ…」
「え?」
「何を専攻してる?」
「演劇科で民俗芸能の研究をしてます。」
「ほう…演劇は好き?」
「ええ。」
「どんなところが?」
「…セリフがないところかな。」
「ほう、民俗芸能は喋らない?」
「呪文の掛け合いはあります。」
「ほほう、どんな時に?」
「悪霊を追い払う時。」
 僕は何年かぶりに突然腹が立ち始めた。
「じゃあ、…ムッ…祈祷師の漫才なんてのがあってもいいわけだ。」
「あなたがそうかもしれない。」
「はっはっはっはっはっ。」
290くされDJ:03/05/16 10:32 ID:wCC+jUWB
「ねえ、ところで伊藤塾の合格祝賀会には行かないほうがいいよ」
「どうして?」と彼女は訊ねた。
「なんというかさ、あの人達のやることはなんとなく油断ならないんだ」
「そう?」
「そう」
「心配してくれてるのね?」
「もちろん」
「どうもありがとう」
「どういたしまして」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
291氏名黙秘:03/05/16 11:01 ID:???
「一部実行全部不能の原則?」
 誤植にしてはひどすぎた。
 でも、僕たちの日常生活には、いたるところに一部実行全部不能が存在しているよね。
 たとえば、君の22点の論文答案。◎の部分を読み直すことは実行できても、全部を
読み直すのは不能だろう?
 他にもある。体だけ見ているとオナニーできるのに、顔まで見ちゃうとオナニー不能
になってしまう女子大生。いるよね、君の大学にも。
 だいいち君がそうだろう。択一の一週間前までは猛勉強していたのに、直前一週間は
2ちゃんにはまっていた。これなんかも一部実行全部不能の例にあげてもいいと思うんだ。
 だから僕はいつも思っているんだけれども、一部実行全部不能というのは決して妥当性
のない原則ではないということなんだ。
292氏名黙秘:03/05/16 11:12 ID:???
>>282-290
熟練した職人の技と見た。DJ完全復帰?最高!
293_:03/05/16 11:14 ID:???
294パナウェーブ的司法試験:03/05/16 11:31 ID:???
「わかったわね。6月4日よ。6月4日に日本中の送電線の鉄塔を倒さなければ、
タマちゃんは助からないの」と千乃代表は言った。

 6月4日。晴天だった。
 レペタは例年のごとく法務省の掲示板の前に立ち、択一合格者の受験番号をメモっていた。
「成川さん。なぜあなたまでこんなところに?」
 低空飛行する自衛隊機の爆音が、レペタの声をかき消した。
 成川はすべての受験番号をメモし終えると、高田馬場方面へ走り去った。
295氏名黙秘:03/05/16 12:30 ID:???
 僕は田舎生まれの田舎育ちである。父親はドン百姓の息子で母親もドン百姓の娘だ
から、まず百パーセントの田舎者と言ってもいいだろう。だから当然のことながら
「真知子」の写真を見たことがない。
 もっとも、アダルトDVD以外は異端であって、「真知子」の写真でオナニーを
する人間にはロクなのはいないというかなりナショナリスティックな教育を受けてきた。
 朝はタニシ汁、昼はイナゴの佃煮、夜はドジョウ汁の世界である。
296氏名黙秘:03/05/16 12:34 ID:???
春だ春ダーよ
春の季節のもと
「僕はね、た、た、択一の勉強をしているんだよ」
と6月1日に会ったとき、彼は僕にそう言った。
「択一が好きなの?」
と僕は訊いてみた。
「うん、合格したら法務省に入ってさ、た、た、択一の問題作るんだ」
なるほど世の中にはいろんな希望があり人生の目的があるんだなと
僕はあらためて感心した。

・・・このパロの作者。もう一作、突撃隊ネタをお願いしまーす。
俺、バカウケしたんだけれど・・・
298氏名黙秘:03/05/16 14:14 ID:L+kYpXEs
あ、私の書いたやつだ。
OK、家帰ったらちょっと検討してみます。

僕は自分が択一試験中に勃起していることに気付いた。
それは僕が今まで経験したことがないぐらい強く激しいものだった。

・・・ほとんど苦労せずに作られたパロだと思われるが、なぜか笑える。
300氏名黙秘:03/05/16 15:47 ID:???
吉野家スレってどっかに逝っちゃったのかな。
そのスレにも名作がかなりあったんだけど。
「ね、ここにいる人たちがみんなマスターベーションしてるわけ?シコシコって?」と緑はLECの建物を見上げながら言った。
「たぶんね」
「男の子って女の子のことを考えながらあれやるわけ?」
「まあそうだろうね」と僕は言った。「新訴訟物理論とかLRAの基準とか渥美東洋のことを考えながらマスターベーションする男はまあいないだろうね。まあだいたいは女の子のことを考えてやるんじゃないかな」
「渥美東洋?」
「たとえば、だよ」

・・・渥美先生のパーソナリティを知る者にとっては、こたえられない逸品。

「私ね、口述の時主査の前で裸になっちゃったの。全部脱いでじっくり
見せてあげたかったの。ヨガみたいにやって。はい、主査、これオッパイよ、
これオマンコよって」

・・・原作のこの場面は鮮烈だったけど、この作品の緑はもっと強烈。確実に口述落ち。


303氏名黙秘:03/05/16 18:19 ID:???
 僕ははじめのうち、ゆっくりと解いた。それから少しずつ少しずつスピード
をあげ、ついにはつむじ風のように僕は解いた。僕の頭脳はもう僕の頭脳では
なかった。僕の目や首や手は、僕の思いとは無関係に、奔放にマーク・シート
の上を舞った。そんな時間の経過に身をまかせながら、僕は監督の女の子が椅
子に座ったときのミニスカートのすその動きを見逃すことはなかった。択一と
はそういうものなのだという気がした。僕は消しゴムを床に落とし、拾うよう
なふりをして、頭を机の下に入れ、女の子の脚の方を見た。ベージュのパンス
トから透けて見えたのはイチゴだった。頭の中で白い光の玉がはじけた。
304氏名黙秘:03/05/16 18:30 ID:???
「しかしこれで終わったわけじゃない」と法務省は言った。「あんたは何度も何度も
負けることができる。しかし勝つのはたった一度だ。あんたが一度勝ったらすべては
終わる。しかしあんたが必ず勝つとは限らない。そのときは俺にはどうにもできない。
いいかい、俺はあんたが勝つのをずっとずっと待っているんだ」
「なぜ僕でなきゃいけないんだ」僕は法務省に向かって叫んだ。「何故他の誰かじゃ
いけないんだ」
 しかし法務省は答えなかった。笑っただけだった。法務省の笑い声はしばらくあた
りを漂っていたが、やがて風に吹かれて消えた。
305Good Night:03/05/16 19:23 ID:???
「今日は少し店じまいが早くない。新作も少ないし」と緑は言った。
「仕事が忙しかったんだ。こんな日もあるよ。それにカミさんに、仕事しないで他
のことしていると感づかれたみたいなんだ。まあ女の子にメール送っているとは思っ
ちゃいないだろうけど」
「それよりも下らないことをしている気もするわ」と緑は言った。
「そんなに責めないでくれないか?それよりも緑ちゃん、明日は何の日だか知ってる?」
「知らない」
「小説すばるの発売日なんだ。北方さんの、おっと、俺の水滸伝が読める一ヶ月のうち
でいちばん楽しい日なんだ」
「じゃあ、明日も新作は望めないわね」
「そうかもしれない。じゃあ、あとはDJに任せた。おやすみ」
306Good Night:03/05/16 20:14 ID:???

老婆心的アゲ。やれやれ。
307氏名黙秘:03/05/16 20:32 ID:7KN8e9cE
「僕はね、ぎょ、ぎょ、行政法の勉強してるんだよ」と六月四日に会ったとき、彼は僕にそう言った。
「行政法が好きなの?」と僕は訊いてみた。
「ううん、大学を出たらロースクールに入るんだ。と、と、TOEICもやってるよ」
なるほど世の中はそんなことになっているんだな、と僕はあらためて暗い気分になった。



…こんなんしか思いつかなかった。
308パナウェーブ的司法試験:03/05/17 11:15 ID:???
「わかったわね。SARSは電磁波よりも危険なの。日本にSARSが上陸すると、
タマちゃんは助からないの」
「しばし待たれよ千乃代表。みどもの家臣によき思案があるとのこと。伊豆守、申して
みよ」と徳川家光は言った。
「さすれば、諸外国との交易を御法度にし、長崎の出島を復興するにまさる手だては
ないものかと存知あげ奉りまする」
「さすがは智恵伊豆、よう申した」
「そんなのダメよ。タマちゃんがオホーツクに帰れなくなるわ。
だって、住民登録してしまったのよ」
309氏名黙秘:03/05/17 11:20 ID:???
>>307
新作up,サンクス。もっと作って。≫297
310オス!:03/05/17 11:31 ID:???
ペネロペ・クルスが世田谷に引っ越してクルッス!
311くされDJ:03/05/17 13:14 ID:2ULsl0NP
これは司法試験についての掲示板である。

 司法試験入門書「受験術指南」の序文はこのように語っている。

「あなたが司法試験から得るものは殆ど何もない。点数に置き換えられたプライドだけだ。
失うものは実にいっぱいある。歴代試験委員の著書が全部買い揃えられるくらいの支出と
取り返すことのできぬ貴重な時間だ。
 あなたが掲示板で孤独な消耗をつづけているあいだに、あるものはガルシア・マルケス
を読み続けているかもしれない。またあるものはドライヴ・イン・シアターでガール・フ
レンドと『白い婚礼』を眺めながらヘビー・ペッティングに励んでいるかもしれない。そ
して彼らは時代を洞察する作家となり、あるいは幸せな夫婦となるかもしれない。
 しかし受験勉強はあなたを何処にも連れて行きはしない。履歴書の傷を増やすだけだ。
不合格、不合格、不合格…、まるで司法試験そのものがある永劫性を目指しているように
思える。
 永劫性について我々は多くを知らぬ。しかしその影を推し測ることはできる。
 司法試験の目的は自己実現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大ではなく、
縮小にある。分析にではなく、包括にある。
 もしあなたが自己表現やエゴの拡大や分析を目指せば、あなたは成績通知表によって容
赦なき報復を受けるだろう。

 諸君の健闘を祈る」
312くされDJ:03/05/17 13:19 ID:2ULsl0NP
>>297

おいらもこれは最高傑作だと思います。去年の択一前にこれを読んで
自分も書き込んでみようと思いました。

小粒でピリリとくる、コントの王道を行ってると思います。
313氏名黙秘:03/05/17 13:34 ID:???
 雨に打たれた野良犬が、もの悲しい目をしているのはなぜだろう?子供の頃からずっと
わからなかった。僕たちだって傘を持たずに外出して突然の雨に打たれることはあるけれ
ど、誰ももの悲しい目はしない。空を見上げていまいましげな目で睨んでいるOLとか、
憮然とした表情で雨宿りしているサラリーマンとか、反対に照れくさそうに笑って雨の道路
を走っていくおばさんとか、とにかくもの悲しい目をした雨の日の人間というのを僕は知ら
ない。
 そこへいくと雨の日の野良犬はどれもこれももの悲しい目をしているよね。彼らの背中に
ふりそそぐ液体は、世の中の悲哀を全部ブレンドしたドレッシングなんだろうかと僕は
思うことがある。
 五月十一日の択一試験は朝から雨だった。車でJRの駅に急いでいた僕は、雨の日の野良
犬に出会った。車道の真ん中で雨に濡れた道路を鼻でクンクン匂っていた。
 お向かいのペット好きの奥さんの話しによると、犬っていう動物は自分の匂いが雨で消さ
れると迷子になってしまうことがあるらしい。もっとも帰る家のない野良犬だから迷子にな
ることはないのだろうけど、自分の匂いが消えてしまうと不安になるのかもしれないね。だ
からあんなもの悲しい目をしているのかなと僕は思った。
 僕は5メートルほど手前で車を止めてクラクションを鳴らしたけれど、野良犬は動いてく
れなかった。僕は電車に遅れそうだから少しイライラした。でも、雨に濡れた野良犬が僕の
方をふりむいてそのもの悲しい目で僕を見つめたとき、怖い顔してたらだめなんだろうなと
思ってニッコリ笑った。やっぱり雨の日の人間はもの悲しい目をすることはできないんだ。
 安西水丸さんのさし絵があればよかったんだけれど、僕は絵が下手だから、雨の日の野良
犬の話しはこれでおしまい。

314氏名黙秘:03/05/17 18:24 ID:???
「あい変らずアガっているのは、択一後遺症スレばかりだわ。六月四日まで
やるつもりよ、きっと」と緑が言った。
「こちらは300超えですでにネタ切れなのにな」
「雑談しましょうよ。たぶん苦情も来ないわ」
「いいかな。もう北方謙三的司法試験をやる元気もなくなちゃったよ」と謙三
は言った。「このスレが900まで伸びたら、僕と緑ちゃんがエッチしちゃうス
トーリーを書き込んでもいいかな?」
「たぶんそんなこと考えていると思っていたんだけれど、900まで頑張ればそ
のくらいのご褒美はあってもいいかもね。でもオナニーよりもむなしくない、
それって」
「無駄な体力は使いたくないし、それに毎日緑ちゃんにアシスタントをしても
らっていたから、君のこと好きになってしまったんだ。君とエッチするにはこ
の方法しかないだろ?」
「そうねー、春樹本読みながらオナニーは難しいかもね」
「だろ?今、300ちょっとだから一日20伸ばして一月でエッチできるね。何だ
かやる気がわいてきたぞ」
315他のスレの陰口:03/05/17 19:04 ID:???
【44点の人集合!part2】
「5月15日に立ち上げて1200超えているわ」と緑が言った。
「いくらカキコしたって44点は変らんじゃん」と謙三は言った。
「このあたりの点数の人たちって、不安なのよ。陰口言ってると嫌われるわよ」
「どこかの予備校のモニターに対する弾劾証拠まで出てるぞ(他スレ≫296)。
そんなことやってる暇あったら刑訴の勉強しろよな」
「何とか自分に有利なように自分の得点を解釈したいのよ。あなたにもそういう
経験あるでしょ」
「ないよ。点数の心配している暇あったら、こっちきてパロ作れよな」
316他のスレの陰口:03/05/17 19:20 ID:???
【ズバリ 今年の合格点予想パート2 当てろ】
「ここは5月16日に立ち上げて1200ね」と緑は言った。
「競馬の予想屋なら金になるけど、択一の予想やったってゼニにならんだろうが」
と謙三は言った。「次!」

【不安 22点の人集合!part2 一縷の望み】
「一縷の望みがあるかねえ?」と謙三は言った。
「声が大きいわ。隣りだから聞えるわよ」と緑が言った。
「こんなんばっかやなー。やっぱり村上春樹的司法試験の方が面白いと思うん
だけどなー。次!」

【No12とNo27を再検討するスレ】
「毎年いるよな、往生際の悪い香具師」と謙三は言った。
「そんなこと言っちゃ、可愛そうよ。彼らは必死で夜も眠れないのよ」と緑は言った。
「他スレからネタ拾えるかと思ったけれど、こんなんばっかじゃーネタも拾えんなー。もうやめた」
317Goodnight:03/05/17 19:59 ID:???
「今日は≫307が1個とDJが1個作ってくれたわね。アリガトウ。謙三は少し
手抜きしすぎじゃない?ここ2日ばかり手抜きの方法ばかり考えているような気が
するけど、違う?」と緑は言った。
「今日は昨日予告したとおり、水滸伝を読んで、北方さんにファンレターを書いて
いたから、パロ作る暇がなかったんだ。ゴメン」と謙三は言った。
「毎月20ページものファンレターを書くの?」
「うん。先月は択一前だったから4ページしか書けなかったけれども、普段はだい
たいそのくらいは書くね。ファンレターと言うか、注文や小言が多いんだけれど、作
品の中でちゃんと応えてくれるよ。連載を読む楽しみの一つだね。次の連載を読んだ
ときに、自分の注文に応えてくれてると嬉しいよ」
「それじゃ、私達は先に寝ます」
「俺と一緒に?」
「900まではダメ」
318桑田佳祐的司法試験:03/05/18 11:09 ID:???

とばした事もある 五問残してもなお 合格する気持ちがあればいいのさ
俺にしてみりゃ これで最後の丙案 司法試験 my love so sweet

一問目がもしも褪めて 二問目見りゃつれなくて 人に言えず困惑だけがつのれば
論証につまるようじゃ論文は終りね 司法試験 my love so sweet

拡げて もっと 合格枠 無邪気に on my mind
作って もっと ロースクール 素敵に in your sight
誘い文句のどろ舟はまる
司法試験 my love so sweet
司法試験 my love so sweet


319加山雄三的司法試験:03/05/18 11:17 ID:???
  幸せだなー 僕はデバイス読んでいるときが一番幸せなんだ
  もう修習いっても君を離さないぞ いいだろ?

二人を夕闇が 包むこの窓辺に
今年も素晴らしい 論文落ちがくるだろう
君の論証は 僕を惑わし
多すぎる改訂は 財布を空にする

掲示板埋めていく 合格者名 色あせても
二人の心は 変らない 何時までも
320桑田佳祐的司法試験:03/05/18 11:32 ID:???

雨まじりの中大理工 人も傘も消えて
総択の思い出は ちょいと瞳の中に消えたほどに

それにしても民法が できないどうしよう
うぶな女みたいに ちょっと本番は熱く胸焦がす

さっきまで 俺ひとり 条文思い出してた時
シャイなハートにマコツの顔が ただ浮かぶ
この問い 訊かずにいられない お目にかかれて

今 何時! そうね だいだいね
今 何時! ちょっと 遅い
今 何時! もう 時間切れ
不思議なものね あんたを見れば
胸騒ぎの五月蝿 胸騒ぎの五月蝿
321桑田佳祐的司法試験:03/05/18 11:47 ID:???

胸に残る 愛しい過去問よ
解き明かしてた なつかしい時

秋が不合格を せつなくすれば
ひとり身のキャンパス 涙のチャペル

もう あの頃のことは夢の中へ
知らぬ間に遠く 丙案 goes by

Sugar sugar Ya Ya petit chaux バカバカしすぎるほど
Pleasure pleasure la la voulez−vous 忘れちゃった論点よ
322桑田佳祐的司法試験:03/05/18 12:21 ID:???

不思議な問題もなんの論証もケセラ・セラ 夏の試験にオイラは笑う
予備校の貞操は変な情操にゆがめられ 風の中にひとりきり

胸元最高にShyな妄想で高鳴れば 忘れかけた論点が目覚め
若者・丙案は何の抵抗もなく白紙 優越感が 舞い上がる

カンニングが バレそうなとき On and On and On
思いがけぬよな
気まずくよどむ atomosphere
素振りも見せずに

You&Me, I love you,
You to me,Warnin’,check check check.
323桑田佳祐的司法試験:03/05/18 12:37 ID:???
 
いつも心に 盗視カンニング症 やれば深みにはまり
爪跡 濃厚に妙な中傷の的となり 言葉数は無に等しい

良からぬ噂で夏、Eye to Eye to Eye
思いがけぬよな
黄昏色の atomosphere
今さら 夢のよう

You&Me, I love you,
You to me,Warnin’,check check check.

  Can’t you hear me baby? I did’t mean to hurt you
  Can’t you hear me baby? I did’t mean 

よくある弁明で体のいいような世迷言 隠し切れぬ疑惑の答案よ
寄りそう緊張がチョイと情報をさえぎれば 闇の中へ消えていく

You&Me, I love you,
You to me,Warnin’,check check check.
324桜井和寿的司法試験:03/05/18 12:46 ID:???
とどまる事を知らない 3時間半の中で
いくつもの 解き得ない問題を眺めていた
幼すぎて消えた 帰らぬ夢の面影を
トイレに立つ青年に 重ねたりして
無邪気に人の解答を見れる程 合格だけを欲しがっていた
分かり合えた友が 弁護士になった後でさえも

択一合格さえ出来ずに 今日もシケタイを抱き
夢中で答案書くけれども まだ論文受けられず
毎年敗北しかないまま 孤独なレースは続いてく・・・
325桑田佳祐的司法試験:03/05/18 13:03 ID:???

夢でいいじゃないか 今でも合推 Hold on me
あきらめないで 互にボーダー Hold on you

冷たくしないで 今まで あいまいな 45 or 46
何もかもが分かれば やっぱり 47

君よ愛しの当確線上 俺だけのものDear One
My baby 涙を見せず 今宵こそは You gatta 氏脳 by now

Woo woo. Why do we do?
You know my heart’s beatin’Da da da da・・・…

他の点数じゃ駄目なの 合格にならない
My love is 45
You know my heart’s beatin’Da da da da・・・…
君のボーダーの上にうまく乗れたら Sha Ba Da Ba Da You.
326氏名黙秘:03/05/18 13:04 ID:???
明日のオカズでも買ってこようかな。

http://ime.nu/ime.nu/www.net-de-dvd.com/
327氏名黙秘:03/05/18 13:21 ID:???
>>324
上手い、本格派。
328桑田佳祐的司法試験:03/05/18 14:27 ID:???

移り気なハイレベルに oh oh 抱かれてしびれた ほんのチョットだけで
こんな点数とるなんて 悪い問題だと思うけど

Sha la la 夢のように解いたものさ 心から後悔してる

LECへ通う道 oh oh 初春の出来事 ほんのチョットだけで
択一感覚狂うなんて 他の模試受けるのだった

Sha la la 合推とらせて その気にさせて 今頃は どこにいる

時折 解説を読んでみた つれない この気持ち
言葉じゃ 言えない 「氏にな」 All I hate is you.
329桑田佳祐的司法試験:03/05/18 14:49 ID:???

艱苦なければ 世も知れず 47行かば 世に出でん
浪漫派に46 庶民衆の業 絵空事の

歩めば 成就せんとす 論文に 直前答練
スレッド上に猫 常連風の某 寝ずの泊まり

汝は合推詣で 用すめば艶の談 娑婆の酔い 酔い 酔い 酔いや
病めれど やめ難き パロの才 パロの才
330100人に1人の病気(変化を極端に嫌うのが特徴):03/05/18 14:49 ID:xNUAHCuV
<アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)←脳の機能的疾患(遺伝が要因)>
http://www.ypdc.net/asuperugar.htm
http://www.autism.jp/l-02-03-aspe3.htm
http://www.geocities.co.jp/Beautycare/5917/as/
●接し方のルールがわからず無邪気に周囲の人に対して迷惑なことをしてしまうこと
がある。人を傷つけるということには鈍感です。年配の先生に向かって「おばあさん
先生おはようございます」と明るい大声で挨拶する生徒もいる。こういった言動をす
る場合にも彼らには悪意はない。
●小さな声でひとり言を言ったり、考えていることを声に出して言うことがある。
●融通が利かないことも学校生活で問題になる。時間割の変更や突然の教師の欠勤と
いう事態で不安を感じたりかんしゃくをおこしたりする。あまりに規則に厳格なため
に、遅刻した同級生に延々と注意をしたり、修学旅行などで消灯時間をかたくなに守
り、他の生徒のヒンシュクをかったりすることがある。
●行動・興味・活動のパターンが貧困で反復常同的なことも自閉症の特徴である。すな
わち、日常の活動の様々な面にわたって柔軟性のないルーティン(決まった手順や日課)
を押しつける傾向、これを慣れ親しんでいる習慣や遊びのパターンだけでなく、たいてい
は新しい活動にも押しつける。そしてルーティンや個人的な環境の細部の変化(家の中の
置物や家具の移動によるなど)に対する抵抗がみられることがある。
●揺れる木の葉を見続ける子どもは興味のレパートリーが狭いとも言え、視覚的な敏感さ
があるといっても良い。
●精神遅滞を伴うものと伴わないもので大きく分かれる。100%果汁のオレンジジュー
スを思い浮かべてください。それにだんだん水を加えて薄めて行くと終いには水にごく近
くなる。一口飲んで「オレンジジュースだ!」とわかるものは自閉症、水に近いけれどな
にかオレンジの味が混じっているのがアスペや高機能・・。その濃度はさまざま。濃いオ
レンジジュースであったとしても早期の療育や周りの対応によって水に近づいていくこと
は可能。しかし間違えてはいけないのはオレンジジュースが一滴でも落ちている場合は
「純粋な水」にはなれないのです。
331氏名黙秘:03/05/19 08:43 ID:???
 僕は緑にすべてを話した。僕は春樹のファンであること。1日2時間は
2ちゃんねるにいたこと。司法試験板に春樹スレが立つとすぐにそこに
自作作品をageていたこと。辰巳でベテをしていたこと。去年、ようやく
司法試験に合格できたこと。
 「春樹スレに入りびたってたのはいつごろだったの?」と緑は僕に言った。
 「2年前。去年もそうかな」と僕は言った。
 「そんなにずっと春樹になりすましていたのに、よく合格できたわね。」
 僕に背中を見せた緑は、肩で疑問を投げつけた。
 「結局、」
 僕は緑の抱いた疑問を何度も自問自答したことがあった。僕は僕なり
に出した回答を思い出してしてから、ゆっくり答えた。
 「結局は、程度の問題だろうね。意外と気分転換にもなったし。文章を書く
 という点では、論文と構成要件の一部に重なり合いがあるんじゃないかな。」
 僕はベッドから立ち上がり、ワイシャツを着ることにした。いずみ寮の白い
リノリウムの床は朝の光を素直に反射して、僕を下から照らした。
 登庁の時間が迫っていた。

(今年はひどく春樹スレが延びる。
 やれやれ、悪くない。みなさんあと2か月がんばって。)
332氏名黙秘:03/05/19 08:58 ID:iXoOc1v6
おー!このスレから合格者がでてたとは。
なんか勇気がでてきた(笑)
がんばります!
333シベリアン・ハスキー:03/05/19 09:11 ID:???
333ゲト!!
334100人に2人の合格者:03/05/19 11:22 ID:jrVbIlOy
>>330
●接し方のルールがわからず無邪気に周囲の人に対して嬉しいことをしてしまうこと
がある。人を喜ばすということには鈍感です。真摯な利用者に向かって「アスペルガー
症候群(自閉症スペクトラム)さん、おはようございます」と明るい大声で挨拶する香具師
もいます。こういった言動をする場合にも彼らには悪意はありません。
●アダルト・サイトのリンクを貼り付けることがある。
●揺れる合推を見続ける子どもは興味のレパートリーが狭いとも言え、性格的な脆弱さ
があるといっても良い。

「私、≫330とても好きよ」と緑は言った。「また糞レスちょうだい」
335100人に2人の合格者:03/05/19 12:48 ID:VDFyW9Oo
>>331-332

よくある弁明で体のいいような世迷言 隠し切れぬ疑惑のレスよ

336氏名黙秘:03/05/19 13:00 ID:???

「争いごとの匂いがする。われらも関わるのはやめじゃ。梁山泊へ撤収する。急げ」
 晁蓋に率いられた六千の軍馬は、すみやかに撤収した。
337氏名黙秘:03/05/19 13:49 ID:z5d0swuq
>>330
「文章にしないと自分に言い聞かせることができないのね、きっと」と緑は言った。
「●小さな声でひとり言を言ったり、考えていることを声に出して言ってればいいものを・・・」

338氏名黙秘:03/05/19 14:29 ID:RTHYDW3H
>>330
「はよー、精神医学の本引っぱりだして、糞レス書けやー」
339氏名黙秘:03/05/19 18:14 ID:PYYOE8BG
>338は首を上げて気むずかしい老人のような目で合格者を睨みつけ、横木の上で不快そうに大きな音を立てて羽ばたきした。
合格者が>338に向かって「大丈夫、うかりますよ」と小塚の真似をすると、>338は隅の方に寄って肩をひそめていたが、少しすると「アリガト、キチガイ、クソタレ」と叫んだ。
「マコツがああいうの教えたのよね」とため息をつきながら直子が言った。
「私はそういう差別用語は教えません」とマコツは言った。
「あのヒト、合格者ゼミでひどい目にあわされたもんだから合格者が怖くってしょうがないのよ」直子は笑って言った
340氏名黙秘:03/05/19 19:12 ID:FD8HrRdW

連作確定 >>330-332
341氏名黙秘:03/05/19 19:32 ID:Bs82FHfh

>>339 「キチガイ、クソタレ」
>>168 「うるさい、ぼけ、ブス」
「私はそういう差別用語は言えません」とヤケクソ春樹的司法試験は言った。
342くされDJ:03/05/19 20:08 ID:fb7UVuhR
 シバタは少し微笑むようにして肯いてから小刻みに震える手で煙草に火を点けた。
煙は海からの風に乗り、彼女の髪の脇をすり抜けて闇の中に消えた。
「一人でじっとしてるとね、いろんな人が私に話しかけてくるの。…知っている人や
知らない人、お父さん、お母さん、予備校の先生、いろんな人よ。」
 僕は肯いた。
「大抵は嫌なことばかりよ。うるさい、ボケ、ブスとか、後は汚らしいこと。」
「どんな?」
「言いたくないわ。」
 シバタは二口ばかり吸った煙草を皮のサンダルで踏んで消し、指先でそっと目を
押さえた。
「病気だと思う?」
「どうかな。」僕はわからない、という風に首を振った。
「心配なら医者にみてもらったほうがいいよ。」
「いいのよ。気にしないで。」
「こんなこと話したのはあなたが初めてよ。」
 僕はシバタの手を握った。手はいつまでも小刻みに震え、指と指の間には冷えた
汗がじっとりとにじんでいた。
「嘘なんて本当につきたくなかったのよ。」
「わかってるよ。」
 僕たちはもう一度黙りこみ、空堤にぶつかる小さな波の音を聞きながらずっと
黙っていた。それは思い出せぬほど長い時間だった。
 気がついた時、シバタは泣いていた。僕は彼女の涙で濡れた頬を指でたどってから
肩を抱いた。
343氏名黙秘:03/05/19 20:10 ID:7jxvJhPz
鯵を揚げるのはA館の学院長の役目だった。背が低くて目つきの怪しい六十前後の男だ。
この人物は早稲田政経の出身という話だったが、これも真偽のほどはわからない。
そのとなりにはこの鯵揚げを手伝う助手の如き立場の講師が控えている。この講師は学院長氏とは逆に小太りで色が白い。下の名前が某宗教団体の名誉会長と同じだということ以外は謎である。
この不気味きわまりない二人組が毎朝六時にライフリーで弁当の仕込みをしているわけだ。
344:03/05/19 20:10 ID:nTiDvtA1
>>331
わたしも去年一昨年春樹スレにいりびたっていました。
両方とも論文落ちてるけどw
個人的には春樹スレ1の、3時間半解き続けるんだよByねずみ男
が大好きでした。
あと2ヶ月勉強し続けるんだよ、ってことでしょうか。
既にさぼり気味なのですが・・・・。
345氏名黙秘:03/05/19 20:28 ID:iLncEV2f
このスレの人びとは突撃隊の話を聞きたがっていたので、僕はよくその話をした。
突撃隊はクラマネの女の子(もちろん伊藤塾の)と一度デートしたが夕方になってとてもがっかりした様子で戻ってきた。それが六月の話だった。
そして彼はマコツに「あ、あのさ、塾長はさ、お、女の子とさ、どんな話するの、いつも?」と質問した。
「憲法の精神についてだよ、もちろん。離婚歴について語るわけないだろ」とマコツは答えた。
いずれにせよ彼は質問する相手を完全に間違えていた。
346くされDJ:03/05/19 23:03 ID:fb7UVuhR
このスレッドだけをブックマークに入れてます。2ちゃんねるは大嫌いだけど
ここだけは特別。

良スレは尊貴である。一個の良スレの価値は全掲示板よりも重い。

347氏名黙秘:03/05/20 11:37 ID:???
   乱を以て治を攻むれば亡ぶ
   邪を以て正を攻むれば亡ぶ
   ヤケクソを以て春樹をパロれば亡ぶ(韓非子 初見秦第一)

 これは「僕」の話であるとともにY春樹と呼ばれる男(時に女役もこなす)の話
でもある。その春、「僕」たちは七百キロも離れた街に住んでいた。
 二〇〇三年四月、このスレはそこから始まる。それが入口だ。出口があればいい
と思う。もしなければ、スレを立てる意味なんて何もない。

 Y春樹は決まって、「俺のせいじゃないさ。」と言った。時折(大抵はパロをあげ
過ぎたような場合なのだが)、「いや、お前のせいさ。」と僕は言って、そして言っ
てしまった後で必ず嫌な気分になった。Y春樹の言い分にも一理はあったからだ。
348そらちゃん:03/05/20 11:58 ID:yECDl3T7
「悪いけど、今択一を解いてるんです。あとでかけなおしてくれませんか」
「択一?」、予備校はあきれたような声を出した。「五月の下旬に択一を解いているの?」
「それはあなたには関係のないことでしょう。いつ何を勉強しようが僕の勝手だ」、
僕はちょっとむっとして言った。
「それはそうね」、予備校は表情のない乾いた声で言った。ちょっとした季節の変化で
講座の内容ががらりとかわるのだ。
34945点:03/05/20 12:13 ID:xjUkDGsp
「でもね、よく考えてみろよ。条件はみんな同じなんだ。故障した飛行機に乗り合
わせたみたいにさ。もちろん択一に強いのもいりゃ択一に弱いのもいる。タフなの
もいりゃ弱いのもいる。金持ちもいりゃ貧乏人もいる。だけどね、人並み外れた強
さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。丙案を持ってるやつはいつ
か失くすんじゃないかとビクついてるし、択一受からないやつは永遠に受からない
んじゃないかと心配している。みんな同じさ」
「ひとつ質問していいか?」
 僕は肯いた。
「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ。」
 45点はしばらく黙りこんで、ビール・グラスをじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
35044点:03/05/20 12:26 ID:???
「疑義問はいつも思いも寄らないところに存在するものさ」と僕は言った。
351:03/05/20 12:28 ID:???
>>345
(・∀・)イイ!!
突撃隊シリーズおながいしまつ。
できれば、山の写真だっけ?風景写真を貼ってるあたりをパロディーして
下さいませ。

>>349
双子のTシャツみたいですね。<名前が数字
村上春樹、双子と3P願望があるのかなぁ。
耳フェチであることはもう明らかであると言ってもよいのでしょうか?
352:03/05/20 12:36 ID:???
 彼女はクスクス笑った。
「きっと立派な講師さんなのね」
「ああ、立派な上に金がないとくれば、嬉しくて涙が出るよ」
 彼女はストローの先でジンジャー・エールをかきまわし続けた。
「でも私の家の方がずっと貧乏だったわ」
「何故わかる?」
「匂いよ。金持ちが金持ちを嗅ぎわけられるように、行政書士には行政書士を嗅ぎ
わけることができるのよ」
353氏名黙秘:03/05/20 13:12 ID:L4O7sON3
》351 前田の基本書を団藤にかえられてたのあったよね。私はあれウケたよ。もう後は田口を渥美東洋に変えるぐらいじゃない?
意外と突撃隊は出番すくないんだよね。
自分で書くのも結構楽しいよ?チャレンジするべし。
354謙三:03/05/20 13:45 ID:???
「お前が出て行けよ」と謙三は言った。
「だって、こ、こ、このスレの中で春樹以外書いちゃいけないのって、き、き、規則だろう」
と彼は言った。
「杜甫と李白のストックが十個もあるんだよ」と謙三は言い返した。
 彼はそれ以上何も言わなかった。謙三は嫌な気持になって、屋上に行って一人で
ノルウェーの森の54頁に付箋紙を貼った。
355氏名黙秘:03/05/20 13:47 ID:???
>>354
つまらん
356氏名黙秘:03/05/20 14:10 ID:SWH+Q4Ba
いや、謙三の孤独感が伝わってくる。なかなかいいと思う。
357謙三:03/05/20 16:30 ID:???
>>355
もう少し長いの書いてくれよ。君のカキコのパロ作るのが一番楽しいんだ。
358奈美子:03/05/20 16:49 ID:/ihsWLAP
 ヤケクソ春樹は首を上げて気むずかしい老人のような目でペニスを掴み、硬くなら
ないそれを不快そうにしごいた。
 小塚がヤケクソ春樹に向かって「大丈夫、勃起しますよ」と言うと、ヤケクソ春樹
は隅の方に寄って肩をひそめていたが、少しすると「アリガト、キモチヨクナッテキ
タ」と叫んだ。
「マコツがああいうの教えたのよね」とため息をつきながら直子が言った。
「私は憲法の精神以外は教えません」とマコツは言った。
「あのヒト、SMクラブでひどい目にあわされたもんだからインポになっちゃったの
よ」直子は笑って言った。
359梨香:03/05/20 17:15 ID:qFR+6638
「どうして?」とヤケクソ春樹は訊いた。
「どうして?」と緑は怒鳴った。「あなた頭おかしいんじゃないの?レイシオ・デ
シデンダイがわかって、山口理論が理解できて、渥美東洋が読めて、なんでそんなことわ
かんないの?なんでそんなこと訊くのよ?謙三よりあなたの方が好きだからにきまっ
てるでしょう?私だってね、もっとハンサムな謙三好きになりたかったわよ。でも
仕方ないでしょう、あたしオカマなんだから」
 ヤケクソ春樹は何か言おうとしたが喉に何かがつまっているみたいに言葉がうま
く出てこなかった。
360348の原案:03/05/20 17:39 ID:0dXIjLib
>>348
「悪いけど、今択一を解いてるんです。あとでかけなおしてくれませんか」とヤケクソ春樹は言った。
「択一?」、女氏脳はあきれたような声を出した。「五月の下旬に択一を解いているの?」
「それはあなたには関係のないことでしょう。いつ何を勉強しようが僕の勝手だ」、
ヤケクソ春樹はちょっとむっとして言った。
「それはそうね」、女氏脳は表情のない乾いた声で言った。ちょっとした●慣れ親しんでいる習慣
の変化で●不安を感じたりかんしゃくをおこしたりするのだ。
 ヤケクソ春樹は精神医学小事典の<アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)>の項を
ひも解いた。
361氏名黙秘:03/05/20 18:06 ID:???
 このスレを出ようという>>339の決心は一時は揺らぎのない確固としたものに思えた。
長い時間をかけ、様々な角度から検討し、そして得た結論だった。
 スレには幾らか僕自身の怨嗟と嫉妬が残るかもしれない。しかし誰も気にはするまい。
そしてスレは変りつづけ、やがては僕の怨嗟と嫉妬も消えるだろう。
 でも、このスレを出て何処へ行けばいいのかもわからなかった。何処にも行き場所
はないようにも思えた。
 生まれて初めて心の底から恐怖が這い上がってくる。黒々と光る地底の虫のような
恐怖だった。「・・・もうだめぽ・・・」
362Goodnight:03/05/20 18:46 ID:???
「今日は少し早いけど、腹減ったからおしまい」
「楽しかったわね。今日は女の子の投稿が多かったわ、どうも有り難う」と緑は言った。
>>349-350の45点さん/44点さんの投稿は、同一人物の連作ではないんだよね。
45点さんの投稿を見て、すかさず44点さんが投稿してくれたんだ。こういうハプニング
が起こるから、面白いね、緑ちゃん」
「そうだわね。それでは、ここからはDJにバトンタッチします。皆さん、明日のこの時間までごきげんよう。」
363氏名黙秘:03/05/20 18:46 ID:???
あれっ!昨日頼んだのにもう来てる本当に安かったのでびっくりしました


http://ime.nu/www.net-de-dvd.com/
364森昌子的司法試験:03/05/20 19:50 ID:???
何処へ帰るの 海鳥たちよ シベリアおろしの 北の海
ヤケクソには 戻るスレもない 戻る 戻るスレもない

もしも氏んだら マコツ マコツ 泣いてくれますか
寒い こころ 寒い 哀しみ本線 2ちゃんねる

怒りのレスが こころに刺さる 星屑ばかりの 北の空
涙さえ 凍る こんな夜 吠える謙三に ふるえてる

胸の痛みを マコツ マコツ 聞いてくれますか
寒い こころ 寒い 哀しみ本線 2ちゃんねる
365くされDJ:03/05/20 19:57 ID:xYPxw3Mp
 パロとは万物の始め、是非の紀なり。是を以って職人は、スレを守りて
以って掲示板の源を知り、スレを治めて以って善敗の端を知る。


『韓非子』主道・第五
366くされDJ:03/05/20 19:57 ID:xYPxw3Mp
 22歳の春にすみれは生まれて初めて試験に落ちた。広大な平原を
まっすぐ突き進む竜巻のような激しい3時間半だった。それは行く手
のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽
に引きちぎり、完膚なきなまでに叩きつぶした。そして勢いをひとつ
まみもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈
悲に崩し、インドの森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペル
シャの砂漠の砂嵐となってどこかのエキゾチックな城塞都市をまるご
とひとつ砂に埋もれさせてしまった。みごとに記念碑的な受験だった。
一緒に試験に落ちた恋人はすみれより17点点下で、浪人していた。
さらにつけ加えるなら、2ちゃんねらーだった。それがすべてのもの
ごとが始まった場所であり、(ほとんど)すべてのものごとが終わっ
た場所だった。
367くされDJ:03/05/20 20:00 ID:xYPxw3Mp
>>365
我ながら意味よくわかんない。このカキコは無しという方向で検討
お願いします。
368桜井和寿風駄作:03/05/20 22:52 ID:???
合格答案っていう形の無いもの
伝えるのはいつも困難だね
だからdarling
この名もなき優秀答案
いつまでも君に捧ぐ
369椎名林檎的司法試験:03/05/21 09:29 ID:+Nn92ie+
蝉の声を聞くたびに目に浮かぶ大隈像
皺々の祖母の脛齧り一人で訪れた伊藤塾
パパは此処の女王様
生き写しの様なあたし
誰しもが金搾取られ子供ながらに魅せられたガイダンス
三十になったあたしを置いてLECから消えた
毎週金曜日に来てた呉と暮すのだろう

一度栄えし者でも必ずや衰えゆく
その意味を知るときを向かえ足を踏み入れたは伊藤塾
ベテランになったあたしが売るのは古本だけで
同情を欲したときにはすべてを失っていた


JR渋谷駅の東口を出たらそこはあたしの庭
大手予備校伊藤塾
370椎名林檎的司法試験:03/05/21 10:39 ID:zFqNxuLJ
あたしは絶対まこつの前じゃ さめざめ泣いたりしないでしょ
それはつまり常に自分が左翼主義者なあなたに似合うため
現代の大杉栄に手錠かけられるのはただ、あたしだけ
いかないでね どこにだって あたしと一緒じゃなきゃ 嫌よ
まこつしか見てないのよ今すぐにここで講義して〜
371PePe:03/05/21 10:59 ID:UF1OCLBP
 私、司法試験の受験生じゃないんですけど、兄貴が受験勉強しているので、とき
どきみています。村上春樹のファンなので、このスレはずっと読んでました。
 私は>>345のようなのが好き。この方氏名黙秘で書かれることが多いけど、文体で
わかるんです。クールでダンディな人柄がにじみ出ているっていうか。ただマコツって
いうのがよくわからないので、>>345さん教えて下さい。
 私も1つ下手なのを作りました。

夏も終りに近づいたその九月の昼下り、僕は仕事を休んでベッドの中で彼女の髪を
いじりながら、ずっとマコツのペニスのことを考えていた。

へたでしょう?
372沢田研二的司法試験:03/05/21 11:19 ID:648fia9J
今日まで二人は 試験という名の
旅をしていたと 言えるあなたは
年上のベテ 解くのが早すぎる
アーアー それでも 落ちてはいるけど

なにげなさそうに 就職しようと
あなたは言うけど 心の底に
涙色した マコツの思い出
アーアー 無理して 消そうとしている

 僕には 出来ない まだ丙案がある
 あなたは 仲間のふりをするけど
 僕はいやだ

鬱な顔には 勉強に疲れた
うつろな瞳が また似合うけど
なんで世間を あなたは気にする
アーアー 聞きたい ほんとの歳を
373氏名黙秘:03/05/21 11:20 ID:9GIGDs9d
クールでダンディ…女冥利につきますな。
がっかりさせちゃった?

私もコテハン考えようかな…。
マコツのペニスは大きくて固く、百人の受験生と寝たというのは誇張です。それさえわかっていれば女としては十分です。
374氏名黙秘:03/05/21 11:46 ID:BF5cT8Lx
>>367
いや、とてもよい。ある弁護士が、孫子/韓非子はハッタリが効くから、3つ4つ
の断片を覚えていた方がよいと言っていた。儒家は説教くさいし、老荘は面白いけ
ど無気力になるから、俺も3つ4つ韓非子を覚えている。
375氏名黙秘:03/05/21 11:52 ID:LwWWavsz
>>373

「女冥利」はウケタ。やるね。
376氏名黙秘:03/05/21 12:08 ID:???
「このスレでは、レスも春樹風じゃなきゃいけないって知ってる?
例えばageは「やれやれ」、禿同は「だろうね」、イイは「悪くない」
こんな風にね」
377氏名黙秘:03/05/21 12:20 ID:???
やれやれ
378テレサ・テン的司法試験:03/05/21 12:35 ID:b/Bbsl/I
もしもあなたと 逢えずにいたら
わたしは何を してたでしょうか
平凡だけど 就職をして
普通の暮らし してたでしょうか

塾のパンフに身を任せ
マコツの色に染められ
一度の人生 それさえ 棄てることもかまわない
だからお願い 合格させてね
いまはあなたしか 愛せない

PS そろそろアゲようよ、>>373
379氏名黙秘:03/05/21 12:52 ID:3OZLlKJa
>>376
だろうね。あんたがいちばんルール守ってないって気もするけど・・・。
380氏名黙秘:03/05/21 13:30 ID:OMhTFnDP
>>379
そうかもね。>>373とか>>353とか、すごく目障りなの。
春樹風にしてね、お願いだから。
381氏名黙秘:03/05/21 13:38 ID:bHWVKa01
>>380
そうだわね。それに「キチガイ、クソタレ、ぼけ、ブス」はないわ。
春樹の作風にもっとも合わないもの。
382PePe:03/05/21 14:38 ID:???
「ねえ、Papa。>>373女性だったんだって」
「俺は、3Pでもいいぞ」と(P−−)は言った。
383376:03/05/21 15:13 ID:???
僕は350以来カキコをしていなかった。どうやら僕はひどく誤解されているようだった。
だが、そんなことは44点の僕にはもはやどうでもいいことだった。
384氏名黙秘:03/05/21 17:37 ID:???
「今日はパロが少ないわね」と緑は言った。
「6月4日まではね、みんな嫌な気分なんだよ。ある程度択一の手ごたえがあった
人でも論文の心配しなくちゃいけないし、その前に本当に択一いってるかどうか
フタを開けるまでは分からないし」
「そうね。謙三も若い人の知らない古い歌のパロばかり作ってないで、面白いこと
書きなさいよ」
「俺もあんまり元気ないんだよ」
「しょうがないなあー、元気いいのは私だけ?」
「そう、緑ちゃん、みんなを癒してあげて。あの『はい、主査、ここがオッパイよ』
っていうのがイイな、俺は」
「そんなことやっても、誰も見れないでしょうが・・・。皆さーん、つらい時期だと
思うけど、へこまないで頑張ってね。勉強いそがしいと思うけど、少しは体も動かした
方がいいよ。案外そんなことで気分晴れるから。それから、1日に1度は緑に会うため
にこのスレに来てね。じゃあ、また後でね」
385 緑:03/05/21 18:11 ID:???
「ところで俺がノルウェー読んだのは10年以上も前だから、緑ちゃんの容姿がどう
いう風だったのか、忘れちゃったんだけれど」
「私も忘れたわよ、10年以上も前のことだから。謙三の好みで決めていいわよ。
謙三はどういうタイプの女の子が好きなの?」
「その質問にはイヤな思い出があるんだ」
「どんな?」
「小学生のときにね、クラスで二番目くらいにカワイイ女の子に、同じ質問をされ
て、俺、冗談のつもりで野際陽子って答えたんだ。そしたら次の日黒板に北方謙三
と野際陽子の相々傘が書いてあって・・・」
「ばかね。本当はどんなタイプが好きなの?」
「ミニスカートで自転車に乗って信号待ちしているタイプ」
「・・・・・・。ただのオヤジじゃん、それ。駄目だわ、緑が自分で決めます」

ということで、ここに登場する緑の顔は「特だね」の佐々木恭子アナの顔に決定!
ボディの方は、各自好みのタイプにしろ!そこまで面倒みきれん。やれやれ。
386氏名黙秘:03/05/21 18:57 ID:???
>>384
癒されるのー
387:03/05/21 19:36 ID:Cs+xo5E+
>>384
悪くない(春樹風にいきますね)ですね。
春樹作品の中では、春樹さんが引用していた、モームの言葉が
印象に残っています。
どんな髭剃りにも哲学はある。
どんな択一にも、どんな論文にも、きっと哲学はあるのでしょうね。
388Goodnight:03/05/21 19:56 ID:???
「自己採点で良くなかった人も、あきらめないでね」と緑は言った。「去年も
正答率7%っていう糞問があったはずでしょう?法務省もこのところ糞問多いから、
自己採点に惑わされないで、しっかり論文の準備してなきゃ、6月4日に慌てる
ことになるわよ」
「緑ちゃん、予備校みたいなことばかり言ってないで、せっかく立ち寄ってくれた
方々に何かサービスはないの?」
「そう言うと思って、今夜はナースのコスプレで来てるの。謙三の好きな超ミニ」
「えーぞー!お立ち台用意しろ。もっと照明当てろ。」
「今夜はここまで。明日も来てね。おやすみなさい」
389氏名黙秘:03/05/21 22:01 ID:3TF1E2hT
〉380 目障りですか。
じゃあいいよ、もう書かないから。
ここも所詮2chだね。去年までは変な人いなかったのに。がっかり。
とりあえず創作意欲なくしたので、当分書きません。
あとは適当にやってよ。ロバのうんこみたいなルール作って。馬鹿馬鹿しい。
390376:03/05/21 22:17 ID:???
>>389
あーそんなこといいなさんな。なんか責任感じるす。
391山崎渉:03/05/22 00:03 ID:???
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
392氏名黙秘:03/05/22 01:21 ID:???
村上龍age
393 緑:03/05/22 10:58 ID:???
「近くの公園の樹木の上のカラスの巣がドブに落っこちて、親カラスがギャー・ギャー
泣いているのよ。巣の中に赤ちゃんがいるんだと思うわ。謙ちゃん、何とかしてよ」
「カラスの勝手でしょー」と志村けんは言った。
「謙ちゃん違いだわ。謙三、何とかしてよ」
「俺にもどうしていいか分からないよ。巣に近寄ると、天敵が来たと思って親カラス
が一層ギャー、ギャー泣くんだよ。司法試験板一番の早さで答えてくれるスレでも分
からないみたいなんだ。どうすればいいんだよー」
394氏名黙秘:03/05/22 11:26 ID:???
>>389
あ〜あ、拗ねちゃった(w
「まま〜、創作意欲なくなっちゃったよ〜」
黙ってひきこもってろ(w
395 緑:03/05/22 11:34 ID:???
「謙ちゃん、もっと、もっと、強く。あっ、そこ、とても痒かったの」
「孫の手使えよな」
― 本番5秒前です ― 
 ON
「みなさん、おはようございます。今日は午後から謙三が出張で岡山へ行くので、
放送時間が変更になりました。謙三、岡山は都会なんですか?」
「僕の住んでいる町よりは都会だよ。地下街があるんだ。それに丸善もあるから、
帰りに寄って『カフカ』買ってくるからね」
「謙三の町には『カフカ』売ってないの?」
「うん。近くの本屋には子供向けの学習参考書と大人向けのエロ本しか売ってない
んだ。子供は勉強し、大人はエロ本読んで子づくりにはげむというのが田舎のシキタリ
だから。大学卒業したのにエロ本買わないで、法律書買っている僕なんか変人扱いされ
てるんだ」
「どうでもいいけど、口調が『僕』になっているわよ」
― 本番終了です ―
 OFF
「今夜、カミさん、氷川きよしのコンサートへ行って留守なんだけど、晩めし一緒に
どうかな?」
「友達と映画行く約束しているから。ADの田中君、謙三さんに奢ってもらいたいって
言ってわよ」
「冷たいなー」

396松村和子的的司法試験:03/05/22 11:54 ID:KnBr76fP
>>389
きっと帰って 来るんだと
春樹スレで 手を振れば
あの娘は小さく うなずいた
茜の空で 誓った恋を
2ちゃんぐらしで 忘れたか
帰ってこいよ 帰ってこいよ 帰ってこいよ
397楽屋話:03/05/22 12:18 ID:8Z1xvENf
>>389
パロスレゆえ、前カキコ読まずにアゲる人多し。
自己のカキコの次が、レスになっていないこと多々あり。
パロスレゆえ、レス期待せずにアゲる人多し。
これルールに非ず、慣習なり。
やれやれ。
398楽屋話:03/05/22 13:58 ID:4nzHW6du
>>388>>383を励ますつもりでカキコ
>>387へのレスではない。
399氏名黙秘:03/05/22 16:48 ID:PIzEio5S
「目障りですか?あたしのような女」
 鼠は黙っていた。
「じゃあいいわ、もう来ないから」
 鼠のなかで彼女に対する欲情がすべて失われたわけではなかった。
「あなたも所詮マコツと同じね。去年まではあたしを抱かないで帰す日はなかったのに。がっかり」
 彼女の美しい耳を見ていると、失われかけていた鼠の欲情にささやかな灯がともった。
「とりあえず今夜は電車がなくなったので、ここに泊めていただきます。
あなたが目覚める前に出ていきますから、あとは適当にやってくださいね。
ロバのうんこみたいなパンを作って置きますから。馬鹿馬鹿しい」
400氏名黙秘:03/05/22 17:29 ID:tB/vhk09
「目障りですか?No27のような問題」
 鼠は黙っていた。
「じゃあいいわ、もう出題しないから」
 鼠のなかで択一合格に対する希望がすべて失われたわけではなかった。
「LECも所詮辰巳と同じね。去年までは出題に対する疑義なんて上申しなかったのに。がっかり」
 彼女の美しい耳を見ていると、失われかけていた鼠の合格への期待にささやかな灯がともった。
「とりあえず今年は時間がなくなったので、没問にはしません。
あなたが直前答練の受講料払う前に何とかしますから、あとは適当にやってくださいね。
ロバのうんこみたいな模擬問題ばかりを作っておきながら、馬鹿馬鹿しい」
401Goodnight:03/05/22 18:51 ID:???
「みんな、勉強はかどってるかな?」と緑は言った。「謙三はどう?」
「ボチボチってとこかな、年内に民訴あんまりやってなかったから、発表までは民訴
ばかりだな」
「他は?」
「他もあんまりやってなかったから、どうなるんだろうな?」
「頼りないなあ、しっかりしてよ。みんなは謙三みたいにダラダラしないで、しっかり
論文の準備してね。それじゃ、明日のこの時間まで、ごきげんよう」
402376:03/05/22 18:53 ID:???
>>399
「うまい!」
そうつぶやいた後、僕はある事実に気づいた。それは、もっとも春樹風でないのは
自分自身だということだった。
403YS:03/05/22 19:19 ID:x12PnO9s
 択一合格の声が街にひびきわたるとき、受験生たちは論文の記憶に向ってその首をあげる。
八千人を越える数の受験生たちが一斉に、まったく同じ姿勢をとって論文合格の音のする方向
に首をあげるのだ。
404399:03/05/22 19:29 ID:r/RlqLAI
>>402
やれやれ。もしかして、また得意の一人二役?
405氏名黙秘:03/05/22 23:07 ID:???
なるほど。379-381=404だな。
406◇ネタ募集中−あなたの不平不満を春樹風にアレンジします◇:03/05/23 10:48 ID:2hqJeoPU
春樹本ながめててもネタが拾えなくなってしまいました。
そこで、あなたの試験に対する不満、予備校に対する不満、その他日常生活の様々な
不満をネタとして提供して下さい。春樹風にアレンジします。
できれば発言調のものがアレンジしやすいです。
わかりやすいように「名前」のところに「ネタ」と書いてくだされば嬉しいです^^。

   五月吉日  村上春樹的司法試験管理委員会
407氏名黙秘:03/05/23 11:20 ID:Zw73FLtO

   ( 緑でーす♪
    `ー‐―V―――――――
           ;:'´ (  笠原メイでーす 
        _....._{{ 〃`ー―――――V――――
      , - ' ,..、、.ヾ{{フ'⌒`ヽ、        (   直子でーす♪
    /  ,:', -‐‐` ´ '´⌒ヽ ヾ:、   _....、、、、`ー――――V―――――
.   ,'   ,'´ ,ィ ,ィ ,' ,   `ヽ',  ',-<´ ,     `ヽ.      ______        ..._
    ,'   .i  /|. /.| { i,  i,  }.  }_,,)) lニ二二ミヽ.、 ':, ,.: '´ ,_.....__`ヽ、    ,..-‐-、),...._
   ! |  ! .,'-.{ ! !|; |`、.}゙!.! |.  ! ヽ.l ./ ,!  ,,`ヾ:、 ':,  ./'´ ̄`ヾ、、ヽ,.:'´ ,:‐:、 ,.-、 ヽ.
   ', ', |Vァ=、゙、 `゙、!-_:ト,リ', l ! |   ゙レ__,〃_/リ  !.'; .} ./l_|___ノ! l `、 ',  / //`''} }.'; ',
    ヽ、', l:!Kノ}.     f:_.)i゙i: リ ! l ル' ̄`` ´-、,ノノ l l .!,;:=、`:.`:>=、.j,} |__人(( _ノノノ  |
     | l!iヾ- ' ,   .!__:ノ ゙ ,リ l リ'´ .|' ̄ヽ   __ `><ノ | {;:'ノ ノtrテ;、.Y ! ,--、   __`彡 ノ
.     ',|!!、    r‐┐   ` ノ' /,イ  !   __ , ⌒'/!| |  !.`ー‐'´, ゙じ' ノ ! h.   ._: ´ ソ).(
      'i!゙、ヽ、 ゙ー'  _, ィ,:',:''´ !  !、  ー'  ノイ ! | | !、  !フ `フ'リ ! ル'ヽ.._ _..、(ン ノ )
      ゙:、ィ、jヾー::: 'iヘ ノ',リ./! .| |ー`┬、' ´ 〃 l. トヾ、.゙`ィ'' ´ヽ、/// \二|`\ー‐‐'´
   ,、- '´ ヽ、゙、   { `>"、  !  ! !   | `>-、 | |、 ________∧______
                                (  404でーす
408ジェイズバー:03/05/23 12:24 ID:LMeM14hr
「『さ』ちゃんなんて娘は、ここへは来たことがないね。あたしはもうここで25年
も仕事してるけどさ」とジェイは濡れたグラスをタオルで拭きながら言った。
 『さ』ちゃんは実在するだろうと鼠は思っていた。むしろ男氏脳の方こそ『さ』ちゃ
んの仮の姿なんだと。
「どうしても『さ』ちゃんをあんたの作品の中に登場させようっていうのかい。あたしゃ
よした方がいいと思うけど」とジェイが言った。
 鼠の受験勉強ははかどっていなかった。そのうえ毎日春樹本をながめていても思うよう
にネタが拾えないのだ。もっとも手軽なのは、このスレの中からネタを拾うことだった。
「楽屋ネタは読者層を固定させちまうよ。ひつこいようだけど、あたしゃよした方がいい
と思うな」ジェイは拭き終わったグラスをカウンターの上に並べながら言った。
409「さ」をめぐる冒険:03/05/23 17:25 ID:+H2YyLTf
   第一章 1970/11/25
    水曜の午後のピクニック
 昔の仲間に会って、何かの拍子に彼女の話が出ることがある。彼らもやはり彼女の
名前を覚えてはいない。ほら、昔さ、誰にでも化けちゃう女の子がいたじゃないか、
なんて名前だっけ、すっかり忘れちゃったな、俺も何度か春樹スレ覗いたけどさ、
今どうしているんだろうね、試験会場でばったり会ったりしても妙なものだろうな。
――昔、あるところに、誰にでも化けちゃう女の子がいた。
 それが彼女の名前だ。    
410Goodnight:03/05/23 18:35 ID:???
「今日はあまりアガってないわ、ねえ謙三」と緑が言った。
「民訴246条・・・ブツブツ・・・」
「なんだか、さえないけれど、明日またね、おやすみなさい」
411ジェイズバー:03/05/23 19:24 ID:9hZ9qlAY
 鼠の倦怠感は続いていた。この季節にしては少しエアコンがききすぎているせいか
もしれないし、昨夜の夢見がよくなくて寝不足のせいかもしれない。何で振り出した
覚えのない67万円の手形が回ってきた夢なんか見なくちゃならないんだ。
 ジェイズバーにも他に客はいなかったが、近くの店も軒並み閑そうだった。この分
だと2日ばかりアゲなくても100落ちしないかもしれないと鼠は思った。
 今の俺に足りないもの。ネタ。ネタが欲しい。クリックしてそこにネタがあれば、
俺の倦怠感は解消されるだろう。明日は古典落語百選を買って来ようか?ネタ。ネタ
をくれ。他スレももう少し頑張れ。拾えるネタ落としていけ。
412参考資料:03/05/24 07:33 ID:PftcBEBr
23日 19:24→411
24日 07:35→412

140までしか落ちていなかった。やれやれ。
413小林幸子的司法試験:03/05/24 07:44 ID:vHwlyXpl
>>411
無理して伸ばしちゃ いけないと
マウスやさしく はねのけた
あの人 どうして いるかしら
春樹スレみれば 会いたくて
過去ログ酒に 酔うばかり
414二葉百合子的司法試験:03/05/24 07:52 ID:???
春樹は来ました 今日も来た
このパロスレに 今日も来た
とどかぬ願いと 知りながら
もしやもしやに もしやもしやに
ひかされて
415都はるみ的司法試験:03/05/24 07:58 ID:???
合推 変りはないですか
日ごと 不安がつのります
読んではもらえぬ パロディを
あせりこらえて 編んでます
女ごころの未練でしょう
春樹恋しい 北の宿
416氏名黙秘:03/05/25 00:48 ID:???
 同じ1年の同じ繰り返しだった。どこかに折り返しでもつけておかなければ間違えてしまいそうなほどの1年だ。
その年はずっとヴェテの匂いがした。
いつも通りの時刻に勉強を終え、アパートに帰ると「さ」の姿はなかった。僕はデバイスを持ったままに寝ころび、ぼんやりとシャープ3兄弟を食べた。
憲法の条文を思い出してみようとしたが、頭の中で何一つ形をなさなかった。
417氏名黙秘:03/05/25 00:55 ID:???
僕はため息をついてベッドに起きあがり、しばらく向かい側の学院長のポスターを睨んだ。
何をして良いのか見当もつかない。いつまでも学院長を睨んでるわけにもいくまい、と自分に言い聞かせる。
それでも駄目だった。答練の添削者がうまいことを言う。文章はいい、論旨も明快だ、だが論点がずれている、と。
実にそんな具合だった。久しぶりに択一に受かってみると、自分自身をどう扱えばいいのか上手く把めなかった。
418氏名黙秘:03/05/25 01:01 ID:???
不思議なことだ。何年も何年も僕は一人で独学してきた。結構論証ブロックも覚えてきたじゃないか、それが思い出せなかった。
24年間、すぐに忘れてしまえるほど短い受験生活じゃない。まるで答練の最中に、どこの予備校の答連を受けているのか忘れてしまった気分だった。いったい何を探していたのだろう?成川、岩崎、柴田、カトシン?
419氏名黙秘:03/05/25 01:05 ID:???
 あきらめて枕元の成川式択一六法を手に取ったとき、本の間からメモ用紙がこぼれた。
 「さ」の字だった。魔骨に遊びに行きます、と書いてあった。僕は心配になった。
僕と一緒でなければ魔骨に行かないように、と言い聞かせてあったからだ。
事情を知らないものには離婚3回の魔骨は危ない。何時洗脳されるかもしれないからだ。
420ジェイズバー:03/05/25 09:32 ID:nVUtjJlz
 もちろん厳密に定義するなら、「さ」は誰にでも化けたというわけではない。そこ
には彼女なりの規準が存在したはずだ。
 鼠は一度だけ、純粋な好奇心から、その規準について彼女に質問したことがある。
「そうねえ――」彼女は三十秒ばかり考え込んだ。「もちろん誰でもいいってわけじゃ
ないのよ。謙三だけは嫌だなって思う時もあるわ。でもね、結局のところ私はいろんな
人を知りたいのかもしれない。あるいは、私にとってのこのスレの成り立ちかたのよう
なものをね」
「誰かに化けることで?」
「うん」
 今度は僕が考え込む番だった。
「それで・・・・・・それで少しはわかったのかい?」
「ageとsageだけね」と彼女は言った。
421:03/05/25 09:40 ID:m3TCz53+
>>416
おひさしぶりでつ。「さ」です。
トリップつけよーかな・・・・・。
422さ ◆kcIlove.mc :03/05/25 09:44 ID:m3TCz53+
これでいいかな?<トリップ

べつに化け物じゃないですよ・・・・
基準はあります。
紳士であることですw
やるべきことやってないけどね。
423ジェイズバー:03/05/25 10:16 ID:YrcnxFWE
 そして今日でもなお、日本人の司試受験生に対する意識はおそろしく低い。要する
に、歴史的に見て司試受験生という動物が生活のレベルで日本人に関わったことは、
択一終了後のソープランドの繁盛以外、一度もなかったんだ。司法試験は国家レベル
で中世の中国から輸入され、育成され、そして見捨てられた。それが司法試験だ。
近時米国とのあいだでロースクールが自由化されたことで、日本における司試受験生
育成のメリットは殆んどゼロになったんだ。可愛そうな動物だと思わないか?
まあいわば平成不況そのものだよ。
424氏名黙秘:03/05/25 10:52 ID:???
「さすがに択一終了後二週間も過ぎると、みんな本格的に勉強するね?」
「今週はちょと低調だったけれど、今日はアガってたわ。『さ』ちゃんも帰ってきた
わよ」と緑は言った。
「緑ちゃんは『さ』ちゃんのこと知ってるの?」
「親友よ。カワイイわよ、謙三のタイプかもしれないわ」
「え、えッ、どんな感じの子?」
「それは本人から聞いてみたら?」
425氏名黙秘:03/05/25 14:27 ID:???
>>422のトリップ
kcIlove.mc 「皇太子ちゃんIlove雅子ちゃん」でいいのかな?
426謙三:03/05/25 15:54 ID:???
「たしかに君の言うとおりだよ」と謙三は言った。「なんとかやってみるよ。うまく
いくかどうかは自信がないけれどね」
「うまくいくさ。六年前だって、デバイスもなし基本書もなしで、あれだけやれたんじゃ
ないか」
 マコツはグラスにビールをついで一口飲んでからそう言った。
「君は俺が君と一緒にいることでどれくらい安心していたかを知らないんだ」と謙三
は言った。「そのうちにまた電話するよ」
「うん」
「長いあいだどうもありがとう。憲法よくわかったよ」と謙三は言った。
「もし論文が終って落ちていたら、また一緒に組んで勉強しよう」
「もうごめんだよ」
 そして謙三は電話を切った。
427謙三:03/05/25 16:27 ID:???
「塾長に是非会ってみたいですね」と僕は言った。
「お会いになるのはかまいません。しかし塾長は私を嫌っていますので、申しわけあ
りませんが、あなた方だけで行って下さいますか?」と塾の職員は言った。
「嫌ってる?」
「私が択一に合格したこともないのに禿げかけているからです」
「なるほど」と僕は言った。「アートネイチャーが好きみたいですからね」
「それは禁句です」と塾の職員は言った。
「我々が直接行って会ってもらえるでしょうか?」と僕は訊ねてみた。
「わかりません」と職員は言った。「でもふたつのことに気をつければたぶん会って
くれるんじゃないでしょうか。ひとつはシケタイに関して質問したいことがあると
きちんと言うことです」
「もうひとつは?」
「別れた奥さんの親戚であることは隠すことです」
「なるほど」と僕は言った。
428「さ」をめぐる冒険:03/05/25 17:51 ID:???
 鼠はスカイブルーのソファーの上でウィスキーを飲み、ふわふわとしたタンポポ
の種子のようにアエ・コンディショナーの気持の良い風に吹かれながら、>>416
食べ残したシャープ3兄弟を食べていた。
「だんご3兄弟の原点だな」と鼠は思った。「学院長もシャープ3兄弟の歌を作詞して
マチコに歌わせればよかったんだ」と何となく鼠は思った。
 鼠は『さ』ちゃんの名前について思いを馳せていた。「サチヨ」は恐いし、「サダコ」は
もっと怖い。「サリー」はサリンに語感が近いし、「サンコン」は色黒だ。
 やっぱり『さ』しかないのかもしれない。鼠は原稿用紙の最初の一行に「さ」と書いた。
429さ ◆kcIlove.mc :03/05/25 18:37 ID:m3TCz53+
最近謙三も増えてるんですね。
でも謙三は読んだことがないので元ネタがよくわからんです。
謙三の中で一番お勧めはなんですか?

>>428
サダコでもサチヨでもないですw
サンコンだったら面白かったのに残念です。
430 緑:03/05/25 19:11 ID:???
「春樹スレも復活の兆しが見えてきたわね」と緑は言った。
「土日は調子がいいみたいだな」
「みんな、勉強に疲れたら時々このスレを思い出してね。明日また会いましょうね。
おやすみなさい」
431謙三:03/05/25 19:35 ID:???
>>429
「実は口で言うほど北方謙三を読んでいないんだ」と謙ちゃんは言った。
「三国志はよかったと思うわ。第三巻『玄戈の星』の『海鳴りの日』という節は泣ける
わよ」と緑は言った。
「俺も『海鳴りの日』を読んでから北方謙三に対する認識を変えた。この人の場合
春樹と違って、文章がどうのこうのという作家じゃないよね。ストーリーの面白さ
だけで勝負しているんだ。
『海鳴りの日』は三国志最強の男呂布が死んじゃう場面なんだけど、彼の愛馬赤兎馬
との心の交感に泣かされてしまった。読んでいるうちに馬に感情移入している自分が
いたんだ。とにかく原作ではただ強いだけで、人を裏切ってばかりいた呂布が、
魅力的に描かれていたし、同じく原作ではただ足が速いというだけの赤兎馬を、重要な
キャラとして登場させたのは北方さんだけだよね」
「ということで、謙三と緑のお奨めは『三国志』に決定!」
432氏名黙秘:03/05/26 00:06 ID:???
鼠はもう「さ」とは会わなかった。「さ」の隣に座ることもやめた。自習室に近寄ることさえやめた。
まるで若手でなくなった後に辰巳に移る一群のヴェテのように、彼の心の中の何かが闇をしばらくの間漂いそして消えた。
それから暗い択一落ちがやってきた。択一落ち。1問1問と×印をつけたあとにいったい何点残るのか、鼠にもわからない。
41点?・・・彼はベッドの上で何度も魔骨からの手紙を眺める。
恐らく択一合格なしにヴェテは生きてはいけないだろう。
でもそれだけでは暗すぎる。あまりにも暗すぎる。
433氏名黙秘:03/05/26 01:39 ID:???
こんな(村上)春樹は見たくない@第五版
http://book.2ch.net/test/read.cgi/books/1052791372/
434さ ◆kcIlove.mc :03/05/26 08:07 ID:dgHM5i8K
>謙三さん
三国志ですね?チェックしてみます。
全何巻くらいでしょうか?三国志だからやっぱ長いかな?
漫画でしか読んだことないんですけれどね。

>>432
「さ」は一体何者なのでしょう?受験生?

わたしが見たくない春樹さんってなにか考えてみたけれど、
大抵のことは受け入れられてしまう気がしました。
435謙三:03/05/26 10:49 ID:???
>>434
「たしか13巻だったと思うわ」と緑は言った。
「漫画やゲームで三国志のあらすじを知っている人なら、北方三国志は楽しめると
思うんだ。原作の三国志演義では、群雄たちの戦略がまったく見えてこないけど、
北方さんは一見脈絡のない原作のストーリー展開を、前半は曹操の戦略、後半は孔明
の戦略で上手くまとめている。
 それに原作よりも人物が生き生きしている。これは吉川英治も柴田錬三郎もなしえ
なかった業。劉備玄徳って、原作が書かれた明の時代の理想の君子像に庶民の姿をダブ
らせて、まったく面白みのない孝行息子のイメージになっているけれど、北方本の劉備
は面白い。
 それに僕達は曹操の偉大さをもっと知るべし。先日本屋で岩波文庫の「孫子」をなが
めていたら、「武帝註記」とあった。そうなんだ、曹操の注釈本こそ現存する最古の
「孫子」のテキストなのだ。北方本の曹操は史実に近い。
 つい熱が入ってしまった。緑ちゃん、俺一人でしゃべってばかりで、ゴメン」
「民法117条・・・ブツブツ・・・」と緑は言った。
436「さ」をめぐる冒険:03/05/26 11:55 ID:???
  第二章 1978/7月  1十六歩歩くことについて
「書類の方はあれでいいの」
「うん、みんな終わったわ」
「ずいぶん簡単なものだね。もっと何やかやいろんなものがあるんだと思っていたよ」
「知らない人はみんなそう思うのよ。でも本当に簡単なの。終わってしまえばね」彼女は
そう言って、もう一度猫の頭をかいた。「二度も離婚すればもうマコツみたいなものよ」
 猫は目を閉じて背中だけで伸びをし、彼女の腕に首をそっと載せた。
「留守のあいだにあなたのパソコン勝手に拝見したわ。『さ』ちゃんって子からメールが届いて
いたわよ。新しいガールフレンド?」
「そう思うの?」
「なんとなくね」と彼女は小さな声で言った。「あなたって、そういうタイプなのよ」
「そういうタイプ?ミニスカートで信号待ちしているような?」
「あなたには何か、そういったところがあるのよ。砂時計と同じね。ネタがなくなって
しまうと必ず誰かがやってきてひっくり返していくの」
437マチコ:03/05/26 12:12 ID:???
>>432
「だったらマチコと一緒に勉強しましょう?」
 鼠はマチコを勉強以外のことにしか使ったことがなかった。
「落ちこんじゃダメよ。マチコがいつもあなたの傍にいるわ。自習室で待っているから、
明日はきっといらしてね。それから自分のことをヴェテって蔑むのは、おやめになって。
ロングセラーのほうがいいと思うのだけれども・・・」
438集英社:03/05/26 12:43 ID:???

本日、北方謙三の『水滸伝』第10巻『濁流の章』発売!

スレ違い、スマソ。
439氏名黙秘:03/05/26 12:59 ID:8682Q7X9
>>434
「さ」ちゃんの正体は、春樹のメイン出版元「講談社」の女性編集者と推測せり。
「大抵のことは受け入れられる」ようになったのは、北方謙三が講談社に書き下ろしを著すことが決定したものと推測せり。
「さ」ちゃんが読んだ「漫画の三国志」とは、講談社の「蒼天航路」と推測せり。
なるほど。
440氏名黙秘:03/05/26 14:30 ID:???
>>434
頼むから、イトウマコツでしたって言わないでね。やれやれ。

441ヒロシ&キーボー的司法試験:03/05/26 15:00 ID:???
(男)馬鹿いってんじゃないよ お前と俺は
   喧嘩もしたけど ひとつスレの下 暮らしてきたんだぜ
   馬鹿いってんじゃないよ お前のことだけは
   一日たりとも 忘れたことなど なかった俺だぜ
(女)よくいうわ いつも騙してばかりで
   私が何にも知らないとでも 思っているのね
(男)よくいうよ 惚れたお前の負けだよ
   パロディ男が 好きなら俺も 考えなおすぜ
(女)馬鹿いってんじゃないわ
(男)馬鹿いってんじゃないよ
(女)騙されてるの わからないなんて 可愛そうだわ
(男)三年目の謙三ぐらい 大目にみろよ
(女)ひらきなおる その態度が 気にいらないのよ
(男)三年目の謙三ぐらい 大目にみてよ
(女)春樹を300パロったって 許してあげない
442「さ」をめぐる冒険:03/05/26 17:10 ID:???
  2彼女の消滅・写真の消滅・スリップの消滅
 僕の択一試験が終り、彼女がアパートを出ていってしまってから既に一ヶ月が経って
いた。その一ヶ月には殆んど何の意味もなかった。ぼんやりとして実体のない、生温か
いゼリーのような一ヶ月だった。
 僕は朝七時に起きてコーヒーを淹れ、トーストを焼き、はかどらない基本書読みをし、
古い答練の資料をながめ、夕食を終えると一時間ばかり春樹スレにパロをあげ、電灯を
消して眠った。そんな風にして、ちょうどある種の人々がカレンダーの数字をひとつづ
つ黒く塗りつぶしていくように、僕は一ヶ月を生きてきた。
443「さ」をめぐる冒険:03/05/26 17:43 ID:???
  第三章 1978/9月 1鯨のペニス・三つの職業を持つ女
 答練を受けるというのは非常に重大なことのようにも思えるし、逆にまるで
たいしたことじゃないようにも思える。つまり自己療養行為としての答練があ
り、暇つぶしとしての答練がある。
 終始自己療養行為という答練は論点がみえみえだし、終始暇つぶしとしての
答練は「でないよこんな問題」という受験生の声が聞える。はじめは自己療養
行為であったものが暇つぶしとして終わる例もあれば、逆の場合もある。なん
というか、我々の受験勉強は予備校の感覚とは根本的に異なっているのだ。
 我々は予備校の出題者になりたいわけではない――これは僕の受験勉強にとって、
ひとつの重大なテーゼである。
444「さ」をめぐる冒険:03/05/26 17:59 ID:???
  2耳の開放について
「君はすごいよ」とやっと一息ついてから僕は言った。
「想像したとおりかい?」とマコツは言った。「これがマコツのジッパーを開放し
た状態なのさ」
 何人かの客が振り向いて、我々のテーブルを放心したように眺めていた。コーヒー
のおかわりを注ぎにきたウェイトレスは、うまくコーヒーが注げなかった。誰もひと
ことも口をきかなかった。
 マコツはポケットから煙草を出して口にくわえた。僕はあわててライターでそれに
火をつけた。
「君のものと比べてみたいな」とマコツは言った。
445「さ」をめぐる冒険:03/05/26 18:38 ID:???
  3続・耳の開放について
 
 マコツは時折ジッパーを開放したが、その殆んどはセックスに関する場合だった。

 とにかく、そのようにして「さ」をめぐる冒険が始まった。
446Goodnight:03/05/26 18:55 ID:???
「謙三、あなたの『さ』をめぐる冒険って、単一作品にしては支離滅裂じゃない」と
緑は言った。
「まあ、『風の歌を聞け』もこんな感じだったから許して?春樹はジャズ喫茶の営業
の合い間に書きため、俺は受験勉強の合い間に書きためているんだから」
「明日からいよいよ本編に入るのね。頑張ってね、謙三。それでは皆様、また明日の
この時間にお会いしましょう。ごきげんよう」
447さ ◆kcIlove.mc :03/05/26 18:57 ID:???
>謙三さん
丁寧なレスありがdです。13巻もあるのか!
長いですねぇ。でも波乱万丈だから飽きないのかな。
なんだか読みたくなりました。
とりあえず1巻だけ買ってみるね。

>>439
ごめん、わたし全然出版関係者とかじゃないです。
そうてんこうろは途中まで読んだけど、全部読んだのは横山さんのやし
でつ。長かった!

>>440
春樹さん、耳フェチも確定ですよね。
双子フェチで耳フェチって、単なる変態なんじゃないかなって気も
するんですけど、春樹さん、それって変態ですか?
変態と通常人の差は、遅めの朝ごはんと早めの昼ご飯よりは、大き
な違いがありますか?あるいは決定と命令よりは?
448謙三:03/05/26 20:16 ID:80wFT0Sy
「ここに書くべきことじゃないのは分かっているんだけれど、東北地方で大きな
地震があったでしょ。カミさんの実家その他の親戚と電話が通じないんだ。安否を
確認したい方は○○○へTELして下さいっていうテープが流れてね。不安だね」
449氏名黙秘:03/05/26 20:16 ID:???
性別  オンナ
年齢  21
健康状態  欝、回避性人格障害、疲れやすい、偏頭痛、貧血
職業  無職 この年になって三ヶ月のアルバイト経験しかない
身長  154
体重  45
BWH  はかんのめんどくせー Bカップ ヒマだからよく腹筋してる
容姿  普通もしくはちょっと下 目つき悪い
友人  2,3人いるけど、最近陰りが。メールほとんどこない
恋人  今まで一度もいない
趣味  ネットと読書、だけど最近ネットめんどい
特技  なし
財産  貯金残り二万
学歴  高卒
自虐的に一言  なにしても人以下、先天的に生きていく能力がないっぽい
450氏名黙秘:03/05/27 11:17 ID:???
>>449
 これ何だかよくわかんないんだけれど、本人が書いたの?
 他人が書いたのだとすると、少しひどいよ。
「健康状態  欝、回避性人格障害」と自分で決めこんじゃいけない。君ぐらいの
年齢の頃は、誰でも気分がパッとしないことを「鬱」と思いこみがち。僕は、昔
いとこが鬱病で入院したとき見舞いに行ったことがあるけれど、鬱って君が思って
いるほど生易しいものじゃないよ。今そのいとこは、身体障害者一級の認定を受けて
自宅で療養している。
「なにしても人以下、先天的に生きていく能力がないっぽい」のなら、能力身につけよう
と奮起すればいいじゃないか。もっとも「自虐的」になれるのは、能力はあると自負して
いるのに認めてもらえないと思う気持が強いからじゃないか。
 これは蛇足になるが、BWHはちゃんと計れよ。
451氏名黙秘:03/05/27 11:35 ID:???
>>449は司法試験とどんな関係が・・・
452神崎京介的司法試験:03/05/27 12:24 ID:???
「さ」は緑と双子の姉妹であった。マコツはマンションに帰ると「さ」と緑と三人で
ベッドに入った。マコツはこれをダブル・スタンダードと呼んでいた。
 横をむいて寝ている「さ」の背後からマコツは両腕を回し、乳房や内腿を愛撫した。
そのマコツの背後に緑が寝ている。マコツの背中に押し付けられている緑の乳房が、
自分が愛撫している「さ」の乳房とうりふたつであるということが、マコツを興奮させた。
 ときどき緑がいたずらをする。大きくなったマコツのペニスを背後から掴んで、それ
で「さ」のクリトリスを刺激するのである。「さ」は次第に濡れてくる。それでもマコツ
は決して勃起したペニスを「さ」の中に挿入することをしなかった。マコツはこれを
LRAと呼んでいた。
453氏名黙秘:03/05/27 14:54 ID:???
>>449
俺のタイプだ。君を抱きたい。3万円でどう?
454謙三:03/05/27 15:03 ID:???
「ちょいと乱れてるね、緑ちゃん」
>>452では、あたしがマコツのペニス掴んだことになってるわ。オオー嫌だ。手を
消毒しなくっちゃ」と緑は言った。
「常連さんたちは、どこいっちゃったんだろう。そろそろ春樹パロが読みたいね」
455 緑:03/05/27 15:49 ID:???
「せっかく復調の兆しが見えていたのに残念ね。そういえば最近DJの姿が見えないわ。
勉強モードなのかしら?」と緑は言った。
「皿まわしてるんじゃないか」
「皿回しといえば、司法試験の勉強も皿回しに似てるわね。商法/訴訟法まわしてると
三法の皿が落っこちて割れちゃうでしょう。六枚一度にまわすことはできないかしら」
「俺も三科目並行して勉強することはあるけれど、六科目は無理だな。一度試したけれ
ど、グチャグチャになった経験がある」
「六科目オートチェンジャー講座とかないかしら」
456謙三/遅レス:03/05/27 16:28 ID:???
>>432
 41点が本当なのかネタなのかわかんないけれど、たしかにベテの択一落ちはつらい。
俺は平成6年までは司法浪人してて、今は仕事しながら道楽みたいに受験しているから
プレシャーはほとんどないけれど、浪人時代は自主ゼミ組んで勉強していたから、最後
の3年くらいは精神的にきつかった。ゼミに自分より年上がいなくなってしまうんだよね。
 幸い当時は受験者数も少なかったし、択一問題も簡単だったから、択一落ちはしなかった
けれども、論文前のプレッシャーが大きかった。そこで、ゼミから去りたいと思っていたけ
れども、ベテの答案って参考になるから(w)、若者が手放してくれない。
 択一落ちは1ヶ月もしないうちに結果が出るから、来年の受験までが長いよね。家族にも
会わせる顔がないっていうか・・・つらいところだ。
 でも立ち直るしかないんだよね。誰も助けてくれないし。そうしようと思うと、まわりの
声を遮断するしかないから、一層孤独にはなるんだけれども、そんな孤独の中でさらに強く
なるしかないんだよね。励ましになっているかどうかわかんないけど、頑張って・・・。
 41点がネタならいいんだけれどね。
457謙三:03/05/27 16:48 ID:???
>>452
ゴラァ、俺の「さ」と緑を無断でネタに使うな!
458さ ◆kcIlove.mc :03/05/27 18:20 ID:???
>神崎京介さん
マコツですか?!
(((( ;゜Д゜)))ガクガクブルブル

>謙三さん
今日は時間がなくて本屋行けなかったでつ。
明日か明後日ブックオフ行ってみまつ。
論文頑張って下さいね。謙三的答案で合格してください('-'*)
459神崎京介的司法試験:03/05/27 19:15 ID:???
「どうやら謙三が嫉妬しているみたいだ。>>457」とマコツはベッドに腰をかけ
煙草に火をつけながら言った。たばこ税が値上がりするというので、マコツは、
250円の『キャスター・マイルド』を160円の『わかば』に替えたばかりだった。
 マコツは「さ」には207のTシャツを与え、緑には208のTシャツを与えて
いた。207は最初の妻に支払うべき慰謝料の額、208は二人目の妻に支払うべき
慰謝料の額だ。それぞれ10万倍するとそうなる。
 吸殻を灰皿に捨てると、マコツは再びベッドにもぐりこみ、「さ」の乳首を吸った。
「さ」は北方三国志の第1巻を読んでいた。このスレで謙三と約束をしたらしい。緑は
「Goodnight」の原稿読みをしていた。今年から始まった春樹スレの人気番組
だ。その緑の局所にマコツは右手を伸ばし、やさしく愛撫した。緑の恥毛を1本1本愛撫
するたびに、マコツは民法の条文を頭の中で復唱した。緑の恥毛は全部で1044本あった
のである。
460Goodnight:03/05/27 19:38 ID:axPhiyyS
「今日は神崎京介的司法試験という変な香具師がきたわ。あたし、あんなの嫌よ。
なんとかしてよ、謙三」と緑は言った。「もしかして、ずーっと続ける気かしら」
「論文までは禁欲的な生活を強いられるから、つい神崎京介なんかに手を出してし
まうのだろう」
「そんなの読んでで禁欲っていえるかしら。仏典でも読みなさいよ。あの馬鹿、マコツ
にあたしの恥毛を触らせたのよ。冗談じゃないわ。もうあたし来ないわよ」
「そんなに拗ねないでよ、緑ちゃん。神崎!こら、聞いてるか。明日はマコツに替えて
俺を登場させろ」と謙三は言った。
461謙三:03/05/27 19:43 ID:???
>>458
「さ」ちゃん、おやすみ。明日は神崎がマコツに替えて俺を登場させるそうだから、
心配しないでね」
462くされDJ:03/05/27 22:18 ID:7JSQ7Msr
口述試験の日の夜、僕は神南の「ロータス」ですみれと二人で
酒を飲んでいた。
「もう受験生じゃないのね」
 まだ受験生だよ、と僕は彼女を諌める。
「もっと早く受かるべきだったのよ」
 僕がカウンターまで行ってタコスをふたつ注文して戻ってき
た時、彼女はまだ頬杖をついてじっとソルクバーノのグラスを
眺めていた。
「もう受験生じゃないのよ」と彼女は繰り返した。
「そう?」と言って僕はタコスをひとつ彼女にわたす。
「だって受験生ならいまの時間こんなお店にいないはずよ」
463くされDJ:03/05/27 22:19 ID:7JSQ7Msr
僕は肯いてタコスに齧りつく。
「でも私たちはここにいるわ」
「ねえ、受験生達はみんな潜在的に合格者であり、同時に不合格者
でもあるんだ」
「うん」
「とすると、、不合格者のことを他人のように考えている受験生は
いったいなんだ?」
 わからない、と彼女は言った。
「何か軽い食事がしたいな」
「捜してみるわ」
 彼女は店員を呼んでメニューをもらい、マンションの賃貸契約書
にでも目を通すように、真剣な顔つきでそれを読んだ。
「フレンチ・トーストはないわね。サンドイッチだけ」
「上等さ」
464くされDJ:03/05/27 22:20 ID:7JSQ7Msr
我々はふたりとも無言でサンドイッチをかじりながら、
店の天井から吊ってあるテレビの画面を見た。
 テレビはメジャー・リーグの試合の総集編を映して
いた。イチローがセット・プレーでセンター前ヒット
を打ち、観客がスタンディング・オベーションで彼を
称えるシーンが繰り返し流されていた。
「何故あんなに一生懸命になってボールを投げるの?」
彼女は憮然と立ちすくむランディ・ジョンソンを指して僕にそう訊ねた。
465くされDJ:03/05/27 22:20 ID:7JSQ7Msr
誇りを持ちつづけるためさ」
「ム…。」彼女は口にパンを頬ばったまま人間の誇りについて
しばらく考えた。いつものことだが、こういうときに彼女の頭
の中でいったい何が起こっているのか、僕には想像がつかなかった。
「ねえ、私を愛してる?」
「もちろん」
「結婚したい?」
「今、すぐに?」
「いつか…もっと先によ」
「もちろん結婚したい」
466くされDJ:03/05/27 22:21 ID:7JSQ7Msr
でも私が訊ねるまでそんなこと一言だって言わなかったわ」
「言い忘れてたんだ」
「…子供は何人欲しい?」
「3人」
「その子たちも法律家にしたいと思う?」
「イエスでありノーでもある。一人くらいは法曹になって欲しい」
 彼女はコーヒーで口の中のパンを嚥み下してからじっと僕の顔を見た。

「嘘つき!」

と彼女は言った。
 しかし彼女は間違っている。僕はひとつしか嘘をつかなかった
467くされDJ:03/05/27 22:22 ID:7JSQ7Msr
夜半過ぎに店を出ると、我々はそこで別れてそれぞれの帰るべき
ところへ向かった。僕はふと思い立って引き返し、通りに出て赤坂
方面へ折れた。そしてその通りを歩きつづけた。なぜそんなことを
するのか自分でもよくわからなかったのだけど、とにかく僕は星に
導かれた三博士のように、ひたすら東へ向かって歩いた。
 2時間ほどのあいだに青山を通過し、赤坂見附を抜けて、隼町に
たどりついた。最高裁判所を横目にさらに少し歩くと、桜田濠に行
き当たった。
468くされDJ:03/05/27 22:23 ID:7JSQ7Msr
真夜中の皇居は都心にあるまじき広大な暗闇を作り出していた。
夜目にうっすらと浮かび上がるかつての江戸城の石垣を見て、
僕はそれらの巨石を切りだし、搬送し、積み上げていった名も
無き人夫たちのことを思った。たくましい天才たちの仕事のあ
と―そんな気も迫ってこないのでもなかった。
 物哀しい風景だった。
 しかし僕にいったい何を言うことができるだろう?ここでは
既に新しいルールの新しいシステムが一時も休むことなく機能
している。誰にもそれを止めることなんてできない。
469くされDJ:03/05/27 22:24 ID:7JSQ7Msr
僕は背広の内ポケットから受験票を取り出して握りつぶし、
城郭の濠に向けて思い切り放った。受験票はそよ風にざわめ
く水面に吸い込まれていった。それから僕は煙草を吸った。
 煙草を吸い終わる頃に、マグライトを持った男がゆっくり
とこちらに歩いて来るのが見えた。男は四十歳前後で、紺色
のシャツと紺色のズボンをはいて、紺色の帽子をかぶってい
た。きっと宮内庁の皇宮護衛官なのだろう。
「さっき何かを投げていたね」と男は僕の脇に立ってそう言った。
「投げたよ」と僕は言った。
「何を投げたんだ?」
「四角くて、紙でできていて、文字が印刷されているものだ
よ」と僕は言った。
護衛官は少し面喰ったようだった。「何故投げたんだ?」
470くされDJ:03/05/27 22:24 ID:7JSQ7Msr
理由なんてないよ。どこでだって投げてる。神田川に投げた
こともあるけど、誰も文句は言わなかった」
「場所が場所だよ」と護衛官は言った。「ここは皇居で、濠
へのゴミの投棄は禁じられてる」
 僕はしばらく黙っていた。体の中で一瞬何かが震え、そし
て止んだ。
「問題は」と僕は言った。「あんたの言ってることの方が筋
がとおってることなんだよな」
「法律でそう決まってんだ」と男は言った
471くされDJ:03/05/27 22:25 ID:7JSQ7Msr
僕はため息をついて、ポケットから煙草の箱を取り出した。
「どうすればいい?」
「拾ってこいとも言えないだろう。あたりは暗いし、雨だ
って降りかけてる。だからもう二度とものを投げないでくれ」
「もう投げないよ」と僕は言った。「おやすみ」
「おやすみ」と言って護衛官は去っていった。
 僕は濠端に座って空を見上げた。護衛官の言ったように
、そろそろ細かい雨が降りかけていた。僕はもう一本煙草
を吸ってさっきの護衛官とのやりとりを思いかえしてみた
。学生時代には僕はもっとタフだったような気がした。いや、
そんな気がするだけのことかもしれない。どちらでもいい。
 道に戻ってタクシーをつかまえた頃には霧のような雨にな
っていた。渋谷まで、と僕は言った。
472氏名黙秘:03/05/27 23:17 ID:???
「でも私はまだ20歳なのよ」と「さ」は続けた。「論文試験なんかで終わりたくなんか無いのよ」
答案用紙が机に並べられる間、僕たちの会話は中断された。
「君はまだ若いんだ」と僕は言った。「これから恋愛だってするし、結婚もする。司法試験なんてどんどん変わっていくさ」
「変わりなんてしないわ」「さ」は定規で器用に問題用紙の右側を破りながらボソボソと言った。
「誰も私のことなんて好きにならないわ。ロクでもない前○説を批判したり、丁寧なあてはめしたりして一生終わるのよ」
僕はため息をついた。急に何歳も老け込んでしまったような気がした。
「君は可愛いし魅力的だし、成績だっていいし頭だっていい。問題用紙の右側だって上手く破ける。きっとうまくいくさ」
「さ」は黙りこくって山口説を書き続けた。僕も大谷説をかいた。
そして大谷説を書きながら神崎が謙三を「さ」とからませるカキコを想像した。
「あなたは20歳の頃何をしてたの?」
「社会的責任論に夢中だったよ」1989年、我らが年。
「択一はどうなったの?」
「落ち続けたね」
「不幸せだった?」
「遠くから見れば、」と僕は大谷説を書きながら言った。
「大抵の受験生は若手に見える」
473432:03/05/27 23:26 ID:???
>>456
謙三さん」
474432:03/05/27 23:28 ID:???
>>456
失礼
謙三さん、優しいレスありがとう。
これから1年どうしようかと思ってたんだけどなんか癒されました。
今後も楽しい書き込み楽しみにしてまつ。
475氏名黙秘:03/05/27 23:51 ID:???
「ところであなたの『司法試験』のベスト・スコアは?」
「28点(択一の点数)」と神崎は言った。
「そりゃ凄い」と謙三は表情も変えずに言った(論文の答練の点数と思ってる)。
「実に凄い」そしてまた股を掻いた。
476謙三:03/05/28 10:52 ID:???
>>462-471
「すごいわ、謙三。DJは皿まわしながら10個も書きためていたのよ」と緑は言った。
「たぶん500ゲットを狙っていたんだろう」
「やっぱり春樹パロが続くとシマルわね。DJ忙しいと思うけど、たくさん書いてね」
>>475に俺が出てる。単純にウレシイ」と謙三は言った。
477神崎:03/05/28 11:24 ID:???
「さ」は妹の緑に言われたように、新宿アルタ前で緑色の帯のノルウェーの森を目印
にして健三を待っていた。目印なんか持たなくたって双子の姉妹なんだからきっと健三
にはわかるだろうとは思ったけれども、初めて会う人とデートするときの儀礼のような
ものよ、と緑は言った。
 人や車はたくさん通り過ぎていったけれども、健三は約束の時間を30分すぎても
現れなかった。
「『さ』ちゃんだよね」
 後から突然声を掛けられた。「さ」が振り返るとグレーのスーツを着た50歳過ぎ
の体格のよい男性が立っていた。雑誌の写真で見た北方健三じゃない。
「あの、健三さんですか?本物の?」
「北方です」その男性は静かな口調で言った。健三も緑に言われたとおり、赤色の帯
のノルウェーの森を右手に持っていた。
478神崎:03/05/28 11:52 ID:???
「今からモンゴルへ行こう」と謙三は言った。
「モンゴルって・・・、中国の北のモンゴル?」と「さ」は訊ねた。
「そう。急げば午後3時25分の成田発ウランバートル行きの飛行機に間に合う」
「でもあたし旅行の仕度も何もしてないし、それにパスポートだって・・・」
「そんなことは僕に任せておいて、急ぐんだ。君に見せたいものがある」と謙三は
カップにグラニュー糖を入れてコーヒーをかき混ぜながら言った。
「謙三さんはコーヒーに砂糖を入れるの?」
「うん。味の素は入れないけれど」と謙三は言った。それから、謙三は携帯で事務所
のスタッフに連絡し、いくつかの雑用の処理を指示しから、フェラーリをアルタ前に
寄越すように告げた。
479神崎:03/05/28 12:29 ID:???
 ウランバートル空港からは、地元のホテルがチャーターした小さなプロペラ機に乗った。
軍用の輸送機を払下げて改造した旅客機らしく、機内では話しもできないくらいの大きな爆音
がする。「さ」は窓から下界を見下ろしたが、あたりは一面の砂漠であり、時々馬や羊の群
を見かけるだけだった。
「どこまで行くの、謙三さん。砂漠しかないわ」と「さ」は訊ねた。
「ゴビ砂漠の真中まで行くんだよ。そこに僕のゲルがある」と謙三はこたえた。
「ゲル?遊牧民が住宅にしているテントのこと?」
「そう。フェルトで覆われているから、中はとても暖かい」
「でも、ゴビ砂漠の真中に空港なんかあるの?」
「ないよ。でもね一面の平原だからどこにでも着陸できるのさ。着陸するときはひどく
揺れるから、僕にしっかりつかまっておいで。大丈夫、パイロットの腕は確かだから、
心配しなくてもいいよ」
 「さ」は言われたように、隣りに座っている謙三の右腕に自分の左腕をわまして、肩を
寄せた。オーシャン・ムスクのオーデコロンの香りがした。
480神崎:03/05/28 13:04 ID:???
謙三のいうとおり、パイロットの腕はよかった。ちょうど謙三のゲルの10メートル
手前でプロペラ機は停止した。あたりは一面の砂漠である。しかし、「さ」がイメージ
していた砂漠とは違って、草が生えていた。
「砂漠なのに草が生えているわ」と「さ」は言った。
「どこかで読んだ覚えがあるんだけれども、ゴビっていうモンゴル語には草という意味
があるらしい(神崎注:確かではない。誰ぞ調べよ)」
 日本では見られない光景だと「さ」は思った。なにしろ360度の地平線なのである。
周囲はすべて空と砂漠だった。山ひとつないし、樹木の一本もない。もちろん、東京で
見るようなビルや電柱なんかあるわけもない。
 やがて薄暗くなってきた。ゴビ砂漠の夜がやってきた。砂漠は消え、空だけが残った。
 「さ」は驚いた。自分の視野の大半を占める空がダイヤモンドを散りばめたような星空
に変ったのだ。星の数は今まで一度も見たことがないくらいに多かった。まるで黒い夜空よりも輝く
星の方が広い面積を占めているようにも思えた。
「日本と違ってゴビ砂漠では空気が乾燥しているから、星がたくさん見えるんだ」と謙三は
いった。「明日の朝、太陽が昇ってくる瞬間は、もっとすごい光景が見られるよ」
「謙三さん、ありがとう。とても素敵な景色を見せてもらったわ」と「さ」は言った。
 そして二人はゲルの中に消えた。

   ― 「さ」をめぐる冒険 第一部 終了 ―
481山崎渉:03/05/28 14:56 ID:???
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
482 緑:03/05/28 14:58 ID:???
>>477-480
「神崎京介はハードコア・ポルノから純愛路線に転向したわよ。しかも謙三が主役、
ご満悦でしょ、謙三」と緑は言った。
「神崎。苦しゅうない、近こう寄れ」と謙三は言った。
「今日は午前中忙しかったから、午後は勉強するからね。後は、DJと「さ」ちゃん
に任せたわよ。それから、神崎も純愛路線で頑張るのよ。じゃあ、ここでアゲときます
から、後はよろしく」
483 緑:03/05/28 15:00 ID:???

アゲたとたんに山崎がいた。やれやれ。
484内田貴的司法試験:03/05/28 16:18 ID:???

村上春樹的司法試験とは、受験界における社会現象を、
すべて春樹という記号に還元する壮大な試みである。
485さ ◆kcIlove.mc :03/05/28 16:40 ID:???
こんにちわ。今日は自宅学習日です。
といっても夕方からシカゴ(映画の方)観に行きます。

>>472
残念ながらとうに20を過ぎてしまいましたw

>DJさん
悪くない作品です。
DJさんはどの作品が好きなのですか?

こんな暑い日は全国で全裸主婦がたくさん出現してることでしょう。
カッコウ!
486謙三:03/05/28 17:57 ID:???
>>474
 平成6年に司法試験をいったん断念して、田舎に帰り、今の仕事を始めた。最初の
数年は仕事を覚えるのに必死で、勉強はまったくしなかった。平成7年は何の準備
もせずに受験したから当然のごとく択一落ちした。翌年から11年までは受験していない。
 そうこうしているうちにローの話が持ち上がり、司法試験に対する未練が湧き起こっていた
ところへ、母校の不祥事のニュースが飛び込んできた。例のC大学の法学部の学生がおこ
した女子中学生レイプ事件である。テレビのニュースで学長と学部長が雁首揃えて謝罪していた。
 事件の詳細は今も知らないが、とても腹が立った。変な動機ではあるが、それから
猛然と勉強を再開した。ではあるが、僕が受験していなかった数年の間に司法試験、
とくに択一試験は様変わりしていた。11年は特に刑法が異常な年だったらしくて、
予備校の模試も刑法は異常に難しかった。模試は2回受けただけだが、刑法は半分も
解かないうちに時間切れだった。12年の本試験はやさしかったが、刑法は難しいだろ
うという先入観から、憲民に時間をかけすぎ意外とやさしかった刑法で点がとれなかった。
ゆえに択一落ち。13/14年は何とかクリヤーしたが、僕の第1次受験時代は両訴
選択ではなかったから、現在でも民訴はド素人に近い。たぶん今年論文が受けられた
としても民訴は糞だろうと思う。どこかでまとまった時間をとって民訴を勉強しようと
思うけれど、気がつくと択一が気になる季節になっているというのが、僕の第二次受験
時代のルーティーンになりつつある。
487氏名黙秘:03/05/28 18:50 ID:GXkuq4Q3

新作期待アゲ。やれやれ。
488Goodnjght:03/05/28 19:31 ID:vbZlYVZs
「暑くて勉強はかどらなかったわね」と緑は言った。
「今からエアコンいれていると、7月までもたないしね」
「少しいい風吹かないかしら。それじゃあ、みんな、おやすみなさい」
489 緑:03/05/29 10:45 ID:???
「やれやれ。今朝は誰もカキコしてないや」
「こんな日はがっかりするわね」と緑は言った。「うちのおねえちゃんも来てないわ。
映画の帰りにナンパされて朝帰りかしら」
「また、拗ねてんじゃないの。ふくれた『さ』ちゃんもかわいいよ、こっちおいで」
「あれでけっこう頑固だから」
「生理近いんじゃないの」
490余計なお世話:03/05/29 11:06 ID:???
>>472
この作品の一番面白いところは「問題用紙の右側だって上手く破ける」だと思うんだ。
これを最後のオチに使うべきだと思う。途中で「くすぐり」に使ってしまったから、
最後はそれ以上に面白いオチがあると期待させてしまう。よって、後半が色褪せる。
>>262
前田→団藤→牧野とくると「そうだわなー」としか思わない。
あと追いのコメントで「渥美東洋」の話があったけれど、これを本編で使うべきなん
だと思う。ひとひねりして渥美東洋でオチをつける。たとえば、突撃隊のドモリと
渥美先生の有名フレーズのブレンドとかで。学者は一般にはオチに使いにくいけれど
渥美先生はオチに使える稀有な例外なので・・・。

以上、余計なお世話でした。
491らっきょ:03/05/29 12:14 ID:QYNQgvOo
「どうかしたの?」と彼女が訊ねた。
「新しい恋人をみつけたんだ」と僕は言った。「つい最近僕とここに泊まって君
と同じように僕の○○○を吸ってもらったんだ」
「それって、あたしと別れたいっていうこと?」
「どうかな。わからないね」
 彼女は僕の隣りに腰を下ろして両手で髪をたくしあげ、久しぶりに耳を見せてくれた。
滝の音が僕の意識の中でふと薄れ、そして戻った。
「もう私の耳が嫌いになった?」と彼女が訊ねた。
 僕は微笑んでそっと手をのばし、彼女の耳に触れた。
「耳垢ついてるよ」と僕は言った。
492神崎京介:03/05/29 12:31 ID:???
「つまり、あのカキコが問題なわけですね?」と神崎はおそるおそる質問した。
「そうです」とらっきょは言った。そして手のひらの上で注意深く言葉を選りわ
けた。「そのとおりです。しかしそれ以上のことはあなたには申し上げられません。
そういう権限は私には与えられていないのです」
「担当者には電話で連絡を取ります。三時にはここにいると思います」と神崎は言った。
「結構です」と言ってらっきょは腕時計に目をやった。「それでは四時にレスをよこ
します。それからこれは重要なことですが、このスレにはマコツがいるということです。
よろしいですね?」
 そして二人はビジネスライクに別れた。
493神崎京介:03/05/29 12:47 ID:???
「ということだよ」と神崎は言った。
「さっぱりわけがわからないな」僕は火のついていない煙草を口にくわえたまま言った。
「まずらっきょがいったい誰なのかがわからない。それかららっきょがどうして神崎の
カキコを気に病むのかがわからない」
「らっきょは受験界の大物だよ。名前は殆んど2ちゃんに出さないから一般にはあまり
知られてはいないが、ボランティアで知らないものはいない。知らないのはたぶん君く
らいのもんだろう」
「2ちゃんに疎いんだ」と僕は言いわけをした。
「本当のことを言うと、彼が何を考えているかは誰にもわからないんだ。実名を出して
いるわけでもないし、男か女かもわからない。お世辞も叩きも一切許されない。もっとも
執拗な煽りには弱いというところはある」
「ずいぶん詳しいね」
「その人物をいつも煽っていたからね」と神崎は言った。
494ジェイズバー:03/05/29 13:15 ID:???
「どうだい、少しはこのスレの仕組みがわかったのかい」とジェイはじゃがいもの
皮をむきながら言った。
 鼠は「羊をめぐる冒険」の85頁に付箋紙を貼っていた。
「書けば書くほどわからなくなるだろう。あたしも若い頃春樹スレにはまったことが
あってね。ちょうどあんたの歳ぐらいだったかな。でもね、女の役を何ヶ月もやり続ける
ってのはしんどいものなんだよ。その逆もそうだろうけどね」
 鼠も緑に化け続けていたころ、うっかり女子トイレに間違えて入ろうとしたことが
あった。
「あんたは昔はもっとタフだったぜ」
「そうかもしれない」と言って鼠は灰皿の中で煙草をもみ消した。「きっとどこかに
タフな町があって、そこではタフな謙三がタフなロースハムを切ってるんだ。昼間か
らパロ作っているのがナイーブだと思うんなら好きなだけ笑うがいいさ」
 キーを叩くコツコツという音だけが長いあいだ部屋を支配していた。
495氏名黙秘:03/05/29 14:29 ID:???
誰のために泣けばいいのかがわからなかった。恋人のために泣くには僕はあまりにも身勝手な人間にすぎたし、自分のため択一敗退で泣くにはもう歳を取りすぎていた・・・


496氏名黙秘:03/05/29 15:38 ID:???
「なんというか、絶妙のタイミングだな」
「実際この人物はタイミングを捉えるのが実にうまいんだ。アゲどきとサゲ
どきを心得ている。それから名前のつけかたが良い。辰巳もA級ベテとして
逮捕したものの、出口調査は途中で打ち切られて不合格になった。理由は2
ちゃんのやりすぎのためだが、このあたりはうやむやなんだ。おそらく他スレ
との間に取り引きがあったんだろうな。他スレはボーダー君を狙っていたか
らね」
497氏名黙秘:03/05/29 15:46 ID:???

「さ」さき恭子きぼーん。悪くない。
498K to S:03/05/29 16:58 ID:???

Q:落とす?
499氏名黙秘:03/05/29 18:51 ID:???

よいしょ。やれやれ。
500氏名黙秘:03/05/29 18:51 ID:???

500ゲット。やれやれ。
501さ ◆kcIlove.mc :03/05/29 20:59 ID:???
>>495
切ないです・・・・
502 緑:03/05/30 11:12 ID:???
>>501
「どうしたの、謙三、その頭?マルコメ君じゃない?」と緑は言った。
「頭丸めて反省したんだ」と謙三はこたえた。
「そうだわね、さっちんは怒っていたわ。でもそこまでしなくても?」
「いや、これでいいんだ。今日からは僧侶になったつもりで、下ネタは慎む」
「本当に約束できる?」
「うん。後で神崎に、マコツと『さ』と緑のカラんでたカキコの削除依頼もさせておくよ」
「さっちん。謙三もこんなに反省しているから、許してあげて。それで、神崎はどう
なるの?」
「江戸市中引き回しの上、遠島を申し付けた。さっちん。さっちんがいないと俺寂しいよー。
俺が悪かったから、許してくれよー。海より深く反省しているから・・・」
「謙三、本当に反省してる?」
「えッ?」
「どうして、あたしのヒップなでなでしてるわけ?」
503神崎:03/05/30 11:44 ID:???
 しかし神崎にとっての真に偉大な時代はまだ訪れてはいなかった。それから二日か
三日断続的に流刑先の○○島からカキコをアゲただけで、神崎は再びその輝かしい
奇蹟的なパロをぐず箱にしまいこみ、もとの平凡な受験生に戻ってしまった。それは
まるで、五月の終りにためしに答案をちょっと書いてみたといった感じだった。
「まだハードコアを出す時期じゃなかったんだ」と神崎は言った。「自分の力がまだ
うまく自分でも把握できないんだ」
「おまえはアホだよ」と謙三は言った。流刑先でタクワンを漬けている神崎もなかなか
悪くなかったからだ。
504神崎:03/05/30 12:05 ID:???
「他のスレにカキコする時はハードコアを出さないの?」とさっちんはある時流刑先
の神崎に質問してみた。
「もちろんさ」と神崎は言った。「みんな俺にハードコアの趣味があることすら知ら
ないんじゃないか」
「ハードコアを出さない時の神崎ってどんな人なの?」
「とても真面目で勤勉さ。まるで新聞紙をかじってるみたいに面白みのない男だよ。
でもいいのさ。真面目ってのは、それはそれで悪くないから」
「でもハードコアを出した時は面白い人に変わるんでしょう?」
「そうだな」
「じゃあ出せばいいのに」とさっちんは言った。「なにもわざわざつまらないカキコ
することはないじゃない」
 さっちんはまじまじと神崎の顔を見つめ、それからため息をついた。「あなたって、
本当に何もわかっていないのね」
505神崎:03/05/30 12:28 ID:???
 たしかに神崎にはいろんなことがまるでわかってなかったと思う。
 まずだいいちに神崎を特別扱いしている理由がよくわからなかった。他人に比べて
神崎にとくに優れたり変ったりしている点があるとはどうしても思えなかったからだ。
 神崎がそう言うとさっちんは笑った。
「とても簡単なことなのよ」とさっちんは言った。「あなたが私を求めたから。それが
いちばん大きな理由ね」
「もしマコツが君を求めたとしたら?」
「でも少なくとも今はあなたが私を求めてるわ。それにあなたは、あなたが自分で考えて
いるよりずっと素敵よ」
「なぜ僕はそんな風に考えるんだろう?」と神崎は質問した。
「それはあなたが自分自身の半分でしか生きてないからよ」とさっちんはあっさりと
言った。「あとの半分はまだどこかに手つかずで残っているの」
「ふうん」と神崎は言った。
「そういう意味では私たちは似ていなくもないのよ。私は『さ』のうしろを隠している
し、あなたは半分だけしか生きていないしね。そう思わない?」
「でももしそうだとしても僕の残り半分はマコツのペニスほど輝かしくないさ」
「たぶん」とさっちんは微笑んだ。「あなたには本当に何もわかってないのね」
 さっちんは微笑を浮かべたまま髪を上げ、ブラウスのボタンをはずした。
506氏名黙秘:03/05/30 14:15 ID:???

「君の第六感は何も感じないのかい?」
「駄目。基本書を開こうとすると頭が痛むの」
「じゃあここでのんびりと発表を待つさ」と僕は言った。
 要するにそれ以外に方法がないのだ。
507氏名黙秘:03/05/30 15:23 ID:ClqRcP2s
「ところで何かが聞きたいらしいね」
「そうです」
「聞いてくれよ」
「この試験は長いんですか?」
「十年」とベテ男は言った。「長いとも言えるし、長くないとも言える。でもマコツの
ことならなんでも知ってるよ。前はLECに居たんだ」
 彼は手拭いを首にまいて空を見上げた。
「冬のあいだはずっと自宅にいるんですか?」
「まあな」とベテ男は言った。「まあ、そうだな」咳払い。「他に行くところもなし、
それに冬は冬で結構雑用も多いんだ。答練のレジュメは二メートル近く積もってるし、
放っとくと床が落ちて床下に隠しているエロ本がぺしゃんこになっちまうからね。ペット
のハエに餌もやらなくちゃならんし、詰まったトイレの掃除もあるし、何やかやさ」
「それで五月になるとハエを半分つれて試験を受けるんですね」
「そうだ」
508氏名黙秘:03/05/30 15:52 ID:???
 僕はポケットから鼠が送ってきた写真を出してマコツに渡した。「これがおたくの予備校ですね?」
「そうだ」とマコツは言った。「間違いないよ。受験生もうちの受験生だな」
「これはどうですか?」僕はボールペンの先でバッグに神崎京介の文庫本を入れた
ずんぐりとした受験生を指した。
 マコツは写真をしばらく睨んだ。「これは違うね。うちの受験生じゃない。でも
おかしいな。こんなのが紛れ込むわけがないんだ。まわりは全部ワイヤで囲ってある
し、彼女のいない受験生には僕が秘蔵の裏ビデオを貸してやってるし、神崎の本を持った
受験生が入ってくれば臭いでわかる。ベテ男も貸してくれとさわぐ。だいいちこんな種類の
受験生は生まれてこのかた見たことがないよ」
509謙三:03/05/30 16:19 ID:???

今、ふとんの中で○○○○とラブラブでーす。
「an・・・ufufu・・・謙三のエッチ。・・・ダメ、anーn、・・・haーh」

510北方謙三的反省:03/05/30 16:47 ID:???
 札幌から旭川に向う八時発の列車の中で、謙三は六甲のおいしい水を飲みながら
「受験生における品位と品格」という箱入りのぶ厚い本を読んだ。昨夜宿泊した
○○寺の僧坊では、早朝から斎戒読経した。
 謙三はこれから十二滝町にある最初の開拓民が乗り込んでいった土地を訪れ、じゃがいも
を植えるつもりだった。列車の向かいの席では、巨乳のおねえさんがミニスカートから
出た見事な脚を組み換えたが、謙三は見向きもしなかった。
「色即是空」
 謙三の長い反省の旅が始まった。
511to DJ:03/05/30 17:21 ID:???
>>462-471
 長かったので、今日はじめて読んだ。
 後半の一人でお濠端を歩いている情景が好きだ。都会に住んでいた頃は、僕もよく
夜道を歩いていたことが、なつかしい思い出としてよみがえった(ただし、痴漢目的ではないぞ)。
 田舎にいると夜道を歩くことはあまりない。水商売の店を除くと、ほとんどの繁華街のお店は午後
8時には閉店する。住宅街の近辺は暴走族のエンジン音がうるさい。静かなところは
田んぼのまわりだけだから、夜歩いても趣きはない。
 夜の首都高をドライブするのが好きだった。もっともこれは田舎者ゆえかもしれないが・・・。
アパートも首都高を見下ろせる場所を選んだ。夜、首都高を走る車のヘッドライトを
見ながら、ジェリー・マリガンの「ナイト・ライツ」というレコードを聞き、ウィスキーを
飲んでいる時間というのが、僕の小確幸であった。
 田舎の夜はつまらんぞー。だから夜は勉強ばかりしている。ただし日曜日のピクニックは、
田舎のほうがいいかな。さすがに海や山は都会よりも奇麗だ。
 コメントが少なかったが、皇宮護衛官とのやりとりは秀逸だと思うぞ。
512to DJ 続き:03/05/30 17:44 ID:???
 そもそも田舎でジャズを聞くってのは、情景として合わないんだよな。近くの田んぼ
では蛙が鳴いているからな。
 やっぱり地下のジャズ喫茶へ続く狭い階段を下りて行って聴くジャズが最高だった。
だから田舎に帰ってからは殆んど聴いてない。寝る前に小さなCDラジカセでボリューム
を絞って聴くぐらいだ。だいたいキース・ジャレットのうめき声なんかが聞えると
ジャズ知らない香具師は白い眼でみるからな。もっとも最近では、CDラジカセから
聞えてくるのはWセシのカセット六法の方が多いんだけれど・・・。これも情けないね。
513さ ◆kcIlove.mc :03/05/30 18:56 ID:???
私は21歳で、そのとき就職活動に疲れ果てていた。なんだか何に向かって
努力して良いのかちっともわからない就活。
SPAなんて解けるはずも無い。アピールできる資格も特技も何も無い。
まるでミレーの落穂拾いのような、写実的でそして少しもの哀しさを感じさ
せるような夕暮れが、益々わたしの厭世的気分を増していた。
やれやれ、また無職か、とわたしは思った。
514氏名黙秘:03/05/30 19:30 ID:???
>>513
月曜日に手形が回ってくる。やれやれ、また通帳の残り少ない預金を当座に振替なけ
ればならない。月末の憂鬱は来年も続くのだろうか?

さっちん忙しそうだね。元気だせよ。明日また逢おうね。
515さ ◆kcIlove.mc :03/05/30 19:32 ID:???
>>514
いえいえ。忙しいってほどでもないのでつ。
513は受験しようかなーって思ったときのことを思い出して書いてみたのでつ。
今はそれから既に○年経過しておりまつw
516さ ◆kcIlove.mc :03/05/31 05:36 ID:???
>all
おはよう、とさは言った。
だるくて眠くて憂鬱な土曜日朝。

がんばりましょ♪





517月亭鹿琴:03/05/31 11:17 ID:???
 だるくて眠くて憂鬱な土曜日の午前5時36分。さっちんは築地魚市場に買出し
に出かける。なじみの太助さんの店だ。今日はいきのいいアジがあるよ、と太助は
言っていた。今夜の付け出しはアジのマリネにしようとさっちんは思った。常連の
北方先生は「さっちんの作ったマリネは美味しい」と言ってくれた。
 麻布で小料理屋を始めてから、早いものでもう三年になる。さいわい可愛がって
下さるお客様も増えた。北方先生、神崎先生(現在遠島の身)、マコツ先生、DJ・・・、
それから突然ふらりとやって来る山崎さん。お店が混んで忙しいときは、妹の緑も
手伝ってくれる。双子の姉妹だから、私と見分けることができないお客様もいらしゃる
みたいだ。
 午後三時までに仕込みを終えて、ひと眠りし、六時に暖簾をあげる。小料理屋「さ」。
悪くない。
518月亭鹿琴:03/05/31 11:51 ID:???
 開店と同時にマコツ先生がおみえになった。今日は夜の講義はない日のようだ。
以前、自宅をリハウスするあいだ、妹の緑と一緒に近くに住んでいらしたマコツ先生
のマンションにごやっかいになったことがある。特定のお客様と特別に親しくしては
ならないことは十分承知の上だったのだけれど、マコツ先生に求められるまま、マコ
ツ先生のいうダブル・スタンダードに応じたことがある。陰毛の数を数えるという変
った趣味をお持ちだったように記憶している。
 マコツ先生は私のパトロンになりたいような素振りであったが、私には心に決めた
お方がいた。そのお方はまるで私の心をもてあそぶかのように、ときに優しく、とき
に冷たく、捉えどころのない接し方をなされた。それなのに、私の気持はその方にの
めり込むばかりで、自分でも止めようがなかった。

 くちづけの その後で
 おしゃべりは しないで
 泣き出して しまうかも
 それほど 心は揺れている ♪
519謙三:03/05/31 12:17 ID:???
 謙三は、札幌ススキノの歓楽街を托鉢して歩いた。ソープのポン引きが、歩く謙三
に群がってくる。ここが吾の修行の場と謙三はこころえた。
「お坊さん、8000円ポッキリですぜ。カワイイ娘いるよ。遊んでいってよ」
「色即是空」
 ポン引きは手にした写真を謙三に見せて、「どうです、蒼井そらそっくりでしょう。
この娘がうちのNo1なんでさー。ほかにもイイ娘いっぱいいますぜ。ねえ、遊んで
いってよ」
「色即是空」
 ポン引きは少しむッとしたようだった。「やい、くそ坊主。なに考えてススキノ歩いて
いやがんだよ。用がねえなら、とっとと行っちまいな。アホクサ」
「泡国メッセンジャーの皆さん。色即是空」
520らっきょ:03/05/31 12:33 ID:???
 難問奇問の大群がヤマをはずしてやってきた。はじめのうち、それは巨大な暗雲
に見えた。次にハーッという受験生のため息がやってきた。いったい何が起ころう
としているのか、誰にもわからなかった。マコツだけがそれを知っていた。彼は男
たちに命じて急いで六法をめくらせた。そして女たちには薄手のノースリーブとミニ
スカートを着用させ、周囲のベテ男を幻惑するように命じた。
 マコツは(あとで誰もが認めたように)やれるだけのことはやったのだ。しかし
すべては無駄だった。ヤマをはずした12問の難問奇問は受験会場に集まった男女
のハートを思う存分食い荒らした。あとには何ひとつ残らなかった。
521謙三:03/05/31 13:00 ID:???
 札幌における謙三の三日めと四日めも禁欲のうちに過ぎ去った。謙三は四時に起きて
斎戒沐浴し、一日じゅう写経し、夕方になると木魚を打ちながら読経し、ホテルに帰って
仏に喜捨し眠った。謙三は古い袈裟を捨てて新しい袈裟を買い、何百人もの衆生のあいだ
を托鉢してまわった。
 そして五日めと六日めが過ぎ去り、十月がどっかりと街に腰を下ろした。日差しこそ
暖かかったが風はこころもち冷たくなり、夕方になると謙三は袈裟の下に襦袢を着こんだ。
ススキノの街は広く、うんざりするほど扇情的だった。謙三はそれまで扇情だけで構成さ
れた街を歩きまわることがどれだけ人を磨耗させていくか知らなかったのだ。
522あずさ:03/05/31 13:26 ID:???
>>512
 わたくしもキースのピアノのファンですの。申し遅れました、名前はあずさ、37歳、
六本木で輸入陶器の販売業を営んでおりますの。主としてオスマン朝時代のポット
やカップが中心ですわ。バツイチ。先の主人は司法試験を10回受けて10回択一落ちしま
したものですから、別れました。結婚当初は彼も若くてナイト・ライフを楽しめたの
ですけれども、別れる前二年ぐらいは、ちょっとね。それに択一10回落ちじゃあ、
世間さまの目もありますし。
 今はフリーですから、彼氏を募集しておりますの。できれば若くて優秀な受験生を
希望しておりますわ。オホホ、法務省と同じですの。
 わたくしは、身長165、体重52、BWH89/59/87、Eカップ。B型の
うお座。自分でいうのもおこがましいですけれども、友人からは真野あずさに似ている
と言われることが多いですわ。レスお待ち申上げております。
523神崎:03/05/31 13:57 ID:???
 遠島の刑は法律の勉強しかしてこなかった神崎には辛いものであった。神崎に科せ
られた刑務作業は、一日50樽のタクワンを漬けることであった。作業場は、神崎の
住まわされた監獄小屋から5kmも離れている。神崎は海のように生い繁った熊笹を
わけ、背丈よりも高い草原を二時間がかりで横切り、胸まで泥につかる湿地を横切り、
岩山をよじのぼり、とにかく作業場へと進んだ。
 作業場では、野村サチヨに似た女性刑務官が皮手錠を手にして、神崎を迎えた。タクワン
の塩加減が良くないと、サチヨはその皮手錠で神崎を縛り上げるのだ。しかし皮手錠はまだ
ましだった。サチヨの機嫌が悪いときは、受刑者たちはサチヨのくされマンコを舐めさせら
れるという懲罰を科された。これは監獄法施行規則に根拠をもたない懲罰ではあったが、戦
前に刊行された行政法の教科書しか読んだことのないサチヨには、情願は通じなかった。
 いま同じ房に服役しているサンコンが、サチヨの懲罰を受けている。理由は、石鹸で顔を
洗っても顔が白くならないということが、サチヨの逆鱗に触れたというものであった。
524らっきょ:03/05/31 14:19 ID:???

「我々はどうやら同じ材料から全くべつのものを作りあげてしまったようだね」とマコツは言った。
「君は司法試験が良くなっていくと信じてるかい?」
「何が良くて何が悪いなんて、誰にわかるんだ?」
 マコツは笑った。「まったく、もし一般論の国というのがあったら、佐藤幸治はそこで王様になれるよ」
「受験生抜きでね」
「受験生抜きでだよ」マコツは三本めのビールを一息に飲み干し、空き缶をかたんと床に置いた。
525to さ:03/05/31 14:54 ID:???
>>515
僕なんかそれから既に3×○年経過しているかもしれない。
僕の住んでいるところは、台風が避けたみたいだけれども、昨日より少し寒い。
そちらはどう?
526氏名黙秘:03/05/31 18:44 ID:???
>>516
おはよう、さっちん。といっても、もう夕方だけれど(w
今朝はずいぶん早起きだったんだね。
僕はめずらしく勉強はかどったよ、今日は。
六月はこの調子で頑張らなくっちゃ。
さっちんは、一日何してたのかな?カキコしといてね^^。
後で読むから。
527謙三:03/05/31 19:36 ID:???
 ジャコ・パストリアスのベースの音がはらわたに沁みるぜ。「ポート・オブ・エン
トリー」。最高だ。ブレイクと拍手の後のコーダがまたいいぜ。
 ジャコがソロで奏でる「トレイシーの肖像」もいかすぜ。「トレイシーの謙三」だった
らもっとよかったんだよな。
528氏名黙秘:03/06/01 12:41 ID:???
 
今日は皆さんお休みですか?やれやれ。
529さ ◆kcIlove.mc :03/06/01 14:23 ID:???
>謙三さん
北方謙三の三国志、集英社も新潮文庫も講談社も探したのにみつからなかった
です@新宿南口の紀伊国屋。
出版社どこですか?

二日酔いで寝坊した日曜日です。記憶がないよー。
530さ ◆kcIlove.mc :03/06/01 14:25 ID:???
あれから3年目の夏が来ようとしている・・・ってかんじです。
3年目の方が答練の出来も悪いし。
既にヴェテっぽい諦観に支配されてます。
531氏名黙秘:03/06/01 14:29 ID:???
あげっと。
532謙三:03/06/01 15:17 ID:???
>>529
さっちん、おはよう。
北方三国志は「角川春樹文庫」から出てるよー。春樹違いだけれど。

さっちん、愛してるよー。また後でね。
今、他スレで執筆中なんで・・・。神崎っぽいネタばかり。
こっちにも夕方までにはいくつか書いとくね。
533氏名黙秘:03/06/01 17:23 ID:eAsPiEz+
534氏名黙秘:03/06/01 18:24 ID:???
>>529-530
さっちゃん、二日酔いからは醒めたかな?
僕のほうはぼちぼち勉強しているってとこかな。今日はあまりはかどらなかったみたい(w
このスレに来てさっちゃんに逢えると、なんだかホッとします。

北方謙三の三国志は、たしか角川春樹事務所の出版だから、
文庫のほうも「角川文庫」じゃなくて「角川春樹文庫」だか「春樹文庫」というところに
おさめられているみたいです。

じゃあ、今日はもう一回くらい来るかもしれないけれど、とりあえず、おやすみ。
535神崎京介:03/06/01 19:42 ID:???
>>533
誰かの怒りを感じてしまうのは、俺だけかな?
ゴメン。許して、もしかして見てた?
536さ ◆kcIlove.mc :03/06/01 23:19 ID:???
出版社、教えてくれてありがdです。
今度本屋行ったら、改めて探してみます。

二日酔いは醒めました。
ゲンナリしますよね、二日酔いって。
春樹さんの本を読んでいると、無性にお酒が飲みたくなるけれど、
飲みすぎは禁物でつ。
537氏名黙秘:03/06/02 11:10 ID:???
「さっちん、おはよう」と緑は言った。「謙三、よかったわね。さっちんからレス
きてるわよ」
「さっちん、好き」
「今年の春樹スレは、さっちんネタで盛り上がっているわね」
「うん。今年の大ヒットだな」
「春樹の本にも、『象』とか『羊』とか象徴的なキーワードが多いから、春樹スレも
これでいいのよね。でも『さ』のトリップはいったいどういう意味なのかしら」
「Kは謙三だろう。Mが問題なんだ。一般的には村上のM、緑のM、あるいは『さ』
の本名のイニシャルだと考えられるんだけれど、ハイローヤーに面白い論評が載っていた」
「どんな?」
「マコツのM」
「その論評は『さ』=マコツだというの?」
「そうなんだ」
「でも謙三は『さ』を愛しているんでしょう?『さ』=マコツだとこまるんじゃない。
謙三もマコツもホモじゃないから」
「いや。春樹ワールドでは、そういった実体を考慮する必要はないんだ。僕はこのスレ
に表れた『さ』を愛しているのだから、『さ』が女の子であろうが、マコツであろうが
どちらでもいいことなんだ」
「その論評は少し考えすぎだわ。わたしは『さ』はsageだと思うけど」
「おれは『さ』は佐々木恭子だと思ってる。だから、『さ』はこのスレが終わるまで
『さ』であり続けなければならないんだよ」
538氏名黙秘:03/06/02 11:13 ID:???
きもいスレになったな
539謙三:03/06/02 11:34 ID:???
「ところで、謙三はマコツについて、どう思っているの?」と緑は言った。
「マコツはすごいよ。そのペニスや講義のわかりやすさだけではなくてね。マコツが
登場する前の受験界はひどいものだった。予備校なんて真面目な受験生からは鼻で笑
われていた。マコツの登場によってすべてが変わったんだ。講義の水準、予備校出版
物の水準をここまで引き上げたのはマコツの功績さ。その後、マコツのフォロワーが
後を絶たないのも、そのことを実証していると思うよ」
「その割には、謙三のカキコは、マコツを下品な下ネタに使うことが多いわね」
「それだけマコツが受験生から愛されているっていうことなんだ。さいわいマコツは
ハンサムだから下ネタに使っても影響は少ないと思っている香具師も多いのも事実だ
ね。女の子にモテそうもない講師を下品な下ネタに使うと気の毒だろう」
「そうだったんだ。マコツ、わかった。謙三はマコツのことも好きなのよ」
540謙三:03/06/02 12:07 ID:???
「凡庸さというのはいろんな形をとって現われる、ということです」
 僕は煙草をくわえて、手に持ったライターで火をつけ、煙を吸い込んだ。気分が
ほんの少しだけすっきりした。
「受けたくないんなら、受けなくてもいい」とマコツは言った。「そのかわり司法
書士試験を受けるんだ。これが我々の最後の条件だ。君が司法書士試験に受かれば、
我々は君が欲しいだけの報酬を出す。もしそれにも落ちれば、君も君の受験生活も
おしまいだ。それでいいか?」
「仕方ないでしょう」と僕は言った。「しかしもし、全てが何かの間違いで予備校
の合格推定点なんてそもそも誤りだったとしたら?」
「結果は同じだよ。君にとっても私にとっても、論文を受けるか、受けないかのど
ちらかしかないんだ。まんなかはない。気の毒だとは思うけれど、とにかくさっき
も言ったように君が受験生活を長引かせたんだ。ボールを持ったからにはゴールま
で走るしかないさ。たとえゴールがなかったとしてもね」
「なるほど」と僕は言った。
541らっきょ:03/06/02 12:24 ID:???
「辰巳にお戻りになりますか?それとWセシに?」と運転手が僕に訊ねた。往き
と同じ運転手だったが、往きよりはほんの少し愛想がよかった。きっと人に慣れやす
い性格なのだろう。
 僕はゆったりとしたシートの上で思いきり手足をのばしてから、どこに行けばいい
のか考えてみた。辰巳に戻るつもりはない。カトシンにあれこれと説明することを考
えただけで頭が痛んだし――いったいどんな風に説明すればいいのだ?――それにだ
いいち僕は岡山弁が嫌いなのだ。かといってまっすぐWセシに行く気にもなれなかった。
なんとなくWセシに行く前にまともな人間が二本足でまともに歩いているまともな世界
を見ておいた方が良いような気がした。
「渋谷の伊藤塾に」と僕はいった。
542らっきょ:03/06/02 12:53 ID:???
「音楽でもお聴きになりますか?」と運転手が訊ねた。
「いいね」と僕は言った。
 そして笠置シズ子の東京ブギウギが車内に流れ出した。敗戦直後の闇市みたいな
雰囲気になった。
「ねえ」とぼくは運転手に訊ねてみた。「レイシオ・デシデンダイは知ってる?」
「礼子ちゃんは女子短大っていうやつでしょう?」
「うん、でも、もう二つのゴロまで言える?」
「礼子ちゃんがどしたんだいまでは知ってます」と運転手はこともなげに言った。「それ以上はちょっと」
「馬鈴薯植えたんだい」
543氏名黙秘:03/06/02 13:09 ID:???
「ずいぶん落ちてるね」とマコツは言った。
「そうですね」とベテ男は言った。「しかし明けない夜がないように、終わらない
受験生活もありません」
「そりゃそうだ」とマコツは言った。「でも苛々したりすることはないの?」
「もちろんあります。苛立ったり、不快になったりすることもあります。とくに答練
で良くない点数をとった時などはどうしてもそうなりますね。しかし全ては我々に課
せられた試練であると考えるようにしているんです。つまり苛立つことは自らの敗北
です」
「ずいぶん宗教的な受験生活の解釈みたいに聞えるけれど」
「私はブッティストです。寺院には通っていませんが、ずっとブッティストです」
「ふうん」とマコツはうなった。「しかしブッティストであることと刑事訴訟法の教師
であることとは矛盾しないのかな?」
544氏名黙秘:03/06/02 13:22 ID:???
「何年か前に○○先生に教えていただいたんです」と突然ベテ男が言った。
「何を?」
「本年度行われる論文試験の問題です」
 僕は聞えないくらいのため息をついた。僕が狂っているのだろうか。それともベテ
男が狂っているのだろうか?
「あなたにだけそっと教えてくれたの?」
「そうです。私にだけそっと教えて下さったんです。立派な方です。あなたも知りた
いですか?」
「できれば」と僕は言った。
「じゃあ言います、Aはその所有する甲土地に・・・」
「ちょっと待って」と僕は言って手帳とボールペンをひっぱり出してからその問題を
メモした。
545氏名黙秘:03/06/02 13:39 ID:???
「予定が少々変更された」と聞き覚えのある声が言った。「択一の具合が急に悪く
なったんだ。もう余り時間がない。だから君のタイム・リミットも繰り上げられる」
「どれくらい」
「一ヶ月。それ以上は待てない。一ヶ月勉強して司法書士試験に合格しなければ、
君はおしまいだ。君が戻るべき場所はもうどこにもない」
 一ヶ月、と僕は頭の中で考えてみた。しかし僕の頭の中では時間の観念がとりか
えしのつかないくらい混乱していた。一ヶ月でも十年でもたいした違いがないよう
に思えた。そもそも一通の合格証書を探し出すのに一般的にどれくらいの時間が
かかるかという規準がないのだから仕方ない。
546 緑:03/06/02 18:39 ID:???

いよいよ発表が二日後に迫りましたね。きっとあなたは大丈夫。
二日後、笑顔でお会いしましょう。おやすみなさい。
547氏名黙秘:03/06/03 17:49 ID:???

本日休業
548さ ◆kcIlove.mc :03/06/03 20:07 ID:???
明日発表ですね。受験票失くしました・・・・。
ずっと探してるのに見つからない(´Д⊂グスン

さはsageではありませんwマコツでもありませんが・・・。

>謙三さん
凡庸さというのはいろんな形をとって現われる、ということです、って
いいですね。これ何のパロですか?
中庸ではありたいところですが、なかなかそうもいかない部分もあり。

>らっきょさん
東京ブギウギもいいけど、セコハン娘が(・∀・)イイ!!ですよ。

>緑ちゃん
あなたも大丈夫。カッコウ&ピース
549氏名黙秘:03/06/04 02:12 ID:gaSXqtwT
ちょくちょく覗いてました、村上春樹好きなので。
自分は47と微妙なところにいるので、ドキドキしていた(る)のですが
546>
のカキコはちょっと心に来るものがありました。
どうも、ありがとう。
550謙三:03/06/04 11:24 ID:???
「その受験生の話は聞いたことがある」と羊博士は苦々しげに言った。「法務省は
どうやら適格者をみつけたようだな」
「しかし今年の春、羊は彼の体を離れました。本人は現在択一落ちが心配で死にかけ
ています。羊がそれまでずっと脳の欠陥をカバーしていたんです」
「気の毒なことだよ。ボーダー君にとってなまじ合格推定なんてない方が楽なんだ」
「なぜ羊は彼の体を離れたんでしょう?あれほど長い年月をかけて分厚いサブ・ノート
を築き上げたのに」
 羊博士は深いため息をついた。「君にはまだわからんのか?その受験生の場合も私と
同じだよ。利用価値がなくなったんだ。受験には限界があるし、羊は限界に達した受験生
には用がない。おそらく彼には法務省が本当に求めているものを十全に理解することが
できなかったんだろう。彼の目的は分厚いサブ・ノートを築きあげることであり、それが
完了した時、彼は捨てられたんだ。ちょうど法務省が予備校をローのつなぎとして利用し
たようにだ」
551謙三:03/06/04 11:42 ID:???
「じゃあ、羊はそのあとどうしたんですか?」
 羊博士は机の上から佐藤幸治の写真をとりあげて指でぱんぱんと叩いた。「日本
中を彷徨ってたんだよ。新たな宿主を求めてな。おそらく羊はその新たな人物を何
らかの手段でその組織の上に置くつもりなんだろう」
「羊の求めているのは何ですか?」
「さっきも言ったように、残念ながら私には言葉でそれを表現することができない。
羊の求めているのは官僚的思念の具現だとしかな」
「それは善的なものですか?」
「官僚的思念にとってはもちろん善だ」
「受験生にとっては?」
「わからんよ」と老人は言った。「本当にわからんのだ。羊が去ったあとでは
どこまでが択一合格でどこまでが来年度の受験生なのか、それさえもわからないんだ」
552謙三:03/06/04 12:12 ID:???
「あなたがさっきおっしゃった打つべき手というのはどんなことなのですか?」
 羊博士は首を振った。「私は君にそれを言う資格はない」
 再び沈黙が部屋を覆った。三つ、四つ前には可愛い「さ」のレスがあった。春樹
スレに戻ってきて最初のレスだった。
「最後にその写真のAV女優の名前を教えて下さい」と僕は言った。
「私が三年前ハメ撮りしていたAV女優だよ。彼女の顔面に100回は射精しただ
ろうか。撮影後すぐにビデ倫に接収され、返還された時には彼女はある金持ちの妾
になっていた。今でも妾をしているはずだ」
「もうAVには出演していないのですか?」
「わからん。しかしその写真を見るとどうやら今でもAVに出演しているらしいな。
ともかく童顔巨乳で、見渡す限り陰毛もない。イクときは可愛い声を出す。パトロン
の男と姦るのは年に二、三回くらいのものだろう。明るくて綺麗な娘なんだがね」
「パトロンと姦っていない時は誰かが間男しているんですか?」
「昼間はたぶん誰もいないだろう。しかし夜は道玄坂あたりをうろついているという
噂は耳にしたことがある」
「今は誰かいるでしょうか?」
「さあね。もういないんじゃないかな。・・・彼女のところに行くつもりなのか?」
「行くことになると思います。それ以外にこれといってすることもありませんから」
553謙三:03/06/04 15:08 ID:???
 僕は二階に上って、「さ」が使っていなかった方の小部屋にベッドをセットした。
マットレスとシーツと毛布は階段のわきのクローゼットにきちんと積みあげられていた。
 本棚の本は「さ」の部屋にあるものとまったく同じだった。「風」と「ピンボール」と
「羊」と「ノルウェー」と「ダンス」。出版年度は古いが耽美な文体だけを考えてしっかり
と小説が書かれていた時代の産物だ。余計なものは何ひとつついていない。
 枕もとの窓からはやはり倦怠と織り交ぜになった希望が見渡せた。雨はすっかりあがり、
厚い雲もところどころで切れめを見せはじめていた。そんなすきまから綺麗な半月が時折
姿を見せて、希望の風景をくっきりと浮かびあがらせていた。それはサーチライトに
照らし出された論文受験会場のように見えた。
 僕は服を着たままベッドにもぐりこみ、消えては現われるそんな風景をずっと眺めていた。
あの不吉な択一発表を知って一人で山を下りていく神崎京介のイメージがしばらくそこに
かさなり、それが消えてしまうと今度は受験生の群とその写真を撮っているDJの姿が現われた。
しかし月が雲に隠れ再び現われた時にはそれも消えていた。
 僕はスタンドの灯りで「田口守一/刑事訴訟法」を読んだ。
554 緑:03/06/04 17:06 ID:???
論文を受ける人は、これから忙しくなるわね。
択一残念だった人は、落ち込んでいるかもしれないけれど、
これからもずっと友達でいようね。
555氏名黙秘:03/06/04 17:53 ID:???
よかったね。>>549

omedetou

最終合格しようね!
556氏名黙秘:03/06/04 18:26 ID:???
「自己採点したときは焦ったさ。例年安パイの民法で15しか取れていない。刑法
なんて12〜13以上いかないから、当日は刑法の採点ができなかったよ。翌日、気をとり
直して刑法を採点したところ17。今日の発表まで信じられなかった。結局トータル
48で無事通過。とりあえず肩の荷はおりたけど、5月11日以降、ほとんど勉強していない。
どうしよう?」
557スレ違い 許せ:03/06/04 19:03 ID:???
 男の名は「ろ」。25歳。がっちりとした体躯を熊の毛皮で隠している。陰部は
笹の葉で作った筒を被せただけである。
「ズコズコ」(俺はお前とオマンコしたい)
 声を掛けられた女の名は「め」。20歳。族長がムラで一番美しい女に生ませた子
である。縄文式土器中期の壺を焼いていた。飯島直子を想わせるイイ女であるが、当時
メジャーがなかったのでBWHは不明。
「パコパコ」(私はあなたとオマンコしてもいい)
 「ろ」と「め」は手を取り合って大森貝塚へ出かけた。
「ケレ ハレ ウカ」(ここでオマンコしようか?)
「ポケ トヤ ウフェ」(気持ち良ければ場所はどこでもいい)
 「ろ」と「め」は野合した。
558さ ◆kcIlove.mc :03/06/04 19:41 ID:???
合格した皆様おめでとうございます。
不合格だった人も、気を取り直して頑張ってね。
知人は択一落ちた年に、論文公開模試とか受けてました。
それで次の年最終合格したよ。
知人が択一落ちた年も、わたしは択一受かってたけど、論文落ちたし。
択一受かるか受からないかは、論文前に勉強するかしないかの差しかない
と感じました。遅めの朝ごはんと早めの昼ごはんです。

>>556
わたしも民法15でした。去年なんて12だったよ。
民法一番得意なのに、本試験ではなぜかダメ。

>謙三さん
羊博士、懐かしいです。
まだ本屋さん行ってないの。ごめんなさい。
ちゃんと探してみるから、感想報告はもちょっとお待ちくださいまし。
559 緑:03/06/05 09:50 ID:???
>>558
さっちん、おはよう。
緑は、今朝は、お腹が少し痛いの。寝冷えかもしれないわ。
頭も少しボーッとしてるし。疲れがたまっているのかしら。
でもダラダラしてばかりじゃ駄目だから、少し勉強するわ。
じゃあ、またあとでね。
560神崎:03/06/05 10:42 ID:???
 僕は窓ぎわのスプリングのとびだしかけた椅子に座り、電話のベルが鳴るのを待ち
ながら向かいのビルの三階にある司法試験予備校の講義状況を一日がかりで眺めていた。
一日眺めていても、それがいったい何を目的とした講義であるのか僕にはさっぱり
わからなかった。
 予備校には30人ばかりの受験生がいて、禅宗寺院の写経みたいに終始無言で答案
を書いていた。誰かが誰かにウィンクし、誰かがそれに応答し、べつの誰かが天井を
見つめて困った顔をしていた。
 二時間が経過すると大きな乳房の女子職員がみんなの答案を集めて回った。答案を
書き終えた受験生は自動販売機のコーヒーを飲んでいた。それで僕もコーヒーが飲み
たくなって、フロント係に伝言を頼んで近くの喫茶店でコーヒーを飲み、ついでに缶
ビールを二本買って帰った。
 帰ってみると予備校の人間の数は四人に減っていた。乳房の大きな事務員は若い
受験生とふざけあっていた。僕はビールを飲みながら彼女の制服が脱がされるのを
眺めた。
 彼女の乳房は見れば見るほど異常に大きいように思え始めた。きっとゴールデン
ゲート橋のワイヤ・ロープのようなブラジャーを使っているのだろう。三人の受験生
は彼女と寝たいと思っているようだった。二枚のガラスと一本の通りごしに彼らの
そんな性欲が僕につたわってきた。他人の性欲を感じるというのは奇妙なものだ。
そのうちにそれが僕の性欲であるかのような錯覚にとらわれてしまう。
 三人の受験生は次々に彼女の中に性欲を放った。五時になって彼女が赤いワンピース
に着替えて帰ってしまうと、僕は窓のカーテンを閉め、ビデオで蒼井そらの「不法侵乳」
を観た。択一発表後の初日はそのように暮れていった。
561謙三:03/06/05 19:27 ID:???
 今日はサーバがイカれてたみたいで、書けなかった。
明日頑張る。みんな、おやすみ。
562神崎:03/06/06 14:46 ID:???
 僕は大きな樽でタクワンを漬けながら、ぼんやりと「さ」のことを考えていた。
 考えるにつれて、あの素敵な耳のガールフレンドを永遠に失ってしまったのかも
しれないという思いが重くのしかかってきた。やけくそ春樹のいうとおりかもしれ
ない。僕はたぶん一人でここにやってくるべきだったのだ。僕はたぶん・・・、僕は
頭を振った。そしてカキコのつづきを考えた。
 謙三、もし彼がここにいてくれたなら、いろんなことはきっとうまくいくに違い
ない。全ては彼を中心に回転するべきなのだ。許すことと憐れむことと受け入れる
ことを中心に。
 タクワンになる大根に塩を振りかけながら、僕は監獄部屋に座って、また海岸を
眺めていた。
563さ ◆kcIlove.mc :03/06/06 18:07 ID:???
>緑ちゃん
体調悪いの?気をつけてね。わたしもよくお腹冷やしてしまいます。
寝相が悪いから。

>謙三さん
なんか落ちてたみたいですねぇ。
新作期待してます。わたしはノルウェイで僕がハツミさんを回想するシーン
が好きです。

>神埼さん
わたしめちゃ福耳なんですけど、ピアスが合計13個開いてるので、素敵な
耳とは言いがたいかもしれません。
564謙三:03/06/06 18:40 ID:???
「答案を書いてたんだね」と羊男は感心したように言った。「論文試験はおいらも
好きだよ。過去問は何もできないけどさ」
「僕もできないよ。もう1年近く書いてなかったんだ」
「でもいいから少し書いてみてくれないかな」
 僕は羊男の気を悪くしないために「承継的共同正犯」の論証をひととおり書き、
あと5行、あてはめのようなものをやりかけてから問題がわからなくなってやめた。
「うまいよ」と羊男は真剣に賞めてくれた。「過去問が書けるというのは楽しいんだ
ろうね?」
「うまく書ければね。でもうまくなるためには頭がよくなくちゃだめだし、頭がいい
と自分の書いている文章にうんざりしちゃうんだ」
「そういうものかな」と羊男は言った。

PS 手もとに「羊」しかなかったから、最近「羊」のパロばかりでした。明日、
 「ノルウェイ」をもってくるね、さっちん。それでは、おやすみ。
565氏名黙秘:03/06/07 15:28 ID:???
「もうエロはありませんよ」
彼女は穏かに微笑んだ。耳のピアスがほんの少し動いた。「そうね。あなたの言う
とおりね。もうエロはないわ。でも、今でも時々ベッドの軋む音が聞えるような気が
するの。きっと長いあいだ耳に焼きついちゃったのね」
「そしてそこに『さ』が現われたんですね?」
「そうよ。でも私はそんな風には呼ばなかったけれど」
「なんて呼んだんですか?」
「名前で呼んだわ。誰だってそうするんじゃない?」
 言われてみればそのとおりだ。「さ」というのはあだ名にしても短すぎる。「そうですね」と僕は言った。
566 緑:03/06/07 20:38 ID:???
みなさん、おやすみなさい。
567氏名黙秘:03/06/08 19:11 ID:???
「過疎化が始まったのかしら」と緑は言った。
「このスレの連中はほとんど論文を受けるから、しばらくカキコしている閑がない
んだ」と僕は言った。「直前になればまた盛り上がるよ」やれやれ。
568さ ◆kcIlove.mc :03/06/08 19:21 ID:???
ちょっとだけ書き込みしてなくて、ごめんなさい。
論文受けますが勉強はそんなに忙しくないです。
遊んでばかりです。

風の歌をちょこっとめくっていたら、最後に
昼の光に、夜の闇の深さがわかるものか(ニーチェ)
が引用されていて、ふむふむと思いました。
夜の闇にも、昼の光の明るさはわからないのでしょうか。
それとも夜の闇は昼の光の明るさを知っているから、暗いのかな。

>謙三さん
わたしも半年くらいまともに論文書いてなかったので、大変です。
何が大変ってもう論文の書き方自体忘れています。

>>565
たしかにあだ名にしても短すぎですねw
「さ」はどこにでも出没するんだなw
569氏名黙秘:03/06/09 11:24 ID:???
「最近ときどき、さっちんのすね毛が見えるのよ。女の子なんだから、夏はむだ毛
を残らず剃らなきゃ駄目よ。『さ』は完璧な『さ』でなくちゃ『あ』になちゃうの。
あたしは完璧な『さ』が好きなの」と緑は言った。
570549:03/06/09 21:17 ID:tdSKwlEs
555さん
ありがとうございます
貴方も頑張って下さい、御健闘お祈りしています

550さん
法務省の見付けた適格者って、私ですか?
それならネタにしてくれて嬉しいです。
確かにガクガクブルブルしてました(笑)
571司馬遼太郎的司法試験:03/06/10 11:53 ID:???
>>151
「最初に君に会ったときから僕はこう感じているんだ。君は択一合格を強く求めて
いるのに、その一方でそれを懸命に避けようとしているって。君にはそう思わせる
ところがある」
僕は黙っている。
「経験的なことを言うなら、人が合格を強く求めるとき、それはまずやってこない。
人が合格を避けようとするとき、不合格は向こうから自然にやってくる。もちろん
これは一般論にすぎないわけだけれどね」
「その一般論をあてはめて、僕の場合はいったいどうなるんですか?」
「むずかしい問題だ」といって大島さんは笑う。

 余談である。この作品を読んだとき、作者は筆者の知人ではなかろうかと不覚にも
思ってしまった。択一・論文を問わず、試験直前になると、筆者はこの作品の主人公
のようになってしまうのである。
 しかし、よく考えてみると、試験前のこのような心理状態は筆者特有のものではな
く、多くの受験生が経験するものなのであろう、という事実に思い至った。誰しも経験
することなのである。そのあたりの機微を的確に捉えているという点で、この作品は
「司法試験のかたち」の一つに加えるべきものなのであろうと、筆者は思っている。
572氏名黙秘:03/06/10 16:27 ID:ip1EbXkG
「プラトンの『饗宴』に出てくるアリストパネスの話によれば、大昔の司法試験界には三種類の人間がいた」と大島さんは言う。
「世界はベテと若手ではなく、ベテベテと若ベテと若若手によって成立していた。
それでみんな満足して、こともなく暮らしてた。
ところが法務省が丙案を使って全員を半分に割ってしまった。その結果、世界はベテと若手だけになり、
人々は二年合格コースやら一.五年合格コースやらに惑わされて、右往左往しながら人生を送るようになった」
573氏名黙秘:03/06/10 16:35 ID:131HPxX1
「どうして法務省はそんなことしたんですか?」
「受験生を二つに割ること?さあ、どうしてかは僕も知らない。
法務省のやることはだいたいにおいてよくわからないんだ。
飽きっぽいし、あまりにもなんというか、理想主義的な傾向があるしね。
想像するに、たぶん何かの罰みたいなものだったんじゃないかな。聖書にあるアダムとイブの楽園追放みたいにね」
「原罪」と僕は言う。
「そう。原罪」と大島さんは言う。
「とにかく僕が言いたいのは丙案のない人間が合格するのはなかなか大変だということだよ」
574氏名黙秘:03/06/10 17:06 ID:KCG+IDRe
151の続き→「もし仮にそうだとしても、つまり君の選択や努力が徒労に終わることを宿命づけられていたとしても、
それでもなお君は確固として君であり、君以外の何者でもない。
君は君として間違いなく前に進んでいる。心配しなくていい」
僕は目をあげてマコツの顔を見る。彼のしゃべりかたには不思議な説得力がある。
「どうしてそう思うの?」
「そこにはアイロニーというものが存在するからだ」
575氏名黙秘:03/06/10 17:17 ID:???
>>572 以下
調子良くなってきたみたいであるが、勉強しちゅるの、本当に?
やれやれ。
576氏名黙秘:03/06/10 17:18 ID:gbASW4I8
「アイロニー?」
マコツは僕の目をのぞきこむ。
「いいかい、君が今感じていることは、多くのギリシア悲劇のモチーフになっていることでもあるんだ。
人が運命を選ぶのではなく、運命が人を選ぶ。それがギリシア悲劇の根本にある世界観だ。
そしてその悲劇性は――アリストテネスが定義しているこだけど――皮肉なことに当事者の怠惰さや愚鈍さによってというよりは、むしろ勤勉さや実直さによってもたらされる。そこに不可避的にアイロニーが生まれる」
「しかし伊藤塾に救いはない」
「場合によっては」
マコツは少し悲しそうに微笑んだ。
577氏名黙秘:03/06/10 17:31 ID:cjf4kr+d
>575 それもそうだね(笑)
今年はこれで最後にします。久しぶりにレスがついてたから嬉しくなっちゃった。
ではみなさん、
GOOD LUCK!
578謙三:03/06/10 19:26 ID:???
 嵐はもうやんでしまったらしく、ガラス越しに夜の鳥の声が聞こえた。電気スタンドの灯
だけが部屋の白い壁に間のびした淡い影を作り出していた。
 僕はソファーから立ちあがってLIFEBOOKのスイッチを点け、キーボードを叩いて
おやすみのレスを付けた。
 机の上には六法を立てたブック・スタンドがのっていた。六法にはまだ微かな手の温もり
が残っていた。板にはガール・フレンドの残した作品が生き生きとした色彩を放っていた。
 僕は本能的に彼女との交情が蘇えったことを感じとった。多くの新作は残せないかもしれ
ないけれども、毎晩このスレをアゲて家に帰ろうと、遠くにいる彼女に誓った。
579さ ◆kcIlove.mc :03/06/10 23:37 ID:???
わたしが初めて受験をした年から、毎年春樹スレが立ち、そして論文本試験までに
見事に沈んでいった。
それは運命とか宿命といった単純なものではなかった。
村上春樹の第一テーゼ。
コテハンの書き込まない事実は、存在しないものとみなされる冷酷なテーゼ。

ということで、わたしも出来る限り書き込みして、論文まで沈まないように
頑張ります。
新作Upできなくても、春樹調にレスすることでお赦しを・・・。
580氏名黙秘:03/06/11 10:27 ID:???
わきが(独唱)

わきが わきが 今臭い立つ
刹那に散りゆく 近くの人
さらば友よ今 教えるとき 
嫌われるそのわけを 今
581Wセシの森:03/06/11 11:00 ID:???
 僕は三七歳で、そのとき早稲田セミナーの教壇に立っていた。その巨大な予備校は
各地に分校を設置し、ロースクール適性試験講座に着陸しようとしているところだった。
六月の冷ややかな雨が大地を暗く染め、論文試験を控えた受験生たちや、暗い表情を
した択一落ちベテや、マチコの写真やそんな何もかもをフランドル派の陰うつな絵の
背景のように見せていた。やれやれ、またスーパー論文講座か、と僕は思った。
582Wセシの森:03/06/11 11:33 ID:???
 直前答練の二問めを書き始めると、右翼の街宣車のスピーカーから大きな音でBGMが流れ
はじめた。それはどこかのオーケストラが賑やかに演奏する『軍艦マーチ』だった。そしてそ
のメロディーはいつものように僕を混乱させた。いや、いつもとは比べものにならないくらい
激しく僕を混乱させ揺り動かした。
 僕は頭がはりさけてしまわないように身をかがめて両手で耳を覆い、そのままじっとしてい
た。やがて色黒の小柄な講師がやってきて、外の音がうるさいかとニヤけた笑顔で訊いた。
大丈夫、あんたの口ぐせがうつっただけだと僕は答えた。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫です、うかるのは私だけですよ」と僕は言った。講師はにっこりと笑って行ってしまい、
音楽は『戦友』に変った。僕は顔を上げて高田馬場の上空に浮かんだ暗い雲を眺め、自分が
これまでの人生の過程で失ってきた多くのもののことを考えた。失われた時間、
落ちあるいは去っていった先輩ベテ、もう戻ることのない丙案。
583Wセシの森:03/06/11 12:05 ID:???
 一八年という歳月が過ぎ去ってしまった今でも、僕はあの初受験の風景をはっきりと思い
だすことができる。何日かつづいた基本書読みに疲れきった僕の大脳は深く鮮やかな青みを
失い、10通の参考答案は論文構成力をあちこちで混乱させ、前に座った女子受験生のタイ
ト・スカートは少し太めのヒップにぴたりとはりついていた。胸の突起は高く、じっと見て
いると目が痛くなるほどだった。風は教室をわたり、彼女の髪をかすかに揺らせて雑木林に
抜けていった。梢の葉がさらさらと音をたて、遠くの方で犬の鳴く声が聞こえた。まるで別
の世界の入口から聞こえてくるような小さくかすんだ鳴き声だった。その他にはどんな物音
もなかった。どんな物音も我々の耳には届かなかった。
584氏名黙秘:03/06/11 12:09 ID:???
>>579
さっちん。一緒にお風呂入ろうよ。
585 緑:03/06/11 12:34 ID:???
>>577
「これで最後」だなんて言わないで、もっと創作してよ、さっちん。
586謙三:03/06/11 19:56 ID:???
「論文試験が終わった後って私いちばん好きよ」と直子は言った。「何もかも最初からまた
新しく始まるみたいでね。だから4月が来ると哀しいの。7月がいちばん嫌。毎年毎年そん
な風に思って暮らしているの」
「そうして、そう思っているうちにあなたたちも私みたいに年をとるのよ。択一が来て論文
が来てなんて思っているうちにね」と楽しそうにベテさんは言った。「すぐよ、そんなの」
「でもベテさんは楽しんで年とっているように見えるけれど」と直子が言った。
「年をとるのが楽しいとは思わないけど、今更もう一度若くなりたいとは思わないわね」と
ベテさんは言った。
「どうしてですか?」と僕は訊いた。
「面倒臭いからよ。ロー対策をやるのが」とベテさんは答えた。

・・・ひねりが足りんな、と我ながら思う。さっちん、おやすみ。
587氏名黙秘:03/06/12 10:26 ID:???
主査「事例は一度しかいいませんから、よく聞くように。甲男は2ちゃんねるの司法板の特定
   スレッド上において乙女の名を騙りカキコをした。乙女に恋慕の情を抱いた丙男は毎夜
   乙女との性交を想像してオナニーをした。甲男に成立する犯罪は?」
学生「偽計業務妨害罪」
主査「オナニーが業務なの?」
学生「一般社会とは隔絶された司法試験受験生の特殊な地位を考慮すると、司法試験受験生に
   とって、オナニーは反復継続して行われる事務と考えられます」
主査「しかし妨害したといえるかね?」
学生「オナニーとは異性との性交ないし性交類似行為を想像しながら行うべき業務であり、
   新訴訟物理論や渥美東洋を想像しながら行うものではありませんから、丙男の想像した
   乙女の実体が渥美東洋であった場合には、丙男の業務は妨害されたと考えられます」
主査「う〜む。副査、何かありますか?」
副査「甲に財産罪は成立しないでしょうか?」
学生「はい。器物損壊罪の間接正犯の成立が考えられます」
副査「精液が物といえるかい?」
学生「精液はペニスを摩擦することによって噴出しますから、人体の用法に従い収取する産出
   物であり、人体の天然果実ですから、元物である人体から分離する時において之を収取
   する権利を有するオナニストに帰属する財物であると考えます」
副査「人体は財産権の客体ではなくて、人格権じゃないの?」
学生「私は下半身に人格なしの法理により、下半身から産出された果実は財産権の客体となり
   うると考えます」
副査「下半身に人格なしの法理の法的根拠は?」
学生「刑法177条」
副査「よろしいでしょう」
588氏名黙秘:03/06/12 11:02 ID:???
>>587
なんかイヤ・・・
589氏名黙秘:03/06/12 12:55 ID:???
>副査「下半身に人格なしの法理の法的根拠は?」
>学生「刑法177条」

ここ笑った (゚д゚)ウマー
590論文の森:03/06/12 14:23 ID:???
「すごくよい」と僕は感心して言った。
「ねえワタナベ君、正直言って私の答案ってそんなに期待してなかったでしょ?見かけからして」
「まあね」と僕は正直に言った。
「あなたベテだからそういう味つけ好きでしょ?」
「僕のためにわざわざ団藤説で書いたの?」
「まさか。いくらなんでもそんな面倒なことしないわよ。家で書くときはいつもこういう味つけよ」
「基礎講座が団藤説だったの、じゃあ?」
「ううん、基礎講座は前田説だし、大学の講義も西田よ。うちの親戚中探したって行為無価値
なんて一人もいないわよ。うちは結果無価値の一家なの」
「よくわからないな」と僕は言った。「じゃあどうしてこんなきちんとした正統的な団藤風の
答案が書けるの?誰かに習ったわけ?」
「ご婚儀の前に個人教授を受けたのよ」と雅子は言った。
591論文の森:03/06/12 14:47 ID:???
「わからないですね」と僕は正直に言った。「僕にも論文答案を書くというのがどういうこと
なのか本当によくわからないんです。若者とは違った意味でね。でも僕はできる限りのことを
やってみたいんです。そうしないと自分が何を書けばいいのかということもよくわからないん
ですよ。だからさっきレイコさんが言ったように、僕は過去問の答案構成をやり続けなくちゃ
いけないし、そうするしか僕が救われる道はないと思います」
「そしてゆきずりの論証集を覚えつづけるの?」
「それもどうして言いかよくわかりませんね」と僕は言った。「いったいどうすればいいんで
すか?ずっとマスターベーションしながら待ちつづけるべきなんですか?自分でもうまく収拾
できないんですよ、そういうのって」
592さ ◆kcIlove.mc :03/06/14 00:25 ID:???
>謙三さん
ひねりがないなんて、素直な答案のほうが評価されますよ!
パロも同じです♪

>森さん
オオオオォォォォォォ- ヽ(゚ο゚ヽ)
新作ですね!なんでいきなり雅子?!
593謙三:03/06/14 11:48 ID:???
「それはロー進学者の問題であって、俺の問題ではない」
「よく意味がわかんないですね」
 永沢さんは足を机の上にのせたままビールを飲み、あくびをした。
「つまり俺はローへは進学するつもりはないし、そのことはハツミにもちゃんと言ってある。
だからさ、ハツミはどこかのローへ行きたきゃ行きゃいいんだ。俺は止めないよ。ローへ行
かないで俺の合格を待ちたきゃ待ちゃいい。そういう意味だよ」
「ふうん」と僕は感心して言った。
「頑固なベテだと思うだろ、俺のこと?」
「思いますね」
「世の中というのは原理的に不公平なものなんだよ。それは俺のせいじゃない。はじめから
そうなってるんだ。俺はハツミをだましたことなんか一度もない。そういう意味では俺は
ひどい人間だから、それが嫌なら別れろってちゃんと言っている」
 永沢さんはビールを飲んでしまうと煙草をくわえて火をつけた。
「あなたは合否に対して恐怖を感じるということはないんですか?」と僕は訊いてみた。
「あのね、俺はそれほど馬鹿じゃないよ」と永沢さんは言った。「もちろん合否に対して
恐怖を感じることはある。そんなのあたり前じゃないか。ただ俺はそういうのを前提条件
としては認めない。自分の力を百パーセント発揮してやれるところまでやる。書ける問題
は十分攻めるし、書けそうもない問題は攻めない。そうやって受けてくる。駄目だったら
駄目になったところでまた考える。不公平な社会というのは逆に考えれば能力を発揮でき
る社会でもある」
594謙三:03/06/14 12:07 ID:???
「あたりまえな話みたいだけれど」と僕は言った。
「でもね、俺は空を見上げて合格が落ちてくるのを待ってるわけじゃないぜ。俺は俺なりにずいぶん
努力をしている。お前の十倍くらい受験している」
「そうでしょうね」と僕は認めた。
「だからね、ときどき俺は基礎講座の若者を見まわして本当にうんざりするんだ。どうしてこいつら
は努力というものをしないんだろう、努力もせずに合格の夢ばかり見るんだろうってね」
 僕はあきれて永沢さんの顔を眺めた。「僕の目から見れば若者はずいぶんあくせくと身を粉にして
勉強しているような印象を受けるんですが、僕の見方は間違っているんでしょうか?」
「あれは努力じゃなくてただの労働だ」と永沢さんは簡単に言った。「俺の言う努力というのはそう
いうものじゃない。努力というのはもっと主体的に目的的になされるもののことだ」
「たとえば択一に合格して他のみんながホッとしているときに破産法の勉強を始めるとか、そういう
ことですね?」
「そういうことだよ。俺は今月中に破産法を完全にマスターする。国際私法と刑事政策と労働法は
もうできあがってるし、行政法はだいたいはできる。こういうのって努力なくしてできるか?」
595氏名黙秘:03/06/14 14:34 ID:???
「どんな試験を受けたり落ちたりしているの君は?」
 緑はペンの先を口に入れてしばらく舐めていた。
「私のこともっと知りたい?」
「興味はあるね、いささか」
「ねえ、私は『私のこともっと知りたい?』って質問したのよ。そんな答っていくらなんでも
ひどいと思わない?」
「もっと知りたいよ、君のことを」と僕は言った。
「本当に?」
「本当に」
「目をそむけたくなっても?」
「そんなにひどいの?」
「ある意味ではね」と緑は言って顔をしかめた。
596キズキ:03/06/14 19:12 ID:???
おいキズキ、お前はとうとう合格を手に入れたんだな、と僕は思った。まあいいさ、合格は
もともとお前のものだったんだ。結局そこが彼女の行くべき場所だったのだろう、たぶん。
 でもこの世界で、この不完全な受験の世界で、俺は合格に対して俺なりのベストを尽くした
んだよ。そして俺はと二人でなんとか新しい合格の仕方を打ち立てようと努力したんだよ。
 でもいいよ、キズキ。合格はお前にやるよ。合格はお前の方を選んだんだものな。彼女自身
の心みたいに暗い森の奥でお前は合格答案を書いたんだ。なあキズキ、お前は昔俺の一部を死
者の世界にひきずりこんでいった。そして今、不合格が俺の一部を死者の世界にひきずりこん
でいく。
 ときどき俺は自分がこのスレの管理人になったような気がするよ。誰一人訪れるものもない
がらんとした春樹スレでね、俺は俺自身のためにそこの管理をしているんだ。

PS 「ノルウェイの森」はやはり名作だ。どの頁を開いてもパロが出てくる。
597さ ◆kcIlove.mc :03/06/14 20:11 ID:???
>謙三さん
永沢さん最高です。
永沢さんは、わたしが今まで読んだ小説の登場人物のなかで、もっとも愛すべき人です。
ハツミさんと麻布のレストランでケンカするシーンもおながいしまつ。

>595
緑はヴェテなのですか?!<ひどい

>キズキくん(敢えてくんづけでw)
1○歳の時の私にとって最高の書物は赤川二郎の三毛猫ホームズシリーズだったが、
何作品も読んでいるうちに、それは少しずつ最初の新鮮さを失って、やがて村上春
樹のノルウェイの森にベスト・ワンの地位をゆずりわたすことになった。そしてノ
ルウェイの森はその後わたしにとって最高の小説でありつづけた。
わたしは鬱になると、書棚からノルウェイの森をとりだし、出鱈目にページを開き、
あまりにはまりすぎて引きまくった傍線部分を読み直した。
その部分にはただの一度も失望させられることはなかった。
そしてその素晴らしさを誰かに伝えたいと思った。
しかしわたしのまわりには、ノルウェイの森を読んだことがある人間はいるにはい
たが、誰もそれについて語ろうとしなかった。
19○○年に村上春樹を読むというのは、流行に流されてるとまではいわなくとも
いささかヴァカな若者だと看做されるようなものだったのだ。
やがて2001年、わたしは2チャソで村上春樹を読んだことがある人々に出会った。
彼らは司法試験受験生という身分を有していた。
我々は同じ試験を受験していて、お互い名前など知らなかった。
598氏名黙秘:03/06/15 04:56 ID:???
僕らは自ら不合格を決めることにした。つまり、敵前逃亡したのだ。
599氏名黙秘:03/06/15 07:09 ID:???
>590
warata
600キズキ:03/06/15 13:25 ID:???
>>597
 さっちん。長レスありがとう。
 僕も(フルタイム)司法浪人の時代に村上春樹をよく読んでいた。初めて読んだのは
「羊」が文庫本になった頃で、確か「世界の終り」は新刊で買った記憶があるから、
かなり昔のことだ。
 当時主人公の「僕」に強く影響されていた。朝食も昼食もサンドイッチとビールだった。
これはマジ。
 しかし当時の読み方は今の読み方と違っていた。まあひとことでいうと当時春樹は最高に
トレンディだったから、松任谷由美のレコードを聴くのとあまり違いはなかった。ユーミン
の曲を知らないと合コンで浮き上がったし、女の子を口説くには「僕」の会話に含まれてる
ようなウイットが必須のものだった。そんな不純な動機で読んでいたのは僕だけではなかった。
僕は「僕」的話術の忠実な信奉者であり、見返りとして神は僕に福音を与えたもうた。実際、
女の子を口説くときは、たいへんな効用を発揮した(ただしベテとなる以前の話)。
 僕は「ノルウェイ」の大ヒットをリアルタイムで体験した。どこの本屋も山積み状態だった。
「羊」までがアマチュアの書いた大傑作だとすれば、この作品はいい意味でプロっぽかった。
ビートルズの曲がたくさん出てくるのも読者層を広げた要因だと思うよ。ジョン・コルトレーン
やエリック・ドルフィーだと、さすがに知らない若者が多いだろうから・・・。
 >>596は、僕の印象に最も強く残っている場面だ。ここは悲しすぎた。親しい同世代の
友人が死んでしまった経験はないけれど、高校の同窓会名簿とか見ると、交通事故や病気で
死んでる人いるんだよね。それほど親しくなくても、話したことがある同級生の死というのは
受け入れるのに少し時間がかかる。これが親友や好きだった異性だったとしたら、受け入れ難い
ものがあるんじゃないだろうかな、って思いながら読んだ記憶がある。
601キズキ:03/06/15 13:48 ID:???
≫村上春樹殿
「ダンス」の中でジェネシスのTシャツを着ている人が出てきた。ヒューマンリーグのTシャツ
と同様に、春樹さんはあまり好印象をもたれていなかった。
 たしかに当時のジェネシスはつまらなかった。でもピーター・ガブリエルがいた頃の
ジェネシスはとてもいいんだよ。ピーターがやめた後も、少なくとも「トリック・オブ・ザ・テイル」
までのジェネシスはとてもいいんだ。どんよりと曇った中世のイングランドの農園を想わせる
ような曲が多い。二本のアコギのアンサンブルが素晴らしいんだ。
「ダンス」の中ではストーンズの「ブラウン・シュガー」が、ことあるごとに賞賛されていた。
禿同。でもストーンズの最高傑作は、その2つ前のLP「ベガーズ・バンケット」だと思う。
僕はスランプになると、その中の「ストリート・ファイティング・マン」を聴く。
なぜかヤル気まんまんになるんだ。
602謙三:03/06/15 14:17 ID:???
「役にたった?」とハツミさんが僕に訊いた。
「P&Cがですか?」
「そんな何やかやが」
「べつにとくに役にたったわけではないです」と僕は言った。「ただ覚えるだけです。そんな風に
答案を覚えたってとくに何か楽しいことがあるわけじゃないです」
「じゃあ何故そんなことするの?」
「俺が誘うからだよ」と永沢さんが言った。
「私、ワタナベ君に質問してるのよ」とハツミさんはきっぱりと言った。「どうしてそんなことするの?」
「ときどきすごく基本書読むのがいやになるんです」と僕は言った。
「好きな基本書があるのなら、その本でなんとかするわけにはいかないの?」とハツミさんは
少し考えてから言った。
「複雑な事情があるんです。いったん予備校にお金を払ったら、そこから何かを得たいという気になるし」
 ハツミさんはため息をついた。
603謙三:03/06/15 15:02 ID:???
「あのね、ワタナベ君、どんな事情があるかは知らないけれど、そういう勉強方法はあなたには
向いてないし、ふさわしくないと思うんだけれど、どうかしら?」とハツミさんは言った。彼女
はテーブルの上に手を置いて、じっと僕の顔を見ていた。
「そうですね」と僕は言った。「自分でもときどきそう思います」
「じゃあ、どうしてやめないの?」
「ときどき手っ取り早くすませたくなるんです」と僕は正直に言った。「そういうすぐに答案化
できるようなものがないと、ときどきたまらなく焦ってくるんです」
「要約するとこういうことだと思うんだ」永沢さんが口をはさんだ。「ワタナベには好きな基本
書があるんだけれど時間がなくてやれない。たからP&CはP&Cと割り切って安直に処理する
わけだよ。それでかまわないじゃないか。勉強方法としてはまともだよ。部屋にこもってずっと
マスターベーションやってるわけにもいかないだろう?」
「でもその基本書のことが本当に好きなら我慢できるんじゃないかしら、ワタナベ君?」
「そうかもしれないですね」と言って僕はクリーム・ソースのかかった鱸の身を口に運んだ。
604謙三:03/06/15 15:04 ID:???
「君には受験生の焦りというものが理解できないんだ」と永沢さんがハツミさんに言った。「たとえば
俺は伊藤塾に三年通っていて、しかもそのあいだにけっこう他の予備校へも行った。でも俺はその予備
校の講義のことなんて何も覚えてないよ。講師の名前も忘れた、顔も覚えていない。どの講義も一度し
か聞かない。行って、聞いて、忘れる。それだけだよ。それのどこがいけない?」
「私が我慢できないのはあなたのそういう傲慢さなのよ」とハツミさんは静かに言った。「他の予備校
へ行く行かないの問題じゃないの。私これまであなたの辰巳通いのことで真剣に怒ったこと一度もない
でしょ?」
「P&Cなんて勉強とも言えないよ。ただのゲームだ。誰も傷つかない」と永沢さんは言った。
「私は傷ついてる」とハツミさんは言った。「どうして伊藤塾だけじゃ足りないの?」
 永沢さんはしばらく黙ってウィスキーのグラスを振っていた。「足りないわけじゃない。それはまっ
たく別のフェイズの話なんだ。俺の中には何かしらそういうものを求める渇きのようなものがあるんだ
よ。そしてそれがもし君を傷つけたとしたら申しわけないと思う。決して伊藤塾だけで足りないとかそ
ういうんじゃないんだよ。でも俺はその渇きのもとでしか生きていけない男だし、それが俺なんだ。仕
方ないじゃないか」
605謙三:03/06/15 15:05 ID:???
 ハツミさんはやっとナイフとフォークを手にとって鱸を食べはじめた。「でもあなたは少くとも
ワタナベ君をひきずりこむべきじゃないわ」
「俺とワタナベには似ているところがあるんだよ」と永沢さんは言った。「ワタナベも俺と同じよ
うに本質的には楽に合格することにしか興味が持てない人間なんだよ。傲慢か傲慢じゃないかの差
こそあれね。出題者が何を考え、予備校が何を感じ、自分がどう書くか、そういうことにしか興味
が持てないんだよ。だから自分の哲学と自説とをきりはなして答案を書くことができる。俺がワタ
ナベを好きなのはそういうところだよ。ただこの男の場合自分でそれがまだきちんと認識されてい
ないものだから、迷ったり傷ついたりするんだ」
「迷ったり傷ついたりしない人間がどこにいるのよ?」とハツミさんは言った。「それともあなた
は迷ったり傷ついたりしたことないって言うの?」
「もちろん俺だって迷うし傷つく。ただそれは訓練によって軽減することが可能なんだよ。小塚だ
って電気ショックを与えれば『大丈夫』って言わなくなる」
「でも小塚はもう司法試験を受けないわ」
「小塚は司法試験を受けない」と永沢さんはそうくりかえしてから僕の方を見た。
606氏名黙秘:03/06/15 15:56 ID:T9i/DBBy
umaine
607氏名黙秘:03/06/15 16:01 ID:???
_(_ _)ノ彡☆ばんばん!
608弁理士受験生:03/06/15 16:25 ID:8PW7+4+k
「「契約責任説?」僕はびっくりして言った。
彼女は赤くなって僕の手から答案用紙を奪うように取り上げた。
「契約責任説について書くつもりなんか無かったの。
論点からずれていくって自分でもわかったし」と直子は弁解するように言った。
彼女はトレーナーシャツの両方の袖を肘の上までひっぱりあげ、それからまた元に戻した。

「うまく書くことができないの」と直子は言った。
「ここのところずっとそういうのがつづいてるのよ。あ、この論点が問われてる・・・
ってわかってもいつも見当違いな言葉しか浮かんでこないの。見当違いだったり全く逆だったりね。
それでそれを訂正しようとすると、もっと余計に混乱して論理破綻しちゃうの。
まるで私の中で内田と我妻が二人で追いかけっこしているみたいなそんな感じなの。」

直子は顔をあげて僕の目をみつめた。
「そういうのってわかる?」

「多かれ少なかれそういう感じって誰にでもあるものだよ」と僕は言った。
「みんな合推とろうとして、でもそれが出来なくて、でも東大若手は一年で取ってしまう・・・
それでイライラするんだ」
609氏名黙秘:03/06/15 17:51 ID:???
>>608
悪くない。内田の民法は大好きだけど、直前に読んでいると拷問を受けているような
感じがしてくる。しかし本番で、「アッ、ここ内田に書いてあったな」と気づきつつ、
正確に思い出せないときのショックもまた大きいから、いちおうざっと目を通すと、
こんどは法定責任説とかが色褪せしてしまうし・・・。困った本だ。
俺は「プロポーズをOKしない美人ホステス」と呼んでいる。
610弁理士受験生:03/06/15 19:12 ID:eNqVEf4b
「ワタナベ君、あの煙なんだかわかる?」突然緑が言った。
わからない、と僕は言った。「あれ22点以下の論文焼いてるのよ」
「へえ」と僕は言った。それ以外に何と言えばいいのか良くわからなかった。
「論点おち、論点のひっぱり込み、論理破綻その手のもの」と言って緑はにっこりした。

「みんなトイレの汚物入れにそういうの捨ててるでしょ、塾だから。
それを工作員が集め回って焼却炉で焼くの。それがあの煙なの」
「そう思って見るとどことなく凄みがあるね」と僕は言った。

「うん、私も自習室の窓からあの煙をみるたびにそう思ったわよ。凄いなって。
塾は通信もあわせると1000人近く信者がいるでしょ。
まあまだ論文がはじまってない子もいるから500人として、
そのうち10人がまあ、まともな当安かけるとして、だいたい490人よね。
一回で490人のクソ当安が汚物いれに捨てられるわけよね」

「まあそうだろうね。細かい計算はわからないけど」
「で最終合格するの何人かわかる?」
「さあ見当もつかないよ」と僕は言った。
611ロー進学者:03/06/15 19:13 ID:???
「落語何かできる?」
「いや、できませんね」と僕は答えた。
「それは残念ねえ、何かできると楽しかったのに」
 そうですね、と僕は言った。どうしてロースクールへ来て落語の話ばかり出てくるのか
さっぱりわけがわからなかった。
「えーとねえ、ワタナベ君だったわね、あなたが直子に会う前に私の方からここの説明を
しておいた方がいいと思ったのよ。だからまず私と二人でちょっとこうしてお話しするこ
とにしたわけ。ここは他のロースクールとはちょっと変ってるから、何の予備知識もない
といささか面喰うことになると思うし。ねえ、あなたここのことまだよく知らないでしょ?」
「ええ、殆んど何も」
「じゃ、まあ最初から説明すると・・・」と言いかけてから彼女は何かに気がついたという
ようにパチッと指を鳴らした。
612ロー進学者:03/06/15 19:15 ID:???
「あなたは直子の担当の教官なんですか?」と僕は彼女に訊いてみた。
「わたしが教官?」と彼女はびっくりしたように顔をぎゅっとしかめて言った。「なんで私が
教官なのよ?」
「だって石田先生に会えって言われてきたから」
「ああ、それね。うん、私ね、ここで落語の師匠してるのよ。だから私のこと先生って呼ぶ人
もいるの。でも本当は私も学生なの。でも15年もここにいてみんなに落語教えたり事務手伝っ
たりしてるから、学生だかスタッフだかわかんなくなちゃってるわね、もう。直子、私のこと
あなたに教えなかった?」
 僕は首を振った。
「ふうん」とレイコさんは言った。「ま、とにかく、直子と私は同じ教室で勉強してるの。
つまりクラスメイトよね。あの子と一緒に勉強するの面白いわよ。いろんな話して。あの子も
もう5回も新司法試験落ちているでしょ」
「ロースクールって、そんなに何年も留年できるんですか?」と僕は訊いてみた。
613ロー進学者:03/06/15 19:17 ID:???
「そうだそうだ、その前にここの説明をしとかなきゃ」とレイコさんは僕の質問を頭から無視
して言った。「まず最初にあなたに理解してほしいのはここがいわゆる一般的な『法科大学院』
じゃないってことなの。てっとりばやくいえば、ここは勉強をするところではなくて療養をす
るところなの。もちろん教官は何人かいて毎日一時間くらいは講義をするけれど、それは体温
を測るみたいに状況をチェックするだけであって、他のローがやっているようないわゆる実務
指導を行うということではないの。だからここには模擬法廷もないし、門だっていつも開いて
いるわけ。学生は自発的にここに入って、自発的にここから出ていくの。そしてここに入るこ
とができるのは、他のローで落ちこぼれた療養に向いた人達だけなの。誰でも入れるというん
じゃなくて、旧制度のもとではベテになる他なかったような人は、そのケースに応じて専門的
なローに行くことになるの。そこまではわかる?」
「なんとかわかります。でも、75%の学生が新司法試験に合格するはずだったんじゃないん
ですか?」
 レイコさんは煙草の煙を吹きだし、オレンジ・ジュースの残りを飲んだ。「開校前は法務省
も予想はしていなかったの。でも浪人しなくてもよいという安心感は、学生たちの向学心を低
下させたのよ。また各大学はメンツがあるから、大量の不合格者を出すわけにはいかなかった
らしいわ。そこで3回以上新司法試験に落第すると、この療養所に強制的に転向させられたの
よ。あなたもそうでしょ?」
 やれやれ、僕は丙案を二度失ったということなんだ。
614さ ◆kcIlove.mc :03/06/16 06:18 ID:???
>キズキくん
リアルタイムの頃はまだもうちょっと子供だったんですが、なぜかハードカバー
が家にありましたw
ノルウェイ、英語版だとハードカバーと同じように緑と青の表紙だった。
わたしもビートルズ聴いてみようって最初に思ったのは春樹本だったような。
あいわんすはヴぁがーる・・・


>謙三さん
(ノ゚ο゚)ノ オオオオォォォォォォ-
ありがdございますー。
「私は傷ついてる」とハツミさんは言った。「どうして伊藤塾だけじゃ足りないの?」
ってところが良いです。切ないよー・・・。
そうそう予備校近所の本屋に言ったけれど、やはり三国志はなかった・・・・。
もしやレア本?

>弁理士さん
そういえば最近はもう焼却炉ってなくなっちゃいましたよね。
ダイオキシンひぃぃぃぃ!!
わたしも出来の悪い答案を焼却したいところです。

>ローさん
勉強をするところではなくて療養をするところなの
ってw
療養予定なのでつねw
615氏名黙秘:03/06/16 11:01 ID:???

ここって、伊藤塾工作員 VS 辰巳工作員 スレですか?
やれやれ。
616謙三:03/06/16 11:18 ID:???
「でも元気がないのね?」
「元気を出そうとはしているんだけれど」
「司法試験はビスケットの缶だと思えばいいのよ」
 僕は何度か頭を振ってから緑の顔を見た。「たぶん僕の頭がわるいせいだと思うけれど、
ときどき君が何を言ってるのかよく理解できないことがある」
「ビスケットの缶にいろんな論点がつまってて、好きなのとあまり好きじゃないのがある
でしょ?それで先に好きなのどんどんやっちゃうと、あまり好きじゃないのばっかり残る
わよね。私、答練の点数がよくないといつもそう思うのよ。今これををやっとくとあとに
なって楽になるって。司法試験はビスケットの缶なんだって」
「まあひとつの哲学ではあるな」
「でもそれ本当よ。私、経験的にそれを学んだもの」と緑は言った。

>>614 哀しい。北方三国志は超メジャー本。
617キズキ:03/06/16 11:53 ID:???
「あのねワタナベ君。私のことをベテだとか自習室名主だとか小塚親衛隊だとかいう風には
思わないでね。私はただそういう人達にすごく興味があって、すごく知りたいだけなの。
ずっとT大学で若者だけの中で育ってきたでしょ?ベテが何を考えて、その大脳のしくみが
どうなってるのかって、そういうことをすごく知りたいのよ。それも2ちゃんの「30代
以上限定スレ/もうだめぽ」とかそういうんじゃなくて、いわばケース・スタディーとして」
「ケース・スタディー」と僕は絶望的につぶやいた。
「でも私がいろんなことを知りたがったりやりたがったりすると、ゼミの指導教官は不機嫌
になったり怒ったりするの。不浄に近づくなって言って。私の頭が変だっていうのよ。P&C
だってなかなかさせてくれないの。私あれすごく研究してみたいのに」
「ふむ」と僕は言った。
「あなたP&Cは嫌?」
「嫌じゃないよ、べつに」
「どちらかというと好き?」
「どちらかというと好きだよ」と僕は言った。「でもその話また今度にしない?今日はとて
も星の美しい夜だし、ベテとP&Cの話をしてつぶしたくないんだ。もっと違うことをしよ
うよ。フェラチオとかセックスとか」
618謙三:03/06/16 12:06 ID:???
「あなた馬鹿ねえ」と緑は言った。「知らないの?勘さえ良きゃ法律知らなくても択一試験
なんて受かっちゃうのよ。私すごく勘がいいのよ。次の五つの中から正しいものを選べなん
てパッとわかっちゃうもの」
「僕は君ほど勘が良くないから、ある程度系統的なものの考え方を身につける必要があるん
だ。鴉が木のほらにガラスを貯めるみたいに」
「そういうのが何か役に立つのかしら?」
「どうかな」と僕は言った。「まあある種の問題はやりやすくなるだろうね」
「たとえばどんなことが?」
「数年前の過去問、予備校の公開模試、たとえばね」
「それが何かの役に立つのかしら?」
619氏名黙秘:03/06/16 13:09 ID:W6pTFCRE
「それでその講座はどうしたの?」
「六月にやめたわよ、あんまり頭に来たんで」と緑は言った。「でもこの予備校の連中は殆んど
インチキよ。みんな自分が何かをわかってないことを受験生に知られるのが怖くってしようがな
くてビクビクして教えてるのよ。それでみんな同じようなテキストを読んで、みんな同じような
学説ふりまわして、『踊るポンポコリン』聴いたり小松みどりのDVD見たりしてオナニーしてる
のよ。そういうのが受験指導なの?」
「さあどうかな。僕は実際に彼らの私生活を目にしたわけじゃないからなんとも言えないよね」
「こういうのが受験指導なら、私予備校なんていらないわ。私きっと対物防衛を書く前に主観的
違法性論を批判しなかったっていう理由で22点にされちゃうもの。あなただってきっと22点
にされちゃうわよ。ヴェルツェルをきちんと理解しているというような理由で」
「ありうる」と僕は言った。
620氏名黙秘:03/06/16 16:55 ID:???
「君は直前答練を受けすぎていると思うね」と僕は笑って言った。
「やっぱりそうかなあ」と緑は言った。「でも、私直前答練って大好きなの。今度一緒に
受けにいかない?」
「いいよ。君が暇なときに一緒に行こう」
「本当?すごく楽しみ。公開添削付きのやつに行きましょうね。受講生全員の前で書いた
ばかりの答案に赤ペンでばしばし×入れたり、20点の香具師にみんなの前でおしっこさ
せたりするやつ。私あの手のが大好きなの」
「いいよ」
「ねえワタナベ君、公開添削で私がいちばん好きなもの何か知ってる?」
「さあ見当もつかないね」
「あのね、公開添削される答案を抽選する時になるとね、まわりの受講生がみんなゴクン
って唾を呑みこむ音が聞こえるの」と緑は言った。「そのゴクンっていう音が大好きなの、
私、とても可愛いくって」
621氏名黙秘:03/06/17 03:06 ID:???
択一前より出来がいいのは作者さんが(略
622氏名黙秘:03/06/17 10:26 ID:???
「F」と緑は言った。
「F」と僕も言った。
「私と一緒に司法書士一年合格コースに行っちゃえば良いのよ」と緑は不動産登記六法に片肘
をついたまま言った。「恋人も家族も司法試験も何もかも捨てて」
「それも悪くないな」と僕は笑って言った。
623北方謙三的司法試験:03/06/17 10:50 ID:???
「謙三、嬉しそうね」と緑は言った。
「今日は小説すばるの発売日なんだ。北方水滸伝が読める。ウキウキ。これから買って
くるからね」と言うと謙三は事務所から出て行った。
624北方謙三的司法試験:03/06/17 17:16 ID:???
 落ちるわけはない。試験結果が、こんなものであるはずはない。弁護士バッジをつけて
駈ける法廷が、自分を待っているのだ。
 顔が浮かんだ。三年前に受験を断念した友人だった。
 馬鹿な。言ったつもりだが、声にはなっていないようだ。
 待っているのは、合格なのだ。他の何であってもいいはずはない。
 なにかが、ふわりと自分に寄り添ってくるのを感じた。やさしげで、触れると心地よ
さそうで、包みこまれるとかぎりなく安らかになれる。しかし、冷たい。
 この冷たさが、不合格なのか。
 そう思った瞬間、憤怒にも似た思いが晁蓋を包みこんだ。
 立って、両断してやる。
「去ねっ」
 立とうとした。やわらかなものは、しっかりと晁蓋を包みこんでいた。
 研修所が見えた。水のむこう。そして、なぜか遠い。あんな遠いところに研修所は
あったのか。
 やわらかく、冷たく、得体の知れないものは自分を包み続けていた。また、憤怒が
こみあげてくる。
 今度こそ、両断してやる。まやかしの中で、すべてを終わらせてたまるものか。
 体を起こした。立った。剣を抜く。
「去ねっ」
 晁蓋は叫んだ。
 自分を包みこむものを、両断したと思った。
 そのむこうには、鮮やかな光に満ちた世界が拡がっていた。

・・・晁蓋が死んだ。いま僕は気の抜けたビールの状態。今日の創作はこれで終了。
625氏名黙秘:03/06/17 19:04 ID:???
兼三さんって、天才だね、笑えました。
626氏名黙秘:03/06/17 20:28 ID:???
「ねえ、私けっこう不思議な人生送ってきたけど、19歳年下の男の子に研修所で民事訴訟法
教わることになるとは思いもしなかったわね」とレイコさんは言った。
「じゃあ自分一人で起案しますか?」と教官は言った。
「いいわよ、教えて」と彼女は言った。「でも私シケタイしか読んでいないからがっかりしな
いでよ」
「僕、シケタイの表紙のデザイン好きですよ」
「泣けるわね」とレイコさんは小さな声で言った。
627謙三:03/06/17 20:52 ID:???
「いちばん大事なことはね、焦らないことよ」とレイコさんは僕に言った。「これが私の
もうひとつの忠告ね。焦らないこと。問題の事例が手に負えないくらい入りくんで絡みあっ
ていても絶望的な気持になったり、短気を起こして無理に自分の知ってる論点にひっぱたり
しちゃ駄目なのよ。時間をかけてやるつもりで、ひとつひとつゆっくりとほぐしていかな
きゃいけないのよ。できる?」
「やってみます」と僕は言った。
「時間がかかるかもしれないし、時間をかけても完全には解析できないかもしれないわよ。
あなたそのこと考えてみた?」
 僕は肯いた。
「書き始めたい衝動を抑えるのは辛いわよ」とレイコさんはペンをクルクル回しながら
言った。「とくにあなたのような筆の遅い人にはね。ただただ問題を解析し終えるのを
じっと待つのよ。そして自分では解けたと思っても、そこには何の保証もないのよ。
それが正解だっていう保証が・・・。あなたにそれができる?そこまで自分の答案を
愛してる?」
628氏名黙秘:03/06/17 21:19 ID:???
「それで私こう思ったの、私の実力を100パーセント発揮するための講師を自分でみつけて
手に入れてやるって。卒五か卒六のときにそう決心したの」
「すごいね」と僕は感心して言った。「それで成果はあがった?」
「むずかしいところね」と緑は言った。そして煙を眺めながらしばらく考えていた。「たぶん
あまりに長く勉強しすぎたせいね、私すごく完璧なものを求めてるの。だから受からないのよ」
「完璧な答案を?」
「違うわよ。いくら私でもそこまでは求めてないわよ。私が求めているのは単なるわがままな
の。完璧なわがまま。たとえば今私があなたに向かってこの論点についてマコツに質問した
いって言うわね、するとあなたは何もかも放りだして走ってマコツを連れてくるのよ。そして
はあはあ言いながら帰ってきて『はいミドリ、マコツだよ。講義中だったけど強引に連れてき
たよ』ってさしだすでしょ、すると私は『ふん、マコツになんてもう質問したく
なくなっちゃったわよ』って言ってマコツを窓からぽいと放り投げるの。私が求めているのは
そういうものなの」
629さ ◆kcIlove.mc :03/06/17 22:43 ID:???
>謙三さん
名パロでつ!
自分の答案を愛してる?って素敵・・・・。
630直子:03/06/18 11:50 ID:???
「私たちは普通の国家試験とその受験生の関係とはずいぶん違ってたのよ。何かどこかの部分で
肉体がくっつきあっているような、そんな関係だったの。あるとき就職して仕事をしていても特
殊な引力によってまたもとに戻ってくっついてしまうようなね。だから私がもういちど司法試験
を受験するようになったのはごく自然なことだったの。考慮とか選択の余地のないことだったの。
私が法務省に願書を取りに行くか、法務省が私に郵送するかして、29のときには再び受験して
たの。でもね、私は自分がベテだなんてちっとも思わなかったわ。そんなの当然のことだと思っ
ていたの。法務省が丙案やローで私をいじめたいんならそんなの全然かまわないし、彼が合格者
の平均年齢を下げたいんならそれを手伝ってあげるのも全然かまわなかったのよ。でも私たちし
ばらくはそれより先にはいかないようにしていたの。不合格は怖かったけど、どうすれば合格で
きるのかその頃はよくわからなかったし・・・。とにかく私はそんな具合に受験してきたのよ、二
人一組で手をとりあって。私の言ってる意味わかる?」
631直子:03/06/18 13:47 ID:???
「わかると思う」と僕は言った。
「私と司法試験は離れることができない関係だったのよ。だからもしこのスレの全員が
択一受かっていたら、私たちたぶん一緒に受験して、レスかきあっていて、そして少し
ずつ不幸になっていったと思うわ」
「どうして?」
 直子は指で何度か髪をすいた。もう髪どめを外していたので、下を向くと髪が落ちて
彼女の顔を隠した。
「たぶん私たち、世の中に借りを返さなくちゃならなかったからよ」と直子は顔を上げて
言った。
「受験の辛さのようなものをね。私たちは享受すべきときに人生の幸福を享受しなかった
から、そのつけが2ちゃんにまわってきてるのよ。だから他スレはああなっちゃったし、
今私はこうしてこのスレにいるのよ。私たちは無人島で育った裸の子供たちのようなもの
だったの。試験に落ちると「伊藤塾被害者の会」でやつあたりし、淋しくなれば「女性
受験生の皆さん、セク〜スしたくありませんか」でオナニーして眠ったの。でもそんなこと
いつまでもつづかないわ。私たちはどんどんベテになっていくし、社会の中に出ていかなく
ちゃならないし。
 だから春樹スレは私たちにとっては重要な存在だったのよ。春樹スレは私たちと外の世界
を結ぶリンクのような意味を持っていたのよ。私たちは春樹スレを仲介にして外の世界に
うまく同化しようと私たちなりに努力していたのよ。結局は伸びの勢いがとまったけれど」
632  緑:03/06/18 19:21 ID:???
「ねえ、ねえ、ねえ、何か言ってよ」と緑が僕の胸に顔を埋めたまま言った。
「どんなこと?」
「なんだっていいわよ。私が腹を立てるようなこと」
「君の六法、平成2年版のままだね」
「ミドリ」と彼女は言った。「名前つけて言って」
「君の六法、初受験のときと同じ平成2年版のままだね、ミドリ」と僕は言いなおした。
「それくらいじゃ、腹が立たないわ」
「山が崩れて海が干上がるくらいベテ」
 緑は顔を上げて僕を見た。「あなただって干上がった海の底がひび割れるくらいベテ」
「君にそう言われると心がひび割れるね」と僕は笑って言った。
633木曜日のねじまき鳥:03/06/19 13:49 ID:???
 自室で答案を書いているときに、電話がかかってきた。僕はFM放送にあわせてレッド
ツェッペリンの「天国への階段」のジミー・ペイジのギター・ソロを口笛で吹いていた。
それは択一に落ちた後に答案を書くにはまずうってつけの音楽だった。
 電話のベルが聞こえたとき、無視してしまおうかとも思った。答案は書きおわる寸前だったし、
ジミー・ペイジは今まさにロバート・プラントをその音楽的ピークに持ちあげようとして
いたのだ。しかしそれでもやはり僕はペンを置き、居間に行って受話器をとった。あるいは
もう「ノルウェイ」は厭きたということで知人から電話がかかってきたのかもしれないと
思ったからだ。
「ベテの緑は、もういいの」、唐突に女が言った。
634木曜日のねじまき鳥:03/06/19 14:41 ID:???
「十分間、時間を欲しいの」、唐突に受験生が言った。
 僕は答案を集める速さにはかなり自信を持っている。でも受験生から話しかけられるとは
予想外だった。「残念ですが、試験時間は終了しましたよ」と僕は礼儀正しく答えてみた。
「終了したのはわかってるわよ。十分だけでいいから時間を欲しいの。そうすればお互い
よくわかりあうことができるわ」と受験生は言った。そう言いつつ、彼女は忙しそうにペン
を走らせていた。
「わかりあえる?」
「気持ちがよ」
 僕は黒板を背にして座っている責任者の方を振り返った。責任者は何をしているんだ、
というような顔つきで僕を見ていた。
「悪いけど、今受験生の答案を集めているんです。そういった話しはあとにしてくれませんか」
「答案?」、女はあきれたような声を出した。「朝の十一時半に答案を集めてるの?」
「それはあなたもよくご存知のはずでしょう。書き終えた答案を集めるのはあたりまえじゃ
ないですか」、僕はちょっとむっとして言った。
「それはそうね」、受験生は表情のない乾いた声で言った。ちょっとした感情の変化で声の
トーンががらりとかわるのだ。「まあいいわ、あと四行書いたら答案提出するから」
「ちょっと待って」、僕はあわてて言った。
635さ ◆kcIlove.mc :03/06/19 18:14 ID:???
>直子さん
春樹スレにそんな重要な意味があったとは!
直子と僕がお散歩するコースって、わたしもたまに車で走ることがあるんだけど、
たまに歩いてみたくなります。

>緑ちゃん
前いた緑ちゃんと同じ緑ちゃんかな?
緑ちゃんは、四谷ふたばだよね?ってずっとノルウェイ読んで以来思ってるの。
四谷ふたばのセーラー服は、胸のところがヒモで結ぶかんじでかわいいよね。

>ねじまき鳥さん
もしや予備校でバイトとかしてますか?

>all
受験票来ましたね。
636木曜日のねじまき鳥:03/06/19 19:52 ID:???
 居間のソファーに戻って図書館で借りた刑事訴訟法のコンメンタールを読みながら電話機を
ちらちら眺めていると、その女の言う「十分間でわかる伝聞法則」というのが気になりはじめ
てきた。十分で伝聞法則のいったい何がわかるというのだろう?考えてみれば女はそもそもの
最初からきちんと十分と時間を区切っていた。そして彼女はその限定された時間の設定に対し
てかなりの確信を抱いているようだった。それは九分では短すぎるし、十一分では長すぎるの
かもしれない。ちょうどスパゲティーのアルデンテみたいに。
 そんなことを考えているうちにコンメンタールを読む気分でもなくなってしまった。受験票
にアイロンをかけようと僕は思った。頭が混乱してくると、僕はいつも受験票にアイロンをか
ける。
637氏名黙秘:03/06/19 20:00 ID:???
>>635
さっちんって、四谷ふたばのMちゃん?違うよね。
638:03/06/19 20:12 ID:???
>>635
緑は同一人物なんだけど、「ベテねた」からませてたら、いつのまにか
緑も直子もレイコさんもワタナベ君も、みんなベテになっちゃたのよ。
しばらく「ねじまき鳥」でいくから、作中には当分出てこないと思うわ。
以前の緑のイメージで今後もつきあってね。よろしく。
639神崎京介:03/06/20 13:09 ID:???
「あなたパロディはかけるかしら?」
「パロディ?」と僕はびっくりしてききかえした。パロディ?パロディってなんだ、いったい?
「知りあいの予備校で若い受験生むけの雑誌を出しているんだけど、そこでパロディの投稿の
選考と添削する人を探してるの。時間のかかる仕事のわりにはギャラはゼロよ」
「ちょっと待ってくれよ。僕が探してるのは法律関係の仕事なんだぜ。いったいどこでパロディ
の添削なんて話が出てくるんだよ?」
「だってあなた高校時代に何か書いてたって言ってたじゃない」
「エロ小説だよ。マコツが抜かずに4発射精しただとか、物理の教師が入院先のナースと姦った
だとか、そういう愚にもつかないエロ小説を書いてただけだ。パロディじゃない。パロディなん
か僕には書けない」
「でもパロディって言ったって、受験生の読むようなパロディよ。別に文学史に残るような立派
なパロディを書けっていってるわけじゃないんだから。適当にやればそれでいいのよ。わかるで
しょ?」
「適当にも何もパロディなんて絶対に書けない。書いたこともないし、書くつもりもない」、僕
はきっぱりと言った。そんなもの書けるわけがないじゃないか。
「ふうん」と残念そうに妻は言った。「でも法律関係の仕事っていっても、みつけるのは難しい
んじゃないの?」
「いろいろと受験はしている。そろそろ受験票がくるはずだし、それが駄目だったらそのときに
また考える」
「そう?もうみんな受験票来てるわよ」

640 緑:03/06/20 13:27 ID:???
「あのね」とあらたまった口調で妻は言った。「ちょっと思ったんだけど、あなたべつに急いで
司法試験に合格することもないんじゃないかしら」
「どうして?」と僕はまたびっくりして言った。世界中の女が僕をびっくりさせるために電話を
かけてきているみたいだ。「ローだって来年には始まるんだよ。いつまでもぶらぶらしているわ
けにもいかないだろう」
「でも私は10年前に合格しちゃったし、年収も3000万を超えたし、貯金だってあるし、
贅沢したって十分食べていけるでしょう。今みたいにあなたが家にいて家事をやるっていうのは
嫌?そういう生活はあなたとしては面白くない?」
641氏名黙秘:03/06/20 13:40 ID:???
「ところで弁理士受験生は戻ってきた?」
 そう言われて、朝から弁理士受験生のことをすっかり忘れていたことに気づいた。「いや、
まだ戻ってきてない」
「ちょっと他スレを探してみてくれる?いなくなってもう一週間以上になるのよ」
 僕は生返事をして、受話器をまた左手に移しかえた。
「たぶん何か重大な日の前日以外には上がらないスレにいるんじゃないかと思うの。勃起した
裸体の石像のあるスレよ。そこで何回か見かけたことがあるから」
642北方謙三的司法試験:03/06/20 15:13 ID:???
「秋(とき)は待つ。しかし、作ることもやる。ほんとうに待つとは、そういうことだ」
「秋を、作るのですか?」
「私が合格しようとすれば、秋は作れたということだ。それに私には怠惰を破る踏ん切り
も必要だ。私自身の気持ちにすぎぬが」
「わかりました」
「いいな、杜興。明日からだ」
 心の底が、ふるえていた。いままで、こんなふうな感じを味わったことが、李応にはない。
 これが生きているということではないのか。不合格の危険にさらされながら、しかし合格
を求める。命のかぎり生きている。そういうことなのではないか。
「どうされなした?」杜興が言う。
 知らず、李応は笑っていたようだった。
643北方謙三的司法試験:03/06/20 15:21 ID:???
 すべてで、意表を衝かれた。
 根抵当権の条文がからむ民法の問題が、五歩のところまで近づいている。その報告が
入った時、聞煥章が思ったのは、予備校はなにをしている、ということだった。そんな
動きがあるならば、当然、予想していなければならない。
 いやな予感がした。
 その時、管理委員会民法連隊の攻撃が始まった。
644北方謙三的司法試験:03/06/20 15:34 ID:???
 門は閉ざされている。
 試験当日はいつものことで、いろいろと手続きをすると、ようやく開くのだ。
 試験会場内で騒ぎが起きていることは、外からでもよくわかった。
「開門せよ。伊藤塾から援軍を連れてきた。マコツである。司法試験を受けたことのある者
なら、私の顔ぐらい知っていよう。速やかに、開門するのだ」
「聞いておりません」
「聞く、聞かないの問題ではない。受験生の危急を救うために、駈けに駈けてきたのだ。
開門せよ。私は、受験生を民法の難問から救わねばならんのだ。手間を取らせると、
門を壊して侵入するぞ」
 というや、マコツはおのれの硬くなったペニスで、鉄の門扉を打ち払った。
645北方謙三的司法試験:03/06/20 16:26 ID:???
 文章は適当な長さに切った。どうせ採点されるときは、流し読みされるのだ。試験委員は、
ほとんど1通2分のペースで読んでいた。味噌も糞も一緒だった。
 答案用紙が解答で埋まった。ペンにキャップをした。しゃがみこんでいた体を、椅子の上
で伸ばした。
 その時、音が、体に響いた。騎馬隊でも、そばに来たような感じだった。それから、あや
ふやなものの中に、体が放り出されたような感じがあった。足もとの床が、崩れている。
大地震だ。そう思った瞬間、体は宙に投げ出されていた。ここは、建物の四階である。
 落ちるのか。落ちたら、死ぬのか。しかし、まだ死んでいない。そうだ、合格の報を田舎
で待っている妹に届けなければならないのだ。幼い頃に両親を事故で亡くし、兄妹二人だけ
で風雪に耐えてきた。僕が親代わりのように面倒を見てきた。妹は今、肺炎に侵されている。
あんな熱に、いつまでも耐えられるわけはないのだ。妹が死ぬ前に合格の報を届けてやるん
だ。いま、持って帰ってやる。合格を、持って帰ってやる。兄ちゃん、やるだろう。
 思考は、緩慢なのだろうか。合格だ。呟き終わる前に、鄭天寿は地面に叩きつけられた。
646さ ◆kcIlove.mc :03/06/21 01:41 ID:???
街について話す。わたしが通い、学び、そして初めて論文本試験を受けた街である。
さかえ通りの奥にはレック、神田川付近にはセミナー、戸山口には辰巳がある。
最近はマコツも進出してきた。ほんの小さな街だ。
予備校からの帰り、なるべく受験生を思わせる荷物は見えないようにしている。
すれ違う人に軽蔑の目で見られてしまうかもしれないからだ。
受験生人口はおそらく都内最大。この数字は近い将来に、ロー予備校生に取って
替わられるはずだ。その大抵は若くて裕福な家に育ち、素敵な恋人を持ち、将来
の希望に燃えている。
この数字はわたしのいい加減な想像ではなく、マコツのパンフに書いてある、れ
っきとした自然的関連性と法律的関連性を備え、証拠禁止に当たらない証拠によ
って厳格に証明された数字だ。希望というところが、良い。
647氏名黙秘:03/06/21 11:12 ID:???
>>646
その街、都のセイヨクの近くだね。
僕は早大OBじゃないけど、法職2年ほど通ってたし、
自習室も使わせてもらってたから、
あの事件は悲しい。
まあ、語る気にもならない連中だけど・・・。
648土曜日のねじまき鳥:03/06/21 11:52 ID:EBAjbSxy
 台所に行って新聞を読み、それから勉強部屋に入って息子の宅建受験用のテキストを
調べてみたが、テキストに挿んだ煮干は昨日僕がそこに挿んだまま少しも動いていな
かった。やはり真一郎は戻ってきてはいない。僕は真一郎の部屋に立ったまま、初夏
の日差しのさしこむ真一郎の部屋を眺めた。眺めたからといってとくに心がなごむよ
うな部屋ではない。壁には縄で縛られた女性の写真がところ狭しと貼られているだけ
だし、ハンガーには「スーパーフリー」のネームが入ったスタジャンが二つかけられ
ているだけだ。それにだいいち僕はスーパーフリーというサークルがあまり好きでは
ない。
 近所の木立からまるでレイプの被害にあった女性の叫び声のようなヒイイイッとい
う規則的な鳥の声が聞こえた。我々はその鳥を「りんかん鳥」と呼んでいた。クミコ
がそう名づけたのだ。被害者の名前は知らない。事件の真相も知らない。でもそれに
関係なくりんかん鳥は毎日その近所の木立にやってきて、我々の属する静かな世界を
汚した。
649氏名黙秘:03/06/21 12:09 ID:???
>>648
よくできてる、と僕は思った。
だけど、「ヒイイイッ」は正しいのだろうか?
もしかしたら、「イヤー!ヤメ・・・モゴモゴ」ではないだろうか?
650司馬遼太郎的司法試験:03/06/21 13:50 ID:???
 余談である。筆者は以前「燃えよ剣」という小説の中で、明治以前の日本の庶民の
性生活が、現代の我々が想像する以上に奔放であったことを書いたことがある。我々
がイメージしている当時の婦人の性に対する厳しい制約は、実は武家特有の倫理であ
り、庶民の間においては、奔放なセックスが行われていた。
 関西に多かったという「夜這い」も、その一例である。複数の若者が夜這いしてい
た未婚の女性が懐妊すると、おなかの子の指名権は、当の女性にあったようである。
指名された男性は、たとえおなかの子の実親でなくとも、結婚を拒絶することはでき
ないという慣習が確立されていた。民法776条の承認によって嫡出否認権が失われ
ることや、777条が嫡出否認の訴えを1年内に限定していることは、そういった
庶民の慣習が基礎となっているものと思われる。
 であるから、先祖供養などといっても、七代、八代前になると血のつながりはあや
しいものである。
 村の氏神を祭る秋の例祭においては、「燃えよ剣」で書いたように、スーパーフリー
なセックスが行われていた。ここで懐妊した女性にも、父親の指名権が認められていた
ようである。
 しかし、これは年一回の祭りでのことあり、輪姦によって生まれた子は、神が宿して
くれた子として、祝福されたのである。今回の不祥事のように、年中お祭りをしていた
わけではない。今の若者たちは、このあたりの機微を十分理解していないのではないか
と考えるのは、筆者だけであろうか。
651氏名黙秘:03/06/21 15:01 ID:???
 四月のはじめに僕はずっと活動拠点にしていたスーパーフリーを辞めたが、それはとくに
何か理由があってのことではなかった。イベントの内容が気に入らなかったというのでもな
い。とくに心躍る内容のイベントとはいえないにしても集まってくる女の子は悪くなかった
し、スタッフの雰囲気だって友好的だった。
 そのサークルにおける僕の役割はひとくちでいえば専門的昏睡師だった。でも僕は僕なり
によく働いたと思う。自分で言うのも変かもしれないが、そういった実際的な職務の遂行に
限っていえば僕はかなり有能な人間だった。女の子を酔わせるのは速いし、階段の踊り場に
連れて行く行動はてきぱきしているし、文句は言わないし、現実的なものの考え方をする。
だから僕がスーフリを辞めたいと言いだしたとき和田さんは、一番はじめに撃たせてやって
もいいんだがと言ってくれたくらいだった。
652氏名黙秘:03/06/21 16:12 ID:???
 でも僕は結局スーフリを辞めた。辞めて何をするというはっきりした希望や展望があった
わけではない。もう一度家にこもって宅建の勉強を始めるといのはどう考えても億劫だった
し、それにだいいち、いまとなってはとくに宅建主任になりたいわけでもない。ただ僕は
これから先ずっとスーフリにいて、ずっと輪姦を続けていくつもりはなかったし、もし辞め
るなら今しかないだろうと思ったのだ。それ以上長くいたら、僕の人生はたぶんそこで
ずるずると終わってしまうことになる。なにしろ僕はもう二十八になったのだ。
 夕食のときに「スーフリを辞めようと思うんだけど」と切りだしたとき、「そうね」と
クミコは言った。その「そうね」というのがどういう意味なのか僕にはよくわからなかったが、
それっきり彼女はしばらく黙っていた。
 僕も同じように黙っていると、「辞めたいのなら辞めればいいじゃない」と彼女は言った。
「辞める前に、お世話になった居酒屋のトイレの掃除くらいしなさいね」。そしてそれだけ
言ってしまうとあとは21周年記念パーティのチケットをとりわける作業にかかった。
653氏名黙秘:03/06/21 16:31 ID:???
 買い物から帰ってきて冷蔵庫に食料品を詰めこんでいるときに電話のベルが鳴った。ベルは
ひどく苛立って鳴っているように僕には聞こえた。プラスティックのパックを半分だけひきは
がした豆腐をテーブルの上に置いて居間に行き、受話器をとった。
「21周年記念パーティーのチケットはもうないかしら?」と例の女が言った。
「まだあるよ」と僕は言った。「でも僕はもうスーフリ辞めたんだ」
「でも最後に21周年パーティーだけは出るんでしょ?あたし前回は誰にも撃ってもらえな
かったのよ」
 どうしてかはわからないけれど、その電話を切ってしまうことができなかった。その女の
声には何かしら僕の注意を引くものがあった。「そうだな、まあ次のパーティーだけなら」
と僕は言った。
「じゃあ私たちわかりあえるわね?」と女は静かに言った。彼女が電話の向こうで椅子に
ゆったりと座りなおし、脚を組んだような雰囲気が感じられた。
「それはどうかな」と僕は言った。「なにしろ君は和田さん好みだからね」
654氏名黙秘:03/06/21 16:49 ID:???
「21年というのはあなたが考えているよりも長いかもしれないわよ」
「君は本当にスーフリのことを知っているの?」と僕は訊いてみた。
「もちろんよ。何度も行ったわ」
「いつ、どこで?」
「いつか、どこかでよ」と女は言った。「そんなことここでいちいちあなたに説明していたら
とても十分じゃ足りないわ。大事なのは次のパーティーよ。そうでしょ?」
「でも何か証拠を見せてくれないかな。君がスーフリのこと知ってるって証拠を」
「たとえば?」
「和田さんの年は?」
「二十八」と女は即座に答えた。「中杉卒。仮面浪人1年の後、早稲田政経を8年のときに
除籍、現在二文の2年。それでいいかしら?」

・・・事件の詳細がもう少し明らかになればドキュメントしようと思っていたのですが、
   残念ながら目ぼしい情報がありませんでした。本日はこれまで。
655謙三:03/06/21 18:09 ID:???
 僕は黙りこんだ。たしかにこの問題を僕を知っている。しかしどれだけ考えてみても、
出題意図を捉えられなかった。「じゃあ早速小問(1)を書いてみて」、問題は誘いかける
ように言った。「条文から推論するのよ。私がどんな問題かってね。論点はいくつくらいで、
どこでどんなヒネリが入っているか、そんなこと」
「わからない」と僕は言った。
「考えてごらんなさい」
 僕は時計に目をやった。まだ一分と五秒しか経っていない。「わからない」と
僕は繰り返した。
「じゃあ教えてあげるわ」と問題は言った。「事例は、答練でおなじみのものよ。
みんなが予想していたあの判例とよく似てるの。でも条文にあてはめてみて、さっき
シャワーを浴びたばかりで何かがついてないの」
656謙三:03/06/22 13:45 ID:???
「内田説の方がいいかしら?それとも判例の方がいい?その方が書きやすい?」
「なんだってかまわないよ。君の好きにすればいい。内田説で書きたければ書けばいい。
判例の方がいいのならそれでいい。でも悪いけど僕には、受験生どうしでそういう話を
する趣味はないんだ。僕にはやらなくちゃならないこともあるし――」
「十行でいいのよ。十行内田説のために使ったからってべつにあなたの受験の致命的な
損失ってわけじゃないでしょ?とにかく私の質問に答えてよ。悪意者排除説がいい?
それとも判例の方がいい?私、いろんな論証カード持ってるのよ。黒いメガネの
井上英治とか」
657氏名黙秘:03/06/22 14:55 ID:???
「そのままでいいよ」と真一郎は言った。
「子持ししゃものままがいいのね?」
「そう、子持ししゃものままでいい」と真一郎は言った。これで四人めだ。
「警察が被害届出せって言うのよ」。女は言った。「よくタオルで拭かなかったの。だから
警察に保護されたとき濡れていたの。あたたかくてしっとりと湿ってたの。隠せなかったの
よ、いったい何があったって、その警官が訊いたとき」
「ねえ、悪いけど――」
「その下の方に流れ出てたのよ。まるであたためたバター・クリームみたいにね。すごく流
れ出てたの。本当よ」
658謙三:03/06/22 18:04 ID:???
 二行少し前に論点ブロックを書き終えてあてはめに下りた。あてはめとは言っても、
それは本来的な意味でのあてはめではない。正直なところ、それは何とも呼びようのない
代物なのだ。正確に言えば解答ですらない。解答というのは入口と出口があって、そこを
辿っていけば然るべき場所に行きつけるあてはめのことだ。しかし僕の書いたあてはめ
には入口も出口もなく、両端は行き止まりになっている。それは袋小路でさえない。少な
くとも袋小路には入口というものがあるからだ。
 僕はその文章をただ便宜的にあてはめと呼んでいるだけの話なのだ。僕のあてはめは
論点のあいだを縫うようにして約20行ばかりつづいていた。文体は春樹風というところ
だが、不純物がせりだしていたり、いろんなものがあてはめに置かれていたりするせいで、
試験委員は顔を横に向けないことには通り抜けられないところも何ヶ所かある。
659謙三:03/06/23 14:47 ID:B8mu2dcr
 話によれば――その話をしてくれたのは僕にとびっきり安い値段で我妻講義を譲って
くれた僕の叔父だった――予備校の自習室にもかつては入口と出口があり、大学と研修所
を結ぶ近道としての機能を果たしていた。しかし平成不況になってかつて就職先であった
大企業にリストラの嵐が吹き荒れるようになってからは、それに押されるような恰好で
受験生の数もぐっと増え、若くて優秀な受験生たちも自分の席の近くをベテが行き来する
のを好ましく思わなかったので、予備校の自習室はそれとなく入口を塞がれるようになった。
 はじめのうちはただ穏かな貼り紙のようなもので「ベテお断り」とされているだけだった
が、一つの予備校がブロック塀で自習室の入口を完全に塞いでしまい、それに呼応するように
他の予備校もしっかりとした鉄条網でベテが通れないようにブロックしてしまった。若者たち
はもともとその自習室をあまり利用していなかったから、入口を塞がれたところで文句を言わ
なかったし、防犯のためにはその方が好都合だった。たから今では予備校の自習室はまるで
逮捕されたスーフリのように利用するものもなく、教室と教室を隔てる緩衝地帯のような役割
を果たしているだけである。床にはゴキブリが這い、いたるところに蜘蛛がねばねばとした巣
をはっている。
660ヴェテと呼ばれる中年:03/06/23 15:04 ID:???
30歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を追い出され、新宿駅の片隅で暮らすようになった。
661氏名黙秘:03/06/23 15:50 ID:???
 あたりの受験生は古くから受けているものと、新しく受けたものとに、はっきりと
分かれていた。新しい受験生は概して顔が小さく、額も狭かった。髪が肩まで伸びて
いて、いつも携帯でメールを打ち込んでいるので、廊下でぶつからないように進まね
ばならないこともあった。携帯からゲームの音がくっきりと聞こえてくることもあり、
キャンパス・ライフの香りが漂ってくることもあった。
 それに比べると古くから受けている連中の方からはキャンパス・ライフの匂いは
ほとんど感じられなかった。ぼろぼろのテキストには検索用の付箋紙や書き込みが
効果的に配され、そのすきまからは手入れのいきとどいた知識が広がっているのが
見えた。
 一人のベテの頭には茶色く枯れてしまった頭髪がぽつんと生えていた。他のベテ
のノートにはまるで何人もの人間の学生時代の名残りを集めてぶちまけたみたいに、
学者の遊び道具が並んでいた。大塚=福田の基礎知識や中山の大塚刑法学の検討や
法セミをコピーした平野の各論なんかだ。井上英治の刑法総論論証100選が貼り
付けられたページもあったし、立派な箱入の団藤綱要から抜書きしたものもあった。
662麻布警察:03/06/23 19:01 ID:???
 こぢんまりとしたキャンパスには、たしかに翼を広げた大隈重信をかたどった銅像が
置かれていた。銅像は人の胸くらいの高さの台座に載っていたが、そのまわにはスーフリ
のイベントで見かけた女子大生が纏わり、とりわけ背の高いガングロオンナはパイナップル
の葉っぱのようなヘアの先端を大隈の足もとにまで届かせていた。
 大隈は――それがどんな種類の偉人であるのかは僕にもわからなかったけれど――こんな
不愉快な場所からは少しでも早く飛び立とうと翼を広げているみたいに見えた。
663氏名黙秘:03/06/23 22:39 ID:otxRhtlJ
俺司法関係ない。俺小説家。
664氏名黙秘:03/06/24 10:49 ID:???
>>663
すみません、北方さん。
665 緑:03/06/24 11:03 ID:???
 ポケットから完択を取り出し、ページを破って口の中に入れた。択一を落ちたのを機会に
論文答練をやめたのだが、そのかわり完択を手元から離せなくなっていた。「完択中毒」と
妻は言った、「今に( )だらけになるわよ」。でも僕は完択の覚えたページを食べないわ
けにはいかなかった。
666 緑:03/06/24 11:15 ID:???
 振りむくと、向かいの家の裏庭にマコツが立っていた。大柄で、髪は七三にしている。
飴色の縁の濃いサングラスをかけ、袖のないライト兄弟のTシャツを着ている。そこから
つきだした太い腕は、まだ梅雨もあけていないというのに、むらなく綺麗に日焼けしていた。
 彼は片手をズボンのポケットにつっこみ、もう一方の手を腰までの高さの竹の開き戸の
上に置いて不安定に体を支えていた。彼と僕のあいだには一メートルくらいの距離しか
なかった。
「択一落ちてから、小説家になったの?」とマコツが僕に訊いた。
「小説は4ページじゃ足りないからね」と僕は言った。
667さ ◆kcIlove.mc :03/06/25 06:26 ID:???
おはよう、とわたしは言った。
その声は深く暗い井戸に吸い込まれていった。
668 メイ:03/06/25 11:01 ID:vYqAUFW8
「おはよう」と『さ』が僕に言った。
「おはよう」と僕も言った。
 それだけの言葉を交わすと、彼女はそのままの恰好でしばらく僕を見ていた。それから
ショートパンツのポケットから花火の袋を出して一本抜きとり、口にくわえた。口は小さく、
上唇がほんの少し上にめくれあがっている。そして慣れた手つきで紙マッチを擦って、花火
に火をつけた。
『さ』はマッチを地面に捨て、顔を空に向けて打ち上げ花火を打ち上げた。
669 メイ:03/06/25 11:14 ID:???
「辰巳の人?」と娘が訊いた。
「そう」と答えて、自分の予備校のある方向を指さそうとしたが、それが正確にどちらの
方向に位置しているのかわからなくなっていた。奇妙な角度に折れまがった曲り角を
いくつも通り抜けてきたせいだ。それで僕は適当な方角を指さしてごまかした。
「講師を探してるんだ」と汗ばんだ手のひらをズボンでこすりながら言い訳するみたいに
言った。
「一週間ばかり前から講義をすっぽかしているんだけど、このへんでみかけた人がいるんだよ」
「どんな講師?」
「大柄な雄だよ。岡山弁で、へその先が少し曲がって折れてる」
670氏名黙秘:03/06/25 11:25 ID:???
「蚊を探してるんだ」と蚊にさされた手のひらをズボンでこすりながら言い訳するみたいに
言った。「一時間ばかり前に僕の手のひらを刺して逃げたんだけど、このへんでみかけた人
がいるんだよ」
「どんな蚊?」
「ちゃらんぽらんだよ。茶色の縞で、ペニスの先が少し曲がって折れてる」
「名前は?」
「ジュンイチロウ」と僕は答えた。「コバヤシ・ジュンイチロウ」
「蚊にしちゃずいぶん立派な名前ね」
「スーフリのHPで見つけたんだ。感じが似てるんで冗談でつけたんだよ」
「どんな風に似てるの?」
「なんとなく似てるんだ。撃ち方とか、どろんとした目つきとかがね」
671ジュンイチロウ:03/06/25 13:21 ID:???
>>670 は、「ねじまき鳥」を全巻パロディにするつもりなのだろうか。
あと2年は受験を継続しなければ、すべてをパロディにするのは無理ではないか、
と僕は思った。
672氏名黙秘:03/06/25 20:19 ID:???
 刑事ははじめてにっこりと笑った。表情が崩れると、彼は最初の印象よりずっと中年っぽく
見えた。四十六か四十七というところだろう。わずかに禿げ上がった額が不思議な角度に宙に
つきだしていた。
 撃って、という声が聞こえたような気がした。それはあの階段の躍り場でレイプした女の声
だった。敏行は手の甲で額の汗を拭った。
「茶色の髪の毛で、マンコの奥が少し折れ曲がっているんだな」と刑事は確認するようにくり
かえした。「乳首とかそうゆうのは?」
「黒いのがついている」と敏行は言った。
 刑事は片手を机の上に置いたまま、十秒か十五秒くらい考えこんでいた。それから短くなった
煙草を足もとに落として、サンダルの底で踏んだ。
「そのガイシャなら被害届を出しているかもしれない」と刑事は言った。「マンコの奥の曲がり
方まではわからないけど、茶髪の女子大生で、たぶん乳首は黒かった」
「被害届が出たのはいつごろ?」
「さあ、いつごろかな?いずれにしてもこの三、四日のことだな。うちの署は近所のヤリマンの
とおり道になっていて、いろんなヤリマンがしょっちゅう行き来してるからな。みんな小林の家
からうちの署を横切って、あの和田さんの庭に入っていくんだ」
673さ ◆kcIlove.mc :03/06/26 22:46 ID:???
かつて誰もがあっさり答案を書きたいと考える時代があった。
何度目かの直前答練のあと、わたしは頭に浮かんだことの半分しか書くまいと決意した。
理由は忘れたがその思い付きを、わたしは何年かにわたって実行した。
そしてある日、わたしは頭に浮かぶべきことの半分しか浮かばない人間になっていることに
気がついた。
674氏名黙秘:03/06/27 10:28 ID:???
>>673
バカうけ
675謙三:03/06/27 10:57 ID:???
「ねえ、どうかしら、うちのスタンダード100で書いてみれば。どうせ若者はうちを通って
研修所に行くんだし、それに平野説あたりをうろうろしてるとベテだと思われて法務省に通報
されちゃうわよ。これまでに何度もそういうのあったんだから」
 僕は迷った。
「いいのよ。うちには模範答案集くさるほどあるし、二人で庭で日光浴しながら答案集をぼん
やりと眺めていれば、そのうちズバリの一つくらいは出るわよ」
 僕は腕時計を見た。二時三十六分だった。今日いちにち僕に残された仕事といえば、日が
暮れるまでに憲法のサブノートを読んで夕食を食べることだけだった。
676さ ◆kcIlove.mc :03/06/27 22:04 ID:???
わたしは時折嘘を書く。
最後に嘘を書いたのは論予民訴第1回第1問のことだ。
嘘を書くのはひどく嫌なことだ。嘘と論点落としは司法試験の論文試験で不合格確定の2大要素だと言ってもよい。
実際わたしはよく嘘を書き、しょっちゅう論点を落としてしまう。
しかし、もしわたしがいつでも真実を書き、それも必要な論点を落とさずに書くとしたら、論文合格者になってしまうかもしれない。
677 緑:03/06/28 10:57 ID:???
>>676
悪くない。絶好調だね。
678氏名黙秘:03/06/28 20:49 ID:???
「何故司法浪人が嫌いだと思う?」
その夜,鼠はそう続けた。そこまで話が進んだのは初めてだった。
わからない,といった風に僕は首を振った。
「はっきり言ってね,司法浪人なんて何も考えてないからさ。P&Cと
デバイスが無きゃ自分の尻も掻けやしない。」
はっきり言って,というのが鼠の口癖だった。
「そう?」
「うん。奴らは大事なことは何も考えない。考えてるふりをしてるだけさ。
 ・・・何故だと思う?」
「さあね?」
「必要がないからさ。もちろん大学の一般教養を履修するためには少しばかり頭が
 いるけどね,司法浪人であり続けるためには何も要らない。人工衛星にガソリンが
 要らないのと同じさ,グルグルと同じところを回ってりゃいいんだよ。でもね,俺は
 そうじゃないし,あんただって違う。合格するには考え続けなくちゃならない。
 学院長のことから,シヴァタのことまでね。そうだろ?」
「ああ。」と僕は言った。
「そういうことさ。」
 鼠はしゃべりたいことだけをしゃべってしまうと,ポケットから肢別本を取り出し
つまらなそうに読み始めた。鼠がいったいどこまで真剣なのか,僕にはうまく
掴めなかった。
「でも結局はほとんどが諦める。」僕は試しにそう言ってみた。
「そりゃそうさ。ほとんど全員がいつか去っていく。でもね,それまでに10年近く
 かかる奴もいるし,いろんなことを考えながら10年近く司法浪人をやるのは,
 はっきり言って前に座った女受験生の透けたブラジャーだけを楽しみに五千回
 択一を受けるのよりずっと疲れる。そうだろ?」
 そのとおりだった。
679謙三:03/06/29 14:44 ID:???
>>678
これはレベル高い。長いパロはすみずみにまで神経を配らなければならない。ほんの
一部分でも手を抜くと全体が駄目になるから、作者はけっこう苦労する。ちょうど
平成11年の択一刑法みたいにきつい。でも、この作品はすみずみまでよく出来ている。
絶賛!
680 緑:03/06/29 15:03 ID:???
「その年の憲法の問題を今でもよく覚えてるのよ。私は汗を流して答案を書いているの。
石垣のようになった問題の壁が見えて、その先にくっきりとした典型論点が続いている。
そして私はどんどん、どんどん流されていく。何がどうなっているのか、私にはわから
ない。でもそのうちに、その先に論点違いの暗闇があるんだっていうことが、突然私に
わかるの。そしてそれは本当にあるの。やがてその暗闇が近づいてきて、私を飲み込もう
とする。ひやっとした影の感触が今まさに私を包もうとする。でもそのとき答案用紙は
残り1頁しかなくて、時間は残り5分しかないの。それが私にとっての論文試験の
いちばん最初の記憶」
681キズキ:03/06/29 17:37 ID:???
 司法制度改革審議会の委員たちは東大ベテである私を馬の鞍にしかっりと縛りつけ、
隊列を組んで北に向けて出発しました。私のすぐ前にいた委員は小さな低い声で、
単調なメロディーの軍歌を歌っておりました。それ以外に聞こえるものといえば、
馬の蹄が砂をさくっさくっとはね上げる乾いた音だけでした。彼らが私をどこに連れて
いこうとしているのか、そして自分がこれからいったいどんな目にあわされるのか、
私には見当もつきませんでした。
 私にわかっていることは、私という人間が彼らにとっては何の価値もない余計な存在
であるという事実だけでした。私はあの中年の大学教授が言ったことを何度も頭の中
で繰り返してみました。
 彼は私を殺さないと言いました。殺しはしない――しかし生き延びるチャンスはほと
んどないだろう、と言ったのです。それが具体的にどのようなことを意味するのか、私
にはわかりませんでした。彼の言ったことはあまりにも漠然としていました。あるいは
それは、何かおぞましい趣向を盛り込んだゲームのような適性試験を私に解かせようと
いうことなのかもしれません。あっさりと殺してしまうのではなく、ゆっくりとその趣向
を楽しもうという魂胆かもしれません。
682さ ◆kcIlove.mc :03/06/29 21:03 ID:???
本試験目前に盛り上がってきますたね('-'*)
本試験まであと少し、パロも気合も続きますように・・・。
683北方謙三的司法試験:03/06/30 11:13 ID:cCBz6/25
「ポイントはひとつ、と言ったはずだ。見抜いて書いてきた場合、見抜いて書いてこなかった
場合。考えなければならぬことは、多岐に亘る。迷いも生じる。迷えば決断が遅れ、それが
命取りになる場合もある」
「その場の決断も、法律学の素質ですか」
「いいか、阮小五。司法試験で勝つのと負けるのでは、大きな差がある。大きすぎる差だ。しかし
受験生の資質を較べれば、小さな差しかない。ほとんど紙一重と言ってよいであろう。あるいは
差がなく、運のあるなしが勝敗を左右する。だから、資質で勝つ、資質で負けるということは、
あまり考えない方がいい。ただ、人の力でなし得ることはあるぞ」
「それは?」
「決断の速さだ。決めるだけなら、誰でもできるが、自分がこれと思った通りに決断して解答
する、後になっても悔いることがない、というふうになれば、相手を凌げる」
「日々の訓練ですか?」
「さあな。それは人によるであろう」
 敵の先鋒が徒歩で20日の距離、という報告が入った。
 秦明は、本陣に掲げてある「やればできる」の旗に眼をやった。
6841973年の受験生:03/06/30 12:24 ID:???
 受験科目でない法律の話を聞くのが病的に好きだった。
 一時期、十年も昔のことだが、手あたり次第にまわりの受験生をつかまえては
国際私法や労働法の話を聞いてまわったことがある。自分の選択していない科目
の話を進んで訊くというタイプの受験生が極端に不足していた時代であったらし
く、誰も彼もが親切にそして熱心に語ってくれた。見ず知らずの受験生が何処か
で僕の噂を聞きつけ、わざわざ話しにやって来たりもした。
 彼らはまるで枯れた井戸に石でも放り込むように僕に向って実に様々な法律を
語り、そして語り終えると一様に満足して帰っていった。あるものは気持良さそ
うに破産管財人の権限をしゃべり、あるものは腹を立てながら労組法1条2項を
しゃべった。実に要領良くしゃべってくれるものもいれば、始から終りまでさっ
ぱりわけのわからぬといった話もあった。退屈な話があり、涙を誘うもの哀しい
話があり、冗談半分の出鱈目があった。それでも僕は能力の許す限り真剣に、彼
らの話に耳を傾けた。
685加納クレタ:03/06/30 13:17 ID:???
「しかし私にとって生き延びるということはとりもなおさず、司法試験に合格することを
意味しました。受験回数は全部で10回を越えていました。そんなわけで、私はローの
入学金を稼ぐために娼婦になりました」
「娼婦になった?」、と僕はびっくりして言った。
「そうです」と何でもなさそうに加納クレタは言った。「お金が短期間に必要だったのです。
司法試験になるべく早く合格してしまいたかったし、そうする以外に私が有効にお金を稼ぐ
手段はありませんでした。そこには躊躇というようなものはまったくありませんでした。
私は真剣に合格しようと思ったのです。そして遅かれ早かれ、ローに行くことになるだろう
と思っていました。その時だって、痛みのない合格に対する好奇心が、一時的に私を動かし
ているだけのことだったのです。合格にくらべれば、肉体を売るなんて、そんな大したこと
ではありません」
「なるほど」
 加納クレタは氷が溶けてしまったオレンジ・ジュースをストローでかきまわしてから、
少し飲んだ。
「ひとつ質問していいですか?」と僕は訊いてみた。
「もちろんです。どうぞおっしゃってください」
「あなたはそのことについてお姉さんには相談しなかったのですか?」
「マルタはそのころずっと辰巳で修行しておりました。姉は修行中は他人の話には絶対に
耳を傾けませんでした。修行の邪魔になるからです。集中が妨げられるからです。ですから
辰巳にいるあいだの三年間、私は姉に適性試験を受けようって言えなかったんです」
6861973年の受験生:03/06/30 17:19 ID:???
 理由こそわからなかったけれど、誰もが誰かに対して、あるいはまた司法試験管理委員会
に対して何かを懸命に伝えたがっていた。それは僕に、段ボール箱にぎっしりと詰め込まれ
た猿の群れを思わせた。僕はそういった猿たちを一匹ずつ箱から取り出しては丁寧のほこり
を払い、尻をパンと叩いて一般社会に放してやった。彼らのその後の行方はわからない。
きっと何処かで司法試験をあきらめて就職してしまったのだろう。結局はそういう運命で
あったのだ。
 それはまったくのところ、労多くして得るところの少ない作業であった。今にして思うに、
もしその年に「他人の法選科目の話を熱心に聞くWセシ・コンクール」が開かれていたら、
僕は文句なしにチャンピオンに選ばれていたことだろう。そして賞品にガイダンステープ
くらいはもらえたかもしれない。
687加納マルタ:03/06/30 17:40 ID:???
「失礼ですが、どのような御職業なのでしょうか?」と僕は訊いてみた。
 加納マルタは首を振った。「正確に言えば職業ではありません。それにお金を頂いている
わけではありませんから。ご相談を受けて、自然食菜についてみなさんとお話ししあうのが、
私の役目です。合格に有効な水の研究もしています。今おすすめしているのはLifely
の天然水『天の川』。成川学院長が合格祈願したことから「合格の水」といわれる受験生の
強い味方、奈良県大峯山神泉洞の天然水ですわ。それに、『満点黒飴』『元気モッチー』
有名な『シャープ3兄弟』・・・」
 僕は頷いた。でもそれはただ頷いただけだった。彼女の口にする言葉のひとつひとつの
意味は理解できた。でもそれが合格とどう結びつくのか、僕にはわけがわからなかった。
688謙三:03/07/01 12:20 ID:???
 予備校の2年合格コースとヒットラーの歩みはある共通点を有している。彼らの双方がある種の
いかがわしさと共に時代の泡としてこの世に生じ、そしてその存在自体よりは進化のスピードに
よって神話的オーラを獲得したという点で。進化はもちろん三つの車輪、すなわちテクノロジーと
資本投下、それに受験生の根源的欲望によって支えられていた。
 予備校は恐るべきスピードでこの寺子屋にも似た素朴な二年合格コースに様々な付加価値を与え
つづけた。あるものは「ビデオブースあれ!」と叫び、あるものは「生協割引あれ!」と叫び、
あるものは「再入学返金制度あれ!」と叫んだ。そしてビデオブースでは受講生がヘッドフォンで
昨日の講義を聴き、地方のベテは生協割引の特典にあやかれないことを嘆き、再入学返金制度は
受講生の出席率を低下させた。
 コンピュータが受講生の択一の成績を合格推定に換算し、長い受験生活に対しては特訓ゼミが
応えた。次に「若くて優秀」という形而上学的概念が誕生し、フレッシュ答案、エクストラ答案、
択一落ちリプレイという様々な答案がそこから生まれた。そしてローが開校される実にこの時期
において、二年合格コースはある種の呪術性をさえ帯びるようになった。
689ノボル:03/07/01 14:15 ID:???
 でも僕は若者の答案を読むのも、その姿を予備校で見るのも嫌だった。若者にはたしかに
才気があり、才能があった。それは僕も認める。彼らは短い言葉で、短い時間の間に問題を
有効に叩きのめすことができた。風向きを瞬時にして見定める動物的な勘も持っていた。
しかし注意して彼らの書いた答案を読むと、そこには一貫性というものが欠けていることが
よくわかった。若者は深い信念に裏づけされた世界観というものを持たなかった。それは
一面的な思考システムを複合的に組合わせて作り上げられた答案だった。彼らはその組み合わせ
を必要に応じていかようにも瞬時に組み換えることができた。それは巧妙な合格答案的順列
組み合わせだった。芸術的といってもいいくらいだった。
 でも僕にいわせればそんなものはただのゲームだった。もし若者の答案に一貫性のようなもの
があるとすれば、それは「若者の答案には常に一貫性がない」という一貫性だけだったし、もし
若者に世界観というものがあるとすれば、それは「自分には世界観の持ち合わせがなく、短期
合格して自分専用のオメコを持ちたい」という世界観だった。
690氏名黙秘:03/07/02 12:58 ID:sLvaO5Zf
 僕が話した相手の中には土星生まれと金星生まれが一人ずついた。彼らの話はとても印象的
だった。まずは土星の話。
「あそこは、・・・・・・ひどく寒い。」と彼は呻くように言った。「考えるだけで、き、気がおか
しくなる。」
 彼は解散したあるイベント・サークルに所属し、そのメンバーの何人かは留置場に勾留され
ていた。
「性欲が行動を決定する。逆は不可。」というのが彼らのモットーだった。何が性欲を抑制する
のかについては誰も教えてはくれなかった。
691クミコ:03/07/02 15:06 ID:???
 僕の妻と綿谷ノボルは兄妹とは言っても、年齢が九歳も離れていた。それに二人同じく
司法試験を受けていた頃、何年か早くクミコが合格して研修所で修習したせいもあって、
二人のあいだには兄妹の親しさのようなものはあまり見受けられなかった。
692氏名黙秘:03/07/02 15:25 ID:???
ノボルは優秀じゃないのかよ!?
693AV男優的司法試験:03/07/02 15:39 ID:???
「つまりさ、合格というものはそれに何年もの歳月をかけたり、研究したりするものじゃ
なくて、ごく普通の勉強から自然にわき出てくるものじゃないんだろうかってさ。だから
僕はAV男優を選んだんだ。もちろん司法試験にも興味はちゃんとあったんだけどね」
「でも今ではローへ行くお金がなくて司法試験に興味が持てなくなってしまったのね?」
 僕はそらちゃんのTシャツを脱がして豊かな乳房をまさぐった。「不思議なんだ。Wセ
シに通学していた頃は、それでも結構楽しく勉強をしていたんだ。司法試験というのは効
率よく資料を集めて、パズルを組み立てていくようなものなんだ。そこには戦略があり、
コツがあるんだ。だから真剣にやると結構楽しいものなんだよ。でも一度そういう世界
から遠ざかってしまうと、僕はもうそこに何の魅力も感じなくなってしまったんだ」
「ねえ」、そらちゃんはパンティを脱ぎ、僕に跨ってそう言った。「もし司法試験が嫌に
なったんなら、司法板なんてこなければいいじゃない。春樹スレのことだってあっさり
忘れてしまえばいいじゃない。あわててパロ作ることもないんだから、もしイメージが
持てないのなら、イメージが湧いてくるまで待ちなさいよ。最近少し早アゲしすぎよ」
 僕は頷いた。「いちおう君に説明しておきたかっただけなんだ。僕がどういう風に考え
ているかということを」
「Ah−−−」と彼女は言った。
694クミコ:03/07/02 16:32 ID:???
 クミコがその家庭の中で屈折した複雑な少女時代を送ったとすれば、綿谷ノボルは別の意味
で不自然に歪んだ受験時代を送った。彼の両親はそのひとり息子を溺愛したが、ただ可愛がる
というだけではなく、同時にきわめて多くのものを彼に要求した。父親は日本という社会の中
でまっとうな生活を送るためには少しでも早く司法試験に合格して、一人でも多くの人間を押
しのけていくしかないという信念の持ち主だった。本当に真剣にそう信じていたのだ。
 そのようにして両親は論文合格13回の綿谷ノボルの頭の中に彼らの問題に満ちた哲学や、
いびつな世界観を徹底的にたたき込んだ。彼らの関心は連続13回口述不合格である綿谷ノボル
一人の上に集中した。両親は綿谷ノボルが誰かの背後に甘んじることを決して許さなかった。
ローラーやら論文講座といった狭い場所で一番を取れないような受験生が、どうして本試験で
一番を取れるのだ、と父親は言った。両親はいつも最高の講座を受講させ、息子の尻を叩きつ
づけた。優秀な成績を取れば、彼らはその褒美として息子が望むものを何でも買って与えた。
おかげで彼は物質的にはきわめて恵まれた受験時代を送った。しかし人生における最も多情で
やりたい時期に、彼はガールフレンドを作る暇もなく、友だちと羽目を外して遊ぶ余裕もな
かった。
695クミコ:03/07/02 16:33 ID:???
 一番でありつづけるために、その目的だけのために、あらゆる力を傾注しなくてはならな
かったのだ。そのような受験生活を綿谷ノボルが好んでいたのかどうか、僕にはわからない
し、クミコにもわからない。綿谷ノボルは彼女に対しても、両親に対しても、また他の誰に
対しても、自分の気持ちを正直に打ち明けたりする人間ではなかった。でもそんな受験生活
を好んでいたにせよいなかったにせよ、どのみち選択の余地はなかっただろう。僕は思うの
だけれど、ある種の思考のシステムは、その一面性、単純性のゆえに反駁不可能なものにな
ってしまうのだ。いずれにせよそのようにして彼は論文試験に13回合格し、口述試験に
13回不合格となり、そして九歳年下の妹のクミコに先を越された。
696クミコ:03/07/02 17:11 ID:???
 今から三年前、三十四歳の年に彼は一冊の分厚い本を書き上げて早稲田経○出版から発表
した。それは呪術的な論証集で、僕も手に取って読んでみたのだが、正直に言ってさっぱり
理解できなかったといってもいい。読み進もうにも、文章そのものが読解できなかったのだ。
そこに書かれている内容そのものが難解なのか、あるいはただ単に文章が悪文なのか、それ
すら判断できなかった。しかしその本は予備校関係者のあいだではけっこう話題になった。
何人かの著名な講師がその本を「まったく新しい観点から書かれたまったく新しい種類の受験
参考書」として絶賛し、批評を書いたが、それらの批評の言わんとすることすら僕には理解
できなかった。
 しかしやがて受験界は少しずつ彼を新しい時代のヒーローとして紹介し始めた。彼のその本
を解釈する本まで何冊か現われた。彼が本の中で使った「性的答案と排出的答案」という言葉
は2ちゃんでスレタイにまでなった。ハイローヤーやアーティクルが、彼のことをロースクール
時代のインタレクチュアルの一人として取り上げ、特集した。綿谷ノボルの書いた論証集の内
容が彼らに理解されているとは、僕にはとても思えなかった。彼らが一度でもその本を開いた
ことがあるかどうかすら疑問だった。でも彼らにはそんなことはどうでもよかったのだ。彼ら
にとって綿谷ノボルは論文本試験における合格答案を13年間書きつづけた受験生であり、
わけのわからない難解な論証を書けるくらい頭脳明晰だった。
697クミコ:03/07/02 17:36 ID:???
 彼には何も守るべきものがなかった。だから純粋な問題攻略に全神経を集中することが
できた。彼はただ攻めればよかったのだ。ただ問題を叩きのめせばよかったのだ。綿谷ノ
ボルはそういう意味では知的なカメレオンだった。問題の色によって、自分の色を変え、
その場その場で有効なロジックを作りだし、そのためにありとあらゆるレトリックを動員
した。レトリックの多くは基本的にはどこかからの借り物であり、ある場合にはあきらか
にシケタイだった。しかし彼は毎年まるで手品師のように素早く手際よくそれをさっと空
中から取り出してきたので、その空虚さを試験委員が指摘することはほとんど不可能に近
かった。それにもし仮に試験委員がその彼のロジックのインチキさにたまたま気づいたと
しても、それは他の多くの受験生が述べる通説に比べれば(それらはたしかに正直ではあ
るかもしれないが、論旨の展開に手間がかかったし、多くの場合試験委員に凡庸な印象し
か与えなかった)はるかに新鮮だったし、ずっと強く試験委員の注意を引いた。いったい
どこの予備校でそんな技術を身につけたのか僕には見当もつかないのだが、彼は試験委員
の感情を直接的にアジテートするこつを身につけていた。大多数の試験委員がどのような
ロジックで動くものかを実によく心得ていた。それは正確なロジックである必要はなかっ
た。それはロジックに見えればそれでいいのだ。大事なことは、それが試験委員の感情を
喚起するかどうかなのだ。
698謙三:03/07/02 18:11 ID:S/8ts2uh
 司法浪人研究書「丙案崩れ」の序文はこのように語っている。
「あなたが浪人生活から得るものは殆んど何もない。無残に打ち砕かれたプライドだけだ。
失なうものは実にいっぱいある。歴代総理大臣の銅像が全部建てられるくらいの銅貨と
(もっともあなたに東条英機の銅像を建てる気があればのことだが)、取り返すことので
きぬ貴重な時間だ。
 あなたが予備校の自習室で孤独な消耗をつづけているあいだに、あるものはプルーストを
読みつづけているかもしれない。またあるものはドライブ・イン・シアターでガール・フ
レンドと『勇気ある追跡』を眺めながらヘビー・ペッティングに励んでいるかもしれない。
そして彼らは時代を洞察する作家となり、あるいは幸せな夫婦となるかもしれない。
 しかし司法浪人はあなたを何処にも連れて行きはしない。リプレイ(再受験)のランプ
を灯すだけだ。リプレイ、リプレイ、リプレイ・・・・・・、まるで受験生活そのものがある
永劫性を目指しているようにさえ思える。
 永劫性について我々は多くを知らぬ。しかしその影を推し測ることはできる。
 論文試験の目的は自己表現にあるのではなく、自己変革にある。エゴの拡大にではなく、
縮小にある。分析にではなく、包括にある。
 もしあなたが自己表現やエゴの拡大や分析を目指せば、あなたは成績通知によって容赦
なき報復を受けるだろう。

 Have a nice game     」
699 緑:03/07/02 19:37 ID:???

みなさん。もうすぐ論文だね。
 暑さに負けないで頑張ってよ。
  朗報を期待しているわ。
   じゃあ、明日また会いましょうね。
700さ ◆kcIlove.mc :03/07/03 07:49 ID:???
事例問題に求められることは解決である、と彼は言った。もし問題文の事件を解決できないなら、
それは解答していないのも同じだ。いいかい、Gだ。もし君が論文に受かりたいとするね。君は
ならば事例問題では、問題点を抽出してから法的思考を示して、規範を定立してあてはめ、結論
を明示して事件を解決すれば良い。A答案だよ。
君が結論を明示しないと、合格はない。Gだ。わかるね?
701謙三:03/07/03 11:13 ID:???
「それに論点がとても多いんだ。」と彼は論文刑法の話を続けた。「答案用紙の一行の枠に三行
書いて虫眼鏡でなきゃ読めない答案もある。じ、地獄さ。」
「なるほど。」二秒ほど置いてから僕はレスを打った。そのころまでに僕は三百種類ばかりの実
に様々なレスの打ち方を体得していた。
「ひねられている典型論点もすぐには読み取れないんだ。二累ベースの上に置いた一塁ベースを
外野から見るくらいに読み取れない。だからいつも論点を落とすんだ。」彼はため息をついた。
「何故みんなロー一本に絞らない?」僕はそう訊ねてみた。「ローの方が受かりやすいだろうに。」
「わからないね。多分長年親しんだ試験だからだろう。そ、そういうもんさ。俺だって大学を
出たら司法浪人する。そして、り、立派に合格してやる。か、か、かとしんのように。」
702ノボル:03/07/03 12:52 ID:???
「正直に言って」と彼はまるでエネルギーを節約しているような小さな静かな声で話し始めた。
「若者が書いた答案は私にはよく理解できないし、またあまり興味も持てないように思う。私
に興味があるのはもっと熟練した受験生の答案なのだけれど、それは君にはたぶん理解できな
いし、興味も持てないと思う。結論を要約して言えば、君が過去10年間合格者を一人も出し
ていない三流大学のローに入学したいと思い、三流大学が生き残りをかけてローを開校したい
と思っているのなら、それに対して私には反対する権利もないし、反対する理由もない。だか
ら反対しない。考える迄もない。しかしそれ以上のことをローには何も期待しないでほしい。
それから、私にとってはこれがいちばん重要なことなのだが、私の出身校のローの定員が東大
と同じ数だからといって、今年すぐにでも私が合格するなんて思わないでほしい」
703AV男優的司法試験:03/07/03 14:55 ID:???
受験新報の付録の論点表の表紙に
蒼井そらの画像を貼り付けた。
当日これを試験場に持っていくから、
ビンビンだ。
俺は一度ペニスを充血させて、その後、
萎えていくペニスから血を逆流させないと、
頭に血が回らないのだ。
704氏名黙秘:03/07/03 19:31 ID:???
「どのような台でしょうか?」と男が言った。テレビの音が小さく下げられていた。
「5レイパーのスーパーフリーという台です。」
 男は考え込むように唸った。
「ボードに居酒屋と雑居ビルの絵が描かれた・・・…、」
「よく知っています。」と彼は僕の話を遮った。そして咳払いした。まるで大学院を出たての
講師のようなしゃべり方だった。「早稲田のギャル&ギャル男の1983年のモデルです。
自業自得の台として少々知られたものでしてね。」
「自業自得の台?」
「いかがでしょう。」と彼は言った。これから警察署へ接見に参りますが、ご一緒しませんか?」
705氏名黙秘:03/07/03 19:56 ID:q2+8ukgk
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このサイトマジやばいです。早く見ないと消されちゃうかも・・・
706氏名黙秘:03/07/04 00:07 ID:0GOSgnjK
24歳の作詞家志望です。コネをさがしてます。21歳の時スクールに通っていって、才能あると絶賛されました。チャンスください!あと友達を探しています。私はモーニング娘。にいそうな感じといわれてて、小柄です。
性格は自由気ままな猫系で、社交的。
世間知らずがたまにに傷。相手の希望としては頭のいいひとがいいな。
六大生とか。いよろしく!!

707氏名黙秘:03/07/04 11:02 ID:???
>>706
「女薫の旅」の神埼京介です。お友達になりましょう。トリップつけて下さい。
早大生ですが、す〜ふりとは無関係です。
僕の好きな食べ物はなめこおろし。好きな色はぐんじょう色、好きな怪獣はアンギラスです。
それと嫌いなものはすね毛。よろしく。
708謙三:03/07/04 11:26 ID:???
 もちろん双子の答案を見分ける方法は幾つもあるのだろうが、残念なことに僕はただの
ひとつも知らなかった。問題提起も論証も結論も、何もかも同じ上に、反対説に対する批判
も同じとなれば全くのお手上げだった。完璧なコピーだ。ある種の派生論点に対する反応の
具合も同じなら、一行の字数、使う行数、筆記具、解答時間、トイレ中断の時間までもが同じ
だった。
 双子の答案が一行問題で続出するという状況がどのようなものであるのかは先輩試験委員
から聞かされていたが僕の想像力を遥かに越えた状況である。しかしもし管理委員会に双子
の試験委員がいて、採点基準の何もかもが同じだったとすれば、きっと受験生も安心して
受験できたと思う。おそらく今の採点基準に何かしらの問題があるためかもしれない。
709謙三:03/07/04 11:44 ID:???
「もしあなたが反対の立場に置かれたとしたら、あなたはどう思う?」三日間の沈黙のあとで
クミコは僕に向かってそう言った。それが彼女の最初の言葉だった。「もし私が筆記具の一本
も持たないで論文試験に行って日曜日の午後3時に家に帰ってきて、今まで答案書いていたん
だけど、簡単だったから民法の時間に商法の答案まで書いてきたから大丈夫よ、私を信じて
ちょうだい。本当に今年の民法・商法は簡単だった。さあこれから晩ご飯を食べてぐっすり
寝ましょうって言ったら、あなたは腹も立てずにそれを信じてくれる?」
 僕は黙っていた。
「あなたの場合はそれよりもっとひどいのよ」とクミコは言った。「あなたは最初は嘘をついた
のよ。司法試験法が改正されて、今年から論文試験はオンライン答案が認められることになった
んだって最初は言ったのよ。そしてそれは実は嘘だった。どうしてあなたが商法の答案を書いて
きたって私に信じられるの?それが嘘じゃないって、どうして私に信じられるのよ?」
710 緑:03/07/04 19:27 ID:???
 どれほどの時が流れたのだろう、と僕は思う。果てしなく続く試験の中を僕は歩んだ。
勉強が終わるとアパートに帰り、双子のいれてくれた美味しいコーヒーを飲みながら、
「新マスター論文シリーズ」を何度も読み返した。
 時折、山口厚のことが前田雅英のことのように思え、内田貴のことが四宮和夫のように
思えた。ひどいときには団藤重光のことが我妻栄のことのように思えたりもした。1971年
九月号の「受験新報」に載っている下村康正の「共同意思主体説について」を読みながら、
今朝の新聞の訃報欄に出ていたハービー・マンのことを考えたりもした。
 何ヶ月も何年も、僕はただ一人深いプールの底に座りつづけていた。択一試験と論文試験、
そして沈黙。そして、沈黙……。
711706:03/07/04 22:50 ID:0GOSgnjK
>707
トリップってなんですか?
712 緑:03/07/05 11:07 ID:???
>>711
お酢の嫌いなストリッパーのことです。


→ガイドライン参照
713謙三:03/07/05 11:28 ID:???
 羊博士は過去問を三つ片付けると、答練の復習にとりかかった。はたで見ていても気持
良いほどの学習意欲だった。
「司法試験の受験生の本質をなす愚劣さは、彼らが異性との交流から何ひとつ学ばなかった
ことだ。アダルト・サイトのこともまた然り。受験生における情操の破綻はそれが単に
性欲の自足という観点からしか捉えられなかったところにある。生活レベルでの思想という
ものが欠如しておるんだ。恋愛を切り離した快楽だけを効率よく盗みとろうとする。すべて
がそうだ。努力を切り離した合格も、また然り。つまり地面に足がついていないんだ。三回
も落ちるのも無理はないよ」
714謙三:03/07/05 14:08 ID:???
 何故この予備校に住みついたのか、いつまでいるつもりなのか、だいいち君たちは合格する
気があるのか、年は?択一合格経験は?……僕は何ひとつ質問しなかった。彼女たちも言い出
さなかった。
 僕たちは三人でコーヒーを飲んだり、ロスト・ボールの所有権の帰属を考えながらゴルフ・
コースを夕方散歩したり、講師控室でふざけあったりして毎日を送っていた。メイン・アトラ
クションは過去問解説で、僕は毎日一時間かけて二人に過去問を解説した。二人は驚くほど何
も知らなかった。物権と債権の区別さえつかなかった。対抗力ある賃借人が賃借権に基づいて
妨害排除請求ができることを納得させるのに三日かかり、賃貸人の妨害排除請求権を代位行使
できる理由を説明するのにあと四日かかった。
「あなたはどちらを応援してるの?」と208が訊ねた。
「どちら?」
「つまり、賃借人と不法占拠者よ。」と209。
「さあね、どうかな?わかんないね。」
「どうして?」と208。
「僕はプータローの不法占拠者じゃないからさ。」
715氏名黙秘:03/07/05 14:26 ID:E6IvqySR
「私は木村光江。」と209が言った。
「僕は前田雅英。」と208が言った。
 僕はため息をついた。
 それでも僕はどうしても二人を区別する必要に迫られた時には、スカートとズボンを
脱いでもらわざるを得なかった。それ以外に二人を識別する方法なんて何ひとつなかった
からだ。
716メイ:03/07/05 16:11 ID:???
「そういうのをメスで切り開いてみたいって思うの。合格者をじゃないわよ。合格に向けて
全神経を集中できるメンタリティみたいなものをよ。そういうものがどこかにあるんじゃない
かって気がするのね。ソフトボールみたいに鈍くって、やわらかくて、神経が麻痺してるの。
それを合格した人の中からとりだして、切り開いてみたいの。いつも思うのよ、そういうのって
中がどうなっているんだろうってね。ちょうどやわらかいペニスがパンツの中で勃起するみた
いに、中で何かがコチコチになってるんじゃないかしら。そう思わない?いいのよ、返事しな
いで。ふだんはぐにゃりとしていて、それが試験当日に向うほどだんだん硬くなっていくの。
だから私はまず外の皮を切り開いて、中のぐにゃぐにゃしたものをとりだし、メスとへらのよ
うなものを使ってそのぐにゃぐにゃをとりわけていくの。そうすると中にいくにしたがって、
だんだんそのぐにゃぐにゃが硬くなっていってね、最後には小さな芯みたいになっているの。
狂ったダイヤモンドみたいに小さくて、すごく硬いのよ。そんな気しない?」
 娘は二、三度小さな咳をした。
「最近いつもそのこと考えるの。きっと試験が近づいたせいね。やらなきゃいけないのに
やる気が起こらないと考えがどんどんどんどん遠くまで言っちゃうのよ。考えが遠くまで
行きすぎて、うまくあとが辿れなくなるの」
717キズキ:03/07/05 17:55 ID:???
「もう司法試験はありませんよ」と法務省が言った。
 彼女は穏かに微笑んだ。目の横のしわがほんの少し動いた。「そうね。あなたが言うとおりね。
もう旧司法試験はないわ。でも、今でも時々短答式問題集をめくる音が聞こえるような気がする
の。きっと長いあいだに耳に焼きついちゃったのね」
「そしてそこにローへ行けなかったベテ君が現われたんですね?」
「そうよ。でも私はそんな風には呼ばなかったけれど」
「なんて呼んだんですか?」
「化石ベテって呼んだわ。そうでしょう?ローへ行かない限り、もう司法試験は受けられないん
だから」
 言われてみればそのとおりだ。ベテというのは受かる可能性がある受験生のことだ。「そうで
すね」と僕は言った。
718さ ◆kcIlove.mc :03/07/05 18:25 ID:???
>謙三さん
三国志見つけたんだけど、途中だけしか置いてませんでした!
ハルキ文庫、でしたw

>キズキくん
哀しいかんじがただよってていかにもキズキくんですね。
。゚(゚´Д`゚)゚。

>715さん
木村&前田w
719氏名黙秘:03/07/05 18:35 ID:???
「『合格答案』とは何ですか?」と僕は訊ねてみた。
「論文試験の採点を統御し、予備校の受験指導を統御し、受験生の勉強を統御する観念だ」
「わかりませんね」
「もちろん誰にもわかりはしない。先生だけが、いわば本能的にそれを理解されていた。極言
するなら、人まね答案の否定だ。そこにおいてはじめて完全な合格答案が実現する。君たちに
わかりやすく言えば、論理が問題を解析し、問題が論理を帰結する答案だ」
「幻想のように聞こえますね、一時間で書くのですから」
「逆だよ人まね答案こそが幻想なんだ」男は言葉を切った。
「もちろん、私が今しゃべっているのはただの言葉だ。言葉はどれだけ並べたところで、先生
の抱いておられた合格答案の形を君に説明することなんてできない。私の説明は私と合格答案
とのかかわりあいをまたべつな言語的なかかわりあいで示したものでしかない。人まね答案の
否定はまた、論証集の否定にもかかわってくるんだ。受験生の認識とやっと思い出せた論証集
のあのページという受験生的アマチュアリズムの二本の柱がその意味を失う時、答案もまたそ
の意味を失う。受験生は個としてあるのではなく、カオスとしてある。受験生という存在は独
自的な存在ではなく、ただのカオスなのだ。君のカオスは君のカオスでもあり、君のカオスは
人まね答案のカオスでもある」
720キズキ:03/07/06 17:33 ID:R42dM64q
 隣りに座った二十代半ばのサラリーマンは殆んど身動きひとつせずに経済新聞を読み耽って
いた。しわひとつない紺のサマー・スーツと黒い靴。クリーニングから戻ったばかりの白い
シャツ。僕は列車の天井を眺めながら煙草をふかした。そして暇つぶしに僕が司法試験のため
に使った基本書のタイトルを片端から思い出していった。それは七十三でストップして、その
まま前には進まなかった。LECの岩崎はいったい幾つまで覚えているんだろう?
 僕は二十九歳で、そしてあと六ヶ月で僕の二十代は幕を閉じようとしていた。何もない、
まるで何もない十年間だ。僕の手に入れた法律知識の全ては無価値で、僕の成し遂げた択一
合格の全ては無意味だった。僕がそこから得たものは退屈さだけだった。
 受験の動機に何があったのか、今ではもう忘れてしまった。しかしそこにはたしか何かが
あったのだ。僕の心を揺らせ、僕の心を通して他人の心を揺らせる何かがあったのだ。結局
のところ全ては失われてしまった。失われるべくして失われたのだ。それ以外に、僕の二十代
を手放す以外に、僕にどんなやりようがあったのだろう?
 少なくとも僕は択一に生き残った。良いインディアンが落ちたインディアンだけだとしても、
僕はやはり生き延びねばならなかったのだ。
 何のために?
 伝説を春樹スレに向かって語り伝えるために?
 まさか。
721謙三:03/07/06 17:47 ID:???
「あの人がどこかに消えちゃったのが五年前、私はその時二十七だったわ」とても穏かな声
だったけれど、まるで井戸の底から響いてくるように聞こえた。「五年たてば出題傾向は
すっかり変っちゃうのよ」
「ええ」と僕は言った。
「本当は何も変っていないとしても、そういう風には言えないのよ、予備校は。言いたく
ないのね。そう言っちゃうと、もう受講生が集まらなくなるのよ。だから出題傾向はすっ
かり変っちゃったんだと言うのよ」
「わかるような気はします」と僕は言った。
722 緑:03/07/06 19:07 ID:???
「何かお祈りの文句を言って。」
「お祈り?」僕は驚いて叫んだ。
「本試験だもの、お祈りは要るわ。」
「気がつかなかった。」と僕は要った。「実は手持ちのものがひとつもないんだ。」
「なんだっていいの。」
「形式だけよ。」
 僕は頭から爪先までぐっしょり雨に濡れながら適当な文句を捜した。双子は心配そうに
僕と受験票を交互に眺めた。
「受験生の義務は、」と僕はカントを引用した。「誤解によって生じた合格幻想を除去する
ことにある。……受験番号よ合格者掲示に高々と載れ。」
「胴上げして。」
「ん?」
「受験票よ。」
723 緑:03/07/06 19:25 ID:???
>>722
ごめんなさい。「不合格幻想」を「合格幻想」と打ち間違えちゃったみたい。
724キズキ:03/07/07 11:50 ID:ca/uTKdd
 同じ一日の同じ繰り返しだった。どこかに「氏名黙秘」でもつけておかなければ間違えて
しまいそうなほどのスレだった。
 その日はずっと雨上がりの蒸し暑さだった。いつもどおりの時間にパロをあげ、春樹スレ
を見るとさっちんの姿はなかった。僕は靴下をはいたままベッドに寝転び、ぼんやりと芦部
憲法を読んだ。いろんな論点を考えてみようとしたが、頭の中で何ひとつ形をなさなかった。
僕はため息をついてベッドに起き上がり、しばらく白い壁に貼った刑法総論の論証を睨んだ。
何をしていいのか見当もつかない。いつまでも同じ論証を睨んでいるわけにもいくまい、と
自分に言いきかせる。それでも駄目だった。ゼミの指導合格者がうまいことを言う。文章は
いい、論旨も明確だ、だが問題からはずれてる、と。実にそんな具合だった。久し振りに一人
になってみると、自分自身をどう扱えばいいのかが上手く把めなかった
725謙三:03/07/07 14:47 ID:???
 受験を始めてから一年ばかりのあいだ、僕らは月に一度、その本田さんというベテさんの家を
訪問した。彼はWセシが高く評価している〈神がかり〉のひとりだったが、耳がひどく悪くて、
僕らの言うことがよく聞き取れなかった。補聴器をつけてはいたのだが、それでもほとんど聞こ
えないと言ってもいいくらいだった。おかげで僕らは障子紙がびりびり震えそうなくらいの大声
で彼に話しかけなくてはならなかった。あんなに耳が悪くちゃ主査の質問することだってろくに
聞き取れないんじゃないか、と僕は思ったものだった。それともあるいは逆に、耳が悪いくらい
の方が「試験終了です」の合図が聞こえなくて択一・論文には都合がよかったのかもしれない。
彼の耳がよく聞こえなくなったのは、成川学院長の「合格の叫び」を最前列で聞いたせいだった。
726 鼠:03/07/07 17:47 ID:???
 もちろん誰の答案にだって欠陥はある。
 しかし僕の答案の最大の欠陥は答案の欠陥が年を追うごとにどんどん大きくなっていくことに
ある。つまり体の中でにわとりを飼っているようなもんなんだ。にわとりがクソ答案の卵を産み、
その卵がまたにわとりになり、そのにわとりがまたクソ答案を産むんだ。そんな風にして、そんな
欠陥を抱えこんだまま、受験生は受験を続けられるんだろうか?結局のところ、それが問題なん
だね。
 とにかく僕はやはり受験番号を書かない。きっとその方が良いんだ。僕にとっても、君にとって
もね。
727氏名黙秘:03/07/07 17:53 ID:???
l
728 鼠:03/07/07 19:55 ID:???
>>727
了解。卒2卒3ふんばって、今年はむろん合格
        (2)      (6)(5)
729氏名黙秘:03/07/07 20:05 ID:???
兄さん、2度も逮捕され。むちゃして強姦。
23  2       6    5
730カンガルー日和:03/07/07 21:20 ID:tRXAJZOQ
ラウンジでは十人くらいの人々がテーブルに向かって昼食を食べていた。
彼らは大声を出すこともなければ、声をあげて笑ったりすることもなく誰もが同じ音量の声で静かに話をしていた。
ラウンジに置かれたテレビモニターには従軍慰安婦が写し出されていた。
「みんなどんな話をしているんですか?」と僕はレイコさんに訊ねてみた。
「どんな話って普通の話よ。適性試験、ロースクール、龍谷大、そんなことよ。
あなたまさか誰かがすっと立ち上がって『司法試験なんかやめちゃってピースボートに乗らないか!』なんて叫ぶと思ってたの?」
731カンガルー日和:03/07/07 21:31 ID:HrKu7xHo
  あなたのためにロースクールをつくりたいのに
  私にはお金がない。
  世界平和のために国会議員になりたいのに
  私にはお金がない。
「『金がない』っていう唄なの」とマコツは言った。
歌詞もひどいし、恐ろしいほど音痴だった。
僕はそんな無茶苦茶な唄を聴かされながら、
もし法学館にガソリンを撒いて火を点けたら、あの目障りな女神像も焼けるだろうかというようなことを考えていた。
732 緑:03/07/08 10:59 ID:???
 むかしの春樹さんの作品は、短くて面白いのが多かったわね。「カンガルー日和」ももちろん
読んだわ。最近の作品はベテの答案みたいにだんだん長くなってきて、パロディ作りにくいの。
733村上朝日堂の逆襲:03/07/08 11:37 ID:???
 ずっと昔に読んだ小説なので筋の細かいところがあっているかどうかもうひとつ自信がないの
だけれど、佐藤幸治の短編に「法科大学院」(だったと思う)というのがあった。これはその名
前どおり、司法試験の合格をうけおってくれる学校の話である。合格したいのだけれど、いまい
ち自分の実力に自信が持てないという人がここに申し込みをすると、学校の方で責任を持って合
格させてくれるわけだ。もっとも誰でもが簡単に申し込めるわけではない。その学費は驚くほど
高い。予備校の10倍近い金額だ。しかも旧司法試験の出願者5万人に腰を抜かした法務省が、
当面ロー出身の合格者数は1500人に抑えるとの方針を発表したため、ローを出ても2〜3年
の間は25%程度の合格率というシャレにならない事態が現出したのである。結局丙案を使って
東大若手を優先的に合格させるというのと基本的には変らない。しかも高い学費を払って丙案を
買わなければならないロー進学者こそいい面の皮なのである。カッコ―。
734さ ◆kcIlove.mc :03/07/08 13:53 ID:???
「ねえ、司法試験の二次試験論文式試験ってどんなですか?「さ」さんみたいな人ばかりが
受けにくるんですか?」
「まさか。大体は男だよ。法曹になろうなんて人間の70%までは男だもんなあ。これ嘘じゃ
ないわよ。女子トイレよりも男子トイレの方が混むのよ?デパートじゃありえないわ。」
「じゃあどうして「さ」さんは司法試験を受けるんですか?」
「いろいろと理由はあるわよ」と「さ」は言った。
「今更他にすることがないとか、親に申し訳ないとか、いろいろね。でもいちばんの理由は、
ずっと受験生っていうある意味気楽な身分でいたいだけなのよ。つまりはパラサイト。この
不景気の世の中で親の収入を食いつぶしながら、いつまで気楽に生きていけるのか、試して
みたいのよ」
「なんだかゴクツブシみたいに聞こえますね」
「そうよ。ごくつぶしよ。わたしには、向上心とか自立心とか上昇志向といったものは全く
ないのよ。わたしは依存型鬱ダメ女かもしれないけど、だからそういったものはびっくりす
るほどないのよ。いわば無私無欲の人間なの。ただだめぽなだけなのよ。」
735 鼠:03/07/08 15:09 ID:???
 土曜日、夜の九時にベッドに入り、目が覚めたのは十一時だった。それらはどうしても
眠れなかった。まるで二サイズばかり小さな帽子をかぶったように、何かが頭のまわりを
しめつける。嫌な気分だった。鼠はあきらめてパジャマのまま起き上がり、台所で氷水を
一息に飲んだ。それから明日の試験のことを考える。窓際に立って街の灯りを眺め、高層
ビルを目で辿り、早稲田大学のあたりを眺めた。静かな廊下を走り抜ける鐘の音を思い、
問題用紙をめくり返す音を思った。そしてどれだけ思いをめぐらせても一センチも前に進
むことのできぬ自分にうんざりした。
 司法試験を受け始めてから、鼠の生活は限りない一週間の繰り返しに変っていた。日に
ちの感覚がまるでない。何月? たぶん七月だろう。わからない……。日曜日に答練を受
け、月曜日から水曜日までの三日間その復習を兼ねて論点整理に耽った。水曜と木曜、そ
れに金曜の半日を来るべき週末の計画にあてた。そして土曜日だけが行き場所を失い、宙
に彷徨う。前に進むこともできず、後ろに退くこともできない。土曜日……。
736火曜日のねじまき鳥:03/07/08 17:15 ID:???
 ねえ、ねじまき鳥さん、ときどき私考えるんだけど、ゆっくりと時間をかけて、少しずつ
死んでいくのって、いったいどんな気分かしら?」
 僕は質問の趣旨がよくわからなかったので、吊り革を持ったまま姿勢を変えて、笠原メイ
の顔を覗き込んだ。「ゆっくり少しずつ死んでいくって、たとえば具体的にどういう場合の
ことだろう?」
「たとえばね……そうだな、民法の問題を解いている最中に、憲法の問題で重大なミスを犯
したことがわかってすごく動揺して、気を取り直して民法をやろうとするんだけど、民法で
も重大な論点落ちを犯したとするでしょ。でも時計を見るとあと5分しかなく、だんだん
ちょっとずつ死んでいくような場合のことよ」
「それはたしかに辛いし、苦しいだろうな」と僕は言った。「なるべくならそういう死に方
はしたくないね」
「でもね、ねじまき鳥さん、試験ってそもそもそういうものじゃないかしら。みんなどこか
しら暗いところに閉じ込められて、遊ぶことや恋することを取り上げられて、だんだんゆっ
くりと死んでいくものじゃないかしら。少しずつ、少しずつ」
 僕は笑った。「君はローの適正試験を受けるにしては、ときどきものすごくペシミスティック
な考え方をするね」
「そのペプシコーラってどういうこと?」
「ペシミスティック。世の中の暗いところだけを取り出して見るっていうことだよ」
 ペシミスティック、と彼女は何度か口の中で繰り返した。
「ねじまき鳥さん」と彼女は僕の顔をじっと睨むように見上げながら言った。「私はまだ二十一
だし、世の中のことをあまりよくは知らないけれど、でもこれだけは確信をもって断言できるわ
よ。もし私がペシミスティックだとしたら、ペシミスティックじゃないベテの受験生はみんな
馬鹿よ」
737氏名黙秘:03/07/08 18:07 ID:???
「正直に言うと、ロースクールの話は何かしら気に入らないんだ。ひっかかるんだよ」
「どんなことが?」
「何から何までさ」と僕は言った。「全体としてはお話にならないくらい馬鹿げているくせに、
細かいところが実にくっきりとしていて、おまけに司法改革とちゃんとかみあっているんだ。
良い感じがしないよ」
738氏名黙秘:03/07/08 18:13 ID:???
>>734
>デパートじゃありえないわ ワロタ
739 緑:03/07/09 10:36 ID:???
>>734
さっちん、鬱なの?元気だしなよ。
740ジェイズバー:03/07/09 11:37 ID:???
「それでも司法試験は変りつづける。変わることにどんな意味があるのか俺にはずっとわから
なかった。」鼠は唇を噛み、テーブルを眺めながら考え込んだ。「そしてこう思った。どんな
進歩もどんな変化も結局は崩壊の過程に過ぎないじゃないかってね。違うかい?」
「違わないだろう。」
「だから俺はそんな風に嬉々としてロースクールに向おうとする連中にひとかけらの愛情も
好意も持っていなかった。……適性試験対策講座にもね。」
741 緑:03/07/09 14:32 ID:???
「気をつけろって、どういう風に気をつければいいんだろう?」
「まあ実際には、気のつけようもないんだけどね」と彼女は言った。「落ちることに対する
対抗策ってのはないのよ。落ちる人は落ちるし、通るときには通るのよ。そういうのって、
止めようがないのよ。だからさ、よく言うじゃない。きちんと基礎を勉強していれば落ちな
いんだって。でもそんなの嘘よ。ウソ。だって研修所に行って女の尻ばかり追いかけている
合格者を見てごらんなさいよ。まじめに基礎ばかり勉強してた人なんて誰もいないでしょう?
あの人たちが毎日毎日有斐閣だか三省堂だかの六法を読んでいたと思う?毎日毎日頭になん
とかの基礎知識をごしごしと詰めこんでいたと思う?そんなの予備校が適当なこと言ってお
金の余っている人からむしりとっているだけよ」
「なるほど」と僕は感心して言った。
742村上朝日堂の逆襲 :03/07/09 17:30 ID:9sBeGCpU
 ベテになって(僕は三十六歳なので好むと好まざるとにかかわらず一応ベテという部類に
属している)いちばん困るのは、放っておくとどんどん答案が長くなっていくということで
ある。二十代の頃はどんなに勉強したりヤマが当ったりしても答案用紙が三頁を超えること
はまずなかったものだが、最近ではちょっと油断するとあっという間に四頁がすべて埋まり
しかも三分の一くらい書き残してしまって愕然としてしまう。どうも年を取ると「愕然とす
る」という経験が日増しに多くなってくるみたいである。困ったことである。
743氏名黙秘:03/07/09 18:01 ID:???
ワラタ↑
744氏名黙秘:03/07/09 18:11 ID:???
来る27日にベテを囲む会を開催致します。
我こそはベテと思われる方は奮ってご参加下さい。
会費は25万8千円です。
詳細は追ってご連絡いたします。
ベテ更正委員会 3代目 会長 辺手蘭 太郎
745カンガルー日和:03/07/09 20:28 ID:nwLUTT2w
「悪いけどさ、早朝答練はLECかなんかでやってくれないかな」と僕はきっぱりと言った。
「それやられると目が覚めちゃうんだ」
「でももう六時半だよ」と彼は信じられないという顔をして言った。
「知ってるよ、それは。六時半だろ?六時半は僕にとってはまだ寝てる時間なんだ。
どうしてかは説明できないけどとにかくそうなってるんだよ」
突撃隊は僕の顔を不思議そうに見つめ
「どうしてって、君、択一落ちたからだろ?」
と事も無げに言った。
僕はその朝、はじめて突撃隊に殺意を覚えた。
746突撃隊:03/07/10 10:47 ID:4VfUbsES
>>745
「こ、こ、殺さないでくれ。ぼ、僕が択一の問題を作ったんじゃないんだ」と突撃隊は言った。
747謙三:03/07/10 11:11 ID:???
「もう司法試験の話は止そう……違うよ、そうじゃない……でもどうしようもないんだ、
そうだろ?択一落ちじゃないさ。何故嘘なんてつく? ……いや、ただ疲れたんだ……
もちろん論文受かる自信はあるよ、……たからね、……わかった、わかったから少し勉強
させてくれないか? ……あと10日しかないんだ……」
 誰もがめいっぱいのトラブルを抱えこんでいるようだった。トラブルは雨のように直前
答練から降ってきたし、僕たちは夢中になってそれらを拾い集めてポケットに詰め込んだ
りもしていた。何故そんなことをしたのか今でもわからない。何か別のものと間違えてい
たのだろう。
748羊男:03/07/10 12:53 ID:???
「ここにずっといるのかい?」と羊男が訊ねた。
「いや司法試験に受かるかローに入学できれば出ていくよ。そのために来たんだからね」
「ここの冬はいいよ」と羊男はくりかえした。「捲土重来を誓った香具師がうようよしてるんだ。
そして願書を出す頃になるとみんな凍りつくんだ」
 羊男は一人でくすくす笑って、大きな鼻腔をふくらませた。机の引き出しを開けると22点の
答案が山のように出てきた。論点が二つ抜け落ちていた。羊男の思考のリズムはどことなく不均一
で、それが合格までの期間を延ばしているように感じられた。
749間宮中尉:03/07/10 16:56 ID:???
「申し訳ありませんでした。長い話になってしまいました。死にそこないのベテのひがみ
話で、退屈なさったでしょう」と間宮中尉は言った。そしてソファーの上で居住まいを正
した。「これ以上長居をいたしますと、今年も論文落ちしてしまいそうです」
「ちょっと待ってください」と僕はあわてて言った。「そんなところで話をやめないでく
ださい。それからいったいどうなったんですか?僕は定員割れした下位ローの話の続きが
聞きたいんです」
750カンガルー日和:03/07/10 19:22 ID:/Luc3j1C
「来週には論文受けるなんてなんだか馬鹿みたいだわ」と直子が言った。
「私、論文受ける準備なんて全然できてないのよ。変な気分。なんだかうしろから無理に押し出されちゃったみたいね」
「僕の方はまだ12ヵ月あるからゆっくり準備するよ」と僕は卑屈に笑って言った。
751北方謙三的司法試験:03/07/10 19:32 ID:???

少年の愛読書「三国志」って、俺のじゃないよね?
たしか幼児殺しは書かなかったと思うのだけど……。
752氏名黙秘:03/07/10 20:39 ID:???

地殻変動アゲ。やれやれ。
753氏名黙秘:03/07/11 11:01 ID:???
 僕は受験生を怯えさせないように、音を立てずにゆっくりと歩いた。そしてなるべく論文試験に
関心がない風を装って机に近づき、そっと手をのばして一人の若い受験生に手を触れた。受験生
はぴくりと身を震わせただけで逃げなかった。他の受験生たちは疑り深そうにじっと僕の姿を眺め
ていた。若い受験生はまるで群全体からそっとさしだされた不確かな触手でもあるかのように、
緊張して僕を見つめ、体をこわばらせていた。
「誰か一人でも、一行でも解答を書けば、手榴弾を爆破させるからな」僕は身につけた30個の
手榴弾を指さして言った。
754金曜日のねじまき鳥:03/07/11 11:21 ID:???
「御免なさい」とクミコは顔をあげて言った。「あなたにあたるつもりはなかったのよ。
ちょっと試験が近づいていらいらしていただけ」
「いいよ」と僕は言った。「気にしないでいい。試験直前は誰かに当たった方がいいんだ。
誰かに当たればすっきりする」
 クミコはゆっくりと息を吸い込んで、しばらくそれを肺の中にとどめてから、またゆっ
くりと吐きだした。
「あなたはどうなの?」と彼女は言った。
「僕がどうしたんだ?」
「あなたは試験が近づいていても誰にもあたらないでしょう。あたっているのは私ばかり
みたいな気がするんだけど、それはどうして?」
 僕は首を振った。「僕はまだ12ヶ月あるから……」
755氏名黙秘:03/07/11 18:20 ID:???
 確かに彼女は彼女なりの小さな世界で、ある種の完璧さを打ち立てようと努力しているよう
に見受けられた。そしてそういった努力が並大抵なものではないこともマコツは承知していた。
いつも目立ちこそしないが趣味のよい答案で成績優秀者に名を連ね、こざっぱりと片付けられ
た部屋で定評の高い基本書を読み、注意深く言葉を選んでしゃべり、余計な質問をせず、答案
用紙に向かって何度も練習を積んだような論証を書いた。そしてそのどれもがマコツの心を少
しばかり悲しくさせる。何度か会った後で、マコツは彼女の歳を二十七と踏んだ。そしてそれ
は一歳の狂いもなく当たっていた。
756氏名黙秘:03/07/11 21:14 ID:???
「論文対策の話をしよう。」と僕は言った。「どうも気にかかるんだ。」
 二人は肯いた。
「何故行き詰まっているんだろう。」
「いろんなものを吸い込みすぎたのね、きっと。」
「パンクしちゃったのよ。」
 僕は左手に「LIVE過去問」を持ち、右手に「憲法120選」を持ってしばらく考え込んだ。
「どうすればいいと思う?」
 二人は顔を見合わせて首を振った。「もうどうしようもないのよ。」
「土に還るのよ。」
「敗血症のベテを見たことある?」
「いや」と僕は言った。
「体の隅々から石のように固くなりはじめるの。長い時間かけてね。最後に心臓が停まるの。」
 僕はため息をついた。「死なせたくない。」
「気持ちはわかるわ。」と一人が言った。「でもきっと、あなたには荷が重すぎたのよ。」
757さ ◆kcIlove.mc :03/07/11 21:29 ID:???
>緑ちゃん
大丈夫。元気です。カッコウ。
心配かけちゃってたらごめんね。
758 緑:03/07/12 10:46 ID:???
さっちん、久しぶり。
元気だった?
759謙三:03/07/12 11:17 ID:???
「なぜカンガルーはあんなに速く跳んで走るのかしら?」と彼女が訊ねた。
「敵から逃げるためさ」
「なぜ金持ちのバカ息子は下位ローのおなかの袋に入るの?」
「一緒に逃げるためさ。バカ息子はそんなに早く合格できないから」
「保護されているのね?」
「うん」と僕は言う。「バカ息子はみんな保護されているんだ」
「どれくらいの期間保護されるの?」
 僕は新聞でロースクールについての何もかもをきちんと調べてくるべきであったのだ。三年
保護されても法曹になれる100%の保障はないのだから。こうなることははじめからわかって
いたのだから。
760 緑:03/07/12 11:26 ID:???
 七月のある晴れた朝、論文試験会場で僕は100%の女の子とすれ違う。
 たいして綺麗な女の子ではない。素敵な服を着ているわけでもない。髪の後ろの方には寝ぐせ
がついたままだし、歳だっておそらくもう三十に近いはずだ。しかし五十メートルも先から僕に
はちゃんとわかっていた。彼女は管理委員会にとっての100%の女の子なのだ。彼女の姿を目
にした瞬間から僕の胸は不規則に震え、口の中は砂漠みたいにカラカラに乾いてしまう。
761山崎 渉:03/07/12 12:59 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
762謙三:03/07/12 14:37 ID:???
 元気かい?
 もうずいぶん長く君に会ってないような気がするな。いったい何年になるかな?
 何年だろう?先の口述落ちから。
 年月の感覚がだんだん鈍くなってきている。あの時はなんだか平べったい黒い鳥が頭の上で
ばたばたやっていたみたいで、三つ以上の質問に答えられなかったんだ。悪いけど君の方で
もう少し助け舟を出してもらいらかったね。
 みんなに黙って口述試験会場を出ちゃったことで、君も少なからず迷惑を受けたかもしれ
ない。あるいは僕が田宮説に固執したことで、不快に思ったかもしれない。僕は何度か君に弁明
しようと考えたのだけれど、どうしてもできなかった。ずいぶん多くの手紙を書いては破った。
でも僕が試験会場を出て行ったのは当然と言えば当然の話で、自分にもうまく説明できない
渥美説を、他人に向かって説明することなんてできるわけはないんだ。
763キズキ:03/07/13 12:28 ID:???
 嘘だ、と彼女は思った。本当は試験に怯えているのだ。自分がべつのブランコにとびうつれた
ということだけで頭がいっぱいで、論文試験のために指一本動かすつもりはないのだ。憲法の第
一問を読みながら、彼女の手はテーブルの下でぶるぶると震えた。誰も彼もが彼女を踏みつけて
いるように思えた。彼女は試験委員にコーヒーをカップ一杯かけてやろうかと思ったが、結局
馬鹿馬鹿しくなってやめた。
「そうねえ、そうかもしれないわね」と彼女は問題文に向かって、呟いた。そして民法の時間が
始まる10分前に地下鉄に乗った。
764謙三:03/07/13 12:36 ID:???
>>763
「この話には教訓があります」と彼女は最後に言った。「自分自身の体験によってしか学びとる
ことのできない貴重な教訓です。それはこういうことです。受験生は自分の恥ずかしい受験暦を
消し去ることはできない――消え去るのを待つしかない、ということです」
765 緑:03/07/13 13:45 ID:???
 僕の夢は双子の合格者を持つことです。双子の合格者が僕に代わって論文試験を受けて
僕を合格させるということ――これが僕のこの十年来の夢です。
 試験場で受験生と写真を照合している人がこういうのを読んでどういう気分になられる
のか、僕にはよくわからない。あるいは不快に思われるかもしれない。冗談じゃないわ、
と頭に来るのかもしれない。もしそうだとしたら、ごめんなさい。これは僕のただの夢な
のです。夢というのはおおかたの場合には理不尽なものであり、司法試験法的規制を越え
たものなのです。だから「これはアホなベテの夢なんだ」と割り切って読んでください。
766村上朝日堂 はいほー!:03/07/13 14:05 ID:???
 受験適齢期は終わった。
 なんて書き出しの文章をみるとちょっと怖いでしょう?僕も怖い。でもまあとにかく
終わっちゃったんだから仕方ない。もうそろそろ四十も近いし、勉強をすこしサボると
典型論点でも平気で書き忘れる。論証の手入れも昔に比べるとずっと丁寧になった。若
い受験生をお酒を飲む時は法律選択科目のことは口にするまいと改めて意識しなくては
ならない。かつての我がアイドルであったジャコ・パストリアスはもうずっと昔に死ん
でしまったし、オナペットの宮崎美子はぶくぶくに太ってしまった。同世代かそれに近
い世代の女友達はみんな合格して、その多くは子持ちになり、もう誰も僕とは遊んでく
れなくなった。かといって若い女の子の受験生と話してみてもどうしても共通する話題
が限られているから、どうも間がもたないということが多い。そう、中年ベテなのであ
る。好むと好まざるにかかわらず。
767氏名黙秘:03/07/13 17:24 ID:???
 いったい僕は何を考えていたんだろう?
 羊だ。
 僕はソファーから起きあがり、机の上にあった論文試験の答案のコピーを手に取り、ソファー
の上に戻った。そしてウィスキーの味の残った氷をなめながら答案を二十秒ばかりじっと眺め、
その答案が何を言いたいのかを我慢強く考えてみた。
 答案には羊の群れと草原が描かれていた。文字はない。草原がとぎれるあたりには白樺の林が
描かれている。どれだけ考えてみても羊の群れが意味するものは羊の群れであり、白樺林の意味
するものは白樺林であり、刑法第一問の解答ではなかった。それだけだ。それ以外には何もない。
 僕はテーブルの上にその答案を放り投げ、煙草を一本吸ってあくびをした。それからもう一度
答案を手に取り、今度は羊の数を数えてみた。三十二頭の羊。この答案を書いた受験生は、この
羊の絵で三十二点ほしいと言っているのだろうか?
768ジェイズバー:03/07/14 19:47 ID:???
「もう終わったんだね?」
「ある意味ではね」とジェイは言った。
「今年の試験は終わった。しかし残務整理として書かなきゃならない答案が12通ある」
「あんたはいつも上手いことを言うね」
「10回受けているんだ」と僕は言った。
769_:03/07/14 19:48 ID:???
770           :03/07/15 02:48 ID:???
>>730
あんた最高
771山崎 渉:03/07/15 12:25 ID:???

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
772ジェイズバー:03/07/15 13:21 ID:???
「あなたは残り五日間まったく勉強しないで試験日を待ったことある?」
「いいえ」と僕は言った。
「ある限られた時間に待つことを集中してしまうと、もうそのあとはどうでもよくなって
しまうの。それが五年であろうと、十年であろうと、五日であろうとね。同じことなのよ」
 僕は肯いた。
 彼女はオレンジ・ジュースを半分飲んだ。
「最初に受験したときもそうだったわ。私はいつも待つ側で、そして待ちくたびれて、結局
はどうでもよくなってしまうのよ。十時に基本書を開いて、十二時まで一行も読まないで、
それから2ちゃんに来たの」
「僕と同じです」
「何が?」
「十時にスレ開いて、十二時まで一行も書けなかったんです」
773カンガルー日和:03/07/15 15:53 ID:CiY1iDya
「私はこの三ヵ月の間、このスレのことをずいぶん考えていました。
そして考えれば考えるほど、私は自分が司法試験に対して真摯でなかったのではないかと考えるようになってきました。
けだし、私はこのスレで日々真面目に努力してるベテやマコツを馬鹿にしてしまったからです。
でもこういう考え方ってあまりまともじゃないかもしれませんね。
どうしてかというと私くらいの年の女の子は『けだし』なんていう言葉はまず使わないからです。
774カンガルー日和:03/07/15 16:03 ID:sqrPsWlu
普通の若い女の子は論理的な文章を書くことより、どうすれば自分が幸せになれるかを中心に物を考えるものです。
『けだし』なんていうのはどう考えても男の人の使う言葉ですね。
でも今の私にはこの『けだし』という言葉がとてもぴったりとしているように思われるのです。
けだし、どうすれば幸せになれるかというのは私にとってはとてもいりくんだ命題なので、つい他の基準にすがりついてしまうのです。
たとえば適正・迅速・公平・経済とかね。
775カンガルー日和:03/07/15 16:13 ID:VSJQwOwR
しかし何はともあれ、私は自分が司法試験に対して真摯ではなかったと思います。
そのことでずいぶんこのスレを読んだベテやマコツをひきずりまわしたり、傷つけたんだろうと思います。
でも私だって自分自身をひきずりまわして自分自身を傷つけてきたのです。
言いわけするわけでもないし、自己弁護するわけでもないけれど、私だってベテに片足つっこんでるし、本当はマコツの作った論証パターンに頼りきっているのです。
もし私が誰かの中に何かの傷を残したとしたら、それは私の傷でもあるのです。
776カンガルー日和:03/07/15 16:32 ID:GTj+ekYD
こういう物の見方ってあるいは分析的すぎるのかもしれませんね。
何はともあれ、私は一時に比べるとずいぶん回復したように自分でも感じます。
こんなふうに落ち着いてパロを書けるのも久しぶりのことです。
こうして論証ではない文章が書けるというのは本当に素敵です。
もちろん文章にしてみると自分の言いたいことのほんの一部しか表現できないのだけれど、点数をつけられないだけまだマシです。
誰かに何かを書いてみたいという気持ちになれるだけで今の私には幸せなのです。
そんなわけで今私はパロを書いています。
論文は五日後です。」
777氏名黙秘:03/07/15 18:30 ID:???
>>773-776
いいぞ、カンガルー。
778謙三:03/07/15 19:00 ID:???
「君はどうも奇妙な男だな」と男は言った。「私にはやろうと思えば、君たちの受験を全部
シャット・アウトすることもできるんだよ。そうすれば君はもう受験生とも言えなくなる。
もっとも今君がやっているくだらない答案丸暗記やキーワード論証が受験勉強であると仮定
すればの話だけれどね」
 僕はもう一度山崎のことを考えてみた。どうして山崎は真昼間に「寝るぽ」なのだろう?
「それに、君のような人間をまともな勉強に向わせる方法は幾つかある」
「たぶんそうでしょう」と僕は言った。「しかしそれには時間がかかるし、それまでは僕は
勉強しない。机に向ったとしても頭にはいらない。あなたには机に向った受験生がなぜ勉強
しないのかわからない。違いますか?」
 全てははったりだったが、僕が勉強していないことだけは真実だった。それに続く沈黙の
不確かさは、僕がポイントを稼いだことを示していた。
「君と話すのは面白いよ」と男は言った。「君の非現実性はどことなくパセティックな趣き
がある。まあ、いい。来年の択一の話に逃避しよう」
 男はポケットから択一問題集を出して、テーブルの上に載せた。
「それで来年の傾向を心ゆくまで予測してくれ」
779氏名黙秘:03/07/15 19:27 ID:???
「現在、この試験場の中で一人のベテが死にかけている」と男は言った。「その原因ははっきり
している。試験直前の五日間まったく勉強が手につかず、当日前の席に座った女子受験生とセッ
クスをする妄想に浸ってばかりいたんだ。それが運悪くいそうもない美人受験生の後ろの席に座
ってしまったのさ。君は論文試験とオナニーの関係についてどの程度知っている?」
「ほぼ何も知りません」
「簡単に言うと血の爆弾だ。血行が阻害されて異様に膨らんでいる。ゴルフ・ボールを呑み込ん
だ蛇みたいにね。それが爆発すると、脳の機能は停止する。しかも試験場でティッシュで拭く
わけにもいかない。まして答案用紙で拭くわけにはいかない。代わりのものはもらえないからね。
つまり現実的な言い方をすれば、濡れたペニスをさらしものにして、死ぬのを待つだけだ。あと
一時間で死ぬかも知れないし、一時間もたないかもしれない。それは誰にもわからない」
 男は唇をすぼめてゆっくりと息を吐いた。
「死ぬことにたいして不思議はない。ベテだし、病名もはっきりしている。不思議なのは何故これ
まで彼が生きてこられたかということなんだ」
780 緑:03/07/15 19:32 ID:???
もうすぐ本番よ。ベテだって若者だって本試験ではみんな同じなの。
横一線に並んでいい答案書いた人が勝つんだから。
頑張ってね、みんな!
781:03/07/15 20:05 ID:???
 しかし君にわかってほしいのは、僕が現在置かれている状況の中枢を君に説明しようとすれば
するほど、僕の文章はこんな風にベテいじめになってしまうという事実だ。でも僕自身もベテだ。
本試験会場以外では決して見られないくらいベテだ。
782回転木馬のデッド・ヒート:03/07/16 11:09 ID:???
 出題意図もきちんと捉えているし、文章もしっかりしていた。生まれてはじめて書いた答案
にしてはとてもよくできていた。それからなにしろ字が素晴らしかった。しかし正直に言って、
字の魅力に比べれば、その文章の答案としての魅力の度合はずっと低いものだった。たしかに
うまくまとまってはいるのだけれど、論文としてのめりはりというものがまるでなく、何もか
もが均等で平板なのだ。
 もちろん他人の論述作法について決定的な判断を下せるような立場には僕はいない。しかし
彼の答案の抱えた欠点がかなり宿命的な種類の欠点であることくらい僕にもわかった。要する
に添削しようがないのだ。答案の中にたった一ヶ所でもいいから突出して優れた部分があれば、
それをポイントにして答案のレベルをひっぱりあげることは(原理的には)可能である。しか
し彼の答案にはそれがなかった。どこをとっても平均的でのっぺりとして、採点者の知性に食
いこんでくるところがなかった。しかし会ったこともない受験生に向かって正直にそんな感想
を書くわけにもいかない。それで僕は「なかなか良い答案なので、余計な説明部分を削りとっ
て丁寧にブラッシュ・アップしてから、どこかの予備校の答練で同じものを書けばきっと参考
答案になると思う。それ以上の細かい批評は私の能力を越えている」という趣旨の短い講評を
書いて、答案に添えて彼のもとに返した。
783回転木馬のデッド・ヒート:03/07/16 19:36 ID:???
 結局のところ彼女たちの大部分は合格を求めてるんです。彼女たちの夫や恋人――というのは
つまり僕と同じ受験生であるわけなのだけれど――の多くは僕なんかよりずっと立派な人物なん
です。僕よりハンサムだし、僕より頭がいいし、あるいは僕よりペニスが大きかったりするかも
しれない。でもそんなことは彼女たちにとってはどうでもいいことなんです。彼女たちにとって
は相手がある程度浪人しても、勤勉で、いつの日か司法試験に合格さえすれば、それでオーケー
なんです。彼女たちの求めているのは、恋人とか夫婦とかいったある意味ではスタティックな枠
組みをこえて、彼に合格してもらうことなんです。それが基本的な原則なんです。もちろん表層
的な動機は様々ですがね」
「たとえば?」
「たとえば元彼が合格したとたんに自分を捨てたことに対する意趣がえしであるとか、退屈しの
ぎとか、合格した彼が検察官になって自分をレイプした犯人を起訴することで自己満足するとか
ね。そういうことです」
784氏名黙秘:03/07/16 19:39 ID:8C1T4Uge
☆頑張ってまーす!!☆女の子が作ったサイトです☆
       ☆見て見て!!
http://yahooo.s2.x-beat.com/linkvp2/linkvp2.html
785キズキ:03/07/16 20:09 ID:djOe0nC2
 どれくらいのあいだ問題文を眺めてじっとしていたのか、私にはわかりません。でもやがて
人権答案の感覚が少しずつ戻ってきました。しかし感覚の回復に呼応して、当然のことながら
痛みもやってきました。それはかなり激しい痛みでした。たぶん最も重要な論点はうまく書け
ないだろうと私は思いました。あてはめも十分には書けないかもしれません。あるいは、もっと
運が悪ければ、この一問だけで不合格が決まったかもしれません。
 私はそのままの姿勢で、痛みに耐えていました。涙が知らず知らずに頬をつたってながれま
した。それは痛みからきたものであり、またそれ以上に絶望からきたものでした。論文試験の
最初の一問で深い井戸の底にひとりぼっちで落とされて、真っ暗な中で激しい痛みに襲われる
というのが、どれくらい孤独なものか、どれほど絶望的なものか、とてもおわかりいただけな
いだろうと思います。私がもし誰かに撃ち殺されたとしたら、少なくとも私の死は彼らによっ
て関知されます。しかし憲法第一問で井戸に落ちて残り11通を書き続けるのだとしたなら、
それは本当にひとりぼっちの死です。それは誰にも関知されない、無音の死なのです。
786tohtoshi@message:03/07/16 20:27 ID:5vfH5LDN
人は日々の慌ただしい生活に追われていると、知らぬ間に自分の思考が不安定になっているものです。
多くの人は無意識の内に様々な問題を無造作に受け止めている為に事象を深く考えずに対処し処理して
いるから、物事が順調に進んでいたり、些細な問題の内は見過ごして何とも思わないものです。
様々な事象に対する観方から正しく分析して判断するという基準が確りしていないと、
より良く生きるための大切な人生の進むべき道を「見誤る」と言うことが起きます。
そして「何か変だ」と気づいた時にはすでに遅いものです。
人としてより良く幸せに生きるには、人生としての生き方である正しい基準となるべき
思想や思考を身に付けるべきで、正しく有益な人生観を学ぶ心掛けも大切な事柄です。
人は金品や物事に執着すると心は迷い生き方や判断を見誤ります。
この件に関する出典の説明がHP↓にあります。ご参考に。
ttp://www.d7.dion.ne.jp/~tohmatsu/
787さ ◆kcIlove.mc :03/07/17 06:46 ID:???
おはよう、と「さ」は言った。
「さ」は、シャワーを浴びて、それから馬場へと向かった。

行って来ます。パロでもなんでもなくてごめんねw
今日も1日頑張ろうね。
788氏名黙秘:03/07/17 17:11 ID:???
「結果無価値論というのは毎日顔をつきあわせて暮らしているとだんだん馴れてくる理論なの
かもしれません。でもそれが唐突に正当防衛の論点の中にとびこんでくると、それは相当に
グロテスクなもんです。もちろんそういうグロテスクさを好む人々が受験生の中にも少なから
ずいることは僕にもわかっています。しかし僕はそういうタイプじゃありません。結果無価値
の教科書を読んでいると、哀しくって、息苦しいんです。それで僕は一週間ばかり前田雅英を
読みつづけたあとで、もうこういう本はやめようと決心したんです。僕は前田「刑法総論」の
ブックカバーをはずして、書店でもらったのび太の栞といっしょに押入れに放りこみました。
789氏名黙秘:03/07/17 18:55 ID:???
「昔、兄貴がマスターベーションしているところにでくわしたことがあるの。誰もいないと
思って戸を開けたら、そこに兄貴がいたの」
「誰だってマスターベーションくらいするだろう」と僕は言った。
「そうじゃないのよ」と彼女は言った。そしてため息をついた。「それは○○先生が試験
委員をやめて三年くらいたった頃だったかしら。彼が五度目の論文試験で、私が小学校の
四年か、それくらいのころよ。兄貴はやめた○○先生の教科書を処分しようかどうしようか
迷って、結局取っておいたの。○○先生が試験委員に復帰するかもしれないと思って。それ
を段ボール箱に入れて、押入れにしまっておいたの。兄貴はそれをとり出して、匂いをかい
だりしながらそれをしていたの」
 僕は黙っていた。
「私はその頃まだ小さかったし、司法試験について何も知らなかったから、兄貴がそこで何
をしているのか正確には理解できなかった。でもそれが見てはいけない屈折した行為だとい
うのだけは理解できたの。そしてそれが見かけよりはずっと深い行為だということがね」、
クミコはそう言って静かに首を振った。
790浅田次郎的司法試験:03/07/17 19:48 ID:???
あの時ァ、お互いずたずたの手負いで、論証パターンもへったくれもあるもんか。
いくらか知識の多いべテに、取っ組み合って土手を転げ回った末に組み伏せられた。
べテのあいつが刀を俺の咽喉に当ててへし切ろうとしたときよ、大音響と共に地が裂けたんだ。
それは砂糖工事率いる楼軍の砲撃だった。
あいつは一瞬何が起こったのかわからなかったんだろう。
しっかりと俺を押さえつけたまま、周りに立ち上る炎と硝煙をぽかんと見つめていたっけ。
二人揃って吹き飛ばされねえのが不思議なくらいの、それは凄い砲撃だった。
どれくらい時間がたったんだろう。ふと、あいつの腕の力が緩んだんだ。
もちろんこっちにも反撃する力なんか残っちゃいねえ。
あいつはどさりと俺の横に突っ伏すと唸るように言ったんだ。
「お前は逃げろ」ってな。
791浅田次郎的司法試験2:03/07/17 19:50 ID:???
砂糖工事は俺にとっても味方というわけではない。ふらふら出て行くと俺だってやられちまうかもしれねえ。
べテは最後の力を振り絞って叫んだ。
「逃げろ。俺には嘆く者も惜しむ者もいない。せいぜい正月で親戚の笑いものになるだけだ。だがお前は生きろ」
考えてみれば俺達はいつもそうだった。制度の制度の変わり目で途方に暮れる孤児だった。
それでも制度を変えて喜ぶ側の人間たちの掌の上で必死になって何かを貫こうとしたんだ。
俺達は考えや立場は違っても結局同じ項でくくられていたのさ。
ようよう立ち上がった俺にべテは腹這いのまま何かを投げてよこした。
「使え。いつか役に立つかも知れん。」
それは戦いの中でボロボロになったシケタイだった。
792浅田次郎的司法試験3:03/07/17 19:51 ID:???
「これを持って竜の谷とやらに向かえ。早く行け!」
俺は渾身の力で走り出した。途中で何度も振り返ってべテの名を叫んだよ。
でもあいつの居る場所は砂糖工事軍の砲撃の煙と深い霧につつまれて、もう何も見えやしなかった。

今俺はそのべテの師匠さんだったという人の学校に居る。もとは坊さんになるための学校だったらしいがね、
どのみち、あの戦の後頭を丸めちまおうと思ってたんだから願ったりかなったりさ。
そして、あのべテの息子ほどの年ごろの連中と机を並べてお師匠さんの有り難い話を聞くんだ。
そのときの教科書があの戦場でべテが投げてよこしてくれた本だ。
ボロい本だと若い同級生に笑われちまうが、この本を開くたび、あのひどい戦場と時代に散っていった奴ら
のことを思い出すのさ。
おっと時間のようだ。ごめんなすって。
793氏名黙秘:03/07/18 11:01 ID:???
>>792
竜谷ねた、面白い。
794氏名黙秘:03/07/18 12:55 ID:???
あげぽ
795北方謙三的司法試験:03/07/18 17:30 ID:???
 どれほど、そうやって会社法の条文の中をもがいただろうか。準用条文を、ほとんど拾い
あげた。少しずつ、少しずつ解答に向った。
 六法を閉じた時、手は疲れ果てていた。
 索超は答案構成を終え、ペンを走らせた。一刻(30分)、二刻(1時間)と書き続ける。
手は、少しずつ元気を取り戻してきた。
 索超は、焦りはじめた。気が急いているが、結論を書かないことには、どうしようもない。
45分あれば、手小切は普通に解答できるはずだ。
 1問めの「以上」までが、長かった。
 駈けた。1時間10分を過ぎても、ペンを進めた。
 最後の1行が見えたのは、1時間20分を過ぎた頃だった。
 まだ遠い。
 窓の外を見ると、岩山に白い弔旗が揚がっているのが見えた。晁蓋の死が先月号でよかった、
と索超は思った。試験直前に発売の8月号で死んでいたら、ショックで試験どころではなかった
はずだ。
「止まれ。どこへ書いている?」
 声をかけられた時、答案用紙をはみだして、机に「以上」と書いていた。
796北方謙三的司法試験:03/07/18 17:55 ID:???
「晁蓋殿は、択一落ちした」呉用が静かな声で言った。
「これまで、直前答練に際しても、全員が喪章を付けていた。しかし、本試験ではそれをはずす」
 呉用が自分の喪章をはずした。集まっている全員が、それにならった。
 宋江が出てきた。ももひき姿だった。しかし、それより驚いたのは、その股間の膨らみだった。
 郁保四は息を呑んだ。
「晁蓋が、死んだ」宋江の声はかすれていたが、後ろの方まではっきりと聞こえていた。
「五択天王と呼ばれた晁蓋は、論文試験を前にして、もういない」
 宋江は、泣いているようだった。
「晁蓋がもういないということを、私は自分に納得させるために、法務省HPで晁蓋の
受験番号をもう一度確認した。信じ難いことだったからだ」
 法務省HPで股間が膨らむものか、郁保四は疑わしかった。
「しかし、納得はできぬ。晁蓋がいないなどということを、受け入れることなど、私に
はできぬ。みんな、そうであろう。あの五択天王晁蓋が、われらのもとを去ったと、信
じることができるか」
797晁蓋:03/07/18 18:10 ID:???
 私たちは縛り上げられたまま、試験が終わるまで教室のすみに寝かされておりました。
798さ ◆kcIlove.mc :03/07/19 06:46 ID:???
>今まで落ちてきた人達

合格は不合格の対極としてではなく、その延長として存在している。

今までの不合格が合格につながりますように。
今年は春樹スレが生き延びて、よかったです。
みなさまのご健闘をお祈りします。
試験後は、また春樹パロで遊びたいですね。
ではでは。
799氏名黙秘:03/07/19 10:55 ID:???
 私は痛みをこらえながら、マコツのからだをそっと手で探ってみました。マコツのからだは
冷えきっていました。手でマコツを撫でているうちに、私の手は突然硬く尖ったものに触れま
した。私は驚いて反射的にさっと手を引きましたが、もう一度ゆっくりと用心深く、そこにあ
る何かに手を延ばしてみました。そして私の指は再びその尖ったものに触れました。最初のう
ち、私はそれを腕かなにかだと思いました。しかしやがてそれが腕ではないことがわかりまし
た。腕ではありません。もっと小さなからだの一部です。それは長い時を経たせいか、あるい
は私とセックスしたせいか、べとべとになっていました。
800氏名黙秘:03/07/19 18:32 ID:8AVkpipc
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801:03/07/19 19:20 ID:Gmk3oJwN
 その二日のあいだ、鼠はツキからもすっかり見放されていた。前の席に腰掛けたグラマーな
女子受験生の透けて見えるブラと真ん中の席に座ったベテのトイレの回数の多さ、天候までが
崩れ始めていた。ビル群を洗った雨水がドブ川に流れ込み、汚水の上に汚物を浮かせた。嫌な
眺めだった。頭の中はまるで論証ノートを丸めて押し込んだような気がする。眠りは浅く、い
つも短かかった。そのくせ、ヤマはことごとく外された。誰かがドアを開ける度に大きな音と
生ぬるい外気が入ってくる入口付近の席。時計を眺める。
 試験時間の半ばに鼠は筆箱に隠しておいたウィスキー・ボンボンをこっそり口に入れて、全て
の思考をしばらく凍結させることに決めた。意識のすきまのひとつひとつに白熊でも歩いてわた
れそうなほどの厚い氷をはりめぐらし、これで後半の第二問を乗り切れるだろうという見通しを
つけて気合を入れた。しかし試験時間が終了した時には何もかもがもとどおりだった。頭が少し
痛んだだけだ。

>みんな、頑張ろう。では、来週またお会いしましょう。
802晁蓋:03/07/20 19:28 ID:???
「うぐっ・・・」
803さ ◆kcIlove.mc :03/07/23 11:37 ID:???
みんなお疲れ様でした。
しばらく休んでまたパロ復活します。
804氏名黙秘:03/07/23 18:18 ID:???
>>803
今年の春樹スレは、アガるの少し遅かったと思われ。。。
来年は、3月中旬ぐらいを希望。
805さ ◆kcIlove.mc :03/07/23 18:22 ID:???
「君のこと話してよ」と彼が言った。
「わたしのどんなこと?」
「そうだね、どんな論点がキライ?」
「訴訟物と争点効と既判力がキライかな」
「他には?」
「アファーマティブアクションと政党と数量指示売買もキライね」
「他には?」
わたしは首を振った。「止めよう。不愉快になるだけだよ」
806神崎京介:03/07/24 11:39 ID:???
「君のこと話してよ」と彼が言った。
「わたしのどんなこと?」
「どうして、しばらく休むっていったばかりなのに、またアゲたの?」
「訴訟物と争点効と既判力がキライだからよ」
「他に理由はないの?」
「アファーマティブアクションと政党と数量指示売買もキライだからよ」
「他には?」
「司書、行書なんか受けたくないし、ローの話なんかどうでもいいからよ」
「他には?」
「0721の日は疲れてて、神崎やってるひまなかったのよ」
807氏名黙秘:03/07/24 17:29 ID:???
 誰かが僕を誘っているような気がした。
 おい、こっちだよ、こっち。ほら俺だよ、覚えてない?君にぴったりの良いスレがあるんだ。
一緒に来いよ。きっと気に入ると思う。
 たぶん僕はそんなスレを気に入りはしないだろう。だいいち、と僕は思う。問題文さえもう
覚えちゃいないんだぜ。
 不均一な空気。
 以前には気づかないことだったけれど、司法板には何かしら不均一な空気が流れていた。十
メートル歩くごとに山崎が寝ている。重力が、光が、温度が違っている。箸にも棒にもかから
ない答案を書いてきた受験生の足音も異なっている。手ごたえのある答案を書いた受験生さえ
もが、まるでくたびれたエンジンのように不均一だ。
 僕は一軒の本屋に入り、井川遥の写真集を買って紙袋に詰めてもらう。とにかく溜まったも
のを抜きたかった。抜いて熱いコーヒーを飲み、そして新しい服に着替える、全てはそれからだ。
808氏名黙秘:03/07/24 18:04 ID:???

○○木マキ?
809さ ◆kcIlove.mc :03/07/24 23:01 ID:???
>神崎さん
しばらく休もうと思ったけれど、このスレ以外に読むものもなく、
書くこともなくw

>緑ちゃん・謙三さん・キズキくん
元気ですか?
810謙三:03/07/25 11:16 ID:???
 受験勉強は僕の生活からぴたりと消えた。そして行き場のない思いも消えた。もちろんそれで
「桃太郎」のように「鬼退治」が来るわけではない。それはずっと先のことだ。大谷刑法が疲弊
し、内田民法がすりへり、芦部憲法が錆びた時、僕は判断推理・論理把握・長文読解が茂った予
備校を後にして、静かに風の音を聴こう。そして法務局の窓口なり法律事務所の使い走りなり、
どこでもいい、僕の辿るべき道を辿ろう。
 僕にとってのこのひと時のエピローグは雨ざらしの物干場のようにごくささやかなものでしか
ない。
811 緑:03/07/25 14:50 ID:???
 司法板はとてもしんとしていた。試験が受験生の知性を全部吸いとってしまうのだ。
 それでは試験に吸い取られた知性はいったいどうなるのだろう?もちろんどうにも
ならない。要するに知性が消えたのではなく、答案用紙の上で知性を装っただけなのだ。
 それでは答案用紙に向かっていないときの受験生とはいったいなんなのだろう?
どうにもならない。井川遥の写真に向かって腰を振動させるだけなのだ。振動はどうせ
いつか消える。なぜならこの世界にオナニーの永久運動は存在しないからだ。永久運動
は永久に存在しない。
 司試受験だって永久運動ではない。合格しないままの試験廃止だってあるのだ。試験
廃止のない司法改革だってあったのだ。
812氏名黙秘:03/07/25 16:32 ID:???
「でも僕は……うまい表現が思いつけないな、とにかく僕は司法試験を愛していました。
たとえ法務省が僕やまわりの何もかもを傷つけまわったとしても、僕は法曹への夢を手放す
気はありませんでした。志というのはそういうものです。結局そのあと一年ばかり果てしの
ないゴタゴタがつづきました。救いのない一年でした。神経もすり減らしたし、将来の見と
おしといっても何ひとつとしてありませんでした。でも結局、僕はその一年を乗り切りました。
僕は度重なる不合格の存在に結びつく全てのものを焼き捨て、新しい基本書を買い揃えました」
 彼は二杯目のオン・ザ・ロックを飲み干し、気持ち良さそうに深呼吸をした。
「たぶん今の僕の答案をお読みになってもうまく見分けがつかないんじゃないかと思いますよ」
と彼は正面の壁をじっと睨みながら言った。
 僕は黙ってビールを飲み、ピーナツをつまんだ。
「でも僕は個人的には昔の答案の方が好きです」と彼は言った。
「もうエロ作品は作らないんですか?」と僕はしばらくあとで訊ねた。
 彼は首を振った。「たぶん駄目でしょうね」と彼は言った。「僕の方はともかく、息子は
そんな状態じゃあないんです。それはそれで僕としてはどちらでもいいんですが」
813キズキ:03/07/25 18:59 ID:???
 論文試験が終わってしまうと、私は前にも増して深い暗闇の中にいました。私は自分の体を
ろくに動かすこともできませんでした。ホームラン答案も合格答案も何ひとつありません。そ
してただのひときれの合格への期待ももつことはできませんでした。長い午後が過ぎ去り、夜
がやってきました。夜になると体温はどんどん下がっていきました。私はほとんど眠ることす
らできませんでした。私の体は眠りを求めていましたが、不合格への恐怖は無数の刺のように
私の体に突き刺さってきました。自分の生命の芯が固くなって少しずつ死んでいくように感じ
られました。虚空を見上ると、そこには凍てつくような合格者の冷笑が見えました。恐ろしいほ
どの合格者の数でした。私はその合格者たちが地位と名誉を確立していく様を眺めていました。
その出世によって、私は自分一人が取り残されていることを確かめることができました。私は
ほんの少し眠り、恐怖と苦痛に目覚め、また少し眠り、また目覚めました。
814キズキ:03/07/25 19:17 ID:???
 やがて朝がやってきました。合格者たちが冷笑する姿が少しずつ薄らいでいきました。
淡い朝の光が窓から差し込んで来ました。しかし夜が明けても、恐怖は消えませんでした。
不合格への恐怖はうっすらとではありますが、いつまでもそこに残っていました。私は
試験前の答練で書いた26点答案をなめて喉の渇きを癒しました。それが何の役にたつ
のだろうと思われるかもしれませんが、それでも私にはそれは天の恵みのように思えた
ものです。考えてみれば、私は丸いちにち以上、水も飲まなければ、食事もとっており
ませんでした。しかし私は食欲というものをまったく感じませんでした。
 私は自分の部屋の隅でじっとしていました。それ以外に私にできることは何もなかっ
たのです。私にはものを考えるということすらできませんでした。そのとき私の置かれた
絶望と孤独は、それくらいに深いものだったのです。私は何もせず、何も考えず、ただ
そこに座り込んでいました。しかし私は無意識のうちにあの一条の光を待っていたのです。
一日にほんの僅かの時間この深い暗闇の底にまっすぐ差し込んでくる、あの目もくらむ
ようなレスです。
815氏名黙秘:03/07/25 19:17 ID:???

ピカッ
816さ ◆kcIlove.mc :03/07/25 23:51 ID:???
「それで」
と言ってから「さ」はアミノサプリを一口飲んで、ゆっくりと続きを話した。
「それで謙三さんは元気にしていたの?あるいは、元気に過ごしていけるの?」
817謙三:03/07/26 11:00 ID:???
 目が覚める。ここはどこだ?と僕は考える。考えるだけではなく実際に口に出して自分自身
にそう問いかける。「ここはどこだ?」と。でもそれは無意味な質問だ。問いかけるまでもなく、
答えは始からわかっている。ここは論文試験会場なのだ。僕の生活。僕という現実存在の付属物。
特に認めた覚えもないのにいつの間にか僕の属性として存在するようになったいくつかの事柄、
受験票、使えない耳栓。隣りの席で女が眠っていることもある。でも大抵の受験生は必死で答案
を書いている。

>>816
謙三は元気でーす。
818謙三:03/07/26 11:34 ID:???
 それが高度司法試験社会というものだった。気にいるといらざるとにかかわらず、我々は
そういう社会に生きていた。論点の重要度ABCという基準も細分化された。ソフィスティ
ケートされたのだ。論点Aランクの中にもファッショナブルな論点Aと非ファッショナブル
な論点Aがあった。論点Cランクの中にも若者が学習すべき論点Cと、ベテのみが好む論点
Cがあった。ファッショナブルな論点Aの中にも団藤系フォーマルなものがあり、大塚系カ
ジュアルなものがあり、前田系ヒップなものがあり、山口系クールなものがあり、判例系ス
ノッブなものがあった。組み合わせも楽しめた。結果無価値の下着の上に、行為無価値のセ
ーターを着て、形式的犯罪論のパンツをはき、息子が司法試験に合格したことをはしがきに
自慢するみたいに、複数のスタイルを楽しむ大谷説ができた。そういう世界では、刑法理論
はどんどん経営理論に似ていった。刑法理論は時代のダイナミズムに近接するのだ。
819氏名黙秘:03/07/26 14:14 ID:???
ラーメンの世界は、究極のナルトを伴うものでなければ完結しない。
僕はそう思った。
だが、ヘルシンキの人々はそんなことは気にかけず、今日もパンを焼き、
ミルクと一緒にそれを食べる。
820 緑:03/07/26 17:48 ID:???
「いろんな可能性があった」と五反田君はグラスを顔の上にあげて天井のライトにすかせて
見ながら言った。「なろうと思えば医者にだってなれた。大学の時は教職課程だって取った。
一流の会社につとめることもできた。でも結局こうなった。こういう生活。変なものだ。目
の前にカードがずらっと並んでいた。どれを取ることもできた。どれを取っても上手く行く
だろうと思っていた。自信はあった。だから司法試験のカードを選んだ」
「宅建のカードしか見えなかった」と僕は正直に言った。彼は目を細めて僕の顔を見て、それ
からにっこり笑った。たぶん冗談だと思ったのだろう。
821さ ◆kcIlove.mc :03/07/26 22:31 ID:???
>謙三さん
ファッショナブルな論点Aと非ファッショナブルな論点Aの間には、深い闇が横たわっているのかしら?
例えば代官山ととげ抜き地蔵みたいに。
それとも、大した違いなんてないのかもしれない。
遅めの朝食と早めの昼食みたいに?

>緑ちゃん
素敵なパロだね。
五反田くんは春樹作品の中でも最も好きなキャラの一人です。
ランボルギーニで飛び降り自殺。
822謙三:03/07/27 13:01 ID:???
「たとえば――」と僕は言った。でも頭の回転は完全にストップしていた。何も思いつかな
かった。何の言葉も浮かんではこなかった。僕はただふとそんな気がしただけのことなのだ。
大塚博士と僕のあいだにはささやかなものかもしれないにせよ、何かしら相通じるものがあ
る、というふうに思ったのだ。広すぎもせず、狭すぎもせず、それ以上の論証、何もなし。
自己の心神耗弱状態を利用する原因において自由な行為は、故意ある道具を利用する間接正犯
に類似する。ただそういう気がしたというだけ。
「わからない」と僕は言った。「もう少しいろんなことを整理する必要がある。段階的思考。
整理して、それから確認する。イメージだけで類似性を指摘すべきではない。類似性だけで
論証が完成するわけではない」
「すごい」と山口厚は窓ガラスに向かって小声で囁いた。
823氏名黙秘:03/07/28 11:20 ID:???
「私らは、どうもあなたがた若い人とは違って、そういうシンプルなのにはどうも上手く
馴染めんですな」と彼は苦笑しながら言った。
 僕も決して馴染んでいるわけではなかったが、話がこれ以上長くなっても困るので、別
に反論もしなかった。馴染んでいるのではない。把握、認識しているだけなのだ。そのふ
たつの間には決定的な差がある。でもとにかく僕は問題探究を読み終え、彼に挨拶をして
席を立った。
824さ ◆kcIlove.mc :03/07/29 09:47 ID:???
「何故いつも試験終了まで何も書かないの?」
「さあね、癖なんだよ。いつも肝心なことだけ書き忘れる」
「忠告していいかしら?」
「どうぞ」
「なおさないと受からないわよ」
「多分ね。でもね、書いたって無駄なんだよ。少し書けば必ず引っ張り込む。
刑訴第2問みたいにね。余分なことを書いてもっともっとダメになる。」
825羊男:03/07/29 10:59 ID:???
 現行司法試験は死の世界なのかい?」と僕は思い切って訊いてみた。
「違う」と羊男は言った。そして肩を大きく揺らせて息をした。「そうじゃない。ここは死の
世界なんかじゃない。あんたも、おいらも、ちゃんと生きている。我々は二人とも、おなじく
らいはっきりと生きている。高校野球の県予選が盛り上がっていたから、しばらくテレビに釘
づけで、パロ上げられなかったけれど。二人でこうして息をして、話をしている。これは現実
なんだ」
「僕には理解できない。最近ロー関係のスレが多すぎて、2ちゃんはつまんない。幸治はあの
読みにくい文章で受験生を苦しめた上に、再びローでベテを苛める」
「分離するんだよ」と彼は言った。「それ以外に方法はないんだ。ロー関係のスレは学歴板に
逝ってくれれば、いろんなことをもっと上手く説明してあげられると思う。ロー板を新設した
っていいじゃないか。これからローに対する関心はもっと強くなると思うんだ。でもおいらに
はローは関係ないんだ。おいらに関心があるのは現行試験だけなんだよ。勉強するんだ。何も
考えずに、いままでやってきたとおりの勉強をするんだよ。あんたはそうしなくちゃいけない
んだ」
826:03/07/29 18:44 ID:???
 僕は六法をめくるのも忘れ、鼠は問題文を読むのも忘れ、二人はいつも唖然として彼の
華麗なテクニックを眺めたものだ。
「夢見たいだ。」と鼠は言った。「あれだけのテクニックがあれば5分で1頁は軽いね。
いや2頁は行くかもしれない。」
「プロだもの仕方ないさ。」と僕は鼠を慰めた。
「あれに比べれば、俺なんてまだ女の小指の先を握ったくらいのものさ。」鼠はそういう
と、黙り込んだ。そして緻密に書き込まれた答案構成が解答用紙に清書されていくさまを
いつまでも見つづけていた。
「あれが仕事なんだぜ。」と僕は説明を続けた。「現役のうちはそりゃ楽しかったかもし
れない。でもね、5年も6年もあればかりやってみなよ、誰だってうんざりするさ。」
「いや、」と鼠は首を振った。「俺はしないね」
827氏名黙秘:03/07/29 21:38 ID:???
age
828五反田君:03/07/30 11:10 ID:???
「不思議な話だ。この間まで一緒に基礎講座を受けてたと思ったら、次に会ったときはどちらも
ベテときている。不思議だと思わない?」とかれはにこやかに言った。そしてひとさし指の先で
瞼を軽く撫でた。「ところで、君の方はどうして受験することになったの?」
「すごく簡単だよ。ある日卒業式がやってきたんだ」
「就職は?」
「考えていなかった。予定すらなかった。気づいたら卒業してた。何処かでバイトしながら司法
試験でも受けてりゃそのうち合格するだろうと思っていた。それで勉強しながら受験日を待って
いた。でもその年は合格できなかった。一年経っても、二年経っても合格できなかった。それか
ら法務省から離婚請求の用紙が送られてきた」
 彼はそのことについてしばらく考えていた。そしてため息をついた。「こういう言い方は君を
傷つけるかもしれないけど、でも君は僕より幸せだと思う」と彼は言った。
「どうして?」と僕は訊いた。
「僕の場合、卒業したらローができていた。僕が現行試験から叩き出されたんだ。文字通り。
ある日叩き出された」そして彼はガラス越しにじっと遠くの方を見た。
829 緑:03/07/30 15:49 ID:???
 もちろんそれは見せかけの合格枠の拡大に過ぎませんでした。2004年史上最大のチャンス
のすぐ外では熾烈なロー志願者の引き抜き戦争が続いていました。適性試験答練が抜き差しのな
らない泥沼と化すであろうことは、大抵の受験生にはわかっていたと思います。まともな頭を持
つ受験生なら、ということです。たとえ適性試験の局地的な戦闘に勝ったとしても、三年待たな
いと新試験は受験できないのです。そのことは冷静に考えればわかることです。案の定ローへ進
学したとたん、これじゃ学部の講義と同じじゃないかと思う進学者の数はどんどん増えていまし
た。そして下位ローに対する信頼はまるで坂道を転げ落ちるみたいに急激に悪化していきました。
部屋にこもって現行試験の勉強をしていても、ロー補習講座を受講するために予備校へ行く進学
者が増していることがわかりました。平成16、7年というのはそういう暗い時代だったのです。
しかし地方で呑気な2ちゃん暮らしを送っていると、正直に申し上げまして、ローなんぞいった
いどこでやっているんだという感じがしたものです。我々は毎夜のように酒を飲み、みんなで馬鹿
話をし、井川遥に似たホステスのいるカフェに行って遊んだりもしました。

>>827 さっちん、見〜つけた。次はさっちんが鬼だよ。
830謙三:03/07/30 18:52 ID:???
「ねえ、君はこれまでにマコツ焼って食べたことあった?」と僕は訊ねてみた。
「あたりまえじゃない」と女の子は言った。「だって有名ですもの」
「でもそんなに美味く……」と僕が言いかけたところで彼女が僕の足を蹴とばした。まわりの
受験生が僕の方をじろりと見た。嫌な雰囲気だ。でも僕はシバタ君のような無邪気な目をして
その場をやりすごした。
「あなたってバカねえ」と少しあとで女の子がそっと耳うちした。「ここに来てマコツ焼の悪口
なんか言ったら、マコツ鴉につかまって生きては帰れないんだから」
「マコツ鴉?」と僕はびっくりして叫んだ。「マコツ鴉って……」
「し――っ」と女の子が言った。無料ガイダンスが始まった。
831謙三:03/07/31 19:45 ID:???
 しかし何はともあれ、私は自分があなたがた受験生に対して公正ではなかったと思います。
そしてそれでずいぶん受験生をひきずりまわして、傷つけたりしたんだろうと思います。でも
そのことで、私だって2ちゃんでボロクソに書かれたり、自分自身を傷つけてきたのです。
言いわけするわけでもないし、自己弁護するわけでもないけれど、本当にそうなのです。もし
私が受験生の中に何かの傷を残したとしたら、それはあなただけの傷ではなくて、私の傷でも
あるのです。だからロースクールのことで私を憎んだりしないで下さい。私は不完全な人間で
す。私は受験生が感じているとおり理解しやすい日本語を書けません。私の文章に特徴的な
四重否定の文末は、さぞ読みづらかろうと思います。だけど私は受験生に憎まれたくないのです。
私は芦部教授のように自分の殻の中にすっと入って研究に専念するということができないのです。
芦部教授が本当はどうなのか知らないけれど、私にはなんとなくそう見えちゃうことがあるので
す。だから岩波から彼の教科書が出たとたんに、一斉に私の本を捨ててしまった受験生を見ると
彼がすごくうらやましくなるし、受験生を必要以上にひきずりまわすことになったのもあるいは
そのせいかもしれません。

 思い出深き「独立の法原理機関」の改革を終えて  工事
832ぼるじょあ ◆yBEncckFOU :03/08/02 03:36 ID:???
     ∧_∧  ∧_∧
ピュ.ー (  ・3・) (  ^^ ) <これからも僕たちを応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄ ̄∪ ̄ ̄〕
  = ◎――――――◎                      山崎渉&ぼるじょあ
833さ ◆kcIlove.mc :03/08/02 17:00 ID:???
>>832
すごく(・∀・)イイ!!
理解しやすい日本語を書けないって笑いましたw
834氏名黙秘:03/08/02 19:59 ID:???
やっと夏らしくなってきたけど、
暑くて勉強もパロも捗っていません。
明日からは頑張るからね。

>>833
さっちん、山崎にレスつけてるよ。
835さ ◆kcIlove.mc :03/08/03 04:34 ID:???
ΣΣ(゚д゚lll)ガガーン!!
謙三さんへのレスでつ・・・・。

7月の第3日曜日に、僕は司法試験というのは受けても無意味だという結論に到達した。
なぜなら受けたところで受かりっこないからだ。
そこで僕は司法試験を受けることを、何もしていないわけではないという言い訳として
捉えることに決めた。
今ここで司法試験を受けることをやめたからといって、就職先もないのだ。
僕は毎日自習室に行ってたらたらと芦辺憲法を読み、あるいは論文過去問集を読んで答
案構成をノートに書きとめながら、漫然と時を過ごす以外にやることなんて何もなかっ
た。
836謙三:03/08/03 13:37 ID:???
 少しすると彼の知り合いらしい四十前後の身なりの良い男がやってきて、彼の肩をぽんと
叩き、よう、久し振りと言った。きらきらと眩しくて思わず目をそらせたくなるような天秤
のバッジを襟につけていた。彼は最初に五分の一秒くらいちらっと僕を見たが、僕の存在は
それっきり忘れられた。まるで玄関マットを見るときのような目付きだった。たとえ東京地
方裁判所と書かれた封筒を手にしていても、僕が受験生にすぎないということは彼には五分
の一秒でわかるのだ。彼と五反田君とはしばらく雑談していた。「最近どう」とか、「いや、
忙しくてね」とか、「またそのうちゴルフに行きたいね」とか、その手の話だった。それか
ら天秤バッジ男はぽんとまた五反田君の肩を叩いて「じゃあまたそのうち」と言って行って
しまった。
 男が行ってしまうと五反田君は五ミリほど眉をしかめてから、指を二本上げてウェイター
を呼び、勘定をしてくれと言った。そして勘定書きが運ばれて来ると支払意思も能力もない
のにそこにボールペンでサインした。
「二項詐欺なんかじゃないんだ。藤木さんには悪いけど」と彼は言った。「被害者は信販会
社じゃないんだ。前田も大谷もそうは言わないけど」
 有り難くご馳走になる、と僕は言った。
「君も共犯なんだ。お礼なんかいいよ」と彼は表情のない声で言った。
837氏名黙秘:03/08/04 01:10 ID:???
>>394
スタンの何番のこと?

褒めてんのかけなしてんのか分からんな。
いやけなしてるのか。


838明智小五郎:03/08/04 10:55 ID:???
>>389 >>390 >>394
二十面相の一人三役でしょう。
839氏名黙秘:03/08/04 11:06 ID:???
「うんこスレ」の下についてしまったので、アゲ。やれやれ。
840 緑:03/08/04 12:01 ID:???
「お願い。少しでいいの。あと1年勉強すれば、現行で受かる自信があるの。嘘じゃないんです。
本当に淋しいの。現行しかないんです。見捨てないで」そしてその子、カバンの中からボロボロ
になるまで解いた択一過去問集を出して自分の胸にあてたの。すごく書き込みのある過去問集で
ね、それを見るとね、なんかこう胸がきゅんとしちゃうみたいなの。ロー推進派の私ですらよ。
私、どうしていいかわかんなくてね、駄目よ、そんなの駄目だったらって馬鹿みたいに言いつづ
けるだけなの。
841氏名黙秘:03/08/04 13:33 ID:???
>>840
(´д⊂ウワァァァァァン
842 緑:03/08/04 16:41 ID:???
「ねえ、若者であることの最大の利点ってなんだと思う?」
「わからないな」
「今年は受からないって言えることなのよ。たとえば私が大学の若者に口述模試はどの予備校
にするのって言うでしょう、すると若者はこう言うの、『私ことしは受からないから駄目』って。
逆の立場になったら私とてもそんなこと言えないわ。私がもし『今年も受からない』って言った
ら、それは四捨五入すると永久に受からないってことなんだもの。惨めなだけよ。美人の女の子
が『私今日ひどい顔してるから外に出たくないなあ』っていうのと同じね。ブスの子がそんなこと
言ってごらんなさいよ、笑われるだけよ。そういうのが私にとっての世界だったのよ。去年までの
六年間の」
「そのうちに受かるよ」と僕は言った。
「早く受かりたいわ。私ね、2ちゃんを知って本当にホッとしたのよ。ベテの人がいっぱいいて」
843氏名黙秘:03/08/04 17:11 ID:???
 おいキズキ、ここはひどい世界だよ、と僕は思った。こういう奴らがきちんとローの単位を
とって法曹界に出て、せっせと営業してクライアントをさらっていくんだ。
 僕はしばらくのあいだローの講義には出ても出席をとるときには返事をしないことにした。
そんなことしたって何の意味もないことはよくわかっていたけれど、そうでもしないことには
気分がわるくて仕方がなかったのだ。しかしそのおかげでローの中での僕の立場は専業浪人の
ときよりもっと孤立したものになった。名前を呼ばれても僕が黙っていたり、「ミャー」と猫
の鳴きマネをしたりすると、教室の中に居心地のわるい空気が流れた。誰も僕に話しかけなかっ
たし、僕も誰にも話しかけなかった。
844氏名黙秘:03/08/04 17:44 ID:???
 小柄な学生がショルダー・バッグを抱えるようにしてローに行ってしまうと、大柄な方の
学生が僕に向かって、あのすみません、と言った。僕は本を置いて彼を見た。
「このへんにまだ現行の択一答練やっている予備校ご存知ありませんか?」と彼は言った。
「現行最後の今年にですか?」と僕はびっくりして訊きかえした。
「ええ」
「ねえ、現行最後の年っていえば大抵のベテは煉炭とガムテープを準備して択一答練どころ
じゃないはずですよ」
「ええ、それはよくわかってはいるんですけれど」と彼はすごく恥ずかしそうに言った。
「友だちがどうしてもローには行きたくないっていうんです。いろいろとまあ事情があって」
「家に帰って二人で七輪に火を熾すしかないんじゃないかな」
「でも私、今年こそは受かりそうな気がするんです」
「じゃあ10年前の総択の問題をあげるから、そのへんに座って解くしか手はないみたいです
ね。短期賃貸借が出てますけど」
845さ ◆kcIlove.mc :03/08/06 20:47 ID:kULlamyW
>>844
短期賃貸借、なくなりそうですもんね(涙)

本試験が終わると、迎えの車(父運転)に乗り込んで、とりあえず一服して、それから
ごめんね、今年もダメだったよ、と報告した。
それから車の外を見渡すと、自信満々の若手受験生が2人、問題検討をしているのだろ
うか、ぱくぱく口を動かしていた。1人はセミナーの解答速報(1日目)を手に持って
いた。
いつもながらの論文後の帰り道だった。
しかし1年ぶりにその風景を見ていてわたしはふとある事実に気がついた。
人々はみんなそれぞれ自分よりも若く見えるのだ。
彼らが本当に若いのか、それとも大塚美容外科でアンチエイジングの施術を
受けているのか、それはわからない。
でもとにかく7月21日の雨の降る祝日(振替)、受験生達は皆若々しく見えたし、
そのおかげでわたしは、ああ、自分はまた1つ歳を取ってしまったのだと気がつか
ずにはいられなかった。
846 緑:03/08/07 19:51 ID:???
「合格の女神は本当にいるの?」
「本当にいるよ」と僕は言った。「法務省の中には彼女の住んでいる場所があるんだ。法務省
の中にもうひとつ別の法務省がある。それはベテじゃなきゃ見えない場所なんだ。でもそれは
ちゃんとそこに残されている。ベテのために残されているんだ。それはベテのための場所だか
らだよ。彼女はそこに降臨して、ベテといろんな物事を繋げているんだ。それはベテのための
場所で、合格の女神はベテのために働いている。彼女がいないと、ベテはいろんなものとうま
く繋がらない。彼女がそういうのを管理してるんだ。子供電話相談室みたいに」
「繋げる?」
「そう。ベテが合格を求める。何かを繋げようと思う。合格の女神がそれを繋げる」
847 緑:03/08/07 20:10 ID:???
「楽しそうだな」
「ものすごく落ちてるからもうやれることはなんだってやっちゃうの。彼女は毎日毎日考え
をめぐらせているわけ。何しろ暇だから。来年答案書くときはこんなこともしよう、あんな
こともしようってね。そして机につくと貪欲にいろんなスタイルで12問いっきに解いちゃう
の。そしてマコツにこう言うの。『どう、私の答案って凄いでしょう?あなたもう若い受験
生の答案なんかじゃ満足できないわよ。ほら、若い子が福田説なんか書いてくれる?どう?
感じる?でも駄目よ、29点なんかつけちゃ』なんてね」
848氏名黙秘:03/08/08 13:49 ID:???
「どうしてあなたってそんなに馬鹿なの?合格できないにきまってるでしょう?だって現行に
恩典つけるのはあと二年だって言ったでしょう?現行組はそれこそ死に物狂いになって勉強し
て来るっていうのに、簡単な五択落としたり、論文好きじゃなくなったって言ったりしてたら、
落ちるに決まってるでしょう?そんなこともわかんないの?」
「それはもちろんそうだけど――」
849氏名黙秘:03/08/08 17:22 ID:???
(´д⊂ウワァァァァァン
850謙三:03/08/08 19:18 ID:???
 受験十一年目になってついにやることがなくなってしまった。やれることはとにかく全部
やった。過去問もやったし、ローラーは十年分つぶしたし、彼女とは別れたし、親戚からは
爪はじきにされた。マコツの悪口も毎日言ったし、ガイダンス・テープにはJ.J.ジョンソン
をダビングしたし、うんこと友だちにもなった。でも受かりそうもなかった。もう一度会社
法のテープを聞いてみたかったが、来年の論文試験にはまだ早すぎた。もう改正はないだろう
と安心しているといつも裏切られ、六法と会社法の教科書ばかりが増えた。そして、民法改正。
 いろいろ考えた末に結局ローに行くのはやめた。そして窓の外の暴風雨に蹂躙された茫漠と
した暗闇を見ながらマティーニを飲み、ローに進学する人たちについて考えた。進学しても彼ら
は「ロー人」と呼ばれるのだろうかと、僕は思った。
851氏名黙秘:03/08/09 19:56 ID:F1NaCBzu
 そういう不合格が何度もくりかえされた。現行試験は終焉に近づき、ベテ救済のための二年
も過ぎて地獄のサバイバル戦に入り、サバイバル戦を抜けて現行試験の名残を楽しむ段階に
入った。秋に合格発表があるたびに何人かの乗客が降りた。乗りこんでくる乗客は一人もいな
かった。2004年に出発して数年で眺望の開けた峠に出たが、運転手はそこでバスを停め、
五、六人狂ったベテを降ろすから、ロー行きに乗り換えたい人は乗り換えてかまわないと乗客
に告げた。客は僕を含めてもう数十人しか残っていなかったがみんなバスを降りて体をのばし
たり、煙草を吸ったり、眼下に見える滝壷を覗き込んで、ここできれいに死のうかと考える者
もいた。運転手は立小便をした。
852さ ◆kcIlove.mc :03/08/10 13:43 ID:6D4lUx4N
やっぱり緑ちゃんと謙三さんはすごく素敵なパロですね。
梅雨も明けて夏本番。
こんな暑い日には、春樹さんのエッセイの様にビールを飲みたいです。

>>851
(´Д⊂グスン
853 緑:03/08/10 15:05 ID:???
「だからね、この人インテリなんだよ」と漁師が文学のほうを向いて言った。「調べたら
前にも司法試験を受けてた。ちゃんと住民票抄本が提出されてた。学生運動と大学の自治。
公務執行妨害と適法性の錯誤。書類送検と捜査の終了。こういうのになれてるんだ。筋金
入りなんだよ。穴埋めが嫌いなんだ。個数には強い。憲法で保障されたうんこの自由とか
そういうことをちゃんと詳しく知ってる。もうすぐ工事の悪口を言い出すよ」
「でも我々は適性試験受けてもらって、ごく簡単な質問してるだけですよ」と文学がいか
にも驚いたという風に漁師に言った。「何も学費が欲しいからローへ来てくれとかそうい
うことを言っているわけじゃないですよ。よくわからないな。工事の悪口を言う理由なん
てなにもないでしょう?どうしてそういうややこしい考え方をするんだろう?理解に苦し
みますねえ」
「だからさ、私は思うんだけど、この人はただ単に大学が嫌いなんじゃないかな。大学と
名のつくものがとにかく何でも生理的に嫌いなんだよ。東大から龍谷まで。時間どおりに
始まらない講義や突然の休講とか。だからそんなものになんか死んでも行きたくないと思
っているんだろうね」と漁師が言った。
854神崎:03/08/10 18:58 ID:???
 あれは五月頃だったかしらね、択一答練の途中でその人が突然気分がわるいって言い
だしたの。顔を見るとたしかに青ざめて汗かいてるのよ。それで私、どうする、残りは
全部3にマークして、家に帰る?って訊ねたら、保健室で少し横にならせて下さい、そ
うすればなおるからって言うの。だめよ、予備校だから保健室はないのよ、私のマンシ
ョンすぐ近くだから、私のベッドで横になりなさいって私言って、その人にマンション
のキーを渡したの。予備校にあるソファーってすごく小さかったから、そうする以外に
方法がなかったのよ。ごめんなさい、迷惑かけちゃって、って彼が言うから、あらいい
わよ、そんなの気にしないでって私言ったわ。
 仕事が終わって、マンションに帰ってみると、彼はおとなしくベッドで寝ていたわ。
どうする、お水か何か飲む?って訊ねると、いいよ、それよりとなりにしばらくいても
らえればって彼は言って、いいわよ、となりにいるくらいいくらでもいてあげるからっ
て私言ったの。
855神崎:03/08/10 19:00 ID:???
 少しするとね『すみません、少し背中をさすっていただけませんか』って彼が苦しそう
な声で言ったの。見るとすごく汗かいているから、私一所懸命折背中さすってやったの。
すると、『ごめんなさい、ズボン脱いでもいいですか、苦しくって』って彼言うのよ。
まあ仕方ないから脱がしてあげたわよ、私。ぴったりしたジーンズ穿いてたもんだから、
そのボタン外してね、そして股間のジッパーを下げたの。汗かいて苦しんでいるくせに、
あれは立派に勃起しててね、マコツの二倍はあったわね。でもまあそういうのもどうでも
いいことじゃない?私ずっと背中さすってたわよ、馬鹿みたいに。ごめんなさいねって
彼本当に申しわけないって声で言って、そのたびに私、気にしない気にしないって言って
やったわねえ」
 レイコさんは足もとにとんとんと煙草の灰を落とした。僕もその頃には葡萄を食べるの
をやめて、じっと彼女の話に聞き入っていた。
856神崎:03/08/10 19:01 ID:???
「そのうちに彼しくしくと泣きはじめたの。
『ねえ、どうしたの?』って私言ったわ。
『なんでもないんです』
『なんでもなくないでしょう。正直に言ってごらんなさいよ』
『択一本番が近づくとこんな風になっちゃうんです。自分でもどうしようもないんです。
淋しくって、哀しくて、誰も頼る人がいなくて、どの予備校も30点以上くれなくて。
それで辛くて、答練中に気分わるくなっちゃうんです。夜もうまく眠れなくて、食欲も
殆んどなくて』
『ねえ、どうしてそうなるのか考えてごらんなさい。聞いてあげるから』
857神崎:03/08/10 19:02 ID:???
 刑法がうまくいってないんです、って彼は言ったわ。(  )を埋めることができない
し語句群を読むには老眼鏡がないと活字がチラつくんだって。そう言っておいおい泣くのよ。
かわいい目に涙をためて。あれ見たらフーゾクの女だってほろりとしちゃうわよね。それで
私こう言ったの。そんなに穴埋めやるのが辛いんだったら答練が終わったらうちに遊びに来て
もいいわよって。すると彼は私にしがみつくようにして『本当にごめんなさい。現行試験が
なくなったら、僕どうしていいかわからないんだ。僕のこと見捨てないで。現行試験に見捨て
られたら、僕行き場がないんだもの』って言うのよ。
858神崎:03/08/10 19:03 ID:???
 仕方ないから私、彼の頭を抱いて撫でてあげたわよ、よしよしってね。その頃には
彼は私の背中にこう手をまわしてね、撫でてたの。そうするとそのうちにね、私だん
だん変な気になってきたの。体がなんだかこう火照ってるみたいでね。だってさ、
20cmもあるペニスを勃起させた男の子と二人でベッドで抱きあっていて、その子
が私の背中を撫でまわしていて、その撫で方たるやものすごく官能的なんだもの。
マコツなんてもう足もとにも及ばないくらいなの。ひと撫でされるごとに体のたがが
少しずつ外れていくのがわかるのよ。それくらいすごいの。気がついたら、彼私の
ブラウス脱がせて、私のブラ取って、私のおっぱいを撫でてるのよ。それで私やっと
わかったのよ。さっきのは仮病なんだって。私前にも一度やられたことあるの。就職
して最初の年、30くらいのベテに。それで私、駄目、よしなさいって言ったの。
859神崎:03/08/10 19:16 ID:???
 でも彼のペニスは大人しく引き下がるような状態じゃなかったの。彼は私のおっぱい
に舌を這わせ、左手を私の大事なところに伸ばしてきたわ。その頃、私はくやしいけれ
ど、彼を受け入れるに十分なくらい濡れていたのよ。彼の指が私の中に挿入されたとき
は、体の芯に電撃がはしったような気がしたもの。
 彼は私の両足を割って、私の中にペニスを挿入したの。それからゆっくりと前後に動
きはじめたわ。私ひとなみはずれてセックスが好きな女じゃないわよ、誤解しないでね。
でもあのときの快感は言葉にできないくらい強かったの。私けもののような大きな声を
出していたんじゃないかしら。だって彼のような大きなペニスは見たことがないもの。
30分も動いてから、やっと彼は果てたわ。私はずかしいけれど、20回はイッたかもしれ
ないわね。
860氏名黙秘:03/08/11 02:57 ID:???
秀逸!
861謙三:03/08/11 19:27 ID:???
「でも私はまだ二十五歳なのよ。」と彼女は続けた。「丙案がなくなったからって終わり
たくなんかないのよ。」
 料理がテーブルに並べられる間、僕たちの会話は中断された。
「君はまだ若いんだ。」とマコツは言った。「これからロースクールだって始まるし、
現行だってチャンスはある。人生なんてどんどん変わっていくさ。」
「変わりなんてしないわ。」彼女はナイフとフォークで器用に海老の皮を剥きながら
ボソボソと言った。「誰も私のことなんて法律家にしようとは思わないわ。ロクでも
ない答案構成を組み立てたり、真っ赤に添削された答案を繕ったりして一生終わるのよ。」
 マコツはため息をついた。急にペニスが萎えてしまったような気がした。
「君は可愛いし魅力的だし、受験歴だって長いし頭だっていい。包茎の皮だって上手く
向ける。きっと上手くいくさ。」
 彼女は黙りこくって海老を食べつづけた。マコツも海老を食べた。そして海老を食べ
ながら貯水池の底の民法第二問の参考答案を想った。
862氏名黙秘:03/08/11 19:36 ID:???
海老
863 鼠:03/08/11 19:45 ID:???
「今日は答案書きすぎだよ。」とジェイが言った。それでも結局は八通めの解答用紙が
前に置かれた。
 少しばかり頭が痛む。体がまるで波に揺られるように何度か上下する。目の奥にだる
さを感じる。書けよ、と頭の奥で声がした。書いちまえ、それからゆっくりとあてはめ
を考えるんだ。さあ、急いで法定的符合説を書け。小塚の基礎講座で100回聴いたあ
の論証だよ。……駄目だ。「そもそも」までしか書けない。……それでも鼠は「そもそ
も」の次に「思うに」と書き、さらに続けて「この点」と書いた。
 この論証を忘れるなんて何年振りかな?最初のワン・フレーズまで忘れちまったよ。
チンポこすると思い出せるって小塚が言ってたっけ?……下らない冗談はよせ。黙って
書くんだ。
864   緑:03/08/13 17:00 ID:???
「その問題を見た途端に私ぞっとしちゃったの。これは人間に解ける問題じゃないっていう
気がした。根拠はないんだけど、直観的にそう思ったの。これは人間の解く問題じゃないって。
背筋が凍りつくっていう感じが初めてわかったわ、その時。背筋って本当に凍りつくのよ。
修辞的誇張じゃなくて。私、走って逃げたかったわ。一目散に。答案構成を一度か二度書き
直したんだと思う。消しゴムの滓が散らばってたから。でもそんなこと全然覚えてないの。
ただ走って逃げたかったっていうただそれだけしか思いだせないの。書いているあいだずっと
右手がまた死んだらどうしようとそのことばかり考えていたわ。でもちゃんと右手は動いて
いた。でも右手は最後の論点の前で停まったのよ。思い切り首筋に力を入れると、気力が蘇えっ
てきた。でもそのテンションの上がり方がすごくゆっくりなの。本当に信じられないくらい
のんびりしてるの。「A……は……B……にっていう感じよ。早く来い、早く来い、とずっと
念じていたけれど、駄目なのよ。ものすごく時間がかかるの。なんだか合格が黄昏てるみたいに」
865氏名黙秘:03/08/14 19:05 ID:???
「ねえマコツ、マンコとオメコの違いをきちんと説明できる?」と緑はマコツに質問した。
「できると思うよ」とマコツは言った。
「ちょっと訊きたいんだけれど、そういうのが受験生活の中で何かの役に立ってる?」
「受験生活の中で何かの役に立つということはあまりないね」とマコツは言った。「でも具体
的に何かの役に立つというよりは、そういうのは物事をより系統的に捉えるための訓練になる
んだと僕は思ってるけれど」
 緑はしばらくそれについて真剣な顔つきで考えこんでいた。「あなたって巨根なんでしょ」
と彼女は言った。
866氏名黙秘:03/08/15 18:58 ID:???
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン

867山崎 渉:03/08/15 19:18 ID:???
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
868山崎 もうやめろ:03/08/15 19:42 ID:???
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
869氏名黙秘:03/08/18 00:18 ID:???
dat落ち阻止
870北方謙三的司法試験:03/08/18 13:11 ID:???
 ベテを責めると、自分が責められたときのことを思い出す。それでも工事は、ベテ苛めを
志願した。
「合格発表が近づくと、誰でもこわくなる」
 眼の前に転がっているベテにむかって、工事は言った。
「痛みにも苦しみにも、人は耐える。つらいのは、何の希望もなく、受験を続けていくこと
だ。ただの受験生として、生き続けなければならない」
 地下牢である。燭台の灯りも、揺れることはない。
「そういうおまえにも、時々希望というやつが見えてくる。これは暖かい。生きていると実
感ができるものだ。しかし、その希望は、すぐに叩き潰される。模範答案なんてものが出回
るからな。そして希望など、もともとなかったものだと思い知らされる」
871北方謙三的司法試験:03/08/18 13:11 ID:???
「苦しかろうな」工事は、また呟きはじめる。
「おまえを見たとき、俺はなぜか親しみのようなものを感じたよ。俺がおまえにしてやれる
ことが、ひとつだけある」耳もとで、工事は囁いた。
「殺してやることだ。気持ちよく、受験界から消してやることだ」
 ベテの身動きに合わせて、工事はまた脇腹を蹴りはじめる。
「やめろ」一刻(30分)ほど蹴り続けると、ベテが弱々しい声を出した。「現行を廃止しな
いでくれ」
 工事は、蹴るのをやめた。
872北方謙三的司法試験:03/08/18 13:13 ID:???
 一刻を争う。早く救出しないと、ベテさんが工事に殺されてしまう。燕青は、駈けた。
地下牢の扉の前で壁に背をつけた。中から、低い話し声が聞こえてくる。声はひとりだけ
で、言葉は聞き取れないほど低い。
 燕青は扉を蹴破ると、地下牢の中へ突進した。
 工事の小さな背中。その向うに、ベテさんが横たわっていた。
 ゆっくりと、工事が振り向いた。燕青の体が、動いていた。肘を打ち込む瞬間、工事の
口がかすかに動いたような気がした。「もう誰も読んでくれないから、改訂はしない」と
言ったのか。工事の首が伸び、おかしな方向に曲がっていた。確かめるまでもなく、工事
は氏んでいる。
873初めて来たけど:03/08/20 01:35 ID:ZVuVk+5w
いやーこのスレ面白いわw
874氏名黙秘:03/08/20 10:57 ID:???
>>873
また来てね。今日からがんがんいくから。
875 緑:03/08/20 11:18 ID:???
 僕は基本書の覚えている部分だけを『サマータイム・ブルース』に合わせて歌った。
「よく覚えているのね」とユキが感心したように言った。
「そりゃそうだよ。僕も昔は君と同じくらい熱心に芦部を読んでたんだ」と僕は言った。「君
と同じくらいの歳のころにさ。毎日図書館に通って、通訳検定の受験勉強をしている可愛い女
の子の近くの席に座って芦部を読んだ。二重の基準。世の中にこれくらい素晴らしいものはな
いと思ってた。読んでいるだけで幸せだった」
「今はどうなの?」
「今でも読んでる。まだ合格してないから。でも文章を暗記するほどは熱心に読まない。昔ほ
どは感動しない」
「どうしてかしら?」
「どうしてだろう?」
876氏名黙秘:03/08/20 11:56 ID:???
「教えて」とユキは言った。
「本当にいいんだね」と僕は言った。「最初は少し痛いかもしれないよ。誰でもそうだよ。
初受験でも、甲子園での初打席も、最初から上手くいくなんてことはない。セックスだって
そうだ。いい気持ちになるのは一時間腰を動かしていてもほんの数秒にすぎない。あとは
大量生産の屑みたいなもんだ。でも昔はそんなこと真剣に考えなかった。誰と寝てもけっ
こう楽しかった。若かったし、時間は幾らでもあったし、それに恋をしていた。つまらない
ものにも、些細なことにも心の震えのようなものを託することができた。僕の言っている
ことわかるかな?」
「何となく。でもあたしとのことは恋じゃないの?」とユキは言った。
「ズコバコ(俺はお前とセックスしたい)」と『ろ』は言った。
877氏名黙秘:03/08/20 11:57 ID:???
 フランク・ザッパの『娘17、売春盛り』がかかったので、僕はしばらくそれを一緒に
合唱した。「痛くない?」と僕は聞いてみた。
「ううん。悪くない」と彼女は言った。
「悪くない」と僕も言った。
「今は恋をしないの?」とユキが訊いた。
 僕はユキの中でペニスを動かしながら少し真剣に考えた。「むずかしい質問だ」と僕は
言った。「君は好きな男の子はいるの?」
「いない」と彼女は言った。「セックスしたがる奴はいっぱいいるけど」
「気持ちはわかる」と僕は言った。
878氏名黙秘:03/08/20 11:58 ID:???
「お金もらってセックスしている方が楽しい」
「その気持ちもわかる」
「本当にわかる?」とユキは言って、疑わしそうな目を細めて僕を見た。
「本当にわかる」と僕は言った。「みんなはそれを売春と呼ぶ。でも別にそれはそれでいい
んだ。僕の人生は僕のものだし、君の人生は君のものだ。何を求めるかさえはっきりしてい
れば、君は君の好きなように生きればいいんだ。人が何と言おうと知ったことじゃない。
そんな奴らは青少年保護条例最判でも読んでいればいいんだ。僕は昔、君くらいの歳の時に
そう考えていた。今でもやはりそう考えている。それはあるいは僕が人間的に成長していな
いからかもしれない。あるいは僕が恒久的に正しいのかもしれない。まだよくわからない。
なかなか解答が出てこないし、論文試験にはもう出ないのかもしれない」
879氏名黙秘:03/08/20 11:59 ID:???
「ねえ」とユキが言った。「あなた、ちょっと変わってるみたい。みんなにそう
言われない?」
「ふふん」と僕は否定的に言った。
「総合Aとったことある?」
「一度とった」
「翌年は?」
「総合E」
「どうして?」
「試験委員に逃げられたんだ」
「本当、それ?」
「本当だよ。試験委員が大量に入れ替わって勘が狂ってしまったんだ」
「可哀そう」と彼女は言った。
「ありがとう」と僕は言った。
880キズキ:03/08/20 13:53 ID:???
 僕は彼女が食器を洗うのを手伝った。僕は緑のとなりに立って、彼女の洗う食器
をタオルで拭いて、調理台の上に積んでいった。
「ところで一緒に勉強していたベテさんたちはみんな何処に行っちゃったの?」と
僕は訊いてみた。
「甲さんはお墓の中よ。二年前死んだの、首吊って」
「それ、さっき聞いた」
「乙さんは婚約者とデートしてるの。どこかドライブに行ったんじゃないかしら。
乙さんの彼はね消費者金融につとめてるの。返済が滞って彼が債権回収に来たときに、
できちゃたんじゃないかしら。私ってあんまり消費者金融好きじゃないんだけど」
 緑はそれから黙って皿を洗い、僕も黙ってそれを拭いた。
「あとは丙さんね」と少しあとで緑は言った。
「そう」
「丙さんは去年の七月に論文受けに行ったまま戻ってこないの」
881:03/08/20 13:55 ID:???
「龍谷ロー?」と僕はびっくりして言った。「なんでまた龍谷ローなんかに?」
「弁護士になれなくても、お寺の小僧になって食いつなげるんじゃないかって思ったのよ、
丁さん。馬鹿みたいな話だけど。基礎講座のときの知りあいが山寺の住職の息子で、龍谷
ロー行ってお経のひとつでも覚えれば、なんとでもなるって急に言いだして、そのまま一人
で托鉢姿になって行っちゃったの。私たち一所懸命とめたのよ、そんなところ行ったって
どうしようもないし、お経なんて読んだこともないし、だいいち丁さん東京から出たこと
だってロクにないじゃないのって。でも駄目だったわ。きっとあの人、民法第2問で失敗
したのがものすごいショックだったのね。それで頭のタガが外れちゃったのよ。それくら
いあの人、民法には自信があったのよ。本当よ」
 僕はうまく相槌が打てなくて、口をあけて緑を眺めていた。
882謙三:03/08/20 13:56 ID:???
「現行試験が廃止されたとき、お父さんが私とお姉さんに向かってなんて言ったか知って
る?こう言ったのよ。『俺は今とても悔しい。俺はお前たち二人をソープに売りとばして
でも金をつくってローへ行くべきだった』って。私たち唖然として口もきけなかったわ。
だってそう思うでしょう?いくらなんでもそんな言い方ってないじゃない。そりゃね、
二十数年受験してきた最愛の伴侶を失った辛さ哀しさ苦しみ、それはわかるわよ。気の毒
だと思うわよ。でも実の娘に向ってお前らがソープで働いて俺をローへ行かせるべきだっ
たってのはないと思わない?それはちょっとひどすぎると思わない?」
「まあ、そうだな。で、どこのソープ?二万あればいいのかな?延長いくら?」
883謙三:03/08/20 18:26 ID:VktUz9C6
  でも考えてみればマコツは司法試験に合格する前から実にそういうタイプの男だった。
感じはいい、でも実体がよくわからないのだ。僕は受験時代二年間彼と同じ予備校で勉強
していた。民法の論文過去問演習では同じゼミに属していた。だから時々二人でキャバク
ラにも行った。昔からポスターそのままにおそろしく感じのいい男だった。キャバクラの
女の子はその当時から彼に失神しそうなくらい憧れていた。彼が女の子に話しかけると、
みんなうっとりした目をした。彼が余興として優雅な手付きでライターを自分の肛門に近
づけオナラに火をつけるとみんなオリンピックの開会式でも見るみたいな目付きで彼を見
ていた。
884謙三:03/08/20 19:31 ID:???
「883.代行ありがとう。今日からガンガンいこうと思っていたのに、アク禁はイタい
ね、謙三」
「でもね、緑ちゃん。規制されると、かえって燃えるんだ、俺。ほれ、こんなに勃起しち
ゃった」謙三は緑の手を掴んで、股間のイチモツへと導いた。

 キキはマコツとどんな風に腕相撲をしたんだろうと僕は想像してみた。彼女もやはり、
メイと同じようにマコツにすごくセクシーな反則を用いたのだろうか?そういう反則は
あのキャバクラに属する女の子みんなが職業上の基本技術として心得ているノウハウな
んだろうか、それともあれはあくまでメイの個人的なものなのだろうか?僕にはわから
ない。マコツに聞いてみるわけにもいかない。僕が店に行った時、キキは腕相撲に対し
てはどちらかといえば消極的だった。僕が彼女の腕を押し倒そうとすると彼女は二秒も
もたなかった。決してハン乳を見せて相手の油断を誘ったり、空いている手で相手の股
間をスリスリしてその隙に腕を倒すという反則は使わなかった。僕と腕相撲をしている
とき、キキは体の力を抜いて、とてもリラックスしてそれを楽しんでいるように僕には
思えた。そして僕はそういう腕相撲に対して不満を抱いたことは一度もなかった。勝て
ばセックスさせるという賞品がついていたからだ。柔らかな体と、安らかな息づかいと、
温かい性器と。僕にはそれで充分だった。だから彼女が誰かに――たとえばマコツに―
―積極的なプロフェッショナルな反則を使って腕相撲に勝つなんてことは、僕にはどう
もうまく想像できなかった。
885氏名黙秘:03/08/20 21:06 ID:s473QGRv
:心得をよく読みましょう :03/08/20 18:18 ID:hwu9yzDO
【司法板】
【村上春樹的司法試験】
【謙三】
【本文】 
 でも考えてみればマコツは司法試験に合格する前から実にそういうタイプの男だった。
感じはいい、でも実体がよくわからないのだ。僕は受験時代二年間彼と同じ予備校で勉強
していた。民法の論文過去問演習では同じゼミに属していた。だから時々二人でキャバク
ラにも行った。昔からポスターそのままにおそろしく感じのいい男だった。キャバクラの
女の子はその当時から彼に失神しそうなくらい憧れていた。彼が女の子に話しかけると、
みんなうっとりした目をした。彼が余興として優雅な手付きでライターを自分の肛門に近
づけオナラに火をつけるとみんなオリンピックの開会式でも見るみたいな目付きで彼を見
ていた。
886氏名黙秘:03/08/20 21:07 ID:s473QGRv
18 :心得をよく読みましょう :03/08/20 19:18 ID:iYiYKd4J
【司法板】
【村上春樹的司法試験】
【謙三】
【本文】
「883.代行ありがとう。今日からガンガンいこうと思っていたのに、アク禁はイタい
ね、謙三」
「でもね、緑ちゃん。規制されると、かえって燃えるんだ、俺。ほれ、こんなに勃起しち
ゃった」謙三は緑の手を掴んで、股間のイチモツへと導いた。

 キキはマコツとどんな風に腕相撲をしたんだろうと僕は想像してみた。彼女もやはり、
メイと同じようにマコツにすごくセクシーな反則を用いたのだろうか?そういう反則は
あのキャバクラに属する女の子みんなが職業上の基本技術として心得ているノウハウな
んだろうか、それともあれはあくまでメイの個人的なものなのだろうか?僕にはわから
ない。マコツに聞いてみるわけにもいかない。僕が店に行った時、キキは腕相撲に対し
てはどちらかといえば消極的だった。僕が彼女の腕を押し倒そうとすると彼女は二秒も
もたなかった。決してハン乳を見せて相手の油断を誘ったり、空いている手で相手の股
間をスリスリしてその隙に腕を倒すという反則は使わなかった。僕と腕相撲をしている
とき、キキは体の力を抜いて、とてもリラックスしてそれを楽しんでいるように僕には
思えた。そして僕はそういう腕相撲に対して不満を抱いたことは一度もなかった。勝て
ばセックスさせるという賞品がついていたからだ。柔らかな体と、安らかな息づかいと、
温かい性器と。僕にはそれで充分だった。だから彼女が誰かに――たとえばマコツに―
―積極的なプロフェッショナルな反則を使って腕相撲に勝つなんてことは、僕にはどう
もうまく想像できなかった。
887氏名黙秘:03/08/21 10:56 ID:???
>>883-886
アク禁解除されたみたいです。代行ありがとうございました。
888らっきょ:03/08/21 14:37 ID:MMTGZS+9
 ベテ的な夢があり、そんな夢を打ち砕く現実がある。あるいはベテ的な現実があり、そんな
現実を打ち砕きたいという夢がある。夢はいわばベテ宇宙の名誉市長だ。ベテ宇宙にあっては
ベテが合格を求めていても何の不思議はない。ベテはいつか合格を手に入れるだろう。僕には
関係のない問題だ。
 しかしベテがローを利用して合格を手に入れようとしているのであれば、状況はがらりと違っ
てくる。ローはまるで考え方の違う宇宙に放り込まれてしまうことになる。考え方の違う宇宙に
放り込まれていちばん困ることは下位ローの合格率が悪くなることである。僕がベテに訊ねる、
「何故君は合格を欲しがるんだい?」。ベテが答える、「とても腹が減ってるんですよ」。僕が
訊ねる、「どうして腹が減ったら合格がいるんだい?」。ベテが答える、「合格したら腹いっぱ
い食えるんですよ」。僕が訊ねる、「どうして合格なんだい?」。ベテが答える、「だからとて
も腹が減ってるって言ったじゃありませんか?」。きりがないのだ。そしてきりのないままに僕
はベテを憎みはじめ、ベテは僕を憎みはじめる。それがベテ宇宙だ。そんな宇宙から脱け出すた
めにはもう一度べつの象徴的な夢を見るしかない。
889 緑:03/08/21 19:43 ID:???
>>852
さっちん、元気でいるの?
もしかして、アク禁?
890さ ◆kcIlove.mc :03/08/22 02:27 ID:FN7Y6w6g
家出してました・・・・。
久しぶりに家に帰って来て春樹スレをチェックしたら、沈んでなくて安心しました。
休憩したらまたパロしまつ。
891氏名黙秘:03/08/22 19:11 ID:???
「こういう知識が重要だとはとても思えないんですがね」と僕は言った。「正直言って瑣末な
ことのように思える」
「しかし瑣末なことが本番になって結構役に立つんです。瑣末な知識で問題が解決した例は幾
つもあります。逆に瑣末なことをおろそかにして後悔した受験生も何人もいます。なにしろこ
れは司法試験ですからね。君の一生がかかってるんです。我々だって真剣なんです。悪いけど
我慢して覚えてください。正直言いましてね、あんたをローへ押し込んでも三年後にいい結果
を出すとはとても思えないんです。そうでしょう?いっぱい書類がいる。融通もきかなくなる。
だいいちあんた陰毛にまで白髪がまじってくるような年齢なんでしょう?」
892謙三:03/08/22 19:24 ID:???
 どうして答案がこうも漠然としているのだろう?
 繋がりが混乱しているからだ、たぶん。僕は自分がいかなる結論を求めているのか
明確にしなくてはならないのだ。そして基本書の助けを借りて、物事をひとつひとつ
繋げていくのだ。事案がどれほど漠然として見えても、ひとつひとつ我慢して辛抱強
くほぐしていくしかないのだ。ほぐして、そして繋げる。僕は流れを回復していかな
ければならない。
893謙三:03/08/22 19:25 ID:???
 いったい何処から始めればいいのだろう?何処にもとっかかりがない。僕は
長い問題文の最後の三行にはりついている。その前の文章は鏡のようにつるつる
している。僕は何処にも手を伸ばすことができない。つかむべきものがない。
僕は途方に暮れている。
894謙三:03/08/22 19:30 ID:???
 何処から始めればいいのだろう?僕は問題文を伏せて天井を眺めた。駄目だ、
僕は自分が何を求めているのかがわからない。どの学説をひっぱり出せばいい
のかさえわからない。錆び付いているんだ。錆び付いて固まっている。こうし
て何時までも構成ばかりを考えていると、だんだん自分が失われていくような
気がする。やれやれ、何処から始めればいいんだろう?とにかく何処かから始
めなくてはならない。
895謙三:03/08/22 19:53 ID:???
 隣りに座っている女の子の答案をカンニングするというのはどうだろう、と僕は思った。
彼女は僕に好意を感じている。僕と彼女の間には何かしら心が相通じるところがあるように
感じる。そしてもし彼女と寝たいと思えば寝られるだろうという気がする。でもそれでどう
なるだろう、そこから何処に行けるだろう、と僕は思った。何処にも行けないだろう。たぶ
ん僕がもっと失われるだけのことだろう。何故なら彼女の答案も白紙だったからだ。
896706:03/08/22 19:59 ID:AwYP+lYs
おもしろい
897デービット:03/08/23 00:45 ID:SDnpCotX
悪くない。
898:03/08/23 11:40 ID:???
 受験生の頃、僕はこの「ベテ」という言葉がいやでたまらなかった。その言葉を耳にする
たびに、自分には何かが欠けているのだということをあらためて思い知らされることになっ
た。その言葉はいつも僕に向かってまっすぐに指をつきつけていた。お前は不完全なのだぞ、と。
899:03/08/23 11:41 ID:???
 ベテの大脳にはザルのように穴が開いているとか、理屈っぽいわりには、基本が出来て
いないというのは、僕が住んでいた世界においては揺るぎない定説だった。それは小池栄子
の画像を見れば勃起するとか、サッチーの画像を見ると萎えてしまうとかいうのと同じ種類
の自然の摂理とみなされていた。だから僕は受験生どうしで年齢を訊かれるのが嫌でたまら
なかった。ベテと聞いただけで人々は反射的にこう思うのだ。こいつはベテだから、大脳に
はザルのように穴が開いていて、理屈っぽいわりには、基本が出来ていない香具師に違いな
い、と。人々のそういったステレオタイプな反応は僕を少なからずうんざりさせ、傷つけた。
しかし受験時代の僕を本当にうんざりさせ傷つけたのは、彼らの言っているのがまったくの
事実であるという点だった。そのとおり、僕は事実大脳にはザルのように穴が開いていて、
理屈っぽいわりには、基本が出来ていない受験生だったのだ。
900:03/08/23 11:42 ID:???
 僕の通っていた予備校では、丙案を持たない受験生は本当に珍しい存在だった。予備校の
二年合格コースを通じて、僕はたったひとりのベテにしか出会わなかった。たったの一人だ。
だから僕は彼女(そう、それは女の子だった)のことをとてもよく覚えている。僕は彼女と
親しい友だちになって、二人でいろんな話をした。心を通いあわせたといってもいいだろう。
そして講義が終わると僕と彼女は近くの公園でデートした。彼女は手で僕の精液を抜いてく
れた。
901:03/08/23 11:44 ID:???
 彼女の名前は島本さんといった。彼女もまたベテだった。そして受験勉強を始めてすぐ
に教わった講師のせいでダラダラした長い論証癖をひきずっていた。それに加えて彼女は
口述落ちだった(島本さんが僕らのクラスにやってきたのは、11月の終わりごろだった)。
そんなわけで、彼女は僕なんか比べ物にならないくらい大きな精神的な重荷を背負って
いたとも言える。しかし、おそらくより大きな重荷を背負っているぶんだけ、彼女は僕より
はずっとタフで自覚的なベテだった。彼女は誰に対しても弱音をはかなかった。口に出さ
ないだけではなく、顔にも出さなかった。答練の点数が悪くても、彼女はいつも微笑みを
浮かべていた。むしろ点数が悪ければ悪いほど、彼女はその微笑みを浮かべるようにさえ
思えた。それは素敵な微笑みだった。それはある場合には僕を慰めたり、あるいは励まし
たりもしてくれた。「大丈夫」というモノマネが得意だった。「大丈夫、ちょっと我慢
すればすぐに受かりますよ」。おかげでそのあとずっと、僕はWセシの広告の似顔絵を
見るたびに、島本さんの微笑みを思い出すことになった。
902:03/08/23 12:03 ID:???
「あなたの言ってること、なんとなくわかるような気がする」と彼女は大人びた静かな声で
言った。
「そう?」
「うん」と島本さんは言った。「世の中には取り返しのつくことと、つかないこととがある
と思うのよ。そして司法試験を受験するというのは取り返しのつかないことよね。ここまで
来ちゃうと、もうあとには戻れないわよね。それはそう思うでしょう?」
 僕は頷いた。
「ある程度時間が経ってしまうと、勉強したことがもうかちかちに固まってしまうのよ。
セメントがバケツの中で固まるみたいに。そしてそうなると、私たちはもうあと戻りが
できなくなっちゃうのよ。つまりあなたが言いたいのは、もうあなたというセメントは
しっかりと固まってしまったわけだから、現行でいく以外にあなたはいないんだという
ことでしょう?」
「たぶんそういうことだと思う」と僕は不確かな声で言った。
903氏名黙秘:03/08/23 12:24 ID:???
 でも僕は一度だけ、イトミミズが大便するところを見たことがある。もう川底に隠れている
君を見るのはいやだ、と僕はイトミミズに向かってはっきりと宣言した。セックスをしたくな
いのならしなくてもいい。でも僕はどうしても君が大便するところを見てみたいのだと言った。
僕にはそうすることが必要だし、これ以上我慢することは不可能だ、と。
 イトミミズは少し考えてから、あなたが本当にそう望むのなら、そうしてもいいと言った。
「でも約束してね」とイトミミズは生真面目な顔で言った。「それだけよ。金魚の餌にはしな
いでね」
904謙三:03/08/23 13:14 ID:???
>>796 706は作詞家希望の女の子でしょう?706だから奈緒美ちゃんって呼ぶよ。
    また来てね。


905 緑:03/08/23 13:15 ID:???
>>797 デービットは初登場?うちはウォシュレットだよー。また来てね。
906国境の戸波:03/08/23 14:11 ID:???
 ロースクール時代には、僕はどこにでもいる普通の二十代の青年になっていた。それが
僕の人生の第二段階だった――普通の人間になること。それは僕にとって進化の一過程だった。
僕は特殊であることをやめて、普通の人間になった。もちろん科学的人間が事後的客観的
に観察すれば、僕がそれなりのトラブルを抱えた青年であることは容易に見てとれたはず
だった。でも結局のところ、それなりのトラブルを抱えていない二十代の青年がどこの世界
に存在するだろう?そういう意味では、僕が合格に近づいたのと同時に、合格も僕に近づい
たのだ。
907氏名黙秘:03/08/23 18:40 ID:???
「受験を止めることにはまったく問題はありません」と僕は言った。「でもそのあと何を
するかというのが問題になりますね」
「うちの会社で働く気はないか。仕事はちょっときついかもしれんが、給料はいいぞ」と
彼は言った。
「僕は確かに択一解いたり論文書いたりするのは向いてないと思いますが、おっぱいプル
プルさせてる若い女の子のマネージャーをするのはもっと向いていないと思います」と僕
は自分に嘘をついた。「誘っていただいたのは非常に嬉しいんですが、向かないことをや
るとあとになって結局ご迷惑をかけることになると思うんです」
「それはそうだ。向かないことを無理にやることはない」と彼は言った。「残念だね。
乙葉ちゃんのマネージャーをやっていた男が、先月いっぱいで退社してね。君が来てくれ
ると、ありがたかったんだがね」
908キズキ:03/08/24 18:20 ID:???
 僕とイズミはそれから三年以上受験を続けた。僕らは週に一度の答練を受けた。その帰りに
映画に行ったり、図書館に行って一緒に勉強をしたり、あるいは何をするともなくあちこちを
歩き回ったりした。しかし僕と彼女とは、司法試験の関係においては最後の段階まで行かな
かった。ときどき彼女がもうこの試験終わりにしようかとか言ってへこんでいるときには、僕
は彼女を家に呼んで鋤焼きパーティーをした。そして僕らは国産牛肉と銘打ったオーストラリ
ア牛の入った鋤焼きを食べた。月に二回くらいはそういうことがあったと思う。
909キズキ:03/08/24 18:21 ID:???
 しかし家の中に僕らしかいないという場合でも、彼女は決して返却答案を僕に見せなかった。
いつ何処で誰が見ているとも限らないでしょう、そのときに下手な答案ひろげていたりしたら
面倒だからと彼女は言った。そういう点でイズミはとても用心深かった。臆病なわけではない。
しかし自分が何かみっともない状況に追い込まれるということが、彼女には性格的に耐えられ
なかったのだと思う。
910キズキ:03/08/24 18:22 ID:???
「急がないでね」と僕が不合格になって落ち込んでいるたびに彼女は言った。「合格の準備が
できるまでもう少し待って。お願い」
 正直に言って僕はべつに急いでいるわけではなかった。僕はただ、いろんなことに少なからず
困惑し失望していただけだった。もちろん僕は司法試験が好きだったし、彼女がどちらが先に
合格しても恋人でいようねと言ってくれたことにも感謝していた。もし彼女がいなかったなら、
僕の受験の日々はもっとずっと退屈で色彩を欠いたものになっていただろう。彼女は基本的には
素直で気持ちの良い女の子だったし、多くの人が彼女に好感を抱いていた。しかしひとつだけ
彼女に問題があるとすれば、それは人妻であったことだと思う。
911キズキ:03/08/24 18:26 ID:???
 でも彼女の隣に座ってその指に手を触れていると、僕はとても自然な温かい気持ちになる
ことができた。他の人間には言えないことでも、彼女に対しては比較的楽に話すことができた。
僕は彼女の瞼や、唇のまわりにペインティングするのが好きだった。僕は彼女の髪をあげて、
その小さな耳に土人の耳輪を付けるのが好きだった。僕がそうすると、彼女は鏡を見てくすくす
笑った。今でも彼女のことを思い出すと、僕はいつもペインティングされた彼女の顔を思い浮か
べる。僕は彼女にバカボンのペインティングをほどこすのが好きだった。
912謙三:03/08/25 12:21 ID:???
 正確に言えば、僕は司法試験を愛してはいなかった。司法試験ももちろん僕のことを愛しては
いなかった。しかし司法試験を愛しているとかいないとかいうのは、そのときの僕にとっては
大事な問題ではなかった。大事だったのは、自分が今、何かに激しく巻き込まれていて、その
何かの中には僕にとって重要なものが含まれているはずだ、ということだった。それが何である
のかを僕は知りたかった。とても知りたかった。できることなら試験委員の脳みその中に手を
突っ込んで、その何かに直接触れたいとさえ思った。
913謙三:03/08/25 12:24 ID:???
 僕は答案を書くことが好きだった。でも僕の答案はこのような理不尽な力を僕に一度も
味わわせてはくれなかった。それに比べて僕は合格答案のことを何ひとつ知らなかった。
愛情を感じているわけでもなかった。でも僕の答案は僕を震わせ、激しく引き寄せた。
僕が真剣に他人の合格答案を検討しなかったのは、結局のところ真剣に検討する必要を
感じなかったからだ。真剣に検討するようなエネルギーがあれば、僕はそれを使って行き
ずりのセックスをした。
914謙三:03/08/25 12:25 ID:???
 僕と合格答案とはたぶんそのような関係を何年か息つく暇もなく夢中になって続けたあとで、
どちらからともなく遠ざかっていっただろうと思う。何故ならそのとき僕らがやっていたのは
疑問をさしはさむ余地もない、きわめて自然で当然な行為であり、必要な行為だったからだ。
Law Schoolや罪悪感や未来といったようなものがそこに入り込む可能性は最初から閉ざされて
いたのだ。
915謙三:03/08/25 13:03 ID:???
 これまでの受験生活を振り返ってみて、ごく少数の例外を別にすれば、僕は一般的な意味合い
での模範答案に激しく心を惹かれた経験をほとんど持たない。友だちと一緒に模範答案を読んで
いると、「ねえ、これは合格答案だね」というようなことを言われることがある。でもそう言わ
れても不思議なことに、僕はそういう「合格」答案の顔を思い出すことができない。市販の論証
集や答案構成に心を惹かれた経験もほとんどない。何故かはわからないけれど、でもとにかく
そうなのだ。僕は現実世界と夢の領域との境界線がひどく曖昧で、憧れというものが見事なほど
の威力を発揮するあの十代にあってさえ、合格答案に対して、それがただ模範的というだけで心
を惹かれたりはしなかった。
916謙三:03/08/25 13:04 ID:???
 僕が強く惹きつけられるのは、数量化・一般化できる外面的な優秀さではなく、その奥の方に
あるもっと絶対的な何かなのだ。僕は、ある種の人々が大雨や地震やうんこをひそかに愛好する
ように、答案が僕に対して発するそのような強くひそやかな何かを好むのだ。その何かを、ここ
では仮に<吸引力>と呼ぶことにしよう。好むと好まざるとにかかわらず、否応なしに人を惹き
寄せ、吸い込む力だ。
917謙三:03/08/25 13:05 ID:???
 あるいはその力をセックスの良し悪しにたとえることができるかもしれない。どのような作用
によって、そんな特別な気持ち良さが生じるのかは、おそらく相手方の女の子にさえ説明するこ
とはできないだろう。科学的に分析することだってむずかしいだろう。しかし説明の有無にかか
わらず、ある種の女の子とのセックスは、交尾期の獣の匂いのように僕を惹き付ける。ある女の子
は百人のうち五十人を惹き付けるかもしれない。また別の女の子は百人のうちの別の五十人を惹き
付けるかもしれない。しかしそれらとは別に、百人のうちの一人か二人だけをきわめて激しく惹き
付けるセックスも世の中には存在する。
918謙三:03/08/25 13:06 ID:???
 それは特別なセックスだ。そして僕にはその特別なセックスのような答案をはっきりと感じ取る
能力があった。それが自分のための宿命的な合格答案であるということが僕にはわかった。ずっと
遠くからでもはっきりと嗅ぎ分けることができた。そんなとき、僕はその答案を書いた受験生の
そばに行って、こう言いたかった。ねえ、僕にはそれがわかるんだよ、と。他の誰にもわからない
かもしれない、でも僕にはわかるんだよ、と。
919氏名黙秘:03/08/25 13:19 ID:???
村上直樹と思った。
920 緑:03/08/25 19:48 ID:???
「誰にも教わらずにこれだけ書けるってたいしたもんだと思うよ、たしかに」
「そりゃ大変だったわよ」と緑がため息をつきながら言った。「なにしろ司法試験なんてもの
にまるで理解も関心もない一家でしょ。きちんとした基本書とか予備校のカセットとか買いた
いって言ってもお金なんて出してくれないのよ。シケタイで十分だっていうの。冗談じゃない
わよ。あんなペラペラのシケタイで本試験問題なんか解けるもんですか。でもそう言うとね、
本試験問題なんか解けなくていいって言われるの。一生受験生やってろって。だから仕方ない
わよ。せっせとおこづかいためて芦部憲法とか内田民法とか大谷刑法とか買ったの。ねえ信じ
られる。無職の女の子が一所懸命爪に火をともすようにお金ためて芦部憲法とか内田民法とか
大谷刑法買ってるなんて。まわりの友だちはたっぷりおこづかいもらって短答演習やら論文講座
やら行ってるっていうのによ。可哀そうだと思うでしょ?」
 僕はじゅんさいの吸物をすすりながら肯いた。
921氏名黙秘:03/08/25 21:32 ID:???
激しく面白い!!
922レイコ:03/08/26 18:20 ID:???
「前略。
 まず良いニュース。
 謙三は思ったとおり適性試験を受けるそうです。司法板の全体の雰囲気がローにシフト
している今、適性試験くらい受けてないと、ネタを拾えないんだそうです。もちろん謙三は
ローへは行きません。あくまでネタ探しのための受験です。あるいは近いうちにここに戻って
こられるかもしれないということです」
923 緑:03/08/26 19:19 ID:???
「でも最近になってこれでいいんだと思えるようになってきたのよ」と緑は言った。「ローが
私たち自身のための本来の学習環境なんだって。だから誰に遠慮することもなく思う存分手足
をのばせばいいんだって。でもそれはすごく落ちつかなかったのよ。体が二、三センチ宙に浮
いているみたいでね、嘘だ、こんな楽な受験生活が現実の受験生活として存在するわけといった
気がしてたの。今にどんでん返しがあるに違いないって一人で緊張してたの」
「苦労性なんだね」と僕は笑って言った。
「これまでが苛酷すぎたのよ」と緑は言った。「でもいいの。私、そのぶんをこれから先で
しっかりとり戻してやるの」
924氏名黙秘:03/08/27 15:49 ID:???
「ねえ、緑ちゃん。ローが開校すると、受験界からベテがいなくなって、ベテという
言葉は死語になってしまうのだろうか?」
「それ困るわ。ベテねた書けなくなっちゃう」
「そうだね。ローの方も、龍谷以外にネタになるようなのがないしね」
「この時期は、そもそもネタ少ないよね。発表はまだ先だし、論文ネタ、択一ネタも
ピンとこないし」
「こんなことなら適性模試を受けるべきだったね」
925司法書士受験生:03/08/28 02:00 ID:???
昨日、2ヶ月ぶりにレックに行くと「レック神保町校閉校のおしらせ」とかかれた
ポスターが貼られていた。結構、閉校するならしてくれよ、と僕は思った。閉校し
てバラバラにして、足で踏みつけて粉々にしてくれ。全然かまわない。そうすれば
僕だってさっぱりするし、あとのことは自分でなんとでもする。手助けが必要なら
手伝ったっていい。さっさとやってくれ。


僕は昨年、神保町校のビデオブースを利用していた。
毎週水曜日と金曜日、仕事が終わった後に行く授業は眠ってしまうことが多かった。
校舎の入り口では司法試験のイワサキ講師がよく煙草を吸っていた。
そんな時の彼の横顔は駅の看板にあるあの自信に満ちた顔とはまったく違っていた。
男子トイレのドアに貼られた
「最近、男子トイレの使用について、洗面台に汚物を撒き散らすなどのマナー違反が多発しています。
これ以上続く時は男子トイレの使用禁止も検討せざるおえません。」の張り紙。
その張り紙の貼られたドアを開けて中に入ると
「反町は在日、売上金を北に上納」と壁一面に書かれた落書き。それを消そうとした努力の形跡。
(又、別の階のトイレの壁には単に「反町」と大きな字で書いてあった)
狭い教室。急な階段。対応の鈍い社員は笑顔が素敵だった。


926氏名黙秘:03/08/28 12:21 ID:???
>>925
100%ネタですか?事実まじってますか?
927さ ◆kcIlove.mc :03/08/29 02:12 ID:???
わたしはレックでロッカーの更新をしてから、馬場のマラバールに行って、ランチカレーを注文して、
レモンの入った水を一口飲んだ。
やれやれ。
もうすぐ8月も終わろうとしている。
928氏名黙秘:03/08/29 15:05 ID:???
手形、落ちた!
今月も、生き延びたぞ!
さあ、カセット買おう。
929kennzou:03/08/29 19:30 ID:???
 そのあとでレイコさんはボサノヴァを何曲か弾いた。そのあいだ僕は直子のブラウスから
透けて見えるブラの紐を眺めていた。彼女は手紙にも自分で書いていたように以前より豊満
になり、よく肌が磨かれ、エアロビクスと水泳のせいでしまった体つきになっていた。女王蜂
のようによく締まったウェストと恥ずかしそうに揺れる小さな唇だけは前と変わりなかった
けれど、全体としてみると彼女の美しさは成熟した女性のそれへと変化していた。以前の彼女
の美しさのかげに見えかくれしていたある種の鋭さ――人をふとひやりとさせるあの論文問題
のような鋭さ――はずっとうしろの方に退き、そのかわりに優しく慰撫するような独特の静け
さがまわりに漂っていた。そんな美しさは僕の心を打った。
930midori:03/08/30 20:02 ID:???
このスレにも、DNCの人いるかな?
もしいたら、明日は頑張ってね。
931司法書士受験生:03/08/31 12:37 ID:???
>>926
なんて言ったらいいのかな…、レック神保町校に関して
925で書いたことは100%事実なんだ。僕のことも含めて。
932氏名黙秘:03/09/01 15:15 ID:???
「わたしの秘密を知ったわね。わたしがいかに『2get』執着してるかという・・・」
「『Starcrossed Lovers』、悪い星のもとに生まれた恋人たち」
933あぼーん回避カキコ:03/09/01 16:52 ID:???
「別れるって?? どうして・・・、突然。わたしだけが、合格しちゃったから?」
 ピアノ・トリオがいつものように『Starcrossed Lovers』の演奏を始めた。僕とBカップ
とはしばらく黙ってその曲を聴いていた。
「ねえ、ひとつ質問していいかしら?」
「どうぞ」と僕は言った。
「わたしのBカップと何か関係があるの?」とBカップが僕に訊ねた。「あなたとせく〜す
するときいつも思ってたんだけど、どうしてあなたは乳房への愛撫を省略するの?それは
あなたの決まりか何かなのかしら?」
「べつに決まりなんかじゃないよ。ただ単におっぱいなんかには興味がないだけなんだ」
934あぼーん回避カキコ:03/09/01 16:54 ID:???
「うそ、嘘よ。あなたの机の引出しに小池栄子のグラビアのスクラップがあるのを見つけたの、
わたし」
「『Starcrossed Lovers』、デューク・エリントンとビリー・ストレイホーンがずっと昔に
作った。一九五七年だっけな」
「話をはぐらかさないで」とBカップは言った。「あなた、本当は巨乳の娘が好きなんでしょう?
わたし、あなたが友だちと電話で話しているのを、こっそり聞いたことがあるの。あなた、
『けっきょくさ、女の値打ちってのはオパイの大きさなわけよ。いくら勉強したって覆すことは
できないの。わかるよね?』って、その友だちに言ってたわ。『パイずりできない女は、女じゃ
ない』とも・・・」
「『Starcrossed Lovers』、悪い星のもとに生まれた恋人たち」
「悪い星のもとに生まれた恋人たち」とBカップは言った。「まるでなんだか私たちのために作ら
れた曲みたいじゃない?・・・って春樹の小説みたいなことわたしが言うとでも思った?自分の勝手
をエリントンで美化しないでよ」
「僕らは恋人なのかな?」
「あなたはそうじゃないと思うの?」
 僕はBカップの顔を見た。Bカップの顔にはもう微笑みは浮かんでいなかった。
935:03/09/03 17:51 ID:???
「君を司法試験の合格にうまく結びつけるためにできるだけのことはやってみよう」とマコツ
は言った。「うまく行くかどうかはわからない。僕も少し歳を取った。もう以前ほどの力は
ないかもしれない。どれだけ君を助けてあげられるものか、僕にもよくわからない。まあ
できる限りのことはやってみるよ。でもね、もしそれが上手く行ったとしても、君は幸せには
なれないかもしれないよ。それだけは僕にも保証できないんだ。実務の世界ではもう何処にも
君の行くべき場所はないかもしれない。確かなことは言えない。でも君はさっき君が自分で
言ったように、もう随分しっかり固まってしまっているように見える。一度固まったものは
もとには戻らないんだよ。君ももうそれほど若くはない」
936:03/09/03 17:53 ID:???
「どうすればいいんでしょうか、僕は?」
「君はこれまでにいろんなものを失ってきた。いろんな大事なものを失ってきた。それが
誰のせいかというのは問題じゃない。問題は君が失ったことすら忘れているということ
なんだ。君を愛し君が幸せにしてくれると思っていた女の子は、いま何処で何をしているん
だろう。君に期待して今日まで君を見つめてきた両親は、いま何を考えているだろう。三十
歳で家を建てて二十五年でローンを返済しようと考えていた君の計画は、どうなっちゃん
だろう。君はそんなものを失ったことすら忘れて、ただ目の前の試験にのみ没頭しているんだ。
君はそんなことをすべきじゃなかったんだ。君は自分のために取っておくべきものまでそこに
置いてきてしまったんだな。そうすることによって、君自身も少しずつ磨り減ってきたんだ。
どうしてかな?どうしてそんなことをしたんだろう?」
937:03/09/03 17:54 ID:???
「わかりません」
「でも多分それはどうしようもないことだったんだろうね。何か宿命のようなさ。なんと
いうか、うまい言葉が思いつかないけど・・・・・・」
「傾向」と僕は言ってみた。
「そう、それだよ。傾向。僕は思うんだよ。もう一度人生をやりなおしても、君はきっと
また同じことをするだろうってね。それが傾向っていうもんだよ。そしてその傾向という
ものは、ある年齢を越えると、もうもとに戻れなくなってしまうんだ。手遅れなんだ。
そういうのは僕にも何ともしてあげられない。僕にできることは法律を教えることと、
問題の解き方を教えることだけだよ。それ以上のことは何もできない」
938:03/09/03 18:06 ID:???
「踊るんだよ」マコツは言った。「現行の続いている間はとにかく踊り続けるんだ。
僕の言っていることはわかるかい?踊るんだ。踊り続けるんだ。何故踊るかなんて
考えちゃいけない。意味なんてことは考えちゃいけない。意味なんてもともとない
んだ。そんなこと考えだしたら足が停まる。一度停まったら、もう僕には何ともし
てあげられなくなってしまう。あんたの繋がりはもう何もなくなってしまう。永遠
になくなってしまうんだよ。そうするとあんたはこっちの世界の中でしか生きてい
けなくなってしまう。どんどんこっちの世界に引き込まれてしまうんだ。だから足
を止めちゃいけない。どれだけ馬鹿馬鹿しく思えても、そんなこと気にしちゃいけ
ない。きちんとステップを踏んで踊り続けるんだよ」
939さ ◆kcIlove.mc :03/09/04 02:51 ID:???
踊る、といえば、初代春樹スレの1さんが、択一直前にパロってらっしゃいましたよね。
わたしはその年初受験だったのですが、それを見て、
踊らなきゃ!と思いましたw
940謙三:03/09/04 13:09 ID:???
>>939
さっちん、久しぶり。元気だった。
踊れ!
941スレと関係無いけど:03/09/07 01:42 ID:gzEvE/73
久しぶりに田舎に帰ってきました。
去年は択一落ちだったからカッコ悪くて帰れなかった。
2年ぶりに会った両親は微妙に老けてて、祖父母は弱々しくなっていた。
両親と祖父母はただひたすら優しくて、こんな僕に期待してくれていました。
いい年こいた僕に小遣いとかくれるんです。

なんか色々なことに気付きました。
去年「択一落ちだから帰るのが嫌だ」と思ったのは、
家族にそういう期待をかけられる事がうざかったのではなく、
「期待に応えられない自分が不甲斐なかった」からだという事。
うざい、とか感じてた自分が最低だという事。

そうしたら無性に合格したくなってきました、していて欲しい。
ただ両親に「合格した」という報告の電話をしたい、
修習生になり弁護士とかになる権利は無くても良い、とも。

今まで自分が必死でなかった事が恥ずかしくなりました。
別にサボっていたわけではありません。
ただ、”必死”では無かったような気がします。
もっと必死になれたのになれなかった自分が腹立たしい一方、情けなく、不甲斐なく…。
帰りの汽車で泣いてしまいました。
隣の乗客はビックリしてましたが。

このスレの1ROM
942氏名黙秘:03/09/07 01:47 ID:5Bt0+9MC
>>941
ちょと感動しまつた、合格ってるといいですねぇ
943706:03/09/07 19:51 ID:3ObO/HqV
>>942
がんばってね
944司法書士受験生:03/09/08 01:27 ID:???

何が面白くてべテを飼ふのだ。
自習室の四坪半のぬかるみの中では、
脚が大股過ぎるぢやないか。
頸があんまり長すぎるぢやないか。
雪の降る国はこれでは服がぼろぼろ過ぎるぢやないか。
腹がへるから堅パンも食ふだらうが、
べテの眼は遠くばかり見てゐるぢやないか。
身も世もない様に燃えてゐるぢやないか。
瑠璃色の風が今にも吹いて来るのを待ちかまへてゐるぢやないか。
あの小さな素朴な頭が無辺大の夢で逆まいてゐるぢやないか。
これはもう司法試験受験生ぢやないぢやないか。
マコツよ、
もう止せ、こんな事は。


「高村光太郎 ぼろぼろな駝鳥」より
945氏名黙秘:03/09/08 18:08 ID:???
>>941
これ書いた人、とても優しい人だね。
もしも女の子だったら、抱きしめてやりたい。

>>944
高村光太郎は読んだことないけど、いいね。
岩波文庫にあるかな?
946氏名黙秘:03/09/08 18:35 ID:rKFvD2ch
My disciples from my past lives who used to
live in worldly desires; the time has come when
you wake up and help me. You should never regret at the
moment of your death. If you make misdicision, you will have to
completely lose the meaning of the reason why you were born in
this human realm. It is true that you became dirty in this life by information
and worldly desires. But your essence can never become dirty, because you are my disciples from the past lives,
and essencially, unlikely to other souls, you are born to help the
salvation. I am waiting for you to help the salvation activity as my
hands, as my legs, or as my head.
Now, let's do the salvation activity together! And let's us die without
any regret.
Asahara Shoko
947神の子はみな踊る:03/09/09 13:54 ID:???
 善也の妹は18歳だったが、大人びた顔をしていたので20歳すぎに見えた。「さ」という名
だった。区役所へ出生届を出すときゴタゴタがあったようだが、「さ」の出生届を契機とし
て通達が改められたようだ。顔立ちは端正で、いかにも清楚な感じがした。美容食と、朝夕
に行う激しい体操のせいでスタイルはきれいに保たれ、肌は艶やかだった。おまけに善也と
は1歳しか年が違わなかったから、しょちゅう姉と間違えられた。
 それにくわえて、彼女には妹としての自覚がもともと希薄だった。あるいはただ単にエキ
セントリックだった。善也が司法試験の勉強をはじめ、性的にストイックな生活を始めてか
らも、平気で下着姿で、ときには全裸で、家の中を歩き回った。寝室はさすがに別だったが、
夜中にさびしくなると、ほとんど何も身につけないかっこうで彼の部屋にやってきて、布団
の中に潜り込んだ。そして犬か猫のように、善也の身体に腕をまわして眠った。
「さ」に邪気のないことはよくわかっていたが、そんなとき善也の心はけっして穏やかでは
なかった。勃起していることを「さ」に悟られないために、彼はひどく不自然な姿勢をとら
なくてはならなかった。
948神の子はみな踊る:03/09/09 13:58 ID:???
「さ」と致命的な関係におちいることを恐怖するがゆえに、善也は手軽にエロを書き込めるスレ
を必死になって探した。そのようなスレが身近に見つからないときには、やや強引とも思える
手法でエロを挟み込んだ。昼間のうちから、2ちゃんにかじりついた。そのような行為は、
余った性欲を処理するためというよりは、むしろ恐怖心から発したものだった。
949さ ◆kcIlove.mc :03/09/09 15:10 ID:???
もうすぐ1000ですねぇ。。。。

その夜僕は司法試験の隣に横になって天井を見ながら、自分はこの試験についていったい何を
知っていただろうかと自問した。時計は午前二時を指していた。司法試験はぐっすりと眠って
いた。僕は暗闇の中で、論証パターンや択一解法テクニックについて考えた。
僕は司法試験がそういったものごとでは太刀打ちできないのだということを、ずっと知らずに
受験してきたのだった。
本来ならもっと早い時期になんとかできられる程度のことだ。大騒ぎするような問題じゃない。
多く見積もっても1年しっかりやり直せば修復可能であっただろう。
けれどももう現行は終わろうとしている。

950氏名黙秘:03/09/09 16:15 ID:???
 適当な段階で家を出て、一人暮らしを始めるべきだったのだろう。善也もそれについては
ずいぶん思い悩んだ。大学に入ったときにも考えたし、司法試験の受験を始めたときにも考
えた。しかし結局、25歳の今にいたるまで、家を出ることはできなかった。一人で放ってお
いたら、「さ」が何をしでかすかわかったものではないというのも、理由のひとつである。
善也はこれまでに何度となく、「さ」がその突発的で往々にして破滅的な(そして善意に満
ちた)思いつきを実行に移すのを、全力を尽くして阻止してきたのだ。
 「さ」はおかしな信仰をもっていた。男根を枕にして眠ると長寿が保証されるという一般
人が聞けば吹き出してしまいそうなものであったが、「さ」は大真面目だった。その信仰を
持って以来、毎夜善也の部屋に忍び込んでは、善也の男根をさすり充分に勃起させると、そ
れを枕に眠っていた。
 おかげで善也は、一睡もできなかった。また、血を分けた妹とはいえ、「さ」は兄の善也か
ら見ても美しい女性だった。そんな「さ」に男根を手で擦られ、一晩中頬を添えられるのであ
る。健康な若い男性が、そのエロティックな行為を、見て見ぬふりをしてじっと耐えるという
のは、相当に辛いことだった。
951氏名黙秘:03/09/09 16:40 ID:???
 しかしそれよりももっと困ったことがあった。善也は生来腸の調子が良い方ではない。夏場
冷たい飲み物を多飲すると特に調子を落とした。そうなるとオナラが多くなるのである。「さ」
は善也の男根を枕にして善也の股のあいだで寝ていた。「さ」に気づかれないようにオナラを
サイレントで抜くのに苦労したのである。できる限り、オナラの痕跡を残さないように、少量
づつサイレントで抜いた。特に匂いを残さないように細心の注意を払った。でもいつも成功する
とは限らなかった。
「BUUUUUU・・・PU,PU・・」
 地震と勘違いして、「さ」は表へ飛び出した。
952善也:03/09/10 16:51 ID:???
>>949
さっちん。オナラぶちかまして、ゴメン。
兄ちゃん、反省してる。
953氏名黙秘:03/09/10 19:46 ID:???
「ここの問題悪くないだろう」と彼は言った。
「悪くない」と僕は言った。「文句のつけようがない。良い予備校だ」
 彼は肯いた。「でも六年も続けて来れば飽きる」
954氏名黙秘:03/09/11 19:19 ID:???
 さっちんは両腕を謙三の体に回して、そっともたれかかった。彼女の頭は謙三の肩の上に
載せられていた。謙三は彼女の柔らかい肉を感じることができた。それは謙三の体に温かく
押しつけられていた。
「私はあなたのことを愛しているのよ、謙三くん。私は生まれてからあなた以外の人を愛し
たことなんてないのよ。私がどれほどあなたのことを愛しているか、あなたにはきっとわか
らないと思う。私はこのスレが始まったときからずっとあなたのことを愛していたのよ。
誰かに抱かれていても、いつもあなたのことを思っていた。だから上の方に晒されている
スレでやりたくなかったのよ。下の方でまた〜りエッチすればいいじゃない。あなたは、
そうは思わなかったの?」
955氏名黙秘:03/09/11 19:20 ID:???
「知らなかった」と謙三は言った。
「私は>>1を立てたときから、裸になってあなたと抱き合いたいと思っていたのよ。あなたは
そんなことも知らなかったでしょう?それから、これは言っておこうと思ったんだけど、
あたしはCカップなの」
 謙三は彼女の体を抱きしめて、口づけした。彼女は謙三の腕の中でじっと目を閉じて、身動
きひとつしなかった。謙三の下は「さ」の舌と絡み合い、謙三は「さ」の乳房の下に心臓の
鼓動を感じた。それは激しく暖かい鼓動だった。謙三は目を閉じて、そのにある彼女の赤い血
のことを思った。謙三は彼女の柔らかな髪を撫で、その匂いをかいだ。彼女の両腕は謙三の
背中の上を、何かを求めるように彷徨っていた。
956氏名黙秘:03/09/11 19:21 ID:???
 レコードが終わって、ターンテーブルが止まり、アームはアーム・レストに戻った。ふたたび
雨音だけが僕らのまわりを取り囲んでいた。少しあとで「さ」は目を開けて、謙三の顔を見た。
「謙三くん」と彼女は小さな声で囁くように言った。「本当に春樹でいいの?本当に私のことを
取るの?あなたは私のために大好きなエロを捨ててしまっていいの?」
 謙三は頷いた。「それでいい。もう決めたことなんだ」
「でもあなたはもし私に出会わなかったなら、あなたの現在の生活に不満やら疑問を感じること
もなく、そのままエロを書きつづけていたんじゃないかしら。そうは思わない?」
「あるいはそうかもしれない。でも現実に僕は君に会ったんだ。そしてそれはもうもとには戻せ
ないんだよ」と謙三は言った。「君が前に言ったように、ある種のことはもう二度と元には戻ら
ないんだ。それは前にしか進まないんだ。さっちん、どこでもいいから、二人で行けるところ
まで行こう。そして二人でもう一度『Vol.4』を始からやりなおそう」
957氏名黙秘:03/09/12 18:04 ID:???
「とても素敵よ、謙三くん」と「さ」は言った。そして彼女は謙三のそばに来て、謙三の
ペニスをそっと指で包み、謙三の唇にキスした。それから彼女は謙三の胸に手をやった。
彼女はとても長い時間をかけて謙三の乳首を舐め、陰毛を撫でた。謙三の臍に耳をつけ、
睾丸を口にふくんだ。彼女は謙三の体じゅうにキスした。彼女は謙三の足の裏にまでキス
をした。
「君は服を脱がないの?」と謙三は訊いた。
「もっとあとで」と彼女は言った。「私はあなたの体をこのままずっと眺めて、もっと好
きに舐めたり触ったりしていたいの。だってもし私がここで裸になったら、あなたはすぐ
に私の体を触ろうとするでしょう?まだ駄目と言っても我慢できないでしょう、たぶん」
「たぶんね」
「そういう風にしたくないの。私は急ぎたくないのよ。だってここに来るまで956かかっ
たんだもの」
958氏名黙秘:03/09/13 11:28 ID:???
「私の裸の体を思い浮かべてマスターベーションしたことないの?」
「あると思う。500や600の頃に」と言ってから僕は訂正した。「いや、それだけじゃ
ないな。昨日もやったよ」
「私だって同じことしたわ。あなたの裸の体を思い浮かべて。女の子だってそういうことし
ないわけじゃないのよ」と「さ」は言った。
 謙三は彼女の体をもう一度抱き寄せてゆっくりと口づけした。彼女の舌が謙三の口の中に
もぐり込んできた。「愛してるよ、さっちん」と謙三は言った。
「愛してるわ、謙三くん」と「さ」は言った。「あなたの他に愛した人は誰もいない」
959氏名黙秘:03/09/13 16:44 ID:???

もう少し、続けさせろよな。
これが終わったら、おめーとおめーの大好きな「緑」とやらせてやるからよ。
960氏名黙秘:03/09/16 18:26 ID:18LY6OCu
保全age
961氏名黙秘:03/09/16 18:47 ID:???
「さ」は謙三に床に膝をつかせたまま、左手で僕の腰を抱いた。そして「さ」はワンピースを
着たまま片手でストッキングを脱ぎ、パンティーを取った。それから右手で謙三のペニスと睾丸
を持ち、舌で舐めた。そして内田民法Vの頁を開いた。そして謙三のペニスを吸いながら、内田
民法Vをゆっくりと読み始めた。
 謙三は何も言わなかった。彼女には彼女の勉強のやり方があるのだ。謙三は彼女の唇と舌と、
内田民法Vを読む目のゆるやかな動きを見ていた。
962氏名黙秘:03/09/16 18:57 ID:???
 謙三は手を伸ばして「さ」の髪を撫でた。謙三は彼女の耳を触り、彼女の額に手を
あてた。「さ」の体は温かく、柔らかかった。彼女はまるで生命そのものを吸い取ろ
うとしているかのように、謙三のペニスを吸いつづけた。彼女の目はまるで民法のす
べてを吸い取ろうとしているかのように、内田民法Vを読んでいた。少しあとで謙三
は彼女の口の中に射精し、彼女は内田民法Vを読むのをやめて目を閉じた。そして謙三
の精液を最後の一滴まで舐めて吸った。
963北方謙三的司法試験:03/09/17 13:58 ID:???
小説すばる 10月号 本日発売!

特集「祝!連載4周年 北方水滸伝のすべて」

ということで、今月号は読むとこ多くて、2ちゃんはお休み。
964氏名黙秘:03/09/24 13:25 ID:???
 ニミットは長いあいだ黙っていた。どう答えようかと迷っているみたいに見えた。
それから口を開いた。「ドクター、私は司法ベテです。総合Aをとったことは一度も
ありません。三十三年間、私はいわば出題傾向の影のようになって日々を送ってきま
した。出題者の行くあらゆる場所についていって、出題者の考えるあらゆることから
推測して出題予想をしました。まるでその方の一部のようになっておりました。そう
いう生活を続けていますと、自分が本心で何を求めているのか、それさえもだんだん
わからなくなってくるものなのです」
965氏名黙秘:03/09/25 03:58 ID:4CwbjGDp
保全age
966氏名黙秘:03/09/29 16:39 ID:???
「ロー・スクールってあまりセクシーじゃないのかな、存在そのものが?」
「たぶん、そういう問題なんだ、いまひとつ盛り上がらないのは」と僕は言った。「な
んていうかな、モラトリアムを三年延長すれば、タナボタで資格が落ちてくるってい
うイメージが最初から付きまとっているんだよね、アメリカと違って」
「でも、現行の受験生だってモラトリアムじゃないの?」
「そうかもしれないけど、彼らは多くのリスクを背負っている。経済的な自立、結婚、
生活費の問題・・・、それが不確定期限でのしかかってくる」
「だからhttp://members.tripod.co.jp/melon591/Scan2.jpgなんか見て気持ちを落ち
着けないと、将来の不安に耐えられなくなってしまうの?」
967氏名黙秘:03/09/29 16:39 ID:???
「いや、そうゆう問題じゃないんだ。それは単に下半身の欲求に妥協しただけのこと
であって、受験生の抱えるリスクとは関係ない」それから僕は約束どおり緑のことを
考えてマスターベーションしてみたことを思いだした。僕はまわりに聞こえないよう
に小声で緑にそのことを話した。
 緑は顔を輝かせて指をぱちんと鳴らす、ポール牧のものまねをした。「どうだった?
上手く行った?」
「ごめん、最初は君のことばかり考えようとしたんだけど、どうしても
http://members.tripod.co.jp/melon591/q.jpgの顔を思い浮かべてしまうんだ
「私じゃ、立たないっていうの?」
「まあね」
968氏名黙秘:03/09/29 16:40 ID:???
「ひどい」緑はその場にしゃがみこむと、泣き出してしまった。「そんなに
http://members.tripod.co.jp/melon591/IMG_0267.JPGが好きなんだったら、もう別
れましょうよ?それとも、私ってあまりセクシーじゃないのかな、存在そのものが?
http://members.tripod.co.jp/melon591/01.jpgちゃんみたいに可愛くないし・・・」
「いや、そういう問題じゃないんだ」と僕は言った。「なんていうかな、手軽で便利
なんだな、画像ってやつは・・・。君のことが好きだとか、嫌いだとかいうのとは性質
が違う問題なんだ。誤解しないで・・・」
「私ね、背中がすごく感じるの。指ですうっと撫でられると、こんなこと画像じゃあ
りえないでしょう?」
「覚えとくよ」
969さ ◆kcIlove.mc :03/10/03 04:50 ID:TLU4o2D/
アクセス規制されてますた・・・・。
970 緑
>>969
「お帰りー」