不動産の競売物件に居座り、高額な立ち退き料を要求する「占有屋」
を締め出そうとする民法改正の原案がまとまった。活動の法的根拠
にもなってきた短期賃貸借保護制度を廃止する内容で、競売で
落札後、借り手は、基本的に3カ月以内に明け渡さなければなら
なくなる。不動産の強制執行を妨げる行為は近年の不良債権処理
を滞らせる一因にもなっており、法務省は関係法律も一緒に手直
ししてスムーズな強制執行を図る。
法制審議会の担保・執行法制部会が要綱案を1月に正式決定
する。法務省は来年の通常国会に改正法案を提出する。
短期賃貸借保護制度は、債権者が抵当権を行使して競売で
第三者に建物を売った場合でも、住んでいる賃借人を保護す
る規定。賃借人は、抵当権設定後に契約を交わしたとしても、
3年以内の契約であれば残り期間を借り続けることが可能になる。
要綱案ではこの制度を廃止し、賃借人は競売で落札後、抵当権者
全員が、借り続けることに同意し、その旨を登記した場合以外は
3カ月以内に明け渡さねばならず、住み続けることはできなくなる。
また、これまでは建物を買い受ける人が敷金の返還義務を負った
が、これも「元の大家が返還する」ことに改める。敷金の有無や
その金額を買い受け人が確認できない場合があるためだ。
ただ、元の大家は当然、資力に乏しく、敷金を返せないことが
想定される。こうした改正点について、賃借人にとって条件が
厳しすぎるとの専門家の指摘もある。
http://www.asahi.com/national/update/1222/002.html