235 :
再現君 ◆6WZtQ.MY :
再現答案刑訴1問です。
忌憚のないご意見をお願いします。
一 1レントゲン撮影をした上で、下剤を用いて大麻樹脂を対外に排出させ、それを押収
する処分は強制処分に当たるか。当たるとすれば令状を要することになるので
(197条1項ただし書)問題となる。
2 197条1項ただし書が強制処分法廷主義を定めた趣旨は、刑訴法の目的である人権保障と
真実発見(1条)の調和を図るために、人権侵害の恐れが著しい場合には公正な第三者たる
裁判所の令状による審査を要求したものである。
そうすると、強制処分とは必ずしも有形力の行使を伴う処分に限られず、被告人や被疑者の
意思を制圧し、重要な権利利益の制約を伴う処分を広く含むと解すべきである。
3本件では、レントゲン撮影により強制的に体内の状態を認識させられており、さらに
下剤によって強制的に体内の物を排出させられている。これは、人の生理的機能を害する
ものと言え、甲の権利の制約を伴う処分といえる。
また、かかる状況下では甲の意思が制圧されているといえる。
4よって、本件処分は強制処分にあたり、令状が必要になる。
236 :
再現君 ◆6WZtQ.MY :02/07/25 10:49 ID:KXE7MKed
続き
ニ1では、いかなる令状によるべきか。必要とされる令状は捜査の性質によって異なるので、
レントゲン撮影をし、その後下剤によって大麻樹脂を対外に強制的に排出させ、それを
押収するという処分の性質が問題となる。
2まず、レントゲン撮影は、高度な知識経験を有する人による、事実の法則を適用して
えられた事実たる体内の状態を認識する処分なので鑑定に当たる。
よって、鑑定処分許可状(223条1項)によることになる。
3では、下剤を用いて大麻樹脂を対外に排出させ、それを押収する処分の性質はいかなるものか。
この点、大麻樹脂は体内に吸収されることなくいずれは対外に排出される無価値物なので、
それを押収することは物の占有を強制的に取得する捜索差押令状(218条1項)によるとも思える。
しかし、下剤によって強制的に体内の物を排出させることは、人の生理的機能を侵害する
ものであり、人の身体に作用する処分なので、身体検査令状(218条1項)によるべきである。
そして、この場合人の身体に対する影響が大きいので、医師の定める条件によるべきである(218条5項)。
そして、身体検査令状によることによって、直接強制が可能となる(222条1項、137条1項)。
4このように、鑑定処分許可状と身体検査令状の併用が必要ということになる。
以上