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以下は明治大学法学会ニュース 第44号より抜粋いたしました。
 明治大学法学部四年(現大学院)
      平 野 裕 之
「普通の人間では終わりたくない」
           孤高の野心家
 司法試験、それは日本で最も難しい試験である。昨年の合格者の平均年齢は二十八歳弱であり、その難しさを端的に物語るにふさわしい。
この司法試験に現役合格を果たすのは東大や京大のほんの一握りの学生だけである。にもかかわらず、本学で見事現役合格を果たした奴がいる。その名は平
野裕之である。我々法学会特別取材班は早速、彼にインタビューを申込み、それに成功した。今回ほこの模様の再現である。彼がどういう考え方のもとに大学四年間を過ごしてきたか、また司法試験受験生のために彼がどういう勉強をしてきたかを紹介してみたい。

 −現在の感想と、この難関をどのように突破していったのか教えて下さい。
 平野 感想ですか、別にないですけど、まあ夢みたいだったですかね。僕は三年の時、択一に落ちたのですが、学者になりたくてがんばりました。司
法試験は二年の初めから目ざし、その年の夏までに七科目すべての基本書を一通り読んだんです。初めはわからなかったのですが、だんだんと法解釈の
おもろしさに魅了されたのです。僕はいつも心の中で、「明治」で終りたくない、普通の人間で終りたくないと思っていて、これが僕の心を支えていたのです。い
わば、このままで終りたくないという危機感ですね。ですから、スランプもなかったし、息ぬきもしませんでした。受かるまで「人権はない」と考えました。

 −どんな勉強方法をとったのですか。
 平野 基本書が中心で、十回ぐらいは読まなければいけませんね。徹底的に。それから、私が合格した唯一の原因は基本書の中にあり、次のようなものな
のです。それは蛍光ペンで色、形で記号を分類し、基本書の著者の結論を赤の星印、理由を赤丸、その反対説の結論を緑の星印、理由を緑の丸、そして、錯
綜する学説を第三者的立場から説明する部分で著者の結論と一致するものに紫の星印、理由で一致するものに紫の印をつけ、その他、立法趣旨には青の星印
、解釈の指針にはオレンジの星印、概念は赤の四角、解釈上の争点は二重丸でそれぞれチェックし、棒線も色分けし、判例は黄色、条文の文言そのままは青、条文を解釈レベルまでいかない程度に砕いて説明した文はオレンジ、そして解釈上の争点が生
じる原因にはピンクをそれぞれ引いた。この方法によれば、論文対策は必要でなく、基本書を読むことで、答案構成ができるし、速続もできるのです。この方法で、一日十時間ぐらいで、二時間ずつほどで七科目やりました。

 −大学の授業はどうしましたか。
 平野 二年までずっと出ていたのですが、三年になって会社法・小切手法・労働法・担物法は出ませんでした。労働法はおもしろいが司法試験向きでなく、他
ほ教科書的説明だけで、法解釈のおもしろさを教えてくれなかった。本当に役立ったのは、僕には納谷先生と川端先生の講義だけでした。

 −最後に後輩達へ何か一言どうぞ。
 平野 まあ、一つの道を選んで、がんばることですね。遊んで暮すのもいいけど、ほとんど遊んでしまうのが明治ですからね。しかし、明治だからといってあきら
めてはいけない。同じ明大生が互いに足をひっぱりあっている今の現状は大嫌いだ。ですから、僕はあまり大学に愛校心もないし、むしろ落胆しました。校歌を歌
ったこともほとんどないですね。友達もいませんでした。野望をもった人間はいなかったですからね。まあ、これから大学院に進むのですが、これからもずっと孤独でしょうね、僕は。