●36歳、受験界の歴史を語るベテですが、何か?

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47235歳独身 ◆rC3OxWVw

【基本書中心主義について―2―】

 かつて、中央大学には「真法会」というベテラン養成所があった
(いまは知らん)。
 その名誉ある(?)会員試験に同級生のT君が合格した。
彼はまるで現役合格を手中に収めたかのように喜んでいた。

 思えば、バブル真っ只中の派手な学生時代だった。
多摩動物公園駅近くの駐車場にはポルシェやベンツなどの高級車が
ズラッと並んでいた。
 そんな時代に1年生から司法試験に打ち込むなんて、絶対に「変人」
だと思うが、T君はまさにそういうタイプだった。
 
 地下の生協で買った「中央」のロゴ入りTシャツを3日連続で着てくるような
彼とはあまりお友達になりたくなかったが、真法会に合格したとあっては
邪険にはできない。
 ぼくも多少は司法試験に関心があったので彼に勉強方法をきいた。

 「ねえねえ、おれさぁ、独学で在学中合格したいんだけど、どんなやり方
がお薦めなのかなぁ?」

 彼は、先輩からの受け売りだったが親切に教えてくれた。
 「基本書を自分のものにすることだね。1回目はサラッと全体を眺めるように
読む。2回目はややじっくりと落ち着いて読む。3回目は、重要なポイントを
意識しながら腰を据えてしっかり読むんだよ」

 (続く)
47335歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/27 11:25 ID:Rf0Upnzl
【基本書中心主義について―3―】

 T君は続ける。
 「1回で理解しようとしたらダメだよ。最低、3回は読まないとね」
 自信満々に熱弁するT君。しかし、実は3回読んでも理解できない
基本書があるらしい。

 T君はある日、真法会の先輩に相談した。
 「先輩、サトコウが全然わかりません」
彼は、基本書を変更しようかどうか、真剣に悩んでいた。
 しかし、先輩は明るくこう言った。

 「いいか、それはな、読み方が甘いんだ。もう1回読め。
それでも理解できなかったらもう1回読め!その繰り返しだ。
いつか必ず理解できる」

(続く)
47435歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/27 11:26 ID:Rf0Upnzl
【基本書中心主義について―4―】

 理解できなかったらもう1回、それでもダメならもう1回!
 いまでは笑い話だが、当時ではかなりまともなアドバイスだった(と思う)。
こういうことを中央大学の法学部教授たち、OBたちは平然と言っていたし、
司法試験受験生の必読書だった「受験新報」の巻頭言にも似たようなことが
繰り返し繰り返し書かれていたと記憶している。
 
 昭和50年代の「500人時代」の勉強法は、まず(1)基本書を読むこと。
そして徹底的に理解する。
 次に(2)基本書をベースに論点ノートを作る(論点をつぶす)。
 そして(3)答練を受ける。再び基本書を読む。この繰り返しだったようだ。

 伊藤真が「長い長い論点つぶしの年月がある」と書いたのは、
まさに(1)と(2)の段階で、この段階を終えるのに5年以上かかってしまう
のが通常だったのではないだろうか。

 大学1年の夏、ぼくは(1)の段階であえなく挫折した。

(続く)