●35歳引き篭もりのベテですが何か?(999) 2:アホ

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68氏名黙秘:02/02/21 15:45 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/19 09:14 ID:RG4rYvPS
【論点ブロックカードについて―29―】

 最初は×答案を決める。
白紙を含む23点以下のいわゆる不合格答案だ。
 次に○答案。ホームランを含む26点以上の優秀答案だ。
最後に残るのが△答案。 
24点とか25点などの合否ライン上にあると思われる答案だ。
つまり、最初に全体の答案の上下を決め、
「今年はこのレベルか…」などと、おおよその平均を把握するらしい。

 こうして、一通り仕分けを済ませてから具体的な点数を入れていく。
最も試験委員を悩ませるのが△答案らしいが、
全体的には、最後までしっかり読まない答案がけっこう多いらしい。
 この噂を真に受けるとすると、
「論証の出来不出来なんて合否を左右しないんじゃないの?」
とも考えられる。
  
(続く)
69氏名黙秘:02/02/21 15:46 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/20 11:03 ID:7Vwg4LMi

【論点ブロックカードについて―30―】

 優秀答案とはいかなる答案か―。
ぼくのような択一止まりの受験生でも考える疑問だ。
 論文8連敗のベテランSさんにとっては、もっと深刻だった。
彼はいつも悩んでいた。「G科目が毎年違う」からだ。
 
 足を引っ張る致命的な科目が毎年、違う。
昨年は民法で落ちた、今年は刑法で落ちたという具合だ。
 彼は、平成2年の刑法の問題(間接正犯の実行の着手)で、
間接正犯概念を否定したらしい。
 答案の内容について詳しくは聞いていないが、
彼は「説得力があった」と言う。しかし、G。 
 これで、その年は落ちたらしい。

(続く)
70氏名黙秘:02/02/21 15:47 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/20 11:08 ID:7Vwg4LMi

【論点ブロックカードについて―31―】 

 当たればホームラン、外れれば空振り三振という答案を書く
通称・実力者、別名ベテランは意外に多いと思う。
 そういう人たちに対してこそ、ブロックカードは有効なのかもしれない。
司法試験の勉強を始めたばかりの自称・受験生が手を出すモノではない、
ぼくはそう思う。
 
 具体的に言おう。
 伊藤真は昭和56年に司法試験合格後、
レックで「黒木正爾」という名前で講師のアルバイトをしていたらしい。
アルバイトの時期が司法修習と重なっていたかどうかは知らないが、
当時を知る大ベテランの話によると、
「黒木講師」の名は全国にとどろいたらしい。

 驚くべきことは、黒木講師の信者は長年論文に落ち続けている
「ベテラン」たちだったという事実だ。
 決して、若手受験生を相手に短期合格をうたう講師ではなかった。
おもしろいものを次に紹介しよう。

(続く)
71氏名黙秘:02/02/21 15:48 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/20 11:26 ID:7Vwg4LMi


【論点ブロックカードについて―32―】

 かつてレックでは「起案例百撰」という論証集のようなもの
を出版していた。
 レックの答練で受講生が書いた答案の中から
論点の部分を抜き出して掲載した。
主な基本論点はほぼ網羅してある。

 論証はそれぞれ罫線で四角に囲まれ、最後に<評>として、
伊藤真がコメントを記している。 
 「流れのある、迫力のある答案」とか、
「前半で―と書いて、後半で―と書くのは論理矛盾」といった具合だ。

 出来のいい論証だけでなく、いま一歩のものも収録してある。
これが発展して「論点ブロックカード」になったのかは知らないが、
いろいろな書き方があって、今読むとおもしろい。
 近年の「金太郎飴」答案とは一味違って興味深い。
 長年の「悩み」がにじみ出ているからだ。
そんな「起案例百撰」のはしがきを紹介しよう。

(続く)
72氏名黙秘:02/02/21 15:49 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/20 11:32 ID:7Vwg4LMi
 
【論点ブロックカードについて―33―】

         は  し  が  き

 「新起案例百撰」E型ノート実例集を、上梓する。
 本書の旧版において、我々は、次のように記した。
         ☆       ☆
 万巻の論点レジュメも、1片のE型ノートの答案には
及ばない。
 その気迫をこめて編集したのが、この「起案例百撰」
E型ノート実例集である。

 論文合格に向けて日夜勉学に勤しむこと久しくなると、
また、各種答練において似たような問題の答案を数多く
書く訓練を積むと、繰り返し出題され、したがって確実・
迅速に書き上げなければならない原理原則そして論点が、
次第にみえてくる。

 それまでには、「長い長い」論点つぶしの「年月」がある。

(続く)
73氏名黙秘:02/02/21 15:50 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/20 11:35 ID:7Vwg4LMi

【論点ブロックカードについて―34―】


 私達の編集した本書の実存価値は、かような「長いトンネル」
から、今まさに抜け出そうとしている受験生の方々にある。

 すなわち、本書は、論文合格に必須の原理原則・主要論点を、
かのリーガルマインドの手法で推敲し、本試験用にそのまま役立
つように完成させたものであり、本書を熟読吟味して、なおその
真価を感得しえない方は、現在の論文合格の実力が、いささか
不足気味である、と自覚されることを希望する。(中略)
 
 我々は、本書が、茫洋とした司法試験砂漠において、滋養に満ちた、
清澄なオアシスたらんことを願う。

    昭和59年10月10日   司法試験問題を考える会編
                代表   伊藤 真
74氏名黙秘:02/02/21 15:51 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/02/21 11:39 ID:Y4flkj+9

【論点ブロックカードについて―35―】

 論点ブロックカードは「無から有を生み出す」道具ではなく、
「有を限りなく無にしていく」、そういうツールなのではないか。
 自由な発想で書ける人は、カードで論証を固めてしまって、
なるべく大崩れしないように守る。
 こういう使い方なら意味があるのかもしれない。

 論点についての理解がほとんどゼロのまま、
論証の「パターン」だけを押さえても使い物にならない。
 「よくわからないから覚えちゃえ!」という使い方は、
出題範囲が限定されていて暗記準備が可能な答練でなければ
さほど威力を発揮しないのではないか。

 こんなことをグダグダと考えて見切りをつけたのは、
辞典のような量のブロックカード集を完成させた時だった。

 「きっちり理解しなければダメだ!」などと考えて、
ぼくは次の扉を叩いた。
 「基本書中心主義」―。
 しかし、ここにも悲劇が待っていた。

(論点ブロックカードについて―終わり)
75氏名黙秘:02/02/27 02:43 ID:???
1000!!!
76氏名黙秘:02/03/11 00:45 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/22 12:34 ID:hhpUbciR
【基本書中心主義について―1―】

 司法試験の勉強を通じて学んだ大きな教訓は
「改革は緩やかに」ということだ。
 壁にぶつかって、次の一歩を踏み出そうとする時、
別列車を発車させてはいけない。
 リスクが大きすぎる。
 現在のやり方、今までやってきたことを土台にして、
緩やかに修正を行うべきだった。いま、そう思う。

 予備校学習が飽きてきたせいかもしれない。
あるいは、多少知識が付いて生意気になり始めていた
のかもしれない。
 「これでは足りない」と思った次の一歩に基本書精読を
選んだことは結果的には失敗だった。
 いやむしろ「失敗するようなやり方をした」と言ったほうが
正確かもしれない。
 
(続く)
77氏名黙秘:02/03/11 00:46 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/27 11:25 ID:Rf0Upnzl

【基本書中心主義について―2―】

 かつて、中央大学には「真法会」というベテラン養成所があった
(いまは知らん)。
 その名誉ある(?)会員試験に同級生のT君が合格した。
彼はまるで現役合格を手中に収めたかのように喜んでいた。

 思えば、バブル真っ只中の派手な学生時代だった。
多摩動物公園駅近くの駐車場にはポルシェやベンツなどの高級車が
ズラッと並んでいた。
 そんな時代に1年生から司法試験に打ち込むなんて、絶対に「変人」
だと思うが、T君はまさにそういうタイプだった。
 
 地下の生協で買った「中央」のロゴ入りTシャツを3日連続で着てくるような
彼とはあまりお友達になりたくなかったが、真法会に合格したとあっては
邪険にはできない。
 ぼくも多少は司法試験に関心があったので彼に勉強方法をきいた。

 「ねえねえ、おれさぁ、独学で在学中合格したいんだけど、どんなやり方
がお薦めなのかなぁ?」

 彼は、先輩からの受け売りだったが親切に教えてくれた。
 「基本書を自分のものにすることだね。1回目はサラッと全体を眺めるように
読む。2回目はややじっくりと落ち着いて読む。3回目は、重要なポイントを
意識しながら腰を据えてしっかり読むんだよ」

 (続く)
78氏名黙秘:02/03/11 00:47 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/27 11:25 ID:Rf0Upnzl
【基本書中心主義について―3―】

 T君は続ける。
 「1回で理解しようとしたらダメだよ。最低、3回は読まないとね」
 自信満々に熱弁するT君。しかし、実は3回読んでも理解できない
基本書があるらしい。

 T君はある日、真法会の先輩に相談した。
 「先輩、サトコウが全然わかりません」
彼は、基本書を変更しようかどうか、真剣に悩んでいた。
 しかし、先輩は明るくこう言った。

 「いいか、それはな、読み方が甘いんだ。もう1回読め。
それでも理解できなかったらもう1回読め!その繰り返しだ。
いつか必ず理解できる」

(続く)
79氏名黙秘:02/03/11 00:47 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/27 11:26 ID:Rf0Upnzl
【基本書中心主義について―4―】

 理解できなかったらもう1回、それでもダメならもう1回!
 いまでは笑い話だが、当時ではかなりまともなアドバイスだった(と思う)。
こういうことを中央大学の法学部教授たち、OBたちは平然と言っていたし、
司法試験受験生の必読書だった「受験新報」の巻頭言にも似たようなことが
繰り返し繰り返し書かれていたと記憶している。
 
 昭和50年代の「500人時代」の勉強法は、まず(1)基本書を読むこと。
そして徹底的に理解する。
 次に(2)基本書をベースに論点ノートを作る(論点をつぶす)。
 そして(3)答練を受ける。再び基本書を読む。この繰り返しだったようだ。

 伊藤真が「長い長い論点つぶしの年月がある」と書いたのは、
まさに(1)と(2)の段階で、この段階を終えるのに5年以上かかってしまう
のが通常だったのではないだろうか。

 大学1年の夏、ぼくは(1)の段階であえなく挫折した。

(続く)
80氏名黙秘:02/03/11 00:49 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/28 17:18 ID:c5RUWssR

【基本書中心主義について―5―】

 夏休みを目前にしたある日、後ろからポンと
肩を叩かれた。
 振り返ると、髪をサッパリ切って爽やかになった
T君がいた。
 おかしいな、あんなに油ギッシュだったのに…。

 「なんか、あったの?」
一応、きいてみる。
 「来週から3日間、集中特訓があるんだよ」

 集中特訓?なんじゃそりゃ。
T君は、気合を入れる意味でバッサリと散髪して
きたらしい。う〜ん、なんの特訓か、すごく気になる。

 「基本書読み込み特訓だよ」
T君は目をギラギラさせて言った。

(続く)
81氏名黙秘:02/03/11 00:49 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/02/28 17:18 ID:c5RUWssR
【基本書中心主義について―6―】

 基本書読み込み特訓!?
 
 T君は初参加なので、具体的な内容は知らないと言う。
 自分の使用している基本書を当日持参するようにとの
ことらしい。
 その特訓に参加すると、あの難解な基本書がスラスラ
読めるようになるのだろうか?
 
 「基本書読み込み特訓」とはどんな特訓なのか、
まだ司法試験に未練を残していたぼくは、
1週間後、特訓が開催されている教室を覗きに行った。

(続く)
82氏名黙秘:02/03/11 00:50 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/01 17:31 ID:2JduZVsf

【基本書中心主義について―7―】

 将来役に立ちそうなレジュメでもあったら盗んでこよう、
などと胸を膨らませて教室を覗いてみた。
 しかし、シーンと静まりかえった教室にページをめくる音だけが
響き渡っているだけだった。

 受講生(?)は30人ぐらいいただろうか。
クソ暑い夏、狭い教室に缶詰めになって黙々と基本書を読んでいる。
これを朝から晩までやる。

 う〜ん、まさに司法試験という感じだ。これも青春だなぁ。
「試験に出る英単語」の森一郎のはしがきを思い出した。

 議論したり、教授が指導するわけではない。ひたすら読む。
 基本書の精読というものは、1人でやると非常に辛く、だらけてしまう。
だから、仲間と一緒に机を並べて頑張ろうというわけか。

 とにかく、基本書を理解しなければ司法試験というゲームは始まらない。
そういう時代が、かつて存在したのだ。

(続く)
83氏名黙秘:02/03/11 00:53 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/05 11:20 ID:AFIXvjit

【基本書中心主義について―8―】

 だれがそう名付けたのか、「教科書」ではなく「基本書」などと呼ばれる。
その理由は、内容の難解さに敬意を表する意味が込められているからだろう
なんて思ったことがある。マジで、初心者には意味不明だ。
 せっかく法学部に入ったんだから、よぉーし、頑張っちゃおうかな!
と意気込んでも、たいてい一瞬で砕け散る(はずだ。ふつう)。

 1ページ読んでは寝て、また1ページ読んで寝る。
ある漫画で、不眠症の女性がバッファリンを飲むシーンを見たことが
あるが、眠りたいのなら絶対に「基本書」だろうと思ったものだ。
 そして同時に、自分はかなり頭が悪いんじゃないのかと真剣に悩む。
  
 大学1年の冬、後期試験が近づいて再び「基本書」と再開することに
なった。
 「自分には脳ミソが足りない」という命題をまだ完全に認めたくないぼくは、
T君が真法会の先輩にしたのと同じような相談を民法の教授にした。

 「サッパリ理解できないのですが、自分には才能がないのでしょうか?」

(続く)
84氏名黙秘:02/03/11 00:54 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/05 11:22 ID:AFIXvjit

【基本書中心主義について―9―】

 教授は真面目に答えてくれた。
 「うーん、たしかにいきなり基本書というのは難しいかもしれない。
最初はもっと平易な入門書から読んだほうがいいかもしれないねぇ」
 
 えっ!? 真法会の先輩のアドバイスとはちょっと違うぞ。
 これは期待できるかもしれない。
 
 教授は天井を少し見上げてから、キッ!とぼくの目を見つめて言った。
 「まずは我妻先生の民法案内を読んでみることだね。これはねぇ、
初めて法律を学ぶ人にはもってこいの本なんだよ」

 教授は熱く語る。この「民法案内」という本を読んで、まず民法とは何か、
法律的なモノの見方や考え方をつかんでから基本書を読むべしと言う。
 なるほど…。

 ぼくは早速、大学の生協で民法案内を買った。
 そして、帰りの電車を待つ多摩動物公園駅のホームで、買ったばかりの
民法案内を袋から出して、開いてみた。
 なんか大きな活路が見えるかもしれない! 
 ワクワクしながら読み始めてみた。

 しかし、電車が高幡不動の駅に着く頃には、ぼくの大きな希望は早くも
砕け散っていた。

 全然分からない…。
  
(続く)
85氏名黙秘:02/03/11 00:55 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/08 16:38 ID:KlUsspcg

 
【基本書中心主義について―10―】

 少年ジャンプやプレイボーイ程度しか読まないぼくにとって、
我妻先生の「民法案内」はかなりハードルの高い本だった。
 そういえば、大学入試のために小林なんとかという人の本を
読んだことがあるが、う〜ん、それ以上に苦痛じゃ。

 「案内」というぐらいだから、もっとやさしい内容かと思っていたが、
甘い甘い。唯一理解できたのは、我妻という先生はすごく勉強が
できた人なんだなー、ということだった。

 結局、司法試験「受験生」にすらなることができないまま、
大学4年になってしまった。
 
 こんなことなら入学と同時に予備校に通っていればよかった、
などと後悔しても遅かった。

(続く)
86氏名黙秘:02/03/11 00:56 ID:VhKmYnlL
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/08 16:39 ID:KlUsspcg
 
【基本書中心主義について―11―】

 今思えば、予備校に通うことを「かっこ悪い」と考えたことが
大きな障害になった。
 
 しかし、こういう考えは当時は決して少数派ではなかった。
ある学者が法律雑誌に書いていた。
 「親の経済力を背景に予備校などというところに通い、雑魚本
を暗記して司法試験に合格する。そんな人間が、一体いかほどの
法曹になれるというのだろうか…」
 
 そのとおりだ! と思った。
そんな風に意地を張って独学を貫こうとした学生はわりと多かった
(のではないだろうか)。
 特に中央大学はその風潮が強かったかもしれない。
 
 しかし、転機は訪れた。
就職活動シーズンに突入した大学4年の春、生協でふと手にした
レックのパンフレットが人生を変えた。
 司法試験全7科目入門講座。
入門講座だけで合格レベルに!などと書かれたあのパンフレットだ。

(続く)
87氏名黙秘:02/03/11 01:34 ID:q3ikETBR
Fランク大中退でも試験に受かれば裁判官になれますか?
88氏名黙秘:02/03/13 20:54 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/12 12:27 ID:WEWiCRqe
【基本書中心主義について―12―】

 司法試験予備校のパンフレット。
ぼくは学食の隅の席に座って、何度も何度も穴があくほど
読み返した。
 
 階段を1段上ったところで転げ落ちるイラスト。
 <他校>とか書いてある。
その隣に、階段を2段上ったところで笑っているイラスト。
ガッツポーズで「最終合格!!」とある。レックのことだ。

 トップページには笑顔の合格者の写真が2発。
 入門講座→択一基礎力完成講座→論文基礎力完成講座
→最終合格!!なんて図がある。
 「レックの2年合格システムで受かりました!という体験記。
ぼくでも2年で受かるような気がしてくるから不思議だ。

 「そりゃぁ、金さえ出せば合格させてくれるんだろう、当然」
と思った。反町会長の「ご両親へ」を何度も読んで暗記した。
 よし、これを言おう!
 いつしか、ぼくの頭の中は「司法試験合格作戦」から「親に
いかに金を出させるか作戦」に変わっていた。
 
(続く) 
89氏名黙秘:02/03/13 20:55 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/12 12:28 ID:WEWiCRqe
【基本書中心主義について―13―】

 基本書学習という「入り口」で挫折したぼくにとって、予備校は
最後の最後の、頼みの綱だった。
 本音を言えば使いたくなかった。
 「勉強というものは独力でやるもの。金で合格を買うなんて邪道」
という信念(?)というか、クソみたいなプライドがあった。

 仕方がない。何も残せないまま大学4年だ。
強がりを言っている場合じゃない。
 それは、「自力本願」から「他力本願」への転換だった。

 金で司法試験合格を買おう。そう決心した。そして、水道橋のレック
東京本校に向かった。駅を降りて神社の前を通りながら思った。

 「仕方がない。2年の辛抱だな」と―。
今思い出だすと、まったくお恥ずかしい。

(続く)
90氏名黙秘:02/03/13 20:57 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/13 13:39 ID:pMhMyTtH
【基本書中心主義について―14―】

 「司法試験はね、ずいぶんと楽になりました。みなさんはね、
ホントに恵まれてますよね!」
 軽快な口調で話す岩崎講師。レック入門講座のガイダンス
会場は満員御礼の大盛況だった。

 教室の一番後ろの入り口付近には、入門講座で使用する
「全体構造テキスト」が全科目並べてある。
 そして、そのすぐ隣に有斐閣双書の民法が全巻、全体構造
テキストよりも高く上に積まれている。

 岩崎講師は両手をいっぱいに広げて言う。
 「我々が受験生の頃はね、我妻先生の民法講義っていう、
こぉーんなにある本をね、必死の思いで読んだもんですよ。
双書でも10冊ぐらいあるんですからね」
 そう言って、教室の後ろの方を見る。会場の学生たちもみんな
一斉に振り返る。
 「あー こりゃあ、大変だ」という表情。

 「でもね、みなさんはその必要はありません。これだけ、これだけで
いいんですからねっ!」
  
(続く)
91氏名黙秘:02/03/13 20:58 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/13 13:40 ID:pMhMyTtH
【基本書中心主義について―15―】

 合格に必要なことは、たいてい予備校がやってくれる。
受講生はカリキュラムに従って、講師が指示したとおりにやれば受かる。
「役割分担」、そんな言葉も使っていた。
 あの難解な基本書をプロが解読し、平易な薄い本にまとめた。
ぼくたちは、講義を聴いてその内容を理解すればいいだけだ。
 なんてラクチンなんだ!

 帰宅後、「卒業旅行に行かないからレックに行かせてほしい」などと説得、
めでたく親から金を引き出すことに成功した。
 翌日、レックの受付に申し込みに行った。
しかし、最後の最後でまだ踏ん切りがつかない。
 「基本書を買って残りを懐に入れようか?」などと迷いながら、受付の女
の子にきいた。

 「あのー、岩崎・萬年山の生クラスを申し込もうと思ってるんですが、
ぶっちゃけた話、何先生のクラスが一番人気ですか?」
 必死だった。
 意外にも、彼女は表情をまったく変えずにサラッと答えてくれた。
 
 「あ、もちろん伊藤先生です」

 ぼくはまだ、伊藤先生のガイダンスを聴いていなかったのだ。

(続く)
92氏名黙秘:02/03/21 00:11 ID:x7uMCfq5
本スレが荒れてこっちにコピペができないな。
続き読みたいよぅ。
93氏名黙秘:02/03/21 00:18 ID:???
zランク大中退でも幸せになれますか?
94:02/03/21 00:25 ID:Tk7R+ywc
腺!!!!!!!!!!!!
95氏名黙秘:02/03/21 01:01 ID:tmnqoxGy
やー
96氏名黙秘:02/03/22 22:19 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/22 11:33 ID:PqeuAGNu


【基本書中心主義について―16―】

 生きていくうえで最も重要なのは「勘」ではないだろうか
と最近思うのだが、その時のぼくの勘は果たして正しかった
のだろうか。
 
 「伊藤先生の講義にしよう!!」
 一度も会ったことがないのに、すでに心は決まってしまった。
「一番人気は伊藤先生」と教えてくれた受付の女の子に深々と
頭を下げて感謝した。

 2日後、ぼくは伊藤真の無料ガイダンスに出席した。
岩崎先生のガイダンスの時も満員だったが、今回はそれ以上だ。
 「そこ、詰めてくださーい!!」レック社員の声が会場に響く。
3人掛けの机に3人。
隣の人と肩が触れるぐらいギュウギュウ詰めだ。

 岩崎先生の時と比べると、出席者の目つきが真剣に見える。
会場担当者の数も多い。
「やはり、大御所なんだろう」期待は膨らんだ。
 そして、会場がシーンとなった。ついに現れた!!
 
(続く)
97氏名黙秘:02/03/22 22:20 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/22 11:46 ID:PqeuAGNu
【基本書中心主義について―17―】

 「みなさん!こんにちは!!」

 スラッとした体格と爽やかな笑顔。そして何よりも声がイイ!!
マイクがいらないぐらい、教室全体に響きわたる声。
 その明快な語りは、とにかく説得力があるとしか言いようがない。

 周りの学生たちも身を乗り出して聴いている。
まるで、吸い込まれるようだ。すごい!すごい、すごいっ!!
ぼくは一瞬で彼のトリコになってしまった。
 迷いはすべて吹き飛んだ。
新興宗教にハマル瞬間というのは、こういうものかもしれない。
 
 伊藤真がマイクを持ってから、まだ10分ぐらいだろうか、
ぼくは話の終わりを待たずに教室を出た。
 ダッシュだ!!
 
 「まだ間に合うだろうか?定員になっていないだろうか?」
 ハラハラしながら5階から2階への階段を一気に駆け下りた。
そして、即行で申し込んだ。

 予感は的中した、やはりすごい講師だ!(と思った)
 「伊藤先生は、ぼくの人生を変えてくれました」
合格体験記にはそう書こうと誓った。
 
 そのとおり、本当に人生を変えてくれたのだ。

(続く)
98氏名黙秘:02/03/22 22:21 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/22 12:24 ID:PqeuAGNu
【基本書中心主義について―18―】

 「みなさんは、そこに座っているだけでいいんです!」
伊藤真は口癖のように言っていた。

 予習は効率が悪いから不要と言った。
講義ではよく、「ここは出ません!」と言い切った。
 まるで、自分が試験問題を作っているかのようだった。

 論点については格付けをした。
「これはAランク… いや、うーんと…Bプラスぐらいかな…」
いま思えば「おいおい」という感じだが、当時はそう思わない。
 消しゴムで消す音が教室中に響きわたった。

 伊藤真の講義を聴いて、言われたとうりにしていれば受かる。
彼の言うことすべてが合格のための「法」だった。
 だから、彼の一言を聴き逃すことは許されなかった。
ぼくは、クラスリーダーに見つからないようにカセットに録音した。

 自宅に帰って板書を書き直し、不明なところはテープで補充。
「ここは、ブロックです!」と言われたところは「ブロック化」した。
 C型答練に合わせて暗記した。いつも25−28点だった。

 こうして、ぼくのレック1年目はあっという間に過ぎた。

(続く)
99氏名黙秘:02/03/27 20:58 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/26 17:14 ID:w2TZlgDR

【基本書中心主義について―19―】

 小・中、高校と、決して優等生ではなかったぼくにしては
上出来だった。
 伊藤真の入門講座を一度も欠席しなかったのだ。
「座っているだけでいいですから」という掟(?)を破って
予習もしたし、ブロックカードも用意した。答練も受けた。

 ぼくオリジナルの「入門講座ノート」もいい感じに仕上がって
いる。物権変動の明認方法のあたりなんか、緑と茶の色鉛筆
を使ってカラーに仕上げた。タックインデックスも付けた。

 ブロックカードのカバーは、憲法は赤で民法は黄色、刑法は
青だ。ラベルはネームランドできれいに作った。

 Aランクの論点は金色のシールを貼った。Bランクには銀、
Cランクには赤。重要度が一目で分かる。

 「完璧だっ!!」
合格への準備は整った。万全だ、そう思った。

(続く)
100氏名黙秘:02/03/27 20:59 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/26 17:21 ID:w2TZlgDR

【基本書中心主義について―20―】

 伊藤真の入門講座を受けて以来、何かが変化した。
町を歩いていても電車に乗っていても、何かが違った。
自分に自信がついたというか、何かが取り付いている
ような、そんな不思議な状態だった。
憲法の崇高な理念から見下ろすと、世のすべてが下等に
映った。

 「そもそも…」が口癖になった。
ベテラン風の受験生を見ると「クソが!」と思った。
後ろから石を投げつけてやりたい気分になった。
 かなり生意気な、勘違いのくそガキだった。

 どこかで力試しをしてみたい、そんな衝動にかられた。
たまたまレック近くの丸沼書店で、おもしろいものが
目に入った。
「NESゼミナール」というマイナーな予備校の定義カードだ。

(続く)
101氏名黙秘:02/03/27 21:00 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/27 13:32 ID:vomiQcAo

【基本書中心主義について―21―】

 伊藤真はよく言っていた。
「定義を大切にしてください。定義がビシッと書けるかどうか、
これで答案の印象がグッと違ってきます」

 そういえば、ぼくはまだ定義カードというものを用意していな
かった!まずい!これは重大なミスだ。
完璧と思ったぼくの合格ツールに穴があったのだ。
なんとしてでも定義カードを用意しなければいけない。
 全体構造テキストから書き写そうか?いや、時間がない。
今年の論文・口述に間に合わないじゃないか!
 真剣にあせった。

 買うか?
いや、できることなら、マイナーな「NESゼミナール」のカード
は避けたい。しかし、レックの出版物リストにはない。
セミナーからも出ていない。

 困った。とりあえずこのNESゼミナールの定義カードで妥協
しよう。必要があれば補充しよう。
 ぼくはまず、お得意科目の刑法のカードを買った。
たしか2,000円ぐらいだったと思う。決して安くはなかった。
 しかし、問題が発生した。

(続く)
102氏名黙秘:02/03/27 21:01 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/27 13:33 ID:vomiQcAo

【基本書中心主義について―22―】

 定義の言い回しが全体構造テキストと違う!!
買った後で気がついた。ブロックを暗記するときに、
一緒に覚えてしまった定義もある。
 これを、いちいち修正しながら覚え直すのは大変だ。

 しかし、何よりもあせったのは、全体構造テキストや伊藤
先生の板書に書かれている定義と丸ごと違う定義があったことだ。
 これはさすがに不良品だろう。。。
半分ぶち切れて、返品してもらおうとNESゼミナールに向かった。

 秋葉原という、司法試験とは不似合いの場所にNESゼミナール
はあった。
 古い雑居ビルの狭い通路を通ると、ダンボールが雑然と積まれた
横に入り口があり、中に入ると、カウンターの向こうで数人がゼミを
していた。その中にいた40代後半のリーダー格のベテラン受験生
らしき係員が出てきた。
 
 ぼくは、入門講座を修了したら実力者の仲間入りだと信じていたの
で、その係員にいきなり議論を吹っかけた。

(続く)
103氏名黙秘:02/03/27 21:03 ID:???
35歳独身 ◆rC3OxWVw :02/03/27 13:35 ID:vomiQcAo

【基本書中心主義について―23―】

 「この、実行行為とは、っていう定義ですけど間違いですよね!
不良品じゃないですか!?」
 自信満々に言い放った。
すみませんミスでしたと、あなたかなりできますねと、そういう
「結末」を描いていた。
 「実行行為とは」と書かれたカードの裏側にはこう書いてあった。

 基本的構成要件に該当する行為。 

 レックでは法益侵害惹起の現実的危険性を含む行為をいうと
習った。全然違うじゃないかっ!!
 間違った定義を載せるなと言って、ぼくは係員に迫った。

 ところが、係員は気の毒そうな顔をして、まるで出来の悪い
生徒を見るような目をして、こう言った。
 
 「あ、これ団藤説だから」

 え??? 
その時ぼくは、係員の言っている意味が全然理解できなかった。

(続く)
104氏名黙秘:02/04/01 01:43 ID:???
あげておきます
105モウイチド:02/04/01 03:36 ID:WFEyETT1
アゲマス。
106氏名黙秘:02/04/01 03:52 ID:WFEyETT1
agemasu
107氏名黙秘:02/04/02 23:25 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/31 10:24 ID:wcIle18X
【基本書中心主義について―24―】

 ある学者が言った。
「法律は九学(苦学)せよ。四学(史学)と五学(語学)」

 条文などの背後に流れている歴史的背景、立法の趣旨。
そして定義。すなわち、判例や学説によって定立された規範。
 この2つは法律学習の二本柱なのではないだろうか。

 ところで、先ほどの実行行為の定義について、最近の予備校
では2つの定義をきちんと(?)教えてくれるようだ。

 「実行行為とは、形式的には――、実質的には――」
という論証カードをよく見かけるし、また予備校本などでは、
(1)形式的アプローチ;基本的構成要件に――
(2)実質的アプローチ;法益侵害惹起の――
という記載をよく見かける。

 このスレを大学の新入生が見ているかもしれないので、
早いうちにやる気をなくしてもらうためにややマニアックな話
をしよう。実行行為の実質的意義としてよく見かける定義は
たいてい次の2つのどちらかだ。
 A. 構成要件的結果発生の直接的・現実的――行為をいう。
B. 法益侵害惹起の直接的・現実的――行為をいう。

 違いは「構成要件的結果発生」という部分と「法益侵害惹起」
という部分。この違いには大きな、おーきな意味があると思うが、
何も考えずにごっちゃに使っている予備校は、けっこう多い。

(続く)
108氏名黙秘:02/04/02 23:27 ID:???
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/03/31 10:25 ID:wcIle18X
【基本書中心主義について―25―】

 某予備校の論点カードを見ると、不作為犯のカードはAの定義、
間接正犯ではBの定義を使っている。なぁーんも考えていないのだ。
 バイトの学生が手分けして作ったんだろう。1人は大塚説で
1人は大谷説を採っているのかもしれない。
これが1冊の書物としてまとまっている(目次なんかが付いちゃって)。 

 で、何も知らない受験生としてはこれを「暗記」するわけだ。
問題でここを突っつかれなければ、致命傷となることもなく合格。
むしろ、こういう細かいところを日ごろ意識している受験生の方がハマル。
ベテラン行きの電車に乗ってしまう(危険性大だ)。
 勉強という労働と合格という効果との「費用対効果」を考えたとき、
何も考えずに暗記したほうが早いのかもしれない。

 勉強を始めたばかりの頃は、実行行為の定義について実質的意義だけ
を覚えておけば形式的意義は知らなくてもよかった。
 でも、「放火罪の実行の着手」なんていう判例百選の刺激的な解説
を読んだりしちゃうと、「これじゃいかん!!」なんてことになる。
 で、こういうことを知った人が果たして実力者なのか、
果たして早く受かるのかというと、そうでもない。

 いやむしろ、細かいことは知らないほうが早いはずだ。
見ないほうがいい。見えないほうがいい。
 基本書という扉を開くことは、いわば泥沼や地雷がいくつもある
富士の樹海に足を踏み入れることを意味する。
 そしてその「実行行為」の時に気合が入っていればいるほど進む
距離も長いから、ハマル確立が一層アップする。
 少なくとも、ぼくの場合はそうだった。

 「基本書でしっかり理解しよう!」という「実行行為」がぼくの
10年を奪った。

(続く)
109氏名黙秘:02/04/03 19:18 ID:???
110氏名黙秘:02/04/05 15:53 ID:???
おもろ。

111氏名黙秘:02/04/21 07:00 ID:/snRBYD8
名前:35歳独身 ◆rC3OxWVw 投稿日:02/04/19 12:25 ID:pI8/ECfp
<司法試験合格者のための用語集>

・努力さえすればだれでも
・以下、―と称す。
・青天の霹靂
・運が良かったので
・たまたま
・私のような者が
・法曹になろうと考えたのは、小学生の時に観た…
・決して特別な能力が要求されているわけではなく
・−−先生との出会いが
・今日まで私を支えてくれた両親と
・皆さんの合格を祈りながら、ここに筆を
・択一までに最低3回はまわして、
112氏名黙秘:02/04/21 07:03 ID:???
全然、同意。
特に、自前のスタイルを確立する契機は不可避であるという点において。
113 :02/05/05 22:15 ID:???
114 :02/05/19 00:39 ID:???
115氏名黙秘:02/05/22 00:11 ID:???
だまされた・・・・悔しい
116氏名黙秘:02/06/02 17:08 ID:???
ほぜんあげ
117氏名黙秘
1000げと