【新司法試験】論文式一本に改革 3段階での選抜試験を廃止へ
法科大学院(ロースクール)開設後の05年度に開始される新司法試験について、現
在の短答(択一方式)、論文、口述の3段階での選抜試験(2次試験)を廃止し、論文
試験だけで合格者を選抜する方針が、26日までに固まった。司法制度改革推進本部(
本部長・小泉純一郎首相)は、年明けにも専門家らによる法曹養成検討会を設置し、具
体的な試験方法などの検討に入る。1949年に論文と口述の試験でスタートし、56
年に短答式が導入された司法試験は大きく衣替えする。
法務省、最高裁、日本弁護士連合会などの意見が、新たな法曹養成の仕組みを協議し
てきた検討会で一致した。来年改正する司法試験法に盛り込む。
新制度では、法科大学院(2〜3年)修了者に司法試験の受験資格が与えられ、その
7〜8割の合格を見込んでいる。短答式試験は現在、憲法、刑法、民法の主要3科目の
細かな知識を問い、実質的に受験者数を絞り込んでいる。新制度では、法科大学院修了
者と、経済的な理由などで法科大学院に行かない一部の者に受験が限られるため、受験
生を絞り込むための試験は必要ないとの認識で一致した。
また、法科大学院では法理論だけでなく、実務家教員による基礎的な実務教育も実施
されるため、口述試験まで課す必要性は少ないとの意見で一致した。論文式試験は長文
問題を解かせる形になる見込みだが、多様な選択科目を用意するかどうかなどについて
は意見の相違があり、法曹養成検討会で詰めていく。
一方、法科大学院を経ない受験生が司法試験を受ける資格を得るための予備試験では
、幅広い法知識を問う現在の短答式に近い形の試験を実施する方針だ。法科大学院への
入学試験については知識量などを試すのではなく、文章の読解力や分析能力などを試す
形の適性試験が検討されている。
推進本部は、来年前半までに法科大学院の設置基準などを決定する。秋の臨時国会で
司法試験法や学校教育法を改正し、設置基準を満たした法科大学院について04年の開
校を認可する方針。新司法試験が始まっても5年間は現在の司法試験も併存する。
【伊藤正志】(毎日新聞)
[12月26日15時21分更新]
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