土曜日の高田馬場。JR高田馬場駅の戸山口を出て、
ガード下の歩道を抜け、ビックボックスの裏手側に歩いて行った。
背中に背負ったバックが煩わしい。
コンビニ前のホテル行き無料バスの前にガキどもがたかる。
そのまま階段を昇り目の前の喫茶店に足を向ける。
薄暗い店に「ラ・ポール」という紫の看板がかかっている。
セルフサービスのカウンターを通り過ぎ、奥のボックス席へ向かう。
くたびれた感じの男がタバコを煙らせて基本書を広げている。
「おう、真さん」
そのうちの一人が俺に気づき声をかける。
「遅かったじゃないか。セミナーの論予は準備できたのかい」
「でかい声で話したいなら真法会に帰れ」
俺はじろりとベテ公をにらみ、小声でささやいた。
こんなベテ公どもをいつまでも日練漬けにして世間ズレさせるなら
加藤晋介には一度きつく言わなければいけない。
もっとも加藤晋介が俺の言うことに耳を貸すとは思えないが。
「そんな顔するなよ。店の奴には何のことかわからねーよ」
「俺にはわかる」
「それはあんたは受験生だから」
ベテ公は俺から目をそらすと逃げるようにささやいた。
「いいか、俺たちは遊んでいるんじゃない。LECの談話室だって潰れたんだ。
俺じゃなくても、向こうでデバイスを広げているオヤジはどうだ。
スッピンでファイルを読み返しているあの年増女はどうだ。」
ベテ公は民訴の定義をぶつぶつとつぶやいた。
「いいたいことがあるなら定職につけ」
「わかったよ。今年は択一落ちでムシャクシャしてたんだ。」
「いい子だ」
そいつの肩をたたきコピーを手渡した。
「セミナーのコピーだ。」
コピーを受け取ったベテ公を先頭に俺たちはラ・ポールを出て辰巳へと向かった。
登場人物の名前は競輪選手の名前から安直に組み立てることが必要だ:馳星周
おもしろい!期待しとるYO!
(・∀・)イイ!
続き期待age。
馳星周の世界と司法試験って、あまり親和性がない気がするが・・・。
馳星周って村上春樹ほど広く読まれてないのが難点。
反応がイマイチかもしれん。
サッカー通ぶってるところがむかつく。>馳星周
馳浩夫妻にもむかつくが。特に嫁の方。
>馳浩夫妻にもむかつくが。特に嫁の方。
わらた
ベテ公どもと辰巳本校前で別れ、スモール校舎前へと向かった。
スモール校舎前の禁煙ベンチで密公量が過去問を開いている。
密公量は眼鏡越しにちらりとこちらを見ただけで、すぐに過去問に目を落とした。
密公量。筋金入りのベテラン。若手講師も密公量には頭が上がらない。
噂じゃ辰巳が新大久保にあったころから
短答製作受験生スタッフのリーダーだったらしい。
密公量のもとにはいろんな情報が集まってくる。
LECの講師が伊藤塾に引き抜かれた、セミナーの短答がA4版になるらしい、
ベテ公の羽広が30歳の誕生日にソープで童貞を喪失した、そんな情報だ。
俺も論文落ちしたときには、情報収集のために密公量に会いに来る。
密公量が過去門を読みながら言った。
「辰巳係員バイトの東大3年が1回合格したらしい」
「誰だ」
「合格者は合格者だ。そいつが何者だったかは今となっては意味がない。違うか」
とりあえず、うなずいた。
密公量の言葉を意訳すれば、ベテ公とは接点のない若手が、
ベテ公と接点を持つ前に合格した、気にするな、ということになる。
「他には」
「反町豊彦が帰ってきたそうだ」
俺は反吐を吐きそうになりながら、黙って首を振った。
「まだほとぼりは冷めていないんだぜ。前田東洋がだまっちゃいない」
「あいつの考えていることなど誰にもわからんよ」
密公量は、数年前に司法試験委員の自宅にボウガンを打ち込んだベテ公のほうが、
まだ正常だというふうに、ため息をついた。
反町豊彦、精神異常のベテ公だ。それもこの先、絶対に合格しないタイプの。
ちょうど2年前、東大の3年次で合格した女の若手がいた。
その女は、自分の顔を拡大した予備校ポスターを高田馬場中に貼りやがった。
それだけでも反町は逆上していたが、その女は絶対にしちゃいけないことをした。
反町豊彦の答案を採点して、21点をつけ、あろうことか、フルネームで署名したのだ。
反町豊彦はセミナーの講師室に詰め掛け、女講師の自宅を調べ上げ、
徹底的にその女講師をストーキングした。
その女講師は修習所にいった今でも反町を恐れている。
美人弁護士としてマスコミデビューする夢を捨てて、
身を守るために検事に任官して一生国家権力に
庇護してもらうしかないと絶望している。
いいね〜
ちょっとブラックじゃない?
でも、いいかも。
論文に落ちて執筆再開したのか。
それなら反省して勉強するべきだと思うが。
omoroi kitai age
応援age
サスの登場を期待
「前田東洋は受験歴15回のベテ公のくせに、1回合格のポスター女のシンパだった。
やつはお前に話を聞きに来るだろう。どうするつもりだ」
密公量が言った。目は過去問移っていた。
「俺には俺の都合がある」
俺はそういいながら、堂々巡りする思考に嫌気がさして、
司法試験を始めた頃を思い出していた。
司法試験を始める前の俺はうらぶれた日大生だった。
俺を司法試験の世界に引き合わせたのは当時のLECの講師、伊藤真だ。
大学3年の頃、ひやかし半分で覗いたLECのガイダンスで、
180cmを超える長身の伊藤真が白い歯を輝かせて、俺に呼びかけてきた。
おれのことを、資質があるといいながら。
俺はまこつに話し掛けた。
「俺は三浪の日大生だし、その上、経済学部だぜ」
「しかし、君の名前は真、僕と同じそうだろう」
俺はまこつの言葉にうっとりとした。
「伊藤真さん、おれ、頑張るよ」
伊藤真は手近にあった紙に「やればできる。本物になる」と書き記した。
新しい世界が開けた。俺は小躍りしたい気持ちだった。
だが、すべては嘘っぱちだった。
俺は必死に真の入門に通った。
おかげで、数ヵ月後にはベテ公どもともなんとか不自由なく、話せるようになった。
そして気づいた。入門BASICがクソテキストだということに。
しかも、真はLECを辞めて、渋谷に伊藤塾をひらきやがった。
残された俺には岩崎の論基礎を受けるしか道がなくなっていた。
そして、俺の手元にはLECの2年合格完全パック一括払いの
2年分割クレジットだけが残った。
前田東洋。。。。。
密公量。。。。。
>>22 馳星周の作品の登場人物のネーミングはこんな感じに上下の名前をくっつけたものがおおい。
もっとも競輪選手からのネーミングだけどね
あげげ
ミステリ好きの俺は、村上某の本は読んだことないけど、
馳のは読んでるぞ。雪月夜が積ん読。
しらを切れ
ごまかせ
丸め込め
面白すぎる!!!
自分も不夜城大好きでした。
やっぱ主題歌は
「あてはめ一つ 足りないくらいで〜 ぜぇんぶ 壊れてしまうような
儚い夢ばかりが 能じゃないだろう。 さあ、見つけるんだ 僕たちの ホーム」
ですか?
伊藤真にLECに置き去りにされた後も、俺は司法試験をやめようとは思わなかった。
正直な話、定職につく気がなかったのだ。
しかし、LECに俺が勉強を続ける環境はなかった。
みんな、伊藤真が抜けた直後のLECが抜け殻であることに気がついていた。
おれは、セミナーの門を叩き、短答作成のバイトを始め、
夜は早稲田の8号館4階の長椅子で眠りにつく、そんな日々を過ごした。
そんな生活をしている間に、俺の手元には優秀答案のコピーが集まり始めた。
そうこうしているうちに、渋谷からベテ公の群れが大量に高田馬場に流れてきた。
伊藤塾崩れのベテ公どもは、セミナーや辰巳育ちのベテ公どもに、
一目置きつつも伊藤真の教えを捨てきれなかった。
あくまでも、伊藤真の教えを貫き通した。
やっと俺の出番が回ってきたということだ。
LEC時代に伊藤真の教えを受けた俺は、高田馬場の右も左もわからない、
伊藤塾育ちのベテ公どもに話をあわせ、辰巳やセミナー優答のコピーを配り始めた。
数年後には関西から流れて来たP&C崩れのベテ公や、LS式崩れのベテ公どもが、
高田馬場のベテ公に混じり始めた。
それでも俺の優秀答案屋としての価値に変わりは無かった。
ベテ公の本質が変わらない。俺の利用価値もかわらなかった。
結局、この10年近く、俺の人生には常にベテ公がつきまとっていた。
あんまり、長いこと付きまとわれているので、
自分がベテ公であることも、忘れそうになる。
俺はもう1度まこつの教えを思い出した。
そして、くだらない思い出におさらばして、
この日は辰巳のスモール校舎を立ち去ることにした
三浪の日大経済
俺の経歴に酷似している…
up
面白いですね。
けど早く、@売春婦と薬の売人は絶対殺されるA自分の仲間は裏切る
という、馳星周イズムにつなげてほしいです。
けどこの短編では難しいかな。
Bホモが出てくるも忘れずに
4.とりあえずしゃぶらせるも入れて欲しい。
馳星周イズム
@売春婦と薬の売人は絶対殺される
A自分の仲間は裏切る
Bホモが出てくる
Cとりあえずしゃぶらせる〔主人公はたまっているため、口から溢れる〕
ageだろ?
age
ビックボックス2階の本屋で時間を潰していた俺は、携帯の着信音で我に返った。
「俺だ。今晩会おう」
1番聞きたくない奴の声だった。前田東洋だ。俺はうんざりとした口調で答えた。
「これからローラー答練を受けるんだよ」
「ライフリーで野菜カレーでも食おう、午後8時でどうだ」
「ちょっと待ってくれよ。日練の予習もあるんだ」
「真、おれをなめているのか?反町豊彦と1番関係の深いベテ公はお前だろう」
俺はあきらめて、渋々と返答した。
「わかったよ。野菜カレーをおごってもらうよ」
「最初からそういえばいいんだ。逃げたら俺の手下の中大卒の38歳童貞ベテ公にお前のおカマを掘らせるぞ」
「行くよ。ベテ公にカマを掘られるのはまっぴらだよ」
前田東洋が何かをどなったが、おれは携帯を切った。
前田東洋に会った時のことを覚えている。やつはすでに35を過ぎたベテ公だった。
親からの仕送りを止められた奴は、とにかく食うためにセミナー購買部のバイトを紹介されたのだろう。
東京本校A館の2階でデバイスを並べる奴は、だれがどうみてもただの冴えないベテ公だった。
ところが奴はただのベテ公じゃなかった。択一の問題作りに関しては
天才的な頭脳を隠し持っていたのだ。
やつはその才能で健康食品狂いの学長に目をつけられ、セミナーのベテ公バイトを仕切り始めた。
5年間択一の問題を作りつづけ、ある程度足場を固めたところで、やつは勝負に出た。
平成13年度の早稲田セミナー全択の作成を一任された奴は
合推48点レベルのふざけた問題を作り上げた。
直前でレベルの低い模試を受けされることで、ベテ公どもを撹乱し、まとめて択一で落とすためだ。
前田東洋の目論見は見事に成功した。
全択の成績に安心しきっていたベテ公どもは、見事に足をすくわれ、ボロボロと択一落ちしていった。
とにかく、セミナー通いのベテ公どもは、いまでも、今年の択一のトラウマを引きずり、
前田東洋の顔色をうかがって、論文講座を受講している。
すげー面白い上げ
>>39 面白いか?
今は亡き、村上春樹的司法試験(だったか)
のほうが全然面白いがな。
つーか馳星周ってだれ? プロレスラーだっけ?
馳浩だっけ?
レーニンだよレーニン。ポプコムでエロゲーのコーナーやってたライター。
35歳とか38歳の職歴なしのベテさんって実際にいるんですか?
そうだとしたら司法試験ってほんとうに恐ろしい試験ですね。
灯台卒でもそんなのざらだよ。現にここにも・・・。
なんだかボーガン事件の人の気持ちもわかるような...
きゃはは懐かしい全択!
去年企業法務部に就職した俺は、今年2年ぶりに択一を受ける事にした。
合格した年から4年間、俺は全択で推定プラス5を切った事はなかったのだ。
2年ぶりに受けた択一の模試は、何と42点だった。
不安な俺は、電話回線が繋がらないフリーダイヤルを避け、セミナー熊本校まではるばる電話した。
「推定点は、48点です・・・・」
受話器を持つ手に力が入らなかった。択一のアル・カポネとまで呼ばれた俺がここまで凋落したのだ。
次の辰巳第2回では、俺の点数は44点に上昇していた。あと2点だ。後は本番での択一未合格者の沈没に賭けるしかない。
最後の手段は、ゲンナマのある社会人の特権を行使した北海道受験だ。俺の頭は寒いほどよく働くのだ。
5月13日、札幌は25度、これより暑いのは京都だけだった。俺は不合格を覚悟して千歳から帰った。
辰巳の解答速報に接続、首を洗って待つとはこの事だ。
落ちたら論文受験用の旅費をシャブにでもつぎ込むとするか。
47点だった。
俺は手元のワルサーPPKを押し入れに戻した。ふ、これで、またこいつを使わずにすんだぜ・・・・
5ヶ月後、俺は再び来年の全択を受ける事になった。
落ちがよろしいようで
ほぜむ
47は今市だがage
38より
腕時計を覗いた。午後4時。8時までにはまだ時間がある。
俺はベテ公で埋まる高田馬場から逃げるように、山手線に飛び乗り、渋谷へ向かった。
渋谷で降りた俺は、歩道橋をわたり、ギター屋の前を通り過ぎ、まこつ塾に辿り着いた。
考え事をするには、若手合格者の個人カウンセリングを受けるに限る。
俺は5年前に作った塾生カードを受付の女に叩きつけ、気の触れたベテ公のフリをして、
受付の女に、合格者にカウンセリングをしてもらいたいと、どなりまくった。
1階のブースで10分間待ったところで、1人の合格者が俺の前に現れた。
女だった。服装はベージュのスーツを上下で揃えた女教師のような格好だ。
女は1回合格者の渡辺さやかと自己紹介をして、俺の目の前に座った。
はじめは女は三段論法の手順や論証暗記の重要性をぶつぶつとつぶやいていた。
5分ほどたったところで、女は一瞬言葉を止めて、おれを見上げて、
「わたしのいうことを聞いてくれる?」と聞いてきた。
おれは深く考えずにうなずいた。考えるべきだった。
その直後、女はありとあらゆる言葉で俺を罵倒した。女はベテ公を毛嫌いしていたのだ。ベテ公のクラスマネージャーに口説かれたことがあったのだ。
冬でもTシャツだけの頭の禿げた薄汚いベテ公だったそうだ。
それいらい、その女はベテ公を憎むようになったのだ。
そして、つづけてこう言い放った。
「あなたみたいなベテ公は、一生基本書でもよんでいればいいのよ。
予備校が好きなんでしょ。私のカウンセリングを受けれて幸せでしょ?」
その時、俺の中で何かが爆ぜた。
俺はバックの中に忍ばせていた「民法T・内田」で、その女の頭を殴りつけた。
一番分厚い「民法U」で連打し、「民法V」を叩きつけ時には、
女はうめき声をあげるだけだった。
俺は愛用のVコーンを女の喉下に突きつけ、おれのものをしゃぶらせた。
役に立つ状態になったところで、スーツを引き裂き、女の尻を突き上げさせ、
一気におれのものを突き立てた。俺はうわ言のように口走った。
「これがお前の毛嫌いしていたベテ公のペニスだ。9回受験をした男のペニスだ」
はじめのうちは恐怖に震えていた、女があえぎ声をあげていた。
俺が「ベテ公の味はどうだ」と叫んだ瞬間、女は断末魔のような声を上げて気絶した。
女は股間から俺の白濁を漏らしながら、床に倒れこんだ。
まこつのパンフレットでペニスをぬぐい、女を置き去りにして、
俺は、逃げるように、まこつ塾を立ち去った。
期待通りっ!最高でーす!!
age
まこつ屋1階のブースって、レイープできるような環境なのか(藁
なんか馳星周イズムが出てきたような
けどちょっと強引な気が・・・
司法試験の話で、売春婦と薬の売人が殺されるわけないか。
続きを期待してます
マジ笑った。
村上春樹的司法試験を超えつつあると思われ。
最後は現行司法試験廃止で登場人物全員がアボーンってか。
おお・・これはおもしろいな!
セックスと暴力と金・・・馳星周は大好きだ
渡辺さやか萌え〜
マチコの色気とタケウチの豊満なボディが
俺を魅惑する。
age
最後は、司法試験の問題を盗もうとして、法務省に忍び込むか
賄賂的な方法で入手しようとして、仲間が裏切る。
またはおおがかりなカンニングをしようとして試験中、にばれる。
てきな終わり方じゃないかな
>>62 いずれにせよ、
・セックス
・暴力
・金
・「主人公に最も身近な人間」が「裏切る」
以上は欠かせない要素だな。
保全あげ
すごいよ!
このスレ。
おもしろい!つづきはー?
あげ
ageage
落ちた!!10回目の択一試験!
犯した!!渡辺さやか!
奪った!魔骨塾の金とヤク!
逃げた。殺した。追われている!魔骨に!警察に!法務省に!
ベテ公のたった一人の戦い!
ageage
71 :
馳は馳でも馳浩:01/11/13 17:36
ダークムーン版つくってくれ
花村萬月キボンヌ
age