ハーレムマスター!ジュドー!!!

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14ハマーン
「私は、あの時ためらったのだろうか?やつを殺しさえすれば...」
答えの無い堂々巡りを再び繰り返す。
ここはグワダンの中の居室。真近に見る太陽は暖かな光を振りまいている。
だが彼女の心は寒いままだ。
ベッドに体を横たえる。この数週間熟睡したことは無い。
ぐったりするほどの体の疲労を訴えながら、心は一寸も休まらない。
枕に頭を押し付けると、ベッドの脇の一輪挿が目に入る。
モウサから持ってきた薔薇の花。
赤い花弁は無残に枯れ落ち、刺だらけの茎だけが残っている。まるで私だ.....
私はシャアを殺せたはずだ。事実、シャアの乗る百式は大破させた。
あとは、コックピットを貫くだけだった。たとえ邪魔が入ったとしても造作の無いことだ。
私はまだ未練があるのかあの男に?
無残な男だ。ただ己の衝動に身をゆだね、迷惑をふりまく。
国を裏切り、友を裏切り、そして私を裏切った。
そしてまた何万人の命を犠牲にし、何万人を裏切るのか...
殺すべきだったのだ。あの時。すべての禍根を断ち切るために。
ためらいの代償は大きなものだった。やつはミネバ様を連れ去った。
あの男が地球圏に逃げてから、ミネバ様だけが私の生きがいだった。目的だった。
私は突然独りぼっちになってしまった。すべてあの男のせいで...