Z金髪プリンセス

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48277年 ズムシティ
男と女の姿がある。牡と牝、というべきか。
成牛にも勝る巨体が覆い被さり抱え上げるのは、あまりにも華奢な女体。
それは正しく荒波に翻弄される木の葉。
(顎が外れてしまう)
握って尚余る。いくら姉の手が小さくとも、それは己の拳より太い。
恐らく歯を立てないよう唇を窄め口いっぱいに含む。
(窒息してしまう)
両手を交互に添えて尚、鎌首全体が余る。己の前腕より長い。
時に低い音を立て、半ばまで喉の奥に呑み込む。
(亀頭って言うんだよ)
下品な学友の言葉だ。
が寧ろ、開きかけた茸の傘。
(姉さんの舌)
その性的な働きを初めて知る。
まるで別の生物のように這い回り躍っている。きっと敏感な所を。
(だって)
舌が動く度、男根と全身が震える。
その様子を上目遣いに見ている、見つめている。
(逆なんだ)
初めは、過剰の体格差で男に犯されていると思った。
が今は、女が犯していると分かる。
(気持ち、良さそう)
男が、女の股間に顔を埋めている。
己の指より厚くて太い舌が、激しい動きで高い音を立てる。
(お仕え、させている)
短く刈った癖毛を撫で、指に絡め、玩ぶ。至福の表情で。
壊れそうな女体に、男が溺れている。
(音が、恥ずかしい)
舌、唾液、肌、汗、それらの立てる音は日常なら顰蹙を買うものだ。
それに何より
(姉さんじゃない)
淫らな声で、厭らしい言葉を、あられもない格好で叫び続ける。
普段の姿から想像できない。
(ここに居ては駄目だ)
ハマーンは、ふらつく足取りで扉の前を離れる。
室内では、未だ続いている。

ハマーンに見られたのは、ドズルと姉の不注意だ。
その日、気分がすぐれぬ妹の登校を止めさせたのは間違いでない。
が、その熟睡を確かめず、自分たちの寝室の鍵どころか扉もろくに閉めないまま
“事に及んだ。”
二人に幸いしたのは、ハマーンが聡明で他者に寛容なことだ。
殊に、彼女にとって二人は、特別に大切な憧れだ。(さもなければ、尊敬し畏怖
する父の許を離れ、彼に背き家出した姉と同居する筈がない。)
また“それ”が“極めて個人的な事柄”で“好奇を憚るべき”と直感していた。
彼女は私室に戻った。
休む前に着替えたい。
寝間着まで汗で湿っている。
全裸になる時、パンツが変に濡れているのを確かめる。
汗だけじゃない、おしっことは違う、別だ。
乳首が硬く膨らんでいる。
股間にも、同じようになっている所がある。
(姉さんのように)
痛いのギリギリ手前、気持ち良いのギリギリ向こうまで、弄り、擦る。
何か湧き上がり、不意に浮かんで、直後落ちた。
肌寒さと、股間を“垂れ伝う”感触に目を開ける。
指が、血まみれている。
初めての経血だ。                          (了)