Z金髪プリンセス

このエントリーをはてなブックマークに追加
122ローラ・if
ローラは月を見ていた
夜、尚青い宇宙に浮かぶ
白い月を見ていた

地上に降りた日
初めて見た月は、小さく、美しかった
今、目の前にある月は、大きく、そして美しい
手を伸ばせば、触れてしまえそうなほどの近く、その月はローラを包みこむような神秘の光を放っている
ローラは手を伸ばし、その月に触れようと
大きく、体を伸ばし・・・・

「貴方がたの幸運を祈って・・・・」
その伸ばした手をディアナ・ソレルが両掌で包み込む
月はいつの間にか失せ、ディアナに姿を変えていた
ソレイユの中、地球帰還移民の先駆けとなるべく選ばれたり、志願した者たちへの激励式が執り行われていた
高鳴る胸の内、二言三言、会話を交わす
自分の番が終わり、次の志願者が、ディアナ様との謁見を行ない始める
後は、フラットに乗り込み、地球に行くだけだ
だが、どうしてもローラは、ディアナ様に言うべき事がある気がして
思い出そうとした
何を言うべきだったか、思い出せない
フラットの乗り込み口は目の前だ・・・・
乗り込む前に思いださなければ、地球に降りてしまう
何とか思い出そうとして、振り返ると、すぐ目の前にディアナ様がいる
にっこりと微笑んで、何か聞きたげにそこに佇んでいる
何を言うんだったか思い出せずに
ローラは焦り、汗が滲む
顔に吹き出た汗を拭おうとして手を・・・・・
手が動かない?
まるで金縛りにあったかのように、手は動かなかった
なんで、手が動かないんだ・・・?
気持ちが焦り、更に汗が出る
ディアナ様に何か言う事が・・・・何か言う事が・・・・・
思い出せず・・・汗も拭えず・・・ローラはおろおろして、ディアナ様を見やる
ディアナ様はそんなローラに近づき、唇を動かし
「ローラ、起き給え? ローラ?」

ーーーーーそれは、ハリーの声だった