福田己津央&両澤千晶 vs 長崎健司&黒田洋介235

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123通常の名無しさんの3倍
プロローグ

「それでも…、守りたい世界があるんだ!」
二本のビームサーベルを連結させたフリーダムのアンビデクストラス・ハルバードが、プロヴィディンスガンダムを貫く。
しかし、負けたはずのラウは笑顔に満ちていた。
ラウにとって、キラとの対決の勝敗なんてどうでもいい。ただクローンとして自分を生んだ人類への復讐、ラウはこのためだけに生きてきた。
「っ…!」
突然のジェネシス発射を目の当たりにしたキラが声にならない声を上げる。
アスランの活躍によって、ジェネシスは地球から逸れた。
こうしてザフト、連合両者は、切り札を失い停戦条約であるユニウス条約を結んだ。
これで世界は平和になる。誰もが平和になると思った矢先、停戦を良しとしない一部の連合、ザフト勢力が独立。
CE71 11月 ヤキン・ドゥーエ戦役から2ヶ月後。条約を無視した独立勢力による小競り合いが続く中、キラ・ヤマトが再びラクスの剣となり戦場へ舞い降りる。
124通常の名無しさんの3倍:2014/04/01(火) 14:02:00.61 ID:???
第1話 振り下ろされる剣

「貴官らの行動はユニウス条約に反している。停止しなければ発砲することの許可も下されている。速やかに停止せよ。」
命令無視し連合軍勢力圏に独断先行するナスカ級に対しローラシア級の艦長クラリスが呼びかける。
「止まらぬか、ならば発砲せよ。ただし威嚇だ絶対に当てるなよ。」
ローラシア級の2連装高エネルギー収束火線砲がナスカ級をすれすれの所で逸れる。
「艦長…ナスカ級とローラシア級では、速度が段違いです。このまま追いかけっこを続けていては必ず逃げ切られます。向こうもそれを承知で何も仕掛けてこないのでしょう。」
副長の言葉に頷いたクラリスはMS隊を発進させ、本格的な武力行使に出た。
ローラシア級から発進されたゲイツ3機はナスカ級に急行した。
ナスカ級からも4機のジンが発進しこれに対して応戦。
本来なら新鋭機であるゲイツがジンを圧倒するはずなのだが、ゲイツ隊は実戦経験の乏しい若いパイロットばかりで、ジンに押され気味であった。
「くそっくそっ当たらねぇ!なんなんだよこいつら」
戦闘開始からわずか数分、ゲイツ3番機のマーカーにLOSTの文字が表示された。
「怯むな、向こうの目的は私達の撃破が目的ではない上に、弾薬を節約をしている。これに漬け込めば勝機はある。」
「はいっ!」
本来艦戦では、艦の護衛を行わなければならないのだが、敵の目的は脱出であるため、ローラシア級を狙ってくることはない。
深く敵陣に突っ込めば、脱出が困難となるため、敵4機は常にナスカ級に寄り添う形だ。
なのでゲイツ部隊は艦の護衛に戦力を割く必要がないのである。
「しかし妙だわ」
『何がですか?』
突然な深刻な顔をしたクラリスの発言に副長が思わずクラリスの次の発言を待たずに返してしまう。
「データでは敵の艦載機は6機のはずだわ。なのに4機しか出てこない。」
『ただ戦力を温存している、と考えるのが妥当ではないのでしょうか。彼らは同胞との戦いは望まず軽くあしらうだけのつもりなのでしょう。』
「だといいんだけど…」
それでも腑に落ちない所はある。
軽くあしらうつもりなら、ゲイツ三番機を撃墜せずに損傷させ離脱させればよかったのではないか。
パイロットの技量の差は歴然なのだから、難しい話ではないし、弾薬の節約を考えているのならソッチの方が明らかに効率的だったからである
「まずい!」
突然の艦長の叫びの直後にレーダーに2つのマーカーが表示される。
ZGMF-1017ジン、友軍の識別を出しているが、そのような報告は一切受けていない。
「奴らの狙いははなっから私達だったわけか…。彼らにとって停戦を受け入れるコーディネイターはもはや同胞ではなくナチュラル同然というわけか。」
『こちらは丸裸です。指示を』
「レールガンと単装砲で応戦。なんとしても撃ち落とせ!」
レールガンと単装砲がジンに向け放たれるがMSの機動力の前では無力。
一気に懐まで潜り込まれる。
「隊長!大変です!」
「わかってる、だがこいつら急に攻撃的に…くそっ!こうなりゃ何としても突破して奴らより早く母艦を落とすんだ。そうすりゃ母艦を失ったジンは降伏するしかねぇ」
「はいっ!」
弾幕を掻い潜ったジンが突撃銃を向けながらさらにさらに接近してくる。
撃ったら当たる距離だが、彼らは弾薬の節約のために確実に一発で仕留めれる距離まで接近してくるつもりだ。
ローラシア級のブリッジと目と鼻の先まで接近したジンが突撃銃を構えトリガーを引こうとした刹那、突如上部からのビームが突撃銃を貫通し、突撃銃が爆散する。
光学迷彩を解除した一機のMSがローラシア級の目の前に現れる。
レーダーに反応なし、称号なし。だが、クラリスはその機体を知っていた。
「フリー…ダム…」
その名を呟いた彼女は夢でも見ているのではないかと思いながら目を見開いてただ唖然として立ち尽くしていた
『こちらF10Aミラージュフリーダムのキラ・ヤマト、応答願います。』
「フリーダム…なぜ貴様がここにぃ!」
続く
125通常の名無しさんの3倍:2014/04/01(火) 14:02:38.94 ID:???
「フ、フリーダム?なんだこいつレーダーに反応が…うわぁあああ」
ジンの突撃銃がミラージュフリーダムに向かって連射されるがシールドで防がれる。
「馬鹿者!奴はフェイズシフトの装甲を持っているんだ!」
すかさず足を止めたジンに対しミラージュフリーダムがライフルを2連射。
頭部と武装を正確に撃ち抜かれ、さらに続けてライフルを撃ち続け、足、腕を次々ともがれていきジンは戦闘力を失った。
重斬刀を抜いたもう一機のジンがミラージュフリーダムに詰め寄る。
「よくも、よくもやってくれたなぁ!」
『これ以上僕に撃たせるな!』
腰に装備したクスィフィアスレール砲がジンの頭と腕を重斬刀ごと粉砕する。
「す、凄い!連装砲のたった一発でそれぞれ2箇所に命中させ相手の戦力を奪う。こんなの並のパイロットには出来ませんよ。」
確実に浮かれた副長をよそにクラリスは歯をかみしめていた。
クラリスはヤキン・ドゥーエ戦役では一パイロットだった。
ナスカ級の艦載機のパイロットを務めていたが、ヤキン・ドゥーエの戦いではミーティア装備のフリーダムガンダムに母艦を撃沈され、仲間や上官を失った。
彼女はフリーダムに対する憎悪でいっぱいであった。
「なんだあのMSは?!」
「フリーダム?!識別は?」
「レーダーに反応がない」
『こちらキラ・ヤマト、ザフトMS、応答願います。』
「何の用だ?大体おめぇなにもんなんだよ」
『わけあって所属は明かせない…。けどあなた方を援護します。今のうちに撤退を。」
「何だと?僕らが受けたのはナスカ級撃破だ。お前みたいな素性も知らない奴なんかにこの場は任せきれない。」
ゲイツ二番機が勝手に通信に応じていた所に1番機のパイロットが割り込む。
「部下が無礼を働いてすまない。私がこの部隊を預かっているラーカスだ。貴官が立場を明かせないことは承知した。だが可能であれば貴官の旨を教えて欲しい。」
『それも言えません。ですが、今貴方達の敵ではないことは確かです。』
「了解した。では、我が隊は貴官の支援行動に入る。」
『その必要はない。足手まといだ。』
ゲイツ部隊の配慮を一蹴し、ミラージュフリーダムは単機でナスカ級に高速で接近する。
「足手まとい…だと?舐めるなぁ!」
「おい二番機、やめろ!」
ゲイツ二番機がジンとミラージュフリーダムの間に入り込み、ビーム突撃銃をジンに撃とうとするが後ろからの衝撃でそれに阻まれる。
『手を出すなと言ったのがわからないのか!』
フリーダムのクスィフィアスがゲイツのバックパックに当たり、ゲイツは機体の状態が危険だと知らせるアラートを流しながら漂流していた。
「くそっ!くそっ!あいつ!絶対許さない!」
二番機のパイロットがコンソールを叩きながら、我を失っていた。
キラはナスカ級のエンジンをクスィフィアスで狙い撃ち、機関を停止させた。
『ローラシア級、着艦許可を願う。』
ミラージュフリーダムはローラシア級に着艦、誘導員の指示通り格納庫ハンガーへと機体を搬入した。
キラがパイロット乗降用のワイヤーに足をかけ降りてくる。
当然所属も目的も明かさないキラは銃を持った兵士に囲まれる形となり、艦長のクラリスから問い詰められることとなる。
紅く真っ直ぐに伸びた長い髪にきりっとした釣り目の女性。見た目の年齢は20代後半といった所で、はきはきとした心強さを感じる声から、キラはまるでカガリのようだと心のなかで微笑んだ。
「先ほど助けていただいたことには感謝します。ですが、貴方は一体?」
『それは言えません。』
「では貴方をここで拘束させていただきます。」
『仕方ないですね。』
「こうなることはわかっていたはずです。なのに何故?それに貴方の機体に搭載されているのはミラージュコロイド、これは条約に反した機体です。」
『僕は軍属ではありません。ですから、ユニウス条約は僕には関係がないことです。』
「そうですか。では、貴方を捕虜として扱わず、ここでゲリラとして処分しても差し支えないということですね?」
第一話 完