新人職人がSSを書いてみる 25ページ目

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794通常の名無しさんの3倍
ミルヒが召還されてから翌日、キラは最後の問答を最後に言葉をかけることはなかった
その内容はキラがミルヒに聖杯戦争を戦う目的、聖杯にかける望みを問うた時
「私に聖杯はいらないです、私の目的はこの戦争で戦うのではなく歌で分かりあうためにきました」であった
氷に閉ざされた最果ての地の城、かの城は聖杯戦争を画策した御三家の一タカナシツベルン一族の城
キラのような外来の魔術師が名家タカナシベルンに招かれたのは四度目の聖杯戦争に勝利するためである
タカナシベルンの目的は第三魔法ヘヴンズ・フィールを手に入れること、その内容を端的に言えば不老不死である
その当主、ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンはその魔法を手に入れるためだけに二世紀の時を生き抜いた妄執の大魔術師である
過去三度の戦いにおけるタカナシベルンの敗北は戦闘力の欠如によるものだった、それゆえ四度目に必勝を賭けアイツンベルン一族へ加える事を報酬に切嗣を迎え入れたのだ
そのキラが既にユーブスタクハイトを裏切り、聖杯を自らの目的に使うつもりだということを彼は知らない
冬木に旅立つ日、キラは自分クーベル・もふもふ・バスティヤースを肩にのせ遊興の時を過ごしていた
もし彼が敗れれば、これが最後になる遊興を愛娘に悟られることがないよう笑顔で接していた
その姿を見つめる金色の眼差し・・・
犬日々のAUO「何を見ているのです?セイバー」
ミルヒに声をかける女性の声、キラの妻である犬日々のAUO
ミルヒ「AUO様・・・」
キラは声の主に答える
「キラのああいう側面が、意外だったのね?」
その問いにミルヒは笑顔で頷く、あの冷徹な男にこのような一面があったのは驚きだった、何よりも彼に妻子がいたということである
これは自身が妻を持つこともなく、子を為す事もなく理想を駆け抜いた事と関係がないと言い切れるだろうか
一人の人間として、男として幸せを手に入れているとしか思えない男がなぜ苛烈な戦いに挑むのか
理想を追い求めるのも戦いだが、家庭を為してそれを守るのも戦いだ、キラが抱いた望みを刹那はまだ知らない
全ての争いの根絶と言われてもわからないのだ
「教えてくださいAUO様、キラはどのような戦争根絶を望んでいるのですか?」
極論を言えば全人類を殲滅したり完全に洗脳したりしても戦争根絶は成る、だがキラがそのような結末を望んでいるとは思っていないのだ
犬日々のAUO(犬A)はその問いに押し黙ってしまう、彼女はキラの理想を完全に理解しているわけではない
ただ愛する夫のために、夫の理想のためにただ死ぬ女よりも同じ理想に死ぬ女の方がィラの負担にならないと信じて振舞ってきただけなのだ
「ごめんなさいセイバー、私には答えられないですぅ・・・だけど信じてですよ?あの人の理想を、そして私を守って欲しいです」
貴婦人の懇願にミルヒはただ頷いた、彼女が言うにマスターであるキラとサーヴァントである自分は別行動をとるらしい
これに対しても他のマスターやサーヴァントと相対し対話の機会を得る点については異論を挟む点はなかった、その中で犬あの役目はバスティヤースのマスターとして立ち、自分は彼女を守る役目らしい
おそらく切嗣は影で暗躍する目論見なのだろう、彼が最も得意とする暗殺という手段によって
AUO「セイバー、ガンダムについて教えて?貴方が語った戦知りたいのです?」犬Aはきらの事を知りたかった
もしミルヒがキラの心に招き寄せられて召還に応じた英霊なら終末をもたらすような機械仕掛けの神であるはずは決してないと、もしかしたらキラを導いてくれる光になってくれると
ミルヒ「私がしたことはフロニャルドが誤解なく相互理解できるきっかけになったくらいです、たいしたことじゃないですよ」
大したことじゃない、後に骨身を削って対話をやりつづけた人達に比べると本当に大したことじゃない、ミルヒはそう思っていた