機動戦士ガンダムSEED DESTINY PHASE-214
大きく見開かれる双眸。翡翠が大きくぐらりと揺れる。わなわなと指が震えている。唇を白くなるほど噛み締めて。
「それでも…それでも俺はっ……!」
「錯覚だよ」
「一緒にいすぎたんだよ、僕たちは」
「だから、それは君の思い込み」
「大切だと思う感情と恋心を一緒にしてるだけ」
「君は、僕の、大切な親友だもの」
ああ、今自分は巧く笑えていただろうか?ああ、でも、君のその絶望に染まった瞳を見る限り、声も震えていなかったし、笑顔も作れていたらしい。
胸のうちで安堵のため息を洩らす。
歪められた君の顔。苦しそうで、泣きそうな表情。君が泣くのを見るのは久しぶりだ。
そんなにも哀しかった?そんなにも、僕が大事だった?
だから言ったじゃないか。
「これ以上、僕らは一緒にいちゃいけないんだ」
もう何も聞きたくないというように、唇を荒々しく押し付けキラから言葉を奪う。そして激しくなる注挿。何も考えられなくなるほどの熱い痛み。ずっと分け合ってきた体温。鼻腔をくすぐる君の匂い。耳元でささやかれる低い声紋。
「はっ…あぁっ、ん、ぁっ……ふ、うぁっ…」
君の目の前から綺麗に姿を消そうか。そうだ、それがいい。
君を必要としない世界を手に入れよう。君が存在しない世界を手に入れよう。君と僕とがまったくの違う世界を持てば君は僕など忘れるだろう?忘れてくれるだろう?
大丈夫。君の周りにはたくさんの人がいる。いい女性だってたくさんいる。君に世界は壊させないから。僕と君が共有しているこの世界。それを全て君に捧げよう。
それが、今僕に出来る精一杯のことだから。
君の前から消える僕に出来る、唯一の贈り物だから。
この世界で幸せに。
<終>
おまえらこれで抜いて寝ろよ
じゃあな