機動戦士ガンダムSEED DESTINY PHASE-214
急にびくりとキラの身体が震えた。下肢に布越しに感じる指の感触。つ、となぞるとその感触を楽しむかのように爪をたててきた。
「ひっ…や、やだっ…やだやめ、っ…」
抵抗しようと力一杯押し返した腕を、簡単に片手で奪われると、頭の上でシーツに縛り付けられる。手首に感じる、大きな掌。明らかな自分との力の差。自分が自分以外の意思に動かされるという恐怖が、腹の底からこみ上げた。
「言っただろう?逃がす気は無い、と」
「ひっ………!」
耳の裏に這わされた舌にぞくりと背筋が粟立つ。ガチャガチャと耳に障る金属音と共に、一気にズボンを引き摺り下ろされた。
「っ………!!」
ひゅぅ、と喉奥が乾いた音を立てる。キラは太腿に感じる冷気に今の自分の格好がありありとわかり、カチカチと歯が鳴った。
「震えてるの?キラ」
にっこりと笑みを称えながら優しく頬に触れてくる。
「……何、で……?いつ、から……」
それに少しだけ眉根を寄せると、頬にあった手をそのまま首に下ろし愛おしむように撫で上げた。
「キラ。お前は知らないだろう?」
「なに、を…?」
「ほぅら、お前は何も知らない」
くつくつと哂った。
そして、その喉元にちゅ、と音をたて口付けると紅く痕を残す。そのまま開かれたシャツから覗く白い肩へ唇を滑らせ、鎖骨へと辿る。ガリ、と噛み付かれ白いキャンバスに赤が流れた。
「アス、ラン……?」
キラの頭の中はぐるぐるとついていかない状況に混乱していた。
確かに酷いことをされているはずなのに、優しく触れてくる指先。温かな掌。さらりと零れ落ちる髪を一房絡めとり、ゆっくり落とす接吻。
わからない。わかりたくない。わかってはいけない。
「ねぇキラ」
「キラ」
「もし俺が」
「もしお前が」
「女だったら傍にいてくれたか?」
「姉弟だったら傍にいてくれたか?」
「ラクスのように」
「カガリのように」