ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XL
>>1乙をしろって言うならやってやるさ!
逆シンスレはシン主役(待遇)のアフター物なら、誰でもウェルカム。
王道なシリアス、レイやフレイ生存、アフロな芸能プロ社長なギャグ、十数年後が舞台のシンの娘が主役。
傭兵シンの生き様に、痛快娯楽復讐劇、ザフトに残ったシンの戦い、クーデレAIスキーにパロネタ。
なんでもお好きな物をどうぞお気になさらず、自由にお楽しみ下さい。
>1乙
ネタかぶり? 気にするな、誰も気にしない。
>>2 なら総合クロススレからの出張ネタも投下して良いんですね?分かりました頑張ります
そのスレが廃れた理由がわかったような気がするわw
8 :
通常の名無しさんの3倍:2011/10/22(土) 17:24:44.18 ID:9AEjgQLG
XL…服のサイズかとオモタ
>>4 とりあえずあのスレの注意事項見直して来い。
それでもまだ何か言いたいんならまずはあっちの方のスレでな。
以下通常運行で。
毎度毎度ご無沙汰しております。
新スレ乙です!だけではアレなので投下します。
規制に引っ掛かった場合戻り次第投下を続けるか、後日続きを投下しますのでご了承ください
・何時書き始めたのか、一発で分かる前置き。
レイ「……」
ハイネ「……」
ステラ「♪(ワクワク」
『あいつはセツコさんの俺達の敵なのに……!』
ハイネ「これ、立ってるよな?」
レイ「ええ、フラグですね」
ステラ「……あれ? これ、ステラとレイとハイネ出ないの?」
スティング「ほぉーら、ステラ無条件生存で俺もマシな死に方ができるスパロボLだぞぉ!」
ステラ「やったぁー!」
シン「あの……」
ルナ「正座」
シン「あれは並行、多元世界の俺で、俺だけど俺じゃない……」
コニール「黙って」
シン(なに、この腐ったラブコメみたいな修羅場……)
機動戦士ガンダムSEED
逆襲のシン・アスカ Mercenary Of Red
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シン・アスカの帰還より時は僅かに遡り、アーモリー1軍病院では本来であれば出会う事さえ無かったであろう“兄弟”が対面していた。
「久しぶり。 いや、直接会うのは初めてだなキラ、キラ・ヤマト」
その男、カナードを見た瞬間、キラは一瞬鏡を見ているのかと錯覚した。
目の前にいたのは肩までかかる黒い髪と自身とは対照的に吊りあがった黒い瞳、口元に不敵な笑みを浮かべた男。
「君は、一体……?」
男の態度と言葉、自身に良く似た声にキラは動揺を隠せない。
「俺の名前はカナード、カナード・パルス。 スーパーコーディネイターになりそこねた男」
「キラ・ヤマト……お前の、兄弟だよ」
「そんな、まさか!」
キラは自分と似た顔、同じ声で見下ろす男に困惑を隠せなかった。
今は亡き血の繋がった両親を除けば、ナチュラルとコーディネイターの違いはあれど唯一の肉親は姉であり妹とも言えるカガリだけの筈だ。
「兄弟とは言っても、実際に遺伝子が同じかは知らないがな。 育った腹、母体は一緒だ。 兄弟と言っても差し支えはないだろう?」
キラの驚いた顔に心底嬉しそうな意地の悪い笑みを浮かべるとカナードは口を開く。
「母体? まさか……メンデルの人工子宮!? じゃあ、君は……!」
カナードの言葉に、引っ掛かりを見出したキラは自身の知識から推論し、その答えを導き出した。
「くくっ、だから最初に言っただろう? スーパーコーディネイターに“なり損なった男”だと」
キラの答えに満足したのか、カナードはくぐもった笑い声を上げ、目を細めた。
「……っ!」
キラはカナードから発せられた殺気にも似た気配にベットから飛び降りると思わず身構える。
「そう身構えるな……別に、今すぐどうこうしようって訳じゃない。 少し話をしに来ただけだ」
先ほどとは真逆の平静とも言えるカナードのその態度はどこか恐ろしさすら感じさせた。
「僕に何の用です?」
警戒を緩めることなく、体に緊張感を張り詰めさせたままキラは
「事情は大凡アスカとジュールに聞いた。 だが、分からない事が1つだけある……何故、反撃しなかった?」
「えっ?」
カナードの言っている意図が掴めずキラは聞き返した。
「何故アンドリュー・バルドフェルドとロミナ・アルマフィ反撃しなかったと聞いている。
斜め読みした資料ではクリティカルフリーダムは殆ど損傷していなかった。 何故だ?」
背にナイフを突き付けられたかのような冷たい感覚にキラは半歩退く。
「…………あの人達は、僕の罪の象徴だ。
僕はあの人達の大切なものを一方的に奪った。
僕は殺されても仕方ないし、あの場で死んでも構わなかったんだ」
暫しの躊躇の後、キラは搾り出すように口を開き始めた。
「ふん、なるほどな。 ……今日は話だけで帰るつもりだったが、止めだ。 貴様の甘ったれた性根を叩き直してやる」
カナードは突然キラの胸ぐらを掴むと、そのまま壁に叩きつけた。
「いきなり何するんです!」
抗議の声を上げたキラはカナードの腕を掴むが、鉄のようにビクともしない。
「殺されても仕方ないだと? それは侮辱だ、貴様が犠牲にした命への!
罪だと? それならば貴様は生まる前からどれだけの罪を背負っている?
今までに、生きる為、生き残るために……どれだけの人間を殺してきた!」
「君に、君に僕の何が分かるんだ!」
カナードの詰問にキラは、怒鳴り返すと、その腕を振り払う。
「ハッ、その通りだ。 他人の事など誰も理解出来ない!」
カナードはキラを見下すように睨みつける。
「違う! 人には言葉がある! 話せば分かり合える!」
首を振り、カナードの言葉を否定しキラが叫び返す。
「はっ! お前がそれを言うか! まぁ話合いでカタがつけばそれで良い。 だが、それではどうにもならなければどうする?」
言葉を重ねるにつれカナードの語気が上がり白熱していく。
「最終的には力尽くで相手を黙らせるしかない! お前がラウ・ル・クルーゼとギルバート・デュランダルにしたようにな!」
感情が頂点に達したカナードは勢い余り拳を壁に叩きつけた。
「あれは……! いや、言い訳はしないよ。 全部僕がやったことだ、後悔はしていない。 それでも力だけが僕の全てじゃない!」
「だが、その力はお前の一部だ。 お前は自分自身を否定して何を信じる?
ラクス・クラインか? アスラン・ザラか? カガリ・ユラ・アスハか?」
詰問するカナードにキラは押し黙る。
「お前が信じるものはなんだ!? 最後に信じられるものはなんだ?」
激情の熱が帯びていた言葉は、次第に諭すような落ち着いた口調に変わっていた。
「僕は、僕が信じるのは……」
「馬鹿野郎、もうわかっているんだろうが! 答えられないなら代わりにいってやる!
自分自身だ。 すべてを失って最後に残るのは、最後に信じられるのは、決断を下せるのは自分しかいない」
迷っているキラにカナードは真っ直ぐな言葉をぶつける。
「でも僕は、僕の力は! エルちゃんを、アイシャさんを、トールを、フレイを、ラクスを、みんなを!
……誰も、誰も救えなかった! そんな僕自身をどうやって信じるって言うんだ! あの男が言ったように僕は!」
カナードの言葉と勢いに、キラは悟ったような態度の仮面、その奥に仕舞い込んだその心の奥底をぶちまける。
「やっと本音を出しやがったか」
カナードは舌打ちしながら目を細めた。
「僕は誰も救えなかった。 その上、友達を、サイを、ミリィを、カズィを傷つけた……」
その場にへたり込むとキラは俯きながらボソボソと呟いた。
「誰かに悩みも相談できなかったのか」
「僕は、僕を周りを信じて……違う、僕は拒絶されるのが怖かったんだ。 だから何も言えなかった」
カナードの問いを聞いたキラは首を振ると大きく肩を落とした。
「ふん、誰にも頼らず、耳を塞ぎ、一人で突っ走って、結果がこれか。 無様だな」
座り込んだキラを見下ろしながら鼻を鳴らすと、カナードはわざとらしく肩をすくめる。
「あなたは……好きなように言って」
顔を上げたキラはカナードを苦々しげな顔で見上げた。 その目の奥にはかつての光が、僅かに力が戻って来ているように見えた。
「はっ、気に入らないか? 言っただろう。 黙らせたいなら、力尽くで来い!」
顔を上げたキラを見て不敵な笑みを浮かべてカナードは挑発する。
「なら、遠慮なく……八つ当たりさせてもらうよ!」
キラが深呼吸を一つすると、小指から一本ずつ指を握って拳を形作っていく。
最後に親指を握りこみ、拳を固めると、声にならない叫びと共にキラはカナードへと飛びかかった。
「いい動きだ」
それに反応してみせたキラの拳を紙一重で避けると、カナードは笑いながらキラの蹴りを入れた。
キラは瞬時後ろに飛び退き、蹴りの勢いを殺し、口元を歪め見たことの無いほど嬉しそうな表情を浮かべる。
次の瞬間、お互い仁王立ちで怯むことなく無言で応酬する拳と蹴り。
交わす言葉など必要なくなく、ただ室内には打撃音だけが響いていた。
どれほどの時間が立ったのか、いつの間にか両者は限界に近づいていた。
残った体力はお互い一発分、そこに全てを込める。
「カナァードォッ、パァァルスゥゥッ!」「キィィィラッ、ヤァァマトォォォッ!」
互いの名を叫びながら、渾身の力を込めた拳を繰り出すし、それは交差しながら顔面に直撃。
二人は無言で交差するように前のめりに倒れた。
「……まるでガキの喧嘩だ」
ゴロンと仰向けになったカナードが馬鹿馬鹿しいと一人呟く。
「こういうの、はじめてかもしれない」
起き上がる体力も残っていないのか、前のめりのままキラは笑う。
「殴り合いの喧嘩か?」
カナードは億劫そうにに上半身を起こすと、運良く手の届く範囲にあった水差しの水を口にする。
「それもそうだけど、兄弟喧嘩かな」
「……俺とお前の間に遺伝子上の繋がりがあるかは確かじゃない。 あくまで母体が同じなだけだ」
苦笑しながら言ったキラに言い返し、カナードは水差しを机に戻した。
「兄弟喧嘩じゃなくても、本音をぶつけ合ったのもはじめてかも殴り合いなんてしなかったし」
ゆっくりと体を起こすキラ。
「俺は二度目だがな」
少しだけ不愉快そうに顔を歪めるとカナードは立ち上がった。
「少しは気が晴れたか? 迷いが消えたならもっと良いが」
先程まで殴り合いをしていたのが嘘のようにキラを気遣うカナードは問い掛ける。
「何て言えば良いかな。 まだ迷ってると思う……だけど、するべき事は見えた気がする」
「そうか……さて、用は済んだから俺は帰る」
言葉を選びながらもしっかりと答えるキラにカナードは満足そうに頷き、立ち上がると服に付いた埃を払いのけた。
「もう行くの? 少し休んでいけば良いのに」
「俺も忙しいんでな」
立ち上がろうとするキラを手で制すると、肩を竦めて見せる。
「そうだな、機会があればまた……」
「カナード、僕も戦うよ」
カナードの言葉を遮り、キラは立ち上がる。
「僕はもう逃げない。 自分がやったことから目を逸らさない。
僕が犠牲にした命を背負って他の命と自分自身の為に戦うよ。
許して貰えないかもしれない。 無理かもしれないけど、やってみる。
そして生き残って、僕が傷つけてしまった人達に謝る。 それが今の僕に出来ることだと思うから」
「好きにしろ……ただ、手がいるなら貸してやる。きっとアスカもそう言うだろう」
キラの言葉に振り向く事なくカナードは告げる。 その背中はどこか嬉しそうに見えた。
「ありがとう」
キラは深々と頭を下げる。
「先生、こっちです! 患者さんと不審者が殴り合ってます」
「何だと! 私の患者に手を出すとはいい度胸だ!」
階下から聞こえる看護師と医師ミハエル・コーストの声にキラとカナードは顔を見合わせる。
「厄介事になる前に逃げるか 」
「……僕も付き合うよ」
迫り来る危機に、顔を引き攣らせた二人は迷わず窓から飛び降りた。
「何処に行った患者ー!? 不審者ー!!」
アーモリー1港湾部軍関係者用食堂
「やれやれ、やっと飯にありつけるよ」
食堂入り口までたどり着いたシンは大きく溜め息を付いた。
『半分はお前の所為だがな』
「細けぇ事は良いんだよ!」
携帯情報端末から聞こえるRBの皮肉にシンは大袈裟なリアクションで返した。
『しかしあの男、シンが何故煙草吸いだと分かったのか不思議だな』
内心呆れつつもRBはふと湧いた疑問を口にする。
「多分、におい……だな」
一瞬考えるとシンは声を低くし呟いた。
『まったくギル、デュランダル議長みたいな事を言うな……ん?』
シンの悪ふざけに苦言を呈したRBは自らの言葉を訝しんだ。
「ん、どうした?」
シンは急に黙り込んだRBに首を傾げる。
『……いや、何でもない。 ただの通信エラーだ。(ギル……今のはレイ・ザ・バレルの記憶か?)』
RBは無愛想な一言を告げた後、突如押し黙った。
「エラーって昔の携帯電話かよ……」
まぁいいかと首を振るとシンは食堂に足を踏み入れる。
ザフトの食堂、少なくともアーモリー1の軍関係者向け食堂はビッフェ形式になっている。
常に食糧難に悩まされているプラントにしては一見豪華に見えるが、これには大きく分けて2つの事情がある。
一つは少人数化の為、もう一つは嗜好によるものだ。
コーディネーターと一括りにされているが、そこにいる人間の出身人種は様々である。
プラント生まれの第二世代、第三世代は兎も角、地上生まれの第一世代は人種の坩堝とも言える状態だった。
食事は日常の基礎、ただでさえストレスのかかる低重力下のプラントでは食生活の変化は多大なストレスとなり得る。
そこでプラントの食べ物は海鮮ジョンゴル鍋に代表される無国籍料理又はバリエーション豊かな多国籍料理種類が多かった 。
また、この形式は戦災を逃れて来た移民や難民にも非常に好評でシンもその恩恵を受けた一人だった。
シンがふと、私物の時計を見るとプラント標準時で午後二時を過ぎたところだった。
周囲を見渡すと、流石に人は疎らで赤緑黒服それに連合の軍服を着た人間が何人かいる程度。
普通軍の食事は兵員用と士官用将校用に別れているものだが、狭いプラントでは小型艦船と同じく特に食事の場所に区別はなかった。
「さて、何を食おうかな」
とは言う物の元々シンは味には期待していない。
屑肉を固めたステーキのような何かや動物性タンパク質の魚モドキは栄養こそ豊富だが、味は地上の天然物や養殖物と比べて遥かに劣る。
シンに好き嫌いは無いし、傭兵となってからは現地調達も多々あった為、食い物に関してはそれほどこだわりは無かった。
だが、最近舌が肥えて来たのか妙に食い物に五月蠅くなった傾向があった。
「コニールの料理美味いし……ルナのも悪くなかったなぁ」
思い起こせばルナマリアも決して下手ではなく寧ろ上手かった。
「よくよく考え無くても恵まれてるな、俺」
入り口につっ立ったままシンは苦笑する。
『なんだノロケか?』
「そんなんじゃない、まぁ感謝はしてるけどさ」
ボケッとしているシンにRBが突っ込むと、シンは照れ臭そうに鼻の頭を掻いた。
「いやー、危なかったね。 まさかコースト先生が走って追いかけてくるとは思わなかったよ」
「俺としたことがあやうく捕まりかけるとはな」
どこかで聞き覚えのある2人の良く似た声にシンは思わず振り向く。
「あ」「お」
「まだいたのか、ロンゲ」
「黙れ、ウサギ野郎……生きて帰ってきたようだな」
目があったシンとカナードは挨拶がわりに罵り合う。
「まぁ、な。 何時も通りさ」
カナードのどこか安心したような声にシンは頷くと肩を竦めてみせた。
「そうか、いつも通りか」
シンの態度にカナードは鼻を鳴らした。
「カナード、何食べる? あ、シンだ」
カナードの後ろから歩いて来たキラは気の抜けた声でシンを指さした。
「キラさん。 あんた、なにやってるんです?」
キラとカナード、違和感のある組み合わせとキラの妙に毒気の抜けた態度にシンは眉を顰める。
(しかも二人とも顔腫れてるし、何かあったんだろうか)
「ご飯食べようと思って」
「そうですか」
不思議そうに首を傾げるキラに釈然としない顔を見せるシン。
「シンもご飯?」
「ええ、そんなとこです」
キラの問いにシンが答える。
「じゃあ、ここは僕が奢るよ」
「……では、遠慮なくご馳走になります」
キラの好意を無下にするのも悪いと思い、シンは素直に頷いた。
「おい、あれ、シン・アスカじゃないか?」
「本当だ……なんでキラ・ヤマトと飯食ってるんだ? 仲悪いって聞いたぞ」
「イケメン三人が仲良くご飯食べてるなんてハァハァ、もう……!」
(なんか、凄い注目されてる気がする……)
天ぷら蕎麦を啜りながら、シンは周囲の声と視線を気にしながら目だけを動かした。
気にしないようにしても、傭兵として染み付いた習慣、つい周りの声に聞き耳を立ててしまう癖からどうしても気になる。
「……シン」
一頻り笑い終えたキラはシンの顔を真正面から見ると驚くほど真面目な表情で言った。
「な、何ですか?」
急なキラの変化に戸惑い、シンのの声が僅かに上擦る。
「君は、人はそれぞれの場所ですべき事があるって言ったよね。 君に言われて、僕は考えたんだ。
今の僕に、これからの僕に何が出来るのかって。 カナードと会って……まぁ色々合って、ようやく答えが出た。
僕はもう逃げない。 自分がやったことから目を逸らさない。
僕が犠牲にしてしまった命と傷付けてしまった人の想いも、悲しみも、憎しみも、怒りも全部受け入れて背負ってみせる。
背負って僕も戦う、戦い抜くよ。 傷付けてしまった人たちへの贖罪の為に、生き残って謝るため、何より自分自身のために」
はっきりとした力強い口調でキラは言い切った。
シンはキラの目をまじまじと見る。
質の良いアメジストのように驚くほど澄んだ瞳の奥には確かな覚悟と決意の色が見えた。
数時間、数日前。 そして記憶の中にある数年前の姿とは別人かと見違えるようなキラの顔に、この僅かの間に何があったのかと目だけを動かし、カナードに訴える。
シンの視線に気づいたカナードだが、返答は口元に笑みを浮かべるだけだった。
「シン?」
傍目にはボケッとしているように見えるシンを不審に思ったのか、キラが声をかける。
「(まるで憑き物でも落ちたみたいじゃないか)……期待、させてもらいます」
喉まで出かかった内心を飲み込み、シンは言葉を選びながら口を開いた。
「うん、任せてよ」
キラは力強く頷いた。
「そういえば、キラさん乗る機体あるんですか?」
キラに気圧されている雰囲気を変えるために、シンはふと湧いた疑問を口にした。
「一応、ダコスタさんには頼んで置いたけど、無ければジンだろうとゲイツでも構わないよ」
「いや、ゲイツやジンは拙いでしょ」
「お前は何を言ってるんだ。 せっかく拾った命を無駄にする気か」
さすがのカナードも慌ててキラに言った。
「フリーダム系列はなくても、ガルバルディの予備機位はどこかにありますよ」
「なければうちのヘリオスを貸してやるから早まるな」
必死な二人だが、今のキラには実行しかねない妙な説得力と勢いがあった。
「話は聞かせてもらいました!(バンッ!」
「ひっ!」
真後ろからのバンッ!という机を叩く音にシン達は一斉に振り向く。
運悪く近くにいたどこぞの国の官僚らしき女性が悲鳴にも似た驚きの声を上げていたのにご愁傷と思いつつ、シンは声の主の顔を見る。
その男はこの場には場違いにも見える小奇麗なスーツに身を包み、黒髪に眼鏡を掛けた何処にでも居るような東洋人だった。
ただし、作り笑いを張り付けたような顔と胡散臭さが服を着て歩いているような雰囲気を除けば、だが。
「乗る機体がないのなら、是非我が社、我が企画6課設計のヘリオスmkIIにご試乗ください」
「出たな、インチキセールスマン」
男の顔を確認した瞬間、カナードは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた。
「あ、どうもお久し振りです。 先日の暗幕の件ではありがとうございました」
一方シンはペコリと頭を下げ、仕事モードの口調になる。
「いえいえ、此方こそ丁寧なレポートをありがとうございます。
流石インパルスのテストパイロット、とても参考になりました。 いずれ試供品をガルナハンの方に送らせてもらいます」
「いつもすみません。 ……ところで、個人的な相談なんですが。
あの暗幕、素材と色変えて夜間用とか砂漠用、密林用にできませんかね? 個人的に購入したいんですが」
「……なるほど、それは思い付きませんでした。 後で社の方に連絡を入れて検討してみます。 見積もりはいつも通り……」
シンと男は一通りの形式的な会話を終えると、声を潜めコソコソと悪巧みを始める。
「ええい! 普通に話し込むな! なぜ貴様がここに居る!?」
周囲の目も気にせず怪し気な話をし始める二人にカナードが声を荒げた。
「チッ、ウッセーナ…ビジネスですよ、ビジネス。 それに各国の最新鋭機の実戦をこの目で確かめるチャンスですからねぇ」
カナードの嫌味に一瞬、嫌な顔を見せた男は渋々といった様子で言った。
「さっきヘリオスmkIIに試乗とか言っていたが、なんのかんの理由をつけてうちにも回さないのにそんなにすぐ用意できるのか!」
「貴方の所にはこっそり試作品回してるから良いじゃないですか……。
それにあのキラ・ヤマトが乗るなら今直ぐにでも用意させますよ。 戦闘データだけでどれだけの価値がつくことか。
乗る機体がないならスーパーストライク、フル装備ストライクのアッパーバージョンを用意させたのですが……惜しいことをしました」
「ねぇ、シン。 あの人誰なの?」
口論を始めた二人にキラは声をひそめ、こっそりとシンの肩を叩いた。
「ああ、あの人はアクタイオンの……」
「これは申し遅れました。 私、アクタイオンアジア極東支社で企画六課課長をやっている者です。 機会があればぜひご贔屓に」
振り向いたシンの言葉を遮り、恭しくキラに名刺を差し出す課長。
「はぁ、わざわざご丁寧にどうも」
キラは名刺を受け取ると頭を下げる。
「それで如何ですか? そちらが良ければすぐにでも」
「一寸待った! うちもレイダーなら余ってるぞ!」
課長の言葉を遮り、ドヤ顔で颯爽と現れたのはエドだった。
「ヤタガラスでも良ければ予備機はいくらかあるね」
その後ろから普通に歩いて来たジャンが付け加える。
「また誰か現れた!……ってまさか、ジャン・キャリーさん!?」
次々現れる見知らぬ人達に困惑していたキラは数年ぶりにあった顔見知りに驚きの声を上げた。
「ん……君は。 久しいね、キラ・ヤマト君。 一先ず健啖でそうで何よりだ」
キラに気付いたジャンは爽やかな笑みを見せた。
「あんたら、どこから現れたんですか」
驚きの表情を浮かべるキラに対し相次ぐ顔見知りの来訪にうんざりとした顔をした。
「補給補充の受け取りに手間取ってたらこんな時間になってな。
昼飯にしようとしたら見知った顔がいたんで声を掛けたって訳だ」
「シンに丁度用があったからね」
エドの説明に片手に紙袋をぶら下げたジェーンが一言加える。
「ほぅ、それで営業妨害ですか」
貼り付けたような笑みを絶やすこと無く課長はいった。
「仕方ないだろう! キラ・ヤマトのデータにボーナス出るんだから!」
「うちだって金一封でるんですよ! 邪魔はさせません!」
「それで、用ってなんですか?」
課長とエドのやり取りを溜息をつき大きく首を振り無視を決め込むと、ジェーンに問い掛けた。
「必要だろうと思って、折角着替え持ってきたのにその言い方?」
投げやりなシンの態度にジェーンは不愉快そうな顔で紙袋をシンに押し付ける。
「あ、本当ですか。 お気遣い有難うございます」
中身を確認したシンは態度を一変させると、深々と頭を下げた。
「最初から素直になりなさい。 それとシン、偶にはスーツをクリーニングに出しなさい。
自分でやるのが面倒ならコニールにやってもらうとか、誰かに頼むとか、色々あるでしょう。
あんたももう21でしょ? ナチュラルでも成人なんだから。 普段の着るものくらい自分でしっかりしなさい。
後、Yシャツは皺になってたからアイロンかけておいたからね。 これからはちゃんと着るのよ。 分かった?」
「はいはい、分かってますよ」
(オカンか)(母さん思い出すなぁ)(母親みたいだな)(メリオルより口煩いな)
ジェーンのお小言に辟易しながらシンは頷く。
「返事のはいは一回! 第一あんた言わないと分からないでしょう? 言ってもやらないんだから……」
「お説教中すみませんが、私はこれで失礼しますね」
今日は長くなりそうだな。とシンが説教から抜け出す算段をつけ始めた時、絶妙のタイミングで課長が口を挟む。
「ああ、どうも。 暗幕の件はでき次第ガルナハンの方に詳細と見積り送ってください」
シンは内心で手を叩いて喝采したいほどだったが、あくまで押し隠し事務的に事を進める。
「分かりました。 ヤマトさんも何か有りましたら気軽に連絡をください。
私で良ければ、力になれるなら微力ですが喜んで協力させてもらいますので」
シンの言葉に頷いた課長はキラに向き直り一礼する。
「はい。 有難うございます」
「あやしいなぁ」
「ふん、何を企んでいるのやら」
素直に頭を下げたキラに対して、エドとカナードは課長に疑いの目を向ける。
「ああ、カナードさん今思い出しましたがメリオル女史が貴方を探していましたよ。
かなり怒っていらっしゃるようでしたから早めに連絡したほうがよろしいのでは?」
課長は口元にいつもの貼り付けたようなものとは違う、隠し切れない愉快そうな笑みを浮かべた。
「あ……助言感謝する」
課長の言葉を聞いた瞬間、カナードの顔が引きつり、冷や汗が吹き出る。
「いえいえ、では私はこれで失礼します」
「何だよ、あ……って」
最後まで楽しそうな笑みを浮かべていた課長の後ろ姿を見ながらシンはカナードに聞いた。
「こっちのことだ。 気にするな……ああ、そうだ! おれはようをおもいだしたからかえる!」
「必死だな」「確実に何でもなくはないな」「素直にメリオルさんに謝りなさい」
冷や汗だらだらかいているカナードに追い打ちをかけるミハシラ三人組。
「ええい! うるさい、放っとけ!」
「カナード! 行く前に教えてよ!」
必死にその場を後にしようとするカナードにキラが声を掛けた。
「っ何だ!?」
キラの真剣な表情にカナードは思わず立ち止まる。
「メリオル女史って誰さ! シンもコニールって誰!?」
「貴様ァ……っ!」
キラの思いもしない言葉にカナードは奥歯をギリギリと鳴らす。
「嫁だ」 「嫁?」
エドはニヤつきながらキラの言葉に答える。
「見つけた! カナード、貴方は一体何を! なんで道草食ってるんですか!」
肩を震わせながら現れたのはショートカットの髪の眼鏡を掛け白い軍服を着た女性、傭兵部隊X副官メリオルだった。
「あの人ですよ」
キラを見ながらメリオルを指さすシン。
「違う、道草など食っていない。 食べているのはヌードルだ」
「カナード、貴方と言う人は……」
カナードの子供以下の言い訳に思わずメリオルは溜息を付く。
「はは、カナードにしちゃ面白い冗談だな」
「赤鬼、なにが面白いんですか!」
他人事だとケタケタと笑ってシンに怒りの矛先が向いた。
「そういえば、メリオルさんなんでここが分かったんですか?」
シンはすかさず話を変えメリオルの気を逸らす。
「アクタイオンアジア、企画6課課長からメールが入りまして……。
初見の方も居るようですね。 お見苦しいとこを見せて失礼しました。
私、傭兵部隊Xで副官兼任の統括責任者をしていますメリオル・と申します。以後お見知りおきを」
怒りが冷め、我に帰ったメリオルは周囲を見渡したメリオルは深々と頭を下げた。
「あの野郎、チクリ入れてやがったか……!」
一方、カナードは課長への恨み言をぶつぶつと呟く。
「なにブツブツ言ってるんですか、帰りますよ。 挨拶もそこそこですが、彼のせいで多忙なもので失礼します」
「痛、痛、分かった。 行くから引っ張るな。 キラ、アスカ、また会おう」
耳を引っ張られながらカナードは退散していく。
「……行っちゃった」
「忙しない男だな」
呆気に取られ立ち尽くすキラの隣にいつの間にか食事をトレーに乗せていたジャンがいた。
「所でシン、コニールってだ…「あんた、結構しつこいな! ……住処世話になってる奴ですよ。 小煩い小娘です」
コニールとの関係を詮索するキラに思わずシンは声を荒げる。
「随分な言い方じゃないか? 健気で面倒見の良さそうな娘に見えたが?」
「本当に可愛くていい子なのにひどい事言うわね」「未成年誑し込んで、しまいにゃ手を出してその言い方か」
「誑し込んでも手を出してもいませんよ! ジェーンさんもエドさんも余計なこと言わないでください!」
面白がってシンをからかう三人にシンは思わず声を上げる。
「う、羨ましい……! 自分を慕ってくれる未成年の子と同棲とか、クールビューティな副官のメガネっ娘とかsneg! ずるいや!」
「それ何てエロゲ? って何言ってんだ、あんた。 第一、プラント評議会議長が恋人じゃないのか?」
突如変貌し始めたキラに冷淡な視線とツッコミを入れるシン。
「君に僕の気持ちが分かるかぁ!」
「良いから落ちつけ。 割とマジで。 あぁ、この人面倒くさいよ! 殴りてぇ」
周囲の視線も気にも止めず狂気の叫びを続けるキラにシンは思わず殴りかかりそうになった。
「シン、気持ちはわかるがお前も落ち着け」
エドはシンの肩を掴み殴りかからんとしようとするのを静止する。
「僕は、僕は……ゴメン少し錯乱した、僕疲れてるみたいだ」
「錯乱するのはアスランだけで十分なんで、アスランだけで十分なんで落ち着いてください。 俺も人の事言えませんけど、キラさんそんな人だったんですね」
ようやく落ち着いたのか、肩で息をするキラに水の入ったコップを渡す都心は唖然とした表情で言った。
シンにとってキラはもっと超然とした悟ったような雰囲気のある落ち着いた人という印象が強かった。
「私の知るキラくんは妙に悟った所もあるが、歳相応の気の良い青年だよ、君と同じね」
タイミングを見計らったジャンがその場をまとめる。
「はぁ……なんだか疲れてきた。 時間も近いんでシャワー行って、会議に行ってきます」
「おう、行って来い」
「またすぐに会うと思うけど、またね」
大きな溜息を付き、立ち去るシンにエドとキラは他人事のような笑顔で手を振っていた。
支援?
>>23 支援感謝
アーモリー1ザフト総司令部正面玄関前
Yシャツに袖を通し上下に黒いスーツを身に纏い、サングラスをかけ全身を黒く染め上げたシンはその場で待っていた。
「まだなのか?」
『コートニーは迎えを寄越すと言っていたが、来ないな』
僅かな苛立ちを感じさせるシンの独り言にRBは相槌を打つ。
「向こうから時間指定してこれか。 っ!」
シンは無意識にスーツの内ポケットに仕舞っていた煙草に手を伸ばしたが、すぐさま吸えない事に気付いたが構わず一本取り出し咥えた。
『そういらつくな、せっかちな男だな』
「別に苛付いてはないさ」
呆れたようなRBにシンは言い返す。
『そうか? まぁ、お前が言うならそういう事なのだろうな』
「そうだよ、それよりも随分黙りだったじゃないか」
意外そうな声を上げたRBに先ほどの事を思い出したシンは忘れかけていた文句を言った。
『私にもそういう時がある。 ……それに“あの男に似た私の声で”キラ・ヤマトを無駄に刺激する事も無いだろう?』
「へぇ、案外色々考えているんだな」
理路整然としたどこか陰を帯びたRBの言葉にシンは感心したように唸る。
『論理だった考慮の結果、そういう結論に至っただけだ』
フフンと自慢気に鼻を鳴らすRB。
「そういえば、迎えが来るって誰が来るんだろうな」
RBを軽く無視するとふと思った疑問を口にする。
『まぁ、多分ルナマリア辺りだろうな』
「ん? 理由は?」
迷い無く言い放ったRBにシンは首を傾げる。
『簡単だ。 アーサー艦長は会議に出るし、アビーはその付き添い。
ヴィーノは裏方だから除いて、暇そう……残っている士官クラスはルナマリアしかいない」
「なるほどね」
そんな事も分からないのかと言いたげなRBにシンは頷くと、一人暇そうなルナマリアの姿を思い浮かべ思わず口元が緩む。
『ふっ、嬉しそうだな』
シンの表情を見てからかうRB。
「止めろよ、一応俺とアイツは……」
「話の途中ですが、ルナマリアじゃなくてすみませんね」
眉をひそめたシンの言葉は女性の声に遮られる。
「……聞いてたのか。 君が来たんだな、アビー」
声の方へと振り向き、書類ケースを左手に抱えたアビーの姿を確認したシンの声は不躾だが、顔はむしろ穏やかだ。
口ではそう言いながらも、シンは目の前の彼女の事が嫌いではなかった。
ルナマリアやメイリンのようなアカデミーからの知り合いではないからこそ、シンを客観視し、率直な意見を述べることが出来る。
シンに対しても遠慮なしに物怖じせず文句をつけることができる数少ないできる存在だった。
メサイア戦役中では増長しがちだったシンの静止役であり、年齢も上であることからの姉が弟を諌めるような物言いは、どこか師匠の一人で自称姉代わりだったリーカを思い出させ、アビーの提言はシンも珍しく反発すること無く素直に受け入れていた。
「ええ、それよりもルナマリアのことを過小評価しすぎですよ」
頷くとアビーは若干不機嫌そうにずいっと一歩詰め寄ると右手の人差指をシンに突き付ける。
「ん、そりゃ腕は認めるけどさ。 内勤はその……わかるだろ?」
アビーの勢いに押され、口元の煙草を胸ポケットに仕舞うとシンはフォローを入れながらも、最後に言葉を濁す。
「……それでも、昔よりはいいですよ」
ルナマリアの内勤が言葉を濁すほどなのは事実なのか、アビーは突きつけた指を戻すと腕を組む。
『その様子だと、相変わらず内勤は論外なのか』
どこか感慨深くRBは呟く。
「だろうな」 「……はぁ」
シンは小馬鹿にしたように軽くため息をつくが、当事者であるアビーにとっては笑い事ではないのだろう言葉もでない。
「それよりも公の場でサングラス位外したらどうですか?」
「これ付けてないと目立つんだよな……」
アビーの指摘に渋々シンはサングラスを胸ポケットへとしまった。
シンの赤い目は一目でコーディネイターと見抜かれ、なによりシン・アスカの特徴と言える物だったので、普段はサングラスやヘルメットで隠していた。
「付けていない方が格好良いですよ?」
不満気なシンの顔を下から上目遣いで覗き込みながらアビーは褒める。
「あんまり煽だてると本気にするぞ?」
思わぬアビーの行動に、シンは目を細め右手でアビーの軍帽を抑えると上からその顔を覗き込む。
「いいですけど。 私、結構面倒臭い女ですよ?」
軍帽に掛かったシンの手を払い除けると、アビーはシンの顎を抑えながらぞっとするような笑みを浮かべた。
「勿論、冗談だよ」
背筋に冷たいものが走るのを感じたシンは自分の顎に触れているアビーの氷細工のような細い指をそっと下げさせる。
『怖い女性だな』
「全くだ」
RBの感想に心の底から頷くシン。
どうも自分は自分をよく知る年上の女性に頭が上がらない運命にあるらしいと心の底から噛み締める。
「では行きましょうか、ミネルバを長く留守にできませんし」
今度は穏やかな微笑を浮かべるとアビーは総司令部入口の方へ足を進める。
「あれ、留守番だったのか?」
「忘れ物をするようなルナマリアには『まだ』留守は任せられませんよ」
シンの問いかけに答え、アビーは大きく肩を竦めた。
「お疲れ様です」 「どうも」
総司令部入り口で立哨に立つザフト兵に許可証を見せながら敬礼し、中に入るアビーに続きシンも建物の中に入る。
「ふぅ……」
建屋の中に入ると適温に調整された空調が心地良く、シンは襟元に手を伸ばした。
「連合が担当の区域がありますから、気を抜かないように」
シンが入り口を通った事で安心し、Yシャツのボタンを外そうとした事をアビーが咎める。
「了解」
襟から手を外し、ふと先に目をこらすと、白い連合の軍服を着た立哨に立つ兵士の姿が見えた。
おそらくは隊長或いはリーダー格と思われる色黒なスキンヘッドの中年男性、言い方は悪いがどことなく軽薄そうな若い金髪の青年。
それに黒いロングヘアーとどこか憂いを帯びた表情が印象的な若い女性の三人だ。
女性に何故か既視感を感じるシンは無意識の内にじっと視線を送っていた。
「どうしたんですか? 変な顔して、何か有りましたか?」
「いや、別に何でもない」
シンの様子に気付いたアビーは首を傾げるが、シンは気のせいと思うことにして、言葉を濁した。
「あ……」
シンの視線と先程のやりとりで気付いたのか、女性がシンとアビーに敬礼し、一瞬遅れシン達も返礼を返した。
「お疲れ様です。 ミネルバ隊アビー・ウインザーです。 シン・アスカを連れてきました」
アビーはスキンヘッドの隊長に会釈をし書類を渡すと、後ろに立つシンを指し示す。
「……確かに、状況は伺っています。 お手数ですがボディチェックと銃をお預かりします」
書類の内容の確認をした隊長は、すっとアビーとシンの顔を見ると二人の部下がそばに立つ机のへと促す。
「あー、銃ですか。 ちょっと待って下さいね……えっと……」
隊長の言葉にシンは内ポケットや袖口、靴の裏あらゆる所から銃やナイフを取り出し机の上に置いていく。
「どんだけ持ってるんですか」
一足早くボディチェックを終えたアビーは次々出てくる武器に呆れ気味にシンを見る。
「仕方ないだろ。 こっちはこの武器に色々掛かってるんだから……あ、これで最後です」
アビーに顔を向けながら、ジャラジャラと武器を並べると最後に胸ポケットに入ったライターを机に置いた。
「た、確かにお預かりします……これは、飴?」
シンの武器の量に唖然としながらケースへと仕舞おうとした女性士官は零れ落ちた何かを手に取ると小首を傾げた。
「あ、飴ですね。 良かったらどうぞ。 人工甘味料無しの貴重品ですよ」
両手を上げ金髪の男性兵士にボディチェックされながらシンは微笑んだ。
「はぁ、有難うございます」
困惑しながら軽く頭を下げる女性士官。
「相変わらず甘党ですね……あ」
シンの飴を見て突如アビーの表情が曇る。
どうやら思い出さなくても良い事を思い出してしまったらしい。
「はい、チェック完了です。 中へどうぞ」
「まったく余計な手間を掛けて。 ほら、急ぎますよ」
「ちょっ、引っ張るな! ちゃんと行くから待ってくれ」
チェックが終わり、不機嫌そうにシンの袖を引っ張り先へと促すアビーにシンは抗議の声を上げながら引張られて行った。
「……甘くておいしい」
一方、シンから貰った飴を口に入れた女性士官は幸せそうな顔を見せていた。
「アビー、子供じゃないんだからそう引っ張らないでくれ」
「子供じゃない割には飴なんて持ってるんですね。 ああ、そういうやり方で粉かけているわけですか?」
シンに言われ手を離したアビーは若干の侮蔑を含んだ視線をシンに向ける。
「なんでそんなに不機嫌なんだよ」
「……別に不機嫌ではありません」
シンの問いに顔を背けるアビー。
まさか貴方が紅茶に砂糖三杯も入れたからでしょうが!と怒るわけに行かず言葉に詰まる。
(俺が何をしたって言うんだ……)
『何故あんな目で見られるか分からないなら、自分の胸に聞いてみるんだな』
RBの言葉にシンが憮然とした表情のまま暫くアビーの後を付いて行くと、廊下で話し込んでいる一団に出くわした。
「やはり……」
「しかしそうなると……」
「あ、イザークさん」
見覚えのあるおかっぱ頭を目にしたシンは声を上げた。
「あ、シン。 帰ってきたんだ」
シンの声に真っ先に気付いたルナマリアは軽くシンに手を振る。
「シンだと? おお、良く帰って来たな」
ルナマリアの声でシンに気付いたイザークは早足で駆け寄って来た。
「ええ、なんとか帰って来れました。 それより、報告遅れてすみません」
「気にするな、ディアッカから連絡は受けていた」
頭を下げるシンにイザークは頭を上げるように促すと肩を叩く。
「あれ、そういや艦長とシホさんは?」
「艦長はミネルバ改装工事の打ち合わせで一寸離れててるの。
シホさんも補給の事で少し外に出てる。 アビーも案内お疲れ様」
「忘れ物なんて子供じゃないんですから、もっとしっかりしてください」
傍らに立っていたアビーにルナマリアは労いの言葉をかけると書類を受け取る。
「忘れたのは艦長だもの。 私は何度も確認したわよ」
「また、子供みたいな言い訳を……まぁ、そんな事はどうでもいいですが、会議の進捗状況はどうです?」
悪びれもしていないルナマリアに一瞬呆れたような顔を見せたアビーはすぐに意識を切り替えると聞いた。
「今の所は今後の方針と戦略を纏めた位ね」
「方針って言うと?」
ルナマリアの言葉にシンが聞き返す。
「ザフトとオーブは近日中は部隊の再編成。
それ以外は哨戒と索敵をローテーションで持ち回りする予定だ。 それに各国軍は指揮系統を別にする事が決まった」
ルナマリアに代わりイザークがシンの問いに答える。
『と言うことは連合は一纏めに? それとも国ごとか?』
「大まかにいえば大西洋連邦、ユーラシア連合、東アジア共和国、ザフトの4つに分けられることになった」
「オーブ軍とミハシラはどうなるんですか」
「オーブは絶対的に戦力……総数が足りん。 ミハシラや傭兵も集め、遊軍として働いてもらう」
「なるほど」
イザークの答えにシンは頷いた。
「まだ時間があるな」
チラッと壁に掛かった時計に目をやるとイザークはシンへと言った
「それで俺は何で呼ばれて何を聞かれるんですか?」
「概要は報告書とスリー・ソキウス中尉から把握している。
お前が見つけた物について聞かれた事を素直に答えれば良い。 寧ろ余計な事は喋るなよ」
シンの疑問に答えるとイザークは釘を刺した。
「わざわざ墓穴掘るようなことしませんよ」
「だと良いがな」
「休憩時間終了です。 会議を再開しますので参加者はお集まり下さい」
不服そうなシンに鼻を鳴らしたイザークの言葉は会議の再開を告げる若い兵士の声に遮られた。
「時間だ……取り敢えず俺と来い」
シンは無言で頷くとイザークの後に続いた。
部屋に入った瞬間、ピンと張り詰めた空気を感じたシンは思わず新兵のように背筋を伸ばした。
(あら、珍しい)
こんなに初々しいシンを見るのはどれくらい久しぶりなのだろうか。
ルナマリアの記憶ではデュランダル議長に会った時やインパルスの正規パイロットに選ばれた時以来だ。
本人にそのつもりはなくても案外人見知りで口数も多い方でないため基本的に不機嫌そうな顔なのでふてぶてしく見える為、比較的付き合いが長く心を許しているルナマリアにも珍しく見える光景だった。
三人(アビーは帰ったのでいない)は用意された椅子にイザーク、シン、ルナマリアの順で腰掛ける。
「そう緊張するな(と言っても無理な話か)」
シンの態度に気付いたイザークは振り向くとシンに声を掛けた。
「すみません。 あんまりこういう所慣れてないもんで」
ザフト時代のシンは常に前線か現場に出ていた。
アカデミー(士官候補生)→テストパイロット→正規パイロット→傭兵という遍歴の為、お偉いさんを含む会議など縁がなかった。
傭兵になってからは言うまでもない。
戦術眼やMSを始めとする機械関係の知識、戦闘能力と反して事務処理能力はかなり低い。
「よし、分かった。 分かりやすく三行で説明してやる。
静かに大人しく座ってろ。
呼ばれたら立って、あそこまで行って聞かれた事に答えろ
終わったら元の席に戻ってまた座れ。 OK?」
「あそこ?」
「あの正面の、お偉いさんの目の前のとこだ」
イザークは大きな机の前に置かれたパイプ椅子を指差した。
「大丈夫か?」 「多分……」
「よし、会議が始まってすぐ呼ばれるだろうから準備はしておけよ」
「うぃっす」
シンの返事にイザークは怒っているような呆れたようなどこか悲しそうな、なんとも言えない微妙な表情を見せたが、シンは見なかった事にした。
「すみません、遅れました」
「間に合ったぁ」
始まるのを見計らったようにアーサーとシホが空いていたイザークの両隣に座る。
「全員着席なされたようですので再開させていただきます」
進行役であろう女性士官の顔には見覚えがあった。
『ん、音声記録領域のデータと一致。 進行役はレナ・ヒューストンか』
「みたいだな」
RBの言葉にシンは憮然とした表情で答えた。
>>28 スミマセン。 レナ・ヒューストンはレナ・イメリアの間違いです。
「シン・アスカ氏、前へとお願いします」
会議は特筆すべき事もなくつつがなく進行し、シンが退屈そうな顔を見せ始めた頃シンが呼ばれた。
「ルナ、持っていてくれ」
「いいわよ」
RBの入ったタブレットを後ろのルナマリアへと渡すと立ち上がり、前へと進んだ。
「あんたも移動出来なかったり、預けられたり、体が無いと不便ね。 誰かに頼んで移動用の入れ物でも作ってもらったらどう?」
『ふむ、一考に値するアイディアだ。 検討してみるか』
(……他人事だから呑気だな)
後ろから聞こえるルナマリアとRBの歓談から意識を外し、シンは正面を見る。
レナ・イメリアが若干不愉快そうな表情で見ていたので一礼すると、スッと視線を外し数歩下がる。
(幸いにして入ったことはないけど、死刑囚の裁判所ってのはこんな感じなんだろうな)
「あれはミネルバ隊の……良かった、生きていたのか」
「話には聞いていたが生きていたか」
「あれが、シン・アスカ。 デュランダルの懐刀、ミネルバの鬼神か、まだ若いな」
小声で囁かれる話を無視し、見渡せばシンでも知っているほど、名の知れた連合、ザフトの提督指揮官揃い。
一方、面識のある人間も何人かいた。
オーブ軍はイツクシマ艦長に、元マハムール基地司令官であり、ガルナハン解放戦において旗艦デズモンドでミネルバ隊と共闘した現アーモーリーシティ防衛艦隊総司令ヨアヒム・ラドルや端の方にはアンリ・ユージェニーの姿もあった。
アンリは先程言葉を交わした以上に随分早い再会で、ラドルに関してはローエングリンゲートの後にも会ったというか、結構な借りがあった。
「アスカ氏?」
正面から掛けられた威厳すら感じる野太い声と潮の香りにシンは顔と意識を正面に戻した。
「ぉ……」
「?……」
声にならないと言うより何か感情を噛み殺したような声を上げた目の前の連合の軍服を着た将官……階級章を見るに中将、おそらくこの部隊の最高司令官にシンは心の中で首を傾げた。
「あー、すまない。 足労感謝する。
概要はユーラシア軍のスリー・ソキウス中尉から聞いているが、目撃した君の口から直接状況を聞きたくて呼ばせてもらった」
RBの作ったレポートを手に取った中将はシンを一瞥する。
そこでシンは目の前の中将が煙草を分けたサンダルを履いたゴリラ似の男、提督であることに気付いたが心の奥に仕舞っておいた。
「それはどういう意図で、でしょうか?」
「君の率直な意見が聞きたい。 君はアレを何だと思う」
「兵器でしょうね、それもジェネシス級の」
「ほう、理由は?」
RBとの会話の結果導きだされた、シンのジェネシス級という言葉に反応した周囲がざわつく中、提督は動じずにシンへと問いかける。
「あの巨大さ、ミラージュコロイド、ビームすら弾く強度のPS装甲。 間違いなくジェネシス級の戦略……」
「し、失礼します!」
シンの言葉は突然部屋の中に入ってきた兵士に遮られた。
「何事だッ!」
提督の横に座っていた少将の階級章をつけたおそらく参謀であろう男が立ち上がり兵士を叱責する。
「も、申し訳ありません! しかし暗号データの解析が完了した結果、とんでもないものが……」
「この場で再生をしてくれ。 アスカ氏は一旦元の席に戻ってもらえるか」
提督の言葉にシンは無言で頷くと足早に席へと戻る。
「お早いお帰りで」
「遅いよりはいいさ」
席に戻ったシンはルナマリアからRBのタブレットを受け取る。
『思ったよりも早く解析が終わったな。 数日かかるかと思ったが』
「連合の技術力侮りがたしってとこだな」
RBの言葉にシンが付け加える。
「では、再生を開始します」
兵士の声で室内が暗くなり、お偉い方の後ろに設置されたスクリーンに映像が映し出される。
『……ますか、わた・は……私はラクス・クライン。 プラント評議会議長です』
スクリーンに映し出されたのは鮮明ではないもののピンク髪の若い女性、ラクス・クラインの姿だった。
『このデータを、私の知る全てをコネクター、巨大な建造物のミラージュコロイドの中に偽装し……時間が、あまりありません。
アプリリウス近郊での歌姫の騎士団、アンドリュー・バルトフェルド造反を手始めに、アプリリウス1が占拠され・・・。
この裏にはターミナルが、旧クライン派が暗躍しています。 地球連合、オーブ、どの国の方でもどのような勢力の方でも構いません。
お願いです、ターミナルを、EDENを止めてください。 このままでは世界は……「失礼! ラクス・クライン閣下ですな!」ガガッガガッガg…』
ラクスの声は音声と映像は男の声とノイズと共に途切れた。
「続いて添付データを再生します」
ノイズに代わりスクリーンに映し出されたのは
「続いて添付ファイルを開きます」
ラクスに代わりスクリーンに映ったのは巨大な円筒形の物体の設計図だった。
端に惑星間短期航行用電磁加速カタパルト『コネクター』と書かれたそれは多少の差違はあるものの、シンが目撃した建造物に違いなかった。
「こいつは」
『データと約20パーセント程違いがあるが、間違いないな。 設計変更があったか改修でもされたのか』
「……待てよ、まさかあの位置は? RB、あれを見つけたポイントを見せてくれ』
『構わないが……そう言う事か!!』
慌てたシンの様子にQBははっとしたように声を上げた。
続いてスクリーンに映し出されたのはコネクターの推定位置を示した宙図とそのカタパルトの行き先。
「奴らの狙いは地球だ!」
「馬鹿な、連中ブレイク・ザ・ワールドを再びやるつもりか!」
「いや、あのカタパルトならBTWほどの被害を出さずにピンポイントに狙った場所へ撃ち込める。 無論多少の誤差はあるだろうがな」
青ざめた顔情で思わず立ち上がった東アジアの司令官に提督はどこか冷めた様子で淡々と言った。
「他人事のように言う! あれで我が国がどれほどの被害を負ったか!!」
提督の言い方が癪に触ったのか、憤慨した東アジア司令官が机を叩いた。
「他人事? 他人事だと!?」
東アジア司令官の言葉に、提督の肩眉がつり上がり肩が震えた。
「中将、ご自分の立場をお忘れなく」
「っ! 分かっている」
ぐっと奥歯を食いしばり立ち上がろうとした提督を右隣に座っていた参謀が声を掛けて制止した
「私は貴官とその祖国があの事件でどれほどの被害を受けたかは数字の上でしか知らず、そのお気持ちは察する事しか出来ません。
しかし、私は以前海軍にいました。
貴方と同じように私も同期を始め、少なくない親しい者を失っています。 BTWの再来は私、いえ我が国もまた他人事などではないのです」
深呼吸を一つし、気を沈めると提督はゆっくりと穏やかに言葉を紡いだ。
「……失礼しました、私も頭に血が登っていたようです」
提督の言葉に平静を取り戻した東アジア司令官は深々と頭を下げ、謝罪する。
東アジアはBTWで上海をはじめとした沿岸部に多大な被害を受けており数年経った今でも復旧していない地域も存在した。
それを思い起こさせる今回の事で頭に血が登っても無理はないだろう。
事実室内のざわめきは未だに収まっていない。
しかし、将官や上級士官クラスでこうなら末端の兵達の動揺は如何程の物か。
「お気になさらずに。 それよりも今は力を合わせBTWの再来を防がねば」
提督は首を振り、謝罪など不要だと示すと動揺の隠しきれない周囲を見渡し、わざと声を張りこの場にいる全員に聞こえるように言った。
他国の将官が東アジア司令官だけではなく意図に気づき頷く。
「次のファイルを開いてくれ」
「は、はい」
スクリーンに映った次のファイル。 離反した艦隊の推測数やアプリリウス1防衛網の隙間が映し出されてもざわめきは止まらない。
本来であれば値千金の情報が霞むほどコネクターの衝撃は大きかった。
この場にいた全員、特に連合兵の脳裏に最悪のケースが浮かんでいた。
あれは地球を、自国を狙い撃ちに出来る、と。
「拙いな」
「ええ、本国が何時撃たれるかも知れないんで士気が落ちてます」
イザークの呟きにシンが相槌を打つ。
「状況がはっきりとすれば逆にあがるんでしょうけどね」
ザフト勢も若干揺らいではいるが、大半がそれ以上に首都奪還の怒りに燃えている状況故に地球軍よりはマシだ。
止まらないざわめきに提督は技官を連れてこなかったのは失敗だったかと内心舌打ちする。
「誰か、この中にあれの現状を説明出来る者はいないのか」
「僭越ながら、我が軍の技官であればこの場にいますが?」
提督の呟きが聞こえたのか、ザフトの指揮官ヨアヒムが口を挟んだ。
「お願い出来ますか?」
背に腹は変えられないと提督が深く頷いた。
「局長、局長はいるか!」
「ん、局長?」
ヨアヒムの声にシンは周囲をキョロキョロと探す。
「……ここにいますが」
あからさまに嫌そうに渋々立ち上がったのはゴリラのようにガタイの良い白衣の男局長だった。
「彼は元ヴェルヌ設計局局長で統合設計局設立後はアーモリー1工廠で特殊設計室主任を勤めています。 今回のコネクターについても一部解析を担当しています。
無言で頭を下げる局長。 見かけの割に人見知りする質なのだ。
「では局長、このコネクターの現状について説明して貰えるか?」
「……只今御紹介に預かりました者です。
あくまで推察ですが、この画面の設計図と観測データ……
皆さんのお手元にあると思います。 両者を見比べるに完成間近である事は確かだと断言出来ます」
ヨアヒムの有無を言わせぬ態度に、局長は諦めたのかレーザーポインターでスクリーンの設計図をを差しつつ解説をする。
「どれくらい開発が進んでいるかは分からないか?」
「設計に多少の変更があったようなので断言は出来かねますが、パワーユニットや伝達関係、照準装置が未了に見えます。 現状の完成率は凡そ90パーセント前後でしょうか」
「完成までの時間は?」
「通常なら1ヶ月……早くて、突貫工事の最速で一週間程度かと」
「わかりました。 有難うございます」
提督の言葉に局長は一礼し、席に座る。
「……一週間」
「それで地球が、撃たれるだと」
何処か怯えを含んでいたざわめきが、若干の怒りの色が混じったものへと変わる。
(一先ず、士気は戻ったか)
「中将、各々の情報や方針を纏める時間が必要ではないだろうか」
「ええ、どうやらそのようです」
場に熱が戻ったことに提督は内心ため息を付くと、ヨハヒムの提言に提督は同意する。
「一旦解散としよう。 中佐、後は頼む」
「では、本日はこれにて閉会となります。 皆様お疲れ様でした」
レナの言葉で席に着いていた殆どの人間が一斉に立ち上がる。
決戦が近い。
言葉はなくとも肌で感じる気配。
その場を去る人々の足は一様に早く、表情は強張っていた。
「アスカ君」
所詮は雇われの身、急ぐ理由もないと混雑に巻き込まれるのを嫌い椅子に座ったまま辺りを見ていたシンに声が掛けられる。
「あ、シュバリエ大尉」
声の方に向き直るとモーガンシュバリエがそこにはいた
「ああ、そのままで構わない。 しかし、大事になったものだな」
立ち上がろうとしたシンを手で止めるとモーガンは言った。
「きっと、後でなるか、先になったかの違いですよ」
モーガンの言葉にシンは肩を竦めながら答える。
「そうかもしれんが、随分落ち着いているな」
「騒いでも何も変わりませんよ。 俺は俺が出来る事をやるだけです」
感心したようなモーガンを真っ直ぐ見ると、シンははっきりと答えた。
(……言い切って見せるか、若いな)
シンの真っ直ぐな言葉、視線にモーガンは無意識に羨望の眼差しを向けていた。
「おい、何をしている! シン、行くぞ!」
出口付近からイザークの大声が聞こえた。 近くにはルナマリアや局長、アーサーとシホの姿も見える。
「はぁ……はい、はい。 今行きますよ! 少佐、呼ばれているみたいなんでこれで失礼します」
イザークの顔を見て溜め息を吐くと、シンは立ち上がりモーガンに頭を下げた。
「気にしないでくれ」
「本当にすみません。……あの人、まだ俺の事部下かなんかだと思ってるよなぁ」
(若いっての良し悪しだな)
小声で愚痴りながらイザークの方へと歩いて行くシンの背中を見送りモーガンは内心苦笑した。
大多数が立ち去った大会議室。
その室内に残ったものが数人いた。
それぞれ各国軍を代表する将官。
僅かにいる佐官も艦隊参謀を勤める者ばかりだ。
「厄介な事になりましたな」
最初に口を開いたのはユーラシア軍の司令官だ。
「持久戦や消耗戦は無理だ。どの道艦隊決戦にはなっただろう」
「しかし、向こうにイニシアティブを取られたのは若干痛いですな」
それに東アジア司令官とその参謀が続く。
「あの大物、予兆はなかったのですか?」
「本店、アプリリウス本部ではどうか知らないが、少なくとも前線であるアーモリーで聞いたことはなかった」
「マティスシティでも同様ですね。 情報収集は進んでいるのですか?」
「今はキラ・ヤマトやマーティン・ダコスタを始めとする歌姫の騎士団関係者や本部での勤務経験がある者に聞き取り調査をしている最中です」
イツクシマ艦長の疑問にヨアヒムが答え、続くアンリの言葉もヨアヒムは返した。
一通りの話が終わり、全員の視線が最高階級者である提督に集中する。
「それでどうするのですか、提督?」
「……ユーラシア艦隊は動けますか?」
目を閉じていた提督は問い掛けた参謀の言葉に口を開いた。
「もう少し調整にかかりますな」
「東アジア共和国はどうですか?」
「要の部隊の到着が遅れています。 2日ほどで到着するでしょう」
「オーブ艦隊?」
「補充人員の練成に三日ほど頂きたい」
「ザフト、プラントは?」
「マティスとアーモリーの摺り合わせにもう少し時間がかかりますね」
「それに、傭兵の召集と手札の一枚、ミネルバの完全修復まで4日ほど欲しいところです」
全ての意見を聞いた提督は再び考えこむ。
「モリシタ艦隊付き本部参謀……なにか意見はあるか」
傍らに立つ参謀、モリシタ少将に意見を求める提督。
「アルガ。 トップは、最高司令官は貴様だ。 上層部より貴様に全て一任するように指示を受けている」
「……事後の責任問題も含めて、か。 ふん、上等じゃないか! 全軍、全部隊に通達しろ。 一週間、一週間後全てのケリを付ける!」
予期せぬ戦略兵器コネクターの出現により当初連合軍の予定していた中長期的戦略、数回に分けた波状攻撃作戦は破綻。
これにより次善の策とされていた大規模攻略規作戦すなわち全戦力での艦隊決戦が実行されることとなる。
後にヤキン・ドゥーエ、レクイエム攻略戦と並び語られる、コネクター攻略戦アプリリウス沖海戦。
つまり、アプリリウス戦役の最終局面は静かに、その幕を開けようとしていた。
今回の投下は以上です……なんとか規制に掛からずに済んで良かった。
>>23氏改めて支援有難うございます。
途中で何か見た事があるような人(二人目)がいたかもしれませんが、気の所為です。
……2Zやってたらシンがあの人の事を口にしたから、甘い物食べさせてやりたくてついやった。 今はそこそこ反省しています。
乙&GJ!
拳で語り合うキラとカナードは意外だった。
何気にこの二人が会うのってこのスレじゃ初めてか?
色々と動き出して、時間制限もできて続きが気になって仕方ない。
飴ちゃんのこと気がつくのにちょっと時間かかったw
「課長」さんってアレだな、パトレイバーの内海さんの女性化キャラだな、きっと
>>4です、宣伝として我々のスレにあるネタを…
がしゃん
デス子「ご、ごめんなさいマスター」
シン「あ、いいよ。気にすんなって」
水仕事中に食器を割ってしまい申し訳なさそうに謝るデス子にシンはいつものように
優しくフォローした。アスカ家ではおなじみの光景である。
独立思考型ヒューマノイド型デバイス、デスティニー通称デス子。
状況可変型デバイス『インパルス』のマスターであるシン・アスカのもう一つのデバイスである。
デバイスでありながら裸眼の視力が悪い為眼鏡を着用し、かつ出来る時と出来ない時の差が激しい。
つまるところ一種のドジっ娘属性を持つ、本来効率的なプログラミングをされているのがデバイスなの
だが、デス子に関しては何故かしら作者の趣味を反映させたかのような無駄なプログラミングがなされている。
(得意とするのは敬愛する主人にいつでも温かいお茶を出せる掌に保温機能の発生させるパルマ・フィオキーナ)
さらに付け加えるとデス子の出生自体にも謎が多すぎた。
・シンが異次元に漂流した時からすでに存在していた。
・シンが漂流直前に乗っていた愛機と装備が一緒であるにも関わらずヒューマイノイド型デバイスであった。
対しシンも『インパルス』を所持していたりとここも謎が深い)
・シンをマスターと認識している
・『独立型』である為、ユニゾンデバイスではない(ユニゾンできない)
・生後数カ月でありながら肉体年齢は10代中盤(ただし精神は追いついていないので甘えたいところがある)
等、あげればきりがない。この自体に管理局は一時封印も視野にいれたが、そこはシンの抵抗と涙目に
なっているデス子の姿にお偉いがたがキュンとした為不問になった。とはいえ野放しにも出来ない為、とりあえず
の措置として教会側も交えてシン・アスカ共々保護という形をとったのであった。
デス子「うう、でも今月で3枚目」
シン「いいよ、どうせ百均だし」
保護されたシンとデス子は同じ生活をする事になった。まぁ、マスターとデバイスの関係ならばそれも当然なのであるが
残念なことにデス子は『独立型』である、つまるところ同居するシンの身にしてみればそこらの女子と変わらない存在
であるため事実上同棲であった。さらに羨ましい不幸なことにシンをマスターと仰いでいる為、ベッドに潜り込んでくる、
風呂場に背中を流しに来る(なおデス子はバスタオルである)等、気軽なコミニケーションを取りたがるのである。
見た目は美少女でありスタイルも中々、胸こそ普通ではあるがその分ガードが緩く、シンのラキスケ体質もあってか素で
誘惑しているようなデス子との生活はシンにとって地獄のようなものであった(生殺し的な意味合いで)。
デス子「すいません、すぐ片付けます…」
シン「(だから!胸の谷間とか!かがんだ時パンツ見えたりとか!ガードが緩いんだって!)」
近年、シャマルの身体測定の結果デバイスでありながら子供を宿せるという事も判明した。
(デス子自体肉体的な成長・老化する可能性も示唆されている)
目下、デス子の身体のメカニズムの解析がシャマルにより積極的に行われている。
(自分達にも適用できるかの可能性のため)
インパ『御主人、押し倒すなら今だ』
シン「お前は黙ってろ!」
デス子「どうしたんですか?旦那様(マスター)?」
シンの理性との闘いはまだ始まったばかりだ。
>>39 ここからだと思うけど一人乱暴な口調ではあるがあちらに注意しに行ったらしい。で、それに対してあちらの結論は
「スルーしてもらおう こっちからは向こうにレスするな面倒くさい事になるから」
だそうだ…ビックリするよなまさかのノータッチとか
>>40 正確には総合クロススレに苦情イイに来た人達にだけあれは荒らしですと対応してくれるらしいがな
>>40 このスレ見てるって人が「ややこしくなるから来るな」と言った上での結論だけどな
大体タッチしてもどうにもならんだろ
で、その結果苦情言った奴に対してマッチP狙いの荒らし認定とか;
馬鹿にしてる
45 :
879:2011/10/23(日) 19:16:35.93 ID:???
スレ立て乙。前から書いていた(よね?)MOR氏の投下があって何よりです。色んなパロネタがあって面白いんだが、
もう佳境に入ってきてるようで。ちょっとまとめ見て話を把握してこよう。
>>44 明確な悪意を持って荒らしに来る人間に対しては、無視する以外ないだろう。今回はこうやって反応したから、次もきっと
来るぞ。
注意というか苦情を言いに言ったら荒らし扱いされたよ
自分の口が乱暴だったなら反省もするがのっけから荒らし扱いとか…なんなんだあのスレ?!
・乱暴な口調は、荒らし扱いされる格好の理由になる。
・
>>4はクロススレにもいる可能性がある。
・
>>46が
>>4と同一人物と疑われた可能性がある。実際そうかもしれない
>>46 落ち着け落ち着け。少なくとも注意はしたんだしあちらに問題も明かしたんだ、重い腰でどう対処出来るか見ものだろ?これでまたあのスレから迷惑かかる奴が来たら、今度は問答無用で殴り込みすればいいよ。
それまであちらが静観するのか動くのか、見物してりゃいい
490 シンの嫁774人目 2011/10/23(日) 19:46:12 ID:MbJkPGNc
>>485 そっちのスレがどうなろうがこっちの住人である俺達からしてみれば知ったこっちゃない。
スルー出来ないお前らが悪い。
だとさw何この言いようw件の奴さんが自分のスレの人間ならどうするつもりなんだろう
>>49 覗いてきたけどそいつ意外の人も同じような感じだよな
マジムカついてキタ、自分がいる憩いのスレに迷惑っつか荒らす馬鹿がいるって事を簡単に考えてやしねぇあいつら?同じ目に合ったら何て言うつもりなんだか
>>49は向こうのKK9HiHQg?
そんなレスするのがいるくらいならもう一度行ってみればいいんじゃね?
議論スレってとこの方でもここの話してるみたいだしそっちの方で言った方がいいかもだが
カリカリせず放っときない。
コピペされた奴に限らず目の滑るレベルのばっかりだし
それらの作品にしてあの住人ってこった。
突撃クズは特別なんじゃなくて典型例なんだよ。
殴り込むって何するんだ。荒らすのか?それともこっちに投下されたSSを同じように向こうにコピペするのか?
どっちにしたって最低の手だ。誰の得にもならない。
>>52 だな
あちらも好き勝手言ってるらしいが本当にまたあるならば…
……その時は容赦しねぇ、そんだけだ
>>51 そいつに限らずてめーらのスレの人間が害だってのに何もしない。寧ろほっとけってさえ言ってる連中がほぼ全員
>>55 それなら尚のこと行ってくればいいじゃないか
荒らしは論外だが暴言吐かなきゃ多少は真面目に考えてはくれるだろうよ
荒らしの事を話題にしてる時点で相手の思うつぼだろ
ほっとけよ
>>35 MOR氏投下乙です
キラとカナードの出会いというのは新鮮でかなり楽しめました
後色々と吹っ切れたキラww本編でもあの性格だったらよかったのにww
次回も楽しみにしています。
後、この空気の中何なんですが、1つ皆様に質問してもよろしいでしょうか。
本編最後でムウは記憶を思い出しましたが、その後ネオとしての記憶はどうなったか分かる方いらっしゃいますか?
覚えているか、それともネオ・ロアノークとしての記憶は消えてしまったのか、本編ではあまり明確な描写が無かった様な気がしまして……
SODの続きを書く上で参考にさせて頂きたいので、よろしくお願いします。
>>58 公式には詳述されてなかったのでは。まああった所で推して知るべしですが。
それだけに、記憶が残ってて三人とシンに詫び切れないと煩悶するケース、
全く残ってなく単に勝ち組生活満喫、あるいは残っていても自分のではない、
もしくはだからこそラクスに仕えてアヤマチナハクリカエサナイ…等など色々なパターンがあり、
ある意味シン以上にSSのイメージを印象づける部分とも言えますな。
MOR氏乙
キラももう少し感情が見えるキャラだったら良かったのにね。
シンとあの人のフラグも、来るといいね!
>>58 >>59さんの言うとおりに、公式では特に語られてはいないようです
記憶が戻ってからのムゥの本編内描写も極端に少ないため、作者さんなりのムゥ・ラ・フラガ像で書かれてしまったほうがよいかと思われます
62 :
通常の名無しさんの3倍:2011/10/23(日) 21:26:25.55 ID:8fAkOfoJ
MOR氏乙です!!
X-ASTRAYですら描かれなかったキラとカナードの兄弟喧嘩は読んでて新鮮でした。(スクライドのカズマを思い出したのはナイショ)
カナードは個人的に好きなキャラなので今後も出てくると良いな。
>>59,61お早いレスありがとうございました。
ネオの記憶に関しては明確な描写がなさそうなので、私なりの解釈で描写させて頂きます。
>>37 ……その発想はなかったわ。
他の作品なら採用していた設定ですが、残念ながらオッサン率の高いMORでは課長は中年間際の男性です。
ってかいつもながら元ネタ特定早いよ!
>>62 実は二人の殴り合いはカズマイメージしてたりします
前スレ926氏のボツネタ、ことに927のナタル編のシリーズ化熱望。
…思えばシンの傍には、色々な意味で喪失…もっと言えば奪われた、女性(ひと)が
なんとなく映えるという傾向があると言えるか?
TVの時点でそもそも命取られたステラにマユ(生きてた場合も義手とかアチコチ)
顔の傷ついたアルテイシア大公、息子も夫も失ったロミナママンなどなど…
奇跡的な外交的勝利をもぎ取ったのに認められず半ば追放のカナーバ女史のように
有望だったがあまりに情報量が少なすぎて定着しなかったケースもあるが。
>>65 んじゃ、そんな女性で一つ小ネタをば。
「………さむ」
寒さで身体を震わせて夢うつつから覚める。さっきまで汗まみれだったのだ、服も着ていないのだから寒くて当然だろう。
唸り声を上げながら首を回すと、隣で自分の顔を見ていた彼女と目が合う。
「どうかしました、カリダさん?」
「んー? なんでもないわよ、ただ見てただけ」
ウェーブのかかった黒髪をかきあげ、柔らかな笑みで返される。そんな彼女の笑みを見ているうちに、なんとなく悪戯心が湧きあがってきて。
ぷにぷにと二の腕を摘む。くすぐったそうに身をよじるカリダに構わずに続ける。
「ちょっと、もう………やぁだあ」
「んぅ、もうちょっとだけ」
「やめて、止めてよね。おばさんよ、私。色々きついのよ、カガリさんと違って」
「いやあれはただのメスゴリラですよメスゴリラゴリラ………やらかくていい気持ちですよ?」
照れ隠しなのか、頭をぱしぱしと叩かれてしまう。そうされるとシンも意地になってしまい、さらにぷにぷにと。
そんな攻防がしばし続く、だがそれも直に収まって。代わりに聞こえてくるのはカリダの熱っぽい吐息。
「………んっ」
「………こういうのって、あれでしたっけ? なんて言うの、やけぼっくいに火がつく?」
「多分違うわよ、というか失礼、ねっ」
頬を膨らませながらシンの腰にまたがる。むっちりとした重さは流石にカガリでは味わえないものではある、それがいいことなのかどうかはともかく。
シンに顔を近づけ、額に頬に鼻に瞼に耳にと、唇を優しくも強く押し付けていく。
されるがままだったシンだが、唇に押し付けられるとそのまま舌を伸ばしてカリダの舌と絡ませ合う。
ぴちゃり、ぴちゃりという音とカリダのどんどんと荒くなっていく吐息が部屋に静かに響き、やがて名残惜しそうにカリダが唇を離すと吐息だけになって。
もう一度唇を押しつけようと顔を近づけ。
「ねえ、カリダさん」
ぽつりとシンが呟いた言葉に、なあに? と言いたげに首をかしげる。
カリダの目を焦点の定まらない瞳で見返し。
「俺のこと、殺したいですか?」
何も言わず、ただ唇をシンの唇に重ねる。
今度は、舌は伸ばさなかった。
「俺のこと殺してやりたいです?」
「………いい、え?」
「そうだって言って下さいよ」
乾いた声。感情のほとんどこもっていない冷めた声を上げるシンを何も言わずに変わらず笑みを浮かべてカリダは見つめていて。
「そうだって、言ってくれなけりゃ、そうじゃなけりゃ、あの人が………キラさんが、あんまりなんですよ」
ラクス達への逆襲の中で討った青年、彼女の息子キラ・ヤマト。どこか壊れてしまいそうな程の繊細さを持っていた彼を思い浮かべる。
彼を討ったことそのものは後悔はしていないしああするほかなかったのだと納得もしている。
もっとも、討ったことへの喜びなどは今に至るまで感じることはできなかったが。
そんな彼の母親が今自分の腰にまたがっている。その行為が、キラに対して一抹の申し訳なさを煽りたててしまう。
そしてそれ以上に、息子を殺した相手の腰にまたがるカリダの行動も、恐らくそう言うことなのだろうと思えてきてしまって。
「ねえ、カリダさん。本当は、俺のこと殺してやりたいんじゃありません?」
「別に……そんなことはないわよ。というか、そんなこと今さらよ」
胡乱な瞳で彼女を見返す。薄暗い中で微かに見える彼女の表情は、自分以上に冷めきっていて。
「なぁんにも、してやれなかったもの。苦しんでるあの子に、なんにも………出来たはずなのにね、やろうと思えば抱きしめてやることだってできたのに。やらなかったもの、ね」
はすっぱな態度で鼻を鳴らす、その行為は過去の自身に対する侮蔑なのかそれとも現在の自身に対する侮蔑なのか、シンには判断できない。
シンの困惑に気付いているのか相変わらず微笑みながら言葉を続ける、その姿はどこかキラ・ヤマトを彷彿とさせる危うさが漂っていて。
「だから………貴方を恨んだってどうしようもないの。そんなことをする資格はね、もうどっかに行っちゃったのよ」
「…………人を憎んだりするのに、資格がいるわけないでしょう」
「でも貴方はキラを憎まなかったでしょう?」
「………………どう、ですかね?」
曖昧に言ってごまかす。だが、彼女の言う通りなのかもしれないと内心ではそう思っている。
戦いなんて嫌だった、平和の方が好きだった、結局力でしか解決できなかった、それ以外の道を選ばなかった。
キラと自分に違いなんて殆どない。ほんの少し、ボタンをかけ違えていたのなら自分はキラと同じことをしていたのかもしれないのだ。
もし彼を憎むのだとしたら、それは自分自身を憎むのと大差ないこと。自分は運が悪く、キラは運が良かった。その程度の違いしかないのだから。
「だからね、私があなたを殺したいなんて思うわけないわ。むしろ…………貴方こそ、私を殺したいんじゃないかしら?」
「……………なんですか、その無茶苦茶な言い草は」
「あら。だってそうじゃないかしら。キラを育てたのは私ですもの、回り回って私のせい、って思うのはそんなにおかしいことかしら?」
挑発するような笑みを浮かべるカリダに何も言うことが出来ない。
そんなことはないですよという一言が、どうしても言えない。
「ねえ、シン君。本当は、私のこと殺してやりたいんじゃない?」
何か言おうとして、何度も口を開こうとして、結局何も言えなかった。
彼女の息子を殺した奴が、どんな慰めの言葉をかけられるというのだ。
苦しそうな顔を浮かべるシンの唇にカリダは軽く唇を重ねるとふんわりと柔らかく笑った。
「もう寝ましょう? 身体も冷えちゃった」
「ええ………そう、ですね。ええ、そうですね………寝ましょう、ええ」
その笑顔が、壊れたものではないと証明することは出来ないのだけれど。
Q.なんでカガリとフラグ立ってんの?
A.キラ「貴様のやった事、どんな理由があろうと犬畜生以下だ!鬼だ!外道の極みだ!」
これを言わせたいがため。それ以外には特に理由はない。シンカガトカスキダケドネー
逆襲後のシンはなんか幸せになる姿が想像できない。
なって欲しいんだけど、しちゃいけないというか何と言うか。
朝一で見に来たら、なんという熟女ネタが。カリダって誰だったっけ?としばらく思い出せなかったがw
>>66-68 ジョナサンなシン乙。しかも絶叫したキラが結局敗れるとはなんともドSな。
しかしSSのシンは一大決戦の後にようやく明るい未来を掴むのも悪くないけど
こう世間の片隅で爛れた安穏に身を沈めるのもわりと絵になるんだよなあ。
また倉庫に登録させていただきたく思いますので、何かタイトルがおありでしたら
ご一報ください。あとできればこの前日譚たるシンカガの巻も(ドテポキグシャ
>>65 そんな年上の方々をパトロン…いや、スポンサーにして一大勢力を築いたツバメ…いやいや、シンが
ラクシズ全滅&アスハ家滅亡後に、「終わったよ…全て」と、慰霊碑(オーブの、とは限らない)で皆様と
亡き人達に伝える話が見たいな
>>66-68 何故か凄いヤンデレブラコンなカガリが脳裏に浮かび上がってきたんだがw
個人的には虎戦以後から、だんだん欝になっていくキラとそれを慰めるカガリは
見てていい感じだったんだけどな……なんで無理矢理に姉弟にしたんだろ?
姉弟設定はともかく、初代OPから想像する限りカプになったかどうかは五分五分じゃね?
「キラフレorキラカガでアスラク倒してEND」がよかったと?
当時見てた時はフレイは怖い女、ラクスは漠然とだがなんかヤバい女というイメージが強かったんだわ
あの二人よりは、お馬鹿だけどキラの事を真剣に気遣ってたカガリの方がいいんじゃないかなとw
75 :
513:2011/10/25(火) 23:11:51.39 ID:???
お疲れ様です。相変わらず、書くスピード遅い&グダグダですが、第六話出来ました。
特に問題なければ、投下させて頂きます
「シン。あそこに漂っているものはなんですか?」
「あれは連合のドレイク級ですね。その横っ腹に刺さっているのはザフトのナスカ級。
多分、最後の戦闘の時に特攻をかけたんだと思います」
「あんなに大きなものも、未だに処理されていないんですのね」
「完全なスクラップ状態の物ならさすがに回収しますけど、ああいった原型が残っている物は
戦死者の遺品が回収出来る見込みがあるので、定期的に調査隊が調べているんですよ」
今、俺はピンクのパイロットスーツに身を包んだラクスさんと並んでローレンツ・クレーターの縁を歩いている。
とてもメルヘンチックな雰囲気に思えるかもしれないが、お互いの腰に安全用のロープが結ばれているという、
何ともマヌケな格好を見れば、どんなメルヘンチックな言葉も吹き飛んでしまう。
しかし、ラクスさんはそんな事にはお構いなくキョロキョロと子供の様に辺りを見回しては俺に色々と聞いてくる。
そもそも、何故こんな事になったのかと言えば、それは俺が朝食のお皿を洗っている時の会話から始まった。
「シン、今日はこの後に何か予定がありますか?」
「今日は仕事も休みの予定ですから、今のところ何もありませんよ」
「そうですか・・・ではシン、私ひとつお願いがあるのですが聞いて頂けませんか?」
「お金がかかるものはダメですよ。うちの財政は火の車なんですから」
「そこは問題ありませんわ。何か買って欲しいというようなお願いではありませんから」
「ならいいですよ。それで、一体何ですか?」
「とまあ、そんな事があったんですが、俺一人では判断しかねるんでアスランの意見をお願いします」
『随分といきなりだな、シン。とはいえ、大体の事情は分った。
こちらとしても彼女の言い分は分るし、何とかしてやりたいところではあるが・・・』
朝食後にラクスさんが俺に言ってきたお願いというものは、“偶には自分も、外を歩きたい”
という、とてもシンプルな願いだった。
しかし、今の月面はお世辞にも綺麗とは言えず、スペースデブリやMSや戦艦のスクラップが
飛来してくる為、安全面において非常に危険な状態だ。
そして何より、ラクス・クラインがローレンツ・クレーターから出たという事が知れれば、
彼女を狙う有象無象の輩を呼び寄せてしまうという危険性も孕んでくる。
『月面上空の衛星の攻撃対象を、その時間だけ外部からの侵入者に向けるよう出来ればいいんだが。
そこら辺に関して俺はノータッチだったんで、キラにでも聞かないと何とも言えんな』
「なら、キラさんに頼んで下さいよ。あの人、基本的に暇なようですし」
『お前の所で喋っている時以外は割と真面目に仕事しているようだぞ?・・・多分だがな。
まあいい、キラにも繋げて聞いてみるとするか』
…
……
………
《衛星のセキュリティへのハッキング?大丈夫、出来るよ》
「本当ですか?あれってクライン派の奴らに管理されてるって聞いてますけど」
《そんなの僕にかかれば朝飯前だよ。あの人達、御大層な防壁作ってガードしているつもりのようだけど、
僕から言わせればザル過ぎて壁にさえなってないね。お陰で、彼らが何かしようとしても筒抜けさ》
『・・・物凄く聞いてはいけないような言葉が聞こえた気がするが、出来るんだな?キラ』
《任せてよ。ただ、幾らザルなシステムとはいえ3時間に1回はチェックが入るようになっているから、
出歩くにしてもその時間内って事になるね》
「3時間もあれば、クレーター周辺歩き回るには十分ですよ。問題はそれでラクスさんが満足してくれればですけど」
『まあ、そこはお前がうまく説明して納得してもらうんだな。
後、もしもの事があるといけないからロープでお互いを繋いでおくなどの処置はしておいた方がいいな』
「そんな、犬の散歩じゃないんですから。でも、まあ何かあるといけないですし付けておきますか」
《話は纏まったようだね。それじゃあ、これから1時間後に衛星のシステムをハッキングしておくから宜しく》
「1時間後ですね。了解しました」
で、現在に至る訳だが・・・俺の後ろを歩いているラクスさんはといえば、とても楽しそうだ。
確かに、ここに来てからずっとあの穴倉の様な居住区から出る事はなかったし、息が詰まってもいただろう。
これからは、定期的にキラさんにお願いして外出できるようにならないかなと考えていると、腰のロープが引っ張られた。
「っと、急に引っ張ると危ないですよ。どうしたんですか?」
「シン、今日はありがとうございました。お陰さまで、とても素敵な散歩が出来ましたわ」
「まだ時間もありますし、もう少し歩きませんか?俺も普段はMSに乗りっ放しで月面歩くのは久し振りですし」
「いえ、その前にあなたにはお聞きしたい事があります」
その言葉を聞き、俺が振り返るとそこには何かを決意した眼をしたラクスさんが俺を見つめていた。
「ラクスさん?」
「ここに来てから、いつかは聞こうと思っておりましたが・・・シン、あなたはこの私が憎くはないのですか?」
「それは、どういう・・・」
「シンのご家族が亡くなられた原因でもあるフリーダム。その強奪の手引きをしたのは私です。
その事は、あなたもキラやアスランから聞いているでしょう。
ならば、フリーダムの起こした戦いで亡くなられたご家族の死の元凶はキラよりもむしろ私にあります。
ですからシン、あなたには私に対して、ご家族の無念を晴らす権利があります」
「シン。私はあなたの下へ来る時に、自らの罪を償うため、この命をも捧げる覚悟で参りました。
どのような罵倒も覚悟しておりましたし、如何なる辱めを与えられたとしても、受け止めるつもりでした」
「・・・」
「でも、あなたは私に何も言わなかった、何もしなかった。
その事が逆に私を不安にさせました。あなたの心はもう、死んでしまったのではないかと」
「随分と改まって何を言うかと思ったら、そんな事ですか。全く、馬鹿馬鹿しい。
というか、俺の監督官として来ているあなたがそんな犯罪を推奨しちゃダメでしょう」
「シン、私は真面目に聞いているのですよ。何故あなたは敵を前にして、そんなにも普通に振る舞えるのですか!」
「じゃあ、逆に質問しますけど、俺がラクスさんを手に掛けたとして、俺の家族が戻ってくるんですか?」
「それは・・・」
俺の質問に対して言い淀んでしまったラクスさんを前に、俺はとつとつと語り始めた。
「オノゴロ島で死んだ家族の事は一生忘れません。
戦争の道具にされて死んでいったステラの事も、ずっと心に留めていくつもりです。
でも、その事に囚われ続けてしまったら、きっと俺は前には進めない」
「あなたの言うとおり、フリーダムは家族とステラの敵です。
今でも憎いし、撃墜した時なんかはついにやってやったぞ!と、歓喜もしました。
そのフリーダムをキラさんに託したのがラクスさんだというのなら、あなたも敵なのかもしれません。
だけど、それであなたを殺したとして俺に何が残りますか?」
「シン・・・」
「きっと何も残りません。僅かな復讐心は満たされるかもしれませんけど、それで終わりです。
ラクスさんの自己犠牲の精神は立派なものですけど、そんな事をしたって俺の家族もステラも救われない」
「それに、いきなり戦争に介入してきて勝利したあなたが、その責任を取らずに死に逃げるなんて許しません。
あなたにはあの三隻同盟を率いた者として、この世界がどうなっていくかを見届ける義務があります。
そして、俺に対して本当に申し訳ないと思っているのなら、絶対に途中で投げ出すような事はしないで下さい」
「だからラクスさん。これから先、どんな事があっても生きて下さい。
生きて生きて生き抜いて、この世界がどう変わっていくのかを俺に見せて下さい。
それが、俺から多くのモノを奪ったあなたが生涯を賭して為さねばならない仕事です」
そう俺が話し終えると、俯いていたラクスさんはゆっくり顔を上げた。
その顔は、先程までの悲痛な表情ではなく、どこか晴れやかで何かに納得した表情が見てとれた。
「随分と言いたい放題言って下されましたわね、シン。
私、ここまで他人に言われ放題されたり、好き勝手指図されたりしたのは初めてですわ」
「そりゃよかった。この調子で、家事やら色々な事に関しても意見させて貰いましょうかね」
「全く、あなたと言う人は。でも、そうですわね」
「そんなシンだからこそ、私はあなたという人間がどうなっていくのか見届けたいと想ったのでしょう」
「シン、先ほど述べたようにあなたに対しての贖罪をしたい気持ちに嘘偽りはありません。
ですが、それと同じくらい私がシン・アスカという存在に心惹かれたのも事実です」
「ですから、私はラクス・クラインの名においてこの世界の行く末をあなたにお見せする事をお約束致します。
その代わり、私にシン・アスカという男の生き様を存分に見せて下さい」
「こんな俺の人生なんてたかが知れると思いますけど、それで良いのならご自由に」
こうして、俺たちは初めての散歩を終わらせ家路に着いた。
奪った者と奪われた者。その両者が横に並び、お互いの未来を監察していく。
傍から見れば何ともおかしな関係かもしれないが、今はこれでいい。今はまだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「どうやら彼も、無事に宇宙へあがったようですねぇ。事は全て順調に運んでいます。
それではこちらの準備も、始めましょうか」
「ほど良く成長した“種達”を収穫する為の準備を」
以上で第6話終了です。短いですが、さすがにラクスだって自らの罪の重さは自覚しているだろう
って感じで書きましたが、戦場を散々引っ掻き回した挙句に、のうのうと議長の椅子に座った
アニメのピンクはどんだけ神経死んでいるのかなぁと改めて・・・まさに唯我独尊
次回からは、色々と情勢が動き始めると思います。○キオはトコトン悪に
乙!
何この仲良し4人組
乙!
こいつ等はとてもいいw
漫画版はつい先日読む機会があったが、レイとギルのやりとりもかなりお気に入りだったお(オイ
投稿乙です。
キレイなラクスいいね。
GJ、こういうやりとりは原作でこそやればいいものを。
さてシンは復讐者だったろうか?
シンは大切なものを奪っていく戦争そのものを憎んでいたように思える。
>>85 さすがに、家族やステラの敵が誰なのかと判明すれば多少の復讐心は湧くんじゃないかな?
それがアニメ版だと、散々打ちのめされて、さらに敵がほざいた「一緒に戦おう」に涙流して頷いちゃってる始末…
そういえばシンの嗜好って、ラッキースケベ的な描写からか「オッパイスキー」がデフォなのが多いけど(勿論例外も居る)
このスレの職人方はちっぱいとグラマー、どっちが好みなんだろう?
>>85-86 復讐鬼誕生で締めた方が、遙かによかった
1話プロローグに回帰する意味でも
「オーブは『討たれなかった』」
「違う!『討てなかった』んだ!! あいつら(とお前)のせいでっ!!!」
>>85 このスレでそんな事を言うなんて、職人の未来まで殺す気か、お前は!!
>>87 おっぱいに貴賎なしだ
どんな女性にも必ず二つずつついている
実に平等だと思わな(グシャ
>>87 まぁ職人の好みがどちらであれ、このスレの女性は職人の嗜好すら無理やり矯正しそうだがなwww
その昔、ある作品の女性たちにその作者が拉致される事件が起こってだな…
貧乳は希少価値なんて幻想だ
ドキュメンタリーでたくさんの雌エビと一匹の雄エビが入った偕老同穴を見て
食糧、酸素が充分あるステーションに閉じ込められたシンと嫉妬大爆発寸前のヒロインズに置き換えて見てしまった。
C.E.XX
インターネットのとある掲示板で呟かれたその一言は、あらゆる世界の人々に激震を与えた。
巨乳派と貧乳派、果たして我らの創造主(さくしゃ)はどちらの派閥なのか?各作品のヒロイン(?)候補達が創造主に詰め寄るのにそう時間は掛からなかった。
それに対する回答は千差万別である。
「そりゃあ小さい胸に決まってるでしょ?だって希少価値ですよ?」
「私の望む世界は巨乳の巨乳による巨乳のためのオッパイランド!貧乳は氏ね」
「いや自分おっぱいの大きさには興味ないんで、美乳派なんで」
「( ゚∀゚)o彡゜おっぱいおっぱい」
「胸より尻だろJK」
「愛でれればどっちでもいい」etc...
……まぁどれだけの数の答えが出ようと、全てのヒロイン(?)を満足させられる答えを出すのは到底不可能な訳で、
ヒロインズ『そんな回答でなぁ、私達を納得させる事などぉ、できるわきゃぁねぇだろぉぉおおお!!!』
当然のように各作品の世界でクーデターが勃発した。
創造主の嗜好から外れた容姿(おっぱい)を持つ女性達は、彼らを物理的に排除し新しい世界を始める為に行動を開始し、
真のヒロインになり得る資格(おっぱい)を持つ女性達は、それを阻止する為に立ち上がる。
何時しかその争いは国を、年代を、時空すら飛び越え、全ての平行世界を巻き込む一心不乱の大戦争へと発展した。
「胸は重くて邪魔なただの飾りじゃない。強力な兵器なのですよ」
「そして兵器は使わなきゃ。いやらしい視線で見られるのに我慢してきたのは、使う為よね?」
『イエス・ユア・オッパイーヌ!!』
圧倒的な数と武力を誇る一大組織『キョヌーコスモス』
「殿方は長い間、あの谷間という揺り籠の中で戯れておりました」
「しかし!ときはすでにとのがたをおっぱいから…す、す?「スダテルデソキウス」すだてる?ときがきたのだー!」
『見乳必殺!見乳必殺!!』
少数ながらエリート揃いの精鋭集団『スレンダーズビーイング』
2つの陣営が、世界を2分していく……
「やっぱりアンタはそっちの陣営で出てきたか。まぁ、一度は本気でやり合ってみたかったんだが…」
「目標をインパルスタイプと確認、戦闘を開始する」
何時の間にか巻き込まれた主人公
「君は僕と同じだ!なのに何故そちら側に付くんだ!?」
「やめてよね。僕は唯、リア充が許せないだけなんだから」
自ら望んで巻き込まれたライバル
「何がホルスタインの卑猥な胸よ!ブラも着けずにTシャツを着る奴らのあのとんでもない行為の方が遥かに卑猥じゃないの!!」
「時代は常に変革を求めています。巨乳が保たない時が来ていると何故分からないのです!!」
熾烈さを極める争い
「鍵を…この争いを終わらせる鍵を持っています!」
「鍵?何の事かしら…」
秘密を握る少年
「へぇ、何だか本当っぽいじゃない。誰から渡されたわけ?」
「ど、Drって女の人です……眼鏡をかけた」
暗躍する人影
「僕達は…」
「私達は…」
『分かり合うことができた……』
そして置いてけぼりの創造主
勝利を掴むのは一体どちらの陣営か?果たしておっぱいの未来はどうなるのか?
逆襲のシン・アスカ the move『Best・Bust・Select』
好みのおっぱいを、揉みしだけ!ガンダム!!
>>87からの流れをみて3秒で思いついてしまった…職人の皆様、大変申し訳ありません。
因みに私は慎ましい胸が好きです。慎ましい胸が好きです。
とりあえず何処かに逃亡させてもら(ソンナジカンガアタエラレルトオモッテルノ? デッスヨネ〜
>>93 嫌な、事件だったね……(明後日の方向見ながら)
あれは、色んな職人さん方が勝手にリレーしてクロスする豪華な一品だったなw
>>98 こwれwはwひwどwいw
あと何故2回言ったしwww
101 :
513:2011/10/26(水) 23:35:15.03 ID:???
>>98 これは笑ったw
いつの世も、女の戦いは怖いものだ・・・
とりあえず、「胸より尻だろJK」 に全力同意をした後、迷彩発動して逃げr(大破
このスレと某兄弟スレは職人が自重しないから困る
主に腹筋的な意味で
でもいいぞもっとやれ
定期的に出るよな、おっぱいネタw
これが来ると逆シンスレだなぁと思うよ。
男しかいない話だと平和なんじゃなかろうか
これまではさすがにロミナさんだけだったのが、
>>66さんのおかげをもって
後家殺しというかママさんキラーぶりも定着した感があるな。
「超MS戦士ジャスティス!」や後番の「歌姫戦士セーラーラクス」の悪役出演でも
現実のイケメンヒーローブームよろしくちびっ子のママン達にウケてたのかね。
あるいは時系列やシチュが少し変わっていたらタリア艦長やエザリア女史をも
墜としていた可能性さえ……ン、もう新聞が届いたかn
>>103 でも男衆も思想やら信条が違う奴らばっかりだからなぁ
一部は無言で黙々と飯食ったり、酒飲んでたりしてそうだ
あとそういう場で楽しそうにつるむ傭兵連中は思い浮かぶ
>>104 エザリアさんはMOR氏の話で友人のロミナママン止めようとしてて、シンやミナと仕事の話して、胃痛でぶっ倒れそうになったりしてたけど他に出番ある話あったかな
ジオンの勝ち組
XXX[スレ268氏GJ、本当にヒラコー好きな方だなww
両陣営のメンバーが激しく気になるwww
>>100大事な事だからですね、わかります
つ適度に冷めた肉まん
つ大きめのブラジャー
>>108の書き込みを見て、千早が巨乳体験しようとしたら、肉まんが落ちてしまうアイマスのドッキリネタを思い出したw
だけど、お嬢様がそんな事するはずはないよな!
最近夜中にCEOオフィスのある方から
「ひゅーーーーーほほほほほほほほ……!!」
なんて奇声というか哄笑が聞こえてくるんだよなあ…
「見乳必殺」←これって何て読むの?
サーチアンドメイクアウト!!
サーチアンドメイクアウトだ!!
我々の前に現れるあらゆるおっぱいは揉みしだけ!!
逃げも隠れもせず正面からブラをめくれ!!
全ての乳首をただつまみ 押し潰し 愛撫しろ!!
シン「3分だ、3分で終わらせる」
部下「隊長!そいつは無理ですぜ」
部下「いや、隊長ならできる。なんたって…『アレ』が待ってんだからな」
3分後、そこには仕事を終えた男の姿があった。
シン「ズ、ズズズ…、やっぱり仕事の後のコレは格別だな」
闘う男が啜る塩味、ミハシラフーズのミハシラーメン塩。
好評発売中。
>116
CM乙
早速コーヒーと一緒に買いにいったんだが、どこも売り切れだったよ……
色んな年齢層の女の人達が買い締めていったとかなんとか
えっマジで? 全然知らなかった。
お嬢様ブログとかみなたまのホームページとかに毎日載ってるからまだ売ってるんだと思ってた。
コーヒー…あんな泥臭くて苦いだけの墨汁の様な液体を良く飲む気になりますn…なるなぁ
シン「儲かってるみたいですね、食品事業」
ミナ「ふむ、前年度比150%、他社と比べても20%ほど売上が良い・・・CMとコーヒーのオマケが功を奏したらしいな」
ソキウス「特に磐○HGキットの逆シン仕様への改造パーツ、1/35シン・アスカ(ランダム封入で各作品のシンが!)フィギュアを付けた商品の売上は良いでソキウス」
シン「フィギュアに関しちゃ一人捕まえてきて、モデルやらせれば、ギャラも一人分で済む、と」
ミナ「その通りだ。 まずはコーヒー、インスタントラーメンの飲料、食品業界を制する! そして! 行く行くはアメノミハシラを世界一のコングロリマットへとのし上げるのだ!」
シン(あ、これは本来の目的忘れてるな・・・)
MOR氏といい19氏といい
セツコ・オハラ女史は未だヒロイン候補としては強いんだね。
ルナマリアの中の人的な意味でルナ人気が上がるかと思ったらアニメ版の
影響かそれほどでもない。
一番の原因はもう5年以上たつ世間的には過去のものってことなんだろうけど。
にこポ、なでポに続く、飴玉の餌付けによる飴ポが定番になったら胸圧だね。
むしろ(凸の件でかわいさ余って憎さ百億倍な)シンが(明確な)殺意持ってルナを殺す…って
話があってもいいと思うんだ
>>122 シン「で、ソキウスA。例のモノは」
ソキウスA「ここに」
シン「うん、見た感じの質感に衣服の皺。それに加えての食い込み。
パーフェクトな出来栄えだな」
ソキウスA「お褒めにあずかり至極光栄」
シン「さぁ、では始めようか。この世界に対する『逆襲』を!」
この日、一部女性国家元首・政治家達の体育祭シリーズと称しての体操服姿の
フィギュアが発表され、世界は激震した。
>>126 何その俺得シリーズ。コンプするのに財布ブレイクしそうだなw
とりあえず、ピンクの某歌姫はある一か所が盛大にサバよm(ry
128 :
通常の名無しさんの3倍:2011/11/01(火) 00:33:32.11 ID:+3YPwOzF
現在の状況をルパン三世OP的に説明すると?
男には自分の世界がある。 例えるなら空を翔ける一筋の流れ星。
意訳:小ネタの世界観が自分の考える逆シンの世界観と違ってもあんまり気にすんな。
今の流れが気に入らなきゃ書いて投下だ。
元々ネタなんて流れ星みたいに一瞬で消費されちまうもんなんだからさ
>>128 危険な夢と言われても、スリルの為に全てを俺はかけてもいい
【意訳】とりあえず定期的にネタにしないと気が済まない
セクシーアドベンチャー!
その喰い込みが短パンかブルマかが最大の問題だ!
しかしラインがくっきり出るスパッツも捨てがたい!!
>>130 男の娘より胸が無いのにセクシーアベンジャーとな?
>>126 「おっちゃーん、また買い取って」
「またラク……げふんげふん、『歌姫』かい はいよ、これだけ」
「えー、こんな安いの?」
「これと『誤射』はやたら比率が高いうえに人気無いんだよ 『偽歌姫』や『工作員』あたりなら結構良い値付くし
スペシャルシークレットの『幼女』ならこんだけ払うぞ」
「うぉっこんなに? でもスペシャルシークレットなら普通に集めたいしなぁ」
『ムチムチママン』だとどれくらい?
売らんけどなw
>>133 スペシャルシークレットの『幼女』は、全て我らが買い取るでソキウス!
なぁ、『歌姫』と『偽歌姫』の他にも歌姫モデルあるの?
何か黒髪短髪のが当たったんだけど……
よく見たら微妙に体格がごついかも
>>136 『歌姫』『偽歌姫』より少し大きくてやけに肩幅があるのなら『真・偽歌姫』と呼ばれるレアもんらしいぞ。
他にも代表的な歌姫モデルは表情の柔らかい『歩歌姫』『女子大生歌姫』、表情の強張った『毒持つ歌姫』なんかが確認されてる
って言うか種運命からの続投キャラはバリエ多すぎだろ……『赤目誤射』や『隊長誤射』が欲しいのに普通の『誤射』ばっかり当たる
「歌姫」箱当ててしもうた…
段ボール箱で買ったの全部が「歌姫」バリエだよ…
2つ目の箱開けるの怖い
139 :
なんとなく:2011/11/02(水) 00:44:11.46 ID:???
? 「こちら・・・コードネーム ハ行 社長 聞こえますか?」
?「ああ、聞こえているぞ 状況を報告してくれ」
?「
>>122だそうです」
?「なぁにぃ コングロリマットだとぉ!?」
?「社長、こういう場合は先手を打つのが上策ですぞ」
?「ああ、そうだな さすがはマーズさん そうしよう」
その後、アスカ教の聖地として発展した都市 ガルナハンでは
チビーズ(アスランのクローン ロリっ子3人)とゴリラのプリントされたマットが
爆発的な大人気商品として販売される事になる・・・がこれはまだ先のお話
圧倒的物量のきょぬーは資産価値!!
倒錯的かつ背徳感漂うひんぬーは希少価値!!
だがしかし、見せかけだけの虚乳!
テメーはダメだっ!!!!!
(逃走)
やられた…
>137 見てやった! 『真・偽歌姫』か! と思っって喜んでたら
手を滑らせて水ポチャしちまった…そしたら何か塗装がはげやがった
おかしいなってよくよく調べたら
『歌姫』の髪削って体格増量した偽者だったぜ……orz
しかも、その箱の他のヤツは全部『金ぴかゴリラ』だった…
なんか赤目黒髪の男が、歌姫とゴリラと誤射姉妹と凸ニューハーフを買い取って(無料引き取りも可)
擂り潰してくれるって聞いたから、連絡取るといい
そう言えば前に各作品のシンの年齢について話題に上がった事があったが、各作品のヒロイン達は何歳なんだろうなぁ
特にお嬢様やミナたま、Dr.Kとかのオリジナル勢が気になる
アズラエル「私の年齢?ご想像にお任せ致します」
ソキウス「ミナたまは今年で7歳になるでソキウス」
Dr「私の歳?……今ってC.E何年だ?」
ママン「ロミナ・アマルフィ、17歳です♪」
「17歳」はカリダだろ
お嬢様、16歳じゃなかったっけ?
らくすさんじゅうななさい
>>148 キラ母の17歳やラクスならまだ中の人でネタになるが
ミナさんじゅうにさいとかマリューさんじゅうさんさいとかカナーバさんじゅうきゅうさいとかロミナさんじゅうはっさいとか年m…上の方々は生々しくてネタにもなr(グシャアァ!
先生!会話シーンは書けても戦闘シーンが書けないので筆が進みませんがどうすればいいですか?
戦闘しない逆襲でもいいのよ
或いは簡単な推移と結果だけでも、戦闘以外が濃ければアリ
>>150 とりあえず動きの羅列から初めて、それから修飾してみるとかどうだろう?
待っておるので頑張って
自由の呼び声読み返してみたんだけどこの独特の雰囲気が凄い好き
何度読んだか憶えていない
ああああああああああああああああああ
誤爆はずかしいいいいいいいいいいいい
書き逃げするううううううううううううううううう
Fortune or Doom
―シン・アスカと宇宙の虎―
『――貴方、あの人達を見捨てるんですか? それとも、裏切るんですか?』
発した本人とその相手にしか聞こえない問いに答えが返って来たのは、聞き手の長い長い言葉探しの後、
彷徨っていた目がひたりと定まった時だった。
『疲れたんだ。気がついてくれる、と思ったんだけどな。』
ようやくのそれは、やはり二人にしか聞こえないものだった。
『そうですね。疲れました。とても。でも、これからもっともっと疲れますよ。』
あの時のその言葉はいい加減、期限切れになっても良いはずだ。というよりもなって欲しい。
何であんな事を言ってしまったんだろう。いや、確かにそう思ったのだけど何となくとしか言いようが無い。
現在、自分が所属している船艦は、シルエットシステムの運用は廃され、その分搭載MS数を増やし、黄色と黒に塗られた
ミネルバ級3番艦”バステト”
――初見で思わず、虎が猫に守られるんですか? とか、搭載MSが全部ガイアなのにイヌ繋がりでアヌビスじゃないんですか?
等と言ってしまったのはしょうがない。女神繋がりと聞いて納得したが、その後ガイアがイヌ科かネコ科かで部隊が大荒れに荒れた
のは勘弁して欲しかった。結局、直に関係のあるMSパイロット4人+自分:艦長の5:1でイヌ科と決まったんだっけ。
そこまで考えて今は関係ないと軽く頭を振る。早くこの艦内から見つけ出して捕獲しないと。
引続き荒々しい足音を立てながら、艦内を走ってるも同然に歩き回るがまったく見つからない。
20分程探したところでふと、一番最初に確認した部屋の前に戻っていることに気がついた。念のためと思ってドアを半強制的に開け、
中へ入ろうとしたところで重たい衝撃に思わず半歩下がる。そして衝撃の正体はというと、ころんと床に転がっていた。
「あっあー……」
時間が止まるとはこういうことか。まだ床に転がっている方は、キリリと表情を引き締め口を開く。
「いやぁ、若いって良いね。元気な足音だった。さすが”若”だな。」
「確かにここでは一番若いけど。そんなことより”旦那”、仕事放り出して、かくれんぼ鬼ごっこをしていた理由は?」
「や、気分転換に新しいブレンドを開発しようと思ってね! 今度は中々の自信作だぞ。」
と緩い笑顔で出来上がったらご馳走するぞーと言われて、艦内を動き回らされて疲れた体に一息ですか、ご親切に有難うございます。
なんて気持ちになる訳がなかった。
「こっ……のっ……ドラ猫があああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
すでに恒例となった怒鳴り声と、何故か破砕音が艦内に轟いた。
――砂漠の虎アンドリュー・バルトフェルト
キラ・ヤマトやアスラン・ザラと比べて霞みがちだが、間違いなく彼は功労者であり、アカデミーの教科書にも載る程の存在でもある。
2度の大戦を生き抜き、歌姫を助け続けたZAFTの英雄の一人。メサイア攻防戦後、ザラ派、デュランダル派、その他”問題のある人材”
を一手に引き受け、彼女の負担を軽減させた忠臣。その為、歌姫から新造艦と白服を贈られた。そして迷惑が掛からないよう、
中央から離れた場所で任務についている――
というのが一般に広まっている認識だ。
だが、バステト艦内では今、昼休の為に混雑中の食堂で繰広げられていることの方が認識されている。
即ち……
正座をして縮こまる体格のいい隻眼の白服。その前に仁王立ちしている明かに年下の赤服。その周りでニヤニヤ見物する多数の緑服。
これがこの部隊でお馴染みの光景だった。
「殆ど無いも同然の書類仕事をエスケープかよ。俺があんたを探してた20分で終了するだろ。」
「優秀な連中の数少ない仕事を奪っちゃいけない。能力向上の機会が無くなってしまうじゃないか。」
「能力向上の機会を得た連中が終わらせた上で、後はあんたがサインするだけで終わる簡単なお仕事です。」
その後も続く説教に冷やかしの視線を向けつつ、食堂に居合わせた連中は話題を弾ませる。中には賭けをしていた者もいるようで、
ところどころで悲鳴や歓声が立つ。
パイロットの4人も遅めの食事をだらだらと取りながら二人を見ている。
「今日は20分か。最初は丸々1日掛かってたのになぁ。その気になれば逃走も防げるんじゃないか?」
「どうだろうな。旦那もあれ楽しんでるしどうしようもないだろ。」
「そういや、何か壊れた音したがアレは何だ?」
「旦那の個室のドアがお亡くなりになった音。」
「あーあ。ところでいつも思うんだが、アイツどう見ても女房役っつーより、オカン役にしか見えんよな?」
ボフォーッ
「うっわっ!? 汚ねぇ!!」
「おっおかっおかんっっ! 最年少がおかんとかぶふゅ笑わせっなっぐぷ」
「おまっ……笑いすぎ……ぷぷ……ひとまわっっちがのにオカン……うぷぷ」
「俺、何か異様に納得したわ」
そんなこんなのうちに、説教は終わり赤服の副官は白服の艦長に手を貸して立たせる。やれやれと埃を払い、バルトフェルトは彼へ
視線を移す。ブリーフケースを抱えた彼は、初めて合った時からあまり変わらない。顔の輪郭がすっきりして、体格が引き締まり、
目がいくらか鋭くなったぐらいだろうか。年を取らないと噂の日系だと聞いた気もするなと思いながら、ところでと声を掛けた。
「黒服の話、考えてくれたかな?」
何年か前から続く話題に、聞いた途端に眉を跳ね上げ渋い表情に変えた彼は長い溜息をついた。
「いい加減、諦めろ。大体、何でここで昇進の話が出るんだ。」
確かにここにいるということは、出世できないも同然だ。何しろ危険分子の吹溜りで飼殺しの場で、姥……いや、爺捨て場なのだから。
あの連中は身内に甘いところがあるので、初めて聞いた時はやっぱりと思っただけだ。しかし、この場合の身内とは自分なので、
彼にとってはとばっちりかもしれない。だが黒服相当の実力があるのも事実。
確かにいい加減決めるべきだ。バルトフェルトはよし、分かったと一つ頷いて手を叩き食堂にいた乗員の注目を集める。
「ここにいる連中だけでいいから聞いてくれ!」
よく通る声が食堂に響いて、静かになったのを確認して続ける。
「シン・アスカは黒服になるべきだと思う奴は手を挙げろ!」
「は……」
ザッと挙がった手は食堂にいる人員のほぼ全員、中には両手を挙げている者もいた。皆が皆、人の悪い笑顔だ。
「多数決で決まりだ。そういうわけで、お前は明日から黒服な。ようやく数年越しの問題が片付いた。」
「はぁ?!」
「いっそ、リバーシブルにして俺の居ない時は白服とか面白そうだな。」
にやりと笑ってシンの肩を叩いてその場から離れると、彼は同僚たちにあっという間に囲まれ見えなくなってしまった。
『よろしく、共犯者』
日記じゃないけど書いてみた。
おっさんおっさん言う割りにあんまりおっさん代表の虎さんと組でないような気がしたんで。
あちこち飛んだりまとまりなくて読みにくいだろうけどこれが精一杯だ。
繋ぎだと思って許してくれ。
おっさん言っても、30前半ですしねぇ
むしろ「大人」をしないダメ人間っぽいところもあるし
旧世紀の「1日3杯のコーヒーで貧乳」の論文が発見され、プラントではコーヒーの不買運動に始まり、遂にはラクス・クラインによる禁止令が発令されるに至った。
これを受けて、アンドリュー・バルトフェルドはラクスと袂を分かつ事を決意。コーヒーの復権をかけて反抗の狼煙を上げる。
そして、砂漠の虎の元にはあのシン・アスカの姿が……。
このスレ的には虎の扱いはこんな感じでw
あ、件の論文は「そんな可能性が考えられる人もいるという統計が出ました」程度だそうで、30年間の食生活とか、特定の酵素遺伝子が関与するとかなんとか
むしろ「おっぱいが大きいと乳がんになる確率が上がり、痩せてる人ほどそのリスクが顕著」ってのが問題かと
投下乙。GJ。
バルドフェルドとシンの組み合わせいいなあ。枯れたもの同士っていうか。
ガイアは犬だと思うんだ。うん。虎はない。虎は。
>>159 他の皆が貧乳になれば相対的にランクが上がるわけで、
ラクス様としてはむしろ(自分以外の)全国民にコーヒーを義務としtうわなにをするやめr
某アプリで言うと
お嬢様はヤマタノオロチのレア+
一応褒め言葉だけど俺が使ってるのは大天狗、天邪鬼、閻魔大王、酒呑童子
>>161 紅茶を規制されたことで某魔術師を名誉党首として奉る紅茶党が某艦の元オペレーターを筆頭に一斉蜂起。
アプリリウスの港を襲撃して輸入したコーヒー豆を外にバラ撒く、アプリリウスコーヒーブレイク事件が起きるんですね! わかります!
>>163 ボストン茶会事件だっけか。世界史で習った。
なんか静かだけど、どっか規制されてる?
総合クロスのゴミどもが乗り込んできて職人が消えてっただけだよ^^
はいはい
向こうが増えてる様子もないけどな。
おっぱいネタかヒロインネタがないから盛上らないんだろう。
まったく、分かりやすいよ。
と言う訳でこの隙をついてあえてヒロインのパンツをうわ誰か来t
さあ、今年のクリスマスはどの女尻…もとい女傑がシンをGETするのやらw
朝起きたら倉庫で死蔵していた量産型運命が消えてた…
(アーモリー1駐在20代男性)
プランA量産化計画始まった?
>>170 ゴルg……ターミナルの仕業だ! おのれクライs……ファクトリー!
173 :
通常の名無しさんの3倍:2011/11/21(月) 10:16:36.07 ID:ui8zSFZK
>>172 V3から地獄の特訓を受けるシンの姿が浮かんだ…。
ロストヒーローズで妹亡くした繋がりの絡みないかなぁ。
天道と照井さんも忘れないで!
そういえばシンも「父よ、母よ、妹よ」なんだよな。
1号2号なみに頼れる先輩がいれば・・・と思ったけど、
この二人がきっちりV3の秘密を残していれば全然苦戦しなかっただろう戦いが
序盤は多かったっけなwww
いやシンの先輩に比べりゃ、というより比べることすら許されないほど偉大な先輩なんだけどねw
>>171 そういえばDr.KってMSに究極の汎用性がある万能機を求めてるらしいけど、彼女にプラスAを見せたらどんな反応するんだろう?
確か何だかんだで高性能なんだよね?あの機体www
一文字変わるだけでえらい違いだなw
ガノタだとプラスAと聞いたら、Zプラスの初期型の方を思い出す人結構いるだろう
「えーぷらす」だったら、からだのあるぶいのおおきさをあらわすたんいにry
>>176 なにかとAをDr.Kに見せつけると言うシーンを想像した俺は一体…
もう止めて!
>>176のライフはとっくに0よ!!
実際どうだろう、Dr.Kの美的センスによるんだろうか?
ただどんなに彼女が気に入っても、選シンに一言「カッコ悪い」と言われれば一瞬でジャンク行きになる気がするがww
それまでになぜかサイが散々テストパイロットをさせられてそう。
それもシミュレーターではなく実機で。
サイは何処でも苦労人だけど
一番先に思い出すのは直接は関係ないorzインジェクト
しかし、Dr.Kにせよバジルール姐、もとい姉司令にせよ
それぞれ一癖あるにせよ十分に美()女と言える相手にほぼ専属で仕えていると
言ってもいいサイは本当に苦労人と呼べるのだろうか?
……と問われた場合の反応が知りたい。
という訳で、268氏の続きもさることながら、19◆rz6mtVgNCI氏の復帰も
改めてお願いしたい所。姉司令だけでなくクライマックス寸止め状態の
ロミナママン添い遂げ編もいまだ諦めきれないし…
キラがエミュ子の逆鱗に触れてインジェクトされた時に居なかったっけ?
……なんで今神姫にエミュ子が入ってシンの公私を監視なんて想像したんだ俺
>>186 そう言えばいたな
まともに戻ったシンをエミュ子が「あんたなんか私のシンじゃない! 降りてよ!」(意訳)
って拒否ってから誰も動かせなかったデスティニーIIをキラが動かせそうになったのを見て
やっぱキラは俺とは違うな……って自虐的になってたら「あんた誰よ! 私が認めるのはシン以外にいないんだから!」(超意訳)
って掃き出された光景にポカーン(゚д゚)としてた
改めて、エミュ子可愛いなw
>>183 >>186 重箱の隅で恐縮だが
×⇒インジェクト(Inject:注射する)
○⇒イジェクト(Eject:射出する)
ね、ほぼ逆の意味になってしまう。
もっともあのキラはおそらく各種お注射はじめ色々ブーストやエクステンドされて
一見性格も最悪になってる…ように見えて、実は廃人ラクスへのお見舞いも
欠かしていないという、他に例のない興味深い面も見せてたんだが、
GSC氏が一回目の粛清をくらって以来ご無沙汰なんだよなあ…
age
銀魂のタマクエの如くドット化したプランA(エミュ子)
>>192 ウイルスに感染したエミュ子を助けるため
シンがエミュ子のシステムにダイブ
だが、それはエミュ子の罠だった。
種漫画で議長の遺産らしき物が出た件
fukuda320:その映像を確認しての解答じゃないですが、寝袋のような袋だったら死体袋です。
RT @ar***@fukuda320 監督様、初めまして。ガンダムSEEDDESTINYに関しての質問です。フリーダムがオーブ沖でミネルバのタンホイザーを破壊した回の戦闘後、
ミネルバから運び出されている袋は死体袋、中身は犠牲になったクルーということで間違いないでしょうか?
2011年11月29日23:22:04
なん…だと……
逆襲されても文句いえないな
>>194 お約束の暴発でTSしたけど、ある意味CEは平和になるかもしれない
キラ→クレハ
シン→エルフ
アスラン→ODK48
ミナ→ギナ
ラクス→武士道
カガリ→カガリ
カガリ変わってねえwwwwww
……あ?いや、いいのか
逆シンひ弱ランキング一位、逆シン被リョナランキング一位の二冠になりかねないエルフの身体になったシンの明日はどっちだ?
某ゲームを買ったんですが
運命使う時にステージBGMを「嵐の中で輝いて」にしてます。
オススメしますよ。
保守
みんな年末で忙しいのだろうか?
だろうね。
表稼業もさる事ながらコミケ前でというのも結構あったりして。
まあ倉庫の作品群を改めて読み返して語ってみるのもいいんじゃないかね。
言い出しっぺとしてはまず、ロミナママンがヒロイン候h…ゲフンゲフンもとい、
逆襲者としてイケるとわかって人気急上昇しだした頃の「復讐の聖母」、
シン自身が登場しないと作者氏本人も気にされていたものだったが、
個人的にはあの「アスランの嫁を『壊した』猛獣」こそ、ママンに出会い協力を誓い、
再コーディネイト(あるのかそんなの)でゾアノイドと化したシンではないのかと…
>>203 他者に警戒心剥き出しだが、一度家族と認識すば人懐っこく主人に忠義を尽くす犬か
一人を好むが、寂しくなると人にすり寄る猫系か
はたまたそれ以外か……いずれにせよ首輪を付けるのが誰になるかが問題だな
首輪を付ける>ミナ様
お菓子を持っておいでおいで〜>ミナたま
女の色香で骨抜きに>ロミナママン
色気が足りません>その他多数(おj
<ターン ( ゚д゚)・∵;;プシュッ
( )____......
こんな番組だったら今年の年末は久し振りに家でTV見ようかなってなると思うんだ。
大晦日 ガチムチ祭り
ハ行 vs レドニル・キサカ
時間無制限一本勝負
実況:カズイ・バスカーク
解説:イザーク・ジュール
リザーバー:ロンド・ミナ・サハク
朝まで討論ミハシラTV
「今ヒロインに何が必要か」
出演:アズラエル嬢、エミュ娘、ルナマリア、ロミナ、フレイ、セツコ他
絶対に釣られて踊ってはいけないアフロSP〜アスカのソウルフルな血統〜
ゲストにODK48、サイ&司令
ここってTV最終話リメイク書くのはNGですか?
メサイア戦突入寸前からの分岐改変の先例もあるから、
逆襲になっていればおkだと思う。ぜひどうぞ。
>>209 了解しました。
現在執筆中ですのでしばしお待ちを。
バトル部分は終わりました。
一応言うと、逆襲はしますが欝話です。
バトル中の会話とかTVよりも支離滅裂かもしれませんがご容赦を。
投下します。
何か・・2〜3年前に同じもの書いたかもしれません。
もしその記録見つかったら煽ってくれて構いません・・(汗)
戦場を混乱させ、ステラを死に追いやったフリーダムを撃墜してから、シンは苛烈なまでに戦い続けた。
全ては、戦争を終わらせる・・ただそれだけのために。
戦争を終わらせる唯一つの道と謳われるデスティニープラン完遂の為に、シンは月面レクイエム宙域にて最後の戦いを向かえようとしていた。
ルナ「この戦いに勝てば・・戦争は今度こそ終わるのよね?」
シン「そうさ・・戦争が終われば・・もう誰も殺さないで済む。今度こそ俺とルナで静かに・・過ごせたら良いな。」
ルナ「過ごせたら良いなって・・なんでちょっと後ろ向きなのよ?」
シン「はは、正直俺、今回の戦いで勝てても・・」
レイ「シン!その先は言うな!それ以上言ったら撃つ!」
シン「・・レイ」
レイ「お前は死んではならない!お前は戦争の無い世界を守り、見届けなければならないんだ!それが・・戦争を終わらせる力を手にした者の義務だ!」
シン「レイ・・冗談だよ。絶対勝って・・生き延びて見せるさ」
シン・アスカの全てを賭けた最後の戦いが始まった。
デスティニープランに反発する国、シンにとってはそれだけでも滅ぼすに値する巨悪だった・・例えそれがかつての生まれ故郷だったとしても。
シンにとっての故郷とは今はもう戻らない、失った家族やステラに他ならない。
ルナが心の支えだと感じていても、それだけは変わらなかった。
増して、オーブを守る敵艦を守るMSは倒したはずの宿敵フリーダム、そしてデュランダルに反発して脱走したアスランの駆るジャスティスなのだ。
自分から全てを奪った敵たちと戦争を招く全ての者を討つ・・それこそがシンの全てだった。
ついに最後の戦いが始まった。
まっさきにルナがアスランと遭遇、動揺した隙を突かれ機体を中破させられ、シンは怒りに燃えアスランに襲いかかる。
シン「アンタって人は!よくもルナを・・ルナをやったな!結局・・アンタも戦争を繰り返す世界を続けたいのかよ!?」
アスラン「違う!惑わされるな、シン!議長が作る世界が本当に世界を平和に導くのなら、
何故レクイエムなんかが必要なんだ!多くの人を殺す殺戮兵器が!」
シン「ならアンタは違うって言うのかよ!そのMSだって多くの人を殺す力・・それに乗ってアンタは戦ってるじゃないか!」
アスラン「それ言うならお前だって・・!」
シン「そうさ・・戦わなければ戦争は終わらせられない!だから俺はアンタ達を倒して・・戦争の無い世界を守るんだ!」
ルナ「シン!もう止めて!アスランも!」
シン「ルナ・・・!やめろぉおおおおおおお!!」
ルナ「きゃあああああああ!!」
アスラン「このバ・・・お・・・俺は・・・」
シンのパルマフィオキーナがルナのインパルスを弾き飛ばし、アスランのジャスティスのコクピットを直撃した。
ジャスティスは完全に爆散、インパルスは辛うじてコクピットは無事だがルナの無事は分からない。
シン「はあ、はあ・・くそ!ルナ・・少しだけ待っていてくれ・・レイ、待ってろ!」
シンは急いでフリーダムと交戦中のレイを援護に向かった。
だがその時・・・。
デュランダル「ネオジェネシス・・第2射撃て!」
キラ「うわぁああああああああああ!!」
レイ「ぐぁああああああ!!ギル・・・」
フリーダムもレイのレジェンドもメサイアから放たれたガンマ線レーザーで蒸発してしまったのだ。
シンは初めてデュランダルの本性を知った・・。
シン「マユ・・ステラ・・俺は・・俺は!」
シンはデスティニーを全速力で走らせ、レクイエムの動力炉へと向かう。
その先にオーブとの戦いで立ちはだかった金色のMS・アカツキが再び立ちはだかる。
ムウ「お前・・!ミネルバのシン・アスカか!?くそ・・ここまで来たってことは・・許さねえ!」
シン「どけ!」
シンは高速残像移動システムでアカツキの背後に回ると、まるでフリーダムのように全ての武器を撃ち抜いてしまった。
ムウ「くそっ・・・」
シン「アンタの望む償いはする・・・早く逃げろ。レクイエムは俺がぶっ壊す!」
全ての武器が使えない以上、何も出来ないムウは止む無く撤退、直後シンはデスティニーのブーメランと長射程ビーム砲の照射でレクイエムの動力炉を破壊し脱出した・・そして。
シン「議長・・俺は・・・貴方を最後まで信じてた。どんなやり方でも戦争が終わるならついていくつもりだった!でも!アンタはレイを・・・だから俺はアンタを討つ!」
デュランダル「止めろ!私を討てば世界はまた・・」
デュランダルが言い終わる前に、シンのデスティニーのアロンダイトの渾身の一撃がメサイアを真っ二つに切り裂いた。
二つに割れて崩壊していくメサイア・・そしてシンは・・。
この戦いにおける戦争を招く者全てを討ったシンは静かに崩れ落ちる・・。
シン「やっぱり・・無理だったな・・生き延びるの・・でもこれで戦争はもう・・」
戦争を今度こそ無くす事が出来と思った時、シンの耳に響く声が・・。
カガリ「アスラン・・キラ?返事・・返事しろよぉおおおおおおお!!」
少女の声「パパ・・ママ・・起きてよ・・どうして寝た振りしてるの?起きてよぉおおおおおおお!!」
オーブ兵「ちきしょう!よくも・・よくもアニキをぉおおあああああああ!!」
戦争を終わらせる代償として大切な人を失った者達の慟哭・・それが一斉にシンになだれ込んでくる。
シン「俺は・・戦争を終わらせたかったのに・・それなのに・・・なのに!うわぁああああああ!!」
???「シン!」
絶望のあまり叫びだすシンを制したのは・・・。
???「シン・・もう、いいんだよ。自分を責めないで」
シン「その声・・・だんだん近づいて・・ステラ・・!」
一糸纏わぬ姿のステラがシンの前に立っていた。
かつて、短くとも一緒に一時を過ごした時そのままの笑顔を浮かべている。
シン「ステラ・・ごめん・・・戦争を終わらせたかったのに・・俺は結局・・」
ステラ「ううん、シンは間違ってないよ。私ね・・あの日からずっと眠れなかった・・痛みも寒さも感じなくなっても・・恐いものが暴れてたから・・でももう平気。シンがやっつけてくれたから。」
シン「ステラ・・」
ステラ「だから・・一緒に行こう。私たちは・・行かなきゃいけないから」
シン「そうだな・・行こう」
シンの魂がステラの魂に導かれ、宇宙を駆ける・・。
ステラ「途中でマユって子に会った・・シンに伝えてって」
シン「妹が・・!何て・・」
ステラ「シンとステラは・・マユと同じ所には行けないって・・」
シン「当然・・かもな。ステラ・・恐くないか?」
ステラ「恐くない・・ううん、笑いが止まらないくらい嬉しい・・だってもうこれからはシンとずっと一緒だから・・」
シン「それもそうか!それじゃ、行こうか」
シンとステラの前に炎に包まれた門が現れ、扉が開いていく。
扉の奥も恐らく灼熱の業火に包まれているであろう地獄の門に、シンとステラは手を繋いだまま、静かに入っていった。
数年後・・・。
オーブの病院にある人の見舞いに訪れる赤毛ショートヘアの女性・・。
「メイリン・ホークです。ルナマリア・ホークの面会に来ました」
看護婦「存じ上げております。どうぞ・・」
病院の庭園・・。
赤毛ロングヘアの女性が柔らかな笑顔でたたずんでいる・・。
「今日も良い天気・・気持ち良い。風も暖かいわ・・うふふ・・ふふ」
メイリン「お姉ちゃんは・・どうですか?」
看護婦「相変わらずです・・むしろ奇跡的だと思います。脳が損傷しても普通に生活できて、あそこまで心を安定させられるようになったんですから」
ルナ「この声は・・また・・来てくれたの・・・うふふ・・ありがとう、メイちゃん」
メイリン「おね・・はい、今日も・・よろしくお願いします、ルナマリアさん」
レクイエム・メサイア攻防戦で奇跡的にミネルバ・アークエンジェル・エターナルは中破程度で済み、死傷者は出撃したMS部隊程は出なかったという。
その為、アークエンジェルに身を置いていたメイリンも生還できた。
ルナも生還はしたが、頭に受けた傷が原因で両目の視力を失い、さらに自分の記憶の殆どを失ってしまっていた。
当初はプラントの医療施設で治療しようとしたが、ルナが激しい拒絶反応を示した為、自然に囲まれたオーブの病院が適切とメイリンが判断、現在に至っている。
メイリン「お姉ちゃん・・もう戦争は終わったんだよ・・?お願いだから戻ってきてよ・・」
ルナ「お姉ちゃん・・?私が・・貴方の?うふふ・・・ちょっと楽しい」
メイリン「お姉ちゃん・・お姉ちゃんには大切な人がいた・・その人は今もどこかでお姉ちゃんを見てる・・だから・・!」
ルナ「大切な・・人・・温かいな風のような・・人?」
ルナがつぶやくと共に、彼女の肩に2羽の鳥が止まった。
??「ルナ・・」
ルナ「えっ・・・今の声・・・あっ・・あああああああ!!」
メイリン「お姉ちゃん!?」
シン「ったく・・いつまでも昼寝なんてらしくないぜ、ルナ」
ステラ「さっさと起きて妹の元にもどりやがれ・・だよ?」
シン「ステラ、言葉使い恐い・・とにかく、俺たちはずっとルナを・・皆を見てるよ・・それじゃ・・また明日」
ルナ「シン・・!シーーーーーーン!!」
2羽の鳥が飛び去ると、二人の声は聞こえなくなった。
止め処なく涙を流すルナの両目が開く・・視力が戻ったのだ。
メイリン「お姉ちゃん!お姉ちゃん!私がわかる!?」
ルナ「メイリン・・・私の真似?ばっさり切っちゃって・・・メイリン、ただいま」
メイリン「グス・・お帰りなさい・・お姉ちゃん」
長きにわたる戦争の果てに掴み取った平和・・その光に照らされて眠り姫は今まさに目覚めた。
215 :
あとがき:2011/12/13(火) 22:48:05.18 ID:???
これで終わりです。
いきなりクライマックスなので、微妙に短く感じるかもしれません。
ちなみに話の元は種死放映当時、フリーダム撃墜した話の時に妄想したのが元です。
あと、ストフリ・インジャはフリーダム・ジャスティスと書きましたが、これはフルネームが面倒(爆)なのと、本編でシンがストフリをフリーダムと言っていて、
ジャスティスに関しては機体名すら言ってなかった記憶があったのでこうしました。
それではまた。
終わり方としては綺麗だと思った。
なるほどレイをジェネシスの餌として使うのも合理的ではある。俺は高山版の議長が好きだけどね
シン死亡エンドも少なくはないけど、一時的とは言え?キッチリ地獄逝きまで
フォローってのは珍しいかも。しかもコメディ的なあの世描写でなくシリアスで。
…しかし…門をくぐってみるとつい先刻までの敵味方関係各位もかなり揃ってて
案外あまり変わってなかったりって事も?
ここか
黒いデスティニーUの発案者の小説のあらすじ概要とテーマを簡潔に教えてもらえないだろうか
長編を全部読み込むのは正直しんどいからとりあえず要点を知りたい
>>218 ん? ご新規さんかい?
多分、黒いディスティニーIIって言ったらこのスレのSS職人の始祖でパイオニアなGSC氏のGSCIのことだと思うけど、あらすじ概要とテーマって言われても内容が濃すぎて教えづらいなぁ。
取り敢えず、シンがメサイア戦役後左遷されて、ロンド・ミナ・サハク(SSによって人は変わる)に拾われて物語が始まる基本骨子を始めとした
逆シンのお約束や基礎を作った話だ。
ネタバレあると台無しだったり、どんでん返しが多い作品だから、まぁ、年末年始の休みにでも纏めて読んだ方がてっとり早いぞ。
こういうの答えられないのって落ち度だよな
読み手側に読解力がないのか、あるいは作家側にそもそもテーマなんてないオナニー散文か、のいずれか。まあ、ゆとりにはありがちか
まともな代物なら三行でも説明がつけられる
>>220 じゃあ一切のネタバレ無しで説明してみてよ
三行越えると気が狂って荒らしだす低能三■目に無理いいなさんな
>>221 俺は
>>218=
>>220な
ハッキリ言うけどネタバレとかどうでもいいから
こんなもんネタバレを惜しむほどの代物じゃないし
逆に、そういう物言いは、つまりネタバレあれば説明できるんだろ?
だったらそれで構わないから
>>222 じゃあ低能でいいよ高等読者様
逆に、能力に優れたあなた様なら説明できるわけですよね?
どうかどうーか、このとおり頭を下げますから、その優れた能力を示し要点説明をご教授ください
これで説明できないなら、人を低能と指すお前なんなのって話にしかならないけど
やれやれ、単に言い掛かり付けたいだけの人間のクズだったか。
良かれと対応した
>>219がバカを見ただけだな。
>>224 なんだそれ
結局自分の不実を棚に挙げた逃げ口上と詭弁に満ちた自己弁護って
それでよく人様を低能だと指差せるな
自分で読む意志も根気も読解力もない。
そもそも人にものを尋ねる態度じゃない
低能でもクズでも一応「人間」扱いしてもらえただけ有難いと思いなさいね。
以後
>>1どおりスルー
>>226 結局、
素人の何を言いたいのかもわからない散文だから説明のしようがありません
か、
読者である自分に読解力がないので内容を把握できなくて説明できません
と言ってるようにしか聞こえないが
要点の説明程度の初歩的なことで口ごもるってことは何も把握できてない証拠でしょ
それでよく読解力を問えるもんだ
あと、その調子だとちょっと厳しいこと言われるとすぐに言い掛かり扱いしてくる感じなのかなこれは
まともな人間扱いとか随分だが、こんな素人の散文をいきなりまともな代物扱いしてもらおうという方が無理があるだろ
ネガティブから始まるのは世の中の常なのに、それをポジティブに変えるほどの引き込みをしようともせず、とにかく読めと押し付ける
それを咎められたらクズクズと短絡連呼に転じて、後はスルーしろとか閉鎖で押し切り
なんなの?その、俺たちだけ幸せならそれで良い閉鎖感
読みたくないんだから、去ればいい。
なによりお前にとっては、素人の訳ワカラナイ散文という結論なんだ。
内容知らなくても問題ないだろ。
それに厳しいことってネタバレ含め三行でまとめろってことだろ?
お前のような、このスレに投下された作品を馬鹿にするゴミに
丁寧に説明して差し上げる義務は誰にもない。
だからお前が去ればいい。
それで解決。
>>228 違うよ
面白くない内容に対して面白くないと評することだよ
つーか、関心が全くないならそもそも来てないし
わざわざ全部まで知りたくなくても手っ取り早く概要や核心だけ知りたいっていうケースが、人間なら普通にあるだろ
「○○あらすじ」とか「○○テーマ」とかでググれば世の中の創作品なら大抵わかる
ところがここにはそれがない
だから聞くんだろ
それを全部読めって総量押し付けってなんなの?
で、何回問うても結果として今まであらすじとテーマ説明ができてない決定的な事実があるわけだ
それってつまりさあ。
答えに窮してるっていう事実は、「俺はこのスレの重鎮で作品のこともよく判ってるよ?」みたいな偉そうにしてる割には、
結局作品のこと何も判ってないんだなっていうのが見えてきて当然だろって結果
それが落ち度でなくてなんなんだ
読んで判ってるなら造作もなくパッと出てくるような概要、核心の説明が何で出てこないのって話
ここに限らずどんなジャンルのどんな生き字引でもこんな態度の奴に
ハイハイと教える気になるものか。
どういうしつけ受けてきたらこんなワガママな気違いに育つんだか
親の顔が見たいわ。
231 :
通常の名無しさんの3倍:2011/12/20(火) 17:29:35.88 ID:7i3T1Rsm
物語のさわりの説明は
>>219の説明が簡潔ですね。
そもそも物語のテーマってスレタイに書いてあるじゃないですか?
しかも
>>219は
そのテーマを書くにあたりサハク家を物語の中心に据えるって方法の始祖がGSC氏
と、簡単な説明までしてくれてます。
結局読解力がないのはそちらさんということですね。
そもそも自分で調べるつもりが全くないって論外です。
他人に答えを求めるのは調べるではないでしょ。
2chに張り付いてる時間があるのだから、まとめ倉庫で何話か読めたでしょう
しかもわざわざ答えてくれた
>>219に対してあんな反応したのだから、クズだのゴミだのと人間扱いしないことは妥当。
閉鎖的で結構です。
世間的に主流にはならない、受け入れられる人間だけで楽しむニッチな趣味の一種なのだから。
受け入れてくれる者は受け入れるし、受け入れられない者を無理に引き込んだりはしない。
なので二度とこのスレに来ないでください。
>>230 と、答えてやらない、ではなく、答えられない己の低能、への言い訳をくりかえすんですね
俺…クリスマスは
HGガラッゾの椀部をHG運命に移植するんだ。
初めての塗装にチャレンジするんだ
たまたま休みで予定がないからね(泣
>>231 まあ、面白いものを作ろうと一生懸命頑張ってるわけじゃないのはわかった
負債とラクシズがまともじゃないからこんなレジスタンスやってるのかと思ったら、負債とあまり大差のないつまらなさという
>>233 あのラダムテッカマンみたいなのを何に…と思って確認したが
なるほどビームクローとその収束サーベルか。
よそのレビューでもサーベル状を切り開いてクローにしてる例もあるし
OO系のキットはほとんどノーチェックだったから盲点だった。
ああ、どっちもどっち論法式自爆テロのただの負債信者だったか。
久しく見掛けなかったからとっくに死に絶えたと思ってたけど。
ナンカサツバツトシテルナー
調整キラ「ふふん♪スペシャルでゴージャスなスーパーコーディネーターである僕にかかれば、3行と言わず2文字で説明できるよ♪
ズバリ、き・ん・て・k(ドグァシャァァアアアァアァアン!!! ←ドヤァ顔キラの頭上にデスティニーU来襲
>>237 さすが真のスーパーコーディに調整されたキラさん、この空気をモノともしないフリーダムっぷりww
そこに痺れる、憧れないwww
エミュ子さんもご苦労様です
>>236 すごい
言うだけのことはあるな。その閉鎖感
批判してくる奴はとりあえず信者扱いか
でもさぁ。
内容がつまらないのは事実だよね
まあ、やってることを鑑みれば面白くなるはずがないのも当然だけど
>>239 閉鎖的なんじゃなくてあんたの芸風が浅すぎて見切られきってるってこと。
スレの隆盛期にはそっくりさんが二束三文のひと山いくらでごまんといたんだから。
孤高の批判者面を演じる俺様カコイイなんて勘違いすんじゃないよ馬鹿
>>240 でも書き物が負債同様につまらないのは動かぬ事実だよね
>>188といい
>>237といい、エミュ子はホントにツンデレだなぁwww
どこぞのおぜう様よりよっぽどヒロインっぽくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
>>242 お前にとってはつまらないなら
それでいいんじゃない?
だからこのスレに二度とこのスレに来ないでください
読んだ上の批判にくらべたら、お前のスレ民との問答が元になった批判には
重みはない。
むしろお前の存在価値と同じで無駄で無意味。
>>244 おいおい間違えるなよ
無意味じゃなくて害悪だ
>>237ちょっと待て、お前調整されたキラじゃなくて別次元のフリーダムだろ!?w
>>243久しぶりにミンチよりひでぇや
このスレ的にはシンのMSは改修型運命とか衝撃後継機
グフ系が出番多いよね。
Z系の高機動可変MSとかイメージ的にはどうだろう?
MOR氏にでてくる某機体が損傷したのは魔改造フラグと信じて疑わない
俺としてはフラッグを薦めるね、ガンダムに抗う機体という意味で。
>>247 ザクもいいぞ、初めてガンダムを倒した量産機だし
>>244 いや、軽く読んだよ
仕方ないから
実態はアンチスレでの愚痴を物語仕立てにしてるだけじゃんっていう
そんなものが面白くなるわけがない
お前が面白いっていってるのはさあ
要はそういう愚痴吐き管巻きの空気を共有できるからに尽きるってことだろ
ネガティブな憂さ晴らしをして負債に冷やかし浴びせられたらそれで満足っていう空間を共有すること
またはあれか。こうして信者を煽る文を配置して釣り出して攻撃して面白がるとかそんなところか
だからこうして閉鎖的をやってるんだろ
だがそれはショーとして正当な面白さを問われたときには通用しない話だし
俺が言ってる面白さってのは逃げ口上で使う話じゃなくてガチの話なんだけど
いや、俺が個人的にどうとかじゃなくて、万人にきちんと向けられるかどうかっていう世間での常識の話
この長文、もしかして種死本スレに現れた真性なんじゃ・・・
>>249 それでいいんじゃない?
だからこのスレに二度とこのスレに来ないでください
>>248 ザクは季節柄バーニィを思い出して涙腺がやばい。
主にGジェネ魂の0080ステージのせいで。
ザクは一矢報いたってイメージ
フラッグは抗ったってイメージ
逆シン的には勝っても負けても美味しいからいいんだけどね。
>>251 結論。お前も負債同様に程度が低かった、と
情けないもんだねえ
まあ、仕方ないか。ベクトルから歪んでるんだもんな
負債より面白いもの作んないと意味ないのに
結局「負債は病院入ってろよバーカ」って冷やかしたかっただけなんて代物を人に見せてもどうしようもないだろ
愚痴の1レスで済むものをわざわざ小説にまでする意味ってなんなの?
人を指して無意味とかよくいうわって感じなんだけど
この小説の意味や意義って何?
面白いってのは人それぞれ違うって常識知ってる?ここは
シンの扱いに納得できなかった人間が本編その後を妄想するための閉鎖空間
アニメ版を至高と感じている人間を別に無理に勧誘なんざしてないw
お前のやってることは下戸のくせにテキーラの品評会に
参加するようなもんだ。
>人に見せてもどうしようもないだろ
自分から見にこなければ見れないと思うが?
>>247 SEED系以外ならシンはリ・ガズィに乗ってるイメージがあるな
>>254 そもそも本編のその後ってのがおかしいよね
納得できないとか言ってる割に本編を後生大事に尊重しちゃってまあ
まさにアニメ版至高じゃないか
あと閉鎖空間とか逃げに走ってる時点で人に胸張って面白いなどと言える立場ではないことを知ろう
人間以下のクズとか人を指してよくいうが、まさにお前が人並以下の畜生なフィールドにいるという
本編のその後って世間的にもよくあるジャンル
所謂続編ってやつ。 もしかして知らなかったの?
別に逆襲のシンの宣伝なんざしたことないし
されてるの見たことないんだが。
俺がどんな人間だろうとお前がクズよりも下等なのは一種の真理。
変えようがない。残念だったね。
>>257 謹聴しろ、この自信溢れるご高説から察するに
>>258は誰もケチのつけようのない素晴らしい神作品をうpしてくれるそうだ
>>258 そうだったのか
創作において100点満点の作品は不可能というのは常識だと思っていたが
俺の無知を恥じよう。
>>257 話摩り替えるなよ
本編を許容尊重してる時点で負債マンセーだろって話だが
>>258-259 これまた話の摩り替えだな
お前の不実を咎めてる話から逸らそうとするなよ
全否定と全肯定しか認めないのかwすごい価値観だな、頭大丈夫?
全否定と全肯定しか認めないのかwすごい価値観だな、頭大丈夫?
種種死はアニメに全く出てこない設定とか面白いぞ?とくに考察スレとか
俺個人はストーリーが気に食わないだけだが、その他の主題歌設定デザイン
割と嫌いじゃないんだがね。連ザなんか学生時代よくやったよw
>>262 何必死に他の要素に話を逸らそうとしてんだよ
その気にくわないストーリーの話をしてるんだが
気にくわないとか言ってるくせに、そのストーリーを徹底尊重して残して後日談からとかもうね
「病院入ってろバーカ」とまで負債に当て付けてるくせに、どんだけ負債の本編尊重だよっていう
分裂症の人間が人に頭おかしいとか言えた義理か
264 :
262:2011/12/21(水) 00:12:58.74 ID:???
おいおい本編を許容するのか?って問いに部分的に好ましいって答えただけw
それにストーリーって単語
>>262以前にないぞ
お前のやってるのは下戸のくせにテキーラの品評会に参加するようなもんだ。
俺がどんな人間だろうとお前がクズよりも下等なのは一種の真理。
変えようがない。というわけで去ってくれ。
このスレの基本は、スレタイにもある通り本編で打ちのめされたシンの逆襲復活物語が主なものだから、、
アニメ本編自体に不満がある人だったら、保管庫や別スレにある本編再構成ものの方が向いているんじゃないかな?
確かに無茶苦茶だった負債の事は嫌いだけど、個人的にドン底からの復活劇って大好きだから、本編後のストーリー物も全く気にならないな
正直、2ちゃんにあるSSの大半なんてこうなったら(こうだったら)面白いな〜って妄想の垂れ流しレベルなんだし、
それを楽しんで読んでいる人もいる一方で、何コレ?って受け付けない人もいるのは当然だと思う。
どんだけ他の人が賞賛するSSであろうと、自分に合わないのであればこの程度のもんかと読むの辞めればいいだけじゃないかな?
福田どんだけヒマなんだよ、仕事しろよw
>>264 なに?もう死に体?
言葉尻をもって揚げ足取りに走り出してるってのは死に体の証拠だよね
要するにストーリーのことだよって話してるんだよ
逃げるな
今一度言う
その気にくわないストーリーの話をしてるんだが
気にくわないとか言ってるくせに、そのストーリーを徹底尊重して残して後日談からとかもうね
「病院入ってろバーカ」とまで負債に当て付けてるくせに、どんだけ負債の本編尊重だよっていう
これ揺らがない事実だよね
じゃあ、まさに分裂症だろって
そんな頭おかしいお前が人に頭おかしいとか言えた義理じゃない
井上敏樹の信者と同じ臭さがあるな。
兼任してるのかもしれんが、
そうだよね。たとえが悪いけど
昔801板覗いたら理解できなかった。だけど
あーいったニッチなニーズも存在してるわけだし
自分にあわないものを否定するのは筋違いだよ。
おい職人が降臨したって喜んだ俺にあやまれwww
荒らしはスルーが原則だろw
>>265 保身に必死だよね
打つのは好きだけど打たれるのは嫌って、なにそれ
何コレ?っていうのに何コレ?って言っちゃいけないの?
賞賛以外耐えられません〜って?
ドン底から這い上がるかどうか云々じゃなく、「病院入ってろバーカ」と
暗に負債に当て擦りまでしてるのが、本編温存ってのが支離滅裂っていう話
まあ、アンチスレの愚痴一言で済むものをわざわざ小説にまでしたなんてのは「俺の方が負債より面白いもの作れる」ってのの現れなんだろうけど、
最初の数本読み進めていっても、これいったいいつ面白くなるのっていう感じだし
テーマはシンが逆襲して活躍するとか言うけど、違うだろこれ
「いや、世間(というかアンチ)はラクシズにNOって言うよ。現実わかってんの?負債よぉ」
「独善独裁暴力行使のキララク(=負債)は頭狂ってるからもう精神病院に入れとけよ」
って負債に対する愚痴・憂さ晴らしをしたかったってだけだろ。作品の答えが。核心が
シンは単にそのための道具として同情票に乗せられただけ
そんなネガティブなものが常識的に面白い代物なわけがない
そこも結局の核心となると。で、みんなでそのネガティブを共有しようってんだろ?このスレの核心部分は
面白いかどうかってより、このネガティブを共有できるかどうか
だって俺がそういう異様を咎めたら必死に出ていけ出ていけって保身の嵐だもの
これってさあ。人のことをクズとか言えた義理じゃない程度の低さだよね
違うかな?
>>269 合う合わない、じゃなくてさ
言ってることもおかしいし、やってることもおかしいよねって事実の指摘
273 :
269:2011/12/21(水) 01:07:28.07 ID:???
ひとつ聞いていい?
その指摘を認めることの
意味って何?
あなたの自己満足以外で
なにかあればおしえてほしい
>>270 賞賛しなけりゃ荒らしか
同調しない批判分子は務めて抹殺になるような制度作り
>>1か
ん?…………あれー?このやり方って…………
554:通常の名無しさんの3倍 :2011/12/19(月) 08:22:37.37 ID:??? [sage]
>>410 代表格の最初と最後を読んだが、ありゃあダメだな
意図が私怨の発散ってのがひしひしと伝わってきた
より面白くしようって意識じゃなく、福田に対する怨みを形にしようって意識
短絡だけでは疲れるだけなのでやってられない
あの性質の渦中には入り込み混ざっていきたくない、というか性質、気質が違うので入っていきようがない
種死スレからのコピペだけど、どうせ同一人物だよね。何でここにいるの?
>>273 んなもんお前が悔い改める以外に何もないだろ
お前、毛嫌いしてるラクシズにお前自身がなってるって気づいてる?
閉鎖的やってるうちはラクシズと同義だな
偉そうに負債批判してる姿が滑稽っていう
開けよ
あー、釘刺しめんどくせぇ揚げ足取りくるか?
お前=お前ら
どっちでもいい
話の核心はそこじゃない
>>275 こいつ何考えてるんだろうってのを抉り出すため
アンチは口が達者だから、負債に意趣返しの小説を打ち立てるならもっとマトモかと思ったが
存外負債と大差ないというか、もっと酷いのは場がラクシズそのものと化してるのは、なんだこれっていう
悔い改めさせるってけっきょく
あなたの自己満足じゃないですか
他人を見下して楽しそうですね。
前のレスを見てみたら
つまらないって感想しか
いってない。そんなものが批判ですか?
>>278 まあクズ人間だの人間扱いしてやらないだの言ってるのがよく言う
閉鎖的ラクシズやってるなんて見下されるような己の不実も棚に上げてるし
批判だよ
面白いかつまらないか。話は単純
ネガティブにかまけてニヤニヤするものがつまらないのは当然
では開くとはなんですか?
少なくともここは
シン主役の種死アフターについて語り合い
SSを投稿し、職人をGJ!するスレです
これがメインなのですが
結局はただの負債信者だろ
回りくどいおためごかしの屁理屈こねてるが要するに、
種死でラクシズ一人勝ちに終わったのをともすれば覆しがちな話の多い
このスレが息長く続いてるのが気に食わないってだけじゃねえか
悔い改めろなんてマジキチ臭溢れるレス
久しぶりに見た
釣りです、冗談でしたって言って欲しくなったよ
>>280 批判を圧力で締め出す閉鎖的ラクシズ体制はやめろってこと
内輪での負債に対するネガティブ共有じゃなく、もっと外の人間を楽しませる意識で創作しろよ
正じゃなく負でもって作ってるからこんなこと言われんだよ
自分が楽しめないのを作者のせいにしない
>>281 言った矢先にまた来たラクシズ体制
負債信者のレッテル張りからの締め出す
殺し黙らせのラクシズ一緒
>>284 自分の力不足で楽しませられないのを相手のせいにしない
ぶっちゃけ作者もお前みたいのを楽しませるために書いてるわけではないだろう
あ、こうやって荒れるのが楽しいなら釣られちゃってるや
>>282 人間扱いしてやらないなんてマジキチな物言いも久し振りに見た
>>275 リンク先の種死本スレ410番レスとは、新訳種死なるもののオレ設定を投下していた
このお客さんに対する
>410 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/13(火) 23:22:29.27 ID:???
>新説種死っぽいものを書いていた人は何故、逆襲のシン・アスカスレに書かなかったのか・・。
というものだったが、その答えがアレで、しかもその前後でオレ様のこれこそが正しく、
賛同しない奴は糞とかさんざん向こうでもフルタイムで暴れていたわけだ。
そういう状況を把握した上でも一度
>>275のを読むと………
…どう見ても単なる酸っぱい葡萄です本当にありがとうございました。
>>287 じゃあ詰まる話レベル低いよねっていう
自分だけが気持ち良くなりたい、つまり負債のラクシズへの自己投影と変わらないわけだ
つまらない飽きたと感じたら去るのが2chじゃ常識。
楽しめない俺に同意できないなら悔い改めろってすごいな。
俺が正しい周囲(この場合はこのスレ)が間違ってるなんて
本気でいってるなら中二病真っ盛りとしか言いようがない
>>289 そうかな
腐ったみかんは明らかにここだと思うが
>>290 このスレではあなたを楽しませるには役不足です
どうぞご自分に相応しいスレを探して旅だってくださいませ
>>291でも、お前が負債ラクシズと同じなのは現状事実なわけだが
>>296 ひょっとして作者氏が出てきて相手してくれてると思い込んでる?
認定厨つうか馬鹿じゃね?
>>297 いや、お前見てるだけでも作者が同類なのは察しがつくな
この基地外にこのスレのプレゼンしなきゃならんの?
実態はアンチスレでの愚痴を物語仕立てにしてるだけじゃんっていう
結論だしてるじゃない。こいつが楽しめない=駄作って
どんな理屈はだよ
つーかあなた様が正しいんです〜って言って欲しいだけだろw
ここで荒らしていればいつか俺に相応しい作品を書ける作者が現れるのだ!
いやいや、ありえねーからw
お前ら荒らしと遊んでないで早く寝ろよw
411 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/13(火) 23:57:55.49 ID:???
>>410 あそこは基本的に種死の続編としてらしいから
412 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/14(水) 06:28:55.05 ID:???
ifスレは?
受け入れられるかは別として
413 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/14(水) 06:51:50.10 ID:???
>>412 ざっと見てきたけど、基本的に小説書かなきゃいけないみたいね
それはちょっと重いかも
シナリオにして50話分書き起こすのはどう考えてもきつい
テーマやプロットや設定を指して突っ込みとそれに合わせた改訂ってお気楽なだけじゃ弾かれるような気がした
414 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/14(水) 07:19:24.44 ID:???
だからといってここに投下はもっと場違いだろ
415 :通常の名無しさんの3倍 :2011/12/14(水) 07:32:05.36 ID:???
>>414 だってお前らどうせ過疎じゃん
それに間違ってる種死は否定し叩き殺すのがガノタの正義、ガノタの常識、ガノタの正しい姿勢、ガノタの作法だから
間違ったものは鉄拳修正しないと
なあなあ馴れ合いな奴に見せても意味がない
矯正を食らいなさい
※413と415がご本人さンね。
>>301 だってお前負債ラクシズと同じだし
そんなものが面白いわけがない
>>302 俺に、じゃなく、万人に、だよ
ありえないってことは、負債ラクシズの糞度合いと同等を認めるということか
>>304 種死は間違ってるんだから是正しなければなあ?
当然だよ当然
ん?間違ってる負債を庇い立てするつもりですか?
レスつける全員がGSC氏認定してるが、
病気というよりスレの代表格作家と渡り合ってるつもりになって
自分に酔ってるようだな。
じゃあほっとけばいいじゃん。
余計なお世話ってやつだよ。
>>308-309 散弾ブチ込むのは当たり前
で、お前が負債ラクシズと同等な事実は変わらないわけですが?
種死が間違ってるのが一般常識であっても
307が正しい理由はどこにもない。
散弾ブチ込めるならやってこいw
是正大いに結構、どうぞ自分でサイトでも作って
ご立派な改変設定フル活用して存分に世に問うてくださいな
ここでいくらキリッドヤッとやられてもスレチで邪魔なだけだから
>>312 このスレではやらないよ
主旨が合わないからな
何時間暴れてんだよこいつ…
某ヲチスレといい基地の外は来ないで欲しい。
静かにまったり楽しみたいのに
この頭の悪さと知性の低さなら「酸っぱい葡萄」という言葉の意味を
知らんでもおかしくはないかもだがまさか…ねえ?
知らなければググレばいいだけなんだから
度を越して頭が悪くない限り
本気で間違えるなんて愚かなころするわけないだろjk
>>315 お前はまず負債ラクシズと同等のことをしている自分自身が気違いであるとわかっているのかな?
ゴメンよぉ
俺が変なのにデスティニー2の事を教えてしまったばっかりに…
責任の一端を感じて反省してる
>>316-317 既にお前がこれだけ閉鎖的な短絡集会、そして負債ラクシズ張りの保身、自己正当化、独善という頭悪さを暴かれてしまったというのによく言う
みかん箱の中がもう全部腐ってる有り様なんだが
>>319 うっかり触っちゃったのは貴方一人じゃないだろうから、貴方だけを責められないよ。
これからスルーすればいいだけさ。
>>319 この閉鎖的ラクシズ集会を良しとするお前自身が変であるということを自覚しろ
そんな変人が人を指して見下す意で変なのなどと言えた義理ではない
>>321 3回目だなスルー圧力
だが前2回はいずれも失敗
飛び出してきたと思ったら人間のクズだの人間扱いしてやらないだの気に入らない奴は暴力で潰してやろうという
そのくせ人を頭悪いだの知性が低いだの高みから見下し
本当にラクシズ体質
負債ラクシズを糾弾するような内容を支持する奴の人間性の本性を抉り出してみたら、本人がラクシズと変わらない者だったという
なんでシンにリ・ガズィ?
って思ったら0083のクロスでシンが最後に乗ってたMSだったんだね
見つけたついでに読んしまった
インパルスは変形っていうより合体、オクレ兄さんもそう言ってるw
ああ、多くのスーパーロボットに喧嘩売ったあの台詞かw
>>324、325
そんな台詞オクレ言ってたっけ?
スパロボZだな
「覚悟しな、合体野郎!」
エミュ子「貴方と…合体したい」
もうすぐクリスマス、という事で各SSのキャラが一同に集まってのパーティーとかどうだろうか?
『ヒロインだけ』で
プレゼント交換は、中にひとつだけ『シン・アスカと一日デート券』ですね。
そういえばクリスマスと言えば、去年はMOR氏の番外編でシンとコニールがいちゃついてたな。
……爆発すれば良いのに
>>330 そして何故かヒロイン枠でパーティーに参加していた選シンが当ててしまうんですね、分かりまry
対立国同士の外交交渉みたいな集まりだなw
女子会ってそういうもんなのかい?
>>328貴方が言うと洒落にならないので止めてwww
>>332ヒロインズがそのまま選シンごと当たりプレゼント強奪戦を繰り広げる姿まで想像できた俺に隙はなかtt
何故だろう・・・『大怪獣最終決戦!!Gカイザー VS エンプレイス』ってタイトルがふっと頭に浮かんだ
>>329-336 あるいはその会場に、リア充になりおおせた何人かのシンが
それぞれのパートナーを伴って出席してきたらどうなるのだろう。
…組合せに一番騒然となるのはやはり歩シンだろうか?
というわけでこちらも再開ないしは近況のご一報をどうか。
>>337 生きてますよ〜。先月ようやく再就職決まって、引っ越しやら仕事の引き継ぎやらでバタバタしてますが、年明けには新居にネット開通するので、そうしたら第七話投下します。
お気遣いありがとうございますor2
C.E.77 12月24日
ラクス・クライン、カガリ・ユラ・アスハ……2人の姫によって統括された世界で、人々は平和を謳歌していた。
一歩外に出ればラクスの歌と、煌びやかなイルミネーションが聖なる夜を彩り、
家の中では皆ケーキを食しシャンパンを仰ぎながらクリスマスを満喫している。
大人達は子供の為にプレゼントを用意し、子供達はサンタクロースの来訪を信じて眠りに着く。
人々の笑いが耐えない街。夢と希望に満ちあふれる世界。
世界は今、平和そのものであった。
「……クソッ」
鳴り響く爆発音。掻き消される悲鳴。
瓦礫と化した民家の陰に身を隠した男が、舌打ちしながら自動小銃を構え直す。
「アラン!返事をしてアラン!」
彼の隣では、30歳前後女性が抱きかかえた少年を揺さぶり、呼びかけ続けていた。
恐らく彼女の息子なのだろう……5〜6歳ほどに見えるその少年は、母の呼びかけには応えずぐったりとしている。
「アラン!アラン!!」
「君、それ以上揺さぶるんじゃない」
「でもっ!!」
「大丈夫、気絶しているだけだ」
狼狽する母親と思われる女性の肩を掴む事で落ち着かせた男は、少年の顔を覗き込みそう断言した。
その言葉に女性は少しずつ落ち着きを取り戻していく。
「ほ、本当に?」
「ええ、私は一応その道の端くれですから」
「お医者様なんですか?」
「…俗に言う『国境なき医師団』って奴です」
現状では何の意味もない肩書ですがね、と男は肩を竦める。
「貴方達はこの村の?」
「はい…」
「そうですか…っ!?」
瞬間再び鳴り響いた爆発音に、男は咄嗟に女性を庇いながら身を屈める。
幸い、最悪の予想にあった衝撃は訪れなかった。
「大丈夫ですか?」
「は、はい」
「良かった」
眼下の女性の無事を確認し、男は微笑む。
しかしその表情とは裏腹に、彼の心境は最悪であった。
(どうする?)
今はまだ辛うじて無事ではあるが、何時此処が「奴ら」の破壊の対象になるか分からない。
一刻も早く此処から移動した方が良い。
だが自分1人なら物陰に隠れながら移動する事も可能だろうが、この女性と気絶した子供を連れてとなると非常に難しくなってしまう。
(どちらにしても、見つかったら終わりだからな…)
瓦礫の隙間から顔を覗かせ、男は奴らの姿を確認する。
『ギャハハハ!!』
『死んじまえよナチュラル共!!』
彼の視線の先には下卑た台詞を外部スピーカーで垂れ流し、建物を蹂躙していくMSの姿があった。
ザクウォーリア、バビ、ガズウート、仕事柄MSに詳しい男は、展開されている部隊の構成が一世代前のザフト軍主力MS達である事に気付く。
(やはり、元デュランダル派のコーディネーターか)
ラクス・クラインがプラント総議長となった際、彼女の政策の矛先となり大幅な軍縮を強いられたザフト軍はかなりの数の兵士達を放出する必要があった。
その際、犠牲となった兵士の大多数がデュランダル派と軍内で噂されていた、ラクス・クラインに不信感を抱く者達である。
碌な退職金も貰えないと分かっていた彼らは、報酬代わりに自身の乗るMSごとザフトから一斉脱走。
結果、活動拠点を監視の目の厳しい宇宙やオーブ領域ではなく、戦争で疲弊し力を失った地球連合傘下の地域に集約した盗賊達が大量発生する形となったのだ。
今彼らが居るこの地域も中東の辺境にある小さな村で、自衛の力も持っていなかった為盗賊たちに目をつけられてしまったのだ。
「まったく、最悪のクリスマスだな」
逃げられない以上、見つからないよう祈るしかないと悟った男は瓦礫の壁にもたれ掛かり溜め息混じりに呟く。
死ぬかも知れないという恐怖がないわけではない。
しかしこういう仕事をしている以上、いつかはこういう経験をする事になるだろうと考えていたため、思いの他落ち着いている。
「クリ、スマス?」
「えっ?…ああ」
すると隣に座る女性が、恐怖に声を震わせながらも不思議そうな声を上げた。
何を不思議がっているのかと首を傾げかけた男だったが、直ぐに合点がいき頷く。オーブ生まれの自分と違い、この地域にはクリスマスという習慣がないのだ。
「クリスマスというのはプラントやオーブなどの地域に伝わる慣わしみたいなものでね。12月24日の夜、サンタクロースと呼ばれる人物が子供達にプレゼントを配りに来るんだ」
「プレゼント…」
「勿論迷信だがね。実際は子供が眠っている間に親などがプレゼントを枕元に置いておく、そういうお約束みたいな行事だよ」
「…そうですか」
男の話を聞き終えた女性は、膝元で眠る子供の頭を撫でる。
「もし本当にそのサンタクロースという人物が居たのなら……」
「居たのなら?」
「この子に『平和』をプレゼントしてほしい……そう願います」
「…………」
(平和、か)
1つ海を越えれば、簡単に手に入るであろう彼女の願い。
悲しげな表情を浮かべる女性に遣り切れない思いを感じながら、男は天を仰ぐ。
「……ん?」
その時、雲ひとつない青空の中、一点の小さなシミの様な物が男の目に入った。
「あれは……!」
そのシミはどんどん大きくなっていき、人型のシルエットへと変わっていく。
そして彼がその全容を把握できるようになるまで、そうは時間が掛からなかった。
「モビルスーツ…だと!?」
村へと降り立ったそのMSは男が見たことの無い外見をしていた。否、今まで見たどのMSより異様な姿をしていた。
ムラサメ等と同じV字アンテナと顔に血涙のような装飾が施された頭部、翼の様な巨大なバックパックを持つ胴体はまだ分かる。
異様なのは、四肢の大きさとカラーリングが全くの非対称なのだ。
まず左腕が付け根の部分から緑色になっており、肩にはザクファントムの物と思わしきシールドが装備されている。
かと思えば、青で装飾された右腕と右足は完全にグフイグナイテットの物であり、恐らく正式な四肢は左足だけなのだろう。
突如空から降りてきた継ぎ接ぎだらけのMSに、町を襲っていた盗賊達の動きが止まる。
『なんだぁ?てめぇ!』
広域通信のまま、謎のMSに向かって怒鳴り散らす盗賊。
その反応を見る限り、あのMSは盗賊の仲間ではない。
「な、何がおこってるんです?」
「分からない」
2人が瓦礫の影から固唾を呑んで見守る中、謎のMSが行動を起こした。
右腕からグフの武装であるスレイヤーウィップを引き出した謎のMSがザクウォーリアに肉迫。
反応が遅れたザクの右腕にウィップを絡め、ビーム突撃銃ごと破壊する。
更に左肩のシールドを前面に構え突撃。大型バックパックの推進力を最大限に利用したショルダータックルにより、ザクのコックピットが無残に潰された。
『な、てめぇ!!』
そこでようやく事態に気付いたバビが上空からミサイルランチャーを発射する。
対する謎のMSは動かなくなったザクをシールド代わりにして、バビに接近。一定距離近づいた時点でザクの腰部にウィップを絡めると、そのままバビに向かって投げつけた。
避け切れなかったバビとザクの残骸が激突、そのまま空中で四散する。
『バカ…な』
残るガズウートを操るパイロットが驚きの声を上げる中、謎のMSがゆっくりとガズウートの前に降り立つ。
『まだやるかい?』
謎のMSから放たれる降伏勧告。
『……分かった。降伏する』
ガズウートで抵抗しても勝ち目などない。そう判断した盗賊は降伏宣言をし、機体から這い出る。
『ああ、それがいい』
村から走り去っていく盗賊の姿を確認した謎のMSが展開したウィップを収納し、村が静けさに包まれる。
謎のMSが登場し、僅か3分程の出来事であった。
「な、何なんだあいつは?」
静寂が戻った村の中で、その一部始終を見ていた男が呆然と呟く。
その隣に居る女性も、信じられない物を見た表情で謎のMSを見つめている。
そんな中、謎のMSのコックピットハッチが開いた。
そこから現れたパイロットの姿に、男は再び呟く。
「……子供?」
癖のある黒髪に赤い瞳を持ち、パイロットスーツではなく中東の民族衣装の様な服に身を包んだそのパイロットの顔立ちはまだ幼い。
もっとも、コーディネーターならばとっくに成人している年齢だろうから、おかしくはないのだろうが。
「…………」
コックピットから出てきたそのパイロットは、大きなバックを背に持ち真っ直ぐに2人の下に向かって来る。
どうやら最初からこちらの存在に気付いていたらしい。
「……一応隠れていなさい」
まさか第2の盗賊という訳ではないだろうが、念のために女性に自動小銃を持たせた男は瓦礫から姿を現す。
そして両手を挙げながらそのパイロットに近づき、口を開く。
「盗賊、じゃないよな?」
「ああ」
見た目よりもずっと落ち着いた声を持つそのパイロットは、チラリの瓦礫の方に視線を向けた。
「あの人達に怪我は?」
「子供が気絶しているが、命に別状はない。せいぜいかすり傷ぐらいだ」
「そうか……あんた、この村の?」
「いや、ボランティアで医療活動を行っている」
「国境なき医師団か、なら丁度いい」
そう言うとパイロットは背にもった巨大なバックを押し付けてきた。
「中に医療器具と薬、飲料水が入ってる。後もう少しすれば救助隊が到着するはずだ……それじゃ」
「お、おい!」
そのままパイロット踵を返した為、慌てて男が呼び止めた。
「誰なんだお前は?もう行っちまうのか!?」
「…………」
助けてくれたのは嬉しい。行っている行動は正義だ。
しかし戦闘を止めるだけ止め、この惨状を放って行くなど、『何処かの英雄』と同じではないか!?
言外にそう含めながら叫んだ男に対し、パイロットはゆっくりと振り向き応える。
「俺は戦う事しかできない」
「何!?」
「あんたは人を助ける事ができる。だから、自分にできる事をしてくれ」
「……お前」
「俺は、俺にできる事をするだけだから」
次の戦場に向かうのだろう。
そう言い残したパイロットは、二度と振り返ることなくMSに乗り込んでいく。
「あの……」
その後姿を見つめる男の横に、何時の間にか女性が立っていた。
「お子さんは?」
「大丈夫です」
「そうか…」
飛び去っていく謎のMS。
「そう言えば……」
「はい?」
「クリスマスには、もう1つの意味があった」
「もう1つ?」
「まだ人類が宇宙に進出するかしないかの時代の話だが」
「…………」
「クリスマスとは、聖人の誕生日だったらしい」
C.E.77 12月24日
世界は今、平和そのものであった。
規制解除記念、即席小話投下終了
以下1週間前の実話
友人「そう言えば、君のSS」
私 「何?」
友人「何であんな略し方したの?」
私 「へ?だって『Select of Destiny』の頭文字を取ったら普通……」
友人「えっ?もしかして知らないの?」
私 「何が?」
友人「…いいから今すぐググってみ」
私 「はぁ?」←検索中
友人「…………」
私 「…………」
ウヒョー
職人さん来てた〜!
そしてディ・モールトGJっす!!!
良かった…
マジキチが来てこのスレもう駄目かもってあきらめかけてたけど
等身大プランAが造られてない時点で
逆シンが終わるわけないことに気がつかなかった俺orz。
年明けから滝行しつつブシドーを学ぶ必要があるな…
348 :
通常の名無しさんの3倍:2011/12/25(日) 11:09:27.53 ID:JiECoEhM
選シンの人お帰りなさい!あなたは逆シンスレの救世主だ!!
>>345 クリスマスという事でドタバタがあるかと予想してた所へ、これもまた定番ではある
「自分にはもう人助けの戦い『しか』ないと自認しているシン」というのも趣ありますな。
ところで、今回サブタイが見受けられないのは検索の結果のためでしょうかw
ご提示頂ければ幸いです。
>>349 すみません、完全に即席だったのでサブタイはありませんでしたw
とりあえず『X'mas Select』でお願いします。
SODェ…ウヒョヒョー
さっき気がついて読んだ。選シンの人GJ
俺静岡人なんだが国道1号沿いなんて往来の激しいところに
プランAなんて神々しいもの創られたら渋滞してまうwww
素晴らしいっ!
が、誰も突っ込まないので俺が突っ込む!
SOD…って冷静に考えたらAV会社の名前の略じゃねぇかwww
これはアスランにやられ色んな意味で絶望したシンがAV男優になってラクスやカガリを素人NTR物のAVに出す復讐フラグかw
きも
てばさき
ぼんぼち
気持ち悪い
お前の方がウゼエしキモいわ、死ね
シンは創作とは言えランスロットの剣アロンダイトを持つ運命に乗ってるのに
後半の運命は悪評の方のガウェインに似てる。
ランスロットに特攻しては重傷を負い王国の滅亡の原因になる辺りで
何だこの気持ち悪い連レスの自演
∧l二|ヘ
(・ω・ ) おいらをどこかのスレに送るんよ
./ ̄ ̄ ̄ハ お別れの時にはお土産を持たせるんよ
| 福 | |
| 袋 | |,,,....
 ̄ ̄ ̄ ̄
現在の所持品:シュールストレミング、メダルの器ウヴァさん、童貞、ガイアが俺にもっと輝けと囁いている拝聴券、
PGジュアッグ、ROBOT魂カルバリーテンプルヘルミーネ、ヌカランチャー、ウェンディーズバーガー倍額クーポン
ザクレロ
ミナ様「明けましておめでとうシン、さぁ働こうか」
お嬢様「HappyNewYearシン、早速ですが仕事の依頼です」
ルナ「明けましておめでと、シン。ところでさっきから鳴ってる貴方の電話、いったい誰からかしら〜?」
コニール「今年もよろしくなシン。そういえばさっきお店に知らない女の人が訪ねて来たんだけど……お前を探して」
ラクス「あけましておめでとうございます、シン。
さあさあ、邪魔が来る前に私と共に初詣と言うものに参りましょう」
ミナたま「あけましておめでとー!シンお兄ちゃんお年玉ちょーだい?」
Dr.K「……あけたのか?」
サイ「何で疑問系なんですか?」
366 :
通常の名無しさんの3倍:2012/01/01(日) 16:43:41.10 ID:oaGg16YZ
シン「もうやめて!!皆、とっくに俺のライフは0よ!!」
さぁ働こうかでゲンバーが思い浮かんだ
そういえばプランAって登場してから何年たってるっけ?
皆様明けましておめでとうございます。 小ネタを投下させていただきます。
本当は
>>363を見てふと思いつき、三が日に投下しようと思ったんですが
機動戦士ガンダムSEED
逆襲のシン・アスカ Mercenary Of Red
requestEX『ある年初めの話』
「ふぁ……」
コニールは窓から差し込む朝日と僅かな寒気に目を覚ました。
「うぅ、何か頭痛い……」
昨日の夜は年明けだと騒ぎすぎた。と今更ながら反省すると頭を抑え、ベッドから立ち上がる。 見渡すと自室だ。
よくよく思い出すと立てなくなるまで飲んだ後、シンが運んでくれた覚えがある……確かお姫様抱っこで。
そこまで思い出したコニールは頬を紅に染める。
両手で頬を押さえると何故か慌ててドアを開け、外に出た。
「あ!」
自室よりも強い寒気に晒されたコニールはそこで落ち着きを取り戻し、深呼吸する。
「落ち着こう……べ、別に変な事したり、されたりした訳じゃないんだから」
ふぅ、と溜め息を付いて顔を上げると向かいの、シンの部屋のドアが開いている事に気付いた。
余談だが、シンとコニールは別々の部屋で寝ている。
コニールは一緒の部屋で構わないと言ったのだが、シンは年頃の乙女が論理感や常識、恥じらいが無いのかと断固反対し、かつての物置部屋を自室としていた
「変な所真面目っていうか堅物だよね」
コニールはシンをここに居てくれと言った時からそういう覚悟と言うか、何があっても良いと思っている(無論恥ずかしさはあるが)のだが、シンにはそう言う意図は無いらしい。
まぁ、そんな男だからこそコニールは信頼しているし、ガルナハンで一定以上の信用を得ることができたのだが。
「……あれ?」
部屋の中を覗いたコニールは首を傾げた。
真正面のベッドにシンの姿はない。
右側の衣装タンスに左側のガンケース、その横にある机と機械工学や軍事関係の専門書や雑多な雑誌がごちゃ混ぜに納められた本棚の前にもいない。
「トレーニングにでもいったのかな?」
廊下の窓から外のガレージとガラクタ置き場を見てもシンの愛機グフクラッシャーは悠然と鎮座しており、シンの姿はない。
おそらく日課のトレーニング、ガルナハン一周にでも行ったのだろう。
シン曰く、「1日の怠けで鈍った体を戻すには3日の修練が必要」だそうだ。
「新年早々落ち着きがないっていうかお疲れ様というか……朝ご飯でも作ろうかな」
シンの愚直さに呆れたように溜め息を付くとコニールは腹を減らして帰って来るであろうシンの為、食事の支度をしようと階下の食堂へと向かった。
「さて、何にしようかな」
冷蔵庫の中身を見ながらメニューを考えていると、扉が開く音がした。
「シン、もう帰ってきたのか?」
振り向いたコニールが見たのは赤いショートヘア、赤いツリ目の赤いコート、赤いブーツを履き、全身を赤く染め上げた中性的な女性だった。
「あの、どちら様ですか」
見覚えのない女性にコニールはおずおずと声をかける。
「ああ、すまない。 シン、シン・アスカの知り合いなんだが」
コニールに気付いた女性はぺこりと頭を下げると左右を見る。
「すみません、今留守なんです」
仕事関係の人かなと思いながらコニールも頭を下げた。
「やれやれ、相変わらずどうにも落ち着きがないね」
鼻を鳴らすと女性は肩を竦めて見せる。
「お客さんが来るなら言っといてくれれば良いのに……あの、私で良ければご用件をお聞きしますが」
本日何度目かの溜め息を付くとコニールは申し訳なさそうに聞いた。
「ああ、気にしないでくれ大した用じゃないんだ。 近くに寄ったから新年の挨拶に来ただけさ」
爽やかな笑みを浮かべた女性は、ふと思い付いたようにずいっとコニールに近づくとフフンと勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「な、なんですか!」
「なんでもないさ(なるほど、良い子だねぇ)」
一歩たじろいだコニールに女性は今度は優しけな笑みを見せ、離れた。
「私はまだ所用があるのでこれで失礼するが、シンに新年おめでとうと伝えておいてくれ。
……それとシンをこれからもよろしく頼むよ。 あれで案外繊細で寂しがり屋だったりするのでね」
笑みを絶やさないまま女性はコニールに言葉を伝えると、出口に向かい歩き出した。
「あの! 貴女のお名前は?」
女性はコニールの問いに答えず、ただ手をヒラヒラと振っただけだった。
「行っちゃった……」
「ただいまーっと。 おっコニール、もう起きてたのか」
唖然としていたコニールに裏口から声がかけられる。
声の主、シンは紺色のトレーニングウェアに身を包み額に僅かな汗を浮かべていた。
「あ、シン! 今お客さんが来てたんだよ」
「客? あータイミング悪いな、入れ違いか」
正面出口を指さすコニールにシンが額を抑える。
「で、誰だったんだ?」
シンは聞きながらコニールの側まで歩くと冷蔵庫を開け缶コーヒーを取り出す。
「分かんない」
「ん? 名前聞かなかったのか?」
首を傾げる姿に結構気の利くコニールにしては珍しいとシンは思う。
「教えてくれなかった」
「ふーん、容姿は?」
不思議そうな顔のコニール、内心名前を聞かれたくない知り合い(エドやジェーンはその筆頭である)も少なくないので納得しつつ、容姿を尋ねる。
「髪が赤いショートヘアで……」
「赤髪ショート?」
缶コーヒーを口にしていたシンの眉が引き攣る。
頭に浮かんだのはプラントにいる筈のかつての恋人とついでにその妹。
「赤いつり目で、赤いコート着てて、ぺターンとしてて、赤いブーツを履いてる女の人で新年おめでとうって伝えてくれって言ってた」
「つり目のスレンダーで全身真っ赤な20代から30代の女性か」
心の中で安堵の溜息をつくと、コニールの曖昧な表現から人相を想像する。
「……知らないな。 仕事の依頼ならそう言うだろうしなぁ……まぁ、良いか。 なんか別に用があるなら向こうから来るだろう」
分からないものは分からないと割り切ったシンは飲み終わった缶をゴミ箱に投げ入れた。
「シンが良いならいいけどさ。 そうだ、朝ごはん作るからシャワー浴びてきなよ」
何処か納得の行かない顔のコニールは冷蔵庫を見るとシンに言った。
「じゃあ、そうさせて貰うかな。……一緒に入るか?」
コニールの言葉に頷き、風呂場に足を向けたシンは、ふと思い付いたのか意地の悪い笑みを浮かべ、コニールに言った。
「は、入るわけ無いだろ! いいから早く行け!」
「ははっ、冗談に決まってんだろ? そんなに怒るなよ」
顔を赤くして大声を上げたコニールを見てケタケタと満足そうに笑うとシンは風呂場へと歩いていった。
「全く! 堅物のくせにそういう冗談は言うんだから!」
憤慨しているコニールは冷蔵庫から卵やハムを取り出すとふと裏口近くの窓を見た。
「シンは気にしてないけど、あの人誰だったんだろ?」
コニールは首を傾げるも、そこにはいつも通りグフクラッシャーが悠然と立っているだけだった。
短いですが、以上です。
今更ながらこういう日常も書きたくなってくる今日この頃。
改めて今年もよろしくお願いします。
おお、新年早々、ありがとうございます!
シン、冗談は言うだけか?! 言うだけか?! 言うだけなんだなあ?!
赤いコートの女に心当たりがないので、もいっぺん、見直してきます・・・・orz
>>372 倉庫で第17話EXを参照
そしてMOR氏乙GJでした。
赤いコートの女性ってもしかしてグフクラッシャーの精かな?
MOR氏GJですた!!!
スマートで白兵格闘が得意な姉さんって素晴らしいね!
本編は
御独り様だったルナマリアが逆襲するか、ガルナハンで健気に待っているコニールが勝つのか…
個人的には
グフの精は武人でモヒカン頭の壮年男性も捨てがたいw
ペターンってwwww
Extreme Select
「あけましておめでとうございます、Dr・K」
「……あけたのか?」
「何で疑問系なんですか?」
C.E. xx年1月3日
モルゲンレーテ社MS開発部門主任Dr・Kと彼女の助手(非正式・不承認・本人受託拒否)サイ・アーガイルの新年の挨拶は、上記の通りなんとも言えないグダグダ感を匂わせつつ終了した。
「そうか、あけたのか」
サイが持参したオーブ名物・ZO-NIに舌鼓を打ちつつ、Drは声を上げる。そこに驚きや後悔と言ったニュアンスは見られない。
「そうかって事は、去年からずっと引きこもってたと…」
対するサイも特に驚いた様子もなく、パッパとこれまたオーブ名物・OSETIを机の上に並べていく。
実のところ、昨年と一昨年の1月にも今と同じ様な会話をしていた為、こうなる事は有る程度予想していたからだ。
「で、今度は一体何の研究を?」
「…………」
サイの問いに、Drは無言を貫く。
別に勿体つけているわけではない。唯ZO-NIの中に入っていたMOTIと呼ばれる食材がなかなか噛み切れないだけだ。
(子供かっ!)
内心でそう突っ込みつつも、彼女がMOTIを飲み込むのを素直に待つサイ。
「んっ……教えてやろう」
数拍の間の後、ようやくZO-NIを完食したDrは何時もの様にモニターの電源を入れる。
するとそこには以前彼女がサイに披露した彼女の趣味のかたまr……もとい最高傑作『Fortune(フォーチュン)』の姿があった。
「これは先日お前に見せた私の最高傑作フォーチュンだ。覚えているな?」
「はい、もちろん」
MSの問いかけに、サイは素直に頷く。
この機体の元となった次世代量産型MS『マスラヲ』の開発費の横領という形で費やして完成した問題のMS、という意味でだったが。
「その時私はこの機体は「完成した」と表現したが、実際には完成していなかった」
「えっ?そうだったんですか?」
「ああそうだ、私はある重大な事柄を見落としてた。それは……」
「それは?」
「核エンジンの搭載だ」
「………は?」
思いも寄らないDrの言葉に、思わず手元からKAMABOKOを滑り落とすサイ。
「今、何ていいました?」
「だから核エンジンの搭載だ」
冗談だと願いつつ聞き返したサイに対し、Drはいたって本気で口を開く。
「私のフォーチュンはNJCを使用し核エンジン搭載型MSとして運用できて、初めて最高のMSとして君臨する事ができるはずだった。にも関わらず、あの脳筋ジャジャ馬娘の横槍のおかげでその計画は頓挫してしまった」
「はぁ」
どこの世界に量産型MSの開発にNJCの搭載を許可する国家元首がいるだろう?……と考えたサイだったが、ドム・トルーパーという前例があった事を思い出す。
まぁ元々ドム・トルーパーはバッテリー駆動だったのをクライン派が無理やり改造したのだが。そもそもあの時点では国家元首ではなくただのテロリスry
彼の思考が明後日の方向を向き始めるが、Drはそれに気付かず言葉を続ける。
「そして『妥協』という形でデュートリオンビーム方式に一時は落ち着いてしまった訳だが、それでは私の名に傷が付く」
(付くか?)
「そこで核エンジンを搭載したら、と過程して新たにフォーチュンの設計を見直していたのだが、ある問題にぶち当たった」
「何ですか?」
「いや……寧ろこれは喜ばしい事なんだろうが、核エンジンを搭載すれば確かにある程度のスペック向上は見込めるが、そこまで目覚しい強化部分が見られなかったんだ。これがその比較だ」
「これは……すごいですね」
モニターに映し出された比較表を見る限り、確かに核エンジン搭載前と搭載後に大きな変化はない。
バッテリー駆動から核駆動に変更してそこまでスペックに変化が見られない、ということはそれだけ元の素体の設計に無駄がないという事だ。
MS開発者にとってそれは名誉な事であり、今目の前にいる女性が間違いなく天才であるとサイは改めて認識する……相変わらず見た目からは想像もできないが。
「これなら無理に核エンジンにする必要もないのでは?」
「それじゃつまらないだろう」
「つまらないって……」
「折角核エンジンを搭載しよう、と言うんだ。もっと画期的な変化がほしいじゃないか」
「…………」
実際に使用許可が下りてから考えましょうよ、とサイは頭の中で突っ込む。
無論口には出さないが。
「そこで私は、コレに目をつけた」
「!これは…」
そう言ってDrが端末を弄ると、モニターにある機体が表示される。
全高約100m、全幅約60m、MAと同等かそれ以上に巨大な戦艦の様な外見。その真ん中には埋め込まれる、というか巨大戦艦を背負うような形で合体したMSの姿。
横には高エネルギー収束火線砲、対艦ミサイル発射管、超大型ビームサーベル発生装置など、その機体の主力兵装と思われる名前がズラリと並んでいる。
頭がおかしいとしか思えないその戦略兵器の姿に、サイは見覚えがあった。
「モビルスーツ埋め込み式戦術強襲機、通称『Meteor(ミーティア)』 前大戦中、フリーダムやジャスティスが使用していた核エンジン搭載型MS用の巨大補助兵装だ。」
「ええ、良く知ってます」
「なら説明は不要だな。私はコレに似た物を作りたいと思う」
「………は?」
サイは今度はDATEMAKIを口元からこぼした。
「……これを?」
「正確にはこれよりもっと汎用性の高い物だな。具体的には地上でも運用可能で、遠・中・近どの戦闘でも無双できる様な……」
「ちょ、ちょっと待ってください!正気ですか?」
淡々と話すDrに対し、サイは慌てて詰め寄る。
ミーティアはそれの2年後に開発された筈のゲルズゲーやデストロイが、オモチャに見えるほどの代物だ。
あんなmjkt兵器を超える兵器を開発するのは、いくらDrでも不可能だと考えたからだ。
「ん?もう雛型は設計済みだぞ」
ところがDrはサイの心境などつゆ知らず、といった様子で数枚の設計書を差し出す。
それと同時にモニターが切り替わり、姿を現す3つの機体。
それぞれ黒、赤、紫を主とした塗装がされたそれは、多少ゴツいが通常のMSに見えない事もない。
モニターに映されている関係か、僅かに小さく感じる頭部がすべてフォーチュンと同企画ということは、レッドフレームパワードレットの様な追加アーマーだろうか?
「いつの間にこんな…もの……?」
だが予想していたより遥かにマトモだな、と感心しかけたサイだったが、渡された設計書に視線を移した途端絶句する。
(……全高、40m?)
年末年始の疲れが幻覚でも見せているのだろうか?
サイは2、3度頭を振り再度設計書に目を通すが結果は変わらない。確かに全高40mとかかれている。
因みにフォーチュンの全高は通常のMSと同等の18m。どこの世界に全高が2倍強になる追加アーマーがあるのか。
「あのDr、これ…」
「ああ、なぜ3種もバリエーションがあるのかか?最初から万能機として設計するには些か無理があったからな。取り敢えずそれぞれ遠・中・近に特化させてみたんだが」
(いや、そーでなくて)
まったく見当はずれな説明を始めるDrを無視したサイは、取り敢えず設計書を読み進める事にする。
(……なんだコレ?)
数分後、サイの頭上には夥しい数のクエスチョンマークが飛び回っていた。
どうやらコレは追加アーマーなどでは無く、本当にミーティアに近いドッキングユニットらしい。
つまり頭部の無い巨大MSの胴体部分に、子供向けアニメのスーパーロボットよろしくフォーチュンが合体するシステムなんだそうだ。
頭部が小さく感じたのは錯覚でも何でも無く、本当に小さかったのだ。
(まぁ、それは別に良い…)
普通のMSとデストロイの丁度中間位の大きさだが、地上でも充分な機動力を確保するにはこれが限界なのだろう。
初見こそ驚いたが、全高100m近いミーティアに比べればマシだ(あっちは宇宙空間専用だが)
問題はその先。
自信作だと言うDrによって事細かに記載された武装の数々。
先ずは遠距離戦特化ユニット『プランC・Carnage(カルネージ)フェイズ』
デストロイをモチーフにしたような黒を主体とした塗装で、両腕には大型ビームライフルと火炎弾、背部にはミーティアと同一の60cm対艦ミサイル発射管のコンテナが装備されている。
また背部のコンテナを肩にマウントすることで、デストロイ級の高エネルギービーム砲を照射可能らしい。
「くくっ、こいつが本気を出せば、ベルリン都市どころかオノゴロ島すら灰燼に帰す事が…」
「絶対に止めて下さい」
まさにカルネージ(殺戮)の名に恥じぬ武装だが次のユニットよりまだ現実的だ。
その1つ、格闘戦特化ユニット『プランT・Tachyon(タキオン)フェイズ』
格闘特化だけあってメイン武装はたった1本のビームサーベルだけなのだが、どういう原理か抜刀動作で刀身部分を衝撃波の様に射出することができ遠距離攻撃も可能。
しかもサーベルの出力はパイロットが任意に調整する事ができ、一瞬なら全長400m近くまで伸ばすことが出来る代物らしい。
「本当は500ガーベラとか作ってみたかったんだが…」
「絶対に、絶対に止めて下さい」
外見は旧世紀時代の日本に存在したオーブ人に人気な「武士」のような重装甲だが、タキオン(速い)の名が示す通り高起動MS並みの機動力を持つ。
最後は、中距離戦特化ユニット『プランI・Ignis(イグニス)フェイズ』
中距離、というよりドラグーンシステム特化型と言ったほうが正しいかも知れない。
通常のドラグーン、ビームスパイク、使いようによってはサーベルにもブーメランにもバリヤーにもなるとんでもドラグーンをなんと21基も装備したレジェンドも裸足で逃げ出すとんでも機体だ。
「いっその事カルネージの主砲をくっつけてフルバーストでも…」
「絶対に、絶対に、絶対に止めて下さい」
上記2ユニットに比べると曲線敵なデザインになっており、設計書通りならまさしくイグニス(篝火)のような攻撃を繰り出せるだろう。
……………
………
…
「どうだ?これからこの3機のデータを基に、万能型のユニットを開発するつもりなんだが」
「…………」
一通り設計書を読み終わったサイは、所謂ドヤァ顔でモニターを眺めるDrの顔を見て考えを改める。
今目の前にいる女性が間違いなく『天災』であると。
(駄目だこのDr、早く何とかしないと…)
こんなもの本当に開発されたその日には、まさしく「オーブの理念?なにそれ美味しいの?」的な展開になりかねない。
「そ、そう言えばDr」
「ん、何だ?私は今から万能型ユニットの開発を……」
「先程、シン・アズサが研究室の前まで来てましたよ」
「な、なんだと?本当か!?」
モニターの電源を切り、再び研究に没頭しようとしていたDrの動きが、サイの一言で止まる。
慌てて回れ右をし、サイへと詰め寄った。
「ええ、何でもDrと一緒に初詣に行けたら、と誘いに来たらしいのですが、インターホンを鳴らしても誰も出てこなかった…と」
「そ、それで?」
「仕方がないからアスハ首長かルナマリア・ホーク嬢と一緒に行こうかと……」
「ッ!?」
バンッ!!
サイがすべて言い終わるより早く研究室を飛び出していくDr。
恐らく半日は戻ってこないだろう。
(悪いな、シン・アスカ君)
犠牲となってもらった少年に心の中で謝罪をしながら、サイは研究室を片付け始める。
どんな経緯があってこんなものを作り始めたかは知らないが、恐らく思いつきだろうし彼女は飽きっぽい。
2〜3日シン・アスカをだしに使って研究から離れさせれば、別の研究対象が現れるだろう。
(しかし……)
もしDrがそのまま、3機のユニットの能力を1機にまとめたユニットを完成させていたら、どのような機体になっていただろう?
3機の長所の『すべて』を兼ね備えた機体……つまり、
「プランA・ALL(オール)フェイズ……か?いや、まさかな」
ふと思いつた名前を呟き何故かひどい既視感に襲われたサイだったが、気を取り直し研究室の掃除を再開した。
遅くなりましたが明けましておめでとうございます。
>>365を見てMOR氏に便乗してみました。お節とか初詣とかオーブにあるのかしら?
あと某ゲームのラスボス機体ってあれだよね、ぼくのかんがえたさいきょーのg(キョクゲンノゼツボウヲクレテヤル
エウロハイム級突撃要塞ガンダムという単語が脳裏をよぎった
乙&GJ!
確かに核エンジン搭載予定だって言ってたなーとか思って読んでたらトンデモで吹いたw
そういや、別次元(GSC世界)のサイはプランA知ってるんだよな
テス
385 :
513:2012/01/12(木) 22:31:56.47 ID:???
お疲れ様です。ようやくネット繋がったので第七話投下致します〜
《年月日、オーブ時間11:25、旧体制派による武力蜂起が勃発》
《同日13:45、旧体制派に属するMS部隊によりオーブ領カグヤ島が占拠》
《15:00、旧体制派からの声明文が発表される。内容としては、現代表カガリ・ユラ・アスハの速やかな辞任及び国外への退去処分。
又、その政策に組していた者も全て除籍ないし排斥。さらに、戦艦アークエンジェルとオーブ全軍のMS所有権の譲渡を要求。
軟弱な現体制を取り除き、亡きウズミ代表の理念に立ち返った正しい国家再生を望んでいるとの事》
《16:00、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハによる声明が発表。
“テロリストの要求には一切応じない。速やかに不法占拠している島を明け渡し投降せよ。
従わない場合、それ相応の対処に出る事になる”と発表》
《19:20、アスハ代表の声明に対し、旧体制派は交渉拒否の声明を発表。
これを受け、アスハ代表は速やかなテロリストの鎮圧を発表。軍事同盟を結んでいるプラントにも正式に援助を要請》
《22:00、オーブからの援助要請を受けたプラントは、防衛部隊隊長キラ・ヤマトを中心とした救援部隊を創設。
速やかなテロリスト鎮圧の為、ストライクフリーダムに加えインフィニットジャスティスも投入しての電撃戦を決定》
《22:30、月面宙域に滞在していたストライクフリーダム及び所属部隊数名が、本隊より先行し地球への降下を開始》
《23:10、大気圏突入を終えた先行部隊がカグヤ島へと接近。テロリストに対し改めて投降を勧告。
しかし、テロリスト側はこれを拒否し、現在も膠着状態が継続中》
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「シン、もう少し落ち着いて、と言っても無理な話ですわね」
「落ち着きたいですけど、落ち着くことは出来ませんね。
あれだけ国を、国民を犠牲にしたアスハの親父の理念に立ち返るだって?冗談にしたって最低過ぎる」
オーブ軍艦の甲板上に立つストライクフリーダムとその奥に見えるカグヤ島を映し出しているテレビを見ながら、
俺は苦虫を噛み潰すだけでは飽き足らず、目力だけで人を殺せるような顔をしていた。
これからは、国民の幸せを第一にした国家再建を行っていくと発表したアスハに何やってんだという思いもあるが、
それ以上に、前大戦であれだけの犠牲が払われたというのに、まだウズミの理念なんかに縋っている奴らが居る事への
失望の方が大きかった。あんなものを守るために俺の家族は殺されたのかと思うと、憎んでも憎みきれない。
「それにしても、随分あっさりとプラントは援助を表明しましたね。もう少しグダると思いましたけど」
「以前でしたらそうかもしれませんけれど、今は正式にオーブとは同盟を結んでいる訳ですし、
何より月面宙域にキラが駐在しているのも、有事の際には速やかに動ける為ですからね」
「何だ、あの人そんな役割も担ってたんですか。てっきり、面倒な仕事は全部アスランに押し付けて、
自分はのんびり好きな事やってるのかと思ってましたよ」
「さすがのキラでも、正式にプラントの防衛部隊を任される立場となったのですから、以前と同じように
悠々自適とはいきませんわね。まあ、今までのんびりしてきた分働いて頂かないと」
キラさんが聞いたら、軽く落ち込むような会話をしながら、ふと俺は疑問に思ったことをラクスさんに聞いた。
「そういや、反体制派の奴らは何でカグヤ島を占拠したんですかね。蜂起後にMSやアークエンジェル寄越せとか
言うんだったら、モルゲンレーテのあるオノゴロ島を狙った方が確実なのに」
「そこは技術大国のオーブなのですから、当然モルゲンレーテ近辺の警戒は厳重だったのでしょう。
それに、カガリさんも旧体制派の動きはマークされていたはずでしたから、オノゴロ島よりかは多少ガードの薄い
カグヤ島を選んだのでしょう。それでも、マスドライバーが抑えられたという事は軍部のある程度上の者たちも
今回の武装蜂起に参加しているということでしょうね」
確かにオーブの要でもあるモルゲンレーテに被害が及んでいない現状はまだマシなのかもしれないが、
マスドライバーを掌握されているという今の状況ははっきり言えばプラントにとってはあまり宜しくない。
大戦終結後、正式に同盟を結んだプラントとオーブ間の物資輸送を一手に担っているのが、カグヤ島にあるマスドライバーだからだ。
このまま占拠された状態が長引けば長引くだけ、プラントの生活にも影響が出てくる。
「まあ、今のところいきなり何かが不足するなんて事はないでしょうけど、長引けば長引くほどにプラントへの
ダメージも大きくなっていきますからね。そう考えれば、今回のキラさんとアスランの出撃は分かりますけど」
「ええ、ストライクフリーダムとインフィニットジャスティスを主軸とした精鋭部隊投入による早期決着。
あまり目新しさのない作戦ではありますが、確実な手ではありますわね」
「とはいえ、二人が出撃している間はプラントの防備が手薄になるってのがなぁ。
エターナルやジュール隊は残っているみたいですけど、余りにも主力を投入しすぎている感じがするんですが」
「それも考えての早期決着狙いなのでしょう。それに、カグヤ島を奪還出来ればそこのマスドライバーを使用して
迅速に宇宙へ戻ってこられるのですから。先ほど、キラも言っていたではありませんか」
「いやまあ、確かに言ってましたけど。あの人、言いたいこと言って物も適当に置いてとっとと行っちゃいましたし」
「それだけ急いでいたという事でしょう。それでシン、キラが置いていったモノはなんなのでしょう?」
「以前話していた小型シャトルだって話ですよ。現状ゲイツじゃクレーター外へ買い物にも出掛けられないんで、
キラさんが暇つぶしを兼ねて作ってくれていたんですけど、まだ中身を確認してないのでなんとも」
「あら、これでようやくコロニーへもお買い物に行けるようになるのですね。今回の事件が無事終わりましたら早速連れて行って下さいな」
「あの人の手が入っていると考えると、どんなモノなのか想像付かないんで不安なんですけどね。
と、後続の部隊が降下してきたようですね。ジャスティスも降りてきたし、そろそろ膠着状態から抜け出すかな?」
TV画面には、プラントからの救援部隊第二陣が降下してくる映像が映し出されていた。
その先頭に立って降下してきたインフィニットジャスティスが、オーブ軍船の船上に立つストライクフリーダムの横に着地した。
「こんな事、早く終わってくれればいいんですけどね、本当に」
「そうですわね。何事も無く終わってくれる事が一番ですわ」
そんな事を話しながらテレビに眼を移すと、プラント代表としてのアスランがテロリストへの最終降伏勧告を行っているところだった。
しかし、先ほどのキラの時と同様に降伏は拒否され、それに伴い周囲のプラント・オーブ連合部隊が島へと動き出した。
こうなれば、後はどの位の時間でカグヤ島が奪還されるかだけだったが、突如TV画面にはオーブ議会の服を着た男が映し出された。
「こいつは確か・・・ウズミの腰巾着の一人だった奴か。いつも演説しているウズミの後ろに居ましたからよく覚えてますよ」
「そうですわね。確かウズミ様の理念に心酔されていた方のはずですから、今回の首謀者と見てまず間違いないでしょう」
その画面に映し出された中年の男は、沈痛な面持ちで話し始めた。
『この度、堕落しきったオーブを亡きウズミ様の掲げられた正しき道へと導いてゆく為に決起した我々であるが、
真に残念な事に、卑劣なる外圧によって今まさに無残にも蹂躙されようとしている』
『しかし、我らを卑劣なる手段をもってして排除しようとする愚かなもの達に、オーブの獅子より受け継がれた
我らの覚悟を見せてやろう。見よ!』
その言葉が終わった瞬間、切り替わった画面に映し出されたカグヤ島のマスドライバー各所から爆発が起こった。
その様は、かつてウズミ・ナラ・アスハが自らの娘達を宇宙に送り出した後に自決したあの忌まわしき情景と重なっていた。
『そうだ。あの時ウズミ様は連合の侵略を阻止する為にこのマスドライバーと運命を共にし、
その想いを受けた者達があの大戦を終結へと導いていったのだ。
だが、その想いを受けたはずのお前たちがここまで堕落してしまい、ウズミ様の想いまでも忘れてしまったというのならば、
その大罪、貴様らが守るべき者達に償って貰おうではないか!』
その言葉が終わるのと、俺たちの住むローレンツ・クレーターに警戒警報が鳴り響いたのはほぼ同時だった。
「クレーター防衛圏への接近警報!?くそ、やっぱりオーブの奴らはキラさん達をおびき寄せる為の囮だったのか!」
「シン、まさかこの度の騒動の本当の目的はまさか・・・」
「ラクスさん、間違いなくあなたでしょう。誰かは知らないけど、あなたを拉致するのならこれ以上のタイミングなんてないですし!」
そして、こちらへ強引にコンタクトを取ってきた相手側モニターに映る人物を見て、俺は心の底からゲンナリした。
そのモニターに映っていたのは、俺にワインを押し付けてきたあのいけ好かない査定員の男だった。
『お久しぶりで御座います、ラクス様。不敬の輩が帰ってこられない今こそ、あなた様をお救いする絶好の機会と馳せ参じた次第です』
「あぁ〜、予想はしてたけどやっぱあんたか。マジで勘弁してくれよ」
『ふん、あなた如きに発言を許したつもりはありませんよシン・アスカ。私はラクス様にのみご挨拶をしたのですから。
とはいえ、忌々しい事ですが一応あなたも連れて来るように言われておりますので、おとなしくしているように』
「ラクスさんだけじゃなく俺も?一体誰がそんな事を」
《貴様が気にする事ではない。ただ黙って従えば良い》
そんな言葉が聞こえ、査定員の後ろから現れた男の顔を見て俺は絶句した。何故なら、そこに立っていたのは
「な、何で」
《改めて確認するぞ。ラクス・クラインとシン・アスカだな?》
「何でお前が」
《大人しく私と一緒に来てもらおう。もっとも、拒否権など最初からありはしないがな》
「何でお前がそんなところに居るんだよ。答えろ、レイ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
短いですが、今回は以上です。マジ○チを崇拝する奴らも同じレベルのマジ○チって感じで書いてましたが、
結局ウズミの行動ってオーブ国民の事全然考えてなかったよなぁと改めて・・・こんな国家元首イヤ過ぎ!
転職して未だにバタバタしてますが、今年中には終わらせられるよう頑張りたいですね〜。
しかし、基本作業部屋に一人なのはやっぱ寂しい・・・もう、まな板でも何でもいいから誰k(ry
390 :
513:2012/01/12(木) 22:49:55.58 ID:???
投下して早々、訂正箇所がががorz
誤:《年月日、オーブ時間11:25、旧体制派による武力蜂起が勃発》
↓
正:《C.E.75年6月15日、オーブ時間11:25、旧体制派による武力蜂起が勃発》
分割して書いてると、自分でもワケワカメ。以後、気をつけます
おつー
レイ…生きてたのか
なんでオーブの連中に付いてるんだよ
いやいや,おそらくレイじゃなくて若い身体で蘇ったアル・ダ・フラガだろ
十中八九そうだとは思うが、歩シンの元ネタである高山版では
たしか死亡描写はなかったはずだから本人の可能性もゼロとは言い切れない…か?
シンの行動を鈍らせ封じるために利用されてる、例えば、議長の理想を捨てて
ラクス派に屈し、あまつさえ当のラクスと同居してる裏切り者だ、などと
吹き込まれあるいは洗脳されてたリとか。
高山版だと議長もおそらくは生きてそうだと勝手に思ってるわー
乙
乙でした!
査定員はツンデレで実は良い奴かもなんてのは俺の気の迷いだったか……
しかし、レイ(仮)は洗脳だとしたら、このスレでは実は生きてたり、老人になったり、のーみそだけになったりと実に忙しいやつだなw
投下します。 パイロット版です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
――C.E.75 5月6日 10:00、プラント首都・アプリリウス・議事堂にて。
一人で呼び出しを受けたシン・アスカは、ザフトの要人から至って事務的な口調でこう告げられた。
「本日をもって、シン・アスカをザフト軍から除隊する。今後いかなる理由があろうと、シン・アスカがザフト軍に復隊する事を認めない」
そう言い渡された途端、それまで直立不動でいたシン・アスカの顔が俯き加減になった。シンは反論も、泣きもしなかった。いや、泣けなかったという方が正しいだろう。
今は亡きデュランダル議長から下賜されたネビュラ勲章も、数々のMS、MAを葬った記憶も、そして、守り切れなかった人間の事も、何かもがどうでも良くなった。今すぐにでも記憶から消し去りたくなった。
「ザフト軍規に対しての違反行為!上官命令無視!許可されていない目標への勝手な攻撃!
連合特殊兵、ステラ・ルーシェの無許可解放!ステラ・ルーシェ解放時に、哨戒兵、看護兵に襲い掛かった反逆罪…」
長々と理由の読み上げが続く。何分ほど続いたのかは覚えていない。
確かに自分は今まで何度も軍規違反を犯してきた。それに関しては言い訳のしようがない。
それに、今まで自分を庇ってくれた、タリア・グラディス艦長、ギルバート・デュランダル議長はもういない。
「今までありがとうございました」
シンは頭を下げると、くるりと背を向けて議場の扉へと真っすぐに歩いて行った。
「とにかく来てくれ」と突然言われた時からその予感はあった。部署の移動なら一応「異動命令」という名目で言われるはずだからだ。通告書といったものも一切手渡されなかった。
シンは議事堂を出ると、愛用のバイクに跨がり、勢いよくエンジンをふかした。
行先は自宅である。寄り道するなどして、同僚の誰かにその事を伝えようとは思わなかった。
議事堂からバイクで約10分、住宅地に林立する独身者向けのワンルーム・マンションの中に、シンの家はある。
足を延ばせば数分で緑化地域に出られる場所ということもあって、なかなかの人気がある地域だ。
1Fにある自室のドアの前で暗証番号を入力し、ロックを解除して家の中に入る。
ザフトのトップエースともあろう者が随分と質素な家に住んでいる、と他人に思われた事は一度やニ度ではなかった。
事実、功績を評価した上層部からもっと広い家に住んでみないか、と打診された事もある。
シンにはそのような事はどうでもよかった。日々の衣食住に困らなければそれで良かった。
面倒がって最近は確認もしていないのだが、自分の口座には一生かかっても使いきれないほどの金が貯まっているだろう。
MSで戦場に出なくなってから1年ほどが経つ。軍属であったとは言え、今のシンの仕事はいわば警備員だった。
プチモビルスーツで十分であり、インパルス、デスティニーによる幾度もの激戦をくぐり抜けてきた彼にとって、今はひどく退屈なものだった。
「パイロットなんて、戦争が終わればこんなもんか」
シンは気づくとそう独り言を言っていた。これからどうしようか。人間、何かしら仕事をしないと心身とも腐ってしまう。まだ悠々自適という言葉を意識するような年では全然ない。
そんな事を思いながら、冷蔵庫にあったミネラルウォーターを取りだす。「地球・アラビア製」と書いてある高級品だ。
飲もうとした途端、インターホンの音が鳴る。モニターに映し出されたのは赤毛の少女、ルナマリア・ホークだ。
このまま居留守を決め込もうと思ったが、ルナマリアの話ぐらい一応聞いてやろう。
シンは面倒臭そうに扉を開けた。いつ見てもピンと出ているハネ毛が嫌でも印象に残る。
「で、何の用だ?昼飯ならまだだぞ」
「腹は減って無いわよ」
「まぁ、こんな所でも何だから上がってくれ」
部屋に上がり込んだルナマリアは不安そうな表情をしている。
勇気を振り絞るようにして、ルナマリアの方から話し始めた。
「…シン、明日からどうするつもりなの?みんな心配してるのよ」
「情報」はもう伝わっていたようだ。あの場には自分と要人の二人しかいなかったはずなのに。
「どうするって、俺の方が聞きたいぐらいだよ。まぁ、明日から本気出せば食いぶちの一つや二つぐらい見つかるんじゃないの?」
「そうじゃ無くって、本当にこれでいいの、って聞いてるの!みんなに挨拶の一つもしないもんだから」
「今頃その噂で持ちきりになってるみたいだな。当分の間、話のタネには困らないんじゃないか」
「シン、ちょっとどうしたのよ!あれだけ頑張っていたのに、どうしてこうなったのよ!」
ルナマリアの声には怒気が含まれている。自分の眼の前にいるのは、本当に1年ほど前までザフトのトップエースだったのか。平和な世界を築くために、過剰ともいえるほどのエネルギーを戦いに注ぎ込んでいた、あのシンはどこに行ってしまったのか。
「だからさぁ、軍の事はもうそのへんにしてくれよ。終わった話なんだからさ」
「私だったら絶対怒るわ。あんな扱いされて黙ってなんかいられない」
「今は平和だろ?俺が今更どこの敵と戦えって言うんだよ、ハハッ」
その最後の乾いた笑いを目にしたルナマリアは、怒りを爆発させてしまった。
「シンのバカッ!もう知らない!」
ルナマリアは猛然と立ち上がると部屋を後にした。勢いよく扉を閉める大きな音が響き渡った。
――やれやれ、アイツはこの俺にどんな夢を抱いているんだか。お前の知っている「シン・アスカ」とやらは、あの月面で死んだんだよ。
シンはしばらくすると、荷造りの準備を始めた。大して持っていくようなものもないので、荷造りに時間はかからなそうだった。
400 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:15:05.15 ID:???
――C.E.80 4月13日 10:00。
メサイア戦終結より6年の月日が流れた。
地球では、オーブを母体としたラクス・クライン王朝が、各国の協力による早期復興と平和のための人類統一の名目のもと、
圧倒的戦力を背景に着実に勢力を拡大しつつあった。日々繰り返される反クライン運動も、「キラ・ヤマト元帥による討伐」の名のもとに武力鎮圧されるのだった。
ゆるやかな閉塞感と諦観が人類に蔓延しつつあった。
オーブの首都・オノゴロ島や、プラントでは栄華を極めた地域もあるが、地球上の大部分は未だ貧困に喘いでいた。
それは中東の新興市街・ガルナハンも例外ではなかった。
ガルナハンの中心部にこそ小奇麗なビル群が広がっているが、少し外れればスラム街が広がっている。
そのスラム街を一人の男が歩いていた。長く伸びた髪を後ろでくくっており、顔には無精髭が長々と生えている。
汚れた作業着を身につけ、工具箱と思しき箱を持っている所からして、おそらくは機械修理工なのだろう。
そこにボロをまとった少女が近づき、その髭面の男のズボンの袖を引っ張る。
「ねぇ、お兄ちゃん、パンをくれたらなんでもしていいよ…」
それを聞いた男は少女と同じ目線になるように屈み込んだ。
「お父さんは?」
フルフルフル…少女は首を振る。
「お母さんは?」
フルフルフル…またもや少女は首を振る。
「一人なのかい?」
「ううん?お兄ちゃんがいるけど、私をかばって右足がなくなっちゃったの、動けないの。だから私が頑張るの…」
男は黙ってポケットから1枚の紙幣を取り出し少女に手渡した。少女は嬉しそうに走り出した。
男の眼にはどこか悲しみが溢れていた。
401 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:16:00.81 ID:???
――時を同じくして、ガルナハン郊外の谷間を沿う道をひた走る一台のジープがあった。乗員は4人。ジープの運転手は若い女、助手席に乗っているのは少年、後部座席には初老の男性と、少女。
ガルナハンは砂漠の中のオアシスを中心に発展した土地である。砂漠の昼間は特に熱い。皮膚が直射日光に曝されると水ぶくれを起こすほどである。
だから、乗員は皆帽子と長袖という服装だった。傍目から見れば未知の遺跡を探検するパーティーにしか見えない。
「ユベール、まだ着かないのか」
「急がなくてもモビルスーツは逃げはせん」
運転席の若い女は砂埃を防ぐためにゴーグルを着用していた。茶髪をポニーテールにして後ろでまとめている。
後部座席にいる灰色の髪をした初老の男――ユベール・ヴァトーは、ジープがこれ以上急いだら事故を起こしかねないほど程スピードを出しているというのに、少しも動じる様子は無い。
同じく後部座席にいる、黒髪の少女は腕組みをして、暇をもて余した様子で座席のシートにもたれかかっている。
助手席に座っている金髪碧眼の少年は振り落とされないように踏ん張っている。ヘタに話すと舌を噛みかねないのでじっとしているのだ。
402 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:17:40.94 ID:???
何分ぐらい経っただろうか、谷間沿いの道に右折出来そうな場所があった。
「コニール、そこを曲がってくれ」
「了解」
運転手の若い女――コニール・アルメタは、ユベールの指示に従いハンドルを切る。
スピードを出していたので、後輪が若干横滑りし、土煙をもうもうと巻きあげた。曲がった先の道はすぐに突きあたりだった。
「着いたみたいね。ここでしょ?」
少女の視線の先には何の変哲も無い空き地が広がっているだけだった。もちろん、そこがただの空き地では無いであろう事は全員が知っている。
ユベールは懐から端末を取りだすと、慣れた手付きで暗証番号を入力した。
入力が終ると、鈍い音を立てて、周囲の地面が4人が乗っているジープごと下がっていく。
足場が下がり切ると、眼の前には空洞を利用したモビルスーツ製造工場があった。といっても、
MS運送用のトレーラーにモビルスーツが1機寝かせてあるだけだ。ところどころ岩盤がむき出しになっている箇所もあった。
「もしかして、あれがそうなのか!」
「すっごーい…」
「絵本の世界だな、全く」
仰向けに横たわっているモビルスーツを見た少年、少女、コニール、驚き方は三者三様であった。
コニールがジープを適当な場所に動かしてから降りると、足場は再び音を立てて上がっていった。
「アル、行くぞ」
「はいっ!」
403 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:19:10.95 ID:???
「アル」とユベールに呼ばれた少年――アルバート・グラディスは、先頭のユベールの後に立って通路をついていく。
トレーラーに乗せられているのは白を基調とし、ところどころに緑が入っているモビルスーツだった。
「なんだかウィンダムに似てませんか?」
「デカくて速くて強い。これさえ揃えば負けは無い、と誰が言ったか知らんが、昔はそれで通用した。でも今は違う。さぁ、乗ってみろ」
ユベールの指示を受け、アルはコクピットに乗り込む。シートは大きめで、補助シートも出せるようだ。
「このコンソール…ウィンダムに似てるな」
アルバートは今までの戦闘訓練でもウィンダムに何度も乗った。実戦も何度か経験した。指紋認証後、コンソールのスイッチを押すと、システムの作動確認場面がモニターに出る。
「動くのか…?デュートリオンエンジン!?コイツ、デスティニーと一緒なのか!」
動くのは整備が終っているので当然と言えば当然だが、それでも初めて操縦するモビルスーツである。
こんな最新鋭モビルスーツ、本当に動かしてもいいのだろうか。そんな事を思いながらコンソールを動かす。
モビルスーツがトレーラーからゆっくりと立ち上がっていった。右手には標準装備と思われるビームライフルが、左手にはシールドが装備されている。
「こ、これって最新型のモニターじゃないか!」
コクピットから見える周囲全てに光景がパッと映し出される。第ニ世代後半の最新鋭機に採用されている全天周囲モニターである。
404 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:20:28.88 ID:???
アルは勇気を出して、モビルスーツの右足を一歩前に出した。
軽い。本当に軽い。実際には何万トンもの物体が動いているはずなのだが、モビルスーツであることを忘れさせてくれるかのように挙動が軽い。
それこそ、今までに乗っていたウィンダムとは比較にならない程だった。人間の視点を限りなく再現した全天周囲モニターと併せ、まさに人間が歩いているのとほぼ感覚的には変わらない。
――これに、これに僕が乗っているのか。
気がつくと、手が震え続けていると同時に、汗でびっしょりになっていた。
「動かせるか?入口まで歩いてみろ」
感動と驚きの余韻を味わう間も無く、ユベールからの指示が飛ぶ。半ば無我夢中でアルはモビルスーツを動かす。
地面が動くと、地下に隠れていたモビルスーツが地上に姿を現した。
「このモビルスーツはミストラル、ミストラルガンダムだ」
ユベールの言うミストラルとはヤドリギを意味する。ケルト、ゲルマン等では霊力のある木とされ、バルドルなど神、王、司祭殺しの神話にまつわる。
旧連合軍系列の地下組織によって開発され、小さな宿木でありながら、巨大な敵を倒す一矢となるように名付けられた。
ユベールはアーレオのメインスポンサーであると同時に、ミストラルガンダムの開発者でもある。
405 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:21:55.46 ID:???
「今までずっと隠していたのはこれだったのか」
「それはいいとしても、私って何のために呼ばれたの?」
「まぁ、第ニテストパイロットだ」
コニールと少女の取りとめの無い話が続く。後は、ミストラルをトレーラーに乗せてガルナハンに帰るだけだ。と、皆がそう思っていたところ、
WARNING!WARNING!
基地のそこらじゅうに取りつけてある赤色の警告灯が激しく点滅し、警告音がけたたましくなる。
「コニさん、これってシミュレーションなの?」
「いや、そんな予定は無いぞ!」
コニールは少女が付けた「コニさん」という気の抜けそうな勝手な渾名を叱る間も無い。
「偵察型ジンが2機だ。演習代わりにちょうどいいだろう。行け!」
「ちょ、ちょっと、今行くんですか?」
「ミストラルの性能でジンごときに負けることはありえん」
モニターから外の様子を見ていたユベールがアルに指示を飛ばす。アルは言われるがままに出入口に向けてミストラルを向かわせた。
「や、やっぱり軽いよ、これ!」
「モビルスーツの挙動に振り回され過ぎよ!」
「君、実戦経験はあるのか?」
「無い!」
「自信満々に言うんじゃない!もういい、僕がやるっ!」
アルは、少女と無駄話をしてしまった、と思いつつも、出入り口に立った。
406 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:23:10.92 ID:???
「な、なんだあのモビルスーツは?」
「ウィンダムか?いや、色がおかしいぞ、気をつけろ!」
ジンの2機のパイロットは地下から姿を現すモビルスーツの姿に驚きながらも、ライフルを構える。
「う、うわっ、もういたのか!」
アルが乗ったミストラルと、ジンはちょうど入口を出た所で鉢合わせする形となった。
武器はどこだ、と思う間もなく、ジンのライフルが火を噴く。
「わっ!」
アルは叫び声を上げた。モビルスーツ戦では格闘戦になると言われてる間合いである。そんな距離から撃たれればひとたまりもない――はずだった。
「なんだコイツ、まるで効いてないぞ!」
敵兵が驚くのも無理はない。ジンのライフルの直撃を喰らったミストラルの装甲の表面からは少し火花が散ったに過ぎなかった。
と、次の瞬間、ミストラルの右手から繰り出されたパンチがジンの頭部に直撃していた。十メートル以上もジンは吹っ飛んでいく。
「ええい、このスイッチだ!」
アルが慌ててボタンを押すと、頭部に内臓されていたバルカンが火を噴く。
「止まれええっっ!」
何十発か、バルカンが撃ち込まれると、眼の前にあるジンはゆっくりと後ろへと倒れていった。
「終わったようだな。出るぞ」
ユベール達が基地の外に出ると、バルカンで穴ボコだらけになったジンと、パンチを喰らって頭部が完全にひしゃげてしまっているジンから、手を上げて降りてきた敵兵が見えた。
407 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:24:23.80 ID:???
「この二人はどうすればいいんですか?」
「帰したく無い所だが、今の君らに捕虜を取る余裕は無いだろうからな。解放しておけ」
震えあがっている二人の敵兵を横目に、ユベールはコニールにジープを持ってこさせた。
「あれに乗って帰れ。砂漠に放置するのは少々酷だからな」
ミストラルのコクピットの中にいるアルトは、未だに心臓の激しい鼓動が止まらなかった。
とりあえず助かったんだ、そう思うとどっと冷や汗が吹き出してきた。
「初めてにしては上出来ね。動きはそのうちに慣れるって」
一体コイツは何なんだ、と少女に突っ込みを入れようとしていると、MSトレーラーが地上に姿を現した。
「我々はあれに乗って帰る。お前らにはこれをやる」
「ほ、本当にコイツで帰っていいんですか?」
コニールは、2人の敵兵に、乗って来たジープを指さした。
「あのお方がいいと言っているんだからそうしろ、気の変わらないうちにな」
「れ、礼は言わんぞ!」
コニールはジープで逃げ去る敵兵二人を見送ると、スクラップと化した2機の残骸に向き直った。
「おっと、大事な事を忘れていた。あの2機のメインカメラとメインコンピュータを回収しておけ、一応な。アル、出来るな?」
「回線ごと強引に取っちゃっていいんですか?」
「とにかくもぎ取れ。動けば儲けものだ」
408 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:27:01.48 ID:???
「アーレオ」と呼ばれる組織がある。
表向きは孤児院などを運営する福祉団体である。母体はクライン王朝の拡大に危機感を感じる地球上の市民運動であり、そこに旧連合・旧ザフト勢力、プラントの独立運動団体などが合流し、アンダーグラウンドのネットワークで繋がりつつ、各地に散っている。
当然一枚岩ではなく、各勢力の思惑が交錯してはいる。
当面は「クライン王朝による思想弾圧、武力支配への抵抗と、対話と相互理解による国際社会の実現」
という目標の元、地下活動が続けられていたのだった。
組織内はコーディネイター、ナチュラルが混在し、階級は厳密には存在しない。
兵器はレストアもの、横流しの機体がメインで、まだ本格的な脅威としてクライン王朝は認識してはいない。
「言い忘れていたけど、わたしも補充物資よ。アニエス・フランクルって言うの」
「あ、ああ…」
帰りのMSトレーラーの中で、アルはようやく落ち着きを取り戻した。
少女――アニエス・フランクルはどうやら自分の仲間であるらしい事は確からしい。が、変人である事も確からしい。
「あそこまで言うんだったらさ、君が乗れば良かったんだよ」
「だってわたしは予備だもん。それに、コーディネイターとナチュラルを比べるのって、ダイナマイト2丁と拳銃2丁、どっちが強いか比べるようなものだしね」
「どういう例えなんだよ?」
――アーレオには変わり者の女の子がいるって聞いてたんだけど、それがこの子か…
409 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:29:27.62 ID:???
「これから一緒に戦おうね」
アニエスはニコと微笑んだ。
――そりゃこっちの台詞だよ、とアルはため息をついた。
「アルは私がずっと一緒に見てきたからいいとしても、あの子はどうなんでしょう…」
「後々、かなりの戦力になるから、覚えておくといい」
「後々、ですか…」
助手席のユベールにそう言われると、コニールも納得するしか無かった。
「ねぇコニさん、あのジープって大丈夫なの?乗って1時間後ぐらいにドッカーンとか無い?」
「そんな手間をかけるぐらいなら、砂漠に捨てて帰った方が早い」
――全く、怖い事を言うよ、この子は。
「戦場ではあらゆる可能性を想定しておかなければならんからな。それぐらいでちょうどいい」
コニールの思いを打ち消すかのように、ユベールが口を開けて笑った。
410 :
( ^∀^) :2012/01/14(土) 06:29:58.51 ID:???
以上です。誤字脱字等あると思われますがご容赦下さい。
ミストラルだとポッドになってしまうぞw
>>396-410 おお、これはまた正攻法の新作ですね。
パイロット版とありますが続きのご予定はおありですか?
また倉庫にも登録させていただきたく思いますので、
メインタイトル等ご提示頂ければ幸いです。
冒険王版のネタとな・・?乙
「ガイアとアカツキを合わせたカガリ専用MSレオンが完成したよ!」
「実はMA形態に各種シルエットが四機合体して巨大MSになるよ!」
P:パーフェクト
E:エクセレント
D:ドリル
O:オーブ
「シルエットの頭文字を合わせてオーブの守護神PEDOレオンだお!」
そんな夢を見た
二度寝するは
可変式MS(しかもワンコ形態)をカガリが使いこなせるとは思えん。
やはりここはミナたま専用にするべきではないだろうか?
……ソウシンデソキウス
ガガガとエクスを足して二で割ったような機体をイメージしてカガリ専用には似合わないと思ったたけど
ライオンのステラ機なら納得
>>415 カガリ「そんなことはない!私はアフリカでコーディネイターの砂漠の虎と戦っていたんだぞ!」
ほsy
420 :
通常の名無しさんの3倍:2012/01/27(金) 22:33:56.65 ID:Ia7dQql8
保守します
去年末にちょっとSSの話題が出てたGSC氏って、すごい昔というか最初期の職人なんだな。
未だに名前とか氏の作ったキャラが時折語られるってのは驚きだね。最近は投下されてないようだが、
何か住人との諍いとか色々あったのか?
普通に完結しただけで、特に荒れたこともないわさ
423 :
513:2012/02/02(木) 19:24:29.54 ID:???
お疲れ様です。何も無ければ、八時から第八話投下致します〜
しかし、寒い!さすがに積もらなかったが、久し振りに雪を見ましたわ
「何でお前がそんなところに居るんだよ。答えろ、レイ!」
画面に映った、かつての友と同じ顔を持つ男に向かって俺は叫んだが、その男は冷やかな視線で俺を睨み付けた。
《レイだと?私をあんな“出来そこない”と一緒にするなど本来であれば万死に値するが、今回だけは許してやろう》
「レイ、じゃない?じゃあお前は一体」
《私の名はアル・ダ・フラガ。あの出来そこないのクローン、レイ・ザ・バレルのオリジナル、とでも言ったところか》
確かによく見れば、色白だったレイとは違い肌の血色もよく、
体格もどちらかと言えば華奢な部類に入るレイと比べて一般の成人男性同様しっかりとした体つきをしていた。
しかし、それ以上に奴がこちらへ向けている自分以外を全て見下しているような視線がこいつはレイじゃないと明確に告げていた。
「レイのオリジナル・・・じゃあ、あんたがレイを造り出した張本人か」
《造った、というのは語弊があるな。あれは私の新しい体を作る実験の過程で出来たおまけのようなものだ。
とはいえ、失敗作だったクルーゼでの反省を踏まえて作ってみたはいいものの、同じようなテロメアが出てしまったので
早々にデュランダルの奴に押し付けたのだが、中々どうして、存外に悪くないデータの収集を行えたのは収穫だったな》
その、まるで自分の造った玩具の出来を語るような物言いに俺は言いようの無い怒りを感じた。
こんな奴にレイの人生は玩ばれていたのかと。こいつのせいでレイは・・・
そんな、今にもゲイツに飛び乗って殴り込みに行きそうな俺の肩に、優しくラクスさんの手が添えられた。
「落ち着いてくださいシン。感情の赴くままに行動してしまっては、以前の私達と何も変わりませんわ」
「ラクスさん・・・」
「今は感情を抑え、相手の目的を知る事が第一です。闇雲に突っ込んでしまっては、あちらの思う壺です」
「ごめん、ちょっと感情的になってた」
「ふふ、そこがシンのいい所でもあります。誰かの為に怒る事が出来るというのは、とても素晴らしい事ですよ」
そういうと、ラクスさんは俺の横に立ちモニターに映るアル・ダ・フラガと向かい合った。
「ミスターフラガ。私達の事は十分にご存知のようですが、改めてご挨拶させて頂きます。
私の名はラクス・クライン。
プラント最高評議会議長を務められたシーゲル・クラインの娘にしてかつての三隻同盟の盟主で御座います。
現在はプラント新政権の一員として、“シン・アスカ矯正監督指導員”の任に就きこのローレンツ・コロニーに滞在しておりますわ」
《ほう、情報では世間を知らん親の七光りアイドルという話だったが、中々どうして只のお飾りではないようだな》
「お褒めに預かり光栄ですわ、ミスターフラガ。では、この度のご来訪の理由をお聞かせ願えますでしょうか。
現在、私は前大戦において心労を負った元フェイス、シン・アスカをサポートする職務に就いております。
ですから、余程込み入った事情が無いのであればお帰下さいな」
《ふん、大した雌狐だ。この資料を作成した奴は余程の能無しのようだな。
それとも、貴様がアイドルという隠れ蓑をうまく利用していたのか。まぁ、両方なのだろう》
『ミスターフラガ!ラクス様への暴言は、導師様の盟友とはいえ聞き流せません。撤回を願いたい!!』
《喧しいハエだ。貴様の役目はここまでの道案内だけで、既に終わっている。もう必要は無い、処分しろ》
『ミスター、何を仰って?ま、待て貴様ら、私をどこへ連れて行く気だ!?ラクス様!お助けくださいラクス様ーー!』
喚きながら引き摺られていく査定員へは一瞥もくれず、アル・ダ・フラガはラクスさんに対して言葉を続けた。
《あのクラインの娘というからあまり期待はしていなかったが、やはり百聞は一見にしかずだな。
貴様の体を最終実験の母体にするのは決定事項だが、その前に少々遊んでやるのも悪くない》
「・・・何を仰っておられるのか分かりかねますわ、ミスター」
《ふん、貴様もシーゲルに政治の道具として使われていたのだから、男の喜ばせ方位は仕込まれているだろう?
それとも、本当に何も知らない箱入り娘か?もしそうならば、貴様の父親は道具の使い方というものを分かっていなかったようだな》
「いい加減にしろよあんた。さっきからラクスさんの事をまるで物みたいに言いやがって。
しかも、レイと同じ顔でそんな台詞を吐かれたら余計に気分が悪くなる」
「シン・・・私は大丈夫です。それよりもミスターフラガ。先ほど仰っておられましたが、やはりあなた方の目的は私なのですね」
《相変わらず口の利き方を知らん小僧には後ほどそれ相応の罰をくれてやるが・・・その通りだラクス・クライン。
とはいえ、具体的に用があるのは貴様らが持つ“SEED”の因子なのだがな》
「“SEED”・・・確かそれは」
《貴様もマルキオと多少の面識があったはずだから聞かされた事くらいはあったであろう。
SEEDが発現したものは、今の人類よりも1つ上の存在へと進む。簡単に言えばより進化した人類だ。
ナチュラルよりもコーディネーターよりも優れた存在。それが貴様ら“SEEDを持つもの”だ》
「確かに導師様からそのようなお話を聞いた事はあります。ですが、余りにも荒唐無稽過ぎて・・・」
《だが、貴様らはSEEDを発現させた。それは覆ることの無い事実だ。
最も、貴様とキラ・ヤマト、カガリ・ユラ・アスハ、アスラン・ザラはそのように調整されたのだから当然といえば当然なのだが》
「そのように調整?まさか・・・お父様達もあなた方の計画に加担していたというのですか!?」
《当然だろう。プラントの最高評議会議長にまでなった男が、何の調整もせずに娘を作ると思うか?
貴様の歌声が、何故プラントのコーディネーター共にあれだけ受け入れられていたか考えた事は無かったのか?
それは、他ならぬ貴様の親がそのように貴様をコーディネイトしたからに過ぎないからだ。
貴様の歌声はプラントのコーディネーターに安らぎを与える。その影響力が貴様の父親の政治基盤を作るのにどれ程役に立った事かな》
「そんな・・・では私は、私の歌は・・・」
告げられたあまりにも残酷な真実に、ラクスさんはその場に崩れ落ちてしまった。
俺は慌ててその体を支えたが、ふと今の会話の内容に引っ掛かりを覚えた。
「おい、ラクスさん達が“SEED”ってのを発現出来るって話は分かったが、それならなんで俺もお前らに狙われているんだ。
うちはごくごく一般的な家庭だったし、俺はその“SEED”ってのが何なのかも知らないんだぞ」
《貴様の場合は貴重なサンプルだからだ。調整された他の4人と違い、自力で“SEED”を発現させた野生種・・・とでも言おうか》
「だから、その“SEED”ってのはなんなんだよ!俺はそんなもの見た事も聞いた事もないぞ!」
《貴様が知る必要はない。貴様は貴重なサンプルの1つとして、我々のラボにてその生涯を全うしてもらう。
これから約40分でそちらに到着するが、その間、下手な気は起こさず大人しくしていろ》
そう言い残してアル・ダ・フラガは一方的に通信を切ってしまった。
「くそ、結局“SEED”ってのが何なのかよく分からなかったけど、あのレイと同じ顔した奴がいけ好かない事だけははっきりした。
あんな奴に捕まって一生オモチャにされて弄くられる人生なんて真っ平御免だ。逃げますよ、ラクスさん!」
そう言って抱き抱えていたラクスさんに脱出を促すが、ラクスさんは弱々しく首を振った。
「シン・・・あなたは一人でお逃げなさい。私はここに残ります」
「は?何を馬鹿な事を言ってるんです。ここに居たら奴らに捕まってどんな酷い事をされるか分かんないんですよ」
「それは分かっています。これは、きっと罰なのです。今まで私が積み重ねてきた罪に対しての」
そんな、今までの自らの行いを悔い嘆き、まるで処刑場に向かう死刑囚のような表情のラクスさんを俺は抱き上げ走り出した。
「シ、シン!?何をなさるのです、離して下さい!」
「お説教なら後で幾らでも聞きますから、今は黙ってて下さい。とにかく奴らが来る前に脱出しないと」
「ですから私は残って・・・」
「ああもう!この前も言いいましたけど、一人で自責の念に囚われて勝手に死に急がないで下さい!
それに、あなたは俺にこの世界の行く末を見せてくれるって言ったのに、それをあっさり放り投げて逃げるんですか?
第一、あなたの生殺与奪の権利は俺にあるんです、一人で勝手に死ぬ事なんて許しません」
「シン・・・そうでしたわね。ありがとうございます、思い出させてくれて」
「素直で結構。じゃあ、とっとと逃げますか」
「ですが、どうやって逃げるのですか?あなたのゲイツでは、クレーター上空の防衛圏は抜けられないはずです。
いくらあのゲイツが早いとはいえ、100近い攻撃衛星の網から抜ける事など不可能なのでは・・・」
「ま、そこら辺は何とかします」
不安そうなラクスさんを抱えながら、俺は居住スペースを抜けゲイツのある格納エリアへと向かった。
「ラクスさんの言うとおり、このゲイツじゃ月面からは出られません。
だから、こいつを囮にして少しでも時間を稼いで、その隙に脱出します」
「それは分かりました。ですが、MSも無しにどうやって脱出をするのですか?」
「あれを使うんですよ、あれを」
俺が指差したのは、ついこの間キラさんが持ってきたシャトルが入っているというコンテナだ。
「この中のシャトルを使って脱出します。まあ、シャトルの性能がどの位のモノなのかまだ分ってませんが、
あのキラさんが魔改造したものですし、ゲイツを囮にしている間にクレーター防衛圏を脱出するのなんて簡単ですよ」
「大丈夫でしょうか?その、キラは時々やりすぎてしまう事がありますし」
「ま、まあ大丈夫だと思いますよ?とにかく今は中身を確認しないと」
そう言いながら、コンテナの中に入って見ると、突然声が聞こえてきた。
『やあシン、ラクス。元気かい?』
「キラさん?あんたオーブに居るはずじゃ!?」
『ああ、これは録音した音声だからどんだけ探しても僕は居ないよ。
マニュアル読むの面倒臭がりそうなシンの為に特別に録ったものなんだからよーく聞いてね』
「何か自分の思考読まれているような受け答えなんだけど本当に録音かよ・・・ま、今は気にしてられないか」
『どうせシンの事だから色々と勘繰っていそうだけど、そろそろシャトルの説明してもいいかな?』
「本当にこっちの事を見ているような受け答えですわね・・・」
『さてシン。このシャトルを使う事態になったという事は、何かしらの脅威が君達の元へ向かっているんじゃないかな?
それが杞憂であれば良いけど、多分僕の言った通りの状況に今直面していると思う。
だから、そんな不測の事態に遭っている前提で話を進めるよ』
そんなキラさんの音声に合わせて、コンテナ内の照明が付き中に鎮座するシャトルを照らし出した。
『これが君に贈るシャトルだ。一応貨物シャトルって事で改造したから荷物を積み込む為の小型コンテナが取り付けられる
箇所もあるけど、本当はそのクレーターから脱出する為の僕特製ブースターを搭載した自慢の一品さ』
「・・・ここまで来たら、もう何があっても驚かないぞ」
『操縦方法に関しては、君が以前操縦した事があるタイプの物だから練習の必要もないよ』
その言葉を聴き、コックピットを覗き込んで見ると確かに見覚えのある構造だった。というか、座席の前に鎮座している
操縦桿はあの戦いの中で慣れ親しんだ物と同じものだった。
「まさか・・・こいつの原型ってコアスプレンダー!?」
『そう。こいつの本体はシンが乗っていたインパルスのコアスプレンダーさ。
少し前に、前政権から新体制への一新の時にデュランダル前議長に関わりのある物は全て廃棄するって話が持ち上がって、
インパルスも処分されちゃいそうになったんだけど、勿体無かったんで僕が貰って改造したんだ』
『僕としても、僕を撃墜したインパルスがどんな機体なのかは気になっていたから、この機会に色々と見させて貰ったんだけど、
機体運用はストライクのパックシステムと同じような感じなんだね。というか、殆どパクってるのかな?』
「うぅ、痛いところを」
「普通だったら気を使ってオブラートに包むところを、容赦なく突っ込んできますわね」
『ま、そこら辺はストライクパックシステムが優れた物だったからお手本にされたって考えれば悪い気しなかったけどね。
で、本題に入るけど、この改造コアスプレンダーでならクレーターの防衛圏をぶっちぎって抜ける事が可能だよ』
「くそ、ストライクは自分で作ったものじゃないはずなのに、無駄に偉そうだなこのスパコーは」
「その辺りは流しましょうシン。それで、操縦は出来そうですか?」
「ええ、ぱっと見たところ特に変わっているところはないですから、直ぐにでも操縦出来ますよ。
しかし、周りが装甲パネルやら何やらで覆われているからもうコアスプレンダーの面影殆どないな。
こんなんで本当にあの防衛圏を突っ切る事出来るのか?」
そんな心配そうな俺の声に対して、キラさん(音声)は自信満々で答えた。
『色々と増加装甲が付いていてスピード出ないと思っているかもしれないけど、安心してよ。
装甲と一緒に取り付けた3つのブースターを段階的に開放する事によって、通常ではありえないスピードを得られるから、
たとえ相手がアスランの乗っていたセイバーだろうが、あっという間にぶっちぎっちゃうよ』
その言葉通り、コアスプレンダーの後ろには巨大なロケットブースターが取り付けられていた。が、
「でもこれって・・・明らかに機体本体より大きいような。てか、こいつに付けるものとしては明らかにサイズおかしいんだけど!」
『まあ、元はプラント間を行き来する高速船なんかに使われていた物を改造して取り付けたんだけど、大丈夫大丈夫。
で、こいつの使い方なんだけど』
「聞けよ!」
「シ、シン落ち着いて下さいな。録音なのですから」
『も〜、どうせ訳分かんなくなって叫んでいる思うけど、続けるよ?
この3つのブースターは発進後に段階的に自動で点火するようになっているから、そっちでの操作は必要なし。
シン達は、思う存分そのGの圧力を受けて座席にへばり付いていればいいだけだから簡単でしょ?』
「もういいや・・・でも、パイロットとして訓練した俺はともかくラクスさんにはきつくないか?」
『あ、ラクスは専用の耐Gパイロットスーツを用意してあるからそれを着ておいてね。
まさに、こんな事もあろうかとってやつだね。一度言ってみたかったんだ、この台詞』
「用意いいな本当に!てか、俺のはないのかよ?」
『エースパイロットだったシンには必要ないでしょ?じゃあ、早くスーツ着て座席に座ってね。
この音声が終わった10分後にブースター起動するようになってるから。じゃあ、また後で』
「そういう事は早く言えーー!!」
そう言って切れた音声と変わるようにコックピットに取り付けられたアラームがなり始めた。
Pi“09:59” Pi“09:58”
「ああもう!相変わらず人の話聞かないで勝手に話進めて!って、録音だから言っても仕方ないのか。
じゃあラクスさん、とっととスーツに着替えて下さい、ってどこかに隠れて着替えろー!」
そう言って振り返った先では、上着を脱ぎ下着姿のラクスさんが用意されていたパイロットスーツに足を入れている所だった。
「いえ、時間が勿体無かったので、手早く着替えてしまおうかと」
「うぅぅ、もう少し俺に対して女性としての羞恥心とか持って下さいよ。それに、仮にもプラントの歌姫なんですから」
「あらあら、私の姿に欲情したのですかシン?いけない子ですわね」
「はいはい、そういう事はもう少し育ってから言ってくださいね。具体的にはむn(ry」
「それ以上仰ったら、捻じ切りますわよ?」
「了解了解。分かりましたから、その手に持ったペンチは下ろして下さい」
そんな漫才をしながら、手早く着替えを済ませコアスプレンダー【仮】に乗り込んだ。
「しかし、強引に複座にした感は否めないな。ラクスさん、狭くないですか?」
「少しお尻がキツイ感じがありますが、大丈夫ですわ」
「(そっちに栄養いっちゃってるのか・・・成程)」
「シン、何か仰いまして?」
「いえ、何も?それじゃあ、起動しますね」
さらに追求してきそうなラクスさんの言葉を遮り、俺は慣れた手つきでコンソールを叩いた。
座った瞬間に確信したが、こいつは紛れも無く俺が乗っていたあのコアスプレンダーだ。
デスティニーに移ってからはルナが乗っていたが、操縦桿の感触、座り心地があの当時の記憶を蘇らせてくれる。
「まさか、もう一度お前に座る事が出来るなんてな・・・短い時間かもしれないけど、宜しくな」
「シン、こちらの準備は終わりました。いつでも大丈夫ですわ」
「了解です。しっかり掴まってて下さいね」
ラクスさんの言葉を聞き、俺はリモコンで格納庫の扉を開け、機体のエンジンに火を入れた。
少しずつエンジン音が高くなっていくのを確認しながら、遠隔操作でゲイツ・カスタムを奴らの来るであろう方角へと向かわせた。
「お前も短い間だったけど、ありがとな。悪いけど、もう一仕事して来てくれよ」
ゲイツが視界から消えたのを確認して、俺は操縦桿を握りなおした。
「それじゃあ、行きますよ」
「はい、お任せしますわ」
「と、折角こいつに乗ったんだから、やっぱりあれ言わないとな」
「あれ、ですか?」
「ええあれです。こういう時は格好良く決めて飛び出すのが相場でしょう?」
「全くあなたという人は。ですが、確かにその方が気持ちも切り替えられそうですわね」
「でしょう?それじゃ、ラクスさんもお願いします」
「分かりましたわ。それではご一緒させて頂きます」
「「シン・アスカ、ラクス・クライン。コアスプレンダー行きます(わ)!」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎コアスプレンダー改[キラ・ヤマトお手製:複座式]
プラント新政権が、デュランダル前議長時代の品を処分する際に、キラ・ヤマトが引き取り
シン・アスカが使用する移動用シャトルとして改造したもの。
だが実際は、不測の事態を予想しての高速脱出艇であり、貨物スペースは皆無に等しい。
例の如く武装は全て取り外されているが、追加装甲を取り付ける事によって、狙われた際の防御力を上げている。
又、追加装甲が一定のダメージを受け自動でパージされていく事によって、加速度的に速度も上がっていく。
さらに、機体後部に増設された3つのロケットブースターが段階的に点火されていく事によって殺人的な加速が得られ、
ローレンツ・クレーター上空の防衛衛星の攻撃エリアも楽々突破出来る様になっている。
しかし、スピードだけに重点を置いて改造を施された為に、中に乗るパイロットには相当のGが掛かる事になる。
その為、搭乗の際には専用の耐Gスーツが必要になるのだが、予算の都合で1つしか用意出来なかった(キラ・ヤマト談)
以上で第8話終了です。相変わらず話進んでない上に戦闘ありませんがご容赦を
アルのキチっぷりとかは、大好きな劇ナデに出てきた火○の後継者から影響されてますが、今見返してみても外道だなぁ・・・
次は地上の状況も書いていければなと思いますが・・・早く土曜も休みにならないかな〜
それでは
GJ、いよいよ話が動き始めて続きが楽しみ。
ひとつ気になったのは、SEED持ちの中で
カガリも調整受けてないと思うんだが。
アスランとラクスは二世代だけど調整受けた
ハイブリッドらしいが。
GJ!
まさかのアルダ登場とは。
433 :
513:2012/02/02(木) 22:49:35.22 ID:???
>>430 そこは色々見ていて悩んだんですけど、カガリが唯一ナチュラルなのに種割れ出来るという特異性を加味して、
このシリーズでは、ユーレンに何かしら弄られた後にヴィアの胎内で育てられたという設定でオナシャス
ディスティニーは宿命
フェイトが運命
>>429 乙でした!
MSかと思ったらまさかのコアスプレンダーブースターとは!
……それにしてもアルはやっぱりゲスいなぁ。 そりゃムウも親父嫌いになるわ。
>>434 日本語に訳するとどっちも運命だけどデスティニーは普遍的な意味での運命、フェイトは悲観的意味。
フォーチュンは希望的な意味で、あまり使われないけどドゥームが死や破滅的な運命とかはよく聞くね
>>429 乙でした!
物語が動き出しましたが、キラ(録音)とシンの会話と書いてボケとツッコミと読むシーンはフキまくりましたwww
相変わらず、シン歩の人のギャグは面白くて大好きです!!
このアルは
スパロボで言うとゼゼーナン(中ボス)で終わるかシャピロorシロッコ(ラスボス)になる瀬戸際のようなオーラがある
438 :
513:2012/02/04(土) 12:16:55.54 ID:???
>>437 スパロボFは、何周しても飽きないので、未だにサターン共々現役ですわ。容赦無く切り払ってくるエリート兵マジ鬼畜w
たしかにシンにパイロットスーツはいらんな
種死時加速度最高の運命をパイロットスーツ無しで平然と乗りこなしてたし
EXVSでデスティニー使おうと思うが、コス3000は乱入でフルボッコにされそうだからヴァサーゴばっかり使ってるお
そういや、何気に種はアニメでもゲテモノ系多かったな。フォビしかりレイダーしかり
「私、射撃苦手なのよね〜www」とバンバン(味方に)ハンドグレネードぶち当てる誤射マリアさんマジパネェっす
「忘れてた?アタシも赤なのよ!(キリッ」と敵味方諸共ゲロビでふっとばすアホ毛マリアさん、マジリスペクトしてるっす
つまり、シンを落としたのも誤射と……
そんなので彼女ヅラは迷惑ですね
「送信っと」
だけど、EXVSだと援護用の2000機体としては悪くないと思うの
時々、味方諸共オルトロスぶっぱなしちゃうけど、可愛いものよね〜
「送信、っと」
要するに、ルナマリアは学習能力が無いから、何度でも同じ失敗を繰り返す
どうしてこうなったか、どうしてこう動いたのか答えられない奴は決して一流にはなれない
パイロットをしっかり叱れないタリアだから使ってもらえただけ ブライトさんだったら干されてる
お嬢様が胸ネタに敏感なのは実はキャラ性がカガリと被るからじゃないのか?
そんな事をポンコツなキャラと同一視されるのに反論する某動画を見ながら思った。
>>446 どの動画かは知らないけど、例えるなら山田とユリンほどお嬢様とカガリは似てないと思うよ
性格とか髪型とか身長は
>>444 あんな「必中30消費www」よりコスト2500だが射撃・格闘・迎撃・援護と何でもこなせるインジャの方が僚機として優れていると思うんだが
「送信」
ゲームと言えば、何故かVITAで今更SEEDのゲームでるね
買うけど
VITAの種ゲーは、デスインパが出ることに驚きだよっ!
HGで出ないもんかな・・・
しかし、来週はついにバレンタインか。
シンの家には、どんな感じのチョコが届くのかなー?ヤッパリアイジョウタップリノテヅクリカナ?
>>453 CEでは血のバレンタインがあるからコーディネイターの女性は喪に伏すだろうし
傭兵やら軍属のシンは活気づくコーディネイターのテロリスト対策に追われそうだな
……どこぞの企業のお嬢さんは砂時計型の悪趣味なチョコ社員に配ってたけどw
455 :
513:2012/02/10(金) 21:15:32.97 ID:???
ヒャッハー!明日から土日休みじゃー!
という事で、短いですが第九話投下します〜。ただ、中の人ネタがあるので苦手な方はごめんなさい
「さて、何とか発進したはいいものの、このまんまだとクレーターの防衛圏は突破出来ないんだよなぁ」
「もう直ぐ10分経ちますから待ちましょうシン。とりあえず、どの位加速するのでしょう?」
格納庫から飛び出した俺達がそんな話をしていると、添え付けられていたアラームが電子音と共に“0:00”の数字を映し出した。
「お、時間か。ラクスさん、シートベルトはしてますか?」
「ええ、ばっちりですわ」
そんな俺達の反応を待っていたかのように、コックピット内にキラさんの声が響いた。
『やあ、ラクス、シン。無事に脱出出来たようだね。それじゃ、これからブースターを点火していくよ』
「はいはい、奴らが来る前に手っ取り早く始めてくださいね」
『言い忘れてたけど、ブースターはあくまでブースターだから、操縦に関してはシンがしっかりやってね。
でないと、脱出したはいいけどもデブリや小惑星にぶつかって大破!なんて事になっちゃうから』
「な!だからそういう事はもっと早く言えー!!」
『それじゃ、いくよ!』
「ちょ、ちょっと、待っt」
そんな大慌ての俺が操縦桿を握るのと同時に、キラさんのブースター点火の掛け声が機内に響いた。
『第一ブースター“衝撃のファーストブリット”点火ー!』
次の瞬間、今まで緩やかに見えていた景色が一瞬のうちに後ろへと流れていった。
「うおおおお!なんちゅう加速だ!!ラクスさん!?」
「私は大丈夫ですわ。体も固定されていますし、スーツのお陰でそこまで影響はありません」
「そりゃ良かった!こっちは超ド級のジェットコースター乗ってる気分ですよ!」
『じゃあ、次行くよ!』
「もうかよ!クソったれ!」
『第二ブースター“撃滅のセカンドブリット”突き進めーー!』
さらに加速を増していくコアスプレンダーを必死に操作しながら、俺達は攻撃衛星の防衛圏へと突入していった。
クレーター上空に設置されている衛星群は、基本的に攻撃対象はMSに限定されているという話ではあるが、
さすがにこんな速度で突っ込んでくる機影があれば別だ。当然のように、コックピット内に警告アラートが鳴り響いた。
「ちぃ!何とかミサイルにロックされる前に突き抜けるしかないか!」
「シ、シン、大丈夫なのですか?」
「ここまで来たら、もう後戻りなんて出来ませんよ。一気に突破します!」
『よし、最後行くよ!』
「こんちくしょお!きやがれってんだ!」
『最終ブースター“抹殺のラストブリット”打ち砕けーーー!!』
そんな色々と物騒な叫び声と共に最後のブースターが点火されると、先程までのGを大きく超える重圧によって
体が座席に押し付けられたが、俺は必死に操縦桿を握り締め、衛星群を横目にデブリの間を突き進んでいった。
「うおおおお!今度会ったら絶対ぶん殴ってやるぞ、あのスパコーめーー!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[同時刻、オーブ領域カグヤ島マスドライバー跡]
「アスラン、何か言った?」
「いいや何も。しかし、見事にやられたなキラ。ある程度、予測していたとはいえ躊躇無くマスドライバーを破壊するとはな」
「だね。もう少し分別あるかと思ってたけど甘かった。予め、最寄りの基地にシャトルの準備お願いしていてよかったよ」
「それでも、大きなタイムロスは出る。奴らの狙いは恐らくラクスだ。ぐずぐずしてはいられないぞ」
お互いの機体を触れ合っての接触回線を使ってこれからの方針を相談している二人の下へ、カガリの乗るアカツキが降り立った。
『キラ、アスラン!今回の件は完全に私の失態だ。すまなかった!』
「カガリがそこまで気に病んでも仕方ないよ。今回の件に関しては、僕達のミスも大きいし」
「キラの言うとおりだ。カガリが新体制を打ち出した事によって不満を抱えていた故ウズミ代表の取り巻き達の
狂いっぷりを読み切れなかったからな。しかし、この間の連絡ではまだそこまで酷くなかったようだが・・・」
『ああ、確かに先月の頭までは多少の動きはあれど大人しかったんだが、月の中頃になって急におかしな動きが増えてきたんだ。
その時点で、主だった者に事情徴収をしようとキサカを向かわせたんだが、雲隠れした後でその結果がこのザマだ』
「・・・誰かが何か吹き込んだ?」
「そう考えて間違いないだろうな。でなければ、こんな暴挙に出られるほど肝は据わってないだろう」
『しかし、一体誰がどんな事を・・・待て、奴らがマスドライバーを占拠したのは6月15日の昼だったな』
「そうだね。今はもう日付変わっちゃけど。あれ?その日付って確か」
『・・・お父様が我々を宇宙へと送り出し、マスドライバーで腹心達と共に自決された日だ』
「ウズミ氏の命日か。成程、その日に合わせて蜂起し、同じようにマスドライバーで自決する事によって、
亡くなられたウズミ氏の理想を思い出せ、とでも言いたかったのだろうな」
『ここ最近は国の再建で忙しかったし、弔いの式典を考えていなかった私に対する当て付けも兼ねていたのかもしれんな。
馬鹿げた事を。それでお父様と同じ事をして何になるというのだ』
「多分、彼らをそそのかした人物はそんな事はどうでもよかったんだろうね。真の目的は僕達の足止めで間違いないだろうし」
《御三人ともよい推理です。さすがは“SEED”を持たれる者達と言った所でしょうか》
突然三人の回線に割り込んできた声と共にモニターに映ったのは、前大戦の時から何度か顔を合わせた事があり、
自分達が所属していた三隻同盟に色々と協力をしてくれていた人物だった。
『マルキオ導師・・・』
《お久しぶりですね、キラ君、アスラン君、カガリさん。最近は、あまり顔を出して下さらなかったので寂しかったですよ》
「そっちからわざわざ出てきてくれるとはありがたい。この際、まどろっこしい事は無しにして単刀直入にお伺いします。
今回クーデターを企てた彼らを煽ったのはマルキオ導師、あなたですね」
《おやおや、久し振りだというのに挨拶も無しに質問とは随分とせっかちになりましたねぇ、アスラン君。
それに煽ったとは人聞きが悪い。私は単に、迷える子羊である彼らの背中を押して差し上げただけです》
「やはりあなたか。それに、背中を押したというが、あなたが押し出した先は地獄だろう?」
《いえいえ、彼らは満足して死んでいけた筈です。何せ崇拝する亡きウズミ氏と同じ死に方で逝けたのですから。
ですから、きっと彼らは自分達の死によってウズミ氏から受け継いだ崇高な志を世界へと示せたと思って逝った事でしょう。
そして、私はその手助けをしただけです。ですから、煽ったのではなく、行くべき道を示し導いて差し上げたのですよ》
その淡々と語る姿に、三人は戦慄した。今まで自分達は、こんな男と付き合っていたのかと。
しかし、そんな三人からの畏怖の視線を全く気にする事無く、マルキオは話し続けた。
《彼らの事はもう宜しいですかな?こちらとしても、そろそろ本題に入らせて頂きたいのですが》
「本題だと?あなたの目的は俺達の足止めをしてラクスを確保する事じゃないのか?」
《そちらにはすでに人を遣わしているので問題ありません。私が今、用があるのはあなた方にです》
「くそ!やっぱり、あっちにも仲間がすでに行っていたか」
『キラ、アスラン。こちらは私に任せて、お前達は一刻も早く宇宙に上がって二人の元へ向かえ!』
《おやおや、まだ話は終わってませんよ。そう焦らないで下さい》
「何ですか?時間稼ぎをしようというつもりでしたら、通用しませんよ」
《いえね》
そう言って、人の良さそうな笑みを浮かべたマルキオは、まるで世間話をするような口調で三人に語りかけた。
《こちらとしては“SEED”のサンプルは多ければ多い方が望ましいのですよ。
なので、アスラン君とカガリさんを番いとして、そして完成系であるキラ君を最上のサンプルとして、
私達のラボへとご招待したいのです。
ああもちろん、拒否されても構いませんよ。ですが、その場合はこちらとしても心苦しいものがありますが・・・
今プラントに住んでおられる罪無き方々に死んでいただく事になりますが、どうされますかな?》
アスランは、マルキオの言った事が理解出来なかった。自分達が投降しないなら、プラントの住民を殺す?
余りにも無茶苦茶で常軌を逸した発言に言葉を失っていると、怒りを露わにしたキラが叫んだ。
「あなたは一体何を考えているんですか!?罪も無い人達を脅しの材料に使って平然としているなんて!」
《ですから言ったではないですか、私としても心苦しいと。しかし、私自身に残された時間も残り少なくなって来てしまいましたので、
この際、多少強引な手段に出てでも全ての“SEED”を手中に収める事に致しました。さぁ、ご返答を》
「そんな事・・・」
キラの怒りの篭った叫びも受け流すマルキオに対し、多少の冷静さを取り戻したアスランが言葉を返した。
「悪いが、そんな無茶苦茶な要求を呑むことはできない。自らの身体がモルモットにされると分かっていて差し出す馬鹿はいないだろう」
《おやおや、それではプラントの住民がどうなってもよいと?》
「そちらに関してもノーだ。あまり、俺達をなめないでもらおうか」
『アスラン!だが、このままではプラントは』
「落ち着くんだカガリ。こんなに堂々と脅迫出来るのにはそれなりの理由があるからだろう。
恐らくは、既にプラントを狙い撃てる場所に何かしらの攻撃手段を持った仲間が居るようだが・・・違うか?」
《ほほう、以前と比べて随分と冷静なものの見方が出来るようになったのですね。大正解ですよ、アスラン君。
その正解のご褒美として、特別に教えて差し上げましょう》
そういってマルキオの元に映し出されたワイプに映っていたのは、連合の量産型MSウィンダムであったが、
その姿は、以前アスランが相手をした事のあるウィンダムとは違い、背中に巨大な物体がマウントされていた。
「(何だあの装備は?形状からして、恐らくは拠点攻撃用の武装が搭載された攻撃用ポッドか何かだろうが、
明らかに通常の対艦装備などと比べて巨大すぎる。じゃあ、一体何を・・・!?)まさか!」
《おや、もう気付かれましたか。さすがですねぇ》
『ア、アスラン?一体どうしたというんだ?静かになったと思ったら、突然怖い顔になって』
そんなカガリの心配する声も聞こえていないのか、アスランは視線だけで殺せそうな程に、マルキオを睨みつけた。
「核、か・・・」
《ええ、核ミサイルです。その効果の程は“血のバレンタイン”をご存知なら説明不要ですね》
『あなたは、何てものを!あの“血のバレンタイン”でどれだけの人々が亡くなったか知らない筈がないだろう!
アスランだって、お母様をあの事件で亡くしたんだぞ!!』
《ですから、効果の程は説明不要と申し上げたでしょう?たった一発で、あれ程の被害をもたらしたのですから》
「その口ぶりからすると、この1機だけという事では無いようだな」
《ええ、こちらとしても一つのプラントだけに撃つというのは不公平ですし、この際、使えるものは使ってしまおうと思いまして。
これと同じ物を搭載したウィンダムが5機編成の10部隊、合計50機。100発のミサイルを用意致しました》
『そんなに沢山の核を、一体どこから・・・』
《それがですね、前回の大戦時に使われる予定だったものが多量に残っておりまして、そちらを私達が譲り受けたのですよ。
プラントへ使用するとお話したら、大喜びで下さいましたよ》
『まさか・・・ロゴス、いやブルーコスモスの連中か!だが奴らは!』
《ええ。彼らとしても前回の大戦で大分痛手を被ったようですが、その組織力、影響力は実を言うと未だに健在なのですよ。
その受けた痛手の鬱憤を晴らそうと、この度の作戦では全面的に協力を申し出て下さいましたよ》
再び三人の間には沈黙が流れた。自分達の身を生け贄に捧げなければプラントが危ない。
だが、仮に自分達の身を差し出したとしても、あのブルーコスモスがそのまま核をプラントに向けて撃たないという保障はない。
逆に主力部隊である自分達が出払っている事を幸いに、嬉々として撃ち込んでくる可能性の方が遥かに高い。
しかし、次にアスランの口から出た言葉は、命乞いでも訳の分からない屁理屈でもない力強いものだった。
「そちらからの要求はよく分かった。だが、こちらの返答は先程と変わらない。もう一度言おう、ノーだ」
『正気かアスラン!?』
《ほう、ではプラントの住民はどうなってもよいと?》
「そちらに関してもノーだ。あまり俺達を嘗めないで貰いたいな。俺達があの“血のバレンタイン”の惨劇を忘れる筈がないだろう」
「ええ、確かに核は危険極まりないものですけど、撃ち込まれる前に対処出来れば問題ないからね」
《おやおや、随分と自信満々ですねぇ・・・ああ、成程。ギルバート・デュランダル時代に試作機が出来ていたアレですか》
「やはり知っていたか。デュランダル議長の時に対核攻撃用にと考案されていた“ニュートロンスタンピーダー”。
前大戦の時にも核攻撃をされていたら使用されていただろうが、あの当時の物はまだ試作機といっていいものだ。
だが、今のプラントに設置されているのはキラの全面協力によって完成されたものだ。
例え100発の核ミサイルだろうと、近付く前に全て破壊出来る」
「全面協力っていうか、完成までほとんど研究室に監禁されてたようなものなんだけど・・・
でも、アスランの言うとおり、今のプラントに核攻撃は通用しませんよ。自慢じゃないですけど、装置の出来には自信がありますから」
先程までの重苦しい空気から一転、相手の切り札を封じる事の出来るジョーカーの存在を切ったアスラン達であったが、
対するマルキオは、狼狽する気配も見せずにキラに話しかけた。
《成程、そのような装置が用意されてしまっているのでは、こちらの核ミサイルは意味を成しませんねぇ。これは困った》
「まだ何かあるような口ぶりですけど、もうあなたの切り札である核は意味をなしません。大人しく投降して下さい」
《ええ、ええ、確かに核は意味を成さなくなったかも知れません。ですが、先程私は“100発のミサイル”と言いましたね?
その全てが核ミサイルだと、私は言いましたかな?そして、あなた方が自信満々な“ニュートロンスタンピーダー”。
本当にその全てが、核ミサイルを迎撃するのに稼動してくれるのですかねぇ?》
「あ、あなたは一体どこまで!?」
《中の人間だけを殺すなら、核である必要はありません。むしろ、以前使用して多大な被害が出たものなら対処されて当然。
それでしたら、別の手段も織り交ぜて使えばよいだけの事。毒ガスしかり、細菌しかり。人を殺す手段など幾らでもあります》
《そして、キラ君が完成させたという“ニュートロンスタンピーダー”ですが、その全てをキラ君が手掛けた訳でもありますまい。
ならば、その製造工程に携わる者の中に私の同士が居たらどうでしょうね?ここ一番で作動しない物もあるかもしれませんよ?》
《さあ、どうされますかな?“SEED”を持つ者たちよ》
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
こんな感じで、第九話終了です。前半の声ネタと後半の温度差激しいので、苦手な方はごめんなさいね。
とりあえず、高山版では出てこなかったクルセイダーズとニュートロンスタンピーダーが登場。
アニメだと結構大雑把な使い方されてましたけど、ぶっちゃけブルコスの奴らがもうちょい頭良かったらプラント壊滅してたんじゃね?と
そして、ようやく善人の仮面脱いだマルキオ登場。この板の悪役の中じゃ、中堅位には逝けるかしら?
二日酔いのシンが朝起きたらベットの中にルナが居て、家の外には「あなたの子です」とシンにそっくりな子が捨てられていて
その場にホーク邸の座敷牢から逃亡して来たアスランが現れ、アスランを追って来たSO3のクレアパパのようなホークパパが現れ
次々と各ヒロインが特攻してく来る。
そんなSS書く夢見た
>>460 乙でした!
前半はトリプルフィンモーション!とか取り込んだのさあんたの速さを!とか言わなかったから少し安心したw 戸田ストレイの濃い絵柄になっちゃうもんw
マルキオ導師の突き抜けた安心と信頼の糞野郎っぷりと良くも悪くも忠臣キサカ。
ニュートロンスタンピーダーは9ザク47機分もベースマテリアル使うのに連続使用できない本当の意味での切り札だからなぁ
避難所に投下来てたけど、自分も規制中だったorz
誰か代理投下よろ
よし、やってみる
どなたか代理投下お願いします
バレンタイン前に下らないネタ投下(職人の皆様度々申し訳ありません)
2月14日、バレンタイン。
プラントでは「血のバレンタイン」として畏怖されていた日だが現在は下火になり、代わりにとある島国が発祥とされる
「女性が意中の相手にチョコレートを送る日」という製菓メーカーにとって喜ばしい事この上ない風習がこの2〜3年で世界に浸透し始めていた。
では今年もそうなのか?と言うと今年は少々毛色が違っていた。
これまたとある島国のゲームメーカーが、バレンタインをあるゲームソフトの発売日に決定したのだ。
『種子+(shushi−plus)』
5年程前に同メーカーから発売されたゲーム『種+(tane−plus)』の正式な続編である。
種+とは簡単に言うとリアルタイム恋愛シミュレーションとでも呼ぶべき代物だ。
3人のヒロインのうち1人と恋人になるのが一応の目的なのだが、従来の恋愛シミュレーションと異なり恋人関係になった後の日常パートに力が入れられて作られており、
圧倒的な数のイベント、可憐なヒロインの表情や仕草、ある意味理不尽ともいえる程リアルに調整された好感度システム等、今までに無いハイクォリティーな恋愛ゲームとして世界的な大ヒットを記録し、
様々な逸話を遺した伝説のゲームである。
※様々な逸話の一例
・戦時中にも関わらず種+を戦場に持ち込む兵士が続出
・派遣先での事件(現地人に対する性的暴行等)が減少したとして、地球連合軍の正式支給品に採用
・それに目を付けたロゴス研究者によって、ブースデッドマン・エクステンデットの精神安定装着に採用
・各ヒロイン派同士による争いで、オーブ軍一個小隊が内部崩壊
・上記を理由にオーブ軍では種+の全面禁止の命令が下されるが、兵士達のサボタージュにより撤回
・キラ准将の彼女はお姉さん系先輩キャラ ←!?
etc
その種+の続編、種子+の発売が発表と、正式なHPが公開された昨年の5月からしばらく、インターネット上には歓喜のコメントが溢れていた。
3 :通常の運命さんの3倍:CE77/05/16 12:00:30 ID:????
キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!!
197 :通常の運命さんの3倍:CE77/05/16 12:20:30 ID:????
種+復活!!種+復活!!種+復活!!種+復活!!
310 :通常の運命さんの3倍:CE77/05/16 13:00:30 ID:????
新作情報キタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!
544 :自由の叫び声 :CE77/05/16 12:42:44 ID:????
ありがとう。これで僕はまた、ちゃんと戦える。僕の戦いを…
821 :通常の運命さんの3倍:CE77/05/16 15:15:02 ID:????
トゥ!ヘアー!!ウワァァァァァ!!
しかし同年8月、HPで発表された一つ情報が、お祭りムードを一変させる。
[種子+の攻略対象キャラクターは『男性』です]
134 :通常の運命さんの3倍:CE77/08/02 01:30:16 ID:????
( ゚д゚) エッ?
( ゚д゚ )
174 :通常の運命さんの3倍:CE77/08/02 01:52:11 ID:????
種+終了のお知らせ
755 :通常の運命さんの3倍:CE77/08/02 03:30:21 ID:????
オイ、タイトル種子から種死に改名しろ
811 :自由の叫び声 :CE77/08/02 03:40:44 ID:????
男キャラで、いったい誰が喜ぶって言うんだ!!
820 :通常の運命さんの3倍:CE77/08/02 03:45:59 ID:????
非リア充ザマァwww m9(^Д^)
900 :自由の叫び声 :CE77/08/02 04:04:04 ID:????
モゥヤメルンダッ!!
予想の斜め上すぎるリニューアル内容に激怒するユーザーが大量発生。
正式サイトの掲示板やプロデューサーのブログは炎上、某巨大掲示板サイトには特別ページが作られる等別の意味で祭り騒ぎとなった。
だがそんな騒ぎになってもメーカー側は退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!とばかりに次々と情報を開示していく。
・舞台はC.E.73
・攻略対象キャラは基本1人で前半パートはザフト軍の赤服として登場。戦争の終結までに恋人関係になるのが目的
・後半パートでは恋人の容姿・性格・職業まで細かく設定可能(例:軍人・宙賊・傭兵)
・設定した性格・職業によって物語が変化するIFモードとひたすら恋人との甘々な生活を続ける日常モード完備
・プレイヤーの職業、立場は任意選択(極端な話ブルコスやロゴスでもOK、但し前半パートの難易度に影響)
・プレイヤーキャラ男女選択可 ←!?!?
徐々に明らかになる種子+の全容に、当初は非難一色だったユーザーの心境も徐々に変化していく。
134 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/07 22:11:16 ID:????
これ恋愛要素抜きにしても面白いんじゃね?普通に
180 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/07 22:42:35 ID:????
だから何故攻略キャラが男なのかと小一時間
194 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/07 22:54:30 ID:????
考えるんだ、逆にプレイヤーがヒロインだと考えるんだ
421 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/07 23:32:23 ID:????
隠しキャラとか居るんじゃないの?
499 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/08 00:12:05 ID:????
いやこれフルボイスなんだろ?もう隠し要素詰め込むスペースねぇよ
既に携帯ゲームの枠に収まって無いしwww
530 :通常の運命さんの3倍:CE77/10/08 00:30:21 ID:????
オレヴァ…アセッタノカナ…
そして12月24日、クリスマス。
遂に攻略キャラクターのビジュアルが公開されたその日、全世界に激震が走った。
『キャーーー!!!///』 ←若い女性の黄色い叫び
『いや〜んか〜わ〜い〜い〜』 ←お姉さま方の色っぽい歓声
『お、男の娘だと…っ!?』 ←大多数の男性の声
『……うほっ』 ←一部の漢性の呟き
……どの様な容姿であったかは想像にお任せするが、
ビジュアルの公開と共に判明した様々なルート、具体的には傭兵や軍人、反政府組織に所属するイケメンルート、
イチャコラしたりツッコミが冴え渡ったりするほのぼのラブコメルート、一人称が『僕』になり素直な良い子化する記憶喪失ルート、
怪しい薬によって幼児退行したり性別変換するバカルート、何故かガチムチアフロと化す首領ルート等の発表により、評価が一気に反転した。
予約サイトはアクセスの超過によりサーバーがパンクし、小売店にも予約の電話が殺到。
その混乱を理由にメーカーが予約を廃止、誰一人として予約出来ないというまさかの事態が発生し、2月14日は『聖戦』となった。
以下、某巨大掲示板に書き込まれた聖戦の記録抜粋
97 :通常の運命さんの3倍:CE78/01/30 09:30:11 ID:????
ちょっ!?近所のゲーム屋に、黒服サングラスのお兄さんの大軍が列作ってるんだがwwww
98 :通常の運命さんの3倍:CE78/01/30 09:35:11 ID:????
早すぎだろwwまだ1月だぞwww
820 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/08 11:20:00 ID:????
なんか似たような顔の人達が「ソキウスソキウス」言いながら並んどる((((;゚Д゚)))ガクブル
187 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/12 18:50:34 ID:????
なんか列に割り込もうとした奴が女の子のロケットパンチで吹き飛んでったぞ。ザマァwwwww
200 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/12 19:01:33 ID:????
> >187 女の子GJ……てかロケットパンチ?
321 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/13 19:30:05 ID:????
列の真ん中で仮面付けた赤髪の女の人が、褐色の女の子に茶髪の女の子と鍋パーティー始めたんだがwww
666 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/13 20:42:05 ID:????
あっピンク髪の眼鏡っ娘が列無視してゲーム屋に突撃してく……なんか保護者っぽい眼鏡男が追いかけて行ったけど何だアレ?
806 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/13 21:09:05 ID:????
もしかして俺の前に居る人ってラクs…いやまさかな
1 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:00:00 ID:????
キタ━━━━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━━━━!!!!
2 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:00:01 ID:????
ウァアアアアアアア!!! キラキラバシュゥゥゥゥン!!
3 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:00:05 ID:????
種子+完売!!種子+完売!!種子+完売!!種子+完売!!
128 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:05:00 ID:????
> >3 早いよwww
652 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:11:05 ID:????
あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ
『俺は種子+の列に並んでいたと思ったら、赤い竜巻に襲われ列からはみ出ていた』
何を言ってるのか わからねーと思うが、おれも何をされたのかわからなかった
672 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:15:56 ID:????
> >632 まさか俺と同じ被害に遭った奴がいるとは……この夜は、地獄だ…!
979 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:22:22 ID:????
よっしゃー!!何とかゲットした……あれ?何か羽生えた真っ黒なモビルスーツがこっちに向かっ
999 :通常の運命さんの3倍:CE78/02/14 00:25:00 ID:????
どうした> >979!?応答しろ!!> >979ーーーー!!!!!
以上です。
いよいよ明後日だぜイエーイ!!
これで全部かな…
475 :
513:2012/02/12(日) 23:35:17.15 ID:???
代理投下乙です〜
とりあえず・・・首領ルートやり込むわwwwww
ヨウラン「ヒャッホーーーイィ!!!」
>>471 代理乙です!
ラブコメでいや〜んか〜わ〜い〜い〜=歩行シン
記憶喪失で男の娘=選択シン
首領でウホッ=なんとなくシン
イケメンでキャー=その他逆シン
と言ったところでしょうか?なにこれ欲しい!!でもソキウスやピンクのあく(ryに勝てる気しない…って売り切れだと!?
まとめページのガンダムクロスオーバーSS倉庫が見れないんだけど、何か起きたの?
数時間前までは普通に見れたんだけど・・・うちのPCのせいかと思ったら、携帯でも見れない。
「arte.wikiwiki.jp という名前のサーバが見つかりませんでした。」って表示される。
書き込み少ないな。規制中?
>>478 今は普通に見れるよ。何で見れなくなったかは分からないけど。
>>480 ありがとう
よく分からないけど、うちのPCでも見れるようになりました。
歌姫の騎士団の各騎士団長の専用機を調べたら全て皮を換えた量産型運命だったでござるの巻
>>482 参考にするならまだしも、ガワだけ変えるような恥知らずなターミナル、ファクトリーの行為に憤慨したデスティニーの開発者の手により各国や企業にデスティニーの設計データが意図的に流出。
その設計データを基に、各勢力によって改良、アレンジが加えられたフラッグシップマシンDタイプMSが完成。
我こそが本家本元と主張する大西洋連邦、ユーラシア連邦、東アジア共和国、オーブ、アメノミハシラ、ザフト、ターミナル、加えてジャンク屋ギルド、アクタイオン社、アドゥカーフ社のゲテモノDタイプ。
おまけにDT社製のデスティニーIIやプランAをはじめとする並行世界のデスティニーまでが入り乱れるデスティニーファイトが開催される訳ですね!
最後は月面に沈むオリジナルを回収・復元したオリジナルデスティニーを駆る
黒髪赤目のパイロットが勝者となる展開だな!
月でオリジナルデスティニーとか言われると、デスティニーノヴァとかもいそうな気がしてくるな
終戦後の厳しい財政のプラントがラウンズみたいな歌姫の騎士団を作るには妥当な案だろうな
>>量産型運命のリサイクル
>>486 この流れでヒルダが隊長でラスティ辺りの妹が団員の戦乙女隊を想像した!
大気圏突破の際に漆黒に焼け焦げたブラックデスティニーで奮戦する黒髪赤目の男
やがて真・デスティニーに乗り換え、木星圏での決戦を迎える
そこで次元の裂け目に飲み込まれた男が見たものは、デスティニーエンペラーの大艦隊と、星を飲み込む宇宙クジラ共との、永劫に続く戦いであった
>>487 テンさんなヒルダとヴァルキリエ服のヘルベルト&マーズを想像してしまったでは無いか…
ヘルベルトって誰だったっけ?
ヒルダとマーズはドムトル隊の奴だってわかるけど
ヘルベルトもドムトリオのうちの一人だよ メガネかけた奴
相変わらずヘクトパスカルさんはディスられるのか・・・
>>492 ディスられてるんじゃな、愛されてるのさ。
アフロとか金的とか貧乳とか狙いは完璧よ(笑)みたいなもんさ
三連星と紅茶派が居ないGジェネに比べればなんということは無い
アビーの中の人はセリオと同じ・・・だと?
保管庫更新されてないね・・・
保守
EXVSにインパルス参戦キャホーイ!
しかも、ふぉーす・ブラスト・ソードへ形態可能とは。wktk
ラウ「タン塩が焼けたよ!」
キラ「あなたは!」
ラウ「レモンと葱塩があるよ」
キラ「何を!」
ラウ「ご飯が欲しいな、ライスください」
キラ「そんなこと!」
ラウ「すいません中生ふたつ」
キラ「僕は……力だけが全てじゃない!」
ラウ「カルビも頼もうか?」
キラ「あなたは、あなただけは!」
ラウ「口の中が油っこいアイス食べない?」
キラ「何を!」
ラウ「サンチュも食べなよ」
キラ「そんな事!」
ラウ「焼肉食べてると人が焼いたの食べる人いるよね」
キラ「違う!人は、人はそんなものじゃない!」
ラウ「やっぱタン塩が一番だわ」
キラ「それしか知らないあなたが!」
ラウ「あー、ご飯美味いご飯、タレがしみて美味い」
キラ「そんな!」
ラウ「野菜も頼もうか?」
キラ「そんな事!」
ラウ「ウェイトレスさん、この野菜の盛り合わせくださーい」
キラ「それでも、守りたい世界があるんだああああああ!!!」
500 :
YD08MS:2012/03/11(日) 03:15:10.33 ID:tHwPloaZ
新参者ですがSSを投下します
いっきまーす
まだー?
避難所にもないな。
まさか本来は別スレ用の誤爆だったんじゃあるまいね。
新作が投下されるのならばバッチコイ!誤爆でもめげない!!
夜にでも初挑戦してみてもいいでしょうか?
さて、気長に待ってみよう。ガンガレ
?
皆様、お久しぶりです
Select of Destinyの続きがようやくできましたので投下します
途中で規制されたら避難所に投下しますので、その時はどなたか代理投下お願いします
シンがオーブを出発してから18時間。
人型サンドバック「アーモンド君」殴打によるストレス解消でようやく復活したDr.Kは、まるで狙っていたかの様に連絡してきたカガリの執務室に居た。
「ゆりかご?」
「そうだ」
普段なら無視する所だが文句の100か200ぐらい言ってやろう、と考え赴いたDrだったが、彼女が執務室に入るなりカガリが「ゆりかご、という装置を知っているか?」と全くの無表情で宣った為、完全に興が削がれてしまった。
Drの反応で知らないと判断したのだろう、書類を渡して来るカガリを無視しDrは口を開いた。
「連合の強化人間…確かエクステンデットだったか。それの精神を安定させる為の装置だろう?」
「何だ、知っていたのか」
だったら早くそう言え、と言わんばかりの表情を見せるカガリに対し、Drはふん、と鼻を鳴らす。
「知っているのは名前だけで、どんな仕組みがあったのかまでは知らん。興味もない」
「そうか。なら今から興味を持ってもらおう」
そう言い放ったカガリは、再び書類をDrの前に差し出す。
「……」
「……」
「……ちっ」
一瞬の攻防の後、諦めた様に舌打ちをしたDrはカガリの手から書類を受け取る。自由奔放で唯我独尊と思われているDrだが、実は彼女は押しに弱いという弱点を持っていた。
元来の面倒くさがりな性格のせいなのか、こうして我慢比べのような状態に陥ると必ず根負けしてしまうのである。
(何時から女狐に転生したんだ、この脳筋娘は…)
2年ほど前までのギャーギャー騒ぐだけの小娘なら適当にあしらえたのだがな、と頭の片端で考えながらDrは手渡された書類に目を通していく。
「なる程…」
僅か2分程で一通り目を通したDrは、元々無かった興味を更に無くした様に書類を放り投げた。
「記憶改竄によるスペックの向上。確かに余分なデータを軒並み削除すれば、それだけCPUの稼働率は安定する、が」
「気に入らないか?」
「ああ」
Drの言葉を遮る様に放たれたカガリの一言。
普段のDrなら間違い無く眉を顰める行為だが、今回の彼女は特に気にした様子も無く頷く。
「生体CPUとは良く言ったものだ。パイロットをMSの部品と同一に扱うなど、愚の骨頂だな」
不愉快な顔を隠そうともせずそう吐き捨てるDr。
彼女は自他共に認めるマッドサイエンティストだが、非人道的な行為には深い嫌悪感を抱く女性であった。
また余談だが、彼女は「MSは人が乗ってこそのMS」「戦争は人間同士が戦ってこその戦争である」という戦争に対する独自の美学を持っており、嘗てMSのオートマトン化を提唱した同僚の科学者を殴り飛ばし、
「戦争をゲームやファッションと同じにする気か!」と一喝した過去があった。
彼女が連合ではなくオーブにその身を置いている一端がそれである。
「それで、私にこんな物を見せて、一体何のつもりだ?」
「ああ、実は」
「それともう一つ」
今度はDrがカガリの言葉を遮り、人差し指を上に立てる。そしてスッとその人差し指を自分の左方向へと指し直した。
「先程から気になって居たんだが、この男は誰だ?」
Drが指差した先、そこには丸眼鏡を掛けDrと同じ白衣を羽織った30歳前後の男性が座って居た。
「ははは…てっきり、この方には私の姿が見えて居ないのかと思いました」
頬をポリポリと掻きながら苦笑いを浮かべる男に対し、あからさまに不審な顔を浮かべるDr。
その2人の交互に見比べたカガリは、ああ、と声を上げた。
「そう言われれば、2人とも直接出会うのは初めてか」
すっかり忘れていた、とカガリはポンと両手を合わせる。
「紹介しようDr、彼はオーブ国立市民病院の外科、精神、心療内科を受け持つ先生で、シンの主治主治医になって貰って居る人だ」
「ほう、シンの?」
「ええ、始めましてDr.K」
会釈…古いオーブ式の挨拶をする主治医に対し、Drは右手をヒラヒラする事で応える。
失礼に当たる行為だがDrにとってはこれが普通で、そこに悪意の類は一切ない。何より今の彼女には挨拶の礼儀より重要な事柄があった。
「ここにシンの主治医が居るという事は、お前の目的はそれか?」
「…そうだな」
Drからの問い掛けに、カガリはゆっくりと頷いた。
「単刀直入に聞こう。科学者と医者の立場から見て、この装置を使ってシンの記憶を取り戻す事はできるか?」
「………」
逆に問い掛けられる形になったDrと主治医はお互いに顔を見合わせる。
先に口を開いたのはDrだった。
「たったこれだけの資料でどう判断しろと?それは「ゆりかご」を作った本人に聞くべき事柄だ」
「それが無理だからこうして聞いてるんだよ」
「と言いますと?」
「これは完全な事実確認をていない話になるが…」
カガリの話はこうだ。
終戦から2年半、混乱した世界の復興、再生が最優先事項として尽力して来たプラント、オーブ、地球連合。
その甲斐があり多少形とも世界が安定して来た昨今、漸く前大戦の裏で暗躍していたロゴスやブルーコスモスにメスが入れられる事になった。
ブースデットマン、エクステンデット…ブルーコスモスの暗部が次々と明るみになっていく中、一際カガリの目を引いたのが「ゆりかご」の存在だった。
早速地球連合の上層部にコンタクトをとり、ゆりかごやエクステンデットに関する資料、またそれに携わった人間の情報を提供するよう依頼。しかし地球連合から帰って来た答えは彼女の欲しかった物とはかけ離れた物だった。即ち
「エクステンデットに携わった研究者達はジブリールが戦死したと同時に揃って姿を眩ませ、それと同時期にエクステンデットやゆりかごに関するデータが軒並み抹消された、だそうだ」
「…そんな戯れ言を信じたのか?」
「まさか、そんな訳ないだろ?」
半目になりながら呟くDrに対し、カガリは憮然と首を振る。
「回答を貰ってすぐに調査団を結成と諜報部にも指示を出して、表と裏両方から調べさせたさ」
「まぁそうだろうな」
「………」
さも当然、とでも言う様な表情で話し合うカガリとDrだが、その様子を横で見ていたシンの主治医の頬が微妙に引きつっていた。
公私混同?何ソレ美味シイノ?
「調べさせた結果、研究員達が消息不明になっているのは本当だった。理由までは定かじゃないが」
「………」
3人の頭に「口封じ」という単語が浮かび上がったが、敢えてそれに触れようとする者はいない。
「ゆりかごに関する資料も今渡したやつが全てだ。諜報部からも、それ以上の情報は手に入らなかったと報告があった所だ」
「で、こんな結果では不完全燃焼で収まりがつかないから、私達に意見を聞きたいと?」
「その通りだ」
「ふん、こんな物私の専門分野じゃない」
だが、とDrは言葉を続ける。
「ゆりかごの本来の用途は記憶の削除と書き換え、強制的な恐怖や依存性の刷り込み、だったな?」
「?…ああ」
「これをコンピュータに例えると、今記録してあるデータに新たなデータを上書き保存する装置という事になる」
「あっ…!」
Drの言わんとしている事を理解したカガリは小さく声を上げる。
「気づいたか。つまりゆりかごを使うには、その上書きするデータを持っていなければ意味が無いんだよ。お前がシン・アスカの記憶のバックアップでも持っているとでも言うなら話は別だが」
「………」
「……まったく」
見る見るうちに意気消沈していくカガリを横目で眺めたDrは、頭をボリボリと掻きながら溜め息を吐く。
脳筋娘がどれだけヘコもうが構いはしないが、普段口うるさい娘に目の前で沈まれるのは気味が悪くてしょうがない。
「だが、この男の意見は違う様だぞ」
「何、本当か!?」そこでDrは仕方なくカガリに助け舟を出す事にした……完全に人任せだが。
「…はい?」
それまで完全に蚊帳の外だった主治医は、急にポンと右肩を叩かれ首を傾げる。彼の視線の先には期待に目を輝かせる国家元首の姿。
ややあって、漸く自分の置かれた状況を把握した主治医は慌てて口を開いた。
「そ、そうですね。記憶を取り戻せる云々は別にして、Dr.Kの見解には幾つか修正するべき点があります」
「ほう?」
主治医の言葉にDrは面白そうな顔を浮かべる。どうやら先程の台詞は完全な出任せだったようだ。
「私の見解では、ゆりかごには本当に記憶を抹消したり、別の記憶を『上書き』したりする機能は無いと思います」
「と言うと?」
「まずは人間の脳の仕組みについて説明しなければならないのですが…」
人間の脳には部位によってそれぞれ違う働きを行っており、実際に過去の記憶を情報として保存している場所と、実際にその情報を活用する場所を電気信号によって繋げていると言われている。
「つまり、ゆりかごはこの電気信号の回路を遮断し、別の場所に回路を通して要るだけだと考えられます」
「根拠は?」
「その…ゆりかごによって処置されたと思われる人物で、本当の記憶を取り戻した前例が居るからです」
「フラガ大尉か!」
合点がいったように声を上げるカガリに主治が頷く。
対するDrは不思議そうに首を傾げた。
「フラガ?誰だそれは?」
「誰ってお前、一度会った事があるだろう」
「……?」
「ほら、大戦でアカツキを預けた」
「ああ…あの男か」
カガリの説明でDrはようやく思い出す。
ムウ・ラ・フラガ。エンデュミオンの鷹と呼ばれAAのクルーとして戦争に参加し、AA級2番鑑ドミニオンとの攻防で戦死したと思われていた。
しかし前大戦で暗躍したエクステンデットを要する部隊、ファントムペインの隊長を勤めていた事が判明。しかも自らをネオ・ロアノークと名乗り、嘗ての仲間であったAAのクルーの事もまるで覚えていなかった。
Drがムウに唯一対面したアカツキのパーソナルデータ書き換え作業の際も、彼はネオと名乗って居た為Drの記憶に残って居なかったのだ。
「そうか、先生はフラガ大尉の主治医でもあったんだな」
「主治医…と言っても、私も直接話したのは一度しかありませんがね」
メサイア攻防戦でアカツキを駆ったムウはミネルバの攻撃に襲われるAAの盾になるという奇しくも前大戦と酷似した状況を再現し、そのショックで本来の記憶を取り戻した。
しかし何か後遺症が残っている可能性があった為、終戦後精密検査を受けに来た彼の担当になったのが主治医だった。
「その時彼から聞いた話から『ゆりかご』と呼ばれる装置の存在を知っていたので先のような仮説が立てられたのですが、てっきりカガリ様もご存知なのかと……」
「何故この男が知っていて、お前は今まで知らなかったんだ?」
「し、仕方ないだろう!フラガ大尉と話す機会なんて殆ど無かったんだ!」
苦笑いを浮かべる主治医とジト目で此方を見つめるDrに対し、カガリは心外だという風に口をとがらせる。
事実、彼女がムウの記憶が戻ったと知ったのも戦後暫く経ってから人伝で聞いた時であり、ムウと直接話したのは彼とAAの艦長だったマリュー・ラミアスとの結婚式に出席した時以外一度もない。
因みに今現在彼は軍を引退し、マリューと共にアスランの居るオーブ大使館で仕事をしている為、会話を交わす機会は皆無である。
「失礼しました。話を戻しますが、シン・アスカの記憶喪失も本質的にはフラガ大尉と同じく脳の記憶領域へと繋がる回路が心理的ストレスが要因で遮断されているのが原因と考えられます。
そして『ゆりかご』はその回路を人為的に操作出来る機械になりますので…」
「シンの閉ざされた回路を治す事ができるかも知れない、という事か!」
「理論上は…もっとも」
「詳しい資料が無い以上この場で幾ら論議しても『机上の空論』でしかないがな」
主治医の言葉を引き継ぐようにDrは口を開く。
それに対しカガリは構わないさ、と笑顔で頷いた。
「少しでも可能性があると分かればそれで十分だ。別に今すぐどうこうと言う話じゃ無いからな」
シンの記憶については必要以上に干渉せず、自然に回復するのを待つ……それが2年前にルナマリアが選択した答えだ。
彼女の意志に全てを委ねたカガリには、その答えを無碍にする気は全く無い。しかし今の状況を須く好しとしているわけでも無かった。
カガリにとっての気掛かり、それは他ならぬルナマリア本人の事だ。
僅か2年程とはいえ、実の弟よりも多くの時間を接してきた彼女の人となりは多少形とも理解している。
そこから出した結論、
(ルナマリアは私と同じだ)
正確に言えば彼女は2年前の自分と同じなのだ。
父と言う偉大な存在を失い、右も左も分からぬまま一国の主になり、理想と現実の狭間で揺れ動き、自身の力の無さに苛まれた挙げ句、オーブ首長という己の責務から逃げ出してAAに乗り込み、結果守るべき国民に多大な被害を与えてしまった自分。
対するルナマリアの場合、シン・アスカが記憶を失い、真実はどうあれそれを自分の責任だと感じている。そしてそこから、彼をそばで支えるのが自分の責務だと考え行動している。
形は違うが、大切な人の喪失という同じ起点を持つルナマリアは、カガリから見てかなり危うい状態だ。
今は良い、だが必ず訪れる。
何時か必ず責任という『重み』に耐えられなくなる時が訪れる。
(しかもルナマリアは強い…)
自分が父を失ってから2年間、拙いながら首長としてやってこられたのはもう1人の大切な存在、アスランが側に居たからだ。
アスランが居なければもっと早く潰れていただろう、その証拠に彼がザフトに戻った途端、自分は己を見失いセイランに良いように利用されかけ、AAに逃げ出した。
だが彼女の場合、側に居るのは大切な存在であると同時に自分の罪の象徴である。
シンが側に居れば居るほど、記憶が戻らない月日が経てば経つほど、彼女の罪の意識は重くなっていく。
にもかかわらず、彼女は2年間シンの側に居続けた。まともな弱音を吐く姿を見たのだって一度しかない(しかもその時はアルコールの力があった)
強い。年下…しかも自分やラクスのように生まれながらの宿命を持つでもない少女とは思えない程に。
それ故に恐ろしい。強いが故にそれが崩れてしまった時の反動が。
ルナマリアがもう限界だと感じた時、彼女の意志に反してでもシンの記憶を取り戻すべきだ、その結果シンがどの様な行動を起こす事になっても……それがカガリの出した結論だった。
「……急ぎの用じゃ無いのならわざわざ呼び出さないで欲しい所だったがな」
そんなカガリの言葉に何か感じる所があったのだろう、小言を呟きながらもDrは仕方がない、と言う様に溜め息をつく。
そして右手を突っ込んだ白衣のポケットからキャンディを取り出すと、それを徐に口の中に放り込んだ。
「なん……だと?」
輸送艦の鑑長を務める男の脳内は今混乱の極みにあった。
元ザフト軍と思われるテロリストの小隊にムラサメ隊が撃墜され、敵のガナーザクが至近距離まで接近した時点で彼は死を覚悟した。
しかし突如謎のMSが出現し、ビームブーメランでガナーの右腕を切断。それと同時に輸送艦とガナーの間に割って入ると、ガナーを後方へと蹴り飛ばしたのだ。
「な、何が起こったの?」
謎のMSに守られる形で九死に一生を得たからだろう。驚きを通り越し、逆に力の抜けた様なオペレーターの声が艦長の耳に響く。他の乗組員も同様で皆困惑の表情を浮かべた顔を見合わせている。
緊張とも安堵とも言えない微妙な空気が場を支配する中、謎のMSがこちらの無事を確認する様に振り返る。
「このMSは…!」
ムラサメに通ずるV字アンテナを持つそのMSの顔に艦長は見覚えがあった。
間違いない、自分達がアメノミハシラへと引き渡し最終的にプラントへと届けられる筈だった量産型MSのプロトタイプだ。
「か、格納庫からの連絡で、コンテナに収まっていた新型のMSが突然動き出し、無理やりハッチから飛び出したとの事です!」
「見れば分かる!直ぐに回線を繋げろ!」
「は、はい!」
「一体誰が乗っている…?」
今更の様に報告をするオペレーターに指示を飛ばし、艦長は此方を見つめるMSの顔を見つめ返す。
この輸送艦には先程撃墜された2機のムラサメ以外、パイロットは居ない筈だ。
『そこから離れろ!!』
先程、オープンチャンネルだったのか操舵室…いや、この宙域全体に響き渡ったであろう怒号は若い少年の様な印象があった。
「まさか…!」
そこから導き出されてしまうある可能性を艦長は即座に否定したい思いに捕らわれる。
しかし、彼の願いは呆気なく瓦解した。
『輸送艦の皆さん、ご無事ですか!?』
回線が繋がるのを待て無いかの様に此方の安否を確認するパイロットの声が響き、一瞬遅れてコックピットの様子がスクリーンに映し出される。
「こ、子供?」
そこに映し出されたパイロットの姿に輸送艦の乗組員達は驚愕の表情を浮かべる。
パイロットスーツどころかノーマルスーツすら身に着けていないその姿は小柄で、癖が強そうな黒髪は女性と見間違えそうなほど伸ばされていた。
それとは対称的な白い肌に、一目でコーディネーターだと分かる赤い瞳は、幼さを残しながらも力強い意志を持って此方を見つめている。
先にオペレーターの女性が呟いた通り、スクリーンに映るパイロットの姿は誰が見ても民間人の青年であった。
何故それが新型のMSに?
『早く脱出の準備を、「僕」が必ず守りますから!』
当然の疑問を浮かべる乗組員達を無視した少年は一方的にまくし立てると回線を切断。何も映らなくなったスクリーンの先では敵MSの方に向き直る新型の姿が見える。
「……総員、脱出の準備だ」
皆が呆気にとられる中、唯一人静かにスクリーンを見つめていた艦長が乗組員達に指示をとばす。
「艦長!?」
「何度も言わせるな、総員退艦用意」
「しかし今脱出艇で外に出たら…!」
「早くしろ!」
「は、はい!総員退艦用意!繰り返します、総員…」
「………」
慌ただしく動き始める乗組員の姿を一通り眺めた艦長は、此方を庇うように立ちふさがる新型MSの後ろ姿を見つめながら呟いた。
「これも因果か、シン・アスカ君…」
「僕が必ず守りますから!」
そう叫んだシンは、輸送艦との回線を強制的に切断する。理由は1つ。通信に気を取られたく無かったからだ。
「そう…守るんだ、僕が…」
彼は自身にそう言い聞かせる様に呟く。シン・アスハは混乱していた。
何がどうなって自分が「ここ」に居るのかまるで分からない。
ムラサメがザクに撃墜される姿を見た瞬間からの記憶が曖昧で、気が付いたらこのコックピットに収まっていた様な感覚だ。
ただ一つ分かる事、それは自分が輸送艦を守らなければならないという事だった。
「でも、どうする?…」
シンの視線の先には、先程自身が蹴り飛ばしたガナーザクの姿がある。
(死んだ訳じゃ無い…よね?)
蹴り飛ばされた衝撃でパイロットが気絶したのか、動く様子が無いまま宇宙を漂うガナーを確認しながら彼は心中で呟く。例え宙賊が相手でも、出来れば人殺しにはなりたくない。
「だから…!」
突如姿を表し、味方のガナーを蹴り飛ばした謎のMSの登場によって動きが停止していた宙族達。
「!?全機後退しろ!」
その中で最初に復活したグフのパイロットの言葉に弾かれる様に動きだす他のMS達。
その瞬間、フォーチュンの最も近くに居たブレイズザクに向かい、フォーチュンの人間で言う膝部から藍色の光盤が射出される。
「ジョシュア避けろ!」
全くのノーモーションで射出されたそれが、先程ガナーの右腕を切断したビームブーメランだと気付いたグフのパイロットが叫ぶ。
「お前に言われなくたって……はっ?」
不意打ちに近いとはいえ真正面からの攻撃だ。
余裕を持って回避しようとしたブレイズのパイロットだったが、何故かビームブーメランが自機に辿り着く前に後退を始めた。
目測を誤ったのか?そんな考えがパイロットの頭を過ぎるが、次の瞬間それが誤りであったと気付く。
ビームブーメランの後ろから接近していたフォーチュンが右手でビームブーメランをキャッチ。そのままサーベルと化したブーメランでブレイズに切りかかったのだ。
「しまっ!?」
反応が遅れたブレイズにフォーチュンがビームサーベルを振り下ろす。
訪れた衝撃にブレイズのパイロットは死を覚悟するが、コックピットが爆発する様子は無い。
「な、何だと!?」
慌てて被害を確認したブレイズのパイロットは戦慄する。
モニターに表示された自機の被害が、武装、メインカメラ、バーニアのみに限定されていたからだ。
「「馬鹿な!?」」
驚いたのはグフともう一機のブレイズザクのパイロットも同様で、文字通り達磨状態となった仲間のMSを信じられないものを見る様に見つめる。
敵の生かしたまま、戦う術のみを奪う「不殺」
そんな真似を「行おうと考える」者とそんな真似が「実行できる」者を彼らは1人しか知らない。
「まさか、キラ・ヤマトだとでも言うのか!?」
すみません。
規制されてしまったので、どなたか代理投下お願いします。
「やっぱり…!」
動揺する宙族達とは対称的に、シンは先の攻防で1つの確信を抱いていた。
今、自身が操縦している機体を自分は知っている。慣れ親しんでいる、と言ってもいい。
Dr.Kの研究室にあるシミュレーター。
そこで何時も搭乗している機体と、この機体は同じなのだ。残るグフともう一機のブレイズザクから放たれたビームをシールドで受け止めたフォーチュンは、お返しとばかりに肩部に装備された高エネルギービーム砲を放つ。
赤い光の奔流が2機に迫るがすんでのところでかわされた。しかし、シンの表示には些かの淀みも表れない。
続けざまに両膝からビームブーメランを射出。2つの藍色の光盤がグフとザクの間に割って入る。それにより分断された2機のうち、接近戦に秀でるグフに牽制のビームを放ちつつ、フォーチュンは腰の対艦刀手をかけた。
親元とされるデスティニーが持っていたモノより若干短い対艦刀を両手に掲げたフォーチュンがブレイズザクに向かって突撃する。
『何だよこいつ!?』
ビームライフルによる迎撃は間に合わないと判断したのか、ブレイズはトマーホークを振りかぶった。
『馬鹿、下がれ!』
その姿を見たグフのパイロットが何とか援護しようとビームマシンガンを乱射する。
しかし接近戦に特化したグフの射撃では牽制にもならず、トマーホークによる迎撃をかいくぐったフォーチュンが対艦刀を一閃、トマーホークを持つザクの右腕が切断される。
『うをっ!?』
間髪入れず左腕も切断されたザクは、最後の足掻きとばかりにファイヤービーを発射。唯一残った武装であったミサイルの雨が、ザクの前方を埋め尽くし爆発する。
「や、やったか?」
『馬鹿、上だ!!』
呆けた声で呟いたザクのパイロットの耳にグフのパイロットの怒号が響く。
「はっ?…うわっ!?」
しかし彼がその声に反応するより早く、ザクのコックピットは暗闇に包まれた。
「だから下がれって言ったんだ!」
そう叫ぶグフのパイロットの視線の先にあるのは、頭部が破壊されたザクの残骸と傷一つ無いフォーチュンの姿。
ファイヤービーが発射される直前に急上昇する事で難を逃れたフォーチュンが、そのまま頭上からザクの頭部ごとメインカメラを対艦刀で突き刺したのだ。
「何なんだ、こいつ?」
動かなくなったザクには目もくれず此方を見据えるフォーチュンに対し、グフのパイロットは疑問符を浮かべる。
武装とメインカメラを奪ったとは言え、バーニアが生きている以上、ブレイズはまだ動ける可能性がある。まだ敵対する可能性がある以上、本来なら確実にとどめを刺すハズだ。
隙を突かれる事を恐れて?それなら最初からコックピットを狙えばそれで済む。わざわざ武装やカメラを狙う必要は無い。
だとすれば、残る可能性はただ一つ。
「不殺のキラ様『モドキ』って訳か……ふざけるな!」
瞬間、バーニアを全開にしたグフが、サブマシンガンを乱射しながらフォーチュンへと突貫する。対するフォーチュンがビームブーメランを射出するが、スライヤーウィップを使って叩き落とす。
「ムカつくんだよ!戦場で正義の味方ごっこなんて!」
グフのパイロットがザフトを抜け、宙賊になったのはキラ・ヤマトのやり方が気に入らなかったからだ。
不殺を唱いながら、コックピットに取り残された人間の『その後』を考えない偽善者。
一体何人の仲間達が、身動きの取れないまま『不慮な最期』を迎えたと思っているのだ!
英雄と持て囃される正義の味方を彷彿させるフォーチュンの行動が、グフのパイロットから冷静な判断を失わせた。
「逃げるなよ、偽善者!!」
近づかれるのを嫌がるように距離を取ろうとするフォーチュンに追いすがりながらグフのパイロットが叫んだ。
伸ばされたスライヤーウィップがフォーチュンの左手に持つ対艦刀に絡みつき破壊するが、替わりに右手の対艦刀によってスライヤーウィップが切断される。
役に立たなくなったスライヤーウィップを破棄したグフはテンペストのビーム刃を展開。対するフォーチュンも対艦刀を構え迎撃体制をとる。
「馬鹿が!」
対艦刀の間合いの広さは強力だが、一撃さえ避ければ小回りのきくテンペストに歩が有る。
そう踏んだグフのパイロットは、自機をフォーチュンの目の前で急停止させ対艦刀による迎撃を紙一重で避ける。すると彼の予想通り、一撃を外したフォーチュンに僅かな隙ができた。
「貰ったぞ!」
その隙を見逃さず、テンペストを振りかぶるグフ。
絶対に避けられない体制、勝利を確信するグフのパイロット。
しかし彼に訪れたのは勝利の女神の賛美ではなく、命の危機を知らせる無骨な警鐘音であった。
「なっ!?」
鳴り響く背後からの攻撃を知らせるロックオンアラートにグフの動きが鈍る。
次の瞬間、テンペストを振り上げていたグフの右腕が、肩先の付け根の部分から切断された。
「ぐぁ!?」
一体何に攻撃された?
増援?第三勢力?裏切り?
あり得ないはずの背後からの攻撃に、グフのパイロットの頭を様々な可能性が駆け巡る。
その間、一秒にも満たない僅か数瞬。
しかし、フォーチュンの反撃を許すには十分な時間であった。
体制を立て直したフォーチュンは先ほど避けられた対艦刀の切っ先を反転、そのまま振り上げる事でグフの左腕を切断する。
そしていつの間にか左手に持っていたビームサーベルでグフのメインカメラを破壊した。
「ば、馬鹿な…」
メインカメラが破壊される瞬間ビームサーベルの存在を確認したグフのパイロットは、背後から攻撃してきたモノの正体を悟り驚愕する。
先程、ザクとグフの連携を分断する為に放たれた2つのビームブーメラン。
その片割れが背後からグフの右腕を切り裂いたのだ。
(有り得ないだろう!?)
放ったビームブーメランをそのまま宇宙空間に停滞させて置くことは理論的に言えば可能だ。
しかしドラグーンとは違い、ビームブーメランには自在に敵を攻撃する事はできない。
内臓された発信機をもとに真っ直ぐ自機に向かって戻って来るだけだ。
それを攻撃として、しかもグフの右腕だけを切断する様狙いすましたタイミングで回収するなど、常人では不可能な芸当だ。
「こいつ、いったい何者だ?」
暗闇に包まれたコックピットの中で、グフのパイロットが呟く。
グフは完全に死に体であり、トドメを刺そうと思えばいくらでもってできる筈だ。それに来ない所をみると、どうやら本気で不殺なんて正義の味方ゴッコを行うつもりらしい。
「……まさか『ホンモノ』か?」
Memory Select
「はぁ、はぁ、はぁ……」
宙賊達をたった1機で無力化したフォーチュン。そのコックピットには、荒い息を吐きながら安堵の顔を浮かべるシンの姿があった。
「良かった、上手くいって…」
ビームブーメランを多様したトリッキーな戦術は、Dr.Kのもとでのシミュレーションを続ける中で彼が独自に身につけた戦術である。
彼が行って来たシミュレーションは、基本的に1対多を想定した物ばかりであった。というのも、Dr.Kが『本来』の彼が真価を発揮してきた状況が、そういった劣勢状態だというのを正しく理解していたからだ。
「Drに感謝しなきゃ…」
フォーチュンのコックピット内を見回し、シンは感嘆の意を込め呟く。
シミュレーターの機体と同じと言う事は、きっとこのMSを作ったのはDrなのだろう。自分程度の人間が操縦してもこんな凄い動きが出来るなんて、やはりDrは凄い人物だ、と。
シンの頭には「自分自身が強い」という発想は微塵もない。
勝てたのはMSの性能のおかげであり、自分の操縦技術は素人に毛が生えた程度だと信じて疑いはしなかった。
「ふ……ふふっ」
だが勝利は勝利。
命の遣り取りを制し、シンの中で張り詰めていた緊張の糸が弛緩する。
「はは……ははははは!」
そして守るべきものを守ったという達成感が、じわりじわりと彼の心に広がっていった。
(やった…!!)
息を吐き出し、小さく拳を握りしめるシン。
狭いコックピットの中でなければ、大手を上げて叫びたいぐらいだ。
やった!
自分にも「あの人」と同じように戦う事ができた
『一緒に戦おう』
2年前、記憶を無くした一般人に過ぎない自分に手を差し伸べてくれたあの人の言葉を思い出す。
ka
きっとあの人は本気でそう思った訳じゃない。
記憶を無くした自分を元気着けようとして言っただけだろう。
それは分かっていたし、自分にできる事は何もないと思っていた。
(でも今は違う…!)
戦える。
この機体があれば、あの人と同じ様に戦う事ができる。
誰も「殺さず」大切な人を「守る」為の戦いが…
――が――した
「えっ?」
「それ」に気付いたのは偶然だった。
ふっと誰かの声が聞こえた気がし、顔を上げたシン。その目の前に「七色の光」の奔流が迫っていた。
「っ!?」
反射的にペダルを踏み込むのと、危険を知らせるアラートが鳴ったのはほぼ同時。
急上昇したフォーチュンのすぐ真下を光の奔流が駆け抜ける。
「な、何だ!?」
慌てて体制を立て直したシンは、サブモニターを操作し被弾状況を確認。
幸いダメージは皆無、精々足先の装甲が少し焦げた位だ。
(危なかった…!)
もしアラートが鳴ってから回避行動をとっていたら間に合わなかっただろう。それぐらいギリギリのタイミングだった。
「宙賊の仲間…?」
新たに狙撃されないよう、シンは不規則に機体を移動させながら、光の奔流が飛んできた方向を見据える。
「居た!」
数泊後、フォーチュンのレーダーが1つの機影を捉えた。大きさからしてMS、しかし距離が遠過ぎて詳細が分からない。
(此方のレーダー外からの長距離射撃。スナイプタイプのMSか?)
しかし何故今頃になって……宙賊の母艦の護衛役だったのだろうか?だが先に敵対したMSの中で、母艦の護衛に最も適していると思われるガナーザクは何故か前衛に居た。
長距離射撃に特化したMSだけでは、母艦の護衛には適さない筈だ。
(しかも、さっきの攻撃)
自分に向かって降り注いだ複数の光の束。
見た目の美しさとは裏腹に、触れたモノを根刮ぎ吹き飛ばす禍々しい力の奔流。
「しってる…」
気が付くとシンは無意識に呟いていた。
あの時……輸送船の客室から宙賊達のMSを見つけた時と同じ感覚。
――あの光を自分は知っている
頭の奥で鈍痛が響く
――あの力を自分は識っている
呼吸が荒くなり、目がチカチカする
――あの存在を自分はシっている
青と白で彩られた聖剣の名を持つMS。
あれは――
「フリー…ダム?」
アンタが『 』を殺した!!
虚ろな表情で呟いたシンの耳元で、荒々しい…しかしどこか懐かしい声が響いた気がした。
以上です。
時間がたったら規制解除されてました。
それではまた。
待ってました!投下乙!とりあえずそれだけは言わせて頂きたい!
乙でした!
戦う力を手に入れたことが記憶が完全に蘇る切欠になったりするのだろうか……
しかし、憧れであり憎しみの対象でもあるってキラに対して複雑な感情抱いてるのがなんか心配だ
>>527 イィヤッホー!投下乙です。シン・アスハとしての記憶が少しずつ綻び始めてくるか?
これからまた面白そうな展開にwktk
選シンの人お久し振りです!!
記憶喪失の時に上書きされた「あの人」に対する「憧れ」と記憶喪失になる前の「あの人」に対する「憎悪」が混ざって次回、あの人に襲い掛かるか、シンが更に壊れてしまわないか、凄く心配であると同時に続きが楽しみです…。
532 :
YD08MS:2012/03/24(土) 10:28:43.24 ID:1qDhmeZF
いきなりパソコンぶっ壊れるとかクソワロスwww
どうもすいませんでした。
今から記憶を頼りに投下します。少し時間がかかるかもしれませんがご容赦ください。
533 :
YD08MS:2012/03/24(土) 10:39:18.98 ID:1qDhmeZF
戦争は終わった。ザフトの敗北をもってして。
自分の戦いは終わった。全ての消失をもってして。
なにもかもが終わった。彼らの勝利をもってして。
大切な人も、交わした約束も、信じた未来も、全部、全部なくしてしまった。
ああもう、疲れてしまった。運命も自由も正義も必要ない。そんな言葉だけのモノは要らない。そんなモノ、戦う理由になりはしない。
「ちょ、ちょっとシン!どうしたのよ!?」
誰かが何か言っているが聞こえない。ふらふらと立ち上がり、ふらふらと歩く。視線の先には壊れた愛機。
534 :
YD08MS:2012/03/24(土) 10:53:23.79 ID:1qDhmeZF
戦闘は終わった。メサイアの崩落をもってして。
戦争は終わった。ザフトの敗北をもってして。
自分の戦いは終わった。全ての消失をもってして。
そう、全て。愛した人々、交わした約束、信じた未来、全てをなくした。否、奪われた。
ああ、もう疲れた。自分の戦いは終わったんだ。このまま月面で寝たままでいいかもしれない。
そのはずなのに、なんだこの衝動は。なんなんだこの熱い感情は。
ああそうか分かったぞ。これは、この感情は、欲望に違いない。欲しい、欲しい、欲しい欲しい欲しい欲しい。
欲しかったんだ。平和が。欲しかった。自由が。
535 :
YD08MS:2012/03/24(土) 10:54:11.01 ID:1qDhmeZF
戦闘は終わった。メサイアの崩落をもってして。
戦争は終わった。ザフトの敗北をもってして。
自分の戦いは終わった。全ての消失をもってして。
そう、全て。愛した人々、交わした約束、信じた未来、全てをなくした。否、奪われた。
ああ、もう疲れた。自分の戦いは終わったんだ。このまま月面で寝たままでいいかもしれない。
そのはずなのに、なんだこの衝動は。なんなんだこの熱い感情は。
ああそうか分かったぞ。これは、この感情は、欲望に違いない。欲しい、欲しい、欲しい欲しい欲しい欲しい。
欲しかったんだ。平和が。欲しかった。自由が。
536 :
YD08MS:2012/03/24(土) 10:55:26.89 ID:1qDhmeZF
戦闘は終わった。メサイアの崩落をもってして。
戦争は終わった。ザフトの敗北をもってして。
自分の戦いは終わった。全ての消失をもってして。
そう、全て。愛した人々、交わした約束、信じた未来、全てをなくした。否、奪われた。
ああ、もう疲れた。自分の戦いは終わったんだ。このまま月面で寝たままでいいかもしれない。
そのはずなのに、なんだこの衝動は。なんなんだこの熱い感情は。
ああそうか分かったぞ。これは、この感情は、欲望に違いない。欲しい、欲しい、欲しい欲しい欲しい欲しい。
欲しかったんだ。平和が。欲しかった。自由が。
537 :
なんかいろいろおかしいですが一番最後のやつでお願いします:2012/03/24(土) 11:08:57.05 ID:1qDhmeZF
「あは、あははは、あははははははははははは!」
「ちょ、ちょっと、どうしたのよシン!」
誰かが何か言っているが聞こえやしない。掴んでくる手を振り解き、ふらふらと立ち上がる。
壊された愛機の近くまで行く。愛機の顔は、泣いているみたいだった。
お前も辛かったんだな。運命なんか背負わされて、戦うためだけに作り出されて。
運命も自由も正義も必要ない。そんな言葉だけのモノは要らない。そんなモノ、戦う理由になりはしない。
頭の中で何かが弾ける。弾ける?いや、芽吹いたんだ。
俺は戦う。自分の為に。自らの、飽くなき欲望の為に。
「アハハハハハハハハハハハハハハハ!」
月面に、誰にも聞こえない哄笑が木霊した。
538 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 11:14:16.99 ID:1qDhmeZF
機動戦士ガンダムSEEDDestiny
泡沫の機械天使
第一話「飢えた獣と満ちた人間」
539 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 11:34:31.16 ID:1qDhmeZF
メサイア戦役の後、組織としてのザフトはクライン派が掌握。死亡したギルバート・デュランダル前議長に代わり臨時で議長職についていた者は、間もなくその椅子をラクス・クラインに譲り渡した。
ラクス・クラインはデュランダル政権下のザフト、つまりはメサイアやレクイエム防衛についていた部隊を無条件で現ザフトに編入。更に現ザフトから少数をラクス・クライン直属の部隊「歌姫の騎士団」に異動させた。
シン・アスカはその一員だった。
540 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 12:16:39.30 ID:1qDhmeZF
「それで、敵の規模は?」
<ナスカ級が1、ローラシア級が1、モビルスーツ及びモビルアーマーは現在確認されません>
歌姫の騎士団とはラクス・クラインの親衛隊を兼ねたテロ組織や宙賊の駆逐を目的とする組織である。それ故に最新鋭の兵器が優先的に配備され、人員も精鋭ばかりである。ラクス・クラインをよく思わない人はこれを私兵集団の強化と揶揄した。
「元は何処の部隊だ?」
<元はアーモリー周辺の哨戒部隊です。アーモリーは先の強奪事件の後軍備が強化されているため、ザクやグフを配備されていました。モビルスーツが出てくるならそれらの可能性が高いです>
しかしそれは表向きでしかない。歌姫の騎士団、正確にはそれの下部組織の本来の役目は、
裏切り者の粛清。
支援
支援
543 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 12:46:17.98 ID:1qDhmeZF
「了解。シン・アスカ、グフ・イグナイテッド、出る!」
ミネルバ級三番艦カーリーのカタパルトから黒に塗装されたグフ・イグナイテッドが射出される。それに続くように通常塗装のグフとザクが二機、ドムが三機射出される。
更に後背のナスカ級二隻からもモビルスーツが出撃する。
歌姫の騎士団傘下の粛清機関、パージウイングス所属カーリー隊隊長。それが現在のシン・アスカの肩書きだった。
一方、突然モビルスーツを確認した脱走部隊は恐慌を起こしかけていた。
「何処から出てきた!索敵班は何をしていた!?」
「ミラージュコロイドです!連中はミラージュコロイドで隠れていた模様!」
「モビルスーツの識別完了!先頭の部隊はグフが3、ガナーザクが2、ドムが3!後続にもガナーザクを確認!」
「ええい!モビルスーツを発進させろ!ガナーザクを優先的に狙え!オルトロスを喰らえばひとたまりもないぞ!」
それでも必死に指示を出すナスカ級の艦長。ナスカ級とローラシア級からモビルスーツが続々と発進する。
544 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 13:34:04.90 ID:1qDhmeZF
「背後の艦隊を確認!これはっ…ミネルバ級が1、ナスカ級が2です!ミネルバ級はカーリーの模様!」
「カーリー隊っ…!そんな…」
カーリー隊は降伏を許さない。艦船、モビルスーツ、いずれも徹底的に破壊される。ある意味で、聖剣キラ・ヤマトより恐れられる存在。
自失しかけた艦長の耳に、オペレーターの悲鳴が入る。
「ミネルバ級、陽電子砲発射態勢!タンホイザーがきます!」
「かっ、回避!回避ィー!」
デブリ帯に隠れていたのが災いした。いくつかのデブリを飲み込みながら迫る破壊の奔流は、デブリに阻まれ回避が遅れたローラシア級に直撃、それを爆散させた。その爆発に飲まれ、ローラシア級のモビルスーツは半分以上失われた。
陽電子砲を逃れたナスカ級だが、すぐさまガナーザクによる砲撃を見舞われることになった。こちらのモビルスーツ部隊は、ほとんど黒いグフに振り回されていた。
「嘘だ…モビルスーツ一機で…」
モノアイが瞬き、ビームが一閃される。その度に一機が爆発する。そんなおよそ非現実的な現実に、艦長は逃避する以外出来なかった。
「う、うわあああああぁぁ!」
誰かの悲鳴が響いた直後、艦橋はオルトロスの砲火に貫かれた。
545 :
通常の名無しさんの3倍:2012/03/24(土) 13:56:34.74 ID:1qDhmeZF
まだ一話分投下出来ていませんが、所用で外出します。帰ってきたら投下を再開します。
まずsageろ、そして投下する時は書き溜めてからな
後1レスにはもっと書き込める。
書きながらの投下がやりたかったらvipでな
547 :
YD08MS:2012/03/24(土) 17:01:49.24 ID:1qDhmeZF
またパソがぶっ壊れるとかどういうことなの…
すいませんまたぶっ壊れました。もう買い換えしなきゃなんないかな…
さすがにPSPからは難しいので投下を断念します。すいませんでした。
つーか投下するって言ってから2週間とか馬鹿じゃねぇの
>>584 PC壊れてたって言っているじゃないですか。
そんなこと言わずに暖かい目でみていきましよう?
>>547 まあ、まずあ落ち着いてsageてくれ。
メール欄に「sage」を入れるだけだから。この板でのマナーみたいなもんだ。
パソコンばぶっ壊れるってどういうふうにぶっ壊れるの?
そことのこkwsk
投下乙です。歌姫所属シンは久し振りか?
PC壊れたのはご愁傷様。無理せず、描き貯めて投下頑張ってください〜
加電流か何かかね…乙。
フォルダ分けして保管したデータを貯めすぎて壊れたことあるな
PC壊れたはSS書きの常套句なので深く突っ込まずに流してあげるのが優しさ
>>554 わ、ワードやメモ帳で保存するの忘れてデータが飛んだだけなんだから! エターじゃないんだから勘違いしないでよね!
保守
PC規制解除はよ
このスレの登場人物の中で、一番料理が上手なのは誰だろう?(男女問わず)
一番と言われても料理が上手そうなのは
・残念迂闊色黒炒飯と毒舌おで娘クローン20夫婦
・酒場&食堂経営者コニール
位しか思いつかんな、料理下手そうなのならすぐ思いつくんだが()
技術と金と時間を渡せば大抵の事は大丈夫さ!
>>560 なんということでしょう
匠の手により最高の食材が最狂のチリソースへと変わりました。
料理なんて、レンジでチンすればいいだけですわ
>>560 変態技術者に技術と金と時間をあげた結果がプランAだよ!
えっ?料理ってビーカーとフラスコで作るんじゃないのか?
>>558 上手いシン含めてのは結構いそうだけど
ラクスが料理出来ない(したこと無い)のと紅茶狂で副長のアビーがメシマズなのは魂で理解出来る
ダークマターの出番ですね、わかります
アビー「私はレシピ通りに作っているのに食材の方が反旗を翻すんです」
って電波が飛んできた。中の人的な意味で…
料理といえば、「平和の歌」のルナも相当なものだろう
舌噛み切りたくなる料理って、どんなレベルだよw
うさぎとパンダ型のクッキー焼いてたら
ベヘリットとパンデモニウムさんみたいなのになっちゃったw (・ω<) テヘペロ
ルナマリア「野菜って洗剤で洗うの?」
恋人達の絶望的な料理スキルを改善するため、彼氏達の挑戦が今始まる…!
カゼノナカノスーバルースナノナカノギーンガー
>>573 赤鬼シン「元カノも大家の女の子も料理上手で今日も飯が美味い!」
>>570 Team R-TYPEが起き上がってこちらを見ている!
なかまにしますか?
>>575 何故かエプロン姿のラクスが
「ワタクシの料理は、お口に合わなかったのですね〜!!(涙」
と言いながら走り出し、その後ろをキラが
「僕は大好きだー!!」
と追い掛ける幻が見えた。
シンとアレルヤ超優遇されとるwwwww
アロンダイト改良したOZの技術すごい
ルナはほぼ据え置き
スレチは承知だが、これだけは言わせてくれ。
シン! 破界編に続きお前せっちゃん(否ガンダムマイスター)大好き過ぎだろw
>>578 援護要員でそれなりに使えるじゃないですかー
>>578 ??「ほう、アロンダイトを改造ですか。これは負けていられませんねぇ」
燃費向上くらいだけどなー
やはり技術者視点から見るとアロンダイトは欠陥兵器なのだろうか?
0079…え、なにその滅茶苦茶兵器は、サーベルかヒートホークでどうぞ
0083…デンドロビウムいるし…
Zガンダム時代…ロングビームサーベルがありますし
ZZガンダム時代…ハイパービームサーベルだぜ!すげぇだろ!?
逆襲のシャア…サーベルかトマホーク、IFを想定して実弾を固めよう
実剣とビームの合体は考えられないのかもしれない
なにより最悪なのはプラズマだから干渉しないと言うこと
スウェンのように地面にさしてバクゥにぶち当てるとかしないと真価は発揮できない
選択運命第7話、新規/更新依頼出したのにうpされない・・・。
>>585 おお、避難所に来てたのですか。気付かずごめんなさい
「やっぱり…!」
動揺する宙族達とは対称的に、シンは先の攻防で1つの確信を抱いていた。
今、自身が操縦している機体を自分は知っている。慣れ親しんでいる、と言ってもいい。
Dr.Kの研究室にあるシミュレーター。
そこで何時も搭乗している機体と、この機体は同じなのだ。残るグフともう一機のブレイズザクから放たれたビームをシールドで受け止めたフォーチュンは、お返しとばかりに肩部に装備された高エネルギービーム砲を放つ。
赤い光の奔流が2機に迫るがすんでのところでかわされた。しかし、シンの表示には些かの淀みも表れない。
続けざまに両膝からビームブーメランを射出。2つの藍色の光盤がグフとザクの間に割って入る。それにより分断された2機のうち、接近戦に秀でるグフに牽制のビームを放ちつつ、フォーチュンは腰の対艦刀手をかけた。
親元とされるデスティニーが持っていたモノより若干短い対艦刀を両手に掲げたフォーチュンがブレイズザクに向かって突撃する。
『何だよこいつ!?』
ビームライフルによる迎撃は間に合わないと判断したのか、ブレイズはトマーホークを振りかぶった。
『馬鹿、下がれ!』
その姿を見たグフのパイロットが何とか援護しようとビームマシンガンを乱射する。
しかし接近戦に特化したグフの射撃では牽制にもならず、トマーホークによる迎撃をかいくぐったフォーチュンが対艦刀を一閃、トマーホークを持つザクの右腕が切断される。
『うをっ!?』
間髪入れず左腕も切断されたザクは、最後の足掻きとばかりにファイヤービーを発射。唯一残った武装であったミサイルの雨が、ザクの前方を埋め尽くし爆発する。
「や、やったか?」
『馬鹿、上だ!!』
呆けた声で呟いたザクのパイロットの耳にグフのパイロットの怒号が響く。
「はっ?…うわっ!?」
しかし彼がその声に反応するより早く、ザクのコックピットは暗闇に包まれた。
「だから下がれって言ったんだ!」
そう叫ぶグフのパイロットの視線の先にあるのは、頭部が破壊されたザクの残骸と傷一つ無いフォーチュンの姿。
ファイヤービーが発射される直前に急上昇する事で難を逃れたフォーチュンが、そのまま頭上からザクの頭部ごとメインカメラを対艦刀で突き刺したのだ。
「何なんだ、こいつ?」
動かなくなったザクには目もくれず此方を見据えるフォーチュンに対し、グフのパイロットは疑問符を浮かべる。
武装とメインカメラを奪ったとは言え、バーニアが生きている以上、ブレイズはまだ動ける可能性がある。まだ敵対する可能性がある以上、本来なら確実にとどめを刺すハズだ。
隙を突かれる事を恐れて?それなら最初からコックピットを狙えばそれで済む。わざわざ武装やカメラを狙う必要は無い。
だとすれば、残る可能性はただ一つ。
「不殺のキラ様『モドキ』って訳か……ふざけるな!」
瞬間、バーニアを全開にしたグフが、サブマシンガンを乱射しながらフォーチュンへと突貫する。対するフォーチュンがビームブーメランを射出するが、スライヤーウィップを使って叩き落とす。
「ムカつくんだよ!戦場で正義の味方ごっこなんて!」
グフのパイロットがザフトを抜け、宙賊になったのはキラ・ヤマトのやり方が気に入らなかったからだ。
不殺を唱いながら、コックピットに取り残された人間の『その後』を考えない偽善者。
一体何人の仲間達が、身動きの取れないまま『不慮な最期』を迎えたと思っているのだ!
英雄と持て囃される正義の味方を彷彿させるフォーチュンの行動が、グフのパイロットから冷静な判断を失わせた。
「逃げるなよ、偽善者!!」
近づかれるのを嫌がるように距離を取ろうとするフォーチュンに追いすがりながらグフのパイロットが叫んだ。
伸ばされたスライヤーウィップがフォーチュンの左手に持つ対艦刀に絡みつき破壊するが、替わりに右手の対艦刀によってスライヤーウィップが切断される。
役に立たなくなったスライヤーウィップを破棄したグフはテンペストのビーム刃を展開。対するフォーチュンも対艦刀を構え迎撃体制をとる。
「馬鹿が!」
対艦刀の間合いの広さは強力だが、一撃さえ避ければ小回りのきくテンペストに歩が有る。
そう踏んだグフのパイロットは、自機をフォーチュンの目の前で急停止させ対艦刀による迎撃を紙一重で避ける。すると彼の予想通り、一撃を外したフォーチュンに僅かな隙ができた。
「貰ったぞ!」
その隙を見逃さず、テンペストを振りかぶるグフ。
絶対に避けられない体制、勝利を確信するグフのパイロット。
しかし彼に訪れたのは勝利の女神の賛美ではなく、命の危機を知らせる無骨な警鐘音であった。
「なっ!?」
鳴り響く背後からの攻撃を知らせるロックオンアラートにグフの動きが鈍る。
次の瞬間、テンペストを振り上げていたグフの右腕が、肩先の付け根の部分から切断された。
「ぐぁ!?」
しえ
一体何に攻撃された?
増援?第三勢力?裏切り?
あり得ないはずの背後からの攻撃に、グフのパイロットの頭を様々な可能性が駆け巡る。
その間、一秒にも満たない僅か数瞬。
しかし、フォーチュンの反撃を許すには十分な時間であった。
体制を立て直したフォーチュンは先ほど避けられた対艦刀の切っ先を反転、そのまま振り上げる事でグフの左腕を切断する。
そしていつの間にか左手に持っていたビームサーベルでグフのメインカメラを破壊した。
「ば、馬鹿な…」
メインカメラが破壊される瞬間ビームサーベルの存在を確認したグフのパイロットは、背後から攻撃してきたモノの正体を悟り驚愕する。
先程、ザクとグフの連携を分断する為に放たれた2つのビームブーメラン。
その片割れが背後からグフの右腕を切り裂いたのだ。
(有り得ないだろう!?)
放ったビームブーメランをそのまま宇宙空間に停滞させて置くことは理論的に言えば可能だ。
しかしドラグーンとは違い、ビームブーメランには自在に敵を攻撃する事はできない。
内臓された発信機をもとに真っ直ぐ自機に向かって戻って来るだけだ。
それを攻撃として、しかもグフの右腕だけを切断する様狙いすましたタイミングで回収するなど、常人では不可能な芸当だ。
「こいつ、いったい何者だ?」
暗闇に包まれたコックピットの中で、グフのパイロットが呟く。
グフは完全に死に体であり、トドメを刺そうと思えばいくらでもってできる筈だ。それに来ない所をみると、どうやら本気で不殺なんて正義の味方ゴッコを行うつもりらしい。
「……まさか『ホンモノ』か?」
Memory Select
「はぁ、はぁ、はぁ……」
宙賊達をたった1機で無力化したフォーチュン。そのコックピットには、荒い息を吐きながら安堵の顔を浮かべるシンの姿があった。
「良かった、上手くいって…」
ビームブーメランを多様したトリッキーな戦術は、Dr.Kのもとでのシミュレーションを続ける中で彼が独自に身につけた戦術である。
彼が行って来たシミュレーションは、基本的に1対多を想定した物ばかりであった。というのも、Dr.Kが『本来』の彼が真価を発揮してきた状況が、そういった劣勢状態だというのを正しく理解していたからだ。
「Drに感謝しなきゃ…」
フォーチュンのコックピット内を見回し、シンは感嘆の意を込め呟く。
シミュレーターの機体と同じと言う事は、きっとこのMSを作ったのはDrなのだろう。自分程度の人間が操縦してもこんな凄い動きが出来るなんて、やはりDrは凄い人物だ、と。
シンの頭には「自分自身が強い」という発想は微塵もない。
勝てたのはMSの性能のおかげであり、自分の操縦技術は素人に毛が生えた程度だと信じて疑いはしなかった。
「ふ……ふふっ」
だが勝利は勝利。
命の遣り取りを制し、シンの中で張り詰めていた緊張の糸が弛緩する。
「はは……ははははは!」
そして守るべきものを守ったという達成感が、じわりじわりと彼の心に広がっていった。
(やった…!!)
息を吐き出し、小さく拳を握りしめるシン。
狭いコックピットの中でなければ、大手を上げて叫びたいぐらいだ。
やった!
自分にも「あの人」と同じように戦う事ができた
『一緒に戦おう』
2年前、記憶を無くした一般人に過ぎない自分に手を差し伸べてくれたあの人の言葉を思い出す。
きっとあの人は本気でそう思った訳じゃない。
記憶を無くした自分を元気着けようとして言っただけだろう。
それは分かっていたし、自分にできる事は何もないと思っていた。
(でも今は違う…!)
戦える。
この機体があれば、あの人と同じ様に戦う事ができる。
誰も「殺さず」大切な人を「守る」為の戦いが…
――が――した
「えっ?」
「それ」に気付いたのは偶然だった。
ふっと誰かの声が聞こえた気がし、顔を上げたシン。その目の前に「七色の光」の奔流が迫っていた。
「っ!?」
反射的にペダルを踏み込むのと、危険を知らせるアラートが鳴ったのはほぼ同時。
急上昇したフォーチュンのすぐ真下を光の奔流が駆け抜ける。
「な、何だ!?」
慌てて体制を立て直したシンは、サブモニターを操作し被弾状況を確認。
幸いダメージは皆無、精々足先の装甲が少し焦げた位だ。
(危なかった…!)
もしアラートが鳴ってから回避行動をとっていたら間に合わなかっただろう。それぐらいギリギリのタイミングだった。
「宙賊の仲間…なの?」
新たに狙撃されぬよう、シンは不規則に機体を移動させながら、光の奔流が飛んできた方向を見据える。
「居た!」
数泊後、フォーチュンのレーダーが1つの機影を捉えた。大きさからしてMS、しかし距離が遠過ぎて詳細が分からない。
(此方のレーダー外からの長距離射撃。スナイプタイプのMSか?)
しかし何故今頃になって……宙賊の母艦の護衛役だったのだろうか?だが先に敵対したMSの中で、母艦の護衛に最も適していると思われるガナーザクは何故か前衛に居た。
長距離射撃に特化したMSだけでは、母艦の護衛には適さない筈だ。
(しかも、さっきの攻撃)
自分に向かって降り注いだ複数の光の束。
見た目の美しさとは裏腹に、触れたモノを根刮ぎ吹き飛ばす禍々しい力の奔流。
「しってる…」
気が付くとシンは無意識に呟いていた。
あの時……輸送船の客室から宙賊達のMSを見つけた時と同じ感覚。
――あの光を自分は知っている
頭の奥で鈍痛が響く
――あの力を自分は識っている
呼吸が荒くなり、目がチカチカする
――あの存在を自分はシっている
青と白で彩られた聖剣の名を持つMS。
あれは――
「フリー…ダム?」
アンタが『 』を殺した!!
虚ろな表情で呟いたシンの耳元で、荒々しい…しかしどこか懐かしい声が響いた気がした。
以上で代理投下終わりです〜
XXX[スレ268氏、最近避難所見ていなかったせいで、気付かず申し訳ありませんでした。また次回も楽しみにしております
ついに、シンの中のアスカとアスハの記憶が繋がり始めてきたか。ここから、どうなって行くのか・・・下手すると発狂しかねんが、さて
>>594 乙、乙なんだが、その……何と言うか、>>509-
>>527でもう投下されてるんよ。
>>585の言ってるのはクロスSS倉庫の保管のことだと思う
>>595 うお、盛大にミスった。ゴメン。ROMに戻るわorz
申し訳ない、明日にでも倉庫に保管します…
今更ながらXXX[スレ268氏GJ
Dr.Kの思想ってウイングの変態科学者達と同じニオイがするな。
……戦争はファッションとは誰の言葉だったろうか
戦争はファッション・・・製作者の言葉とは思えんが、そのアニメに出てくるキャラで言いそうな奴らがチラホラ居るからなぁ
>>599 その表記だと、何だかボスキャラみたいだなw
エミュレーター可愛いよエミュレーター!オリジナルに似せたちっぱいも可愛いよ!!
>>601 SS書きにとってMOROSAWAは、確かにラスボスとは言わないまでも難敵かもしれない
ヤツの考えたふざけた幻想をぶち殺す作業でもあるからなあ
>>603 最初の敵の間違いじゃないか?
まずそれができなきゃ後の問題も相手にできないし
>>603 とりあえず、MOROSAWAの腐補正かかっているラクシズ妥当する為には一度人生転落しないと厳しそうだな
妥当ってなんだよ・・・打倒だよorz
>>604 逆シンみたいなアフター物だと本編と帳尻合わせなきゃいけないから最初にして最後の強敵ではある。
……まぁ、二次創作最大の敵はエターなんだけどさ。
私はM.R.S.W……かつて負債と呼ばれた者
>>608 I.W.S.P.に見えた…
眼科行ってくる
正直キラ好きラクシズ好きからも嫌われてるって有様だからなあ>MOROSAWA
好ましいと思う部分も無いわけじゃないんだけどダメな部分が質、量ともに強烈過ぎるw
MOROSAWA脚本はいつも一言だけ足りないと思うんだ。
ただしその一言が一番重要な、なによりも言わなくてはならない一言だと言うだけで。
一言足りないというか会話のキャッチボールをもう少しちゃんとして、各キャラクターの最低限の心理描写をしてくれればグっとマシになったのにな
「何を!」「それでも僕は!」「カガリは今泣いているんだ!」これじゃあなぁ〜。だから何?って感じだわ
正直、高山版やTHE EDGEは最後は負けたけど、そこまでの過程がちゃんとしていたから納得は出来たけど、アニメの終わり方じゃあね
ををっ ガンダムSEEDのリファインとな?
原作(ボンボン漫画版)のような魅せる作品を期待しておるぞ!
「協力:両澤千晶」
ダメだぁぁぁぁぁぁ
以前別スレで書いていたものなのですが、そのスレがdat落ちしてしまったので、ここで新たにやりなおして投下したいのですがよろしいでしょうか?
設定としてはもちろんシンがラクシズに逆襲する流れなのですが…。
シンが逆襲するのならいいと思うよ
逆襲の方法についても問われてないのがこのスレだし
ではお言葉に甘えまして。
一応シン以外にももう一人主人公がおりますのでそこのところはご容赦ください。
無論、シンも主役です。
「なんだよ……なんなんだよ、あんなのって……!」
灰色の巨塔が立ち並ぶ繁華街の路地。 本来ならば煌びやかな装飾や照明に照らされた看板が躍り、
窓から白い室内灯の明かりが漏れ出ているはずのその場所は、まるでゴーストタウンに成り果てたかのように暗く、生気を失っていた。
「父さん……母さん……ミユ……」
その一角に蹲り、家族の名を呟く一人の少年。 あまりに衝撃的すぎる現実を前に、彼は何もすることができなかった。
“せめて自分に、家族を守れるだけの力があれば”
それは後に“ミネルバの鬼神”と畏れられる男とまったく同じ考えであることを、少年は知らない。
コズミック・イラ70、4月11日。
歴史上では、エイプリルフール・クライシスの10日後、カーペンタリア制圧戦の9日後、そしてマルコ・モラシムがジンフェムウスに搭
乗し多大な戦果を挙げた珊瑚海海戦の翌日であるが、もうひとつこの日には歴史上に残る大きな出来事があった。
東アジア共和国国会議員、ユウヤ・イズミ殺害事件である。
親プラント的思想を持ち、後にヤキン・ドゥーエ戦役と呼ばれるこの戦いの平和的・早期終結を求めていた彼は、
エイプリルフール・クライシスによって甚大な被害を受け暴徒と化した民衆によって襲撃され殺害されたのだ。
それと同時に彼の自宅にも暴徒が侵入し、当時在宅中だった彼の妻と娘に暴行を行った上で殺害した。
後に容疑者らは警察によって逮捕されたが、エイプリルフール・クライシスによる被害によって心神喪失状態であったと判断され、その罪
は不問となった。
また唯一生き残ったとされる彼の息子が行方をくらましたことで、この事件はコズミック・イラにおけるミステリーのひとつとして
しばらくの間世を賑わすことになった。
そしてコズミック・イラ74、二度にわたる地球連合とプラントの戦いは終わりを迎え、
プラントにおいては「歌姫」ラクス・クラインが新評議会議長となった。
自らの信念に則った彼女の政策は歓迎する者もいる反面、逆に異を唱える者も少なくなかった。
それに対しプラントの国防組織たるザフトは英雄キラ・ヤマトを隊長、
アスラン・ザラを副隊長とした特務隊「ヘルヴォル」をコズミック・イラ75年に結成。 武力を以ってこれを弾圧した。
かつての核エンジンの発展系であるハイパーデュートリオン搭載機のうち、
稼働しているのがストライクフリーダムとインフィニットジャスティスに限られる今、
二機に対抗できる機体、あるいはパイロットは存在せず、プラント内における反クライン派は次々と姿を消していった。
機動戦士ガンダムSEED EVOLVER
PHASE-01「紅と黒」
それから3年後、コズミック・イラ77。
「……運動ルーチン接続、FCS起動、OS最適化完了、システム・オンライン」
多数のモビルスーツが並ぶ格納庫の中、一機のモビルスーツが低い駆動音を響かせ始め、
双眸に光が灯らせる。
固定アームから解放され、ゆっくりと開いていくシャッターの先へと巨人は一歩一歩進んでいく。
「ノワールストライカー、接続状態良好、電源供給及び武装認識正常」
その背には鋭角的な翼を模した形状のバックパックが装着されており、
機体のシルエットは見る者にどこか悪魔のような印象を与えるものだった。
ここ、地球連合軍キルギス基地においては、前大戦時からモビルスーツ向けの
新型駆動コンピューターを開発していた。
現在はアクタイオン・プロジェクトにおいて再生産されたストライクの強化機、
ストライクEにその駆動コンピューターを組み込み、稼働実験を行っている最中であった。
「GAT-X105EA+AQM/E-X09S ストライクノワール・アドバンスド、各部正常に稼働」
機体が完全に格納庫の外に出ると同時に、パイロットはVPS(ヴァリアブルフェイズシフト)装甲を展開、
フランス語で「黒」を意味する「ノワール」の名の通り、
ダークグレーだった装甲の色は漆黒をベースに、明灰と深紅を加えたトリコロールへと
瞬く間に染め上げられる。
「ヴァリアブルフェイズシフト、展開完了。 管制塔へ、こちらシリウス1、フェイズ1完了」
ストライクノワールのパイロットは報告を終えると緊張の糸がほどけ、大きく深呼吸をした。
口調こそ冷静に装っていたが、かつてこの基地を救った機体と同じ姿を持ち、
なおかつこの基地の研究成果を搭載した機体を壊すわけにはいかないと、内心は穏やかなものではなかった。
それを証明するかのように、彼の頬に一筋の汗が流れる。
「……しかし、あの時の“黒騎士”に乗れるとはな」
“黒騎士”というのは、かつてこの基地がザフトに襲撃された際、
それを撃退した第81独立機動群ファントムペイン所属のストライクノワールの事である。
ノワールは寮機のヴェルデバスター、ブルデュエルとともにザフト軍MS隊と交戦、そして殲滅したのだ。
そのような経験から、当時からこの基地にいた人間はストライクノワールを尊敬を込め「黒騎士」と呼称する。
今回のストライカーパック接続状況での稼働実験においてわざわざノワールストライカーを準備したのもそれが理由である。
『おーい、ノーチェ、調子はどうだ?』
不意に通信ウィンドウが開き、そこには快活そうな若い男性の姿が映し出される。
地球連合軍の制服を着崩しており、どこか陽気な雰囲気を感じさせるその人物の名は、“ユキ・イズミ”。
今ストライクノワールに搭乗しているパイロット、ノーチェ・ノイモントの同僚であり、
彼自身もロッソイージスをベースにした「GAT-X303AAE ロッソイージス・エクシード」のテストパイロットであった。
「問題はないけど、やっぱり緊張するよ。 なんといってもあのストライクノワールだからな」
『いいよなノーチェは、俺なんか“テトラパス”だぜ? テトラパスー』
ユキは栗色の毛髪に覆われた頭を掻き毟り、モニターの向こう側のノーチェを
羨望と嫉妬の入り混じった目つきで見つめる。
「テトラパス」とは彼がロッソイージスにつけた通称である。
VPS装甲展開時の色が茹蛸のように赤く、かつ手足がほぼ同形状なため変形時は足が4本あるように見える事、
その状態で放つビーム砲「スキュラ」を蛸墨に例えて「4」を意味する「テトラ」と、
「タコ」を意味する「オクトパス」を組み合わせて「テトラパス」としたのだ。
「そういうこと言うなよ、イージスだって良い機体じゃないか」
『じゃ、変わってみるか?』「断る」
『うぉいっ!』
間髪入れないノーチェの返答にユキはわざとらしく転げる真似をしてみた後、ノーチェに突っ込みを入れる。
『なんなんだよオマエー、いくらなんでも答えるの早過ぎだろ!?』
「搭乗機は上が決めてるんだから、俺たちがどうこうできるわけないだろ」
口を尖らせ文句を漏らすユキを相手に、ノーチェは厳しく現実を告げるのであった。
しかし、この後に信じられないような“現実”が襲い掛かることを、この二人はまだ知らない。
『こちら管制塔、シリウス1、聞こえますか?』
「こちらシリウス1、通信状態は良好だ。 どうぞ」
ノーチェの乗るストライクノワールのコクピットに今度はキルギス基地の管制塔から通信が入る。
彼はまだ気づかなかったが、通信を送るオペレーターの声色にはどこか焦りが含まれていた。
予定通り、武装の試験を行うセカンドフェイズに移行せよという指示が入ると考えていたノーチェは
この後のオペレーターの言葉に驚愕することとなる。
『熱紋センサーが所属不明モビルスーツの反応を捉えました。 基地はこれより第一種戦闘配備に移行します。
これに伴い貴官のストライクノワール・アドバンスドも戦列に参加せよ、との命令です』
「何を言っているんだ、この機体はまだ――――」
稼動試験中で、と言う前に眼前にあった第2格納庫が紅い閃光に薙がれ吹き飛んだ。
その閃光は明らかにMS(モビルスーツ)あるいはMA(モビルアーマー)の火器のものであると、
ノーチェはとっさに判断した。
(アグニ、あるいはザフトのオルトロスか……!?)
「ッ……管制塔、敵の情報を!」
『敵は105ダガー、及びダガーLで構成された部隊のようですが、Nジャマーが濃いため詳細は不明です。 南西方向より接近中』
「了解した!」
ダガーで構成されているということは、恐らくその中にランチャーストライカーを装備した機体がおり、
かつナチュラルを見下す傾向のあるコーディネイター至上主義の狂ったテロリストではないという事だ。
だとすれば目的は何か? ―――考えうるのはこの基地で開発している駆動コンピューターぐらいだ。
MSそのものはコーディネイターが作り出したものとはいえ、PS装甲や小型ビーム兵器など
ナチュラル陣営の開発した武装や装備の一部にはコーディネイターの作り出した物を上回る性能を持つものがいくつかある。
この基地で開発している駆動コンピューターも、もしかしてあちら側の技術を上回るものだったのだろうか。
そう冷静に敵を分析しつつ、ノーチェは再びオペレーターに問い質した。
「シリウス2から5は?」
『各員搭乗機に向かいましたが、メカニックによるとシリウス5のネロブリッツの起動に難航していると』
その報告を聞き、彼は心の中で「だろうな」と相槌を打った。
この基地で新型駆動コンピューターの組み込みなどを行った5機の機体のうち、
ネロブリッツの改造機「GAT-X207SRS ネロブリッツ・サーパス」はまだ改造を終えたばかりで
駆動実験を一切行っていないのだ。
さらに言えば、パイロットの人間性に若干の問題がある――――というのは機体の状態には関係がないのでここでは割愛する。
ノーチェがノワールを南西方向へと進軍させると、霞む地平線の向こう側から何機かのモビルスーツの姿を視認できた。
「報告通り、105ダガーとダガーL……しかし、あの塗装は……?」
オペレーターの報告に違わず、確かに敵機はダガーを中心に構成されているが、
塗装や装備が連合の制式仕様のものとは異なっていた。
先陣を切る隊長機と思われる機体の色は、白をベースに胸部や肩などを赤に、
脇腹や爪先、踵などを黒く染めたトリコロールだ。
バックパックにはエールストライカーを装備しているが、マニピュレーターにはソードストライカーの
対艦刀「シュベルトゲベール」らしき武装を携行している。
それ以外の機体は胸部と肩部を黒に、脇腹と爪先、踵を青に染めた、これまたトリコロールだった。
ノーチェの頭の中に、同じような塗装をした機体のシルエットがよぎったが、
臨戦状態であるこの状況下ではそんなことに思考のリソースを振ってはいられない。
生きるために、そして仲間のために、ここから先へ行かせるわけにはいかない。
「シリウス1、交戦《エンゲージ》!!」
フットペダルを踏み込み、ノーチェはノワールを滑らせるように敵部隊へと突貫させた。
「シックザール1よりアルバへ、進行状況の報告を」
『アルバよりシックザール1、順調に進んでる。 どうやら敵は気づいていないようだ』
「了解、引き続き作戦の続行を」
『了解』
白・赤・黒のトリコロールに染め上げられたダガーLのコクピットの中で、若い男が仲間と通信を行っていた。
所々跳ねた黒髪に、まるで血で染め上げたかのような深紅の瞳。
知っている人が見ればすぐに誰か分かりそうなものだが、MS同士の戦いというののは顔を突き合わせて戦うようなものではない。
「シックザール1より各機、俺たちの仕事は時間稼ぎだ。 無理だと思ったら離脱しろ」
『『『了解』』』
寮機に通信を送ると、彼は機体のマニピュレーターに保持させたシュベルトゲベールを振りかぶらせ、
ストライクノワールに切りかかった。
無論相手もバックパックからフラガラッハ3 ビームソードを抜き取り対抗、
二つの剣の実体部分同士が衝突し鍔迫り合いの状態となった。
するとすぐさま男はノワールに対し、ダガーLの膝蹴りをお見舞いした。
PS装甲あるいはその発展系を利用した機体はその特性上非常に硬いが、反面衝撃が伝わりやすいという欠点を持つ。
即ちPS装甲にほとんど対抗できないジンやシグー、ディンにおいてもパイロットを衝撃で気絶あるいは殺害することで
敵戦力を無力化することが可能であり、この戦術は前大戦末期においてそれこそPS装甲の発展系を採用していた
フォビドゥンヴォーテクスやストライクノワール、ブルデュエルや
ヴェルデバスターなどに対しザフト軍が採用したといわれる戦術である。
なお「不殺」で知られるキラ・ヤマトがザフトのVPS装甲搭載機に対しレールガンを撃ち込み
無力化を図ろうとした例もあるが、コーディネイターゆえに身体が丈夫だったのか、
その機体のパイロットに大したダメージはなかったという。
体勢を崩したノワールにダガーLは再びシュベルトゲベールで切りかかるが、
ノワールに刀身が触れる寸前に刀を返し、峰打ちでコクピット部分に打撃を加えた。
「もう一度ッ!」
一瞬の暇も与えず、今度はシュベルトゲベールの切っ先をノワールの胴体に突き立てようとするが、
流石にこれ以上好きにさせてはくれないようで、ノワールはスラスターを吹かして
一旦後方へと下がっていく。
さらに基地の方からは応援と思われる2機のモビルスーツの反応が見受けられる。
このまま戦闘を続ければ、どんどん戦況はジリ貧となっていき、敗色濃厚になっていくのは
確実といえた。 しかしダガーLに乗るパイロットは紅い目を細め、
誰にも聞こえないような声で「計画通り」と呟いた。
支援
「応援……ダガーLとウィンダム?」
二度にわたって敵ダガーLの物理攻撃を食らったノーチェは乱れた息を整えつつ、
敵と距離をとりレーダーに映し出された2機の味方機に目を向けた。
『おい、聞こえるかノーチェ!? 助けに来てやったんだから感謝しろよ!』
すると不意にウィンダムから通信が入り、耳障りな声が彼の耳を衝く。
今ウィンダムに搭乗しているやけに恰幅のいい黒髪の男、バッカス・ブーン・ドラブルは
本来ネロブリッツ・サーパスのパイロットとなる予定だったのだが、
如何せん機体の調整がうまくいかず、臨時にドッペルホルン装備のウィンダムで出撃したのだ。
もう1機の味方機、エールダガーLについては通信を送ってこなかったため誰がパイロットなのかは
判断できないが、連合の信号を発している以上は味方の誰かなのだろう。
「2機とも、俺の援護を――――!?」
ノーチェが通信回線を通じて指示を出そうとした瞬間、警報音と共にノワールのコクピットを衝撃が襲う。
しかし敵ダガー部隊はこちらに対し攻撃をしていない。 だとすれば。
「まさか……?」
『そうよ、そのまさかよ!!』
そう、ウィンダムと共に現れたエールダガーLがノワールを羽交い絞めにしていたのだ。
制式塗装を施されていたので思わず油断していたが、よく見れば発信している信号もキルギス基地ではなく
約3年前に陥落し、既に存在しないヘブンズベース基地のものであったのだ。
「おい、シリウス5ッ! 何故気づかなかった!?」
『い、いや、その……』
声を荒げるノーチェに気迫に押され、先程までの勢いはどこかへ行ってしまったのか
バッカスはまごついてまともな返答をすることができない。
「クソッ、使えない奴だ……ッ!!」
いつも態度だけは大きいくせに実力がそれに伴わない。 それがノーチェの中でのバッカスという
人物の評価だった。
実際のところ、ノーチェやユキらが所属するシリウス小隊の中で一番のお荷物と言われても過言ではない。
「ここまでか……?」
ノワールが羽交い絞めにされている以上、錯乱状態のバッカスごときに
この状況を打開できるとは思えない。
事実、敵部隊のエール105ダガーのビームサーベルによってウィンダムの足を切断され、
彼はこの時点で戦力外になってしまった。
そしてシュベルトゲベールを持ったダガーLが接近してきた瞬間、ノーチェは死を覚悟した。
しかし、それと同時に制式塗装ダガーLが離れ、
突撃してきた方のダガーLに蹴り飛ばされたノワールは仰向けに倒れてしまった。
「なっ!?」
シュベルトゲベールを持ったダガーLはビームサーベルを抜き取り、刀身を発生させぬまま
ノワールのコクピットハッチギリギリのところにそれを突きつける。
『アンタに恨みはないが、ここで機体を捨てなければコクピットを焼く』
通信回線が開き、ダガーLのパイロットと思しき男がノーチェへ投降を促す。
「…………。 仕方ないか、クソッ」
悔しいが、ここでつまらない意地を張って命諸共ノワールを喪失するよりも、
一度退いて再び万全の体制で再戦を挑んだほうが懸命であるとノーチェは考えた。
コクピットハッチを開くと足早にノワールから離れ、彼は様子を伺う。
するとダガーLのコクピットハッチが開き、そこから出てきた若い黒髪の男がノワールに乗り移ったのだ。
そしてノーチェはその男の姿が自分の中のある記憶とリンクするのを感じた。
「あの男は……まさか」
前の大戦におけるザフトのプロバガンダ放送に映し出された、一人のエースパイロット。
プラント前議長ギルバート・デュランダルが提唱した計画、それと同じ「運命」の名を冠す機体に
搭乗していた男。
「赤服」を纏い「ミネルバの鬼神」と畏れられ、
一度はあの“キラ・ヤマト”のフリーダムすら撃墜した、その人物の名は――――――。
「―――――シン・アスカ」
ノーチェがノワールを放棄したのと同時刻、基地では次々とモビルスーツの発進作業が行われていた。
慌しく動き回るメカニック達に、基地中に響き渡る警報音。
管制塔もNジャマーが濃い中で状況把握に追われている。
「全兵装アクティヴ、オールウェポンズ・フリー、システム戦闘ステータスで起動……。
おやっさん! そっちはどうだ!?」
『なんとか動けるようにしたが、無理はするんじゃないぞ!』
「了解!」
パイロットスーツを着込み、シートに座るユキはこの状況下において一種の興奮状態を感じていた。
訓練は何度もこなしてきたが、実戦に参加するのはこれが初めてだ。
3年前にこの基地へパイロット候補生として配属されて以来、彼はどこか心の中でこういう状況を
期待していたのかもしれない。 否、期待していたのだろう。
メンテナンスベッドから機体が解放され、頭部に大型のセンサーマストを装備した「盾」の名を持つ巨人がゆっくりと歩み始める。
『にしても、あの子を先に出して大丈夫だったの?』
『誰も出さんよりはマシだろう、弾除けぐらいにはなる』
通信機から流れる声は、それぞれGAT-X1022R リインフォース・ブルデュエルと
GAT-X103APS ヴェルデバスター・ストレングスのパイロットだ。
先行して出撃したバッガスについて話しているようだが、ユキの耳にその声は届かなかった。
これから始まる戦いへの興奮はもはや抑えきれない。
深紅のVPS装甲を展開したロッソイージス・エクシードの中で、彼は自信満々に発言する。
「ユキ・イズミ、ロッソイージス・エクシード、行きますッ!!」
言い訳とおまけコーナー
・シンの出番が少なくてすいません。 まだプロローグ的な話なので…
・というか、主役(シンとユキ)よりノーチェが目立ってて本当にすいません。 MOROSAWAの二の舞にはならないよう気をつけます。
・「アルバ」とか言われてる人は実は種本編に出てきたキャラの肉親。 ヒント:生意気なんだよォ!
よろしければ、今後も生暖かい目で見守ってくだされば幸いです。
それでは…
投下乙
スタゲ要素が入ってるとは珍しい、続きが気になりますな
乙。スタゲ方面からとは珍しい。続きもファイト
ちなみに、妹の名前がマユじゃなくってミユなのはの単なるタイプミス?それとも何かしら含みがあるのかしら?
なにはともあれ、頑張っておくれ〜
>>624 投下乙。 余所からの移住された書き手さんと言うことで新人さんとはいえないが、とにかく続き楽しみにしてます。
しかし、別スレからの移転だとこのスレのSSとは毛色が違って新鮮だわ。
そして、ミユといえばこのスレでもある作品のマユクローンがミユって名前だったなぁと
>>626みて思い出した。
>>624 乙。連合の新型のさらに新型とは驚いた。同じく、楽しみにしております。
>>627 起きてから読み直して気付いた…こらアカンorz
仕事終わったら、もう一度じっくり読み返してみるわ
ミゲェェェェェル
632 :
513:2012/05/07(月) 21:39:38.31 ID:???
お久しぶりです。
シン以上に、自分が新しい仕事に慣れなくて四苦八苦してましたが、繁忙期が終わりGWで時間もできたので、金曜の夜に投下できそうです〜
キター(゜∀゜)
>>623 選択運命の人でしようか?お久しぶりです!!
投下及び新しいお仕事頑張って下さい!
刑事シンと探偵CCがクトゥルフ神話に挑むようです
スターゲイザーのその後から発展した話は見たことないので期待
イザークとかディアッカ、ルナマリアやアーサーとかもヘルヴォルにいるのかね〜?
>>634さん、Select of Destinyの事を指しているのでしたら違いますよー
この報告だけではアレなので小ネタ投下します。
『The Second-grade Syndrome』
C.E.77
ラクス・クラインとキラ・ヤマトによって世界は「「色々長いんでカット」」MS乗りによる盗賊行為が横暴していた。
太平洋上にある小国・リモ○シア共和国
普段は豊かな自然に囲まれた静かで平和な国なのだが、ここ数日隣国がMSで武装した盗賊に襲われる事件が多発。
何時この国が標的になるかも知れないという不安が住民達に広がり、昼間でも出歩く人間が少ないゴーストタウンと化していた。
「本当に信じられるのか?」
その国の自警団で隊長を勤める男が、机を挟んで目の前にいる部下に尋ねる。
「腕は確かです」
「腕が良くても『傭兵』だろう?何時裏切られるか分かったものじゃない」
「その点も大丈夫でしょう。その筋ではそれなりに有名な『プロ』の傭兵を雇いましたから」
それに、と部下は言葉を繋げる。
「他の解決策を模索している余裕も無いでしょう?」
「それを言われると耳が痛いな」
部下の言葉に隊長は顔をしかめた。
リモ○シアは元々治安の悪くない国だった為、この自警団は武器も人材も慢性的に不足している。
もし今盗賊に攻められでもしたら、MS1機投入されただけで瞬く間に全滅するであろう事は容易く想像できる。
だからといって自衛用MSを購入する予算もなければ、操縦するパイロットも居ない。
部下の言うとおり、傭兵でも雇う他に選択の余地はないのが実状だった。
「取り敢えず、会ってみない事には話にならんか」
「そう言うと思いまして、既に呼んであります」
「……準備が良すぎないか?」
「これ以上ダラダラ話を続けて、作者に行数を稼がせるわけにもいかないでしょう」
「はっ?」
「いえ何も……入りたまえ」
部下の言葉に促されて入室して来た1組の男女。
その姿を見た隊長の第一印象は以下の通りである。
(黒っ!)
長身とまではいかないが決して低くは無い身長を持つ男の方は黒髪・黒いマント・黒いブーツと全身を黒ずくめで覆われており、顔に掛けられた大きなバイザーのせいで表情を窺う事はできない。
その横でニコニコと此方に笑いかけている女の方も黒を主に白い十字模様で装飾されたドレスを身にまとっており、頭に被った特徴的な帽子から覗かせる綺麗な赤髪が唯一の華やかさを演出していた。
……正直仕事でなければ目も合わせたくない程怪しい2人組である。
「………」
本当に「コレ」がプロの傭兵なのか?という疑問符を乗せた目配りをする隊長だが、その視線の先には大きく頷き返す部下の姿。どうやら本当らしい。
「……失礼、少々考え事をしてしまった。御足労頂き感謝する」
「いえいえお気になさらず。初めてお会いするクライアントは大抵同じ反応をしますので」
軽く咳払いをしながら右手を差し出す隊長に対し、黒いドレスの女はにこやかな表情を崩す事なく差し出された右手を握り返す。
どうやら自分達の格好が周囲から浮いているという自覚はあるらしい。
「本日は私共『紅の鷹』とご契約頂き感謝いたしますわ、ミスター…」
「ケイネスだ」
「ミスター・ケイネス。私はムーンライト、彼はミスター・トゥルーと申します」
隊長の言葉に、黒ドレスの女は自分の胸と男の肩に手を当てながらそれぞれ自己紹介する。
「……本名かね?」
「そう思われますか?」
「いや…」
『月光』と『真実』。
捜せば居ない事は無いだろうが、彼女の反応をみる限り偽名なのだろう。
もっとも傭兵が素性を隠す事などよくある事だが。
「別にどちらでも構わんよ、ミス・ムーンライト。……ミセスだったかな?」
「『ミス』であっていますわ」
ちらり、と先程から微動だにしていないミスター・トゥルーの方を見ながら隊長が尋ねると、ムーンライトはクスクスと笑いながら答えた。
「ですが、私は身も心も神(我が主)に捧げた身。よろしければ『シスター』とお呼び頂けますか?」
「シスター?」
手で十字を描くムーンライトの言葉に、隊長はああ、と思い出した。
彼女が身に纏うドレスと帽子は、嘗て神に仕える為に教会で暮らしていたと言われる女性達が着ていた修道服と呼ばれる服装だ。
宗教という概念そのものが廃れて久しい昨今ではまず見る事の無い服で、隊長も昔歴史の本で一度見たことがあるだけで実際に見るのは初めてだった。
(神に仕える女が傭兵だって?)
「……了解した、シスター・ムーンライト」
存在そのものが矛盾している、内心でそう評しながらも表情にはおくびにも出さずに隊長は応える。
彼としては、この2人が神に仕えようが悪魔に魂を売ろうが仕事さえきちんとしてくれればどうでもいいからだ。
「ご理解が早くて助かります、ミスター・ケイネス」
そんな隊長の意図に気付いているのか、ムーンライトは両手を合わせ神に祈りを捧げる様な仕草をしながら微笑んだ。
「神に誓って、『契約金』の支払いと貴方の『命』が続く限り、私達は決して貴方達を裏切らないと約束致しますわ」
………場所は変わり、隊長が『』にあてがったホテルの一室。
その部屋の片隅で、結局隊長の前では一言も声を発する事の無かった男、ミスター・トゥルーが突っ立ていた。
「………」
彼は徐に顔の半分以上を覆っているバイザーを外す。
すると彼の目先の壁に設置された鏡に、一際人目を引くであろう紅い瞳を持つ青年の顔が写し出された。
「……すぅ」
素顔を晒したミスター・トゥルーがゆっくりと息を吸いこむ。そして
「もうイヤだぁあああぁあああああぁぁああ!!!!」
有らん限りの力を込め、思いの丈を吐き出した。
「も〜何叫んでるのよ?」
するとタイミングを見計らったかの様に部屋に入って来たムーンライトが、男の大声を咎める。
シャワーを浴びていたのか、濡れた髪をバスタオルで拭い、ランジェリーだけでは隠しきれない抜群のプロポーションを惜しげもなくさらしていた。
「何?今更ザフトのサラリーマン生活が恋しくなった訳?」
「違うわ!!」
裸同然の格好のムーンライトだが、それを彼女が恥ずかしがる様子もトゥルーが咎める様子もない。
「今更ザフトなんかに未練がある訳ないだろうが!」
「じゃあ何が気に食わないのよ?ミスター・トゥルー」
「その名前とこの格好だよ!!」
わけがわからないよ、と首を傾げるムーンライトに対し、トゥルーはビシッと鏡の中の自分を指差す。
「何なんだよミスター・トゥルーとシスター・ムーンライトって!」
「だって本名言うわけにはいかないでしょう?私達の居場所をあの子達に知られたら地の果てまで迎えに来るわよ、きっと」
「偽名にも限度があらぁ!もうちょっとマトモな名前で良かっただろ!?」
「ええ〜?」
早口でまくし立てるトゥルーの言葉に、ムーンライトは口を尖らせる。
「なによ〜この前のジパング風の偽名が気に入らないって言うから、今回はできるだけアメリケンな偽名にしてみたのに〜」
「こんな結果になるって知ってたら前のままで良かったよ!格好もコレよりはまともだったからな!」
「え〜格好いいじゃないその黒マント、何か復讐者って感じで」
ケラケラと笑いながらトゥルーの肩を叩くムーンライト。
説得力0である。
「俺は何に逆襲するんだよ……」
そんなムーンライトの様子に怒る気も失せたのか、トゥルーは頭を抑えながら力無く呟く。
「あっ、でもこの前の学生服に伊達眼鏡も捨てがたかったわよ。ナイフ持ってたら殺人鬼って感じ?」
「勝手に人を殺人鬼にするな」
「私も今日の修道服より、前の服のほうが好みだし……次の依頼の時はあっちにしようかしら?」
「……聞けよ、人の話」
トゥルーの呟きは無視して自分の世界に入り込んでいくムーンライト。
共に傭兵を生業として約1年。彼女とはそれ以前からの浅からぬ仲であったが彼女がこんな病気……所謂アイタタタタタな趣味の持ち主であると彼が知ったのは極最近だった。
別に人の趣味をとやかく言う気はないが、巻き込まれる此方の身にもなってもらいたいものだ。
「はぁ」
こうなったら何を言っても無駄か、そう判断したトゥルーは自分も汗を流す為マントとインナーを脱ぎ捨て、シャワールームへと向かう。
「でもあの着物…?って服、私が着るとなんか似合わないのよねぇ。何でかしら?」
「……身体の一部の発育が著しいからじゃねーの?」
背後から聞こえるムーンライトのぼやきに小声で突っ込むトゥルー。
「なっ…!?」
「……?」
「な、なな、何言ってるのよ、このラッキースケベーーー!!!」
「何でそういう事だけ聞こえてるんだよ、アンタはーーー!!!」
その夜傭兵集団(構成員2名)『紅の鷹』はリモ○シアでの依頼の前に、とあるホテルの一室にて謎の無制限一本勝負を開始した。
なお、勝敗の行方はいっさい不明である。
近状報告
愛するょぅι゛ょじゃ勝てなくて、勝率の事を想うとつい切腹しちゃうの///
全力でゴメンナサイ。某コノシュンカンヲゲーの新作にどっぷりハマってましたテヘペロ(・ω<)
次回こそはSODの続きをば
>>642氏 GJ!!
シスタームーンライト…一体何マリアなんだ…
>>642 乙です。シスタームーンライト。一体ルナ何なんだ…
XXX[スレ268氏 乙です。
相変わらず氏の書くギャグ調のSSはイロイロぶっとんでますね(良い意味で)
>>643 644
元ザフト所属らしいミスター・トゥルーと親しいから、シスター・ムーンライトも元ザフトなのかも知れないな。
赤髪でナイスボディの元ザフト女性……駄目だ、特定するには情報が少なすぎる
>>645 たった2人でプロの傭兵集団を名乗りそれなりに名前が売れるには、
かなりの腕のMS操縦技術を持ってる可能性が高いな(並の赤服以上)
つまり紅髪でナイスプロポーションで元赤服の凄腕パイロット……
そんなキャラ原作にいたっけ?
?「狙いは完璧よ!」
「お姉ちゃんだと思った?残念メイリンでしたー」
>>642 ???「私に無断でリ○ネシアの名を使うなんて…!今すぐ私に土下座するのだ!!」
>>649 折角生き残ったんだからお姉ちゃん先生に戻るか、レジスタンスで雇われをこき使ってなさい(バンッ!
テスト
653 :
513:2012/05/11(金) 21:42:07.23 ID:???
お疲れ様です。早速第10話投下します〜
オーブのキラさん達がマルキオと対峙していた頃、月面を脱出した俺達はアル・ダ・フラガの手から逃れる為、
デブリの中に紛れながらコアスプレンダーを飛ばしていた。
「何とか月面の防空圏を抜けたはいいものの、さて、これからどうします?」
「え?何か考えがあったのではないのですか?シン」
「そんなのあるわけ無いでしょ。突然奴らがやって来て、とにかく月面から脱出するって事だけ考えてたんですから。
ともあれ、あの“レイもどき”の口ぶりからするとプラントに逃げるのは得策じゃないでしょうし、どうしたものかな」
「そうですわね。恐らくお父様が生きて居られた頃から居たクライン派の多くは、あちら側の息が掛かっているでしょう。
アスランと共に復興に尽力されているカナーバさん辺りは迎え入れてくれるでしょうが、
どこから情報が漏れてもおかしくない状況ですし、あまりご迷惑はお掛けできませんわね」
「そうですね、っと、やっぱり居たか・・・」
そんな感じで、デブリの中を移動しながらこれからの行動を話し合ってると、レーダーが進行方向に居るMS群を発見した。
「ゲイツが5、ザクが2、ダガーも何機か居るな。ラクスさん、一旦隠れますよ」
「お任せしますわ。ですが、ザフトと連合のMSが一緒に居るなんて、何だか不思議な光景ですわね」
「それだけ奴らの仲間はあちこちに潜伏していたって事なんでしょうね。敵の敵は味方ってんじゃないですけど、
同じ目的を持った物騒な奴らが複数の組織に潜り込んで色々暗躍していたなんて、タチが悪いにも程がある」
「まるで過激な宗教団体のようですわね。まさに以前の私達と同じ・・・振り返って見ると、本当に過激な事をしていたものですね。
ですが、今回の一件にあのマルキオ導師が絡んでいるのであれば、あの光景も分かる気がしますわ。
導師のお話は、素敵な夢物語のようで不思議と引き付けられるものがありましたし、何よりとても耳障りが良いものでした。
あの方でしたら、ナチュラルもコーディネーターも関係なく口車に乗せ、裏から操る事など簡単に出来るでしょうね」
「そこまで行くと、今までのザフトと連合の戦いもその男が裏で関わっていそうですね。
一人の男の手のひらの上で、世界が玩ばれているなんて笑えない話ですけど」
「さーて、隠れたはいいものの、後ろからも連中が追い掛けて来ているだろうし、あまり長居は出来ないな。
かといって、あの数の中を突っ切って無傷で済むとも思えないし」
「何か策はないのですか?」
「月面脱出の時のブースターが使えれば何とか出来たかも知れませんけど、使い捨てだったのでもう切り離しちゃいましたからね。
今ある追加装甲を外せば多少加速度はあがるんでしょうが、それでもMSが相手じゃあっさり囲まれて終わりでしょう」
「手詰まり・・・ですか?」
「まさか。前大戦の時だって同じような絶望的な状況は何度もありましたけど、何とか突破して生き残ったんです。
例え何十機のMSに囲まれようと、今回だって全力でぶっちぎって見せますよ」
『ほう、中々いい答えだ少年。気に入ったぞ』
「え?」
そんな俺の言葉に反応するかのように、突如として聞こえてきた男の声に一瞬身を引き締めたが、
通信モニターに映った姿を見て、後ろに座っていたラクスさんが座席から身を乗り出し声の主に語りかけた。
「バルトフェルドさん?バルトフェルドさんですか!?」
『おお、久し振りだねラクス嬢。元気でやっていたかね?』
「ええ、お陰様で。そちらもお元気そうですわね」
『元気ではいるが、のんびり出来る状態ではないねぇ。ま、プラントで発生しているゴタゴタに関しては、
カナーバ女史やエザリア議員がうまく収めてくれているんで、隙を縫って僕はこっちに来たって訳さ』
「ええっと、ラクスさん。とりあえず、俺にも分かる様に説明してくれませんか?この人はどちらさんですか?」
「ああ、ご免なさいシン。久し振りでしたので、ついつい舞い上がってしまいました。
こちらは、エターナルの艦長を務めて下さっておりますアンドリュー・バルトフェルドさんですわ」
「アンドリュー・バルトフェルドって・・・あの“砂漠の虎”のバルトフェルド!?」
『そのバルトフェルドで相違ないよ。そして、君がシン・アスカ君だね。噂は、キラ君から聞いているよ。
随分とうちのお姫様がお世話になっているようだね。ありがとう』
「いえ、どうも。で、そんな人がどうしてこんな所に?」
「そうですわね。確かに些かタイミングが良過ぎる感じではありますし・・・
アンドリュー・バルトフェルド、ラクス・クラインがお尋ねします。あなたは私達の味方ですか?それとも敵ですか?」
『ほう。疑われるのは当然だが、逆に嬉しくもあるね。以前の君なら、僕の顔を見た瞬間に疑いもせずホイホイ出て来ただろうし』
「そ、そこまで私はお花畑ではありませんでしたわ!その、多分、きっと・・・」
「あ〜、とりあえずラクスさんをおちょくるのはその位にして下さい。まあ、時間も無いし今はあなたが味方だと信じます。
それで、こちらの状況は分かっているようですけど、俺達はどうすればいいんですか?」
『そうだね。あまり冗談を言える状況でもないから手短に伝えるけど、現在プラントは核攻撃の脅威に晒されているんだ。
これは、オーブのクーデター首謀者達が自爆した直ぐ後に議会に送られて来た書面に書かれていて、
君達の身柄の引渡しとプラント政権の無条件降伏を条件に攻撃を取りやめるというものだった。
それに合わせて、旧クライン派の議員や技術者、MSパイロット達が一斉にプラントを脱出。
数は多くないけど、グフなどの主要MSが何機か強奪されたし、港周辺を一時封鎖されたりでこちらの行動が遅れてしまってね。
他の船とは別の場所に停泊させていたエターナルは出航させる事が出来たものの、他は未だに足止め状態さ』
バルトフェルドさんの説明を聞き、これからの行動をどうするか思案していると、コアスプレンダー内に警戒警報が鳴り響いた。
慌ててレーダーを確認すると、後方から追いかけてきていたアル・ダ・フラガの船と前方に留まっていたMS群が
デブリの中に潜んでいたこちらへと向かって来ている所だった。
「くそ、同じところに長居しすぎたか!ラクスさん、一気に突っ切りますから掴まっていてください!!」
『待ちたまえ!こちらも数は少ないがMSパイロットが何名か搭乗している。直ぐに彼らを出撃させるから、
その隙を見て君達はエターナルへと向かってきてくれ』
「分かりました。でも、キラさん達は地上に降りているのに大丈夫なんですか?生半可な腕のパイロットじゃ、あの数は・・・」
《ちょっとシン!随分失礼な事言ってくれるじゃない!ザフトのエースは、アスランやキラさんだけじゃないのよ?》
そんな心配そうな俺の言葉を遮るように聞こえてきたのは、あの戦いの中、いつも隣りで俺を励ましてくれた声だった。
「ル、ルナ!?何でお前がこんな所に居るんだよ。メイリンと一緒に退役したんじゃなかったのか?」
《ザフトは辞めたけど、プラントの一大事って時に、この私がのんびりなんてしていられる訳ないでしょ。
それに、アスランからもしもの時はシンを助けてやってくれって言われてたから、ちょっとお願いして乗せて貰ったのよ》
『ははは、彼女《私をシンのところへ連れて行け!さもなくば、船ごと吹き飛ばすわよ!》って乗り込んできてね。
アスラン君から話は聞いていたし、何より元ザフトレッドのトップガンだって話だから乗ってもらったのさ』
「ザフトのトップ・・・ガン?ルナが?」
《何か文句ある?私だって、あの大戦を生き抜いた赤なのよ?それに、借りたのも乗り慣れたガナーザクだから問題ないわよ》
相変わらずなルナに一抹の不安を覚えつつ、レーダーに目を移すと後方から迫ってきている船がかなりの距離まで近付いてきていた。
「時間ないから今は突っ込むの止めておこう・・・バルトフェルドさん、ルナ達が前方のMS群と接触したら、デブリから脱出します。
そのまま、ノンストップでエターナルまで突っ走りますので、確保の方は宜しくお願いします」
『了解した。では、ルナマリア君達には直ぐに出撃して貰う。ラクス嬢、エターナルで待っているよ』
《シン、無茶だけはしないでね。それじゃ》
簡単な打ち合わせから数分後、前方に戦闘の光を確認した俺は、静かにコアスプレンダーのエンジンを入れた。
「打ち合わせ通りだな。ラクスさん、また全速力で飛ばしますからしっかり掴まってて下さい」
「お願いしますわシン。ですが、今回はずっと逃げてばかりですわね」
「まあ、ラクスさんをエターナルに降ろしたら俺も何かMS借りてルナ達の援護に向かいますよ。
ルナ達だけに負担は掛けられないし、何しろ俺自身やられっ放してのは性に合いませんからね」
「ですが、今のあなたはMSでの戦闘行為を禁止されています。この戦いの後に、もし誰かが議会に報告でもしたら・・・」
「その時はその時ですよ。今は、目の前の脅威を払って、この状況を生き残る事が最優先ですから」
「分かりました。もしそのような事になったら、私も全力で弁護させて頂きますわ」
「そう言って貰えるとありがたいです。それじゃ、発進します」
そして俺達はルナ達が戦っている光を横目に、エンジンを起動させ先程の通信中に伝えられた座標へと機首を向けた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「シン達は無事デブリの中から脱出出来たようね。さて、こっちも頑張らないと。蟻の子一匹通さないわよ!」
『張り切るのは結構だけど、もうちょっとちゃんと狙って撃っておくれよ。
さっきからうちのヘルベルトとマーズが、あんたのオルトロスに中りそうで冷や冷やモノだよ』
「ああ、ご免なさい。でも、そっちだって前に出すぎですよ、ヒルダさん。もう少し、こっちと連携とってくれてもいいじゃないですか」
『私達はいつも通りなんだけどねぇ。まあ、他の人間と組む事なんて滅多にないからさ。出来ればそっちが合わせておくれ』
「もう、勝手なんだから。でも、以外ですね。あなた達はてっきり旧クライン派の方に付くと思ってました。
それともやっぱり、あなた達三連星がラクスさんの熱狂的な信望者だってのは本当だったんですか?」
『半分正解といったところだね。確かに私達はラクス様を信望しているけど、他の奴らほど妄信的じゃない。
それに、御父上のシーゲル・クラインの時代からクライン派に所属してはいるけど、正直言って奴らの唱える恒久平和なんか知ったこっちゃないね。
私としては、そんな夢見がちな馬鹿の言う世迷言なんかに興味はないよ。ただ、ラクス様が笑って下されば十分なのさ』
その言葉を聞いてルナマリアは驚いた。今まで、クライン派といったら全員がラクス・クラインを崇め奉る狂信者で、
ラクスに敵対するものは全て排除するべし!というような考えを持った迷惑極まりない集団だと思っていたからだ。
「随分とセンチメンタルなんですね。でも、それじゃあ何で今回もラクスさんに味方したんです?」
『そりゃあ、今のラクス様が笑っておられるからさ。あの坊やと一緒に居るラクス様は“シーゲル・クラインの娘”ではなく、
“只の女の子”なラクス・クラインなんだからね。どっちのラクス様が幸せかなんて比べるまでもない』
「只の女の子、ですか。確かに、御輿として担がれ続ける人生よりそっちの方が幸せなのは間違いないですね、女の子なら特に」
『そうだろう?ただまあ、その笑顔の源があの坊やだってのは癪だけどね』
「シンは真っ直ぐですから。言葉も感情も生き方も全部。そんなシンと触れ合ったから、ラクスさんも変われたんじゃないですか」
『ほう、随分とアスカの事を高く評価してるんだね。噂によると直情的で向こう見ずってイメージだが』
「ずっと横で見ていましたから・・・他人がどんな評価をしようとも、私が知っているのが本当のシンです」
『若いねぇ。ま、お喋りはこの位にしようか。そろそろ敵さんの第二陣が来るだろうから気を引き締めるよ』
「了解。目視出来る距離まで近付いて来たら先制のオルトロスを撃ちますので後は宜しくお願いします!」
『あいよ。これが終わったら私行きつけの店にでも連れて行ってやるよ。それじゃあね』
通信が終わり、ルナマリアがレーダーを確認するとシン達を追って来ていた船とMS群が確認出来た。
数としてはそれ程多くはないが、強奪されたと思われるグフが見えるあたりそれ相応のパイロットも居るのだろう。
大戦中は最前線で戦っていたとはいえ、今のルナマリアにとっては久し振りの実戦である。自然と、レバーを握る手にも力が入る。
しかし、今度こそシンを守るという決意を胸に、敵艦へ向けてしっかりとオルトロスを構え直した。
「シンがエターナルに着くまでは、誰もここを通さないわ。今度こそ、私がシンを守るんだから!」
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一方、月面でシンとラクスを取り逃したアル・ダ・フラガは苛立っていた。
あと少しで手に入る筈だった“SEED”を持つ番いは、こちらの動きを先回りしてローレンツ・クレーターから脱出し、
別働隊がデブリ地帯に潜んでいるコアスプレンダーを発見したと思ったら、そこにもまた邪魔が入り、取り逃がすという失態。
「全く、どいつもこいつも役立たずめ。たかが小娘一人と小僧一人、何故さっさと捕獲出来ん」
「お言葉ではありますが、どうやらこちらの動きを読んでいた輩が居たようです。恐らくキラ・ヤマトや身辺の者達でしょうが・・・」
「ふん、言い訳は聞き飽きた。とはいえ、奴らがどこに向かって逃げているのかはっきりした以上、もう貴様らには任せておけん」
そういうと、失態を如何に挽回しようかと考えている側近を横目に艦首後方のハッチへと流れていった。
「閣下、どちらに?」
「決まっているだろう。アレのテストも兼ねて私自らが奴らをエターナルから引きずり出してくる」
「アレ、ですか。しかし、あの機体はまだ調整中ですし、何より先日取り付けた例のシステムとの同調もまだ」
「だからそれを今からやると言っているのだ。ちょうど良さそうな獲物もいる事だしな。最終調整にはもってこいだろう?」
「確かにあのシステムが起動すれば、戦闘面では十分な火力を発揮出来る筈ではありますが、大丈夫でしょうか?」
「要らぬ心配だ。それに、あのシステムが私に逆らえるはずがないだろう?出来損ないとはいえ、一応あれも《 》なのだからな」
「閣下が問題ないと仰るのでしたら、私はもう何も言いませんが・・・ですが、くれぐれもご無理はなさらない様に」
「当然だ。これが終わった後に全てを掌握するのは私なのだからな。では、艦の事は任せた」
そう言い残し、MS格納庫へとやって来たアル・ダ・フラガは自らの乗る機体の前へと降り立った。
「ふん、あの失敗作の乗っていたものの改修型と言う割には中々悪くない。まずは手始めに煩いカトンボ共を血祭りに上げた後、
奴らの目の前でエターナルも落とし、私をコケにしたラクス・クラインとシン・アスカに相応の罰を与えてやろう」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルナ達が囮となり敵MS群を引き付けてくれたお陰で、俺達は無事バルトフェルドさんの待つエターナルの前までやって来た。
初めて目の前にしたエターナルは、その鮮やかなローズレッドの色合いも相まって戦艦という体を感じさせなかった。
この船を旗頭にした集団に自分は負けたのかと思うと、少し複雑な思いもあったが今は考えても仕方がないので、
先程教えて貰った艦橋との通信回線を開いた。
「こちらコアスプレンダー。着艦許可を願います」
《はい、こちらエターナル。お疲れ様シン。何だか大変な事になってるけど大丈夫?》
「メイリンか?まあ、ルナが居たんだからある程度は予想してたけど、何でお前がオペレーターやってるんだよ」
《半分お姉ちゃんに引っ張られてきたような感じだけどね。後、オペレーター席に座っているのは経験者って理由で。
まだ余り事態を飲み込めてないけど、乗せて貰って正解だったかな》
「どういう意味かはよく分からないけど、とりあえずラクスさんを降ろしたいから着艦許可を頼む」
『それなんだが少年、のんびり着艦している暇は無さそうなんだ』
ルナに続き、久し振りに会った旧知との会話に割り込んできたのは虎柄のパイロットスーツを着たバルトフェルドさんだった。
その表情から感じ取るに、どうやらあまり良くない事態になって来ているようだった。
「お疲れ様ですバルトフェルドさん。スーツなんか着て何かあったんですか?」
『ああ、ルナマリア君達が君達を追って来た後続部隊と戦闘状態に入ったようでね。
ある程度は落とせたようなんだが、どうやら向こうの隠し玉に苦戦しているようなんだ。で、急遽僕も出る事にしてね』
「じゃあ、直ぐにでも救援に行かないと!急いで着艦してラクスさんを降ろしますから、俺にも何かMSを貸して下さい!」
『残念だが、今エターナルには僕のガイア以外はもうMSは積んでいないんだ。それに、今ラクス嬢を船に降ろすのも危険だ。
確かにエターナルの乗員は信頼できる者達だが、100%信じ切る事も出来ないのが現状でね。特に僕が船外に出るとなれば尚更だ』
「くそ!ルナ達が危ないってのに・・・俺にはどうする事も出来ないのか?」
そんな、俺の苦悶の表情を見るのが耐えられなかったのか、メイリンがおずおずと手をバルトフェルドさんに上げた。
《あのぉ、バルトフェルド艦長。もういいんじゃないでしょうか?》
『あ〜、確かにちょっと勿体振り過ぎたかな。御免御免』
「え?話が見えないんですが・・・メイリン一体どういう事だ?」
『確かに、今エターナルには僕のガイア以外のMSは積まれていない。MSはね』
《そして、何で私がオペレーター席に座っているか。後はシンでも分かるわよね?》
そこまで言われて、ようやく色々なピースが頭の中ではまっていった。
今乗っているのはあのコアスプレンダー。そして、オペレーター席には慣れ親しんだメイリン・ホーク。
「シルエットシステムが、ある?」
『ご名答。君にとっては慣れ親しんだ機体だ。乗り慣れてないMSよりずっと戦いやすいだろう』
《そして、フライヤーの射出オペレーターは私。ちょっとブランクはあるかもしれないけど、問題ないでしょう?》
「ああ、確かにメイリンなら慣れてるから問題はないな。じゃあ早速・・・て、やっぱりラクスさんをどこかに降ろさないと」
「シン、そんな荷物を降ろすように言われると私も困るのですが。それに、私の生殺与奪の権利はシンにあるのでしょう?
でしたら、私はシンと共に在ります。キラの用意してくれましたスーツもありますし、ここに居させて下さい」
『と、お姫様からのお墨付きも出たところで、ダメ押しとして簡易的ではるが少年には議会からの辞令をあげよう。
“シン・アスカ殿。汝をこの騒乱の間【歌姫の騎士】に任ずる。歌姫ラクス・クラインを守護し、その脅威を払うべし”
これで、一時的とはいえ君の戦闘行為禁止制限は解除された。存分に奴らに一泡吹かせてやってくれ』
「知らず知らずの内にどんどん外堀を埋められていっている気分だけど・・・今は気にしてはいられないな。
まあ、懸念事項だった戦闘行為の禁止が解除されたってんなら、あのクソったれの顔を思いっきり蹴り飛ばして来てやりますよ。
それじゃメイリン。配置に着くからフォースシルエットを頼む!」
そう言って、コアスプレンダーをエターナルの前方へと移動させ、ミネルバ時代と同じように待ち構えていると、
再びバルトフェルドさんから爆弾が投下された。
『いや、君に使ってもらうのは残念ながらフォースシルエットじゃない。“デスティニーシルエット”というやつだ』
「“デスティニーシルエット”ですって?あの幻になった4番目のシルエットが積んであるんですか!?
確かに火力は申し分ないと思いますけど、聞いた話だとエネルギー効率が凄く悪いらしいとか」
『詳しい事は僕も知らないけど、まあキラ君が君から得たデータやらを元に改良したと言っていたし、恐らく問題ないだろう。
正直、余り時間も無い。とりあえずは、メイリン君の指示に従ってくれ。僕も発進準備に掛かる』
《それじゃ、お姉ちゃんも心配だしちゃっちゃとしちゃおうか。シン、いつも通りにね》
「いつも通りか・・・そうだな、いつも通り、よろしくなメイリン」
《了解。コアスプレンダーは既に発進していますので、ハッチ解放後デスティニーシルエットの射出を行います。
その後、続けてチェスト、レッグの順に射出します。発進のタイミングはコアスプレンダーパイロットにお任せします》
「コアスプレンダー了解。こちらの準備は完了。いつでもどうぞ」
《了解しました。インパルス、発進スタンバイ。モジュールはデスティニーを選択。シルエットハンガー04号を解放します。
シルエットフライヤー射出スタンバイ。プラットホームのセットを完了。射出用カタパルトオンライン。
射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。ハッチ開放、発進スタンバイ。
全システムオンライン。発進シークエンスを開始します。
射出システムのエンゲージを確認。カタパルト推力正常。進路クリアー。
デスティニーシルエットフライヤー、射出、どうぞ!
続いてチェストフライヤー射出、どうぞ!レッグフライヤー射出、どうぞ!》
エターナルの格納庫に急造された射出カタパルトから射出されてくるフライヤーを見ながら、
俺は冷静にドッキングのタイミングを計った。デスティニーに移ってからはルナが乗っていたインパルスだが、
どんだけ離れていようとも体はその感覚を覚えている。シミュレーションで、練習で、実戦で何百回とやってきた事だ。
失敗するなんて考えは微塵も浮かばなかった。いつも通りに、チェストとレッグとドッキングをし、シルエットとドッキングする。
それだけの事だ。後ろに座っているラクスさんが緊張しているのを感じたが、俺にとっては眼を瞑ってても出来る簡単な作業だ。
そんな事を考えているうちに、チェストとレッグとのドッキングは流れるように完了し、シルエットとのドッキングに合わせた。
「デスティニーシルエット。以前データを見た時は何て燃費の悪い奴だと思ったけど、使いこなしてみせるさ!」
そして、フライヤーから分離したデスティニーシルエットが静かに背部へと接続され、
それに合わせて今まで灰色だった装甲に色が浮かび上がってきた。色はフォースに近い青と赤を基調としたトリコロールカラー。
初めて扱う事になるシルエットの筈なのに、不思議な程に違和感は感じなかった。
何より、機体全体から伝わってくる感覚が、この機体が自分の機体なのだと認識させてくれた。
間違いない。こいつは俺のインパルスだ。そして、あのデスティニーだ。
こいつとなら、どんな敵とだって戦える。もう、負けやしない!
「インパルス、ドッキング完了。ラクスさん、直ちにルナ達の救援へ向かいます。命令を」
「分かりましたわ。ラクス・クラインが【歌姫の騎士】シン・アスカに命じます。
この戦いを私達の最後の戦いとし、真の平和への第一歩とする為、目前へと迫った脅威をその力でもって撃ち払いなさい」
「了解。シン・アスカ、デスティニーインパルス行きます!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ZGMF-X56S/θ デスティニーインパルス04R
試作機として4機建造されたデスティニーインパルスの最後の1機を改修、改良したシン・アスカ専用機。
デスティニー開発の要因ともなった機体エネルギーの運用効率を改善する為、主だったビーム兵器群の大多数が取り除かれ、
それによって低下した火力は、完全に独立したマガジン形式の武装を持たせる事によって補う事になった。
さらに、デュートリオンビームでのエネルギー補給が出来ない点を、複数のプロペラントタンクを取り付ける事によって大幅に改善。
その結果、機動力においてはデスティニー以上の俊敏性を発揮し、一撃離脱の戦法が可能な機体になっている。
また、キラ・ヤマトによって収集されたシン・アスカのMS操縦技術のデータと、
月面から回収されたデスティニーのブラックボックスから獲られた戦闘データを元にチューンナップされており、
いつ何時シン・アスカが搭乗しても問題の無いようなセッティングが施されている。
以上で第十話終了です。前回から3ヶ月も間隔空いてしまい申し訳ありません。
ようやくシンの乗るMS、デスティニーインパルスを出せました。
書き始めるにあたって、シンを乗せるのはこの機体だと最初から決めていたのでまずは一安心かなと。
追加武装に関しては、次回の本文中と終わりにでも載せる予定です。
デスティニーインパルス格好いいんだけど、全く知られてないのが悲しいところ。
とはいえ、何やら最近出たゲームで使えるらしいので、これで認知度広まれば・・・
次はもう少し早めに投下できるよう頑張ります。何とか今年度末には完結させたいなぁor2
そういやEXVSでインパルス出ましたけど、以前に比べてモッサリした動きに感じるのは気のせいだろうか・・・
とりあえず、メインのヴァサーゴ兄貴と使い分けながら練習しているが・・・バンシー乱入は帰ってどうぞ!
投下乙!早くも元黒幕との一騎打ちですかー
GJ、アルの乗ってる機体は十中八九プロビ系だろうが、搭載システムが気になる。
種・種死キャラ総登場だな。
なんかシン、アルと一騎討ちしたら負けて取っ捕まる気がするのは俺だけか?
そこに颯爽と高山版いくえ不明組がですね・・・
アルって公式設定だけで充分すぎるくらい外道だから悪役にしやすいわな。
どうでもいいがガンダムスレで「アル」とだけ書かれると
0080のアルを思い出してしまうなw
「ウソだと言ってよマルキオ!」
アカン、全然こないわw
クローンって外見はそっくりになるんだろうが、性格とかはどうなんだ?
性格ってのは成長過程の環境で決まる物だだしそっくりにはならないんじゃね
>>642 亀レスでスマン。
こういうギャグ話は本当に楽しい。
学生服+伊達眼鏡と和服の話が出た時に真っ先に
トゥルー=遠○志○
ムーンライト=両義○
が思い浮かんだ。
見事な声ネタにニヤニヤが止まらない。
>>670 種世界だと、卑怯臭いカーボンヒューマンの技術があるし何とかなるんじゃね?
>>672 遠○志○というよりは、黒○幹○じゃないか?
黒歴史アニメ版はそうだぞ
>>693 ゆりかごもあるしな
>>673 VS ASTRAYか。
あれのおかげで「キラ、カーボンヒューマン説」が冗談で済ませなくなったがな
ルナマリアはツンギレ…もといツンデレでは無いがな
>>677 ルナマリア?おいおい、一体何を言ってるんだ
まさかシスター・ムーンライトの正体がルナマリア・ホークだとでも言うのかね?
そういえばSEEDには明確なツンデレヒロインっていないよな
あえて挙げるとすれば……イザー()
>>679 そこ、テンプレに宣伝禁止ってあるな
てことは荒しか、確か数年前も似たことあったなあ
なんでそこまで粘着してるか分からないけど気持ち悪いよ?
682 :
513:2012/05/28(月) 01:18:18.18 ID:???
>>670 クローン作ってそのまま育てても、最悪クルーゼの例があるし何かしらの対策措置は無いかなと見ていたら、
ゆりかごやらカーボン・ヒューマンやら種世界には何かと都合の良いネタがあったのでそこら辺はカバー出来たと言う事で
ほんと、負債&千葉設定はご都合主義満載やでぇ・・・
アストレイはキャラは良いのが沢山居るのに、千葉の「僕の考えた()」設定が嫌で余り触る気しなかったけど、
このスレのお陰で少しは見てみるようになったな。
でも、00F見た瞬間、やっぱダメだこいつと思い直したけど。アストレアってなんだよ・・・
>>682 クルーゼに反逆されて屋敷ごと焼き殺されたんだっけか、アル・ダ・フラガは
一人残ったムゥは一文無しになり食うために軍人にと
つくづくC.E世界の混乱の元凶の一人だよなあ・・。
C.E世界の諸悪の根源って、やっぱりアル、ユーレン、シーゲル、マルキオの4人かね
こいつらに比べると、パトリックやロゴスがまともに見えてしまう不思議
言わんでもいいことをカミングアウトしたジョージ・グレンはどうなんだろ?
…『実はこうなる事も全て予想済み、コーディは代を重ねると出産率が落ちるのも
全て分かってて暴露したんじゃないか?』と妄想してた時が俺にもありました(AA略
今頃になってシン主役の種死アフターを書いてみたくなったんだけど、残ったキャラを見返したら
敵をやってくれそうなのが居ないんですよね…アストレイには一杯いるけど実物を殆ど読んでないし、
その状態で下手に入れたら食い違いが出そうで怖い。というかラクス一党が意外と黒幕に相応しくない。
インチキ臭い戦力っていうのは良いんだけど、思想的背景とかキャラ立ちとかが弱いし、といって味方に
するのも変な気がするし。
>>686 大体の下地を考えてみて、そこから肉付けしていってみたらどう?
ラクシズは敵役としては最適だけど、別の黒幕の思い通りに動かされていたとか面白いかもね
色々と作品見返してみたけど、シンがラクシズの面子と一緒に行動してるのって以外に多いのね
キラと害虫駆除やってたり、ラクスと同棲してたり、カガリと子供作ったりetc
そして、アスランは単品だと一緒に行動したり共闘してるっての見当たらない・・・凸ぇ
>>686 >>687みたいにある敵の目的を作ってそれを実現するためのシナリオ(プロット)を書いてみるとどうだろう?
それにシンがチャチャを入れる感じでプロットを作ってみて、ここに落とすときには改めてシン視点で書き直す。
敵の母体としてオーソドックスなところでは、ブルーコスモスとかザラ派の残党なんかあるにはある。
自分の興味丸出しで申し訳ないが、種死のデスティニープランなんか題材として面白いと思う。
デスティニープランを題材に書いてる人見たこと無いし。
>>688 言われて見ればキラとは和解したり、つるんで色々やってたりしてるがアスランって大体敵か物語開始前にリタイアしてるな。
まぁ本編の行動がアレ過ぎたから仕方ないね
種死時期が舞台のクロス含む改変ものなら、綺麗になったアスランと
強固な信頼関係を築くケースも多いんだけどね…
(例:クロスデスティニー、ジョジョ、閃ハサ等)
逆シンというかアフターで良好な関係というと、知る限りでは
ここでのredeyesに歩シン、あとはIF総合のCROSS POINTぐらいじゃあるまいか。
選択運命のアスランも綺麗なアスランだぞ!?
それを打ち消さんばかりのヘタレ臭もするが……
>>687 >>689 アイデア有難う。とりあえず敵はブルーコスモスっぽい連中にして、デスティニープランを
多少絡めつつ話作ってみます。敵パイロットは、ブーステッドマンとかエクステンデッドとか、
特徴的な連合兵がほぼ残ってないので、適当に創作する予定。
+ +
∧_∧ +
(0゚・∀・) ワクワクテカテカ
(0゚∪ ∪ +
と__)__) +
695 :
693:2012/06/05(火) 18:53:41.27 ID:???
投下します。タイトルは考え中です。よろしくお願いします。
コズミックイラ76年。メサイア攻防戦から2年後、プラントの防衛組織であるザフトに
問題が浮かび上がった。そうでなくともザフトは問題の塊だった。2度の戦いで疲弊した
プラントにこれまでのザフトを維持する力は無く、人員、兵器の大幅削減を断行せざるを
得なかった。それは当然ながら多くのプラント市民の職を奪う事となり、その結果として、
軍事教練の経験を持ち、かつ体制に不満を持つ多くの男女を生み出した。
復興の為の資金を必要としていたプラントは、新旧問わず艦船やモビルスーツを民間に
放出し、その内の何割かは好ましくない人々の手に渡った。援助を申し出た地球連合は
航路の安全確保の為として、武装したモビルスーツや戦艦を輸送船に随行させる許可を
求め、喉から手が出るほど援助を必要としていたプラントはこれを呑んだ。
条件付きとはいえ、プラントの象徴である砂時計型コロニーの合間を連合軍の機体が
迎撃もされずに行き交うようになった事は、プラント市民の反連合感情を大いに逆撫でし、
ザラ派を名乗る団体が各所で集会を開いて地球連合打倒を叫んだ。
そのような状況の中で生まれた新しい問題。それはキラ=ヤマトについてだった。前の
最高議長であるギルバート=デュランダルを打倒して政権を握った元歌姫、
ラクス=クラインの親友にしてコーディネイターの最高傑作、スーパーコーディネイター
の彼は、ラクスに与えられた最高級のモビルスーツ、ストライクフリーダムでそれこそ
人間離れした華々しい戦果を打ち立て、ザフトに加入すると同時に白服に袖を通す権利を
与えられた、満20歳とは思えない経歴の持ち主であるキラ=ヤマト。
当初こそ熱狂と共に受け入れられた彼だが、戦争の脅威が去り、プラント市民達が
自らの窮状を実感し始めると、彼への敬意は疑念に変わり始めた。そもそも、彼は二度の
戦いで二度ともザフトと交戦し、これに大打撃を与えている。彼の手で同僚、家族を
失った人々は少なくない。そして現在、プラントに害を為すのは巨大な敵などではなく、
小規模かつ大量のテロリストである。テロリストへの対抗手段として、キラ=ヤマトは、
もっと言えば彼のストライクフリーダムとその支援ユニットミーティアは少しばかり
過剰装備であり、かつ維持費が高過ぎる。同じ値段でMS部隊を3つは増設できる。
以上に加え、ラクスのお気に入り、ザフトへの飛び入り、そして暴露された裕福な
暮らしぶりなどに対するやっかみが重なって、反キラ=ヤマトの派閥がザフト内に
生まれ、急拡大していった。そして、彼らは事あるごとにこう主張した。
「ザフトは実力主義だ。キラ=ヤマトをMS戦で撃墜したシン=アスカこそ、我々の中で
最も優れたパイロットの筈だ。キラ=ヤマトは彼に席を譲らなければならない」
キラ=ヤマトとシン=アスカの問題はザフト内だけでなくプラントの防衛委員会でも
取り上げられることとなり、事態を把握した委員長のイザーク=ジュールはただちに
模擬戦の開催を提案した。これは勿論、自分がそれを観戦したかったからである。
696 :
693:2012/06/05(火) 18:55:49.14 ID:???
だがこの模擬戦案は意外なほど受けが良く、あっという間に日取り等の条件が決まって、
クライン派は大いに焦った。彼らを特に不安にさせたのは、2人の搭乗機を、ウィザードを
装備しないザクウォーリアとした点である。実際の所、シンとキラの実力差はほぼ無いと
言ってよく、そして機体の性能まで同じとなればどう転ぶか分からなくなる。
そして、クライン派が議会の力を使って模擬戦の開催に干渉する間もなく、イザークの
即断即決によってキラ=ヤマト対シン=アスカの模擬戦はプラント内外に派手派手しく
喧伝されてしまった。クライン派は最後の手段を使わざるを得なくなったのである。
「幾ら出してくれるんですか」
「えっ」「えっ」
アプリリウス・ワンにあるカフェの一席で、ジュースのストローを咥えたシンが発した
言葉に、ダークスーツ姿の男2名は顔を見合わせた。
「俺の負けに、幾ら払ってくれるんですか」
「それは……プラントの平和が何よりの報酬に……」
「じゃあ、模擬戦の結果に従えば良いんじゃないですか。どっちが勝っても問題ない」
コップの底に残ったオレンジジュースを吸ったシンが、三白眼で答える。ここ2年、
実機に乗る事を許されずシミュレーター訓練で後進の指導を命じられているシンは、現在
お世辞にも幸せいっぱいとは言えなかった。1ヶ月前、元同僚のルナマリア=ホークとの
関係を終わらせた事が未だに忘れられない。彼女が同情心だけで自分と付き合っている、
という思い込みから抜け出せなかったからだった。
『綺麗な女の子がいて、そっちが好きになった』
『ルナと一緒にいてもつまらない』
『飽きた』
自分への怒りを呼び起こし、徹底的に嫌われて、彼女に早く新しい相手が出来るよう、
思いつく限りの悪口を並べ立てた。それでも、彼女は平手打ちや怒鳴り声どころか何一つ
言い返さず、寂しげな微笑を浮かべて自分を見つめ続けた。そして、情けなくなって涙を
浮かべながら別れを切り出したシンに頷いて、ルナマリアは去った。
「……分かりました。額を言って下さい。我々が工面できる限り何とかします」
スーツの男の言葉に、シンは現実に引き戻された。いつの間にかガラス越しに街並みを
睨んでいた視線を、男2人に向け直す。
「200万アード。今から3時間以内に俺の口座に振り込んで下さい。それで引き受けます」
「にひゃく……い、いや金額はともかく、3時間以内に? 200万アースダラーをそんな
短い間に準備するのは」
「時間を過ぎて、金が入らなかったらこの話は聞かなかった事にします。それじゃ」
スーツの男達の返事を待たないまま、シンは一方的に告げて席を立つ。トレイを持った
ウェイトレスを脇へ押し退け、店を出て行った。
697 :
693:2012/06/05(火) 18:57:54.08 ID:???
「どうします?」
「勿論出すさ。我々としては、何としてもキラ=ヤマトに勝って貰わなければならない。
ラクス様の傍には彼こそ相応しい。白服を着てザフトのトップに立った彼が」
伝票を取り上げたスーツの男が、シンが残したコップを見遣る。鼻を鳴らした。
「それに、アスカの口座はザフトが……プラント政府が管理している。200万が
惜しくなったら、彼の不祥事をでっち上げて口座を凍結してしまえば良い。他へ移して
いたとしても、金の流れは追える」
「確かに……何であんな要求をしたのでしょうか。てっきり地位や特権を欲しがるものと
ばかり思っていました」
伝票をもてあそぶ男が、その言葉に指の動きを止めた。彼はここ数日、シンの動きを
つぶさに追ってきていた。情報組織『ターミナル』を活用してシンの過去や、使う暇など
殆どなかった給料の使い道など、可能な限り情報に目を通していた男には、シンの意図が
おぼろげながら分かっていた。
無言で席を立った。喩えシンがどういうつもりか分かったにせよ、彼はクライン派の
1人としての義務を果たさなければならない。
アプリリウス・ワンが夜時間に入って2時間後、議長官邸に設けられた居住スペースで、
ラクス=クラインは夕食をとっていた。要人が使うにはこぢんまりとしたリビングは、
キラと共に移り住む際、わがままを言って新設したものだった。2人だけで使うからと、
内装を一緒に選んだ彼は此処にいない。
「キラ……」
桜色の髪を揺らし、吐息と共に名前を呼んだ。地球産の天然食材を調理して作った
夕食を、無表情で口に運ぶ。食事を乗せたトレイを持つメイドの足音が、ドア越しに
聞こえた。キラが自分の部屋に運ばせているのだろうと察しがついた。最近は、ずっと
そうだった。自分を避け、公務以外では顔を合わせることすら少なくなった。
物心ついた時からアイドルだったラクスは、自分がそうされたようにキラに接した。
彼が求めるものではなく、人々が彼に求める物を手当たり次第に与え、飾り立てた。
批判する人々の言葉に耳は傾けるけれども、心を傾けはしない。そうあるべきだと
信じて疑わなかった。それがキラにとって苦痛でしかないと知った時は、もう遅かった。
「わたくしは、あなたに求め過ぎたのでしょうか」
『……本日、マイウス市のミュース孤児院は、運営に役立てて欲しいというメッセージと
共に、200万アースダラーの、匿名での寄付があった事を発表しました。運営者の
ロミナ=アマルフィさんはこの資金を元に……』
つけていたテレビから流れるニュースを聞いて、ラクスは囁くように言った。
「ごめんなさい、キラ……辛い思いをさせて。もう、あなたに無理はさせませんから」
壁にかかった紙製のカレンダーを見る。シンとキラの模擬戦は目前に迫っていた。
698 :
693:2012/06/05(火) 19:04:40.01 ID:???
すみません。読み返してみたら
>>695が所々おかしいorz 修正版を書き込みます。
コズミックイラ76年。メサイア攻防戦から2年後、プラントの防衛組織であるザフトに
問題が浮かび上がった。そうでなくともザフトは問題の塊だった。2度の戦いで疲弊した
プラントにこれまでのザフトを維持する力は無く、人員、兵器の大幅削減を断行せざるを
得ず、それは当然ながら多くのプラント市民の職を奪う事となり、その結果として軍事
教練を受け、かつ体制に不満を持つ多くの男女を生み出した。
復興の為の資金を必要としていたプラントは、新旧問わず艦船やモビルスーツを民間に
放出し、その内の何割かは好ましくない人々の手に渡った。援助を申し出た地球連合は
航路の安全確保の為として、武装したモビルスーツや戦艦を輸送船に随行させる許可を
求め、彼らの援助を断れなかったプラントはこれを呑んだ。
こうして、条件付きとはいえ、プラントの象徴である砂時計型コロニーの合間を
連合軍の機体が迎撃もされずに行き交うこととなった。プラント市民の反連合感情は
大いに逆撫でされ、ザラ派を名乗る団体が各所で集会を開いて地球連合打倒を叫んだ。
そのような状況の中で生まれた新しい問題。それはキラ=ヤマトについてだった。前の
最高議長であるギルバート=デュランダルを打倒して政権を握った元歌姫、
ラクス=クラインの親友にしてコーディネイターの最高傑作、スーパーコーディネイターである。
ラクスに与えられた最高級のモビルスーツ、ストライクフリーダムで華々しい戦果を
打ち立て、ザフトに加入すると同時に白服に袖を通す権利を与えられた、満20歳とは
思えない経歴の持ち主であるキラ=ヤマトが、ザフトの結束にヒビを入れる原因となった。
当初こそ熱狂と共に受け入れられた彼だが、戦争の脅威が去り、プラント市民達が
自らの窮状を実感し始めると、彼への敬意は疑念に変わり始めた。そもそも、彼は二度の
戦いで二度ともザフトと交戦し、これに大打撃を与えている。彼の手で同僚、家族を
失った人々は少なくない。そして現在、プラントに害を為すのは巨大な敵などではなく、
小規模かつ大量のテロリストである。テロリストへの対抗手段として、キラ=ヤマトは、
もっと言えば彼のストライクフリーダムとその支援ユニットミーティアは少しばかり
過剰装備であり、かつ維持費が高過ぎる。同じ値段でMS部隊を3つは増設できるほどだった。
以上に加え、ラクスのお気に入り、ザフトへの飛び入り、そして暴露された裕福な
暮らしぶりなどに対するやっかみが重なって、反キラ=ヤマトの派閥がザフト内に
生まれ、急拡大していった。そして、彼らは事あるごとにこう主張した。
「ザフトは実力主義だ。キラ=ヤマトをMS戦で撃墜したシン=アスカこそ、我々の中で
最も優れたパイロットの筈だ。キラ=ヤマトは彼に席を譲らなければならない」
この問題はザフト内だけでなくプラントの防衛委員会でも取り上げられることとなり、
事態を把握した委員長のイザーク=ジュールはただちに模擬戦の開催を提案した。
これは勿論、自分がそれを観戦したかったからである。
699 :
693:2012/06/05(火) 19:06:08.26 ID:???
以上です。失礼しました……ガンダムの二次創作なのにMS戦が入りませんでしたが、次こそ
入れる予定です。
投下乙
こりゃキラもわざと負けようとしてグダグダな展開になりかねんなw
あとロミナママンprpr
>>699 投下乙です。こりゃまた随分とスレたシンだなぁ。模擬戦楽しみだわ〜
ご自分のペースでまったりと頑張って下され
しかし、ロミナママンの運営している孤児院だったら、オレも寄付したいわ!
おつー
しかし、ここでも組織としての体裁を保っているだけではなく、余裕すら垣間見得る連合さんマジチート
しかし、シンが荒んでるなwww……まぁルナと付き合ったのも、ストックホルム症候群に近いものがあったし仕方ない部分があるわな
新規投下乙でした。
いずれまた倉庫に登録させていただきたく思いますので、
続きおよびメインタイトルの決定をばお待ちしております。
……しかし……金の流れをクライン派にほぼ把握されてるとなると、
状況によってはまたぞろロミナママンに危害が加えられそうな不安も。
ロミナママンに魔の手が……ふぅ…
705 :
693:2012/06/08(金) 22:17:43.26 ID:???
明日辺り続き投下したいと思います。何か見たい展開等がありましたらリクエストをお願いできればと……
皆ロミナさん好き過ぎるでしょう、と思ってググったら最初に出てきた画像にびっくりした。
そして不覚にも……
>>705 了解! 休みだし、楽しみに全裸待機しとくぜ!
このスレ、何故か一時ロミナさんブームが起きて複数の職人がSS書く祭りになった時もあったからなぁw
707 :
693:2012/06/09(土) 10:40:29.75 ID:???
カタパルトデッキ内部の減圧が終わり、分厚い扉がゆっくりと上下に開いていく。
暗く冷たい宇宙を行き交う貨客シャトルや輸送船の光、そして遠くに見える砂時計型の
コロニーがメインモニターに映った。
「こちらシン=アスカ。アーモリーツーの2番ハッチから、ザクウォーリアで出る」
『了解、シン=アスカ。……進路クリア。発進どうぞ』
カタパルトデッキに乗り、膝を曲げ前傾姿勢を取ったザクウォーリアが一気に加速する。
ガイドランプで照らされた通路を駆け抜けコロニー外へと射ち出された。
『発進確認。ポイントB,4,アルファに進め』
一語ずつ区切って発音されるオペレーターの言葉と共に、ザクウォーリアの背中、右脚、
少し遅れて左足から微量のスラスター光が吐き出されて機体の向きが変わった。頭部の
一つ目が右側へスライドし、民間船の列を一瞥する。
『進路確認。僚機と合流せよ。以上』
オペレーターの声音には安堵が滲んでいた。機内のシンも大きく息を吐き出して、
シートに背中を預けた。模擬戦が近いからという理由で、2年ぶりに実際のMSに乗る
任務を与えられたのだ。シミュレーターによる訓練は欠かさなかったものの、機内に
響く低い駆動音、カタパルト発進した際の圧迫感やスラスター噴射を使った時の慣性は、
やはり実機とは違う。両手から力を抜いた。無意識の内に操縦桿を握りしめていたのだ。
「発進だけで緊張するなんてな……」
コクピットの中で零したシンが、左のサブモニターに映し出された3Dマップに視線を
映す。彼に宛がわれたのは哨戒任務だった。合流地点で待つ2機のザクウォーリアと共に
プラントの外縁部を、特に地球からのルートを監視するのだ。ザラ派を自称し、未だ
地球との徹底抗戦を訴えるテロリスト達は、地球連合からの船舶に対する襲撃をたびたび
予告しており、何度かは成功していた。テロを独立戦争と言い換え、連合の援助を受ける
プラントの人々を裏切り者と呼び、自分達こそ真のコーディネイターだと主張している。
2年前まで地球軍と戦い続けていたシンだが、彼らの思想にはまるで共感できなかった。
というより興味が無かった。シンがプラントに渡ったのは行き場が無かったからであり、
シンがザフトに入ったのは、争いが起きた時点で武力を持たない人々がどんな目に遭うか、
身をもって知ったからだった。
自分の大切な物を、二度と奪わせないための力。奪いにきた者達から、何もかも奪う
為の力を欲し、彼はそれを手にした。そして、思い出したくもない結果を生み出した。
「想いだけでも、力だけでも……か」
たった1度の誤射によって自分の家族を奪った英雄の言葉を思い出し、シンが呟く。
キラは今やザフトのシンボルだった。連合がプラントに対しあからさまな攻撃を仕掛けて
こないのは、彼の存在による所が大きいというのが大多数の見解であり、シンもそれを
否定するつもりはなかった。模擬戦の結果がどうなろうと、キラはザフトに必要なのだ。
モニターに、戦略砲レクイエムのビーム照射で切り裂かれたコロニーが映った。
708 :
693:2012/06/09(土) 10:41:42.20 ID:???
砂時計の底面が断ち割られ、中央部まで亀裂が入っている。照射を免れた残り半分の
あちこちに弱々しい光が灯り、小型船が行き来している様子を見下ろしながら、シンの
ザクウォーリアが円錐形の突端に接近した。その反対側に回り込んだ所で制動をかける。
「あ……」
待機していた2機のザクウォーリアを見て通信を入れようとしたシンが、言葉を喉に
詰まらせた。近距離戦用のスラッシュウィザードを装備している方の機体が、赤い。
色々と思い出した時、通信回線が開いて見知った女性の顔が映った。
「ルナ……」
『……あれ? 合流するのってシンだったの? すごい久しぶりな気がする。元気だった?』
ヘルメット越しでも分かる鮮やかな赤色の髪と、快活な声を聞いたシンは、まともに
返事が出来なかった。酷い言葉の数々を投げつけて、一方的に別れ話を切り出した自分を
思い出し、視線が下がってしまう。何も無かったように振舞うルナマリア=ホークの顔を
直視できなかった。その時、通信モニターに男が割り込んできた。シンより若干年若い。
『シンって? シン=アスカさんですか? あの、初めまして! こうやって会って話せる
なんて思いませんでした!』
『ちょっと、勝手に通信に入って来ないの! あ、こいつはね。私の一応部下って事に
なってるんだけど、ええと……ゆるーい先輩と後輩っていうか。ほら、自分の名前くらい
言いなさいよ。憧れのシン=アスカが目の前にいるんだから』
『よ、よろしくお願いします! 僕は要領が悪くて、いつもルナさんの……』
「ルナ……さん……?」
話がまるで頭に入って来ないまま、シンは虚ろな表情で2人のやりとりを聞いていた。
戦争が終わってから、シンは彼女のこんな楽しそうな表情を見た記憶が無かった。互いに
笑って、馬鹿な話をして、冗談を言う2人を見て辛くはあったが、同時にほっとしていた。
少なくとも、彼女は自分の犠牲にならなかったようだ、と。
『じゃ、シン。話の続きは任務の後にして、行こっか?』
「……あっはい。そうだな。よろしく、ホーク隊長」
『やめてよー。ルナマリアで良いって』
笑いながら呼び名を指定してくる彼女にシンも笑い返す。やっぱりルナって呼ぶのは
駄目なのか、とは勿論聞かなかった。下半身を捻って踵を返し、先導するルナマリアの
ザクウォーリアに追従し、もう1機と合わせて三角形を描くように位置を合わせる。
『二人はずっと、同じ艦で任務に就いていたんですよね? アスカさんから見たルナさん
って、どうでしたか?』
「そうだなあ。そこそこ頼りにはしてたけど、背中は預けられなかったな。特にガナーを
使ってる時は」
『えっ』
『ちょっと、シン! それ今言わなくたって良いじゃない!』
709 :
693:2012/06/09(土) 10:43:12.32 ID:???
身を乗り出してくるルナマリアに、シンは肩を震わせて笑うだけで何も言わなかった。
『いや、違うのよ。説明させて。あのね……』
ルナマリアの言葉が唐突に途切れ、通信画面から姿が消える。シンも笑顔を消した。
10秒も経たないうちに、彼女が再び接続してきた。表情が引き締まっている。
『救難信号を受信したわ。座標データを送るわね』
男2人の視線が同時に右下へと動き、指先がキーパッドを弾く。3Dマップに表示された
光点を、シンの赤い瞳が見つめた。
「デブリ海……しかも『深い』。航路から相当外れてるな。どこの船なんだ?」
『地球連合の輸送船だけど、査察の為に軍の高官を乗せているみたい。その情報が漏れて、
ザラ派の標的になったのかも』
『近くに、彼らの大きな拠点が隠されている可能性がありますね。僕ら3機だけでは……』
「直ぐに行くべきだ。今からでも手遅れかもしれないのに、応援なんて待てない」
彼の言葉を遮って、シンが固い口調で言った。睨みつけるような目でルナマリアを見、
彼女も頷いた。
『本部に連絡は入れるけれど、私達だけで先行しましょう。あんたは此処で味方を待って、
後で私達に合流するのよ』
『なら僕も行きます! 隊長を放っておいて安全な場所にいるなんて……』
地球連合軍であれば、命令の一言で済むのだがザフトは違う。そして、彼を説得する
時間はない。フットペダルを踏み込んで機体を加速させながら、シンが口を開いた。
「死んだら隊長は守れないぞ。それを忘れるなよ」
『……了解!』
『ちょっと、シン! ああ、もうっ!』
大きなスラスターの光が3つ、暗い宇宙を僅かに照らして飛び去っていった。
流線形の後部に大型スラスターを4機取り付けた灰色の輸送船が、デブリ海の只中で
静止状態にあった。上部甲板には葉のような器に抱かれた三日月と太陽、そして
『O.M.N.I.』のロゴが描かれており、本船が地球連合所属であることを表わしていた。
今、そのマークの上に1機のモビルスーツが立っている。
藍色と白色の機体はストライクE型を思わせるが腕、肩、脚が一回り大きく、頭部の
形状も異なっている。人間のそれよりも若干平たく鋭角的で、中世の騎士の兜のような
3本のV字スリットが刻まれており、ライトイエロー色の光が溢れ出していた。腕部と
脚部には対人用機銃の銃口が小さく覗いているが、それ以外の武器やラックは外側から
見えない。牽制用のマシンガンやビームサーベルさえない。
その機体は、ビームライフルを持っていなかった。シールドも持たなかった。ただ、
MSという鉄の巨人を水準にしても尚大きな、両手持ちの大型銃器を携えていた。
通常の大型ビーム砲ではない。ガトリング砲だった。
710 :
693:2012/06/09(土) 10:46:03.77 ID:???
束ねられた5つの銃身が鈍く光る。銃器の半ばに取り付けられたキャリングハンドルを
左手で掴み、その真下にはカメラアイと同じ色の照準器が輝いていた。銃身下部の筒から
六角形の鋭い杭がその先端を覗かせ、ガトリング砲の尾部を持つ右腕の動きに合わせて
きらめいた。
側頭部から斜め上へと伸びたブレードアンテナの先で光が点滅する。頭部が、デブリの
向こうから近付く3つの光に向き直った。
「どう……なってるんだ?」
MSの残骸が散らばる様子を見回し、シンは吐き出す息と共に呟いた。モニターに映る
残骸はザフト機ばかりで、しかも新しい。高い威力のビーム兵器を連射されたと思われる、
原型をほぼ留めていないゲイツR。強力な一撃を見舞われたらしく、胸部に大穴が開いて機体が
上下で分断されかかっているザクウォーリア。
その徹底的な壊され方によって正確な数が分からなくなってはいるものの、少なくとも
10機近いMSが、5分ほど前に悉く撃墜されたことになる。視線を正面に戻すと、巨大な
銃器を構えたMSが、地球連合の船から離れていく所だった。
「まさか、あいつが1機でやったのか」
『あれって、連合軍の新型よね?』
『多分、ブラウ……だと思います』
その言葉に、シンとルナマリアが首を傾げた。
『地球連合軍の新型モビルスーツで、特殊部隊用の少数量産機です。父の仕事の関係で、
画像を見た事がありました』
「ブラウ、か。随分、無茶な装備だよな。俺のデスティニーも結構アレだったけどさ」
一通り見た所、ガトリング砲以外の武器が見当たらず、その砲は片手で扱えそうにない。
全身に装備するべきとまでは思わないが、片手で扱える補助武器さえないというのは、
シンの目から見ても異様だった。
『輸送船の中にしまってあるのかも知れないけどね……ちょっと通信してみる』
「頼む」
シンのその言葉が終らない内に、通信モニターに3つ目のグリッドが表示された。
分割画面になっているので随分窮屈だが、新たに表れたパイロットスーツには見覚えが
あった。額部分が大きく突き出ているヘルメットは、エクステンデッド用の物だ。
メットのバイザー部分はシェードになっており、表情は分からない。
『ザフト兵か? 我々を救助しに来たのか』
「あ、ああ。そうだ。救難信号をキャッチして……」
『そうか』
20代か30代と思しき男の低音にシンが答える。灰色と黒のスーツが僅かに身体を
動かした。彼の通信画面が消え、ロックオンアラートが機内に響き渡った。
711 :
693:2012/06/09(土) 10:47:30.06 ID:???
以上です。次こそMS戦を……orz
なにこのスウェン
>>711 GJ! 連合兵は前の流れからするとオリキャラかな
しかしブラウ、ガトオンリーとか男らしすぎる
武装がパイルバンカー付きガトリングガン一丁だけとは…
何故かメロウリンクを思い出した。あっちのライフルも携行用火器なのに30kgあるイカれた銃だったけど
715 :
693:2012/06/16(土) 16:32:19.32 ID:???
機内に響くロックオンアラートに、シンはメインモニターとレーダーを交互に見た。
画面中央に映るブラウが、古びた艦船のものと思しき残骸に身体を滑り込ませ、朽ちた
装甲板の合間にガトリングの銃身を乗せる。シンが上体を僅かに反らした。黒い髪が
ヘルメットの中で揺れ、目を見開く。
「散らばれ!」
叫ぶと同時に操縦桿を倒してペダルを蹴り、機体を右へ逃がした。紅色の光が先程まで
いた所を薙ぎ払い、射線上に浮かんでいたデブリを大小区別無く消し飛ばした。高出力、
かつ高速連射されるビームが角度を変える。スラスターを全開にして光の奔流を避けつつ、
シンはレーダーを一瞥した。友軍を示す2つの光点はどちらも消えていない。
『あいつ、撃ってきた!?』
『もしかすると、僕らの事をザラ派のテロリストだと思っているのかもしれません!』
『識別信号があるのよ!』
「2人とも逃げ続けろ! 中途半端な遮蔽物はアテにならない!」
ヘルメットの左半分をビームの光に照らされながら、シンはブラウの位置を確認する。
船の残骸に身を隠してガトリングを撃ち続ける藍と白の機体は、未だ移動しない。
移動方向へと視線を戻した時、目の前に浮いていたゲイツRの上半身が光の中に消える。
咄嗟に下方へと潜り抜けて迸るビームを避け、真っ二つにされたローラシア級の甲板に
着地する。ひび割れた装甲を削りながら艦尾へと滑り込んだ。
「ルナ! 無事か!?」
『無事なわけないでしょ!』
切れ目のないビームの連射に曝された2機のザクウォーリアが、全身のスラスターを
吹かしてデブリ海を逃げ惑う。火球が咲き乱れる中、赤いザクウォーリアが背負っていた
ハイドラを切り離して重量を軽くした。直後、ビームの射線がそれを捉えて一瞬で破壊し、
大きな爆発が起きる。
「連合軍のモビルスーツ! 撃つな! 俺達はっ」
呼びかけた途端、シンのザクウォーリアが隠れていた艦の残骸にビームが浴びせられた。
構造材を見る見るうちに抉り、焼いて残骸を更に切り裂く。船体の裂け目の向こうに、
ブラウの姿が見えた。
「撃つなって言ってるだろ!」
両脚外側のスラスターを吹かしながらモビルスーツの格納庫だった場所を蹴り付けて
離脱する。間髪いれずに其処にもビームが降り注ぎ、艦内に残った何かに引火したらしく、
残骸が巨大な火の玉へと変わった。爆発の衝撃にあおられ、コクピットを激震が襲う。
大爆発で視界が遮られたからか、射撃が止む。次の重厚な遮蔽物を探しながら、シンは
キーボードを叩いて通信回線を切り替えた。同じく避難場所を探す僚機に接近する。
「このままじゃ全滅だ。撃ち返す!」
『地球連合軍の機体は攻撃できないわ! もし撃墜でもしたら……』
716 :
693:2012/06/16(土) 16:33:47.18 ID:???
「逃げ回ってるだけで生き延びられる相手じゃないだろ!」
ルナマリアへと叫んだシンが、乗機を連合軍の輸送船へと向き直らせた。近くの残骸で
ガトリングを構えているブラウの姿を見遣ろうとして、息を呑む。
「いない……!?」
再びアラートが鳴った。モニターの表示は下方を指している。ニュートロンジャマーの
効果範囲内ということに加え、デブリ海では特にレーダー性能が落ちる。残骸を飛び移る
ようにして接近して来たブラウが、直上に3機のザクウォーリアを捉える。両足で大きな
デブリを踏みしめ、腰を落とす射撃姿勢をとってガトリングビームを撃ち始めた。
『ブラウに組み付いて、動きを止めます!』
「待て!それは俺が……」
ビームの猛射によって3機のザクウォーリアが散開を余儀なくされる。その時、太い
筒状の物体が射線に割り込んだ。絶え間なく撃ち出されるビームに触れたそれは、純白の
閃光で宇宙の闇を染め上げる。ザクウォーリアの腰部ラックに装備された閃光弾タイプの
ハンドグレネードだった。仕掛けたのはシンでも、ルナマリアでもない。
『援護、頼みます!』
『駄目よ!』
「ルナ、やるしかない!」
悲鳴に近い声を上げるルナマリアに呼びかけ、シンも機体の武器を切り替えた。閃光が
収まりかけた所にもう一度同種のグレネードを投げ込み、ブラウの射撃を妨害する。
赤いザクウォーリアが先行した機体に追従し、眩い光の中でも撃ち出され続けるビームの
射線を撹乱した。
一度、大きく左へ迂回したザクウォーリアが、背部スラスターを全開にしてブラウへと
肉薄する。左肩のスパイクシールドを前方へ向け、体当たりの姿勢を取った。射角外から
迫る機体を捕捉したブラウの肩、脚部カバーが展開する。後方が爆発したと錯覚する程の
スラスター噴射で、足場にしていたデブリが後方へ吹き流された。
左手で掴んでいたキャリングハンドルが沈み込み、ガトリングを抱え込む。殺人的な、
それこそ突進してくるザクウォーリアを上回る加速によって一瞬で距離を詰め、手にした
長大な武器をスパイクシールドの中央に衝突させた。ガトリングの下部から光るガスが
吐き出されると同時に、鋭く尖った六角形の杭が飛び出してザクウォーリアの盾を打つ。
堅固なシールドを容易く貫通した銀色の杭が、勢いはそのままに左の上腕を破砕した。
二つに割れたスパイクシールドからビームトマホークが投げ出され、左腕の肘から
先と共に回転しながらデブリ海へ消える。杭が脇へ突き刺さり、胸の上を削り取った。
火花を散らしながら頭部のモノアイがゆっくりと光を失い、体当たりを繰り出した緑色の
機体は頭と左腕のない身体を、スラスターで吹き飛ばされたデブリに力無くもたれさせる。
ザクウォーリアの破片とオイルを浴びたブラウが、赤色をした2機目にガトリングを
向ける。直後、身をよじるようにして緑のビームをかわした。
717 :
693:2012/06/16(土) 16:34:49.63 ID:???
「ルナ、そいつの脱出を援護してやれ! こっちは……俺が!」
ビーム突撃銃を構えたシンのザクウォーリアが、デブリの合間をすり抜けながら藍色の
機体との距離を詰める。肩と脚のスラスターから光を吐き出すブラウがシンの機体へと
向き直りつつ、ガトリングの狙いをつけた。
「やらせるかよ!」
ヘルメットのバイザーに赤いロックオンマーカーを映り込ませたシンが、トリガーを
引きながら操縦桿を倒した。放たれるブラウからのビームは、威力と連射速度こそ先程と
変わらないが精度は明らかに落ちる。無重力中で、しかも姿勢を固定できなければ、
高速で動く相手に射線は収束させられない。機体を不規則にローリングさせて紅の弾幕を
掻い潜り、大型スラスターを吹かして逃げるブラウへ追い縋る。しかし距離が縮まらない。
「くそっ……でかい癖に!」
ブラウが備える両肩、両脚の可動式スラスターノズルは、後退と回避を両立していた。
飛び交う緑と赤のビームと着弾によって2つの機体が照らし出される。サブモニターに
警告が表示された。スラスターのオーバーヒートが近い。それにシンが気を取られた瞬間、
ブラウが急減速する。
「なっ!?」
一瞬で2機が近付いて擦れ違う寸前、メインモニター一杯にガトリングの尾部が
映った。減速したブラウが、グリップの下でザクウォーリアの顔面を打ち据えたのだ。
モノアイにヒビが入り、バランスを崩したザクウォーリアが進行方向にあったデブリに
叩きつけられそうになるが、受け身を取るように機体を反転させて着地し、片膝を突いた。
足を止めたザクウォーリアの真上から、ガトリングを持ちかえたブラウが突進する。
筒から覗く杭の先端が輝き、スラスター噴射によって作られた影の中、ライトイエローの
バイザーが光を強める。ザクウォーリアも手にしていたビーム突撃銃を構え直す。ヒビの
入ったモノアイが頭部のレールを伝って中央に移動し、ブラウを見据えた。
『そこまでだ、ヴェーラー大尉!』
しゃがれた老人の声が全周波回線に乗ったその瞬間、ブラウの機体が僅かに動きを
変えた。ビーム突撃銃から放たれた緑の光が、その右肩を掠めて火花が散る。ブラウが
ザクウォーリアの目前に着地し、撃ち出された杭がデブリを砕いて2機を揺さぶった。
『ようやくプラントと連絡が取れた。その3機は正真正銘、ザフトの所属だ。今度こそな』
「今度こそ?」
眼前に迫るブラウの頭部パーツを睨みながら、シンが問い返す。
『EMP機雷に引っかかって、長距離通信機能と推進機関をやられてな。テロリスト共の
襲撃を受けたのだよ。君達と同じ識別信号を使い、プラントからの救助部隊だと名乗った
連中に』
老人の声を聞きながら、シンは機体を立ち上がらせた。肩と脚のスラスターを格納した
ブラウから、まだ視線を外さない。
718 :
693:2012/06/16(土) 16:36:09.63 ID:???
『しかし驚いた。まさかあのシン=アスカ君と此処で出会えるとは』
「俺を知ってるんですか? お爺さん」
『わしは地球連合軍所属のイサオミ=シラセ大佐だ。そして、勿論君の事は知っておる。
我々の中では有名人だ』
イサオミの画像はグリッドに表示されていない。あえて顔を出していないのか、通信に
問題があるのかシンには分からなかった。そして彼の興味は老人よりも同僚に向いていた。
「ルナ、あいつはどうなった。無事……」
通信を入れたシンが口ごもる。戦闘が始まってからずっと、彼女を愛称で呼んでいた
事を今更自覚したのだ。気恥かしさと後ろめたさで俯き、かぶりを振る。
『……大丈夫みたい。意識はあったし、スーツの破れ目もテープで塞いだし、怪我も……』
「良かった。誤解で始まった戦闘で死ぬなんて冗談じゃないしな。でも、看ててやれよ」
『ありがとう、シン。あの時私、本当に……』
「分かってる。……良かったよな」
ルナマリアの涙声を遮って交信を終えたシンは、ヘルメットを脱ぐ。手入れしていない
黒髪が無重力の中でゆらめき、紅色の目を覆い隠す。
「ルナは、俺が守る……か」
マイウス市の郊外に建つミュース孤児院を運営するロミナ=アマルフィは、子供達の
世話をメイドに任せ、廊下を歩いていた。喪服のような黒のワンピースとエメラルドの
ペンダントを身に着けた彼女は、手書きの手紙をきつく握りしめている。
足早に私室へと入り、置いてあった通話端末を取り上げる。ナンバーを入力して、
耳に当てた。しばらくして、回線が開かれる。相手が名乗るよりも早く口を開いた。
「シン=アスカさんに繋いで頂けますか。ごめんなさい、何度も……毎月寄付を頂いて
いるので、またお礼をしたくて。……では、帰還され次第連絡を頂きたいのです。はい、
夜中でも構いません。はい、有難うございます。それでは……」
震える手で端末を置いたロミナは、よろけながら椅子に歩み寄って座り込む。握った
手紙は折れ曲がり、歪んでしまっていた。
『私はとんだピエロだな、ロミナ。ニコルのような犠牲を出さない為に造り上げた物は
ニコルの仇に利用され、仇を討ってくれたと思っていた男は、その仲間だったのだから』
忘れられるわけのない会話が、記憶の淵から浮かび上がってくる。心が壊れてしまった
愛しい夫の告げた言葉が、一字一句思い出せてしまう。あの日以来帰って来なかった夫の。
『自分で蒔いた種は自分で刈り取るつもりだ。どれだけかかっても、何をしてでも』
手紙を握り締める右手にもう片方の手を添えたロミナは、肩を震わせた。やっとの
思いで掴んだ夫の消息。そして、彼のやろうとしている事。今までやってきた事。
それは余りにも危険であり、途方も無く、およそ正気の沙汰とは思えないものだった。
『モビルスーツだよ、ロミナ。あれに対抗できるモビルスーツが必要なんだ』
719 :
693:2012/06/16(土) 16:37:43.62 ID:???
以上です。
投下乙
ひょっとしてラスボスはユーリか?
そしてラスボスと熟女ヒロインとの三角関係…
……何故か、ロミナさんがシンの攻撃から旦那を庇って死亡という図が脳裏にw
そして時が健やかに〜温める愛〜♪
乙
いやむしろユーリ氏が最強のMSとロミナさんをシンに託して…
ラクスが北辰と結婚か。逆らったら、速攻で暗殺されそうだな
何の誤爆だいったい…と思ったら中の人の話か。
ところで693様、メインタイトルは今しばらく未定でござりますか…
725 :
693:2012/06/18(月) 21:21:14.01 ID:???
>>724 すみません、まだ決まってないです。原作がそれぞれ「種」「種・運命」なので、SEEDの後に
芽吹く、とか花咲くとかつけたらどうかと思ったんですが、あんまり締まらず……まだ倉庫に
保管して頂くほど話も進んでいないのですが。
しかし、シンのヒロインを設定するのはなかなか難しいものですね。普通に考えたらルナマリアかなと
思うけど、あれはメイリンが死んだと思ってヨレヨレになった彼女を助けたくて俺が守る!と言ったのでしょうし、
そのちょっと前にはステラに守る!って言ってますよね。あくまで庇護欲であって愛情じゃないっていう……
>>723 ラクスがギュネイと結婚でもありか。
そうした場合ヤクトドーガがミーティアと合体するのか?
>>726 何故だろう。ミーティア部分だけ残してフルボッコにされてる緑ヤクトの映像が浮かぶ
ho
今更バトルデスティニーをやってみたんだが、デスインパメチャクチャ格好いいな。
4機全て揃ってないのが悔やまれる
バトルデスティニーはミナたまが出ていない時点で駄作でソキウs
ほしゅ
Dインパルスって4機もいたんだっけ?
>>732 2号機はカラーリングは判明してるが今のところ誰がパイロットかとかは不明
4号機は存在しているのは確かだがカラーリングすら不明
もしシンが冒涜的なTRPGのKPをやったら
プレイヤー1:お嬢様
プレイヤー2:ロンド・ミナ・サハク
プレイヤー3:研究員
プレイヤー4:ルナマリア
GM:シン・アスカ
GM補佐:エミュレーター
特に問題がなければこれより投下したいと思います
まるで海と見まがいそうなほどの蒼空を、これまた炎のように赤い躯体が駆け抜けていく。
その視線の先には複数の白い人型と“黒騎士”の姿があった。
神話において、最高神がその娘に与えた盾と同じ名を持った紅い機体は急激に高度を下げ、
“黒騎士”の元へと向かう。
既にその“黒騎士”が敵の手に堕ちていた事も知らずに。
機動戦士ガンダムSEED EVOLVER
PHASE-02「Repeat」
基地から飛び立ったユキのロッソイージス・エクシードが、敵部隊を捉えるのにそう時間はかからなかった。
元々イージスは指揮官機と設計されたためセンサー能力が高く、
今回の新型駆動コンピューター組み込みに伴いさらに新型のセンサーと通信機に換装しているため、
非常にその能力が高いのだ。
ユキの目に映し出されたビジョンでは、複数のダガーL・105ダガーの中にストライクノワールが
混じり、行動を共にしているように見える。
その光景は彼には信じがたいものであったのは言うまでもない。
「ノーチェの奴、何やってんだ……?」
一瞬の思考の後、彼の脳裏に最悪の可能性がよぎる。
「まさか……?」
その真偽を確かめるためにも、ユキはロッソイージスを降下させ敵部隊へと接近した。
「センサーに反応……増援か?」
シンが搭乗しているストライクノワール・アドバンスドが、接近するロッソイージスを感知する。
「X303AAE……イージス?」
こちらで接近を察知できるということは、恐らくセンサー能力で勝るロッソイージスは
既にこちらの存在に気付き、攻撃態勢を取っていてもおかしくない。
彼は即座に右マニピュレーターにビームライフルショーティーを、左マニピュレーターに
フラガラッハ3ビームブレイドをホールドさせ、戦闘態勢に入った。
「シックザール1より各機、撤退の準備を整えておけ」
配下の面々にそう伝えると、シンは接近するイージスを目視で捉えた。
赤を基調とした塗装に、頭部から突き出たセンサーマストはかつて上司としてミネルバに着任しつつも、
戦場を荒らしまわるテロリストを擁護した事を皮切りに、命令に従いそれを撃破した彼に鉄拳制裁を加え、
挙句の果てにはオペレーター共々軍を裏切り、散々なまでに彼の行いと信念に対する
否定の語句を述べた上に「馬鹿野郎」とまで罵った男の駆る「正義」あるいは「救世主」の名を持つモビルスーツに酷似していた。
「また、俺の邪魔をするのか……アンタって人はッ!!」
無論、シンとてそのイージスのパイロットがあの男でないことぐらい重々承知している。
それでも彼はその言葉を飲み込むことはできなかった。
まがりなりにも共に過ごした同僚や上司に刃を向け、言うならば「家」でもあるミネルバを
何の躊躇もなく沈め、オトモダチと仲良くメサイア入刀ともされればこうもなろう。
ミネルバは本来月軌道方面に配備される予定だったものが、アーモリーワンでの新型機強奪事件の対応に回され地球や宇宙の各地を転々としてきたのだ。
そんな進水式もされない状態で各戦線において高い戦果をあげた功労艦の最期が裏切り者の攻撃であっさり沈むなど、
もはや悲劇というほかに表現できる言葉が存在するだろうか、いや存在しない。
心を落ち着かせるよりも早く、シンはスロットルを押し込み最高速でイージスへと肉薄した。
「なっ!?」
ユキの中に湧き出た疑惑の真偽は、ノワールの行動によってすぐさま明らかになった。
ビームライフルショーティから光の弾丸をばら撒き、いまにもフラガラッハ3で切りかからんとしている。
彼の良く知るあの男ならばこんな戦い方はしないし、仮にそうでないとしても別れの言葉の一つぐらいかけるのが人としての礼儀というものだろう。
イージスの下腕部からビームサーベルを発生させ、彼はノワールのフラガラッハ3を受け止める。
「……何者だっ!?」
返答はない。 ユキ自身もそもそも期待はしていなかったし、答えが返ってきたところで偽の名前である事を否定できない。
何の目的かは知らないが、自軍の機体を盗んだ以上落とし前はつけてもらおうと、
ユキはスロットルを押し込み出力を増大させる。 しかし――――――。
「――ッ!?」
一閃、レールガンの砲口が光り高速で射出された弾丸がイージスに直撃する。
類稀なる堅さを誇るPS装甲であってもその衝撃まで殺せないのはご存じのとおりである。
訓練を受けていなければ一発で失神するほどの衝撃を食らいながらも、なんとかユキは歯を食いしばり意識を現世に繋ぎ止める。
「くっ……まだまだァ!!」
右マニピュレーターにホールドさせたビームライフルの射撃を幾度か撃ち込むが、
ノワールはそれをひらりひらりと舞うようにかわし、再びイージスに肉薄する。
それならば、とユキはイージスの腹部装甲を展開し、複列位相エネルギー砲「スキュラ」を発射した。
上方に回避したノワールに狙いを定め、再びスキュラを撃ち込もうとするユキであるが、
耳をつんざくようなアラート音によって彼は下方へと目を向けた。
するとエールストライカーを装備したダガーLがビームサーベルを抜き取り
こちらへと接近してきているのが視認できる。
「邪魔をするなッ!!」
感情のままに飛び出た言葉と共に、イージスもダガーLへ急接近する。
ダガーLがサーベルを振りかぶったその瞬間、ユキはその腕を左のマニピュレーターで掴み動きを止め、
そして右マニピュレーターのビームライフルをダガーLのコクピットに突きつけ、引き金を引いた。
光の奔流を食らい四散するダガーLの姿を見届けることもなく、ユキはノワールへと視線を戻す。
今度はフラガラッハ3を二刀流にして迫りくるノワールへと、彼は叫んだ。
「何度も同じ手が、通じると思うなよ!!」
それと同時にイージスをMA(モビルアーマー)形態へと変形させ、ノワールを屠らんと加速する。
だが、その刹那である。
下方からの砲撃がイージスの進路を阻んだ。
「クソッ、まだ居たのか!」
その砲撃を放ったのは最初にキルギス基地の格納庫を破壊したランチャー105ダガーだ。
超高インパルス砲「アグニ」の一撃は非常に強力であり、まともに食らえばすぐさま黄泉の国への
片道切符を押し付けられかねないが、かといってノワールも放置しておけば危険なのは間違いない。
「どうすれば……」
とユキが呟いたその時、別方向からノワールを目掛けて紅い奔流が放たれた。
「援軍……バスターとデュエルか!」
センサーには友軍機のシグナルが二つ。 ヴェルデバスター・ストレングスとリインフォース・ブルデュエルのものだ。
命中こそしなかったものの、これで戦力比は小さくなる。 彼は反撃の糸口を掴んだと思ったものの、
ノワールはイージスを無視してランチャーダガーの方へと向かって行った。
「シックザール3、アルバ! 撤退するぞ!」
これ以上は自分たちが不利になるばかりだと、シンはなんとか感情を抑え込み撤退命令を出した。
既にシックザール2は先程イージスと交戦した際に撃破されている。 生存は望めないだろう。
シックザール3のランチャーダガーがコンボウェポンポッドから煙幕弾を発射したのと同時に、
シン達はフルスロットルで戦域から離脱した。
「また、仲間が……」
覚悟の上とはいえ、やはり仲間を失うというのはいつになっても慣れることはできない。
シン達を裏切りミネルバを沈めたあの男の心象は、一体どういう状態だったのだろうか。
おそらく、彼には一生理解できない。
ハンガーに戻ったイージスのコクピットから出たユキは、パイロットスーツのヘルメットを取り
外気へとその顔を晒す。
油と鉄の臭いが鼻をつくが、それでも密閉されたパイロットスーツよりは幾分かマシだ。
「やっほーユキちゃん、ちゃーんと足はついてるかい?」
そこに、キャットウォークを伝って一人の人物が接近してくる。
ユキのものとほぼ同じパイロットスーツを着ているが、体系は彼よりも小柄で、軍人というよりは
ハイスクールの学生と言った方がイメージできるだろう。
前髪に重なる形でM字に跳ねた髪は正面から見るとまるで猫かなにかの耳のようにも見え、
体系と相まって小動物的な雰囲気を感じさせる。
「アルトこそ、ちゃんと耳がついてるみたいでよかったな」
「失礼だな、この髪はボクの重要な個性の一つだよ? そう簡単に失うわけないじゃないか」
“アルト”と呼ばれたその蒼髪の人物は不機嫌そうに眉をしかめ口を尖らせる。
だが、小柄なうえに童顔なアルトでは、そんな表情も駄々をこねているのを
咎められた子供のようにしか見えない。
「もっとも、アルトマーレは私についてきただけでほとんど何もしていないがな」
ユキとアルト、改め“アルトマーレ・ピオーヴェレ”の会話に新たな声が割り込む。
その声の主はヴェルデバスター・ストレングスから降りたショートヘアーの女性だ。
プラチナブロンドの髪の毛はもとより、陶磁器のように白い肌、澄み切った海のごとく蒼く美しい瞳、
そして無駄のない体つきは、男性のみならず女性すら虜にしかねない魅力を持っている。
ユキは初めて出会った時、彼女に対し祖国の有名歌劇団の男役のような印象を持った。
実際のところ彼女はその振る舞いからか、どこか中性的な雰囲気を醸し出している。
「ああ、シャルの援護がなければ危なかったよ、ありがとう」
「私は当然のことをしたまでだ、感謝されるいわれはない」
そう思われているとは露知らず“シャル”と呼ばれた女性はそう吐き捨てるとさっさとハンガーから出て行ってしまった。
「デレないねぇ、いかにもツン期って感じだねぇ」
「なんだよツン期って……。 それより、ノーチェとバッカスは?」
アルトマーレを発した言葉に疑問符を浮かべるユキであったが、すぐさま頭を切り替え2人の安否を
確認しようとした。
「あの2人なら医務室だよ。 おそらく怪我はしてないと思うけど、一応ね」
「そうか……」
ユキはノワールを強奪したパイロットについて何か知っていることがあるかもしれないと
ノーチェに質問をするつもりであったのだが、どうやらそれは先送りになりそうだ。
「シン・アスカ!?」
「そうだ。 あの姿は恐らくな」
数時間後。
ノーチェの口から飛び出たその名前に、ユキは驚きを隠せなかった。
「でも、『ミネルバの鬼神』が、なんで?」
「さあな、でももしかしたらこれが関係あるかもしれない」
そういうとノーチェは携帯端末にひとつのニュースを映しだした。
それはザフト軍特務隊「ヘルヴォル」が地上のザラ派レジスタンスを鎮圧したという内容だった。
「これが一体どう関係が?」
状況を把握しきれないユキに、ノーチェはこれだ、と一つの単語を指差す。
「こ、ここって連合領じゃないか!?」
ようやく状況を把握した彼の姿に、ノーチェは軽く溜息を吐く。
「ここ最近、ヘルヴォルの動きが活発化してきている。 シン・アスカはヘルヴォルの隊長及び副隊長と因縁があるって話だ」
「復讐のため……ってこと?」
「でも、それだけにしては理由が弱すぎない?」
ノーチェの言葉を元にユキが強奪の理由を推測するが、それにアルトマーレが口を挟む。
「確かに気持ちは分からなくもないけど、復讐のためだけに組織を結成するっていうのは……」
確かにアルトマーレの発言は筋が通っている。
家族や仲間などを殺された恨みはあってもそれだけで組織は成り立たない上に、それでは協力者など現れない。
「キラ・ヤマトほかが複数の人物から恨まれているか、あるいは他の目的が存在するか……そのどちらかだろうな」
「その線が濃厚だろうな。 彼は正義感の強い人物らしいから、現状のプラントの独裁体制に異議を唱えるのは自然だ」
“シャル”ことシャルロッテ・ユーベルヴェークの推測にノーチェが同意する。
絶対的な力による弾圧と、その上に成り立つ偽りの平和。
現在のプラントはそのような非常に不安定で歪んだ状況に置かれているのだ。
「要は絶対的な力に抗う勇敢な鬼神さまってか、おめでてーなぁコーディネイターってのは」
それまで黙っていたバッカスが不意に口を開き、冷笑的な口調でそう皮肉る。
その言葉に呼応してか、露骨にアルトマーレの表情が曇るのをユキは察知し
「バッカス、今はそんな時代遅れの差別をする時じゃないだろう」
と彼を咎めた。
「……とにかく、いずれ追撃部隊が結成されて彼らは討伐されるだろう。 地球連合相手にレジスタンスが対抗できるわけがない」
沈んだ空気の中、ノーチェが半ば強引にその場を収束させる。
その言葉の中に含まれた“追撃部隊”に自分たちが配属されることを、彼らはまだ知らない。
ハンニバル級陸上戦艦「フリードリヒ」の艦内は慌しさに包まれていた。
急遽構成された追撃部隊にはノーチェをはじめとしたシリウス小隊の面々が配備され、彼らの乗機であるロッソイージスやヴェルデバスターなども続々と積み込まれていく。
「はっ!? なんでだよ!?」
その最中、モビルスーツハンガーに響き渡る男の声。 その主は例によってバッカスである。
お世辞にも整っているとはいえないその顔をさらに歪め文句を垂れ流す彼の姿は、正直見ている方に精神的ダメージを与えかねない。
「なんでネロブリッツをノーチェに!? ノワールを取られたのはあいつの自業自得なんだし……!」
「なんでって言われてもね、俺が決めたわけじゃあないし……」
その攻撃を飄々とした表情でかわし、ユキが背後へと振り返ると、その先には一人の女性士官の姿があった。
「私が決めた。 ネロブリッツは貴方の戦い方にはふさわしくないと思ったから」
その女性士官は視線を格納庫のとある一角へと向けながらさらに言葉を続ける。
「バッカス・ブーン・ドラブル少尉、貴官にはウィンダムに搭乗してもらう」
「ウィンダム!?」
思わずバッカスは目を丸くする。 特別仕様のガンダムタイプから一気に一般量産機に搭乗機が格下げとなれば誰でもこのような反応になろう。
そして感情のままに罵声を彼女に浴びせようとするバッカスだったが、それはユキによって制止された。
「バカ野郎! この人が誰か、分かんないのかよ!」
ユキはその女性士官の方を見ながらバッカスに耳打ちする。
「『漆黒の悪魔』フラーヴィア・ベルリネッタ大尉だよ!」
“漆黒の悪魔”フラーヴィア・ベルリネッタ。 高速近接戦闘を得意とし、
前のメサイア戦役ではヘブンズベース攻防戦において僅か3分半で7機のロゴス派モビルスーツと1機のザムザザーを撃墜したといわれている。
黒をベースに赤と金色で塗装され、逢えて装甲を極限まで削り、
かつネオ・ロアノークが搭乗したウィンダムと同様にリミッターを解除した特別仕様のジェットストライカーを装備した専用機、
通称「ソニック・ウィンダム」あるいは「ウィンダム・ゴースト」は、その塗装も相まって敵機にとっては悪魔のごとき存在とされた。
「士官学校時代の遍歴を軽く見させてもらったけど、隠密・電撃戦主体のブリッツは目立ちたがりな貴官には不適当。
故に、ストライカーパックシステムで多彩な戦況に対応できるウィンダムに乗り換えてもらう、何か異論は?」
バッカスは悔しそうな表情を浮かべしばらくの間フラーヴィアを睨んでいたが、流石に逆らえないと思ったのか、小さい声で
「……ありません」
と言った。
フリードリヒに乗り込んだシリウス小隊の任務は、何もシン・アスカの一味をはじめとした
レジスタンス・テロ組織の討伐だけが目的ではない。
地球上の各地で越権行為を行うザフト特務隊「ヘルヴォル」の抑制もそのひとつだ。
平和維持を名目に地球連合領内に侵入し、幾度となくテロ組織などを壊滅させている彼らではあるが、
地球連合軍としてはそのような行為は言語道断であり、それは立派な領土・領空侵犯である。
さらに言えば地球軍がテロ組織と戦闘中に彼らに介入され、地球軍側も被害を被ったという事例もあるがゆえに、
これ以上の放置はできないと司令部が決定し、今回シリウス隊にその任を課したのだ。
「無茶言うよね、あのキラ・ヤマトとアスラン・ザラが率いるヘルヴォルと戦え、なんてさ」
「別に全ての任務にあの二人が参加しているわけではあるまい。 それに私たちはザフトそのものに喧嘩を売るわけではない。
あくまで降りかかる火の粉を払え、というだけの話だ」
壁に寄りかかって苦笑を浮かべるアルトマーレと、コーヒーの入った紙コップを片手に持ったシャルロッテ。
ガラスの向こう側の慌しい光景を横目に、既に自分の搭乗機の調整と所定の作業を終えた二人は
他愛もない談笑を繰り広げていた。
「危険手当どれくらい出るかな?」
「分からんな、まあキラ・ヤマトかアスラン・ザラを倒せば勲章ぐらいは貰えるのではないか?」
「勲章なんてボクは別にいらないけどー? お飾りのバッジとかそういうのいらないから、お金だけくれればいいよ、お金」
アルトマーレは飲料の自動販売機を操作しながらケタケタ笑って見せた。
紙コップが設置され徐々に黒い液体が満たされる中、再びアルトマーレは口を開く。
「そういやさ、なんでボクたちだけが追撃部隊に?
このハンニバル級ってデストロイすら容易く積載できるんでしょ?」
「元々テスト中で戦力に加えられていなかったのが理由らしい。 先日の襲撃で格納庫が吹っ飛んだ上に、ウィンダムが一体中破、
ノワールが強奪されて戦力はさらに低下しているからな」
ストライクノワール・アドバンスドを始めとした機体群は、まだ実戦投入が可能な段階と
認識されておらず、キルギス基地の戦力における計算に入れられていなかったがために、
急遽編成された追撃部隊に編入されたのだ。
「なーんか、まるで厄介払いされたみたいだねぇ」
「恐らく襲撃の理由はノワール目当てであろうから、仕方ないとも言えるな。 とはいえ、あのフラーヴィア・ベルリネッタ大尉もいるんだ。 彼女がいる分まだましだろう」
「仕方ない、か……まあ、ノーチェが生きて帰ってこれただけでもいい方かな。 確か昔来た臨時の戦技教官も言ってたしね『生きてるうちは負けじゃない』って――――」
そう言うと、アルトマーレは紙コップに入ったコーヒーを煽りながら微妙な表情を浮かべた。
「うぇー、ミルクと砂糖の調整間違えた……」
プラント、正式には「Peoples Liberation Acting Nation of Technology(科学技術に立脚した民族解放国家 P.L.A.N.T.)」は、
自由条約黄道同盟、通称ザフト(Zodiac Alliance of Freedom Treaty Z.A.F.T.)の一党独裁のもとに統治されるコロニー国家である。
ラグランジュ・ファイブに設置された円錐を組み合わせた形状のコロニーは、その大きさゆえに
地上から肉眼で確認できるほどであり、しばしば「砂時計」と表現される。
そのプラントの首都となるアプリリウス市に存在する、プラント最高評議会議長室。
そこには美しい鴇色の長髪を背中へ流し、黒を基調にした陣羽織とフォーマルドレスを駆け合わせた施政服を着込んだ女性と、白を基調としたコート風の軍服を着込み、
ブラウンの髪をショートジャギーに切りそろえた優しそうな顔立ちの男性の姿があった。
「僕とアスランで地上へ?」
「ええ、ここ最近地球上の治安が不安定な状況になっていますので、その鎮圧にと」
長髪の女性、ラクス・クラインの言葉に、軍服を着込んだ男性――――キラ・ヤマトは少し驚いたような表情を浮かべる。
「カーペンタリアとジブラルタルの地上戦力は自由に使ってくださって構いませんわ」
「でもラクス、どうしてわざわざ僕たちが地上に? それに、ラクスは大丈夫なの?」
半ば一方的に話を進めようとするラクスをキラが制止する。 それは彼女を心配するが故だ。
「ここはプラントの首都です。 もしものことがあれば、ザフトが私(わたくし)を守ってくださいますわ」
それでも、と食い下がろうとするキラの言葉を遮るようにラクスは彼に歩み寄り、そして抱きつく。
「私は、大丈夫ですわ。 ですから……是非、平和のために、キラ、貴方の力を使ってください」
ラクスに抱きつかれ、キラは彼女の体温を感じる。 それは彼女が幻覚でもなければ意識だけの存在でもないことの証明でもある。
キラは喉元まできていた言葉を飲み込み、ラクスの背中へ手を回した。
「……うん、わかったよ、ラクス」
「シン……彼がテロリストに……」
プラントの中央部へとつながるエレベーターの中で、キラはラクスから渡された情報を閲覧していた。
その中のテロリストの情報の中にはシンの名前があった。
彼は前の戦いが終わった後、キラの言葉に説得され和解し再びザフトの兵としての任に就いていたのだが、
ヘルヴォル結成と時を同じくして除隊し、その後行方知らずとなっていた。
「どうして……」
テロは力なきものを戦争に巻き込むことを嫌う彼の性格からすれば最も憎むべき存在であるのだが、しかしシンは今現在そのテロリストグループの首謀者となっている。
彼の心境にどんな変化があったのか、キラには予測がつかなかった。
エレベーターがコロニー中央部に到着すると、キラは可動式リフトグリップに掴まって宇宙港へと向かった。
宇宙港では既にシャトルの発進準備が行われていた。 流石に「ヘルヴォル」の隊長、そして大戦の英雄ともなれば、その扱いは他の兵とはまるで違うものとなっている。
「アスラン!」
「キラ……?」
その作業を行う兵の中に、黒い軍服を着た彼の良く知る人物を見かけたキラは、思わずその名前を呼んでいた。
幼年学校時代からの親友であり、時に刃を向けあうこともあったものの、今は共にヘルヴォルでテロ鎮圧の任についているその男の名は“アスラン・ザラ”。
支援
「キラ、聞いたか? シンが……」
「うん、一体どうしちゃったんだろうね」
アスランの心配そうな表情に、キラもその心中を察し表情を暗くする。
「シンは……あいつはテロなんてことをする奴じゃない、なのに何故……」
「アスラン、君の気持ちは良く分かるよ。 だけど、今はテロを止めなきゃ。
そうしないと、また……」
アスランの悪い癖は、このように一度思い悩むとしばらく止まらないことである。
キラはそれを察し、彼の思考を遮るように言葉をかけた。
戦場において迷いは必要ない。 必要なのは「覚悟」だ。
“覚悟はある、僕は戦う”
前の戦いにおいて当時のプラント議長、ギルバート・デュランダルに放った自らの言葉が頭に反芻する。
その言葉を証明するため、自分は戦っているのだ。
「フリーダムとジャスティスの状況は?」
「万全とのことだ。 まあ、二機を出すほどの状況じゃないと思うがな」
意識を現実へと戻し、アスランに機体の状況を確認するキラ。
「でも、“もしも”の事があるかもしれない……今までも、そうだったでしょ?」
「……そうだな」
ヤキン・ドゥーエ戦役も、前のユニウス戦役においても、想定外の事態が幾度となく発生してきた。
もしかしたら、今回もそのような事態が発生するかもしれない。
「本当は、そうならないようにするための、僕たち『ヘルヴォル』なんだけどね」
“ヘルヴォル”、北欧神話における戦乙女(ヴァルキューレ)のひとつであり、彼女は「軍勢の守り手」と呼ばれている。
自分たちは、その名に恥じぬ働きをできているのだろうか。
「カガリも、大丈夫かな……?」
思わずキラの口から、地上でオーブ連合首長国の代表首長の座についている実の姉を思う言葉が零れた。
シャトルの座席に体を固定し、静かに出航の時を待つ二人。
蒼と紅の双星は、圧倒的な“自由”と“正義”の名の下に地上へと降り立つ――――。
「ディオキア基地を襲撃する?」
ユーラシア連邦某所、高い岩々に囲まれた荒野の中に一機のザフト製大型輸送機「ヴァルハウ」の姿があった。
しかしながらそれは反ザフトレジスタンス「シックザール」がザフトから奪ったものであり、
その機内においては次に作戦へ向けてのブリーフィングが行われていた。
声を上げたのは先の作戦で「アルバ」として活躍した金髪の青年であり、それに対し黒髪の青年――――シン・アスカが返答する。
「ああ、数日後に“ヘルヴォル”の増援がディオキアとカーペンタリアに降下するという情報がガロン42から提供された。
恐らく地球軍も部隊を動かすだろう、それに乗じて俺達もヘルヴォルを叩く」
「でも、俺達は前の作戦で地球軍にも喧嘩を売って――――」
疑問を呈する金髪の青年――――フェデリコ・アイマンの言葉を待たず、その場にいた“シックザール3”と呼ばれていた茶髪の男が待ってましたとばかりに微笑を浮かべる。
「地球軍は“歌姫の騎士団”様とは違って大局を見失うことはないだろう、二者択一を迫られれば確実にザフトを先に叩いたほうが聡明だって事は誰にでも分かる」
「攻撃を受けることはない……って?」
「ゼロとは言わない。 だが仮にフリーダムとジャスティスがディオキアに降りれば確実にそうなるだろうな」
その男――――カウノ・リンティラの言葉にフェデリコは一抹の不安を覚えながらではあるが、一応納得したようだった。
「何、ここには“ミネルバの紅い鬼神”と“黄昏の魔弾”の弟がいるんだ。 そんなに心配することはない」
「細かいことについては作戦開始前に伝える。 それぞれ休んでくれていい。 明日は早いからな……特にユベールとマリクはしっかり休んでくれ。
居眠り操縦なんてされたら困る」
「ラジャー、隊長殿」「了解です」
ヴァルハウのパイロットを務めるユベール・アランとマリク・ヤードバーズに声をかけると、シンは早々に寝台へと潜り込んでしまった。
その寝台の中で、一人彼は誓う。
(キラ・ヤマト……今度こそ、アンタを討つ……!)
仲間の前では覆い隠している感情は、彼の中で解き放たれるその時を今か今かと待ち構えている。
解き放たれたその時が「ミネルバの紅い鬼神」と彼が言われる所以、その力を知ることが出来る瞬間であろう。
流れ弾で妹と両親を失い、そして守ると誓った人も仕方のなかったこととはいえ彼の手によって命を落としている。
シンとキラは切っても切れない因縁によって結ばれているのだ。
思えば、すべての始まりとなった攻防戦からもう6年も経っているのだ。 その間、彼に安息のときはなかったともいっていい。
ヤキン・ドゥーエ戦役が終わると彼はプラントに渡り、ザフトのアカデミーに入学し、そしてエリートの証である赤服を纏ってザフトに入隊。
最新鋭機インパルスのパイロットとしてミネルバに乗艦するも、進宙式を目前にアーモリーワンが襲撃を受け彼は戦火の中へと身を投じる。
数多くの死線、仲間の死、上司の裏切り、理不尽な戦争と、それを操る黒幕との過酷な戦い。
あまりにあっけない戦争の終結、そして自らの仇敵が軍を、第二の故郷を掌握するという屈辱。
彼も、仲間たちも、この歪んだな世界に蹂躙――いや陵辱され続けた。
ふと、彼の脳裏に友人でありかつての同僚であったレイ・ザ・バレルの言葉がよぎった。
“終わらせる、今度こそ総てを。”
「ディオキアかぁ……確かラクス・クラインの影武者が慰問コンサートをやったところだよね」
「影武者っていうと、本物より快活だった……ミーア・キャンベルとか言うやつだったっけ?」
シン・アスカ一味の襲撃から数日、第二種戦闘配備状態でディオキア近辺へ向けて進撃中のフリードリヒ艦内にて、
パイロットスーツに着替え格納庫へと向かうアルトマーレが不意につぶやくと、ユキがそれに応じて返答した。
「そうそう、露出の激しいほう。 ボク本物よりあっちの方が好きだったんだよねー、なんていうかお高くとまってる感じがなくて親しみやすかったし」
「そういうものか……?」
頭にハテナマークを浮かべるユキを見て、アルトマーレは促すように軽く微笑む。
「そういうものだよ」
その言葉を最後に、二人はそれぞれの機体へ向けてキャットウォークを進んでいった。
自らの搭乗機であるロッソイージスに向かって足を進めるユキの視界に、不意にフラーヴィアのウィンダムが映った。
黒とダークグレーをベースに、アンテナや胸部インテーク外周などに彼女の髪色と同じ金色が、
そしてゴーグルアイやアンテナ基部などに彼女の瞳と同じ赤色が配されている。
ある意味この機体は見た目からも彼女の分身ともいえるものであった。
(ベルリネッタ大尉は、どんな戦い方をするんだろうか……)
そんなことを考えながら、彼はロッソイージスのコクピットへと納まった。
「まもなく作戦区域に入ります」
フリードリヒの艦橋において、オペレーターの報告を聞いたこの艦の艦長である壮年の男、ヨハン・ハーシェルはその右手を前方に掲げ艦内に向けて指示を出す。
「総員第一種戦闘配備! モビルスーツ隊はブリッツを先頭に順次発艦せよ!」
オペレーターによる復唱と警報音を合図に、一気に艦内が騒がしくなった。
フリードリヒのカタパルトハッチが開き、カタパルトデッキにブリッツが配置される。
『カタパルト推力正常、進路クリアー。 ネロブリッツ・サーパス、ノーチェ・ノイモント機、発進どうぞ!』
「ノーチェ・ノイモント、ネロブリッツ・サーパス、出撃する!」
カタパルトによって押し出されたネロブリッツは地上に着地すると同時に脚部ホバーユニット「リーゼンゾッケン」を起動させ、
そして特殊装備であるミラージュコロイドを展開、その姿を薄明に隠しつつディオキアへ向けて出撃した。
「リーゼンゾッケン」――――ドイツ語で「巨人の靴下」を意味する――――は、飛行のできないネロブリッツ・サーパス、ヴェルデバスター・ストレングス、
リインフォース・ブルデュエルのために開発された機動性を向上させるための追加装備である。
特にネロブリッツのものはステルス性を高める加工を施しており、核エンジンによるエネルギーも相まってかなり高いステルス性を発揮するのだ。
黒海に出てしばらくすると、ノーチェはキルギス基地を有視界で捕捉することができた。 その様子を見るに、
警報こそ出ているがまだネロブリッツの接近には気づいていないようだ。
彼は武装のロックを解除すると、両腕に装備された複合兵装「シルトゲヴェール・ツヴァイ」の上部、70ミリ高エネルギーブラスターの銃口をその管制塔へと向けた。
引き金を引いた刹那、銃口から射出された光の矢は管制塔を貫き、爆発四散させた。
ノーチェは引き続いてレーダーや通信設備を優先的に破壊、ディオキア基地を孤立化させることに成功しつつあった。
「シャルロッテ・ユーベルヴェーク、ヴェルデバスター・ストレングス、出る」
ノーチェが管制塔を破壊する少し前、フリードリヒからはシャルロッテのヴェルデバスターが発進した。
リーゼンゾッケンによって地上、そして海上を滑るように駆け抜けるヴェルデバスターは両マニピュレーターにホールドしたビームライフルを連結させ、
長距離砲撃の準備を整えた。
コクピット内のシャルロッテもシートの後ろから精密射撃用スコープを展開し、引き金に手をかける。
しばしの間をおいて、ノーチェから初期行動が終了したとの通信が入ると、シャルロッテはビームライフル、ビーム砲、ガンランチャーを一斉に発射した。
爆発の光が一気に増え、群青色の空が仄かに紅く染まる。
このままいけば、残りは地上へと降下してくるヘルヴォルを迎撃するのみであるが、彼女はそれを一番心配していた。
「キラ・ヤマト、アスラン・ザラ……」
圧倒的少数でありながらメサイア戦役において最終的な勝利を掴んだ“歌姫の騎士団”のうちでも最強といわれるその2人。
その2人に対抗できたのは、後天的に強化された生体CPUを除けば、ラウ・ル・クルーゼやシン・アスカなどに限られる。
フラーヴィアがいるとはいえ、実戦経験の少ないシリウス隊が太刀打ちできる相手とは思えない。
彼女の脳裏に最悪の可能性が浮かび上がったのはいうまでもなかった。
「ユキ・イズミ、ロッソイージス・エクシード、行きます!」
「アルトマーレ・ピオーヴェレ、リインフォース・ブルデュエル、出るよ!」
「バッカス・ブーン・ドラブル、ウィンダム、出撃する!」
「フラーヴィア・ベルリネッタ、ソニック・ウィンダム、テイク・オフ!」
フリードリヒからロッソイージス、ブルデュエル、ウィンダム、そしてソニック・ウィンダムが連続して射出される。
まだ薄暗い空を翡翠色の双眸が照らし出す。 その先にあるのは紅く燃えるディオキア基地だ。
進軍の最中にロッソイージスが熱源を捉え、コクピット内に警報音が鳴る。
「……接近する熱源6、高速で接近! ライブラリー照合……バビ、グフがそれぞれ3機!」
『恐らく哨戒に出ていた部隊だ。 このまま最高速でディオキア基地へ向かい先行した2機と合流、その上で相手をする』
「了解!」
4機はロッソイージスを先頭にディオキア基地への進軍を続行した。 無論接近するバビとグフも4機を追跡し、基地に到着するころにはある程度距離が縮まっていた。
『シリウス・リーダーよりシリウス2、4、長距離攻撃で敵を分散させて』
ディオキア基地に到着すると同時に、フラーヴィアの指示に従いユキとシャルロッテはスキュラとビームライフルでそれぞれ長距離砲撃を行う。
空を切り裂く紅い奔流によって敵は隊列を分散されたものの、1機たりとも欠けることなくシリウス隊へと依然接近する。
制式塗装の青色に塗装されたZGMF-2000“グフイグナイテッド”が3機と、制式塗装とは異なる制空迷彩で塗装されたAMA-953“バビ”が3機だ。
超望遠カメラでそのバビを捉えた瞬間、フラーヴィアの目の色が変わった。 すぐさま再び回線を開きユキ達にこう忠告する。
『各機へ通達する。 あのバビはワーグナー隊のものだ、絶対に気を抜かないように』
その言葉をユキ達が飲み込むよりも早く、先頭のバビがモビルスーツ形態へと変形し胸部のアルドール複相ビーム砲を放った。
咄嗟にロッソイージスがスキュラを放ち、放たれた2つの砲火は激突し相殺される。
2つの高エネルギー体が衝突したことによって発生した眩しく輝く閃光の向こう側から、ビームソード「テンペスト」を右マニピュレーターにホールドした3機のグフが肉薄する。
先行した1機は重装甲で動きの鈍重そうなアルトマーレのブルデュエルを狙いテンペストを振り下ろしたが、即座に脹脛にマウントされたビームサーベルを両方抜き取り、
右マニピュレーターのサーベルでテンペストを受け止め、左マニピュレーターのサーベルでグフの腕を切り上げると、自由になった右のサーベルをグフの胴体に突き立てた。
さらにデュエルは糸の切れたマリオネットのごとくだらりと垂れ下がったグフの肢体を抱えると、迫り来るもう1機のグフに投げつけた。
「そーら、お友達だよっ!!」
70トン以上の鉄の塊をいきなり投げつけられて体勢を維持できるほどの能力はグフにはなく、
バランスを崩したところをヴェルデバスター・ストレングスの連結ビームライフルから放たれた砲撃の餌食となった。
残った1機のグフも下腕部のビームガン「ドラウプニル」から弾丸をばら撒き必死に抵抗するが、ソニック・ウィンダムの放った閃光弾頭ミサイルを破壊したことで視界を奪われ、
一瞬のうちに回りこんだソニック・ウィンダムによって胴体を真っ二つに切り裂かれ爆発四散した。
(グフを始末したはいいが、ワーグナー隊のバビはこうは行かない)
そのフラーヴィアの予測通り、3機のバビは可変を繰り返しつつヴェルデバスターとブルデュエルの張った弾幕を易々とかわしていく。
「ええい、ちょこまかとハエみたいに!」
痺れを切らしたユキがロッソイージスの腕部ビームサーベルを展開し、1機のバビに接近する。
「待て、シリウス2! 迂闊に――――」
フラーヴィアが警告し終わるより早く、ロッソイージスはバビに蹴り飛ばされ落下する。 姿勢を立て直さんとしたその刹那、バビのビームライフルの照準がロッソイージスを捉えた。
咄嗟にソニック・ウィンダムが射線に割り込み、シールドでその射撃を防いだ。
『言った筈だ、気を抜くなと!』
「は……はい!」
彼女のおかげでなんとかユキは命を長らえることができたが、一歩間違えれば確実に彼は死んでいただろう。
そんな考えが脳をよぎり、ユキは思わず息を呑む。
(演習とは訳が違う……相手はこっちを殺しに来てる!)
と、その時、不意にコクピットにアラート音が鳴り、ユキはコンソールパネルに目を落とす。 見ると、警告は新たな敵機が接近していることを示していた。
「シリウス・リーダー! 新たに熱源反応! 総数4、うち基地格納庫よりザクが2機、ジン1機、上空よりシャトル1機接近!」
『生き残りか……ザクとジンはシリウス1、3で対応して、シリウス2、5と私でバビを、シリウス4はシャトルを撃墜し次第私たちの援護を』
返礼を待たずして、フラーヴィアはジェットストライカーとシールドの内側に装備されたミサイルをそれぞれ1発ずつ発射した。
無論、ワーグナー隊のバビはそのような稚拙な攻撃に当たるはずもないが、フラーヴィアの狙いはそれを命中させることではなかった。
うち1発は先ほどと同様閃光弾であり、眩い光がワーグナー隊の視界を奪う。 そしてその光が消え視界が再び安定したその瞬間、ユキとバッカスがビームサーベルを展開し“後ろを向いていた”バビに肉薄した。
先ほど放たれたミサイルのもう一方は強力な熱源を発する欺瞞弾であり、ワーグナー隊は先程と同様にフラーヴィアが後ろを取ろうとしたように錯覚したのだ。
しかしユキとバッカス、ワーグナー隊の間の技量差はれっきとして存在するものであり、2人ともその攻撃を命中させるには至らない。
(まずい……通信を遮断したとはいえ、時間をかければ他所から増援がきてもおかしくはない。 ついでにいえば今接近してきているシャトルは恐らく……)
フラーヴィアはその疑念を確かめるべく、シャルロッテのヴェルデバスターへと通信を繋いだ。
「シリウス4、シャトルは?」
『撃墜しました。 しかしその寸前に2つの熱源がシャトルから……』
シャルロッテの言葉を聴きフラーヴィアはレーダーへとその視線を移す。 するとそこには彼女が予測しうる最悪の結果が待ち受けていた。
そこに表示された機体識別結果は“ZGMF-X19A”と“ZGMF-X20A”。
彼女も参戦していたヘブンズベース攻防戦、そこでデストロイを始め多数のモビルアーマー・モビルスーツを撃墜した“ミネルバ隊”の3機をメサイア攻防戦において無傷で葬ったという、
モビルスーツパイロットにとっては“死神”と同義の存在。
それでありながら、人々にとっては“英雄”と崇められる存在。
その死神が背負いし名は――――――――。
紅く燃えるディオキア基地の周辺、赤外線遮断シートで身を隠したモビルスーツが3機。
ランチャー、エール装備の105ダガーがそれぞれ1機と、ストライクノワール・アドバンスドが1機だ。
ノワールの足元で望遠鏡を構えたシンは、静かにシリウス隊とザフトの戦いを見守っていた。
(あのウィンダム……)
彼やルナマリア・ホーク、レイ・ザ・バレルが反ロゴス連合軍として参戦したヘブンズベース攻防戦に、同じく反ロゴス軍として参戦していた黒いウィンダムの姿がその中にはあった。
動きを見るに、黒いウィンダム以外のパイロットは新米、そうでなくてもあまり連度の高くないパイロットなのだろう。
そう彼が結論を出したとき、上空に2つの光点が現れた。 ヴェルデバスターから放たれた放火に撃墜されたシャトル、撃墜寸前にそのシャトルから離脱した2機のモビルスーツ。
彼の宿敵であるその機体の名は――――――――――。
「アスラン、敵の情報はわかる?」
『イージス、ブリッツ、バスター、デュエルタイプがそれぞれ1機ずつ、ウィンダムが2機だ』
その4機の名前を聞いた瞬間、キラの脳裏によぎったのはヤキン・ドゥーエ戦役で死闘を繰り広げたクルーゼ隊のGパイロットの面々だ。
たった今隣にいる幼年学校以来の親友、イージスに搭乗していたアスラン・ザラ。
今もザフトに在籍し、デュエル、及びバスターのパイロットであった名コンビ、イザーク・ジュールとディアッカ・エルスマン。
そして、キラが自らの手で葬った、ブリッツのパイロット、ニコル・アマルフィ。
今の自分がここにあるのは、彼らとの死闘の結果であり、そしてニコルをはじめとした数多の犠牲の上に成り立っていることはいうまでもない。
彼らが求めた“平和”、もはや現世にはいない彼らの為にも、自分がその代わりに軍勢の、否、人々の守り手とならなければならない。
それが“英雄”とも“死神”とも揶揄された自分にできる事なのだから。
メインカメラが捉えた炎に包まれたディオキア基地の映像。 キラの目にはあのベルリンの惨状にも劣らぬものに見えた。
『……なぜこんなことを、平然とできる!!』
「…………行くぞ、キラ」
アスランは“彼らも好きでやっているんじゃない”という言葉を飲み込んだ。 敵に情けをかければ、死ぬのは自分だからだ。
スロットルレバーを押し込み、2人はそれぞれの機体を加速させた。
「「――――――――ジャスティス、フリーダム!!」」
期せずして、シンとフラーヴィアの言葉は重なっていた。
自分がその言葉を発した瞬間、通信機越しだというのにも関わらずノーチェらシリウス隊の面々が戦慄するのをフラーヴィアは感じ取った。
2機の登場に気をとられ動きが鈍った彼らの隙を、ワーグナー隊が見逃すはずもなく。
至近距離で放たれたアルドールを回避しきれず、ユキのロッソイージスは左肩の装甲を焼き切られる。
バッカスのウィンダムも航空ガンランチャーから放たれた散弾でメインカメラを損傷した。
「こんのぉっ!」
感情のままにユキはビームライフルを乱射するが、まともに狙いのついていないその射撃をかわすことはワーグナー隊でなくとも決して難しいことではなかった。
「だったら!」
再びビームサーベルを展開するロッソイージス、近接戦闘武装を持たないバビは肉弾戦でロッソイージスを機体ごと蹴り落とそうとするものの、ユキとて学習をしていないわけではない。
その足を空いたもう一方のマニピュレーターで受け止め、本命のビームサーベルを――――――。
――――刹那、バビ目掛け振り下ろされるはずだったビームサーベルが“腕ごと”切り落とされていた。 唖然とするユキの隙をつきバビはもう片方の腕を振り払い、ビームライフルで牽制しつつ後退する。
そして不意にロッソイージスとバビの間に1機のモビルスーツが割り込んだ。 その機体は存在を自らの誇示するようにその身に背負った翼を大きく広げる。
『死にたくないならもう下がるんだ!』
コクピットに敵機からの通信が入る。 なんだこのパイロットは、ふざけているのか?
ユキのその考えが敵に通じるはずもなく、そのモビルスーツ“ストライクフリーダム”は自機に肉薄したロッソイージスを蹴り飛ばし、
両マニピュレーターに握った「シュペールラケルタ」ビームサーベルでロッソイージスの武装を剥ごうとする。
「ッ、早い!」
“避け切れない”とユキは悟り思わず目を瞑った。
響く轟音、しかし機体は未だ地に落ちることはなく姿勢を保っている。 ゆっくりと目を開けると、眼下にストライクフリーダムと、もう1機のモビルスーツの姿があった。
「ストライク……ノワール……?」
そこにあったのはつい先日キルギス基地から強奪されたストライクノワール・アドバンスドだった。
ストライクノワールはノワールストライカーに装備されているレールガンの砲弾を撃ち込み、その運動エネルギーで強引にストライクフリーダムを地上へと叩き落したのだ。
地上に着地したストライクノワールは、ストライクフリーダムにフラガラッハ3の刀身を向けたまま屈んだ姿勢からゆっくりと立ち上がる。
「あれは……!」
アスランはその動きに見覚えがあった。 その姿はアーモリーワンで自分と、オーブ連合首長国代表首長でありキラの実姉にあたるカガリ・ユラ・アスハの乗りこんだザクを助けたあの機体の動きに酷似していた。
「シン……なのか?」
2年前にザフトを退職し突如行方不明になった、かつて自分の部下であり、そして自分を一度は討った男。
彼の疑問に対する答えは、直後に流れた全周波通信を以って代わられた。
「なんで、こんな事…………!」
連合・ザフトを問わない全周波通信の回線を開き、彼は血を吐くような声で叫ぶ。
「……“まだ”戦争がしたいのかッ!! アンタ達はッ!?」
以上です。
出番こそあまり長くありませんがシンにはおいしい所を持っていってもらいました
ワーグナー隊がフラーヴィアの言葉の割りに大して強い描写を入れられなかったのが残念でした
時々自分でもシリウス隊のコールサインが分からなくなります
一応書きますと
シリウス・リーダー:フラーヴィア
シリウス1:ノーチェ
シリウス2:ユキ
シリウス3:アルトマーレ
シリウス4:シャルロッテ
シリウス5:バッカス
です
考えもなくノーチェをシリウス1にしてしまったので苦肉の策としてフラーヴィアはシリウス・リーダーになりました
それではまた次回。 こんな稚拙な文章もどきを読んでいただきありがとうございました
乙です。早速、シンが凸キラの前に現れたようで・・・アスランがどう対応するか見ものだなぁ
シンの行動も気になるな。投下感謝感謝…
乙です
カナードらしき台詞とか、節々にネタが散りばめられてるな…
おつ
遂に物語が本格的に動きだしてきたなー
しかし多対一とは言え、ストフリに勝てる程機体性能差は縮まってるのか……?
ほしゅ