ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XXXIX

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1通常の名無しさんの3倍
ガンダムSEED DESTINYで主人公の座を追われたシン=アスカが
今度こそまっとうな主人公として返り咲く!

シン主役の種死アフターについて語り合い、SSを投稿し、職人をGJ!するスレです。

荒らし煽りは徹底スルー、職人さんへの敬意を忘れずに。

前スレ
ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XXXVIII
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1278425206/

まとめページ:
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
ttp://arte.wikiwiki.jp/

避難所
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10411/1230163812/

新規職人さんも随時大歓迎です。

2通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 08:56:40 ID:???
スレ立て乙
3通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 22:20:31 ID:???
4話投下してみます。

機動戦士ガンダムSEED DESTINY+A3
#4 有料って…この守銭奴!

 オーブ近海から出発した、プラント連合合同軍事演習は、赤道直下のインド洋に指しかかろうとしていた。
 オーブの象徴とも言える巨大空母タケミカヅチの甲板には、メサイヤ戦後完全改修を行われた赤いウイング
ユニットが特徴的なデスティニーUと格闘戦に秀でた赤い装甲のインフィニットジャスティス、そして、白い
装甲と総計十二門のドラグーンが搭載されたバーティカル・フリーダムが直立不動の状態で大海原を見渡すよ
うに制止し、その周りを計七機のF型装備の105ダガーが並び、眼下で繰り広げられている対人訓練を見下
ろしていた。

「どうした若人…もうしまいかの」
「まだ…まだあ!」

 人を食ったようなしわがれた声と獣のような咆哮が甲板に響く。
 見れば皺だらけの人民服に身を纏い豊かな顎髭を蓄えた老人が、甲板で膝を付くシンをせせら笑っている。
 老人の見た目は、か弱く貧相な印象が拭えないが、声色は低くしゃがれた老人の声だが巨大な鉄芯が入った
ような野太い声色はシンの耳朶を強く穿った。
 老人の纏う気は鉛のように重く鋼鉄のように頑強で、ただ単純に前に出ただけでは、先ほどのように返り討
ちに会うの目に見えている。

「なんじゃ…やっぱりお終いかいの」

 攻め手を封じられ、攻めあぐねているシンに老人は深い溜息を吐く。
 挑発されている直感したシンは老人に好戦的な視線を向け怒気を滾らせた。

「まだ、行ける!」
「まっ…負けん気だけは及第点じゃがな。お前さんとザラの子倅以外は、全員伸びておるぞ」

 老人の言う通りタケミカヅチの甲板の上には、屈強な男達がピクピクと情けない擬音を上げ昏倒している。
 その様子はまさに死屍累々と言った有様で、連合でも生え抜きの海兵達と遺伝子調整を受けたコーディネータ
ーの中でも更に秀でたザフト兵が仰向けに倒れている様子は、まさに、指揮官達から見れば悪夢その物だ。
 モビルスーツに乗れば無敵を誇るキラ・ヤマトも、老人から顎と鳩尾に景気の良い一発を貰い、完全に気を失
っていた。

「勇む蛮勇は好ましい。しかしてこの彼我戦力差。どのようにして埋めるつもりじゃ赤目の童」

 老人と自分自身の戦闘能力の差など、この半年で嫌と言う程刻み付けられた。モビルスーツに乗れば地球圏で
五指に入る腕前を持つシンだったが、徒手空拳での戦闘では、老人の前では赤子に等しい存在だ。
 シンは、僅か数ヶ月の訓練でナイフを用いた模擬戦で指導教官を圧倒した経歴を持つが、そんな輝かしいキャリ
アも老人の前では紙切れ以下になり下がってしまう。象と蟻以上の実力差が二人の間に悠然と立ち塞がっているのだ。

(目の前で消えるとかあり得ないだろ…)

 心の中で毒づくが、目の前で起こっている珍現象は間違い無く"現実"なのだ。

「クソ!」
4通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 22:21:16 ID:???
自棄になったわけでは無いが、大した考えも無く老人に突撃する。
 内功によって練られた気が全身を駆け抜け両足に蓄積された内勁が爆発する。
 身を低くし、踏み込んだ脚力が爆発的な加速を生み、一拍の間を置き手刀を振るった。
 五メートルの間合いを一呼吸の間で詰め寄り、抜き身の刀のように鋭い軌跡を描き老人の首元に肉薄する。

「当て気が多すぎる。しかも、雑じゃ」

 老人は、シンの手刀を溜息混じりに避けると、文字通り目の前から消失する。
 はっと、気が付けば、老人はシンの後ろで退屈そうに鼻をほじっていた。
「っ!」

 寒気が背中を駆け抜け、振り向く事無く反射的に距離を取る。
 詰めた間合いは五メートル。しかし、逃げるようにして広げた間合いは十メートル以上。
 明らかに老人に臆した結果にシンは屈辱に顔を歪め、深く、更に鋭く構えを直す。

「…怪物め」
「阿呆め。相手を罵る暇があれば、勝つ方法を思考し体現せんか。考えるよりも感じろとは誤用じゃぞ。感じ
る前に考え、考えるように感じるのが武の気質じゃ。反射と思考の融合を持って初めて武の出立点となる…ま
ぁ童は考える頭を持っとりゃせんがの」

 カラカラと笑う老人を前にシンの額に怒りの四つ角がダース単位で浮かび上がる。
 相手を怒らせ思考と行動を制限する。
 体力と膂力で劣る者が強者に立ち向かう常套手段だが、老人の場合はひん曲がり多項式のように湾曲してい
る地の性格故だろう。
 だが、性格が歪みきり人格破綻した爺さんであろうとも老人は強かった。
 こちらの攻撃は全く当たる気配を見せないのに、老人の攻撃は面白いよう命中する。
 訓練開始時には都合二十人居たコンクルーダーズ隊員で気を失わず立っているのは、最早シンとアスランの
二人だけ。
 慄然とした戦力差に悪い意味の笑いが止まらない。
 老人の攻撃が命中し続けるのは、視覚の誘導や思考の間隙を突く歩法の類では無い。
 そんな小細工を使わずとも、彼は"常人"では見る事も出来ない超高速で動く事が可能なのだ。
 完全にコーディネーターの限界を超え、いや、既に人間の限界を超えた動きだった。
 老人の名前は李舜生。
 プラント最高評議会議長となったラクス・クラインと大西洋連合総司令官がある日ふらっと連れて来たのが
李舜生だ。
 詳細不明、正体不明、年齢不詳の武仙と呼ばれる怪しさ炸裂の老人にシンは、最初こそ懐疑的な視線を送
ったが、数時間後には認識を強制的に改めさせられた。
 プラントと連合が合同で人材を出資した、特殊平和維持軍コンクルーダーズの特別顧問になった経緯もまた
不明だ。
 後で知った事だが、李は、裏社会では黒の死神として名の通った人物で有名な老人だそうだ。
 しかし、その性格は本気でねじ曲がり、裏の専門家として矜持よりも自分が面白い方に興味が向く偏屈な老
人としても有名だった。
 だが、本人の性格は歪でも、身に深く刻みこまれた武術と知識は一騎当千の一言に尽きた。
 一国の軍隊を一晩で壊滅させたや、タオルに気を通しストライクダガーの足を裂断しただの、嘘か本当か論
じるのも馬鹿らしい逸話も実際に手を合わせれば本当の事であると実感出来る。
 そして、シンは、李が噂通りの"怪物"である事をこの半年で嫌と言う程味わって来た。

「そろそろ飽いた。本日の締めといかんかの。老体に海原の陽は毒じゃ」
5通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 22:21:57 ID:???
 李の纏った気が重苦しい鉄の感触から炎のように熱く激しい物へ変質する。
 重積層合金製の甲板は太陽光の照り返しが激しく、立っているだけで全身から汗が噴き出し体力を消耗する。
 海原が流れてくる生温い海風が、ジトリと湿った背中に酷く不快だったが、それ以上に李の放出する重圧にシ
ンの下腹が締め付けられるように痛んだ。

「弦を使っていいなら、俺だって」
「まだ、そんな事言っておるか童が。弦を使う。拳を使う。その程度のこと関係無いわ。童がワシに敵わんのは
お前が弱いからじゃ。全身の遺伝子を弄っても、こんな老人一人倒せない程度に脆弱じゃからじゃの。ほれ、ま
だ、意識が"弦"に向かっておる。そんなに気になるんなら、さっさと使え」
 シンの意識の中ポケットの中に"弦"に向いた瞬間、老人から感じる重圧が膨れ上がるのを知覚する。
 襲歩(ギャロップ)だと気が付いた時には、老人の姿はシンの視界から"消失"し、背中にロケット砲が直撃した
ような衝撃を受ける。
 シンは、文字通り野球ボールのように甲板を跳ね、デスティニーUの足に激突し漸く動きを止めた。
 
「言わ…せて…おけば」

 気絶しそうな痛みに耐え、身体に鞭打ち何とか立ちあがる。
 口の中を切ったのか鉄臭い香りが鼻腔の奥に滞留し、撹拌された胃液が喉奥から競り上がってくる。
 鼻腔の奥に熱を感じ、ヌルリとした感触の鼻血を拭い落ち、揺れる視界と裏腹に冷え切った瞳と煮えたぎるよ
うな怒気に促され、シンは、乱暴に"鼻血"を拭った。
 モビルスーツの装甲に全身を強く打ち付け、圧倒的とも言える実力差を前に萎える所か、益々戦意を高めている。
 李は、シンの様子に満足気に頷き好々爺の如く表情を崩すが、纏った気は更に大きく膨れ上がらせていた。

「わしの発剄を受けて、気を失わんとわな…童は生来の外家かと思っておったが、内家の素質もあるのでは無いの
か。しかし、まだまだじゃ未熟よの。もうちっと内功を練っておれば、この老いぼれの発剄など物の数ではあるまい。
先輩であるザラの子倅を見習ってはどうじゃ?赤目」
「さっきからベラベラと…喋りすぎなんですよ、あんたは」
「シン、よさないか!冷静になるんだ。相手が挑発してる事くらい分かっているはずだ。今は距離を取って体力を回
復させるんだ!」

 荒れるシンに、痛む肩を抑え荒い息を吐きアスランが大声で告げる。
 だが、頭に血が昇ったシンに、アスランの助言が届くわけも無かく、むしろ、日頃から苦手意識が先に出る"隊長"
の正論に、益々神経を昂ぶらせ今にも飛び出さん勢いだ。

「隊長は黙ってて下さい。このクソ爺さん。こっちが黙ってれば、いけしゃあしゃあと。今すぐその口を黙らせてや
るんだ!」
「おおう、構わん構わん。切にやれ。なんなら弦を使っても構わんぞ。やはり、弦を使うならば?法を会得し十五雷
正法まで行くのが王道よの。中途半端に内功を覚えるのも酷やも知れん。四爆までなら無料で教えてやるぞ。そっか
ら先は有料じゃが」

 紫水晶で出来た李の左目がシンを小馬鹿にするように不気味に蠢く。
「有料って…この守銭奴!」
「格安で教えてやるわ。!門外不出。桃源郷の符術を無料で教えるわけなかろうが。もうちっと考えかの。ほれ、早よ
うこい」
「そんなに弦を使わせたいのかよ!なら、やってやるさ、後悔するなよ、クソ爺さん!」
「シン、無手の相手に弦を使うな!やり過ぎだぞ」
「ザラの子倅は黙っておれ。未熟な心で撃つ未熟な技など、物の数では無いわ。だから、女に手を出す事も出来ん
のじゃ、まさに心の身体もサクランボよな」
6通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 22:23:39 ID:???
 李から浴びせられた嘲笑と童貞の一言でシンの堪忍袋の緒が完全に切れた。
 日頃から完膚無きまでにボコボコにされるのは、シンの功夫が足りない物として、罵声も嘲笑も甘んじて受ける。
 しかし、シンがルナマリアに"手"を出さないのを笑われるのは捨て置けない。
 別にシン・アスカがゲイと言うわけではない。
むしろ、年齢相応に性欲もある。
 だが、幾ら目の前にニンジンがぶら下がっていても、絶対に手を出さなければならない道理は無い。
 出せないからこそ悩み苦しみ、恋人との微妙な距離感が掴めず悩み、表現出来ない鬱屈した感情を抱え込む様子を見
透かされたような気がして完全にキレてしまっていた。

「あんたは一体なんなんだ!」
「お前さん、そればっかりじゃの…」

 罵声と裂帛の気合と共にシンの指から三本の銀光が放たれる。
 総延長50メートルのタングステン製の弦が空気を鳴動させ、まるで、生き物のように甲板を撃ち跳ね、前後左右から
縦横無尽に跳ねまわり李に襲いかかった。
 全方位から迫る銀光を李は涼しい顔のまま嘆息し、まるで、未来が見えているかのように鮮やかな避け、霞みのよう
に姿を消失させる。
 目標を失った弦は甲板の装甲を細切れに切り裂き、互いに絡まり合い動きを停止させた。

「未受過訓練的年輕男子。作出認真反省」
「ガッ…」

 "人類"離れした李の震脚でモビルスーツの行軍でも傷一つ付かない甲板の装甲が歪み爆音が大気に木霊する。
 李の掌打がシンの鳩尾へと深々と突き刺さり、衝撃が全身を伝い内臓を押し上げ、背中を突き抜ける。

「あ…」

 神経が痛みを訴える前に脳が信号を拒絶しシンの意識を強制的に遮断させる。
 打ち込まれた気によって心臓が爆音を上げながら脈動し、反比例するように瞳が光彩を失って行く。
 シンは、人形のように力無く四肢を投げ出し、師でも有り敵でも有る李に不本意だが身体を預けてしまった。

「まっ…ワシに言わせれば、コーディネーターもナチュラルの大差の無い存在じゃがの。ほんの少し遺伝子を弄くり、容姿
や活剄を向上させた程度の存在に何を恐れる必要があるんじゃか。先達が培った数千年にも及ぶ研鑽の前には、たかが百年
にも満たぬの歴史など泡沫の如き。外気を鍛え、内功を練り、日頃の修練を欠かさなければ、出発点の違いなど瑣末の出来
事よ。持たぬ物が持てる物を羨み嫉妬するのは構わん。それが強きが弱きを搾取する自然の摂理。弱者の特権、強者の被る
べき業じゃ。力で劣るならば力を鍛え、知恵で劣るなら鞭撻を忘れるな。敵の短所にこちらの長所で打ち勝っても心に闇を
募らせるだけじゃ。弱者が知恵を絞るなど山岳の香良洲と知れよ小童共。長所に長所で打ち勝ってこそ初めて人は報われる。
相手を超え、傅かせ、屈服させ、完膚なきまでに打ち倒すこそが人生の艶と言う物よ。つまらん事を言っとる暇があれば、
研鑽を積み、敵を打倒する術を摸索せい。スペック差を覆す事がこの世の楽しみでは無いか!」

 確かに李の言う事も一理ある。
 所詮言い繕っても人生は何処まで行っても勝負事の連続だ。
 膂力が勝る相手に速度で勝負を打ち倒す。
 良くある比喩だが、膂力で勝負する点に置いては敗北していると同義である。
 どんな方法で勝利しようが勝利は勝利である。
 しかし、人間は不器用な物で、ふとした瞬間に敗北の記憶を思い出す。
 速度では勝ったが膂力で負けた。
7通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 22:27:58 ID:???
 心に積もった闇はいつか限界を超え、人を奈落の底へと誘う篝火となる。
 努力、才能、運。
 人生にはあらゆる要素が複雑に絡まり勝敗決する要素となるが、勝敗の根幹は基本性能の差がこそが単純な優劣を決める要素だ。
 強い者が勝ち弱い者が負ける。
 どんな言い訳をしようとも、負けた人間が弱く、勝った人間が強い。
 いかなる困難や不確定要素も己の身一つで打倒するだけの力を身につけ「見苦しい言い訳をしている暇があれば、時間を無駄にせ
ず切磋琢磨せよ」と、李は言っているだけなのだが、言い方が非常に極端で偏屈な物言いは付き合いが短いと中々理解する事が難し
い。
 
「あの…李師父」
「なんじゃい、ザラの子倅」
「非常に有りがたいお話なのですが。私以外皆気を失っています。出来れば目が覚めた時に言って頂ければ…助かるのですが」
 
 黒板を背に上機嫌で抗議を始めた李にアスランが、表情を引きつらせ注進する。 
 李は微苦笑を浮かべながら、アスランへ向け"シン"を放り投げた。


「…今見る夢か…これ?」

 苦いような楽しかったような過去の記憶を夢見たシンは微苦笑を浮かべ、座り込んだベンチから目を覚ました。
 初夏の日差しが爽やかに指し込む昼下がり。
 繁華街から程近い小さな公園で惰眠から目覚めたシンは、ぼんやりと周囲を見回した。

「静かだよな」

 海が近いせいか潮の香りが微かに鼻腔を擽る。遠方を見れば小高い山が連なり、ここが山と海に囲まれた土地である事を
強く意識させられ、シンは自分が地球に降り立った事を実感した。
 沿線から聞こえてくる快速電車の音と年若い母子の笑い声が、戦争の苦い記憶をを一時とは言え忘れさせてくれたが、ここ
にはシンを知る者は一人もおらず、心を縛る柵も何一つ無かった。しkし、意外にも心に積もったのは解放感では無く、小さな寂しさだった。
オフィス街から切り取られた一角には日々の喧騒は届かない。 
 沿線から聞こえてくる快速電車の音と年若い母子の笑い声が、戦争の苦い記憶をを一時とは言え忘れさせてくれた。
 吸い込まれれば戻ってこれないと思わせる宇宙の暗さも、翼を失えば死が明示される大空の冷たさもここには無い。
 もう、戦わないと言う脅迫にも似た義務感に身を預けながらシンは再び目を閉じる。
 
「自由って言うのも…暇だよな」
「ふざけないで!由香里を離しなさいよ!」

 平和を噛みしめるのでは無く、持て余すように感じる黄昏れるシンに少女の怒声が届く。
 東アジア共和国日本自治区"神戸"
 ここからシン・アスカの運命は加速して行くこととなる。

#4投下完了です。
投下時のネックは、テキスト容量よりも行数制限だと思いました。
?法となっている個所がありますが、符術の間違いです。
お見苦しい点失礼しました。
8A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/05(土) 22:43:14 ID:???
>>1乙です。
コテハン消えてましたけど
9通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 23:37:05 ID:???
投下乙。てか、前スレ容量一杯だったのか
10通常の名無しさんの3倍:2011/02/05(土) 23:41:00 ID:???
戦わないって言っても巻き込まれるだろうな間違いなく
11通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 11:37:16 ID:???
「運命は君ほっとかない、結局は進むしか無い」ってとこかね。
シンの方が戦いから目を逸らしたとしても戦いや厄介事の方がシンに目をつけて迫ってくるんだろうな。
12通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 13:25:09 ID:???
って言うか
こういうのありなんだ
荒れるかと思ったわ
13通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 13:59:40 ID:???
ん…
まだ【ガンダム】じゃないよな…
このままの流れで行くとスレチな気がするが…?
まだわからんから様子見ってのが本音
14通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 14:19:43 ID:???
>>12>>13
逆シンスレは案外懐深いからねー。
逆シンスレはシン主役のアフター物なら、誰でもウェルカム。
シリアス、レイ、フレイ生存、アフロで芸能プロ社長なギャグ、十数年後の未来でシンの娘が主役、痛快娯楽復讐劇、クーデレAIスキーにパロネタでもお好きなものをどうぞお気になさらず、ご自由にお楽しみください。
15通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 21:10:34 ID:???
今までのSSと比べると毛色が違うな
16通常の名無しさんの3倍:2011/02/06(日) 23:34:03 ID:???
宿敵であったキラと一緒に害虫駆除したりもしてるしねぇ
まあ、あそこのキラは不遇すぎてもう・・・金輪際ピンク髪の女には近付かないだろうなww
17通常の名無しさんの3倍:2011/02/07(月) 00:42:17 ID:???
害虫駆除は負債さえいなければ、シンとキラは案外良いコンビになったかもしれないと思わせるものがあった。
18通常の名無しさんの3倍:2011/02/07(月) 23:08:12 ID:???
人がいねえ
19通常の名無しさんの3倍:2011/02/08(火) 06:18:40 ID:???
この平穏の裏でワールドツアーを巡る骨肉の戦いが!!
20通常の名無しさんの3倍:2011/02/12(土) 07:35:22 ID:???
どうした?
21通常の名無しさんの3倍:2011/02/12(土) 17:57:31 ID:???
第二次スパロボZ・・・シンとルナ参戦確定。
22通常の名無しさんの3倍:2011/02/12(土) 18:34:17 ID:???
??「ついに私の時代が来たわね!」

シン「来た! 嫁来た! メインヒロイン来た! これで勝つる!」

??「書き込む……と」
23通常の名無しさんの3倍:2011/02/12(土) 20:50:22 ID:???
今日道頓堀川まで見に行ったんだけど、種死キャラでシン以外に登場したのはキラでもアスランでもなくルナだったんだよね。完全に予想外で驚いた。
24通常の名無しさんの3倍:2011/02/12(土) 22:18:34 ID:JUiGBS3k
あげ
25A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/12(土) 23:57:56 ID:???
投下させて頂きます。
機動戦士ガンダムSEED DESTINY+A3
#5 今…助ける

「今見る…夢かこれ?」
 十代の多感な時期を青春と言うならば、シンは、戦争と共に青春を駆け抜けて来た。
 戦争の記憶が青春の一ページである事は否定できないが、戦いを捨てると誓った矢先に昔の夢、それも負けてばかりの訓
練の夢を見なくても良いと思う。
 夢は記憶を整理する為の生理現象だったら、見る夢くらい選びたい。見た夢を鮮明に覚えているならば尚の事そう思う。
「まぁ良いけどさ」
 闘争が日常の一部だったシンにとって、身体に染みついた記憶を捨てる事に、無意識の領域で拒否反応が浮き出てしまっ
ているのだろう。
 こればかりは時間をかけてゆっくりと付き合って行く他に解決の方法が無い。
 昔の夢を見て陰鬱な気分になる。
「普通の人間ならば良くある事だ」とばかりシンは頭を振るい自分を納得させた。
 だが、昔の苦くも楽しい記憶よりも、シンにはもっと切実で遠慮の無い問題が目の前に山積していた。
「お金…どうしようか」
 そう日常生活を送る上で最も重要で、衣・食・住を取り揃える根幹。
 これさえされば取りあえず生活に困る事の無い最重要物資である"お金"をシンは持ち合わせていなかった。
 正確に言えば、東アジア共和国日本自治区で使えるお金を持っていないのだ。
 ワシントンまでの旅券はプラント国内であった為、手持ちのプラント紙幣で支払えた。
 ワシントンから日本までは、財布の中にクシャクシャに丸まっていた数枚の米ドル札で支払えてしまった。
 入国審査でも一悶着あるかと思ったが、裏でラクスが手を回してくれたのか、あっさりと入国出来てしまったのである。
 こうして、シン・アスカの出奔劇はトントン拍子に事が進み、何の苦労も無く東の地まで到着してしまった。
 今まで上手く行った分、ここに目的の地まで来て問題が噴出した。
 シンの口座には、年齢に似合わない莫大な貯金額が手つかずのまま納められている。
が、使えないお金が幾らっても意味は無い。
 鋼鉄の巨人が宇宙を闊歩する時代でも世界に共通通貨は無く、自国の通貨を他国で使おうと思えば、外貨インターバンク
が定める為替レートに従って両替する必要がある。
 だが、運の悪い事に日本では長期連休である黄金週間の真っ只中。簡潔に言えば銀行は開いておらず、ATMで米ドル札は
両替出来たが、プラント紙幣は両替対象外。日本円で二千円程度のお金がシン・アスカの現在の全財産だった。
 それもほんの十五分前の話ではあったが
「日本って物価高いよな」
 そのなけなしのお金を食事であっさりと使ってしまえば「ぐぅ」の音も出ない。
 たった一日絶食しただけとは言え先日まで身体が資本の兵士だったのだ。
 ほんの一日言えど食事を抜けば、体が「肉や野菜や魚」とカロリーを訴え悲鳴を上げる。
 食事を抜けば遅れて訪れた成長期も空腹を助け、お腹と背中が抉れて消えてしまいそうな強烈な空腹を覚える。
 節約せねばと考えれば考える程、胃は空腹を訴え、飲食店から流れてくる罪な香りは食欲を存分にそそり、完全な悪循環だった。
 結局シンは「我慢出来ない」とアーケード街のラーメン屋の暖簾を潜り、炒飯定食と餃子三人前を景気良く平らげ、気が付け
ば財布の中はすっかり軽くなっている有様だった。
「これからどうしよう」
 自分の無計画っぷりにも呆れるが、何よりもっと呆れたのが金銭感覚の方だ。
 元は民間人と言えど長年に渡る軍隊生活は、シンの中から常識的な金銭感覚をすっかり奪い去っていた。
 基本的に戦艦の中の食事は無料だ。
 何しろ腹が減り食堂に行けば、専属コックが栄養バランスが行き届いた食事を望むだけ用意してくれる。
 ほんの少しお金を出せば宇宙では貴重なデザートだって食べられた。在来基地での食事は有料だが、民間と比べれば物価は恐
ろしく安い。
26A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/12(土) 23:58:39 ID:???
 衣食住に殆どお金を使わない生活に慣れてしまえば、いざ、外に出た時に物価や価値観の違いに戸惑
いを覚える前に驚愕するだけだ。そして、成長期の胃袋が満腹になるまで食べようと思えば、かなりの金
額を支払う必要がある事を完全に思い出していた。
「…まぁ何とかなるか」
 残ったお金は少なく、自動販売機で数本も飲み物を買えば終わりだろう。完全に詰んだと思えるが、水は公園や図書館等の公共施設で賄える。
 いざとなれば、その辺りの鳥を絞めるか蛇か蛙でも食べればいい。
 蛇はカレー粉が通説だが、別に無くても食べられるのだから飢えて死にはしない。
 皮を剥ぐ手段を考えなければならないが"弦"で剥いてしまえば何とでもなる。
 寝る場所の問題だが、警察の厄介にならない程度ならばどうとでもなる。
 後は銀行さえ開けば、お金は手に入り万事解決。
 シンは、寝ぼけた頭で漠然と今後の"計画"を練り、深い溜息を吐いた。
「由香里を離しなさいよ!」
苛烈な人生な反動からか、ひたすら腑抜けるシン耳には、少女の怒声を確かに捉えていた。

 光があれば影が出来るように、繁華街の裏側に薄暗い路地裏は付き物だ。
 メインストリートから2ブロック離れた路地は、人通りも少なく、人に言うのも憚れる仕事に就く者達が好んで荒
事を行うのに持ってこいの場所だった。
「由香里を離しなさいよ、この馬鹿!」
 大きな手で両手首を拘束され、自身も壁に押さえつけられる中、花崎咲は気丈にも相手を睨み
つけた。
 国民の殆どが黒髪黒瞳である日本自治区において、少女は金色碧眼と見るからに目立つ容姿をしている。
 良く見れば左右で瞳の色が違い、二つに縛った金色の髪は腰まで伸びている。
 目立つ容姿に加え整った顔立ちからも、街を出歩けば幾人もの男が振り向く可憐な少女だ。
「馬鹿は無いだろ。花崎の御嬢ちゃんよ」
 紫色のシャツと白いチノパン姿に悪趣味な18金ネックレス。
 色が濃いボシュロムのサングラスと言えば、ヤクザの定番の格好だ。
 男の年齢は二十代半ばだろうが、修羅場を潜った証の頬の傷と"ケジメ"の為に詰めた小指のせいか妙な貫禄が伺える。
 そんな男が咲のような少女を威圧し、大きな手で咲の両腕を持ち上げ、万歳の姿勢で拘束してい風景は異様の一言に尽きた。
「うっさいわね。さっさと由香里を離しなさいって言ってるのよ、この馬鹿!」
 咲は勝気そうな瞳で男を睨みつけ、自由にならない四肢を動かし必死の抵抗を試みる。
 男の手下達に壁に押さえつけられている黒髪の少女を助け出そうと今にも飛び掛からん勢いだ。
「馬鹿、馬鹿と御嬢ちゃんくらいの娘に罵られると、オジサン困っちゃうな」
 少女の罵声など露ほども感じていないのか、男は小馬鹿にしたように咲を壁の反対側に叩きつける。
「…咲ちゃん!」
「大丈夫。由香里は巻き込まれただけなの…お願いもうちょっと我慢してて。絶対助けるから」
「だって!」
 壁に叩きつけられた衝撃で肺の中から空気が漏れ、咲は小さく呻いた。
 冷たいアスファルトの感触が背中を通じ、冷え冷えとした恐怖が首筋に競り上がり脳を直接揺らす。
 緊張と不安で呼吸が乱れるが、悟られないように心に必死で蓋をするが、気を抜けば弱気の虫が咲を泣かせよ屈服させようと鎌首を持ち上げている。
「何が目的よ」 
「俺達の目的はアレだよ。俺達はただ"アレ"が欲しいだけなんだよ。分かるだろ"アレ"だよあれ」
 男が中指で眼鏡を押し上げると、陽光が反射しサングラスが不気味に明滅する。
 インテリを気取った仕草は男には酷く不釣り合いだったが、堅気の人間には出せない圧迫感に咲は背中が更に冷たくなるのを感じてしまう。
「HGUC-03/S…ガンダムを俺達に寄越すんだ」
 男が冷徹に告げた名前に咲は落胆し「やっぱり」と溜息を付いた。
 そうであって欲しく無いと藁のように脆い希望に縋ったが、現実はそう甘くなかった。
 一介の中学生である咲と友人に拉致紛いの強迫を仕掛けて来たのだ。
 相手にもそれ相応の引けない理由があるのだろう。
27A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/12(土) 23:59:24 ID:???
 今まで絡め手紛いの嫌がらせは散々受けて来たが、法治国家である日本自治区でこうまであからさまな
妨害をしかけて来るとは、咲も夢にも思わなかった。
「…あんたも知ってるでしょ。アルテーゼは動かないの。連合のコーディネーターだって白旗をあげたモ
ビルスーツを街のヤクザがどうにか出来るわけが無いでしょ」
「それは俺らの知るこっちゃない。それにお嬢ちゃんのとこの試作機が動かない事をなんざ百も千も承知
だよ。あれだけド派手に業界全体に恥振りまいちまったんだもんな。原因はパイロットの腕じゃないだろ」
咲の実家が開発した次世代型汎用モビルスーツ"アルテーゼ"が動かない事は男の言うとおり事実だ。
 そして、咲の実家が動かないモビルスーツを設計してしまった事で、業界から白い目で見られ、業績に少
なく無い打撃を与えたのも事実だ。
 だが、いかに事実だと言っても、アルテーゼが動"かなかった"理由を全くの部外者に罵られるのは心外に
を通り越して理不尽とさえ感じる。
 男の皮肉よりも嘲りが混じった微笑に咲の顔が怒りで赤く染まり、瞳を強く瞑った。
「何も知らない癖に」と罵声を浴びせたくなるが、視界の隅に映った怯えきった親友の顔ですぐに我に返
った。
 新城由香里は、咲の無二の大親友にして所謂箱入りのお嬢様だ。
 お坊ちゃん、お嬢ちゃんがこぞって集まる新城学園でも、頭二つ飛び抜ける深窓の令嬢で、他愛も無い
嘘で簡単に騙される本気のお嬢様なのだ。
 性格は温和で温厚。誰にでも優しく、穏やかな微笑みは見る人を温かな気持ちにさせた。
 咲のような派手な金色とは違い、鴉の濡れ羽色がぴったり似合う、落ち着いた雰囲気の漂う黒髪は常々
羨ましいと思っている。
 そんな彼女が何処の馬の骨とも知れぬ悪漢達に背後から羽交い絞めにされ、口を手で塞がれている。
 異性に免疫の無い少女達にこれほど恐怖を抱かせる事件は無い。
 臓器売買。外国に安い労働力として売られる。そして、女に生まれた事を後悔するような、考えるだけ
でおぞましい目に会わせられるかも知れない。
 中途半端な"知識"がある分、これから自分達がどうなるのか余計な想像を抱き心を萎縮させてしまう。
 本音を言えば咲も恐ろしい。今すぐここから逃げ出したい。
 だが、怯えているにも関わらず、咲を本気で心配する由香里の気丈さが首の皮一枚で正気を保たせてい
た。
「ガンダムが目的なら尚更由香里は関係ないでしょ。由香里を離しなさいよ」
「駄目に決まってるだろ。折角人質取ってんのにアドバンテージを放り出す馬鹿が何処にいるよ。交渉は
強い立場から弱い立場の人間に使って初めて成り立つんだぜ。この新城のお嬢様が居るから、お嬢ちゃん
が俺の言う事を聞く。順序を間違えちゃいけねえな」
「パパが居ない時を狙うなんて、卑怯なのよ…」
「ヤクザ者に卑怯とかやめてくれねえかな。聞いてる方が馬鹿らしくなるんだけどよ。俺達だってお嬢ちゃ
んみたいな高校にも上がっていない子供を脅す趣味は無いんだ」
「この!」
 精一杯強がっては見たが状況は最悪だった。
 主犯格の男が一人。
 由香里を壁に押さえつけている手下が一人。
 用意周到に路地裏を塞いでいるのが二人。
 見張りが一人。
 計五人の男が咲と由香里の逃げ道を塞いでいる。
 咲一人だけならば、逃げるだけならば出来たかも知れない。
 しかし、親友である由香里を人質に取られ、退路は屈強な男達に断たれている今、最大限に上手くやり、
由香里を男から解放し、この場を逃げ出したとしても、学園一の運動音痴の由香里が一緒ではいずれ追い付かれる
 彼女を背負って逃げる選択肢もあったが、小柄な咲にはそんな体力は勿論無い。
 強迫に屈してガンダムを渡しても、精一杯抗っても一矢報いても分かっている事は、愉快で幸せな結末には絶対に
ならないと言う事だけだった。
28A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/13(日) 00:00:23 ID:???
「あんた達なんかにアルテーゼを渡すもんですか!このヘタレポンチ!」
「あまり大声出さないでくれるかな。極力紳士でいたいけどよ…俺は気が短いんだ」

 咲の罵声に男の雰囲気が変わる。
 人を繰ったような粘着質の気質から抜き身のナイフのような鋭利な変化を経て、白銀の軌跡が咲の胸を通過した。
「っ…」
「咲ちゃん!」
 由香里の絶叫が迸り、咲の背中に怖気が走った。
 胸の谷間を冷たい感触が通った瞬間、制服が切り裂かれ、中からオレンジ色の下着と白い肌が男達の視線に晒される。
 豊かに膨らんだ双丘が下着の戒めから解かれ場違いな音を立てて大きく揺れた。
 肌を掠めたナイフの感触に咲は顔を蒼白に染め、下着と肌を下種な男達に見られた先は目に涙を溜め抵抗を辞めた。
 泣いては行けないと思いながらも、羞恥と恐怖が入り乱れ、心底から湧き上がってくるく悔しさで溢れる涙が止まらない。
「そうだ。淑女はそうでなくちゃな。これ以上はさせないでくれよ。次は当たっちまうかもしれねえ」
 親友を人質に取られ何も出来ず、見ず知らずの人間に肌を晒し挙句に暴力で屈服されつつある。
 咲は己の無力を嘆くが、救いの手はやはり現れない。
 世界は美しく残酷だ。
 神は全人類に平等に"何も"してくれない。
 最後に頑張らなければならないのは、常に自分自身であり奇跡を望むならば、自分自身で奇跡を引き込む行動を起こさな
ければならない。
 そんな単純な設問の解答は半年前の企業誘致の技術発表会で嫌と言う程骨身に染みた。
 奇跡は起きないからこそ奇跡と呼ぶ。 
 しかし、そんな曖昧で信頼のおけない事象であるからこそ人は奇跡を渇望する。

(誰か…助けて)

 咲が幸運だったのは、彼女の叫びを聞いた"人間"が確かに居たと言う事だった。
 咲が最初に聞いたのは、何かが弾ける音だった。
 一回、二回、三回と大気を切り裂き高速で飛翔する衝撃を聞いた瞬間、見張りと路地裏を塞いでいた男が
もんどり打って地面に倒れ込んだ。
「義明!清一!早彦!」
 正体不明の襲撃に男が余裕の相貌を崩した瞬間、再度風切り音が聞こえ、男のナイフが根元から"叩き"折ら
れる。
「クソ!」
 必死の形相で咲を手放し、予備のナイフを引き抜き下段に構え"部下"が倒れた方向を凝視する。
 路地裏に伸びる光はか細く逆光も手伝って相手の顔を見る事は出来ない。
 しかし、規則正しい足音とアスファルトに伸びる影の主が、自分達を"襲撃"した敵であると直感する。
(…これでも元プロだってのに)
 男の名前は塚本修二。
 傭兵崩れの彼がいかにしてヤクザ者に身を窶したのか別の話だが、重要なのは南米で幾多の戦争を経験し
ゲリラ戦を得意とする自分が気圧されている現状だ。
 地球圏を巻き込んだ二度に渡る戦乱を経験しながらも、ブレイク・ザ・ワールド以降直接的な被害を受けて
いない平和ボケしたこの国で、肝と脳を冷やす敵に出会ってしまうなど完全に予想外と言えた
「大勢で集まって、そんな小さな娘達を囲んで、おまけにナイフまで出して。やめろよ…みっともない」
「んだ、お前?」
 まるで声変わりを迎えたばかりの子供のように低く、微妙に高い声が耳に届く。
 背は比較的高く百七十センチの中頃。
 リーバイスのジーンズとジョンブルのパーカーに身を包み、一見すればそこらの大学生と大差無い風貌を
している。
29A3 ◆m9w7pLzbjk :2011/02/13(日) 00:02:17 ID:???
 しかし、機械のように正確で綺麗過ぎる足運びと異常な姿勢の良さは、彼が素人で無い事を如実に告げていた。
 無造作に伸ばした髪。燃えるような赤い瞳は年齢以上の落ち着きを見せているのが、逆に不気味だった。
 殺気、憤怒、脅威、警戒。
 敵と相対すると言う事は、必ず感情に何かしらの負荷がかかる。
 戦場に慣れれば慣れる程、負荷を感じ取る精度が上昇し、 それは、対人戦でもモビルスーツ戦でも変わる事は無い。
 負荷を感じ取る精度が低ければ、むやみやたらと敵の渦中へ突撃したり、逆に攻めるべき時に攻めきれず臆病風に吹
かれ格下の相手に不覚を取ったりする。
 傭兵仲間の間では"勘"が悪い奴と称され命を散らして行くのが結末だった。
 雰囲気こそとっぽい兄ちゃんだったが、鉄火場を潜った者のみに感じる事が出来る負荷の残り香を塚本は
微かにではあるが、シン・アスカからから感じ取っていた。

「通りすがりだよ」
「見りゃ分かるよ、そんなもん。俺が言ってるのは、お前、俺らに一体何しやがった?」
「何もしてない。その三人が勝手に倒れただけだろ」
 
ぶっきらぼうに告げるが、シンが男達に何かしたかは火を見るよりも明らかだ。
 部下がシンに攻撃"された"と理解出来るが、攻撃方法がまるで想像出来ない。
 不可視の攻撃と言えば酸化鉛を大量に塗布した水晶刀が有名だが、シンは、銃もナイフもそれに準ずる武器
も何も持っていない。完全な無手の状態だ。
 未知は最大の恐怖に繋がり、波間の葉のように漂う勝利が更に遠ざかったような気がした。
 塚本が驚愕に顔を歪めている時、同様に咲もシンから目を離せずに居た。
 自分の助けを呼ぶ声が誰かに届いたのだと言う安堵感で緊張の糸が切れてしまったのか、全身の力が抜け、
地面にへたり込み、肌蹴た胸を隠そうともしていない。  
 目のやり場に困ったシンは、羽織ったパーカーをに脱ぎ、咲の肩へ無言のままかけてやる。

「あんた…誰?」
「今…助ける」

 突然の出来事に思考が追い付かず、茫然とする咲にシンは簡潔に告げ、行動を開始した。



 #5投下終了です。

 台詞と地の文の間には一行空けたいですがやはり行数制限がネックだと思いました。
30通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 01:10:18 ID:???
>>29
乙です!
今までにない雰囲気で続きが楽しみだ。
そして欠陥品(ある意味このスレでは褒め言葉)だというアルテーゼガンダム(でいいのかな?)にwktk
31通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 06:19:27 ID:???
乙なんだな
ただキャラの名前の表記にすごい違和感がある
キャラ設定が日本人とはいえ他のキャラはカタカナ表記なのに
一部だけ漢字表記ってのは読みにくいし不自然だと思うんだ
32通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 08:37:44 ID:???
乙ですー。
確かに>>31の言う事にも一理あるかも。
基本ガンダムの世界って日本名でもカタカナ表記だし(カイ・シデンとかハヤト・コバヤシとか)
漢字使ってる例でもOOの沙慈・クロスロードみたいにハーフっぽくしてアメリカ式にしてるし。
でも舞台が日本ならそれもアリかと思う。「郷に入っては郷に従え」と言いますし。
33通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 09:41:14 ID:???
つっても叢雲劾って例もあるしスパロボ的なもんと思えばいいんでないか?
34通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 09:44:32 ID:???
オーブの人間や、C.EじゃないけどGガンのネオジャパンの人間もカタカナ表記で名前が先になってたな
35通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 13:27:18 ID:???
山吹樹里を忘れてないかい? 種の世界では日本人はちゃんと漢字表記でしょ?
36通常の名無しさんの3倍:2011/02/13(日) 16:49:59 ID:???
逆シンらしからぬ雰囲気のSSだな。
ちょっとエロいし。
37通常の名無しさんの3倍:2011/02/14(月) 21:38:05 ID:???
ひゅーほほほほほ
38通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 00:36:19 ID:???
ASTRAYみたいな原作設定ガン無視の千葉のオナニー作品の例なんか持ち出して何言ってるんだ?
39通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 00:42:43 ID:???
知るかボケ、尊重する価値のある原作設定かカス
40通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 01:01:31 ID:???
>>38
本編について言うなら福田自身が設定をよくわかってないとゲロッてるんだから、
千葉を敵視しても虚しいと思うよ
41通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 01:12:52 ID:???
本編と外伝への文句はここに書き込みする必要はないな…
42通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 11:25:05 ID:???
>>37
あれ?お嬢様に頼まれて買って来た肉まんが2つ無いぞ
43通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 15:09:06 ID:???
おい、>>42が頭から血を流して倒れているんだが
何があったか知らないか?
44通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 17:07:53 ID:???
>>43
? 何を言っているんだ?
>>42なんて最初からいなかった。
45通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 17:22:04 ID:???
頭から血を流して倒れてるだと…?
肉塊じゃないなんて一体誰がそんな優しいことを…
46通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 22:21:44 ID:???
さすがにミンチにされるのは免れたか・・・さあ、カーボンヒューマンの技術で>>42を再生だ
47通常の名無しさんの3倍:2011/02/15(火) 23:47:58 ID:???
ふと思いついたんだが
ボインボインのカーボンヒューマンお嬢様を作れば万事解決じゃね?
48通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 01:01:48 ID:???
巨乳の気持ちを体験するために、胸に肉まんを入れると怒りと悲しみのスフィアの力で巨乳ハンターとなる都市伝説。
有名所ではアスカ、レイ、千早がその暗黒面に呑まれたと言う
49通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 01:20:31 ID:???
>>48
なに言ってんだよ
>>42をよく見ろ、お嬢様が肉まん2つで巨乳を疑似体験なんて出来るはずが無いだろ!
50通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 06:19:55 ID:???
>>49
いや平らでも肉まん2つで十分だと思うぞ
51通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 16:17:51 ID:???
>>47>>48>>49>>50が巨大な憎まんに押しつぶされてる…
52通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 17:04:24 ID:???
これは酷い。 これがホントの肉染みの力ってかwww
HAHAH(グシャ!
53通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 23:10:08 ID:???
血糊落とすは大変でソキウス
皆、みなたまに全てを捧げればいいんでソキウス!
54通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 09:03:46 ID:???
シンと石破ラブラブパルマフィオキーナを撃ちたい人は手を挙げて。
55通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 12:07:56 ID:???
にじファンにある運命の小説ってシンがシンじゃないのが多いね。
凸に殴られてもなんともないシンが、オリ主に殴られて気絶とか
言葉使いが本編以上に悪くなってるのとか
56通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 14:09:04 ID:???
>>55
本編でそうだったように
そこでもシンが書き手の自己投影の対象であるオリ主に対する
踏み台のかませ犬扱いされたり極端に貶めて他を持ち上げるための
犠牲になってるんだろう
まあそういうのをわざわざ読んで気分を害する事もあるまい
57通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 14:26:40 ID:???
んだんだ、こことは関係無い話だからどうでもいいよなそんな事。
58通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 17:45:31 ID:???
その通りだ。そんなことよりシン君にいい嫁さんを世話してやるほうが重大だ。
ここにお見合い写真が10枚ほど・・・。
59通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 17:48:42 ID:???
>>58
肩書きと顔は素敵な方々ばっかりなんですけどねぇ…
60通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 22:09:58 ID:???
無双3も一部シンの態度が悪くなっていてものすごく違和感がある。
61通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 22:15:40 ID:???
>>58
ぱっと見はどの女性もいい感じだが、裏の顔が全員極悪すぎt(ry
62通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 22:43:24 ID:???
>>61
お、おいどうしたんだよ?
急に黙り込まれたら怖いじゃないかよ、なあ何か言えよ
63通常の名無しさんの3倍:2011/02/18(金) 01:23:32 ID:???
シンとムチムチ界賊団と行くGジェネワールドツアーの準備にPSP買いに行ったら中古すら無かった…
64通常の名無しさんの3倍:2011/02/18(金) 09:23:40 ID:???
Wiiを買えば?と言いたいとこだけど持ち運びできないしねぇ。
65通常の名無しさんの3倍:2011/02/18(金) 14:18:09 ID:???
まぁ、赤の豚ビッチの相手するよりは幾分マシだろJK
66通常の名無しさんの3倍:2011/02/18(金) 14:29:35 ID:???
このスレって欲望を解放させたら凄い事になりそうな奴ばかりだな……
67通常の名無しさんの3倍:2011/02/18(金) 23:35:45 ID:???
シンの「守りたい」って欲望から生まれたヤミーはかなり手強くなりそうだな。
68通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 10:13:46 ID:???
>>67
個人的に
「あああああああ 憎い! あのデコッパゲが憎い!! 金髪のサルが憎い!!
赤毛の豚姉妹が憎い!! ピンクの悪魔が憎い!! スパコーディが憎い!!
憎い、憎い、ジェララララララララララ!!!
おおおおおおおおお!!! 心の底からわきあがるこの感じ!!
あ〜〜〜〜〜〜〜〜らたな芽生え〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
ジェラララララララララララララララ!!!」
も推したい
69通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:30:07.35 ID:???
こんばんわ、初めまして。
少し前から書き始めていたものをうpします。
こういったところにうpするのも初めてなので
至らないところがあるかもしれませんが
何とぞよろしくお願いします。
70通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:34:35.76 ID:???


ガンダムSeed Destiny After ten year
序章



C.E.83年。
シン・アスカは未だにザフト軍人であった。
ユニウス戦役と呼ばれる大戦から10年近く。
プラント最高評議会議長ラクス・クラインは所謂デュランダル派と言われたザフト軍人を裁くことなく、そのまま軍属とした。
さらに終戦後早い段階で貧困に苦しむナチュラルをプラントへ移住させた。
もちろんコーディネイターとナチュラルの溝は完璧には埋まっていない。
差別を危惧したラクスは新たにナチュラル専用コロニ―の増設を採り決め、ナチュラルはそこで暮らすようになった。
移住直後はコロニ―内の内乱も危険視もされていたが、プラント産の食物も作られ始め、裕福となったプラントで生活する人々が暴動を起こすことはなかった。


かつて、デュランダル派として戦った少年がいた。
赤い瞳。
癖のある黒髪。
着慣れた赤服。
「シン・アスカ、入ります」
26になったシン・アスカは未だにザフトにいた。
71通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:36:09.13 ID:???
「テロリスト?」
「そうなんだ。どうやら、「フィガロ」を狙っているらしい」
シンの問いに答えたのは最高評議会議長ラクス・クラインの騎士であり、ザフト軍最高司令官の地位にあるキラ・ヤマト。
あの日、オーブで握手を交わした日から、キラは何かとシンのことを気遣ってくれていた。
キラの答えの中に出てきた単語、「フィガロ」。
フィガロとはナチュラル専用のコロニ―のことだ。
ラクスの命令で造られたフィガロだが、それはテロリストたちの格好の的だった。
反クライン派からしてみれば、フィガロはラクスの象徴といっていい。
逆に弱小化したとはいえ、今もなお裏社会に存在するブルーコスモスからは憎きコーディネイターに尻尾を振った愚かな同族が住んでいる場所と捉えられる。
そのため、フィガロにはラクスに認められた精鋭たちが防衛の仕事を務めていた。
彼らは胸にラクスの頭文字であるLのバッジを身につけ、俗に「クライン親衛隊」と呼ばれる。
72通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:37:27.39 ID:???
「フィガロには親衛隊がいるはずです。俺なんかが行かなくても……」
「ちょっと事情があってね。ほら、この間比較的フィガロの近くで戦闘があったでしょ?」
「はい」
「その時親衛隊の数名をそっちに回したら何人か怪我をしてしまってね。それで今回のテロだ。親衛隊ではないにしろ、君は優秀なパイロットだからね。ラクスも期待してる」
「ありがとうございます。シン・アスカ、確かにこの任を承りました」
「頼んだよ」
シンは敬礼をし、キラの部屋を出た。
この時、シンは何も知らなかった。
少しだけ嫌な気配を感じたが、親身に自分の事を気遣ってくれるキラを疑うなんてことはできなかった。
そして、キラも知らなかった。
軍部で渦巻く策略に。
73通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:39:20.39 ID:???
この広い世界のどこか。
二人の子供が丘の上にいた。
一人は金髪に赤紫色の瞳を持った15、6歳の少女。
その子は歌を歌っていた。
そしてもう一人は癖のある黒髪に赤い瞳をしている、やはり少女と同い年ぐらいの少年。
隣で歌っている少女の歌を静かに聴き入れていた。
歌っているのはひとつの「あいのうた」だった。
やがて歌が終わり、少年は拍手を送る。
「すごいね、○○○!○○○はやっぱりとっても歌がうまいね!」
「そんなこと、ないよ。私よりも、もっとうまい人がいるよ……」
「でも僕は○○○以外にうまい人、見たことないよ!僕の中では○○○が一番上手だよ!」
「うれしい。ありがとう、○○」
見た目よりも若干子供のような二人の会話。
この光景を少し離れて見ている人物がいた。
「二人とも、もうじき夜になる。家に帰るぞ」
淡い金髪に、菫色の瞳をした初老の男だ。
顔には火傷の痕のようなものがあり、足はやや不自由なのか杖をついている。
「はーい!帰ろう、○○○!」
「うん!」
少年と少女は初老の男性の後をついていく。
二人の子供とシン・アスカが出逢うのはそう遠くないことだった。


To Be Continued.
74通常の名無しさんの3倍:2011/02/19(土) 23:41:29.36 ID:???
今回はここまでです。
ありがとうございました。
75通常の名無しさんの3倍:2011/02/20(日) 00:00:05.46 ID:???
乙です
内容はまだ様子見の段階だけど、一文で行変えすぎのような気がする
箇条書きみたい
76通常の名無しさんの3倍:2011/02/20(日) 01:19:56.23 ID:???
GJ
初回は緊張するでしょうけどこれから頑張って下さい。
77通常の名無しさんの3倍:2011/02/20(日) 18:40:27.96 ID:???
>>75
文体としてはさほど珍しくはない
夢枕貘みたいに一文の短さを極めた作家もいるし
78通常の名無しさんの3倍:2011/02/20(日) 19:41:02.99 ID:???
レ…ゲフンゲフンの生存、そしてその外見…はこれまでにもあったとして、仲良し二人組は…
どういう存在であるかは多分わかるとしてどういう経緯で引き取られたのか等なかなか興味深い、
続きを楽しみにしてます。
79通常の名無しさんの3倍:2011/02/20(日) 23:08:33.34 ID:???
新たな投下乙です。比較的まともなキラっぽいが、他の奴らが腐ってそうだな・・・
次回もお待ちしてますわ〜

しかし、シンが誰に(何に)逆襲するってのは色々あるわね。ラクシズやファクトリー、終戦後の新たな火種しかり
個人的には、ユーレンやマルキオが諸悪の権現すぎね?って思うがな。色々見てると、あの二人タチ悪すぎてワロエナイ
80通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 03:30:51.98 ID:???
アル・ダ・フラガも大概じゃね?
81通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 08:28:57.97 ID:???
ユーレンやアルは自業自得的に死んだから
マルキオはアニメでいい人っぽく見せかけてもやってる事の黒さが半端じゃないから黒幕にしやすいわな。
82通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 16:48:51.15 ID:???
マルキオって連合とザフトにコネ持ってて
ラクスともつながりあって傭兵やらジャンク屋やらに支援してるんだっけ?

なんなんだこの人
83通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 19:37:34.22 ID:???
マルキオ導師は、実は目が見えている…とか。
普段は感覚を研ぎ澄ますために視覚を封じているに違いない。
カッと両目を開いた瞬間に、杖に仕込まれた量子コンピューターがフル稼働を
始め、立体ディスプレイにダークサイドの関係者が浮かびあがる。
「例の件の進捗はどうなっていますか?」「現在第2段階まで問題なく進行中です」
みたいに。何だか背筋が寒くなってきた。ガクブル
84通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 19:55:07.17 ID:???
個人的には夢破れた人に見える(原作的に)
世界平和を願ってあれこれがんばったけど結果がラクシズ大勝利で終わった訳だし
・・・・・・原作終了後自殺してんじゃねえ?
85通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 20:26:41.10 ID:???
>>84
マルキオ黒幕説が多いからそういうのも新鮮で面白いかもね。・・・キラやラクス達に絶望してしまったきれいなマルキオがシンに希望を託す所が見えた・・・。
86通常の名無しさんの3倍:2011/02/21(月) 21:50:41.98 ID:???
>>85
シンからすれば複雑な心境を抱きそうだな。
ラクシズが駄目だったから次は自分か?って怒りかねないし、
その一方で、「この人はこの人なりに世界の平和を望んでたんだ…」と考えたりもするかもしれない。
シンの成長次第でどういう選択をするか変わってきそうだな。
87通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 01:31:59.32 ID:???
ラクス母も相当ヤバいと思うんだが。自分の娘洗脳するとか何考えて(ry
ユーレンといいアルといいパトリックといい、種の親連中はこんなんばっかorz
まともなのはシンとキラの両親ぐらいとか、もうね。
88通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 08:34:04.31 ID:???
キラの育ての親はたしかにまともそうに見えたが
やはり歪んだのはラクスの影響か
89通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 12:33:12.75 ID:???
キラも環境が環境だったとはいえ「やめてよねry」とか本気で戦わなかったとかあるしなあ。
根底ではナチュ軽視っつか自身の至上思考が元々あったっぽい。
そしてそれを見抜けなかった親もなんだかなぁとは思う。
90通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 12:41:26.57 ID:???
歪みの下地は環境じゃない?ヘリオポリス崩壊からオーブに行くまでの間で
両親に対して無条件に甘えられなくなっただろうし、
決定付けたのは、ラクス関連だと思うけど。
>>89 
精神状態最悪な時期じゃなかったっけ?>やめてよねry
ストレスのデフレスパイラルの結果で歪み始めていたとも解釈できるし。
91通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 16:08:50.95 ID:???
>>87
母親の言葉は「1人はみんなのために、みんなは1人のために」って解釈もできる
(つーか、本来はそういうことを伝えたかったんだろう)から、一概に悪いとは言えない
やはりラクスは生まれ落ちた(かなり譲歩してコーディネイトした)時点で狂・・・
92通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 16:34:11.37 ID:???
>>91
むしろ素直にそう言えと思わざるをえない。
ラクスが何歳くらいの頃に言われたかは知らんけど、いきなり「世界はあなたのもの、あなたは世界のもの」なんて言われても理解できるとも思えないし、よしんば理解したとしても変に曲解しそうなんだが。
93通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 16:53:09.95 ID:???
>>90
前から言われてるけどいくら精神的に追い詰められてるからといって
いくら向こうから誘ってきたからといって
ホイホイついていって親友の彼女とセクロスした挙句
逆切れして親友の腕をひねり上げるのはどうかと思うぞ
94通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 16:56:09.31 ID:???
あえて擁護すれば、横恋慕してた相手から誘われたってのもあるだろうな
95通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 18:15:25.24 ID:???
>>93
>>90にみたいな意見は庇護してるんじゃなくて
キラが「やめてちょね」みたいな子としたのはそれなりの理由があるって言ってるんだろ

まぁその後ちゃんと更正してればさすが主人公ってなったのを
クズを通り越して何か別のモノになっちゃったのはねぇ…
96通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 19:58:03.57 ID:???
sage
97通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 20:14:23.61 ID:???
>>92
ストレートに言った所で、四馬鹿だと「世界は自分のもの」っつーとこだけ最大限
曲解だろw
シンが「世界はあなたの〜」と言われて理解できるかどうかは意見別れそうだが
レイは理解できそう
98通常の名無しさんの3倍:2011/02/22(火) 22:36:02.96 ID:???
マルキオは朝廷勢力みたいなもんだろ 武力で潰せる存在じゃない
最大勢力に対して邪魔をしてくる存在 部下を煽ったり、情報を漏らしたり、
対抗勢力に資金や技術を与えたりする

ガンダム00の王留美に近い存在でないかな
99通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 11:20:19.92 ID:???
シン「寝たら悪夢、起きたら修羅場だよ!」
100通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 11:51:13.56 ID:???
>>99
だから君もプラントではもういい年なんだからいい嫁さんもらいなさいって。
あの中から選ぶもよし、それが嫌ならお見合いくらい世話してやるさ。
101通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 12:22:58.34 ID:???
で、結局シンの嗜好ってどんな娘なの?
102通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 12:51:58.53 ID:???
>>101
CV:坂本真綾

この世界なら声を変える手術くらいなら朝飯前だろうから問題ないねw
103通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 16:22:43.33 ID:???
ラッキースケベと呼ばれるくらいなんだからそりゃーボン・キュ・ボンのナイスバデ…
104通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 17:19:53.27 ID:???
>>99
キャサリンネタ自重
105通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 17:25:08.14 ID:???
置き手紙「他スレの友達とワールドツアーに行って来ますので当分帰りません
   シン・アスカ

 追伸、冷蔵庫のハーゲンダッツを食べたのはアスランなので追わないでください」
106通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 19:37:01.49 ID:???
金髪or茶髪のクローンor強化兵士のcv.真綾or桑島な妹キャラ、かつスタイルは将来有望
こんなキャラなら嗜好云々以前にKOされると思われ
107通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 19:51:32.41 ID:???
シンの女性観は本編ではまったく描写されなかったから
守る為の力を得る事ばかりで恋愛どころじゃなかったのは容易に想像出来る。

それだけにシンはどういう恋愛をするのかは非常に興味がある。
108通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 21:35:20.22 ID:???
違うな>>103、貧乳こそ運命(デスティニー)!!
シンの目指す世界は、虚乳の・微乳による・無乳の為のチッパイランドに違いな(ry
109通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 22:00:48.41 ID:???
>>108がお嬢様に首根っこつかまれて秘密の地下室へ連れて行かれたよ
何されるんだろうなー(棒)
110通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 22:37:41.43 ID:???
まーた人間煎餅をGカイザーの足の下から引っぺがす作業か〜
111通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 22:49:42.32 ID:???
連ザ2プラスって正にスレタイ通りだな
ステラは死なないわタイトルバックは取り返すわキラフルボッコにするわ
112通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 23:11:56.46 ID:???
>>107
俺はなんとなくだけどあんまり興味なさそうな印象だった
殺伐とした連戦で恋愛どころじゃない感じだったってのもあるけど、
昭和の仮面ライダーみたく世の中の平和>>自分の幸せな感じがする


>>111
まあ確かに
連ザといい無双といいスパロボといいゲームじゃ基本的に待遇良いんだよね
113通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 23:17:40.76 ID:???
>>105
安心しろ志願兵のノーマルスーツやモブは既にい(r
114Drifters Select:2011/02/23(水) 23:32:02.77 ID:???
C.E.77
ラクス・クライン、カガリ・ユラ・アスハという2人の女神を受け入れた人類がようやく平和への道へと歩み始めた頃、世界である噂が流れ始める。

「お化けMS?」
「ああ、ホントに出るらしいぜ」

それはネットワーク(仮想世界)で

「何でもラクス様の親衛隊の1つがたった1機に丸々潰されたとか」
「正体不明なんだろ?おっかねー」

それは街角で

「撃墜された親衛団員のMSは、すべて頭部を切断されていたそうです」
「これは、ラクス様に対する冒とく行為ですぞ!」

それは政庁で

「それで、付いたあだ名でそれッスか?笑えない冗談ッスね」
「冗談で済めばいいが…とにかく、出会わないように祈るだけだな」

それは戦場で

世界のありとあらゆる場所で、その噂は広まっていく
115Drifters Select:2011/02/23(水) 23:34:50.81 ID:???
『おい、応答しろ……駄目か!!』
『くそっ、なんで当たらない!?』
響き渡る怒号と悲鳴。それと共にばら撒かれる銃弾。
しかし、『ソレ』はまるで弾幕をすり抜けたかの様に真っ直ぐ前進してくる。
『ちくしょう、化け物め!!』
錯乱したのか、部隊の一番先頭に居たザクがトマーホークを引き抜き『ソレ』に向かって突撃する。
「馬鹿、不用意に前に出るな!」
『うぁああああああ!?』
グフを駆る部隊長が叫んだがすで遅く、『ソレ』はトマーホークによる攻撃を避けると同時にザクの背後を取り、右手に持った『刀』を一線。ザクのコックピットが破壊される。
『レイリー!!』
『おまえ、よくも!』
戦友の断末魔を聞き、激情した残りのザクが猛然と切り掛かるが、『ソレ』を捕らえることは出来ない。
逆に、『ソレ』は一機、また一機と確実にコックピットだけを潰していく。
戦場には瞬く間にスクラップとなったザクの山が広がり、動くものは『ソレ』と、後で指示を出していた隊長機のみとなった。
「そ、そんな……たった1機に……」
恐怖で動けずにいる隊長機を他所に、『ソレ』は奇妙な行動に出る。
スクラップと化したザクの頭部を、先程の『刀』で切断し始めたのだ。
「まさか……本当に……」
異様な光景を眼にした隊長は、世界中に広まる噂を思い出す。

たった1機で戦場を駆け巡り、倒したMSの『頭部』を持ち去る異形のMS。

『くっ、くくくく…』

相対した部隊は当てる事も触れる事もできずに蹂躙され、何処から来るかも分からず、何処へ行くかも分からない。
目的・正体共に一切不明。

『くくく……ははははははは!!』

それらの事から付いたあだ名……
「Guillotines Ghost…!」

『首置いて!なぁ大将首だ 大将首だろう!なぁ大将首だろおまえ!なぁ首置いてけ!!』

……続くか!!
>>108を見てこんな話が思い浮かんだ私はヒラコー厨……というかSODの続きも書かずに何やってんだかorz
116通常の名無しさんの3倍:2011/02/23(水) 23:38:51.07 ID:???
>>115
乙でした
出来れば続き希望しますw
117通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 02:32:26.06 ID:tbvwnBZ5
首だけ破壊と言うとついGガンダムを思い出してしまう……
118通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 07:20:09.35 ID:???
乙です。てか、ドリフターズの島津かい!w
これは怖過ぎるww
119通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 10:47:00.35 ID:???
まさかの妖怪首おいてけとはwww
120通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 17:18:57.03 ID:???
>>117
マテ、あれは頭部破壊だ
121通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 21:06:34.16 ID:tbvwnBZ5
>>120
すまん、普通に間違えてた
122通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 06:41:41.18 ID:???
シンをLV10にして運命作ったからと寝て、朝起きたら
俺のGジェネワールドにアロウズ黒女のアズ子LV25(スキル豪傑、好戦)が現れたけどホラー?
123通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 10:27:31.21 ID:???
マジかネタかは知らんが、もしマジならオリキャラにイメージが似たのがいるとか?

Gジェネのオリキャラはどうも好きになれない
124通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 10:29:25.21 ID:???
このスレで人気のアズラエル娘だけど、容姿のイメージはどんなんだろう?
住人によって違いがあるみたいだけど。
125通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 10:32:09.67 ID:???
まとめに絵があるけど
126通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 15:44:46.73 ID:???
色々目を瞑るとエリスが似てる
127通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 15:52:04.71 ID:???
エディットキャラのザフト系女をよく見たら中身がアウルだった件
量産女アウル…
128通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 00:21:05.86 ID:???
>>114を読むまで>>108がドリフ巻末のネタだと気付かなかった俺はまだまだだな……
ちょっとお嬢様に廃棄物にさせて貰って来る
129通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 00:41:09.71 ID:???
このスレ、結構ヒラコーファン多いよな。
何時だったかハルコンネンの精霊ネタとか俺のケツを舐めろ!とかあったしw
130通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 01:09:45.55 ID:???
業務連絡、業務連絡、前スレ852さま、
倉庫に収録させていただきたく存じますので、
メインタイトルなどお決まりでしたらご一報くださいませ…
131通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 07:03:04.27 ID:???
でもパワー○ロックは見つからなかった・・・。
132通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 12:07:39.42 ID:???
Gジェネで新たなネタが出てくるかな?
133通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 21:03:07.67 ID:???
>>124
絶壁、スーツ、ブロンドのセミロング、青い底光りする瞳がメインの特徴かな
134SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:08:06.55 ID:???
カガリからDr・Kに手紙を渡すよう頼まれたシン・アスハは、モルゲンレーテ社内にあるDr・Kの研究室の前に訪れていた。
「……よし」
扉の前で軽く深呼吸をしたシンは、意を決したように扉の先へと足を踏み入れる。
「失礼します。Drに用事が……わぁ〜〜」
深々と頭を下げながら入室したシンの足が1歩目で止まる。
そして、研究室の中を見渡しながら感嘆の声を上げた。
(相変わらず、綺麗な部屋だなぁ)
扉の先でシンが目にした物、それは明るい蛍光の光に包まれた真っ白な部屋であった。
ゴミどころか塵1つ落ちていない綺麗な床。綺麗に整頓され、無駄な物など一切置かれていない棚と机。微かに花の香りを感じるのは香水か何かを使っているからなのだろうか。
「待っていたぞ、シン・アズサ」
まるでホテルの一室のような研究室の主、Dr・Kはシンの姿を見ると椅子から立ち上がる。
彼女が裾を通している白衣も、皺1つない新調したてのような美しさを放っていた。
「こんにちは、Dr」
歓迎される形となったシンは、笑みを浮かべながらDrに近づく。
「相変わらず綺麗好きですね」
かねてからDrと親交があったシンは、何時訪れても綺麗に整頓されている部屋に率直な感想を述べる。
先入観から来るのかも知れないが、彼にとってMSの研究室というのはもっと雑多な部屋だというイメージがあったからだ。
「そうか?あまり気にした事がないが」
そんなシンの感想に対し、Drは「よく分からない」と言う様に首を傾げる。
(うっ!)
子供にしか見えない容姿の持つDrのその動作を見て、シンは思わず「かわいい」と感じるが、決して口に出さない様努力する。
仮にもモルゲンレーテ社MS開発部門主任に対し面と向かってそんな事が言えるほど、シンは図太くない。
(最初に会った時はメチャクチャ失礼だったからな…)
初めてDr・Kと出会った際、本気でジュニアスクールの生徒だと思って話しかけてしまった時の事を思い出し、思わず頭を抱えるシン。
「どうかしたのか?」
急に頭を抱えたシンを不思議に思い、眉を顰めるDr。
「い、いえ!別に…その…?」
話しかけられ慌てて首を振ったシンは、何か別の話題に逸らそうと部屋の中を見渡すと、部屋の一角に綺麗な部屋には似つかわしくない『ある物体』が置いてある事に気が付いた。
135SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:13:27.55 ID:???
「あの、Dr?」
「ん?」
「あ、あの人…大丈夫なんですか?」
「ああ、あれか?」
白い所が全く残っていないまるでボロ雑巾の様な白衣を身に纏い床に転がっている物体、サイ・アーガイルの姿に心配そうな声を上げるシンに対し、まるで道端に転がる小石を見るような目で一瞥するDr。
「あれなら大丈夫だ。昨日からの徹夜で疲れていて、ああやって仮眠を摂っているんだ」
「…………」
「あの、イビキどころかピクリとも動きませんけど…それに何であんな部屋の隅で仮眠を?」
「奴はMSの研究をしすぎてちょっと頭を…な。ああやって部屋の隅にある『シミ』と交信するのが唯一の楽しみなんだ……まぁ暖かい目で見守ってやってくれ」
「は、はぁ……MS研究者って大変なんですね…」
(………不幸だ)
可哀想な人を見る視線を背中に感じながら、世の理不尽さにむせび泣くサイを放ったまま、Drはシンの方を向き直る。
「処でシン。今日も『いつもの』手伝ってくれないか?」
「いつもの、ですか?」
Drの言葉にシンは困ったように頭を掻く。
「すみません、仕事の途中で抜けて来ているので時間が」
「安心しろ、アスハへの連絡ならもう入れてある」
「えっ、ホントですか?」
「ああ、本当だ」
部屋の隅で「うそだ…」と掠れた声が響いたのだが、残念ながら大きく頷いたDrの声にかき消され、シンの耳には聞こえなかった。
「それなら大丈夫ですよ」
「そうか、なら早速準備してくれ」
安心した様に頷くシンを見てDrは満足そうに微笑むと、シンを連れてサイが居る壁とは反対の壁に設置された扉へと向かう。
Drの研究室と直結で繋がるもう1つの部屋。
それは、MSのコックピットブロックをむき出しにして設置したような機械、MSの操縦を疑似体験できるシミュレーターが置かれた一種のシミュレーションルームであった。
「うれしそうだな」
嬉々とした様子でシミュレーターに乗り込むシンに対し、Drも微笑を浮かべながら話しかける。
「はい!実はこれに乗るの楽しみにしてたので」
「そうか、それは何よりだ。今日は7-Aから8-Dの間でランダムに選出するぞ」
「了解です!」
Drの指示に手馴れた様子でシミュレーションの準備をするシン。
そして、3分後…
『準備はいいな?ミッションスタート』
シンの目の前には、本物となんら変わることのない青空、海、そして連合軍のMS・ウィンダム小隊の姿が映し出される。
136SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:18:34.71 ID:???
『いつもの』…それは、こうしてシミュレーターを使ってシンのMS操縦のデータを採取する事であり、一年ほど前から続いていた。
何故「一般人」の自分のデータが欲しいのか最初の頃は疑問に思っていたシンであったが、ある意味下手なゲームなど比べものにならないリアルさと難易度を持つシミュレーターを、今ではレクリエーションの一種の様な心境で楽しんでいた。
「……始まりましたね」
何時の間にか復活したサイが、シミュレーターの横に置かれた端末の前に陣取ったDrの横へと移動し声を掛ける。
しかしDrの視線は目の前の端末と繋がる、シミュレーター専用のモニターに釘付けとなっており、サイには見向きもしなかった。
(相変わらずだなぁ、この人は…)
Dr・K、彼女は生粋のデスティニー信者であると同時に、シンに対しても只ならぬ入れ込み具合を見せていた。
それは彼がデスティニーのパイロットだったからなのか、それとも『シン』という彼個人に対してのモノなのかは判断の難しい所であるが、モニターに映るシンの横顔を見つめるDrの姿は、まるで近所に住む優しくてカッコいいお兄さんに憧れを抱く少女を見ているようだ。
もっとも見た目はともかく中身的には、いい歳して美少年アイドルグループに熱を上げるオバサ…
「ひぎぃ!?」
突如左足を襲った鈍痛に、情けない声を上げるサイ。
「いきなり何をするんですか!?」
「気にするな、今一瞬無性に腹が立っただけだ」
ぴょんぴょん跳ねながら抗議するサイに対し、不自然に突き出された右足(特注上げ底スリッパ装備)を元の位置に戻しながらDrは答える。
無論、視線はモニターに注がれたままだ。
「気にしますって!」
地の文を読まれた事に内心焦りながら、抗議を続けるサイ。
そんなコントのようなやり取りを2人が続ける間にも、シンは順調にシミュレーションを続けていく。
「ふむ…やはり凄いな」
次々とモニターに映し出される数値、搭乗者の操縦技術をリアルタイムに表すスコア表に目を通したDrは感嘆の声を上げた。
「現役時代とは比べ物にならんが、それでも十分エースパイロット級の動きをしている」
「そうですね。記憶を無くしてこれだけの動きが出来るなんて…」
「興味深いのはそれだけじゃない」
そう言いながらDrが手元の端末を操作すると、モニターに先程よりも細かく分類されたスコアが表示される。
「これは?」
「シンのシミュレーション結果をミッション別に表した物だ」
シミュレーターにはより多くのデータを採取できる様、様々な戦況や地形がミッション別に用意されており、当然選ぶミッションによってその難易度が変わってくる。
先程、Drがシンに伝えていた番号がそれだ。
「これを見る限り、シンはミッションの難易度が高ければ高いほど操縦技術が向上している。より正確に言うと、敵が強ければ強いほど…劣勢な状況に置かれれば置かれるほど真価を発揮しているんだ。それらの中でも突出して評価が高いのが……これだ」
「!このミッションは…」
モニターに映し出されたミッション名と設定された戦況にサイは息を吞む。
『Mission 12-B』
動く事ができない母艦の護衛を行いながら襲い来る敵軍中隊…空母艦2隻、僚艦4隻、MA1機、そしてMS30機を撃退せよ。
お涙程度の援護射撃はあるものの実質1人で戦わなければならないという難易度があまりにも高いこのミッションは、MS操縦訓練にこのシミュレーターを採用しているオーブ軍内部においてもクリアした者は居ないと言われている。
137SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:24:09.33 ID:???
しかし一見無謀に思えるこのミッションだが、実は実際に起こったある戦闘を基に設定されている事をサイは知っていた。
「オーブ沖における地球連合軍とシンが所属していたミネルバ隊との間に起こった戦闘、結構ではミネルバ側の勝利に終わり、シン・アスカとインパルスの名を一躍有名にさせた戦いでもある。
Mission12-Bはこの戦闘をベースにして設定されたわけだが、先日シンはこのミッションをかつての自分とほぼ変わらない戦果でクリアした」
「クリアした!?」
Drから放たれた言葉にサイは衝撃を受ける。
少なくとも先程の平均スコアを見る限り、記憶を失った今のシンには絶対にクリアする事はできないはずだからだ。
「他にも友軍の護衛や民間人の救出といった『何かを守る』為のミッションにおいて、シンは常に高スコアを記録している」
「守る?」
「これは現役時代にも該当する事だが、シン・アスカが類まれな戦果を記録した戦いの殆どが、戦闘の途中自身の母艦や友軍が劣勢に立たされている。つまりシンは何かを守る為に戦った時、その真価をフルで発揮することができるんだ」
「しかし、キラ…フリーダムを撃墜した時は……」
「そうだな」
サイの言葉にDrは肩をすくめる。
「確かに、エンジェルダウン作戦はその例に該当しない。しかし、その時のシンの心境を知る術がない今となっては、例外であったという結論しかだせん」
「なる程……」
仮にその時の心境が怒りや憎しみだったと分かったとしても、それらをシミュレーションで再現する事はできないし、データを採取する事も不可能だ。
それに、真価を発揮するのがどんな時であれ、シンが最強クラスのパイロットであった事は疑いようが無く、フリーダム撃墜したというのも頷ける。
(だけど…)
ここでサイに、以前から薄々感じていたある疑問が浮上する。
シン・アスカが世界最強クラスのパイロットであることは分かった。しかし、
「何故彼は、彼はアスランに負けてしまったんでしょう?」
大戦終盤、シンはアスラン・ザラの駆るIジャスティスと2度対峙し、敗北している。
確かにIジャスティスは一対一に強い機体であり、(セイバーに搭乗していた時分はともかく)アスランもまた世界指折りのエースパイロットであった事は疑いようの無い事実だ。
しかし記録によると戦争終了直後、Iジャスティスはほぼ無傷のままエターナルに帰還している。
いくら何でも、この様な事が起こり得るだろうか?
(やはりデスティニーがけっかん…)
「イタタタタタ!?」
今度は左足を思い切り踏み付けられ、悶絶するサイ。
「お前今考えてはならない事を考えていたな」
「素で人の感情を読むの止めてくれませんか!?」
サイの左足から自身の右足を退けたDrは、大きく溜息をつく。
「確かに私は、百歩譲ってデスティニーが欠陥機であった事を認めたが、それだけであんなリフターが無ければ飛ぶ事すらままならない、ゴテゴテマゼンタMSに大敗するわけないだろう」
「ゴテゴテしてるのはデスティニーも同じ…アイタタタタ!?」
「あの戦いはデスティニーがジャスティスより弱いとか、アスラン・ズラがシンより強いとか、そういう話じゃない。もっと別の次元の問題だ」
「ザラです、Dr……と言いますと?」
踏み付けられていた左足を庇いながら尋ねるサイ。
138SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:29:21.64 ID:???
「お前はさっきまで何を聞いていたんだ?」
するとDrは多分に蔑みの感情を込めた、「このゾウリムシが…!」とでも言いたげな視線をサイへと向ける。
「えっ?」
「パイロットの事をMSの部品か何かと同列に考えて居るだろう?だから分からないんだ」
そう言うとDrは再び端末を操作し始める。
「これは…?」
それから数秒後、サイはある異変に気付く。
モニターに映るシンの顔色が険しくなり、操縦桿を握る手の動きが目に見えて鈍くなったのだ。
それに比例するかのように、スコア表の数値も見る見るうちに減少していく。
「難易度を上げたんですか?」
サイの質問にDrは首を振る。
「いや、私が弄ったのは視覚に関る部分だけだ」
「視覚?」
「先までシンの目に映っていた敵機はウィンダムやゲルズゲー等、対地球連合軍を想定してプログラムされた物だった。それに対して今シンの目に映っている敵機がこっちだ」
Drに促されたサイは、部屋に設置されたもう1つのモニターへと視線を向ける。
シンが操るシミュレーターのメインカメラの映像を表示しているのだろう、モニターの映像は上下左右、360°絶え間なく動き回り、長時間眺めていると吐き気を覚えそうだ。
しかし高速で動き回る映像の節々で、サイは見覚えのある機影を見つける事に成功した。
赤と白を基調にし、頭部にV字アンテナを持つ可変式MS…
「ムラサメ?」
「そう、シンが戦っているMSはムラサメやM1アストレイ……つまり今シンはオーブ軍と敵対している様に感じているわけだ」
「はぁ…しかし、何故これでシンの動きが鈍くなるんです?」
「今のシンにとって、オーブ軍は『守る』立場であり『守られる』立場でもある。何かを守る時に最も真価を発揮するシンにとって、『守るべきもの』と敵対するというのはそれだけで大きな足枷となるんだ。
これの他にも、MSを持たない弱小ゲリラの殲滅戦や暴動の鎮圧など、対人戦を想定したミッションでは軒並み動きが悪かったからな」
「力の無い者、だからですか」
「ルナマリアの話が正しければシンは、力が無い者を守りたい、という理由でZAFTに入隊したのだからな。それが逆の立場になってしまえば、動きも鈍くなるさ」
『守る』為の戦いでは無類の強さを発揮し、逆に『奪う』側に自分が立つと極端に脆くなる。
軍人としては些か…いや、致命的なまでに感じやすい体質であると言えるが、大戦当時若干16歳、しかも入隊するギリギリまで戦争とは無縁と思われていたオーブで暮らしていた事を考えると致し方ないのかもしれない。
「ジャスティスに負けたのも、その所為だと?」
「そうだ。デスティニーの初陣でもそうだった様に、本来シンは味方を本気で討つなんて真似が出来るほど『染まっちゃ』いない。例え相手が裏切り者の蝙蝠男であろうとな」
「何かアスランに恨みでもあるんですか?」
「しかも1度は自分の手で殺めてしまったと思っていた元上司だ。そんな男からやれ「過去に囚われて戦うのはやめろ」とか「お前が欲しかったのは本当にそんな力か」とか訳のわからない言葉で惑わされれば、すでに精神的に限界が来ていたシンが惨敗しても無理はないだろう」
「……なるほど」
Drの説明を聞いたサイは感心して頷く。
何故Drがアスランの言った説得紛いの言葉まで知っているのかは知っているのかは置いておくとして、かねてから喉に刺さった小骨の様に気になっていた疑問の1つが解決したことにサイは満足していた。
139SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:33:48.00 ID:???
結局、1時間程シミュレーターに乗り続けたシンは「もう少しだけ」と制止するDrの言葉を丁重に断り、惜しまれつつも研究室を後にした。
「Dr、これ読まないんですか?」
終始シンから可哀想な人を見る目で見られていたサイは、シンが去り際に置いて行ったカガリからの手紙を手に取る。
「ん〜?」
Drはというと、シンが手紙を渡そうとした時は快く受け取っていたのに対し、彼が居なくなった途端興味が失せた様に再び寝る準備に入っている。
「あの脳筋娘からの手紙だろう?読む気が起きん」
「またそんな事言って」
「だったらお前が読め」
「はぁ、まったく……?」
身も蓋もないDrの言葉に、サイは溜息を付きながら手紙の封を開ける。
そして面倒くさそうに手紙の文面に目を通した始めたサイであったが、その途中で顔色が変わった。
「Dr…本当に読んでいいんですか?」
「ああ、さっさと読め」
念を押すように聞き返すサイに、視線を向けることなく答えたDrは白衣のポケットからキャンディを取り出す。
「では……『先日、プラントから私宛に連絡が入った。内容は、私を介してモルゲンレーテ社に依頼していた次世代量産型MSの開発状況を知りたいという類のものだ…』」
「ほぉ」
「『だがDrも承知している通り、次世代MS・スサノヲをオーブとアメノミハシラ以外に流通させるのはもっと先にする予定だ。その為、プラントには開発は難航し、プロトタイプすら完成していない、という返答を行った。
しかしその結果、プラントはラクスとキラの名前まで使い、開発途中のプロトタイプで良いから実物を見たい、と言ってきた』」
「ふん、向こうからすれば当然の反応だろう」
サイの読むカガリの手紙の内容に、Drは鼻を鳴らしながらキャンディの包み紙を開く。
「それで、そんな事を私に愚痴ってどうするつもりなんだ?あの脳筋娘は……」
そして、包み紙の中から現れた水色のキャンディをゆっくりと口元へと運んでいき、
「『そこで、お前が私に隠れて今まで開発してきたと思い込んでいる『オモチャ』を、一時的にプラントに持っていく事になった。じゃ、そういう事で カガリ・ユラ・アスハ』」
「…………」
「『P.S. 戻ってくる日取りは決定していないからそのつもりで』……だ、そうです」
「…なん…だと……?」
口の中へと到達する前に、手元から滑り落ちた。
140通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 22:34:54.72 ID:???
Drになら踏まれてもいい支援
141SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:37:31.53 ID:???
Turning Select


「……そろそろか?」
執務室で書類へと目を通していたカガリは、部屋に置かれたアンティーク風の時計を眺めながら呟く。
そろそろ自分からの手紙に目を通したDrから抗議の電話が来る頃だろう。いや、もしかしたら直接こちらに向かってくるかもしれない。
もっとも、彼女のわがままを一々聞いてやるほど自分はお人よしではないし、元々Drの方がスサノヲの開発費を横領して自分の趣味に使っていたのだから、あまり強くは出られないだろう……Drにそういった感覚があればの話だが。
「はぁ…まったく」
Drにも困ったものだ、とカガリは溜息を付く。
見た目と性格はともかく、MS開発に関する彼女の頭脳は本物だ。その為、他の国に取られないよう今まで自由にやらせて来たのだが、少々好き勝手やらせ過ぎたようだ。
今回の件はそんなDrに対するお灸の意味も含めている為、彼女に何を言われても取り消す気は毛頭ない。
そんな事より、カガリには今考えるべき事柄があった。
「さて……どうするかな」
カガリが見つめるパソコンのモニターには、あるメールの文面が映し出されていた。
送り主はカガリ・ユラ・アスハの弟にしてラクス・クラインの恋人、世界で唯一人のスーパーコーディネーターにしてフリーダムのパイロット、キラ・ヤマトである。
メールの内容自体は当たり障りの無い世間話と言っていい。しかし、追伸として書かれたある一文が、プラントからの新型MSの催促以上にカガリの頭を悩ませていた。
その内容とは…

「『そろそろ、シンをプラントに遊びに来させてあげても良いんじゃないかな』だと?しかも、こっちの返事も聞かずに日程まで組んで…」

私の弟はここまでフリーダムだったろうか?
先程から鳴り響く自身の携帯電話をナチュラルに無視しつつ、カガリはプラントのオーブ大使館へと繋がる電話へと手を伸ばした。
142SOD 第4話:2011/02/27(日) 22:39:34.02 ID:???
こんばんは、SOD第4話投下です。
やっぱ急いでも、1話書くのに1ヶ月以上掛かってしまう……もう少し早く仕上げられる様になりたい。後、シンの出番をもう少し増やした(ry

ちなみに今回投下する前にある知り合いに読んでもらったのですが、その時の会話がこちら↓
友人「なぁ」
作者「何?」
友人「なんか無駄な考察ばっかりで全ッ然話進んで無くね?妙に描写がクドイ所あるし」
作者「そうかな〜、そんなつもりは…」
友人「もしかして、続き考えてないから考察で尺伸ばしとこうとか思ってる?」
作者「…………」
友人「…………」


そ、そんな訳無いんだからね!今後舞台がオーブから宇宙に上がる関係上、Dr・Kの登場回数が減っちゃう前に書き溜めておこうとか、そんな事考えてないんだから!!
勘違いしちゃダメなんだからね!!
143通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 23:29:35.41 ID:???
>>142
SOD新作キター!Dr.K可愛いよDr.K
シンが相変わらずいい子な一方サイは苦労しているな。てか、カガリまでフリーダムに振り回されて大変だなw
しかし、プラントに行ったシンがどうなる事か・・・そこから色々と動いて行きそうですね

それにしても、お知り合いに作品を見せるとはナイス男気!私なら恥ずかしくて他人にはそうそう見せられないわw
144通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 11:29:22.17 ID:???
>>142乙でした。
しかしアズランとジャスティス、ボロックソに言われるなww
やはりデスティニー命のDrには許せない存在なのか…

続きを楽しみにしてます。
145通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 15:29:28.70 ID:???
どなたか、Dr.K(レロレロキャンディ装備)の立ち絵プリーズ!!
146通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 18:08:46.76 ID:???
乙です。あの二人はカガリすら困らせてる様子で……全く。

にしても…Dr・Kを見てるとどこぞの猫又の娘を思い出すなぁ。
147通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 18:35:52.53 ID:???
( ◇)ジゲンカンショウカ!?ジャマヲスルナバケネコメェ!!
148通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 20:49:47.16 ID:???
乙です。
こういう考察モノのお話は読んでて楽しいです。アニメ版(敢えてこう呼ぶ)はいろんなモノが穴だらけでしたしw
メサイア戦時にシンが精神的に追い詰められていたってのはわかる気がしますね。
原作であるボンボン版やジエッジ見るとキャラの心境にもちゃんとスポットが当てられてるからよくわかります。
149通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 22:04:46.70 ID:???
ええっ? 穴しかないだろ(棒)>アニメ
150通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 22:24:02.36 ID:???
シンは酷使され過ぎて最後の方は壊れていたからな
言っちゃあ悪いけど、ルナマリア程度が相棒じゃあ、さぞかし苦労しただろうて
切り込み隊長も、中軍も、後詰も全部一人でやらなくちゃいけない状態 そりゃしんどいわ
151通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 22:45:27.04 ID:???
>>147
ハクメンサァン!ナニシテルンディスカァ?
152通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 00:27:18.65 ID:???
>>149
穴しかないだろと(棒)が微妙に卑猥だw
153通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 12:48:33.59 ID:???
「シン・アスカが可哀想になるクロスオーバーされた奴が神」より
868 :それも名無しだ:2011/02/28(月) 22:56:35.25 ID:WoZsVbiu
せめて最終回でルナだけでもぬっ殺しておけば・・・

869 :それも名無しだ:2011/02/28(月) 23:17:59.64 ID:5y7i/r+6
>>868
だな。
ルナマリアは死んだほうがむしろ目立てた。

>>150
いっそ↑にすべきだったな、シンは
154通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 13:32:34.35 ID:???
またお前か、自演レスのそのまたコピペとかもう死ねば?
155通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 14:29:48.98 ID:???
スルーしとけ
156通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 18:02:19.08 ID:???
寧ろ、最初から酷使されてるだろ。
役に立たない指揮官機
入って早々、落とされた新型乗り
何考えてるか分からない金髪ホモクローン
幾ら撃っても当たらない下手くそガンナー

こんな役立たずのオンパレードじゃ、シンが過労死する
と言うよりシンが抜けるだけでミネルバは壊滅する
157通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 18:06:28.33 ID:???
まあ、確かに中盤以降はシン一人で持ってた気がしないでもないw
というか、アムロ抜きでの終盤のホワイトベースの面々とか
ジュドー抜きでのネエル・アーガマの面々の方が、遥かに頼りになりそうなのがwww
158通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 18:34:37.97 ID:???
働くことに疲れ果て「マユ、俺もう疲れたよ・・・・・・」なシンが居てもいい
159通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 19:15:19.79 ID:???
これは今までにも言われていたと思うけど、
シンは意識していなくても、援護するはずのルナマリアが援護できていない、という状況が進むと、
戦いが進むにつれて「俺がやらなきゃ、俺がやらなきゃ」という物凄いプレッシャーがシンにかかってくる
精神的スタミナが奪われるというか、その分のシワ寄せがドッとシンの方に行くわけ
160通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 19:32:59.29 ID:???
やはり最終回で殺しておくべきだったな、ルナは(色々な意味で)
161通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 19:54:04.30 ID:???
そんな事より、Dr・Kとお嬢様…
どっちの方がスタイルが良いのか、教えてエロいひt
162通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 20:02:28.94 ID:???
kのほうじゃないか?
ぶっちゃけた話、お嬢様って胸は最底辺だと思う
腰とか尻はスーツの描写見る限り結構良い線いってる気がしたんだがなー
163通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 20:25:00.15 ID:???
でもDrって、シンとサイのモノローグの通りなら小○生並の見た目なんだよね?
だったらいくら何でも…
と、考えた所で公式にマユという前例が居た事を思い出したww
164通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 20:26:21.50 ID:???
逆に考えるんだ、ルナはシンにとって残された最後のささやかな救い、希望なんだ
165通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 20:47:11.35 ID:???
巣に工作報告を持ち帰る所が、残念な所だな。
166通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 21:03:35.79 ID:???
ルナマリアは戦力にもう一つプラスαが欲しい、っていうのならアリなんだけど、戦力の乏しい所で常時使うような人じゃない
誰かとの併用、準レギュラー、半レギュラーっていう使われ方の方が合ってると思う
167通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 21:14:19.66 ID:???
>>164
「希望」
それは、パンドラの筺に残った最後の「災厄」

災厄でもなんでも残ってよかったと考えるか、いっそ何も残らない方がましと考えるか
168通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 21:20:07.00 ID:???
シンアンチがあちこち粘着してるのか
ご苦労なこった
169通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 23:57:32.30 ID:???
>>163
マユって何歳だったんだっけ?
170通常の名無しさんの3倍:2011/03/02(水) 01:51:12.39 ID:???
確かシンと四歳差で九歳
…十にもなってないってのにあのプロポーションと性格は凶器だと思う
171通常の名無しさんの3倍:2011/03/02(水) 01:51:54.42 ID:???
>>169
たしか、享年9歳
172通常の名無しさんの3倍:2011/03/02(水) 11:56:13.71 ID:???
じゃあお嬢様とDrとマユの3人で一番スタイルが良いのを(ウボワー
173小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 12:53:19.65 ID:???
太平洋の西端に浮かぶ台湾島はBTWにて壊滅的な被害を受けていたがロゴス戦後に設立された独立治安維持部隊《A-Laws》の東アジアにおける一大拠点として復興が進められていた。
夕闇が迫る中西の空から台湾の港に灰褐色の威容を誇る戦艦が入港してきた、AA級7番艦ソロネである。
ドックに係留されたソロネのハッチが開くと早速大型のトレーラーに乗せられたMSのパーツや実証実験を行う為の試作品、その他生活雑貨などの物資の搬入作業が開始され辺りは喧騒に包まれた。
その騒がしい光景を横に見ながら黒、金、赤の髪をした男二人に女一人の三人がのんびりと船から降りてくる。
「ん〜っ、久しぶりの陸地だわ〜」
「ほんとだよな、2ヶ月ぶりだっけ?」
「艦のメンテのおかげで一週間は港暮らしだな、俺たちは今夜と明日はオフになっている」
両手を組んで背伸びした赤毛の女の声に黒髪の男が応じたのに合わせて、二人の後ろを歩いていた金髪の男が柔らかい笑みを浮かべながら予定を話すのに黒髪の男が振り返る。
「明日も休みか、なら夕飯は基地の外まで出ないか?」
「そうね、折角基地に戻って来たんだし軍の食堂より屋台でも回りましょうか、レイも行くわよね」
「いや止めておく、デートの邪魔をする気は無いさ」
金の髪の美丈夫レイ・ザ・バレルにデートと言われて黒髪の男と赤毛の女が顔を見合わせたが、直ぐに女の方が屈託のない笑みを浮かべた。
「気にしなくても良いわよ、シンとは後でイチャイチャするから」
「おいルナ」
赤毛の女ルナマリア・ホークが黒髪の男シン・アスカの腕に自分の腕を絡めながらレイに向って悪戯っぽい顔を向けると、その顔を見たレイは口元だけを軽く吊り上げて笑う。
「こっちこそだ、今日は弟と食事をする約束になっているんでな」
「あ、グラディス艦長の」
「ああ、あの日メサイアが陥落するときに艦長、いや母さんが俺に託してくれた家族だ」
あの運命の日、レイは崩れ行く要塞の中で幼い頃に母と慕った女性から一人の子供を託されていた、それが今の彼の家族であり生きる理由、守るべき者だ。
メサイアを脱出したレイは人目を忍んでプラントに潜入するとグラディス艦長の家で一人泣いていた幼子の手を取った。
来た理由を話すと何故母を見殺しにしたのかと随分と詰られたが、そんな自分を憎んでいる幼い子供に対してレイは真摯な姿勢で向き合い続けた結果、
少しずつ頑なだった幼子の心が解きほぐされていき、距離のあった二人が徐々に歩み寄りを始め今では本当の兄弟のように仲が良い。
174小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 12:54:59.32 ID:???
結果としてレイは自分でも驚くほど変化していた、戦中は自らの寿命が短い事を享受していたが、今はどんなに見っとも無くても少しでも長く生きていたいと思っていた。
それなのに危険な軍に身を置いているのは現在の地球の状況では満足な生活の糧を得る為には最も確実な手段が軍務に付くことだったからで、
万が一のことが起こったときも遺族年金とか各種福祉が充実している事と親友であるシンとルナマリアが何とかしてくれるだろうとの信頼からである。
そんな話をしながら基地の中に入るとロビーにいた栗色の髪をした利発そうな子供が大きな声で呼びかけてきた。
「レイ兄さん!」
「待たせたか?」
「ううん、今来たところ、シンさんとルナマリアさんもお久しぶりです」
「よっ、また大きくなったな」
「元気そうね」
レイの前まで駆けて来ると嬉しそうに顔を綻ばせた子供は久しぶりに再会した兄の前と言葉を交わした後、シン達に礼儀正しく挨拶をしてくる子供に笑顔で応じる。
普段は軍関係者用の寄宿学校の寮に入っているので簡単には出てこられないはずだが、態々と出迎えにきていたようだ。
「じゃあ俺たちも兄弟水入らずで過ごすんでな、いくぞ」
「ハイ! お二人共失礼します」
「ああ」
「じゃね」
シンとルナマリアに軽く手をあげて別れると二人仲良く連れ立ってと歩いてゆくイ達を見送ったシンは苦笑を浮かべる。
「なんかレイの兄馬鹿ぶりが段々酷くなっているような気がするな」
「良いじゃない、今のほうが生き生きしてるもの」
確かに現在のレイからはあの戦争当時のような切羽詰った感じは抜けている、それも守るべき者を持つ事で変わった部分だろう。
それに兄馬鹿ぶりならマユが生きていたのならばシンの方が間違いなく凄かったのだが、
現在そのシスコン振りを知っている人間が居ないのでこんな態度が取れるのだ。
「じゃあ俺たちも行くか」
「外に出るんだし着替えてロビーに集合ね」
「そうだな、なら5分もあれば」
「30分後、女の支度には時間が・い・る・の」
「分かった、30分後な」
「宜しい」
そしてきっかり30分後にロビーで落ち合った二人は外出する為に受付で車を一台借り受けるとシンが運転席に滑り込み、
助手席のルナマリアがシートベルトを締めたのを確認して街へと向って走り出した。
175小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 12:56:56.17 ID:???
この台湾島の基地は現在急ピッチで建設が進められており、また壊滅した台北の街の再建の為に外部から入って来ている労働者も多い。
未だに戦禍の傷跡を残す街だが、あちこちに労働者を当て込んだ屋台などが立ち並んで活気に溢れていた。
そんな光景を見ているとシンは複雑な気分になる、ここで働く人たちは何かを生み出す事を仕事にしている、それはとても素晴らしいことだ。
それに比べて自分はどうなのだろう、戦争を無くす為に戦っていた心算だったが本当のところはどうだったのだろう。
議長のいう戦争のない世界を作る為に戦っていた、今も守るためと言いつつ戦っている自分は、ただ破壊を撒き散らすだけの存在ではないのだろうか。
そんな思いが顔に出ていたのか助手席にのっていたルナマリアがギアを握っているシンの手に優しく手を重ねてきた。
「大丈夫、シンは間違ってないよ、戦う事でしか守れない物があるんだもの、それに間違ったら私が止めるから」
「ありがとう、ルナ」
恋人の手の温もりを感じながらシンは車を走らせる、しばらく無言で走ったあと繁華街の近くにある屋台の集まっている一角に車を停めて、二人は連れ立って屋台めぐりとしゃれ込んだ。
ゴミ箱を眺めてゴミの多い屋台(流行っている店はゴミが多い)に腰を落ち着けると坦仔面を二つと虫可仔煎と煙腸、臭豆腐を一つずつ頼んで夕食にする。
談笑しながら出された料理に舌鼓をうっていると二人の耳に聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「皆様こんにちは、私はラクス・クラインです−」
その声に惹かれて辺りを見回すと街角に設けられているケーブルTVの画面にピンク色の髪をした柔和な笑みを湛えた現プラント最高評議会議長のラクスが写しだされている。
「プラントの政権放送か」
「みたいね」
前の戦いで一番の被害を受けたのはBTWが直撃した地球であることは間違いないが、
実の所圧倒的に人的資源に乏しいプラントもレクイエムの被害やデュランダル派とラクス派の内ゲバでしかなかったメサイア戦に置いて相応の被害を出している上に
地上が被害を受けた事で自国の問題を先に解決したい各国から輸出制限を受けているプラントも厳しい環境におかれていた。
それでもプラントはラクスの元で一体となり遅々とした速度ではあるが徐々に復興しているようであった。
176小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 12:58:25.78 ID:???
これは旧デュランダル派が元々クライン派の一派閥でしかなかった事もあるが、対抗派閥のザラ派はの意識は未だにナチュラルに向いていた事と、
本来ならザラ派の旗頭になるはずのアスラン・ザラがラクスの下で参画している事から勢いを減じた事が大きかった。
つまり現在のプラントにはラクス政権に対抗できる組織が無く、地球の各国も自国の復興に忙殺されて宇宙のプラントにまで手を出す暇がなかったのである。
それでも名物の海鮮ジョンゴル鍋やビールといった嗜好品は無くなり、食料は配給制になるなど影響が皆無という訳ではないが市井の高まる不満を良く制御しているといってよい。
今もTVの中で切々と人の道を説く姿は美しい容姿と前の戦争を止めた立役者という立場と相まって地球でもそれなりに人気があった。
TVの画面から語りかけてくるラクスの姿を眺めていたシンが昨日諜報部から齎された情報にプラントの新型MSの事が載っていたのを思い出しだした。
「そういやザフトの新型がロールアウトしたな」
「ゲルググって奴ね、あと親衛隊用にギャンていうのも開発中らしいわよ」
「今の状況でそんなに新型作って何するつもりだよ」
「さあ? 海賊対策には大げさだとは思うけどプラントとしてはどうしても物量を質で埋めなきゃならないから仕方ないかもね」
プラントは復興に際して本来の姿である工業施設としての顔を強くしていた、宇宙から資源を採掘し加工したものを地上へと運搬、対価として食料等を買い付けて戻るのだ。
その行為自体は何の問題も無いのだが一つ困った事が起こった、軍縮によってあぶれた人間や離反した人間達が海賊になって横行しだしたのである。
本来こうした海賊行為を取り締まるのは連合の宇宙軍であったのだが、月のアルザッヘル基地が壊滅のおり戦力の大半を喪失した連合宇宙軍は開店休業状態でとても海賊を相手に出来る状態ではない。
勿論ラクスも手をこまねいていた訳ではなくCEの聖剣伝説であるキラ・ヒビキ
(公式記録では連合少尉のキラ・ヤマトはオーブ沖にてMIAのため、生存確認されると出頭義務が生じるために改姓して別人となっている)
と歌姫の騎士団、再編中のザフトを総動員して対処したが神出鬼没の海賊達相手では後手に回らざるを得ない。
奇しくもデュランダルと戦っていたときの自分たちと同じ非正規戦に悩まされる事になったのだ。
しかも海賊達は軍縮を行なったラクス達がジャンク屋に解体を頼んだMSや艦艇を裏ルートから横流しで入手して使用していたのである。
この事態にラクスはプラント単独ではなく連合にも協力を要請し組合に対して抗議を行なったが
プラント、連合共にジャンク屋組合に廃棄予定の機体を買い取って貰い復興資金に回している現状では余り強くは出られない。
177小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 12:59:37.30 ID:???
本来なら戦闘用MSの民間所有など規制されてしかるべきだが前述の理由から抗議は形骸化し、組合側も遺憾の意を表明し横流しには厳罰を以って当たると返答を返したが、
元々が非合法スレスレのジャンク屋の集まりに過ぎない組合では指示に従わない者がいるのは当然、それどころか名前は登録してあっても実態は不明という人間の方が多いので如何とも出来ない。
そのような歪な構造から最も軍事力を持っているのがジャンク屋組合、次いで連合、プラントとなってしまっていた。
無論将来的には民間企業の集合体でしかない、しかもやっている事はテロ支援と変わらない組合は解体されることになるだろうが、
当然それを判っている組合側は政治家に鼻薬を嗅がせているし現状の戦力では組合が暴発した場合各国に相応の被害が出るのは確実で解体が何時の事になるのかは全く不明だ。
そういった背景がある以上は各国共に戦力の増強は必要なのだが、新型が開発されれば旧式が市場に出回るということで完全にイタチごっこになっていた。
シンたちも今まで治安維持活動の一環としてジンやM1といった旧世代機を相手にしていたがこれから先はザクやウィンダムを相手にする事が多くなるだろうから気を引き締めないといけない。
「こっちも新型が欲しいわよね」
「今使ってるアサルトストライクは第二世代の最後発だから性能的には第三世代に引けは取らないさ」
「それは分かってるけど、気分の問題よ」
腕組をして唸るルナマリアに苦笑いで応じるシン、そんな会話をしているとTVに映っていたラクスの姿が別の人間に変わっていた、次に現れたのもシン達が知る人物であった。
「オーブ首長国連邦代表、カガリ・ユラ・アスハです−」
どうやらプラント単独の放送ではなく、対談形式でもないことから各国の首脳が順番に話す番組らしい。
まあ現状で首脳同士の対談なぞさせれば責任の擦り付け合いの罵り合いにしかならないだろうから局側の賢明な判断だといえる。
「そういえば、今オーブって大変なんでしょ」
「みたいだな」
TV画面で現在の世界の状況を訥々と語るカガリだが、そのカガリが代表を務めるオーブは現状では一番困難な状況に陥っていると言っても良かった。
なにしろ前の戦いで得たものが何もないのだ、先の戦闘においてカガリの盟友であるラクスがプラントの議長に就任したので同盟関係は結んだものの、利益を引き出した訳ではない。
終戦直後こそオーブが誇る三つのアドバンテージである地熱発電、モルゲンレーテ、マスドライバーのおかげで一時的に復興需要による好景気に湧いたが、
諸国家郡が連合から供出されたNJCによって原子力発電を復活させると様相は一変した。
178小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:00:53.00 ID:???
それまでは各国から資源を安く買い、復興に必要な資材に加工して高く売りつけていたがエネルギー供給があれば生産ラインを動かせる。
つまり自国内での開発、生産が可能になったということで態々輸送コストや関税が掛かるオーブに依存する必要が無くなったという事だ。
それでも自国の製品とオーブ製品との間に雲泥の差があるならば需要はあっただろうがオーブ侵攻戦においてウズミが自爆した際に技術者の多くはプラントを初めとした各国家へと散っていた。
当然新天地において生活基盤を求める技術者は自らの持つ知識を活用するのは当然で、オーブが誇る技術的なアドバンテージは小さくなっていたのがオーブ離れに拍車をかけた。
それでも自国内に資源があれば今までより利潤は減るがまだ何とかなっただろうが、島国であるオーブにはコレといった資源が無いのでそれもままならない。
ようやく海洋資源の採掘に手を伸ばし始めたところで形になるまで暫くはかかるだろう。
その点同じような国家構造のプラントは宇宙という立地を生かしてアステロイドベルトなどからレアメタルを採掘しているのでオーブよりはマシである。
それに拍車をかけたのが主に予算、金融関係を一手に引き受けていたセイラン家の壊滅である。
元々セイラン家は五氏族ではなくカガリとサハク家のロンド・ミナ・サハク以外の五氏族が全滅した事から昇格した家でオーブ国民の大半はセイランを成り上がりとして馬鹿にしており、
宰相に納まったウナトやカガリを娶って名実共に権力を握ろうとしたユウナに対して嫌悪を隠す事はなかったが、その経済的影響力は衆目の認めるところであった。
だがジブリール追撃においてセイラン家は滅び、連合や経済界に太いパイプが無くなった事で金融市場において後塵を拝し、前述の理由が重なってオーブの経済事情は悪化の一途を辿っていた。
代表となったカガリも色々と経済政策に力を入れてはいるが、余り上手くいっておらず現在は戦後のスタートダッシュで稼いだ分を食い潰している状態である。
「気になる?」
「少しだけな、俺たちはもうプラントやオーブの住民じゃないから殊更気にする訳じゃない、ただ……な」
「そうね、火種にならないと良いわね」
政情不安は人心の荒廃を招き新たな火種に成りかねない、皿に乗っていた最後の煙腸を口に放り込んだルナマリアが真剣な表情で呟くのにシンは無言で頷いた。
放送は何時の間にか次の人間に代わっており、画面の中の人物はこれからの世界情勢と復興について語っている。
ラクスもカガリも今映っている人物も一様に話している事を要約すれば「今は苦しい時だが、復興の為に国家の垣根を越えて手を取り合い人類が一丸となって乗り越えよう」ということだ。
179小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:02:16.34 ID:???
「……正論だよな」
「そうね、でもご大層な言葉の割には何処の国も身が伴なわないのよね」
「言うなよ、空しくなる」
シンたちは国際緊急事態管理機構の直轄であるために世界中で活動する独立部隊である。
そのために行く先々で色々と各国の思惑に巻き込まれる事もあり、首脳がTVで喧伝しているような協力体制が必ずしも出来上がっている訳では無いことを知っている。
事実として皆が協力すべきと理解しているのに各国の首脳部はこの混沌とした世界情勢を利用して如何に他国を出し抜くかに血道を上げているし、
食い詰めた傭兵や敗残兵は夜盗に成り下がり人々に恐怖を与え、そんな夜盗共にジャンク屋たちは自らの利潤ばかりを追い求めてMSや武器を売りつける。
騒乱の元凶である夜盗やテロリスト達ですら、政府に対する反抗ではなく生きていく為に仕方なくやっているという食い詰めの連中が大半だ。
だからといって彼等を放置する訳にはいかず、彼等は駆逐するために別の力が必要とされ、その力の一旦としてシンたちが所属する《A-Laws》が結成されたのである。
そんな混沌とした状況がもう何年続いており未だに平和には程遠いのは、この世界に生きる誰もが感じていた。
それでも人はこの世界で生きていかなければならない。
今も二人の横に赤ん坊を抱いた若い母親とその夫だろう男が隣のテーブルに座り談笑している。
母親の肩越しにシン達を見つめてくる赤ん坊の無垢な瞳にルナマリアが思わず頬を緩めて手を振ると人見知りしないのかニッコリと天使のようなあどけない微笑を浮かべてくれた。
そんな光景を見てシンもついニヤけているとルナマリアの口から思わぬ言葉が聞こえてきた。
「子供って可愛いわよね、欲しくなっちゃう」
「え、ルナが欲しいなら頑張ってみるけど、早くないか?」
ルナマリアが何の気も無しに口に出した呟きにシンが真っ正直に応じた台詞を聞いて、一瞬コイツは何を言ってるのかしらと頭を捻った後に言葉の意味に気がついて顔を赤く染める。
「な、何言ってんのよ、将来の話!」
「ああ、そっかそうだよな、ははは」
若干焦った感じの笑いを続けるシンはルナマリアの叫びにあるブロックワードが織り込まれていた事に気がつかなかった。
笑い続けるシンを半眼で睨みつけているルナマリアは赤い顔のままそっぽを向くと口中でぼそりと呟いた。
「もう…… 大体子供より先にプロポーズでしょ」
「ん、何か言ったか?」
「何でもない!」
「……?」
「何でもないったら、御飯も食べたし遊びに行くわよ」
気を回した心算だったシンを怒鳴ると腕を掴んで半ば強引に引っ張って行くルナマリアの耳は赤く染まっていた。
180小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:05:52.39 ID:???
シンとルナマリアが夫婦漫才を繰り広げている丁度その頃、某所にて黒尽くめの一団が街の郊外に建つ古い教会の周囲に集まっていた。
そこへ一人の修道服を着た緑の髪をした柔和な雰囲気の男が一人歩いてくると、そのまま教会の中へと姿を消してゆく。
黒尽くめの集団の一人が手に持った端末を確認すると、そこには先程の優男の顔が映し出されていた。
「間違いないな、ブラヴォーよりアルファ、ターゲットを確認、指示を請う」
二度三度と画面とテーブルに居るシンの顔を見比べてから懐から小型の無線機を取り出してコールする。
「アルファからブラヴォー、こちらも確認した、アルファからブラヴォー、チャーリー作戦を開始する、可能ならば目標を確保、不可能なら処理しろ」
「了解」
通信を終えると同時に黒尽くめの人間達が一斉に動き出す、機敏で組織だったその動きは訓練された軍人のものだ。
先行した二名が教会の窓下に取り付くと、スタングレネードを二個取り出して窓から放り込む、一瞬ののち大音響と眼も眩む閃光が教会内で爆発した。
同時に周囲を取り囲んでいた3チーム9人が窓と扉を破って突入すると前方と左右の三方に銃を向けて警戒、教会内に視線を走らせ奥へと進んでゆく。
「Aブロック、クリア!」
「Bブロック、クリア!」
「Cブロック、クリア!」
「アルファより各隊、状況報せ」
「A2より、アルファ目標は確認できず、B2、C2も同様です」
突入した3つの分隊が教会の中を進行し全てのブロックの制圧が完了したことを受けて作戦目標を達成できたかの報告を促すが、返って来た答えはNOである。
「アルファよりブラヴォー、チャーリー目標の姿を確認していないか?」
「……」
それぞれ外側を警戒している、他の隊に目標を確認していないか連絡を送るが返ってくるのは無言だけだ。
「アルファよりブラヴォー応答せよ、チャーリー!」
「無駄ですよ」
「なにっ!?」
無線で必死に仲間を呼ぶ真後ろから柔な声が降ってきた、その声の主を確かめようと懐から銃を抜きつつ振り向くが誰も居ない、周りにいたはずの仲間も全て消え去っていた。
181小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:07:49.05 ID:???
「フフフ」
「く、どこだ、どこにいる」
姿は見えないが声は近くから聞こえる、眼を皿のようにして辺りに視線を飛ばすが眼には緑の森しか映らない。
背中にいやな汗を掻きながら気を配っていると無線から突入した部隊の悲鳴と銃声が聞こえて来る。
「A2よりアルファ、ここには奴らが揃って」
「ぐあっ」
「ぎゃっ」
「くそっ、撤退を」
現状から離脱するべく走り出そうとした瞬間脇腹に灼熱の痛みが走ると同時に体が地面に叩きつけられた。
「うああああっ」
痛みに苦鳴を上げながら脇腹をみると鋭い杭が突き刺さっていた。
内臓を貫通したのだろう口から血泡を吐きながら杭に手をやった男の目の前の空間がゆらゆらと揺れると忽然と教会に入っていった修道服の優男が現れる。
「こんにちは」
「が、き……貴様一体」
「携帯用のミラージュコロイドですよ」
「そ……んな物を、どこから」
「我々【チャペル】を舐めてもらっては困ります」
柔和な顔に笑みを張り付けたままの優男の右手が上がる、その手にはスプリング式の杭打ち銃が握られている。
「お仲間も全員、僕の同志たちが片付けました、ではさようなら」
スプリングの微かに軋む音と共に放たれた杭が頭蓋に突き刺さる音を聞いた優男は満足そうな微笑を浮かべると教会へと戻った。
「遅いぞ、レリニョーゾ」
「済みません、ファルツァ」
教会へ入った優男に声をかけて来たのは赤い髪を逆立てた大柄で逞しい筋肉を持っている男であった。
182小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:09:16.10 ID:???
「手前の不始末を回されたらたまらんぜ」
「そんな事を言う物ではないですよ、我々は同志です協力するのは当然ではないですか」
次に声をかけて来たのは革ジャンを肩に引っかけた暴走族風の男とそれを諌めたのは白い怜悧な容貌の線の細い男だ。
「カルマンドが正しいわね、フリオーゾ」
「うるっせえよ、アマービレ」
二人のやり取りに口を挟んできたのはまだ若い、いや幼いというべき外見の可愛らしい少女だ。
他にも教会の中には人種も服装も統一感のまるで無い人間が何人もいるが、その足元には例外なく教会に突入した男たちの死体が転がっている。
そんな中、教会の奥から豪奢なローブに身を包んだ巌の様な雰囲気を持った壮年の男性が現れ壇上にあがった。
すると銘々勝手にしていた人間たちはすっと居住まいを正して壇上の男に向き直る。
「よく集まってくれた、【讃美歌】諸君、ちょっとした余興が起こったのは想定外だったが一人の欠員も無く収まったのは諸君らの優秀さであると思う」
よく通るバリトンの声が教会内に響き渡る、話が途切れたのを見計らって壁際にいるスレンダーな美女が手を上げて発言を求めた。
「コンダクタ、襲撃してきた連中と情報元は分かったのかかしら?」
「デリツィオーゾ、それを今から話す所だよ」
「持ち物は何処からでも手に入るような物ばかり、当然身分を証明する物も所持していなかった、ドロローゾ達が歯型を調べているが、まあ難しいだろう」
「あら残念、でも動きは訓練された軍人だったわよ」
「うむ、故に恐らくはどこぞの国軍だろうと思われる」
そこでフリオーゾと呼ばれた男が壇上のコンダクタに声をかける。
「コンダクタ、集会がバレたのは誰の所為だか分からねえのか、つか今回の場を用意したのはレリニョーゾだよなあ」
「それについては申し訳無いと思っていますよ、ですが誓って僕ではありません」
「口では何とでも言えるわな」
フリオーゾとレリニョーゾの間に見えない火花が散り緊張が高まり、なにか一押しあれば殺し合いが始まっても可笑しく無いような雰囲気が周辺に満ちてゆく。
「そんな事を言う物ではありませんよ、フリオーゾ」
その空気を破ったのは、奥から聞こえて来た柔らかな声であった、高くも無く低くも無い男女の別さえ定かではないような中性的なその声を聞いた瞬間、教会に集まっていた全員が地に膝をつき畏まる。
扉を開いて中へ入ってきたのは白い法衣に身に付けた人間であった、体格は男性なら小柄、女性にしては大柄といった風で顔はベールに隠されており判然としない。
183小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/02(水) 13:12:15.87 ID:???
しかし何もせずに立っているだけでありながら漂ってくる存在感は圧倒的で自然に畏怖の念を抱かせるようなオーラを放っている。
「いらしていたのですか教主」
「ええ、折角【讃美歌】が集まるのです、皆の顔を見ておこうと思いまして」
「もったいないお言葉です」
壇上へ上がった教主の背後へ下がったコンダクタが改めて礼をとると薄いベールの奥に微かに覗く口元が笑みを形作る。
「皆の力添えで教団も大きくなってきました、そうなれば教団の中に二心を抱く者がいるのは仕方のないことです。
しかし此処へ集った【讃美歌】にはそのような不信心者は居ないと私は確信しています」
「しかし現に襲撃が」
「フリオーゾ、私の言葉に間違いがあると申しますか?」
なおも言い募るフリオーゾに教主から圧倒的な気配が注がれる、全てを包み込むような今まではとは真逆な凍てつく凍土のような鮮烈な気配である。
教主からもたらされるプレッシャーは教会内にいる全員に等しく降りかかっており、誰も言葉を挟めない、教会内の先程襲撃者を一蹴してのけた【讃美歌】たちが従順に従う教主の実力とは如何ほどのものなのか。
「いえ、決してそのような事は御座いません」
「分かっています、彼方の言葉は教団の為を思って言ってくれていると、しかしそれは此処に居る全員がそうなのです、それを忘れてはいけません」
「はい、申し訳ありませんでした教主」
「ではこの話はこれで終わりにしましょう、レリニョーゾも良いですね」
「御意に」
フリオーゾとレリニョーゾが従順に従うと放射されていた気配は雲散霧消し辺りに平穏が戻る。
教主は全員の視線を一身に受けると朗々と伸びやかな声で語りかける。
「教団の教えが世界に広まれば、人は自らのやるべき役割を正しく理解する事で悩み苦しむ事なく生きる事ができます、それは必ずや恒久的な平和と繁栄を作り出す事でしょう」
全員が陶酔した視線を教主へと注ぎ、その視線を真っ向から受け止めた教主が最後の言葉を投げかける。
「全ての人々に正しき運命を与える【真のディスティニープラン】のために【讃美歌】に祝福を」
「【讃美歌】の力をもって【チャペル】に祝福を!」
全員の声が唱和し熱狂的な混沌が教会内を支配していた。
【チャペル】とは【讃美歌】とは【真のディスティニープラン】とは、そして【教主】とは一体何者なのか
数々の謎を孕んだままCEの歴史は新たな戦乱の時を迎えようとしていた。
184通常の名無しさんの3倍:2011/03/02(水) 17:45:08.96 ID:???
小話さん乙!また濃い話が・・・。もし出来るなら続きも待ってます。
185通常の名無しさんの3倍:2011/03/03(木) 03:51:44.64 ID:???
大抵のアフターじゃ勝ち組二大巨頭なラクスとカガリもその実
自分の所だけで手一杯と見えるところへ何やらあやしげな軍団が…
基本設定として宗教が廃れて久しいとされてるが、言い換えればある意味
宗教に対する免疫が薄れているとも言えるわけで、そんな所で何かうまい事
人心を惑わし掌握したらカルト教団が容易に出来上がってしまうのかも。
続きもも楽しみにしてます。
186小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/03(木) 08:45:47.80 ID:???
ども小話です。
投下して1日たってみたら重大な間違いを発見してしまった(爆)
>二度三度と画面とテーブルに居るシンの顔を見比べてから懐から小型の無線機を取り出してコールする。
>「【讃美歌】の力をもって【チャペル】に祝福を!」
上は下の間違いです、まことに申し訳ありませんでした。
>画面に映っている目標、ルコーニ・フィルマーを確認した男が懐から小型の無線機を取り出してコールする。
>「【讃美歌】の力をもって【チャペル】に福音を!」

Gジェネしてたら唐突に書きたくなって、ぶっちゃけノープランで書いたものなので設定が大分粗いです。
チャペルについては外伝の一族や司書みたいに良く分からないけど凄そうだぞという雰囲気が出てれば良いかなと思ってます。
一応コードネームを音楽用語で統一するってだけしか決まってません
今回出てきた連中も優男以外はキャ○リンからイメージ貰ってますし
讃美歌メンバーの幼女とかヤンデレとかドジっ娘メイドとかお嬢…もとい女王様とか
考えてましたが出てくることは無いだろうなあ。
そのうち書いたら、また宜しくお願いします。
187通常の名無しさんの3倍:2011/03/03(木) 21:27:25.07 ID:???
チャペルって聞いたら、トライガンが思い浮かんだ。
188通常の名無しさんの3倍:2011/03/07(月) 19:50:47.27 ID:???
従来の宗教の権威が軒並み消失(笑)した種世界で新たな宗教団体、
胡散臭いことこのうえねぇw
189通常の名無しさんの3倍:2011/03/07(月) 23:32:48.92 ID:???
しかし、新たに勃興しつつある宗教もあるしなぁ。

「あなたが信じるのは、おっきなオッパイですか? それとも小さなオッパイですか?」
190通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 00:34:55.59 ID:???
そんな、どっちかを答えた瞬間に逆側から粛清されるような宗教いやずら…
191通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 01:03:22.80 ID:???
普乳が一番良いと思う俺は安全だな
192通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 02:28:26.63 ID:???
>191
あんた勘違いしてないか?
もともとは”おっぱい教”というひとつの宗教なんだぞ。
それが、微乳、普乳、巨乳、爆乳、美乳、その他もろもろに枝分かれして
お互いがお互いを喰らいあうような底無し沼のような壮絶な戦いgあ
193通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 16:17:47.50 ID:???
だからお前らはアホなのだぁ!
おっぱいに貴賎はない、ただあるだけですばらしいものではないか
重要なのは自分が触ってもいいおっぱいがある、ただそのことのみよ!

by魔法使い手前
194通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 23:33:36.40 ID:???
嫁の胸は小さいけど俺はそれで満足だったりする
本来は割りと巨乳すきだったけど矯正された
このスレっぽく言うならピーキーなカスタマイズの機体になれるようなもんじゃない?
195通常の名無しさんの3倍:2011/03/08(火) 23:49:40.46 ID:???
ばっかオメー、このスレでいうピーキーなカスタマイズってのは貧ニュとかじゃなくて尻とか太腿とかうなじとかおへそとかちょいマニアックな性癖みたいなもんですよ?
じゃあ、シン専用に調整された機体はシン好みなのかって言うと、まぁ、それはそれで……
あと平然と嫁とか言う奴は髪型爆発してアフロになれ。 季節の変わり目だから風邪ひくなよ!
196通常の名無しさんの3倍:2011/03/09(水) 00:34:42.01 ID:???
おっぱいって愛でるモノなの?
それとも育むモノなの?
197通常の名無しさんの3倍:2011/03/09(水) 01:59:08.73 ID:???
にんげんはな
だれでもうまれたときからおっぱいすっておおきくなるもんなんやで
つまりおっぱいとはすうことでおさなごのいのちをはぐくむものでFA
198通常の名無しさんの3倍:2011/03/09(水) 09:56:28.43 ID:???
愛でれば愛でるほど育っていくんだよ、きっと
199通常の名無しさんの3倍:2011/03/09(水) 23:20:56.06 ID:???
みなたまのように慎み深い胸が至高でソキウス!巨乳なんて垂れて行くだけでソキウス!!
200通常の名無しさんの3倍:2011/03/10(木) 00:08:29.12 ID:???
ラクス「貧乳はステータス、ですわ」

種死のどの話だったか、ミーアのライブ映像を見てるラクスの顔が
嫉妬で歪んでいるように見えたのは
201通常の名無しさんの3倍:2011/03/10(木) 17:38:02.44 ID:???
存在自体が悪が言うと、同じような乳や髪の色のキャラまで風評被害を受けるなw
202通常の名無しさんの3倍:2011/03/11(金) 15:27:36.02 ID:R+Q+keTx
無事か?
203通常の名無しさんの3倍:2011/03/11(金) 16:39:13.68 ID:???
>>194
そもそも理想のタイプと結婚する人間など1%もいない
204通常の名無しさんの3倍:2011/03/12(土) 03:17:40.75 ID:???
職人諸氏もご同輩読者もみんな無事だったかい?
205通常の名無しさんの3倍:2011/03/13(日) 22:18:17.14 ID:???
>>204
1読者だが、問題ない
206通常の名無しさんの3倍:2011/03/14(月) 05:57:37.25 ID:???
何回か投下したもんだけどとりあえず無事ー
募金とか献血いってきまー
207通常の名無しさんの3倍:2011/03/14(月) 22:43:57.28 ID:???
レスが少ないんで心配になってきた…
職人・住人の皆様、落ち着いたら一言でいいから書きこんでくれー
208通常の名無しさんの3倍:2011/03/14(月) 23:49:38.75 ID:???
1読者だけど無事
献血5月まで出来ないから貢献出来るの無いな
209通常の名無しさんの3倍:2011/03/15(火) 00:11:06.76 ID:???
読者だが関西在住だったから無事だ。
210XXX[スレ268:2011/03/15(火) 09:46:59.54 ID:???
一応報告
地震とは全然関係ない所で風邪でダウンしてましたが無事です
211通常の名無しさんの3倍:2011/03/15(火) 11:16:36.55 ID:???
俺も1読者だが何とか無事だ
ただ周りからだんだんガソリンや灯油といった物資が無くなりつつある…
早く復旧してくれるのを心から祈ってるよ
212ジャスティス!:2011/03/15(火) 20:09:13.26 ID:???
遠くからですが、直接被害にあった方々、関東圏で計画停電等に右往左往されてる方々にエールを送らせていただきます。

先月、鉄分不足で献血断られたのはこのためだったのか……。
213通常の名無しさんの3倍:2011/03/15(火) 22:52:15.65 ID:???
南九州に居るとどうしても地震の被害が無いんで実感薄いが、東京近辺の友人がマジで大変そうで笑えないわ
まあ、こっちはこっちで桜島と新燃岳絶好調でこれまた面倒臭い

とりあえず、ファミマやらからでも出来るから赤十字とかへ募金しようぜ!
214逆襲日記:2011/03/16(水) 00:11:01.27 ID:???
報告しておきます。
日本の真ん中あたりなので無事です。
ただ、あちこちで地震が頻発しているようなので心配です。
今度は静岡……これ以上、広がらないといいのですが。
215通常の名無しさんの3倍:2011/03/17(木) 05:30:35.67 ID:???
日本赤十字には募金するなよ
216通常の名無しさんの3倍:2011/03/17(木) 15:56:19.72 ID:???
しかし、こういう災害が起こった後だと、
MSとは本来、こういう時の為にあるべきなんだよなぁ…と考えてしまう。
217CSA ◆NXh03Plp3g :2011/03/17(木) 18:39:55.40 ID:???
どうもご無沙汰しております。

まさか核パニックの話を書いた自身が核パニックに遭遇する事になるとは。
縁とは数奇なものですね。

今のところ無事ですが、地元が茨城土浦なのでもう覚悟してます。
218通常の名無しさんの3倍:2011/03/17(木) 19:09:34.28 ID:???
久しぶりに顔出してくれたのは嬉しいが、早く避難した方がいいんじゃ?

…しかしゴルゴのエピソードまんまだな、今回の騒ぎ
219CSA ◆NXh03Plp3g :2011/03/17(木) 19:41:23.95 ID:???
いあ、まぁ、避難する金もガソリンもないしで八方塞です。
まぁ位置関係的にはチェルノブイリ〜キエフと同程度の距離(約130km)があるんで、
今すぐどうこうな事態になるとは思っていませんが……

妹夫婦には連休中はこっちくんなと言ったけど。
220通常の名無しさんの3倍:2011/03/18(金) 01:19:48.16 ID:???
俺は福島県内在住の人間だけど半径100キロ離れてるならまだ大丈夫らしいよ
ただ、今、福島県では半径30キロの人間は避難することになってるけど明らかにマズいと思う;
政府はどこまで隠す気なんだかな
ある意味避難終わったって嘘ついたオーブと変わらないわ
221小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/03/18(金) 09:51:52.83 ID:???
千葉の北東部です。
ようやく電気が通りましたが、断水が1カ月とか続くらしいです。
222通常の名無しさんの3倍:2011/03/19(土) 17:09:11.57 ID:???
…お互いに頑張ろうな
223Future Select:2011/03/22(火) 23:03:16.93 ID:???
この度の東北地方太平洋沖地震により被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げると共に、
愚作ではありますが、今回の地震をテーマにした1つのSSを投下させて頂きます。
このような愚作で、このスレの住人で被災を受けた方々の心が休まるとは思えませんが、少しでも心に響いてくれれば幸いです。
224Future Select:2011/03/22(火) 23:06:59.51 ID:???
C.E74年 メサイア攻防戦
人類を遺伝子によって管理する計画、デスティニープランを世界に提唱したギルバート・デュランダル。
デスティニープランを未来を殺す計画と断定し、デュランダルに刃を向けたラクス・クラインとカガリ・ユラ・アスハ。
運命か、自由か、全人類の未来を左右する筈だったこの2つの陣営の戦争は、唐突に幕を閉じる事となった。


開戦する直前、C.E史上類を見ない巨大地震が世界各地で同時多発的に発生し、それに付随する地割れや津波、火山噴火や気象異常がユニウスセブン落下による被害の復旧もままならない人々、
所謂弱者が暮らす地域を直撃したのである。
被害の少なかった国際主要都市等の地域に住んでいた人々は、地震による混乱とライフラインが断たれるのでは、という不安から我先にと食料等を求め始め、その騒ぎは直に暴動へと発展。
ブルーコスモスによる後ろ盾を失い弱体化していた地球連合軍には、被災地の救出活動どころか暴動を沈静化させる力すらなく、地上は文字通り地獄絵図と化した。
それを好機と見たプラントの上層部は、この騒ぎに乗じ一挙に野蛮なナチュラル共への粛正と支配をする様デュランダルへと提案する。
ところが、デュランダルの返事は、誰もが予想もしない答えであった。

デュランダルはZAFTに対し、必要最低限のプラント護衛部隊を残し、残りの兵力は全て『武装を完全放棄したMS部隊』
つまり、人命救助や被災地の復興作業等『MS本来の用途』を行う為の部隊を編成し、地球に降下するよう命令したのだ。

デュランダルから突然言い渡されたとんでもない命令に、当然ながら当初のZAFT軍人は困惑した。
しかし、ZAFTの人材はそのほとんどを10代後半から20代前半、つまり成人して間もない『青年達』によって構成されている。
若い彼らが、例えナチュラルであろうと『人を殺す』命令と『人を救う』命令……どちらの命令により積極的に従うかは明白であり、彼らが行動を起こすのにそう時間は掛からなかった。
渋る上層部を無視したフェイス達によって構成された『完全な人命救助作業』の為の地上降下部隊は、ラクス・クライン達の『真横』を通り過ぎ地球へと降下していく事となった。


それに合わせ、ZAFTに完全に無視される形となったラクス達は、自分達の今後の行動を決めあぐねる事となった。
ZAFTの主力部隊が地上に降下した今、このままプラントに進行すれば間違いなくデュランダルを討つ事ができる。
しかし今彼が行っている行動は、誰がどう見ても正義の行動である。
真意は兎も角として、民衆が正しい行いだと考える行動をしている人間を討つには、それ相応の大儀が必要になる。
だがデスティニープランの全容も把握せず行動を起こしてしまった彼女達には、プランの具体的な問題点の指摘も、それに変わる新たなビジョンも持ち合わせいない。
それこそデュランダルがアルハッゼルの様な軍事基地ではなく、オーブを国民ごとレクイエムで焼き払う、といった非人道的な行動を起こそうとでもしない限り、彼女達に大義名分は訪れないのである。
また、良くも悪くも根からの善人であるラクスやキラ達にとって、今回の災害は見過ごせるものでは無く、彼女達と共に進行してきたオーブ軍は被害を受けたであろう母国の救援に戻らなければならない。

結局、ラクス達もまたZAFT軍同様、被災した人々の救出の為に地上へと引き返し、メサイア攻防戦は1人の犠牲者も出すことなく、終結する事となった。
225Future Select:2011/03/22(火) 23:11:51.23 ID:???

余談だが、その後プラントとオーブ…言い方を変えればデュランダルとラクス、そしてカガリの3名は、一時停戦し地震の被害を受けた地域の復興活動を協力して行っていくことを同意。
その活動の過程で歩み寄る事ができた両者は、運命だけでも、自由だけでも人類を救う事は出来ないと新たなプラン『フューチャーズプラン』を計画。
モデルとしてオーブとアプリリウスコロニーに導入し、人類の新たな未来への第一歩を歩み始める事となる。


何故デュランダルはあの様な命令をZAFTへと下したのか……その理由は2つある。
1つは今回の事件が『人災』ではなく『天災』だったという事。
人間は本能的に自然災害を恐れる傾向があり、それは宇宙へと進出したC.Eの時代でも変わらない。
その証拠に、今回の地震による被害の規模は、ブレイク・ザ・ワールドによるユニウスセブン落下時の被害の方が遥かに大きかったのにも関らず、人々の混乱はその時を遥かに上回っている。
どれほど技術が発達しようと人類が自然の前ではどれだけ無力な存在なのか、それを目の当たりにしたデュランダルが、人間同士で争っている場合では無いと考えても不思議ではない。

そして2つ目の理由。
それはデュランダルが動くよりも早く、被災地への救出活動へ向かう許可を上申して来た1人の兵士にあった。
その兵士とは唯の兵士ではない。ZAFT軍トップエースのMSパイロットであり、デュランダルが対キラ・ヤマト用に準備してきた唯一の切り札である。
申請が通らなければ退職も辞さない、と豪語したその兵士の熱意が、デュランダルの背中を後押しする形になったのだ。

後にデュランダルはこう語っている……
「彼に言われてしまってね。『目の前にいる傷ついた人も救えずに、人類を救う事が出来るのか』と…」
「『自分は敵を何百人も殺すスーパーエースではなく、たった一人を救うヒーローごっこを選ぶ』…若者にそう啖呵をきられてしまっては、私も負けていられない。そう考えたまでだよ」
226Future Select:2011/03/22(火) 23:16:28.08 ID:???

東アジア共和国の最端……かつて日本という名の島国だったというこの地域は、今回の地震で最も『津波』による被害が大きかった場所の1つである。
本来は美しい街並みが広がっていたのであろう、まるで沼のような水溜りの所々に建物の屋根が見え隠れする被災地の上空を、1機のMSが飛行していた。
トリコロールカラーの機体にフェイズシフト装甲採用機特有のV字アンテナを持つ頭部、背部から見えるまるで翼のように大型のスラスター。
震災が起こる前の地球連合軍が見たら、一目散に逃げ出すであろうZAFT軍最新鋭MS。

ZGMF-X42S デスティニー

しかしその姿は、ヘブンズベース攻防戦やダイダロス基地進攻の時のものとは若干異なっていた。
まず背中の対艦刀と長距離ビーム砲がオミットされ、ビームブーメランとビームライフルも装備されていない。
また突貫で改造でもしたのか、掌部に装備されていたパルマフィオキーナの砲口は平たい金属板で塞がれており、その部分だけを見ると酷く不恰好になっている。
「…………」
そのデスティニーのパイロット、シン・アスカは、目下に広がる景色をじっと見つめながらゆっくりとデスティニーを移動させていた。
レーダーとモニター、その2つを忙しなく見比べるその視線には一点の油断も見当たらない。
「!」
そうして移動すること数分、シンの表情に変化が訪れる。
「見つけた!」
コックピットの中で叫んだシンは、急いで機体を降下させる。
彼の視線の先には、水の中から僅かに飛び出した建物の屋上。その瓦礫交じりの屋上に、生存者と思わしき人影を発見したのだ。
「救援隊のシン・アスカです!そのまま動かないでください!」
生存者もデスティニーが近づいて来たのに気付いた様で、瓦礫に捕まりながらこちらに向かって必死に手を振る生存者に外部スピーカーで呼びかけながら近づく。
生存者は女性。
しかもメインモニターに見える姿を見る限りまだ子供だ。
『…………』
女の子はこちらに向かって必死に何かを呼びかけている様だが、残念ながら何を言っているのかまでは聞こえない。
しかし、何を訴えているのかは直に察しが付いた。
「足を怪我してるのか!!」
立ち上がることが出来ないのであろう、座り込んだままの彼女の様子に、シンは急いでデスティニーを建物の横へと着水させる。
浸水したとはいえ、MSからすればどうという水深ではない。丁度コックピット部分が、彼女が居る瓦礫の横に来るようデスティニーを移動させたシンは、救急箱を引っ張り出しながらコックピットを開く。
「おいっ大丈夫か!?」
コックピットから飛び出すと共に、被災した女の子に向かって叫ぶシン。
「ひっ!?」
しかし先程までデスティニーに向かって手を振っていたはずの女の子は、シンの姿を見るなり怯えたように身を震わせる。
「あっ……」
その様子にシンは、己の失敗を呪う。
227Future Select:2011/03/22(火) 23:21:14.84 ID:???

彼女は先程までは助けを呼ぶことで頭が一杯だったのであろう。生存本能に基づくその行動に形振りなどなく、相手に対する恐怖心など存在しない。
しかし助けを呼ぶ事ができたという一種の安堵感を覚えた今、彼女の脳裏には再び被災から来る恐怖心が蘇る。
そこに来て現れたのか、MSから怒鳴りながら飛び出してきた見ず知らずの外国人、しかもコーディネーターと来れば彼女が怯えるのも無理はない。
「あ、あぅ…」
「ま、待って!」
首を振りながらずりずりと後ずさろうとする女の子に対し、出来るだけ優しい声色で話すシン。
「逃げないで。俺は君を助けに来たんだ」
「……たす、け?」
「そうだよ」
震えながらシンを見つめる女の子に対し、シンは優しく微笑む。
「俺はシン、シン・アスカ…君の名前は?」
「……ホシナ」
「ホシナちゃん…だね?」
「………ん」
「ホシナちゃん、かわいい名前だ」
怖がらせないよう細心の注意を払いながら、シンはゆっくりと彼女に近づく。
「ホシナちゃん、足怪我してるだろう?お兄ちゃんに見せてもらってもいいかい?」
「…………」
「大丈夫。痛くしないから……ねっ?」
「………ん」
「よし。いい子だ」
優しく話しかけるシンに警戒心が薄れたのであろう、ゆっくりと頷いたホシナに対し、シンは微笑みながら頭を撫でる。
「……ぅ……ぅう……うゎわああああん!!」
そして、シンに撫でれた事で極度の緊張から開放されたのか、ホシナはシンの胸へと飛び込み大声を上げて泣き始めた。
「こ、こわが…った…こわかったよぉ!!うゎぁあああぁあん……!!」
「うん。こわかったなぁ……1人でよくがんばったなぁ…」
「うぁぁああぁああ…!!」
そのまま泣き叫ぶホシナに優しく囁きながら、シンはホシナが落ち着くまで、彼女を包み込むように抱きしめ続けた。
228Future Select:2011/03/22(火) 23:26:24.82 ID:???

幸いホシナの体に目立った外傷はなく、足の怪我も軽い打撲の様であった。
応急処置を終えたホシナを自分の膝の上に乗せたシンは、怪我に響かぬようゆっくりと避難者用テントのある高台へとデスティニーを移動させていた。
「やった!」
その途中、この地域の行方不明者と捜索依頼者用データーベースにアクセスしたシンは、ある吉報を入手する。
「ホシナちゃんのお母さん、これから行くテントからホシナちゃんの捜索依頼を出してる!お母さんは無事だよ!」
「ホント!?」
「ああ。もう直に会えるから、もうちょっと我慢してね」
「うん!」
一度思い切り泣いた事ですっきりしたのか、屋上に居た時より格段に明るくなったホシナは元気良く頷く。
「ねぇシンお兄ちゃん!早く早く!!」
「わ、分かった。分かったから、そんなに暴れないのっ!」
(お兄ちゃん…か)
そして何時の間にかすっかり懐かれてしまったシンは、困惑しながらも何処か懐かしい感覚に捕らわれていた。

「ママー!!」
「ホシナ…!」
シンが事前にホシナの救出の件を報告していたからだろう、避難者用テントへと付いたホシナは直に母を見つける事が出来た。
「この度は、何とお礼を申し上げたらいいか…」
「あ、いや…俺は自分の仕事をしただけですから、頭を上げてください」
ホシナに事情を聞いたのであろう、深々と頭を下げるホシナの母に対し、その行為がこの地域特有の感謝の表し方だとオーブの暮らしで知っているシンは慌てて首を振る。
尚も頭を下げる母親と、また会いに来ると約束したホシナと分かれたシンは、食事を摂る為救援隊用のキャンプへと戻る。
本来なら食事など摂らず救助を続けたい処だが、助ける側が体調を崩しては元も子もない。とりあえず必要最低限の休憩は取り、それ以外の時間は全力で救援作業を行う、そうシンは心に決めていた。
「おっ!」
食堂として準備されたテントで、シン見慣れた姿の先客を見つける。
「ルナ、レイ。お疲れ!」
食堂として準備されたテントには、ルナマリアとレイが先客として訪れていた。
「シン、遅かったな」
シンの労いの言葉に返事をするレイ。
「あら、シ……ぷっ」
それに習おうとしたルナマリアだったが、何故かシンの姿を見るなり行き成り吹き出した。
229Future Select:2011/03/22(火) 23:31:05.64 ID:???
「な、なんだよルナ!人の顔見るなり」
「あっ、ゴメンゴメン」
当然の抗議をするシンに対し、ルナマリアは笑いながら掌をヒラヒラと振る。
「何か、ZAFTの赤服3人が揃って凄い格好だなぁって」
「格好?」
「確かにな…」
首を傾げるシンに対し、ルナマリアに同意するレイ。
それを見たシンは改めてルナマリアとレイ、そして自身の姿を眺める。
3人が3人、赤服ではなく灰色の作業服に身を包み、足は長靴、頭には作業帽、顔には作業の途中で掛かったのであろう泥が所々に付着している。
はっきり言って、ZAFTのトップエースである面影は微塵も感じなかった。
「なるほど…」
ルナマリアの言いたい事を察したシンも苦笑する。
「でも、これでよかったのかも知れないわね」
「……良かった?」
「あっ勘違いしないでね」
眉を顰めるレイに対し、再び掌をヒラヒラさせたルナマリアは溜息を付きながら口を開く。
「もちろん、地震が起こって良かったって訳じゃないわよ?でも何て言うか、シンもレイも変わったのよね〜」
「「……そうか?」」
「「……さぁ?」」
「ぷっ…!」
ルナマリアの言葉にシンとレイはお互いに不思議そうな顔をしながら見つめあい、お互いに首を傾げる。
その様子を見ていたルナマリアが再び吹き出す。
「そういう所が変わったって言ってるの!後、よく笑う様になった」
「「……そうか?」」
「そ・う・よ!」
再び顔を見合わせるシンとレイに対し、ルナマリアはコンッと軽く拳骨を当てると立ち上がる。
「それじゃ、私先に作業に戻るから。ちゃんと休憩してから来なさいよ?」
「ああ」
「ルナもヘマしない様にな」
「うるさいわよ〜」
そう言い残してテントを出て行くルナマリア。
230Future Select:2011/03/22(火) 23:35:48.72 ID:???

その様子を見届けたシンとレイは、お互いに顔を見合わせる。
「……わざとらしかったかな?」
「どうだろうな。ルナマリアはああ見えて、鋭いところもあるからな」
「だな」
2人きりとなったテントの中に、2人の笑い声が木霊する。彼らも気付いているのだ。自分達が変わったということに。
愛する人を奪った者を恨み、憎しみで戦う事しか出来なかった自分と……
生まれ持った宿命に抗えず、自由に生きることを放棄した自分と……
「体は大丈夫なのか?」
「ああ、暫くは問題ない。だがテロメア問題の根本的な解決策は無いから、常人より早く死ぬだろうがな」
「そう…か」
「だが、俺はシンに感謝している」
「えっ?」
思いがけないレイの言葉に、顔を上げるシン。
すると目の前には、真面目な表情をしたレイの顔があった。
「この任務を通じて、例え作られた命でも、誰かの命を助ける手助けができると判ったんだ。ルナマリアじゃないが、俺はこれで良かったと感じている」
「レイ…」
「もしあのまま戦い続けていたら、きっと俺は死ぬまで自分の命に価値など見出せなかったろう。ありがとう、シン」
「……俺は、何もしてないだろ?」
「お前なんだろう?ギルにこの任務を上申した張本人は」
「!?な、なんでそれを…!」
「昨日ギルから聞いたんだ」
してやったり、と言った顔でニヤリと笑いながら立ち上がるレイを見て、何か性格悪くなってるんじゃないか?と内心で溜息を付くシン。
「じゃあ俺も先に行く。お前はもう少し休んでから来い」
「あっレイ!」
そのままテントを出て行こうとするレイを慌ててシンは呼び止める。
「何だ?」
「その…俺、クローンとか難しいことはよくわかんないけど、これだけは言えるんだ」
「…………」
「生きろよ、レイ。お前は他の誰でもない、俺の親友レイ・デュランダルなんだから……」
「……わかっている。…だが、ありがとう」
そう応えたレイの表情は、確かに微笑んでいた。
231Future Select:2011/03/22(火) 23:40:14.00 ID:???

昼食を5分で平らげたシンであったが、ルナマリアとレイの言葉に甘え少々休憩する事にした。
訪れたのは、避難者用テントからは大分離れた浜辺。
場所が良かったのだろうか?津波が来た後だというのに、その浜辺の海は綺麗に澄み渡り、瓦礫も落ちていない。
デスティニーのコックピットから降り立ったシンは、ゆっくりとその浜辺に腰を下ろし、そのまま横になる。
サラサラした砂浜の感覚が心地いい。
軽い睡魔に襲われたシンは、そのままゆっくりと瞼を閉じていく。

デュランダルに被災地の救援する許可を申請した理由、そんな物はない。
ただ何となく、本当に何となく、行かなければならない……そんな気がしただけだ。
だが今思い返すと、これは『彼女』の意思なんじゃないか、と思えてくる。
『彼女』を守れなかった事を悔やみ、憎しみに捕らわれる俺に対して、他にやれることがある、守れるものがある、と教えてくれたのではないか、と。
そう、忘れたくても忘れられない『彼女』の……


『ン……シン……』

――ら?

『シンには、あしたがあるの』

あした…?

『うん。だから、シンとはまたあした』

どうして…?

『まえをみて…あしたをみて、シン!』

……うん

『またあしたね、あした!』

そうだね…また、あした…


どんな目に遭おうと、どんなに絶望に立たされようと
生きている限り、希望はある
生きている限り、明日はやって来るさ
だから、

「また明日……ステラ」
232通常の名無しさんの3倍:2011/03/23(水) 01:36:16.16 ID:???
ネタ的にはアレかも知れんがあえて言わせてもらおうGJと
233通常の名無しさんの3倍:2011/03/23(水) 15:32:31.02 ID:???
>>223-231
XXX[スレ268氏ですよね?GJです。
登録にあたりひとつ確認させて頂きたいのですが、

>「生きろよ、レイ。お前は他の誰でもない、俺の親友レイ・デュランダルなんだから……」

これは書き間違いか、それとも改めて正式に養子縁組したという解釈で
よろしいんでしょうか。
234通常の名無しさんの3倍:2011/03/23(水) 16:18:03.71 ID:???
GJっしたー!!
何というか……もしこれが本当の最終話だったとしたら、
打ち切りENDっぽいのに本当のエンディングより感動できると思う。

後、ホシナた(ゲフンゲフン… ちゃんは何歳位の設定なんだろう?
シンが助けようと必死に行動しているのは分かるんだが、脳内再生するとどうしても犯罪臭がwww
235XXX[スレ268:2011/03/23(水) 21:22:44.38 ID:???
>>233 そうです。最初に明記しておくべきでした、すみません。
レイ・デュランダルの件については書き間違いではなく表記の通りです。
何か蛇足っぽくなってしまいましたね…


蛇足ついでに、
>>224 ホシナの年齢は生前のマユと同じ位の設定です。黒髪黒瞳をマユをイメージして頂ければいいかと……
236通常の名無しさんの3倍:2011/03/24(木) 20:36:27.61 ID:???
議長とラクスが手を取り合うって違和感が半端ないなwwwGJでした。

しかし、せっかく投下があったというのに人少ないなぁ
東日本が大変な事態になってるから仕方ないんだろうけど…
237通常の名無しさんの3倍:2011/03/25(金) 22:32:10.91 ID:???
宮城人の俺が通りますよ
あえてコメントはしない
238通常の名無しさんの3倍:2011/03/26(土) 01:28:20.06 ID:???
>>237
してるじゃねか、馬鹿かお前www
239通常の名無しさんの3倍:2011/03/28(月) 20:34:11.12 ID:???
ホシナに逢いに行く際にルナを連れてったら女の戦いが始まって固まるシンが想像されたんだけど俺は汚れちまったんだろうな・・・
240通常の名無しさんの3倍:2011/03/28(月) 22:42:03.55 ID:???
いくらなんでも幼女相手に対抗意識を出しはしないだろw
せいぜい「モテモテねぇ、お・に・い・ちゃ・んw」とか言ってからかう程度か。
241通常の名無しさんの3倍:2011/03/29(火) 08:38:12.48 ID:???
そしてシンがうっかり、(何故か)未亡人だったホシナちゃんの母を攻略しちゃうんですね。
わかりまry
242通常の名無しさんの3倍:2011/03/29(火) 14:13:06.99 ID:???
243通常の名無しさんの3倍:2011/03/29(火) 14:46:17.88 ID:???
ロミナママンの降臨を所望する…!
244通常の名無しさんの3倍:2011/03/29(火) 15:41:40.24 ID:???
245通常の名無しさんの3倍:2011/03/29(火) 15:58:20.89 ID:???
>>243
やはり熟女と少年の絡みには需要があるな
246通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 16:38:44.90 ID:???
>>245
画像一枚から始まったそれが今に繋がって…
247通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 17:25:25.00 ID:???
>>246
ニコルの両親カワイソス→ロミナって誰だ?→つ画像→SSに登場→黒化→半レギュラー化
こんな流れだけど一枚の画像で熟女人気が加速したのは確か

その前にも熟女もといお婆様だとか行き遅れジブリがいたけどパンチ力が無かった。
248通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 17:55:32.14 ID:???
貼った張本人なんだが
ググったら真っ先に出てきたのがあのエロい絵だったw
というかある程度の大きさとなるとあれしかないんだよ……
はっきりいって種(種死抜きでね)だと魔乳とナタルの存在感が圧倒的だ
まあ登場回数が圧倒的に違うからしょうがないけど
249通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 18:43:15.54 ID:???
>>247
画像が張られた後のロミナママンSS祭りはすごかったなぁ
何が職人さん達のツボに入ったかは知らんがすごい勢いだった
……やっばスレに色気が足りなかったk(ry
250通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 18:49:45.98 ID:???
アズラエル嬢のパイスーはぐっと来ましたが何か?
251通常の名無しさんの3倍:2011/03/30(水) 21:09:24.92 ID:???
Dr.K「何故私の絵を投下する絵師は現れんのだ」
サイ「Drはまだ2話分しか登場してないじゃないですか!」
Dr.K「容姿に関する描写は十分にあった筈だろう?」
サイ「だからって気が早すぎですよ!先人の皆さんに謝って下さい!」
Dr.K「…ショウジキスマナカッタ(ペロペロ」
サイ「まずキャンディ舐めるの止めろー!!」
252通常の名無しさんの3倍:2011/03/31(木) 17:53:32.72 ID:???
ドクターはまず脱ぐかメタな番外編に登場しなきゃ
253通常の名無しさんの3倍:2011/04/01(金) 00:40:44.84 ID:???
さあ今日はウソを言っても怒られない日だ

お嬢様の貧乳ゥゥゥゥゥ!!!!
254通常の名無しさんの3倍:2011/04/01(金) 10:14:32.05 ID:???
おいおいそれは嘘になってないだろ
255通常の名無しさんの3倍:2011/04/01(金) 23:28:31.91 ID:???
ああ、何も無い平和なエイプリルフールでしたね

そこの床はいくら調べても何も出ませんよ?だから、ルミノール反応なんて出ませんって!誰もGカイザーに踏まれてないって!!
256通常の名無しさんの3倍:2011/04/02(土) 14:16:18.04 ID:???
>>255
>>253>>254も普通に生きてるからな
257通常の名無しさんの3倍:2011/04/02(土) 14:41:06.26 ID:???
そして今はどこぞの地下室で洗脳中だ。
258通常の名無しさんの3倍:2011/04/02(土) 23:12:40.41 ID:???
紫の目の部屋とかモカモカ室から幾度となく職人を救出して来たレスキューの出番か
259通常の名無しさんの3倍:2011/04/03(日) 01:23:10.89 ID:???
え? 捕まった職人さん達ってジオンに捕虜にされたレビル将軍の如く自力で脱出してるんじゃなかったの!?
260通常の名無しさんの3倍:2011/04/03(日) 16:01:34.34 ID:???
>>258
傭兵シンの出番ですねわかります
そして、傭兵シンVS多次元宇宙のシンの戦いとオチ要員のシンの降臨も
261通常の名無しさんの3倍:2011/04/04(月) 09:21:44.10 ID:???
>>259
お嬢様に胸なしとか言ってまた捕まるのかw
262通常の名無しさんの3倍:2011/04/04(月) 11:23:00.17 ID:???
>>261
このスレで言えばアズ子に胸なし、ジオンに胸ありなんだな(CSA氏のフレイを横目に見ながら)
263通常の名無しさんの3倍:2011/04/04(月) 12:19:36.30 ID:???
掃除の仕事を増やしやがって…
264通常の名無しさんの3倍:2011/04/05(火) 12:19:34.80 ID:???
まったく、皆何をやっているんだか……

いいか、おっぱいというモノは尊いものなのだよ
大きい、小さい、そんなものは関係ない!
大事なことは自身の胸と向き合いその胸をより良いモノにしようとする姿勢だ!
胸に合った…いや、自身の胸を生かす服装をしてこそ女性の胸は輝くのだ!!


と、俺は某胸ソムリエに教えられたんだが皆もそうは思わんかね?
265通常の名無しさんの3倍:2011/04/05(火) 14:22:44.05 ID:???
あーもしもし?今電話代わったよ?シン君どうしたんだよ。そんな泣きながら?
え?このスレの雰囲気があまりにアレだ?うん…まあしょうがないよ。
…え!?お見合い受けてくれるの!?じゃあ当日これから言う場所に来てくれ。
プラントの○○シティ、○○ホテルのロビーに来週の日曜日に…。
うん…わかったわかった。いやーしかしやっと君も自分の身を固めようと思ってくれたか。
いや、別に私の言う相手と結婚しろとか言うわけじゃないよ?君の人生なんだから。
でもいつもあの過激な連中に追い回されてる君が不憫でねえ…。
お見合いでもして、将来のパートナーについて真剣に考えてくれればそれで良いさ。
相手と合わないと思ったらすぐボクに言ってくれれば良いからな。
君が望むならまた別の人とのお見合いをセットしてあげるし、君に本当に好きな人ができたなら全力で応援してやるさ。
こちらこそすまないね。善意の押し売りみたいで。ははは、今回の相手の方も悪い人じゃないから。それじゃあまた後で…。ガチャン。

ん…?なんだ君達は…?うわちょっやめ!?ぎゃあああああっ!?!?!?
266通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 00:13:04.85 ID:???
>>265
シンが約束の場所に来た時にはホテルは既に瓦礫に変わり、醜い戦いが繰り広げられていた。
シンは回れ右して全力で逃げ出した。
しかし、その後シンを見た者はいない
267通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 10:43:31.20 ID:???
>>266
シンなら昨日、坊さんの格好をして竪琴弾いてたぞ
268通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 11:05:14.39 ID:???
>>267
逆襲しろよww
269通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 12:28:13.28 ID:???
俺は駅前で女の人と茶色のうさぎの着ぐるみ来てチラシ配りしてるのを見たよ
270通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 16:14:57.56 ID:???
そういえば、彼がシャワー浴びてる床がすごく赤かったような・・・
え?「オーブの戦争慰霊碑で男女5人のバラバラ死体が発見」
「オーブ軍全滅。アスハ代表死亡」・・・







コイツは春から演技が(ry
271270:2011/04/06(水) 16:15:59.13 ID:???
× 演技
○ 縁起
272通常の名無しさんの3倍:2011/04/06(水) 23:39:56.61 ID:???
>>267
さしずめ、ガルナハンの竪琴だなw

折角だから、首領の次の仕事にミ○プルーンのCMを捻じ込んで!!
273単発ネタ:2011/04/08(金) 01:02:10.70 ID:???
元ネタ「真ゲッターロボ 世界最後の日」「マジンカイザーSKLヴァーサス」
携帯からの投稿なので改行等が読みにくいかも。上記の2作品を逆シンでパロディにしてみた。初投稿。


「お、おい!?お前等は何を言ってるんだ!?俺は何もやってない!」

「¨シン・アスカ¨…貴様を殺人及び国家反逆未遂罪により逮捕する。」

コズミック・イラ7X年、「戦争慰霊碑バラバラ殺人事件」が発生。(>>270)それだけならただの怪事件に過ぎなかった…。
だがある死体の身元が分かった時、世界中に激震が走った。前大戦の英雄、キラ・ヤマトの影武者だったのだ。
他の死体の身元も程なく判明。ラクス・クライン、アスラン・ザラの影武者とSPが二人。
プラントとオーブの重要人物が残虐かつ陰湿な方法で暗殺されかけた…この事実は国際社会に大きな衝撃を与えた…。

幸い本人達はオーブ庁舎で行われた会議に参加しており無事だったが、
影武者をしてくれていた者が自分達の代わりに死んだと聞いて心を痛められたと報じられただけで、民衆の前にあまり姿を見せなくなった。
自分達が命を狙われているのだから、当然の事ではあった。

そしてすぐさま捜査が始まり、オーブとプラントの警察組織による大捜査の末、一人の男が逮捕された…。
元ZAFTのトップエース¨シン・アスカ¨である…。動機は十分、オーブにいた上、アリバイもない。
そして彼が逮捕される決め手となったのはある目撃証言だった…。

「私は…シンがラクス様達に襲い掛かるのを見たんです…。その後すぐに後ろから殴られて…、気が付いたときにはもう…。」

かつてのシン・アスカの同僚、そして当時影武者達のSPの一人であったルナマリア・ホークの証言が決め手となったのだ。

「嘘だ!嘘だと言ってくれルナ!俺はあの日は慰霊碑になんか行っちゃいない!俺は無実だーッ!」

本人は無実を主張し続けたものの、シン・アスカの物とされる凶器も見つかり、事件は解決とされた。
シン・アスカには終身刑が言い渡される事となり、オーブ特別刑務所へと囚監され、一年の月日が流れた…。
274単発ネタ:2011/04/08(金) 01:16:47.96 ID:???

「謎の勢力に襲撃を受け、演習中のオーブ軍壊滅」

このニュースは報じられると同時に世界中に広まった。
この事件によりキラ・ヤマト准将が重傷を負い、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハが一時意識不明の重体。
最終的にはアスハ代表の意識は回復したもののオーブ国内は大混乱となった。
自分達を守ってくれるはずの軍が壊滅したのだ。
誰もがまた国が焼かれるのではないかと恐れていた…。

オーブ アメノミハシラ

「ウワアアアアッ!誰かぁあ!早く!早くここから出してくれぇえ!」

暗やみの中で一人の兵士の悲鳴が響き渡る。
ついには苦しみのあまり自らの顔を掻き毟り血塗れとなり、担架で運びだされていく…。

「やはり今回も無理でしたか…。」

白衣を身に纏い、サングラスをかけた女性科学者が呟く。

「¨やはり¨とは…いくらミナ様直々の特命とは言えこう何人もの兵士を再起不能にして…!」

同じく白衣を身に纏った青年が声を少し荒げる。

「あの程度のお坊っちゃん兵士では駄目だということです…。私にはわかる…奴の中に渦巻く“炎”が!そしてその“炎”は未だ各地で絶えぬ紛争を一掃する!」

その目には狂気が滲み出ていた。

「…やはりあの男を使うか…。」
275単発ネタ:2011/04/08(金) 01:21:02.71 ID:???
「シン・アスカの事ですか…?」

ルナマリア・ホークが突然話に入ってくる。
彼女はあの事件の後、ここアメノミハシラで働いていた。

「そうだ…かつてお前が監獄へと送ったあの男だ。」

「私が話を付けに行きます。アイツの事はよく解っているつもりですから…。」

「奴は相当お前の事を恨んでる…殺されるかもな…。」

「覚悟の上です。」

そう言い切った彼女の瞳には強い意志が浮かんでいた…。

オーブ終身刑務所

「恩赦が出た…仮釈放だ。427番出ろ。」

看守が独房の青年に呼び掛ける。青年は無言で立ち上がり、目に再び光を宿した。
囚人427号…シン・アスカの中ではかつて愛した者に裏切られた怒りと悲しみがドス黒く心を染めていた。
更に二度と出ることはできない終身刑という事実が彼の瞳から光を奪っていた…。
しかし出ることが出来るのだ…。紅い瞳に今度は復讐の狂気が宿ろうとしていた。
しかしシンはそこで思いもよらぬ姿を見ることとなった。サングラスをかけた赤髪の女性…。

「ルナ…なんでお前がここに…。」

「シン…あなたを迎えに来たわ…。」

ルナは淡々と呟く。

「…俺に殺される為か…!?」

シンの言葉には怒気が混じり、今にも掴み掛かろうとせんばかりであった。
276通常の名無しさんの3倍:2011/04/08(金) 01:31:14.90 ID:???
クロノクル「この投下乙は全身が支援そのものなのだ!」
277単発ネタ:2011/04/08(金) 01:34:14.07 ID:???
「一つだけ頼みがあるの…私への復讐はそれからでも遅くはないわ…。」

「…。」

シンは押し黙り、ルナは懐から拳銃をシンに差し出しながら言葉を続ける。

「私の銃…あなたに預けておくわ。私を殺したいのなら、全てが終わった後、この銃で私を撃って…。それまで私は逃げたりしないから…。」

「信じて良いのか…?」

シンは真剣な面持ちでルナに尋ねた。憎んでいたとはいえ、かつては恋人でもあったのだ。
いや愛していたからこそ余計に憎んだのだろう。
そんなことを思う彼の中で彼女を信じようとする心と一年前の裏切りが交錯する。

「なら、今ここで私を撃つ…?」

彼女のその一言でシンは覚悟を決めた。

「いやお前の覚悟はわかった…一度だけ…一度だけルナの頼みを聞いてやる…。」

「ありがとう…。」

そう告げると同時に彼女はサングラスを外し、改めてルナの顔を見たシンは驚いた。

「ルナ…!?その顔は…!?」

ルナマリアの顔には額から右頬にかけて一文字に傷が出来ており、彼女の右目は光を失っていた。

「シン…貴方に力を与えるわ…そう、この世界の紛争を一掃する為の莫大な力をね…。使い方を誤れば護るものすら破壊してしまいかねない力を…。」

「紛争を一掃する」その言葉がシンの中で何度も響いた。

「俺を呼んだのは…その為か…。」

「ええ…私じゃその力をコントロールできなくてね…苦痛の末に顔を掻き毟ってこのザマよ。…怖気づいちゃった?」

ルナは自嘲するように笑う。

「いや…やるよ。その力をコントロールしてみせるさ…。戦争で死んだレイやステラ、マユ、皆の為にも…。」

そこにはついさっき迄の復讐を目論む囚人427号“シン・アスカ”は居なかった。
そこに居たのは戦争で家族を、友を、全てを奪われ、誰よりも戦争を憎み、誰よりも“守る”事に固執するZAFTのトップエース“シン・アスカ”だった…。

続かない?
278単発ネタ:2011/04/08(金) 01:46:27.83 ID:???
下手な文章でごめんなさい。
乗った兵士を再起不能にするマシンと女性科学者のあたりは「マジンカイザーSKLヴァーサス」より。
裏切り関連やシンとルナのやり取りは「真ゲッターロボ 世界最後の日」での竜馬と隼人のやり取りを参考にしました。
続きは今のところ全く考えておりませんが、皆様の妄想のネタにでもなれば幸いです。
後、アメノミハシラの女性科学者は元ネタの漫画では穿月教授と言って、苦痛の末に顔を掻き毟って片目を失ったのは彼女です。
長身に胸元の開いたロングスカート、ボインちゃんのマッドサイエンティストでしたよ。
279通常の名無しさんの3倍:2011/04/08(金) 02:06:09.44 ID:???
>>278
GJ!
>>276
こんな所でクロさんが出張って来るとは
280通常の名無しさんの3倍:2011/04/08(金) 03:01:41.17 ID:???
>>278
GJ! 悪くないぜ!
今度はPCから書き溜めして投下してくれたら嬉しいな
281通常の名無しさんの3倍:2011/04/08(金) 15:13:07.84 ID:???
>>278
GJ!イイですね。
また倉庫に登録させて頂きたく思いますので、
メインタイトルやコテがおありでしたらご一報くださいませ。
282単発ネタ:2011/04/10(日) 10:50:10.39 ID:???
>>276
ボンボン版Vガンダムですな。格好良いですよねドッゴーラ改。…ボンボン版逆襲のシン・アスカってどんなんだろう…(笑)

>>281
ありがとうございます。タイトルは「ダイナミックな逆襲のシン」てなところでしょうか。
ただ、あくまでこれは既存の作品の要素を逆シンでパロディにしたものなので、元ネタの明記はお願いします。
最初はクロス総合かな…とも思ったのですが、>>270から繋げるつもりで書いたこと、
あくまで逆襲のシン・アスカとのクロスにあたることからこちらに投下させていただきました。
続きに関してはほんの少し構想は浮かんでるのですが、気が向いたら書こうかなとか、誰かやってくれるなら、リレーSSにしようかなとか不埒なことを考えております(笑)
というかシンの乗るマシンをMSにするか、MAにするか、元ネタ通りの「遺跡から発掘されたトンデモ兵器」にするかすらまだ決めてません。
出来る事ならマジ○カイザーとか真ゲッ○ーロボとかで活躍させてみたいんですけどちょっとそれはまずいでしょうしね。
というかかつての没ネタから引っ張ってきて、元ネタ系列のある作品と設定レベルで融合させてやろうかなんてトチ狂った事も考えてます。
私が続きを書くとすれば、またダイナミック作品のパロディ要素が加わる可能性が高いので元ネタは明記するつもりです。
283通常の名無しさんの3倍:2011/04/10(日) 11:36:05.11 ID:???
>>282
ドアンザク
284270:2011/04/10(日) 13:44:11.73 ID:???
>>282
ラストは↓をシンが言う感じじゃね?

「ラクシズをぬっ殺すクロスオーバーした奴が神」より
234:それも名無しだ:2009/09/06(日) 12:00:49 ID:BRgu9vIg
(前略)
ウッソ「(ラクシズ個人名)! 周りを見てみろ! ミノフスキー粒子に電磁波を流して作った
     プラズマバリアーだ! この中にメガ粒子砲を撃ち込めばどうなるか!
     さらばだ!(ラクシズ個人名)! 貴様(ら)は電子レンジに入れられたダイナマイトだ!
     メガ粒子の閉鎖空間の中で分解されるがいい!」
285通常の名無しさんの3倍:2011/04/10(日) 18:43:19.37 ID:???
>>遺跡から発掘されたトンデモ兵器
無限力で動く伝説巨神ですね
最後は全員死亡してキラとラクスの子供に導かれ…て……
アレ?
逆襲できてない??
286通常の名無しさんの3倍:2011/04/10(日) 19:14:11.31 ID:???
>>285
大丈夫、巨神の中に囚われたヒロインをシンが助け出して、共闘することになったライバル
もしくは相棒とのコンビネーションで巨神を粉砕してしまうオチにすればいい。
巨神を目覚めさせたのがラクシズ側でしっぺ返し食らうのなら充分逆襲になる。
奇しくも元ネタのほうも「逆襲」付くしw
287単発ネタ:2011/04/10(日) 19:38:46.54 ID:???
>>286
逆襲のギガンティスですね(笑)
自分で書いといてアレですがルナが苦痛で顔を掻き毟るくらいヤバイマシンにする事は確定してるんですねwww
んでシンは戦争への憎しみでなんとかマシンをねじ伏せ乗るようになる…。
そうそう元ネタ「マジンカイザーSKL」は復座式の二人乗りなんですよね。このネタではどうしましょう?
選択肢1→一人乗りにする
選択肢2→生存していたマユと二人乗り
選択肢3→苦痛を克服したルナと二人乗り
選択肢4→カーボンヒューマンでない真のキラorアスランと二人or三人乗り
選択肢5→ゲッターロボやアクエリオンのような三人乗り
選択肢6→超電磁やイデオン、ダンクーガ、グラヴィオン、エルドランロボのような多人数乗り

今のところ考えてる案の一覧です(笑)
288通常の名無しさんの3倍:2011/04/10(日) 23:33:49.34 ID:???
5に1票
インパも三形態だったし
シン(竜馬)+ルナ(隼人)+誰か(武蔵)の三人でチェンゲしてほしい
シン「チェェェンジ、フォォッス スイッチオォーン!」的なw
289通常の名無しさんの3倍:2011/04/11(月) 08:43:54.32 ID:???
選択肢7→ゼオライマーのようにマユorステラorレイをモデルにしたアンドロイド付きで
290通常の名無しさんの3倍:2011/04/11(月) 18:54:56.92 ID:???
可変型ヒロインか
291通常の名無しさんの3倍:2011/04/12(火) 01:15:16.89 ID:???
可変型……?
セイバーか!
292通常の名無しさんの3倍:2011/04/12(火) 20:11:31.88 ID:???
>>291
アビス/カオス/ガイア「・・・・・・」
???「デストロ〜イ」
293通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 01:36:12.28 ID:???
>>290>>291>>292
また擬人化の流れにしたいのか!! あんた達は!
良いぞ、もっとやれ!!
ただ、セイバーは薄幸素直クール、ガイアは精神年齢低いちびっ娘だ。 悪いが、これは譲れないな
294通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 02:26:07.25 ID:???
セイバーの薄幸ってのはよくわかる。
例えばTVでフリーダムを墜とした後のアスランとの口論で
「仇は討ってあげましたよ、おっとアンタの事じゃなくて、
 やる気の無いパイロットのおかげで実力も出せずにスクラップにされた
 可哀相なセイバーのね。」
とでも言っていたら少なくともその点に関してはグウの音も出なかったろうし。
295通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 05:10:25.61 ID:???
自分達はアニメの登場人物だと気づくED
296通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 10:11:24.36 ID:???
いっそ残ったセイバーのパーツをシルエットシステムに組み込んでセイバーインパルスとかでっち上げたら良かったのに。
297通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 10:27:00.53 ID:???
>>296
それ意外といいな!
フォースより航空能力高い上にアムフォルタスでフォースでは火力不足だった点を補えるし♪
298通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 11:55:57.79 ID:???
セイバー「あなたと…合体したい」
299通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 12:42:40.85 ID:???
あー以前書こうと思ってたSS用にセイバーに運命の稼働データや設計思想盛り込んだ機体の設定組んでたの思い出した

まあ俺にはSS書けなかったけど
300通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 14:29:31.03 ID:???
>>293
セイバーのマリオットですか?
301通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 14:33:10.31 ID:???
>>273-274
読み返しててふと思ったが、

>本人たちは無事だったが、民衆の前にあまり姿を見せなくなった
>謎の勢力の襲撃でキラ様重傷

これってひょっとして、ホントに惨殺されたのは本物の方だったのを
表向き隠蔽していて、以後本物を演じていた影武者がてんで弱かったって事も…?
302通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 15:54:47.41 ID:???
>>300
ライムとブラットベリーと誰だっけ?
303通常の名無しさんの3倍:2011/04/13(水) 16:29:18.11 ID:???
>>302
チェリーだな
304通常の名無しさんの3倍:2011/04/14(木) 15:47:19.58 ID:???
>>299
その設定……
まぁ、ここに上げてみようや(^-^)
305通常の名無しさんの3倍:2011/04/14(木) 20:05:36.47 ID:???
お嬢様のナイスバディ!!
306通常の名無しさんの3倍:2011/04/14(木) 20:48:25.09 ID:???
>>305
おいおい四月馬鹿の日はとっくに終わってr
307MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:30:30.19 ID:???
どうも、ご無沙汰しております。
私事で色々あり、暫く書き込みや投下することもできませんでしたが、ようやく落ち着きましたので投下を再開させていただきたいと思います。
暫くお目汚し失礼します。 なお、連投規制に掛かった場合、解除後続きを投下しますのでよろしくお願いします。
308MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:31:03.95 ID:???

機動戦士ガンダムSEED
逆襲のシン・アスカ Mercenary Of Red
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アビー・ウィンザーの個人的手記レポート
本記録はあくまで私、アビー・ウィンザーが後年の為に書いた個人の手記的なものであり、多大に主観、推測の入ったものであることを初めに明記しておく。

CE77.XX.XX
おそらくこの日は私の生涯の中でも忘れられない日になるだろう。

アスラン・ザラ率いるオーブ艦隊とキラ・ヤマトを始めとする歌姫の騎士団が壊滅したその日
ミネルバはいつもと変わらず、何事もなく定期哨戒を終え、アーモリー1へと帰還した。
だが、その直後ミネルバIIに飛び込んで来たのは不可解な情報だった。
アプリリウス1をはじめとした他のシティに連絡が取れない。
と言うその情報は当初、Nジャマーによる通信障害の影響だと思われ、末端の兵士達の間ではさほど重要視されていなかった。

今思い直せば、それは4年間の、仮初めの平穏を甘受して来たが故の緩みだったのであろう。
その、数日後に起きた出来事で私達の認識不足は明らかになる。

ミネルバ隊とは別方面の哨戒を行っていた駐留MS戦隊第二中隊通称シェダー隊が半壊したオーブ艦隊と接触。
その直後、所属不明の部隊と遭遇、有無を言わせぬ攻撃にやむを得ず反撃し、交戦状態に陥ったのだ。
結果から言えば、シェダー隊の被害はほぼ皆無で敵部隊を撤退させる事に成功し、オーブ艦隊と共にアーモリー1へと帰還した。
オーブ艦隊が保護したドワッジ改の抱えた脱出ポット。 そしてそのパイロット、歌姫の騎士団参謀マーチン・ダコスタがもたらした情報は事態を一変させるには十分すぎた。
平和に浸かりきった兵士達の尻……枕を蹴り飛ばすには衝撃過ぎたと言い換えてもいい。。

砂漠の虎の反乱、歌姫の騎士団、オーブ艦隊の離反、ターミナル主導によるアプリリウス占拠。
僅かな間だけ復帰した通信から察せられるのは、プラントに呼応するかのようなオーブ首都でのクーデター。

目まぐるしく推移する事態に各隊が慌てふためく中、エザリア・ジュール市長とラクス・クライン政権で外交をになっていたアイリーン・カナーバ評議会議員は沈黙を保っていた。
部隊長クラスではアーサー艦長とジュール戦隊長たちが、密かに情報収集を始める。
エルスマン副長やシェダー隊長は状況を見極める為、普段通りの動きをとっていた。
そして、意外な事にミネルバII艦載機隊の長であるルナマリアもその内の一人だった。
血気に逸る部下が詰め寄るにも関わらず、彼女は落ち着き払った様子で平然と、私の淹れた紅茶を飲みながら

「まぁ、成る様に成るんじゃない? 幾ら騒いでも何かが変わる訳じゃない。
 なら私達は待つしかない。 何が正しくて何が間違っているのか。 それを見極める為にね」 

肝が座っているのか、それとも底抜けに危機感がないのか、いずれにせよ彼女のそポジティブな所は見習うべきところがある。

309MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:32:02.82 ID:???

CE77.XX.XX
この数日の間、慌ただしく自分の時間も禄に取れなかった。
まずはこの数日の間に起きた出来事を纏めます。

駐留艦隊上層部……と言うよりアーモリーシティ市議会は今回の事件を現政権に対するクーデターと判断し、これを認めず臨時政府の樹立、クーデター軍に対する徹底抗戦を内外へと宣言した。
又、戦力の不足を補うべく部隊の再編を行い、不可解ながらも各国へ救援要請(これには裏で相当の政治的動きがあったようだ)
この再編が終わり、戦力さえ整えばアプリリウス奪還も夢ではなくなるだろう。
……身勝手だが今は各国が救援要請に応じてくれるのを祈るしかない。


CE77.XX.XX
今日は久しぶりに気分が高揚している。
第一にプラントから地球への救援要請が通り、続々と艦隊がアーモリーへと集結していること。
2つ目は小規模な遭遇戦でホーク隊が勝利を収め、続いてミネルバII、シェダー隊が参加したアーモリー1敵攻撃艦隊迎撃戦でも小破程度の損傷で久方ぶりの大勝利を得た。
そして最後に……我がミネルバ隊のエース、シン・アスカの生存が確認され、帰還したことだ。
本人の話によるとPMCミハシラに助けられた後、傭兵赤鬼と名を変え地上を放浪した後、ガルナハンに住処を得たらしい。
怒れば良いのか、呆れれば良いのか、泣けば良いのか……いずれにせよ、今は再会した喜びをミネルバクルー一同で噛み締めたい。

再会したシンの顔は別人かと見違える程精悍になり、爽やかさとで余裕させ感じられた。
かつての、精神的に不安定で、排他的、盲目的にデュランダル議長に依存さえしていたシン・アスカの姿はそこに無かった。
近づく物全てを傷つける抜き身のナイフのようだった雰囲気は、斬る物を確かに選ぶ洗練された名刀のようなものへと変化を遂げていた。
私達の知らない4年間に何があったか、どのような経験をしたのか、本人の口から聞くまで知る由は無いが、シンに良い影響を与えたのは間違いない。
それが私達……特にルナマリアにとっては嬉しくも、悔しくもあるようだ。

ルナマリアの嫉妬じみt


「ん? いないのか?」
携帯端末に個人的な書き物をしていたアビーは扉をノックする音、声に我を取り戻した。
310MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:33:13.46 ID:???

「……どうぞ!」
「おぃーす!」
応答と共に右手を上げ、入って来たのは黒服を着た、金髪褐色の男。
「はぁ、何か御用ですか? エルスマン副隊長」
聞き覚えのある挨拶に頭を抱えながら言葉を搾り出す。
「ありゃ? どうかしたか?」
首を傾げたディアッカは手前においてあった椅子に腰掛ける。
「ザフトは義勇軍とは言え軍隊、その挨拶はどうなのかと、年がら年中考えていたらこういう顔になります」
深い溜め息をつくと、アビーは米神を押さえながら深々と溜め息をつく。
「ま、気にするな。 それに義勇軍云々に関しちゃ近々正規軍に改変されるって“噂”だぜ?」
アビーの悩みなど、どこ吹く風と気にもせず、マイペースに話を続ける。
「へぇ、そうですか。 念の為にいいますが、艦長とルナマリアなら留守ですよ?」
恐らくは事実である出所不明のディアッカの噂を聞かなかった事にして、アビーは先に聞かれるであろう問いに答えておく。
「知ってる。 なにせうちの隊長と副官も例の対策会議に行ってるからな」
「では、何の用です?」
したり顔のディアッカに、アビーは首を傾げながら問い掛ける。
「ほら、スクランブル。 うちの番だろ? 空域内で怪しい艦が侵入してきたんだが『手持ちで』動かせるのが少なくてな」
「うち……ミネルバ隊と違って、大所帯のジュール隊なら人はいるのでは?」
大袈裟な身振り手振りのディアッカに、言葉に若干の皮肉を乗せながらアビーは問い掛ける。 
「副隊長ってのは案外不自由でな。 意外と『手持ちで』動かせる奴は少ないんだよ。 しかも、使える奴は強行偵察に出したんで暫く休ませないといけないんでな」
ディアッカは苦笑いを浮かべ、アビーは僅かに眉を動かし、考え込む仕草をして見せる。

おそらくは『手持ち』とは信頼の置ける有能な部下と言う事だろう。
プルデンシオとデューク二人の状態や疲労を頭から引き出しながら、出撃が可能かどうか計算する。
メリットを考えるなら、ミネルバ隊ではないルナマリア以外の指揮の下で経験を積ませることは、今後のミネルバ隊にとっても、彼らにとって決してマイナスでは無い筈。
ディアッカの指揮下なら下手を打つ事もないだろうし、二人の疲労蓄積を除けばさほど悪い話ではない。
休息時間はミネルバIIが現在急速改修中で、出撃が少ないから十分取れる。 疲労の回復は可能だろう。
311MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:35:58.05 ID:???

「……分かりました。 二人はハンガーにいるでしょうから連れていってください。
 うちの貴重な若手パイロットです。 くれぐれもよろしくお願いします」
アビーは腰掛けていた椅子から立ち上がると深々と頭を下げた。
「アーモリー1駐留MS戦隊、ジュール隊、副隊長としてお約束します。 確かにお預かりします」
同じく立ち上がったディアッカはザフト式の肘の折り畳まれた敬礼をするとアビーに背を向けた。
「そういえば、シンが強行偵察から帰還していないそうですが、無事でしょうか?」
頭を上げたアビーは頭の隅に浮かんだ疑問をぶつける。
「さぁ? 暫くすればひょっり帰って来そうな気もするがなぁ」
大きく方を竦めながら退室するディアッカ。
喉を潤す為に、机に置いた冷えた紅茶に口をつけ、アビーはシンの無事を祈ろうとしたが、やめた。
神も仏も信じずに与えられた力だけで生き抜いてきたあの男には、他人の祈りなど無粋という物だろう。


あと、紅茶で思い出したが、私の淹れた紅茶に三杯も砂糖入れた事は絶対に許さない。 絶対にだ。
312MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:38:37.91 ID:???

アプリリウス周辺宙域
ほんの少し前まで死闘が繰り広げられていたとは思えないほどシンの周りは静かだった。
すでに追撃部隊は完全に撤退し、辺りで動いているのは頭部の無い異形のMSガッシャの群れが残骸回収に勤しんでいる位だ。

その様子をぼうっと見ながら、時たま思い出したかのようにAMBACで位置を調整する。
シンはアラハバキへの着艦許可が出るのを待っていた。
「ぇっくし!」
『ん? ドライバー風邪か? コーディネイターの癖に』
「いや、そんな筈ないんだけどな……」
「こちらアラハバキ管制、お待たせしました。 インパルスエクシード、シン・アスカの着艦を許可します」
「了解。 これより着艦体勢に入る」
通信機から聞こえるオペレーターの声にシンが答える。
「コースクリア、着艦どうぞ」
『こんな状態で大丈夫か?』
オペレーターの言葉にRBがシンへと問いかける。
「大丈夫だ。 問題ない」
とは言うが、インパルスエクシードの現状は正直シンも不安ではあった。
左足は脛から先が無くなり、右肩は吹き飛び、全身のスラスターもあちこちが潰れている。 
『……本当に大丈夫か? 人生にリセットボタンはないぞ?』
「(電源スイッチはあるけどな) こちらシン・アスカ、此方は中破状態なんで、巧く着艦できないかもしれない。 一番良い制動ネットを頼む」 
心配そうなRBの声に、不安を覚えたのかアラハバキへとシンは通信を繋いだ。
「準備は整っています。 ご心配なさらずに」
余裕のあるアラハバキオペレーターの声に、安心しながらシンは残り僅かになった推進剤で機体を立て直し、着艦コースに入る。
「RB、バランス調整は頼む」
『オートバランサーはまだ生きてる。 前回のデータもあるからそのままいけるぞ』
「……はは、毎回着艦する時はボロボロだからなぁ」
シンとRBの漫才じみたやり取りの間にもインパルスエクシードはオートバランサーで調整しながらアラハバキ内部へと侵入していく。
『舌を噛むなよ?』
「言われるまでもねぇよ、っと」
片足を失ったインパルスは着艦ネットにもたれかかる様に足をつけた。

313MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:40:55.47 ID:???

『さて……着艦したがこれからどうするんだ?』
控えていた二機の作業用ザクに両脇を挟まれ、格納庫に運ばれながるインパルスエクシード。
その中でRBはシンへと問いかける
「取り敢えず話をするさ。 内容は鬼が出るか蛇が出るか、お楽しみにって所だな」
コックピットの中の与圧が済み、酸素も十分な事を確かめるとシンはヘルメットを脱いだ。
『はっ、鬼はお前じゃないのか?』
「なら蛇が出てこないように祈っておくさ」
皮肉めいたRBの言葉に、冗談めいた口調でシンは返す。
「それとRB、念の為、いつでも出れるようにしといてくれ」
『最悪の場合、“やる”と言う事で良いんだな?』
目を細め、僅かに敵意の篭ったシンの言葉にRBは再確認する。
「話し合いにならなかった場合は、隔壁の一つや二つは吹き飛ばす事になる。 かもな」
シートベルトを外しながら、コックピットハッチのロックを解除する。
『やれやれ、そうはならない事を願うよ』
「全くだな」
溜め息交じりのRBにシンは鼻を鳴らしながら頷いた。

「失礼します ユージェニー隊長より自室へ案内するように申しつかっております」
コックピットから出たシンに声が掛けられる。 緑服を着た若い兵は拳銃を腰に懸架していた。
「(案外物々しくないな)そうですか、じゃあお願いします」
重武装の複数の兵士に囲まれると想像していたシンは多少拍子抜けしながらも二つ返事で頷く。

案内役の兵士に先導されながら、周囲を見渡すもさほど目新しい物も無く、ただ艦内通路を歩いていく。
真新しい内装は僅かにミネルバを思い出させたが、ミネルバ級をベースをしている為シンの興味を引くようなものはなかった。

「失礼。 少々お待ちください。 隊長、客人をお連れしました」
司令室の前に来た兵士は立ち止まると、ドアに付いたインターホンに向かい話しかける。
(一応客人扱いって事は多少話し合う余地があるか?)
シンは何事も無くすんなりと来た事を意外に思いつつ、思案をめぐらせる。

『入って貰ってください』
アンリ・ユージェニーと名乗っていた男の丁寧な声と共に扉が開かれ、中から出て来たボディアーマーとライフルを担いだ二人の兵士がシンの両脇に立った。
「申し訳ありませんが、ボディチェックをさせて頂きます」
「どうぞ」
ここで逆らい問題を起こす気も無いシンは素直に頷き両手を挙げる。
「……失礼しました、お入りください」
金属探知機とパイロットスーツのポケットの確認を終えると、シンは深々と頭を下げた兵士に軽く会釈をし、奥へと進む。
314MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:42:34.23 ID:???


奥にあったのは金属製の執務机と簡易なテーブル、向かい合ったソファー。
シンに気づいたのか、執務机に座る男が立ち上がる。
「ご足労かけて申し訳ない アンリ・ユージェニーです」
アンリはシンへと近づくと右手を差し出す。
「えーと、傭兵赤鬼……シン・アスカです」
グローブを外し汗ばんだ手を軽く拭うとシンも握手に答える。
「やはり、そうでしたか、お会い拝見出来て光栄です。 まぁ、掛けて下さい」
アンリはにこやかな笑顔を見せるとソファーを指し示した。
「あ、失礼します」
釈然としないままシンは腰掛ける。
「セキュリティがこんなに緩くていいのか。とでも言いたそうな顔をしていますね」
「いえ、そんな事は……」
内心を見透かされたシンはできるだけ表情を顔に出さぬように否定する。
「まぁ、セキュリティも緩くなります。 相手が前大戦の英雄、シン・アスカと知れば」
「英雄? 戦犯の間違いじゃないんですか?」
アンリの英雄と言葉に眉とつり上がり、口元が引き攣り、語尾が僅かに上がる。
「どうやら余計な一言だったようですね。 すみません、忘れてください。 
 まぁ、君がどう評価されるかは後世の歴史家に任せるとして……アスカ君、イゴは出来きますか?」
シンの態度から触れて欲しくない事だと悟ったのか、アンリは話題を変える。
「イゴ? 囲碁の事ですか? まぁ嗜む程度には」
「じゃあ決まりですね。 やりましょう、すぐにやりましょう。 話は打ちながらでもしましょうか。
 あ、飲み物もいりますね、……君、お茶を持ってきてください。 熱いのね」
子供のような態度に拍子抜けしたシンがうなずくと、インターフォンで部下に指示を出す。
その声と態度に、僅かに灯っていた怒りの炎は消え、シンはすっかりやる気が削がれてしまったのだった。


簡素なつくりのソファーに向き合い、シンとアンリは碁を打っていた。
「むぅ……つまり、現在ザフトとオーブ軍残存は連合と共にアーモリーへと集結し反撃の機会を窺いつつあるとパチン」
「ん……ええ、正確に言うならザフト残存と言うより、エザリア議長代理が歌姫の騎士団とアーモリー防衛艦隊、雑多を纏めたものですけど、それなら パチン」
「ふむ……ですが、正規ザフトには代わりはないでしょうパチン」
「あ……でも本隊は向こうですし、アプリリウスも押さえられてますよパチン」
「なっ……個人的にはテロリストと手を組んでクーデター起こすような連中を正規軍と認めたくはないですねパチン」
「おっ……ではマティスはこちらに付いてくれるんですねパチン」
「え……君の助太刀に入った時点で選択の余地は殆どありませんでしたが、話を聞いて決めました。パチン」
「そんな気軽に決めていいんですか?」
「私は先遣隊責任者であると同時にマティスシティの決定権を委任されています。 問題はありませんよ」
「きっとアーモリーの議長代理も喜びますよパチン」
「……待った」
315MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:44:47.08 ID:???

「……待った」
シンの打った手にアンリの手が止まる。
「待った何度目ですか?」
「私の記憶が確かなら3度目ですね」
呆れたようなシンの口調にもしれっした表情で言い放つアンリにシンは微妙に表情を歪めた。
「失礼、茶が入ったので持って来ました」
ノックと共に入ってきたのは、お盆をち黒服を着た大柄の男、ユージェニー隊副官アレック・ラッドであった。
「……」 「……」
「何です?」
突如押し黙った二人に、アレックは訝しげな表情を見せた。
「ゴツい男にお茶を入れて貰っても嬉しくないなぁ……ああ、アスカ君、彼はうちの副長のアレック・ラッドだ」
「(気持ちは分かるけどな)はじめまして、シン・アスカです」
大きく溜め息を付くアンリにシンは苦笑いを浮かべながら頭を下げる。
「アレックだ。 お会いできて光栄だ、ミスターアスカ。 ところで緑茶だが、砂糖はどうするかね?」
軽い会釈をするとアレックは急須から茶碗に緑茶を注ぐとシンへと問いかけた。
(スルー力(力)高けぇ)
アンリのふざけた発言をまるっきり無視するアレックにシンは妙に感嘆していた。

「参りました……しかし、強いですねぇ」
アンリは茶を啜りながら碁盤を片付ける。
「親父の趣味で良く付き合わされてましたからね、ところで、ユージェニー隊長はどこで囲碁を? オーブからですか」
碁石を升にしまいながらシンは問いかける。
「いや、アレックとルドルフ……ルドルフは金色のガッシャに乗っていた五月蝿い部下ですが
 まぁ、その二人が東アジア共和国に駐留していた時に周辺住人から教わりましてね。 それがうちの隊に広まったと言うわけです」
盤を仕舞ったアンリはアレックが持ってきた盆に乗っていた茶菓子に手を伸ばす。
「ああ成る程 ところでユージェニーさんはグフのテストパイロットだったパイロットですよね?」
シンもアンリに習い茶菓子、最中に手を伸ばす。
随分和風だなと思いながら、シンはアンリ、アレックとルドルフの名に聞き覚えがあったのを思い出していた。

アンリ・ユージェニー、元FAITHのパイロットでグフのテストパイロットも勤めていた。
この時、四肢換装による汎用性の高さをアピールするために造られたのがシン、赤鬼の現在の愛機であるグフクラッシャーの原型機だった。
バックパップと武装換装による手軽さが評価されザクとの競合に敗れた後はFAITHの任務に戻っていたが、デュランダル議長が対ロゴス路線を打ち出してからは地上に降下。
オペレーション・ラグナロク、ヘブンズベース攻防戦において、モスボール保存されていたグフクラッシャーを駆り、密かに基地に侵入。
閉所である事を生かし格闘戦で多数の敵機を撃破、ロゴスの幹部達を捕らえるのに大きく貢献した。
続くオペレーション・フューリー、オーブ攻防戦、ダイダロス、レクイエム攻防戦、メサイア攻防戦にも最後までデュランダル議長側として参戦していた。
残念ながら顔を合わせることはなかったが、その勇名は精神的に衰弱し、追い詰められていたシンの耳にも届くほどだった。

その部下もMSパイロットならどこかで耳にしたことのあるエースだ。
常に正々堂々とした態度とナチュラルを差別、卑下しないザフト地域司令ミスタージェントル。
金色に塗られたMSを駆るそこそこ腕のいいパイロット麗雄。
316MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 21:50:00.65 ID:???

「おお、やっとその話を振ってくれましたね、その通りです!
 いやぁ、君のグフクラッシャーが活躍してくれたお陰でグフクラ自体が再評価されましてね。
 ガッシャ設計チームに誘われて、一部武装の設計とテストパイロットを務めさせてもらったんですよ」
シンの言葉に、口元をニンマリと歪めると本当に嬉しそうにアンリは話し始める。
「ああ、それでマティスにいたんですね」
「ええ、残念ながら、ガルバルディには負けてしまいましたが、重戦として採用されて助かりました。
 それにしても、まさか傭兵赤鬼がシン・アスカだとは、夢にも思いませんでしたよ」
シンの相槌に頷くと、アンリは興味深そうな顔でシンの顔をじっと見る。
「はは、色々ありまして。 でも、良いんですかね? こんなのんびりしてて」
苦笑してお茶を濁すと、シンは話題を変える。
「そうは言っても、現在位置はアーモリー1とアプリリウス1の中間。 しかも無線封鎖状態にありますからねぇ。
 選択肢が限られる以上、常に緊張していても仕方ありません。 時にはリラックスする事も必要ですよ」
若いシンを諭すように言うと、アンリは再びお茶に口を付ける。
「まぁ、そうなんですが……」
「早く帰りたいのは分かりますが、そう気負う必要はありませんよ。 
 艦隊に一撃を入れて、追撃部隊は蹴散らしましたんです。 連中も早々には動けないでしょう。
 それに、君にはアーモリーとつなぎを取って貰う重要な仕事があるんです。 部屋を用意したので、ゆっくり休んでください」
まだなにか言いたそうなシンに 微笑むとアンリは大きく頷いた。
「そうですね。 では、お言葉に甘えさせていただきます」
アンリの話にようやく納得したのか、シンは深々と頭を下げた。


数時間後、アーモリー1周辺宙域アラハバキ艦内

案内された部屋で仮眠を取っていたシンの意識を覚醒させたのは、アラハバキ艦内に響く警報音だった。
「何だ!? この音、第二種警戒態勢か……!?」
まだはっきりしない意識を頭を振り覚醒させる。 警報音がしてすぐに起きたのは体に染み付いた習性か。
状況を探ろうと聞き耳を立てると周囲から聞こえてくるのは多数の人間が走り回る足音。
(マティスの状況に何か変化があったのか?)
「RB、艦内が騒がしいが、何があったか?」
インパルスエクシードのRBと繋がっている小型情報端末に話しかけるも、ノイズだけで返答はない。
「ジャミング? いや、NJの影響か?」
近づいてくる足音に、只事ではないと悟ったシンはベッドから起き上がり、右爪先で床面を三回蹴った。
踵の部分に隠されていた小箱が飛び出し、シンはそこから黒光りする何かを取り出し、左足でも同じ動作をする。
幸いにして、部屋の扉にロックは掛かっていない。
端末を懐にしまうと両手に二丁の小型拳銃を携え、部屋から飛び出した。
周囲を警戒しつつ、中腰でなるべく背を低くして進み、曲がり角に差し掛かる。
耳を澄ますと聞える足音、凡そ十人前後。 足音の重さからして重武装の兵士だろう。
「ちっ……! やるしかないか」
意を決して飛び出すと、フル装備の兵士が一斉にライフルを構える。
「待て、シン・アスカだ! 味方だ!」
丸腰の、パイロットスーツを着たアレックが兵士の前に飛び出て静止する。
317MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:01:16.93 ID:???

「この騒ぎ、いったい何事ですか?」
反射的に拳銃をポケットにしまうとシンはアレックに問い掛ける。
「ああ、すまない。 君を呼びに来たんだ」
「完全武装して、ですか?」
頭を下げたアレックにシンは眉間にしわを寄せながら問い詰める。
「いや、どうも厄介事になりそうでな。 直ぐに来てくれると助かる」
頭を掻きながら釈明するアレックは兵士達に手で下がって良いと仕草する。
「厄介事ですか?」
「ああ、アーモリー1付近に来たのは良いが、結構なお出迎えでな。
 うちのがNJの影響と通信機器の不調で通信が繋がらないらしい。 
 MSを出したら敵意があると受け取られかねんので対応に苦慮しているところだ」
アレックは大きな溜息をつくとやれやれと首を振る。
「わかりました。 俺が行って説明すればいいんですね」
「手間をかけさせてすまないが、そうしてもらえると非常に助かる」


アーモリー1周辺宙域 
「全く、俺の時に来なくても良いのになぁ。 ミネルバ隊から二人借りといて正解だったかね、こりゃ」
突如現れた正体不明の戦艦に、連日の襲撃で慣れきった駐留艦隊は冷静に迎撃部隊を出撃させていた。
スクランブル当番だったイザークに変わり指揮を取っているディアッカはぼやきつつ戦域マップを展開周囲を索敵する。
こちら側は前衛にMSを、後方に戦艦を置き扇状に展開したシンプルな陣形だ。
「さて……どうくるかね? デューク、相手に動きは?」
黒いブラストガルバルディαに乗るディアッカはより高性能な光学モニターを持つ狙撃手、スナイパーブラストガルバルディβに乗るデュークへと問い掛ける。
「無いですね、視認かのー……ゴホン可能なギリギリの位置で止まってます。
 これはあくまで私見ですが、通信が通じないので戸惑っているのかもしれません」
素の口調を訂正しながら、デュークが意見を述べる。
「じゃあ、こっちから接触した方が良いじゃん」
「あくまでも私見だよ。 本当にそーかは分からないからな。 ってか余計なこと言うな」
ブレイズβがスナイパーブラストβにモノアイを向け、横から口をはさむプルデンシオをデュークが叱責する。
「全く、ルナマリアやアビーが苦労する訳だ……」
自由奔放というかどこか緊張感のない二人にはぁ、と軽くため息をつくディアッカ。

だが、同時に心の何処かで二人の軽口に悪くない気もしていた。
部隊の色とでも言う物なのだろうか、ジュール隊は部隊長であるイザークの性格や好みを反映してか実直で真面目な連中が多かった。
どこか愚連隊じみたミネルバ隊の自由な気風はどちらかと言えば、同じ艦隊MS戦隊であるシェダー隊に近いだろう。
ディアッカとしてはかつての三隻同盟に近い雑多さのあるシェダー隊やミネルバ隊の方が好みなのだが、まぁ文句など言っても仕方がない。
他シティの部隊長就任の話を蹴り、近くにいて面白いとイザークの副隊長を選んだのは自分だ。

「しかし、悪くはないと思います」
意見を述べたのはプルデンシオと同じブレイズβに乗るディアッカの数少ない子飼いの部下であるマレットだ。
その言葉にディアッカは少し考え込む。 おそらく所属不明艦は艦影からミネルバ級と推測出来る。
頭の中で此方の戦力とミネルバ級の性能から、最悪の事態を想定し、結果を算段する。
「……そうだな、取り敢えず警告でもしてみるか。 
 こちら、アーモリー1駐留艦隊第一MS戦隊ジュール隊エルスマン支隊。
 現在貴艦がいるのはプラント自治区アーモリーシティの主権領域である。 速やかに貴艦の所属と目的を明らかにして頂きたい」 
全領域通信でディアッカは呼び掛ける。
内心応じれば儲けもの位に考えていた。
318MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:03:17.22 ID:???

五分程過ぎただろうか、ミネルバ級からの返答はおろか、反応すらない。
「反応無しか。……警戒レベルをBに引き上げ、所属不明艦に接近する
 マレット、プルデンシオは俺に続け、デューク、リリアはこの場で指示を待ち、その他は距離1500まで接近しろ」
状況は悪くない。 算段を続けながらディアッカは部下への支持を出す。
「待って下さい、艦載機が一機出ます」
最初にミネルバ級戦艦の動きに気づいたのは、矢張りディアッカ子飼いであり
エルスマン支隊で後方支援、電子戦と戦域通信指揮統制を担うリリアのコマンドガルバルディβCCIタイプEだった。

コマンドガルバルディβCCIタイプEはNジャマー下での無線通信を円滑化すべく開発された戦域通信指揮統制用ザクウォーリア、コマンドザクCCIをベースとした機体である。
超高性能複合通信システムを搭載し、左肩に複合大型パラボナアンテナ、右肩に自衛用超高速レールガン。
背部に電子作戦用機材パックを背負い、頭部カメラも狙撃機並みの高精度の光学機器に交換している。
内部構造も全面的に改修されており、ウィザード、シルエット換装を不可能とする代わりに高度に専門化した後方支援専用機である。

「艦載機、しかも一機だと?」
予想だにしない相手の動きに、ディアッカは訝しげな表情を浮かべる。
「んー、機影はGタイプみたいだな。 識別は味方? あれ? この信号パターンは……
 インパルスエクシード!? 待ってください! アスカさんです! ミネルバ級から出てきたのはシン・アスカさんです!」
メインカメラを最大望遠で謎のMSへと向けたデュークはすぐさま信号パターンを調べる。
見覚えのある機影、パターンにそれがシンのインパルスエクシードである事に気付いたデュークは慌てて大声を上げた。
「なんだって?  取り敢えず戦闘態勢解除だ!」
確かに四肢の一部を失ってはいるが、インパルスである事を目視にて確認したディアッカのブラストβが右手を上げ、部下を制止する。
『調整……繋げるぞ』
「あー、こ…らイガガルス…クシード、シン・アスカ聞こえますか?」
ノイズの入り混じった音声が次第にクリアになり、その場に居合わせた全員にシンの声がはっきりと聞こえた。
「シン、お前集合場所に現れなかったかと思えば何やってるんだ」
呆れたような口調のディアッカは口を半開きにしながら、まじまじとシンとインパルスエクシードを見詰める。
「まぁ、本当に色々ありまして詳しくは追々……あ、後ろのミネルバ級はマティスシティ艦隊のアラハバキで、味方です。
 って言うか、マティスシティの部隊は味方です。 司令部か議長代理と話がしたいらしいんですが、無線が故障したみたいで……」
「はぁ!?……いや、確かにマティスシティの動向は掴めなかったけどよ。 マジで何があったんだ!?」
しどろもどろになりながら説明するシンの断片的な内容にディアッカは驚きの声を上げた。
「殿で追撃隊の足止めしてたら加勢してくれた上に、拾って送ってくれたんですよ」
「……お前もイザークと同じで周囲を飽きさせないな」
シンの話を聞きながらディアッカは感嘆の溜め息をつく。
周囲にいたってはもはや言葉すら出ないのか状況を見守っていた」
「それ褒めてるんですか?それとも嫌みですか?」
「両方だ。 しかし、参ったな。 俺の判断でどうこうする訳にはいかないな。
 上の判断を仰ぐから……取り敢えず、出島に入って貰った方が良いか」
むすっとしたシンの言葉を受け流したディアッカは対応を考え込むと、ふと思い付いたように手槌を打った。
「出島って言うと」
『……スペースポートか。 ブレイク・ザ・ワールド事件やレクイエム戦役で大分数を減らしていた筈だ』
シンの疑問にRBは自身の持つ知識から引き出すと呟いた。

一般に『出島』の名前で呼ばれるスペースポートは、前々大戦初期から中期においてプラント外の人間ジャンク屋や中立国企業などとの取引の為に設置されていた。
だが、ヤキン・ドゥーエ戦役後期になり戦火が広がると、戦線がプラント周辺に近づくにつれ、ザフトが簡易補給基地へと流用する為に徴用され、その数を減らしていった。
戦後、再使用可能な物は元の用途に使われていたが、ブレイク・ザ・ワールド事件の後、反コーディネーター感情の高まりにより、使用機会が激減。
レクイエム戦役終結後のラクス・クライン政権では融和政策の元、プラントの港を全面解放した為、今や、残存する出島は片手で数えられる程の数となっていた。
319MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:04:52.20 ID:???
「そんなもん一体どこから引っ張って来たんですか」
純粋に好奇心から疑問を感じたシンはディアッカに問い掛ける。
「民間に払い下げたのを借りてきたんだよ。 個人的に色々コネがあってな」
シンの疑問をはぐらかすようにディアッカは笑ってみせた。

若年化の進むザフトでも部隊長としては所謂『若造』に当たり、作戦遂行、戦術指揮能力は充分でも政治センス皆無のイザークに変わり、ディアッカはジュール隊の番頭として部隊を取り纏めていた。
ある時は表に立ち部隊を指揮し、またある時は裏方に回り他部隊、上層部との折衝役を買って出る。
時には正攻法で交渉し、人には言えない独自のコネを使い恫喝まがいの動きすらしてみサタ。
イザークがジュール隊の顔で大黒柱、シホがそれを補佐する支柱なら、ディアッカはジュール隊を支えている屋台骨と言っていいだろう。

「まあ兎も角、エスコートは俺達でやるから、お前は帰還していいぞ」
話が纏まったと見たディアッカはブラストβでアーモリー1を指し示す。
さっさと帰れとでも言いたいのだろう。
「アスカさん、推進剤とか足りてますか?」
プルデンシオのブラストβがインパルスエクシードに接近する。
「いや、俺は大丈夫だからアラハバキの先導を頼む
 無線の故障で送遠距離信が出来ないから近距離か接触回線で連絡をとって欲しいんだ。
 一応向こうにも事情を説明するから付いて来てくれ」
言い終わると同時に、シンはインパルスエクシードを反転させた。
「了解です」
インパルスエクシードの後を追い、ガルバルディも移動を開始する。
「RB、接触通信用のワイヤー頼む」
『ワイヤー射出……接続完了。 話せるぞ』
インパルスの右手に接続された、接触通信用のワイヤーをブリッジ周辺に発射する。
「こちらシン・アスカ、話が付きました。 現場じゃ判断出来ないので、上層部の判断仰ぐ為に取り敢えず出島の方に入って欲しいみたいです。 
 エスコートをジュール隊のエルスマン支隊と、こっちのミネルバ隊のプルデンシオ・アイマンが行います」
「アスカ君、ユージェニーです。 話はこちらでも把握しました。  世話をかけました、感謝します」
通信を繋ぎ、説明するシンにアンリの返答が聞こえた。
「いえ、連れてきて貰った礼はこちらがしたいくらいですよ」
アンリの礼に謙遜しながら、シンは頭を頭を下げた。
「また会いましょう、アスカ君」 「ええ、近い内に……また戦場で」
引き締まった表情のアンリの敬礼にシンも返礼を返した。
次に会う時もまた戦場、おそらくこの騒乱でも最大規模の戦であるとは二人は感じていた。
320MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:06:36.42 ID:???

アーモリー1港湾部格納庫
「まーた、派手にやったなぁー」
四肢を失い大破寸前、完全に中破したインパルスエクシードを前にヴィーノは呆れたような口調で呟いた。
床面を蹴り、コックピットへと近づく。 
港湾部は重力が軽いので軽く蹴っただけでもコックピットまで行けるのは非常に便利だ。
途中、あんぐりと大口を開けた局長の顔が目に入ったが精神衛生上の問題から気のせいと言う事にしておく。

「おーい、まだ生きてるかシン?」
「……生憎、まだ生きてるよ」
ヴィーノの冗談めかした口調にシンも苦笑いながら答える。
「そりゃあ良かった調子はどうだ?」
インパルスに取り付いたヴィーノは縁に手をかけると慣性を殺し、コックピットハッチへと移動する。
「悪くない。 仮眠も取れたしな。 あ、ヴィーノ悪い。 ハッチ開けるから退いてくれ」
シンはシステムを通常モードから待機モードへと移し、ハッチのロックを解除する。
「あいよ」
返事をしながら飛び退くヴィーノ。
装甲が展開し、続いてコアスプレンダーのキャノピーが開いた。
「よいしょっと」
シートベルトを外し、携帯端末を右手に持つと、シンは左手でキャノピーの縁に手をかけ腕の力で体を持ち上げた。
「おかえりー」「ただいま」
右手を上げたヴィーノにハイタッチで答えるシン。
「長丁場だったのに案外元気だな」
シンの横顔を見ながらヴィーノが不思議そうな顔を見せる。
「ま、慣れてるからな。 ……でも今回はホント疲れた」
床に足を着けたシンは大きな溜め息を付いた。
「ああ、煙草も吸いたいし、熱い風呂に入りたい。
 ついでに腹ぺこだからなんでも良いから腹に入れたいよ」
「そんだけ我が儘あるんなら、もう一回出撃しても大丈夫そうだな」
大きく頭を振ったシンにヴィーノは意地の悪い笑みを浮かべ半ば呆れたように言った。
「冗談じゃないぜ、まったく。 ……ん? あれは」
ヴィーノの言葉に渋面を作ってみせたシンは遠くから近づいてくる人影に目を細めた。
「戻ったのか、シン」
格納庫の入り口から飛んできたのはコートニーだった。
「コートニーさん」
見知った人影に気付いたシンは手を振り応える。
「聞いたぞ、殿しかも単機で大立ち回りしたそうだな」
シンとヴィーノの隣に着地するとやれやれとインパルスエクシードを見上げた。
「傭兵なら何時もの事ですよ」
「先代ミネルバ時代から良くありましたね」
コートニーの言葉に顔を見合わせると二人は乾いた笑い声を上げた。
「さらりと言うな。……それより、お前が見つけた例のデカブツの事だ。 えらい騒ぎになってるぞ」
突っ込む事を諦めたのか、コートニーは小さく息を吐くと眉をしかめ、声量を抑え囁く。
「デカブツ?」
『お前がケルベロスを叩き込んだ謎の構造体の事だろう』
「ああ、あれか!」
はてと首を傾げていたシンは携帯端末から聞こえたRBの声に相槌を打つ。
321MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:08:10.25 ID:???

「あれがどうかしたんですか?」
納得したところで再びシンは首を傾げる。
「お前がソキウス・スリー中尉に渡したデータを解析したら色々マズいことがわかったらしくてな。 今上の方で部隊長級まで集めて対策会議中だ」
周囲を見渡し、声を潜めるコートニー。
「大事になってますね」
雰囲気を察したのか、シンの声もつられて小さくなる。
『他人事のように言うな』
「いや……確か、シンにも呼び出しが掛かっているぞ」
RBの鼻を鳴らすような声に、引っ掛かりを覚えたヴィーノはふと考えると思いだしたように声を上げた。
「俺が?」
一傭兵でしかない自分をわざわざ呼び出す理由が思い当たらないシンは訝しげな表情を見せる。
「おそらくだが、直接目撃したお前の意見が聞きたいのかもしれないな」
「呼び出しって……俺はどうすりゃ良いんですか」
シンはコートニーの推測に頷きながらも眉をハの字に歪め、困った顔を見せた。
「本来なら上位責任者に確認を取るのが筋なんだが……」
「ジュール隊長もトライン艦長も暫く帰ってきそうにありませんしねぇ」
言い淀むコートニーの言葉を、ヴィーノが続ける。
「仕方ない。 私が確認しておくから取り敢えず一休みして来るといい」
「すみません、助かります。 ……観測データなんかも持って行った方が良いですかね?」
『そちらの方は今回の戦闘をまとめるついでに私がやっておこう』
「おっ、悪いな、RB」
『気にするな、私は気にしない』
礼を言うシンにRBは何時もの調子で返す。
「飯行くんだろ? 食堂の場所は分かるか、シン?」
「4年前から変わってないなら、大丈夫だよ……とその前に」
ヴィーノの問い掛けに頷くとシンは胸ポケットからタバコの箱を取り出すと一本口に咥えた。
「火気厳禁の格納庫でタバコなんて吸うな!」
間髪いれずヴィーノが煙草をむしり取る。
「……咥えるだけだよ。 痛っ!」
嫌そうに顔を歪めたシンは次の瞬間、後頭部に走った痛みに思わず後頭部を抑えた。
「馬鹿野郎! 格納庫でタバコ吸う奴がいるか! ○ね!」
振り返ったシンが見たのは鬼の形相で睨み付ける局長の姿だった。
「だからってスパナ投げる事は……」
『どう考えてもお前が悪い反省しろ』
涙目で後頭部を押さえるシンにRBの叱責が飛ぶ。
「へいへい、すみませんでした〜。 はぁ……仕方ないとっとと飯に行こう」
煙草の箱を胸ポケットへ仕舞うとバツの悪そうな顔でとぼとぼと歩き始めるシン。
「あ、シン! 端末に連絡するから電源は入れて置いてくれ!」
「了解」
コートニーの叫びに大きく手を上げることでシンは答えた。
322MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:10:02.52 ID:???

「……さて」
格納庫から出たシンは周囲に人がいないことを確かめると、煙草を落ちないように咥える。
シンがタバコを咥えるのは大抵何かを考え込たい時だ。
「RB、どう思う?」
タバコに火もつけずにそのまま暫く歩くと、脈絡もなくRB本体と繋がっている端末へと話しかける。
『また随分と唐突だな。 呼び出しか、それとも謎の建造物のことか?』
RBは口では唐突とは言うものの、それが当然であるかのように答えて見せた。
「後者だ。今更呼び出し受けてどうこうも無いだろう」
シンもまたRBが答えてみせたのになんの疑問も抱かずに話を続ける。
『確かにな』
「率直に聞く、あれはなんだと思う?」
フムと、頷くRBにシンは問いを重ねる。
『あの大きさ、観測データから推測できた形状。 近くに居ただけでわかる大出力。
これだけならまだしも、ケルベロスIIを弾く程のPS装甲ときた。 
 間違いなく兵器。 それもジェネシス、レクイエム並みの戦略級の兵器だろう。』
「兵器、か……」
RBの推測を聞きながら、シンは誰にでもなく呟くとスッと目を細めた。
『シン?』
「なぁ、RB。 あれとインパルスエクシード、どう違いがあるんだろうな? 
 サイズか? 戦略級か戦術級か? 殺す人数か? 
 どちらにしても兵器は人を傷つける為の物だろう? なら結局突き詰めれば同じ物なのかもしれないな」
シンはふと立ち止まると首を振る。 
咥えていたタバコを右手で抜き取るとそれを握り締め、どこか達観した様子で呟いた。
『シン、お前は……』
「冗談だよ、冗談。 今更悩むくらいなら傭兵なんてやってないさ」
シンの様子を訝しんだRBは声を掛けるがシンは口元に笑みを浮かべ、端末を叩いてみせた。
『ならいいがな』
「なんだよ、その言い方ん……潮の香り?」
シンは鼻孔の中に入ってきたプラントとは場違いな海の匂いにふと周囲を見渡した。
「 な ん て こ っ た ぁ ! 」
遠くから聞こえた素っ頓狂な壮年の男の叫び声に思わずシンは顔を向ける。
そこにいたのは地球連合の白い軍服を着た筋骨隆々、日に焼けた浅黒い肌の男だった。 サンダル履きの。
「PXに水虫薬はない……のはまぁ、仕方無いとして、煙草は無いのはどうなってるんだ! しかも喫煙所が何者かに破壊されてるとか……」
「あー、酷い事する奴がいるもんだ」
先程までの思索はどこに行ったのか、無表情に顔を背けるシン。
『おい、こっち向いて言え』
「あー、あー、聞こえない!」
すかさずRBが突っ込むがシンは耳をふさぎ足早に立ち去ろうとした。
「ん?」
「あ!」
だが目があった。 合ってしまった。
サンダル履きの軍人は目のあったシンに素早く近づいてくる。
(局長もかなりゴリラ似だが、この人もかなりゴリラチックだな)
「あの……すみません」
「は、はい!」
男を見て下らない事を考えていたシンはおずおずと話かけられたことに驚き、思わず背筋が伸びる。
323MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:11:49.59 ID:???

「何方かも存じない初対面の方に大変失礼なのですが、なぁ……兄ちゃん煙草持ってないか?」
「(思ったよりもフランクだな、このゴリラ)あー、紙巻の安物で良ければ……どうぞ」
あーやっぱりなと内心思いながらシンは未開封の箱を差し出す。
人に火をタカったシンも人の事を言える立場に無いと自覚している。
「いや、一本だけ貰えれば十分だ!」
箱を差し出したシンに男は慌てて首を振る。
「自分の分はまだありますので。 それに連合の軍人の方とお見受けします。
 循環型のプラントでは煙草は殆ど市販されていませんから手に入りませんよ」
「……そうか、そうだったな。 宇宙に住む人々にとって空気とはその場に元々ある物ではなく、命を繋ぐ為の貴重な糧だったな」
シンの言葉に男ははっと気付いたのか、横に首を振った。
「やれやれ、ここのところ海暮らし多かった所為か上の宇宙(うみ)を忘れていたようだ」
「うみ……? あ、海軍の方でしたか?」
男の言いまわしにシンは一瞬首を傾げ、すぐに納得できたのか頷いた。

宇宙を海と言うのは海軍出身者が多い。
シンの知り合いではジェーンがその言い回しを好んで使っている。
逆にエドを始めとする陸、空軍出身者はそらと呼ぶ者が多かった

「お、分かるかね? 今は宇宙軍だが若い頃は爆雷処理艇やミサイル艇、駆逐艦に乗って7つの海を駆け抜けたもんさ。
 まぁ、ついこの間も人手が足りない海軍の手伝いで下に降りていたのだがね。  全く、古巣とは言え…官、それも中…を良くこき使えるよ」
サンダル履きの男の世間話はいつの間にか愚痴じみたものへと変わっていた。
「それは随分と……でも何でまた?」
「大分出世した昔の恩師に頼まれてね。 断り切れなかったのさ。
 ……と、余計な話をしてしまったな。 煙草有り難く頂くよ。 ありがとう!」
自分が長話でシンを留めていることに気付いた男は詫びながら礼を言う。
「あ、いえ、お構い無く」
「どこかに用があったのだろう? 引き留めてしまった私が言うのもなんだが、早く行った方が良い」
「では、自分はこれで」
「ああ、この礼は必ずする」
シンが深々と頭を下げると、男は連合式の敬礼で答えた。

「コーディネイターにも煙草を吸う良い人がいるんだな……さて、喫煙所を探さねば」
歩き去っていくシンの後ろ姿を見ながら、男はキョロキョロと辺りを伺う。
とそこで男は見知った姿を見つける。
「ここにおられましたか! 閣下、お迎えに上がりました」
向こうも気づいたらしく足早に近づいてくる。
「ん……大尉か。 わざわざスマンな。 しかし、使い走りとはご苦労な事だ」
閣下と呼ばれたサンダル履きの男が振り向くと、そこには男と同じ白い大西洋連合軍の軍服を着た大尉の襟章を付けたパーマのかかった金髪の小柄な男がいた。

コールネーム、フラッグリーダー。 メタトロン艦内は勿論、原隊である第二地球軌道艦隊内で『大尉』とだけ呼べば通じる程には有名な男だった。
エキセントリックな発言もさることながら、レナ・イメリアの教え子の中でも虎の子と呼ばれる期待株にして大問題児。
更に、若いながらも第二地球軌道艦隊旗艦メタトロン艦載機隊の内の一隊、精鋭部隊オーバーウィングスの隊長一番機を務め認められる実力はかつての切り裂きエドに匹敵するとさえ言われていた。
324MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:13:23.81 ID:???

「自室謹慎を受けているよりも余程マシです」
疲れたようにため息を吐きながら頭を振る大尉。
「ん、そうか」
大尉は先日の出撃した際の報告書製作中に「少年が私を、強者を求め呼んでいる!」などと戯言を抜かし、突如姿を消した。
職務放棄と無断外出した一件で自室謹慎と始末書処分を受けていたのだった。
「私のことなどどうでもいいですが、閣下、例のデカ物に緊急対策会議が開かれるそうです。 至急お戻りを」
「やれやれ、せめてタバコの一本も吸わせてくれないか? メタトロンは禁煙で肩身が狭いんだ」
大尉の言葉に閣下と呼ばれた男はわざとらしく大げさに肩を竦める。
「駄目です。 提督からタバコの匂いがすると自分が怒られます」 
「仕方ない。 では、会議後の楽しみに取っておくとしよう。 ……一応言っておくが、咥えているだけだぞ?」
念のため確認をとると男はタバコを一本取り出すと口元に運んだ。
「分かっております」
不承不承といった感で了承する大尉。
「では、行こうか」
「はい、閣下」
「その閣下はやめてくれないか。 なんかムズかゆい。 特に足の裏が」
乗艦メタトロンの繋留されている港湾部に戻ろうとしていた男は、大尉の一言に足を止めた。
「では提督と呼ばせていただきますがよろしいですか?」
男の言葉に意外そうな顔を見せると改めて許可を求める。
「うん、まぁそれならいいか」
渋々提督は頷くと、再び港湾部へと足を向けた。 

提督と呼ばれたこの男は大西洋連邦宇宙軍第二地球軌道艦隊司令官であり、プラント救援連合艦隊総司令も務めるR・G・アルガ中将であった。

激動と戦乱の時代だったCE60年代末からCE70年代。 その終わりが近づきつつある。
その最後の大舞台アプリリウス戦役。 
もうすぐ舞台は整い、役者も揃う。
だが、終幕が開くには舞台を降りようとしているかつての主役の復帰を待つ必要があった。
325MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/04/14(木) 22:14:59.11 ID:???
今回は以上です。 
定期的に投下できるよう頑張りたいと思いますので改めてよろしくお願いします。
326通常の名無しさんの3倍:2011/04/14(木) 23:33:22.79 ID:???
>>325
ヒャッハー!MOR氏おかえりなさい〜!!
今回は、事態の中休み的なお話でそれぞれのキャラクター達がいい感じでしたね。しかし、アビーw
そして新たに出てきた中将閣下。これまたパンチの効いたお人だ。どう絡んでいくかまた楽しみですわねぇ〜
327通常の名無しさんの3倍:2011/04/15(金) 01:29:30.49 ID:???
何その金物屋店主と二足のわらじ提督(W

同期のモリシタと一つ年上のコムラさんもいますよねと期待してみる。
328通常の名無しさんの3倍:2011/04/15(金) 15:28:05.08 ID:???
MOR氏キター!
やはりアビー,こだわりがある紅茶に砂糖3杯は怒ってたかw
そしてアンリと提督のキャラがまた魅せてくれますなw

続きがとても楽しみです!
GJ!
329通常の名無しさんの3倍:2011/04/18(月) 18:26:06.35 ID:???
>>305
魔界ウォーズでも始まるのか?
330逆シン検定:2011/04/18(月) 19:15:32.16 ID:???
1:GSC氏のシンの異名は○○のシン
2:ツェドのパイロットは?
3:シンと抱き合い斜面を転がったのは?
4:タガーの中で絡まったのはシンとしっぽと誰?
5:ジオンでノイマンが艦長な艦艇は?
6:キラの異性型クローンの名前とMS
7:シンが野宿したと言い張る日に泊まった所は?
8:髪の毛を毟られるアスランの息子の名前
9:三連星でヒルダ以外2人の名前
10:このスレの真のヒロインは?
331通常の名無しさんの3倍:2011/04/18(月) 19:54:45.47 ID:???
>330
10だけは分かる。
MSだろ?
332通常の名無しさんの3倍:2011/04/18(月) 21:22:38.77 ID:???
>>330
1、金的
2、ベル
3、ユルゲン
4、セツコ
5、カチュア
6、ー、ミーア
7、エジプトのホテル
8、ニコル・ザラ
9、ハ行、ー
10、アズラエルお嬢様

多分70点は貰えるはず
333通常の名無しさんの3倍:2011/04/18(月) 23:24:51.63 ID:???
>10:このスレの真のヒロインは?

こう問われた時、二人の読者A・Bはそれぞれ異なったリアクションを示した。
Aは「回答を固辞させていただきます、私には家族がいるのです」と述べたが
Bは何を思ったか突然崖から飛び降りてしまった。
奇跡的に命に別状はなかったが、救助されたBは何故あんな事をと問われて答えた。
「私には家族がいるのです。」
334通常の名無しさんの3倍:2011/04/19(火) 09:38:41.06 ID:???
このスレのヒロインってシンだろ?
335通常の名無しさんの3倍:2011/04/19(火) 12:12:43.32 ID:???
>>332
ハ行と飯マーズ炒飯だろ
336通常の名無しさんの3倍:2011/04/19(火) 23:34:52.34 ID:???
>>334
ヒロインというよりも景品。何のとは言わずモガn(ry
337通常の名無しさんの3倍:2011/04/19(火) 23:56:37.47 ID:???
>>336
景品なんて言ったらまた惨劇のパレードの始まりだぞ
338通常の名無しさんの3倍:2011/04/20(水) 00:04:37.27 ID:???
こだまですか?CMで説明しようとしたらエラーが出る
339小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 17:55:52.34 ID:???
バンコクの歓楽街にある派手な原色のネオンを撒き散らしたクラブの奥まった席に軍の制服を着たでっぷりと太った男が一人座っていた。
「始めまして、メイリンでーす」
男の下にやって来たホステスは胸元が大きく開き、深いスリットの入った赤いドレスを着て、綺麗なブルネットの髪を結い上げたアメジストの瞳をした美女であった。
「ん、なんだ見ない顔だな、スダはどうした?」
「スダさんはお休みです、私、今日からなんですけど、宜しくお願いしますね将軍様」
「ほっほう、儂が将軍だと知っておるのか」
「お店の人から、将軍様は大事なお客様だから失礼の無いようにって言われていますわ」
将軍と呼ばれた男は自分の席にやってきたメイリンという女をいやらしい目で上から下まで舐めるように見つめる。
広げられた胸元から見える双丘はたっぷりとした重量感があり、スリットから見える脚もスラリとしながらも脂が乗っていて美味そうだ。
お気に入りのスダが居ないのは残念だが、この新人も悪くはない、しかもキチンと店側が言い含めてあるのか自分の事を媚びるような視線で見つめてくるのも嗜虐心をそそる。
「私じゃ駄目ですか?」
潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくるメイリンに将軍はニヤリと笑うと隣に座るように促した。
それから2時間後、将軍とメイリンはホテルの一室にいた。
「うわー、綺麗な夜景」
「ほれ、そんな事はどうでもいい、さっさとこっちに来い」
「そんなあ、せめてシャワーを浴びさせて」
「うはは、儂は匂いに興奮するのだ、まずは邪魔な服を脱がしてやろう」
グヘグヘとやに下がった笑みを浮かべながらメイリンへにじり寄る将軍、部屋の中央に備え付けられたベッドの端に、メイリンが脚を引っ掛けるとギシと音を立ててベッドへと倒れ込む。
「ぬふふ、誘っておるのか」
ベッドの上に横たわるメイリンの扇情的な肢体に目を細めると将軍は一気に飛び掛かろうとすると、メイリンがベッドの上でクルリと一回転するとすっとベッドの脇へと降り立った。
「何時まで見てんの……よっ!」
将軍が間抜けな顔をして呆然としていると、さっきまでの媚びた声とは違う凛とした声を同時に翻ったドレスのスリットから飛び出した脚が将軍の横顔に吸い込まれる。
「グエッ!」
蟇蛙が潰れたような声と上げて吹き飛ばされた将軍だが、すぐに飛び起きると血走った目でメイリンを睨みつけた。
「き、貴様、儂に何をしたかわかっておるのか!?」
鼻血を流しながらも大声で恫喝する将軍だが、メイリンはベッドの向う側から不機嫌そうな顔を此方に向けているだけだ。
「……ったく、さっさと助けなさいよね」
「悪い、あんまり見ない光景だから珍しくて」
メイリンが場違いな悪態を吐くと同時に、将軍の後頭部に冷たく硬い物が突きつけられて惚けた台詞が聞こえてきた。
「な!?」
「おっと動くなよ、ゆっくり手を上げて跪け」
「此方としては最悪耳が聞こえて口が利ければ何の問題も無い」
動揺して後ろを振り返ろうとしたが、今しがた聞こえた声の他にもう一人別の男の声がする。
340小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 17:57:18.99 ID:???
どうやら襲撃者は最低二人、いや目の前にいるメイリンも間違いなく仲間だろうから三人だ。
このホテルは自分が定宿にしているだけに子飼いの人間を配置してある、この人数なら異変を知らせる事ができれば制圧は容易いだろう。
「何が目的だ、金か?」
「先に言っとくが、隣の連中なら仲良くお休み中だ」
「なっ?! ヴッ」
そう判断すると将軍は油断を誘うように口を開いたが、喋っている最中に首筋を強打され、うめき声をあげて昏倒した。
「さっさと片付けるぞ」
「了解」
ベルパーソンの格好をした金髪の美丈夫が洗濯物を取り込む為のズタ袋を取り出して、メイリンへと放り投げると、受け取った袋から女性用のルームキーパーの制服を取り出す。
「さっさと帰ってシャワー浴びたいわ」
やれやれと愚痴りながら頭に手をやったメイリンが自分の髪の毛を掴んで引っ張るとブルネットの髪がズルリと取りさらわれて濃い赤毛を覗かせた。
そのままドレスも脱いで鬘とドレスを袋に詰めると将軍を昏倒させた男へ渡して、二人の視線も気にせずに服を着替え始める。
「おいルナ、着替えるなら向うで着替えろよ」
「時間無いでしょ、それにシンは見慣れてるじゃない」
「レイが居るだろ」
「気にするな、俺は気にしない」
レイと一緒に将軍を袋詰めにしていたシンがルナマリアに文句を言うが一蹴され、黙々と作業を続けているレイは例によってクールな態度を崩さない。
「まあシンの気持ちも分かるがな、ようするにルナマリアのそういう格好を俺も含めた他の奴に見せたく無いんだろう」
「な、別にそんな事ねーよっ」
ルナマリアの方を向かずに黙々と将軍を袋に押し込んでいたレイが、シンの顔を見ながらからかうような調子で軽口を叩くと袋の口紐を縛っていたシンが真赤になって否定する。
騒いでばれる訳にはいかないので小声なのはご愛嬌だろう。
清掃員の格好をしたシンが将軍の入った袋を、洗濯物を満載したキャリアーに無造作に放り込むとルームキーパーの制服に着替え終わったルナマリアがキャリアーに取り付く。
「では先に行く」
「了解、私はエレベーターが着いたら出るわ」
そっとドアを開けて辺りに人の目がない事を確認した二人は廊下に出るとレイは階段を走って降りてゆき、シンは廊下に置いてあった掃除用具を入れた台車引きながらエレベーターへと歩いて行く。
エレベーターが到着した音を聞いた所で洗濯物を満載したキャリアーを押しながら部屋を出たルナマリアが「待って」と芝居掛かった声を上げて小走りに廊下を進みエレベーターへと乗り込んだ。
チーンという音がして1階に到着したシンとルナマリアは、それぞれの台車を引きながらエレベーターを降りて裏口へ向って移動を始めた所で野太い声を掛けられた。
「おい、ちょっと待て」
声に従って足を止めた二人が振り返ると、見るからに堅気とは思えない強面の男がしかめっ面で立っていた。
341小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 17:58:50.31 ID:???
「何でしょう」
「二人とも見ない顔だな」
「今日からなもんで」
「そんな話は聞いてないぞ」
「何時もの人が急に休みになって、それで」
男の質問に予め用意していた答えを返すが、男は納得がいかないのか二人をジロジロと、いや二人というよりもルナマリアを上から下まで嘗め回すように見ている。
ようするに難癖をつけてルナマリアにいやらしい事でもしたいのだろう。
「勘弁して下さいよ、早く持ち場に戻らないと怒られて……」
「ああ、お前は行っていい、それよりこっちの姉ちゃんには話を聞きたいな」
男はそう口に出すと、ルナマリアの肩に手を伸ばそうとした瞬間、エレベーターが開き中から男と同じような黒服が降りてきた。
「おい、何をしている、閣下が見当たらん探せっ」
「え?」
「ふっ!」
「おぶっ?!」
エレベーターを降りてきた黒服の言葉に、二人に絡んでいた男が面食らった瞬間にシンが動いて拳を男のみぞおちにめり込ませていた。
「行くぞ!」
「もうっ!」
「待てっ!」
男を殴り倒して裏口の扉を開けた二人を見た黒服は懐から拳銃を取り出すと即座に発砲する。
シンは崩れ落ちる男をそのまま盾にして、銃弾を受けると銃を持って走ってくる黒服へ向けて突き飛ばす。
そこへタイミング良くレイが運転するバンが到着したので、ハッチバックを開けると将軍が詰められたズタ袋を投げ込んで二人も飛び乗る。
「レイ、急げ!」
「見つかったのか?」
「将軍様が居なくなったのがばれただけだったんだけど、シンが私に絡んできた馬鹿を伸しちゃったの!」
「そういう事か」
レイはアクセルを一杯に踏み込んで、タイヤが回転しアスファルトとの摩擦で焦げた黒い跡を残したバンは弾丸のように走り出した。
「くそっ! あいつ等、許さんぞ」
その直後、裏口の扉が開き、先程銃を撃ってきた黒服が顔を覗かせ、手に持った無線で何事かを矢継ぎ早に指示すると、何台かの黒いセダンがレイの運転するバンを追いかけ始める。
深夜のバンコク市街を一台のバンが疾走し、それを何台もの黒いセダンが追い立てる。
バンを運転するレイは持ち前の空間認識能力を最大限に活用し、流れる車の間をギリギリで通れる隙間を見つけては、針を縫うような繊細なドライビングで追い抜いてゆく。
「何人たりとも、俺の前は走らせん!」
華麗な運転を見せるレイの駆るバンではあるが、追い立てるセダンは盛大にクラクションを鳴らし、退かない車を跳ね飛ばしながらグングンと差を詰めていた。
間に他の車両が無くなると、セダンの窓が開けられ顔を覗かせた黒服達が手に持った銃を遠慮なく撃ち始める。
そのうちの一発がハッチバックの窓を叩き割り、車内にガラス片が撒き散らされる。
「くそ、好き勝手やりやがって」
「二人とも後部座席の下だ」
「OK♪」
342小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:00:53.68 ID:???
二人がレイの声に従って後部座席のシートを剥がすと椅子の下には黒光りする銃機が揃っていた。
「用意はしとくもんだな」
シートの下から取り出したライフルの狙いを付けたシンが引き金を引く。
ガン、ガンという音と共に吐き出された弾丸は、狙い違わずに窓から身を乗り出していた黒服を撃ち抜き道路へと叩き落してゆく。
走行中の車から地面へと叩きつけられた黒服たちは道路上で身動きすら出来ない、そこへ後続の車が突っ込み、嫌な音を立てて轢き潰される。
仲間の血と油で滑ったタイヤはアスファルトの上で空回りすると、車体を蛇行させてシンに横っ面を晒す。
「貰った!」
黒服が落ちたおかげでガラスが開いたままになっている助手席の窓へ向って第2射を叩き込むと、運転者の頭が熟れた柘榴のように破壊され動きを止めた。
しかし後続の車が道路で止まり邪魔になった車を弾き飛ばして、なお追いかけてくる。
「さっきのお返しよ!」
追いすがってくる車両に向って、両手に軽機関銃を構えたルナマリアがセダンのフロントガラス目掛けて乱射した。
軽機関銃の弾丸では防弾処理されているのだろうフロントガラスを割る事こそなかったが、蜘蛛の巣状に穿たれた弾痕によって視界を奪われる。
高速走行中に視界を奪われた車は蛇行し、僅かな段差にタイヤを取られると空中へ飛び出し落下横転する。
金属とアスファルトが擦れる耳障りな音が響き渡り、横転した衝撃で零れたガソリンに火花が引火して轟音と共に爆散した。
「BINGO!」
「派手だな、まさかこんなに目立つ羽目になるとは思わなかったぞ」
バックミラーに映る炎上する車を見ながらレイがポツリと零すが、ハンドル捌きに淀みは無い。
「シンが暴れだすから」
「あそこで詰問されたらヤバかったろ」
「それは…… まあそうかも」
「だろ?」
「だからと言って結局力技になったんでは、作戦を立てて色々と準備した俺が可哀想だ」
「それはそうね、私も色々触られて気持ち悪かったし!」
空になったマガジンを交換したルナマリアが、爆発炎上した道路の向こうから炎を突っ切って追いすがる車に更に弾丸を雨霰と打ちこみながら語気荒く応じる。
「しょうがないだろ、こうなったら思いっきり派手にいくぞ」
「了解」
「やれやれ」
シンの言葉に嬉々として応じるルナマリアと、軽く肩をすくめながらも後ろからの弾丸を右に左に華麗なドライビングテクニックでかわすレイ。
既に街中は抜けて街道にでたおかげで、辺りに他の車は見えなくなった、僅かに残っていた車も騒動に怯えて路肩に避難している。
こうなると単純なパワーが物を言う、三人の乗るバンと黒塗りのセダンの車間距離が徐々に縮まって、遂に後部に追突された。
「うわっ」
「きゃっ」
「ちいっ」
追突した衝撃に短い悲鳴を上げた三人だが、すぐに次の行動に移る。
343小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:02:29.26 ID:???
シンは持っていたライフルを捨てて、大口径の拳銃と大振りのコンバットナイフを取り出すとサンルーフから屋根に上り、真後ろにいたセダンに飛び移り、セダンの屋根にナイフを深々と突き立てる。
上に乗られたセダンはシンを振り落とそうと左右に蛇行運転をするが掴んでいるナイフを器用に使い、後部のリアウインドウまで屋根を切り裂きながら移動したシンはリアガラスに目掛けて至近距離から引き金を引く。
車内の人間が躊躇している間に3発目で貫通した防弾ガラスの穴に銃を叩きつけて大きく割り銃を突き入れて乱射すると車内が朱に染まった。
運転手がいなくなり、コントロールを失ったセダンが脱落する寸前に隣を走っている別のセダンの屋根に飛び移る。
先程の手際を見ていたのだろう、黒服は窓を開けて屋根の上にいるシンを撃ち殺さそうと身を乗り出して手にしていた銃を向けた。
しかし、その瞬間にシンの靴底が黒服の顔面を蹴り飛ばし、バランスを崩した所に胸倉を掴まれて引きずり出されると路上へと捨てられ、嫌な音を立てなが後方へと流されてゆく。
シンは邪魔な黒服を排除した窓へ身を躍らせて車内へと滑り込み、素早く二人を射殺、運転席の椅子越しにナイフを突き入れた。
「う」
一言漏らしただけで動きを止めた運転手を、ドアを開いて外へ放り出したシンはハンドルを握るとレイ達の乗るバンと並走しているセダンに向かって思い切りアクセルを踏み込んだ。
ぶつけられたセダンは道路を外れると脇に立っていた木立に激突して派手な音を立てると車体を三分の2ほどに縮めて動きを止める。
全身を揺さぶる衝撃に顔を顰めながらも、相手の車を道路から弾き飛ばしたシンはバンに車体を寄せる、その動きに合わせてバンの後部座席が開かれルナマリアが手を伸ばす。
シンは運転席のドアを開けると手を伸ばすルナマリアの胸を目掛けて飛び込んだ。
「ただいま」
「おかえりなさい、で何時まで抱きついてんのよっ」
柔らかな感触に迎えられたシンが帰還の挨拶をするのに、ルナマリアは嬉しそうに笑ってから軽く突き放す。
「無茶しすぎだ」
「そうでもないさ、これで全部片付いたか」
「違うみたいよ」
アクション映画のような事をやってきたシンにレイが呆れた声をかけるのに、やれやれといった風情で肩を揉みながら応じたシンの耳にルナマリアの疲れた声が届いた。
その声に吊られて後ろを振り向けば、まだ離れてはいるが先程と同じような黒塗りの車が猛スピードで追いかけてきている。
「そんなにこのおっさんが大事かね?」
「それよりも、面子の問題と考えているんだろう」
「もうっ、しつこい男は嫌われるのよ。 レイ、合流地点まであとどれ位?」
使った弾丸の補給など戦闘準備を整えながら聞いてくる二人に、レイはニヤリと口元を上げて笑う。
「あと少しだ、二人ともしっかり摑まっていろ!」
大声を出すと急ハンドルを切ってバンを道路から路肩へと乗り上げて、崖に向って思い切りアクセルを踏む。
344小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:03:28.90 ID:???
速度の乗ったバンが崖から空中へと飛び出した、十分に速度が出ているとはいえ三人(+1)が乗っているのは車であって、飛行機ではない。
僅かな空中遊泳を終えると、重力に負けて海へと落下を開始する。
「うおおおおっ」
「きゃあああっ」
「……」
叫ぶ二人と、何かを見据えるレイが自由落下を楽しんでいると、ガシャンという派手な音がしてバンが海に着水した。
海中に沈むかと思われたバンはショックでタイヤが外れてコントロールを失ったが、そのままグルグルと回転しながら水面を滑走する。
その光景を追ってきたセダンから降りて来た黒服たちが崖の上から茫然とながめていると、レイがドリフトの要領で立て直して動きを止めたバンからシンが転げ出てきた。
「オマケだ!」
車から飛び出してきたシンは海面に片膝を付くと、肩に担いだ使い捨てのロケットランチャーの照準を崖上に集まっていた黒服の直下に付けて引き金を引く。
白い煙を吐き出しながら飛翔したロケット弾が崖に命中して爆発すると、そこを中心にして崖に皹が入り、上に集まっていた黒服を巻き込んで一気に崩落する。
「最後まで派手ねぇ」
「そうだな」
そんな光景を車から降りて来たルナマリアとレイが暢気に言葉を交わしていると、足元がせり上がり、海面と見えていた場所が潜水艦の甲板に変化する。
「さっさと荷物を持って中へ入れ、潜行するぞ」
甲板に立つ三人に艦の外部スピーカーから聞きなれた男の声が聞こえてくると収容の為のハッチが開かれ作業員が走り出て来た。
「了解」
命令に対して三人は返事を返すとバンの収容作業を任せ、将軍の入ったズタ袋を担ぎあげると艦内へと帰還する、こうしてバンと三人(+1)の収容を終えた潜水艦は海底へと消えていった。

「う……む?」
「眼が覚めたかね」
将軍が目を覚ました場所は、全く見知らぬ場所であった。
白い壁、白い天井、暗めの照明、そして自分を煌々と照らす目も眩むようなスポットライト。
「此処は何処だ、貴様、儂が誰だか分かっているのか!」
椅子に座らされ後ろ手に縛られている将軍が、虚勢を張って叫ぶ。
確かに将軍にはこの部屋は初めてであった、しかしこの部屋がどんな部屋なのかは良く知っている。
そうこの部屋は尋問、あるいは拷問を行なうための部屋なのだ。
「我々は聞きたいことがあるだけだ、大人しくしゃべるなら良し、しゃべらなければ…… まあ想像の通りだ」
聞こえてくる声は、自分が知っている誰よりも冷厳であり、鋼鉄の意志を感じさせるものであった。
そして暗がりから将軍の前に現れたのは、蛇のような妖しい雰囲気を持つ眼鏡を架けた美女であった。
「そ、その制服は、そうか貴様ら《A-Laws》だな! これは国際問題だぞ!」
「残念ながら我々には独自の捜査権が与えられている、それに彼方が此処にいるのは誰も知らない、この意味は判るな」
「く」
「では尋問を始める、素直に喋る事を薦めるよ。もっとも私は暫く頑張ってくれたほうが色々と嬉しいが……ね」
そう語る美女の血よりも尚濃いルージュを引いた形の良い唇が僅かに吊り上がるのを将軍は見た。
345小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:04:49.19 ID:???
香港の騒動から三日後、ソロネのブリーフィングルームにて同艦所属のMS部隊と陸戦隊の面々を前にしてフルフェイスの仮面を被った男、ソロネのMS隊を束ねるネモ少佐がモニターを指し示す。
「と言う訳で、今回の作戦はMSと麻薬の密造工場の制圧だ、質問は後で纏めて受け付けるから先ずは聞け」
話す少佐の声は仮面に取りつけられたスピーカーを通しているせいで機械的なものになっている。
少佐は戦闘にてMSの爆発に巻き込まれ一命を取りとめたものの、全身に酷い熱傷を負って現在の医療技術では治せないほどの人には見せられないような傷が残り、
声帯にもダメージを負ったのでこのような仮面を着用しているという話だ。
事実、シンも袖口からチラリと見えた肌に火傷の引きつり跡が残っているのを見た事がある。
それほどの重傷を負いながらもMSの操縦技術は部隊内でもトップレベルであり、模擬戦では三人を相手にして勝ち越しているほどで、
特に実戦での戦いぶりは仲間からも狂戦士と言われるほどの暴れっぷりで幾度となく危地を乗り越えて来た歴戦の兵であった。
「コイツが目標だ、招待した人間が快く話してくれた情報によると、此処ではMSの最終的な組み立てだけを行なっているらしい」
画面に映し出されているのはジャングルの中にポツンと立っている平屋の建物で大きさは300m四方といった所だろうか。
「で、残念ながらお客の話では出所までは知らんという事でな、そこで此処へ強襲制圧をかけて色々と調べようという事になった、幸い警備状況については色々と親切に教えてくれた」
ネモ少佐の言葉に会場から含み笑いが漏れたと同時に画面が切り替わる。
先程の建物を中心にした周辺の状況図で、見張り台や備え付けられた武装、MSの配備状況などの情報が乗せられていた。
「もっとも、客を招待してから三日、作戦は明日行うとして四日経っている警戒は厳重になっているからこの情報は参考程度に考え置け、では作戦を説明する」
作戦自体は至ってシンプルな物で先行するアレン、フェイ、ジェリルのAlbatross隊、レイ、シン、ルナマリアのBlood隊で強襲をかけ、
後詰にネモ、ゴードン、フィリアスのCancer隊を配置、敵MSを無力化させたあとは、陸戦隊が基地内部の制圧にあたるというもであった。
「作戦は以上だ、質問はあるか? 無ければ各隊長は残って細かい打ち合わせ、他の者は各種装備の点検、準備にかかれ」
「了解!」
「最後にこれだけは繰り返しておく、我々は暴力装置である。 この荒廃した世界に安寧をもたらす為に存在する力の象徴であって正義の味方では無い。
正義など豚に食わせてしまえ、我々の目的はいかなる手段をもってしても力の無い人々を理不尽な暴力から守護することである。
この密造工場の中には、生活の為に止むを得ずに働いている人間もいるだろう、だが彼らの行為がより大勢の無辜の民の安全を脅かし、一部の糞野郎どもを潤しているのを忘れるな。
邪魔をするなら、全てをなぎ払え、我々が奪う命と我々が落とす命が次の世界の礎になると肝に銘じておけ、以上、解散!」
「ハッ!!」
ブリーフィングルームに集まった全員が直立して敬礼をして、一斉に走り出した。
346小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:07:26.46 ID:???
「カンパーイ!」
三人が手に持ってカチンと打ち鳴らしたのはそれぞれ生ビール、冷酒、アセロラハイである。
乾杯したグラスを打ち鳴らし、各々グイと煽ると「プハー」と息を吐く。
「いっやー、予想よりキツかったな」
「全くだな、まさかたった三日でMSが3倍になっていたとは流石に予想していなかった」
「なんか聞いた話だと、丁度売り物が組み上がってたからそれ使ったって話らしいわ、流通関係の情報が殆どなかったのが痛かったわね」
一昨日の強襲作戦は成功したものの、思わぬ苦戦をしいられたと三人がぼやいていると陽気な声が頭の上から降ってきた。
「三人とも飲んでるかあ〜」
「お互い、お疲れだねえ」
「よっ」
三人に声をかけてきたのはAチームの三人金髪を短く刈り込んだアレンと見事な赤毛が印象的なジェリル、細目のフェイであった。
彼らの手にもジョッキが握られており、既に顔が赤い。三人はそのまま近くのテーブルから椅子を持ってきて一緒のテーブルに座ると杯を傾け始めた。
「しっかし、今回も俺の負けかよ、たく」
ビールを飲み干したアレンが胡乱に目を細めてシンを睨みつける、現在ソロネの撃墜王はシンであり、次がアレンなのでライバル視しているのだ。
今回の戦闘でシンは13機、アレンは9機のMSを撃墜していた、他の人間の戦果はレイが7機、ルナマリアが6機、ジェリルが5機、フェイが4機、逃げ出した6機をCチームの人間が2機ずつ落としていた。
「勝ち負けなんかどうでもいいだろ」
「そうはいかねえ、これでも連合コーディーとしてプライドがあるからな、だいたい模擬戦なら俺の方が勝率上なのに、なんで実戦だとお前のほうが戦果だすんだよ」
「なんてーか、シンはムラがあるけど、その分実戦に強いよねえ」
「爆発力のあるタイプなんだろうな」
ジェリルとフェイがシンの事をそう分析する、チームメイトのシン評を聞いたアレンが鼻をならす。
「まあ今日はお互いに生き残った事を祝おうや、でも次は負けねえからな」
「わかってるよ、ほら」
シンが苦笑しながら手に持ったジョッキを掲げるとアレンが自分のジョッキを打ち鳴らす。
「今日のところはパーッとやるか、ビールお代わり、唐揚げ追加で!」
「ラムコークとカナッペ頼む」
「大根と牛蒡のサラダに茄子のしぎ焼きと筑前煮、あと秋刀魚の塩焼きも貰おう」
「あたしゃ黒生、それと茹でたソーセージ」
「つぎ、シークワーサーサワーにしようかしら」
「老酒は無いのか?」
作戦を終えて帰って来た面々は、基地の近所にある飲み屋で、無事に任務を終えた事をささやかに祝った。
347小話 ◆9NrLsQ6LEU :2011/04/27(水) 18:09:01.03 ID:???
香港は東アジアにおいて東京と並び100万ドルと称された夜景が美しい大都市であった。
しかし現在はBTWの影響で見る影も無く荒廃し、大陸中からMSすら不法所持しているような無法者が集まり、軍すら容易に手を出す事が出来ない無法地帯となったことで、
更に他の地域から追われて来たような有象無象が集まる事になり、遂には国の中の国、租界と化して、遂には暴力が支配する魔都とも魔窟とも呼ばれた新九龍城砦として復活していた。
その新九龍城砦の最上層は特に力のあるマフィアたちが支配しているおかげで下層に比べれば信じられぬ程に治安が良く博打や売春、麻薬等のありとあらゆる娯楽を教授できる歓楽街でもある。
その最上層にある一際派手な作りの店の奥にあるVIPルームに一人の男が不機嫌そうに座っていた。
目の前にあるモニターには厳つい顔をした壮年の男性【コンダクタ】が映し出されている。
「コンダクタ、私の資金源の一つが潰されました、このまま《A-Laws》を放置していては教団の活動に少なからず影響が出るのではと危惧いたしますが」
「落ち着けアレグロ、あそこにあった物の八割は持ち出せたのだろう、ならば再建にはさほどの労力は必要あるまい」
「ですが一時的な停滞は否めません、教主はなんと仰っているのです?」
「《A-Laws》に関しては現状維持だ、あれの上層部にも我々の賛同者は居る、ようは使いようとお考えだ」
「それが御判断ならば、否は申し上げませんが、しかしソロネでしたかあの艦は?」
「確かそのはずだが、なんだ」
「私にも面子というものがあります、そういう事です」
「あまり派手にやるな、私が言えるのはそれだけだ」
「承知しました」
その言葉を最後に通信が切れた黒い画面を暫くの間ジッと見つめていたアレグロが机の上にある呼び鈴を鳴らすと、部屋に入ってきたのは15歳くらいの黒髪と金髪の二人の美しい娘であった。
「お呼びですか、ご主人様」
「俺の可愛い人形たち、次の獲物が決まった、ネブラの様子見をかねて行ってこい」
「はい、ご主人様」
部屋を出てゆく二人の人形を見送るアレグロの瞳には酷薄な光が浮かんでいた。
348通常の名無しさんの3倍:2011/04/27(水) 18:29:17.47 ID:???
ども、小話です。
震災後、皆さま如何お過ごしでしょうか。
被害に会われた方も、そうでない方もご無事ならば幸いと存じます。

しかし、あれですね
この話って自分が書きたいシーンだけを書いてるので
色々と繋がって無い、人物と風呂敷だけが増えて、たためないという
四次元殺法コンビのAA張られて当然のような気がw
また次の話を思いついたら、宜しくお願いします。
349通常の名無しさんの3倍:2011/04/27(水) 23:45:04.22 ID:???
>>348
乙です。これはシリーズとして続いていくのですかな?何か映画の1シーンのような展開が目白押しですわねぇ
しかし、妹の名前騙ってホステスとはルナヒドスw
350通常の名無しさんの3倍:2011/04/27(水) 23:49:59.53 ID:???
なんというか、これ完全にフルメタルパニックが元ネタだろ と
突っ込むしかない話の流れだったな
351通常の名無しさんの3倍:2011/04/28(木) 07:52:37.43 ID:???
アレン、ジェリル、フェイってダンバイン?…そのうちシンがどっかの異世界に召喚されそうだ…(笑)
352通常の名無しさんの3倍:2011/04/28(木) 09:09:53.18 ID:???
乙っす
面白かったです!マジで。
353通常の名無しさんの3倍:2011/04/30(土) 16:20:06.10 ID:???
単純にクルーゼの思想を否定し、議長のデスティニープランも否定したが
一向に戦争が終わる兆しがないため、御大の言う迷いの無いシャア+マフティになって
キラ、ラクス、アスランをサクっと暗殺し、00みたいに戦争全てに武力介入でどうよ?
354通常の名無しさんの3倍:2011/04/30(土) 18:21:39.55 ID:???
オチはそれでも平和になりました〜ってやつだな
355通常の名無しさんの3倍:2011/04/30(土) 23:02:49.97 ID:???
>>354
いや、そこはあえてビターエンド風味で

世界中の紛争に介入し続け、生きる伝説と化したシンはある時、自分がかつてキラ達ターミナルと同じ立場、存在になりかけている事に気づく。
だが、シンの介入が世界の、戦争のシステムに組み込まれ、それが当たり前となってしまった世界ではもはや自分の意思で止める事さえ叶わない。
己を殺し、ただの現象となって戦場に介入し続けるシンのただ一つの望みは誰が自分を止めてくれる事。
しかし、シン以上の力を持っていたキラやアスラン達を殺してしまった以上シンを殺す事の出来る人間は今や存在しなかった。

数年後、かつての自分と同じ戦災孤児から戦士になった少年に討たれる寸前、最後に全てを話し、「お前は俺のようになるな」と忠告し、世界の後を託す
ってのもありじゃないか?

……まぁ、そもそも逆シンのシンは紛争介入なんて嫌がったり、面倒くさがったりしそうだけどw
356通常の名無しさんの3倍:2011/04/30(土) 23:30:54.46 ID:???
ラクスが「キラに任して普通の女の子になります」と顔を変え偽の戸籍を作り、関係者と自分の記憶を消して別人になった。
数年後、アーサーはエロゲを捨て、シンがアスランの反乱で破壊された民間機から救助した売れない巨乳女歌手と結婚し真面目で立派な名艦長になりました。
そんな逆襲
357通常の名無しさんの3倍:2011/04/30(土) 23:35:02.60 ID:???
>>356
不意に扇を思い出した。
358通常の名無しさんの3倍:2011/05/01(日) 09:59:20.59 ID:???
>>353-355
シン・アスカ死亡のニュースが流れたその後、ガルナハン郊外で緑化作業に心血を注ぐ、
元軍人らしき男がいるんだろ?
359通常の名無しさんの3倍:2011/05/04(水) 12:28:02.84 ID:???
終戦後、ガルハナンの廃坑で新しいレアメタル鉱床が発見されて大儲け
だけどやっぱり歌姫の騎士団が現れ攻撃して落盤で現れた旧世界のMSが発見されそれで逆襲

ただし発見されたのは黒歴史リファインのジオン獣
360通常の名無しさんの3倍:2011/05/04(水) 13:55:30.92 ID:???
>>359
一瞬、ジオン獣がシオニー獣に見えた俺は間違いなく病気。
361通常の名無しさんの3倍:2011/05/04(水) 15:34:29.36 ID:???
終戦後にジャンク屋を営んでたシン・アスカ。
彼はある宙域で、二人の男女が入っていたコールドスリープ用のポッドを回収するが
その二人を引き渡せとやってくる歌姫の騎士団。
その強引なやり口に抵抗するシンだが女の方は奪われてしまう。
男も重傷を負うが何故か数日で完全に回復する。
驚くシンに対して、女を連れ戻しそして再び冷凍睡眠処置を施すために力を貸して欲しいと頼む男。
果たして男の正体は?そして歌姫の騎士団の目論見は?

……スパロボZにボトムズ参戦で思いついたけど、これではシンが逆襲するんじゃなくて
シンが、『逆襲の手伝い』をする話だなw
362通常の名無しさんの3倍:2011/05/04(水) 23:26:51.41 ID:???
おいおい、キリコ味方とか騎士団フルボッコフラグ立ち過ぎだろ・・・
363通常の名無しさんの3倍:2011/05/05(木) 02:35:54.19 ID:???
>>361
「最愛の女は肉体を非人道的に強化されてて実は余命幾許もない身」
という重要なポイントが一致してるだけに、キリコとフィアナの事情を知ったら
とても他人事とは思えない、と協力しそうだな。
またアフター・逆襲時期を舞台としたクロスも寡聞にして知らないので新鮮かも。
手伝い大いに結構なのでぜひ読んでみたい。
364通常の名無しさんの3倍:2011/05/05(木) 02:53:56.42 ID:???
wikiとスパロボでしか知らないがイプシロンさんは美味しいキャラだな
365通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 21:28:09.69 ID:???
シンと最低野郎か…

敵の血潮で濡れた服。
地獄の部隊と人の言う。
ガルナハンの街に、ユニウス戦役の亡霊が蘇る。
廃墟のベルリン、宇宙のメサイヤに、
無敵と謳われたザフト軍特務隊。
情無用、命無用の鉄騎兵。
この命、30億アースダラー也。
最も高価なワンマンアーミー。
次回「ザフトレッド」。

シン、危険に向かうが本能か。
366通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 21:54:37.82 ID:???
しかし、キリコと絡ますと下手すると死にかねんのも事実w
(奴の戦友のAT乗りは一人を除いて皆死んでる)
367通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 21:56:14.78 ID:???
キリコさんに似合うMSって何だろうな。やっぱ普通のジンか?

それでもガンダムが勝つ絵を全然想像できんが………
368通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 22:05:15.07 ID:???
>>366
ル・シャッコ以外にもアッセンブルEX−10のポタリアが生きてるから二人だな
後は見事に全滅、マジで疫病神だわ…
369通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 22:07:53.97 ID:???
>>368
ポタリア、OVAで死んだぞ
しかもキリコ絡み
370通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 22:38:31.43 ID:???
申し訳ないが赫々以降のOVAは無かったことに…
個人的にはビックバトルすら微妙だし
371通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 22:44:27.80 ID:???
記憶がぶっ飛んで早乙女研究所に拾われるシン。
記憶がぶっ飛んで竹尾ゼネラルカンパニーに拾われるシン。
記憶がぶっ飛んでレッドショルダーに入ってしまうシン。
記憶がぶっ飛んで光子力研究所に拾われるシン。
記憶がぶっ飛んで黒の騎士団に入ってしまうシン。

どれが一番面白いかな?
372通常の名無しさんの3倍:2011/05/06(金) 22:47:03.71 ID:???
竹尾ZCが一番幸せになれそうとは思うが

黒の騎士団行ったら最終的にどういう立場になるか全然想像付かん
373通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 03:22:01.26 ID:???
>>372
一期ではゼロのうっかりの尻拭いや白兜の相手をして殿を引き受ける姿しか思い浮かびません><
ってかロスカラのライみたいなゼロの右腕ポジに落ち着くのかなぁ。

「ええい! またしてもあの忌々しい白兜め!」
仮面の下で奥歯と屈辱をギリギリと噛み締め、ルルーシュは操縦桿から手を離すと戦域マップを展開、逃走経路をピックアップしていた。
その様子を見ながらシンは頭の片隅でやはりこうなったか。と思いながら、どこか諦めにも似た表情を浮かべる。
単機で戦況を覆す。 失った記憶の中ではやるにせよ、やられるにせよ、良くあった事のような気がして、懐かしさを覚えていた。
「本当に、記憶がないってのは不便だな」
とは言え、生き残らなければノスタルジーに浸る余裕もない。 過去の記憶よりも現在の命の方がよほど大事だ。
「ゼロ。 ここまでだ、後退しろ。 扇さんと玉城さん、カレンはゼロを守れ」
逃走経路の割り出しにもう少々の時間が必要と感じたシンは蒼い先行試作型月下をゼロの無頼と白兜ランスロットとの間に割り込ませる。
「あんたはどうするのよ!?」
シンの月下に次いで紅蓮弐式、カレンの機体がゼロを庇うようにゼロ無頼の前に立つ。
「……俺は、殿を引き受ける! 行け!」
ランスロットの出現で、士気を挫いた筈のブリタニア軍が勢いを取り戻しつつある。
あまり時間がないと本能的に感じ取ったシンは言葉少なくカレンに答えると、撤退する最大の障害、ランスロットへと突撃する。
「新型? だが、たった一機で!」
真正面から突っ込んでくる黒の騎士団の新型、蒼いKMFにスザクは警戒から一瞬身を固くするも直ぐさま臨戦態勢に移った。
「敵対するなら容赦はしない!」
ランスロットは背部からMVSを引き抜くと、構えたまま月下に相対する。
「ああ、思い出した。 こういう場面では確か、こう言うんだった」 
シンは月下の右手で腰から廻転刃刀を引き抜くと左腕の甲壱型輻射波動機構を展開すると、強敵との邂逅にもそうとは思えないほど呑気な口調で呟いた。
「……アンタは俺が討つんだ! 今日、ここで!」
シンは口元を引き締めると深呼吸をし、息を整えると叫んだ。 
今、CEの鬼神が旧日本エリア11に降臨する。


しかし、あんまりやり過ぎるとクロススレかスパロボスレ行き(このネタの時点でアウトな気がするけど)になるから気を付けないとなー。
374通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 10:44:58.81 ID:???
>>372
カレン兄の旧扇チームに拾われて紅蓮の兄弟機に乗る展開
375通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 10:51:36.70 ID:???
スイクンの立場が無くなるからグラスゴーや眼鏡君くらいのカスタム機がちょうどいい
376通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 10:56:06.40 ID:???
原作のシンでクロスするとカミーユやロランといった同年台の少年キャラと仲良くなりそうだけど、逆シンスレのシンだとハードボイルドな大人の男達と戦友って間柄になりそうなんだよな
377通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 11:15:53.14 ID:???
元々のシンは普通の少年が戦場で必死こいて頑張ってるって感じだけど、このスレのシンは基本的に身体に血と硝煙の匂いが馴染みきったむせる漢になってるからなあ
このスレをイメージするときも平井絵じゃなく塩野絵やケンイシカワ風に再生されてしまうから困る
378通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 11:25:57.99 ID:???
まあねえ、ここ基本種死アフターの負け犬状態からのスタートだし
本編の青臭い子供が頑張るよりは
やさぐれイメージが付くのは当然じゃないかと
379通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 16:11:55.18 ID:???
>>372
ルルの代わりに魔女と融合(ナナナ版ゼロ)して、エデンバイタル教国ぶっ潰した後は、
他の平行世界を旅し続ける
380通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 16:26:48.45 ID:???
>>377
なんかハードボイルドな大人と聞いて真っ先にドロレスのジェイムズが浮かんだw
グレンラガンでコナミ版権はクリアしたようなもんだしアヌビス共々出てくれんかなぁ
381通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 18:37:00.47 ID:???
ゲーム版権のGブレイカーが出てるんだから
ゲームであるアヌビスが出てもいいよね、必殺技にゼロシフトとベクターキャノンあるし
382通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 18:37:52.18 ID:???
ドリキャスαのGブレイカーより
メジャーなサルファのバーチャロンがある
383通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 19:24:49.07 ID:???
>373
GJ!

なんというか、”失敗”って言うのがCE時代にしみ込でる
雰囲気が何ともいえないな…

ものすごく、クロススレで続きをお願いしたい。
って、ギアスのクロススレがあったな。
384通常の名無しさんの3倍:2011/05/07(土) 19:25:24.64 ID:???
>>372
ジャンク化した運命ごとラクターシャに回収されて弄られる

セシルとロイドに弄られるのもいいが一期時点でハドロン以外の光線兵器、核技術の無い世界に、しかもシュナイゼル陣営に渡るとフレイヤを待たず大変な事になる。
385通常の名無しさんの3倍:2011/05/08(日) 01:58:07.33 ID:???
>>380-381
種死も一緒に参戦してシンがADAにデレるんですねわかります
…ネイキッドはゼオライマー状態になりそうだなぁ
386通常の名無しさんの3倍:2011/05/13(金) 21:32:57.40 ID:???
投下待ち
387通常の名無しさんの3倍:2011/05/15(日) 10:19:48.88 ID:ugKIVtlj
GSC氏ーーー!! はやくきてくれーーー!!
388通常の名無しさんの3倍:2011/05/24(火) 10:18:09.86 ID:???
保守
389通常の名無しさんの3倍:2011/05/24(火) 23:10:43.96 ID:???
他の方々の復帰希望ももちろんだが、19氏のロミナママン生存ルートが
後は最後の決着をつけてママンと添い遂げるだけと思われる時点で
途切れて久しいのが一年以上もどかしいイィィィ!!!
390通常の名無しさんの3倍:2011/05/25(水) 00:30:03.30 ID:???
お嬢様の虚乳
わっふるわっふる
しっぽっぽ
エルフ、ミユ、娘ステラ、娘ミーアは俺嫁
リア充の三兵器は産廃
391通常の名無しさんの3倍:2011/05/25(水) 13:43:16.10 ID:???
>>390
リア充と言うが、逆シンのシンは不幸はあっても基本リア充な奴が多すぎて三人に絞れねぇぞ!
392通常の名無しさんの3倍:2011/05/25(水) 14:45:39.91 ID:???
既婚者のシンのMSがリア充の三兵器か
393通常の名無しさんの3倍:2011/05/25(水) 15:02:30.26 ID:???
>>389
いいところで止まってるしな
俺も諦めずに待ってるぜ
394通常の名無しさんの3倍:2011/05/29(日) 17:58:12.17 ID:???
忍法帳リセット保守
395通常の名無しさんの3倍:2011/06/04(土) 23:23:34.53 ID:???
tes
396通常の名無しさんの3倍:2011/06/09(木) 11:45:59.35 ID:???
保守
397単発ネタ:2011/06/09(木) 22:23:49.84 ID:???
あまりにも人がいないので『ダイナミックな逆襲のシン』の続きを少しだけ投下してみます。
また携帯からになってしまい、相変わらず下手な文章ですがまた妄想のネタにでもなれば幸いです。


「ダアッ!?…い…いきなりコックピットに放り込むこたあねえだろ!」

暗闇の中でシンが文句を叫ぶ。

アメノミハシラ

ここは新型MSのテストという名目で、多くの兵士が足を踏み入れては再起不能となった地獄だ。
いや、正確には誰もが足を踏み入れる前に散っていたと言うべきだろうか…?

そしてその地獄へシン・アスカもまた足を踏み入れようとしていた。
女性科学者は周囲に正確な指示を出しつつ、シンに声を掛ける。

「ごめんなさいシン・アスカ君、時間がないの。」

「本当に大丈夫かしら…?」

ルナマリアは不安を隠しきれない。

科学者は答える。

「…解らないわね…あなたも知っているとおり、アレを動かすには強靱な肉体と精神力が必要です。」

「ええ…あの全身が焼け付くような苦痛に耐えられるかですか…。」

ルナマリアはその身を持ってアレの恐ろしさを知っているのだ。自分の二の舞になってはシンに申し訳がたたない。
しかし彼女はシン・アスカの“守る”事への病的なまでの執着、戦争への憎しみも知っていた。

「まあ、元ZAFTのトップエース、シン・アスカがこの程度で死ぬような奴ならば今ここで死なせてやった方が親切かもしれんがな。」

「ミナ様…。」

398単発ネタ:2011/06/09(木) 22:26:24.43 ID:???
190cm近い長身の中性的な雰囲気を漂わせた黒髪の女性が入ってくる。

彼女はロンド・ミナ・サハク。オーブ五大氏族「サハク家」の当主であり、この計画を進めた張本人である。

「シン・アスカは今でも『フリーダムを墜とした男』として、一部に熱狂的なシンパが存在している。更に一年前の暗殺未遂だ。今の政治体制に不満を持つものも多いからな。」

「…もし自由にしていたら間違いなくどこかの勢力に担ぎ出されますね…。」

「ああ…そうなれば今度こそ本当に世界は地獄となるだろう…。」

その言葉を聞き、ルナは押し黙る。


(しかしこのマシンは操縦機構がMSと全く違うのか…いったい何なんだコレは…?…!?)

シンはそんな事を考えながら、手探りで操縦桿を握る。すると火傷にも似た痛みが腕に奔り全身に伝わった。

「ウァァァァァァァァ!?!?!?!?」

まるで断末魔かのような叫び声が格納庫全体に響き渡ると同時にルナマリアは叫ぶ。

「シン!その痛みに耐えて感情でその力をねじ伏せなさい!」

「ム…ムチャクチャ言うな!…ったく何時からお前は魔女になったんだよ…」

「誰が魔女よ!」

「いきなり人をこんな目にあわせたお前だよ!」

ルナと言い合うのもいつ以来だろうか…?そんなことを考えたシンの中にほんの少しの余裕が生まれはじめた。
そしてその思い出の中に、戦いで失われた家族や友の姿も浮かんでは消えてゆく。

(力が欲しい…皆を守る為の力が欲しい…もう俺は誰も失いたくはない!)

シンは力を込めて操縦桿を握りなおす。

「俺に力を貸せぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

その叫びと共に魔神は再びその瞳に光を宿した…。
399単発ネタ:2011/06/09(木) 22:31:24.43 ID:???
今回はこれだけです。元ネタは『マジンカイザーSKLヴァーサス』『ゲッターロボ號(原作漫画版)』あたりですね。
最後の魔神というのは今のところ深い意味はありません(笑)
続きがあるなら間違いなく戦闘シーンが入るでしょうが、最初は『アニメ版ゲッターロボ號』みたいに武器なしの素手で戦って苦戦してもらおうかなとか考えてます。
400通常の名無しさんの3倍:2011/06/10(金) 21:30:04.35 ID:???
乙!
何だかんだでシンとルナは変わってない気がするな
401通常の名無しさんの3倍:2011/06/19(日) 20:19:11.80 ID:???
保守ぬるぽ
402通常の名無しさんの3倍:2011/06/21(火) 01:21:17.61 ID:???
ママン恋しいなぁ…
403通常の名無しさんの3倍:2011/06/21(火) 23:44:08.14 ID:0E9prXUI
GSC氏から始まった逆シンスレももう終りか……
種死終了からすでに6年、種にいたっては8年が経過。悲しいが、コレも時代の流れなのかね。


404 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 :2011/06/22(水) 00:36:50.19 ID:???
405通常の名無しさんの3倍:2011/06/22(水) 09:47:30.93 ID:???
>>403
まだだ、まだおわらんよ
406通常の名無しさんの3倍:2011/06/28(火) 22:09:54.62 ID:???
SSを核紙がない
407通常の名無しさんの3倍:2011/06/30(木) 08:20:15.65 ID:???
紙が無いなら、パソコンを使えばいいじゃない
408通常の名無しさんの3倍:2011/07/04(月) 00:56:47.23 ID:???
逆襲雑記番外編(ちらうら) 3月13日

誰かお願いです。お姉ちゃんを止めてください。

「……お姉ちゃん、一応聞くけど……何してるの?」
「あら、メイリンお帰りー。見てわかんない? お弁当作ってんのよ♪」
なんでも、シンとバレンタインのお返しを話しあった結果、お弁当の作りあいっこに決まったとのこと。
それで一緒にお弁当箱を選んで交換したんだって。それはいいよ? それは、うん、でもね?
シンのお弁当箱の容量と料理の量が明らかに違うんですけどぉぉぉぉぉ!!
「シンも小食よねー『これに入る分だけでいいから』なんてさぁ〜」
はっきり言います。そんなに小さいお弁当箱じゃありません。一般成人男性が満足するぐらいの容量です。
私たちには多いけどシンには丁度いいかもぐらいです。

台所のお鍋やフライパン、その他諸々にミッチリ、コンモリ、している料理の数々と比べれば少ないけどっ!」

そうです、お姉ちゃんは張り切ると半端なく作りすぎちゃうんです。
シンめ、保険かけたな! 私にもとばっちり来るじゃないの! 当分の間これが続くなんて冗談じゃないよ!!
お姉ちゃんに着替えてくると言って部屋に戻ってシンに電話。
「ちょっとシン! 何てことしてくれたのよっ!! お姉ちゃん、物凄く張り切っちゃって大変なのよ?!」
『いきなり大声出すなよ。そうは言っても、精々弁当箱の一段目カレー二段目米みたいな感じだろ?』
「ちーがーうーっ!! 家中の鍋とか全っ部占領してて物凄く沢山あるの!! 一週間以上は持つくらい!」
『マジかよ……精々2、3日かと……』
シンはまだ本当の怖さを知らなかったみたい。
『――なら、こういうのはどうだ?』

「お姉ちゃん! あのね! 入らない分はキラさん達にも差し入れしたらどうかなぁ?! お礼も兼ねて!」
――――ぽんっ
「メイリン、ナイス! そうと決まったら余計張り切らないとね! さぁ、食堂からお鍋とか借りてきて!」
何とか、体重増加の危機は回避できてよかった……。明日の分ぐらいなら我慢しようっと。

後日、ヤマト隊、ジュール隊などなど、歌姫の騎士団が食べすぎで壊滅寸前になったとか何とか。
409通常の名無しさんの3倍:2011/07/04(月) 00:59:07.86 ID:???
時期的にちょっとアレだったからお蔵入りしてたのを、
保守代わりに投下してみる。
時期はずれもいいとこだけどね!
410通常の名無しさんの3倍:2011/07/04(月) 12:01:30.00 ID:???
投下乙、そしてGJ
なんか平和な感じですね
ルナは料理できるけど、自分だけならフライパンから直接食べるようなイメージ
メイリンはお菓子は上手いけど、普通の料理は姉まかせ
ラクスとカガリは自分で作るような立場じゃないしね
411通常の名無しさんの3倍:2011/07/04(月) 15:01:02.00 ID:???
前にもあったけど、そういう逆襲もありだなw

俺の嫁はこんなに家事が出来てスタイルが良くて優しくて…という惚気を聞かされて
落ち込んでるキラと、何か不満があるのですか?と般若のような形相で背後に立つラクスとかw
412通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 00:51:44.19 ID:???
ガロティファその後か日登町だったかな?
善良で愛情深いよき奥さんではあるんだが料理だけが壊滅的致命的なラクスは…
413通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 12:57:35.77 ID:???
というか、キラとラクスって子供できるのかしら?
陰湿な逆襲ネタだが、キラとの間では子供ができないと悩むラクスに近づいて
親身に相談するふりをして元婚約者の凸との不倫をそそのかすシンとか

……考え出すと昼ドラっぽいネタがいくらでも出てくるな種や種死ってw
414通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 14:42:34.71 ID:???
ラクスの黒さ指数にもよる。
(他人には迷惑でも)本人自身は善良だったら悩むだろうし
ジオンの光芒やレッドアイズのようなバイオテクノロジー乱用上等だったら
人工的に理想のスーパーベイビーを作り出しかねないだろうし。
415通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 15:07:23.40 ID:???
>>413
そこはシンのNTRだろ
スパコでも出来ない(妊娠)ことをやってのけるっ!
そこに痺れるっ、憧r(ry
416通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 16:33:55.99 ID:???
俺はボインちゃんが好(ry
417通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 20:12:29.79 ID:???
いっそのことシンにはルナを相棒に掃除屋(スイーパー)でもやってもらうか。
ええ、シンが他の美女とフラグを立てるたびにルナが100トンハンマーでブン殴るんです(笑)
418通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 20:38:41.23 ID:???
>>413-414
議長とグラディス艦長の例もあるから、
遺伝子的に子供が出来ないと本当は結婚とかしちゃいけないはずのコーディネイター。

当然、アスランは合うから婚約者だったんだろうけど、キラはわかんないからね。
コーディネイターのカップルは今は良くても後でいくらでも破局する可能性があるっていうw

シーゲル・クラインはナチュラルに回帰することを提唱してたらしいし…もしそうなら、ラクスも
それに倣うんじゃないの。

確かに黒い小説書きたくなるネタだな。
419通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 20:48:36.63 ID:???
つまりコーディ同士の自由結婚認めたら、プラントがシーゲルの危惧どうり
もしくはそれよりも早く崩壊する可能性高いんだよな

真面目な話、運命計画に反対したキラとラクスなんかはこの辺の矛盾をどう解決するつもりなんだろ?
420通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 21:54:03.27 ID:???
あー、取り敢えずパートナーとしてはおkなんだったか。
グラディス艦長は子供が欲しくて別れた、と。

でも、それじゃ根本の解決にならんし、デスディニープランもどうかと思うが
好きならいいじゃない、じゃ済まされん。

やっぱりコーディとナチュのカップルが復興の象徴として必要な気がする。
421通常の名無しさんの3倍:2011/07/05(火) 22:53:52.96 ID:???
でもディアッカとミリアリアを始め作中ナチュラルとコーディネーターの全てのカップルが破局してるんだよね。
422ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:03:34.25 ID:???
妊娠ネタということで投下


スーパーコーディネーターの結婚


「キラ・ヤマトさん、検査した結果ですが──」

「ちょっと待って。シンお願いだから、僕の代わりに聞いておいてくれない?」

「ちょっ!? 自分の体のことでしょ! なんで俺なんですか!」

「じゃ、頼むね!」

 脱兎の如く走り去るキラさん。後を追いかけようとしたが、キラさんの主治医に肩をガッシリと掴まれた。

「宜しいですか。キラ・ヤマトさんの遺伝子ですが──」

 ああ、なんで只の副官の俺があの人の体の事まで管理しなきゃならないんだ。ただでさえ常識知らずのあの二人の尻拭いを何度も何度もさせられているってのに……。
423ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:04:35.84 ID:???
「シン、そ、それで、どうだったのかな?」

「一言で言いましょうか、キラさん」

「う、うん」

「オメデトウ御座います」

「……」

「さすがはスーパーコーディネーターですね。相手がコーディネーターだろうがなんだろうが百発百中だそうです」

「あ、あぁぁぁぁぁ」

 床にくずおれる白服様。そんなにショックなのか。どんだけ嫌なんだ。

「ど、どうしよう。シン、僕はどうしたらイイ? 」

「知りませんよ。いい加減観念すればいいじゃないですか。観念して子供作ったらいい」

「嫌だよ、もう少し胸があればラクスで構わないって思うけど」

 結局それかよ。

「ルナマリアみたいなスタイル抜群の奥さんがいるシンにはわからないよ」

 うるさい。子供ができなくてルナの両親に『種無し』とか言われてるこっちの身にもなってみろってんだ。
 ……あれか? 戦闘中にポンポン割ったのがいけなかったのか?
424ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:05:38.78 ID:???
「子供ができたら別れられなくなるじゃない? そしたらトップとアンダーに差のないボディしか相手できないんだよ? そんなの耐えられない」

「ラクスさんにはもう検査結果伝えてますから」

「!! なんで!? ひどいよシン!!」

「しょうがないでしょ! 出口で待ち構えていたんだから!」

「そんなぁ……そうだシン! 君、オーブ出身だったよね? だったら避妊具の取り寄せ方知ってるでしょ?」

「ハァ?」

 そんなモン、プラントだろうがどこだろうが──ああ、出生率の極端に低いココでは売られたことも無くて、みんなコンドーさんのコの字も知らないぐらいなんだっけ。

「そんなの通販でも何でも自分で買えばいいじゃないですか」

「駄目だよ。子供が確実に出来るってラクスは知ってるんでしょ? 避妊具を僕が買ってるって噂がたったら絶対ラクスの耳に入る。そうなったら……」

 スゲー、リアルガクブル見れたよ。つーかどんな修羅場になるんだ?

「わかりましたよ。買えばいいんでしょ、買えば」

「ありがとうシン! できるだけ早く別れるようにするか、ラクスの胸を大きくする方法を見つけるから」

 パーッと表情を明るくして、キラさんはブンブン手を振りながらスキップで行っちまった。
 ああ、なんてめんどくさい人たちなんだ。とっとと結婚すればいいのに。

 ま、だから俺も復讐できるんだけど。
425ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:07:02.51 ID:???
「シーンーー!!」

 あの会話をしたのが2月ぐらい前だったか?
 朝っぱらからキラさんがすごい勢いで走ってくる。さすがスパコディ速いな。100m9秒切るかも?

「ラクスが、ラクスと、ラクスの、ラクスがお腹、お腹にーーー!」

「なに言ってるんですか、これ飲んで落ち着いてくださいよ」

「んぐ、んぐ、ブハッ! おでん缶!?」

 うずら卵をひっかけてむせるキラさん。チッ、アツアツにしとけばよかった。

「で、どうしたんですか?」

「ちょっと、シン酷いよ! いや、それよりラクスが妊娠したんだよ!!」

「そうなんですか、おめでとうございます」

「めでたくないよ!」

「で、いつ生まれるんですか?」

「え? あ、いや、ちゃんと検査したわけ…じゃないから…わからない……けど?」

 さっきの勢いはどこに行ったのか、キラさんの声が小さくなる。

「でも、嫌いだったはずなのに急に酸っぱい物ばっかり食べたり、臭いが駄目だって肉を食べなくなったり……、あと最近胸が大きくなったかってしょっちゅう聞いてくるんだよ!?」

「……つわりっぽいですね。妊娠すれば胸も大きくなるって言いますし」

「!」

「酸っぱい物って、もしかして柑橘系ですか?」

「そうだけど何で解るの……? まさか!?」

426ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:08:03.36 ID:???
 できるだけ嫌味っぽくニヤリと笑って見せる。
 床にヘタリこんだキラさんが、両手をついてうなだれた。

「そんなぁ…」

「お腹が目立つ前に式を挙げてくださいね。あ、いいとこ紹介しますよ」

「……」

「なんなら今日中に予約しますけど?」

 キラさん反応なし。いや、避妊してたのにとかなんとか呟いているな。

「その前にラクスさんの予定を聞いとこうかな」

「もう、どうにでもして……」

 ポツリと呟いたキラさんが幽霊みたいな足取りでフラフラと家を出て行こうとする。
 その眼の前に婚姻届を広げてやった。

「この際だから書いときません?」

「……」

 署名・捺印。キラさん虚ろな目で書きました。今なら簡単に傭兵契約書にもサインしそうだ。

「う……」

「う?」

「うわあああああああ!!」

 いきなり走りだしたキラさん。ここに来た時以上のスピードでストフリ置いてる宇宙港へ突っ走っていっちゃいました。多分プラントから逃げるんだろうけど。

「無理──だろうな」

 俺がストフリに発信機付けてるからな。デスティニーと違ってエネルギーダウンしないストフリの核エンジン直結だ。ラクスさんに婚姻届と一緒に探知機を渡したら、地の果て越えて追いかけるだろう。
 電波発信機と受信機なこれ以上無いってぐらいお似合いの二人だし。死ぬまで追いかけっこしてればいい。

427ジャスティス!:2011/07/05(火) 23:08:39.99 ID:???
「オハヨ、シン」

「おはようルナ」

「いま、ヤマト隊長来てたでしょ、何だったの?」

「婚姻届だしといてくれって。あと独身最後の旅行に行くんじゃないかな」

「ふ〜ん、あの二人検査で子供絶対にできないって言われてるんでしょ?」

「キラさん、ラクス議長以外だったら100%。ラクス議長だけは0%だってさ」

 そう、並のコーディーはもちろん、さすがのスパコディでも電波ユンユンな歌姫だけは無理だとか。モチロンそんな悲しい結果を女性の側に伝えるほど俺も鬼じゃない。ホントダヨ?

「それでよく結婚する気になったわね」

「哀だろ」

「うっわ、“愛”だって。クッサ」

 わざとらしく鼻をつまんで見せるルナ。字が違うが訂正することもないな。

「ところでさぁ」

「なんだよ?」

「ラクス議長に伝えたあれって本当なの?」

「適当」

「だと思った。だいたいミカン類ばっかり食べて、肉やめただけで胸が大きくなったら世の中巨乳だらけよ」

 あの人の場合なにやっても無駄っぽいけどな。

「ま、アスカ家にはカンケー無いですけど。それより早めに子供の名前、考えといてよね。二人ぶん」

「お、おう」

 やばい、ニヤケて頬が飛んでいきそうだ。

「あ〜あ、ラクス議長も婚約者のアスラン隊長と結婚してれば子供できたかもしれないのに」

「!!?」

 あの電波を妊娠させられるアスランって……。
428通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 00:13:39.66 ID:???
乙です!

こういうのり好きだw
簡単に信じちゃう辺り、何かこのラクスは白っぽい雰囲気があるなw

ところで、コーディは人工授精もだめなのか?
遺伝子いじれるぐらいだからその辺の技術が進んでてもいいもんだけど
429通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 00:21:50.30 ID:???
>>428
その辺のことは(子供が出来ない云々)科学の進歩でいずれ何とかなる!って言ったのがザラ議長。
でも、まだ何とかなってないみたい。
研究はしてるんじゃないの、設定的には。
430通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 10:21:03.62 ID:???
投下乙っす〜

コディは子供を異物として排除してしまうので流産が多いとか
受精率じゃなくて着床率が低いとかじゃないか?
だから人口子宮の研究なんだろう
431通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 17:39:33.87 ID:???
シンなら適当に女の子拾ってきてCE源氏物語とかでも良い気がするんだ……
432通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 22:07:37.05 ID:???
>>417
そこはむしろ種死終了後、シンは生きてたレイと組んでシティーハンターをやってたけど、ある時レイは犯罪組織の手に掛かって死亡。
そしてレイが義理の妹として引き取っていた少女がシンの新たな相棒となる。
ルナとメイリンは厄介ごとを持ち込んでくる腐れ縁ポジション(笑)
433通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 22:25:16.60 ID:???
レイが生きてたパターンいいなあ…
434通常の名無しさんの3倍:2011/07/06(水) 23:34:14.10 ID:???
レイが生きてるパターンだと大体が爺さん化してるな
早期老化のプロジェリア症候群とかウェルナー症候群だとテロメアの異常活動が原因の一因とか書かれてるが
テロメアが短い=寿命が短いだとしても通常に働いていれば老化が早いでは無いと思うんだが
wiki読んでも良くわからんよな
435通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 19:02:52.37 ID:???
そもそもクローン作るとテロメアが短くなるってのが
現在では否定されてなかったっけ?
436通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 20:48:27.29 ID:???
取り敢えず、リアルの話してもなあ…
そういう設定なんだししゃーない
437通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 21:27:24.92 ID:???
ギャグだとそこにツッコミを入れてレイやクルーゼ大往生になるんだが(笑)
438通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 21:34:38.01 ID:???
老衰で亡くなるレイとか考えられないけどなー
そんなラストもいいけど。
439通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 21:47:49.11 ID:???
クローンといえば真っ先にルパンを思い出すのは俺だけ

シン 「…レイ、じゃあお前やクルーゼは…アル・ダ・フラガって奴の
    不死なんて馬鹿げた妄想から生まれた、粗悪品ってことなのか!?」


アル・ダ・フラガ 「私が…オリジナルだ…」

シン 「そうか…死んだのはあくまでみせかけで、本当は脳みそだけになって自らのクローンの
    レイやクルーゼを操ってたのか! 世界中の人間を滅ぼして神になるために!!」

あの腐れ坊主やキラの実父が黒幕なSSはあるけど、
アル・ダ・フラガ黒幕のSSはないので思いついたw (GGがアストレイで脳みそだけだし)
440通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 21:57:26.63 ID:???
そういえばそうだ
あんまり公式っぽくない設定だけど>脳みそだけ

マモーのGGってのもすげえなw
441通常の名無しさんの3倍:2011/07/07(木) 23:01:00.01 ID:???
そういや、本編のアルってなんでクローン作ったんだっけ?
並のコーディ以上の能力を持っていて、奥さんが気に入らなくて、ムウが期待はずれだったからだったみたいな設定は覚えてるんだが……
442通常の名無しさんの3倍:2011/07/08(金) 00:27:30.48 ID:???
簡単に言うと超ナルシスト
443通常の名無しさんの3倍:2011/07/08(金) 06:40:58.24 ID:???
ムウに英才教育→ムウ落ちこぼれる→嫁が悪い→そうだクローン作ろう!
444通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 11:49:37.49 ID:???
迷惑な話だよなぁ。
445通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 14:38:09.69 ID:???
3体目は…ないと信じたいが。
デュランダル議長って、もっと奥の奥の手も持っていそうなイメージもあるんだけどな。

ちっちゃいレイが現れて、シンがルナを説得して「育てる!」とか言い出して治療とか色々して
ザフトのエースに…
その頃にはシンもかっこよくシブい感じになってると。
446通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:05:02.66 ID:???
>>444
本当につくづく思うんだが、種に出てくる親キャラってろくなのいねーな…
富野作品に出てくる親キャラだってここまで外道じゃない
447通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:24:12.71 ID:???
>445
アストレイに三人目いなかったけか?
プレアだっけ?
448通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:34:15.17 ID:???
>>447
おお、アストレイにはいるのか…やっぱり公式じゃないんだろうが
ありがちな話だからな
449通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:42:24.55 ID:???
あれ?プレアはスパロボWにもアストレイから出てたし公式じゃね?
450通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:56:59.57 ID:???
>>447
プレアはアルのクローンじゃないよ。
分かってるのは、SEED本編開始前にムウが所属していたメビウスゼロ部隊12人の内の誰かのクローンって事は確かって事だけ。
>>449
サンライズ的には映像化してれば公式だから、店頭PVだけどアストレイはも間違いなく公式。
スタゲのおまけに収録されてるし
451通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 15:57:42.01 ID:???
ttp://simple.s59.xrea.com/jiten/p_detail-028-0039-076.html

この説明だと、プレアは寧ろムウのクローンっぽい。
452通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 22:57:00.61 ID:???
>>446
富野の親キャラは基本保身で駄目になってるけど、種の親キャラは善意が微妙に見える辺りが余計外道に感じるのかもな。
というかホントロクなのいないな、本編でまともっぽいのはシン両親とキラ両親、あとはアスラン母ぐらいか?
453通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 23:04:42.74 ID:???
他にはロミナさんとその旦那(ドラマCDで変な改悪されたが)、
殆ど出番なかったが政治家としてまともそうだった痔の親父くらいか
454通常の名無しさんの3倍:2011/07/09(土) 23:06:00.20 ID:???
キラ両親って、カリダ・ヤマト夫婦ってことだよね。
ヴィア・ヒビキの妹の。
455通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 00:02:45.51 ID:???
パトリックは嫁さん亡くした後、自由強奪や凸の裏切り等色んな事が積み重なって狂っちゃった感じはするな。

心底外道なのはユーレン・ヒビキとアル・ダ・フラガくらいじゃないか?

自覚なしのクズ野郎なのはウズミとシーゲルだけど。
456通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 06:10:56.91 ID:???
>>455
ユーレンも自覚無しの善意からの悪意だと思うが
457通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 09:13:55.26 ID:???
最高の人類を作るのに、自分の子供使うあたりアルみたく自分の遺伝子に自信があったんだろうか? ユーレンは
もしそうなら似た者同士だな、アルとユーレンは
458通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 09:52:28.98 ID:???
自分の理論を証明するためにスポンサーの意向で違法実験を繰り返して失敗して資金打ち切られ、資金不足で自前のを使ったら散々犠牲出した後なのに母ちゃんが「私の子よ!」と揉め始める

そんな素敵科学省夫妻
459通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 12:21:00.26 ID:???
>散々犠牲出した後なのに母ちゃんが「私の子よ!」と揉め始める
まあ今更何を言うかwと思わなくもないが、どんな悪党でも普通は自分の子には甘いしな

個人的な疑問だが、失敗の確立の高い実験だから息子を使うのが嫌だったのか?
それとも単に自分の子供達をコーディネーターにするのが嫌だったからなのか?
興味はある
(コーディネーターにする事での弊害とか十分知ってそうだし、後者の可能性もあるかな)
460通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 13:03:25.12 ID:???
ユーレンは研究するうちに変節していったくさいからな
母体という不確定要素を排除するために人工子宮を→人類最高のコーディネイターを、みたいに
前者ならともかく後者みたいな化け物に自分の子供使いたくなかったんじゃね?
今更かよとか生まれたのが人類最高(笑)だったりとか突っ込み所はあるけど
461通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 22:19:01.74 ID:???
何かVIPで種死のスレ立つと、よくシンの不遇な人生のコピペを目にするけどマジでワロエナイ

・両親と妹が目の前で爆死
・テストパイロット時代に同僚に命を狙われる(理由はインパルスのパイロットに選ばれた嫉妬)
・地球全滅の危機、ユニウスセブン落下阻止の闘いに参加
・オーブ脱出時敵に待ち伏せされ、全滅の危機をなんとかシンの活躍で突破する。
・敵の大半の戦力(ウィンダム約30機)を押しつけられるが、全滅させる。
・民間人が虐殺されている上、敵からも攻撃されたので反撃して民間人を助けたら「勝手な行動をするな」とマジギレされる。
・データしか当てにならない真っ暗闇の坑道を進むという命がけのミッションの上、「タイミングは早くても遅くてもいけない、合図は送れない」という無理ゲーなミッションをこなす。
・新しい上司としてハイネが来たが、キラ乱入の混乱もありあっさり死ぬ。
・妹の影を重ねていた少女は実は敵だった。
・アスランが瞬殺され、レイもルナもやられて大ピンチの中一人で母艦を守り切る
・死ぬ覚悟で命を救おうとしたステラを、結局最悪の形で死なせ、自分の行動が”ヒーローごっこ”に過ぎなかったと思いしる。
・戦闘シミュレーションに励んでいたら、アスランに「キラは敵じゃない」とか意味不明な言いがかりをつけられる。
・正式な撃墜命令が降り、フリーダムを撃墜した後アスランと衝突。 「おれが殺されてれば良かったって言うんですか!」との言葉にアスランは否定せず殴る。
・アスランがメイリンを連れて脱走。シンは裏切り者を命令通り撃墜し、涙を流す。
・殺したはずのキラ・アスランがゾンビのように蘇ってくる。しかもチート機。
・そいつらが邪魔したためジブリールを取り逃がし、結果的にプラント半壊。シンの新たな故郷がなくなる危機を必死でクリア。
・そして最終決戦に至るが、恋人のはずのルナさえ敵をかばう。シンは幻覚を見るほどの状態に


ここでもよく言われているけど、最終決戦時の精神状態なんて末期も末期で病院直行しないといけないレベルだったんじゃね?
462通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 23:06:53.28 ID:???
散々重荷を背負わされ、それでも平和の為に戦い続けたシンは本物のヒーローだろ。
苦労せず、おいしい思いだけしたいというオタクや厨房にウケないのはよくわかる。
福田なんてその精神のまま50代になってるが。
463通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 23:12:59.30 ID:???
そもそも、あのオーブ侵攻戦での介入のせいでジブに逃げ延びられ、
その結果故郷や家族縁者を死に追いやられたザフト将兵というのは
ゴマンといたはずで、事あるごとに恨みを積み重ねられたシンでなくとも
この一件だけでラクシズ許すまじという一大勢力が形成されてもおかしくないだろ。
中盤までのまともに有能なギルであればそれら将兵を糾合し、またラクシズを
ジブの共犯者として糾弾する段取りをそつなくつけていたはずで、それこそ
「あれ(エターナル)はザフトの艦だ!」とかぬかす奴が出たらその場で後ろから
撃たれるくらいの殺意が満ちていなけりゃおかしいと思うんだが。
464通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 23:16:25.68 ID:???
イザーク可哀想…
465通常の名無しさんの3倍:2011/07/10(日) 23:57:53.35 ID:???
>>461
なんだかなー…。マユやレイが実は生存って展開にロマンを感じる訳が分かった気がする。
466通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 00:14:40.80 ID:???
>>463
シンに限らず、レクイエム虐殺の遺族である将兵は戦後危険分子扱いで
何かと制限や不遇を強いられた事は想像に難くない。
環境の劣悪なトーマスシティに押し込められ後にジオン軍となった
兵士達にも多く含まれていたんだろうな。
467通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 09:27:43.23 ID:???
>>461
そういや30機押し付けられた時、あまり前に出るなって言われたけど、
そりゃアスランはカオス相手に一対一で空でクルクル鬼ごっこしてればいいけど
シンは一対三十だからな、んなの気にしてる暇ないし。


ユニウス7での戦闘の時、あれがヤキンを生き残った力かって言って、
ディアッカ、イザークSUGEEEを見て、種時代を知ってる身としては
違和感バリバリ。お前らコンビ攻撃なんてしなかったし、突撃馬鹿だし
2年間で一体何があった?ってレベル
468通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 12:28:24.29 ID:???
>>461
>>465
やっぱラクシズ皆殺しでハッピーエンド(表向きは死亡も含む)が正義だな!
469通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 13:40:52.54 ID:???
まあシンがちゃんと主人公やって、話として面白かったらなんだって良いよね。
470通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 14:42:13.02 ID:???
ラクスがとにかく子供が欲しいと人工受精のバンクから適合する物を選んだら、療養のためドイツ近郊の森林地帯で畑を耕し魚を釣って暮らすシンが適合して本人の許可なく無事に出産する。
キラは最初は容認しわしたが、自分には全く似てないシンの2Pカラーような子供が成長していくのを見て徐々に正気を失い乱心して子供に討たれる物語

そんなの考えたけどMS戦が無いな
471通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 15:04:17.55 ID:???
>>470
そこは逆シンヒロイン総出演で
宴会の翌日、二日酔いの朝に家の前に「あなたの子供です、責任を持って育てて下さい」と書かれた箱に入った自分そっくりな赤子を見つけて始まる物語だろう
472通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 16:34:43.47 ID:???
>>471
えっ?
翌日になったらヒロイン全員がいつの間にかお腹が大きくなってる物語じゃないの?
473通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 20:46:58.48 ID:???
>472

それって、ただの食いすぎじゃねーかw
474MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/07/11(月) 22:33:17.67 ID:???
リハビリがてらネタ投下

「妊娠……だと! あり得るのかそんな事が!」
自室の片隅で頭を抱えながらシン・アスカは体育座りで呟いた。
「おーい、シン出てこいよ」  「いい加減諦めなよ……」  「諦めの悪い男は嫌われるぞシン君」
知り合いが厳重に施錠した扉の前で何か言っているがシンには聞こえない。 聞こえないったら聞こえない!
……ひとまず今の状況を整理しよう。 細かい経緯はサクっと省略するが。
知り合いを集めて飲み会やったのが昨夜。 乱闘有り野球拳有りの中々楽しい乱痴気騒ぎだったと記憶している。
で、気付いたら見知らぬゴミ捨て場で目を覚ましたのが今朝。 
それから昨日の記憶が失われていたのに気付き、財布もなかったので歩いて帰ってきてシャワーを浴びて着替えたら……地獄が待っていた。

「責任とってください、シン」 「ごめん、なんか出来ちゃったみたい////」 「……結婚もしてないのに」 「あなたの子供です」 「二人で幸せになりましょうね?」
「うわああああ!!!」
親しい間柄の女性たちの告白に思わず逃げ出し、自室に逃げ込み現在に至る。

「おれは今、できちゃった結婚というのをほんのちょっぴりだが体験した。
い…いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが…… あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!  
 『おれは飲み会で記憶がなくなったと思ったらいつのまにか子どもが出来ていた』
な… 何を言っているのか わからねーと思うが 、おれも何をされたのかわからなかった…頭がどうにかなりそうだった…」
「いや、お前は『された』というか『した』もしくは『やっちゃった』ほうだろう?」
顔を真っ青にして何かをつぶやき続けシンにコートニーは冷静にツッコミを入れる。
「でも、気持ちはわかりますけどね」 
「経験者は語るって奴か、キラ・クライン?」
力なく苦笑するキラにカナードは茶々を入れる。
「とりあえずシンはばくはつすればいいとおもうよ」 「ラッキースケベの行き着く先か」
「安心しろシン、仲人は友人代表として俺がやってやる! お前は誰か選ぶだけでいい!」 
死んだ目でこっちをみるアーサーとヴィーノに何故か目を輝かせるレイ。 お前らどうやって入ってきた。
「誰かってだれを選べばいいんだよ。 誰選んだって血祭り確定じゃないかよ……」
相変わらず体育座りのまま僅かに顔を上げるとシンは大きな溜息を付いた。
「ひんぬうお嬢様属性ドSのアズ子嬢、姉さん女房のルナマリア、おっぱいな年上フレイ、光源氏なステラ、妹属性軽いツンデレなコニール、未亡人熟女なロミナ女史、合法ロリな主任etc……胸が熱くなるな」
羨ましそうな目でシンを見るアーサー。 
俺はあなたのそういうところが大嫌いだ。 そういう目にあったことがないからそういう目ができるんだ。
「あ、その辺は大丈夫。 ラクスが出生率低下だの何だの理由付けて近い内に重婚可能にするってさ。 子供生まれたら生活が大変だから白服に出世させて内勤に回すって言ってたよ」
良かったねー。とにこやかな笑顔を見せるキラ。
悪い人じゃないんだけど、それは無自覚な悪意って奴ですよ! ラクスさん、吉良さん!
「シン、結婚式は神社と教会どちらが良い? 人数は多めのほうがいいな?」
全く頼れなくなった親友レイがタウンページ並みのカタログをシンへと見せる。
こいつ女性陣妊娠の話聞いて真っ先に用意しやがったな!
「まさか俺が生きている内にお前の晴れ姿が見れるとは思わなかった」
しみじみと言うレイ。
なんかお爺さんに言われてるみたいで罪悪感が湧くから止めて欲しい。
「でも、たしか仲人って既婚者じゃなきゃできないんじゃかったか?」
モーガンがふと思い出したようにレイに言った。
「……なん……だと!」
「しゃーねーな、代わりに俺がやってやるよ」 「まぁ待て、若輩者には任せられんね」 「直属の上司の僕が!」
項垂れるレイを尻目にはじまる仲人争奪戦。 正直外でやって欲しい。
475MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/07/11(月) 22:34:45.88 ID:???

バンっ! という派手な音とともに扉が開かれる。
そこにいたのはラクスによく似た黒髪ポニーテイルの女性。……エミュレイターだ!
『見つけましたよシン。 子供を孕んで結婚を迫る面倒くさい有機体の女性などよりAIの完璧な女性のほうがいいと身に染みたでしょう?』
見るからに邪悪な笑みを浮かべ、エミュ子はシンの手を取り立ち上がらせる。
『二人で世界の果てまで逃げましょう? デスティニーIIと私と貴方なら追いつけるものなど誰も……』
立ち上がらせたシンを抱きしめ、耳元に口を近づけると、エミュ子は恐ろしいほど甘い声でシンに囁く。
「俺は……」
「させるっかぁー!」
思わず頷きかけたシンとエミュ子に膝が拳がケリが飛ぶ。
「やっと見つけたと思ったらなにやってんのよ!」 「人に手を出しといて機械に浮気ですか、いいご身分ですね」 「シン最低」
ああ、遂に見つかった。 これが年貢の納めどきか……(手記はここで途切れている。


「しかし、パン生地やエイリアンじゃないんだから一日で腹が膨れるなんてことがあるのか常識で考えて分からんかね?」
ドクターことミハエルコーストはコーヒーを啜りながら呆れたように言った。
「で、君はあの騒ぎに参加しないのかね? アスラン・ザラ?」
「やぶ蛇はゴメンですから。 ところでシンに教えてやらなかったんですか?」
「君と同じだ。 やぶ蛇の巻き添えは勘弁してもらいたいからな」
ミハエルは窓を開け、空を見上げる。 今日もプラントは平和だ。
「それで彼女たちのお腹は何だったんです?」 「食い過ぎだな」

以上です。 私事が立てこんでおりますので本編はもう少しお待ちください。
476472:2011/07/11(月) 22:49:34.69 ID:???
乙ですwww
自分でネタ振っといてなんだが
こういうしょーもないネタから話を膨らませてくれる職人さん達がいるからこのスレ住人はやめられない

自分も見習わなくては
477通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 23:11:42.42 ID:???
まさに修羅場w
478通常の名無しさんの3倍:2011/07/11(月) 23:14:55.86 ID:???
MOR氏もネタ振った方もGJ乙乙♪
早速倉庫に登録させて頂きたいのですが、タイトルはいかがいたしましょうや?
479471:2011/07/12(火) 08:51:06.70 ID:???
微シリアスな銀魂のパロディになると思ったけど、これはこれでGJ
480通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 10:12:21.94 ID:???
>「直属の上司の僕が!」
いやいやいやいや、仲人をやれる、つまり「既婚のアーサー」なんて、
「生き延びていて後に誰かと結ばれるレイ」以上の超レアケースじゃないのか。
逆シンどころか他の二次を見渡しても見たことないぞw
481通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 11:13:24.11 ID:???
アーサー「失敬な!僕の嫁は此処に居る!!」つDS(ラブ○+)
482通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 15:53:51.81 ID:???
合法ロリな主任って誰だっけ?
483通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 16:37:31.87 ID:???
家の前に放置された子供がユーレン絡みの組織から持ち出された新型戦闘用コーディネーターの唯一の成功体の赤子だとしてもとんでもない既出感
484通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 17:00:34.29 ID:???
>>482
XXX[スレ268氏の「Select of Destiny」に登場する
モルゲンレーテMS開発部門のDr.Kの事だろう。
ビジュアル的にはらきすたのひかる先生に近いようだ。
485通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 19:00:00.70 ID:???
ひかる先生より寧ろ、
某次世代2D対戦格闘ゲームのみんな大好きココn(ヒャーハハハ、キモチイイダロ!
486通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 21:07:44.69 ID:???
ああ、ヨウランが厨二病全開のあのゲームか
487通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 21:59:17.33 ID:???
ネタ話をしているとそれに反応して下さる職人さんが居る。相変わらず逆シンすれはカオスなところだw
しかし、お手付きメンバーが色々ヤバすぎるww
488MOR ◆wN/D/TuNEY :2011/07/12(火) 22:20:07.20 ID:???
>>478
いつも登録してくださっている方でしょうか? 毎回ありがとうございます。
タイトルは考えてなかったのですが「出来ちゃった(はぁと) え? 何が?」でお願いします。。

>>480
HAHAHA! な、中々斬新な設定でしょう!?
(本当はその台詞クラインさん家の婿になったキラの台詞だったけど、既婚のアーサーの方が面白いから黙っておこう……)
489通常の名無しさんの3倍:2011/07/12(火) 22:38:20.90 ID:???
アーサーの嫁ってどんな人だろ?
490通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 00:03:11.05 ID:???
抱き枕かシーツを見れば分かるんじゃないか?
491通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 00:43:15.45 ID:???
一応特務艦の副長やってたようなエリートだし、案外いいとこのお嬢さん紹介されて、おっとりして世間知らずな嫁の為に一念発起したりするかもしれん。
それか同じ艦長クラスのヒルダみたいな豪快な姐さん女房に取っ捕まるか。
492通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 14:43:52.72 ID:???
アーサー「実は僕、妻子持ちなんだ」
ミネルバ3人組「「な、なんだってー!?」」
いや、別に本編でアーサーは独身だという明確な描写はなかった様な気がして…
493通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 18:58:26.28 ID:???
てかアーサーがエロゲ好きってどこ発端だっけ?
494通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 21:08:47.82 ID:???
>>491
ヒルダは女性が(っていうかラクス?)好きだって言うのが公式だっけ。
でも、そういう展開も嫌いじゃないな
495通常の名無しさんの3倍:2011/07/13(水) 21:32:09.13 ID:kZyBiXJR
そういやXXX[スレ268氏どうしたんだろう……?この人の「Select of Destiny」好きなのに……。

Dr.Kと記憶喪失のシンの可愛さは異常!
496XXX[スレ268:2011/07/13(水) 23:13:57.90 ID:???
名前が出ましたので、近状報告を…

一応生きてますよー
ただ、母方の実家が例の震災直撃しまして(幸いと言うのはあれですが身内の命に別状はありませんでした)、休みの日はほぼ現地と家を行ったり来たりの生活をしてました。
今月中にはようやく仮設住宅に入れるそうですので、まとまった時間が取れたら続きを投下させて頂ければなぁと思っています。
497通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 09:20:53.33 ID:???
>>493
元は本編で水着のグラビア見てニヤついていたのをタリアに見つかるってシーンがあって、アーサーのキャラのイメージでエロゲ好きになってしまった。
498通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 09:22:50.57 ID:???
>>494
そんな設定はない
そもそもちゃんとしたキャラ描写もないし。
499通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 10:35:29.06 ID:???
ヒルダがレズなのは福田のツイッターからだな
500通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 11:08:38.34 ID:???
また無職豚か
自分は種辞典じゃないとか言っときながら
501通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 11:26:57.04 ID:???
>>499
つまりソースのない厨の妄想と同義ってことですねわかります
元監督ツィッターの信頼性のなさは異常…ってほどでもないか
502通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 15:48:09.74 ID:???
>>501
自由は核を積んでるから放射能漏れてる(キリッ
だからキラは被爆している(キリッ
でもコーディネイターだから大丈夫(ドヤァ

っていうくらいの信頼性はあるよ元監督のついったー
503通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 16:19:54.96 ID:???
しっかりシールドしてるドレッドノートェ…
ああ、元監督的にアストレイは人の作品を好き勝手に弄る不届き者でしたね
504通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 19:29:26.64 ID:???
>496

無事で何より。
気長に待ってるので無理せず程々に
505通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 22:11:39.34 ID:???
>>496
お元気そうで何よりです。ご無理をなさらないよう復活お待ちしております
506通常の名無しさんの3倍:2011/07/14(木) 23:24:35.01 ID:???
>>501-502
本来なら監督の発言だのは公式認定において最大級の重みを持つはずなんだが
種シリーズだけは全く当てはまらないわな。
今ではほぼ共通認識になっている、「アビーはクールな才女である」とか
「シホはイザークに想いを寄せてる」などもTV以外、SSやスパロボで
培われてきたようなもんだし、「ユーリ・アマルフィ氏は自殺しておらず
ロミナママンともども種死の戦後にアスランを許している」などというのを
受け入れてる人なんかほぼ絶無だろうしな。
>>496
せめて人的被害がなくてようございました。
楽しみにしてますが何よりもお身内第一で。
507通常の名無しさんの3倍:2011/07/15(金) 00:21:36.49 ID:???
>>502
>キラは被爆している(キリッ
>でもコーディネイターだから大丈夫
バックアップがあるから大丈夫って意味じゃねw
被爆しても即死レベルでなくある程度の時間肉体が持てばいい、その程度の漏れなんじゃ、
あとは出撃のたびに取り換えればいいんだし。

しかしそうなるとキラさんぐらいしか自由和田を操縦できないというのも理解できる、
普通の人間なら出撃のたびに被爆して次の自分に交代なんて嫌だろうから。
508通常の名無しさんの3倍:2011/07/15(金) 00:39:32.08 ID:???
>>497
そーなんだ。一応炒飯と違って元となるものはあったんだなw
509通常の名無しさんの3倍:2011/07/15(金) 22:50:30.32 ID:???
キラ「命を大切にしない奴なんか大っ嫌いだ」(キリリ
510通常の名無しさんの3倍:2011/07/15(金) 23:25:03.70 ID:???
そうか、キラはラクスに真名を知られてしまったんだなwww
511通常の名無しさんの3倍:2011/07/15(金) 23:43:41.56 ID:???
ゲド戦記ktkr
512通常の名無しさんの3倍:2011/07/16(土) 09:21:05.89 ID:???
>>509
ふとした事から全ての真実を知ってしまったキラが死に物狂いで脱走しようとする姿が浮かんだ。
513通常の名無しさんの3倍:2011/07/16(土) 22:08:32.05 ID:???
最近チマチマと書き始めてみたが、文章書くのって難しいな。それ以上に自分のボキャブラリー不足に悶絶するw
とりあえず、投下するとしたら2〜3話位書き貯めてからの方がいいのかな?今のペースだと半年位かかりそうだが・・・
一応、高山版順次なんで大体のキャラはまともなはず?
514通常の名無しさんの3倍:2011/07/16(土) 22:22:50.61 ID:???
ほう!高山版と言えばそれ自体がかなり改善されてて評価も高いので
そこからそのまた逆襲というのは盲点つうか発想がなかったですな。
ペースはご本人次第として、とりあえず完走を目指して頂きたいというのが一番のリクエストです。
515通常の名無しさんの3倍:2011/07/16(土) 23:19:31.06 ID:???
高山原作版とな。
あれを元となるとキラとシン、両者とも確固たる信念を持った果てのぶつかりあい
って感じな熱い展開になりそうだな。
516通常の名無しさんの3倍:2011/07/17(日) 02:14:24.69 ID:???
ホーク姉妹が(たぶん)裏切ってない、レイやムネオの去就が実は不明、など
尺足らずの結果とは言え独自の要素も結構あるわけで、そういった部分も
反映されるのかな?なんにせよちょいと楽しみ。
517通常の名無しさんの3倍:2011/07/17(日) 21:38:11.56 ID:???
>>513だが・・・
何このハードルの上がりっぷりw

個人的に、高山版の終わり方ってアニメと違いちゃんとアスランとお互いの思いをぶつけ合って決着付けた訳だし、
シンにとっても一つの区切りが付いたラストだったんじゃないかな?って思いから書き始めてみたんだわ。
何より、最後の「そして少年は未来に向かって歩き始めた!!」って煽りを見て、前向きに生きていくシンってのを書いてみたくなった。

とりあえず、逆襲する相手はちゃんと考えているので、そこへどう話を繋げていくか四苦八苦中。
プロローグの推敲終わったら、投下して自分のケツ蹴り上げようと思うがw
518通常の名無しさんの3倍:2011/07/17(日) 22:03:32.40 ID:???
>>517
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +

期待して待っている。
519通常の名無しさんの3倍:2011/07/17(日) 23:59:35.36 ID:???
>517

隠者に蹴りのアップを始めるように頼んどく。
520通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 00:55:36.68 ID:???
うう…し…尻が……われてしまった
521通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 01:29:56.77 ID:???
しかし高山版の終わりだとシンはザフトに戻らず何処かに消えてしまいそうな感があったからなぁ

楽しみに待ってます
522通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 03:41:54.31 ID:???
>>521
ガンダムエースか何かにのってた設定では、高山版シンは戦後消息不明らしいね
523通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 08:47:11.97 ID:???
>>522
mjd!?おおう、プロローグ書き直した方がいいかしらorz
524通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 15:16:43.09 ID:???
>523

気にするな、誰も気にしない。
気になるなら注意書きしておけばいい。
525通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:08:12.23 ID:???
>>513だわよ〜
とりあえず、短いけれどもプロローグ部分を投下するぜ!
SS書くのは初めてなんで、自分の妄想全開だが後悔なんてしないさ〜
526通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:10:20.93 ID:???
※高山版種死後なので、ある程度アスランがまとも。ある程度は・・・
その他の主要メンバーもある程度は良識あるかと。ある程度はね!




「アスラン・・・・あんたやっぱ強いや・・・・」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 戦争が終わった。デュランダル議長の提唱した『デスティニープラン』も
メサイア攻防戦後、その議長が消息不明になった事により、完全に潰えた。

 俺にとっては、色々な事への思い・感情に対して一つの区切りを付ける事の出来る終戦だった。
 結局、議長やレイの言っていた事が正しかったのかどうかなんて最後まで分からなかったけれども、
世界が『デスティニープラン』を必要としない未来を選んだのならば、それが世界の選択なんだろう。

 後、最後の最後でアスランと互いの想いをぶつけ合って戦えた事も、今となっては悪くはなかったと思える。
 ミネルバに居た頃は頼りない事が多かったけども、アスランもアスランなりに悩み苦しんでいたんだな、
なんて最後の戦いの時にある程度は感じる事が出来たので、ちょっとはアスランに対する評価を改めた。



 そんな事よりも、デュランダル議長派の敗残兵処理において俺の立ち位置はすこぶる悪かった。
 何しろ、『デスティニープラン』の名を持つ[デスティニー]に搭乗して多くのMSを撃墜し、
議長直属の「FAITH」という肩書き。

 そして、何といっても二度の大戦を終結させた“英雄”として祭り上げられているキラ・ヤマトの
搭乗していたフリーダムを唯一撃墜した事があるパイロットというオマケ付き。

 戦後、新たに選出されたクライン派の議員に至っては、『デスティニープラン』が完全に潰えた事を証明する為にも
公開処刑にすべきだ!等と随分と物騒な提言もあったようだが、ある人物からの助け船で事態が変わった。

 

 その人物というのが、なんと月で俺を撃墜したアスラン・ザラ、その人だった。

 裁判の場でアスランは、俺が前大戦で自分達が引き起こしたオーブ戦においての戦災孤児であった事を説明し、
プラント移住後にザフトへ入隊したのも、新しい故郷であるプラントを守るためという思いからだという事。
専用機の授与や「FAITH」への任命も、ガルナハンでの特殊作戦成功やフリーダム落とし等の多大な功績を納めた
エースパイロットに対しての当然の評価だと、随分と俺を擁護してくれた。

 ただ、「シン・アスカは、軍人として最後まで職務を全うしただけだ」という言葉を言った時の
アスランの自嘲的な苦笑は今でも忘れられない。
まあアスランにとっても、自らの過去の行いを戒める為に言った言葉なんだろうと解釈している。
527通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:12:04.45 ID:???
 そんな訳で、俺の行いはあくまで一軍人として軍務を全うしただけで、処分に関しては必要最低限で、
と有り難い方に結論付けられた。

しかし、この結論に新クライン派の議員からは随分とご不満の声が多かったらしく、
新しいプラント議会としてもその声を完全に無下にする事も出来ず結局、

1.シン・アスカの戦闘用MSへの搭乗及びMSによる戦闘行為を無期限停止処分とする。

2.「FAITH」の資格剥奪及び、ザフト軍人としての登録も抹消。

3.プラントからの退去処分。また、新たな居住地には現プラント政権からの監督官を派遣しこれを受け入れる事。

 と、俺の一番の取り柄の一番重要な事を禁止され、さらには面倒な監視というオマケも付けられて、
めでたくプラントから追い出される事となった。



 とりあえず、財産丸々没収されたり賠償金払え等と言われなかっただけマシと言えばマシなんだが、
新天地で1から始めるとなるとそれなりに金も必要になってくるし、何より自らの手で金を稼がないといけない。

 戦争が終わったとはいえ、未だに小さな小競り合いが各地で発生しMSを使った犯罪も横行しているような状況なので、
傭兵にでもなればある程度安定した収入は見込めそうだったが、生憎とMSを使っての戦闘は禁止されているし、
何よりも、同居している監督官様の長いお説教を何度も聞くのは御免なので断念した。

 結局、ザフト時代に貯まっていた貯金と退官時に奇跡的に出た退職金を工面して中古のゲイツを購入し
色々と手を加えた後に、月面のローレンツ・クレーターで廃棄MSの回収業をする事にした。

 住所をどうしようかと悩んでいたが、幸いにも放置されていたローレンツ・クレーター内の基地跡は、
地球連合の手もほとんど入っておらず、住むには十分な居住スペースは確保出来た。
 
 が、後からやってきた監督官様がこの居住区画に対して色々と注文を付けてきやがった。
 やれちゃんとしたベッドが欲しいだの風呂には湯船が必須などと随分好き勝手要求してくれたせいで、
かなり要らない出費をする羽目になってしまった。
 後々、こいつの関係者に領収書を叩きつけてやろうと思うが、今のところそんな相手と直接顔を合わせる予定はない。
 
 正直に言って、俺の新しい生活を監督する監督官というよりも、俺の仕事を増やしてくれやがる
お節介なオジャマ虫を押しつけて来やがったと、今では解釈している。



 そんなこんなで、お節介な同居人には毎日頭を悩まされてはいるが、
俺シン・アスカの第三の人生はこの月面から始まる事となった。





〜シン・アスカは歩いて行く prologue〜
528通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:13:22.01 ID:???
とりあえず、始まりはこんな感じで。第一話は今週末には上げられるよう頑張るでござる・・・
529通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:37:13.58 ID:???
いいじゃない、いいじゃない
次も待ってますよー
530通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 17:56:05.11 ID:???
監察官が男なのか女なのかそれがまず重要だ。
531通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 22:33:25.40 ID:???
監察官がシンと以前からの顔見知りっぽい書き方に思えた。
続きを楽しみにして待っている。
他のSSスレにあった楽しみを味わえそうだ。
532通常の名無しさんの3倍:2011/07/18(月) 23:22:49.96 ID:???
>>530
シンにがんばれとエールを送るか、もげてしまえと呪詛するかが
それによって決まってくるわなw
533通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 00:09:12.88 ID:???
高山版準拠なら、男でよかろう、余計な女難は不要。
アーサーさんとかどうだろう?
そういやタリアは生存してるよな確か。
534通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 00:19:39.36 ID:???
男なら腐れ縁として友情を築き、女ならツンデレヒロインとしてフラグを立てる。
うん、どっちもいいな。
535通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 00:22:46.91 ID:???
高山版補正でマトモになってるとはいえ 戦争責任をシン一人に被せるあたり
種世界らしく相応に腐っているようだな、クライン派は。
先に仕掛けてきたのは奴らなんだが。

さてシンはどうなるか期待。
536通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 04:08:38.44 ID:???
割とひどい要求だが種世界なら仕方がないとすら思えるw
537通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 09:29:06.03 ID:???
まあ戦後のシンはΖのアムロのようになっててもおかしくないからなあ。
538通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 12:10:38.94 ID:???
乙!
要求からすると監察官は女っぽい気がするが?
新たなヒロイン参戦の予感でwktkするぜ
これで巨ny
ん? こんな雨の日に誰か来たようだ・・・
539通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 13:35:54.45 ID:???
高山版は明確に死亡描写のない生死不明なキャラ結構いるから二次の題材としてもいいな

議長・レイ・ユウナ・ミーア・タリア・ムネオとか
540通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 16:37:50.84 ID:???
>>537-538
確かアムロって軟禁中に女を何十人もあてがわれてたらしいな…
(子供を沢山作らせて実験台にするつもりだったとか)

つまり、必要最低限の調整しかされてないのにSEED持ってて、スパコーまで倒した秘密を知るために
クライン派がシンに沢山の女性をあてがって子供を作らせる展開もありえるな!

……あ、そこのお嬢さんと淑女の方々、そんなにエビオス錠やら飲ませたら命が危ないですよ?
541通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 19:01:36.96 ID:???
レイ「何故キラ・ヤマトをシンが落とせたかだと?
 俺とシンが緻密に練り上げた作戦とあ…友情パワーのお陰に決まっているだろうが!(迫真)」

シンってSEEDの勢いを利用した正攻法の時より、戦術や奇手奇策を駆使したトリッキーな戦い方の時の方が強いんだよなぁ
542通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 19:49:40.02 ID:???
本編における運命受領後のシンは
調子に乗って正面突破ばっかりになってるから
インパ使って努力してた頃より弱体化してる印象がある
その上倒したはずの連中がカーボン再生されて
ひょこひょこ復活するもんだから混乱してアボン!って最後だしなあ
だから逆シンスレでは努力型が多いって事になるんだと思う
543通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 20:30:35.96 ID:???
ヘブンズベースでは指揮を取って、味方庇いながら換装を指示したり
ダイダロス基地ではおとりの役目を果たしたりと
調子に乗ってた印象はないがな。

独断専行しなくなり、任務を果たすようになってた。
544通常の名無しさんの3倍:2011/07/19(火) 20:42:01.84 ID:???
指揮官がアスランじゃなくなったからシンも無茶する必要は無くなった
アスランがいなくなったおかげでようやく邪魔されたり足引っ張られたり
せずに動けるようになったってとこじゃね
545通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 00:01:13.84 ID:???
>>542
それってSEED時代のキラも全く同じ考察されているんだよね。
ストライク時代はパック換装や地形を生かしたトリッキーな戦術をとってたのに
フリーダムに乗って以降フルバースト主体になって創意工夫をやめたって。
確かこのスレのSS中でも指摘されてたはず。GSC氏だっけ?

まあ、シンにしろキラにしろ後継機に乗った途端ワンパターンになったのは
製作環境がアレだったのでバンクに頼らざるを……ナ、ナニヲスルキサマラー
546513:2011/07/20(水) 00:08:21.31 ID:???
test
忍法帖・・・
547通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 01:57:41.02 ID:???
劣勢側のエースパイロットと言うか、極少数に負担かけまくった結果人外戦果出した感じだな>インパ時代
運命時代はレイルナも乗り換えてたしマイナス要因のアスランが消えたしでだいぶ負担も減って地味に感じるんだろう
実際はストフリ隠者以外には無双状態だしストフリ相手でも優勢だったりと十分な戦果出してるわけだけど
つかスペック的にストフリ隠者は無理ゲーw
むしろストフリ相手に互角以上のシンがキチガイじみてるw
548513:2011/07/20(水) 08:10:49.87 ID:???
朝一だが、第一話出来たから投下するぜー!
監督官は女だ、しかも、あの女だ!!

高山版なのに!なんて苦情は一切受け付けない!!
549513:2011/07/20(水) 08:31:34.88 ID:???
投稿しようと思ったら、連続投稿がどうとか文字数が多いとか・・・もうやだこのシステムorz

時間もないので、今夜改めて投稿しますので。ごめんなさい
550通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 12:15:50.54 ID:???
>>547
しかも運命伝説の設計図とか奪われてて利用されてる設定だから弱点とか研究されてるって言う……

後付けされる度に人外度が上がっていく
それがシン

>>549
あの女…アビー?
楽しみにしてるよー
551通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 19:08:17.06 ID:???
>>549
忍者か…楽しみに待ってるよ
>>550
今でもストフリの動力がわからなかったりするんでしたっけねww
552513:2011/07/20(水) 19:57:27.57 ID:???
おk、今度こそ

途中で止まったら、ディケイドのせいだ
553〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:02:52.61 ID:???
「で、そんなしがない回収業者に毎週律儀に電話してくるとは、評議会も随分とお暇なようですね。
 それとも、アスハとの遠距離恋愛がそろそろ限界に来てます?」 

『そう虐めるな、シン。俺だって分不相応と分かっていながらもプラント復興の為に頑張っている訳だし。
 後、カガリの事はあまり突っ込まないでくれ。今は、お互い色々と微妙な立場なんでな』



 週末、慣例化してきたアスラン・ザラ“新プラント政府 最高評議会議員”との電話は、大体がいつもこんな始まり方だ。
 俺自身、ここまでアスランと砕けた会話が出来るようになるとは思ってもみなかったが、人は成長するものだ。
 嫌みな事を言ってはいるが、この定時連絡のお陰で今の大まかなプラントの情勢が分るのはありがたかった。

 アスラン自身、戦後のプラント立て直しや終戦処理に携わっていこうとしていた矢先、
復興までのプラント最高評議会議員の臨時議員の一人として選出された。
 選ばれた当初は随分と悩んでいたようだが、クライン派とザラ派の橋渡し役としてだけでなく、
この戦争に直接関わった自分が、傷ついたプラント復興の為にに尽力する事は、
自らの行いを省みる為のものであり、また、パトリック・ザラの息子としての義務を今こそ果たす時だと、
プラントの機能が一通り元通りになるまでという条件で引き受ける事になったらしい。
554〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:07:44.10 ID:???
『とりあえず、ミネルバクルーの最終的な配属先が決まったぞ。
大体が多少の降格や減給を受けたが、概ねまともな部署へ転属される事になった』

「そりゃよかった。俺だけ先に再就職して他の皆が宙ぶらりんなままは後味悪かったですからね」

 俺の場合は、プラントからの強制退去だったわけで好きで先に再就職した訳ではないんだが、
他のミネルバクルーの去就がどうなるかは、ずっと気にかけていた。

『まあ、お前の場合は再就職するしか道はなかった訳だし例外中の例外ではあるがな。
 とりあえず主なところだと、トライン副長がプラント間シャトルの船長に。
 ヴィーノは随分愚痴っていたが、結局地球のディオキア基地へ転属。
 アビー管制官は、交易船が発着するプラント港の管制室オペレイターに決まった』

 トライン副長とアビーは、本人の能力からみても十分妥当な配属先だ。
 ヴィーノに関しては、少し可哀そうな気もするが、直ぐに慣れて手紙でも送ってくれるだろう。
 
『後、ルナマリアとメイリンが正式に除隊届を提出して来て、つい先日その受理を行った。
 近々、二人揃って一度実家に戻ってから新しい仕事を見つけるそうだ』

「そうですか。よかった・・・」
555通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 20:25:49.39 ID:???
また引っ掛かったのなら>>1にある避難所へ投下されてみては。
代理投下してくれる人もいるはずですから。
556通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 20:28:17.67 ID:???
氏円?
557513:2011/07/20(水) 20:35:48.15 ID:???
サルさんと出たので、避難所の方へ投下しておきます。
どなたか代理投下お願い致します。
558513氏代理:2011/07/20(水) 20:47:28.69 ID:???
>>557
任せろ! 月ごと吹き飛ばしてやる!
……すみません、改行が多いって出たから分割しますね。

295 :〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:38:29 ID:k/7c2vl20
終戦後、ルナとはほとんど会う機会が無かった。
 俺自身が、裁判所と独房を往復する生活だったし、その後すぐにプラントからの退去処分。
 久しぶりに会ったえたのは、俺が月へ行く直前だったのだから、何とも忙しない事この上なかった。
 おまけに、久しぶりに会ったと思ったら、ちゃんと食事は取っているか、睡眠は取れているのか等、
お前はおれのお袋か!と言いたくなるような事ばかり聞いてきた。

 だが、俺の事を心から心配して言ってくれているルナのその言葉が嬉しかった。
 メサイア攻防戦の前は、俺自身がステラの事や再び現れたアスランの事、
デスティニープランの事などで頭の中はごちゃごちゃになっていて、他人を省みる余裕も無かった。

 そんな中、ルナは多少緊張した顔はしていたが、何時も通りに俺たちに接してくれて、出撃していった。
 今思うと、自分だってメイリンを残して死ぬかもしれないというのに、
俺たちの気配に気づいてあんな言葉を掛けてくるとは、女とはつくづく強いものだと後々気付いた。

 そんなルナだったが、別れる直前に自分とメイリンが近々軍を辞める予定だと俺に告げた。
 やはり、ルナにとってもメイリンにとっても今回の終戦が一つの転換点だったようで、
ルナと一緒に見送りに来てくれていたメイリンも、軍に残ってルナと離れ離れになるよりかは、
自分たちで新しい仕事を始めた方が、良いと判断したのだろう。

 一応、ここの番号は教えてあるので落ち着いたら向こうからけたたましい声と共に掛けてくるに違いない。
 その時にでも、改めてお互いの近況を伝え合えれば十分だ。ルナとメイリンだったら、きっとうまくやっていける。

『そのルナマリアとつい先ほど会ったんだが、お前に電話をすると言ったら伝言を頼まれた』

「ルナから?連絡先教えているんだから直接連絡くれればいいのに。何て言ってきたんです?」

 そう聞くと、アスランは少し苦笑いを浮かべた。俺が不思議そうにしていると、

『じゃあ言うぞ。「シン、新しい仕事にはもう慣れた?あんたは、一度に幾つもの事を出来るほど器用じゃないんだから、
じっくり落ち着いてやっていきなさいよ。唯でさえ、不器用なんだしもう私やレイは居ないんだからね。
それと、監督官さんには迷惑かけないようにしなさいね。あの人はあんたと違って色々と立場がある人なんだから、
絶対にぜーったいに変な気起こして取り返しのつかない事だけはしないように!」』

「あいつに、うちの監督官様の本当の姿をレポート用紙100枚にまとめて読ませてやりたいな。
あの人の真の姿を知ったら、間違いなんて・・・」

『最後に「自分の事を一番に考えて、無茶だけはしないようにね」とな』

 かなりの言いたい放題に不満の声が喉から飛び出そうになったが、最後の一言で何も言えなくなった。
 相変わらず、くだらない事になると無駄口が多いのに、伝えたい事は本当にシンプルな言葉で伝えてくる。
559513氏代理:2011/07/20(水) 20:48:55.26 ID:???


『まあ、彼女らしいじゃないか。面と向かって言い辛かったから、俺に伝言として頼んだんだろう』 

「ルナのやつ・・・悪いんですけどアスラン、ルナの奴にこっちからも伝言頼めますか?」

『俺は伝書鳩じゃないんだがな。まあ、今回は特別だぞ』

「じゃあ・・・『そっちの方こそ、メイリンの足引っ張らないように注意しろよ。
お前は女のくせに大雑把なところがあるから、一つ一つ確認してやるようにな』
・・・後、『色々気にかけてくれてサンキューな』って、何ですその顔はなんですかアスラン」

『いや、お前も大分成長したなと思って。これは回収業者“インパルス商会”の未来も明るいかな?』

 全く、この人に伝言なんて頼むんじゃなかった。あの月面の一件から、完全に俺の保護者気分だ。
 それでも、誰かに気にかけて貰っているという事が、悪いことじゃないと感じられている自分にも驚いている。
 アスランの言うように、良い意味でも悪い意味でも人間として成長してきたって事なのかもしれない。
560513氏代理:2011/07/20(水) 20:50:30.51 ID:???
296 :〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:41:01 ID:k/7c2vl20
 しかし、次にアスランから放たれた言葉で、俺の思考は現実に引き戻された。

『ところでシン。その監督官についてなんだが・・・最近の様子はどうだ?』

「どうもこうも無いですよ。あの人が来てから3ヶ月経ちますけど、
いい加減、俺の仕事を増やすのはやめて欲しいんですよね!てか、何であんな事するかな!!」

『あ〜、その様子だと今週も何かやらかしたようだな』

「生卵を電子レンジで調理する人、初めて見ましたよ。唯のネタ話だと思っていたのに・・・」

 俺の愚痴を聞いて、アスランが引き攣った笑いを浮かべたが、俺としては全く笑えない。
 あのせいで、レンジはおろかキッチン周りの電気回路が一時ショートして、危うく冷蔵庫までオシャカになりそうだった。

『まあ、彼女は今までそういう事はやった事無かったろうし、
一緒に居るお前に年長者としていいところを見せたかったんだろう』

「出来ないなら出来ないで聞いて欲しいんですけどね。というか、誰か別の人に代えられないんですか?」



『残念だが、それは出来ない。今、彼女はプラントにもオーブにもその身を置く事が出来ない。
お前には苦労をかけるが、お前と一緒に居る事が彼女の身を守る為でもあるし、ひいてはお前を守る事にもなる』

「・・・彼女が監督官というより、俺が彼女のボディーガードみたいな扱いになっちゃってますよね」

『それは否定出来ないが、今回の事に関しては彼女が率先して言い出してくれて助かっているのも事実だ。
戦後、あのままプラントに残っていたらクライン派の議員共にどう利用されていたか』

「その辺りの詳しい事情はあまりツッコミませんけどね。
 まあ何だかんだいって、彼女がいるお陰で俺の安全が保障されているのは事実ですし」

 急にシリアスになったアスランだが、色々と込み入った事情があるのはもう理解している。
 俺だって、まさか彼女が監督官としてやって来るとは夢にも思わなかったが、、
同行してきたアスランとキラ・ヤマトの説得という名を被った脅迫に押し負けて、不承不承受け入れた。

 そのお陰で、俺の居るローレンツ・クレーター上空には監視衛星と緊急時の攻撃衛星が合計30機、
昼夜を問わずうちを見守っているというか、監視している。
 そいつらが配備されている要因がうちの監督官様なのは明白で、もし彼女が居なくなったら、
その攻撃衛星のターゲットがどこに向けられるかは考えるまでもない。

 皮肉な話だが、プラントから追い出された俺がプラントにとってある意味で最も重要なキーマンと共に居るというのは、
俺を追い出した奴らにしてみれば、発狂しかねない事だろう。
561513氏代理:2011/07/20(水) 20:53:19.85 ID:???
297 :〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:41:51 ID:k/7c2vl20
《シーーーン!!ちょっと来て下さいましーー!!》

「と、ちょうど話していたらその監督官様がお呼びだ。じゃあ、今日はこれで切りますよ」

『ああ、お前には苦労をかけるが彼女に宜しくな』

「そう思うなら、回収したMSパーツの査定をもう少し上げるように言ってください。じゃ」

 そう言って、アスランとの定時連絡を打ち切り、声がした方へ歩いて行く。

「さーて、今度は何の用事なのか・・・って、風呂じゃねぇか!何考えてんだあんたは!!」

《シン?何がとはなんですの?》

「何がもこうもないでしょ!あんた無自覚過ぎて心臓に悪いんだよ!」

《仰っている意味がよく分かりませんが。そんな事より、私の部屋から新しいシャンプーを持ってきて下さいませんか?》

「あ〜、何を言っても無駄なんですね。はいはい分かりましたよ、取ってきますよ」

《あ、お待ちになって下さい。今、部屋の鍵を渡しますので》

「え?」
562513氏代理:2011/07/20(水) 20:56:55.04 ID:???

【プシューッ】



 俺が居住スペースの方へ向きを変えようとしたら、突如風呂の扉が開きそこから出てきたのは・・・

「シン、この鍵で開きますので。シャンプーは鏡台の右下ですわ」

「ちょ、ちょっと待てって・・・だから前隠してから出て来いー!
あんたは、一体何なんだーーー!!!」

「ラクス・クラインですわ?シン、ボケたんですの?」

「あーー!相変わらず空気読んでくれないよこの女!!」



 そこに立っていたのは、

 かつて『歌姫の騎士団』と呼ばれた最強の武装集団の象徴であり、
 
 『プラントの歌姫』として多くのプラントのコーディネーターから愛され、

 今は『シン・アスカ矯正監督指導員』として俺の所へ転がり込んできているラクス・クラインその人であった。



代理投下終了。
ってあの女ってラクスですか! 誰が思い付いたんだろう……?
ラクスが直接シンの監視ができて、シンが護衛するからラクスの身も安全で(゜Д゜)ウマーって事なんだろうが。
563513氏代理:2011/07/20(水) 21:05:02.29 ID:???
ゴメンもう一つ

298 :〜シン・アスカは歩いて行く 第一話〜:2011/07/20(水) 20:52:00 ID:k/7c2vl20
以上で第一話投下終了です。どうか代理投下お願い致します。

何故、ラクスがシンとひとつ屋根の下で共同生活を送っているのかですが
ラクス・クラインの本当の意味での価値って何だろう?という疑問からこんな形になりまして、
それは、次の2話、3話で説明していきます。

次は、8月初頭までには投下出来るよう頑張ります
それ以上に忍法帖orz

改めて乙でした!
564通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 21:27:43.30 ID:???
        スポポポポポポーン!!!
  。     。
    。  。 。 。 ゚
   。  。゚。゜。 ゚。 。
  /  // / /
 ( Д ) Д)Д))

い、い、言われてみれば確かに高山版じゃキラクスのカップルぶりなど
皆無に等しかったがコレハサスガニソウテイノソトダッタ……!
565通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 22:02:24.88 ID:???
え、えええええええええ!!!!!!! まさかのラクスだって?!?!?!
このスレだと逆襲先の一人という固定概念があったからコイツは度肝抜かれたぞ…
566通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 22:40:42.94 ID:???
これはまさかの展開w
人生の楽しみが増えた。
567通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 22:48:04.31 ID:???
なあああああにいいいいいいっ?!
いやまあ、他の作品でも白ラクスと共闘ってのなら有ったし
コンビ化も有りっていえば有りなんだろうが・・・
これは何処に話に持っていくのかスゲー気になるww
568通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 23:06:57.97 ID:???
このラクスとシンはボケとツッコミのバランスがとれてていい感じ。
569通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 23:08:03.13 ID:gW1XuXIK
えええええ!?Σ( ̄□ ̄;)
まさかのラクス!?予想の斜め上に行きましたよ!!さてさてどうなることやら……。
570通常の名無しさんの3倍:2011/07/20(水) 23:56:36.72 ID:???
ヤバイ、ひんぬーが致命的なNGわーd
571通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 01:22:21.86 ID:???
「卵爆弾」のくだりでカガリかと思ったらw

白っぽいラクスはいたけど、パートナー的なのは初めてか?
何か、無印種の初期ラクスっぽいな
572通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 01:29:03.22 ID:???
こりゃ驚いた、まあ高山版に限れば電波っぷりは薄かったし
キラとのカプ描写も無かったとはいえ、まったく予想だにしなかった。

しかしクライン派が黙ってるとは思えない
続き期待。
573通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 01:37:25.13 ID:???
取巻きの議員ども(=シンを公開処刑しろとかぬかした連中)の
神輿にしておいたら本当にスポイルされてしまうという危機感を
持ったという事か、さすが高山版ベース?
しかしそれはカガリにもありうるリスクなわけだが遠距離恋愛で
大丈夫なのかアスラン
574通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 07:22:19.58 ID:???
そういや高山版で恋愛描写らしきものは、アスランがカガリに指輪渡した(キスシーンは無し)所くらいだったな。
無印時にはとくに描写が無かったので唐突な感じはしたが。
575通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 09:43:00.73 ID:???
シンとラクスがメインのアフターものか…
確かシンセツスレの人のブログが扱ってたよね。
あっちはモロにシリアス。こっちはコメディ色強めかな。先が楽しみなのは確かです。頑張ってください!
駄文失礼しました。
576通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 14:39:38.71 ID:???
誰も突っ込んでないからあえて言わせて頂こう!
シン!
お前、真っ正面から一糸纏わぬラクスの全裸見たんかいっ!
という事は小さくも息づいてるピンクの山や下の綿アメのような…
ヤベッ、トイレ行ってくるノシ
577通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 23:12:08.08 ID:???
ラクスの裸身
それは
よく磨きこまれ輝く大理石のテーブルのような滑らかかつ美しい平面

素晴らしい…
578513:2011/07/21(木) 23:13:56.74 ID:???
大丈夫!きっと、泡でよくは見えなかったはずさ!!タブンネ〜
579通常の名無しさんの3倍:2011/07/21(木) 23:39:09.61 ID:???
??「まっ平らな胸、膨らみのない臀部、凹凸のないボディ。 アレのどこが良いのか。 僕にはまったく理解出来ないよ」
580通常の名無しさんの3倍:2011/07/22(金) 00:39:09.12 ID:???
???「全攻撃衛星照準ロック。ターゲット、キラ・ヤマト。フルバーストですわ」
581通常の名無しさんの3倍:2011/07/22(金) 02:01:33.93 ID:???
奥さん、ここが (今日の) セントアンジェですよ…
582通常の名無しさんの3倍:2011/07/25(月) 23:04:01.07 ID:???
しかし、高山版は読み返してみると種も種死も恋愛要素無いなぁ
種死だとアスランとカガリの指輪シーン位で、種の方はムウとマリューが微妙にラブってるって位か?
583通常の名無しさんの3倍:2011/07/26(火) 19:59:51.60 ID:???
高山版種死においては、ルナマリアが結構シンに絡んでるな ステラ返還のときにシンとひと悶着あったり
フリーダムを倒して気が抜けたようになったシンを元気付けたり、デスティニー受領後に整備士コンビと一緒に見にきたり
ジブ逃亡のニュース見て殺気立ってる(スチール缶を片手で握り潰す描写あり)
シンを心配したりとかなりヒロインしてた。
これくらいの描写があればくっついても自然なんだが
まあラストはステラに持ってかれるんですけどね。
584通常の名無しさんの3倍:2011/07/26(火) 23:29:28.86 ID:???
そういや、どっかのSSでラクスの母親が「世界はあなたの物、あなたは世界の物」ってラクスに言っていたって設定あったが、
あれ見た時はマジでぞっとしたな。実際にこんな事言われてたラクスが指揮していたら、もっとラクシズのタチ悪くなってそうだわ
585通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 00:03:07.63 ID:???
>>584
それ別にssの設定じゃなく、確かスぺエディかなんかで実際に母親から言われてるシーンがあったはずだから本編の設定だよ

ところで高山版だと
死亡確定していないメンバー
・ミーア・議長達・セイラン家
生存確定していないメンバー
・ネオ・ムウ
こんな感じだっけ?
586通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 07:23:11.97 ID:???
>>585
ムウは死亡確定してるよ
ネオとは別人になってるし
587通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 08:43:36.11 ID:???
>>586
プロヴィデンスを倒す為、メビウスゼロのガンバレルのワイヤーで拘束してクルーゼ諸共キラに撃たせたからなぁ。
基本負けっぱなしだったムウがあのクルーゼに一泡吹かせたのは痛快だったわ。
588通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 14:32:02.97 ID:???
フルバースト+核動力機の誘爆と、陽電子砲の直撃ではどっちのの方が
残るミンチの量が多いのだろうか。
しかし種死やアフターの二次ではムネオの扱いもポイントになるよな。

・同一人物で記憶を取り戻し、しかし特に反省もせずそのまま
 ラクシズ勝ち組貴族生活を満喫というTV版そのまま、
・同一人物で記憶が戻り、PPとしての所業やステラ達三人への罪悪感に
 煩悶し、シンとも比較的正面から向き合おうとする
・同一人物だが、善悪も死ぬも生きるも最後までネオの人格のまま
・ムウがガチ死にしててネオはホントに全くの別人として終始するetcetc

各作品のスタイルによってそれぞれだが513氏のはどうなるのかな。
589通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 15:02:58.26 ID:???
高山種と高山種死はつながってなくね?
うわ、そういう展開なんだ、高山版種も買うかな
590通常の名無しさんの3倍:2011/07/27(水) 17:36:56.72 ID:???
>>589
短期連載だったから結構端折ってるけど、種死と同じで種のドロドロ感がなくなって少年漫画してて安心して読める。
砂漠の虎がガチ有能だったり、アラスカ戦でフリーダムが武器を捨て丸腰で説得したり、>>567みたいにプロヴィデンス戦の顛末やパトリックが生存してたり、所々違ってて楽しめるよ。
後、バルドフェルドのアフリカ戦後の話はマジ必見
591通常の名無しさんの3倍:2011/07/28(木) 20:02:55.26 ID:???
高山版って原作漫画版だっけ
592通常の名無しさんの3倍:2011/07/28(木) 22:50:34.71 ID:???
種の本編って戸田アストレイじゃなかったっけ?
593通常の名無しさんの3倍:2011/07/28(木) 22:59:14.78 ID:???
戸田のはスクライドとのクロスオーバーだろ
594通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 00:00:33.81 ID:???
>>576-579
遅レスだがちょっと待って欲しい。
もしもCE74におけるラクスがCE71のマユと同レベルだったとしたら
色々と差し障りがありえるんじゃなかろうか?
え、何について?HAHAHA勘弁しろよ、私にも惻隠の情というものg





                  (へんじがない ただのクレーターのようだ)
595通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 01:32:31.24 ID:???
>>594
人は・・・・・・・いつまでたっても同じ過ちを繰り返すッ
596通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 10:00:05.39 ID:???
>>590
高山版購入してきた。
バルトフェルド編、かっこいいな!
最後のアイシャとのやり取りみたいのがアニメでも欲しかったなぁ
597通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 20:43:02.24 ID:???
高山版って『ヒロイン』と言える存在がステラしかいなかったんだよなぁ(恋愛と言えたかどうかはともかく)

>>594
唐突ですがここで、オノゴロ島Hinamizawa地区在住・K君からのお便りです。
『えー…ルナマリアやステラに比べて、ラクスのフィギュアが少ないのはどうしてですか?
 まぁその辺りは別に良いんで、フレイやミーアの造形物を増やして下さい』
HAHAHAHA少年!世の中には需要と供給、やり甲斐と生き甲斐と言う言葉がry
598通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 21:17:54.05 ID:???
ミーアのフィギュアの胸を削ればいいじゃ(ry
599通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 21:29:10.18 ID:???
ミーアのフィギュアの胸を削ればいいじゃ(ry
600通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 21:44:04.24 ID:???
それを削るなんてとんでもな(ry
601通常の名無しさんの3倍:2011/07/29(金) 23:01:10.95 ID:???
今日は何だか妙に生臭い風が吹くなあ
602通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 04:09:55.09 ID:???
603通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 08:01:19.80 ID:???
>>602
本来の意味でのマジキチ
何考えてつくったんだよ、病気だなw
604通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 09:19:37.50 ID:???
つまりむこうにプランAが侵略を仕掛けたのか
605通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 09:37:52.39 ID:???
>>601
血生臭いの間違いだろ?
606通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 09:49:37.71 ID:???
>>602
おお、何と禍々しい・・・こんなのが実際にロールアウトされた暁には、お嬢様大号泣だったなw
というか、アロンダイト雄々し過ぎるだろww
607通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 11:34:03.80 ID:???
>>602
これ、やる夫スレとかで使ってもいいのかなw
608通常の名無しさんの3倍:2011/07/30(土) 22:20:35.19 ID:???
使っても問題ないと思う
609513:2011/07/31(日) 12:40:36.88 ID:???
第二話出来ますた〜
が、相変わらず投下規制食らいそうなので避難所の方に上げておきます。
どなたか代理投下お願い致しますorz
ラクス・クラインは、慈愛の心を持って人々の平和の為に行動する。
 例えそれが、彼女にとって聞こえの良いオブラートで隠されたものであったとしても、
人を助けるための行動であると彼女が判断すれば、それが彼女にとって動く為の動機になりその行為は正義となる。

 その為、先のヤキン戦没において彼女が率いたとされる三隻同盟は、戦闘を続ける連合・ザフト両軍に対し戦闘行為の
中止を訴えながら、強奪したフリーダムを先頭に多くの戦場へ介入し、悪戯に被害を拡大させた。
 この行為は、ユニウス戦没においても同様であり、秘密裏に修復されていたフリーダムと共に再び戦場へ現れ、
戦闘中止を叫びながらの無差別攻撃をまたも両陣営へと行い、多くの犠牲者を出す事となった。


 プラントの歌姫として多くのプラント住民から愛され、
コーディネーターとしては珍しいナチュラルとの融和を唱えていた亡きシーゲル・クラインの忘れ形見であり、
二度の戦争終結に尽力した歌姫の騎士団を率いた聖女と讃えられる彼女であるが、
その一方でプラントのコーディネーターをその容姿と声を使って扇動し、
地上に甚大な被害を出したエイプリル・フール・クライシスを実行に移したシーゲルの血を引き、
二度の戦争において、連合・ザフト両陣営に対して無差別攻撃を仕掛けたテロリストの旗頭、と
彼女が率いたとされる集団の被害にあった者たちからは、憎しみを持って全く逆の評価を受けている。


 英雄も見方が違えば虐殺者となるように、彼女の行動に対しての見解は見る者によって大きく違ってくるが、
彼女を神輿として担ぎ上げている信奉者達は、彼女の眼に、耳にそのような現実が入らないよう徹底し、
自分達にとって都合の良い結果だけを彼女には伝え続けた。
 神輿は綺麗であってこそ神輿としての価値があるのだから、余計な情報を教えて彼女を動揺させる必要も無いのだ。
 
 このような隠蔽工作は彼女が歌姫として活躍していた時代から続いており、
父であるシーゲル・クラインも、娘の歌による影響力を自らの政治の為に大いに利用していたと言われている。

 しかし、彼女にとってはそのような自らへの世間の評価も周りの大人達の思惑も大した事ではなかった。
 何故なら、困難に憂いている人々を助けるという行為は彼女にとっては当然の事であり、
自分の影響力を周りが利用する事もプラントが平和になる為、ひいては世界の平和の為になると信じているからだ。

 その過程で、他方面からの恨みを買う事になったとしても、それさえも自らに課せられた責務であると捉え、
ある意味で殉教者のように自己犠牲も厭わず、人々の為に尽くすつもりでいる。
そんな彼女の目に、裁判中のシン・アスカはどう映っただろうか。
 前大戦時のオーブ戦において戦災孤児となり、プラントへ移住した後その新たな故郷を守る為にザフトへ入隊し、
戦場においては獅子奮迅の活躍を見せ、敵軍の実験体の兵士を助けようと自らの危険も顧みず手を差し伸べる優しさも持つ。
 
 アスラン脱走の際にも悩み苦しみながら任務を遂行し、最後はそのアスランと正面からぶつかり合ってお互いを理解した。
 若さゆえの感情の起因が激しく直情的なところはあるが、裏を返せば非常に情熱的であり他者への労わりの心も持った
エースパイロットというプレッシャーをも自らの力にし活躍した素晴らしい逸材であるとも言える。

 彼女は見つけてしまった。自らの全身全霊を持ってその傷付いた心と体を癒してあげたいと感じる対象を。
 はっきり言ってしまえば、シンの境遇は彼女の庇護欲を、母性本能をドストライクで掻き立ててしまったのだ。

「では、シン・アスカの監督官を誰にするかですが、これは私が務めさせていただきますわ」
 裁判後、シンの監督官任命の為に召集された会議の冒頭でのラクスの発言はクライン派の議員たちを大いに慌てさせた。
 
 何しろ、これからは平和をもたらした正義の象徴として彼女を評議会議長へと祭り上げ、
自分たちに有利な議会運営を目論んでいた矢先にこの発言である。
 当然、議員たちはラクスを止めるためにあらゆる手を使って説得を試みたが、どんなに言葉を飾っても
直接自らの目と耳ででシンの事を見聞きしてしまった彼女の意志を変える事は出来なかった。

 結局、クレーター上空に監視衛星を配備する事と定期的にストライク・フリーダムが巡回する事を条件に
彼女が『シン・アスカ矯正監督指導員』としてシンの元へ向かう事が決まった。

 この結果に心の中でガッツポーズを取っていたのは、アスラン・ザラとアンドリュー・バルトフェルドであった。
 アスランは、クライン派の議員たちが彼女を議長に担ぎ上げて神輿にしようと企んでいる事はある程度予測していた。
 バルトフェルドにとっても、彼女を議長の席という玉座に座らせて神輿にしようとする気は元々無く、
アスランからの提案は、彼女を自分達という籠の中から出す絶好の機会だと判断しこの計画に協力した。

 そして、彼女の性格をよく知っているアスランは彼女をシンの裁判へと連れ出しその興味の方向を、
傷付きながらも戦い抜き、これから前を向いて歩きだそうとしている彼女好みの好青年へと向けさせる事に成功した。

 こうして、彼女はまんまと二人の思惑通りにシン・アスカという男の存在にドップリとハマり込んでしまった。
 知らぬが仏とはいえ、当のシンからしてみればいい迷惑である。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あの後、俺が持ってきたシャンプーを満足気に受け取り、その後40分も風呂に入っていたラクスは、
「シン、今日のお昼は何ですか?」

 開口一番、そんな素敵な台詞を俺にはいてくれた。

「風呂上りの一言目がそれですか。まあ、あんたに台所任せたらロクな事にならないのは分かり切ってますけど、
多少は手伝ってくれてもいいんじゃないですか、皿並べるとかさ」

「そんな事言って、私が包丁使おうとすると全力で取り上げるじゃないですの」

「そりゃそうでしょ。一発目で手の甲ザックリ切るような人に刃物持たせる訳ないじゃないですか。
というか、どんだけ不器用なんですかあんたは」

「だって今まで料理なんてやった事がなかったんですもの。
後シン、何度も言っていますが“あんた”という呼び方はよくありませんよ。ちゃんと名前で呼んで下さいまし」

「はいはい」

 ラクスが監督指導員として俺のところに押し掛けてきてから、早3ヶ月が経った。
 初めの頃は、俺にとっての敵であるフリーダムに感する事に大きく関係していた彼女を敵視はしていたが、
一緒に生活しながらラクス・クラインという人間が分かってくると、俺の中の感情も大きく変わってきた。

 ラクス・クラインは純粋なのだ。それも、一点の曇りもなくただ真っ直ぐに己の信念を貫き通すほどに。
 最初は善意の押し売りにしか見えなかった俺に対する行動も、純粋に俺の事を心配して行っているだけで、
そこに下心や打算は一切ない。ただ純粋に、戦争で傷付いたシン・アスカの心を癒したいという一心で俺に接してくる。

 俺自身、そんな彼女の一生懸命さに触れていくうちに、まあこんな生活も悪くはないと思い始めていた。
 一時期は、これがクライン派の奴らが欲していた彼女の人心掌握術なのかとも考えたが、
今やしがない解体業者の俺一人を籠絡した所で、彼女にとって大したメリットにもならないだろうし、
普段の彼女を見ていると、そんな考えも失せてくる。

 其れほどまでに、ラクス・クラインは一直線でひたむきで少しおっちょこちょいな女性なのだ。


「とはいえ、必要最低限の事しか出来ないポンコツっぷりはどうにかして欲しいけど、当分は無理そうだなぁ。
まあ、一人で居るよりかは確かに悪くはないけどな。誰かと一緒に生活するってのは」
*改行多すぎと言われたので変な所で切てすいません*




「シン、どうしました?」

「いや、ラクスさんももう少し自分の事は自分で出来るようになって欲しいなと思いましてね。
このままじゃ、誰も嫁に貰ってくれなくなりますよ」

「あらまあ。でも、その時はシンに養ってもらいますから問題ありませんわ」

「ツッコめよ!こっちがボケてるのに、素で返されると対応に困るわ!!」

「まあ、突っ込むだなんて。シン、はしたないですよ」
 
「そんな反応されるともう何も言えないじゃないか・・・もういいです、座ってて下さい」


 そんなこんなで、『シン・アスカ矯正監督指導員』ラクス・クラインと
俺シン・アスカの日常は大体いつもこんな感じで過ぎていく。
614シン・アスカは歩いて行く 第二話:2011/07/31(日) 13:33:20.27 ID:???
へばワタクシめが代理投下させて頂きますです


 ラクス・クラインは、慈愛の心を持って人々の平和の為に行動する。
 例えそれが、彼女にとって聞こえの良いオブラートで隠されたものであったとしても、
人を助けるための行動であると彼女が判断すれば、それが彼女にとって動く為の動機になりその行為は正義となる。

 その為、先のヤキン戦没において彼女が率いたとされる三隻同盟は、戦闘を続ける連合・ザフト両軍に対し戦闘行為の
中止を訴えながら、強奪したフリーダムを先頭に多くの戦場へ介入し、悪戯に被害を拡大させた。
 この行為は、ユニウス戦没においても同様であり、秘密裏に修復されていたフリーダムと共に再び戦場へ現れ、
戦闘中止を叫びながらの無差別攻撃をまたも両陣営へと行い、多くの犠牲者を出す事となった。
615通常の名無しさんの3倍:2011/07/31(日) 13:35:06.37 ID:???
以上、代理投下でした。
避難所とこっちじゃ行数が違うんだね。


513氏乙でした!

ラクスのボケっぷりとシンの突っ込みっぷりが良いテンポですなw
こういうラクスだったらあそこまで叩かれたりしなかっただろうに…
616通常の名無しさんの3倍:2011/07/31(日) 13:41:14.01 ID:???
他の方が先にされてましたね

失礼しました
617通常の名無しさんの3倍:2011/07/31(日) 14:29:20.83 ID:eu64C09+
このアップテンポなシンとラクスのボケとツッコミ、どこかで見たことあるよな……うん!!気のせいだ、気のせい!!
618通常の名無しさんの3倍:2011/07/31(日) 14:58:03.58 ID:???
GJっす!!!
しかしここまでまったくキラについて触れられてねぇw
619通常の名無しさんの3倍:2011/07/31(日) 15:25:07.82 ID:???
>その過程で、他方面からの恨みを買う事になったとしても、
>それさえも自らに課せられた責務であると捉え、
>ある意味で殉教者のように自己犠牲も厭わず、人々の為に尽くすつもりでいる。

……あっさり書かれてはいるが、かなり異常な人にしか思えんぞ、これw
JOJOのプッチ神父みてーだ
620513:2011/07/31(日) 23:46:53.75 ID:???
代理投下して下さった方、ありがとうございました。
しばらくは、こんなまったりした空気が続くと思います。

キラさんまだ出てきてないけど、ちゃんと仕事してますのでw
621通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 00:45:50.05 ID:???
「ガンダムは映像化されたところが公式です。」とはザックリとよく言われるが
この場合は高山版コミックで執筆・印刷されたところが公式となるわけで、
キラとラクスの関係、シンとキラの慰霊碑での出会い、去就不明のキャラ達の行方など
有無自体から謎というか未知の鉱脈と言えるわけで、どう掘り進めて行かれるのか
全く読めず、だからこそ新鮮で楽しい。次回も楽しみにしてます。
622通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 01:29:11.01 ID:???
なんか、”ストフリの巡回”ってあるけどさ

普通にキラと3人でお茶してだべってる場面しか浮かばないんだがw
623通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 10:32:59.26 ID:mvHCpEEX
>>622
有りそうですねwww高山版でのシンとキラの絡みはデストロイ戦以降ありませんでしたし案外仲良さそうwww
624通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 10:36:24.27 ID:???
198 ? 696: 冷やしキムチ牛丼 [] 2011/08/01(月) 10:27:39.40 ID:fEp6t6L3O
■鬼女さんがチラシ作ってくださいました
http://beebee2see.appspot.com/i/azuYwPOsBAw.jpg

拡散メガ粒子砲
625通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 16:36:38.81 ID:???
そういった行動が支持者を減らすことに繋がる。
昔は「嫌韓厨」と言われていたものだが。

投下乙
626通常の名無しさんの3倍:2011/08/01(月) 23:48:46.01 ID:???
>>602
見れない…OTL
携帯は辛い…
627通常の名無しさんの3倍:2011/08/04(木) 15:30:52.74 ID:???
>>622
「あらあらまあまあそうなんですよ」
「あはははやっぱり    シン、シンシンシーン!お茶菓子無いよー」
「ではわたくし手作りのクッキーを
「シン!(血相変えて)一分一秒でも早くお菓子を持ってくるんだ!」
「やだね アンタもたまには俺の苦労を味わえ」
「シンー 様子見に来たぞー」
「コニール、助けてくれよもういろいろと」

その頃アスランはミーアとメイリンの二人にもみくちゃにされてましたとさ
628通常の名無しさんの3倍:2011/08/04(木) 16:13:24.56 ID:???
……自分で書いといてナンだが高山版では
この人間関係ほとんど存在しないんだよなぁ
629513:2011/08/04(木) 19:46:57.92 ID:???
>>627
そこまで砕けてはないけど、第二話のラストを>>622の言う展開に近い感じで書こうとしていたのは事実
毎回昼飯時になるとストフリで乗り込んで来て飯集っていくキラさんを書こうと思ったけど、さすがにフリーダム過ぎて断念したw
630通常の名無しさんの3倍:2011/08/04(木) 23:34:47.02 ID:???
そういや、高山版種のラストバトルにフレイって居たっけ?ムウの特攻しか記憶にないが
631通常の名無しさんの3倍:2011/08/04(木) 23:42:45.29 ID:???
>>630
気になって読み返したらフレイ全体通して二コマしか出てきてねぇ! 
しかもキラに本気で戦ってないって因縁つける回想シーンだけだ……
種死ヒロイン格のマユ、ステラ、ルナマリアが出番増えてたのは反動だったのか……?
632通常の名無しさんの3倍:2011/08/05(金) 23:18:54.02 ID:???
この上いつか戦い…逆襲に転じるとして、ラクスやアスランとは良好だし
今のところ描写のないキラカガとも今更事を構えるとは考えにくい。
またクライン派の政治屋どもからは目の仇にされてるだろうが当のラクスが
あれでは何ができるとも思えないし悪役としても役者不足もいいとこ。
むしろ、自適のしかもラクスとの同居生活という図は旧デュランダル派とかの
逆怨みをこそ買いかねない…か?
633通常の名無しさんの3倍:2011/08/05(金) 23:59:57.52 ID:???
○キオ「私の出番ですね」
634通常の名無しさんの3倍:2011/08/06(土) 00:39:27.03 ID:???
別に武力による逆襲だけとは限らないじゃないか
首領アスカの存在を忘れたかね?w
635通常の名無しさんの3倍:2011/08/06(土) 06:37:51.07 ID:???
>>634
凄い説得力だw
636通常の名無しさんの3倍:2011/08/06(土) 21:47:59.56 ID:???
>>634
首領は色々と超越してたな〜。何気にトールやミーアも生きてたし
あんなハッピーエンドもありっちゃありだw
637通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 11:06:31.32 ID:???
>>634
トールは死んでるヨ
ANOYOでセーフティシャッター作ってたヨ
638通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 14:52:13.15 ID:???
このスレで出てきたヒロイン(?)達にCVあてるとしたら誰があってるだろうか?
639通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 15:57:02.42 ID:???
最近の女性声優とかよく知らないけど
ODK48とアスラン本人と合わせて石田彰の一人50役ならちょっと聞いてみたい
あの人の喉おかしい
640通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 16:27:31.14 ID:???
首領は某スレのご立派様に匹敵しかねんアレなお方だったなぁ
641通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 16:44:22.35 ID:???
>>639
一人七役は本当に凄かった。とりあえず
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm662421
642通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 16:51:07.24 ID:???
とりあえずエコー7は根谷美智子さんでお願いします
643通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 20:57:36.96 ID:???
エミュ子、ユニットRBやGDにはこういうエフェクトなんかどうかね。
http://www.nicovideo.jp/watch/nm5277024
644通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 21:24:50.46 ID:???
ビーストウォーズのナビ子ちゃんみたいなエミュ子は嫌だw
645通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 22:13:56.15 ID:???
エミュ子にはぜひ芳野美樹さんを・・・
646通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 22:41:11.10 ID:???
>>642
根谷さんってアビーとかヒルダの人だっけ?
647通常の名無しさんの3倍:2011/08/07(日) 23:51:28.02 ID:???
>>645
そのキャスティングは一部のシンがまた悪い病気再発しちゃうだろ!
648通常の名無しさんの3倍:2011/08/08(月) 00:29:48.07 ID:???
とりあえずAI萌えに走るシンと暴走するヒロインズは目に見えるなw
649通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 01:05:11.03 ID:???
よくよく考えないでも中の人ネタじゃねえかちくしょうw
650通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 02:35:19.65 ID:???
前主人公ネタ乙
651通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 12:02:32.76 ID:???
「シンでーす」
「ラクスでーす」
「「二人合わせて、シンラクでーす」」
「…なんだかこの名前だとシンが楽そうで嫌ですわね」
「いやそんな事言われても、ラクスはんが付けたんですけどこの名前」
「ちょうど考えていた時に、渡る世間○鬼ばかりをやっていまして、そこに出て来た食堂が」
「○楽かよ、適当に付けるから後で不満が出るんやないですか」
「まあ今回は良いですわ、それにしても今日はこの不景気で仕事にも有りつけずに、どこにも行くところのないお客さんに来ていただいて感謝しなければなりませんね」
「今回てあんた、まあ良いですけども。しかしどこも行く所ないお客さんて失礼やろ、つか皆に仕事つくるんがあんたの仕事やないかい」
「それはキラにまかせてまかすわ。でも今日は美人のお客様が多いですわね」
「あの人に仕事まかせてええんですか? 確実にサボってそうなんですけど。まあ美人さんが多いのはほんまやね」
「わたくしには及びませんが」
「あかん、あかん、思ってても口にしたらあかん!」
「あらわたくしアイドルですわよ。それにシンも昨日もおっしゃっていたじゃありませんか。毎日心にもない事を言わなあかんのが客商売の辛いとこですわって」
「ちょっとおっ?! 何もかもばらしたらあかんやんか!」
「わたくしは、嘘は吐けませんわ」
「嘘も方便言うてね、吐かなあかん時もあるねん!」
「あらあら、まあまあ、……今日は本当に、お綺麗な人が多くて」
「もう遅いっちゅうねん!」
「それはそうと、シンと相方になって暫くたちますけど。わたくしは彼方のことを唯一気の許せない友達と思っていますのよ」
「ちょっと待ってえな。それを言うんなら、気が許せる友達って言うのとちゃうんかいな。気が許せないなんて言ったら、まるで俺がいつもラクスはんに対して悪いことするみたいやないですか」
「ごめんなさい。ちょっとした言い間違いですわ」
「ちょっとした言い間違いではすまされない間違いやん、だいたい俺がラクスはんに何したゆうねん?」
「そうですわね〜、昨日はお風呂を覗かれましたわ」
「ちょおっとおっ! あれはラクスはんが行き成りドア開けたからですやん! 俺悪くないですやん!」
「でも事実ですわ〜」
652通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 12:03:34.36 ID:???
「確かに、見ましたけども、そういう事言うはると自分の身が危ないですやん、主にキラはんとか凸はんとかが俺の事抹殺にしに来はるでしょ!」
「あら? キラやアスランより彼方の場合はルナマリアさんやその他の女性の方が大挙して押し寄せると思いますが?」
「そんな小首傾げて不思議そうに言われても、俺の立場変わらんからね! あれは事故ですよー事故」
「まあまあ、そう興奮しませんと。それともわたくしの裸を思い出してしまったかしら」
「いや、凹凸無いですやん、まな板ですやん、あれで興奮しろ言われても……」
「噴破っ!!」ドスッ
「おごおおお」
「あらあら、そんな所で寝てはいけませんわよ、お行儀悪いですわ。わたくしは彼方のことを監督しているのですから、きちんとしていただかないと」
「好きで寝たんとちゃいますけど、しかしキチンとせえ言われても。どういったところを直せばええんです?」
「そうですわね、たとえば、小腹の空いた時などに、コンビニで買い物をするときがあるじゃありませんか」
「まあ我々も、ちょっとした合間にコンビニでちょっとした物を買うときはありますなあ」
「そのときのシンの態度は、するどい目配りでキリッとしてるじゃありませんか」
「まあ一応、軍人のはしくれやさかいな」
「それと一瞬も見逃さないすばやい身のこなし」
「まあラクスはんVIPですから、いつなんどき何があっても対応できるようにしてるつもりや、なんや、いややなあ俺キチンとしてるやないですか」
「そして目星のものを見つけるや、一瞬の間にポケットに入れるあのスピードは誰にも真似できませんわ」
「ちょお待てえ、それじゃ俺は万引きしとるみたいですやん!」
「あらごめんなさい。言い間違いましたわ。シンがポケットに入れたのは財布でしたわ」
「ちゃうから! 財布はポケットから出したんや。ポケットに入れたらスリやから!」
「冗談に決まってますわ〜」
「いくら冗談でも言って良いことと悪いことがあるやろ、と言うか自分の社会的影響力を考えて発言してほしいわー。 ラクスはんが黒言うたら白いもんも黒になるんやから勘弁してえなー」
「あらあら、まあまあ、……そうでしたの?」
「自覚無いんかい!」 
「全部冗談ですわ〜。漫才を続けるために、仕方なく本当の事を言っているだけですわ」
「ほんまの事違うやろ。ええかげんにしてくれや」
「おほほほ、ごめんなさい。この通り、頭を下げて謝りますわ」グイッ。
653通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 12:05:18.35 ID:???
「それは俺の頭や。なんで俺が頭下げなあかんねん」
「わたくしはラクス・クラインですわ!」
「いや意味わからんから。もー君みたいな非常識な女は知らんわ」
「褒めてくれてありがとうございます」
「誰が褒めとんねん。怒っとんねん!」
「この間、高速道路を走っていたら、追い越し車線をスピードの遅い車が走っていましたの」
「急に話が飛ぶねんな、まあそんでどないしましたのん?」
「わたくしはそんなスピードだったら、左側の走行車線を走りなさいと思いまして」
「まあそうやな。だいたい追い越し車線は急いでいる人が走っとるからな」
「ええ、ですのでわたくしはライトをパチパチと点滅させて、左へ移るように促しました。でも前の車は悠然とそのままのスピードで走っていますのよ。だからライトをさらに点滅させると前の車がなんと」
「お、どないしよったんですか?」
「車の屋根の所に回転灯を出しましたの。なんと覆面パトカーでしたのよ。わたくしビックリしたのなんの」
「それは驚きますなあ」
「ええ、ですから思わずパトカーに声をかけてしましましたわ」
「ほう、なんて?」
「わたくしはラクス・クラインです! 道を開けなさい!」
「暴君キター! それは言うたあらあかんでしょ」
「そうしたら、前のパトカーがサイレンを鳴らしまして」
「あー、路肩に寄せなさいて言われて切符切られたんですな、ご愁傷さま」
「猛スピードで先導してくれました」
「官憲なにしてんねん!!」
「その時乗っていた方が「あの車はザフトの車だ! 援護する!!」と叫んでいまして」
「おかっぱあー!! そのパトカー乗ってるん確実におかっぱ頭ですよねえ!」
「おかけで特売に間に会いました、もし間に合わなかったらと思うとわたくし、わたくし」
「特売て、まあ間に合って良かったと言いたいとこやけど、もし間に合わんかったらどなしてましたん」
「キラ、アスラン、やあっておしまいなさい!と叫んでいましたわね」
「此処に危険人物がいますー、通報してくださーい!」
「甘いですわよ、プラント議会はわたくしが掌握しています」
「最悪だよ! はあもうええですわ、で高速使って特売て何買いに行きましたのん」
「聞いてくださいまし、卵が1パック通常120円が88円でしたのよ」
「ほうほう、約30円お得やね、で高速代いくらかかってるんですか」
654通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 12:09:16.78 ID:???
「知りませんわ、シンのETC使いましたし」
「何してくれてんねん! それ得してんラクスはんだけやないですか」
「あらシンが今朝食べた卵が、わたくしが用意した卵ですからシンも得していますわ」
「いやトータルでみたら赤字やから、しかも朝飯作ったんも俺やから、ラクスはんテーブルに座っとっただけですから」
「そんなことおっしゃっても、わたくしが茹で卵を作ろうとしたら止めたのはシンじゃありませんか」
「電子レンジに生卵入れられたらそら止めますて、これだからお姫様は」
「あら、お姫様はカガリさんですわ、わたくしはアイドルです!」
「世間知らずって意味では同じですからね、ちょっとは一般常識いうものを習わなかったんですかねえ」
「シン!」
「な、なんですか?」
「わたくしは幼い頃、母からこう教わりました「あなたは世界の者」」
「はあ、それはつまりあれですね、世界の為に自分をささげなさいとかいう意味ですか、中々立派はお母はんやないですか」
「そして「世界はあなたの物」と」
「いやいやいやいや! 世界の為に働いたからいうて世界はラクスはんの物やないですから! おかんも無茶苦茶言うなあ、オイ!」
「これぞ、ラクビーで言う所のオール・オア・ナッシングの精神ですわ」
「違うからワンフォアオール・オールフォアワンだから、でもラクスはんの言う事には近いから突っ込みづらいってどういう事!」
「ラクスに逆らうなんで許せないじゃない!」
「どっから湧いたー! 帰れあんたは!」
「キラは敵じゃない!!」
「あんたもだ! つか、あんたら一体何なんだー!! もうやっとられんわー!!!」ビシッ!
「「「「どうもありがとうございましたー♪」」」」



「彼方は怖がられていますから、こんな感じでイメージ戦略をしてみようと思うのですけど、協力してくださいますわよね?」ニッコリ
「勘弁して下さい」土下座

>513氏に触発されて書いてみた、が微妙に後悔している。
なお関西弁は適当です、513氏及び関西圏の方ごめんなさい。
655通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 23:28:29.95 ID:???
656通常の名無しさんの3倍:2011/08/09(火) 23:28:47.38 ID:???
ワロタww
657 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 :2011/08/10(水) 19:25:41.70 ID:???
test
658通常の名無しさんの3倍:2011/08/10(水) 20:14:50.49 ID:???
つまんね
659513:2011/08/10(水) 20:48:04.54 ID:???
>>654さん、笑って読めましたのでお気になさらずw
660通常の名無しさんの3倍:2011/08/11(木) 00:13:32.93 ID:???
>>658
聞いてのとおりだから死ね
661通常の名無しさんの3倍:2011/08/11(木) 10:07:52.44 ID:???
シンラクを逆にして漢字で当て字すると楽進…
662通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 02:33:41.61 ID:???
>>660
なんで作者じゃなくてお前が言うんだよwwwwwもしかして>>654かwww
元ネタ作者から許可貰ったから、文句は言うなってかwwww
663通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 13:51:21.40 ID:???
つうか作者氏がほぼ間髪いれずコメントして>>658は全否定されてんじゃん。
馬鹿みたいに草生やして、知性というか親の程度が知れるわ。
664通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 15:51:12.59 ID:???
何その理屈、作者が面白いって言えば読者のつまんないって言う意見は無視されるのか?
貴方の知性こそ程度が知れますよ。

と言うより、以前GSCI氏の三次創作を投下しようとして荒れたことがり、その時作者から
荒れるかもしれないので投下は控えてくださいって言われて、うpロダに上げたんだが、
結局少し荒れることとなった。

そういう事があったのに、住民の意見も作者の意見も聞かずに投下した>>654も悪いでしょ。

665通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 17:30:12.09 ID:???
いいぞいいぞ、この調子で>>654はもちろん513氏も断念に追い込むんだ
666通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 23:32:37.19 ID:???
この流れも「あぁ、夏の風物詩だなぁ」と思えるようになった自分って…
667通常の名無しさんの3倍:2011/08/12(金) 23:53:32.06 ID:???
夏だなあ
668通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 00:54:48.74 ID:???
ルナとシンの中の人がああああああああああああああ!!
669通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:02:43.84 ID:???
ルナ「よっしゃあああああ! ヒロイン論争完!」
670通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:07:18.70 ID:PntskM1O
シンとルナの中の人リアルで結婚age
671通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:08:01.38 ID:???
おい・・・デスティニーのヒロインはルナで決定してしまったのか・・・
672通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:13:27.28 ID:???
>>671
結果的にそうなるのか
673通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:23:37.65 ID:???
でもまぁ、それはそれ、ここはここ、だよな。
674通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:28:18.85 ID:???
            ヾヽ'::::::::::::::::::::::::::'',    / 時 .あ ま ヽ
             ヾゝ:::::::::::::::::::::::::::::{     |  間 .わ だ  |
             ヽ::r----―‐;:::::|    | じ て    |
             ィ:f_、 、_,..,ヽrリ    .|  ゃ る     |
              L|` "'  ' " ´bノ     |  な よ     |
              ',  、,..   ,イ    ヽ い う    /
             _ト, ‐;:-  / トr-、_   \  な   /
       ,  __. ィイ´ |:|: ヽ-- '.: 〃   `i,r-- 、_  ̄ ̄
      〃/ '" !:!  |:| :、 . .: 〃  i // `   ヽヾ
     / /     |:|  ヾ,、`  ´// ヽ !:!     '、`
      !      |:| // ヾ==' '  i  i' |:|        ',
     |   ...://   l      / __ ,   |:|::..       |
  とニとヾ_-‐'  ∨ i l  '     l |< 天  ヾ,-、_: : : .ヽ
 と二ヽ`  ヽ、_::{:! l l         ! |' 夂__ -'_,ド ヽ、_}-、_:ヽ
675通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:32:49.02 ID:???
マユ「私とお兄ちゃんの中の人が結婚しました!」
676通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:52:43.31 ID:???
とりあえずおめ
677通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 01:55:00.19 ID:???
そして早速、福田がツイッターで…
黙ってればいいのに
678通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 02:03:08.51 ID:???
>>671
ガンダムSEED DESTINYのヒロインはルナマリアだが、このスレはガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ だ。
DESTINYじゃない。 ……後は、分かるな?
679通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 05:53:58.38 ID:???
種死の後で少したった位からちらほら噂は有ったよな
空の境界のころには二人で居る所が結構目撃報告されてたし
その辺りで決まったのかね?
何はともあれ、実におめでたい事です
680通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 10:13:07.04 ID:???
お前ら素直に祝ってやれよww
このスレの作品でもルナがヒロインしてる奴あったろ。
681通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 10:43:29.76 ID:???
>>680
そうだよな因果とかでヒロインやってたね
682通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 12:09:03.44 ID:???
なんかほんわかする気持ちになったww
683通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 13:06:48.11 ID:???
うし、今日からこのスレのヒロインでCVついてないキャラはまーや声をイメージするか
684通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 13:23:28.36 ID:???
しかし、声優さんで役柄が恋人同士→そしてそのままゴールインってケースはどれくらいあるんだろ?
685513:2011/08/13(土) 13:34:38.73 ID:???
種死やらホスト部やらで共演してたが、まさか結婚とは。これは、心から祝福したいですわ!

ちょっと一悶着ありましたが、何事も無ければ明日には第三話投下しようと思います
686通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 13:36:21.22 ID:???
ふと脳内に、教会でタキシードとドレスを着て幸せそうな二人と
その直後にドレスを着て鬼気迫る形相で殴りこんでくる女性陣という図が脳内にw

純白のドレスがドス黒い紅に染まる戦が始まろうとしていた……
687通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 14:58:55.60 ID:???
X運命やCross Point、クルーゼ生存、FINAL等このスレ外の完結済長編でも
ラスボスもといゴールインするケースは結構あったが、意外にもルナ主役スレでは
あまり見受けられないというんだから面白いもんだ。

いや待てよこのスレ的には、ヴェールを外してみたら実はルナどころか
マならぬミユでしたなんて急展開の可能性も…?(無論こちらも再開熱望)
688通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 20:46:40.53 ID:???
シンがルナ、マユと重婚したと聞いて
689通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 21:21:45.75 ID:???
>>684
古谷徹の今の嫁さん主役で古谷が相手役ってのはあった。

アニメじゃないが、仮面ライダーXの主役と恋人役の人や
快傑ライオン丸の主役とヒロイン役の人が後に結婚してたりする。
690通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 21:25:01.01 ID:???
>>684
ユウナりんの中の人が主演したアニメで嫁さんがヒロイン役だった。
放映当時結婚してたかは知らないけど。
691通常の名無しさんの3倍:2011/08/13(土) 22:41:44.12 ID:???
>>686
金的のシンによる痛快娯楽復讐劇が始まりそうだなオイ
692513:2011/08/14(日) 22:59:07.22 ID:???
忍法帖が心配だが、23時から第三話投下しますわ〜
693〜シン・アスカは歩いて行く 第三話〜:2011/08/14(日) 23:01:47.09 ID:???
「それじゃあ俺は一仕事してきますんで、ラクスさんはお昼の後片付けお願いします」
「お任せなさい。顔が映るくらいピカピカに磨いてさしあげますわ」
「いや、食器洗い機に入れておくだけでいいですから・・・じゃあ、行ってきますね」
「はい、行ってらっしゃいな、シン」

 昼食後、俺は仕事である廃棄MSの回収をしに、今の愛機であるゲイツへと搭乗して
ローレンツ・クレーター周辺を散策し始めた。
 回収業者“インパルス商会”などと会社名を付けて仕事をしてはいるものの、
自分でジャンクパーツの売買は一切出来ず、回収したスクラップはプラントの専門業者が
週に一度引き取りに来て、その場で査定を行い代金を支払って回収していく。はっきり言って下請けも下請けだ。
 査定額はお世辞にも良いとは言えないが、非合法なジャンク屋ギルドより支払いは確実だし、
何よりも牽引されて来る貨物コンテナで生活雑貨を買えるのは有り難かった。

 ただ、今の仕事に不満がないと言えばウソになる。
 廃棄MSの回収業をやろうと決め、住居諸々も確保出来たとの報告書を出した2日後、
プラントのお偉いさんが色々と回収業をするにあたっての条項やらが書いてあるという規約文を持ってきた。
 分厚い紙媒体で手渡されたが、面倒な部分を端折って要約してみると

“シン・アスカの廃棄MS回収作業区域は、居住区のあるローレンツ・クレーターから100km圏内と限定する。
もし許可なくその区域外へと出た場合には、しかるべき処置を行う”というものだった。

 他のジャンク屋と回収物の取り合いにならない為の区画分けだと書いてあったが、そんなのは俺を隔離する為の方便だ。
 ものは試しと、一度100km圏ギリギリまで近寄ってみたが、5km手前迄行った所でロックオン・アラートが鳴り響き
ゲイツのモニター画面が警告で真っ赤になる程の徹底ぶりだった。
 何度かアスランに掛け合ってはみたものの、俺が逃亡しないか危惧している議員連中を納得させる為の
最低限の処置だから我慢してくれと頭を下げられた。その必要最低限の処置で、このレベルなのだからタチが悪い。
 ふと、ラクスさんも乗せて突破したらどうなるんだろう?なんて考えた事もあったが、
さすがに俺諸共宇宙のチリにしたら色々な方面から祟られそうだったので、綺麗さっぱり忘れる事にした。
694〜シン・アスカは歩いて行く 第三話〜:2011/08/14(日) 23:03:39.60 ID:???
「さて、今日はどんなものが流れているかな・・・っと、早速良いものが」

 本日最初の獲物は、スレイヤーウィップがまだ付いているグフの腕部だった。
 戦争終結からある程度時間が経ったとはいえ、未だ宇宙空間には多くのMSの残骸が漂っている。
 大半が使い物にならないものばかりだが、物資も資源も少ないプラントにとっては残骸でもちゃんとリサイクルすれば
まだまだ使える物が沢山ある宝の山なので、MSの一部や戦艦の部品でも集めれば喜んで回収してくれる。

「腕だけか。折角だから一緒にテンペストでも漂ってないかなぁ。それか、せめて重斬刀・・・」
『それはさすがに無いと思うよ。この宙域のMSが使えるような武装は大体回収されちゃった後だし』

 俺がぶつくさ言いながらグフの腕を回収していると、突然そんな声が聞こえてきた。
 普通なら驚くところなのかもしれないが、俺にとってはもう慣れた事なのでその声が発信された方角へ機体を向ける。

「そうは言っても、いい加減武装無しのままってのは色々と落ち着かないんですよね、キラさん」
『気持ちはわかるけど、シンのMSが武器を持ったなんて知ったら、
きっとあの人たち嬉々として攻撃衛星起動させてシンの事狙い撃つと思うよ。まあ、我慢して』
 
俺の愚痴に対して、物騒ながらも悲しい現実を言葉にしながら目の前に現れたのは、
現在はプラント及び月面宙域の防衛部隊のトップにして三隻同盟のスーパーエース、二度の大戦では戦争終結に尽力し、
その功績から“英雄”と呼ばれているキラ・ヤマトの搭乗するストライクフリーダムだった。
695〜シン・アスカは歩いて行く 第三話〜:2011/08/14(日) 23:07:08.33 ID:???
 キラ・ヤマトを初めて見たのは、終戦後の裁判所の傍聴席だった。
 かたや戦争終結の立役者、かたやデスティニー・プランの急先鋒と、世間での評価は雲泥の差だった。
 俺自身、家族とステラの敵でもあるフリーダムのパイロットがどんな奴なのかというのは興味があったし、
一応アスランから名前は聞いていたので、キラが出てきた時は随分な眼力で睨んでいたようだが、
初めて見たフリーダムのパイロットは、俺の予想に反して随分な優等生キャラだった。
 以前は、無差別に連合・ザフトに攻撃を仕掛け、いたずらに戦場を混乱させるトリガーハッピーな奴が
フリーダムのパイロットだと思っていたので、傍聴席に座る大人しそうな本人を見て拍子抜けしたのは覚えている。

 裁判が終わった後、アスランの仲介で面会する事になったが、ここでもまた拍子抜けしてしまった。
 俺としては、諸々の敵な意味も込めて一発喰らわせてやろうと思っていたら、会って早々に深々と頭を下げられた。
 どうやら、アスランから全てを聞いたようで、自分のやって来た事に関して俺から随分と恨みを買っている事を知ったらしく、
その一つ一つに対しての謝罪を受けた。特に、オノゴロ島での事に関しては土下座して来そうな勢いだった。

 その後、アスランも交えて話をしたのだが、その時の会話から感じたキラ・ヤマトという男は、
馬鹿正直で生真面目で、情に流されやすく自分ひとりで色々と抱え込み過ぎる性質があるどうしようもないお人好しだった。
 ただ、自分はスーパーコーディネーターだからやらないといけないだとか、撃って撃たれるのは嫌だけども仕方がなかった等、
随分とネガった発言が多くかなりイライラした俺は、先ほど我慢していた一発をその左頬に力一杯お見舞いしてやった。
 ところが、当たり所が悪かったのか、立ち上がった本人に両手で握手されてありがとうと言われたのには少し引いた。

 とはいえ、この事があってからキラ・ヤマトは随分と俺に肩入れしてくれるようになり、俺の処遇や
MSの所持についても擁護してくれたようで、ゲイツを購入した時も嬉々として調整を手伝いに押し掛けてきた。
 最初は不気味に思っていたがアスラン曰く、今までは周りから持て囃され過ぎて本人も気付かない所で天狗になっていたのを、
自分の蛮行の直接的な被害者である俺から殴られた事によって、自らを戒めるいい機会になったんじゃないかとの事だった。

 俺としては、まだまだ言ってやりたい事もあるし、もう二、三発お見舞いしてやりたい所ではあったが、
これからは戦争で亡くなった人達の為に一生懸命働くと息巻いている本人を目の前にすると、怒る気も失せてくる。
 一生許すことは出来ないし家族やステラの事を忘れる事はないが、
俺自身これからは前を向いて歩いて行こうと考えていたし、もしまた暴走しそうになったら、
またキツいのをお見舞いしに行ってやればいいだろう。
 とはいえ、週に2〜3回はローレンツ・クレーター上空を俺の監視兼月面の警邏という名目でやって来ては、
のんびりと話をしている本人を見ていると、もう少し真面目に仕事しろとは思うが。
696通常の名無しさんの3倍:2011/08/14(日) 23:07:17.76 ID:???
支援
697〜シン・アスカは歩いて行く 第三話〜:2011/08/14(日) 23:09:22.80 ID:???
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

『よし、今日のチェックは終わったよ。シン、相変わらず丁寧に使ってるね』
「そりゃそうですよ。うちみたいな自転車操業じゃあ、買い換える余裕なんてありませんからね」
 
 ストライクフリーダムから延びる有線を介して俺のゲイツのデータを見終えたキラさんのそんな台詞に、
俺はため息交じりに答えた。何しろ、未だ回収業者としては素人に毛が生えた程度な俺にとって、
何とか自分達の食いぶち分を稼ぐだけでも一杯一杯なのだから。

「まあ、いつもキラさんが色々見てくれるのはありがたいですよ。自分だと、どうしても見落としがちな所が多いですから」
『そう言ってくれると嬉しいね。僕としても、他人の機体を色々見るのはいい気分転換になるし』
「それはいいんですけど、パイロットの俺がアクセス出来ないブラックボックスについて、いい加減説明してくれても・・・」
『別に危険なものじゃないから大丈夫だよ。ただ単に、シンのMSテクニックやら癖やらを記録しているだけだから』
「いや、滅茶苦茶気になりますって。というか、キラさんが接続した時に物凄い音たてて稼働してるんですけど!」
『そりゃあ、こっちの端末に全部データ吸い出しているからね。悪い事には使わないから、安心して』
「余計気になるんですけど・・・。まあ、悪い事にだけは使わないでくださいね」
『了解、了解』

 激しく不安なのは否めないが、俺の腕では突破口さえ見つからないキラ・ヤマト特製のブラックボックスは、
パイロットシートの後ろにどっかりと鎮座している。
 別に害がある訳ではないんだが、設置した当事者のキラさんしかアクセスする事が出来ず、
取り外そうとするとシステム全体が落ちてしまうので、仕方なくそのままにしている。
 本人は、自分の趣味と実益と今後の為のデータ収集の為のものだから気にするなと言うが、
それならば自分のMSか身内の機体にでも取り付ければいいのに・・・人の迷惑考えない所は全くもってフリーダムだ。

『それじゃあ、僕はそろそろ帰るね。シン、お疲れ様』
「お疲れ様です。てか、偶にはうちの監督官様の顔でも見て行ったらどうです?一応、顔なじみなんですから」
『うーん、行ってもいいけど折角の二人の愛の巣に手ぶらでお邪魔するのはちょっとねぇ』
「OK、そこ動くな。その鶏ガラMS共々衛星に突っ込んでやる」
『冗談だよ。それじゃラクスにもよろしくね』 
 そう言って、ストライクフリーダムは飛び去って行った。

「全くあの人は。さてと、俺もそろそろ帰るか」
 気付けば牽引しているコンテナも一杯になり、今日のノルマは十分に達成していた。
 これだけあれば、次の査定で結構な額になるだろう。
「最近は節制してたから貯蓄も少し増えたし、今度の買い物ではちょっと贅沢してもいいかもな」

 そんな事を考えながら、ゲイツを降りて居住スペースの扉を開けた。
「ただいま、ラクスさん」
「シン、お帰りなさい。今日もお仕事お疲れ様ですわ」
「お帰りなさい、か。当たり前の言葉だけど、やっぱり良いものだよな」
「どうかなさいましたか?シン」
「いや、何でもないですよ、何でも」
 
 そうだな、俺が求めていた日常ってのは、こんな何でもない事が当たり前の世界なのかもしれないな。
698〜シン・アスカは歩いて行く 第三話〜:2011/08/14(日) 23:17:55.90 ID:???
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◎ゲイツ・カスタム[シン・アスカ専用機]
※シンが解体業者をする為に購入した前大戦時のザフトの量産型MS。裁判時に課せられた制限により武装は全て外され、
腰部のロケットアンカーもコンテナを牽引する為のロボットアームへと換装されている。
 しかし、購入後のオーバーホール時に、“スーパーコーディネーター”キラ・ヤマトが協力した事により、
OS、駆動系、姿勢制御に至るあらゆる部分に手が加えられ、既存の量産型MSを上回る機動力を有するMSへと変貌した。
 とはいえ、戦闘行為を禁止されているシン・アスカにとっては、操縦しやすい程度で若干宝の持ち腐れ状態ではある。



以上で第三話終了です。高山版のキラさんは人に謝る事が出来る人だよ!って妄想ダダ漏れですが、
お互いぶつかりあった後、はきっと打ち解けられるはずさ。というか、スペエディの負け犬の誓いなんて忘れろ!!
後、シンとキラの会話のシーンをラジ種聞きながら書いていたら、トンデモない事になりそうだった。てか、かなり耳が侵食されたw

次回は、今月末か来月頭までには上げられるよう頑張ります。
それでは、また
699通常の名無しさんの3倍:2011/08/14(日) 23:24:29.57 ID:???

やっぱり高山版だからキラさんもまとも、っていうより天然ボケ気味の技術者っぽい感じなんだな

それよりもゲイツ良いよね。ザフト製量産型(ザク&ドム除く)の造形ってかなりいいもの多いよね
700通常の名無しさんの3倍:2011/08/14(日) 23:47:47.70 ID:???
GJ!キラさんは安心と信頼の高山版補正なだけあって
良好な関係で何より。

ラジ種補正だとド天然キラさん&愚痴スレばりのオカンなシンになってしまうが(笑)
701通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 01:05:17.83 ID:???
ブラックボックスってシン専用機フラグっぽいよな。

この話、アスランもラクスもキラも、全員安心して読んでられるからいいな。
周りはアレだけどw
702通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 04:24:37.18 ID:???
やっぱ自爆装置?
703通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 13:36:56.59 ID:bJNj6MDV
ここのキラさんの事だから嘘は言ってないでしょうね。
>>701さんが言った通り、シン専用機フラグですかね?
そしてその機体で傲慢なクライン派をキラさん達と共にお仕置きするのかな?
704通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 14:35:54.29 ID:???
>>699
ゲイツは格好良いですよね♪
デザイン自体は一般からの募集だったみたいですけど
705通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 16:52:01.14 ID:???
乙っす。
シンが平穏を感じ始めるとそれがいつ壊れるのかと邪推してしまうなぁ…
706通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 18:02:12.40 ID:???
乙!やっぱシンがキラやアスランと仲良いと嬉しいな。

>>705
首領「そうだな。俺みたいに常に戦争の真っ只中にいるべきだ」
707通常の名無しさんの3倍:2011/08/15(月) 21:02:01.75 ID:???
>>706
あんたは戦場が違うじゃないか
708通常の名無しさんの3倍:2011/08/19(金) 18:08:29.05 ID:???
ttp://www31.atwiki.jp/antikira?cmd=upload&act=open&pageid=13&file=ABN4.jpg

これ凄いな始めて見た。対隠者、和田戦でアロンダイトのビームが消えるとか
これTV版かどうか知らないけど、スペエディじゃどうなってんのかな
709通常の名無しさんの3倍:2011/08/19(金) 22:06:46.39 ID:???
スペエディ版だぞそれ
これ以上は議論スレに行け
710通常の名無しさんの3倍:2011/08/20(土) 19:24:05.40 ID:???
>>845
それはFーXに再びラプターを選ぶくらいの暴挙だろww
711通常の名無しさんの3倍:2011/08/20(土) 19:25:38.02 ID:???
>>710
誤爆とか、もう飯食いながら書き込みしない orz
712通常の名無しさんの3倍:2011/08/20(土) 23:17:37.11 ID:???
>711 誤爆乙
そして>845に期待


暴挙についてちょっと考えてみた。

やっぱ砲門は多いほうがいいんじゃね?
→ストフリにプロヴィのドラグーン装備

ドラグーンとVL分けたほうが効率いいって絶対!
→ストフリの羽20枚に

もっと戦艦の防御力上げようぜ!
→アカツキの金ぴか防御 on AA&エターナル

本体よりファトゥムの方が強くね?
→隠者、MA化

こんな感じだろうか?
適当だから気にするな
713通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 12:34:03.41 ID:???
>>712
暴挙というか男の子の浪漫全壊な魔改造って感じだわねw
714通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 14:00:51.55 ID:???
魔改造とはちょっと違うが、一時期のガンダムバリエーションには必ずあったフルアーマー化はどうだろう?
715通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 14:58:15.65 ID:???
俺が考えられる限り最大の暴挙な改造は種のガンダムじゃないが
ゴッドガンダムを砲戦仕様にすることかな。
716XXX[スレ268:2011/08/21(日) 16:33:36.00 ID:???
こんにちは、XXX[スレ268です。
ようやくSOD第5話が出来ましたので投下させて頂きます。
規制に掛からないことを願って……(されたら避難所に投下させて頂きます)
717SOD 第5話:2011/08/21(日) 16:37:08.81 ID:???
「何だって!?」
プラントL4コロニーのオーブ大使館。その局長室にある男の声が響き渡った。
「本当なのか、カガリ!?」
声量はそのままに、一国の主に対する言葉としては些か乱暴な口調で男は言葉を繋げる。そんな男の態度には特に気にすることなく、モニターの向こうに映るカガリは小さく頷いた。
『その様子だと、やっぱりそっちにも何も連絡は無かったんだな』
「…ああ、あいつからは何も聞かされていないよ」
疲れた顔で話すカガリの顔を見た男は、椅子から乗り出していた身を背もたれへと戻しながら応える。
「………」
『………』
「『はぁ……』」
そして2人は、まるで照らし合せたかのように深い溜め息をついた。
「それで、カガリはどうするつもりなんだ?」
『どうするもこうするも、本人の意思を尊重するしかないだろう』
「だがシンは…」
『そうだな。シンはあいつに憧れてるし、今は仕事もそんなに忙しくない。十中八九頷くだろう』
「そうか……全く、何だって急にそんな事を言い出したんだ、あいつは」
『それをお前から尋ねて欲しいから、こうやって連絡したんだよ』
「俺から!?どうして!?」
思いも寄らないカガリの言葉に、再び背もたれから身を起こした男はモニターへと詰め寄る。
「カガリならあいつの姉さんだろ!?自分で聞けばいいだろう!!」
『うるさい!これは命令だ!!頼んだぞ、アレックス』
「おいカガリ?カガリ!?」
この国家元首すごいよ、さすが自由人(フリーダム)のお姉さん。他人の都合なんかお構いなしだ。
一方的に通信を切られ、アレックスと呼ばれた男は頭を抱える。
どうやらあの兄弟に、とんでもない厄介事を押し付けられたようだ。
「……一体何を考えているんだ、キラ」
オーブ大使館プラント支部局長アレックス・ディノことアスラン・ザラは、厄介事の原因を作った張本人である親友の名を恨めしげに呟いた。
キラの作った厄介事。それは「シンをプラントに遊びに来させる」という、一般的に見れば極々ありふれた内容のものである。
確かに、シン本人の意思や予定を聞かず勝手に日程を組んだり、そのくせ身分証明書等の必要書類を寝耳に水状態のカガリ達に任せたり(というか、そういう物の必要性を考えていない)等、本当にスーパーコーディネーターか?
と疑いたくなるほどの破天荒な振る舞いではあるが、費用は全て自分で出すと言っているのだから、一概に悪い行いであるとは言い難い。
寧ろ好意的な行いであると言えるし、キラ本人も完全な善意で行っているのだろう。
だが、
(あいつは分かって無いんだ。これが何を意味するのか)
シンがプラントを訪れる、その行為自体には何ら問題ない。
プラントに来るのがシン・『アスハ』なら……
718SOD 第5話:2011/08/21(日) 16:44:28.02 ID:???
「シン……」
2年前。シンを撃墜した張本人であるアスランは、ある決意に満ちていた。
失ったシンの記憶を取り戻し、今度こそシンを『正しい道』へと導く。
それこそが自分の使命だと、肉体的にも精神的にもシンを追い込んでしまった自分のせめてもの罪滅ぼしだと考えていたのだ。
しかし、その想いは僅か半年で呆気なく瓦解する事となる。
始まりはカガリから聞かされた、元オーブ軍の兵士が目撃したという1つの情報だった。
その情報をデタラメ、あるいは勘違いだと決め付けた当時のアスランは、その元軍人の男性の下へと赴き、直接真相を確かめようとした。
だがその行為はアスランに、自分の考えこそが間違いであると気付かされる結果になる。
オーブ攻防戦当時、民間人の避難誘導の指揮に就いていたという元軍人の男性が、間違いないと断言したのだ。

シン・アスカの家族を吹き飛ばしたのは上空から放たれた『七色の光の奔流』の一筋であった、と

七色の光の奔流……それはMSから放たれた攻撃、それも唯のビームライフルでは無く、複数の砲門からの一斉射撃(フルバースト)であった事を意味する。
オーブ攻防戦に参加したオーブ軍、地球連合軍両陣営の中に、そんな真似が出来るMSは2機しか存在しない。
1機目はムルタ・アズラエルによって始めて戦闘に導入された強化人間、ブースデットマンの1人が搭乗していたGAT-X131カラミティ。
確かにバスターの後継機として砲撃戦を前提に開発されたこの機体は、オーブ軍に対して多大な被害をもたらしている。しかし、この機体を殺した犯人にするには些か無理があるだろう。
何故ならそもそもカラミティには飛行能力が無く、『民間人の虐殺』ではなく『敵対戦力の殲滅』を最優先に設定されたブースデットマンが、MSの居ない地表にむけて引き金を引く可能性は極めて低い。
ましてや、オーブ攻防戦当時彼らブースデットマン達の視線は、飛行能力を持ちフルバースト攻撃も可能な『もう1機のMS』に釘付けになっていた筈だ。
ZGMF-X10Aフリーダム
ニュートロンジャマーキャンセラーを搭載し、火力・機動力共に後に開発されたセカンドシリーズをも凌駕したキラ・ヤマトの愛機。
それは、アスランに1つの答えを与えてしまった。
消去法というあまりにも正確で、あまりにも真っ当な方法で導き出された1つの真実。
「キラが…シンの家族を殺した」
無論キラがわざとシンの家族を狙った訳では無いし、戦争という極限状態で起こった不幸な事故だったと言ってしまえばそれまでだ。
だが、民間人の非難が完了していないのが明白だった地表に向けて、広範囲に被害が及ぶフルバーストを使うほどキラは追い詰められていただろうか?
719SOD 第5話:2011/08/21(日) 16:49:39.32 ID:???
否、キラにはまだ余裕があった。始めからコックピットを狙って戦っていれば、呆気なく勝負はついた筈なのだ。
敵パイロットを殺さず、武装やメインカメラのみを破壊し戦闘不能にする不殺の戦い。
それを可能にするため、武装とメインカメラの両方を同時に破壊する事が出来るハイマットフルバーストをキラが好んで使用していた事を、敵と味方両陣営で戦っていたアスランはよく理解していた。
……もっともどの様な経緯でそのような考えに行き着いたのかまでは詳しく知らない。
分かっているのは、キラが倒すべき敵を殺さない為に守るべき者を殺した、という真実だけである。

その真実を知ったアスランは、次第にシンとの距離を置き始めた。
仕事の合間を見つけてはシンに会いに行っていた習慣をパッタリと止め、まるで逃げ出すようにプラントのオーブ大使館での勤務をカガリに申請したのだ。
それは何故か?怖かったからだ。

記憶を無くす以前、フリーダムを倒すためにシミュレーションを行うシンに向かって言い放った言葉。
『キラは敵じゃない』
シンとキラを戦わせたくない一心の言葉ではあったが、同時にアスランにとって本心の言葉でもあった。
キラは敵じゃない、アークエンジェルとは戦いたくない、というあくまでアスランの主観である。
シンがその事を知っていたのかどうかは別としても、キラはシンにとって紛うこと無き敵(てき)であり、家族を殺した敵(かたき)だったのだ。
故に恐れた。
記憶を取り戻したシンが、キラを、カガリを、そして自分に『正当』な憎しみをぶつけて来るのを恐れ、逃げ出したのだ。
(何が、シンを正しい道に導くだ)
インフィニットジャスティス…飽くなき正義。
ふと嘗ての愛機の名を思い出したアスランは苦笑する。自分が正しい行いをしたことなど一度でもあっただろうか。
父を裏切った。祖国を裏切った。親友を、同僚を、愛した…愛された女性さえも裏切り続けてきた。
そんな男が、手の掛かる弟の様に思っていた後輩に向けて正義を説いた。
『過去に捕らわれて戦うな、そんな事をしても何も戻りはしない』と。
720SOD 第5話:2011/08/21(日) 16:54:24.26 ID:???
なんと滑稽な言葉だろうか。
過去と見詰め合い贖罪すべき罪を持つはずの己は耳を塞ぎ、大切な人々を理不尽に奪われた者に無条件の忘却を強要する、極めて理不尽な正義の言葉。
挙句の果てに、『お前の力は未来をも壊す』と言い放ち、身勝手な『自由』と『正義』を押し付ける為に、シンの『過去』を奪い取った。
そして今も尚、自分は過去の過ちを恐れ逃げ出している。
愚か、余りにも愚かしい己の行動にアスランは自虐的な笑みを浮かべる。
これがアスラン・ザラなのだ。
過去の過ちを真正面から受け止め、それでも尚前へと進む道を選んだカガリ。己の心を押し殺したまま、シンを隣で支え続ける道を選んだルナマリア。
未だキラに真実を伝える勇気すらない自分には、どちらの道も選ぶ事はできなかった。
(もし……)
それは最も恐れる未来。
(もしシンが……)
そして何時か必ず訪れるであろう未来。
もしシンが記憶を取り戻したら、彼は一体どうするのだろう。
シン・アスハとしての記憶(いま)を受け入れ、新しい人生を歩むか。それとも、偽りの記憶を受け付けた自分達を断罪するだろうか。
「……どちらにしても同じだ」
アスラン・ザラという存在はシンにとって悪影響しか与えなかった。そしてそれはこれからも同じだろう。
ならば、例えシンが自分を許そうとも憎もうとも、記憶を取り戻した時点で自分は2度とシンの前には姿を現さない……そうアスランは心に決めていた。
(だが、これも逃げているだけ……か)
結局自分は、嫌なことから目を背けたいだけなのかも知れない。
天井を見上げ、自嘲しながら溜め息をつくアスラン。
とりあえず、
「キラに連絡……だな」
今一番逃げ出したいのはこれかも知れない、と頭の片隅で考えながらアスランは、平日の昼間にかけても9割は繋がるキラのプライベート通信回線を繋ぐ準備に取り掛かった。
721通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 16:54:25.15 ID:???
規制喰らった?
722SOD 第5話:2011/08/21(日) 16:57:39.13 ID:???
カガリがキラからのメールを受け取ってから僅か1週間後。
シン、カガリ、そしてルナマリアの3名はオーブ・カグヤ島のマスドライバー施設の1つ、輸送艦用艦橋ブロック内部に居た。
彼らの目の前には、発信準備を進める1隻の輸送艦の姿がある。
「そろそろ時間だな」
「準備は出来てる?シン」
「はい!」
カガリとルナマリアの言葉に大きく頷いたシンは、何処か山にでも登るのか?と思わせるほど大きなリュックを背中に背負っていた。
「ってシン、アンタその荷物一体何が入ってるのよ?」
「えっ?」
そのあまりの荷物の多さに眉を顰めながら尋ねるルナマリアに、シンは首を傾げる。
そして指で数えながら、リュックの中身を確認し始めた。
「着替えと、非常食と、飲料水と、応急手当セットと、磁石と、懐中電灯と、ねぶk」
「あぁ〜もういい、もういいから全部置いて行きなさい、それ」
「えぇっ!?」
片手で頭を抑え、もう片方の手の平をヒラヒラとさせたルナマリアの言葉に驚きの声を上げるシン。
「ルナ、何で?」
「何で?じゃないわよ!いったい貴方は何処の秘境に旅立つつもりなの!」
「で、でも始めてプラントに行くんだよ?し、心配で」
「要らないわよそんな心配!!まったく…てっきりカメラとかマンガとかでも持って来てるのかと思えば…」
「まぁまぁ」
まるで夫婦漫才のようなやり取りを行う2人に、やんわりと助け舟を出すカガリ。
「シンにとっては始めての宇宙旅行なんだ。心配になってもしかたないさ」
「でもですねぇ!」
「それに今回は普通にプラントに行くんじゃなくて、アメノミハシラを経由する事になる。準備が良いのに越したことはない」
「そ、そうですか?」
「ああ」
自分がキサカと始めて宇宙に出た時は、この程度じゃなかったしな…と心の中で付け加えたカガリはシンの方に向き直る。
723SOD 第5話:2011/08/21(日) 17:03:24.27 ID:???
「急な話で悪かったな、シン。私の弟は気まぐれだから」
「い、いえ、そんな事ないです!あのキラさんに誘って貰えるなんて、光栄です」
「そうか、それなら良かった」
カガリから話を聞いたシンの返答は、概ね彼女達が考えた通りの物だった。
相違点を挙げるとすれば、せいぜいカガリにキラからの誘いの話を聞いた瞬間本当に嬉しそうな笑顔を浮かべたものの直ぐに表情を曇らせながら『でも、仕事がありますから…』と沈んだ声で呟くシンの姿を見たカガリがつい
『仕事の事は気にするな、目一杯楽しんで来い!』と言ってしまった位で、想定外の事などあるわけが無い。無いったら無い。
「アスラン、泣いてたってメイリンが言ってましたよ?」
「……何の事だ?」
因みにカガリがシンにプラント行きを進めた直後、キラにシンをプラントに誘った理由を聞き出すよう指示した結果、
30秒にも及ぶ激闘の末『なんとなく』というとても有意義な答えが返って来たとの報告をしたプラント大使館アレックス館長の給与明細に激震が走ったらしいが、まぁそれはどうでも良いことだ。

兎にも角にもシンのプラント行きが急遽決定したのだが、事態はそう簡単ではない。
言うまでも無いことだが、シン・アスハとはカガリが個人的に与えた姓であり、ごく一部を除いたシンの知人達は彼の事をシン・アズサと呼ぶ。そして当然ながらこのアズサという姓も偽名で、シンの持つオーブ市民ナンバーは偽造された物だ。
まぁ偽造と言っても首長自らが指示して作らせたものなのだから本物と何ら変わり無く、オーブ国内で暮す分には何一つ不自由はしない。しかし、この偽名で正規のルートを使ってシンをプラントへと向かわせるには、彼の名前はあまりにも有名過ぎた。
2度のネビュラ勲章授与、FAITH就任、デスティニープランを象徴するMSデスティニーのパイロットに任命されたフリーダム堕としのシン・アスカ。
ラクスとキラはオーブに身を寄せるシンを守る為に、またプラント政府上層部はラクス政権の象徴である英雄キラの名を汚さぬ様にシン・アスカに関する情報を完全に抹消した為、民間人でシンの事を知る者は少ない。
しかしラクス政権の露骨過ぎる情報隠蔽工作は、返ってザフト軍における彼の存在を不動の物とする結果になってしまった。
無敵のキラを超える存在。力を持つ者は英雄と呼ばれ、より強大な力を持つ者は化け物となる。
元デュランダル派の兵士には敬意、クライン派の兵士には畏怖の感情と共に、現在のザフト軍において、嘗て存在したシン・アスカという化け物の名前と顔を知らない兵士は居ないと言って良いだろう。
そんな中、テロ行為警戒の為にザフト軍兵士が多く常勤しているであろう空港に『シン・アズサ』と疑って下さいと言わんばかりの名前の彼が降り立ったらどうなるか、想像に難しくない。
724SOD 第5話:2011/08/21(日) 17:11:42.89 ID:???
だからと言って新たに身分証を偽造できるほど時間が残っている訳ではなく、どうするか悩んだカガリの苦肉の策がロンド・ミナ・サハクを頼る事だった。
一度シンをアメノミハシラに向かわせた後、そこからミナが独自に持つプラントへの入国経路を経由し、キラのもとへと向かわせようと言うのだ。
プラント内に入ってしまえば余程の事が無い限りキラとアスランに対処させられるし、帰って来る頃までにはプラント用の偽造身分証も用意できる。
何より幸いと言うか、丁度良い具合にアメノミハシラ経由で秘密裏にプラントへ輸送を頼むつもりだった荷物があった為一石二鳥だった。

ちなみに、その荷物とは何かと言うと
「え〜い離せ、HA・NA・SE!!邪魔をするなイスラエル!!」
「ルしか合ってませんよ!いい加減諦めましょうよDr!」
シン達が居る輸送艦の乗り込み口の数十メートル後方、彼らからは丁度死角になった場所で赤毛の少女を長身の男が羽交い絞めにしてい「誤解を招く言い方をするな!!」もとい、輸送艦に向かって突貫しようとするDr・Kをサイが身体を張って押さえ込んでいた。
Drの視線の先では作業員達が青いシートを被された巨大コンテナを輸送艦へと運び入れており、そのシートの隙間からはMSの足部と思われる灰色の装甲が姿を覗かしている。
そう、輸送艦の荷物とはカガリがプラントへの贄としたDr・Kのオモチャこと、試作型(プロトタイプ)スサノヲ改(カスタム)・フォーチュンであった。
「ヤダヤダヤダ!アタシのフォーチュン持って行っちゃヤダー!!」
「アンタそんなキャラじゃ無いだろうが!!自分の歳考えて物言え、この合法ロr」
「黙れアズ○エル!!」
「……うん、ごめんなさい。もうイスラエルで良いんで、その名前と間違えるのだけは勘弁して下さい……」
Drの口撃により精神に多大なダメージを負いながらもDrを抑えるのは止めなかったサイと、『視界の端に何が映っても、詰込み作業を最優先に遂行せよ』とカガリから直々に指令を受けた作業員達の功績により、輸送艦の発進準備は滞り無く進み、
「いってらっしゃーい!!」
「…………」
1時間後、艦橋ブロックには既に飛び立った輸送艦に向けて大きく手を振るルナマリアと、大きく項垂れるDr・Kの姿があった。
「……良かったのか?」
輸送艦の姿が見えなくなった頃、ようやく手を振るのを止めたルナマリア。それを待っていたかの様にカガリは口を開く。
725SOD 第5話:2011/08/21(日) 17:16:35.25 ID:???
「何がですか?」
「いや、ルナマリアならシンがプラントに行くのに反対すると思ってたから」
2年前、カガリ達からシンの処遇を託されたルナマリアは、彼に偽りの過去を与え、自然に記憶が戻る事を待つ道を選択した。
その彼女ならシンの記憶に何か影響が及ぶかも知れない今回の旅行に反対するか、反対しないまでも「自分がシンに同行する」ぐらいは言い出すとカガリは考えていた。
しかし現実には「良いじゃない、せっかくの機会だし行ってきなさいよ」と、思いの他あっさりシンのプラント行きに賛成した為、カガリは首を傾げたのだ。
「……そうですね」
カガリの意図を察したのか、ルナマリアはゆっくりと頷く。しかし彼女の視線は既に見えなくなった輸送船が飛んでいった上空から離れなかった。
「本当は止めたかったんだと思います」
「じゃあ、どうして?」
「……私、2年前に決めた事があるんです」
「決めた事?」
「はい」
首を傾げるカガリへと向き直ったルナマリアは口元に笑みを浮かべる。だがその笑みは、決して嬉しさや楽しさからくる物ではなかった。
その顔にカガリは見覚えがあった。

シンがシン・アズサとしてカガリの屋敷に住むようになってから半年ほど経った頃。シンと同じく、カガリの屋敷に厄介になっていたルナマリアと2人きりで飲む機会があった。
国家元首としてそういった席にもそれなりに参加してきたカガリと違い、あまりアルコールが得意ではなかったらしいルナマリアはワインを数杯飲んだだけで直ぐに酔いが回ったらしく、アカデミー時代のシンや彼のルームメイトだったという
レイ・ザ・バレルとの間にあった失敗談などを、呂律の回らぬ口調で喋り始めた。
最初は一緒になって笑いながら彼女達のエピソードを聞いていたカガリだが、その話が佳境に入った頃、ピッタリとルナマリアの笑い声が止まる。
不審に思ったカガリが手元のグラスからルナマリアへと視線を移すと、そこにはアルコールに顔を真っ赤にしながらも、悲痛な面持ちで虚空を見つめるルナマリアの姿があった。
『わたし〜、シンのことうらぎっちゃったんですよね〜』
口元は確かに微笑んでいるものの、彼女の瞳には何も映っていない。
ただ見た目だけを見繕った虚空の笑みを浮かべたルナマリアは空になったグラスを横にやり、新たなグラスへと手を伸ばす。
『……飲みすぎじゃないのか?』
『わたしをまもるっていってくれたのに〜、さいごのさいごでシンをうらぎっちゃったんですよ〜』
カガリの忠告を無視し、ルナマリアは続ける。
726SOD 第5話:2011/08/21(日) 17:19:37.53 ID:???
『シンとアスランのあいだにはいって〜シンのじゃましちゃって〜』
『……ルナマリアは、2人の戦いを止めたかったからだろう?』
『そうですけど、ちょっとちがったのかな〜って』
『違った?』
首を傾げるカガリに、ルナマリアはグラスに並々と注がれたワインを一気に煽ると、ニヘラ〜と笑みを浮かべる。
一見無邪気に思える、本来なら同姓から見ても堪らなく魅力的であろう彼女の笑みが、カガリには何故か酷く悲しく感じた。
『だってわたし、シンじゃなくてアスランのたてになっちゃったんですよ?ふたりをとめなきゃっておもったのはホントですけど、それならもっとほかにやりかたがあったとおもうんですよ〜』
『それは……』
どうだろうか?とカガリは考える。
確かに結果だけを見れば、ルナマリアがアスランを庇ったように思えるかも知れない。しかし、ルナマリアが2人の間に割って入った理由は、2人の戦いを止めたい一心からの行動である。
通常何かをしようとしている人間を止めようとした時、人間はまず『言葉による静止』を投掛け、それが無意味なら『その人間の前』に立ちはだかる事で行動による説得を試みる物だ。
ならばこの場合、ルナマリアが真に案じていたのはアスランではなくシンという事になり、戦闘中という極限状態では言葉による説得も他の方法を考えている余裕もなかったはずで、ルナマリアを責める要因は見つからない。
『…………』
『だからなんですかね〜……きっと、ばちがあたっちゃったんですね〜……』
しかしこれは、カガリの視点から見た意見である。
答えを決めるのはあくまで当人であり、第三者がしたり顔で話して良い内容ではない。
『シン……わたしのこと………「どちらさまですか」…って………』
『…………』
少なくとも、口元に笑みを浮かべ…両頬に大粒の涙を流しながら独白するルナマリアの前でそんな事が言えるほど、カガリは厚顔では無かった。
カガリが無言のままルナマリアを自らの胸へと抱きよせると、ルナマリアはカガリの胸に顔を埋め静かに涙を流す。
それが、カガリが見たルナマリアの最初で最後の涙であった。

「私、決めたんです。もう2度とシンの道を阻む様な真似はしないって……」
「…………」
「……だから、私はシンを止めません。横で支える事はあっても、シンの前に立ち塞がる様な真似は絶対にしません」
「……そうか」
あの夜、ルナマリアが始めて自分の弱さを見せた夜と顔でそう断言されてしまっては、カガリにはもう何も言う事はできない。
多分、シンが記憶を無くした事で一番悩み、苦しみ、傷ついて来たのは、彼女なのだから。
727通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 17:30:16.81 ID:???
支援?
728通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 17:35:28.88 ID:???
避難所に続きが来てたので代理投下します
729SOD 第5話(代理):2011/08/21(日) 17:36:38.86 ID:???
Nightmare Select


シンが病院で目を覚ましてから丁度3ヶ月。
彼はルナマリアに連れられてオノゴロ島海岸沿い、戦争の犠牲となった人々の為の慰霊碑がある場所に訪れていた。
「ほら、シン」
「あっ、はい」
ルナマリアに促されたシンは手に持った花束を献花し黙祷を捧げる。
この日シンはルナマリア達の計らいでシンの記憶が戻るきっかけになる様にと、まだあまりオーブの事を知らないルナマリア達の観光も兼ねたオノゴロ島巡りを行っていた。
メンバーはシンとルナマリア、メイリンそしてアスランの4人。オノゴロ島の様々な場所を巡り、最後にと訪れたのがこの慰霊碑だったのだが、
「…………」
数秒の間の後、「どう?」と尋ねるルナマリアに対し、シンは無言のまま首を横に振った。
此処には自分の知る者も眠っているかもしれない、にも関らずシンの心には何の感傷も湧いては来ない。
どうやらこの慰霊碑も今日一日見て回った場所と同じく、記憶を取り戻す鍵にはならなかった様だ。
「そっかぁ、まぁ仕方ないわよね」
「……ごめんなさい」
「ちょっと!別に私に謝る事じゃ無いでしょ!?」
「そ、そうだけど」
ルナマリアに睨まれ、言葉が尻すぼみになって行くシン。
彼にとっては正直、記憶が戻らなかった事自体にそこまで大きなショックはない。それより、わざわざ自分の為に1日付き合ってくれたルナマリア達に対する申し訳なさの方が遥かに大きかったりするのだが、
それを口にした瞬間ルナマリア必殺・CHC(Cross Hawk Chop)が飛んでくる事を身を持って知っているシンは心の中に留め、話題の変換を試みる。
「そ、そう言えば、アスランさんとメイリンさんは何処に行ったんでしょう?」
「さぁ?何か用事ができたって言ってたけ…ど……」
「………?」
上手く話題を逸らせたのは良いが、不自然に言葉が止まったルナマリアに首を傾げるシン。
数拍の後、ルナマリアの視線が自身の後方に固定されている事に気付いたシンはゆっくりと振り返る。
730SOD 第5話(代理):2011/08/21(日) 17:37:25.98 ID:???
「あれ……?」
するとそこには、此方に向かって歩いてくるアスランとメイリン、そして見覚えの無い男性の姿があった。
自分より僅かに年上だろうか?アスランと同じほどの年齢に見える茶髪の男性は、初対面だというのに随分人懐っこい笑みを浮かべながら、アスランと共に真っ直ぐ此方に向かってくる。
(そうか、初対面じゃないかも知れないのか…)
見覚えが無いのは自分だけで、彼もルナマリア達と同じ「見知らぬ知人」なのかもしれない。
「……ふーん」
シンがそんな事を考えている内にアスラン達は慰霊碑までたどり着く。そして最初に口を開いたのはルナマリアだった。
「人の妹連れ出していったい何処に行ったのかと思えば、わざわざご友人のお迎えに向かってたんですか」
「そう邪険にしないでくれルナマリア。こいつがどうしてもって聞かなくてな」
「メイリンを連れてく必要性はありませんけどね」
「うぐっ」
「お、お姉ちゃん」
「……?」
あからさまにそっぽを向きながら、不機嫌そうな声でアスランを弄るルナマリア。
その今まで見たことの無い彼女の態度にシンは首を傾げながら、アスランの連れてきた『ご友人』に視線を向ける。
すると、彼はそれを待っていたかの様に口を開いた。
「君がシン・アスハ君?」
「えっ!?あ、はい……」
アズサでは無く、まだルナマリアにしか話したことの無い「アスハ」の姓で話しかけられたシンは、驚きながらも素直に頷き、おずおずと尋ねる。
「あ、あの……貴方は?」
「君の義兄さん、かな」
「ええっ!?」
知り合いにしてもせいぜい友人止まりだろうと考えていたシンは、予想の斜め上を行く青年の応えに盛大に仰け反りながら驚く。
(お、お兄さん?…えっでも……ええっ!?)
自分の兄だと言うのなら何故名前を尋ねたのか…何故今まで姿を見せなかったのか…そもそも自分は施設の出で肉親は居なかったはずでは…と言うか全然似てないし、もしかして義理の……
「おい」
どうやら記憶が有る無しに関らず思い込みが激しい性格らしい。思考の袋小路に迷い込んだシンを見かねたアスランが青年を窘める。
「?は言ってないつもりだけど」
「それ以前の問題だ、まったく」
「あ、あの……?」
「ああ、すまなかったなシン。紹介するよ、彼が―――
731SOD 第5話(代理):2011/08/21(日) 17:38:05.66 ID:???
―――んっ……?」
目が覚めると、見覚えの無い光景が飛び込んできた。
薄暗く、オーブの病室や自宅代わりに使わせて貰っているアスハ邸の部屋とは比べ物にならない程素っ気無い内装の一室。
知らない天井を見るのは初めてでは無いが、どう好意的に受け取っても気持ちの良い物ではない。
「……ああ、そうか」
寝ぼけ眼のまま、辺りを見回していたシンだったが、部屋の壁に1つだけ設置されている随分と小さな窓の外の景色を見た瞬間、合点がいった様に小さく呟いた。
窓の外に広がるのは漆黒の闇の中に無数の星々が輝く世界。
彼が目覚めたのは、アメノミハシラへと向かう輸送艦の一室だった。
(まだアメノミハシラには着かない…か)
オーブを出発して何時間経ったのだろうか。最初は窓の外に広がる広大な宇宙の光景に感嘆の声を上げながら眺めていた。
しかし、わざわざ窓の有る部屋に案内してくれた館長には悪いが、さすがに何時間も眺めていては飽きても来る。出発が夕方近くだった事もあり軽く仮眠を摂る事にしたのだが、まだアメノミハシラには到着しないらしい。
(どの位寝ていたんだろう?)
それと、何か夢を見ていたような気がする。
寝汗はかいていない為何時も見る悪夢では無いとは思うが、身体が酷く重い気がする。
もっとも、そもそも悪夢の内容も覚えていない為何とも言えないのだが……確か、
「んっ?」
ふと、窓の外を眺めながら夢の内容を思い出そうとしていたシンは、外の光景にある違和感を感じ窓へと近づく。
「……何だ?」
輝く星々の中の1箇所、通常なら見落としてしまいそうな小さな輝き達が『点滅』したのだ。
「…………」
そのままシンは、光が点滅した地点を瞬きもせず見つめ続ける。すると、僅かだが『先程より近い位置』で光が点滅するのを確認した。
「まさか……」
その光景を見た瞬間、シンの頭にある考えが過ぎった。

何故かは分からない、だが確信がある。
『あれ』が何なのか自分には分かる。
『あの存在』を自分は知っている。
あれは、

「モビル…スーツ」
ズキリ、と頭の奥で何かが軋む音をシンは感じた。
732SOD 第5話(代理):2011/08/21(日) 17:38:44.87 ID:???
以上です。
正直なところ続きが何時になるのか完全に未定ですが、何とか完成させたいと思います。
しかしモチベーションは↓のせいで最低ライン……
近状報告
部屋に飾ってあったMGデスティニー(エクストリームブラストモード)が、家の可愛い魔女(黒猫・♀)のイタズラでマミりました……
これはアレですかね、『BD(バンダイ)「僕と契約して、PGダブルオーライザーを完成させてよ」』という事ですかね。
モウ,ナニモコワクナイ……\(^o^)/


後、唐突な質問なのですが、ベルリンでフリーダムに撃墜されたデストロイのパイロットが、シンが殺される覚悟で連れ出したエクステンデッドの少女(ステラ)だと知ったミネルバクルーって居たんでしょうかね?
(少なくともオペレーターのメイリンは知った筈ですが)
その後のアスランの「キラは敵じゃない」発言って、どう考えてもその事実を知らない人間の台詞だよなー(知っていたら火に油を注ぐ結果になるのが分かりきってる)と思いまして……
733通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 18:53:59.08 ID:???
乙、待ってた!
734通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 22:50:41.39 ID:???
>>732
投下乙です。これからシン・アスハがどうやってシン・アスカに戻っていくか楽しみですわ
735通常の名無しさんの3倍:2011/08/21(日) 23:28:39.89 ID:???
>>732乙でした!
身体が宙に浮いた状態で足をバタバタさせてるDrを想像して萌えたwww

それに引き換えアスランェ…アンタって人は……
736通常の名無しさんの3倍:2011/08/22(月) 02:06:31.38 ID:???
同じくサイが色々アレな女上司に苦労している(…のか?もげろという気も)
19氏の特別捜査官凸閣下に比べれば、逃げ出すほどのうしろめたさを
自覚しているだけまだまだマシなんじゃなかろか。>268氏のアスラン
737通常の名無しさんの3倍:2011/08/22(月) 17:08:54.50 ID:???
???「それで、私の名前と間違えられるのをそこまで嫌がる理由、教えて頂けますね?」
738通常の名無しさんの3倍:2011/08/22(月) 22:02:49.23 ID:???
>>737
1.死の天使なんて呼び名は嫌! 2.あんなライオン嫌いのキ○ガイ親父と一緒にされてたまるか! 
3.略してアズにゃんとか呼ばれそうじゃないか! 俺は男だよ! 4.かませの二代目バットマンと同じなんて冗談じゃない!
……どれにしても、お嬢様にあずにゃんは似合わn
739通常の名無しさんの3倍:2011/08/23(火) 18:36:41.26 ID:???
某スパロボじゃヒ1ロもプリ●ンターの告死天使なんてオリジナル二つ名付けられちゃってたがな
まぁ彼が殺すって言った人は原作において基本的に死なないんだが
740通常の名無しさんの3倍:2011/08/23(火) 18:46:21.23 ID:???
告死天使…ガンダムだとウッソだな(敵もそうだが、味方のMS乗りも殆ど死んだし)
全てのロボットアニメのキャラでだと問答無用でキリコだがw
741通常の名無しさんの3倍:2011/08/23(火) 21:25:00.11 ID:???
シュラク隊は攻めの事ばっかり考えて守りの事を全然考えてない 
要するにヘタクソの集まり あんなやり方じゃ何人いても足りない
地味過ぎるけど、負けない戦いが得意なエル=ビアンノみたいなキャラって実は希少だよな
742通常の名無しさんの3倍:2011/08/23(火) 22:53:38.75 ID:???
>>741
そりゃシュラク隊って、実際は素人揃いの民兵組織のなかで比較的MSに乗れる奴の集まりってだけだからな
ZZ後半のエルのが遥かに実戦経験は上だろう
743通常の名無しさんの3倍:2011/08/26(金) 14:32:03.78 ID:???
そういえば今更と言えば今更なのですが
アークエンジェルとかミネルバってどうやって浮いてるんでしょうかね
この世界にミノフスキークラフトのような浮遊システムって無いはずですし。

MSはジェットだかなんだかの噴射で無理矢理浮かんでると聞いた事がありますが
744通常の名無しさんの3倍:2011/08/26(金) 15:00:41.32 ID:???
745通常の名無しさんの3倍:2011/08/26(金) 19:01:20.45 ID:???
フサイスキークラアッーフトで現実からの反作用で浮いてんじゃね?
746通常の名無しさんの3倍:2011/08/27(土) 22:17:26.76 ID:???
普通に主役級キャラ同士の対立が見たい
747513:2011/08/29(月) 23:27:09.89 ID:???
第4話、明日の夜にでも投下出来そうです〜

>>746
うちのシンとキラだと、全体的に仲良いので対立したとしても殴り合い程度で済むと思います。
戦闘シーンも、まだ先になると思いますのでご容赦を。
748通常の名無しさんの3倍:2011/08/30(火) 00:10:57.26 ID:???
楽しみにしてます。
手始めに今夜寝る時から明日日中一日の仕事もふるちんで(ry
749513:2011/08/30(火) 21:40:44.33 ID:???
ヒャッハー、45分から投下開始致します〜
750〜シン・アスカは歩いて行く 第四話〜:2011/08/30(火) 21:45:52.63 ID:???
「おはようキラ君。今日はまた、随分と早いんだね」
「おはようございますバルトフェルドさん」

 プラントの首都、アプリリウスのあるコロニー内にある小さなシャトル格納庫にやって来た
エターナルの艦長アンドリュー・バルトフェルドは、画面に向かって作業を続けているキラ・ヤマトに声をかけた。
 元々は要人専用のシャトルを格納していた場所だったらしいのだが、特に使いようもなく放置されていたのを
新技術開発室にするという名目でキラが譲り受けた。しかし、今はどこかしこから集めてきたガラクタで溢れ返っている。

「相変わらず凄い量だなこりゃ。いつかガラクタの波で生き埋めになったりする前に整理する事を勧めるよ」
「そうですね、暇な時にでもアスランを引っ張って来て片付けて貰います。
それでバルトフェルドさん。今日来られた用事は何ですか?」
「まあ、その辺りはザラ議員のスケジュール次第だが・・・余り迷惑を掛け過ぎないようにな。
と、僕の用事は君が頼んでいた品物がオーブから届いたんで、そいつを渡しにね」

 現プラント議会の重要人物に雑用を押し付けようと画策しているスーパーコーディネーターに呆れながら、
バルトフェルドは、以前キラがオーブのモルゲンレーテに頼んでいたという何かのパーツを渡した。

「ありがとうございます。それにしても、思っていたより早かったですね。
地球からの定期便の周期を考えると、もう少し掛かると思っていたのに」
「まあ、そいつは昨日来たオーブの特使が乗っていた専用シャトルに一緒に積まれていたようでねぇ。
アスハ代表の関係者で、オーブにも接点が多い君の注文だから急いで持ってきたなん言っていたが、
君に直接手渡しして何かしらの繋がりを持ちたいという魂胆見え見えだったんで、丁重にお断りして僕が預かって来たよ」
「そうだったんですか。いつも迷惑ばかりかけてしまってすみません」
「なに、今や君は地球圏でもプラント圏でも知らぬ者が居ないほどの有名人だ。
その君とお近付きになりたい人間なんてごまんと居るよ。いい人悪い人問わずにね」

 そう言ったバルトフェルドもキラも、お互いに苦笑するしかなかった。
 ラクスの下で戦争を終結に尽力した最高のパイロットとキラを賞賛し近付いていくる人間は多いが、
そのほとんどは、キラのスーパーコーディネーターとしての能力から生み出される技術を狙う連中ばかりだった。

「ま、これからもああいった連中は後を絶たないだろうけど、そこは僕らが何とかするよ」
「本当にありがとうございます。お陰で、こっちの作業に集中できます」

 そのキラの視線の先には、今度シンへと渡す予定の小型艇が鎮座していた。
 現在、MSでクレーターから出られず普段の買い物は貨物コンテナでしか出来ずに不便をしているシンの為に、
攻撃衛星の対象にならない小型艇をプレゼントしようという案が持ち上がり、その調整をキラが買って出たのだ。
751〜シン・アスカは歩いて行く 第四話〜:2011/08/30(火) 21:47:31.13 ID:???
「それにしても、シャトルにしては随分と“小さいねぇ”。何か複座も取ってつけたような感じだし」
「“元々は一人乗りの物”を、強引に複座にした感じですからね。多少乗り心地は悪いかも知れませんけど、
性能は良いですよ。シンなら月面から一番近いコロニーまで1時間程度で着けると思いますよ」

 含みを持たせたバルトフェルドの言葉に、キラも含みを持たせた言葉で返す。
 何せ、この機体を自分が改良しシンの買い物用シャトルにすると言った時は反対する意見も多かったのだが、
貨物コンテナでの買い物だけでは人間二人が生活するには限界があるし、ラクスの私生活にも関わる大切な事だと
かなり強引に話を推し進めて持って来たいわく付きの代物だ。
 まだ改良の余地はあるが、もう少し先の巡回時には持って行けるだろうとキラは考えている。

「まあ、ザラ議員程じゃないにしても、君も忙しい身だしあまり根を詰めないようにな。それじゃ」
「はい、気を付けます。パーツ、ありがとうございました」

 そう言い残し、バルトフェルドは出て行こうとするが、ふと扉の前で振り返った。
 そこで彼が見たのは、CEの聖剣でも奢り高ぶったスーパーコーディネーターでもなく、
彼から渡されたパーツを楽しそうに触っている、どこにでも居るような普通の若者だった。
 その光景を見たバルトフェルドは、満足そうに微笑んで静かに扉を閉めた。

(アイシャ。あの時の少年は、ようやく一人前の男になろうと歩み出したようだよ。
君の居ない世界で、もう少しだけ頑張ってみようかね)
752〜シン・アスカは歩いて行く 第四話〜:2011/08/30(火) 21:48:34.49 ID:???
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「またあいつらに不穏な動きがあっただと?」
「ああ。前代表時代からの強硬派が、最近よく集まって現体制への批判を言い合っているそうだ」

 自らの執務室でキサカからの報告を受けたオーブ代表カガリ・ユラ・アスハは、その報告に眉を寄せた。
 前大戦中に、政治の中心だったセイラン家が失脚した事により、カガリは実権を取り戻す事が出来たのだが、
そこで待っていたのは、財務処理等の国を建て直す為の仕事の山だった。
 今まで、内政に関する政務はユウナを始めとする者たちが手伝っていたのだが、その多くがジブリールの一件で
強硬なウズミ派によって逮捕され、又ユウナも死亡してしまった為に、全てがカガリの元に集まってきてしまったのだ。

(こんな形でセイラン家の有り難さを痛感するとはな。しかし、もうユウナ達に甘える事は出来ん。
それよりも、まずは強硬派のバカ共をなんとかしなければ・・・)

 カガリが頭を悩ませているもう一つの原因は、先ほどのキサカの報告にもあったウズミを崇拝する強硬派の存在にあった。
 彼らは、カガリが拉致されセイラン家が何とかオーブの舵を取っていた時も、ウズミの理想を喚き立てているだけで、
決して自ら表立って行動しようとはせず、セイラン家を罵倒し続けた。
 そして、カガリが戻るやいなや、セイラン派排斥に留まらず共に国を運営していた者たちまでも尽く糾弾して失脚させ、
一方では自分達の勢力拡大に着手し、瞬く間にオーブ議会の半分に迫るまで拡大していった。

(確かにお父様の掲げた理想は立派なものだったが、今となっては前時代的な綺麗事だ。
その事を痛いほど痛感して戻ってみれば、未だその理想にしがみ付いている者たちによって悩まされるとはな)

 ここまで来ると、理想というよりはもはや呪いに近いな。と、自虐的に笑うカガリであったが、
国家元首として座っている以上、いつまでも感傷に浸って居る訳にはいかない。

「強硬派については、監視の目を強化しつつ軍部やモルゲンレーテと不用意にコンタクトを取れない様にしておけ。
今は、国の復興が最優先だ。あいつらの妄言に付き合っている暇はない」
「了解した。それと、先方との会談だが、完全な秘匿回線で行う為音声のみになるが大丈夫か」
「構わん。この会談は絶対に奴らに気取られるわけにはいかないからな。
何より、これからオーブの民を守って行く為には絶対に必要な会談だ。失敗は許されん」

 そう緊張した面持ちになったカガリの前にある通信機から、タイミングを見計らったかのように通信が繋がった。
『まさかウズミの娘から呼び出されるとは思ってもみなかったが、中々どうして肝が据わって来たようだな。
では、そろそろ始めようではないか。最も、そなたが私の望む人間になってきたかはこれから判断する事になるがな』

 どうやら、先ほどまでの会話が会談相手にもダダ漏れだったようだが、カガリは臆する事無く答えた。

「ああ、オーブ国民の為にあなたの助けが必要だ。その為の話し合いを始めようか」
(待っていろアスラン。私は今度こそオーブを立派な国に復興させてみせるぞ。それまで、泣き言は言わん)
753〜シン・アスカは歩いて行く 第四話〜:2011/08/30(火) 21:50:34.86 ID:???
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 一方、月のローレンツ・クレーターに居るシンとラクスはのんびりと食後のお茶を楽しんでいた。

「今日の仕事も終わったし、明後日の回収日には纏まった金も入る。
今度の買い物では、ちょっと贅沢して何か良いものでも買いましょうか?」
「あら、余裕が出来たからと言って無駄遣いしてはいけませんわよ。あなたはそそっかしいのですから、
もしも何かトラブルが起こった時の為にも、普段からちゃんと節約はしておかないと」
「そうですか?今回はラクスさんの欲しかった物も何か一個くr」
「シン、私新しいヘアードライヤーが欲しいですわ」
「早!今さっき自分で言った事完全スルーですか!というか、欲しいものあるんだったらちゃんと言って下さいよ」

 窘められたかと思ったら、速攻で自分の要求を告げてきたラクスに苦笑しながらも、
シンはこの仕事を始めてから付けている帳簿に目を落とした。

「まあ、ドライヤー位でしたら問題ないですよ。ラクスさんが来てから今まで何もプレゼントした事無かったですし、
一応お世話になっている気持ちも込めて買ってあげますよ」
「本当ですか、シン?」
「ええ、男に二言はありません」

 すると、ラクスはファッション雑誌を取り出し、その1ページを指差した。

「ではシン、こちらの注文をお願いします。今日頼めば、明後日には間に合うと思いますので」
「随分と用意が良いですね。ま、分かりましt・・・」

 その雑誌の載っていたドライヤーの広告を見てシンの動きが止まった。
 そこに掲載されていたものは、シンの認識しているドライヤーという物より0が二つほど多いものだった。

「えっとラクスさん?これは一体なんでしょうか?」
「何ってヘアードライヤーですわ。シン、まさかヘアードライヤーも知らないので?」
「いや、そういう意味じゃなくって、何故にドライヤーがこんなお値段なのかと」
「プラントの有名美容師さん御用達の一級品ですわ。今使っているものも悪くはないんですけども、
やはり女性としては良い物を使いたいですし。シン、早速注文して下さいまし」
「いやでも、この値段はちょっと・・・身嗜みの道具ってレベルじゃないですよ」
「あらシン、男に二言はないのでしょう?それとも、シンは私と約束した事を反故にするんですの?」
「う・・・」

 こうなってしまうと、ラクスのペースだ。ボキャブラリーの少ないシンでは碌に反論する事も出来ず、
あれよあれよと言う間に彼女の要求を呑まざるを得ない状況へと追い込まれてしまうのだ。
 思えば、来て早々に要求された風呂の改装にしたって、よく分からないラクス理論に言い負かされて、
せざるを得ない状況になってしまい、余計な出費に泣く事になったのだ。

「あーもう!分かりましたよ、男に二言はありません。ちゃんと注文しておいてあげますよ」
「嬉しいですわシン。だからあなたは大好きなんです」

 そう言って、嬉しそうにしているラクスを見るシンは、苦笑いをしながらもふと懐かしい感覚を思い出していた。

(全く調子がいいんだから。でも、誰かにプレゼントをするのなんて何時以来だろうな。
マユ、お兄ちゃんは前を向いて頑張れているかな)
754〜シン・アスカは歩いて行く 第四話〜:2011/08/30(火) 21:52:30.70 ID:???
第4話は以上です。今まで放置していたカガリもようやく登場です。
こちらもようやくオーブ代表としての心構えが出来てきた感じかなと。周りは未だウズミの呪いに掛かってますがw

アスランのお仕事風景なんかも書こうかなと思いましたが、議員さんとして頑張ってるという一文で
済みそうなので今回はスルー。後々、他の議員さん達と一緒に出て来るのでその時にでも。

それにしても、高山種を読み返していると、バルトフェルドとアイシャのラストは何度読んでも泣ける!
755通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 00:25:58.55 ID:???
>>754
投下乙です。実にほほえましい白ラクスです。第5話気長にお待ちします
756通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 00:39:59.00 ID:???
>>754
投下乙です!!
皆前向きに未来を見て生きてる所にぐっと来ました
757通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 10:06:08.01 ID:???
プラントにはクライン派、オーブにはウズミ派と
明確な悪がちょいちょい顔出してるけど
今のところシンと直接関わりそうにないのが
どういうオチになるのやら。
戦闘行為自体が禁止されてるとはいえ、MS戦こそ華な気もするが。
まあ続き期待。
758通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 15:06:31.07 ID:???
>>754
投下乙です!
バルトフェルドが好きなので彼を出してくれて嬉しいです。
皆前を向いている。

759874:2011/08/31(水) 20:37:40.09 ID:???
投下乙っす!
平和っていいですね〜。
しかし……

>そうですね、暇な時にでもアスランを引っ張って来て片付けて貰います。

鬼ですかキラさんwwww
760通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 23:26:08.74 ID:???
仮面ライダーオーズの主人公のセリフでシンを思い出してしまった。

「俺は……俺は欲しかった。
 欲しかった筈なのに諦めて蓋して、目の前の事だけを……どんなに遠くても届く俺の腕、力!
 もっともっと……」
「思い出したんです。俺の欲……。力です。
 どんな場所、どんな人にも絶対に届く俺の手。力……。俺はそれが欲しい……」

761通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 23:44:19.95 ID:???
そんなことを言うなら某空戦エロゲのOPで思い出しちまったわwww
762通常の名無しさんの3倍:2011/08/31(水) 23:54:20.89 ID:???
>>760
ナカーマ
763通常の名無しさんの3倍:2011/09/01(木) 19:15:16.28 ID:4Kx2WoTl
助けることが出来なかった経験から欲望に蓋して、目の前の手の届く人間だけを助けようとする、
って本編よりこのスレ向きの話だなw
764通常の名無しさんの3倍:2011/09/02(金) 19:30:27.12 ID:???
おまえら…シンの誕生日をスルーしやがって
可哀想だからシンは俺が貰って行くぜ
765通常の名無しさんの3倍:2011/09/02(金) 23:21:51.54 ID:???
>764
そいつ、本当にシンか?
何か違うような…
766通常の名無しさんの3倍:2011/09/02(金) 23:23:39.25 ID:???
>>764
おま、余計なこと言うとまた・・・
767通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 19:14:25.30 ID:???
平行世界のシンが一堂に集まって、どんな誕生日を過ごしたのか話し合うとか面白そうだけどなぁ
768通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 21:37:16.02 ID:???
>>767 こうですか?分かりません(職人の皆様、大変申し訳ありません)

C.E.XX 9月1日
とある国のとある場所に設置されたとあるパーティー会場に、とても良く似た容姿を持つ2人の男が降り立った。
???「あ〜やっと着いた〜」
会場に入るなり大きくノビをするのは、何とあのラクス・クラインと夫婦漫才を繰り広げられる希少な存在、XXXIXスレ513 氏〜シン・アスカは歩いて行く〜のシン・アスカである(以下・歩シン)。
「おい、お前も早く入って来いよ」
「は、はい……」
歩シンに促される形で会場入りしたXXX[スレ268 氏〜Select of Destiny〜の記憶喪失者、シン・アズサ改めシン・アスハ(以下・選シン)は、会場を見渡しながらおずおずと口を開く。
「あ、あの〜良いんでしょうか?ぼく…じゃなくて俺なんかがこんな所に来て……」
「いや〜寧ろ何で来たんだ?って感じなんだが。お前の世界なら祝ってくれる人沢山居ただろう?」
「それが、折角招待されたんだから、行って来なきゃダメ!ってルナとカガリ様に」
「……なんか、俺の声で「カガリ様」とか言ってるのを聞くと寒気がするな……」
選シンの言葉にブルルっと身体を震わせる歩シン。
彼らが此処に居る理由、それは差出人不明の手紙・『「俺達の誕生日を俺達で祝おう」の会』への招待状に誘われたからだった。
「歩シンさんはどうして?貴方の世界でもお祝いしてくれそうですけど」
「……だから来たんだよ」
「えっ?」
「あのお嬢様が「まぁまぁ、シンのお誕生日には私が腕によりをかけた手料理をご馳走して差し上げますわ」とか言うんだぞ!?逃げ出すに決まってるだろう!」
「は、はは…」
「大体あの人は……おっ?」
必死な剣幕で叫ぶ歩シンの様子に、苦笑いする事で応える選シン。
更に言い募ろうとした歩シンだったが、視線の先にある光景を捉え言葉を止める。
「おい、どうやら先輩方が先に来てたみたいだぜ」
「えっ?あ、ホントですね」
歩シンが指差した方向には、丸テーブルで向かい合う様に座る3人のシンの姿があった。
まずwN/D/TuNEY 氏〜Mercenary Of Red〜の赤鬼と名乗る傭兵シン・アスカ(以下・赤鬼)、次に中身 氏〜red eyes〜のタイトルにもなっている傭兵軍団レッドアイズのリーダー格シン・アスカ(以下・赤目)。
最後に朱 ◆NaPp2aS6cI 氏〜しん・かうんた〜・あたっく〜主演、色々と企画外の男しん・あすか(何故かひらがな)である。(以下・しん)
『変わった組み合わせだなぁ』と内心思いながら、挨拶をするべくテーブルへと近づく歩シンと選シン。
「あれ?」
しかし、その過程で2人はある違和感に気付いた。
「なにか、妙に静かですね?」
「そう、だよな?」
顔を見合わせながら首を傾げる2人。
彼らの言うとおり、テーブルに座る3人のシンは、何故か皆神妙な顔つきでテーブルの一点を見つめていた。
「……皆、緊張してるんでしょうか?」
「いやいや、こんなしょーもない集まりで緊張するのはお前ぐらいだって。一体何して……んっ?」
769通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 21:37:56.19 ID:???
カチカチカチカチ…カチ、カチ
「……イチ・2・3・4・5!よっしゃー!!人気アニメの主役になり収入2000万増える!以後順番が回ってくる毎に2000万入る!!カッタ〜!!これは完全に勝ったな!勝ち組だ。勝ち組の仲間入りだよ。ついに俺も……」
「だぁまぁれぇぇぇぇえぇ!!勝負は最後まで分からないだろ!!!」
「いいや勝ったね〜!!ここから君たち負け組みが追いつくことはとうてい不可能!!だって主人公だもの。勝ち組だもの〜」
「ボードの上ではな。だがいくら金持ちになろうと、現実という名のボードの上ではお前は負け組みという事実は何一つ変わり無いことを忘れるな」
「んなっ!?そ、そこまで言わなくてもいいんじゃね〜の!?ゲームぐらい夢みさせてくれてもいいんじゃね〜の?」
「黙れ、しん。逆襲も何も搭乗するMSすらない癖に、調子に乗るな」
「何を〜!?逆襲するはずが何時の間にか仲良しこよしになってるお前らよりマシなんだよ!!」
「牛乳飲んだくれてたお前に言われたくねぇんだよ!後、最後にちゃっかりリア充に仲間入りしやがった赤目と一緒にするんじゃねぇ!!」
「なんだと!?脳みそレイと乳繰り合ってるお前に言われたくねぇよ!!」
「「「やるのか、この野郎!!!」」」

バァン!!

「いい加減にしろ、アンタ達って人はーー!!!」

何故か旧世代の遊びである人生すごろくを興じ、下らない言い争いから喧嘩にまで発展した3人のシンに、ぷっつんした歩シン。
ものすごい勢いでテーブルに近づくと、人生すごろくを手に取りテーブルへと叩き付ける。その衝撃で人生すごろくの駒が何処にあったのか分からなくなってしまった。
「「「あぁ〜〜〜!?」」」
「なにするんだよ歩シン。せっかく主人公になれたのに!!」
「そうだ、まだ勝負は終わってなかったんだぞ!!」
「新入りの癖に、生意気だぞ!!」
歩シンの暴挙に非難の声を上げる3人のシン。
「ア・ン・タ・等・は・一・体・何・な・ん・だ!!!」
それに対し、歩シンはバンバンと机を叩きながら声を張り上げる。
さすがはあのラクス・クラインと漫才を繰り広げることができる男だ、先輩方を前にしてもまったく動じていない。
「何、自分同士で人生すごろくやってんだ!虚しく無いのか、そんな事言い争って!!」
「い、いやつい熱くなっちゃって…」
「暇だったしなぁ」
「ああ」
「もっと他にやる事無かったのかよ!?」
「…………」
「見ろ!!選シンなんて先輩方の余りの堕落っぷりに声も出てないぞ!!」
ビッと歩シンが指差す方向の先には、会場の隅でプルプルと小動物の様に震える選シンの姿があった。
「……いや、アレはお前の剣幕にドン引きしてるだけなんじゃ……」
「うっ!?」
「なんか、他のどの世界の俺より、あいつが一番違和感を感じるよな」
「アイドルプロデュースしてるとか言う、あの俺は色々とぶっ飛びすぎてるしなぁ」
ボソッと呟くように言ったしんの突っ込みに、歩シンの言葉が止まる。
そして傭兵2人組のシンは、成人式で久しぶりに出会った小学校時代のガキ大将が、気の弱い好青年に成長していた様な心境で選シンを眺めていた。


続きません。
招待状を出したのは誰なのかとか、リア充っぽい傭兵2人が何故参加してるのかとか、他作品のシンはどうしたのかとかは続きを書いてくれる人に丸投g(アトハ,タノンダ…
770通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 21:53:57.47 ID:yns0M/yA
>>768.769

何これ面白いwwwつか歩シンのツッコミパネェwwwそしてやはり選シンは可愛いな
771通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 22:22:22.39 ID:???
>>768-769
ちょっと待て!どっかにバ皇帝のシンいるだろ、コレ
772通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 22:26:22.93 ID:???
選シンがみくるにしか見えなくなってきた。
773513:2011/09/03(土) 23:18:34.57 ID:???
>>768-769
うちのシンはツッコんでばっかりかww
774通常の名無しさんの3倍:2011/09/03(土) 23:46:47.84 ID:???
真っ先に持ち帰られそうだよなぁ…選シンは
歩シンの標準装備は絶対ハリセンだろw
775通常の名無しさんの3倍:2011/09/04(日) 11:42:56.32 ID:???
兄弟スレと並ぶツッコミ専なシンの誕生だなw
776通常の名無しさんの3倍:2011/09/04(日) 20:11:35.47 ID:???
ルナ「こ〜ら、シン」
シン「ん〜…?」
ルナ「ん〜?じゃ無くて、早く起きなさい!」
シン「もうすこしだけ……ねかせてくれ………」
ルナ「今日はシンの誕生日でしょ?パーティーの準備とかあるんだから」
シン「たのむ…あとすこしだけ……」
ルナ「…はぁ、まったくしょうがないわね〜。あと少しだけよ?」

シン「………ありがと、『ステラ』」
ルナ「ッ!!(怒)」

>>769 赤目シンが参加した理由は、きっと当日の朝にこんな迂闊で残念なやり取りがあったに違いないww
赤鬼シンも似たような理由ではなかろうか?
777通常の名無しさんの3倍:2011/09/05(月) 02:39:26.47 ID:???
>>776
赤鬼は夜遊びか任務報酬を懐に入れてこっそり個人的に作ってた女性人格AIがコニールにバレて追い出されたか
みな「誕生日おめでとう。 早速だが……さぁ、働こうか……!」と拉致されそうになって逃げ出したかのどっちかに違いない。
778通常の名無しさんの3倍:2011/09/05(月) 12:25:47.29 ID:???
>>775
筋肉スレにはまだまだかなわないがな
779通常の名無しさんの3倍:2011/09/05(月) 22:47:37.15 ID:???
>>776 これって仙人とか呼ばれてるのにいくじなしでろくでなしでどんかんでねぼすけでひとでなしのお兄ちゃんじゃないかww


しん 「で、実際の所どうなんだ?」
赤目 「そ、そそそそんなワケな、ななな無いだろ。なっ赤鬼?」
歩シン「ガックガクじゃねぇか!!何だ、そのギトギトした脂汗は!?」
赤鬼 「も、もちろんだぜ!>>777みたいな迂闊な事する訳ないんだから!!勘違いしちゃ駄目なんだからね!?」
歩シン「なんでここでツンデレ!?2人とも図星だろ、図星!!」
780通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 00:42:57.08 ID:???
まあ首領を別格とすれば、環境や境遇の違いこそあれシンのキャラクターとしての
振れ幅というのはそれほど大規模なものではない訳だが。
(他の改変やクロスも含めたアスランのそれと比べればわかりやすいかと)
最も怖い進化を遂げてると言えばGSC氏の「逆キラ」のプラント総督とか
シロ氏の「毒持つ蝶」の『ラクスの子供』な復讐魔あたりだろうか?
781通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 04:13:50.45 ID:???
>>772
このスレのメインヒロイン候補がまた一人、か
782通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 10:08:16.18 ID:7HNLmGsq
>>781
何を今更www選シンは始めからヒロインだぞwww
783通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 12:22:06.37 ID:???
今濃いのアスカ伝説と言う電波ガガガ
784通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 20:43:09.39 ID:???
まぁ記憶喪失って事はヒヨコへの刷り込みの要領で、ヒロインに仕立て上げるのもできなくもな……
あれ?これって自分の好き勝手な過去を刷り込む事ができるって事じゃね?
785通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 20:54:37.90 ID:???
>>784
夫と息子を失って精神が病んだロミナママンが記憶喪失になったシンを本当の息子と思い込むという
ちょっとヤバい展開を思いつく俺は欝系エロゲのやりすぎかもしれない
786通常の名無しさんの3倍:2011/09/06(火) 21:09:39.44 ID:???
>>784
つまり私色に染め上げることが出来るとry(各世界の女傑(ヒロイン)達がアップを始めました
787通常の名無しさんの3倍:2011/09/07(水) 02:21:30.09 ID:???
でもさ…もうすでにキラに懐いてるみたいだよな
788ジャスティス!:2011/09/07(水) 15:50:56.94 ID:???
手に手をとってラクス達から逃げ出すキラとシン。
ラクスは慌てて追いかけるも、二人を取り逃がしてしまう。

1ヶ月後、ついに二人を捉えたラクス。

しかしそこで彼女が見たものは、「○ク○ク・B・チッ○」を熱唱しながら女子更衣室に突撃するキラとシンだった!

こうですね><
789通常の名無しさんの3倍:2011/09/07(水) 18:26:46.26 ID:???
空見町に帰れwww
790通常の名無しさんの3倍:2011/09/13(火) 01:11:49.11 ID:???
「これでっ!!」

気合の込もった大音声が響き渡り、少年は手を伸ばした。

「よせ、シン……!」
「もうやめるんだ!君は、それ以上……」
「お止めなさい、シン!」

キラ、アスラン、ラクスの言葉にも耳を貸さず、少年は親指を滑らせて感触を確かめる。そして、ニヤリと口元を歪めた。

「終わりだな、キラさん、アスラン、ラクスさん。俺の勝ちだ……!」
「ま、まさか!」
「有り得ない……」
「やめてください、シン!」
「……嫌だね!」

そして少年は高らかに宣言した。

「ツモ!!」

自身の手前に並ぶ13枚の牌を倒し、シンは意気揚々と牌を卓に叩き付けた。

「リーチ一発ツモタンピン三色ドラ4。12000オール!」

オーブのとある雀荘、キラ、アスラン、ラクス、シンの四人が麻雀を打っている。時はメサイア戦役から二年後、シン・アスカは齢18にして麻雀で生計を立てていた。



機動戦士ガンダムSEED 逆襲のシン〜めくり合い宇宙〜



このスレ的にはこんなんアリ?
791通常の名無しさんの3倍:2011/09/13(火) 07:14:54.92 ID:???
首領も居るしアリだとは思うけど
シンて感情が顔に出るし運悪い(ラキスケ除く)から博打弱そう
792通常の名無しさんの3倍:2011/09/13(火) 12:15:33.22 ID:???
>>791
運の悪さも一周すれば国士連発できるって坊や哲が言ってた。
793通常の名無しさんの3倍:2011/09/13(火) 17:26:12.17 ID:???
レイとかの特殊な空間認識能力持ちは洗牌時に牌の行方が分かるとか
ルナマリアはロン上がり出来ないとか
キラ(上がり役)とアスラン(トス役)のコンビ打ちとか
壁役(ターミナル)を常に配置しているラクスとか
タコ打ちするカガリとか
負けたら倍額乗せてくるお嬢様とか
握力でピンズを白に変えられるミナ様とか
ドンジャラと勘違いしているみなたまとか
魅惑の谷間に牌と点棒を隠すロミナママン達と(脱衣的な)死闘を繰り広げる訳ですね
794通常の名無しさんの3倍:2011/09/14(水) 03:19:12.95 ID:???
やっぱり点インパルスで打ってたのか?

…結局そっちでも苦難の道なんかいw
795通常の名無しさんの3倍:2011/09/16(金) 18:02:01.33 ID:JdhY7TlA
インフィニットジャスティス
 紅 孔 雀

とか

アロンダイト
一気通貫

みたいな感じになるんですねわかります
796通常の名無しさんの3倍:2011/09/17(土) 02:24:02.54 ID:???
>795
シンの声が森川ボイスで再生された…
797通常の名無しさんの3倍:2011/09/18(日) 01:07:14.97 ID:x4/ocBoN
歩シンの人は兎も角、選シンの人は大丈夫でしょうか?
798513:2011/09/18(日) 13:59:23.23 ID:???
>>797
いきなり更新滞ってしまいごめんなさい。今月中には次のお話投下できると思います。
うちのシンは再就職してがんばってるのに、書いてる自分が転職に四苦八苦中。ガッデムor2
799通常の名無しさんの3倍:2011/09/18(日) 16:15:15.11 ID:x4/ocBoN
>>798
いえいえ。歩シンの人は度々見かけていましたが、選シンの人は台風12号上陸してから見かけなかったので被害にあったのかなと心配だったのですが、ご無事で何よりでした!!

就活頑張って下さいね!
800XXX[スレ268:2011/09/18(日) 23:42:30.45 ID:???
こんばんはXXX[スレ268です。
投下しようとした日に名前が上がるとは何たる偶然ww

今回はかなり短めなので大丈夫だとは思いますが、駄目だったら避難所の方に投下します。
801SOD 第6話:2011/09/18(日) 23:44:46.25 ID:???
モルゲンレーテ社MS技術開発部門主任研究室、通称『化け猫のゴミ屋敷』。
本人の前では決して口に出来ない名前で職員達から覚えられているその部屋の主、Dr・Kは誰が見ても分かるほど落ち込んでいた。荒んでいたと言い換えてもいい。
サイの努力も虚しく再びゴミだらけとなった部屋の片隅で体育座りになり、舐め終えたキャンディの棒壁に「の」の字を書いている
「うな〜!!」
かと思えば、突然猫の様な叫び声を上げながら床をゴロゴロ転がり始めたり、完全に情緒不安定の状態である。
(やれやれ…)
その様子を後から見守るサイ・アーガイルは、自身の顔中にできたひっかき傷の手当てをしつつ溜め息をつく。
フォーチュンがシンと共にオーブを出発してから半日、Drは部屋に戻るなりずっとこの調子だった。
「な〜!うな〜!!」
(コレは、最長記録更新か?)
ゴロゴロと転がり続けるDrを横目で眺めながら、壁に設置された時計を確認するサイ。実は、彼がこの状態のDrを見るのは初めてではない。
どうやらDr・Kには研究に行き詰った時や研究の予算が下りなかった時など、自分の思い通りに事が運ばない事があるとこうして壁際で奇行を繰り返す癖がある様で、サイは過去に同じ様な状態のDrに幾度か立ち会っていた。
その経験から、一定時間奇行を繰り返せば落ち着くこと、落ち着くまでの時間は原因となった事柄に対する憤りの強さに比例することは知っていた。
しかし、ここまで長時間続くのはサイの記憶には存在しない。
因みにサイが知る限りでの過去最長記録は、シンとシミュレーターによるデータ採取の約束をとり付け朝から楽しみにしていたところ、約束の時間10分前に電話が入り
(今からシンは『私』の仕事の手伝いで一緒に出掛けることになったから)
とカガリから直々に連絡が来た時の2時間32分間なので、ぶっちぎりで記録更新中である。
なお、それ以来Drはカガリからの電話には一切応じない様になった。
「そろそろ機嫌直しましょうよ、Dr」
このまま眺め続けるのもいい加減不毛に感じてきたサイは、八つ当たりの対象になるのを覚悟で声をかける。
別に無視して退室しても良かったのだが、その間に妙な気を起こしたDrに暴走でもされたら十中八九自分のせいにされる為自重していた。
「…………」
サイの呼び掛けが聞こえたのか、ゴロゴロ転がり続けていたDrの動きが停止する。
そしてゆっくりと顔を上げると、見ただけで人を殺せる様なジットリとした視線でサイの顔を見つめて来た。
802SOD 第6話:2011/09/18(日) 23:48:13.49 ID:???
「(うわぁ)そもそもフォーチュンのスペックじゃ素でコスト面が絶望的ですし、かなりデチューンもしたんでしょう?」
「……何を言っている?」
「何って…Dr、フォーチュンが運ばれる前夜に色々とやってたじゃないですか」
フォーチュンがプラントへと輸送される前日、一晩中フォーチュンのコックピットの中でOSと睨めっこをしているDrを目撃していたサイ。
てっきりそのままフォーチュンがストライクmk2として採用されない様、機体に制限でも掛けていると思っていたのだが。
「ああ、あれか…」
「違ったんですか?」
「いや……デチューンという言葉の意味を『欠陥機への大改造』と受け取って良いのならその通りだ」
冷凍イカのような目をしたまま、むっくりと起き上がるDr。白衣、髪の毛、至る所に埃が引っ付いているのだが全く気にしていない。
「……確かに今のフォーチュンは、本来のスペックの6割の性能すら出せないよう調整した」
「なら良いじゃないですか」
「良い、だと……!?」
気だるそうに話すDrだったが、サイがその一言を口にした瞬間、彼女の顔色が変わる。
「良い…?良いだと?今良いと言ったのか、アマガエル?」
「とうとう両生類ですか…」
徐々に言葉を強くしながら、Drはどこか悟りでも開いたかの様な表情のサイへと詰め寄る。サイの顔を見上げるその視線は、死んだ魚の目から獲物を狙う猛禽類のソレに変化していた。
「フォーチュンは私の最高傑作だ。最強にして最高、兵器という枠を超え、芸術の域にまで昇華させた至高の万能機だ!」
「ソーデスネ」
「核エンジン非搭載の機体でフォーチュンを超えるMSは、今後10年は開発されないだろう」
「オッシャルトーリデス」
「そのフォーチュンを、私の娘と言っても過言では無い機体をわざとデチューンし、弄ばれ、あまつさえ『欠陥機』の烙印を押さえれて返却されて来る事になるんだぞ!
それを捕まえて貴様、良かったとは一体どういう意味だ!?」
「タイヘンモウシワケアーリマセンデシタ」
面倒くさっ、と内心毒つきながら、サイはこれ以上刺激しない様あたりざわりの無い言葉を紡ぎDrを宥める。
要するにフォーチュンをプラントに持っていかれたそれ自体に対する怒りで暴れていた訳ではなく、フォーチュンが戻って来ないのは困るが自身の最高傑作をガラクタ呼ばわりされるのも我慢ならず、
蓄積されていくジレンマのはけ口となっていたらしい。
803SOD 第6話:2011/09/18(日) 23:51:15.53 ID:???
(まぁ分からなくも無いけど)
芸術云々はともかく、Drの言っている事は決しておかしな事というわけではない。
機体の状態を常に100%の力が発揮できる様にしておく。それは自分たち技術開発者やメカニック、MSに携わる『真っ当な』人間全ての共通認識だ。
何故ならMSとは「人」が搭乗する兵器であり、開発時点での欠陥や整備不良による性能の低下が、そのままパイロットの死に繋がるからだ。
それを故意、しかも一度完成した機体に自らの手で欠陥を作り出すなど、MS技術開発部門主任である彼女にとっては屈辱の極みであろう。
「この口か?この口が言ったのか、ええっ!?」
「オーソコハオヘソデスシャッチョサーン(そう言えば…)」
ゴスゴスと訪れる腹部への衝撃から鳩尾を守りつつ、ふとサイは先日Drに聞かされたデスティニーの話を思い出す。
余分な装備と装甲を一切排除し、機動性のみを特化させたという本来のデスティニー。
あくまでDr・Kの推測でしかない存在ではあるが、もし実在していたのならその設計者はどう思ったのだろう。
戦局の変化により突如方向転換を余儀なくされ、碌な時間も与えられずに欠陥機へと改修されていくデスティニーを前に何を感じ、何を考えたのか?
(少なくとも、八つ当たりで部下にコークスクリューブローを食らわしたりはしないだろうなぁ)
度重なる衝撃により胃の辺りから何か酸っぱいモノがせり上がって来るのを感じつつ、サイは本気で転職願いを出すべきか考え始めた。


(さっさと転属願いでも出しとくべきだった)
シンとフォーチュンをアメノミハシラへと運ぶ輸送艦の司令室。
そこにある艦長席に座るその男は、部下の前では口が裂けても言えない事を考えながら、眼前に迫る光景を見つめていた。
「敵勢力の数は!?」
「ガナーザク1、ブレイズザク2、グフ1、後は後方に1機、詳細確認中です」
「典型的なザフトの小隊構成だな、救援信号は!?」
「駄目です!ジャミングが酷くて…!」
オペレーターを務める分かり女性の悲鳴混じりな報告に、艦長は舌打ちする。
804SOD 第6話:2011/09/18(日) 23:54:21.99 ID:???
異変に気付いたのは10分前、目的地であるアメノミハシラとの定時通信が不可能になった事から始まった。通信機器の不調という可能性は即座に否定され、何者かによる電波妨害であることが判明。
すぐに索敵へと移行してから3分後、此方へと向かって来る機影を確認し、現在へと至っていた。
(まずいな…)
今回の任務である新型機の輸送はオーブ、プラント双方共に非公式の物だ。でなければわざわざアメノミハシラを経由したりはしない。
そして非公式という事はそれだけ目立った行為を行うことは出来ず、関わる人間も必要最低限にしなければならない。
つまり、この艦には宙賊行為から身を守る手立てがほぼ皆無なのだ。
「艦長、護衛隊の出撃準備が整いました!出撃許可を!」
「ムラサメ2機で一体何が出来る!?」
「しかし…!」
「……くそ、部下に死ねと命令しなければならんとは…ッ」
平和ボケしていたらこの様か……。悔しげに呟く艦長の目に唯一の護衛である2機のムラサメの姿が映る。
前大戦から2年半、一時は数えるのも馬鹿らしくなる程宙賊行為が横行していた宇宙。しかしラクスとカガリによる傭兵達の支援を充実させる政策により、その数は激減した。
特にいま輸送艦が居る宙域は傭兵軍団の筆頭であるアメノミハシラが管轄している宙域であり、ここ最近で宙賊行為を受けた艦は皆無だった為、完全に油断していた形になってしまった。
「ムラサメ隊、敵戦力との交戦に入りました」
「できるだけ時間を稼ぐよう伝えろ!……後はアメノミハシラが救援に来てくれる事を祈るしかない」
オペレーターにそう指示を出した艦長は、死地へと赴いたムラサメ隊の姿を食い入る様に見つめる。
しかし、この願いが叶う可能性は極めて低い事を艦長は感じていた。
MSの構成から察するに、敵はザフトの1小隊がそのまま脱走し、宙賊となった者たちだ。恐らくザラ派、あるいはデュランダルはの脱走兵だろう。
となると数の利は勿論、地上での国土防衛を主に訓練しているオーブ兵と宇宙空間での戦闘のエキスパートである奴らとでは経験値に差がありすぎる。
(駄目だな……)
恐らく5分と保たない。そして5分以内に救援が来るとはとても思えない。
それが艦長の見解だった。
805SOD 第6話:2011/09/18(日) 23:57:08.02 ID:???
「駄目だ……」
丁度同じ頃、艦長と全く同じ事を口にした1人の青年が居た。
「駄目だ、あれじゃ無駄死になる……」
艦長達が宙賊の存在に気付くより早く敵機の存在に気付いたシン・アスカは、自身の乗る輸送艦から発進したであろう2機のムラサメを見て、そう呟いた。
流れ弾が当たったらひとたまりも無いであろう薄い装甲と強化ガラス越しに戦闘が行われているにも関わらず、シンの頭に避難するという選択肢は無い。
MSという圧倒的な力の前には、こんな小さな艦の何処に避難しても結果は同じである事を彼は『知っている』からだ。
「でも、僕には……ああっ!?」
しかし、結果が分かっても一般人でしかない自分にはどうする事もできない。
成す術も無く戦場を見つめる事しかできないシンの目の前で、必死に応戦していたムラサメの一機が、後から接近したグフのヒートロットにより四散した。
「このままじゃ……!」

  ――るから

「えっ?」
不意に声が聞こえた。

  ――守るから

「まも…る?」
それは誰の声だったろうか…
どこか懐かしくもあり、それでいて慣れ親しんでいるような声…

  ――が君を守るから

そうだ
「『俺』が守らなきゃ……」
虚ろな目でそう呟いたシンは、再び疼き始めた頭部の痛みを無視し踵を返す。
部屋から飛び出した彼は初めて体験する筈の無重力状態にも全く意に介さず、慣れた様子で床を蹴り目的の場所へと移動を始めた。
806SOD 第6話:2011/09/19(月) 00:00:06.14 ID:???
Second Select

「たった1機で何ができるよ!」
片方が墜されて尚も回避行動を続けるムラサメに対し、ガナーザクに搭乗する男が叫ぶ。
ムラサメが前方に迫るグフから距離を取ろうとした瞬間、オルトロスを発射。コックピットを狙った一撃だったが寸での所で回避され、ビームライフルごと右腕を破壊するに止まる。
「ちっ、往生際が悪い…」
一撃を回避され苛立ったガナーのパイロットはトマーホークを引き抜く。
「さっさとくたばっちまえよ、オーブの犬がぁ!」
トマーホークを振りかぶり接近するガナーに対し、ムラサメは残った左腕で応戦しようとするが、その反応は圧倒的に遅すぎた。
ムラサメがサーベルを引き抜くより早くガナーがトマーホークを一閃し、ビームを生成した刃がムラサメのコックピット部分に深々と突き刺さった。
「ハッハァ!」
『おい、無闇に陣形を崩すなよ』
無力化したムラサメからトマーホークを引き抜いたガナーのパイロットが高らかに声を上げると、それを遮るかのようにグフのパイロットから通信が入った。
『後、不必要にオルトロスを使用するな。ザフトにいた頃と違って好きな時に補給ができる訳じゃないんだぞ』
「ふん、分かってるよ」
グフのパイロットからの忠告に、ガナーのパイロットはつまらなそうに鼻を鳴らす。
輸送艦の艦長が予想した通り、彼らはメサイア攻防戦に置いて最終防衛ラインの一角にて最期まで抵抗を続けた元ザフト軍の1小隊であった。
熱心なデュランダル信者、ラクスやキラに不信感を抱く者、オーブ軍とクライン派に戦友を殺された者、暴れられれば何でも良い戦闘狂……
信条はてんでバラバラながら、ラクス政権が気に入らないという一点のみで合意した彼らは戦後の混乱に乗じて脱走。
以後2年間、彼らはこうして宙賊行為を繰り返し、再起を図っていた。
「おい、やっぱり俺にグフを使わせてくれよ。ガナーは性に合わねぇ」
『ふざけんな、こいつは俺の愛機(モノ)だ』
「けっ!」
獲物を前にしながら軽口を叩き合う宙賊達。
2年に及ぶ経験から、傭兵部隊が騒ぎに気付き此処に到着するまでまだ十分に時間がある事を知っているからだ。
「まぁ良いさ……さて、と」
ムラサメの残骸を蹴飛ばしながらそう呟いたガナーのパイロットは、最後の仕上げを行う為に輸送艦のブリッジ部分へと近づく。
積荷を拝借する際、下手に抵抗されない様予め『処置』する為だ。
807SOD 第6話:2011/09/19(月) 00:02:22.06 ID:???
「くくっ」
邪悪な笑みを浮かべながら操縦桿を操作するガナーのパイロット。典型的なナチュラル排他思想を持つこの男は、自ら進んでこの役を買って出ていた。
「怯えろ怯えろ、ナチュラルが!」
恐怖心を煽る為か、わざとゆっくりとした動作でガナーの右腕が輸送艦のブリッジへと近づく。そして、後数メートルでブリッジの強化ガラスを打ち破る程まで近づいた瞬間、
伸ばされた右腕の肘から先の部分が『切り離れた』
「はっ…?」
余りにも現実離れした光景に、ガナーのパイロットは間抜けな声をあげながら宇宙空間を漂い始める時機の右腕をぼぅと見つめる。
他のパイロット達も同様で、何が起こったのか分からぬ様子でガナーと輸送艦を交互に見比べる。
訪れる奇妙な静寂。

『離れろ……』

その静寂を打ち破ったのは、ある男の声。
静かな、しかし明確な意思をもった1人の青年の言の葉。
「なっ!?」
急に鳴り響くロックオンアラート。本能的に後に下がったガナーの目の前を、弧を描きながら通過する藍色の光盤。
ビームブーメラン……それが先程時機の右腕を切り落とした犯人だと気付く余裕は、ガナーのパイロットに残されて居なかった。

『離れろ』

再びアラートが鳴り響き、無我夢中でレーダーが示す方向を向き直るガナーのメインカメラ一杯に、V字アンテナと赤いデュアルアイを持つMSの頭部が映し出された。

「そこから離れろ!!」

突如戦場に現れた赤と白と青の閃光。次世代量産型MSマスラヲ試作発展型・コードネームFortune(フォーチュン)。
そのコックピットに収まった青年、シン・アスハは、『守るべき』輸送艦へと接近していたガナーの腹部を蹴り飛ばし、高らかに声を上げた。


2年前、少年は『選択』できなかった。度重なった不幸な偶然が彼の心を傷付け、破壊し、彼からその機会を奪い去ったのだ。
2年の歳月は、短いながら彼の心に安らぎを与えた。忘却という数奇な偶然は、少年を青年へと成長する程の期間を与えた。
そして、2度目の『選択』の時が青年に近づいていた。
808XXX[スレ268:2011/09/19(月) 00:06:12.65 ID:???
以上です。

>>799 ご心配ありがとうございます。台風の被害はそこまででしたが、多分1話←1〜2ヶ月位に掛かりそうです。
809通常の名無しさんの3倍:2011/09/19(月) 00:18:47.87 ID:???
投下乙! リミッター解除期待。というか大丈夫か…
810通常の名無しさんの3倍:2011/09/19(月) 23:00:27.66 ID:???
>>808
投下乙です。ついにシンがMSに!これは熱い展開になりそうだw
811通常の名無しさんの3倍:2011/09/19(月) 23:12:27.53 ID:???
>>808 投下乙でした。
あれ?これってフォーチュン全壊フラグじゃありませんかドクt(返事が無い、唯の屍のようだ
812通常の名無しさんの3倍:2011/09/20(火) 11:25:25.48 ID:???
乙です。
Dr.KかわいいよDr.K。シンも記憶回復フラグが立って続きが楽しみです。
後、サイの台詞が銀魂のマッサージ嬢みたいになってるが大丈夫かwww
813通常の名無しさんの3倍:2011/09/20(火) 23:01:28.69 ID:???
そう言えば、各作品のシンの年齢って何歳なんだろう?
814通常の名無しさんの3倍:2011/09/21(水) 19:56:43.24 ID:???
メサイア戦役終了 CE74 シン16歳

GSCT CE76 18歳
Counter Sin Asuka CE78 20歳
自由の呼び声 CE80 22歳
ジオン公国の光芒  CE79 21歳
因縁の終わり CE78 20歳
SCA-Seed_19 「あれから2年」の表記 18歳
MOR 「CE77及び4年たった」の表記 19〜20歳
ライオン CE93 35歳
古城の傭兵 作中に「三年か」という台詞 19歳
首領 作中に「あれから三年」の表記 19歳
Restored to Life 「3年の月日がたった」の表記 19歳
龍宮の守人 CE75 17歳
red eyes CE80 22歳
ブルーブラッド CE80 22歳
未来の子供達へ CE79 21歳
Select of Destiny CE77 19歳

1話目に年代書いてあった奴だとこんな感じだった
815通常の名無しさんの3倍:2011/09/21(水) 22:58:05.94 ID:???
大体、20前後が多い感じだよな
まあラクシズの支配体制がある程度確立して、シンが逆襲を始められるぐらいに時が経ちつつ、なおかつ出来るだけシンの外見や人格が原作と乖離しすぎない程度の年齢となると、それぐらいが丁度良いのか
816通常の名無しさんの3倍:2011/09/22(木) 10:04:40.36 ID:???
首領が19歳だと……
817513:2011/09/22(木) 19:15:52.19 ID:???
19歳であの貫禄と存在感か・・・
818通常の名無しさんの3倍:2011/09/22(木) 22:37:32.70 ID:???
物凄い存在感だろう?選シンと同年齢なんだぜ…
819通常の名無しさんの3倍:2011/09/23(金) 01:37:06.92 ID:???
ガンダムじゃよくあること
70オーバーにも関わらず若々しくてしかもメタルな主人公までいるんだ、首領が19なくらい…
820通常の名無しさんの3倍:2011/09/23(金) 20:33:59.59 ID:???
それ人間じゃなくて「種族:刹那」だから・・・
821通常の名無しさんの3倍:2011/09/23(金) 21:46:50.04 ID:???
首領も羽根クジラと同化したし「種族:首領」でいいんじゃないか?
822通常の名無しさんの3倍:2011/09/25(日) 13:19:25.77 ID:???
>>845はいったいどんな暴挙をするのか?
823513:2011/09/26(月) 23:26:58.61 ID:???
明日から明後日には投下できそうです〜。しかし、なんだろう。すごくラブでコメってる匂いがする・・・
824通常の名無しさんの3倍:2011/09/28(水) 16:59:13.36 ID:???
>>821
首領が羽クジラに同化したのではない
羽クジラが首領に同化したのだ!!!
825513:2011/09/28(水) 20:48:22.87 ID:???
50分から投下させて頂きます〜
826〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 20:50:19.15 ID:???

「こんちは〜、インパルス商会のシン・アスカです」
《お疲れ様です。今、ハッチを開けますので少々お待ちください》

 週末、回収したジャンクパーツ等の査定を行うプラントの業者が牽引するコンテナの入り口へ
俺は自分のゲイツと回収したパーツの入った収納ボックスを横付けした。
 ゲイツを固定しコクピットを開けると、タイミングよく目の前のハッチが開いた。
 少し待って乗船許可の連絡が入ったのを確認して、俺は体を泳がせ船内へと入って行った。

「いつもご苦労様です。あなたのように、プラントの復興の為にまじめに働いて下さる回収屋さんは
少ないので、とても助かっております」
「それはいいんですけど、その真面目なインパルス商会がこれからも安定して働いていく為にも、
もう少し査定額に色をつけてくれたら、俺はうれしいんですけどねぇ」
「そこはご容赦ください。私たちは、プラントが定めた正しい基準に則って査定を行っております。
アスカさんのお気持ちも分りますが、秩序を守るべき立場の私たちが法から外れるような事をしてしまっては、
プラントに属さない違法なジャンク屋共に対して示しがつきません」

 この仕事を始めてからそこそこになるが、俺はこの回収業者の査定員がどうも苦手だ。
 回収物の査定は厳しく、融通は全然利かない。そのくせ、ちょっとしたミスにこっちが突っ込んでも、
絶対に非を認めようとはしない頑固頭。そして何よりも、

「ところでアスカさん。今週もラクス様はお元気でいらっしゃいますでしょうか」
「ええ、元気元気。食欲も旺盛で、今朝も寝ぼけながらトースト2枚にゆで卵なんて3つも食べてましたよ」
「何ということを!アスカさん、あなたが付いていながら何故そのような暴食を御許しになったのです。
我らがラクス様の御身体にもしも何かあったら、あなたはどうするのですか!」

 またこれだ。この男は、クライン派の議員共へ俺の行動をチェックし報告する仕事も担っており、
どうでもいい小さな事を一々挙げ連って、俺に難癖を付けてくる。
 正直、鬱陶しくて堪らないのだが、神輿を失った宗教団体なんてこんなもんなんだろうなと思うと、
いい気なもんだと笑ってやりたいが、その矢面に自分が立たされているとなると全くもって笑えない。
827〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 20:58:16.29 ID:???
「いいですか。ラクス様はこれからの世界平和の為に絶対に必要な御方なのです。
それが、あなたのようなただの敗残兵と一緒に居て御身体を壊されたなんて事になったら、
あなたはどう責任を取るおつもりですか」
「分りましたよ。そこら辺は、これからちゃんと注意していきますから。
プラントのアイドルが、いつの間にやらドラム缶みたいになってたら笑えませんからね」
「またあなたはそのような物言いを!あなたには、ラクス様を敬うお気持ちがないのですか!?」
 
 正直、普段のラクスさんを見ていると自堕落でマイペース、家事全般出来ないポンコツっぷりで
敬うなんて気持ちは全く湧いてこないが、逆に親近感は湧いてきている。
 まあ、こんな事をこの男に言ったら、また余計な御説教が始まりそうなので黙っておく。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「では、今週分の支払いは来週の頭には振り込まれておりますので、ご確認ください」
「分りました。じゃあ、俺は物資運搬コンテナの方で買い物がありますので失礼します」
「ああ、アスカさん。少しお待ちください」

 その後、多少の小言は続いたが無事に査定も終わり、俺は一週間分の物資を買おうと
隣の生活物資が積み込まれているコンテナへ体を向けようとしたところで呼び止められた。

「まだ何か?」
「いえ、あなたにではないのですが、是非こちらをラクス様にと思いまして」

 そう言って、その男が持ってきたのはワインだった。しかも、ご丁寧に綺麗な化粧箱に入れられた。
 酒の事なんて全く分らない俺から見ても、それが超が付くほど高級な一品であるのは見て取れた。

「ラクスさんに渡しておけばいいんですか?あの人、お酒なんて飲めたかなぁ」
「そのような事気になさらなくて結構。貴重な品なので、細心の注意を払ってお願いします。
それと、これはラクス様への献上品ですので、あなたごときが飲んでいい品ではない事もお忘れずに」

 一々言う事に腹がたつが、ここで言い返してもまた面倒臭いので、俺は適当に相槌をうって受け取り、
自分の買い物をするべく隣のコンテナへと移って行った。
828〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 20:58:54.04 ID:???


……

………

「で、これがそのワインです」
「お疲れ様ですわシン。それにしても、随分と豪華な箱に入ったワインですわねぁ」

 買い物を終えて戻ってきた俺からそのワインを受け取ったラクスさんだが、
その反応からみると、あまり興味がないようだった。

「それで、このワインはどうすればよいのでしょうか。私、お酒は飲めませんのに」
「まあ、俺も飲めませんからね。でも、ワインって寝かせておくとおいしくなるっていいますし、
しばらくはどこかに保管しておけばいいんじゃないですか?」
「そうですわね。では、どこかに置いておいて下さいな。
そんな事よりもシン。今週はちゃんと買えたのでしょうね」
「先週買えなかった時にちゃんと予約してたから大丈夫ですよ。はい、牛乳プリン」
「まぁ、しかも6つもですか。嬉しいですわ!!」

 俺の稼ぎなんて一瞬で吹っ飛ばすような高級ワインより、1個120円程度の牛乳プリンを
大喜びする彼女を見ていると、さっきの億劫なやり取りなんてどうでもよくなってくる。
 戦時中に見た演説をしている彼女とは程遠い姿ではあるが、この飾らない今の姿こそが
勝利を導く聖女と祭り上げられていた時とは違う、本当のラクス・クラインの姿なのだろう。

「そうですわ。このワイン、シンが成人した時の御祝いの時に開ける事にしましょう」
「いや、俺は絶対に飲むなって言われたんですけど」
「そんな事、私は知りません。それに私の物になった以上それをどうしようと私の勝手なのですから、
それをシンと一緒に飲んだとしても何も問題ありませんわ」

 何か凄まじいラクス理論を聞いたような気がするが、気にしたら負けだ。
 今度、あの男にワインの事を聞かれたら適当に誤魔化しておこう。
829〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 20:59:56.79 ID:???
「と、ワインの事は置いておいて、先週食べられなかったプリンを早速頂きましょうか」
「好きですねぇその牛乳プリン。まあ、程よい甘さで俺も嫌いじゃないですけどね」
「あら、シンもお好きだったんですの?ごめんなさい気付かなくて」
「俺というよりも、妹が好きだったんですよそれ。オーブでも売っていましたからね。
よく、妹が食べているのを一口貰ったりしてたんですよ」

 マユも、買い物に出かけた時はよく買ってもらっていたなぁと、俺が昔の思い出に浸っていると、
何を思ったのか、ラクスさんはプリンを掬ったスプーンをこちらに向けてきた。

「そうだったのですね。ではシン、あーん」
「はい?」
「ですから、シンにも一口と思いまして。はい、あーん」
「俺はいいですよ。ラクスさんが食べちゃって下さい」
「いえ、シンにとっても懐かしい味というのでしたら、是非一口」
「あ〜、分りましたよ。ありがたく頂きます」

 そう言って口にした牛乳プリンは、とても懐かしい味がしてオーブに住んでいた頃を思い出した。
今でもやるせない気持ちや複雑な思いは残っているけど、ある程度落ち着いたら一度オーブに行って、
父さんと母さんとマユに、俺の近況を報告するのもいいかもしれない。
その時は、マユの好きだったこのプリンも持って行こう。きっと天国のマユも喜んでくれるだろう。
830〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 21:00:51.46 ID:???
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

《導師様!やはりシン・アスカはラクス様の重要性を全く理解しておりません。
このままでは、ラクス様がどんどんと世俗にまみれダメになってしまいます。
来るべき時に備えて、一刻も早くラクス様を奪還した方が良いと私は進言致します》

「あなたの言い分も分りますが、あまり早急に物事を考えてはいけませんよ。
確かにラクス嬢は我々の目指す世界平和の為に必要な御人ですが、シン・アスカ君も彼女と同様に
“SEED”を持つ者なのです。出来うる事なら、彼も我々の計画に協力して頂きたいのです」

《しかし導師様。シン・アスカは、あまりにも粗暴で直情的で向こう見ずです。
MSのパイロットとしてはキラ様やアスラン・ザラに並ぶエースかもしれませんが、
果たしてあのような男が、我々の目指す崇高な世界を理解できるかどうか・・・》

「彼だからこそですよ。オーブでの戦乱で家族を失った彼ならば、我々の目指す世界平和の為に
きっと手を貸して下さるでしょう」

「そして、彼はとても情に厚い若者でもあると聞きます。
今回のラクス嬢の行動は我々にとっても計算外ではありますが、
その結果として、彼がラクス嬢との生活によって彼女に対して親愛の情を持ってくれるのなら、
ラクス嬢を迎え入れると同時に、最高のMSパイロットである彼も我々の下に来てくれるはずです」

《なるほど!ラクス様の慈愛の御心に触れれば、シン・アスカも我々の崇高な使命を理解してくれると。
さすがは導師様。そこまで御考えだったとは》

「いえ、全ては世界の為です。では、あなたは引き続き彼とラクス嬢の監視をお願い致します」

《承知致しました。全ては、正しき世界の為に》
831〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 21:01:12.15 ID:???
「ふん、相変わらず見事だな。横で聞いていると、あまりのペテン師ぶりに寒気がしてくる」
「これは異な事をおっしゃる。私は、彼のように信仰に熱い信徒を導いているだけなのです。
それに、あくまで彼はラクス嬢への忠誠心で動いているだけで、私はその後押しをしているだけですよ」

「私には、前を断崖絶壁と気付かせずに突っ走らせているようにしか見えんがね」
「まあ、失敗したらその時ですが、彼がシン・アスカ君とラクス嬢を私の下へ連れてきて下されば、
私達の思い描く平和な世界に大きく近付けるでしょう」
「平和な世界か。貴様が操りやすい世界の間違いだろう?」

「それで、どうやってその二人を手に入れる気だ。クラインの娘が勝手気ままに行動してくれたお陰で
随分と面倒な事態になってしまっているが、ちゃんと考えてはいるんだろうな」
「もちろんです。現在のプラント政権は我々の息のかかっていない方たちが実権を握っていますが、
その中心人物さえ居なくなってしまえば、内部を掌握してしまう事など容易いこと」
「アスラン・ザラだな。しかし、あの小僧をどうにか出来たとして、まだ問題は残っている。
ユーレンが残していったあの完成品は何としてでも手に入れなければならんだろう」
「分っています。ですから、その二人が地球圏へ降りてこざるを得ない状況を作り出すのです」

「・・・オーブか」
「はい。プラントと友好関係にあるオーブで“突然”クーデターが起きれば、その鎮圧の為に
彼らはきっと駆けつけてくれます。いえ、駆けつけざるをえない。
何せ、彼らの大切な女性が統治している国なのですからね」

「サディストだな。よくもまあ、そんな考えがポンポン浮かんでくるものだ」
「そういうあなたも、その体を得るまでに随分と悪行を積まれたのではないですか?」
「必要悪と言ってもらおう。あの“失敗作”と“出来そこない”には心底ガッカリさせられたが、
その失敗のお陰で、私は生まれ変わる事が出来たのだからな」
「一度戦死されたご子息までその為の実験に使われて。人の生への執着とは恐ろしいものですねぇ」
「あのバカも、多少とはいえ私の役に立てて本望だろう。
もっとも、碌な戦果も上げられず預けたエクステンデッドも全てダメにしてしまうとは思わんかったが。
クローンまでもが、私を失望させてくれるとはつくづくダメな男だったよ」
832〜シン・アスカは歩いて行く 第五話〜:2011/09/28(水) 21:02:39.35 ID:???


……

………

「では、あなたにはそろそろ宇宙に上がっていただきましょうか。
私がお迎えに行ってもよいのですが、地球に降下してきた彼らを説得する仕事がありますので」
「“脅迫”の間違いではないのか?まあいい。
私としても、出来そこないのあいつが肩入れしていたシン・アスカがどのような男なのか興味がある」
「必ず、ラクス嬢と共に生きた状態で連れてきて下さいね。“SEED”の複製はまだ出来ないのですから」
「奴は非武装のゲイツしか持っていないのだろう?ならば、捕らえるのは容易い事だ」

「それを聞いて安心しました。では、頼みましたよ『アル・ダ・フラガ』」
「貴様の方もな、『マルキオ』」


以上で第五話終了です。ドンパチはまだ先ですが、とりあえず諸悪の根源であり全ての元凶にもなっているで
あろうやつらの登場です。しかし、マルキオは調べれば調べるほど真っ黒でワロエナイ・・・
833通常の名無しさんの3倍:2011/09/28(水) 21:53:42.83 ID:???
投下乙です。なんか悪そうな人キタw
834通常の名無しさんの3倍:2011/09/28(水) 23:10:13.98 ID:???
黒幕登場か、○キオは想定内だったが、まさかアル・ダ・フラガまで来るとは。
アルの台詞からすると、この世界のネオはムウと同一人物らしいが、どうやって回収したのやら。

続き期待。
835通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 00:01:45.06 ID:???
やっとたどり着き手にしたと思った日常が穏やかで平和であればあるほど
それを奪われでもした際の反動は恐ろしい事になる。
しかもこれまでのムードでつい忘れがちだが、本来高山版は腐災補正を
極力廃したシビアなセメントマッチぶりも持ち味だったはず。
それらも計算に入れてのここまでの数話だったとすれば>>513氏怖ろしい子ッッッ
836通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 01:32:22.87 ID:???
種の三大黒幕のうち2人(最後の一人はユーレン)がお出ましとは熱い展開になりそうだ
837通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 09:51:40.54 ID:OuCOKM6P
これは支援AGEせざるをえない
838通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 10:56:29.90 ID:???
失敗作=クルーゼ、 出来そこない=レイ、 あのバカ=ムウとして、
>「クローンまでもが〜ダメな男だったよ」
からするとこの場合513氏的には高山ネオはムウのクローンという解釈?
クルーゼとレイはアル自身のクローンだったはずだし。
そして今はどちらのかは不明なれど不備のない健康体のクローンボディ、
あるいはカーボンヒューマン体を手に入れてるということかな。
いずれにせよ外法の業でやってるという事はひょっとしてユーレンも
生きて一枚噛んでいるのか?
ラクシズが完全悪役で打倒するタイプの話でもこいつらまで遡及するケースは
あまり多くないので最終的には確実に地獄送りにしちゃって頂きたいが…
839通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 12:12:07.01 ID:???
>>838
這い寄るマルキオは大抵ラクシズ残党に抹殺されてるじゃないか
840513:2011/09/29(木) 17:30:52.26 ID:???
>>834さん
ムネオの扱いが説明不足だったようでごめんなさい。このSSでの扱いを簡単に説明すると、

アル、レイとクルーゼに起こったテロメアを抑制する技術を研究

ある程度出来あがった後、自分で試す前に戦死したムウのクローンを作ってみて実験。ネオ誕生

テロメアも出ていないようだし、パイロットとしては使えるようなのでファントムペインに

結局、ムウと同じように戦死したけど自分の新しい体の為の実験体としては上々の結果が出たのでOK

レイ、クルーゼ、ムウ(ネオ)の反省点を生かして新生アルの体完成。第五話へ

と、こんな感じ。個人的にはかなーり外道なキャラという認識が強いのでこの位は余裕でしそうだなと
841通常の名無しさんの3倍:2011/09/29(木) 19:30:24.21 ID:???
乙です
火種が上がりましたね、次回に期待
842通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 02:02:34.58 ID:???
そういえば今更といえば今更なのですがアスハのとーちゃんは
娘が海外でテロリストやってたことについてどう思ってたのだろう

金出したり護衛つけたりとテロ活動支援する気マンマンに見えるのだが
843通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 06:57:32.97 ID:???
アレってそもそも、ヘリオポリスから砂漠に行くまでに何があったんだ
一度オーブに戻って、キサカ連れて砂漠へ?
844通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 08:40:40.26 ID:???
>>842
明けの砂漠はテロリストと言うよりレジスタンスじゃね?(テロリストとレジスタンスの定義は微妙だけど)
冷戦期のアフガンに進行したソ連に対抗する為、ムジャヒディン支援したアメリカみたいに敵対国や潜在的敵対国の相手にこっそり支援するのは珍しくも無い(キサカも軍事アドバイザーとして行っていたとも考えられる)
ちょっと突っ込んで考察すると中立国であるオーブが自国に目を向けさせない為に余所に油を注いだとも考えられるんだが……
支援先にカガリがいて前線でバリバリやってたから娘可愛さに支援したようにしか見えないんだよなぁw 
MS開発に反対してたのに、そのデータ使って娘の為にこっそり金ピカMS作ってたようなおっさんだしw
トダカのオーブ艦隊を全滅させに行ったような指揮とかCEのアレな所の裏を突っ込んで考えるのは楽しいけど、制作は多分そこまで考えてないんだろうな


>>843
流れはそれであってる
確か、ヘリオポリスから帰還ウズミにMSについて詰め寄る

ウズミにお前は世界を知らんのだ!と怒られる

じゃあ世界を知りに行ってやんよ!とまたもオーブから飛び出す

ウズミ、慌ててキサカに後を追わせる

アフリカの明けの砂漠に行き着く の流れだった筈
845通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 10:46:09.67 ID:???
ウズミが非公認でキサカの故郷の支援物資用意したら食糧コンテナにカガリが混入してたでござるの巻
そんな解釈のも砂漠編をガッツリとやろうとしてえエタエタしたな
846通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 15:43:45.68 ID:???
>>842
「なんだっていい。とりあえずアスハ殺して、オーブ滅ぼそうor頭すげ替えよーぜ」
(それがこのスレの願いだし)
847通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 19:20:59.00 ID:???
>>844
ふむ
お父様の裏切り者!→アフリカで砂漠の虎と戦っていたんだ!
って流れか

中立ってなんだろう・・・
848通常の名無しさんの3倍:2011/09/30(金) 22:32:25.67 ID:???
>>846
荒らしに言うだけ無駄かもだが、勝手にスレの総意捏造すんなカス。
進歩ゼロor悪役に徹する話もあれば劇的に成長する話もあるだろうがボケ。
849通常の名無しさんの3倍:2011/10/01(土) 11:00:55.75 ID:???
進歩ゼロって事はないよな。マイナスになる事はあっても
850通常の名無しさんの3倍:2011/10/02(日) 10:45:25.25 ID:???
>>849
本編前に消されてる場合進歩ゼロだと思う
851通常の名無しさんの3倍:2011/10/02(日) 11:18:01.69 ID:???
>>850
種時代、あるいは最初からカーボンヒューマンのプロトタイプと入れ替わってたんですね
わかります
852通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 00:08:38.85 ID:???
待て待て、生物学・戸籍上の本物が常に正しいとは限らんだろ。
このスレでもクレハとかロミナママン分岐ルート編とかレッドアイズとかあるし
それこそすぐ真上に513氏のアル・ダが控えているがあの糞親爺がクルーゼはともかく
レイより道義的に優れているわけがないだろうに。
他のSSでもミーアの方こそが真の平和の歌姫になった、あるいはそうなるであろう
と示唆されてるケースも少なくないしな。
853通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 01:28:04.94 ID:???
クレハ?
854通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 08:28:09.27 ID:???
>>クレハ
〜ジオン公国の光芒〜に出てきたキラのクローンだね。あのシリーズはラクスがかなり外道だったなぁ
855通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 10:34:13.19 ID:???
>>852
ミーアと言えば、風景画(Xとのクロス)では中盤で議長が偽者だったとバラしてから出てこなくなったけど、
どうなったんだろうな
議長からの報賞金で復顔手術受けて再デビューか、そのお金で左団扇の暮らしか…
なんとなくだが、ルナの子どもを養子にしてそうな気もする
856通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 12:37:27.45 ID:???
>>855
あれのルナは生きてるよ、死んだのはメイリンの方だ。
857通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 13:50:43.29 ID:???
>>856
うん、知ってる
ただやったことを思うと、ラクシズ壊滅後に逮捕→軍事法廷→脱走及び脱走幇助
+反逆罪で処刑(但し出産数週間後までは執行延期)でもおかしくないだろ
858通常の名無しさんの3倍:2011/10/03(月) 16:33:47.65 ID:???
ちゃっかりとX世界に逃げ延びた痔の世渡りの上手さは異常w
859通常の名無しさんの3倍:2011/10/04(火) 01:18:21.57 ID:???
>>857
42話の会話の描写からして、ルナに関しては前もって虎が何か手を打って
累が及ばないようにしたんじゃないかと推測。
>>858
節子それ風景画ちゃうX運命クロデスの方の炒飯だw
860通常の名無しさんの3倍:2011/10/04(火) 11:44:59.60 ID:???
>>859
虎さんの手回しで身元を隠しつつ、つつましいながらも親子幸せに暮らしていると
想像してもいいし、>857のように死刑か終身刑になって、養子に出された赤子が
長じたら凸まんまで、戻ってきたシンに倒されるのを想像してもいい
自由とはそういうものだ
861通常の名無しさんの3倍:2011/10/04(火) 19:31:36.54 ID:???
>>859
風景画の方でも何気に生き残ってるしなw
女運は悪いがある意味コーラさんに通じるものがある
862通常の名無しさんの3倍:2011/10/06(木) 03:04:19.56 ID:???
セブンイレブンの限定プラモ、ザクとべアッガイはわかるとして、
ガンダムはそれこそ事実上去年のにシール追加しただけじゃねえか。
どうせなら、追加オプションまで付けろとまで言わないにせよ
HGデスティニー711を実現してくれればよかったのに…
863通常の名無しさんの3倍:2011/10/07(金) 10:15:39.54 ID:???
>>862
できるかあんな物理法則無視したもん
864通常の名無しさんの3倍:2011/10/07(金) 14:19:22.12 ID:???
いやだからデスティニー本体の色替えだけでいいからさってこと。
青成形を緑に塗り替えるくらいは手作業で出来なくもないし
シールも流用すればいいけどストライプのマーキングだけはようやらんから。
865通常の名無しさんの3倍:2011/10/08(土) 00:56:54.40 ID:???
【告知】
以後、タイバニと被るのでお嬢さまを虚乳と呼ぶのを禁止し
「ナイスバディ!」と呼ぶこと
866通常の名無しさんの3倍:2011/10/08(土) 10:20:42.70 ID:???
ナイスパッd(ターン
867通常の名無しさんの3倍:2011/10/08(土) 16:10:13.37 ID:???
ナイスバディ=いい相棒
つまりは仕事上の付き合いと言うことですね
868通常の名無しさんの3倍:2011/10/08(土) 23:39:19.75 ID:???
突き合いなんて・・・いやらしい・・・
869通常の名無しさんの3倍:2011/10/09(日) 01:45:10.23 ID:???
( ̄∀ ̄)> ナイスバディさんチーッス
870通常の名無しさんの3倍:2011/10/10(月) 18:49:38.03 ID:???
言葉に出来ない惨状だ
871通常の名無しさんの3倍:2011/10/11(火) 13:48:58.74 ID:???
>>864
じゃあ偽乳
872通常の名無しさんの3倍:2011/10/12(水) 01:35:24.66 ID:???
>>871
偽乳であれならもう救いようが……
メスゴリラ少佐みたいに義体か、胸を大きくするコーディネイトしたクローン体に脳移植するしかないのか……
873通常の名無しさんの3倍:2011/10/12(水) 10:29:53.35 ID:???
とあるライトノベルに『貧乳回避』と『巨乳防御』という言葉があってだな
874通常の名無しさんの3倍:2011/10/12(水) 13:01:54.41 ID:???
貧乳:回避に+修正と防御に−修正、特定条件で一時間毎にダイスロールして嫉妬値が増え、MAXで範囲内無差別攻撃の固有必殺技「貧竜虚脱波」が「超貧竜虚脱波」に変更

巨乳ドリンク:一瓶で巨乳になり一回だけ回復量大のコマンドが使えるようになる
 貧乳がコマンド使うと乳の数値が元の−5になり、嫉妬が+50

性格やきもちな魔法使いを爆乳巫女2人で囲み開幕結界で貧竜虚脱波を撃ち戦闘後に巨乳ドリンクでセルフ回復して2時間休憩したらまた撃てる。

そんなルールのある退魔物のオリジナルTRPGを大学のサークルでやったのを思い出した。
875通常の名無しさんの3倍:2011/10/12(水) 15:58:44.11 ID:???
pixivの某企画の「男の娘より胸が無い」あのキャラ思い出した。
876通常の名無しさんの3倍:2011/10/12(水) 20:04:55.77 ID:???
此処の所投下が無いようなので、何か書いてみようか…と思ったら大抵のネタは既にやられてて被りにしかならんなあ。
877通常の名無しさんの3倍:2011/10/13(木) 00:58:51.33 ID:???
逆シンスレは投下してくださる職人さんならいつでもウェルカム。
ネタかぶりを気にする奴なんていないから、ユー投下しちゃいなよ。
878通常の名無しさんの3倍:2011/10/13(木) 01:22:36.19 ID:hu3MLIK4
>>876
微妙なネタ被りは逆シンスレではよくあることなのでまったく問題ありません!!
投稿されては如何かと?
879通常の名無しさんの3倍:2011/10/13(木) 08:13:56.02 ID:???
ああ…じゃあ、書いてみる。明日中には形になると思うけど、投下時期が重ならないように
気をつけますね。
880879:2011/10/14(金) 17:44:16.76 ID:???
投下します。
881879:2011/10/14(金) 17:45:15.77 ID:???
「いくら吹き飛ばされても、僕らはまた花を植えるよ」
波と風の音に、右手を差し出したキラ・ヤマトの声が風に混じる。
「それが俺達の戦いだな」
 キラの後ろにいるアスラン・ザラが言葉を重ねた。
「一緒に戦おう」
「ふざけるな」
 黒髪が揺れ、赤い瞳が震える。白い肌の少年は息を吐き出しながら、拒絶の言葉を吐き
出した。手を差し伸べているキラを睨む。
「花を吹き飛ばされるどころか、風にあおられた事もないアンタが何を言うんだ。馬鹿に
するのもいい加減にしろよ」
 拳を握り締めたシン・アスカは彼に背中を向け、表情を凍りつかせた人々の間を歩き出
す。決意に満ちた表情で、地面を踏みしめるように。
「アンタ達との関係は此処までだ。もう、こんな事に付き合ってはいられない。俺は俺の
やりたいようにやる」
「……って事にならなくて良かったよな」
 慰霊碑の前から歩み去ろうとしたシンの前に、いやらしい薄笑いを浮かべたもう1人の
シンが現れた。2人はそのまま擦れ違う。笑っていた方のシンが涙を流し、硬直したキラ
の手を取る。
「本当は分かってたんだろ? 自分は何も助けられない。何も守れないんだって。力が無か
ったんじゃない。誰かの邪魔があったからでもない。ただ、お前には、出来ないんだよ」
 一語ずつ区切るように告げているのは、シン・アスカの声だった。涙で頬を濡らしたシ
ンが、再び笑顔を貼り付け歩み去ろうとする方のシンに呼びかける。
「お前の守りたい物は、壊される為にある。お前の守りたい人は、奪われる為にある。そ
うだろ? これまでずっとそうだったものな」
 肩に手がかかり、無理矢理振り返らされたシンは自分自身の顔と相対する。
「奪われるまま、壊されるまま……そうした奴に復讐することもできない。押さえつけら
れて、痛めつけられて、挙句の果てにまた奪われる、壊される……殺される」
 肩を掴んでいたシンの姿がぶれて、金髪の少女に一瞬だけ変わった。全身にコクピット
内の破片が突き刺さり、弱々しく微笑んだ彼女の姿に。
「あの時のお前は、正しかったのさ。死んだ奴らを捨てて、自分の事だけを考えた。こい
つらに取り入る最後のチャンスだ。負け犬から抜け出せるんだって」
 ステラ・ルーシェの姿は直ぐに掻き消えた。次に現れたのは、首があらぬ方向を向いた
血まみれの父親。そして、顔の半分を焼かれ絶叫の表情で事切れた母親も。
「だけど良かったじゃないか。大切な物も守りたい人も全部無くなったんだから……」
 肩を掴んでいた手がシンの身体を突き飛ばす。転んだ先に見えたのは、華奢な右腕。
「もう、悲しくない」
882879:2011/10/14(金) 17:46:16.54 ID:???
 よろめき、床に置いてあった物に躓きながら、シン・アスカは洗面所に辿り着いた。蛇
口を捻って冷水を出し、両手で掬い自分の顔に叩きつける。それを何度となく繰り返した
後で、床に膝を突いた。真っ白な洗面所の灯りに照らされ、ずぶ濡れの両手が床に水溜り
を作る。天井を仰ぎ見た。
「3年前、か……」
 その時、ベッドに置いてあったアラームが鳴る。手近なタオルで身体を拭き、シンは
ゆっくりと立ち上がった。ベッド際の窓まで歩いていき、アルミ製のブラインドを上げる。
コロニー内の時刻は間もなく午前6時になる。人工の空を彩るスクリーンが金色に輝き、
新しい一日の始まりを告げていた。スクリーンの向こうで、アーモリーワンの巨大な採光
用ミラーが動いているのが垣間見えた。
 洗面所に戻り、鏡を見る。左右の頬を軽く叩いて緊張感のある表情を作った後、横にあ
る収納スペースを開けてザフトの緑色の制服を引き出し、素早く着込む。「STG」と彫られ
た銀色のバッジを左胸に着けた後、宿舎のドアを開けた。


機動戦士ガンダムSEED Destiny: Begin Again.

コズミック・イラ77年。二度の大戦を経た地球圏では、新たな動きが生まれつつあった。
戦争が終結した事に加え、圧倒的少数のプラントに幾度となく大損害を負わされ、戦後も
その責任追及を曖昧にした地球連合は求心力を失い、理事国側は身内からの、消極的なが
ら執拗な妨害に悩まされていた。
またプラントでも、ラクス・クライン最高評議会議長の意を受けたクライン派議員らが
地球連合理事国との友好関係を独断専行に走る形で築き上げ、他派議員達との対立が深ま
っている。クライン派と地球連合の上層部は戦前のみならず、戦時中も密接な関係を維持
しており、現在議会は「歌姫の騎士団」の戦費がどのようにしてまかなわれていたのかを
巡って紛糾している。既にプラントからの脱退を匂わせている都市コロニー郡もあり、彼
らは地球連合の非理事国とコンタクトを取っている。
 オーブのような小さな島国にも、分裂の兆しが迫っていた。セイラン家の失墜によって
社会的地位を脅かされた人々が、東アジア共和国に流入。共和国内においても「極東地区」
と呼び分けられる秘密主義的、閉鎖的なことで知られるコミュニティと結びつき、人材流
出、技術流出が進んでいる。
 肩を並べていた者達が背を向け合い、誰もが別々の方向に歩んでいこうとする時代は、
シン・アスカのような兵士にとってもやり辛い世の中だった。敵と味方の境界線がぼやけ、
顔のない存在と対峙しなければならない。大戦の終結に伴う軍事費削減のため、各勢力は
旧式のモビルスーツを安値で放出し、代理戦争の準備を始めている。
戦争は確かに終わった。しかし戦いが終ることはない。これまでも、これからも。
883879:2011/10/14(金) 17:47:24.59 ID:???
 デブリ密度の濃い宇宙空間を、ウィザードを装備していない5機のザクウォーリアが進
んでいた。先頭やその側面の機体に様々な廃棄物がぶつかり、大きいものは構えている
ビームアサルトライフルで破壊してはいるが、飛散した破片にぶつかってよろめいたり、
高速で頭部の前を横切る別のデブリに視界を遮られてブレーキをかけたりと、スムーズな
行軍とは言えなかった。
 先頭のザクが逆噴射をかけて止まり、後続を押しとどめるよう左腕を水平に伸ばす。モ
ノアイを瞬かせたその先には、輸送船の残骸があった。樽のような形をした燃料タンクの
底から伸びた細いワイヤーが、焼け爛れた外壁タイルと繋がっている。その丁度中間に、
直径2メートルほどの円盤が浮かんでいた。後続の4機と共に後退した先頭機が、ライフ
ルを構え直す。人間の射撃と同じ姿勢を取った直後、その頭頂部を緑色のビームが貫いた。
ビームはコクピットまで達し、ハッチが内側から爆ぜる。
 散開し、ビームが撃ち出された方へ武器の照準を合わせる4機。しかし完全に機体が向
き直る前に、先程警戒していた円盤型の装置に二射目が撃ち込まれた。宇宙の暗闇が真昼
のように明るくなり、僅かな間傍にいた機体の搭乗者から方向感覚を奪う。メインカメラ
が光量を調整してすぐさま視界を確保するが、最も態勢を立て直すのが遅かった1機に、
襲撃者が肉薄していた。
 黒の宙間迷彩を施したゲイツRが、モノアイの光跡と共に1機のザクへ急接近し、シー
ルドの先端から発生させたビームサーベルで胴体を貫いた。その姿勢のまま飛び去るゲイ
ツRに向け、3機のザクがアサルトライフルを連射するが、全て外れるかデブリに着弾する
かで、命中しない。飛んで行った先で爆発が起きる。
 1機のゲイツRに振り回されるように、再び向きを変えた3機がスラスターを噴かし、
追撃にかかる。直後、デブリの隙間を縫うようにビームライフルが撃ち出された。狙われ
た1機は初手をかわすが、回避行動を取った先でデブリに衝突する。スパイクシールドを
古い船の残骸にめり込ませてしまい、抜き取ろうとしたのを見逃されることなく、右腕、
胸部の順に射撃されて大破した。
 2機だけになったザクは互いに背中合わせになり、全身のスラスターを小刻みに噴かして
敵の位置を割り出そうとする。デブリの隙間に青白い光を見た1機が、狙いを満足につけ
ないままアサルトライフルを乱射した。ビームの火線に大小夥しい数の漂流物が反応して、
光の華に彩られる。その小爆発を貫いた別の射撃が、背中合わせになった2機のザクを引
き離した。長銃身のライフルを携え、胸をシールドで庇ったゲイツRがそこへ迫る。接近
しつつビームサーベルを伸ばし、ザクの胴を薙ぎ払った。シールドを持つ腕を振り払った
姿勢のまま最後の1機に向き直つつ、ゲイツRは振り下ろされたビームトマホークを左に
かわす。斧を振り下ろした姿勢のままザクが斬り上げてくるのを、今度は右に避けた。左
腕を引き、刺突の構えを取る。そして格闘戦で勝負とばかりに左肩のスパイクを突き出し
て突進するザクから距離を取り、左右の腰に備え付けたレールガンを展開。二連射して
5機目のザクを破壊した。
884879:2011/10/14(金) 17:48:09.32 ID:???
 部屋に6機置かれたMS用シミュレーターの1つから最初に出てきたザフト教導隊員
シン・アスカが、他の5人を待ってスクリーンのスイッチを入れる。ザフトの赤服5人が、
虚ろな表情で戦闘記録に視線を移した。
「まず敵の罠を見つけた時点で、襲撃されると思った方が良い。デブリにワイヤートラッ
プを仕掛けるっていうのは、ここ最近特に増えてる手口だからな。こうやって、密集した
まま悠長に罠を狙ったら駄目だ。正確に撃たなくても良い。とにかく直ぐに壊す」
 リモコン片手に巻き戻しと再生を繰り返し、先頭のザクがやられるのをたっぷり3回
見せた後、シンは映像を続ける。
「こういう風に障害物がたっぷりとある場所では、奇襲されたら直ぐに隠れるのが良い。
襲撃する側は、大抵しっかり身を隠している。敵を倒すよりも、自分の身を守ることを
優先させた方が良い。それから、せっかく見つけた罠の場所はしっかり確認すること」
「あのぅ。アスカ教官」
「ん、なに?」
 次の映像に移ろうとしていたシンが、遠慮がちに手を上げた赤服に向き直った。
「教官のゲイツR、速過ぎません? 本当に、実機であんな動きが出来るんですか?」
「出来るよ。」
 何の気負いも遅れも無く言い返され、詰まってしまった赤服を不思議そうに見つつ、
シンは言葉を続けた。
「相手の動きを予想できていないから、速く見えたりまるで攻撃に反応できないんだ。
何度もシミュレーションを繰り返して、何度もやられないと感覚が身に付かないかもな」
 そう言って生徒達を眺めたシンは小さく唸った。赤服がザフトのトップであり、
エリート中のエリートだという前提は、シン自身が赤服に袖を通した頃から崩れ始めてい
た。ザフトレッドになれば、それだけでプラント内では「成功者」と見做される。プラン
トの評議員や大企業経営者はこぞってザフトを援助し、自分の子供達を赤服にしてアカデ
ミーを卒業させ、2年か3年で名誉除隊させて後継者にするのだ。
「シミュレーターのザクウォーリアには変な癖があります。ちゃんと動かせないんです」
 別の一人が、手を上げながらあからさまに不平を口にした。
「それに、教官。宇宙空間の戦闘なのに、この部屋の重力は1Gに設定されています。これ
では適切な戦闘など出来るわけがありません」
「……それはつまり、俺も「適切に」戦っていなかったってことか?」
 腰に手を当てたシンが、彼の目の前に歩み寄る。思わず視線を外そうとする相手の目を
赤い瞳で見続けながら、シンは息が感じられる所まで顔を近づけた。
「わかった。次は重力下戦闘だ。コロニー内部の設定でやってみよう。マシンに戻れ」
 赤服達に告げ、シンは彼らの溜息を背に受けつつシミュレーターに戻る。もう休憩時間だろとか、今度父親に抗議して貰うという声が、ハッチを閉める寸前に聞こえてきた。
「溜息をつきたいのはアンタ達だけじゃないぞ。全く……」
885879:2011/10/14(金) 17:49:07.29 ID:???
とりあえず最初はこんな所で。
「一緒に戦おう」って言われて「はい」って答えてしまったシンが、色々考えながら生きる話になる予定。
886通常の名無しさんの3倍:2011/10/14(金) 18:25:26.97 ID:???
ふと思ったんだけど、ストライクダガーにジェットストライカーみたいなのを付けられたら、数だけはそれなりに揃いそうだな
ダガーLやウィンダムに改修できるわけでもないし、価格もかなり暴落してそう
887通常の名無しさんの3倍:2011/10/14(金) 18:32:58.68 ID:???
やっぱり、なんで失敗したか考えられる、工夫が出来るってのは、一流と二流との差だな
シンみたいに「あの場面でこう仕掛けていたら、一歩目がこういう動きだったらうまくいっていた」と考えるか、
ルナみたいに「また外してしまった。仕方が無いし次頑張ろう」って考えるのとでは全然違う
資質以前に、戦いに臨む態度の差も凄くあったと思うよ
888通常の名無しさんの3倍:2011/10/14(金) 18:49:28.93 ID:???
>>885
GJ!
赤服の能力には疑問がありますよねえ
自分の心に折り合いをつけながら生きてるシンも渋くていいですね
889通常の名無しさんの3倍:2011/10/14(金) 22:50:38.34 ID:???
>>885
「一緒に戦おう」って言われた時「ふざけるな! 死ね! 氏ねじゃなく死ね!!」としなかった事を
シンが後悔するんでしょうか?
890通常の名無しさんの3倍:2011/10/15(土) 03:11:31.99 ID:???
シン総合クロススレでは職人さんを募集しています、このスレの雰囲気のネタでも違和感無く受け入れられると思いますので是非覗きに来て下さい。
891通常の名無しさんの3倍:2011/10/15(土) 07:40:22.76 ID:???
>>890
対立工作乙
892通常の名無しさんの3倍:2011/10/15(土) 09:13:15.80 ID:???
>>885
投下乙です。これからのシンの葛藤に期待
893通常の名無しさんの3倍:2011/10/15(土) 23:28:26.52 ID:???
>>891
いえ工作ではなくマジで職人募集してるんですが!なにぶん過疎ってるので
894879:2011/10/15(土) 23:42:21.00 ID:???
クロスオーバーは書ける気がしないなあ
895通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 01:49:45.40 ID:???
>>893
あそこってよそとの関わりや話題持ち出し禁止じゃなかったか?
最近行ってないけどルール変わったの?
896通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 02:19:24.05 ID:???
>>893
あそこはネタのより好みが激しいから書く気がしないな。
スパロボスレが割合隣の世界なら、あそこはこのスレにそれなりに近いが決して相容れない極めて遠い世界だ。
897通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 06:44:12.52 ID:???
>>895
変わってない
つうか最近でもむこうで外に持ち出したり宣伝するなって住人が怒ってた
898通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 09:38:23.05 ID:???
もういい加減に鎖国状態じゃ過疎る一方なんで宣伝に来ました。上で言われてる通り外部に〜ってルールはあるんですが、それだけじゃ無理だというのが現状です…
899通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 11:17:56.62 ID:???
下手に問題起こして取り潰しになる前に諦めろ
どんなスレでもいつかは廃れるんだから
900879:2011/10/16(日) 16:13:32.69 ID:???
投下します。
901879:2011/10/16(日) 16:15:00.11 ID:???
機動戦士ガンダムSEED Destiny: Begin Again.

 戦争が終わった後、戦艦ミネルバの関係者達は意図的に離れ離れにさせられ、互いに連
絡のつかない状態に置かれていた。歌姫の騎士団を追い詰めた存在として警戒された事に
加え、シン・アスカが「キラ・ヤマトを撃墜した、唯一人のMSパイロット」であり、
ミネルバに乗り込んでいた多くのクルーが、その時の状況を見聞きしていたからである。
 コーディネーターの優位性、特にどれだけ高度な遺伝子調整を受けたかが社会で重要な
意味を持つプラントにとって、こうした事故は好ましくなかった。コーディネーターの最
高傑作をザフトの頂点に迎え、「平和の歌姫」ラクス・クラインと並び立たせることで支配
層の権威を保たせる為に、フリーダム撃墜事件に関してはメディアを介して露骨なまでの
意識操作が行われた。いわく、あの時のフリーダムは整備が万全ではなかった。いわく、
シン・アスカは命を奪おうとしないキラ・ヤマトの優しさに付け込んだ。いわく、アーク
エンジェルの援護を優先させる為、キラは敢えて撃墜されることで注意を引きつけた等々。

 MS戦について殆ど知識のないプラント市民の大半はそれで納得したが、ザフト内部に
ついてはそう上手くいかなかった。実力主義とはいえ、ザフト兵も感情を持っている。一
度ならず二度までも自分達を攻撃しておきながら、ラクス・クライン議長が懇意にしてい
るというだけで自分達のトップに収まったキラへの反発は大きく、中には「あいつに従う
くらいなら、シン・アスカの方がまだマシだ」と発言する者も出てきてしまう始末だった。
 勿論彼らはシンに従うつもりなどないが、彼らの不平の中にシン・アスカの名前が出て
くることが問題なのだ。そして、苦心した末にクライン派の息がかかったザフトホワイト
達が新設したのが、「ザフト教導隊(Special Training Group)」である。エースパイロット
の優れた技量と経験を後進、先達問わず他のパイロット達に伝え、ザフトが得意とする
MS戦のパフォーマンスの更なる向上を図る、というのが表向きの目的である。隊員第一号
となったシンは、デブリ海監視任務から一転、アーモリーワン勤務となった。
 他の教導隊員には、メサイア攻防戦でデュランダルから離反して歌姫の騎士団を援護し、
戦後その責任を取って評議員を辞したイザーク・ジュールやその側近ディアッカ・エルス
マンなどがいる。いずれにせよ現体制には不都合ながら、ただちに追放する事のできない
人物を集めたのだ。無論、設立の本当の狙いはシン・アスカである。イザークを加入させ
たのもその為だった。最後までデュランダル側として戦ったシンと、寝返ったイザークと
では当然思想的な違いがあり、1つのグループ内にまとめれば直ぐにいがみ合いを始めて決
定的な不祥事を起こすだろうと、ザフト上層部は楽観視していた。
 しかし教導隊設立から2年経った後も、シンがザフトから除かれることはなかった。
シンとイザークは度々衝突したが、争いの種は常にモビルスーツや戦術であり、その議論
は概ね建設的だったからだ。それでも教導隊は監視用の檻として、また経験の浅いザフト
兵達を落胆させる仮想敵として、今日まで役割を果たしている。
902879:2011/10/16(日) 16:16:30.23 ID:???
「お前、一週間後の演習ではザクかグフに乗り換えるのだろうな?」
「急に何ですか。乗り換えませんよ」
 アーモリーワン第4MSハンガー脇に設けられた教導隊員詰所に入って早々、イザークに
声をかけられたシンは素っ気ない返事をして、持っていたPDAを自分のデスクに置い
た。その脇に湯気を立てるコーヒーの入ったカップを見つけ、顔を上げる。ザフトの黒服
の上にエプロンを着けたディアッカに手を振られ、少し躊躇った後に敬礼した。
「シン、今クッキー出すからな」
「有難うございます、ディアッカさん」
「ザフト設立以来の大規模演習なんだぞシン! ストライクフリーダムやエターナルまで
駆り出すんだ。教導隊は、エターナルの右舷に展開する事になる。報道陣が一番注目する
所に、旧式機を置くわけにはいかんだろう! あとディアッカ! 俺にもクッキー!」
 相変わらずの剣幕と音量で迫ってくるイザークに構わず、シンは自分の席に座った。自
分のPCを点けて、情報ターミナルにアクセスする。
「ほんとだ。誰が決めたんですか?」
「プラント防衛委員長、キラ・ヤマトだ」
「バカじゃないのか、あの人……」
 露骨に嫌な顔をして、シンは鼻を鳴らす。戦後、キラ・ヤマトは何かとシンにコンタク
トを取った。シンも拒む理由が無かったので何度か直接顔を合わせたが、その時の彼は、
慰霊碑の前で自分に手を差し伸べた時とはまるで違っていた。自信が無さそうで、遠慮が
ちで気の弱そうな彼は、人を殺すどころか争うことさえ嫌っているように見えた。話題も
殆どが当たり障りのない物だったが、一度だけ場が緊張したことがある。


「シン……僕がスーパーコーディネーターだって事は知ってるよね?」
「ええ」
 キラ・ヤマト個人に宛がわれた小奇麗なオフィスに招かれ、ソファに腰かけたシンは、
ごく短い返事を返していた。まだ敗北の記憶が真新しい時期だった。仲間と引き離されて
神経がささくれ立っていたシンは一刻も早く辞去したがっており、その態度を隠そうとも
していなかった。
「じゃあ、スーパーコーディネーターが何なのかは知ってる?」
「又聞きですけどね……設計図通りの完璧なコーディネーターなんでしょう? キラさん
を作った人は、アンタをどんなコーディネーターよりも優秀な人間に作ろうとした。で、
その通りになった。だから俺達ザフト兵は、アンタに従ってる……だったかな」
 黒髪を乱雑に掻き乱したシンは、息を吐いて目の前のコーヒーカップを見下ろした。部
屋に入ってきた時には淹れ立てだったそれは、もうすっかり冷めてしまっている。キラか
らの返事がすぐに来なかったので、それに口をつけた。
903879:2011/10/16(日) 16:17:36.01 ID:???
「そうだね……皆そう言っているし、僕も否定はしない。でも、君は納得してないよね?」
 カップから口を離したシンが、横目でキラを見る。
「だって、僕も納得していないからね。あの時、君に負けたんだから」
「たった一回の勝ち負けで、人間の出来の良さは決まらないんじゃないですか? 俺はキラ
さんに勝ったけどキラさんより格上だとは思ってないし……自分がアスランの下にいると
も思ってない」
 コーヒーを飲み終えたシンは、再び黙りこくってしまったキラを見つめる。ソファから
立ち上がり、キラに歩み寄った。
「何が問題なんですか。一体何を悩むんです? アンタみたいな人が」
「僕はスーパーコーディネーターなんだよ、シン。だから僕のやる事はいつも正しいんだ」
「……キラさん?」
 キラの開かれた両目を見て、シンが訝しげに名前を呼んだ。直後、突然立ち上がったキ
ラがシンの両肩を掴む。
「僕が正しいことをしているからじゃない。僕がスーパーコーディネーターだから正しい
んだよ! プラントでは皆そう言うんだ! スーパーコーディネーターだから! 生まれつ
き最高の人間だからって!」
 それほど強い力でもなかったが、シンは抵抗しなかった。壁に背中を押しつけられ、
冷たい目でキラを見る。
「僕は何度も間違いをやったよ。謝らなくちゃいけない事もやった。でも全部無かった事
になったんだ。それは僕が必要とされていたから……僕無しじゃ、ヘリオポリスから皆
脱出できなかったし、アークエンジェルは地球に辿り着くことも出来なかった!」
 シンの肩を掴む力を緩めたキラが、紅色の目から視線を反らして俯く。書棚の傍に停ま
ったままのトリィが、透き通った目でキラとシンを。見つめていた。
「無かったことにするべきじゃ無かったんだ。僕は憶病過ぎて、一番大事な……」
「今更、俺にそれを言うのか」
 途中で言葉を遮ったシンが、キラの胸に手を当てて軽く突いた。ザフトの最高責任者が、
力無く椅子に座り直す。制服の皺を伸ばしながら、シンは続けた。
「何もかも自分の思い通りにして、邪魔者が全部いなくなって、誰も手に入れらないよう
な物を揃えた後になって、反省のフリか。貰える物は貰ったけど、仕事が増えて面倒臭く
なったってことかよ?」
「違う!」
「アンタ俺に言ったよな。幾ら吹き飛ばされても、また花を植えるって。一緒に戦おう
って。沢山の人がアンタに期待してるんだよ。クライン議長とアンタが、プラントの新し
い希望になってくれるって。アンタ達に任せれば安心なんだって!」
 俯いたキラの胸倉を掴み、自分の方を向かせたシンが、犬歯を剥き出して告げた。
「俺もその1人だ。二度と、俺をがっかりさせるなよ」
904879:2011/10/16(日) 16:18:46.92 ID:???
「……確かにお前が言った通り、ザクウォーリアとグフイグナイテッドに搭乗している
パイロットは2割にも満たない。だがな、今回の演習は一般公開されるし、オーブ軍は
勿論、東アジア共和国軍やスカンジナビア王国軍、更に地球連合軍からもオブザーバーが
派遣されてくるんだ。そういう中で、旗頭の艦を守る部隊にゲイツRが居ては!」
 イザークの大声で我に返ったシンは、目の前のコーヒーカップに視線を落とした。湯気
を立てていた淹れ立てのコーヒーはすっかり冷めて、横の皿にはチョコレートクッキーが
2枚乗っている。
「シン、お前の教導隊員としての意見には俺も同意している。だがメディアに露出する
ことになった以上、そればかりではやっていられない! 俺達はプラントの利益を……」
「あ、ごめ……いえ、すみませんイザークさん。何の話でしたっけ?」
 肩を震わせるイザークに気付かず、困惑気味のシンがカップに口をつけた。
「とりあえず、俺は演習でもゲイツRで出ますよ。乗り慣れない機体で痛い目を見るのは
沢山ですからね。たとえそれが実戦じゃなくても。イザークさんは何でも好きに乗れば良
いんじゃないですか?」
「……どうやら俺好みの方法で決着をつけるしか無いようだな、シン」
 唇をわななかせて言葉を絞り出すイザークを、シンが不思議そうに見上げる。
「あー、イザーク? 後20分でシミュレーションルームに行かないといけないんだが」
「教官の体調不良につき自習とでも伝えておけ、ディアッカ」
 部屋のインターコムが鳴ったのは、丁度その時だった。ぼうっとしていたシンが応答
キーを押して、小さなディスプレイに映ったザフト兵のヘルメットを見遣る。
「こちら教導隊オフィス」
『マイウス方面、第37MS小隊のターナーだ。ザフト教導隊の出動を要請する』
 シンは顔を上げ、イザークやディアッカと顔を見合わせた。人不足のザフトでは、1つの
部隊が2つ以上の任務、任地を兼ねることが多い。教導隊もその例外ではなく、有事には
即応部隊としての機能を求められている。
「状況は?」
『M2βデブリ帯にてMS1個分隊が消息を断った。捜索の為に2分隊出したが、やはり
応答がない。近隣の部隊にも救援要請を出してはいるが、彼らでは……』
「了解した。モビルスーツ3機で急行する。通信終わり」
 横から口を挟んだイザークが返答し、モニターから光が消える。早速パイロットスーツ
を取りに行くディアッカを見送った後、イザークはシンを見下ろす。
「演習前にトラブルが表沙汰になってはコトだ。異論はないな、シン」
「はい、イザークさん」
 頷いたシンも立ち上がり、ロッカールームへ急いだ。自分の番号が書かれた所を開ける。
「俺をがっかりさせるな、か……そういう俺は、どうなんだろうな?」
905879:2011/10/16(日) 16:19:53.83 ID:???
とりあえず此処までで。
906通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 16:23:25.82 ID:???


体面を気にするイザークと実を取るシンか。
両方正しいし、結局力で解決するしかないのかなwwwww
907通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 16:41:35.72 ID:???
乙です
この話のキラ見てると、種でフレイと別れようとしてた頃の奴を思い出すな
とりかえしのつかない事しちまったことにやっと気づいたけど
それをどう償えばいいか分からずに誰かに縋ろうとしてた頃のキラ
(種ではその相手がカガリだったわけだが)

基本善人だけどヘタレというかメンタルの躁鬱が激しかったのが種のキラだと思う俺
908通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 19:38:30.61 ID:???
キラはフレイの時みたいに理不尽な理由ではなく、
ちゃんとした理由でちゃんとした形で責められるべきだった。
それこそが逆にキラの救いになった筈なのに。

彼の側にいる人はきっとキラが苦しんでいるから罰なんて必要ないと思ったのだろうが
罰というのは時に罪に苦しむ人の救いにもなるのにね。
909通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 19:53:33.28 ID:???
俺も書いているけど難しいな 第一話からグッと引きつけるようなものが書けない
910通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 19:55:00.07 ID:???
何故か「シン!もっと僕を責めて詰ってくれ!!」と言いながらシンにせまる、
8頭身のキラはキモイという単語が脳内に浮かび上がってきたw
911通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 20:02:18.92 ID:???
>>910
その図は八頭身アスランがキラに迫ってやる方がリアルだなw
912通常の名無しさんの3倍:2011/10/16(日) 23:30:25.08 ID:???
なんつーか、言い方は悪いのは百も承知で言うが、
「一人目」が出てきたみたい。
キラファンにはすまん。
913通常の名無しさんの3倍:2011/10/17(月) 01:03:50.19 ID:???
キラ厨なんぞに気を使ってやる必要はない。
キラはもっと苦しめとしか思わんなあ。
罪に自覚あるだけマシだが、まだ足らん。
914通常の名無しさんの3倍:2011/10/17(月) 02:53:44.46 ID:???
488KBなんで立てました
40スレ目であってるよね?

ガンダムSEED 逆襲のシン・アスカ EPISODE XL
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1318787555/
915通常の名無しさんの3倍:2011/10/17(月) 05:52:27.77 ID:???
>>913
キラ厨ならともかくキラファンには気を使おうぜ
916通常の名無しさんの3倍:2011/10/17(月) 09:27:50.01 ID:???
投下&スレ立て乙っすー
綺麗になろうとしているキラって感じかなあ
あと変な所で改行されてて読みにくい
1レスには一行何文字で何行まで入るんだっけか、教えてエロい人
917879:2011/10/17(月) 19:20:44.56 ID:???
>>916
変な所で改行されてて読みにくい、という状況が私のPCで全く確認できないので、
今のところ直しようがない。すみません。1行何文字っていうのが分かれば、ワードの
ページ設定で調整できるんだけどね。
918通常の名無しさんの3倍:2011/10/17(月) 20:38:06.21 ID:???
> よろめき、床に置いてあった物に躓きながら、シン・アスカは洗面所に辿り着いた。蛇
>口を捻って冷水を出し

蛇口、みたいに単語の途中で改行入れてるようなのが「変な所で改行されてて」ってことだと思うよ。
919879:2011/10/18(火) 19:20:48.99 ID:???
>>918
うーんそういう意味だったんだろうか。だったら何とか出来るな。
920通常の名無しさんの3倍:2011/10/21(金) 22:21:59.42 ID:???
逆襲日記 G月C日 雪所により雹

はーい! 皆サンお待ちかね、暁御前の改修が終わりましたよー! え? 待ってない?
うん、俺も!
そんなことよりあちらの白幕を見ろ! せぇーのっ!

バサリ

「まぁ! 可愛いですわっ! ますますかわいいですわぁ〜!」
ピンクはしゃぎ過ぎ。
「や〜目標の10mが切れなかったのが惜しかったなー。でも、世界最小だぞ!」
幕の向こうには前よりも小型化した、ちんまりと立っている暁が。
基本的には前回と同じだけど、とても素敵な大きな違いがあります。それは……
「おいでまし! メタリックカラー!! すてきーっ!! デザイン見た時からやりたかった!」
キラキラと今までの金色塗装と一緒に輝く、赤、青、緑、その他諸々! 完璧過ぎてどうしよう!!
「余計に的……いや、この間まで無かったならどうやったんだ? シン」
「デスマーチ中に気がついたらできてた! いいだろ!? このメタリック! やっぱこれだよ!
本当はクリアパーツもやりたかったけど、機密が丸見えになるからダメだったんだよな! チッ」
「いやいやいやおかしいだろ! 薙刀はともかく、何で縮んでるのかとか頭の猫耳とか縦巻きロールとか」
「はぁ? 猫耳とか(笑)あれはライオンの耳ですぅ〜アンテナ兼ねてるんでとれませぇーん。
あと、縦巻ツインテはドラグーンだから。あと、小さくなった理由はあんたの自業自得でーす。」
「なぜドラグーンをそんな風にする必要があるんだよ! 自業自得ってどういうことだ!」
「カワイイカラダッ! あんたが無茶言うからっ! 胸部装甲の無茶で予算が減って資材が足りなくて
じゃあ小型化すれば良い可愛くなって他の2機と被らないしコクピットに苦労したけど大丈夫最初にちょこっと
ザックリ☆身体を物理的に短くすれば絶対に入るから後は何とかなるよこれでみんな幸せ大団円♪」
「幸せじゃねえええええええ!!」

「……アスラン、何かシンのキャラ変わってない?」
「確かに何時もと違うな。そんなにハードだった……? シンっ!」

れ?
じぇ@い5555555555555555555555555555555555555555555555
921通常の名無しさんの3倍:2011/10/21(金) 22:28:31.22 ID:???
埋め時と聞いて

良いよね、キラキラパーツ。
戦○伝のキラキラの格好よさは異常。

新しい職人さんありがとうございます。
潜在的職人さんもいるようで何より。

これ考えてる間に3、4人ほどシンが脳内で増えてて困った。
922通常の名無しさんの3倍:2011/10/21(金) 23:25:18.51 ID:???
>>920
久し振りに逆襲日記来てる〜。乙です

魔改造ってやり始めると止まらないよね!!!
923通常の名無しさんの3倍:2011/10/22(土) 01:36:38.27 ID:???
乙&埋め
今日明日辺りに新スレに投下するかも
924通常の名無しさんの3倍:2011/10/23(日) 22:42:20.99 ID:???
まだ埋まってないのか…
うめうめ
925通常の名無しさんの3倍:2011/10/23(日) 23:46:26.81 ID:???
埋め支援
926通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 00:02:18.97 ID:???
ただ埋めるのも芸が無いのでボツネタ埋設

「絶対罠だよな、これ」
現地へと向かう輸送機の格納庫の中、傭兵シン・アスカは頭を抱えていた。
「受けなきゃ良かったかな……でも金無いしなぁ」
本日何度目か分からない溜息をつくと、手元の携帯情報端末に目を向ける。
匿名の依頼主、 行き先も分からない輸送機に乗せられて行く作戦領域、敵戦力は不明、極め付けに多額の前払い報酬。
どう考えても騙して悪いが。です。 本当にありがとうございました。
ここの所まったく依頼が無く、弾薬費にすら困り果て、ヒモだのジゴロ呼ばわりが嫌でつい引き受けてしまったが、
冷静になると怪しいことこの上ない。 依頼文がやけに低姿勢なのが更に怪しい。
『傭兵、もう直ぐ作戦領域だ。 降下準備をしてくれ』
ボイスチェンジャーで声質を変化させた輸送機パイロットの声が格納庫に響く。
「まぁ、適当なとこで弾切れとかの理由で切り上げてバックれるか。 裏切りは傭兵の常って言うしな」
さり気無く死亡フラグを建てつつシンはスラッシュザクファントムに乗り込む。

『降下ポイントに着いた。 降下してくれ』
感情の篭っていない声と共に輸送機後部の搬出口が開く。
「俺……この任務が終って、無事に戻ってきたら、パインサラダとステーキを食うんだ。 そんでもって、もう二度とこんな依頼受けない」
爽やかな笑顔と共にシンは輸送機より降下する。
最後まで見事な死亡フラグを建てっぱなしなシンに、パイロットは同じパイロットとして、心からの敬礼を送ると、巻き込まれないよう早々と逃げ出した。

傭兵シンが多かった頃に考えたけど次の展開が思いつかなくてボツ
927通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 00:09:00.44 ID:???
ボツ2

「…………っ!」
意識を失っていたシンが目を覚ましたのは見知らぬ部屋の中だった。
「ここは、それに俺は?」
パイロットスーツを脱がされインナーだけのシンは周囲を見渡した。 上半身を起こすと節々が妙に痛む。
「ああ、そうか。 俺は……」
その痛みに自分の身に起きた事を思い出す。
テロリスト殲滅任務の帰還途上に友軍機、あの歌姫の騎士団から後ろから撃たれ文字どうりの蜂の巣にされたのだ。
「良く生きてるもんだ、奴らが下手なのか?」
こうして生きている事から察して友軍(歌姫の騎士団ではない)が拾い上げてくれたらしい
「……ああ、目を覚ましたのか」
礼を言わなければとベットから立ち上がったとき、扉が開き、右手で松葉杖を付いたツナギ姿の女性、ロングストレートの黒髪で顔を隠すように前髪も長い女性が入ってきた
「ああ、お陰様で。 ……もしかしてここザフトじゃない?」
女性のつなぎがザフトの物でないものに気付いたシンは首をかしげた。
「宇宙開発初期の廃棄されたコロニーだ、買出しに出ていたときに君が流れ着いてな」
「それにしても良く生きているものだ、まあ、死にぞこないは私も同じだが……飲みなさい」
そういうと女性は左側の腕で水の入ったボトルを渡した。
「ありがとうございます……」
女性の左手は冷たかった。 おそらく義手なのだろう、それも相当高精度な。
「思ったよりも驚かないのだな……初対面の人間の驚く顔を楽しみにしているのだが」
シンが義手に触れて驚かないことに少しだけ嬉しそうにした女性は笑う。
「知り合いに全盲でパイロットやってる人もいますし」
シンはコーディネイターでありながら眼鏡をつけた世話になった人物の顔を思いだしていた。
「……ああ、聞いた事がある。名前は確かリーカだったか。 しかし君達プラントの技術力はすごいな。 全盲の人間を見えるようにしたり、精巧な義肢を作り上げるのだから」
女性は何処か感心した様子で左手を見ていた。
「貴方はコーディネイターなんですか?」
「いや、私はナチュラルだよ……元連合軍のね」
シンの質問に女性は首を振り答えた。
「連合軍?_……あの失礼ですが貴女の名前を聞いても良いですか?」
「プラントでは自分が名乗らずに女性に名前を聞くの?」
「シン、シン・アスカです」
「そう、貴方が……私はナタル。 ナタル・パジルール」


実は生きてたナタルさんネタ。 右足、左足は義肢で顔や体に大きな傷が残ってる設定。
シン×ナタルという意味不明誰得な上、プロット時点でなんか凄い救いのない暗い話になりそうだったのでボツ
928通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 00:09:23.71 ID:???
埋め埋め
929通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 00:09:37.97 ID:???
梅女
930通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 01:00:47.10 ID:???
>>927
あえて言おう!
そのカップリングは俺得だwww
黒髪同士な上に中の人が同じナタルさん!
シンと絡ませたら一騒動起きるなんてレベルじゃないw
ぜひ次スレで続き頼んます!
931930:2011/10/24(月) 01:05:31.23 ID:???
いかん;
>>930で書き間違えた;
正しくは『黒髪同士な上にステラと中の人が同じナタルさん』だったYo!f^_^;
932通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 02:51:08.24 ID:???
埋めネタ乙!

そして>927の続きを!
暗い話も大好物だ!
933通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 15:29:52.62 ID:???
シン×ナタルで思い出したが昔どっかのスレで、
ちゃっかり生き残ってた盟主王と旧三馬鹿とフレイが何でも屋をはじめて
そこで非常識な社長と同僚に色々と苦労するシンとナタルって内容の話があったなぁ…
934通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 21:49:41.20 ID:???
何それすごい気になる。

某勇者クロスではナタルさんとラウが保護者になってたっけ。
彼女、あまり話しに出ないんだよなぁ。
マリューさんの回想とかに出たりしたっけ?
935通常の名無しさんの3倍:2011/10/24(月) 22:13:20.27 ID:???
>>934
アル・ダ・ジャ・ネーヨか。懐かしいな
936通常の名無しさんの3倍:2011/10/25(火) 17:12:05.02 ID:???
まだ落ちてないのか。
AAやエターナル並にしぶといなw

何か、シンがエターナル落とそうとした時のアレが思い浮かぶんだが…
まさかストフリや隠者がいたりしないよな?
937通常の名無しさんの3倍:2011/10/25(火) 22:28:45.35 ID:???
あー、新スレに移行してたのか
938通常の名無しさんの3倍:2011/10/25(火) 23:22:54.09 ID:???
そろそろ埋めちまぇよ
939通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:05:20.19 ID:???
埋め
940通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:07:07.43 ID:???
埋め
941通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:20:42.46 ID:???
ume
942通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:20:52.56 ID:???
ume

943通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:21:23.17 ID:???
埋めるけど、これ普通に950でスレ立てでも良かったかもね
944通常の名無しさんの3倍:2011/10/26(水) 00:21:38.56 ID:???
埋め
945通常の名無しさんの3倍
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  ィ-イ:::::::::::::::::;、l           '  /,:イ´::ノ:! '|
    !::::ハ::::i´!| ヾ     _,:.‐.‐ュ、  ノ;:::/`' 
    V ヽ:ヽソ、        ̄    クイ/       <残り1kbないのに何言ってんですかアンタは
       ノ,ィ;::::::::ヽ、       /ィ_' ´
        _,.`=',  ` ` 'ー-‐''l/"7'
      く{"   '´!       /'〉 }
       ヾ.、    l     ,. /" ,.'-------- 、..___
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