【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 13

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1通常の名無しさんの3倍
このスレは種系SSスレのうち、まとめサイトのカテゴリでIF物とされるスレの統合を目的としています。
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過去スレ
【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 12
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 11
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 9
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 8
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 7
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 4
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 3
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【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 2
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【IF系】もし種・種死の○○が××だったら【統合】
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1196438301/

まとめサイト
http://arte.wikiwiki.jp/

兄弟スレ
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら9【統合】
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1254828439/
2ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:31:36 ID:???
 ヘリオポリス外壁の一角。
 それに気付いたのは、ミステール1の戦闘を撮影していたテレビクルー達だった。
 オーブ国防宇宙軍所属のネルソン級宇宙戦艦とその艦載戦力であるMAメビウス五個小隊。そして、ZAFTのMSジン六機を相手にした戦闘を終え、ミステール1が停止したのを確認し、他にカメラを回す余裕が出来て初めて大型輸送船もカメラに捉えられる。
「……なあ、これ点滅してないか?」
 ディレクターがそう言いながら、手元のモニターに映る接近中の大型輸送船を指差した。
 画面の中の大型輸送船はまだ遠く映像は明瞭ではないが、確かに何かチラチラと明滅してるような感じがする。
 大型輸送船を撮影していたカメラマンがさっそくカメラを超望遠に切り替えた。
 モニターの中の大型輸送船は、どんどんその姿を大きくしていく。すると、船橋の窓の光が明滅している事が、はっきりと確認された。
 間隔を置いて、光り、消え、光り、消え……
「……何かの信号?」
 カメラマンの呟きを受け、ディレクターはモニターを睨む。
 短・短・短・長・長・長・短・短・短
 他の幾つかのパターンに挟まり、一定の間隔で繰り返されるこの信号について、ディレクターは知識があった。
「おい、こいつは救難信号だ!」
 すかさずディレクターは、宇宙服に内蔵された通信機を動かし、有線中継器を介して局に通信を飛ばす。
「戦闘シーンに続いてのスペクタクルだ! 局の中でモールスわかる奴を探してくれ! また大ニュースなのかも知らん。急いでくれよ!?」
3ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:32:26 ID:???
 

 テレビ局。スタジオの中、エルからの市民への呼びかけはまだ続いている。
 それをエルの背後で見守っていたユウナ・ロマ・セイランであったが、不意にフロアの一角が音もなく騒然とし始めたのを見て、静かにエルの背後を離れた。
 カメラマンが、ユウナの動きに反射的に反応するが、今の主役はエルであるため、カメラを動かす事はしない。
 エルは、ユウナが離れた事に気づいた様だが、ユウナが突然に変な行動をする事は当たり前と認識していたので動じる事もなく、与えられた役割を演じ続けていた。
 カメラの前を離れたユウナは、フロアの一角へと進む。
 そこに何人か人が集まって慌ただしくしていたが、撮影中だけあって、誰もが音を殺していた。話し声も小さい。撮影に影響はないだろう。しかし無視出来ないほどに、何かが起きている事を如実に示していた。
「どうしたんです?」
 ユウナは囁く様に問う。聞かれてスタッフの一人が、フロアの天井近くに開いた窓……副調整室のある所を見上げて、小声で答えた。
「……撮影スタッフが何かとんでもない映像を撮ったって話で、モールス信号に詳しい奴が居ないかって。ああ、場合によってはこの放送を中断する事になるかも……」
 緊急事態なら番組の変更の可能性はある。その事を断ろうとしたスタッフを、ユウナは手を挙げて止め、そして答えた。
「モールスならわかるよ。役に立てるはずだ」
 ユウナにとってもかなり大事なこの放送を、本来ならばその終わりまで不測の事態など無き様に見守るべきなのだが、今は好奇心が勝った。なにやら、酷く面白くなりそうな匂いがする。
「案内を頼めないかな?」
 ユウナにそう頼まれ、スタッフは頷くと先に立って歩き出した。
 ユウナはその後について歩きながら、カメラの前にいるエルを見やる。
「アスハが正義を掲げ、私達を誅殺しようとするならば、私達は私達の正義をもって抵抗しなければなりません。
 私達の掲げる正義。それは、本来ならば誰もが持っているもの……生存権です。
 私達は、生きて、未来を掴む権利を持っています。その権利を奪おうとする者に、私達は抵抗します。
 アスハは、理念を正義として、私達の権利を奪おうとしている。ならば私達は奪われようとしている権利を正義として、アスハの理念を打ち砕く。
 その為の力はあります。今、宇宙に在るミステール1に。そして、他でもない皆さんの手に!」
 つたないながらも、懸命さに溢れる演説が続いていた。
 とはいえ、この演説を聴いて、エルにカリスマを感じる者は居ないだろう。そう思わせるにはエルは幼いし、言葉が如何にも借り物に過ぎる。
 しかし、エルの背後に力を感じてくれさえすればいいのだ。エルを動かし、あのミステール1を動かし、そして今、ヘリオポリスの住民を動かそうとしている力在る存在を。そうなれば、住民は間違いなく動く。
 その力在る存在というのがまやかしであり、実際の背後には徒手空拳と言って良いくらいのユウナただ一人が居るだけだとしても。偽りであっても、人が動けばそこに力は生まれるものだ。
 それに、カガリ・ユラ・アスハの扇動に乗って起こった悲劇の記憶は、一人のカリスマに従う事を拒絶するだろう。エルをお飾りとしてトップに置けば、それがユウナとヘリオポリス市民達との間で緩衝材になるとの期待も出来た。
 エルは想像以上に上手くやってくれており、任せても大丈夫。そう考えて、ユウナは無貌のマスクの下で笑った。
 本当にエルは良くやってくれている。ただ一人の……自分を見もしない少年の為に。
4通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 09:33:00 ID:???
支援
5ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:33:20 ID:???
 

 副調整室。無数のモニターと、機械機器とそれを操作するコンソールの集合体。そして、壁一面を占めるがごとき窓からは、撮影中のスタジオを見下ろせる。
 ここは番組制作用機器を操作し、音声、映像等を調整するための部屋。つまりここには、撮られた映像の全てが集まってくる。
 そこのモニターの一つに、ヘリオポリス沖の大型輸送船の映像が映し出されていた。
 その大型輸送船が発する発光信号を見て、ユウナは淡々とその意味を語る。
「SOS信号。そして、大型輸送船が今、通信不能、操縦不能状態でヘリオポリスに向かっている事を伝えてるね。つまり、このままなら衝突するって事を警告している」
 伝えられたニュースに、副調整室に集まっていたスタッフ達がざわついた。
「オーブ軍を退けたのに、こんな事故が起きるなんて……」
 誰かが漏らした言葉に、ユウナはスタッフ達を振り返り見て言う。
「事故じゃない。これは攻撃だよ」
 スタッフ達は、ユウナのいきなりの発言に怪訝な表情を浮かべていた。そんな彼等を前にし、ユウナは芝居の役者の様に大仰に、手を天に向かって差し上げながら肩をすくめる。
「市民移送に大型輸送船が選ばれた。本当に輸送だけが目的なら、通常サイズの輸送船を何隻か使った方が効率が良いにもかかわらず。
 その理由がわからなかったけど、今わかった。大型輸送船の欠点は、効率だけじゃない。例えば……そう、“衝突事故が発生した場合に確実にヘリオポリスを粉砕出来る”。
 いわば大型輸送船を弾頭に見立てたヘリオポリスへの攻撃。攻撃をしたのが誰かは……言うまでも無いだろうね」
 たっぷりと含みを持たせて言い終えたユウナの前、誰もが沈黙していた。彼等は言葉を探して視線を彷徨わせた後、一人がおずおずと口を開く。
「ま、まさかそんな……ヘリオポリスはオーブのコロニーだぞ」
 その台詞を待っていたとばかりにユウナは饒舌だった。
「今、オーブにとってヘリオポリスは存在自体が理念に反する物なんだよ。
 ヘリオポリスは他国に占領されているオーブ領だ。つまり、この占領状態を放置すれば、オーブへの侵略を許さないという理念に反する事になる。かといって、オーブはプラントとの戦争を起こしてヘリオポリスを取り返す事も出来ない。
 どうせ、ここにいるのはZAFTと、オーブの理念に反した罪人のみ。なら、“事故でも起こって、綺麗さっぱり無くなった方が良い”と言うわけさ」
 もし仮に、ZAFT襲撃の後にヘリオポリスが崩壊していれば、オーブはずっと心穏やかでいられただろう。領土の奪回などという難題を抱え込まず、被害者として振る舞う事が出来る。“遺憾の意”でも示しておけばいいのだから簡単なものだ。
 現実にはヘリオポリスは占領されており、オーブの理念に従えば失地回復の為に動く事が必要となる。だが、それは容易ではない。ならば簡単な解決方法は?
 ヘリオポリスを壊せば、領土を取り戻す必要はなくなる。無論、正面から攻撃は出来ないから、事故を装って……
 ユウナはそこまで読みを組み立てた。
「どうやら、宣戦布告は先を越されたようだね」
 なるほど、予想以上だ。そこまではしないと思ったが、見損なっていた。いやはや素晴らしい。オーブという国家に宿る狂気がこれ程とは。
 全く、これ程の狂気に、ユウナ個人の狂気でもって挑むなど、まさに狂気の沙汰だ。
 スケキヨのマスクの下、ユウナの口端がぐっと吊り上がり、凄惨な笑みとなる。そしてユウナは、自らの内奥を睨み付けるかのように胸の辺りに視線を落としたまま言葉を紡ぐ。
「良いだろう。戦争開始だ」
 ゲームを始めるとでも言うかのように軽くそう言うと、ユウナは鋭く“命令”を発した。
6ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:34:20 ID:???
「より詳しい情報が知りたい。輸送船と連絡をとろう。ただ、向こうは、通信不能の状態にあるようだから、こちらも発光信号を使う。
 撮影スタッフの内、何人かをコロニー外壁の管理スペースへ。そこからなら外壁の赤色灯をコントロール出来るから、手動で明滅させて発光信号で通信を。モールス信号は、誰か別にわかる者を探して。
 得た情報は全てこの局へ。頼むよ?」
「え……? あ、はいっ!」
 ユウナに指さされたスタッフが、我に返った様に返事をして、通信端末へと駆け寄る。コロニー外壁にいる撮影スタッフに連絡を取るのだ。
 そう動いて当然とばかりに、ユウナは動き出したスタッフに全く興味を示さず、次のスタッフを指差して言葉を続けた。
「ヘリオポリス市庁と警察消防に通報を。
 とはいえ、現在の市庁は人手不足で実行力が無いから、即応は期待出来ない。市民への説明や避難誘導は、このTV局で担うくらいのつもりで居ようか」
 通報を指示した後も、ユウナは自分の考えを続ける。そうする事で、行うべき事をスタッフ達に確認するように。
「そして至急、放送作家を集めてニュース原稿を作って貰おう。基本の筋は、現在入っている情報に忠実に、ただしオーブによる攻撃という事を織り込んで欲しい」
 素早く命令を並べたてながら、ユウナは手元の適当な紙に凄い勢いで文章を書いていく。そして、その紙を放るようにコンソールの上に投げ置いた。
「ざっとまとめるとこんな感じでね」
 紙には、大型輸送船がオーブ軍による攻撃であるという前提に立った上で、ヘリオポリス市民でも知りうる情報からそれが真実であると考える事が出来るように理屈を組み立てた文章が記されている。
 ユウナが書いたのは味も素っ気もない文章だが、放送作家がそれを飾り立ててくれる事だろう。劇的なニュースになるはずだ。
 このニュースが真実であるとする証拠や証明など何もない。だが、それは何の問題にもなるまい。ヘリオポリス市民は、オーブの悪意を知っている。故に、受け入れがたさと戸惑いはあるだろうが、オーブによる攻撃なのだと言われればそれを疑いはしない。
「それから、このニュースを市民に伝える時には、エル様にもお言葉を頂く事。エル様に市民を慰撫してもらう。良いね?」
 既にスタッフ達のほとんどは、ユウナの命令に従って動き出していた。残っているのは、番組制作に重要な役割を果たす者達ばかりだ。彼等はユウナの命令に傾注し、部下に指示を出す者としてその意志を実現しようとしている。
 これは、別にユウナの能力やカリスマに従っているわけではない。
 自信満々に指示するユウナに、現状への対策を持たないスタッフ達が思わず従ってしまったというだけの事に近いのではあるが……加えて、ミステール1という力の存在が大きな影響を及ぼしている。
 ミステール1の圧倒的な力を見たが故に、この危機的状況下で無意識にその力が解決してくれる事を期待してしまい、ミステール1に関わりのあるユウナの声に従っているのだ。
 発言者がユウナではなく、エルであったとしても彼等は従った事だろう。年端もいかない少女に従うという事の異常性に気づきもせずに。
 とはいえ、彼等が従ってしまう状態になるよう用意して演出したのはユウナである為、ユウナの能力が全く無いという訳ではない。
 ここでは、大型輸送船という危機が現れた事で急速に効果を現したが、そう長い時を経ずに全ヘリオポリス市民に同じ様な影響が出たはずだ。
 ユウナはそうなるように仕向け、そして今も行動を続けている。ヘリオポリス市民の心を掌握する為に。それにはここで、もう一度の活躍をしておく必要があった。
 今、ヘリオポリスを砕かれては、全てがお終いになる。
7通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 09:55:22 ID:???
投下終わったのかな?
だったら乙。
なんていうか、オーブの硬直した閉塞感が息苦しい。
8通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 09:56:26 ID:???
「さて、エル様に関してだけど……」
 衝突を防ぐ為、有効な手段となりうるのはミステール1を動かす事。だが問題はそこにある。
 この危機がなければ、ミステール1は放送終了後にでもゆっくりと呼び戻せば良かった。だが……今はミステール1に、新たな命令を伝えなければならないわけだ。
 先の戦闘での獣じみた動きを見るに、ミステール1パイロットのトール・ケーニヒは、シミュレーションでも見せていた戦闘に没入した状態になっているのは間違いない。
 この状態、肉体の限界がくるまでずっとシミュレーションを繰り返したように、戦闘なら放っておいても続けてくれるので、新たな敵の出現は問題ない。一度出せば、自分が死ぬまで敵を探して殺し続ける、狂戦士か自動殺戮機械といった所だ。
 しかし、戦闘ではない作業的なミッションを与えるなら、トールにはこの状態で居て貰っては困る。命令を理解して貰わなければならないし、戦闘最優先の状態で居られると作業を行わせる事が難しいからだ。トールには覚醒して貰う必要がある。
 そして、この状態のトールを覚醒させられるのは、エルの声だけ。つまり、トールに対してエルから呼びかけをさせなければ命令変更は出来ない。
 だが、ニュートロンジャマーの電波障害を振り切って無理矢理通信を行うような設備は民間にはない。つまり、ミステール1に新たな指示を与えるには、エルをミステール1との通信が行える場所に連れて行かなければならない。つまり隠れ家のシェルターへと。
 いや、テレビ局とシェルターは回線で繋がっているので、エルを残してユウナだけが戻り、テレビ局からシェルターを中継してミステール1へと通信をつなぐ事も出来る。
 出来るが……それでは、ユウナがエルを動かす事が出来ない。まだエルに自ら動く事を期待するのは酷だろう。やはり、エルはユウナの手元に置くしかない。
 今行っているエルの放送は中断してしまう事になるが……どうせ、すぐに緊急速報が始まって、放送は中断せざるを得なくなる。
 問題の解決に際して、迷うような事はなかった。
「エル様は一時本拠にご帰還願う。この未曾有の驚異に、対処して頂く為にね。
 さっき言ったエル様からの慰撫は、本拠から通信で送るよ。今やっている番組は即中断。一刻も惜しいから、僕はエル様とすぐにこの局を出る。その辺りの仕切は任せた。
 さあ、行動を開始しよう」
 そう言いきり、ユウナは自らも動き出す。立ち上がると、副調整室の窓から下のスタジオで語りかけ続けているエルの姿が見えた……
9ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:57:54 ID:???
 

「え?」
 カメラの前、エルが読み上げているプロンプターに映されていたメッセージが急に変わった。
 エルは戸惑いを見せつつ、そのままメッセージを読み上げる。
「……市民の皆さん、新たな脅威が迫りつつあります!」
 戸惑いの表情と声の震えが、意図せずその脅威を一層恐ろしげな物に強調した。エルはその事に気づく事もなく、言葉を並べ続ける。
「その脅威が何かについては、時をおかず皆さんに報される事でしょう。それは数刻を待たずしてやってくる死であり、破滅です。
 ですが、安心してください。あのミステール1が、必ずやその脅威を取り除くでしょう。皆さんに見せたあの力を信じて、心安らかに居られますよう。
 私は行きます。ミステール1と共に有る為に」
 エルはプロンプターの横に立つユウナに気づいた。スケキヨのマスクを被りっぱなしなので表情はわからないが、何やら楽しそうだと感じる。
 そして、そんなユウナの横でプロンプターは最後のメッセージを表示した。
「私は、ヘリオポリス行政官の娘としてお約束します。私とミステール1は、ただ皆さんを守る為に力をふるう事を」
 プロンプターに一礼するよう指示が出ていたので、事前にユウナに指導された通り、昔話の姫君の様にスカートをつまんで優雅に一礼する。
「OK、終了でーす!」
 撮影スタッフ達の中で声が上がり、スタッフ達は一斉に安堵の息を吐いた。そしてそのまま、次の撮影の準備の為、忙しく動き始める。
 そんな中、礼をした顔を上げて取り残されたように立ちつくしていたエルの元へと、ユウナが歩み寄った。
「エルちゃん。今、君が話した通り、このヘリオポリスに脅威が迫っている」
「はい……あの、何が?」
 聞き返すエルを、ユウナはそっと肩を抱くようにして歩かせる。
「詳しい話は移動しながらするよ。今は急がないと」
「急ぐって……何処へ?」
 戸惑いながらも、足を速めていくユウナについて行くエルは、スタジオから外に出るタイミングで聞いた。
「一度、隠れ家に帰るんだ」
 テレビ局の廊下を急ぎ進みながらユウナは答える。詳しい説明はしなかったが、エルはそれ以上を求める事はしなかった。
「あの、着替えとかは」
 エルは、体にまとわりつくドレスや手足で重い音を立てる鎖を不安げに見て聞く。
 テレビ局の衣装なので返さなければと純粋に思ったのが半分、そして急ぐユウナについて行くのに邪魔となるので脱ぎたかったのが半分。
 だが、ユウナは足を止めずに首を横に振る。
「いや、その暇はないよ。僕も衣装を脱げないくらいだからね」
「…………」
 エルは言い返す事はしなかったが、ユウナの衣装というのはマスクだけと言ってしまって良いわけで、そんなのは一分とかからずに脱げるだろうに、それを脱がないのは単に脱ぎたいと思ってないだけじゃないのかと思わないでもなかった。
 ともあれ、ユウナには脱ぐ気も、エルが衣装を脱ぐのを許す気も無いらしい。そう察してエルは、衣装を邪魔に思いながらもユウナの後を必死に走って追いかける。
 二人はテレビ局の廊下や階段を駆け抜け、正面玄関へと向かっていた。
10ザクレロSEED:2010/04/30(金) 09:58:38 ID:???
 

「気付いてくれ……頼む……」
 大型輸送船の船橋の中、船長は手を合わせて遠いヘリオポリスを見つめていた。
 船橋の中は明かりが明滅を繰り返している。無論、故障ではない。
 船橋の片隅。照明の配電盤のケースがこじ開けられ、そこに電気技師が取り付いている。
 また、作業用の投光器から懐中電灯や卓上ライトに到るまで、持ってこられる灯りは全て掻き集められ、各々に人が付いてスイッチに手をやっていた。
「点けて! ……消して!」
 彼らに指示を出すのは通信員の仕事。
 操縦及び通信の復旧が不可能……少なくとも衝突前までにはと察した彼らは、何とかしてヘリオポリスにそれを伝えようとした。
 最終的に衝突するとしても、ヘリオポリス市民が避難するだけの時間……あるいは最後にハウメアへと祈りを捧げる時間位は稼ぎたい。
「いや……ハウメアはオーブの神か」
 船長席で全ての作業を見守っていた船長は、そう呟くと皮肉げに笑みを浮かべた。
「船長、何か?」
 船長席の傍らにしゃがみ込んで、卓上スタンドを五つばかり並べて器用にそのスイッチをオンオフさせていた若いクルーが、船長の独り言に気付いて卓上スタンドから目を離さないままに船長に問う。
 船長は、自分の言葉が漏れていた事に苦笑を深めながら答えた。
「何でもない。ただ……我々は何に祈るべきかと思ってね」
 オーブから捨てられた者は何に祈るべきか? いや……この世界に神は既に居ないのだったか。今、オーブにあるのは、“オーブの理念”という“神”であり、その残酷な神は神罰を下そうとしている。
 意味のない思考だった。答を本当に求めているわけでもない。だが、若いクルーは作業を止めぬままに船長に答えて言った。
「あのMAに祈ったらどうですか? あいつ、凄かったじゃないですか。俺達が逆らえないと思っていた物を全部ぶっ壊しましたよ」
「この困難も打ち砕いてくれるか?」
 そう言って船長は、船橋の窓に目をやる。距離がある為、肉眼で見る事は出来ないが、そこにミステール1が居る筈だ……そう知って見ていると、他と何も変わらぬ筈の宇宙が、そこだけが何やら闇の深淵に繋がっているように感じられた。
 神でなくても良い。救いをもたらしてくれるならば。
 船長は苦笑を浮かべようとしたが、何故か上手く出来なかった。
 漆黒の宇宙。深淵に住まうモノが自分を見ている。不意に、そんな幻視にも似た感覚に襲われ、船長は窓から目をそらす。
 妄想の産物である事は理解しているのだが……
「……へ、返信来た! ヘリオポリスで発光信号!」
 船長の思考は、コンソールのモニターに取り付いていた観測員の上げた声に中断させられた。
 船橋内のスタッフが期待にざわめく。船長自身も、思わず身を乗り出して観測員の手元のモニターを遠くから覗き見る。
 ヘリオポリスの外壁に付けられた赤色灯の内、大型輸送船に最も近い位置の一つ……宇宙船の接触事故を防ぐ為の物で、コロニーの位置を知らせる為にかなり遠距離からでも視認出来るそれが、本来ならば有り得ない定期的な明滅を繰り返していた。
 と、通信員がモニターに取り付き、船長の視界を遮る。
 モニターをじっと見ていた通信員は、ややあってから船橋内に響く声で伝えた。
「ヘリオポリスより、『信号受信。状況を詳しく伝えられたし』です!」
11通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 10:03:14 ID:???
支援
12通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 10:06:16 ID:???
もいっちょ支援。
13ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:09:27 ID:???
 

「――ギルぅ!」
 執務室のドアを開けたギルバート・デュランダルを出迎えたのは、甘えと歓喜をたっぷりと含んだ可愛らしい声と、白とピンクで彩られたフリル過剰なドレスをまとった小柄な人影によるタックルであった。
「おっ……おっと、レイ。お転婆さんだね」
 軽い驚きを見せながらも優しく受け止めたデュランダルに、レイは表情を曇らせて言う。
「ご、ごめんなさい……ギルが来てくれて、嬉しくて」
「良いんだよ。私を好きでやったのなら、私にレイを責める理由なんて無いさ」
 デュランダルはそう言って、腕の中のレイを優しく抱きしめた。
「ギル……」
 デュランダルの腕の中で、レイは頬を上気させながら幸せそうに瞳を閉じる。そんなレイを見るデュランダルは、全ての厭い事がかすんでいくような気分になり、その安らぎを一時であっても確かに受け止めようとレイを抱きしめる腕に力を入れる。
「ギル……」
 レイの声に、デュランダルは微かな苦痛の色を聞き取り、力を入れすぎていた事に気づいてその腕の力を抜いた。
「すまない。レイがあまりに可愛すぎるものだから、つい。許してくれるかい?」
「うん……もっと、ぎゅっとして良いよ」
 拘束から解き放たれて微かに息をつくも、今度は力が緩んだ事に不満の色を見せて、レイはデュランダルの胸にぎゅっと体を押しつける。
 その愛らしく愛おしい姿に、デュランダルは己の幸福を感じ取り……同時に、この子の兄とも言える男の事を少しだけ思い出していた。
 このレイは、デュランダルが親友であるラウ・ル・クルーゼから預かった子供であり、色々とその出生に不幸な所がある。
 デュランダルは、その不幸を埋めるに足るだけ幸せを注ぎ込もうと、愛情を注げる限り注ぎ込み、出来る限りの教育を施してレイを育て上げた。今日のレイの姿は全て、デュランダルの努力と愛情の賜物である。
 アカデミーに入れてやりたいので、もう少ししたら人前での立ち居振る舞いを教えなければならないが……いや、このレイを人に見せることなく、完全に自分の前だけのレイに出来ると考えればそれも喜びか。
 ともあれ、デュランダルは心血を注いでレイという原石を磨き上げた。そして今、レイはデュランダルの懐で他の何にも負けぬ輝きを放っている。
 だがそれなのに、レイを預けていってしばらく経ってから再会したクルーゼは、あの男にしては珍しく泣きながらデュランダルを殴りつけた。
 ……いったい、何が理由だったのかは、デュランダルにとっては定かではない。
 「よくもレイをこうも育ててくれた!」とか言っていたが、あれは賞賛の言葉だろう。レイは何処に出しても恥ずかしくないレディとして立派に育てた。だが、人を賞賛しつつ泣くほど怒るというのはどういう事か。
 まあ、彼は変わり者だったし。
 クルーゼとデュランダルとの関係は、その後に何とか修復されたものの、あの事件については二度と触れられる事はなかった。今はクルーゼが世を去り、あの大激怒の真相を知る事は永遠に出来ないと思うと、それも寂しいものだ。
「ギル、どうしたの? 悲しいの?」
 胸の奥に差した陰りを感じ取られたか、デュランダルはレイに問われた。
 クルーゼは、レイが兄と慕った相手。隠すべきでも無いだろうと、デュランダルは素直に心中を語る。
「……ラウの事を思い出してね」
「おにいちゃんの事?」
 レイは少しだけ寂しげに……そしてそれ以上に気遣わしげな表情を見せた。
「ギル……慰めてあげる」
 レイはギルの腕の中で身をよじり、少しだけ身を離すと、デュランダルの首を掻き抱くようにして抱き寄せる。
 前屈みのような姿勢でレイに抱きしめられたデュランダルは、少しの間……有り体に言えば不自然な体勢に腰が悲鳴をあげるギリギリまで、レイの柔らかな抱擁に心を癒された。
14ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:10:10 ID:???
「……不思議だね? レイの方が悲しんでいたと思ったのに。私の方が慰められてしまった」
「え? うん……」
 デュランダルは、惜しみつつもレイの抱擁をほどいて身を起こす。そして、ふと感じた疑問をそのまま口にした。
 クルーゼの死の報告があった時、誰よりも悲しんだのはレイだった。しかしそれが……ヘリオポリスに来てからは、そんな素振りを見せなくなっている。立ち直ったのかと思わないでもないが、レイはそれほど強くないと言う事をデュランダルは誰よりも知っていた。
 レイはデュランダルの問いに、少し迷いを見せてから返す。
「おにいちゃんが……死んだって思えないの。死んだって聞いた時は、そりゃあ驚いたけど……でも感じなかった。ここに来たら、おにいちゃんが死んだって納得出来るかもって思ったけど、むしろ逆で……」
 レイはそっと目を閉じ、祈るように手を握り合わせた。
「おにいちゃんが生きてるって、そんな気がするの」
 直感的な物らしい。そういえば、二人は何かしら通じ合ってるような所があった。
「……レイが感じるなら、そうなのかもしれないね」
 デュランダルはそう答える。
 レイが悲しんでいないのに、デュランダルが悲しむわけにはいかない。レイがそう信じるのならば、レイと同じようにクルーゼの生存を信じようとそう決めた。
「なら、悲しむのは止めよう。それより、レイとの一時を楽しむ事にするよ」
「え……もう、ギルったらぁ」
 気分を切り替えて執務室の中へと足を踏み入れるデュランダルの笑顔の台詞に、レイは恥ずかしげに顔をそらしながら、デュランダルのその後を追う。
 デュランダルは、現状の仕事からくる疲れをレイに癒してもらう気満々でいた。
 とりあえず、執務机に制服の上着を投げ置いて、レイが甲斐甲斐しくそれを拾って背広掛けに掛けながら「だらしないよ?」なんて叱ってくれるのを楽しもう。
 それから、応接セットのソファに腰をかけ、レイにお茶を頼もう。そしてお茶の支度が出来たら、レイを膝の上に乗せて二人でお茶を楽しむのだ。
 そこまで素早く計画を組み上げ、デュランダルは制服を脱ごうと襟元に指をかけた……が、その時、机の上の通信端末が内線通信を受信したと、遠慮無しの呼び出し音を鳴らす。
 全ての計画が延期……いや中止にすらなりかねないその呼び出し音に、デュランダルは秀麗な眉目をしかめた。が、まさか無視するわけにも行かない。デュランダルは通信端末に指を走らせ、通信回線を開く。
15通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 10:10:35 ID:???
ちょっと待て、レイdouなってんだw
16ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:10:53 ID:???
『こちら守備隊指揮所! あ、あの……大変です! オ、オーブの船が……』
 回線を開いてすぐ、向こうから慌てた声が叩きつけられてきた。オペレーターだろうまだ若い女の声がうわずって話そうとするのを止め、デュランダルは慎重に話す事を促す。
「落ち着いて。ゆっくり話してかまわないよ?」
『は、はい……』
 通信端末の向こうでオペレーターが深く息をつく音が聞こえる。それから、オペレーターはさっきよりも落ち着いた口調で話し始めた。
『先のオーブ軍とMAの戦闘終了後、ヘリオポリスの赤色灯が定期的な点滅を開始した事を確認。調べてみると、オーブの大型輸送艦と発光信号で通信を行っている様でしたので、内容を傍受した所……』
 そこまで言って、オペレーターは緊張の為に唾を飲み込む。それから、緊張を抑えて話を再開した。
『オーブの大型輸送艦が操縦不能状態にあり、ヘリオポリスとの衝突コースを現在も進み続けている事がわかりました。こちらで行ったシミュレーションも、大型輸送船が大幅な進路変更を行わない限り、衝突は免れないとの結果を出しています。
 衝突まで、時間はまだ少しあるんですが……』
「っ!?」
 その報告に、デュランダルもさすがに表情を険しくする。
「至急、対策を練らなければ……守備隊司令は何と?」
 状況が状況だけに、ZAFTの協力は必要になるだろう。そう当たり前のように判断したデュランダルは、当然情報は行っているものと考えて守備隊司令の見解を聞こうとした。
『は、はい……それが……』
 オペレーターは言い淀む。その反応を聞いた瞬間、デュランダルの中に嫌な想像が膨れあがった。
「まさか!?」
『し……司令は、戦闘可能な兵を集め、装甲車で出撃しました! 作戦行動中は、通信封鎖して一切の連絡を絶っています。それで……』
 オペレーターは泣きそうな声を上げる。
「……やってくれたな」
 ZAFTお得意の抜け駆け。手柄を立ててしまえば何でも許されるという風潮を放置し、それに無能が加わればこんなものだ。
 デュランダルに呼び戻されないよう通信封鎖までしているという念の入った愚かさに、デュランダルは沸き上がる怒りを止める事が出来なかった。
17ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:11:38 ID:???
『あ、あの! どうしたら良いんでしょう!? 指揮所にも、新兵しか残されて無くて……誰も判断出来ないんです』
 オペレーターが、悲鳴のような声でデュランダルに問う。
 なるほど新兵ばかり。どうりで通信が覚束ないわけだと納得したが、そんな事で納得出来てもしょうがない。
「そうだね。まずは、保有するタグボートや作業用MAを確認。出港準備を……いや、その前に、ヘリオポリスのMAはどうしているかな?」
 タグボートや作業用MAを出して牽引して大型輸送船の進路を変更するという、ごく普通の対応を指示しようとして、デュランダルは突然、ザクレロの事を気にした。
『え? えと……戦闘終了後に動きを止めてそのままです』
「まだ、宇宙にいるか……ならば、ダメだな」
 オペレーターの答えに、デュランダルは与えようとした指示を取り止める。
「守備隊が交戦中である以上、タグボートや作業用MAであっても、戦場に送り込めば敵と見なされかねない」
 普通に考えれば、基本的に非武装であるタグボートや作業用MAであっても、今現在において戦闘中である敵が送り込んできた物であれば警戒をするだろう。撃墜される可能性もあるし、そこまで行かなくとも作業を拒絶される事は十分に考えられる。
 ヘリオポリスの勢力と協力して対策を行う事が出来れば最良だったろうが、無論、それが許される状況にはない。一方で戦闘しながら、一方で協力を呼びかけるなど通じる筈もないからだ。
「……全て、守備隊司令殿がぶち壊しにしてくれた訳だ。ここは彼を呼び戻す事も含めて、対策を検討しなければならないな」
 怒りを吐露する自分をまだ若いと思いながらも、デュランダルはそう言わずにはいられなかった。
 いっそ、守備隊司令が“戦果”を上げる前に、首根っこを掴まえて引きずり戻す事が出来れば、対策の執り様もあるのだが……前提として、通信封鎖している装甲車を呼び戻す手段なんて物があればの話だ。
 付け加えれば、向こうはこちらから呼び戻される事を当然の様に想定していて、それを完全に無視する気でいる。装甲車は動く密室だ。通信封鎖さえしてしまえば、見たくない物を見ず、聞きたくない事を聞かない事は容易かろう。
 呼び戻すなどという悠長な事ではなく、力尽くで引きずり戻せれば楽なのだが。
「ともかく、これから指揮所へと戻る。情報収集の継続と、動かせる人員と設備装備のリストアップをしていてくれたまえ」
『了解しました!』
 オペレーターの返事を聞きながら、デュランダルは通信を切った。
 それから、傍らにいるレイに向き合い、心の底から申し訳なさげに笑いかける。
「すまないレイ。君との一時を楽しむ事は出来なかった」
 軽く詫びてから、執務室を出ようとするデュランダル。そんな彼の背に、レイは静かに問う。輝く様な笑顔で。
「その、装甲車で出た守備隊司令さんをどうにかすれば良いの? そうすれば、ギルの仕事がしやすくなるんだね?」
「ああ、そうだとも。頭痛の種という所さ」
 笑いを含みながら言い返して、デュランダルは振り返る事もなく執務室を出て行く。
 残されたレイは、笑顔のままでデュランダルを見送り、それから少しの時間を見計らってから自らも執務室のドアに駆け寄った。
 そっとドアを開ける。隙間から頭だけを出してキョロキョロと見回し、誰もいないのを確認してからレイは執務室を出た。
「ギルのお手伝い〜」
 スカートを翻し、レイは廊下を駆け出していく。その向かう方向には、ZAFTの駐留する港があった。
18ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:12:28 ID:???
 

 ユウナとエルが辿り着いたテレビ局の玄関ホール。そこには、一人の若いスタッフが待っており、二人の姿を見るや声を上げる。
「出てすぐの所に車用意しておきました! キー刺さってます!」
「ありがとう!」
「あ、ありがとう……」
 ユウナとエルは、お礼を言いながらそのスタッフの前を走り抜け、玄関ドアをくぐって外へ出た。そこにはエレカが一台止まっており、更にご丁寧な事にドアまで開けられて乗客を待っている。
 迷うことなくユウナが運転席へ、エルが助手席へと飛び込み、音を鳴らしてドアを閉めた。
「さ、行こうか。シートベルトを……」
 言いながらユウナはルームミラーの向きを調整し……その手を止める。
「これは参ったな。読みが外れた」
 ルームミラーの中、テレビ局前の道路が映り込んでいた。
 路肩に壊れた車やビルの破片が点々と転がり、路面にも瓦礫や小穴が散見される、廃墟同然にも見える路上には、他の車どころか歩行者の姿もない。
 しかし、遙か遠く、こちらに向かって走ってくるZAFTの装甲車があった。
 その数、3両。兵員輸送タイプ。砲塔に機関砲付き。何の為に出てきたかは、想像に難くない。
 理性的な者なら、ミステール1との戦力差を思い知れば降伏の一択しかないと考えていたのだが……どうもコーディネーターは、彼等が宣伝する程に理性的な存在ではないようだ。
 それでも、たいした問題ではない……ユウナとエルが、ZAFTに見つからなければ。
 ZAFTのテレビ局襲撃は有り得ると事前に考えて、テレビ局内からの脱出路は有る程度考えていた。見つかっていない内に逃げ出して、市街に紛れれば逃げ道は幾らでもある。テレビ局が破壊されても、それはユウナの失点にはならない。反撃は悠々出来たろう。
 しかし今、ユウナとエルのいる場所はテレビ局の外で、しかも装甲車は明らかにその速度を上げてきていた。
「見つかったかな」
 ユウナは呟く。とりあえず周囲に目を走らせるが、自分達の存在以外に装甲車が加速する原因となりそうな物はない。
 着替えもさせずにエルを連れ出したのが悪かったか……拙い所を見られた。
 ZAFTの敵となったミステール1の背後にいる組織の首領と見なされる少女が逃げようとしている。どうするか? まず、追いつめて捕らえるなり殺すなり。
「……エルちゃん」
 ユウナは、助手席で衣装と鎖に邪魔されてシートベルトを付けるのに手こずっているエルに優しげに声をかけた。
「ジェットコースターとか好きかい?」
「え? ジェ、ジェットコースターですか?」
 訳もわからぬ様子で聞き返すエルの腰の辺りで、シートベルトの金具がはまるカチリという小さな音が鳴る。
「うん、好きなら良いんだけど」
 ユウナは言って、いきなりアクセルを踏み抜く。急発進の反動で座席に沈み込むエル。その喉から漏れる小さな苦痛の呻きをご褒美に、ユウナはエレカをトップスピードに叩き込む。
 エレカは弾かれるようにテレビ局前から走り出し、荒れた路面の上にその車体を滑らせた――
19ザクレロSEED:2010/04/30(金) 10:19:37 ID:???
 機動戦士ザクレロSEED‥‥以上。

 有能そうなキャラほどアレ……ユウナしかり、デュランダルしかり。
 そしてレイ登場。レイがどうなったっていうと、まあこうなったと。
 で、レイはどんなお手伝いをするのでしょうかと。

 それから、支援ありがとうございました。
20通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 10:35:07 ID:???
乙でした。

駄目だこいつら、はやく何とかしないと… AA(ry
名無しですらこの有り様とか…オーブとプラントだけが異常なのか流石に疑わしくなってくるな。
21通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 13:47:00 ID:???
だがそれが(ry

こういう展開に当然という感覚があるようになった自分が怖いorz
22通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 16:35:47 ID:???
未来のシンが何と思うかw
23通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 19:41:07 ID:???
ザクレロさん乙です

デュランダルwwww常識人かと思いきや。
レイが怖いな。これが成長するのかと思うとgkbr

ヘリオポリス編に対するわくわく感が止まらない。次に何が起こるのか、
誰が勝つのか、これからも期待しています。
24通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 20:35:12 ID:???
なんだこれはあああああああああああああ


よく関係を修復できたものだ
25通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 20:47:59 ID:???
これはクルーゼに同情するw
つかよく許したなw
26通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 21:31:28 ID:???
クルーゼもおそらく実際には
「オドリャーようも…ようもこんなスバらしい男の娘に育ててくれたのう!!
 カンゲキじゃあーーーー!!!!」
と石川賢タッチで感極まってたんだろうね、うん。

……ところで念のため確認したいんだが、スケキヨもといユウナって
可愛ければ、あるいは最終的に手料理が美味しくさえあれば
性別なんて瑣末な条件にはこだわらないっけ?
27通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 21:37:59 ID:???
レイもピアノキャラだな・・・
まあこのレイはなにげにしたたかそうだから
28通常の名無しさんの3倍:2010/04/30(金) 23:22:13 ID:???
>>26
俺は車田正美の絵みたいに滂沱の涙を流しながら殴りつけてる姿が浮かんだよ
29通常の名無しさんの3倍:2010/05/01(土) 04:17:31 ID:???
相変わらずパネェw

>「よくもレイをこうも育ててくれた!」
この野郎!w

>全く、これ程の狂気に、ユウナ個人の狂気でもって挑むなど、まさに狂気の沙汰だ。
ホントだよ!
こんな時間に読む物じゃなかったよ!w
30通常の名無しさんの3倍:2010/05/01(土) 06:46:46 ID:???
しかしこのユウナ。
戦後にこの狂気をもう一度味わうために、ナチュラルコーディネーター問わず、
一千人の敗残兵(強化処置済み)を率いて戦争は始めそうだ。
31通常の名無しさんの3倍:2010/05/01(土) 07:35:33 ID:???
>まあ、彼は変わり者だったし。
お前が言うなと突っ込まざるを得ない
32通常の名無しさんの3倍:2010/05/01(土) 15:52:00 ID:???

>レイ
http://www.nigauri.sakura.ne.jp/src/up16405.jpg.html こうですか?分かりません(><)
33通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 15:35:41 ID:???
ザクレロでは、他のSSの様に先の展開についての考察って見ないな
34通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 15:42:31 ID:???
狂気成分が強すぎて下手に考えようとするとSAN値を削られるからではないかと。
35通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 16:02:04 ID:???
まず、ザクレロ(古き者らしき本体様)が目覚めて人類滅亡以外の展開を考える所から始めようか
36通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 20:14:53 ID:???
某西博士が現れて、別ベクトルからSAN値を削ってゆく。
37通常の名無しさんの3倍:2010/05/04(火) 22:12:43 ID:???
ザクレロにホッケーマスクと申したか
38通常の名無しさんの3倍:2010/05/05(水) 19:10:32 ID:???
もしSEEDシリーズが島本和彦作品だったら
殆どの問題を「それはそれ! これはこれ!」「無理が通れば道理は引っ込む!」
「こじつけでもつじつまがあえばそれにこしたことはない!」の三つで解決してたんじゃないかと
推測、いや確信して居る今日此の頃です。皆さんは如何想われていますでしょうか?
39通常の名無しさんの3倍:2010/05/05(水) 19:52:59 ID:???
>>38
そういうのは前スレでやって埋めてきてくれないか?
40通常の名無しさんの3倍:2010/05/05(水) 20:29:21 ID:???
>>38
空気を読むということも大事だと思うんだ
ぶっちゃけ邪魔
41通常の名無しさんの3倍:2010/05/08(土) 12:56:05 ID:???
流れが止まったなぁ
規制か?
42通常の名無しさんの3倍:2010/05/08(土) 16:15:20 ID:???
ネタ振って雑談なら前スレでやるべきだし
ザクレロの話題は無いようだし
まだ他の作品は投下されないしって所だろ
43通常の名無しさんの3倍:2010/05/09(日) 16:50:40 ID:???
CROSS POINTはまだかな?
あんな所で終わってるから続きが凄い気になるんだけど
44通常の名無しさんの3倍:2010/05/09(日) 17:00:54 ID:???
規制に引っかかってるって可能性もあるからなあ
気長に待つしかないか
45通常の名無しさんの3倍:2010/05/09(日) 23:51:00 ID:???
少し前に作者氏のコメントで
コンディションや都合もあって当初に比べて少し間隔が開くとあったよ。
続きは無論読みたいが早々と終わるのももったいないし、何よりご本人の
体調と表稼業が第一だからのんびり待つさね。
46通常の名無しさんの3倍:2010/05/11(火) 20:41:04 ID:???
まあルナとコニールどっちを選ぶのかという気になる点もあるしな
2人とも仲良く同じ道歩いてきてるもんだから、差が感じられないし

もしかしたら、「お前達が俺の翼だ」ルートなのかもしれんが
47通常の名無しさんの3倍:2010/05/12(水) 22:16:58 ID:???
>>46
>お前達が俺の翼だ
最後はアスランに見守られながら三人で何処かへと去って往くんですね。

シンよ…どこへゆく……

CROSS-POINT 最終回「大団円」おわり。
48通常の名無しさんの3倍:2010/05/16(日) 14:35:07 ID:???
ザクレロとcross pointまだー?
催促はよくないとわかってはいるのだが
49通常の名無しさんの3倍:2010/05/16(日) 21:55:00 ID:???
ザクレロなんて、こないだ投下されたばかりじゃないか
50通常の名無しさんの3倍:2010/05/16(日) 22:01:14 ID:???
ザクレロはSAN値チェックがキビしいから続けて投下されると困るw
51通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 00:54:38 ID:???
SAN値www

ふんぐるい むぐるうなふ ざくれろ ふぉま(ry
52通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 01:00:57 ID:???
どこからか狂ったギターの音色が聴こえる……。
53通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 01:50:17 ID:???
初心者がチューニング失敗したまま弾いてるんじゃね
ん?窓の外が騒がしいな…
54通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 19:39:12 ID:???
他の改変・クロス物でもユウナとデュランダルは有能な指導者同士として
認め合いあるいは手を組む事さえ少なくないわけで、ザクレロにおいても
この二人がつるめばヘリオポリスの体制はかなり強化されるとは思うが……
なにせザクレロだからなあ、性癖とかの面で決定的に相容れないとかありそう。
個人的にはいくら元が美形とはいえ、CE71の時点で推定肉体年齢13〜14くらい?
(既に第二次性徴があってもおかしくない)のレイをその事を微塵も感じさせない
男の娘に育て上げているギルの方に軍配を上げたいところだ。
55通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 20:15:51 ID:???
サディストの殺人趣味者と、男の娘好きの間に、相容れられる部分は無いだろうなぁ
ユウナの方は、男の娘でも有りかもしれないが
56通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 21:05:34 ID:???
ユウナは自分の嗜好の異常性を分かってるけど
わかめは狂うぜに対して自信満々にレイを披露するからな
57通常の名無しさんの3倍:2010/05/23(日) 00:42:51 ID:???
ザクレロを読み返していて気になったんだが、
1)ラクスは自分(の歌声)にコーディ洗脳能力があることに気付いて
  覚醒しかかったところをザクレロのどアップを直視して失神KO、
  そんで黒ヒゲ艦までお持ち帰りされた。
2)黒ヒゲがシルバーウインドを事故で爆散したように細工したという事は、
  公的には事故で全員死亡とでも認識させるつもりと見た。

…そうするとVIPを人質にして云々という考えがあるかどうか不明。
…するとラクスの使い道はは交渉とかゆすりのカードどころかひょっとして公衆…
あと、キラの保護と説得に全力を注いでいた(……)凸が
この一件にどういう反応示すかもかなり興味深い……
58通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 00:18:40 ID:???
ザクレロは独自ストーリーを走ってるから、先が読めないよなぁ
59CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:35:48 ID:???




第23話 『繋いだ手なら離さない』



ミネルバに無事に着艦した途端にシンは急激に身体が重くなった。
長時間の操縦、キラと戦った重圧。それらから解き放たれた開放感のせいだろう。
重い身体に悪戦苦闘しつつヘルメットを外しコクピットハッチを開けると、見知った顔が飛び込んできた。

「ようシン、生きてるか?」
「ヨウ…ラン? 何で、こんな所に……」
「話は後だ。ほら、コレ使え」

小さな袋を手渡される。シンはその中に顔を突っ込み、そして嘔吐した。
身体はボロボロで、もう少し戦いが続いていれば機体よりも身体の限界が先に来ていたと思う。
胃液まで吐いて袋を閉じた。ヨウランは気にした様子もなくそれを受け取り、かわりにペットボトルを渡してくる。
口を濯いだ水をもう一度彼の持つ袋に吐いて、今度は普通に水を飲む。
少しだけ、本当に少しだけだが生き返った気がした。

「そういや言ってなかったっけ? 今、俺はこのミネルバの整備主任やってるんだよ」
「そっか……」
「お前本当に大丈夫か? ほら、肩貸してやる。……それにしても大したもんだよお前。あのキラ=ヤマトを追い払ったんだから」
「向こうが勝手に退いただけだろ。俺はこのザマだし」

肩を借りてコックピットから出る。
髪は汗でびしょびしょだし、胸のむかつきは治まってない。身体の疲労は限界だ。
振り返ってデスティニーを見た。こちらも自分に負けず劣らず、満身創痍の傷だらけ。
ボロボロの機体とそのパイロット。どう贔屓目に見ても勝者には見えない。

―――すまないな、デスティニー。ひどい姿にしちまって。

心の中で愛機に詫びる。すると肩を貸してくれていたヨウランが何かに気付いた。

「おっと、お前にお客さんだ。しっかり立て」
「?」

視線を前に向ける。目の前にはザフトの緑服を纏ったポニーテールの少女。
急いで此処まで来たのか、息が少しだけ荒かった。

60CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:37:03 ID:???

「コニール………」
「んじゃ、俺はちょっと機体の様子見てくるな」

再びデスティニーへ歩いていくヨウラン。気でも利かせたつもりだろうか。
必然的に2人だけになる。
正直気まずい。何か喋らないと。

「あのさ、お前こんなとこで何して―――」
「それお前が言うのかよ」

最後まで言わせて貰えなかった。一歩ずつ、自分との距離を詰めてくる。

「バカだよ、お前」
「……判ってるよ、自分でも」
「私達に黙って出て行って。心配かけて」
「悪かったと思ってる」
「あんな化物と戦って……そんなにボロボロになってさ」

体が触れるか触れないかという所まで近付き、そして立ち止まる彼女。
とすん、と額をシンの胸に押し付けてくる。肩が震えていた。

「あのままベルリンで皆と穏やかに暮らしてたら、お前もそんな目には遭わなかったんだ」
「ああ。まったくその通りだった」
「残された者のことを考えもしないで。……いい気味だ、バカ」
「返す言葉も無い。反省してる。許してくれるなら何でもするよ。だから」

コニールが顔を上げた。その頬をそっと撫でてやる。
濡れていた。

「泣くなよ、頼むから」
「だからお前が言うな、バカ」

そう言うと、彼女はまた額を押し付けてきた。泣き顔を見せたくないのだろう。
意地っ張りな女だ。

「バーカ………」
「バカバカうるさいよ。自覚してるさ、それくらい」

困った。誰かが泣くのを見るのは苦手なのだ。いや、得意なやつなんてあんまいないだろうけど。
ここは抱き締めてやるべきなのだろうか。とりあえず頭を優しく撫でてやる。
一瞬彼女の肩が強張ったが、すぐに体を押し付けてきた。
61CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:39:51 ID:???

しばらくそうしていると、不意にデッキの中にブザーが鳴り響く。
どうやら出撃していたMSが戻ってきたようだ。
コニールが慌てたようにシンから離れる。無くなった腕の中のぬくもりについては考えないようにした。

最初に戻ってきたのはセイバー、その次に黒いガナーザクファントム。
そして、最後に紅いスラッシュザクファントム。
それを見てシンは顔をしかめる。
紅いザクときたら1人しか思い浮かばない。いや、コニールがここに居る時点で彼女であることは半ば確定なのだが。
それぞれの機体からパイロットたちが降りてくる。ヘルメットを、外した。
現れたのは予想通り、幸薄そうな美形に軽薄そうな色黒。そして紅い髪の女性。
言うまでもなくルナマリアだった。
ゆっくりとこちらに歩いてくる。能面のように変化のない表情。ただ、目だけは凍える様に冷たい。

まずいな、これ相当怒ってる。

「ルナ……うっ?!」
「シン、あんたねえ」

胸倉を掴み引き寄せられる。お互いの顔が息がかかるほどの距離まで近付いた。

「巻き込みたくない、とか思ってたんでしょう」
「……ああ……」

その通りであったため素直に返事をする。
するとその言葉を聞いた途端、彼女の表情が変わった。冷たい無表情から燃えるような怒りへ。

「なめるな」
「………」

本気だな、この怒り。
視界の端で友人たちが集まってくるのが見えたが、それどころじゃなさそうだ。

「忘れたの? トラブルだらけの学生時代も、インパルスで馬鹿みたいに突っ込んでた時も、デスティニーで調子乗って暴れてた時も。
 あんたの相棒はレイと……この私だったって事を。
 それを何よあんたは。よくも……よくも足手まとい扱いしやがって。
 私が、私があんたの背中くらい守れるって事を忘れて!!」
「すまん」

思わず謝る。かなり怖い。
彼女に純粋な怒気をぶつけられるのは、あの雪の日以来だった。
62CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:43:02 ID:???

「謝って済む問題か!! 置いて行かれる気分、あんたにわかる!?
 自分はいらないのかって、危険な目に遭わせる事になっても側にいたい、そう思ってくれないのかって。
 何が巻き込みたくない、よ。
 それでもあんたと一緒にいるって、こっちはもうとっくに覚悟決めてるのよ!!」
「ルナ……」

怒りを含みつつも、自分を想ってくれる女性。真っ直ぐな視線がシンを貫く。
正直、彼女が自分をそこまで想ってくれているとは思わなかった。
彼女が自分の傍にいたのは、ただコニールに取られたくない為だけだろうと予想していた。
自分にはそこまで愛される価値なんてない。そう思っていたから。
だが今回ばかりは本気で反省した。

ルナマリアはまだこちらを睨んでいる。真剣なその瞳は本当に綺麗だった。
そんな状況じゃないのは解っているが、その目に引き込まれてしまいそうだ。

「いい? 次、黙って置いていく様なことがあったら、もう許さないから覚悟しなさい。
 前みたいにビンタじゃなくて、グー入れてぶん投げてフットスタンプでアバラ折りキメて……って聞いてんの!?」
「え!? ああ、聞いてる聞いてる」

本当は聞いてなかったけどな。

「嘘つきなさい。人が本気の話をしてる時に……何考えてたのよ?」
「なんでもないって」
「嘘。はっきり言いなさい。何考えてたの」
「いや、その。怒った顔とか目とか。綺麗だなって見惚れてただけで。
 今までも知ってたつもりだったけど、再認識しちゃってさ」
「なッ!?」

一瞬驚きで目を見開き顔を赤らめた後、俯きながらプルプルと震えるルナマリア。前髪が表情を隠す。
やっぱり、ちょっと空気が読めなかったか。

「こ………」
「こ?」

何を言おうとしてるんだろう。ルナマリアの顔を覗き込もうとして、


「この、女誑しがぁぁぁぁッッッ!!」


顎にルナマリアさん渾身のアッパーが入った。
63通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 00:47:44 ID:???

勢いそのままに、MSデッキの中を縦に回転しながら吹っ飛ばされる。
薄れていく意識の中で思った。昔は彼女とロマンチックに抱き合いながら横回転したこともあるのに、今はコレかと。
勢いが止まり、床に倒れ伏す。だがこれで終わりではなかった。
仰向けになったシンの目に映ったのは、視界いっぱいの誰かの靴底。
この靴のサイズはコニールか。いや、それだけじゃない。

「何私の前で堂々と口説いてんだこのバカ!! さっきまで私とあんなにいい雰囲気だったのに!!」
「今時ハーレムなんてドン引きされるだけなんだよこのラッキースケベ!!」
「あ、私もやろ〜」
「おいおい、お前たちそれぐらいで勘弁してやれよ」
「そう言うんならお前もやめたらどうだディアッカ。くそ、ケガさえ無ければ俺だって………」

雨の様に降り注ぐフットスタンプの嵐。
ってかいつの間にメイリンいたんだ。あとアスランそう言わずに皆を止めてください。そろそろアバラがやばいから。
ああもう眠たくなってきた。逝っちゃってもいいよな。答えは聞いてない。
視界が白く染まっていき――――――


気が付けばどっかの川のほとり。そして目の前には太った1組の夫婦が。

「おお、しんよ。しんでしまうとはなさけない」
「わたしはあなたがすきでたまらないのですよ?」

うるさい黙れこの野郎。このホラ吹き夫婦が。
何が3人主人公だ。何が大好きだ。
その台詞だってバッシングから逃れるためだけに言ったんだろうが。お前インタビューじゃカップリング談義しか本気で語らなかったじゃないか。
はっきり言えよ。本当は嫌いなんだろ? この俺が。
俺もお前らなんか大嫌いだバーカ!!

「この世界では私が神だ。劇場版でどうなるかわかってるんだろうね?」

知るか。知ったことか。お前らの手を借りずとも高山版やスパロボや無双で名誉挽回はしてんだよ。
つか会社からハブられてんのいい加減気付けよ。ネットで 「自然消滅狙い」 とか記事に書かれてんじゃねーか。

しかし待て自分。この作品に関しては自分の希望は全て裏切られてきた。
だからあんまり無い無いばっかり言ってると逆に進行してしまうかもしれない。
いや、劇場版があるならあるで構わないのだ。
でももしあった場合、某青信号みたいに 「流石キラさん!!」 的なキャラにはされたくない。
冒頭で敵キャラにやられるかませ犬にもされたくない。
この馬鹿夫婦のことだから可能性限りなく高いけどなりたくない。
64CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:50:36 ID:???

嗚呼、アンタたちに少しでも良心があるのなら。この言葉を聞いて欲しい。
もう幸せにしてくれなんて言わない。落とされた主人公の座にも興味は無い。出番もいらない。
だから。

なあ神様。
アンタら、頼むからもう何もするな。





「で、お前なんで1人で戦ってんだよ」

数分後、意識が戻ってからディアッカが話しかけてきた。ここからは再び真面目な話だと彼の目が言っている。
アスランが彼の言葉を続けた。

「キラの為か?」
「……まさか。あいつはステラの。レイの。議長の。俺の大事な人たちのカタキだったんだぞ。
 それを更正とか説得とか、考えたことも無いよ」
「だけどお前」
「本当だよ。アンタじゃないんだ、他人に説教なんてガラじゃないしな。
 それに俺があいつと共にいたのはたかだか半年くらい。そんな関係のやつの言葉なんか届く訳が無い。
 ラクス=クラインじゃあるまいし、言動だけで軽く人の生き方変えるなんてできる訳無いだろ」 
「なら何故だ? 世界を救うためなんて言わないよな」 
「それこそまさかだ。そんな理由なら、とっくの昔に軍に復帰してる」

俺には他に才能は無いしな。そう言ってまた水を飲んだ。
話を続ける。

「実はアスランがやられた後に、ベルリンでキラと会ったんだ。
 本心は分からなかったけど、あいつはクライン議長の遺志を継いでいるつもりなんだよ。あれで。
 ……それで思ったんだ」

思い返すのは人生の岐路。その時に傍にいてくれた人たち。
自分を行く道を後押ししてくれた人たち。

「オーブでトダカさんに世話にならなかったら。アカデミーでレイやヨウランに出会わなかったら。
 アスランに負けなかったら。ベルリンでルナやコニールに支えられなかったら。
 誰かが、側に居てくれなかったら。もしかしたら俺は」
65CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:53:56 ID:???

そう。ただ、自分は見たくなかっただけ。
思い通りにいかない世界に、血に塗れた自分の姿に絶望し。それでも選択は間違っていない、と自分自身にすら嘘をつき続ける。
そして再び歩き出す。己が選んだ血塗られた道を。
それは、もしかしたら自分がなっていたかもしれない姿。


「―――――俺はヤツだったかもしれない」


片側の糸を断たれたマリオネット。無様な姿で吊られている。
残された糸を動かしても、かつてのように踊ることができず。ただ、歪にうごめくだけ。
それでも人形自身はもがき続ける。いつか糸が解れて、千切れてしまうようにと。
自分を操る、いやその身体を縛る糸から解き放たれるようにと。

ならばその糸は、自分が断ち切ってやるべきだろう。
その結果、人形が大地に叩きつけられたとしても。
人形自身がそれを望んでいるのだから。

「………分かったような、分からんような。それってやっぱキラの為になるんじゃないのか?」
「そうなのかな。自分じゃそんなつもりはないんだけど。
 大体キラを殺しに行って、その理由がキラのためなんておかしいだろ」

よっぽど自分に酔った奴じゃないとそんな答えは出ない。

「まあ、それでも1人で行って良い理由にはならないがな。それで死にかけてりゃ世話は無い。皆に心配も掛けてるし」
「そうだな。本当に反省してるよ。コニールも泣かしちまったし」
「ちょ、私は泣いてない!!」
「あらやだコニール、泣いちゃったの!?」
「感極まっちゃったんだよな? シンが 『僕の胸でお泣き』 って言ってくれたもんだから。俺は見てた」
「泣いてないって言ってるだろ!!」

途端に騒がしくなる周囲。いつもと同じ、俺の陽だまり。
何も変わってなくて思わず笑いそうになった。バレたら怒られるので誤魔化す為に天井を見上げる。
その時になって、ようやく自分の目から涙がこぼれそうになっているのに気付いた。おかしいな、俺は今笑いたいくらいなのに。
顔の上に掌を置いて目元を拭う。続く涙が無かったのは不幸中の幸いだ。
視線を戻すとコニールがヨウランにつっかかってるところ。呆れた表情のルナマリアと目が合う。

そう言えば、肝心な言葉を言ってなかった。

「ルナ。コニール。みんな。あのさ」
「何だよ、大体元はと言えばシンが……」
「ん、なに?」

死にかけたとき、考えたことは彼女たちのことだった。
そして気付く。自分の帰る場所はこの空間なのだと。
だから口を開いた。帰ってきた時に言う言葉なんて一つしかない。
66CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:57:46 ID:???


「ただいま」


腕を組んで微笑むアスラン。
やれやれ、と頭を掻くディアッカ。
コニールを弄るのをやめたメイリンとヨウラン。

そして。


「「お帰り!!」」


2人から返ってきたのは迎えの言葉と、眩しいくらいの満面の笑みだった。





これで終わってれば綺麗な幕切れだったのは間違いないが。
まあ、いろいろと今後の打ち合わせとかもあるわけで。

「ったく一度ならず二度までも私の前から逃げ出すなんて、いい度胸してるわよほんと。
 ………ま、そんなのを飽きずに追っかけてる私も私だけど」
「とか言いつつ、さっきまでより機嫌良くないかアイツ?」
「ほら、お姉ちゃんさっきシンに 『綺麗だ』 とか言われてたから」
「ああ、それでか――――ん? 通信だ。はいはい、今出ますよっと」

そんな中、不意にデッキに通信が入る。

「はいこちらMSデッキです。シンですか? ええ、まだ此処にいます」

受け取ったヨウランが機器をいじる。画面には懐かしい顔が浮かび上がった。
いつぶりになるかな、この人と話すのは。

『やあシン、ひさしぶりだね。無事で何よりだ』
「トライン副艦長、貴方までいたんですか?」
『当然だろ? ミネルバは僕たちの艦じゃないか。あと僕、今は艦長だから間違えないようにね』
「そうでありますか。了解であります、トライン艦長殿」
『はははっ、懐かしいなぁその変な敬語。君、上官に対する敬語が下手だったよね、昔は。』

お互い笑いあう。艦長になって白服を纏っているというのに、この人はほとんど変わっていない。
それが少しだけ嬉しかった。
67CROSS POINT:2010/05/24(月) 00:59:12 ID:???

「まあよろしい。それにしても今回はご苦労だったね。問題の解決が先延ばしになっただけってのは痛かったけど。
 ああそうそう、君は今からこのミネルバに転属扱いになったからよろしく。
 他のクルーにはもう言ってあるけど、本艦はキラ=ヤマトの捕獲もしくは撃破を最優先目標としている。
 君が与えたダメージが癒えるまでは動きはないと思うが、此方もこれを機に向こうの位置の割出を急いでいる。
 各員、その時に備えておくように」

「「「「「「「 了解 」」」」」」」

全員、敬礼で応える。自分は軍に復帰したわけではないが気にしなかった。
ここはミネルバだ。なら、自分がこうする事は当たり前のこと。
しかし何故コニールは少し嬉しそうなのだろう?

「一回みんなとやってみたかった」

そうですか。
ルナマリアに頭を小突かれ、恥ずかしそうに笑う。そんなコニールを見てみんなも笑いだした。
戦場から離れて皆気が緩んだのだろう。自分もそうだ。
この穏やかな空間と再会できた仲間のおかげで、帰ってこれたという実感が湧いている。
喉を潤そうとペットボトルの水を一気に煽り―――

『ああ、そういえば言い忘れてた。シン、ボルテールで何があったんだい?
 オペレーターの女の子が凄い心配そうに 「アスカさんは大丈夫ですか?」 って聞いてきたんだけど。
 大丈夫だって伝えたら泣きながら喜んでたし』
「ブフゥーーーッッッ!!!!」

吹いた。

すごいねシンもてもてじゃないかというアーサーの声を無視し、そっと後ろを振り返る。
目をぎらつかせた獣を6匹確認。コレはヤバい、本気で死ねる。
少しずつ距離を詰めてくる彼らに対し、シンの本能が逃走を命じている。
いや待て。どうせ艦内では逃げ切れない。ならここはダメでもともと、説得するべきだ。
あきらめたらそこで試合終了ですよ。
それに俺は彼女を口説いてたわけじゃないし、弁解の余地はあるはずだ。

「何か勘違いしてるみたいだけど、俺は別に―――」
「別に、なに? 『泣きながら喜んだ』 かあ。大切な人だったんだろうね、その人にとっては」

メイリン、笑顔は可愛いけど目が笑ってないぞ。

「大切な人だなんて、そんな。ちょっと仲良くなっただけで」
「 『ちょっと』 じゃ泣かないよな普通。で、何て言って口説いたんだ?」

ヨウラン、メンチ切るな。少しは敵意を隠そうとしろ。
68CROSS POINT:2010/05/24(月) 01:00:42 ID:???

「いや、戦いの前で緊張してたから少し励ましただけで、そんな大したことは―――」
「へえ、じゃ、その娘が勝手に盛り上がってるだけだと? そろそろ観念したらどうだ、シン」

アスラン、アンタまで何混ざってんだ。って観念って俺が何かしたの確定かよ。

だめだ、届かない。想いが伝わらない。
かつてこれほどまでに絶望的な戦況があっただろうか。いや、ない。
もうこれが最後の言葉になるだろう。次の瞬間の幸せを願って、溢れ出る想いを簡潔にぶつけた。
彼らに届け。

「俺、今は穏やかな時間を過ごしたいんだ」


世界が止まった。


そして、背筋の凍るような重圧がシンを襲う。
どうやら自分はジャスティスの自爆装置並みの地雷を踏んでしまったらしい。
自分に向かってくる死神6体の姿を、死の寸前の一瞬の集中力でスローモーションに見ながら、シンは思った。

―――レイ。ステラ。マユ。みんな。今逝く。

「この、女の敵がぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」
「さっきのときめきと涙返せこのバカ!!!」
「グゥレイトォ、流石にちょっとムカついたぜ!!」
「ザフト妻か!? ザフト妻までつくったのかお前は!! デスティニーのコード何本かぶっこ抜いてやろうか!?」
「あはっ、殺っちゃえ」
「いい加減目を覚ますんだシン!! 女難なんて目の敵にされるだけなんだ!! そんな事をしても主役に戻れはしない!!!」



やっぱり降り注いだフットスタンプの嵐の中。
シンは、刻の涙を見た。





69CROSS POINT:2010/05/24(月) 01:03:00 ID:???
今日はここまでです
しばらくはそれぞれの日常の話になると思います

最終決戦までは何話かかるかな……
70通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 01:36:49 ID:???
臨死体験でメタな話をw
深夜に笑わせやがって……投下乙!
71通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 14:19:54 ID:???
投下乙です!
いやあ、色々と笑わせていただきました。
個人的には、オペ子の幸せを願っていますwwww
72通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 17:51:52 ID:???
もうシンは子種出なくなるまで絞られちゃえよ
このナチュラル女殺しめ
73通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 19:49:19 ID:???
アーサーは絶対確信犯だな。
74通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 21:02:45 ID:???
>>73
いや、ただ単に非常時以外の最悪のタイミングで空気を読めない言動をする達人なだけだろう。
75通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 21:18:13 ID:???
もしSEEDシリーズの製作責任者が武論尊先生だったら……

アズラエル
「てめえ考えが甘いんだよ!! あそこのコーディネーターどもの目をよく見てみろ!!」

ナタル
「ゲッ!!」

アズラエル
「やつらの目を見ろ、ありゃあナチュラルなんぞ屁とも思わずに殺す目だ」

ZAFT兵
「ヘイ、ユー!! クレイジー!!」ペッ

アズラエル
「どっちがでぇ〜!」
76通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 21:41:30 ID:???
投下乙です。
ちまきの……ちまきさんの事にも触れてやってください……凸も扱いいいから駄目?
シンとキラの対照はうまいと唸らせられました。キラにたった一つ残った小ラクスはどう作用するのか。
77通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 21:47:07 ID:???
ちまきのやつははコニールが可愛い
シンに頭を撫でられて「ひゃっ」って喜ぶところとか
78ネタ振りします。:2010/05/24(月) 23:00:22 ID:???
もし種の製作者が島本和彦だったら今頃どうなってたんだろうな、と。
「それはそれ!! これはこれ!!」に代表される何時もの島本テイストで万事解決させたか、
題材が題材なだけに島本版スカルマンみたいな真面目な展開になってたか……

「キラ・ヤマトよ、お前の力をナチュラルのクズ共の為に使って楽しいか?
俺たちと来れば、欲しい物だって手に入るんだぞ? どうだ、俺達の友達に為る気は無いか?」

「言ったろう、僕は御前等の友達になる気は無い」

「何故だ!? 遺伝子のコーディネートもロクに出来ないヘタレ達の為に戦う理由が何処にある!?
もう少し手前の欲望に対して忠実になったらどうだ!」

「お前達と戦い続ける事が――この僕の最大の欲望なのだっ!!」
79通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 23:31:26 ID:???
SSが投下された途端に愚にもつかないネタ投下しだす奴って何なの?
SSの感想書かれるのを邪魔したいの?
8078:2010/05/24(月) 23:35:14 ID:???
>>79
そんな心算は無いぞ
81通常の名無しさんの3倍:2010/05/24(月) 23:52:53 ID:???
どうも種制作者ネタは臭いんだが
82通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 00:18:56 ID:???
過疎ってた時には何もしなかったくせにな
まあ振られても相手するとは思えんが
83通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 00:28:08 ID:???
まだ前スレ残ってるんだから、そっちに投下すればいいのに……
84通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 00:31:39 ID:???
もしも、クルーゼが人類を滅ぼそうとせず
自分みたいな存在をださせないようにしようというまっとうな考えだったら?
85通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 00:37:31 ID:???
戦争が泥沼状態のまま延々と続くだけじゃね?
86通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 00:43:05 ID:???
ハイマットフルバーストではなくセガール拳で無双するキラとかどうよ
87通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 01:18:04 ID:???
フルボッコというかメンチからのリンチも含めた上で、
なにげにシン今のミネルバで凄く幸せで満ち足りてね?
キラも正直何もかも投げ出してどっか片田舎でちびラク育てるのに
専念した方がいいと思うんだけどな。
しかしキラに人間らしさへの里心がつくと困るとか何とか言い出して
糞坊主が危害を加えかねないのが心配で……
>>81
島本ネタとか前にもあったし小池ネタ以来の同じ荒らしが
芸もなく繰り返してんでしょ。
いちいち言訳に出て来て一層ウゼェ所もおんなじ。
88通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 05:51:22 ID:???
前スレが埋め荒らしでオワタ
89通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 10:19:42 ID:???
キラ、アスランの将来
キラはヒゲが生えないで、頭は禿げない
アスランはヒゲが毛深くて、代わりに頭が早く禿げる
こんな感じかもね…?
90通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 10:21:33 ID:???
毛髪だけが将来なのか・・・
91通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 10:23:42 ID:???
>>90
そうじゃないけど、将来の姿として毛髪とヒゲを検証してみたんだよ
92通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 10:59:40 ID:???
キラは遅老処理はされてそうだな
もしくはその逆で老化が早いか・・・・。
93通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 11:43:21 ID:???
>>92
キラは大人になれないかも
遅老処理のため老人になるまでは少年の容姿を保てる
そのため少年から大人になることなく老人になってしまう
ただし寿命が短いわけじゃないけど…
94通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 22:18:12 ID:???
CROSS POINTのシン女性関係についての一考察。

「――それで俺はコニールと別れて、ルナといっしょになったんです。
男らしくきっぱりとコニールに別れを告げたんですよ」
「それで、お前は今ルナマリアと上手く行ってるのか?」
「そりゃあ勿論ですよ! いろいろあったけど、今は一番好きな女の子と幸せなんです!」

ボグウ
ズガッ グワッシャアアア……ン

「が……劾さん?」
「貴様、その決断で善いと思ってるのかっ!?
コニールはどうなる――コニールはどうすればいいんだ――コニールはなあ……」
「だ、だって……」
「貴様の常識では二股掛けて簡単に縁を切る男が幸せになるのかっ!? えっ、答えんかっシン・アスカ!」
「う……ううっ」
「お前は今幸せでなんかいるもんか!
いつまでも尾をひいて……コニールのことが尾を惹いて……
ルナマリアと一緒にいたって楽しくなんかないはずだ! 違うかっ!」

「そ……そのとおり、そのとおりです劾さん!
俺はいつもルナとつきあっていても――早くコニールに好い彼氏ができてくれないか……そんな事ばっかり考えてるんです!」
「お、お前……」
「俺はもう疲れました。いっそのことルナと別れて地球でコニールとまたやり直そうかと……
俺はこれからどうしたらいいんですか劾さんっ!」
95通常の名無しさんの3倍:2010/05/25(火) 23:05:14 ID:???
元ネタがわかんないのだが
96通常の名無しさんの3倍:2010/05/26(水) 10:33:54 ID:???
吼えペンじゃね?
97通常の名無しさんの3倍:2010/05/26(水) 15:43:09 ID:???
島本絵の劾とシンを想像して吹いたw
98通常の名無しさんの3倍:2010/05/26(水) 20:54:16 ID:???
いや、燃えペンだな、更に古い方
9994:2010/05/26(水) 22:27:30 ID:???
まあ最終的に
「実は、俺の事を影で見詰めてくれていたザフトの娘がいて!
これがけっこう可愛い上に相当な偉乳で……
俺は過去の女のことは忘れて、彼女と新しい人生の一歩を踏み出したんですよ! 新しい女と!」
みたいな事には為らないって信じているんですがね。でもまだまだ不安……

>>97
劾じゃ無しにロウやバリーじゃ駄目でしたかね。

「俺は一介のジャンク屋で剣客に過ぎん。
刀でビームや特大の宇宙障害物を断ち切る事は出来ても……
男女関係の縺れまで断ち切る事は出来ない……」

「俺は一介のMS乗りで格闘家に過ぎん。
MSのバルカンに耐え、跳び蹴りでMSのカメラアイを破壊する事は出来ても、
男女関係の縺れまで打ち倒す事は出来ない……」
100通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 06:20:05 ID:???
ルナが男装の小説があったような気がするけど何だったかな…?
101通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 06:53:32 ID:???
自民が政権復帰したら種、種死は放送禁止になるらしい
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/news/1274898499/
102通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 21:54:00 ID:???
そういやヨウランは確か最終回でアスランにミネルバ撃墜された時に
巻き込まれたハズではなかったか、と……CROSS POINT内では何故生存してるんだろう?
103通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 22:30:53 ID:???
脱出した時のカットにいなかっただけで、明確に死んだ描写はなかった筈だから、別に良いんじゃね?
それにほら、最終回で死んだはずって言うなら鷹という立派な先例が
104通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 22:35:05 ID:???
奴は死んだよ
ネオとかいう最低野郎はカーボンヒューマンだろう・・・
105通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 22:54:25 ID:???
>>103-104
其の辺の話題に関連して「もしファントムペイン行動隊長が
ムウの再生人間では無かったとしたら?」って内容の話を何方かが描いてくれませんかね?
思いっきりアバウトな形でなら思いつけるんだけどはっきりした内容には出来ないんで……
106通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 23:25:38 ID:???
何かで見たんだよなー、旧仮面とおなじ親父のクローンか何かの奴
107通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 23:33:57 ID:???
マユスレだろ
あっちはシンが狂戦士になってるけど
108通常の名無しさんの3倍:2010/05/27(木) 23:37:07 ID:???
最終話前後でおっさんのクローンだったよってマリューに言ってるのなら見たことあるなぁ
スウェンもどっかで出てた記憶がある
109CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:41:44 ID:???
前スレ埋め用に馬鹿話を書いたのですが、埋まっちゃったので本編に合流させてこっちに投下します
内容はあんまり気にしないでください
110CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:42:35 ID:???



「しーあわせはー、あーるいーてこーない、だーからあーるいーていーくんーだねー……」


ミネルバの通路で、アスランはルナマリアを見かけた。

廊下の壁に背を預けて、ぼんやりと自販機を眺めながら歌を歌っている。
これから皆で夕食をとる約束をしていたので、もう他の人間は食堂へ行っているだろう。
いつもの彼女なら真っ先に食堂に行ってコニールと恋の鞘当てでもやってる筈なのだが。
何かあったのだろうか。

「何をしてるんだ? もうみんな行っているだろう」
「そうですね。いや、ちょっと考え事してたもので」
「シンの事だろ?」
「半分正解。もう半分はみんなの事です。キラの事とか、アスランの事とか」

意外な答え。思わず聞き返す。

「俺と、キラ?」
「はい」
「気になるな。どんな事か、良ければ聞かせてもらえないか?」
「いいですけど……その前に質問。なんでアスランは、まだ戦ってるんですか?
 軍人じゃなくても、貴方にならできることはいくらでもあると思いますけど」

またいきなりだな。なぜまだ軍人なのか、か。
そんなの理由は決まっている。

「できることはいくらでもある、か。そう言ってくれるのは嬉しいけどな。
 結局、全然そんなことはなかったよ。
 オーブでもプラントでも、俺にできるのは戦うことだけだった。
 銃を取らなくても、力に拘らなくても。俺は俺だって言ってくれたやつもいたけど。
 やっぱり俺にはこれしかないんだ。俺が世界の為にできる事なんて、力を振るう事ぐらいしか」
「……やっぱりね。それが貴方の銃を取る理由ですか」
「まあ、そうなるな」

溜息を吐くルナマリア。自分は何か変なことでも言っただろうか。これでも真面目に答えたつもりなのだが。
呆れた様子の彼女の表情が真剣なものへと変わる。

「その理由ってやつなんですけど。
 世界のため。自由のため。平和のため。道半ばで倒れた恋人のため。罪を犯した女の子の贖罪のため。
 ―――みんな、かっこいい理由ばっかりですよね」

かっこいい理由か。確かに奇麗事すぎる気はしないでもないが。
でも、間違っている事ではないのだ。
111CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:43:49 ID:???

「それは、まあ……」
「でも貴方たちって誰一人として、今傍にいる誰かの為に生きるって言わないじゃないですか」
「いや、そんな事は」
「無いって言い切れます? キラは言わずもがな。シンも私達を放りっぱなしにしたし。
 アスランだって奥さんであるメイリンの事を一番に考えれば、軍人なんてやってちゃいけないですよ。 
 この間だって、下手すればメイリン残して死んでたかもしれないんだし」
「う……」

それを突かれると痛い。
なんせ、この間彼女らの母にその事でチクリと刺されたばかりなのだ。
義父の方は事情を説明すると理解してくれたのだが、男と女では考え方が違うということか。
ルナマリアは言葉を続ける。

「どいつもこいつも、綺麗なものばっかり、凄いものばっかり目指して。
 今手にしてる物の大切さなんて考えやしないんだから。
 そんな届くかどうかわからないもの追いかけるより、傍にある大事なものを大切にしようとか思わないのかしら」
「………耳が痛いな」
「そう思うんだったら少しはアスランも反省してください。どっかのバカとは違うんですから。
 ったくあんにゃろ、いつまでも人が大人しく待ってるとでも思ってるのかしら」
「なあ。もしかして、シンに愛想を尽かしたとか…」
「まさか。ただあいつは2回も逃げやがりましたから。
 もう自分自身のプライドを賭けて、何処にも行かせないつもりですけど」

その言葉にちょっとだけ安心した。シンの気持ちは以前ベルリンで聞いている。
だから自分は、彼ら全員がそれぞれを大切に思っているのは知っているのだ。
答えがどうなるのかは分からないが、できることなら彼らの中の誰かが傷つくのは見たくなかった。

「そっか。……そろそろ食堂へ行くか。みんな行ってるみたいだし」
「あら、もうこんな時間? もしかしたらもう、みんな始めてるかも」
「あいつらの事だ、まず確実に始めてるだろうな。急ごう」

壁の時計を見ると、約束の時間をはるかに過ぎていた。思っていたより長く話していたらしい。
2人揃って小走りで駆け出す。食堂の入り口が見えた。

扉を開ける。2人の目に入ってきたのは大宴会。
整備士やパイロット、機関部の人間だけじゃない。ブリッジ勤務の人間の姿も見えた。
今回の戦闘では死者が出ていないので、皆がはしゃぐのも当然か。
だがそのせいで数が多すぎて目当ての連中が見つからない。あいつらは何処に―――いた。

いたのだが、これは……。
112CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:45:58 ID:???

「そうね。彼が大変だって、疲れてるってことは理解してるの。でも私たち夫婦なのに、背中向けて寝るのはひどいと思わない?」
「どうせ胸も無いさ! 尻も無いさ〜!! おら飲めアーサー、艦長なんだろ!?」
「もう無理だ……ごめんな、約束は守れない……」
「こらぁグレイト、さっさと炒飯つくれや!! ビーム砲の照準ずらして欲しいんかコラ!?」
「やれやれ、小腹が空いたなら空いたってそう言えばいいのにさ」
「2人とも遅かったじゃないか。何してたんだ? 来ないからもう始まってるぞ」

からんで叫んで暴れて。なんか全員出来上がっていた。
とりあえず唯一まともなシンに話しかける。

「なあシン。何なんだこの状況」
「見りゃわかるだろ。酒飲んでんだよ」

酒飲んでる、で説明されても。いやその一言で十分足りるのは事実だが。
そんな事言ってる間にルナマリアがメイリンとヨウランに引きずり込まれた。

「それは見れば分かるが……コニール止めた方が良いんじゃないか?
 つかトライン艦長も寝ないで起きてくださいよ、ほら。この中じゃ最年長なんだから」
「もういいだろアスラン、寝かせてやんなよ」
「だけど…だけどさ……アーサーなんだぜ……!?」

ピクリとも動かなくなったアーサーを揺するアスラン。へんじがない、ただのしかばねのようだ。
仕方が無く起こすことを諦め、ルナマリアのもとへ向かったポニーテールをぼんやりと見送った。
あれ、確か彼女って。

「コニールは酒飲んじゃ拙いんじゃないのか」
「まあ確かに成人はしてないけど、今は野暮なことは言いっこなしだ。アンタも飲めよ」
「そうですよ。せっかく皆揃ったんだから。昔話でもしましょうよ〜。
 例えば俺がどうやってジャスティスのリフターから生き延びたのか、とか」
「マジですいませんでした」

否応なく自分も引きずり込まれる。
ヨウランが周囲を囃し立て、部屋中からアスランへ向けて一気コールが巻き上がった。
アスランは苦笑しながら立ち上がり、手にしたジョッキをシンのそれとぶつける。

こうして宴会に2人が追加された。





第24話 『アスランの自爆で酒が飲めるぞ』




113CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:49:00 ID:???

「うわ、もうこんな時間かよ……」

酒の廻った頬をぺちぺちと叩きつつ、シンは壁に掛かった時計に目を向ける。
長針と短針がスタートしてから4時間後を教えていた。なるほど、周りに解散したところがあるわけだ。
無論自分たちとてチューハイやウーロンなどでちびちびやっていたわけではない。
むしろ全員ハイペースで飲んだため、まともな思考を保っているのは自分とディアッカくらいである。
アーサー以外の皆は普通の人に比べれば酒は強い方なので潰れていない。
だがシンにはそれが良い事なのかは分からなかった。現にあそこはやばいトーク始めてるし。

「無理はして欲しくないけど、最近夜が寂しいのよね。ねえ、何かいい方法ないかしら」
「はい、炒飯お待ち。……チアガールの服着て、応援でもしてやったらどうだ? ベッドの上で」
「うーんチアかぁ。ならとりあえず今夜はタンクトップとミニスカでそれっぽくするとして……
 ねえあなた、その場合髪型は何がいい? やっぱりポニーかな?」
「こらメイリンいい加減にしないか。あまり家の事を外にぺらぺら話すもんじゃない。
 ミニスカと白い靴下さえ準備していればそれ以外はどうでもいいが、俺の上に乗る時はボンボンを握るのだけは忘れるな。
 あと髪型は昔みたいにツインもしくはポニーテールにして下さい」
「しっかりしろアスラン、本音がだだ漏れだぞ。いい加減酔いを醒ませってなにぃまた炒飯の追加だぁ?
――――まあいい、別に作りすぎてしまっても構わんのだろう?」

訂正、そろそろディアッカもやばいかもしれない。

「あん? 何で俺が生きてるのかって?
 だからな、あの時迫ってくるリフターを俺の崩拳で迎え撃ったんだよ。最強の矛と盾がぶつかり合ったわけだな。
 ま、矛盾って言葉があるように、その時は盾が勝ったわけだが。
 でもリフターが爆発したせいでミネルバが沈んだのは俺の計算違いだったなぁ」
「うっさいヨウラン、誰に向かって言ってんの。
 こっちは今回活躍できなくてムカついてんだから、あんたは少し黙ってなさい。
 ったく、なんで未だにザクなのかしらねー。私が来るからにはインパルスぐらい用意しときなさいよ、ホント」
「待て。今お前何て言った? 俺が魂込めて整備した “ザクファントム” なめてんのか、テメー」
「 “!?” 」

こめかみに血管を浮かべて立ち上がる両者。生肉を叩くような音が響き渡り、やがて静かになった。
こぼれそうな涙を堪えてシンは天井を見上げる。そこにはこれ以上無いほどのヨウランの笑顔が浮かんでいた。
無茶しやがって。いやツルハシやバス停で殴られなかっただけマシか。

「私のインパルス “速攻で” 持って来い」
「う…あ……ウソだべ?」
「マジ……相手誰よ? こんなベゴベゴに…。 “ヨウラン” サン!?」

ヨウランは放っておこう。
通りがかったあの整備員たちが、きっと何とかしてくれるさ。
多分。
114CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:50:49 ID:???

「コニールがお姉ちゃんに勝つ方法かぁ」
「なんか無いかな? ルナの弱点とかでも良いんだけど」
「弱点か、そう言われると特に思いつかないな……。見た感じ穴だらけなんだが。
 やはり自分を高めるとかの方が良いんじゃないのか」

そうこうしてる間にザラ夫婦に捕まったコニールに目を向けた。
さっきとは違い、真面目な顔をしている。内容はライバルへの勝利の仕方についての模様。
う〜ん、メイリンはともかくアスランに話すのは時間の無駄だと思うんだが。
内容が問題なんじゃなくて、そもそもあいつは相談を受けて気の利く返答をするってことができないからなぁ。

「な〜いいだろメイえもん、ルナ対策のひみつ道具出してくれよ〜。なんか妹特有のドロドロした奥の手があるんだろ〜?」
「おーけー。奥の手は教えられないけど、切り札くらいなら先に見せても……あった。じゃ〜ん! コンバットナイフ〜!!」
「殺す気か」
「む、ナイフはお気に召さないか……ならばロケランだな。これならゾンビだろうがタイラントだろうが一撃でバニシングだ」
「殺す気か」
「も〜コニールったら不満ばっかり。ロケラン以上の武器は無いナリよ?」
「コロ助か」

誰がお前らの団体芸見せろっつった。
いくら酔ってるとは言え、もうキャラの原型残してねえなぁアイツら。
酒とは恐ろしいですね、ほんと。

「まあそろそろ真面目な返答をしないと。
 うーん、脚、綺麗なんだからチャイナドレスでも着てみるとか……どう思う? あなた」
「チャイナか。いや、アレは色気のある女性が着るものだろ。
 例えばマリューさん、は年齢的にキツいか。んじゃロンド=ミナ=サハクみたいなさ」
「うう……、こいつらさっきから黙って聞いてれば……」
「やはりアピールは必要ね。メイド服で 『ご主人様』 で行くかネコ耳に尻尾、同じ柄の水着着せて 『にゃーん』 で行くべきよ!!」
「いや、あまり露骨だと空振りの可能性が高い。貧相な身体も目立つしな。
 こうなったらそれを逆手にとって、学校指定のスクール水着か体操服とブルマが正解だろう」
「なるほど、当然胸にはゼッケンを着けるのね!? 『3−A あるめた』 って!!」
「ああ、当然ひらがなでな。ただA組は優秀な組という設定も多いから却下だ。
 3−Aより1−Bか2−Cの方がいいだろう。
 スポーツしか取り得の無い後輩って設定のほうがリアルだからな。キャラと身体的な問題で」
「ちっくしょーーーっ!!! 貧相で悪かったなーーーッッ!!」

何を起きたまま寝言ほざいてんだバカ夫婦が。
というかアスラン、いくら酔ってるとはいえメイリンに流されんな。

「まあ確かに調子に乗りすぎて悪かったが、あまり気にすることじゃないと思うぞコニール。
 ああ見えてシンのお前たちに対する好感度はMAXだ。今のまま自然に行けばいい」
「頭に不自然乗せてるお前が言うなぁ!!」
「あ 効いた 今のボディブローは」
「コニール、仮にも友人に向かってボディブローはないでしょ」
「友人だからこそのボディブローだ!」
115CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:52:41 ID:???

腹を押さえて蹲る。アスランは所詮アスランか。期待するだけ無駄だった。
いやあいつに期待なんてしたことなかったっけ。

「ほい、炒飯おまたせ…って、誰も食う気配がねえじゃんか」

炒飯を持ってエプロンを着けたディアッカが戻ってきた。溜息を吐きながら机の上に皿を置く。
湯気を立てているのはレタスチャーハン。旨そうだが重そうだ。
もしかしたらあれ、自分たちが処理しなければならんのだろうか。

「騒がしいなぁ本当によ。……あれ? シン、ヨウランはどこ行った?」
「不運 (ハードラック) と踊 (ダンス) っちまった。今は寝て……あ、起きた」
「アスランは…ああ、出来上がっちまったのか。女性陣もあの通りか」

ディアッカと共に呆れた視線で友人たちを見る。
視線の先にはライム片手にテキーラを流し込む若妻。未だにビールで頑張る夫に近づき、はっちゃけた声をあげた。

「宴もたけなわ、頃合は良し。
 さああなた、例のやつを見せてやって! あの面白いネタを、本当に笑っちゃうネタを!!
 3の倍数のたびにオチを持ってくるあの鉄板ネタを!!」
「いや、もう内容言ってるし……」

鬼かこいつ。

「さああなた今やってすぐやって息する前にやってハリィハリィハリィ!!!」
「ちょ、ま、わかったやるからやるから……コホン。
 1番、アスラン=ザラ。数字を数えて、3の倍数の時だけアホになります。
 1…2…3は敵じゃない!! 4…5…6はお前を殺そうとはしなかった!!」
「30点」

鬼だこいつ。

「いやお前ふざけるなよ、無理矢理やらせといてその反応はないだろうが……もうたくさんだ!!
 というかなんで最近のお前はそこまで俺を弄るんだ! 昔はそんなじゃなかったじゃないか!」
「昔は昔、今は今よ。大体それを言うならあなたの額の前線だって昔はもっと前にあったでしょ」
「むう……そんなに笑いというゴールが欲しければ俺のキャラに依存せずに自分がキャラ変更すればいいものを。
 そうだ、今すぐ眼鏡をかけて先輩キャラに変更しろ!
 眼鏡かけてスパゲッティ食べて原作ファンから総叩きされろ!!」
「断るわ。貴方こそさっさとその頭の不自然投げ捨ててシンの必殺技開発の時間を稼いでなさい」
「どうあっても退かないか先輩……ならば!」

「「ザラ夫婦、GO FIGHT !!」」

116CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:54:49 ID:???

空いたスペースで超人ファイトを始めたバカ夫婦。正直勘弁して欲しい。
散らかった食堂を片付けるのはどうせ俺なんだろうし。
それにしてもお互いの攻撃がこれだけえげつないのはよほど溜め込んだものがあるに違いない。
まあメイリンはなんだかんだからかいつつも、本当にアスランを愛してるのだとは思うけれども。
額前線の件でアスランが意図的に話をズラした時、気付かない振りしてたし。

とはいえこのテンションに付いていけないのも事実だ。
こういう時に理性を残していた者は損をする。比較的酔いの浅い者を集めて飲むのが無難だろう。
ディアッカは既にここにいるし、ヨウランとコニールあたりは呼んでも……あ、だめだこりゃ。

「コニール。実は俺、ポニーテール萌えなんだ」
「夏休みの宿題を7週間もしなかった時点であんたには何も期待していない」
「それ京アニに言った方がよくね?」
「“敵” が… “敵” が “欲しい” んだよう……」

コニールの発言には納得する部分の多いシンではあったが、流石にあのテンションでこっち来られても困るので2人の召集は諦めた。
あとそれから白目を剥いたまま徘徊するルナマリアはもう無視の方向で行きたいと思う。
行かせてくれ、頼むから。

「……この船には馬鹿しかいないのか」

頭痛がしてきた。見てて恥ずかしい。今日1番の疲れが自分を襲う。
これがミーティアの群れとも渡り合えるザフト最強チームとは誰も思わないだろう、絶対。

「ったく、どいつもこいつも。酒弱いくせに無茶飲みするから」
「俺達と比べてやるなよ、あいつらも十分強いほうだぜ? ―――なあ、そう言う割にはなんか嬉しそうな顔してんな、シン」
「………仕方ないだろ。酒が美味いんだから」

自覚は無かった訳ではないが、頬に手を当てて自分の表情を確かめる。やはりと言うべきか、口元は笑みの形を作っていた。
それにしてもいやらしい奴だなこいつは。
普通はそんな無防備な表情に気付いても、見て見ぬ振りをするのが友人だと思うのだが。

「それにまあ、こいつら見てると悩んでるのが馬鹿らしくなる」
「そうだな。……あいつも此処にいたらな」

シンの隣に腰を下ろし、ディアッカは机のコップに目線を落とす。
思い出しているのは今回も敵にまわったという恋人のことか、それとも

「それ、キラの事か?」
「まあな。あいつも道間違えなきゃ、間違いなくこの中にいたんだが」
「……もう手遅れだよ。あいつ」
「言われなくてもわかってるさ、そんなこと」

手の中の酒を煽るディアッカ。自分と視線を合わせないのは認めたくない現実のせいか。
そんな彼に対し、シンは何も答えない。
今の自分には無かったのだ。彼にかける慰めの言葉なんて。
117CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:56:45 ID:???

「………もう時間も遅いな。そろそろお開きにするか」
「そうだな。俺そう言えば今日、キラと戦って疲れてたんだった」
「そっか。なら、あの娘たちに癒して貰いな? 今は近くにいるんだからさ。
 男として今夜、ここまで追いかけて来てくれた彼女たちの気持ちに応えてやるって選択肢もあるけどな。
 ま、どっちとかは別問題としてだけど」

からかうような表情。そのくせ心の揺れを見逃すまいとその目ははっきりしている。
こいつほんとにいやらしいぞ畜生。

ああもう認めよう。酔った勢いで告白してやる。自分はあの2人の事が大好きだ。
はっきり言って、すぐにでも抱きたいとも思ってる。
宇宙にまでこんな俺を追いかけてきてくれた。距離を置かれても、それでも一緒にいると言ってくれた。
そこまでされて、心を動かされないわけがない。彼女らを拒絶するほど心は凍っていない。

けれど、 『2人』 なのだ。自分が好きな女は。

「アンタ知ってて言ってるだろ」
「そりゃな。いいじゃないかよ、今さらオタマジャクシの1億や2億。好きな方に注ぎ込んでやれば」

ディアッカがそう笑った瞬間、シンの背後で何かがぶつかり合う様な音が聞こえた。
思わず振り返る。そこにはルナマリアとコニールが取っ組み合う姿があった。
右手は手刀、左手は拳。両足はお互いの動きに備えている。
むう、これはまさしく千日戦争 ―――って今回はこんなのばっかだなぁ本当に。
もういいや、今回はシリアスは諦めた。とっとと部屋に戻って寝たい。

「どきなさいコニール、シンは私が癒してあげるの。エ○ーナル・○ボーテとか、なんかそんなやつで」
「ダメだ、シンを癒すのは私だ!! 『CHA○GE!!』 とか、なんかそんなやつで」
「それどっちも命捧げて死ぬやつなんだけど」


重すぎなんで勘弁してください。


「髪型をツインテールにして200万パワー!! いつもの2倍のジャンプで400万パワー!!
 さらにいつもの3倍の回転で1200万パワー!!
 ―――さああなた、これを受けて無事でいられる!?」
「くっ、まともに受ければ間違いなくやられる……!!
 だがいつもはロングホーンを突き刺してる立場なんだ、ここで逃げるわけにはいかない……!!」
「え? ……ああ、あなたの言うロングホーンって折れた方の事よね?」
「お前マジで別れてやろうか」


帰ってください。



118通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 00:57:54 ID:???
支援する!
119CROSS POINT:2010/05/28(金) 00:59:32 ID:???
今日はここまでです
流石に最終決戦の大半はシリアスなので、それまでは軽い話が多くなります

次回はオーブの話
120通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 01:27:03 ID:???
乙。
初っ端にタイムリーなネタ仕込んできたなw
121通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 08:35:04 ID:???
さりげに運命に抗う理由を解消してるな
酒旨いって言ってるし
122通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 08:35:34 ID:???
CROSS POINTセンセイの話は相変わらずイイんですが
出来ることなら>>94の事についても……まあいいですけど。

>俺の崩拳
そこは「俺の自慢のボックスドライバー"洞爺湖"*」がいいなw

*参考画像
ttp://blog-imgs-22.fc2.com/s/a/n/sandofstar/20080224034242.jpg
ttp://image.space.rakuten.co.jp/lg01/43/0000196643/67/imge207d872zikezj.jpeg
123通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 18:35:45 ID:???
>>122
お前糞つまらねー>>94かよ
しつこいし、お前の下らない要望押し付けんな
124通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 21:27:48 ID:???
セイバーガンダムの不遇さが余りにも遣り切れないので

「もし主役機体がインパルスで無くセイバーガンダムだったら」

という内容で誰か執筆して戴けませんか?
125通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 21:41:09 ID:???
>>124
タイトル忘れたがルナマリア主役物でそうなってた。
インパルスのパイロットがアスランで、マユとシンが姉弟になってるやつ。
126124:2010/05/28(金) 21:45:02 ID:???
>>125
そうじゃ無くてセイバーが主役って点以外は大体アニメ版準拠で、さ……
序でに其の際インパルスは無くてもイイですから。
127通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 21:58:09 ID:???
つーか、ここは誰かに書いてもらうスレじゃなくて、自分で書いて誰かに読んでもらうスレだ
くれくれはイラネ
128126:2010/05/28(金) 22:04:44 ID:???
俺は小説が上手く描けん! 不可能に近い!
だが、読みたい題材や仮想は心に在るのだ!
つまり、上手く描ける人に描いてもらう! 俺の代わりに!! 
129通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 22:21:44 ID:???
で、アニメ版準拠ってのは坑道突破とかフリーダム撃破とかもセイバーでやんの?
130通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 22:24:32 ID:???
種の小説版買ってきて、インパルスって書いてある所を全部セイバーに修正したら良いんじゃね
131通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 23:06:08 ID:???
それ名前がセイバーなだけで形はインパルスじゃね
132通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 23:08:19 ID:???
武装も全部置き換える作業に励めばいいさ
133通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 23:08:39 ID:???
シルエット換装のシーンも丸々カット
坑道通るシーンもカット
134通常の名無しさんの3倍:2010/05/28(金) 23:27:00 ID:???
アスラン主人公で置き換えればそのままでもいいんじゃね?
135通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 00:04:33 ID:???
お前は負債か
却下
136通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 00:47:46 ID:???
高山版をバカにされた気がする
137通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 00:49:09 ID:???
高山版とジ・エッジは違うから可
138通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 02:25:52 ID:???
誰もF91ネタに突っ込んでやってないんで俺が突っ込んでおくwww
つーかネタ多すぎだろw あとアスランとメイリンはいい夫婦しすぎだコンチクショウwww
139通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 18:59:45 ID:???
どう取り繕おうが、凸が裏切りを繰り返して最後に物語を破綻させた事実は変わらない
凸を主人公などと呼んだ時点で総てが狂う
140通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 19:36:47 ID:???
本来ならあの手の先輩格上キャラはもっとかっこよくできるはずなんだけどな
主人公のストーリーさえしっかりやってればだけど
作り手の押し付けがましい贔屓が入ると大抵見てて腹立つキャラになる
漫画版SO3のクリフとかバルフレアとか
141通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 19:39:20 ID:???
陣営を転々と移るのはやむをえずあることだろうけど
女も絡んでふらふらふらふらしてる感じがいかんのかねえ
142通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 20:05:34 ID:???
陣営を移る理由が情けなさ過ぎるからだろ
143CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:41:12 ID:???





第25話 『……まだ、終われない……』





「いいのかねえ。こんなとこでゆっくりしてて」

窓の花瓶に活けられた花が、窓から入る風で揺れている。ベッドに横たわった男はその光景を見ながら力無くぼやいた。
彼の右脚にはギプス。頭と両腕に巻かれた包帯。頬に貼られた湿布。

ムウ=ラ=フラガは、未だにオーブ軍の病院に入院中だった。

「仕方ないじゃない。貴方怪我人なんだから」

すぐ傍から自分を慰める妻の言葉が聞こえた。
不貞腐れた顔の自分に対し彼女は笑顔。ベッドに両肘をついてこちらを見ている。
自分がこんな様なのに何だか嬉しそうだ。
そういえば、娘が生まれてから2人きりの時間が減ってたな。

「なに?」
「……いや、いい女だなって」
「あら、ひさしぶりに釣った魚に餌をあげる気になった?」
「あ〜……すまないな、最近仕事ばっかで」
「ふふっ、冗談よ」

自分をからかえたのが楽しかったのか、微笑を崩さない彼女。
自分も笑顔を返すものの、なんだかこんな幸せな空間にいることに罪悪感が出てきた。溜息を吐いて自分の身体を見下ろす。
その目に写るのは包帯だらけでぼろぼろな、無様な自分の姿だけ。

「……結局、なんにも役に立てなかったよ。2回挑んで、2回とも木っ端微塵さ」

エンディミオンの鷹と言われても所詮はこんなもんだ。子供1人止められやしない。
窓から外の景色を見る。ゆっくりと流れる飛行機雲。花から花へと飛び移る蝶。
平和という言葉を体現したような穏やかな光景。
だが、それこそが自分を責める。
144CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:42:36 ID:???

「………」
「大丈夫よ、ムウ」

静寂を嫌ったのか、それとも遠くを見つめたままの自分を見かねたのか。おそらくは後者だろう。
自分を励ますようにマリューが口を開いた。

「貴方には知らせなかったけど。ザフトには貴方の知り合いのあの子が……シン=アスカ君が復帰したの。
 つい先日の戦いで、彼1人でキラ君を退かせたって世間は大騒ぎよ。流石にボロボロにはなったみたいだけど。
 彼の許にアスラン君も合流したそうだし、後は2人に任せましょう。
 彼らならきっと、キラ君を止めてくれるわ」

「―――――何、だと?」

シンが復帰。シンが軍へ。そしてキラと戦った。
放たれた言葉を頭の中で繰り返す。数秒経って、ようやくその言葉の意味を呑み込むことが出来た。
自分とアスランが敗れた今、世界に残されたカードはもう残り少ない。
だから彼の戦場への復帰はもう仕方のないことかもしれないとも思うし、それに彼ならばキラを止められる可能性もある。
だがその瞬間、脳裏をよぎったのは1枚の写真。

「ダメだ」
「ムウ?」

吐き捨てる様に呟き、拒絶する。それだけは許されない。

「それは、ダメだ」

その事実を肯定してしまうことは、ムウ=ラ=フラガには許されない。
かつてネオ=ロアノークと名乗った自分には。彼との約束を破った自分には。

戦後マリューとの間に娘ができたと分かったとき、彼に会って聞いてみたことがあった。
生まれてくる子供の名前を 『ステラ』 にしても良いかと。
もしシンに娘の名にするつもりがあるのなら、彼の方が相応しいと思ったから。
怒られるのを、いや殴られるのを覚悟で聞いてみた。

――――アンタが自分に、その名を付ける資格があると思うなら。好きにすればいい

静かな声で、彼は返した。

――――俺は別に構わない。俺には、その資格は無いから
145CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:44:38 ID:???

そして踵を返し、そのまま去っていった。小さな背中を自分の目に焼き付けたまま。
あれ以来彼とは会っていない。

後でアスランから聞いた話だが、彼はステラと 『守る』 という約束をしていたらしい。
しかし結果として彼女は死んだ。資格が無いとはおそらくその事だろう。
最後まで約束を守ろうと足掻いていた彼に資格がないのなら、彼女を死なせた自分になどある筈も無い。
結局、娘の名前はマリューに決めてもらった。
妊娠中の彼女は本を片手にとても楽しそうに考えていたので、その事については後悔は無かった。
ただ彼の冷めた瞳と小さな背中が、自分の心に影を落とした。

アスランの持っていた写真を見て、心に浮かんだのは喜びよりも安堵だった。
相変わらずの仏頂面。何故か顔中傷だらけ。おそらくアスランとガチで喧嘩でもしたのだろう。
だが目に宿っていたのは温もりだった。
一緒に写っていたザフトにいた赤毛のお嬢ちゃんと、ポニーテールの勝気そうな女の子。おそらくは彼女らのおかげか。
嘘をついた自分のせいで苦しんでいた少年が今、やっと人としての幸せを掴んでいたのだ。
だからもう彼には何も失って欲しくなんか無かった。
だが今、彼は戦場に戻っている。何の為かは分からないが、キラを倒すつもりのようだ。

ならば。自分がするべき事は一つだけだろう。

ベッドから身体を起こす。引き攣るような身体の痛みを精神力で抑え込む。
もう間に合わないかもしれないが、それでもこのまま寝ているよりはマシだった。

「ちょ、ちょっとムウ!! 安静にしてないとダメよ!! 身体を休めなくちゃ」
「休めてどうなる? どっちが勝つにしても、俺の身体が治った頃には全部終わってる。それに」

ステラの件。ベルリンの件。そして今度のキラの件。
自分は彼に借りしか作っていない。

「あの坊主が戦場に戻って、しかもボロボロになったっていうんだ。溜まった借りを返すのは今しか無さそうなんでな。
 それに、ただの一般人だったキラを最初に戦わせたのは俺だ。
 ―――ここで寝ているわけにはいかないんだよ。世界の誰よりも、俺は」
「ムウ………」

盾でも囮でも構わない。やれる事があるなら行くべきだ。
怪我がどうした。危険がどうしたというのだ。
自分は不可能を可能にする男だ。命の危機なんて、そんなものは軽く蹴り飛ばして生きていける。
けれどこの胸の中の空虚をそのままにしたまま、残りの長い人生を生きていけるほど自分は強くない。
だから邪魔はしないでくれとベッドから立ち上がる。
146CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:46:18 ID:???

しかし、押し退けようとした手は彼女に掴まれた。

「残念ね。それを聞くわけにはいかないわ」
「なに?」
「だって、私も行くから」

妻の顔を見上げる。冗談を言っているようには見えない。
かつて共に戦場を駆けた時と同じ顔をしている。

「私もキラ君を巻き込んだうちの1人だもの。
 それに2人の事を貴方がそこまで背負い込んでいるのなら、その荷物を私も持つわ。妻なんだから」
「マリュー……すまない」

彼女の手を借りながら軍服に袖を通す。ギプスがあるので下が穿けない。
これも後でなんとかしなくちゃいけないな。

「一緒に行こうかマリュー。例え行き先が、地獄の果てでも」
「オーケー、付き合いましょう?
 ただその心配はしていないけどね。だって貴方は 『不可能を可能にする男』 なんだから」
「ははっ、そう言えばそうだったな……あの娘はどうしようか? また泣くぜー」
「ソガさんの所に預かってもらうしかないかしら……? あの娘食べ方の行儀悪いから、あんまり他所に出したくないかも」
「お前が甘やかすからだよ」
「それは貴方でしょ」

かっこいいシーンから急激に所帯じみた話へ。松葉杖とって。はい。
この場にはお互いの良いところもかっこ悪いところも見尽くした2人しかいないので、シリアスな雰囲気はそうも続かないのだ。
軋む身体に脂汗を流しそうになりながらも耐え、ゆっくりと歩き出すムウ。
マリューはそんな夫よりも先に進み、病室のドアを開けた。その目の前にはいかつい顔の元ランボー。

「夫婦水入らずの所を邪魔して悪いが、我々も共に行かせてもらおう」

不意打ちに度肝を抜かれたのかびくりと肩を震わせる己の妻。振り返って声にならない声を出す。
ぱくぱく、ぱくぱくぱく。……うん、全然わかんないから。とりあえずそこの水差しから水でも飲みなさい。
ドアから妻が離れ、何人かの屈強な男たちが立ちはだかっているのがムウの目にも写る。
レドニル=キサカ率いる5人のオーブ軍人。かつて自分と共にキラにやられた、5本槍の異名を持つ男たちだ。
全員自分と同じく身体中包帯だらけのひどい有様だが、その目には強い意志が宿っている。
147CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:47:31 ID:???

「今の状況、とても寝てはいられないのでな」
「アンタら……」

立っているのも辛いくせに格好つけやがって。つくづく体育会系な奴らだ。
だがそういうのは嫌いじゃない。

「いいぜ。死にたい奴だけ付いて来い」
「死ぬ気は無いが付いていこう」

ドックにはアークエンジェルがある。今すぐお嬢ちゃんを説得すれば決戦には間に合うだろう。
物資援助のみで討伐軍に合流するのがアスラン他数名だけなんて、責任を果たしているとは言えない―――そう言えばなんとか

「代表に無断で行くつもりか? お前たち」

廊下の先には、金髪の女性が腕を組んでまま壁に背を預けていた。
カガリ=ユラ=アスハ。言うまでも無く自分たちの主である。キサカたちも驚いているので一緒に来たわけでは無さそうだ。
やれやれ、まずいタイミングで見つかってしまったな。いや、ここは手間が省けたと考えよう。

「申し訳ありません代表。ですが我々は」
「もういいキサカ、皆まで言うな。―――――ムウ=ラ=フラガ一佐!!」
「ハッ!!」

キサカが話しかけるものの、カガリはそれを遮りムウを呼んだ。反射的に敬礼を返す。
身体中の痛みに思わず顔を顰めてしまった。

「貴官に討伐軍への合流を命じる。アークエンジェルで宇宙に上がれ」
「は?」

宇宙へ上がれって、それって。

「聞こえなかったのか? 宇宙に上がってザラ少将のサポートに廻れと言ったんだ」
「了解致しました!! ……でも良いのか? 俺たちが皆宇宙に行っちまったらオーブが」
「オーブの事は心配しなくていい。ザフトや連合には話を通してあるし、こちらは私とソガで十分だ。
 治安維持の最低戦力は確保したから残りを率いて宇宙へ上がってくれ。大した数ではないが、編成は済ませておいた。
 あとフラガ一佐の子供のことだが、私が預かろう。マーナに面倒を見てもらうから」
「いいのかい、代表さん。彼女に迷惑かかっちまうけど」
「いや多分、本人凄く喜ぶと思う」

だから心配するな、と笑うカガリ。
148CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:48:47 ID:???

「いやそれはありがたいんだが、本当に良いのか? 説得はするつもりだったが、俺たちは所詮軍人だ。
 ここまで思い通りになっちまうと逆に不安になるんだが」
「気にすることは無い。私の考えはお前が説得しようとしていた事と同じだ。
 アスランたちだけ送ってハイ終わりじゃ、責任は果たせていない。
 軍の派遣についての問題もクリアしたんだからするべきことはしないと。
 ……それに、シンが戦ってくれてるんだろ? だったら見捨てるわけにはいかない」

人を突き動かす何かを持った、力強い瞳。ムウはなんとなく眩しく感じて目を細める。
いつのまにこんな目をするようになったのやら。子供はいつまでも子供ではいられない。
男子3日会わずば克目して見よというやつか。女だけど。

「オーブは…いやアスハもあいつには借りがあるんだ。私が代表でいるうちに返しておかないとな」
「了解いたしました。これより軍を率いて、ザフトとの合流にかかります」
「頼んだぞ」

そう言ってくれるのならありがたい。
ならその言葉に甘えて、自分は己の進むべき道を進みますか。

「善は急げだ。さっさと行くとするか」

自分の主に完璧な敬礼を返した後、ムウは周囲を見回す。
その言葉に仲間たちが力強く頷いた。

キラを止める。アスランに手を貸す。シンやザフトを守る。
……この戦いを終わらせる。
やるべき事は多々あるが、言葉で表すと一言で済んだ。
それは自分の代名詞的な言葉。


「不可能を可能にするんだ、俺たちで」








149CROSS POINT:2010/05/29(土) 22:49:42 ID:???
今日はここまでです

150通常の名無しさんの3倍:2010/05/29(土) 23:23:15 ID:???
乙です

自分最近読み始めたんですがすごい面白いです
151通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 02:07:37 ID:???
開始初期を彷彿とさせる連続更新乙。
ミネルバもオーブ軍もいい奴らばっかりだな。
それだけにキラの孤独が際立つわけだけど…
152通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 10:13:01 ID:???
乙。
この作品アンチ分がないのが良い、ほんと
153通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 11:59:05 ID:???
もう外部で種モノってのもほとんど見なくなってきたし
こういうとこでくらい雰囲気良い中で読みたいよね
154通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 14:23:34 ID:???
>>141-142
凸は同じ様なスタンスの龍馬伝を少しは見習うんだ
155通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 14:25:48 ID:???
見習えてるのは頭髪の危機感
156通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 14:34:17 ID:???
キラとアスランが2人とも女性という設定の小説ってある?
157通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 14:59:00 ID:???
>>154-156
作者でもないのに催促するのもアレだけど
投下されて大して時間たってないんだから感想の一言くらい書けばいいのにさ
それぞれの時間の間隔も短いし、もしかして自演じゃなかろうな
この作品のあとって雑談入れたがるヤツ多いし
158通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 15:18:26 ID:???
今回は微妙だけど
よく雑談いれてくるのは普通に自演(てか粘着)がいるだけだと思う

>>149
今回地味に娘のくだりが良かったです
159154:2010/05/30(日) 15:23:14 ID:???
ゴメン、今回は読んでなかった
160155:2010/05/30(日) 16:54:49 ID:???
>>157
自演じゃないぞー
そう疑心暗鬼になるな
感想は書いたり書かなかったり
これでも読者その某
161通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 17:11:48 ID:???
スレに投下される全部の作品を読まなきゃいけない決まりがあるわけでなし
162通常の名無しさんの3倍:2010/05/30(日) 17:27:59 ID:???
読む読まないも、もちろん感想書くかも自由なんだけど
今までわざとそういう流れを切ろうとしてるかのように
投下直後にゴミみたいな書き込みするやつがいたから
その人かと思ってしまったんだろうね。

見てて今回のはちょっと違うかなーとは思ったけど。
163通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 16:45:48 ID:???
>>149
遅くなりましたが乙ですー

24話のタイトルw
164通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 20:15:52 ID:???
もしも、種時に開発されてたのがRX-72やガンキャノン&ガンタンクだったら
165通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 20:25:04 ID:???
連合が技術的にブレイクスルーし過ぎじゃねw
166通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 20:28:24 ID:???
IFってどこまで変えてIFなのかねえ。

例えば、
Evidence01以前に、羽根鯨の屍骸が地球上(深海部分とか?)で見つかっていて、それを元にSEEDが生まれた。
とか
コーディネイター開発事始め(タダの宇宙開発に特化した亜人類、世代交代で消滅するように仕組まれている)
とか
MSの開発過程が、ジョージ・グレン製宇宙船の外壁補修スーツじゃなくて
海中探査用のスーツの発展系とか

そういう、根幹部分変えていったらIFじゃなくて、オリになってしまうんだろうか
167通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 21:09:55 ID:???
別にIFでもいいんじゃないか?
どーせ種の設定なんてあって無きが如し
CEを舞台にしているだけの、オリジナルキャラのオリジナルストーリーとかだったらオリだけど
168通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 21:21:08 ID:???
ナチュラルだけどコーディネーターより凄い能力があって、ニュータイプだったりして、でも辛い過去を持っているオリ主人公が
女キャラみんなにモテモテでハーレムを作り、男は敵でフルボッコか、下僕同然の仲間になる
そんなIFストーリーw
169通常の名無しさんの3倍:2010/06/02(水) 22:10:31 ID:???
オリ主人公はifとは言わないんですよ
170通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 18:15:51 ID:???
一国の王でキラとアスランを1対2で圧倒するエースなオリを出して
キラがシンを踏み台にした後にオリの踏み台にされ「僕は(オリ名)すらやれないのか…」と瞬殺し最後にオリが利用してたデュランダルかジブリを倒してCE世界の王に

そんなお話
171通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 18:53:35 ID:???
もしザフトがモビルドールシステムの開発に成功していたら
172通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 18:58:41 ID:???
上手く使えない気がする
基本的に連携苦手そうだし
173通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 19:01:57 ID:???
シンの上司にオリキャラで「サキ」を出せばぉk
この方なら強くても文句はない
まあ、途中で失明しそうだがwww
174通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 19:07:20 ID:???
>>170
それなんて鬼畜王シュンジ
死者の名前を出して説得するシーラ様を論破してお持ち帰りするは
本編主人公のショウはバーンみたく失敗続きで聖騎士から転落して量産黒騎士みたいな修羅になるとか自由度のあるifとやっちゃいけない事の狭間のゲームだったな
175通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 19:32:50 ID:???
種前で暗殺されたウズミに遺言でウズミの代わりにオーブ代表となったエースパイロットなオリ主人公がAAで戦功立ててラクスの誘惑を論破しエターナル撃沈のドサクサでラクスを持ち帰り
オリのせいでいらない子になったキラはザフトに流れ仮面キャラになっても失敗続きでヤキンでオリ主に瞬殺されるカワイソカワイソ人生
結果的にプラントは滅び連合大勝利!だがロゴス首脳陣お前らは駄目だ俺が新時代の王となる
とまでは読めた。
俺はダンバインではなく某百機切りロボゲーの冒頭をイメージした。
176通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 20:02:24 ID:???
>>173
なんだその軽戦とデルタ翼機に好んでのりそうなシンはwww
177通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 20:44:53 ID:???
アスランは人名ではなく舞台となる国の名前で使えばいい
ザクもMSではなく、人名で使えばいい
178通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 21:01:44 ID:???
もしもラクスがナチュラルだったら
179通常の名無しさんの3倍:2010/06/03(木) 21:38:59 ID:???
モブで終わる。
180福田己津央:2010/06/03(木) 23:59:11 ID:???
       /    `´⌒ヽ、
        /     /\  ヽ、 お前ら……間違ってるよ……名作ってのはなあ……
      ∠     / / |ハ-、|    納得のいかない終わり方が最低条件なんだよ!
       |/|    |/ (T) .|ヘ| ゝ 結末に納得がいく? ふざけんなよ!
        |ハノレハノ      |ノレ  納得のいく結末ができる奴なんてなあ……
         ヽ   ─   /w´   普段セーブして作ってる奴だよ!
 / ̄| ̄|\    /| ̄| ̄\ 着地点目指してうまーくうまーく、力をセーブしてやがんだよ!
 |    .〉 |人\_/入| 〈   | トリプルアクセルが出来るのに、安全策で二回転さ!
 |  | .|  |  ヽ_/.  |  | |  | そんなセーブした作品なんて観たらしたら、つまんなくてバカ見るよ!
 |  | .|  |  .|__/.  |  | |  | だからみんなネット上で粗筋だけ見て満足するんだよ!
 |  | ヽ |  ./ ヽ  | / |  |
 |  |  ヽ|  .|  |  |/  |  |
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181通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 00:31:22 ID:???
種、種死本編は楽しかったよ、服打算。粗筋になると目茶苦茶だったと逆に分かるけどな。
もっとも、シンは逆境を乗り越えるポジだと思ってたけど最後ポカーンとなったのは事実だがな
ただアンチの言い分は100%正しい事は認めなさい、服打算。
182通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 01:08:58 ID:???
ま、マトモな感受性を備えた人類なら、種や種死のあらすじ読めば本編がグダグダだと理解できる知能は備えていると思う
183通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 11:26:02 ID:???
っていうか
本編でも十分楽しめないレベルでクソだったと思うんだが
184通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 14:11:21 ID:???
印象操作のためにシンがアスハ(セイラン)に拾われていたら

ひたすら噛みついて思想変化のきっかけになってもよし
ウナトあたりに丸め込まれて軍に入ってもよし
なんやかんやで横領金ぴかロボ見つけちゃって出奔するもよし
185通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 21:32:41 ID:???
キラがアズラエル家の養子になっていたら。
メンデル襲撃時に得たデータから、ブルーノがスーパーコーディとしての能力に目をつけて、
「幼少の頃からブルコスの思想を刷り込む教育をすれば、我々の便利な駒になるだろう」と。

15も年の離れたコーディネーターの弟に対して盟主王は「兄より優れた弟などいねぇ!」とファビョるのか、
あるいはコーディの劣等感を徹底的に植え付けるよう虐待し、自分に依存するようにするのかどっちだろ。

でもこうするとアスランとの接点が生まれそうにないなあ……
186通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 22:13:07 ID:???
>>185
寧ろキラよりアスカ兄妹の方が良いのでは無かろうかと
187通常の名無しさんの3倍:2010/06/04(金) 22:37:07 ID:???
あ、やべえ素で間違えた
シンのつもりだったのになんで入れ替わったんだろう
188通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 00:19:48 ID:???
もしコズミック・イラにモビルスーツでは無くガイバーの技術が存在していたら……
189通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 00:25:40 ID:???
>>188
全員強触装甲化で地球オワタ
190通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 00:40:16 ID:???
>>189
コーディネーター=獣化兵などクロノスポジ
ナチュラル=強殖装甲でゼウスの雷

これなら大丈夫でしょうか?
191通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 01:18:26 ID:???
クルーゼに強殖装甲はマズイ
192通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 02:20:10 ID:???
ユニットGを殖装すると、解除時、肉体を再構成する際に、殖装者の体の悪い所を治してくれるからな。
人間を開発する際に掛かった時間とか、アルカンフェルの寿命とか考えると、殖装者はほぼ不老不死な可能性すら有り得ると言う……。
だから、クルーゼがガイバー手に入れた時点で、正直、奴のコンプレックスは解消されちまうんだよな。

コーディネーター技術は、実は発掘された遺跡から得られたデータが源流で、ラクスとアスランは指揮官種(ゾアロード)として作られた特殊なコーディネーター。
キラは、そう言った技術の最先端の施設で、狂った天才が創ったスーパーコーディネーター。
復讐の為にプラントへ潜り込んだクルーゼは、プラント独立運動の影に隠れたとある秘密結社と、その最高機密であるユニットGの存在を知る。
自分を創った技術に、その結社が関わっている事を知ったクルーゼは、密かにユニットGの奪取に成功……。
それを装着することで、壊れかけた自らの肉体の修復に成功する。

みたいな流れで、不可解なプラント独立運動の影に戦いを挑むダークヒーロー・クルーゼとかならどうだろう。
まぁ、これだとコーディネーター達は本当の化け物ぞろいになってしまうし、
そもそも種のコーディネート技術はゾアノイド化技術の正反対の方向性を辿ってるんだけどな。
193190:2010/06/05(土) 09:49:27 ID:???
>>191-192 なら「ナチュラル=獣化兵で殖装不能者」「コーディネーター=殖装可能者」――だったら?
194通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 10:40:09 ID:???
ユニットGは、珪素系生命体とかでもない限り殖装可能……。
獣化兵だろうが、獣神将だろうが、恐竜だろうが、熊だろうが使えます。
じゃなきゃ、アルカンフェルが手に入れて装着して降臨者を潰しに行こうなんて考えないだろ。

いや、それ以前に、珪素系生命体だから程度で使えないとは限らないんだけどな。
195通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 23:11:00 ID:???
WW2にタイムスリップするラクシズ一行
圧倒的科学力で戦いを止めようとするも……
みたな話がちょっと読みたい
196通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 23:36:42 ID:???
>>195
そういうスレでは、「最初は調子に乗るも、補給が全く出来ず、やがて追いつめられて全滅」って結論になるよな
197通常の名無しさんの3倍:2010/06/05(土) 23:59:25 ID:???
>>195-196
三発目の原爆を止められればいいよ
198通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 00:02:16 ID:???
多分、3発目どころか、4発目、5発目も落とされるような酷い事になるよ
199通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 09:01:02 ID:???
>>195
どこかのスレで読んだことがあるな。
猛威を振るうラクシズを前に、敵味方の垣根を越えて連合国と枢軸国が手を組み、
決死の突入部隊がストフリ、インジャのコックピットに爆弾を仕掛け、
軌道前の二機をルーデルが急降下爆撃で粉砕し、
シモ・ヘイヘの狙撃がキラ、アスランの命を刈り取り、
大和の主砲がAAを粉砕するっての。

どこだったかな……?
200通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 10:25:19 ID:???
キラ、アスランが男装の女性だったら…
みたな話がちょっと読みたい
201197:2010/06/06(日) 12:06:44 ID:???
>>198
それにしても三発目の原爆ってのは信憑性あるのか?
202通常の名無しさんの3倍:2010/06/06(日) 16:19:25 ID:???
>>201
三発目以降が作られてたのは事実だし、日本が降伏せずに粘り続けていたらどっかに落とされただろうけど
三発目がすぐにも投下可能だったかは怪しい
203通常の名無しさんの3倍:2010/06/07(月) 22:48:24 ID:???
もしコズミック・イラにモビルスーツが無い代りに
スカルマン(石ノ森版&島本和彦版)の技術が存在していたら?

「達生――おまえの父…わしのひとりむすこでもあったおまえの父は異常な天才だった…
そう。それはもう天才などという、ありきたりのよびかたができないような超天才…
ミュータント――新人類とでも呼びたくなるような…
とにかく、ふつうの人間とは二けたも三けたも度はづれた体力と、頭脳をもって生まれてきた子供だった。
しかも、どこからか連れてきて結婚したおまえの母もまた…似たような女で…やがておまえが生まれた…
そして、かれらのやっている研究や実験…それはもう人間を
何度でもほろぼしてしまえそうな、身の毛のよだつようなものだった!
わしは…おそれた…この怪物たち…新人類たちには、この世界は早すぎた。
このままほうっておけば、人間たちは…」
204通常の名無しさんの3倍:2010/06/07(月) 23:15:47 ID:???
他作品とのクロスは下のスレ向きじゃないか?

【もしも】種・種死の世界に○○が来たら 9【統合】
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1254828439/l50
205通常の名無しさんの3倍:2010/06/07(月) 23:18:33 ID:???
もうそいつに構うな
ずっと似たようなこと言い続けてるから
206203:2010/06/07(月) 23:43:27 ID:???
>>204-205
いや、今回はクロスじゃなくてIFの話だ
207通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 00:18:00 ID:???
>もしコズミック・イラにモビルスーツが無い代りに
>スカルマン(石ノ森版&島本和彦版)の技術が存在していたら?

こういうの、世間一般ではクロスって言うんです
208通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 00:19:57 ID:???
どっちにしろ毎回つまらん設定だな
209通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 00:33:49 ID:???
まぁクロスだな
210通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 00:41:13 ID:???
>>206
>>1の3行目を十回読め。
211通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 01:19:30 ID:???
島本ネタの発想を変えてみれば・・・
キラの名前をカズヒコ・シマモトに変えてみるとか


やっぱり面白くない
212通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 02:03:40 ID:???
意味がわからねぇw
213通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 05:49:06 ID:???
>>196
それってほとんどの兵器持ち込みタイプのクロスに当てはまるな。
214通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 09:06:28 ID:???
もしヘリオポリスのガンダムが全部ストライクだったら

ザフトがストライカー回収出来なかったら自軍の技術でオリジナル装備を作るとか
こうストライクアサルトシュラウド的な
あとグランドスラムもザフト製だっけ?
215通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 09:45:24 ID:???
>>214
まあ、砲撃戦用のバスターとか特に特徴のないデュエルとかなら、ストライクで代用できるしね。
216通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 19:14:55 ID:???
実質変形するイージス以外はストライクで無問題だね
217通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 19:46:11 ID:???
ブリッツストライカーの装備って内訳とかどんなになんだろ?
218通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 20:21:37 ID:???
>>217
ミラコロ塗布機とランサーダート&グレイプニール射出機構とか?

デュエルストライカーって何だ?
サーベル&基本装備だけ?
増加装甲付き?
219通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 20:58:25 ID:???
デュエルストライカー…もともと一番最初に出来たらしい
プロトストライカーでいいだろ。
あれ、こうするとライバルがイザークに。
220通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 21:20:14 ID:???
遺作はライバルキャラだろ?
ジェリドやクロノクルにも劣るヘタレだが
コンセプトが毎回やられて「覚えてろ!」と捨て台詞を残して逃げるキャラだもんな・・・
221通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 21:33:07 ID:???
>>220
そんなイザークが名護さん化or矢車さん化しなかったのは幸運だったんだろうか……??
222通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 21:40:19 ID:???
>>221
本来はとっとと殺す予定だったらしいからねぇ
ニコルの中の人の都合と思わぬキャラ人気で生かされたけど、
種死ラストであんな理屈で離反やるくらいなら死んでた方がマシだった・・・
223221:2010/06/08(火) 21:49:36 ID:???
>>222
>本来はとっとと殺す予定だったらしいからねぇ

それはそれでまた別の問題じゃないのかいなw
224通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 22:10:14 ID:???
まぁ表面でしか物事を見れないやつからしたら裏切りの理由はあんな理屈でしょうなぁw
負債がそこまで考えてるとも思えないけど
225通常の名無しさんの3倍:2010/06/08(火) 23:18:13 ID:???
でもレクイエムの虐殺で滅亡したコロニーの出身者からすれば
ジブ公のオーブからの逃亡を幇助したラクシズは共犯にほかならない訳で、
そんなのにコロッと寝返ったイザーク達への怨嗟も無いとは思えないんだけどね。
戦後は四人組の警護は厳重かもしれないが、それよりは軽いと思われる
元ジュール隊への遺族による怨恨テロとかはありそうだが。
226通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 17:27:47 ID:???
えーと、話を戻して
デュエルストライカーはストライカーシステムの試作品って位置付けで
サーベルラック二つにブースターって感じのプロトエールパックみたいな装備
でエールストライカーが完成後使用コンセプトや性能が被るから
砂漠や寒冷地で使えるストライカーとして改良されたみたいな

この辺まで来るとただの俺MS妄想か
227通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 19:02:36 ID:???
いっそエール・ソード・ランチャーといったストライカーが存在してない事にした方がいいんじゃね?
基本のエールっぽいのにシールドとライフル足したものをデュエルストライカーと呼称

イージスは・・・簡易変形でもするか?
228通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 19:33:16 ID:???
捕縛用アームでいいんじゃね
ついでに先端からサーベル出せばよし
イメージ的にはDrオクトパスみたいな
229通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 19:42:12 ID:???
イージスをストライカーにするなら、サブマニピュレーターと大型ビーム砲かな
そのビーム砲をどこに付けるかが問題だが
230通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 20:05:34 ID:???
FA-ZZの腹部ハイメガみたいな感じになるんじゃね?
あと脚部にもブーツみたいなの履いてサーベルと捕縛用クローになるとか
・・・どっちかっつーとイージスよりもカオスみたいな感じだが
231通常の名無しさんの3倍:2010/06/09(水) 23:25:15 ID:???
背中からアームを伸ばして掴んで至近距離から腹ビームをズドンか
1人フロストコンビネーション的な攻撃方法だな
232通常の名無しさんの3倍:2010/06/10(木) 00:17:55 ID:???
なんかデュエル・ストライカーって書かれるとディープ・ストライカー思い出す
233通常の名無しさんの3倍:2010/06/10(木) 00:24:08 ID:???
背中からアームってレイダーで採用されてるな・・・
234通常の名無しさんの3倍:2010/06/10(木) 07:34:04 ID:???
あとイージスのトサカを頭に・・・
235通常の名無しさんの3倍:2010/06/10(木) 21:56:12 ID:???
そろそろSSが読みたくなってきた
ザクレロとCROSS POINTはまだかな
236CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:46:01 ID:???





「会いたいなぁ、アスカさん。元気にしてるかなぁ……」


シン=アスカとキラ=ヤマトの戦いから1週間たった、ボルテールの休憩室。
オペレーターの少女はいつもの如く、友人たちと一緒に紙コップ片手に雑談していた。

「また言ってるよこの娘は。ミネルバの艦長から無事だって教えて貰ったんでしょ?」
「うん。それはまあ、そうなんだけどさぁ」

現在の自分は病気である。病名はアスカさん欠乏症。簡単に言うと恋の病。
一定期間あの紅い瞳を見なければ動悸・息切れ・倦怠感などを起こしてしまう深刻な病気だ。

「病原菌扱いしてない? それ」
「うっさい」

まあともかく彼と離れてからの最近の自分は仕事に身が入らないのだ。
嗚呼あの頃は良かった。
仕事合間での雑談やトレーニングルームで一緒に汗を流したり、一緒に食堂でご飯を食べたこともあった。
そして何より先日遭遇した休憩室での密着タイムも忘れてはならない。
いやまあもうちょっと突っ込んで何か出来たと今では後悔しているのだけれども。
ちなみにそのときの写真は自分の携帯とパソコンの最重要書類フォルダの中に入っている。
今でも携帯を開いてチラチラ見てみたり。
ふふふ、アスカさんの寝顔、すごくかわいいですぞ皆の衆。私のだから見せてやんないけどね。

そんなほのぼの恋愛ライフから、殺伐とした軍人ライフへと逆戻りなのだ。
自分がその落差にボケてしまうのも無理は無い。
今もあの人がよく座っていた席で少しでも彼の存在を感じようと、真似をして飲めもしないブラックコーヒーをちびちびと舐めているところである。
めっちゃにがー。

「もう諦めなさいな。男なんか星の数だし、いつまでもそんなだと新しい出会いを見逃しちゃうわよ?」
「そうそう。あの人の事は次に会えた時にお互いがフリーだった時に考えればいいじゃない」

ずっとこんな調子の自分に付き合うのが面倒臭くなってきたのか、しきりに気持ちの切り替えを勧める友人たち。
心配してくれる気持ちはありがたいし、げんなりしてる気分もわかる。
立場が変わればまず自分も同じ感想を抱くだろう。
だが彼女たちは自分にとっての彼と同じくらいの男性に出会っていないからそう言えるのだ。
あんな超ど真ん中のストレートを振りもせずに見逃してしまっては、一生後悔するに決まっている。

それに、新しい出会いって言ったって。
237CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:48:31 ID:???

「でもさぁ。アスカさんの代わりに入ってきた人たちって、アレだよ?」
「む……まあそれを言われると何も言えないけどさ」
「こうも落差が大きいとねぇ……」

溜息を吐く女性陣。その視線の先にはやかましく騒いでいるアラサー男性たちの姿。
彼らこそがアスカさんに代わってボルテールに入ってきた連中である。
新たに補充されたパイロットで腕利きのベテランだったが、性格に難があった。
前大戦でデュランダル議長側に属していた者に多く見られる傾向で……まあそのなんだ。
クライン派に虐げられてたせいで性格がひん曲がったやつばかりなのであった。





第26話 『人が翼を持つと、自由になれるんですか?』





「猫も杓子もアスカアスカ、か。大体あいつがフリーダムをちゃんと倒してりゃこんな事になってなかったんじゃねえか」
「それが今や救世主だもんな。やれやれ、羽の生えたMSに乗れて羨ましいこって」

キラを撃退した報が本国に届き、一段と英雄扱いされ始めたシン=アスカ。
同じデュランダル派だったくせに何故ヤツだけ。男たちはそんな彼を妬む心を隠そうともせず騒ぎ立てる。
その姿はいい年齢になった大人のとる態度ではない。
傍を通りかかった少女 (と言っても多分同年代) が露骨に眉を顰めて 「やだなぁ」 と小さく呟いたほどだ。
だがその意見はまったくもって同感だが、今回の場合は少し不用意だった。
実際彼らは大きな声で騒いではいたものの、その声をしっかり聞いていたようだ。

「おい、ちょっとそこのお嬢ちゃん。今俺たちに何か言ったかい?」
「べ、別に何も」
「お兄さんたちこう見えて繊細だからさ。心無い言葉とか傷付いちゃうんだわ」

少女を呼び止めて距離を詰める。助けを求めて周囲を見渡す少女。
しかし周りの男性たちは見て見ぬ振りだ。
近くの席でジュースを飲んで雑談してたザフトレッドたちも何もしようとしない。

「おい、止めた方が良いんじゃねえかあれ」
「でもあいつら相手にすんのはちょっとなぁ。あれサトーはどこ行った」
「さっきトイレ行ってたぞ」
「ちっ、アスカさんがいりゃな……」

おのれ情けない男どもめ。いつもの赤服自慢はどうしたというのか。
しかもあんだけアスカさんの陰口叩いてたくせに、それ以上に厄介なやつが来たらそれか。
そんなだからモブキャラなのだ。人生の。
238CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:49:49 ID:???

「ちょっとそっちまで行こうか。ここじゃ他の人たちの迷惑になるだろうし」
「や、やだ……誰かぁ……」
「心配しなくても、何も怖いことなんてしねえからさ。どうせ助けに来るやつなんかどこにも」

ムカ。

「ここにいるぞ!」
「ちょ、ちょっとあんた何言ってんの!?」

これ以上は聞いてられなかった。制止する友人の手を外して前に出る。
モメたくはなかったが仕方ない。あの子とは面識なんて無いけれど、可哀想だし助けないわけにはいかないし。
それに何より、ここでこの子を見捨てるような人間がアスカさんに好かれる筈が無いと思うのだ。

「なんだよ胸のでっかいお嬢ちゃん。俺たちと一緒に行きたいってんなら大歓迎だけどよ」
「その手を放してあげてください。さもないと」
「さもないと何だい? 君が俺たちを懲らしめてくれるって?」

いやらしい目をしながらこっちに狙いを定めた男たち。思わず眉を顰めた自分を誰も責めたりはしまい。
こんな男たちに話しかけるなんて、下水に手を突っ込むような気分だし。
だが、それにしても。

「そう、言おうとしてたんですけどね……」
「今更怖気づいても遅いよ。お前も一緒に…何溜息吐いてるんだ」
「怖気づくわけないでしょ貴方たちみたいな人に。それより気付いてないんですか? 後ろ」
「あん?」

それにしても、この人たちは本当に戦闘のプロなのだろうか。
彼女の存在に気付いていないなんて。

「こんなところで、何を騒いでいるんですか?」
「うおっ!?」

スターンという靴音が響いたと思いきや、男たちの後ろに1人の女性が現れた。
存在に気付かぬまま背後を取られた男たちは思わず硬直する。
女性はその隙を見逃さず、少女を掴んだ男を軽く突き飛ばし救出。自分の背後へと隠した。
そのかっこよさは未だに入ろっかやめよっか考え中の男どもとは段違いだ。

「看護婦さん!!」

少女の安堵の声にその場の注意が全て彼女に向けられる。
そんな空気の重さを気にした様子も無く、看護婦さんは黙って男たちに冷たい視線を向けた。
大した胆力だ。ボルテールの死神の名は伊達ではない。
239CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:52:23 ID:???

「ここは私に任せて下がってなさい。誰かこの子を」
「あっちに私の友人たちがいます。みんな、お願い」
「わかってるわ。そこのあなた、こっちよ!」
「はい……!」

少女は呼びかける声の許へと駆け出し、その胸に飛び込んだ。
背中を抱き締める腕。頭を撫でる掌。自分の友人たちが総出でフォローに入る。

「怖かった? もう大丈夫だからね」
「ふ、ふええ……」
「ああ、よしよし。泣かないの」

あっちはあれで大丈夫だろう、そう判断して向き直る。
その場に残るは下品な男たちと2人の女性。怒りを隠そうともしない目と冷たい視線が交錯し、火花が散った。

「またあなたたちですか。ザフト軍人の風上にも置けない」
「お前、この前の女か……」

看護婦さんの顔を見て、幾人かの男たちの表情が歪む。
以前この中の数人は彼女にセクハラを致そうと近づいたところ、強烈なアッパーを決められて失神したことがあったのだ。
本人曰く 「待ち人は挨拶に来ないまま去って行き、こんな最低な男たちが寄って来たのがムカついた」 との事。
だが今回の男たちは人数もいる。強気な姿勢は崩さなかった。

「おい女、あんまり調子に乗るなよ。この間のは思い切り不意打ちだった。
 今回は女だからって容赦はしないぞ」
「か弱い女の子を怯えさせておいてその言動、しかも反省の色は無い。ならば相応の対応をさせてもらいましょうか。
 一つ言っておきますけど、この間のアッパーはボディブローを狙うファイター対策の奥の手…… 『彼』 に捧げる技。
 私の本来のサンデーパンチはこっち。――――切り刻んであげる」

ヒュンヒュンと鎌の様に曲げた左手を振る看護婦さん。なんか顔が変わったように見えるのは気のせいだろうか。眉毛太くなったし。
どうやら彼女は左で切り刻んだ後、打ち下ろしの右で決めるスタイルらしい。
ステップを踏む彼女の姿に男たちが後ずさりしたそのとき

「その辺にしとけよ、おっさん共」

脇から制止の声が上がった。発したのは髪を後ろに流した金髪の少年。
鋭い眼をしながら男性陣と女性陣の間に割って入る。そして先頭にいたリーダー格の男に近づいた。

「さっきから聞いてると随分上から目線で物言ってっけどさ。あんたらが一体どれほどのもんなんだよ」
「お、おいサトー、無茶すんなって」
「もう遅えよ赤服のぼっちゃん。……ガキ、言いたいことがあるなら続けてみろ」
240CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:54:04 ID:???

なんだコラ。やんのかコラ。ピキピキとかいう音を立てながらメンチ切り合う2人。
周囲も女2人よりは赤服パイロットの方が強いと判断したのだろう、注目がそちらの方に行った。
それならそれで構わない。別に喧嘩したいわけじゃないし、女の子も助けたし。
ただあの金髪に喧嘩や格好つけのダシにされたような気がするのは良い気分がしないだけで。
アスカさんを馬鹿にするのはあいつも一緒だし、私にとってはどっちも似たような

「土足でドカドカ人の家に踏み込むような真似すんなってことだよ。
 ……それに、羽の生えたMSに乗れて羨ましい、だっけ?
 あんたらその羽を持った奴らが何を背負ってどんだけの力で飛んでるか、考えた事あんのか?」

……なにか心境の変化でもあったのだろうか。
いつの間にやらデレ期に突入してるではないか。まあ本人いないから意味無いけれども。
意外な言葉にどよめく周囲とは裏腹に、補充パイロットたちは見下した目で金髪を見る。

「なんだ、シン=アスカの弟分か。残念だが大好きなお兄さんは今ミネルバだ。此処に助けに来てはくれねえよ?」
「ふざけんな、誰があんなのの弟分だ。あの野郎は今でも大嫌いだよ俺は。
 いつもスカしてるしポッと出のくせにデスティニーなんて貰うしボルテール内でいつも女侍らせてやがったし」
「ほう?」 

ちょっと最後の話を聞かせて貰おうか。そう間に入ろうと思わないでもなかったが、空気を読んで我慢する。
それにどうせ侍らしてた女とは自分のことだろう。ずっと一緒にいたんだし。
そう思いながらなんとなく友人たちに目を向けると、彼女たちのほとんどがサッと目を逸らした。

「何、だと……?」

予期せぬ反応にに思わず動揺の声が出る。自分と目が合ってるのは年齢不詳の友人だけだった。
ということはこいつら、私のアタックの陰でアスカさんにアプローチ試みてやがったのか……ッッ!!
ちなみにさっきまで泣いてた女の子も逸らしてた。

「う、裏切りものぉぉっっっ!!!」

情けない。信じられない。これでは自分はとんだピエロではないか。
何故友人の裏切りを見抜けなかったのか。
かつて「もう、皆はあんなに私の恋を応援してくれてるって言うのに。からかってると思ってた昔の私のバカバカ」とか考えてた自分。
今では混じりっ気無しの真っ直ぐな気持ちで 「この馬鹿」 と言いたい。

「いや〜ゴメンゴメン。でもそばにいたら話しかけたりするでしょフツー。その延長線上でさ」
「そ〜そ〜、どーせダメもとだったし」
「グスッ、あ、でもわたしジュース驕って貰えました。ツーショット写真もお願いしたら、別にいいよって」
「肥大した胸に胡坐を掻いていたのが貴方の敗因です」
「わ、わたしまだ負けてません!!」
「……チッ」

何をさりげなく人を脱落者にしようとしているのかこの看護婦さんは。
ああでもなんかこの場から帰りたくなってきたなぁ。さっきまでの正義の心が折れちゃったよ本当に。
喧嘩の方に視線を向けると金髪はまだ喋ってた。話が長すぎ。
241CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:55:54 ID:???

「……けどな」

ようやくアスカさんへの悪口が終わる。
息がかかるほどに顔を近付け睨み合う両者。お互いのボルテージはMAXのようだ。
そしてついに金髪は先ほどからの見下す視線のお返しとばかりに、心底相手を馬鹿にした表情をして言った。

「お前らみたいな腐った連中に貶されるほどじゃねえんだよ」

その声が戦闘開始の合図だった。男の1人が声を荒げ、少年に向かって殴りかかる。
金髪は前に踏み込み、男の鼻先にカウンターの頭突きを入れた。
鮮血が舞い、周囲から悲鳴が上がる。視界の端に何人かの女性が目を背けるのが見えた。
粗暴な言葉遣いに違わずケンカ慣れしているのだろう。金髪の少年は上手く間合いを取りつつ補充パイロットたちを殴り飛ばしていく。
しかしやはり多勢に無勢、段々と劣勢になっていった。
目や頬を腫れ上がらせながらもまだ反撃しているが、ついに背後から羽交い絞めにされる。
勝負ありだ。これ以上はリンチになるだろう。
いかに嫌いな相手とはいえ、それは見ていて気分の良いものじゃない。

「偉そうな口を利いといて、戦いになったら多勢を頼む。骨身の髄まで最低な男たちね」

自分と同じ感想を抱いたのか、隣でしばらく戦いを眺めていた看護婦さんがぼそりと呟く。
そして輪の中に近づいて行くと、一番後ろで哂いながら囃し立てていた男の肩をとんとんと叩き、

「寝てなさい」

振り返った男の顔面に鞭の様にしなるフリッカージャブを連続で叩き込んだ。
声も無く倒れ伏すモブパイロットA。

「お、おい! 何しやがるこのアマ、調子に乗るのも大概に……!!」
「んだコラァ! 俺はまだ終わってねえぞジジイどもがぁ!!」
「ちっ、しぶといガキだ……」

もう女性陣との争いは終了済みだと思っていたのだろう。
意識外からの増援に不意を突かれたため拘束がおろそかになり、男たちは相手の脱出を許してしまった。
そして無双が再び始まる。
看護婦さんが放つ打ち下ろしの右に何人もの仲間が倒れ、完全にキレた金髪が所狭しと暴れまわった。
予期せぬ劣勢に焦る補充パイロットたち。その中の1人が、机の上にある花瓶を掴んで戦っている2人の背後へと近付いて行く。
おそらくは自分以外誰も気付いていないだろう。
242CROSS POINT:2010/06/12(土) 23:58:43 ID:???

「……いいかげんにしてよね」

いくらなんでもそれは喧嘩の範疇を超えている。放っておくことはできない。
それにぶっちゃけ今の自分はすごく機嫌悪いことだし。
だから花瓶を持つ手首を握り、男に声をかけた。

「ちょっと」
「なんだよ小娘が、ちょっとあっちにいってろひぎゃっ、ごふぅ!!」

手首を極め、四方投げで投げ飛ばす。そして起き上がった顔に直突き。
父親直伝のコンビネーション。まともに喰らった男は白目を剥いて倒れた。
そのまま起き上がってくる様子は無い。当たり前だ。
かつてトレーニング中、友人とのスパーリングを見たあの人に 「キッチンで戦えば俺でもキツいかも」 と言われたのは伊達ではないのだ。
それにしても護身術と称して父から叩き込まれたが、役に立ったのは初めてだなぁと思いつつ目の前の屍を跨ぐ。
そして驚いた顔をしている男たちに向けて一言だけ告げた。両手を顔の前で妖しく踊らせながら。


「私もまぜろ」






その後のことはあまり思い出したくない。それが金髪の少年、サトーの正直な感想だった。

もともと仲の悪いこともあり、殴り合いの喧嘩にまで発展した自分と補充パイロットたち。
しかし仲間が手助けに来ない自分と向こうの戦力差は歴然で、数の力で拘束されたりして深いダメージを負わされてしまった。
そんな多勢に無勢な自分を助けに? 来たのはオペレーターの女の子と看護婦さん。
2人は喧嘩を始めた原因の自分を無視して

「しないな」
「ああ、しない」

「「負ける気がしない」」

とか言いながら後にボルテール無双と呼ばれるほどの殲滅戦を開始。その身体に傷一つ付けずに全ての敵を床に沈めた。
自分がしていたのは 「流石ですね!」 とか囃し立ててただけである。

いくら間柴とセガールが降臨したとはいえ、自分が苦戦していた相手に完勝。
しかも彼女たちの役職はオペレーターと看護である。
赤服として、パイロットとして、そして男としてのプライドが全てへし折られた自分は軽く鬱になってしまい

そして今では1人、懲罰房の中で体育座りで落ち込んでいるところである。
243CROSS POINT:2010/06/13(日) 00:00:34 ID:???

「馬鹿だねお前、だから止めとけって言ったのに。
 女の子たちはともかく、副長の話じゃ野郎共は3日間懲罰房入りだってよ」
「うるせー。つかお前らも参戦してくれても良かったじゃないか」
「やだよ、あんな厄介な連中に目をつけられた挙句こんなとこに閉じ込められるなんてさ」

覗きに来た友人たちの声が部屋に響く。
おのれ事なかれ主義の犬どもめ。お前らみたいに文句を言わない人間が増えているから、
世の中には空気読まずに何やってもいいみたいな人間が増えているのではないか。
トラストミーとかゴンさんとか八百長後のジャイアンリサイタルとか……あとエンドレスエイトとか。
なに、あれは長門に共感する為の斬新な演出だった? 馬鹿が、アレで斬新ならM-1で5分間黙って突っ立ってるのも斬新になるわ阿呆。

「それにしてもどうしたんだよあの物言い。お前あの人嫌いじゃなかったのか?」

からかうような目で此方を見てくる友人たち。なんだよお前ら、何期待してんだ。
そんな目でこっち見たって期待してるようなもんは出てこねーよ。

「アホか。あの場でも言ったけど、今でも嫌いだよ普通に。ただあいつらがそれ以上に嫌いなだけで」
「やっぱそういう理由か。でもなんでお前、そんなにアスカさんが嫌いなんだよ。
 そりゃ俺たちだって最初は良い気分しなかったけど、もう認めるしかないだろあの人のことは。
 敵意さえ持たなけりゃ人当たりは良いし、強さだってキラを追っ払ったくらいだしさ」
「馬鹿だな、前に言っただろ? こいつが好きな女があの人にベタ惚れしてんだから嫌うのも仕方ねえよ」
「そこあんま触れんな」

それでは俺が妬み全開のダメ男みたいではないか。いやそれも理由の一つだけどさ。
けどそれ以外にちゃんとした理由が……理由……なんだっけ?

「うーん……」

なんであの男が嫌いか、か。ちょっと真剣に考えてみる。
女にフラれたとかそんな表面的なものじゃなくて、もっと根本的な理由があった筈なんだが。

確かに友人の言う通り、その実力は認める以外に無い。というかスコアで完敗したときに認めてる。
人となりもつっかかる自分に対してそこまで嫌な言葉は吐かなかったし、戦場じゃ命だって助けて貰った。
あの撤退戦の時の話を聞いても、あの男なりの背負う物があるというのは感じ取れた。
悪いやつではないんだろうとは思う。尊敬できる、いやすべきところもある筈だ。
だから、ひっかかる所があるとすれば。

「……確かに半分以上は嫉妬かなぁ。
 あの力が俺にありゃ、プラントの敵を全部倒してやるのにって感じで。
 何しろ才能ってやつは、求めた者に宿るとは限らねーしさ」

まあ結論を言うとそんなところである。
なんでFAITHまで行って辞めたのか。なんでプラントを守ろうとしないのか。なんで民間人なんかやってるのか。

そして、何故力があるのが自分ではなくヤツなのか。

244CROSS POINT:2010/06/13(日) 00:05:06 ID:???

戦争が終わってもナチュラルどもは未だにプラントへの干渉を諦めていない。
政治的・軍事的圧力なんて日常茶飯事だ。このままではいつバレンタインの悲劇が繰り返されるかわからない。
だから自分は軍に入った。だから自分は力を求めた。
地球の連中の横暴さに我慢できなかったというのもあるし、プラントを守りたいという気持ちもあったからだ。
力を手に入れて、襲い掛かる者全てを薙ぎ払いたかった。

そうだ、あの男はそんな俺が欲しがっているものを全て持っているくせに、あっさりと手放したのが気に入らないのだ。
もし全てを背負ったまま軍職を全うしていれば、俺もその後ろを目指したかもしれないというのに―――

ってちょっと待て。そこまで考えて気が付いた。気が付いてしまった。
本当は俺は、あの人を認めたかったのかもしれない。尊敬に値する人であって欲しかったのかもしれない。
だってそうだろう。キラ=ヤマトとラクス=クライン。アスラン=ザラにイザーク=ジュール。
この世界において現在進行形で英雄と呼ばれている連中は、皆ザフトやプラントに銃を向けた者ばかりだ。
そんな中、シン=アスカだけが最後までプラントを背に戦った。
クラインとの戦いには敗れたものの、FAITHに任命され運命の力を手にし、レクイエムの危機からプラントを救った。
つまり、かつてのあの人の姿が己の理想に1番近いわけで。
自分は目に焼き付けたかった姿が期待していたものと違ったから、失望しただけなのではなかろうか。

「戦いの才能に嫉妬って言うんなら、キラ=ヤマトはどうなんだよ?」
「……え?」
「おいおい、会話中にぼんやりすんなよ。喋ってたのお前だぜ?」

脇からの声に思考を遮られ、現実に戻る。
隣には呆れたような視線の友人。その声にそれまで考えていたことを無理矢理切り捨てた。
突き詰めても気分良くはならなさそうな内容だったし。

「ああ、悪い。……キラ=ヤマトだっけ?
 確かにあれも別格だな。でも俺、あの男には嫉妬できねえよ」
「なんでさ?」
「正直ああはなりたくない」

キラ=ヤマトの戦いを映像で見たとき、感じたのは恐怖だった。
それはキラ自身の実力に怯えてというわけではない。
踏み込んだら間違いなく死んでしまう領域に平気で飛び込んでいくその危うい在り方と、
そんな場所に踏み込みながらも死神の方が彼を恐れて避けているのではないかというほどの絶対感。
そして画面越しからでも感じた、人間とは段違いな濃密な捕食者の匂いにである。

女神と謳われた伴侶を失くし、それまで得ていたものを全て血に染めて。
そこまでして初めて、あの桁違いの領域にまで辿り着けるのだろう。
いろんなものを抱えたままの自分では到底追いつけやしない。人間やめたくないから追いつこうとも思わない。
245CROSS POINT:2010/06/13(日) 00:07:17 ID:???

「1人きりでしか登れない。あいつ見ててそういう高みもあるってわかった。
 ……今のキラ=ヤマトは全てを切り捨てて、もう人じゃなくなっちまったんだ。
 あいつにゃ嫉妬や憧憬の感情すら起こらない」
「だから力に対するやりきれない感情がキラ=ヤマトではなくシン=アスカに向かうというわけか」
「まあ、かっこ悪い話だけどそうなる……って艦長!? いつの間に」

いつの間にか入り口の傍に艦長が立っていた。おそらく自分たちの会話を聞いていたのだろう。
思わず敬礼をしようとする友人たちを手で制し、格子の前まで近づいてくる。
そして一瞬だけ小さく溜息を吐いた後、口を開いた。サングラスのせいで表情が読めない。

「もう聞いたかもしれんが、しばらくここで頭を冷やしていろ。明日には出してやる」
「明日ですか? さっきそいつらから3日間って聞いたんですけど」
「それでは作業に滞りが出る。そう長いこと閉じ込めているわけにもいかん。
 反省文で勘弁してやるから、此処から出たら機体の調整を済ませておけ」

機体の調整とな。それはある程度済ませてるし整備班からその報告も上に行ってる筈だ。
なのに今になってそういう事を言うということは。

「もしかして、キラに何か動きがあったんですか?」
「半分正解だ。最近の連合に不穏な動きが見える。ならばキラが動くのも時間の問題だろう。
 そうなれば我々も、そして彼らも動かなければならない」

つまりミネルバに合流する必要があるってことか。
またキラ=ヤマトと戦うことに正直恐怖心はあるが、だから嫌ですとは流石に言えない。
もう世間の注目はボルテールからミネルバに移っているとはいえ、
先日の戦いにおいて早めに撤退したおかげで最低限の戦力は確保しているし。元々は自分たちが討伐隊だったわけだし。

「ミネルバ、か。行くんなら最低でも借りくらい返さねーとな」

それに、あの男にも再び会えるかもしれない。
最後に自分に格好つけて去って行ったあの男に。

「そういえば前の戦い、君は彼に助けて貰っていたな」
「そうっすよ。あんにゃろ、まるで……」
「ん? まるで、何だ?」
「いや、なんでもないです」

意図せぬ言葉が零れ落ちるのに気付き、思わず口を閉じる。
そして艦長の疑問の声をごまかし、サトーは壁に背を預けた。溜息を一つ吐く。
その表情は自分の感情を認めたがらない、ひねくれた子供のそれ。


言えるか。 「ヒーローみたいだった」 なんてダサい台詞なんざ。



246CROSS POINT:2010/06/13(日) 00:08:08 ID:???
今日はここまでです
247通常の名無しさんの3倍:2010/06/13(日) 00:43:10 ID:???
投下乙!

サトー、デレ期に突入ですか?w
248通常の名無しさんの3倍:2010/06/13(日) 09:09:04 ID:???
とりあえずセガール拳につっこんでおく
シン、アレ覚えたやつにお前じゃ勝てんぞ
249通常の名無しさんの3倍:2010/06/13(日) 14:14:31 ID:???
アフターでの各勢力(の残党)ってブルコスとザラ派が互いの最強硬派の人でなしで、
それに対比する形でデュランダル派は比較的穏健融和志向扱いされがちなので
そっち所属のゴロツキ兵士って結構珍しいかも。
まあ元からのボルテール赤服以上にモブの書き割りのマトに終わりそうだが。
250通常の名無しさんの3倍:2010/06/13(日) 18:17:17 ID:???
投下GJ
ボルテールがカオスになりつつあるw

エンドレスエイトは許さない、絶対にだ

>>249
でもまあ、ラクシズが覇権を手にした後は冷遇されてそうだし、荒れるのも仕方が無いとは思う
251通常の名無しさんの3倍:2010/06/14(月) 23:43:52 ID:???
ここにきてシン争奪戦にあらたな参戦者が
インファイター対策まで完璧だし

てか看護婦さんってモブ顔じゃなかったっけ
252通常の名無しさんの3倍:2010/06/18(金) 22:24:59 ID:???
モブ顔でもノイマンとチャンドラは準レギュだぞ。
253通常の名無しさんの3倍:2010/06/19(土) 02:01:19 ID:???
結局誰ルートなんだろ
ルナもコニールもオペ子も決定打に欠けてるし
254通常の名無しさんの3倍:2010/06/19(土) 04:16:50 ID:???
デスティニーなんじゃないの?
255通常の名無しさんの3倍:2010/06/19(土) 04:33:13 ID:???
ラクス(幼女)を寝取って、キラに「やめてよね」ってプゲラするルートだけは無い
256通常の名無しさんの3倍:2010/06/19(土) 05:42:08 ID:???
何言ってんの
257通常の名無しさんの3倍:2010/06/19(土) 21:10:47 ID:???
ちびラクはむしろ、
「へたに無駄な人間味を取り戻して強さを減じられては困ります」
という理由でマルキオに害されそうな気がしてならないんだが。
いやそもそもでかラクの暗殺からしてひょっとして……おや宅配かな
258通常の名無しさんの3倍:2010/06/20(日) 15:44:19 ID:???
>>257
おーい、借りてた連ザUプラス返しに来t・・・な、なんだこの血溜まりは・・・!?

>>246
投下GJ!サトーが可愛いなオイwww
俺も何か書いてみようかなぁ・・・
259CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:42:47 ID:???


座席に身体を深く預け、キラはモニターに映る宇宙を見つめる。
ラクスに逢いたいな、と思った。
首元のジッパーを横に引っ張りヘルメットを外す。
目の前にはMSの残骸。それをいつもの様に生存者がいるであろう方向に軽く蹴飛ばした。
母艦に向かって機体を奔らせながら、彼はこれからの事を考える。

これからの事といっても大したことじゃない。
自分の部屋で待たせている小さな同居人。少し前まで喋る事ができなかったが、今ではすっかりおしゃべりな少女。
そんな彼女に何をしてあげれば喜んでくれるだろうか。その程度の事だ。

きっと彼女は自分の部屋で、絵本でも読みながら待っているだろう。
きっと自分が部屋に戻ると、笑顔で跳び付いてくれるだろう。
きっと自分は彼女を優しく受け止めて、ぶんぶんと抱きしめながら振り回すだろう。

その後自分は少女に何をしてあげようか。どんな事をすれば、もっと笑ってくれるだろうか。
そんな思いを描く自らの頬を軽く撫でる。やはりと言うか何と言うか。口許は笑みの形を作っていた。

だが視線の端、僅かに画面に反射された自分の顔が己を責める。
キラ=ヤマト。何故お前は今、『ラクス』の事を考えていないのか。最愛の女性の筈だというのに。
憎しみはどうした。怒りはどうした。悲しみはどうした。彼女を失ったお前がどうしてそんな表情をしているのだ。

そんな疑問への回答はできていた。

「やっぱり、そうなのか」

己は 『ヒト』 に戻ってきている。自分の中の 『狂戦士』 とやらが眠りにつきかけている。
心を覆っていた憎しみと言う名の炎は消え去り、そのかわりに確かな温もりが自分の心を包んでくれている。
気障で陳腐な言い方だが、それが最も今の自分の状況を正確に表していた。
自分は今嬉しいのか、それとも悲しいのか。よく分からない。
シンなら教えてくれるだろうか。
刃を突きつけ合ったあの日。自分とは違って光を沢山手にしていた彼ならば教えてくれるのだろうか。

そう、自分は光を求めていた。
自らが放つものでも良い、自分を照らすものでも良い。
自分だけの光を。

彼女が死ぬまではそれがあった。
自分は皆から照らされていると、自分は光を放ち皆を照らしていると。そんな実感があった。
だが今思うとそれは、まやかしだったのではないかと感じてしまう。
人々が崇めるのは剣の持ち主であって剣自身ではない。
つまり、あの時まで自分は 『ラクス=クラインにとっての剣』 でしかなかったのだ。
無論彼女はそんな事を思っていなかっただろう。
だが自分はそれに気付かぬうちに、その座に甘んじてしまっていた。
260CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:44:04 ID:???

楽しかった。彼女が示した正義の道を歩くのは。
心地良かった。歩を進める彼女の横で、共に喝采を浴びるのは。
酔っていた。彼女から与えられた力で敵を叩き伏せ、正義を問いかけるのは。

彼女の。彼女が。彼女から。
自分が持っていたものは、他者によって歪められたこの 『素材』 のみ。その身から生まれ出でたものなど何一つとして無い。
その錆付きかけていた素材を鍛え、研ぎ、意味を与えてくれたのは彼女だったというのに。
それなのに自分はその切れ味を、美しい装飾を自分のものだと誇り、そして驕っていた。
そしてその驕りを抱えたまま、自分は彼女を失った。

愛を。
友情を。
生きる意味を。
力の使い方を。

自分に全てを無条件で与えてくれる女性。

母のように。
姉のように。
恋人のように。

自分の全てを包み込んでくれる女性。

そんな彼女を自分は失った。
だから憎んだ。世界の全てを。
だから壊したかった。自分に思い通りに行かなくなったこの世界を。
自分にとって文字通り全てだった、彼女を殺した世界を。

とどのつまりは八つ当たり。
そんな情けない本心を、包装紙にすら劣る薄っぺらい言い訳に包んで自分はここまで来た。

ディーヴァに着艦し、急いで部屋に駆け戻る。開かれるドア。
部屋の中には息を弾ませる自分を呆れたように笑う友人と、ピンクの髪の少女。
予想通り飛び込んできた少女を優しく受け止め、ぶんぶんと振り回すように数回転しながらキラは笑った。
少女には微笑を。自分には嘲笑を。

救いや赦しを求める事はできない。そんな資格は無い。
これから自分が得られるとすれば八つ当たりを貫いた先にある何かか、冷たい死のみ。
ただ、今この手の中にある温もりくらいは貪ってもいいんじゃないだろうか。

今の自分が縋っているのはそんな情けない甘えだということに、キラは自身でも気付いていた。



261CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:46:27 ID:???




第27話 『星の降る場所で』





最近、キラが変わりつつある。
アンドリュー=バルトフェルドは、確かにそう感じていた。

いつからだろう。おそらくデスティニーと、いやシン=アスカと戦った後からだ。
戦場に出る回数も減り、彼の妻と同じ名前を持つあの少女、ラクスと一緒にいる事が多くなった。
彼女の前だけでなく、最近では自分やヒルダにも笑顔も見せるようになってきている。
ミリアリア曰く、小さなラクスに対してツンからデレに移った挙句、今はバカップル期間に入ったとのこと。
言ってる意味はおぼろげながらにしか分からないが、今の状況はキラにとって良いことだ。素直にそう思う。
文字通り無限の可能性を秘めている青年が、ただ死を求めて戦いに明け暮れるよりは遥かに良い。

そう、個人の思惑はともかく、今の自分たちはキラの死を前提とした流れの元に動いていた。
他でもないキラがそれを望んでいたからだ。
だが今、自分はその流れを否定したがっている。

確かにキラは今、世界中に多くの悲しみを振りまいている。
彼の行く先は地獄のみ。今更あの少女との幸せな暮らしなど、世界は許しはしないだろう。
それはキラ自身もよく分かっている筈だ。
自分の犯した罪から目を背け、誰も知らない場所で穏やかに過ごす。
与えた痛みの清算もせずに。

だが、それの何が悪い。

かつて世界は滅びかけていた。
ラクスとキラがいなければ、核ミサイルとジェネシスの撃ち合いで人類の数はもう半分は減っていたのは間違いない。
それを考えれば、正義を含んでいる今の彼の行動など罪に問われるほどでもなかろう。
周りの人間の意向を無視して巻き込んで、自分たちの都合だけで紛争を起こすような輩はいずれ誰かに撃たれなければならない。
キラはその手を汚す役を、率先してやっているだけに過ぎないのだから。

「ま、それも今さらだがね」

もう既に彼は歩き出していた。それを止めることはできまい。
ならば自分がやるべき事は一つ。
世界を救った彼に。自分が修羅道に引きずり込んでしまった彼に。せめてもの幸せを。
それには力が必要だ。死ぬことが救いなんて認められない。
勝って勝って勝ち続け、自分が敗れる事を諦めさせる。それと同時に生きがいも見つけさせる。
惚れた女1人幸せに出来なかった自分の頭では、それぐらいしか考えつかなかった。
262通常の名無しさんの3倍:2010/06/21(月) 23:48:00 ID:???
支援
263CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:49:08 ID:???

「やはり一番の不安材料は彼か」

机の上のキーボードを叩く。画面に眼つきの悪い黒髪の青年が映った。
シン=アスカ。
キラの友人であり、敵味方から 『デスティニープランの象徴』 『戦いの申し子』 『運命の魔剣』 と呼ばれ恐れられた戦士だ。
かなり短い期間だが自分の部下だったこともある。
軍属時にはプラントと地球の全ての兵士を探しても、彼に勝てるのはほんの数人だろうと言われたほどの強さを誇っていたが
ラクス直属のFAITHという職をあっさりと捨て、一市民として戦いから距離を置いていた。
そういう男は怖い。大切なものを見極めさえすればその為に全てをかけられる、捨て身の強さがあるからだ。
そんな彼が、再びキラの前に立ちはだかった。退いてくれることはまずないだろう。

「デュランダルめ…厄介な子を育ててくれたもんだよ。しかも選りにも選ってこんなタイミングで現れるんだからね」

傍らに置いていたコーヒーを手に取り口に運ぶ。
自慢のブレンドの筈だったがあまり美味しく感じられない。
完璧に掌握できない自軍。キラへの葛藤。そしてここまで自分たちを流した世界の悪意。
無力感が全身を浸す。

『2人とも、ケーキ食べるわよ。今日は特別に2個まで取って良し』
『こんなじかんに2こもたべたらふとるよ?』
『良いのよ、甘い物は別腹っていう古からの言葉があるんだから』
『医学的根拠が全く無い、女性にとってそれ言ったら最後の滅びの言葉みたいなもんだけどね』
『ばるす!!』
『2人とも喧嘩売ってる?』

眉間に皺を寄せて考え込むバルトフェルドの耳に、隣の部屋から楽しそうな声が入ってきた。
どうやらキラが部屋に戻ってラクスとたわむれ始めた模様。途端に自室の重い空気が吹き飛ばされる。
ここで悲しんだり苦悩したりしても始まらないかと思い直して立ち上がるバルトフェルド。
天岩戸じゃないけれど、楽しそうな声に重い扉を開けてしまうのは人間の性である。
甘いものにはコーヒーと相場が決まっているし、自分の自信作を持って行ってやろう。

『それに私は少しくらい体重増やしても太って見えないって言われたことが』
『だれに〜?』
『ミリィのプライベートの為に実名は伏せるけど、昔の彼氏にDアッカさんって言う人がいてね。
 大喧嘩の末に自分から振ったくせに未だに未練が』
『誰があんなやつ…って伏せてないじゃないその言い方!! あとラクス、にやにやしながらこっち見んな!!』
『きゃ〜、おこった〜!!』
『ミリィ。一度こいつだと決めたら、自分が選んだ男なら決して迷うな。迷えばその隙を他者に突かれる。選んだら進め。進み続けろ』
『絶対にノゥ!!!』

なんか隣の部屋が別の空間になってないか。
まあいい、どうやら生きがいの方は見つける目途が立ったようだ。あの2人にはいずれ妻や母親が必要になるだろう。
もしこの戦いに勝利することができたら、自分が探してきてやるのも良いかもしれない。
ミリアリアが駄目ならヒルダとかどうだろう……いや、断るか。眼帯だもんな。
でも彼女をそそのかして本気にさせたら面白いかもしれない。追っかけまわされて困り果てるキラの姿は容易に想像できるし。
楽しそうな未来に思わず頬が緩んでしまった。でも別にいいじゃないか想像するの楽しいんだから。
264CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:51:36 ID:???

「となると、やっぱり彼だね」

机の引き出しからコーヒー豆を引っ張り出しつつ目の前の画面に再び視線を向ける。
持てる力を全て使ってでも、彼を止める覚悟が必要だった。
ミーティア隊やドムトルーパーはおろか、自分が出撃しても彼に傷一つ付けることは敵うまい。さてどうするか。

「……それと」

もう一つの懸念事項。脳裏に過ぎるのは嫌っている男の顔。胡散臭い盲目の男。
陰でコソコソ動いているのは感付いていたが、あの男も一体何を企んでいるのか知れない。
碌な事じゃないのは分かりきっているし、そろそろ自分も本格的に動いた方が良いだろう。
ザフトや連合に比べて少数派である自分たちが内紛を起こすなんて馬鹿らしい話だ。しかし腐った膿は早めに出すに限る。
そして、自分は裏事も不得手ではない。

まあそれも今考えることじゃないかなと結論付けた後、バルトフェルドは豆とお茶菓子を片手にドアを開けた。
あんな暗い男の話なんてどうでもいい。今は自分もこの明るい空気に浸されたかった。

「やあみんな、楽しそうだね。自慢のブレンドを持ってきたから僕も混ぜては貰えないか……」
「調子に乗るのもそこまでよキラ。それ以上言ったら無理矢理カラオケで歌わせてやるんだから。
 なんならまた微妙な歌を叫ばせてあげようか? シャニティアッーー!! って」
「ミリィ!! 僕はたった今、不殺の誓いを捨てるぞ!!」
「ぜんべいがないた」


……帰った方が良いかなぁ。





さて、砂漠の虎が子供の教育について悩んでいる今この瞬間。
さっきまでの悩みの種だったシン=アスカは現在何をしているかというと。

「やっぱ宇宙って、星がよく見えるな、シン」
「そりゃそうだろ」

現在女の子と天体観測中。
戦士と呼ぶには程遠い時間を過ごしていた。




265CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:53:07 ID:???



「これ〜いじょお〜、なくし〜たくな〜い……結局全てを失くしたけどな」

頭にタオルを引っ掛けたまま、のん気に持ち歌を歌いつつ廊下を歩くシン。
シャワーを浴びた後部屋の冷蔵庫に飲み物の買い置きが無いのに気付き、自販機まで買いに来たところだ。
目の前で点滅するスイッチを見ながら、ポケットから小銭を取り出し考える。さて何を飲もうか。
まあアイスコーヒーでいいやとコインを突っ込もうとした瞬間、見知った顔が視界の端に入った。
ぼんやりとベンチに腰掛けて外を眺めている少女。行動を中断して声を掛ける。

「コニール、お前こんなとこで何やってるんだ?」

いつものポニーテールではなく、何故か彼女は濡れた髪を下ろしたままだ。
自分と同じくシャワーを浴びた後外に出てきたんだろうが、何をこんな所でぽかんとしているのやら。
このままだと風邪を引いてしまうので、髪をタオルで優しく拭いてやった。
タオルはさっきまで自分の頭に掛かっていたものだが、さっき新しく出したばっかりだし、乾いてるし、まあ特に問題は無いだろう。
甲斐甲斐しく髪を拭くシンに抵抗もせずに、そのままされるがままのコニール。
彼が髪を拭き終わってから彼女はようやくぼそりと呟いた。仕方ないだろ、考えてみたら宇宙に来るの初めてなんだから。

「いやいや、そんなこと忘れてんなよ。気付くだろ普通」

初めてなら結構なイベントだと思うんだがなぁ。あれから何日か経ってるし。
ちなみに自分は例外だ。家族を亡くしたあの時はそんな余裕なかったし。

「お前が言うか。ここんとこ、その事を忘れるくらい切羽詰ってたとは考えないのかこのバカ」
「すいませんでした」

やぶへびだ。言うんじゃなかった。
やべえといった表情のシンをしばらく怒った目で見つめていたが、そのうち彼女は視線を目の前の宇宙に戻した。
真剣に見ているようにも見えるし、ぼけっと呆けてるようにも見える。傍からではどちらなのかわからない。
一つだけ言えるとしたら、この光景に意識を奪われていると言うことだけだ。
無理も無い。いかに人類が宇宙に進出した時代だとはいえ、あのままガルナハンやベルリンにいたのでは
旅行でもしない限り宇宙になんて来る事はなかっただろう。
だからここは邪魔することも無い。無いんだけど

「コニール」
「なに?」

座ったままの彼女に手を差し出す。ただ一つ言うことがあるとすれば。
そんな貴重な初体験をするのならこんな沢山の灯りが邪魔をする場所ではなく、

「展望室行くぞ。多分、もっとよく見えるから」
「……うん」

握り返してくる小さな手。
シンはそのまま展望室まで、コニールを引っ張っていった。
266CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:54:42 ID:???




「うわぁ………」
「今までは気にしなかったけど、こうして見てみると結構なもんだな」

展望室には誰もいなかった。ベンチに座って感嘆の声を上げるコニール。
2人を照らすのは星明りのみ。まさに天然のプラネタリウムだ。
強化ガラス越しに広がる星空は、冬のベルリンやガルナハン以上に澄んでいる。

「まさか、こんなところにまで来るとは思わなかった」
「そりゃそうだろうな。……紅茶で良かったか?」
「ありがと」

カップを手にベンチに座る2人。目の前の星たちは人間の存在がちっぽけに感じるほど雄大で。
そしてなんか時の流れが遅くなっているように感じるほど圧倒的だ。

「ほんと、綺麗だよな……。心が落ち着いてくよ。
 ……なあシン、もうちょっとそっち寄っていいか?」
「別に構わないけど、どうした? 」
「なんか存在の規模が違いすぎてさ。見とれてるんだけど、同時に飲み込まれそうで不安になる」
「そっか。わからんでもない」

触れ合う肩の体温を感じながら、2人は星を見上げていつもと変わらない話をする。
会話の内容はくだらないことばかりだった。それでも別に構わないけれど。
そもそも会話自体に意味は無い。ただ空白を埋めるため、不安になっている彼女の意識をここに繋ぎとめるため。
今の己は、例えは悪いが崖を下りる時の命綱みたいなものである。

そういやルナは何してんだろ。
メイリンや他の女性クルーと盛り上がってたな、そういえば。
紅茶はレモンよりミルクが良かったな。
今更かよ。
そう言えば前から気になってたんだけど、あの星ってなに? お前知ってる?
アルコル。見えているのかお前、かわいそうに。
かわいそうにとか上から目線で言うな。最近そうやってルナにさんざん見下されてるんだ。
なしてよ?

……貧乳はステータスだと思うんだ。

267CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:55:44 ID:???


失笑。
無拍子で肘打ち。
来ると思ってたので防御。
そのまま裏拳へ。
人中に直撃、悶絶。
呆れたような溜息。


んで、また星空を見上げる。


広大な宇宙。いつも見てきた筈なのに、その闇は広く深い。
飲み込まれそうと言った彼女の気持ちもわかる気がした。そして、なんとなくだが彼女がこんな戦場にまで付いてきた理由も。
知人がこんな深い場所に断りも無く向えば、そりゃあ不安にもなるというものだ。
まして自身が知らない場所だとくれば、尚更。

そっと少女の手が伸ばされ、シンの右手に僅かに触れた。掌を開くとおずおずとその中に忍び込んでくる。
己の中にある空気リード機能が告げていた。俺は多分、この子の隣にいるだけで良いんだろう。
大丈夫だと優しく握ると、ようやく彼女の表情から僅かな緊張が消えた。
そして再び宇宙に見入る。今度は純粋に目の前の光景の美しさを目に焼き付けようとしているようだ。
自分も彼女に倣うことにした。
5分。10分。20分。

しばらく、飽きそうもない。

「あれ、何かな。何か光が流れてる」
「……どこだよ?」
「ほら、あそこ。さっきから動いてるんだけど」

展望室に来てから30分後、ようやく彼女が口を開いた。
彼女の傍に身を寄せて、指し示す指先の延長線上を見る。見えたのは動き続ける小さな光点。多分あれは衛星だろう。
そう言おうと彼女に目線を向けると、息が掛かるほどの位置にお互いの顔があった。

「………」
「………」

頬を僅かに染めたコニールが目を閉じる。そのまま身体を寄せてくる彼女の両肩を、シンはそっと受け止めた。
応えてやりたいと思う。その緊張で震える身体を優しく押し倒したいとも思う。
けれど今、軽々しく彼女の想いに応える訳にはいかない。
できない。
268通常の名無しさんの3倍:2010/06/21(月) 23:57:07 ID:???
4円
269CROSS POINT:2010/06/21(月) 23:58:03 ID:???

「悪い。俺、まだ何も答えを出していないんだ。キラとの決着も、2人のことも」
「わかってるよ。こんな真似しといてなんだけど、私も今どっちを選ぶかを決めて貰う気はないんだ。
 あんなやつだけど、ルナとは一応友達だし。
 ……ただ、今は条件が揃ってるなぁって思ったから」

条件とな。

「何の条件が揃ってるんだ?」
「………ふぁーすときすってやつだよ。女にそんなの言わせるな、ばか」

こちらを見ないままぼそりと呟く少女。その顔はもう真っ赤である。
気付かない振りが武士の情けかと天体観測を再開しようとしたシンだったが、焦れた彼女によって沈黙は破られた。
うん、やっぱりここは流すところじゃないよな。アホだ俺。

「ねえシン。やっぱりお願いしちゃ、駄目か?」

自分を見上げながら服の裾を掴んでくるコニール。星明りが優しくその顔を照らす。
彼女とて年頃の女の子だ。ロマンチックな雰囲気に酔っても不思議ではない。
満天の星空の下、ベンチに2人きり。確かにシチュエーションとしては申し分ないのだろう。
難を言うなら、こんなのは自分のキャラじゃないという事くらいか。
そう、自分の中に断る理由があるとすればそれだけ。前にアスランにも言った事があるが、彼女は良い女だし。
後ひっかかるのはルナへの想いくらいで………あれ、なんか俺って嫌な男になってないか。

「頼むから黙らないでくれよ。……やっぱいきなりこんな事言っても迷惑だよな。
 ごめん、今の聞かなかったことに 「コニール」 ……なに?」

黙っていたのが堪えたのか撤回を申し出るコニール。
その言葉を遮り、シンは彼女の頬に手を添えた。男たるものあんまり女に恥をかかせるもんじゃない。

「今回だけ、だからな」
「!! ………うん」

再び目を閉じたコニールに顔を寄せる。向こうに任せたら歯と歯がぶつかるなんてことになりかねない。
胸板に触れる手を握りながら唇を重ねる。
10秒程度で離れると、コニールはぼんやりとした表情のままシンの胸に額を押し付けた。
どうやら感情のコントロールが上手くいかないらしい。
270CROSS POINT:2010/06/22(火) 00:00:04 ID:???

「ファーストキスの感想は? お姫様」
「なんだよそれ……。とりあえず、お前がこういうのに慣れてるのがすっごい悔しい」
「まあこの年齢だし。それに今気にすることじゃないな、そこは」

もう一度。そうねだる彼女に苦笑しながら、再び顔を寄せる。体重を預けてきたので背中に手を回して抱き寄せた。
一応これが2回目だという事を認識させるため、先ほどよりも深く唇を重ね合わせる。
流石に舌を絡ませるのはやめておいた。彼女が今求めているのは官能ではなく思い出だ。
なるべく優しく、この空気を乱さないように。シンは心を込めて彼女の唇を吸う。

そして数分後、彼女の頭はシンの肩の上にあった。

「ここ、気に入ってくれたか?」
「うん、来て良かった………ほんとに」

口の中に残る紅茶の味をなんとなく気にしているシンと、指先で唇を撫でているコニール。
ぴったりとくっ付いたまま星空を見上げる2人。
彼らを覗いているのは、今もなお瞬いている星くらいのもんだろう。


「やっぱ宇宙って、星がよく見えるな、シン」
「そりゃそうだろ」






キラ。ラクス。バルトフェルド。シン。コニール。
美しい星空の下で、彼らは今という時間を笑顔と共に過ごした。


この穏やかな時間が、もうすぐ終わる事を確信しながら。









271CROSS POINT:2010/06/22(火) 00:03:02 ID:???

今日はここまでです
久々に時間がとれました。次はまた間が空きます
コニールルートというわけではないのですが、ラブコメを希望されてるのかなと思って書いてみました

272通常の名無しさんの3倍:2010/06/22(火) 00:05:12 ID:???
乙乙ガンダム

なんか誰にも死んでほしくないなー
273通常の名無しさんの3倍:2010/06/22(火) 00:07:30 ID:???
後の事考えるとさ
なんか、こう、切なくなってくるね・・・
274通常の名無しさんの3倍:2010/06/22(火) 11:11:28 ID:???
ボルテールのやさぐれ追加パイロットどもさえ改心の余地があるかもしれないのに
なぜか全くそういうものが(TVの時点から)感じられないのがマルキオ。
いやしくも坊主の端くれなら、最後に(それが事実かどうかは別としても)
「全ての黒幕の諸悪の根源は自分でありキラはじめディーヴァ軍に罪はありませんどうか免罪を」
ぐらいぬかしくされと言いたい所だが、どうしても想像がつかない……
275通常の名無しさんの3倍:2010/06/22(火) 17:46:21 ID:???
投下乙。
あるぇ〜〜?
キラ側の内心とは裏腹の何このほほえましい光景。
悲壮を感じるべきなのかも知れないけどぬるぬるぶりが振り切れてて
お前実は駄目人間なんじゃないのかと突っ込むべきなのかももうわかんねえ
276通常の名無しさんの3倍:2010/06/23(水) 22:49:18 ID:???
コニール、ファーストキスおめ!
277通常の名無しさんの3倍:2010/06/23(水) 23:30:37 ID:???
シンは「お前達が俺の翼だ」状態への道を順調に歩んでるな。
自分はこんなCROSS POINT世界のシンを許せるだろうか。ちょっと考え中。
278通常の名無しさんの3倍:2010/06/24(木) 01:02:08 ID:???
>>274
マルキオ『世の中の流れから見たら、一人の人間など芥子粒ほどの事でしかなか』

ってのは駄目かなw
279通常の名無しさんの3倍:2010/06/25(金) 18:18:10 ID:???
>>274
「愛がある……哀しみもある……でもね……
SEEDの発動が無いでしょッッッッッッッッ
わたしから勝利をもぎ採りたいのなら
SEEDを発動させるのですッッッッッッッッ」

こういう発言だったらどうしますか?
280通常の名無しさんの3倍:2010/06/25(金) 19:08:46 ID:???
そういやSEEDって結局なんだったんだ
集中力うpするだけの能力?
281通常の名無しさんの3倍:2010/06/25(金) 21:43:18 ID:???
いろいろ突っ込まれてそういうことにしたみたい
282通常の名無しさんの3倍:2010/06/25(金) 22:08:54 ID:???
>>280
要するに火事場のクソ力ってことか。
>>278
そんなちっぽけな人間ですが、いつかは全平行時空を脅かす敵に立ち向かえる力を持つようになるんですよ。
283通常の名無しさんの3倍:2010/06/25(金) 22:28:33 ID:???
>>279
泣き虫さんじゃないですかw
284通常の名無しさんの3倍:2010/06/26(土) 23:03:29 ID:???
あのミスター・サクラのような達観も潔さも感じさせないのがマルキオ。
キラやラクスが綺麗になってる二次SSなら探せばいくらかはあるが
マルキオが善玉になってるのはついぞお目にかかったことがないな。
いや待てよ、はて、ザクレロの場合だとどうなるんだろ。
キラアスラクスは事実上脱落でカガリはあんなだし、シンは居るのかさえわからない。
SEED論とやらの実践のしようがないようだが…
285通常の名無しさんの3倍:2010/06/26(土) 23:35:49 ID:???
トールくんがSEED発動してるじゃないかw
286通常の名無しさんの3倍:2010/06/26(土) 23:46:12 ID:???
トール君のSEEDは腐り堕ちてるからなぁ。

ザクレロさんのところのマルキオ・・・。
原作の人身売買疑惑のある孤児院運営じゃなくて、まともな孤児院運営や、
貧困地帯への学校設立など、現代で宗教団体がやっている慈善事業を、宗教
が壊滅しているという種世界でやっている清濁合わせ飲める聖人になってい
るのだろうか。
287通常の名無しさんの3倍:2010/06/27(日) 06:08:39 ID:???
ある種、狂人というわけかw
288通常の名無しさんの3倍:2010/06/27(日) 07:40:21 ID:???
>>284
こんなこと言うのも何だけどマルキオとは結局なんだったんだろう、と……
アストレイの方では重要人物なんだろうけど肝心のアニメ版では
どうも重要性が今一つ伝わり辛かったような気が。

そもそもあんなチートに近いキャラクターを出しちゃって良いんだろうか?
289通常の名無しさんの3倍:2010/06/27(日) 15:04:14 ID:???
本編のマルキオは正直
あなた方はSEEDを持つ者
ってセリフしか覚えてないw
290通常の名無しさんの3倍:2010/06/28(月) 21:28:41 ID:???
もしキラの名前がキラン・ヤマトだったら
291通常の名無しさんの3倍:2010/06/28(月) 22:35:46 ID:???
アスラン僕だ!可愛いキラケンだぞ!
292通常の名無しさんの3倍:2010/06/29(火) 17:48:57 ID:???
もしキラさん(または蘊奥さん)がこんな性格だったら……?

「おれは人を斬りたいから斬るのだ、人を斬らねばおれは生きていられないのだ――
百人まではきっと斬る、百人斬った上は、また百人斬る。
おれは強い人を斬ってみたいのじゃない、弱い奴も斬ってみたいのだ。
男も斬ってみたいが、女も斬る、ああヘリオポリスは狭い、地球へ出たい、戦場へ出て思うさまに人が斬ってみたいわい。
ああ、人を斬った心持、その時ばかりが眼のあいたような心持だわい。
助けてくれと悲鳴を揚げるのをズンと斬る、ああ胸が透(す)く」
293一尉:2010/06/29(火) 21:26:49 ID:???
支援
294通常の名無しさんの3倍:2010/07/01(木) 20:51:06 ID:???
所で種死のラクス一味は暗殺部隊襲撃が無ければ蜂起は遅れたのだろうか?
結婚式場襲撃はどちらにせよやっていたのかな?
295通常の名無しさんの3倍:2010/07/01(木) 20:58:07 ID:???
遅かれ早かれ蜂起予定だったのは間違いないが・・・
296通常の名無しさんの3倍:2010/07/01(木) 21:12:28 ID:hftLI7j7
297296 暗殺部隊候補追加です。:2010/07/01(木) 21:29:31 ID:???
298通常の名無しさんの3倍:2010/07/01(木) 23:00:19 ID:???
>>294
微妙だなー
虎さんとかはプラント行きも選択肢のひとつとして考えてたようだし

あとあれ(式襲撃)は直接プラントとかとは関係ない行動だけど
なんかあれが表立って動くきっかけになってたような感じはある
299通常の名無しさんの3倍:2010/07/02(金) 01:31:52 ID:???
もし襲撃がなかったら

ラクシズ、多少議長を疑う
戦闘への介入は本編通り
アスランとの密会では、議長への疑惑は無いため、アスラン脱走フラグ消滅
その後しばらく本編通り
エンジェルダウンではアスランもバビ辺りで戦闘に参加
キラを説得しようとするが失敗
ジブラルタルではレジェンド受領後、密会の件で呼び出され
呼び出しに応じて、懲罰もあったが残留

こんなんどうだろう
300通常の名無しさんの3倍:2010/07/02(金) 02:19:43 ID:???
アスラン脱走フラグが消えた状態なら
議長は懲罰あたえたかも微妙な気がする

しかし残ったほう面白そうだよねー

凸がサトーの言葉聞いたシーン見たときは
凸がザフトに戻ってなんかする路線期待してたら
戻ったは戻ったけどあれだった・・・w
301通常の名無しさんの3倍:2010/07/03(土) 09:50:37 ID:???
>>299
それでもキラ撃墜が脱走フラグになるただラクスにつくかどうかわからないけど
302通常の名無しさんの3倍:2010/07/03(土) 20:17:05 ID:???
そういえば

脱走(仲間もやられたし、行く宛無いけどどうしよう)

撃墜(あぁ死んだな)

拉致監禁(あれ?俺も生きてるし仲間も生きていたよ)

って感じだしなぁ
303通常の名無しさんの3倍:2010/07/03(土) 23:01:25 ID:???
キラ撃墜が単体で100%脱走に繋がるかって結構微妙じゃね?

まぁ凸はキラが絡んだ途端頭悪くなるから
やっぱり脱走しちゃうかもしれないけど・・・
304通常の名無しさんの3倍:2010/07/03(土) 23:07:20 ID:???
でも議長も終盤まではうまいことやってたし世論も味方につけてた

オーブ出てから・戦争始まってからの行動でいっても
疑念フィルターなしで見てりゃほぼ 10:0 でキラ達側に非があるし
疑念なしならやっぱり(まともな脚本なら)残る展開がありえた気はする
305通常の名無しさんの3倍:2010/07/03(土) 23:23:37 ID:???
いま頭の中で、色々アスラン残留にいたる可能性考えてたんだけど
キラキラ病が治らない限りどうやっても無理だな・・・。
306通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 00:11:40 ID:???
いっそ凸を男女の双子にして憎悪し合せ妹をザフト行きにしてしまえば最低キャラから脱却
及び最終戦で余る奴も居なくなるんじゃ…
307通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 01:14:26 ID:???
ガンダム無双2のアスラン編では最後までザフトにいたな
議長が出なかったのもあるけど結局アスランは
キラがロクでもないことやってるのは分かっていながら
キラのとこに行きたかったんだろうな
負債のホモ脳は腐ってくたばっちまえばいいのにな
いや始まる前から腐ってたか
308通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 01:58:45 ID:???
AAに助けられなかったらどうなっていたのか
または撃墜されていなかったら凸はどこに行っていたのか
ってのもちょっと考えてみたい(負債抜きで
309通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 02:07:22 ID:???
特殊学級部隊がザフト最新型のアッシュを用いていた点を
ラクシズ側が議長黒幕説の根拠の一つに挙げることが多いが、
そもそも最初のGAT4機や初代フリーダムからして
盗んだ最新鋭機で走り出して暴走した代物じゃなかったんかいと…
310通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 02:57:06 ID:???
犯人が議長なら
わざわざそんなわかりやすい機体使うか?って考え方もあるよな
311通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 02:58:55 ID:???
あとあれだ
コーディネイターの特殊部隊 ってのもザフトとは限らないよな

だからこそ断定まではしなかったんだよ
って言いたいんだろうけど
312通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 06:53:06 ID:???
アスラン脱走を防ぐには

ラクスの暗殺をする→NG(ラクシズ蜂起)
アスランの軍復帰を認める→OK
アスランをミネルバに所属させる→OK?(所属しないとミネルバ敗北?)
アスランの休暇を認める→NG(密会)
アスランを出頭させる→NG(脱走)

アスランの代わりにジュール隊の三人を配属させてもいいかな?
で新たにザラ隊として再編成みたいな
313通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 09:11:17 ID:???
アスランをミネルバに行かせず、ずっと宇宙勤務にすれば良いんじゃね?
314通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 09:28:35 ID:???
>>313
逆に考えるんだ、「カオスの相手をさせていればいい」と考えるんだ
いや、割と冗談抜きで、あの物量に加えてカオスまで相手にすることになると、シン1人じゃ荷が重過ぎる
315通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 14:27:30 ID:???
>>314
凸の代わりにハイネ入れとけばいいんじゃね?
316通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 16:14:51 ID:???
むしろあんな勧誘台詞なら某Wクロスとかみたいに政治畑に放り込んでも良かったんじゃ
317通常の名無しさんの3倍:2010/07/04(日) 22:00:08 ID:???
むしろそっちのが良かった
318通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 14:19:15 ID:???
>>314
ザクにウィザード付けて飛べるようにしたレイにでも相手させればいいだろ
レイとルナの二人が固定砲台やってるのを改善しない時点でおかしいんだから
あそこをアニメ版そのままにしてるSSって結構あるけどアホじゃねえのと思う
319通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 14:49:26 ID:???
飛行用ウィザードがジャンク屋風情がつくったやつしかないって時点で終わってる
320通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 15:54:20 ID:???
グゥルで空中戦より艦上で固定砲台のほうが戦力的に上なんだろうか・・・
321通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 16:32:27 ID:???
グゥルが無いから仕方がない
後はインパルスを孤軍奮闘させる糞シナリオの問題
322通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 16:50:26 ID:???
種死でグゥルが全然出ないのって
連合のジェットストライカーの方が優れていて
付け焼き刃の下駄じゃ対抗できなかったんじゃないかな?
バビやグフが出るまでまともな空中戦できたのってインパルスやセイバー
(後、強奪されなければカオス)
ぐらいだし、主力機がバンバン空飛んでる連合に対して
グゥルで浮かせて対抗ってのはキツイ気がする
323通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 21:04:45 ID:???
>>322
空戦用MS>SFSなのは、やっぱり種シリーズでも変わらないだろうしな
324通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 23:25:30 ID:???
ただ種死だと 演出のためとはいえ
戦艦乗ってやってたレイとかルナが全然役に立たなかったから
どうにかならなかったのかって思っちゃうんだよな
325通常の名無しさんの3倍:2010/07/05(月) 23:28:15 ID:???
ミネルバ戦闘員少なすぎね?
326通常の名無しさんの3倍:2010/07/06(火) 00:15:20 ID:???
多分ショーン達以外にも
アーモリーワン襲撃の時に死んだやつらがいたんだよw
327通常の名無しさんの3倍:2010/07/06(火) 00:19:20 ID:???
死にはしなかったが負傷した奴や機体奪われてそれっきりの奴はいたな
後付けだけど
328通常の名無しさんの3倍:2010/07/06(火) 00:23:47 ID:???
セカンドシリーズの機体って
そのままいってたらみんなミネルバだったんだっけ
それに+ザク二機ならまぁそれなりか
329通常の名無しさんの3倍:2010/07/06(火) 01:05:28 ID:???
>>328
ミネルバは月機動艦隊所属のセカンドステージ運用実験艦だから皆ミネルバ行き
戦力はインパに三馬鹿機にセイバー、ザク二とゲイツ改が二機ずつ
一応グウルも積んでる
330通常の名無しさんの3倍:2010/07/06(火) 01:46:10 ID:???
襲撃なかったら、ゲイツはザクになってたかもな
331通常の名無しさんの3倍:2010/07/07(水) 08:16:58 ID:XJOdUo7m
もし種世界に存在するのがMS&MAじゃなくてアイアンマンアーマー関係、
またはグリーンランタンのパワーリング&パワーバッテリーだったとしたら……
332通常の名無しさんの3倍:2010/07/07(水) 18:28:54 ID:???
種&種死がCE世界で朝に放送された特撮番組だったら・・・

・素のキラは役者バカ。種死終了後は主に舞台で活躍。
・シンの出番と扱いが悪くなったのは実は事務所がゴールデンの仕事を取ってきたので
並行して撮影しなければいけなかったスケジュールの都合上。
・本業は歌手でCDもわりと売れてたが電撃結婚して引退したラクス
・俳優陣で一番の出世株は主婦に人気出たアスラン。
後にイケメンが一杯という設定の少女漫画の実写ドラマでメジャーに。
・後半のカガリは女ファンによるバッシングで体調を崩したとの噂
・レイは女に人気の漫画作品のミュージカルに出演経験有。
・ティーン向けファッション誌のモデルだったルナマリア。
・実はルナマリアと同い年のメイリン。後に声優に転向して人気に。
・Vシネ界では名脇役の議長と往年のアイドルだったタリア
・喋りの上手さからトークライブ開くディアッカ

・何年か後にジュニアアイドルとして人気出るマユ
333通常の名無しさんの3倍:2010/07/07(水) 18:30:15 ID:???
グリーンランタンの力で戦争なんぞやってたら外宇宙に居るガーディアンズに粛清されて終わる。
アイアンマンアーマーの強さはトニー・スタークのひらめきが支えになってる物なので
トニーが居ないと嵩張る鉄鎧から発展できない。
334331:2010/07/07(水) 19:13:01 ID:???
>>333
まあトニー関係無しに、もしMS&MAの代わりに
アイアンマン世界のテクノロジーの産物全般+マーベル世界のパワードスーツが
殆どそのままCEの中心戦力になってたら……って仮定でしたんですがね。
それは流石に不可能すぎる仮定だった?

>グリーンランタンの力で戦争なんぞやってたら
>外宇宙に居るガーディアンズに粛清されて終わる
そこはまあ、コーディネーターがイエローランタンorレッドランタンの力で
地球圏に戦いを惹き起こすが、それに対応する為にグリーンランタンコーズが
地球へパワーリングとバッテリーを送り込み、キラ・ヤマトがグリーンランタンになる。
しかし戦いの果てに、世界そのものへの恐怖と絶望と嫌悪に囚われたキラはやがて……
ってな話なら大丈夫ではないかと。
335通常の名無しさんの3倍:2010/07/07(水) 20:12:37 ID:???
>アイアンマン世界のテクノロジーの産物全般+マーベル世界のパワードスーツが
>殆どそのままCEの中心戦力になってたら
美形様が鎧着て殴り合うわけだから、単にサムライトルーパーもどきになるだけだな
336通常の名無しさんの3倍:2010/07/07(水) 20:29:18 ID:???
>>335
アイアンマンアーマーはフルフェイスです
337通常の名無しさんの3倍:2010/07/10(土) 02:51:11 ID:???
鎧ギアにもフェイスマスクはあるぞ。展開しないだけ
機動戦士 GundamSeed-Undisputed

粗筋――元ザフト軍人、シン・アスカは、
先の大戦での責任を問い詰められ、隔離専用のコロニー(宇宙島+ある一定の宇宙空間)へと送られてしまう。
そこではMSによる非合法な(殆ど黙認された)決闘賭博が行われており、
所属陣営・生誕種族の区別無く送り込まれたワケありの奴等が、
何時まで続くか解らない倦怠感と有り余る暇を打ち消す為に
激しい苛烈な闘いを繰り広げていた。シンは当初、そんな闘いを拒否するが、
生残る為にやむなく参加してゆく内に、隔離所内での地位を向上させて行く。
そんな折に突如として、優勝者を解放させるという特典が保障された、
収容者達を大々的に闘わせるイベントの噂が流れ……

「俺は絶対に勝つ! 神は俺にたった1つだけ天分をくれた。
それが俺が世界で最も完成された闘士である事だ。
俺はそれを証明するためにも、必ず勝つ!」
339名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 06:21:42 ID:???
議長tueeeeeeeまだ?
340名無しさん@そうだ選挙に行こう:2010/07/11(日) 09:30:06 ID:???
なんか、ネタスレで度々出てくる「冥王星版の種死」を書いてみたくなった
341通常の名無しさんの3倍:2010/07/16(金) 21:17:06 ID:???
過疎ってるので、ネタ投下。

もし種の常夏が主人公だったら。
S2インフルエンザやAFC、黄道同盟のテロでぼろぼろの地球。
生き残るために兵士になった三人。
過酷な戦場で生き残るために彼らは選ぶ、ブーステッドマンとなることを。

薄れいく記憶、痛む体、崩壊する自我に耐えながら、彼らは戦場へと赴く。
342通常の名無しさんの3倍:2010/07/16(金) 22:38:29 ID:???
確かに過疎ってるなちくしょう
343通常の名無しさんの3倍:2010/07/16(金) 23:56:43 ID:???
>>341
かっけぇな。確かにあの三人出身とかほぼ不明だったから(クロトがロドニア出身ってくらいかな?)掘り下げて行くと面白い予感。

話題を変えて悪いが、「もしも種死がZに沿ったシナリオだったら」というのを現在ちまちま書いているんだけど需要はあるだろうか。
344通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 00:07:28 ID:???
種死のキャラでZをやるってこと?
いいんじゃないか、種死キャラでGガンやってるSSだってあるし
読んでみたい
345通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 00:27:13 ID:???
Zってゼータ?それともスパロボどっち?

ゼーターに沿ったシナリオだったとしたら
カミーユ=シン
クワトロ=アスラン
アムロ=キラ
ブライト=マリューになるのかな?
346通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 00:47:01 ID:???
母さん!って叫びながらバリュート壊されて落ちていくアビスが見えた
347343:2010/07/17(土) 02:41:26 ID:???
おk、これから文章の推敲に入ります。現在(ゼータで言うなら)第二話の辺りを修正中。
ブライトさんがフルボッコにされるシーンをマリューさんに置き換えてみたら集団レ(ピーッ)に発展しかけた為慌てて修正してます。
八月中旬以降、投下開始できるかと思われます。
348通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 08:58:03 ID:???
>マリューさんに置き換えてみたら集団レ(ピーッ)に
問題ない、そこはエロパロでやれw

とりあえず期待しておこう
349通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 20:55:08 ID:???
見渡す限り腎虚ミイラ死屍累々な有様のその中心部で
ひとりツヤツヤと満ち足りてタバコをくゆらす魔乳の図…というのしか
想像できないのはなぜだらう。
350通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 21:02:48 ID:???
もしキラが種死序盤で早々に再起不能になってたら
351通常の名無しさんの3倍:2010/07/17(土) 23:48:20 ID:XOzgrJs4
>>350
キラ厨爆発
352通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 00:06:49 ID:???
やつらが現実にどんな愚考を行なうか、冗談抜きで恐ろしい
353通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 00:12:21 ID:???
アニメの話に現実持ち込む奴って大抵末期だよね
354通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 00:20:16 ID:???
実際、キララクアスカガ厨って末期だよな、誇張抜きで
355通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 00:48:41 ID:???
残念だがすぐそういう反応をしだす君たちも…
アンチか信者かでしか図れなく中道というものを理解できない時点で末期なのだよ
356通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 00:59:19 ID:???
種厨たちはほんとに、ネット以外でも人に迷惑をかけているやつが沢山いるから
アンチじゃなくても種と種厨を叩きたくなるのは仕方ないんじゃないの?
357通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 01:30:29 ID:???
その判断自体が末期だ
普通の人間なら気分が悪くなるものに近づこうとは思わん
358通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 01:34:32 ID:???
どっちにしても自分たちに批判的な意見出されたら即厨orアンチ認定な時点でなぁ
冷静じゃないよ
359通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 01:35:59 ID:???
まあまあ釣りだから
360通常の名無しさんの3倍:2010/07/18(日) 18:00:13 ID:???
まだこのレベルに釣られるのがいたのか……
361通常の名無しさんの3倍:2010/07/19(月) 13:18:35 ID:???
>>349
素っ裸&いろんな汁ひっ付けた状態で艦長席に座って煙草吸ってる魔乳の姐さんが、
その下で(ヽ'ω`)状態でぶっ倒れてるムゥに「エースなのに撃墜早いんじゃァないのぉ?」って
ニヤニヤと笑いながら足でグリグリしてるんですね、分かります。
362通常の名無しさんの3倍:2010/07/19(月) 13:31:37 ID:???
>>361
(ヽ'ω`)< 面目ない・・・
363通常の名無しさんの3倍:2010/07/24(土) 09:40:15 ID:???
>>361
エロパロでやれ

むしろエロパロ行って、是非ともやってください
364通常の名無しさんの3倍:2010/07/24(土) 10:48:15 ID:???
もしコズミック・イラの技術がMSの代わりに
マジンガー世界orゲッター世界のそれだったとしたら……
365通常の名無しさんの3倍:2010/07/24(土) 11:48:06 ID:???
もう種じゃねーよそれ
スパロボじゃん
366通常の名無しさんの3倍:2010/07/24(土) 15:06:24 ID:???
シンがベッドの中で無双してるSSならあるんだけどな
367通常の名無しさんの3倍:2010/07/25(日) 03:23:24 ID:???
>>364
シンが輝きかけるけどザフトじゃシンレベルに来れる奴が居ない(設定上)為に輝けない
368通常の名無しさんの3倍:2010/07/25(日) 16:36:04 ID:???
>>367
マジンガーなら一人乗りだろう。前作主人公に見せ場横取りされた繋がりで
グレートにでも乗せとけ。
369通常の名無しさんの3倍:2010/07/25(日) 21:38:00 ID:???
>>368
最終話だとマジンガーZ一体でほぼミケーネ壊滅させてるんだよな…
グレートとか要らないじゃんもう

一体何の為の戦闘のプロだよ?
(注:原作では鉄也さんは別に戦闘のプロを名乗ったりはしていません)
370CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:33:26 ID:???



包丁でまな板を叩く音。台所から漂う朝食の良い匂い。
ベッドに寝転んだルナマリアは、いつものようにカーテンの隙間から朝日を眺めた。


「ふあ……んぅ……。あれ、コニールは?」
「お前がいつまでも寝てるから、もうご飯食べさせて幼稚園に連れてったよ俺が。
 まあ、たまの有休だからそんなことしてもいいけどさ」
「いつもならちゃんと起きるわよ。今日に関しては私のせいじゃないと思うけど」

昨日は寝るのが遅かったので、仕方ないといえば仕方ない。そしてその原因は自分ではなくシンにある。
そんな自分の言葉にわかった俺が悪かったよと意見を撤回する我が夫。
台所の火を止めて、自分が寝るベッドに腰を下ろした。

「でも寝過ぎだぞ本当に。あんまりだらけてちゃあの子に悪い影響を与えるかもって口を酸っぱくして言ってるだろ?」
「ん? シンの口が酸っぱくなったことなんてないわよ?」
「まだ寝惚けてんのか。いいから早く起きて顔洗ってこい」

言葉とは裏腹にその目は優しい。
やんちゃな子供でも見るような視線に、自分はもう嬉しいような悔しいような複雑な心境である。
む〜こいつめ、年下の癖にえらそうな態度取っちゃって。
なんだか困らせてみたくなったぞこんちくしょう。

「やだ」
「何を駄々こねてんだ……ったく。ホラ、これ飲んだらシャキッとするんだぞ」

差し出されたのはマグカップ。中に入ってるのはホットミルク。
身体を起こして迷うことなく口に運ぶ。熱すぎず温すぎず、砂糖と蜂蜜で気持ち甘めに。
自分の顔が笑みの形をつくるのに時間はかからなかった。

―――おい、起きろよルナ。もう食堂に行かないと朝食食べ損なうぞ

何か声が聞こえた気がするが、おそらく街の喧騒とかだろう。気にするほどではない。
それでなくても長女のコニールが生まれてから、2人きりの時間が減っているのだ。
昨晩だってひさしぶりだったし (おかげで2人して燃えてしまったが) 、寝起きの甘い時間なんて言わずもがな。
だから今はこの時間を思う存分貪らないと。
それにしてもコニールという名は自分の邪魔をする運命でも背負っているのだろうか。
そんな思考が浮かんだが、ルナマリアはすぐに放棄した。
亡くなった人を悪く言うものではない。それが娘の名前にするほどの親友であれば尚更だ。
371CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:34:37 ID:???

―――んだと? お前さっきから何を言ってんだ

「うん。ごちそうさま」
「あいよ。……それよりルナ、口の廻り」

ホットミルクを飲み干して満足気に息を吐く。傍らにいる夫は自身の口元を人差し指でトントンと叩いた。
ミルクが少し口の端に付いたらしい。ティッシュで拭き取ろうと箱を探すも、昨日使い切ったばかりだった。
手で拭うのもなんだし、どうしようか。答えは目の前の夫に行き着いた。

「ねえダーリン。こっち向いて」
「なんだよマイハニー、そういうフリやめて欲しいんだけど。キャラじゃないし」

言い方もなんかムー○ンみたいだしと呟くシンに、軽く顔を突き出す。
一瞬きょとんとした表情をして動きを止めた彼だったが、そのうち困ったように笑いながら自分との距離を詰めた。

「俺になんとかしろって?」
「持ってきたのはシンなんだから責任を取らないと。それに眠ってる女性を起こすのに必要なものは知ってるでしょ?」
「やれやれ、困ったお姫様だな」

―――ちょ、寝惚けるなって。離せって

身体を密着させるシンの首に両手を回す。
そして目を閉じて唇を重ねた。

―――!!!

いつものキスと何か感触が違うなぁ。何か女物の香水の匂いがするし。
いやこれは自分の匂いが移ったのだろう。一晩中身体を密着させてればそうもなる。
それよりも今は別のことを。少し照れた表情の夫が何だか可愛い。
心の中に燃え上がるものがあって、両手を首に回したまま後ろのベッドに向かって倒れた。
ばすん。ベッドの柔らかさと彼の重みが心地良い。

「おーい、お姫様なら1回で起きるんじゃないのか」
「お姫様はもう終了。今ここにいるのは、しばらく恋人に構って貰えなかった1人の女の子よ」

お互いの顔が息が絡まるほど近い。紅い瞳が自分をみつめる。
ああ、駄目だもう。自分はこの男に心まで囚われてしまった。おそらくは一生。
そしてその事が嬉しいのだから始末におえない。
372CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:35:50 ID:???

「午前中までだからな。午後からはデートに連れて行かなきゃいけないんだろ俺は?」
「うん、わかった。だからそれまでは―――」

ずっといちゃいちゃしてよう。
そう言いながら今度は濃厚なキスをしようとして、


『お前いいかげんにしろよ本当に!!』


ごちんと頭に衝撃が奔った。そして急激に意識が覚醒する。
耳に届くのは友人の声。

ああ、そうだ。こういうことって、たいていはそう
たいていは……





第28話 『 夢 』





「女の癖に人の唇奪いやがって! ファーストキスじゃなかったから良かったようなものの!!」
「だから寝惚けてたって謝ってるじゃない」

「あ〜あ、また始めやがった」

眼前で始まったいつもの光景に、ヨウランは思わず溜息をこぼす。
少女の叫び声が響いているのは朝食時間で混雑しているミネルバの食堂。
声の主は言わずと知れた、真っ赤な顔をして噛み付くコニールをいなすルナマリアである。
唇を奪っただの奪われただのと、なんだか大声で話す内容では無いように思うのは気のせいだろうか。

「んで、ファーストキスの相手について聞かせてもらおうか。
 コニール確かそっちの経験は無いって言ってたわよね。いつ、誰と、何処でしたのか聞かせてもらおうか。
 ……まあ予想はつくけどね」
「そ、そんなプライベートなこと言えるか!!
 大体なんだよ、ルナだって夢の中で私の事勝手に殺しちゃってるじゃないか!! 何だかんだで友人だと思ってたのに!!」
「男が絡んだらそんなの在って無いようなもんよ」

見た感じ女の修羅場ではあるものの、周りにいるクルーは慣れた様子で華麗にスルーしていた。
どうせ夕食の時間になるころには仲良く喋りあっているのがいつものパターンであるのを皆知っているからだ。
ルナとコニール、仲良く喧嘩しな。そんな感じで。
373CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:37:24 ID:???

「あーおなかすいた。あなた、私のぶんも料理持ってきてもらっていい?」
「わかった、席の方は頼むな……ってまたあの2人喧嘩してるのか」

そんないつもと変わらぬ食堂に、仲良くアスランとメイリンが入ってきた。
最近つやつやにこにこと上機嫌な姿をよく確認されている2人は、今朝もいつもと違わず上機嫌である。

「おはようございますザラ少将。それとメイリンも」
「ああ、おはよう。……やれやれ、あの2人も朝から元気だな」
「いつものことですよ。そのくせ2人とも臆病だから、あの手の話はシンのいない所でしかしないし」
「でも流石にあの内容は大声で話すことじゃないわよ」

溜息を吐くのもめんどくさいとばかりにげんなりするアスランとヨウラン。
野郎を取り合う女の子の痴話喧嘩なんて、当事者以外の人間からすれば愉快なものではない。
しかし女性からすれば違う観点もあるようで、姉と友人の喧嘩の内容を耳にしたメイリンは思わず眉をひそめる。
そして意を決した表情をして、言った。

「あの喧嘩を止めないと」

その決意を否定する気は無いが、あんまり事を大きくしないで欲しい。
いつも被害を受けるのは自分たちなのだから。

「出番よ、あなた」
「って俺かよ……」

やっぱこんなオチでした。そうは言いつつも素直に2人の許へ歩いていくアスラン。
嫌なら断ればいいのにと思わないでもないが、付き合いだしてからずっと年下の妻の尻に敷かれているアスランは
彼女に逆らおうという気がまるで起きないらしい。
本人曰く惚れた弱みだそうで。仲が良くて何よりですなぁこんちくしょう。

「なあ2人とも。周りの人間も引いてるし、そろそろ喧嘩を止めた方が 「「黙ってろ」」 すいませんでした」

改行どころか句読点すら挟まずに撤退するアスラン。
あっさりと一蹴され、とぼとぼと仲間の許へと戻る。

「効果0とお見受けします」
「わざわざ言わないでくれヨウラン。なあメイリン、そんなに止めたいのならお前しかいないと思うんだ。
 お前の言葉ならあの2人も聞いてくれるんじゃないか?」
「仕方ないなぁ……」

頼りにならない亭主の言葉に、ついに妻が動き出す。
仕方ないと思う気持ちはわからないでもないが、自分が行けって言っといてそれはないだろうに。
隣を抜けていくメイリンに旦那が何か言うかなと視線を向けると、命令から解放されてほっとした顔で朝定を取りに行ったところだった。
これ惚れた弱みってレベルじゃないと思うんだが。心の底まで飼い慣らされてないかジャスティスよ。
374CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:39:49 ID:???

「2人とももういいでしょ? 仲直りしろとまでは言わないけど、流石に止めた方が良いと思うよ」
「コニールが突っかかってくるのが悪いのよ。私は降りかかる火の粉を払ってるだけだし」
「お前あんなことしといてそれか!? がっつり舌まで」
「ハイハイそこまで少し落ち着きなさい。
 2人とももう少し慎みの心というものを持たないと男は引いちゃうって。
 そんなんだからシンにボルテールで浮気されちゃうのよ」
「「黙れ」」

最後の一言が余計だった。2人の手がメイリンの顔に伸び、その張りのある頬をぐねりと抓りあげる。
傍から見ても痛そうな攻撃だったが、彼女は痛みを押し殺した声で加害者に声をかけた。

「……ほら。怖くない」
「人をキツネリス扱いすんな」
「あんたじゃ姫さまは無理よ」

茶化されて腹が立ったのか、2人が自分の手を少しだけ引く。伸びる頬。
哀れなザラ夫人は顔の向きを変えることすら出来ず、じゃすてぃーす、かむひあーと切羽詰った声で夫に助けを求める。
しかし盆を持ってきた旦那は妻を助けに行かずに席に着いた。まあ無理も無いわな。

「あ、あなた。私が悪かったからそろそろカットに入って。もう本気で頬が伸びそう」
「がんばれメイリンお前なら大丈夫だ。トムみたいにムニューッって伸びてポンって感じで戻るさ」
「旦那をモノにしたあの時の生命力を見せてみろー」

いつの間に仲直りしたのか、共同戦線を取り始めたルナマリアとコニール。
頬が紅く染まり、そろそろ涙目になってきたメイリン。
パンパンと必死な妻のタップを流しつつ、席に座って緑茶をすするアスラン。
妻のピンチなのに余裕な夫と談笑する自分。


ミネルバは今日も平和です―――


『緊急連絡。アスラン=ザラ少将及びシン=アスカは、至急ブリッジに集まってください。繰り返します……』

スピーカーから流れた言葉に、食堂にいた全員の動きが止まる。
アスランとシンが急遽呼ばれた。それが意味することは一つしかない。

「すまん、聞いての通りだ。俺は先に行く」
「コニール、私たちもブリッジに行こう? どうやらいろいろと忙しくなりそうだから」
「ああ!」
「私も行こうか。一応、ゲストだし」

動きを止めたままの周囲とは対照的に、そう言うや否や駆け出していく友人たち。
ヨウランは4人を見送った後、コップに残っていた茶を飲み干す。
そして席を立ち、大きく伸びをしながら彼らとは反対の方向へ歩き出した。
出口の近くで彼の存在に気付いた部下たちから声をかけられる。
375CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:42:14 ID:???

「ケント主任。今のって、やっぱり……」
「お前ら、早めに飯食っとけ。すぐに動くことになるからな」

そう、あの2人が呼ばれたということは、キラ=ヤマトに動きがあったということ。
それでなくてもヤツらは神出鬼没なのだ。確かな情報を得たら、すぐにでも動かないと逃げられてしまう可能性がある。
だからちょっと様子を見よう、なんてことはできない。

「は、はい……主任、ちょっと顔が怖いですよ」
「あん?」

言われて初めて、自分の眉間に皺が寄っているのに気付いた。どうやら自分は怒っているらしい。
俺にはシンと違って戦う力なんて無い。戦いが始まるといっても、するのは機体の準備くらいだ。
デスティニーの修理は既に終わっているし、チェックもほとんど済ませた。あとは最終的な点検を行うだけ。
まあ全てのMSをとなると結構な手間になるが、それが自分が怒っている理由かというとそうでもない。

「まあいいや。先に行っとくな……今の言葉、整備班の他の連中にも言っとけ」
「了解です」

真面目な顔になった部下の横を抜けて、ヨウランは食堂を出る。
怒っている理由は一つだけ。俺は今、ミネルバで皆で過ごすこの時を気に入っていた。
シンが女誑しぶりを発揮しルナマリアやコニールがその周囲で暴れ。
メイリンが暗躍しアスランやトライン艦長がそれに巻き込まれ。
残った常識人である自分とディアッカがその騒ぎから距離を取りつつ溜息を吐く。
そんなぬるま湯じみたこの空間を、俺は気に入っていたのだ。

それを自分は奪われた。
そしてキラに動きがあるということは、彼に敵対する者が動いたということに他ならない。
つまりどっかの馬鹿が馬鹿な事を始めたせいで、自分は穏やかな時間を奪われたということになるのだから。
これは、怒るなという方が無理だろう。

「俺たちは軍人だ。んでもって今、戦う時が来た。それくらいはわかってるけど……」

頭に血を上らせたって仕事の効率が悪くなるだけ。そしてそれはパイロットたちの生存の確率を下げることになる。
だから早く部屋に戻って、水でも浴びて頭を冷やさなければ。そしていつもの自分に戻らねば。
そう思いながら早足で廊下を歩いた。
その眉間に、皺を寄せたまま。


気に入らねえ。
まったくもって、気に入らねえ。




376CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:44:07 ID:???




「月は君たちに任せていた筈だ。もう少し早く情報を掴めなかったのか?」

ディーヴァの艦橋にて、2人の男が通信画面の前に立っている。
声を荒げたのはバルトフェルド。その隣で静かに佇んでいるのはマルキオ導師。
キラを内外から支える両者がこの場に揃っているのには理由があった。
その理由たる通信画面の男からの報告は一つ。

連合による、レクイエムの復活である。

『申し訳ありません、向こうのガードが固かったもので……以上、報告を終わります』
「……わかった、ご苦労さん。大至急会議を開くから、今のデータを此方に送っておいてくれ」
『はい』

そう言うや否や、敬礼もせずにブリッジを後にするバルドフェルド。
その駆けて行く足音が遠くなるのを待って、画面の中の諜報員が残された男に声をかけた。
僅かに声を落とし、他人に聞かれまいとするような口調で。

『これでよろしかったのですか?』
「ええ……それよりも、例の件の手筈は整っていますか?」
『はい。こちらはいつでも対応できます』
「それは結構。ではこちらの指示があるまで待機でお願いします」

諜報員の言葉にマルキオは頷き、そして通信を切った。
本当は随分前にレクイエム復旧の情報は掴んでいたのだ。そしてその報告を止めていたのは自分である。
その理由はただ一つ。この戦いに勝利した後、レクイエムを破壊せずに自分たちのものにしてしまうためだ。
おそらくこの情報を手に入れた彼らなら、すぐにレクイエムを破壊しようと考える筈だ。
しかしそんなことに意味は無い。
既にヘブンズベースを単機で壊滅させたキラがダイダロスを破壊したところで大した宣伝効果は無いからだ。
それならばまだ使い道のあるレクイエムを自分たちが手に入れた方が良い。

「いや、あれはむしろ彼にこそ相応しいものだ。
 フリーダムは強いとはいえ所詮MS。彼にはもっと強い力を得て貰わなければ。
 レクイエムならば強さ・知名度共に申し分ない。是が非でも手に入れる必要がある」

その為の手配はもう済ませている。
キラがザフトと連合の艦隊を壊滅次第、連合軍に潜ませた内通者たちが基地を制圧。
レクイエムを破壊しようとする前に自分たちを迎え入れる手筈になっている。
バルトフェルドやキラにはその事を伝えていない。伝えたところで良い顔をされないのは目に見えていた。
彼らはまだ、甘い。
377CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:45:37 ID:???

パイロットの方は都合が出来ました。
かつてそう言って白騎士と呼ばれたザフト軍人たちを見せたとき、キラが纏った空気は嫌悪だった。
裏切り者めと。力関係によって立ち位置を変える蝙蝠どもめと。
彼らに対して無難な応対をしてはいたが、そう思っているのが目の見えない自分にはわかった。
確かに普通なら彼と同じ考えを持つのが一般的であろう。戦力が増えたと純粋に喜んでいたのはごく僅かな人間だけ。
どんなに言葉で飾りつけたところで彼らは相対するべき強大な相手から逃げ、その軍門に下ったのだから。

だがそれでは困るのである。
確かに彼の足りない所、裏の部分は自分が補うつもりだ。しかしいつまでもというわけにはいかない。
このままずっと人の汚さに嫌悪していてもらっても、自分の望む導き手には到底届かない。
人の美しき部分はラクス=クラインが既に十分すぎるほど見せた。
だから後は醜き部分まで全て理解して、人とはそういうものだと認識した上で新たな世界を構築してもらわなければ。
今のこの世界を壊しつくした後に。

「破壊なくして創造は無い。そして世界や人を変えるには、それなりの舞台が必要になる。
 ……彼はスーパーコーディネーターでSEED因子の所有者でもある。
 名実共に世界を導く立場になったとき、その場所に順応するために必ず目覚めるはず」

月の情報の規制及び妨害は終了させたので、今頃レクイエムの情報はザフトを含んだ各勢力が掴んだはずだ。
そして連合とザフト、そして自分たちによる最後の戦いの幕が上がるだろう。
3つ巴にして最後に相応しい華々しい戦いが。

「シン=アスカにアスラン=ザラ……そしてレクイエム」

最後のフィナーレを飾る、征服すべき敵は揃った。
後は英雄が、いや神がこの地に生まれるのを待つばかり。
そしてその神がレクイエムという月の玉座に鎮座したとき。自分の希望が現実へと変わる。
ジョージ=グレンが見せてくれる筈だった夢の続きを。目の潰れた自分にも見える、光に溢れた道を。

「ああ……」

身体が震えるのを抑えられない。これは恍惚。
人間は確実にくる幸福があると知っている場合、待つ時間の中にも幸福を感じる生き物である。
女も、酒も、音楽も。自分は視力を無くしたぶんだけ強く、その快楽を感じることが出来ていた。
しかし今のこの感覚を味わってしまえば、そんなものは比較にならない。
夢の叶う瞬間というものは。

「さあ、見せてください。貴方の怒りを。貴方の狂気を。貴方の彼女への愛を!!」

神は人を超越したところにある。
そして私はその神の誕生に立ち会えるのだ。

「そして貴方が導く未来を!!」

これこそが、私の生まれてきた理由と呼ぶに相応しい―――!!

378通常の名無しさんの3倍:2010/07/25(日) 22:47:47 ID:???





ブリッジの入り口近くの廊下。その壁に背を預けたまま、バルトフェルドは溜息を吐く。
というか溜息しか出てこなかった。まさかこの男の本心がこんなカルトめいた思考だとは思ってもいなかったからだ。
キラがこの場にいなかったのは不幸中の幸いである。

「………何が未来だ。馬鹿なことを言ってるんじゃないよ、まったく」

要するにキラを神様にでもして新しい世界を作らせ、自分が神官を気取ると言うことか。
それは自分たちの否定したギルバート=デュランダルよりもひどいではないか。しかもそれを行うのがキラだと?
今の戦いでさえ苦しそうに行っているあの子が、そんな世界中を背負うようなことを出来る筈がないだろうに。
ラクスと同じように考えてはいけないのだ。
彼女は人間の善性を信じていたから世界を背負うことにそこまで抵抗は感じていなかった。しかしキラは違う。
そのラクスを殺され、人の醜い部分を見せ付けられた彼がそんなことできるわけ無いだろう。
その重圧に押しつぶされて、今度こそ心が壊れるのがオチだ。

「ふざけるな。あってたまるか、そんなこと」

それだけはなんとしても阻止しなくてはならない。
自分たちは抑止力として存在するだけでいいのであって、世界を牛耳るためにいるのではない。

やはりあの男はそう遠くない未来に処分しなければなるまい。

それ自体は大した手間は掛からない。目の見えない男1人謀殺するのなんて簡単だ。
抵抗なんて取るに足らないものだし、彼に追従して自分と戦うという者も大していないだろう。
唯一自分たちの弱点となりえる小さなラクスの警護は陰で強化しているし、ドムトルーパーの3人も此方寄りだ。
だがこの男に篭絡された者もかなりの人数がいるため、
自分が権力を握るために殺したと思われては彼らの中に反感の意を表す者も出てくるだろう。
それは自分の本意ではない。何より戦いはまだ終わっていないので、最終決戦を前に内紛を起こすわけにはいかなかった。
全てはこの戦いに勝利した後だ。

379CROSS POINT:2010/07/25(日) 22:49:28 ID:???

「……月、か」

全てに勝利してキラを生かすという点では、月の制圧は此方にとっても都合が良いのは間違いない。
いくら補給ポイントが多いとはいえ永遠にディーヴァで流れるというのは現実的ではないし、
プラントとも地球とも一定の距離がある月のダイダロスならば拠点として不足は無かった。
キラならばレクイエムを放つことも無いだろうし。
ただ、今だけという前提があっても、あの男の意のままに動くというのが個人的に受け入れられないだけで。

「夢や未来なんて、こんなに胡散臭い言葉だったかな」

顔の傷を撫でながら呟いた。自分の大事なものを他人の自慰で汚されたような気分だ。
視線の先にはその張本人、未だに笑う夢想家が1人。


気に入らない。
まったくもって、気に入らない。





380CROSS POINT:2010/07/25(日) 23:00:10 ID:???

今日はここまでです

マルキオについて深読みされている方もいるみたいですが、あいつそんなに深いキャラじゃないです
自分の中ではこの作品のマルキオはリヴァイアスの自慰してたやつみたいな感じです
381通常の名無しさんの3倍:2010/07/26(月) 21:31:41 ID:???
最終的には「今から証明してやる。闇の力に打ち勝つのが憎しみなんかじゃないと言う事を。俺たち3人で」になるんですかねw

>>380
え〜〜……そうなの……なんかチョット、な……(´・ω・`)
382通常の名無しさんの3倍:2010/07/26(月) 23:52:34 ID:???
いや、ラスボスというか諸悪の根源が悪なりに魅力的な哲学を持ってるとは限らず
くだらない薄汚い妄執のために理想的な帰結を台無しにすると言う図も珍しくはない。
何とかしてキラとちびラクとミリィあたりは生かしたいとする虎の努力を
パーにしかねないぞ…
383通常の名無しさんの3倍:2010/07/27(火) 11:15:14 ID:???
むしろちびラクを邪魔と謀殺するに100ペリカ(´・ω・`)
384通常の名無しさんの3倍:2010/07/27(火) 20:18:51 ID:???
ジャングルの王者ターちゃんでなんかロボトミ―化されて絶望する話なかったっけか?
385通常の名無しさんの3倍:2010/07/27(火) 20:55:26 ID:???
ありましたよ、ターちゃんのクローンが作られ、そのクローンの心を悪に染めるため
好意を寄せていた女性を、クローンを作った女マッドサイエンティストがロボトミー化するんです
アニメでは救われましたが
386通常の名無しさんの3倍:2010/07/27(火) 22:28:21 ID:???
カセットデッキが埋め込まれたのは脳の要らない部分だったんだよ!っていうとんでも理論で原作でも救われてま。
387通常の名無しさんの3倍:2010/07/30(金) 22:55:27 ID:???
そんなフォローあったっけ…単行本の描き足しか何かかな?
いやホントなら結構なことだけど。
388通常の名無しさんの3倍:2010/08/01(日) 22:23:58 ID:???
>>382
どうせならこれくらいの事はやってくれてもさ。

「時天空は我々の宇宙を飲み込もうとしています」
「全ての攻撃は時天空には通じません!」
「最後の攻撃……ビッグバンの命令を!」

「ビッグバンは成功だ! 時天空は崩壊している!!」
「ビッグバンは時天空を破壊しながら順調に拡大しているぞ!」
「しかし時天空は無限だ、いずれビッグバンの爆発力も弱まる」
「それまでに時天空の核を見つけて攻撃せねば」
「私はビッグバンで発生したガス体に身をひそめ、次の攻撃の準備をする!!」
「私は……引き続き攻撃を!!」
「私は……意識の続くかぎり時天空の核を探す!!」

「私は――この地点で分子構造体を組み合わせ、時天空を殲滅させる兵器"SEED"を作り出す!!」
「われわれのような意識体ではなく…遺伝子を次々と組み合わせ進化する、確固たる『実体』を持った兵器がいい!!」
「おのれら同士で喰い合い、喰い合うことによって強くなる、戦闘的な特性がいい!!」
「生き残れ、破壊せよ、同胞を殺して喰らえ、進化を繰り返せ!」
「その中で生き残った"SEED"に時天空を破壊させるのだ!」
「たった一体で戦況を改善させる……狂った大量破壊兵器でもいい!!」
「いち星系レベルの空間認識能力を持った自律式兵器でもいい!」
「しかしそいつらには自滅するというリスクがつきまとうぞ」
「かまわぬ、そうなったらまた一からやりなおせばいい」
「ビッグバンがおさまるまでに……宇宙全域へ"SEED"を飛ばせ……」
389388 変更箇所。:2010/08/01(日) 22:27:27 ID:???
自律式兵器

汎用性の高い兵器
390通常の名無しさんの3倍:2010/08/01(日) 22:44:24 ID:???
真魔獣戦線乙
逆シンスレでも反逆して敗れたシンが生体CPUどころか新型デスティニーの
AIとして組み込まれてしまう話があったな。
自我を取り戻してさあこれからという時に作者氏の実生活の都合で
中断という痛恨の結果になってしまったがorz
391通常の名無しさんの3倍:2010/08/02(月) 18:28:18 ID:???
>>390
ならばこういうのはどうだろうと……

マルキオ
「この宇宙鯨の残骸を見たまえ、シン・アスカ君。
このように絶滅してしまった生物は数知れない。
ナチュラルに留まらずコーディネーターですらも、
このまま行けばその例外ではない。

だがとうとう、人類が未来永劫この世界で
繁栄し続ける優れた生物となる夢が実現する。
『SEED』の覚醒がその夢の支えとなるのだ。
今こそ『種割れ』の時なのだよ。ハハハ……」

キラ
「シン……僕はもう、死んでいるんだ……」
392通常の名無しさんの3倍:2010/08/02(月) 21:17:47 ID:???
これはちょっとわからない、元ネタは?
393通常の名無しさんの3倍:2010/08/02(月) 21:20:02 ID:???
仮面ライダーWかな
394通常の名無しさんの3倍:2010/08/03(火) 00:35:40 ID:???
フリーダムデスティニーエクストリーム
395通常の名無しさんの3倍:2010/08/05(木) 16:12:08 ID:???
種ならありそうだ>エクストリームガンダム
396391:2010/08/05(木) 17:31:59 ID:???
>>392-395
そしてユーレン・ヒビキ博士が包帯で顔を隠してシンの元に……
397通常の名無しさんの3倍:2010/08/07(土) 10:42:55 ID:sfecPR/4
もし……もし種の武器兵器とCPUの音声や一部の効果音が
立木冬彦や串田アキラ、其の他の個性的な面々だったとしたら……

鷹! 虎! 飛蝗! タ・ト・バ! タトバタトバ!!
398通常の名無しさんの3倍:2010/08/07(土) 16:00:57 ID:???
ザクレロ祈願
399CROSS POINT展開予想:2010/08/08(日) 19:54:41 ID:???
キラとシンが激闘の末、シンがキラを倒す。
その影響で半狂乱になったマルキオは、燃え盛るディーヴァの中で
ジョージ・グレンの幻影と踊りながら爆死する。
全てが終ったかに思えたが、キラ・ヤマトの死体はどうしても見つからなかった。
其の頃、キラの死体?を抱えながらロウ・ギュールは火星へ向かっていた……
400通常の名無しさんの3倍:2010/08/08(日) 21:40:26 ID:???
そのほぼ直前ニアミスするかしないかの時期に
全てのMSのデータをも入手したライブラリアンがアプリリウスを占拠して
そっちにも苦戦するシンの前になぜか刹那がフラリと助っ人に来るのか?
いやまだ観に行けてないけど。
401399:2010/08/08(日) 21:45:19 ID:???
>>400
>刹那
シャウト機能&歌唱機能付きのGNドライブを三つ装備した新型ガンダムで来るんですね、わかります。

「ナックル! ドゥーム! レイジ! ナドレ、ナドレナドレ!!」
402通常の名無しさんの3倍:2010/08/08(日) 23:51:10 ID:???
やっぱ刹那が来ないとな
00良いわあ・・
403通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 02:11:22 ID:???
ちょっと種でWっぽく妄想

クルーゼ率いる犯罪組織ザフトがヘリオポリスを占拠し
更に大量破壊兵器ジェネシスを設置した
アスランはジャスティスを自爆させジェネシスを破壊し
キラがフリーダムでクルーゼのプロヴィデンスを倒したのだがプロヴィデンスの機体の爆発が街を焼き
大量の犠牲者を出してしまう
キラは英雄と呼ばれる一方で犠牲者を出してしまった事から戦うのを辞め一人静かに暮らしはじめる

それから数年後、新たな犯罪組織ロゴスが暴れ回るヘリオポリス
爆発で父母妹を無くした青年シンがキラの元へ訪れる
「俺はあんたを怨んでいない、今また犯罪組織が暗躍し始めている
これ以上俺と同じ様な境遇の人達は出したくないんだ、人々を護るためなら俺は悪魔にもなるさ」


こんな感じでどうだろうか
インパルスは複座でキラがシステム制御担当みたいな
404通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 03:50:16 ID:???
刹那とか00キャラは? どこ?
405通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 03:54:16 ID:???
あくまで種でWの妄想だから00は絡まないよ
映画の妄想なら絡むかも知れないけど
今回のは導入部分の妄想だし
406通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 05:42:19 ID:???
407通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 18:48:31 ID:???
刹那刹那言ってるヤツはなんなんだ?
408通常の名無しさんの3倍:2010/08/09(月) 23:02:42 ID:???
信者を装ったネガキャンじゃないか
409通常の名無しさんの3倍:2010/08/10(火) 02:06:55 ID:???
ただの00厨刹那厨じゃないか
410通常の名無しさんの3倍:2010/08/10(火) 15:42:44 ID:???
もしラクスの乗った脱出ポッドの回収が遅れて酸素欠乏症になっていたらとか
精神を病んでしまっていたらとかのねたってあったっけ?後者はハロいるし難しいか。
411通常の名無しさんの3倍:2010/08/10(火) 17:31:54 ID:???
>>410
ハロを家族の名前や友人の名前で呼ぶ病みラクスか

問題は友人のイメージが(ryねつ造すればいいかw
412通常の名無しさんの3倍:2010/08/10(火) 21:48:42 ID:???
dionにしたら投下はおろか2ちゃんに書き込みすらできなくなった……
なんか手は無いのだろうか
413通常の名無しさんの3倍:2010/08/10(火) 23:37:10 ID:???
414通常の名無しさんの3倍:2010/08/11(水) 02:36:54 ID:???
p2
415通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 06:41:40 ID:???
>>409
バクシンヤー乙
416通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 18:53:32 ID:???
完璧に止まったな……
作者2人、どっちも投下ないし
417通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 18:57:01 ID:???
規制されてんじゃねーの?
418通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 20:34:08 ID:???
>>415
なにこの人
急にどうしたの?
419通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 22:36:07 ID:???
>>407>>408
00厨を装った種厨じゃない?>>418

>>418
「00厨」という単語を使うのは、モリーゾ位だからじゃね?
420通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 23:24:57 ID:???
日本語でおk
421通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 23:35:48 ID:cclcGhc+
種厨消えろ
422通常の名無しさんの3倍:2010/08/12(木) 23:59:19 ID:???
バチバチマンコ!!
423通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 02:19:54 ID:???
>>419
00厨なんて存在しないしね
種厨の脳内は別だけど

424通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 02:37:19 ID:???
いても名無しの小者ばかりだから、種スレと比べればいないも同然
425通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 02:38:42 ID:???
いやいないんじゃね?

つまり全て種厨のしわざってことさ
426通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 02:44:37 ID:???
つまり、どういうことだってばよ・・?
427通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 02:53:53 ID:???
荒らし⇒00厨を装った種厨

00厨⇒いない


こうゆう事だろう
428通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 03:54:22 ID:???
つまり俺がガンダムってわけだ
429通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:00:14 ID:???
いや、俺達がガンダムだ!
430通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:11:50 ID:???
いないと言い切ると逆に酷い侮辱じゃね?
ファンがいないと暗に言ってるようなものだし
431通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:12:35 ID:???
>>430
モリーゾ乙
432通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:15:09 ID:???
また種厨の自演か…
433通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:22:22 ID:???
>>430
どっちに転んでも00が貶せるからOK
434通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 04:34:24 ID:???
00ファンはもちろんいる。00厨はいない。
簡単なことじゃね?
435通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 10:27:09 ID:???
もしキラがモリーゾみたいな奴だったら
436通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 10:46:30 ID:???
種死のキラがモリーゾみたいな奴じゃんw
437通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 13:27:00 ID:???
頼むから日本人に通じる単語を話してくれ
438通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 18:53:55 ID:???
>>437
バクシンヤー乙っす
よかったね、種死のキラと似た者同士にされてww
439通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 20:07:35 ID:???
夏すなぁ
縄張りも理解できてないアホが覚えたての単語使って煽ってるってところか
440通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 22:08:45 ID:???
>>439
だって年中休みの阿呆が、この板を荒らしているんですもの
441通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 22:24:13 ID:???
ザクレロの続きまだかなあ?
442ザクレロSEED:2010/08/14(土) 00:25:56 ID:???
今、普段上げてる量の4分の1くらいまで進行
暑さで干上がり中

話進めて、マリューさんやミゲルのパートも書きたい今日この頃
443通常の名無しさんの3倍:2010/08/14(土) 00:33:55 ID:???
よし、ザクレロSEED氏の住んでるとこが涼しくなるよう念送っといた
444通常の名無しさんの3倍:2010/08/14(土) 00:42:42 ID:???
>>442
期待して待ってます!!
445通常の名無しさんの3倍:2010/08/14(土) 00:48:42 ID:???
ザクレロさんだ、うわーーーー嬉しい
生存報告あるだけであと半年は楽に待てる
446通常の名無しさんの3倍:2010/08/14(土) 03:32:13 ID:???
荒らしだらけの中よく来てくれたなあ
447ネタ振り:2010/08/15(日) 17:51:30 ID:???
もし種世界のハロが「神秘の力を秘め、人の欲望や情念によって
増殖・発展する代物」の上、声が串田アキラや立木冬彦や水木一郎……だったとしたら?

更に種世界で各勢力が争う動機の大半がハロの獲得と殖産の為……だったとしたら?
448通常の名無しさんの3倍:2010/08/15(日) 21:48:03 ID:???
別のスレにネタ振りがきてるぞw

465 名前: 通常の名無しさんの3倍 [sage] 投稿日: 2010/08/15(日) 21:14:01 ID:???
俺の考えたキラ・ヤマト

・性格:変態
・MS操縦技術:天才ではあるが争いは嫌いなので乗らない
・身体能力:100m走った程度でヘタるが、スカートめくりの時だけ100mを5秒台のスピードで走る
・好きなもの:おっぱい。目に止まったおっぱいは速攻で揉みに行く、基本巨乳好きだが貧乳も守備範囲
・特技:女性の3サイズ当て、風呂覗きなど。
・癖:興奮すると全裸で走り出す


本編以上に嫌われそうなキラを考えてみた

http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1281318726/465-475
449通常の名無しさんの3倍:2010/08/15(日) 23:44:33 ID:???
ドスケベキラか・・・。
んでおっちょこちょいで明るくてお人好しでたまに真面目なら典型的スパロボ乗りなんだが。
450通常の名無しさんの3倍:2010/08/15(日) 23:48:31 ID:???
キラっていうかギャグ空間入った圭一だな
451通常の名無しさんの3倍:2010/08/15(日) 23:53:58 ID:???
向こうはさらに盛り上がっておりますw
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1281318726/476-506
452通常の名無しさんの3倍:2010/08/16(月) 08:31:47 ID:IKykfmRx
453通常の名無しさんの3倍:2010/08/16(月) 10:55:11 ID:???
>>448
そのキラなら、シンの家族を間違って撃っちゃうことはなさそうだな。超感覚でマユを見つけて、
「あっ、将来有望そうな子がいる」と。

そういうIFって需要あるかね。向こうに一言断り入れないと書けないけど。
454CROSS POINT:2010/08/21(土) 11:57:35 ID:???
規制にひっかかってるので投下ができない状態です
この際だから書き溜めておこうかなと思ったり
455通常の名無しさんの3倍:2010/08/21(土) 12:54:10 ID:???
乙です
最近規制酷いもんなー
臭いものには蓋をするだけの対応しかしないもんなー
456通常の名無しさんの3倍:2010/08/21(土) 22:40:48 ID:???
>>454
乙です。楽しみにして待ってます。
自分は●持ちなんで、どっか避難所があればそこに投下してもらえれば、代理で投下できるんだが…。
某逆襲スレではたまにやってる。
そういや、IF系って避難所ってあったっけ? テンプレには見当たらなかったが。
457通常の名無しさんの3倍:2010/08/22(日) 00:47:24 ID:???
以前覗いてた別スレで使ってた所だが、ここはどないなんだろう
ttp://yy45.60.kg/nikoru/#2
458通常の名無しさんの3倍:2010/08/22(日) 09:55:53 ID:???
459456:2010/08/22(日) 14:22:23 ID:???
>>458
【統合】もし種・種死の○○が××だったら @避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10411/1197815983/
にあるな。thx。
460通常の名無しさんの3倍:2010/08/28(土) 23:00:06 ID:???
なんとなく、CEで人狼したらどうなるか思いついて、

ナチュラル→狼、ソキウス→狂人。
もしくは
コーディ→狼、オーブ→狂人、ナチュラル→人。
の2種類考えて両方とも詰まった。

コーディ、ナチュラルより、ザフトと連合の方がいいんだろうか?
キャラを当てはめても面白いかとも思ったけど、
歌姫が両方ともなぎ倒して終了しそうなんだよなぁ。
461通常の名無しさんの3倍:2010/08/29(日) 18:16:25 ID:???
もしアスランが積極的な対話路線を執ってたとしたら……

「決めたぞカガリ! キラ! それにラクス!
俺は裸の心でナチュラルの中立派にぶつかる!!
思いのたけを全て正直に話してみる!!
住む世界と種族は違えど、必ず分かり会えるはずだ!!

ナチュラルの皆さん!!

実は俺、シャワー浴びてる時なぜか小便したくなって
シャワー浴びながら放尿しちゃったりするんですけど……
それってナチュラルの皆さんだってやってますよね!!」
462通常の名無しさんの3倍:2010/08/29(日) 20:01:51 ID:???
>>461
みえる! キラが大剣を構えている姿が見えるぞ
463もしフラガ兄貴が……:2010/08/29(日) 21:23:50 ID:???
マードック
「最近フラガ兄貴の荒み方がハンパじゃないんだけど…バルトフェルドさん、どうにかしてくれよ」


「いやだね」

フラガ
「そりゃ荒みもすんだろうがよォォ!! 砂漠の虎さんよお、アンタはいいよなァ!!
右腕一本失っても銃身機能の付いた格好いい義手になっただけなんだから!
俺ァよォォ、再生処置の時に何故だか知んねーけど、この世に一本しかねェ
超レアなアナログスティック、いやジョイスティック御釈迦にされたんだぞ!」

ノイマン
「フラガさん、声デカいですよ」

フラガ
「しかもよォ、なんか見た事もねェドライバーが植え付けられてたんだけど!! 何アレ?」


「これはボックスドライバーだな、多分」

フラガ
「どこで使えば良いんだよアレよォ!! 使いどころが分かんねーんだよ!!
せめてプラスかマイナスくらいにしてくれてもいーだろーが!!」


「もともとフラガのなんて世の女性を不幸にするだけの呪われたグングニールだったじゃないか。
腐って落ちた方が良かったんじゃないか?」

フラガ
「ロックバスターのお前にボックスドライバーの気持ちなんてわかんねーよ!」

>>462
そこはフリーダムの切り刻みでお願いします
464通常の名無しさんの3倍:2010/08/29(日) 21:29:07 ID:???
>>463
まてそれはマリューが泣くんじゃないのかw
465通常の名無しさんの3倍:2010/08/29(日) 22:37:10 ID:???
>>464
最終的にはライブラリアンの本拠地のコンピューターにボックスドライバーを打ち込むからいいでしょw
シン
「ていうかあんた達何ですか?
火事場泥棒とかやってる人ですか?」
ミリィ
「あの…規則であんまりハッキリ言えないんだけど、
紛争で犠牲を出さないようにする…」
シン
「NPOっぽいカンジ?」
アーサー
「ハハッ、シン君、余計な口を挟んですまないが
僕にはもうわかったよ。ホラ、あれだよ。
ヒントは人間の股間に付いてる大事な部分で、通称はそれぞれ…」
ミリィ
「違いますから! 何ですかそのヒント!?
一体どんな答えに結びつくわけ!?」
シン
「要するに勝手に戦いを止めさせるヒューマニストな人達ですか」
ミリィ
「……なんかやなんだけどその言い方」
アーサー
「シン君、余計な口を挟むようだけど僕にはそうは思えないんだ。
この方達はホラ、戦艦の艦橋に乗って通り過ぎざまに恥部を露出する、
あの……」
ミリィ
「だから違うって! っていうか一体どこからそんな推測が飛び出すのよ!?」
シン
「なんか信用できないですね……戦争を止めるんだったら
何でコソコソ逃げ回ってるんですか?」
ミリィ
「そ、それは…………」
アーサー
「シン君、余計な口を挟むようだけど僕にはもう分かったよ。
この方達はほら、猥褻物陳列罪で」
ミリィ
「だから違ェェって言ってんだろ! お前何!? 真面目そうな顔して頭ん中ァそればっかかい!!」
467466 変更箇所。:2010/08/29(日) 23:10:47 ID:???
火事場泥棒とか → 戦争妨害とか
ライブラリアン
「人類はもうすばらしい人材を損なう事は無いのだよ…我々のカーボンヒューマン技術があれば!」

ロウ
「あ、まさか!」

ライブラリアン
「あぁ、これがお前の師匠…蘊・奥だ。そしてこちらがロンド・ギナ・サハク」

ロウ
「……どこが師匠でどこがギナなんだよ!

ミナ
「なんだこのズルズルの物体は!!」

ライブラリアン
「いや、これはズルズルじゃなくてヌメヌメ…」

ロウ
「こんなの師匠じゃねえ!」

ミナ
「死者を冒涜するにも程が在る!!」

ライブラリアン
「いやほんとなんだって。確かにこりゃズルズル…いや、ヌメヌメなんだけどちゃんと本人なワケであって」

アグニス
「あんた一体どうしたんですか? 次は一体誰をカーボンヒューマンに」

ライブラリアン
「俺……もう人間再生、やめるわ……」
469463:2010/08/30(月) 22:57:53 ID:???
>>464
それじゃあ「せめてデビルガンダムのガンダムヘッドくらいに」でお願い。

あともうひとつ投下。

ステラ「波ー! かめはめ波ー!
なんか違うなァ、もうちょいあれだなァ、かーめーはーめー」

シン「……、俺、何も見てないから」

ステラ「すんません……いや、ほんとすんません……
ここ人が居なかったから、完全にひとりだと思ってたから、全力でできると思って……」
470469 訂正:2010/08/30(月) 23:02:10 ID:???
もしシンとステラの海岸での出会いが……

ステラ「波ー! かめはめ波ー!
なんか違うなァ、もうちょいあれだなァ、かーめーはーめー」

シン「…………」

ステラ「すんません……いや、ほんとすんません……
ここ人が居なかったから、完全にひとりだと思ってたから、全力でできると思って……」

シン「俺、何も見てないから」
471もし隠遁生活がこんなんだったら…:2010/09/01(水) 23:11:01 ID:???
アンディ
(仕事の一杯…これがたまらない、至福の時だ。
僕は最早、このコーヒーのために戦っているといっていい。
男はたかが一杯と……たかが一本の為に命を懸ける)
ラクス
「何やりとげた顔してんだァァ!!仕事サボって
オーブ本島のイメクラ行ってただけじゃねーかァァてめーは!
つーか一本って何? コーヒーって一本って数えないよね!?
ああそうか、そっちの一本か? 一本一万円コースか?」
アンディ
(男には我慢できない一本がある)
ラクス
「最低な事をハードボイルド調で言うな!!どうしてお前はいつもいつも…
前から思っていたがな、お前は二つ名と仕事の能力のバランスがおかしい!
"砂漠の虎"って言ったら普通は仕事できる奴の二つ名だろ!
なのにどうしてダメなの! どーしてこう重要なところでダメなの!?」
アンディ
(他人から見ればダメに見えるこだわり…しかしそこに男の全てがある)
ラクス
「うるせーんだよ! 存在そのものがダメな奴が言うな!
オイ、コーヒー飲むのやめろそれ! なんで三隻同盟の長から
説教されてんのにコーヒー貪ってんだよ! ブッ飛ばすぞ!」
472↑訂正します。:2010/09/01(水) 23:13:42 ID:???
仕事の一杯

仕事の後の一杯
473通常の名無しさんの3倍:2010/09/03(金) 17:56:04 ID:???
早くきてくれーーー!!!
474通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 08:25:38 ID:???
>>473
保守ついでに『もしディアッカが振られた理由が……』

「止めろよミリィ! 戦場カメラマンなんて危険なマネ!
大体わかってんのかよ! 戦場カメラマンってのは
戦争での機密情報とか特ダネとか獲得する為に
見ず知らずの男とホテルでこっそり二人っ切りになって
スゴイ気持ちのイイ……」

「ディアッカ、おまえが言ってるのはハニートラップの事だ。
戦場カメラマンの事じゃないぞ」

「…………」

「――だ、大丈夫だからなミリィ! 俺は大丈夫だから!
言っておくけど俺は戦争での活躍を聞きに来たイイ女と
痴漢電車プレイとか青姦とか騎乗位とかした後で
うっかりザフトの新型モビルスーツの情報なんて
漏らしちゃったりなんかしてないからさ!! だからどうか……」

「――」 ゴ パ ァ ン
475通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 12:43:07 ID:???
>>474
駄目だ、このグレィトォ(注 もとから)早く何とかしないと
476通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 14:22:12 ID:???
>>475
もし序盤からミーアの胡散臭さに気付く人が少し多かったら?

デュランダル「これからザフトの皆には大いにがんばって貰わないとな。
なあ、ラクス・クライン」
ミーア「Time Is Money」
シホ「誰? これ誰? 全くの別人じゃないですか!
誰なんですかこの体の起伏が激しい人!!」
デュランダル「ん? ワット ドゥ ユー セイ? この人はラクス・クラインだよ
どこからどう見てもラクス以外の何者でも無いよ、ザッツトゥルー」
シホ「いや、どこからどう見ても別人以外の何者でもないですって。
顔以外は360度あらゆる角度から見ても1ヶ所たりともかぶってませんって!」
デュランダル「まぁ、二年も経過しているし……女は心が豊かに実ったら大人の仲間入りだから、な。
そのあたりの気構えが彼女をちょっぴりだが確実に大人びたふうに見せているんだろう」
シホ「だから二年間いったい何をしてきたんだァァァ!」

ミーア「おっけぇ〜い いえ〜す」
タリア「ちょっと待てェェェェェ!! 誰だそれェェェ!!
どっから連れてきたんだ! なんで全くの別人がラクス名乗ってんだ!!
大体ラクスはこんなにナイスバディじゃなかっただろーが!!」
デュランダル「フッ、女がナイスバディなんて言うものじゃないよ」
タリア「なんだァァァその態度はァァァァ!
替え玉しこんどいてどんだけふてぶてしい態度とってんだ!!」
デュランダル「替え玉? まあまあ、証拠も無いのに妙な言いがかりはよすんだ」
タリア「証拠ってまるまるコイツが証拠だろーが! 現行犯逮捕だろーが!」
デュランダル「タリア、人生というのは成長の継続なんだよ。
困難辛苦を乗り越えて新たなる人生の一歩を踏み出している時には
すっかり成長して、まるで別人のように…」
タリア「別人だろーがァ! まごうこと無き別人だろーがァァァァァ!!」
ミーア「スイマセぇン、チョットといれ行ッテ来テ良イデス門松ハ冥土ノ旅ノ一里塚」
477通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 14:58:29 ID:???
面白い、面白いんだけど・・・もうそのまま銀種とかタイトル付けて纏めちまえよ!w
478通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 19:59:37 ID:???
種魂wwww
479通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 20:34:40 ID:???
ストレートすぎる銀魂だな……

見事な原作レイプといえよう
480通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 23:48:06 ID:???
もしシンが元からドS王子な性格だったら

「アスハの死体が4016体…アスハのバカの死体が4017体…
アスハのボケの死体が4018体…アスハの阿呆の死体が4019体…
アスハのあんちくしょうの死体が4020体…アスハのくそったれの死体が…」
481通常の名無しさんの3倍:2010/09/04(土) 23:51:14 ID:???
寧ろドS in CEでおk
482通常の名無しさんの3倍:2010/09/05(日) 22:44:07 ID:???
もし種のモビルスーツがハロ(声:立木冬彦&串田アキラ)の設置および組み合わせによって
特性が変化する――という性能だったとしたら……?
483通常の名無しさんの3倍:2010/09/06(月) 11:40:36 ID:???
>>482
立木声のOSでよければ逆シンスレにあったぞ
特性は別に変化しないし性能はスクラップ寸前だけど
484通常の名無しさんの3倍:2010/09/07(火) 21:46:39 ID:???
どこも元気ないな……
へこむなぁ
485通常の名無しさんの3倍:2010/09/08(水) 11:11:53 ID:???
もし種死最終回が「オーブは討たれなかった」と言ったルナマリアを
シンが殺す結末だったら
486通常の名無しさんの3倍:2010/09/08(水) 18:08:38 ID:???
それだけ?
特に何も変わらねーじゃん
487通常の名無しさんの3倍:2010/09/09(木) 01:03:41 ID:???
デスティニープランが実は…の種死アフターIFものを考えてみた。

・種死でデュランダルがデスティニープランの実行を宣言したのは実験がうまくいったから。
・ミネルバとそのクルー自体(タリア・グラディス艦長を除く)が実験対象。
・クルーの中でも要監視対象であったシンとルナマリアが紆余曲折があってくっついた
 との 報告を受け、実験は成功と判断した。
・閉鎖環境の中では吊り橋効果などでクルー間の絆・恋愛感情が深まることもあるが、
 シン&ルナマリア他ミネルバクルーはそれがあたかも自分の意志というか感情でやったと
 思っているのがミソ。

これらを種死のストーリーが終了したあと、かつてのミネルバクルーのその後を監視する
ことで検証しようとする人物の物語。
ちなみに、シンとルナマリアはその後結婚し、たくさん子供ができるという設定。

ヒントになったのは、種死 PHASE-29 でのデュランダルの台詞「戻れぬというのなら、
始めから正しい道を。」というセリフから。

他には、
・シン・ルナマリアの2人とも一人っ子ではない(妹がいる)。
 →2人の親には子供ができやすい因子があり、それを受け継いでいる可能性がある。
・デュランダルはルナマリアを認識している。
 →種死 PHASE-38 でデュランダルの「メイリン・ホークには姉がいたね。」の台詞より。
 →種死 PHASE-19でディオキアにて面会しているとはいえ、タリア(元恋人)、
  アスラン(種時の英雄&脱走兵)、シン(長くなるので省略)、レイ(旧知の仲)はともかく
  なんで一介の兵士を国家元首が認識しているの?)
あたりはネタになりそう。

とここまで考えたが、文才がゼロなので、検証していくイベント・展開が思いつかない。
もっと言うと「結末をどうしよう…」で挫折してしまう。

話は変わるが、誰かデスティニープランをテーマにしたSSを知らない?
ググったりしていろいろ探したが、今まで見たことない。
まだ探し足りないだけかもしれんが…。
チラ裏スマソ。書かずにはいられなかったんだ…。
488通常の名無しさんの3倍:2010/09/09(木) 14:58:12 ID:???
>>486
FPやスペシャルエディションでシン死亡ってなるんじゃ?
それか、イデエンドな劇場版が実現
拝啓。シホちゃん、地球圏では元気でやってますか?
お父さんの方は、心配しなくても元気です。
頭頂部の毛髪は、先日ついに死滅してしまいましたが……

地球圏外の統治と謂うハードワークな日々は相変わらずですが、
最近ではマーシャン達のつまんない縄張り争いの仲裁なんかで、結構忙しいです。
まっ、このお父さんが派遣されたからには、そう遠くない内に火星も平和になるゾ!! と宣言させて戴きます。

『おいっ! 今日から俺が貴様らの政治顧問に就任するから、とりあえず全員…坊主頭な!
チャラチャラ髪伸ばしてる奴はケツバットだから!』

それより、シホちゃんはモビルスーツ乗りを順調にやってますか?
あの歯ブラシヘアーのアパッチ族…いやジャンク屋どもから性的にいじめられたり、
同僚の銀髪オカッパと色黒金髪にの二人から、思春期から青年期特有のイヤらしい目でジロジロ観られたりしていませんか?
何かツライ事や気に為る事があったら、気軽にメールなど下さい。お父さんが助けに行きますんで。
それじゃ、またメールします。

追伸
一つ送信し忘れてる事があった!!
先の大戦でプラントを裏切りやがったヅラ蝙蝠男とピンクの電波女!
あれ、二人ともとんでもないロクデナシだから、見つけたら直ちに射殺しなさい!!
490通常の名無しさんの3倍:2010/09/09(木) 19:12:19 ID:???
最後の2行が書きたかっただけちゃうんかと
491489:2010/09/09(木) 19:44:46 ID:???
>>490
いや別にそういうワケじゃなくてさw
492491 小ネタ追加。:2010/09/09(木) 19:51:10 ID:???
どんな〜ペシミストも〜〜恋をして〜〜〜変わる〜〜〜〜

「お前だけ変われェ! そして二度と元に戻るなァ!」
493通常の名無しさんの3倍:2010/09/09(木) 20:33:27 ID:???
総てが変わった結果が種死だよ!
494通常の名無しさんの3倍:2010/09/10(金) 20:36:54 ID:???
もしもヨウランが銀髪だったら……
495通常の名無しさんの3倍:2010/09/10(金) 22:04:11 ID:???
もしミネルバ隊がジャンク屋+αの面々が協力していたら……?

ロウ「――(ス パ ッ)」
「「「……」」」
ヨウラン「シン、もう帰ろうぜ……いまのヤツ絶対おかしいって」
ヴィーノ「刀でビーム斬ってたね」
シン「気にするな。あれはサムライだ、サムライ……今時珍しいミスター・ブシドーなんだよ」
ヨウラン「あれがサムライ?」
ヴィーノ「でも、あのサムライ刀でビーム細切れにしてたよね? いくらサムライでも人間業じゃないって」
シン「じゃあ……あれは宇宙サムライだ。サムライ魂に感動してサムライ道を究めた異星人だよ」
ヨウラン「オイ、あそこ……」
スー「(ダダダダ)つッ!! だがこの程度じゃ効かん!!(ボコォッ)」ズゥゥゥン
「「「…………」」」
ヨウラン「シン、やっぱり早く帰ろうぜ…ここの奴ら絶対おかしいって」
ヴィーノ「頭部機銃の直撃に耐えてから素手でモビルスーツ破壊してたね」
シン「気にするな、あれは流派・東方不敗の継承者だ。素手でモビルスーツを破壊出来るんだ」
ヨウラン「けど幾ら東方不敗でも、機銃の直撃なんて耐えられないだろ……」
シン「じゃあ、あれはダグ星系にある光の国からやってきた超人だ。ああやって宇宙の平和を護ってるんだよ」
496通常の名無しさんの3倍:2010/09/11(土) 00:40:27 ID:???
キラとシンの慰霊碑前でのファーストコンタクト時に
もうちょっとやりとりがあったとしたら……

シン「ブゥゥゥ!! あんたァァ! 何やってんだァァァ!!!」
キラ「あー? いやぁ…アレなんですよ。
昨日飲み過ぎちゃって自然に返そうかなぁって。
ついでに自分の下半身も出して、チョット自然に帰ろうかなって」
シン「貴様が土に還れェェ!! 戦死者と自然に詫びろォォォ!!」
497通常の名無しさんの3倍:2010/09/13(月) 20:40:21 ID:cXYIn3tx
もし種のモビルスーツがコアメダルとセルメダルで出来ていたとしたら……
498CROSS-POINT 展開予想:2010/09/13(月) 21:06:07 ID:???
マルキオ
「欲望! なんて純粋で素晴らしいエネルギー!!

コーディネーターもエクステンデッドもプラントもニュートロンジャマーも核爆弾も
ガーベラストレートもモビルスーツもカーボンヒューマンもジェネシスも、
全て人の欲しいという思いからできた欲望の塊!

赤ん坊は生まれた時、欲しいと言って泣く……生きるとは欲することなのだ!
その最大にして最強な力を最大限に集めた時、手に入る物は無限大、いや……それよりも更に大きい……SEED!!」
499ネタ振ります。:2010/09/24(金) 23:58:12 ID:R2M031Jc
もし盟主王が毎日もっさりブリーフ派だったら?
500通常の名無しさんの3倍:2010/09/25(土) 09:02:38 ID:???
てす
501通常の名無しさんの3倍:2010/09/25(土) 11:40:21 ID:???
もしシンとステラが全然出会わなければどうなったか? 

一つ言えるのはシンはこれ以上失うものがなくなることくらいか?
502通常の名無しさんの3倍:2010/09/25(土) 16:11:13 ID:???
もう随分経つし、規制なら避難所に投下してくれんものか……
503通常の名無しさんの3倍:2010/09/26(日) 18:59:36 ID:???
もしアル・ダ・フラガの寿命が200歳だったら?
504通常の名無しさんの3倍:2010/09/26(日) 21:50:21 ID:???
フラガ家周りは何も変わらない。寿命を自覚出来るわけはなく、クローンを頼む事もそのクローンから殺される事も。他殺なら寿命は関係ないし。
問題はクローンのクルーゼやレイの寿命に影響するかだが、十代から自覚症状があるぐらい短いので元が倍だとしても大した事なさそう
505通常の名無しさんの3倍:2010/09/27(月) 00:10:45 ID:???
避難所ー
506CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:03:46 ID:???



緊急会議を開くので至急会議室へという連絡が入り、ヒルダ=ハーケンは自室を後にした。
通信の様子から察して何かヤバいことでも起こったらしい。
ザフトが再び動いたか、もしくは連合か。それともそれ以外の何かか。自分ができる予想とすればそれくらいのものだ。
まああまり考えても仕方が無い。
自分は頭を使うのはあまり好きではないし、多少考えたところでたかが知れている。
それに平和を目指す集まりに所属している者が言う台詞ではないが、個人的に戦いは望むところではあるし。

そう唇の端を持ち上げる自分の前方に、2人の人間の姿があった。
髪を伸ばした青年とその隣で跳ね回る小さな影。それだけで誰かすぐに分かる。
この艦に子供を連れている人間なんて1人しかいない。

「あ、ヒルダおばさん、こんにちは」
「『お姉さん』 な。キラ様も今から向かわれるところですか?」
「こらラクス、失礼だよ……ええ、バルトフェルドさんから通信が入って」

会議において最終的な結論を出すのは彼だ。だが言葉を聞く限り、その内容までは知らされていないらしい。
会議でいきなりというのは無いだろうから、おそらく会議の前にでもバルトフェルドから聞かされることになるのだろうけれど。
教えて貰おうと思っていたので当てが外れてしまった。

「ねえねえ、はやくおやつのじかんにしようよ」
「これから大事な会議があるんだけどな。それが終わるまで待てないの?」
「まてるよ。まてるけど……だってケーキくれるんでしょ? はやくたべたいもん。
 ミリィやヒルダおばさんはぜったいにくれないし」
「『お姉さん』 な」

会話をする自分たちの周りをくるくると楽しそうにまわる少女。微笑ましくて思わず笑みがこぼれてしまった。
自分は平穏より戦乱の方が性にあっているが、それでもこの光景は見ていて悪い気はしない。
隣の彼も自分と同様のようだ。困ったなと言いつつもその顔は笑っている。

「キラ様、最近よく笑うようになりましたね」
「え?」

思わずそんな言葉を呟いてしまった自分をきょとんとした顔で見つめるキラ。
無防備な表情がぶっちゃけ可愛い。
男相手に言ってはいけない台詞だとはわかっているので、流石に言葉にはしなかったが。


507CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:04:48 ID:???

「最近の僕って、そういうふうに見えてました?」
「え?」

質問を返されて、今度は自分がきょとんとする番だった。
いやこんな発言に質問されるとは思っていなかったし。

「……一応今までもなるべく笑うようにはしてたつもりだったんですが」
「いや、確かに以前も皆に笑顔は見せている姿はよく拝見しました。
 でも最近はそれとは違って、心から笑っているように見えたので」

なんでこんなに食いつくんだろう。
意外な反応に訳も無く焦りながら、まるで言い訳でもするかのような口調で弁明してみた。
深い意味は無いんですよぉってな感じを言外に匂わせて相手の反応を待つ。

「……そうですね」

考えを整理しているのか、視線を下に落とすキラ。
深く息をついた後、ゆっくりと言葉を吐き出す。

「ラクスが殺されてからずっと僕は、正直立っているのも辛かった。
 戦っている時も、会議中も、そして寝ている時すらも、ずっと。
 でも僕が今行っていることの重大さは認識しているつもりです。そしてそんな僕に付いて来てくれる人がいる。
 上に余裕が無いと下にもそれが伝染するものだから、いつも笑っていた方が良いだろうと思って
 無理矢理笑顔を貼り付けていたんですけど」

口調を暗いものから明るいそれへと変えつつ、目の前の青年は頬を掻く。
少し照れくさそうに。けれど少し嬉しそうに。
そして、自分たちを見上げる少女を優しくみつめながら。

「貼り付いて、取れなくなったのかもしれません」

そうですか、という言葉が思わず口から漏れた。
年齢に見合わずいろいろなものをこの方は背負っていたんだなぁと今更になって気付く。
そして無理矢理作っていた暗い笑顔がいつのまにか自然なものになっていたと。つまりはそういうことらしい。
それが誰のおかげかなんて言うまでも無い。

「そろそろ行かないと。……ところでヒルダさん」
「あ、はい。何でしょうかキラ様」
「この後の会議が終わったら、僕たちとお茶をご一緒しませんか?
 会議の内容はわかりませんが、出撃が決まったとしてもそれぐらいの時間ぐらいあるでしょう」


508CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:05:51 ID:???

先に行くことに決めたらしい。じゃれつく少女の頭を優しく撫でた後、自分に誘いの言葉をかけるキラ。
その顔はまるで陽の光が差し込んだかのような温かい笑顔だった。ヒルダは思わず顔を紅くしながらコクコクと頷く。
自分のその返事に満足したのか、では会議の後でと告げて彼は去って行った。
後に残されたのは自分とピンクの髪の少女だけである。

「……なあ」
「なに?」
「お前の保護者はキラ様だよな」
「うん。そうだよ」

まさかあんな優しい顔で誘われるとは思ってなかった。これがニコッでポッってやつなのか。
そして自分相手にそれが発動したということは、これってもしかして大チャンスなのではないだろうか。
午後の紅茶から夜明けのコーヒーへと至る道なのか。
どうせミリアリア=ハウが夜の相手をしてるんだろうなとか思っていたが、そんなことはなかったぜ的な展開か。
いろいろ疑問は浮かぶがこの際それはどうでもいい。
神が放ってしまったこの失投。打席に立つ機会が無かったとはいえ、プロたる自分が打てぬ道理は無い。
そう、今まで自分の意思とは裏腹に守り続けてきたこのアイアンメイデンを開き、ついにキラ様を招き入れる時が来たのだ―――!!
いやそれじゃキラ様死んじゃうんだけどね。

「つまりお前は、キラ様の子供というわけだ」
「こども? わたしが……?」
「保護者イコール親だろう。そんなに間違いじゃないとは思うが」

自分の言葉に目を大きく開き、困惑した顔をする小さなラクス。そして何ごとかを呟く。
よく聞こえなかったが、唇の動きから判断するにおとうさんとつぶやいたようだ。
もしかしたら父という言葉にしっくりこなかったのかもしれない。まあ確かにキラ様はまだ若いから、親という言い方は無かったかな。
外見を見てもしっくりくるのは父よりも兄という言葉の方だし……って話がずれた。
今自分が言いたいのはそんな言葉ではなく。

「さて、ここからが本題なんだが。……お前、私をお母さんと言う気はないか?」
「ヒルダおばさん、けっこんしたいの?」
「『お姉さん』 な。……どうだろう?」

将を射んとすればまず馬を射よ。そんな意味を込めた自分の言葉。
それを聞いた少女はしばらく自分を見上げていたが、そのうちにっこりと笑って言った。


「ぜんぜん」


空気読めこのガキ。


509CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:06:53 ID:???




第29話 『月は空の青さを知らない』







「レクイエム……か。
 シンやアスランだけならいざ知らず、まさかこいつまで戦場に戻ってきたとはね。
 人の業ってのは本当に深いもんだ」

ここはディーヴァの会議室。現在主要メンバーを集めて軍議の真っ最中。
大画面モニターの映像を見ながらバルトフェルドが出した呆れたような声に、キラは頷くことで同意を示した。

彼らの前に映っているのは月の連合軍基地、月面から飛び出した新型のレクイエム。
つい先日此方の情報網に引っかかったものだ。
その巨大な砲塔は180度の角度変更と360度の横回転が可能であり、ヤタノカガミを利用した巨大反射壁によって
いくつもの中継点を通して偏向させていた旧式とは違い1箇所あれば月の裏側以外何処にでも命中できる代物だという。

「ヤタノカガミの技術を盗まれているとは……オーブは何をやっているのだ!!」

今は既に敵である筈のオーブの不甲斐無さに、思わず白服の軍人が非難の声を上げる。
確かに数年前までヤタノカガミはオーブの独占技術だった。しかしキラは男の発言を肯定はしなかった。
何故なら連合は数年前の時点で既にビームを偏向させるゲシュマイディッヒ・パンツァーを開発していたのだ。
その技術が進歩すればいずれヤタノカガミに行き着くことは自明の理である。

「それよりも、これからどうするのか。レクイエムを撃つか、撃たないのか」

キラと同じ考えに至っているのかクライン派の1人が騒ぐ白服を無視して声を上げる。
確かに今必要なのは原因追求よりも対応の決定である。
その言葉を皮切りに、会議室は議論の声で満ち溢れた。

「撃つに決まっているだろう、大量破壊兵器など放っておけるものではない!」
「そんな事は百も承知だ。私が言いたいのは今連合を刺激してはレクイエムの発射を誘う形になりはしないかという事だ!」
「確かに、人は慣れるものだからな。一度放てば2度3度と続くだろう。
 我々に銃口が向いているうちはまだ良いが、その後撃つことに慣れた連合がレクイエムを何処に向けるのか」
「それにプラントも黙ってはいまい。最悪の場合また戦争が始まるということも」
「だが様子見をしているうちに放たれては遅いのだぞ!」
「戦争の根絶を叫ぶ我らが戦争を呼ぶ真似をして何とするか!!」


510CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:08:05 ID:???


戦うのか、それとも一旦様子を見るのか。議論を交わすも結論は出ない。
ヒルダやマーズをはじめとする軍人たちは速戦を叫び、補給や諜報を行っているクライン派は慎重論を掲げる。
見た限り人数は半々だ。どちらにも利点があり欠点がある。
このままではいつまでたっても平行線だろう。多分、皆もそれをわかってて言い合ってる。

自分が決めるしかないな。

何も言わずに椅子から立ち上がると、すぐに周囲が静かになった。全員固唾を飲んでこちらを見つめている。
おそらく自分が決めるのを待ってたんだろう。
バルトフェルドに視線を向けると彼は無言のまま軽く頷いた。―――お前が決めろ。
そんな表情の彼に頷きを返し、キラは視線を皆の方向に戻す。進むか、立ち止まるか。

「僕は、進軍を提案します」

既にその問いかけに対する答えは用意していた。自分の出した答えは戦い。
悩む時間なんてとうに終わっている。既に決めた、ならばやり通すのみ。彼女の教えに沿うならそれだ。
待機を主張していた者たちを説得するかのように言葉を続ける。

「様子を見るべきと言う方たちの意見も理解できます。ですが、レクイエムを再び手にした彼らが軽挙妄動に奔らないとは限らない。
 いや、むしろこの局面でレクイエムに手を伸ばすということは
 憎しみの目と心、そして引き金を引く指しか持たない者が月にはいるという事でしょう。
 そしてそんな人たちの存在を僕は認めない。暴力は恐怖をもって封じ、また想いを持つ人たちには結束を求める。

 僕は、その為にこの戦いを始めた」

まったくの嘘というわけではないが、本音とは遠い詭弁を口にしながらキラは別のことを考える。
脳裏を過ぎたのはピンクの髪と、自分の手を握る小さな手。
この戦い、非戦闘員は安全な場所に非難させた方が良いのは間違いない。
ならばしばらくは離れ離れになってしまうな。そんな想いを切り捨てて、最後の言葉を発した。

「これより月に急行し、レクイエムを破壊する。それが僕の結論です」

おお、という声があがる。
声の波は歓声へと変わり、いくつもの拳が天井へと突き上げられた。

「よっしゃ、ついに大一番ってわけだな! レクイエムなんて物騒なもんはぶっ潰してやる!!」

勢い良く立ち上がったマーズ=シメオンの勇ましい声が会議室に響いた。沸き起こった歓声と拍手は未だ止むことは無い。
キラは彼らの声に微笑を持って応えた。
戦いを欲する気は随分前から無くなり始めていたが、己には戦いを始めて皆を巻き込んだ責任を果たす義務がある。
つまり戦場では自ら負けに走らぬことと、なるべく味方の損害を減らすこと。それが自分の成さねばならないことだ。
自分にはラクスの様に皆の意識をまとめるなどできないと思っていたが、
この光景を見る限り彼らに対する責任は何とか果たすことができそうだ。


511CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:09:13 ID:???


そんな人々を見回すうちに、ふと視線が止まった。
歓声の中ただ一人、マルキオだけがいつもと変わらぬ笑みを浮かべてひっそりと座っている。
仲間たちの充実した表情に微笑んでいるわけでもなく、かと言って人々を嘲笑うというわけでもない。
ただこの場で彼だけ立つ位置が違うと感づかせるような笑み。
多分この男にとって、自分たちの大義名分などどうでも良い事なのだろう。おそらく目的は別にある。
それを知りたいなんて欠片ほども思わないし、知ったところでその意に沿うつもりはさらさら無かったが。

ほどほどに歓声を上げさせた後、キラは張りのある声で皆に静粛を求める。
時間は限られているし、やるべきこともまだあった。
人々が着座するのを待って、バルトフェルドが口を開く。

「決戦場所は決まったね。前大戦と同じ場所っていうのはどう思えば良いんだろう。
 人類が進歩してないと思えば良いのか、それともあの場所は最初からそういう運命にあるのか。
 尤もその言葉は、ギルバート=デュランダルを否定した僕たちが言う言葉じゃないかもしれないがね」
「この際言葉遊びは気にしないことにしましょうや、虎どの。それよりも連合相手にどう戦います?
 月の戦力は確かに多いが、あくまでそれなりだ。
 キラ様が行かずとも俺たち3人にいくつか部隊を預けてもらえれば、落とす自信はありますが」

ボルトを咥えたままヘルベルトがバルトフェルドに提案するが、彼が返したのは困ったような苦笑だった。
どうやら自軍の中には楽観論が蔓延しているというバルトフェルドの愚痴は本当のようだ。
自分ならともかく他の者が少数で基地を落とすなど、そんなに上手くいくものでもない。

「頼りになる言葉だが今回その案は却下だな。
 我々の戦いを世に伝える為にも、主役たるキラがいなければ意味を成さん。
 プラントも流石にレクイエムの情報は得ただろうから、これからザフトも動くだろう。
 下手をすれば挟撃される可能性もある。
 ……裏を返せば、目標が一箇所に集まってくれるという事でもあるが」

まとめて叩くという考え方もできるという考えを内包したバルトフェルドの言葉。
その場にいた人間の大半が関心を持ったようだった。
それぞれ口々に、戦いとその後のことを語り始める。敗北の可能性など考えもせずに。

「なるほど、後顧の憂いを絶つには丁度いいわな。ここはいっちょ派手に行くか」
「ならば我々の力を示す為に、全兵力をもって動くべきでしょう。
 我らは決して少数などではない、主流たりえる力があると全世界に認識させる為に」
「そうだな。どうせ今までもイタチごっこだった。
 キラ様がいなくなれば、なんて事を考えなくなるように私達の実力も見せなきゃならないだろう」


512CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:10:15 ID:???


クライン派の言葉にヒルダが頷く。この戦い、いつもと同様に自分が突っ込めば少ない損害で終わるだろう。
しかし自分たち……いや彼らにとって今度の一戦は、自分たちの存在を世界に認めさせる戦いだった。
勝利は勿論のこと、日和見な傍観者たちをこちらに引き寄せる為に圧倒的な力を見せる必要がある。
そしてそれが反感を抱いている者たちの心を折り、争いを失くす事にも繋がる筈と考えているのだろう。

「願わくば、この戦いが最後とならん事を」

詭弁に過ぎないその言葉に、キラは哂いながら溜息を吐く。誰だって戦う前はそう思っているだろうに。
憎しみの目と心と引き金を引く指しか持たない者。
それは他ならぬ自分たち自身のことだ。

「あれ。この言葉って……」

そう言えば先ほどは随分と自然に出てきたが、この言葉は一体誰のものだったろう。
答えはすぐに弾き出された。揺れる金髪、白い仮面。
その下には怨念と絶望の表情。
今まで出会ってきた人の中で、最も自分を憎悪してきた人物。

―――いつかは、やがていつかはと……そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けてきた

ああ、そうか。貴方か。
嫌悪と憐憫、そして僅かばかりの懐かしさを覚えながらキラはその名を口にする。

―――この憎しみの目と心と引き金を引く指しか持たぬ者達の世界で何を信じる?

ラウ=ル=クルーゼ。
行動はともかく、貴方の言っていることは間違っていなかった。







「選りにもよってレクイエムかよ……」

ミネルバのブリッジにてシンたちは溜息を漏らす。
画面に写っているのは新しいレクイエムの映像。プラント諜報部も既に月の連合軍がレクイエムを改修したことを掴んでいた。
ようやく、という言葉をつけても良いかもしれないが。
気付かないよりはマシではあるが、完成まで気付けなかったのでは意味が無いし。


513CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:11:16 ID:???

おそらくキラたちもこの情報を入手しているだろう。となると彼らの次の標的は間違いなくここだ。
月の連合軍の数は多い。だから反乱軍は間違いなくフリーダムを最前線に配置しての中央突破を計るだろう。
そして、誰もその進撃を止められない。自分たちが介入しない限りは。

「これからどうするんだよ。ま、聞くまでも無い事だけどさ」
「することなんて一つしかないからな。―――ヤツらを待ち伏せる。連合の基地の前に部隊を展開して」
「ちょっとあなた、それってあの兵器を守るってことになるんじゃ……?」
『またかよ。しかも今回はデスティニープランの為じゃないってのに』

アスランの言葉にメイリンと画面に写ったヨウランが眉をひそめる。
かつてプラントを焼いた大量破壊兵器レクイエム。しかも今の所持者はデュランダル議長ではなく連合だ。
前大戦を経験した者ならこれらに対して嫌悪感こそあれど、進んで守ろうとする者はいないだろう。

「嫌いなのは俺だって同じだ。だけどレクイエムはもう2度と……絶対に撃たせてはならないんだ」
「なるほどね。1発でも撃てば次の引き金が軽くなる、それを防ぐためか。
 艦長としてはしたくないんだけどね……クルーを銃口の前に置くような真似は」
「確かに俺たちがキラと戦っているうちはレクイエムが撃たれることは無いとは思うけどな。
 一応あいつらを守って戦ってる形にはなるし、それでも撃って俺たちを巻き込んだらまた戦争が始まっちまう」

アスランの言葉にディアッカが頷く。彼はこういうことに関して非常にドライだ。
しかし全員がその言葉に納得したわけではなかった。
クルーを危険に晒すことがわりきれないのか苦い顔のアーサー。だからっつってもなぁとぼやいているのはヨウラン。
かつてジブリールを逃がしてしまったルナマリアは腕を組んだ姿勢で映像の中のレクイエムをみつめたまま。
元デュランダル派である彼らは割り切れない表情を崩さない。
何を好き好んで再びあんなものを守らにゃならんのかといった顔をしている。
その気持ち、自分はわからないでもないけれど。

くいくい。

「ん?」
「シンは、どう思うの……?」

そんな彼らを見て不安そうにシンの服の袖を握るコニール。そういえばこの中で彼女だけがあの場にいなかった。
勝気な子ではあるが、なんだかんだで彼女は優しい。
いつもと違って暗い空気になっている自分たちを心配してくれているのだろう。
でも彼女にそんな表情は似合わない。だからなんでもないことの様に言ってやった。


514CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:12:22 ID:???

「別に、気にする必要はないと思う。こんなの想定の範囲内だろ。
 それに皆も気付いてるんだろ? やらなきゃ後で、まず間違いなく後悔するって」

吐き出した言葉に嘘は無く、特に自分には思うところは無い。
レクイエムと俺のデスティニー、同じ人殺しの機械に何か違いでもあるのか。似たような問いは前大戦の際に一度考えた事もあるし。
それにここで肝心なのはそれを守りたいのかという感情ではない、守るのか守らないのかという行動だ。
そしてその問いにシンは守ると答える。
力は更なる力を呼ぶ。連合がダイダロスに居座った時点でこのような流れになるのは必定だった。
だがまだ放たれたわけではない。このまま自分たちがキラを抑えれば、そのまま撃つべき敵を見出せずにレクイエムは動きを止める。
後は国際社会の反応や政治手腕によって再び封印・解体へと持っていけばいい。
だからレクイエムの方はまだ、手遅れではないはずだ。

『……ハァ。馬鹿は強いな、こういう時。まあその方がお前らしいっちゃらしいけどよ』
「民間人のシンにそこまで言われちゃね。僕も覚悟を決めないといけないか」
「もう、仕方ないわね。それならそれでいいけど、キラの方はどうするの?」
「キラをどうするか? そんなの―――」

キラの力を心配するルナマリアの声にシンは考えを巡らせる。
他の相手を軽視しているようにも聞こえるが、それについては特に異論は挟まなかった。
確かにディーヴァには結構な数のMSが搭載されているだろうが、それでも数なら此方の方が多い筈。ザフト基地も遠くないし。
そしてアスランにディアッカ、ルナマリア。ここにいるのは間違いなく精鋭だ。
だから周囲の戦況に関してはわりと楽観視できる。あくまでわりと、だが。
そういうわけで残る心配事はキラだけなのだが

「俺が止めれば良いだけだ」

それもそこまで深刻になるような問題とは思えなかった。正確には心配する気分にならなかった。
キラと再会してからずっと。ミネルバと合流してからはより強く。
なんとなくだが、心の何処かでキラに負ける事は無いと感じていたからだ。

「……大言壮語はしない方が良いと思うけどなぁ。こないだボロボロだったしさ」
「結構言うわね。何処から出てくるのよ、その自信」

まったくもってその通りである。前回の戦いでは死に掛けたし、恐怖も十分以上に感じてた。
それなのに何処から出てくるんだろう、この余裕は。
精神が麻痺しているというわけではなさそうだが。

「さてな。どっから出てきてんのかね」

一つだけ分かるのは、それが己の中から生まれ出でたものではないということだけ。
自分はそんな強い人間じゃないということに、シンはもう気付いていたから。


515CROSS POINT(代理):2010/09/27(月) 01:15:00 ID:???
どっか飛ばしたりしてないよな?大丈夫だよな?
……という訳で代打で転載。作者様乙です。
516通常の名無しさんの3倍:2010/09/27(月) 18:58:14 ID:???
乙!!待っていました!
517通常の名無しさんの3倍:2010/09/27(月) 19:44:52 ID:???
投下乙です

ちびラクスひでぇw 悪意が無いだけにひでぇw
518通常の名無しさんの3倍:2010/09/28(火) 13:55:44 ID:???
ば、馬鹿な……ヒルダに萌える日が来ただと……!?
だがそれが案外イイ!GJ!
519通常の名無しさんの3倍:2010/09/28(火) 18:24:34 ID:???
乙です
つかこの作品、シンよりもキラの方が主人公なんじゃなかろうか
520通常の名無しさんの3倍:2010/09/28(火) 18:30:08 ID:???
敵サイドもきちんと描写してるだけだろ
521通常の名無しさんの3倍:2010/09/29(水) 01:01:57 ID:???
もしクルーゼが無印種後生きてたら
凸の立場無し
522通常の名無しさんの3倍:2010/09/29(水) 02:37:30 ID:???
そんなネタはあったが
余計な奴が余計な奴に余計なことしたせいで空中分解しおったわ
523通常の名無しさんの3倍:2010/09/29(水) 18:53:31 ID:???
作者がSS消して余所に逃亡したんだっけ?
524通常の名無しさんの3倍:2010/09/30(木) 19:04:07 ID:???
また避難所にきてるね
再開してくれてなにより
525CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 00:56:15 ID:???


「ちょっとごめんね」

仲間たちが集まったミネルバの休憩室。
アスランの隣に立っていたアーサーがそう言いながら、胸のポケットから煙草を取り出した。
そして一目見ただけで安物だと分かる、彼の私物らしきライターで火を着ける。

吐き出された煙はゆっくりと揺れ、そして空調機に吸い込まれていった。
それを見たアスランはなんとなく空しくなる。
汚れたものを飲み込んで、綺麗なものに変えて吐き出す。ただそれだけの大したことのない機能。
だが、俺はあんな存在になりたかったのだ。

「煙草、吸うようになったんですね」
「いつもってわけじゃないけどね。艦長になってからかな。
 クルーの命を預かってるわけだから。任務の前だけ吸いたくなるんだよ」

シンの声に応えた後、僕じゃグラディス艦長みたいにはできないからねと続けるアーサー。
無理も無い。自分もいるとはいえ彼はこの作戦の実質的な指揮官だ。
背負うものもそれだけ多く、そして大きくなる。

「この心配が杞憂に終わってくれればいいんだけど、流石にそうもいかないだろうしね。
 これから起こる戦いは間違いなく激戦になる。もしかしたら僕の判断ミスで命を落とす者も出るかもしれない。
 なら僕の緊張なんかで、その可能性を上げたくないから」
「プレッシャーを感じてるんだ。なんか本当に艦長みたいですね」
「ザラ夫人、艦長みたいじゃなくて本物の艦長だってことを忘れないでくれないかな。
 ………まあいいけど。自分でも未だに実感湧かないし」

そう言いながら箱からもう1本取り出した。火に近づけながら深く吸い込む。
頼りなかった副長時代とはうってかわって大人を感じさせるその姿を見て
今の様に煙草を吸う姿が様になるまでどれだけの苦労をしてきたのか、ちょっと知りたくなる。

そんな彼の顔の前に、手を伸ばす人間が1人。

「ん?」
「艦長、ちょっとそれ貰いますよ」
「あ、ちょ……まあいいか」

アーサーの手から煙草を抜き取るヨウラン。それを自分の口に咥え、旨そうに吸う。
そしてそのまま紫煙を深く吐き出した後、隣のディアッカに差し出した。
おそらく皆にまわせと言いたいのだろう。
なにやってんだか。正直映画の見すぎだと思った。

「かっこつけすぎなんじゃないの、お前」
「一回くらいやってみたかったんですよ、こういうの」


526CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 00:57:17 ID:???

同じくあきれた顔のディアッカに笑いながらヨウランが言葉を返す。
仕方ねえな。苦笑しながらもディアッカは煙草を受け取った。
そして彼も深く吸い込み、輪っかをつくりながら紫煙を吐き出す。

「男って好きだよね、こういう格好つけるやつ」
「まあそう言うなよ。ほら、これでお前もお仲間だ」
「私もかよ?」
「その次はシンな。ほら、まわせまわせ……」

言葉通り、廻されていく煙草。
コニール。
シン。
ルナマリア。
メイリン。
全員、躊躇うことも無く吸っていく。
そして最後に吸い終わったアスランが、中央の灰皿に向かって放り投げた。
音を立てて消える煙草の火。誰も動くことは無く、そのまま灰皿を眺め続ける。
誰も口を開かない。もう少しだけ、この静寂の中に身を置いていたかった。

『トライン艦長、トライン艦長。至急ブリッジにお戻り下さい』
「もうそんな時間か。それじゃ僕は行くから、みんな準備をよろしく」

放送が沈黙を破る。そろそろ配置に着かなければならない時間だ。
次にここで集まる時、全員揃っていられるかはこれからの働き次第。
部屋を出ようとしたアーサーがドアの前で振り返り、言った。

「こういうの、ガラじゃないんだけど。………みんな、死力を尽くそう」
「いつもそうですよ、俺たちは」
「そうだったね。それじゃ、お先」

皆に敬礼してブリッジに向かったアーサー。
アスランは敬礼していた手を降ろして皆を見つめる。戦闘の準備は万端か。
彼らからの返事は無い。ただ視線が合っただけだ。
だが、十分伝わっている。

「そろそろ俺達も、行くとしようか」

アスランの言葉をきっかけに、部屋を出てエレベーターに乗り込むパイロットたち。
メイリンとコニールもついてきた。自分たちを見送ってからブリッジへ行くらしい。
沈んでいくエレベーターの中は少し狭く、そして静かだった。

「ほんとに始まるんだな。キラとの最後の戦いが」


527CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 00:58:26 ID:???

不意にディアッカがそう呟く。
先ほどからの沈黙に耐えかねたのか、それとも最後に吐き出したくなったのか。
理由はどちらかわからないが、彼の表情はいつもの落ち着いたそれではない。

「いつかは、やがていつかはと。そんな甘い毒に踊らされ、一体どれほどの時を戦い続けてきた。
 前にキラが言ってたよ。クルーゼ隊長にそう言われたって……結局あの人の言うことは正しかったのかもしれないな」
「そんな事言っても、止めないわけにはいかないでしょ」
「それはそうだけどさ。このイタチごっこはいつ終わるのかって話で」

メイリンの声に吐き捨てるような口調で返すディアッカ。
この10年足らずの間にどれだけの数の悲劇が起こったか。流石の彼も人の業とやらに嫌気が差しているのだろう。
しかし、その言葉にアスランは言葉を返す。

「お前の言うことも一理あるよディアッカ。けど俺たちは一度平和のためにと大義名分を掲げたんだ。
 例えここで終わらなくても辞めるわけにはいかないさ。
 淡々と間断なく地道に……俺たちは戦い続けなくちゃいけない」
「戦い続ける?」
「ああ。でも俺たちの敵はキラとかブルーコスモスとか、銃を持った人間じゃない。
 戦うべきは、いつも最後には武器を取ってしまう弱い心となんだ」

それは奇麗事だけでなんとかなる相手ではない。けれど、だからって諦めてやるわけにはいかない。
自分は諦めが良くない男なのだから。

「……ふっ」

小さな笑いと共に、こいつは変わらないなという呟きが聞こえた。
アスランは思わず声のした方向に視線を向ける。
声の主であるシンは視線を伏せて壁に背を預けたまま、目を閉じたまま困ったように笑っていた。
そして口の中だけで再び何かを呟く。
昔の知り合いが変わってないっていうのは案外悪くないもんだ。唇の動きからしてそう言ったらしい。
そんなシンを見た隣のルナマリアが、穏やかに微笑みながら彼の肩に頭を預ける。
正直いちゃつくのは他所でやってくれないだろうか。
そう考えた瞬間、アスランの背後にあるドアが音を立てて開いた。全員の視線が外に向く。
皆の目に映るのは、誰もがその力に縋る鋼鉄の巨人。


デスティニーにセイバー。その隣に真紅と漆黒のザクが並んでいる。





第30話 『鏡の中の瞳が我を憂い』


528CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:00:29 ID:???


目の前に立つ自分の機体は、既に傷も癒えて準備万端といった様相だった。
お前さえ俺を使いこなせることができるなら、俺たちに叶う者などいない。
そう言っているように聞こえるくらいの迫力を感じたシンは呆れたように笑った。頼もしいこって。
傲慢な存在は嫌いだったが今回の相手はキラである。相棒が強いに越したことは無い。
命を失うよりは遥かにマシだった。

「………」

ヘルメットを強く握る。ここからはもう引き返せない。
今から踏み出すこの1歩。ここから先は生と死が等価値になる場所、戦場だ。

「行こうルナ。それとコニール、メイリンの足引っ張るなよ?」
「もう仕事は覚えたから心配無用だよ。
 それより、お前の方こそやられたりなんかするなよ。抜けてるトコあるんだから」
「あいよ。忠告感謝ってね」
「真面目に言ってるんだ!! ……それから」

自分の隣をチラチラ見ながら、コニールは迷いの表情を見せる。
何秒かそのままの状態が続いたが、そのうち決意したかのように小さく頷いた後、大きな声で叫んだ。

「ルナに怪我させるのも、ダメだからな!!」

そう言うや否や、自分たちの返事すら待たずに駆け出していく少女。
相変わらず素直じゃない。後姿、耳が凄く紅くなってるし。
思わず苦笑しながらルナマリアと目を合わす。彼女も困ったように笑っていた。

「やっぱ仲良いんじゃないか。2人とも」
「そう? ま、無事に戻ったら今度からはライバルとして認めてあげようかな」
「なんだそりゃ」
「無神経な男には関係ない話よ。さ、行きましょ」

そう言って歩き出すルナマリア。
首を竦めて彼女を追いかけようと歩き出した瞬間、ルナマリアは何かを思い出したかのようにこちらに顔を向けた。
近づいてきた彼女に首元を掴まれる。

「シン」
「ん?」

気が付けば彼女の顔が至近距離にあった。目を閉じ僅かに頬を染めたその表情、それが意味するものは一つしかない。
ちなみにその時の自分の思考はラブコメとかでよくある 「え……?」 といったものではなく、
「あ、このタイミングでか」 といったものだったりする。
あとはデンプシーみたいとか久しぶりだとか唾がなんか甘いとか、まあそんな言葉の断片を羅列したものであるわけだが。
529CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:01:34 ID:???

「ふぅ。続きは帰ったら……ね?」
「……」

がっつり貪られた後誘惑された。お互いの顔は至近距離のまま。
とりあえず何と言うべきなのだろうかここは。
頭が痺れて言葉が出てこない。

「えっと……」
「先に言っておくけど、逃がさないからね。
 もうあんたみたいな馬鹿に遠慮なんかしてやんないって決めたんだから」
「いや、でも」
「なに? 言いたいことがあるなら聞いてあげるから、はっきり言いなさい。言えればだけどね」

何かを言おうと頑張ったものの、彼女に機先を制された。
周囲の外堀を埋められ、ただ一つの脱出口である前方には罠が仕掛けられてるようなこの状況。
シン=アスカにはどうすればいいかなんてわからない。

「……お手柔らかに」
「うん。こっちこそ」

勢いに呑まれて屈服した自分に笑みを浮かべ、もう一度軽く口付けてルナマリアが去っていく。
唇を指でなぞりながらぼんやりと耳が真っ赤な彼女を見送るシン。
なんというか、今の自分の心境を一言で言うならば。


「勝てねえ……」


たぶん一生。それが率直な感想だった。





「それじゃ行ってくる。君もしっかりな」
「はい。いってらっしゃい、あなた」

目を閉じてキスをせがむメイリンに、自分の顔を寄せるアスラン。
それを見たディアッカの口から思わず、理想的な夫婦だなという言葉が漏れた。
能天気で掴み所の無い奥さんと、その彼女に振り回され頼りがいの無さそうなアスラン。
そんないつもの2人からは想像できないほど、今の彼らは真面目に夫婦をしていた。
だが羨ましそうな他のパイロットや整備士の姿は見えてないんだろうな。あいつら空気読めないし。
隣のアスカ一家も話しかけづらいので、あぶれ仲間のヨウランに声を掛ける。
530CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:02:42 ID:???

「やれやれ、綺麗に3つに分かれちまったな」
「まったくですね。男女比率があからさまにおかしいですけど。
 でもあれ見てるとなんか、俺も彼女の声が聞きたくなりましたよ」
「分かるぜ、その気持ち。まあ俺はちょっと無理だけどな……とっくの昔に別れてるし」
「向こうにいるんでしたっけ?」
「ああ。今回も敵味方に分かれちまった」

ヨウランに彼女がいるのも驚きだが、それよりも考えるのは彼女のことだ。
前回みたいな状況ならともかく、今回は何を考えてキラの所にいるのやら。

「ま、戦場に出たからには手加減する余裕なんてないからな。やる事は大して変わりゃしないさ」
「余裕の発言にしか聞こえないんですけど……まあいいや、戦果を期待してますよ」
「おう、任された」

考えを打ち切り自分の機体に向かって歩き出すディアッカ。
呆然としていたシンに妬み混じりのドロップキックを叩き込み、その勢いでコックピットへと飛ぶ。
吹っ飛びながら悶絶するシンの姿に満足しながらデッキを見下ろすと、ザラ夫婦はまだキスをしていた。
気分が盛り上がってきたのか口付けに熱が増し、アスランの両腕はメイリンの腰に、彼女の両腕はアスランの首に強く巻きついている。
何だこのLIMIT OF LOVE 海ザラは。

「あのバカにも蹴り入れとけば良かったぞこんちくしょう……」

おのれ勝ち組め。今からの戦場はベッドの中ではないということがわかっているのかあいつは。
あのデコ助にはいずれ、月の無い夜もあるということを教えてやらねばなるまい。

「痛っ……このグレイト野郎、後で覚えとけよ!!」

うるせぇお前もだ。
精々背後からの流れ弾に当たらないよう注意しとけ。





ディーヴァの司令室に硬質な音が響く。
椅子に座ったキラの前には、デュランダル元議長のチェス盤が置かれていた。

「シン=アスカ、か……」

そう呟きながらキラは左手に握った黒のポーンをチェス盤の上辺に置いた。
プロモーション。ただのポーンが、最強の駒へと変わる。
置かれた場所は白のキングの目の前。チェックメイト。
531CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:04:00 ID:???

その盤上の光景は、今の状況にそっくりだった。
違うと言えばただ一つ。チェスの様に白のキングが黒の駒を倒せるかどうか。
前回の戦いを見た限りでは、自分が返り討ちに遭わない保証は無い。
ふと思う。この状況、以前の自分なら喜んでいた筈だが。
なぜ、今の自分はこんな―――いや、自分の気持ちをごまかすのはもうやめよう。
あの少女と共に生きる。そんな願望が自分の心を支配しかけているからだ。

鏡に映る己がキラに向かって声を掛ける。
今ならまだ引き返せる筈だ。引き返せ。その方が良い。
あの子と2人だけ、民衆に紛れて生きるなんて自分にとって簡単なことのはず。
アスランもイザークも自分を深追いはしないだろう。だからこの戦いの場から逃げよう。
そんな事を言って来る己の弱い部分を、キラは笑った。

冗談じゃない。今さらそんな事はできない。もうその段階じゃない。
ずっと前に、その決断は既に終わらせているのだから。

「行かなきゃ。皆が待ってる」

はじまりは炎の記憶。目の前に開かれたのは修羅の道。
たとえ彼女との約束を守れなくても。彼女の元へ行けるのなら、と。
苦痛の生よりも安らぎの死を求めて歩き始めていた。それが今までの自分。
自分でも無様だとは思う。
でも仕方無いじゃないか。 『世界を頼む』 と懇願する彼女の声。あの声が耳について離れなかったのだから。
例えば明るい日ざしの降りそそぐ中。雷鳴轟く豪雨の夜。宿や食堂の陽気な喧噪。
そして戦場で命を賭けているときですら、自分の耳はあの声を聞き続けていた。消えることなどないと諦めていた。
消えてしまったとき、逆に信じられなかったぐらいだ。

醒めない夢でも見てるつもりだった。けれど、いつのまにか醒めてしまっていた。
その事に気が付いたのが、遅すぎただけなのだ。

目の前のドアが開く。そこにいるのは大切な家族と長い付き合いの友人。そして数少ない自分の理解者。
ラクス、ミリアリア、バルトフェルドの姿があった。

「もういいのか? キラ」
「はい。お待たせしました」

バルトフェルドの声に応えたあと、キラはその横に視線を落とす。
ピンクの髪をした少女はミリィと手を繋いでいた。足元には荷物もある。
この艦も安全とは言えないので、艦から降ろすことにしたのだ。おそらくこれでお別れになるだろう。

「君たちの方も、準備はできたのかい?」
「ええ。言われた通り安全な場所の確保は済んでるわ。もしもの為の、オーブへの入国手続きもね。
 この子に関しては心配はいらない。いつでも出発できるわよ」
532CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:05:02 ID:???

その言葉に安心した。ならば心配事はもうない。

「ありがとう。ミリィ、この子の事は頼んだよ」
「ええ。……でも良いの? 私までこの艦降りて。それでなくても人手が少ないのに」
「大丈夫だよ。ミリィがいないのは確かに心細いけどね。でもこの子を託せる人が君しかいないんだ。
 それに、いつまでも君を僕の戦いに巻き込むわけにもいかない。今が良い機会なんだと思う。
 君には君の、歩くべき道があるんだから」
「キラ……」

言葉を失くしたミリアリアから目を逸らし、キラは片膝を着いて隣の少女に視線を合わせる。
それと同時に、離れた場所からエレベーターのベルの音がした。
空気読んでくれエレベーター。もっとゆっくり来るべきだぞここは。

「じゃあ、先に行っててね。ミリィの言うことをよく聞くんだよ?」
「いっちゃうの?」
「……うん。ゴメンね、僕にはまだやる事があるんだ。―――多分帰りは遅くなると思う」

悲しそうな少女の顔に後ろ髪を引かれるが、迷いを振り払い立ち上がる。
そして傍らにいるバルトフェルドに声を掛けた。

「行きましょう、バルトフェルドさん。賽は既に投げられています」
「……ああ。お前がそれを望むなら、それでいいだろう」

組んでいた腕を解き、バルトフェルドが言葉を返す。
彼は自分に何か言いたそうな顔をしていたが、あえて見ない振りをした。おそらくそれで正解だろう。
今更何かを言われたところで、自分を縛る足枷にしかならないのはわかりきっていた。

エレベーターに乗る彼女たちを見送る強さは残っていなかった。
悲しみから目を背けるように、少女たちに背を向けて歩き出す。
言葉も何も発しない。気の利いた別れの言葉なんて知らなかった。

言いたくもなかった。

「お……」

背後で悲しそうな声が聞こえる。実はその事が少しだけ嬉しい。
別れを惜しむくらいには、自分は彼女の大切な人になれたということなのだから。
でもその感傷もここまで。人の心や未練はここに置いて行く―――


「おとうさんっ!!!!」


自分の脳が言葉を理解した瞬間、身体に電流が奔ったような感覚に陥る。
だが立ち止まるな。自分の足にそう言い聞かせた。
533CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:06:06 ID:???

おとうさん? 父親? ―――この僕が?


身体が自分の意思を無視して振り返る。同時にラクスがとびついてきた。
膝を着いてその小さな身体を抱きしめる。否定や拒絶なんて考えようとも思わなかった。

「おとうさん……お、とうさん…」

僕の、娘。最愛の娘。
ぐずついた声。震える小さな身体。温かい体温。指に掛かるピンク色の柔らかな髪。
彼女の全てがいとおしい。

別れたくない。ずっと傍にいたい。
だけど。

「いっちゃやだ……」
「大丈夫だよ。必ず君の所に帰ってくる。約束する。だから、それまで良い子にしているんだよ?」
「うん……いいこにしてまってる。だから」
「心配しないで。君の……君のおとうさんは、すっごく強いんだから。
 だからすぐに用事を片付けて、君を迎えに行くよ」

迎えに行く。待ってる。
そう約束しながら、一組の親子はずっと抱き合っていた。

渇望する想いを押し殺して。無理しながら笑みの表情を作って。
それが叶えられない約束だと、お互い気が付いていても。

その事に、気付かない振りをしたまま。





まるでおとぎ話の一幕のような光景だな、とバルトフェルドは思った。

少女は涙をこぼしながら青年に抱きつく。
もしかしたら、これからの青年の進む道に気付いているのかもしれなかった。
おとうさんと呼んだ青年の服の裾をしっかりと掴み、離れようとしない。

それに気付いた青年は優しく少女の手を取る。するとその細い指がゆっくりと離れていった。
少女は顔を上げる。目が合う2人。
青年は少女の目元に残った涙をそっとぬぐい、満面の笑顔と共に顔に手を添えて
その額に、優しいキスを落とした。
534CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:07:07 ID:???

それは苦難の果てにやっと大切なものを手に入れた青年の、幸せな光景だった。
これが物語ならめでたしめでたしで終わっているくらい。
しかし現実は違う。
青年は―――キラ=ヤマトは、これから死地に赴くのだから。

ミリアリアに連れられたラクスがエレベーターで下に降りるまで、キラはずっと彼女に手を振っていた。
優しく笑いながら、そして泣きそうに笑いながら――小さく。
やがてその姿が沈んでいき視界から消える。あとには2人の男だけが残された。

「………なあキラ、今ならまだ―――」
「おとうさん、か。うれしいな」

自分の声を聞き流し、キラはいとおしむように少女に触れた手をそっと握りしめる。
そして、その手をゆっくりと心臓に押し付けた。

「本当に、うれしいや」

目を閉じる。さっき吐いたのと同じセリフを繰り返しつぶやく。 「うれしい」 と。
その胸によぎるのは感謝か、それとも後悔なのか。

「ラクス………」

その間も握った手は固く閉じられたままだ。
まるでその手に残った微かな何かが、逃げてしまわないかのように。

その姿を見て泣きたくなった。何だこの状況。何故この子がこんな目に遭わなければならないのか。
嬉しいという言葉なんて、そんな顔で言う台詞じゃないってのに。
大の大人が雁首そろえて偉そうなことを言っても、青年1人助けられやしない。
やはり止めるべきだったのか。自分の判断は間違っていたのか。
妻を殺され、心が壊れかけていた青年。彼女の後を追うよりはとその憎しみの心を否定せずに此処まで来たが。
憎しみに逃避するのを止めるべきではなかったのか。

もう、全てが遅いけれども。


「行きましょう」


キラの声に視線を戻す。彼は目を開けて歩き出し、自分の隣を通り過ぎたところだった。
背筋を伸ばし、胸を張って歩を進める彼の後姿。
本来なら目を細めて喜ぶ姿の筈なのに、今では不安しか感じない。

「勘弁してくれ。なんでこんな、嫌な予感ばっかり」
535CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:08:07 ID:???

先ほど自分はこれからの戦場を死地と言った。それは可能性の話とかそういうわけではなく確信に近い。
勘違いされがちだが、キラも自分も勝利という言葉からは程遠い存在だ。
戦いの中で友人や恋人・妻など愛する者たちを失った。守るべきものも守れなかった。
高い地位を手に入れたという見方もあるだろうが、それにしたって平穏な生活を捨てさせられた挙句
別に欲していたわけではない地位とそれに伴う重い責任を背負うことになったのだ。
望んだものを手に入れるのが勝利と言うなら、今までの自分たちの軌跡はとても勝利などとは言えない。

望んだものの大半が自分たちの手を零れ落ちていった。そんな敗北を多く経験した自分の感覚が、この後の終局を感じ取っている。
娘ができて人に戻ったキラ。復活したシン=アスカ。そしてシンの許に集まったかつての仲間たち。
それらの事実が、キラの敗北へのお膳立てとかそういう流れが出来てしまっているように感じてならない。

「……ハッ、一体僕は何を弱気になってるんだろうね。まだ始まってもいないってのに。
 大体この程度の逆境、これまでの僕たちは幾度も覆してきたじゃないか。
 キラは心を取り戻した。仲間の数も随分増えた。……勝利はもうすぐだ。あとはこの戦いに勝つだけ」

腹を括ったかのようにそう言葉を吐いて、バルトフェルドも歩き出した。
前向きな言葉と力強い歩み。
しかしそれは空元気以外の何物でもない。そんなことはわかっている。
この程度の鼓舞で自分を騙せるなどとは最初から思ってはいない。

「迷うなよ、アンドリュー=バルトフェルド。
 迷えばその代償を、敗北をもって買い取ることになる」

だが今は、どんな手を使ってでも彼を勝たせなければならなかった。
あのいけすかない男を野放しにしたのは何のためだ。腐った騎士どもを迎え入れたのは何のためだ。
あとほんの少しじゃないか。ほんの少しで、彼は優しい世界を取り戻せる。だから―――

キラの背中を眺めながらバルトフェルドは思う。


あと少し。ほんの僅かでいい。
世界よ、彼に笑顔を向けてやれ。
536CROSS POINT(代理):2010/10/02(土) 01:13:07 ID:???
という訳でまた代打で転載。作者様おつおつ。
そして俺は今から読みます・・・
537通常の名無しさんの3倍:2010/10/02(土) 02:07:39 ID:???
善も悪もないね、相変わらず丁寧な描写で大変面白い、おちゃらけな描写のお陰でなお悲壮さが際立ってる
538通常の名無しさんの3倍:2010/10/02(土) 14:48:37 ID:???
前回と今回でシン一家とキラ陣営の決戦前夜を描いたとなると、
次回はサトー甥や艦長親娘などボルテール組の番かな?
しかしみんな人間味深く魅力的に描かれて一人も死んでほしくないと思わせる分
マルキオの諸悪の根源ぶりが浮き彫りになってくるな。
無理は承知ながら、陰謀も妄執も満天下にバレたこやつを粛正する事で
手打ちとなれば八方丸く治まるというもんなんだがなあ。
539通常の名無しさんの3倍:2010/10/03(日) 10:58:58 ID:???
もしミーアだけじゃなくキラも唄ったら……

突撃自由 作詞・作曲 DJ-YAMATO
キラ「やるなら今しかねー JI・YU
やるなら今しかねー JI・YU
SEEDがFREE FREEなSEED
ハイ!」
ハロ「シード ガ フリー フリー ナ……」
キラ「違う! もっとノリノリで喋れや!
お前 実は流暢な人言語が話せるの知ってんだからな!
もう一回! ハイ…」
シン「フリーダムぅぅ!」
キラ「へぶあぁぁぁ! あ」
シン「あ、じゃ無い! なにしてんだアンタこんなところで!」
キラ「いや ラップで自由の啓発を……」
シン「何でよりによってラップをチョイスしたんだよ
相変わらず意味がわかんねーよ 何なんだアンタ
くたばれよ 頼むから一秒でも速く くたばってくれよ」
キラ「これはただのラップじゃない キラッ★プだYO」
シン「キラッ★プじゃねーよ サランラップに包んで窒息させてやろうか」
540通常の名無しさんの3倍:2010/10/04(月) 16:28:51 ID:???
キラ「じゃ、じゃあアイドルっぽく…」
シン「嫌な予感しかしねえが、一節やってみろ」
キラ「上から目線だね…コホン
夢は♪フリーdゴフゥワア!!」
シン「やっぱりそれかぁあ!!!」盛大に拳骨
541通常の名無しさんの3倍:2010/10/07(木) 02:00:28 ID:???
また避難所にきたな
542通常の名無しさんの3倍:2010/10/07(木) 21:04:00 ID:???
転載したいがまだPC規制が解けてない、誰か頼むよ
543CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:14:38 ID:???
CROSS POINTの続きを代理で投下します。
544通常の名無しさんの3倍:2010/10/08(金) 00:14:56 ID:???

月面のダイダロス基地。キラの襲来に備えて、基地の前方に守備軍が展開している。
しかしザフト・オーブ連合軍が戦闘を開始しても、彼らに動く気配は無かった。


「もう戦闘は始まろうとしています!!一刻も早く、出撃命令を!!」
『出撃は許可できない』
「何故です!?」
『君は上からの命令に従えないというのかね?』
「納得のいく説明が欲しいだけです、私は!!」

此処は連合の旗艦クリーブランド、そのブリッジ。
そこで自分たちの艦長が画面に向かって吠えている様を、副長はぼんやりと眺めていた。
艦隊司令とはいえ彼も軍人だ。上のご意向には従わなくてはならないのだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら。

「打算も結構ですがね。このまま彼らを見殺しにしても良いことは何もありませんよ。
 数に呑み込まれてすぐに我々の出番になるだけです。
 それならば今、共に戦った方が兵の損害も少なくて済むかもしれない」
『この件に関して君に意見を求めた覚えは無い。……だが他の命令が良いというなら変えても構わんが。
 今からレクイエムのエネルギーの充填を開始せよ。一撃でいい。
 ザフトごと、キラ=ヤマトのいる場所を吹き飛ばすのだ』
「な……」
「おいおい」

艦長がその言葉に絶句し、ブリッジ内がざわつく。この場にいる誰もがその言葉の意味を理解していた。
代わりの言葉にしては重すぎる。例え上の人間でも冗談でも言って良い言葉ではない。

「宇宙の化け物どもに守ってもらったあげく、その借りを無視して背後からそいつらを撃てと?
 間違いなく戦争が起こりますよ、良いんですか!!」
『ならば黙って待機していろ。これは命令だ。別命あるまで待機―――良いな?』
「お待ち下さい、それとこれとは………ええい、クソッタレが!!」

軍帽を画面に投げつける艦長。
それを見ていたオペレーターの青年が、近くの副長に囁きかける。

「副長、上の命令は確かに引っかかるものはありますが、大局的な見解としては間違っていないのでは?
 今のプラントはキラによってボロボロです。
 レクイエムも完成しましたし、これを機に一気に攻め落とすというのは戦略上の判断としては有りかと」
「何言ってるバカヤロウ、よく考えてもみろ。誰だって心の奥底じゃ正義ってヤツが好きなんだ。
 助けに来た者を敵ごと背後から撃つ。そんな事したら間違いなく地球の市民からハブられるだろ。
 民意が伴わなければ戦争ってのはそうそう続けられるもんじゃない。
 それに今の上にいる奴らを追い落とそうとする連中がそれを利用して、内紛が起こる可能性もあるんだ」
545CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:16:13 ID:???
自分たち連合はロゴスに踊らされてた過去もあるため、それでなくても良いイメージを持たれていない。
しかも地域によってはエイプリルフールを忘れて連合よりザフトを評価しているところも沢山ある。
プラント討伐のために宇宙に上がったら内外の敵を同時に相手にするはめになったなんてオチは考えたくも無い。

「でも……」
「それにあいつらご自慢のレクイエムだが、フリーダム相手じゃ正面から撃ったって避けられちまう。
 もともとアレを奴さんにぶち込むにゃ、誰かが自分ごと逃げ道を塞がなきゃならないんだ。
 上からすりゃ部下を捨石に使って人望を失くすよりも、コーディを利用できる今の方が都合がいいんだろうが……」
 
とは言っても元々レクイエムはラクス=クライン(の背後にある軍事力)によって
政治的主導権が地球からプラントに握られたため、それに対抗する手段として復活させたに過ぎない。
名目上の目的は無言の恫喝・誇示であるため、撃った時点で世論を敵に回すのは間違いないのだ。
それに気付かないほど上に馬鹿が揃ってるとは思えない。わかってて言っているというのなら何が狙いなのか。

自分たちを止めてメリットなんてあるわけがない。
強敵に対する戦力の逐次投入が各個撃破に繋がるのは今や子供でも知っている常識であり、彼らが負ければ次は自分たちの番だ。
なのにあの他人事のような反応………まさかとは思うが。

「なんだか上の連中がどっちにつくかを計りにかけているように思えてきてならないんだが。
 キラという勝ち馬に乗るか、それともザフトに恩を売れるタイミングまで待つか。
 まさかそこまで腐ってはいないと思いたいとこだがな」
「ありえないと笑うことは難しいですよ、あの態度見てると。
 ……もし仮にそうだとしたら、一体俺たちは何の為に命を懸けているんでしょうね」
「さあな」

軍帽を拾い、疲れた様子で席に深く座る艦長を見ながら2人は溜息を吐く。
死を恐れる心はあるが、自分たちは軍人としての覚悟を決めていないわけじゃない。
それが命令ならば死地だと知っていても出撃するだろう。

けれど、何の為に死ぬのか。
それだけははっきり認識して戦場に赴きたかった。





第31話 『いいさここらでちょっと 根性を見せてやる』
546CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:17:21 ID:???




「……多いね、これは」

ミネルバのブリッジ、その作戦画面に写った映像。敵を表す光点は何度数えても此方の数より多かった。
それを見ながらアーサーはどうにか言葉を吐き出す。

「コニール君、ディーヴァに合流する艦の識別を頼む」
「了解、今すぐ映像に……出ました。
 敵旗艦に合流する艦艇が判明。ローラシア級7、ナスカ級4、アガメムノン級5、イズモ級2。
 冗談だろ……? ザフトだけじゃない、オーブ軍や連合の船までいるじゃないか」

オペレーターのコニールの呟きに思わず頷きを返す。その感想、自分も同感だ。
目の前の状況を受け入れることができない。

確かにラクス=クラインは世界中から愛されていた。
彼女の死を悲しむ者は地球にも多かったし、その夫たるキラに力を貸す者がいても不思議ではない。
しかし未だにブルーコスモスが多い連合の軍人までクライン派に引き入れていたとは。
それもザフトやオーブの諜報部に気取られずに。
クライン派、いや影のフィクサーと呼ばれているマルキオ導師の本領発揮といったところか。

「アスラン。これは、マルキオ導師の仕業かな?」
『……おそらくは。こんな真似をできる人間を、自分は他に知りません』

舌打ちと共に自分を責める。
ディーヴァを直接持ってくるくらいは予想出来ていた。しかしクライン派の動かせる全戦力を持ってくるとは思わなかった。
いくらキラがヘブンズベースを単機で落とした過去があり、そして彼らが今まで少数で潜伏していたからといって、
そのイメージに固執しすぎて今回も少数で来るなんて考えが甘かったか。
だが考えてみればそれは当たり前のことなのかもしれない。
シン=アスカと手負いとはいえアスラン=ザラ。そしてその先にはレクイエム。
ここにはキラを倒せる可能性を持った存在が集まっている。
そしてそれらが全て砕かれた場合、世界はキラと戦う事を諦める可能性が出てくるだろう。
つまりここでその二つの不安要素を排除できれば、彼らにとっての勝利が見えてくる。

『すみません、自分の考えが甘かったようです』
「いや、僕も納得した事だ。君に責任を押し付けるつもりはないよ。
 ミーティア部隊以外にも奥の手を隠し持ってたってことだろう。流石にこれ以上はないだろうけど。
 それよりもどうする? 退くか、戦うか」
『退くわけにはいかないでしょう。
 キラの撃破だけが目的ならともかく、ダイダロス基地の防衛もしないわけにはいきませんし』
「そうだね。ここまで来といて見捨てた場合、政治問題になりそうだ。
ミーティア対策として数だけは揃えたのがせめてもの救いかな……敵の本命の相手は任せるよ」
『了解』

アスランとの通信が消る。すると入れ替わるように敵軍から通信が入った。
通信席のメイリンが息を呑む。画面に映っているのは隻眼の男。
547CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:17:48 ID:???

『こちらはディーヴァ艦長のアンドリュー=バルトフェルドだ。
 ザフト・オーブ連合軍、そちらの指揮官とお話がしたい』

砂漠の虎のおでましか。CE最高の艦長として名高い厄介な相手だ。
いや艦長職だけではない。MSの操縦、政治、軍事、正攻法、搦め手。全ての面で突出している男。
ある意味キラより性質が悪い。

「ミネルバ艦長のアーサー=トラインです。何の用でしょう、降伏勧告でもするつもりですか?」
『話が早くて助かるね。降伏とまでは言わない、ただ道を開けてくれるだけでいい。
 我々はキラほど上手くないんだ。こちらも無駄な殺生はしたくないんでね』
「無駄な殺生、ねえ。見逃してやるからここから消えろという事ですか」
『まあ掻い摘んで言うとそういうことになるな。
 勝利の為に命を懸けるのも結構だが、そんなものが命よりも大事だとは思わないだろう? 君も」

軽い口調に親近感を覚えないではなかったが、だからといって首を縦に振る事はできなかった。
正直に言うとその申し出を受け入れたい気持ちも無いわけじゃない。
いつまでたっても戦いは嫌いだし、ましてその中に大切なクルーたちを突入させるなんて考えたくも無かったから。

「確かに勝利なんて下らない物の為に部下を殺させる気は、僕には無い。けどね」

だけど、それを受け入れるわけにはいかないんだ。デュランダル派と呼ばれクラインと戦った僕たちは。
一度彼らに完膚なきまでに敗れてしまった僕たちは。

「前回の大戦で自由を叫びながらデスティニープランという檻を否定したかと思えば、
 今度は平和を叫びながら世界を力による檻に閉じ込めようとする。
 笑いたくなるほどのダブルスタンダード。呆れるほどの子供の理屈。
 ……もう付き合ってられませんよ。
 生憎、この世界は貴方がたのような子供の八つ当たりに構っている暇は無いんです」

画面の男の眼が鋭くなる。本気で怒っているのか、それとも士気を考慮したポーズか。
どっちでもいい。どうせ論破などできる筈も無い。

『言ってくれるね。なら君たちは何の為に戦う? 信念だとでも言うのか」
「違いますね。
 定められた運命を否定し、皆で明日を作っていく。そんな世界を望むという貴方たちの言葉を受け入れる。
 それをあの終戦の折に僕たちは決めたんです。
 ラクス=クラインが殺されたくらいでそれをやめるわけにはいかない。
 でなければ前大戦が、僕たちの敗北が、仲間の死が無駄になってしまう」
548CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:18:15 ID:???

そう、だからこそ自分たちはまだプラントにいる。
抗戦やテロなどで新たな悲しみを振りまくのではなく、戦争によって生まれたこの結果を受け入れて。
敗北者として彼らの目指す道に従い、その先を見届ける為にだ。
それをコロコロと道を変えられてたまるものか。ならあの戦いはなんだったんだということになるじゃないか。
彼らは自分たちから敗北まで奪おうというのか。

それだけは、絶対に許して良い事じゃない。

『言いたいことは分かった。だが君たちに勝機は無いだろう。こんな所で終わっても良いのかい?』
「ならそれが僕たちの運命だったってことでしょう。貴方たちの2枚舌に文字通り一生騙される、というね」
『結構。そこまでの覚悟ならもう言うことは無い』

通信が切れ、ブリッジ内の視線が自分に集まる。
言ってしまった。事実上の宣戦布告。
まさか自分の人生でこんな場面がこようとは思わなかった。
自軍の不利は否めない。仲間も大勢死ぬだろう。本当は撤退したかったがそれもできない。
覚悟を決めよう。もう迷う事は許されない。
自分は艦長、迷いや弱気を見せてしまっては他者に伝染する。
今は現実を受け止めて最善を尽くさなければ。

「MSを全機出撃させて。あと最寄りのザフト軍基地に入電を。援軍を要請するんだ、急いで!!」
「了解!!」
「わかりました!」

コニールとメイリンに指示を飛ばしながら考える。
機体の数では圧倒的に負けている。ましてや相手はミーティア、MSを出し惜しみする余裕は全く無い。
せめてダイダロスの連合軍が加勢してくれればまだ勝負は分からないが、基地の連合軍は動く気配がなかった。
これはこちらが勝手にやっている事とはいえ、助けに来た自分たちを見捨てると国際問題になると思うのだが。
揉めているのか、漁夫の利を狙っているのか。向こうは向こうでいろいろ考えがあるようだ。

方針として、自軍は守備を固めて敵を引き付けつつシンとアスランがキラを倒す。
残存兵力は時間稼ぎの後に援軍と共に叩く。これしか考えられない。
結局のところシンとアスラン、2人の技量に託すしかない状況だ。

「彼ら頼りか、情けないなぁ。……いや、タリア艦長なら」

だが彼らだけに全てを任せるわけにはいかない。
自分は艦長だ。クルーの生存率を上げる為にも、できるだけの事をせねばならない。
尊敬していたかつての上司もそうしていたのだから。
549CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:18:59 ID:???

「こちらは旗艦ミネルバ艦長、アーサー=トラインだ」

全艦に放送をかける。士気でも集中力でも死への恐怖心でも何でもいい。
彼らの生きる可能性が少しでも上がるのなら何だってやってやる。

「現在、最寄のザフト基地及びオーブから、援軍が此方に向かっている。
 連合の動きは不明だが、おそらく背後を突かれる事は無いだろう。
 この場における全ての責任は僕が取る。皆、思うがままに戦ってくれ」

そこまで言って息をついた。次の言葉は鼓舞の言葉。
少しでも彼らの心に届くようにと、強く願いながら叫んだ。

「相手は自分のせいで歌姫が泣いていることに気付こうともしない勝手な連中だ。
 これは一部の傲慢を阻止する、意義ある戦いである。犠牲は絶対に無駄にはならない。
 何としてもダイダロス基地を死守せよ。そしてザフト軍人の誇りを持って戦ってくれ。
 総員の、さらなる奮起を期待する!!」

煽った者がいるのか、船内に歓声と咆哮が響き渡る。通信士の様子からして他艦も似たようなものらしい。
勝利には士気の向上が不可欠。それを心得ている者が各所にいたのだろう。
今は素直に、名も知らぬ彼らに感謝する。

各艦及び船内の雰囲気が変わっていく。全員覚悟を決めたようだ。
ならば自分は道を示すのみ。帽子を被り直し前を見つめた。
視線の先、カタパルトから次々とMSが発進していく。

「ベルリンに戻って2人で高級料理食べに行く約束、忘れちゃ困るんだからな」
『忘れてないって、ちゃんと連れて行くから心配するな。シン=アスカ。デスティニー、行きます!』

「というわけで財布係、無事に帰ってくるように。スラッシュザクファントム、行って来い!」
『ったく素直じゃないんだからこの娘は。ルナマリア=ホーク、ザク、出るわよ!』

「帰ったら思いきり腕を振るいますから、何が食べたいか決めておいてくださいね。セイバー、発進どうぞ!!」
『君が作るものなら何でもいい。アスラン=ザラ。セイバー、発進する!』

「そういうのが一番困るんだけどなぁ。続いてネオジェネシススーパーフリー負債仕様」
『ディアッカ=エルスマン、ザクファントム、出るぞ!』
550CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:19:15 ID:???

流石と言うか何と言うか。いつも通りの彼らに笑いがこぼれそうになる。
そうだ。やるべき事はもうやった。あとはいつも通りにこなせば良い。
どれだけ背伸びや逆立ちしたところで、じぶんはアーサー=トライン以上の何者にもなれないのだから。
他にする事があるとしたら、ただ祈るだけ。神などにではなく、自分の背を押してくれる存在に。

「さて。行くとしようか」

散っていった仲間たちよ、どうか彼らに加護を。
そしてタリア艦長、見ていてください。





『これは、また……』
『ここまで凄いと感心するしかないな。よくもまあここまで集めたもんだ』

シンやディアッカの呆れた様な声に、アスランは言葉を返すことが出来ない。
レーダーで見るのと自分の目で確認するとでは大違いだ。自分たちの目線の先にはザクやゲイツは言うに及ばず、
ダガーにアストレイ等のザフト以外の機体、挙句の果てには旧式のジンの姿まであった。
そしてその全ての機体が白く塗装されており、彼らが誰のために戦っているのかを示していた。

「まるで十字軍だな」

十字軍。中世のヨーロッパで聖地を奪還するために派遣した遠征軍のことである。
聖戦を謳いながら各地で虐殺や略奪行為を行った侵略軍だとされているそれは、今の彼らによく似ていた。
彼らが掲げる神は今は亡き平和の歌姫、ラクス=クライン。
率いるは歌姫の伴侶にしてCE最強の聖剣、キラ=ヤマト。
自らの正義を疑いもせず、目の前の敵に襲い掛かる。
そして彼らの目には、力に溺れる己の姿は映っていない。力を振るうことに疑問も持たない。

やりきれなかった。
俺が、あの時止める事ができたなら。そう思ってしまうから。

『本人たちは三銃士の銃士隊のつもりだろうけどな……何沈んでるんだ? アスラン』

シンから通信が入る。まさか空気が読めないことが多い彼に気付かれるとは思わなかった。
傍目から分かるほど自分は沈み込んでいたんだろうか。ヘルメット被ってるのに。

「いや、ままならないものだなと思ってな」
『何がだよ』
「この世界のために、自分にできることをしよう。そう思っていろいろ足掻いてみたのはいいが。
 俺には結局世界どころか、親友1人止めることすらできないんだからな」
『親友? 惚れてる男の間違いじゃないのか?』
「俺はそっちの気はない。背後から撃たれたいのかお前は」
551CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:19:35 ID:???

真面目な話だったのだが茶化された……てかガチでホモ扱いかこの野郎。今の俺には嫁だっているのに。
なんなんだろうな、最近の俺の扱いは。

『アンタもキラもクライン議長も。皆と変わらない、普通の人間なんだろ?
 ならできないことだって当然あるさ』
「それはそうだが……」
『自分の無力も過ちも、全部受け入れてさ。
 死んでからあの世で合流できたら、皆に謝りに行こう。
 殴られるくらいじゃ済まないだろうけど』
「……そうだな。それも、悪くないか」
『ま、今はその前にもう1人の馬鹿を土下座させなきゃいけないけどな』

画面の向こうの青年が苦笑する。自分も似たような笑みを返した。
謝りに行く、か。そうだな。
正直謝ったところでここにいない人たちに許して貰えるとは思わないが、何をするかが決まったのは悪いことではない。
実際何かすっきりしたような気がする。
それにしてもシンは変わった。彼女たちのおかげなのは言うまでもない。

「なあシン、お前はこれ以上変わったりするなよ。
 もうお前と戦うのなんてゴメンだ。命がいくらあっても足りやしない」
『今の所、変わる予定は無いな。そういえばアンタには借りがあったっけ。今返してやろうか?』
「これが終わった後で良ければいくらでも付き合ってやるさ」

軽口を叩き合う。気付けば敵の軍勢が随分近付いていた。
先陣はミーティア。そして混成部隊。

『敵の第一波が来るぞ!!』

コニールの緊張した声がコックピット内に響く。
大丈夫だ、そんなに慌てなくていい。怯える必要もない。俺たちは負けはしない。
そう、今決めた。

『行くぞアスラン。ミーティアどもを薙ぎ倒して、兵の士気を高める』
「ああ、行こうかシン。お前となら楽勝だ」

デスティニーが翼を開く。右肩のウェポンラックからアロンダイトを引き抜いた。
セイバーのバーニアが光を放つ。右手にライフル、左手にサーベルを握り締めた。
パーティの準備はこれでいい。後は思うがまま、踊るだけ。
552CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:19:56 ID:???

「遅れるなよ!!」
『アンタこそな!!』

加速し、味方を振り切るように突出していく2機。
先頭に立つミーティアに狙いを定めた。

「おおおおおおおおおおッッッ!!!」
『でやああああああああ!!!」

ぶつかる寸前でさらに加速、流星と化した2機がミーティアを貫いた。両舷のアームが火花を放ちながら切り落とされる。
振り向きざま、迷うことなくライフルとパルマを同時に放つ両機。
放たれた光は吸い込まれるように直撃し、ミーティアが爆発を起こす。
慌てて連結を解除するストライク。その隙を逃す訳も無く、デスティニーがビームマシンガンの照準を合わせた。

『これで……どうだ!!』

黄色の閃光が雨のように降り注ぐ。そして爆発。
まずは1機。だが気を抜く暇は無い。
セイバーをデスティニーの背後を庇う様に隣接させながら、敵軍に向かってライフルを放つ。

「シン、大丈夫か?」
『心配は無用だアスラン。それよりもフリーダムの姿が確認されてない』

襲い掛かってきたシグーをサーベルで貫きながら、アスランは全体を見渡す。
確かにストライクフリーダムの姿は確認できなかった。
あいつのことだから、味方の道を切り開くために先陣を切ると思っていたのだが。

「第一陣の中にはいないみたいだな。だがディーヴァもエターナルも此処にいる。そのうち出てくるさ」
『ならアイツが出てくるまで俺達は』
「ああ。お前が言った通り、ミーティアどもを薙ぎ払うだけだ!!」


運命の魔剣と守護者の剣。
2振りの剣は、流星の群れに飛び込んでいく。
553CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:20:09 ID:???






「始まったか」

前線の方で火花が上がり始めた。あの光が一つ起こるたびに何人か、それとも何百人かが命を散らしているのだろう。
それぞれが掲げた灯を華々しく、儚く、あっけなく咲かせて。

「ラクスが殺されたくらいで、か。そう思う人もいるってことはわかってたつもりだけど」

先程全回線で行われていた艦長同士の会話を思い出す。やはりそう都合は良くは無いか。
この世界で辛い目にあっているのは自分だけではないのだ。
後戻りはできないが、ここまで来てしまった自分を恥じる気持ちは少しあった。
認識したところで意味は無いのはわかっていたけれど。

『接近する熱源2。熱紋照合……デスティニーとセイバーが来ます!! 距離80!!』
『ミーティア部隊を前面に出して迎撃させろ。ドムトルーパーも直ぐ援護に向かわせる。
 アンチビーム爆雷発射。主砲とリフレクターの準備も急げよ!! ………キラ、準備はいいか?』
「はい」

バルトフェルドの声に頷く。感傷も後悔も今の自分には必要無かった。
この戦いに勝ちたいとは思わない。無論戦う以上は勝利を目指すが、それは義務であって欲求ではない。
戦いに敗れ、誰かに討たれたいとは思わない。かつて渇望していた死への欲求は希薄になっている。
だから自然と、自分の思いは一つに纏まっていった。

「キラ=ヤマト。フリーダム、行きます!!」

戦おう。ただひたすらに、今度は撤退なんて考えずに。
戦って戦って戦い抜いて、討たれて止まるか周囲に敵が居なくなるまで。
これまで自分が選んできた道の先に何があるのか。ただそれだけを知るために。
もう自分にはそれくらいしか無いから。だから―――


シン。
君に再び、逢いに行く。
554CROSS POINT (代理):2010/10/08(金) 00:21:26 ID:???
以上で終わりです。
作者様乙です。
ここからどういうふうになっていくのか楽しみです。
555通常の名無しさんの3倍:2010/10/11(月) 01:37:51 ID:???
代理投下乙
ついに最終決戦か
556通常の名無しさんの3倍:2010/10/11(月) 17:03:41 ID:???
そろそろ終わりそうだな
結末が読めない
557CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:10:09 ID:???
CROSS POINTの32話を代理で投下します。
558CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:10:43 ID:???




第32話 『GONG鳴らせ!!』





『ストライク3号機及び10号機のミーティア中破!!パージさせた後、回収します!!』
『8号機、11号機の通信が途絶えました!!』
『14号機から17号機はどうした!!』
『デスティニー及びセイバーと交戦中。劣勢のようです、援軍の要請が来ています!!』

「やれやれ。大した活躍じゃないか、白の騎士サマたちはさ」

ドムのコックピットの中で、ヒルダは計器をいじる手を止めずに皮肉を吐いた。
自分たちの出撃まであと僅かだったので戦況を知るために通信を聞いていたのだが、
流れてきたのはオペレーターの焦った叫び声とそれに指示を出すバルトフェルドの苦い声だけだった。
それらを聞く限り戦場全体ではともかく、敵主力と当たったミーティア部隊はかなり苦戦を強いられているようだ。
まあそれも当然というべきだろう。向こうには化物が2人いる。
シン=アスカとアスラン=ザラ。あのキラ様が唯一対等の相手と認めた男たち。
口だけの腑抜けどもがミーティアを装備したくらいで、何とかなる相手ではなかった。

「フン、やっぱりあのデカブツどもじゃ駄目か。マーズ、ヘルベルト、私達も出るよ!」

そう仲間達に言い放ち、機体をカタパルトに準備。オペレーターから許可が下りるのを待って機体を発進させた。
3機で編隊を組み、戦場を駆け抜けるドムトルーパー。
遠くにセイバーの姿を確認。また一つ、自軍の機体が落とされた。

「世話が焼けるねぇ、まったくさ!!」

呆れた声で吐き捨てる。正直他人の尻拭いなど趣味ではない。それが口先だけの阿呆どもなら尚更だ。
だが今いいようにやられているとはいえ、後に控えているダイダロス攻略にはミーティアが必要なのも事実だった。
尤も彼らの力が目的なのではなく、単に見栄えの問題である。
今回の戦いで自分たちは、世界に 「キラだけではなくその騎士団の強さも健在」 だと認識させなければならないが、
そのことについて巨大で高火力武装を持つミーティアの外観は非常に説得力があるものだからだ。
ならば自分達の役目は一つ。
いかにアスランとはいえ今は手負いの状態。流石に自分達3機をまとめて相手にするのは難しい筈。
一度キラ様に処刑されたのだから、今度こそ眠りにつかせるまでだ。
559CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:11:02 ID:???

「デスティニーはキラ様の獲物だ。ヤツはキラ様に任せて私達は雑魚を狩る。
 まずはセイバー、裏切り者のアスラン=ザラだ。野郎にジェットストリームアタックをかけるよ!!」
『おう! あの野郎に目に物見せてやろうや』
『よし、やるか』

必殺の陣形ジェットストリームアタックを仕掛けるべく、ヒルダのドムを先頭にマーズ、ヘルベルトと続く。
急速に接近する自分たちにセイバーも気が付いたようだ。
だがもう遅い。

「これでも喰らいな、アスラン=ザラ!!!」

最後尾のヘルベルトはこのまま直進させ、間合いに入り次第自分は右、マーズは左から攻撃する。
変形する以外は特に変わったところの無いセイバーならば3方向からの攻撃は捌けまい。
そう思いつつ自分たちの洗練されたコンビネーションを叩きつけようとした瞬間、

『1人忘れちゃいませんかってのよ!』

横からビームガドリング砲の連射が自分たちを襲った。
正面からの攻撃はスクリーミングパスで防げるが、幾分弱まる側面はその範囲ではないため思わず散開させる。
紅いザク、そしてこの聞き覚えのある声。おそらくは自分の後輩だったあの女か。

『ヘッ、死にに来たのかいお嬢ちゃん! だが1機ザクが増えた程度じゃ……うぉっと!』
『お、避けたか。当たってりゃ楽ができたんだけどな』

新たに参戦したのは1機だけではないようだ。
宇宙では視認しづらい漆黒のガナーザクが高出力のビームを連射し、マーズの動きを封じている。

「3対3か……!!」

しかも見た限り全員腕が立つ。連携で自分たちが負けるとは思わないが、向こうにはアスランがいるから楽観は出来ない。
ならば弱い相手から順に集中攻撃で落とし、強者には数で押していく作戦がベストだろう。

「標的を変更するよ! 狙いは」
『言わなくてもわかってるさ!!』
『紅いザクだな』

そう言うや否や、セイバーに向かって3機はギガランチャーを放った。
異なる方向から放たれた射撃だった為、無理せず回避に専念するアスラン。光が空しく宇宙に消える。
だがそれこそが自分たちの狙いだった。アウトナンバー、作戦通り。
黒いザクの射撃を防ぎつつ、スラッシュザクへ距離を詰める。
560CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:11:17 ID:???

『それ、壱ぃ!』
『こんのぉ!!』

マーズのドムから乱射されるビーム。そしてザクの両肩から放たれるガトリングガン。
それぞれの火線が交錯する。

「弐ッッ!!!」

すかさずヒルダ機がその側面からバスーカを放つ。
普通の相手ならこれで終わっているくらいのタイミングだったが、ザクのパイロットには反応良く避けられてしまった。
その結果は予想外だったが気にするほどのことでもない。何故なら

『終わりだ、参ッッ!!』

ドムは3機いるのだ。最後の1機、ヘルベルトがサーベルを抜き放って襲い掛かった。
回避行動を取ったままのザクは避けられまい。これで3対2―――

『なめんな!!』
『うおっ!?』

ドムがサーベルを振り下ろしたその刹那、ザクが側転の様な動きで斬撃を回避した。
そしてその勢いのままドムの頭部に蹴りを叩きつける。子安キックと呼ばれることもある変形の跳び廻し蹴り。
ヘルベルトの油断もあるがMSでよくもまああんな事をするものだ。
高等技術というよりは曲芸の域に入ったその動き、できたとしてもまともなパイロットなら普通はやらない。
凄いパイロットなのか、それとも馬鹿なのか。
きっと凄い馬鹿なんだろうなと結論付けたヒルダだったが、すぐにその思考をやめる。
相手は崩れたままだ、このチャンスは逃がせない。
バランスを崩したままのザクに距離を詰めようとするヒルダ。しかし即座に諦めてガナーザクへの牽制射撃に切り替えた。
視界の端には猛スピードで接近してきた紅いG。くそ、戻ってくるのが早すぎなんだよこの男。

『させはしない!!』

アムフォルタスを斉射しながら割り込んでくるセイバー。
腰にマウントされたサーベルを両手に抜き放ち、接近戦を挑んだマーズとヘルベルトのサーベルを受け止める。
そしてそのまま振り下ろされたドムの腕を力任せに弾き飛ばし、すぐさま上に飛んだ。
攻撃が来ると身構えていた為、虚を突かれながら思わずセイバーを目で追う2人。

「バカ、正面だ!」
『でぇぇぇい!!』

ファルクスを振りかぶり、離脱していた筈のスラッシュザクがマーズとヘルベルト両機に迫る。
空間ごと削り取ったかと思うくらいの強烈な横薙ぎ。それを2人は後ろに跳ぶことで何とか避けた。
そのまま合流して仕切り直しに入るドム3機。
561CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:11:33 ID:???

『また馬鹿の一つ覚えみたいにジェットストリームアタック!? ……甘い!
 大体、こっちだってそれくらいの連携やろうと思えばできるんだから。行くわよ2人とも!!』
『え? 俺たちもあれをやるのか?』
『あんなのできるなんて初耳なんだが……。
 ええいディアッカ、彼女に合わせるぞ。こうなったらなるようになれだ!』

ビームシールドを前方に展開したセイバーの背後にビーム砲を構えたガナーザク、そのさらに背後にスラッシュザク。
この並び方は自分たちが参考にしたオリジナルのものに酷似しているが。
まさか本当にやるのだろうか。自分たちの専売特許を。

『『『 ジェットストリームアタック!! 』』』

「くぅっ!?」

セイバーは左右のアムフォルタスを放った後に左にスライド。続けざまに高出力ビーム砲をガナーが放つ。
3つの鋭く正確な射撃に自分たちはシールドで防ぐことしかできない。
しまった、動きを止められた。悔やんだ所でもう遅い。
敵がそんなチャンスを逃すわけも無く、真紅のスラッシュザクファントムは動きを止めたドム3機に襲い掛かった。

ガナーザクを踏みつけながら。

「ちょ、それ違う!!」
『俺を踏み台にすんな!!』
『え、違うの?』

何処か間違ったジェットストリームアタックを回避するドムたち。
あのアホ女め、気が抜けて直撃を食らう所だったじゃないか。つかそんなとこまで忠実に再現すんな。

脱力している暇は無い。認めたくは無いが3対3では結構粘られている。
アスランの存在が脅威なのは変わらないので、戦闘が長引けば此方も危うくなるかもしれない。
チームのコンビネーションを競っている余裕は無いだろう。
それよりもザクとドムの性能差を生かしてそれぞれ1対1で戦った方が良さそうだ。
セイバーの相手をするヤツがなんとか粘って、残った2人が敵を速攻で潰してから合流という作戦で行こう。

「散るよ!」
『おう!!』
『さて、誰が来るかね……』

自分が一言言っただけで考えを察したのか、特に疑問の声も上げず散開した3機。
この辺りの付き合いは長いので当然と言っても良いかもしれない。
背後に視線を向ける。ドムを追いかけてくる光は一つ。
果たして自分の相手は……
562CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:11:53 ID:???

『さて、ご希望通り1人で来ましたよ。決着をつけましょうか、ヒルダ先輩?』
「……ああ、同感だねぇ」

まあ、こうなるよな。
こいつしかいない。





「さてと、そろそろ本気でやんないとね。シンの所にも早く行きたいし」

ビームライフルを右手に構えながらルナマリアは軽口を叩く。だがその目には言葉ほどの余裕は無い。
自分の腕には自信があった。数少ない女性の赤服にして元FAITH、それが過去の自分の肩書きである。
決してコネだけで勤まるような軽いものではなく、相応の実力が必要な地位だった。
しかし目の前の相手であるヒルダ=ハーケンもまたザフトレッドだった時期があり、その評価は自分に劣っていない。
何より自分は過去に彼女率いるドム隊に圧倒されたことがあるのだ。
今回は1対1とはいえ、言葉通り本気で行かなければまずいことになるだろう。

『ルナマリアか。アンタも馬鹿だよ。フェイスだった頃、ラクス様とは友達だったんだろ?
 こっちにくりゃ可愛がってやったのに、シン=アスカなんかに誑かされるから』

自分を下に見ているのか、余裕に満ちた声でヒルダが言葉を返す。
その言葉を聞いたルナマリアの頭に一瞬で血が上った。怒る理由には十分だった。
この女、私を前にして何を余裕ぶっているのか。誰を見下しているというのか。
それともう一つ。シン=アスカは私のものだ。
よく知りもしない人間が、馬鹿にしたような口調であいつの名を口から出すんじゃない。

「女は愛に生きるものよ。ま、そういうのとっくに忘れた貴方にはわからないでしょうけどね。
 貴方はせいぜいうだつのあがらないおっさん2人にチヤホヤしてもらって、サンドイッチでもして貰いなさい」
『なんだと……お前だって未だに逃げられてるクセに何が愛だ!! それに私はこれでも二十代前半だ!!
あと、あいつらなんかに身体許してたまるかぁ!!』

感情の赴くまま、お返しとばかりに見下してみる。返事は怒鳴り声と銃口だった。
どうやら自分は彼女の禁句を言ってしまったらしい。それがどれなのかはわからないけれど。

『あの世で後悔しな!!』
「こっちの台詞よ!!」

ギガランチャーを撃った後、サーベルを握って飛び込んでくるドム。
さすがに速い。ギリギリの所で切っ先を避け、空いた背後に向かってライフルを放った。
振り向いたドムが赤い光に包まれライフルの弾を弾く。スクリーミングニンバス。
相変わらずやっかいな装備だが構うものか。ビームアックスを抜き放ち躍りかかった。
以前1対3でタコ殴りにされた借りを、倍にして返してやる。
563CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:12:16 ID:???

「化粧もせずに眼帯つけて喜んでるそのセンスが既に古いって言ってんのよ、この年増がぁ!!」
『ザクでドムに勝とうってのかい?その過信、高くつくよ!!』


ヒートアップする両者。
2人の狂戦士を、止められる者はどこにも存在しない。






「……君子危うきに近寄らず、かな」

離れた場所で始まったドムとザクの戦いを見ながら、アスランは溜息を吐いた。

あっちのCE最強女戦士決定戦は放っておこう。手を出すと火傷じゃ済まない。
ルナマリアが敗れる危険もあるが、自分が相手をしなければならないのはドムではなかった。
この場は彼女を信じよう。そして自分は彼らの許へ行かないと。
アスランがそう思いながらセイバーを変形させようとした瞬間、その目の前に黒い機影が立ちはだかる。
目の前に居るのは言うまでも無くドムトルーパー。なんだ、逃げたんじゃなかったのか。

『よう、アスラン=ザラ。キラ様にやられたケガはまだ治ってないんじゃないのか?
 そんな状態で俺らに喧嘩売ってくるとは、いい度胸じゃないかよ』
「つっかかって来たのはそっちだろうに……。
 それよりもその声、マーズ=シメオンか。生憎今はお前と喋ってる暇が無いんだ。
 ―――来るなら早く来い。時間の無駄だ」
『ケッ、そうかよ!! 今だから言うがな、俺はお前みたいなのが大嫌いだったんだ。
 自分だけ深いこと考えて悩んでます、ってツラがなぁ!!』
「知るか」 

サーベルを抜き放ち踊りかかるドム。それをビームシールドで受け流し、蹴りを叩き込んだ。
ちっ、ジャスティスなら今の一撃で終わっているんだが。

「俺はシンとキラの所へ行く。死にたくなければ、そこをどけ」
『テメェ……この俺を舐めるなよ!!』
564CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:12:32 ID:???





「おいおい、俺達が足止めされちまったら誰がミーティア止めんだよ?」

自分を無視して戦いを始めた仲間たちを見ながら、呆れたようにディアッカは呟く。
まあそうは言いつつもドム達を放置するわけにもいかなかったので、仕方ないことではあるけれども。
化け物じみた攻撃力を持つミーティアではあるが、彼らはその大きすぎるサイズの関係上
余程のパイロットでもない限り集中された火線を避け続けるのは難しい。だから残された兵でもある程度は対策が打てる。
だが目の前のドムトルーパー達は、普通の兵士では荷が重過ぎた。

最善の策は一つ。
自分達が速攻でこいつらを落とすしかない。

ルナマリアはヒルダ=ハーケンと激しくやり合い、アスランにはマーズ=シメオンが喰らい付いている。
そして、自分の前にも1機のドムトルーパー。
最後の1人か。確かヘルベルトっていったっけ。

「もしかして、おたくが俺の相手をするってのか?」
『そういうことだ。……ったく、ついてないぜ。
 デスティニーやアスラン=ザラならいざ知らず、お前みたいな人数合わせの相手をしなけりゃならないとはな』
「おやおや。3人揃って1人前が、偉そうに言ってくれるじゃないの。
 そこまで言うんなら、自分だけで何ができるかやってみろよ。見ててやるから」
『ぬかせ、小僧が!!』

お互い一定の距離を保ちながら周り始める。
ビームも放つが、掠めるばかりで当たらない。直線の攻撃ばかりでは避けられるのか。

「なら、これで!」

トマホークを抜き放ち、刃を投げつけながら叫ぶディアッカ。ドムはサーベルでそれを叩き落し飛び込んできた。
袈裟斬りの一撃。横に跳んで回避したつもりだったが、掠ったらしく機体の表面で火花が散る。
その光景を気にすることも無く、止めとばかりに追随するドムトルーパー。
流石に向こうの方がスピードは早いか。

『逃がすか!!』
「誰が逃げるかよ……さて、どっちが頑丈かな?」

サーベルを振り上げたドムに、相討ち覚悟でビーム砲の銃口を向ける。
スピードで振り回されようと攻撃の瞬間はそうはいくまい。
565CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:12:56 ID:???

命中のタイミングはおそらく同時。ただし肩口に触れるのとコックピットをブチ抜かれるの違いがある。
有利なのはこっちの筈だ。

『………チィッ!!』
「逃がさないんじゃなかったのかよ! 俺はここだぜ!?」

そのことをわかったのか回避に移るヘルベルト。ディアッカはビーム砲を連射しながら舌打ちをした。
できれば今ので決めておきたかったのだが、相手からは慢心が消えたようだ。
次からはそう簡単にはいかないかもしれない。

『あの一瞬で相討ちを狙うか……こんなやつがいたとはな』
「やっぱ雑魚じゃないよな。チッ、コイツに構ってる余裕はないってのに!!」

マーズの援護のため早くディアッカを倒したいヘルベルト。
ミーティアを止めるため早くヘルベルトを片付けたいディアッカ。

それぞれの意思とは裏腹に、2人の戦いは長期戦になりそうだった。





ザフトと反乱軍が総力戦を始め、ドムトルーパーとミネルバのエースたちが戦い始める。
宙域の戦いが熾烈さを増した今この時。月面近くではCE最強を決めるといっても過言ではない戦いが始まろうとしていた。
星空をバックに蒼い翼を広げたフリーダム。その前に立ち塞がるのは紅い翼のデスティニー。
残された最後の対戦カード、キラ=ヤマト対シン=アスカの大将戦である。

『やあ、元気してた? シン』
「おかげさまで」

宿敵との再会に見合わない、まるで待ち合わせた友人に呼び掛けるような気安さでシンに話しかけるキラ。
明るい、いや無理矢理明るく装っている声とは裏腹に、周囲の戦いなど眼中に無いかのようだった。
その様を見たシンは僅かに眉を寄せる。
以前のキラじゃない、なんか揺らいでるのかこいつは。

『長かったのか、それともあっという間だったのかはわからないけれど。ようやくここまで来たよ』
「……そっか。おつかれさん」

まさかなと自分の直感を否定して、シンは軽く首を振った。
以前あいつ自身から聞いた、ラクス=クラインの呪い。たかだか1月足らずで解けるとは思えない。
視線の先のキラは自分を気にした様子も無く、世間話のような口調で話を続ける。
566CROSS POINT (代理):2010/10/11(月) 23:13:14 ID:???

『レクイエムまで、もうそんなに距離はないね。
 フリーダムで飛ばせばせいぜい5、6分ってところだと思うんだけど、どう思う?』
「どう思う、って……それを聞いてどうする」
『破壊するよ、連合軍ごと。そして世界に僕達の力を見せつける。
 ただ、それがあと何分後になるかっていうのが少し気になってね』

言葉に真実味が感じられない。本当の望みは他にあるが、大義名分を口にしているだけのように聞こえる。
心が呪いで磨り減ってしまった結果だと推測すれば納得できないでもない。
ならばキラが揺らいでいると感じた自分の直感は間違いか。だとすれば自分が気にすることは何も無いだろう。
いや、仮に揺らいでいたとしても自分がするべきことは変わらないのだが。

「成程な。だけど、それは無理だ」

キラに向かってにべもなく言い放つ。彼は訝しげな目で自分の顔を見てきた。
その視線を気にした様子も無く、シンは言葉を続ける。

「レクイエムまでは5分 『も』 かかる。そしてアンタがレクイエムに辿り着く事はなさそうだ」
『へえ? 理由を教えて欲しいんだけど』

キラの言葉に沈黙で返すシン。
少し間を空けた後、シンはキラに向かって何を当たり前のことをと言わんばかりに言葉を放った。

「俺が此処に居る。それだけじゃ答えにならないか?」
『なるほど―――十分だよ、それで』

穏やかな話し合いから一変、お互いの雰囲気が変わる。
無駄話はこれで終わり。これからは戦いの時間だ。
開かれたデスティニーの両掌が輝き始める。
フリーダムは両手に持ったライフルを、デスティニーに向けた。

動き出したのは、同時。

右に平行移動しながらライフルを放つフリーダム。デスティニーもそれに追随しながら光弾を放つ。
ぶつかり合うビームライフルとパルマフィオキーナ。威力は互角。
畳み掛けるようにライフルを連射するキラに対し、シンもパルマの連打で応える。
回避と攻撃を同時に行いながら戦場を駆ける両者。


『やっぱり怖いね、君は……!!』
「お前が言うな」


今此処に、世界の行き先を決める最終決戦のゴングが鳴らされた。
567通常の名無しさんの3倍:2010/10/11(月) 23:14:03 ID:???
以上で終わりです。
作者様乙です。
いよいよ本番ですね。
568通常の名無しさんの3倍:2010/10/16(土) 14:45:46 ID:???
ふーりーむーくーなー、涙をみーせーるーなー!
ガチンコが始まりましたな。ドムトリオには死相が見えるけど
569通常の名無しさんの3倍:2010/10/16(土) 23:46:08 ID:WGoOQ4V/
乙です
前回とはキラとシンの立場が逆転してんな
570CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:36:52 ID:???
CROSS POINTの33話を代理で投下します。
571CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:37:09 ID:???

『まだ出撃命令は無し、か。上は何を考えているんだろうな』
『どうせ碌な事では無かろうよ。……どうする? 指揮官はお前だぞ』
「………」

クリーブランドの船橋に男たちの声が響く。
画面の前で腕を組んだまま目を閉じているのは、言わずと知れた本船の艦長。
今は艦隊の司令官である彼に、友人である他の艦の艦長たちが通信を入れてきたところである。

とは言っても、彼らが何を言おうと上の決定が覆るわけではない。
である以上勝手に動くことも出来なかった。
上は一体何を考えているというのか。部下たちの言う通り幾人かが裏で組んでいるのだろうか。
レクイエムを持ち出した時点でキラたちにとって自分たちの価値などないということに気付かんのかあの馬鹿どもめ。
怒りは時間と共に溜まっていくばかり。眉間に刻まれた皺は、爪楊枝くらいなら挟めそうなほどである。

クルーの1人がチャートをスクリーンに映しだす。画面の中でぶつかり合う赤と青の三角形。
しばらく時間が経つと、青の三角形の形が段々と崩れていった。じわじわと後退しているようにも見える。

「ザフト、押されてきましたね」
「………」

副長のぼそりとした呟きにも言葉を返さず、艦長は前方の戦闘を見つめ続ける。
こうなるのはこの場にいる誰もがわかりきっていたことだった。
多数対少数もさることながら、どちらも寄せ集めとはいえ兵の練度が違いすぎる。そしておまけにミーティア部隊。
開戦当初こそシン=アスカやアスラン=ザラの働きで五分の状況まで持っていっていたが
流石にそれも長時間は続かなかったようだ。

『貴様らは本当にザフトなのか!? 何故連合などに加担する!!
 それとも何か、レクイエムでプラントを焼かれる可能性を許容してでも、我らを討ちたいということか!!
 流石はあのデュランダルの手駒だっただけはあるな!!』
『ふざけんな! レクイエムを止めたいならもっと違うやり方があんだろ!!
 連合は大嫌いだけどお前らには殺らせない。こっから先は行かせないんだからな!!』

通信士が戦場の通信を傍受したらしい。戦場ではお馴染みの光景である、両軍の罵り合いが静かなブリッジ内に響いた。
張りのある壮年の男の怒声とまだ年若い少女の声。会話の内容から察して少女の方がザフトのようだ。

「おい、今の声女の子だったぞ……」
「ザフトじゃそんなにめずらしくはないけどな。ってことは俺たちは女の子に守られてるってわけか」
「好き好んで戦場に行きたいとは思わないけどさ。流石にどうかと思うぜ。
 コーディとはいえ自分より若い女の子が必死で守ってくれてんのに、俺たちゃのんびり高みの見物ってのは」

クルーが好き勝手に雑談している。その軽そうな声が己を責める声へと自己変換され、最深部に突き刺さる。
不貞腐れて座っている自分と、その前で両腕を広げ庇うように立つ少女。
そんな絵を幻視した瞬間、己の手の中で何かが壊れる音がした。
572CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:37:25 ID:???

「……お前ら、知ってるか。どこで聞いた言葉かは忘れたが……」

空のボトルを握り潰し周囲の部下たちに話しかける。眉間に刻まれた皺はもう無い。
もう我慢の限界だった。

「この世にはな、2種類の大人がいるんだ。
 自分の責任を果たせる大人と、責任を果たそうと努力する大人。その2種類がな」
「……責任を果たせない大人もいますよ」
「そんなやつは大人じゃねえ。体だけ無駄にでかくなった、甘ったれたくそ餓鬼だ」

気の入っていない副長の言葉に吐き捨てるような声で返し、艦長は再び通信を繋ぐよう命令を出した。
数秒後、画面に面倒くさそうな顔の中年が映る。何を平和な顔をしているのか。

『また君か。もういい加減にしたまえ』
「なに、一言で済むのでお気になさらず。……我らはこれより出撃し、ザフトの援護に入ります。では」
『な!? 何を勝手なことを言っている。こちらはそんな指示は出していないぞ!!』
「確かに、出されてりゃいつまでもこんなとこにいませんわな。
 だが生憎、こちらは政治ごっこや取らぬ狸のなんとやらには興味がないものでして」
『な……』

皮肉を言われ、怒りで顔を赤くする画面の中の男。
落ち着こうとして深く息を吸い、再び自分の目を見据えた。

『覚悟しておきたまえ。君にはおって、沙汰があるだろう』
「それくらいは覚悟していますよ。ただし、その時は今回の貴方の動きを報告させていただきます。
 いやあ、どんな策を講じていたのか楽しみだ」
『貴様、よくも上官に向かってそんな態度を……それでも軍人か!!』
「他人の背中に隠れて粋がる同胞よりも、同じ敵と戦うコーディの方がまだ尊敬に値するというものです。
 それに確かに軍に命を預けちゃいたが、品性まで捨てた覚えはないな。
 ……おい、バカがうるさいから通信を切れ」
「はい」
『待て、貴様――――』

画面が黒く染まり男の姿が消える。
通信士に全軍に発進準備を連絡するよう命令したあと、艦長は深く椅子に座り溜息を吐いた。
腐った連中の相手は疲れる。しかもそういう人間に限って地位が高かったりするのだ。

「……良かったんですか? しつこそうですよ、あの顔」
「知るか。計算ごっこか政治ごっこか知らんが、ガキの遊びに付き合ってやる時間も余裕も無いんだ。
 出世競争にはもっと興味が無いしな。
 俺は天涯孤独の身だ、殺されそうになったらプラントに亡命でもしてやるさ……全責任は俺が負う。全艦、全速前進」
『やっと腹を括ったか。遅いんだよ』
『よっぽどやばくなったときには俺たちも上にかけあってやる。生きてりゃの話だがな。
 それにしてもお前、相変わらず不器用なやつだな』
「うるさい」
573CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:37:54 ID:???

基地から出撃したクリープランドに続く連合の艦隊。命令を守って基地から動かない艦もあったが、別に構いはしない。
どうせ守備部隊は残さなければならなかったのだから、彼らが基地を守るだろう。
だから後顧の憂いはない。後は自分たちの思うがまま動くだけ。
彼らの考えていることはただ一つ。

「――――宇宙の化け物どもに、借りを返しに行くぞ!!」
「了解!!」

自分を助けに来てくれた者たちを。そして今、自分たちの助けを必要としている者たちを。
ただ助けに行く。それだけのことである。





第33話 『腹の底から君の名前を』





『ほらほらどうしたいルナマリア!! 威勢がいいのは口だけかい!?』
「クッ、調子に乗ってべらべらと……!!」

勢い付いたヒルダの声に、ルナマリアは苦虫を噛み潰したような声で言葉を返す。
ドムはバージョンアップがされているのか機体性能では若干向こうが上。
遠距離の撃ち合いもスクリーミングパスやギガランチャーなどむこうの武装が充実しているため此方が不利。
かと言って接近戦でも劣勢が続いていた。
ビームアックスは破壊力は十分だがその攻撃方法は打ち降ろすか薙ぎ払うに限定されることもあり
本来は一撃離脱の強襲がメインであるため、サーベルを持っているドム相手ではそこまで優位に立てないのだ。
乗っているのがインパルスならいくらでも決めるチャンスがあったのだが、流石に無いものねだりは出来ない。

『甘い!!』
「ちっ……」

油断をしていたわけではないが、思考で僅かに動きの鈍った隙を突かれた。
ギガランチャーから放たれたビームを避け損ね、左腕が爆発を起こす。

「あうっ!!」
『はははっ、よく避けたねえルナマリア。でもそろそろ幕といこうか。
 あんたにはあの世でラクス様の話し相手をして貰わないといけないからねぇ!!』

反論も言い訳もできない。今の自分は劣勢だ。
このままでは間違いなく落とされる。間違いなく、自分はここで―――
574CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:38:10 ID:???

言葉が終わるとドムは武器をサーベルに持ち替え、ザクとの距離を詰めた。
鈍重なビームアックスの一撃は脅威ではないと踏んだのか、ヒルダが最後の攻防に選んだのは皮肉にも接近戦。
スラッシュザクの得意な土俵で倒すという意地悪な理由を選んだわけではなく、ただ単純に確実に止めを刺すためだろう。
そして今の流れではその判断を否定する材料が無い。

負けるのか。こんなところで自分は死ぬのか。

以前いいようにやられたこの眼帯女に借りを返せずに。
コニールやあのステラとかいう強化人間との決着も付けずに。
結婚式も、ウェディングドレスや誓いのキスも、コニール目掛けてブーケを投げるのも何一つできずに。
そして、シンの子供も生まずに死ぬのか。
こんな結果ならベルリンで大人しく待っていた方が全然マシだったじゃないか。なんで自分はこんな所に居るんだ。

「シンと……あいつと、いっしょに……」

そう、そうだ。自分は戦場に何しに来た。
守るためだろう、あいつの背中を。
昔の様に、あいつの隣に立つ為に。

「たたかうんだ……」

ぶつん。頭の中で何かがキレる音がした。
死ぬのなんてごめんだ。守られるのもごめんだ。
去っていくあいつの後姿を黙って見送るなんて、金輪際ごめんだ。
王子様のキスを待って、延々眠り続けるお姫様の役なんてやってられない。
王子様が逃げるのなら捕まえよう。嫌いだというなら自分に溺れさせよう。
足りないものがあると言うのなら、最高の女にまで登りつめよう。

ねだるな、勝ち取れ。さすれば与えられん。
それこそがルナマリア=ホークのプライド。

「たたかうんだ!」
『ぐぅっ!?』

ドムがサーベルを振り上げた瞬間、手にしていた突撃銃をカウンター気味に叩きつける。
続けざまに至近距離からショルダータックル。
衝撃で動きが止まったドム。その両腕を押さえると同時に、両肩のハイドラが回転速度を上げる。
零距離射撃、狙いをつける必要はない。ただ引き金を引くだけ。
575CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:38:33 ID:???

そう、こんな年増に邪魔されてる場合じゃない。
わたしはこれからもずっと、あいつのそばで――――

『や、やめ………』

「シンと一緒にたたかうんだ!!! 邪魔をするなぁぁぁぁ!!!」


ルナマリアの絶叫が宙域に響き渡る。
同時に光がドムトルーパーの装甲を貫き、そのままヒルダ=ハーケンの肉体ごと呑み込んでいった。





『どうした……まだ俺は戦えるぞオラァ!!』
「チッ、なかなか粘るな……」


交錯する光。流れ弾にぶつかり爆発するデフリ。ぶつかり合うアスランのセイバーとマーズのドムトルーパー。
満身創痍のドムに比べ、セイバーはその身体に掠り傷一つ付いていない。
どちらが優勢なのかは言うまでも無い。いや、むしろマーズがよくここまで粘っているというべきだろう。
舐めていたわけではないが面倒臭い相手だった。アスランは思わず舌打ちをする。

『邪魔をするなぁぁぁぁ!!!』

不意に、離れた場所で爆発が起こる。視線の先では紅いザクがドムを撃墜したところだった。
このまま月へ向かおうとしているのか、彼女はそのままこの宙域から離脱していく。
流石はルナマリア。ブランクのある身であのヒルダを討つとは並大抵の実力ではない。
元FAITHは伊達ではなかったか。

『そんな、ヒルダ!?』
『―――正気かよ!!!』

女戦士たちの決着は、残った2組の戦いの均衡が崩れるきっかけとなった。
ヒルダの撃墜に動揺し思わず動きを止めるヘルベルト機。その隙を歴戦の戦士たるディアッカが逃すわけもなく。
気が付けば、ドムの中心を紅い閃光が貫いていた。

『ヘルベルトォ!!!』

爆散するドムを目にし、悲痛な声を上げるマーズ。
チームを組んでいた者たちがこの数秒の間でいなくなったのだ。無理も無い。
576CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:38:47 ID:???
『よくも……よくも俺の仲間たちを!! テメェら絶対に許さねえ!!』
「許しは請わない。だが仲間を死なせたくなかったんなら、なんで戦場に出てきた。
 なんで再び銃を取った。……なんで近くに居たのにキラを止めようとしなかった!!」
『うるせぇぇぇ!!!』

残された左手でサーベルを握り、怒声と共に突貫してくるドムトルーパー。
怒りに呑まれ防御を考えていないその攻撃。
隙だらけなその姿に昔の自分たちの姿を見たアスランは、思わず奥歯を噛み締めた。

『うおおおおっっっ!!!』
「……いつか必ず、謝りに行く。だから」

許しは請えない。止めなかった彼らをこれ以上責める気も無い。今の自分に出来るのは一つだけ。
アスランは両手に握ったサーベルを頭上に掲げ

「さよなら」

無造作に振り下ろした。





『一つ、終わっちまったな』
「……ああ」

背後の爆発には目を向けず、アスランはディアッカの声に力無く答えた。
戦闘狂の彼らとは仲が良かったとは言い難かったが、かつては仲間として同じ敵と戦った時期もあったのだ。
道が分かれたとはいえ良い気分などするわけもない。心がずしりと重みを増した。
疲れた、早く帰ってメイリンを抱き締めたいという甘えの心をどうにかして振り払う。
まだ、それを考えるのは早い。

『じゃあ俺はミネルバの援護に行ってくる』
「俺はシンたちの方へ行く。そっちは任せた」

気を利かせたのかそれとも時間が惜しかったのか。おそらくはその両方だろう。
ディアッカのザクはバーニアから光を吐き出して去って行った。
アスランはどっと重くなった身体を動かし、セイバーを変形させる。
シンとキラが何処で戦っているのかはわからない。だがこの機体なら数分で追いつける筈だ。
577CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:39:01 ID:???
「……ん?」

レーダーのレンジを変える為パネルを叩く。ルナマリア機の進行方向にフリーダムの存在が確認された。
ここからはそう大して離れていない。それは良い。
だが、キラと戦っている筈のデスティニーの信号が確認できないのはどういうわけだ?

『嘘だ……こんなの嘘だよ……!! シン、なんで返事してくれないんだよ!!』
『コニール、デスティニー以外の回線は全部こっちに廻しなさい!! 貴方はシンに声を掛け続けて!!』

ミネルバに通信を繋ぐと、妻と友人の余裕の無い声が聞こえてきた。同時に、猛烈に嫌な予感が胸を支配する。
ちょっと待て、なんだこの声。これじゃまるであいつが―――

『アスラン、聞いているんだろ!? 君はシンの所に向かうんだ!! 急いで!!』
「りょ、了解!!」

余裕の無さそうな戦況に、先ほどまでの脱力感は吹き飛んだ。セイバーを全速力で走らせてフリーダムの許へ向かう。
レーダーの様子は相変わらず。コニールとルナマリアの悲痛な声だけがコックピット内に響き続ける。
まだ戦いが始まってそこまで時間は経ってない。だからこの現実が信じられなかった。


まさか。
シンが敗れたって言うのか。





時を遡る事10分前。戦場を月面に移しながら、キラとシンの戦いは熾烈を極めていた。
機体の性質こそ違えどもその性能はほぼ互角。相対するはCEのパイロットTOP3のうちの2人。
そう簡単に決着する筈も無い。

『はあああああっっっ!!!』
「おおおおおおっっっ!!!」

自らを鼓舞し、相手を威嚇するかのようなキラの叫び。それに応えるかのようにシンも吼えた。
操縦者の感情に呼応し、デスティニーの主機関も爆音を響かせる。
片手でバーニアのスロットルの調整・敵の照準調整をしつつ、ロックオンと同時にトリガーを引く。
ボクサーが放つワンツーの様に時間差で突き出された両掌。そこから光弾が2発放たれるが

―――手応えはない、か。
578CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:39:13 ID:???

土煙を上げる月面を背後に、フリーダムが接近してくる。まるで漆黒の宇宙を切り裂くかのようなその鋭さ。
視界の隅でビームサーベルの光が見えた。咄嗟にフットペダルを踏み込むシン。
その瞬間、デスティニーが尋常ではない速度で後ろに跳んだ。
予想以上の衝撃に思わず意識が遠のくが、気迫でそれを繋ぎとめる。
丁度眼前をサーベルの刃が通り過ぎる所だった。両掌から散弾を放って距離をとる。
危ないところだったがなんとかしのいだようだ……しのいだ?

「こいつ、もしかして……」

先ほどから感じていた違和感。
気付いていなかったわけじゃない。だが今の攻防で確信した。
前回の戦いに比べて、今のキラには迷いがある。
いや迷いと言うほどでもないのか。無意識の躊躇いと言った方が近いかもしれない。
周囲の人間や機械にも計測できないほどの、僅かな攻撃の鈍り。
おそらくキラ本人も自覚してはいないだろう。

前回のキラなら踏み込んできた領域に、今のキラは踏み込んでこない。
確かにそこは危険な領域。一瞬のミスが命取りになるようなシビアな世界。
だが今までのキラなら平気で踏み込んできた場所だ。むしろそこを支配する事こそキラの真骨頂だったはず。
だからこそヤツは、誰も届かない高みにいられたのだから。

何故踏み込んでこない。恐れているとでもいうのだろうか。だが何を恐れているというのか。
死ぬ事か? ……まさか。キラに限ってそれは無いだろう。

『当たれぇぇぇっっ!!!』
「チッ……!!」

フリーダムからドラグーンが射出された。小刻みに動いてその攻撃をかわすデスティニー。
どうやら余計なことを考えている場合ではなさそうだ。
理由はどうあれ完璧じゃない。完璧じゃないなら、付け入る隙がある。
両肩のウェポンラックから、アロンダイトとスコールを取り出し構える。
一体何を迷ってるのかは知らないが――――

「その程度で俺に勝てると思うなよ、キラァッッッ!!」





なんで、自分はこんなにてこずっているんだろう。
頭のどこか、戦闘を行っている場所とは別の部分でそう考える。
579CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:39:27 ID:???

キラ=ヤマトは焦っていた。

確かにシンは強い。
驚愕すべき反射神経と一瞬の判断力。そして勝負にかける執念。
だがそれは以前から分かっていたこと。
前回の終盤で何か吹っ切れたみたいだが、それでもここまで手こずる相手ではなかった筈だ。
あれからたかだか数週間。そんな短期間で人間が急に、腕を上げることなどできはしない。
ならば自分の腕が落ちているということか。しかし何故。
思考する暇も無く、デスティニーから光の雨が降り注ぐ。

「くっ!!」

前回はあれほど容易く回避していたマシンガンも、今では避けるばかりで反撃に移れない。
近接戦闘もシンの反応の良さとアロンダイトの破壊力の前にイニシアチブを取られてしまう状況。
自然とドラグーンに頼る戦い方になるが、既に4つほど落とされていた。
シンにはドラグーンは通用しない。
かつての宿敵であるラウ=ル=クルーゼの写し身、レイ=ザ=バレル。
その親友でもあった彼は全方位攻撃に耐性があるのか、前大戦でも自分のドラグーンを全て回避していたのだから。

『その程度で俺に勝てると思うなよ、キラァッッッ!!』

圧力が増すデスティニー。反応の遅い身体。いつもより狭い視界。
これまでの戦いとはどこかが違う。もしかしたら、自分は本当にここで死んでしまうかもしれない。
アロンダイトの一撃、マシンガンのの乱射。
どれも命中すれば、確実にフリーダムを撃墜することができるだろう。
その場合自分はまず助からない。

以前の自分はそれを望んでいた。
戦って死ぬ。それは他のどんなことよりも甘美な誘惑だった筈なのに。
だけど今はそれが、とても。

ドラグーンを掻い潜り、それに合わせたライフルの一撃も避けて、ついにデスティニーが懐に入り込んだ。
アロンダイトをフリーダムに向かって振り下ろす。
完璧なタイミング。完璧な一撃。キラは思わず目を閉じた。
これで終わりか。
そう呟いた瞬間、瞼の裏に何かが浮かんだ。

楽しそうに笑う少女。嬉しそうに歌う少女。元気いっぱいに走り回る少女。
こちらを見て、ゆっくりと言葉を紡いだ。
580CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:39:40 ID:???


おとうさん。


「――――――ッッッ!!!」

その瞬間、死へと流されていた自意識が復活した。
幻聴、幻覚、それがどんなものだって構わない。その映像は折れかけたキラの精神を再び立ち上がらせる。
同時に頭の隅に血だらけの女性の映像が浮かぶ。しかしキラはそれを一瞬で振り払った。
申し訳ないが今はそれどころじゃない。
たとえ無様な姿をさらそうと、世界中の人間に嫌われようと、彼女に否定されようとも今は死ねない。
喪失、孤独。あの娘をそんな悲しい目には、もう2度と―――――

『避けた!?』

完璧なタイミングの一撃を回避されたデスティニー。シンの驚く声が聞こえる。
だがそれは当たり前のこと。
自分は彼女に教えた。あの少女の父であるキラ=ヤマトは、『すごく強い』のだと。
ならばこの程度で死ぬなどありえない。
それに自分にはもう一つ思い出したことがある。

「約束、したんだ……」
『何!?』

勝機は続いていると見たか、デスティニーが猛攻を仕掛けてくる。
吹き荒れるアロンダイトの剣嵐を、器用に両手のビームサーベルで流し、捌いた。

「あの娘と、約束したんだ……」
『何を言っている、キラッ……!?』

君のおとうさんは負けないって。
必ず帰るって。
だから。
だから――――

「僕は生きる!! 生きて!! 帰って!!

 ―――――あの娘を抱きしめてやるんだ!!!!」

眠っていた己の意思、生きようとする力が目覚める。
身体中がいつもの様にクリアになり、目の前の問題に対して最適解が即座に浮かんできた。
ようやく己を取り戻した事を全身が理解する。
思いだけではない。力だけでもない。
迷いの無い、かつてラクス=クラインに従って世界を統べた、あの頃のキラ=ヤマトを。
581CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:39:55 ID:???

『なんだと……!?』

自分の言葉にデスティニーの動きが僅かに鈍った。
この隙は逃さない。今までの攻防とは逆に、デスティニーの懐に入り込んだ。

「だから僕は、君を討つ!!!」
『キラ、おまえ……ぐぁぁぁぁッッッ!!!!』

機体を回転させながらデスティニーを蹴り落とす。
月面に叩きつけられる機体。コックピットに衝撃が奔ったのか、一瞬デスティニーの動きが止まった。

勝機。

動かないデスティニーに向かって全砲門を開く。フルバースト。
襲い掛かる閃光はビームシールドで防がれた。だが構うものか、どうせ全身を覆うことはできない。
そのまま撃ち続ける。

「まだだ……まだだ……まだまだ…」

思い出すのはかつての戦い。シンに追い詰められた数年前。
幾度倒しても復活してきたインパルス。
まだ攻撃を続けるのは、あの出来事がトラウマになっているのかもしれない。

『やめてくれ……シンが死んじゃうよ……』

誰かの泣き声が聞こえる。だが攻撃の手は緩めない。
さらなる連射を。一心不乱の連射を。
シールドの防御の上から豪雨の様にビームを、レールガンを、頭部のバルカンを叩きつけ続ける。
砂埃の様に巻き上がる岩の破片。もう目視ではデスティニーは確認できない。
だがまだ攻撃の手は緩めない。
多分シンはまだ生きている。これくらいで死ぬとは思えない。死ぬ訳が無い。
彼は不屈。少しでも力が残っていれば、自分から勝利を奪うだろう。
だがそれだけは認められない。帰ると決めたのだ。勝つと決めたのだ。
自分の帰りを待っている彼女の為に。
まだまだ攻撃を加え――――――
582CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:40:17 ID:???

『もう、やめろよぉ!!!』

コックピットの中に女性の声が響く。
発信元はミネルバか。思わず攻撃の手を止めてしまった。
再開しようと思ったが彼の反応は無い。これで終わったのか。
土埃が晴れていく。煙の中で、微かに輝く緑光が見えた。
そっと消えるビームシールド。全身の色を失い、灰色に変化していく機体。

デスティニーが、力無く横たわっている。

『シン!! いやぁぁぁぁぁ!!!!』
「――――落ち着いて。気を失ってるだけだ」

泣き叫ぶ少女に言葉をかけつつ動かなくなったデスティニーを見下ろす。予想通り、シンは意識を失ったようだ。
そっと息を吐き出す。どうやら自分は勝つ事ができた。
デスティニーにはあちこち損傷はあるものの、意外にも致命的な損傷は無さそうだった。だがそんなもの今から戦闘不能にすればいい。
アスランも残っているが、セイバーではフリーダムに乗った自分には絶対に勝てない。
あとはいつものように有象無象を狩って、レクイエムを破壊すれば終わりだ。
これで帰れる。彼女のところに。

「シン、本当にごめん。こんなの友達にすることじゃないよね。
 だけど君の行動は……君が戦場に戻ってくれたことは、絶対に無駄にはしないから」

動かないデスティニーにビームライフルを向ける。当然コックピットは狙わない。MSの四肢を破壊するだけ。
あれほどまでに攻撃しておいて今更だが、シンには死んで欲しくない。

「じゃあね。もう、戦わなくていいから」

ライフルが光を放つ。4連射。
デスティニーに向かって吸い込まれるように近付いていき―――

『それは、させない』

赤い影に、阻まれた。
583CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:40:30 ID:???





『ルナ!! シンが、シンが!!!!』
『落ち着きなさいコニール!! 外傷は無いんでしょ!? 気を失っているだけよ!!』

女2人の叫び声を聞きながら、アスランはフリーダムにライフルを向ける。
間一髪なんとか間に合った。シンの護衛はルナマリアに任せれば良いだろう。俺があいつの心配などしても意味は無い。
今はただ、目の前のフリーダムに集中する。

『セイバーか。邪魔だよアスラン、もう勝負はついたんだ。シンには悪いけど、彼の出番は終わった』
「……あいつは。シンはまだ、負けてはいない」
『この状況を見て、まだ君はそういうことを言うのかい? 後は止めを刺せば終わりなんだけど』
「それでもだ。これ以上、シンをやらせはしない」

フリーダムを睨みつけながら答える。
機体の性能差は大きく、自分は手負い。正直勝算など無い。
だが迷いも無い。やるべき事ははっきりしていたから。

仲間を。いや、友を救いたい。
セイバー。俺に力を貸してくれ。


「―――――俺が、させない」
584CROSS POINT (代理):2010/10/20(水) 00:41:33 ID:???
以上で終わりです。
作者様乙です。
クライマックスクルー
585通常の名無しさんの3倍:2010/10/21(木) 20:11:49 ID:???
ヒルダェ……(;´д⊂)
あのニコッでポッは結局特大死亡フラグになっちまったか……
撃破されるシーンなんてこれまでifやアフターでいくらでも読んできたけど
やはり29話の後だと辛すぎる…
決着は楽しみなれど、なまじ日常や平時の描写が細やかなだけに
落ち込む回数も増えそうだなあorz
586通常の名無しさんの3倍:2010/10/21(木) 22:38:42 ID:???
GJです。
アニメ版無印メダロットの最終話の名台詞をここで見る
とは思いませんでした。
587通常の名無しさんの3倍:2010/10/22(金) 07:16:47 ID:???
ひよこ売りェ
588通常の名無しさんの3倍:2010/10/30(土) 00:53:54 ID:???
ふと、種死の主人公が
シンでもマユでも無く
アスカ父だったらなどと言う発想が
大脳の奥から湧き出てきた

妻子の死、祖国への失望、プラントへの移住、入隊
家族を奪った戦争を憎む男は喪失に次ぐ喪失に見舞われ・・・
成人男性としての視点・思考であの話の中に巻き込まれたらどうなるのか

まぁ問題点はというと、アスカ夫妻って名前設定あったっけ、って話ですが
あったっけ

そして今気付いたが、このネタってテム=レイがガンダムのパイロットだったら、って奴と被り気味ね
589通常の名無しさんの3倍:2010/10/30(土) 02:14:18 ID:???
ザフト正規軍で頭角を現わすよりサトーと意気投合して一派に加わりそうな気もする。
あと公式ではファーストネームは無いようで、各二次で必要に応じて名付けられてる程度みたい。
アムロスレのロンド・ベル物だとユウジ・アスカ氏とされてたな。
590通常の名無しさんの3倍:2010/10/31(日) 16:12:14 ID:???
ザクレロさん・・・
591CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:42:46 ID:???


睨み合った紅と蒼の機体。
場所や機体に違いはあるものの、それはいつかと同じ構図だった。

少しの間目の前の相手に合わせて動かなかったキラだったが、微動だにしないアスランに思わず眉を顰める。
機体の性能差は圧倒的だ。そしてそんな格上の相手に守勢に廻ったところで敗北は目に見えている。
それなのにセイバーは動く素振りを見せない。その事実が意味することはただ一つ。
シンの目覚めを待っている。

「俺がさせない、か。―――情けないもんだね。
 あのアスラン=ザラが、策も無く時間稼ぎしかできないなんて」
『………』
「言葉も無しか。まあいいよ。もう君は僕の敵じゃない」

キラが挑発めいた言葉を吐いた瞬間、セイバーがフリーダムに向かって飛び込む。そのまま居合いの様にサーベルを一閃。
後ろに跳んで避けるキラ。アスランは構わず距離を詰めてきた。
もしかしたら未だに接近戦に活路を見出しているのというのだろうか。だとしたら論外だ。
フリーダムの機動力はCE最高。サーベルも両手に持っている。
遠距離攻撃のフルバーストに目が行きがちだが、接近戦でもフリーダムを越える機体なんて存在しないのだから。
そもそも彼が自分に勝てないのはそんな問題じゃない。もっと根本的な問題だ。
攻撃は確かに鋭いが、この程度は予測の範疇。簡単にカウンターが取れる。
こんなふうに。

「はぁぁぁっ!!!」

攻撃してきた腕にサーベルを振り下ろす。先程までならいざ知らず、今のキラには迷いが無いのだ。
いつもの様に、持っていたサーベルごとセイバーの右手が切り落とされた。
見飽きた光景に当たり前の結果。溜息を吐いてアスランを見下ろすキラ。だが、

『キィラァァァ!!!』
「ぐぅっ!?………クッ」

拳を失った手首で殴りつけられた。
吹き飛ばされるフリーダム。衝撃だけで、機体のダメージなどほとんど無い。
だが効いた。これまでのどんな攻撃よりも。
鉄拳制裁。そういえば、アスランに殴られたのはこれが初めてだ。

『一度勝利した。MSの性能が下がった。
 ……まさか、たったそれだけで俺の力を軽く見たわけじゃないよな?
 忘れたというなら思い出させてやろうか。かつてストライクを落とし、お前が負けたシンに勝ったのは誰だった?』
「アスラン……味な真似を……ッ!!」
『今の俺を甘く見るなよ………構えろキラ。
 お待ちかねの、本気になったアスラン=ザラだ。足腰立たなくなるまでぶん殴ってやる』
592CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:44:06 ID:???

背筋が凍るような重圧。どうやら自分は寝ていた猛獣を起こした。

「何を今さら……そこをどくんだ、アスラン!!」
『させないと言ったぞ、キラ!!』

だがもう遅い。今の自分には生きる理由がある。勝たねばならない理由がある。
だからこんな所で負けられないのだ。あの子が待っているんだから。
自分を救ってくれる、あの子の笑顔が待っているんだから。





第34話 『メサイア』





気が付けば、一面の花畑の中に立っていた。
シンは現在の状況を上手く認識できないまま、ぼんやりと目の前の光景に見入る。

フリーダムに敗れたとは感じていたが、もしかしたら自分はそのまま死んでしまったのだろうか。
そしてここは死後の世界か。
もしそうだとしたら随分ベタだなと思う。ついでに三途の川でもあれば良かったのだが。
そんなどうでもいいことを考えながら辺りを見回す。地平線なんて初めて見た。
周囲には色とりどりの花の他には何もなく、風すら吹かない。

ただ、暖かい空気だけがそこにあった。

「お、1名様ごあんな〜い……ってか?」

背後からの声に思わず振り返る。
そこにいたのは岩に腰を落としてギターの弾き語りをしている青年。シンの視線に気付き、演奏を止めて軽く手を振る。
オレンジの髪にザフトの赤服。その服装や気さくな態度、どこかで見た気が―――

「よう、ひさしぶりだな。元気そうで何よりだ。つっても俺たちはずっと見てたんだけど」

アンタは確か、ヴェステンフルス隊長……?

「ハ・イ・ネ。……俺のことは呼び捨てにしろって言わなかったか?
 でもまぁ正解だ。ミネルバには少ししかいなかったのによく覚えてたな。
 俺なんかの事を覚えてくれてるなんて、実はいいやつなんじゃないかお前」
593CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:46:27 ID:???

軍に居たらグフをよく見たからな。だから覚えてたのかもしれない。
アンタ以上のグフ使いは見たこと無かったし。
FAITHになるほどだったんだから、当たり前のことなのかもしれないけど。

「そうか、素直に喜んどくぜ。まあ死んじまっちゃあ意味無いけどな」

微妙に返答に困る言葉を吐きながら、ハイネは笑う。
その笑顔に思わずシンも苦笑を返した。人誑しな性格は相変わらずか。

「……んで、何か聞きたそうな顔をしてるな。まあ言わなくてもわかるけど」

言わなくてもわかるんなら説明が欲しいというのは贅沢なのだろうか。
そういう視線を向けてもハイネはどこ吹く風といった感じで目を逸らした。
どうやら教えては貰えないらしい。本当はわかってないだけかもしれないが。
この場所の居心地は悪くないけれど、それよりも先に確認しなければいけないことがある。

ここは、どこだ。

「あくまで予想に過ぎないが」

声と共に近づいてくる3つの人影。
向かって右の人物は自分を叱り、見守り、そして心配してくれていた女性。
左にいるのは自分が夢を託そうとした人物。そして

「お前の心の中じゃないのか?」

その中央にいるのは金髪の青年。相変わらずの無表情で此方を見つめている。
しかしなんでここが俺の心の中だと思うんだろうか。
そんな自分の疑問に、親友は僅か微笑みながら答えた。

「暖かくて優しい世界……ここはその言葉が相応しいからな」

そっか。……そういや言うのが遅れたけど。
久しぶりだな、レイ。

「ああ、そうだな。……本当に、久しぶりだ」





それからしばらく5人で話をした。
思い出話。ハイネによる新曲の弾き語りとその感想。艦長と議長の関係について。
そして、自分たちの今の現状について。
594CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:47:53 ID:???

「『あの娘を抱き締めてやるんだ』 って言ってたわね。あの子」
「今更って言うか、なんでこのタイミングで気付いちまうんだって言うか。
 救いが無さ過ぎるね、まったく」
「おそらくは彼もその事に気付いているのだろう。そしてもう後には退けないことも。
 あの叫び、私には泣き声にしか聞こえなかった」

3人の言葉に頷く。いくらシンでもあそこまで言われれば流石に理解した。
あいつは、キラはもう呪縛から解き放たれている。
だからどうだということもないのだが、始めの一歩を踏み出した理由がなくなって拍子抜けしたのも事実だ。
そして、良かったなと心のどこかで安堵している自分もいた。

このまま負けても良いのかもしれない。このまま死んで、この場に留まっても。
なんだか思考がそんな弱気な方向に進んでいくのだが、押し留めようとする何かがある。
何か未練でも残っているのだろうか。自分の思考を纏めきれない。

「お前は、これからどうするつもりだ?」

どうするもなにも。
現実に戻ったところですることは変わらない。キラと戦い、そして倒す……いや、殺すだけだ。
今更レイもそんなことを聞いてないと思う。聞いてきたのはおそらく、かつての自分の愚痴の答え。
呪縛から解き放たれた友人。彼の目指す明日を踏み潰して、その後自身はどんな明日へ向かっていくのか。
確かに、せめてそれぐらいの行き先は定めないとこの戦いに何の救いも見出せない。

自分のこれからに腹を括るほどのものがあるわけじゃない。だから答えなんて出せやしない。
いつも自分は間違ってばかりだった。盲目的に信じるばかりだった。周囲に流されるばかりだった。
蜘蛛の巣が張った己の脳味噌で必死に考えたところで、きっとまた今回も間違えるのだろう。

でも、だからこそ気付いていた。正解不正解は関係ない。
今から出す答えだけは、結果はどうあれ絶対に悔いのあるものにしてはならないと。

「誰となら戦いたい? 誰の為に生きたい? 細かいことなんて考えなくて良いからさ」
「向かう道は貴方自身が決めなさい。私たちのようになってはダメよ」
「迷ってしまうのは解る。行くべき道を不安に思ってしまうのも………だがね、シン。
 君がしたい事。君が望むもの。それは、君自身が1番よく知っている筈だ」

俺がしたい事。俺が望むもの。
それは何だっただろうか。俺は今まで何の為に生きてきた?
贖罪の為に生きていた。そう、確かその筈だった。
だけど苦しくはなかった。笑う事も多かったと思う。

そんな風に生きていられたのは、どうしてだったか。

「耳を澄ましてみな。聞こえる筈だぜ?」
595CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:49:40 ID:???

――――おきなさいよ、しん。

――――めをさませ、このばか。

ハイネの言葉に従って目を閉じ耳を澄ますと、どこかで自分を呼ぶ声が聞こえた。
呆れるような優しい声と甲高い叫び声。だがそれは決して不快ではなく。
脳裏をよぎる、強い眼差しと震える肩。

思い出した。

ベルリン。
復興作業。
医学書。
ミネルバ。
仲間たち。

そして、2人の少女の存在を。

「俺は……」

口から出た声に、自分で驚く。
そういえば自分はさっきから喋ってなかった。

「レイ。俺は」
「答えは出たようだな。早く戻ってやれ、彼女たちはお前の大事な仲間だろう?」
「………いや、ちょっと違う」

今ならわかる。気付くのが遅すぎたかもしれないけど。
今なら言える。答えをどうするかなんて決めてはいないけれど。
ルナマリア=ホーク。コニール=アルメタ。彼女たちは俺の―――

「俺の、たからものだよ」

驚いたように目を開き、そして笑いだす親友。
そういえばコイツの笑顔は、いつも無愛想なぶん余計に優しく見えてたっけ。
気が付けば他の3人も笑っていた。

「フッ、わかっているなら早く行け」
「ああ。またな」
596CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:50:50 ID:???

背を向けて歩き出す。4人の気配が消えたのを感じても、振り返ることはしなかった。
彼らが自分を救ってくれるからといって、いつまでも世話をかけるわけにはいかないからだ。
どうせいつかはまた会える。
精々その時に目一杯、お礼や、愚痴や、土産話でもしてやるさ。


だから―――


足を止める。目の前には金髪の少女。
おそらく一生自分の心の中に存在し続けるであろう存在を、シンは正面から見つめた。

いつの間にか周囲の花畑は消え去り、彼女と別れた雪の降る湖に場所を変えている。
先ほどまでとは違い、暖かくもなく優しくもない場所。
見ていて少し悲しくなってきた。
彼女には、いつまでもこんな場所にはいてほしくなかったから。

「ステラ。君はずっと、ここにいたのか」

彼女は何も答えない。口を開くことも、頷くこともなかった。
だが別に構わない。伝えたい言葉があったから。

「ごめんなステラ。もしかしたら俺は、君をベルリンで生きる言い訳に使ってたのかもしれない」
「………」

まず口から出たのは謝罪の言葉。ベルリンで暮らしていたのは間違いなく自分の意思である。
しかしそれは純粋なものではなかった。
ステラの償いのためと考えてはいたが、それは裏返せば自分の過ちから目を逸らしていたことにも繋がる。
結果的には自分も加害者の1人なのだ。ステラが悪いことをした、だから代わりに自分が謝るなんて他人事じみた態度はもうできない。
自分の意思であの場所と向き合わなければ。

「いや、かもしれないじゃないな。多分今も心の何処かで言い訳に使ってるんだろう。
 でも俺、あの場所が好きなんだ。それにあそこには大事な人達もいる。
 だから……だからさ。だから俺、これからもベルリンで生きていくよ。
 償いとかそんな想いじゃない。
 ただ自分の為に。自分の望むものの為に」

―――――自分の大事な人達の為に。他の誰でもない、自分自身がそう強く願ったから。

それは区切りの言葉だった。彼女への想いとこれまでの自分に対しての。
それを聞いても彼女は何も答えない。表情も変わらない。
ただ、じっと自分に顔を向けたまま。
597CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:52:59 ID:???


瞳をみつめて想いを吐き出す。
最後に、ずっと言いたかった言葉を彼女に告げる。

「ありがとう。ありきたりな言葉だけど、君に出会えて良かった」

全部吐き出した。これでおしまい。
けれど、やはり彼女は何も答えなかった。
もしかしたら此処にいる彼女は、懺悔の対象として自分が作り上げたものかもしれない。

だがそれでも構わない。

理由を彼女に押し付けずに。自分の意思で、自分の道を貫き通して。
いつか、ここでもないどこかで、きっと彼女にたどり着く。
その時が来るまで生きる。そう決めた。

そう、決めたんだ。

不意に地面が割れ、シンの足元が暗くなった。できたクレバスに身体が沈んでいく。
いや落ちていくというよりは、身体が闇に包まれていくような感覚だ。
驚きは無い。夢は終わり。
きっと今から、現実に戻るのだろう。

気が付けば、彼女が落ちていく自分を見下ろしていた。
再び絡み合う視線。
もう2度と忘れることが無いようその顔を記憶に焼き付けていると、彼女の口が開いた。
吐き出されたのは僅かに一言。


――――また、あしたね。シン


泣きそうになった。絶対夢だこれ。自分にこんなに救いがあっていい筈が無い。
だがはっきりと聞こえた。忘れてしまいそうだった彼女の声が。
しかも自分に笑顔まで向けてくれている。
夢じゃなきゃつまらない自己満足の具現化とかそんなもんだろう。
だがそれが幻だろうとなんだろうと、シン=アスカがステラ=ルーシェの声に答えないなんて事はありえない。

「ああ」

だから思いきり笑ってみせてやった。彼女に初めて見せる、心からの笑顔で。
そして言った。その日が来ることを、心から願って。
598CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:54:24 ID:???


「また、明日な」


生きている限り明日はやってくる。
だからそれまでは精一杯生きようと、再びシンは誓った。

いつか。彼女と自分の明日が交差するまで。





「だああああああッッ!!!」
『おおおおおおおッッ!!!』


両手に握ったサーベルで猛攻を仕掛けるフリーダム。しかしその猛攻をセイバーは1本のサーベルで器用に捌く。
予想外のアスランの粘り。その光景を目の当たりにしたキラは思わず舌打ちをする。
これも受けるのか。一体彼はどこまで粘るというのか。

フリーダムと比べてセイバーの射撃兵装は貧弱だ。本来ならば遠距離から多角的な攻撃を仕掛ける安全策で良いだろう。
しかし今のアスランの狙いは時間稼ぎである。形にこだわらず、シンが復活するまでしのげばいい。
遠距離からの射撃では防御や回避に専念されてしまうため、結果的に向こうの計算通りになってしまう。
だから選択肢は接近戦しかなかった。片腕というアドバンテージもあるので否定する理由も無い。
しいて言うならそんな状況でもアスランがここまで粘るとは思えなかっただけで。

普通のやり方じゃだめだ。
そう判断して残されたドラグーンを射出し、その全ての行き先をセイバーへと向ける。
そして搭載されたビーム砲は使わずにただ速さだけを高め、ミサイルの様に突っ込ませた。
自分の近接攻撃が終わった瞬間に4方向からの突撃。いくらアスランでも片腕では捌ききれない。
ドラグーンがフェイズシフト装甲と衝突し爆発した瞬間、両手のサーベルをライフルに持ち替える。
バランスを崩し無防備なセイバーを6つの砲門が捉えた。

「当たれぇぇぇぇ!!!」
『ちっ、ぐああああっっ!!!』

爆発を起こし吹き飛んでいくセイバー。戦いを終えてキラはゆっくりと息を吐く。
残ったドラグーン4基を特攻させてからのフルバースト。
持てる力の全てを使い、ようやくアスランに勝つことができた。
セイバーの破壊箇所は右腕・右肩・左足、そして右側のアムフォルタス。もう碌な力も残ってはいまい。
だがもしアスランが乗っていたのがセイバーではなくインフィニットジャスティスなら。
もしかしたら自分は負けていたかもしれない。
599CROSS POINT:2010/11/04(木) 22:55:45 ID:???

手強かった。あれが本気のアスラン=ザラか。
だが勝ったのは自分だ。戦場に「たら」「れば」は必要ない。
順番は変わったが結果的に条件は全てクリアした。
後はシンを戦闘不能にして、レクイエムを派手に破壊すれば全てが終わる。
そう思考を纏めて月面へ降り立ち、今度こそデスティニーに攻撃を仕掛けようとして―――

その前に、片腕を失くした紅いザクファントムが立ちはだかった。

まだいるのか。正直苛ついてきている。
アスランとの戦いに随分と時間を取られすぎた。早くしなければシンが目覚めてしまう。
そもそも、そんな機体の状況で戦うなんて無謀だ。

「どいてくれないかな? 別にシンの命まで取るつもりはないんだ」
『そういうわけにはいかないわよ。通りたかったら、実力で押し通りなさい』

わかりきった返答だったが、少し意外でもあった。
勝敗の行方なんて聞くまでも無い。そして自分はシンを殺さないと言った。
彼女の望みはシンとの平和で幸せな生活だった筈だ。ならば今は命を賭ける局面ではない。なのに

「……僕と戦うつもりなのかい? 君の実力で? ……やめときなよ、何の為にそんなこと」
『あら、旦那がダメな時は女房が頑張る。これって家族として当たり前のことだと思うけど?』
「それは……確かに、そうだけど……」

女房って。それにしてもシンは愛されている。
だからここで戦いを止めて、幸せで平穏な暮らしをすれば良いじゃないか。そう言いたい。
巻き込んだ自分が言う台詞じゃないのは分かっているけど。

「もういい。これ以上くだらない時間稼ぎに付き合ってられない。悪いけど、今は君に構っている時間は無いんだ」
『………!!』

一刻も早くデスティニーに止めを刺す。SEEDを発動させるまでもないが、手加減するつもりもない。
悪いのは、この局面で自分の邪魔をする彼女だ。

「―――邪魔するなら、容赦はしない」





『―――邪魔するなら、容赦はしない』

キラがそう言い放つと同時に、目の前のフリーダムの纏う空気が変わった。
この心臓を鷲掴みされたような感覚はどうだ。正直逃げたくて堪らない。
だが震える唇を強く噛み締めた後、ルナマリアは不敵に微笑んだ。
600CROSS POINT:2010/11/04(木) 23:01:02 ID:???

「上等。このルナマリア=ホーク、ただでやられるとは思わないことね!!」

フリーダムは1本だけサーベルを抜き、僅かに月面から機体を浮かせた。いつでも飛びかかれる態勢だ。
ザクは残った右手でビームアックスを構える。ガトリング砲が回転を始めた。
ぶっちゃけ勝算は皆無。それどころか時間稼ぎもままならないだろう。
だが逃げる気は全くない。
自分はシンのパートナー。彼の背中を守る存在なのだ。
命どうこうはともかく、彼を撃とうとしている者を見過ごせるわけがない。
例えそれが自分の命を刈りに来る、世界で最強の戦士だったとしても。

「起きなさいよ、シン。今から、私の見せ場が始まるんだから」

周囲を気にする必要は無い。フリーダムの一挙手一投足を見逃すな。
持てる力の全てを込めて、大好きなアイツを守れ。

『シン!! シン!! ―――目を覚ませ、このバカ!!
 今起きないとルナマリアが……お前の女がやられちゃうじゃないか!! 守るんじゃないのかよ!?』

泣きながらデスティニーに話しかけるコニール。しかも自分の別れてない発言をまだ覚えていたらしい。
やっぱりあの娘は良い娘だ。もし生きて帰れたら思い切り抱き締めてやろう。
シンの次だけど。

『お別れは済んだ?』

映像は無く、音声のみが届く。
味方の時は気にならなかったが、いつもと変わらないその甘い声。
今は、とても怖い。

「必要ないわ。それよりあんた、調子に乗りすぎよ!!」

返事の代わりにガトリングを放つ。フリーダムはシールドでそれを防ぎながら飛び込んできた。
ビームサーベルの光が視界に入る。ここだ。相打ち狙いで右手の斧を振り下ろし―――
弾け飛ぶビームアックス。相手の姿は無い。消えた? いや後ろだ。
振り返ると目の前にはフリーダム。躊躇も無くサーベルを振り下ろす。
これで終わり。なんてあっけない。さっきまでの決意は一体なんだったのか。
無情にも迫り来るビームの刃。ルナマリアはそれをぼんやりと見つめながら思い出していた。
シンと2人でプラントに住んでいた頃の記憶ではなく、コニールを加えた3人で暮らしていたベルリンの光景。
予期せぬ光景に思わず笑ってしまった。
コニールめ、最期くらい2人きりにしてくれても良いものを。
まあいいか。どうやら自分はあの子も大好きらしいし、他の女に取られるよりマシだろう。
せいぜい仲良くやればいい――――自分のいない世界で。
601CROSS POINT:2010/11/04(木) 23:01:47 ID:???

ルナマリアの目から涙が零れる。
同時に、ザクの脇を黄色い閃光が奔った。

「え……?」

どこからか飛んできた一発の光弾を、フリーダムが再びビームシールドで受け止める。
だが予期せぬ攻撃だったために姿勢を崩し、フリーダムはザクを撃とうとする動きを止めた。

『確かに、アンタは調子に乗りすぎだな』
『目を覚ましたんだね……』

悲しそうにキラが呟く。ゆっくりと後ろに跳んで、ザクから距離を取るフリーダム。
いや、距離を取ったのはザクからではない。その背後の―――

『ちょっと眠っちまったのは悪かったけどさ。他の相手に乗り換えるなんてひどくないかキラ?
 お前の相手は、この俺の筈だろ』

聞き覚えのある声に、ルナマリアは思わず背後に振り返る。
同時に紅い光が自分の隣を通り抜け、ザクとフリーダムの間に割って入った。
通信機からコニールの安堵の溜息が聞こえる。
だがルナマリアは、その機体から目が離せなかった。

右手に長剣を持ったその機体。深紅の翼を広げている。
長い四肢を持つ流麗なボディ。
血涙を流しているようなGタイプの顔。


『そろそろフィナーレと行こうか、キラ』
「――――シン!!」


その機体は、デスティニーと呼ばれていた。





602CROSS POINT:2010/11/04(木) 23:03:44 ID:???

ルナマリアの目から涙が零れる。
同時に、ザクの脇を黄色い閃光が奔った。

「え……?」

どこからか飛んできた一発の光弾を、フリーダムが再びビームシールドで受け止める。
だが予期せぬ攻撃だったために姿勢を崩し、フリーダムはザクを撃とうとする動きを止めた。

『確かに、アンタは調子に乗りすぎだな』
『目を覚ましたんだね……』

悲しそうにキラが呟く。ゆっくりと後ろに跳んで、ザクから距離を取るフリーダム。
いや、距離を取ったのはザクからではない。その背後の―――

『ちょっと眠っちまったのは悪かったけどさ。他の相手に乗り換えるなんてひどくないかキラ?
 お前の相手は、この俺の筈だろ』

聞き覚えのある声に、ルナマリアは思わず背後に振り返る。
同時に紅い光が自分の隣を通り抜け、ザクとフリーダムの間に割って入った。
通信機からコニールの安堵の溜息が聞こえる。
だがルナマリアは、その機体から目が離せなかった。

右手に長剣を持ったその機体。深紅の翼を広げている。
長い四肢を持つ流麗なボディ。
血涙を流しているようなGタイプの顔。


『そろそろフィナーレと行こうか、キラ』
「――――シン!!」


その機体は、デスティニーと呼ばれていた。


603CROSS POINT:2010/11/04(木) 23:07:39 ID:???
今日はここまでです。最後連投してしまいました。
また代理投下をお願いすることもあると思いますが、その時はよろしくお願いします
604通常の名無しさんの3倍:2010/11/05(金) 00:01:19 ID:???
GJです。
ステラのセリフにボンボン版好きな俺が泣いた
605通常の名無しさんの3倍:2010/11/05(金) 11:04:21 ID:???
【サイの始末書】もし種後AAが全力工務店になったら【1枚目】
606通常の名無しさんの3倍:2010/11/08(月) 01:22:13 ID:???
GJだ!
良いとか悪いとかじゃないんだよなぁ・・・・キラにもシンにも救いが有ってほしいと思うのは、いけないことだろうか?
607通常の名無しさんの3倍:2010/11/10(水) 17:32:40 ID:???
避難所に最新話がきてるのでどなたかよろしく。(俺は携帯なのでムリ…)
しかしキラを何とか生き延びさせ、マルキオの妄執を断ち切る頼みの綱は
虎しかいないのかな…シンは存在自体ほとんど知ってもいないだろうし。
608CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:06:59 ID:???
CROSS POINT 第35話が避難所に投下されてましたので、本スレに代理で投下致します。
609CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:07:35 ID:???


「展望ブリッジに被弾! これより消火作業にかかります!」
「左舷カタパルトに直撃! 使用不能です!!」
「エンジン出力が6割に低下しました、これ以上は……ぐぅっ!?」

「どうやら、喧嘩を売ったツケは高く付いたようだね……」

シンの復活も束の間。ミネルバは最大のピンチを迎えていた。
守備部隊をミーティアが突破し始めたのだ。
ディアッカの援護を軸に、守備側もよく戦っている。むしろ今まで良く耐えたというべきだろう。
だが、このままでは突破も時間の問題だ。

「トリスタンの火力を一点に集中。1番2番! 撃てーーっ!」
「後方より艦隊が接近中。これは―――」
「ミーティアが1機、防衛ラインを突破! こっちに来るぞ!!」

メイリンの報告にかぶせるように、コニールの悲鳴がブリッジ内に響く。
ミーティアがザクを切り裂きながらミネルバに向かって近付いてきた。

「弾幕を張って時間を稼ぐんだ。それと前線のMS隊を呼び戻して!」
「ダメだ、みんなこっちを守る余裕と時間が無い!!」

放たれたミサイルの群れはCIWSで迎撃、全弾破壊した。しかしミーティアの進行を止めるまでは至らない。
そしてついにミーティアの主砲が火を噴いた。
ミネルバに向かって流れていく紅い奔流。それを阻むものは何も無い。ブリッジの中に悲鳴が満ちる。
自分はこんなところで終わるというのか。気まぐれな自由に最後まで翻弄されたまま。
アーサーは己の死を確信しながら、目の前に迫る光を睨みつけた。
だが次の瞬間、巨大な影がそれを受け止める。陽電子リフレクターを展開した緑色のMA、これは

「これって、連合のザムザザー……?」
「やっと来てくれたのか、彼らが……」

呆然とした声を出すコニールをよそに、アーサーは思わず安堵の溜息を吐いてしまった。
視線の先にはミネルバの前に立ちはだかるザムザザー。ミーティアの射撃などものともしていない。
ならばと接近してくるミーティアに向かって、ザムザザーは反転しながら射撃武装を一斉掃射。
強烈な一撃に、ミーティアはストライクごと爆散する。

『こちら地球連合軍ダイダロス基地所属、クリーブランド。ミネルバ応答せよ!!』

旗艦らしき船からの通信がブリッジに響く。
気が付けば、連合軍の艦がミネルバの周囲に展開していた。
610CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:08:08 ID:???

「こちらミネルバ。貴官らはこちらの援軍だと認識して間違いないのですね?」
『その通り、無事で何よりだ―――我が軍はこれより貴艦を援護する!!』
「来るのが遅いよ、あんたたち!」
『それはすまなかった。言い訳にもならんが、こちらにもいろいろあったのだ。
 謝罪は行動で取らせて貰おう。―――各艦、攻撃開始!! ザフト軍を死守せよ!!』

その号令と共に襲い掛かっていく連合軍。この瞬間、戦いの流れが変わった。
何機かミーティアがミネルバに攻撃を仕掛けるが、今度はゲルズゲーがリフレクターでそれを阻む。
うわー複雑な気分と通信席で呟いたのはコニール。そういえばガルナハンのローエングリン攻防戦はこの機体がネックだったっけ。
敵に回すと厄介な機体たちだったが、味方になるとこれほど頼りになる機体は無い。

距離を詰める連合に対し後退を始めるディーヴァ。しかし右翼と左翼前進を止める事はない。
俗に言う鶴翼の陣形を取り始める反乱軍。連合の攻勢を受け止めて包囲殲滅する策に出たか。
気を抜くのは早い。まだ五分に戻しただけ。
アーサーがそう判断して軍を引き締めようとしたその時、広げた両翼に向かって新たな光の雨が降り注ぐ。
通信画面に映ったのは傷面の男と茶髪の少女。
それを見た2人のオペレーターの顔が喜びに染まる。

「3時の方向より艦隊が接近! アークエンジェルと、クサナギにイズモ……オーブ軍です!!」
「8時方向からも艦隊が来てる。旗艦はボルテール!! 援軍だ、ザフトの!!」

ブリッジ内に響く彼女たちの歓声。
それは最後の舞台に、全ての役者が揃った事を意味していた。






第35話 『僕は君にこう言う 「やっと人らしくなれたね」 』







オーブ軍の先陣を切る戦闘機。そのパイロットがミネルバに通信をつなぐ。
画面に出たのは彼の知人でもあるメイリン=ザラ。よかった、まだ無事のようだ。

「おいミネルバ、生きてるか!? お待ちかねの援軍だ!!」
『フラガ一佐!? 確か入院して絶対安静の筈じゃ……』
「あれで終わりじゃ立つ瀬無いでしょー、オレは!!」
611CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:08:49 ID:???

戦場に舞い戻った大天使をバックに、紫のエグザスが漆黒の宇宙を舞う。
その背後に黄色いムラサメ、そしてアストレイなどのオーブ軍MSが続いた。

「我がオーブ軍は連合の右陣と共に、敵左翼を突く。
 アストレイ隊は艦の護衛、ムラサメ隊は俺とキサカに続け!! マリュー、アマギ、軍の指揮は任せるぞ」
『わかったわ!』
『了解!!』」

命令を出しながら最高速で突進するムウ。
白いブレイズザクウォーリアから放たれたファイヤービーを視認するとすぐさま機関砲で打ち落とす。
続けざま空いた空間にガンバレルを射出すると、搭載されていたビームの刃があっさりとザクを貫いた。

『理念を捨て強者に媚び、弱者に銃を向けるなどと……このオーブの面汚しどもが!!』

ガンバレルを戻すと隣ではキサカが白いアストレイを撃墜したところだった。
流石に敵も全てのパイロットが精鋭というわけではないらしい。
これならこちらは抑えられる―――と考えるのはまだ早いようだ。ミーティア数機と共に第2波がこちらに向かって来た。
一方オーブ軍にも連合軍のウインダムやユーグリッドが合流する。
連合とオーブはいろいろと因縁はあるが、今は気にしているときではない。むしろ戦力の増加は喜ばしいことだ。

「さて諸君、始めるとしますか」

連合も含めた全軍に通信しながら、ムウは不敵に笑う。
シンは生きている。ザフトも健在。キラの戦いもまだ終わっていない。
なんとかパーティーには間に合うことが出来た。だがここからが本番。

「慎ましくな」

『エンディミオンの鷹』と呼ばれたその力、今こそ発揮する時だ。





『ミネルバ聞こえますか!? こちらはザフト所属、ボルテールです。助けに来ましたよ!』
「ありがとう!!……ん、ちょっと待って。ボルテール…? オペレーター……!?」

相手を安心させようとする笑顔と共に、コニールに対して画面の中の女性オペレーターは救いの主を名乗った。
ボルテールとは元々の討伐軍の旗艦の名。シンがミネルバの前に乗っていた艦でもある。
味方であるのは疑いようがない。地獄に仏とはまさにこのことだ。
茶髪の少女の気遣いに気付いたコニールもまた、笑顔で感謝の言葉を返した。こんなに嬉しいことはない。

しかし気のせいだろうか。いくつか気になるフレーズが聞こえたのだが。
612CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:09:28 ID:???

『本艦はこれよりオーブ軍・連合軍と共に反乱軍に攻撃を仕掛けます。
 敵右翼はこちらにお任せください。
 あとすみません、アスカさん…じゃなかったデスティニーの現在のじょうきょ「ブツッッ」』
「………お前か、この野郎」

最後の言葉で確信。即座に通信を切る。
間違いない、あの女がトライン艦長が言ってたオペレーターだ。

「え!? あ、あのコニールさん?」
「何ですか艦長」
「いや何ですかってその、ね? ほら、通信切っちゃまずいんじゃ……」
「すいません、ミノフスキー粒子が濃くて通信が途絶えちゃいました」
「いやこの世界には無いからね、それ」

驚く艦長の言葉をさらりと流しながら、コニールは視線を戻す。
各艦への連絡はメイリンが行っている最中だ。自分も手伝わなくては。

『ちょっと、なんで切るんですか!! せっかく助けに来たのに!!』

しつこいな。こっちは仕事中なんだから空気読めよこいつは。そんな事を思いながら画面の少女に冷たい視線を向けるコニール。
言っていることは向こうの方が正論の筈なのだが、今の彼女にとってはそんなもん知ったことではない。
一目見てそれだけで、そいつが自分にとって不倶戴天の敵だとわかることもある。今がその時なだけだ。
主な理由はアスカさんという呼び方に込められた近しい者特有の馴れ馴れしさと、
画面下部に映っている同じ服着てるはずなのにぶかぶかの自分と違ってぱっつんぱっつんになっている一部分であるが。

「五月蠅い黙れこの泥棒猫。な〜にがアスカさんだ。
 人が大事に取っておいたチャーシューを横から掻っ攫う様なマネしやがってからに……」
『な、何よそれ!! 別に彼が貴方のものだってわけじゃないんでしょ!? だったら!!』
「“彼”!? 彼女気取りかこの野郎!! ガキは部屋に閉じこもって少女漫画でも読んでろ!!」
『貴方だって私と年齢大して変わらないじゃない! なにがガキよ!!
 そんなに見下すんならせめて年齢相応に育てるもん育ててからにすればいいでしょ!!』
「言ったな……この女、言ってはならないことを言った!!」

周囲を気にすることもなく、ここどこの女子高ですかと言わんばかりに言い争いを始める2人。
それを見たアーサーは別の回線を使って直接ボルテールの艦長と通信を取る。
人間、時には現実を直視しない方が良いこともあるのだ。

「えっと、敵の右翼はそちらにお任せしても良いんですよね?」
『はい……申し訳ない、クルーの教育は後ほどしっかりやっておきますので……』
「いえ、こっちも似たようなもんですから」

画面に映ったサングラスの男性も随分疲れた表情をしていた。
画面越しに視線を交錯させてわかりあう艦長2人。お互い苦労しますね。まったくです。
613CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:09:57 ID:???

「わかっているとは思いますが。連合軍、撃たないでくださいね?」
『承知しています』
「ミネルバもですよ?」
『……承知、しています』

連合が此方に手を貸しているのは理解しているらしい。
だから次の言葉は冗談交じりで言ってみたのだが……
なんだ、今の間は。

「デ、デスティニーも撃たれたりしたら困るんですけど」
『…………流れ弾が行かないよう注意しておきます』
「いや、約束してくださいよ………」

苦虫を噛み潰した表情で未だに言い争っているオペレーターを見ている艦長。
その気持ちはまあ、わからないではないのだけれど。

そこはちゃんとしとこうよ。いや、ホント。





「ったくシンのやつめ……意識が戻ったんなら礼の一つぐらいあってもいいだろうに」
『今までの行いが悪かったんじゃない?』
「ぐっ……」
『それよりもお客さんが来てるわよ。もう待ちきれないみたいだけどね』

余裕のある表情で軽口を叩きあった後、周囲を囲むMSたちを睨みつけるザクとセイバー。
お互いに片腕を失っており、傍目からはとても戦える状況ではない。
しかしそのパイロットたちの目は光を失っていなかった。
当たり前だ、自分たちは絶望を既に乗り越えた。シンが復活した以上自分たちの心配だけしてれば良いのだから。

『アスラン、セイバーにサーベルかライフルの予備ある? 私もうハイドラしか武器が無いの』
「だったら道は俺が切り開くから、そのまま帰艦しろ。
 戦場での命ほど安いものはないんだ、無茶すると死ぬぞ」

ルナマリアを気遣うアスランの言葉。しかし返ってきたのは彼女の不敵な笑顔だった。
それを見たアスランは思わず笑いを零してしまう。
彼女は腹を括っている。もうこれは何を言っても無駄だろう。
それにしても、最近は妻に続いて彼女にも逆らう気が起きなくなってきた。
ホークの血にはザラを抑える効果でもあるのだろうか。
614CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:10:19 ID:???

『冗談、もう終幕までそんなに時間が無いわよ。
 それとも何? MSデッキでドリンクでも飲みながら、あの2人の最後の戦いを見ろっての?
 死んでもゴメンよ、そんなの。アスランだってそうでしょうが』
「わかったよ。君の言う通りだな……ルナマリア、左だ!!」

敵の存在を知らせながらライフルをザクに放るアスラン。ザクがそれを受け取った瞬間、セイバーに向かって銃口を向ける。
セイバーはシールドで白いウインダムのビームを受け止めたあと、ザクに向かってアムフォルタスを構えた。
同時に放たれるビームの光。
お互いの脇を通り過ぎ、後ろから仕掛けようとしていた敵MSを貫いた。

『……フ、そうか。そう言えばそうだよな』
「そうよ。貴方の左手と私の右手」

『「―――――合わせりゃ2本だ!!!」』

咆哮をハモらせながら2機は周囲の敵に襲い掛かる。
実は双子なんじゃないかと言わんばかりの高度なコンビネーションに、包囲網は見る間にズタズタにされていった。

「いくぞ義姉さん!!」
『ついてきなさい、義弟よ! 私のザクは凶暴です!!』





両手に銃を手にしたまま、フリーダムは月面から宇宙を見上げる。
視線の先には2方向からぶつかりあう光の奔流。その儚い美しさに思わず目を細めた。

「勝負、あったな。これは」

丁度数十秒前。エターナルの船橋が破壊され、その艦長であるダコスタの死亡が確認された。
戦闘続行は不可能であるため今は宙域より離脱している最中ではあるが、艦自体が撃沈されたわけではない。
しかし歌姫の奇跡の体現であった艦の脱落。それは反乱軍の大幅な士気の低下を意味していた。
キラの言葉は戦場の全ての人間の代弁でもある。

援軍が混ざったとはいえ、数はまだ互角の筈だった。しかし自軍の勢いは完全に止まっている。
開戦当初の余裕をかなぐり捨て今もなお猛攻を懸けてはいるものの、月を背にした混成軍はその攻勢を容易く押し返していた。
なぜそんな結果になっているのか。それは最前線の様子を見ればわかる。
615CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:10:43 ID:???


『狙いは完璧よ!!!』
『ちょ、ルナマリア! 今掠ったぞオイ!! セイバーの左足が更に悲惨なことに……』
『アスカ先輩は何処だ、俺にはあの人に返す借りがあるんだ! ってコラおっさん、ちゃんと援護しろよ』
『グゥレィ…おっさんじゃない!!』
『ウヒョー!! ディアッカ、俺の気持ちがわかったかぁ!?』
『この腰抜けどもが、一歩前だ! 貴様らに軍人としての覚悟を教えてやる!!』


満身創痍のセイバーと真紅のスラッシュザクファントム。
共に片腕を失っているのに、連携を取ることによって死角を失くし、敵軍相手に大暴れしている。
紫のエグザスは黄色いムラサメと共にミーティアに踊りかかり、
漆黒のガナーザクファントムとグフイグナイテッドは背中を合わせながら戦っていた。

『チンタラやってんじゃねーぞナチュラル! 背中ががらすきじゃねーか素人が!
 そのライフルは股間のブツ同様縮み上がってんのか!?』
『うっせーコーディネーターが。どーせ助けてくれるんなら女パイロットが良かったんだよ俺ぁ!
 お礼に俺が種付けてやるからよ、種の無いお前らの変わりに!!』
『おーいお前ら、同レベルなのに気付け。そんなに言うんなら目の前の白いバカどもに突っ込んでやれや』
『ハハハ、ナニじゃなくてビームサーベルだけどな。ブチ込むのは、なぁっ!!』

彼らだけではない。
ザクが、グフが、ムラサメが、アストレイが、ダガーが、ウインダムが、ユーグリッドにゲルズゲーやザムザザーが。
時に背を預け、時に助け合いながら白いMSの群れの前に立ちはだかっている。

そして、自分の前にも化け物が1人。

英雄の暴挙を止めようと月へと終結した世界の総戦力。一夜限りのドリームチームと言ったところか。
目の前に立ち塞がる者達は皆、ただのMSである。
広大な宇宙を覆いきれるわけも無く、それこそ隙間なんていくらでもあった。
なのに天まで届く壁を目の前にしたかのようなこの重圧。
そしてキラの耳に確かに聞こえてくる、終局へのカウントダウン。

「まいったな」

苦笑と共に、キラは呟く。

「今までの敵が最後の最後で仲間になって、協力してくれる。そして僕の前に立ちはだかる。
 ……確かに当初の僕の目的は、この光景だったはずなんだけど」

まさかこのタイミングで見ることになるとは。
616CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:11:03 ID:???

何故だろう。
あんなに渇望していた、自分を眠らせてくれる存在。自分が望んだ光景。
あの頃どんなに望んでも現れてくれなかったのに。
何故今頃になって現れる。

生きたい。

彼女を失ってから、初めて抱くことができた想い。
そばにいてやりたいと思った、小さな少女。
それなのに居場所を見つけた途端、この世界は自分を消してしまおうとしている。

「これが、僕への罰か」

希望を見せておいて、断ち切る。確かに自分の罪に対しての最大の罰だろう。
自業自得。因果応報。そんな言葉が頭に浮かぶ。
そして自分にはそんな言葉を否定することなんてできない。まったくもってその通りだからだ。

だが、本当に性質が悪い。
もしこの世界に神という存在がいるのなら、自分は相当に嫌われているんだろう。
もっとも、彼女を失ったあの時からそんなものを信じる事はやめたけれど。

「キツい、なぁ………」

苦笑はとっくに歪んでいた。なんでだ。
なんでこんなにも、自分は救いに縁が無い。
なんで全て、自分の手からすり抜けていくんだ。

折り紙をくれた少女。励ましてくれた友人。心を通わせつつあった恋人。全てを捧げた最愛の妻。
そして、ようやくできた自分の娘。

「どうして、僕は。こんな所にまで……」

『泣きそうな声出してんじゃないよ、ばかたれが』

隙だらけな今の自分。だがデスティニーは剣を下ろしたまま、その場で自分をみつめている。
その顔が泣いているように見えるのは、そのデザインのせいだけなのだろうか。

『悲しみも憎しみも全部抱えて、それでも飛べば良かったんだよ。
 地面に落ちそうになっても手を貸してくれる。アンタの事を大好きな奴が、きっと沢山いたんだ
617CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:11:27 ID:???

淡々としたシンの声。その声には実感がこもっている。
自分が悶え苦しんだこの道はかつて、彼も通った道。

『俺みたいな奴にだって、いてくれるんだから』


ああ。まったくもってその通りだった。


今頃になって思い出す。自分の傍にあった沢山の光。それは娘のラクスだけじゃない。
バルトフェルド。
ミリアリア。
ドムトルーパーの3人組。
ダコスタ。
そして、自分に付いて来てくれた沢山の部下たち。
彼女の死に怒ってくれた。自分に会うと笑いかけてくれた。ここまで共に戦ってくれた。
そして、そのほとんどがいなくなってしまった。

「そう、だね……。今なら分かるよ。光は1つだけじゃなかったんだ」

今までそれが分からなかった。皆、自分の背後に彼女を見ているだけだと思っていたから。
けれど、決してそんな事はなかったのだ。
どうしていつも、失くした後でそれが大切だったと気付くんだろう。

「………笑えないな」

気付けなかった。忘れていた。
たとえどんなに暗い夜だろうと、この世界には必ず光の差す朝が来るという事を。
今時B級の歌の歌詞にもなりはしない陳腐な言葉だ。
けれど。それこそが自分が心に刻むべきものだったのではないだろうか。

「本当に、笑えな……」
『キラ』

悲しみの言葉を再び打ち切って、シンが自分の名を呼ぶ。

「………なんだい?」
『もう、終わらせないか』

終わらせる。それが指す意味は一つしかない。
自分か、シンか。そのどちらかが――――
618CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:11:47 ID:???

「……そうだね」

恐怖はある。後悔も未だにある。けれど受け入れる言葉はすんなりと出てきた。
軽く後ろに跳び、デスティニーから距離を取るフリーダム。サーベルの柄を手に取り光を伸ばす。
そして2機のMSは握り締めた己の剣の切っ先を相手に向けた。
指し示す先はお互いのコックピット部分。

どんな結末を迎えるかは自分でも分からない。
けれどもう、この三流の喜劇に幕を下ろすべきなのだと理解していた。



『「――――――決着を、付けよう」』



全てを終わらせよう。僕と君で。
619CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:13:21 ID:???
以上で第35話終わりです。
作者様乙です。
そしてスレ住民の皆様、転載が遅くなって申し訳ありません。
620CROSS POINT (代理):2010/11/10(水) 23:24:45 ID:???
転載が遅くなった件につきましては、作者様にも申し訳ありませんでした。
621通常の名無しさんの3倍:2010/11/11(木) 21:40:43 ID:???
いやいや
貴方が詫びる必要なんて無いよ
こっちはただで提供されてるだけなんだし
むしろGJと言わせてもらおう

作者さんも乙
少年漫画の最終決戦みたいな展開は大好きだ
しかし終わって欲しくない作品だ
622通常の名無しさんの3倍:2010/11/11(木) 21:47:13 ID:???
あ 転載乙です

最近読み直したりしてたけど やっぱり面白い
たしかに終わってほしくない作品だなぁ・・・
623通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 01:01:13 ID:???
乙でした。

キラが切ないなぁ。
しかしこうしてみると、ほんとに素材は素晴らしいんだということがよくわかるね、種は。
世界設定も、キャラクターも。
624通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 01:05:48 ID:???
正直素材だけで言ったら
ガンダムシリーズでも上位に入りかねないと自分は思ってる
625通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 17:45:31 ID:???
それぞれの素材はいいんだが、多すぎて整合性がアレな感じ
好きな素材だけを選んできて二次創作する分にはかなり楽しい
626通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 22:52:03 ID:???
なんだろう、本編だとあんなに嫌いだったキラなのに今は救われて欲しいとも願う自分が居る・・・・おかしいか?
627通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 23:24:20 ID:???
料理に例えると
いい材料を使って料理したが
いざ食べるとごみ箱に吐いてしまうレベルの作品が本編なんだと思う

似たような材料を使ったアストレイやスターゲイザーなんかは本編と違って酷く叩かれないし
628通常の名無しさんの3倍:2010/11/12(金) 23:37:17 ID:???
スタゲは叩かれる以前に結構空気だった気もするけどな・・・!

>>626
おかしくないさ・・・
629通常の名無しさんの3倍:2010/11/13(土) 01:28:47 ID:???
>>627
スタゲはともかく、いまのアストレイはもう、ね・・・
とりあえずMSのデザインした奴と商品化にゴーサイン出した奴は病院に入れるしかないレベル
ストーリーも酷いの一言に尽きる
630通常の名無しさんの3倍:2010/11/13(土) 23:56:33 ID:???
そんな風に思わせ無かった連中の罪だな、そりゃ
631通常の名無しさんの3倍:2010/11/14(日) 21:39:32 ID:???
この作品、今みたいな規制真っ只中じゃなくて
x運命とか逆シンが勢いのあった時期ならもっと賑わってたと思う
規制が無ければ更新スピード早いし内容も良いと思うし
632通常の名無しさんの3倍:2010/11/16(火) 22:14:23 ID:???
>>631
正直ヘイト臭いあれらよりよっぽどいい
633通常の名無しさんの3倍:2010/11/16(火) 22:36:29 ID:???
まともに描写するとヘイト呼ばわりされる本編が問題なんだろ
634通常の名無しさんの3倍:2010/11/16(火) 23:22:25 ID:???
総集編や話の進まない回が多かったり
進まない割にはフォローされない内容
予算沢山貰ってるらしいけどバンクばかりの戦闘
不満が多すぎるんだよなー
素人だから脚本家の仕事にあーだこーだ言うのもアレなんだけど


アスランなんかは先輩ポジションに立ってシンに私情で動くなって怒った割には
キラ他が出て来てからは私情で動きまくり
しかもシンが任務でキラを倒すとキレる始末・・・

この辺はどうにかしろよ・・・
635通常の名無しさんの3倍:2010/11/16(火) 23:28:55 ID:???
まぁその辺はよそで・・・

>>629
主人公機と初期GTAの発展機は結構売れたらしいけどね
636通常の名無しさんの3倍:2010/11/18(木) 13:57:33 ID:???
VSアストレイはカラーリングからしてやる気ないだろお前、という以外なかったよな。
もとがかっこいい機体をよくもまぁあそこまで改悪できるわ。

スタゲのGAT改良機は結構デザインは好き。
ただ、ブルデュエルはデザイン好きだけど初期のキットをそのまま流用してるキットだからスルーしたけど。
637通常の名無しさんの3倍:2010/11/20(土) 05:12:35 ID:???
バーサスに使える予算と石油があるなら、HGUCでガルバルディβ、ディジェ、
メッサーラ、ジムV、ドライセン、あとジーラインLAくらい出してくれても
まだオツリがきたと思うんだが。
638CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:02:27 ID:???
CROSS POINT 第36話が避難所に投下されていましたので、本スレに代理で東海足します。
639CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:02:45 ID:???


飛び散る火花。月面でぶつかり合いすれ違うのは紅と蒼の光。
その正体はフリーダムとデスティニー。担い手の名はキラ=ヤマトとシン=アスカ。
2つの存在が命をかけてぶつかり合っている。
いつ終わるとも知れない戦いを、自分の手で終わらせるために。
そして己の道を貫き通すために。

嵐の様に吹き荒れるデスティニーの長剣。
その中の一太刀に狙いを定め、フリーダムは両手でアロンダイトを受け止めた。
だがそのままレールガンを叩き込もうとした瞬間、長剣を手放したデスティニーが両掌を輝かせる。
剣を放り捨てて左右に跳ぶことで放たれる光を回避。閃光が機体を僅かに掠め火花が散った。
宙を漂う長剣を再び手に取り、デスティニーが再び距離を詰める。
キラは襲い掛かる機体から目を逸らさずに口を開いた。

「負けない。負けられない」

己の口から吐き出された言葉を、もう卑下することはない。
自分に対しての失望は既に済んだ。後ろを振り返り続ける日々は終わったのだ。
だから負けるわけにはいかない。だって

「僕にはまだ、帰る場所がある……!!」

はっきりと認識したんだ。自分が今、なんでここにいるのかを。
戦っているその理由を。
そう。自分はただ、一緒にいたいだけなんだ。
あの子と。ラクスと。自分の最愛の娘と。

「僕にはまだ、待ってくれている人がいる……!!!」

小さい夢だと自分でも思うよ? 世界に宣戦布告した男の言うことかって。
だけど、今の僕にはそれが一番大事なことなんだ。

「だから―――」

死にたくないんだ。生きて帰りたいんだ。
もう一度あの子を抱き締めて、頭を撫でてやりたいんだ。
頭を下げて生き延びれるものならそうしよう。命以外なら全てを差し出しても構わない。
だけど、もうそんな段階ではないから。

「いくら君相手でも、負けるわけにはいかないんだぁぁぁぁぁっっっ!!!!」
『こんの、馬鹿がぁぁぁぁっっ!!!』

この歩みを貫き通す。
それが例え、君の屍を踏み越えることになったとしても。
640CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:03:09 ID:???





第36話 『今この声涸れるまで願いを込めて』





「これが、力の行き着く先か」

キラとシンの戦いを遥か遠くに見ながら。グフのパイロットである青年、サトーは小さく呟く。
その声に含まれるのは羨望でも恐怖でもなく、ただ悲しみだけ。
痛々しくて、見ていて辛い。それ以外には何も感じることは無かった。

不意に思い出すのは場違いな記憶。アカデミー時代に習った現代史。
かつてキラ=ヤマトは親友であるアスラン=ザラと殺しあう事になったと授業で習ったときのことだった。
戦争が親友2人を引き裂き、お互いの仲間を殺し合い、最後は自身が殺しあうまでに至る。
その話を聞いた同じクラスの女たちは皆言っていた。2人とも可哀想、と。
そして最後にはそれを乗り越え、再び手を取り合った2人は本当に優しい人だと。
中には感情移入し過ぎて涙を流しそうなものまでいた。

一緒に聞いてた自分としては、若干ご都合主義とか予定調和的なものは感じられた話ではあった。
確かにその話は悲劇であり、または美談であるだろう。しかし感動して泣くほどではあるまいに。
あの時はそう呆れながらその光景を見ていたが、そんな思考をした自分にどこか引っかかったものを感じていた。
それがなんなのかは当時の自分では分からなかった。しかし今になってやっとわかることができた。
それを美談と評したことに、当時の自分は引っかかっていたのだ。

どんな悲劇も自分が絡まなければ所詮は他人事。しかも実際に見ず話に聞く程度なら、いくらでも酔える。
きっと今日の戦いだって、それらと似たような話として後世に語り継がれていくのだろう。
多くの人間の悲しみを呼び、同時に憧れを生み出す英雄譚として。
感動なんて自分の妄想で補完すれば誰にだって出来ることだ。それが真実であろうとなかろうと。

『今更気付くな、馬鹿がぁ!!』
『君も似たようなもんじゃないか!!』

確かに凄い戦いだ。
彼らの動きの一つ一つは、紅である自分の遥か上を行く高等技術の集まりだということが今ではわかる。
目の前に映るものは、かつて自分の渇望したものの完成形であることは間違いない。
だけど。
641CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:03:31 ID:???

『馬鹿野郎があああああっっ!!』
『帰るんだあああああっっっ!!』

この戦いの何処に美しさがある?
この戦いの何処に憧れればいい?

自分には2人の姿が、泣くのを我慢して殴り合ってる子供の姿にしか見えない。

「くそったれが!!」

吐き捨てるように叫び、キーボードを叩く。自分が居る宙域は未だ戦闘中だ。
ぼんやり見ているばかりではいられない。
漆黒の愛機が光を宿し、活動を再開した。

ナイフ。銃。MS。FAITHなどの軍の地位。それら全てを含めて、今まで力と名の付くものに憧れてた。
仮にそれに伴う悲劇なんてものがあったとしても、力を手に入れた自分なら簡単に乗り越えていけると思ってた。
とんだ思い違いだ。頭が冷えた今ならわかる。
―――ブレイク・ザ・ワールド。叔父さんが犯した大罪。
それを成そうとした時、叔父さんは心が苦しかっただろう。残された自分たち身内のことを思うと悲しかっただろう。
けれどそれを飲み込んでしまうほどの怒りと憎しみをあの人は抱えていたのに。
自分はそんな上辺や断片だけを見て、叔父さんの行為を尊敬すると言っていたのだ。
それを聞いた、おそらく全てを理解しているであろう父の悲しそうな顔を気にすることなく。

恥ずかしかった。悔しかった。そしてそれ以上にムカついた。
叔父さんが自分たち家族に最も見て欲しくなかったであろう傷口。
それを尊敬するという言葉の下で晒し続けた過去の自分を、助走つけてぶん殴ってやりたくなった。

『砕けろ!!』
『断る!!』

そしてあの人は言っていた。英雄という名の付く者はこういうことをしないといけないと。
それは精神だろうと肉体だろうと、辛い戦いでもしないといけない、逃げられないということなのだろう。
そんなことも知らずに、自分はあの人をくだらない嫉妬で 「英雄もどき」 と呼んだ。
自分を殴る理由がもう一つ増えた。

「止めないと。どんな形でもいい、あいつらを止めないと」

呟きながらグフのバーニアを噴かす。
叔父さんの罪の償いと言う気はない。過去の自分の無様さをフォローする自己肯定でもない。
今からの行動は自分のために行うものじゃない。
今頃気が付いた馬鹿な自分の他に、この場には未だに気付かない馬鹿共がいるのだ。
なら止めないと。悔やむ暇があるなら動かないと。
そう思った。ただそれだけのこと。
642CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:03:51 ID:???

「誰か援護頼む……ボルテール隊、サトー。ディーヴァに突貫します!!」
『馬鹿か、敵の本陣にゃまだあんなに敵がいるだろうが!! まだそのタイミングじゃない』
「見りゃわかるさ! でも、後でなんて言ってられないんだ!! 今やらなきゃいけないんだ!!
 きっと俺が、今まですげえ馬鹿だった俺が!! 同じ馬鹿なあいつらを止めなきゃいけないんだ!!」

自分を制止する声に叫び返す。早く止めるには有象無象に構ってる時間は無い。
その声を受けたガナーのパイロットは一瞬驚いた表情を見せていたが、そのうち小さく笑って言った。

『……グゥレイト、熱くなっちゃってまあ。つくづく突撃バカに縁があるのな俺は。
 OK、道は俺が作ってやるから行って来い!! ただし途中でくたばったら承知しないからな!!』

返事もせずに機体を飛ばす。格好をつけたはいいがディーヴァまではまだ少し距離があるか。
そう考えた瞬間アストレイ2機が左右から現れ、自分を挟み撃ちにしようと襲い掛かってきた。
こんなのに時間取ってる場合じゃない。そう舌打ちしつつテンペストを抜き放つ。
次の瞬間背後から2つの紅い閃光が自機を追い抜き、吸い込まれるように命中した。
後に残ったのはアストレイの残骸だけ。

『動きを止めんなバカ!! 道は作るって言っただろ!!』
「お、押忍!!」
『マジか……おいお前ら、コーディのガキがディーヴァに突っ込むってよ!
 ザフトでもオーブでも連合でも誰でもいい、手の空いてるヤツは援護してやれ!!』
『おっしゃ任された!! 若いねぇ坊や。いいぜ、雑魚は引き受けといてやらぁ!!』

周囲にいたウインダムやゲイツが道を作り、黒いガナーザクから放たれる援護射撃が幾つもの敵を屠る。
そんな名も知らぬ仲間たちの意思を受け継ぎ、かつて馬鹿だった少年はディーヴァに向かって突っ込んでいった。
集中しろ。こんな所で落とされてはいけない。ここまでされといて下手打つわけにはいかない。
自分が今日まで鍛えてきたのは、きっとこの時の為だったんだから。

ディーヴァから放たれたミサイルの群れ。右手のトラウブニルで弾幕に穴を開けて飛び込む。
正面に立ち塞がる白いストライク。すれ違いざま一瞬で切り捨てる。
進行方向を覆いつくす機銃の掃射。盾を前面に構えて押し通る。
紅い閃光。ギリギリで避け―――面倒くさい、テンペストで叩き落す。

それで終わりだった。立ち塞がるものはもう何も無い。
サトーはディーヴァのブリッジに取り付き、中へとトラウブニルを向ける。
この位置ならばもし撃たれてもブリッジを巻き込む形になる。そうは撃てない筈だ。
そう判断する思考も惜しい。サトーは回線を繋ぎ、声の限りに叫んだ。


「戦闘を停止させろ!! お前ら十分怒っただろ。十分撃ったろ! ……もう十分殺しただろう!!」


届け。
この声、マジで届け。
643CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:04:10 ID:???





守備隊を振り切り目の前に現れたMSの巨体。バルトフェルドは艦長席から動くことなくその姿をみつめる。
通信から聞こえる叫びは若さの奔流。思わず自分が出会ってきた少年たちを思い出してしまった。
意思を乗せたこの声、敵ながら嫌いではない。

『何を馬鹿なことを! ラクス様が殺された時の怒り、悲しみ、絶望。こんなものでは……!!』
『ふざけんな!! 1人の女に、死んでまで縋りつくのかあんたたちは!!』

もう十分殺しただろう。
その言葉が気に喰わなかったのか、ディーヴァの隣に展開していたナスカ艦のクルーがグフのパイロットへ怒鳴る。
それに怒鳴り返したのは目の前の少年ではなくミネルバからだった。
褐色の肌をしたポニーテールの少女が男の言葉を切り捨てる。それはラクスへの依存だと。

『なんだと!? 子供が、わかったような事を……!』
『誰だってさ』

自軍の行動を侮辱するその発言。
ナスカの男性が再び声を荒げようとした瞬間、グフの少年は再び話し出す。
今度は感情を抑えるように、ゆっくりと。

『誰だって生まれたとき、周りは笑ってそいつだけ泣くもんだろ。
 だったら、死ぬやつが笑って周りの皆が泣いてくれりゃ、そいつにとっての人生はきっとそれで良いんだよ。
 お前らの大好きなラクス様はどうだった? 苦しんで死んだか?
 キラ=ヤマトに世界を託して、安心して笑ってたんじゃないのか?
 今のお前らのその姿が、本当にラクス=クラインが見たかったものなのかよ!!』
『それは……』

糾弾の声に少年と言い争っていた者が口ごもる。今の銃を手にした己の姿が、彼女の望んだものなのか。
それは自分たち反乱軍の多くが最も目を背けている部分だ。
答えられぬのも無理は無い。

『我々は、我々たるべく生きるために行動してきた。我々ではない何かに縋るのはもう、やめませんか』

空いた間に続きの言葉が飛び込んでくる。発信先はボルテール。
サングラスを付けた男性も会話に参加した。
彼は諜報部のデータで見たことがある。確か艦長だったか。

『彼女の差し伸べた手に引かれて、幼子のようにその後をついていくためではない。
 その横に並び立ち、共に歩んで行く為だった筈だ。
 彼女の死を悲しむのもいいでしょう。怒りもまた否定はしない。
 しかしいくら彼女のためだとは言え、人々の歩みを止める事は許されることではない』
644CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:05:31 ID:???

人の歩みを止めるな。数年前には自分たちが敵対者に言っていた言葉だ。
まさか自分たちが言われる時が来るとは、あの頃の自分たちは想像すらしなかっただろう。
そう、自分たちは変わってしまったのだ。平和を求め、戦いを始めたばかりの頃の己に顔向けできないほどに。
自分たちの力は世界を変えることが出来る。そう思ってしまった。
だから再び銃を取った。平和の歌姫の名の許に。自由の聖剣を手にとって。
自分たちに世界を変える資格があるとは限らないのに。

『だが世界は、ラクス様を失ったのだ。他に何を指標にして歩んでいけば良いというのか!
 この十年の間に数々の悲劇を起こし続けてきた我々人類が!
 彼女の想いすら世界には届かなかった。目指した道は途中で途絶えた。
 彼女の何処に殺される理由があった? 間違っているのは彼女ではなく、世界の方ではないのか』
『何が正しくて何が間違ってるとか、そんなの簡単に言えるものじゃないですよ。
 そう、正しい道なんてそうありはしないと思うんです。だから私たちは、今歩いている道を正しくしていかなければならないって。
 ラクス様だって強く想い続けてきた。誰よりも前で歩き続けて、信じ続けてきた。
 私たちがするべきなのはあの人の目指したものに固執することじゃない。
 あの人が信じ続けてきた 「人は分かり合える」 って想いを引き継ぐ事こそが、私たちがすべきことなんじゃないんですか?』

オペレーターの少女の声の後には、続く言葉も割り込む言葉も無かった。
会話が止まる。声を荒げていた者たちも黙ったまま。それが意味することは何なのか。
彼らの言葉に胸を打たれたというのか。
強者の言葉を聞くことで死までの時間を延ばす生存本能か。
己の歩みを止められ、今までの道を振り返っているからか。

いや、どれも多分違う。

きっと皆、本当は言われずとも気付いていた。
怒りだとか慢心だとか、そういったもので目が曇っていただけなのだ。
しかしその曇りは晴れた。晴れない訳が無かった。

『うわああああああっっっ!!!』
『だあああああああっっっ!!!』

CEの聖剣。自由の翼。歌姫の伴侶。青年に架せられた様々な二つ名。
キラ=ヤマトはこれまでの戦いにおいて、英雄と呼ぶに相応しい成果をあげてきた。
だから知らずのうちに皆、彼が本当の英雄だと信じ込むようになってしまった。自分たちの荷を背負ってくれる存在だと。
彼の妻であった、歌姫ラクスのように。

けれど自分たちの戦う理由を押し付けてきた青年の、あんな泣きそうな声を聞いてしまっては。
果て無き翼の重みで潰されそうな彼の姿を見てしまっては。
これ以上、誰が夢へと浸れるというのか。
645CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:05:44 ID:???


「なるほど、想いですか……。綺麗な言葉ではありますが、それだけでは世界は変えられません」

『……何が言いたい、マルキオ導師。
 あんたが偉そうに語れる事なんて、この世にあるとは思えないけどな』

いや、夢想に浸れる人間ならまだいた。
マルキオ導師。ジョージ=グレンやSEEDといった概念に溺れた夢想家が。

「人間は安定と不安定の狭間でしか生き甲斐を見出せない、愚かな生き物です。
 そんな存在が果たして想いなどで未来を指し示すことができると、貴方たちは本当に思っているのですか?」
『なんだと……!?』

画面に映るポニーテールの少女が表情を歪ませる。
しかし男はそれを気にした様子もなく言葉を続けた。

「力無き者が説く優しさほど残酷なものはなく、力無き者が使う力は最終的には暴力となる。
 そんな存在が未来など照らせはしない。照らせたところで明るいものである訳が無い。
 彼らは足の引っ張り合いに終始する生き方しか知らないからだ」

時代を作るのはいつだって強者であり、弱者が勝者たり得たことは一度もない。
満ちている者は余裕に溢れ、足りぬ者は妬む。
それは確かに真理だ。言っていることは間違いではない。しかし

「ならばどうするのか。簡単だ、選ばれし者が世界を照らせば良い……それは誰か?
 イザーク=ジュールでは足りない。連合やブルーコスモスでも足りない。
 ロゴスでも、オーブでも、それこそギルバート=デュランダルでも足りなかった!!
 当たり前だ。彼と同じSEEDを持つ者でなければ世界の導き手にはなれないのだから」

いつかも思ったが。SEEDを持つ者が神で、さしずめ自分は神官だとでも言うのだろうか。
この男こそ、1番ラクスを否定しているのではないのだろうか。

「この世界にはシン=アスカやアスラン=ザラといった選ばれし者たちがいる。
 その力は今皆の前で証明されている最中だ。異論を唱える者などいまい。
 そして彼らをも凌ぐSEED因子を持ち、世界を統べるに値する者もこの場にいる。
 それが誰なのかは私が言わずとも判るだろう。そう、キラ=ヤマトこそが―――」


『『『 謳ってんじゃねえよ!!! 』』』


ミネルバ。ボルテール。そして目の前のグフ。
己の言葉に酔った男の言葉を切り捨てて、子供たちの叫び声が重なる。
646CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:06:06 ID:???

『SEEDだかなんだか知らないけど、そんなもんがどうした。シンもアスランも、ただの人間だ……人間なんだ!!
 楽しかったら笑って、悲しけりゃ泣いて、キツいことがあったら苦しんで……何も皆と変わらない。
 何が世界の導き手だ―――お前なんかが私の大切な人たちのことを勝手に言うな!!』
『高みから人を見下ろして悦に浸りたければ、どうぞ好きにすりゃ良いさ。
 けどなぁ、そんなあんたの周りにゃ誰もいないってことにいい加減気付け!!』
『力がある者と無い者、その存在にどれだけの違いがあると言うんです!
 貴方が力の無い誰かを否定するということは、それは自分自身をも否定しているということに何故気付かないんですか!?』

3人の怒声の後に言葉を発する者はいなかった。沈黙がブリッジ内を支配する。
盲目の男はしばらく黙っていたが、やがて拍子抜けしたような表情で呟いた。
高まった気分を台無しにされたのが気に入らなかったのか、ひどくぶっきらぼうな言葉遣いで。

「愚かな……」

まったくだ。そしていいかげんに飽きてきた。
こんな茶番劇、愚かにも程がある。
バルトフェルドは通信席まで跳ぶとマイクを手に取り、戦場の全ての人間に話しかけた。

「こちらはクライン派旗艦のデーヴァ艦長、アンドリュー=バルトフェルドだ。
 連合、ザフト、オーブ、そしてクライン。この宙域にいる全ての兵に告げる。……戦闘行為を一旦停止せよ」

一瞬、全てが止まったような気がした。
無理も無い。自分が今言った言葉は事実上の戦闘放棄である。
しかし、もう限界だったのだ。

未来に溢れた子供たちと相対し、部下が死んだのに悲しむ事さえしない自分。
夢想家の自慰じみた脚本に流され、さんざん見せられ続けた人の業。
その想いとは裏腹に、運命によって無様に踊らされていた自分たち。その全てが。
そして何より、今この男と同じ艦に乗っている無様な現状が。

「デスティニーとフリーダム……あの戦いを見届けよう。
 キラが勝てばディーヴァに構わず、従来の作戦通りレクイエムの破壊にかかれ。
 もしキラが敗れた場合は……」

もしキラがシン=アスカに敗れた場合、捕らえられるであろう自分の処刑場行きは間違いない。
勝ったとしても目の前の機体がディーヴァを放置するとは思えないが、まあこの少年に殺されるならそれもまた有りだろう。
そう、己の命など惜しくはなかった。元々この命はキラの為に使うと決めているし、今までそうしてきた。
元々自分の為に始めた戦いではない。キラの心が壊れるのを防ぐためにはそれしかなかっただけだ。
自分ではあの青年を救うことができなかったから、救ってくれるものが現れるまでの時間稼ぎとして。
しかし救いの主が現れた今となっては自分が彼にしてやれるのは露払いと盾くらいでしかなく、
そしてその役が自分でなければならない必要性はどこにも無い。
若干情けない幕切れだが、グフに取り付かれた時点で自分の戦いは終わってしまったのだ。
647CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:06:32 ID:???

「その時は全ての責任は僕が取る。
 戦いを続けてもいい。撤退して残った者を集め、再起を図ってもいい。降伏しても構わない。
 ……各員、好きなように生きてくれ。己が決めた道を」

そこまで言ってマイクのスイッチを切った。
驚いた表情の通信士の肩を叩くと、彼は目線を落として僅かに頷く。
それを見たバルトフェルドは再び画面に視線を戻した。
映っているのは自分を射抜く3つの眼差し。

「どの子も真っ直ぐな目をしているな、本当に……」

グフのパイロット。ミネルバとボルテールのオペレーター。
彼らからは隣にいる男の言葉よりよほど、未来というやつが見えた。
それは自分にとっての敗北宣言と言っても良いのかもしれない。
己は、誰にしろ避けられぬものがあるという事を悟るほどには歳を重ねている。

「負けだな、僕の」

一度生き返ってからというもの、自分は成長を見せる子供たちに弱くなった。
父性本能とでも言うのだろうか。アイシャを失ってからは家庭を持つ気など無くなってしまったけれど。
ラクスにキラ。自分を追い越していく若者の背中を見るのが嬉しくなったものだ。
しかしそれでも、今だけは絶対に微笑みたくなどなかった。
今笑えばきっと自分は穏やかな表情を浮かべてしまうだろうとすら思った。
そのこと自体に悪い気はしなかったが、あの親子の事を思えばそんな気分にはなれなかった。

「貴方は何を馬鹿なことを口走っているのです。
 キラ=ヤマトは健在であり、シン=アスカが彼を上回ることは無い。まだ戦いは終わったわけではない。
 貴方が此処に留まり続けるというのなら、私だけでも他の艦へ」
「生憎だが戦場に観覧席は無い。あんたには僕と運命を共にして貰う。
 何、死んだ後のことは心配するな。オーブで君を待っている筈の恋人は、随分前から若い男性と逢瀬を重ねている。
 君が2度と帰らなくなっても悲しむことはないだろう」
「何を馬鹿なことを……それに今はそんなことはどうでも良い。私は彼が作り出す未来を見届ける義務が」
「その未来ってやつは、もっと可能性に溢れた若い連中が手にするもんだ。
 資格だとか義務だとか……そんなものは最初から無いのさ。自分の意思で戦争を再開させた僕たちにはね」

余韻を潰すかのようなマルキオの言葉。それをばっさりと切り捨てる。
以前は嫌悪感しか湧かなかったこの男の声だが、少年たちの声を聞いた今となっては
おもちゃを取り上げられた子供の声にしか聞こえない。今まで彼に固執していたのが馬鹿らしくなるほどに。
自分も背負わなくて良いものを背負い込んでいたのだろうか。あまり他人の事は言えないかもしれない。

しかし、ケジメだけは付けないといけないだろう。
648CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:07:02 ID:???

「それと、これは忘れ物だ」

そう言うや否や、握り締めた拳で思い切り殴りつける。吹き飛び壁に叩きつけられた盲目の男。
何をされたか理解できていない、そんな表情で顔を押さえる手の間からは血が見えた。
バルトフェルドは意外そうな目で零れ落ちるその赤い雫を眺める。なんだ、やっぱり流れていたのか。

「目の見えない人間を殴りつける。あの子はそんな事が出来る人間じゃないからね。
 ……今の一発はキラの分だ。
 ったく、大人らしいことがこんなことしか出来ないなんて、砂漠の虎も堕ちたもんだ」

自分の言葉を聞いている様子は無いが、マルキオは脱出を諦めたのか動こうとしない。
それならいい。逃げないのならこんな男に割く思考は無い。
クルーの1人に視線を向けると、彼は頷きを返した後入り口にロックをかけた。
バルトフェルドは艦長席に戻りブリッジクルーにも同様の命令を出した後、画面に映し出された全体図をみつめる。
いくつか敵と戦闘を続けていた部隊もあったが、周囲が戦闘を停止しているのに気付くとお互い距離を取るようになった。
自分の言葉を聞く気になったのか、それともただ身体を休めようとしているだけなのか。
流石に個人の意思までは読めないが、2人の戦いの決着に意識が向かっているのは間違いない。
無理強いをさせるつもりは無かったが、ブリッジクルーも脱出しようとする者はいないようだ。

『それでも、守りたいものがあるんだ!!』
『アンタって人はぁぁぁ!!!』

だとすると、もう自分は何も背負わなくてもいいだろう。
いずれ訪れる死を受け入れることを代償に、バルトフェルドは画面の映像以外の全てを意識から外す。
今はただ、ひたすら彼のことを想いたかった。彼ら2人のことを想いたかった。
少しだけ、自分の子供の様に思っていた彼らの為に。

「がんばれ、キラ」

声にならない言葉を吐き出す。涙が零れても瞼を閉じることは無い。
彼の戦いを見届けるために。目を見開き前を見続ける。


「そして生きてくれ。頼むから……」


自分の息子の戦いを、最後に焼き付けるために。
649CROSS POINT (代理):2010/11/21(日) 00:09:39 ID:???
以上で第36話終わりです。
作者様乙です。
何となくですが着地点が見えてきた気がします。
サトー(甥)は死亡フラグが立ったwと思ったんですが…w
650通常の名無しさんの3倍:2010/11/21(日) 13:18:38 ID:???
マルキオ鉄拳制裁にはいくらか溜飲が下がったけれど…
言いたかないけどここでのカリダママンってひょっとして超ビッc(ターン
651通常の名無しさんの3倍:2010/11/21(日) 22:05:47 ID:???
え…?あれ…?
今回のサトー(甥)の活躍はCROSS POINT2(仮)の主役フラグじゃないの?
652通常の名無しさんの3倍:2010/11/27(土) 20:48:43 ID:???
もしかしたら気付くの遅いかもしれんが、
この作品のタイトルって歌詞を使ってるのが多いんだな
しかも良い曲ばっかり。マッチと酒のやつ以外は
653CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:23:07 ID:???
避難所の方にCROSS POINTの続きが投下されましたので、代理でこちらに投下します。
654CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:23:27 ID:???



戦いが始まって、どれだけの時間が経ったのだろう。


既に周りの人間達は戦闘を止め、2機の戦いを見つめていた。
先程までの人の領域を超えた戦いは影を潜め、傷ついた2機のMSは月面上で距離を置いて対峙している。
両者共に動きは無い。ただ、お互いの必殺の構えを維持したままで。
デスティニーはアロンダイトを持った右手をだらりと下げ、フリーダムは全ての砲門をデスティニーに向けている。

互いに最後の攻防のきっかけを探しているのだと、見ている誰もが気付いていた。






『CROSS POINT』






「なあキラ、今なんとなく思ったんだけどさ。
 戦争がなかったら、俺たちどんな出会いしてたのかな」
『……正直、想像もつかないな。僕の家はヘリオポリスにあったから。
 もしかしたら一生、出会わなかったかもしれないよ?』
「そっか」

IF。もしもの話。何の意味も無い、すぐに終わるような話。
まるで茶飲み話でもするかのような口調で、シンはキラに向かって話しかけた。
こんな他愛の無い時間を大事なものだと気付いているくせに、お互いそれをおくびにも出さずに話し続けている。
この場にいるのは2人だけ。ただ、殺し合いの決着をつけるために残っているというのに。
それなのに思いつくのはくだらないことばかりで。
今わの際に思うことなんてきっと、こんなもんなんだろう。

―――――いよいよ大詰めだな

まあな。とうとうこの時が来てしまった。……というか、さっき別れたばっかなのにもう来たのか親友。
こんなに早く来られてはかっこつけた俺の立場が無いのだが。
655CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:23:48 ID:???

―――――お前は抜けているからな。少し気になっただけだ。
     それよりも後悔しているのか? こうなったことを

どうなんだろう。正直よくわからない。
この戦いの行方も、自分の心も、此処に到った理由すらも。

―――――心配するな。お前は、1人じゃない

確かに感じる。自分の背を支える沢山の存在を。
そこで一つ謎が解けた。自分がキラをも上回るとは到底思えないのに、心のどこかで自分は楽観視していた。
負ける筈はないと。そりゃそうだ。
こんだけ派手なメンツが後ろについていれば、相手が誰だろうと負ける理由がある方がおかしい。

「ああ、そうだな。皆が見ていてくれる。それに―――」

思い出せたんだ。
あの雪の日からずっといろんな物を背負い込んで、まともに空を見上げることなんかできなかったけど。
思い出せたんだ。
この世界には光が溢れているという事を。
光は今も俺の側で、俺を照らしてくれているという事を。

なら、行ける。
迷わずに行ける。
俺の道を、俺が望む道を、俺が信じた道を。

俺は、自分で斬り開いて行くことができる―――





向かい合う翼の生えた2機のMS。アスランは何も言葉を発さずにその光景を見ていた。
先ほどまでの戦いで感じていた高揚感は既に無い。
目の前にある、一つの物語の結末の前ではそんなものは意味を成さなかった。
その中に自分の席はもう無い。どうやっても止めることはできない。

だから見ていた。見ていることしかできなかった。

彼を終わらせるのは自分ではない。敗れたあの日から、もう自分のその資格は消失してしまった。
だがそれでも、自分は自分の役目を果たさなければならない。
最後まで見届ける事。終わりを受け入れる事。
それが今戦っている二人の親友に対しての、せめてものけじめだった。
656CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:24:08 ID:???

「……止まれよ」

けれど。

「……止まってくれよ」

けれど。

「止まれって言ってるだろ」

そんな簡単な、自分に残された役目を。
メットの中に浮いている、数多の水珠が邪魔をする。

「くそっ!!」

ヘルメットを外して後ろに放り投げた。それでも溢れる雫の数は増える一方だ。
ちくしょう、止まれよくそったれ。
決着の瞬間は涙で見えませんでしたなんて洒落にもならないじゃないか。

視線の先の両者は動かない。彼らがいるその空間だけ、まるで時間が止まったように静かだ。
動き出すきっかけを探しているのは子供でも分かる。
だからそれは自分が作ってやることにした。
外にいる自分にはそれしかできないから、せめて……いや、その思考は欺瞞だ。それは己の本心ではない。
せめてそれぐらいは? 違う。
それでもいい? 違う。
それだけでもいい? 違う。

俺は、この役だけは死んでも譲れないんだ。

親友2人の最後に立ち会う。そこに介入するのは自分以外には誰にも許したくない。
子供じみた独占欲。しかし腹を決めた以上、自分の動きに迷いは無い。
己の傲慢な性格が今はありがたかった。

「……いくぞ、お前ら」

操縦桿に手を掛け、届く筈のない言葉を2人に送る。
気が付けば涙はとうに乾いていた。おそらくは、心も共に。
657CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:24:36 ID:???

「――――」

脳が号令を出したその刹那。自分は今、何か言ったらしい。
しかし唇から零れ落ちることは無かった。
だから自分がその言葉が思い出すことは無いだろう。例えこの後の生涯全てをかけたとしても。
この後の喪失が、全てを塗りつぶすだろうから。


アスランは2人に向けてアムフォルタスを構え――――

その引き金を、引いた。






ゆらりと月面から足を放し、デスティニーが少しだけ宙に浮く。
そしてアロンダイトを勢い良く振り下ろしながら正眼に構えた。
リミッターでも解除したのか、深紅の翼がその身体よりも大きく広がる。
禍々しく、そして美しい。思わず溜息が漏れるほどに。
これがデスティニーの―――彼の―――本当の姿か。

「ああ……」

キラは喉から吐き出しそうだった言葉を飲み込み、意識をシンから外す。
キーボードを叩くとフリーダムのサーベルの片刃が消えた。同時に残された反対の刃が太くなる。
そしてモニターで武装を再チェック。大丈夫、ドラグーンは全て失ったが他の武装はまだ生きている。
宙に浮き長剣を構えるデスティニーに視線を戻し、先程こぼれなかった想いを静かに呟いた。

「撃ちたくない、なぁ……」

この感情を言葉で表すならば、未練と言うしかないだろう。
もうすぐ戦いに決着が付く。そして今の彼の姿を見た瞬間確信した。
殺らなきゃ殺られる、と。おそらくどちらかが死んでしまうだろうと。
無論自分はもう死ぬつもりなんてない。あの娘が待っているのだから。
ならば、これから自分は本当の親友を失うことになる。

そう。今のキラにとって、シン=アスカはまぎれもなく親友だった。
658CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:25:09 ID:???

かつて自分は彼から全てを奪った。
守りたかったという少女。親友。上司。理解者。目指した世界。未確認だが彼の家族も。
だがそれでも彼は自分に力を貸してくれた。一緒に酒も飲んだ。
軍を辞めていたのに、介錯をするために戦場に戻ってくれた。

全部、自分のためにだ。

ありがとうと笑顔で言いたかった。ごめんなさいと泣きながら謝りたかった。
だけどそれはもうできない。僕らの行く道はもう、とっくの昔に離れていた。
途中で交わることはあったけれど、歩く道は違っていたのだ。

終戦からの1年にも満たない短い期間。そして僅かに心を通わせた夜の公園での数時間。
共にいたのは僅かにそれだけ。今の自分たちはただ交差しているだけだ。
そして今日を最後にもう交じり合うことは無い。
どちらかの記してきた線を上書きして断ち切り、離れていくだけ。

「ねえ、シン。前から思っていたことがあるんだ」
『まだあんのか。今さら』

会話を終わらせたくないくせに、自分の言葉にめんどくさそうな声で応じるシン。
終わらせたくないのは自分も同じだが、彼に打ち切る言葉を言わせたくなかった。
ただ自分がその言葉を聞きたくなかっただけかもしれない。
だから、自分から戦いへと誘う言葉を吐いた。

「君を倒せるのは、僕だけだって」

親友を手にかける、下り坂への一歩は踏み出した。後は奈落へと転がり落ちるだけ。
ここから先、自分に救いはほとんど無い。
娘との明日と言う僅かな光明を手に入れるために、今は自ら闇へと飛び込んでいくしか道は残されていないのだ。

『………その言葉、そのまま返すよ』

覚悟を決めた自分の声。それに対する返答は静かで不敵な言葉だった。
ベルリンでは本心はともかく弱気な発言をしていたというのに、どんな心境の変化があったというのか。
おそらくきっと、彼も己にとっての大切なものに気付いたのだろう。
負けられない理由があるのは自分だけじゃないということか。

「返すんだ。僕に勝てると?」
『ああ。それに気付いたのは、ついさっきだけどな』

ついさっきとはまた、随分急な話だ。そこは敵である自分に明かすところじゃないだろうに。
正直な言葉を返すシンに、キラは思わず笑ってしまった。
それは嘲笑ではなく、苦笑ですらない。ただ大切な親友に向けるためだけの笑顔。
659CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:26:13 ID:???


「そっか。―――――それ、きっと間違ってないよ」


張り詰める空気。耳を刺す静寂。
次の瞬間、紅い閃光が2機の中間位置を流れていった。

それを合図とするかのようにデスティニーが動き出した。
アロンダイトを右肩に担ぎ、フリーダム目掛けて飛び込んでいく。だが遠い。先手はこちらだ。
応えるフリーダムは全砲門を開いてのフルバースト。全てを薙ぎ払う炎の一撃。
自由の聖剣の代名詞たる、世界をも支配したビームの豪雨。
しかしデスティニーはそれを全て避けた。

「流石―――!!」

予想通り。これぐらい今のシンなら造作も無いだろう。本当に天才だ、彼は。
感嘆してる暇は無い。本命はその次。
デスティニー最強の、アロンダイトの一撃が来る。
まともに喰らえばフリーダムではひとたまりもない。

しかしデスティニーの手の内が知れた今、アロンダイトさえなくなればキラに負けは無い。
だからこの攻防で破壊する。仕込みは既に済ましている。武器壊しは自分の十八番だ。
狙うのは長剣の接続部分。これまでの打ち合いで攻撃をその1点に集中させてきた。
次の一撃で折れる筈だ。

飛び込んでくるデスティニー。流石に速い。
長剣は右肩に担いだまま。次に来るのは唐竹割りか、それとも横薙ぎか。
デスティニーの右肩が僅かに下がる。

―――横薙ぎ!!

一瞬で反応し、操縦桿を動かした。フリーダムが左手のサーベルを下から上へ跳ね上げる。
交差する二つの刃。
アロンダイトの接続部分に火花が生じ、長剣の半分から上が断ち切られる。
弾け跳ぶアロンダイトが自分の瞳にスローモーションで映った。そして残された下半分の光刃が消えていく。


――――――勝った!!!


狙い通りのその結果に歓喜するキラの全細胞。そしてそのまま追撃の一撃へと身体が移行する。

しかし次の瞬間、キラの目が驚愕で開かれた。
660CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:26:38 ID:???





フリーダムのサーベルが光を放ち、アロンダイトの上半分が吹き飛んでいく。
それは自分の全てを込めた一撃が砕かれた瞬間だった。
目の前の敵が止めへと移る動きがひどくスローモーションに見える。
自分は負けたのか。もうここまでなのか。ここで終わってしまうのか――――

いや、まだだ。

しかしそんな終わりの声を否定する想いが心の奥底から湧き上がる。シン=アスカという存在が、そんな現実を否定する。
まだだ。自分はまだ倒れることを許されていない。
否、俺自身が許さない。

大切なたからものの前で。大切な仲間の前で。見守ってくれている者たちの前で。
そして、死して尚俺を支えてくれる人たちの前で。
諦める。敗北を受け入れる。見据えるべき前方から目を逸らす。
そんな無様な姿を晒してなるものか。
依存と言いたきゃ言えばいい。他人に動かされるだけの人形だというなら蔑めばいい。
だけど、その人形が明日を掴めないという道理は無い。

「おおおおおおおお!!!!」

咆哮と共に前を向く。
その手で掴むべきは明日。その足で追いかけるべきは明日。
それは後ろにあるようなものじゃない。

前に向かって奔れ。
限界を越えて、その先まで。


―――――それでこそお前だ。

再び声が響く。沢山の手が自分の背中に触れているのを感じた。
それは生きている者だけじゃない。いなくなってしまった人。自分を支えてくれる人たちの、暖かい手。
この一歩を踏み出せと、臆病な自分の背中を力強く押している。
661CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:27:04 ID:???

―――――そのまま行け、シン

わかってる。

―――――運命に打ち勝ち、君自身の道を歩め

わかってます。

―――――迷わずに行きなさい

了解です。

―――――派手に決めちまいな

オーケー。

―――――明日で、待ってるね



………ああ。待っててくれ。



「でやああああああッッッ!!!!!!!」


折られたのも構わずにアロンダイトをそのまま振り抜く。ビームの刃は消えそうになっているが、完全に消えたわけではない。
僅かに残った光刃が消え去る瞬間にフリーダムの左脇腹の装甲を切り裂き、その切れ目に実剣部分が食い込んだ。

『ぐうっ、かはぁっ……!?』

「まだ、まだぁぁぁ!!!!!」

食い込むアロンダイトをそのままに、右手だけ逆手に持ち変える。同時に翼がさらに大きく広がった。
リミッターは解除したまま。最大出力。
フリーダムに剣を食い込ませたまま前に飛ぶ。体当たりの様に身体で押しながら月面を駆ける。
662CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:27:27 ID:???



月面を一筋の光が流れ。

そして、消えた。



勢いそのまま岩壁に突っ込み、壁にもたれた2つの機体。
フリーダムの脇腹に食い込んだ剣がその手から零れ落ちた。蒼い翼の機体がずり落ちるように腰を落とす。
真紅の翼を持つMSが蒼いMSから離れ、数歩後ずさる。そして力尽きたかのように片膝を着いた。
次の瞬間、両機の全身を灰色が浸していき―――

そして、今度こそ本当に動かなくなった。

月面に腰を落としたまま岩壁に背中を預けるフリーダム。片膝を着き、頭を垂れたまま動かないデスティニー。
荘厳な絵画のようなその光景。
その姿はまるで王の死を看取り、悲しむ騎士のよう。


ここに2つの線は交わり、そして離れた。
663CROSS POINT (代理):2010/11/28(日) 22:30:46 ID:???
以上で今回は終わりです。
作者様乙です。

実は「今週末あたり来るかな?」と思って全裸待機してました。
そしたらキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!という次第です。
寒かったですが待った甲斐があったというものです。
いよいよ終わりが見えてきました。
本当に終わった時の喪失感はどのような感じになるのか楽しみというか悲しいというかそんな感じです。
664通常の名無しさんの3倍:2010/11/29(月) 18:14:13 ID:???
代理さんと作者さん乙!

ああ、本当に空しいだけの戦い・・・・・認め合いながら殺しあうのか・・・・酷い喪失感だ
665通常の名無しさんの3倍:2010/12/04(土) 02:03:10 ID:???
新スレのお知らせ
【もしも】種・種死の世界に○○が来たら10【統合】
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1291395757/
666通常の名無しさんの3倍:2010/12/04(土) 14:37:15 ID:???
>>665
乙。
665時点で439kBでCROSS POINT1話当たり20kBぐらいだから提案しようかスルーしとこうかと思ってた。
まあ立てといてもいいとは思う。
667通常の名無しさんの3倍:2010/12/05(日) 02:03:18 ID:???
>>666
ありがとう
でもここの次スレじゃなくて、980超えて落ちちゃったクロス系総合スレの新スレなんだ、ごめんな
668666:2010/12/05(日) 21:44:18 ID:???
>>667
よく見てなかったw
確認してみて穴があったら入りたい気分になったorz
669通常の名無しさんの3倍:2010/12/09(木) 20:25:48 ID:kXFS4jUn
>>539別バージョン
JIYU&SEIGI 作詞&作曲:DJ KIRA&DJ ZARA

やるなら今しかねー KI・RA
やるなら今しかねー ZA・RA
正義がJIYU 自由がSEIGI
愚かな連中に武力介入
やるなら今しかねー KI・RA……

「デスティニーぃぃ!!」ボゴォォ
「へぶぁァァァ! ……、あ、シン」
「『あ、シン』じゃねーよ! 何してんだアンタら、こんなとこで」
「いやシン、俺達はラップで自由と正義をだな…」
「うるせェェェ! 自由と正義のためにしちゃ不必要にノリノリじゃねーか!
しかも何でよりによってラップをチョイスしたんだよ!
意味が分かんねーよ! なんなんだアンタら一体なんなんだ!!
くたばれよ、頼むから正義と自由の為にくたばってくれよォ」
「ラップじゃない、(キュキュッキュッ)キ☆ラップ&ザ☆ラップだYO」
「キ☆ラップ&ザ☆ラップじゃねーよ!! サランラップに包んで冷凍保存してやろうか!」
670通常の名無しさんの3倍:2010/12/10(金) 04:58:45 ID:???
>>669
埋めネタの前に次スレ建てろや
671通常の名無しさんの3倍:2010/12/11(土) 22:10:13 ID:???

672通常の名無しさんの3倍:2010/12/11(土) 23:18:44 ID:???
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)   ワクワクテカテカ
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
673通常の名無しさんの3倍:2010/12/12(日) 02:44:17 ID:???
まだ441KBだろ
早すぎね?
674ネタ振りです。:2010/12/13(月) 20:03:54 ID:LXIMFdxp
もし種世界の面々が銀魂に出て来た"イボ"に感染していたとしたら……
675通常の名無しさんの3倍:2010/12/13(月) 23:04:49 ID:???
向上心のあるキャラか・・・判断の分かれるところだが
寄生されたら概ねほとんどがマシになるかもだな

まずキラには寄生すまいが
676通常の名無しさんの3倍:2010/12/13(月) 23:37:43 ID:???
シンが地球バカイザーとして、オーブ滅ぼしてプラントと最終決戦

…と言えば、満足すんだろ?
677674:2010/12/13(月) 23:54:40 ID:LXIMFdxp
>>676
あとカガリがついに自分の股間にアメノミハシラを建設する…という返答も欲しかったですね。

序でに「もしキラやシンが或る日目覚めたら、なぜかハロと精神が入れ替わっていたとしたら」という話題についても一つ。
678通常の名無しさんの3倍:2010/12/14(火) 00:06:57 ID:???
>>677
「取ったどぉぉぉぉ!!」な凸と、かまっ娘倶楽部のナンバーワン決定戦ですねw
分かりますw
679通常の名無しさんの3倍:2010/12/14(火) 08:19:01 ID:???
>>678
それをやりそうなのは凸よりレイじゃないかと想うんだが……理由? いや、何と無くだが。
680通常の名無しさんの3倍:2010/12/14(火) 20:17:25 ID:???
キラの父(育ての)がリストラされて
キラに説教かました後に公園で一日中ブランコに揺られてる姿を見られたせいで
息子がテロリストになっちまったぁぁぁぁって悲しむ姿は
もうこのスレには出たのかい?
ttp://blog-imgs-27.fc2.com/t/o/k/tokkablog/play.html?id=sm12405985
ttp://blog-imgs-27.fc2.com/t/o/k/tokkablog/play.html?id=sm10173109

「キラさん…いくらなんでもこれはひどいです……
スーパーコーディネーターだからって少しは節度持ってくださいよ。
あと暫らくメイリンと私達に近づかないでくれますか? 変態」
「誤解だぁ゛ぁー! コレ僕と同じ様な声だけど僕じゃない別人だよ、ルナマリア……
シン〜〜、世界のために一緒に戦ってくれてる君なら僕との違いに気づいてくれるよねぇ?」

ttp://blog-imgs-32.fc2.com/c/a/r/cartoonworld/20091130190319462.png
ttp://blog-imgs-34.fc2.com/d/a/n/danp0079/soraoto.jpg
ttp://f.hatena.ne.jp/images/fotolife/H/HAVE/20091230/20091230124029.jpg
ttp://blog-imgs-27.fc2.com/t/o/k/tokkablog/play.html?id=sm12663174

「キラさん、元々見損なってたけどもっと見損なうことになるとは……あっさりと底値更新です。
取り敢えずパンツはお前の自腹で弁償しろよな。あとパイプはちゃんと責任持って自分で処分しろよ」
「えっ? タメ口?」
「行こうかルナ、こんな所にいると俺達まで貞操が危ない……クソ虫が!!」
「ええ゛ぇえ゛え゛〜」
682通常の名無しさんの3倍:2010/12/15(水) 17:24:08 ID:???
>>680
ラクス「じゃーなー、まるでダメなおっさん、略してマダオ」
683通常の名無しさんの3倍:2010/12/16(木) 21:50:03 ID:???
やることないのはわかるがageてまでやる内容じゃないな
ぶっちゃけつまらん
684通常の名無しさんの3倍:2010/12/16(木) 22:22:40 ID:???
もしラクスも積極的に歌手活動に取り組んでいたとしたら……

代表曲「遺伝子コードがなんぼのもんじゃい」

怖くなんかないもん だって戦力があるから
もう覚悟は決めたよ だから引き返したりしない
当たり障りの無い世界 そんなの糞喰らえ
だって本気の命令違反 だから処罰するな!
及び腰の偉い人 そんなの糞喰らえ
だって本気で生殺し 慣れて来ると楽しい!
さぁ! 運命なんか振り払い、どこまでも行こう……見たことのない新しい世界へ
遺伝子コードがなんぼのもんじゃい! ブレーキなんて必要ねぇ!
遺伝子コードがなんぼのもんじゃい! いつも心にSEED因子!
遺伝子コードがなんぼのもんじゃい! 主役の変更関係ねえ!
遺伝子コードがなんぼのもんじゃい! 後始末は出来ない

"死ぬ時はみんな、道連れでスーパーフリーダム"
685通常の名無しさんの3倍:2010/12/17(金) 00:40:42 ID:???
種、種死を富野が監督してたらどうなったろうか?
686通常の名無しさんの3倍:2010/12/17(金) 00:44:58 ID:???
皆殺しで終わってるんじゃない?
687通常の名無しさんの3倍:2010/12/17(金) 04:03:30 ID:???
種ラストの変態仮面との戦闘でキラ精神崩壊、種死でシンを地球からサポート
種死アスランはZにおけるグラサンポジ
688通常の名無しさんの3倍:2010/12/18(土) 21:24:09 ID:???
もし種世界に”天人”が来訪していたとしたら果たしてどうなるだろうか?
689通常の名無しさんの3倍:2010/12/19(日) 21:33:48 ID:???
コーディネーターが多数派だったら、人類オワタかね?
690通常の名無しさんの3倍:2010/12/19(日) 21:37:12 ID:???
ラクスの電波に全人類の大半が耐えられないって流れになると思う

>>688
もういいからテメーで銀魂絡みのスレたてろ
もしくはクロススレ行け
しつけえ
691通常の名無しさんの3倍:2010/12/21(火) 10:58:55 ID:???
>>689
そりゃ終わりだろうよ。
繁殖力皆無な、コミュ障害付きの連中ばっかりの社会。
まともに機能するとも思えん。
ナチュラルという仮想敵がいたから団結できていたコーディーだぜ?
それがいなくなったら内部での差別が激しくなって内ゲバ始めるだろ。
692通常の名無しさんの3倍:2010/12/25(土) 03:05:46 ID:???
規制が解除されてたようなので、また食らわされないうちに
せっかくだから新スレ建立。
CROSS POINT氏が滞ってるのも表稼業の忙しさのほかに
このスレの容量不足の可能性のためってのもあるかもしれんし。

【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 14
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1293213552/
693通常の名無しさんの3倍:2010/12/25(土) 08:44:55 ID:S3IiijC6
もしSEEDシリーズのテレビ版担当スタッフが銀魂のノリで制作してたら?
694通常の名無しさんの3倍:2010/12/25(土) 11:55:05 ID:???
もし種死最終回までにシンが(直接)カガリ殺していたら?
695通常の名無しさんの3倍:2010/12/25(土) 22:15:16 ID:???
機会はバカツキ戦一回だろ
696通常の名無しさんの3倍:2010/12/25(土) 23:32:24 ID:???
即銃殺刑の覚悟でいけば、アーモリーワン〜ユニウスセブン〜オーブの間で
何度か機会あるだろう
ついでにヘタレボディガードも始末すればいい
697通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 03:55:14 ID:???
シンじゃアスランに手も足も出ないだろ…
698通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 07:52:05 ID:???
アスランに殴られても無傷なのに?
699通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 08:14:25 ID:???
>>694
さすがに種割れ連中を殺したら最後のラクシズ入りは無くなるねー
死を持って償う展開があると思われ
700通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 10:37:40 ID:???
「死を持って償う」・・・ラクシズ(+ホーク姉妹?)屍の上で、シン泣き笑いか?
またはガンダムファイトの説明絵みたいなガッツポーズ
701通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 11:19:09 ID:???
もしシンが最終回で戦死しレイが勝敗問わず生存しルナマリアが裏切らず生き残っていたら?
702通常の名無しさんの3倍:2010/12/26(日) 13:29:47 ID:???
レイ勝利ならその勢いで、敗北なら続編でラクシズ全滅&オーブ滅亡って結末かね
で、その後レイはルナ(敗北スタートなら新主人公)達に後顧を託し、シンの墓前で
満足げな顔で事切れる
703通常の名無しさんの3倍:2010/12/27(月) 23:33:10 ID:???
流石にどこも少ないな
704通常の名無しさんの3倍:2010/12/28(火) 00:10:42 ID:???
>>692
いまさら言うのもなんだが、はえぇよw
残り50KBもあって足りないわけないだろw
705通常の名無しさんの3倍:2011/01/01(土) 19:00:08 ID:???
>>694
むしろPPの奇襲がなく、当初の目的だった元オーブ国民コーディ技術者連れ戻しのために
個別面談したらことごとく拒絶およびシンと同じニュアンスのアスハ糾弾を突き付けられて
よくて涙目、あるいはキレて暴力沙汰でプラントのゴシップをにぎわすとかの方が面白かったかも。
706通常の名無しさんの3倍:2011/01/02(日) 10:33:43 ID:???
>>
「糞苦」
「死ねぇ! アスハ! 茶で死ねぇ」
707通常の名無しさんの3倍:2011/01/02(日) 10:37:06 ID:???
ごめん、 途中で送ってしまった

>>705
茶を振る舞われるが
「糞苦げぇあああ!!!」
「死ねェアスハ!! 茶で死ねェ!!!」
とかもw
708通常の名無しさんの3倍:2011/01/07(金) 00:08:16 ID:???
Cross Point作者様、
次回投下自体はなんぼでも待ちますので生存・近況報告の一言だけでもどうか…
709通常の名無しさんの3倍:2011/01/08(土) 11:16:14 ID:???
SEED-AFTER PHASE32.運命はベルトコンベアのように流れる

ディアッカ
「オイィィィ! お前、何やってんんだァ!? こういう流れ作業はな、1人がミスったらラインが全部止まっちまうんだよ!」
シン
「す、すいませんエルスマン工場長」
ディアッカ
「すいませんじゃねーよ! 何度も同じ事言わせやがって!! 簡単だろ、こんなもんよォ!
コレをここに嵌めて、こいつを噛み合わせりゃいいだけだろーが!」
シン
「…っていうかコレ、なに作ってるんですか? この工場、いったい何を生産してるんですか?」
ディアッカ
「アレだよお前、ハロに決まってんだろーが!」
シン
「だからハロってなんだって聞いてるんでしょうが!」
ディアッカ
「ハロはハロ以外の何物でもない、それ以上でもそれ以下でもない!」
シン
「ただのガラクタじゃないかァ! 労働意欲が失せるんだよ、なんかコレ見てると!!」
ディアッカ
「煩せェ!! てめえら下っ端は無心に手を動かしていればいいんだよ!! 見ろ、お前と同期のヨウランの組み立て振りを」
ヴィーノ
「うおおおおお! スゲぇ速ェェェ!」
ダコスタ
「さすがヨウランさんだ、物凄い勢いでハロが量産されてゆく!」
ディアッカ
「次期プラント工業大臣は奴しかいねぇな。よし、みんなも負けないように頑張れ!」
シン
「そんなんで工業大臣決まるの!? おしまいだ! ココおしまいだよ!!」
710通常の名無しさんの3倍:2011/01/14(金) 20:12:54 ID:???
シンがアスハ憎しで発言した真意は
カガリが毅然と言い返してウズミが間違ってなかった、オーブを信じさせて欲しかった
と、小説ではそういうことになってるそうだが

カガリがシンの期待通りの名君であったら(なっていたら)
どうなっていただろうか・・・
711通常の名無しさんの3倍:2011/01/14(金) 21:41:25 ID:???
そもそも接点がなくなる気がする。
712通常の名無しさんの3倍:2011/01/14(金) 22:20:19 ID:???
>>710
       _,,,,、-‐‐-、- 、  ~"=―"    だ  じ  理   ア
   _     /   ~ヽ  ヽliiヽ_ _~<   !  ゅ 由 と ス
,‐-/ |_/'|/~"'ヽ、   ',   '.!li ~lヽ'-、      う だ い ハ
l  | | l l''┬-、 ヽ   l  l| iil/ii_,;lニ>     ぶ け う の
'  |/ l / |i l/~ヽ ヽ l  il|ili/ iil/lli'').    ん で    子
   |/.,-l ',ll  ',    ilil/ill!i!i!!_,,=ニ-‐,         
\    l ヽ',li  ' ,lililllil!lll!!!iil!, ''ilil/!l|〃- 、,-、
:| l\  ヽ ヽヽ,,  `i-!il!!ll,, -'" /ll/!l//!// / |,-、    ,-、 /
:| | |\ |\ \二//! !!|l|-‐''"〃lili/lili'ilil/   l /~i''ヽ / ll
:| l  ', >', ヽ   ` ‐‐-┴‐ニ'/!ii!!_,, --´'ヽ   l   V
:l l  ヽ  ' , ',/~"'''‐┐, ‐'/-‐''" |l!llll!li   ',
l l    ヽ └、__   "/〃ノノll!i/l!lllii!!i  |
:l     "'-_    "'' ‐´/!!//!l!!/l!liillii!!ii /
l       l "''''''''i''""~!!!!//!!! /lll!!!!iii /
713通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 14:28:12 ID:???
漫画版宙さん乙です

結局カガリはシンに後で言いかえせなかったな
カガリの成長要素のはずだったんだが・・・

というか後半のカガリはなおさらシンにとっては許せない存在になっちゃったわけだが
当初の理念も投げ捨ててるわけで
本人に自覚ないっぽいのがまた始末が悪い
714通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 18:08:05 ID:???
「自覚無き悪意」
ラクシズを形容する表現としては相応しいかと
715通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 20:04:45 ID:???
>>713
昔、世界史の教科書で見たフランス革命時の絵みたいに
シンはギロチンにかけたバカゴリの首を掲げればいい
716通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 20:21:28 ID:???
旧王朝の関係者を片っ端からギロチンにかけまくったロベスピエールは、最後は自身がギロチンにかけられた
717通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 20:27:19 ID:???
>>716
ラクシズたちの屍を全て捧げた後なら、シンは喜んで断頭台の露になるだろう
718通常の名無しさんの3倍:2011/01/15(土) 21:20:35 ID:???
finalplusのシンの追加台詞の
「世界は変わらなくちゃいけないんだ、だからオーブは撃たなくちゃいけないんだ」
って台詞の説得力が凄い
スペエディじゃ50話基準の編集だから無かったのが凄く残念な台詞だった
719通常の名無しさんの3倍:2011/01/16(日) 00:01:18 ID:???
ヤハリコウナルベキダッタ

「ガンダムSEED 逆襲のシン EPISODE]W」より
53:aymzkr ◆JNW2FsDB0Y 2007/12/14(金) 10:37:03 ID:??? [sage]
「ルナ……」
 意識を取り戻したシンが見たのは、メサイアの最後だった。
「メサイアは落ちたわ……オーブは『討たれなかった』」
「…う……違う!」
 ゆっくりとハンドガンを手を延ばす。
「違う!『討たれなかった』じゃない!!」
「えっ!?」
 シンは泣いていた。
 その涙は、己の力を、自信を、理想を、信念を、全てを打ち砕かれた血の涙だった。
 そして───目の前の女は自分に何をした?
 憎き裏切り者との戦いに乱入し、あろうことか裏切り者を庇ったではないか。
「『討てなかった』んだよ、オーブを! あいつらのせいで! そしてお前も、
あいつらと同じ裏切り者だァ!!」

『争いのない、理不尽に人が死なない世界』
 そんなものは、幻想の中にしか存在しないことを教えられた。
 全てを失くした。全てを捨てた。
 信じた理想は砕かれ、運命を切り開く剣をくれた人と未来を託された親友は斃れ、
傷の舐め合いだった女は自らの手で殺した。
 眼前にあるのは戦火の爪痕と、勝利を誇る敵。
「絶対に……絶対に壊してやる!」
 憎むべき仇が勝者の世界など認めない。
 あいつらが世界の担い手になるのなら……。
「力を! 国を! 世界を! お前たちの全てを!!」
720通常の名無しさんの3倍:2011/01/16(日) 02:54:28 ID:???
・セイラン主導とはいえ実際に一時ジブ公を匿った
・逮捕のためのオーブ侵攻をラクシズが妨害し、結果的にジブを逃がした
・逃げ延びたジブのレクイエムでコロニー三基住民絶滅
これで後でラクシズへの寝返りが出る事自体狂ってるだろ。
ギル政権としてはアルザッヘルなんかより先にオーブを虐殺の共同正犯として
狙撃する権利や大義名分があってもおかしくないし、イザークが
「あれ(エターナル)はザフトの艦だ!」などと口走ったらたちまち周りの
滅亡コロニー出身兵からフルボッコにされてるはずじゃないのか。
逆シンとかアフター物で、4月危機を生き抜いた地球在住コーディの怨念というのは
時々見かけるが、レクイエム虐殺の遺族のそれというのはあっても不思議じゃないわりに
とんと読んだ覚えがないな。
721通常の名無しさんの3倍:2011/01/16(日) 11:27:01 ID:???
プラント誕生自体が間違っていたんだ
旧デュランダル派を吸収し、シンを旗印にしたブルコス穏健派がプラント&オーブを
滅ぼせばいい
722通常の名無しさんの3倍:2011/01/16(日) 21:58:04 ID:???
次スレがdat落ちしました……。
723通常の名無しさんの3倍:2011/01/17(月) 00:18:16 ID:???
言わんこっちゃないw
724通常の名無しさんの3倍:2011/01/17(月) 19:09:29 ID:???
CROSS POINT氏、そろそろ投下くるかな……
エロいの書き終わったみたいだし
725通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 01:19:31 ID:???
Cross Pointの作者さん、本当にお疲れ様でした。SSを書く身として、あなたのは読んでいて感じ入る所が大変多かったです。
あなたのをもっと早く見つけて、うとまれるくらい感想を書きまくりたかったと思います。格好良くて、切なくて、じんと来ました。

ていうか、これくらいのクオリティがこのスレじゃ普通なんですか?何で皆こんなに冷淡なの?酷くね?銀魂ネタとか>>719みたいなネタとか、
投下の返答が単なる嫌がらせってあんまりだろ……
726通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 01:31:12 ID:???
規制が酷くて、ここの常連が全然書き込めない
727通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 01:32:26 ID:???
ま、待て待て、お疲れ様でしたって、まだエピローグ?にあたる部分って
避難所にさえ投下されてないはずだが…それとも俺が見落としてるだけ?
あと>>724の事も何の事だか誰かkwsk
728通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 17:04:21 ID:???
>>725

>>719>>718へのレスでは?
裏切り者を庇った女を殺すのはともかく(えー)、シンが「(守られるべき人を)守ること」を捨て
「(憎き仇を)世界ごと滅ぼす」ことに傾倒するのが問題なんだろう
729通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 20:36:37 ID:???
>>725
確かに決着はついたけどあれで終わりは無いだろ
理想郷でスパロボのエロ書いてた人と同一人物っぽいから、
そのうち続き書いてくれるんじゃね

まああのスレが冷淡だってのはわからんでもないが
いくらオリ主マンセー物だったとはいえ
730通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 20:44:01 ID:???
>>729
あのスレの「あの」が解らないけど、冷淡だといったのはこのスレのことです。念のため。
731通常の名無しさんの3倍:2011/01/22(土) 20:51:55 ID:???
単なる嫌いだの好きだのの私情をキャラに乗せてただ殺したり持ち上げたりするとか嫁以下ですし
732通常の名無しさんの3倍:2011/01/23(日) 00:59:55 ID:???
>>731
> 単なる嫌いだの好きだのの私情をキャラに乗せてただ殺したり持ち上げたりするとか嫁以下ですし
嫁以下ってか嫁そのものじゃん
何に対していってるのか知らないけど
733通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 01:56:03 ID:???
煌く凶星Jを中心にした種をちょっと考えてみた

・ヘリオポリスに新型MSに対するアグレッサーとして移動(実は動く標的として殺されるはずだった)
・演習用のペイント弾と実体剣で、周囲の建物や地上部隊と連携し、キラがストライクに乗り込むまで防戦
・ストライク発進、不慣れなキラを誘導し援護。キラ「あ、ありがとうございます!」 そしてザフトから裏切り者のJと罵られる。
・コーディネーターであり、たえず冷遇されていたが、キラの親友であるトールやサイたちがジェイのことを気遣い、
またジェイが工学博士でもあることから教師と教え子のような関係が生まれる。
・アルテミスでガンダムのパイロットは自分だと進み出て拘束。
・機体交代、ジェイのジンに乗るキラ。ストライクに乗るジェイ。MSの戦いの基礎を学ばせる。模擬戦で何度かキラに戦いから降りるよう語るジェイ
・追撃戦、アスラン達を経験の差で撹乱するJ。キラ、ランチャーで援護攻撃に徹する。経験則から敵の増援を察知しナタルに進言
・地球、勝手にストライクを動かすサイだがジェイに止められる。ジェイはサイの話の聴きに徹する。
サイ、キラ、フレイの三角関係をどうすればいいか解らず悩み、マリュー、ムウ、ナタルを交え年長者会議開催。
ジェイがまったく恋愛をしたことがないことが明るみになりムウに茶化される「コーディネイターってモテモテじゃなかったんだ」
・砂漠の虎戦。イザーク、機体の性能で倒せないうえ殺しに来ていないジェイに凄まじく苛立つ。イザーク、ジェイを敵視、以後ジェイを狙い続ける。
・イザーク、ジェイのジンを大破させる。オーブでM1アストレイを一機だけ授与。ジェイ専用機、通称ホワイトフレーム。
・マーシャル諸島戦、M1の性能と腕が上がったキラ、トールと連携でディアッカ、ニコルを捕虜。がトールも意識不明の重体。アスラン自爆攻撃でキラ行方不明
・キラ、ジェイの不殺の信念と覚悟を受け継ぎフリーダムに乗る。ナタルAAと離別時ジェイに「私は貴方の様になりたかった。が、それでも軍人なのだ」
・クライン派、不殺の信念を持ちいまなお戦い続けるジェイの存在を広める。ジェイに救われたザフト兵士を中心に広まる。
・クライン派からの宣撫が連合軍にも伝播しはじめる。ジェイと戦場を共にし、ジェイに救われた連合軍兵士を中心に広まる。
・ジェイに関わった者を中心に連合ザフト双方で戦争に対する疑念が生まれ始める。
・連合ザフトの強硬派、双方同時にジェイ抹殺計画発動。ジェイの不殺を利用し殺そうとする連合軍とザフトの大部隊だったが、フリーダムに乗ったジェイに一蹴される。
戦いに参加したパイロットを中心に戦いの空しさが広まる。
ラクス「不殺の凶星、それが生んだ架け橋は確かに双方で息づいています。私たちの役目はそれを支えることです」
・AAの司令なってくれないかというマリューの頼み。フラガいわく「あんたが一番の年長者じゃん。頼むぜ41歳」
・第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦、ジェイ連合ザフト双方に呼びかけ。核迎撃。ジェイのホワイトフレームにジャスティス、フリーダム、イージス、ブリッツ、バスター、ストライクが続く。
・ジェイの教えを受け、全てを許すというサイの言葉を受けとめるフレイ。
撃たれ、軍人として死を決めたナタルだったがジェイの「軍人なら生き続ける覚悟が持ってほしい」という呼びかけに目を覚ましMSハッチまで動くきジェイに救出される。
・ジャスティス、フリーダム、イージス、ブリッツ、バスター、ストライクを引き換えにプロヴィデンスの全戦闘能力を奪う。
・クーデター発生、ジェネシス占拠。パトリック・ザラ死亡。クーデターの中心メンバーは殺し殺される戦場でジェイに命を救われた者たちだった。
・戦争終結。国際軍事裁判でクルーゼ裁かれる。
・平和条約締結式にジェイを中心にした国連平和維持軍が警備に当たる。
UNマークがついた白い機体はかつて戦争を抑えようとした軍人達の象徴であるように。<END>
734通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 14:52:08 ID:???
>>733
いいんじゃね?
問題は、クルーゼをどういう理由で軍事裁判に掛けるかって話だけど。
起こした事件だけ考えると停戦後に死刑になるとは思えんが。
劇中でやったことは、
「連合のMSを開発していたコロニーに攻撃を仕掛けた」
「連合軍の基地を襲撃した」
「パトリックザラの信頼が厚い部下だった」
「特別なエース機体を渡されていた」
程度なんだが……
本人の終末思想というか自爆思想だけで裁くわけにもいかんだろ。
735通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 14:52:45 ID:???
>>734
上+
「連合軍にNJCの情報を流した」か
736通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 19:12:01 ID:???
キラが自由貰ったのにJが自由で一蹴ってのが良く分からんが普通に貸したってことでいいのかね
クルーゼはNJC横流しだけで国家反逆罪だろう、国家っていうかプラント反逆罪かもしれんが
737通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 21:08:19 ID:???
死刑にならないと駄目なのか?
種死の時代に獄中のクルーゼがちょくちょく登場ってのもアリだと思うんだが
738通常の名無しさんの3倍:2011/01/28(金) 23:57:51 ID:???
唯一アドバンテージ取ってるような機密流出させて死刑にならないほうがおかしいと思うけど
739通常の名無しさんの3倍:2011/01/29(土) 10:11:27 ID:???
もしキラ、アスラン、シン、レイ、イザーク、ニコルが男装の女性で
かつカガリ、フレイ、ルナマリア、ナタルも男装していたら・・・?
740通常の名無しさんの3倍:2011/01/29(土) 12:22:18 ID:???
>>739
ドレスアップしても男と思われ、シンに「親父の所へ逝け! オカマ野郎!」と蔑まれる
カガリ・・・
741通常の名無しさんの3倍:2011/01/29(土) 20:48:19 ID:???
>クルーゼ
外患誘致罪で確実に死刑だな

女装
ユウナが高得点いきそう名前的に
742通常の名無しさんの3倍:2011/01/29(土) 23:16:42 ID:???
何故マリューは男装リストに入ってないんだw
743224 ◆otG9KZTbuo :2011/01/30(日) 01:43:59 ID:???
失礼します。>>733です
アニメ一話を見直して涙が出てきました……。
冒頭はこんなに良かったのに……。

>>736
連合「情報どおりのこのこ一機で出てきたな。相手はM1の改造機。しかも不殺のヒーロー様だ。全機一斉集中攻撃で仕留めろ。戦場の厳しさを教えてやれ」
ザフト「連合の猿どもめ……裏切り者を始末したら奴らも片付けろ!」
ジャン@フリーダム「マルチロック!」
連合ザフト「ウボァー!」
ジェス「すげえ!一機であの大部隊を一人も殺さずに!噂は本当だったんだ!でもなんか機体の色が違う気が……」
ジャン「そうだ、戦場は非情だ。だから可能な手段は容赦なくとる。しかしこのフリーダム性能は危険ともいえるな」

ルキーニ「私のシナリオ通り(ニヤリ」

即興で考えてこんな感じ。
以上、お眼汚し失礼しました。

>>739
ナタルの男装は正義!
744通常の名無しさんの3倍:2011/01/31(月) 09:45:13 ID:???
なぜ男装はカッコイイのかな?
745通常の名無しさんの3倍:2011/01/31(月) 09:53:26 ID:???
>>742
マリューに男装は似合わんだろ

>>743
なぜナタルの男装が正義なんだ・・・!?
746通常の名無しさんの3倍:2011/01/31(月) 21:40:10 ID:???
残り33KBでは小説も投稿できないか・・・?
747通常の名無しさんの3倍:2011/02/01(火) 13:45:02 ID:???
>>741
それを言うなら敵前逃亡も重罪で、最高刑は銃殺だが
748通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 01:00:29 ID:???
>敵前逃亡
アスランw

種運命で論理的でカッコイイ、アスランのSSってありませんか?
捜してもみつかりません。
749通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 01:05:48 ID:???
Xとのクロスものでならある
750通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 01:18:01 ID:???
クロスデスティニー
機動戦士ΞガンダムSEED Destiny
ガンダムSEED・BIZARRE
赤き月の鷹

印象深いとこだとこんな所かな。
751通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 01:21:05 ID:???
おお!ありがとうございます!!
752通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 17:30:10 ID:???
スパロボLで裏切らないままオーブ戦までくっついてくるアスランが見れるぞ!
753通常の名無しさんの3倍:2011/02/02(水) 17:50:47 ID:???
>>748
千億の星、千億の光
アスランが裏切らない
754通常の名無しさんの3倍:2011/02/03(木) 15:34:16 ID:???
阿部さんSEEDのアスランはある意味かっこいい
ザウート無双するアスランが見られるぞ!
755通常の名無しさんの3倍:2011/02/03(木) 17:40:02 ID:???
>>752
鉄板ですね!
てかオーブ戦までって……やっぱり

>>753
>>754
ふむふむ!
って、ザウートwwww
756通常の名無しさんの3倍:2011/02/03(木) 19:16:08 ID:???
>>754
ジャンプ中の変形で硬直するのを利用して空まで飛ぶんだよなwアスランザウートw
757通常の名無しさんの3倍:2011/02/03(木) 20:19:52 ID:???
>>755
アスラン「俺は所属不明敵を追いかけるためにフェイス権限でAAに移る!」
シン「それじゃあミネルバはどうするんです?」
アスラン「ミネルバにはお前がいるだろ?(ドヤッ」
って離れ方だし
そもそもキラがステラ助けたりシンがフリーダム撃墜躊躇ったり根本からして種死のキャラ使った別のアニメだけどね
758通常の名無しさんの3倍:2011/02/04(金) 18:25:23 ID:???
Kの有能なオーブ上層部キャラと組み合わせたい
759通常の名無しさんの3倍:2011/02/08(火) 23:47:25 ID:???
CROSS POINTさん何処ですかーーーーーッ(血涙)
760CROSS POINT:2011/02/09(水) 19:55:46 ID:???
>>759
今書いてます。ただ暇が無いので結構時間かかりそう
完結は必ずさせるんで。すんません
761通常の名無しさんの3倍:2011/02/11(金) 15:42:16 ID:???
よ、よかった…生存と継続のお答えさえ頂ければまだ十年は戦える。
なんぼでも待ちますのでじっくりお願いいたします。
762通常の名無しさんの3倍:2011/02/16(水) 20:21:02 ID:???
・・・ザクレロさん、
ザクレロさーん。
763通常の名無しさんの3倍:2011/02/17(木) 00:57:16 ID:???
銀魂ネタとかもし種の作者が〜とか言ってたやつって、ここでオリ主マンセー物書いてたやつ?
過去スレ見たらやたらcross point氏の投下した後にその話題振ろうとしてるし
しまいにゃ勝手に終わらせてるし
764通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 00:04:32.31 ID:???
test
765CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:33:10.12 ID:???


決着は一瞬。それまでの長い戦いが嘘の様に、僅か数秒で終止符が打たれた。
シン=アスカとキラ=ヤマト。彼ら2人の全てを賭けた戦いが。

「キラ……」

画面に映るのは跪くデスティニー、そして腰を落としたまま動かないフリーダム。
長剣の一撃を受けたのはコックピットの近く。両断こそされていないが刃が食い込んでいる。
バルトフェルドはその映像から視線を外すことができない。
人の死を多く見続けてきた己のカンが告げているのだ。もう彼に戦う力は無いと。

明日を求めるが故に、次の瞬間の勝利の為にその時できる最善を為したキラ。
明日を求めるが故に、限界を超えてまで今に全てを込めたシン。
どちらが正しいと言うわけでもない。ただそれまで歩いてきた彼らの道のりがその方法を選んだだけで。
何が勝敗を分けたのかは分からない。それを知っているのはくそったれな神様とやらぐらいだろう。
自分に分かることなんて一つだけ。

「ああ、そうか。……やっぱりここだったんだな」

己を指し示す光は消えた。生きる理由もそれと共に。
後に残るのは本人の意思を無視して活動を続ける、力の無い身体だけ。
交差する2つの線。それは必ずどちらかが上書きされ途切れる。
確率は単純計算で50%。キラだけは特別で無敵なんて都合の良い事などありはしない。
そして今回途切れてしまったのは自分たちの方だった。ただそれだけ。
残酷な現実を受け入れ、バルトフェルドは天を仰ぐ。

「僕たちの、旅の終わりは」

胸の中を吹き抜けていく風が、戦いの終局を告げていた。





「馬鹿な……」

英雄を飛翔させた2人の男。
その片割れが悲しみに浸る中、残された1人は自己を保つのに精一杯だった。
それまでの堂々とした素振りは露ほどにも見せず。顔は青褪め、否定の言葉を幾度も呟いている。
憐れみすら抱くほど堕ちたその様、題名を付けるなら 『絶望』 だろう。
周囲の者たちがそう考えたほど、男は呆然としたままその場に立ち尽くしていた。
766CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:36:51.13 ID:???

自らの耳が聞き取っているのは多数の降伏信号と救助作業の声。戦いの終わりの声。
自分は目が見えない。だから決着を直接見たわけではない。
しかし己には人より優れた耳がある。その場の空気や人の気配を敏感に感じ取ることもできる。
だからこれは虚偽などではなく真実なのだろう。理解と納得は別物ではあるが。
思考がまとまらない脳をそれでもフル稼働させ、マルキオは現実に直面する。

キラ=ヤマトが敗れた。シン=アスカの手によって。
キラ=ヤマトが敗れた。スーパーコーディネーターである筈なのに。
キラ=ヤマトが敗れた。自分に彼が見せてくれる筈だった 『未来』 を見せることなく。

馬鹿な。そんな筈は無い。
彼が敗れるなどと。

「シン=アスカッッッ!!!!!」

気付けば叫んでいた。いや、自分はまだ気付いてなどいないのかもしれない。
自我を自動的に再構築するために、通信席まで歩いた後手探りでマイクを掴む。
なりふり構わず。先ほどの自分の言葉を否定してまで。
自分の中で大きく音を立てて壊れていくものを繋ぎとめようと。

「SEEDを持つ者が世界を導く! 君は私と行動を共にすべきだ!!
 ジョージ=グレンの見せてくれる筈だった未来へと、君には世界を導く義務がある!!!」

違う。そんなことはありえない。
彼の後を継ぐ者は戦うことしか出来ないシン=アスカなどではない。
才能の極値。人類の究極。
そんな言葉でしか言い表せないほどの高みにある存在、スーパーコーディネーター。
すなわちキラ=ヤマトしかその座に着くことは許されない。

「キラ=ヤマトを倒したのがその証明だ!
 君が彼以上の存在だと言うのなら、我々は喜んで君を受け入れよう!!」

しかし、ならば何故彼は敗れた?
自分の見立て違いか。偶然か奇跡でも起こったのか。ただキラが手を抜いただけなのか。
いやそんなことはどうでもいい。彼は私に、目の見えぬ私に光を与えてくれるのではなかったのか。
その答えだけが、自分の納得できる答えだけが今は欲しい。

確かにキラはそうではなかったのかもしれない。いや自分の見込み違いだった。それは認めよう。
しかしまだ自分が望む答えは残されている。
実はシン=アスカこそが本当の継承者で、キラはその踏み台に過ぎなかったのだと。
そして使命に気付いた彼が、これから自分の手を取ってくれるのだと。
キラが自分に見せたであろう未来よりも素晴らしいものを見せてくれるのだと。
767CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:39:11.62 ID:???

「今からでも遅くは無い!! 我々は手を取り合うことができるはずだ!! 」
『………少し黙れ。宗教の勧誘に興味は無いんだ』
「宗教などではない……ええい、私に触るな!!」

返事はかつて僅かに話したときと同じ、侮蔑の言葉だった。
背後から自分を止めようと肩を掴んだ者を突き飛ばし、マルキオは再びマイクを掴む。
頭を掻き毟り通信機を叩き壊したい気分だった。シンが目の前にいれば手にした杖を叩き付けたい気分だった。
何故だ。何故いつもこの男は私の言うことがわからない。
SEEDを持っているのだろう。まがりなりにも彼の後を継ぐ資格があるのだろう。
ならば何故それを生かそうとしない。認めようとしない。

「なんと愚かな!! 無限の可能性を溝に捨てるとは、君はそれでも……!!」
『……どうやらもう、終わってんのは世界じゃなくてアンタの方みたいだな』

耳にシンのものであろう溜息が聞こえる。それは私に対してのものか。
ふざけるな。お前に私の何を見下せるというのか。
手にしたものの素晴らしさにも気付かない粗悪品の分際で。

『俺がキラ以上の存在だと? 笑わせんな。俺がアイツより上に行ける訳が無いだろ』
「謙遜も度が過ぎれば不快だ! キラ=ヤマトを討ち、我々から勝利を奪ったお前が……」
『そうだな、確かに今キラを討ったのは俺さ。それは否定するつもりは無い。
 けどな、キラから……アンタらから勝利を奪ったのはアンタ自身だろ。
 これほどの全能の力を手に入れときながら、こうも無能なアンタがな』
「………もう一度、言って貰おうか」

呼び方や言葉遣いにすら気が廻らず叫び続けるマルキオだったが、シンの言葉に熱が冷める。
今、この男は何を言った。私を無能だと言ったのか。

『キラにクライン派、これだけの条件を揃えておいてこの結末か。
 それともこれだけの力を持っていたのに何もせずに他人任せだったのか。
 アンタが何を望んでたかなんてどうでもいいけど、どっちにしてもアンタは無能だったってことだろ』

違う。自分が無能だと言われる筋合いは無い。
自分はザフトにも連合にもパイプを持ち恐れられた男だ。
無能だと言うならそれを使いこなせなかったキラやバルトフェルドこそが無能なのだ。

「私は無能などではない。私は何も間違ってはいない! 私の目指す未来に間違いは無い!!
 人は次なるステージに向かわねばならないのだから」
『よく言う。まるで今のステージを知ってるようなことを言うな?
 他人の痛みを理解できないような欠陥品が、いったい何を偉そうにほざいてんだ』
「……何?」
768CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:42:36.60 ID:???

欠陥品。
欠陥品。
欠陥品?
けっかんひん?
けっかん、ひん?

コノ、ワタシガ?

『必要無いよ。アンタには未来なんて。
 必要無いよ。アンタが自分色に塗りたくった未来なんて』

何をバカな。この私の力がいらないというのか。
そんな筈は無い。これからの未来には私が必要だ。その筈なんだ。
絶対にそうなんだ。

『……必要、無いんだよ。この世界にはアンタの存在なんて。
 聞こえないってんなら何度でも言ってやろうか?』

やめろ。言うな。その言葉を言うな。
その続きだけは絶対に―――

『アンタは、いらない』

全てが、止まる。

無能。欠陥品。利用する価値も無い。
―――己の存在に意味は無い。
呆然と立ち尽くす自分を、先ほど突き飛ばした男が通信機から引き剥がす。
そして思い切り殴り飛ばされた。背中に壁らしきものがぶつかり呼吸が苦しくなる。
自分に向けられる視線は侮蔑ばかりで、咳き込む自分に誰も駆け寄ろうとはしない。
なんだ、これは。

見込んだ対象はいずれも消えて。
自分に媚びていた者がいつの間にか見下すようになり。
目をかけてやった女にとって、自分はただの止まり木でしかなく。
新たに光と見定めた対象には全否定され。

残るのは目の見えない、ちっぽけな己ただ1人。

口の中に広がる鉄は敗北の味がした。その時になってマルキオはようやく気付く。
自分には最初から、何も無かったのだと。


769通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 21:46:07.86 ID:???





第38話 『マブシクテ マブシクテ』





かつてよく見ていた夢と同じ、真っ暗なコックピットの中。
薄く開いた自分の目にほのかな光が飛び込んできた。
光の正体は瞬く星たち。それらをバックに立っているのは紅いパイロットスーツの青年。
それを見た後小さく咳き込んで、キラは血を吐きだした。ヘルメットの中に赤い珠が舞う。

「えっと……」

なんだろう。頭がひどくぼんやりとしている。
異物の存在を感じる腹は凄く熱い。耳はノイズじみた音がうるさい。目の奥は熱いし喉もカラカラだ。
そしてそんなひどい状況なのに、さっきからひどく眠い。
これって、もしかして。

「……僕、死ぬのかな?」

否定の声を期待して、どうにか声を絞り出した。
実感が湧かなかったのかもしれない。
いきなり銃撃戦に巻き込まれようと、暗殺部隊に襲われようと、搭乗したMSが爆発しようと。
己はどんな絶体絶命な状況下に於いても生き残ってきた。死にたくても死ねなかった時期だってあったのだ。
それを今さら死ぬと言われても。なんだ、その……困るし。
死ぬ。今までの自分には程遠い言葉。
今回もそうなんじゃないか。淡い期待を抱いて親友に聞いてみた。

しかしその希望は切り捨てられた。
目の前の彼はああ、と呟いたのだった。お前はここで死ぬと。

「……そっか」

その言葉があんまりにも静かだったから。
それが本当のことだとわかってしまった。

「そっ…かぁ……」
770CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:50:00.84 ID:???

身体が重い。おかしいな、血が流れ落ちてるのならそのぶん身体が軽くなってもバチは当たらないだろうに。
そんなくだらない思考さえままならない。
耳の中でざわめくノイズがだんだんと小さくなっていく。
これが聞こえなくなったとき、人はその存在を失うのだろうか。
このまま死ぬというのなら、死は思っていたより冷たいものでも苦しいものでもない。
だけど。

「死にたく、ないなぁ……」

何故か怖かった。

ああ認めよう。自分は弱虫だった。
どうしようもないほど、救いようもないほど弱虫だった。
数え切れないほどの死を世界に撒き散らせておきながら、この期に及んでまだ生を望んでいる。

「死にたくないよ、シン」

勝手なことを言っていると自分でも思う。言う資格が最も無い言葉を自分は吐いている。
誰よりも死を振りまいていたのは誰だったのか。この戦いを始めたのは誰だったか。

死んでしまった人間にはもう会えない。
殺された兵の遺恨は消えない。
残された者の傷は簡単には癒えない。
命に取り返しなんてつかない。

自分は、そんなことも分からずに人を殺してきたというのに。

「だって、まだ僕は……」

でも死にたくないんだ。例え死後の世界に 『彼女』 が待っていたとしても。
だって、自分はまだ――――

「まだあの娘に、何もしてあげてない」

いろんな所に連れて行って、楽しい思いをさせてあげたかった。たくさんの綺麗な景色を見せてあげたかった。
美味しいものを食べに行きたかった。一緒にお酒も飲んでみたかった。
彼女の卒業式とかで泣いてみたかった。連れて来た彼氏の腕を捻りあげてやりたかった。
バージンロードも歩いてみたかった。孫の名前も付けてみたかった。

「だからまだ、死ねないんだ」

もっと一緒にいたかった。
あの傷つけられた少女に、君がいてくれて幸せだと伝えてあげたかった。
771CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:53:50.83 ID:???

「まだ……死ねな…い……」

砂時計の砂が落ちていくように、自分の中のナニカが消えていく。
あらゆるものに縋りついて尚、届かなかった者の末路は吐いて捨てるほど見てきた。
自分はただ、強かったから。いつも埃でも払うかのように吹き飛ばしていた。
自分はただ、愚かだったから。形ばかりの憐憫だけ向けて哀れんでいた。
敗北が。断ち切られるって事が。
こんなに苦しいなんて、思いもしなかった。

ふと思う。こんなに苦しいのなら、自分はヒトに戻るべきではなかったのだろうか。

それはないな。

思い浮かんだ少女の笑顔がその答えだった。あれを目にして無反応だなんて考えられない。
だからもっと生きたい。傍にいたい。
だというのに、いまや全霊を込めて開けていた瞼すら閉じかけていた。ほとんどのものがぼやけて見える。
だからだろう。目の前の青年から見える筈のないものが見えたような気がした。
彼が。シンが自分の為に涙なんて、流す筈がないのに。

「ね、え……シン………」

でも彼が泣いているんじゃないか、自分が死ぬことを悲しんでくれているんじゃないか。
そう考えただけで一瞬、本当に一瞬だけなんだかすべてを受け入れてもいいと思ってしまって。
自分を繋ぎとめていた彼女の姿が、少しだけ途絶えてしまって。
自分の終わりを、受け入れてしまって。

「聞いてる…………?」

闇に沈み込むように。目の前のシンが眩しいかのように。
重たいその瞼を、閉じた。





「………聞いてるよ」

人の掌ってのは。自分が思っているよりずっと小さい。
何かを掴もうと手を伸ばせば、今まで手にしていたものがこぼれていく。

血を流して座り込んだ男を見下ろしたまま、シンは自分の掌を見つめた。
目の前にいるのは1人の青年。キラ=ヤマト。ついさっきまで自分が殺そうとしていた相手。
そして推測ではあるが、かつて自分に己を倒すよう依頼してきた相手でもある。
そんな男を、自分は今この手から取りこぼした。
772CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:56:14.31 ID:???

オーブの慰霊碑で初めて会ってから随分経った気もするし、昨日のことのように感じる気もする。
ただ、こいつほど自分の中に色濃く残る存在はいないだろう。

―――君に戦場に戻ってもらえないかなって思っただけなんだけど

―――今日は楽しかったよ、君と話せて

こいつがどんなやつだったか。そんなもの一言では語りつくせる筈も無い。
そうこいつは地味に嫌なやつで俺の大切なものを奪った嫌なやつで
酒弱いくせに無理矢理飲みに連れて行った挙句介抱する自分の足元にリバースするような嫌なやつで。
絶対俺がこうやって悩むのを予想してあんなこと言いやがったに違いないのに。

―――あの娘を抱きしめてやるんだ

―――今なら分かるよ。光は1つだけじゃなかったんだ

―――それ、きっと間違ってないよ

もう引き戻せないところまで人を引き摺り込んでおいて。言った当の本人が心変わりした挙句。


―――死にたくないよ、シン。


最後にこいつはそう言いやがったのだ。それはこのフリーダム野郎の残した最後の呪い。
ただ一つ、今の自分にとって最悪の認識を生み出すもの。
消えない。消し去ることができない。この想いを本当に消したいのか、自分でもわからない。
俺たちは友達だったんだな、なんて。

死にたくない。その言葉に自分はどう答えればよかったのか。
コイツを、友達をこんなにしたのは自分だと言うのに。

「ちくしょう……」

心は泣かない。涙も出ない。
悲しみの涙など、切り捨てられていった者の痛みへの免罪符などになりはしない。
流せたところでそんなことはわかっている。
けれどもし流せたのならば、人はそれを区切りにできる。過去にするのも早まるだろう。
だから泣けるのなら泣いた方がいいのは自明の理だ。

でも、それをしないという事は。
自分はただ、友人を切り捨てた己を許したくないだけなのだろう。
773CROSS POINT:2011/02/24(木) 21:58:28.23 ID:???

「遅いよ、馬鹿。……遅すぎなんだ」

力を失ったキラの身体を抱え、デスティニーのコックピットに乗り込む。
月の重力のせいで軽く感じるのは当たり前とはいえ、こんな身体で世界を背負い込んで……いややめよう。
それを言う資格は自分には無い。こいつの辛さを哀れむのは自分ではない。
資格があるとしたら本人が言っていた『あの子』か、悲しい声で戦いを見届けると言ったあの男だけだろうから。

パネルを弄り再起動。機体に色が戻り、真紅の翼を再び広げた。
もう、此処にはいたくない。こいつをこの場に置いておきたくない。

『待ってください』

飛び立とうとしたその時、デスティニーに通信が入った。
送信先はボルテール。画面にサングラスを着けた男性が映る。
つい先日別れたばかりなのに、ひどく懐かしく感じる顔だった。

『我々はキラ=ヤマトの遺体の確認もしなければいけません。
 彼を乗せたまま何処に行かれるつもりですか? 』
「……連れて行くんだ。誰にも邪魔をさせない場所へ」

艦長の問いにそっけなく返す。敬語を使う余裕も無い。
その声はどう聞いても魔王を討ち取った英雄のものではなく、友人の葬式の帰り道のそれである。

『貴方の気持ちもわからないではない。ですが―――』
「わかるのなら頼みがある。
 こいつも俺も………もう、休ませてくれないか」

艦長の言葉を断ち切る。口から毀れるのはひどく疲れた声。
当たり前だ、誰がこの状況で笑えるというのだ。

『オーブに……依存は無い。シン、お前の好きにしろ』
『遅刻してしまった我々連合は、口を出せる立場ではないな。
 心配するな。上には上手く言っておくさ』
『……行っておいで、シン』

アスランと連合の指揮官、そしてアーサーがシンの意を汲む。
その流れを受けたボルテールの艦長も、数秒後には仕方ないといった表情で頷いた。

『……他ならぬ貴方の願いだ、仕方ありませんね。
 ただし、議長代行とは後ほどお話をする機会を設けさせていただきますが』
「それぐらいなら覚悟の上だ。任務報告くらいはしなきゃいけないだろうし」
『その際には私に連絡を』
「ああ。……ルナ、コニール。先にベルリンに帰っておいてくれないか? 俺も、なるべく早く帰るから」
774CROSS POINT:2011/02/24(木) 22:01:13.38 ID:???

通信は全回線なので、シンはそのまま言葉を続ける。
戦いが終わって皆生き延びたのだ。本当ならもっと優しい声か明るい表情をしたかった。
特にコニールには自分が人を殺す所を見せたくなかった。それが己の友人なら尚更だ。
彼女がそれでどうこうなる人間ではないと知っていても、それでも。

『帰ってくるんなら、私は気にしないよ』
『……行ってきなさい。行き先は聞かないから』
「ありがとう。それじゃ俺は、もう行くな」
『あ……アスカさん!!』

自分に気を使っているのだろう。返ってきたのは優しい声。
その気持ちに感謝しつつ宇宙を見上げると、今度は別の聞き覚えのある声が自分の名を呼んだ。
場所は先ほどと同じくボルテールから。今度は艦長ではなくオペレーターの少女が話しかけてきている。

「……ん? 」
『すいません大きな声出して。
 今から言うのってもしかしたら余計なお世話かもしれません。けど……』
「けど?」

続きを促す声に少女は迷いを見せる。
だが数秒後、意を決して言った。

『泣きたい時には泣いた方が良いと思うんです。悲しそうな顔、してます。
 大切な人がいなくなってしまった時くらい泣いても、バチは当たりませんよ』
「泣けないし泣いてやらないって決めた。
 今日俺が撃ったやつの中にも誰かにとっての大切な人がいたんだろうし、
 それを差し置いて自分だけ悲劇のヒーローぶるのもなんだかなぁって感じでさ。
 それに悲しいっていうよりはどっちかって言うと……少し悔しいんだ。
 俺もこいつも人殺しだ。碌な死に方はしないだろうとは思っていたけど、それでも運命ってやつを恨みたくなる」
「アスカさん……」

自分を見つめる少女の表情は悲しみに満ちていた。
それを見たシンは自分の言葉が間違っていなかったことを確信する。やはりあのマルキオという男は無能だった。
何故に人類の未来とやらを自分にではなく彼女やコニールに見出せなかったのか。
人の心を思いやれる人間と言うのは、この世に最も必要とされている超能力者だ。
悩みを推し測り相手を気遣える。悲しみを読み取り癒そうとする。
戦いの才能? SEED? それがどうした。
そんな物騒なものを抱えてる自分なんかより、彼女たちの方がよほど未来に希望が持てそうじゃないか。

「そうだ、大事な事を聞きそびれてたな。……君の名前は?」
『え?』
「名前だよ、君の。絶対に聞きに来いって言ってたろ?」
『は、はい。私の名前は―――』
775CROSS POINT:2011/02/24(木) 22:03:42.70 ID:???

予期せぬ言葉に動揺したのか、どもったりしながらも少女は自分の名を告げる。
特に変わった名ではない。ただ、彼女に合った良い名だとは思った。

「わかった、しっかり刻んどく。……ボルテールにいたとき、1人の俺を気にかけてくれてたよな。
 あれ、実は結構嬉しかったんだ。勿論今の言葉もだけど」
『え? あ…そんな、勿体無い……ことば……』

少女の目が見開かれ、そして涙が零れる。やっぱりこの子は良い子だ。
きつい事ばかりだったこの戦い。この少女に出会えたのがせめてもの救いだったように思う。
だから今は、心からの言葉を。

「ありがとな」
『はい………!!』

画面の中の少女は泣きじゃくっていた。友人らしき別の女の子たちが目を潤ませながら彼女に寄り添う。
口の中でもう1回だけありがとうと呟くと、シンはデスティニーの翼を広げた。
この場を去る前にもう一言だけ。今此処にいるのはそれぞれの軍の中心たちだ。
だからもう一言だけ、言っておきたかった。

「俺は、もう。戦わないから」

戦場に静寂が満ちる。予期せぬ言葉だったのか、それともキラの最期を見て同意見だったのか。
それぞれの想いなんて自分には分からない。だから自分の立場で、個人的で正直な思いを伝えた。

「英雄だとか。正義だとか。自由だとか。運命だとか。
 ……それが戦いの理由になるのなら。俺自身が戦いの起こる理由になるんなら。
 俺はそんなもの、いらない」

グフの青年の声は自分にも聞こえていた。彼の言うことが全てだ。
俺はもう充分怒った。充分泣いた。充分失った。―――そして、充分奪った。
これ以上、戦場 (ここ) で何をしろと。

「俺はもう疲れた。戦いなんて今後一切ごめんだ。
 これからは静かに、今度こそ己の大切な人たちのためだけに生きる」

それを依存だと言うならそう言えばいい。他人に動かされるだけの人形だというなら蔑めばいい。
さっきそう思った。それは今でも変わらない。俺は人形でもなんでも構わない。
776通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 22:04:58.40 ID:???
おお、来てる支援
777CROSS POINT:2011/02/24(木) 22:05:42.85 ID:???

ルナが。
コニールが。
アスランやメイリンが。
ディアッカやヨウランやアーサーが。
ネオやその家族や馬鹿アスハが。
今名前を教えてくれたあの少女が。
ベルリンの人たちが。

みんなが。
俺と共に、笑ってこの世界で生きてくれるのならば。

俺はただ、それだけで。





気がついたときには、全てが終わっていた。
それがこの戦いに参加した者が後に語る感想の大半である。

バルトフェルドの命令から死闘の決着まで、時間にして10分も経っていない。
しかし人間の限界を超えた戦いにいつしか誰もが呑み込まれ、
自由の聖剣と呼ばれたMSはいつの間にか月面に腰を落としていた。

その勝敗を別けたのはおそらく技量の差などではないと皆は言う。
それほどまでに2人の決着の時は悲しく、美しく、そしてあっけなかったからだ。
自分たち以外の何か、神や運命の存在を信じたくなったと語るほどに。

そう、全ての力を出し尽くし決着した2人の戦いは美しかった。
それは決して否定されることのない事実である。
けれどこれを見た者たちから、その場に立ち会えた喜びの声は終ぞ聞かれる事は無かった。
誰もが皆、ひどく痛感させられたのだ。
果たしてこの美しかった戦いに、意味はあったのだろうかと。
この悲しい結末に、何の救いがあったのだろうかと。

戦いの終わりを認識させるような、勝者の悲しげな別れの言葉が戦場に響き渡った。
見届けた者たちの目に、2度と戦場に戻る事の無いであろう真紅の翼を焼き付けて。
月面から飛び立ったMSを、戦場にいた全ての人間がぼんやりと見送り続ける。
言葉は無かった。動くことも無かった。
誰もが皆戦いも逃亡も制止も救助も助けを求めることもできず、ただ黙って見送るしかなかったのだ。


運命に弄ばれた2人の青年によって紡がれた。
哀れで美しい、ある一つの英雄譚の幕引きを。


778CROSS POINT:2011/02/24(木) 22:08:49.92 ID:???
今日はここまでです

次の話もそこそこ書けているので、そう遠くないうちに投下できると思います
あと4〜5話くらいになりそうです
779通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 22:17:32.26 ID:0x75my4O
乙ですいい最終回だなって思ってしまいました
いつも力作ありがとうございます
理想郷と併せて楽しませていただきました
780通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 23:07:37.31 ID:???
うおおおおおおおおおおおおおおお!!
GJ!!!
GJ!!!!!
781通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 23:22:47.55 ID:???
乙です。GJ。久しぶりに堪能させていただきました。次の投下を心待ちにします。
782通常の名無しさんの3倍:2011/02/24(木) 23:25:53.58 ID:???
GJ
まだ4〜5話ある…だと…
783通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 01:13:59.52 ID:???
あああ・・・・・・・・キラ・・・・出来うるなら死んでほしくなかった・・・ただ救われてほしかったよ・・・・・
gjです・・・・・・



















マルキオざまぁwww
784通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 03:27:14.54 ID:???
「泣けないし泣いてやらないって決めた」シンの代わりに俺が泣いてやる
GJです
785通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 12:37:23.38 ID:???
乙でした。

ていうかもう次スレの季節だよね。
次の投下の時にスレ立てかな?
786通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 13:52:06.86 ID:???
あと5kbか
立ててくるわ
787通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 13:55:43.53 ID:???
立ててきた

【IF系統合】もし種・種死の○○が××だったら 14
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/shar/1298609709/
788通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 21:07:39.38 ID:???
>>787


そして CROSS POINT氏もGJ。
キラは死んでしまったのか…。
死んでしまって悲しくなるキラは初めてではないが、珍しく抱く感情。
789通常の名無しさんの3倍:2011/02/25(金) 21:38:06.08 ID:???
アムロスレといい、さながら今週は「悲劇のきれいなキラ」週間だったな。
790通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 09:44:28.05 ID:???
キラたちをきれいに書ける人たちを本気で尊敬する
自分はどう考えても最後には「お前たちは生きてちゃいけないんだ」になってしまって
描くのを諦めた
791通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 10:29:57.10 ID:???
キラの壁、ラクスの壁、アスランの壁
そして何よりベースとなるTV本編が巨大な壁となって立ちはだかるorz
792通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 12:39:26.73 ID:???
まさにその通り
思い出すたび見直すたび、気力がごっそり奪われて挫折
793通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 15:02:05.69 ID:???
>>790
シンが「お前達はいらない」と言い放って、ラクシズを消滅させるSSがあってもいい
自由とはそういうものだ
794通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 15:06:52.56 ID:???
>>790
無印ラストシーンのキラはカミーユチックに軽く精神逝ってる感もあったし
種死では精神崩壊して療養中です、とか書いても良い気がする

むしろキラもシンも綺麗に描こうとすると悪党やってくれる人が少なくなるのが難
795通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 15:12:10.09 ID:???
>>793
さじ加減が難しいんだと思う

ラクシズ側にある程度の正当性を与えてやらないと、
種死本編の裏返しになってしまう。
私の場合はラクシズにその部分的な正当性を与えようとして挫折する
796通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 15:14:58.31 ID:???
一時期の、キラやラクスをきれいに書き直した職人が
特攻厨に「ラクシズ厨は死ね」とか言われてた頃を思えば、今は随分と落ち着いたものだ
時間も経ったし、00やUCが出て種SS熱が冷めてきた面もあるのだろうが
797通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 16:25:32.92 ID:???
今や「白ラクスは絶滅危惧種」なんて言われているくらいだ
それくらい黒いラクスしか思い浮かばない
たまたまSSの中に黒くないラクスがいたとしても、それは単に哀れなだけの存在だったりするし・・・
798通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 16:33:37.24 ID:???
バカピンクは例外か
あれ面白かったんだよな
799通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 16:37:51.46 ID:???
白でも黒でもない桃とな?
800通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 18:35:50.08 ID:???
長らく更新ないけどアムロスレの白ラクスはいいヒロインだった…
801通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 19:36:24.60 ID:???
理性では、ラクシズも負債の犠牲者だと解っちゃいるけど感情面では生き地獄エンドにしてやれ
という気持ちが渦巻き、話をまとめられず今に至る
TVを見て、ラクシズは絶対に正義だと言い張る人の価値観がわからない
802通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 20:17:45.12 ID:???
>>801
それは負債の価値観そのものです
種厨が負債のコピーそのものなのは解るだろ?
身勝手で、自己中心的で、周囲とトラブル起こしまくっても自分は常に正しいと信じているような連中の価値観だよ
803通常の名無しさんの3倍:2011/02/26(土) 20:50:29.64 ID:???
>>801
むしろ
一般兵「ミンチよりひでえや」
でおけw
804通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 14:26:12.93 ID:???
キラはまだ救いの余地がありうる事がここ数日で示されてるが、
無印後半以降のラクスを綺麗にしようという場合はそれこそ
CROSS_POINTのように早死にさせて完全に偶像化しておくか
バカピンクのようにラクシズ旗揚げの時点で偽クローンとすり替えて
本物を行動不能にしておくぐらいしか手はないのか…
805通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 15:21:17.56 ID:???
何言ってるんだ
勝った者は正義だろう?
現実がどうであれ勝利した者の天下なんだから
806通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 16:46:59.81 ID:???
年取ったカズイの追想の時点でラクシズ変死してたりしてな
807通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 16:54:47.68 ID:???
>>806
(実態はどうであれ)世界を救う可能性がある(あった)デスティニープランの申し子である
シンを旗印にした新連合軍が、プラント&オーブ首脳陣を
MI・NA・GO・RO・SHI

その後のシン・アスカの(正確な)消息は誰も知らない
808通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 17:27:37.67 ID:???
シン・アスカはアスカ・シンと名を変えて
809通常の名無しさんの3倍:2011/02/27(日) 17:51:30.85 ID:???
ウルトラの星に旅立ったのだ……
810通常の名無しさんの3倍:2011/02/28(月) 22:56:16.65 ID:???
遅レスですが、CROSS POINT様乙です。
キラの死が悲しくて納得できないなんて、種死SS読んでてはじめてじゃなかろうか・・・?
今ならTV本編見てもイケるぜ!
・・・・・・・・・・・・・・・・・・すんません、嘘。やっぱ無理。

シンさあ、泣けないし泣いてやらないなんて嘘じゃん。キラにしっかり気づかれてるじゃないか・・・・・(涙)
811通常の名無しさんの3倍:2011/03/01(火) 13:52:05.58 ID:???
ラクシズ圧政→シンか誰かに潰させる→勝ったってのがSSの主流だけど
最後に思いっきり高二病な設定な
シン達がお前らも結局あいつらと同じだー
とか言われてラクシズ達みたいに新しい勢力に倒されるという
大二病なSSを考えた事があった。
812通常の名無しさんの3倍
>>811
むしろ主流とやらよりそういう話の方が好きだ