Q,他のガンダム作品とのクロスは大丈夫?
A,一応大丈夫だそうですが・・・前例がないので執筆の際にはこのスレの住人にご相談ください。
Q,この作品嫌い!!
A,作品に対する「批判」は結構ですが、作品そのものを「否定」するなら読まないでください。荒れます。
また、批判も作者や他の読者が傷ついたり、怒るような書き方は絶対に止めてください。荒れます
勇者達の活躍を描いてくれる作者には敬意と感謝を持って接してください。
このスレの一住人として、何より一読者として切実なる願いです。
小話氏へ。
頼みます。執筆を再開してください
ID表示される避難所を作成しました。
バカが騒いだ場合、そちらに移れば何の問題も無いはずです。
あちらで騒ごうとすればIDが表示されますので墓穴を掘らせる事が出来ます。
どうか、戻ってきてください。
あなたの作品のファンの一人からのお願いです。
すまん、誤爆した
>>1乙と言いたいが・・・小話氏の“氏”という敬称を書き忘れているぞ!!
まぁ、元を辿れば前スレの
>>1である俺が書き忘れたせいなんだけどね(笑。
なんにせよ
>>1乙。
6 :
>>1:2009/09/27(日) 20:50:32 ID:???
すまん、前スレの
>>1をコピーして前スレのアドレス追加しただけだったから忘れてた(汗)
とりあえず、この新スレを立てるに当たり、避難所作っておいた。
ID表示されるからバカが騒いだら向こうに移動でお願いします。
>>1乙
>>6最初から避難所投下でよくね。
あの魔とか避難所がある前例を見る限りここに投下したら間違いなくここで噛み付いてくるぜ。
避難所作ったって変わるもんかよ
旧シャアの某スレなんか避難所(仮)にも荒らしに来て専用掲示板作ったくらいだぞ
自分でHPを立ち上げた職人もいたよね。
てか荒らしくんの?
ダイノガイストはヘイト(笑)とはほぼ関係ないし
小話はwikiからも全面撤退しちまったんだろ?
ダイノガイスト氏はもう一つのスレが本拠地で、こっちはその合間や息抜きに書いてるみたいな感じだからなー
小話氏も撤退した以上、より一層の過疎化は避けられそうにない
元にもどっただけじゃないか
うそ、wikiチェックしてなかったけど、wikiまで撤退したの?
なんだかなぁ・・・・
前スレでwikiも撤退するといってるよ
クソ荒らしこと三■目の本音
〃"∩ _,,_
⊂⌒(`Д´) 言うこと聞いてくれなきゃヤダヤダ!
\_つ⊂ノ
ジタバタ
〃"∩ _,,_
⊂⌒(`Д´) キラ様が主人公じゃなきゃヤダヤダ!
\_つ_つ
ジタバタ
"_,,_
(`Д´∩ ラクス様が誰もが敬う女神様じゃなきゃヤダヤダ!
⊂ (
\∩ つ ジタバタ
〃〃
〃"∩ _,,_
⊂⌒(つД´) シンが救いようの無い外道じゃなきゃヤダヤダ
\_ノ⊂ノ
ジタバタ
∩
⊂⌒( _,,_) ラクシズが世界の守護者じゃなきゃヤダヤダ…
\_つ⊂ノ
ヒック ヒック
∩
⊂⌒( _,,_) zzz…
\_つ⊂ノ
ま、クソ三■目の書いたポルシェ(笑)は俺が消してやったけどなw
17 :
一尉:2009/09/28(月) 18:20:15 ID:???
小話君、そろそろ続きを書いてください。
小話さんがちょっと休憩をとっておられるらしいので、代役としてGGGとのクロスを考えているんですが…幾つか問題があります。
・GGGはパスダーまでしか見ていない(よって風龍や雷龍等が出せない)
・種死原作はラクス様ご一行が良く解らないので、原作再現は出来ても中盤まで。
・2作とも見たのが大分前なので、設定の理解をwiki等で補完する。
・SEED側の某無駄設定を引っ張り出して、かつ混ぜる。
なのですが、需要はあるでしょうか?
そういうことを書かずに作品投下しちゃえばいいんじゃよー
おかしいとこがあればツッコまれるのはどんな職人だろうと一緒だし
逆に原作と離れてても面白きゃおっけーだし
同じ路線で被るなら避難所投下がいいかも
設定補完はWIKIでもできるけどどうせならガイドブックのダイジェストぐらいは元作品を把握しておいたほうがいい礼儀だし
まさか某無駄設定の話をして出所を知らないことはないと思うけど…
途中までしか見てない話と中盤までしか理解してない話、そのどちらもうろ覚え
そんなんで良く書こうと思うわ。Wikiとか言っちゃってるね三■目さんですか?
バンダイチャンネルでもTUTAYAでもビデオが見つからない作品やないやろ。
余暇でみても数日程度で十分眼を通せるはずや、見とくのが原作に対する最低限の礼儀とちゃう?
種死は流石に全部観ろとは言えないなぁ
苦行以外の何物でもないし
ラクス様ご一行がますます判らなくなるぞ
23 :
一尉:2009/09/28(月) 21:25:34 ID:???
いいから続きを始めて下さい。
例え苦行でも見もせずに書くのはどうかと思うがね、ぼかぁ
片方が詳しければ良いんじゃね。種がモブモブ言ってても新シャアのほとんどがアンチよりなんだし
とりあえず勇者スレで書こうというのにガガガをラストまで見てないのはダメだろ
地方在住者に言わせて貰えば、ガガガは置いてるとこの方が少ないぞ・・・
あと種死は小説版読めばOK
28 :
通常の名無しさんの3倍:2009/09/29(火) 01:08:51 ID:pnXI/ecM
いや、種死を見るならどう考えても漫画版だろうよ……。
既に作者が修正入れていてくれるから、理解しやすい。
種死はボンボン版とジ・エッジ読んどけば十分過ぎる
>地方在住者
つ[B-cH]
ガガガも無印だけ見とけばOK
FINALはドブにでも投げ捨てろ
FINALはゾンダーと護・Gストーンの関係に後付けで遊星主の存在をはさんだものだから矛盾の巣窟になってるからな
無理やりベターマンとクロスオーバーさせた再編集版なんて見るに耐えん
だが集大成神話ヴァージョンだけは聞いておくべきだ
設定なんて、都合の良い所をつまみ食いでいのよ
FINALは見てから使うか決めればよくて。
他人の言うことを鵜呑みにせずに、自分で決めたほうがいいよ〜
36 :
一尉:2009/09/29(火) 17:51:52 ID:???
小話君、今すぐ続きを始めろう。
ガガガはDVDが絶版になってたりして、意外に入手が難しい
FINALなら入手しやすいが・・・
ss投下したいんだが、その前に少し質問。
GSライドってCEの技術レベルでも洗脳したり
内部にあるデータすいだしたりすることはできるんですか?
外伝とか全く読んだことないんでどなたかお願いします。
39 :
一尉:2009/09/29(火) 20:14:56 ID:???
あのあの、小話君、そろそろ続きを始めろ
>>38 間違えた……GSライドじゃなくてGストーンです。
>>40 負債の補正次第
CEの連中には無理だと考えないとGGGにアドバンテージが無い
ガガガはネットで全部見れるよ。
違法じゃなくてちゃんとしたサービスで。
洗脳するって、勇者ロボのAIはGストーンとは別だよ。
データを吸い出すといっても、Gストーンにデータを蓄えてたのはギャレオンぐらいでほかのGストーンはおそらく空。
GGGはギャレオンから自力でデータを吸い出したわけじゃなくてギャレオン内のカインの仮想人格の意思と協力で空中投影したホログラムの形で提供された。
どのみち物理的な技術格差の壁でCEに関係なく地球人の技術で吸い出すのは無理なんじゃないかい。
インディペンデンス・デイでIBMのパソコンで宇宙人のコンピュータにハッキングしてたけど、あんなトンデモにしたいなら別だけどさ。
というか、こんなことも聞くようじゃうろ覚えレベルじゃないだろ、ガガガのビデオをちゃんと見てから書けよ。
オリジナルと同等のレプリ勇者達がパルパレーパの洗脳から自力で抜けた事を考えると…
『揺らぎ』程度しか無いんじゃない?あとはピンチの時に元通りとか
たとえ観ててもちょっとしたミスや設定の取り違いで叩くんだろ?
Gストーンを洗脳w
どんな話を書きたいのかねえ
ラクシズに寝返る勇者ロボとか、そんなのじゃないか?
そして何時の間にかターミナル(=ライブラリアン)で量産されるGストーンとか
それらにたった一人で立ち向かう凱・・・
そういえば、この間ブックオフでFINALのDVD5.6.7がそれぞれ500円であったな。
ラクス様の為に!といいつつ勇気?でパワーがあがるヒルダとか出てくるのかw
狂信者+Gストーンなんて怖すぎるだろ
Gストーン自体は道具に過ぎないしレプリ護やケミカル凱のように力を引き出す意思に善悪は関係ないみたいだから別にラクシズが扱えてもいいんじゃね。
Gストーンは回路、GSライドは機関だから洗脳するものじゃないよな
洗脳するならAIのほうだけどAIはCEにもあるしサイボーグ技術のようなものもある。
平均的な技術水準はGGG世界の地球より遙かに進んでいるから、勇者ロボを捕獲してAIからデータを抜くのは楽勝だろ。
あと分析能力もコピー技術も優れているみたいだからGストーンを分割増殖させる方法を発見したりGSライドをコピーしたりできるんじゃないの。
自演かな
53 :
一尉:2009/09/30(水) 20:42:16 ID:???
そうえばインディペンデンス・デイでも特攻にしたな。ついで小話君、そろそろ続きを始めで下さい。
そんな時の為の避難所。
ID表示されるから自演か一発で分かるぜ。
バカだなお前
荒らしてる側からすればIDもクソも関係ないのに
56 :
一尉:2009/10/01(木) 20:11:33 ID:???
でも小話君の小説の続きは。
あ
書かねぇつってんのにしつこいな
>>1乙
ども小話です
居ると荒れそうなのでこれで失礼します
続きを期待してくださる方も居るようなので
良いか、悪いか判りませんが各キャラのプロット?下に書いておきます
続きは白紙状態です
ごめんなさい、失礼します
1.凱
シンを成長させる、ウィルナイフをシンに託して元の世界に帰る
凱「これをお前にやるよ、使い古しで悪いけどな」
シン「大切にします、そして勇気を継いでいきます」
2.J
初めラクシズ後GGGに、後でキラを凹って改心させる
J「お前の願いを真に叶えたいのであればその揺りかごから出ろ、そして世界を自分の目で見るのだ」
キラ「Jさん、でも僕は。それにラクスも」
J「キラ今のお前は縛られている。我らと共に来い、そして大空を飛ぶのだ」
3.ルネ
オリジナルの機体に乗せる、マリューと対比させる
ルネ「情けない女ね」
マリュー「愛する人を助けたいと思うのが悪い事なの」
4.護
浄解要員、戒道と対決させる
5.戒道
終盤まで出番なし、洗脳されて護と対決、記憶が戻ったあとはJと一緒に居る
護「やめて戒道」
戒道「天海護、君は僕の敵だ」
6.シン
初めは本編通り、凱に諭されてGGGへ勇者になる。ゼルダとZMの力でエヴォリュダーに成る
シン「俺はGの勇気とZの想いの力によってエヴォリュダーに真化した」
7.レイ
終盤に死亡、記憶と知識を超AIに移植してレジェンドになる
レイ「俺は確かに死んだ、だがこうしてもう一度お前達と共に戦える」
8.ルナ、メイリン
ヒロイン候補、たぶんルナ
シン「ルナ、俺、俺は」
ルナorメイリン「シンはシンだよ、怒りっぽくて、考えなしで、でも凄く優しい」
9.議長
中盤あたりで裏切る(振り)、最後は自分諸共にまとめてメサイヤを光にするように言う
議長「あなた方は滅びるべきなのだ、私と共に」
シーゲル「痴れ者が」
10.キラ
初めは本編と同じ、Jに凹られてAAから離脱、自分で考えるようになる、ラクスを説得、シーゲルを倒す為に自ら犠牲に
キラ「ラクス、僕と一緒に行こう、君は此処にいちゃいけない」
ラクス「キラ、でも私達は選ばれた人間なのです、彼方もSEEDを持つ身なら分かるでしょう」
キラ「違うよラクス、人間の力はそんな物で決まるんじゃないんだ」
11.ラクス
本編より電波、キラに諭されて正気に、シーゲルに殺される
ラクス「ミーアさん、今日から彼方が本当の平和の歌姫ラクス・クラインです。私の代わりに世界を導いてください」
ミーア「ラクス様、しっかりして下さい。私、私」
ラクス「彼方なら出来ます。アスラン、彼女の事お願いしますね」
12.アスラン
無力感からゾンダーに、凱に挑む、戻った後は真面目に働く、ミーアとくっつく
アスラン「俺は俺の為に彼方に挑む」
凱「わかった、ならば受けて立つ」
13.カガリ
本編通り、ユウナから元首の責任と覚悟を受け継ぐ、以降まともに働く
14.ユウナ
中盤から独裁者に、カガリに討たれる事でオーブを返す、自分の死でカガリに自覚を促す
カガリ「ユウナ、なぜお前はこんな事を」
ユウナ「君には一生理解できないだろうね、でも僕はこの国を愛しているんだ」
15.ミーア
ラクスと自分の差に悩む、セトナに諭される、ラクスから本物のラクスになる様に頼まれ受諾
ミーア「私には歌う事しかできないから」
セトナ「それは、きっと素晴らしい事です」
16.シーゲル
ラスボス、兎に角悪く書く、最後メサイヤから一人だけ脱出、和田以上のMSでシン達と決戦(凱達は帰ったあとで居ない)
シーゲル「これが最強の力、スーパーフリーダム(仮)だ」
17.虎
自分には何も無いといって凱に挑む
虎「僕にはもう何も無いんだ、だからだよ」
凱「それは逃げているだけだ」
虎「そうさ、逃げているんだ。でもね人が皆君のように強くは無いんだ」
18.ムウ
ネオで出す、記憶が戻っても最後までPPで居る
ムウ「やったことには責任ってものがあるからな」
19.マリュー
AAからPPに移動、記憶が戻ったムウを支えようとする、ルネと対立
マリュー「彼方はネオ・ロアノークじゃないムウ・ラ・フラガなのよ」
20.スティング
ZMサイボーグになる、完全
21.アウル
ZMサイボーグになる、不完全、殺してくれと叫ぶ
22.ステラ
ゾンダーになる、浄解されて普通の体に戻るが記憶は失う、普通の生活を送る、シンは名乗り出ない
ステラ「あの、わたし彼方と何処かでお会いした事ありましたか」
シン「いえ初めてです」
ステラ「ごめんなさい、なんだか初めて会った気がしなくて。変ですね」
23.ジブリール
本編通り、ZMサイボーグを作る、レクイエムに持ち込んだ核が暴走ゾンダーに
24.マザー(オリジナル)
マザープログラム、マスターのプロトタイプ、中にゼルダの意思が残っている
25.ゼルダ(オリジナル)
ZMを作った人、シンに本物のZMと自分の想いを託してエヴォリュダー化させる
シン「君はだれだ」
ZELDA「私はゼルダ、ゾンダーメタルを作った者です。彼方に真のZの力、Z-マテリアルを託します」
小話氏乙!
これは… 見たかった!! 暴走してない本来のZの力… ありえたわけだな、確かに。
何処かで再開してもらいたいですよ。 少なくとも原作ファンでも期待していたものがここに1人居ますよ!
…あれ? 機界三将はどうなるの?w
やべぇ、超見てぇ…
そしてレイ、死してなお共に戦おうと自ら勇者になるなんて…(ノДT)
いつかまた氏の作品を見られることを胸にお待ちしております!!
荒らしてるのはアレだけなんだから、みんなでアレをスルーしてりゃいいだけの話じゃね?
65 :
一尉:2009/10/02(金) 19:05:23 ID:???
・・・・これは変な物じゃねかよ。
>25.ゼルダ(オリジナル)
任天堂の回し者?
センスのないオリキャラ、
>>エヴォリュダー化させる
>>Z-マテリアルを託します」
エヴォリュダーの扱い軽っ
ゾンダークリスタルはどうした?
だからな、ガガガを一から見直して出直してこい
小話氏へ
>>59 居ると荒れそうなのでこれで失礼します?
”これで”とはなにか?
貴方は
>>59よりも以前にこのスレに名無しで顔を出していたと告白しているのか?寝言を言っているのか?
荒れると分かっていてなぜ顔を出す?失礼しますもなにもはじめからレスしなければいい。
それでこれは一体なんだ?
>初めラクシズ後GGGに、後でキラを凹って改心させる
>本編より電波、キラに諭されて正気に、シーゲルに殺される
>ラスボス、兎に角悪く書く、最後メサイヤから一人だけ脱出、和田以上のMSでシン達と決戦(凱達は帰ったあとで居ない)
貴方が、SEEDに憎しみと悪意を持っていることが見て取れるシナリオではないか。おぞましい。
貴方の書きたいモノがしょせんSEDDヘイトにすぎないことが明らかだ言い繕い様があるまい。
これで貴方にヘイトをしている自覚がないなら人間として終わってる。
続きを期待されているからといってなぜプロットを曝す必要がどこにある?主張と相反する行為だ。
プロットを曝しておいて白紙状態とは何だ?矛盾している。このプロットやらは思いつきで並びたてた出任せか?
ZMなどと辻褄の合わない部分をすべてオリジナル設定に繕わせるさまは、ガオガイガーの設定と世界観をまともに扱う気がないことが明確だ。
そして同時に、原作に影も形もないオリジナル設定を重用するこのプロットは貴方の書きたいものがガオガイガーの物語などではないことを端的にあらわしている。
貴方はただ未練がましく自己主張をしたいだけだ。かわいそうな自分をアピールし自己陶酔しているだけだ。
そして、このプロットとやらは貴方の本音と本性が垣間見える。
貴方がSEEDヘイト嗜好の持ち主でありガオガイガーはSEEDをヘイトするための装置に過ぎないことを雄弁に物語っている。
悪し様に貶めて勇者を語る、勇気を語る。なんの冗談だ。
貴方は勇者をヘイトの道具にする最低最悪の屑だ。
貴方に勇者を語る資格はない。
68 :
>>1:2009/10/02(金) 21:22:28 ID:???
小話氏へ。
プロットを見させていただきましたが続きがとっても気になります。
続きが白紙状態との事ですからぜひ、あなたが納得が行く形に続きを書かれてください。
荒すのは一人の脳味噌が逝かれた偉そうな事をほざくかわいそうな奴だけです。
そいつは一人で大勢が小話氏を非難してるように見せかけようとしています。
更にこのスレだけではなくCCAアムロが種世界に来るスレでも暴れようとしています。
私はそれが出来ないようにID表示できる避難所を作りました。
ですから、是非続きをお願いします。
やれやれ、わざわざヘイト書きにヘイトを書かせるために避難所を用意したことが明らかになったな。
こんなクズがのさばっているから、ヘイト書きが蔓延るわけだ。
とうてい勇者の物語とはいえない代物で勇者ファンの神経を逆なでしつつ、脳みそが逝かれたなどと暴言を吐く。
その言葉そっくりそのままお返ししよう。
>>68 これがヘイトを好むものの本性だよ。小話氏。屑でも人並みの良識があるならわかるだろ。こいつはもはや人間ではない猿だ。
こんな奴のさばっていてはまともな作品など投下されるわけがない、原作をまともに見てないなどとほざく
>>18のような輩しか来ないわけだ。
因果だな。
NGしろって言われ続けたのがわからない日本語能力でよく頑張って長文書いたな、乙
読んでないけど
荒らしよ一回だけかまってやる。種特にラクシズはネタの肥やしにしかなれないよ。
本編見たか。本編から基地害だろう。
二度と来るなよ、少しだけでも良心つー物があるならな
こういうのに構う
>>71のような構いたがりは一遍死んだ方がいいと思う
アホが暴れだしたら避難所へ
どこらへんがヘイトなのか全く分からない。
せいぜいシーゲルさんが痛い目合ってる程度で、キラもラクスも十分活躍してるじゃないっすか。
主人公に対するヘイト作品だった原作に比べれば(笑)、小話氏のプロットは全ての登場キャラに対して比較的平等だろ。
それともキラとラクスが無双しなきゃ、その二次創作はヘイト扱いになってしまうのだろうか?
てかもう避難所が本スレ扱いでいいだろ。
三■目がナメクジみたいにへばりついてる事はあぶり出せたんだし。
>>18氏も連載開始するならあっちの方が安全じゃね?
ああ… ヘイトだヘイトだと泣き叫ぶ事で、自分を見て欲しいんだなあ。
ただ騒いで注目を集めるのが目的なので、矛盾を指摘されても答えられないのだなあ。
もう哀れで哀れで… 同情のカケラも無いが。
本気で避難所移動を考えたほうがいいかもね。
今後作品作る時、キラとラクスが活躍しないなら、いっそのこと居ないことにした方が楽かもな。
原作でのラクシズも正直物語的にはあんまり要らなかったしな。
少なくともジブたんが死ぬまでは、あいつらが存在する必要性は全くないわけだし。
>>78 平和に暮らしたがってましたからねえ。ならば平和に暮らして頂きましょうw
以後は避難所で
あのキャラが、あの作品が好きだからする二次創作
そんな中でキャラを叩くためにかかれた二次創作。
キャラに悪意を持ち叩くためにかかれたものがヘイト創作です。
>>75 どこらへんがヘイトなのか全く分からない。
ラスボス、本編より電波、キャラ殺しと叩くためにかかれたよう層がてんこ盛りでヘイトに見えない?
そうか人間じゃないんだな。
死ね。
前書きに「(キラが無双しないという意味で)原作とは完全に違う展開になっています、見たくない人は見ないで下さい」って書いとけば万事解決だな。
勝手に見といていちゃもんつけるような輩には、「嫌いな作品なのにわざわざ読んでくれてどうもありがとう。毎度毎度お疲れ様です、生きてて楽しいですか?」とでも言っとけばいいんだよ(笑。
「ネタをネタとして許容できない方は見ないほうが懸命」とでも書いとけば?
逆に81に聞きたい。どんな扱いだったらお前の目で見てヘイトではないというのか。
今までのレスだと単に悪いから悪いとしか言っていないぞ。
「キャラに悪意を持たない描写の作品」なんて漠然とした言い方すんなよ。具体的に書け具体的に。
その意見がもっともだと皆が思うのならば風向きも変わるだろうし書く者にとってもいい参考になるだろう。
アレなやつはスルーしろよ。
ねぇなんで一々相手をするの?
スルーすることも出来ないほどに低脳なの?
自演じゃねぇの?
89 :
一尉:2009/10/03(土) 15:43:43 ID:???
小話君、そろそろ続きはとうしたですか。いい関係はじゃねよおおおお早く続きを見たいよおお。
またシーゲル設定で火病ってんのか
だから、お前のシーゲル像を言ってみろって種厨
無駄無駄コイツはこっちからの呼びかけは完全に無視だから
荒らしたいから荒らしてるだけなんだよ
明確な物なんか何にも持ってないって
自分でもSS書いてるとか言ってたけど読むから教えてくれって言っても
ヘイトな人間には教えないとか言って作品名すら公開しない
他人に評価されるのは嫌、でも自分は上等な人間だから他人を見下して良いと思ってる
実はこういう行動こそ最も矮小なことだと気付かない哀れな存在なんだから
此処からは完全スルーで雑談に戻そう
前スレの最後の話題はGクリ、Gスト、ラウドGの関係性についてだったな
そこで新設を提唱してみる
1・原石のGクリは無限情報サーキット&謎エネルギー発生装置である
2・Gストは1に護の能力を付加したことで謎エネルギーがGパワーに変化した
3・ラウドGは性能向上には成功したけどGパワーが謎エネルギーに戻ってしまった
(Gパワーがあればゾンダーに負けると思えないし)
4・作中に出てきたGクリは対ラウドG用に調整したもので謎エネルギーがGオーラになっている
とかね(笑)
で質問GマシンのGSライドに使われているのはGクリなんだからGCライドが正しいんじゃないか?
それはつまりゲームキューブが変形する新勇者誕生のフラグか
突っつくなよ。それじゃスルーしてないだろ。
質問を質問で返すようで悪いけど、この設定はどこから出てきたの?
>GマシンのGSライドに使われているのはGクリなんだからGCライドが正しいんじゃないか?
だから雑談も込みで避難所に引っ越そうや
ここはあのゴキブリにくれてやってさ
あーゆー奴はスパロボなんか出来ないだろうな、設定改変なんて当たり前だし。
スパロボWで2度目のZマスター戦では既にジェネシックだったな、しかも遊星主がコントロールしてたし。
>>91 Gクリスタルが原石なら、シリコンとLSIの関係のように加工して無限情報サーキットにしたのがGストーンじゃないの?
原石が情報サーキットだなんておかしいよ。
ラウドGストーンがゾンダーメタルに抗性がないなら改良したGストーンとして役に立たないじゃないか改良した意味がない。
遊星主がプログラムにすぎないことは作中で語られているし、凱とパルパレーパの台詞をヒントにすればラウドGがどうこうよりも使用者が生命じゃない遊星主だから勝てなかったのでは?
生命体の勇気をエネルギーに変えるGストーンのように、ゾンダーメタルも生命体のストレスをエネルギーに変換するし。
単純に戦力差で考えても遊星主が11体なのに対し原種は31体おまけにゾンダーは無限に増やせるし、ピサ・ソールの能力を当てにしようにもレプリジンを複製する都度ゾンダーにされたらひとたまりもない。
遊星主の製造にはアベルだけじゃなくカインも関わっているのは間違いないから、ジェネシックオーラが先にあって遊星主を建造するときにわざと弱点としてジェネシックオーラに対抗できないように作ったのでは?
カインをモデルにしたペイラ・カインは他の遊星主に対するアンチプログラムとして仕込まれていると考えるのが自然だし、ジェネシックガオガイガーの本来の用途もペイラ・カインと融合して他の遊星主と戦うことでは?
作中の遊星主はみんなピサ・ソールが作り出したレプリジンだからプログラムを書きかえられていたとすればカインの記憶と人格を受け継ぎながらも他の遊星主と一緒になって護と敵対していたことに辻褄が合うよ。
なるほど、大体納得した
それでもパルパレーパはガオファイガーに勝ってるし
戦力差はピサソールが遊星主を沢山生み出せば良いんじゃねーか
プログラムなんだからゾンダーにならんだろうし
それなのにゾンダーに負けてるんだからラウドGってよく判らんな
FINALそのものがゴミカスなんだから、設定なんて好き放題に解釈していいんだよ
ゾンダーに負けてるというより物量にまけたのでは?
原種はゾンダーメタルを大量に作れるし三重連太陽系全土をゾンダーにしたんだから絶対的に戦力差は大きいし。
ピサソールには大量に複製すると本体のバリアが消える弱点があるし
三重連太陽系を復元するのに別の宇宙から暗黒物質の供給を求めてたところを見ると元いた宇宙ではゾンダー化で暗黒物質の供給源を断たれたんじゃないの。
>>98 設定が詳しくかかれてる小説版も矛盾だらけだからね
101 :
一尉:2009/10/04(日) 15:18:30 ID:???
あのう、小話君、そろそろ続きを始めて下さい。
元々TFと同じで玩具優先なんだから設定でギャアギャア言い出すとキリがないよ
103 :
一尉:2009/10/04(日) 17:47:37 ID:???
いいげと、小話君、そろそろ続きを始めなさい。
104 :
通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 22:37:30 ID:A517kPiY
Q どう考えてもガンドーベルとビッグボルフォッグの腕のサイズがあってないのですが?
A ブライシンクロンマキシマム!
が公式のアニメに何必死に設定と違うとか言ってるんだかw
まぁ一分の隙もないほど完璧な設定が練り上げられているSEEDと同列に扱うな!
というのならいろんな意味で「サーセンwww」というしかないけどなw
そうだねキラワープだね
Q どう考えてもゴルディマーグとゴルディオンハンマーのピコピコのサイズがあってないのですが?
A ブライシンクロンマキシマム!
でもおk
>>104 ビッグボルフォッグは合体そのものが無理ありすぎるからな(笑。
玩具とアニメの差も酷かったみたいだし。
ガガガの玩具で一番出来がいいのはマイク
アニメとほとんど遜色ないデザインと可動を両立しているのはマイクだけ
Q どう考えてもガンドーベルとビッグボルフォッグの腕のサイズがあってないのですが?
GGG諜報部による情報操作です。
マイクは公募されたんだっけ?
111 :
一尉:2009/10/05(月) 21:11:15 ID:???
やまかしい、小話君、そろそろ続きを始めろおお!!
Q どう考えてもガンドーベルとビッグボルフォッグの腕のサイズがあってないのですが?
ボルフォッグ=車
ガンドーベル=バイク
ガングルー=ヘリコプター
どう考えても一番大きいのはガングルーだよなあ
ヘリなら内側に畳めばなんとか…
バイクは…勇者ロボ用のバイクとか?
>勇者ロボ用のバイクとか?
ガンドーベルもガングルーもモヒカンが現場に出るときに乗ってる
Q どう考えてもガンドーベルとビッグボルフォッグの腕のサイズがあってないのですが?
A チェーンジング!ガラットぉぉぉぉ!
膨張超合金っていいよね?
ボルフォッグはロボ時10mがビッグ時20mに
ガンドーベルは変形前4mがロボ時9mに
ガングルーは変形前12mがロボ時9mに
膨張と収縮を同時にやっているとしか思えないぜ
Q どう考えてもガンドーベルとビッグボルフォッグの腕のサイズがあってないのですが?
A オメガスプリーム「大きさの概念を捨てるんだ!」
Q どう考えても竜神ロボの左右合体後は肩を動かせなくて腰が捻れませんが?
A ダルシム「ヨガ!」
Q どう考えても竜神ロボの左右合体後は肩を動かせなくて腰が捻れませんが?
A 翔太郎、フィリップ「さあ、お前の罪を数えろ!」
そもそも乗用車が変形するロボだと、身長10m行くことすら厳しかったりする……
あれ。ジェイデッカー(小ロボが5m標準)って意外とリアル志向?
>>118 肩の関節がやや前寄りになるんでよければ、肩アーマー固定で上腕から腕を動かすのは出来なくはない、はず
(参考:MGヒゲの肩アーマー構造)
竜神シリーズは、太もも貼り合わせて出来た胸の中にGSライドが出来てるくらいだからな……
の割にFINALだと縦に真っ二つにされても比較的軽傷で済んでるという。
A.ガッツで補え
これが全てじゃないのか
>>119 メルトとフリーズのガイアメモリ
サンダーとウインドのガイアメモリ
なんてのが思い付いたが、きっとこれ以上はスレチだろうな・・・・。
Q どう考えてもジェイダーとキングジェイダーの頭部のサイズがあってないのですが?
A ヘッドマスターズ「トランスフォーム!」
Q どう考えてもジェイダーの下半身とキングジェイダーの腕のサイズがあってないのですが?
A ターゲットマスターズ「トランスフォーム!」
ねぇ、このスレって
ガガガ以外の勇者、全部お断りだったっけ?
正直、ガガガ信者と種厨以外の人間には
とてもついていけないような気がする
んなこたーない
ガイスターがいるのに何を聞いているんだね
129 :
一尉:2009/10/06(火) 21:42:48 ID:???
あの、小話君、そろそろ続きを始めで下さい。
嵐を呼ぶ勇者涙目w
ちょっと気になったのだけど、金色or金色化するロボットって
グレートエクスカイザー
黄金勇者
ガオガイガー系
の他にいましたか?
>>131 ・Gガン系主要メカ
・アストレイの金枠
・百式
・アカツキ
とりあえず思いつくのはこれくらいか?
オージェ
ナイトオブゴールド
OOの金色ジム
>>131 ゴールドライタン
オージェ
ナイトオブゴールド
ハリー専用スモー
ザカール
ロボット化したキングギドラ
アルヴァロン(ガンダム00-1st最終回の金色)
すいません。言葉足らずだった。
勇者シリーズ内でいませんか?って意味で聞いたつもりでした。
お前ら・・・・伝説の力を解放したグレートダ・ガーンGXを忘れるなんて・・・・
それでも勇者ファンか!!
と未視聴の勇者シリーズがあるにわかが申しております
C3POもマグマ大使も金色だな
真マジンガー(ビッグバンパンチ)
ライディーン格納形態
ゴッドマーズ最終形態
先生!
ライディーンは勇者シリーズに含まれますか?
勇者って言ってるからおk
となると、妖魔帝国と戦うラクシズならOKっと
バーンガーン(ブレイブサーガ)
ウサリンMK-II(黄金勇者)
ライアン(ダグオン)
電童 輝刃ストライカーファイナルアタック
電童ももうちょっと頑張れれば勇者シリーズとして認められたかもしれないのにな
電童にも明確な意思(人格)があれば勇者って言えなくもないんだよなぁ…
どっちかって言うとウェブダイバーやダイガンダーのが勇者っぽい
《もしスーパーロボットがCEor00に来たら》にスレタイ変更するか?
職人さんも増えるかもしれんし
それはスパロボスレに被るだろ。
つかスパロボスレって未参戦の作品とのクロスでもOKだからなルール上
ぶっちゃけ、勇者だけ別れてる意味があまり無かったりする
スーパーロボット大戦じゃなくて
スーパーロボットなら別でもいいんじゃね?
149 :
一尉:2009/10/07(水) 18:22:43 ID:???
そりにやあ、時空勇者大戦ならでOKです。
>スーパーロボット
レッドバロンが来るんですね。
実写ならマグマ大使とか大鉄人17も入るなスーパーロボット
ロボコンとかバッテンロボ丸が来たら笑えるが
152 :
一尉:2009/10/07(水) 20:29:08 ID:???
実写トランスフォーマーにも参戦だよ。
ガリアンとボトムズとダグラムはブレイブサーガに出てくるからどうだろ
>>153 むしろあいつらは「何故入った」枠だよなぁw
勇者シリーズと他スーパーロボットを分けるポイントは
「サンライズ・名古屋テレビ(現メ〜テレ)制作の、出てくる正義側ロボの大半が自意識を持って喋る勧善懲悪変形合体ロボアニメ」
ってとこか。
制作会社は脇に置くとしても。
……と纏めようとすると、やっぱりダグオンは異色だよなぁw
>>154 その条件に一番近いのは『超力ロボ ガラット』かな。コメディ系だけどね。
>>154 スポンサーがタカラのサンライズロボットアニメで括られてる
157 :
一尉:2009/10/08(木) 20:52:52 ID:???
ギャク系は。
こんばんは。明日か明後日ごろに投下できそうなのですが、もう今後は完璧に避難所に移行した方が良いのでしょうか?
避難所に投下したところでURL書いてるから無駄だろうし
どっちでも好きな方でいいんじゃないかな
この手のは作者本人の心の持ちようと住民のスルー力が問題なんだし
160 :
154:2009/10/09(金) 09:43:32 ID:???
>>156 にしたって他にもいるだろう!ワタルとかグランゾートとか獣神ライガーとか!
……広井王子枠と永井豪枠はまた別モノですかそうですか。
>660氏
避難所だとさるさん規制がない分、レス数によってはある意味楽かも
もちろんここで遭遇した場合は全力支援しますが
今度スパロボに出るリューナイトも騎士だけど勇者といえなくもない。
ライガーもスパロボに出るけどワタルやグランゾートがでないのは権利関係がややこしんだっけ?
162 :
一尉:2009/10/09(金) 13:00:44 ID:???
マイトガインは。
広井王子「俺の目の黒い内はスパロボにゃ俺の絡んだ作品絶対に出させねぇ」
ご回答ありがとうございます。ではこちらで投下します。
子連れダイノガイスト 第十四話 ヌーベルトキオシティへ
無力化された巨大な人造の化け物が、破られた装甲から黒煙と火を噴きながら青い海に沈んで行く。大海は己が産んだものではない機械仕掛けの化け物も、慈悲深く受け止めていた。
空は青く澄み渡り、風は潮の香りに中に濃い油の香りと、海面を彩る炎に炙られて熱を孕んでいた。寄せては返す白波には、微塵に砕けた金属の破片やMSの残骸から漏れだした推進剤、潤滑油が流れ出て醜く汚している。
オーブ首長国連邦領海からわずかに外に出た外洋での、ミネルバと地球連合艦隊との戦闘の場である。
両者の戦力比からして、さほど時間を必要とせずにグラディス隊の壊滅で終わるかと思われた戦闘は、第三勢力宇宙海賊ガイスターの出現によって混沌とした様相を帯びている。
地球連合が投入した切り札新型MAザムザザーは、怪獣王の如く海中から出現したダイノガイストの前に敗れ、艦隊はサンダルフォンに不意をつかれて大幅に数を減らしている。
MSもまた、上空から奇襲を仕掛けたシン・アスカのエールインパルスの正確な射撃によって、相当数が撃墜されていた。
ガイスターが出現してからの行動だけを見るならば、あきらかにグラディス隊に利し、地球連合艦隊に害する行為であった。
しかし、地球連合艦隊は無論のこと、グラディス隊に強力な味方が来たと言う安堵の雰囲気は薄靄ほども立ち込めてはいない。
なぜなら、ガイスターはアーモリー・ワンで起きたセカンドステージMS強奪事件に居合わせて、ザフト、ひいてはプラント人民を守る財産であるインパルスを強奪した敵対存在だ。
一方でユニウスセブン落下事件の際には、テロリスト掃討に協力し、首領ダイノガイストの機動兵器としてはあり得ぬ破格の破壊力を誇る兵装によって、ユニウスセブンを分断し、落下阻止に大きく貢献、と言った活躍を見せている。
また、その際にミネルバMS隊所属のルナマリア・ホークに対し、ガイスターのメンバーが協力を要請し、地球連合のパイロットもこれに応じて三者が力を合わせたという事実も報告されている。
味方と断じるには不安要素が大きく、敵と決めてかかるにはあまりにも強大な力を持った存在であった。
ザムザザーを倒し地球連合艦隊が残す戦力には興味が無いようで、ダイノガイストはバイザーの奥の瞳に、奮戦の後を灰銀の装甲のそここそに留めるミネルバを映している。
時が凍るような緊張感の中で、そんなこと知った事ではないと言った様子の少年が一人いた。
シンだ。
インパルスという機体の特徴であるシルエットシステムの一つ、フォースシルエットを奪取し損ねた為、代わりに手を加えたエールストライカーを装備したエールインパルスを駆って、果敢にミネルバにビームの矢を射かけていた。
ザムザザーという切り札と、多くのウィンダム、艦艇を失った地球連合艦隊は、エールインパルスがグラディス隊に戦意を集中させた事を好機として、撤退の様子を見せている。
背を向けて逃げ出す者に、拘るダイノガイストではない(ただしカイザーズは別である)。艦長が一応、艦隊の動きを伝えてきたが、放っておけ、の一言で終わりだ。
足裏や背中から白い炎を噴射してホバリングしていたダイノガイストは、右手握るダイノブレードの切っ先をミネルバの艦橋に差向け
『貴様らはこいつらよりはマシだろうな。もっともおれの敵ではない事は分かっているが、インパルスの装備を逃したままというのは決まりが悪いのでな。それだけ頂いてゆく』
と、ふてぶてしく告げる。
ダイノガイストの、お前達は弱い、おれの敵ではないと言われたも同然のグラディス隊の各員は、屈辱に臍を噛む者が多かったが、同時に命だけは助かるかもしれないと弱腰になる者もいた。
そしてミネルバ艦長タリア・グラディスは前者であった。若くして最新鋭艦の艦長に抜擢されるだけあって、美貌の中に鋭い迫力を覗かせる顔が険しく引き締められるや、鋭い舌鋒が火を噴いた。
「全砲塔、敵艦に照準。MS隊は敵インパルスとダイノガイストを本艦に近づけさせるな」
「か、艦長、こちらから下手に刺激しない方が」
「アーサー!」
「は、はい!?」
黒服の副長は後者のようだ。タリアの刃のように鋭い視線に胸を刺し貫かれて、びしりと体を硬直させる。
「敵はすでに撃って来ているのよ。このまま手を拱いて艦を撃沈させるつもり!?」
「そ、そのような事は」
「だったら、今は敵を落とす事に集中しなさい。貴方だって、ミネルバをみすみす宇宙海賊ごときに傷つけさせたくはないでしょう!? 本来プラントを守る剣であり、盾となる筈のこの艦を、こんな戦争でもない戦闘で沈めるわけには行かないのよ」
「……はい!!」
「全クルーに次ぐ、たかが宇宙海賊ごときに後れを取るな。ザフトの誇りに掛けて!」
搭乗員の気迫が見えぬ陽炎となって立ち上っているミネルバを見て、ダイノガイストはどことなく面白げに息を吐いた。
『ふん。腰抜けが指揮を取ってはいないようだな』
「それで、ボス。どうしますか? 本艦とボスの戦闘能力なら、ミネルバを戦闘不能にするのに十分とかからないでしょう」
『沈める必要はないが、沈めぬ理由もない。シンの奴がミネルバのインパルスからフォースシルエットを奪い、おれがミネルバからソードシルエットを奪えばそれでよかろう。今さら、どうしても必要な装備というわけでもない』
「多少、ストライカーに手を加えればシルエット以上のモノになるのは、シンのエールインパルスで確認できましたからね」
『お前は適当に距離を置いておけ。それとオーブ艦隊への警戒も怠るな。今さら手を出してくる連中でもあるまいがな』
「了解です」
ごう、と音を立ててダイノガイストがミネルバめがけて一気に突進する。ダイノブレードの切っ先は左右に流れて、さながら漆黒の魔鳥が死を告げる為に、月の女神の下へ舞い降りようとしているかの様。
ミネルバ甲板上のトリスタン、イゾルデといった主砲・副砲、20mmCIWS、ミサイル発射管が一斉に蓋を開いてダイノガイストただ一人へと放たれる。
時にダイノバスター、ダイノキャノンで迎撃し、ひらりひらりと左右に揺れては迫る攻撃をかわすダイノガイストの前に、レイ・ザ・バレルの乗るフォースインパルスが立ちはだかる。
『アルダの血縁の小僧か。はたして奴ほどおれと渡り合えるかな!?』
「プロヴィデンスはいないのか? だからといって気は抜けないがっ」
レイ・ミネルバをダイノガイストが相手取る一方で、シンはルナリアのフォースインパルスと激しく銃火を交えていた。
ガイスターによる魔改造が施されたエールストライカーは、フォースシルエット以上の推進力と運動性、機動性でもって、Fインパルスを翻弄している。インパルスの素体それ自体の性能は互角だが、背に負った装備の差はそれなりにあった。
たがいにある程度の距離を保ったまま、照準内に捉えた機影に向かってビームを射かけるも、シールドで防がれるか、あるいは回避され決定打を決められず、撃ったビームの本数ばかりが増えている。
インパルス胸部の機関砲はVPS装甲機同士とあって、真正面を剥いた状態からではさしたる痛打にもならぬ。
ルナマリアのFインパルスとシンのAインパルスとが互いの脇をすれ違いながら、ビームを二射。計四本のビームは、彼方の空や海面を穿つもどちらのインパルスに当たる事は無かった。
互いが自分の機体に背後を振り返らせたのはほぼ同時だった。ルナマリアは再びAインパルス目掛けて機体を突っ込ませ、背のランドセルからビームサーベルを抜き、ビームライフルで牽制しつつ接近戦を挑む腹積もりのようだ。
シンもサーベルこそ抜かないが、再び何度目になるか分からぬ真正面から撃ちあいながら突っ込むと言う、無謀な行為へと移る。
ただまっすぐ進むだけではいい的だから、流石に両者と共機体を上下左右に振り、相手のロックオンを妨げる位の芸当はするが、見る見るうちに二機のインパルスの距離は縮まってゆく。
「いい加減に、落ちろぉ!」
「見えた!」
擦れ違い様、ルナマリアの容赦ない横薙ぎの輝線が、シンのAインパルスの腹部へと走る。相手を完全に敵とみなし、殺気を伴う攻撃だ。
二機が交錯する一秒にも満たない時間の間、シンのAインパルスは機体を直上方向に急上昇させる。
慣性の法則を無視した直角の機動変更に、ルナマリアは目の前からAインパルスが消えた様な錯覚に囚われた。
AインパルスがFインパルスのビームサーベルを回避した直後、Fインパルスの上を取ったシンは、素早く操縦かんのトリガーに添えた指を引いてビームライフルを連射した。この好機を見逃すほど、シンは甘くない。
「落ちろぉお!!」
「こんのぉっ!」
咄嗟にルナマリアは操縦桿とフットペダルを操作し、Fインパルスは機体を大きく捻り、自機の上を取るAインパルスへ、ビームライフルの銃口を向けた。シンがトリガーを引くのに、数瞬遅れてルナマリアもトリガーを引いた。
AインパルスのビームはFインパルスの左肩を貫き、Fインパルスの放ったビームは、Aインパルスの掲げたシールドに防がれて、光の粒となって霧散する。
四肢の一つを失い、バランスを崩すFインパルスに、さらに追撃が加えられた。Fインパルスの戦闘力を奪うべく、両方の太ももと残っていた右腕をビームが貫き、ダルマにされたルナマリアのFインパルスが、水柱を上げて海面に落下する。
その途中でシンのAインパルスがFインパルスを捉えて、左掌をFインパルスに押し当てる。
シンの意図が読めず撃墜したくせに救助するつもりなのか、と悔しさ半分で訝しんでいたルナマリアだったが、Aインパルスの左掌が当てられた次の瞬間、自機のコントロールが奪われ始めた事に気付く。
「接触通信を利用したウィルス!? この機体も奪うつもりって事?」
「そーいう事、背中の荷物は頂く!」
「あんた、やっぱりユニウスの時の、男ね!?」
「っ、アンタか。まだブラストシルエットしか頂いてないんでね、こいつも貰ってくぞ」
「な、フォースシルエットが狙いって事、ガイスターって、案外細かい事に拘るのね! 器がちっちゃいんじゃないの!?」
「プロ根性って言え! よし、コントロールは掌握した」
「嘘、もう!?」
「悪いな。これも仕事なんでね」
「こら、まだ話は……」
ルナマリアが抗議の声を上げる中、ガクン、とFインパルスがパワーダウンし、コクピット内のコンソールから光が消えて行く。慌てたルナマリアが各種のスイッチや操縦桿を動かすも、なんの反応もない。
そうこうしている内に左脇にフォースシルエットを抱えたAインパルスの姿が、唯一外の様子を映していたモニターに映し出された。
外部から見た場合、すでにルナマリアのインパルスはVPS装甲が機能停止し、頭から肺を被った様な色彩になり、背のシルエットが外されて、Aインパルスの手に渡っている。
見事にシルエットを奪われてしまった姿がそこにあった。馬鹿丁寧に海面に下ろされたのが、とくにルナマリアの癪に障った。
「じゃあな!」
器用にAインパルスにサムズアップさせて、サンダルフォンへと向かってゆく。
ダイノガイストの援護などまるでする素振りさえもないのは、自分達のボスの力量を信じているからか、それともたまには火傷の一つでもすればいい、と思っているからなのか。
ダイノガイストに対して心配するという行為それ自体が、無意味と言っていいものと、改めて実感したからだろう。
なぜなら、シンのAインパルスが母艦へ戻る傍らで、ミネルバの船体からはごうごうと黒煙が噴き上がり、戦闘能力のほとんど奪われた無残な姿を晒していたからだ。
アルダ・ジェ・ネーヨとプロヴィデンスガイストの組み合わせを持ってしても、全力全壊のダイノガイストの相手は、よくて十分しか持ちこたえる事は出来ない。
それに比して、レイとFインパルスでは、パイロット・機体共に大きく見劣りしてしまう。それでもレイは奮戦して見せたが、今はミネルバの中央甲板の上に、ルナマリア機同様に四肢を失った状態で転がっていた。
船体各所のCIWS砲座はほとんどが破壊され、トリスタン、イゾルデの砲塔も根元から斬り飛ばされ、叩き潰されて価値の無いガラクタ同然に変わっている。ダイノブレードを振りかぶれば、ミネルバの艦橋を簡単に切断できるだろう。
ダイノガイストは悠々とミネルバの甲板を歩きだし、インパルスの各パーツを収納している格納庫めがけて、ダイノブレード二刀を突き刺して上下に動かして装甲に亀裂を切り開く。
ダイノガイストはダイノブレードを背に戻し、斬り開いた穴に指を突っ込んで、バリバリと音を立てて装甲を引き剥がす。
ザフトの威信をかけた戦艦に相応しい重装甲も、ダイノガイストの剛力を前にしては薄い板きれの様なものであった。
ダイノガイストに柔肌を剥がされたミネルバの奥で、逃げ惑う搭乗員達を無視して、ダイノガイストは手を差し込み、鎮座していたソードシルエットを掴みだした。なんとも豪快な強奪方法だ。
『これで貴様らにはもう用は無い』
左手に持ったソードシルエットを、ミネルバの艦橋と無様に転がるレイのインパルスへ見せびらかし、あからさまに侮蔑した声でダイノガイストは告げる。
敗者にかける情けなどない。敗者を屈辱の泥濘に落とし込む事に躊躇はない。ミネルバのクルーと、レイとルナマリア達が悔しさに歯を軋る中を、ダイノガイストは勝者の風格と共に、サンダルフォンへと戻ってゆく。
撤退している地球連合艦隊も、グラディス隊の各員も、それを見送る事しかできなかった。
*
高度7000メートルを、一機の戦闘機が飛行している。白くたなびく尾を引いている漆黒の大型戦闘機は、ガイスター首領ダイノガイストの三形態の一つである。
オーブ海沖で地球連合軍とザフト艦ミネルバとの戦闘に介入し、連合艦隊に手痛い損害を与えてから一週間が経過していた。
今、ダイノガイストははるか天空の高みを飛びながら、眼下に広がる雄大な大地を仔細に観察していた。
新宇宙海賊ガイスター母艦の継ぎ接ぎ艦サンダルフォンおよびシン、マユのアスカ兄妹とは別行動を取っている。
オーブ沖海戦後、しばらく休暇と言う事にしてマユ達に自由行動を許し、ダイノガイストもまた一人で地球のあちこちを飛び回っていた。
ダイノガイストの眼下に広がるのは、途方もない規模の絵である。地上に居る者達だけでは到底描き得ない、それこそダイノガイストの様にはるか天空から俯瞰しない限りは描けないとされるナスカの地上絵だ。
奇しくも、ダイノガイストがガイスター四将と共にカイザーズと死闘を繰り広げた地球に遭ったのと、まったく同じ地上絵がこのC.E.の地球にも描かれており、ダイノガイストは折にふれてこの地上絵を調査していた。
宇宙商人バイヤーにも、ダイノガイストが記録したこちらの地上絵のメモリーを渡し、調査させているが、目下芳しい成果は得られていない。
あちらの地球では、ナスカの地上絵からエクスカイザーは新たな力を手にいれ、ダイノガイストはエネルギー生命体捕獲装置を手に入れるヒントを得た。
その事からこちら側の地上絵にもなにがしかのヒントがあるかもしれない、とダイノガイストが判断したのも不思議ではない。
C.E.の地球にはるかな古代、ダイノガイストの様なエネルギー生命体や、エイリアンが訪れて何かの技術や物品を残していった可能性は十分にある。
カイザーズと争った地球とて、事前の調査で分かり得た範囲では、いかなる宇宙人も足を伸ばした事のない未知の辺境惑星の筈だった。
ところが蓋を開けてみれば、エネルギー生体捕獲装置をはじめ記録に残っていないだけで、過去に宇宙人が地球に干渉した事実があったのである。同じ事がC.E.にも言えるのではないだろうか? というわけである。
しかし、これまで何の成果や解読の結果が出ていない事から、ダイノガイストはC.E.の地球からエイリアン・テクやエイリアン・パーツの入手をなかば諦めている。
さほど執着していないのは、海賊としての商売っ気を抜きにしても、ダイノガイストが自分の力が確実に強化されていることを実感しているせいもある。
過去の自分のデータを用いたシミュレーションに置いて、現在のダイノガイストの勝率は百パーセントを誇っている。これならば、あのグレートエクスカイザーにも勝てると、満腔の自信と共に断言できる。
だからといって、油断や嬌慢がダイノガイストの心に芽生えているわけではない。自分自身が変化し進歩したように、傷を癒していた間、エクスカイザーが過去のまま足踏みをしていたままではないだろう。
あの好敵手もまた自分同様に進歩し、変化し、強くなっていると、ダイノガイストは考えていた。今の自分が勝てるのは過去のグレートエクスカイザーであって、現在のグレートエクスカイザーではないのだ。
そろそろ見切りをつけるべきかもしれんな、とダイノガイストが思考の海に沈んでいるその後ろで、スクランブル出撃してきたスカイグラスパー二機が警告の連絡を入れて来た。
『ふん、このおれに付いてくる事もできんノロマが、生意気な』
黄河は水溜りを叱りはしない、という諺通りにダイノガイストは、彼から見ればおもちゃじみた戦闘機二機を、わざわざ撃墜する様な真似はせず、ただ速度を上げた。
スカイグラスパーのパイロット達が、見る見るうちに小さくなってゆくダイノガイストの姿を、悔しげに見つめる事になるのは、間もなくの事であった。
*
「どりゃあああああ!!」
シンの怒声と共に、きゅん、と甲高い音が一つし、分厚い岩盤を斜めに白線が横断した。白線の上側の岩盤がずるりとすべり、その奥からビームブレードを振り下ろした姿勢のシン・アスカの姿が陽の下に晒される。
跳ねっ毛、癖っ毛の黒髪に、陽の光が焼く事を遠慮している様な白い肌、熱い感情のうねりを閉じ込めたルビーの瞳、ダイノガイスト不在でもなんら変わることのないシンの姿がそこにあった。
シンが地球圏で唯一の個人携帯サイズのビームブレードで斬り開いた先に広がっているのは、鬱蒼とした森である。降り注ぐ太陽の光が、幾重にも折り重なった木々に遮られ、幾筋かの光明を差し込むだけに留まっている。
鼻腔を満たすのは湿り気を帯びた緑の匂いだ。草いきれ、色とりどりの花、瑞々しい葉を生い茂らせる枝、大人が何人も腕を広げてようやく抱えられる太い幹、肥沃な腐葉土に支えられた森の匂いである。
プラント育ちの人間にとっては、顔面を顰める到底耐えられない臭いかもしれないが、地球生まれ地球育ちのシンにとっては、生き返るような新鮮な気持ちになる匂いだ。
ちちち、と小鳥のさえずりが耳に心地よい。
残った下半分の岩盤も蹴り倒し、それを跨いでシンは外に出た。背後を振り返って空の左手を差しだし、それを握った小さな影が闇の抱擁から逃れて陽光の祝福を受ける。
誰か言うまでもないかもしれないが、シンの妹マユ・アスカだ。ダイノガイストと出会ってから約二年。もっとも成長著しい年ごろながら、相変わらずのつるぺた体形な上に相変わらずの小柄で、この少女がとても宇宙海賊の一員とは思えない。
二人とも爪先から首元までピッチリと体にフィットするラバースーツの様なものを身につけている。厚さ1ミリのスニーキングスーツだ。着用者の身体能力を二十倍前後に高め、リニアガン・タンクの装甲並の耐久力と衝撃吸収能力を持つ。
その上に戦闘用のベストを着こんで、様々な手榴弾やリキッド・ボムのボトル、酸性スプレー缶などが吊るされていた。
どうやらダイノガイスト抜きで海賊家業に精を出していたらしい。この場に姿は見えないが、艦長とテレビロボはサンダルフォンでバックアップに回っているのだろう。
二人とも疲労の影が濃く、今すぐにも座り込みたいくらいにくたくたなのが一目で分かる。
ビームブレードのスイッチをカットし、柄だけになったビームブレードを腰の戦闘用ベルトに差し込んだシンは、自分が斬り倒した岩盤に腰かけ、マユもつられて腰を下ろす。
アスカ兄妹は、いま、日本に居た。
ダイノガイストから自由行動の許しが出たのだが、自由行動の拠点を日本に指定されたのである。おそらく日本に出現すると言う謎の合体ロボに対し、ダイノガイストが興味を持ったからだと、シンは考えている。
二人が狙ったのは、武田埋蔵金である。豊臣家や徳川家が残した埋蔵金がもっともメジャーな埋蔵金伝説であろうが、この甲斐の武田信玄が残したとされる武田埋蔵金も比較的有名なものだ。
今世紀に至るまでついに未発見に終わっていた武田埋蔵金の在りかを発見し、二人はガイスターのみが有する異星技術の粋を尽くした装備に身を固めて、巧妙に山中に隠蔽された埋蔵金にアタックを実行した。
強欲な略奪者を待ち受けていた数百年前の罠は、その牙を情け容赦なく見せつけた。穴の底に竹槍を敷き詰めた落とし穴、吊り天井、隠された壁穴から発射される無数の毒矢、落石などといった古典的なもの。
金以外の大抵の物を溶かす強い酸性の王酸を並々と湛えた落とし穴、数百数千匹の毒百足、巨大吸血蛭が蠢く回廊、肉食性の翼長一メートルを超す大型蝙蝠の群れが息を潜める暗闇の天井。
どこから入手したのかピラニアに酷似した肉食魚が蠢く黒い沼の上に渡されていたのは、千切れる寸前の縄で結ばれ、板は腐って脆くなった小さな橋だけ。
それらをクリアしたさきに広がっていた大空洞には、時価500億アースダラーに相当する金の山が鎮座していたが、金の重量が一匁(3.75グラム)でも減ると入口が全て閉ざされる仕組みだった。
しかもはるか数十メートルの高みにある窪みからは何百年もの時を掛けて醸造された毒水が、流れ込んで盗掘者を水責め地獄と毒責め地獄の二つにたたき落とす。
これらをどうにかこうにかクリアし、マユが持っていた亜空間ポケットに全ての金を詰め込んで、二人は外の世界に帰還したのであった。
「ん」
シンが手渡したビタミンドリンクのボトルを受け取り、マユは音を立ててそれを飲んだ。ダイノガイストのサポートが無い盗掘行為は二人に強い緊張を強いて、喉はからからになっていた。
「ぷはぁ、疲れたねぇ、お兄ちゃん」
こちらを向いて、言葉とは裏腹に体の内側から輝いている笑みを向けるマユに、シンも穏やかに微笑み返した。
「成果は上々だよ。おれ達が埋蔵金を頂いたって、置き手紙も残しておいたし、あとは船戻って、ダイノガイストと合流すればいい。それともどっか温泉でも行くか?」
「ん〜、それもいいなあ。でもやっぱりダイノガイスト様と合流しなきゃ」
「どこで合流すんだっけ? ネオ童美野シティだっけ?」
「え? Gアイランドじゃない?」
『ヌーベルトキオシティだ。シンはともかく、マユ、どうやったらそんな風に聞き間違えられる?』
「あ、艦長」
兄妹そろってのとぼけた会話の応酬に呆れた艦長が、終止符を打った。二人の左腕に巻かれたガイスターブレスが反転し、恐竜形態のダイノガイストの顔があらわれて、その瞳から区中に光が放射されて、艦長のバストアップ画像を形作る。
『今、二人の真上だ。下方の光学迷彩を解除するから、はやく戻って来い。今、ボスから連絡があった。明日にはヌーベルトキオに到着するそうだ。我々は今日中にヌーベルトキオに行くぞ』
「じゃあ、今夜はヌーベルトキオのホテルで一泊だね。艦長も一緒にお泊りしようよ。たまには船じゃなくて外で過ごすのもいいと思うよ」
『兄妹水入らずに邪魔をするのは気が引ける』
「そんな事気にしなくていいのに。ね、お兄ちゃん」
「ああ、そうだよな。おれもたまにはいいと思いますよ、艦長。ダイノガイスト待ちなんだし、ロボに船を任せてホテルで豪勢にパーっとやりません?」
『分かった分かった。考えておくから、早く艦に戻れ』
「はーい」
暢気な返事をしたマユの上空に、船体下部の光学迷彩を解除したサンダルフォンの姿が露わになった。
埋蔵金を発見したその日の内にヌーベルトキオシティに入り、一番料金の高いホテルのスウィートルームで一泊した三人の内、艦長は早朝早々と艦が心配だからと、シティ近海の海底に潜んでいるサンダルフォンへ戻った。
アスカ兄妹は朝食をホテルのレストランで済ませた後、ヌーベルトキオシティの街中をのんびりと練り歩き、ウィンドウショッピングを中心に観光を楽しんでいた。
道を行き交う人々や、天を突く無数の摩天楼、二年前に勃発した戦争の影響が欠片も見られない整然とした街並みは、プラント住人は別として、地球上の荒廃した世界で生きる大多数の人々には別天地の如く映るだろう。
エイプリルフールクライシスの影響が全世界を覆う中、この街はその被害を免れたごく稀な例外の一つであった。
オーブが地熱発電を利用し、いち早くエネルギー危機から脱出に成功したように、旋風寺コンツェルンの私物とも言えるこの人工都市は、外部との交流が断絶しても、単独で生活者の生活を最低水準で維持できるよう設計されていた。
海流、風力、太陽光と旧世紀から研究されてきたありとあらゆる発電設備が整えられており、地球上から核分裂発電の光が消えた夜も、この街には煌々と電子の灯りが灯っていたのである。
ホテルの近くの公園の中の、芝生が延々と続くなだらかな丘で、シンとマユは目の前に広がる大海原を見ていた。
故郷オーブによく似た光景だが、似ているからこそ些細な違いが克明に感じられ、自分達が異国にいる事を強く意識する。
一抹の寂寥が二人の胸に冷たい風を吹かせたが、二人はそれを表に出す事はなく、大型ワンボックスカーを店舗代わりにしているクレープ屋を見つけて、それを買う事にした。
サイドに大きな窓口が開いていて、ピンクとホワイトのストライプ模様の布地を張ったサンガードが設置されている。窓口の脇に置かれたメニューと睨めっこしていたマユが、ワゴンの中の、バイトの女の子にニコニコ笑顔を向ける。
如何にもお愛想の、おしつけがましい笑みではない。向けられて機嫌の悪くなる人間は、この世に一人もいないだろうと心底思う様な、澄み切った笑みだった。
年齢は多分、シンと同じか、違っても上下に一つか二つだろう。淡いクリーム色の長い髪を白い三角巾で纏め、クレープを模したキャラクターのアップリケ付きエプロンを着ている。
本当に漫画がテレビの中にしかいないような、可愛らしさと美しさとを同時に持ち合せた美少女である。
卵型の綺麗な顎の線や、穏やかだが意志の強さを覗かせる瞳、高い稜線を柔らかく描く鼻筋、雑誌の表紙を飾っていないのが不思議なくらいだ。
「すいませーん、このアーモンドキャラメルバナナのチョコミントアイス乗せの、ラズベリーソースがけひとつ下さい。お兄ちゃんは?」
「おれ? あんまり甘くないのがいいなあ」
「じゃあ、こっちのゴーヤクリームをください」
甘くないのがいいとはいったけど、だからといってゴーヤという判断はどうなのよ、とシンは思わないでもなかったが、今さら言うのもカッコ悪いかな、とあえて口には出さなかった。
丸い鉄板の上で均等に広げられたクレープ種から、甘い香りが漂い始める。バイトの女の子は手慣れた調子で均等に生地を均していき、生地をひっくりかえす作業も流れるような動きでこなして行く。
焼き上がった皮の上に、ひんやりと冷たいアイスやクリームが手際よく乗せられ、シンの分のゴーヤクリーム(緑色)もたっぷりと乗せられてゆく。
匂いは濃厚な甘いものだが、口に入れたらどんな苦みがするのか、シンは面白半分怖いもの見たさ半分で期待していた。
綺麗に包み紙に巻かれたクレープを受取って、シンが代金を払った。
「ありがとうございました」
にこやかな笑みを浮かべてバイトの女の子が紙幣を受け取り、レジを打ってお釣りをシンに手渡した。
シンとマユは二人仲良く近くのベンチに腰掛けて、それぞれのクレープを口に運ぶ。まだ温かいクレープの生地に融け始めたアイスの甘さが絶妙にマッチし、マユは口元を綻ばせる。
天使の様な笑みを浮かべるマユの横で、シンはなんとも言い難い表情を浮かべていた。
初めて食べる人間にはいささかきつい苦みと、生クリームの甘さが全く同時に味覚に襲い掛かり、甘苦いといえばいいのかなんなのか妙な味で、かといってまずいのかと言われると別にまずくはなく、うまいのか、というとうまいわけでもない。
モノを食べているとは思えない妙な表情でクレープを食べ進めるシンとは正反対に、マユはふっくらほっぺにクリームを付けたまま、小鳥が啄ばむみたいに少しずつクレープを食べ進めている。
そんな兄妹の微笑ましい様子を、バイトの女の子も和やかな気持ちになって見守っていた。ユニウスセブン落下事件を契機に、プラントと地球連合の間で再度戦端が開かれたとは信じ難い。
しかし、ヌーベルトキオシティにはこの街の発展の光に応じて、深く暗い影が存在し、それは人々の暮らしを脅かしていた。
シンがクレープを食べ終えて、くしゃくしゃと丸めた包み紙をダストボックスに捨てようとした時、彼方で大きな爆発と黒煙が立ち上り、シン達を不可視の音の波が強かに打った。
現在の地球上に存在する都市では五指に入る発展を見せるヌーベルトキオであったが、唯一、その治安に置いて大きな黒い影が掛かっていた。
東アジア共和国内のギャングや、マフィア、単独犯とあらゆるタイプの犯罪者が、巨大なロボットを用いての犯罪行為を頻繁に行っている。時には最新の兵器であるMSさえも姿を現し、警察の武装では対処できない犯罪が多発している。
いまも、その一つが発生したようだ。
冷たい灰色の摩天楼の林の合間から、見え隠れしているのは、全高30メートルを越す巨大な人型のロボットだ。しかしMSとは似ても似つかない派手な外見をしている。
人間を模したと思しい姿形だが、両眼の辺りには青や赤で縁取った隈があり、煌びやかな意匠が凝らされた装甲は、まるで舞台の上の歌舞伎役者かなにかのようだ。
歌舞伎ロボの武装は、右手に40メートル近い朱塗りの槍、左手には20メートル近い大刀を握っている。
背には雷神の太鼓の様なパーツを背負っている。おそらくはミサイルランチャーかビームランチャー辺りだろう。
無作為にビームらやミサイルを撃っては、破壊行為を繰り返し、たちまちの内に街並みを瓦礫に変えて行く。逃げ惑う人々の悲鳴が、爆発の音や地響きを立てて歩くロボットの足音に混じって聞こえ始めてくる。
「なんて無茶苦茶な奴!! マユ、あんたも、早く避難するぞ」
「う、うん。お姉さんも早く」
「でも、お店が」
「命の方がバイトよりも大事だろ!?」
有無を言わさず店舗の中に入ったシンは、バイトの女の子の手を握り、強引に連れ出す。パトカーのサイレンが早くも聞こえてきたが、警察の装備で対処できる範囲を大幅に超えている。
「犯罪者程度で、なんであんな強力なロボットを持っているんだよ! あれ、並のパイロットが乗ったMS程度じゃ、歯が立たないぞ!」
「大丈夫です!」
「?」
思わず愚痴を零すシンに手を引かれていた女の子が、はっきりと言い切るのに、マユとシンが顔を見合わせて振り向いた。クレープ屋のバイトの女の子――吉永サリーは、暴れ狂うロボットを見つめながら、信頼に満ちた声で二人に告げた。
「あの人が、私達を守ってくれます」
「あの人達?」
二人が揃って疑問の声を上げた時、空に何かのエンブレムが描かれ、高速で飛行する飛行機の風切り音が聞こえてくる。
「戦闘機か!?」
「ううん、お兄ちゃん、あれ、SLと新幹線だよ!」
「SLに新幹線? そうか、ここはアイツの本拠地か!?」
シンが口にしたアイツが、動きを見せる。
SLのお化け――ロコモライザーの車体後部が折れ曲がり、真ん中から二つに分かれて巨大な足へと変わる。
シンとマユ達は名前を知らない新幹線――ガインとマイトウィングがそれぞれ列車部分の先頭を左右外側に向け、後部を巨大な腕と変わり、ロコモライザーの両側部へと連結される。
ガインとマイトウィングの折れた車体後部からは蒸気と共に五指を備えた巨大な手が現れ、ロコモライザーの先頭車両上部の一か所の装甲が開き、MSを大きく上回るロボットの顔が現れる。
左右からフェイスマスクが閉じる寸前、その頭部に誰かの影があったのを、シンの目がかろうじて認める。
合体ロボットは拳を握り、頭の上でぶつけ合い散った火花が降り注ぐ。一度右腕を引いてから突き出し、ユニウスセブンでその姿を露わにした勇者が今一度、ヌーベルトキオシティでシン達の目の前に現れた。
『銀の翼に希望を乗せて、灯せ平和の青信号! 勇者特急マイトガイン、定刻通りにただいま到着!!』
時代がかった口上を終えざま、マイトガインは暴れている犯罪者のロボットに飛び蹴りをかまし、敵の巨躯を海の方へと蹴り飛ばす。
蹴った反動を使って着地したマイトガインの目の前で、下半身を海に没した歌舞伎ロボが体制を整え直し、朱槍と大刀を左右に開いて構えを取る。
マイトガインと歌舞伎ロボが対峙する光景を見ていたシンは、ダイノガイストが合流地点をヌーベルトキオに指定した理由を、悟った。
戦うつもりなのだ。あのマイトガインと!!
――つづく
173 :
一尉:2009/10/09(金) 16:48:11 ID:???
いいよ、マイトガイン!!頑張れよ。
>>164-172 660氏、GJ!
ガイスター勢が活躍してますね。
個人個人の行動も面白いですね。
ミネルバはご愁傷様としか。
カーペンタリアまで行けるんでしょうかね?
そしてマイトガインの登場で終わりですか。
強烈な引きですね。
次回がものすごく気になります。
>>660氏
相変わらずGJっした!シンとルナマリアの関係が改めて新鮮というか何というか。
そしてサリー来た。よし、これで俺的に10年は戦える。
歌舞伎ロボは……ミフネ?ともあれ今回も細かくネタ拾って散りばめてお見事でした!
Gアイランドはともかくネオ童美野シティってw
カイバーマンが青眼白竜と竜神合体とか浮かんだけどさすがに無理か
う〜む、はやくマイトカイザーが完成しないと、グレートエクスカイザーが登場するまで毎度の如くボコボコにやられてたドラゴンカイザーの二の舞に!
スペック的にはキングエクスカイザー以上なのに、やられシーンが印象強すぎる不憫な二号ロボ。
その後は結局グレートで止めなのに、態々ドラゴンカイザーで適当に戦ってから、キングローダーに乗り換える二度手間……ああスーパーファイヤーダグオンも同じか…合体の手間は省けよ!とツッコム
そういやマイトガインのグレート合体ってぶっちゃけ合体する前の武器の名前にグレートがつくだけで武装の増加には貢献しないよな
あと、最終決戦ではパーツ(マイトカイザー)は遺棄されるわろくな扱いを受けてない
グレート動輪剣はノーマル動輪剣と出てくるところが一緒だからマイトガインのときでも出せそうだ。
グレート動輪剣はともかくマイティキャノンとマイティシールドの代わりののグレートブレイカーとグレートファイヤーはどこがどうパワーアップしているのだろ?
カイザーパーツは単独で役立ったことがない。
カイザー4、5を下駄にして、頭にガンダムみたいなツノが合体しただけでなんで身長が10m(25m→34.6m)伸びるんだろ?
180 :
一尉:2009/10/10(土) 16:05:31 ID:???
ドライアスにも頭はコンボイの顔が似ていたよ。
マユと仲良くトレジャーハントに勤しんでいたが
これはもしやゴルドラン登場フラグ?
まあ、マイトカイザーは元々マイトガインのパワーアップ用パーツだったのを
「マイトガイン(というかロコモライザー)大破」→「穴埋めの主力ロボ作らなきゃ」→「じゃあカイザーパーツ使って一体作るべ」
で出来た設定だからなぁ。(注:説明噛み砕きすぎてます)
装甲と動力を外付けして拡張して飛行能力もつけて、ついでにパーフェクトキャノンの反動で吹き飛ばないウェイトもつけて
というのが最初のプランで、カイザーマシン・マイトカイザーとしての機能はあくまで後付けのオマケに近い。
そう考えれば、まああの扱いも……納得できなくはない、のか?
>>179 正確にはグレートマイトガインは30.5m
カイザーパーツ分付け足して5m伸びてる
>>182 >「マイトガイン(というかロコモライザー)大破」→「穴埋めの主力ロボ作らなきゃ」→「じゃあカイザーパーツ使って一体作るべ」
順序が逆と言うか、別にマイトカイザーの開発とマイトガインの大破の因果関係は無い
マイトガインの大破に関係なく、マイトカイザーは造られる予定だった
(強いて言えばマイトガインの大破によって、急ピッチでマイトカイザーの完成が早まったぐらい?)
どの道急造感は否めないですけどねえ。まあ事前に飛龍にトライボンバーが手も足もです倒されたのが教訓になって急いだっぽい。
そういやマイトガンナーも最初は唯のSL型大砲だったのを、後から超AIとロボ形態が追加したんだっけか?
確か肩に合体させないで轟龍と一緒に隕石破壊してたような…
ぶっちゃけPWモードは明らかにデッドウエイトですからね、ダグオンの無限砲もそうですけど、
固定砲台にすれば確かに安定性と命中精度はあがるでしょうが、失敗した場合回避しずらい。事実マイトガンナーはそれで破壊されたわけですし。
>>184 いんや、元々「マイトガンナー」として開発してたよ
隕石の時は超電導砲としては完成してたけど超AIが未完成だったはず
ブレイブサーガー2でキングエクスカイザー&カイザースと、バーンガーンをあっさり倒したガープも
「邪魔!」って感じに一蹴のダイノガイスト相手じゃ、グレート合体無しじゃ無理でしょうなあ。
グレート合体の無いガオガイガーでも、ウルテクエンジン搭載前じゃ無理っぽい。ゴルディオンハンマーは反則くさいから無しで考えると、ガオファイガーでも厳しそう。
ガオファイガーはかませ臭がする。なぜ?
ガガガは基本的に仲間と協力して敵を倒す類だからな〜
一人だけだとあっさりやられるイメージがある
188 :
一尉:2009/10/11(日) 17:08:29 ID:???
もちろん、合体攻撃にもあるよ。
>>183 まあ、どっちみちカイザーは「元はマイトガインのパワーアップパーツで、計画修正でロボ形態が作られた」
のは間違いないらしいけれど。確かにマイトガインの大破とは因果関係なかったか……反省
>>187 多分「ガオファイガー+ゴルディオンハンマー」という劇中でのデフォルトフォーメーションで倒せたのが
ギムレットだけだったのが……
その後はレプリガガガにハンマー砕かれ(釘打ち込みメインのハンマーヘルVSレプリ護全力のヘルアンドヘブンだから仕方ないけど)
三重連太陽系への出立ではガトリングドライバーを使うくらいで直接戦闘はなし、
パパパとの戦いだとペイ・ラ・カインに動揺して出力下がったところをゴッドアンドデビルに競り負け
レプリガオファイガー+ケミカルボルト凱はジェイクォースを消滅させたけどゴルディ自爆で幕。
後はジェネシックが大暴れなので、かませ臭というか中継ぎ感というか、地味に不憫な立ち位置なのがガオファイガーなんだと思う。
胸にライオンが無い時点でパチモン臭が漂ってるからなあ
その上、TVに比べて尺が短い関係上、最初からボコボコに破壊されるの前提の機体だし
>>186 弾丸X使えばウルテクエンジン積む前のガガガでもなんとかなりそうだが
なんか相討ちになるビジョンしか見えん
192 :
通常の名無しさんの3倍:2009/10/11(日) 23:32:19 ID:OxtbqWfm
>>191 まあゾンダーの融合能力を除外して考えれば、パスダーまでならダイノガイスト一人でも倒せそう。
さすがに原種くらいになると厳しそうだが。
遊星主は無限再生を除いても攻撃力がハンパじゃないからなあ。
TV版なら喰らっても「うわああ!!」で済みそうなビジュアルの攻撃だけど、GGGの機動部隊全員が一撃喰らっただけで、
超竜神は真っ二つ、天竜神は串刺し、マイクは全武装大破といった具合にボディが中破させられてるし。
ジェネシックも簡単に各部が砕けていくし…
でも防御力がさほど高くないと…再生能力があるからその辺は考慮してないのかね?
>>193 たぶんそんな感じだと思う。直ぐに再生したけど、GGG側の攻撃も一発当たれば簡単に穴開くわ、粉々になるわだったし。
造る時にパラメーターのほとんどを攻撃力に回して、防御は極わずかに設定したのでは? 初戦は破壊されること前提で、相手の情報収集と消耗を狙って逆襲するタイプと見た。
だとすると何故機械31原種に負けたのか疑問が残る。
パルパレーパはプラスの段階でスターガオガイガー以上のカタログスペックのガオファイガーと互角だし、
プラジュナーになればジェネシックともそれなりに戦えてました(再生無しじゃあっさり負けた可能性は大ですが)。
ピアゲデムも素体の原種なら数体同時に相手できるキングジェイダー相手に、押してる感じだった。
これに無限再生加わったらまず負けないと思うんだが、ピサ・ソールも破壊されず現代まで残ってるし。
物量に負けたんじゃないの?
だいたい無限再生が効くのはレプリジンだし、その時点でオリジナルは倒されているわけだから。
ピサソールはガタイがでか過ぎるから専守防衛に徹してお篭もりを決め込んでたんじゃないの。
まだその時は暗黒物質が集まってなくてピサソールが稼働できなかったと思う
ただZマスターの消滅を感知できてたから完全停止はしなかったんだろうが
再生された物は物質再生波動を常に受けてないと存在が維持できないなんて波動を遮断されたりピサソールが活動停止したら自動的に消滅するよな。
つまり、再生復元されてもピサ・ソール抜きじゃ存続できないわけで肝心要の再生後の存在維持がGGGが実験的に作ったフツヌシ以下ってどうよ。
太陽系再生の要にしてはお粗末過ぎる。ピサ・ソール側から対象物を絞って波動を遮断することもできないみたいだし反乱防止にもならない。
何を考えてこんな仕組みにしたんだろうな。
198 :
一尉:2009/10/12(月) 13:50:53 ID:???
あの、小話君、そろそろ続きわお始めで下さい。
>>197 たぶん作る時間が無かったんだよ
アベルが主導に再生プログラム11遊星主製作→もう少しで完成な所でZ暴走→
護が生まれる(Gクリスタル=Gストーンに護の力を付加)→赤の星がそれを元にJジュエル製作→護の能力+サイコキネシス付加アベルクローン製作→Jアーク艦隊製作→
Z襲来。稼働が間に合わずJアーク艦隊壊滅→ギャレオン&護が地球へ→本編へ
再生プログラムに関してのカインとアベルの対立や、Zの暴走が時期的に近いっぽいからこんな感じじゃないかね
むしろ対11遊星主用だったジェネシックのコアたるギャレオンをゾンダー用に改修することしかできなかったカインに対し
Jジュエル+アルマシリーズ+ソルダート軍団+Jアーク艦隊を一気に制作したアルマがチート過ぎるだけじゃ…
遊星主が一番最初だとJジュエルの緊急停止コードを持ってる説明がつかないし、ラウドGとGストーンの関係も矛盾する。
小説によるとペイラ・カインはジェネシックガオガイガーとセットになって遊星主のアンチプログラムとして働くようになっていたらしいし、
31対のJジュエルの戦士は31原種と対消滅することを前提に作られているし、
三十連太陽系の守護神といわれている個々の遊星主に勇者ロボに対応する固体が存在することを考えると本来はGGGの位置に相当する存在じゃないの?
なるほど
青の星とともに遊星主に相当する存在として再生したのがGGGか
そういう意図もあったのかもな
どうでもいいが
>三十連太陽系
の誤字を見て太陽が30個ある惑星を想像して吹いたw
不夜城ってレベルじゃねーぞwww
>>201 >小説によるとペイラ・カインはジェネシックガオガイガーとセットになって遊星主のアンチプログラムとして働くようになっていた
ジェネシックとフュージョンするはずだったのはカイン本人だよ
アベルは遊星主のアップデートを最後の最後までずっと続けてたってことだろ
遊星主を巡って赤と緑の星の意見が割れた後、Zマスターの脅威に対抗するために
カインが赤の星に提供したGストーン関連技術も取り込んで
>>200 緑の星が先に機界昇華の対象になったせいもあると思う
確かTV版では緑の星が赤の星より先に消滅してた
>>204 それは最初のTV版(対Zマスター)で語られた話だから、おそらく対ゾンダー用に改装された後のギャレオンのことだろ
FINALノベライズではペイ・ラ・カインの存在に辻褄を合わせるために
>>201になってる
>>206 なってないよ
FINALノベライズでもそう書いてある、180ページ冒頭読め
DVDはテレビ版、FINAL共に持ってる俺だが小説は一個も持ってないから話についていけん。
っていうか基本はやっぱりアニメなんだから
アニメで語られてない、描写されてない設定は
職人が好きに解釈してもいい気がするんだけどなぁ。
全部の媒体をチェックしろってんなら1stなんてとてもじゃないけど
付き合ってらんないぞw
>>189 勇者シリーズにおけるお約束
二号ロボの活躍期間は短く、すぐにグレート合体のパーツになる(ガオファイガーはパーツにすらなってないけど)
活躍期間長かったのってファイバードとダグオンくらいじゃね?
210 :
一尉:2009/10/13(火) 20:49:12 ID:???
しかし、本物のカインは本当にGガオガイガーになるばすかもしれないよ。
>>209 むしろグレート合体登場後で、二号ロボに自我が無い場合の一号ロボの活躍に注目すると、
エクスカイザーはグレートエクスカイザー登場後も、何故か最初にドラゴンカイザーになってからトドメだけグレートが多かった。キングは最終回除けば一回かそこら。
ファイバードは良く憶えてないからパス。
マイトガインはマイトカイザー登場後は、殆ど自立稼動だった気がする。
ダグオンはファイヤーダグオンは後半の復活回の一回キリだった様な……後はエクスカイザー動同様、
パワーダグオンばっかりで、合体時も最初にパワーに合体してからファイヤーに乗り換えという二度手間だったし。
バーンガーン系やガオガイガーFINALは、当時オモチャ販売を考えてなかったからその辺の差では?
ファイバードは二号ロボのグランバードが登場してからはそれメインで戦って、
グレート合体するときだけファイヤージェットを呼び出して合体するパターンを取ってたな。
ダ・ガーンの二号ロボガ・オーンは独立したダ・ガーンが敵にわなに引っかかって動けなくなってから登場して
しばらくメインを勤めていたけどダ・ガーンが復活したらほとんど合体パーツに成り下がっていた。
伝説パワー発動時はGXバスターと胸ライオンを除いてボディを捨てられてる。
空影はほとんどゴルドランの飛行パーツと化してたし、レオンカイザーもグレート合体するようになってからは単独での活躍は少なかったな。
それくらい主役以外の勇者ロボで、「強化されない」ロボの不遇さに」比べたら(涙)
仲間の合体勇者ロボの二体以上いる場合、ガーディオンがスーパーガーディオンになったように途中で強化されるのが通例だけど、
もう片方はそのままですからねえ。
ペガサスセイバーが人気過ぎてランドバイソンは影が薄いし、シャドーダグオンなんて中盤から敵が強すぎて、碌な活躍シーンが無い様な…
活躍よりもガードダイバーみたいに、破壊されるシーンの方が印象残ってたりする。
仲間全員が後から出てきた仲間と合体するバリエーションを持ってるのはゴルドランだけだな
やっぱ、番組開始当初から番組の顔として出張ってる一号ロボと、
途中参戦の二号ロボじゃ、二号ロボの方が後半メインになるよな……
一号ロボはそれまでに十分活躍した上にグレート合体にまで必要なんだから、
あとはメインを二号ロボに譲ってグレート合体要員に回って……あれ。どっちがパワーアップパーツだか分からなくなってきたぞ。
まあ、二号ロボ登場に伴う一号ロボの立場の問題ってのは勇者に限ったことじゃなくて、
戦隊だとスーパー合体がないのにロボ増えることもあるから……大人の事情全開の根深い問題だorz
>>213 まあシャドーダグオンの場合は、竜の方が神出鬼没に活躍してたような印象がw
>>214 アドベンジャーは?と思ったけどキャプテンシャークとキャノンモードで合体してたな。
ゴルドランはキャプテンシャークがやたら強すぎたけど
考えてみれば全ての勇者が悪の手に渡った時の保険なんだから
仮想敵は全ての勇者なんだよな。
となればあのスペックも納得と言えば納得か。
>>212 あれ?そうだっけ?
火鳥兄ちゃん結構、グランバードとファイバード使い分けてた気がするんだが。
その分、グレートファイバードの登場回数が少なく感じたけど
>>217 まあ勇者シリーズは番組後半、明らかにグレート合体しなくとも倒せそうな敵なのに、態々グレート合体して倒すのがエクスカイザー以来の慣習みたいだし。
219 :
一尉:2009/10/14(水) 18:08:55 ID:???
あの、そろそろ続きは。
>>217 変形バンクがGバードから火鳥が分離、Fジェトに合体してFバードに、Gバードがパーツになって合体するというパターン。
FバードでGシャトルを呼んで合体する場合は一瞬だった。
>>217 グレート化するまでは「交互」だったような記憶があるが。
うろ覚えなので、間違ってたらスマン。
>>218 スーパーファイヤーダグオンは3回しか合体してない。
そのうちライアンとガンキッドと合体した最強装備は一回きり。
とうぜん、おもちゃのセールス的には失敗してる。
パワーダグオンの背中にファイヤージェットがドッキングしてファイヤーダグオンにチェンジしてからグレート合体する変形バンクは玩具でも一応再現可能。
>>222 >スーパーファイヤーダグオンは3回しか合体してない。
よくタカラは許したな。
その分、SFダグオンの最終合体としての説得力は異常。
BGMといい、演出といい、完璧すぎる
勇者シリーズとは全く関係ないが555の最強フォームも二回くらいしか出てないよな
あれは最強(?)フォームだろう
555アクセルの方がまだ強く見える
リメイクガイキングのガイキング・ザ・グレートも
出番三回、戦闘シーン二回という少なさだったな。
その分、正に圧倒的な強さを見せ付けたが。
出し過ぎると有り難みがないからな。
「たかが石ころ一つ、ガイキングで押し出してやる」をマジでやったり
一番盛り上がる中ボス・ラスボスと要所をしっかり押さえていたから印象に残るんだろうな
手刀で岩山をぶった切ったりしてたからな
強さが分かりやすいんだ
>>223 タカラから「最低でも3回は出すように」って言われて、ホントに3回しか出さなかったなんて話も聞くくらいだ。
……何がアニメスタッフを駆り立てたんだろう。まあ確かにその分、圧倒的な存在感とかありがたみとかあったけど。
231 :
一尉:2009/10/15(木) 21:39:55 ID:???
あの、小話君は。
最強フォームとかは出しすぎるとつまらなくなるからなぁ
特撮の話で悪いが仮面ライダーキバなんか終盤最強のエンペラーフォームばっか出て
しかも最強武器・最強技で倒すだけ、ワンパターンでつまらんかった
逆にクウガのアルティメットフォームみたいに最終話でちょろっとでるだけのも考えようだが…
まあ最強フォームばかり出さないと「初めからソレ使えよ」という類のツッコミが出ますからね、最近は。
スーパーファイヤーダグオンのように「使用には大きなリスクが存在するので多用しない」は、その矛盾点に対する一つの解答だと思います。
大体ノーリスクの最強形態だったらソレ以外の存在意義がなくなってしまう。
>>234 棚の上に当時買って貰ったグレートエクスカイザーが飾ってあるんですが、顔がカッコわるいんでグレートの顔(ドラゴンジェット機首部分)は外して
キングの頭だけにして、原作最終回の状態にしてますね。
同様に戦隊シリーズも、フラッシュマンで二号ロボ、ライブマンでスーパー合体ロボ、ターボレンジャーで巨大基地ロボ、ジェットマンで武器ロボ、
カクレンジャーでカプセルロボ&オタスケヒーロー、オーレンジャーで三号ロボ、ガオレンジャーでマルチ合体ロボ…とどんどん増えてますが、
ここ数年は毎度の如くマルチ合体ロボで、一度に合体するメカの数のもとんでもない。正直バンダイの商法には少々あきれている。
アルティメットダイボウケン、エンジンオーG12とか、今年のシンケンジャーの最終ロボも明らかに玩具として無理が有りすぎる。
撮影だって着ぐるみが重くて動けないみたいで、CG合成が殆どだし。獣帝大獣神の反省が活かされてねえし。
>>235 ただ、出てくるロボ出てくるロボ全部が合体したら凄いだろうなー、という妄想を
そのまんま現実のものとしちゃってるあたりは評価したいw
その分、1号ロボ2号ロボ単位の活躍が減ってるのは難点だが。
玩具としてはアレだが、ミニプラはグリグリ動くよ!
237 :
一尉:2009/10/16(金) 19:13:17 ID:???
あの、例の画像はプレアの青年が出ていましたよ。
>>236 バンダイの戦隊もののロボは最初から2号ロボとの合体前提で設計されているから、全部合体するのは予定通りの事なんだよ
ところがタカラの勇者ロボはまず過去の商品の金型を使いまわす事を念頭に置かれている
昔のTFと同じ機構のロボが存在するくらいだ
これに無理矢理グレート合体をとって付ける為、それはもう酷い姿に・・・
239 :
一尉:2009/10/16(金) 20:01:30 ID:???
いや、これは良い形になるよ。
>>238 TFの流用で合体機構が追加されたロボってサンダーダグオンぐらいのもんじゃない?
>>240 ( ´ω`)つ【セブンチェンジャー】【シャドウ丸】
基本はシックスショットラシイ
242 :
241:2009/10/17(土) 00:47:54 ID:???
合体はしないけどね
ゴルドランのデスギャリガンなんて、まんまスカイギャリーの色違いだったよなあ。
私がスカイギャリー、友人がデスギャリガンもってたから並べて遊んだ記憶がある。
セブンチェンジャーは完全新規金型製品だよ。
あと
>>240の言うとおり勇者からの流用物で合体機構が追加されたのは
ギャラクシーシャトル→サンダーダグオンぐらいのもので、
それも主役ロボの最強合体というわけではない。
流用製品にグレート合体を仕込んで酷いことに…てのは誤解を招く言い方では?
>>238 いやいや、金型使いまわしが前提とか嘘言っちゃいかんよw グレート合体もサブロボパワーアップもちゃんと最初から合体前提で作ってるってw
キングエクスカイザーの初版玩具にはちゃんとグレート合体用ジョイントあるしな。
ただ、企画フォーマットが形になるまでに時間がかかりすぎてギミックを煮詰める時間が取れなかったんでグレートエクスカイザーはああいう形になっちゃったけど。
グレート合体のプロポーション変化の推移は、大河原さんの画集で詳しく語られてるんでそっち参照。
>>240の言うとおりTF由来で合体機構が「追加」されたロボはサンダーダグオン(元・ギャラクシーシャトル)くらいだし、
それにしたって実は頭部・胸部の意匠リデコ以外は特に手を入れていないという話もある。
(ギャラクシーシャトルにダグサンダーを合体させることも可能らしい)
>>241 セブンチェンジャーは完全新規ですよ。TFの流用じゃない。
シックス(グレート)ショットやシックスナイトの機構が多段変形の参考にされたかも知れないけど、
あれも特に金型使いまわしはしてないはず。
勇者シリーズのTFからの流用(リデコ)商品は、レッドガイスト(デスザラス)、飛龍(ソニックボンバー)轟龍(ダイアトラス)、シャドウ丸(シックスショット)
デスギャリガン(スカイギャリー)、ダグベース(グランダス)、サンダーダグオン(ギャラクシーシャトル)だしね。
後はTFとして開発されていたレイカー兄弟か。
玩具化されていないのだともう少しいるけど。
246 :
245:2009/10/17(土) 02:25:40 ID:???
247 :
一尉:2009/10/17(土) 18:08:05 ID:???
そうえば玩具化にされていなかったストライクバックにもあったよ。
しかしTFこそタカラが過去に出してた変形ロボの流用品だったりする・・・
ミクロマンとかダイアポロンとかだな
スカイファイヤーに至ってはバルキリー・・・
玩具化されてないけどガイスター四将もダイノボットのリデコだよ。
フレイムソード=ダ・ガーンブレード=動輪剣
>>250 まあ、デザインは変えてるけどな。玩具バラしたら同じ機構が出てくるってことで。
>>248 ダイアポロンちゃう、ダイアクロンや!
一文字違いで大違いだよな……グラディオンとグラヴィオンとか、紛らわしくてしょうがないw
たけー
スレ住民の平均年齢たけー
>>250 ダ・ガーンマグナム=ファイヤーブラスター
>>245 そういえばガオガイガーも、当初はスターガオーとかいう二号ロボが登場予定で玩具にも合体用のジョイント部を用意してたけど、
「一号ロボを大事にしたい」という話になって、グレート合体無しでスターガオガイガーになったとか聞いたことある。
>>252 まぁ勇者シリーズ自体いい加減古い作品だししょうがないだろ。
普通にダイアポロンとかが理解されるのは凄いがw
256 :
一尉:2009/10/18(日) 13:59:34 ID:???
どころで小話君のお話は。
ダイアポロンの合身とダグオンの融合合体はよく似てる
ダイアポロンの合身とかマシーンブラスターの円月回転とか、
昔のOUT辺りで散々けなされてたのはムカついたなあ。
それこそダグオンの融合合体とか、ラムネ&40のロイヤルスカッシュはじめ
燃えたり光ったりしながらの体当たりとか、ほぼ同じ発想のシステムや技は
90年代以降の作品にゃ掃いて捨てるほど出てきてメジャー扱いされてたっつーのに。
って、何でダイアポロンの方に話が移ってるんだw
トランスフォーマーの話題もいいな。
だって、ダイアクロンはアニメじゃない!
262 :
一尉:2009/10/19(月) 16:32:16 ID:???
そうたろうダイアクロンは違う思いますよ。
>>207 これ、ウィキだとこうだが、これ書いたやつはどういう解釈をしたんだ?
>ノベライズ版『FINAL』によれば本来は遊星主が暴走した際の抑止力として組み込まれ、
>その時には彼がGガオガイガーとなって遊星主と戦う予定だったとされるが、
>プログラム操作されたのか一貫してパルス・アベルの下僕として行動し、逆にGクリスタルに眠るギャレオンを奪取しようとする。
版違いでもあるのか?
同じ作者が関わってるヴィジュアルブックでもFAINALの設定は二転三転してるわ(ルネの過去とか)
本当にFAINALは地獄だぜw
>>263 それなのに自分の持ってる資料と違うと職人に噛み付いてきた馬鹿が・・・
いや言うまい、もう終わった事だと思いたい
ところで一寸前に投下したいって言っていた人は如何したんだろうか?
止めちゃったのかな、取りあえず読んでみたかったのに
なんか噛み付いてたやつもFAINALってスペルミs(ry
あんな狂犬ゴキブリが潜んでるとわかれば投下する気も失せるわ。
君子危うきに近寄らずだよ。
268 :
一尉:2009/10/20(火) 20:36:45 ID:???
オイオイ、そろそろ続きは。
あの糞虫は各所のSSスレに出没するから、安全な処などないぞ?
糞蟲が騒ぐのなら避難所へ
ID表示されるから自作自演が一発で分かる
271 :
一尉:2009/10/21(水) 20:47:39 ID:???
あの小話君は。
自作自演がばれたから
どうして止めると思えるのかね
あの手のタイプはそういうの効かないから意味ないと思うぞ
273 :
一尉:2009/10/24(土) 15:28:09 ID:???
遅い、小話君続きを始めろ。
ふと思ったが最近の奴で勇者シリーズに近い奴はどうかな?
エルドラ5とかグレートピンチ、オロチロボやグラディオン、ダイガンダーとか…
ガイキングLODもそうだな。
作画スタッフがもろにそうだしwww
>>274 いいんだな?
グラディオンでいいんだな?
グ ラ デ ィ オ ン で本当にいいんだな?
いやまあ、少年とロボット(的存在)の交流の話だから間違ってないし、俺自身好きなんだが
グーグル先生に「もしかしてグラヴィオン?」とか聞き返されて凹んだ経験のあるウェブダイバー好きとしては
確かめざるを得ない。
グラヴィオンも好きだけどな!
グラヴィオンは勇者臭とは別の香りがする・・・
アレは超電磁やら戦隊ロボ臭だ
背中にまんま零戦がくっつくパワーアップにはワロタぞw>グラディオン
そして動かないCG戦闘。
>>277 構成としては確かにコンバトラーとかの類だよなぁ
大河原&大張のデザインが勇者っぽく見せてる要因だろうね。あとドリルと速水奨
>>278 CGスタッフが三人くらいしかいなかったらしいし……OPの詐欺っぷりがひどいよなw
OPアニメ同様の絵で本編もやれば、おそらくもっと人気だっただろうに…。
下手なCGにしてしまったから、かえってマイナーロボになってしまった様な気も。
ダイガンダーとのクロス…
MSがバトロボ化して
自由「フリィィィダムッ!」
運命「デーッス!」
とか喋るのかw
>>278-280 ウチの地方じゃ土曜夕方五時からウェブダイバー、五時半からゾイド/0という
なにそのイヤガラセ?どういう公開処刑?な編成だったぞ。
ウェブダイバーはなぁ…
OPと最終決戦(CGじゃない方)がスゲー燃えた
>>281 これも激しく玩具売れなかったよなwww
>>284 てめえ、玩具フルコンプした俺をディスりやがったな?
ダイガンダーで種死機体…
デューク→コアスプレンダー
ガンダー→チェスト、レッグ、フォースのみの合体
ブライオン達→カオス、アビス、ガイア
ボーンレックス達→常夏
ギンザン→レジェンド
タイガマル、ロウガマル→ストフリ、隠者
ドラゴフレイム、フリーザ→ブラスト、ソードシルエット
ドラゴバースト→デスティニーシルエット
ドラゴンダイガンダー→デスティニー
ってのは浮かんだ
287 :
一尉:2009/10/25(日) 20:24:10 ID:???
あの、そろそろ続きは。
>タイガマル、ロウガマル→ストフリ、隠者
主役の機体をかませ以下にするとか…典型的なヘイトだな
しね
>>289 種死の主役はシンなのにディスるとかお前の方がよっぽどヘイトじゃねーか。
また三■目?
292 :
一尉:2009/10/26(月) 20:49:46 ID:???
あの、小話君は。
単なる雑談にすら噛み付くアフォがいるのか…
寒い時代だと思わんかね?
>>286のウェブダイバー版を受信した
グラディオン→インパルス
ジャガオン→ガイア
シャークオン→アビス
グリフィオン→カオス
フェニクオン→セイバー
ガリューン→レジェンド
オルトリオン、ケルベリオン→ソード、ブラストシルエット
ドラグオン→インフィニットジャスティス
ワイバリオン→デスティニーシルエット
ダイタリオン→ストフリ+ミーティア
ライガオン、ペガシオン→ルージュ、ノワール
ダークグラディオン→デスティニーインパルス1、2、3号機
295 :
通常の名無しさんの3倍:2009/11/09(月) 01:53:37 ID:48NhPgzC
あげ
電童と種のクロスってここでもいい?
キラ・ヤマト!自首するんだ!
何か急に過疎ったな…
電童のやつはまたやるやる詐欺か
クソが
本当にシャレにならないくらい過疎ってるな
く、おのれスレの破壊者三■目め…
奴をこのままにしておくとスレが滅びるぞ。
鳴滝さん何やってんすかwww
小話氏も帰ってきてくんないかな
もうほとぼりも冷めただろうし…
そして俺は信じている。勇者がきっと帰ってくることを…
いつかスレの海で…
避難所も全く動いてないもんなぁ。
待つしか無いな。
小話氏は健在だけど、所在を告げるとまた奴が涌きそうなので・・・
外部だし、種も勇者も関係無いオリじゃんかアレ
いや・・・
この板のスレの海に彼はいる
誰かスレにいるかい?
いたら返事してくれ
俺もいるぜい
いつか、CEに「チェーンジ、エクスカイザー!!」という決め台詞が轟かないかなあ。
「まかせろ! 惑星ごと吹き飛ばしてやるぜ!」
CEの宇宙に轟くそのヴォイスは、紛れもなく流竜馬のものであった。
逆シンスレから勇者スレへ。これより介入行動に入る。
「プロローグ」
「よーし、そのビルの瓦礫はB倉庫に回せ! 端から二番目のハンガーだよ!」
「新入りのレイスタは崩壊した道路の撤去に向かってくれ! こっちの住宅街は充分だ!」
「ドリルもっとよこしてくれ! 無理ならジャンク屋にでも借りて来い」
「せーの、でレバーを引き上げるんだぞ? いいな? ……せーのっ!」
照りつけるような日差しの中、荒っぽい叫び声が瓦礫の山と化した街並みに飛び交う。
蜃気楼が揺らぐ廃墟の海を人々の指示に従って全高二十メートル近いモビルスーツが歩き回り、
様々な重機を使って人間の手では負えないくらい巨大な倒壊した建築物を突き崩すその姿は、まさに圧巻だ。
――まるで童話に出てくる巨人の国に迷いこんだみたいだなぁ……。
黒髪の少年シン・アスカは、汗をぬぐっていたタオルを首にかけ、いつのまにかさまよっていた視線を前に戻し、
目の前の瓦礫めがけてつるはしを振るった。そのたびに瓦礫が砕ける感触が手に伝わって、心地よい。
ここは、南半球の赤道付近に位置するオーブ連合首長国の島の一つ、オノゴロ島。
かつて大規模な火山を利用した発電所、他にもモルゲンレーテをはじめとする軍事施設を擁していたオノゴロ島は、
オーブに侵攻しようとする連合にとって、まさに宝の山であった。
マスドライバーのあるカグヤ島と同じく連合軍艦隊や新型MSの熾烈な攻撃を受け、オーブ軍が市街地に布陣したこともあり、
オノゴロ島全体は流れ弾や爆発による甚大な被害を受け、間をおかずに壊滅してしまった。
そして少年がいるこの街こそが、かつてオノゴロ島で一番の繁華街だったと言われると誰もが驚きを隠せないだろう。
それほどまでにこの場所は、瓦礫に埋もれ、砂埃が舞い、凄惨な光景が広がっていた。
シンはこの街並みを見わたすたびに、胸のあたりが締め付けられるような気分になる。
――(オノゴロ島全域に、避難命令が下されました! 繰り返します! オノゴロ島に――)
今でも耳に染みついている。
ミサイルのかん高い音、着弾した際の爆音、鳴りやまないサイレンの音。
そしてすべてが終わった後、帰る家をなくした人々のすすり泣く姿が、いまだに網膜に焼きついて離れない。
「……ッ!」
冷たくて暗い思いを振り払うかのように、シンは思い切りつるはしを振り下ろす。
この場所は、以前はシンと家族の家が立っていたところだ。だが、そこに温かい我が家の姿は面影すら残していない。
なぜなら屋根から下がぺしゃんこに潰れているのだ。聞いたところによるとオーブ軍のMSが敵の攻撃を受け倒れこんだらしい。
強化コンクリートと振り下ろしたつるはしの刃がガチンと音を立てぶつかり、小さい火花が散る。
――あの時の自分はたった一人で、何もできずにただ茫然とするだけの子供だった。
でも、今は――
『やぁ、シン! 今日も頑張っているんだね』
『こちらにおられましたか、シン君』
急にここ最近で聞きなじんだ声をかけられ、シンは思わず手を止めて後ろを振り返った。
そこには赤と青の車両が声に合わせてヘッドランプを点滅させている。
『僕たちに手伝えることはあるかい? 僕たちはさっきメンテナンスを受けたばかりだから元気爆発さ!』
ブォォォンという雄叫びのような唸りとともに赤いハシゴ車の車体のランプが力強く発光する。
「ううん、ありがとう。でもちょっとした探しものだから。
そんなことでもお前たちに頼ってばかりじゃダメだからな。せめてこれだけは、俺が」
そう言って再びシンは手元のつるはしやスコップを見る。
――この家は、マユと父さん母さんといっしょに住んでいた大切な場所だ。
戦争で勝手にバラバラにされて、誰かの手で勝手にどこかに捨てられてしまうのだけは、どうしても許せなかった。
『私の計算では崩落の危険はありませんが、だからといってシン君一人だけでは危険です。
今から私が長官にMSと工具を借りれるかどうか進言してきましょう』
青いクレーン車がカーランプを数度点滅させた。
その多くの物事に目を配らせ、時には相手を心配してくれる、まさに頼れる兄のようなその声がシンは好きだった。
「えぇっ、やめてくれ! あのバカ長官に言ったら『私が全部片付けてやる〜!』って言うにきまってるから……!」
『ハハハッ、あの長官さんならそれは間違いない!』
かつて戦闘で破壊されたにもかかわらず、この“街”は活気に満ちていた。
いや、活気なのは街ではない。
人だ。復興に勤しむ作業員の一人ひとりが、それぞれ明日への希望や膨らむ期待に目を輝かせていた。
これほどの人やMSが集まり賑わいをみせているのは地球上でもそうそうあるまい。
それもひとえにとある機体――いや、"人物"たちのおかげだった。
「あっ」
『どうしましたか? シン君』
シンは積み重なった土砂や木材の向こうに小さな物体を見つけて声を上げた。
ちょうどリビングのあった場所で、チカチカと何かが光るのが見えたのだ。
まるで自分を今まで待っていたように感じられ、彼は頭から瓦礫に突っ込み、その隙間から必死に手を伸ばす。
――あれは、マユの……!
しかし暗闇の中で光る灯に、あと数センチというところで届かない。
掴もうとする手は空を掻き、体の奥から脱力感が滲みでてきたとき――
『『システムチェェェェンジ!』』
刹那、シンの上に覆いかぶさっていた瓦礫が持ち上がった。
シンは驚いて上を見上げると、両手に瓦礫の山を抱えた青と赤の巨人がこちらに向かって
口の端をニィッと吊りあげた得意げな笑みを浮かべている。
『こういうことなら僕たちに任せてくれ!』
『私たちでも、この程度のお手伝いならかまわないでしょう?』
つい嬉しさがこみ上げて、シンの顔にも笑顔が宿る。
そこでようやく我に返ったシンは、自分が液晶が点滅する携帯電話を掴んでいたことに気付いた。
愛らしいストラップがついたそれを、シンはなじみがかった仕草で操作する。
すると、軽やかな電子音とともに携帯電話から幼い少女の声が流れ出した。
『探しものとはその携帯電話のことでしたか。これほどの無茶をさせるとは、大事な物なのですか?』
「うん。これはとても、大切な――」
〈ハーイ、マユでーすっ! でもごめんなさい、今マユはお話しできません。あとで連絡しますのでお名前を――〉
その声を聞いていたシンは、ふと無意識に天を仰いでいることに気付いた。
手にした携帯電話を胸に強く抱きしめ、目を閉じる。
脳内から何もかもが消え去り、やがてシンは、平和だったころの自分を思い出していた。
――オーブには、竜の守り神がいる――
――地球も、プラントも、大人たちは誰も信じてはくれないけど。
『泣いているのかい、シン? ……大丈夫、シンには僕らがいる!』
『……静かにしていろ。お前のメモリーの中にデリカシーという文字はないのか?』
――15歳、夏。荒れ果てたオノゴロの街並みの中。
俺たちはただ、そこで――伝説と巡り合った。
ガンダムSEED外伝 〜南国の竜神伝説〜
以上で介入行動を終了する。
もし続きが見たいとおっしゃられる方がいられたら「わっふる」と書き込んでください。
ライオン氏キター!
わっふるわっふるわっふるぅぅぅ!!
ライオン氏頑張れ
大人は誰も笑いながら〜テレビの見過ぎと言うけど〜♪
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふるわっふる
わぁぁあぁああぁぁっふぅうぅぅるぅぅうぅっ!!
ありったけの期待をこめて、わっふる!!!!!!
わっふる、わっふる♪
掛け持ち乙です。
327 :
わっふる:2009/11/23(月) 00:05:10 ID:???
わっふる
わっふるわっふる
わっふるわっふる
わっふるわっふる
わっふる
想像してご覧
ワッフルで1スレが埋まるところを
330 :
わっふる:2009/11/24(火) 20:25:35 ID:???
紳士諸君
わっふるで待機だ
諸君らはさらなる勇者を望むか!?
絶対無敵で元気爆発で熱血最強な勇者を望むか!?
よろしい、ならばわっふるだ
>>331 ちょっw 3つとも勇者じゃNEEEEEEEE!w
相手がラクシズであれ魔界天使であれ、子供たちを
人殺しにするようなド最低SSならイラネ
>>334によりロボットアニメの大半が否定されました
つーかわっふる自重汁
過度の期待は職人にプレッシャーかけるだけだとなぜわからん
>>334 いいですか、殺していいのは地球侵略を狙う異星人か化物共だけです
わっふるだけどここだとゴキブリが潜んでいるから
続きを書かれるならIDの出る避難所の方がよろしいかと。
>>334 敵の最期に涙を流すような子供達が種世界に来た途端に
エターナルやらレクイエムやらを中の人ごと真っ二つにしても
喜々として勝ち名乗りをあげるようになる
それが新シャアクオリティ
>>334 ガンダム主人公の大半が未成年の子供で少なからず人を殺しているのはスルーですか?
種・種死にしてもキラにアスランにカガリにラクスは種当時16〜17の"子供"、もしくは"未成年"
シン・レイ・ルナマリアも同じくらいの年代だが反論は?
キラとカガリ以外はプラント的には成人じゃね?
>>334=339
来訪組だけでなくシン他ミネルバ隊はじめ議長派が殺すのは
人殺しでヒーローごっこで最低。
キララクアスカガ様方がなさるのは、言う事聞かない愚か者どもの魂を
高いステージに送り届けてあげるポアだから無問題、どころか聖なる善行。
こう言いたいんだろ?え?
このスレ相変わらずゴキブリと豚が居座ってるのなw
戦争状況下でどれだけ人命救助が出来るかのレスキュー作品ですねわっふるわっふる
ああ出遅れたよ
子供が人殺しをするのを見たくないって?
なら「CEの脱出装置は優秀だからコクピット直撃しない限り死なない」ってことにしておけ
中にはコクピットに対艦刀がブッ刺さったり、陽電子砲が直撃して原子の塵にまで分解されても死なない世界だ、問題無い
×死なない
○死んだ当人の記憶を持ったコピー人間にすり替わる
今話題のカーボンヒューマンですねわかりますwww
ジェイデッカーのカゲロウの回見るに勇者的にはそういうコピー技術はアウトだろうな
最近どんな作品でも人殺しだとか無駄に修羅場の恋愛ものとかで、ヒーローものってのがないよな……
家の前で小さな子供が「死ねぇッ!!」「お前も死ねぇッ!!」っていいながら(本当)ボカボカと木の枝で叩きあってるの見たら悲しくなってきたよ
勇者シリーズみたいなものは今の世の中だからこそ必要じゃないのかな……
サンライズって経営厳しくてヒーローものやる力もなくなってきてるの?
日登の問題じゃなくてスポンサーが着くかどうかだろう
宝とか番台とか
不景気でおもちゃも売り上げが見込めンしなあ
>>349 昔は子供達がそういう台詞をはくゴッコ遊びで文句いう親なんぞいなかったよ
最近の親はやれ体罰だなんだってやかましくて、悪ガキにゲンコツかませる事も出来やしねぇ
なぜこんな世の中になっちまったんだ?
寒い時代だとは思わんかね・・・・・・・・・・季節的にじゃないぞ
>>349 今の方が人が死なない漫画やアニメばっかで余程温いだろ
昔の方が殺伐としてる作品は圧倒的に多い
>>349 オマオレw
俺は某所のSSの勇装魔神から勇者魂が再燃したクチだが勇者シリーズを見直していて頭によぎったことがある。
今の子ども達がどこか冷めていたり、妙にリアリストだったりするのは勇者シリーズが無いからじゃないかと…
俺達が幼き日に感じ、そして今は埋もれつつあるあのガッツとソウルを今こそ子ども達に伝えるべき何じゃないかと…
確かにスポンサーなどの大人の事情はあるけどさ、こんな時代だからこそスパロボの時みたいに版権を買い取ってでもやってみる価値はあると思うんだ
>>358 つまりぶっちゃけあなたが見たいんですね? 新たな勇者シリーズを。
いえいえ、文句をつけようとかそういうつもりではありません。
俺 も 見 た い。
実は俺の根幹にもこんな気持ちがあったりしまして。
じゃあ新たな勇者でも考えてみるか?
先ずはエクスカイザーやダ・ガーン系の自立型か
それともマイトガインやGGG系の乗り込み型のどっちが良いか?
あとパートナーを少年or昨今の萌えを考慮して少女にするか?
仲間のロボの種類は? 辺りかね
でもこの手の話はアニメ板でするべきって気もするね
これだけは譲れないものがある
主人公は赤いジャケットを着た少年
そして兄貴分は黒いコートにグラサン、ついでに煙草。
ん〜新シャアに適した勇者…ハッ、種キャラで勇者シリーズとかどうよ?
前に話題に上がった種キャラでダグオンとか00のガンダムがBPみたいな感じで
とりあえず種キャラで黄金勇者、00でエクスカイザーとか考えてみる
>>358 クラ○ガンですねわかりますw
避難所に書き込みがあったジェイアークの人まだかな〜
俺は待ってるんだけど わっふるわっふる
エクスカイザーみたいなほぼ完成しきった性格で子供に道を教えるみたいな勇者も好きだけど
精神的にも経験的にも未熟な勇者(先走りしたりとか、仲間や民間人を軽視したりとか)が子供と一緒に成長するのが見たいな
後、二号ロボはライバル的存在で主役ロボとは犬猿の仲で喧嘩が絶えない、でもグレート合体の時だけ、二人とも息ぴったりになるのが見たい
勿論、忍者ロボ、武器に変形するロボは登場なのは外さないで欲しい
‥‥‥こだわりすぎか?
ちなみに
>>361の条件にはガロード・ランが合致している
まあ監督が勇者系の人だしね・・・
>>365 シンとレイでそのままやれそうだな、1号ロボと2号ロボ
・・・ニンジャロボは・・・凸?
>>367 それ忍者じゃなくて蝙蝠
さっき俺の部屋に迷い込んできやがった・・・
ルナマリアは大型砲に変形する武器ロボだな
マイトガンナーとかガンマックスみたいなやつ
そして何故か命中率が異常に悪いw
>>それ忍者じゃなくて蝙蝠
説得力があるなw
ならば順当にアーサーとかどうだろう?>忍者
うおっ、急に人増えたな
忍者と言えばブリッツだろ
消えるとか汚いさすが忍者汚い
必殺技は剣にするか銃にするか、それともガガガのハンマーみたく新たな分野を開拓するか
シャインスパークやブラスターボルテッカみたいなエネルギー放出系もありだな
>>371 剣に一票。
銃とか飛び道具系も悪くないけど、そっちは二号ロボにお願いしたいかな。
男なら拳だろ
>>372 剣 は 蝙 蝠 野 郎 に す ぐ 折 ら れ る か ら 駄 目
バンク的にはボルテッカ系が楽なんじゃないか?
剣を構えた勇者立ちは種で濫用されたし・・・
正直見飽きた
>>374 そこはフャイヤーソード→ライオソードみたいな感じで強化フラグに繋げられるさ。
あと個人的にはソードインパルスの二刀流がいい感じがする。主役が二刀流って今までの勇者シリーズでは無かったと思うし…
必殺技は二刀を連結させてグレートエクスカイザーみたいに大きく振りかぶってブーストで加速しながら斬り込むとか
>>370 凸が忍者に向いてるかどうかは別として隠者は忍者勇者としてやっていけると思う。
ビームブレイドとかアンカーとか暗器っぽいしリフターをブーメランみたいにしたら面白そう
ここまでを纏めると
主役・赤いジャケットの少年(ガロード?)
兄貴・黒いコートのグラサン(ジャミル?)
一号ロボ、運命(必殺技はパルマ拳)性格はシン
二号ロボ、伝説(必殺技はドラビーム)性格はレイ
グレートロボ、デスティニー+レジェンド、性格は基本的にはシンだがレイの冷静さも加わる
武器ロボ、衝撃、性格はルナマリア
(グレートロボの武器に変形、ソードS大剣or二刀流、ブラストS大砲、フォースS高軌動ユニット)
仲間ロボ1、和田、性格はキラ(救助系?)背負い物をクレーンとか梯子とかに変更?
仲間ロボ2、隠者、性格はアスラン(忍者系?)ミラコロ付けとく?
仲間ロボ3、暁、性格はカガリorムウ?(お笑い担当)
こんな感じかな
次は敵の設定だな
>>378 満月をバックに塔などの先端で、腕を組ながら忍者立ちする隠者(リフター無し、なぜか長いスカーフっぽいのを首に巻いている)を受信したw
……まったく、ここが2chだからって
実現するどころか、嘲笑されるだけの馬鹿げた妄想を延々と語り合うなんて……
頭の中にウジ虫が数百匹もわいているのか
それとも、精神年齢が6歳以下のままか
あるいは、脳神経が修復不能なまでにぶっ壊れているのか
いずれにせよ、人並みの常識を持った連中のやることでないのは確かだな
だいたい、勇者なんて
サンライズやタカラにとっては忌々しい黒歴史以外の何物でもないのに
それに、もし、勇者シリーズのような
子供をメインターゲットにしたロボットアニメをまたやるにしても
・家族から虐待され、周りから理不尽にいじめられ続ける
トラウマのかたまりのような主人公の少年
・全話の内、半分以下しか戦闘せず、しかも勝率4割程度のヒーローロボ
・最初から無差別大量虐殺をやりまくる底抜けに外道な敵侵略者
・本来の敵をそっちのけで、主人公やヒーローロボせん滅に血眼になる防衛軍
・その防衛軍に扇動され、自分たちを命がけで守ろうとする主人公&ヒーローロボを
頑ななまでに迫害する周囲の人々(やがては、全人類規模に拡大)
・敵侵略者のみならず、全世界、全人類までもが主人公の敵となる展開
絶対、↑のような内容になるのは明白だから
くだらない妄想にうつつを抜かす暇があったら、少しは現実を直視しろよな
このまま現実から逃げ続けたら、社会のゴミとして始末されるだけなんだから
何のコピペの改変か知らんが
改変コピペであることだけはわかった
やれやれ悲しきかな…こんな蛆虫が〜精神年齢が〜脳神経が〜の様な今時リアル厨房すら滅多に使わないテンプレな言葉でしか相手を中傷出来ないゆとりが現れるなんて…
ありがとう、改めて確信したよ。今の御時世だからこそ勇者シリーズ(またはそれに準じたの)が必要であると。
で、そのテンプレはどこのOVAor深夜向きの鬱アニメですか?
それ勇者じゃないから、どう見てもかなり鬱屈した大きいお友達用のオナ作品だからwしかもエヴァ厨とかが好きそうな要素だなおいwww
失笑しか得られない冗談は程ほどにしとけ『ぼくのかんがえたあたらしいゆうしゃシリーズ』を言いたいならエクスカイザー〜バーンガーンまで見直して大事な所は押さえとけ
ま、勇者ロボをヒーローロボ(笑)とか言ってる時点でにわか以下たと思うがなwww
ジェイアークの人です。
ネタが固まって順調に筆が進んでるんで今週中には第一話投下できるかもしれません。
エクスカイザー〜バーンガーンまで見直せとか言うけど
勇者シリーズそのものが
子どもたち(orロボアニメ好きヲタ連中)にとっては
自分にとって何の役にも立たない有害なゴミでしかないわけだが
もっとも、勇者シリーズに限らず
勇者シリーズに準ずるロボアニメとか
実写だけど、戦隊や仮面ライダー、ウルトラマンでさえ
常にゴミ扱いされているんだぞ
だいたい、ガンダムでさえ
世間一般にとってはキワモノ以外の何物でもないのに
まして、勇者シリーズなんか存在自体無いものにされるか
真っ先に有害指定されるのがオチだぞ
だから、作り手も勇者シリーズorそれに準ずるものを作ろうとしない
やり切れないのもあるけど、
これは賢明な措置と認めざるを得ない
そんなわけだから、勇者シリーズの大事なところを押さえとけなど
問題外のたわごとだ
これが世界の歪みか…
だったら何でこんなとこ来てんの?と突っ込みたくなるな
前スレの悪夢が蘇るから此処はスルーで行こうよ
>>385 言っていい?正直『こんな歪みきった思考で冷めた発言出来る俺Sugeeeッ!!』みたいな感じにしか見えなくて
マ ジ で キ モ イ
お前が勇者嫌いなのはわかったからさっさと回れ右してくんない?
勇者嫌いならこのスレにいる理由も無いだろ?
嫌ならスルー、これは投下された作品だけでなく雑談にも適用されること。
そんな常識的なルールも守れず、せっかく久しぶりに雑談で盛り上がっている所に横槍入れてくるとかさ…
勇者嫌ならアンチスレにでも行けよ
無いなら建てろ
そして篭ってろ
だから火急的速やかにお引き取り願えませんかねぇ三■目さんよぉ?
以下通常の流れに
↓↓
>>384 うぉぉぉぉぉぉっ!! わっふるわっふるぅぅぅ!!
wktkしてます!
>>386 放置安定。
というか最近住み始めて職人様方がスレにいつかない理由がようやくわかってきたな
こんなアホ荒らしが堂々と居座っているスレなんか誰もss投下なんてしたくなくなる罠
もうはやめにスレ自体避難所に移動する?
仕事中にふと
死んだはずのレイが勇者になって敵を追っかけて地球圏に帰還
ザフトに残り、海賊とか相手にしてたシン&ミネルバ組、敵及びレイと遭遇
戦うも一矢報いることもできず蹴散らされ子安声の忍者ロボに危ういところを救われる(忍者ロボ一瞬でフェードアウト)
とかいう電波ががががが
>>377 マイトガインがブラックノワール戦(ラスボス)で連結輪動剣やってる
バーンガーンも連結剣じゃなかったっけ?
>>381=
>>383=
>>385はダ・ガーンや勇者はおろかジャリ番に粘着して
2ちゃんを何年も荒らしまわっている「伝説の名無し」だろ。
自分以外はすべて敵と思い込んでる上に
自分の被害妄想を押し付けないと気がすまないめっちゃ自己中なヤツだし。
蒸し返してスマソ、流してくれ。
>>394 しつこいようで申し訳無いが…
>>383は上の2つとは別なんで、むしろ
>>388と同一だから。感情的になり誤解を招いて申し訳ない。でも流石にアレと同一の扱いは勘弁してくれ…
あの馬鹿、ココにまで沸いてきたのか。アンチスレが過疎ってるから(しかも書き込み
の殆どはアンチではない)ついにこちらにまで。
そんなに鬱アニメが見たきゃ自分で作ってみろ。まあ誰も見ないだろうがな。
>>394-396 あのなぁ
そうやって独りよがりな偏見をむき出しにして
何でもかんでも、自分に不都合なことは伝説の某のせいにして
ぶっ叩いて悦に入るなんて
確かに、ヤツにも至らないところはあるかもしれないけど
お前らだって、ゲスさ加減では似たり寄ったりだろ
下手すれば、伝説の某以上に頭の中がどうかしているかもしれないし
それに被害妄想云々というけど
別に伝説の某に限ったことじゃないだろ
禿や負債だって、それぞれ初代〜V、種&種死に
少なからぬ程度の自らの被害妄想を投影しているんだから
その辺を突っ込むことの方が先だろうが
あと、勇者やガンダムがゴミ扱いされているのは
このスレやシャア板に居座っている連中
それに、ロボアニメ好きのヲタが、どれだけ顔を真っ赤にして反論しても
動かしようのないれっきとした一般常識だから
それだけはきちんと認めて、肝に銘じておいてくれよ
そんなことよりおっぱいの話しようぜ!
個人的にはガガガ系の露骨なおっぱいはあんまり好きじゃない。
やっぱり吉永サリーのように普段は自己主張してないけど実は結構あります!ってのがいいね。
でも種系ではミーアのおっぱいが一番好きという不思議
ブラックノワールは負債そのものだから、種とのクロスでラスボスにこれほど相応しい奴はいないw
>>397 /;;;;;;|;;;;;;;、;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; 駄
早 /;;;|;;;;;;;;|;;;;;iヽ;;;;;''''ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; こ
な /;;;;;;;;;;;;;|;ヽ;;;;;;ヽ丶;;;;;;;;ヽ,,;;;;;;ヽ;;;;;;;;; 目
く /、;;;;;;;;;|;;|;;;ヘ;;;;;ヽ;;ヽ;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;ヽ.;;;;; い
ん /;;;;ゝ;;;;;;;;|;;ハ;;i;;ヽ;;;ヾ;;\;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;ヽ;;; だ
|;;;;|;;ヽ.;;;;;|;;;i;;ゝ;;;\;;丶'丶, ;;;;;;;ヽ;;;;;ヽつ
と /|;;;|;;;;丶;;‖ヽ;;ヽ;;;;\;;;ヽ,;;;ヽ;;;;;;;;;ヽ;;; ゝ・
i;i;;;;;;ハ;;i;;;;ヽ|;;;丶;;ヽ;;;;;;;\;'ヽ;;;;ヽ;;;;;iヽ;;;;; ・
か |;;;i;;;;;;‖;;;;;;;ヽi;ゝ;;;;;;;ヽ;;;;;;;;ヾ;;,,;;;;;;ヽ;;;;i;;;;i; ・
|;|;ヽ;;;;|ヽ;;;;;i;ヽヽ;\ヽ;,,;;;;;;;;;;;ゝ丶ヾ;;;;;i;;;;i;i;;;;;
し ii;;;;;ヽ;;ヽ、;;ヽヽ;;;;;;;ヽゞ;へ,,...;.;;\;;;;ヽii;;;;||;;;;;
ハ;;;;|ヽ,,..、ヾヽ;ヽ;;;;;;;;ヽハ''-,,..、'''丶;;;;;ii;;;;|;;;;i
な 丶ゝ i´i y'、,,ヽ;;ヽ'' 丶/て ''iヽ,,、;;`ヽ;;;;;;;;
ヽ;;;ヽ'''--''''`.:.:.:''ヽヽ`'''`--'''´ レi;;;;;i;;;;;ハ;;;
い i\;;ヽ ..:.:.:.:.:.:.:. `` レi;;ノ;;;ハ;;|;;
ヽヽ.``.:.:.:.:.:.:..:.: |ハ;/|;;/;;;
と ヽル.:.:.:.:.:.:.、..: i ||/;;/|;;/i;;
・ ヽヽ.:.:.:.:.:.`ヽ '' |, //|;;レ;/;;
・ ;;ヽ.:.:.:.:.:,,、______ /;;;;;|;;;//;;;
・ 'ヽ.:.:.`ヽ----` ' / /i;;リ///、
,,レ| ヽ、.` =- ,,/ / ヽ|/ ヽ
,,/ iヽi ゝ、 ,,/ ,,/1/ ヽ 丿
,,,/ レヽ、`-__,,/´ ,,/ // i /
,/ ワ / // ソ
>>398 もしかしたらだがガガガ放映時に中学後半から高校前半くらいだったんじゃないか?
それくらいの年代だときちんとおっぱいが好きでもそれを隠すようになるから
ガガガのオープンおっぱいに苦手意識を持ち、数年たって開き直るようになって
ミーアのオープンおっぱいを好きだと言えるようになったとか
個人的に勇者orSEEDで好きなおっぱいは磯貝桜さんのおっぱい
秘書っていいよね美人秘書とか存在そのものがエロイ
救助メインにするなら閣下よりも閣下兄の方が向いてるんじゃないかな?
レールガンを梯子兼放水銃に見立てることも出来るし、何より閣下のドラグーンや腹ビームはどうやっても救助用には見えないしw
敵の方はメタルダーみたく戦闘ロボ軍団(ジン系、ザク系、西川グフがトップ)、ヨロイ軍団(初期GATシリーズ、)、
モンスター軍団(バクウ系、ガイア、アビス、カオス)、機鋼軍団(ダガー系、カラミティ、フォビドゥン、レイダー)と分けてけばいいと思う。
種だけでもMSの数が多すぎてとてもじゃないが全部割り切れんがw
>>401 プリマーダも捨てがたいが俺も桜さんに一票。
ゾンダー化予想図で胸から変形したのは流石と唸ったもんだ。
レジーナと勇太のキスシーン見て興奮してた俺(当時6才)は少数派だろうか…
子供心ながらエロさを感じたよあれ
だがジェイデッカーのエロ&萌えはどこまでいっても
勇子タソのインパクトにはかなわない罠w
女装ショタっ子萌えなんて時代を先取りするにも程があるwww
>>402 確かホスピタルウィザードってのもあったな…
TVの頃から命一筋の俺が通るぜ
……まあFINALはキムタカエンジン掛かりすぎな版権絵ばかりで吹いたけどな!
じゃあレスキューロボはストライクとか良いかも
火災用のファイヤーストライカー
救助用のレスキューストライカー
救急用のアンビューストライカーに換装可能
レスキューなら不殺(笑)のキラでも活躍できるww
おっぱいはルネかな、一番張りがありそうだし
>>408 >レスキューストライカー
トミカヒーローがアップを始めました
>>408 ストライカーパックがそれぞれ消防車とかのレスキューメカに変形して、
換装だけじゃなく三種ともストライクと巨大合体するのはどうだろう?
最終的に四体合体でグレートストライクになるんですね、わかります
むしろ劇場版と最終回の1話前にライバルポジションのマワールと合体してストライクキングに。
とりあえず出来上がったので投下します。
「まあ、流れ星!」「何をお願いしたんだ? ……まて、こっちに来るぞ! わあっ!」
満天の星空が落ちてきそうな程晴れた秋の夜。新婚旅行でキャンプに来ていたアスカ夫妻は
天体観測中そこで信じられないものに遭遇した。一瞬視界をさえぎる突風が吹いたかと思うと、
周囲に降り積もった紅葉を吹き飛ばして巨大な何者かが眼前に現れたのだ。
「飛行機かしら?」「……いや、多分船だ」
大きさからして航空機か、何とはなしにそうもらした妻だったが、アスカ氏は外観から
その答えを否定する。
見慣れない形であったが、砲塔を備えるそれはまぎれもなく宇宙用の戦闘艇であった。
あまりの出来事に呆然とする夫妻の元へ、船体から上に突き出した艦橋らしき構造物から
一人の男が降りてきた。鳥を思わせる意匠の、白い鎧兜に身を包んだ若い男だ。
その腕には産着に包まれた赤ん坊が抱かれている。
「あ、あなたは一体……」
「この子を、お願いします」
男はそう言って両手に抱きかかえていた赤子を夫人に差し出すと、返事も待たずに
船もろとも風のように消えうせた。
この赤ん坊が後に地球の未来を救う鍵となろうとは、神ならぬ夫妻には
知る由も無いことであった。
第一話『勇者戦艦出航!』
────八年後、C.E71年。
人類は母なる星を離れ、宇宙にすら生活の場を得られるほど高度に文明を発展させていたが、
遺伝子操作を経て産まれた『コーディネーター』と旧人類『ナチュラル』の対立は激化し、
コーディネーターが主に暮らすコロニー群『プラント』は地球からの独立を宣言。
しかしそれを快く思わない地球連合によって、農業コロニー・ユニウスセブンへ
核ミサイルが撃ち込まれ、開戦の火蓋は切って落とされた。
プラントからは報復として核分裂反応を阻害するニュートロンジャマーが地球各地に埋設され、
枯渇した化石燃料から切り替わった原子力に頼りきっていた先進国は軒並みエネルギー危機に陥り、
インフラ崩壊による混乱や餓死者、凍死者など大きな被害を受けた。
このことで地球はプラントに対して憎悪を燃やし、彼等に勝るその物量で一気に
戦況を終結させようとしたが、プラント軍『ザフト』から投入された新兵器モビルスーツの
性能の前に戦線は硬直。争いは泥沼の様相を呈していた。
だが、その争いの影で密かに計り知れない巨大な悪がうごめいていることを、
人類はまだ誰も知らなかった……
オーブ連合首長国。南太平洋に存在する三つの島からなる国家で、かつての再構築戦争で
東アジア連合に吸収された旧日本からの移民が数多く暮らし、その文化を色濃く受け継いでいる
中立国である。
「まったく、ウズミ様は何を考えておるのだ!」
閣議を終え、行政府から出てきた禿頭の男が愚痴をこぼしながら公用車へ乗り込む。
セイラン家族長にして宰相のウナト・エマ・セイランだ。
連合とプラントが矛を交える中、中立を標榜したのは戦火を避けるうえで必要だったろう。
だが、中立なればこそそれを維持するために外交努力を重ねなければならないというのに、
代表の座を退いた身でありながら現代表ホムラを差し置いて国の舵を取る始末。
ウズミ・ナラ・アスハは平時の主君としては有能だが、目前に迫る戦争という国難を
無事乗り越えられるかと訊かれれば疑問符をつけざるを得ない。
「このままでは、近いうちにオーブは滅んでしまう……」
『ならば、私たちが滅ぼさぬための力を与えてさしあげましょうか?』
不意に車内に唱和する複数の女の声。運転手は男だったはず……まさか賊か!?
警戒して身をこわばらせるより先に、ウナトはいつの間にか自らの傍らに寄り添っていた
美女の姿に短い悲鳴を漏らした。
「ひっ!?」「あらあら、そんなに怖がらないでくださいな」
運転席にも見慣れぬ女が腰掛け、こちらへ嫣然とした微笑を向けている。
彼女らは磁器のように滑らかな白い肌に豊満な乳房、細く引き締まった腰といった
均整の取れた魅惑的な肢体を、それぞれ髪の色と同じ赤いドレスと紫のスーツに包んでいる。
出会ったのがこんな状況でなくどこかのパーティー会場であれば、ダンスの一つでも
申し込みたくなるような美しさだったが、その身に纏う異質な雰囲気は状況も相まって
ウナトの警戒心を掻き立てるだけだった。
「そうして得た力で、国を害するものも邪魔者も全て押しやって、気ままにドライブにでも
洒落込みましょう?」
「目的地があっても楽しいでしょうけど、目的の無い旅も、それはそれは格別なものですわ」
不意に運転席にいたスーツの女が椅子をすり抜けたように後部座席へ現れ、
彼の腕にしなだれかかりながら耳元へ唇を寄せ、蕩けるような声色で囁いた。
ドレスの女も、相棒と共にウナトの両脇を固めるようその腕を絡め、
脳髄を冒すような甘美な声で言葉を継ぐ。
異常事態の連続にウナトの精神は砕ける寸前だった。
一体この女たちは何処から、いつの間に入ってきたのだ? 今、目の前で何が起こった?
コイツラは何を言っている? 何故? なにが? どうして?
答えるもののない疑問がウナトの脳裏に渦を巻く。そんな彼の様子などお構いなしに、
女たちは妖しげな紫の光を放つ生物めいた金属球、ゾンダーメタルを押し付ける。
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
心が瞬く間に塗り込められてゆく感覚と、迫り来る未知の恐怖が理性のキャパシティを超え、
彼に有らん限りの悲鳴を上げさせた。
□□□□
高い技術力でオーブの屋台骨を支える国営企業モルゲンレーテに、
今日は賑やかな子供たちの声が響いていた。
「さあ皆さん、見学させてくださった工場の人達にお礼を言いましょう」
「皆さんどうもありがとうございました!!」
工場見学にやってきたオーブ第一小学校の生徒たちだ。国土が狭く産業に乏しいオーブでは、
親がここで働いているものも少なくない。今回の工場見学は国の明日を担う子供たちに
仕事の大切さを知ってもらうために企画された行事であった。
「でもさー、車とか船つくってるところしか見せてもらえなかったな」
「どうせなら戦闘機とか見たかったよなー」
しかし帰りのバスに乗るが早いか、子供たちは教師に聞こえないようにひそひそと愚痴をこぼす。
モルゲンレーテはオーブ軍で使用されている兵器類も生産しているのだが、流石に学校行事で
そんなところまで見学させるわけにもいかず、そういった大人の事情でお茶を濁された子供らは
内心不満がくすぶっていた。いつの時代も男の子という生き物は兵器が大好きだ。
「ここだけの話なんだけどさ、あそこじゃ実はオーブ軍で使うモビルスーツも造ってるんだぜ」
「マジかよ! さすがリュウタだ、母ちゃん主任なんだもんな」
「なあシモンズぅ、そういうとこも見学させてくれるようにお前から母ちゃんにたのんでくれよぉ」
母親がモルゲンレーテの開発主任を務めているリュウタ・シモンズが披露したとっておきの情報に、
たちまち食いつくメカに飢えた級友たち。そんな彼等に女子たちは冷ややかな視線を向ける。
「まったく……男子って馬鹿ばっかりね! そんな無茶いって親の立場悪くなるとか
考えらんないのかしら」
「でも、男の子ってそういうの好きだし仕方ないんじゃない?」
「アスカさんは甘すぎるわ。オーブは技術だけがウリの中立国なんだから、
まわりからなめられないように一人一人がしっかりしてなくちゃ!
技術者の家族がべらべら話しまくったりなんかして、産業スパイにでも狙われたらどうすんのよ」
隣に座るクラス委員長、イチコ・コモリの辛辣な言葉に晒された男子たちを
多少なりともフォローしようとしたマユ・アスカは、小学三年生にしてはやけに大人びた言動で、
口で闘わせたら学年でも一、二を争う彼女によってばっさりと斬って捨てられた。
(言いたいことはわかるんだけど、コモリさんももう少しやさしかったらなあ……え!?)
トホホ、とうなだれるマユの背筋を、不意に言いようのない感覚が貫いた。
「なんだアレ!?」
その直後、リュウタの上げた声を皮切りに、異状に気付いた生徒たちが窓際へ殺到する。
彼等はそれを目にして悲鳴を上げた。車線の区別も無く逆走してきた奇怪な車が
触手を伸ばして次々と周囲の車両を引き寄せ、こちらへ突き進みながら自らへ取り込んでいたのだ。
運転手は必死にハンドルを切るも、パニックになった周囲の車が邪魔をして思うように動けず、
挙句後続車による接触事故を起こして子供たちの恐怖に拍車をかけてしまう。
みるみるうちに二十メートル近い大きさに膨れ上がったモンスターカーは、
マユたちの乗るバスを次の標的に定めると、肉食獣の鼻面のように変貌したフロントから
鋭利な牙を剥いてその魔の手を伸ばす。
「嫌ああああああああ! アタシまだ死にたくないい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
「コモリさん!!」
悲鳴と怒号がないまぜになるなか、割れた窓ガラスからイチコを庇ったマユは、
触手に絡めとられたバスが激しく揺さぶられた拍子に彼女もろとも外へ放り出されてしまった。
一瞬陥った思考の空白。
「きゃあああああああああああああああ!!」
────このまま自分は道路に叩きつけられて死んでしまうのだ。こんなことなら
ケチケチしないであのときおこづかいを使ってしまえばよかった。お母さんの言うことを
聞いておくんだった。自分でも驚くほど冷静な思考と平行して、一秒にも満たない刹那のうちに
マユの脳裏を様々な未練が過ぎ去ってゆく。
────お父さんお母さんゴメンナサイ、でも神様お願いです。コモリさんだけは
どうか無事で済みますように。級友を庇う腕に力がこもる。
その幼い命の灯が儚く消え去ろうとしたとき、一陣の風が舞った。
「怪我は無いか?」「え?」
バスから放り出されたマユたちは、道路に叩きつけられることなく宙に浮いていた。
掛けられた声のほうを向いてみると、白い装甲に身を包んだ男が自分を見下ろしているのが見える。
目元は鳥を模したようなヘルメットに隠されていて判らないが、両脇に設けられた
クリアレッドの覗き窓越しに向けられるその視線が、マユにはどこか優しげに感じられた。
声や露出した口元を見るに、若い男のようだ。その首にはTVのヒーローめいた
真紅のマフラーが巻かれ、激しく頬を撫でる風にたなびいている。
「って飛んでる!? マユたち空飛んじゃってるよー!?」
遅まきながら自らの置かれた状況を理解したマユは絶叫した。反対側に抱えられたイチコは
恐怖でとっくの昔に気を失っている。
「もう大丈夫だ、その子が目を覚ましたらなるべく遠くに逃げるんだぞ」
「ああっ、まって!」
男は軽やかに空を翔け、二人をモンスターカーの進路とは反対側の見通しのいい
大通りへと降ろすと、マユが引き止めるのも待たずに踵を返して宙へ舞う。
「……あの方向はオーブの行政府か、なら早めにケリをつけてやる! ジェイバード!!」
男────ソルダートJが叫ぶと同時に左腕に埋め込まれた紅の宝石『Jジュエル』が輝き、
天空に『J』の文字を浮かび上がらせた。刹那、空を切り裂いて真紅の高速戦闘艇
ジェイバードが駆けつける!
「フュージョン!」
Jはブリッジの窓から飛び込むと、キャプテンシート背後の鳥を模した壁面に融合する。
それと同時に砲塔を備えた船体が分割されて両足になり、艦橋から張り出したレーダー部から
腕が飛び出して二十メートルを超える人型を形成した。Jの手足は比類なき鋼の四肢と同調し、
バイザーに覆われた機械の双眸に意志の光が宿る。
サイボーグ戦士、ソルダートJは高速戦闘艇ジェイバードとフュージョンすることにより、
メカノイド・ジェイダーへと変形するのだ。
「ジェイッ、ダー!!」
「────プラズマウイング!」
胸部のジュエルジェネレーターから汲み上げられる莫大なエネルギーが、孔雀を思わせる
光の翼となって放出され、ジェイダーを傍目には瞬間移動の如き速度で推進させる。
そのスピードを毛ほども殺さずにモンスターカーの正面に回り込むや、ジェイダーは
自らの身体を一丸として体当たりをかけた。その軽やかな動きからは想像も出来ないほど強烈な一撃。
跳ね飛ばされ、横転するモンスターカー。だがそれは受けた損傷などお構いなしに起き上がると、
メキメキと音を立てて奇怪な大変身を遂げる。
前輪が大地を踏みしめる足となり、後輪を含む車体後部と電気自動車には存在しないはずの
エキゾーストパイプらしきものが逞しい両腕となった。獣じみたフロント部が
そのサイズを変えながら上方へと移動し、雑多な機械部品で構成された鬣を持つ人型ライオンへと
その姿を変えた。
胸に紫色の『Z』の字が燦然と輝き、獅子は天地に轟けと雄叫びを上げる。
『ゾン・ダアアアアアアアアアアアアアア!!』
人間のストレスに反応して取り付き、心無き機械の怪物へと変える。
これこそがソルダートJの敵、ゾンダーだ。
ゾンダーメタルによって人間が周囲の機械を取り込み変化したゾンダーロボは、
取り込んだ機械の能力をアレンジ、増幅することが出来る。
自動車ゾンダーは、パイプ状の指先からワイパーで使用する水を高圧化、収束した
ウォータージェットカッターを発射。無数の水の刃が周囲の建造物を薙ぎ払いながら
ジェイダーへと襲い掛かった。
「そんなものぉ!!」
装甲の表面に強力なバリアーを発生させるフィールド・ジェネレーティングアーマーに物を言わせ、
ジェイダーは果敢に刃の中を潜り抜けてゆく。たとえコンクリートや鉄材をも切り裂く刃だろうとも
たかが水鉄砲、当たったところでかすり傷一つ負うことはない。
ゾンダーの懐へ飛び込んだその右手に炎が点り、気合と共に突き出された。
「プラズマッソォォォォォォド!」
彼方にうっすらと見える戦いの光に、マユは言い知れない胸騒ぎを感じていた。
(なんだろう……マユ、あの人や怪物のこと知ってる気がする)
「うん……あ、アスカさん!?」
「ああ、コモリさん! 目が覚めたのね!?」
「わたしたち、バスから落ちたのにどうして……?」
「あのね、助けてくれた人がいたの」
あの状況で一体誰が? とでも言いたげなイチコの眼に、マユは恐る恐るといった様子で
言葉を紡いだ。
「あの、その、えっと……正義の味方?」「ばっかじゃないの」
言葉のナイフがぐさりと刺さる。あんまり人のことを馬鹿とか言っちゃいけないと思うな。
「だってそうとしか言えないよぉ、赤いマフラーなびかせて空飛ぶ鎧の人なんて」
「ま、いいわ。無事なのは確かなんだし、さっさと逃げましょう」
イチコは盛大にため息をつくと、服についた埃を払って立ち上がり、マユとともに
警察かオーブ軍かは知らないが助けを求めて歩き出した。
────しかし、一キロもいかないうちにマユの姿は忽然と掻き消え、歩いているのは
イチコ一人だけになっていた。
「アスカさんっっっ! 一体どこにいっちゃったのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
(コモリさん、ゴメンなさいっ! でもどうしてもあの人が気になるの!!)
マユは胸騒ぎに突き動かされるまま、ゾンダーと戦うジェイダーのもとへ駆け出していた。
「プラズマソォォォォォォド────何ッ!?」
ジェイダーは咄嗟に刃先を逸らして踏みとどまり、ゾンダーの中心核を抉り出せる
絶好の機会をふいにする。
「汚い手を使ってくれる……」
ゾンダーの腹部から、盾にするかのようにバスの車体が生えていた。内部には
工場見学の帰りだった小学生たちが大勢取り残され、口々に助けを求めている。
形勢逆転とばかりに、体中から伸ばしたムチのような触手でジェイダーを打ち据える
ゾンダーロボ。それに絡めとられ四肢を拘束されたジェイダーに強烈な電撃が襲い掛かり、
自慢のスピードを殺されたジェイダーは、追い討ちをかけるように振り回され
為すすべなく地面に叩きつけられる。
あらゆるマシンと融合できるゾンダーだが、ゾンダーメタルと相反する力を持つ
Jジュエルで駆動するメカを取り込むことは出来ない。しかし攻撃力さえ充分なら
破壊すること自体は可能なのだ。
強固なフィールド・ジェネレーティングアーマーも、強力な攻撃に晒され続ければ
いつか綻びが生じてしまう。
「やられちゃう!」「たすけてえ〜〜〜〜〜〜〜!」
子供たちの悲痛な叫びが胸を打つ。もはや彼に打つ手はないのか?
「────反中間子砲発射!」
両膝に設けられた連装砲塔が180度旋回し、両腕に絡み付いていた触手を
理論上は破壊できぬものなどありはしない反粒子ビームで吹き飛ばした。
即座に両手に発生させたプラズマソードが足の拘束を解き放ち、体勢を立て直すため
ジェイダーは大空へ舞う。
「ゾンダーなんかにはもったいないが……本気で叩き潰してやる!
ジェイキャリアァァァァァ!!」
ソルダートJの叫びと共に、大海原を割って白亜の巨艦がその姿を現した。
彼の頼れる相棒ジェイキャリア──生体コンピュータ・トモロによって制御される
超弩級戦艦の本体だ。
「メガ・フュージョンッ!!」
フィールド・ジェネレーティングアーマーを展開すると共にジェイダーとジェイキャリアが
変形を開始する。ジェイキャリアの船体が伸長しながら直角に折れ曲がり、巨大な胴体を形成。
次いでジェイダーの下半身が分離、分子増殖による肥大化を起こしつつ胴体に見合うサイズの
剛腕へと姿を変え、艦首左右のジョイント部へ接合された。
最後に鳥を模した艦首直上へと上半身がドッキングし、巨大な顔となる。
卑劣な敵への怒りが鋼の神経Jファイバーを通じて巨神の全身を駆け巡り、
ジュエルジェネレーターから迸る炎のような真紅の活力が、その巨躯から溢れんばかりに
満ち満ちていた。
「キングッ! ジェイダー!!」
ジャイアントメカノイド・キングジェイダー。何者にも屈することのない威風堂々たるその巨体は、
見るものに畏怖の感情すら抱かせる。
ゾンダーロボを遥かに上回る、101メートルの巨神が獲物を見下ろした。その瞳には
煮えたぎるマグマの如き怒りの色が浮かんでいる。
永遠とも思える一瞬の後、巨神が動いた。右腕に装備された巨大な錨が炎に包まれ、
弓を引き絞るような体勢をとる。
「ジェイクォォォォォォォォォス!!」
キングジェイダーの必殺武器、ジェイクォースだ。照準はしっかりとゾンダーの中心、
子供たちの乗るバスに定められている。
「あ、あのロボット……俺たちごと敵を倒すつもりだぁ!」
「いやあああああああああ! やめてえええええええ!!」
「助けてママぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
子供たちの懇願も虚しく、非情にも解き放たれたジェイクォース。
凄まじいエネルギーを纏う炎の鳥が、まるで雄叫びのような唸りを上げて飛び掛ってゆく。
炎の鳥は獲物の腹を食い破り、破片を撒き散らしながら主の手元に舞い戻った。
大爆発を起こし、跡形もなく吹き飛ぶゾンダーロボ。だがキングジェイダーの右掌には、
原形をとどめたバスとほとんど無傷の子供たち、そしてゾンダーから抉り出された
中心核の姿があった。
「怖い思いをさせてごめんよ、けどこうするしかなかったんだ」
気絶してしまった子供たちへ精一杯優しい声を掛けると、潰してしまわないよう慎重に、
バスを下ろすキングジェイダー。
「トモロ、核を拘束する。Jケージの用意を……ん?」
〈飛来するJパワー反応を確認。どうやらその必要は無くなったようだ〉
「────まって!」
しかしゾンダー核を元に戻す手段は無く、今のところは捕獲だけで妥協せざるを得ないかと思った
そのとき、彼方から赤い光を放つ少女が現れ、御伽噺の妖精のように巨神の周囲を舞う。
孔雀のような一対の羽を生やし、光を放ちながら空を舞うその少女はマユ・アスカその人だった。
その口から耳慣れない言語で構成された“呪文”が紡がれる。
『テンペルム・ムンドゥース・インフィニ・トゥーム……』
マユは初めから知っていたかのようによどみなく呪文を唱えると、ゾンダー核へ向けて
その手を振り下ろした。
『……レディーレ!』
指先から波紋が伝わり、ゾンダー核はみるみるその姿を変えてゆく。
「ああ……ありがとう。本当にありがとう……」
現れたのはマユもTVや新聞でたまに見かける政治家のウナト・エマ・セイランだった。
彼は心が洗われたかのような笑みを浮かべ、無事人間に戻れたことに歓喜の涙を流している。
「浄解能力……目覚めたのか? アルマ────」
地球を狙う恐るべき敵ゾンダーと、それを迎え撃つキングジェイダー。
彼等は一体何処からやってきたのか。そしてマユに秘められた力の正体とは?
多くの謎を抱えたまま、この物語は続く。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
宿敵の存在を知ったゾンダーはマユをターゲットにさだめ、彼女の抹殺計画を発動した。
ジェイダーの動きを封じるため、市民のひしめく市街地で牙を剥くゾンダーロボ。
マユの家族が危機にさらされ、首都オロファトが炎に包まれる! 我らがキングジェイダーは、
この危機にどう立ち向かうのか?
勇者戦艦ジェイアスカ、NEXT『赤い髪の少女』にメガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ! 『ジェイキャリア』
投下終了。
ジェイバトラーが黒かったんでこちらは赤、それも紅白のエクスカイザーカラーにしてみました。
必殺剣はまだおあずけです。
シモンズさんの息子さんがどういうわけか牛山化。
コモリさんはガガガのレイコちゃんとは何の関係もありませんよ? 多分。
ちなみにうちのマユは声が真綾じゃなく紗ゆりになってるとおもう。
投下乙!
ジェイアスカ氏GJ!
投下予告を見てどんなものになるかさっぱり見当もつかない感じでしたが
文章力も高くかなり期待できそうです、執筆がんばってください!!!
しっかしこの文体……どこかでみたような気が……どこだっけ?
乙っす〜
対原種用のキングジェイダーを雑魚ゾンダーに使えばそらもったいないわなw
綺麗になったウナトさんがどうなるか楽しみ
乙!
そしてGJ
このJはやっぱシンなのかな?
次回もお待ちしてます
キングジェイダーの人GJ!
まさかマユがアルマ化するとは予想外。でもJ=シンなら保護対象としては適切ですね
乙です。
久々に燃えました。
今度から、トリを付けたほうが良いかもね。
というかキングジェイダー101mとか・・・・・
ザムザザーとかデストロイくらいなら片手で放り投げられるんじゃね?
いやその前に握り潰れるか?
なに、デストロイも映像描写基準のデカさになれば問題無い
そしてキングジェイダーに回転ヘッドバットだ!
>>429 デストロイでもサイズ比的に大人と幼児だからなぁ。
ザムザザーなんか大人と蟹?
デストロイは劇中だと200m位あるぞ・・・
放り投げられるのはキングジェイダーの方だ
デストロイ200m以上とかブライシンクロンすぎるだろ・・・・・
常識的に考えて・・・・・・・・
連ザIIのデストロイは劇中イメージ通りの大きさだな
アホみたいにデカい
でも設定だと破壊って40m弱位なんだよなw
ガオガイガーが35m位だからほぼ同じ背丈
ステラ「敵が小さく見えるという事は、私が勝つと言う事だ! 」
ガガガとメンチ切り合ってるデストロさんを幻視したw
>>431 ザムザザーは全高47.13m
つまりデストロイよりデカい
先祖代々キチガイ変態粘着コジキ変質者妄想虚言キモ豚の
>>381=
>>385=
>>397、
臭い醜い穢い気色悪いウザイ顔面奇形で精神奇形で脳に蛆沸いてる
>>381=385=397、
汚物臭い糞尿臭い不潔な賎しい卑しい品性下劣で外道で下種で鬼畜で家畜の
>>381=385=397、
脳味噌が劣等で遺伝子もキショイ劣等汚物で生まれながらの出来損ない失敗作の
>>381=385=397、
遺伝的に腐ってて汚くて惨めな程クソ池沼変態野郎で劣っている馬鹿ゴミ
>>381=385=397、
先祖代々一家揃ってキチガイ糞ゴキブリ豚乞食で体型奇形の
>>381=385=397は死ねよ
>>439自演乙wwww
カニってそんなにでかかったのかゾンダー化とかしたらマジで怪獣ww
____
/∵∴∵∴\ ____
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/∵∴∴,(・)(・)∴| \\\ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ◎
|∵∵/ ○ \| \\\||:::::::::::::::::|_|_|_|_| /
|∵ /. ミ | 彡 | _ \\ \;;;;;;;;;;ノ \,, ,,/ ヽ
|∵.| \___|_/|. \ \\\( 6 *)─◎ ),・∵
\| \__ノ /__ \ 彡\ノ\ )))∴( o o)∴),∴ ・ゝ¨
\___/ \ \ |\ )))∵ 3 ∵>;、・∵ '
/ _ ` ー一'´ ̄ / _{ ヽ;;_ \ ヽ ノ
(___) / .| ゝ〉 〉 〉ノ_ \_キモキモメガキモヲタヲタニートハゲメガワロスVVVV
| | | __|;、・∵:: ;
うるせーカスども、なら書き込むな馬鹿! キモメガヲタクがぁ!!うはっはっは!!
もっとか!!もっとかぁ!!!うはっはっはっは!!!
うはははは!!キモメガヲタクは消えてなくなれ!!がはははは!!
汚い虫けらよ!!ここで遺伝子を絶やすのだ!!消えてなくなれ!!
糞キモ遺伝子!!!暗い部屋でオナって死んで行け!!!!!!wwwwwwwwwww!!
消えろ!糞が!汚いメガネが!!ほらどうした!!気持ち悪いうぉえ!!ww!!
弱虫め!!氏にさらせ!!低脳キモヲタメガネが!! 気持ち悪いわ
気持ち悪岩♪ キモ岩♪ ほんとキモ岩♪ wwwwwwwwwwww!!!!!!!!!!!
これでもか!!がはは!下向いて生きてすぐさま氏ねさっそく氏ね!!!wwww!!!!!!
キモメガ
新しい単位だ
>>438 本編ではかなり小さくなかったか?
インパルスと比べると大きいんだが、47.13mあるようには見えなかった
そもそもMSと同じくらいの勇者っているの?
キングエクスカイザーくらいでもう22mあるし
グレート合体抜きだと
・キングエクスカイザー 21.1m 86.8t
・武装合体ファイバード 20.2m 65t
・ダ・ガーンX 22.5m 66.3t
・マイトガイン 25.0m 104.7t
・ジェイデッカー 18.16m 11.49t
・ゴルドラン 20.0m 37.8t
・ファイヤーダグオン 20.4m 70.0t
・ガオガイガー 31.5m 630.0t
ガオガイガーがほかよりデカイ、そして体重は驚異的に重いw
逆にジェイデッカーはちっさくてメチャ軽い。単騎で大気圏離脱できるのはダテではなかった。
MSが18〜20mだしガインとGGG以外は数字上はあまり変わらないね
なんか勇者はデカイイメージがあるから不思議
>>445 ガオガイガーの重さにワロタ
それでドリルニーとかかましてくるのか……怖ぇ
ジェイデッカーもやたら軽いけど、ゴルドランも意外と軽いんだな
勇者ロボ(主役級)はどいつも合体後は30〜40m位あるんだと漠然と思ってたけど
そこまででっかいのは一部かグレート合体時のみなのか
>>446 ニューやサザビーなら25m前後いってる。
ジェイデッカーは元がパトカーとトレーラーだから軽いな
勇者ロボは大体初期段階で10m前後、合体後(グレート除く)は20m前後
ジェイデッカーは初期段階で5m前後とやたら小型で、ガオガイガーはボルフォッグ等一部除いて20mぐらいだからな
グレート合体もまとめてみた
・グレートエクスカイザー 32.9m 144.5t
・グレートファイバード 30.5m 105.5t
・グレートダ・ガーンGX 27.2m 124.3t
・グレートマイトガイン 34.6m 187.1t
・ファイヤージェイデッカー 22.3m 26.09t
・グレートゴルドラン 26.2m 88.2t
・スーパーファイヤーダグオン 25.6m 142t
・ジェネシックガオガイガー 31.45m 684.7t
以外にも全長トップはGマイトガイン。ガガガは下駄がないからかさほど変わらず。
平均的なMSと同じ大きさになってもなお軽いFジェイデッカーはバケモノか。
Gゴルドランは体格に目をつむればCEのMSでもおかしくない身長体重。
ファイヤージェイデッカーはさらに救急車と消防車を足した重さだよなぁ・・・?
トンデモメカが合体してる訳じゃないんでこんなもんかも
エルドラソウルは勇者に入りますか?
彼らが勇者である事は疑いようもない事実だ……けれど、ここで言う所の勇者ではないだろう。
まぁ、ガガガ基準で行けば全く問題ないけどなー。
つうか、あの人たちはいちいち熱すぎる。
カルロス「お嬢ちゃん、そんなに慌てちゃいけないよ」
ホセ「正面突破で行けばいい」
バリヨ「それが男の生きる道だ」
プリシラ「私女なんだけど」
ネロ「細かい事など気にすんな!」
因みに、エルドラはV、ソウル共に身長57m、体重不明。
演出と心意気は勇者っぽいが実質はコンVだよな
スーパーピンチクラッシャー…
エルドラソウルの勇者たち……あの熱さはGGGに混ぜても誰も違和感に気づかないんだろうな。
まあ同じキムタカだしな
そもそもエルドラ5自体ガオガイガーのボツデザインじゃなかったっけ?
そうなの? それは初耳だが
いや、確か単なるオマージュだったはず。
勇者王は胸がライオン、肩が新幹線ってのが前提にあったからエルドラはちと違う希ガス
勇者シリーズ用の没デザインから引っ張り出してきたのはガチだったはず
ただ、それがガガガなのかどうかは知りません
>>452 Gマイトガインの全長は30.5m(パーフェクトモード時はキャノンの高さ含めて36.5m)
ぶたぎりごめん
久々に勇者見てたら
「勝手にOPを始めるなぁーッ!!」
なシンが浮かんだ
あと、インパルス合体失敗→乗っ取りとか
うさりんMrk-2なラクスとか…
>>466 それ頭頂高
全高は34.6mであってる
投下予告&鳥テスト
────C.E73年、至るはずだった未来。ザフトの最新鋭MSデスティニーと
敵対勢力のMSインフィニットジャスティスは、決戦のさなか月近傍で熾烈な激突を
繰り広げていた。
「間違っている! そんな力で……強制された平和で……
本当に人は幸せになれるのか!?」
「だったらどうすればいいっていうんだ!? あんたらの理想って奴で、戦争を止められるのか!?」
「戦争の無い世界以上に幸せな世界なんて……あるはずがない!!」
ザフトの戦士シン・アスカは、眼前の赤いMSを操る裏切り者アスラン・ザラを
デスティニー自慢のスピードで翻弄し、追い詰めてゆく。
「あんたが正しいっていうのなら! 俺に勝ってみせろっ!!」
幾度かの交差の後、デスティニー掌部に備えられたビーム砲『パルマ・フィオキーナ』が
ジャスティスの右腕を粉砕し、月面へと叩き落した。
対艦刀アロンダイトを構え、トドメを刺さんとしたその時、アスランは起死回生の一撃を繰り出す。
「まだだ!!」
射出されたワイヤーアンカーがアロンダイトを弾き飛ばし、勢い良く蹴り上げられた
脚部のビームブレイドがデスティニーの左腕を切り落とす。間髪入れずに急降下した
ジャスティス付属の攻撃ユニット・リフターが前面に発生させたビームブレイドで
右手、右脚を両断し、勝負に決着をつけた。
「アスラン……あんた、やっぱ強いや……」
善戦むなしく大破し、月面へと引き寄せられてゆくデスティニーのコックピットで、
敗北にどこか納得した顔で重力に身を任せるシン。だが、ここで本来の歴史では
起こりえなかった結末が彼を襲う。
激戦で予想以上に損傷したデスティニーの動力部、デュートリオン発電システムが暴走し、
漏れ出した粒子線が主機である核分裂エンジンと干渉、爆発を起こしたのだ。
それに気付く間も無くまばゆい閃光に飲み込まれ、シン・アスカは
愛機デスティニーもろとも月面から消失した。
第二話『赤い髪の少女』
戦場へ飛来し、ゾンダーロボの素体とされていたウナト・エマ・セイランを
浄解してのけたマユ。ソルダートJは彼女から話を聞くべく、ウナトをバスの側へと降ろし、
キングジェイダー頭部のメインブリッジへ招き入れる。
彼女が搭乗した後、フュージョンアウトしたキングジェイダーはジェイキャリアーと
ジェイバードが一体化した本来の姿、ジェイアーク級超弩級戦艦“ジェイキャリバー”へと姿を変え、
人目を避けてオーブ沖の海中へと没した。
「さて……俺の名前はソルダートJ、さっきのロボット“キングジェイダー”のパイロットだ。
合体する前の赤いのはジェイダーという」
「あ、はい。わたしはマユ・アスカです、さっきは助けていただいて
どうもありがとうございます!」
TVヒーロー然とした命の恩人によって、その居城たるこれまたTVから抜け出てきたような
スーパー戦艦へ招かれるという未知の体験にどうしたらいいか判らず、
ガチガチに緊張するマユにトモロも声を掛ける。
〈楽にしているといい、少女よ〉「え!? だれ!?」
突然掛けられた第三者の声にびっくりして、辺りをきょろきょろと見回すその姿が愛らしく、
Jはついつい笑みをこぼしてしまう。
「彼はこの艦のメインコンピューター、トモロだ。この艦は俺と彼の二人だけで運用されている」
しゃべるコンピューターなんて本当に漫画みたい。内心巨艦のハイテクさに感心しつつも、
マユは訊きたかったことをおずおずと切り出した。
「あ、あのう……前にどこかで会ったことありますか? わたし、あの怪物や
ソルダートJさんのこと知ってる気がするんです」
(やはり記憶は戻っていないか、しかしどう話したものか……)
(どの道アルマとして覚醒すれば自覚はするのだ、今ここで全て話してしまったほうが
手っ取り早いのではないか?)
(馬鹿野郎! いきなりそんなことしたらこの子が悲しむだろうが!!
自分が両親の実の子供じゃないなんて、いきなり知らされたら……!!)
トモロとの一秒にも満たない討論の後、Jは真実に口をつぐむことにした。
「……確か、あれは八年くらい前だったかな。初めて地球にやってきたとき、
その場に居合わせて俺を助けてくれた夫婦と、小さな女の子に会ったことがあるんだ。
覚えているとは思わなかったけど、そのときの子供が君だったんだろうな」
Jは自分が他の星からやってきたサイボーグ戦士であること、ゾンダーは生物全てを
機械へ変えてしまう恐ろしい存在であり、力及ばず母星を滅ぼされたJは
それに対抗できる力を持った者を探して宇宙をさまよい、この地球へとたどり着いたことなどを語った。
「ゾンダーが初めて現れたとき、俺の居た星にもゾンダーを感知したり、
もとの人間に戻したりといった、奴等に対抗できる力を持った子供が何人も
生まれたことがあるんだ。君の力もきっと同じものなんだろう」
ゾンダーを人間に戻した力を思い出し、マユは自らの手をまじまじと見る。
「────頼む、君の力を貸してくれ。今ゾンダーにされた人を助けられるのは
マユちゃんしかいないんだ」
「……いきなりそんなこと言われても、こまっちゃいます。けど……
わたしにしかできないことなら、マユ──じゃなかったわたし、頑張ります!」
子供っぽい一人称を直そうと努めていたものの、緊張のあまりつい言い間違えてしまうマユに、
Jは苦笑する。トモロはあえて何も言わなかったが、彼に顔があったなら間違いなく
同じ表情だったに違いない。
「ありがとうマユちゃん。あまり長居すると親御さんも心配するだろうから、
近所まで送っていくよ」
嘘は言っていない。事実彼等の生まれた赤の星では、ジェイアーク級やソルダートJと共に
アルマも量産されていたのだから。しかし────マユを欺くような言葉を吐いた自分に、
笑顔の裏で罪悪感を覚えずにはいられなかった。
モルゲンレーテでは、子供を持つ多くの社員たちがTVのニュースに釘付けになっていた。
子供たちが工場を見学に来た帰りに現れた怪ロボット、巻き込まれたバス。
そして怪ロボットをたちまち粉砕した、途方も無く巨大な白いロボット。
子供たちを抱えた怪ロボットが情け容赦なく粉砕されたときは、一人の例外もなく
絶望に包まれたものの、子供たちの命に別状が無いことが報道されるや一転、
社員たちに安堵の声が広まった。
しかし────その場に居たケン・アスカと、妻マユコの表情だけは一向に晴れることは無い。
「アスカ主任、娘さんが……」「襲われたときにバスから落ちたそうだ」「かわいそうに……」
ほとんどが無事だったというのにたった二人だけが、しかも眼に入れても痛くない
一人娘が行方不明という不幸を前にして夫妻は悲しみに沈む。
そんななか不意に鳴り響く電話のベル。
「はい……はい! アスカ主任、お電話です。娘さんから!」
「な、なんだって!? ……マユ! 無事だったのか!!」
〈心配させてごめんなさい、おとうさん〉
「マユ! 本当に無事なのね? 怪我はしてない?」
〈大丈夫、バスから落ちたときにロボットの人に助けてもらったの。
お友だちのコモリさんも一緒だったよ、帰る途中ではぐれちゃったけど……〉
娘が無事だった。その事実だけでマユコは感極まり、溢れる涙を止めることが出来なくなった。
夫も鼻をすすり上げるに留まっていたが、内心妻と同じ気持ちであった。
この後、きっと二人は仕事を早めに切り上げて愛娘の下へと飛んで帰るのだろう。
□□□□
────オーブ本島の地下深く、人間の手の及ばぬところにソレは存在した。
パイプ、ケーブルやコード類などを始めとして、のたうち、蠢き、明滅する
様々な部品を寄せ集めた、どことなく生物めいた機械の絡まりあった地下空洞。
その壁面に絶えず変形を繰り返す奇怪な機械で構成された巨大な人面が浮かび上がり、
誰も居るはずの無い虚空へと号令を掛ける。
『機界四天王、終結せよ!』
声が響くのと同時に、植物の生育を早回しに上映したが如く床面が盛り上がり、
大小四つの人型を構成した。
「パルジェンヌ、参上いたしました」
「同じくプライア、御前に」
「ペローニア、もう待ちくたびれましたわ」
「ピルエッタならここにおります」
現れたのは年齢も髪の色もバラバラな四人の女。だが唯一の共通点として、
そのいずれもがライトやワイパー、タイヤに歯車など、自動車関連の機械部品で身体を飾り立てている。
美しくしなやかな肢体を彩るそれは、外付けのアクセサリーなどではなく、
彼女らを構成する肉体の一部だった。
彼女たちは人間ではなかったが、さりとてSFに登場するような精巧なロボットでもない。
ゾンダーとは違い、知性を失わずにゾンダーメタルと適合した生機融合体、ゾンダリアンなのだ。
『四天王よ、“アベルの遺せし災い”が何故生き残っている?』
自らと四天王の間にキングジェイダーとゾンダー核を浄解するマユの姿を投影しながら、
司令塔である壁の人面“パスダー”は、苛立ちがありありと込められた目で彼女らをねめつけた。
「お許しくださいパスダー様、この度の敗北はまぎれもなく我らの不手際にございます。
赤の星機界昇華の折、よもやこの惑星に生き残ったアルマが落ち延びていようとは
夢にも思わなかったのです」
ラメ入りの赤毛をアップにまとめ、血のように紅い金属の外装と透明なガラスを、
豪奢なドレスのように纏った最年長の貴婦人、パルジェンヌが恭しく頭を垂れ、
パスダーに許しを請う。
「ジェイアーク級も、トモロのほとんどが失われたあの状況では
完全な形で残っているはずが無いと高をくくっておりました」
髪とお揃いの紫のビスチェから、大小様々な排気管を生やした女、プライアがパルジェンヌに続く。
「その結果がこの有様。ひとえにわたくしたちの甘さゆえ……」
ヘッドライトやサイドミラーで飾られた翡翠色のエプロンドレスを身に纏う少女、
ペローニアも、寒色系のフリルで飾られた人形のような風情の最年少、ピルエッタも、
ギアやボルトで編まれたゴシックドレスを掻き抱いて他に倣った。
「────ですが収穫はありました」
映像をジェイダーが人質に対し躊躇した場面に切り替える。
「どうやらこのソルダートJは、惰弱にも地球の人間に情けをかけている様子。
そこを利用すれば……」
「次の作戦はわたくしめにお任せを。既に作戦の立案は済んでおります」
パスダーに対し汚名を返上せんと、自信ありげにペローニアが名乗り出た。
「まったく、何でこんな時間になるまで終わらないの!? いっつもちんたらちんたら……」
「……すいません」
事務所から上司が退室すると清掃員の青年は持っていた雑巾を床に叩きつけ、
誰に聞かせるでもなく吐き捨てるように愚痴をこぼす。
「俺だってな……出来ないわけじゃないんだよ! けどこんな短時間であんだけの範囲
綺麗にできるわけないだろうが!! 文句があんなら自分でやってみろっての!!」
「なら、思う存分お掃除してみます?」
不意に掛けられた声に振り向く青年。そこにはいつのまにか、不思議の国のアリスを
緑色にしたような装いの少女が立っている。
「お嬢ちゃん? どこから入ってきたの、ここは関係者以外立ち入り禁止だよ?」
「嫌なものみいぃんなお掃除して、なにもかもきれいにしてしまいましょう……
ね、お・に・い・さ・ん」
「だから人の話を……!? うわああああああああああああああああああああああ!!」
人間に擬態していたペローニアは、外見に見合わぬ蟲惑的な笑みを浮かべながら耳元で囁くと、
ゾンダリアンとしての正体を現し、問答無用とばかりに青年へゾンダーメタルを押し付けた。
夫婦揃って迎えたひさびさの休日に、家族水入らずで大手のショッピングモールへと
買い物に来ていたマユは、昼食時に訪れたモール内のファミリーレストランで再び
“あの感覚”に襲われた。
「────え!?」「どうかしたのマユ? ……ちょっと! なによアレ!!」
娘の様子をいぶかしむ間も無く、店外の様子から異状を感じ取り驚愕する母。
モーター音も甲高く店内に乱入してきたのは、バフやポリッシャーなどの清掃機材を
寄せ集めにした怪マシンだった。店外に居た客のほとんどは姿が映りこむほどに
ピカピカになった床で滑り、のたうちまわっている。
『レストランは油汚れの排除が優先んんんんんんんんん!』
細いアームの先に備えられたノズルから液体が迸り、床といわず店内に満遍なく降りかかってゆく。
床の汚れどころか、食べ残しの料理やテーブルまでも分解するゾンダー洗剤の威力に
客たちから悲鳴が上がる。
「こっちだ! 厨房から逃げよう!!」「助けてー!」「どいたどいたぁ!」
「うわあっ」「ああっ、マユ!!」「マユ────!!」
入り口は奴に塞がれており、逃げ道はそこしかない。だが、避難路を知った途端
我先に逃げ出そうとする客の波に飲まれ、マユは両親とはぐれてしまった。
「お母さん! お父さ────ん!!」
『最優先清掃箇所、確認』
それを見計らったかのように足元の床が生物のように口を開き、
マユをその奥の暗闇へと飲み込んだ。
「痛たた……ここ、どこだろ?」
辺りを見回してみる。初めは暗くて何も見えなかったが、目が慣れてくるにつれて
おぼろげながらも判別がつくようになった。
木の根のように不規則に隆起した配管の床。壁も、天井も、同じように絡まりあい
不気味に蠢く生物めいたパイプで構成されている。
例の感覚もビンビンだ。
「やっぱりこれって……ゾンダー? ────きゃあ!」
マユのつぶやきに答えるように、床から湧き出すように現れる清掃機材ゾンダー。
周囲の様子からも判るとおり、もはやこの店舗は完全にゾンダーの一部となっていた。
腕のノズルから勢い良く液体洗剤が放たれ、マユに襲い掛かる。
悲鳴を上げて逃げ回り間一髪直撃は避けたものの、わずかに降り注いだ酸性の飛沫は
衣服を溶かし、刺激臭を漂わせた。
『しつこい汚れもしっかり清掃〜〜〜〜〜〜〜〜』
青ざめるマユに追い討ちを掛けるように放たれた別の液体からガスが生じ、
辺りに特徴的な臭いを生じさせる。
「プールの臭い……? !? げほ、げほっ!!」
酸性と塩素系の洗剤が混じりあったことで有毒な塩素ガスが生じ、マユを苛んだ。
呼吸器の痛みに激しく咳き込む彼女は恐怖とパニックに襲われ、
唯一ゾンダーに対抗できる浄解モードになることも出来ない。
『おそうじぃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!』
鋭い針がびっしりと生えた殺人ブラシが、止めを刺すべく唸りをあげて回転しながら
倒れ伏した彼女へ迫る。
「Jさん……助けて……!」
もはや命は風前の灯かと思われたその時、消え入りそうなほどにか細い
マユの助けを呼ぶ声とともに、闇の中一筋の閃光が奔った。
「ラディアントリッパァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
壁が瞬く間に抉られ、陽光とともに命を繋ぐ新鮮な空気が流れ込んでくる。
『ウィィ?』
外界へと開かれた大穴、差し込む逆光に照らされながらそこに立っていたのは、
光剣を携えたソルダートJだ。彼はプラズマ剣ラディアントリッパーを一閃してブラシを薙ぎ払い、
ゾンダーを蹴り飛ばしつつ即座にマユを抱きかかえると、壁に叩きつけられた敵から
いち早く距離をとり空中へその身を躍らせる。
「トモロ! マユを頼む!! ────ジェイバァァァァァァァァァァァァド!!」
駆けつけたジェイアークに飛び込むが早いか、そのままジェイダーへと
フュージョンを完了したJはゾンダーの巣食うショッピングモールを見下ろした。
仮面の奥のその瞳には、地獄の業火もかくやという怒りの炎が燃えている。
戦いの中失われてきた親しい人々の命。その中の誰よりはっきりと彼の心に食い込んでいる家族、
とりわけ最愛の妹の姿がまぶたに浮かんでは消えた。
「よくも……よくも俺の目の前で“マユ”を傷つけたな!!」
血が繋がっているかなど、姿かたちが違うことなど問題ではない。その名前は彼にとって守るべきもの、
守れなかったものの象徴であった。奇しくもJの戦士が護衛するべきアルマに、
彼にとって重要なその名がつけられたことは運命の数奇さを感じずにはいられない。
ゾンダーは建物の一区画を取り込み、巨大な戦闘ロボットの形態を取る。
その姿は先程のものをより攻撃的にしたような人型だ。
「惜しいところで邪魔が入ったわ……忌々しいソルダートJ」
現場から程よく離れたビルの避雷針上に佇むペローニアが、舌打ちをしつつ両者の闘いを観戦する。
「けれど、これを見ても戦えるかしら? ウフフ」
だがその幼さの残る顔に悪戯っぽい笑みを浮かべると、彼女は肩に乗せたウサギの人形に
懐中時計のスイッチを入れさせた。
指令を受け、一部を変形させるゾンダーロボ。その左肩には
はぐれた娘を探しに戻ったのだろうマユの両親が捕らえられていた。
しかし人質など、余程の大人数でもなければジェイダーのスピードに物を言わせて
救出することは可能だ。ペローニアはさらに見せ付けるように一手を推し進める。
アスカ夫妻の周囲から管が伸び、二人に狙いをつけるようにその顔面を取り囲む。
「な、なにをするつもりだ!」「せ、洗剤……?」
漂うのは主婦なら嗅ぎなれているトイレ用洗剤の臭い。ペローニアは今まさに
飛び掛らんとするジェイダーへ声を掛けた。
『下手なまねはしないほうがいいわよ? ソルダートJ』
「────!? お前はゾンダリアン! 赤の星を襲ったタイプか!!」
『あら、ご存知でしたの。何人目のソルダートかは知らないけれどごきげんよう、
わたくしは機界四天王ペローニア。以後お見知りおきを』
スカートの裾をつまみ、上品に礼をする彼女にJは激昂する。
「あの人達をどうするつもりだ!」
『知れたこと、あなたが抵抗すれば死んでもらう。それだけよ』
『あの人間の周りに生えた管からは、アルマを苦しめたのと同じ塩素ガスが噴き出すわ』
その言葉に、ジェイダーは凍りついた。そこへ何本もの触手が襲い掛かり、
高圧電流を食らわせる。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
絶叫、ジェネレーティングアーマーを展開することも許されはしない。
ジェイキャリアーを操るトモロも、ただ手をこまねいて見ていることしか出来なかった。
「ああっ! 赤いロボットが!」「私たちのせいで……! クソッ!!」
『あはははははははっ、馬鹿みたい! こんなことで躓いていて、
機界昇華を止められるとでも思っているのかしら?』
嘲笑が響く。ダイヤモンドすら容易く削り落とす硬度を誇る、ゾンダーロボの殺人ブラシが
ジェイダーに止めを刺すべく回転を始めた。
『ありがたく思いなさい。その機体を叩き潰して引きずり出した後は、トモロともども
ゾンダリアンとしてわたくしたちの仲間に入れてあげるわ!
アナタにアルマを始末させるオマケ付でね……オーッホッホッホ……!!』
身動きもとれず、じわじわとジェイダーの胸部装甲が削り取られてゆく様に、
勝利を確信したペローニアが高笑いする────その時!
〈ジェイクォース、発射!〉
なすすべなくただただ旋回していたジェイキャリアーが、ゾンダーの背後から
その艦首に備えた必殺の武器、ジェイクォースを人質目掛けて撃ち放ったのだ。
『な、なんですって!?』
優位に立ったことに慢心し、ジェイダーにばかり気を取られていたペローニアは
すっかり隙を突かれ、人質を奪還されてしまう。
「詰めが甘かったようだな! ゾンダリアン!!」
『おのれぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!』
プラズマソードで拘束を振り払い自由の身になるジェイダーの姿に、
ペローニアは砕けんばかりに歯噛みした。
『こうなったら、周りの人間どもも道連れにしてやりますわ!』
ゾンダーロボが手足を格納してガスタンクのように膨れ上がり、避難民のもとへ転がりだす。
放置すれば人々は潰され、かといって破壊すれば、体内に蓄積された高濃度の塩素ガスが撒き散らされて、
周囲の人間の命を奪うという寸法だ。
〈させるものか! 牽引ビーム、照射!!〉
しかしそうはさせじとジェイキャリアーの艦首から放たれた光条が、
数百トンは下らないだろうゾンダーロボを軽々と持ち上げ、無人の海上へと放り投げる。
「トドメは俺にやらせろ!!」〈了解!〉
「プラズマソォォォォォォォォォォォォォォォドッ!!」
裂帛の気合と共に光の矢となったジェイダーは、狙い過たず中心核を抉り取り、
そのままゾンダーロボを貫き爆散させた。
「おのれジェイダー、次はこうはいかなくてよ!」
ペローニアは敗北を見届けるとそう捨て台詞を残し、ビルと同化して消え去った。
「もう平気なのか?」「うん、ばっちり。どこも痛くないよ」
ガスに蝕まれていたマユは、進歩した医療設備による治療の甲斐あって
すっかりもとの元気を取り戻し、浄解に臨んだ。
取り出された核は放置されるとゾンダーとして再活動を始めてしまうため、
マユが目覚めるまでの間、ジェイアーク内部に備えられたJパワーの拘束力場発生器、
“Jケージ”によって動きを封じられていた。
『……レディーレ!』
浄解されるのと同時に力場は解除され、核は元の人間の姿を取り戻す。
そこではペローニアに襲われたツナギ姿の清掃員が、涙を流して感謝していた。
ジェイダーはゾンダーを打ち砕き、その手に勝利を掴み取った。
だがしかし、これからゾンダリアンの策略は、さらにその卑劣さを増してくるだろう。
戦え、負けるなソルダートJ! メガ・フュージョンせよ、キングジェイダー!
地球の平和は君たちの肩に掛かっているのだ!!
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
機界四天王はジェイダー抹殺のための新たな策を繰り出してきた。
トモロと引き離されメガ・フュージョンを封じられたソルダートJは、
囚われた子供たちを救い出すことが出来るのか?
立ちはだかる困難を前にして、オーブの空へ光の翼が舞う!
勇者戦艦ジェイアスカ、NEXT『輝ける両手』にメガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ! 『Vフライヤー』
投下終了。トリップ被ってる人いないよね?
プリマーダ系ゾンダリアンって、ピッツァやペンチノンみたいにたくさん居るけど
みんな他人っぽいから(TVじゃ判別は出来なかったけど)、
年齢とか色とか車種が違うのが居てもいいよね?
それにしてもゾンダー書くのってすげー楽しい。
何時の間にか投下されてるしww
しかも高山原作版www
GJですよ!
おお、このシン(ソルダートJ)は原作からアニメ世界?に来たのか
ガガガ本編だと一話で素体にされた人に逆行催眠かけてゾンダリアンの存在に気付いてたけど
オーブ政府はその存在に果たして気付くことができるのか
燃えるね!! GJっした!!!
GJ、そして保守
483 :
通常の名無しさんの3倍:2009/12/22(火) 19:10:44 ID:g2s9bm8D
GJ!!プリマーダ系カルテットに、さらに、GJ!!
…しかし、原作では「パスダー+四天王」で「パピプペポ」を形成していたはずだが、こちらでは「パ」がもう一人いて、「ポ」がいない。
「パ」ルジェンヌが赤毛+赤装甲ってとこが怪しすぎる!!
他にも紫髪やら翡翠色ドレス(某姫様が着た事がある)やら、あ、怪しすぎる連中ぞろいだ。
クリスマス保守
クリスマス用のネタが出来てしまったので投下します。
本編とは関係あったりなかったりするのでご容赦を。
ネタ、あくまでネタ。
────12月25日、イエス・キリスト生誕を祝うクリスマス。
いまや宗教行事とは関係無しにパーティーやプレゼント交換をし、クリスマスケーキを食べるという
世界的にポピュラーなこのイベントは、この常夏の国オーブでも例外ではなく、
街のそこかしこに飾り立てられたもみの木が立ち並び、クリスマスソングをBGMに
サンタクロースの装いをした売り子たちが客を呼びケーキを売るという、
お馴染みの光景がそこかしこで見受けられていた。
だがしかし、光が明るければそれだけ影もまたその闇を深くする。幸せ溢れる煌びやかな街の影で、
人類史上一度たりとも絶えることの無かった怨念が黒々と渦を巻いていた。
「リア充どもが! 人目も憚らずイチャイチャしおってぇぇぇぇぇぇ!!
聖誕祭を何だと思っているんだクソが! クリスマスを履き違えた全てのカップルに呪いあれ!
カップルなんぞみんな死ね! 氏ねじゃなくて死ね!!
……憎い! クリスマスが憎いぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「あらあらすごい憎しみね。おにいさん、力をお貸ししましょうか?」
藁人形と五寸釘を握り締め、首からは逆十字と大蒜の首飾りというみょうちきりんな出で立ちで、
有らん限りの呪詛を吐き散らして狭いアパートの室内をのたうちまわる青年の耳に、
鈴を転がしたような少女の声が届く。
まさかと思い振り返っててみれば、そこにはまごうことなき美少女の姿。
容姿は好みにドンピシャリ。青年は「これは清く正しく生きてきた自分へのご褒美に違いない」
と突然の闖入者に動じることもなく自分勝手に納得し、先程の呪詛などどこへやら、
神妙に拍手を打つやいなや着ていた衣服を即座に脱ぎ捨てて躊躇い無く飛び掛った。
いわゆるルパンダイブである。
「おにいちゃんと呼んで!!────キャイン!!」
しかし彼の目的が達せられることは無く、次の瞬間無慈悲に蹴り上げられた少女の爪先が、
脆弱な布一枚に覆われただけの切ない場所を見事粉砕していた。
「……なんなのよ、この人間!!」
いまだかつて感じたことの無い嫌悪感に背筋を震えさせるペローニアは、
鳥肌の立つ二の腕をさすりつつ、ゾンダーメタルを足元で悶えながら痙攣する肉塊へと
手が触れないよう慎重に、嫌々貼り付けた。
番外編『怒れる十二月のクリスマス』
首都オロファトは一面の銀世界となっていた。南国の気候に慣れ切っていた人々は寒波に震え、
吹き荒ぶ猛吹雪を前に悲鳴を上げて逃げ惑うしかない。
「ゾンダァァァァァァァァァァァァァァ!!」
犯人が咆吼をあげる。その姿は全身真赤な装甲と所々にあしらわれた白いファー、
下半身は立派なトナカイという、サンタクロースそのものなゾンダーロボだった。
「────待てっ!!」「来たわね……!」
そこへいつものように駆けつけるジェイキャリバー。ミサイルによる牽制と同時に、
プラグ・アウトした艦橋が戦闘メカノイド・ジェイダーへ姿を変える。
「ゾンダーども! せっかくのクリスマスを踏みにじろうなどという悪事、このジェイダーが断じて許さん!!」
善悪ともに紅白の巨人が対峙し、一瞬のにらみ合いの後ジェイダーが動いた。
その胸には、マユとのクリスマスを邪魔されたことへの怒りの炎が燃えている。
右腕のプラズマソードが唸り、この勝負に容易く決着を着けるかに見えた────しかし。
「ゾンダーッ!!」「ぐあああああっ!!」
ソルダートJからリア充の臭いを嗅ぎ取ったゾンダーサンタは、憎しみが命ずるまま
ジェイダーのスピードすら上回る神速の拳を繰り出して、彼を一撃でビル街へと沈めた。
吹き飛ばされたジェイダーを引き金として、ドミノ倒しのごとく倒壊してゆく建築物を前に、
ペローニアは唖然とし、すぐさま満面の笑みを浮かべる。
「うふふふふ……素晴らしいわ、見事な力よゾンダー。そのままやっておしまい!!」
《J! やらせてなるか!!》
ジェイキャリアから援護のジェイクォースが放たれる、だが幾多のゾンダーを葬り去ってきた
その必殺の一撃は、あろうことかトナカイの歯によってあっさりと食い止められてしまう。
《馬鹿な!?》
カウンターとばかりに繰り出される、赤い鼻面からの破壊光線。
独身男性の憎しみが燃え上がっているかのような紅色の、稲妻の如き様相で迸ったそれは、
ジェネレーティング・アーマーの守りを薄紙の如く粉砕し、難攻不落だったジェイキャリアの船体を
いとも容易く墜落せしめた。
《Jファイバー断線、回路沈黙、戦闘続行不能……》
追い討ちを掛けるようにゾンダーの抱える袋から無数のミサイルが放たれ、
今までの恨みの限りを込めて白亜の巨艦を痛めつけてゆく。
《URYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!》
「きゃあああああああああああああああああああああ!!」
マユの悲鳴に気付いたか、ゾンダーは攻撃の手を緩めると、伸ばした触手でもって
彼女の居るジェイキャリアサブブリッジの窓を叩き割り、中からひょいとつまみ出してしまった。
嫌悪感を露にせざるを得ない醜悪な触手がいやらしく身体に絡みついて四肢の自由を奪い、
最近仄かに膨らんできた乳房を強調するように縛り上げ、遮るもの無き空中で幼い彼女を辱める。
先端がぷっくりと膨れた触手が、白いべとつく液体を滴らせながらマユの柔らかな頬を舐りまわし、
愛らしい顔を嫌悪と恐怖に歪ませる。
「嫌あ……む、んむうううううう!」
必死の抵抗むなしく、触手の一本がついに可憐な唇を割っての進入に成功し、
彼女の口内を思うまま蹂躙した。
全身の触手を緩急自在に操って、9歳にしては発育のいい伸びやかな肢体を
味わうが如くじわじわ責めさいなむゾンダー。
喉奥から引き抜かれた触手が液体を噴出し、咳き込むマユの顔を白く汚す。
あまりにもあんまりな仕打ち。何かを汚されたショックに華奢な身体はか細く震え、
その瞳からはぽろぽろと、真珠のような大粒の涙が零れ落ちた。
「いいわ! その調子よ!! そのままアルマにトドメをさしておあげ!!」
「ゾォンダー……!」
その命令をどう履き違えたのか、嬉しそうに触手をうごめかせたゾンダーはマユの両脚を持ち上げ、
母親が幼児にさせるようなおしっこの体勢をとらせる。脚の間では幾本もの蛇が
虎視眈々と鎌首をもたげていた。
「やだ! やだ! こないで、こないでよお!! たすけておにいちゃあああああん!!
おかあさあああああん! おとうさああああああん!!」
それが意味するところにおぼろげながら思い至り、半狂乱になって泣き喚くマユ。
迫りくる絶体絶命の危機に、瓦礫の山を押しのけて、救世主がふたたび立ち上がった。
「……その手を離せっ! ゾンダー野郎!!」
だがジェイダーの装甲には至る所に亀裂が走り、目元を覆うバイザーは砕け、
関節からも時折火花が奔る痛々しい姿だ。
立つことにすら耐え切れずに膝をつくその様を、ペローニアが嘲笑う。
「あはははははは! そんななりで、メガ・フュージョンさえできもしないボロボロの姿で、
一体何が出来るというの? ソルダートJ! おとなしくそこで、アルマが引き裂かれる様を
その眼に焼き付けなさいな!」
満身創痍のジェイダーだったが、その眼は決して死んでいない。口元に不敵な笑みを浮かべると、
彼は起死回生の一手を繰り出した!
「手なら────あるさ! キングローダアアアアアアアアアアア!!」
爪先のランチャーから撃ち出されたESミサイルが炸裂し、空間にESウィンドウを展開する。
そこから空間の変質に伴って発生したおびただしい雷光と共に、紅白の巨大トレーラーが姿を現した。
トレーラー────キングローダーは、その屋根から翼を、側面からは腕を展開し、
スラスターを噴かしてフロント部を下に起き上がると、内部ががらんどうになった人型を形成する。
装甲が展開され、露になった内部から照射される光の帯へ向かって、
ジェイダーは脚が砕けるのも厭わずに駆け出し、身を躍らせた。
「フォーム・アップ!!」
飛び込むと同時に閉じられた装甲がロックされ、胸の空洞からはジェイアーク級と共通した
白い猛禽の頭が、頭部を形成する紅の兜からはバイザーの廃されたジェイダーの顔が覗き、
白いマスクがその口元を覆う。
赤く四角い両肩に描かれた青い翼のエンブレムが光を放ち、新たな力を得た戦士は
高らかにその名を叫んだ。
「巨大合体っ! キングッジェイダー!!」
「ジェイダーウィングブレイカー!」
両肩から放たれたブーメランが触手を切り裂き、牽引ビームがマユを救い出す。
新たなキングジェイダーの姿に、ペローニアは戸惑いを隠せない。
「なによそれ、なんなのよ!? こんなのがあるなんて聞いてないわ!!」
トナカイの赤鼻から放たれた破壊光線がキングジェイダーを襲う。
爆風で巻き上がった煙に包まれ、その姿はたちまち見えなくなった。
「脅かしてくれちゃって! 所詮この程度……なんですって!?」
煙が晴れるや、そこには無傷で聳え立つキングジェイダーの勇姿。キングジェイダーは
右足から飛び出した長剣を構え、浴びせかけられる弾雨の中を駆け抜けながら
ゾンダーロボへ飛び掛ってゆく。
「これがマユの分! これはマユの分! これもマユの分! マユの分! マユの分! マユの分!!」
再生も追いつかないほど執拗に滅多切りにされ、戦闘能力を完全に失うゾンダーロボ。
キングジェイダーはトドメを刺すべくその得物にエネルギーを注ぎ込む。
刀身が紅蓮の炎に包まれ、夜の闇を切り裂かんばかりに赤々と照らし出した。
「そしてこれが……トモロの分だ!────サンダァァァァァァフラァァァァァァッシュ!!」
そのまま大上段に構えた剣を振り下ろし、憎きゾンダーをその膨大なエネルギーで完全粉砕する。
「お、覚えていなさい!!」
虎の子のゾンダーロボを打ち倒され、ペローニアは捨て台詞とともに退却。
こうして聖夜の街に束の間の平和が訪れた。そして今までの寒波の影響だろうか、
夜空に白いものが舞う。オーブではお目にかかることの出来ない雪だ。
放っておけば元通りに気温が上がり、すぐにでも消えてしまうだろうそれは、
ある種幻想的な光景となって南国のクリスマスを彩った。
「ひっく、グスッ、あんな目にあっちゃったらもうマユお嫁にいけない……」
そんな光景を尻目に、修復されたジェイキャリバーの中で、マユは膝を抱えて泣きじゃくっていた。
この様子ではすぐ家に帰すわけにも行かないだろう。
心を痛めるソルダートJは、そんな姿を見るたびに何度回収されたゾンダー核を
破壊しようとしたかわからない。トモロ様様である。
「マユ……」
硬質な装甲を排除し、シン・アスカとなったJは背後から優しく彼女を抱きしめた。
マユは、自分をしっかり抱きとめてくれる兄のようなシンの胸板が大好きだ。
言葉など交わさずとも、その暖かさは嫌というほど伝わってくる。
マユはシンへ向き直ると、胸に顔をうずめて思いっきり泣いた。
「……あのね、おにいちゃん。マユ、今日一人で寝るの怖くなっちゃったから……一緒に寝ても、いい?」
両親に連絡を入れた後、いきなりマユはこんなことを言い出した。
頬を赤らめ、もじもじと恥らいつつ上目遣いで懇願するさまはとても愛らしく、
さしものソルダートJも反撃の糸口すらつかめずに撃破されてしまう。
ゾンダーとは比べ物にならないほどの恐るべき強敵だった。
それも当然だ。最初に誰が言ったかは知らないが、いつの時代も、いもうとは最強なのだ。
「もちろんさ! マユに怖い夢なんか、俺が居る限り絶対見せたりするもんか!!」
「そ、それって今夜は寝かさないってこと!? やだやだマユ困っちゃ〜〜〜〜う」
いい具合に蕩ける二人の様子を生暖かく見守っていたトモロが、不意にその眼をカッと見開いた。
《────このロリコンどもめ!!》
強引におわれ。
……本編書かずになにやってんだろうね、俺。
あとこの物語はフィクションです、実在の勇者ロボ、シスコン、喪男の人とは何の関係もございません。
勇者でクリスマスと来たらクリスマス商戦対策の新メカ登場だよねw
戦隊ものやライダーだと在庫処分セールだよなw
GJ!!なるほど、確かにキングローダーと合体してもキングジェイダーだな。
乙!
クリスマスか……
俺の今年のクリスマスプレゼントは試験に落ちたって通知だったぜorz
それはともかく色々と壊れすぎだろwww
しかも両方ともキングとかwww
しかし今さらながらに思うが…
マイナス思念の強さに比例するゾンダーメタルは、喪男やネラーにつけることで本編(とは別な意味で)より恐ろしい物になるんだな…w
勇者でクリスマスと来たらトライアングルクリスマスビームだろjk
年末間近ほしゅ
今日大掃除してたら、押し入れの隙間から
子供の頃になくしたと思ってたスーパー龍牙剣のツバが出てきた……まあ捨てたんだけどな
近所のリサイクルショップで多少傷有り9,800円で売ってた
ブレイブ合金のガオガイガー買っちゃったぜww
ガガガのDVDまた再販されてたんだな知らなかった
早まって高えBOX買わなくて良かった
age
『マイトガインついにスパロボ参戦! ラスボスは寺田P!』
という初夢を見た…
(0w0)
投下します。WIKIの方間違いとか名前修正しておきました。
ゾンダリアンの名前ですが「ポ」だけいいのが見つからないまま語感やネタ元だけで
決めてしまい、変に勘違いさせてしまい申し訳ありません。
次からは先走ったりしないよう気をつけます。
────光に飲まれた後、何の因果か地球を遠くはなれた三重連太陽系へと転移したデスティニーは、
三つある可住惑星の一つである赤の星へと回収された。
帰る当てもなく、無為に日々を過ごすうち、この星の土となるのもやむなしと思った
シン・アスカだったが、同星系の紫の星で起こった異変が彼の運命を変えた。
ストレス浄化システム、ゾンダーメタルとその源である三十一原種の大暴走。
これにより紫の星の住人は軒並み生機融合体ゾンダリアン、または心を持たぬ機械生命体ゾンダーと化し、
紫の星は機械昇華され壊滅。他の惑星にも魔の手が迫った。
時を同じくして、隣接する緑の星では指導者カインの子、ラティオがゾンダーを
人間へ戻すことの出来る能力を持って産まれた。この能力を基に、対機械昇華反物質サーキット
『Gストーン』が開発され、技術供与を受けた赤の星でも発展型の『Jジュエル』及び
それを動力とした戦闘システムの開発が進められた。
技術の粋を凝らした超弩級戦闘艦ジェイアーク級、ラティオの能力をコピーし、
サイコキネシスなどの戦闘能力を向上させたアルマ。
そしてジェイアークとフュージョンし、それの変形した戦闘メカノイドの中枢となる
サイボーグ、ソルダートJと、艦の制御を司る生体コンピュータ、トモロが生み出されることとなる。
迫りくる第二の故郷の危機に、シンの決断は素早かった。ソルダート師団の一員として
改造されることに志願したのだ。
既にクローン培養による素体の量産が決定し、生産ラインも確立していたのだが、
足しげく通い詰めるその熱意に指導者アベルが興味を抱き、身体能力も
基準値をクリアしていたこともあって特例としてシンの改造は許可された。
かくして、サイボーグ戦士ソルダートJとして生まれ変わったシン・アスカは、
原種の強襲を受けてなすすべなく滅び行く赤の星から最後の希望であるアルマを連れ、
唯一試験用にトモロを搭載していた艤装前のジェイアーク級で脱出することに成功する。
破壊を免れたジェイアーク級戦艦と生き残った何人かのアルマたちも、
シン同様に故郷を離れ方々に散った。
量産工場を襲撃されて、アーク艦隊の頭脳となるはずだったトモロはそのほとんどが
ゾンダリアン・ペンチノンと化し、艦隊は壊滅。原種に白兵戦を挑むべく立ち向かった
ソルダート師団のメンバーも、次々に撃破されゾンダリアンに姿を変えていった。
原種に勝つために生み出されたはずの彼等を待ち受けていたのは、
圧倒的戦力差でもたらされた無様な敗北。
守るべき都市は灰塵と化し、同胞は憎むべき敵の走狗へと堕した。
だがしかし、それでも彼は諦めない。その命が燃え尽きる最後の一瞬まで。
仮面の下の涙を拭い、誰に聞かせるでもなく彼は呟いた。
「……負けるのには、慣れてるからな」
第三話『輝ける両手』
マユはベッドの上で仰向けになり、Jからもらった腕時計“ジェイダーブレス”を眺めていた。
一見普通の白い腕時計だが、スイッチ一つで文字盤が変化し、音声でもメールでも、
NJの電波障害を物ともせずに届けられる万能通信機となるのだ。
ゾンダーが現れたとき迅速に助けを呼ぶため、と言われて渡されたものだったが、
いささか女の子向きではない。どちらかというと男の子が喜びそうなデザインをしている。
しかしマユは、これを着けているとJと自分だけの秘密が増えたようでなんだか嬉しかった。
そんな気分に水を差すように、きゅるきゅるとおなかが可愛らしく鳴る。
今日も両親は遅くなるので、夕飯は作り置きしていたおかずを温めて食べるのだ。
メニューは豆腐ハンバーグとミネストローネ。今日は目玉焼きを乗せて、ちょっと豪華にしてみよう。
卵を焼いたりご飯を炊くくらいなら、マユにだって出来るのだ。
揚げ物はまだ危ないからさせてもらえないけれど。
思い描いた夕飯の光景にわくわくし、とてとてと可愛らしい足音を立てながら、
リビングへ続く階段を駆け下りた。
その頃、地下の拠点ではパスダーが恭しく頭を垂れる四天王を睥睨し、次なる策を練っていた。
『機界四天王よ、次の手は考えてあるのか?』
「パスダー様、私に考えがございます。どうかこのプライアめにお任せを」
「申してみよ」
「強敵キングジェイダー相手にゾンダーをただぶつけるだけでは、
貴重なゾンダーメタルの浪費にしかなりませぬ」
「ですが二面作戦を行い、アルマを攻めることで奴等を引き付け、
その隙にゾンダーメタルプラントを完成させれば……仮にどちらかが失敗したとしても、
ゾンダーメタルとアルマの命、片方は確実に手に入ることでしょう────
パスダー様、どうか私にゾンダーメタルを二つ使用する許可をお与えください」
『────良いだろう、プライアよ。その作戦、必ずや成功させるのだ』
「ははっ!」
□□□□
「なーアスカー、いいだろー教えてくれよー」
「アレに乗せてもらったってホントかよー?」
「ちょっと、アスカさんが困ってるでしょ!」
「うっせー、コモリはだまってろよ!」「なんですって!?」
オーブ第一小学校では朝のホームルームを前に子供たちが、近頃TVや新聞でも
ひっきりなしに報道されている謎の巨大ロボットの話題で盛り上がっていた。
なかでもパイロットとおぼしき人間に救われ、さらにかのロボットを二度も間近で目撃したマユは、
今やレポーターに群がられる芸能人もかくやといった有様で、クラスメートたちから
質問攻めにあっている。
「そんなこと言われたって、ロボットの名前しか教えてもらえなかったよ」
閉口したマユは、ソルダートJの迷惑にならない範囲でジェイダー、
キングジェイダーの名を明かす。
「あとはお礼言っておしまい。他にみんながよろこぶようなことなんて何も知らないからね!」
「ちくしょーそんだけかよ」「ほらー、みんな早く席に付きなさい」
そこへちょうど担任の先生がやってきたのを見て、心底残念そうに席へ戻る子供たち。
だがマユのちょうど右後ろ側、真ん中の列に座る男子児童マサヒロは
教師が出欠を取り始めても気にならない様子で、いつまでも恨みがましい視線を彼女へ向けていた。
「……アスカばっかりちやほやされやがって!」
初めて人々の前にゾンダーが現れたあの日、みんなと一緒に襲われた彼は恐怖心から
盛大にお漏らしをしてしまう。
日ごろからコーディネーターであることを鼻にかけ、腕っ節に物を言わせて
ガキ大将気取りだったマサヒロはたちまちみんなからの笑いものとなり、
人生最大の挫折を味わったのだ。
そんな彼にとって、ゾンダーに二度も襲われていながら女子の癖に怖がる様子も見せず、
キングジェイダーに助けられたり乗せてもらったりのヒロイン扱いでちやほやされている
マユの姿は許しがたいものがあった。
「なんだトイレか? ちゃんと便器の前に立ってするんだぜおもらしマーくん」
「うるせぇ!!」「わー、おもらしコーディネーターが怒ったぞーぎゃはは!!」
一時限目前の休み時間。囃し立てる連中を怒鳴りつけながらトイレへ赴き、
苛立ちのままに奥歯をぎりぎりと噛み締めながら用を足すマサヒロ。
そんな彼の背後から、不意に女の声がした。
「悔しいのか? 自分は恥をかいたのに、同じ目にあった女は英雄扱い。
目に物見せてやりたいなら、私が力を貸してやろう」
「う、うわあっ! なんで女の人が男子トイレにいるんだよ!?」
いつの間にかそこに居たのは、男子トイレに居ること自体が不自然な、
髪も服も紫色の若い女だった。美人でスタイルもいいけれど、自分を見る目がどこか恐ろしい。
教師に見えなくも無いスーツ姿だったが、絶対にこんな先生は居なかったはずだ。
不審者の姿に、ポケットへ忍ばせていた防犯ブザーに手を伸ばす。
しかしそれよりも女の動きのほうが早かった。心を蝕むゾンダーメタルを押し付けられ、
男子トイレに少年の絶叫が響く。
「後はゾンダーの働き次第だな」
そう言って融けるように床へと消えてゆくゾンダリアン・プライア。
マサヒロの姿もそこには無く、跡に残されていたのはほかほかと湯気の立つ温かな水溜りだけだった。
(マサヒロくん、ドコ行っちゃったんだろう……あっ!)
授業を受けるマユの背筋を貫く違和感。今ではもうお馴染みとなった、ゾンダーの出現を示す感覚だ。
(場所は────ハウメア火山のほう、Jさんに知らせなくちゃ!)
こっそりジェイダーブレスのスイッチを入れ、文字入力モードで送信する。
円い文字盤が赤い火の鳥に切り替わり、可聴域外の音域で雄叫びを上げた。
「……アスカさん、退屈だからって授業中に関係ないことするのはどうかと思うわ」
「コ、コモリさん!?」
ぎくりとして顔を向けると、そこでは通路を挟んで隣に座るイチコがイジワルそうに
眼鏡を光らせていた。彼女はかつて助けてもらった恩など
「それはそれ、これはこれ」とばかりに無視してすっくと手を挙げる。
「先生、アスカさんが────」
だがイチコの告げ口は幸いにも果たされることは無かった。
天井の電灯が不自然な紫の光を放ったかと思うと、教室がたちまち生物めいた姿に変形
────ゾンダー化したからだ。
「きゃあ! 何よこれ!!」「またあの化け物だぁ!」
床からはケーブル状の触手が伸びて児童たちを椅子に縛り付け、天井から現れた蛇口が
強引に口へ潜り込み、その中へガブガブと大量の水を注ぎ込んでゆく。
感知能力のおかげで間一髪拘束されずに済んだマユは、悲鳴を上げる級友たちの姿に
心苦しさを覚えつつも、とっさに腕を掴んだイチコと共に教室の外へ躍り出た。
「────コモリさん、逃げて!!」
他の教室も同じような状況で、廊下に出ている人間は誰も居ない。
息を切らして昇降口まで駆け下りたマユとイチコは、床の上にへたり込んで一息ついた。
「いったい……なんなのよ……」
「あの……怪物に、学校がのっとられちゃったのよ……」
早く外に出て助けを呼ぼうと扉に手を掛ける。しかしいくら力を込めても、
鍵が掛かっているわけでもない扉はびくともしない。
「ちょっと、アスカさん何やってるのよ?」
それが意味することに気付き、マユの顔から血の気が引いてゆく。
「────こんなところまで」
直後、ガラスが生物のように蠢き、そこから機械をこね回して造ったような人面が、
まるで生えてくるように顔を出した。
『ゾォンダァ〜〜〜〜』「きゃあ!」
ここからは絶対逃がさぬとばかりに、ゾンダー人間の指令のもと下駄箱の中から
おびただしい数の触手が湧き出し、マユ目掛けて襲い掛かる。
「────アスカさん!!」
マユからゾンダー出現の報を受け、ジェイキャリバーはハウメア火山の麓に位置する
地熱発電所へ向かっていた。原子力が使えない今、地熱発電はオーブ国民の生活を支える命綱だ。
やらせるわけには行かない。
「トモロ、周囲の避難状況は?」
《既に完了しているようだ、この国の軍もなかなか手際がいいようだな》
Jはあの時もこんな風だったらと思いかけるがそれを振り払い、
意識を画面に映し出されたデータへ向けた。
エネルギーのほとんどが発電所の一部、すなわちゾンダーへ集中しているのが良く判る。
「この手口、十中八九奴等の狙いはゾンダーメタルプラントだろうな」
《うむ、火山列島に存在する豊富なマグマのエネルギーは、それを生み出すのに充分なものがある》
発電所を目視できる距離に近づいた頃、不意に警報が耳を打つ。
《────高熱源体接近!》「アーマー展開、全速回避!」
間一髪、艦体の真下を掠めるように、直系10メートルはあろうかという
太いビームが通り過ぎていった。ジェイキャリバーの巨体からすれば大したことはなさそうに思えるが、その内に秘められた熱量は相当なものだ。
フィールドジェネレーティングアーマーが無ければ、掠めただけでもただでは済まなかったかもしれない。
「マグマのエネルギーを利用した熱線砲か……」
発電所のすぐそばには、巨大なタービンを背負ったカタツムリのような姿のゾンダーロボが鎮座していた。
その顔面に空いた砲口は、先程の熱が冷めやらぬ鮮やかな桜色の光を放っている。
「反中間子砲では威力が大きすぎる……なら! ESミサイル発射!!」
ジェイキャリバー後部両舷にある発射管から放たれたESミサイルが、
ゾンダーを目前にしてその姿を消す。亜空間に転移するこのミサイルは、
バリアや装甲などの障害を無視して敵中枢を破壊することが可能だ。
内部に転移したミサイルが炸裂し、ゾンダーの身体が爆圧で風船のように膨れ上がる。
しかしそれだけだ、特に堪えた様子は無い。さらには先程まで確認していたはずの、
ゾンダー核の反応も標的から忽然と消えうせていた。
《────しまった、これは本体ではない!》
まんまと企みに引っかかったジェイキャリバーを嘲笑うように、
周囲の地面から生えてきたビーム砲の数々が一斉に火を噴いた。
雨あられと、矢継ぎ早に射掛けられるマグマ砲の猛攻にさしものジェイキャリバーも防戦一方だ。
そこへ追い討ちを掛けるようにマユからのSOS。学校へもゾンダーが出現したことを知り、
してやられたとJは机に拳を叩きつける。
「体勢を立て直す────ES爆雷投下!」
砲火を避けるため、足元へ拡がった亜空間への扉、ESウィンドウの中へと
その巨体を沈めるジェイキャリバー。
マユを失うわけにはいかない、かといってゾンダーメタルプラントを野放しにするわけにもいかない。
そんな葛藤を見透かしたように、相棒はその背中を押した。
《ここは二手に分かれるしかないだろう、行け》
「しかしそれじゃあゾンダーが……!」
《J‐042、このトモロ0666がこの程度の相手に遅れをとると思うなよ?》
「……そうだったな、マユが心配すぎて頭に血が上りすぎていたらしい。スマン」
《火力の差など、腕でいくらでもカバーして見せるさ》
冷や水を掛けられたJは謝罪すると、気を取り直してフュージョンの体勢に入る。
分離したジェイバードからジェイダーへ、そして残されたジェイキャリアの艦首が口を開き、
アルファベットのVの字を模したような形状の黒い航空機が射出された。
ジェイダー用武装ツール、“Vフライヤー”だ。
「トモロ?」《持ってゆけ。ジェイダー単騎では、前回のように人質をとられた場合
救出が困難になる恐れがある。アルマのいる学校ならば尚更だ》
相棒の心遣いに笑みを浮かべたJは速やかにドッキングを行うと、
自らのESミサイルによって開けられた出口目掛けて疾駆する。
「────了解! フライヤー・コネクトォ!!」
一時的にプラズマウイングを停止し、機首を折り畳んだVフライヤーをジェイダーの背中へ合体させた。
それと同時に黒い主翼から赤いプラズマ制御ウイングが展開し、
バイザーを上げたジェイダーの頭部へと、中程で折れ曲がったVアンテナを持つ白い兜が覆いかぶさる。
手首には機首の裏側から飛び出した三角形の手甲が追加され、
口元を完全に覆い隠したマスクには、目元から伸びる血涙の如き紅いラインが引かれていた。
「武装合体ッ! ジェイッ、ダー!!」
額のJジュエルと翠色の双眸を輝かせる武装ジェイダーは、
華麗な孔雀から荒々しい猛禽へとその姿を変えたプラズマウイングを力強く羽ばたかせて翔ぶ。
その疾きこと、まさに流星の如しだった。
《さて、私も出るとするか》
見送ったジェイキャリアも、敵を前にしてES空間から浮上しようとしていた。
「────アスカさん! このぉおおおお!!」
イチコは咄嗟に壁際に設置されていた消火器を取り、マユに迫るゾンダーへ消化剤を吹き付ける。
センサーを潰され獲物を見失ったゾンダーはたちまち右往左往しはじめ、
マユたちはその隙になんとか逃げ出すことが出来た。
「ありがとうコモリさん」「……どういたしまして」
二人はゾンダーの目を避けながら職員室へ潜り込み、外部へ連絡を取ろうとしたが
電話はどこにも繋がらず、出口を塞がれて助けも呼べないという絶望的な状況に
イチコは打ちひしがれ、膝を抱えてしまう。
「もうだめよ……私たちだけであんな化け物から逃げ切れるわけ無いわ」
「あきらめちゃダメ! 絶対助けは来るよ!!」
そう励ましては見たものの、マユ自身ゾンダーが二箇所で暴れるとは流石に予想外で、
通信こそ入れられたもののJたちが間に合ってくれるのか不安を隠せないでいた。
そこへ電話から嗅ぎつけたのか、彼女たちの前にゾンダーが姿を現し、
何本もの触手をしならせて襲い掛かる。
「きゃあああああああああ!」「コモリさん!!」
マユはかろうじて避けることができたが、かわりにイチコが囚われの身になってしまう。
「このっ! コモリさんをはなせぇ!!」
絡み付いた触手を引き剥がそうとするが、子供の細腕ではどうすることも出来ず、
マユ自身もなすすべなく囚われ、他のみんなと同じく水責めに遭わされたのだった。
その頃、ゾンダーに占拠された教室でも子供たちに重大な危機が迫っていた。
「……やばい、ションベンもれそう」
「たのむよぉ、便所にいかせてくれ〜〜〜〜!」
「漏れちゃう〜〜〜〜!」
大量に飲まされた水により、尿意を催した子供たち。しかし身体の自由を奪われたこの状況では
トイレに行くことすら出来はしない。
その時、窓の外で異変が起こった。空の景色が波紋のように歪み、空中に穴が空いたのだ。
「ああっ! あれは!!」
空中の穴────ESウィンドウから飛び出してきたそれは、紛れも無くジェイダーだった。
翼はいつもと異なる形で、頭部にもマスクが追加されてはいたが、
首から下の形状にはいささかも違いは無い。
「ゾンダーは……そこかっ!」
プラズマソードが職員室の窓を切り裂き、ゾンダーの本体を白日の下に晒す。
「Jさん!」「そこを動くなよ! ────ジェイダーバルカン!!」
こめかみに設けられた機銃が火を噴き、放たれたJパワーの弾丸が敵を打ち据える。
威力は抑えてあるので核となった人間に致命傷を与えることは無い。
ゾンダーはたまらず床下へ溶け込むように逃走し、マユをはじめとした子供たちは
無事支配から解放されたかに見えた。
「ほら、もう大丈夫だぞ」「ジェイダー、見て! 教室が!!」
安心したのも束の間、逃走したゾンダーはマユたちの教室と融合、
校舎から飛び出すと体育館をも取り込んで巨大なゾンダーロボと化した。
「わああああああ! たすけてくれ〜〜〜〜!!」
「シモンズくん!? 他の子も!!」
解放された際、クラスの大半はトイレへ駆け込もうとしたおかげで脱出できたものの、
逃げ遅れたリュウタ・シモンズ他数名が巻き込まれ、人質にとられてしまう。
子供たちはゾンダーの肩から生えた、ボール入れを流用したと思しき籠の中に捕らわれており、
下手に攻撃すれば爆風や破片で無事にはすまないだろうことは明白だった。
ゾンダーはガラス張りの口元に笑みを浮かべると、腹部から巨大なバスケットボールを取り出して
ドリブルを始め、武装ジェイダーを翻弄するように巧みなフットワークで跳ね回り、
その脳天へ強烈なダンクシュートを決めんとする。
────次の瞬間ゾンダーロボは空中で爆散し、子供たちも地上へ降ろされていた。
「……え?」戦いを見守っていた全員が唖然として、何が起こったのか理解できずにいた。
それではもう一度、武装ジェイダーの戦いを見てみよう。
武装ジェイダーへ飛び掛るゾンダーロボ、その時ジェイダーの瞳に火が点り、
プラズマウイングと連動した加速装置が働いた。
メカノイド・ジェイダーは、通常の状態でさえ50分の1秒という極短時間に移動することが可能な、
宇宙でも随一の機動力を持っている。
Vフライヤーから発生する加速フィールドは、機体の伝達速度の加速のみならず
ソルダートJの体感時間をも引き延ばし、機動力の向上はおろかその超加速空間内での戦闘行動をも可能とするのだ。
手甲が赤い光を放つとともに防護フィールドに包まれた掌が、捕らわれた子供たちを細心の注意を持って、
されど手早く救い出してゆく。
無事人質を左手に収めると、武装ジェイダーは空中からゆっくりと落ちてくるゾンダーへ向けて、
攻性のプラズマフィールドを纏った貫手を繰り出した。
「────プラズマフィオキーナァアアアアアアアアア!!」
核を抉り出され、粉々に砕け散るゾンダーロボ。この間、僅か0.05秒であった。
一方、発電所のゾンダーメタルプラント攻略に挑んでいたジェイキャリアの戦いもまた
佳境を迎えていた。
《メーザーミサイル、全弾発射!》
ESウィンドウから飛び出したジェイキャリアは、飛び交う火線の中を
そのスピードをいささかも緩めることなく錐揉み回転で回避しながら旋回、
マグマ砲の真上に対空ミサイルや対地レーザーの雨を降らせた。
もっぱら対空防御に用いられるメーザーミサイルは、ESミサイルと比べて威力に乏しいものの、
光子変換翼による生産設備で随時生産されているため連射が利くのが長所だ。
だが威力に乏しいとはいえ外宇宙文明のミサイル。地球の基準で言えば充分強力だ。
しかも湯水のように垂れ流せるそれを、地上へ向けたらどうなるか────
雨あられと降り注ぐミサイルによって、たちまち発電所近郊の大地は
立ち並んでいたゾンダーの砲門もろとも抉れに抉れ、月面クレーターの如き惨状を呈してしまう。
《ジェイクォース、発射!!》
艦首から放たれた火の鳥が荒れ果てた大地を掘り進み、獲物に喰らいつく。
そのままメインエンジンを噴かして上昇したジェイキャリアは、その大馬力で見事ゾンダー本体を
釣り上げることに成功した。
《トドメだ! ────スタンド・アップ!!》
ジェイキャリアがジェイダー無き状態でメガ・フュージョン体勢を敢行、
その艦体に脚を生じさせる。
変形による重心の移動とスラスター噴射によって、横薙ぎに振りぬかれたジェイクォースの一閃は、
ゾンダーの核を抉り出しその胴体を真っ二つにした。
核を回収してもまだ戦いは終わらない。今回の最終目標はゾンダーメタルプラントの破壊なのだから。
ジェイキャリアの牽引ビームがぼっこんぼっこん地面を掘り返し、
地下で育まれていたプラントを露出させるや、その巨体が三万二千トン以上もの重量を活かして飛び掛り、
親の仇とばかりに踏みにじる。
さらにダメ押しとばかりに、艦首に内蔵されたジェイクォースのエネルギーチャージャーから
Jパワーの奔流を叩きつけ、ゾンダーメタルの残骸を焼き払ってゆく。
直立した怪鳥が口から火を吐き、目から怪光線を放ちながら暴れまわっているようなその戦いぶりは、
まるで特撮映画の怪獣そのものであった。
その後、連れてこられたマユによって無事にゾンダー核は浄解され、
素体となったマサヒロと発電所の作業員は解放されることとなる。
その戦いの一部始終を、遥かな天上から見届ける者がいた。
モニターには今まで行われてきたジェイダーたちの戦闘記録が映し出されている。
「────流石のソルダートJといえど、数でかかられればこうもなるか」
長く艶やかな黒髪を切り揃えた長身の麗人は、今回の戦闘でもたらされた周辺の被害に
眉をひそめると画面を切り替え、黒地に赤、黒地に青という二種類の戦闘機が数多く並ぶ格納庫を映し出して、
その美貌に自信ありげな笑みを浮かべた。
「やはりオーブを守るのは我らサハクの役目。我が庭を荒らす害虫共よ、
この力とくとその目に焼き付けるがいい!!」
宇宙ステーション『アメノミハシラ』に、ロンド・ミナ・サハクの哄笑がいつまでも響いていた……
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
オーブに上陸した過去の亡霊。立ちはだかる無数のゾンダーMSの前に、
流石のジェイダーも苦戦を強いられる。
負けるなジェイダー、ジェイキャリア。モルゲンレーテを守りぬけ!
その時、空の彼方から救いの女神が舞い降りる。
勇者戦艦ジェイアスカ、NEXT『銀と金』にメガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ! 『空中空母タケミナカタ』
投下終了。
勇者のお約束、通信ブレス登場&ジェイダーフォームアップの巻。
ガガガの「ゾンダー先生」を参考にしつつ、いかに被らないようにするか苦労した。
あと小学生の頃って学校のトイレで大きいのするだけでいじめられたりするよね。
そういうのを理不尽に思った人はきっと多いはず。
GJ!
おお!Jバトラーにだけ使った牽引ビーム!
面白かった!乙です!
職人相談スレでガンクロにコメント欄付けようかと言う話があるが
語る側、読む側としてはこれどーよ?と聞いてみるテスト
付けてもいいと思う。時間が経ったりしてレスし辛くなったりすることとかたまにあるし。
518 :
一尉:2010/01/16(土) 19:43:31 ID:???
あの小話君は。
うぜえのが帰ってきやがった
規制解除しなくていいのに
行きつけのTF系サイトでNAKATAが出たからもしやと思ったら……まあ、これ以上は気にしない方向で。
自動スレ保守機とでも思っておけば。
ディオンかなにかが規制解除されたって聞くけど、そこから?
522 :
一尉:2010/01/19(火) 20:09:27 ID:???
まあな、保守やで。
遅れながらGJ
そして、ボーンガイストとドライアス様の中の人の冥福を祈る。
早すぎるよ…スパロボでダイノガイスト様とドライアス様とが共演するのを夢見てたのに…
ご冥福を御祈りします。
本当に早すぎだよな……ちょうどエクスカイザーのDVD借りて見てたところで知った。
郷里さんのご冥福をお祈りします。
>>524 ブレサガ1ではダイノ様もドライアス様も出ていたんだけどね。
顔合わせはしなかったけど…orz
527 :
一尉:2010/01/20(水) 23:36:20 ID:???
そうたね、ガンダムで演じにしてた人なんだ。
最近静かだけど、規制にかかってる人多いんだろうか?
お正月とか酷かったし
今AUとかの携帯電話が規制されてるからな
ho
531 :
一尉:2010/01/28(木) 18:54:01 ID:???
あの、小話君は。
キラクスに駆除されます
小話氏ーっ!!俺だーっ!!続きを見せてくれーっ!!
534 :
一尉:2010/01/30(土) 12:03:52 ID:???
遅いよ小話君。
保守
ほ
537 :
一尉:2010/02/14(日) 21:06:44 ID:???
何やっているんだい小話君まだですか。
近日ダイノガイスト様御降臨との噂を聞いて
こんばんは。こんどの土日を目処に子連れの続きを書いています。
いまさらどの顔で投下する気じゃボケェ、とは思いますがお許しいただければ幸いです。
内容的に、最終回の後よりもさらに強いラスボスと初期合体状態の主人公の闘いとなりますので、マイトガインファンの方は避けられたほうが良いかもです。
では、土曜か日曜に又お会いできることを祈りつつ、このへんで失礼致します。
ボス来るーーーー!!!
ワクテカしながら待っています!
強敵→敗北→パワーアップは勇者の理なので無問題ですよ。
ブラックノワール=負債って事か?
542 :
一尉:2010/02/17(水) 19:30:48 ID:???
あの、小話君は。
さてと、そろそろ全裸待機するか
こんばんは。プライベートで忙しくて遅れてました。
上手くいけばこちらもダイノガイスト様の後あたりに投下できるかもしれません。
それでは。
待ってました!!二人とも頑張ってください。
546 :
一尉:2010/02/20(土) 18:08:48 ID:???
支援にして置くよ。
660氏が規制に引っかかったそうなので、
避難所より代理投下させていただきます。
子連れダイノガイスト 第十五話 ヌーベルトキオシティに闘いの鐘が鳴る
生命の源流たる海の上に、人の手によって作り出された大地が浮かんでいる。土と木と花と生命のなれの果ての死骸によって作られた、天然自然の大地ではない。
数多の金属とコンクリートとケーブルをはじめ、人の英知と技術が生み出した人造物によってその基礎から構築された鋼の大地である。
地面の質感をわずかほども望めぬアスファルトの地面には、瑞々しい緑の葉の重みで枝をしならせる木々の代わりに、数十階をゆうに越える高層建築物が無数に聳えている。
この数年で無慈悲で容赦ない荒廃の轟風に晒された地球圏では、数えるほどしかない文明の香りを残す一大人造都市ヌーベルトキオシティ。
全てが人の手を経て生み出された都市の上で、いま、二体の巨大な人型ロボットが対峙していた。いや、対峙の段階はすでに過ぎ去り、決着がつく寸前というべきであろうか。
雷神が背に負う太鼓状のビームランチャーと朱槍を携えた歌舞伎武者風の巨大なロボットは、巨体のあちこちから黒煙を噴き、明らかに機動力を損なってもはや碌に動く事も叶わぬと見える。
歌舞伎ロボットを前に、黄金の車輪を赤い鍔の中で回転させる黄剣を振りかざす機影が一つ。
新幹線の類らしい旧世紀の車両を両肩に持ち、胸には巨大なスチームブルーのSLの先頭車両が威風堂々とその巨大な質感を誇っている。
それぞれの手足は太い四角形で構成され、列車の車両がそのまま手足に変わったようである。
巨体を支える四肢の末端に至るまで途方もないパワーが秘められているのは、一目瞭然であった。手足のみならず機体全体が目にも鮮やかな色彩に彩られ、見る者に頼もしさと安堵感を与える。
その巨大な影の名はマイトガイン。このヌーベルトキオシティにおいて絶対的な希望の光、頼もしき正義の守護神として万呼の歓声を持って迎えられる勇者だ。
胴体と両足を構成する超巨大SLロコモライザーと両腕を構成するマイトウィング、ガインの三機が合体する事で完成する旋風寺コンツェルンの資金力とロボット工学の粋を合わせた希代のマシンである。
マイトガインの頭部のフェイスガードと、透過性カバーによって保護されているコックピットの中で、パイロットスーツというにはいささか軽装姿の少年が、両手に握るストッロルレバーを一気に押し込みながら、相棒とタイミングを合わせる。
「ここで勝負をつける。行くぞ、ガイン!」
『ああ、この一撃で決着だ』
まだ十五歳という若輩の身ながら、国際怪物企業旋風寺コンツェルン総帥にして、ヌーベルトキオの守護を担う勇者特急隊の隊長も務める智勇兼ね備えた麒麟児、旋風寺舞人だ。
紺碧色の瞳に強い正義感と不屈の闘志、恐怖を踏破する勇気の光を輝かせながら、相棒である人格を有する超AIマイトと気迫を重ね合わせ、二人の心と三つの機体が一つとなったマイトガインが空を飛ぶ。
膝を曲げ跳躍の為の力を貯め込み、一瞬の爆発に開放する。マイトガインの規格外のパワーの開放は、踏みしめていた大地に巨大な蜘蛛の巣状の罅を広げ、局所的な自信が起きたのかと見間違うほど。
急激なGが全身に掛かるのを感じながら、マイトガインは剛体の質量をもった物質と変わる寸前の咆哮を放つ。
『ハアアアアーーッ!!』
振り上げられた動輪剣の刃に切り裂かれた風が、ぐおう、と断末魔の叫びをあげる。
太陽の黄金光を背に空の青へと飛び上がるマイトガインの勇ましさよ。両手で振りかぶった動輪剣の一振りに晒されれば、無事でいられるものはこの世にあるまい。
マイトガインは足裏と背のバーニアから白炎を噴きあげて、斬撃の威力が最大限となる位置で一気に降下へと移る。
圧倒的な機体の大質量と人機の二心が一体となって放たれる無色の、しかし押し寄せる津波の如き怒涛の気迫は、打たれた者の心を芯から竦ませる強さ。
これまでの戦闘の損傷によって満足に動けなくなった歌舞伎ロボに、気力充溢したマイトガインを迎撃する武装も運動性もなく、なんとか立ち上がろうともがく素振りを見せるきりだ。
「動輪剣――真っ向唐竹割!!」
舞人の喉から迸る裂帛の気合。振り下ろされる刃が雷光と化したかの様に速い迅雷の一刀が、縦一文字に黄金色の輝線が天から大地へと描かれる。ぎん、と聞いた者の背筋を凍らせる鋭い斬断の音色が響き渡る。
紫煙
アスファルトに足首までめり込ませながら剣を振り下ろした姿勢で着地したマイトガインが、ゆっくりと立ち上がり、背後で真っ二つにされた歌舞伎ロボが天まで焦がす様な盛大な爆発を起こした。
赤黒く燃え上がる爆炎を背に、右手に動輪剣をさげたマイトガインの勇壮な立ち姿に、周囲で遠巻きに見守っていた市民達が一斉に歓呼の叫びを挙げ――そこで世界が停止した。
まるでマイトガインがいる世界がブラウン管の向こうの世界の出来事で、それを眺める傍観者が停止のスイッチを押した様な。
それほどまでに完全にマイトガインとそれを取り巻く世界は時の流れから忘れ去られて、動くことを止めてしまっている。
「――これが本日、ヌーベルトキオシティでショーグン・ミフネの歌舞伎ロボットとマイトガインとの間で行われた戦闘の模様です、ボス」
リモコン片手に背後を振り返った女性は、宇宙海賊ガイスターの母艦である継ぎ接ぎ戦艦サンダルフォンの艦長を務めるナタル・バジルール地球連合軍元少佐である。
地球連合の軍服を改造したくるぶしまである真っ白いコート姿で、背に鉄の杭でも刺さっている様なきりりとした立ち姿に、凛とした光を称える瞳の美しさは、首元から左目の目元を覆う凄惨な火傷の痕を考慮しても美女と呼ぶに値する。
日本の時節は夏の頃間であるが、生まれ持った体は約半分ほどしか残っていない身の上である為、寒さや暑さに対しての耐性は一般的な人間をはるかに上回る。
まっとうな肉体の持ち主であるマユやシンに比べると、極寒の地や灼熱の大地をはじめとした生命にとって劣悪な環境に身を置いても、長時間耐えられるものだ。
二、三発くらいなら軍用ライフルの弾丸を掴み止められる程度の身体能力に過ぎない。肉体的には変貌を迎えても、ガイスターに拾われる以前と変わらぬ凛々しさを秘めた瞳で、はるか頭上にあるダイノガイストの瞳を見上げて反応を待つ。
ヌーベルトキオシティ沖合の海底に身を潜めるサンダルフォンに帰艦したダイノガイストに、マユとシンが遭遇したマイトガインの戦闘の記録を紹介していた所である。
行動を起こすまでシティの超一流ホテルでのんびり贅沢宿泊をするはずだったマユとシンのアスカ兄妹も、急遽予定を変更してサンダルフォンへと戻って来ていて、この場に同席している。
世界中の遺跡の定期調査を終えてサンダルフォンへと帰還したダイノガイストは、いつも通り恐竜形態に姿を変え、その二足歩行の巨大爬虫類ボディ用の歪な形状の玉座に座している。
振るえば駆逐艦程度一撃でジャンクに変える尾は興味無さげにだらりと零れ落ち、鋼鉄の肘掛けを叩く爪のリズムも一定のままで、目的としたはずのマイトガインへの興味が失われたかのようにさえ見える。
二年近い付き合いの中でもこのような様子は珍しく、シンと艦長の二人はときおりちらっとダイノガイストの暗黒の顔色を伺っている。ま、装甲の色なので機嫌がどうであろうと変わるものではないが。
付き合いの長さでいえばさほどシンと艦長の二人と変わらない筈なのだが、マユばかりは一見不機嫌そうに見えるダイノガイストの態度の奥に隠れている真意に気付いている。
何気ない所作の違いと、ダイノガイストが無意識の内に発している雰囲気の変化を敏感に悟っているのだが、どうしてわかる? と聞かれてもマユ自身明確には答えられないだろう。
時にダイノガイスト自身も気付いていないダイノガイストの感情にも気付けるマユが、この時のダイノガイストの反応をどう捉えていたかというと――
(ダイノガイスト様、嬉しそう)
剣を交える前からマイトガインとの戦いを心から楽しみにしていると、マユには分かっていたようだ。
ダイノガイストの気持ちを察しているマユの様子を、シンと艦長がじっと観察していた。自分達のボスの機嫌の良し悪しを把握するのに長けていないと自覚している二人は、そのような時にはマユの様子を見れば判断が着く、という結論に至っている。
ダイノガイストの機嫌がいいとマユは笑顔になる。
ダイノガイストの虫の居所が悪いとマユは心配そうな顔をしたり、不安げな顔になる。
つまりはマユを介する事でダイノガイストの機嫌が推し量れるというわけだ。そしてこの方法は十中八九外れの無い方法であり、シンと艦長の着眼点はなかなか的を射ている。
支援
無論、いかにマユとてそもそも生命として根本的にかけ離れているエネルギー生命体であるダイノガイストの思考を完全に把握しているわけではない。
マユが感じた通りに、ダイノガイストがマイトガインとの戦いを楽しみにしているのは事実だが、より正確に言えばその戦いの後の方に期待を寄せているというべきだろう。
そもそもダイノガイストはこの時点でマイトガインが自分に勝てる見込みはまず無い、と彼我の戦闘能力の差から冷酷に、しかし至極客観的に結論を出していた。
ダイノガイストが永遠の宿敵グレートエクスカイザーに敗れ、傷ついた体のままこのコズミック・イラの世界で目覚めてから、一日として宿敵との再戦を意識しなかった日はなく、その日に向けて常に仮想戦闘を重ねてきた。
鋼の肉体が万全の調子を取り戻してからは、データとしてインストールしていた地球に存在する各種の剣術や戦闘技術を、自己の肉体で扱えるモノを選抜して徹底的に学習し改良を施して自らの血肉に変えている。
これまで手に入れて来た肉体の中でも最高の戦闘能力を備える現在のボディに、人類が数千年をかけて培った技術を取り込み、折れぬ矜持と絶望や諦めなど欠片ほども有していない強靭な精神が組み合わさったのが今のダイノガイストだ。
かつて月面で演じた最後の戦いを今再現する事が叶うならば、あのグレートエクスカイザーを相手にしても確実に勝利を得て見せよう。
故に、ダイノガイストはマイトガインを己と対等に戦う事の出来る力量を持った好敵手である事よりも、エクスカイザーとの前哨戦と見做せる程度の力量と、宿敵と似通った精神を持った強敵であればよし、としている。
その認識は、たしかに両者の戦闘能力の差を鑑みれば無理もないものではあったが、同時にダイノガイストは、マイトガインが敗北の泥濘に塗れた後の姿にこそ、真に期待を寄せているとは、前述したとおりだ。
エクスカイザーとて、ダイノガイストが自ら戦いの場に姿を現すようになってからは、幾度となく苦汁をなめさせられ、地に這いつくばらされた事もあった。
それでもかの宿敵は圧倒的な力の差を目の当たりにしても、何度でも立ち上がろうとし、最後の最後まで抗う事を止めようとはしなかった。
もがき、苦しみ、敗北の影がひたひたと近寄ってきても、エクスカイザーとその仲間達は諦めるという言葉とは縁遠かった。
弱者の悪足掻き、と当時は蔑みながらも、ダイノガイストは立場も生き方も全く異なる彼らのその姿を心のどこかで認めていたのである。
宇宙最強と畏怖されたその圧倒的な暴力で肉体を打ちのめす事は出来ても、その気高い不屈の心を砕く事はついぞ出来なかったのだから。
だから、マイトガインがダイノガイストとの戦いに敗れた後、その心を折らずに再び立ち上がった時、そこにはエクスカイザー達と同じ輝きを持った誇り高く強靭な精神を見る事が出来るに違いない。
そして必ずや、ダイノガイストに準ずるか、ひょっとすれば比肩するほどの新たな力を得て再び目の前に姿を現すことだろう。そう、その時こそ真にマイトガインはダイノガイストの敵となり得るのだ。
自らの手で強大な敵を育てるにも等しいというのに、ダイノガイストはマイトガインがより強く、より巨大な敵となって自分の前に立つ未来をはっきりと待ち望んでいる。
『ふん、ユニウスセブンの時よりも動きが良くなっているようだな』
と、ぶっきらぼうに言いつつも、ダイノガイストの青い瞳の奥では期待の光のわずかに明滅しつつあった。
なんとなくニタリ、といかにも悪役らしい笑みを浮かべていそうだな、と心の中で思いながら、ダイノガイストに声をかけたのはシンであった。
「アンタがマイトガインと戦っている間、おれ達は何をしていればいい?」
ガイスター四将のみならずダイノガイストの気性を知る者がいたら、こいつは死にたいのか、と言いたくなるような、あまりにぶっきらぼうで突っかかるようなシンの物言いである。
当のシンは、自分のダイノガイストに対する言葉遣いがかなり危険なものであるとは露とも知らず、頭の後ろで手を組んだ姿勢のままダイノガイストを見上げて答えを待っている。
戦火に晒された後のオーブの避難所生活の時に、ようやくマユの下へと帰ってきたダイノガイストを相手に、最初からこういう口の利き方をしてきたから、シン自身は自分の言葉づかいを改めるつもりはまったくない。
ダイノガイストの方もシンの態度に関しては特に思う所が無いのか、マユの残る唯一の肉親という事で特別に許しているのか、シンに叱責の言葉ひとつ投げかけた事もない。
まあ、密林に放り込んだシンを恐竜形態で追い掛けて、二十四時間不眠不休で逃げ回らせた事はあるけれども。
しえん
シンにしてもダイノガイストに対する態度に関しては、本人からすればいろいろと言いたい事があるのだろう。
可愛い妹が心寄せる相手が異星人で、おまけにどういうわけなのか恐竜・戦闘機・ロボットと三形態に変形する機械だわ、おれ様な性格の宇宙海賊という超弩級の犯罪者だわ、と複雑どころではない事情がある。
さらにシン自身多感な時期に目の前で両親を殺害され、この世で二人きりになってしまった家族のマユを自分が守らなければならない、という使命感と義務感と脅迫概念を抱き、また逆にマユに依存している所が少なからずある。
ゆえに、ダイノガイストが自分たち兄妹にとって命の恩人であり頭の上がらない相手である、と分かってはいても素直に感謝の言葉を吐く事も出来ず、態度を改めるでもなく今に至っている。
肘かけを叩く爪を止めて、暗黒色の暴君竜が比較すればあまりにもちっぽけな少年を見下ろす。同じ目線に立つ事はないが、相手の目を見て話をするあたり、ダイノガイストなりに身内と認識している相手に対しては、きちんと対応するようである。
旧ガイスターでも失敗ばかりの部下達に対して、怒鳴りつけたり火を吐いて怒って見せたりした事はあったが、直接的に暴力を振るった事は無かったし、そう言ったあたりが四将達に慕われていた要因なのだろう。
『こんかいはお前達に出番は特にない。おれが姿を見せるだけで奴をおびき寄せるには十分だ』
暖かくもなければ冷たくもない、事実を確認するだけの淡々としたダイノガイストの言葉である。シンの方は出番なしと知って、楽チンだ、と思うのと、詰まらないなという気持ちが半分ずつまざった表情をしている。
生来の血の気が多い性格と、自分に出番がないという事は、マユはさらに出番がないという事で安心する気持ちの妥協の結果といった所か。
シンの年齢相応の子供っぽい態度に、艦長は微笑ましいものを覚えて柔らかな笑みを浮かべる。
宇宙海賊家業(活動の九割は地球上だが)という裏稼業街道を突っ走る生活を送っているというのに、普通の少年らしい性格を維持できているのが、保護者を自認している艦長としては嬉しかったのである。
ここはボスの言う事に一理ある事を告げておくか、と艦長は薄い色合いのルージュをひいた唇を開いた。
「シン、ボスの言う通りだ。このヌーベルトキオシティは東アジア共和国の中で治外法権に近い権限を持つ特異な街だが、その為に共和国の軍が介入する事態に至るまでにひどく時間がかかる。
その分、警察の保有するレベルとしてはかなりの装備が宛がわれているし、旋風寺コンツェルンの差配で警備態勢も万全だがな」
「その割になんか巨大ロボットを使った犯罪が多発していますよね。毎回えらい額の被害になっているだろうし、治安がいいんだか悪いんだか分からない街だなあ」
都市とそこに住む人々の放つ光が強いほど、その光が落とす影は暗く深いものになるのか、ヌーベルトキオシティは世界有数の巨大ロボット犯罪の発生率を誇る、という汚点を有している。
発生したロボット犯罪に対する抑止力という立場にマイトガインを筆頭とする勇者特急隊が存在しているのだが、彼らは軍隊や警察に消防、医師と同じく活躍の機会が少ない事こそを誇るべき存在である。
その彼らの活躍が、テレビ、ニュース、インターネット、新聞と多くの情報媒体を賑やわかしている事実は、決して歓迎の声だけで迎えられているわけではない。
彼らの活躍の数だけ犯罪が起こり、少なくない被害が発生して生活を奪われ涙する人々が必ず存在しているのだから。
機動兵器――MS同士の戦闘に巻き込まれて両親を失ったシンとしては、同じような巨大ロボットが犯罪を起こし、またそれに対するカウンターである勇者特急隊との戦いには、必ずしも良い感情ばかりは抱けぬようだ。
せっかく妹と水入らずの休日を過ごしていたのに、それを邪魔された事に対する怒りがまだ燻っていたのもあるだろう。
むすっと顔を膨らませてシンが子供っぽく不機嫌さを露わすのを、マユは困った様に見つめていたが、不意に何かを思い出した顔をする。いつもの作戦会議にしては顔ぶれが足りていない事に今更ながら気付いた様である。
弾幕足りるのか
紫煙( ゚Д゚)y─┛~~
「……そういえばアルダさんは、いまどこにいるんだっけ?」
「……んん? 言われてみれば定時連絡がこないな」
ああ、そういえば、と世間話でもしていたみたいな調子で艦長も、マユに言われてようやく冷笑癖のある金髪サングラスの顔を思い出したらしい。
アルダ・ジャ・ネーヨはMSの操縦技術、戦術・戦略を見据えた広い視野、高い判断力と先見性、裏社会に通じるコネクションと新旧ガイスターの中でも極めて有能な人物なのだが、メンバーからは割と微妙な扱いをされているようだ。
艦長の場合はまだナタル・バジルールと名乗っていた自分から因縁のある相手なので、含みがあっても当然なのだが、マユからさえかような扱いを受ける辺り、アルダの普段の行動に問題があるに違いない。
『ヤツならば殺しても死ぬまい』
ましてやダイノガイストなど路傍の石を見た時の反応に等しい冷たい一言で済ませてしまう。当人がこの場にいたら、まるで心配しないのは私の事を信頼しているかだろう、と皮肉気に笑いながら言ったに違いない。
*
そして話題に挙げられていたアルダはというと、ヤキン・ドゥーエ戦役で半壊したプロヴィデンスを、ガイスターロボ化した超絶高性能MSプロヴィデンスガイストのコックピットの中に居た。
ユニウスセブン落下阻止の際に、ジャンク屋ギルドの根拠地となっていたジェネシスαをユニウスセブンに向けて発射させるために、別行動を取って以来の登場である。
すでに一週間以上ダイノガイスト達と離れ離れになっているが、ニュートロン・ジャマーの電波妨害作用など問答無用で無視するエイリアン・テクノロジー応用の通信機があるから、連絡をとるのに問題は無い。
無いにも関わらずなぜかアルダはマユや艦長達と連絡をとることをしなかった。これにはアルダなりの事情がある。アルダはMSを操縦している時も外さないサングラスで目元を完全に隠した顔に、笑顔を張り付けていた。
星明かりの無い暗黒の夜空に浮かぶ三日月のように、その口元が裂けて笑みを浮かべる。
目にしたもの全てに背筋が凍る思いをさせる狂気的な笑みであった。
「く、くくく、ふふふはははっははははっはあはあはっはは!!!!! あーっはっはっはっは」
それは聞く者全ての鼓膜を貫き認識した脳髄を腐敗させる狂気的な音色を含んだ大哄笑であった。
アルダが笑う。嗤う。哂う。嘲笑う。
知性、理性、道徳、倫理、論理、合理、正気、狂気、凶気、どれもが欠け落ちて人間の心を構成する感情や情緒が壊れているのだと、はっきりとわかる声の何と言うおぞましさよ。
その声に打たれて震えた耳を引き千切り、音の波を言語に変えて伝えた鼓膜を突き破り、認識した脳を頭蓋骨から引きずり出して叩き潰す衝動に駆られるであろう。
「くはははあはあああっはっははは、見える。見えるぞ!! レイ、ムウ、私には見える、私にも見える!! あははは、くふくふくふふふははははははははははっはははははははっは!!!!」
見える?
一体何が見えるというのだ。
聞く者の心を後悔という名の底なし沼に引きずり込み、不安と恐怖と焦燥が渦巻く嵐の中に放り込む声を上げながら、アルダよ、人の手で作られた人よ、お前には何が見えるというのか。
かつて加速的に年老いて醜く皺の刻まれた顔と世界の破滅を願う真意を、白い仮面の奥に隠した男の目には、一体何が像を結び、映し出されているのか。
それはアルダの策略に嵌り、四肢は崩れ落ちて地に這いつくばり生命の光を失ったダイノガイストの屍か。もの言わぬ躯と変わり果て互いを庇いあう様にして重なるシンとマユの死骸か。それとも二度目の終焉も艦と共にしようとする艦長の死微笑か。
一度死を迎え、ダイノガイストに拾われて生を得て、その心は変わったはずではなかったのか、アルダよ。自分という存在を生み出した人類の業を、果てのない欲望を憎み、人類という種の滅亡を望む心を捨てたのではなかったのか。
ガイスターで過ごした日々は、お前の心に何の変化ももたらさなかったのか、その心の中にごく普通の、人間らしい感情を蘇らせたのではなかったか。
アルダよ、お前は、何を見ているのだ?
sien
「ああ――見える、見えるのだ、私には。そう………………ネロとパトラッシュの昇天する姿が!!!!!!」
サングラスの奥に隠されたアルダの瞳は虚ろに揺れ惑い、白一色に染まっている正面モニターをあてもなく彷徨っている。
その双眸には、栄養不足から頬は削げて血の気の抜けた少年と寄り添う様に横たわる犬が、天から差し込む光に吸い込まれる様子が映し出されているのだろう。
この時、アルダの吐く息はダイヤモンドダストに変わったかのように白く凍り、その口元にはうっすらと氷の被膜が被せられているかのようだ。そう、アルダはいまや凍死寸前であった。
彼の見た幻や狂気に凌辱された精神の上げた笑声はすべて、生命を維持できるぎりぎりまで追い込まれつつあるアルダの精神が別世界にトリップしていたせいだ。
では、なぜアルダが凍死寸前にまで追い込まれて、思考がかなりアレな感じなってしまっているかといえば答えは以下のとおりとなる。
ジェネシスαでザラ派残党とジャンク屋の戦闘に介入した後、プロヴィデンスガイストが大気圏に突入した際に誤って、デブリと衝突してしまって進入角がずれてしまい、ブリザートが吹き荒れる北極に落下してしまった。
それでも合流しなければと南下を始めたのは良かったのだが、その途中でプロヴィデンスガイストのエアコンが壊れてしまい、コックピットの中がマイナス数十℃という状態になってしまっている。
下手なパワードスーツや旧型の戦車位なら、素手で解体するガイスター・サイボーグとなったアルダにも、この極寒地獄は耐えかねる環境らしい。
アルダがまるで予測もしていなかった過酷な状況に追い込まれてしまったことのはじまりは、やはりプロヴィデンスガイストが大気圏突入時にデブリと衝突してしまい、合流予定が完全に狂ってしまった事だろう。
ジェネシスα戦後すぐにダイノガイスト達と合流する腹積もりであったアルダにしてみれば、落下予定地点が狂ってしまった事は舌打ちの一つもしたくなるミスだったが、どうせだから観光でもするかと気分を変えた。
予定通りならば遠くてもオーブか、近ければ日本にいるマユ達の下へと、ミスの事は忘れてのんびり穏やかに南下を始めたのである。
道中、プロヴィデンスガイストで空を飛びながら、シロクマの親子やセイウチなどを遠目に眺め、ピロシキやボルシチやらキャビアやらに舌鼓を打ったのは良かった。
気分を変えて機体を降りて、シベリア横断鉄道に乗り込み乗り合わせた乗客らと飲み交わすアルコール度数のバカ高い酒は実にうまかった。
だが、その後に問題が起きた。機体を降りて自分だけ楽しんだのが良くなかったのだろうか、プロヴィデンスガイストの暖房が煙を噴いてぶっ壊れてしまったのである。
折悪しく氷混じりの吹雪が吹き荒れてモニターが完璧に雪に埋もれて視界の利かない状態で、である。
肉体の大半をガイスターロボ化したアルダであるが、さっきから歯はがちがちと砕けそうな勢いで音をたて、操縦桿を握る指はとっくに凍りついていそうだ。
パイロットスーツを着ていれば問題は無かっただろうが、ダイノガイストに拾われる以前の癖を発揮してしまって、私服姿で機体に搭乗していた為に防寒対策が欠片もない格好なのである。
鉄道に乗った時に毛皮のコートと帽子や手袋、マフラーを購入していたが、シートの後ろの方にしまってあるそれを着こむ事を思いつくだけの判断力は、すでにアルダから失われつつあった。
マユ達に忘れられていたアルダは、誰にも知られぬところで地味に、密かに静かに、人生最大級のピンチを迎えていた。
がんばれアルダ。負けるなアルダ。諦めたら死が待っているのだから。
(-∧-)
( ´ー`)y-~~
さて、アルダがシベリアの極寒地獄にどはまりして生死の境を彷徨っているとは露知らず、ダイノガイストは予定通りにマイトガインとの戦いのお膳立てを進めていた。
とかく巨大ロボットを悪用した犯罪の多いヌーベルトキオシティである。マイトガインとの戦闘を予定していたというのに、先に暴れられでもしたらこちらの勢いが削げるというもの。
ガイスター以外のロボットが暴れてマイトガインが出現しても大きな問題があるわけではないが、下手に消耗したマイトガインと戦っても面白くない。
そのためガイスターロボを使ってマイトガインをおびき寄せる予定なのだが、それより先にどこぞの犯罪者が作った巨大ロボットが出現した際には、ダイノガイストがこれを瞬殺しそのままマイトガインの出現を待つ手筈となっている。
最初からダイノガイストが姿をさらせばそれで済む話であるのだが、そこはそれ、真打ち登場の前には前振りというものが必要なのである。
都市上空でダイノガイストが待機している頃、母艦サンダルフォンは海底に潜伏し、マユ・シン・艦長、そしてテレビロボの三人と一体は、艦橋の正面モニターに映し出されるヌーベルトキオシティの光景をじっと見つめていた。
光学迷彩と重力制御による無音浮遊能力を備えたヘリのラジコンをベースにした小型ガイスターロボを飛ばし、画像を受信して映し出しているのだ。
巨大ロボが暴れてさえいなければ、ヌーベルトキオシティはエイプリルフールクライシスや、防がれたとはいえユニウスセブン落下という史上空前規模の災害に見舞われた地上の上とは到底信じられない繁栄ぶりだ。
地球連合と深いつながりのあるセイラン家主導のもと見事に復興したオーブと比べてみても、見劣りしないどころか上回ると言っていいほどの超近代都市が形を成している。
しかしこの繁栄こそがこの都市に他に例を見ない大犯罪をもたらす原因であり温床ともなっていると考えると、なんとも皮肉ではないか。
そびえたつ巨大ビル群の落とす影よりさらに奥深い闇の中に息を潜める犯罪者達を、この街の豊さが引きつけ、育てているのは確かな事実なのだ。
そしてこの光輝くが故に深い影を落とす街を舞台に、新旧ガイスターを束ねる首領ダイノガイストが降り立ち、ヌーベルトキオシティの守護者マイトガインを討ち果たす為に戦おうとしていると、シティの誰も知らないのだ。
我知らず汗を握る自分の手に気づき、シンはそれを服の裾に押し付けて拭い、ごくりと音を立てて生唾を飲み込む。わずかに体を強張らせている緊張がほぐれる。
シンはダイノガイストに対しては思うところ様々あれども、その戦闘能力に対しては絶大な信頼を寄せている。
ユニウスセブンで目撃したマイトガインの戦闘能力は確かに目を見張るものがあったが、それでもダイノガイストの勝利はまず揺るがない――それがシンの考えだ。
だが、テロリストたちと戦っていた時のマイトガインの勇姿を脳裏に思い起こす度、シンはかすかな不安のとげで心を突き刺される思いに駆られる。
マイトガインの力とは異なる何かが、シンのダイノガイストに対する信頼を揺るがせる。シンは自分の左隣りでモニターを見つめている妹の様子を伺う。
信頼の度合いははるかに自分を上回るこの妹が、はたして今回の決闘をどう思っているのか、気にならないと言えば嘘になる。
避難所生活の時のように幼い聖女の如く祈っているのか、それとも揺るがぬ信頼の光を宝石のように輝く瞳で見つめているのか。
どちらも正解といえ、どちらも外れといえた。
マユはただ、無垢な瞳でモニターに映る光景を一瞬たりとも見逃すまいと見つめている。それは絶対の信頼を寄せている様にも、必死に不安に揺れる心を押し隠し通そうとしている様にも見えた。
だから、シンはただ心の中でダイノガイストに告げるだけであった。二年前の、あの時のように。
(格好悪い所見せて、マユを泣かせるような真似はするなよ、ダイノガイスト!)
ヌーベルトキオシティのあちこちに存在するあらゆる類の時計の針が午後十二時を指示した時、シティのある一角で都市全域に轟き渡る爆音が生じ、黒煙が噴き上がった。
対マイトガイン戦の前段階。ガイスターロボを使った勇者特急隊をおびき寄せる作戦の始まりである。
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紫煙
C
*
ヌーベルトキオシティは最先端科学の凝縮した一大都市であるが、それ故に一日の内に排出される廃棄物の量も多大なものになる。
巨大な人工島内部に設けると景観を損なう事や発生する異臭、立ち上る黒煙が問題視されて、大概のゴミ処理場はシティの外縁部に設けられた小島の上に設けられている。
その大量の廃棄物、いってしまえばゴミを処分する大規模ゴミ処理場の一つに投下されたエネルギーボックスが、ダイノガイストの合図によって起動し、周囲のジャンクを取り込みながら巨大なガイスターロボへと姿を変える。
午後十二時を合図に出現したガイスターロボは、廃車や運用期間を越えたワークローダー、ジャンクとなった旧式のMSから、電子レンジ、冷蔵庫、テレビ、エアコンといった家電を取り込んで、その姿を露わにする。
巨大な一匹の蛇のように無数の廃棄物を組みこんだジャンクガイスターロボは、頭頂部に巨大な蛇の頭と無数のMSの腕を脇にはやして武器を持った外見だ。
溶接用のレーザーバーナーを備えた尾先から、ゴミを成型した弾丸を射出するリニアキャノンを内蔵した頭部まで、百メートルに及ぶ巨躯である。
巨大な山をなす無数のジャンクの一角が丸々と消え去ったあとに姿を見せたJGロボに気付いて、ジャンクを管理する会社が設けていた管理事務所に居た所員達が慌てて窓に張り付く。
取り込んだ家電の様々な色に輝く鱗の体をくねらせながら、JGロボはゆっくりと層をなしているジャンクを踏みつぶしながらシティ本土へと向けて進み始めた。
時折リニアキャノンやレーザーバーナー、ジャンクミサイルを撃って威嚇行為を行っている。シティにまで鳴り響いた爆音は、この時放たれたミサイルが巻き起こしたものである。
シャアアアア、と本物の蛇さながらの鳴き声を震わせて、ゴミとエネルギーボックスから生まれたガイスターロボは、創造主に与えられた意図どおりにいかにもシティへ向かって進む様に動きながら、周囲に破壊活動を行う。
もっとも辺りにはプレス待ち、焼却炉待ちのゴミばかりだし、在沖している人間の方も逃げだし始めているから、変な方向に流れ弾が行かない限りは、人的被害はゼロになるはずだ。
街だけでなく人間の方にも被害が出れば、マイトガイン(正確には舞人とガイン)が怒りを露わにして戦う気力を充溢させるだろうが、ダイノガイストはそれを由とはしなかった。
死傷者が出ればマユを筆頭にシン、艦長と新生ガイスターメンバーの半数が悲しみや憤りを露わにするだろうし、そうなればガイスターの中の不協和音はかつてないほど巨大なものとなる。
さしものダイノガイストもその空気は流石に遠慮したいところ。それにエクスカイザーの残した命は宝、という言葉がいまもなおダイノガイストの行動を拘束している。
JGロボが予定通りの行動を取っている事を、そのはるか上空で戦闘機形態のまま観察していたダイノガイストは、マイトガインの出現を沈黙して待ち続けた。
必ず来ると分かっている相手を待ちつづける忍耐は、さほど長くは続かなかった。事業拡大に関する会議を急遽切り上げた舞人が、巨大ロボット出現の報を聞いてすぐさまマイトウィングで出撃した為だ。
重要ではあるが退屈さは否めない会議を切り上げられた事に、すくなからず舞人に安堵する気持ちがあったのは事実である。
旋風寺コンツェルンが事実上の支配者・統治者であるヌーベルトキオシティには、後に完成する勇者特急隊があらゆる場所に赴けるように地上に地下にと場所を問わず専用の路線が敷かれている。
それはシティ本土から離れたゴミ処理場にも言える。非常時に備えて用意されていたルートでゴミ処理場の職員達が右往左往しながら退避するのを横目に、地を走ってガインとロコモライザーが姿を見せる。
専用の路線とあってスピードを気にしない両者の速度は、豆粒ほどに見えたその影があっという間に巨大なものに変わるほどだった。
マイトウィングとガイン、ロコモライザーの姿を確認したJGロボはおびき寄せる役目を終えたわけだが、そのまま陽動から戦闘へと目的を移行する。今度はマイトガインにとってのウォーミングアップの役割を果たす番であった。
一方、ガイスターの思惑など知らぬ舞人は、マイトウィングのコックピットの中でJGロボに厳しい視線を向けている。
これまでヌーベルトキオシティで戦ってきた犯罪者達は、全員が自分の美学ないしは信念を反映させたロボットを使ってきたが、ゴミ処理場に姿を見せたこのロボットはこれまでのどのタイプの機体とも異なる外見だ。
それにロボットの搭乗者がスピーカーから大声で自分達の目的やらなんやらをわざわざがなり立てるものなのだが、こんかいの蛇ロボットからはまるで犯行声明らしい言葉は出て来ず、ただ威嚇の鳴き声を上げるばかり。
試演
(´・l lω・`)
旦~
「こいつ、ジャンクでできているのか? それに生命反応が感知されない。全自動の機体か」
『舞人、気づいたか? このロボットこれまでのモノとは何かが違うぞ』
「ガインもそう思うか。だが、だからといって放置する事も出来ないな」
到底ヌーベルトキオシティの警察の装備で対処できる敵でない事は、短時間の観察でも推察できた。東アジア共和国の軍隊が横須賀基地や伊豆基地から駆けつける前に、シティはこの蛇ロボットによって蹂躙されてしまう事だろう。
あるいはマイトガインをおびき寄せる為の囮かもしれない、と舞人は思考するが、眼下の蛇ロボットはこちらを認識して戦う姿勢を露わにしている。
蛇体の尾を激しく揺らしながら、ガインとマイトウィングを敵と認識して機体各所に仕込まれたジャンクミサイル(材料:家電)や口内のリニアキャノン、MSの装甲を使った牙を剥き出しにしている。
得体のしれない相手に慎重策を取るべきかとも思うが、ここはこちらの最大の力をぶつけて彼我の戦力差を正確に測る、と舞人は判断を下した。この時点における勇者特急隊の最大戦力とは、すなわちマイトガインに他ならない。
ガインとロコモライザーが蛇ロボットを目前に控えた距離で、舞人は勢いよくガインに呼びかけた。
「ガイン、一気に畳みかけるぞ。レッツ、マイトガイン!!」
『了解だ!』
飛翔するとは到底信じられない大質量のロコモライザーに続き、車両形態のままだったガインが、マイトウィングと高度を合わせて逆三角形の形に並んで飛翔する。
後方に位置したロコモライザーの車体後部が盾に折れ曲がり、真ん中から二つに分かれてそのまま青い巨大な足へと変わる。
ガインとマイトウィングがそれぞれの先頭車両を左右外側に向け、車両後部は巨大な腕へと変わり、ロコモライザーの両側部へガイドビーコンに沿って着実に連結される。
ロコモライザーの上部から現われたのは、マイトガインへと合体した時の頭部である。いまだマイトガインとしての意思が宿っていない為、カメラアイは暗黒に沈んでいる。
そのマイトガインの頭部の口の部分には、球状の透過装甲に守られたコックピットがあり、マイトウィングから内部を通じてシートごと移動してきた舞人がそこに座していた。
そのコックピット部分をカバーするフェイスマスクが左右から展開され、舞人を保護する。舞人はコックピットシートの左右のアームレストにある専用のスロットルレバーを握りしめてそれを押し込んだ。
「マイトガイン、起動!」
ガインとマイトウィングの折れた車両最高部からは蒸気と共に五指を備えた巨大な手が回転しながら現れた。
ガインの意思が移った巨体は、白い蒸気を纏う拳を頭上で打ち合わせてから、力強く腕を引きこんでその勇姿を世界に誇るかの様に降り立つ。
かつてユニウスセブンを地球に落とさんと画策したテロリストたちに告げたように、マイトガインは高らかに口上を述べる。
『銀の翼に希望を乗せて、灯せ平和の青信号! 勇者特急マイトガイン、定刻通りにただいま到着!!』
この地球に置いてダイノガイスト最大最高の好敵手となる勇者マイトガイン。ユニウスセブンでの戦いからさほど時を置かずして、再び直に目にする事になったその姿を、はるか上空でダイノガイストは静かに闘志を燃やしながら見つめていた。
ゆっくりと足裏のバーニアから青白い炎を放出して大気を震わせながら着地したマイトガインへと、JGロボは間を置かずに攻撃を仕掛けた。
プテラガイスト製のエネルギーボックスをデチューンしたもので作り出されているために、本家ガイスターロボに比べると若干性能は落ちるが、武装に関しては十分な火力を誇る。
砲戦用MS数機分に匹敵するものがあるとだろう。これだけの火力に晒されれば、さしものマイトガインも軽視できないダメージを負うのは間違いない。
IGロボは大きく開かれた口からリニアキャノンをマイトガインめがけて連続して発射する。超高速で放たれたジャンク弾は、MS程度の装甲なら数発で撃ち抜く威力でもって空中を飛ぶ。
着地の瞬間を狙った回避の難しい射撃に、マイトガインはよく反応し、右に大きく跳躍して鮮やかにかわして見せる。
マイトガインの残像を追ってJGロボは首を巡らしてリニアキャノンを連射し、音の壁を越え、風を撃ち抜く音と共に弾丸は次々とジャンクの山を崩し、鉄の地面に穴をあけて行く。
鎌首をもたげたJGロボはマイトガインの頭上から攻撃する位置にあるから、命中させるのは容易な筈だが、軌道を読ませぬ舞踏の様に軽やかな動きでマイトガインは攻撃を無意味なものにしている。
四円
代理の方お疲れ様でした
残り分の代理投下のお手伝いをしたいのはやまやまなのですが、
規制で携帯からしか書き込めないので。
どなたか可能な方、代理投下を引き継いでください。
573 :
代理2号:2010/02/21(日) 02:14:44 ID:???
それまで不規則に動いていたマイトガインが、リニアキャノンの弾丸補充にかすかにJGロボが動きを止めた瞬間を見抜き、一機にその懐へと飛び込んだ。
迎撃にJGロボが小型のジャンクミサイルを蜘蛛の巣のように放つが、その中をマイトガインはマイティキャノンやマイティバルカン、シグナルビームを使ってミサイルを撃ち落としながら、巨体に漲る45万馬力のパワーを叩きつける。
『くらえ!』
大きく振りかぶった右の拳がJGロボの胴体に大きくめり込む。蛇体そのものをジャンクで構成するJGロボの防御面はひどく頼りないようだ。
苦悶の声を上げて体を震わせるJGロボの体から右の拳を引き抜き、さらに腰の回転をたっぷりと利かせ、体重を思い切り乗せた左の拳を再びJGロボへと叩きこむ!
勢いよく肘までJGロボに左の拳がめり込み、金属を叩き潰し貫く甲高い音が周囲に響き渡り、鋼の蛇の上げる苦悶の声が数オクターブ高くなる。
そのまま拳を引き抜くのではなく、左側に腕を動かして内部からJGロボの機体を破壊する。大小無数のJGロボ内部の部品が、マイトガインの左腕にまとわりつきながら周囲にばら撒かれた。
「こいつ、妙に脆いな」
『やはり我々をおびき寄せる罠か?』
先日戦った歌舞伎ロボやこれまでの敵と比較すると見上げるほどの巨体を誇りながら、装甲が妙に脆弱で、容易くこちらの攻撃が通る事実に舞人とガインは感じた訝しさを隠さない。
とはいえ目の前の敵を斃さない事には次の行動に移れないのは確かだ。再び拳を撃ちこもうとしたマイトガインを、JGロボが大顎を開いて飲み込もうと襲いかかる。
生え揃った牙は到底マイトガインの装甲を貫く事などできないナマクラであったが、それを知らぬマイトガインは素早い反応でその場から後方へと飛び退り、着地と同時に今度は地面に頭をめり込ませたJGロボへと飛びかかる。
最大で700mを優に超す跳躍力を誇るマイトガインは、低い軌道で弾丸のように跳躍し、その途中で動輪剣を引き抜き両手で握りしめていた。
自ら地面に頭をめり込ませ、行動の自由と視覚を封じられたJGロボは、尾を振り上げてレーザーバーナーを四方八方へと照射して、マイトガインを迎撃しようと足掻く。
不規則に振り回されるJGロボの尻尾の動きは予測をつけにくいものであったが、機体に直撃するものを動輪剣の腹で受けとめて、マイトガインは後方へと流していた動輪剣を閃光の速さで振るう。
ひょう、と巨大な金属の塊を切断したとは信じられぬ風が吹いたような音が一つ。
ずる、と滅多やたらと振り上げられていたJGロボの尾が音をたてながら斜めにすべりおち、鮮やかな切断面を晒しつつ落ちる。直径数メートルに達する尾を水のように切り裂いたマイトガインの一刀のなんたる斬撃力。
残心を取り切っ先を青眼に構え直してマイトガインはJGロボを振り返る。JGロボはようやく頭を引き抜き、尾を割かれてバランスの崩れた体の姿勢を保ちつつ、マイトガインに威嚇の咆哮を叩きつける。
だが、それに怯む様であるのなら、舞人とガインに勇者の二文字が冠せられる事は無かっただろう。
『舞人、ここで決めるぞ』
「ああ、動輪剣!」
固く握る動輪剣をJGロボへ見せつける様にして突き出し、赤い柄の部分にある二輪の黄金動輪が勢いよく回転を始めるや、動輪剣の刃を眩く輝く光が覆ってさらに巨大な刀身と化して天を突く。
JGロボさえはるかに上回る巨大な光の刃とかわった動輪剣を両手で握り直して、マイトガインはその跳躍力を最大に生かしたジャンプを行い、降下の勢いを乗せて一挙にその規格外の光刃を振り下ろす!
「――縦一文字斬り!!」
574 :
代理2号:2010/02/21(日) 02:15:53 ID:???
使いどころを間違えたら守るべき市街にも甚大な被害を及ぼしそうな一撃は、お世辞にも頑丈とはいえないJGロボを、一切の抵抗なく両断して見せる。
先ほど尾を切断した時よりもはるかに鮮やかな、いや、すさまじい切断面からは紫電が生じ、機体内部にあるミサイルなどに誘爆してさらに大きな爆発をもたらす。
マイトガインはゴミ処理場を大きく震わせる爆発に背を向けて、血振りの動作で動輪剣に残るエネルギーの残滓を振り払う。
呆気ないほど簡単に決着がついた事に多少拍子抜けする様な気持ちで、舞人は息を吐く。容易に倒せたが、ならばやはりこのロボットは自分達をおびき寄せる罠か?
そのように危惧する考えがちらりと舞人の思考をかすめた時、ガインの警告がその耳を打つ。
『舞人、上空から急速に接近する熱源がある。これは』
「まさかっ!?」
人型へと姿を変えたダイノガイストが、滾る陽光を漆黒の装甲に煌めかせながら、ゆっくりと両腕を組んだ立ち姿で、マイトガインの下へと降下してきたのだ。
ユニウスセブンでほぼ敗北したに等しい苦い記憶が呼び起こされ、舞人の口元からぎり、と歯軋りの音が零れる。マイトガインを上回る巨躯から戦意を迸らせながら、ダイノガイストは音をたてて地に降り立った。
納めかけていた動輪剣を右下方に切っ先を流した構えに持ち直し、マイトガインは両肩よりもやや幅を取って両足を開く。何かあれば前後左右上と五つの方向に、すぐさま跳躍できる。
「このタイミングで姿を見せるとは、先程のロボットはお前の手先か!」
舞人の詰問に、両腕を組んだ姿勢のまま、マイトガインを見下ろしていたダイノガイストが答える。
『その通りだ。貴様をおびき寄せるためのな。ちょうど良いウォーミングアップになったか?』
『なに? では、私達と戦う為にこんな騒ぎを起こしたのか』
『その通りだ、マイトガイン。先日の戦いでおれが残した言葉、よもや忘れてはいまいな。今一度貴様の前に立ち、貴様を容赦なく叩き潰すとな。今日は目障りな貴様を斃しに来たのよ』
ダイノガイストは挑発の言葉を織り交ぜながら口を開き、あくまで悠然と腕をほどき、軽く五指を開いた。戦闘態勢をとるマイトガインに呼応するようにダイノガイストもまた、徐々に戦闘モードへと意識を切り替えつつある。
『さあ、このダイノガイストと戦ってもらうぞ、マイトガイン!!』
つづく。
規制ばっかりですね。ハフン。ダイノガイストとの直接対決には次回で入ります。思ったよりも長くなってしまいましたもので。
ではではジェイアスカ最新話を楽しみにしつつ、今日はこれで失礼致します。
支援です
総帥おかえりなさい
代理投下をしてくださったお二方、ありがとうございました
GJです。
まあ追い詰められて笑うしかない状況ってあるよな……。
教訓としては車にせよMSにせよ日頃から整備を怠るな、ってところか。
アルダイキロ
地球の大自然を愛でる余裕を持てたと思ったら
自然の驚異のせいで人知れず死線をさまようとは・・・そんな迂闊なアルダさんに惚れそうだぜ
よし完成、そして推敲完了! 今から投下開始します。
総帥GJでした。次回コテンパンにされるだろうマイトガインが楽しみです。
くじけるな、勇者特急隊!
────二年前。
遥か宇宙の彼方より、ついに地球圏へ到来したパスダー。だがそれを迎え撃つべく
地球から白亜の超弩級戦艦が浮上する。紅白に塗り分けられた艦体に猛禽を模した面構え。
これこそが、我らが戦士ソルダートJの操るジェイアーク級31番艦ジェイキャリバーだ。
ここで先遣隊たるパスダーを殲滅すれば、地球の機界昇華は大幅に立ち遅れるだろう。
いかに優れた兵器があろうとも、GストーンやJジュエルを持たぬ地球の科学技術は
機界昇華に抗うには脆すぎる。未来のためにも、なんとしても地球の外で食い止めなければならない。
ジェイキャリバーを操るソルダートJは、彼の両親になるはずだったアスカ夫妻と、
彼等に託してきたアルマを想いながら、相棒のトモロへと号令を掛ける。
「ESミサイル発射準備、反中間子砲全砲門開け!
────この一戦で奴等を殲滅する!!」
《────捉えたぞ、J!》「撃ぇ!!」
恒星間航行形態をとっている目標はこちらを上回る巨体だ。しかし万全の艦体と頭脳と、
それを操る戦士という三本の矢が揃ったジェイアーク級が、これを上回る原種を倒すために造られた無敵の艦が、
この程度の相手に負けるはずが無い。
放たれたESミサイルがバリアーを素通りして動力部を粉砕し、誘爆を引き起こす。
すかさず矢継ぎ早に射掛けられる反粒子の雨が次々に装甲を穿ち、対消滅に伴って生じる爆発が、
巨大で強固なそれを紙のように引き裂き、容易く打ち砕いてゆく。
虫の息のパスダーが悪足掻きのように反撃に転じ、ジェイキャリバーへレーザーを放った。
しかし狙いもデタラメなそれは、装甲を掠めることも無く虚無の宇宙空間を通り過ぎてゆく。
しかし、その先に在る物に気付いたトモロが警告を発し、Jは顔色を変えた。
《後方に宇宙ステーションの存在を確認、先程の攻撃で損壊した模様》
「────!?」
周りに被害を出してしまったことで一瞬注意が逸らされる。だがそれだけで
逃亡を図るパスダーには充分だった。
損傷した部分を躊躇うことなく切り捨て、中枢部のみが大気圏へ突入する。
切り捨てられた船体は盛大に爆発し、こちらの目をくらました。
「────クソッ!!」
討ち漏らしたことに歯噛みするJは拳を叩きつけ、不甲斐無くも心を揺らしてしまった
己の未熟さを深く悔やんだ。パスダーは地上へ降下しており既に追撃は不可能と見て、
ジェイキャリバーは被害にあったステーションの救援へ向かう。
そのステーションの名は「アメノミハシラ」オーブが保有する宇宙での一大拠点だった。
勇者戦艦ジェイアスカ 第四話『銀と金』
『────怪ロボット、ゾンダーによって破壊されたハウメア地熱発電所は、
キングジェイダーの手によって無事修復されました。ですがオーブの危機をたびたび救ってくれた彼等は、
一体何者なのでしょうか?』
TV画面の向こうでは、バスを救い出すキングジェイダーや空を舞うジェイダーの姿など、
これまでの戦いで撮影された映像を交えながら女性キャスターが戦闘の顛末を語っている。
「キングジェイダーか……どこの誰が造ったか知らないが、大したもんだな」
「いってきまーす!」
元気良く家を飛び出してゆくマユ。いつもどおりの微笑ましい光景だったが、
ニュースを見ながら髭を剃っていた彼女の父ケンは、ジェイダーの姿を見て危うく
シェーバーを取り落としそうになった。
「マ、マユコ! ニュース見ろ、ニュース!!」
「どうしたのよ────これって……あのときの」
TVに映っていたのは、ジェイダーがかつて夫妻の前に姿を現した宇宙船、
ジェイバードへと姿を変える瞬間だった。
一方、モルゲンレーテの地下秘密工場では国防を担う主力MS、M1アストレイが続々と生産されていた。
軽量な発泡金属を使用したことで得た高い運動性、ビーム兵器の実用化による高火力、
さらにはオプションの換装による拡張性と、ザフトのジン、連合のダガーを上回る性能を持つ高性能機である。
「後の問題は兵の練度だけだな」
性能は申し分ないのだが。とシミュレータ内のゾンダーを模した仮想データ相手に
悪戦苦闘している兵士たちを見、黒髪の美丈夫ロンド・ギナ・サハクはつぶやいた。
「ですがパイロットたちも無能ではありませんし、学習型コンピュータを始め
こちらのOSの完成度は他国の追随を許しておりません。
すぐにでもコツを飲み込んでくれることでしょう」
「それまでに間に合えばいいのだがな……ときにシモンズよ、アレのほうはどうなっている?」
「つい先日、上から届きました。機体は万全、あとは出番を待つのみだと」
自らの配下でもあるM1アストレイ開発主任、エリカ・シモンズの答えに気を良くしながら、
ロンド・ギナはほくそ笑んだ。
「俺の機体のほうがコストパフォーマンス抜群で、装甲もパワーも上なのに……
どうして上はわかってくれないんだ! オーブに一番必要なのは、外敵を水際で食い止められる
海軍戦力なんだぞ!!」
モルゲンレーテに勤務していたMS技師オリベは、次期主力量産機の開発コンペで
エリカ・シモンズのM1アストレイに敗北を喫して以来、自宅にこもり酒浸りの日々を送っていた。
やれ不恰好、やれ古臭いとでも言いたげな、若い頃企画を提出するたびに上司から向けられた視線。
アイディアを没にされるたびに向けられる同僚たちの有形無形の嘲笑。
大半はネガティブな思考が生み出した思い込みだが、どん底の本人にとっては全て明確な真実であったそれらが、
安酒の酩酊感と一体となって彼の精神に纏わり付き、その不快感を払底するためにますます酒を煽らせる。
「────なら私が願いを叶えてあげましょう」
「ヒック……お? こりゃまたキレーなねーちゃんだ……
そうだな、なら俺のMSで馬鹿にしてた連中をコテンパンにして、アストレイとかいう案山子をぶっ壊して、
シモンズに一泡拭かせてやりたいな! アハハハハハ……」
なればこそ、不意に耳を打った女の声も悪酔いによる幻覚か夢だとばかり決め付けて、
いささかの恐怖も抱かずにその心を開いてしまう。
「さあ! 夢を現実の物とし、存分にその力を示すのです!!」
真紅のドレスに身を包んだ美女、ポリトイーヌはそう言って彼の額にゾンダーメタルを貼り付ける。
「あああああああAAAAAAAAAHHHHHHHHH!!」
ゾンダーメタルに取り込まれたオリベは憎しみの命ずるがままに、全身から触手を伸ばして
手当たり次第に周囲の物質を取り込み、ゾンダーの肉体へと造り替えてゆく。
自らは工場の如き姿のゾンダーとなったオリベによって、続々と生み出されてゆく鋼の軍団は、
足並みをそろえ行く手を遮るものを容赦なく薙ぎ払い、一心不乱に目的地を目指した。
自らを認めなかった職場、モルゲンレーテを────
□□□□
「いったぞー! マサヒロ!!」
「────シモンズ、パス!!」
「よっしゃー!!」
昼休みに校庭でサッカーに興じる子供たち。マークされたマサヒロは、
咄嗟に敵軍の隙間を縫ってリュウタへとボールを渡し、見事チームを勝利へ導いた。
「なんだか意外。いつものマサヒロだったら強引に抜け出して、一人でゴール決めてるとこよね?」
「うん、それになんだか最近やさしくなったよね」
あのときの一件以来、マサヒロからガキ大将的な様子はすっかり鳴りを潜め、
今ではナチュラルの子供相手でも見下したりせず、平等に接するようになっていた。
そうなってみると現金なもので、彼にあまりいい感情を抱いていなかった女子たちも、
運動神経抜群なことも相まって、次第にマサヒロへ黄色い歓声を送るようになっていった。
そんななか、マユの背筋に走るあの嫌な感覚。
「ゾンダー!」
敵の存在を察知した彼女は、即座にジェイダーブレスのスイッチを入れた。
通信を受け、海原を割って空中へ躍り上がるジェイキャリバーはメインエンジンである
メガインパルスドライブを最大出力で噴かし、残像も残さぬほどの急加速で目標を目指す。
「ゾンダーの狙いはモルゲンレーテか、だがこの数はただ事じゃないぞ!」
スクリーンには敵機を示す光点が無数に表示され、じわじわと目的地を囲む輪を狭めている。
その数に、Jに迎え入れられたマユは不安げな瞳を彼へ向けた。
Jは無言で微笑み、そんな心配は無用だとでも言うように彼女の頭をワシワシと撫でる。
たったそれだけで、マユの心に暖かいものが満ち、不思議と不安がやわらいでゆくのを感じた。
《これだけのゾンダーメタルを用意できるとは思えん。おそらく我々の戦力を分散させるための分体だろう。
それもゾンダープラント作成のための陽動ではなく、ゾンダーそのものを完全体にするための時間稼ぎだ》
「下手な鉄砲ってわけか────トモロ、二手に分かれるぞ。
避難が終わるまで工場に指一本触れさせるな!」
号令一過プラグアウトしたジェイバードは、即座にジェイダーへの変形を完了すると
Vフライヤーとの合体シークェンスへ移行する。
「フライヤー・コネクトォ! 武装合体! ジェイッ、ダー!!」
黒い翼を背負い、頭部を白い兜で覆ったジェイダーは、山間部を目指すジェイキャリアと別れ
沿岸の都市部へと迎撃に向かった。
人型ではあるがアストレイとは似ても似つかない、機動力より装甲を重視した
ずんぐりむっくりなネービーブルーの体躯。その蛇腹状の両腕は、短い脚部と相まって
アンバランスなほど長く見え、先端には鋭利な爪が備わっている。
その姿を見て、エリカ・シモンズはまさかと目を疑った。モニターに映し出されていたのは、
かつて自らのM1アストレイとコンペで争い敗北したMS。
しかし自分のアストレイが採用されたのはサハク派ゆえに、ミハシラの計画に
早くから関わっていたおかげでMS開発技術に一日の長が有ったためだ。
その恩恵が無ければ正式採用されていたのはあちらの方だったかもしれない。
(コーディネーターは生まれる前からズルをしているんだよ!)
(上手くできるのはコーディネーターだからさ!)
オーブに移り住んでから自分の生まれを隠すようになる原因となった、
故郷で友人知人から浴びせられた罵声が脳裏によみがえり、絡みつくように彼女の心を苛んだ。
半ば出来レースだったコンペティションで悔し涙を流す同僚の姿に、かつてのエリカの胸中には、
図らずもまたズルをしてしまったという深い罪悪感が渦巻いていた。
そんな重苦しい心情を吐露するかのように、彼女の唇から言葉が漏れる。
「ウミボウズ……貴方なの? オリベさん……」
「急げ! 今のうちにシェルターに避難するんだ!!」
「持ち出せないデータはバックアップを取って破棄しろ!」
ゾンダーの標的にされたモルゲンレーテでは、泡を食った技術者たちが我先に避難を始めていた。
迎撃に出たオーブ軍戦闘ヘリ部隊は強力なバリアを前になすすべなく撃墜され、
海から山から群れをなして襲い来る敵影も、肉眼で確認できる距離にまで続々と姿を現している。
海辺から上陸したゾンダーMS“ウミボウズ”は、モルゲンレーテへ視線を向けると、
砲口の設けられたその両腕を一斉に掲げた。
搭載されたビームキャノンによる一斉砲撃。これだけの斉射を受ければ工場施設など
ひとたまりも無く吹き飛んでしまうだろう。
だが、それはついぞ果たされることは無かった。天空から降り注いだ光条が
ウミボウズの群れをまとめて薙ぎ払ったのだ。
「ああっ! ジェイダー!!」
そこに浮かんでいたのは反中間子砲を展開した武装ジェイダー。その姿に職員たちから歓声が上がる。
次いで工場を見下ろす北側の山間部でも爆発が起こる。そこには森林の中に身を潜め、
奇襲を掛けようと待ち構えていた数々のゾンダーを、ミサイルの雨を降り注がせて打ち砕く
ジェイキャリアの姿があった。
「ゾンダーは俺たちが食い止めます、今のうちに避難を!!」
────こんな奴等なんかに、絶対に父さんたちをやらせたりするものか!!
「プラズマシューター!」
両腕のプラズマソードを収束せずに撃ち放つ射撃武装が、次々にゾンダーMSの中枢を撃ち抜き
戦闘力を奪ってゆく。反中間子砲ほどの威力こそ無いが、速射性に優れた使い勝手のいい武器だ。
廃墟と化した建造物を隠れ蓑に、こちらの隙を突こうとする一群があれば加速装置を惜しまずに使用し、
プラズマソードを抜き放った武装ジェイダーが閃光となってこれを斬り伏せ、返す刀で
撃ち出された反中間子砲が他方の敵を吹き飛ばす。
《ES爆雷投下!》
飛行能力を持たないウミボウズたちが、突如足元に開いたESウィンドウにごっそりと飲み込まれてゆく。
それで破壊されることこそ無いが、一度ウィンドウが閉じられたら最後、
亜空間航行能力無しには永遠に並列空間を彷徨うこととなるのだ。
このように、それでも手の届かない敵は、トモロの操るジェイキャリアが巧みにカバーしてくれる。
武装ジェイダーはチラとモルゲンレーテを見やると、またすぐに紺碧の軍勢へ向き直った。
かつてソルダートJ──シン・アスカがオーブにいた頃、戦争に巻き込まれ、味方の流れ弾で喪われた家族。
いままさにゾンダーによって再びそれが奪われようというこの光景は、
まるで過去の再現のように焦燥する彼の心を駆り立ててゆく。
両親の命をもう二度と奪わせはしないと、闘志を燃やしてゾンダーに立ち向かう
武装ジェイダーであったが、倒しても次から次に現れ、彼等には目もくれずに
目標のみを目指す敵軍の物量を前に、次第に疲労の色が見えてきた。
虎の子の加速装置のエネルギーも、連続使用の果てについに底を尽き、
Vフライヤーは気化した冷却材を激しく噴出して沈黙した。後に残されたのはプラズマウイングだけだ。
かつて数十機ものMSを相手に孤軍奮闘し、母艦を守り抜いた経験こそあるものの、
これほど無尽蔵な敵軍を相手にしては、頼れる相棒たるジェイキャリアが味方についていようと
厳しいと言わざるを得ない。
「ふむ、そろそろ頃合いか」
オノゴロの軍令部でジェイダーたちの戦いを観戦していたロンド・ギナは、
避難の完了を確認すると、後のことを直属の将校に任せて巧妙に擬装されていたスイッチ
──オーブ軍影のマスコット、“サっちゃん”人形。ちなみに黒髪のお姫様カット、
前髪右分け──を操作し、その机ごと地下へ降りていった。
その先に待っていたのはミハシラ軍地上作戦指揮所、その名もメインオーダールーム。
参謀を務めるユウナ・ロマ・セイランを初めとして、整備班チーフ、ナガオ・シモンズと
エリカ夫妻らオペレーターたちが、スクリーンに映し出される戦況を前に
今か今かとギナの命令を待っている。
「準備は出来ているな?」
「勿論です!」
「よろしい────空中空母タケミナカタ、発進せよ!!」
指令を受けて、オノゴロ島海中に建造されたシークレットポートに接岸していたタケミナカタが分離、
上下に折りたたまれていた艦首を展開しつつ、海面から飛び上がった巨鯨の如く空中へと躍り出た。
黒鉄色の船体は大型化し横に幅広くなった以外、オーブ軍のイズモ級宇宙艦と似通った形状だが、
その両舷には攻撃用の砲門かと見紛うような、リボルバー状のカタパルトが二門備え付けられている。
飛び上がったタケミナカタは350mに迫ろうという巨体でありながら、
まるで重さなど無いかのような軽快さで宙を舞い、信じられないほど静かに戦場を目指す。
その秘密は赤い光を放つエンジン部にあった。ニュートロンジャマーによって核分裂が阻害される中、
ソルダートJからの技術提供でいち早く実用化にこぎつけた核融合。さらにその電力を元に
Jジュエルから動力を得るジュエルジェネレーターの力で、質量を生み出すヒッグス粒子を制御することにより
重力場を自在に操る反重力推進機関の完成。
ウルテクエンジンと呼称されるこれにより、大質量の艦船を自在に飛行させることが可能となったのだ。
『ソルダートJ、存外苦戦しているようじゃないか』
「ユウナ・ロマ! こんなときに一体何の用だ!!」
通信を入れてきたユウナを、Jは群がるゾンダーを蹴散らしながら怒鳴りつける。
『ご挨拶だなぁ、ボクが折角取って置きのプレゼントを持ってきてあげたのに』
「何っ!?」
海上を滑るように飛行して戦場に姿を現したのは、巨大な二門の砲身を備える黒鉄の空中艦だった。
そのエンジンからはJジュエルの反応が確認されている。
『さあ! 出番だミハシラウイングス!!』
その号令と共に、タケミナカタの砲門から白銀の弾丸が撃ち放たれる。
だがそれは海上からの支援砲撃などではない。それは大空を自在に飛び回る鋼の鳥、
MSが登場するまでは戦場の王者の名を欲しいままにしていた戦闘機だ。
リボルバーが回転し、搭載されていた機体を次々に装填。休む間も無くリニアカタパルトが
彼等を送り出してゆく。
そして最初に撃ち出された機体から、射出時に発生する強力な電磁波から電子機器を保護するための
ミラーコーティングが剥がれ落ち、その姿を露にした。
一機は黒いボディに銀のラインがあしらわれた高速戦闘機。尾部に外付けの
ブースターユニットが追加されている。
もう一機は同様の黒いボディだが、大型のバルカン砲やミサイルで武装した金のラインの攻撃機である。
メタリックなラインの入る黒い機体に、三日月のように湾曲した特徴的な垂直尾翼など、
瓜二つな本体の基本形状以外実に対照的な装備の二機は、続々と発進した黒地に青と
黒地に赤の戦闘機隊を率いて武装ジェイダーたちの援護に向かう。
モルゲンレーテ周辺の空域に、展開を終えた隊長機を含め22機の部隊が
一糸乱れぬ編隊を組んで飛び回る様はなかなかに壮観な眺めだ。
しかし隊長機に付き従う航空隊の姿に、かつて自分のいた艦を苦しめたオーブの可変MS、
ムラサメを思い出したJはなんとも複雑な心境でその助けを受け入れることとなった。
『皆の者、国土を汚す奴等に目に物見せてやれ!』
隊長機の号令一過、金の部隊から放たれたミサイルが炸裂し、ゾンダーの群れを不可視の力場で包み込む。
そこへ飛び込んだ銀の部隊がすれ違いざまに機銃弾を叩き込み、
現用兵器では歯が立たなかったはずのゾンダーを瞬く間に粉砕した。
これぞ三重連太陽系の技術を利用したバリアー分解弾頭だ。
彼等はワンパターンな攻撃を続ける愚を犯さずに即座にフォーメーションを変え、
今度は銀の部隊が先頭に立ち、通り過ぎた後方のゾンダーへビームを投射する。
だがそれはただの攻撃兵器ではない。撃ち出されたビームは幾本にも分岐し、
ウミボウズの身体へと絡みついた。
ゾンダーたちはそのまま飛び去る青いムラサメたちに引きずられ、見る見る持ち上げられてゆく。
さらに一本一本のビームは照射するムラサメが飛び交うたびに互いに絡まりあい、巨大な網を形作る。
ビームを撃ち込まれなかったゾンダーも、ビームネットを曳いて襲い来るムラサメ隊によって
底引き網の様に絡めとられ、一網打尽にされた挙句空中へ放り上げられ、
金の部隊のミサイル攻撃を受けてまとめて吹き飛ばされた。
「ムラサメのAIシステム、シルバー隊ゴールド隊ともに全機体正常稼働中!」
「その調子で部隊を二つに分け、南西と北東に展開! ジェイダーたちの死角をカバーしろ!!」
機動部隊のコンディションを告げるエリカの声に、てきぱきとユウナの指示が飛ぶ。
「……大したもんだな」
死角を突こうとする増援も、現れるそばから撃破されてゆく。まるで全体が一つの生物のような
抜群のコンビネーションに、Jは驚きを隠せない。
『どうだい、ボクらも捨てたもんじゃないだろう?
君はなるべく自分たちだけでどうにかしようと思ってるみたいだけど、一人で出来ることには限界がある。
ゾンダーの侵略はオーブにとっても他人事じゃないんだし、たまには僕らを頼ってくれよ』
内心援軍を嬉しく思っていたJであったが、そう言ってウインクなどして寄越すユウナの姿に、
彼は照れ隠しなのかつい冷ややかに接してしまう。
「男がそんな仕草したって気色悪いだけだぞ」
『ちょ、ヒドイなあ。せっかくいい事言ったつもりだったのに……』
「……来るな」
敵の増援が滞り始め、息抜きのように交わされるそんな微笑ましいやり取りのなか、
真打登場とばかりに大地が揺れる。戦闘でズタズタになっていた舗装へトドメを刺すように路面を割り、
地下から工場で使用される加工機械やベルトコンベアを寄せ集めたようなゾンダーロボが
咆吼と共に姿を現した。
ミハシラウイングスがバリアを引き剥がして攻撃を掛けるも、工場として生まれたその巨体は
度重なるミサイル攻撃を受けようと小揺るぎもしない。
反撃として工場ゾンダーは、腹部に空いた口から内部で製造したのだろう砲身を伸ばし、
攻撃を掛けたばかりのウイングスへ散弾を喰らわせる。
「ムラサメ隊損耗率30%、五機が脱落しました!」
後背を突かれ、大破こそ免れたものの相当なダメージを負って墜落してしまう数機のムラサメ。
お返ししようにもゾンダーの対空防御は厚く、逃げ回るので精一杯だった。
『おのれっ! 我らがこの程度の相手に梃子摺ろうとは!!』
「チィッ!!」
矢継ぎ早にばら撒かれる散弾の間隙を、稲妻となった武装ジェイダーが奔り抜けた。
友軍の危機を救うために振るわれた、プラズマソードが砲身を斬り落としチャンスを作る。
その隙を逃さず、金銀の二機が高らかに叫んだ。
『かたじけない! ────システムチェーンジ!!』
方や尾部のブースター、方や機体下面の武装ユニットが切り離され、
一部の色以外瓜二つとなった二機が変形を開始する。
エンジンの前半部が外側へ展開して両腕となり、膝の部分で手首と接合していた後半部は
伸張して両脚となる。機首が内側に折りたたまれ、その根元からはアストレイと似通ったデザインの
黒い頭部が迫り出した。
ツインアイの下には無機質なマスクではなく人を模した顔を持ち、
Vアンテナがあるべき位置にはそれぞれ『乾』『坤』の文字が刻まれた逆三角形のエンブレムが輝いている。
乾の文字が刻まれた銀の機体はどこか女性的な、坤の文字が刻まれた金の機体は男性的な顔立ちだ。
「シルバーウイング!」「ゴールドウイング!」
主翼をたたみ、人型への変形を完了して名乗りを上げた二機は、それぞれ垂直尾翼の変じた曲刀と
武装ユニットを変形させたシールドを構え、ゾンダーロボへ立ち向かう。
「アームズバルカン! 踊れ踊れぇ!!」
ゴールドウイングが左右のレバーを引くのと同時に、シールドが二連装のバルカン砲へと変形し、
Jパワーの凝縮された無数のエネルギー弾を雨霰とゾンダーへ叩きつけてゆく。
「生太刀(イクタチ)!」
そちらに気を取られた隙に、素早く懐へ飛び込んだシルバーウイングの剣が
その重装甲を袈裟懸けに斬り裂いた。その名も『生太刀』刀身に研ぎ澄まされたエネルギーフィールドを纏わせ、
あらゆる物を切断する業物だ。
シルバーウイングは背部にマウントされたブースターを噴かし、脇を通り抜けつつ
腰から抜いたビームガンでゾンダーを牽制する。
「禍太刀(マガタチ)!!」
追い討ちを掛けるように、こちらも曲刀を抜き放ったゴールドウイングが
シルバーの太刀とは逆向きに斬りつけ、ゾンダーの胸に十字傷を刻む。しかしその傷は
シルバーの付けたものより遥かに深く、荒々しい。
それがフィールドを高速で循環させることにより、チェーンソーの如き破壊力を持たせた剣。
『禍太刀』の威力だった。
休む間も無く手ひどいダメージを受け、これでは堪らぬと防御姿勢をとり再生を図ろうとするゾンダーだったが、
時既に遅し。目の前にはプラズマウイングを広げて半身となり、弓のように右腕を引き絞った
武装ジェイダーの姿があった。
逃げる間も無く、武装ジェイダーが動いた。激戦の疲れなどなんのその、
全身にJパワーを漲らせた真紅の流星がゾンダーロボへ迫る。
「プラズマフィオキーナァァァァァァァァァァァァ!!」
鋭い貫手で中心核を抉り出され、巨体を誇った工場ゾンダーは木っ端微塵に爆散した。
『テンペルム・ムンドゥース・インフィニ・トゥーム・レディーレ!』
「ああ……ありがとう……ありがとう……」
摘出された核が浄解され、涙を流して感謝するオリベがその姿を現した。
モニター越しにその様子を見て、エリカは気付かれぬようこっそりと目元を拭う。
後日、晴れやかな顔で出勤して仕事に情熱を燃やす彼の姿に、彼女は幾分救われる思いだった。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
オーブに来訪したエリカの客人。再会した友と旧交を温めあう彼等は
思わぬ災いを引き連れていた。深き海底から襲い来る敵を討て!
海を割り、ミハシラウイングスに新たな力が降臨する!
勇者戦艦ジェイアスカ、NEXT『その名は天(アマツ)』にメガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ!『ディストーションバスター』
投下終了。オリジナル勇者ロボ登場の巻でした。
リュウタがあんな風になった理由がいま明らかに。
エリカさんの旦那の名前は漢字で「長男」と書きます。
ハイ、どうみても牛山一族です、本当にありがとうございました。
ちなみに今回登場した敵MSの外見はぶっちゃけ色違いのハイゴッグです。
GJです!
ユウナがかっこいいぞ! でもリュウタと相まって、なんとなくウラタロスなテイストもありそうな気がします。
ゴールドウイングとシルバーウイングか。AIは侍の精神を持った男性型と女性型なんでしょうか。気になります。
次回も楽しみにしております!
GGGJ!
コンペで負けた機体ってゴッグか何かか?
……どう考えてもオリベさんの言っている事のほうが正しくて笑った。
592 :
一尉:2010/02/22(月) 18:18:49 ID:???
支援
>589
何か、普通にシルバーウィングとゴールドウィングのAIモデルは
ミナギナだと思ってた。
GJ! 取りあえず、オリベさんに同情した(笑) 頑張れオリベさんwww
595 :
一尉:2010/02/24(水) 08:07:33 ID:???
オリベ支援
オリベさん大人気だなwww
まあ普通に考えりゃその通りなんだが
だよねぇ。
本編でも海上&水際の戦力が足りなくてあっけなく本土に乗り込まれて多数の被害が出て
回避を基本とする期待は初心者向けじゃないお陰でボンボン落ちまくったからな。
水陸両用かつ重装甲のがどう考えても正しい罠
598 :
一尉:2010/02/27(土) 11:43:49 ID:???
そうたよ支援に送るよ
599 :
通常の名無しさんの3倍:2010/02/27(土) 22:58:37 ID:P3qOsOll
k
600 :
一尉:2010/02/28(日) 12:02:51 ID:???
支援
テステス
やっと書き込める…
GJであります!!
しかしミハシラウイングス、金銀以外のメンバーはマイクブラザーズと同じ様な運命を辿りそうでちょっとヒヤヒヤする
603 :
一尉:2010/03/06(土) 11:35:19 ID:???
支援
604 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/06(土) 13:37:33 ID:2Zof+ybz
あ
605 :
一尉:2010/03/06(土) 14:07:42 ID:???
支援
こんばんわ、今から投下します。
オリベさんの人気に驚きを隠せません。みんなの言いたいこともすげーわかるけど。
まあネタバレは控えますが、今後の話でなんかあるんで彼の扱いについては安心していいですよ。
アメノミハシラ軍機動部隊所属のシルバーウイングとゴールドウイング。
それぞれ高速戦闘機と攻撃機に変形する彼女らは、アメノミハシラ軍の旗機を務めることを
主眼に置かれているため、ミハシラの指導者であり優れたパイロットでもある、
ロンド姉弟をモデル人格として形成された超AIを搭載しており、その卓越したコンビネーション能力は
量産型無人MSムラサメとの連携も相まって遺憾なく発揮されている。
そして彼女らはそれだけに留まらず、二機がそれぞれ半身を構成する左右合体、
シンメトリカルドッキングを行うことで、ミハシラ軍最大の威力を誇るメガトンツール
“ディストーションバスター”の使用というその真価を最大限発揮できるようになるのだ。
『シンメトリカル・ドッキング!!』
モルゲンレーテ地下に設けられたMS室内演習場。充分な広さを持つそこでスタッフたちの見守る中、
彼女らはお互い力強く地を蹴って、合体フォーメーションへ移行する。
だが────
「ぐあああっ!」「だあああっ!」
結果は無残な失敗。二機は変形すら出来ずに衝突すると、轟音と共に大地へ倒れ伏した。
即座に回収され、損傷をチェックされるシルバーウイングとゴールドウイング。
その様子をモニターしていたシモンズ夫妻と、超AI開発に携わっていたパンジャ・シシオウ博士は、
遅々として進展せぬ訓練に頭を抱えていた。
「どうして成功しないんだろう? シミュレーションでも設計上でもなんら問題は無い筈なのに……」
「同調率も90%以上をキープしておる。残る問題は……」
ジュエルジェネレーターの原因不明の出力不足から、未だ彼等は一度として合体に成功してはいなかった────
勇者戦艦ジェイアスカ 第五話『その名は天(アマツ)』
「どうだ、ジェイダーの生写真だぞぉ〜!」
「すっげぇ〜!」
朝のホームルームを控えた教室で、リュウタは父親からもらった写真を自慢していた。
普段はTVや新聞で断片的にしか見ることのできないそれが、今では鮮明に彼の手の中にある。
先日モルゲンレーテをゾンダーが襲撃したことは記憶に新しいが、あの状況で彼等を
写真に収める余裕のある人間が存在していようとは! 級友たちはお宝といってもいいそれを
手に入れたリュウタを羨望の眼差しで見つめた。
イチコを筆頭とした女子たちがその様子に呆れている中、不意にジェイダーブレスがメッセージを受信する。
手首に伝わる振動でそれに気付いたマユは、駆け込んだトイレでそれを確認して我が目を疑った。
首都オロファトと、国営企業モルゲンレーテに面した広大な軍港を擁するオーブの中心地オノゴロ島。
東側の都市部からモルゲンレーテの在る西側へと伸ばされたトンネルの中を、
一台の赤いバイクが道行く車の間隙を巧みにすり抜けて疾走していた。
運転しているのはソルダートJだ。しかしその姿はいつものプロテクターではなく、
ライトグレーのロングコートにジーンズ姿である。年の頃は二十歳前後だろうか。
ヘルメットも被らず、風に撫でられるままの無造作な黒髪に個性的な赤い目と、
まだ少年らしさを残す整った東洋系の顔立ち。
カットされた袖からは、アルビノ気味の白い肌と、ここだけは普段通りの、
左腕を肘まで覆うJジュエルの埋め込まれた白い手甲ジェイブレスが覗いている。
その細身の身体は一見華奢に見えるものの、よくよく見れば内側には
ワイヤーのように絞り込まれた筋肉が息づいているのが判るだろう。
彼は一人ではなく、後部座席にマユを同乗させていた。こちらは安全のためか
しっかりとフルフェイスヘルメットを被っている。
彼等の乗るバイクはトンネル内でわき道に逸れると、そのまま地下へと向かっていく。
その先にはモルゲンレーテと繋がる秘密の通路が存在していた。
バイクが向かった地下300メートルの位置、モルゲンレーテと軍令部からの直通ルートが引かれた場所に、
ミハシラ軍ジオベースは人知れず設けられていた。
同乗していた少女マユ・アスカは、モルゲンレーテの制服である
お馴染みの赤いジャンパーに着替えたJに連れられて、厳重なセキュリティに守られたその場所を訪れていた。
本来そこへ入るには網膜と声紋の照合が必要だが、彼はジェイブレスという
絶対に奪われず複製される心配も無い認識票を所持しているため、その必要は無い。
センサーに左腕のJジュエルをかざすことでエレベーターが作動し、マユとJは
ジオベースのメインオーダールームへ降りてゆく。先程の緊張など何処へやら、
実際にはじめて目にする秘密基地というものに眼を輝かせるマユの様子を、
Jはその赤い目を細めて微笑ましく見つめていた。
ドアが開いた先では、ロンド・ギナを始めとしたオーダールームのメインスタッフたちが
勢揃いして彼女たちを出迎えてくれた。
「ようこそマユ・アスカ、ミハシラ軍ジオベースへ。我らは貴殿を歓迎する」
「はい! お招きにあずかりまことにありがとうございます!!」
「そう硬くならずともよい。皆のものを紹介しよう」
ギナの190センチという威圧感すら覚える長身にも怯まず、マユは礼儀正しくも
元気良く挨拶する。だが、スタッフの中に見知った顔を見つけて彼女は仰天した。
「────シモンズ君とこのおじさんとおばさん!?」
「やあ、マユちゃん。いつもうちのリュウタがお世話になってます」
「おどろいたでしょう? あ、このことはアスカさんたちには内緒にしててね」
クラスメートと良く似た丸っこい体型の、熊のような愛嬌のある中年男性と、
その妻である女性がにこやかに挨拶を返す。マユの母と同年代とは思えないくらい若々しく綺麗な人だ。
「知り合いだったか。だが案ずるな、そなたの秘密は関係者以外には決して口外せん」
「では改めまして、ミハシラ軍整備班チーフ、ナガオ・シモンズです。
僕はMSなんかの機動兵器や艦の整備と、発進管制を担当しているんだ。よろしくね」
「同じく機動部隊担当オペレーター、エリカ・シモンズよ。私は機動兵器の設計開発、
戦闘中は機動兵器のコンディションチェックを担当しているわ」
次いで、知人がいたために後回しにされた彼の順番が回ってくる。
「そして作戦参謀ユウナ・ロマ・セイラン」
「ミハシラの作戦は僕が立てているよ。マユちゃん、この前は僕の父を助けてくれて、
どうもありがとうね」
「アドバイザーのパンジャ・シシオウ博士」
「よろしくな、マユ・アスカ君」
ロンド・ギナに紹介され、こげ茶のスーツを着こなす黒髭の小柄な壮年男性がにこやかに手を振った。
彼は超AIや基地で使用されている医療機器の開発、システム設計に携わっており、
戦闘時には敵の分析を担当している。
ロボット工学ではエリカに一歩遅れるものの、脳医学をはじめとして物理学、材料工学や電子工学など、
多岐にわたる分野のエキスパートである。
「情報分析担当オペレーター、アゲハ・エントウジ」
「よろしく」
続いて、ぼさぼさの髪に皺の寄った制服、生活感溢れる机という、
見るからにワーカホリックな風貌をした眼鏡の女性がキーボードを打つ手も止めずに挨拶を返した。
良く観れば、分厚い眼鏡の下に隠された顔立ちこそ整っているものの、
そんなものは何のフォローにもなりはしない程のだらしなさだ。
ギナは回避することの出来なかったその惨状を流すように咳払いすると、
改めて自己紹介した。
「……オホン、そして最後にこの私がミハシラ軍司令ロンド・ギナ・サハクだ」
「マユ・アスカです! みなさんよろしくおねがいします!!」
そういって頭を下げるマユの姿を、オーダールームの一同は温かく受け入れた。
浄解能力を持つ彼女は対ゾンダー戦における最重要人物であり、かつ彼等が守らなければならない幼い市民でもある。
ゾンダーという外宇宙から迫りくる恐るべき脅威を前に、立ち向かう力を与えてくれたソルダートJ。
その助けには感謝してもし足りない。
そして今までオーブとともに、彼が全力で守り抜いてきたマユ・アスカ。
彼等の信頼を裏切るような真似だけは絶対にしてはならないのだ。
「────でも家に来たときはおどろいちゃった。Jさんが変身できるなんて、
マユぜんぜん思わなかったよ!」
「あの格好で出歩くと流石に怪しまれるからな。普段は素顔なんだ」
「こんなにかっこいいならもっと早く教えてくれればよかったのにー」
「マユみたいな可愛い子に懐かれるんなら、前からそうしてたほうがよかったかもな」
「もう、Jさんったら! からかわないでよぉ」
素敵なおにいさんの登場でキラキラと眼を輝かせるマユに、Jはそう冗談めかして返しながら、
照れて真っ赤になる彼女の髪を猫のようにわしわしと撫でた。
その後マユたちは食堂などの生活区画をはじめとして、ジオベースの各部を見学しながら
格納庫へとやってきた。そこには先日大活躍を見せたミハシラウイングスたちが、
ビークルモードで翼を休めている。
「わあ……」
『む? そこにいるのは確か……ソルダートJとマユ・アスカだったな』
『我らに何か用か?』
「わ、飛行機がしゃべった!」
翼端のライトを光らせながら、不意に声を発したシルバーウイングとゴールドウイングに、
マユは目をまんまるにして驚いた。
『驚かせてしまったか。我が名はシルバーウイング、隣が弟の────』
『ゴールドウイングだ。我らはミハシラ軍機動部隊の中核を担っている超AIロボットなのだ』
その答えに首をかしげたものの、Jから人が乗ってなくても動くロボットのことだと説明され、
マユはジェイアークのトモロみたいなものかと納得した。
「後ろに並んでるムラサメたちも、無人機なんだぞ」
「そっか、マユてっきりロンド様がどこかに隠れてるのかと思っちゃったよ」
「勘違いするのも無理ないな。こいつらは二人とも、ロンド・サハクがモデルになってるんだ」
「でもシルバーウイングは女の人だよね、どうして?」
『我が人格モデルとなったロンド・ミナ・サハクは、ロンド・ギナ司令の姉上だ。
故にどちらもロンド・サハクがモデルということで間違いではない』
ロンド様ってお姉さんがいたんだ。でも姉弟で名前がそっくりだなんてめんどくさそう。
そんなことを思いながら、マユは彼等に会えたら言おうと思っていた言葉を思い出す。
「そうだ、二人とムラサメのみんな、この間はジェイダーを助けてくれてどうもありがとう!」
『気にすることはない、我らは命令に従ったまでだ』
『オーブの防衛は我らの使命だからな。わざわざそなたが礼を言う必要など無い』
「それでも助けてもらったらお礼を言わなきゃダメだよ。ロボットでも恩人は恩人だもん」
礼を言うマユだったが、わいわいがやがや返事をかえしてくれたムラサメたちとは異なり、
シルバー、ゴールドの二機はどこか元気がない様子で、ビークルモードでありながら
心なしかうなだれているように見えた。
□□□□
真っ二つに斬り裂かれ、海底付近を漂流し続けるザフトのボズゴロフ級潜水艦の中で、
辛うじて命脈を保っていた生存者が慟哭していた。酸素は残り少なく、恐怖に震えるその叫びが
断末魔へと変わるのは時間の問題といえる。無神論者でも神に祈りを捧げ、
藁にも縋り付きたくなるそんな時、神ならぬ悪魔が手を差し伸べた。
「死にたくないしにたくないシニタクナイ……どうして儂がこんな目に遭わなくちゃいけないんだ!?
それもこれも、あのジャンク屋がレアメタルを横取りするから……!」
『助けてあげましょうか?』
聴こえる筈のない少女の声を耳にして、彼はついに自らが発狂したかと観念する。
いつの間にか目の前には、深い紺色のゴシックドレスに身を包む、人形めいた美貌の
幼い少女が立っていたのだ。
「ふは、ふははははははははは……お迎えなんてものはバカなナチュラルの迷信だとばかり思っていたが、
よもや本当に在るとはな! どうせならこんなチンチクリンではなく
胸のデカイ美人を寄越せばいいものを。アッハッハッハ!!」
恐怖のあまりおかしくなった艦長を欠片も気遣うことなく、機界四天王最後の一人ピルエッタは、
人形の如く無感情に彼の額へとゾンダーメタルを押し付けた。
「それにしてもゾンダーにキングジェイダーねぇ……
しばらく見ない間にずいぶん面白いことになってるみたいじゃない?」
「襲われるほうは堪ったもんじゃないわよ。今のご時勢じゃ軍に対応する余裕なんてないし、
彼とその仲間たちだけが頼みの綱ね」
オーブを訪れたエリカの旧友、プロフェッサーは記録映像を横目にコーヒーを味わいながら、
彼女と積もる話に花を咲かせていた。同行してきたジャンク屋仲間の一行は、
オーブ近海での戦闘で損傷し、やむなく寄港した連合軍の新型艦アークエンジェルの修理に駆り出されている。
野暮なツナギの上から白衣を纏ってはいるものの、その豊満な色香を隠しきれていない
見事なスタイルの彼女は、映し出されたキングジェイダーの姿に眼を細め、
左の泣きボクロも色っぽい眼鏡の奥の瞳を輝かせた。
「全長100メートル級の、変形合体する超巨大MSか……こんなのを実際に目撃なんてしたら、
ロウが大はしゃぎするのが目に浮かぶわね」
「ロウって確かお仲間のジャンク屋だったっけ?」
「そう、天才メカニックにして大のメカマニア。新型や珍しい機体に目が無いのよね」
連合とザフトとの戦いで崩壊したオーブの工業コロニー、ヘリオポリスから回収された
組み立て前のMSのフレームといくらかのパーツ。連合のMS開発に協力していたヘリオポリスが
戦闘に巻き込まれることを見越して、これの存在を彼女たちに知らせたのが他ならぬエリカである。
プロフェッサーは友人に感謝していた。その情報のおかげでナチュラルでも操れるMSを
手に入れることが出来、仕事がやりやすくなったのだから。もっとも、余計なトラブルを
方々で背負い込むことになったのも否定はしない。
「まるでうちの子ね。キングジェイダーの大ファンなのよ、リュウタってば。
うちの人もよく彼等の写真とか撮ってるし、血筋なのかしら?」
そんな和やかな空気を、端末からけたたましく響くアラームが引き裂いた。
「ゴメン、用事が入ったみたい。しばらく席を外すわ」
ゾンダーの出現を告げるそれを耳にして、エリカはオーダールームへと急いだ。
「エントウジ、状況はどうなっている?」
「敵ゾンダーはオーブ西側の海域A地点に出現、現在迎撃に出たキングジェイダーが応戦中。
だいぶ変化していますが形状から推測して、ザフトのボズゴロフ級潜水艦と融合したものと思われます」
正面のメインモニターには、偵察機によって撮影されたゾンダーの画像データが
鮮明に映し出されている。艦首両脇に四つのMS発進口を備えた特徴的な姿は、
確かにボズゴロフ級と良く似ている。
「よろしい、ミハシラウイングスを対潜装備で出せ! 空中空母タケミナカタ、
万能補給艦タマトヨヒメ発進!!」
「了解! 空中空母タケミナカタ、万能補給艦タマトヨヒメ発進します!!」
その号令の下、シークレットポートに接岸された二隻の艦が切り離された。
タケミナカタは艦体を展開しつつ海面へ、一方タマトヨヒメも同じように展開し、
艦首にドリルを備えた威容をさらけ出してその後を追う。
「メガ・フュージョン! ……キングッ、ジェイダー!!」
合体を終えたキングジェイダーは大海原へ降り立つと、海面へ浮上し波を蹴立てて迫り来る、
巨鯨の如きゾンダーボズゴロフの眼前へ立ちはだかった。
奴が元のスペック通りなら270メートルというこちらの三倍近い大きさだが、
キングジェイダーのパワーならば受け止めることは不可能でない。腰を落として両腕を広げ、
キングジェイダーは元のそれを遥かに上回る、ミサイルのような速度で突っ込んできた
ゾンダーへと果敢に立ち向かう。
《ジェネレーティングアーマー出力最大!》
「ぬうん!!」
絶妙のタイミングで力を振り絞ったフィールドジェネレーティングアーマーと、
ゾンダーバリアが火花を散らしてぶつかり合い、ゾンダーの侵攻は阻止されたかに見えた────しかし。
「なにっ!?」
ゾンダーボズゴロフの暗緑色の巨体が不意に揺らめいたかと思うと、
キングジェイダーの両腕から掻き消え、背後から忽然と現れたミサイルが彼を襲う。
ジェネレーティングアーマーのおかげで損傷は軽微だったが、なかなかに手強い相手のようだ。
《短時間ながらESウィンドウ発生を確認。今回のゾンダーは空間歪曲能力に特化した個体のようだ》
「この空間そのものが奴にとっては海。まさに潜水艦そのものってわけか……だけどな!」
回し蹴りのようなフォームで脚部の発射管からES爆雷が散布され、辺りにESウィンドウを展開する。
いくら隠れるのが上手でも、こうなっては出てくるほか無い。ゾンダーボズゴロフは
たちまち通常空間に引きずり出されてしまった。
すかさず敵の足を止めるべく指先の砲門を開き、背後から五連メーザー砲を撃ち掛けるが、
ゾンダーが間一髪再び潜行したために放たれた光条は空しくすり抜け、海面を爆ぜさせるのみだった。
「でかい図体の癖に、すばしっこい奴!」
「なんてチート!!」
その様子にタケミナカタ艦橋のユウナはうろたえるも、上空に展開を終えたミハシラウイングスと共に
持てる手の限りを尽くすべく通信を送る。
《キングジェイダー、もう一度ESミサイルか爆雷で奴を引きずり出してくれないか?
攻撃のタイミングはこちらで合わせる!》
「……任せた。もう一度やってみよう!」
手数が大いに越したことは無い。こちらは敵を引っ張り出すことに専念して、
ありがたく力を貸してもらうことにしよう。だがその希望は背後からの攻撃により打ち砕かれてしまう。
「ぬあああああっ!?」
突如海中から鎖が飛び出してきたかと思うと、キングジェイダーの首を始め、
四肢に次々絡み付いて全身のことごとくを拘束し、彼を水底へと引きずり込んだ。
その出所は不自然に開いた水中の穴────ESウィンドウ。それは亜空間の中で
手薬煉引いて待ち構えるゾンダーボズゴロフの船尾に続いていた。
「こんなものぉぉぉぉぉぉ!!」
それを力任せに引きちぎろうとするキングジェイダーであったが、そうはさせじと
彼に群がる20メートル程の影があった。
ESウィンドウから飛び出してきたその正体は、グーンやゾノといったザフトの水中用MS。
海底に眠っていた残骸から再生、複製された、ゾンダーボズゴロフの忠実な僕である。
ジェイアーク級に搭載されているセンサーならば、その存在に感づくことは容易かと思われるが、
ゾンダーは頻繁にウィンドウを開くことで伏兵の存在をぎりぎりまで悟らせず、
こちらのセンサーを巧みに欺いていたのだ。
キングジェイダーの動きが封じられるのと同時に出撃し、後背を突いたゾンダーMSたちは、
キングジェイダーの脚部を重点的に攻め、あるものはハッチの継ぎ目にセメント様の充填剤を注ぎ込み、
またあるものは鎖の輪に鋭い爪を食い込ませてしがみつく。
「────まずい! ウイングス、早くその鎖を破壊しろぉ!!」
攻撃箇所からゾンダーの狙いに気付いたユウナは指示を出すも、企みを阻止するには間に合わず、
無情にも海中のESウィンドウがその規模を拡大した。それとタイミングを合わせるように、
ゾンダーMSが全力を振り絞ってキングジェイダーをその中へと押し込むと、
鎖は切り離されてウィンドウも閉ざされた。
《やられた!!》
モニターの中で机を叩き、目の前が闇黒に閉ざされたような表情で叫ぶユウナに、
ナガオは怪訝な目を向ける。
「参謀、キングジェイダーならあんなところに閉じ込められても、
自力で亜空間から脱出できるんじゃないんですか?」
《シモンズ! 君は敵の行動を見てなかったのか? 奴等は────》
《全てのES爆雷、ミサイルの発射管が潰された。周囲にこちらの空間歪曲を妨害する
フィールドが展開されているため、ESウィンドウを開くことも不可能となったぞ》
「バリア付きの鎖のせいで分離も不可能、アーマーを展開してもMSに張り付かれてしまっては
ハッチそのものが開かない。鎖を切断しようにも、ごていねいに砲塔や指先まで塞いでいやがる……」
「そんな! どうすることもできないの?」
「安心しろ、マユ。絶対になんとかなるさ!」
まったく身動きの取れない状態で、亜空間へと放り出されたキングジェイダーの中、
マユを勇気付け、起死回生の一手を模索するソルダートJ。だがこの状況で彼等に残された手は皆無に近い。
「俺たちに残された希望は────」
「シンメトリカルドッキングしか有るまい」
「危険すぎます! シミュレーションならともかく訓練では一度も成功していないんですよ!?」
《だがキングジェイダーも救えず、このままゾンダーを野放しにしていても結果は同じだろう?》
成功したことの無いものをぶっつけ本番でやれなどという無茶を通そうとするギナに
難色を示すナガオだったが、ユウナもギナの意見に賛同する。
上空を飛び交うミハシラウイングスたちは、浮上してきた一瞬を狙うべく
タイミングを見計らって攻撃を仕掛けていたものの、亜空間に潜むゾンダーの進撃を
微塵も食い止めることは出来ず、逆に安全な向こう側から一方的な攻撃を受けて徒に消耗するのみだ。
量産のためにMSと同じ構造をとったのが災いしたのか、度重なる攻撃でかなりの数の
ムラサメが脱落しており、このままではミハシラウイングスの敗走は必至だ。
この危機を救えるのは、合体して初めて使用可能となるメガトンツール、
ディストーションバスターをおいて他に無い。しかし────二機のジェネレーター出力は、
この期に及んでも規定値に達していなかった。
『ぐああああああああっ!!』
善戦していたものの、ついにゾンダーからのミサイル攻撃を受け、残るムラサメ共々
アームズバルカンで弾幕を張っていたゴールドウイングが手傷を負った。
『ゴールドウイング!』
『これしきの損傷なぞ、大丈夫だ! だが、やはりドッキングを成功させなくては
打つ手は無いというのか……?』
「シルバー、ゴールド……」
「ええい、不甲斐無いぞ貴様ら! それでも我らロンド・サハクの写し身か!!」
「お願いシルバー、ゴールド。キングジェイダーとマユちゃんを救ってあげて!!」
「ワシからも頼む、もはやオーブを救える者は君たちしか居ないんじゃ!!」
ギナを始め、生みの親であるパンジャ博士とエリカ、ナガオたちといった、
支えてくれるオーダールームの面々の声を受け、シルバーウイングとゴールドウイングは無力を恥じ、
与えられた役割すら満足に果たせずにいる自らを深く責める。
『悔しい、な……ゴールドウイング』
『ああ、このAIの奥が燻るような感覚……堪らなく不愉快だ』
彼女らの脳裏に、今までたった一人でこの国を守り続けてきてくれたソルダートJの勇姿と、
格納庫でロボットの自分たちを人間と同じように気にかけてくれたマユの笑顔が浮かんだ。
彼等は今、ゾンダーの策に嵌まり未曾有の危機に晒されていた。そしてそれを救えるかどうかは、
シンメトリカルドッキングの成功に掛かっている。
AIがそのことを反復するたびに、Jジュエルが赤々と輝きを増し、彼女らの心臓が熱量を帯びた。
命令を機械的にこなすだけでは決して得られない、立ちはだかる困難や仲間の危機を前にして
初めてAI(心)の底から湧き上がる感情。灼熱のマグマの如きそれを、人は闘志と呼んだ。
「ジェネレーター出力、上昇しています! 60……75……89……90%を超えました!!」
「いける、いけるぞぉ!!」
『往くぞゴールド!!』『応ともシルバー!!』
『シンメトリカルドッキング!!』
二機の────否、“二人”の燃える闘志によって、その真の力を発揮した
ジュエルジェネレーターに後押しされるように、ビークルモードの彼女たちが変形を開始した。
────隊長をお守りしろ! 指一本触れさせるな!! わずかに生き残るムラサメたちが、
全身全霊を込めて弾幕を張り、ゾンダーを近づけまいと合体を支援する。
背中合わせに錐揉み飛行する二人から、主翼とブースター、武装ユニットが分離し、
湾曲した垂直尾翼が根元の可動アームによって鏡写しのように反対側へスライドする。
シルバーウイングのものは左側、ゴールドウイングは機体の右側だ。
そのまま背面飛行で互いの距離を詰める二人は、ガイドレーザーに導かれるまま背部の
ジョイントを噛み合わせ、一体となった。同時に機首が分離し、タービン部を構成していた両腕が
肘から折れ曲がってブロック状になり、本体に残されたインテークとともに合体後の胸部へ。
水平尾翼を格納して真っ直ぐ伸びた脚部が90度転回、自らの大腿部と脹脛(ふくらはぎ)、
膝関節同士を噛み合わせることで、左右色違いの力強い両足となった。
分離した機首が直角に折れ曲がって腕となりつつ、シールド状の武装ユニットや、
左右に分割されたブースターが変じた足首とともに本体へドッキングする。
シールドが胸部に接続されるのと同時に、その裏側に格納されていた頭部が起ちあがり、
機械仕掛けの瞳に真赤な火が点る。
合体は完全に成功だ。それを誇るように“彼”は拳を天に突き上げて、自らの名を高らかに叫んだ。
『天(アマツ)────ギナァ!!』
背には切れ味鋭い大振りな二刀を負い、漆黒を基調に眩い金銀を左右にあしらったその姿、
まさに王者の風格。闘志を秘めたその瞳は鬼灯の如く赤々と燃え、口元を覆うのは
牙を模した意匠の黒鉄色をしたフェイスマスク。
鋭く尖った鍔(つば)を持つ、帽子を被ったような頭部の中心には、
Jジュエルが第三の目とも思えるような、双眸と揃いの輝きを放っていた。
「成功だ……」「やったー!!」
「よしっ! ディストーションバスター射出!! キングジェイダーを救出しろ!!」
「了解! 万能補給艦タマトヨヒメ、ミラーカタパルト作動、ディストーションバスター射出します!!」
喜びに浸る間も無く、間髪入れずに繰り出されるギナの指示。ナガオの操作の下、
タマトヨヒメの甲板が口を開き、天ギナの下へ白銀に輝くシリンダーが撃ち出される。
コーティングの剥離とともに“彼”の両手の中へ収まったそれは、伸長と両側から
グリップの展開を終えるや、鉛色に鈍く輝く円筒形の大型砲へと変じた。
構えるのと同時に大砲の基部から接続端子が顔を出し、胸のミラー装甲から
遮光ウィンドウのように口を開いたコネクターへと接続される。
『ジュエルジェネレーター出力最大、エネルギーチェンバー正常に加圧中……』
二基のジュエルジェネレーターがシンクロし、その持てる力の全てをディストーションバスターへと注ぎ込む。
内圧が増し、ライフリングの回転が早まるたびに、外宇宙からもたらされた超技術に基づいた、
精緻極まるメカニズムが唸りを上げて目を覚まし、抑え込まれた膨大な空間歪曲エネルギーが、
その内部で砲身を食い破らんばかりに渦を巻く。
『ディストーションバスター、発射!!』
砲身が自壊するかと思えた刹那、トリガーは引き絞られ、荒ぶる獣はその檻から解き放たれ
存分に牙を剥いた。
されど開放されたエネルギーは、ゾンダーにはなんらダメージを与えない。
そのまま敵を素通りするや、キングジェイダーが引きずり込まれた地点と、
発射した天ギナとの中間点に留まった光球は、そこから爆発的に規模を拡大する。
限界まで圧縮されていた反発フィールドと固縛フィールドが、その場の空間を歪ませて綻びを生み、
通常空間と亜空間を一気に反転させた。それは亜空間に在るものをこちらへ呼び戻すことにも繋がる。
凹面鏡や凸面鏡に映りこんだような歪んだ像を結びつつ、キングジェイダーはオーブの海へと帰還した。
先程まで亜空間を我が物顔で遊泳していたゾンダーボズゴロフのオマケ付だ。
「すごい……二人とも、合体しちゃった!」
「やったな! ウイング姉弟!!」
「よし! 無事なムラサメ隊はキングジェイダーにへばり付いたMSを削ぎ落とせ!!」
ユウナの迅速な指示の下、キングジェイダー目掛けてバリアー分解弾頭が発射されたことで、
動きを妨げていた鉄鎖はその強度を失い、巨神の剛力の前に敢え無く引き千切られる。
そのままムラサメの機銃掃射によって駆逐されてゆくゾンダーMSを尻目に、
天ギナは役目を終えた砲身を放り捨て、残るゾンダーボズゴロフを逃がすまいと次のアクションを起こす。
『────逃がさん! 貴様はここで退場するのがお似合いだ!!』
赤々と燃えていた双眸が、その色を澄み渡る大空のような蒼へと変え、
牙を剥いたような黒鉄のマスクが、左右に分かれて白くスッキリとしたものへと変わった。
『天(アマツ)────ミナァ!!』
華麗な変身を遂げた天は、背負った二振りの曲刀、禍太刀(マガタチ)、生太刀(イクタチ)を抜き放つと、
その柄同士をSの字を書くように連結させる。そのまま“彼女”は足裏のスラスターを
最大出力で噴かして、瞬く間に音速の壁を突き破ると、その速度をいささかも減じることなく、
再び亜空間へ潜り込もうとするゾンダーへと勢い良くその切っ先を突き立てた。
『マガノイクタチ!!』
────Jジュエルとゾンダーメタルは、方や闘志、方やストレスといった、
感情をエネルギーに換えるというほぼ同一の性質を持ちながら、互いに相反する存在である反物質である。
双方がぶつかり合った場合そのエネルギーは相殺され、わずかでもエネルギーが大きいほうが生き残る。
ビークル形態で使用されるタービン部。ロボット形態では両肩に、合体時には左右の胸となるこの部位は、
エネルギー増幅装置の役割も兼ね備えていた。
この部分で増幅されたJパワーは、突き刺されたマガノイクタチを通して敵を包み込み、
身動きを封じるエネルギーフィールドとなって標的の全身をパワーの伝導回路と化す。
そのまま内外から断続的に叩きつけられる高密度のJパワーは、ゾンダーのエネルギーを
大幅に減衰させつつその内部構造を完膚なきまでに破壊するのだ。
『キングジェイダー! 今だ!!』
「応とも! ────ジェイクォォォォォォォォォォォォス!!」
その隙を逃さず発射されるジェイクォース。解き放たれた不死鳥が仕返しとばかりに
巨鯨の腹を食い破り、その中心核を抉り取った。
『テンペルム・ムンドゥース・インフィニ・トゥーム……レディーレ!』
「ああ……ありがとう……ありがとう……」
ゾンダー核はマユの浄解によって無事に、ザフトの白服を纏った中年艦長という元の姿を取り戻す。
「ありがとう天! すっごくかっこよかったよ!!」
『ああ! これからも我ら姉弟やムラサメたち共々、よろしく頼むぞ、マユ!!』
天ミナはウインクでもするように瞳を点滅させると、マユの感謝に清々しいサムズアップで応じた。
こうしてシルバー、ゴールドのウイング姉弟は、また一歩戦士としての階梯を登ることとなった。
その類稀なる力は必ずや地球に平和をもたらす一助となるだろう。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
新たな力を手に入れたウイング姉弟。ムラサメたちとジェイダーが、
天とキングジェイダーがぶつかり合い、互いに切磋琢磨する演習の中、
ミハシラ軍の持てる力が今明かされる!
立て、我らがソルダートJ! 迫る魔の手からミハシラの秘密を守りぬけ!
平和なオーブの街並みを、白き影が疾駆する!!
勇者戦艦ジェイアスカ、NEXT『夜明け』次回もこのスレッドに、メガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ! 『ジェイダーセパレーションモード』
投下終了。
今回登場したそっくりさんは、元の人の平行世界の子孫だとでも思ってください。
以下言い訳。前回も実はオーダールームに居ました。書いてないだけで。
あれだ、天の合体はスパロボ的に言うなら気力130で初めて可能とかそんな感じなんだ。
ちなみにプライヤーズたちと違って、ムラサメたちは普通にしゃべれます。地の文でしか描写してないけど。
あとMSの事とかいろいろぼかしてるのは仕様です。
618 :
通常の名無しさんの3倍:2010/03/10(水) 23:23:42 ID:ME167zRq
すまぬ、誤爆った
>617
乙! やっぱり、最初の合体は難有りじゃないとな
何となくやってみたらできちゃった的な銀色勇者も好きだけどw
621 :
一尉:2010/03/12(金) 19:57:49 ID:???
支援
GJ!
アマツの必殺技ってガガガのグランドプレッシャーがモデルかな?
しかしミハシラ軍ということはアスハ家はノータッチぽいな
ウズミやカガリがアホな干渉しないといいが…成長した高山版シンこと
JにSEKKYOUされるかもwww
遅くなったがGJ! 燃える展開に魂が震えたぜ!
>>622 えーと、どっちのことを言ってるか判らないんですが、
(ガガガのゲームは実際にやったことが無いのでグランドプレッシャーの外見知らないんですよ。
サイズがいろいろある、ディスクXを応用した圧力釜っていう設定しか)
とりあえずディストーションバスターはドライバー+ディメンジョンプライヤーの大砲版。
マガノイクタチは最初はただ大張ポーズでぶった切るだけだったんですが、
潜水艦ゾンダーの亜空間潜行設定が固まってから慌ててJパワーで敵のエネルギー相殺&
内部破壊属性を付け足しました。
おっと失礼、マガノイクタチの方です。
自分もグランドプレッシャーはニコ動でチラ見したぐらいしか知りませんが
敵をエネルギーフィールドで包んでジワジワ崩壊さすっていうのが似た感じしたので
ゴルドランに出てきたピンクの悪魔こと
シャランラの乗るウサギロボット(多分勇者シリーズ最強のハイスペックロボ)に
対するガンダム側のキャラの反応をちょっと見てみたいな
>>626 アレ、某ゲームだとビット飛ばしたり単体でゴルディオンハンマー振り回したりと勇者涙目な暴れ方してるもんな……
>>627 BRAVEでSAGAなゲームですね、分かります
ゴルドランは色々規格外。
インパルスだと妨害されそうだな。
あと、OPのミネルバを乗っ取られそう。
ドラグーンをキャロビットで打ち落とせそうだし。
何かのついでに、進路妨害しているAAを破壊して欲しい気がする、今日この頃。
ワンシーンだけ思いついたけど、夜に時間があったら投下してみる。
期待してます、頑張ってください。
『ワルター様ぁ〜〜〜vv お迎えにあがりましたわv 早く一緒に帰りましょう〜〜〜vv』
アークエンジェルの中にも外にも、甘ったるい少女の声が響いた。
鋼鉄の神経でならした砂漠の虎こと、アンドリュー・バルトフェルトすらあまりの事態に声も出ない。
アークエンジェルの上に降り立ったのは、巨大なピンクのウサギのぬいぐるみだった。ぬいぐるみがしゃべるはずはないから、中にはパイロットの少女がいるのだろう。多分、いや絶対。
「ひっ……あ…ああ、う……」
ラクスの隣でサンジューロー・ワルタが喉を詰まらせ、酸欠の金魚のように口をパクパクとさせている。
「サンジューローさん? どうなさいました? お体の具合でも悪いのですか?」
「わ、わからぬ…だが、あのウサギを見ると、なぜかトリハダが……」
『ワルター様ぁ〜〜〜vvvv』
甘える少女の声に、更に怯えるサンジューローを見て、ラクスはキッと面をあげた。
「キラ、アークエンジェルが大変なことになっています。すぐに戻ってきてください」
『ラクス?! わかった!』
キラの声が聞こえたことでマリューも正気を取り戻したのか、ヘルダートの照準を向けさせた。ノイマンがウサギを振り切ろうとする前に、こちらの動きに気付いたのか、ウサギが飛んだ。
『まあ、なんてことですの?! ワルター様を誘拐したあげくに閉じ込めておくなんて!
そんな悪い子ちゃんは・・・・オシオキよ〜〜〜!!』
「こっちは子供の相手をしている程ヒマじゃないんだよ!」
「ヘルダート、てーー!」
超至近距離から放たれたヘルダートの弾を、ウサギは避けた。空中に数本のピンクの繊維が散っただけ。エプロンドレスの裾から取り出した得物を見て、再度ノイマン達は絶句する。
「何あれ? 本当にオモチャ?!」
ミリーの言葉はしかし間違っていた。一旦下がったウサギは、猛烈な勢いでアークエンジェルに肉薄すると、なぜかピコピコと軽い音を立ててローエングリンをもぎ取ったのだ。
「嘘っ?!」
『ラクス!!』
ザフト艦との戦闘に出たばかりのフリーダムが猛スピードで戻ってくる。
マルチロックオンシステムが捉えたウサギに一瞬驚きながらも、キラは両手両足に照準をマニュアル変更し、発砲した。
『あん!』
が、避けられた。
「そんなっ?!」
『邪魔しないでって言ったでしょ?!』
ピコピコピコと軽い音が三度響いた。一度目で5枚のウイングが叩き割られ、二度目で残りが全部折れ、最後の一撃でフリーダムは海に向かって真っ逆さまに落ちて行く。
「キラーーーー!!」
ようやく追いついたカガリは、ストライクルージュを降下させ、落ちて行くフリーダムを追った。
「悪太どうしたんだろうね。せっかくシャランラに迎えに行ってもらったのに」
それはシャランラが迎えに行ったからでは? とモビィディックのブリッジで瞬兵や勇太は思ったが、なんとく口には出さないでおこうと思った。
「あ〜・・・・・案外、敵に捕まって洗脳でもされたんじゃないか?」
「そういうお約束は外さないもんな」
「ならば尚のこと、兄上を取り戻さねばなりません。
行きますよ、キャプテンシャーク!」
『アイアイサー! 艦長代理!』
以上です。
すみません、ドシロートなので、全然なってなくて・・・orz
あとガンダムも詳しくないので、こんなのしか書けなくてすみませんでした。
イメージ的にはブレサガ2でどっかのエリアにアフェタを探しに来ました的な感じで書きました。
GJ!!面白かったですよ。基本性能考えたらGガンの連中か、ターンタイプじゃ
なきゃ敵わない勇者ロボとタメ張るウサリン相手じゃ、こうなっちゃうな。
>>633 いやいや、充分でしょう。ワンシーンだけとはいえ面白かったです。さすがシャランラw
欲を言えばこれが一本の短編にまとまるまで頑張って欲しいかなーなんて
思ったりしちゃったりして。
636 :
632です:2010/03/20(土) 20:30:20 ID:???
GJいただきまして、どうもありがとうございます!
後でキャロビットとか出してないとか思い出しましたが、書きこんじゃったので無理でした・・・orz
シャランラとウサリンを出せば、クレタ沖の包囲網なんて一瞬でしょうな。カスタムギアの大群ですらほぼ瞬殺なのに。
むしろ書いていてスカッとするようなシャランラ。
短編にでもできるような構成脳があればいいんですが・・・あともうワンシーンは思いついたので、そのうち書いてみようと思います。
637 :
一尉:2010/03/22(月) 16:06:52 ID:???
支援
めっさ遅いけどシャランラの人乙でした〜
あ、あとちょいと気になったけど艦長じゃなくて船長じゃなかったっけ?
記憶違いだろうか・・・
639 :
一尉:2010/03/29(月) 08:16:09 ID:???
支援
>>548 真っ向唐竹割はグレートマイトガインの必殺技でわないかと。
641 :
632です:2010/03/31(水) 23:16:39 ID:???
瞬兵達を一旦別れ、タクヤ達は街の中を調査することにした。実際にはただの息抜きである。
「あれはなんでしょうか?」
一緒に降りたシリアスが、街の一角にあるアイスクリームショップを指差した。
「アイスクリーム屋さんだね」
「アイスクリーム……」
表情筋こそ動いていないものの、シリアスの視線はポップな看板に釘付けだ。足元でレイザーがお座りをしたまま、シリアスを見上げて軽く2,3回尻尾を振った。
「日本円が通じたらな〜」
「おまえ、今月の小遣いの残高あと150円だろ」
カズキは白い目でタクヤを見た。そういうカズキの残高は後500円だ。
シリアスはガラス窓の向こうに見えるアイスクリームカップはソフトクリームの看板に視線を的確に合わせていた。
「シリアスって意外と甘い物好きだったんだね」
ダイは初めて知った事実に少し嬉しそうに声を弾ませた。シリアスの子供らしい一面がどんどん出てくるのは良いことだ。
「でも……」
ダイの財布の中もだいぶ少ない。ドランやアドベンジャー達が食糧を調達してくれないからである。
「あ」
もう別の店の方を向いていたタクヤが、声をあげた。
「おまえらちょっとそこの角に隠れてろ」
「え?」
「いいから早く!」
タクヤは3人を路地に押し込むと、アイスクリームショップの窓ガラスにベッタリと張りついた。
「何やってんだ、あいつは」
やがてタクヤの横を、赤い髪をショートカットにした高校生ぐらいの女の子が通りすぎていく。同時にタクヤは盛大なため息をついた。
「はあー……」
女の子は店の中に入っていくと、しばらくしてトリプルのコーンを持って出てきた。そのタイミングでまたタクヤがため息を吐く。
「どうしたの、キミ。さっきからため息ついちゃって」
流石に気になったのか、女の子が話しかけてくる。
「あ、いえ…その…お財布、落としちゃって……お母さんに、お小遣いもらったばかりなのに…」
「ふーん……」
女の子はペロリとアイスクリームを舐めると、少し上を向いて何か考えるような仕草をした。
「いいわよ。一個ぐらいならおごってあげる。一人でヒマだったしね」
「本当?! ありがとう、お姉さん!」
タクヤはぱあっと表情を輝かせると、路地に向かって声をかけた。
「おーーい、皆! このお姉さんがおごってくれるって!」
「え?!」
驚く少女の前に、次々と3人の少年が飛び出してきた。
「ありがとうございます!」
「お姉さん最高!」
「このような種類のアイスクリームは初めてみました」
一人、礼も言わずに店の中に入っていく少年を、女の子は睨みつけた。
「ちょっと、アンタ達!」
「「「「ごちそうさまで〜〜〜〜す!」」」」
642 :
632です:2010/03/31(水) 23:17:53 ID:???
ルナマリアは店の外のパラソル席で、アイスクリームにがっつく子供たちを眺めていた。本当ならアスランとデートをしているはずが、こんな子供たちに奢らされているなんて腹立たしい。しかも全員トリプルを頼みやがって。
「なんでこうなっちゃんだか……」
「いや〜! 食った食った! お姉さん、ありがとう!」
「助かりました!」
「ごちそうさまでした」
早々にコーンタイプを食べ終わる3人の横で、一人だけカップを頼んだ水色の髪の少年が黙々とアイスクリームを食べている。足元では躾の行きとどいた大型犬がお座りをしている。
「あんたね、さっきもそうだけどお礼ぐらい言ったら?」
ルナマリアは面白くなさそうに目を細めて少年を眺める。
「ごちそうさまでした」
少年はそんな言葉にはまるで頓着せず、自分のペースでアイスクリームを食べ終わると、ポケットからレースのついたハンカチを取り出して口元を拭った。
「このようなアイスクリームは初めて食べました。大変に美味しかった。
礼はもちろんするつもりです。貴女の名前は?」
「ルナマリア・ホークよ。
ま、わざわざ礼をしにくるようなものでもないけどね。第一、あたしはこう見えても軍人なの。お子様とこれ以上つきあっていられないのよ」
ルナマリアはバッグを手に取ると席を立った。
「あんまりそうやって他人にたかってるんじゃないわよ。いいわね?」
「はーい」
という元気な声に続いて
「ああいう言い方するヤツに限って、何か期待してたりするんだよ」
「それに軍人には見えませんね」
「少し抜けてそうだしな」
「でも、良い人だよ。お礼はちゃんとしないとね」
ワザと言っているのか判別の付きにくい会話が聞こえてきて、ルナマリアは拳を震わせた。
643 :
632です:2010/03/31(水) 23:18:58 ID:???
『主よ、どうやら戦闘領域に突入してしまったようです!』
アドベンジャーが焦った声で報告してきた。
「ああん?」
ポテチを齧りながら顔をあげる主たちの前のスクリーンに、一隻の空中戦艦を取り囲む艦隊が見えた。
「う〜ん…これはちょっと卑怯な気がするけど……」
「けど、俺らがこの辺りの事情にツッコむわけにもいかないだろ。事情があって戦争してるんだし」
「あんまり後味は良くないけど、テキトーに進路変更しちゃってよ」
「いいえ、そうもいかないようですよ」
モニターが切り替わり、シリアスの顔が画面の半分に映った。
「何かあったのか?」
「あの囲まれている戦艦に、ルナマリア・ホークの生体反応を確認しました」
「ええ?!」
「それってアイスクリームの人?!」
「そうです」
タクヤが立ち上がってポテチを飲み込む。
「だったら話は別だ! あの戦艦を助けるぞ!」
『心得た!』
主たちの後ろで、ドランがヘッドライトを瞬かせた。
一方、キャプテンシャークとその代理主の方は、もう少し話の続きをしていた。兄を真似た海賊衣装を着るシリアスに、キャプテンシャークが話しかける。
『っと、少し離れたところに漁夫の利を狙ってる輩がいるぜ。おまけに、船長の反応までありやがる』
「こんな時に兄上が現れるとは、実に都合が良い。そちらはシャランラに任せましょう」
644 :
632です:2010/03/31(水) 23:21:23 ID:???
くそっ! なんで、オーブがっ! こんなところまでっ!!」
悪態をつきながらもシンは必死にインパルスを駆って戦場を飛び回っていた。複数方向からのロックオンアラートが入る。全部は対処しきれない。被弾をできるだけ少なくするため、海面ギリギリを飛ぶ。
と、いきなり真下の海中からビームランスが伸びてきた。
「っ!」
急上昇をかけようとした途端、いきなりインパルスが浮き上がった。
「?!」
『無事か?』
かなり上空まで行ったところで機体が解放される。ようやくカメラをそちらに回したシンは、青空の中でやたらとキンキラと輝く機体に目を剥いた。
「あ、アンタは…」
『主の命により助太刀する!』
それだけを言うと、金色のMSは同じく金色の翼を羽ばたかせて戦場に向かって飛んでいった。
「な、なんなんだよ!」
MSについている翼が羽ばたくなんて考えられない。シンの目の前で、もっと信じられないことが起こった。
金色のMSの両肩から、何か、が発射された。良くは見えないが、真下の海の水面の様子からかなりの風が発生したのだというのがわかる。それは水面を割って海中のアビスガンダムを空中にまで引っ張り上げた。
「マジか……」
アビスガンダムは空中に磔にされたように微動だにせず、金色のMSはそれに向かって腰の実体剣を引き抜いた。大仰に飛びあがり、一気にアビスガンダムを縦に斬り裂いた。
派手な爆発だった。あれほど苦戦させれていたアビスが、自分達の手に戻らないまま、あっさり破壊された。爆風に煽られた落下傘が、連合艦隊に向けて流れていく。
「あれ? アビスに落下傘なんてついてたっけ…」
645 :
632です:2010/03/31(水) 23:27:04 ID:???
ミネルバのブリッジの中は、凍りつきかけていた。目の前の物体を見て多少なりともはしゃぐような声をあげているのは普段は落ち着きのないアーサーだ。
「あれ、凄いですね。メイドインジャパンのSLは空を飛ぶことができるって聞いていましたが」
「問題はそこじゃないでしょ?!」
艦長のプライドを以て副長を張り倒さなかったタリアは、彼の能天気な一言に少しだけ我を取り戻す。
各MSに目を向ければ、グフの目の前でガイアガンダムを金色のMSが破壊。カオスガンダムは、シルバーを通り越してプラチナレベルに光るMSが手に持ったランサーで串刺しにしていた。
そしてミネルバに群がりにきたムラサメやディンは、上空から突然降ってきたとしか言いようがない、青いMSによって次々と玉砕されていった。
「彼らはなんなの?」
「わかりません。味方をしてくれているようですが……」
青いMSの右肩にマウントされているのは多分ミサイルランチャーだろうが、実体弾なのにPS装甲など紙のように引き裂いていく。爆発した後には、パイロットをぶら下げた落下傘が漂うばかりだ。
「最近の聯合やオーブのMSってパラシュート付きなんですね」
またどうでもいいことを…をタリアはアーサーを睨みつけたが、どうでもよくないことに気付いた。
「どういうこと?」
やがて混合のMS隊が全滅すると、青いMSはルナマリアがいる艦上へと回る。
「いけない、すぐにシンを呼び戻して!」
646 :
632です:2010/03/31(水) 23:28:10 ID:???
ザクウォーリアの目の前に、青いMSが降りてきた。胸の辺りが何か動物を模しているようだが、ルナマリアはそれがサメだとはわからなかった。
「な、何よ…やるってんなら相手になるわよ!」
ビームライフルを構えるが、あのランチャーの威力を見せ付けられた後では、その声は震えていた。
青いMSはホバリングしたまま、まるで人間のように腕を組むと、野太い男の声が聞こえたきた。
『宇宙の海はオレの海。
海賊戦艦キャプテンシャークとは、オレ様のことだ!』
「は……?」
ルナマリが呆けて射撃のタイミングを逃している間に、青いMSの胸の口が開き、中から小柄な人影が出てきた。
「もう、なんなの?」
黒い服を着た子供は、マントをバッと翻すとルナマリアの方を向いて大見えを切った。
「私は、悪に染まりしこの星を元の姿に戻すため、大宇宙の神が使わした正義のヒーロー!
その名も宇宙海賊イリアス・イーザックなのですっ!
ルナマリア・ホーク」
突然名前を呼ばれ、ようやくルナマリアは我に返った。
「な、なんであたしの名前を…」
「礼はしましたよ」
奥から大型犬が、少年の足元に寄り添うように出てきた。
「あっ…!」
アイスクリームショップでの出来事が脳裏に浮かぶ。
「ちょ、ちょっと、あんた……」
だが少年はルナマリアの制止も聞かずにMSの中へと戻っていく。そして少年を格納したMSは、巨大な魚――鮫――へと変形し、空飛ぶSLに合流すると、そのままいずこかへと飛び去って行った。
「ルナ、大丈夫か?!」
「無事か?」
ようやくシンが戻ってきて、レイのブレイズザクファントムも反対側の舷から姿を見せる。
「なんだったんだ、あいつらは?」
「わからない。ルナマリア、君には何かを伝えていたようだが?」
「あ、アイスが……アイスクリームが助けに来たのよっ!!」
647 :
632です:2010/04/01(木) 00:17:22 ID:???
以上です。
三つ目のGJいただきまして、ありがとうございます!
調子に乗ってお子達&シリアスVerも書いてしまいました。
あと、「艦長代理」についてですが、ブレサガ2で以下のようなやりとりがあったので、そこから持ってきました。
セーブデータ確認済み
『おうよ!船長がいない間はあんたが船長代理だ!遠慮なく命令してくんな!」
「そんな、とんでもない! ……では、お言葉に甘えて、ひとつだけ」
『何でぇ、水臭いことは言いっこ無しだぜ。ほら、何でも言ってみな!』
「では、いくら海賊と言えども『戦艦』を名乗る以上、私のことは『船長代理』では無く、『艦長代理
』と、呼んでいただきます。よろしいですね、キャプテン」
『アイアイサー!艦長代理!!』
では、再び潜ります。
子連れダイノガイスト氏、ジェイアスカ氏の続きを楽しみにしております。
648 :
638:2010/04/01(木) 18:33:45 ID:???
なるほどな〜、館長代理でOKだったんですね、納得しました。
さておき今回も面白かったです。
乙でした〜
649 :
一尉:2010/04/06(火) 08:21:57 ID:???
支援
>>647 遅ればせながらGJ! いつの間にか脱出装置が完備されるとか流石は高松補正w
651 :
一尉:2010/04/19(月) 21:11:31 ID:???
支援
てす
規制解除承認キター!!
ほ
655 :
一尉:2010/04/22(木) 18:30:32 ID:???
送り支援
どうも、お久しぶりです。
このところ仕事が忙しくなったりプロットの修正の必要に迫られたりで、
ほとんど書けてませんでした。最近どうにか時間が確保できてきたので
今しばらくお待ちください。
待ってます!!
生存確認が出来ただけ嬉しいってのはネットSSの特徴だよなぁ
マジで逃げたんじゃなくて死んでるんじゃね?ってのも結構あるもんなあ・・・orz
だよなぁ…
結構昔で何の作品かは忘れたけど、それまで更新が定期的で順調だったのに
それじゃ明日更新します――の言葉を最後に来なくなっちゃったひととか
保守
テス
保守代わりに報告。
執筆中にふと気になったので調べてみたら、神話に出てくるの「タマトヨヒメ」やのーて
「トヨタマヒメ」やんけ! 妹のタマヨリヒメとごっちゃになってた……
なんでwiki修正しておきました。
出来たどー!
投下します。
────オーブ近海でザフトの部隊と交戦して損傷し、やむなくモルゲンレーテの秘密ドックへと
寄港した連合軍の最新鋭艦アークエンジェル。その修理を依頼されていたジャンク屋の若者、
ロウ・ギュールは作業の手こそ止めないものの、先程から警報とともに耳に入ってきた
ゾンダー情報に気が気でない様子だった。
だがそれは彼が臆病だということではなく、むしろその逆で────
「ロウ? こちらは大丈夫なので、気になるのでしたら少しの間でも外に出ては……」
「いや、8と教授(プロフェッサー)に撮影は頼んであるからな。まずはこっちが先だろう?」
仲間のリーアムにまでそう気遣われるほど落ち着かないそぶりの彼は、
すぐにでも外へ出たい誘惑を振り払って目の前の仕事に没頭する。
MS、MA、戦艦の別無く、あらゆる新型のメカに目が無い彼は、このオーブに来て
たまたま目にしたキングジェイダーの姿に一瞬でその心を奪われた。
100m級の白亜の巨体とそれに相応しいパワー。ビーム、実弾を問わない大火力と、
おびただしい攻撃に晒されても小揺るぎすらしない重装甲。
まるでアニメの世界から抜け出してきたような、MSのレベルを遥かに凌駕するその戦いぶりは圧巻の一言で、
まさにすごく強い、すごくデカイ、すごいロボットとしか言えない有様だった。
なんとしてもこの勇姿を生で観たい、自らの手で隅々まで弄り回してみたい。
そう思うのも仕方ないと思えるほど、キングジェイダーは極めて魅力的な存在だった。
それを前にしては、流石の最新鋭艦アークエンジェルも霞んでしまう。
しかし悲しいかな彼は誇りあるジャンク屋。今はそんな欲求を断腸の思いで片隅に置き、
依頼された仕事を片付けなくてはならないのだ。
仕事に精を出す相棒の切なる願いを多少なりとも叶えるべく、MSのサポートAIである
“8(ハチ)”はロウの愛機である赤いMSを単身操って、マドロスよろしく埠頭のコンテナへと
その脚を乗せながら、メインカメラを最大望遠にしつつ、遥か沖合いの戦場へと視線を向けていた。
No.06『夜明け』
ゾンダーボズゴロフとの戦闘で深く傷ついたミハシラウイングスのもとへ、
海面を割って多目的整備装甲艦カナヤマヒコが姿を現した。ミハシラ軍の艦船に共通した黒鉄色の艦は、
コップのように角度の付いた円筒形の艦体を前後に展開し、一見して空母のような姿へと変わる。
その甲板からは巨大なクレーンが伸び、損傷したムラサメたちを手際よく回収してゆく。
戦闘中に脱落したパーツも、回収班として投入された水中装備の無人アストレイ部隊が、その大きなバイザーに覆われたセンサーを光らせながら、ネジ一本残さぬ覚悟で
背中のコンテナへ次々と掻き集めていった。
最後に一番損傷の少なかった天を回収し、カナヤマヒコはその艦体を閉じて海中へと潜航する。
「派手にやられたなぁ……でも心配するなよ、きっと新品みたいに元通りにしてやるからな!!」
カナヤマヒコに乗艦していたシモンズ整備班長の励ましが格納庫に響き渡り、
重傷のムラサメたちは腕を振ったり、腕の無いものはバイザー状のメインカメラを明滅させて応えた。
回収された機体は、AIユニットの収められた中枢部分のチェックが済み次第直ちに洗浄され、
備え付けられたメンテナンスベッドへ搬送される。破損したパーツは速やかに新品と交換され、
物質復元装置へ回されて元通りに復元。再検査の後に再びスペアパーツとしてストックされる。
この高度にシステム化された作業工程のおかげで、ミハシラのロボット軍は如何に損耗しようと
その戦力をたちまちのうちに取り戻すことが出来るのだ。
艦名に冠された金属、製鉄の神の名に恥じない働きは、目立たないながらもミハシラ軍を
しっかりと支えている。この世にカナヤマヒコが在る限り、彼等は永久に不滅なのだ。
「お母さんが外でお食事なんてめーずらしー」
「せっかくのお休みだし、私もたまには楽したいからね。職場で聞いたんだけど、ここ美味しいらしいのよ」
ある晴れた昼下がり、アスカ母娘を乗せた一台の白い軽自動車が、ライオンキッチンという
レストランを訪れた。自家製の無農薬有機野菜をふんだんに使用したヘルシーメニューが売りという、
こじんまりとした佇まいの可愛らしい店だ。
何の気なしに駐車場を見ると、黒塗りのスポーツカーが目に入る。
幸いにも車はそれが一台駐車しているきりで、ランチタイムにもかかわらず楽に入ることが出来た。
「……?」
「なにしてるのー? 早く来なさい」
ふと背後に視線を感じたような気がしてマユは振り返ってみるも、やはりそこには誰も居ない。
無人の車が在るだけだ。首をかしげたものの、すぐに母の後を追いかけてドアをくぐる。
明るく暖かい雰囲気の店内では中高生くらいの子供たちが働いていたが、
家族で切り盛りしているというわけでもなさそうだった。なんだか兄弟とは思えないほど風貌に共通点が無い。
「いらっしゃいませ! ご注文がお決まりでしたらお手元のベルでお呼びください」
ふわふわしたブロンドの少女が、お冷をマユたちの着いたテーブルへと並べる。
その胸元を覆うエプロンには、店のシンボルなのだろうライオンのプリントが躍っていた。
「ステラちゃーん、プリン追加よろしくー」
「俺野菜シャーベット」
「コーヒーのおかわりを」
そこへ奥に座っていた客から注文が入る。背広姿の三人はどうやら少女目当ての常連客のようで、
顔馴染みなのか店員に対してやけに馴れ馴れしい。
「ステラー、母さんが出かけるからスティングのほう手伝ってくれ。そっちはボクがやるから!」
「わかった!」
「きったねーぞアウル!」
「ごめんねー忙しくってさあ!」
すかさず厨房から顔を出したやんちゃそうな少年から声が掛かり、ステラと呼ばれた先程の少女は
奥へ引っ込んでいった。一人を除き、背広組から一斉に上がるブーイング。
だがアウル少年は慣れっこなのかそんな言葉など何処吹く風で、ひらひらと手なんぞ振っている。
彼等の会話の中、不意に「母さん」という単語がマユコの耳に入り、ムクムクと好奇心が首をもたげた。
他人の関係を詮索するわけではないが、どうにも気になってしまう。
「……あの二人、店長の息子さんとガールフレンドなのかしら?」
なんだか気になるお店だ。
□□□□
見事に晴れ上がった大空を、オーブ軍の戦闘ヘリが飛び交ってゆく。武装はしておらず、
そのパイロンには本来あるべきミサイルのかわりにブイのような形状の装置が吊るされていた。
《全機所定の位置につき次第投下開始!》
隊長機の号令一過、ヘリ部隊は数キロ四方という広大な海域を取り囲むようにブイを投下してゆく。
《ホログラフィックカモフラージュ、作動!》
《カモフラージュ、作動します!》
投下が確認されるや装置はすぐさま遠隔操作で作動し、その海域を陽炎のような揺らぎとともに広がる
大規模な光学迷彩で覆った。この海域を覗き見る手段は、もはや上空から見下ろす以外に無い。
「これよりミハシラ軍戦技演習を開始する! 空中空母タケミナカタ、万能補給艦トヨタマヒメ、
多目的整備装甲艦カナヤマヒコ発進!!」
封鎖が完了したのを確認すると、ギナの号令とともにシークレットポートに接岸されていた
ミハシラ艦隊が次々と浮上する。
「ソルダートJ、準備はいいか?」
「もちろんだ!」
呼びかけに答えるように、海原を割って白亜の巨艦がその姿を陽光に晒した。
強大な敵との戦闘経験を積ませるため、ソルダートJは演習のたびにミハシラ軍の仮想敵機を務めているのだ。
「では遠慮なく往くぞ、ミハシラウイングス発進!」
「了解! シルバーウイング及びゴールドウイング、ムラサメ隊発進します!!」
ナガオの操作でタケミナカタのミラーカタパルトが起動し、リボルバーの回転とともに
矢継ぎ早にウイング姉弟とムラサメ部隊を送り出してゆく。
「ウイングス、展開完了しました」
「よろしい、では私は準備に入らせてもらう。部隊の指揮と伏兵の使いどころはユウナに任せるぞ」
「しょうがないな……目標、前方のジェイキャリバー。シルバーとゴールドは援護、
ムラサメ隊はレッド&ブルーの二機編隊を組んで、四方からフォーメーションD‐3で波状攻撃を掛けろ!」
言うが早いかギナは司令席を立ち、何処かへと姿をくらませてしまう。
後を任されたユウナはそんなギナの悪癖に嘆息しつつも毎度のことだと諦めて、
司令代行を務めるべくウイングスの指揮を執った。
「来たな……トモロ、全砲門開け! ミサイルランチャー対空砲火!!」
《了解!》
すかさず艦の両舷側から機関砲のような勢いで対空用のメーザーミサイルが放たれ、航空隊を牽制する。
彼等がミサイルを回避した隙を狙い、複数のムラサメたちへ反中間子砲が撃ち込まれるが、
必中と見られたその火線が機体を貫くことは無かった。
回避と同時にムラサメブルーの放ったミサイルが、正面に防御フィールドを展開し攻撃を逸らしたのだ。
無論対空ミサイルの弾頭もビームも訓練用に切り替えてあったが、攻撃を斥力で防ぐような
単純なバリアーとは違い、炸裂とともに一時的な歪曲空間を発生させるこのバリアー弾頭であれば、
仮にこれが本物の反粒子ビームであったとしても充分防ぎきったことだろう。
発生したバリアーの間隙を縫って、変形したムラサメたちのシールドに仕込まれたビーム砲が一斉に火を噴いた。
歪曲空間の隙間を潜り抜けたビームの光条は、水柱を立てて海面に降り注いでは航行するジェイキャリバーを襲う。
だがJたちもやられてばかりではない。トモロがすかさずバリアーを問答無用で素通りする
ESミサイルを発射し、不運なムラサメに撃墜判定を下す。
その他にも彼等には、無数にESウィンドウへ撃ち込まれたメーザーミサイルの群れが
襲い掛かったが、ムラサメを上手くアシストするビームガンの連射やアームズバルカンなど、
変形したウイング姉弟による弾幕が、ミサイルに対するカウンターとして充分に機能していた。
「なら! ジェイバード、プラグアウト!!」
《ジェイキャリア、スタンドアップ!!》
エネルギーの続く限り艦内で生産される無限ミサイルや、主砲の絶え間ない対空砲火の中、
安全なバリアーの陰で変形、ホバリングしつつ攻撃を掛けてくるムラサメたちを一網打尽にするべく、
ソルダートJはジェイダーへとフュージョンし、トモロもジェイキャリアを直立させた。
「────全機フォーメーションA‐10!」
ユウナがその指示を下したのは、ジェイダーが変形を始めジェイキャリアの目から
牽引ビームが放たれるのとほぼ同じタイミングだった。
まさに全弾発射という有様でありったけのミサイルを撃ち込むや、
すぐさま尻をまくって逃げを打つミハシラウイングス。ジェイダーの速さは嫌というほど知っているものの、
気休めでも何もしないよりはずっとマシとばかりに、全ムラサメはアフターバーナーを噴かして
蜘蛛の子を散らすように急速反転する。
ミサイルの中には少しでも狙いを逸らそうと用意されたジャミング弾頭も含まれており、
炸裂とともに放たれたチャフが、ジェイアーク級の対物レーダーである中間子検知器を欺くために、
周辺空域を中間子で盛大に散らかした。
数に物を言わせて撃ちまくったおかげで、幸いにも着弾したバリアー分解弾頭が
ジェネレーティング・アーマーを無効化し、次いで襲い掛かった数々のミサイルが、
穢れなき純白の船体を毒々しいマゼンタのペイントで汚す。
それに怒ったかは判らぬが、立ち上がったジェイキャリアの全身から炎の花が咲いたように
ミサイルやビーム兵器の返礼が贈られた。
その姿たるや、まさしく映画に登場するような防衛隊を蹴散らす大怪獣の有様だ。
ウイングスが一世一代の一撃離脱戦法を敢行し、自らに迫る無数の火線とのデッドヒートを繰り広げる中、
あるものはミサイルに被弾し、またあるものは薙ぎ払うように振りぬかれた牽引ビームに捕らわれて
ジェイダーの刃に掛かるなどして、数々の撃墜判定をもらいつつも、チャフによって鈍った照準と
ばら撒かれたバリアー弾頭のおかげで、武装こそほとんど失われたものの、
過半数以上という決して少なくない機体が無傷で生き残ることが出来た。
だがジェイダーたちから遠ざかる機影の中に、彼等を束ねる金銀の輝きは────無い。
(ウイング姉弟が見当たらない? ────まさか!!)
その刹那、ジェイキャリア背後の海面を割って合体を完了した天ギナと、
ロンド・ギナの操るカスタムアストレイP01が姿を現した!
『受けるがいい! バーストインフェルノ!!』
「今日こそ貴様に黒星を付けさせてもらうぞ! ソルダートジェイィィィィィィィ!!」
天ギナの両肩に装備された機銃や両腕のビームキャノン、腰のビームガンに
胸のシールドから展開されたアームズバルカンに至る全ての火器が、まさに鉄風雷火の嵐となって
眼前のジェイキャリアへ牙を剥く。
AIのモデルにされたおかげなのか訓練の成果か、天とまったく同じタイミングで
ギナのカスタムアストレイもアクションを起こした。翠色のツインアイをぎらつかせ、
装甲の隙間から覗く黄金のフレームを降り注ぐ陽光に煌めかせながら、
背負った巨大なフライトユニットのスラスターを噴かして円錐形のビーム突撃槍を
ジェイダーへ向けて突き出し、背後からその身を貫かんとする。
毎回のように演習でJに土を付けられては機体を強化し、戦術を練り直してきたギナの執念の一撃だった。
無論この相手がゾンダーであれば、あるいはさらに強大な原種であったとしても、
プラズマ推進と併せて強引に組み込まれたウルテクエンジンの加速度と相まって、
高速回転する攻防一体のエネルギーフィールドで構成されたドリル状の矛先は、
種々の攻撃やバリアシステムをも物ともせずに貫通しただろう。
だがしかし、勝利の女神が彼に微笑むことはまたしても無かった。
《ESミサイル発射!》
『うおおおおおおおおおお!?』
海中に転移したミサイルによって盛大に足元をすくわれた天ギナは、必殺の狙いを見事に逸らされ、
カスタムアストレイのもとにもジェイダーのカウンターが繰り出される。
「セパレーション! ────ジェイダーパンチ!!」
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
後ろ回し蹴りの勢いに乗せて、分離されたジェイダーの左脚がキングジェイダーの
右腕へと変形しながらカスタムアストレイに迫った。
アレに対してビーム兵器は通じない。ソルダートJのとっさの判断による見事な攻撃だった。
一度付いた勢いはそう簡単には止められない。ウルテクエンジンは加速度こそ自在に制御できるが、
慣性まで操れるわけではないのだ。提供された技術資料の中には存在したものの、
慣性制御装置をMSに搭載できるほど小型化することは現在の技術ではいまだに困難だった。
よってカスタムアストレイは慣性の法則に支配されるまま、巨大化しながら迫る鉄拳から放たれた
デコピンを横面に受け、錐揉み回転しつつボッチャンと情けない水音を立てて沈んだ。
いかな攻防一体のフィールドとはいえ、正面以外から打撃を受けてはどうしようもない。
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
『うぬうっ、よくもサハク司令を!』
「五連メーザー砲、反中間子砲発射!」
さらに追い討ちを掛けるように、どうにか生き残っていた天ギナへと飛来した右腕が
反中間子砲や指先の五連メーザー砲を撃ちながら縦横無尽に襲い掛かった。
『なんの! クロスウイング・ブーメラン!!』
それを機動力に優れる天ミナへ変形して巧みに回避、主翼の変じた十字ブーメランを投げつけて牽制する。
ミラーコーティングによって白銀に輝くブーメランは、その表面でメーザーをことごとく弾き、
反中間子砲も浮遊と軌道制御に利用しているフィールドを使い、完全とはいかないまでも逸らしている。
ブーメランの相手に追われ、キングジェイダーの右腕はすっかり釘付けにされていた。
そこに生じた僅かな隙を突いて、絶え間なく射掛けられるビームやミサイルを掻い潜り、
腕部ビームキャノンや腰部のビームガンを駆使して、じわじわとジェイダー側のHPを
削っていく天ミナだったが、彼女へ止めを刺すべく、ついにジェイダーが動いた。
「なかなかやるようだが、いいかげん終わりにしてやる! メガ・フュージョン!!」
残っていた右脚も切り離し、そのまま急降下して直立していたジェイキャリアと
メガ・フュージョン体勢に入る。
合体を完了し、盛大な水しぶきを上げて南海へと降臨する隻腕のキングジェイダー。
さんざん右腕を苦しめていたブーメランも、とうとう叩き落されてしまった。
「反中間子砲用意!」
キングジェイダーの両腕に挟まれた天へ、砲塔が一斉に顔を向け引導を渡さんとする。
しかし天には策が有った。胸のシールドに内蔵されたフィールドジェネレーターを全開にし、
その全身を鏡面じみた防御フィールドで覆う。これならばたとえ実戦で本物の反粒子ビームが
放たれたとしても、僅かばかりだが耐えられる。
『────シンメトリカル・アウト!!』
『生太刀!』『禍太刀!』
そのまま分離したウイング姉弟は、互いの手に刃をとると両足のスラスターを最大限に噴かして、
キングジェイダーとその右腕へと弾かれたように向かってゆく。
『い・ま・だああああああああああああああああああ!!』
「甘い! 腕部牽引ビーム、照射!」
《腕部牽引ビーム、照射!》
だがしかし、キングジェイダーの両腕にマウントされた紺色の砲塔から、
反中間子ではなく牽引ビームの光条が迸り、シルバーウイング、ゴールドウイングの身体を
一切の身動きが出来ぬまま空中へ繋ぎ止めた。
『うおおおおおお!?』
『これは!?』
そのまま宙に浮いた右腕と、体と繋がった左腕が力強く拳を握り、互いにビームの束を
手繰るように轟然と距離を詰める!
「────クロス・ボンバアアアアアアアアアアアアアア!!」
巨腕がぶつかり合うのとともに、晴れやかな大空へ盛大に轟く打撃音。
こうしてミハシラ軍リーダーであるシルバーウイング、ゴールドウイング、カスタムアストレイが
盛大に撃破されたことで、今回の演習もソルダートJの勝利として幕を下ろした。
「あちゃ〜〜〜〜、やっぱ敵わなかったか……今回はいい線いってたと思ったんだけどねぇ」
「そうでもないさ、ムラサメが過半数以上生き残っただけでも大したもんだ。
こっちがキングジェイダーじゃなかったら多分ユウナが勝ってたぞ?」
勝敗に遺恨を残すことなく、互いの健闘を称えあう指揮官たち。Jはダウンしたウイング姉弟を介抱しながら、
ユウナの指揮にミネルバ時代に交戦したオーブ軍の手強さを思い出していた。
「よし、それじゃあ撤収準備だ。死んだ奴等も生き返っていいぞ!」
その声を耳にして、撃墜判定をもらったムラサメたちも生き残りもこぞってタケミナカタへ着艦してゆく。
入れ替わるようにカナヤマヒコから発進した水中用アストレイ部隊が、
周辺の海域を総ざらいしてようやく後始末は完了だ。
一方その頃、オノゴロ基地のメインオーダールームでは、パンジャ・シシオウ博士が
エリカ・シモンズ、アゲハ・エントウジとともにゾンダーとの交戦記録を再確認していた。
「────人質作戦を積極的にとってきた清掃機材ゾンダーを始め、マユちゃんをターゲットにさだめ、
ゾンダーメタルプラント製造との二面作戦をとった地熱発電所ゾンダーと学校ゾンダー。
手足となるゾンダーMSを大量生産し、ゾンダー成熟までの時間稼ぎを行った工場ゾンダー。
極めつけがキングジェイダー無力化を図ったボズゴロフゾンダー……やはりゾンダーは
日々その強大さを増しておるようだ」
次いでモニターに、素体とされた被害者たちの記憶から映像化されたゾンダリアンたちの画像が表示される。
ウナト・エマ・セイランを襲った赤と紫の女、清掃員の青年を襲った緑の少女、
そして先日ザフトの艦長をゾンダー化した青の少女。
ゾンダー化されている間の記憶が断絶するのはどの被害者も共通しているようで、
シシオウ博士の開発した記憶映像化装置──その外観から通称“ゆりかご”と呼ばれている──
をもってしても詳しいことはわからなかった。
データにも記載されているが、人間の抱くストレスや負の感情をエネルギーに変え、
手近な機械へ融合するというゾンダーメタルの特性上、その能力や行動は素体の感情や
取り込んだ機械に大きく影響される。スポーツが得意だった少年が素体となった学校ゾンダーの外観しかり、
ウズミ代表に不満を抱いていたセイラン宰相の目標しかりだ。
実際、撃沈された艦内で死の恐怖に怯えていた艦長を素体としたボズゴロフゾンダーは、
天の合体が成功しなければキングジェイダーに勝利していたかもしれないほど強大だった。
今でこそオーブは名目上の平和を保っていられるが、もし戦渦に巻き込まれ、
それによって生み出された深い憎悪、あるいは悲しみに囚われた人間が素体にされたとすればどうなるか?
もしゾンダリアンの魔の手が国外へ伸び、各地で開発されているであろう強力な新兵器群が
取り込まれたとすれば、どれほど強力なゾンダーが生まれてしまうのか……
「オーバーテクノロジーを狙ってオーブに潜伏している他国の諜報員も数多く居る。
せめて戦争など起こらずに、人類が一丸となって立ち向かうことが出来ていれば……」
最悪の未来を想像し、眉間のしわを深くする博士を励ますように、エリカは進行中のプランを開示する。
「博士、今はコトー様やセイラン宰相、諜報部の頑張りに期待しましょう。
参謀たちもソルダートJと日々戦術を練っておられますし、開発部も全力で
新兵器研究や性能向上に努めています……アゲハ」
ミハシラウイングスの戦闘データ解析がひと段落付いたのか、伸びをしつつ目薬を点していたアゲハが、
話を振られたので仕方なく目元を拭き拭き片手でコンソールを操作してメインモニターを切り替えた。
厳格な職場なら雷が落ちても文句を言えないようなものぐさだったが、平時ということもあるし、
彼女の日ごろの激務を考えれば致し方ないとも言える。エリカは諦めたようにため息をついて説明を始めた。
「……現状のまま考えられる戦力増強プランとしては、タケミナカタミラーカタパルトのミラー粒子砲への転用。
トヨタマヒメに搭載されている補給物資────ミサイルやムラサメ用Jパワーパックの、
同艦武装としての転用が挙げられます」
さらにミハシラ艦隊の図解から映像が切り替わり、背部に大型のバックパックを装備した
カスタムアストレイが映し出される。センサー類の集中する顔全体をバイザーで覆った量産機とは異なり、
ギナの機体は二つのメインカメラに牙めいたマスクと、天ギナに良く似た顔立ちだ。
Vアンテナを備えた頭部の形状こそそのままだったが、各部に追加された黒い増加装甲も、
その印象に拍車を掛けている。
「なお、司令のアストレイには改良中のウルテクエンジンや新兵器が試験的に搭載されていますが、
これらに実用化の目処が立てば機動部隊の負担も大分軽減されることかと思われます」
「うむ、我々は急がねばならん。ソルダートJからの情報にあった原種の存在も気がかりだが、
進化し続けるゾンダーといい、いつキングジェイダーを超える敵が現れるか判らんのだからな」
──── 一度は海中に引きずり込まれたものの、戦闘機から変形合体した黒いロボットによって
見事に復帰したキングジェイダー。彼はそのまま黒いロボットのアシストを受けて、
一撃でボズゴロフ級潜水艦の変化したゾンダーを撃破して見せた。
「でかしたぞ8! 良く撮れてるぜ……」
《当然だ!》
「それにしてもアレだけのパワーが出せるエンジンや空間を捻じ曲げる大砲とか、
いったいどういう仕組みなんだろうな?」
どうにかアークエンジェルの修理も片がついた後、とるものもとりあえず飛び込んだコックピットの中で、
ロウは撮影された映像に時が流れるのも忘れて見入り、その迫力に子供のように瞳を輝かせていた。
格納庫で彼が搭乗しているMSは、頭部こそVアンテナにツインアイ型だが
全身の外装がチグハグで、おまけに端々にジンの装甲まで付いているという、
連合の物ともザフトの物ともつかないずいぶんと珍妙な姿だった。
ザフトと連合の戦闘に巻き込まれて崩壊したコロニー、ヘリオポリスから回収されたパーツを
ロウ・ギュール自ら組み上げ、足りない部分をジャンクで補うことで完成させたMS。
それが彼の愛機『レッド』である。
オーブの協力の下、ヘリオポリスで連合が開発していた五機のMSは、襲撃を掛けてきたザフトによって
ストライクを除く四機が強奪され、連合の敵に回ることとなってしまった。
だがそれらのデータを基に試験的に開発され、組み立てを待っていた量産試作機の一部が、
強奪を免れて工場エリアの奥底に眠っていたのだ。
急な戦闘だったせいか、ストライクのパーツと完成品、当座をしのげるだけの物資を
かき集めるだけで精一杯だったアークエンジェルに回収されることも無く、
宇宙(そら)の藻屑として朽ち果てていくだけかと思われたそれは、エリカの流した情報によって
無事ロウたちの手に渡ることとなった。
『G』あるいはG.U.N.D.A.M.というOSの頭文字から、開発スタッフに
『ガンダム』の愛称で呼ばれていた機体群。
発見された当初は頭部を始めとした一部のパーツが欠けていたのだが、
ロウはストライクにも使用された汎用性に優れる100系フレームに、たまたまそこに在ったという理由で、
そのうちの一機であるデュエルの頭部を取り付け、その他に様々な使えそうなパーツで肉付けした。
こうして組み上げられた機体はロウの趣味からか全身を真紅に塗装され、そのものズバリな
『レッド』の名で呼ばれるようになり、道中降りかかった様々な戦いを共に潜り抜け今日に至る。
□□□□
────地下深くに広がるゾンダリアン本拠。そこでピルエッタが一人、
今まで記録された戦闘データを分析していた。反中間子砲の火力で、ジェイクォースの圧倒的威力で、
次々と粉砕されてゆくゾンダーロボたち。装甲、火力、速度……その性能はどれをとっても
こちらを上回っている。
さらにソルダートJから提供されたのだろう赤の星の技術を使用したロボット軍団、
ミハシラウイングス。その存在は地球の機界昇華を目論むゾンダリアンにとって
到底看過できぬものとなっていた。
「アベルの遺せし災い……キングジェイダー」
無感情な声と、人形のように整った表情こそ変わらないが、その身を包む紺碧のドレスにあしらわれた
数々の歯車がギチギチギリギリと憎々しげに音を立てて回転する。
だがピルエッタは、次なる素体として候補に挙げたメカのうち、数日前オーブ沿岸で戦闘を行った
とあるMSに目を留めた。
その機体の名は『GAT‐X207ブリッツガンダム』ミラージュコロイドという
特殊なステルス粒子で光学迷彩を行えるMSだ。エネルギーと引き換えに実弾兵器と
ある程度の熱を無効化するPS装甲を纏っているため、防御力も純地球製の兵器としては
トップクラスに位置づけられる。
「作戦……立案」
我らがソルダートJの身に、冥府より迫り来る恐るべき死神の鎌が掛かろうとしていた。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
ゾンダリアンの策に嵌まり、ジェイダーとジェイキャリアは地に伏した。
負けるな我らがミハシラ軍、ゾンダーロボを打ち倒せ!
絶望の闇を切り裂いて、不死鳥は炎の中から甦る!!
勇者戦艦ジェイアスカNEXT『逆襲のシン』
次回もこのスレッドにメガ・フュージョン承認!!
これが勝利の鍵だ!『マユ・アスカ』
投下終了。いわゆる総集編&伏線の巻(つっても文章で映像使いまわしなんてメンドイからサラッと流したけど)。
ようやくアストレイとムラサメ、レッドの外見を描写できた……長かった。
あとガンダムの呼び名も開発スタッフ発祥に変更。順調に種が別物になってきております。
それに今更連合の技術パクる必要もないでしょうし、オーブの連中がガンダム顔じゃなくてもいいよね?
ちなみにアストレイがGNアーチャー、ムラサメがガンロボット風の顔です。
二機ほどガオガイガー顔になってるロボが居ますけど。
そして次回、ついに種本編のストーリーが完全崩壊します。お楽しみに。
GJです!
ステラ達の家族関係に思わずなごんでしまいました。
演習風景も気合が入っていて良かったです。
次回も楽しみにしています!
なるほど、オーブがアイランドシティ化まっしぐらなら
アストレイシリーズがこうなるのも然もあらんの一言なのだわ
次回で早くも超必殺技のフェニックスが出るとなると
ゆくゆくは銀色の鉄槌とかにも期待できるんですね!やったー!
675 :
一:2010/05/20(木) 22:04:57 ID:???
支援
>>672 いっちゃあなんだがオリメカ、オリキャラ(同名別人含む)で一話目から種本編と外れてるとおもいますよ。
別にいいけど。
しかしこれって他国から文句言われないのか?
一気に2世紀以上技術が進んでるぞ。
ガガガ本編が
20世紀の技術力+断片的な緑の星の技術+勇者
=20世紀の技術力+ゾンダーメタル+比較的平和な世界でストレスある人
で人類側とゾンダー側のパワーバランスがつりあったがここだと
CEの技術力+完全な赤の星の技術+綺麗なオーブ軍&高山原作シン
=CEの技術力+ゾンダーメタル+戦争という極限下でストレス溜まった人
で対抗してんだよな。
GGGよりも充実してる戦力で通常ゾンダーにここまで苦戦するってのは
融合されるCEメカがすごいからか素体のストレス状態が異常に強いのか。
マテ
ガガガ世界の地球の技術力は緑の星の技術関係無しでも20世紀地球よりかなり高いぞ.
十年近く前に木星への友人探査船送ったり、
大型の戦闘用ロボット(しかも、日本の街工場製)を開発してたり、
遺伝子操作で超人とかクリーチャーとか怪獣とか作り出してたり、
普通の人間にリミピットチャンネルの能力を付与したり、
プラレス三四郎のプラレスラーみたいなおもちゃを作ったりする技術があるから。
まぁ、全般的な技術水準はCEの方が高いだろうけど、どうみても素のガガガ地球の方が技術的に上な部分もかなり多い。
CEは歪んだ形で技術水準が伸びてるから・・・
キナ臭い部分のみが突出してて、人々の生活部分の技術水準は21世紀から変わってない
>>680 そういやそうか
TV後やFINALならGストーン技術の公開によるブレイクスルーともとれるけど
TV本編で失敗したとはいえ重力制御技術を自力で完成寸前とかやってたしな
というか宇宙開発事業団(今だと宇宙航空研究開発機構)がそこそこのAI積んだ一人乗り
シャトル開発できてる時点で現実20世紀より上かw
683 :
一尉:2010/05/22(土) 18:24:14 ID:???
支援
で、お前等
理想郷に改訂版となりのダイノガイストがうpされている訳だが
本当に本人なのか気になるな。一応感想で訊いてきたけど。
時々とんでもない真似するやつがいるもんな。
こんばんわ。お騒がせしていまい申し訳ありません。
理想郷のアレは私本人でございます。オノゴロ戦以降をちょっと変えて投稿する予定です。
倉庫に登録されているものを編集するのも面倒だしなあ、とかこっちだとあの人が出てくるしなあ、とか色々考えて理想郷に投稿いたしました。
お騒がせしてしまい、申し訳ありません。重ねてお詫び申し上げます。
なるほど、これはひゃっほーい!していいわけですね!?
ここは見捨てられたって事?
まあ、仕方ないか・・・
変な奴が粘着してるから仕方ないね
とりあえず「スぺ」ってHNで投稿してる人がもういるから変えた方がいい
>>691さん
チラシの裏に投下しているのも赤松健板で投下しているスペも全部私なので大丈夫です。
ご忠告ありがとうございます。
乙です、知ってる人がまだ現役なのを知れるって嬉しいな
スパロボスレでも疑問の声が上がってた
一応説明しといたけどご本人も一言言っといたほうが良いかと
696 :
一尉:2010/05/24(月) 17:37:17 ID:???
その作品は面白かったです。
>>689 BADEND版は向こうだけど子連れの続きはこっちに投下してくれるらしいよ?
ダイノガイスト様が・・・
「オーライ、オーライ! もうちょい右!」
崖の上からメガホン片手に誘導するケンタの声に従い、シンは慎重に操縦桿を動かしていた。こういった類の精密な操縦をするのは実は初めてだ。慣れない機体ということもあり、掌に汗が浮かんでいる。
トラックの中では頭から血を流している運転手が気絶している。早く救助しなければ命が危ない。
「シンさん、頑張るッス!」
「だ、大丈夫かな、アイツ…」
ロボット形態のエースバロン二号機は、引っかかった木から慎重にトラックを外す。
「よし……!」
そのままの体勢で、できるだけGがかからないように最小限のジェット噴射で空中に飛び上がると、制動をかけてゆっくりと崖の上の道路に着地する。
膝をついてそろりとトラックを下すと、待機していた国枝女医以下、救急隊員がトラックに駆け寄り、気絶している運転手を引っ張りだして担架に乗せる。
「大丈夫、今ならまだ助かるわ。
急いで病院へ!」
「はいっ!」
サイレンを鳴らして走り去る救急車を見送り、シンはホッと息を吐いた。
「シン兄ちゃん、ミラクル格好良かったよ!」
「そうか…? でも、助けられて良かった…」
一人の人間の命を守れた安堵感と充足感がシンを満たす。
「よーし、後はお前ら下がってろ。これから現場検証するからな」
「佐津田さん、交通事故も担当してるの?」
「何いっとる。俺は忙しいんだ。この先にある山荘に用があるんだよ。
おまえら、任せたぞ!」
佐津田は交通課の刑事達を振り返ると、自分はパトカーに乗り込んだ。ドアを閉める前にケンタを指でちょいちょいと呼ぶ。
「おい、あの火鳥とかはどうした? 今日あのロボットを操縦していたのはヤツじゃないのか?」
「火鳥兄ちゃんはまだ帰ってきてないよ。あの人はシン・アスカさんって言うんだ」
ケンタはちょっとだけ上を向いて鼻の下を指で擦った。
「うちのミラクル新人レスキュー隊員だよ」
ちょっぴりだけ思いついた、シンinファイバード。
一平と五郎がいる、最終回の中だけど火鳥兄ちゃん戻ってくる前〜というお話。
続くかどうかは不明。
おおっ、天野レスキュー隊のシンか……総帥さんのジェイ種運命の時といい、
戦うだけじゃなく人を救う仕事に就くシンってのもいいもんですな。
702 :
一尉:2010/06/06(日) 18:14:02 ID:???
支援
保守
投下ないな〜
705 :
一尉:2010/06/13(日) 21:51:03 ID:???
ぼしゅ
保守
>BADENDばかり更新して申し訳ありません。今週末には子連れダイノガイストも更新する事をここに宣言します!
更新宣言キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
よろしい、ならば全裸待機だ
総帥来たぞー!!
規制を食らったのでこちらに投下します。気付いてくれる人がいるかどうか・・・・・・
子連れダイノガイスト 第十五話 ヌーベルトキオシティに闘いの鐘が鳴る
生命の源流たる海の上に、人の手によって作り出された大地が浮かんでいる。土と木と花と生命のなれの果ての死骸によって作られた、天然自然の大地ではない。
数多の金属とコンクリートとケーブルをはじめ、人の英知と技術が生み出した人造物によってその基礎から構築された鋼の大地である。
地面の質感をわずかほども望めぬアスファルトの地面には、瑞々しい緑の葉の重みで枝をしならせる木々の代わりに、数十階をゆうに越える高層建築物が無数に聳えている。
この数年で無慈悲で容赦ない荒廃の轟風に晒された地球圏では、数えるほどしかない文明の香りを残す一大人造都市ヌーベルトキオシティ。
全てが人の手を経て生み出された都市の上で、いま、二体の巨大な人型ロボットが対峙していた。いや、対峙の段階はすでに過ぎ去り、決着がつく寸前というべきであろうか。
雷神が背に負う太鼓状のビームランチャーと朱槍を携えた歌舞伎武者風の巨大なロボットは、巨体のあちこちから黒煙を噴き、明らかに機動力を損なってもはや碌に動く事も叶わぬと見える。
歌舞伎ロボットを前に、黄金の車輪を赤い鍔の中で回転させる黄剣を振りかざす機影が一つ。
新幹線の類らしい旧世紀の車両を両肩に持ち、胸には巨大なスチームブルーのSLの先頭車両が威風堂々とその巨大な質感を誇っている。
それぞれの手足は太い四角形で構成され、列車の車両がそのまま手足に変わったようである。
巨体を支える四肢の末端に至るまで途方もないパワーが秘められているのは、一目瞭然であった。手足のみならず機体全体が目にも鮮やかな色彩に彩られ、見る者に頼もしさと安堵感を与える。
その巨大な影の名はマイトガイン。このヌーベルトキオシティにおいて絶対的な希望の光、頼もしき正義の守護神として万呼の歓声を持って迎えられる勇者だ。
胴体と両足を構成する超巨大SLロコモライザーと両腕を構成するマイトウィング、ガインの三機が合体する事で完成する旋風寺コンツェルンの資金力とロボット工学の粋を合わせた希代のマシンである。
マイトガインの頭部のフェイスガードと、透過性カバーによって保護されているコックピットの中で、パイロットスーツというにはいささか軽装姿の少年が、両手に握るストッロルレバーを一気に押し込みながら、相棒とタイミングを合わせる。
「ここで勝負をつける。行くぞ、ガイン!」
『ああ、この一撃で決着だ』
まだ十五歳という若輩の身ながら、国際怪物企業旋風寺コンツェルン総帥にして、ヌーベルトキオの守護を担う勇者特急隊の隊長も務める智勇兼ね備えた麒麟児、旋風寺舞人だ。
紺碧色の瞳に強い正義感と不屈の闘志、恐怖を踏破する勇気の光を輝かせながら、相棒である人格を有する超AIマイトと気迫を重ね合わせ、二人の心と三つの機体が一つとなったマイトガインが空を飛ぶ。
膝を曲げ跳躍の為の力を貯め込み、一瞬の爆発に開放する。マイトガインの規格外のパワーの開放は、踏みしめていた大地に巨大な蜘蛛の巣状の罅を広げ、局所的な自信が起きたのかと見間違うほど。
急激なGが全身に掛かるのを感じながら、マイトガインは剛体の質量をもった物質と変わる寸前の咆哮を放つ。
『ハアアアアーーッ!!』
振り上げられた動輪剣の刃に切り裂かれた風が、ぐおう、と断末魔の叫びをあげる。
太陽の黄金光を背に空の青へと飛び上がるマイトガインの勇ましさよ。両手で振りかぶった動輪剣の一振りに晒されれば、無事でいられるものはこの世にあるまい。
マイトガインは足裏と背のバーニアから白炎を噴きあげて、斬撃の威力が最大限となる位置で一気に降下へと移る。
圧倒的な機体の大質量と人機の二心が一体となって放たれる無色の、しかし押し寄せる津波の如き怒涛の気迫は、打たれた者の心を芯から竦ませる強さ。
これまでの戦闘の損傷によって満足に動けなくなった歌舞伎ロボに、気力充溢したマイトガインを迎撃する武装も運動性もなく、なんとか立ち上がろうともがく素振りを見せるきりだ。
「動輪剣――真っ向唐竹割!!」
舞人の喉から迸る裂帛の気合。振り下ろされる刃が雷光と化したかの様に速い迅雷の一刀が、縦一文字に黄金色の輝線が天から大地へと描かれる。ぎん、と聞いた者の背筋を凍らせる鋭い斬断の音色が響き渡る。
しまった! 間違えて前の話もコピペしてしまった!! スマン、今回ここからです。
投下行きます。最終回より強いラスボスと初期合体勇者の戦いです。マイトガインファンの方はお覚悟を。
規制中でした。誰か気付いてくれると良いけれど。
子連れダイノガイスト 第十六話 真の敵
『さあ、このダイノガイストと戦ってもらうぞ、マイトガイン!!』
闘争を前に高らかに名乗りを上げる武将にも似て、ダイノガイストは廃棄物が大地と山を為す世界で、目の前に立つ鋼の勇者に高らかに戦を挑む。
その様子を海底に潜む継ぎ接ぎ戦艦サンダルフォンで待つ新生ガイスターの面々と、勇者特急隊を支える旋風寺コンツェルン本社ビルの司令室の面々、そしてヌーベルトキオからはるか遠い地にも居た。
北アメリカ大陸デトロイトにあるアズラエル財団が持つ、軍事関連の大規模工廠内部にある一室で、その男は知己の両者が争わんとする光景を実に楽しげに見つめている。
くすんだ金色のやや色素の薄れた髪に、人、情報、物資とあらゆるものに経済的付加価値を見出す強欲の瞳。対峙する相手に不快感を与え判断力を鈍らせる皮肉気に歪められた口元。
新しい血液を全身に送り出す心臓の代わりに、エネルギーボックスを新たな生命の源とし、半人半機として新生した前ブルーコスモス盟主にしてアズラエル財団総帥ムルタ・アズラエルその人である。
天使の名を冠するにはあまりに人間的な欲望を滲ませる冷徹な商人でもあるこの男は、宇宙から地球と神出鬼没のダイノガイストにやや呆れた様子であった。
「ユニウス・セブンで暴れたかと思えばオーブ沖でザフトの泥舟と連合の艦隊とMAを弄び、そして今度はヌーベルトキオですか。いやはや、流石は外宇宙生命体。ぼくら地球人の規格に収まらぬ活躍ぶりです」
かろうじて賞賛と取れるアズラエルの言葉ではあったが、口元に浮かぶものが嘲笑の意図を隠さぬ笑みでは、額面通りに言葉を受け取る者はまずいまい。
アズラエルは一辺百メートルを超す巨大モニターに目線を釘づけにしたまま、背後に控える四つの人影に声をかけた。
「ユニウスの墓標の上で直にダイノガイストを見た感想はどうです? 二年ぶりで懐かしかったでしょう?」
有無を言わさず同意を求めているようにも、答えを分かった上で聞いているようにも聞こえる。照明の陰に隠れ、それぞれの顔が見えぬ立ち位置から微動だにせず、四つの人影の内、男性らしい三人が反応を見せた。
「るせえよ」
「こんど敵になったら倒すのはぼくらさ」
「……」
不機嫌と不快と傲慢と敵意と、『負』と称される感情をそれぞれに滲ませる三者三様の態度に、アズラエルはくく、と喉の奥で低い笑い声を洩らした。
ダイノガイストに対し敵意を隠さぬ三人の心情が分かりやすすぎる事と、敵意の炎を胸の内に宿してなお、絶対といっても過言ではない宇宙最強の猛者に対する畏怖を、本人達は否定するだろうが抱いている事も容易に察っせられた。
かつては嫌というほどダイノガイストの力をその身体に叩きこまれ、ダイノガイストを敵とする事の恐怖と愚かしさを心底から刻み込まれた三人達だ。
おまけに自分と同様にダイノガイストの手によって新たな体と力を手に入れている。本来なら問答無用でガイスターの配下とされてもおかしくないところを、あの宇宙海賊の気まぐれか深謀深慮によって自由まで与えられている。
意図の見えぬダイノガイストの行為に対する不信もあろうが、好悪混じり合った感情を抱いているのだろう。もっとも悪意の方がだいぶ強いのは間違いない。
「ま、君らのガオーモビルスーツは単機でも核動力機を上回るスペックですが、流石にダイノガイストを相手にするのは性能的に厳しい。もし彼と戦う気があるのなら、ぼくのファントムが完成するのを待つ事です」
「アレに合体したら機体の主導権を握るのはてめえじゃねえかよ」
男達の人影の内、もっとも背が高く比較的理知的であることからリーダー格を務める男が口答えをする。
かつての名はオルガ・サブナック。
二十歳にもならぬ年齢で死刑囚として収監されていた所を、人体実験の材料として軍に連れ去られ、強化人間としての人生を強制的に歩かされた青年である。
ヤキン・ドゥーエ戦役にて後期GATシリーズの一機、カラミティを駆って数多のザフトMSを破壊したものの、最後にはフリーダムガンダムとジャスティスガンダムのコンビネーションによって殺害されたはずの彼もまた、新たな生を得ていた。
雇主と労働力という立場それ自体は変わらぬものの、ガイスターサイボーグ化したことで薬物の摂取なしでも生命維持が可能となった影響もあるだろうが、多少オルガとアズラエル間でのやりとりが、二年前とは異なるものになっている。
より対等に近い関係になっている、と言えばよいだろうか。
アズラエルはあくまで不遜とも傲慢ともとれる、トップに立つ人間の目線と口調でオルガの意見を真っ向から切り捨てた。
「当然です。君らの生活を保障しているのはぼく。君らの機体も含めガオーシリーズを作ったのもぼく。さらに言えばエネルギーボックスとの同調率が最も高いのもぼく。よってメインパイロットはぼく以外にあり得ません」
「MSひとつろくに操縦した事のないおっさんがかよ?」
「サイボーグ化していますのでね。直接機体の制御系と神経系コネクタを接続すればそれだけで機体はぼくの肉体の延長上ですよ。
だいいち、この体になった時点でリニアガン・タンクくらいなら素手で解体できる事を、きみらも実感しているでしょうに。フル装備の海兵隊一個大隊を相手にしても、君らかぼく一人で皆殺しにするのに一時間もかからないってこと、わかってるでしょう?」
「けっ」
オルガ自身、アズラエルがメインパイロットを務めても戦闘に支障がない事は十重に承知したうえでの抗議だ。つまるところ選択肢がないという事を認められず、嫌がらせ的にアズラエルに噛みついているにすぎない。
「ぼくらのアレがダイノガイストを相手にどこまで戦えるのかは非常に興味のあるところですが、今は我が盟友旋風寺舞人くんとマイトガインの活躍を楽しもうじゃありませんか」
「活躍も何も、戦力差がありすぎだろ」
「ですから、その戦力差を覆す何かを、あるいはいずれそうなるであろう何かを期待しているんですよ。たぶんダイノガイストもそれが目当てで、今回でいきなり自分と互角に戦えるとは思っていないでしょう」
ふふん、とアズラエルは楽しげに鼻を鳴らして椅子に腰かけなおし、湯気の立つコーヒーカップを改めて手に取る。気分は楽しみにしていた映画を鑑賞しに来た観客とそう変わらない。
「さて、魅せてくださいよ、舞人くん。あんまり無様なようなら、その場で殺されちゃいますからネ?」
それならそれで、旋風寺コンツェルンの買収を進め、その先端技術のすべてを取り込むまでの事と、アズラエルは真黒い腹の内で愉快気な笑い声を抑えなければならなかった。
*
組んでいた両腕を解き、ゆるやかに五指を開いて自然体に垂らしたダイノガイストを前にして、動輪剣の切っ先を八双の構えに流すマイトガイン――つまりはパイロットである舞人と機体であるガインは双方ともに息さえ忘れる緊張に体を縛されていた。
頬を流れた一筋の汗の冷たさに、舞人は忘れていた呼吸を思い出し、浅く細く息を吸う。コックピット内の空調によって適温に調節された空気が肺を満たす。
呼吸を整え思考をフラットに切り替え、血流と共に流れる緊張という名の不可視の粒子を吸いこんだ息と共に吐き出してゆく。
目の前に在る強敵の姿を改めてその瞳に映す。
――強い。
外見から判断できる武装や戦闘方法よりもまず、根拠も何もない感想が頭の中に浮かび上がる。強い。間違いなく。恐ろしく、と付け加えるべきであろう。
舞人はガインと共にこれまで両手足の指では足りぬ数だけ、犯罪者たちの繰りだしてきた巨大なロボットを相手にし、その全てに勝利を収めてきた。
勝利の星に飾られた戦歴ではあるが、決して楽に勝てたとは言えない。旋風寺コンツェルンの最新技術と莫大な資金を惜しみなく投じたマイトガインをしても、運の善し悪しで勝敗が変わっていた様な辛勝もある。
こちらの命を奪いにかかってくる凶悪な犯罪者達との戦いの中で培われ、ユニウス・セブンの上で我が身を省みず命を捨てて戦うテロリストたちの気迫を浴びた練磨された舞人の、戦士としての直感が告げる。
――戦うな、アレを敵にするな、背を向けて逃げ出せ。
それを舞人の矜持が、誇りが、誓いがねじ伏せる。
我知らず、舌で唇を舐めていた。皮膚に痛みを覚えるほどの緊張に乾いていた唇が、かすかに湿り気を取り戻し、わずかに緊張が解れる。
『舞人』
「大丈夫だ、ガイン」
常に戦場で共にあった相棒が、名前を呼んできた。人工的に知性と人格を与えられたガインの声は、既に耳に親しんで長い時間が経っていたが、ここまで緊張に強張った響きを耳にするのは初めてであった。
生物としての本能を有する舞人と違い、0と1の羅列から成るガインにさえ分かるほどの強敵。
おそらくそれも、感知できるエネルギー量や過去の戦いのデータから推測できるダイノガイストの戦闘能力だけが原因ではない。
ユニウスでわずかとはいえ対峙した時とは違い、今度ははっきりと敵と認識された上での対峙。そして、ダイノガイストに敵と認められたがゆえに全身で受け止めなばならぬ、ダイノガイストの闘争の気配。
それのなんと強大である事よ。山を覆う木々を根こそぎ吹き飛ばす嵐のごとき激しさが、波一つない湖面のように抑え込まれている。
今は理性の鎖に繋がれて抑えられたその力が、ダイノガイストの明確な戦闘の意思のもと振るわれたなら、それはどれほどの破壊を齎すだろうか。
それを受け止めねばならぬのが、自分達であるのだと、舞人は静かに受け入れた。ともすれば恐怖に囚われかねぬ緊張に襲われている舞人であったが、その胸の奥には確かな高揚の灯火が煌々と燃えていた。
旋風寺舞人。
十五歳という若輩ながら地球圏有数の超巨大財団の総帥を務め、父祖が築いた一大帝国をさらに巨大なものにした天才というほかない経営の天才。
容姿端麗、学問は言うに及ばず、武道も幼いころから嗜みプロの格闘家複数を相手にしても容易くいなす文武両道の逸材。
幾百万、幾千万の社員達の頂点に君臨するにふさわしい風格を既に持ち、輝かんばかりのカリスマ性を持つ。
おおよそほとんどの全人類がその経歴を知れば、欠点のない完璧な人間と称するだろう少年であるが、舞人とて所詮は一個の人間。恐怖を覚える事はある。足がすくむ事もある。抱えた責任に押しつぶされそうになる事もある。
そうであるだけならば、舞人は凡百の人間よりも多く天賦の才能と環境に恵まれただけの人間であったろう。
しかし彼は舞人がそのような一般的な富裕層の人間や天才と呼ばれる人種と一線を画すのは、心を萎縮させる負の感情すべてを乗り越える資質と心の強さを併せ持った人間であったことだ。
生まれながらにそうだったのか、そうならなければならぬから、そうなったのかは分からぬが、いまダイノガイストの前に居る旋風寺舞人という少年は、敵がかつてないほど強大であるからという理由で背を向ける男では断じてない。
強大であるという点において前例のない敵と戦うという現実を前に、舞人の背をひと押ししたのは、全力を尽くして戦える敵との遭遇に歓喜する戦士としての本能であった。
巨大ロボを一機投入してまで自分をおびき寄せたダイノガイストが、この場から離脱するのをおめおめと見逃すわけもない。
マイトガインよりも一回り以上巨大なダイノガイストの鋼鉄の体から、目に見えぬはずの闘気が宇宙の暗黒色に染まった炎となって噴き出しているのを、舞人は幻視する。
はるかな太古から地球を照らしてきた太陽が、その膨大な力を破壊に使う事を決め、ダイノガイストの姿を取って降り立ったのではないかと言われれば、思わずそう信じてしまいそうなほど、眼前の巨人はそこに在るだけで途方もない存在感を放つ。
背に交差させているダイノブレードの柄に手を伸ばす様子はない。舞人とガインはダイノガイストの一挙手一投足、バイザーの奥のカメラアイの光の明滅にさえ細心の注意を払い、動くべき時を見計らう。
舞人は幼少のころから旋風寺コンツェルン後継者として、帝王学や経済学は言うに及ばす武術の類もおよそ考えうる最高の最新設備とコーチたちの下で学んでいる。
十年を優に超えて武道を嗜んだものとして、舞人はダイノガイストのあまりに堂に入った立ち姿に、砂漠の悪魔に惑わされた旅人のように咽喉が渇いてゆくのを覚える。
待つばかりでは埒が明かないが……どうするか。
『待っていても始まらないな』
「ふっ、そうみたいだ。敵は手強いが、行けるな?」
『ああ、私と舞人ならば!』
「ならっ!!!」
切っ先を下段に流した動輪剣の構えはそのままに、マイトガインは人機一体の心持で一挙にダイノガイストへと斬りかかる。
踏み込むマイトガインの足元が爆発が生じたように弾け飛ぶ。旋風寺コンツェルンの保有するテクノロジーの結晶体、マイトガインの既存のMSをはるかに凌駕する脚力が、時速数百キロ単位の速度を巨体の勇者に与えていた。
漆黒の暴君へと迫る勇者の姿はまさに疾風。動輪剣が陽光を銀の雨に変えて切り裂きながら、ダイノガイストの左腰へ飛燕の軌跡を描いて襲いかかる。ひょう、と斬られた風の断末魔が笛の音の様な音を立てて尾を引いた。
動輪剣の刃が迫る中もダイノガイストは微動だにせず、立ち尽くしたまま斬られるかと思われた。
ぎん、と大気の軋む、あるいは切り裂かれるような甲高い音が一つ、滾る陽光降り注ぐ廃墟の世界に大きく響き渡る。
『思い切りのいいことだな』
ついで音になったのはどこか感心した調子のダイノガイストの一声。
コーディネイターの反応速度でも反応しきれないと見えた動輪剣の一撃は、余裕をたたえるダイノガイストの左腕によって阻まれていた。
ダイノシールドを構えるまでもなく、翳したダイノガイストの左腕にわずかに切り込む事も出来ずに、動輪剣の刃は止められているではないか。
「真っ向から受けて、傷一つ!?」
『ふん、小手先の一撃でおれに傷一つ付けられるとでも思ったか……愚か者め!!』
「ぐ、がぁああ!?」
動輪剣による一刀を受け止められた体勢のマイトガインの胴体へ、小型の陸戦艇ならば軽く吹き飛ばすダイノガイストの右ひざが吸い込まれるように叩きこまれた。
ダイノガイストからすればさして技巧を駆使する事もない他愛のない一撃である。だが、受ける側からすれば、マイトガイン級の巨体でも、中世時代に閉ざされた城塞の城門を破砕する破城槌の一撃を真っ向から受けるのに等しい。
大気を抉り抜く凶悪なまでの破壊力を秘めた膝蹴りは、PS装甲装備のMSでもパイロットがそのまま衝撃で死にかねない一撃であったが、とっさにバックステップを行ったマイトガインは、ダメージの幾分かを軽減することに成功する。
舞人は後方に飛びのいて衝撃を散らしてダメージを軽減させたとはいえ、全身を揺らす衝撃によって、胃の腑から食道へと込み上げてくるものをかろうじて抑え込む。
舞人は変わらず強い意志の光を輝かせる瞳の先に、ゆっくりと右膝を下ろすダイノガイストの姿を映す。マイトガインと姿を変えたガインもまた舞人と同様に機体ステータスの調整に努めながら、敵への警戒を怠らない。
飛び退いたとはいえ殺しきれなかった分の衝撃に、そのまま百メートル近く吹き飛ばされたマイトガインが、爪先をジャンクの大地に押しつけて勢いを殺そうとするも、そのままジャンクの破片を散らしてゆく。
マイトガインの爪先から踵と順次に着地し、動輪剣の切っ先を突き刺してようやくマイトガインの動きが止まる。再び動輪剣を引き抜き、今度は片手一刀、切っ先は右に流れる。
右膝を受けた胴体の装甲はかろうじて無事といえた。ただしもう一撃同等以上の打撃を同ヶ所に受ければ、マイトガインの装甲といえども耐えきれずに罅が盛大に入る。
「ガイン、躯体に支障は有るか?」
『なにも問題はない。舞人の方こそどうだ?』
「まさか」
涼しげかつ不敵な舞人の返事に、ガインはそれでこそ、と頼もしき相棒にほくそ笑む思いであったろう。
『待ってばかりいるのは性に合わぬのでな。次はおれ様から行くぞ!』
耳にするものの心臓を内側から握りしめるような力強さを持つダイノガイストの一声と共に、三十メートルを超す漆黒の武巨人は膝を曲げたかと思った瞬間には、舞人とガインの視界をその巨躯で埋め尽くしていた。
跳躍の過程がコマ送りでもされたかのように視認できない、常識外の挙動に、しかし、舞人とガインの戦闘意識は揺るがない。
「それくらいは、するだろうな、お前なら!!」
振り抜く拳の圧力でジャンクの大地を抉りながら、ダイノガイストの左アッパーがマイトガインの首から上を吹き飛ばしにかかった。巨大合体した勇者クラスならばともかく、MSなら頭どころか上半身が粉微塵に打ち砕かれかねない。
半身を左に一歩ずらし、ダイノガイストの左を躱すマイトガイン。至近の距離を流れてゆくダイノガイストの拳がぶつけてくる拳圧は、マイトガインの装甲を透過して頬を抉る錯覚を、舞人はこの時明確に感じた。
背筋に冷や汗が流れ、体の奥底から体内が氷に変わってゆくようなおぞましさと恐怖。
いますぐにでもこの場から逃げ出したくなるような感情の動きを、しかし、舞人はねじ伏せる。
「お、お、おおおおおおおーーーーー!!!!!!」
拳を振り抜く至近距離にまで踏み込まれたものの、両者の機体サイズの差を考えれば、ダイノガイストの拳の間合いは、マイトガインにとって剣を振るう間合いに近い。
両手で握り切っ先を右後方に流して、横に倒していた動輪剣をマイトガインは全霊を込めてダイノガイストの左腰に振り抜く。重心の移動、機体フレームを通じて動輪剣に流れ込む力の流れ、巨体を支える両足に位置取り。
一瞬とさえいぬ短い時間の間に数十を超す舞人の神業的操作入力と、最新技術の集大成である超AIガインの補助が可能とする一刀!
亜音速に達した動輪剣の刃なれば、いかにダイノガイストの超規格外の硬度を誇る装甲といえども耐えきることは叶うまい。
『反応するのか、この距離で!?』
驚愕の声はガインが挙げた。ミシリ、と嫌な予感を伴う音はマイトガインの右手首から。
マイトガインの右手首を上下に挟み込み魔物の牙のごとく噛み止めていたのは、振り抜かれたはずのダイノガイストの左肘と、振り上げられた左膝。
空手にある挟み受けの技法だ。来るべきグレートエクスカイザーとの雪辱戦に備え、人間の培ってきた武術を貪欲に学習し、量子コンピューターをはるかに超える演算能力を持つダイノガイストの頭脳がアレンジを加えた武技であろう。
『ぬん!!』
遠雷のごとく轟くダイノガイストの声と共にマイトガインに襲い来るのは、ダイノガイストの右拳。マイトガインの頭部めがけ、最短距離を予備動作の全くない無駄を削ぎ落とした軌道で放たれる。
世界ランカークラスのプロボクサーが、ほう、と感嘆の声を洩らしかねない一撃を、マイトガインは咄嗟に動輪剣の柄から左手を離し、ダイノガイストの右ストレートの内側へ左腕を滑り込ませる。
時間にすればわずかにコンマ一秒にさえ満たない刹那と刹那を積み重ねる濃縮された
攻防。
ダイノガイストの右腕の内側をなぞるように滑りこんだマイトガインの左腕が『く』の字に曲がる。内側からの圧力によってストレートの軌道を曲げられ、ダイノガイストの右半身にわずかな隙が生まれる。
それを逃す舞人やガインであったなら、ダイノガイストはそもそも戦いを挑む意欲をかけらも抱かなかっただろう。
ダイノガイストの右ストレートを阻んだマイトガインの左腕はそのまま鉄槌と化してダイノガイストの右胸を叩く。大質量をもった金属質の物体同士が高速で衝突する大音量は、それに相応しい破壊の光景を聞く者に連想させる。
ダイノガイストの胸部に叩きつけられたマイトガインの左拳。しかし打たれたダイノガイストも打ったマイトガインのどちらにも傷の跡はひとつとてない。
両者にダメージがない事は明白であった。しかし精神的な動揺はマイトガインの方がわずかに大きい。百トンを超すマイトガインの重量を存分に乗せた一撃には、生身の手で巨木を叩いたのと同じ手応えが返ってきた。
人間に換算すればヘビー級とストロー級ほどにも差が在る事を考えれば、その結果は当然であったが、そのような経験が舞人とガインには欠乏していた。これまでの戦いで圧倒的な勝利を重ねてきた弊害と言える。
賞賛すべきはその動揺を戦闘に反映させなかった一人と一機の心構えだろう。
一撃に効果がない、と悟った瞬間に、マイトガインは左方向に飛び去る。マイトガインが居た空間を、黒い風が鉈の様に薙いでいた。ダイノガイストの左回し蹴りである。
マイトガインの一撃を受けて微動だにせぬと見えたダイノガイストは、その実、マイトガインの右手首を挟み止めていた左の足を解放し、マイトガインの首を刈るべく動いていたのだ。
飛び退いた先で体勢を整え直し、舞人は額から鼻筋に沿って流れる汗の冷たさを感じていた。かろうじてダイノガイストの動きは目で追えている。加えてガインの正確精密極まる動作予測のサポートもある。
ダイノガイストとマイトガインの両機の間に厳然と存在する根本的な性能差を、人機一体となることでかろうじて補えている。
この三者の中で唯一疲労を覚える舞人が居るマイトガインが大きく不利である事は否めない。この均衡が崩れるとしたならば、いずれ舞人の体力と集中力が切れた瞬間であろう。
「スピードとパワー、どちらもおれ達よりも上だな。一撃で思い知らされたよ」
『ユニウス・セブンの時やそれ以外の戦闘での映像やデータも入手していたが、どうやら彼が底を見せた事はこれまでなかった、ということだな。なんとも厄介な話だが』
「だが、おれたちだってユニウスの時と同じってわけじゃない。まずはそれをあいつに教えるぞ!」
『応!!』
マイトガインの再びの爆発的踏み込みに合わせ、ダイノガイストの両膝の砲身が起きて容赦ない砲撃を加える。ダイノキャノンの連射だ。マイトガインの装甲をもってすれば、例え全開のダイノキャノンといえど数発は耐えて見せる。
しかし、受ければ確実に動きが鈍り生まれた隙を突かれるのは間違いない。さらに言えばユニウス・セブンを斬り砕いたあの恐るべき魔剣技が、牙を研いで待ち受けている。
それなりにモーションの大きな技ではあるが、それに反応するだけの余裕がこちらになければ回避も防御もできまい。十分に耐えきれる攻撃ではあるが、それに続く連続攻撃を考えれば一発でも受けるのは避けなければならない。
ずっしりとした重量感に溢れるマイトガインの機体が、軽やかなまでのステップを刻んでダイノキャノンを連続してかわしてゆく。マイトガインの一歩一歩に遅れて、ダイノキャノンの爆花が鋼の大地に咲き続ける。
マイトガインにも多少は射撃武装があるものの、動輪剣の刃をもってしても傷を与えられなかったダイノガイスト相手には、水鉄砲に近い効果くらいしか期待できないだろう。
牽制程度にはなると分かってはいたが、下手に撃ってこちらの機動に支障が生じればむしろこちらにとってつけ入れられる隙になってしまう目算の方が大きい。
ダイノガイストがその戦闘能力を最大に発揮できる近接戦の距離で戦いを挑まねば、マイトガイン側にも勝ち目はないこの状況は、どう考えても舞人とガインに大きく不利なものであろう。
虎中に入らずんば虎児を得ず、されど舞人とガインが挑まねばならぬのは虎の巣穴に入り込むよりも、はるかに恐怖に満ちたダイノガイストの武力の届く場所であった。が、行かねばならぬ時を過つ一人と一機ではない。
刃の突き立てられた地面の上に渡された綱の上を走り抜けるような危険なマイトガインの吶喊行為は、遂に結実する。ずん、と屑鉄の大地にめり込むマイトガインの足。
生存のために開いた距離を、今度は勝利の道を見出すために詰めたマイトガインの動輪剣が清冽な唸り声をあげてダイノガイストへ!
弓弦を引き絞るように、地面と平行に倒された動輪剣を引き込み、十分に為を作った構えからマイトガインが放つのは、紫電の煌めきのごとき必殺の突き。
刀身から不可視の闘気を迸らせ、ダイノガイストの鋼の臓腑を貫くために放たれる動輪剣を、左右からダイノガイストの手が挟み止める。
「白羽刃取りっ!?」
『……ほう!』
圧倒的な左右からの圧力によって完全に動輪剣を挟み止めたかと見えたダイノガイストの白刃取り。しかし、舞人とガインの気迫がダイノガイストのそれを上回ったか、動輪剣の切っ先が、たしかにダイノガイストの腹部に浅くではあるが突き刺さっている。
ヤキン・ドゥーエ戦役以降、完全に借り物の肉体の調子が完全な状態に戻ってから、損傷を負わされたのは、叢雲劾の操るアストレイブルーフレームセカンドとの戦い以来の事。
四十五万馬力を誇るマイトガインのフルパワーを完全に受け止めるダイノガイストの力に、改めて戦慄を覚えながら力の流れをコントロールして拘束された刃を自由にしようと足掻くが、そう簡単には行かせてくれない。
動輪剣の拘束を解いたのはマイトガインではなく、ダイノガイストであった。ふん、と短く息を吐いて挟み込んだ刃を離して、自ら後方に飛んで距離を取る。
すかさず追撃を、と意気込もうとして、舞人達は踏み出す足を地面に縫いつけられたように止めたまま。
打たれたのだ。
ダイノガイストから吹き付けるそれまでの闘気よりさらに激しく、冷たく、鋭く研ぎ荒まれた武の神か鬼神を目の前にしたかと錯覚させられるほど圧倒的な闘争の風に。
『いままでの貴様らは、この世界でまみえた連中の中では確かに強敵ではあったが……』
ダイノガイストはそれまで徒手空拳を貫き、けして背に交差させた白銀の刃には伸ばさなかった手を、悠然とした動作で伸ばし始める。それはどこか優雅とさえいえる所作であった。
『所詮、楽しめる程度の力し持ってはいなかった。その程度の、真の敵と呼ぶには物足りぬ手合いよ』
しゃりん、と涼やかな刃鳴りの音を立ててダイノブレードが主の手に渡り、白銀の孤月を描く刃は陽光の珠を幾万粒も纏いながら死告鳥の翼のごとく左右に構えられた。
「これからが……」
『ああ、ダイノガイストの本気だな』
マイトガイン――舞人とガインは遂に対峙した。持てる力を余すことなく振るうと決めた全力のダイノガイストと。
ダイノガイストはようやくまみえた。敵とは到底呼べぬ無力な有象無象とは一線を画す、真の敵と。
事前に言いかわしていたかのように、両者の始動のタイミングは千分の一秒の狂いもなく一致した。動輪剣の柄に埋め込まれている二つの車輪が高速回転を始め、生み出されたエネルギーが刀身を黄金に染め上げる。
八の字に開いたダイノブレード二刀流で風を斬りながら、右八双の構えで突撃してくるマイトガインへと大きく踏み出してゆく。
「はああああ! 動輪剣……」
『縦一文字斬りぃっ!!』
振り上げられ、一文字の光となって振り下ろされる動輪剣を交差したダイノブレードが受け止める。受けたダイノガイストの踏みしめる大地が一挙に陥没し、受けた一撃に込められた力の凄まじさを、足元の惨状が雄弁に語る。
いや、完全には受けきれなかったのか、ダイノブレードの刀身を押し込んだ動輪剣の刃がダイノガイストの左鎖骨に食い込み、刃を深く斬り込ませている。
『なるほど、キングエクスカイザーにも勝るとも劣らぬ一撃だ。だがな、あやつと同等ではこのおれには到底届かぬ!』
動輪剣を受けた体勢のダイノブレード二刀の刀身から、漆黒の雷が奔流のごとく溢れ出して、動輪剣を通じてマイトガインの総身を焦がす。
「この体勢から打てるのか!?」
『エネルギー量が、どんどん上がって……!!』
『貴様は果たして耐えきれるかな? 耐えられねば、この世から一辺残さず消滅するぞ! 受けよ、我が必殺の剣!!』
ぐおう、と勢いを増す漆黒の雷は、X字の斬閃を描いてマイトガインを容赦なく飲み込む!
『ダークサンダーストームッ!!!』
太陽が輝く事を忘れたのかと錯覚するほど、ダイノブレードから放たれた漆黒の雷を伴う破滅の嵐が世界を黒々と染め上げて、マイトガインの胸部にX時の斬痕を刻むに留まらずエネルギーの奔流がさらにその全身を破壊しにかかる。
『ぐうあああああああああ!!!!!!!』
全身の装甲に罅が走り、砕けた装甲が剥離し、露出した内部構造にさらにダークサンダーストームのエネルギーが牙を立てて、爪で抉り、マイトガインを内外から破壊せんと荒れ狂う。
廃墟の大地の一角を黒く染め上げて周囲の屑鉄の山を消滅させた黒雷の嵐が終息した時、そこに残っていたのは大きく抉られてすっかり変わった光景と、かつてのダイノガイストのごとく全身にダメージを負い、倒れ伏したマイトガインのみ。
『形は保てたか。なかなか頑丈なようだな』
腹部への一刺しと人間で言うところの左鎖骨部分に刻まれた斬痕。その手傷を負った事に対する苛立ちや不快感よりも、むしろそれを喜ぶかのような雰囲気だ。
倒れ伏し指一本動かす余力も失われたマイトガインを前に、ダイノガイストは一歩、また一歩と勝者の余裕と威厳を持って近づいてゆく。
『ふむ。人が乗るタイプのMSの亜種とは分かっていたが、さて止めと行くか』
とは口にしたが、ダイノガイストはこの敗北を糧にマイトガインがさらに強大になる事を望んでいる。となればパイロットの方は生かしておくべきであろう。圧倒的な力の差に心折れるかもしれないが。
機体の方を制御している超AIの方も――既にダークサンダーストームの一撃で機能停止をしている可能性もあるが――必殺剣の一撃を耐えた以上、ここでむざむざ倒してしまうのも惜しい。
首の一つでも刎ねるか、と右のダイノブレードを振り上げるダイノガイストを、止める者は……いた。
「やめてーーーーー!!!」
絹を裂くような少女の悲鳴が、二機と一人の戦場の時の流れを止めた。声の出所を探るダイノガイストは、必死の様相で自転車を漕ぎ、風にクリーム色の髪を乱す少女の姿をとらえていた。
たった一人の、あまりにも脆弱でちっぽけな少女が、はたしてダイノガイストを止め、マイトガインを救う事が出来るのか?
つづく。
最初にこっぱずかしいミスをいたしましたがこれにて代理完了です。
マイトガインの見事なやられっぷりとアズラエルの暗躍にワクワクが止まりませんでした。
がんばれマイトガイン、エクスカイザーと互角ならまだまだ希望はあるぞ!!
番外編というかその後の外伝で描かれていましたしね。
719 :
一尉:2010/06/28(月) 08:14:59 ID:???
支援
てっきりトライボンバー辺りが助けにくると思ったらヒロイン登場だったでござる
しかしマイトガインは首はねちゃうと中の舞人が大変なことになるぞw
乙です!
そういやアズラエルも艦長と一緒に怪我してたから、サイボーグになってて当然か。
なんか意外な気がしました。3バカもすこーしだけ良い子になってて楽しいです。
マイトガイン1話のように自転車に乗って登場したサリーちゃんは、ここでダイノ様にお願いしてくれるのでしょうか?
楽しみです!
うおっとダイノ様来てた!GJです!
誰かまとめWiki頼む。
ジェイアスカの人マダかな〜
725 :
一尉:2010/07/06(火) 17:48:40 ID:???
支援
生存報告。
WIKIに修正版あげたあと、いろいろあって書くの停まってました。
何事も無ければ今月中には投下できるかも。
727 :
一尉:2010/07/08(木) 07:59:47 ID:???
支援
……出来ちゃったので投下します。
一部の人物は修正後に基づいてますので、規制されてたときに避難所へ書き込んだ
注意書きを読んでない方はこちらの前にご一読お願いします。
────二年前。パスダー率いるゾンダリアンが地球へ到来、潜伏してからというもの、
オーブ政府は大わらわだった。先んじて地球を訪れていたソルダートJの協力の下、
ゾンダーに対抗するための防衛組織が密かに結成されることとなったものの、
結果としてオーバーテクノロジーを独占したオーブは世界各国から非難の声に晒された。
だが自身の経験から、地球の歴史の影から戦争をコントロールしてきた組織、
反コーディネーター思想ブルーコスモスの母体でもある、ロゴスの存在を知っていた
ソルダートJシン・アスカは、技術の悪用を危惧し連合各国への技術提供を一時は渋った。
しかしオーブは原料の輸入に頼る技術立国。下手に商売相手からへそを曲げられて、
兵糧攻めにされてはたまらない。この国は、大国アメリカの庇護を受けていられた
二十一世紀の日本とは違うのだ。
最悪の場合戦争もやむなしかと思われていたそんな中、オーブからも人材を提供している
国際的な中立組織DSSD(深宇宙探査開発機構)からやってきた機械工学の世界的権威、
獅子王麗雄博士が運命を変えた。
「キングジェイダーがいくら強くとも一体では。
オーブ一国の力だけでは31原種には勝てんよ」
「アンタ……いったい何なんだ」
「ボクは獅子王麗雄。君以外のソルダートJを知っている男、
そして三十一原種と戦った男、とだけ言って置こうかの」
そう、彼こそはかつて三重連太陽系の緑の星からの使者、ギャレオンの訪れた
平行世界の地球で、防衛組織GGG(スリージー)の一員としてゾンダリアンひいては
機界三十一原種と戦い、木星大気圏に散った男だった。
だがそんなことは露知らぬ者からしてみれば、キングジェイダーの名を知っている
ことといい、未だ地球へ来てもいない原種と戦ったなどという発言といい、
どう考えても不審人物としか思えない。
だが、不思議とシンは、この奇妙な来訪者である小柄な老人を信じてみようと思えた。
No.7『逆襲のシン』
学校の帰り道、級友と連れ立って歩くマユたちは、近頃オーブへ寄港していた
アークエンジェルの話題で持ちきりだった。だがTVのニュースで出港が報じられるや、
最新鋭の戦艦をぜひとも生で一目見ようと知恵を絞っていた一部の男子たちは
こぞって悔し涙を流したという。
「あーあ、見たかったなーアークエンジェル」
残念がる友人にそろそろと近づき、耳打ちするリュウタ。
「ここだけの話なんだけどさ、出港したっていうのは周りのザフトをだますためのウソで、
実はまだオーブに居るらしいぜ」
「マジかよ!」
「馬鹿、声がでかい!」
「シモンズ君! またそんな話して!!」
「うわあコモリに気付かれた!」
「……シモンズくん、怒られるのがわかってるなら話さなきゃいいのに」
ゾンダーが攻めてこようと、外国で戦争が起ころうと、オーブの子供たちの暮らしは
いつもどおり平和そのものだった。
モルゲンレーテの敷地と外界を隔てるフェンス越しに、密かに内部の様子を窺う
人影があった。その数は四人、いずれも十代半ばの少年たちだ。
「チッ、こう警戒が厳しいと潜入は難しいぞ」
「わかっている! しかしモルゲンレーテだって民間企業だ……穴はあるよ」
「そう上手くいくといいがな! 大体、仮に潜入できたとしても得体の知れん異星人と
密約を結んでいる奴等だ、どんな罠が仕掛けられているか判らんぞ?」
彼等はいずれも、オーブ近海でアークエンジェルと交戦したザフトの少年兵だった。
もっともプラントでは満十五歳で成人と認められるので、厳密にはこの呼び名は
正しくないかもしれないが。
リーダー格の青い髪の少年と、顔面に傷を持つ銀髪の少年との会話に、
褐色の肌をした金髪の少年が茶化すように口を出す。
「なあアスラン! もしオーブが発表したとおり、本当に“足つき”が
もう領海を出てしまっていたら……どうするんだ?」
「こんな所でスパイごっこして、ロスした時間は致命的だぜ?」
「ディアッカ! あなただってオーブの発表はまゆつばだって言ってたでしょう!!」
その発言にムっときたのか、一番幼げな風貌をした緑の髪の少年、ニコルが
ディアッカと呼んだ金髪へ食って掛かる。
だがそれを制止したのは、意外にも銀髪の少年イザークだった。
「やめろディアッカ! 隊長の命令は絶対だぞ!」
プライドが高く直情径行の彼は、事あるごとにライバル視するアスランへ
突っかかっていたのではなかったか? それが一転庇い立てのような真似をするなんて
どういう風の吹き回しだろう?
────そう疑問符を浮かべる一同を前に、イザークは酷薄な笑みを浮かべて口を開いた。
「それにな! ザラ隊長は誇り高い男だ、失敗の責任はちゃんと取るさ!
な? 隊長殿?」
「ああ! そのとおりだ“足つき”とストライクは必ずここに……」
────トリィ!
アスランは、ことさら反応することもなく黙々と作業を続ける。
だが不意に聞き覚えのある鳴き声を耳にして、咄嗟に上空を仰ぎ見た。
そこで舞っていたのは、まさしくかつて自らが製作し、別れ際に幼年学校時代の
親友へとプレゼントしたペットロボ、トリィだった。
「すいませーん! こっちに鳥の形したロボットが……」
────あ……アスラン……?
なんという偶然だろうか。連合軍とザフト、敵味方に引き裂かれ幾度と無く
刃を交えた親友キラ・ヤマトが、友情の証として贈られたトリィに導かれるようにして
アスラン・ザラの目の前へ姿を現したのだ。
その頃獅子王博士は、軌道上のアメノミハシラと開発計画の進行状況を話し合うために
通信を行っていた。相手はミハシラ宇宙軍司令ロンド・ミナ・サハク、
ロンド・ギナの双子の姉だ。
使用されているのはレーザー通信だが、中継衛星は高度なステルス仕様の上
ホログラフィック・カモフラージュによって完全に秘匿されているため、
従来の監視、通信衛星が破壊されたように、ザフトに妨害される心配はない。
『────我が与えたミハシラウイングス、なかなかの活躍ぶりではないか』
「ロンド・ミナ司令、そちらの状況はいかがですかな?」
『まずまずといったところだな。ソリタリーウェーブライザーの実験は成功、
量産も順調に進んでいる』
「それは良かった、こちらでもウルテクエンジンの小型化に目途が立ちそうですよ。
これもテストパイロットを買って出てくれているロンド・ギナ司令のおかげです」
『そうか……だが気をつけよ、近頃大西洋がキナ臭くなってきた。
現状はなんとか凌いでいるようだが、後々いつ突き上げが来るか判らん』
「危機が目前に迫っておるというのに、何故人類同士で争わねばならぬのか……」
獅子王麗雄は、外敵を前にしても力を合わせることの出来ない人類を
歯がゆく思うとともに、機界文明に立ち向かう重圧が自らの双肩にのしかかるのを感じていた。
「昔……友達に!」
「大切な友達にもらった……僕の宝物なんだ……」
────キラ!
キラ・ヤマトとアスラン・ザラ。思い出の品が元で奇しくも再会を果たした二人は、
互いに旧交を温めることも出来ぬまま、夕日の照らす中、涙を飲んであくまで見知らぬ
他人として別れた。
だが、モルゲンレーテを後にした直後、彼等の身体へ鋭い痛みが奔る。
見ればめいめいが痛みを覚えた場所に、円錐状の赤い何物かが突き刺さっていたのだ。
「こ、これは!?」
「な……何が起こった!?」
「それほど会いたいのなら、会いに行けばいいだろうアスラン」
その声を聞いて、アスランたちは目を見開いた。聞きなれた声のした方向に居たのは、
緩やかにウェーブのかかった金髪を持つ仮面の男。絶対にここに居るはずのない人物、
彼等の上官であるラウ・ル・クルーゼの姿があったのだから。
「馬鹿なっ! クルーゼ隊長が何でこんなところに!?」
クルーゼはその問いかけに答えることもなく、ただ冷笑を返すのみだ。
そしてそれを引き金とするかのように、アスランたち四人の肉体に変化が現れる。
「ゾンダーメタルを節約しなければならないのでね、君たちには胞子で我慢してもらうとしよう」
『うわああああああああああああああああああああああああああああ!!』
「キラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
生物へ素粒子Z0を注入する赤い円錐──完全体となったゾンダーが撒き散らす
ゾンダー胞子の刺さった箇所から、紫色を帯びた生物的な機械が瞬く間に広がり、
ザフトの若きトップガンたちは悲鳴とともに人間であることを辞めた。
「……アスラン?」
呼ばれたような気がして、キラはふと彼等の居た方角へ振り返った。
当然そこにはもう誰の姿もない。だが、彼の胸中は予想されるザフトの待ち伏せ
だけではない、嫌な予感に苛まれていた。
「────ゾンダー!」
帰宅後、シンに誘われてライオンキッチンで食事していたマユは、いつものように
ゾンダーを感知するとシンと連れ立って店を後にする。
そして二人は駐車場に停められていた黒いスポーツカーへ乗り込むと、
一思いにアクセルを全開にし、ヘッドライトの切り裂く夕闇の中を走り出した。
「マユ! 合図したら俺にしっかりつかまるんだぞ!!」
「うん!」
道行く車を巧みにすり抜け目当ての海岸付近へやってきたシンは、急ブレーキをかけて
車体をターンさせながらドアを開け放つと、屋根に不完全に載せられている荷物が
慣性によって放り出されるかのように、マユの身体を抱きかかえながら恐れることなく
ガードレールの向こうへと飛び出した。
周囲に人気が無いことは確認している。ソルダートJへと変身したシンは
ジェイブレスを掲げると、天空へプロジェクションビームを投射した。
「ジェイバード!!」
主からの呼び出しを受け、流星のように飛来したジェイバードは、二人を乗せて
瞬く間にゾンダーのもとへ飛び去ってゆく。
その様子を見届けると、無人のはずのスポーツカーはひとりでに開けっ放しの
ドアを閉め、その場から逃げるように走り去った。
□□□□
「敵ゾンダー、領海外から本島へ向けて南下中!」
「空中空母タケミナカタ、万能補給艦トヨタマヒメ発進!」
鳴り響く警報がオノゴロベースを震わせる中、ゾンダー確認の報を受け海上に
展開されたミハシラウイングスはその侵攻を食い止めるべく、白く航跡を曳いて
海上を往くゾンダーロボへ一斉攻撃を掛けた。
バリアーを引き剥がされ次々に着弾するミサイル。だが爆煙が晴れた後に現れたのは、
まったくの無傷を保つ敵の姿だった。
「データ照合確認……融合しているのは連合からザフトによって強奪された
ガンダムのようです」
なるほど確かに、ゾンダーロボの下半身は砲撃型のバスター、上半身にはバランス型の
デュエル、右腕と左腕にはそれぞれ隠密型のブリッツと可変機であるイージスの特徴が
色濃く見てとれる。
示されたスペックデータに目を走らせた獅子王博士は、その記述に眉をひそめた。
各機に搭載された装甲を考えれば、ミサイルの効果が薄かったのは当然と言える。
「物理攻撃を無効化するPS装甲……ゾンダーとなって、
より強度を増しているというわけか」
水中から辛うじて顔を出している腰部からミサイルポッドが展開し、
上空のウイングスへと反撃を浴びせかける。即座に回避行動に移るウイングスだったが、
ミサイル群は目でも付いているように目標を追尾して食い下がり、ウイングスに
迎撃の手間を取らせた。
「ウイングス各機、ビーム兵器に切り替え! ゾンダーの四方から攻撃を掛けろ!!」
『了解!』
二機一組のフォーメーションを組んだムラサメたちは、再び放たれたミサイルや
新たに展開された砲撃の中をビークルモードで掻い潜りつつ、尾翼の根元に備えられた
ビーム砲や右側へマウントされたライフルを撃ち込んでゆく。
だがその攻撃は、ムラサメたちの攻め込んだ四箇所全てから生じたシールドによって
難なく防がれてしまう。
「対ビームシールド……予想していないとでも思ったかい?」
タケミナカタの艦橋で、そう言いながら口の端を吊り上げるユウナは
ミハシラウイングスの虎の子へと指示を下した。
「シルバー、ゴールド! ディストーションバスター用意!!」
『シンメトリカルドッキング! ────天ギナァ!!』
合体したシルバーウイングとゴールドウイングは、射出された
ディストーションバスターを構えるや、すかさずゾンダーガンダムの足元へと放つ。
解放された膨大なエネルギーが空間を捻じ曲げ、広大な海原に直径数十キロに及ぶ
大穴を開ける。スラスターとの併用で辛うじて自らの体重を支えていた浮力を
失ったことで、ゾンダーは足元に口を開いた戦闘フィールドへと真っ逆さまに転落した。
天ギナの手放したディストーションバスターが、その基部からスラスターを噴かして
帰投するのを合図とするように、海底へと降り立った天ギナがゾンダーへと
おびただしいビームの雨を降らせた。
間断なく射掛けられるビームを前に、ソルダートJの出番を待つことも無くゾンダーが
撃破されるかに見えたその瞬間、天ギナは目を疑った。自らの目の前から、忽然と
ゾンダーの姿が消えうせたのだ。
『何っ!?』
放たれた火線がむなしく海底の大地を打ち砕く中、一体、二体と次々に現れた
何体ものゾンダーガンダムが彼の周囲を取り囲む。
「光を屈折させるミラージュコロイドを利用した分身だ!」
『フン、どれほどまやかしでごまかそうとっ!』
それに怯むことなく攻撃を続ける天ギナだったが、本物を見つけ出すよりも早く
繰り出される相手の攻撃がじわじわと体力を削ってゆく。
『────隊長!』
ブリッツガンダムのように完全に姿を隠しているのか、サポートに回るムラサメたちの
攻撃をもってしても、ゾンダー本体は見つけ出せない。焦りとダメージだけが
蓄積されてゆく中、天ギナの足元に突き刺さったランサーダートによってついに体勢が崩された。
チャンスとばかりに虚空から染み出すように姿を現したゾンダーガンダムは、
イージスの可変形態である烏賊を思わせるMAへと姿を変えると、スラスターを
最大出力で噴かしながら飛び掛り、ガバリとその先端を開いて天ギナへ喰らいつく。
『────しまった!!』
身動きを封じられた天ギナ目掛け、彼を拘束するアームの中心に備えられた
イージス最大の武器、複列位相エネルギー砲スキュラが火を噴かんとしたその時、
降り注いだ一条の反粒子ビームが天ギナの窮地を救った。
反中間子の対消滅爆発によって、拘束アームを根元のスキュラもろとも吹き飛ばされた
MA形態のゾンダーガンダムは、無様に海底の泥の中へ転がる。
飛来したのは力強くも美しい、誰もが見慣れた白亜の巨艦────
「天、大丈夫か!」
『来てくれたかジェイキャリバー、感謝する!』
「今のうちに止めを刺すぞ、やれるな?」
『無論だ。この程度でガタが来るほど柔には出来ておらん!』
「ジェイバード・プラグアウト!」
『天、ミナァ! ────マガノイクタチ!!』
ソルダートJの叫びとともに分離したジェイバードがメカノイド・ジェイダーへの
変形を完了するとともに、マガノイクタチを構えた天ミナが再生途中のゾンダーガンダムへ斬りかかる。
しかし、その様子を本拠地であるゾンダリアンタワーで眺めていた
機界四天王ピルエッタは、いつも通りの人形めいた表情で、どこか勝ち誇ったように呟いた。
「作戦、発動」
ほとんどの四肢を失いながらもどうにか人型へ戻ったゾンダーガンダムが、
唯一残った右腕をジェイダーたちへ向け、キラキラと輝く微粒子を噴きかける。
まるで苦し紛れの悪足掻きのように撒き散らされた微粒子は広範囲に舞い上がると、
上空のムラサメたちやジェイキャリアにも降りかかり、その恐るべき力を発揮した。
「これは……なんだ?」
『ち……力が入らん!? 体が……言うことを聞かん』
《────伝達系統に異常発生! エネルギー供給不能、ジェネレーティング・アーマー消失。
Jファイバー断……線……》
『こちらもコントロール不能! うわあああああああああああ!!』
「いったいどうしちゃったの!? トモロ、Jさん! ────きゃああああああああ!!」
ジェイキャリアの右舷サブブリッジでまさかの停電という異常事態に見舞われたマユは、
ほどなくして訪れた墜落による衝撃に悲鳴を上げた。
「機動部隊沈黙、ジェイキャリア内のマユちゃんの安否……不明です!」
「ミハシラウイングスが!」
「まさかあの粒子は!」
力を失って倒れ伏したジェイダー、天ミナ、ミハシラウイングスらの姿と、
生き延びていたミハシラ艦隊から送信されたデータを見て、獅子王博士は確信した。
勇者ロボたちの神経とも言うべきJファイバーの伝達を混乱させる特殊な微粒子、
それはかつて別の地球で繰り広げられた機界三十一原種との戦いで、最強の戦力であった
勇者王ガオガイガーと、ジェイアーク級一番艦のキングジェイダーを沈黙せしめた物質と
同様のものであった。
直接の被害にあったのは同じく科学者で彼の兄である獅子王雷牙だったが、
その対処法も含め、麗雄博士自身提出されたデータでよく知っている。だがそれは
現状の装備ではどうすることも出来ないということを表していた。
「先手を打たれた! こちらにソリタリーウェーブライザーが一台でもあれば……!」
「そんな博士! どうすることも出来ないんですか!?」
「────うろたえるな!!」
訪れた最大の危機を前に取り乱すナガオ・シモンズを司令席のギナが一喝した。
「エリカ、無事なムラサメはレッド3、ブルー2の計五機だったな?」
「は、はい!」
「予備戦力として“ヤツ”も呼び出せ」
「ユウナ、ソルダートJが立ち直るまでなんとかしのいでくれ。いざとなれば
私のアストレイも使ってくれて構わん!」
『わかったよ、これは荷が重いね』
絶望的な状況を覆すべく、メンバーへ指示を出してゆくロンド・ギナ。
こんな状況にあってなお、彼は信じていた。自らが勝手にライバル視するソルダートJが、
たびたび自分に泥をつけてきたソルダートJが、この程度でどうにかなるような男ではないと────
再生を終え、元の姿を取り戻したゾンダーガンダムは最大の敵を排除するべく、
露出した海底に横たわるジェイキャリアへとその矛先を向ける。
数で上回るムラサメレッドが牽引ビームでそれを食い止めようとするが、
四人もの素体とガンダムを取り込んだゾンダーのパワーを相手にするには
まったく歯が立たず、ブルーの攻撃もビームにすら耐えうる程に出力の上がった
PS装甲を前にほとんど通じていなかった。
『────ユ……マユ!』
「う……ん……?」
照明の消えたサブブリッジの中、高度な緩衝装置のおかげか床に投げ出されて
失神するだけで済んでいたマユは、不意にジェイダーブレスからの声で目を覚ました。
「Jさん! ……いったいどうなっちゃったの? トモロは?」
『ゾンダーの攻撃で、俺たちはみんな動けなくなっちまったんだ』
機能障害はあくまでJパワーを使用している部分に限定されているようで、
通信はなんとか交わせるようだ。
「そんな!」
『外じゃ生き残ったムラサメたちがなんとかゾンダーを食い止めてる。
けどいつまで持つかはわからない』
『そこでマユ、君がゾンダーを倒すんだ』
Jからの信じられない言葉に、マユは当然うろたえる。
「そんな! 無理だよ!!」
『大丈夫、そのジェイキャリアにはもしものときのために電気式の手動装置が付いている。
マユはそれを使ってジェイクォースを発射すればいいだけだ』
ブレスに表示される操作方法は、TVゲームと大した違いは無い。
目標をカーソルで選んでトリガーを引くだけだ。ゾンダーは正面に居るわけではないが、
艦の各部に設置されたカメラが目標を捕捉してくれている。
しかしこれは失敗してもやり直せるゲームとは違う、実戦なのだ。
おそらくチャンスは一度きり。その肩にのしかかる責任は、まだ幼い少女には
重過ぎるものだ。しかしここで行動しなければ、ミハシラウイングスは確実に全滅し、
ジェイダーもマユの乗るジェイキャリアも、合体することすら出来ずに破壊されてしまうだろう。
────そんなの、嫌だ!
それがもたらすであろう結果を想像し、マユは覚悟を決めた。
「────マユ、やります」
『任せたぞ、マユ!』
もしゾンダーが勝っちゃったら……Jさんも、ミハシラのみんなも、友達も、
おとうさんやおかあさんも全部殺されちゃう! ……マユが戦うしかないんだ!!
マユはなけなしの勇気を振り絞ると、ブレスの指示通りに床面のパネルを開き、
内側に設けられたレバーを力いっぱい引いた。
ダメージにならずとも煩わしく感じるのか、纏わり付くハエを振り払おうとするように、
ゾンダーガンダムが攻撃を続けるムラサメたちへ右腕を向ける。この距離では
もはや逃げられない。ムラサメたちが全滅を確信したその時────
轟く爆音とともに、夜の闇に溶け込むような一台の黒いスポーツカーが戦場へ飛び込んできた。
いくら展開した戦闘フィールドが広大だといっても、海岸からはまだ数キロの距離がある。
到底自動車が飛び越えられる距離ではない。そう、この車は並みの自動車などでは
決してない! その名は────
『システムチェーンジ!!』
スポーツカーが宙を舞う中、車体のフロントが展開して両脚に、後部が左右に分かれて
ドアとともに両腕となった。露となった紫のボディには鎖帷子状の格子が刻まれ、
人間を模したその頭部にも忍者めいた意匠が見てとれる。
これぞミハシラ軍諜報部所属のビークルロボ────
『フォグナイト、見参!!』
諜報ロボ・フォグナイトは変形した勢いそのままにゾンダーへ蹴りを食らわせると、
その隙を逃さず右腕に仕込まれたワイヤーアンカーを射出した。
『させません! スパイアンカー!!』
微粒子を噴き出す黒い右腕の、装甲されていない関節部へと突き刺さったアンカーは、
一瞬スパークを奔らせたかと思うとその小さな穂先を切り離し、すぐさまフォグナイトの
手元へ回収される。
『電子回路を破壊する特殊パルスです。これでしばらくは
妨害粒子を使うことは出来ないでしょう』
その発言通り、こちらへ向けられたゾンダーの右腕は不自然に痙攣するばかりで、
一向に微粒子を噴出すことは無い。
狼狽えるゾンダーを見据える冷静な色を湛えたフォグナイトの機械仕掛けの瞳が、
横たわるジェイキャリアを向いた。
『マユさん、今です!』
「────お願い、当たって!!」
マユがジェイダーブレスに浮かび上がるタッチパネルを操作するのと同時に、
その声を引き金にするかのようにして発射されたジェイクォースが、おおまかに進路を
修正しながらゾンダーガンダムの胴体をぶち抜いて、見事にゾンダー核を抉り取る。
「やったあ! ────え?」
────しかしその直後、ゾンダーの右腕から撃ち出されたランサーダートが
右舷サブブリッジの窓を貫いた。
「マユゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
凍りついた空気を打ち砕くように、ジェイダー内で身動きの取れないソルダートJ
──シン・アスカの絶叫がこだまする。
このゾンダーの素体とされた人間は四人。故に核一つが摘出されようと、
行動にはなんら問題ないのだった。
デュエルの上半身を失ったゾンダーは、何事も無かったかのように欠損した部分を
イージスの身体で代用すると、ジェイキャリアに完全に止めを刺すべく悠々と歩を進める。
攻撃を繰り返すムラサメたちも、フォグナイトも、もはや目に入らない。
意識の奥底で何かが弾けるような錯覚とともに、シンの紅く染まった瞳が、
憎悪を引き金として一切の光を喪った。
「────!? 博士、ジェイダーの出力が急上昇、機能不全を脱しました!!」
「なんじゃと!? ────こ、これは!!」
その異状にいち早く気付いたパピヨンの声に、獅子王博士は慌ててモニターをチェック。
示されたデータに顔面を蒼白させた。
プラズマウイングを全力で噴かしたジェイダーが体ごとぶつかり、ゾンダーへ
有らん限りの力を込めて拳を叩きつける。
荒削りを通り越して乱雑極まるそれは到底格闘などと呼べるものではなく、
ただ単に力に物を言わせ、手足を振り回しているだけであった。
闇の中炎のように溢れ出す余剰のJパワーが全身を紅に染める様は、
まるで死期を悟った不死鳥が燃え盛る炎に身を投じているようでもあり、
罪人を焼き払う冥府の獄卒のようでもある。
その熱量たるや、一歩足を踏み出しただけで泥濘はたちまちひび割れ、海底に堆積した
砂は融解して硝子状となった。戦闘フィールドを造り出すディストーションバスターの
力が無ければ、周辺の海域そのものが沸騰していてもおかしくはないとすら思える程の有様だ。
「今のジェイダーは大変危険な状態じゃ。許容量を超える高圧電流が絶縁体すらも貫くように、
彼はオーバーヒート同然の大出力に物を言わせて妨害粒子の抵抗を押し切っておる!」
「そんなことをすれば……」
「当然、機体そのものがいつ吹き飛んでもおかしくはないぞ……怒りにここまで我を忘れるとは、
彼にとってマユちゃんはそれほどまでかけがえの無い存在だというのか」
エリカたちが息を呑んで見守る中、ジェイダーの猛攻は続く。
高エネルギーを纏った拳がPS装甲を物ともせずに粉砕し、かつて自分を
一敗地にまみれさせたインフィニットジャスティスとよく似たイージスの頭部を握りつぶした。
「よくも! よくもマユを!! 返せ! マユを返せぇぇぇぇぇぇ!!」
マユを奪ったブリッツの右腕が根元から力任せに引きちぎられ、矢継ぎ早に
打ち込まれた抜き手が、残るゾンダー核を次々に抉り出す。
それを見てジェイダーが何をする気なのか悟った博士は通信マイクへ向けて叫んだ。
「────いかん! フォグナイト、彼を止めるんじゃ!
ソルダートJは核を破壊するつもりじゃぞ!!」
『ジェイダー、おやめください!』
「うるさい! 邪魔をするな!!」
『うわあああああああっ!!』
暴挙を止めるため、ジェイダーの半分にも満たない矮躯ながらも果敢に飛び掛った
フォグナイト。しかし怒りに支配されたシンは聞く耳持たず、歴然とした出力の差も相まって
あっさりと跳ね除けられてしまう。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ソルダートJ! やめろ、やめてくれ!!」
握り締められたゾンダー核の表面に亀裂が奔る。このままシンは怒りに流されるまま
生命を奪い去ってしまうのか?
「Jさん! それを壊しちゃダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「────え?」
それをぎりぎりで阻止したのは、空へ飛び出しながら必死に訴えかける、
彼が守るべき少女の叫びだった。
「わたし死んでない! 死んでないから! ゾンダーにされた人を殺しちゃダメ!!」
「そっか……マユは、生きてた……生きてたのか……」
マユが無事なことを知って安堵したのか、みるみるうちにジェイダーの出力が
正常値に戻り、辺り一面に金属が焼ける嫌な臭いが漂う。間一髪人命が救われたことに、
オーダールームの面々もほっと胸をなでおろした。
「危ないところでしたね」
「まったくだ。勝利を掴むことこそ出来たが……」
「もしかするとマユちゃんの存在こそが、彼の力を神にも悪魔にも左右する
心なのかもしれんな……」
戦いが終わり、ようやく雲から顔を出した月明かりの照らす中、ゾンダー核を浄解する
マユの姿を眺めながら、誰に聞かせるでもなく博士はそう呟いた。
「ふむ……やられてしまったか」
その光景を別な場所から密かに窺う者が居た。ザフトの上級士官であることを表す
白服を身に纏い、目元を仮面で覆い隠した長身の男。
「だがこれで奴のおおよその限界はわかった。君の働きに期待しているよ」
アスランたちをゾンダー化した張本人、ラウ・ル・クルーゼはそう言ってほくそ笑むと、
隣に侍らせた赤毛の少女へ語りかける。連合の軍服に包まれた少女の胸元からは、
ゾンダーメタルが怪しげな紫の輝きを放っていた。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
少女の憎しみが無敵のゾンダー戦艦を生み、キングジェイダーへと牙を剥く。
アークエンジェル対ジェイキャリバー! 宿命の戦いはついにその火蓋を切って落とされた。
シンよ、前世の因縁を断て!!
勇者戦艦ジェイアスカNEXT「白銀の不死鳥」次回もこのスレッドにメガ・フュージョン承認!
これが勝利の鍵だ『光子変換翼/ジュエルジェネレーター/ジェイクォース』
最後の最後でさるったけど投下終了。ジェイダー大ピンチ&新ロボ登場回でした。
予想してくれた方、不死鳥=ジェイフェニックスじゃなくてごめんなさいね。
正直腕ピラミッド原種のあの作戦は、その気になればゾンダーでも真似できそうな分かなりやばいと思う。
あとこのSSの裏テーマは、いかにゾンダーでジェイダーたちを苦戦させるか、となっております。
ではまた次回。ちなみに金槌は出ませんよー。
待ってましたぁぁぁぁGJ!!!
まさかのクルーゼゾンダリアン化、しかも早くもフレイ手中に入れてるしw
ゾンダーもヘタすりゃ原種並みに強くなってるしで先が良い意味で読めない。
そして次回の白銀の意味はなんだろう…Gストーンのフルドライヴ状態が金だから
Jジュエルは銀ってことなのかな?
GAT4体全壊&アスラン達4人組も浄解で早くも毒気を抜かれたか…
いずれTV版ガガガ後半のようにミハシラ軍のサポートスタッフに転職するのか?
キラも居る事は居るようだけど次回はフレイが猛威を振るうと思われる中
見せ場を作れるんだろうか。
やはりクルーゼは寿命の問題からゾンダーに与したのかな。
ところでこっちの世界のクルーゼの所にはやはりレイがいるのか?
レイがいるとわかればシンとしては救いたいと思うかもしれないが
シンは結局レイとクルーゼの関係は知らずじまいなんだっけ?
GJ!!熱い展開でした
そのまま核を壊してしまったほうがいいと思った外道は俺
>>742 浄化されて良い子になるだろうし多分、多分大丈夫(大事なことなので二度ry)
他の三人(ギリギリ炒飯も)はともかく、無印中盤にあたる時期の
遺作が綺麗で素直になるのはなかなかに想像し難い。
745 :
一尉:2010/07/16(金) 19:22:06 ID:???
支援
746 :
一尉:2010/07/18(日) 12:05:55 ID:???
支援
747 :
通常の名無しさんの3倍:2010/07/19(月) 23:38:26 ID:Dd5YnuJN
一つ聞くけど、「南国の竜神伝説」の続き待っている人、いる?
ここにいるぞ!
ここにもいるぜ!!
反中間子砲(グレンキャノン)もだ!!
完結してないものの続きは全部待っているぞッ!!!
全支援持っていけぇぇぇー!
753 :
一尉:2010/07/24(土) 14:16:40 ID:???
支援
tesu
755 :
一尉:2010/07/27(火) 17:10:50 ID:???
支援
保守
ほ
し
の
る
り、は勇者やない。スパロボや
こ
こ
り
ん
星
保守
テスト
いつか保守の海で
てす
AのTにてGGGD
ホーッシュアップ!!
保守あげ
保守合体!
HG雪崩エクシアダッシュの下駄っぷりが「超変革合体!!グレートエクシアッ!!」に見えて困る。
それとラファエル…ガンマックスアーマーみたいに上の人を着るんだと思っていた時期が俺にはありました。
劇ソレの大使はグレート合体しそうだなw
あの無駄なバリっぽさは噴いたw
劇場で一体何が起こったのかと思った。
あと雪崩の下駄っぷりは完全に同意。
劇場に見にいった際、
友人「おれ大使が出てきたら吹く自信があるわw」
俺「まっさか〜w 精々回想でチラっと出るくらいだろwww」
大使登場
友人・俺「ブフォ?!?!?!」
いやマジで吹いたわw 周りでもそんな人がチラホラと
>777GET乙
星の海の上で♪
780 :
通常の名無しさんの3倍:2010/10/18(月) 20:37:03 ID:uKFtxYea
なぁ、大真面目に聞くけど、あれからこのスレにいたゴキブリ野郎どうなったか知らない?
アイツが暴れだしてから嫌になってスレの投下を中断したんだが、今なら大丈夫かな?
最近は見ないがどうなんだろうな?
巡回して監視とか暇人でもなけりゃ遣らないような事やってたりはしないだろうけどな
いつ如何なる時でも我々は職人の味方だ
保守
なんかこのスレ
かつての「種死の世界にドモンがいたら」を彷彿とさせるね…。
あれは良い思い出だったよ
hosyu
>>780-781 一慰はフェチ板の状態変化スレ、ロボゲ板の会話イベントスレに寄生中、
伝説の某は定期的にダ・ガーンスレを荒らしまわってます
まあ、このスレに来ないことを願うだけだ…。
湧いたらどうする、話題にすんな
ほしゅ
あーあー、マイクテスマイクテス。
時間が出来たので只今鋭意執筆中。来月の前半には投下できるかも。
乙、楽しみに待つ
791 :
一尉:2010/12/12(日) 19:25:33 ID:???
支援
避難所にジェイアスカ氏の投下来てる。携帯からなんで、誰か転載頼む。
793 :
一尉:2010/12/22(水) 18:33:54 ID:???
続きはまたですか。
代理とスレ立て、いっくよ〜
────オーブの工業コロニー、ヘリオポリスから脱出したアークエンジェルと
合流を果たさんとした地球連合軍第八艦隊の先遣隊は、不運にも先んじてザフトに発見され、
その命を風前の灯と化していた。
出撃したMAメビウス──連合軍もMSを保有しているが、現行の主力機である
ガンタンクは下半身がキャタピラ式のため、地上でしか使えない──は、ヘリオポリスで
ザフトに奪われたイージスガンダムによって容易く打ち砕かれ、護衛艦もジンを乗せた
SFS(サブ・フライト・システム)バルルスの機動性に対応できずにいる。
先端に砲口を備えた細身のバイクを思わせる機体に搭載された、大型バッテリーと
後部の大推力スラスター、小型化こそ叶わなかったものの消費電力の効率化を果たした
重粒子砲により、ジンへ飛躍的な火力と機動力、継戦能力を与えるこの機体は、
ザフトに唯一対抗できたMAメビウスを、その性能でもって情け容赦なく戦場から蹴落とした
という開戦当初の活躍同様に猛威を振るい、連合の護衛艦を獰猛なシャチが
鯨へ群がるかのように次々と沈めていった。
キラ・ヤマトのストライクは強敵であるイージスに抑えられ、ムウ・ラ・フラガ大尉の駆る
ガンバレルダガーも得意の有線砲台ガンバレルによるオールレンジ攻撃を掛けるが、
スピードに物を言わせて巧みに射線を掻い潜ろうとするジンの編隊を食い止めるので手一杯だ。
そんな中、遂に残された最後の護衛艦モントゴメリまでもが、アークエンジェル隊の
奮戦むなしくザフトのナスカ級戦艦ヴェサリウスの主砲に貫かれ爆沈した。
アークエンジェルのブリッジに、その光景を目撃したフレイ・アルスターの悲鳴が響く。
彼女の父である大西洋連邦の事務次官ジョージ・アルスターは、妻を亡くして以来
ひと際愛情を注いできた娘に会うために、無理を言ってモントゴメリに乗り込んできたのだった。
フレイは父を救うために、保護されていたプラントの歌姫ラクス・クラインを人質に取り
ザフト軍を退かせようとしたが、結局その策は間に合わず、最愛の父の命は無残にも
彼女の眼前で喪われてしまう。
蝶よ花よと何不自由なく育てられてきた、世間の苦労を知らぬ十五歳の少女にとって、
その悲しみは如何ほどのものだろうか。
「────アンタ、自分もコーディネーターだからって、本気で戦ってないんでしょ!」
アークエンジェルそのものは遅まきながらラクスを人質にすることでその生命を永らえたものの、
フレイはその怒りと悲しみを、ストライクを操っていたキラにぶつける以外に何も出来なかった。
そして戦闘が終わってしばらくしてから、フレイはアークエンジェルの艦内通路の影で
会話を交わすキラとトールの口から、到底許しがたい言葉を耳にしてしまう。
「あのイージスに乗ってんの、友達だったんだろ……?」
────やっぱりキラは本気で戦ってなんかいなかったんだ……フレイは怒りの余り
蒼白となった顔で、地獄の底から這い出してくるようなかすれた声を絞り出した。
そのときから彼女の胸の奥には、マグマより熱く煮えたぎるコーディネーターへの
果てしない憎悪が湧き上がった。
「────このままには、しないわ……」
No.08『白銀の不死鳥』
まだ夜も明けきらぬ頃、オーストラリア北部にあるザフトのカーペンタリア基地へ
ジェイダーはひっそりと赴いていた。降り立ったジェイダーは、浄解されたボズゴロフ級の
艦長やアスランたちを降ろすと、突然の来訪で泡を食ったように飛び出してきた
ザフト兵たちを尻目に悠々と飛び去ってゆく。
「……どうしてこうなってしまったんだろうな」
────DSSDの獅子王博士がアメノミハシラを訪れてからというもの、
世界は対ゾンダーという目標へ向けて水面下で激動の時を迎えていた。
世界各国に複製されたJジュエルとジュエルジェネレーター、超AIの技術が提供され、
プラントには高効率の推進機関や食料の自給装置など、コロニーそのものを太陽系の他惑星、
ひいては外宇宙へと乗り出すための世代宇宙船へと改造する技術がもたらされた。
事実上の地球外追放であったが、同じ地球人類であるコーディネーターとナチュラルが
いがみ合い、無益な戦争を引き起こされるよりは余程いい。
ソルダートJはシーゲル・クライン議長を始めとするプラント評議会に、
このまま火種が燻る現状が続くことの危うさを訴え、クライン議長も彼との邂逅をこれ幸いと、
一足先に“人類と宇宙への架け橋となる”というファーストコーディネーター、
ジョージ・グレンの遺志を継ごうと賛意を示してくれた。
連合は与えられた技術に飛びついている。プラントもじきに地球を離れて行く。
これでもう戦争は起こらない────オーブは、家族は、人類によって焼かれずに済むのだ。
そうシンが安堵する中、宇宙船として生まれ変わりつつあるプラントへ組み込まれる
予定だった農業コロニー、ユニウスセブンが無情にも核の炎に包まれ、応酬のように
プラントの繰り出した報復攻撃、元々は暴走した原子炉の沈静化のために使われていた
核分裂阻害装置、ニュートロンジャマーの軍事転用によって、地球全土から原子力の火が消えた。
その日付は、まるで予定調和のようにグリニッジ標準時で四月一日を指していた。
かつて自分も来たことがあるカーペンタリア基地を後にしながら、シンは起こるはずの無かった
血のバレンタイン、そして不可解なエイプリルフールクライシスへ思いを馳せる。
プラント側がとった行動は当初、プラントコロニー群の存在するL5宙域を
効果範囲を拡大したNJで取り囲み、地球側からの核攻撃を無効化するという
消極的な防御策だったのだが、血気にはやる一部のザフト兵によって幾つかのNJが持ち出され、
プラント理事国のうち旧アメリカを中心とした大西洋連邦。旧ロシアと、一部の北欧を除いた
ヨーロッパ諸国で構成されるユーラシア連邦。中国と日本を始めとするアジア諸国で構成される
東アジア共和国の、主要三ヶ国の地下深くに埋設された。
しかし同胞を核で焼き尽くされた憎悪のままに解き放たれたNJだったが、
どういう訳かその発信源は自在に地中を移動し、台風のようにたちまち地球全土で
荒れ狂うという常識はずれの猛威を振るったのだ。
ソルダートJが地球へ来訪して以来、国連から発展する形で新たに設立された国際機関である
地球連合を構成する諸国は、この事態を“オーバーテクノロジー独占を狙った
プラントによる自作自演である”として徹底抗戦を主張。
プラント側も核攻撃に関して同様の主張を譲らず、お互い提供された技術の軍事利用こそ
制限されたものの、危惧されていたとおり地球とプラントはその戦端を開いてしてしまった。
保護されたアスランたちの証言から、ラウ・ル・クルーゼがゾンダーへの協力者となっていた
ことが明らかとなったのは記憶に新しい。
不自然極まる核攻撃といいNJといい、これらの異常に何らかの形でゾンダー、
あるいはゾンダリアンが関わっていることはまず間違いない。それもおそらくは……
「ラウ・ル・クルーゼ……もしこの戦争がお前のせいで起こったというのなら、覚悟して置け」
────アンタがレイの兄貴だろうと知ったことか、俺が必ず殺してやる。
「アスカさん、起きなさいよアスカさん!」
「むにゃむにゃもうたべられないよ……」
────スコーン!
イチコの気遣いもむなしく、ベタすぎる寝言を呟きながら思う様惰眠を貪っていたマユは、
担任教師によって振り下ろされた出席簿の一撃をその脳天に受け、極めて不本意な目覚めを迎えた。
「あうう……」
「目は覚めたかしら? アスカさん」
「すいませんでした先生」
やっちゃったー、とマユは赤面し、級友たちの笑い声が響く教室の中、自らの失敗に恥じ入った。
────所変わってオノゴロのメインオーダールーム。前回の戦いで判明した情報を前にして、
ギナ、ユウナ、獅子王博士の三人が額を突き合わせていた。
「まさかザフトにゾンダリアンへの協力者が居たとは……」
「司令、これは由々しき事態じゃ。先日確認された情報どおりなら、
奴等がゾンダー胞子のストックを持っていることは明らか、
最悪のケースを考えれば複数のゾンダーロボをいくらでも同時に生み出すことができるじゃろう」
かつて獅子王博士も現場に居合わせ、GGGの阻止した最初のゾンダーメタルプラント
建造作戦の舞台となった、日本の北海道に建造された世界最大の出力を誇る粒子加速器
イゾルデで、人間としての意識、知能を保ったまま巧妙に正体を隠したゾンダーと
遭遇したことがあった。
クルーゼがゾンダリアンなのか、はたまたそういった特殊なゾンダーなのかはわからないが、
早急に対策を立てなければならないことは皆の意見の一致するところだった。
「いくらゾンダーメタルが希少なものだとはいえ、それとは別に生物をゾンダーへと変異させる
ゾンダー胞子があるのなら、いくらでも融通は利く。
現に先日出現したのは実質四体分ものゾンダーだったじゃろう」
「でも博士、敵がプラントにまぎれているのなら、どうして始めから向こうで
行動を起こさなかったんでしょうかね?」
「ラウ・ル・クルーゼがゾンダリアンと接触したのが本当につい最近だったのかもしれんし、
今回の事件を起こすまでゾンダーメタル、あるいはゾンダー胞子を持っていなかったのかもしれん。
データがあまりにも不足しすぎて現状ではなんとも言えんな」
ユウナの疑問に、獅子王博士はお手上げのポーズをとる。
「今は上(ミハシラ)に通達して、プラントの監視を強化するしかあるまい」
□□□□
修理を終えたアークエンジェルとそのクルーたちは、オーブへの感謝を胸にハウメア基地を出港した。
「アラスカまでもう一踏ん張りだ、一同、気を抜くなよ」
「了解!」
思えば今までよく生き延びていられたものだ。事の発端であるヘリオポリスでは
虎の子のガンダム四機と正規の士官の大半を失い、残された戦力はコーディネーター
だったとはいえ素人の学生が操るストライクと、大尉用に突貫工事でガンバレルを組み込んだダガー。
おまけにこれまた素人の操る、地上でしか使えない旧式のガンタンクといった有様で、
当時の光景を思い出しただけで眩暈がしそうだ。
低軌道会戦で払った第八艦隊の尊い犠牲もむなしく、ザフト勢力圏の北アフリカへ降下
してしまったアークエンジェルは、“砂漠の虎”と呼ばれるザフトの名将アンドリュー・
バルトフェルドを辛くも下し、どうにか連合の勢力圏である南アフリカへ落ち延びた。
しかしそこで補給を受けることは出来たものの、ザフトのジブラルタル基地と
プラント側に付いた南アメリカ合衆国によって大西洋行きを阻まれ、アークエンジェルは
広大な太平洋を横断する破目となった。
もしストライクに物理的ダメージを無効化するPS装甲が採用されていなければ、
アークエンジェルがビームへの耐性を持つラミネート装甲で覆われていなければ、
唯一の正規パイロットであるムウ・ラ・フラガ大尉が“エンディミオンの鷹”と称される
エースでなければ……どのピースが欠けていても、早々にこの艦は沈んでいたに違いない。
「……オーブに来て正解だったな」
座りなれた艦長席から眼前に広がる大海原を眺めつつ、この艦の指揮を執る
ナタル・バジルール──乗艦当初は少尉だったが、現在は昇進して大尉──は誰に聞かせるでもなく呟いた。
始めのうちこそ、一般には秘匿されているが軍部ではその問題が公然と議論されている
地球外生命体の襲来などという、子供向けのSFか出来の悪い悪夢のようなことが
確固たる日常として存在している魔境オーブへ寄港するなど、いくら背に腹は代えられない
とはいえ正気の沙汰とは思えなかったものだが、実際過ごしてみるとなかなかに良い所だ。
それにしてもヘリオポリス以来執拗に追撃をかけ、散々自分たちを苦しめてきた
四機のガンダムが異星人の尖兵ゾンダーに乗っ取られ、噂のキングジェイダーに
撃破されたことは僥倖であった。
もしこのまま奴等との再戦ということにでもなれば、艦の消耗は避け得ず、
折角の補給や修理が無駄になってしまったことだろう。
「これでひとまず心配なくなったよな」
「そうだな、キングジェイダー様々だよ」
アークエンジェルの艦内通路で、ブリッジの手伝いやMSパイロットを務める
少年兵たちが談笑していた。
ヘリオポリスで暮らしていた彼等はザフトの攻撃でコロニーが崩壊してからというもの、
両親と離れ離れとなっていたが、この艦がオーブへ寄港してようやく家族と再会を果たすことが出来た。
だが近頃オーブにゾンダーなる怪物ロボットと、それを迎撃する巨大ロボットの一団が
出没していることを知り、本土で暮らす家族の安否を気にしていたものの、
強奪されたガンダムがキングジェイダーに撃破されたという先日のニュースは、
その不安を吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがあった。
中でも旧式のガンタンクを任され、これまで必死に艦の砲台として働いていた
トール・ケーニヒとサイ・アーガイルの喜びようは群を抜いており、もう勝ち目の無い
ガンダムと戦わなくて済むのだ、という嬉しさが全身から溢れているようだ。
そのように、乗組員の大半が安堵する中、明かりも点けずに独り暗い部屋にこもるフレイは、
モニターに浮かぶ人物と言葉を交わしていた。だがその相手を見るものが見れば、
必ずやその眼を疑ったことだろう。
何故ならばモニターの向こうに居たのは、回転する歯車で編み上げられたドレスを纏う
紺碧の少女────機界四天王ピルエッタだったのだから。
「この艦の乗組員たちのマイナス思念は、度重なる戦いで充分すぎるほどに蓄積されております。
必ずや貴女様のご期待に応えられることかと……」
彼女の形のいい唇が言葉を紡ぐたびに、その瞳の奥に秘められたカメラの絞りそのものな
瞳孔が機械的に収縮する。
『心弱き者よ、その務めを果たすがいい』
主の命に応えるように、少女の白く滑らかな柔肌から鈍く輝くゾンダーメタルが浮かび上がる。
フレイはその端正な顔に見た者を凍りつかせるような愉悦の笑みを浮かべると、
しなやかな指先から伸ばした金属糸のような触手を室内に設置されている端末へ進入させ、
艦全体のコントロールを乗っ取った。
たちまち艦内は紫の光に包まれ、混乱の極致に見舞われる。
「一体何が起こった!?」
「操舵不能、計器類も滅茶苦茶な値を示しています! ────うわあああああ!!」
混乱とともにアークエンジェル内部が瞬く間に生物めいた形状に変化してゆく中、
ブリッジだけでなく居住区を中心とした艦内各所にも、おびただしい触手の群れが湧きだして
悲鳴を上げるクルーたちを拘束してゆく。
そこへ悠然と現れるのはフレイ・アルスター。彼女は目の前の少女が犯人であることにも
気付かずに、自分へ逃げることを勧める乗組員たちへと口端を吊り上げるような嘲笑で返すや、
桃色の軍服に包まれたその豊かな胸元を、一寸の躊躇いもなく引き裂いた。
「な、何を!? ────うわああああああ!!」
だが露になったのは若さに溢れる柔らかな膨らみではなく、複雑な紋様に覆われた
血のように赤い円錐の群れだった。解き放たれたゾンダー胞子は身動きの取れない
乗組員たちへ突き刺さり、彼等を次々にゾンダーへと変えてゆく。
「坊主、早くストライクへ乗り込め! 他の皆も早いとこ脱出するんだ!!」
そんななか、格納庫では異状を察知して駆け込んできたムウの指示で、
キラがストライクへ乗り込まされていた。辛うじて侵食は免れていたが、このままでは時間の問題だろう。
「一体どうしたんですか?」
「アークエンジェルの中に、例のゾンダーとかいう奴が侵入しやがったんだ……来たぞ!」
だが触手の群れとともに通路から現れた人物を見て、各々の機体へと乗り込んだ二人は目を見開いた。
「そんな! フレイ!?」
「嬢ちゃんだと!?」
しかし彼女の人間とは思えない無機質な視線が、整備班を束ねるマリュー・ラミアス技術大尉に
先導されて脱出艇へ乗り込もうとしている整備兵へ向けられるのを見たムウは、
言い知れぬ悪寒のままに自らのダガーをその間へと割り込ませた。
刹那、放たれたゾンダー胞子が装甲を貫き、ガンバレルダガーの右脚をゾンダー特有の
有機的な金属塊へと変える。
「少佐!」「ムウさん!!」
「早くしろ! このことをオーブに知らせるんだ! ────行け、坊主!!」
肉体がゾンダーへと変質してゆく恐怖を振り払うように吐き出された言葉に背中を押されたキラは、
逃げ遅れてゾンダー化される整備兵たちを、胸の奥から湧き上がる罪悪感共々振り切って、
手近のランチャーストライカーを引っ掴みカタパルトへ走った。
□□□□
「────ゾンダー! ……それもたくさん!!」
ゾンダー出現を感じ取ったマユからの連絡を受け、ジェイキャリバーとミハシラ艦隊は
速やかに発進、アークエンジェルの後を追った。
「フォグナイト、ムラサメブルー10への懸架、終了しました」
「よし、ミハシラウイングス及びフォグナイト空中装備、発進!!」
格納庫からのナガオの報告を受け、指揮所であるメインオーダールームから放たれた
ロンド・ギナの号令一過、エリカの管制とともにシルバーウイング、ゴールドウイングの二機と、
赤青合わせて二十機のムラサメ、その翼下へ上下逆の姿勢で吊り下げられたビークルモードの
フォグナイトがタケミナカタのミラーカタパルトで加速され、大空へ舞いあがる。
『スキャンビーム、照射します!』
通報時に添えられたマユからの忠告を基に、上空のフォグナイトがすれ違いざまに
そのヘッドライトに内蔵された高感度の複合センサーでアークエンジェルを走査し、
パピヨンがコンソールへ指を走らせて送られたデータを解析した。
するとアークエンジェルの主推進機関である核融合パルスエンジンからのエネルギーが、
一箇所へ不自然に集中しているのが見てとれる。
「────これは! 地熱発電所の時と同じ……」
「ゾンダーメタルプラントか! だがこの素粒子Z0反応は……!!」
だがそれ以上に博士たちを驚愕させたのは、どう少なく見積もっても二十は下らない
大量のゾンダー核の反応だった。
「これだけの数……やはり例のゾンダー胞子の仕業か!?」
「そうと見て間違いないじゃろう。奴らめ、一気に打って出てきおったか!!」
即座にゾンダーアークエンジェルへの攻撃命令が下されようとしたとき、
放たれたフォグナイトの声がそれを押しとどめる。
『ムムッ、これは……司令、ゾンダーの体内に生存者の反応があります!』
「何だと!?」
フォグナイトとのデータ共有でスクリーンに映し出されたのは、CGで透過処理された
アークエンジェルの艦首カタパルト内で、ゾンダーの迫る中ハッチの扉と悪戦苦闘する一体のMS
────先日モルゲンレーテで修理したことも記憶に新しい、ストライクガンダムの姿だった。
「────畜生!」
ランチャーストライカーによる砲撃にもびくともしない内壁を前に、焦るキラの口から
悪態がほとばしる。確かにラミネート装甲はビームに対して耐性がある。
だがそうだといっても内側からの攻撃、しかも戦艦の主砲に匹敵する威力のビームで
破れないのはどう考えてもおかしい。
「こんなことなら、ソードを持ってきたほうが良かったかな……」
連射に次ぐ連射でもはや三分の一を割り込んだバッテリー残量を見て、彼はランチャーパックの
火力に眼が眩み、実体剣としても使えるレーザー対艦刀を備えた近接戦闘用パックを
持ち出さなかった自らの行いを悔やんだ。
しかしこれほどまでに強化された装甲強度では、もしその選択をしていたとしても
ハッチを破れたかは疑問だ。
そうしている間にも、背後からはゾンダー人間となった乗組員たちが続々と迫っている。
金属や機械類を粘土のようにこね合わせて、子供の落書き同然に無理やり擬人化したような
その醜悪な姿を前に、キラは咄嗟にランチャーパックの超高インパルス砲、“アグニ”の
引き金を引きそうになり、慌てて操縦桿を握る手を押さえた。
「あれはアークエンジェルの皆なんだ! 撃てるわけが無い!!」
必死に自らへ言い聞かせるように言葉を搾り出すキラの脳裏に、苦楽をともにした
友人たちの姿が浮かぶ。お調子者だけど正義感の強いトール、しっかりした世話焼きのミリィ、
臆病だけど、それでも除隊のチャンスをふいにしてまで艦に残ってくれたカズィ。
そして憧れだったフレイと……かつて僕の一時の気の迷いで傷つけてしまったサイ。
眼前のゾンダーのなかにはアークエンジェルのクルーだけじゃなく、彼等も居るかもしれないのだ!
そうこうするうちに迫り来るゾンダー人間によってじわじわと壁際へ追い詰められ、
ついに完全に逃げ場を失ったストライク。
だがしかし、いっそ一思いに彼等の仲間になってしまおうかと諦観の念に囚われそうになる
彼のもとへ、思いもよらない救いの手が伸ばされた。
『フォグナイト! ゾンダーは我らに任せて、お前は生存者の救助を!!』
『了解しました!────システムチェーンジッ!!』
ウイングスの面々がゾンダーアークエンジェルの注意をひきつける中、閉じ込められた
生存者を救うべく、ムラサメに懸架されたフォグナイトがそのまま黒一色のビークルモードから
紫にまとめられたロボット形態へ変形する。
変形した彼はムラサメに両腕でぶら下がるような体勢を経て、ビークル形態時に
車体底面へ繋がっていた固定器具を自らの背部へと接続しなおした。
この身軽さは彼の兄弟機とも言えるGGG諜報部所属のボルフォッグ同様、
獅子王博士によって諜報ロボとして可能な限り軽量になされている設計ならではのものである。
そのままムラサメブルー10へ指示し、ゾンダーアークエンジェルの艦首へと迫るフォグナイトは、
右腕からワイヤーアンカーを射出して艦首上部にあるハッチの継ぎ目を穿った。
『スパイアンカー!』
流し込まれた電磁パルスが一瞬遅れて機械に誤作動を引き起こし、今まで微動だにしなかった
ハッチが音を立てて開放され、絶体絶命だったストライクへ救いの手を伸ばすように
太陽の光が差し込んだ。
『さあ、この手に掴まってください!』
青と黒に塗り分けられた戦闘機を背中に背負った出で立ちの、
ストライクの半分も無いようなサイズのロボットから差し伸べられた手を
本当にとってよいものかどうか、キラはほんの一瞬迷ったが、思い切ってカタパルトの床を蹴り、
空中へと躍り出た────しかし。
「うあっ!? ────脚が!!」
『おのれっ、ゾンダー!』
ストライクの手がフォグナイトのそれを握り締めたのと同時に、彼を艦内へと
引き戻そうとする力が働いた。見ればストライクの左脚には、ソードストライカーに
備えられているはずのロケットアンカーが絡み付いており、カタパルトの奥からは
ガンバレルダガーと近接戦用のソード、空中用のエールといった、格納庫に残された
ストライカーパックが融合したゾンダーロボが顔を出している。
フェグナイトを抱えるムラサメブルーは全力でスラスターを噴かして離脱しようとするが、
戦艦の大質量に根ざしたゾンダーダガーには焼け石に水で、その推力を物ともせずに
ワイヤーを手繰り寄せ、ストライクを取り込もうとする。
『ダメだ! パワーが違いすぎる!!』
見る見る引き寄せられてゆくムラサメブルー10から悲鳴が上がった。ワイヤーを切断しようにも、
ストライクの手を握り締めるフォグナイトの武器は届かず、ビークルモードの
ムラサメブルー10もまたしかり。他のムラサメたちも、ゾンダー特有の変幻自在さで
死角など無いと言わんばかりに縦横無尽に射掛けられるゾンダーアークエンジェルの
対空砲火に晒されて、近づくことが出来ない。
「装甲の強度もかなり増大しているな!」
プラグアウトしたジェイダーも、スピードを活かして弾幕を掻い潜り、両腕のプラズマソードや
シューターによる攻撃を仕掛けるが、ちまちま砲台を潰してもすぐに再生され、
強化されたラミネート装甲に阻まれてビーム兵器は満足な効果を発揮できないでいる。
かといって下手にESミサイルや反中間子砲を撃ち込めば、艦内に散らばっている
ゾンダー核を破壊してしまいかねず、ストライクの救出が済むまで有効な手が取れない。
それでもなお抵抗をやめないブルー10を煩わしく思ったゾンダーダガーは、
巨大な左腕と化しているガンバレルユニットを彼等へと向けるや、その名の通り
樽のような指先からの銃撃で邪魔者を打ち据えた。
『くそう! ブルー10! フォグナイト!!』
「もうやめてください! このままでは助けに来てくれたアナタたちまでやられてしまう!!
僕なんかに構わず、ゾンダーと戦ってください!!」
目の前で味方が何も出来ずに打ち砕かれてゆくという状況に耐えられなくなったキラは、
自ら手を離そうとした。しかし、彼の手を握るフォグナイトがそれを許さない。
『いいえ、絶対に離しません! 』
「どうして!」
『貴方を救うのが……決して放棄してはならない私の任務だからです!!』
『貴様も諦めるなストライクのパイロット! 貴様も、ゾンダーにされた貴様の仲間たちも……
我らが必ず助ける!!』
その言葉に迷いを断ち切られたのか、キラは機体各部に設置されたサブカメラで
背後のゾンダーダガーを視界に収めると、左肩に装備されたアグニを機体を捻ることで照準をつけ、
そのまま警告音が鳴り響くのも厭わずに撃ち放つ。
「当たれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
強引な体勢で発射された超高インパルス砲“アグニ”のビームが、
見事に機体を拘束していたワイヤーを焼き切り、三人は遂に自由の身となった。
それと時を同じくして、ミハシラウイングスを苦しめていたアークエンジェルの各砲座が
ジェイキャリアによるおびただしいメーザーミサイルの洗礼を受けて沈黙、
すかさずウイング姉弟が体勢を立て直す。
「よし、後はゾンダーだけだ!」
「よかろう! ジェイキャリバー及びミハシラウイングス、フォーメーション開始!!」
『了解! ────シンメトリカルドッキング!!』
「Vフライヤーッ! ────フライヤーコネクト!!」
『天(アマツ)────ミナァ!!』
「武装合体! ジェイッ、ダー!!」
ストライクを連れてタケミナカタへ帰投するフォグナイトたちをよそに、ジェイダーたちは
ロンド・ギナの指示を受けて合体変形を完了させ、飛び出してきたゾンダーダガー、
ゾンダーアークエンジェルへと必殺の一撃を放つ。
『クロスウイングッ! ディフェンダー!!』
先んじてゾンダーダガーから射掛けられたビームや砲弾が、アマツの主翼を重ねた
十字盾によってその悉くを防がれる。
ならばと左手から分離した有線砲台ガンバレルが縦横無尽に宙を舞い、あらゆる方位から
アマツへ攻撃を仕掛けようとするが、すかさず高速回転するディフェンダーが振るわれ、
刃と化した十字盾がその命綱であるワイヤーを断ち切った。
『クロスウイングッ! ブーメラン!!』
焦ったゾンダーダガーはソードパックの右腕からビームブーメラン
“マイダスメッサー”を投げつけるも、そのまま投げ放たれたアマツの巨大ブーメランが
白銀に光り輝いて、ぶつかり合ったマイダスメッサー共々ゾンダーダガーを頭から両断。
敵機の爆発を背景にして主の手元へ戻るのと同時に、見事にゾンダー核を確保した。
一方武装ジェイダーたちも、ゾンダーアークエンジェルの正面と直上の二方向に陣取り、
大量のゾンダー核を一気に確保するために、タイミングを合わせた同時攻撃を放つ。
《ジェイクォース、発射!》
「プラズマッ! フィオキーナァァァァァァァァァ!!」
どちらの技も、これまで数々のゾンダーロボを打ち破ってきた伝家の宝刀。
張り巡らされたゾンダーバリアなどものともしない威力を誇るその同時攻撃を受けて、
大天使の名を冠した艦は途方も無い規模の水蒸気爆発に飲み込まれた。
だが双方から迫る火の鳥に食い破られ、大天使はあえなく地に堕ちたかと思われた次の瞬間、
オーダールームの面々は信じがたいものを目撃した。
「ゾンダーの反応……健在です」
パピヨンの言葉とスクリーンに示されるデータに、オーダールームの面々が凍りつく。
爆煙が晴れたそこには、全身の装甲が融け落ち沸騰したであろう見るも無残なゾンダーの姿が在った。
しかし、あろうことかその満身創痍の艦体は、武装ジェイダーの右手とジェイクォースを
すんでのところで受け止めていたのだ。
さらに変化は艦体後部に蔓延るゾンダーメタルプラントにも及んでいた。
植物のように花開き、結実してゆくゾンダーメタルが、驚くべき速さでそのプロセスを終了させ、
まるで産声を上げるように素粒子Z0を撒き散らして完成を告げる。
「ゾンダーメタルが……」
「完成してしまった……!?」
「うわああああああっ!!」
瞬間的に強力なゾンダーバリアを発生させて、突き刺さっていたジェイクォースと
武装ジェイダーを跳ね除けるゾンダーアークエンジェルを前にして、自身のコンソールへ
目をやった獅子王博士は素早くキーボードを叩きデータを分析する。
「こ……これは!!」
ディスプレイに表示されたもの、それはゾンダーから発散された熱量と
メタルプラントへ流入したエネルギーの総和が、ジェイクォースとプラズマフィオキーナの
それとほぼ一致するという結果だった。
────反物質であるJジュエルとゾンダーメタルのエネルギーは、ぶつかり合えば
対消滅を起こしエネルギーの大きいほうが生き残る。
そもそも、ジェイクォースは反中間子砲や五連メーザー砲と併用すれば、
月と同程度の直径を持つ衛星すら易々と粉砕できる威力を持っており、並みのゾンダーが
いくらバリアを展開しようとも到底防ぎきれるものではないし、互いに相反する性質を持つために
そのエネルギーを逆利用することも出来ない。
だが防ぐ側がエネルギー攻撃と相性の良い機械を取り込んでいたうえに、
並みのゾンダーでなかったとしたらどうだろう?
アークエンジェルには、ビームのダメージを熱に変換して艦全体に拡散、排熱する
ラミネート装甲が搭載されている。かつて別の地球でゾンダー化した第二次世界大戦時の
列車砲グスタフが、倍以上の射程距離と短縮された発射準備時間を得たように、
また模型飛行機を基にしたゾンダーが実物以上の性能を得たように、
ゾンダーと融合した機械はそのスペックを大幅に引き上げられる傾向にある。
それに加えて二十人以上の人間を素体としたゾンダーならば、その瞬間的出力は
素体のストレス如何によってはキングジェイダーすら上回るのだ。
「ジェイクォースが、効かないなんて……!!」
「獅子王博士、一体何が起こったのだ!?」
ユウナが目の前の事態に顔色を無からしめ、ギナから博士へと説明を求める声が飛ぶ。
「おそらく奴は積層ゾンダーバリアでジェイクォースおよびプラズマフィオキーナの
勢いを殺したうえで、そのエネルギーをゾンダー化した装甲で吸収発散。
天敵であるはずのJパワーを熱へと変換し、
ゾンダーメタルを製造するための糧としたのじゃ!」
「ソルダートJ、今日こそが貴様の最後の日だ!!」
空に浮かぶ雲の間からその様子を眺めるラウ・ル・クルーゼは、そう言って高笑いとともに
ゾンダリアン・ピスタティーヴォの正体を現した。背中まで伸びたうねる金属繊維の頭髪、
普段から顔を覆う仮面を鳥の嘴のように前後へと引き伸ばしたような頭部に加え、
元の白服の面影を残しつつもメカニカルな硬質さを備えたボディからは、
後方へと十本の鉛色をした鋭い円錐が放射状に伸びている。
彼の眼下には再生、変貌を遂げ、今まさに反撃に移ろうとするゾンダーアークエンジェルの姿があった。
ザフトからは「足つき」と呼称される、どこか木馬の前足を思わせる特徴的な双胴艦首は
一対の剛腕へと変わり、ミサイル発射管やリニアカノン、核融合機関を備え、
内側にゾンダーメタルプラントを抱く艦尾は、健常だった頃の翼のような優雅さなど
見る影も無い太く短い脚部へ変形する。
最後に前方へ迫り出したブリッジが頭部となり、窓だった位置にゾンダーメタル状の
エンブレムを現出させた。
『ゾォォォォンダァァァァァァァァァァァァァァァ!!』
強大無比なゾンダーロボとなったアークエンジェルがその両腕を振り上げて咆哮し、
まるで瘴気の津波とも思えるほどの、膨大なゾンダーパワーを一帯の海域へ解き放つ。
『こ、これは!?』
『ち、力が抜けてゆく……!!』
《大規模なゾンダーパワーの放出を確認、ジュエルジェネレーター及び
ジェネレーティング・アーマー出力低下! まずいことになったぞ、J!!》
「いかん! ウイングスを今すぐ下がらせるんじゃ!!」
「全ムラサメのJパワー残量及びアマツミナ、ジェイダー、ジェイキャリアの
ジェネレーター出力、急速低下! このままではムラサメがゾンダーに融合される危険があります!!」
ゾンダーパワーに飲み込まれたミハシラウイングスたちを早急に退避させるべきとの声が上がり、
彼等の状態を確認したエリカが悲鳴のようにその危機を告げる。
ミハシラ軍で運用される勇者ロボたちは、全身にJパワーが循環しているおかげで
ゾンダーに融合されることはないが、現状ではコストの都合からジュエルジェネレーターを
搭載していないムラサメは、その供給を充電式のJパワーパックに依存しているために
一度その加護を失えばたちまち通常のMSと変わらない状態となってしまう。
いくら中枢が無事なら再生できるといっても、ゾンダーに融合されてしまえばまず助からない。
オーダールームの面々にとってもそれだけは避けたい事態だった。
辛うじてムラサメ隊はゾンダーから距離をとったものの、未だ付近の海上に残された
キングジェイダーやアマツミナへ追い討ちをかけるように、ゾンダーアークエンジェルが
攻撃を開始した。
肩から生える二連装高エネルギー収束砲ゴットフリートを始め、脚部のリニアカノン・
バリアントや各種ミサイル、全身に設けられた対空機銃イーゲルシュテルンに至るまでの
あらゆる火器が一斉に火を噴き、動きの鈍った白い巨艦と赤黒二体の巨人を打ち据える。
「うわあああああああああああ!!」
「きゃあああああああああああ!!」
猛攻に晒されるジェイキャリアのサブブリッジに、マユの悲鳴がこだました。
放射された高熱のせいか、はたまた戦闘の余波によるものか、青空を黒雲が覆い尽くし陽光を遮った。
それはまるで敗北へと歩を進める勇者たちの運命を暗示しているかのように不吉な有様で、
それを現実のものとするかのようにゾンダーは艦首特装砲ローエングリンを起動する。
「避けるんじゃソルダートJ! 奴はアークエンジェルの陽電子砲を使う気じゃ!!」
「だめです博士! ゾンダーの射線上には市街地が存在、完全に奴の射程内です!
計測されたエネルギー量から計算した陽電子砲の威力は、戦略核兵器にも匹敵します!!」
「それほどの威力では……避難が済んでいてもシェルターが持たんぞ!」
パピヨンの報告を受け、ギナを始めとするオーダールームの面々が凍りついた。
「なら……避けるわけにはいかないな」
「なんじゃと!?」
胸の前で打ち合わせるように拳を結合させて巨大な円形加速器を形成し、
途方もない威力を秘めた陽電子を加速し始めるゾンダーアークエンジェルを前に、
シン・アスカは仮面の下の口元へ不敵な笑みを浮かべると自らの相棒へ指示を下す。
「トモロ、合体だ! 陽電子砲の一つや二つ、キングジェイダーで受け止めてやる!!」
機体が万全な状態ならいざ知らず、対消滅によって消耗しきった今、シンの行動は
あまりに無謀であった。しかし無辜の市民の生命の危機とあらば、彼は決して迷うことは無い。
合体を終え、荒れ狂う海原へ降り立った大巨人は、その全身を持って敵の砲口へ立ち塞がった。
「────そうだ、手はあるよ! ムラサメ10とフォグナイトの再出撃を急いでくれ!!」
「そうか! ボシュボッシュなら!!」
絶望的な状況の中、ユウナの閃きが一筋の光明となったように、オーダールームが
慌ただしく動き出した。シモンズ夫妻の操作で、ムラサメブルー10の装備が
武装ユニットから、流線型をしたスピーカー様の追加ブースターへと速やかに換装される。
「ムラサメブルー10、フォグナイト装備及び換装終了しました!」
「よろしい! ムラサメサウンドブースター仕様、発進!!」
ギナの叫ぶような命令とともに、タケミナカタのリボルバーミラーカタパルトから白銀の弾丸が放たれた。
痛んだ身体へ鞭打つようにして、命を賭して持てる力のありったけを搾り出す彼のもとへ、
勝利をもたらす軍神の名を冠した艦から救いの手が差し伸べられたのだ。
『ジュエルジェネレーター、出力全開!』
『ディスクP、ドライブ開始!』
より効果を発揮するためにフォグナイトのエネルギーが注ぎ込まれたムラサメが、
二つのスピーカーユニットの間へ設けられたディスクドライブを起動する。
ディスクから読み取られたプログラムに従い出力されたエネルギーは、
ジュエルジェネレーターを活性化、その一部がジェネレーターへ再入力されて出力を
際限なく増幅させてゆき、さらにエネルギーウェーブへと変換されて増幅装置でもある
スピーカーから出力された。
どん底の状態でも耳にするだけで気力が湧いてくるような勇壮なメロディーが、
先程まで戦場を満たしていた絶望に成り代わるように満ち満ちてゆく。
「────!? この曲は!!」
《J、ジュエルジェネレーターの出力が回復してゆくぞ!》
『こちらもだ! 先程までの倦怠が嘘のように力が漲ってくるぞ!!』
────ディスクPによってサウンドブースターから発生するエネルギーウェーブは、
増幅された本体との共振作用を起こして周囲に居る勇者ロボたちのジェネレーター出力を
活性化させるのだ。
「……すごいや! ムラサメにこんな力があったなんて!!」
マユが驚嘆の声を上げるなか、キングジェイダーの両肩に設けられた光子変換翼が、
周囲の赤外線を吸収し、物質へと変換することで損傷部位をたちまち修復する。
「馬鹿な、奴等の力が回復しているだと……?
ええい、このようなもの、こけおどしだ! やれ!!」
「来るなら来てみろ、アークエンジェル!!」
予想外の事態に狼狽るクルーゼ──ピスタティーヴォの命令とともに、ゾンダーの両腕から
解き放たれた陽電子の奔流がキングジェイダーへ迫る。だが彼は避けるそぶりも見せず、
果敢にローエングリンへ立ち向かった!
────再び海上で起こった大爆発と、それに伴う大量の蒸気が全てを覆い隠したせいで、
陽電子砲の直撃を受けたキングジェイダーの様子を窺うことはできない。
「やったか? ────何ッ!?」
蒸気の中から現れたのは、満身創痍どころかまったく無傷のキングジェイダーの姿!
その全身は、溢れんばかりの闘志に輝くフィールドジェネレーティング・アーマーによって
赤々と燃えていた。
「今度はこっちの番だ! トモロ、全エンジン出力最大!!」
《了解、ジュエルジェネレーター及び歪曲反応炉、出力最大!》
「ジェイダーホールド!!」
胸の鳥頭から鋭い眼光が迸り、プラズマ状の力場でもってゾンダーアークエンジェルの動きを封じた。
それは牽引ビームを応用した強力な拘束フィールドだった。
キングジェイダーが右腕を天高く掲げると同時に、手首からジェイクォースが跳ね上がり、
その中央から柄を生やしながら回転する。落ちてきたそれを掴み取った彼は、
大風を起こす大団扇か円月殺法のような動作で勢い良く振り回すや、
その姿形をみるみるうちに変じさせる。
真紅の剛腕が必殺の大錨を振り回すたびにその切っ先はぐんぐん伸びてゆき、
その動作が二、三度繰り返される頃には元の錨の姿は見る影もなく、
彼の手に握られていたジェイクォースは身の丈ほどもある幅広の大剣へと形を変えていた。
「なんだあの武器は!?」
「────シルバリオンカリバー! チャージアーップ!!」
ピスタティーヴォの問いに答えるかのように名前を叫んだキングジェイダーは、
全身を眩い白銀に輝かせ、その刀身を炎に染める。
腰を落として上体を捻り、両手で握る炎の大剣の切っ先を、前方へ向けるように構えた
キングジェイダーは、脚部のメガインパルスドライブを噴かしてゾンダーとの距離を怒涛の如く詰める。
シルバリオンカリバーの切っ先から噴出す炎は、まるで航空機が音速を超えた際に生じる
ショックコーンのように機体を覆い隠し、キングジェイダーを燃え盛る不死鳥へと変えた!
「力が足りねば足らすまで! ────往くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
速度×質量×硬度=破壊力の公式が示すとおりに、音速すら超える速度と
強固な単結晶構造を持つ刃が、キングジェイダーの3万2720tに及ぶ大質量を乗せ、
身動きを封じられたゾンダーへ迫る!
大上段から振り下ろされた剛剣が、ゾンダーアークエンジェルを斬るというより
叩き潰す勢いで両断した。
それはまさに力技の極致ともいえる光景だったが、あれほど苦戦した敵の装甲が
一刀の下に切り捨てられるのは見ていて爽快感すら覚える。
両断されたゾンダーにスパークが奔り、一拍遅れて天にも届こうかというほどの大爆発を起こした。
「今日のところはここまでだ!」
練りに練った計画の下生み出したゾンダーどころか、せっかく完成したゾンダーメタルまでも失い、
憎々しげに退却するピスタティーヴォを他所にして、得物を担いだキングジェイダーは
勝利を祝福するように雲間から顔を出した太陽に照らされる。
その白銀の体表が元の姿を取り戻し、右肩に担がれた刀身からも炎が消えるのと同時に、
回収された大量のゾンダー核がぽろぽろと余すところなく左手へと収まった。
「さあマユ、出番だぞ!」
「うん!」
赤い光を纏う浄解モードとなった彼女は、背中から翼を生やしサブブリッジの窓から外へ出た。
『テンペルム・ムンドゥース・インフィニ・トゥーム……レディーレ!!』
振り下ろされたマユの指先から波紋が広がり、ゾンダー核を元の人間へと戻してゆく。
────諸々の処理が終わり、検査のためアークエンジェルの乗組員たちが収容されていた
オノゴロの医療施設にキラ・ヤマトとフレイ・アルスター、サイ・アーガイルの姿があった。
「キラ……私、あなたに謝らなきゃいけない! いままでずっと、パパの仇を討つために
サイの気持ちを踏みにじってまでアナタを利用していたわ!!」
その言葉に、キラはショックを受けながらもやはりと得心が行った。
コーディネーター嫌いの彼女が急に優しくしてくれるなんて、それも父親が死んだ後になんて
おかしいとは薄々とは感じていたのだ。
「それを言うなら僕だって! 友達と戦いたくないあまり、君の優しさに甘えてサイを傷つけた!!」
彼の胸に、二人が関係を持ったことに激昂したサイの腕を、易々と捻りあげた時の
苦い思い出がよみがえる。
「サイ! 今ここで僕を殴ってくれ!! そうでなきゃ僕の気がすまないんだ!!」
「本当に、いいんだな? ────歯、食いしばれよ」
サイは自らに縋り付くキラの言葉にうなずくと、渾身の一撃を彼の頬へ叩きつけた。
ガンタンクのパイロットになって以来死に物狂いでトレーニングを積んできたおかげで、
速さも威力も昔とは比べ物にならないものとなった拳がキラを打ち据える。
突き刺さるようなその痛みは、まるでかつて傷つけられたサイの心の痛みのように思えた。
「グゥッ!」
「……これで、あのときの借りはチャラだ」
「────サイ!」
よろめき、膝をつきかけるキラへ差し伸ばされる手に、彼の眼から熱いものがこみ上げる。
サイの手をとったキラは、完全に元通りとは行かないまでも、これでまた
ヘリオポリスの友達として彼等とやっていけることを確信した。
────次回予告
君たちに最新情報を公開しよう。
休日に連れ立って遊園地へと出かけたマユたち。
だが楽しいアトラクションに迫るゾンダーの影は、
笑顔溢れる夢の国をたちまち恐怖に染める!
さあ会場の皆、大きな声で僕らのヒーローを呼ぼう!!
勇者戦艦ジェイアスカNEXT『アベルの残せし禍(わざわい)』
次回もこのスレッドにメガ・フュージョン承認!
これが勝利の鍵だ! 『ミハシラ軍諜報部』
あとがき
投下終了。
やっと今まで一番やりたかったことが書けた。やっぱり勇者には必殺剣でしょう。
ちなみに劇中の必殺シーンはフレイムソードのテーマ推奨。
そしてザフト側に登場したSFSはメガライダーです。
(名前はご存知ジンのビームランチャーから)
あとAA艦長がナタルさんなのは本作の仕様です。
────
ここまで、代理終了
続けてスレ立て
代理投下&スレ建て乙
書き込めるか?
代理の人も投下乙でした! AAゾンダー強えー!!