【不老】次のイノベイターは誰? part2【純粋種】

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2通常の名無しさんの3倍
なんとも偉大な計画だ。
しかし、人類が外宇宙に進出するためには避けては通れない命題でもある。
人類が争いの火種を抱えたまま、外宇宙へ進出することは、種の滅びにつながる。
人類は変わる必要がある。
いずれ巡りあう異種との対話に備えるためにも。
5年前。
西暦2307年。
ソレスタルビーイングによる武力介入によって世界は統一され、翌年、地球連邦政府が樹立。
しかし、イノベイド、リボンズ・アルマークによって計画は狂わされ、それを是正するために、僕たちは彼らと戦う道を選んだ。

西暦2312年。
新生地球連邦政府が樹立。
この4年間をリセットすることで、ようやく第1段階がクリアとなった。
今は、計画が第2段階に移行している。
その一つは既に達成されている。
人類は進化を果たした。
純粋種であるイノベイター――刹那・F・セイエイの出現によって。
これから人類は、ゆるやかにイノベイターへの進化を果たしていくことだろう。
だが、そこには摩擦が生じる可能性がある。
進化した人類と、そうでない人類との摩擦が。
その軋轢を緩和するためにも、僕たちイノベイドの存在は不可欠だ。
僕たちは人類を進化させるために造られた存在。
悪い言い方をするなら、使役されるだけ、人類の捨て石となることを義務づけられた存在。
その存在意義を嫌い、リボンズ・アルマークは自らの手で人類を導こうとした。
確かに、僕たちは造られた存在だ。
だが、人類と共に、歩んでいける未来もある。
人間になれる。
ソレスタルビーイングで、仲間たちと触れあうことによって、僕はその確信を得た。
わかりあうことが、理解しあうことが、なによりも優先されるべきなのだ。

わからないから誤解する。
わからないから否定する。
わからないものを忌み嫌う。
人類は、わかりあう必要がある。
そして、ゆっくりとではあるが、確実に、人類はわかりあおうとする意志を持ち、その目標に向かって進み始めている。

ほどなくして、新生地球連邦政府にヴェーダを解放することになるだろう。
僕の予想では、第2段階を達成されるまでには、数世紀の時間を要するだろう。
計画が第3段階に入るまで。
人類が外宇宙に進出するときまで。
僕はしばしの眠りに就こうと思う。
3通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 18:20:49 ID:???
そして、刹那。
刹那・F・セイエイ――。
純粋種のイノベイター。
キミは、変革を果たした自分に、さぞかし困惑しているだろうと思う。
人とは異なるものとなったことに、孤独を感じているかもしれない。
人類を導く義務を与えられたことにも。
だが、悲観しないで欲しい。
気負う必要もない。
キミは、キミのままでいい。
戦争根絶を目指す。
わかりあえる世界を作る。
未来のために戦う。
それでいい。
キミは、キミの思ったこと、その願いを、キミの思う通りにやればいい。
なににも流される必要はない。
まあ、キミはそういう生き方しかできない男だから、余計なお世話かもしれないが。
僕が目覚めたとき、再びキミと出会えることを楽しみにしている。
4通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 18:22:59 ID:???
俺は。
変わった。
変革した自分を自覚する。
意識の拡張。
体内組織の老化抑制。
神経系の鋭敏化。
数値や言葉にすれば、そのような肉体的変化が自分の中に確かに起こっている。
だが、それ以上の『何か』が、俺の中で叫ぶ。
人には生きる意味があると。
その意味に気づいたのなら、迷わずに突き進めと。
人と人とがわかりあう道を求める。

そのために生き、そのために戦う。
たとえ世界から疎まれようとも。
人の道から外れようとも。
俺は。
変革する自分を選ぶ。

戦ってきた。
戦いの中で生きてきた。
それ以外の生き方を教えられなかった。
だが、その生き方が間違っていて、俺のような人間を許容する世界が歪んでいることはわかる。
憎みあう必要のない人間同士が命を奪いあう……そんな非道な現実が、日常であるはずがない。

だから、俺は望んだ。
求めた。
憎みあうことなく、争いあうことなく、人と人とが当たり前に生きられる世界を。
しかし、どうしたらそのような世界になるのか、その方法が思いつかない。
俺は、戦うことしかできないのに。
破壊することしかできないのに。
そんな俺に転機が訪れた。
戦争根絶を掲げる私設武装組織。
ソレスタルビーイング。
世界で起こる、ありとあらゆる紛争行為に対して、武力介入を行い、世界統一を目指す。
そのために作られた機体。
戦争を戦争で駆逐する機動兵器。
ガンダム。
そのマイスターにスカウトされることにより、俺の生き方は一変した。
戦いしかできない俺に、成すべきことができた。
それは、俺の生きる『糧』だ。
そのために。
俺は、戦う。
5通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 18:23:39 ID:???
ー嗚呼、今思えば、それは俺の過去を償うための、個人的な行為だったように思える。
本当の意味で、俺は戦っていなかった。
目的のない人間が、目的を与えられ、それを成すことに酔いしれ、本当の意味で、
自分のやろうとしていることを理解していなかった。
ガンダムマイスターとなっても、俺は俺の人生を正しく歩んでいなかった。
違う。
すでに狂わされていたのだ。
神を信じ、欲望のために歪められた神の教義に傾倒し、それを果たすべく両親に手をかけ、
その過ちに気づいても、戦場の中を駆けるしかなかった自分。
命を救ってくれたガンダムに、未来をみた自分。
マイスターに選ばれた自分。
すべては戦争根絶を果たすため。
未来を作るために。

俺の命を救ってくれたガンダムのように。
だが、その想いは、ある男の気まぐれで、そうなるように仕向けられていた。
知らないうちに生き方を変えられていた。
俺を変えた男。
イノベイド。
リボンズ・アルマーク。
0ガンダムのマイスター。
イオリア計画を体現し、人類を導こうとする者。
だが、それは支配だ。
イノベイドの存在を知った俺は、ソレスタルビーイングが変えた世界の更なる変革を求め、
再びガンダムに乗り込む。
イオリアに託されたGNドライブを。
ツインドライヴ・システムを。
ガンダムを使って。
俺は変わろうとした。
計画のためでなく、俺の意志で。

朦朧とした意識の中で、ロックオン・ストラトスが俺にいった言葉を思い出す。
『…刹那、過去によって変えられるものは、現在(いま)の自分だけだ。
過去は変わらねぇ…ましてや、命は…』
しして、こうもいった。
『・・・刹那、おまえは変われ・・・変われなかった、俺の代わりに・・・』
未来のために、現在(いま)の自分を変える。
6通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 18:24:25 ID:???
翻弄され続けた生き方を。
戦うだけの人生を。
命を無駄にすることを。
他者とは交わらず、己だけで生きる考えを。
俺は。
変わってみせる。
その果てになにがあろうとも。
俺は、生きる。
かつて、ソレスタルビーイングの砲撃士のラッセ・アイオンがいったように。
俺は、俺たちは存在し続ける。
もし、この世界に神という存在がいて、俺の運命を変えたとしても。
俺は、俺の意志で生きる。

運命に抗うことが生きるということなら、俺は運命すら駆逐する。
共に生きるガンダムと。
俺は、俺の求めるガンダムとなる。

そして。
俺は変わった。
考え方を。
生き方を。
この肉体も。
変革した人類―――イノベイターに。
戻れない場所まできたという思いはある。
しかし、後悔はない。

俺は、前に進み続ける。
自分の求めることを。
今の自分にできることを。
がむしゃらなまでに。
ソラン・イブラヒムとしてではなく。
ソレスタルビーイングのガンダムマイスター。
刹那・F・セイエイとして。
ガンダムと共に。
ガンダムとなる。
俺が。
俺たちが。
俺たちの。
ガンダムとなって―――。