スパロボキャラが種・種死・00世界に来たらA

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1通常の名無しさんの3倍
【前スレ】
スパロボキャラが種・種死・00世界に来たらF 完結編
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1237461611/l50

【避難所】
スパロボキャラが種・種死の世界に来たら避難所
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/10260/

【SS保管庫】
ガンダムクロスオーバーSS倉庫 Wiki
ttp://arte.wikiwiki.jp/
2通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 22:40:25 ID:???
また>>1乙がしたいのか!あんた達は!!
311 ◆Qq8FjfPj1w :2009/05/25(月) 00:52:28 ID:???
>>1乙です
>>総帥
シンが強ぇぇ!こっちなんていつの間にやらお姫様なのにw
4通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 01:47:38 ID:???
>>1乙。
ひでえな、ザフトインパルス。想像の斜め上の失敗作だ。素直に特機作れよ。
特機運用可能なプラットホームが無いという事情もわかるが、それでこんな駄機作ってちゃ世話無かろうが。
やっぱりプラントのコーディは頭が悪いと思う。

ブランシュタイン兄弟はお父ちゃんのいるミハシラか、総帥の求めに応じてとかで正当オーブか。
いずれにせよトロンべ兄さんになってしまった兄貴の後ろで弟は頭を抱えてるんだろうなあ。
5通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 15:53:20 ID:???
レジェンドはともかく、デカイ武装二つあれば強いんじゃね?的なデスティニーとか
ゴテゴテした武装の自由や正義の開発元なだけはあるか
マルチロックオンシステムとかあるなら他の機体に積み込んでやれよとか
リフターの脱着可能とかいいから元から浮遊能力を持たせとけよとか
色々ツッコミどころ満載な製造局の明日はあるのか
ってかザフトインパルスが将来ガンダム4号機みたくジェネレーターの暴走で自爆しそうで怖いよ
6通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 18:58:09 ID:???
そういや影鏡御一行も来ていたようだがAじゃなくてOGからかな?
Aからだったら元の世界に戻るために火星の演算ユニット(CEであるか知らんが)を
奪取してボソンジャンプするとかってネタがあるけど
7通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 19:30:27 ID:???
影鏡が何もしなくてもこの世界はずっと闘争に満ち続ける気がしてならないw
8通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 19:39:48 ID:???
後に、ヴィンデル・マウザー大佐(多分30台)は語る

「我々の行動は見事なまでに蛇足でした」

と、疲れた顔でインタビューに応じるヴィンちゃんが見えた。
9通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 19:49:18 ID:???
世界征服主張&絶滅主義VS軍需利権
…うん。統一まで平穏な世界はみえんな。
10通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 20:00:09 ID:???
連合も内実バラバラみたいなもんだしな。
11通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 20:52:44 ID:???
工作員送り込んでるハズが
潜り込まれたのはウチでしたぁあああああああああ!!!!!!!
いつの間にかぁああああああ!!!!!!

ってなことにもなりそう
ところで、シロッコが来てる様ですが
これはアレですか、下手すればアレですか
キチガイサイボーグと隊長にとって仇の悪魔と要介護サイボーグとその嫁とかも下手すれば来るんでしょうか
12通常の名無しさんの3倍:2009/05/25(月) 21:46:55 ID:???
むしろ、影鏡の理想の行き着き先の果てない闘争の続く世界そのもののような気がする…
それでもって世界自体腐敗してんだから、ある意味絶望的だわな。


ところでアホセルどこー?
13通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 01:17:22 ID:???
影鏡が以下のどのパターンかで、ヴィンちゃん達固定メンバー以外に誰が来るか変わるな

Aアホセルルート…人形ラミア
Aラミアルート…悪セル
OG…エキドナ

正直、どれも一長一短
特にOGは既にウォーダンが逝っちまってるし一番旨味が無い
ベストなのは、上のどれでもない、また別の極めて近く限りなく遠い世界から来たってパターンかな
14通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 10:37:03 ID:???
>>13
大穴で指揮官なしのA、OG、エンドレスフロンティアにたどり着かなかったのを誰かが鹵獲したとか。
15通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 10:37:38 ID:???
影鏡は一種の軍人病の極端な症例だろ
ヴィンちゃんは多分最後の大隊の少佐みたく戦争がしたい(or戦いたい)司令官。少佐見たく開き直るというか悟りを開いちゃいないが
レモンちゃんは戦争で発展進歩する科学技術に魂を売ったマッド。ラミア逃がしたりであんまり勝敗には興味なさげ?
アクセルは真っ向勝負で叩き潰したりライバルの存在は自分で叩くとかいった戦士で有り続けようとしてた節がある
GBA版OG2じゃ自分は望んで人形になったとかいう台詞があるから戦える場所を与えてくれるなら人形でも何でもいいと思ってたのかな?
まあキャラの考察は置いておいて、上層部見事に混沌としてるな…
16通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 11:54:23 ID:???
逆に影鏡の暗躍で戦いが起こってる世界とすればどうだろう?
ジョージを暗殺したり反地球連合活動を煽ったりロゴス幹部の秘書や部下、愛人となりすましてコントロールしたり…
17通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 17:47:04 ID:???
どれでもないパターンだった場合、時間軸がズレて二十年以上前にCEに来てたハーケンとアシェンがいる可能性もあるのか
18通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 18:32:24 ID:???
実際には影鑑の妄想と違い、長期で大規模な戦争がその文明圏の文明の発展を妨げる
ことは明らかなんだがな
科学技術を発展させるのは冷戦のような状態だ
19通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 18:37:03 ID:???
Aのヴィンデル&OGのレモン(もしくは逆)のちぐはぐチームとか。なんとなく面白そうなんですが。
20通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 19:38:55 ID:otdzxbgQ
上層部以外の影鏡はエンドレスワルツの五飛みたいなヤツが多そうだしな
もしくは戦争しか知らないから、終戦になったら失業して裏街道進むしかないタイプとか
21通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 20:53:29 ID:???
長期化した戦争で、初期に徴兵で引っ張られて運よく生き残って動員解除されたら
故郷には既に自分の居場所は無かった、っていうアメリカ兵とかって結構いたそうな。

ヴィンちゃんが糾合したのはそういう連中なんだろうな。
22通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 21:00:40 ID:???
結局影鏡が唱えていた腐敗も不明瞭極まりなかったしな
異星人との戦いが思った以上に長引いていて>>21のいう居場所の無くなった軍人達の反乱が影鏡だったのかもしれないな
まあ反乱してでも排除しなきゃいけない化け物染みたアインストキョウスケが居るからそれが理由であっても不思議じゃない
まあそれを問題視してたのはアクセルだけだったけど
23設定マニア:2009/05/26(火) 21:00:55 ID:olTZnf3L
 OG世界のアクセルが考えている闘争の世界は「秩序ある闘争」らしいので、実はやろうとしている事は「一族」や「ロゴス」に近い気がします。
 むしろ絶滅戦争になりかねない状態なら、逆に戦争を止めるのでは。
 種世界は原理主義のテロリストがトップを牛耳っているような世界ですし。マティスや(ジブリール以外の)ロゴスの方が一番マトモに見える。

>13
 私としては、基本メンバーはOG世界(正史)で悪セルと人形ラミアとOG2のシロガネが追加されるか、アルフィミィと同じく原作(A)で固めてOGのエキドナさんとミスターパーフェクト(笑)にするかがいいんですけどね。
 そういえば、ダイテツ艦長がいる以上、影鏡の存在はDC勢は知っているんだろうな。
24通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 21:23:02 ID:???
>>23
ならガンダムファイトみたいな一種の競技がいいのというとそうでもない。
小説版見ればわかるが技術進歩にはいいけど大規模な軍縮をするから軍需産業や
傭兵・軍人で職を失う者も多いし
まあそれでも殲滅戦やらかして死屍累々な惨状になるよかマシだが。
25通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 21:29:11 ID:???
まぁヴィンちゃんが何処の出だろうとユニウス落とそうとしてようと
既に完璧パパンが控えていることを忘れてはならない。
Dみたいに共闘まではせんだろうがツヴァイが門に突っ込んで自爆とか有りそうだからなー。

後、DCが影鏡知ってるのはバン大佐のおかげが大きいだろう。
他にはグリムズとインスペクターぐらいしかおらんし。
26通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 21:48:03 ID:???
完璧パパンが控えるっつーことは………

そろそろ地球消滅来るー?
27通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 00:48:04 ID:???
>>17
東アジアの小国高天原の姫・神夜とか
臍プリンセスは・・・CEに古来より棲息する亜人種とか
28通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 01:44:14 ID:???
>>27
いや、あの世界感をC.Eに融合させられても…その…なんだ…困る。
あいつらは異界からの来訪者というのが似合ってる。
29通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 02:14:52 ID:???
魔術師が普通に存在してる総帥版CEは、妖怪とか獣人とか普通にいそうだから困る
30通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 07:46:34 ID:???
失礼します。新しく書き始めたいと思っているのですが、やったスパロボがOG1(PS2の方)と
Zだけで……こんなんでも大丈夫でしょうか?
31通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 09:40:17 ID:???
いいぞ!やれやれー!
やっちまえ!


見たいのでお願いします
32660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 09:56:24 ID:???
>>30
新しいお話が読めるのなら大歓迎ですよ! 
では景気づけに、投下します。

ディバイン SEED DESTINY 第08話 撫子来臨

 スペースノア級特有の広大な格納庫に着艦し、飛鳥シルエットを取り外して指定のメンテナンスベッドに機体を固定させたDCインパルスのコクピットハッチが開き、横付けされたクレーンにビアンとステラ、やや遅れてシンが降り立つ。
 整備士をはじめ、格納庫に居合わせた者達が敬礼するのに、手を挙げて軽く返礼してから、ビアンは鹵獲したランドグリーズやゲシュペンストMk-Uの方角へと体を泳がせた。
 スカートの裾をひらひらとさせながらステラが続き、ヘルメットを小脇に抱えたシンも続く。ミニ丈のスカートから零れたステラの眩いばかりの生足に、ちらちらとシンの視線が吸い寄せられるのは、思春期の少年と思えば仕方のないことであろう。
 ステラのあまりの無防備さに、かつてはシンも鼻血の1リットルも吹き出しそうになったものだが、ミナやカーラらの教育によってステラがビギンズを履くようになっているから、後ろに続いても鼻を押さえる必要はない。ちょっと惜しい気がするのは内緒だ。
 レーザーカッターや、こればかりは数世紀を経ても形状の変わらぬバールを片手に鹵獲機のコクピットを開けようとしているメカニック達の傍らに降り立ち、ビアンが状況を聞いた。
 これらの機体を用いた者達の正体については察しがついていたが、それを確認する為にもコクピットの中がどうなっているか知らねばならない。
 何時だったかアメノミハシラでシン達がグルンガストなどを受領した時に立ち会っていた、筋骨隆々の肉体に白い歯が褐色の肌に眩しいツナギ姿のメカニックが、丁度ロックされていたコクピットをレーザーで焼き切り、中を覗き込んでいた。
 保安係がガス圧で太さ一ミクロンのタングステン針を射出するニードルガンや麻酔ガス銃の銃口を、コクピットに向ける。しかし、中を覗き込んだメカニックは怪訝そうな表情を浮かべた。
 頭からコクピットの中に潜り込み、すぐに何が起きたのかよく分からないと言う様な顔のメカニックがコクピットから出てきた。
 羆の一頭くらい片腕で絞殺しそうなごつい男が不思議そうな表情を浮かべているのはなかなか見ものだったが、近づいたビアンが状況を問うや、緊張に凝り固まった。

「パイロットはどうなっている?」
「は、こ、これは総帥。……それが、灰の様ななにか粉っぽいものがシートの上に蟠っているだけで。パイロットが居たのかどうかも判断がつかないという、か。無人機とも言い切れませんね」
「そうか、ではその残留物と機体の調査を急げ。結果を後で私にも報告せよ」

 メカニックの言う通りにコクピットを覗きこめばそこには人の姿はなく、では無人機かと言えば無人機には不要なコクピットをわざわざ設置する必要もないことから、パイロットはいた筈ではないのか。
 もっとも、この状態こそがビアンが確認したかった答えなのだ。あらかじめ提示されていた一番可能性の高い答えが、まさにその通りになった。その答えが、事態をより一層混迷に導くものであると分かるが故に、ビアンは厄介そうに眉間に深い皺を刻んだ。
 ビアンが珍しく顔に浮かべた苦々しげな表情に気づいたシンが、横顔を覗き込んだ。

「総帥、何か心当たりでもあるんですか?」
「すこしな。心に留めておけ、シン。今度は前の戦いの時よりもはるかに苦しく、長い戦いになるかもしれんぞ」
「……戦争、ですか。まだ二年も経っていないのに?」
「望む者がいるのだよ。地球連合にもザフトにも、そしてDCにもな」

 DCにも。それは地球圏の武力統一を標榜するDCの総帥であるビアンこそが、他のDCのメンバーの誰よりも再度の戦争を望んでいると、暗に告げているように聞こえて、シンは息を呑んだ。

「っ」
「私はエペソと艦の進路について話をしてくる。お前達は十分に体を休めておけ。ステラ、護衛ご苦労だったな。もうここまでで良い」
「うん」

 新たな戦争の幕劇が開くと告げられて表情を強張らせたシンと、そのシンを不安げに見つめるステラを置き去りにして、ビアンはその場を後にした。
33660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 09:57:05 ID:???
 アーモリーワンを揺るがす震動が収まった事に気づき、薄暗い地下施設の一角を合流予定地にして集まったティスとラリアーはそろって見上げていた天井から視線を戻し、天上に埋め込まれたライトに、幼い顔立ちをうっすらと照らされていた。
 コーディネイターの少年少女でも、滅多にはいないと見えるほど整った容姿をしていた。彼らを生み出した父母は天上の世界の方々に愛された二人だろう。絵に描いた様な愛らしい少年少女であったが、瞳には無垢さとは別の輝きがあった。
 地球のどこかの地方民族のモノの様な独特のデザインの二人の衣服は、どこか共通する意匠が見受けられる。DCに所属しているデスピニスも同様だ。
 言うまでもないがザ・データベースの勢力の中枢を担う生体コンピュータのデュミナスに命を受けて派遣された人ならざる子らだ。
 オルガらに同行してアーモリーワンに潜入し別行動を取ったティスは、ザフトに潜入したラリアーと連絡を取る事を目的としていたようだ。だが、それはひどく非効率的な行為だ。
 ティス達と共に各勢力に派遣されたイノベイター達は、GN粒子を媒介とした脳量子波による距離を無視した会話が可能だ。ラリアー達自身は脳量子波による交信能力を有さぬが、イノベイター達経由で連絡を行う事は出来る。
 また、脳量子波を用いずとも、デュミナスの能力や各勢力に食い込んだ情報網を利用すれば、極一部の例外を除いていかなる情報のやり取りも可能なはずだ。それは情報のみならず最新鋭のMSや物資のやり取りさえも含む。
 それはティスらも同じように考えているようで、二人ともささいではあるが困惑の色を顔に浮かべている。
 デュミナスからの指令で、大西洋連邦の最新鋭MSフラッグのみで構成された精鋭部隊や、ザフトがインパルスとは別にDCと共同で開発している機動兵器開発の極秘プロジェクトに関しての情報の交換を行っているのだが、腑に落ちぬ点が二人共にあるようだ。
 交換したROMを指先で弄びながら、ティスがデュミナスの意図が分からない様子で口を開いた。

「なんでデュミナス様はこんな事をさせたんだろうね? MSWADの事なんてリヴァイブやヒリングが報告しているだろうし、ザフトのプロジェクトも結局分かっていないままのはずでしょ」
「うん……。それにデヴァインさんやブリングさん達の同席も許していないんだ。まるで」
「まるで、なによ?」
「いや、その……クリティック様には内緒にしたいみたいだなって」
「はあ? なんでよ、クリティック様はデュミナス様の創造主じゃない。なにも隠し事する必要なんてないし、あんたの考えすぎでしょ。デュミナス様なりに考えがあるのよ」
「そう、かな?」
「案外、アンタがデスピニスやあたし達と離れ離れで寂しがっているんじゃないかって、心配してくれたのかもよ〜?」
「さ、寂しがってなんかいないよ」
「本当に〜〜?」
「本当だって!」
「まあ、いいけどさ。あたしなんか碌に言う事聞かない馬鹿三人の面倒まで見なきゃいけないのよ。あんたなんかデュランダル議長のお稚児さんやってんでしょ」
「ち、稚児さんて。意味分かって使ってる?」
「遠まわしに馬鹿にしてんの。それ位分かるわよ。デヴァインとかブリングはFAITHとかいう立場で、色々やっているのにあんたはサボっているだけで楽よね。デスピニスだって前線に出て戦っているのにさ」
「ぼくだって許可さえ出れば戦って見せるよ!」
「どうだか〜?」

 しばらくの間、言い様にラリアーはティスにからかわれ続けた。その二人の様子を見る者がいたならば、長く離れ離れになっていた兄妹が再会を喜び合ってじゃれあっているように見えただろう。
 ティスが冗談交じりで、寂しがっているのではないかとデュミナスが気を回したと言うのも、案外正鵠を射ているのかもしれなかった。
34660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 09:58:07 ID:???
 タマハガネ内のコンビニ“ボン・マルチェ”の勤務時刻を過ぎ、レジを交替したレントンとエウレカと一緒に、レクリエーションルームで寛いでいたシン達は、艦内に広がったあるニュースに、飛びあがらんばかりに驚いていた。
 アーモリーワンを後にして数時間、アメノミハシラから緊急時に用いる最優先のホットラインを経由して、百年単位の安定軌道に位置していた筈のユニウスセブンの軌道に変化が見られるとの報が告げられたのだ。
 最悪な事に、ユニウスセブンの変化した軌道は地球への落下コースを描いていた。このまま何の手だても打たずにいれば、広大な宇宙に奇跡のようにポツンと浮かぶ青い星に落ちてしまう。
 血のバレンタインの悲劇で語り継がれる、核攻撃によって二十四万余名の命と共に崩壊したとはいえ、ユニウスセブンは最長幅が八キロメートル近くにもなる巨大な構造体だ。
 そんなものが地表を直撃すれば、最悪の場合地球滅亡などと言うSF映画の中の世界の言葉が現実のものとなる。もっとも、ヤキン・ドゥーエ戦役最終盤にも、AI1セカンド、真ナグツァートと、地球滅亡クラスの災厄は存在していたが。
 小さな口で咥え切れない大きさのフランクフルトを、少し頬を赤くして時折苦しそうな吐息を喘ぐように零しながらもぐもぐと一生懸命に頬ばっていたデスピニスも、この話題には手を止めて険しい顔をしている周囲の顔をおどおどと見回していた。
 先ほどまではデスピニスが戦線に出た事、これからも出る事に対する意見を交わしあっていて、自分の事を心配してくれているのは分かるが、気まずい思いをして困っていた。
 だが、これはこれで居心地が良いとはいえない状態だ。地球にはティスやヒリング、リヴァイブ、アニューと顔見知りだっているし、たくさんの人が死ぬと言う事態それそのものがデスピニスには生理的に受け入れがたいことだった。
 かつてのステラ同様に過度に死や痛みと言ったものに恐怖を覚えるデスピニスにとっては、顔も知らぬ他者の生死のことであっても素知らぬ顔をする事は簡単な事ではなかった。
 それは戦争に関わる者としては甘さをいくらも残したクライ・ウルブズのMSパイロット達も同じで、それまで動かしていた手や口を止めてユニウスセブン落下の危機と言う事態をそれぞれが受け止めようとしている。
 一番早く驚愕の事態から立ち直ったのは、すでに一度ユニウスセブン落下を経験しているデンゼルとトビーだった。かつての多元世界で、ユニウスセブンの落下を阻止できなかったと思っているデンゼルとトビーは、今度こそ落下を阻止すると密かに誓っている。

「ここでおれ達が騒いでも、ユニウスの落下は止まらん。信じ難い事だが、受け入れるしかあるまい」

 手に持っていたカップをゴミ箱に捨てて、両腕を組んで険しい顔のまま諭すように告げるデンゼルに、皆の視線が集中した。デンゼル達が体験したユニウス落下には異星人であるガイゾックの介入などがあったが、今回はそのような事態はないだろうと考えていた。

「で、でも、どーするんですか? 半分に割れちゃったと言ってもプラントですよ。いくらクライ・ウルブズの装備でも、なんとかできる範囲を超えちゃっていると思うンすけど……」

 レントンがおずおずと訊いてきたのに、デンゼルが重々しく頷いた。答えたのはデンゼルの隣のトビーだ。軍人と言うにはフランクで明るいトビーらしからぬシリアスな表情に、レントンがごくりと息を呑む。

「砕くしかないな」
「く、砕くってあんなに大きいんすよ!? さっきも言いましたけど、コロニーを砕くって、そんな無茶な」
「だが、あの質量で地球の引力に引かれているとあっちゃ、今から軌道の変更は不可能だ。だったら、衝突を回避するための手段は一つだけだろ?」
「それは……」

 多元世界では、ザフトの艦隊が用意したメテオブレイカーでユニウスセブンを砕こうとした。しかしテロリストやガイゾックの介入、ティターンズとの戦闘などによって完全には行かず、艦と機動兵器で少しでも砕こうと言う事になった。
 結果は失敗に終わったが、今回はザフト以外にもDCの艦隊が動いているし成功の算段は高いはずだ。
 それでも、地球に住まう大小無数の命が失われる未来の可能性が万に一つでも存在する限り、その場にいる全員の心に重苦しいものがのしかかっていた。
35660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 09:59:14 ID:???
 今回ばかりは、いつも年長として全員に気遣った言葉を掛けるロックオンも、表情を引き締めている。刹那はいつもと変わらぬ無表情のように見えるが、一人故郷の光景を瞼の裏に思い描いていた。
 刹那の故国クルジスは、汎ムスリム会議の一角を担う隣国アザディスタン王国に周辺地域の治安安定のためと言う名目で武力併合され、地球の地図からその名前を消して久しい。
 機関銃を手に、神の戦士として戦場を駆け巡って銃弾や砲弾の雨の下を這いずりまわって生き足掻いた日々の記憶が蘇る。そして、冷たい拳銃を片手に両親の待つ家へと戻り、二発の銃声と引き換えに、自分は神の戦士たる資格を得た夜の鮮明な記憶も。
 閉ざした瞼の裏に一瞬の煌めきの速さで、忘れてはならぬ己が罪の記憶が映し出される。
 住み慣れた家の床を濡らす血は両親のもの。炎に染められたようにオレンジに染まった空は、戦場の空だ。肩に食い込むベルトが伝える鈍い痛み。鼻腔の奥にへばりついた様にいつも嗅ぐ事の出来た硝煙の匂い。
 そして、自分以外のすべてが死に絶えたあの場所で見上げた空に赤い光の翼を広げていた戦争を断つ者、世界の歪みを正す者――ガンダム。
 それらすべての、胸を掻き毟りたい衝動に駆られる苦しみや罪の意識を伴う記憶の中の光景も、すべてが無くなる? 
 たとえユニウスセブンが落下して、地球が荒野の世界になろうとも刹那の罪や歪みは消えない。その記憶や感情を、罪を忘れぬ為にもユニウスセブンを落としてはならない。
 刹那はそれだけを考えていた。具体的に自分達がどうするかを提示したのは、スティングだった。

「一度、ドック艦のラビアンローズで補給を受けてから、おれ達もユニウスセブンに急行するらしいぜ。先行している部隊やザフトの艦隊が破砕用のメテオブレイカーを持って行っているから、設置作業の護衛とかだな。
 隕石の衝突とかで軌道が変化した見込みは少ないらしいからな。人為的なものかもしれねえ」
「そんな、ユニウスセブンを落としてだれが得するって言うのさ。プラントだって、まだ地球の資源がなきゃやっていけないんだろ?」

 特に海洋国家であるオーブなど、ユニウスセブン落下の影響をもろに受けると思い至ったシンが、口から唾を飛ばしかねない口調で言い募った。

「シン君の言う通りの筈です。プラントはまだ食料の完全自給に成功したって話は聞きませんし、その、第三世代以降の出生率問題も未解決の筈です。地球側で戦争を望む誰かが居たとしても、ユニウスセブンの落下なんて実行するわけがないじゃないですか」

 シンに追従して、やや青褪めた顔のセツコが確認するように言った。まだグローリースターに配属されて一カ月も経っていないのに遭遇した事態は、新兵であるセツコの許容範囲を超えた衝撃を与えつつあるのだろう。
 セツコに答える様に口を開いたのは、意外な事にデスピニスだった。小動物の様に恐る恐る手を上げて、発言する事を主張してから口を開く。

「あの、ひょっとしたらプラントで問題が解決したとか?」

 デスピニスの言葉に、デンゼルは小さく首を左右に振った。たとえそうだとしても、プラントがユニウスセブン落下を強行するとは思い難いのだろう。

「だとしてもデュランダル議長は穏健派よりの人物と聞いているが……。あるいはザフトの、極一部の人間の暴走と言う可能性も捨てきれん。たとえば前大戦時の休戦条約に納得がいかずザフトを脱走した兵の仕業とかな」
「デンゼル大尉の言うとおり脱走兵の暴走って言う線もありそうですけど、ユニウスセブンの軌道を動かして、なおかつDCの監視部隊を壊滅させるなんて、脱走兵程度の集団に簡単にできる事じゃないですよ」
「ま、シンの言う通りだな。すでに前大戦から飛躍的に軍事技術は進歩している。何しろ核動力機が当たり前になっているくらいだからな。
いずれにせよ、おれ達のやる事は変わらん。ユニウスセブンの落下を阻止する事だ。現場に着いた時満足に動ける様、今は休む事が優先だ」

 そう、デンゼルが締めくくり、名々私室に戻るかレクルームに留まるかなどして、ドック艦と合流するまで一時解散となった。アメノミハシラで建造されていたドック艦ラビアンローズと合流したのは、それから三時間後の事だ。
36660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 09:59:56 ID:???
 前大戦中からアメノミハシラで建造されていたラビアンローズ級ドック艦は、正面から見るとオレンジの花弁を広げた薔薇の様な形をしている。花弁の中心に艦首を向けて接舷し、十数本の作業用クレーンアームが艦の固定作業や、修理箇所の補修を行う。
 直径三百〜四百メートルほどのサイズを誇る巨大な施設だ。従来の補給基地や宇宙ステーションなどよりは規模は小さいが、ラビアンローズそれ自体が移動可能な船であり場合によっては戦略的な価値を帯びる事もある。
 ラビアンローズ級のネームドシップである一番艦に、タマハガネが接舷して、ここでビアンを始めとした高級官僚らがタマハガネから降りる事になる。流石にユニウスセブン落下の現場に、自国のVIPを連れてゆくわけがない。
 ビアンはこのままアメノミハシラ経由でヤラファス島へ帰還し、ユニウスセブン落下の事態に対して幕僚と対策を講じる手はずになっているようだ。それには、落下が阻止されるにせよ、落ちるにせよ地球側の取る対応がある程度推測出来ていることも大きい。
 おそらく、シン達が落下任務を終えた後に告げられるのは、戦火の再燃という最悪の報告になるに違いない。
 しかし、そのような運命を知るわけもないシン達は、ラビアンローズから運び込まれた装備の確認などをする為に、ブリーフィングルームに集められてそれぞれ確認作業を行っていた。
 アルベロが新型装備などの割り振りを告げる中で、一人アウルがどんよりと暗い影をその肩に背負っていた。その理由が分かるシン達は苦笑し、セツコやデスピニス、ロックオンなどの新参組はわけが分からず、はて、と首と捻っている。
 ぽつりと、アウルが呟いた。一言一言、噛みしめるように、血反吐を吐くようにして言葉にして呟く。

「なんで、また、エムリオン?」

 アウルが座る席の机に映し出されたホロ・ディスプレイには、ヤキン・ドゥーエ戦役でDCの主力機動兵器として大いに活躍したエムリオンの機体が映し出されていた。
 当時、生産ルートが確定していたM1と、ビアンが提示したリオンを組み合わせて作った急ごしらえのMSだったが、基本的に空戦能力を有していた事やOSの優位性、テスラ・ドライヴ内臓による高い運動性で他の量産型MSとは一線を画していた機体だ。
 アウルは、前大戦時に周囲が次々とエムリオンとは異なる新型を受領する中で長くこの機体を愛用し、コンプレックスに近い劣等感を抱いていた事がある。今は最新の主力機であるエルアインスを乗りこなし、すっかり忘れていたのだが。

「エムリオンの開発チームの一人が、次期主力機トライアルの時に提出した機体だな。エルアインスやリオンタイプが今のDCの主力だが、エムリオンもコストパフォーマンスを改善すれば主力を担うに吝かな機体ではない。
 今回のはコストは変わらんが更なる性能向上を図った機体だ。アウル、エムリオンとの相性はお前が一番いい。これは適正テストでもはっきりとした事だ。全力で当たり、与えられた任務を果たせ」
「……はいよ」
 
 事情は知っているが個人のわがままを許すつもりはないと言外に告げるアルベロの厳しい声音に、アウルはしぶしぶ了承の返事をする事しかできなかった。
 アウルに新たに任されたエムリオンは、エムリオンRC(リターンズカスタム)。外見に関しては、相変わらずM1にリオンの上半身を被せて、腰の両脇にリオンの離着陸用のジェットエンジン内臓の脚部を装着した様なままだ。
 外部の装甲は細かく見れば変わってはいたが、大きな変更点はない。となると内部の方を相当弄くった機体なのだろう。総帥であるビアンを筆頭に、機体開発に私情や趣味を持ちこむ傾向がDCの技術陣にはあるから見た目で騙されると後で痛い目にあう。
 つづいて、刹那のサキガケとロックオンのアヘッドSC用の装備の説明に移った。
37660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 10:00:50 ID:???
「刹那には、接近専用の刀剣の追加装備が回ってきている。元からあった大型GNビームサーベルとGNショートビームサーベルに加え、実体剣のGNモノホシザオ、GNドウタヌキ、GNライキリ、更にGNビームコヅカ二本が追加される。
 合わせてサキガケの開発コードネームであったセブンソードを冠し、サキガケセブンソード(7S)と機体名が変わる。装備の選択は、刹那、お前に一任する」
「了解」
「次はロックオン、お前のアヘッドSCだが、かねてから要請のあったGNフルシールドが完成した。今突貫で実装作業を行っている所だ。次の戦闘からは使用可能になる」
「ようやくできたか。これで狙い撃ちやすくなる。ところで少佐、新型装備はありがたいが、作業に相当時間を使っているだろうにユニウスセブンに間に合うのかい?」
「大気圏離脱や非常時に用いるブースターを使う。それにアメノミハシラにはこう言う時の為に、ジャンク屋の連中や工作部隊を待機させている。そいつらが時間を稼いでいる筈だ。おれ達も十分に間に合う手筈になっている」
「ならいいがな。指を咥えて地球に堕ちてゆくのを眺めているだけなんてのはまっぴらだ」

 ロックオンの苦々しげな呟きは、この場にいる誰もが同じ気持ちだったろう。ただ一人、デュミナスにアクセスし、今回のユニウスセブン落下が、ザ・データベースが望んで引き起こした事態ではないと確認しているティエリアを除いて。

(アーモリーワンとは違い、これはデュミナスが望んだ事ではないか、デュミナスにも予測できない事態が起こり始めていると言うのか。ぼく達やヒリング達が派遣されたのもその事態に対応するため? いずれにせよユニウスセブン落下阻止に動く事に問題はないか)

 ヴァーチェには特に追加装備が無く、話題が振られる事もなかった為デュミナスとのリンクに集中する事が出来ていた。
 グローリースターの面々も、試験運用しているガナリーカーバーのデータの引き渡しなどを行ったきりで、特にバルゴラの仕様変更などがあったわけではない。
 インパルスも変わらぬ運用を行うらしい事に肩の力を抜いていたシンが、前の席のスティングに話しかけていた。
 前大戦から使われていたアカツキは、中身の方をいじりながら使用し続けていたが、恐竜的進化を遂げる昨今の機動兵器群を相手に、あまりにもコストのかかるヤタノカガミ装甲の見直しなどが図られ、たびたび改修案が提出されている。
 現在、アカツキに装備されているシラヌイも、苦心の末に入手・開発した量子通信技術を応用して開発したドラグーン兵器だ。DC所属パイロットの中では高い空間認識能力の適性を見せたスティングが使用している。

「スティングは何か新しい装備は使わないのか?」
「とりあえずはシラヌイで充分だろ。おれが多数を相手にすれば手の空いた連中が破砕作業に集中できるしよ。そう言う意味じゃ、お前の飛鳥インパルスは一対一に特化しまくっているから、MS戦以外の作業には向いてねえよな」
「その分、邪魔する連中はおれが全部片付けるよ」
「ま、時間との戦いになるだろうから忙しい事になるぜ。熱くなり過ぎるなよ、一歩間違えれば大気との摩擦で跡形も残らないからな」

 どこか余裕を持って笑うスティングだが、決して余裕があるわけではなく、体を強張らせる緊張を紛らわす為に軽口をたたき、笑っているのだとシンには分かっていた。だから、揶揄する様な真似はせず、頷き返した。

「ああ、分かってる」



 補修や装備の受領を終えたクライ・ウルブズがユニウスセブンに向かい、ガーティ・ルーの追撃が失敗に終わり、プラント本国からの連絡によりユニウスセブンにミネルバ隊が向かっていた時、ユニウスセブンでは熾烈な砲火が交差していた。
 ザフト・DCから発せられたユニウスセブン落下の報に、地球連合は艦隊を動かすも間に合わず、事前に落下の危機を知っていたDCが新たに派遣した艦隊と付近に駐留していたザフト艦隊、また少数のジャンク屋の姿があった。
 それぞれが用意したユニウスセブン破砕用のメテオブレイカーを守る様に展開する部隊が交戦しているのは、ウィンダムやゲイツR、ダガーLにエムリオンと各勢力のMSの混成部隊だった。
38660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 10:01:41 ID:???
 DC宇宙軍の正式採用艦ペレグリン級から出撃したアヘッドを小隊長とした、とある小隊が、部隊の戦闘に立って特に際立った戦果を上げている。
 紅のボディの胸部に黄金の逆三角形を持ち、両腕には戦艦の突撃さえも凌ぎ切る重厚な盾を携えた、人型と言うにはいささか武骨な造りの、70m超の巨躯を誇るジガンスクード。
 コアMSをガームリオンからガーリオンに変更し、大気圏間近での任務とあって、大気圏内からの離脱再突入を行い目標地点へ迎撃不可能な速度で進行する事を目的としたTR−5“ファイバー”を装備したガーリオンファイバー。
 何らかのアクシデントで地球の重力に捕まっても生存の見込みが高いと言う、保険も兼ねての装備だ。
 そして小隊長を務めるのはスタンダードなアヘッドだ。一応大気圏突入用のバリュートと呼ばれるパラシュートに似た専用装備を機体の胸部と背部に背負っている。
 上記三機のパイロット達はクライ・ウルブズに所属する隊員たちだ。しばらくの間本隊から離れアメノミハシラで新型機や装備のテストに駆り出され別行動をとっていたのだが、今回の大事件に際し最前線へと駆り出されたようだ。
 ジガンスクードにはタスク・シングウジ少尉、ガーリオンファイバーにはレオナ・ガーシュタイン少尉、そしてアヘッドには新しく配属になる予定だったバラック・ジニン大尉が搭乗している。
 メテオブレイカー設置中のザフトのゲイツRや、DCのエルアインスを守る様にタスクがジガンスクードを動かし、それをレオナとジニンが援護、場合によっては突出してきた敵機を撃墜して数を減らしている。
 ユニウスセブン落下を目論む者が何者かは分からないが、地球圏に存在する主だった勢力の使用するMSを運用しているあたり、かなりの組織力を持った相手である事は確かだ。
 それぞれの勢力からの脱走兵が集まった、というには個々の動きにそつがなく連携に乱れやムラが無い。機械的なまでに正確な動きだ。こちらの兵士達も、監視部隊を壊滅させた相手とあって相応の腕の持ち主を見繕って来た筈だが、苦戦している事は明らかだ。
 救いは謎の敵の使っている機体が旧世代の機体がほとんどである事だろう。ただし、その中に紛れている亡霊の名を冠した青いゲシュペンストMk-Uだけは別格だ。
 DC謹製のエルアインスには及ばぬがそれに迫る性能は、脅威に値する。特機や極端に性能が偏った機体であるガーリオンファイバーの指揮には、これまでの経験とは違うものが要求され、ジニンはいささか戸惑いながらも迫り来る敵の迎撃に神経を尖らせていた。
 DCに擬似GNドライヴをもたらした男――それがバラン・ジニックであった。彼は、ロックオン・ストラトスやアリー・アル・サーシェスと同じ世界から訪れた死人だ。
 故郷である新西暦の世界で世界を統一し恒久和平を築く為に、妻をテロによって失った自分の様な人間を新しく作り出さない為に戦ったジニンには、世界を統一する為に戦火を広げたDCは認め難くもあり、また可能性でもあった。
 かの世界で成しえなかった統一世界による恒久和平の実現。だが、本来自分が生まれたわけでもないこの世界で他者を――時には罪もない人間を――犠牲にしてまで、その理想へ向けて邁進する事は許される事のなのか。
 現実的にはジニンと共にDCが手に入れたアヘッドと搭載していた特殊駆動機関擬似GNドライヴの問題もあり、ジニンに許された時間も、選択肢もそうありはしなかった。
 出すべきと分かっている答えを先延ばしにし、世界の実情を知るにつれて出した答えはDCへの協力だ。
 少なくとも恒久和平の実現という理想それ自体は誰の目から見ても崇高な理念であるのは間違いなく、ジニンの胸の奥には何も成せぬままに朽ち果ててゆくのをよしとしないだけの何かがあった。
 またDCが世界を統一するに十分と思えるだけの技術や軍事力、国力を有しているのはジニンの目からしても見込みがある様に見えたし、自分同様に異世界で死んだ者達が複数身を置いていると言う話にも心を動かされた。
 別世界で死んだ者達が何を思い、何を知ってこの世界で戦う事を選んだのか……それらを聞き、見、その果てに今、ジニンはDCの機動兵器パイロットとしてユニウスセブンに居た。
 ジガンスクードの巨腕で不用意に接近してきたソードダガーLを殴り飛ばしたタスクが、ユニウスセブンの地表を掘削しながら潜り込んでゆくメテオブレイカーを確認して、ジニンのアヘッドへ通信を繋げる。
39660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 10:02:37 ID:???
「ジニン大尉、メテオブレイカー四番機稼働確認ッス」
「よし、五番機、六番機に移れ。クライ・ウルブズ本隊とザフトのミネルバ隊が間もなく着く。それまでにメテオブレイカーの設置を終えるつもりで任務にあたれ」
「了解!」

 レオナの凛とした返事を耳にしながら、ジニンはメガビームライフルを撃ちこんできたゲシュペンストMk-Uを振り返り、アヘッドのGNビームライフルの銃口を向けた。両機の間で行く度かビームが交差する。
 歴戦の勇士と呼ぶに値する力量と経験を持つジニンが操るアヘッドは、オレンジがかったGN粒子をまき散らし、鮮やかな機動でゲシュペンストMk-Uを翻弄しながら接近し、擦れ違い様にその首を刎ねた。
 電子機器が集中する頭部を失い、一瞬機動が止まったゲシュペンストMk-Uの隙を見逃さず、そのコクピットへと躊躇なくジニンはGNビームサーベルを突き込んだ。
 ジニンは撃墜した敵には目もくれず、周囲をメインカメラで見渡す。敵は、まだ多い。



 ユーラシア連邦から東アジア共和国、さらに大西洋連邦へと渡り各国の軍事基地を襲撃していたアリーは、リボンズからユニウスセブン落下の知らせを受け、巻き込まれるわけには行かんと地球からの脱出を図っていたが、運の女神に突き放されたようだった。
 現在MSとしては最高レベルの性能を持つスーパーアルケーガンダムを駆るアリーは、運悪く遭遇した大西洋連邦の精鋭部隊MSWADと交戦していたのだ。
 MSWADに配備されている機体は、パイロット毎に合わせた整備やチューンが成され、フルカスタマイズされた“オーバーフラッグ”と呼ばれるフラッグの上位機で構成されている。
 機体の外見は通常のフラッグと大きな変化はないが、機体出力や各関節部が強化され、外部装甲には対ビームコーティングが施されて、薄い青紫色のフラッグは漆黒の装いを纏っている。
 ドラム状の胴体中央部のコクピットやか細い手足など、ユーラシア連邦のイナクトと似た外見だ。大西洋連邦の開発陣からすればイナクトの方がフラッグを真似たものだ、と主張する事だろう。
 パイロットに合わせて乗機もまた左利き仕様でビームライフルやディフェンスロッドを備えた隊長機が、特に果敢にアリーへと挑んでくる。アリーをしても簡単にはあしらえぬ優れた技量の持ち主だ。
 フラッグもまたアリーが生まれ死んだ新西暦世界のものよりかなり性能が高いが、それしてもこうまで手古摺るとは。
 スーパーアルケーのコクピットに特別に設置した専用の場所に収まったMISAEに、機体制御のサポートを行わせながら、アリーはGNバスターソードに仕込んだビームライフルを連射し、オーバーフラッグを牽制する。
 隊長機以外も手錬が乗っているが、数を頼みに襲われても切り抜ける自信はある。だがこの隊長機は別だ。

「てめぇっ!」

 スーパーアルケーの爪先に生じた真紅の刃が、オーバーフラッグの右肩をかすめアーマーを削ぐ。削り取られたアーマーが火花となって舞散る中、すかさず距離を置いた隊長機を援護すべく周囲のオーバーフラッグからビームの雨がスーパーアルケーに降り注いだ。
 本数の多い格子の様に形成されるビームの雨を被弾なしでかわし切るアリーの技術は、やはり凄まじい。何よりもその技術を称賛していたのは、オーバーフラッグ隊長機のパイロットであるグラハム・エーカー大尉その人であったろう。
 大西洋連邦軍第一航空戦術飛行隊――通称MSWADに所属し、隊長を務める若いフラッグファイターだ。
 フラッグが次期主力採用機のトライアル時にフラッグのテストパイロットを務めて、卓越した操縦技術によって見事成果を上げてトップファイターの仲間入りを果たした逸材だ。
 グラハムがまだ二十七歳と言う若さながら、精鋭部隊の隊長を任されたのは前大戦時に多くのベテランパイロットが戦死していた事や、MSという全く新しい兵器の扱いにたけた者が少なかったという事情もあるが、やはりグラハム自身の力量に依る所も大きいだろう。
 癖っ気のある金髪に、まだ少年の様なあどけなさを残す面立ちはMSパイロットと言うよりも、青年実業家と言う方が似合いだろう。
 だが、性能に置いて確たる差が存在するスーパーアルケーを前に、グラハムはその容貌には似合わぬ烈々たる戦士の表情を浮かべ、心の奥の戦意をいっそう猛々しく変えて、オーバーフラッグを操った。
40660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 10:03:31 ID:???
「むざむざと見逃すわけにいかぬのだよ。エイリアンヘッド!」

 エイリアンヘッドとは、アルケーの形状から大西洋連邦内で名付けたコードネームだ。すでにスーパーアルケーによって、大西洋連邦では五つの基地が襲撃を受け、五百名以上の人員が死亡している。
 まだMSWADに死傷者は出ていないが、同朋を討たれた無念は同じ大西洋連邦の軍人として感じている。何より、グラハムが幼い頃から憧れた無窮の青く濡れた様な空を汚す、紅の粒子が許せなかった。

「この空は貴様のものではないと、この私、グラハム・エーカーが教授しよう!」
「鬱陶しいぜ、黒塗りぃ!」
「代償はその命で払うがいい!」

 グラハムは、風切る音も豪快に振り下ろされたGNバスターソードを、オーバーフラッグのビームサーベルで受け流しスーパーアルケーの腹部へと、脛部分に収納されたミサイルを撃ち込んだ。
 GNバスターソードが振り下ろされ、ミサイルによる反撃を加えるまで、思考を言語に在らす間もない一瞬の世界で起きた。
 両者の機体間でミサイルの爆炎が生じる中、炎の不自然な揺らぎを目に取りグラハムが反応する。コクピットめがけて容赦なく飛来したファングを、右手のディフェンスロッドが受け止め、しかし、そのロッドごと右腕にファングが突き刺さる。

「なんとぉっ」

 グラハムの驚きの声に続き、爆炎をぐるりと迂回してGNディフェンサーから射出されたGNミサイルがオーバーフラッグの周囲から同時に迫っていた。
 ミサイル弾頭内に充填されていたGN粒子が着弾と同時に解放され、オーバーフラッグを紅色の霧が覆い尽くす。まるで漆黒の鎧を纏った空飛ぶ騎士が、血飛沫を上げながら大地に堕ちるかの様に紅の尾を引いてオーバーフラッグが、ゆるやかに地表に落下してゆく。
 咄嗟にライフルの恐るべき連射とディフェンスロッドごと右腕を犠牲にして直撃を極力回避したのは見えたが、到底パイロットは着弾の衝撃に耐えきれまい。残った連中を片付けるのは少し時間をかければ問題はないと、アリーが凶悪な笑みを浮かべたその時……。
 地表へと落下していたオーバーフラッグが人型から飛行型へと変形し、機体を起こしU字を描いて再び空へと舞い上がる。

「人呼んで、グラハムスペシャル……&リバース!!!」

 ヘルメットの奥の顔に、脂汗を浮かべつつも体に掛かる負荷を歯を食い縛って耐えながらグラハムが今一度スーパーアルケーへと襲いかかる。もはや執念と言っていいグラハムの気迫だ。
 アリーの一瞬の気の隙を突いて放たれたビームライフルの一射が、スーパーアルケーの左肩に接続されていたGNディフェンサーのアーマー部分が吹き飛ばされた。
 流石にMSの機体性能の限界を超えているような気がしないでもないグラハムの猛追に、さしものアリーも舌打ちを隠さなかった。オーバーフラッグの右腕に突き刺さったままのファングを除いた残る九基のファングで片付けるか、トランザムで切り刻むか。
 ここで生かして帰すと面倒な事になる相手に違いない。ユニウスセブン落下前にさっさと地球を脱出する事も忘れて、目の前のグラハムを抹殺する事に思考を集中しようとし、MISAEの声に邪魔された。

「チョット、迎エガ来タワヨ。迎エヨ、迎エヨ!!」
「は、人形め、ようやく来やがったか」
「質量の増大? いや、重力異常か!?」
「運が良かったなあ、大西洋連邦。命拾いってやつだ」
41660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 10:05:32 ID:???
 飛行形態へと姿を変えたグラハムのオーバーフラッグとスーパーアルケーとの間を、無色の波の様なものが薙ぎ払った。オーバーフラッグの計器類を一時的に狂わせた反応は、今なおDCのみが有する重力兵器によるものだ。
 ローエングリンの射程と同等かそれ以上の広範囲を薙ぎ払った砲撃の源を探り、グラハムのみならずMSWAD各隊員が息を呑む。
 地球連合各国や、ザフト、オーブなどで採用されている戦艦とは異なる外見の戦艦が、宙に浮いていた。全長はおよそ300メートルほどだろうか。五角形に近い艦橋らしいブロックが船体から伸び、また船体の左右と下部から前方に向かって三本のブレードが伸びている。
 ザ・データベース及びデュミナスが有していた知識や技術から再現した異世界の戦艦、ナデシコCだ。空間歪曲による防御フィールド“ディストーションフィールド”や、先程はなったグラビティブラスト、相転位砲を備えた強力な戦艦である。
 ボゾンジャンプと呼ばれる時空間跳躍機能も有していたが、その根幹をなす火星に残された遺跡と称された演算ユニットが、こちら側には存在していない為ボゾンジャンプが行えず、別のワープ機関を搭載している。
 外見こそナデシコCを完璧に模倣しているが、その中身には大きく変更がなされているのだ。
 ザ・データベース製ナデシコCに乗っているのは、ザ・データベースを統べるクリティックが生み出した人造兵士ディセイバーを電子戦特化型に調整した、ホシノルリ型ディセイバーだ。
 クリティックが収集したデータから、国連事務総長直属の部隊であったノイ・ヴェルターの一員ホシノルリの個人データや遺伝子操作の記録などから再現し、強化した個体で、ナデシコCの操舵から火器管制、MS管制まで一切を担っている。
 ゆっくりと降下してくるナデシコCを睨み据え、グラハムが歯を軋らせる。

「おのれ、奇怪なMSだけでなくあのような戦船まで隠し持っていたとは」
「隊長、敵が退いてゆきます。追撃を!」
「追うな。エイリアンヘッドの戦力があれだけとは限らん」
「しかし」
「私に同じセリフを言わせるな。全機帰投する」

 スーパーアルケーの着艦を確認したナデシコCが、徐々に速度を上げながら大気圏離脱の為に上昇してゆく様子を見つめ、グラハムは七度生まれ変わろうとも、この屈辱を魂魄に刻み決して忘れはしないと、自らの矜持に掛けて誓っていた。

つづく。
ディセイバーの性別が女性に見えたので、ホシノルリ型の登場と相成りました。コーラに比べてグラハムが影が薄いかしらん?
では、ご助言、ご忠告、ご感想お待ちしております。そして、新しい職人さんの登場も!
42通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 10:35:29 ID:???
GJ!擬似ドライブを持ち込んだのはジニン大尉だったか
教授じゃないならトランザムや純正ドライブは先の話かな〜
でもナデシコが敵とは…別のワープ機関ってなんだろ、ESウィンドウかな?
43通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 12:32:45 ID:???
グラハムスペシャルwwww
なんか口の中からもリバースしてそうだがwwwwwww
44通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 12:41:25 ID:???
総帥の方、乙でしたー。
ナデシコCという事はスパロボW経由の劇場版ですね。個人的にはTV版の頃の方が好きだったりするのですが……とすると流れ的にブラックサレナが登場したりするんだろうか?
45通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 15:59:53 ID:???
ブシドー化前のグラハムとハムに迷惑かけられたジニンが会ったらどう思うのか少し気になる
46通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 16:49:29 ID:???
総帥乙です
ハムの登場意外に普通でした
確かにアリーとシロッコに挟まれて孤軍奮戦してたコーラに比べると地味だったかも
まあ乙女座の活躍はこれからってことで

それにしてもデータベースはナデシコC(+ルリルリ)まで再現するとは
ナデシコの性能も脅威だが、これでシステム掌握とか仕掛けられたら洒落にならないっすね
47通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 18:36:45 ID:???
ジニン大尉…
>>38で一か所名前が
「バラン・ジニック」になってますよー。
…そっちのほうがカッコイイ名前と思ってしまったのはここだけの話。
48通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 19:25:27 ID:???
アヘッドマイスターktkr

思えば彼が死んでからアヘッドは華を失ってしまった……
少数派の大人組としての活躍を期待します
49通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 22:01:23 ID:???
総帥乙っした

取り敢えず突っ込ませて頂きますとボゾンジャンプではなくボソンジャンプです


あと念の為に書いとくとナデシコCに相転移砲が付いているのはスパロボWのみで
原作においてはワンマンオペレーションシステムとシステム掌握に主眼を置いて開発された電子戦艦で
火砲はGVしか無かったりします

尚、ナデシコB及びCの火砲を補うためにエステバリスとしては過剰な武装を装備して開発されたのがスーパーエステバリスだったり
50660 ◆4TnuOgvz4. :2009/05/27(水) 22:27:25 ID:???
>>47,>>49
ご指摘ありがとうございます。恥を晒してしまった・・・・・・。一応、ナデシコCの相転移砲は、原作ではなくスパロボWにおけるナデシコCという事で装備させて置きました。
何か私の間違いがありましたらこれから教えてくださいませ。改めてありがとうございます。
51通常の名無しさんの3倍:2009/05/28(木) 01:42:43 ID:???
グラハムには是非デストロイに乗って頂きたい
52通常の名無しさんの3倍:2009/05/28(木) 22:02:20 ID:???
総帥さん乙です
グラハムは相変わらずスゲー
ミスター・ブシドー化はあるのだろうか
次回を楽しみにしています

蛇足ですけどナデシコCって設定上は相転移エンジンを強化すれば相転移砲が装備可能ってことになってるのでエンジンが強化されたことにすれば問題はないかと
53通常の名無しさんの3倍:2009/05/28(木) 23:00:11 ID:???
総帥乙

刹那は少年兵時代にガンダムを見てるのか。少年兵時代ってまだ種始まってないよな
CEの最初のガンダムタイプはGATシリーズだし、クリティック達はCE70以前にもう来ていたのかな?

ジニンもウルブズ入りかぁ…スパロボらしくタマハガネの艦載機数がすごいことになっていくなw
アカハガネの方にもいくらか分けないとヤバいんじゃなかろうかwwww
54通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 00:01:31 ID:???
タスク「タマハガネの底が抜けそうだぜ」
55通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 00:32:18 ID:???
まだ特機はないんだから大丈夫じゃね?
56通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 09:35:29 ID:???
>小さな口で咥え切れない大きさのフランクフルトを、少し頬を赤くして時折苦しそうな吐息を喘ぐように零しながらもぐもぐと一生懸命に頬ばっていたデスピニス

総帥、これはあざとすぎるwww
ラリアーはてっきりイザーク達あたりに同行してるのかと思ったが議長宅で暮らしてるのか
ということはレイとは面識あるんだろうなあ
57通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 03:50:51 ID:???
確かにあざとい……

だがそれがいい!
58通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 11:00:05 ID:???
以前はレイを引き取ってて
最近はラリアーきゅん
そして独身
むかしタリアの尻にハァハァしてたことは誰も知らない


議長、少年愛嗜好者疑惑が周囲に蔓延してそうだw
59通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 11:33:26 ID:???
>>58
間違いなくそう認識されてるだろうなw
6030:2009/06/02(火) 15:42:52 ID:???
失礼します。先週、書きたいと言っていたものです。投下します。
6130:2009/06/02(火) 15:44:14 ID:???
『ワレハ……サイゴ、ノ……』
 巨大な実体剣に斬り割られ、重力兵器によって抉られ、決死の覚悟で突撃をかけたPT
達の一斉攻撃で薄くなった表層を貫かれ、最後の審判者がその巨体を波打たせた。着地し
たアルトアイゼンがリボルビングステークを排莢させ、鍔の部分がスパークした無敵剣
を掴むSRXが地響きを上げて膝を突く。各部からスラスターを吹かした斬艦刀を片手
で持ち直したグルンガスト零式の横顔を、蒼い輝きが照らし出した。
『メテオ3の中心部に亀裂を確認! エネルギー反応、急速に弱化していきます!』
『高度を下げていくぞ! 今度こそ……今度こそ!』
 満身創痍の人型兵器達の上に赤、紫、緑のクリスタルが降り注ぎ、フーレやヴァイクル・
ベンなど生成された機体も、クリスタルの欠片となって崩れ去る。構築しかかっていた
ジュデッカのパーツも表層部から抜け落ち、崩れながら海面に消えた。セプタギンの巨体
が中央から左右に大きく裂け、眩い爆発を起こした。
 ヒリュウ改のブリッジでレフィーナが脱力したように艦長席へ身を沈め、背筋を伸ばし
直立したままのショーンが小さく笑みを浮かべた。ハガネではテツヤが拳を突き上げ、
ダイテツが帽子を目深に被ってパイプを咥え直す。全てはこれで終わった。
 終わったかに見えた。爆発の中から、白い巨大な両翼が生まれるまでは。大きくはばた
いてセプタギンの残骸を振り捨て、神々しささえ纏いながらゆっくりと上昇していく。
『あれは!?』
『翼の間に、何か巨大な……生物の身体のようなものが……』
 ずんぐりとした楕円形の身体と、先が分かれた尾を持つそれが一際強く輝く。その頭頂
部と思しき場所に生まれた光の輪が、急速に広がっていった。
『全機、全速で離脱! 白い光から可能な限り離れろ! センサーで捉えられない現象だ!』
 輝きもまた、輪に合わせて拡大する。右脚を損傷したアルトアイゼンの傍にヴァイス
リッターが降り立ち、体当たりするように機体を下がらせようとする。
『キョウスケ!』
『離れろ、エクセレン!』
 ハガネとヒリュウ改も回頭しつつ、高度を下げてダメージの大きい機体を回収しようと
する。それら全てを飲み込み、光が溢れた。

「遅かった……」
地球表面で起きた爆発のようなそれを、新たに送り込んでいたメギロートで観測してい
たゼ・バルマリィ帝国軍の指揮官が、憔悴し切った表情で項垂れる。
「まさか、地球人にセプタギンを破壊出来ようとは……そして、セプタギンが汚染されて
いた事に我々が気付いていれば……!」
 光の波紋が青と白の惑星全土を覆っていく様を見て、彼は創世神ズフィルードへ祈った。
どうか我らを、帝国を救いたまえ、と。
6230:2009/06/02(火) 15:45:34 ID:???
 宇宙。デブリ帯での哨戒任務を終えたアルトアイゼンが、ヴァイスリッターと合流する。
「異常は?」
『ナシ。最近は平和で良いわぁ。ヴァイスちゃん、そのうち土木工事に駆り出されるかも』
「重力ブロックで資材の雨を降らせるなよ」
 エクセレンの軽口に合わせ、キョウスケはアルトアイゼンをデブリ帯から離れさせた。
ヴァイスリッターがそれに続く。2機が向かう先にはヒリュウ改が浮かび、その後方には
砂時計のような形をしたスペースコロニー群があった。ヒュッケバインMkUとグルンガス
ト弐式も別方面からやってくる。
 3ヶ月前、プラント近海に忽然と現れたヒリュウ改に対し、発見したザフトのMS隊の
1機が先走って牽制射を浴びせ、全く状況が把握できなかったヒリュウ改側も応射しつつ
艦載機を発進させた。本格的な戦闘に陥りかけたその時、MS隊の母艦だったナスカ級の
艦長、タリア・グラディスが寸での所で攻撃を停止し、ぎりぎりで事無きを得た。
 その存在はすぐさまプラント最高議長、ギルバート・デュランダルの知る所となったが、
彼は特にヒリュウ改や艦載機を接収したり、乗員を拘束したりする事は無かった。あくま
で客人として、彼らをプラントへ迎え入れ食料など生活物資の補給を行ったのである。
 そして1ヶ月後、プラント領内に侵入したブルーコスモス主義者のテロリストと、その
混乱に乗じたザラ派テロリスト双方の攻撃からコロニーと民間船を守るというファインプ
レーをやってのけた事で、とある厄介だが確固たる地位を確立した。つまりザフトとして
地球連合との戦いに備えたり、あるいは参加したりはしないものの、プラントにいる民間
人を武力による脅威から防衛する、一種の自警団として存在を認知されたのである。
 そして何が厄介だったかというと、ザフトからは『プラント独立に協賛するでもない
ナチュラル共の寄せ集め』と思われ、地球連合軍からは『人類存亡の危機に侵略者の味方
をする異邦人』とそれぞれ思われた点だ。中立的な立場を取ろうと思えば、必然的にこう
なってしまう。現状を維持出来ているのは、高い戦闘能力もさることながら、レフィーナ・
エンフィールドと副長ショーン・ウェブリーの政治的な舵取りによる所が大きい。

『いつも、ヒリュウ改の皆さんには助けて頂いています』
「いえ、こういう仕事こそ軍人本来の任務と思っておりますので」
 ブリッジのスクリーンに映し出されたギルバート・デュランダルに、笑顔のレフィーナ
が敬礼する。横では『もっと自然な表情で』というカンペを持ったショーンが立っており、
反対側では艦載機部隊の指揮官を務めるカイ・キタムラが渋面を浮かべていた。
『心強いお答えです。……異世界から来られたというあなた方だからこそお話しするので
すが、このCEは誤解と先入観による戦いで満ちています。今は休戦中ですが、実際の所
平和の兆しさえ見えていない……情けない限りです』
「戦争の原因は、私達の世界でも変わりません。そうやって起きる衝突の被害を減らすの
が私達です、デュランダル議長。そして、これからもそうしていきます」
6330:2009/06/02(火) 15:47:18 ID:???
 地の真面目さが出て、レフィーナの表情が硬くなった。デュランダルが笑みを深める。
『しかし全てが同じではない。違う世界との交流は、必ず何かの影響を及ぼす筈です』
 来た、と言わんばかりにカイが天井を仰ぎ、ショーンが擦れる音と共に『適当に伸ばし
て』とペンで紙に書いてレフィーナに見せた。
「艦一隻と機動兵器に、世界を変える事は出来ないと思います。それこそ……」
『やってきたのはモノだけではない。それらを操る貴方がたヒトもです。貴方がたはご自
身の存在を過小評価していらっしゃる。もっと大きな役割を担える筈です。プラントとか
ザフトだけでなく……ひょっとすると、地球圏全体に対して。ああ、ところで』
 姿勢を直したデュランダルが、再び小さく微笑んでレフィーナを見つめる。
『32時間後のパトロールコースですが、可能であればアーモリーワン周囲へ行って頂きた
い。新造艦の進水式が行われますので、テロの危険があるのです』
「……お約束した通り、軍事施設の防衛任務は引き受けられません」
『あそこは居住区や民間施設も多くあります。民間船の航路とも重なっていますので、約
束とは矛盾しませんよ。ともあれ、ご判断は其方に委ねます。では失礼……』
 デュランダルの映像が消えると、レフィーナは艦長席のコンソールに突っ伏した。顔を
上げたところでショーンがドリンクを差し出す。完璧なタイミングはさながら執事だ。
「お疲れ様です艦長。借りの多い相手ですから、あのくらいが限界でしょう」
「これから……どうなるのでしょう」
 レフィーナの嘆息は皆の気持ちを代弁していた。セプタギンの撃破と共に謎の物体が現
れ、それが発する光に巻き込まれたと思えば、良く似てはいるが違う世界へとやってきて
しまった。この現象を『転移』と考えるならば、アイドネウス島で戦っていた自分達が何
故宇宙まで飛ばされたのか、はたして全員が飛ばされたのか、元の世界はどうなっている
のか、どうやって帰れば良いのか。何もかもが解らない。
「地球にも異世界の戦艦らしきものが現れたという情報を、もっと早めに入手出来ていれ
ば……ああでも、いずれどこかの組織と関係しなければ何処からも狙われるという事に…
…いえそれなら、オーブという中立国にでも行けば……でも中立国って、本来……」
「まあまあ。地球で発見されたのがハガネにしろクロガネにしろ、指揮官に問題はありません。
妙な事にはならないでしょう。案外我々よりも上手くやっているかもしれませんよ」
「上手くやった結果、敵味方に分かれたら洒落になりませんがね。そもそもその情報も、
ザフトから無許可離隊した連中が、巨大な剣を持った大きな人型兵器に壊滅させられたと
いう報告から解った事です。……ほぼ間違いなく、零式でしょう」
 レフィーナを慰めるショーンを見て、カイがぼやいた。元仲間だったからといっても、
状況は変化するものだ。事情はどうあれ、ヒリュウ改はプラントの民間人を守り、ハガネ
あるいはクロガネは地上のザフト機に乗った輩を退けた。
 2年前まで熾烈な戦争状態にあった両国にそれぞれ関与してしまえば、当事者はともかく
周囲がどう解釈するかは自明である。ショーンも小さく唸り、ブリッジにしばし沈黙が降りた。
6430:2009/06/02(火) 15:48:51 ID:???
 事実、ハガネの方はヒリュウ改よりも密接に現地勢力と付き合っていた。転移の直後に
物資の集積場を襲っていたザフト機の群れを撃退し、連合兵と近隣の住民を助けたという
派手な登場だった事に加え、宇宙の侵略者から地球を守るという解りやすい方針にハガネ
のクルーも納得したという点が大きい。
 ハガネのクルーと艦載機のパイロット達は地球連合軍に組み込まれ、階級も据え置き、
第7独立部隊として地球各地や衛星軌道上の治安維持に従事することとなった。ところが、
その常識外れな高待遇を後押しした人物こそ問題だったのである。
「何度も申し上げている通り、侵略者には毅然とした対応を取らねばならない。もっと
現状を把握されるべきです、中佐!」
「仰る事がいまいち解りませんな、ジブリールさん。プラントと連合の間には現在、休戦
条約が結ばれている。あなたはそれを歓迎せず、積極的に戦争を仕掛けて地球を疲弊させ
るべきというのですか?」
 地球連合軍基地の士官用ラウンジでまくし立てるロード・ジブリールに対し、ダイテツ・
ミナセはこめかみを指で叩いてみせた。隣では背筋を伸ばして拳を膝に乗せているテツ
ヤ・オノデラが座っており、少し離れた所ではハガネの艦載機部隊の隊長であるゼンガー・
ゾンボルトが腕を組んだまま、我関せずという様子で鋭い視線を窓の外の滑走路付近に停
泊するハガネへと向けている。
「今すぐどうこうという話では、確かにない。私はプラント近海で発見されたらしい、あ
なた方の同胞を案じているのです! 彼らの大半は遺伝子調整を受けていない方々なので
しょう? どんな扱いをされているかは目に見えている!」
「ギルバート・デュランダルは、開明的な男と聞いていますが」
「フン! そんなプロパガンダを真に受けられるとは、中佐らしからぬ不見識ですな!」
 姿勢良く座っていたテツヤが何か言いたげに腰を浮かすが、ダイテツはパイプを持たな
い方の手で彼を制した。その目は、ジブリールを見据えたままだ。
「現在でこそ侵略者だが、彼らは元々地球連合の圧政に苦しんでいたという話も聞いた」
「馬鹿馬鹿しい! 彼らは企業の従業員に過ぎませんよ。辞職や転職という手段があった!」
「いずれにせよ、1度の総力戦を経て彼らの国力は地に落ちた筈です。戦うどころか、自
らの民を養う事も危うい筈だ。警戒すべきはテロリズムであって、プラントではない」
「プラントこそは! テロリストその物で!」
 立ちあがりかけたジブリールの肩を、ダイテツが掴んだ。船乗りを思わせる屈強な体躯
から生み出される膂力に痩身が椅子に縫いとめられ、紫のルージュをさした唇が歪んだ。
「私はハガネの艦長です。船と搭乗者全てに責任を持っている。あらゆる情報は私が判断
する。この目で見て、この頭で判断したことのみ信じます」
「……け、結構です。合理的なお考えだ。その判断力に期待しましょう」
 痛みに言葉を途切れさせたジブリールが、ダイテツを軽く睨む。たっぷり5秒ほどの時
間が流れた後、彼は席をゆっくりと立ち失礼、と言い残してラウンジから去った。
6530:2009/06/02(火) 15:50:07 ID:???
「プラントとザフトが危険な組織だとは解りましたが、あのジブリールも相当ですね」
「うむ、ザラ派テロリストやブルーコスモス主義のテロリスト同様、危険な男だろうな。
ワシらを後押ししているのも、何かの利用価値を見出しての事の筈だ」
 パイプに点火し、ダイテツは深く椅子に坐り直した。残念ながらジブリールに背を向け
る事は出来ない。軍艦にせよ艦載機にせよ、中継基地ないし拠点、兵站が無ければ悲惨な
末路を辿る。何処からも独立するなどとは、物理的に不可能なのだ。
 背を向けられないので、先程のように正面からぶつかっていくしかない。
「その危険人物に、あそこまで言って良かったのですか?」
「構わん。どのみちプラントは危険だ。2年間でどれほど戦力を増強していたか、そして
地球上で用いられるような兵器を新たに開発しているか否か……場合によってはユニウス
条約の失効を待つか、その網を潜ってプラントへ進入し、腕ずくでも彼らと合流する」
「ヒリュウ改かクロガネか……どっちにしろ、上手くやっているでしょうけれども」
 テツヤの言葉にダイテツが頷いた。クロガネのエルザム・V・ブランシュタインはどうと
でもなりそうなのでともかくとして、レフィーナが優秀だとは解っていたし、彼女の副官
は気の知れたショーンだ。状況がどう悪くなろうと、間違いは犯すまいという確信がある。
「少佐、次は衛星軌道上での任務だ。SRXチームと、ジガンスクードの整備班に機体の
チェックを急がせて貰いたい」
「承知した」
 ゼンガーが頷き、それだけ言った。今の彼が寡黙なのは、生来無口だからというだけで
はない。自分なりのケリを付けたとはいえ、自身の裏切り行為が消滅したわけではない。
全てが終わったら、侵略者との戦いが終わったらと、己の贖罪を延期させてきた末に、何
処とも知れぬ異世界に飛んでしまったのだ。
 武人としての誇りと、部隊を預かる少佐としての責任。秤にかけようがないジレンマを、
ゼンガーは胸中に押し込めていた。それだけでなく、最悪の場合またもキョウスケ達AT
Xチームと刃を交える事になる。悪を断つ剣を自称するゼンガー・ゾンボルトにとって、
現状は極めて不自由だった。

「導師様、マルキオ導師様!」
 夕日が美しい海岸を白杖片手に歩いていた盲目の男は、子供の声を聞いて振り返った。
「どうしましたか? そろそろ寒くなってきますから、家へ戻っていなさい」
「じゃ導師様だって早く戻ろうよ。それに、ラクス様がご飯できたから、呼んできてって」
 幼い孤児に手を引かれ、男は笑みを浮かべて来た道を戻りだした。
「ねえ、何かあったの? 導師様、何時もよりちょっと……楽しそう」
「素晴らしい事がやってくるでしょう。彼らが、帰還するのです」
「きかんって、帰る事? 誰が帰ってくるの?」
 子供の問いに、マルキオはただ微笑を返す。砂を踏み、孤児院へと歩いていった。
6630:2009/06/02(火) 15:52:30 ID:???
とりあえず此処までです。660さんのと比べてかなり地味……ですが。戦闘バランスの方は、
ゲームとしてのスパロボ補正がかかるという事で、よろしくお願いします。
67通常の名無しさんの3倍:2009/06/02(火) 20:54:42 ID:???
投下乙
ふむ。OG1から転移でハガネは連合、ヒリュウ改はザフトか
クロガネはオーブかな?

どうなるのかねぇ
両者ともにただ言いなりになるような連中じゃないけど、苦労しそうだな
68通常の名無しさんの3倍:2009/06/02(火) 21:08:51 ID:???
浮かんだのはサルファのSEED最終話の状況で

ザフトVS騎士団に介入する3艦だった
69通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 18:22:08 ID:???
ふと、OGデスティニーや虚空の続きが恋しくなってきた
あと避難所にあった引きこもりになったハザ坊のやつ

660さんも30さんも勿論応援してますよー
70通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 20:25:53 ID:???
唐突にマユリオンという単語が頭に浮かんできた・・・
71通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 21:16:43 ID:???
お二人ともGJです。
それにしても今頃気づいたんですけどあの暑苦しい笑顔の修理屋さんDCにいたんですね。
グルンガスト受領の回見直してそんな昔から出てたんだと……そのうち犯罪のような幼妻の登場ありですか?
72通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 22:09:08 ID:???
こっちじゃちゃんと2年分育ってたりな、それでも犯罪的だが
73通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 22:52:32 ID:???
グルンガスト登場回に壊し屋いた?
74通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 23:13:17 ID:???
>>69
11氏なら逆シンスレで光にされてたぞ
75通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 23:46:25 ID:???
>>71
>>73
あれってやっぱりクラッシャーなのか?
暑苦しいって形容詞じゃなくて爽やかってついてたからてっきり違う人物かと…
76通常の名無しさんの3倍:2009/06/05(金) 18:24:17 ID:???
>>74
何があったんですか・・・
77通常の名無しさんの3倍:2009/06/05(金) 19:24:14 ID:???
>>74
あの人はディケイド終わるまで戻ってこないんじゃないかねw
78660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:12:21 ID:???
ディバイン SEED DESTINY 第09話 閉ざされる地球 

 白亜の船体が青い水の星から伸びる重力の鎖を引きちぎり、大気の外へと飛び立っていた。ザ・データーベース及びデュミナスの記録データに手を加えて建造されたナデシコCだ。
 アルケーガンダムとGNディフェンサーが合体したスーパーアルケーガンダムを収容し、ユニウスセブン落下に備えて、地球圏から離脱した所だ。艦長席にはナデシコCの運用を一手に引き受けるホシノルリ型ディセイバーが座している。
 IFS(イメージ・フィードバック・システム)というナノマシンを介する事で対応機能を持った機械をほぼイメージ通りに操縦可能とする能力に特化した体質の、ホシノルリを参考に、特別に調整したディセイバーである。
 ディセイバーは、クリティックが所属していたザ・データーベースが戦闘用コーディネイターなどを参考に造り出した戦闘用の人造人間である。ディセイバーの製造技術は、イノベイターなどの製造にも活かされている。
 白い髪を頭の左右で括って垂らした髪型に、腕も首も腰も細い痩身だ。体にフィットしてボディラインがはっきりと浮かぶ白いボディスーツの上に、金で縁取った白いケープを羽織っている。
 幾億年も地球の夜を彩っていた満月の様に美しい金色の瞳は、天与の才を持つ職人が手がけた様に輝いていたが、人間の情動には乏しい。もともとディセイバー自体が感情を排された存在と言う事もあるだろう。
 艦長席の下方に、二人分の席が空いていたが、赤毛の戦争狂アリー・アルーサーシェスが姿を見せたのは、艦長席の後ろに在る自動扉からだった。これまで屠ってきた敵の血で染めた様な真紅のパイロットスーツ越しにも鍛え抜いた体つきが見て取れる。
 ヘルメットを脇に抱え右手にはハロの一機であるMISAEを持っている。艦長席に肘をついて、メインモニターに映し出されているユニウスセブン落下の模様を見はじめる。
 DC所属の精鋭部隊が、国籍にとらわれない部隊構成の敵と厳しい戦闘を繰り広げている。アリーの目から見てもユニウスセブンが落下するか否かは、どちらとも判じ難い。
 つまらなさげに鼻を一つ鳴らし、アリーはおもむろにディセイバーの細い頤を掴み、自らの方へとねじらせた。アリーの手の中で簡単に握り潰せそうなほど繊細に見える。実際、アリーの手にかかれば妖精の様に儚い少女は、瞬く間に蹂躙されてしまうだろう。
 最もアリーからすれば、肉付きが全体的に薄く、胸の隆起や尻肉の豊さには縁のない体をしているディセイバーはいま一つ情欲をそそらない。
アリーの子供でも通用するほど幼い少女の無垢な体を、野獣のように貪る事は背徳感を伴う欲望の熱を、アリーの胸に宿すが感情の色が見えぬ少女が相手ではつまらなさの方が先に立つ。
 従順に従う人形よりも、怯え震え、涙して助けを乞う相手を思う様踏み躙り、凌辱して啜り泣かせる方が雄のどす黒い欲望を満たすのだから。

「おい、お前はあの石ころが落ちると思うか?」
「落下阻止成功率予想47パーセント」
「はん、詰まらん答えだな。あんなもんが落ちれば地球の連中も黙っちゃいねえだろう。地球連合の内輪から揉め出す可能性もある。ユーラシアじゃカタロンと親DC派の連中が睨みあっているし、大西洋連邦に言い様に使われている現政権への不信も募っている。
 東アジア共和国じゃ、何があったかしらねえが、やたらと強気の外交策で大西洋連邦やユーラシアと開戦したいとばかりに煽ってやがるし、大洋州連合がザフトからDCに鞍替えするのも時間の問題だ。
 汎ムスリム会議やスカンジナビア、オーブがどう動くかにもよるだろうが、さて、今は一大スペクタクルを楽しむとするか。人形、映像は欠かさず撮っとけよ」
「わかった」

 名前の無い人造少女は淡々とアリーに答えた。機械音声の方がまだ温かみを感じられるような、そんな声だった。
79660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:13:31 ID:???
 地球の誰も知らず、どこにあると天地万物に問うても明瞭な答えを得られぬとある島の地下深くに、巨大な翼を持った女神像が鎮座し、その周りを鮫、豹、鷹を模したこれもまた巨大な像が守る様に三方を固めている。
 黒の深さがそのまま質量をもってのしかかってくるような暗闇を、澄んだ水底から見上げた太陽の光の様な、青い灯りだけがわずかに照らし出している。四方を囲む壁や床は大理石のように滑らかだが、似て非なる硬質の材質で建立された建物の内部らしい。
 白を基調とした巨像達の足もとに、豊かな金の髪を波打たせた妙齢の女性が、世界で最も美しい女神の彫像のように立っていた。
 血を抜けばかくも美しくなるのかと錯覚してしまう様な白い肌を遮るものはなく、毛先に行くにつれて淡い紫へと変わる幻想的な色合いの髪が、乙女の最も秘すべき場所や、豊な乳房の頂にあるものをかろうじて隠しているきりだ。
 美の女神の誕生を描いた絵画にも勝るとも劣らぬほどの美しさは、この美女の裸体を前にした者に欲情よりも荘厳で神秘的な雰囲気に、胸を打たれる感動を与える事だろう。閉じていた瞼を開き、胸の前で組んだ指はそのままに美女は背後を振り返った。
 現在世界最高の強念者であり、同時に地球の守護者の巫女たる女――イルイ・ガンエデンは、誰もが心奪われる美貌の中にあどけなさを残した笑みで、客人を迎えた。
 イルイとその背後に座するナシム・ガンエデンによって張り巡らされた空間転移も遮断する強念の結界をくぐって、この場に訪れる事が出来る者は宇宙広しといえども十指に満つまい。
 およそイルイの十倍強にも及ぶ大きな巨大な影であった。赤い骨を何か巨大な植物の蔦か触手の様なものが、筋肉や骨格の代わりに繋いでいる様な姿であった。肩には巨大な盾の様な鬼面が浮かんでおり、頭部にも鬼を連想させる角が生えている。
 胸代わりの赤い鎧にも見える部分の内側に青い球体があった。位置的に心臓の代わりと言えなくもない。イルイはそこに視線を向けていた。この赤鬼それ自体からもかすかな意思を感じるが、より明確な意思はその球体の中に見える人影から伝わってくる。
 そして、イルイはこの存在を送り込んできたのが何者であったか、すでに知っていた。

「ようこそ、古えからの使者よ」
「初めまして……人造神の巫女。私はアインスト・アルフィミィ。今後トモヨロシク、ですの」

 両者とも口からではなく思念による会話であった。会話が始まった事に呼応して球体の表面が透けはじめ、中に座る少女の姿を露わにする。
 十四、五と見える少女だ。空色よりもやや青味の強い髪を後頭部の高い所で結え、ノースリーブの黒いインナーの上に赤い宝石状の装飾が肩口に誂られた白い服を着ている。
 下半身は腰の辺りにふわりと広がったシースルー材質のオレンジ色がかった花弁の様な布を纏い、可愛らしいおへそを晒して小さな面積のハイレグを穿いているきりだ。
 大粒の瞳は覗きこめばそのまま魂を吸い取られてしまいそうなほど妖しい赤色。幾片も小さな花びらを重ねた様な唇は髪と同じ青色だ。今は友好的な笑みを小さくではあるが浮かべている。
 アインストと呼ばれる存在によって生み出された少女であった。生まれてまだ十年も経っていないであろう少女は、数奇な運命の果てに、このコズミック・イラの世界へと流れ着いていた。

「ご存じの様ですが、改めて自己紹介しましょう。私はガンエデンの巫女、イルイ・ガンエデン。それに、優しいカナフ、気丈なケレン、無邪気なザナヴ、そしてこのバラルの園の真の主ナシム・ガンエデン」

 イルイの声に応じてイルイとアルフィミィを見守っていたカナフ達が小さく喉を鳴らし、背後に居たナシムもまた、かすかに頤を下に向けてアルフィミィとペルゼリン・リヒカイトを見下ろした。

「賢そうな子たちですのね。そして我が主であるアインストの長に代わりまして、お会いできて光栄ですの。世界最古にして今なお世界最強のサイコドライバー、ナシム・ガンエデン」
「見定める者たるアインストが如何なる用で参られたのでしょう」
「答えを分かっていて質問するのは、ちょっと意地が悪いと思いますの」

 あまり感情を表現する事に慣れていないのか、拗ねた様子が分かりづらいアルフィミィに、イルイは童女のようにくすりと笑ってから答えた。

「そうでしたね。数十億年の歳月を越えて、氷に閉ざされた大地に封じた筈の門が開こうとしている。その事についてですね?」
80660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:14:27 ID:???
「ビンゴ、ですの。アインストだけでも貴方達だけでも破滅の王を封じるのは叶わぬ事。仮に私達と貴女方とで手を携えても叶う可能性は五分と五分。そう、アインストの長は考えていますの。
 けれど、事は宇宙規模での破滅。可能性が五分と五分とではあまりにもリスクの大きな賭け。多少の無茶は承知の上だ、とはいきませんの。ですから、その可能性を少しでも高める方法を模索しておりまして、とりあえずはその事も含めてご挨拶に参りましたの」
「剣を見定めているのですね。今はまだ月に眠る彼らもかつての様に力を貸してくれるでしょう。傷つき疲れた数百万の民と共にこの星を訪れ、義を見て私達に力を貸してくれた誇り高き騎士達。
 はるか数十億年前の戦いで多くの命を失った彼らに今一度戦う事を求めるのは酷な事かも知れませんが」
「フューリー聖騎士団、アインストの記憶と記録にありました。かつて戦に敗れ故郷の星を追われた者達。時の王室を含む騎士団の主流が生き延びたとありましたが、この星に辿り着いていたんですのね」
「はい、そして、貴方達も気付いていると思いますが、事は破滅の王だけではすみません。かつて神を越えんとした者、絶対運命の超越を望む者。因果律の番人達もこの事態を収拾すべく動いていますが、この先の未来は絶望の闇に閉ざされたままです」
「この世界そのものが招いた異邦人――私もですけれど――が戦火を拡大したせいもありますの。人の意思は無限の未来を切り開く。だからこそ無限の中に含まれる絶望や恐怖の未来を人自身の意思で選んでしまう事もある。難しいものですのね」
「そうですね。今は私達はそれぞれよりよい未来を切り開く為の剣を見定めるべきでしょう。私は、聖十字軍を」
「アインストは、今は眠る人界の守護者たちを選んでおりますの。これから変わるかもしれないですけれど。では、またお会いいたしましょう。ナシム・ガンエデン、それに小さなイルイ」
「ええ。また会いましょうね、アルフィミィ」

 そして、二人の少女は別れた。初めて友達ができた子供の様な笑みを浮かべ、小さく手まで振っていた。外見の年齢は随分と違うが、精神年齢の方はかなり近い二人らしい。きっといい友達になる事だろう。



 バラック・ジニン大尉が率いるクライ・ウルブズの小隊を筆頭に、ユニウスセブン落下に動く正体不明の部隊との戦闘は、戦端が開かれて数時間が経過してもなお継続していた。
 ユニウスセブンの内側に潜んでいた敵機やまたどこからともなく飛来する増援があり、メテオブレイカーの設置作業の進捗率は予定の七割ほど。このままではある程度は砕く事が出来ても、ユニウスセブンの破片による被害が少なからず地上を襲うだろう。
 背後に広がる白いベールが所々に掛かった青い水たまりの様な星が、徐々に近づいて来ているように思われて、地球を故郷とする者達はいっそう焦燥に胸を焦がされるのであった。
 ザフトからの派遣艦隊に所属するスラッシュザクファントムのパイロットのサトーは、前大戦初期からの古参兵だ。
 鼻筋に横一文字に伸びる傷や、肌から浸透して骨にまで沁みついた硝煙の臭いや砲撃の音を鼓膜が破れんばかりに聞き続けたものだけが纏う独特の雰囲気が、彼を並みならぬ戦暦の持ち主だと告げている。
 長柄物であるビームアックスを頭上で旋回させ、その勢いを借りて果断に振り下ろされた刃は、受けようとしたゲイツRのシールドごとモスグリーンの機体を縦に切り裂く。機体内部のメカニズムを露わにしたゲイツRはほどなく爆発し、一つの火の球へと変わる。
 同輩の駆る機体を敵が使う事に小さな訝しさは覚えたが、落ち行く墓標を止める事こそサトーにとっては最優先の出来事だ。
 サトーは親しい間柄にあった友人や愛娘を、地球連合軍内部に居たブルーコスモス強硬派が引き起こした血のバレンタインによって失い、その喪失感と悲しみ、絶望を憎悪と憤怒に変えて戦った男である。
 だが、その憎悪と悲しみを変える出来事がヤキン・ドゥーエ攻防戦――極一部の兵達の間ではこの世ならぬ神代の戦いと称される――で起きた。
 ジェネシスを乗っ取った反逆者エルデ・ミッテを斃した直後に出現した正体不明の生物兵器との戦いのさなか、DC総帥ビアン・ゾルダークの乗機が変異して姿を変えた二〇〇メートルを超す機体が光を放つや、戦場にそれまでの戦いで死した人々の姿が溢れたのだ。
81660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:15:27 ID:???
 そしてサトーは見た。ユニウスセブンで死んだはずの我が子や友たちの姿を、その顔に浮かぶ安らぎに満ちた笑顔を。もう悲しまないでと、優しく告げて来た言葉を聞いたのだ。
 理屈も原理も、どうして、なぜという疑問も問題ではなかった。サトーのみならず、ザフトのみならず地球連合の諸兵達も、あの戦場に居た誰も彼もが、あの時死せる人々達が救われた事を感じていた。それは彼らを苦しめる憎しみからの救いでもあった。
 あの場に居なかった者には到底理解できぬ事だろう。目の前で輪舞する淡やかな光に包まれた人々の姿は、あまりにも非現実的で、あまりにも美しく、そして安らぎに満ちていた。
 その姿を見て、言葉を聞いた時、あそこにいた者達の胸から憎悪は消えていた。そして、今。もはや魂の抜けた抜けがらと成り果てた肉体だけが留まる墓標といえど、ユニウスセブンは新たな破壊と憎悪と死をもたらす存在として地球に落ちようとしている。
 愛した人達との記憶とその体が眠る大地が、だ。
 阿修羅の如き怒りの相を浮かべ、サトーと彼が率いるサトー隊の猛者達は一歩たりとも退かぬと、機体に不退転の気迫を陽炎の様に纏って戦っていた。

「我が娘の眠る墓標、みすみす落とさせはせんぞっ! 全機抜刀、突撃!!」



「見えた!」

 ラビアンローズを発ち、使い捨てのロケットブースターなどを併用して驚くべき速度でユニウスセブンへと急行したタマハガネから出撃した飛鳥インパルスのコクピットで、シンは間に合ったか、という思いと共に口にしていた。
 一時的な措置としてクライ・ウルブズ本隊から離れていたレオナやタスク達が奮闘している様子も、聞かされていたから全員が無事らしいとレーダーの反応から分かり、かすかに安堵する。

「シン、突っ込むぜぇ!!」
「分かってる」

 飛鳥インパルスの傍らに並んだエムリオンRCからの声に応えて、シンとアウルを先頭にクライ・ウルブズ各機もユニウスセブンの周囲で繰り広げられる戦闘に参加する。
 ティエリアのヴァーチェ、ロックオンのアヘッドSC、デンゼルのバルゴラ一号機が遠距離からの支援を担当し、トビーのバルゴラ二号機、スティングのシラヌイアカツキが中距離を、残る機体が近接戦闘を担当するのが基本的なフォーメーションだ。
 圧縮したGN粒子を開放したヴァーチェのGNバズーカの一撃が、その巨大な柱の様な射線上に存在した敵や残骸をまとめて消し飛ばし、混沌とした戦場にわずかな空隙が穿たれる。
 砲撃を回避した機体へとロックオンの高精度な狙撃や、シラヌイアカツキから射出されたドラグーン、バルゴラ二号機のバーレイ・サイズなどが的確に撃ちこまれ、統制のとれていた敵部隊に徐々に乱れが生じはじめる。
 こうなれば、シンを筆頭にした近接戦担当の各機の独壇場だ。

「刹那・F・セイエイ、目標を駆逐する」

 新たに装備されたGNドウタヌキを右手に、左手に長刀身のGNモノホシザオを握らせ、サキガケ7Sの加速性能を最大限に生かし、立ちふさがったソード105ダガーのシュベルトゲベールと切り結ぶ。
 十五メートルにもなるシュベルトゲベールを、幅が広く分厚い刀身のGNドウタヌキで受け、真っ向から振り下ろされた刀身をサキガケ7Sの右側へと受け流し、空いた右胴をGNモノホシザオの切っ先が切り裂く。
 GN粒子を刀身に纏い、切断力を増した実体剣の威力に、刹那は確かな手ごたえを感じていた。対艦刀とも真っ向から斬り合えるだけの装備を、活かしきれるかどうかは刹那の技量次第だ。

「はああっ!」

 二連装ビームクローを展開し、サキガケ7Sの下方から襲いかかってきたゲイツの首を、はるかにリーチで勝るGNモノホシザオの切っ先が跳ね、エールダガーLが撃ったビームカービンの光の矢を、GNドウタヌキの刀身の腹を盾代わりにして受ける。
 シンの飛鳥インパルスの戦闘能力は刹那の目から見ても瞠目に値するが、意外にデスピニスのエレオスもかなりの活躍を見せている。
 全高二十二メートルほどの大型MSサイズだが、パワーは特機レベルでその特異な外見に相応しいトリッキーな戦い方で敵を翻弄している。
 ピラミッドを逆さにしたような変わった頭部から飛び立った三つの仮面が、縦横無尽に乱舞し、敵に隙が出来たと見るやすかさずエレオスが振り上げた杖で一撃の下にMSが、粘土の様に叩き潰されていく。
82660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:16:16 ID:???
 十歳かそこらの外見としか見えないデスピニスがああも自在に機動兵器を操り、戦って見せる光景を見る度、刹那はかつて少年兵として洗脳され戦った自分を重ねて、暗いモノが胸の内で疼く。
 それはクライ・ウルブズの誰もが大なり小なり感じてはいるらしいが、当のデスピニス本人は、戦う事を命じた誰かに心酔しているらしく戦う事に躊躇っている様子はない。それがかえって痛ましくさえあった。
 アウルはまたエムリオン系列機を宛がわれた鬱憤を晴らすかの様にがむしゃらな、素人の様な戦い方をしていた。
 エムリオンタイプ特有の四本腕を利用し、リオンアームにはディバインブレードとビームサーベルを、M1部分の腕にはオクスタンライフル二丁を握らせて、単機で三機分近い働きをしている。
 先程から通信機にはどこか吹っ切れたようなアウルの叫び声が聞こえてきてうるさいので、刹那は音量をかなり絞らざるを得なかった。
 セツコのバルゴラ三号機のフォローをしながら、オクスタンライフルで牽制射撃を行っていたシンが、不意に敵機の構成が徐々にザフト機の比率が増し始めた事に気づいた。

「セツコさん、敵機の面子が変わってきていませんか?」
「え、そう言えば、……地球連合の機体が減って、ザフト系が増えている?」

 三号機が担当しているガナリー・カーバーのオプション、ジャック・カーバーの刀身でバスターダガーの胴を横一文字に切り裂いたセツコが、シンに声をかけられて周囲の敵の変化に気づいた。
 トロヤ・ステーションでの戦闘以来、短い間隔で連続する戦闘に慣れたのか、新兵によくある硬さは抜けているが、緊張故にいささか視界が狭くなっているようだ。通信機越しに聞こえる声が、すこし乱れている。

「何か狙いがあるのかしら?」
「……ユニウスセブン落下をザフトの所為にしたいのか?」
「シン君、新しい反応! ユニウスセブンの中からまた所属不明の敵よ」
「伏兵か!?」

 破壊されたユニウスセブン内部から、さらにザクウォーリアや上位機であるザクファントムを少数ながら含むザフト系列機がおよそ三十機近く姿を現していた。
 ミラージュコロイドを使用していたのか、メテオブレイカー設置部隊の付近にまで接近していた敵の奇襲に、相当数のメテオブレイカーと友軍機が破壊されてしまう。ユニウスセブンの破砕完遂を目前にしてのタイミングに、シンは舌打ちを隠さなかった。

「くそっ、こんなものが落ちたらどうなるか、分かっているのかよ!?」

 シンとセツコも周囲をゲイツとゲイツRの混成部隊に囲まれて、足止めを食らっていた。クライ・ウルブズの突破力でも状況の打開には今少し時間が必要だと認めざるを得ない。
 百の敵を突破する力と百の味方を守り抜く力は決して同じではない。数倍、数十倍の敵が敷いた防衛布陣を突破する事に掛けては右に出る者がいない力を持つクライ・ウルブズだが、その逆の守る戦いと言うのは不得手なのだ。
 だが、運命の女神と言う存在がいるとしたならば、まだユニウスセブンを落とす事には決めていないらしかった。敵の伏兵の出現に遅れて数分、この宙域に接近する二つの艦影をタマハガネが捉えていた。

「艦長、ザフト艦ミネルバと、正統オーブ宇宙軍のイズモ級です!」
「アスハの姫君が部隊を動かすのはまだ分かるが、ミネルバが間に合ったか。足の速さは大したものだな。イズモ級からはなにか?」
「ユニウスセブン破砕作業に協力すると」
「各員に通達せよ。オーブ宇宙軍イズモ級ならびにその艦載機は敵に非ず。こちらから攻撃を仕掛ける事を禁止する」

 話が分かるにもほどがあるエペソの即断に、オペレーターや操舵手たちが驚くが、エペソは蚊に刺されたほどにも気にしていない。面の皮の厚さは超合金Z、神経の太さはガンダム曼荼羅で吹き飛ばされたデビルガンダムの触手並みの太さなのだろう。
 エペソからの命令が行き渡り、イズモ級スサノオから出撃したムラサメの編隊にDCからの攻撃が加わる事はなかった。
 磨き抜いた鋼に似た船体色のスサノオから飛び立ったのは、三機のムラサメと指揮官・エース用のカスタム機であるマサムネ、そして赤い鋼の塊と純白の騎兵、継ぎ接ぎの亡霊であった。
 マサムネに搭乗するムウ・ラ・フラガ三佐が、指揮下のムラサメ各機に通信を繋ぎ、ザフト・DC部隊への援護へと向かう。

「各機、おれに続け。おれ達の位置からならDCやザフトの部隊と挟撃にできる。アレックス、キラ、アリエイル、お前さんがたに指示は要らんだろうが、高度には気を付けろよ。お前達の機体は大気圏に突入はできても宇宙に戻ってくるのは難しいんだからな」
「了解」
「ムウさんもお気をつけて」
「アスランさん、キラさん、目視可能距離に入ります。注意を」
83660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:17:23 ID:???
 先行するムラサメ隊の後を、アレックス・ディノのアルトアイゼン、キラ・ヤマトのヴァイスリッター、アリエイル・オーグのフリッケライガイストが続く。アレックスことアスラン・ザラを小隊長としたオーブの切り札に等しい三人だ。
 戦闘機へと姿を変えたムラサメには及ばぬが、それぞれの機体も並みならぬ加速性や機動性、速度を持つ。瞬く間に巨大な岩塊の周囲を彩る戦火の中へと雪崩れ込んだ。
 ほとんど同時にミネルバから出撃したブラストインパルスやディアッカ、ニコルのザクウォーリアも戦列に加わる。ミネルバには他にも二機のゲイツRが配備されていたが、ガーティ・ルーとの戦闘で撃墜されていた。
 オーブからの七機、ミネルバの三機合わせて十機の援軍であったが、いずれも粒ぞろいの者達だ。高度な戦闘用人工知能を搭載された所属不明の部隊と互角以上の戦いをすぐに始める。

「正面のゲシュペンストは任せろ。アリエイル、右のシグーは任せるぞ!」

 アルトアイゼンの前に立ちふさがる見慣れた機影に、アスランは若干の躊躇いを覚えないではなかった。
 だが構わずアルトアイゼンの持つ爆発的な加速を生かし、メガビームライフルの光をかいくぐり、目まぐるしく変わる光景の中、的確に懐に飛び込んで胸部へと杭の切っ先を押しつけた。
 爆発的なアルトアイゼンの加速に対応できるだけの判断力と反射神経、反応速度を備えたパイロットはコーディネイターでも稀にしか存在しない。

「どういう理由で貴様らがその機体を使っているのか知らんが、こんな事の為に使うのを、許すわけには行かないんだ!」

 右手の親指がトリガーを押し込み、アルトアイゼンの右腕のリボルビングステーク輪胴内の炸薬が炸裂し、PS装甲製の杭が呆気なくゲシュペンストMk-Uの装甲を撃ち貫く。爆発を起こす前に離れ、次の敵を捉える。
 シグーを任せたアリエイルも、鮮やかなまでの機動でフリッケライを駆り、シグーと更にジン一機を撃墜していた。オーブで調べた折に特異な遺伝子操作を施されたコーディネイタイーらしいとは聞いていたが、パイロットとしても一流と言える。
 キラのヴァイスリッターの正確無比な援護射撃が、さらに一機二機と迫る敵を牽制しダメージを与える。この世界最高のコーディネイターパイロットであるアスランとキラを阻める者は、敵の中にはおよそいなかった。
 今も時折オウカの声と間違うアリエイルの凛とした声が聞こえた。

「先行するフラガ三佐からです。メテオブレイカーは予定の半数が設置終了。残るメテオブレイカー設置作業の護衛に回るとの事です」
「了解した、キラ、掩護を頼むぞ」
「分かった。気をつけて、敵も多いけど味方でも敵でもない人も多い。流れ弾もね」
「……そうだな」

 特にDCと現在の正統オーブはアスハ派とそうでない者達とに分かれてできた様なものだ。こちらにもあちらにも、遣り辛いと感じる者はいるだろうし、また逆に闘争の意思を燃やす者とてもいるだろう。
 シンの場合は前者だった。シンくらいの年頃の少年少女がそうであるように、政治に無関心だったために、特にアスハ一族や五大氏族に不平不満があったわけではないし、元が同じ国民同士で戦う気力もない。
 それでも命令とあれば戦うのが兵士と言う人種であろうが、それが出来ないシンは兵士としてはあまりにも不完全な存在だったし、それを矯正しようとしなかったDCの軍部にも責任があるだろう。
 今回の場合は正統オーブとDCの戦闘が行われるような事態は免れた様だが、いずれはそうなる事も否定はできない。その時、アスランにはかつてジャスティスで挑み、シンのガームリオン・カスタム飛鳥に敗れた雪辱を晴らす機会もあるだろう。
 もっとも今はそんな考えはアスランの心の片隅にもありはしなかったが。アルトアイゼンの両肩に仕込まれている直径90センチのチタン鋼の特注弾が、雨霰の如く降り注いでシールドを掲げていたM1が粉微塵に砕かれ吹き飛ぶ。
 射程が短い割にやたらと射角が広く、使いどころの難しい武器だが、その分使いどころがはまれば威力は絶大だ。しかし、

「アルトアイゼンを設計した人は頭のネジの締め方が普通とは違うな」

 運動性に任せて装甲を徹底的に削ったヴァイスリッターもそうだが、とても主力量産機は狙えないような際物だ。自分もキラもとんだじゃじゃ馬のパイロットにされてしまったと思わずにはいられなかった。
 エネルギー消費系の武装が無く、継戦能力にいささか乏しいものを持つアルトアイゼンの使用上の注意にアスランは気を配らなければならない。使い慣れるまでなかなか辛いものがある。
84660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:18:15 ID:???
 メテオブレイカーのいくつかが地中深くへと閃光をはじめ、光や刃、ミサイルを交差させる者達の下で、強い震動が始まりそれはユニウスセブン全体に広がって、大きなひび割れが蜘蛛の巣のように広がっていく。
 戦闘の最中、誰もが息をのんで見守る中凍りついた岩塊の上をひび割れが縦横無尽に走り、その先にはやがて星空が広がり始める。

「グゥレイトォ! やったぜ」
「その声、ディアッカか!?」

 思わず拳を握りしめたい衝動に駆られたアスランの耳に、付近のガナーザクウォーリアから漏れ聞こえた聞き覚えのある声が届いた。

「ああ、アスランか。久しぶりだな!」
「あの新型艦のクルーになっていたのか。ニコルも一緒なのか?」
「あっちの背負い物している奴だよ。おいニコル!」
「どうしたんです、ディアッカ」
「よお、こっちの赤いのアスランが乗ってるぜ? とんだ所で再会だな」

 ディアッカとニコルは、前大戦の終結時に正統オーブには行かずにプラントに戻った少数組だ。二人とも家族がプラント本国に残っていたと言う事もあるし、特にニコルは両親に心配を何度もかけて来た事を気に掛けていた事もある。
 いがみ合って仲互いになって別れたわけではない分、三人の間に特に遺恨はない。むしろ徹頭徹尾ザフトの為に戦い続けたイザークが、戻ってきたニコルとディアッカ、戻ってこなかったアスランへの憤激を撒き散らしたくらいだ。

「元気そうでなによりです、アスラン」
「ああ、ニコルもな。それと、今はアレックス・ディノを名乗っている。今はいいが、別の機会で会った時はアレックスで頼むぞ」
「なんだ、面倒な事になっているんだな。あのお転婆姫の傍にいる為か?」
「ディアッカ、茶化している場合じゃありませんよ。国籍は別れてしまいましたけど、久しぶりにザラ隊の連携を見せましょう」
「イザークの奴が欠けているけどな」
「いたら、おれの事をさんざん怒鳴るだろうな」

 アスランの苦笑いと共に口にしたセリフに、ニコルとディアッカは心から同意した。いくらか角は取れたが、昔からの知り合いにイザークは容赦が無いのだ。
 気心の知れた者同士の会話で、余計な力の抜けた三人達に従ってアルトアイゼン、ガナーザクウォーリア、ブレイズザクウォーリアは肩を並べ直した。
 ニコルの言葉通りに、かつてのザラ隊の呼吸で群がる敵を掃討する時が今だった。



 オーブ・ミネルバの増援が加わり戦況を測る天秤が落下阻止の側に傾き始めたころ、この戦闘の様子を遠巻きに見守る戦艦の影があった。アーモリーワンを襲撃し、新型MS三機を強奪した強化人間達の母艦ガーティ・ルーである。
 ナチュラルで揃えられた艦のクルー達は、落下阻止に動こうとしないネオ・ロアノーク大佐に時折訝しげな瞳を向けるが、ネオは依然として無機質な仮面の奥に表情を隠したままだ。
 私情を任務には決して挟まぬリーまでもが、問う様な視線を向けている事に気づき、ネオは苦笑したい衝動に駆られた。その所為で言い訳めいた答えになってしまったのは否めない。

「おれだって、流石にヤバイとは思うんだが、戦闘には加わらずに戦闘の映像を撮れって命令が来ちまったんだ。仕方が無いだろう?」
「大佐の心情はお察ししますが。……大佐、格納庫からです」
「ん。どうした?」
「それが、例の生体CPU達が出撃させろと騒いでいるそうです。ハッチを破壊してでも出撃すると」
「なんでまた? 君は前大戦の時、あの連中と組んでいたんだろう。あいつらの言い分は何だ?」
「それが、地球にはω特務艦隊の時の上司や同僚が地球にいるのですが……」
「へえ、あいつら、仲間ってものを大事にする気持ちが残っていたのか。気持ちは分からんでもないが、保安部員に確保させろ。麻酔位ならいくらでも使って構わん」
「わかりました」
「やれやれ。しかし、これはとんでもない画が撮れるな。使い道なんてひとつっきりだろうが、我々が戦争の発端となると思うと感慨深いものがあるねえ。影の連中はそれがお望みなんだろうがな」
85660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:19:06 ID:???
 それにしても、先程から感じるこの不可解な感覚は何なのかと、ネオは浮かべた微笑の仮面の下に、正統オーブ軍が姿を見せてから続く頭痛に似た感覚に疑問を抱いていた。
 同じようにムウもまたネオと同じ感覚を味わいながら、メテオブレイカーの設置作業を行っているザフトのゲイツRを守りながら戦っていた。
 ムラサメの上位機種であるマサムネはムラサメと大きく仕様の変わる機体ではなく、武装もムラサメとおなじビームライフルやイーゲルシュテルン、ビームサーベルにミサイルと特に目を見張る様なものはない。
 それでもフラガ一族の持つ特殊な感覚と、ムウの持つ豊富な戦闘経験によって操られるマサムネは、極めて高い戦闘能力を発揮して既に四機のMSを撃墜していた。率いたムラサメ隊も、二機一組で危なげない戦い方をしている。
 いかんせんオーブの戦力は乏しく一機たりとも無駄にはできないし、パイロットはそれ以上に希少だ。地球存亡の事態とはいえ、ここで散ってもらうわけには行かない。訓練以上にたたか変えている部下達の様子に、ムウも安堵の息を禁じえない。

「にしても、なんださっきから? この感覚、まさかクルーゼがここにいると言うわけでもあるまいし……!」

 アクタイオンインダストリー社製の大型ビームランチャーを構えたダガーLに気づき、ムウはすぐさまビームライフルの連射でそのダガーLを撃墜する。
 画一的な性能のAIを用いた無人機だけに、その動きや行動パターンに共通するものを見つければ対処するのはムウほどのベテランならば難しい事ではない。
 背後にメテオブレイカーを守る以上、回避行動は下手にとれないし、ABCシールドでも受け切れるか難しい以上、撃たれる前に撃つ他ない。

「これで五つ、まったく後何機叩けばいいんだ?」

 アスランとキラのコンビネーションを傍目に、アリエイルは戦っている無人機にも等しい的確かつ冷静な操縦でフリッケライガイストを自在に操り、戦っていた。
 月の中立都市で開発していたアルトアイゼンの四肢をとある機体に移植したフリッケライガイストは、プラズマジェネレーター搭載機を上回る出力を持つ独自の機関とのマッチングの調整が難しく、いささかピーキーな仕上がりとなっている。
 それでもフリッケライを自らの半身の様に操るアリエイルの実力は、軍事力に悩みの種を抱えるオーブにとっては宝石にも等しい価値を持つ。
 三連装マシンキャノンでジンHM2型と撃ちあっていたアリエイルは彼方から放たれたビームが、そのジンHM2型を撃墜するのを目撃し、瞬時にそのビームの源へとカメラの画像を向ける。
 ビームと見えたのはかすかに向こう側が透けて見える漆黒の波だ。計器類の反応から通常のビームではない事を把握する。
 重力兵器となればそれを運用しているのはDCだけだ。アリエイルの推測を肯定する様に、グラビトンランチャーを構えたステラのエルアインスが佇んでいた。こちらへの攻撃の意思が無いと分かり、一応アリエイルは警戒の意思を薄いものにした。

「助かりました。お礼を言います」

 アリエイルの通信を聞いた所為か、エルアインスが戦闘中だと言うのに動きを一瞬止めた事に、アリエイルが驚かされた。ましてや、キラやアスランよりも年下だとはっきりと分かる少女の声がこう答えを返してくるとは。

「……オウカお姉ちゃん?」

 それは、月でアスランとキラに同行を申し出て正統オーブのコロニーに辿り着いた時、幾人かに言われた名前であった。



『シン・アスカ』
「なんです!? 今、そんなに余裕ないんですけど」

 セツコのバルゴラ三号機と背中わせになって、こちらを包囲していたゲイツ・ゲイツR合わせて十機を撃墜し終えた所だ。
 これで、セツコの撃墜スコアも五機を数えていた。他所の勢力なら新兵としては上出来な成果を上げたが、それを喜んでいる状況ではない所に、エペソからの相変わらず高圧的な声での通信ときては、少々カチンとくるのもシンの精神の未熟さから言えば仕方のない。

『オノゴロのカグヤから例のものを射出したと報告があった。予測到達ポイントのデータを送る。そこで待機せよ。難しいタイミングだが、汝なら可能であろう』
「例のものって、分かりました。刹那、セツコさんのフォローを頼む!」
「分かった。オハラ少尉サポートに回る」
「は、はい。お願いします」
「すいません、セツコさん。すぐに退避できるように注意していてください」

 セツコへとかけられるシンの声に、心配以上のものが含まれている事にまだシンもセツコも気付いてはいなかった。タマハガネから送られてきた予測データに従って、シンは飛鳥インパルスを向かわせる。
86660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:19:53 ID:???
 敵もそれを見逃すわけもなく、シンを足止めしようと数機のエール装備のダガータイプに気づき、シンは射出された例の物の到達予測時刻まで秒単位で急がなければならない。本気で集中してかかれば一分とかからず斃せる相手だろうが、その時間が惜しいのだ。
 シンの迷いがわずかに飛鳥インパルスの動きを乱しかけた時、追撃しようとするダガータイプを、破壊的な超高エネルギーを伴うケルベロスがまとめて吹き飛ばして見せた。
 極太のビームのみならず半径百五十メートルまでも薙ぎ払う超高密度のエネルギーは、戦艦どころかコロニーさえも一撃で破壊し尽すのではあるまいか。
 MSクラスとしては常軌を逸した一撃に、シンはつい最近目の当たりにした機体を思い出していた。
 他国から見ればプラズマジェネレーター四基を搭載して見せた驚愕の機体、しかし内情を知るものからすれば、パイロットの事を考えて作れと抗議したくなる問題児――ブラストシルエットを装備したザフトインパルスである。

「シン、無事? 遅くなっちゃってごめんなさいね」
「アクアさん、助かります。これからユニウスセブンを砕きます。それまで、敵を抑えてください」
「任せておきなさい。雑魚は全部引き受けるわ」

 と、かなり格好の良い事を言ってはいたが、アクアは次々とエラー表示の浮かび上がるザフトインパルスに悪戦苦闘していた。
 涼しげな顔で通信には応えていたのだが、実際には水面を優雅に泳ぐ白鳥が水面の下で必死に足を動かしているように、余裕など余の字もない状態である。
 一基だけ稼働させていたジェネレーターを咄嗟に三基起動させてケルベロスの砲身が耐えうる限界までエネルギーをつぎ込み、飛鳥インパルスへと迫った敵を薙ぎ払ったツケは極めて大きい。電装系にかなりのダメージが出ているし、OSの新たな不備も出ている。
 今の状態はデクの棒とまでは言わぬが、明らかに反応が鈍っている。何度も上伸しておいたプラズマジェネレーター未搭載のチェストとレッグが、早く配備されないものかとアクアは泣きたい気持ちで思う。
 かろうじて機体を立て直し、再びプラズマジェネレーターをコアスプレンダーに搭載してある小型低出力のものに切り替えた。こうでもしないとまともに動いてくれないのだ。

「とはいえ、四基稼働させた時なら、ミネルバだって一撃で落とせるのは確かにすごいのよね」

 最も運動性の落ちるブラストシルエット装備時でも、並のMSに引けは取らぬ程度の性能はあるし、プラズマジェネレーターを並列稼働させた時の出力は、特機だって一撃で落とすだけの数値を叩きだすのもまた事実であった。
 それをもっと安全に、確実に行える機体を作ってもらえていたなら、アクアは手放しでザフト製のインパルスを称賛していた事だろう。
 パイロットの操縦の意図を極めて繊細に、そして従順に反映している飛鳥インパルスを見ていると、うらやましくて仕方なるのも、仕方のない事だろう。

「それにしても、ユニウスセブンを砕くって、どうやって?」



 オノゴロ島のマスドライバー・カグヤから急遽射出されたシン・アスカとその乗機飛鳥インパルスの為の装備が、大気の層を突き破りシンの下へと地上から天へと遡る流星となっていた。
 予定地点に辿り着いたシンは、打ち上げられた小型の貨物シャトルが、逆噴射を行いながら飛鳥インパルスの胸部から投射された誘導ビーコンに従って、軌道と相対速度を合わせる。
 二十メートルほどのシャトルに積まれた貨物が切り離され、ロックの弁を飛鳥インパルスの腕で直接回して開く。収納されていた物質を、シンは宗教的な恭しさを伴う面持ちで飛鳥インパルスの右腕に握らせた。
 ユニウスセブンはすでに稼働したメテオブレイカーによって大まかに砕かれ、キロメートル単位の破片は無くなっている。しかし、大気圏で燃え尽きぬ程度の大きさの破片が、嵐の夜の雨の様に無数に浮かんでいる。
 あれらをさらに細かく砕かぬ限りは、地上への被害はなくならぬだろう。
 シンは眦を険しいものに変え、体内で稼働するチャクラが濾過した思念エネルギーと血流と呼吸によって、細胞一つ一つにまで充溢させた気で鋭敏化した全知覚能力を駆使して、地球へと降り注ぐ破片の全てを捕えてみせた。
 あの破片一つとて、地上に落とすわけには行かない。今も尚あの大地に眠るユニウスセブンの死者とその遺族の事を思えば胸が痛むが、新たな死者と憎悪の連鎖を生む事と秤にかければ、砕く以外の選択肢はない。
 すうぅ、とかすかな音を立ててシンが息を吸う。それと同様に細い糸の様に息を吐く。飛鳥インパルスの右手に握られた長い柄に三つ又の矛に似た鍔に、刀身を持たぬ剣が後方へとその存在しない切っ先を向ける形で振りかぶられた。
87660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/06(土) 00:22:06 ID:???
 普段はセーブしてある飛鳥シルエットのプラズマリアクターのリミッターを解除し、この一撃の為に徹底的に耐久性に富んだ設計の機体フレームが耐えうる限界まで、エネルギーを絞り出す。

「伸びろ、斬艦刀ォオオ!!」

 シンの血を吐くような叫びと共に、斬艦刀の柄から見る間に巨大な稲光が伸び、瞬く間に、まさに光の速さで数キロメートルに及ぶ長大な刃と化す。漆黒の帳に閉ざされた天空で荒れ狂う竜の如き光刃。
 かつてコロニー・メンデルでの戦いで星屑を薙ぎ払って道を築き、ジェネシスを取り込んだAI1セカンドを両断して見せた神話の中の戦神が振るうが如き超絶の一刀。
 かつてその一刀を目の当たりにした者達、そして退避勧告を知らされて、たった一機のMSが振るおうとしている一撃の攻撃範囲の広さに目を見張る。刮目して見よ。天地鳴動し、世界が断末魔の悲鳴を上げるかの如き一撃を。その一撃の名は!

「星薙の、太刀ぃいいいいーーーーーー!!!!」

 破壊される前のユニウスセブンでさえも呆気なく両断して見せただろう壮絶なまでの一刀。己が守るべき者の為、守ると誓った者の為に文字通り命を掛けた男から受け継いだ技。
 その光を映した瞳を焼き潰すまでに苛烈な白い光の刀身に触れる度、ユニウスセブンの破片は圧倒的なエネルギーによって分子結合を崩壊させて塵へと変わってゆく。超高熱を加えられた事による崩壊現象だ。
 振りかぶられた星薙の光刃が振り抜かれた時、満天の星空にも似て地球の空を埋め尽くさんとしていたユニウスセブンの破片は、ただの一片たりとも存在してはいなかった、オーバーヒート寸前のプラズマリアクターの出力を切り、冷却を急がせる。
 グルンガスト飛鳥でならともかく、星薙の太刀の仕様も考慮した上で開発された飛鳥シルエットとDCインパルスを持ってしても、負担は大きい。連続しての星薙は事実上不可能だろう。
 だが、今、シン達をはじめDC、ザフトの面々のレーダーや望遠映像のどこにもユニウスセブンの破片は消え去っていた。
 そして、その時……

「よし、これで破片は……!?」

 氷雪の閉ざされた南極大陸のある場所で、門が、開かれた。
 シンの目の前で、ユニウスセブンの破片が消え去り、元の虚空へと帰った夜天から

「星が、消えている!? 月も、太陽も!!」

 幾億、幾兆、無限に輝く星も月も何もかもが消え去っていた。いやスペースコロニーや火星に住むマーシャン達、木星へと逃げた人々達から見れば、こう訂正しただろう。消えたのは宇宙ではなく、地球が消えたのだと。

――つづく。
こんばんわ。今回はこんなお話になりました。それとザ・クラッシャーですが、あの整備士は別人です。紛らわしい表現で申し訳ないです。ではでは、ご感想・ご指摘お待ちしております。アホセルはもうちょっと先です。お邪魔しました。
88通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 00:44:37 ID:???
ヒャッハー、乙ゥ!
アインストやガンエデンにとっても今回で動き始めた完璧パパンたちは危険すぎるのな。
いずれ敵対することになりそうな面々とは言え、ルイーナ以外の全勢力が共闘する日は来るんだろうか。
とりあえずガンエデンと付き合いのある総代たちや影鏡関連という事でアホセルの登場に期待せざるを得ない。
しかしアホセルってことはA影鏡なのか……大半が次元の狭間に呑まれた4ケタを超えるゲシュペンストがそっくり流れ着いてやしないだろうな?

そしてサトーの咆哮とシンの星薙の太刀にうるっときた。


そういやアルケー、コアファイター後ろについてるがGディフェンサーつくと脱出出来ないような。
いや、Gディフェンサーついたおかげで元から変形しそうなフォルムだったアルケーが変形するんじゃないかって期待もあるけど。
変形できるヴァルホークの技搭載したし出来ないかな、と思う。
89通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 02:07:47 ID:???
GJ
高山版のあの名シーンを持ってくるとは!

しかし絶対運命を望む者、神を超えようとした者って誰だ?
残ってるオリ敵はZ.C3.SC2.64位だが
教えてエロい人
90通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 02:34:02 ID:???
投下乙!

フューリー登場フラグwktk
綺麗な総代とルーお姉さま、そしてラフトクランズに期待
この世界にもやっぱあるのかな、四神機
乗るとしたら誰だろうか

キレイなサトーがボンボン風でカッコいい!

後第三次α主人公でまだ出てない無職(とクスハ)はそのうち出てくるんだろうか…
91通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 07:08:43 ID:???
>>89
ユの字とケイサル辺りだと思うんだが

しかし不味いな。この流れだとブチ切れた山猫姉さんは見れそうにない……
ドMの俺としては非常に残念
92通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 10:04:37 ID:???
厚かましいとは思いますが、
個人的には統夜と姫様の絡みが見たいです
93通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 13:23:26 ID:RxykF6sq
乙です

つかアメノミハシラは軌道エレベーターなんだがどうなるんだろ。千切れたりしたらかなりヤバイと思うんだが
エペソがいるんだからエゼキエルやヴァルク・ベン等のバルマー系の機体は生産されないのかなと思う今日この頃
94通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 16:36:37 ID:???
>>89
神を越えるはカラータイマーパクッてデビルガンダムを素体にした超神ゼストとなったスパヒロユーゼスっぽい
後はアカシックレコード関係の人達

シンの待避勧告→コンテナと聞いて斬艦刀とAMボクサーキタコレとか勘違いしたのは俺だけだろうなぁ.....
95通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 18:51:07 ID:???
AMボクサーをシルエットにして装備すれば連続しての星薙の太刀も出来そうな気がする
96通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 19:04:16 ID:???
それ、パワーローダー+デカいガーベラじゃね?
97通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 19:40:13 ID:???
山猫姉さんといえば・・・夜を統べる高校生と実験体少女三名はどうなるんだろ
眠りについてる、との言い回しからするとエさんも・・・?
98通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 21:17:48 ID:???
>>97
元々は死人が流れ着くのがビアンSEEDだったから、あっちで生きている主人公組が出なくてもしょうがないと思うんだ。
エさんは生きてそうだけど。
99通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 21:22:20 ID:???
南極の門が開いたんだったらこの世界のゲリラ屋兄と多重人格妹の登場希望…
100通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 21:41:33 ID:???
その場合、誰がプロ&ギュネイ役を務めるんだ?
101通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 21:52:23 ID:???
プロの条件:地球在住で恩師が殺された者

ギュネイの条件:片思いでコンプレックス持ちの者

いるかこんなん?

102通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 22:08:02 ID:???
>>98
天山のようなこちら出身の様子だし
事情は違ってくるだろうとは思うが・・・人格描写の無いエさんに出番があるか・・・
こっちのフューリーがJ同様にならないとも限らないでしょうけど
過去がどうあったのかによってくるんでしょうねぇ
綺麗な総代とか見てみたいですがw

>片思いでコンプレックス持ちの者
どう考えてもアーガイルしか・・・
103通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 22:31:24 ID:???
>>97
搭乗機体はクストウェルがいいんじゃね?Jじゃいらない子扱いだがグランティードやベルゼルートでは他の機体と個性が被りそう。そんな中クストウェルならあの特異でとんがった個性で目立てそうだ。
104通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 23:15:11 ID:???
クストウェルだと「これだ!」ってアドバンテージが無いように思えr

というよりもアホセルと被ってるじゃんwwwwww
105通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 00:01:06 ID:???
あ……しまった。アホセルがいたんだった。とすると統夜どうすんだ、もうラフトクランズしかないのか?
106通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 00:19:03 ID:???
しかしラフトはFoo姐さんとジュアとアルヴァンで埋まっている罠。
107通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 00:24:07 ID:???
Jでハッキリしてないけれど
あのラフトクランズはエさんの形見ということで脳内設定しているので
そっち方向で・・・
「地球人に騎士機の修復なんか出来るわきゃねぇえええだろぉぉぉぉぉぉお!!!!」
と、ジュが叫んだ気がするけど
長らくフューリーメカを弄ってたアシュアリークロイツェルならパーツさえあれば修復は容易じゃないかと思ったり
そういや、やるとすれば今回もモルゲンレーテ絡むのかしら
108通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 00:24:31 ID:???
一応統夜親父の青ラフトクランズがあるんじゃないか?
109通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 01:33:53 ID:???
エの親父さんも相当高位の騎士な筈だからラフトクランズかその前の機体はあるだろうな。

ただラフトクランズは親父さん存命なら確実に埋まってる

が、親父さんはグラすら無いからなぁ
110通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 12:34:18 ID:???
初期の統夜やカルヴィナならある意味プロ&ギュネイのかわりになりそうだな
111通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 13:21:44 ID:???
種死本編どおりのシンならプロになれそうだが、ここのシンは成長してるからなぁ。
アルヴァンと死狂いそうだが。
112通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 14:22:18 ID:???
>>94
俺はてっきり「星割」かと思ってた

※富士原昌幸の同人誌「スーパーロボット大戦轟」2巻に登場する、ダイゼンガー用パワーアップ・パーツ
 バックパックと斬艦刀用の柄で構成されていて、これを装着して雲耀の太刀を振るうことで星薙と同等の斬撃を繰り出せる
113通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 15:35:15 ID:???
騎士道一直線なフー姐さんのフラグが立つかもしれん
114通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 11:11:00 ID:???
スパロボDがクロスしたとなると、ギュネイのポジションに誰が来るのかが楽しみ。
……ギュネイがアスランだった場合、クェスはカガリ、そしてシャアがキラ、なんてことに?
115通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 13:39:06 ID:???
つか完璧パパンってケイサルエフェスにとっての敵じゃない?
宇宙が死と新生するどころか完全に消え去るわけだし
116通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 15:30:48 ID:???
>>115
むしろパパンの味方になりうる勢力なんか無いんじゃないか?
117通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 15:34:26 ID:???
>>116
つコキムラ

世界滅ぼすのが目的だし
シュバルツポジが合うかもしれん
118660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:21:37 ID:???
ディバイン SEED DESTINY 第10話 堕ちてきた男


 地球連合の事実上の盟主として君臨する大西洋連邦軍が、北アメリカ大陸西海岸線沿いに保有するとある軍事基地。軍や政治の上層部、それも特殊な地位にあるものしか知らぬ基地である。
 地下に設立された基地のドックに今一隻の巨大な戦艦が停泊していた。グリーンの船体の、古代に生息していた三葉虫に似た形だ。DCを含めあらゆる勢力で採用されている戦艦のどれとも似ても似つかない。
 大西洋連邦で建造が進められているトライロバイト級万能戦闘母艦の、その艦長室に人影がいくつかあった。およそ軍人らしからぬ白と紫のケープ姿だ。あえて照明を落としているのか室内は薄暗く、二人の顔は暗闇にまぎれている。

「今回の事態、分析は進んでいるか」
「芳しくはないわ。まさしく次元の壁とでも言うべきものね。宇宙の部隊との連絡が一切とれないし、ちょっと困った事になっているんじゃないの?」
「予測にない事態だが、今はまだ許容範囲内だ。ジブリールが音頭を取って開戦自体は行われる」
「あら、こんな状況下でよくそんな意見を通せたわね。ユニウスセブンを落とせなかったせいで地上に被害はなかったけど、世界は戦争どころではなくなっているのではなくて?」
「だからだ。民衆は不安に震え怯え、それらを放出する先を求めている。ジブリールはそれに明確な相手を与えるだけだ。扇動家としては一流と言えるかもしれんな」
「そう、となると目下の相手はカーペンタリアとジブラルタルのザフト? その次の予定も経っているのかしら?」

 他人事のように囁く女の声は何処か気だるく、吸いこんだ吐息が肺腑をゆっくりと腐敗させるような甘さがあった。甘美さの中に緩慢な廃滅の毒を孕んだ声は、その美しさゆえに、聞く者の耳から離れる事はないだろう。
 先ほどからこの女と会話をしている男は逆に、骨格の代わりに鋼鉄の芯を通しているかのように揺るぎなく、強い理性と厳しさを伺わせる。声だけでその人となりが分かる様な、錆びた声音だ。

「大洋州連合、スカンジナビア王国、汎ムスリム会議、DC。それになにより、地球連合内部の不和もある。闘争には事欠かん。……ところで、奴は見つかったか?」
「いいえ。八方手を尽くしてはいるけど、成果はなしよ。迂闊に動くと『一族』に感づかれる危険性があるわ。せっかく私達と手を携えてくれる相手ですもの、下手な弱みは見せられないでしょう」
「ふん、居るに越したことはないが、奴とて我らの理想の礎となるなら犠牲となるを厭わぬ男ではあるまい。奴が戻らぬままでも事は進めるぞ」
「貴方ならそう言うでしょうけどね。とりあえず分かっている限りで一番厄介そうなDCへの潜入任務は、彼の代わりにこの娘を使う事にしたわ。了承していただけるかしら?」

 女が手招くと、それまで部屋の調度品の様に隅で立っていた人影が動いた。薄暗がりを照らす照明に映し出された横顔は、女神の彫像が突如現れたのかと錯覚するほどに美しい。
 まるで、人間とは思えぬほどに。

「好きにしろ」

 男からの了承の返事は、すぐにあった。



 太陽の消えた空は奇妙な違和感をシンの胸に植え付けていた。雲一つない空だと言うのに、在る筈のものが無いという現実が、シンの中にある常識と齟齬を生じているせいだろう。
 ユニウスセブンの破片を星薙ぎの太刀によって完全に消滅させた直後、星と太陽とが消失する瞬間を目の当たりにしながら地球へと降下し、太平洋の旧オーブ領海近海に着水したタマハガネの甲板の上である。
 船内の全区画に浸水は認められずダメージコントロール要員や各部署からも、特に被害はないと報告がブリッジに届いていた。現在状況を確認の為に錨を下ろし、出撃していたパイロット達には交替で休憩が申し渡されている。
 甲板の手摺にもたれながら、ぼうっと見上げていた空から視線を下ろし、タマハガネの右方四〇〇メートルほどの位置にあるミネルバを見つめた。
 あちらも遠目には目立った損害はなく出撃していた機体も無事に収容できている。だが、アフリカ部族の戦士並みの視力を獲得しているシンの目には、ボギーワン追撃の際に負った損傷で、凹凸の激しい一部の装甲が映っている。
119660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:24:24 ID:???
 ユニウスセブン破砕に従事していた部隊の内、地球へ降下したのはDCのクライ・ウルブズとザフトのミネルバ隊のみだ。ミネルバに乗艦していたギルバート・デュランダル議長は、事前にプラント本国へと戻っていて、地球へ降りる羽目に陥らずに済んでいる。
 DC総帥ビアン・ゾルダークは、ラビアンローズでタマハガネから降りてからアメノミハシラ経由で地球に戻る予定だったが、その前に今回の事態が勃発して地球には降りていない筈だ。
 今は地球と宇宙での往来に、支障が生じているのかどうか確認していないが、通信ができない状態からして行き来も出来ない可能性が高い。となると地上に本拠地を置くDCとしては総帥の不在はいささか面白くない。
 副総帥であるロンド・ミナ・サハクがヤラファス島に残っていた事がせめてもの救いだろう。
 ミネルバがこれまでの戦闘での損傷も激しかった事や、現在位置がオノゴロ島に近い事もあり、タマハガネはミネルバを伴ってDC本土に帰還する予定が立てられている。
 もともとタマハガネに配備されたインパルス、アカツキ、エルアインス二機、ビルトシュバイン、エレオス、サキガケ7S、アヘッドSCフルシールド、バルゴラ三機にジニンのアヘッド、タスクのジガンスクード、レオナのガーリオン・フライルーが追加されている。
 一部のメカニックの間では、タマハガネの底が抜けるのでは? と危惧する声が上がっている光景が、格納庫では広がっている。
 ヒュッケバインやグルンガスト飛鳥を失ったとはいえ、前大戦時全盛期のクライ・ウルブズと同等以上の戦力が集中していると言っていい。
 シンの心情をいくらかましなものにしている事といえば、ユニウスセブンの破片落下を阻止できたことで、家族達に危機が及ぶ事態も防げたと言う事くらいだった。
 こうして異変に見舞われた空を見ていても事態が好転するわけもないと、シンは気持ちを切り替えて船内へと戻るべく足を向けた。



 タマハガネの格納庫ではバラック・ジニン大尉が、佇立する機動兵器群の中のガンダムヴァーチェを険しい瞳で睨みつけていた。ジニンの経歴や人生を真に知る者ならば、ジニンの瞳に憎悪に近いものが混じっている事を察するだろう。
 生前、ジニンの本来の世界に新たな争いの種をまいた存在、“ソレスタルビーイングのガンダム”。七機存在したガンダムの内、デカブツなどと称されていた砲戦型のガンダムとヴァーチェは全く同一の姿をしている。
 ジニンの記憶の中のものとの違いは、搭載しているGNドライヴが、DC預かりになっている機体では擬似GNドライヴになっている事くらいだろう。この世界でもこのガンダムを前の辺りにする事になるとは、なんとも皮肉なものだ。
 だがジニンのように二十四世紀の世界で死んだソレスタルビーイングのガンダムのパイロットが機体ごとこちらに来たのかもしれないし、あるいは関係者が、とも考えられる。
 このヴァーチェと言う機体のパイロット、ティエリア・アーデに対し、この時ジニンの胸に強い疑いの念が生まれていた。

「ヴァーチェになにか? バラック・ジニン大尉」
「ティエリア・アーデ、民間軍事会社からの出向者だったな」

 険しい視線を向けるジニンの様子が気がかりになったのか、ピンクのカーディガンを羽織った私服姿のティエリアが刺す様な瞳でジニンを見つめ、歩み寄っていた。ティエリアからしても擬似GNドライヴ搭載機のパイロットに対しては自然と態度が厳しくなる。
 ジニンはある程度カマを掛けてみる事にした。獅子身中の虫であるかどうかは早めに判断しておきたいという心の動きもある。

「GNドライヴは、プラントを含め地球圏で実用化しているのはDCだけの筈だ。それを、PMCで実用化されているとはいささか信じ難くてな。ましてやおれの乗っている機体もGNドライヴ搭載型だ。興味位は抱く」
「そうですか。ですが、ヴァーチェに関して詮索は不要です。整備などに関しても社の方から派遣されたスタッフが行う契約になっています。DCの方々であっても伝える事の出来ない事は多い」
「そうか。ところで、この機体以外にもGNドライヴ搭載機は存在しているのだろう? 変形機構を持った機体、接近戦に特化した機体、遠距離射撃戦に特化した機体の三機とか、な」
「さあ、それは社の考える事です」
「そうか、邪魔をしたな」

 踵を返すジニンの背を、ことさらに険しい視線でティエリアは見送った。デュナミスの指示でDCに潜入し、特に厳重に秘匿されている情報の入手に手間取っている事からも分かっていたつもりだが、やはりこのDCは尋常な組織ではない。
120660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:25:48 ID:???
 その事が、ティエリアのジニンに対する態度を頑ななものにした要因の一つではあったが、それ以上にティエリアの心はかつてない不安に触れていたのだ。

「天体が消失してから、脳量子波でのコンタクトが取れない。デュナミス、私はどうすれば……」

 ティエリアのみならず、地球に派遣されたイノベイター達は一人の例外もなく宇宙のデュナミスや同胞たちと、脳量子波を用いての連絡が取れなくなっていたのだ。
ティエリアにとって絶対の存在にも等しいデュナミスとのつながりを断たれた事は、ティエリアにかつてない精神的なストレスや、不安を与えていた。かろうじて表に出す事だけは防いでいたが、それもいつまで持つかどうか。時間の問題に過ぎない。
周りに人影がいない為に、白皙の顔に不安の色を浮かべているティエリアを、キャットウォークの上で見守る長身の人影があった。

「こっちのティエリアも、強情というか意固持と言うか。手間がかかる分だけ可愛いってね」

 道に迷った弟を見つけた兄の様な顔で、そう呟くのはロックオン・ストラトスだった。



「ミネルバはオノゴロ島にて可能な限りの補修と物資の補給が受けられるよう手筈を整えておく故、そこまでは任されよ」
『分かりました。エペソ艦長、申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします』

 モニターの向こうでミネルバ艦長タリア・グラディスの生真面目な顔が消えるのを見守り、エペソはかるく左人差し指でこめかみを揉んだ。エペソが記憶に留めている限りの知識の中にも、このような事態に該当するものはない。
 ミネルバとしては地球上に二つしか残っていない大規模基地であるカーペンタリアに一刻も早く向かいたい所だ。もっともそれを行おうにもミネルバの損傷は軽視出来るものではないだろうから、DCの申し出は渡りに船だったろう。
 ユニウスセブンの破片落下阻止で地球への被害は抑えられたが、空に発生した有史史上未曽有の天変地異による混乱は、確実に広がっている。
 DCの宇宙における一大軍事拠点アメノミハシラも、軌道エレベーターの低軌道ステーション部分のみであったから、被害は免れたが仮に軌道エレベーターが完成していたらどうなっていたかと想像するとぞっと背筋を這うものがある。
 ともかく、クルーの誰もが精神的にも肉体的にも疲れている。本土に戻って少しでも早く休みを取らせるべきだとエペソは判断していた。
 そしてまた、ミネルバの艦橋でエペソとの会話を終えたタリアもまた自身を含めたミネルバのクルーに休息を取らせるべきだと、鉛が体の中に溶け込んだ様な疲れを感じるが故に思っていた。
 アームレストに肘をついて、抑えきれなかった溜息を零したタリアにおずおずと傍らのアーサーが声をかける。副長というポジションだからと言うわけではあるまいが、さほど疲れた様子ではないアーサーが、タリアにいささかうらやましい。
 けっして若さのせいではないと思いたかった。

「艦長、差し出がましいようですが、艦の補給はともかく修理に関してはカーペンタリアで行うべきでは? 友好国とはいえDCに艦を触らせるわけには……」

 技術力の高さでは地球圏随一のDCだ。任せればミネルバを満足の行く状況に仕上げてくれるのは間違いない。しかし、その技術力の高さゆえに最新の軍事機密の塊に触れられるのは少し所か大いに拙いのではとアーサーは危惧しているのだろう。
 副長の当然の判断に、煩わしさを覚えないではなかったが、アーサーの優しさゆえに出て来た言葉に噛みつく気にはならない。

「貴方の言う事も分かるけど、実際ミネルバにもクルーの皆にもずいぶん無茶をさせてしまったし、直せる時に直しておかないとこれから先の戦闘が不安でしょう? 自分の乗る船は常に万全にしておきたいのよ」
「そのお気持ちは、自分も同じつもりではありますが、今は連絡もつきませんが後で軍司令部から問題視されるのでは……」
「まあ、仕方ないじゃない。エペソ大佐もわざわざロンド・ミナ・サハク副総帥に許可まで取ってくれるんだし。なんなら日誌に残してもいいのよ?」
121660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:26:37 ID:???
 副長が艦長の決定に不賛成の時、その旨を日誌に残しておくよう要求する事ができる。艦長の判断を上層部が問題視した場合に、そうしておけば副長が責任を問われたり、経歴に傷がつく様な事はない。
 しかし、アーサーは飛びあがらんばかりに慌てた声でその旨を辞退した。

「い、いえ、そんな!」

 このやや気弱だが善良な副長が、自分に逆らう根性が無い事を分かっていたのだろう。タリアは不敵に笑い、そのまま悠々と立ち去って行った。アーサーは、この先ミネルバ以上に自分が使い潰されるような気がして、がっくりと肩を落とした。
 ミネルバとタマハガネの破損部分などの応急処置を終えて、二隻の船が波を切り裂いて動き始めたのはそれから三時間後の事だった。



「太陽や星が観測できなくなったって、ま、マジなんですか!?」
「まじまじ、大マジ」

 と、レジ越しに喰いかからんばかりの勢いで問い詰めて来たレントンの口から飛ぶ唾を、手で防ぎながら、アウルは投げやりに答える。
久しぶりに乗ったエムリオンタイプと、あまりに馴染む自分に、おれってまじでエムリオンマイスターじゃね? と自覚して少し凹んでいるらしい。最新技術でリファインされたエムリオンRCはかなりの高性能機なのだが。

「なんでそうなったのかさっぱり分からないけどよ、艦長も結構動揺しているんじゃねえか。あんま顔色が変わらないから分かり辛えけど」
「でも、一大事じゃないっすか! まままさか地球滅亡の前触れとか!?」
「レントン、落ちついて。話が飛躍しすぎ」
「エウレカ見ならって落ち着けよ、レントン。ユニウスセブンの事だって地球滅亡の危機って奴だったんだぜ? そう何度も地球滅亡の危機が立て続けに起きられちゃ困るっつの」

 レントンが極端に動揺している所為かエウレカはすっかり落ち着き払っている。アウルが平静とも取れる態度なのは、エムリオンの事で精神的に落ち込んでいるせいだろう。
 自動扉を開いて、シンとステラ、セツコが入ってくる。トビーとデンゼルは、今回の様な事が無かったか、エペソに問いただされているためグローリースターは一時的に別行動になっている。

「よ、レントン、エウレカ、お疲れ様」
「お、シンさんにステラ、セツコさん、ユニウスセブンの破片落下阻止お疲れ様っス。大活躍したって聞きましたよ。凄いじゃないっすか!」
「ああ、うん、そうなんだけど。こんな事になっちゃったら素直に喜べないだろ?」
「あー。そうっすよね、こんな事なっちゃったら、そりゃそうですよね」

 棚から缶ジュースを取り出しながら、シンは苦虫を百匹も噛み潰したような顔と声でレントンに答える。軽々しい言葉を若干後悔しつつ、レントンは俯いた。現在進行形で動揺している所為か、情緒の変動が激しい。
 ぽんぽんと肩を叩いてレントンを慰めるエウレカの姿に微笑ましいものを覚えながら、セツコは、今度はシンに驚かれない程度に商品を選んでカゴにいれている。あれ以来ボン・マルチェの中での買い物も、人の目を気にするようになっていた。
 トウモロコシなどを主材料にして、二百種以上の味を付けた『まいうー棒』という数百年以上の歴史を誇るスナック菓子百本入りを、シンから受け取ったエウレカがレジに通しながら口を開いた。

「皆不安みたいで、ここにきて買い物していっているよ。少しは不安が紛れるからかな?」
「かもなあ。そう言う意味じゃ精神衛生面を考慮して、ていう戦艦内部にコンビニ設置って名目も意味があったんだな」
「私達は不謹慎だけど、ちゃんと役に立てているって実感があるかな?」
「はは、まあ売り上げはかなり良かったわけか」
「うん。結構商品の在庫もなくなっているんだよ。特にセツコさんが頑張ってくれたからかな。お菓子とかアイスの売れ行きがね、絶好調。オノゴロに戻ったらたくさん補充しないとね」
「あー」

 と、シンは背後を振り返って、真剣な眼差しでアイスバーやらアイスクリームなどを手に取って選んでいるセツコを目撃した。ちら、と目を向けたセツコの左手に下げた買い物かごは、すでに商品で埋まっている。
122660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:27:29 ID:???
 相変わらず甘いの好きだなあ、とシンは和やかな気持ちになった。セツコの隣であれが食べたいこれが食べたい、これにしようか、あっちがいいかな? とステラが指さしたり、商品を手に取っている光景は戦艦の中とは思えぬほどほのぼのしていた。
 しかし、二人とも歩いているだけで中のモノが見えてしまいそうな超ミニ丈のフレアスカートだ。ちょうどシンから見れば二人の背中がこちらを向いている。時折左右に揺れるお尻は、思春期の少年にはあまりに魅力的過ぎた。
 この光景だけで、シンとレントンにえっちぃメディアは一週間は必要ないだろう
 実にけしからん、そう思いつつ鼻の下を伸ばしていたシンは、同じようにステラとセツコのスカートからすらりと伸びる足と尻のあたりに目線を集中させていたレントンと目があった。

「…………」
「…………シンさん、鼻の下、伸びてるっすよ」
「レントンもだよ。……みっともねえな、お互い」
「……そっすね」

 お互いに他人から見たらどんなにだらしなく情けない顔をしていたかを思い知らされ、しょぼんと肩を落とした。レントンの隣のエウレカは、こういう事に疎いようで急に落ち込んだ二人を不思議そうに見ている。

「オープンスケベか、お前ら?」
「悪かったな」

 けけけけ、と意地の悪い笑みを浮かべるアウルにむっつりとした顔でシンは言い返す。アウル自身は特に買い物はしていないようで、カウンターに肘をついてレントンとシンのだらしのない顔を笑っているきりだ。
 商品選びが終わったセツコが、シンの後ろに並んだのでシンは横にどいてセツコの買い物の内容にちょっと笑う。以前セツコの大買い物を目撃して以来、セツコが自粛しているのは知っていたが、今回はそうはいかなかったらしい。
 ユニウスセブン落下戦やら天変地異の勃発と言う事態に対して、セツコもまた相当ストレスを感じていたのだろうから、その鬱憤を晴らす為の買い物だと考えれば、ま、許容範囲だろう。
 微妙に生暖かい視線で自分を見つめるシンに気づき、セツコは結局いつもどおりの量を買い込んでいる自分に気づいた。ぴ、ぴ、と音を立てて商品の会計を進めてゆくエウレカもおかしく感じているようで微妙に口元が笑いをこらえている。

「あ、あのこれはね、違うの、シンくん。ステラちゃんとデスピニスちゃんと一緒に食べようって思ったから。あの、私だけで食べるわけじゃないの」
「そうですか、ステラとデスピニスと一緒にねぇ」
「シンくん、信じてないでしょぅ?」

 小さく手を左右に振りながら、ほっぺをリンゴみたいに赤らめて、ちょっと顎を引いて見上げる様な上目遣いをセツコはするが、実際には一人で食べるつもりで手に取った商品ばかりだから、声に力が無くて語尾が“う”ではなくか細い“ぅ”になっている。
 シンより三つも年上なのに、自分よりはるかに積み重ねられた戦歴と圧倒的な技量を誇るシンに対して、劣等感から強気に出られないというのもあるが、単に年下にも丁重な性格と言う事も大きい。
 シンから見ればそんなセツコの性格はひどく可愛らしく思える。なまじスタイル抜群の美人なものだから、時折ぐっと幼く見えるセツコの言動はいっそう愛らしさを増してしまうのだ。



 ミネルバ及びタマハガネの二隻が、DCの軍総司令部に連絡し、共に連れだって大海原を進み始める先に、誰も住んでいない小さな無人島が群を成す海域がある。
 二十世紀末から始まった海面上昇に伴い、この数世紀の間に没した小島が済んだ水面の下で揺らめいている。
 南洋の島々のみならず、水の都ヴェネツィアもまた雄大な水の下に封じられて久しい。故国を失う危機に襲われた人々の悲痛な叫びや、古い歴史と共にあった街を守ろうという人々の声は間に合わなかった。
 上昇し続ける海面に、いくつもの島々や古都が飲み込まれてからようやく功を奏し始めた温暖化対策や、化石燃料の枯渇という要因が重なりここ百年は海面の上昇といった事態は防がれていたが、海底に没した島々の悲鳴は今も聞こえてくるようだ。
 かつて海水でも育つ事から大量に植林されたマングローブの生い茂る全長一キロメートルほどの小島に、突如巨大な影が降ってわいた。
 天空からの隕石の雨から逃れた空をたゆたうウミネコ達が驚いて飛び去り、白い砂浜に翳がその足首までをめり込ませて落着する。着地の震動は海面を大きく震わせて波を起こし、密集しているマングローブの葉が雨の様に舞散る。
123660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:28:55 ID:???
 片膝を突き懺悔しているかのような姿勢のまま、巨大な人影は動きを止める。胸部や肘に翡翠色の宝玉状のパーツが埋め込まれ、青い装甲は鍛え抜いた人体のように盛り上がり古代闘技場で血肉を削り合った剣闘士の様な逞しさだ。
 一見ガンダムタイプと見間違いそうな頭部の、頬の辺りにまるで髭の様な鋭角の白いブレードが伸びている。機体のあちこちに多くの損傷が見受けられたが、四肢を損なうような重大な損傷は見当たらない。
 四十メートルを越すサイズや、特異な外見からスーパーロボットの類であろうことは想像に容易い。そのコクピットの中のパイロットは、二十歳をほんの数年超えた程度の若者だった。
 ゆるくウェーブのかかった赤い髪の下に、やや垂れ気味の瞳を持っている。意識がもうろうとしているのか、半眼に開かれた瞳は霞がかかった様に朦朧としている。軽く手を額に当て、目を瞬かせる。
 意識をはっきりとさせて黙っていれば、そこそこの雑誌のモデル位は務まりそうな顔立ちをしている。

「……うう……レモ……ン……」

 青年がコクピットの中で膝をついた姿勢から立ち上がるのに合わせて、髭を生やした特機もゆっくりと膝立ちの姿勢から身を起こした。パイロットと機体の動きが連動するシステムを搭載しているのだろう。
 青年はコクピット内に映し出された周囲の光景に目をやり、状況が飲み込めないのか頭を振って頭の中の靄を振り払う。

「なんだ……ここは? おれ……は。おれは、誰だ? 誰、誰だと? おれはおれが分からない? くそ、まさか、記憶喪失とか言う奴か? 記憶喪失とかいう言葉は分かるくせに、なぜおれの事を思い出せん」

 立ち上がった機体の首が周囲を巡り、今ここに居るのが赤道の付近らしいと、メインカメラが映し出した光景や、外部の大気のデータなどからも判断できた。記憶はないがまったく知識が無いわけではないようだと、青年は皮肉なものを感じる。

「とにかく、人のいる所に……。レーダーに反応?」

 青年と機体を目指し、急速に接近してくる機影をレーダーが捉え、青年がそちらの方角の望遠映像を映し出させる。無意識のうちに両手両足の五指がそれぞれ独自に動き、青年の意識に追従してこられるかを確認していた。
 知らず知らず、青年の肉体は無意識下で戦闘態勢が整えられている。呼吸をするように戦ってきた男なのであろう。

「機体の操作方法は忘れていない、か。燃料は結構消費しているな。損傷は軽微、と。さて鬼が出るか蛇が出るか」

 自然と腰を落として重心を下げて前後左右あらゆる方向に瞬時に動けるよう構える。骨身に刻んだ闘争の構えだと、納得できた。モニターに映し出されたのは人型の機動兵器で、棘の生えたポールハンマーを構えた機体だ。ざっとレーダーに映る範囲でも二十機以上。

「二十対一、普通なら諦める所なんだろうけど、なんとかなりそうな気が済んだよね。これが」

 明確な敵意を持った敵に囲まれ、自身も口にした通り絶望的な状況でありながら、青年はこの状況を楽しむかの様に目を細め、コクピットの中で右手を顎先まで持ち上げ左手を腰の辺りに垂らして軽く拳を握り込む。
 ボクシングのヒットマン・スタイルに似ているが、おそらくは青年独自の戦闘技法に基づく構えだろう。見る者が達人の技量を持っていれば、隙が見つけられぬ構えに固唾を呑むのは確実だ。
 頭の中でいつゴングを鳴らすかと考えていた青年がそこではたと気が付いた。
 この機体→空飛べない。
 敵→空飛べる。

「これって結構なハンデだったりするのか、ひょっとして? まぁ、攻撃手段があるだけましってね」

 やれやれ、ま、仕方ないさ、といやにさばさばとした調子で、青年は割り切った。刹那主義的とも取れるが、生と死にさして頓着していないのだろう。
 あえて青年の心情を言葉にするならば出たサイコロの目を恨んでも仕方が無い。出た目で何とかするのが大人ってものさ、と言った所か。

「どこの誰だか知らんが、かかってくるなら早くしな。でないと、おれから行くぜ。こいつがな!」

 赤毛の青年の言葉が聞こえたわけでもあるまいが、高度百メートルほどで周囲を取り囲んだ謎の機動兵器“ベルグランデ”は、ショルダーミサイルを放ち青年とその乗機“ソウルゲイン”を、たちまちのうちに爆炎と煙の中に閉じ込めた。
 渦巻いて、四十メートル超のソウルゲインを呑みこむ煙を裂き、青い光が堰を破壊した鉄砲水の様に溢れて二機のベルグランデの鶏冠の様な角を生やした頭部を貫き、粉砕する。
124660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:30:08 ID:???
「青竜鱗。殴る蹴るだけがこいつの武器じゃないようでな。侮ると死ぬぜ、おたくら。はあっ!」

 今なお青竜鱗の高エネルギーの残滓がソウルゲインの両掌に残り、青く炎が燃えているかのようだ。青年の喉から短くも鋭い気合いが一つ放たれるや、ソウルゲインは頭上高く飛びあがり、上空で取り囲んでいた敵群をはるか追い抜いて太陽を背にした。

「玄武剛弾! でぇえええい!!」

 肘から握り拳までが急速に回転して、渦を巻き耳を劈く音を奏でる。殴りつける動作と共に、肘から煙が噴出してソウルゲインの両腕が竜巻のように回転しながらポールハンマーを構えていたベルグランデ二機のどてっぱらにそれぞれ命中する。
 みしりとベルグランデの外装が音を立てるや盛大に罅が走り、内部のメカニズムごと抉られ、貫かれる。重力の鎖に捕まって、落下しはじめるソウルゲインを狙って、残るベルグランデがショルダーミサイルやアームショットの狙いをつけていた。
 驚くほど柔軟な動きを示し特機タイプかつ足場のない空中でありながら、降り注ぐビームやミサイルをかわすソウルゲインの機動は、超一流のパイロットでなければ実現できないだろう。
 とはいえ、十数機以上残るベルグランデからの攻撃は到底かわしきれるものではなく、ソウルゲインの機体にいくつか被弾が生じる。

「ちぃ、流石にかわし切れんか。自己修復装甲? 便利なもので出きているな、至れり尽くせりってやつだが、こりゃこの機体……あー、ソウルゲイン? ソウルゲインを作った奴は尽す女だな、こいつは」

 旋回しソウルゲインに再接続された両腕の感触を確かめる為、かるく拳を開閉する。問題はない。しかし人型機動兵器の両腕を飛ばして敵にぶつけるとはなんとも大胆な攻撃手段を思いついたものだ。

「おれの動き通りに機体が動くってのはやりやすいが、ちと疲れやすい。長期戦になる前に片づけるに限らあね」

 ソウルゲインを叩き潰すべく左右から振り下ろされたポールハンマーの柄を握り締めて、受け止める。コクピットの青年の両腕にフィードバックされた衝撃がかすかに伝わる。
 パイロットの動きをダイレクトに機体に反映するダイレクト・アクション・リンク・システムとはいえ、実際には機体の状況などに合わせてOSが挙動を微調整しているし、またパイロットへ過負荷が伝わらぬように制限もしている。
 そう言った意味では完全な人機一体とは言い難いかもしれない。もっとも、機体の損傷にパイロットの肉体を同調させるようなシステムは危険と言う他ないが。
 ベルグランデ二機分のパワーを抑えるソウルゲインの前後へ他のベルグランデが距離を置いて降下し、肩内部に収納しているミサイルの頭を覗かせる。ソウルゲインは機動性や運動性、追従性の方を重視されたタイプだから、特機としては比較的重装甲ではない。
 自己修復機能を持つとはいえ、これだけの一斉砲火を浴びれば戦闘を続行するのには重大な支障をきたすダメージを負うのは間違いない。

「ふん!」
 
 ソウルゲインの両腕内部の人工筋肉が瞬間的に膨れ上がり、それまで掴み止めていたポールハンマーを、ベルグランデごと左右に振り回す。盾代わりにしたベルグランデが爆発を起してソウルゲインの青い巨躯を黒い煙の中に隠した。
 その煙を、ソウルゲインが投じたポールハンマーが突き破り、また別のベルグランデの頭や肩へと衝突して破壊する。
 ポールハンマーに遅れてコンマ五秒、銃口から放たれた弾丸の如く疾走するソウルゲインが、地表すれすれまで降下していたベルグランデの群れの中へと踊り込んだ。傍から見れば青い風が駆け抜けたかの様な速さだ。
 低く腰を落としたソウルゲインの両腕が霞んで見えるほどの高速で奔り、目に捉えきれぬほどの連打がベルグランデへと襲いかかる。ソウルゲインの拳を食らう度に装甲が砕け、内部の危機が臓物の如く零れ出す。

「白虎咬っ! お客さんはあと十四機か、ホストは辛いねえ」

 そう軽口を突きながら、ソウルゲインの風に踊る様な軽妙足さばきは休む事を知らない。時に踊る様に、軽やかに地を蹴ってベルグランデ達の間を縫うように動き回る度、ベルグランデの機体に大なり小なりの損傷が生まれてゆく。
 もんどりうって海面に倒れ込むベルグランデの頭を踏み潰し、ソウルゲインが波飛沫を浴びながら残る敵を見上げる。すでにソウルゲインと同じ地表に降下している敵機はいない。地を駆け、跳ね回るしかないソウルゲインと同じ土俵で戦う気はないという事か。
 空ばかり飛んでいられると、さてやり辛いが、玄武剛弾と青龍鱗で落としながら、高度を下げた敵を逃さず叩き潰していくか?
125660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:32:27 ID:???
 そこまで考えていた時、ソウルゲインのレーダーが新たな反応を捉えた。南方から高速で接近する機影がある。数は三機。ソウルゲインのデータバンクには照合しない相手だ。

「ありゃりゃ、敵か味方か。さてどっちだ?」

 ソウルゲインの見つめる方向から飛来したのは、アウルのエムリオンRC、刹那のサキガケ7S、スティングのオオワシアカツキだ。ソウルゲインとベルグランデとの戦闘を察知したエペソが向かわせた偵察部隊である。
 他の隊員たちは艦の護衛や機体の整備の為に出撃できず待機している。
 シラヌイパックから大気圏内戦闘用のオオワシパックに換装したアカツキのコクピットで、隊長役をアルベロから任されたスティングが、オープンチャンネルでベルグランデとソウルゲインへ通達しようとした時、それまで動かずにいたベルグランデが一斉に動いた。
 オオワシアカツキやサキガケ7Sへ向けて、ショルダーミサイル、アームショットの砲火を煌めかせてきたのだ。
 被弾する様な間抜けはいなかったが、逆に戦意を爆発させかねない短気なのは居た。アウルである。

「の野郎、撃ってきやがったぜ、スティング。全員返り討ちにしてやろうぜ。艦長からも先に手え出されたら叩き潰してい言って言われてっだろ」

 ここら辺の軍事的・政治的常識に掛け離れた好戦的な決断は、DCならではだろう。そのうち大問題を起こすかもしれない。

「待て、一応勧告をしてから……」
「そりゃするだけ無駄だと思うぜ」

 こちらの回線に入り込んできたのが、包囲されていた特機からのものだと分かり、こちらは話す気があるかとスティングは考え

「刹那、アウル、あの特機のパイロットと話す。話が終わるまで手を出すなよ」
「石頭」
「分かった。だが、早めに決断は下してくれ」
「ああ。特機のパイロット、おれはスティング・オークレーだ。貴官の所属と姓名、及びこの海域での戦闘目的は?」
「こいつはソウルゲイン。戦闘目的はむこうから襲いかかってきたんで不明だ。おれには戦闘の意思はないからな。で、おれは……アクセル、アクセル・アルマーだ」
「分かった、アクセル。所属は?」
「それが、分からんのよ。記憶喪失なんだな、これが」
「ふざけているのかそれとも本当の話か?」
「ホントホント、わけも分からず困っていたおれを、あの連中が急に襲って来て、そこにおたくらが来たってわけなんだな。こいつらの事はさっぱりわからん。友好的な相手ではないと思うがね」
「……ちっ、面倒な役を任された。しかし、数の多い連中、生命反応はあるにはあるが、妙だな。アウル、刹那、迎え撃つぞ!」
「オッケー、結局こうなるんなら最初からそうすりゃ良いって話だぜ!」
「サキガケ、目標を迎撃する」
「アクセル・アルマー、敵対行動は取らないと見ていいな?」
「あいよ。おたくらの方が話が分かりそうだし、ここはひとまず共闘と行きますかね」
126660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/08(月) 16:34:24 ID:???
 そして、クライ・ウルブズの三機とソウルゲインが残るベルグランデを壊滅させたのは、それから十分後の事だった。
 ベルグランデの残骸が散らばる砂浜の上に、ソウルゲインを囲んでアカツキらが降下していた。
 地球の主要国家で採用されているウィンダムやザクウォーリアタイプとそれほど遜色のない性能を持っているようだが、動かしているパイロットがそれほどでもないのか、パターンが予測できればさほど脅威ではなかった。

「アクセル・アルマー、二十分後におれ達の母艦が来る。文句があるかもしれんが、連行させてもらうぞ」
「ん〜〜。まあ仕方ない。おれとしても自分の記憶を取り戻す手掛かりがあるかもしれんし。あ、飲み物はコーヒーよりもよく練ったココアで。砂糖とミルクありありでよろしく」
「……呆れた奴だぜ」

 図太いというか楽天的と言うか、あっけらかんとしたアクセルの物言いに毒気を抜かれて、スティングは通信を一時切った。通信が切られている事を確認してから、アクセルは一人呟く。

「ディバイン・クルセイダーズ、か。どこかで、聞いた覚えがある様な……」



 おそらくは膨大な質量に閉じ込められた空間なのだろう。暗闇の一片も許さぬ照明に照らし出されながら、どこか肩にのしかかってくるような目に見えぬ重さが、その場に満ちている場所だった。
 MSが百機近く並び立っても十分に余裕のある空間だが、今は四つの機影と両手の指で事足りるほどの人影しかない。
 四機の人型機動兵器の足もとにそれぞれ一人ずつ立っており、彼らと向かい合う様にしてまた一人立っている。
 この向かい合う一人がこの場で最も高位の地位にあるもののようで、身にまとった中世欧州の貴族風の衣服の装飾が煌びやかだ。艶のある緑の髪を後頭部で束ねて垂らし、鋭い目つきをしているが、放っておく男の方が少ないだろう美女だ。
 他の四人もそうだが、眼もとの辺りなどにある赤い模様は民族的な風習によるものだろうか。がらんとして静寂の満ちる場所に、女のややハスキーな声が尾を引いて反響する。

「すでにシャナ=ミア・エテルナ・フューリー皇女殿下、総代騎士グ=ランドン・ゴーツ閣下の御名において発令された今回の危機的事態については知っているでしょう」
「はっ」

 四人の先頭に立つまだ少年らしい人影が短く答える。若い生気に満ちた溌剌とした声だ。

「貴方達はまだ経験も浅く技量にも未熟な所がありますが、これからのフューリーの未来を担う大切な役割を担ってもいます。それ故に、特別に貴方達に任が下ります。後ほど紹介しますが、ある地球人達と協力して地球圏の情勢を探ってもらいます。
 実際に命が下るまで鍛錬を怠らぬよう肝に銘じなさい。それまでの間、貴方達にはこれらの機体に慣れてもらいます。混沌とした情勢ですから、実戦の機会にも多く恵まれるでしょう。ふふ、うらやましいこと」

 傷に膝を伏した獲物を前にした肉食獣か、狩るべき獲物を前にした狩人の浮かべる高揚の笑みに近いものを、美女は浮かべていた。知的で怜悧そうな外見をしているが、中身の方はとんだ戦闘者だ。舌なめずりを堪えているのかもしれない。

「では、トーヤ=セルダ・シューン、来るべき時まで心身ともに鍛え抜く事です。父君の名に恥じぬように。……こう言う言われ方は嫌だったかしら?」
「いえ、父エ=セルダ・シューンの名に誓って。フューリーの騎士として恥じぬ功績を上げて御覧に入れます。フー=ルー・ムールー様」
「それは頼もしい事、ではさっそく私直々に手解きをしてあげましょう。ラフトクランズと準騎士機では性能に差があるけれど、四対一なら良い勝負になるでしょう」

 好戦的な本性を隠さぬフー=ルーの言葉に、トーヤの後ろの三人のうち二人がげ、という顔をしたが、フー=ルーとトーヤは気付かなかったようだ。

――つづく。
その期待を裏切る! というわけで、夜を統べる高校生はこうなりました。原作だと死んでないですしね。そういう場合はいろいろと手を加えて別人に仕立ててしまえ、と私の頭のどこかで悪魔が囁いたのです。
では、またいつかお会いできれば幸いです。ご感想・ご指摘などお待ちしております。
127通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 18:27:33 ID:???
GJ

こんなの統夜じゃねー!…とかいう痛い冗談はほどほどにしといて
女難の相はこっちでも同じなようですね


アホセルはDC入りですか…
ラミアの動きも気になる所です
128通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 18:30:12 ID:???
タイトルの時点でアホキター の歓喜。
やっぱりアホセルはいいね。
フー姐さんも出るし……トーヤの後ろの3人はやっぱ3人娘だろうか。

何かもう、ジブリールがDにおけるデルマイユポジションになりそうで仕方なく思える。
129通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 18:43:24 ID:???
乙!
って、まさかというかなるほどなーというか
まぁこういう展開も可能性としてアリかっていうか
『驚きました!!』
後ろの三人って、あの三人なわけですかね
フューリー名で出てきたが、ジュア=ムとの関わりがどうなってくるやら・・・

続きにワクテカしつつ期待してますぜ!!
130通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 19:01:58 ID:???
総帥乙!

なんと…トーヤと三人娘、2人乗りじゃなくても平気なのか
しかもトーヤは準騎士?ジュアはライバルなのかな?ジュアはしっかり躾れば良い忠犬(かませ的な意味で)に育ちそうだが
準騎士機と初期選択機三機かな?…あれ、か、カルビさん?

ヴィンちゃんレモンちゃんはジブリールの下にいるっぽいが、種運編では裏で糸引くタイプ大杉w

イスペイル、ヴェリニー、ガズムと愉快な仲間たちもそのうち勢力図に介入するんだろうかwww
131通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 20:39:55 ID:???
乙ー
キャンセラーなら二人乗り必須だけど、そうでなければ一人乗りでいいんでないの?
132通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 20:51:58 ID:???
総代騎士のおっさんが暴走するか影鏡あたりににラースエイム搭載機ぱくられでもしなけりゃ
キャンセラー使わなくてもよさそうだしな。
現状のフューリーは少なくとも地球とある程度の協調はするみたいだし。
133通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 21:00:36 ID:???
影鏡で機体パクってもフューリーじゃないとサイトロンテクノロジーは扱えないんじゃなかったっけ
あ、でも長い間浴びてるとか改造で山猫さんと三人娘は使えたし
影鏡の世界にもフューリーが居たとすれば・・・?
Wナンバーズは簡単な改造で使えるような気もするが

っていうか、考えてみればサイトロンとGN粒子って何だか妙に似通ってるような・・・
134通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 21:30:49 ID:???
Kプレイしてオルゴン・クラウドのチートぶりを再認識した
135通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 21:34:40 ID:???
連続ターゲット補正があるからこそ分身は輝くなあ……
136通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 23:38:21 ID:???
EN回復もありがたいよな。
自給できない割りに燃費激しいダンとかガイキング・ザ・グレートとかには特に。
137通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 19:06:08 ID:???
さすがにENLv1ではガイキング・ザ・グレートのENは賄えんだろ
防御薄い上に燃費悪いわのゴーダンナーにつけてたぞ自分
138通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 21:34:07 ID:???
GJ!
とりあえずシンが地上に一人取り残されたんじゃなくてよかった
これからしばらくは地上ルートと宇宙ルートで分かれるのかな
地上は各国の争いや魔装機神、A関係
宇宙はフューリー関係が当座のメインになりそう
139通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 03:01:46 ID:???
大空魔竜に付けていたおれに隙はなかった
敵の攻撃避けまくり地形無視でユニットを送り込む母艦はなかなかの力強さを誇った
140通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 08:02:17 ID:???
そろそろ未プレイスパロボが増えてきてネタについていけなくなりつつあるなぁ
DSも購入しないと
141通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 09:08:06 ID:???
オルゴンはなんだかんだでダンにつけてたな。
バリア・EN回復・分身・地形無視移動を全て活かせるから。
142通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 11:04:19 ID:???
俺はオルゴンはガイキング、時流エンジンはダンナーに装備させてたな

毎ターン分離してダンナーコンビネーション打って合体して止め刺してた
143通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 11:24:35 ID:???
スパロボ新作がSDキャラの壁を壊した件

アイアンリーガーとかラムネとか誰が予想したよ…
144通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 11:28:07 ID:???
スーパーロボット大戦NEO

ttp://imepita.jp/20090610/370170
ttp://imepita.jp/20090610/369790

ZやKのカオスっぷりを余裕でブッ千切ったラインナップですね
145通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 11:29:02 ID:???
146通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 12:40:30 ID:???
>>144-145
エルドランが全シリーズ揃ったのは凄く嬉しいけど3Dか・・・
ダイテイオーは声とか音楽どうするんだろ?
147通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 17:45:49 ID:???
この面子に負けないバンプレストオリジナルの面々が登場する……?
今度は一体どんなトンデモ機体になるのやら。
148通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:12:59 ID:???
このラインナップなら王道な熱血主人公がいいな
変に捻くれた奴はいらねぇ
149通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:15:27 ID:???
Gガンの代わりにSDガンダム入れて欲しかったぜ
150通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:22:20 ID:???
こうなるとラムネとリューナイトが出てなんでワタルが出ないんだ! という不満が残りますね。
151通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:24:22 ID:???
ワタルはグランゾートとレイアースと共に出るさ
152通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:28:36 ID:???
ガガガ以外の勇者同様版権がサンライズに戻ってないとかじゃねえの
153通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:32:20 ID:???
エルドランは戻ってきたのかな
トランスフォーマーに期待し始めてるんだが
154通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:34:15 ID:???
わーい、Gガン以外全部わかんねー!!

Gガンだけ改造すりゃいいから非常に判りやすいなこれは……
155通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:37:41 ID:???
勇者やワタルのスポンサーだったタカラ(とその親会社トミー)とサンライズ・バンダイの間
ではすでに話ついてるから
それ以外の版権関係なんだろうな
156通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:38:56 ID:???
新ゲッターとゴーショーグンがロボット的には馴染んでるがキャラ的には浮きすぎだw
157通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:40:55 ID:???
何か「任天堂据え置き機の法則」というか
64やGCの二の舞、いや三の舞になりそうに気がする
158通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:42:22 ID:???
出来はよくても売れないのか
159通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 18:52:11 ID:???
wii購入決定の俺
160通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 19:01:28 ID:???
>>144
アイアンリーガーwww
ネジが飛び過ぎだろw
161通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 19:37:18 ID:???
ライガーとか懐かしいな
当時ボンボン版見て女の子キャラが偉く可愛くなってたような覚えがある
162通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 19:54:07 ID:???
アイアンリーガーって原作イベントの再現どうすんだ?
インターミッションで済ますのか。
163通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 20:27:50 ID:???
>>154
悪いことは言わないからリュー・メイジ マジドーラの改造を最優先にしときんさい
損はしないからさ……


そう言えばリューって機動や秘術や魔法使うのにミストルーン必要なんだがそこんとこどうするんだろ?
キラキラ神霊界とかはミストルーン=魔力とか出来るだろうが
地球だと気とかを魔力扱いにするんだろうか?
164通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 20:40:49 ID:???
リューナイトだとまたソーディアンの出番か
165通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 20:44:31 ID:???
つか原作とアニメのどっちなんだろ
アニメならガルデンがジャンプシステムっぽくしれっと仲間になるが原作だとラスボスだぜ?
まあ原作ならガルデンがアサキムがせっちゃんにしたみたいなことしてくれるからそれはそれでいいが
166通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 20:46:05 ID:???
別に漫画のは原作ってわけじゃないと思うが。
167通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 21:52:16 ID:???
おいおいアイアンソルジャー否定したアイアンリーガーに戦争させちゃだめだろう……
168通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 21:58:18 ID:???
ラインナップを見るに人間同士の戦争じゃなければいいって方向で行くんじゃね。
169通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 22:01:43 ID:???
正々堂々と戦争開始!!
170通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 22:05:11 ID:???
ガンダムファイトのノリでなら…
171通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 22:58:47 ID:???
まさかのサッカーや野球マップ導入とかあったりして
172通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 23:07:28 ID:???
機械化帝国とアイアンリーガー達はなんかからみあるだろうな
ってそういやガンバルガーは掟大丈夫なのか?正体バレたら犬になるんだっけ?
173通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 23:14:11 ID:???
敵の爺さんがスポーツに感動してアイアンリーガーを戦いから解放するイベントとかどうすんだろ?
174通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 23:45:51 ID:???
多分、「戦っていいのです」と同じノリで何も考えてないに1ペリカ(´・ω・`)
175通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 23:50:26 ID:???
ダイテイオー参戦から他のエルドランシリーズは原作終了後参戦に
で序盤早々と復帰するが力を失っていて取り戻す展開とか
176通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 00:00:40 ID:???
小学生〜中学生時代ラムネにハマってたから物凄く気になる。TVだけなら割とまっとうな作品だが、面白いのはアニメ終了後の方だという作品だからな〜。
177通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 04:24:31 ID:???
ラムネ出るならダンクーガも出すべきだろ
178通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 08:55:47 ID:???
>>175
ガンバルガー・ゴウザウラーは新規なのにそんな扱いせんだろ。
でもそれだとダイテイオーの合流が遅くなるか…?
179通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 21:02:39 ID:???
 DCインパルスの星薙の太刀を見て、かっこいいぞシンと思うと同時に
 駄作機一歩手前のザフトインパルス(そういえばブラスト最大出力ビームの描写ってバスターライフルじゃ)の勝るところ一つもなしだなと思い。
 そこから(打倒DCインパルスとして)デスティニーがトンデモピーキー機体として開発される可能性が高まってパイロットのアクアさんマジカワイソと連想してしまいました。
180通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 21:10:30 ID:???
むしろDC製デスティニーを希望したい。色々無理あるとしても。
インパルスも最高ではあるが、やはりシンにはデスティニーにも乗って欲しい。
しかしザフトインパルスもあれでさらに全動力フル稼働させても支障なくなったら、トンデモな化物になるんだよな。
181通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 21:26:56 ID:???
そのたらが通るなら苦労しない。
182通常の名無しさんの3倍:2009/06/11(木) 22:33:51 ID:???
そのたらを通す為のデスティニー開発ならアクアさんも報われるんだが
183通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 00:09:14 ID:???
デスティニーよりもデスティニーインパルスの方がいいな
エネルギーは有り余ってるから史実みたいにはならんだろうし
184通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 00:48:07 ID:???
DCインパルスに形から対抗すべく、ビームランチャーとアロンダイトがドッキングした
謎な薙刀を無駄にピーキーなハイパワーで振り回す武者デスティニーとか。
185通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 02:49:55 ID:???
もう止めて!とっくの昔にアクアさんのライフはゼロよ!
186通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 05:55:43 ID:???
つーかパイロットと計器調整専門のサブパイロットがいれば少しはマシになるんじゃね?>ザフトインパルス
187通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 09:00:30 ID:???
単純にリアル系の飛鳥インパに対して、パワーが最大の売りのスーパー系なザフトインパという対比にすればよかったのに
つかぶっちゃけた話、総帥は最初絶対こんな欠点なんて考えずに、ザフトインパの4つエンジン設定作っただろ
総帥は一部の重箱の隅的レスまでいちいち真に受けすぎだと思うわ
おかげで自分で自分にツッコミを入れる形になって更に微妙な事になってしまってるよ
188通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 10:53:48 ID:???
物語中盤になるとイグニッションスイッチなるものが出て来て
数秒間の間目茶苦茶強くなるモードになるんだな
定番だからわかるぜ
189通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 13:19:38 ID:???
>>186
本来のTEアブソーバー同様の形が一番落ち着くか……アクアさんが乗ってるのを考えると少々皮肉な話。
190通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 13:29:09 ID:???
アクアさんのいぢられ属性は不変
191通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 19:07:28 ID:???
>>189
待てよ、TEエンジンを核エンジン、核動力をバッテリー動力に置き換えると、デスティニーはTEアブソーバーとなり、アクアさんとDFCスーツの再会に繋がるのでは。
192通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 20:10:23 ID:???
NEOの参戦作品はGガンと新ゲ以外何にも期待できない……。他のメンツが微妙すぎます……。
せめて、真マジンガーとセットで新ゲッターは出してほしかった……。
193通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 21:10:06 ID:???
>>192
直撃世代の俺に喧嘩売ってるのか
194通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 21:25:49 ID:???
>>191
TEならともかく核動力で何故にあのエロスーツ着なきゃならないんだwww

>>192
エルドラとラムネをディスるとはどういう事だ、ああん?
195通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 21:44:50 ID:???
しかし、アイアンリーガーをどうシナリオに組み込む気だ想像が出来ん。
それに3Dにはやはり違和感を持ってしまう……リアル投身なら問題ないけど。
どうしても2Dでなじんでいるので。
196通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 21:59:39 ID:???
中の人のギャラがかなりいきそうな気がする…
90年代前半が多いから今や中堅〜準大物ばっかりにならんだろうか
197通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 23:17:39 ID:???
ミネルバへ配属されるのが誰なのかわからないが
アークライトを元の種死でのシンのポジションに、とか思ってしまった

OGで出て欲しいんだけどなぁ
コナミと交渉してついでにANUBISも本家で出して欲しいです・・・
198通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 23:29:31 ID:???
戦争で家族を失い
オーブにやってきて親戚や恋人と平和に暮らすが侵略で
再び何もかもなくした所で偶然試作ロボを発見して乗り込んで戦う

こうですね!
つーか普通に話作れそうだ
199通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 23:56:52 ID:???
>>197
その前にドロレスだろ年代的に
逆襲スレで出てたがキラ及びシンに中の人的意味で致命傷与えられる存在だぞw
200通常の名無しさんの3倍:2009/06/13(土) 00:02:03 ID:???
ドロレスは立ち位置が微妙すぎるからねあ。コナミとサンライズの関係的に。
201通常の名無しさんの3倍:2009/06/14(日) 10:38:47 ID:???
TESTAMENTもな!

ちなみに種の火星事情は一切知らないので
描くとしたらZ.O.E火星設定のみになるだろう俺
202通常の名無しさんの3倍:2009/06/14(日) 12:11:42 ID:???
>>201
種の火星はテラフォーミングが上手く行ってなくてドーム生活を余儀なくされてる
火星植民者はコーディで、運命計画のモデルになった雇用体系が有って遺伝子段階から職業を割り振られ
それ専用の教育がされる
本人の努力と結果を出せれば他職種に転職可能

ただこれ以上は謎
Δ外道にて公開されたのは↑の設定位だ
関係有りそうなのは↓
セトナ(デス外道から登場)→プラントから送られたラクスと同じコーディネートを施されたコーディ
声や歌がプラント産コーディに影響を与えるとか
(コールドスリープしてたせいで若い、所謂ロリラクス)
ディアゴ→セトナの護衛兼世話係として造られたコーディで見た目ガロード
マーズジャケット搭乗、ラクスをセトナと勘違いしてAAを襲った

ナーエ→火星の元交渉・仲介者として造られたコーディ
結果を残し転職を果たした数少ない火星人
203通常の名無しさんの3倍:2009/06/14(日) 17:42:17 ID:???
>>202
サンクス
なるほど、参考になりました
生存圏に関してはZ.O.Eと似たようなもんか
セトナかぁ・・・ロリラクスって言い方だとかなりアレだが
歌声に関してはもうアレで公式になったわけかw
204通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 21:08:18 ID:???
それにしても総帥さんの職人ぶりはすごいあのボリューム!!ネタの濃さ!!クオリティ!!
しかも速筆!!しかも、運命編はアレがでるっぽいので80話を超えるかも……。あのあまり無理なさらず……。
しかしDCは下手に機動兵器で戦わずに、あのトンデモ武装(あのパワードスーツマジでヤバイ……)で武装させた兵士を内部からやれば量をひっくりかえせるのでは……。
205通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 22:51:33 ID:0XWGCFA2
今回パッフィーの乳揺れあるよな?
206通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 00:00:51 ID:???
町で1500円くらいでサルファの中古があったんだけど、Wをプレイしたためかあのシナリオが満足できなくなってしまった。
私はぜいたくだろうか……。
207通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 00:53:57 ID:???
いやまぁ、Wはクロスオーバーしっかりかましてる良作だしなぁ。
アレをやった後、普段のスパロボやると確かにきつい。


……とか言いながら某動画サイト見てムゲフロまたやりだした俺。
ハーケンはやはり良い男だと思う。
208通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 18:25:17 ID:???
Wの後に2次αとかMXとかやるのはかなり厳しいな
209通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 18:43:33 ID:???
Wは個人的には声(イベントも含む特にテッカマン関係)とそれと敵の歯ごたえとBGMもyou get burningやマジンカイザーのテーマを使用して
もうちょっと上げてほしかった。あと揺れを増やせば完璧です。

サルファもエロ成分なら豊富だけど……。
210通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 21:08:15 ID:???
>>207
ムゲフロはいいじゃないですか、むしろ開き直ってエロに走ったのは立派だと思います。
むしろOGはムゲフロ以上の追及してほしい。


211通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 21:12:48 ID:???
>むしろOGはムゲフロ以上の追及してほしい。
露出
揺れ


ふともも
履いてない

・・・ダンガイザーでも参戦させるか
212660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:06:43 ID:???
ディバイン SEED DESTINY 第11話 破滅 > 破滅


 格納庫内部へと収容されたソウルゲインを見上げ、メカニック達はシニカルとも取れる笑みを浮かべていた。グルンガストをはじめとした特機の運用も行えるスペースノア級の格納庫だから、ソウルゲインの巨体も問題なく収容は出来る。
 出来る、が

「チーフ、最近、ミシィ、ミシィって歩く度に音がする様な気が済んですけど、どう思います?」

 ニキビ面の若いのが、碁盤みたいに四角い顔の中年のベテランに言う。特機がソウルゲインだけとは言え、ずらりと並ぶMSの壮観な姿に感動を覚えるよりも、格納庫の底が抜けるんじゃないかと心配する気持ちの方が最近はとみに強い。
 不精者らしく、ところどころ、頬や顎にぽつぽつと残ったそり残しの髭をいじりながら、中年メカニックは、

「下らねえこと言うんじゃねえ。ムゲンシンボの積載許容範囲内の重量だ。後一千トンはイケるわ。それよりもだ、このブツのデータ取りはどうでえ」
「はあ、データバンクん中にあったのと大体同じでしたわ。どういうわけなんすかね? DCってこう言う事、たまにありますよね。見た事も聞いた事もない筈の機体のデータが、既にあるって。これも実はゾルダーク総帥直属の開発班が造ったとか?」
「さあな。自己修復装甲に、ダイレクト・アクション・リンク・システム、搭乗者の生体電流を機体出力に反映させるシステムか。シン坊主の機体に役立ちそうなモンが目白押しだな」
「アスカっすか。機体にちょっと、つーかかなり無理させる癖ありますけど、戦果はバケモンすね。おれより三つも年下だってのに、連合やザフトでもあいつと同じ年であれだけ戦える奴っていないでしょうね」
「け、斬艦刀の出力調整を過剰にやり過ぎて、電装系イカれさせるようなざまじゃあ、一流のパイロットとは言えねえやな」
「厳しいなぁ〜。DC屈指のエース相手にその評価ですかい」
「てめえはべらべら喋り過ぎだ。手ぇ動かせ、手ぇ!」
「はいはい」

 スパナを握った手を振り上られて、若いのはやべ、と舌を出して言われたとおりに手を動かし始めた。
 問題になっていたソウルゲインの搭乗者であるアクセルは、SMGを構えた保安員や阿修羅を腰に刷いたシンに周囲を固められて、連行されていた。
 戦闘能力を考えればアウルやステラ、スティングでも問題はないが、シンの持つ野生の獣以上の超直感なら、アクセルがこちら不意を突いて暴れる前に察知して対処できると判断されたのだろう。
 ただの木刀と侮るなかれ。九十センチほどの木刀に込められた最初の師の念と、二人目、三人目の師から学んだ剣の技が加われば、音速の壁を越え、風を巻いて唸り、MSの装甲も斬り裂く妖刀の切れ味を帯びる。
 アクセルが通されたのは、エペソの待つ艦橋だ。アームレストに肘をついたままアクセルを迎えたエペソは値踏みする為に、爪先から頭のてっぺんまでを見回した。エペソの露骨な視線に、むず痒さを覚えたが、アクセルは堪えて口を開いた。

「あー、あんたが艦長さん? アクセル・アルマーだ。よろしく」
「ふむ。バン・バ・チュンの報告通りだな」
「なんか言ったか?」
「聞き間違いであろう。記憶喪失というが、本当か?」
「純度95%の記憶喪失さ。残り5%は、ソウルゲインの操縦方法や整備の仕方と、おれの名前、一般常識に女の愛し方さ。こいつがな」

 エペソの瞳をまっすぐ見つめて、面白がるように肩を竦めるアクセルに、ふむ、と頷く。感心しているのか興味が無いのかなんなのかさっぱり分からない。
 辺境銀河で異星文明と長い事戦争をしていると、ポーカーフェイスが上手くなるらしい。ま、ここ二年は別世界で人間同士の戦争に加担しているのだが。

「臆した様子は欠片もなしか。怯濡に塗れた男ではないようだな。ではあの機体の開発元や、貴公の所属する軍隊も記憶が無いと?」
「生憎ときれいさっぱり。頭ン中を消しゴムで消されたみたいにな」

 あっけらかんとしたアクセルの声の調子は、ひょっとしてこの男記憶が本当はあるのではないか、あるいは、記憶を取り戻すつもりはないのではないかと思わせる。
 ずっと前に国家ではなくなった極東の島国の、女形という役者でも通用しそうなエペソの細面に、一瞬だけ興味深げな色が浮かんだ。これは、バンからの報告になかった事態だ。
思いがけぬ、ともすればこちらの首を絞めるかもしれないカードが手に入ったのかもしれない。最悪、パイロットを始末して機体だけ手に入れるのもありだろう。
213660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:07:52 ID:???
 それから更に十分ほどの短い尋問が行われて、アクセルは医務室へ行って診察を受ける様にと指示を受けた。
 アクセル本人がそれでいいのかねえ、と思う様な簡単な話で済ますものだから、首を捻り捻り、保安員達に囲まれながら船内の通路を歩いている。保安員達は石から彫琢した石像の様に硬い表情のまま、前後を固めている。
 ベルトで肩から下げたSMGだけでなく、手首に巻いた腕時計型モジュールの中には単分子ワイヤーや、水牛も一発で眠らせる麻酔薬入りの直径一ミクロンのニードルガンが仕込んである。
 保安員達の両手を覆う金属製の手袋らしいのは、小型バッテリー内臓で、最大一万ボルトの電流を流すEグローブという品である。およそ生物相手なら無敵と言える装備だ。
 いかにアクセルが達人クラスの技量をもっていても、おいそれと斃せる相手ではない。ましてやここにはシンがいる。
 MS登場以前に戦場の花形であったパワードスーツと真っ向から対峙しても、最悪でも相討ちには持ちこめるだけの戦闘能力を誇る半人外なのだ。これでまだ全盛期の体のキレには、ちょっと及ばないなあ、とかシン本人は考えている。
 彼の師匠連中はそれ以上の大化け物なので、シン自身には自分が強いという実感が今一つない。三人の師匠それぞれが、剣一振り持って小規模な軍事基地なら、殴り込みをかけて本当に攻略出来てしまいそうな連中なので、仕方が無い。
 シンがいま一つ自分の実力を過小評価しているのは、中身が思春期真っただ中の普通の少年と言うのもある。一日の三分の一位はステラやセツコ、前にアメノミハシラの風呂で網膜に焼きつけたDC女性陣の裸の事を考えていたりするし。頭の中は桃色だ。
 そんな事ばっか考えているものだから、自分が常識はずれの実力の持ち主だとか考えないらしい。ある意味で厨二病と言う奴と縁がある様な無い様な。う〜む。面倒くさい奴だ。
 シンが緊張を四肢の末端にまで巡らしていると、前方の通路から聞き慣れた声と感じ慣れた気配とを感じた。クライ・ウルブズのむさっ苦しい男共にとっての潤いたるセツコやステラをはじめとした女性陣だ。
 最近仲良くなったエウレカや、オペレーター関係の若いのも一緒だ。パイロットの比率が男に多く傾いているから、良く顔を合わせて話をするオペレーターに多く女性士官が採用されている。そのため、艦内の女性同士の交友だと、大体上記の構成となりやすい。
 二十歳前後の若い女性、しかもいずれもが美人揃いと来て、自称女の愛し方は覚えているというアクセルが、おひょ、となんというか間抜けな声を出した。色好きのおっさんの様な声だったものだから、シンや保安員は呆れた表情をした。

「あ、シン」
「え、シン君?」

 飼い主の匂いを覚えている犬よろしく、視界には入っていなかった筈のシンの存在にステラが気付き、くるりと首を巡らしてシンの名前を呼び、つられてセツコもシンの方を向く。セツコの心中でもシンの存在は少しずつ大きくなっている為の反応だろう。
 シンに反射的に駆け寄ろうとするステラを、保安員達の姿に気づいたセツコが慌てて首根っこを捕まえて止める。親犬に首筋を甘く噛まれて止まれた子犬みたい。これがまた可愛らしいもんだから、一緒に居た女性陣がほわん、と頬を綻ばせる。

「う〜〜」

 と、ちっとも怖くない唸り声と顔でステラは、自分の襟を掴み止めているセツコを振り返って睨んだ。こんな声と顔とでは泣いている赤ん坊が泣きやんで笑いだすだろう。戦闘時でないステラは、人畜無害という言葉の化身となる。
 可愛いなあコンチクショウ、とシンも多分何百回目かになる感想を抱いていた。そんなステラの額を、ちょん、とセツコが人差し指で突いて、眉根を寄せてお説教を始めた。こちらもまた怒っていても全然怖くない。見ている方が微笑ましくなる姉妹姿であった。

「めっ! シン君は今忙しいんだから、邪魔しちゃだめよ」
「……どうしても?」
「どうしても」
「だめなの?」
「だめなの。シン君の為なんだから我慢できるでしょう、ね?」
「ふぅう……うん。我慢する」

 ゆっくりと小さな子供に言い聞かせるように優しいセツコの説得を聞き入れたステラが、しゅん、と肩を小さく落としてから、シンに向かってにこっと笑いながら手をにぎにぎ開いたり閉じたりする。
他の人達の目線が槍衾みたいにシンの心と体に突き刺さるわ、エウレカや他の女性陣が笑いをこらえているわで、恥ずかしいったらありゃしない。
214660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:08:51 ID:???
 穴があったら入りてえ、と心の底から思うシンを振り返り、にやにやとした笑みを浮かべていたアクセルがからかう。

「ステラちゃんにセツコちゃんねえ。そっちの薄緑の髪の子もガールフレンドかい? シン君とやら。色男め」
「なっ」

 何言ってんだ、とアクセルの言葉を遮ろうとしたシンの声は、ステラのセリフによって遮られる。

「エウレカはレントンのだよ」

 何気ない爆弾発言であった。エウレカは、という言い方だと、逆に自分はシンのだよ、と言っているようにも解釈できる。この場合、ステラはセツコもシンの、と思っていたかどうかは謎だ。
 とはいっても、エウレカは“そっち”方面には疎い様でステラの言葉の意味が分からず、頭の上に?を浮かべている。周囲の女性陣や、慌ててステラの口を閉じようとするセツコだけが反応している。

「はっはっはっは、そうかそうか、いや、ここは愉快な船だな! 気に入ったよ」

 げらげら大笑いするアクセルに、シンははあ、と重た〜い溜息を吐く。どうにもこうにもこちらの調子が狂う男であった。



 今にも圧し掛かってくるよう重苦しい曇天の下で、芝居がかった仕草で両手を広げ、おもむろに胸の前で指を組み、切なげな表情を浮かべて、一人祈るように言葉を紡ぐ人影があった。

「ああ、アクセル。どうしておれはアクセル・アルマーなの?」
「……なにしてんの、アクセルさん」
「お、シンか。愛してはいけない男を愛してしまった女の苦悩を、記憶の無いおれに対する苦しみに置き換えてみたのさ。これがな」
「一人でロミオとジュリエットね。そこら辺の記憶と言うか知識はあるんですね。こう言っちゃなんですけど、そんな事より出身地とか家族の記憶でも覚えていた方が良かったでしょうに」
「そうでもないさ。少なくともシェイクスピアの作品に目を通す環境にあった事は確かだしな。あるいは、ロミジュリみたいな恋愛をしていたのかもしれん」
「前向きなんですね」
「で、お前さんはどうしたね? セツコちゃんやステラちゃんが一緒じゃない所を見るとデートってわけでもないようだし、おれの監視かい? デートっつっても、戦艦の甲板じゃムードもへったくれもありゃしないわな」
「はは、まあ、なんというか」

 腹芸の『は』の字もないシンの曖昧な笑みに、やれやれとアクセルは肩を竦めた。一見するとシンはどこにでもいる様な少年に見えるし、纏う雰囲気も年相応のものだ。
 だが、何気ない足運びや目線の配り方、機械的なまでに正確な呼吸が、シンがただの少年ではない事を暗に告げている。軍服のベルトに剥き出しの木刀を刷いた姿は異様だが、それを握った時が、シンの本性の一つが出る時だろうとアクセルは見当をつけている。
 また、そう言った事が分かる程度には自分自身も武術なり格闘技なりを齧っていると判断する事も出来る。それだけでも白紙の状態から一歩進めたわけで、大人しくスティングの勧告に従って、タマハガネに着艦した甲斐はあったわけだ。
 エムリオンRCとサキガケに両脇を抱えられる形でタマハガネにソウルゲインを収容させた後、アクセルは医務室で診察を受けた後、さらに機動部隊の隊長陣――アルベロ、ジニン立ち会いの下小一時間ほど簡易尋問を受けている。
 その後記憶喪失であるという本人の弁を確かめる意味もあって、医務室での診断の結果、記憶喪失は本物とされた。
 それから、先程艦内をある程度で歩いて良いという許可が与えられるまで宛がわれた個室で寝転がっていたが、ゴロゴロするのも飽きたのでこうして潮風に当たりに来たわけだ。
 シンは、ユニウスセブン破砕に際して、細かい調整なしに戦闘中に最大出力で斬艦刀究極奥義・星薙ぎの太刀を使用した反動で、飛鳥シルエットとチェスト部分や、コアスプレンダーの電装系に問題が生じた為、スティング達が出撃している間艦内で待機していた。
 現在も飛鳥シルエットと斬艦刀、インパルスのマッチングの為の調整作業中で手が空いていた事と、生身での戦闘能力を買われてアクセルに張り付いているようにアルベロに命じられ、こうしてアクセルの傍に居る状況に至る。
 人類の規格を外れかけているような師匠達に鍛えられたシンの目から見て、アクセルは高度な体術を身につけているのだろう、という事をなんとなく感じていた。アクセルがシンの戦闘能力をなんとなく察したのと同じ理由による。
215660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:09:50 ID:???
 それに加えて、メカニック達が、ソウルゲインが搭乗者のモーションを機体の動作に直接反映させる特殊な操縦システムを搭載しているらしいと話をしているのを耳にしていた。
 刹那達に見せてもらったソウルゲインの戦闘映像とメカニック達の話を統合すれば、アクセルは並みならぬ戦闘技能の保持者である事は容易に察せられる。
 口の軽い、どこまでも陽気なお調子者のように見えるが、それが果たしてどこまで真実なのか、まだ付き合いが一時間にも満たないシンには判じ得ないが、記憶喪失は本当らしいと言う医師からの報告と、直感を信じるなら悪い人間ではないと思う。
 そんなシンの複雑な心境を知ってか知らずか、アクセルはふんふん鼻歌を歌いながら、おれの鼻歌を聞けぇー、などとのたまっている。緊張感の無い人だなぁ、というシンの胸中をよそに、アクセルの鼻歌は徐々にヒートアップしていた。
 はあ、とシンの口からやや疲れた溜息が零れたのも、無理はない。しかしまあ、器用に鼻歌を歌うものだ。音楽でも齧っていたのかだろうか?



 船内にある艦長室に、エペソとアルベロ、ジニンの異世界からの来訪者兼クライ・ウルブズの上層部三人が集まっていた。スティング、アウル、刹那が拾ってきた記憶喪失の青年アクセル・アルマーの処遇に関する話し合いがもたれている。
 もっとも、この部隊に入って日の浅いジニンはともかく、エペソやアルベロはすでに判断を半ば決めているようなものであった。今は宇宙に居るビアンならば、どう判断を下すかと言う事もおおよそ見当がついている。
 このままオノゴロ島へ戻って、直属の上司であるミナへアクセル以外の事も含めて報告するわけだが、アクセルに関してはこちらの言い分をミナが認めるだろう。
 同じような境遇の連中の集まりと言う事もあるが、類は友を呼ぶと言うべきか、異世界から来たもの達は引かれ合う様にして出会う事が往々にしてある。その多くが戦場や、軍に関係する場所であるのも、作為的なものが感じられるほどだ、
 というよりは、呼び込まれる人間が直接・間接を問わず戦争に関係のある人物であり、生前の世界の技術や知識、機動兵器をこのコズミック・イラの世界に持ち込んで休息に戦火を拡大し、軍事技術を向上させてきたのが、これまでの過程だ。
 前大戦後も続くその現象が、さらに続けばこの混迷した状況とあいまって地球圏の軍事技術は飛躍的に向上してゆくのは間違いない。アクセルとソウルゲインもその膨大な氷山の一角として呼ばれた存在であろう、というのがエペソとアルベロの見解であった。
 厳密に言えば、必ずしもアクセルが異世界で死んだ身とは限らぬという可能性も、二人の脳裏にはあった。その可能性を確認する様に、ソファに腰掛けていたジニンが手の中のハンドコンピュータの画面から顔を上げる。

「アフリカのバン代表からの情報によれば、アクセル・アルマーはシャドウミラーと呼ばれる特殊部隊の人間と言う事ですが、やはりスパイでしょうか?」

 ジニンの懸念は当然のことと思いつつ、エペソはその可能性を否定する言葉を口にした。

「いや、軍医からの報告では記憶喪失というのは間違いないとの事だ。わざわざ記憶を失った状態でスパイを送り込むとは考えづらい。あるいはこちら側へ来る時の転移でアクシデントでも生じたのかもしれん。
 いずれにせよ、しばらくは我らの懐の内で飼うしかあるまい。それに、あの男を手元に置いておけばシャドウミラーの方からの接触もあるだろう。あるいはアクセルが記憶を取り戻して裏切るかもしれんが、その時はその時だ」

 何も考えていないのか推し量れぬ深謀深慮があるのか、なんとも分かり辛いエペソの鷹揚な発言に、眉を顰めてジニンが質問を重ねた。

「リスクが大きすぎるのでは? 場合によっては部隊の壊滅につながりかねません」
「貴公の懸念も理解はできる。バン代表のノイエDCが壊滅した要因も、かのシャドウミラーにあるのだからな。我らが二の轍を踏まぬとも限らぬ。かといってどこぞに幽閉しておくのも難しい。
 連中は潜入工作のエキスパートだ。内外のいざこざに追われるDCの内部に置いておいては、みすみす救出を促す様なものよ。我らの手の内に置いておく方が何かと都合が良いのだ」
「艦長のお考えは分かりました。しかし、総帥の居ない今、DCにとって我々クライ・ウルブズの戦力は欠くべからざるもの。アルマーへの警戒は怠らざるべきでしょう」
「肝に銘じておこう。アルベロ、貴公の見解はいかがか?」
216660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:10:44 ID:???
「どちらの言い分もわかる。すでにシャドウミラーの連中がこの世界に深く関与している事は、ユニウスセブン落下の時に明らかになっているし、警戒しておいて損はあるまい。
それに状況が状況だ。本土に戻ってもしばらくは落ち着く事は出来んだろう。アルマーの正式な処分が下るのは暫く先になる算段の方が大きい。とりあえずはあいつと実力行使で干渉してくるだろうシャドウミラーの連中への警戒を密に、と言った所だ」
「こうなると、バルツフィームにサイレント・ウルブズを派遣したのが惜しまれるな。あそこにはリルカーラ・ボーグナインとユウキ・ジェグナンが出向中であったか。サイバスター以外の魔装機神も近く完成すると聞いた」
「ヴィガジ達が抜けた分の補充に出て、もう二カ月になるな。ヴィガジ達が機体と共に抜けたという事は、インスペクターの連中の親玉か上官がこちらに現れたという事だろう」
「ゾヴォーグの文明監査官……。DSSDのステーションを襲っていた部隊もそちら側であろう。それに、地上・宇宙各地で部隊単位での失踪事件が発生している。彼らの所業であろうから、地球人類以外の脅威の出現も、そう遠い未来ではないな」

 現在、DCが真っ向から敵対している勢力が、地球連合(大西洋連邦・東アジア共和国・ユーラシア連邦)。これから本格的に戦闘状態に移行するであろう敵性勢力がシャドウミラー、ゾヴォーグ。
 それに今日、スティングらが戦闘した謎の機動兵器群に、デスピニスやティエリアらを陰で操る者達。今は同盟関係にあるザフト及びプラントとも、戦況次第では敵対するだろう。そうなった時に大洋州連合がどちらにつくか。
 また宇宙で独自の勢力を築き上げた正統オーブに、前大戦最終決戦時に姿を現したガンエデン一派と、闘争をおこなう相手には事欠かないのが現状だ。
 アフリカ大陸や南アメリカ大陸、赤道連合を傘下に収め人員や資源が爆発的に増加しDCの国力と戦力を持ってしても、名前を挙げたすべての勢力と事を構えるのは無理無茶無謀の三つの言葉に尽きるだろう。
 味方と言えるのが神聖バルツフィーム王国とその周辺国家に、反ユーラシア連邦政権・反地球連合を掲げる反政府組織カタロン位か。DCが把握しているだけでもこれだけの勢力への対処を考えなければならない。
 中立勢力は、スカンジナビア王国に汎ムスリム会議。スカンジナビア王国は、カタロン・バルツフィームとの共同戦線がユーラシア連邦との戦いを、優勢で推し進めればこちら協力させるのも容易くなるだろう。
 汎ムスリム会議は、アフリカの戦線を北上させてジブラルタルの辺りまでDCの勢力下に治めれば、こちらが働きかけずとも接触は求めてくるだろう。
 実質上、地球圏でも最もMS関連の軍事技術に遅れているし、すでに石油資源は枯渇しているから国を潤す基盤となる資源にも乏しい。宗教的な問題という極めて厄介なものが付随してくるが、アラビア半島の統治権を委ねるとでも約定すれば交渉の仕様はある。
 上気した勢力以外にもしっぽを掴めずにいる相手もいるだろうから、これから安息の日が訪れるのは何年、あるいは何十年先になるか分かったものではない。恒久的な冷戦状態も、この情勢を利用すれば実現可能と思えるような世界であった。



 ミネルバを引き連れたタマハガネがオノゴロ島の造船ドックに入港し、ユニウスセブン落下阻止の戦闘から受けた損傷を、修復に掛かるのに合わせて、クルー達に休息が与えられる。
 港には輸入された資源を最大限に利用して多数建造されたストーク級空中母艦やキラーホエール級などが、ずらりと並んでいる。
 タケミカズチ級や、タケミナカタ級の空母も前大戦から現役続行中で、護衛のイージス艦や駆逐艦、Eフィールド搭載の特装艦も顔を並べている。いずれも飛行能力を得たMSとの戦闘を想定して対空火器の充実が図られていた。
 それらの並ぶ中に威容を収めたタマハガネとミネルバの下へ、ビアン不在の情勢下で、一手に国政と軍事を担うロンド・ミナ・サハク副総帥がユウナ・ロマ・セイランと護衛のソキウス達を伴って迎えに来ていた。
 前大戦時から最も多くの軍功を挙げ、DC内で英雄的な扱いを受けている彼らの心労を労う為と、実際にユニウスセブン落下に居合わせた彼らに地球と宇宙の通信が断絶された現象について心当たりが無いか確認しよう、という腹積もりもあるだろう。
217660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:11:48 ID:???
 タラップを降りてきたエペソを、黒衣の美女が迎える。190センチの長身は変わらず体の中に鋼鉄の芯を通したかの様に一部の隙もない。踝まで届く夜の闇から切り取ったような漆黒のマントも腰に届くまで延された深い色合いの黒髪も二年前から変わらない。
 ぽつんとそこに浮かんでいるような紅唇は、かすかに笑みの形を浮かべている。未曽有の天変地異に対して各国や国民への対処で寝る間もあるまいに、影の軍神と称され畏怖される女傑のかんばせに、疲れの影は見えなかった。DC副総帥ミナである。

「ご苦労だったな。エペソ」
「わざわざ副総帥自ら出迎えてくれるとはな。時にアメノミハシラと連絡は着いたのか?」
「いや、そちらは未も不通のままだ。DCだけでなく地球上の全国家が同じ事態に陥っているようだ。これではせっかくのマスドライバーも何の意味もない。宇宙からの物資が途絶え、これから先の事態に恐慌に陥るものも少なくない。
 そう言う意味では、地球からの資源が絶えた宇宙の方が一層深刻ではあろうがな。ともかく、今は疲れを癒すがよい。嫌が応にもこれからお前達には働いてもらわねばならぬ」
「組織の歯車である以上は避けられまいな」

 皮肉をたっぷりと聞かせたエペソの冗談に、ミナはそう言ってくれるな、とわずかに苦笑した。階級を無視したやりとりに驚く者はいない。エペソが、DC内で総帥や副総帥と対等に近い関係にある事を、知らぬ者はこの場にはいなかった。

「それで、地球連合とザフトの動きはどうなっている。すぐさま軍事行動に移るとも思えぬが、そうも行かぬかな?」
「ユニウスが落ちなかった事で地上に被害は出なかったが、ユニウスセブンを落とそうとした者達の映像は地上に流れてな。ザフト軍がユニウスセブンを落とそうとしている映像が、だ」
「……なるほど、我々もそれに一枚噛んでいる事にされたわけか」
「そうだ。ユニウスセブンは、DCの支配地域には破片が落下しないよう計算された上で落とされた、とな」
「信じ難い話だが、しかし信じ難きを信じやすくするには十分な状況にあるな。終末思想が蔓延してもおかしくないような空模様だ。それをユニウスセブン落下の所為にし、荒れる人心の矛先を我らに向ける。うまくやれば効果的だ」
「も〜、エペソ大佐も副総帥も、何でそんな他人事みたいに言えるのさ! うちの傘下に収まっている国からも嫌な眼で見られているんだよ!」

 ややヒステリックなユウナの叫びに、エペソとミナがちらっと眼を向けるが、それだけでまた目線を前に戻す。ウナト同様にDCの政治を支える有能な人物だが、肝の小ささがいまだに変わらない。
 彼自身が全ての責任を負って先頭に立たねばならぬ窮地に陥っていないためだろう。それが幸か不幸かはまだ分からぬが、いずれDCの未来を担う人材なのだから、このままではちと困る。
 というのが、ミナの考えで、武人肌のエペソはさほどユウナに期待はしていない風だ。エペソの場合、DCに対しての執着というものが強くないのが理由の一つだろう。DCという地球人の集まりの輪から外れ、外から地球人達を眺めるのも一興と考えている。

「それをどうにかするのが貴公らの役目ぞ。余は余の役目は果たしているのでな」
「そう言わないでよ。ただでさえ総帥やギナにマイヤー総司令との連絡がつかないってのにさぁ。他の国もおんなじだからまだ救いはあるけど。でもなんかインド洋とか太平洋で動きがあるんだよ。
 防衛ラインと部隊の再編成もしなきゃだから、君らにも働いてもらわなきゃなんだよ。他人事とスマした顔していても、無関係じゃいられないんだからね」
「ふむ、子狸が喋るな。まあよい、向かってくる敵あらば尽く海の藻屑に変えてくれる。それでよかろう。しかしDC本土を狙うなら地球連合の保有する艦隊を引き換えにする覚悟が必要になる。
 それをしては、地球連合内部での抗争や地球のザフトとの戦闘に差し障りがある。それを成すには時期尚早。狙いはカーペンタリアか、大洋州連合への恫喝か。カーペンタリアと言えば、ミネルバの事、よろしく頼むぞ」

 今まで忘れていたらしい。ミナとユウナが、分かったと短く答えた。ザフトの最新鋭艦とMSにさほど興味が無いらしい。自軍が使っている兵器の異常性を熟知しているための反応だろう。
 主力兵器であるMS、PTの性能とコストが極めて高い水準を維持し、また数も十分に揃っているというのもあるが、やはりなんといっても特機系の充実ぶりだろう。
218660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:13:30 ID:???
 ラストバタリオンをはじめとした精鋭部隊にはヴァルシオンの量産型、ヴァルシオン改が配備されているし、一般部隊にもグルンガスト弐式の配備が進んでいる。
 グルンガスト系列はシンのデータを参考にしているから、だいぶ近接戦闘に特化しているが、特機用の大出力火器のオプションも配備しているから釣り合いは取れている。
 前大戦で大破したネオ・ヴァルシオンの大改修も予定の八割を消化しているし、ヒュッケバイン、ヒュッケバインMk−Uに続く新たなヒュッケバインシリーズもじきにロールアウトするだろう。
 それを任せる人材も十分にいるから運用には困らない。とはいえ、だ。世界中の敵意を向けられる事になる国民の感情は決して穏やかな筈もなく、不安、不満、恐怖といったものが高ぶった民衆が暴動を起こすことだってあり得る。
 地球上のどの国とて、地球が断絶された状況は歓迎せざるものであるが、DCの場合はさらにその要素が強い。一番状況が辛いのは、たった二つしか軍事基地が存在せず、互いに連絡を取る事が困難なカーペンタリアとジブラルタルのザフトだろう。

「地球連合が動くのを待つか、我らから仕掛けるか。とりあえずはクライ・ウルブズにはミネルバを無事カーペンタリアまで送ってもらう事になるだろう」

 ミナがビアンの不在の間代わりの主となっている執政室にエペソを案内し、手ずから淹れた茶を振る舞った。桃花茶という、古代殷王朝で飲まれていたという、厄除けの効能もあるお茶だ。
 立ち昇る香りを楽しみながらのミナのセリフに、エペソが面白げに答える。

「ついでに大洋州連合への脅迫も兼ねてか?」
「ふ、交渉だ。あくまでもな。大洋州連合も苦しかろうがな。もともと非プラント理事国と言う事もあって、プラント側の立場にあった。
 昨今は我々DCとの関係に頭を悩ませ、プラントから我らに鞍替えしようと考え始めた途端、ユニウスセブンの落下事件でそのDCとプラントが地球の敵にされた。DCとプラントどちらに加担した所で、他国や国民から槍玉に挙げられるだろうな」
「かといって、今さらDCやプラントから地球連合に頭を下げても冷遇されるのは目に見えているな。いずれにせよ進退窮まったか。どうすると思う? 覚悟を決めて我らかプラントとあくまで歩調を合わせるか。地球連合に膝を屈するか」
 
 喉を熱いものが流れるのを楽しみ、エペソがミナの言葉を促す為に視線を向けた。水晶から整えた様に涼やかな瞳は、ミナの大粒のルビーを思わせる瞳を見つめている。

「大洋州連合で開発している新型兵器のお披露目には真似かれた。つい数時間ほど前にな」
「随分と早い決断だな。プラントを見捨てるか」
「どうかな。あるいは宇宙と連絡のつかぬうちにプラントと決着を着けておくのも一考の価値はある」
「アメノミハシラが落とされるとは考えぬのか?」
「まさか。地球連合とザフトが手を携えても難しい事だよ、それは。マイヤーほど経験に富み、兵の心を掴んだ将は地球連合やザフトにはそうはおらぬ。……持久戦に持ち込まれると危ないがな」
「ヒリュウ級も就航間近だったな、そう言えば。余としてはビアンと連絡が取れた時、笑われぬよう屍の山と血の河を築くまでの事」
「お前、最近血の気が多いな? 鬱憤でも溜まっていたのか」
「久しぶりに戦の匂いを嗅いだからもしれん。これからいくらでも嗅げるかと思うと、血が疼くのだよ」
「いくさ人と言う奴か。救い難い」
「まったくだ」

 雪解けの季節に吹く風の様に爽やかに、エペソは笑った。
219660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/16(火) 23:17:25 ID:???

 *

 オノゴロ島やヤラファス島から離れた小ぢんまりとした無人島を飾る木々の中に、身を伏した人影が、空を舞う巨大な影に気づき、息を潜める。およそ尋常な人類とは思えぬ外見である。
 機械のガイコツと言えばよいのか、額のあたりから上がそのまま黒光りする角になっていて、巨体のあちこちにはパイプやら鈍色に光る装甲が目立っているし、まん丸い瞳はぼんやりと輝いているし、尖った牙だけが並んだ口は歯茎が剥き出しだ。
 今も小さな子供達が大好きな特撮ヒーローやヒーローアニメの中に出てくる、サイボーグか何かの悪役みたいな姿である。突然こんなのが目の前に現れたら、十人中十人の子供がひきつけを起こしそうだ。
 実際テレビ画面の中で毎度魔法少女に吹き飛ばされるマッドサイエンティスト役を、絶賛熱演中の、イディクス幹部イスペイル様である。
 ユニウスセブン落下に際し、突如地球を覆った空間の断層や、南極に突如流れ込み始めた負のエネルギーに気づき、密かにイスペイル印のマイナスエネルギー収集装置を秘匿したこの無人島へ、様子を見に来たのだが

「ぬぬぬ、なんだあいつらは!?」
「さあ?」

 腹ばいになって地面に伏して、空を見上げながらのイスペイルのセリフに、付き添っていたイスペイル兵が首を捻って答える。
 有限会社イディクスの平社員二十四名は、ヴェリニーとイスペイル子飼いの兵十二名ずつという内訳で、今回、イスペイルは、自分の兵の一人を供に選んで連れてきていた。
 イスペイルよりは小柄の、これまた悪の組織のロボット兵士、という見本みたいな外見の兵士は、上空を飛び交う謎の機動兵器を目で追った。

「イスペイル様もご存じないので?」
「ううむ、私の中の記憶を全て掘り出しても該当するものはない。だが、なぜか近しいものは感じる。我らイディクスを形作る欠片に似た何か。
 奴らも精神生命体なのかもしれんが、ええい、この状況では詳しい事までは分からんわ。エンダークを持ってくればよかったわ」
「そうしたらDCに見つかってしまいますってば」
「ぬぐ。だがこれでは下手に動けん。奴ら、私の開発したエネルギー収集装置が目当てか? 明らかにこの島を中心に辺りを探っているぞ。く、背に腹は代えられん。ヴェリニーやガズムに助けを呼ぶか」
「通信機はさっき落として壊してしまったじゃないですか」
「なにぃ!? な、何をしているんだ、お前はっ!」
「ヤシガニに足を挟まれて驚いたイスペイル様が海に落としたんですよ」

 そう言えば、足元を見ずに歩いていたら、間違えて踏んづけたヤシガニに思い切り右足を挟まれて、ぎゃあっと叫んだ時に落としたのだ。

「……」
「…………」
「ええい、ヴェリニー、ガズム、同じ欠片を持つ者同士、こう、シンパシーとかテレパシー的なもので私の危機に気づいて駆けつけんか!?」
(あ、誤魔化した)

つづく。
というわけで題名どおり破滅と破滅の接触の前振りでございます。なんちゅうか、どうしてもDのほうの破滅さんの方が大物っぽいです世ねえ。勢力的には完璧パパを抜けばイディクスの方が大きな組織っぽいのですが。
とりあえず今回はここまでです。ご助言、ご指摘、ご感想お待ちしています。それでは、お邪魔しました。
220通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 23:58:18 ID:???
乙!
まぁ、なんですね
イスペイル様萌え!!
最初ステラにうきゅーnてさせられたのに
余韻も何もかも最後でぶっ飛びましたよ!!w
ヤシガニてw
やっぱりイスペイル様とイスペイル兵は輝いてますなぁ

次回に期待爆発っす
お体にお気をつけてくだされ!
221通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 00:04:38 ID:???
GJ!!
しかし、Aをやったことが無かったからわからないけど、アクセルって記憶を失ったらこんな感じなんだろうかそれが気になります。
レモンさんもっと報われてほしい……。
シンくんもう人外でしょう生身ではエレメンツと互角以上にやりあえるだろう。そして●P確定ですし、何この超勝ち組ぶりは?
でもその師匠はもっと人外とは……Zにクライウルブズが来たら結構おもしろいことになるかもという妄想が湧いて仕方ありません。
それと「この」レントンとエウレカはまさか「あっちの」だろうか凄く気になります。
222通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 00:28:22 ID:???
イスペイル様ホントに素敵過ぎるだろwwwwwwwwww
オチを持ってくとはwwwww
223通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 01:53:47 ID:???
あらら、ヴィガジたちはもうあっちに行っちゃったのか。
しかし良くも悪くもDCの影響受けてしまったヴィガジたちがウェンドロとソリが合うかと言われるとなぁ……
某サイボーグになっちまった兄さんみたいなことにならない事を祈ろう。
後、大洋州連合には誰か流れ着いたって話は出てなかったような……何が流れ着いたんだろうか。

とかそんな感想全てまとめてすっ飛ばして持ってくイスペイル様にSHIT!!www
何ドジっ子度数上げてるんだよwww
224通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 11:47:40 ID:???
流石はヒロインを越える萌えキャラ、イスペイル様、素敵すぎますwwwwwww
Kは敵キャラだけオリジナルで出しとけば良かったんだよな
後はサコンセンセーがなんとかしてくれただろうから…
225通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 15:04:01 ID:???
>>221
うん。記憶喪失アクセルは大体こんな感じ。
伊達や酔狂でアホセルと呼ばれているわけではない。
ゆえにOG2の悪一辺倒かつ人形にもなりきれていない萌え要素皆無なアクセルに避難ゴーゴーだったわけでありまして。
226通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 19:51:42 ID:???
>>221
アホセルは初遭遇で攻撃してきたラミアを恋人と勘違いしてみたり
女からの声援を羨んだ竜騎士の二人に裏声で声援を送って"気持ち悪い""地獄へ堕ちろ"と言う返答を頂くほどにネタキャラ

しかもこのキャラが体に染み着いちゃったもんだから……
227通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 20:22:44 ID:???
だがそのおかげで敵アクセル時の冷静冷徹さをアホセルのネタキャラっぷりでまろやかにしたアクセルが生まれたわけだしな。

A最終話のレモンとのやりとりもあのアクセルだからこそ泣ける。
228通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 21:28:37 ID:???
Aで主人公の時のアクセルと、ラミアが主人公の時のアクセルをぶつけてみたらどうなるだろう、なんて馬鹿な事を思いついた。
きっと互いに相容れずにソウルゲインを持ち出してはた迷惑な喧嘩をするんだろうけど。
229通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 17:59:43 ID:???
ただそのはた迷惑なケンカも人外ばかりのこの総帥SSではあっさり鎮圧されそう……。
シン君でさえ、もはやZUTEH面々と白兵戦をしたら万丈とかGENのようなチート以外ならエレメンツトとやりあっても勝てるでしょう……。
だって木刀でMSの装甲ぶった切れる有様だし。その上、師匠連中ときたら……。
230通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 22:32:56 ID:???
Wシリーズだろうと問題なく倒せるな
てか今のシン相手では人造人間やサイボーグは拙いぞ。紫電掌喰らったら一発アウトだ。
231通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 22:50:28 ID:???
エキドナやラミアやアリアの胸に紫電掌という名のパルマですね、わかります
232通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 00:34:19 ID:???
シン!よせ!おまえの身体がもたんぞ!
233通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 06:53:24 ID:???
いっそ総帥さんに頼んでAのラミアも出してもらい、第3夫●にしていっそ4●行きましょうよ!!
2人も3人ももはや一緒です!!
234通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 08:43:36 ID:???
妹を忘れるでない!
235通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 08:53:19 ID:???
魔装機神だと最近はあまり見られないものの「騎士階級は妻を二人まで持てる」と言う設定があります。
ラングラン出身者の面々は、今のシンの姿を見て故郷を懐かしんでいるとか?
236通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 11:06:04 ID:???
ラミアらしき人物がDCに潜入する伏線があるんだよな
アホセルと同陣営に来ることでどういう展開になるんだろ
237通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 12:47:39 ID:???
>>236
でもラミアたんはきわめて優秀だけど、DCの面々は人外が多すぎるから、ろくなスパイ活動できないんじゃないだろうか。
というかステラたち3人もフル装備したら人外レベルの戦闘能力を発揮するし。
このクライウルブズはアルベロやエペソといった優秀な面々が揃いすぎている・・・・・・。
というわけでラミアたんはラッキースケベ担当でお願いしたい。
238通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 14:17:09 ID:???
>>237
ラミアがステラやセツコにパルマしたり、うっかりシンやスティング、アクセルの着替えシーンを覗き見たりすると申したか
顔色一つ変えないで観察してそうだな
239通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 18:35:54 ID:???
>>238
いえシンが胸をうっかりもんだり、シンのナニのある部分があの胸で事故でムニムニされたりするほうです。
240通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 19:37:48 ID:???
NEOでは隼人がラムネスたちの前で、「目だ!!耳だ!!」を高笑いしながらかましてくれたら漢泣きの名シーンになるでしょう。
マジでやってくれないかな……。
241通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 20:38:31 ID:???
>>240
ぜってぇ出来んw
一緒に出るのが不思議なくらいだっつーにw
しかし、暴走隼人に竜馬と一緒にドモンがコクピットに押し入ってぶっ飛ばす様は
何故かナチュラルに脳内上映された

>>236
よく考えてみれば
元々とあまり大差ない状況だな、ラミアの言語回路やらどうなってるかくらいか
アクセルの監視を兼ねて居続けるうちに”味を知ってしまう”のではなかろうか

それはそうと、D−2、D−3ポジはスティングとアウルになる予感
きっとやってくれますね?
期待してまっせw
242通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 22:12:14 ID:???
>>241
でもなぁそうやって今回はいたいけな小学生も多数参戦する(バンナムも何考えているのやら……)のによりにもよって新ゲッターを出すとは……。
あれは近年まれにみる凶悪作品なのに……っていうか鬼たちを凶悪な笑みを浮かべながら血祭りに上げていくゲッターチームの雄姿は一生ものの素晴らしいトラウマになるでしょう。
……というかこの作品だけまるで空気が違いすぎるよ。
真マジンガー・Gガン・マクロスフロンティアが一緒に参戦したらもうカオスの極みだな。
でも石川キャラのヘタレない強さはホントすがすがしいです。
まじでZで参戦してゲッコーステイトとかラクシズとかをしばいてほしかった……そして炉心交換でオーブを吹き飛ばしてくれれば最高です。
243通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 22:17:43 ID:???
>>242
並の敵組織より凶悪な連中だからなあw新ゲッターチーム
244通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 22:31:53 ID:???
というか近年のスパロボの敵連中よりも遥かに凶悪で悪人な気が……。
竜馬→ヤクザ相手にさあ指を落としてみろと平気でドスを笑みを浮かべながら素手で握って半殺し、たかが空手の昇段試験で相手を半殺して襲いかかった殺し屋を容赦なく血祭りに上げる。
隼人→テロリスト親玉で平気で逆らうものは仲間であろうと笑いながら拷問にかけて嬲り殺しにする。
弁慶→坊主のくせに女癖は悪く平気で寝とり、なおかつバイクをぬすんで平気で売り飛ばす破戒僧。
……なにこのサイコな凶悪犯罪集団は?だが!!それがいい!!
245通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 22:44:10 ID:???
こいつら生身でもヤバイしな…
竜馬…斧で鬼相手に無双
隼人…爪でズタズタにする
弁慶…握力だけで鬼の頭蓋骨粉砕
246通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:01:05 ID:???
新って見た事無かったんだが、竜馬と隼人に関しては清々しいほど漫画版そのままだな
そりゃヤベえわw
247通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:07:04 ID:???
ええ、そりゃすごいもんですよ。
こいつらならシャフッル相手に互角に立ち会えても全然不思議に思いません。
しかし、つくづく凶悪だな……ラムネスで悪役だったころのダ・サイダーたちと比べてもこっちの方が極悪人(というかこいつらがラムネスの敵だったら、ラムネ嬲り殺し・後のヒロインたちはさんざん●●●されて襤褸雑巾のように殺される)だよ……。
これじゃ四天王たちに敵視されるのも無理はない……。相手にする敵組織が気の毒すぎる。
248通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:16:28 ID:???
逆に考えるんだ!そんな連中が純真な子供達との触れ合いでアニメ版に戻って行く話だと!
249通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:22:03 ID:???
あいつらは変えられんだろw
250通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:23:34 ID:???
>>248
いやいやいやいや!!
ねぇよ!それはねぇよ!!w

・・・しかし、実際問題何故このような時にTV版でなく新なんだろうか
シナリオに絡める必然性も見てとれんし、バランスは見るからに悪い
この面子に対して新でなければいけない理由は・・・あんのか?
まさかZ続編への伏線とかじゃないだろうな
新ゲッターチームのZへの接近に伴い、再度時空崩壊
地球とアースティアとかが混じっちゃうとか

それはともかく、スレ違いな流れぽいので、誰か適当にゲッター線でも浴びせておくれや
ルナマリアのザクにでも
251通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 23:48:38 ID:???
>>250
グフになるんですねw
252通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 02:49:51 ID:???
>>250
先端にホイールの付いた四脚、右腕がランス、左腕が小形クローになります
253通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 03:10:02 ID:???
デステイニープランを否定したゼウスは傲慢なのかな?
254通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 09:15:11 ID:???
>>253
状況が多元世界とCEでは大きく違うから一慨には言えん
CEでは世界全体が度重なる戦争で大きく疲弊してたから一部問題があれどDPは効果的な案だった
んでそれを否定した挙句ロクな代案もなしに政権のっとり数年後公式に世界を
モヒカンヒャッハーな火薬庫にしたラクシズは無能で傲慢
逆に多元世界も戦争で疲弊はしているがCEよりも技術面・人的資源で上だからそこまで疲弊はしていない
しかも外宇宙や地下世界からの脅威が現在進行形で継続中
そんな中人類同士手を取り合うことはしても今からDP施行しろよと言っても議長KYってなるだけ
ゼウスメンバーが知っていたかは知らんがグラヴィオンの大統領みたいなそこそこ有能な政治家もいるので
CEみたいに火薬庫にはなりにくいだろうし
255通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 09:44:04 ID:???
>>253
真マジンガーかと一瞬
256通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 13:29:20 ID:???
俺はアムロとダンとてつをと壁際のいぶし銀が結成した組織かと
257通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 17:00:25 ID:???
安室とダンと鉄男とギリアムですって!?
258通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 20:34:36 ID:???
それと最近のスパロボ参戦作品の主人公は精神面が最初は結構もろいのが多いな。
甲児とか石川竜馬のようなタフな奴があまりいないなんでだろ?
そういう点では、電王の良太郎は身体は最弱だけど精神は凄く強くてまるでヘタレずくじけなかった。
そこが電王の魅力にもなったし、やはり決め手は心なんだろうな。
最近のロボットものは昔の見習うべきところは見習わないと案外頭打ちになるかも。
259通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 11:13:56 ID:???
もし今スーパーヒーロー作戦を新作で出したとしたら、ディケイドのように『仮面ライダー大戦』とか言い出す作品になりそうだ。
そして全てを超えていくズバットの無茶苦茶さが……
260通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 11:56:55 ID:???
だが、それがいい
261通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 13:02:20 ID:???
Zはシナリオに難がったところがあったけど。
ああいう荒療治でもしなければUC世界下敷きにしたもう一つの世界は破滅にしか行かなかっただろうな。
これはCE世界にも言えるけど。UC世界はニュータイプという「呪い」に振り回されたとも私は考えている。
人類の革新だとかにとらわれず石川キャラのようにシンプルに生きた方がいいと思う。
だからXを出したのはよかったよ。そんなものは幻想だというアレは効果的な治療だと思った。
262通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 17:08:57 ID:???
>>259

ズパットも凄いですが、真マジンガーも相当なもんですよ。
なにせムチャとヌケでさえ酔券の日本チャンピオンと暗器の使い手という生身がやたら強い人たちのオンパレードなんですから。
新ゲッターやGガンとの共演が非常に楽しみな作品です。
263通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 22:04:26 ID:???
>>259
どちらかというと
ライダー枠:ディケイド(昭和から平成まで全てのライダーをつなぐ者)
ウルトラ枠:メビウス(22年の断絶を超えて現れた新たなるウルトラ兄弟)
ガンダム枠:∀ガンダム(全てのガンダムを包括する者)
バンプレ枠:ディス・アストラナガン(並行世界を渡る時の旅人)
なヒーロー戦記やグレイテスト・バトルちっくなのがやりたいなぁと思う。
ガンダム枠は新しいってことでシンや刹那の方がウケを狙えるかもしれないがとか
ウルトラ枠でネクサスとか見てみたいがラスボス倒してもビーストいるからなぁ……とか思ったり。
264通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 22:46:05 ID:???
メビウスが放送された頃に妄想された新ヒーロー戦記は、

ガンダム枠:シン
ウルトラ枠:ミライ
ライダー枠:天道

って組み合わせが多かったな
この三人は性格的にあまりに噛み合いすぎるということもあるが
265通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 23:59:21 ID:???
ツンツンしてちょっとひねくれ者のシンに
天上天下唯我独尊で突っ走る総司、
そして二人の間を取り成す天然ボケの気があるミライ

……うん、合いすぎだ。
266通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 12:26:57 ID:???
ヒーロー戦記に続編が出るなら、個人的にバンプレスト枠は第三次αからトウマが良い。
なにしろ、特訓イベントのある熱血系ですから。
267通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 14:01:35 ID:???
>>264
シンと天道は家族系のイベントで仲良くなってくとかでなんとかなりそう
268660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:27:46 ID:???
ディバイン SEED DESTINY 第12話 炎の尖兵


 オノゴロ島港湾ドックに繋留されているスペースノア級万能戦闘母艦一番艦タマハガネの甲板上に簡易ゴールが設けられ、ペイントシールでざっとバスケットコートが描かれていた。
 船からは下りられぬが、下りられないなりに休息を満喫しているタマハガネ機動部隊の面々だ。
 トレーニングウェアや動きやすい衣服に着替えて、十人を二組に分けて思い切り体を動かす事を楽しんでいる。一抱えほどの弾力性に富んだボールは、バスケットボールだ。十代後半の少年少女がほとんどの面子にとっては、丁度いいリフレッシュの方法だろう。
 アウル、刹那、シン、ステラ、セツコのA組と、スティング、ティエリア、タスク、ロックオン、レオナのB組だ。見学しているのは、デンゼルとトビーにアクセル、デスピニスである。アルベロとジニンはエペソに付き添って報告に軍司令部に赴いている。
 機動兵器部隊の隊員ではないが、エウレカとレントンも軍司令部からビアンの肝煎りで開発されていた機体がロールアウトしたため、呼び出しを受けているから不在だ。
 バム、と音を立ててバスケットボールが弾み、小柄な体に似合いの俊敏さで、運動神経のよろしくないタスクを抜いた刹那が、ゴール目がけて猫科の動物の様なはしっこさで一気に走る。
 寸法などが目分量の為、正規の規格より幾分狭いコートだから刹那の足ならあっという間にゴールまで辿り着けたろうが、さっと横手から邪魔ものが現れたとあってはそうもいかない。
 流石にいつものカーディガン姿ではないティエリアである。レクリエーションへの参加を強く拒んだティエリアであったが、いいじゃねえか、日に当たらないともやしになっちまうぜ、とロックオンに半ば強制的に連行されてここに居る。
 まったく乗り気ではなかったティエリアであったが、負けず嫌いであったのか、刹那の行く手を阻む様子からは、手を抜くつもりはないという気合いが見て取れた。

「勝負であるからには、手加減はしない」
「そうか」

 そっけない刹那の返事の中にも、負けるつもりはないという響きが混じっている。普段無口無表情の仮面のみを被っている二人が、表情はそのままに、年頃の少年らしい負けん気を見せている様子に、ロックオンは小さく笑う。
 意外に単純というか、分かりやすい所があの二人にはある。それは、こちら側でも同じらしい。無理やりではあったが、ティエリアをここに引っ張ってきて正解だった。
 左右に細かい重心の移動を見せてティエリアを躱そうとする刹那のフェイントに惑わされず、ティエリアは落ち着き払った瞳で刹那の手と顔と重心を意識する。
 だむ、と甲板をボールが叩いた。踵を浮かしていた刹那の足の爪先に、ぐぅ、と体重がかかり、太ももとふくらはぎがバネの様に撓む。解放されれば目にも止まらぬ速さを保証するしなやかで強靭な筋肉のバネだ。
 雌雄を決する時! とはいささか言い過ぎだがそれ位に気合の入っていた二人だったが、あいにくとこのゲームは二人だけでしているわけではなく、目の前のティエリアに集中し過ぎていた刹那の横から、ひょいと伸びた手がバスケットボールを攫う。

「何っ!」
「一人でやるスポーツじゃないって、憶えておきな」

 薄く唇を吊り上げながら、刹那の手からかっさらったボールを弾ませて、スティングがあっという間に駆けだす。口惜しさに歯を軋らせ、刹那が慌てて背後を振り返ってスティングの背を追い駆ける。
 スティングを止めようと、セツコが両手を広げて立ち塞がっていた。背中の半ばほどまである黒髪を、動きやすいようにポニーテールにまとめ、黒一色の地味なスポーツウェアに着替えている。
 下半身がフレアスカートではなくなって露出は減ったが、グローリースターの軍服を脱いだ上半身の方は、口いっぱいに頬張っても余る様な乳肉が、スポーツブラか何かで抑えてはいるのだろうが、たぷたぷと揺れて否応に雄の目を惹く。
 さほど得意ではないのか、あるいは経験が無いのか、セツコの動きは何処かぎこちない。慌てた様子でやや前屈みになってスティングの前に立つが、スティングの方は余裕の笑みを浮かべている位だ。
269660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:29:17 ID:???
 なるほど、スティングの余裕も確かなようで、セツコなりに必死らしいディフェンスをあっさりと避けるや、刹那のお株を奪う素早さで一気に走った。
 後遺症がなくなったとはいえ、元エクステンデッドであるスティングの身体能力は、セツコがどうにかできるものではなかったのだ。しかしここからが難問だ。スティングと同等の身体能力を持つステラと、それ以上に厄介なシンという二枚看板が残っている。
 遊びとは言え、やはりスティングも刹那やティエリア達と同じよう負けるつもりは欠片もない。バスケットに興じている彼らの姿はごく普通の少年少女にしか見えなかった。



 タマハガネと同じくオノゴロ島の港湾ドックに繋留され、すっかり処女の様な肌を取り戻したミネルバの甲板上で、タマハガネの面々ほどリラックスしている様子が見られない二人がいた。
 手摺に手を置いて、果てしなく続く海面に目をやっているのは、ディアッカ・エルスマンとニコル・アマルフィの二人だ。ミネルバ隊所属のMS隊隊員であり、前大戦時にザフトを裏切った二人でもある。
 前大戦時終盤でのプラントへの貢献的な行動や、二人の親が最高評議会議員と言う事もあって重罪は免れ、このように軍への復帰も認められている。
 軍事工廠アーモリーワンで奪われた新型MS奪還の為に、アーモリーワンを出港したと思ったら、ユニウスセブン落下の事態となってそれの阻止に駆り出され、阻止できたと思ったら今度は地球に閉じ込められるという有様だ。
 一体何がどうなってこんな事になったのかと、無意味と分かってはいるものの自問せずにはいられない。

「こうしてさ、オーブの土を踏む事になるなんて思わなかったぜ」

 なあ? とディアッカが、声をかけてくるのに、ニコルは同意の笑みを浮かべる。ディアッカは、アークエンジェルとストライクを追って、ザラ隊のメンバーとしてオーブに潜入し、その後の戦闘で捕虜になった際と合わせて二度この地を訪れている。
 ニコルの場合は二度目が、オーブ近海での戦闘でオーブに回収され入院している間世話になった土地だ。二人とも、オーブ――今はDCだが――をもう一度訪れる機会に恵まれるとは思っていなかったが、こんな形で訪れる事になるとは、なんとも数奇な運命だ。
 頬に触れ、二人の髪をそよがせてゆく風や風景は変わらぬままの様に思えるが、ディアッカとニコルを取り巻く状況は大きく変化している。

「本当にどうするんだか。カーペンタリアと連絡は着いたけど、本国とは音信不通なんだろ? このまま一生地球暮らしってのは勘弁だな」
「そう言う割には、あまり動揺している様には見えませんね。ディアッカは」
「ベテランのおれらが慌てていたら、ぴーぴーの新人どもが騒いじまうからな。見栄だよ、見栄。まあ、ミリアリアも居るならこっちだろうしよ」
「何事も前向きに考えた方がいいのは確かですけど。それより、地球連合やDCはどう動くと思います? 地球も宇宙も、それぞれが独立して社会を維持していくのは難しいですし、下手に動く事はないとは思うんですが」
「どうだかな。むしろ、おれらザフトなんか地上の戦力だけじゃ弱小だぜ? 前ん時にインド洋に設営した海底基地が残っているのがせめてもの救いって奴? グラディス艦長や基地司令連中も頭が痛いだろうなあ」

 地上に孤立したザフト兵の多くが頭を悩ませている事がらを口にし、そうしてもどうにもならないと分かってしまって、ディアッカとニコルは頭の痛い思いを堪えねばならなかった。

「二人で内緒話?」

 声だけでも相当の美女が脳裏に思い描く事の出来る女の声であった。声の主に思い至り、ディアッカとニコルがこのした方へと振り向く。ザフトレッドの上衣にタイトスカートが、艶やかなラインの中にたっぷりと肉の詰めた豊満な体を包むアクア・ケントルムだ。
 神経をがりがりと削られる機体、インパルスのパイロットを務めるエリート中のエリートでもあるが、最近はストレスの所為か象牙の様に滑らかな肌が少し荒れて来ているような気がする二十五歳である。
 地球に降下してから、一度も出撃する様な事態にならなかったおかげか、インパルスで出撃する度にどす黒い疲労の影を刷いていた顔は、年齢よりも何歳か幼く見える美貌に似合いの輝きを取り戻している。
 たった三人きりのミネルバ隊MSパイロットがこれで勢ぞろいした事になる。全員が前大戦の激戦をそれぞれの陣営で戦い抜いた現ザフトでも生え抜きの精鋭だ。技量で言えばクライ・ウルブズの面子と同等のレベルを誇る。
270660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:30:25 ID:???
「男だけの内緒話さ」
「そう言う割には暗い感じだったわよ」
「この空模様の所為さ。ザフトなら誰でもそうなんじゃねえの」
「アクアさんは、どうしたんですか? 風に当たりに?」
「艦の中に居ても、みんなこれからどうなるんだろう、どうすればいいんだろう、本国はどうなったんだろうって、そればっかり言っているからね。中に居続けたらこっちの神経がまいっちゃいそうなのよ」
「そーいうのを受け止めるのが、おれらみたいなベテランの役目じゃん? それを放棄していいわけ?」
「貴方達だって同じじゃない。それにトライン副長やグラディス艦長の役目よ。正直に言えば、それだけの余裕が無いって言うのも本音よ。
 DCの庭先を借りて今は休めているけど、カーペンタリアに行ったら大洋州連合との関係にも気を遣いながら過ごさないとだしね。自分の事で精一杯じゃない、みんな?」
「それを言われると辛いですね。DCが味方でよかったですよ。アクアさんとしては、ついでにインパルスの改修もお願いしたいんじゃないですか?」
「ニーコールー、それを言わないでよ。シンの乗っているインパルス見る度にそう思っているのよ? 必至でその思いを噛み殺しているのよ。DCはDC、ザフトはザフト、自分達の国で作った機体が一番、一番、ってね」
「はは、鬱憤が溜まっているってわけね。お、噂をすればなんとやら、クライ・ウルブズの連中、お仕事らしいぜ」
「連合が国境線にでも戦力を集結させているのかしら?」

 ディアッカが顎をしゃくった方を見れば、テスラ・ドライヴ搭載機である事を証明する翡翠色の粒子が、天空に尾を引いている。DC最強部隊の出動を要請する様な事態が勃発したようだ。
 バスケで心地よい疲労と良い汗をかいていた所に、突然出撃命令が下り、不満不平を垂らしながらバスケに勤しんでいた全員が乗機のコクピットへと大急ぎで飛びこんでいる。
 女性陣はシャワーを浴びたがったが、そこは緊急事態とあって黙殺されている。汗は拭ったが、熱を帯びた体の所為でパイロットスーツの中が否応にも蒸れる。
 特にクライ・ウルブズ所属パイロットの女性陣は全員がスタイル抜群(三人だけだが)だから胸の谷間が蒸れて仕方が無い。
 タマハガネはドックに残したまま、艦載している機動兵器のみでの出撃となる。バッテリー動力から核動力機へと移行して以来、母艦を伴わぬ作戦行動も増えていた。
 かつては、バッテリー機の稼働時間の短さから、必ずと言っていいくらい母艦や代替となる補給手段なりが講じられてきたが、核動力の普及が前大戦に比べてMS運用における戦術の幅を大きく広げている。
 既に前大戦における対MS戦闘の定石である、付近に存在する母艦の撃墜という手段は意味を失いつつあった。とはいえ大規模な軍事行動ともなれば必ず母艦が同伴するのは変わらぬし、母艦の撃墜は有効であるけれども。
 繋留中のタマハガネの甲板から、大急ぎで船内に戻り、眼に入りそうな汗だけを手の甲で乱暴に拭って、ガンルームで急ぎ着替えてヘルメットを被ったシンがDCインパルスのコクピットに収まっていた。
 体を固定する為のベルトを締めて、エネルギー・マルチプライヤーシステム、カルケリア・パルス・ティルゲムの起動を確認する。
 その最中、メカニックから、飛鳥シルエットがメンテ中で使用できない事を告げられて、少し太めの眉を八の字に曲げた。そうすると、途端に歴戦の勇士とは思えない子供っぽい顔立ちになる。

「飛鳥シルエットが使えないって、じゃあ、代わりに何があるんですか?」

 がらがら声のメカニックチーフが、怒鳴る様に答えた。

「お前、自分の機体の装備くらい目え通しておけや! 安土桃山シルエットに、縄文シルエット、奈良シルエットがあるだろうが」
「??? な、なんですか、ソレ!? 聞いた事無いですよ」
「冗談だ」
「はあっ!?」

 おちょくってんのか、と怒鳴り返そうとしたシンが、そう言えば若いメカニックに聞かされた話を思い出した。タマハガネのチーフは経験豊富で信頼できる職人気質の人物なのだが、パイロットを和ませようとする冗談が、ことごとく的を外すと。
 と言う事は、一応、自分を励ますとか、肩の力をほぐそうとしてくれているらしい。言いたい事をぐっとこらえて、シンは言葉を絞り出した。

「……実際には何があるんです?」
271660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:31:48 ID:???
「おう、補助カメラ搭載の頭部ユニット二基と、サブマニュピレーター四本搭載の阿修羅シルエットだな。だが、六本になる腕の制御や各関節への負荷が半端じゃねえ。獅子王斬艦刀や斬艦刀が使えねえのが欠点だ。
 お前さんなら全部刀剣で揃えるだろうが、まあ、シシオウブレード状態の獅子王斬艦刀、ロシュセイバー、ビームサーベル、プラズマセイバー、ディバインブレード、シュベルトゲベール……もイケるだろう。
 対艦刀も斬艦刀系に比べりゃ小枝みたいなものだからな。ただし、飛鳥と違って運動性はちと厳しい。一対多を想定した近接戦闘用のシルエットだわな。
 ごちゃごちゃした乱戦ならお前さんの独壇場だが、まあ、今回みたいな哨戒っつーか、偵察任務には不向きなのは否めん。似たような代物で、馬頭シルエットや、四十本のアームにセンサーを内蔵した千手千慈眼シルエットもあるが、同様に不向きだ」
「じゃあ、他には?」
「じゃあ、はよせ。じゃあ、は。そうだな、UCシルエットシリーズのフォーミュラシルエットが出来あがっとる。試作のビームシールドとジェネレーター直結の可変速ビームライフルのヴェスバーを二門搭載しとる。
 ヴェスバーで戦艦並みの火力を実現し、新型の高性能小型テスラ・ドライヴ付きで、特殊なホログラフ投影装置と電子装備でちょっとした残像も作れる。戦闘速度や運動性、センサー系の機能も高いから、他のシルエットに比べればうってつけだろ」
「じゃ……そ、そのフォーミュラシルエットでお願いします」
「おうよ。ヴェスバーは一応取り外しが利くようになっているが、そうすると内臓のコンデンサーの容量だと出力を絞っても一門七発が限度だ。ABCシールドも紙っぺらみたいに撃ち抜くが、使い方に気を付けろ」
「分かりました。フォーミュラでお願いしますから、換装作業に移ってください」

 おうよ、とチーフの返答を最後に通信が消え、シルエットシステム用に内部改修が施された格納庫の、作業アームが伸びてDCインパルスの周囲で忙しく動き回りはじめる。
 半月をさらに半分に割ったバックパックの左右に長砲身を二門備えたフォーミュラシルエットと、インパルスの左腕外部に掌サイズのビームシールド発生基部と、ビームサーベル内臓のサイドアーマーが腰の左右に装着される。
 ガームリオン・カスタム飛鳥以来接近戦に特化し続けたシンの機体にしては珍しく、近接戦用の刀剣がビームサーベルとフォールディングレイザーの計四本のみだ。
 DCのMSの標準武装となったオクスタンライフルを引っ掴み、発進準備が整った事をMS管制オペレーターから伝えられる。

「シン・アスカ、フォーミュラインパルス、行きます!!」

 フォーミュラシルエットの装着からわずかに遅れ、灰色に染まっていたインパルスの機体が、胸部がくすんだ青に、手足や頭部は白へと変わる。VPS装甲の起動を確認し、ぐん、と体に襲いかかるGに耐えて、タマハガネのカタパルトから空へと飛び立った。
 胎児と母胎を繋ぐへその緒の様なアンカーが切り離され、フォーミュラインパルスは先行するガーリオン・フライルーや、ジニンのアヘッドに追いつくべく、機体を加速させる。



 地面に腹這いになって両手に折った木の枝を握り、馬鹿みたいにでかい体を必死に隠そうとして隠せていないイスペイルが、憎々しげに上空を旋回しているルイーナの機体を睨んでいる。傍らのイスペイル兵も同じようにして上空を見上げていた。

「あいつら、ずっとここに張り付いていますね」
「ふん、私の隠蔽処理を見抜けずにいるようだな。その所為でマイナスエネルギー収集装置の正確な場所が掴めておらぬのだ。たとえ見つけてもあれは地下深くに埋めておいたからな、掘り出すのも一苦労よ」
「埋めるのも大変でしたよね。ヴェリニー様もガズム様も手伝ってくださいませんでしたし、機体も使えませんでしたし、今どき人力はないでしょう」
「過去のことをほじくり返すな! 仕方なかろう、重機のレンタル代だって馬鹿にならんのだぞ。私が毎日頭を悩ませて、どんな思いで出納帳を着けているか、お前、知っているのか!?」
「八つ当たりしないでください。それがイスペイル様のお仕事じゃありませんか」
「なぬっ!?」

 少しは怯むか思ったら、きっぱりと言われてしまったものだから、逆にイスペイルの方がたじろいだ。こいつ、生意気な、と思うより確かに八つ当たりだったものだから、反論できない。図体がでかいくせに肝っ玉の小さい御仁だ。
 上空を旋回しているのは、先にアクセルとスティング、刹那達が交戦したベルグランデに加え、新たにアンゲルスと呼ばれる兵器の機影もあった。
272660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:32:50 ID:???
 四肢や頭部はなく、首に埋もれる様にしてカメラ・アイが覗き、両腕の代わりに盾の様なパーツがあり、下半身は腰部アーマーから延びるテール・ブースターがほとんどを占めている。
 DCの監視網をどうやってくぐりぬけたのか、相当数の機影が南洋の空を占領している。その中に、手首から先はないが、背や両肩、足などから炎を噴き出しているような、まさしく炎の化身とでも言うべき機体があった。これが指揮官機であろう。
 時間が経つにつれて、イスペイル達が隠れている孤島を中心に動き回りはじめ、如何にイスペイルの高い技術力によって隠されているとは言え、装置が発見されるのは時間の問題だった。
 唐突に、ものものしく周囲を探るルイーナの機体の動きに乱れが生じるのに気付いたイスペイルが、彼方を見た。いくつかの光点が瞬き、それは太い光の柱となって上空を貫いていくつかの機体を飲み込んで爆発を生む。
 ティエリア・アーデの乗るガンダムヴァーチェが放った、バーストモードのGNバズーカによる砲撃である。
 莫大な熱量とエネルギーを放出した余韻で赤熱するGNバズーカの砲身を下げ、両肩のGNキャノンの四つの砲門を散ったベルグランデとアンゲルスへと向ける。

「GNバズーカ砲身冷却開始、GN粒子供給量安定……」

 ヴァーチェの背から噴き出る夕陽に血をぶちまけた様な色の粒子が輪舞する。ヴァーチェの傍らにロックオンのアヘッドSCがつき、フォローと味方への援護狙撃を開始した。

「刹那達が交戦した所属不明の敵か。何の目的でこんな所に居る?」

 アンゲルスの集団から放たれたパルスアローの回避と防御をハロに任せながら、ロックオンが次々とターゲットを照準内に捕えて引き金を引く。次の敵を捉えるのが恐ろしく速い。アンゲルスやベルグランデでは回避は難しいだろう早業だ。
 スター1ことデンゼルのバルゴラ一号機を筆頭に三機一個小隊で行動するグローリースターと共に、刹那のアヘッド7S、スティングのオオワシアカツキ、アウルのエムリオンRC、アルベロのビルトシュバインなどが一気に雪崩れ込んだ。
 なお、アクセルはオノゴロ島の施設に軟禁中だ。彼の処遇が決まるのは、二、三日先である。
 先に交戦したベルグランデに比べ、アルゲンスはパワーやスピードなどでも特に目を引く性能ではない。
 振り上げられたビームブレードを受けるまでもなく躱したアヘッド7Sが、左腰の合金鞘から抜き放ったGNドウタヌキで呆気ないほどアルゲンスの胴を両断する。刀身表面をコーティングした高濃度のGN粒子が、常に流動する刀身の切れ味は申し分ない。
 動きを止めず、刹那はそのままアヘッド7Sを操作して踊る様にアルゲンスや襲いかかってきたベルグランデのポールハンマーを、機体にかすらせもせずにその間を風の様に走り、瞬き一つの間に両断された敵機が爆発して吹き飛ぶ。
 サークルザンバーでポールハンマーを受けるビルトシュバインのコクピットから、アルベロの指示がシンに飛んだ。初めて使うフォーミュラシルエットに、少し戸惑っている様子が機体越しにも見て取れる。
 しかし、機体への順応性という点ではずば抜けて高い適性を持つシンは、そのうちにフォーミュラの癖や適切な操作方法をあっという間に飲み込む。

「シン、刹那、敵の指揮官機を抑えろ。可能なら鹵獲しろ。何らかの情報が欲しい」
「鹵獲しろったって」
「やるしかないだろう。今のままではやつらの目的すら分からない」
「刹那は真面目だな。仕方無い、突っ込むぞ」
「飛鳥シルエットじゃないんだ。あまり接近し過ぎるな」
「分かっているって!」

 GNドウタヌキとGNビームサーベルの二刀を握り、炎を纏う魔神のごとき敵指揮官機へと、刹那のアヘッド7Sが駆ける。敵指揮官機インペトゥスが操縦者の余裕を表す様に悠然とアヘッド7Sとフォーミュラシルエットへと振り返る。
 インペトゥスが億劫そうに向けた両手の先から、見た目を裏切らずに紅蓮の焔が大竜の如く生じ、大気を呑みこみ焼き尽くしながら迸る。
 ビームやミサイルと言った類の攻撃にはもはやたじろぐ事のない二人だが、初めて目にした慣れぬ攻撃に、一瞬刹那とシンの反応が遅れるが、攻撃速度はさほどではない炎を躱す事は不可能ではなかった。
 青と白のフォーミュラインパルスの装甲と、赤いアヘッド7Sの装甲を今にも燃やし尽さんとばかりに猛る炎の照り返しが、両機の装甲色を毒々しい赤色に染め上げる。
273660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:34:18 ID:???
 十分に距離を取って回避した筈が、モニターに急速に機体の外部装甲温度が急上昇している事が表示された。
 直撃を受ければ機体それ自体は保っても、内部の繊細な機器やパイロットが耐えられないだろう。いや、長時間受け続ければ、機体そのものが融解する可能性もないとは言い切れない。
 フォーミュラシルエットのオプションであるビームバズーカと、オクスタンライフルを同時に構えたフォーミュラインパルスが、今も両手に炎を纏うインペトゥスへと連続で撃つ。
 運動性はさほどでもないのか、全弾回避する事は出来ずに、インペトゥスにプラズマ・リアクターから供給されたエネルギー弾の着弾が、二発、三発と続いて大きく機体を揺るがす。
 MSやAMをはるかに上回る巨躯を揺るがしたが、それきりだ。外装を穿つでもなく、機体を後方へ吹き飛ばすでもない。

「こいつ、ジガン並に硬いぞ」
「だが、そのサイズなら小回りは利くまい!」

 腰を落としたアヘッド7Sの、インペトゥスの両膝を斬りおとすべく振るった横薙ぎの一閃が、インペトゥスの右手から噴出した炎の剣に防がれた。剣状に固定化された炎は、打ち合わせたGNドウタヌキの刀身を瞬く間に赤熱化させる。
 刹那は咄嗟にGNドウタヌキを引き、GNビームサーベルでGNドウタヌキのやや下方からの一閃を加える。炎剣で一刀を防がれてからコンマ一秒とたたずに繰り出された二撃目が浅くインペトゥスの右膝の装甲へと斬り込む。
 より深く刀身を斬り込ませ、右足を斬り落とさんとした刹那の視界に、突きだされるインペトゥスの左手が映る。言うまでもなく灼熱の炎が剣を形作っていた。秒瞬の間も経たずにアヘッド7Sの装甲を蒸発させるだろう。
 炎剣の切っ先が、上半身を反らしたアヘッド7Sの左の角飾りを溶鉱炉の中の様に融解させる。刹那はそこからアヘッド7Sに上半身を捩じらせ様に、GNドウタヌキからGNショートビームサーベルへと持ち替えさせる。
 右後方へと捩じった上半身に、半螺旋の動きを加味して横一文字に並べられた大小のGNビームサーベルがインペトゥスへの胸部へ。左腕を胸部前にかざして、インペトゥスはGN粒子の刃を防ぐ。

「下がれ、刹那!」
「っ!」

 シンの声に反応し、刹那はアヘッド7Sの機体を後方へ下げると同時に、あおむけに倒れる様に下方へと落とす。
 アヘッド7Sの機体が隠れ蓑となり、その背後からフォーミュラインパルスが放った最大出力のヴェスバーの光槍に、インペトゥスは反応するのが遅れた。殺った、と確かな手応えを感じられる必殺のタイミング。
 しかし、トリガーを引いた直後、シンの視界にインペトゥスの前に別の影が割り込むのが見えた。近くを飛んでいたアンゲルスが自らを盾代わりにしたのだ。
 二門のヴェスバーから伸びた光の剛槍はアンゲルスの装甲などあってないものの様に貫き、その背後のインペトゥスにも襲いかかったが、まるまる一機の機動兵器が盾代わりになった事で威力が多少なりとも削がれていた。
 シンの視界からはちょうど盾代わりになったアンゲルスが起こした爆発によってインペトゥスの姿が見えなくなる。姿を見失った一瞬が命取りになるとこれまでの経験から知りつくしていたシンは、すぐさま機体を動かす。
 その矢先に、爆煙を食らう勢いで凄まじい勢いの炎が、まるで堤を破った洪水の様に襲いかかってきた。回避よりも、左手のビームシールドを起動させて受けることを選択する。
 発生基部から延びた緑色のビームは、縦に長い六角形の光の盾となった暴虐の炎から機体を守る。炎圧に押される様にして後方へと吹き飛ばされるフォーミュラインパルスの機体を即座に立て直し、目を離さずにいた爆煙の向こうのインペトゥスを睨みつける。
 今も炎を噴き出すインペトゥス目掛け、刹那が大上段から交差させたGNビームサーベルとGNショートビームサーベルを叩きつける所だった。Xの字を描き、煉獄から地獄の門をくぐって地上に顕現した炎の化身と見紛うインペトゥスへ振るわれる二刀。
 炎を吐く腕をそのまま振り抜き、アヘッド7Sを炎の流れの中へと飲み込み、“焼”滅せんとするインペトゥス。
274660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:35:17 ID:???
 自らを生んだ母を焼いたというヒノカグツチもかくやと思わせるインペトゥスの、禍々しい炎を、鮮血色のGN粒子を纏う二刀が裂いた。四つに切り裂かれ、霧散する炎の中を、刺突へと変わった二つの切っ先が走る。
 インペトゥスの右肩から伸びる歪曲した角の様なパーツに突き刺さり、小枝でも斬るみたいに、GN粒子の光刃が落とす。切っ先を翻してインペトゥスの首を狙った刹那は、横殴りに襲い掛かってきた衝撃に、脳を揺らされた。
 インペトゥスの左回し蹴りがアヘッド7Sを直撃して、圧倒的な質量さによって弾き飛ばされてしまったのだ。食道を伝って込み上げてくる物を必死に堪え、刹那はこちらに向けられたインペトゥスの両手に気づき、とっさに機体を上方へと動かす。
 アヘッド7Sの爪先を焔の舌が舐め取り、どろりと溶けたガラス細工のように変わる。耐熱性の高いPS装甲やVPS装甲でも結果は同じだろう。大気圏への突入も可能なGNドライヴ駆動機の装甲をかくも容易く融解させるとは、途方もない熱量だ。
 刹那を庇うべく、シンは貫通性能を重視して調整したヴェスバーでインペトゥスを牽制する。インペトゥスの動きなら、これでも十分に命中させられると踏んだシンの判断は正解で、胸部、腹部と連続して着弾して堅固な装甲に蜘蛛の巣状の罅が走る。
 インペトゥスにようやく表出した明確なダメージを見逃さず、過負荷の加わった装甲目掛け、刹那が投じたGNコヅカが小気味よい音と共に深々と突き刺さる。内部に損傷が生じたか、インペトゥスの機体のそこここに内側から紫電と小さな噴火が噴き出る。
 このままダメージを与えれば、戦闘不能に追い込んで鹵獲も出来る、と刹那とシンが同じ思いを共有した瞬間、シンの背筋を悪穢な感触が駆け抜けた。目に見えぬほど小さな虫が、何十万匹もからだを外から内から這いまわる様な狂気的な感触。
 語るも痛々しい程の激烈な鍛錬の果てに磨き抜いた超感覚を有するが故に、一般人なら感じずに済むモノも感じてしまう。どっと全身の毛穴から油の様に粘っこい冷汗が噴き出るのを、シンは抑えられずにいた。
 シンがおぞましい感触に苛まれるのと同時に、足元の孤島で飛び交うビームやミサイルに、ぎょえ、のわぁ、だの叫んでいたイスペイルが、ずしんと耳ではなく腹に来るような重低音で叫んだ。

「ぬあああああっ!?」
「イスペイル様、どうなさったのです!」
「こ、これまで集積したマイナスエネルギーが、どんどん右肩下がりでへ、減っている!?」
「表現が古いですね」
「おま、お前はなにをそんな冷静に、あ、あの指揮官機の奴が吸収しているのだ!! ええい、そこの刀馬鹿、さっさと鱠斬りにせんかい!」
「いやぁ、他力本願ですねぇ。エンダークでもあればともかく、生身じゃ仕方ないですけれども」
「……お前、本当に落ち着いているな」

 こいつ、こんな性格だったかしらん? と訝しい思いで隣のイスペイル兵を見ている内に、なにやら尻の方が熱くなっている事に気づいた。いや、これは熱いなどと言うものではない。まるで焼き鏝を押し付けられているかのような――

「イスペイル様、燃えてます!?」
「何、ぬおう、私の尻がっ!!」

 背後を振り返れば、インペトゥスが放出した炎が燃え移った木々のひと枝が燃え落ちて、イスペイルの金属の光沢を放つ臀部でぱちぱちと爆ぜている。たまらず飛びあがって海水に尻を着けようとするイスペイルを、イスペイル兵が必死に抑え込んだ。
275660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:36:01 ID:???
「いけません。今飛び出たらDCやらわけのわからん連中やらに見つかりますよ! 燃えているのは取り払いましたから、もう大丈夫ですってば」
「ぐおおお。な、なあ、火傷には何が効いたっけ?」
「さあ、でもイスペイル様の黒光りする鋼鉄のお肌なら火傷なんてできないしょうに。ところでマイナスエネルギーは?」
「それもそうだな。マイナスエネルギーは、むむ、流出は止まったが残量は五〇%だ。ぐぐぐぐ、これだけ集めるのにどれだけ時間がかかったと思っているのだ! おのれ、この恨み晴らさでおくものか!」
「とりあえず息を潜めてじっとしましょう。いま見つかったらやばいですよ。私達どう見ても不審人物ですし、テレビで知られた顔ですけど、なんでここにいるのかって聞かれたらどうしましょう」
「次回の撮影の為に適当な場所を探していたとでも言えば済むわ。……とはいえその意見には賛成だ。お前、ホントに冷静だな」
「世知辛い世の中を経験していますから。(有)イディクスを起業する時も今もしわ寄せは私達やヴェリニー様の所の兵士に来たのですよ」
「仕方なかろう。上には上の、下には下の役目がある。お前はそう言うが私だってなあ……。ヴェリニーとガズムもなあ、もうちょっと私に優しくしてくれてもいいと思わんか?」
「優しくしてもらおうとする前に、まずはイスペイル様が優しく接されてはいかがですか? 人に信じてもらいたい時は、まずは自分が人を信じる事から始める、とどこかで耳にしましたよ」
「まずは自分の前に人にか。難しいな、世の中」
「まあ、私らも拾った命ですし、色々と以前はしなかった事をしてみるのもいいんじゃないですか」
「そうだなぁ。しかしお前、本当に変わった奴だな」

 そうして二人はこそこそと茂みの中に戻っていった。とりあえずやるべき事は分かっている二人の様だ。とにもかくにも見つからぬように隠れることが先決であるからして。ちょっと情けないのは仕方が無い。



 目の前で見る見るうちに機体の損傷が癒えて行くインペトゥスを前に思わず刹那は呆気にとらわれた。これまで様々な戦場を経験してきたが、損傷を自己修復する機動兵器など初めて目にする。
 一方でシンは、目の前のインペトゥスの様子に、かつての前大戦で苦汁を嘗めさせられ畏怖と畏敬に値する強敵を失う事になったAI1セカンドと、ヴォルクルスとの戦いが思い起こされ、胸中で吹き荒れる激情の嵐を抑えられそうにない。
 ごうごうと音を立てる激怒の炎と憎悪の嵐が、シンが常に行っている調息と練気、チャクラの回転にわずかな乱れが生じる。くっ、とシンの喉の奥で血を吐くような声が零れた。今ここで頭に血を昇らせるのは愚の骨頂。
 糸を紡ぐようにか細く息を吐き、乱れた呼気と脈流を落ち着かせる。強く意識して気を丹田に集める。瞬く間に下腹部が熱を帯びた様に熱くなる。瞬く間に気は清澄となり、自然と剣気を生じ破邪顕正の力を得る。
 左サイドアーマーから取り出したビームサーベルが、フォーミュラインパルスの左掌のコネクタと接続し、青白い光刃を形成する。しかし、刹那の目の前でその光はあざやかな黄金へと色を変じる。
 エネルギー・マルチプライヤーシステムが変換したシンの破邪顕正の気がコネクタを通じて、ビームサーベルの機能を借りて顕現したのだ。洪水の真っただ中に放り込まれたように、周囲に溢れるマイナスエネルギーの中に、黄金の輝きが一閃!

「ぬっ!?」
「っ!!」

 地に伏せていたイスペイルと、インペトゥスのパイロットが同時に驚愕の叫びを放つ。見えるものがいたならば、人々の苦悶の形相が川となったようなマイナスエネルギーの奔流の中で、黄金の刃が一閃するや、負の河は朝霧の如く霧散して消滅していた。
 周囲を穢していたありとあらゆる種の負の感情が清められ、辺り一帯は清浄な空気に満ち満ちている。マイナスエネルギーとは対極の力であった。
276660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 20:37:41 ID:???
「なんなのだ、あの機体……」

 イスペイルが呆然と見つめる先には、金色の輝きから蒼刃へと戻ったビームサーベルを持つフォーミュラインパルスの姿があった。

「貴様、何をした」

 低く抑えられた声が、フォーミュラインパルスにつなげられた回線から聞こえてきた。聞く者の心胆を寒からしめる凶暴性を隠そうともせぬ男の声である。敵指揮官機からの声と気づき、シンがかすかに息を呑んで緊張に身を浸す。

「その機体のパイロットだな? 何が目的でここに来た。何のために戦闘行為を」
「せっかくの収穫を邪魔してくれた礼をせねばなるまい。おれの名前はイグニス!
 おれの名を土産に恐怖と絶望に染まりながら、奈落へと落ちて死するがいい」

 修復が中断したインペトゥスは、二割程度ダメージが残っている様子だったが、それと引き換えに機体から見えざる戦意が立ち上り、揺らめいて見えた。これからが本番と言う事だろう。
 シンと刹那とが改めて操縦桿を握る手に力を込め、いつでも戦えるよう気を巡らした瞬間、唐突に百度近くまで上昇していた外気温が急速に冷却していく。インペトゥスの炎を鎮静化する様なナニかが、この場に近づいているのか。
 新たな敵の出現かと、レーダーと自身の超直感を頼りにそれぞれ警戒するシンと刹那の予想に反して、インペトゥスは傍目からも露わに動揺を示していた。辺り一帯を見舞った冷却現象は、目の前の敵にとっても予想外らしい。

「そこかっ」

 シンの不可視の知覚網に羽毛のような感覚が触れる。柔らかだが、氷のように冷たい。だが、少なくともこちらへの害意は感じられない。やや希薄だが、人間らしい情動も感じられる。
 太陽を背に、その輝きの中に飲み込まれるようにして、新たな機動兵器の影があった。光量を自動調節したカメラに映し出されたのは、処女雪の様に輝く白を基調とし、青と緑の色彩に彩られた機体である。
 背には緑色のクリスタル状の物質を埋め込んだ翼の様に伸びる五本のパーツがあり、刃と一体になった円形盾を左手に、おそらく銃器らしい物体を右手に持っている。炎の様なインペトゥスとは対照的に氷雪を思わせる美しくも冷たい雰囲気を纏う。
 どことなくインペトゥスと共通する意匠を見つける事の出来る機体だ。まったくの無関係とは行くまい。アレが、この現象を起こしたのだと無根拠に悟ったシンと刹那が新たな機体を見つめる中、

「ラキ!!」
「ラキ?」
277通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 20:57:59 ID:???
 
278通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 21:01:24 ID:???
 
279通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 21:04:20 ID:???
……?
280660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/22(月) 21:04:36 ID:???
 イグニスの切迫した声が、新たな機体に向かってかけられる。それが機体の名称か、パイロットの名前かまでは分からぬが、執着の念が紛れたイグニスの声からしてパイロットの名であろう。
 応えは無く、ラキと呼ばれたパイロットの機体は颯爽と機体を翻すや、あっという間に彼方に飛び去り小さな点へと変わる。
 負傷を負わせたシンや刹那、捜索に赴いたマイナスエネルギーへの執着は捨て、イグニスは率いていた兵士達と共に飛び去ろうとするラキの機体を追いはじめた。戦っていたこちらが呆気に取られるような退きっぷりだ。
 遮二無二、と言う表現が似合うほどラキの機体を追ってゆくイグニスは、すでに追っても捕まえられぬほど遠ざかっていて、シンと刹那は追撃を諦めざるを得なかった。
 戦闘の結果は、タスクのジガンが多少被弾してはいたが、その他の機体には目立った損傷は見られなかった。まあ、いつもどおりの戦闘後の姿と言えばいつもどおりだ。
 撃墜した機体の残骸を回収し、すぐさまオノゴロ島の港湾ドックへと戻る。この付近一帯の捜索は、後ほど行われるだろう。
 去りゆくクライ・ウルブズの機影がすべて消えたのを確認してから、ようよう、砂まみれ土まみれで汚くなったイスペイルとお伴のイスペイル兵が、姿を現した。傷一つ負っていないのは悪運が強いという証左であろうか。

「ちい、収集装置を動かす必要があるかもしれん。これはヴェリニーとガズムにも話を通さねばならんな」
「……なんで見つかったんだってヴェリニー様が問い詰めてきそうですね」
「それを言うな。……爪で引っ掻かれるのは免れんがな」
「噛まれないだけましでは?」
「どちらにせよ、痛いものは痛いのだ」
「心中お察しいたします」
「じゃあ、代わってくれ」
「お断りします」
「即答で断る位なら優しい言葉なんぞかけんでくれ。変に期待するだろう」
「とりあえず現実を見ましょう。ここまで乗ってきたゴムボートは沈んでしまいましたし、どうやって帰りましょうかね?」
「本当か?」
「お気づきで無かったのですか?」
「はあ〜〜。イカダでも組むか」
「そうですねー」

 途方にくれる主従の影は、長い事その場にぽつんと佇んでいた。

つづく
投下数を間違えてサルさんを喰らいました。我ながら学習しませんね、うふふ。では、又次回。
281通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 21:06:07 ID:???
乙華麗
イスペイル様がひたすら和むwwwwww
282通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 21:22:49 ID:???
otu
和むっ!実に和むぞっ!!

ラキラキのこのタイミングでの登場は
まさかシンとのフラグじゃありますまいな
ラキの保護者兼婿はジョッシュ以外は認めませんぞッ!!
・・・なんだか本当に原作ステラポジにでもなりそうで心配になるじゃないですか

それはともかく改めて乙!!
がんばれイスペイル様
283通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 22:39:32 ID:???
んー?麻呂ラキじゃなくてジョシュアルート後に死亡したラキって事なのかな?

しかしイスペイル様が自重しねえwwwwwwwwww
284通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 22:55:39 ID:???
総帥乙です

フォーミュラインパルスKAKEEEE!!
シンが思わず「グオルルルーーッ!!」とか「超スーパーすげェどすばい」とか「これでゲームオーバーだド外道ーーッ!!!」とか叫び出しそうなフォルムですなw

なんとラキが味方バージョンで登場とは
これはジョッシュと余生を過した後に天寿を全うしてこちらに来たのか、それとも死亡するルートか
イグニスの執着ぶりからして前者っぽい気が
285通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 23:20:46 ID:???
GJ! このラキはDのラキみたいやね
でもつーことはキ○ガイと紙一重のチェンゲ敷島博士でも寿命を延ばせなかったのか…
286通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 00:02:35 ID:???
投下乙
新型兵器でレントンとエウレカが呼び出されるってまさかニルヴァーシュか?
機体の種類が混沌としてきたなぁwwwだがそれが良い
相変わらずイスペイル様と配下兵が良いキャラすぎるwwwww
287通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 13:32:26 ID:???
レントンとエウレカを呼び出したと言う事はニルヴァーシュが登場する……まさかこの地球にはコーラリアンが既に?!
288通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 17:15:54 ID:???
南極門+バルドナドライブ+時空崩壊の究極コンボだな
エウレカセブンまで出しちゃうのかーって思って
数分後にここがスパロボとのクロスオーバースレだと言うことに気がついた
289通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 18:44:26 ID:???
総帥乙でした

インパルスのシルエットシリーズに仏ZONE...だと……ッ!?
武器満載の馬頭シルエット最強形態な斧で大暴れとか凄い楽しそうだ
290通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 19:35:31 ID:???
やはりこのレントンとエウレカは「来た」方なのか?
滅茶苦茶気になります。
291通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 20:31:43 ID:???
いや、レントンとエウレカについてはオリジナルや多元世界の彼らとは別人だと総帥が明言してたよ
しかし最初はチョイ役だと思ってたのによもや正式参戦するとは思わなんだw
292通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 21:48:46 ID:???
すいませんチェックしきれませんでした申し訳ありません。
それにしてもトラパーないから機体は何だろうか?

293通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 22:04:52 ID:???
総帥の世界だと霊的な存在に量産機で対抗するためにナウマクサンマン弾とか出しそうで怖いw
294通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 22:06:04 ID:???
このSSを読んで、新ゲッター・真マジンガー・鋼鉄神とエウレカが参戦するスパロボを想像した……無理だ。
かつてないカオスなシナリオになりそう……ゲッコーステイトをフルボッコ(竜馬はあんなケチくさい真似はしないし、そういう奴はぶちのめすだろう)にする竜馬の姿は自然に浮かんだが。
295通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 22:08:32 ID:???
>>292
たしかボードにテスラドライブ仕込んだホバーボードみたいなのを作ってなかったっけ?
でもトラパー仕様じゃなきゃセブンスウェルは無理か…
296通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 22:42:35 ID:???
>>293
ありえます。ただやたら制作に手間がかかりそうだから、やはりシン頼みでしょうな。
念関係が修正されなくてよかった。しかし、テクノロジーの進化が滅茶苦茶すぎるwww方向性がバラバラ。
シン・ステラ・セツコの3人はやはりチームとなり「合体(●●的にも●的にも)」するのだろうか?
個人的には合体ロボの方が座りがいいけど。

>>295
いくらテスラドライブでもあのトラパー使用の再現はかなり難しいでしょうな。
機械を積んでいる分、機動性の負担がかかるだろうし。
297通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 00:26:55 ID:???
どうでもいいが、フォーミュラーシルエットの見事に洗練された姿に
アクア姐さんがザフパルスの駄目さ加減を再認識させられて改めて
悲嘆の涙に暮れそうなw
298通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 00:39:03 ID:???
獅子でフォーミュラだからてっきり変形すんのかと…
299通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 07:48:42 ID:???
>>298
一体どこのキャプテンガンダムだw。
300通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 12:43:36 ID:???
ヴァーチェの後継機は決まりだな
301通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 13:20:41 ID:???
>>297
でもそれが何故か似合うのがアクアクオリティです。
どうしてこうSな人を刺激するキャラなのだろうか?
302通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 13:26:15 ID:???
その点でセッちゃんとアクアさんは夢の競演だなw
303通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 15:54:28 ID:???
シンは始まってしばらくは弱体化した状態が続くのかと思いきや、もう完全にビアンSEED最終回時を超えてるな
星薙ぎもスーパーモードも自在に使いこなせるとか強すぐるw
しかも精神力が零式防衛術の使い手なみに強靭になってるし

しかしそんなシンも刹那と二人掛かりで、まだ準備運動段階だったイグニスに苦戦するのが現状の戦いのレベルなのだから恐ろしい
最後はマジに天元突破とかゲッペラ様の領域にまで到達しそう
304通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 17:59:41 ID:???
オプションZとかフリーダムファイター的なガンダム

デスティニーFFオプションZ?
デスティニーとなんかでファイナルなフォーミュラー?
305通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 18:00:49 ID:???
今度はさらにトンデモナイ敵が出てきそう……でないとシンの人外ぶりが説明がつかない。
Zのシンの3倍は強いな……。ヴァルザガードクラスの敵でも出てくるのだろうか?
306通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 18:19:50 ID:???
なんか憑かれてるか
いろんなクロスオーバーSSのシンと融合したとか
クロスオーバーSSの世界を監視するイングラムなシンとか
307通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 20:12:36 ID:???
と言うかこのシンは過去に因果率の番人の干渉で平行世界に存在する自分の集合的無意識に触れてるからな……
PERSONA能力に開眼しても驚かんよ

>>301
シンが人気投票二位な硝子ハートのドS皇子だったら弄くり倒してたな
308通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 20:44:40 ID:???
シン「斬艦刀よりすげーもんぶちこんでやろうか?」
309通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 21:19:41 ID:???
フォーミュラシルエットには分身機能もちゃんと付いてるみたいだけど、今のシンなら機能に頼らなくても分身できそうな気がする、戴天流的に考えて
310通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 18:31:56 ID:???
>>308
新ゲッターチームと共演したらまじでそうなりそうwww
311660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:40:46 ID:???
ディバインSEEDDESTINY If01 シンがドS星の王子になっちまったら編

注意  本編との時系列に若干の誤差がありますがあまり気になさらずにお楽しみくださ
い。シンがソフトSになり、また、セツコはなんかMっぽいよね、という主観に基
づいた、ちょっとえっちいお話です。勢いで描いたのでいろいろと荒い所が目立ち
ます。
タイトルにドSとありますが、そこまでではなく、某人気投票二位の彼とも違い
ます。多分全年齢板でも大丈夫だよねー、的な表現だと個人的には思いますが、エ
ロはいらね、と言う方は以下の文章に目を通さず、スルーしてくださいまし。


 
 オノゴロ島の軍事施設内は、軍関係者のみならずモルゲンレーテ社の社員が利用する関係もあって、福利厚生施設などが充実している。
 地上に出れば大規模な繁華街やショッピングモールもあるが、場合によっては施設から出る事が出来ない事が往々にしてあるし、地上に出て車や足を使うよりは時間もかからない。それに割引も利いているからずっと安く買い物もできる。
 だから時間の無いものやわざわざ外にまで足を運ぶ気にならないものは、基地内の施設で買い物や食事を済ませるものが多い。
 DC総帥親衛隊ラストバタリオン特殊任務部隊クライ・ウルブズに出向中の戦技研究班グローリースター所属、セツコ・オハラ少尉も本日は基地に出店しているカフェで、スイーツを楽しんでいた。
 背の半ばほどまで伸びる黒髪は、基地の廊下を照らす真白い電子照明に煌びやかに輝いている。その髪のひと房に触れれば、触った事のないものでも極上の絹糸の様だと評価するだろう。
 すぅっと自然に目を引くような黒い髪には天使の輪が浮かびあがり、さらさらと流れる様は思わず伸びる手を抑えるのに多大な労力を必要とするだろう。
 白蝋の様な滑らかな肌は、闇夜の中でもぼんやりと輝く白雪の様に美しい。厳しく自己を律する黒を基調とした軍服に、凝肌は良く映えている。
 触れる、眺める、舐める、齧る、およそあらゆる欲求を雄に呼び起こさせる淫らさと、性の穢れを知らぬ純真な乙女の清廉さとが同居した不可思議な魅力がある。
 きつい筈の軍服の布地を大きく押し上げ、両手に余りそうなほど豊満な乳房、きゅっと華奢に見えるほど締まった腰と、そこからまろやかに伸びる尻と女性として完成された肉体。
 男なら吸い寄せられた視線を引き剥がすのに後ろ髪を引かれる肉体と、あどけない子供みたいに喜びの光を浮かべている星色の瞳とがアンバランスな魅力を醸し出している。
 誰に聞いても美人と言われるだけの若々しい美貌の持主たるセツコが、銀のトレイの上にストロベリーサンデーとソフトクリームを乗せて、気まじめ過ぎるのかあまり浮かべる事のない無邪気な笑顔を浮かべている様子は、見ていて微笑ましいほどであった。
 しかし、私室に戻って食べようと誰の目も気にせずに楽しもうという考え――以前、パフェを夢中になって楽しんでいる様子を、デンゼルに目撃されて恥ずかしかった――がセツコの注意力を散漫にしていた。それが、事件につながったのである。
 かすかに漂う甘い匂いに早く食べたいな、とセツコが浮き立つような気持ちで歩いていると、曲がり角でどん、と誰かにぶつかってしまう。ほとんどセツコと変わらぬ背丈の人影は、セツコと同じくクライ・ウルブズ所属のシン・アスカだった。
 寝癖をほとんど直さないようで、すっかり見慣れた癖っ毛とちょっと小生意気で、聞かん気の強い子供っぽい光の浮かぶ瞳と、同年代の少年としてはやや小柄な体躯とあいまって、十六歳と言う実年齢に対して幾分幼く見える。
 そのシンの軍服の胸板をべっとりとソフトクリームが汚している。シンは無言で胸元を汚すソフトクリームを見つめている。普段なら、ぶつかってきたセツコの方を心配する様なシンなのに、無言のままなのがセツコは少し気になった。
 ミニ丈のフレアスカートのポケットからハンカチを取り出して、慌ててシンの胸元を拭う。へたにソフトクリームが広がらないように丁寧にハンカチで拭いている間も、シンは無言だった。
312660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:42:14 ID:???
「シン君、ごめんね」
「……いいですよ。これ位は」
「え、う、うん……」

 聞き慣れた年頃の少年らしいシンの声とは思えぬ、こちらの心の後ろめたい部分を見透かして、言外に何でも知っているぞ、すべてお見通しだと脅しているような、抗えぬ何かを感じさせる声。
 我知らず、セツコは小さく肩を震わせた。目の前にいるのが本当に自分の知るシン・アスカなのか、セツコには分からなくなる。
 もともと新兵上がりのセツコは生来の気弱な性格も手伝って、前大戦時からDCの最前線で戦い続け、軍内部でDC最強のパイロットの一人として目されるシンに対して、どこか遠慮した態度で接していた。
 そんな態度でシンに接してしまうのは、自分が軍人と言う職業に向いているだろうか、と日々自問している事も影響しているだろう。
 シン自身は自分の事をそれほど大それた存在とは考えていないようで、年上なんだからそんなに気にしなくていいですよ、ときさくな調子でセツコに接してくれているのだが、セツコはまだその一歩を踏めずにいた。
 それでもシンの明るい瞳や態度は同年代の友人に恵まれなかったセツコには、好ましく思えたし、シンといつも一緒にいるステラやエウレカ達と接せられる事もセツコには嬉しい経験だった。
だが、今のシンの瞳はどうだろう。いつもは宝石みたいにキラキラと輝いているシンの瞳が、どろりと濁った光を宿している。心の奥底で何か、得体の知れないどろどろとした暗い情念がセツコを飲み込んでしまおうと渦巻いているような、冷たい悪意に満ちた瞳。
セツコの頭の中で、危ない、逃げなきゃ、と叫ぶ声と魅入られたように呆然とする声がする。甘い香りに誘われて食虫花に溶かされながら食われる虫や、蜘蛛の巣に掛かり、その牙に掛かる時を待つしかない哀れな蝶もまた、同じような事を考えるのだろうか。

「落ちない。ご、ごめんね、シン君」
「……」

 まただ。氷の彫像に見つめられているようにセツコの背筋に震えが走る。どくん、と心臓の鼓動が強くなるのを感じる。全身を巡る血流に濃厚な酒精が混じっているかのように体の細胞一つ一つが熱を帯びている。
 自分の知らないシンを前に心はどこか恐怖を覚えているのに、体は心を裏切って不可思議な反応を見せていた。解離する心と体の反応に、セツコは自分がどうすればいいのか分からなくなっていた。
 シンの胸元からハンカチを握っていた自分の右手を放して、ポケットにハンカチを仕舞い込む。その間も、ハンカチをしまった後もシンは無言を維持し、セツコに沈黙の圧力をかけてくる。その男を知らぬ体に、心に。
 気づけば、セツコの唇は動いていた。なにか、知ってはならぬ背徳の果実の味を求める様な期待感が、胸の奥で疼いていた。蛇にそそのかされた最初の人間が、禁じられた果実をもぎ取った時、きっと今のセツコと同じ背徳感に胸を震わせていたのだろう。

「シン君、私の部屋、来ない? その、制服を汚したままだと悪いし、タオルとか、拭くものが足りないから」
「……そんなに気にしなくていいって、言っているでしょう?」

 冷たい瞳が、感情を排した声が、セツコの耳から目からするすると忍び込み、甘く惑わせる。ゆるりと昂らせる。確実に狂わせる。
 薄い花びらで形作った様に可憐なセツコの唇は、幽かに震えていた。熱にうなされた病人の様に、夜の闇の中に迷い込んだ夢遊病者の様に、魔女の宴に誘われた無垢な生贄の様に。セツコは、果たしでいずれか? そして、シンは熱病か、夢か、魔女か?

「シン、君……私の部屋に、来て」
「“来て”? どうしてもって、セツコさんが言うんなら行きますけど?」

 シンの瞳が告げる。来て欲しいのなら、なんて言えばいいか、分かるな? と。シンの瞳の中に赤く染められて映るセツコは、震える唇でどこか陶然と呟いて答える。さながら血の海に沈んだ生贄の処女のよう。

「来て……ください」
313660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:43:25 ID:???
 セツコの目にゆっくりと、そしてはっきりと吊り上がるシンの唇が動いた。どこにでもいる少年の笑みではなく、自分の掌に内に翼を痛めた小鳥が舞い降りた事を喜ぶ笑みだった。
 ただし、自分の手の中に舞い降りた小鳥を慈しむのではなく、自分の手で羽をむしり、痛んだ翼も無事な翼も折り、足をもいでから、嘴を砕いて、小さな首を捻るのを楽しみにしている残酷な性根の持ち主だけが浮かべる笑み。
 セツコの部屋は、持主の性格を表す様に綺麗に整頓されていて女性らしい飾りっ気もなく、生活感には乏しい。濡らしたタオルでシンの胸元を拭う。力を込め過ぎない様に気をつけながら、どこか怯えたままセツコは腕を動かす。
 タオル地が制服に擦れる、しゅ、しゅ、という布擦れの音だけがセツコの部屋の中に響き渡る。二人は、セツコの使っているベッドの上に座っている。
 しゅ、しゅ、しゅ。
 セツコはシンの瞳を見る事が恐ろしく、顔を伏せたまま腕を動かす。シンは不気味なまでの沈黙を守ったまま。
 しゅ、しゅ、しゅ、しゅ、しゅ…………。
 これが巨大なMSを動かすパイロットの腕なのかと、信じられないくらいにか細いセツコの手首をシンの手が掴み止めた。シンの手も、意外にほっそりとした指をしている。
 しかし、数年間激烈な剣の修業に明け暮れた掌は潰れた豆やタコで覆われていて、意外な逞しさと硬さに、セツコはまるで手錠でも掛けられた様な感覚を覚えていた。だが、シン自身はほとんど力を加えていない。
 セツコの細腕でも簡単に振り払える程度の力に過ぎない。だというのに、セツコが手錠や枷を嵌められているように払う事が出来ないのは、セツコ自身が払う事を拒絶しているからだ。
 心の中でシンの手を払わないと、そう警告する自分の声をセツコは遠く聞いていた。シンの赤い赤い瞳が、セツコの瞳を見つめる。視線がそのままセツコの瞳を貫いて、脳髄を刺し貫くような感覚。びりり、と背筋を走った電流が全身に伝播して体を痺れさせる。

「服は、もう、いいですから」

 一語一語、噛み千切る様にシンは言う。セツコは黙ってシンの言葉に耳を傾ける。シンの言葉と視線はまるで麻薬の様にセツコの体を弛緩させる。セツコが固く握るタオルを、指を一つ一つ抓んで離させる。
 セツコは、ただ呆然とシンの指が自分の指を摘まんで動かすのを見つめる事しかできなかった。

「あの、シン君……」
「服だけじゃなくて、ここにも、ついているでしょう? ソフトクリーム」

 そういって襟を掻き開きシンは少し上向きになって、首筋に掛かって、今は溶けたソフトクリームの一欠けらをセツコに示した。セツコが、拭こうとタオルを伸ばすのを、シンが優しく手で受けて止めた。

「タオルなんかじゃなくて、こっちで拭いて下さい」
「シンく……!?」

 あろうことかシンは空いている左手の指を、セツコの無防備な口に差し込む。うっすらと口紅を刷いた唇は呆気なく無遠慮なシンの指の侵入を許して、奥にある舌を抓まれる。親指と人さし指が、舌肉を摘み触れるか否かと言う繊細さで爪を立てて嬲った・

「シン……くん。苦し、や、やめ……んん!?」

 にゅるにゅると唾液に塗れてぬめりを帯びたシンの指がセツコの口の中を凌辱する。こりこりと弾力のあるセツコの舌を、シンの指がこねくり回し、かすかな痛みと苦しさに、セツコは顔を顰めた。
 歪む美貌を、シンは薄く笑いながら見つめていた。まるで弧月の様に冷たい笑み。善意で向けられた笑みでない事は、生まれたばかりの乳飲み子とて分かろう。その内に、シンの指が舌だけでなく歯茎や歯列、口内の上あたりを器用に撫でさすり始めた。
 繊細な羽毛でこそばゆくくすぐられるような感触に、セツコは驚きながら苦しげに呻く。

「んんん……はぅ、んぐぅ……」

 上気し、ほのかに赤みの射したセツコの頬やうるみ始めた瞳に、シンはぞくりぞくりと、背骨をじかに削られるような怖気とそれ以上の快楽を感じている。
 セツコの瞳が、やめて、ひどい事しないで、と無言で訴えるが、その祭壇の上の子羊の様な瞳こそが、シンを昂らせるのだとセツコは気付いていない。
314660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:44:19 ID:???
 いや、本当にそうだろうか?
 気づいているからこそ、そんな瞳をしているのではないだろうか。シンにもっと、ひどい事をして欲しくて。体の奥の方で燃え始めたどこか淫らな炎をもっと燃やして欲しくて。
 真実はセツコ自身にしかわからない。あるいは、その体だけにしか。
 セツコの腕はちっぽけな抵抗を示す様にシンの胸板にあてがわれ、弱々しく押し返そうとしていた。だが、わずかほどにも力の込められていない細腕では、シンどころか子供にさえ勝ち目はないだろう。
 少なくともセツコの体はもう、シンに抗う事をやめつつあった。

「んはっ、くちゅ、ううん。……ああっ」

 セツコの蜂腰に、柔軟性を兼ね備えたワイヤーを束ねた逞しさを持つシンの腕が巻かれた。鉄の拘束力に、瞬間、セツコが息を呑んだ。
 抱き寄せられ、セツコがシンの胸元に寄せた腕と乳果実とが潰れる。柔らかな乳房の感触と、頼りなげな細腕の感触に、シンはちりちりとうなじを焼くような飢えを覚えて、たまらず唇を吊り上げる。
 月光夜に少女の白肌に乱杭歯を突き立てようとする吸血鬼もきっと同じ笑みを浮かべるのだろう。あるいは、娼婦を切り裂く霧の街の殺人鬼の笑みか。
 抑えきれぬ愉悦に細められたシンの瞳に射すくめられて、セツコの体が脱力した。腕も足も指も、瞳さえも、セツコの言う事を聞こうとはしない。赤いまなざしを注ぐ目の前の少年に、奪われてしまった。
 再びシンの指がセツコの舌に絡みだした。柔らかく暖かな舌肉に爪が立てられかすかな痛みが口内から脳髄へと伝達され、セツコは反射的に瞼を閉じた。
 やや乱暴な程度にセツコの口の中をシンが責め立て、快楽なのか痛みなのか分からぬ感覚の中へとセツコは放り込まれた。何もかも砕いて海の底に沈める大渦に飲まれた小舟の様に、流されるままセツコは悶える。
 細かくぴく、ぴく、と震えるセツコの体を、シンは愛しげに繊細な細工ものを扱う様に指でなぞり弄んだ。
 諦めに支配されたのか、混乱したまま状況に流された所為なのか、セツコの舌がシンの指におずおずと絡められた。ぬるぬるとセツコの口の中でぬめりきった二本の指と舌とが、蛇と蛇とが交わるかの様に妖しく蠢めきはじめた。
 鱗を持たぬ肌色の蛇が、その全身を白く泡立ち始めた唾液に塗れてぬるぬると擦り合い、絡み合う。鉤状に曲げられた指に掴まれたセツコの舌が苦しげに上下にのたうつのをしっかりと捕らえたまま、シンの指が扱きはじめる。
 わざと力を込めてセツコの舌を締めつけて、セツコが苦しげに呻く声が、シンの耳に心地よく響く。

「あ、ああ。シ、ン君、んんん……ふあ、ああ」
「はは、ははは」

 戸惑いながらも一心不乱に舌を動かして指に絡めてくるセツコが、熱に浮かされた瞳で見つめながら媚びた声を出すのを、シンは乾ききった笑いと共に楽しんでいた。
 やがて血を吸う蛭の様な艶めかしさと赤みを帯びたセツコの唇から、ちゅぽんといやらしい水音を立ててシンの指が抜き取られた。銀の糸でセツコの唇と繋がるシンの指を、セツコの瞳が物欲しそうに追う。
 くっ、と噛み殺した笑い声がシンの喉の奥で鳴る。ほんの数十分前まで怯えきっていたセツコが、自分の口内を散々に弄び蹂躙したモノを物欲しげに見つめるとは。思った以上に目の前の人は、楽しませてくれる。
 子供がお気に入りの玩具へ向ける感情に近いものが、シンの胸の奥でくすぶり始めた。セツコの唾液に濡れ光る指で、さっきまでむしゃぶりついてきたセツコの唇をなぞった。
 体中が敏感になっているのか、元から敏感だったのかセツコは、輪郭をなぞるように触れてくるシンの指の感触に、ああ、と熱い吐息を無意識の内に零す。
315660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:46:47 ID:???

「いやらしい人だ」

 シンが何を言ったのか、数秒たってから理解した時、がつんと頭を横殴りにされたような衝撃が、ようやくセツコの心を襲った。蕩けはじめ、赤く火照っていたセツコの顔が、さぁっと潮が引くように血の気が引いて青く変わる。

「え、あ、ああ、わ、私」
「年下のガキに指しゃぶらされて、だらしなく声なんか出して、恥ずかしくないんですか? これじゃあまるで、雌犬だ」
「っ、どう、してそんな事言うの?」

 じわり、セツコの瞳に涙の紗幕が掛かりはじめる。そもそも自分の口の中に指を入れて来て、抵抗する間もなく動かし始めたのは、シン君の方だと、理性の働きが少しずつ戻り始めたセツコは、抗議しようとした。

「途中で気分が出始めて、媚びていたのは誰ですか? アンタでしょう? いいや、そもそも最初からアンタに抵抗する気なんてなかったんだ。自分は嫌がった、抵抗したっていう振りをしていただけだ。
 おれを突き飛ばす事も、口を閉じる事もしなかった。今になって違う違うと叫んだって、遅いんだよ。そんなに嫌ならおれの指に歯を立てる位はできただろうが」
「うぅ」

 痛いほど強く抱き寄せられ、セツコは豹変したように強い言葉を吐くシンの言葉と表情に、呼吸さえ忘れて目を大きく開く。自分があわれな子兎で、目の前のシンが自分に牙を立てようとしている獅子なのだと、ようやく悟る。
 口から零れた唾液でべとべとになっている唇を、同じく唾液に濡れたままのシンの指が拭った。びくりと震えるセツコの体を腰に巻いていたシンの腕が、慰める様に背中を撫で始める。

「いいですよ、おれはそれで」
「?」
「おれみたいなガキに指しゃぶらされて、口の中弄くり回されて、途中から声なんか出す変態女でも。それ位の方が可愛げがある」
「な、なに、を」

 こんな状況で、変態と言われても、可愛げがある。その一言でセツコは狼狽しはじめた。その様子に、くくく、とシンの喉から肉食獣の笑い声が零れる。いい。本当にいい。セツコは、本当に食い散らかしがいのある獲物だ。
 唇に触れていたシンの指が、セツコの肌から離れぬまま、てらてらと輝く痕を残しながら左耳まで流れる。そっと耳たぶを摘み、そこに吐息をまぶしながらシンが冷たく囁いた。冷たい囁きはセツコの鼓膜に触れて熱く粘度に富んだ囁きに代わって心に絡み付く。

「さあ、早く舐め取って」

 鋭い犬歯がぷつりと音を立てて耳朶を一噛みし、針でつつかれたのと等しい痛みにセツコが呻く。冷たい笑みを浮かべたままシンの顔が離れ、首筋をセツコへと向ける。ソフトクリームは匂いだけをそこに残すきりだ。
 蔑みの色と共にセツコを見下ろすシンの瞳に、セツコは誘蛾灯に惹かれる蛾のようにシンの白い首筋へと顔を近づかせた。あ、ああ、とそれだけはしていけないと思いながら、切なく震える舌が、シンの首筋に触れる。
 生暖かい感触にシンがかすかに呻く。羞恥の想いが残っているのか長い睫毛を震わせながら瞼をとじ、ちろちろと舌を動かす。零れたセツコの黒髪がさわさわと触れてこそばゆく、匂いたつ甘い髪の香りにシンは酔いしれた。
 頬に掛かる髪を掻き上げるセツコの無意識の仕草に、シンは匂いたつ様な色香を覚えて、血が熱を帯びるのを感じる。

「ふむ、んん、ふああ、あふうう」

 おそるおそる舌を伸ばしていたセツコも徐々に慣れ、残っていた羞恥心を忘れて舌の動きを大胆なモノにしてゆく。思いきりよく伸ばした舌先から付け根までを利用してじゅる、と音を立てて舐める。
 シンの首筋をぬらぬらと輝かせるだけに飽いたのか、セツコがついばむ様に唇を動かし始めた。ちゅ、ちゅ、と小さな音が連続する。セツコの自発的な奉仕に、シンは気分を良くしてセツコの髪を空いている手で梳いた。
 何の抵抗もなくさらさらと指の間を黒髪が流れて行く。この髪に触れるだけでも痺れるような心地よさが感じられる。シンの指が心地よかったのか、セツコの唇の動きが早まった。
 シンの首筋をついばみ口づく度にセツコの唇が奏でる音が、絶えることなく続いてゆく。ひとつ音が重なる度にセツコは、薄く理性を剥がされて、じくじくと膿の様に心の中に滲みだす獣欲に飲まれて行く。
316660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:48:04 ID:???

「ふう、ん、んん、はぁ、あ、んん」
「随分いい声だしますね。気持ち良くなってきました?」
「…………んん」
「上手ですね。ひょっとして初めてじゃない? 男なんて知らない顔をして置いて、はは」
「んむっ」

 異議を唱える様にセツコが歯を立てて来た。痕が残るほど強くではないが、それでもシンにはわずかな痛みが伝わる。セツコからしたら、せめてもの抵抗であったろう。だがそれがシンの癇に障った。
 セツコの細い顎先を掴んで引き剥がす。突然の乱暴に、セツコの瞳が怯えに震えていた。柳眉を寄せて乱暴される事に怯えるセツコの様子に、シンは嬉しげに口元を歪ませた。歪む。この表現こそが的確な動きであった。
 そのまま肩を押してベッドの上に押し倒して、セツコが何か言う前に覆いかぶさった。恐怖と不安と期待と欲情のカクテルを呑んだように頬を複雑な感情で朱に染め上げたセツコの瞳を、シンの瞳がまっすぐに貫く。
 この冷たい瞳がセツコの体を麻痺させて、セツコの心を踏み込めば二度と戻れない快楽の泥沼へと踏み込む事へとの躊躇を奪う。
 ボタンごとセツコの制服の前を力任せに開き、セツコの両足の間にシンの腰が割り込む。M字に足を押し開かれ、両手をまとめて片手で掴まれ、身動きの取れなくなったセツコを前に、シンはゆっくり口を動かした。

「男なら誰でもいいんだろうが、なんなら今から別の奴、呼んでこようか?」
「や……いや」

 震えるセツコの姿が、なんと愛おしい事か、なんといじらしい事か、なんと嗜虐心をくすぐる事か。

「はは、人に見られるのは嫌か。そのうち、見ていられないと……」
「……違う」
「うん?」
「シン君じゃなきゃ、いや。貴方じゃなきゃ、いやなの」
「……」

 今、口にしてはっきりとセツコには分かった。こうも唯々諾々とシンの言う事に従い、体が淫らな熱を孕んで行くのは、相手がシンだからだ。それ以外のだれかだったら、こうも自分は従順になりはしない。
 体の反応だってこうも素直にはならないだろう。何の情も抱かぬ相手に愛撫されるのと、技巧が拙くても愛する人にされるのとでは後者の方が心も体も喜ぶ。それもまた真理だ。
 ただ体を守るための防衛反応とは心と体が共に歓喜と共に迎え入れようとする相手、セツコにとってそれは、シンだった。
 怯えを払拭しまっすぐに自分の瞳を向けるセツコに、数瞬シンが見惚れる。神の遣わした愛の天使の矢に心臓を射抜かれたように、嗜虐の仮面を脱ぎ去ってセツコに見入る。

「シン君?」
「っ!」

 訝しそうに名前を呼ぶセツコの声で我に返って、シンはセツコの顔を改めて見つめた。

「あの……」

 また言葉でいじめられるのか、痛みを与えられるのかと期待の混じった怯えを見せるセツコの唇を、不意を突いたシンの唇が塞いだ。自分の唇に重なってきた柔らかな感触に、セツコの目が大きく開く。ファーストキスだった。

「あ、あむ、うく、んん」

 唇を重ねるだけの優しいキスに、セツコは驚きよりも胸の中をいっぱいにする暖かな気持ちに酔いしれた。十秒か、一分か、一時間にも感じられる口づけが終わり、シンの唇が離れた時、セツコは頬を桜色に染め上げて恍惚の溜息をついた。
317660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:51:19 ID:???

「あ、あむ、うく、んん」

 唇を重ねるだけの優しいキスに、セツコは驚きよりも胸の中をいっぱいにする暖かな気持ちに酔いしれた。十秒か、一分か、一時間にも感じられる口づけが終わり、シンの唇が離れた時、セツコは頬を桜色に染め上げて恍惚の溜息をついた。

「シン、君」
「……アンタは、おれのもんだ」
「ふあ」

 セツコの顎に手を添えて上を向かせ、露わになった首筋に唇を押しつけながらシンが囁く。目に見えない麻薬の様な言葉が、水にぶちまけられた墨みたいに広がって、セツコの体に浸透して冒して行く。それはあまりにも甘美な麻薬であった。

「だから、おれもアンタのものだ」
「あ、ああ、シン君」

 我知らず、しかし心の底からシンを求めて、セツコの足がシンの体に絡み付き咥えこむ。

「斬艦刀よりもすげーもんぶちこんでやろうか」

 子供の様に無邪気で楽しげなシンの声が、セツコの脳の中で幾十にも渦を巻いて浸透していった。
318660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 20:53:03 ID:???


「……さん、……ツコさん」
「ん、はあ、シンくん……。はぁ、ああ」
「…………なんというか、気まずい声だなあ。夢におれが出てきていたりして。セツコさん、こんな所で寝たら、風邪を引きますよ!!」

 肩を揺さぶられてセツコは目を覚ました。どうやらオノゴロのシミュレーター機器の中で眠ってしまったようだ。目の焦点を合わせて肩を揺する相手を見ると、びくん、と肩を震わせる。
 鮮明すぎるほどの夢の中に出てきた痴情の相手であり、最後にはご主……げふんげふん、と喜んで呼んだシン・アスカ少年である。

「セツコさん、大丈夫ですか? 汗びっしょりかいてますよ。はい、タオル」
「え、あ、た、タオル?」
「? そうですけど」

 反射的に舌を伸ばしそうになってしまい、慌ててセツコは口を閉ざした。シンはそんなセツコの様子を不思議そうに見ていたが、そのままタオルを差し出して、セツコもそれを受取る。
 心配そうに自分を見つめてくるシンの瞳が、良く知っている暖かなものだと確認して、セツコは安堵と認めたくはないがはっきりと失望を感じていた。そんな自分が、セツコは卑しくて情けなくて、思わず顔を伏せる。
 シンはそんなセツコの様子を、シミュレーターで好成績が出なかったせいだろうと解釈したらしい。クライ・ウルブズ内で一番技量的に未熟であると自覚しているセツコが、時に無茶な訓練を自己に課す事を隊内で知らぬ者はいない。

「あんまり根を詰めると、体を壊しちゃいますよ。それに、疲れ切った状態で訓練してもいい結果には繋がらないですよ。ちゃんと休まないと、セツコさんが無理し過ぎるから、みんな心配しているんです」
「う、うん。心配してくれてありがとう」

 夢の中とのギャップに恥ずかしさを覚え、セツコはタオルに口元を埋めた。かすかに頬を上気させて、なにやらうーと唸ったり、首を小さく左右に振っていやいやをするセツコの様子がひどく可愛らしくて、シンは顔を赤くしてそっぽを向いた。

「セツコさん、寝汗ひどいみたいですし、一度シャワーを浴びた方がいいですよ。おれはインパルスの整備状況見てきますから」
「あ、シン君」
「はい?」

 振り返るシンに

――私の部屋に来て下さい

媚びた淫らな女の声で言いそうになり、セツコはそれを胸の中で押し殺した。あの夢が、意味するものが果たして何だったのか、セツコは考えないようにした。夢が潜在意識の願望であるのなら、あの夢でシンがセツコにした事は、それは、セツコが……。


――続カナイヨ。
本編ニハ関係ナイヨ。本当ダヨ。デモ、まんねり防止ノ為ニ、ソーイウぷれいニ走ルカモネ。悶エルすれデ、せつこ無シジャ生キテイケナイ体ニサレタしんノSSガアッタケド、アンナ感ジデ、しんM、せつこSばーじょんモ何時カ、書ケタライイト思イマス。
>>308
勝手に台詞を拝借しました事、お詫び申し上げます。申し訳ありません。
31911 ◆Qq8FjfPj1w :2009/06/25(木) 21:50:33 ID:???
凄いのキタw
でも総帥申し訳ない、実は>>308は俺の悪乗りwww
320通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 22:09:34 ID:???
>>318
総帥GJ!やっぱ、セツコはMの描写が似合うなw
そして悶エルすれについてkwsk知りたいですw
321通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 22:13:04 ID:???
総帥の方、乙でしたー。
夢とは記憶の整理、または願望の映像化ともいいます。つまり彼女の『それ系の知識』プラス『シンに対する願望』が混じったものがコレに?
322通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 22:13:47 ID:ZSY5i/9Y
(1)外国人参政権
もし一度この法律が施行されてしまった場合、
「やはり外国人に選挙権は与えたのは間違いだった」と気付いたとしても、
果たして法律を破棄することは可能でしょうか?
法律を破棄しようとしたとき、外国人らは暴動を起こすでしょう。
「自国民の人権を守る」という名目で、中国や韓国が戦争を起こす恐れがあります。


(2)人権擁護法(人権侵害救済法)
もし一度この法律を一度施行してしまった場合、もはや日本に言論の自由はありません。
保守系議員・保守系ジャーナリストらは全て牢獄行きか、抜け殻になっています。
2ちゃんねるも愛国ブログもこのサイトも、全て日本から消滅しています。
「人権擁護法を破棄しよう!」「外国人参政権を破棄しよう!」と声をあげた人は、家宅捜索されて逮捕されるでしょう。
クーデターでも起こさない限り、人権擁護法は二度と破棄できないのです。


(3)移民1000万人受け入れ
もし大量に移民を受け入れてしまった場合、その問題に気付いても移民を国外追放などできるのでしょうか?
その場合、移民たち(ほとんどが中国人と韓国人)は暴動を起こすに違いありません。


323660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/25(木) 22:19:43 ID:???
>>320
ロボゲー板にあった”シンとセツコの関係に悶えるスレ”という奴です。今はもうなくなっちゃったのかな?
確か、まだまとめはあると思います。個人的に神とおもう職人さんがいらっしゃり、シンセツにはまった私の楽しみでした。
こちらでは、種運命世界のシンとセツコのお話を投下させていただきましたが、悶えるではスパロボZ世界でのシンセツものを投下させていただいておりました。
というか、他の職人さんのレベルが高すぎで、投下するのに萎縮していたのも良い思い出。
324通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 22:29:33 ID:???
おお、これは


わっふるわっふる
325通常の名無しさんの3倍:2009/06/25(木) 23:27:15 ID:???
ところで総帥
まだオリジナル機体の受付はしていますか?
機体がイベントで使えなくなった時用の支援機体とか予備機体ポジションなんですが
326660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/26(金) 09:11:18 ID:???
誤字脱字訂正です。

>>316-317
”「あ、あむ、うく、んん」
 唇を重ねるだけの優しいキスに、セツコは驚きよりも胸の中をいっぱいにする暖かな気持ちに酔いしれた。十秒か、一分か、一時間にも感じられる口づけが終わり、シンの唇が離れた時、セツコは頬を桜色に染め上げて恍惚の溜息をついた。”
 ↑が重複。

>>316
× ただ体を守るための防衛反応とは心と体が共に歓喜と共に迎え入れようとする相手、
○ ただ体を守るための防衛反応とは【違い、】心と体が共に歓喜と共に迎え入れようとする相手、


他にもあるかも。

>>325
極端に高性能でないとか、数話でお役ゴメンになってしまうポジションである事、開発経緯とか考えても無理はないだろうという機体であるならば、どうぞご提案ください。
327通常の名無しさんの3倍:2009/06/26(金) 13:49:29 ID:???
それでは
アヘッドリル
ビアンが趣味で作った機体赤くてドリルを体中に装備している
両手もドリル両足もドリル
ドリルミサイルも装備しているぞ
必殺の頭のドリルで敵を粉砕だ!



・・・ザフトの狂気の技術者製スターセイバーとか
ビアンが隠れて作った支援戦車キングローダーとか
人工知能搭載ドラゴンジェットとか
セルファイターよろしくのデュートリオンビーム照射できる支援戦闘機とか
どれもこれも強そうなんで支援機予備機体差し置いてネタ機体で
328通常の名無しさんの3倍:2009/06/26(金) 21:13:26 ID:???
総帥さんお疲れです!!
マジで総帥さんのがんばりでこのスレは持っていると思います。
いつもありがとうございます。

329通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 13:18:06 ID:???
現状だとコンスタントに連載してるのが総帥だけだからなあ
新書き手に、11氏とATX氏は生存が確認されてるけど、次の更新がいつになるか全く分からないし
33011 ◆Qq8FjfPj1w :2009/06/28(日) 14:30:21 ID:???
更新遅れて申し訳ない
毎年5〜6月はリアルが色々と忙しいのに加えて
ラクシズっぽいラクシズの再現を目指してるせいで、いわゆるSAN値ってやつが…
7月には再開できると思うんですが…
331通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 15:01:20 ID:???
「ネタに盛り込みたいからディケイド完結まで待ってね!」ですね、わかりました
332通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 15:35:33 ID:???
シンが三代目・因果律の番人になって、幾つものスパロボ世界を旅して回るSSか
333通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 15:59:21 ID:???
主人公ポジションで参加したはずが何故かユウスケポジションになるシン
334通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 20:11:07 ID:???
11さん楽しみに待ってますよー
お体に気をつけて構想に取り組んでくださーい
335通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 20:30:26 ID:???
SAN値って何?
336通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 20:51:56 ID:???
TRPGクトゥルフの呼び声で使われる「正気度」を示すパラメーター
これが0になったプレイヤーは発狂してNPC化する
337通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 21:32:56 ID:???
シュバルツバルド(包帯男)を連想すればおk
338通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 22:23:18 ID:???
まぁ要するに、理解不能というか目にするのもおぞましいモノに触れて見て聞いてしまったり
知覚することで精神汚染されるような、そんなん
要するにラクス(=嫁)は邪神並みの危険性を持っているという

SAN値がゼロ突破マイナス化した結果が見ての通りのラクス教団というわけさ・・・
339通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 22:25:11 ID:???
ラクシズの再現となると負債と茸唾みたいなゲスどものおぞましい思考をトレースするってことだからな
知恵足らずの腐女子と売国左翼と半島人ならともかく、常人には苦行以外の何物でもない
340通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 22:45:11 ID:???
>>399
売国の時点で左翼じゃなくね?
どうでもいいけどさ

ちなみにSAN値が減るに従って幻覚、幻聴などの症状が発生したりして最後には発狂して死ぬ
341通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 23:13:31 ID:???
>>339
まあ思考自体は極々シンプルだがな…
「ラクシズマンセー」「キラ×アスランハァハァ」「キラキュン最高!」ってことだし

もっともんな糞以下の産廃にも劣る思考なんざ考えたくもないが
342通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 23:21:36 ID:???
この国には、朝日、毎日、創価などといった
売国こそが左翼活動の本質だと勘違いしてる輩が跋扈してるから仕方ない
343660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:25:26 ID:???
空気が違うような気もするけれど投下!

 ディバイン SEED DESTINY 第13話 超機人伝奇異聞録


 無事謎の軍勢との戦いを終えたクライ・ウルブズの面々は、一機の欠落も負傷者もなくオノゴロ島へと帰還した。盾としての役回りを果たしたジガンスクードに、若干の被弾が見られたが、Eフィールドと重装甲の甲斐あってダメージは軽微なものだ。
 管制からの指示に従い、地下ドックへの入口が開き、各機が危なげない挙動で次々とその奥へと消えて行く。彼らと反対に交戦地域に散逸している敵機動兵器の残骸を回収する為の部隊が、オノゴロ島を出航している。
 メンテナンスベットに収まったインパルスから降りたシンは、フォーミュラシルエットについてメカニックチーフと、問答を重ねていた。
 敵機のモニターに対し残像を残し攪乱させる分身機能こそ使用しなかったが、可変速ビームライフル“ヴェスバー”やビームシールドはまず上々の性能を発揮し、特にビームシールドはこれからのDCの機体に標準装備として採用する価値がある。

「ところで飛鳥シルエットの方はどうですか?」
「やっぱりあっちに愛着があるか。お前さんにはやっとうが無ければ心許ないだろうからな。新しい液体金属の補充も終わったし獅子王斬艦刀を回しとくよ。UCシリーズのシルエットがいくつか出来るから、それもお前さんに試してもらう事になるがね」
「他にインパルスを造らないんですか? パーツの余剰があるはずですよね」
「流石にプラズマリアクターを搭載した奴は無理だが、プラズマジェネレーターに換えた廉価版とかは前から案は出とるよ。まあ各シルエットのデータ取りと合体機構の有用性とかの実証が取れてからの話だな。
 機体を三分割するのはダメコンには有用だが、扱う専用の設備を備えた艦艇の導入も行わにゃならん。ザフトさんはそれ用の艦艇、あのミネルバっちゅうのを建造したようだが、うちはどうだかな。
 スペースノア級だから簡易的な設備でなんとかなったが、宇宙軍で使っているペレグリンとかアルバトロスで本格的に運用するなら大幅に改修を施さんとなあ。ライノサラスやストーク、キラーホエールだとさらにむつかしい」

 こればっかりは予算が最大の敵だよ、とメカニックチーフは顎の無精ひげを撫でる。

「でもペレグリン級ってブロック構造だから割と改修も簡単なんじゃないですか」
「まあな。大気圏内での仕様に耐えうるよういろいろ手を加えなきゃならんだろうが、まあ宇宙空間での運用のみと割り切れば悪くない話だ。おれよりは総帥に意見しな。お前さんよっぽど親しいらしいじゃねえの」
「はは、まあ今度会った時にでも話をしてみますよ」
「とりあえずは空間高機動戦闘用のフルバーニアンシルエット、Eフィールドジェネレーターと追加テスラ・ドライヴに有線制御式兵装ポッド“リフレクターインコム”を搭載したEX−sシルエット。
 それに特殊な推進装置を搭載したV2シルエット、ミラージュコロイド以上のステルス性を持ったアクティブクロークという可動装甲を搭載したデスサイズシルエットってのができているから、スペックを頭に叩き込んでおけ」
「全部おれの担当ですか?」
「まあ、実際に全部の性能を確かめる余裕はねえだろうな。それに総帥が進めとったちゅう極秘の決戦兵器の開発計画もあるって話だ。それほどの機体を任されるのは、やっぱりお前さんだろ?
 前の大戦の時もグルンガストはお前さんが任されているし、総帥が目を掛けているだけの実力があるってのは、お前さんの実績を知っているなら誰だって分かるからな。なんにしろアメノミハシラの総帥と連絡がつかにゃ進まない話も多くってなあ」
「それは……そうですね」

 元から技術大国として名高かったオーブに相応しく、DCに所属している技術陣の能力は総じて高い。それ相応に保有する機動兵器の技術水準もやはり高い。その成果もあって同数の部隊での戦闘で、操縦技術が互角となればまず負けはない。
 ナチュラルとコーディネイターを問わず有用な人物を積極的に採用している(選ぶ余裕が無いとも言える)事もあるが、総帥たるビアン・ゾルダークがひとえに頭抜けた天才であるという事も大きい。
 ビアンがその頭脳と乗機であったヴァルシオンと共にもたらした技術が驚くべき速さで旧オーブに浸透し、強力な兵器の数々の誕生につながったのは言うまでもない。
 異世界の死人達の、専門的知識が無ければ解析し応用する事が出来なかった技術を他の陣営に比して圧倒的な速さで実用してきたのも、総帥に戴くビアンの頭脳あればこそだ。
344通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 23:26:42 ID:???
オーブは国家そのものを軽視しし理念に狂い亡国となったし、まずはリネン云々以前に国家としてきちんと存在しないとダメだろ。
まずきちんと独立国家として存在することに全力を注ぐという前提で政治の方向性を決めねばならない。
その基本をウズミは分かっていない、これは日本にも言えるけど。さあここまででこの話題は切りましょう。
345660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:28:07 ID:???
 しかし、そのビアンが不在となると、彼が関わっていた計画の大多数に遅滞が生じてしまう弊害があった。メカニックチーフが口にしたのは、まさしくその弊害のことである。
 顔色を曇らせたシンに気づいて、慌ててメカニックチーフが手を振りながら言った。

「まあ、お前さんやおれが気にしてもしゃあない。ミナ副総帥の一括でいろんな部署が動いているからな。お前さんは総帥が戻ってくるまでここを守る事に腐心しときな」
「……はい、そうします。それじゃあインパルスの事、よろしくお願いします」
「おう!」



 オーブ諸島のとある島の地下軍事施設最下層フロアの格納庫前。踝まで届く丈の長いコート状のDC軍服を着こんだ三人の少年と、中世貴族風の黒マント姿の麗人の姿があった。
 見つめる者の心を負の魅力引きつける病的な白い肌に、感情と言うものがほとんど見えず、職人の精巧な技で彫琢された仮面の様な美貌を全く変わらず備えた少年たちはソキウス。
 黒マント姿は言うまでもなくDC副総帥ロンド・ミナ・サハク女史その人である。常は艶然とした笑みの似合う女帝の如き美貌が、心なしか不愉快そうな色を浮かべている。
 美男美女の多いコーディネイターの標準を大きく上回るその美貌の、刃のように鋭い稜線を描く鼻梁の頂に位置する眉間に、かすかに皺が刻まれている。そう感情を表に出す事が無いこの女傑には珍しい事である。
 三人組のソキウスの先頭に居たテン・ソキウスが確認するように背後のミナを振り返り、ミナが鷹揚に頷く。通常の格納庫よりも厳重に閉ざされた扉の傍らに設けられたキイスリットにカードキーを通す。
 ピッという音と共に厚さ一メートルの扉が重々しい音を立てながら左右に開いてゆく。どれだけの事態を想定していたのか三重にも封印が成されていた。並みの出力のビームライフルでは、十発撃ち込んでも突破できそうにない。
 ウズミ政権の時に秘匿されていた開発途中のアカツキを発見した場所である。暁を発見以来放置されていた場所であったが、そこに巧妙に隠された資材の搬入記録などが確認され、直々にミナが出向いたのである。
 本来副総帥の地位にあり、ましてやかような異常事態に見舞われた状況で、軽々しく動ける筈が無いから、よほどのモノがここにあるのだろう。しかし、それがミナの不機嫌につながるとは、これは如何に。
 扉が完全に開くのに合わせて、内部の照明が暗闇を払拭してその中に隠されていた代物を露わにする。それはずらりと並び威容を誇る機動兵器群であった。DC内部においてもこれだけの事を副総帥に知られずに行えるものはごく少数。
 政治の重鎮ウナトやホムラ、あるいはミナとギナの義父コトー・サハク当たりか。ユウナではまだそこまで大胆な事は出来ないだろう。
軍事部門はミナとギナが掌握しているが、ギナはアメノミハシラやアルテミスを中心に活動しているから、わざわざ手の届きにくい地上で開発を行うとも思えない。マイヤー宇宙軍総司令も同様だろう。
あるいはそう思わせておいて、とも考えられるが今回ばかりは黒幕の目星から外して構わない。なぜなら

「ビアンめ。国の予算に手を出さなかった事はともかく、このようなモノを作る暇があったとはな」

 常と変わらぬ口調の中に混じる不穏な響きに、三人のソキウス達がかすかに体を緊張で強張らせた。ミナが静かな心と顔容の奥に煮えくり返るほどの怒りを覚える時の前兆だ。自軍の総帥がこっそりと行っていた所業が腹に据えかねているのだろう。
 この時、次元断層に隔絶され遠く離れたアメノミハシラで、ビアンは背筋に悪寒を覚えたという。

「ミナ様、これらの処分はいかがいたしますか?」
「解体してパーツを……いや、使い所が難しいかもしれんが一応使えるように整備だけはしておくよう手配せよ」

 地下奥深くに隠されていた機動兵器群。それは果たして如何なるものであったのか。特別なコーディネイトを施され、コーディネイターとしては最上級に分類される能力を持つミナの頭脳をもってしても、運用方法に悩むものであるらしいが?
346660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:28:59 ID:???


 太陽も星も消え、昼は大いなる光源が失われた事で晴れ空になっても曇天の如く世界は暗く、夜は月と星の光が消えて真正の闇の帳が下りて人間の闇を恐れる原始の本能を呼び覚ます。
 作物の育成不良によって起きるであろう食糧危機や、太陽光発電に委ねていたエネルギー危機など民衆の生活に影響を及ぼす重大な問題が日夜論議され、明確な解決案や対策が公表されず、危機感や不安は募り暴動がいつ起きても不思議ではない。
 地球規模で起きた異常事態に際し各国で対処が急がれる中、東アジア共和国の旧中華人民共和国領土で行われる発掘作業の現場に舞台は移る。
 対DC戦を想定し経済特区・日本の伊豆基地に戦力を集中させる中、バッテリー駆動の旧式MSまで動員し、警備にはダガーL、105ダガー、バスターダガーをはじめとしたダガーシリーズの姿まである。最新型であるウィンダムも片手の指ほどだが姿があった。
 一個中隊規模の戦力が警護に割り当てられているからには、よほど重要性の高いなにかが、この地に眠るらしい。作業に従事している者達も、軍上層部から極秘に通達された今回の任務の詳細を知る者が少なく、極めて秘匿性の高い任務であった。
 天に向けて地面に突き立てられた刃の様な鋭い稜線の山々が連なり、今にも圧し掛かってくる圧倒的な質量を備えた岸壁には、薄靄がかかりこの地を人跡未踏の霊地の様に飾り立てている。
 岸壁や山の中腹などを注意深く見れば、人一人がようやく歩ける程度の細い道がある。獣さえ歩くことを拒絶するだろう。一歩踏み外せば数十メートル、数百メートルをたちまちの内にはるか下方の地上へと落下して赤い染みに変わってしまう。
 巨大な岩の影やわずかに茂った灌木の中、分厚い岩壁に穿たれた無数の洞窟、その中に時折蠢く影や不気味に明滅する光を目撃する作業員たちが後を絶たず、生ぬるい手で常に背筋を摩られているような感覚に襲われ体調を崩す者も少なくない。
 巨人が適当に放り投げた無数の岩でできた様な大地の隙間を縫うように設営された作業員用の宿泊施設では、時間感覚の麻痺してしまいそうな場所で、日々作業に従事する作業員たちが短い休憩を取っていた。
 MAミストラルやキメラをはじめ、プチモビと言われる三メートルほどの小型作業用MSも、かなりの数があちらこちらに見られる。
 いくつかあるテントの一つで、ランチのパックを受け取ったMSパイロットらしい青年と看護兵の女性が並んでベンチに腰かけていた。
 短く刈り上げた金髪に、意志の強い瞳と清涼とした雰囲気のいかにも好青年といった感じだ。隣の女性は優しげで柔らかな目元や、豊な体のラインから強い母性のイメージを見る者に与えるだろう。
 切り揃えた青い髪と同色の瞳。青く飾られた顔立ちは十分に美貌と呼べる代物だ。パイロットの金髪の青年がブルックリン・ラックフィールド、看護兵の女性がクスハ・ミズハ。
 地球連合軍所属のうら若い兵士の二人だ。今回の発掘作業に従事して以来の付き合いだが、ここに来てからも一か月近い時間がたち、今では食事を共にするくらいの仲にはなっている。
 クスハとブルックリンに、近づくが二つある。女性と見間違いそうな優しさと押しの弱さが見て取れる少年に、反対に気の強さやまっすぐな性格が顔にあらわれている女性の二人組だ。
 整備兵らしい少年がリョウト・ヒカワ。凛とした印象の女性がリオ・メイロン。彼らも今回の発掘作業で知り合った二人で、クスハらとは年が同じ事などから行動を共にする事が多い。
 特に話の話題となるのは、今回何を発掘しているか、という事だ。噂では古代には開発された機動兵器が眠っているだの、謎のエネルギーを発生させる超物質が埋蔵されているだの、所謂オーパーツと言われる超技術の産物が眠っているだの。
 どれもこれも眉つばものの話ばかりで、大規模の人員や兵器、予算を費やす価値があるとは到底思えない、というのが作業に従事している者達の共通の認識だ。

「作業の方はどう、ブリット君? なにか見つかりそう?」
「それが全然さ。掘っても掘っても岩ばかり。むかしここに住んでいたっていう一族の人達でもいれば手掛かりはあったろうけど、いまじゃ世界中に散って行方が知れないって言うし」

 ブルックリンを愛称で呼び、クスハが終わりの目処が立ったが尋ねるが、ブリットの返事は芳しくない。作業に使っているMSの整備を担当しているリョウトも、パーツの劣化や、予備の部品が心許なくなってきた状況に眉をひそめている。
347660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:30:07 ID:???

「目的が分からない状況だし、みんなの疲労も溜まっているよ。士気も低くなっているしね。それにここもなんだか不思議な場所で、不気味がっている人も多いよ」
「それは私も思うわ。なんだか誰かに呼ばれているような気がするのよね。ここに来てからずっと、クスハやブリットも聞こえているのよね?」
「ええ。ずっと、耳の奥、ううん。直接頭の中に聞こえてくるの。小さな声だけど、すごく何かを訴えかけているような」
「でも、なにか私達に悪意がある様には聞こえないのよね。他の人達にも聞いてみたけど、そんな声が聞こえているのは私達四人だけ、これってどういう事なのかしら?」

 首を捻るリオだが、他の三人も心境は似たようなものだ。何者かの“声”は、地球が宇宙に隔絶されてから日を追うごとに強まり、特に眠りに陥ってからはなにかおぼろげなビジョンと共に四人の脳裏に呼びかけてくるまでになっている。
 精神的な障害か何かかと軍医に相談してみても、四人共に健康に問題はなく結局声の正体は不明のまま今日に至っている。
 彼らの精神へのストレスもそうだが、作業員全員が先の見えぬ状況に疲れているのは明白で、作業効率も日に日に落ちている。
 混迷と言えばこれ以上ないほど混迷した事態となっている世界情勢の中では、それは果てしない暗雲となって全員の心を見えない鎖で雁字搦めにしていた。ストレス、不安、疲労、それらが積み重なり取り返しのつかない事故が起きるのも直だろう。
 ランチの時間の終わりと告げるサイレンがなり、四人がそれぞれの現場に戻ろうと立ち上がった時、それぞれの脳裏に錐を差し込まれるような痛みが走る。それは明確な悪意に放射によるものだ。
揃って四人が空を――暗く翳った冷たい空を見上げる。この悪意の源たる何者かが。

「クスハ、リョウト、急いで避難しろ! リオ、迎撃するぞ」
「分かっているわ。リョウト君、クスハ、私達が何とかするから、それまでは下手に外に出ちゃダメよ」

 乗機であるウィンダムを置いてある場所まで急いで走りだそうとしたリオとブリットの上空を、飛来したビームの矢が緑色に照らしながら通過していった。その先にあった作業用のMAへと直撃し、直後発生した爆発が四人の体を煽る。

「MS!? どこの所属だっ」

 空を仰いだブリットの目が愕然と開かれる。空に姿を露わにしたウィンダムだ。地球連合参加国に共通する最新鋭の量産型MSではないか。

「友軍機? 鹵獲機の部隊なの!? でもまだ配備中のウィンダムまで、どうして」

 彼らの戸惑いなど斟酌する筈もなく、襲いかかってきたウィンダム部隊は容赦なくビームの雨を降らし、ジェットストライカーに装備されているMk315スティレットの火を噴かせて、爆炎と悲鳴を次々と巻き起こして行く。
 ようやく迎撃に動きだす機体もあるが、突然の友軍機からの奇襲と言う事態に動きは鈍く、その隙は見逃されず、敵は蚩尤塚と呼ばれるこのあたり一帯の空を埋め尽くし、死を撒き散らす禍者の軍勢の如く君臨している。
 数を増す奇襲部隊の数は三十を越している。その部隊の中心に位置するウィンダムのコクピットで、今回の奇襲作戦を立案・指揮する男が爬虫類めいた笑みで眼下の一方的な虐殺の光景を見つめている。
 おそらくはアクセサリーとしての機能しかないであろう小さな丸眼鏡を長めの鼻に掛けた、三十代半ばほどと見える黒緑色の髪の男である。穏やかな笑みでも浮かべていれば知的な風貌と移るが、歪んだ笑みを浮かべていると酷薄極まりない顔立ちに変わる。
 かつてラクス・クラインに協力する者として近づき、裏切りの果てに前大戦の舞台から身を引いていたアーチボルド・グリムズ本人だ。
 地球連合の何処の勢力に身を置いているのかは分からぬが、それなりの地位についているのは確かだろう。彼が率いている部隊はおいそれと動かせるほど小さな規模ではない。
 アーチボルドは自分に預けられた部隊を率い、半ば独断に近い形で蚩尤塚の発掘部隊を襲撃している。死してこちらの世界に来る前も、同じように襲撃したこの発掘現場に眠るモノを求めるが故の凶行だ。
 アーチボルドの生家グリムズ家没落の原因となった、古代の人々が百邪と呼ばれる悪魔や破壊神と対抗する為に作り上げた、超機人と呼ばれる巨大な機動兵器達が、ここにはあるはずなのだ。
 その力が戦局を左右するほど強大なものである事は、アーチボルド自身が生前実体験している。もし、あの通りの力を持った超機人が実在しているならば、MS百機と引き換えにしても惜しくはない強大な力となる。
348660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:32:05 ID:???
「戦闘員も非戦闘員も区別せずすべて吹き飛ばしてしまいなさい。アレはこの程度の爆撃で壊れてしまうほどやわではありませんからね。くふふ、さあ、逃げ惑う連中も隠れている連中も鏖です!! 楽しませて下さいよぅ!!」

 あひゃひゃひゃと下劣な品性を露わにしながら、アーチボルドが下す命令に従いグリムズ配下の部隊は止む事無くトリガーを引いて、蜘蛛の子の様に散る作業員たちを焼き払い、吹き飛ばし、焼ける人肉や蒸発してゆく血、焦げた骨の匂いが立ちこみ始める。
 吸い込んだ空気に混じる悪臭に、クスハは喉の奥から込み上げてくる物を必死に堪えた。流れ弾が近くで爆発し、とっさに駆け戻ってきたブリットに庇われているようだ。
 地面に伏せた姿勢のまま顔を巡らせて、リョウトやリオも同じように地面に伏せているのを見つけた。クスハの背中に覆いかぶさる形のブリットが、小さくうめき声を上げた。
 クスハは体を起こし、ブリットの体に怪我をないか確かめるが、大きな怪我をしている様子は見られない。安堵の息が知らず唇を割っていた。

「ブリット君、大丈夫? どこか痛む所は?」
「痛ッ、うう。だ、大丈夫だ。それよりもクスハは」
「私は大丈夫。ブリット君が守ってくれたから」
「あ、いや当たり前のことをしただけだよ。そうだ、リョウト、リオ、そっちは大丈夫か?」
「あつつ、う、うん。ぼくもリオも怪我はしていないよ」

 クスハ達から五メートルほど離れた場所で膝をついて立ち上がるリオ達の姿が、ブリットの目に移る。ツナギやパイロットスーツに汚れは目立つが、血の滲む個所はないようだ。
 四方で轟く爆音や悲鳴は、いっかな止む事はなく激しさを増すばかりだ。迎撃に動き始めたランチャーダガーLが、上空から射掛けられた無数のビームによって蜂の巣になって爆発する。
 赤外線誘導ミサイル搭載車両やリニアガン・タンクの砲火が地から天へと尾を引いて走るが、M2M5トーデスシュレッケン12.5ミリ自動近接防御火器などで容易く撃ち落として行く。
 ただの発掘作業現場にしては(そもそも軍が発掘作業を行う事自体が珍しいが)過剰に戦力が配されていたが、相手がウィンダムで揃えた最新技術で整えられたMS部隊とあっては、劣勢に立たされるばかりだ。
 バッテリー駆動機と核動力機とでは覆し難い戦闘能力の差が大きく溝を上げているのだ。無数の爆発によって聳え立つ山や岩壁が崩れ、クスハ達の位置からでは乗機まで辿り着くのは困難というよりも不可能な事に、ブリットとリオが気付いて眉を顰める。

「一体どうして、こんな……!?」
「クスハ、どうした!? 大丈夫か……何だ」
「クスハ、ブリット! これは、声? 声がする!?」
「リョウト君、この声は」
「間違いないよ、ぼく達に語りかけて来たあの声だ」

 アーチボルド率いる部隊の奇襲によって、次々と作業部隊が血祭りにあげられる中、クスハ達の脳裏へと語りかけてくる謎の声は、これまでよりずっと強く明瞭と聞こえてくる。図らずもアーチボルドの悪意に呼応するかのようだ。

「誰がおれ達を呼んでいるんだ?」
「分からないけど、敵じゃないと思う。この声、優しいもの」

 戸惑いこそ拭えぬが、クスハはある程度この声の主に信を置いたようだ。非科学的なオカルトちっくな現象に、ブリットらは戸惑いを隠せないが自分達を呼ぶ声には切実とした響きめいたものが混じり始めている。

「とにかく、ここから移動しましょう。どんどん攻撃が激しくなっているわ。近くに友軍が運よくいるにしても、ここに駆けつけてくれるまでどれだけかかるか分からないもの」
「リオの言う通りだね。この声のする方に行ってみよう。確証はないけど、たぶんそうした方がいい」
「というよりも回りが崩れた崖や岩で塞がっているからな。そっちしか行ける所が無い」

 ブリットが現実を見てリョウトの意見を支持した。警備の部隊はかろうじて持ち直して反撃のビームやバズーカを見舞ってはいるが、敵は腕もそれなりの連中を揃えて来たようで、味方が文字通り全滅するのにもそう時間はかからないように見える。
 一通り作業員たちが寝泊まりしているテントやMSが寝かされている簡易格納庫を焼き払い、時折物陰から飛び出す人間達にはトーデスシュレッケンの弾雨を浴びせかけてミンチに変えている。
 アーチボルド配下の部隊を構成しているのは、彼と似た様な性癖を持った鼻摘み者が多い。命令を無視して過剰な虐殺行為を行い、捕虜を私怨ではなく楽しみの為に虐待し、開放した村や町の人々にも同様の行為を行って、軍法会議に掛けられた問題児ばかりだ。
349660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:32:50 ID:???
 銃殺刑や監獄行きになる所をアーチボルドが拾い上げ、独自に行動できる部隊を作り上げたのだ。性質としてはファントムペインによく似ている。
 動く者がほとんどいなくなってから、アーチボルドは満足げな笑みを浮かべる。後は持ち込んだ爆弾で超機人を埋めている地層を吹き飛ばせばいい。東アジア共和国のうすのろ連中が気付くまでまだ時間はあるだろう。
 手配した輸送機が到着するまでにさっさと用を済ませようと爆装したウィンダムを呼び寄せようとしたアーチボルドに、敵機の接近を告げる部下の通信が入った。ジェットストライカー装備のウィンダムをわずかに下回る程度の速度だ。

「識別は東アジアですか。しかし、何処の部隊が?」

 訝しげに三白眼見たいな眼を更に細めて見つめるアーチボルドの視線の先で、一機のウィンダムが彼方から飛来したビームにコクピットを貫かれて爆散する。
 オレンジ色のビームの源をたどれば、ブロックを集めてかろうじて人型にしたような武骨な造りのMSが五機、こちらに急速で接近してくる。東アジア共和国最新鋭MSティエレン。
 しかも両肩に増設されたバインダーや機体各所のスラスター、追加された頭部のモノアイレールからして、東アジア共和国の特殊部隊に配備されたタオツーと呼ばれる特殊な機体に違いない。
 四機のティエレンタオツーを率いているのは、腰裏に大型の高機動パックを装備したティエレン高機動型だろう。アーチボルドの脳内の記憶が確かなら、ロシアの荒熊の異名を持つセルゲイ・スミルノフが隊長を務める特殊部隊“頂武”。
 超兵と呼ばれる特殊な兵士以外にも腕利きパイロットが多く所属している筈だが、今回は超兵とセルゲイのみのようだ。タオツーの試験運用でもしていた所に、蚩尤塚の戦闘を察知したのか。

「東アジア共和国の切り札の実力を確かめるのも悪くはありませんか。全機、新たな敵も殲滅しなさい」

 赤色のタオツーに搭乗したマリー・パーファシーが、発掘作業の現場と連絡が取れない事を隊長であるセルゲイに伝える。銀色に輝く美しい髪を持った少女だ。到底軍人とは思えぬ華奢な体躯と温和そうな顔立ちをしている。

「中佐、発掘部隊との連絡はとれません。指揮系統も既に寸断され警備部隊もほとんど機能していないようです」
「ユーラシアか大西洋か、いずれにせよ見過ごすわけにゆかん。各機散開、生存者を救出すると同時にアンノウンを迎撃する」

 セルゲイの命令を合図に、オレンジの機体カラーに右肩を金色に塗装したタオツーが突出する。立座式コクピットに座る長身の影はハレルヤ・ハプティズム。長い前髪に左目は隠れ、露出した右目は自機の右肩と同じ金色に輝いている。
 獣めいた笑みを浮かべ、ハレルヤは高笑いと共にこちらを待ち構えるウィンダムの群れへと挑みかかる。

「ハレルヤ、前に出過ぎだ!」

 ハレルヤを諌めつつ、彼のタオツーと同じよう機体色に、左肩をダークグレーに近い銀色に塗装したタオツーが続く。ハレルヤとまったく同じ容姿を持った青年アレルヤ・ハプティズムだ。
 ハレルヤと対照的に前髪で右目が隠れ、左目が露わになっている。人の持つ獣性を剥き出しにしたようなハレルヤとは逆に、長い歴史を掛けて人類が培った理性や倫理観を宿した瞳を持っている。アレルヤがハレルヤの手綱を握っているのだろうか。
 思った通りのハレルヤの動きに、セルゲイはやや後方についてフォローに回って、マリーとソーマも二機でペアを組んで動きだした。
 ピンク色のタオツーを自分の体の延長線上の様に自在に操るソーマ・ピーリスは、アレルヤとハレルヤが鏡合わせの容姿を持つ様に、マリーと等しい顔容を持ち反対の気性を持っている。
 二組の双子達が東アジア共和国の作り出した人的切り札“超兵”そのものなのだ。四人共が二十歳に届くかどうかと言った若年者だが単純な技量は、地球圏の全勢力を見渡しても確実に最上級にランク付けされる。

「マリー、ハレルヤの馬鹿をサポートする。中佐、失礼します」
「貴女まで前に出過ぎたらハレルヤと一緒よ、ソーマ」

 律儀にセルゲイに断ってからソーマのピンクタオツーも、ハレルヤに続いて間接各所のスラスターを噴射して、前進し撃ち掛けて来たウィンダムのビームを軽やかに回避して見せる。
 割合ソーマの根の方の性格はハレルヤに近いものがあるのかもしれない。本人は全力で否定する事だろう。マリーもアレルヤ同様に色々と苦労していそうだ。
350660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:34:18 ID:???
「はっはあ、動きが遅ええ!!」

 四機、五機と次々と集中する火線はすべてビームであるにもかかわらず、ハレルヤにはその全てが泥沼の中を泳ぐ魚の様にのろのろと映って見える。
 ウィンダムの指が引き金を引くよりも早く、正確にコクピットをポイントしたハレルヤタオツーのビームライフルが、五回きっかり光の矢を放った。五つの爆発は全く同時に起きた。
 驚くべき神技――あるいは魔性の業とでも言うべきハレルヤの連続早撃ちだ。磨き抜いた操縦技術の持ち主といえどもハレルヤと同じレベルの事が出来る者が、現在の地球圏に果たしてどれだけいる事か。
 数珠繋がりで灰色の空を五つの爆炎が飾り、その輝きにハレルヤは暗い喜びを覚えて口元を歪める。他者の死をもって自らの生を実感する極めて危険な嗜虐的な性向をこの青年は心の根深い所に抱えている。
 ハレルヤタオツーの傍らをソーマタオツーが追い越し、腰裏にマウントしてあるカーボンブレイドの一閃で、ウィンダムの胴を容易く横薙ぎにする。
 両断されたウィンダムの上半身と下半身が爆発するよりも早く、周囲から群がるスティレットの弾幕に気づき、ソーマは回避運動に入りくるくると独楽の様にソーマタオツーを回転させ、全面モニターに映る前後左右のウィンダムを視界にとらえる。
 脳量子波という特殊な脳波を応用して超人の反射神経や反応速度を得た超兵たるソーマには、ベテランとはいえただの人間である敵の動きはあまりにも緩やかだ。
 ソーマタオツーの左手からカーボンブレイドが真正面のウィンダムへと投じられ、風を切って飛んだカーボンの刃がウィンダムの胸部から頭部に掛けて貫いた。その背後から新たなウィンダムの編隊が姿を見せる。
 左右に別れたウィンダムからの同時射撃を、各所のスラスターの噴射による細かい挙動でやすやすとかわし、数射の反撃でソーマから見て右側に展開していたウィンダムが次々と爆発してゆく。
 反対の左側に位置するウィンダムは、ソーマのフォローに回ったマリーとアレルヤの援護射撃がすべて撃墜している。
 戦闘開始からわずかな時間で、三分の二近くにウィンダムの数が減っていた。超兵用に開発されたタオツーと超兵たる彼らの恐るべき戦闘能力の賜物だ。

「援護感謝する。マリー、アレルヤ」
「気にしないで」
「ハレルヤの真似はしないでほしいな」
「分かっている!」

 語気を荒げ、ソーマは新たに迫りくるウィンダムへと視界を映した。接近し過ぎての同士討ちを嫌って、敵は距離を置いて戦うつもりのようだ。自身が超兵であるという自負とタオツーへの信頼で満ちるソーマは恐れる事無く数で勝る敵へと挑む。
 アレハレ・ソーマリーカルテットが十分に敵機と戦えている状況を確認し、セルゲイはティエレン高機動型で地上すれすれをホバー走行しながら、オープンチャンネルや外部スピーカーで呼びかけて回っていた。
 頂武の本隊もそう時間をかけずに到着するだろうが、助けるべき生存者がいなくては意味が無い。友軍機を使うアンノウンも、戦闘不能になって地上に落着した機体は一機残らず自爆し、身元や所属を明らかにする証拠を抹消している。

「パイロットを捕らえるには自爆装置の故障を願うしかないか」

 嘆息に近いものを口から零しつつ、セルゲイはあきらめず生存者がいないか呼びかけ続ける。その上空で、ウィンダムの数は半数にまで減っていた。
 アーチボルドはかつて自分を殺したブランシュタイン兄弟に匹敵するのではないかとさえ思えるタオツーのパイロット達の技量に、内心驚きを禁じ得なかった。エースばかりが揃ったヒリュウ・ハガネ隊の隊員としても十分にエース級として通用する。
 冗談の様な勢いで見る見るうちに減ってゆく部下達のだらしなさに舌打ちをし、今回も超機人の奪取は諦めなければならなそうだと、臍を噛む思いであった。
 知的な表向きの風貌を押しのけて、アーチボルドの本性とでも言うべき冷酷非情な色がじくじくと浮かびあがる。とはいえこれ以上自分が自由にできる手駒を失うのを見ているわけにも行かない。
 仕方なく撤退の合図を告げ、各機がスモークディスチャージャーやチャフグレネードを辺り一帯にばらまき攪乱を図りはじめる。それらを一切無視して自身の直感に頼って煙幕の中に突っ込み、ハレルヤが立て続けにビームを撃った。
 濃い白煙に遮られた視界の中で命の灯を見たのか、それとも命の鼓動を聞いたのか、命を刈る魔物の様な正確さで、背を見せていたウィンダムが二機コクピットを貫かれて、パイロット達が一瞬で蒸発する。
351660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:35:16 ID:???
「逃げるんじゃねえよ、てめえらが売ってきた殺し合いだろうがっ!!」
「ヒリュウ・ハガネ隊よりもよほど気が合いそうな声ですねえ。ですが命あっての物種という言葉を知っている人間なのですよ、私は」

 ジェットストライカーの推進力を全開にし、アーチボルドは逃げる事を恥と感じてはいない様子で戦域からあっという間に離れて行く。後を追おうとハレルヤは動くが、ハレルヤタオツー左肩にアレルヤタオツーが手を置いて止めた。

「止めるな、アレルヤッ。今ならまだ追いついてあいつらぶち殺せるぜぇ?」
「そうは行かないよ。敵の増援がいないとも限らないし、救出作業も行わないといけないんだから」
「んなこたあ、てめえらで勝手にやりやがれ。おれは怪我したまぬけを助ける為にこいつに乗っているんじゃねえんだよ」
「だめよ、ハレルヤ。アレルヤの言う事を聞いて。ね? 貴方に何かあったら私もソーマも悲しいわ」
「私はそうでもないがな」
「もう、ソーマ!」
「ふん」
「け、どっちらけちまったぜ」

 吐き捨てる様にして呟いて、ハレルヤはようやくまき散らしていた怒気を納める。ハレルヤが自分達の意見を聞き入れた事に安堵し、マリー、ソーマ、アレルヤそれぞれが肩から力を抜いた。

「それじゃあ、急いで生存者を捜しましょう。ひどくやられてしまっているけれど、まだ生きのある人がいるかもしれないわ」
「……どうやらそうもいかないみたいだぜぇ。見ろよ、どこのどなた様か知らねえが、錆くせえ虫どもが来やがったぜ」
「なに、またアンノウンか」
「中佐、気を付けてください。所属不明の敵機です!!」

 ハレルヤが感知し、ソーマが警告を告げて来た相手を、セルゲイのティエレン高機動型も確認する。ウィンダムらが撤退したのとは別の方向からまっ白い甲殻に身を包んだ虫の様な機体がこちらへと接近してくる。

「こちらの呼び掛けには一切応答なしか」

 あらゆる周波で呼びかけたセルゲイに、虫達からの返信はなかった。先ほどのウィンダムなどはまだ地球圏の勢力の手によるものとはっきり分かるが、まったく開発経緯が推測できない外見の機体だ。
 四足のカブト虫と言った所だが、76mm口径の銃弾を弾く装甲や口元からリング状のレーザーを吐く虫はまずいまい。
 虫達――セルゲイらは知らぬが、メギロードと呼ばれる機体は、何ら事前通告もなくリングレーザーを滞空していた四機のタオツーへと雨の様に浴びせかけてくる。
352660 ◆4TnuOgvz4. :2009/06/28(日) 23:38:09 ID:???
ハレルヤは楽しげに、アレルヤは苛立たしげに、ソーマは凛然と、マリーは静やかにメギロードたちをモニター正面に映して、呟いた。

「いいねえ、こうでなくっちゃつまらねえ」
「く、一体どこの誰がこれだけの戦力を」
「超兵がこの程度どうにかできるなどと思っているようだな」
「皆、怪我をしないようにね」

 メギロードと頂武の精鋭達との間で砲火が交わり始めた時、その眼下では脳裏に届く声の導きのままに進んでいたリョウト達が付近に落下したウィンダムの爆発の影響で崩落した足場に巻き込まれ、空洞状になっていた地下へと落ちていた。
 咄嗟にリオを抱きしめて庇った姿勢で落下したリョウトは、落ちてきた岩か地面に頭を打ったらしくひどい鈍痛を感じながら、意識を闇と覚醒の堺でまどろわせていた。
明瞭としない意識の中、リョウトは一度落ちてしまえば二度と戻っては来られない深い穴の縁に立っている。左右も後ろも上も四方八方が闇の中であった。手を伸ばしたらその指先が見えなくなってしまいそうなほどに濃い闇である。
その闇の只中にあってもなお、目の前に広がる深淵は深く暗く、他の闇が明るいものとさえ見えるほど。その深淵の中へと一歩を踏み出そうとしたリョウトを背後に突如出現した巨大な気配が引き留めた。
人間などちっぽけな存在にしか感じられないほどに巨大で圧倒的な存在が、自分の後ろにいる。だが、リョウトの心には不思議と恐怖はなかった。
単なる気まぐれで人間など千も万も虐殺出来るほどの力を持ちながら、その存在には暖かなものを感じる事が出来たからだ。この存在が自分達を呼んだ声の主だと、リョウトは直感的に悟った。
声は言う。厳かに、猛々しく、穏やかに、試す様に、

【汝、人界の救済を望むや】

 その声は合唱の如く重なるようにして四つあった。

――つづく。
誤字脱字ございましたお教えくださいまし。こうした方がいいんじゃない、ここはおかしなどのご指摘ご助言お待ちしております。というわけで次回、四神は誰を選びどんな組み合わせとなるのか、お楽しみに。
353通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 00:49:57 ID:???
乙!

>特殊な推進装置を搭載したV2シルエット

しかし何というチートシルエット
354通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 02:11:12 ID:???
ビアン総帥なに作りやがったwwwww
乙です
これでαシリーズで出ていないのは親分、アラド・ゼオラ、無職かな。無職はその内出るかな?
UCシルエットが若干チート気味なのが多いwww
X3シルエットとかは流石に出ないだろうなぁ…出たらシンは気に入りそうだがw
355通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 02:25:42 ID:???
乙です

そのうちAWシリーズとかも出るのかな?
DXシルエットとか、GXシルエットとか、GXディバイダーシルエットとか
356通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 02:28:10 ID:???
雀武王はリョウリオんとこいったか……
個人的にはタスクレオナが機体のイメージに合うんだが、
竜虎王のがアレだからなあ……
357通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 06:36:32 ID:???
念動力VS「念」の対決はありえるだろうか?凄く期待せざるを得ない。
358通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 08:18:30 ID:???
UCシルエット、V2まで準備中とはw
シルエットにするならほとんどF97のバックパック換えただけなF99の方が向いてる気もしますが
先にV2が存在したα世界じゃ開発されて無いだろうし……
フルクロスもアリだったけど、4枚羽の光の翼を背負った複数の意味でのX4も見てみたかったなぁ
359通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 09:48:10 ID:???
>>354
親分は外伝のパラレル未来版なら三分の二の確率で死んでるから来訪者として出てくるかも
そっちだと機体も同じだから逆に親分の方がヴォーダンと間違われたりしてw
360通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 10:07:18 ID:???
まさかタイムボ○ン系の機体作ってたんじゃないだろうなw
361通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 10:24:12 ID:???
>359
スレードゲルミルを見てウォ−ダンが生きていたのかと驚く面子も居れば、ククルのようにゼンガーを見て驚くのも居るんだろうな。
そして全く関係ない『別人』と知って誰もが落胆……したところでウォーダンのような人間である事を再確認するとか。
362通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 11:24:10 ID:???
これでα主人公8人が出揃い、四神の行方もほぼ決まった
こうなるとシンが乗るべき後継機の方向性もほぼ決まったのか?
それとも更に斜め上が待っているのか
363通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 11:25:41 ID:???
アズライガーに続く盟主メカは何だろなと中の人ネタは
デビルジブリールとかシュピーゲルジブリールとか
フェニックスジブリールとか魔界剣士ジブリール

つまり魔界忍者デビルフェニックスジブリールとなるわけだ


・・・・・ないな
364通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 12:52:55 ID:???
>>363
デビルフェニックスとか再生能力がトンデモ化するw
両手装備+回転を加えて1200万パワーですねわかりますん
365通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 16:06:06 ID:???
>>362
真・龍王機と同格の四応の超機人が居たりする

二神一機の鳳凰機(鳳王機と凰王機)なんかシンに合いそうだが設定だけでデザインが存在しない....
366通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 18:34:15 ID:???
超機人関係もそうだがダブルG四号機も謎だな。どっかでカイさんの娘が乗るとか言われてたが。
機体特性は剣戟・砲撃・蹴り(素体は汎用型)ときたら槍か拳かな?
367通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 19:17:19 ID:???
ダブルG4号機はコンパチブルカイザーのパーツになっております
ある意味コンパチブルカイザーが4号機といってもいいのかもしれん
368通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 19:19:44 ID:???
ダブルG4号機は俺の隣で寝てるよ
369通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 19:43:20 ID:???
総帥が作ったかもしれない運用に悩むようなモノ予想

・ソニックダイバー
・メカゴジラ、モゲラ
・マーメイドガンダム軍団、ネーデルガンダム軍団
・リュー
・守護騎士
・柔王丸、マッドハリケーン、リキオー、桜姫などのプラレスラー軍団
・エンジェリックレイヤー
・ミニ四駆軍団
370通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 19:51:32 ID:???
トランスフォーマー作ってみたけど
コックピットのスペースを確保できなかったとか
371通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 20:01:04 ID:???
時期的にはTFか、マシンロボ……飛影?
372通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 20:12:40 ID:???
昔、メカガリというのがあってな
373通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 21:07:26 ID:???
コンボイとエクスカイザーを足して2で割ったのだったりしてw
あと、メガトロンとダイノガイスト様を足して2で割ったそれなんてマグナザウラー?とか
374通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 21:12:57 ID:???
遂にアヘッドリルの出番だな・・・・
375通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 23:44:29 ID:???
>>369
流石にリューは無理だ
アレは機械大陸エルドギアでボディ建造した後に特殊な一族のモノが魂を入れた一種の生命体
しかも常時ミストルーン(大気に満ちた魔力)必要とし、
それぞれ備えた秘術の発動にもミストルーンを消費するって代物
まあ設定的に超機人に近い代物だけど技術体系が離れすぎてるから再現は無理だろう
376通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 00:04:14 ID:???
修羅神もどきは? 無理?

動力は魔装機から、装甲とかはマシンセルとかから持ってくればできない事も無いような気が。
377通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 00:14:39 ID:???
>>376
存在知ってる奴がいない
378通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 02:52:06 ID:???
普通にダブルGの可能性は?
某穴馬なんかどこぞの食通な人みたいな趣味人じゃなきゃ使えそうにないし
扱いに困るのはまちがいなくね?
379通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 03:16:08 ID:???
これでリアル等身の武者頑駄無やコマンド、ファイナルフォーミュラーやゲッターだったら吹く
380通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 10:57:46 ID:???
シンが剣術に特化している事、メインがDCであることを考えれば、順当にいけば地下にあったのはダブルGでは?
機体名がダイゼンガーだから、ダイシンオーとかダイアスカーとかになりそうですが。
381通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 11:49:05 ID:???
>>379
ファイナルフォーミュラーwww
銀河一個分のエネルギーがある剣を持つwww
382通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 13:14:34 ID:???
>>380
いや、ダブルGは元の世界でもビアンが真面目に対異星人用に開発したものでコンセプトもはっきりしてるし、パッと見てもグルンガストとかと比べてそこまでぶっ飛んだ機体じゃない
つかミナシオーネやゴスロリオンとかも普通に気に入ってるミナが一目見て頭抱えるくらいだから、外見から相当趣味に走ったイロモノだと思う
383通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 15:10:59 ID:???
絵は見たこと無いけどグレート雷門とか。
384通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 18:54:36 ID:???
ここはビアン博士がゲッターを参考にゲキガジェット ゲキガマリン
ゲキガタンクを開発してゲキガンガー3の再現だろ
これだけいろいろなデーターがあるんだからDCかデータベースは
本気でできそうだが
385通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 23:04:05 ID:???
此処で敢えて隠大将軍とか旋風神、轟雷神とか真剣王とか、
超機動大将軍とか……絶対に無いか
386通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 23:12:42 ID:???
まさか先行者?
387通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 23:16:36 ID:???
>386
もしソレだったら、見かけた瞬間溶鉱炉送りになっているはずでは?
388通常の名無しさんの3倍:2009/07/01(水) 14:57:00 ID:???
まさかのホンダム
389通常の名無しさんの3倍:2009/07/01(水) 19:00:48 ID:???
話を変えますが、アニメ版レインボーマンが参戦しないだろうか?
あのインパクトはとても使えると思うのですが。
ロボのデザインも凄まじいし。
個人的にはZにも参戦してほしかった……。
アレの前で遺伝子どうのとか全く意味がないというショック与えるのにもつかえるし。
390通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 15:03:35 ID:???
アニメ版なのに死ね死ね団の設定は特撮版のものに
391通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 01:17:46 ID:???
>>363
魔界天使ジブリールでいい

>>総帥が作ってたモノ
ゲキタマンとかビーダマンとか……
確かアニメ版ビーダマンの1,2話は人型機動ビーダマンだったよな。90式とか97式とか黒ボン戦艦の。
392通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 11:05:15 ID:???
>>391
>ビーダマン
そういやボンバーマンビーダマン爆外伝も後半?はロボット物だったな
みどボンの機体が好きだったぜ
あのパチンコ玉だか小型鉄球を二つ並びの銃口から発射する奴
393通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 12:31:47 ID:???
>>392
ビクトリーの方か。メタルビー玉だな。

……ハイパーモミテンション
394通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 13:10:40 ID:???
・・・・アッー!
総帥が作ったのはロボットが変形合体する巨大ロボだ
今までにDC作ってないはずだし
395通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 15:17:03 ID:???
>>390
幾多のスーパーロボットを有する日本「だけ」を敵に回しては
死ね死ね団終了のお知らせだなw
396通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 20:58:38 ID:???
>>395
死ね死ね団をなめてはいけません。
特に特撮版は偽札大量発行や民衆の扇動して暴動を起こす、ロボットに乗っている時ではなくパイロット個人を暗殺といったスーパーロボット軍団が不得意な分野を巧みについて攻撃しますからたちが悪いですよ。
397通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 21:09:17 ID:???
>>396
暗殺しようとして返り討ちフラグですね、わかります
古き良き昭和スーパーロボットパイロットの生身スペックを甘く見たらアカン
398通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 21:36:17 ID:???
>>397
いえゴッドイグアナとかをオルガ、ロリータを舐めてはいけません。
ボーグ博士にいたっては短時間なら生の人間を銃弾を跳ね返し、コンクリートをぶち抜く超人にかえる薬物を開発してそれを凶悪犯に打ち込むという暴挙をしましたし。
399通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 21:57:41 ID:???
甲児とかはアニメじゃ普通にサイボーグを倒してんだぜ?
舐めてんのは君だ。
だいたい誰だよそいつら。
400通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 23:18:04 ID:???
ああっ聞いたことありますな。特撮版の敵キャラで魔女と科学者だと思います。
しかし、NEOはサイズ差の修正とか結構細かいけど興味を持てるシステムがあるのになぜにあんなにしょぼいグラフィック3DCGなのか……。
スクランブルコマンダーようにリアルサイズにすればよかったのに……。
401通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 00:41:50 ID:???
>>400
お前が只の馬鹿だってのはよく分かった
402通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 02:02:49 ID:???
>>400
お前はスパロボには向いてないね
403通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 07:37:50 ID:???
モーニングコーヒー飲んでたら閃いた
総帥が作ってたのはゾンダーウッボくんやドデカチカちゃんみたいな巨大マスコット・・・

100m級ボン太くんだったんだよ!!
総帥の持ちキャラだったらしいし、あれによるイメージ戦略というかカルチャーショック攻撃で異星人と渡り合うつもりなんだ!!
404通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 10:35:09 ID:???
そういえばお台場のリアルガンダムを見た人いますか?
凄く見たいのですが、yutubeの動画は見ましたが、しかし、サイコガンダムはアレの3倍なんですよね……。
405通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 19:45:27 ID:???
ブリキ大王はさすがにないよな
406通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 22:01:39 ID:???
ただブリキ大王のテーマと起動シーンはガチに熱い
407通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 22:42:40 ID:???
そうだろ、松っ!
408通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 23:16:17 ID:???
レオパルドンあたりかもしれないぞ
409通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 23:27:04 ID:???
>>408
次鋒なのかスパイダーマッなのかで話が大分違うな
410通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 23:37:02 ID:???
リバティ・プライムが出て来たり
411通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 23:55:53 ID:???
ここはあえて超巨大戦艦を押そう
変形して人型になります
412通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 00:07:52 ID:???
戦艦入るほどデカイ格納庫なのか
413通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 01:49:07 ID:???
どんな格納庫だw
414通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 07:24:25 ID:???
>411
アイアン・ギアーやダイターン3みたいな感じですかね。
……アークグレンという可能性も無くは無いか。
415通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 09:48:48 ID:???
赤くてデカイ、飛行形態に変形して合体しそうな車両×3 or 黒くてさらにデカイ、これまた合体しそうな戦闘機×2とか
416通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 10:21:49 ID:???
>>410
リバティプライムなんてあったら人類の救世主にして天敵である101のアイツまで来ちまうぞ!
101のアイツが来たらシンの師匠ズや版権人外連中。
それにマスターチーフかストーム1、EDFの半袖、バールの教授辺り連れて来ないと勝ち目がねぇww
417通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 12:45:58 ID:???
話をぶった切ってすいませんが、OOとUCって滅茶苦茶相性悪そう……刹那とかから見たらアムロやブライトのことをキレイゴトばかりほざいて何もしない偽善者とでも断じそう……。
実際にOOの参戦の最大の問題は「武力による戦争根絶」を他の作品のキャラがどう反応するかなんだよな。
ラクシズと違って覚悟をもって行っているし。
418通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 19:44:11 ID:???
00出すなら反政府系勢力を集めた感じの布陣にしないと厳しそう。
普通にやると味方にできるビジョンが浮かばない
419通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 20:02:41 ID:???
つかアロウズって上にいるイノベーターはともかく、
基本的にテロ集団のカタロンを廃除したりテロ屋の集結地みたいな中東を攻撃してただけだろ?
正直言って連合以上にまともだと思うんだが
420通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 20:24:23 ID:???
まあ実際は争いはなくならないからOOはなんだかなぁと思う
理想と現実は違うんだよね

暴論かもしれないけど、争いを止めたければ食物連鎖を止めてみろっていいたいよ
421通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 20:40:47 ID:???
>正直言って連合以上にまともだと思うんだが
口封じに民間人一掃とかははっきりいって種連合よりイカれてる気がしなくも無いですが
422通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 21:17:08 ID:???
>>419
あの世界の95%は全くの平和だからな。アフリカも援助で飢餓もなくなってるし。
423通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 21:18:44 ID:???
ガンダム世界現実と本質的には同じだからまともになりようが無いのかもしれません。
所詮は権力者の争いとイデオロギー(例えばニュータイプだってマイノリティだからそうなると思う)の衝突にすぎないからなぁ。
だからスパロボでそういうモノを吹き飛ばすスーパーロボット作品のキャラの特性が入り込むことでガンダム世界だけでは無理だった平和に近づけさせる原動力になっているかもしれません。
理屈(人の心の光とかだってそう)ばかりな気がするんですよガンダムはみんな……。
424通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 21:35:35 ID:???
平和なんて続編出すためには犠牲になるもんだからしょうがないよね。
425通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 21:55:54 ID:???
>>419

 知ってるかい?
 CEは、再構築戦争からプラントとか言うテロリスト達が暴れだすまでの数十年の間、
戦争が無い平和な時代だったんだぜ?

 デュラ何とかとか言うヤツの話によると、
それは、戦争をコントロールして平和を保っていた、
軍産複合体の頭領のサロンがあったお陰なんだと……。

 ロゴスとかいうらしいけど、そんな組織実在するのかねぇ……(苦笑)
426通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 22:53:40 ID:???
突然コープランド大統領がレッツパーティーって叫びながら
大暴れする電波を受信した
427通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 09:51:16 ID:???
連合筆頭自重してください
42811 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:17:29 ID:???
太平洋上のとある無人島付近では断続的に戦闘による爆発音が鳴り響いていた。だがそこで繰り広げられていたのは互角の戦いなどではない。
一方が他方を殺さないように手加減をしながら相手をなぶる様は、さながら公開リンチと言っても大きく間違っているとは言い難い。
戦場後方に控えている覇王の居城、天空に聳える魔城エターナルからは、ゲイムシステムへのほぼ完全な適応を遂げたキラ・ヤマトの駆る、トリコロールカラーを基調として赤青でバランスよく塗装されたラピエサージュと、
彼ほどの適応こそできてはいないものの早くからゲイムシステムへの適合調整措置を受けてきたスクール出身のオウカ・ナギサの駆るエルアインスが、
単機でハガネを飛び出してきたマイの乗る量産型ヒュッケバインに次から次へと襲いかかっていく。
そして、度重なる攻撃を受けた末に、既にヒュッケバインは右足と左腕を失い、十分な回避運動をするのは不可能となっていた。
そんなヒュッケバインに右腕の巨大な爪、マグナムビークを構えたラピエサージュとビームソードを構えたエルアインスが残された手足と頭部を破壊すべく迫っていく。

「ッ!!」

もはや抵抗することすらほとんど敵わなくなったヒュッケバインの中でマイが目を閉じた。己の中にいるレビ・トーラーに奪われた意識を取り戻した彼女の
閉じた瞼の裏に映ったのは、今の彼女にとって最も大切な仲間達―ライやヴィレッタそしてリュウセイや姉でもあるアヤらの顔。
そして、さらなる攻撃による衝撃を覚悟していたマイであったが、予想していたような衝撃がいつまで経っても伝わってこない。マイがおそるおそる閉じられた目を開いていくと、
彼女のヒュッケバインに迫ってきていたラピエサージュとエルアインスの前には、見覚えのある2つの機体が行く手を阻むべく立ちはだかっていた。
マントをなびかせて蒼い甲冑を纏う西洋の騎士が如き姿をした特機ヴァイサーガの腕から伸びたカギ爪水流双牙が、ラピエサージュの腕から伸びたマグナムビークを遮り、
パイロットの念動力を媒介にして発生させた緑色に輝くエネルギーを拳に纏わせたR-1のT−Linkナックルがエルアインスのビームソードを受け止めている。

「その機体…!君は…!」
「アンタの好きなようにはさせない!」

キラは苦虫を潰したような表情を浮かべる一方で、それを遮ったシンの瞳には既に闘志の炎が燃え上がり始めている。その意思に応えるかのようにヴァイサーガは力任せに
マグナムビークを受け止めている右腕でラピエサージュを振り払い、続けてヴァイサーガは追撃を加えるべくラピエサージュへ迫ろうとする。
だが、相手は仮にもCE世界において最高の能力を与えられたスーパーコーディネーターのキラ・ヤマトである。
後方へ吹き飛ばされながらもすぐに体勢を整え直したラピエサージュはヴァイサーガから振り下ろされるカギ爪を軽やかに回避する。
そして、その脇ではビームソードを防がれたエルアインスが、パイロットであるオウカ・ナギサが本来乗るはずであったラピエサージュのように備え付けられた腕部マシンキャノンをばら撒きながら
ひとまずR-1との距離をとるべくマイのヒュッケバインから離れていった。そして、ちょうどそこへシン達の後に続けて出撃してきたアラドのビルトビルガー、アヤのR-3、ラトゥーニのフェアリオンが到着した。

「リュ、リュウセイ…!ど、どうして私を…? 私はお前達の『敵』だったのに…」
「今はそうじゃねえだろ。今は…そうじゃねえ。俺達の仲間だ」
「で、でも私は…もうみんなと一緒にいられない…お前やアヤとも…私は存在してはいけない人間…死んで当然の…」
「馬鹿なことを言わないで!お父様や私達は、あなたを死なせるつもりで目覚めさせたんじゃない……!」
「だけど、私は……!」
「いい加減にしろ!妹が大事じゃない兄弟なんているもんか!」
「えっ?」
「詳しい事情は知らないが、大尉は妹のお前を誰よりも大事に思ってるはずだ!」

リュウセイやアヤ、マイらSRXチームの事情をほとんど知らないシンには、今ひとつ事情を理解しかねていたのだが、確かなものとしてわかることが1つあった。
それは、マイの姉であるアヤが妹であるマイのことをとても大事に思っているのだということ。
同じく妹を持つ身であったシンにはコバヤシ姉妹の間にある細かい事情こそわからないものの、アヤの、姉として妹を想う気持ちはよくわかる。
だからこそマイにも、自分の姉妹を悲しませるようなことはしてほしくないのである。
42911 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:18:41 ID:???
とはいえ、そんな事情も知らないキラ・ヤマトにとってはシンやコバヤシ姉妹の事情、つまりマイの過去など関係はなく、覇王に言われた通りに、
捕獲を命じられていたマイをターゲットとしてラピエサージュがヒュッケバインへと向かっていく。
だが再びその進行方向に、両腕で水流双牙を構えた光刃のダークナイト、ヴァイサーガが立ちはだかった。
そして再び入った邪魔と異世界に来てまでも憎しみにとらわれ、不遜にも覇王に弓を引続けるシンに対してキラが、
異世界に来ても理解が困難な理由に基づいて、自由に武力と破壊を撒き散らし続けるキラに対してシンがそれぞれ相手に対して苛立ちを抱く。

「どうしていつも君は…!僕たちの邪魔をっ…!違う世界に来てまで!」
「ノイエDCの連中とつるんでるお前らのやってることを野放しにできるかよ!!」
「そんな…!スクールの人達を利用してるのは君達じゃないか!それにもうこれ以上ラクスの邪魔は…!」

そう言うとキラは意識を静かに集中させ始める。脳内に薄紫色の種子が弾け飛ぶようなイメージを想い描くと、その瞳は鈍い光のみを放ち始め、自分の中の能力を開放する。
そして、それと同時にラピエサージュに搭載された最凶の戦闘システムの1つであるゲイムシステムを起動させ、機体がパイロットであるキラの脳内に、予測した情報をダイレクトに伝達し始めた。

「水流…爪牙ッ!」

そこへ斬りかかっていくヴァイサーガが赤熱化した鋭いカギ爪を振り下ろすが、ラピエサージュはマグナムビークで軽やかにそれを受け止めた。
そして攻撃の勢いに抗うことなく、むしろヴァイサーガの力を利用して後方へと下がりながら、
腕部のマシンキャノンをばら撒きつつ、背部に装備された強襲用飛行砲台ソードブレイカーを射出していく。

「ソリッドソードブレイカー、当たれぇッ!!」

開いた距離を詰めるべく、スピードを上げつつ機体を左右に振り、マシンキャノンの弾幕を潜りながらヴァイサーガは
ラピエサージュへと向かうのだが、その途中でヴァイサーガのコックピットではけたたましい音の警告音が鳴り響く。

(くそっ!)

口に出す暇もなく、ただ心の中で毒づいただけでシンは回避行動に移るのだが、既にラピエサージュとゲイムシステムへの順応を
ほぼ完全に遂げているキラ・ヤマトの放つソリッドソードブレイカーを振り切ることは容易ではなかった。
音声入力システムで起動し、キラが思ったように動いて戦場を駆け巡る飛行砲台の1つからの光弾をかわしても、さらにヴァイサーガの
回避運動の移動先をカバーするかのように別の砲台が回り込み、ターゲットとなったヴァイサーガの追跡を続ける。
そしてその砲台は光弾を放つのみならず、直接ヴァイサーガへと突撃してくるものもあり、シンはかわしきれないものは
水流双牙で辛うじて弾き飛ばすのだが、回避行動を続けるうちに徐々にラピエサージュとの距離は離れていく。
基本的にソウルゲインと同様、近接戦闘用の武装しか持たないヴァイサーガにとって、ミドルレンジからロングレンジはお世辞にも得意な距離とは言い難い。
そんなヴァイサーガの泣き所をさらに突くかのように、ラピエサージュはマシンキャノンとソードブレイカーで弾幕を張りつつ、
マシンキャノンを使用していない右腕で腰部にマウントしてあったガンレイピアを手に取って引鉄を引いた。
弾速に優れたビームの一発一発が正確にヴァイサーガのいた場所へと降り注ぎ、それを回避すべくシンはヴァイサーガを急いで後退させる結果、さらに両機の距離は開いてしまう。
43011 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:20:09 ID:???
オウカ・ナギサが乗るはずであったラピエサージュには、その元となったアシュセイバーにあったガンレイピアは携行されない予定だった。
だが、マシンナリーチルドレンを遥かに凌駕するゲイムシステムとのリンクを可能にしたキラ・ヤマトにとっては、
手持ちの武装は多ければ多いほど、フリーダム、ストライクフリーダムという多くの武装を持つ機体で戦ってきた経験とその能力を発揮できる。
そう判断した覇王は、ノイエDCから提供された技術と武器でラピエサージュをさらにカスタマイズさせたのである。
結果として、現在のトリコロールカラーと黒・青・赤で塗られたラピエサージュは、近接戦用のマグナムビーク、中距離用にマシンキャノンとガンレイピア、ソリッドソードブレイカー、
遠距離戦用にオーバーオクスタンランチャーを持つ、バランスのいい機体へと仕上がっていた。
おまけに元が高い機動性を持つアシュセイバーであるため機体の運動性・機動性は文句なく高い。
結果として、現在のシンとヴァイサーガでは、近付きたくても近づけないという状況が徐々に完成し始めていた。
カタログ上のスペックとしては、パワーやスピードではヴァイサーガの方が上であることは、ほぼ間違いない。
しかし、ゲイムシステムと、キラ・ヤマトの発現している真の能力とバランス・相性のいい武装がほぼ完全にヴァイサーガの接近を阻んでいた。
アスラン・ザラと異なり、キラ・ヤマトは生身での戦闘では雑魚といっても差し支えない程度だが、パイロットとしての能力ではやはり頭1つ抜きん出ていることは否定できない。

「くそっ!これじゃ近づけない…!」

苦々しい表情を浮かべながらシンが毒づいた。だが文句を言っていて状況が改善するようなことは当然ながらない。
そこで、ヴァイサーガは列火刃を手に取り、数本をラピエサージュに向けて投げ付ける。それをラピエサージュは機体を上昇させることでかわすが、
それはシンにとっては予想済みであった。既にヴァイサーガは腰の鞘に納まった五大剣の柄に手をかけて次の攻撃の手筈を整えている。

「地斬疾空刀!!」

掛け声とともにヴァイサーガが一気に鞘から剣を引き抜くと、刀身に纏わせた斬撃のエネルギーが真っ直ぐにラピエサージュの回避行動先へと向かっていった。
風を切り裂きながら射出された斬撃は回避不可能なタイミングでラピエサージュとの距離を詰めていく。
ここまでは苦しめられたが、シンも内心ではこれで相手に対してそれなりのダメージは与えられると思っていた。

「エネルギー計算…到達速度…!」

しかし、迫り来る斬撃を見ながらキラ・ヤマトは表情を全く変えることなく、ラピエサージュを下がらせながらもガンレイピアの照準を合わせ、トリガーを引く。
連続して放たれるビームの突きはその1つ1つが向かってくる斬撃に正確に突き刺さって、威力と勢いを確実に殺していく。
そしてとうとう最終的には放たれた斬撃はラピエサージュの元へ到達する前に完全に相殺されてしまっていた。

「じ、冗談だろ…」

これまで何度かキラ・ヤマトと戦ってきたシンであったが、これほどまでにキラ・ヤマトの能力の高さに言葉を奪われたことはなかった。
向かってくる斬撃を連続したビームで少しずつ削り、ついには消滅させる、などといった芸当は、
CE世界におけるオーブでの戦いでストライクフリーダムが行った、アロンダイトの白羽取りとも比べ物にならない。
そしてあまりの出来事に集中力を欠いてしまったシンを強い衝撃が襲った。射出されていたソードブレイカーの1つがヴァイサーガを強く打ちつけたのである。

「ぐあっ!」

態勢を整えなおせなかったヴァイサーガはそのまま地面に叩きつけられて地面に大きな土ぼこりが舞う。
その時すぐ近くではマイのヒュッケバインをフォローしながら迫り来るDCの部隊をR−1とフェアリオンが辛うじて凌いでいる。

「大丈夫か、シン!?」
「あ…あぁ、なんとか。それよりマイは?」
「こっちもなんとか…くそッ!」
43111 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:21:25 ID:???
リュウセイの顔が苦々しい表情を浮かべる。ブレイクフィールドを展開して突っ込んできたガーリオンを、R−1が念動フィールドを展開させて弾き飛ばすのだが、
その勢いを殺しきれずに機体は後方へと弾き飛ばされてしまう。戦闘が開始してから、ヒュッケバインへ向かってくるガーリオンや
量産型ヒュッケバインMK−UをG・リボルバーで牽制しながら、放たれる攻撃を念動フィールドとEフィールドで防いでいる、というものであるが、
身も蓋もない言い方をしてしまえば増援が来るまでの時間を稼ぎに過ぎない。シンはキラ・ヤマトのラピエサージュの相手をしているし、
アラドはゼオラのビルトファルケンの相手で手一杯であり、状況的には均衡状態というべきであろう。
そして、その時後方に控えていたエターナルから各機体に通信が入ってきた。

「フェフェフェ……久しぶりじゃのう、ラトゥーニ11」
「…!」
「ラトゥーニ…イレブン…!?」
「それが奴の本当の名じゃ」
「本当の名前だと!?」
「ラトゥーニクラスの11号…すなわち、ラトゥーニ11」
「な…に!?どういうことなんだ!?何で番号なんかを!?」
「サンプルに名前などいらぬ。クエルボ・セロやケンゾウ・コバヤシが与えたような名はな」
「! ケンゾウ・コバヤシだと!?」
「お、お父様が!?」

十分な事情と情報を知らないシンであったが、ここまでのやり取りを聞く限りでは、アヤやマイの父親が、ラトゥーニをサンプルだと断言した、
禁忌の領域の研究に良心を痛めている気配などまるでない老婆と全く関係のない人間ではない、ということは容易く想像できる。
そして、その老婆アギラ・セトメが口にしたことはリュウセイやアヤ、マイ達だけでなくシンにも衝撃を与えるに十分過ぎるものであった。
アヤやマイ、その父であるケンゾウ・コバヤシの知られざる過去、ケンゾウが自らの娘に施した措置、アギラやケンゾウの研究内容と目的。
そして、彼女達の持つ「記憶」が全て作り物であったこと、アヤに課せられた枷、リュウセイの母親の過去がアギラの口から一切の躊躇いもなく、
むしろ真実を知った人間が驚き、衝撃を受ける様を見て楽しみながら秘められていた事実を紡ぎ出した。

「て、てめえ…! アヤやマイを…ラトゥーニを…アラドを…!人間を何だと思ってやがるんだっ!?」
「…決まっておる。ただのサンプルじゃ。そして、記憶やトラウマ、精神の操作は、サンプル達に力を発揮させるための手段に過ぎん」
「ふざっけるなぁぁっ!お前、それでも人間かぁぁっ!!」
「ゆ、許せねえ…!てめえみたいな奴は…!人の記憶や感情を弄ぶてめえみたいな奴だけは!!」

シンとリュウセイの怒りがアギラの非道の所業に対して爆発した。特にエクステンデットの悲劇を目の前で見てきたシンの怒りは激しいものがある。
だが激しく燃え上がる怒りの対象は、リュウセイとは異なり、アギラ・セトメだけにとどまらなかった。
アギラが現在いる、桃色の戦艦エターナルの主、つまりCE世界から不慮の事故で現れた覇王ラクス・クラインに対して、怒りを宿した真紅の瞳が向けられる。
CE世界では、互いの言葉や論をただの一度も戦わせたことはなかった。
確かに、多くのコーディネーターからほぼ無条件に崇められ、自由と正義の名において自らに刃を向ける相手を惑わせ、傷付け、
討ち滅ぼしてきたCE世界の因果律を意のままに弄んできた、邪神の写し身と言っても過言ではない覇王と、
その意のままに動く最強の人形によって両親や妹、何人もの戦友に守ると約束した相手をことごとく殺害されてきたたかが一人の兵士とでは、
置かれている立場や状況も、周囲から期待されるものも、何もかもが異なる。
もしかしたら、CE世界では一兵士ごときが邪とはいえ神に意見することすらおこがましいと考えられたからなのかもしれない。
だが、2つの世界において闘い続けてきた末、とうとう一兵士に過ぎないシンは覇王と直接に対峙した。
43211 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:22:44 ID:???
「これが人間のやることか、ラクス・クライン!人をサンプルだなんて言う奴と一緒にいるアンタがよくも人類のためだとか言ってデスティニープランを否定できたな!」
「あれは人の自由を奪うもの、人が人でなくなるもの、それを放置することなどできません」
「じゃあ、あのババアがやってることはどうなんだ!?あいつとロゴスやブルーコスモスの連中がやってたことの、一体何が違う!?」

身体的な能力においては先天的に優越するコーディネーターに対抗するため地球連合は、ブーステッドマンと呼ばれる生体CPUを開発した。
そのブーステッドマンの後に実戦投入されたエクステンデットの一人とシンは出会ってしまった。
そして知ってしまった。薬物や強化手術などによる肉体強化を。ゆりかごと呼ばれる機械による精神制御を。
それらはアギラらがスクールにおいて行ってきたものとさほど変わるものではない。だからこそ怒りが溢れてきた。
シンにとってのこれまでのラクシズは「奇麗事」の名の下に世界を股にかけて暴れまわり、オーブに紛れ込んだテロ集団に過ぎなかった。
だが今、シンの中で新しい「属性」が加わった。ブルーコスモスやロゴスと似たような連中とつるむような集団、というものである。

他方の覇王はアギラの言葉を聞いて内心では激しく苛立っていた。だがそれはアギラたちのやってきたことに対してではない。
戦いを忌む平和の歌姫、コーディネーターの救世主などという自分のカリスマ性を基礎付けるイメージを脅かしかねない行動を覇王と行動を共にするアギラが自ら認めたからである。
覇王の私的軍勢であるラクシズの構成員の多くは、専ら覇王の持つカリスマによって統率されているといっても過言ではない。
戦いに心を痛めながらも人々のためにやむを得ず立ち上がる平和の歌姫、という外側から見た姿に惹きつけられているのである。
それ故に平和の歌姫という外観の維持はラクシズの根底をなすものとなっている。だがアギラのやってきたようなことが、
デュランダルが全世界に知らしめたロゴスの所業と大して変わらないということは誰の目にも明らかである。
オーブにおいては結果としてロゴスの首魁ロード・ジブリールの逃走を手助けすることになり、また、彼によるレクイエム発射を妨げる行動を取らなかった。
だが、そこからラクシズとロゴスとの結びつきを主張したり、オーブにおけるラクシズ介入により結果としてプラントがレクイエムによる攻撃を受けたのだと言う者はいなかった。
しかし今回はそうはいかなかった。自らに牙を向けている愚か者は怒りに身を任せることによって、公然と覇王を批判している。
これを放置していては覇王を支える基盤が揺らぎ、ラクシズそのものが瓦解するおそれすらある。
そのため覇王も黙っているわけにはいかず、いかに自分のイメージを守りつつこの場を乗り切るかを考えつつ、静かにその口を開いた。

「実際にそちらの方々を洗脳してたのは連邦ではありませんか」

覇王にとっては、何よりも相手のイメージを悪化させることが必要なのである。自らの非を指摘されてもそれを認めてはならない。
己の非は棚に上げて、とにかく非のある相手を問い詰めて「絶対的正義」を実現しなければならない。
実現さえできれば愚鈍な大衆の頭には自分の非の記憶は残らない、残っても間もなく時の経過と共に消えていくのだから。

「異なる世界でまで戦いを続けるのですか。それで一体何が生まれるのですか」

そして話題を逸らす。これでラクシズ構成員の目には、連邦こそがロゴスと同じようなものと映り、続けて自分達の世界で続いてきた戦いの拡大に心を痛める平和の歌姫の姿をアピールすることができる。
アピールすることができる……………………はずであった。少なくとも覇王が考えた限りの中においては。
だがシンは覇王が想定するような普通のコーディネーターではない。頭が悪いということではないが、良くも悪くも単純であるし、そもそもラクス・クラインという存在を特別に崇高な存在だとは考えていない。
自分達のしたことを全て棚に上げて置かれた状況を強引に先に進める覇王の言葉は、シン・アスカという1兵士にとっては、開き直りにすら聞こえてきて彼の怒りのボルテージを上げていく。
43311 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:23:43 ID:???
「ふざけるなよ…」

最初に出てきた言葉は、腹の奥から辛うじて引き出した、蚊の泣くような小さな声だった。

「アンタ…いやお前達があの世界で暴れまわってどれだけの人間が死んだと思ってる!」

次に出てきた言葉の大きさは普段の喋り声の大きさと変わらないものであった。
だが、言葉を紡ぎながらシンはあることを少しではあるがようやく理解できた。
アスラン・ザラやキラ・ヤマトとは不本意ではあるものの戦う中で幾度も言葉は交わしてきた。そして、それを通じてわかったこともある。
アスラン・ザラの言ったことは、キラ・ヤマトは正しい、という一言で要約することができた。
そのキラ・ヤマトが言ったことは、これまた要約すれば、覇王が言ったから正しい、との一言につきる。
そして、これらのように、まるで停止しているかのようにも思える彼らの思考パターンの源を、シン・アスカは初めて目の当たりにしたのである。
まだ明快な考えが構築されてはいない。とはいえ、シンが本能的にではあるものの、戦いと混乱の元凶の1つが何であるのかを知るには十分であった。
デュランダルによってブルーコスモス、そしてロゴスは自らの経済的利益のために戦いを生み出す存在とされた。ある一面から見ればそれが間違いであると断言することは難しい。
だがこの一面は、戦争に巻き込まれて家族を失い、戦いによって関係のない人々が傷付くことを忌むようになったシンという二十歳にも満たない少年に、戦士になることを決意させるには十分であった。
そして、デスティニープランの内容から、オーブとともに武装蜂起した覇王らラクシズと戦う前に迷いがなかったわけではない。
だが戦いによって傷付く1人1人の人間のことを考えたシン・アスカは、それ以上戦いが続くこと自体をよしとせず、ギルバート・デュランダルの下で戦うことを決意した。

「たしかに俺は議長が正しかったのかはまだわからない。これは本当だ。もしかしたら正しくないのかもしれないし、正しいことなんてないのかもしれない。
 でも俺は戦いで関係ない人が巻き込まれたりするのが嫌だったからザフトで戦った。連合と戦った。アスランと、キラ・ヤマトと戦ったんだ…」
「そうやって相容れぬものを力任せに傷つけて一体何が残るというのですか?」
「いくら奇麗事並べたってやっぱり俺は関係のない人達が傷付くことを認めることはできない…だから!」
「…」
「だから!実際に生きている人達が傷付くことを認めるお前を俺は絶対に認めない!!」
「そうやって異世界に来てまで戦って傷つけるのは矛盾しないのですか?それでは憎しみの連鎖が…」

この切り返しは、CE世界では何もかもを成功させてきた覇王が戦場で犯した初めての誤りだったのかもしれない。
覇王の理屈は、多くのコーディネーターに遺伝子レベルで働きかけをする能力とこれまでの輝かしい功績、高い知能に基づく巧みな口述に裏づけされて、コーディネーターの圧倒的多数を“丸め込む”力を持っている。
だが、“全ての”コーディネーターを丸め込むことはできないのは、ギルバート・デュランダルやパトリック・ザラを見れば理解可能ではある。
そしてシン・アスカは、“本来であれば“こうした丸め込まれない人間の1人であった。

「憎しみの連鎖……?」
「そうです。このまま憎しみを持ったまま戦い続けていては世界は…」
「ふざっけるなあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「!?」
「お前らが言えたことかあぁぁぁっ!何が憎しみの連鎖だ!!憎しみを撒いたのはお前達だ!!!俺は…俺は…俺はお前達を絶対に認めない!認めてたまるかぁああああ!!!」

シンの中で何かが怒りとともに弾け、思考がクリアになっていく。かつてオーブ領海付近でMAザムザザーに追い詰められた時に初めて発動し、シンの怒りをトリガーにする力が発動したのである。
肺の中の空気は全て吐き出され、あまりの怒りのおかげでほんのわずかではあるが呼吸にも乱れが生じていた。そして、バイザーの内側は吐き出した空気の熱でわずかに曇っている。
この世界に来てから久しく、シンは怒りを爆発させることはしていなかった。だが今日この時は、怒りが躊躇なく、そして大爆発を起こしたのだった。
43411 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:25:31 ID:???
覇王はプラント議長の娘として統治者としての素養もあったし、教育も受けてきた。つまり根本にある思考の出発点はやはり統治者のものとなっている。
他方、ただの一兵士に過ぎず、統べる者たる素養もないシンには覇王の言葉、自分達のしてきたことを棚に上げ、省みることをまるでしないように見える振る舞いを許すことは断じてできなかった。
両者の思考の出発点はそもそもが異なっているのだし、これまで両者が積み重ねてきたものを踏まえるのであれば、因果律への介入でも生じない限り相容れることは困難であろう。
また、おそらくはどちらかが絶対的に正しいということはできない。また、立場も視点も背負ったものも違うのだから、違いがあってもおかしいことはない。違いがあって当たり前である。
とはいえ、覇王に対する対決姿勢を初めて鮮明に示したシンであったが、当然ながらこれを良しとしない者がこの戦場にはいる。

「どうして君はラクスの言葉を聞かないんだっ!」

キラが叫ぶとともにマシンキャノンをばら撒きながらラピエサージュがヴァイサーガへと接近してきたのである。
それを両腕の水流爪牙で防ぎながら後退するヴァイサーガであったが、ラピエサージュは続けて射程距離内に入ったソリッド・ソードブレイカーを射出する。
ラピエサージュの背部から切り離された飛行砲台は、キラ・ヤマトの意思を受け、敵機を取り囲むように広がりながらも、ヴァイサーガへと迫っていく。
ヴァイサーガは砲台の幾つかから放たれた数発の光弾を機体を反らすことで回避すると、即座にシンは機体を後退させてソードブレイカーとの距離を引き離す。
それを逃がすまいとするキラからの指示を受けてソードブレイカーがヴァイサーガの後を追っていくが、ほぼ一直線に後退していく敵機を追尾するソードブレイカーのそれぞれの距離は少しずつ、ほんの少しずつ縮まっていった。
そして、キラがシンの狙いを察知したのと、赤熱化した両腕の鉤爪を広げたヴァイサーガが突然後ろを振り向いてソードブレイカーに斬りかかっていったのはほぼ同時だった。

「水流爪牙っ!!」

シンの思考をダイレクト・フィード・バックシステムが読み取り、振り下ろされた両腕の鉤爪によって飛行砲台は回避する暇もなく次々と切り裂かれ、爆散していく。
辛うじて散開しようとしたものもあるにはあったが、飛行砲台は人型機動兵器などとは異なって、細かい動きをすることはできず、覚醒状態のシンとヴァイサーガから逃れるには役不足であった。
四方に散らばることで全滅を免れさせようとするキラであったが、手の届く範囲のものは鉤爪の餌食となり、手が届かない所にまで逃げることができた砲台も投げ付けられた列火刃に貫かれて爆発へと姿を変えていく。

「はああぁぁぁぁっ!!」

気合を込めた掛け声とともに最後のソードブレイカーが爆炎の中へと姿を消したとき、キラの目に映ったのは赤黒い爆発と、パイロットのものと同じように紅く輝くヴァイサーガのツインアイであった。

「くっ…!」

まさかドラグーン以上の性能を持つソリッド・ソードブレイカーが1つ残らずに撃破されるとは思っていなかったキラ・ヤマトはここから先の戦術を必死に考えていた。
まだ手元にはガン・レイピアとマグナム・ビーク、O・Oランチャーは残っているが、近接戦闘になったときにそのトリッキーな動きで相手を混乱させ、的確に相手を攻撃するソードブレイカーはもう残っていない。
とどのつまり、機体性能差を覆して勝つことができる要因が彼の脳内には浮かばなかった。これまでストライクでアスラン・ザラら高級コーディネーターの駆る4機のGATシリーズ、
フリーダムでナチュラルの身でありながらザフトの白服にまで上り詰めた天才ラウ・ル・クルーゼのプロビデンスと戦った「1人目」を除き、
ほぼ常に格下の相手よりも高性能の機体で戦ってきたキラ・ヤマトは機体性能に任せるままに戦うことがほとんどであった。
そして、「2人目」以降は覇王に精神的にも依存するところが大きくなり、機体性能が通じずに追い詰められた時の精神力は強いとは言い難い。
現在のキラ・ヤマトも、ヴァイサーガの間合いに入らぬようラピエサージュを後退させながらゲイムシステムで相手の出方を予想して対処方法を必死に考えていたが妙案が浮かんでくることはない。
オーブ戦のときのように相手の剣を白羽取りしてもパワーで押し切られる、想定される機体速度をガンレイピアで捕捉する事もできない、との予測がゲイムシステムによって頭の中に入り込んできて
キラの精神状態をより厳しく追い込んでいく。だが、キラ・ヤマトがこのように追い詰められていくのが予想できていたのかは定かではないものの、彼にとって天の救いとも言うべき通信が入ってきた。
435通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 11:29:46 ID:???
支援
43611 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:32:16 ID:???
「キラ、後退を」
「で、でも…!」
「G・ミーティアを射出します」
「でもあれはまだ完成してないはずじゃ…」
「キラ、ドッキングを」
「…わ、わかったよ」

そう言うとラピエサージュは足早に、戦場後方の上空にそびえ立つ覇王の居城エターナルに向けて後退していく。そして覇王の言ったとおりにすべく艦長のダコスタが艦の各部に指示を出し始める。
覇王はただ黙って煮えくり返るはらわたを必死に押さえようとしていた。たかだか一兵士に過ぎぬ小者による不遜な言動だと、自分に言い聞かせ、
周辺にある物を怒りに任せて破壊して回りたくなる衝動を抑え込むために、射出を命じた兵器のスペックに目を通し、キラ・ヤマトの勝算と万が一のときの引き際を考える事で意識を無礼な兵士から逸らそうとしていた。
一方、地獄のマグマと化した覇王のはらわたの様子など知る由もなく、一旦はラピエサージュを追跡しようとしたシンであったが彼の下にも通信が入ってきていた。

「シン!手が空いたならマイ達を!ヴァイサーガのスピードならここからあいつを連れてけるはずだ!」
「で、でもお前達はどうするんだ!?」
「後退するだけなら俺達だけでもできる、だから早く!」

しかし、リュウセイの思惑とは裏腹に、覇王の居城エターナルのゲストシートにいるアギラから指揮下の部隊に向けてさらなる指示が入ろうとしていた。

「ラトゥーニ11と共にナンバー5とナンバー7もここで回収しておくか。ケンゾウが中途半端に調整したとは言え、今まで生き残っておるのなら今後の研究に少しは役立つかも知れんからの…アウルム1、任せるぞ」
「はい、母様。アラド・バランガとR−1のパイロットを始末し…ラトと二人のサンプルを確保します」

アギラからの指示を受け、先ほどまでは一定の距離を保ちながらR−1に攻撃を仕掛けてきていたオウカのエルアインスがビームソードを引き抜き、動きを止めているR−3達の下へと迫っていく。
リュウセイはエルアインスを近づけまいとしてG・リボルバーの引鉄を引くのだが、ゲイムシステムによって予想された攻撃は相手を捕らえることはできなかった。
エルアインスは機体を上下左右に軽々と動かしながら距離を詰めていくが、リュウセイもエルアインスだけを相手にしているわけにはいかず、
自分の機体に攻撃を仕掛けてくるガーリオンや量産型ヒュッケバインに足止めを喰らっている。アラドはゼオラのビルトファルケンの相手で手一杯であるし、
R−3やマイのヒュッケバインを守っているラトゥーニのフェアリオンのエネルギーも限界に近付いてきてきており、オウカのエルアインスから2機を守ることは困難であることは誰の目にも明らかである。

「くそっ!間に合ってくれ、ヴァイサーガ!!」

そして、シンのヴァイサーガも全速力でマイ達の下へと向かってはいたが、ラピエサージュを引き離すためにリュウセイ達との距離を取り過ぎたせいで、タイミング的に間に合いそうにない。
だがそんなことは当然ながらオウカにとっては絶好の好機に他ならない。オウカのエルアインスはまずラトゥーニの動きを止めるべくフェアリオンに向けて斬りかかっていく。
乱射されるロールキャノンとボストークレーザーを的確に回避しながらエルアインスはフェアリオンの真上を通り過ぎ、その後ろへと舞い降りた。

「まずはラト、あなたです」

そう言うと両腕をコックピットの前で交差させて防御姿勢を取るフェアリオンに衝撃が走ると、直後にフェアリオンが地面に倒れ込んだ。
横薙ぎに払われたビームソードが切り裂いたのはフェアリオンの両足であったのである。そして次にオウカは阻むものがいなくなったR−3とマイのヒュッケバインに狙いを定める。
リュウセイが、ラトゥーニが、アラドが、シンが無力感を味わいながらエルアインスを睨みつけていた。そして、とうとうビームソードの間合いにアヤ達の機体が入る。そして、オウカが剣を振り下ろそうとしたときであった。

「!?」

エルアインスのコックピット内にロックオンされたことを告げるアラート音が鳴り響き、とっさにオウカが機体を後退させると、直前までエルアインスがいた所を数発のエネルギー弾が通過する。

「くっ、何者です!?」
「…私の部下を…いえ、仲間達をやらせはしない」
「た、隊長!!」
「…何とか間に合ったようだな」
43711 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:33:19 ID:???
一安心したリュウセイの視線の先にいたのは、銃口の先から煙を上げるツインマグナライフルを携えたR−GUNパワード。
そしてリュウセイが安心したのも束の間、エルアインスに続いて2機のガーリオンがR−3の下へと向かっていくのだが、レールガンを構え終える前にその胴体がビームによって貫かれて爆発する。
リュウセイやアヤ達には見覚えのあるビームが放たれた先にいたのは、同じくSRXチームのライが駆るR−2パワード。

「ご無事ですか、大尉。それに……マイ」
「ライ…ディース…私を…?」
「…俺達はチームだ。例え、それぞれがどんな過去を持っていようとも…今はSRXの下に集まった…一つのチームだ。だから…俺はここへ来た。お前達を助けるために」
「フェハハハハ! 笑わせおる、笑わせおるわ!どんな過去でもだと? チームだと? フェハハハハ!お前達の絆には…ナンバー5と7には、ワシが作り上げた記憶や過去が組み込まれておる!
 お前達は、ワシらの操り人形と共に今まで戦っておったのじゃ! 所詮、仕組まれた絆なのじゃ!紛い物の絆に過ぎんのじゃ!フェハハハハ!!」
「う…あ…!」
「しっかりしろよ、マイ!大尉!」

作られた偽の記憶、過去。あると思っていたはずの姉妹の繋がりの不存在。アギラの言葉によって再び苦しみを感じ始めたマイの思考を中断させたのは、
己のいた世界で多くのものを失ってきた異邦人であるシンであった。

「たしかにあのババアが言ってることは本当かもしれない!でも今までリュウセイ達と一緒にいた記憶はアンタ達自身のものだろ!」
「でも私は本物の妹じゃ…」
「血がつながってなきゃ大尉はお前の姉さんじゃないのかよ!?そうじゃないだろ!」

エクステンデットと呼ばれる強化人間のステラ・ルーシェと知り合ってしまったシンは、彼女の過去を知ってはいない。
だが、出会ってからのことはすべて覚えていたし、ステラも消されたはずのシンと出会った記憶を思い出すことが出来た。
また、シンが妹を亡くしてわかったこと、それはこれから亡き妹との記憶を作り上げていくことができないということであった。
逆に言えば、血が繋がっていようがいまいが、兄弟姉妹としてお互いに生きてさえいれば兄弟姉妹としてこれからの記憶を作っていくことはできる。
失わなければわからないことではあったが、もはやシンには叶わぬが故にマイ達には強く伝わる結果にはなった。

「ア、アヤ…!」
「大丈夫よ、リュウ…あの時、イングラム少佐は私にこう言ってくれたわ。過去に囚われるな、新しい道を進めと」
「あ、ああ……」
「私の昔の記憶があなたに作られ、与えられた偽物だとしても…今の私には関係がない!少なくとも、リュウやライ、隊長…みんなと出会ってからの記憶は私自身のもの!だから、私は過去を乗り越える。
 それがどのようなものであっても!そして、あなた達と同じ道を歩み、一緒に戦うわ。このR−3で…刷り込まれたからじゃない…命令だからじゃない。これは私自身の意思…私が決めたこと」
「……」
「マイ、今の私達に必要なものは過去じゃなく、未来よ…だから、あなたも自分の意思で決めなさい。これからどうするかを」
「わ、私は…私は……アヤやリュウセイ達と一緒に行く……!かつての私が犯した罪を償うために…私を必要としてくれるお前達と一緒に…自分の意思で戦う!」
「ほざきおったな! ならば、お前はここで殺してやる!アウルム1!」
「俺もいることを忘れるなぁぁっ!」

再びビームソードを構えてヒュッケバインへ向かっていこうとしたエルアインスに、掛け声とともにようやくリュウセイ達のいる所へと到着したシンのヴァイサーガが組み付いた。

「こ、この!離しなさい!」
「そういつまでもアンタ達の好きにさせてたまるかよ!」

激突の衝撃でビームソードを落としてしまったエルアインスは、上半身をバタつかせながら組み付いたヴァイサーガを振り払おうとするのだが、
PTであるアルブレードの改良量産型たるエルアインスの機体のパワーでは、特機であるヴァイサーガには敵わない。こちらに向かってきた速度と勢いが上乗せされているのではなお更である。
エルアインスとヴァイサーガは激突した時の勢いそのままに、エルアインスを下にして近くの地面に激突し、揉み合いながらも、木々を薙ぎ倒し、地面をえぐってゆく。
43811 ◆Qq8FjfPj1w :2009/07/06(月) 11:34:12 ID:???
「リュウセイ、ライ、アヤ、今がチャンスよ!シンのアシストを無駄にしないで!」
「はいっ! 二人共、加速して合体するわよ!」
「おう!」
「了解!行くぞ、ライ、アヤ!ヴァリアブル・フォーメーション!!」

ヴァイサーガがここまでSRXチームを苦しめてきたオウカのエルアインスを戦場から引き離したおかげで、合体のタイミングを得たリュウセイ達はSRXへの合体シークエンスを開始する。
一方、地面に激突したヴァイサーガは仰向けになったエルアインスを押し倒す格好になっていたが、
パイロットであるオウカをコックピットから引き摺りだすために腕を胸部へ伸ばそうとするヴァイサーガとそれを防ごうとして両腕を振り回すエルアインスが組んでは離れ、離れては組んで、を繰り返していた。
シンとしてはエルアインスの両肩にあるツインビームカノンを至近距離から喰らうわけにはいかないので迂闊にヴァイサーガの上半身を上げることはできないし、
かといってエルアインスの両腕を自由にさせていたのでは強引に振り払われてしまうおそれがある。
結果として、ヴァイサーガは頭部をエルアインスの胸部に押し付けてエルアインスを押さえ込みながら、両腕でエルアインスの両肘部分を掴んで腕の動きを封じる、という状態が作り出されているのが現状となっている。
そして、態勢にわずかながらに罪悪感を覚えつつ、シンはモニターの端に映る、合体シークエンス「ヴァリアブル・フォーメーション」を開始したSRXチームへと視線を向けた。
既にR−1と2、3の本体は変形を行い上半身の形成を終えており、両腕・両足へと姿を変えたR−2、3のプラスパーツがそれぞれドッキングをしようとしている。
R−3のプラスパーツが姿を変えた両足が、R−2のプラスパーツが姿を変えた両腕がそれぞれ念動フィールドで覆われたSRXの上半身と結合する。
そして、R−1のシールドが巨大なサングラスのような形状へと姿を変え、ツインアンテナを持った黒いバイザーがSRXの上半身からはみだすR−1の頭部へと覆い被さると、
SRXは左右の拳を前後に振るった後、右の拳を天高く突き出し、リュウセイは声高に雄叫びを上げる。

「天下無敵のスーパーロボット、満を持してここに降臨ッ!」

第38話「SRX降臨!」 おわり

おまけ

?????「エルアインスの両肘を掴んでいたヴァイサーガであったが、次第に顔面をエルアインスの顔面に押し付けはじめる。コックピットの中のオウカはどういうわけかはわからないが、顔を赤らめ始めていた。
 やがてヴァイサーガの口が開き、仰向けになっても型崩れせずに天を突くエルアインスの胸部にむしゃぶりつきはじめる。(中略)硬くなった(中略)。
 そして、ヴァイサーガの右腕が一瞬の隙を突いてエルアインスの右太腿の辺りを掴むと、徐々に上部にある中央分離帯へ向けて侵攻を開始し、(中略)。
 『な、一体何をするつもりですか!?』『アンタみたいなプライドの高そうなタイプは一度芯をへし折っちまえばあとは簡単なんだよ』『い、いやぁっ、やめてぇっ!』『へへっ、堕ちるトコまで堕ちちまいなっ!』
 かくして、ヴァイサーガの紅いマントの下では、地球というベッドの上で男と女の攻防戦が繰り広げられていたのであった」
ブリット「こらあぁっ!くるあぁぁっ!ぶるあぁぁっ!全年齢板で何いかがわしい文章を朗読してるんですか、エクセレン少尉!」
エクセレン「あら、最初の予定では今回の話に出てくるはずだったブリット君じゃない」
ブリット「しょうがないでしょ、この話の流れ作ってる間に5月1日が経過しちゃったんですから!」
エクセレン「ああ、だからディケイドが終わる前に投下するのね、ネタが古くなりすぎちゃわないように」
タスク「なんかもう十分時期を逸して古くなった気がしなくもねえけどな。まあ何はともあれ、この後開かれるエクセ姉さんの朗読会に参加したい人はわっf」
ブリット「開かないからね!開かれるわけがないから!っていうか開かせないよ!?」
439通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 11:47:39 ID:???
更新乙!

 お久しぶりです。
 前から思っていたことなのですが、一つの文章に同じ単語が二つも三つもあるとごちゃごちゃしていて見辛いんで、もう少し文章を整理した方が良いのでは……。
440通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 12:26:53 ID:???
 ただ文句つけるだけというのもアレなので、例。
 ……好みもあるんで、一概にこうしろとは言えんのだけれど、
表現技法として繰り返し等を行っている訳ではないのなら、文章は整理した方が絶対にいい。



エルアインスのコックピット内にロックオンされたことを告げるアラート音が鳴り響き、とっさにオウカが機体を後退させると、直前までエルアインスがいた所を数発のエネルギー弾が通過する。

コクピットに鳴り響くロックオンアラート、咄嗟にオウカが機体を後退させると、直前までエルアインスが居た場所を数発のエネルギー弾が通過して行く。
441通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 13:37:26 ID:???
シンが主人公してるなぁ…
負債の暗黒面に囚われてしまったのかと怯えていましたが、ご無事なようで何よりです
はたしてこっちのオウカ姉さんは生き残れるのか
わっふるわっふる
442通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 19:19:37 ID:???
お久しぶり乙!
ディケイド終わるまで読めないかと覚悟完了してたんで
予期せぬ投降が嬉しいっす
頑張ってくれシンちゃん、そして鋼の救世主たちよ・・・

ところでG・ミーティアっちゃ
1.グレート
2.ゴッド
3.ジェノサイド
4.ガンダム

とりあえず2.に3000わっふる
443通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 23:23:03 ID:???
11氏投下乙です!
咆えてるシンは、原作のシンらしさを強く感じれて良いですねw

最近、総帥氏の作品を読み直して六剣の設定をおもいだしたんだが
六剣の残り二人は刹那とブシドーで決まりかな?それともアルヴァンか統夜辺りが入るか?
444通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 21:21:08 ID:???
六剣はDC台頭からヤキン戦までのいわゆるディバインウォーズで名をあげた剣士達の総称で、その当時はシンが最弱だったんだから、残り二人は別にいるはず
もっとも今はウォーダンとムラタの分の席が二つ空いてるから、新たなる六剣と呼ばれる可能性はあるな
445通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:03:06 ID:???
>>444
ロウと爺さんじゃね?
446通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:29:37 ID:???
そういやノイエDC、シャドウミラーと手を組んだラクシズはインスペクター側につくのかねぇ
あのピンクがアーチボルドやシャドウミラーに裏切られてあっさりやられるような奴とは考えがたいが
447通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:39:40 ID:CKaDQVoY
>>高級コーディネーターの駆る4機のGATシリーズ
最新の後付けではストライク以外の初期GATシリーズは色々欠陥を抱えていたため
総合スペックではストライク以下だったそうですよ。
まあ結局キラヘボイ論に拍車をかけるだけだったというwww
448通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:44:34 ID:???
さすが後付けは種の御家芸だなw
ただ11氏の一人目キラは相当強そうだから覚醒したら恐ろしい
449通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 00:23:06 ID:???
>>448
お前ガンダムは種が初めてか?
力抜けよ
450通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 16:03:18 ID:???
Abe自重wwwww
451通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 16:41:19 ID:???
今インモラル雷凰なんてのが脳裏をよぎった……orz


それにしてもブレブレアニメ化かぁ
ストック無さ過ぎでジンキの悪夢再来にならんことを祈る
餓霊澪な感じなら良いんだが
452通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 17:02:47 ID:???
次回はSRX対ラピエサミーティアなんだろうが
ミーティアごときでSRXに対抗できるか?
453通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 21:23:22 ID:???
当然ただのミーティアであるはずがない
きっとマシンセル+影鏡の技術でエラいことになってるはず

ところでヴァイサーガは刹那が乗っても普通に合いそうだな
剣戟戦闘特化と烈火刃、それにマント的な意味で
454通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 23:18:03 ID:???
>>453
ガンダムに乗らない殺那は殺那じゃないと思う
アヘッド?あれは太陽炉乗っけてるからガンダムだろ
455通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 01:16:22 ID:???
マ改造でヴァイサーガンダムにしてくれるよ
456通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 02:31:39 ID:tZsoiTSV
>>454
フェイスガードの下はガンダム顔じゃなかったっけ?
00世界では頭部センサー類を最適な形にするとガンダム顔になるという法則あるし
457通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 07:38:47 ID:???
ガンダム顔にすると一般人に悪影響だから、とかじゃなかったっけ
458通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 09:03:49 ID:???
>>456
んな設定あったっけ?
あとフェイスガードの下がガンダム顔なのはガシリーズとレグナントじゃない?
アヘッドはその辺は確か不明だった


アヘッドシリーズは体系がGN粒子の効率を追求したらガンダムに近くなったから
イメージ悪化を避けるため人革連風のガワ付けたってだけだった筈
459通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 18:21:38 ID:???
ふと惑星サンライズを思い出したんだ
あの星のFTは各作品をパロってたなぁ
搭載能力が高すぎるアスタンテとか
460660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 21:57:46 ID:???
>>11さん、お疲れ様です。
SRX・・・・・・私はあまり活躍させて上げられなかったなぁ。Gミーティアがはたしてどれほどの化け物なのかとか一人目のキラの行く末とかまだまだ気になることありますね。
ウェンドロらインスペクターたちがラクスをどう評価するかも密かな楽しみです。

では、私も投下させていただきます。なお、今回馬鹿なことをやってます。

ディバイン SEED DESTINY 第十四話 四神覚醒


 太陽の無い空を白い装甲を纏った虫達が覆い尽くそうとしている。甲虫らしい六本足の見える腹めがけて、絶え間なくビームの矢を撃ち続けるティエレンタオツーとティエレン高機動型のパイロット達は、十数倍の敵を相手にして未だ無傷であった。
 東アジア共和国の威信をかけて開発された最新鋭の機体ティエレンの、特別仕様機としての優れた性能とそれに見合ったパイロット達の驚嘆すべき力量の賜物だ。まもなく彼ら“頂武”の本隊が到着する事も考えれば、十分にこの事態を乗り切る事は出来る。
 彼らが相手をしているメギロートと呼ばれる無人機動兵器は、この単機種だけで外宇宙進出程度の科学技術水準を持つ惑星を制圧できるだけの戦闘能力を持つ優秀な兵器である。
 それらを相手にして互角以上に戦っているのは、地球人という種族が極めて戦闘能力が高く、かつその地球人の中でも特に優れた実力者がティエレンを駆っているのだ。
 ティエレン高機動型の立座式コクピットの中で、メギロートの吐き出すリング状のレーザーの射線を冷静に見極めて回避しながら、セルゲイ・スミルノフは四人の部下達の動きも常にモニタリングしていた。
 生存者の姿がいまだ見えない事がセルゲイに眉間に深い皺を刻んでいたが、戦闘それ自体は油断さえしなければ、あるいは予期せぬ事態が勃発しなければこのまま勝利を得る事は間違いない。
 あくまで沈着冷静に状況を見極めている――それしか知らないような――セルゲイだからこそ、ティエレン高機動型の計器類に何の反応も与えずに出現した機影に気づくことができた。

「何だ、あの機体は?」

 オレンジ色の装甲に、両肩に二連の砲身を持ち、左手には上下にホイールを備えた長方形の装備を携えている。サイズは平均十八メートルのMSよりやや大型か。ゼ・バルマリィ帝国の使用する機動兵器ヴァルク・ベン。
 帝国の特殊な部隊であるゴラー・ゴレム隊でのみ運用されていた高性能量産機である。それらの中に黒と黄金に彩られ、上端のホイールの代わりにブレードを備えた装備とウィング・バインダーを背負った指揮官機の姿があった。
 漆の様な黒を主色に、額を飾る鶏冠とV字を組み合わせたブレードアンテナに両肩や腰部のアーマーや胸部は金色だ。ゼ・バルマリィ帝国の技術の粋に異世界の地球の軍事技術を盛り込んだ野心的な高性能機である。
 ヴァルク・バアルと呼ばれる指揮官機の中で、顔の上半分をマスクで覆ったキャリコ・マクレディという青年がマスク越しに、メギロートの大群を相手に善戦するティエレン部隊を見下ろしている。
 地球人は種族として平均的に銀河有数の戦闘能力を持っていたが、今戦っている東アジア共和国の部隊は、かの銀河最強の名を欲しいままにした部隊に名を連ねるに十分なほどだ。

「次元は違っても地球人は地球人と言う事か」

 機械で合成したような、感情の起伏に乏しい声であった。キャリコは合成人間達がパイロットを務めるヴァルク・ベン部隊に、ティエレンの破壊命令を出した。
 ティエレンのパイロット達が優秀である事は認めるが、求めているのは彼らではなくこの地に眠るモノなのだから、その邪魔をするティエレン部隊に破壊以外の選択肢を与える気はない。
 ビームライフルのトリガーを引くのと同じ数だけメギロートを撃墜していたハレルヤとソーマが、同時に襲いかかるヴェルク・ベンに気づき、撃ち掛けられたキャノンを回避する。
 データベースに照合する機種はなく識別信号も出していない謎の敵性部隊だ。地球圏各国で劇的な速度で開発されている新型機のどれとも違う外見をしているが、ハレルヤはさして気にする素振りもなくモニターの映るセンターマークにヴァルク・ベンを捉える。

「おい、中佐! こいつら敵だろぉ? 撃ち落とすぜぇっ!!」
「ハレルヤ、中佐はまだ撃墜命令を出していない!」
「はっ! なんの通達もなくいきなり撃ち掛けてくるような連中だ。この虫どもの御同輩って所だろうぜ」
461660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 21:58:56 ID:???
 ハレルヤの言い分を認めつつ、あくまでソーマはセルゲイの指示を待つ。アレルヤとマリーも同様に、メギロートやヴァルク・ベンからの攻撃を回避しつつセルゲイの判断を待っていた。
 頂武本隊の到着までの予想時刻を視界の端に入れつつ、セルゲイは素早く判断を下した。

「各機、アンノウンを迎撃しろ」
「そうこなくっちゃな」

 嬉しげな声でハレルヤは呟き、ハレルヤタオツーに搭載されているテスラ・ドライヴの出力を一気に上げて、ヴァルク・ベンの部隊へと突っかける。橙色の弾丸と見間違える殺人的な加速で飛翔する兄弟のフォローに入るべく、アレルヤもその後に続いた。

「アレルヤ、ハレルヤ! もう、ソーマ貴女まで行ってはだめよ!」
「っ、分かっている」

 つられてピンク色のタオツーも突撃を敢行しようとしていたのに気づいたマリーが、とっさにソーマを制止する。ハレルヤと反目する事が多いせいか、ソーマは戦闘や訓練でハレルヤに負けじと張り合おうとする傾向がある。
 今回も、その癖を発揮しかけていた。生存者の救出を一時的に諦めたセルゲイのティエレン高機動型に合流し、ソーマ・マリー・セルゲイの三人はハレルヤとアレルヤの穴が抜けて迎撃する数の増えたメギロート部隊へと銃口を向けた。
 戦闘開始から随分な数のメギロートを撃墜したはずなのだが、まだまだ層を成すほどの数が上空を埋めている。
 容易く撃墜こそしているものの、性能は決して悪くなはないしこの規模の部隊を同時に複数展開可能ならば、鋼の虫達を運用する組織はかなりの脅威となるだろう。
 地球連合を構成する三大国家間で深まりつつある見えざる軋轢、急速に国力を増大し軍事力をさらに高めているDC、休戦がいよいよ終わるかと懸念されているプラント。彼ら以外の全く新しい組織が存在するのか?
 各地で部隊単位での謎の失踪など不可解な事態も起きているが、それもこのアンノウン達の仕業であろうか。
 腰から引き抜いたカーボンブレイドで体当たりを敢行してきたメギロートを一機二機と、足を斬りおとし頭を叩き潰し、セルゲイは頂武本隊まで五人が無事に生き残る事が出来るかどうか、冷静に分析していた。
 後方に置き去りにしてきたソーマやマリー達の事を忘れ、ハレルヤは思う存分その高い戦闘能力を発揮していた。無人機であったメギロートと違い、合成人間の乗るヴァルク・ベンは、反応速度が向上し攻撃パターンも複雑化している。
 歯ごたえはぐっと増した。ハレルヤの口端が凶悪な形に吊り上がった。見なかった方が良かったと、見た者の胸に後悔を覚えさせる笑みを、はたして何と形容すべきか。
 ヴァルク・ベンが振り上げて、ハレルヤタオツーの頭部へ叩きつけてきた高速回転するホイールを、ハレルヤは余裕を持ってカーボンブレイドで受けた。ホイールと接触したカーボンの刃が無数の火花を散らし角ばったハレルヤタオツーの機体を赤々と照らす。
 カーボンブレイドが削り取られるよりも早く、ハレルヤはカーボンブレイドを手放しバランスを崩したヴァルク・ベンの胸部へとビームライフルを押し付けた。機体の体勢を立て直す一瞬の隙を狙い澄まして、ハレルヤはトリガーを引く。
 ヴァルク・ベンの重装甲は例えプラズマジェネレーターからエネルギー供給を受けるビームライフルでも簡単には撃ち抜けないが、ほとんど密着状態からの一撃は機体の機能を停止に追い込むには十分な威力を持っていた。
 大気による減衰はあったが、ハレルヤタオツーの銃口から飛び出た光の矢はヴァルク・ベンの胸の内に深々と突き刺さり、内部からの爆発によって空中に毒々しい炎の鼻を咲かせる。
 通常の射撃でヴァルク・ベンを撃墜するには、タオツーの持つビームライフルでは二、三度は直撃させねばなるまい。コクピット部や機関部はもっとも装甲が厚いだろうし、そもそもコクピットがどこにあるかもわからない。
 ま、痛ぶる楽しみがあると前向きに考えておこうと、ハレルヤはハレルヤタオツーを操り、四方から襲いかかってきたホイールをかわす。ホイールを繋ぐ細いワイヤーをライフルで撃ち切り、それぞれのホイールを持つヴァルク・ベンへとビームを飛ばす。
 頭部のメインカメラやホイールバスター、腹部に直撃を受けたヴァルク・ベンの内数機が機能不全を起こして落下してゆく。直後、自分の背後で生じた爆発にハレルヤはかっ、と短く息を吐きだした。

「良く見ているじゃねえか、アレルヤ!」
「まったく、少しは身の危険と言うものを考えたらどうなんだい?」
「お前を信頼してんだよ」
「言い様に使われているような気がするけどね」

 苦笑交じりのアレルヤのセリフが、たぶんこの二人の関係を最も適切に言い表しているのかもしれない。
462660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 21:59:59 ID:???
左右の肩の装甲の色が違うだけのティエレンタオツーは、互いの死角をカバーしあう様に、目まぐるしく機動し性能的には互角かそれ以上のヴァルク・ベンを相手に、数の不利を覆す戦いぶりを見せはじめる。
ヴァルク・ベンの胸部に刃毀れで切れ味の劣化した――元から切断よりも叩き潰す事を目的とした武器だが――カーボンブレイドを無理やり突き込み、六機目のヴァルク・ベンを高価なガラクタへと変える。
相当連射を重ねたビームの熱によって、ライフルの銃身が歪み始め照準が少しずつ狂い始めている。まだ十分に手動で補佐できる範囲だが、これからはビームサーベルでの戦闘に切り替えた方がよさそうだと、ハレルヤは判断した。
 機体の方はまだオーバーヒートするまでには若干の余裕がある。ビームライフルよりは保つだろう。

「ユーラシアや大西洋の連中よりは歯ごたえはあるな。しかしこいつら画一的な動きをしやがる。……おれらと同じ作りものかぁ?」
「確かに妙だね。パイロットの操縦の癖や機体の動きがあまりに均一的過ぎる」

 ヴァルク・ベンを操るパイロット達がすべて同一規格の合成人間である事は知らずとも、戦闘を行う事によってすべて同一人物が乗っているかの様な動きを体験した二人が、同じ意見を述べる。
 正解に近い考えに至った二人への褒美は、突如二人のタオツーを囲んだ黒に金の装いを纏った機影であった。ウィング・バインダーを魔鳥の翼の如く広げた何機ものヴァルク・バアルが、同時にブレードの切っ先を向けて突進してくる。

「本命のご登場かよ」
「指揮官機か!」

 楽しげなハレルヤとさらなる強敵の出現を認めたアレルヤが、それぞれ一言発するのと同時に、タオツーは上下に分かれて円形の包囲網から突撃してきたヴァルク・バアルをかわす。
 あわや激突して自滅かと思われたヴァルク・バアルだが、一機を残して他の機影が全て霞の様に消え去り、一瞬前まで二機のタオツーが滞空していた空間には、幻影を解除したヴァルク・バアル一機の姿があるのみであった。

「ミラージュ・コロイドの応用か? つまらねえ手品しやがるぜ」
「油断は禁物だ、ハレルヤ。あのフェイク、タオツーのセンサー類でも判別が難しい。実体を誤れば落とされるのはぼくらの方だ」
「そーいう時はどうすればいいか、知っているか、アレルヤ?」
「いや、何か秘策でも?」

 訝しげにハレルヤにアレルヤが問うた時、ヴァルク・バアルが再び動きを見せた。機体各所に内蔵しているミサイルが一斉に白煙を噴いてタオツーに群がり、発射したミサイルを引き連れてヴァルク・バアルがこちらへと向かってくる。
 先ほどの幻影を投射するシステムも使用しているようで、ハレルヤとアレルヤの眼には何機ものヴァルク・バアルの姿が映し出されている。ミサイルの噴出する白煙に紛れ、深い霧の中の様に見え隠れする敵機の姿を見失わないようにするのも一苦労だ。
 緩やかな弧を描いて襲い来るミサイルを躱したハレルヤが、アレルヤが尋ねた秘策を口にした。

「全部本物だと思って戦えばいいんだよ!」
「……君らしいよ、ハレルヤ」

 有言実行と言う事なのか、ハレルヤは乱れ飛ぶヴァルク・バアルを次々に照準内に納めてトリガーを引き続ける。超兵の反応速度に対応する高速情報処理システムを搭載したタオツーは、ハレルヤの意思に遅れる事無く対応して動く。
 アレルヤもまた、ハレルヤ同様にモニターに映る複数のヴァルク・バアル全てが実体のある存在という過程で対処し始めている。
 それまで相手にしていたヴァルク・ベンとはスピードも動きもパワーもケタ違いだ。機体を操るパイロットの技量も一つ上のものだろう。
463660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:00:47 ID:???
 ワイヤーで繋がれたホイールが生きた蛇のように自在に襲い掛かってくるのを交わす事に気を取られれば、高速で距離を詰めたヴァルク・バアルの振り上げたブレードが襲いかかってくる。
 ヤラー・イリュージョンによって無数の幻と共に襲い来るヴァルク・バアルを次々と捕えてビームを撃ち掛けるが、ほとんどはするりと幻をすり抜けるだけだ。
 ハレルヤとアレルヤの迎撃をくぐり抜けたヴァルク・バアルが大上段に振り下ろしたブレードを、アレルヤはカーボンブレイドで受けたが、タオツーを圧倒するパワーに機体を一気に押し込まれる。

「タオツーよりもパワーがあるなんて、ガルムレイドと同じかそれ以上だ」
「ふっ」

 嘲弄の笑みを薄く浮かべたキャリコは、鍔競り合った体勢からアレルヤタオツーの胸部を蹴り飛ばし、その反動を生かしてヴァルク・バアルに半円を描かせて、背後から放たれたハレルヤタオツーのビームをかわす。

「ちっ、後ろも見えてやがるか」
「攻撃に感情を乗せ過ぎている。まるで獣だな」

 溢れる殺意を隠さぬハレルヤの攻撃を、キャリコはあくまで冷静に見極めて受け、躱す。ビームライフルを腰部にマウントし、ハレルヤは自機にビームサーベルを二本抜かせた。
 二刀を構え猛攻を仕掛けるハレルヤタオツーを、キャリコはブレード・ホイール・バスターの刀身とホイール部分でうまく受けている。

「勢いがあるのは結構だが、敵はおれだけではあるまい?」



 両手に握ったビームサーベルを振り上げていたハレルヤタオツーへ、生き残りのヴァルク・ベンからのカティフ・キャノンが集中していた。
 ヴァルク・バアルにはかすりもせずにハレルヤタオツーのみを撃つ完璧な位置からの砲撃だったが、だからこそハレルヤは攻撃コースを予測し回避する事が出来た。
 四肢を振り乱しての重心移動と各所のスラスター、テスラ・ドライヴを組み合わせた繊細な回避機動を細かく行い、機体へのダメージを最小限に抑える。
 ホイールの一つを右手のビームサーベルで受けた瞬間の僅かな隙を突かれ、ハレルヤはヴァルク・バアルのショット・シザーに機体の右肩を抉られていた。厚い装甲を貫きフレームまで到達したダメージが、ハレルヤタオツーの右腕を機能停止に追い込む。

「やろう、やってくれるじゃねえか!!」
「ハレルヤ!」

 地面に衝突する寸前で機体を立て直したアレルヤも、残るヴァルク・ベン達の砲撃を浴びせ掛けられ、思うように動けない。胸部への蹴りは装甲板をへこませてはいたが機体に深刻なダメージを与えるまでには至らなかった。
 地上を這うように動き回るアレルヤタオツーの周囲に着弾の土煙がいくつも巻き起こり、這いまわる蛇の通った軌跡の様に地面が抉れて行く。完全に頭を抑えられ上空から一方的に撃ちかけられる態勢になっている。

「中佐、アレルヤとハレルヤが」
「く、こちらの予想を超えた戦力か」

 メギロートとは異なる人型と指揮官機の戦闘能力は、セルゲイの予想を大きく越えてハレルヤとアレルヤの二人を完全に抑え込んでいる。いや、徐々に追い詰めつつある。頂武本隊の到着まであと十分。果てしなく長い十分になると、セルゲイは覚悟した。
 いざとなったら自分が囮になってでもソーマ達四人を生き残らせなければならない。一指揮官に過ぎない自分の変わりは居ても、超兵たる彼女らの変わりはいない。
 いや、それ以上にまだ自分の子供程度の年齢でしかない若者たちを死なせたくないという、セルゲイの軍人ではない部分の感情が強かった事は否めない。
ハレルヤタオツーを劣勢に追い込んだキャリコは、最後の一撃を加えるべくハレルヤタオツーの見せる一瞬の隙を待っていた。今はまだ機体がハレルヤの操縦に追従しているが、やがて関節や駆動系が摩耗し悲鳴を上げるだろう。
手持ちの戦力は半数が撃墜されていたが、十分に補充できる程度の損害だ。ここで手に入れる予定の機体に比べれば、大海と井戸を比べるに等しい。

「大した戦闘能力だが、相手が悪――」

 キャリコは、最後まで口にはしなかった。曇天の空に唐突に一塊の肉腫の様な黒雲が生じるや、たちまちのうちに広がり見渡す限りの空を埋め尽くしてゆく。

「これは強念者が既に乗り込んだのかっ」
464660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:01:39 ID:???
 最悪の可能性に思い至りキャリコがマスクの奥に隠された端正な鼻梁に深い皺を刻む。超機人の操者として認められるほどの――しかもこの地に眠るのは四神の位階にある高位の機体――強念者となれば、確実に自分達の障害となる。
 黒雲に煌めく稲光が一層激しさを増し、それらは意思を持つ様に絡みあって意味ある言葉の形をとる。天は唸り大地は鳴動して世界そのものが叫びを上げているかのよう。網膜に焼き付く白い光は四つの名を黒雲に示す。
 メギロートの爆撃によって厚く積み上げられた岸壁と岩盤を吹き飛ばし、四っつの巨大な影が猛々しく雄々しいその姿を暗雲の下に露わにする。
 蒼い鱗が連なり背には白い刃を重ねた様な一対の翼。首元に赤く輝く鱗を備えた最強の龍が飛び立ち、雷光を背に翼を広げ悠然とメギロートやヴァルク・バアルと対峙する。
 天に描かれる雷光の文字は『龍王機』。
 いかなる闇の中でもおのずから輝きを放つ様な漆黒の毛並みに黒い縞模様の走る巨躯で、ひらりと軽やかに跳躍し音もなく地に立って、寧猛な唸り声を上げるは無敵の虎。
 白虎の超機人『虎王機』。
 龍王機と並び立ち暗雲の下でさえも美麗に映る翼を広げ、天の果てまで届くだろう高い嘶きを上げるは、赤々と燃える炎から生まれた様な朱雀の超機人『雀王機』。
 虎王機の傍らで巨山の如き巨大な存在感と共に構えるのは、漆黒の甲羅を持ち岩壁を荒々しく削りだし角のように鋭い頭部の、玄武の超機人『武王機』。
 東西南北の四方を守る四聖獣を模して古代中国の人々によって造り出された人界の守護達が、数百年あるいは数千年の時の流れを越えて深く重かった眠りから遂に目覚めたのだ。
 四体の超機人達はそれぞれのモデルとなった神話の幻獣達のものと思える声を上げて、天を埋め尽くすゴラー・ゴレムの軍勢にはっきりとした敵対の意思を明示する。


 その超機人達の声で、それぞれのコクピットに居た四人の男女が目を覚ました。

「……スハ、クスハ!」
「う、ブリット君?」
「良かった。目が覚めたか、怪我はないか?」
「うん、大丈夫。……ここは」

 クスハは自分の体が固定されている事、椅子の上に座っている事は分かったが自分のいる場所がどこなのか判別がつかず、重い瞼を開いて周囲を見回す。どうやらコクピットとかろうじて言える様な場所らしいと思い至る。
 巨大な生物の爪で捕まえられているように背後から延びる巨大な爪で、自分の体が抑えられていて、右側に同じような状態のブリットの顔が映し出されていた。徐々にクスハの意識が鮮明さを増し、前後の記憶が戻ってくる。
 頭の中に直接響いてきた謎の声に導かれるまま襲撃を受けた蚩尤塚を逃げ回り、その途中で崩落に巻き込まれて、暗闇の中で自分達四人は声の主と出会ったのだ。そうだ、この子が、声の主だ。自分達を導いた存在だ。そして問いかけてきたのだ。
 人界の救済を望むのかと。答えた。自分もブリットもリョウトもリオも。望むと、力を欲すると。
 頭の中にこの巨大な守護者たちについての情報が、水がゆっくりと岩肌を伝う様にして沁み込んできた。操縦方法や、超機人の力を引き出す為には念者と呼ばれるものでなければならない事など。

「貴方が、私たちを助けてくれたのね。ありがとう……龍王機」

 ぐおう、と岩と岩とが擦れ合った軋みに似た声が返ってきた。律儀な所があるらしい。龍王機のコクピットのモニターに、雀王機からリョウト、武王機からリオと全員の顔が映し出された。
 クスハを含めて全員に怪我をした様子はない。救済を望むかという鮮明な声がした後、一際激しい爆撃によって崩れた岩盤に巻き込まれた筈だが、超機人達が助けてくれたのだろう。

「リョウト君、リオも無事?」
「うん。雀王機が助けてくれたからね。それよりも、発掘部隊の皆があいつらに」

 いつもは穏やかなリョウトの声が悲痛さと怒りとに揺れている事に気づき、クスハは龍王機の視界を通じて見た蚩尤塚の今の状況に息を呑む。もはや発掘現場の面影もなく爆撃と戦闘によって吹き飛ばされ、大小のクレーターや崩落した岩がいくつも山となっている。
 押し潰された人間の体から零れた血の染みがあちらこちらに認められ、破壊されたMSの砕けた四肢や穴のあいた胴体が無造作に転がっている。
465660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:02:27 ID:???
「ひどい」
「クスハ、上だ」

 ブリットの声と同時に龍王機からの警告の声が脳裏に響き、クスハは上方を映し出したモニターを見つめた。そこには東アジア共和国の識別信号を出している橙色のティエレンと戦っている、識別不明の人型機動兵器の姿があった。
 全部で五機いるティエレンの部隊は、蚩尤塚から発せられた救難信号を捉えて駆けつけた味方だろう。その彼らと敵対している機体――ヴァルク・バアルやヴァルク・ベンは、襲撃してきた連中側に違いない。
 それに龍王機をはじめ四体の超機人すべてが頭上のヴァルク・バアルに対して、闇夜に燃え盛る炎の如く明瞭な敵意を抱いている。その敵意が操者であるクスハやリョウト達にも伝わっていた。
 超機人達から浴びせかけられる剥き出しの悪意をそよ風のように受け流して、キャリコはわずかに思案した。このまま超機人を破壊して持ち帰るか、それともこの場は見逃して強念者共々育った所を刈り取るべきか。

「……ふっ、いまはその命、貴様らに預けておくか」

 地球圏は戦いと混乱に満ち溢れて混沌としている。わざわざ自分達が手を下さずとも強念者達は戦いに巻き込まれてその力を覚醒させてゆくだろう。今は自分達という温室の下ではなく野に育つがままに任せてみよう。
 超機人と様子を伺っているティエレン部隊への警戒はそのままに、ヴァルク・バアルをはじめとしたゴラー・ゴレム隊各機が上昇し、後退してゆく。
 敵の影が急速に小さくなってゆくのを見ながらソーマが口を開いた。

「中佐、よろしいのですか」
「あとを追うだけの余力は我々にはない。それに、あの奇妙な機体の事もある」

 セルゲイの言葉につられてソーマとその傍らのマリーも、大地の中から出現した巨大な鋼の神獣達を見つめる。大型のMAを思わせる巨体は、中国の神話に語られる幻想世界の存在を模している。出現の仕方もその姿も、到底今の地球圏の産物とは思えない。
 あるいはDCならこんな突拍子もないものを作るかもしれないが、この蚩尤塚の調査は正式に軍の上層部から命じられたものだ。上層部が欲していたものはおそらくあの謎の動物型機動兵器と言う事になるだろう。
 発掘部隊に同伴していた監査官ならなにか知っていたかもしれないが、黒焦げの死体になるか岩の下で赤い染みに変わってしまっているのでは、問いただしようもない。
 幸いと言うべきか、向こうにはこちらに攻撃を仕掛ける素振りが無い。セルゲイは自分の目で見たものしか信じないが、逆に自分で見たものであるならばそれがどんなに荒唐無稽で非現実的な代物だろうと信じる。
 機体が悲鳴を上げているハレルヤをアレルヤに任せて後退させて、頂武本隊がもう二、三分で到着する事を考慮して時間稼ぎの意味も含めてセルゲイはコンタクトを取った。

「聞こえるか、こちらは東アジア共和国独立遊撃部隊“頂武”のセルゲイ・スミルノフ中佐だ。こちらに交戦の意思はない。繰り返す、こちらに交戦の意思は……」

 ウィンダムとは別に自国で開発されたティエレン高機動型からの通信の内容に、超機人のパイロット達は多かれ少なかれ驚いた。プラントとの戦争が勃発する以前からロシアの荒熊の異名をとるセルゲイ・スミルノフの名前は軍内では広く伝わっていた。
 地球連合構成国の超エリートで構成された教導隊のメンバーと同じくらいのネームバリューがあるから、軍内部には尊敬のまなざしを隠さぬ者も多い。
 いきなり現われた超機人を警戒しているのは明らかで、急いで誤解を解くべくブリットとリオの二人がセルゲイに自分達もまた東アジア共和国の人間だと伝えようと、それぞれ虎王機と武王機のコクピットで奮闘する。
 その様子が他の超機人に中継されているのに気付いていない二人の様子を見ながら、雀王機の中でリョウトは言いしれぬ不安に、やや細すぎる顔容に暗い影を落としていた。

「なんだろう、あの敵の指揮官機からとてつもなく暗くて冷たい何かを感じた」

 ヴァルク・バアルとそのパイロット、キャリコ・マクレディ。はたしてリョウトが彼らに感じたものが何なのか。その正体をリョウト達が知る事になるのは、まだ随分と先の話である。
466660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:03:22 ID:???
 四体の超機人達が長い長い眠りから覚醒した頃――
 ステラ・ルーシェは同僚のセツコ・オハラに招かれて、オノゴロ島に用意された軍関係者用の住宅施設を訪ねていた。高級マンションワンルームクラスの一室は、セツコの性格を反映してかあまり飾りっ気が無い。
 軍人と言っても年若い少女なのだから化粧品やアクセサリー、ファッション雑誌、好きなアーティストのポスター位は飾ってあってもよさそうなものなのに、小さな本棚とCDラックに、幾色かのまんまるいクッションと質素なベッド位しか目に付かない。
 私生活に潤いを求めるタイプではないという事だろうか。1LDKの造りで、ふわふわと柔らかなソファにもたれてクッションを抱きかかえながら、ステラはキッチンに入ったセツコを待っていた。
 今日はセツコが手料理を振舞ってくれるというのである。普段、実の姉を慕う様にセツコに懐いているステラだから拒否の選択肢などある筈もなく、しっぽがあったら勢いよく振っていそうな勢いで行く! と答えていた。
 セツコがキッチンに入ってからリビングにまで香ってきたいい匂いに、ステラの小さなお腹は、くぅ、と可愛らしい音を立ててステラは少し恥ずかしくてほんのり頬を赤くした。

「ステラちゃん、おまたせ」
「うん」

 切り分けたバゲットがいっぱいの籠にフルーツサラダ、たっぷりとチェダーチーズを使ったチーズオムレツ、焼き野菜を添えた白身魚のグリル、特にステラのお腹の具合を刺激したのは食欲をそそる匂いのするビーフシチューだ。
 おいしそう、とにこにこ笑顔を浮かべて並べるのを手伝うステラを、セツコは微笑みと共に見つめている。
 柔らかく控え目で静かな微笑み。黄金の太陽よりも朧に輝く月の様な笑み。けれど、今その笑みはどこか雲に覆われた様に影を帯びていた。ステラはそれに気づかない。
 ナイフやフォークも並び終えて食事を始める。今は東アジア共和国の経済特区になった日本国の風習や風俗を色濃く伝えるオーブであった為、食事前に手を合わせていただきます、と揃って言う。
 一口食べてすぐに美味しい美味しい、とぱくぱく健啖な調子で平らげて行くステラを、セツコはやはり微笑のまま、とても笑っているとは見えない、それでも極上の微笑を浮かべたまま。セツコは自分が作った料理はシチュー以外手をつけていない。
 ステラがサラダやオムレツをどんどん食べて行く間にも、セツコはシチューと自分の口との間を往復させるだけだ。赤いシチューをスプーンですくってゆっくりと噛み締めて味わって、一口一口愛しむように食べている。
 特にシチューが気に入ったのかステラはよくお代わりをした。ステラがお代わりをする度にセツコはキッチンへと戻って、皿いっぱいにシチューをよそって戻ってくる。
 ふと、ステラはセツコがキッチンに戻っている間、嗅ぎ慣れた匂いの粒子がわずかに漂っている事に気づいた。多分、魚かシチューに使う肉から零れた匂いだろうと、ステラは気にしなかった。それを考えてはいけない気もした。

「お代わり持ってきたよ、ステラちゃん」
「うん」

 目の前に置かれたシチューを見て、ステラはふと赤い外見が血の色に見えて息を呑んだ。その様子にセツコは不思議そうに首をかしげて、ステラの大粒の瞳を覗き込んだ。

「どうかしたの? もうお腹いっぱいになっちゃった? まだたくさんあるから遠慮しないでね」
「ううん。ねえ、セツコ」
「なあに」

 ステラはスプーンでシチューに浮かぶ肉の塊を突き、それをすくって見つめる。ステラは視界の端に見慣れたDCの軍服の裾が映っている事に気づいた。セツコはグローリースターの制服を着用しているとはいえ持っていてもおかしくはない。
467660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:04:09 ID:???
 だがなぜそれがキッチンに、しかも男性用のものがあるのだろう。リビングに広がっている袖口には赤い染みが点々と付着しているのだろう。先ほど鼻先で感じた匂いが急に気になった。
 ステラからは見えないがキッチンの排水溝には、真っ赤に濡れた元は黒い繊維の様なものが何千本も絡まりあっていた。床は真っ赤に濡れていて、立ち込める錆びた鉄の匂いを消す為に消臭剤がブチ撒かれている。
 巨大な肉塊を切り分ける為の巨大な肉斬り包丁や鋸、鉈が同じように真っ赤に濡れて無造作に転がっていた。まるでつい先程まで心臓が脈打っていた生き物をこの場で解体した後の様な惨状だった。
 寸胴鍋にいっぱい作られたシチューに、ぽこりと浮かび上がるものがあった。白い表面に赤い小さな円が描かれた球体だ。半ばまで裂かれたものが一つ浮かびあがり、無機質な“視線”を天井に向けている。
 粉々に砕かれた白い破片が時折熱によってできた対流で表面に浮かび上がってくる。牛骨かなにかだろうか。

「このお肉、なんのお肉?」
「ふふ、ステラちゃんのだぁい好きなお肉だよ。私も大好きなのよ、このお肉」
「……それってウシさん?」
「ううん」
「ブタさん? トリさん?」
「どっちもはずれ。そっか、分かんないか」

 仕方が無いなあ、と小さな子供にどう教えればいいかな、と悩んでいるような仕草でセツコは苦笑した。シチューに浮かぶ肉をスプーンの先で突くと、グチュ、と水音を立てて肉の中に残っていた赤い液体がわずかにしみ出した。
 その肉の塊をすくって口に運び、口内に溢れる肉汁と歯に伝わる肉の繊維がぶちぶちと千切れて行く音と感触を、セツコは至福の面持ちで堪能する。ステラは法悦境に入ったようなセツコの顔が、わけもなく恐ろしかった。
 自分が今まで口に入れたものがなんなのか、ステラは恐ろしくなって体が震えだすのを抑えられない。
 ごくん、と生々しい音をたてながらセツコが口の中の肉のなれの果てを呑みこみ、あふっと艶めいた吐息を零し、食道を通って胃の腑に到達した肉を愛おしむ様に自分の腹を撫でた。

「分かってもらえないって辛いよね。好きで好きで仕方ないのに、好きな人に自分の事を分かってもらえないって、辛いよね、苦しいよね、痛いよね、悲しいよね。……ねえ、シン、君」

 シチューに濡れたセツコの唇はまるで血を塗りたくった様に赤かった。

――終わり

ディバイン SEED DESTINY 

セツコ・ステラ ルート 最終話 『キミとひとつになる』 END 

                完
468660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:05:30 ID:???
「おぎゃああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!?!?!?」

 金毛白面九尾の狐みたいな悲鳴と共にシンはベッドの上から跳び起きた。寝間着代わりのタンクトップどころか寝癖が爆発している黒髪やシーツまで、ぐっしょりと寝汗に濡れていて、肌に張り付いて来て不快だった。
 はー、はー、とゼオルート=ザン=ゼノサキスや鬼眼麗人の異名を持つ師匠達に手加減抜きで叩きのめされた後の様に、息を吐きだしては吸い込んでいる。そのまま肺や胃を吐き出すんじゃないかと言う位の勢いだ。
 実際、最初の師匠との鍛錬では血まみれの内臓を口から吐きだして砂に塗れたそれを、自分で掴んで口の中に戻したこともあるが、それ以上の苦痛をシンの心は覚えていた。
 それほどまでにシンが見た夢は途方もない精神的負荷を与えていたらしい。夢の内容があまりにも凄惨だった所為で、今も夢から醒めたのかこれが現実なのかの判別がつかないほど思考が錯乱して恐怖に混乱している。
 寝込みを襲われても、目覚めると同時に体が戦闘態勢を整えるままでに徹底的に鍛え抜かれた戦士として育て上げられたシンであったが、今度ばかりはその戦士としての本能をかなぐり捨てて、怯える子犬の様に自分の体を抱きしめる。

「ああ、うぁ、ああああ!? はあ、はー、はー、ゆ、夢だよな? そうだよ、夢さ、夢だ」

 枕元に立てかけてある木刀・阿修羅を手に取る事も忘れて、シンはびくびくと怯えながら部屋の中を見回した。二十mmグレネードランチャー、レーザーガン、7.7mm口径機関銃内臓の複合銃よりも頼みにする阿修羅の存在さえ忘れているようだ。
 今となっては対テロリスト用の軍の特殊部隊の隊員が完全装備で挑んでも、一個小隊位なら真正面から勝利できる。不意をつけば一個中隊位はなんとかできるだろう。
 その時の戦闘の様子をモニタリングしていた、軍高官の一部では“総帥の作った人型サイズの戦術兵器”とか“ソード・ターミネーター”“見た目は人間、中身は小型MS”とか完全に人間扱いはされずに化け物扱いされている。
 そのシンが、身も蓋もなく怯えきり、もし今誰かが部屋を訪ねたら恥も外聞もなく縋りついて泣きながら抱きしめるだろう。震え続ける事二十分、ようやくシンは先程まで自分を恐怖の洪水に飲み込んだ光景が、夢であると認識して震えを治めはじめる。

「気持ち悪い、喉も渇いたな。くそ、なんて夢を見たんだ。セツコさんとどんな顔して会えばいいんだよ」

 タンクトップやズボンを乱暴に脱ぎ棄てて士官用個室に備え付けてあるバスルームに向かう。乱暴にコルクを捻って火傷しそうな位熱いシャワーと、震えが来そうな位冷たいシャワーを交互に五度ずつ浴びる。
 熱と冷気とがシンの体から奪い取られた活力を取り戻してくれる。焼けるような熱湯と凍えるような冷水を交互に浴び鋭敏になる肌と神経を鮮明に感じ、シンは落ち着いて呼吸を整える。
 心臓に戻り、また新しく送り出される血流に気脈から生じる気を練り混ぜて体中に通わせて心身の平静を取り戻す。正直まだビビっていたのは内緒だ。股間にぶら下がっているご立派様が縮こまっているのがその証拠である。
 ビームやミサイルが飛び交う戦場に躊躇なく飛びこむ度胸はあっても、女関係の恐ろしさには対抗できないらしい。

「……なんであんな夢見たかな。ほんと」

 夢の中で、夜中に呼び出してきたセツコの振り上げた鉈に首を落とされた瞬間を思い出して、シンは思わず自分の首筋を撫でた。手で撫でる首筋が嫌に冷たい様な気がして、また一つ大きく体を震わせる。
 ひょっとしたら、前大戦ディバインウォーズの最中クォヴレーの・ゴードンの導きで接触した、異世界の自分の誰かがそんな目に遭った経験があり、この世界のシンにはそうなるなと警告したのかもしれない。
 ひとっ風呂浴びて体だけはさっぱりしたシンは、軍服に袖を通し絹の袋に阿修羅を入れて部屋を出た。現在タマハガネは再びオノゴロのドックに戻り、ミネルバと共にオーストラリア大陸のカーペンタリア基地を目指して出航する準備中だ。
 体はさっぱりしても心はちっともさっぱりしていないシンは、船内の廊下を歩きながらう〜、あ〜と唸っていた。時折すれ違うクルーが、若いエースの奇行に不思議そうな眼を向けるが、当のシンにはそれに気づく余裕が無かった。
 頭を抱えながら歩くシンはそのうちに格納庫へと到着した。自分の足音が変化した事でようやく自分が格納庫に辿り着いた事に気づく。ふと顔を上げるとキャットウォークにもたれてサキガケ7Sを凝視している刹那に気づく。
469660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:06:18 ID:???
 刹那は一心にサキガケ7Sを見つめている。真紅の武者兜の様なサキガケ7Sの頭部には細長い長方形の目が二つずつ左右に斜めに並んでいる。それからややずんぐりとした機体のシルエット。
 分かっている。分かってはいるのだ。アヘッドの近接戦闘特化型のカスタム機であるサキガケの性能はかなりのものだ。刹那もこれまでマティアスの下でMSに乗る機会に恵まれていたが、このサキガケ7Sほどの機体はなかった。
 いかにマティアスといえどもDCの最新鋭機に匹敵する機体を用意できなかっただろう事を考慮しても、サキガケ7Sに文句をつける気にはならない。そう頭では分かっていた。
 だが、サキガケ7Sは――

「ガンダムではない」

 外見は、だが。刹那にとってのガンダムとは外見のみをさすのではないが、周囲にかつて刹那が崇拝に近い感情で見上げたあの、謎のガンダムに酷似した機体があると、どうしても外見が気になってしまう。
 ティエリアの乗るヴァーチェも顔はガンダムだ。スティングのアカツキも金色に輝いているがガンダムだ。シンの乗るインパルスなどVPS装甲起動時のトリコロールカラーやスタイリッシュな細身の姿と言いまさしくガンダムだ。

「刹那、どうしたんだ?」
「シンか。……顔色が悪いぞ」

 かけられた声に振り向くと、紙の様にまっ白な顔色のシンがこちらに近づいてきた。シンと知り合って一か月くらいが経ったが、これほど顔色の悪いシンを見るのは初めての事だ。このままぽっくり逝ってしまうんじゃないかと、刹那は本気で心配した。
 顔色が悪いと言われて自分の頬を撫で、びっくりするほど冷たい事に気づいてシンは手を引っ込める。氷に触れた様な冷たさが指先に残っている。

「そうみたいだな。後でレントンのコンビニで栄養ドリンクでも買うか。はは……」

 乾いた笑い声にまったく覇気が無く、かえって刹那はシンの容態がまったく良くない事が分かった。一体何があったというのか、棺桶に片足を突っ込んだかすぐ傍らに死神が立っていそうな位の絶不調ぶりだ。

「それで、サキガケを見つめてどうしたんだ?」
「いや、なんでもない」
「そっか。そうだ、刹那朝飯食いに行こうぜ。まだだろう?」
「……ああ。しかし、食べられるのか? とても食事が取れそうには見えないが」
「あー、肉はダメだな。肉は」
「そうか、肉はダメか」
「ダメだな。あとシチューとか汁物も無理っぽい」

 そんなやりとりをしながら二人は食堂へと向けて歩き始めた、その途中、ぽつりと刹那が呟いた。

「シン」
「ん?」
「インパルスはガンダムだ」
「……ああ、Gタイプの事か。そうだなガンダムタイプだな。それがどうかしたのか?」
「いや、忘れてくれ」
「???」

 それなりに付き合いは重ねたけど、いまでも分けのわからない時があるよなあ、とシンは死人みたいな顔色のままで歩き続けた。

――つづく。
470660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/09(木) 22:07:21 ID:???
中古で買ったペルソナ3と久しぶりに引っ張り出したジルオールインフィニットに嵌まってたんでキーボード叩くのが遅くなりました。
美鶴先輩がラクス……CV見ても信じられなかったのは今はいい思い出。ゆかり=ミリアリア、アイギス=ルナマリアは直ぐ分かったのになー。
PSPで出たジルオールはティアナとアトレイアの両者生存フラグは出来たのかしら? フレアとエアとアトレイアとザキヴとカルラでハーレムENDがあればなおよし。
ちなみに現状のシンの大まかなステータスは私の脳内ではこんな感じで、独自設定を含んでいます。実に厨二病。

 レベルは30〜40位。
 特殊技能(嘘含む)
 SEED、インファイトLv5、アタッカー、気力限界突破、切り払いLv6、カウンターLv5、底力Lv6、無限のソウル※1、念Lv5※2、戴天流剣法Lv5※3
 
 精神コマンド
 スパロボZの五つ+勇気※4

※1 レベル上限なし。レベル999、2000など可能
※2 念動力の命中・回避補正値から−1%
※3 Lv×2、格闘値にプラス
※4 シンとセツコは誕生日が同じ場合、同じ精神コマンドを習得するというスパロボZ
   の実話に基づき、このお話の中でシンとセツコは六個目の精神コマンド以外は同じコマンドを習得している事にしています

 また、シンの“念”についてですが、本来念動力とは人間だれしもが持ち、特にこれを強く発現させたものを強念者と呼ぶもので、シンの場合は最初の師匠に習った武術が精神的な修養も含むものであったため、念動力に似て非なるものを習得しています。
 スパロボ的に言うと、念動力がニュータイプ能力なら、シンの場合は強化人間になります。
 また念動力が究極的にはあらゆる超能力のカテゴリーを含み、万能の力であるのに対し、シンの“念”は極めて局所的な範囲に限定されます。精神的な干渉能力も持ちますが基本的には個対個の武術としての面が強く、念動力には見劣りします。
 α主人公組やイルイ、ケイサル・エフェス、エイス、ハザル、マイ、レビといったサイコドライバー、準サイコドライバーと比べるとずっと弱い力で、感情が爆発すると強いですが、通常時、純粋な念動力と言う意味ではアヤやアタッドの方が上です。
 なお本来種、種運命の主人公であったキラとアスランですが、格闘と技量以外はシンより上です。クォヴレーによって第三次スパロボαクリア後のPPを与えられ、すべてステータスに割り振った反則状態だからです。
 キラとアスラン以外にも、ラクス、カガリ、マユラ、アサギ、ジュリ、ディアッカ、ムウ、バルトフェルド、マリューを含みます。現状総合力ではキラ・アスランの方がシンよりも上なのです。
 なおシンがセツコにアレされてステラとセツコに美味しくアレされてしまうのは、私なりにヤンデレってこんなんかなぁーと書いてみました。下手こくとこうなるぞ、という事ですな。では、ご助言ご忠告ご指摘いただければ幸いです。お邪魔しました。
471通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 23:13:28 ID:???
シンの夢が不吉過ぎるwwwwwwwwwwwwww
ティエレン大活躍とか獣ロボ復帰の直後になんて物見せてくれるwwwwwwwwwwww
472通常の名無しさんの3倍:2009/07/09(木) 23:49:33 ID:???
総帥の方、乙でした。
夢は記憶の整理、願望、恐怖、などが原因になるそうです。
シンは一体何故、こんな夢を見たんだろう……願望は無いとして、恐怖だとしたらナニをセツコから感じたのか。まぁ、映画か何かが元ネタになった記憶なだけかもしれませんが。
473通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 00:43:42 ID:???
えーと、その、なんだ、その内沙耶が出てくるんじゃねーかと予感させる夢でしたな
474通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 10:32:44 ID:???
うん、やっぱ総帥の世界はNitoro臭がプンプンするぜ
投下乙です
やっぱり刹那のガンダム病は健在か…ガンダム欲しいと暴れたりはしないだろうが
ってか内臓口から出て押し戻すとかシンお前…
475通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 10:58:20 ID:???
ニ、三日前に何かのテレビ番組で『異物を飲み込み、吐き出すと胃袋も一緒に出てしまい、ソレを手で押し戻すカエル』と言うのが出ていたっけ……
476通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 15:05:19 ID:???
シンの念はまだ未完成か・・・・・・でもなあ突破したらサイコドライバーと互角くらいにはなると思うが。
まあこっちのシンは十分強いけど。ただ師匠はサイコドライバーを超えていそうな気がしてならない。
477通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 15:47:38 ID:???
サイコドライバーと互角ってことは、ビッグファイア級の超人になるってことだぞ
そりゃつまり十傑衆が束になっても全く歯が立たないレベルの強さってことで、流石にそれは無茶だろう
実際、リュウセイやα主人公達ですら、サイコドライバーに達してるわけじゃないからな
478通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 16:06:44 ID:???
まあね、サイコドライバーは少々反則気味の能力だしね、アカシックレコードに干渉
して無限力を引き出せる能力者だし、真のサイコドライバーだと因果律も操れるらしいから
ちょっとやばすぎる、対抗するには因果から外れた者とか(因果律の番人とか)じゃないと
厳しいと思われます。
479通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 17:20:17 ID:???
この先さらに成長して因果の鎖を断つほどの破魔の剣を振るうようになったら
某スレからお呼びがかかるような気がするw
480通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 19:41:21 ID:???
流石にサイコドライバーを超える強さとなると、DBやバスタードあたりのキャラ連れてこなけりゃならなくなるからな
481通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 19:49:22 ID:???
地球環境保全の為の
自己進化自己再生自己増殖の理念を持つナノマシンが使われた機動兵器に
人工太陽の影響で突然変異起こした人類の命の源くっつけりゃ
DBの連中もバスタードの連中も楽勝だよ
482通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 20:22:33 ID:???
>>481
えーと、前者はGとして、後者はウルトラマン?
483通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 20:54:55 ID:???
カラータイマーだなw
484通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 20:56:27 ID:???
ウルトラマンといえば、ダブルG三号機である雷凰が仮面ライダーモチーフの機体なんだから、ダブルG四号機はウルトラマンモチーフの機体である可能性があるな
485通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 21:00:43 ID:???
>>484
ウルトラモチーフはゴッツオがそうだったから
いっそキカイダーとかメタルダーとか・・・

いやいや・・・むしろそのままやって
ダイゼンキラー、トロンベキラー、ライオーキラー、???キラーとか・・・
そういや総帥世界ってまだダークブレインやザンエルの気配は無かったか
486通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 21:25:03 ID:???
>>481
だが因果律を超えた超神となるには完成したクロスゲートバラダイムシステムが足りないな。
ってかスパヒロネタかよw
ゼストと言えばシヴァーの戦闘BGMがゼストセブンと言うタイトルだと知った時は、スパヒロからサルファまで通してプレイした身としては来る物があったなぁ(クォヴレーで始めたから特に)
そう言えばキャリコが出て来たが誰の命令で動いてるんだろ?
もし万が一ユの字なら、ユの字、イングラム、ヴィレッタ、キャリコ、クォヴレーの究極の一人喧嘩に期待せざるをえない。
……まぁ、ダブルアストラ+AR−GANVS超神ゼストが見たいだけなんだがw
487通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 22:45:31 ID:???
>本来種、種運命の主人公であったキラとアスラン
さらっと悲しいこと書かれてるし・・・。
クレジット3番目の呪いか。
488通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 22:52:33 ID:rV+DJAk/
>>477
師匠ズは十傑衆と同等か近いレベルの人外だと思うw
489通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 02:36:36 ID:???
>>481
ゼスト乙
490通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 10:37:24 ID:???
>>488
十傑衆ときいてそろそろ生身でロボを倒せるキャラも登場してほしいな……っていないか……。
491通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 13:43:40 ID:???
>>490
バリー「呼ばれた気がする……」


アストレイはネタキャラと人外の宝庫です
バリーは元々はMSVキャラだけど
492通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 16:25:39 ID:???
>>491
Wikiで調べて吹いたw
どう見てもガンダムファイターじゃないかww
493通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 17:19:14 ID:???
>>491
気使ってるんですがw
494通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 18:12:32 ID:???
ジャンプでMSの頭部まで届き蹴りでメインカメラを破壊
至近距離でMSの対人機銃を掠ってもかすり傷しか受けず

何処からともなくグリーンフレームを入手し
変態にころころされたバリーさん
495通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 19:38:13 ID:???
>>494
緑枠は天の御柱回収、組立の機体だから多分強い奴とオーブの民大好きなミナ様が裏に居るんじゃね?
496通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 13:32:40 ID:???
緑枠はロウがバリーにやったものだな
497通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 16:26:51 ID:???
またロウか、あいつは兵器を軽々しく扱い過ぎなんだよな
498通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 17:18:41 ID:???
公式じゃそこは不明じゃね?
それとも後付けされたの?
499通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 19:02:03 ID:???
>>497
ロウは基本的に善悪を基準に動いてないからな
例えそれがどんなに危険な機体だろうが、それがMSであれば直すし造り、一存で誰かにあげてしまうというキャラだし

>>498
フレームアストレイズのフォト小説
ムックの方に載ってるんで漫画の単行本にはないよ
500通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 19:26:42 ID:???
マジか・・・
ロウ万能過ぎる

んでもって灰色まで作られたんだっけ
501通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 22:39:51 ID:???
ロウはちょっとミツコに通じる部分があるかもな
商売気か純粋な技術に対する好奇心かの違いはあるが
502通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 23:11:05 ID:???
>>496
追加武器も作ってたな。
503通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 17:32:28 ID:???
バリーってビアンSEEDでは何してたのかが全く描写されてないんだよな
原作だと確か民間人としてクサナギに乗りこんだところ、パイロット適性が認められてM1に乗ったんだっけ?
だとするとビアンがとっくに発掘してるか、全く戦争にかかわらずに武者修行の旅してたかのどちらかか
504通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 19:24:47 ID:???
バリーならモビルトレースシステムでアッガイファイトに参戦してそうだ
505通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 20:32:05 ID:???
ビアンSEED…エイフマン教授は何処にいるのでしょうか?
506通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 14:55:57 ID:???
>>501
ミツコにはOG外伝で破滅フラグが立ったが(ヴィンちゃんとレモン姉さんが指摘してた禁断領域に
踏み込んじゃった)
ロウもいくら悪意がないとは言えいいかげんんにしないと身を滅ぼすよな
507通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 16:27:26 ID:???
まあロウは一応人を見てMS渡すかどうかは判断してるし、世界支配しようとしたギナや快楽殺人鬼のアッシュみたいな奴相手にはキッチリ怒って始末つけるから、そこまでアレな事にはならんとは思うが

バリーは出るなら、煌めくオッパイマイスターJとの会話が楽しみだな
ヤキン戦での二人のやり取り好きだから
508通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 16:57:22 ID:???
>>506
CEを火薬庫の世界にした片割れを助けちゃったのは一番アウトだな。
つか種死後のラクシズだと世界の平和のため〜とか言って
ジャンク屋や傭兵を片っ端から殲滅しかねんと思うのはオレだけ?
509通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 20:04:40 ID:???
>>508
W外伝の3P・・じゃなくてP3に近いことしそうだとは思ってた
同じような狂信者がラクシズ本家の意図しないとこで平和のためとかいってデモやテロしたりとか
逆シンスレだとザフトはほぼそんなんか

思えばCE後世の混乱ってほぼロウに遠因があるわけよねー

・・・ちょっと時流エンジン強奪してくる
510通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 22:27:07 ID:???
人を助けること自体については何ら問題ない訳だが、運び込んだ場所が悪かった。
すなわちあの近辺に医療関係者と治療可能な施設があれば……無いよなぁ。
511660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:00:58 ID:???
ロウがキラを救出したり、いきなりプラントでラクスに介護されていたり、フリーダムでアラスカに到着するまで三日かかっていたりとか、テレビだけだと本当にわからない事がありますよね。
大なり小なりあるものでしょうけれど、致命的なのが目立つのがなんともいえない種。

ディバイン SEED DESTINY 第十五話 彼と彼女の訓練風景


 シミュレーターによって緻密に構築された仮想空間の中で、青色の、MSというにはいささか変わった外見の機体が、ディバイン・クルセイダーズ製のMS(後にアーマード・モジュールと呼称される)ガーリオンから浴びせかけられる銃撃を必死に躱している。
 荒涼とした岩山と砂漠が地の果てまでも広がる仮想空間の地表すれすれを、バルゴラと名付けられたMSが足を止めずに動き回り続け、両手で支える様にして構えた長方形の箱の一端をガーリオンへと向ける。
 箱に丸く穿たれている穴から大口径の銃弾が正確な狙いと共に放たれて、バーストレールガンの弾幕を張っていたガーリオンが、銃撃を止めて回避行動をとる。立て続けに放たれるバルゴラの銃撃も、ガーリオンには弾道があらかじめ見えているように躱しつづける。
 紙一重と見えるガーリオンのかわし方だが、正確に弾道を見切っているから、銃弾が巻き起こす大気の乱れが装甲を叩く程度だろう。
 銃口の角度や向きから弾道を瞬時に予測し、防御するディフェンスロッドが敵国のフラッグやイナクトに装備されているが、それと同じような回避システムがガーリオンに搭載されているわけではない。
 銃撃に癖でもあるのか、単純に相手の技量によるものか、いずれにせよバルゴラ三号機を操るセツコ・オハラは、こちらが引き金を引くタイミングを見抜いているように動き、照準内に捉えきれぬガーリオンを、精一杯追い続けた。
 更に三発ストレイ・ターレットの銃弾を躱した時、回避行動を行っていたガーリオンが銃口を下げていたバーストレールガンを再びバルゴラへと向ける。

「来る!」

 セツコは特別、反応速度や目が良いわけではないが、グローリー・スター配属から血道を上げた努力で構築した観察力で、相手の攻撃のタイミングや呼吸を読み取りバルゴラの回避行動に反映させる。
 バルゴラの青い影が残る空間をバーストレールガンの弾丸が穿つ。至近の着弾判定でシミュレーターが衝撃に揺れた。それでもガーリオンを突き刺すように見つめるセツコの碧の視線が外れる事はない。
 かわし切れない超音速の弾丸を、長方形の箱――ガナリー・カーバーを盾にしつつセツコは耐える。バルゴラの主武装ガナリー・カーバーは、地球圏最強の機動兵器の一角グランゾンの装甲と同様に、素粒子レベルで超抗化処置を施したチタニウム製だ。
 高出力のビームや対艦ミサイルクラスの武装を用いても、破壊する事は困難だ。立て続けに三発、ガナリー・カーバーを通してバルゴラに衝撃が伝わる。
 完全に頭を押さえられたせいで、せっかくのテスラ・ドライヴを活かしての空中戦が行えない。戦っているガーリオンはバーストレールガンに、マシンキャノン、ディバインブレード、ブレイクフィールドとこれといって特殊な武装ではない。
 セツコのバルゴラ三号機が担当するガナリー・カーバー搭載の武装は、近接戦闘用のジャック・カーバーだ。空が飛べない事にはせっかくの武装も使い様が無い。
 当然、誰よりも時機の長所短所を理解しているセツコは、なんとかしてバルゴラに青い仮初の空を飛ばすか、ガーリオンを地に引きずり降ろそうと足掻いている。
 そんなセツコの試行錯誤も見抜かれているのだろう。ガーリオンのパイロットはあくまでクレバーに、頭を押さえた優位を崩さずに戦うつもりの様で、セツコが時に誘う為にバルゴラのバランスを崩したりしてみても、超音速の弾丸が降ってくるばかり。
 縄で吊るされて爪先から火で炙られている様な焦りが徐々に沸き起こり、状況を打破しようと逸る心を抑え込んでじっと耐える。
 しかし相手が隙を見せるようなタイプではないとセツコ自身理解している事が、耐えても無駄ではないかと囁き続けて、精神的負担を強いてくる。
 自機に不利な均衡状態を覆す為に勝負に出る事も選択肢の内の一つだが、これまでこの回避行動を行う事で撃墜を免れて来たのだ。それを変える事は撃墜される可能性を増す選択肢を選ぶ事にもなる。
 右や左にかわすことで相手がそれに合わせて射撃を修正してくるなら、こちらもそれにあわせて回避行動を修正し、互いの我慢の比べい合いを続ける。
 小口径弾頭を使うバーストレールガンの装弾数は多い。こちらのストレイ・ターレットは、ガナリー・カーバーの複雑な機構故に装弾数はあまり多くない。レイ・ピストルもあるが、それでも弾数に余裕があるとは言えない。
512660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:04:33 ID:???
 となるとこちらも下手に反撃の弾幕を張るわけも行かず回避と防御に徹する他ない。バルゴラの左肩を弾丸がかすめて、警戒信号が音を立てる。前方にMSが隠れるのに十分な大きさの岩がある。
 その岩の影を目指して動いていることを、ガーリオンはとっくに見抜いていて回避に気を取られて大岩との距離はちっとも埋まらない。耐える耐える耐える、躱す躱す躱す、それでも事態は好転しない。

「まだ、バルゴラはこれくらい耐えられます」

 一分か、五分か、十分か、ひたらすらに耐えて待ち続けた機会は、弾幕が途切れるという形で訪れた。ストレイ・ターレットの残弾を温存してなで回避に徹した甲斐あって、ガーリオンがバーストレールガンのマガジンを交換する時が来たのだ。
 コンピューターに記録された動作であるから、マガジン交換を失敗する様な事はない。数秒とかからぬ間に終わる交換の隙に、セツコはストレイ・ターレットの引き金を連続して引き絞る。
 ガーリオンとてマガジン交換がバルゴラとセツコにとって希少な反撃の機会であり、それ見を逃すはずはないと分かっている。ブレイクフィールドを展開しながら回避行動をとり、狙いを絞らせない。
 がしゃ、と音を立ててマガジンを叩き込みストレイ・ターレットを向けているバルゴラと向き合う。しかしガーリオンがバーストレールガンを撃つ瞬間は、同時にバルゴラにとってもチャンスである。
 ガーリオンはブレイクフィールドを展開しながら、その内側から外側へと攻撃を通す事は出来ない。バーストレールガンを撃つ瞬間にはフィールドの解除が必要となる。
 このままブレイクフィールドで攻撃を仕掛ける事も出来るが、ガーリオンのジェネレーターでは長時間の展開は維持できないからいずれフィールド解除と、冷却が必要となる。どちらにせよバルゴラにもチャンスが生まれた。

「そこっ!」

 セツコは、ブレイクフィールドを解除し機体を瞬転させて、バーストレールガンを向けてくるガーリオンの姿を正面モニターのセンターマークに捉える。
 引き金を引く――引いた。あまりにも軽い引き金がガチンと音を立てた後、バルゴラを襲った衝撃にセツコは、大きく体を揺さぶられた。
 シミュレーターから降りたセツコは小さく溜息をついた。結局、バルゴラのストレイ・ターレットの弾丸はガーリオンの左腕を撃ち抜いたが、バーストレールガンは反対にバルゴラのコクピットを直撃して撃墜判定を叩きだした。
 対戦結果は五戦五敗。ぐぅの音も出ない完敗だ。しょんぼりと肩を落とすが相手がシミュレーター機から降りてきたのに気づいて、駆け寄って相手に礼を述べた。セツコと同年代の巻き毛の金髪の美少女レオナ・ガーシュタインである。
 流石にディバイン・ウォーズを戦い抜いた歴戦の猛者とあって、いまのセツコでは勝ちの目を出すには手厳しい相手であり、今回の対戦成績がそれを証明している。シミュレーターから降りて、レオナはセツコと向き合う。

「お疲れ様。セツコ、貴女また腕を上げたわね」
「ありがとう、でも、一度も貴女に勝ててないけど……」
「同じ手が二度通じない相手って、嫌なものよ」

 同じ相手と何度も邂逅する様な事は、戦場では珍しい事だけれど、とレオナは心の中で付け足した。今のところ、セツコの力量は水準以上エース未満といった程度だ。ただ、ゆっくりと確実に積み重ねた努力と経験がセツコの血肉に代わっているのが分かる。
 眼も眩むような輝きを放つタイプではないが、戦えば戦うほど生き残り続ければ続けるほど成長してゆく事だろう。あらゆるタイプの敵と戦って経験を積めば、最も厄介な相手になる。
 セツコ本人も自分の力量がクライ・ウルブズの一員としては心許ないものであること分かっているから賢明に強くなろうと、あるいは足手まといになるまいと懸命になっている。
 短期間での眼を見張る様な向上は見込めないかもしれないが、ゆくゆくは一級のパイロットになるのは間違いなしだ。
 ただ、そうなる前に戦争に耐えられないのではないかとレオナは危惧してもいた。セツコの気性は、けして争いごとに向いてはいない。
今はまだ精神的外傷を負う様な事態には遭遇していないが、血と鉄の匂いのする暗雲がたちこみ始めた昨今では、これからもそう済むとは誰にも保証の出来ない事だ。

「貴女は熱心だし、努力を怠らないし、そう焦らなくても確実に力を得られるわ」
「そう言ってくれるけど、周りの皆と比べたら私なんて」
「謙虚と言うより、自虐的なのかしら? 決して美徳とは言えなくてよ」
513660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:05:50 ID:???
 確かにセツコの周囲にいるのはどの陣営に居てもエースとして活躍できるパイロットばかり。元より気弱な自身の気性を考えて、軍人に向いているのかと自問することの多いセツコの言葉も、無理からん事ではある。
 うっすらと被虐的な色を帯びた影を負うセツコの雰囲気を払拭する様に明るい声が、掛けられた。シミュレータールームににこにこと陽気な笑みを浮かべて、レオナの自称パートナーであるタスクが入室してきたのだ。

「レオナちゃ〜ん、せっちゃ〜ん、お疲れ様。よく冷えたドリンクなんてどう?」
「……はあ」

 底抜けに明るいタスクの声に、レオナはいつもの事とはいえ何度目になるか分からぬ溜息を吐き、セツコは“せっちゃん”? と聞き慣れぬ呼ばれ方に内心で首を捻りつつ、控え目に礼を言う。

「えっと、ありがとうございます」
「そんな堅苦しくしなくっていいって。渇いた喉を潤して欲しいだけだって」

 かねてより情熱と愛を注ぐレオナは勿論、客観的に見て十分に美人と形容し得るセツコを前にしてタスクは上機嫌そうに猫撫で声をだす。
 別に口説かれているわけでも何でもないのだが、こう、良く言えば屈託なく悪く言えば馴れ馴れしく、異性に声を掛けられるのは二人とも慣れていない。
 とはいえレオナはタスクの態度には慣れているので、たいして気にはしていないけれどもセツコの方は多少身を固くしている様子が見て取れた。
 タスクから受け取ったソフトドリンクのボトルから伸びるストローを、はむ、と花びらを何枚も重ねた様に可憐なセツコの唇が挟み込む。セツコに倣ってレオナもドリンクで喉を潤しはじめる。
 既にタマハガネはオノゴロ島を出航していて、ミネルバと共に波間をちゃぷちゃぷかき分けながら、はるかオーストラリア大陸はカーペンタリア基地を目指している。
 イグニスの駆るインペトゥスとの戦闘という思いがけない事態があって、数日予定より遅れはしたが、新型装備や機体をたっぷりと補充し各パイロットも英気を十分に養っている。
 特に休みの間も趣味のスイーツの食べ歩きを除けば、ひたすら訓練に明け暮れたセツコは着実に強くなっている。アメノミハシラでクライ・ウルブズに配属になった頃に比べれば驚くほどの成長を遂げている。
 同じくらい周囲の面々も成長しているから、どうにもセツコには自分が強くなったという自覚を抱きにくいから、セツコは変わらず自信なさげな様子だけれども。

「そういえば、シンの奴が、第三トレーニングルームで生身の方の訓練しているとさ。訓練を止めて見物してきたら? せっちゃんさ、シンの奴がMS降りて生身の時、どれだけ動けるかまだ見たことないっしょ。へたなカンフー映画より見ものだぜ」

 タスクの言葉をレオナも首肯している。最近までシンは感覚が完全に戻るまでは、本格的な体術や剣術の訓練を控えていたから、新しいクライ・ウルブズのメンバー達は、直にシンの生身での訓練や戦闘の様子を目にしていない。
 MS戦での高い戦闘能力は知っていても、あの女の様に白い肌に細い体の少年が見た目にそぐわぬ武力の持ち主である事を、セツコはまだ知らない。



 格闘技術の訓練に用いられるトレーニングルームで、黒い半袖のシャツに着替えたシンと愛用しているメカニック・ウェアを着こんだアウルとが切り結んでいた。
 ギャラリーはかなりの数がいたが、二人の邪魔にならない為と巻き込まれないようにと室外のモニターで様子を眺めている。
 シンとアウル共に少女とも見まごう顔立ちだが、トレーニングルームの中で行われている行為を見ればそんな印象ははるか彼方に吹き飛ぶ。
 色白の肌が映える黒シャツ姿のシンは木刀一本を片手に握っているだけといつもの姿であるが、相対しているアウルは、牛どころか象の首さえ落とせそうな鍔なしの巨大な出刃包丁を手に、夜の闇を切り取って衣服の生地にしたような墨染の袴姿だ。
 およそ考えうるあらゆる防御処置を施した特殊な繊維と極小のメカニズムを組み込んだメカニック・ウェアだ。人間が着こむ軍用兵器のパワード・スーツをさらに小型軽量化した次世代兵器の一つである。
 MSの重装甲も布切れのように切り裂く大刀ムーン・スラッシャーを、メカニック・ウェアに増幅された筋力に任せて、アウルは大上段からシンを叩き潰す様に振り下ろす。およそ訓練とは信じられぬ、到底止め切れぬ勢いの一刀である。
 見物人から少なくない悲鳴が上がりかけ、優しく添えられた木刀の切っ先が魔法の様にムーン・スラッシャーの刀身を操り上方に跳ねあげる。木刀“阿修羅”、シンにとって飛鳥の二つ名を継ぐMSと同様に幾多の戦いをくぐり抜けた相棒だ。
514660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:08:05 ID:???
 刃に込めた力の全てを虚空に吸い取られたような感覚に、アウルはまじぃ、と口の中で呟く。数年前はシンがゼオルートや最初の師を相手に幾度も味合わされた感覚である。
 ムーン・スラッシャーに添えられていた阿修羅の切っ先が、いつのまにか消失している事に、アウルが気付く。何度も対戦しているが、どうしてもシンの剣戟の初動を見切る事が、未だにできずにいる。
 剥き出しのアウルの頭部に走る茶色の閃光。閃光としか捉えられぬシンの一撃だ。
 通常のエクステンデッドのはるか数十倍にまで高められたアウルの思考と肉体が、かろうじて回避を成功させる。通常人の網膜に残るアウルの影を、阿修羅が縦に割った時には、すでにアウルは阿修羅を振り下ろしたシンの背後へ。
 草鞋型のメカニック・ウェアの靴底が、ゴム製であったら高速移動によって生じた摩擦熱で、焼けた匂いを漂わせるだろう。時速数百キロ単位での高速移動だ。 
 柄尻から切っ先まで百五十センチは優にあるムーン・スラッシャーが、刃の形をした死となってシンの背へと振るわれる。
 ボディ・アーマーどころかパワード・スーツを着用していても、呆気なく両断され背骨と内臓を露出することを強要される一撃だ。全くの手加減なし。
 訓練にかこつけて、アウルがシンを殺そうとしていると勘違いされても仕方ないどころか、本当に殺そうとしているとしか見えない。
 シンの着こんでいる黒シャツに刃が触れるか否かまで迫った時、水に沈むようにしてシンはしゃがみこみ、旋風が足に変わったような回し蹴りが、床すれすれを這いながらアウルの両足を刈り取った。
 右半身から宙を回転させられたアウルはぐるんと回る視界の中で、回し蹴りの勢いをそのままに、こちらに正面から向き合うシンの顔が見える。
 この野郎! と歯噛みするアウルの表情を読み取ったシンがにや、と口の端を吊り上げる。お互い負けん気の強い者同士、相手の胸の内が手に取るように分かるのだろう。ついでに考えや感情が顔にも出やすい。
 わずかに回し蹴りに遅れて、風を巻いた阿修羅がアウルの右側頭部へと襲いかかる。プロレスラーが鉄パイプを全力で振り回した一撃が、可愛く思える破壊力を秘めていることを、アウルはよく知っていた。断じて受けるわけには行かない一撃である。
 回転の勢いであらぬ方を向いていたムーン・スラッシャーを、混乱している三半規管をねじ伏せて勘頼りに振るい、断頭台の刃よりも分厚く長い刃が垂直に阿修羅へと落下して、その切っ先を受け止めた。
 材質的にはただの木に過ぎない筈の阿修羅がムーン・スラッシャーと刃を合わせても、斬り落とされないのは軽く常識を無視している光景だが、斬り結ぶ両者にとっては当然の光景である。
 アウルに阿修羅を止められたシンはすぐさま阿修羅を握る手を引き戻し、アウルの喉めがけて突きこむ。呵責の無い一撃は、容易くアウルの喉を潰すだけに留まらず、突きぬけて赤く濡れた切っ先をアウルの背から伸ばすだろう。
 短い吐息と共に銃弾に匹敵する速度と威力で突きだされた阿修羅の切っ先を、アウルの左腕が盾の代わりとなって受け止めた。メカニック・ウェアの対戦車ライフルも受け止める特殊な生地でも相殺しきれぬ不可思議な痛みが、アウルの左腕に広がる。
 着用者の身体異常を察知したメカニック・ウェアのマイクロチップコンピューターが、即座に痛み止めを始めとした対抗剤をアウルの体内に投与する。効果は、雀の涙に等しい。
 阿修羅に込められたシンの思念が、物理法則を無視したダメージをアウルの肉体とメカニック・ウェアに及ぼし有機物無機物を問わず、機能不全を引き起こしている。
 高価なメカニック・ウェアをお釈迦にするわけには行かないから、シンもある程度は手加減しているのだろう。何百匹もの蟻が骨を直接齧っているような激痛が強く残る左腕の感覚に、アウルは眉を顰めつつ、着地と同時に後方に跳躍して距離を置いた。
 シンは阿修羅を青眼に構えて、呼吸を整えている。リハビリで体を相当鈍らせていた筈だが、三人目の師匠から学んだ戴天流剣法の功夫も取り入れた戦闘技法はメカニック・ウェアを着こまなければ相手が出来ないまでに昇華されている。

「シン、こっからは手加減なしだぜ?」
「こっちもその気でいくさ」
「へ、泣きっ面に変えてやる!!」
515660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:08:47 ID:???
 アウルが痺れを残す左手を眼前に持って行き、メカニック・ウェアの管制コンピューターに高機動戦闘形態へのシフトを命じた。墨染の袴の上に、解れの目立つ紐で止めた着物が一枚、羽織るようにして生じる。
 剥き出しの頭部を保護する仮面を構成する流体金属が襟から溢れて、瞬く間にアウルの顔を覆いつくした。コンマ一秒とかからずにアウルの顔を覆った流体金属は白い髑髏の様な形を成し、炎を焼きつけた様な文様を浮かべた。
 唇をはぎ取り歯肉を削いだ後の様に、真っ白い歯列に見える仮面の口元の奥から、ややくぐもったアウルの声が聞こえた。

『一瞬でも目を離したら、お前の負けだかんな』
「分かってる。でも油断したら負けるのはアウルだぜ。そこんとこ、分かってんのか?」
『上等ぉ……』

 ガチ、と撃鉄を上げる時と同じような音がムーン・スラッシャーの柄からした。出刃包丁型の刃が、刀身内部のロックを外されて床に落ちる。
 出刃包丁の中に隠されていた真っ黒い刀身の刃が卍型の鍔と共に現れて、アウルが重量の変化に慣れる為に一度だけ振るった。
 剣風だけで木立を断てるのではと思うほど鋭い風切り音がする。柄尻から切っ先まで乾いた血液にも似た色合いの黒い刀だ。超重量を生かした出刃包丁型とは異なり、刃の鋭さで対象物を切り裂く日本刀タイプ。
 高機動戦闘形態に移行したアウルのメカニック・ウェアに最適の形状を追求した結果、ああいう形になったと、シンは耳にした事があった。
 アウルは感情を隠そうとはしない。敵意も破壊衝動も殺気も、すべて燃え盛る火の熱と共に噴出している。シンにはそのように感じ取れた。
 シンがこれまで会得してきた武術や戦闘経験は、そう言った感情や“気”の揺らめきを敏感に悟り、実際の攻撃より先に放たれる意識を感じ取って後の先を取ることを可能としている。
 どれだけ速い攻撃であろうとも、先んじて放たれる意識さえ感じ取れれば回避や防御はそう難しい事ではない。機動兵器越しではなく生身で相対している今の様な状況ならなおさら容易だ。
 だが、アウルとシンが先ほど言ったとおり、今の状態になったアウルは剥き出しの敵意を発してなお、捕捉が困難な強敵と変わる。意識を先読みしても対応しきることが難しいほど、単純に速いのだ。
 実際の速度は銃弾の雨よりは劣るだろうが、無数のバリエーションに富んだ攻撃と敵意の連続は、学んだ三流派のどれも免許皆伝には達していないシンには、捌ききるには難易度がいささか高い。
 無造作に右手のムーン・スラッシャーを下げていたアウルの呼吸が、仮面の奥でわずかに乱れたのをシンは見抜いた。喉にひたりと氷を当てられた感覚がしたのも同時だ。

「いきなり首かよっ!」

 初っ端から致命の一撃を狙って来たアウルへの愚痴は、実際には言葉にはなっていない思考である。時速八百キロの踏み込みで懐に飛び込んできたアウルが、わずかに阿修羅よりも長い黒刀を振るっている。
 かん、とも、ぎん、とも聞こえる音と共に火花が散った。迎え撃った阿修羅と黒刀が噛み合って生じた音と火花だ。シンよりわずかに早くアウルが刃を引いた。引かれた刃は黒い軌跡を残してシンの右太ももを狙って斜めに振り下ろされている。
 アウルの殺気に反応してシンの右半身が引かれる。黒い光が視界を横断した、とシンの思考が理解した時には手の中の阿修羅が動いていた。
 戦闘経験と技術と生物としての本能が混ざり合って構築した戦闘用の神経が、シンの思考よりも早く肉体を動かしていた。すでに剣をして意、意をして剣――“一刀如意”の境地になかば足を踏み込んだシンの本領である。
 両手で握ったムーン・スラッシャーを振り下ろした姿勢のアウルの首めがけて、阿修羅が横一文字で振るわれている。
 頭部保護用の仮面のレンズ越しに見える阿修羅の刀身を、アウルは咄嗟に頭を下げて、前方に転がって回避した。メカニック・ウェアで増強された反応速度でなければ、アウルはそのまま首をしたたかに打ちすえられて昏倒していただろう。
 シンの動きは十分に眼で追える範囲だ。自分の方がはるかに速く動いている。なのにシンの方が先に動き始めている。あるいは先に動いた筈の自分に追いつき追いぬいている。この理不尽な現実にアウルはすでに慣れ切っていた。
 シンが体は前方を向いたまま、右腕が別個の生き物の様な反応を見せて振り返ったアウルに襲い掛かっていた。縦に構えたムーン・スラッシャーで受け、そのままの勢いを利用して、阿修羅の刀身を絡め取る様に巻き込んで捩じ伏せた。
516660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:10:20 ID:???
 ムーン・スラッシャーが阿修羅に重なって抑え込む形だ。右足で阿修羅を抑え込み、自由になったムーン・スラッシャーでシンの首を落としにかかったアウルは、抑え込んだ筈の阿修羅がぐんと持ちあがって、宙に放られていた。
 手の中の黒刀での一撃にわずかに注意を逸らした時、重心のバランスが微妙に崩れた隙を狙われたと、アウルは悟った。こちらが気付かぬほどの油断やミスを一切見逃さないから、シンとやり合うのは本当に面倒くさい。
 シンとアウルの二人の手元から、茶と黒の二つの閃光が、二人の中間地点で交差した。五十トン強、時速六十キロで走る自動車の衝突に匹敵する荷重を、阿修羅の刀身と内気功を施したシンの両腕の筋肉が吸収し、吸収しきれぬ衝撃は足を通して床に逃がす。
 メカニズムの保護を受けたアウルと違い、あくまで自前の肉体と技術で襲いかかるあらゆる負荷に対応するしかないシンが、必要に迫られて会得した技術である。
 シンの思考の片隅で三人目の師匠から習った、サイバネ武芸家用に中国内家武術が生み出した外法奥義の使用が囁かれた。
 肉体の大部分を機械化したサイボーグを、ただ一撃でもって絶命させる奥義。サイボーグ化した為に生身の肉体では決して味わう筈のなかった苦痛と共に死への旅路に追い落とす、中国数千年の功夫が生み出した魔性の技。
 もちろん対象が仲間であるアウルでは、そんな物騒な技を使うわけには行かない。それにアウルの場合は、肉体をメカニズム化しているのではなく、あくまでメカニック・ウェアを着込んでいるに過ぎない。
 メカニック・ウェアの機能を完全に停止させる事は出来るだろうが、着用者のアウルに傷は着くまい。ただ、機能が停止したメカニック・ウェアがそのまま強靭な拘束具となってアウルの動きを封じることには成功する。
 威力絶大な一撃なのだが、仮にアウルが敵であったとしても今の状況では使うわけには行かない奥義でもある。一度でも使えば臓腑に重大な内傷を負って、一か月近く体を休ませることを強要されるからだ。
 少数超精鋭のクライ・ウルブズは個々の戦闘能力が高いために、一人の欠員で大幅に総合戦力が減少する。前大戦時にウォーダンとの戦いで瀕死の重傷を負った時が、丁度該当する。
 特に最強の一人であるシンが長期間欠員となれば、これは手痛い事態となる。たとえ実戦であっても使い所を見極めなければならない奥義なのだ。
 師匠とその友人のみが習得した外法奥技の使用を早々に諦めた。見やればアウルが空の左手をシンへと向けて突き出している。
 二年の間にDC技術陣が変な具合に熱を入れて追加した、メカニック・ウェアの新機能をアウルは使おうとしていた。
 その新機能を知らぬシンは、訝しげに眉根を寄せたが、前後左右上下あらゆる方向へ動けるように軽く踵を浮かせる。きゅいぃん、とかすかに耳障りな高音がアウルの着こむメカニック・ウェアから漏れ聞こえた。
 やばい、やばい! 
 これから襲い来る未知の攻撃に対する警戒の叫びがシンの鼓膜の内に生じる。車に爆弾が仕掛けられていても悪意の残滓を感じ取って、確実に回避できるシンの危機察知本能が、これほど大きい叫びを放つのは久方ぶりの事。
 眼を焼く眩しい黒い光がアウルの軽く開いた掌に生まれる。あらゆる分野で地球圏の最先端を行くDC技術陣が生み出した、おそらくはこの世界の地球圏では初の光学兵装。
 シンとアウルとを、黒い光の洪水が繋いだ。アウルの腕をはるかに上回る太さの光線である。出力の程は定かではないがいくらなんでも船内で使用していい兵装ではないだろう。
 装甲の薄い所を狙えばMSを撃墜できる出力を誇るのだ。ギャラリーのほぼ全員がとっさに目を庇い、場所を弁えなかったアウルの一撃に驚愕が度を越えて言葉を失う。
 メカニック・ウェア内の小型バッテリーが蓄えた大部分のエネルギーを消費した一撃の成果をアウルが確認しようと、仮面内に表示されている各種センサーの反応に目をやった時である。
 後方警戒信号が電気信号となってアウルの脳を刺激した。アウルの胴を左から右へと抜ける一刀が、既に襲い掛かっていた。
 脳から発せられた信号が光の速さとなってアウルの体を動かし、右手のムーン・スラッシャーを脇の下から突き出して、かろうじて阿修羅の刀身を受けた。
 左脇の下から突き出た黒刀で阿修羅を弾く動作に合わせて左足を軸に体を回転させ、弾かれた勢いを利用して後方に飛ぶシンと相対する。
 アウルの左網膜に黒い光線を凌いだ瞬間のシンの姿が投影される。そこにはある意味で回避よりも凄まじい行為が映し出されていた。
517660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:11:37 ID:???
 前大戦でも時折見られた行為ではあったが、放たれた光線を両手で握った阿修羅で切り裂いてみせたのだ。最初は回避の動きを見せていたのだが、かわし切れぬと途中で察して切り替えたらしい。
 シンがほとんど切り裂いたおかげか、後方に散った光線は分厚いトレーニングルームの壁面をかるく焦がしただけだ。
 MS戦では目にした事はあるのだが、生身で――いや、生身て、どこからどうみても生身だけど――ビームを切り裂いた人間を目にしたのは、これで初めてである。
 なんだかもうエクステンデッドとかコーディネイターとか、そーゆー括りが虚しくなる所業であった。
 そんな真似をしてのけるシンが手も足も出ずにぼこぼこにされるのが、師匠連中三人とその友人含めて四人はいるのだ。しかも全員ナチュラル。純度百パーセント混じりっ気なしの天然モノの人間さんである。
 いやまあ、シンだけというかその師匠連中があれなんだよ、きっと変態という名前の超人なんだろうなあ、とアウルはどこか現実逃避する様にぼんやり考えた。
 とはいえ、そんな隙をシンが見逃すわけもなくて、片手で握ったムーン・スラッシャーを右下段に垂らしていたアウル目掛け、シンが床を蹴って挑みかかる。
 『驟雨雹風(しゅううひょうふう)』『鳳凰吼鳴(ほうおうこうめい)』『貫光迅雷(かんこうじんらい)』の三手に目晦ましの虚手を交えた五連撃に及ぶ連環套路がアウルへと襲い来る。
 一度に留まらず二度、三度と敵対者を切り裂き、死体と変えてなお更に殺し尽す塵殺の剣である。
 人間相手にビームを使ったアウルに対して怒りでシンの脳みそが沸騰したのか、明らかに殺しにかかった一連の剣戟である。
 メカニック・ウェア内部のコンピューターがプラーナ感知機能と相手の脳部位の熱量の変化や筋肉表面の動きなどから、シンの繰り出す連続斬撃を予測し、アウルの思考へとフィードバックする。
 シンの成長は著しいが、それと同じくらいに技術の進歩も加速度的に行われているのだ。五手の内三手が殺し技のシンの連撃を、ムーン・スラッシャーの刀身が見事凌ぎ切る。必殺・絶殺の気迫で繰り出した剣が無為に終わり、シンの顔にはっきりと苦いものが浮かぶ。
 少なくとも二手は浅くても入ると確信していたのだ。見事アウルの肉体を守りきったムーン・スラッシャーが右袈裟に振るわれた。大振りな一撃はシンと距離を置く為のもので、体の重心をわずかに崩していたシンは、反撃の一手を繰り出すよりも一足飛びで下がった。
 アウルの体が、やや前傾になり重心が低くとられる。黒袴の中のアウルの脚部の筋肉が、ぐっと撓む。地上最速の動物チーターが走り出す前の、最高速度へ最短の時間で辿り着く為の準備動作である。
 高機動形態に移行したメカニック・ウェアの最大加速後の戦闘速度は軽く音の壁を破る。肺腑に空気を溜め込み、アウルは一陣の風となって走った。
 目の前で消失したかの如き超高速度で動くアウルを前に、シンは瞼を閉じた。
 床や壁、天井を蹴り三百六十度あらゆる方向から襲い来る漆黒の刃を捉えるには、人間が最も多くの情報を得る視覚を封じ、原始の危機回避能力と鍛錬によって磨き抜いた後天の超直感を研ぎ澄ませて頼る他ない。
 アウル自身が音速を超え振るう刃もまた音速を超えたマッハ2の速度で、シンをぐるりとあらゆる方向から襲い掛かる。アウルの増強・保護された筋力と心肺機能によって繰り出されるは、秒間五十撃を越える超音速の連続斬撃。
 人体の限界に挑み、細胞一つ一つ、神経一本一本がすべて悲鳴を上げているような苦痛に襲われる中、シンは数えるのが追いつかぬ無数の斬撃の半数を回避、残る半数をすべて阿修羅で受ける。
 ギャラリーには黒い無数の残像としか見えないアウルに対し、根を張った大樹の様にその場に留まるシンの体は、ぼうと霞んでいた。目に捉えきれぬ小さく細かな動きが絶えずに行われ、輪郭がぼやけているように見えているのだ。
 腹腔に熱い感覚が生じた。アウルの次の一撃がここに来る。肺に溜めていた空気をわずかに吐き、迎え撃つだけだった阿修羅が、瞬間、稲光と変わった。
 丸二秒間――百度目の斬撃が両腕を根元から引きちぎられるような衝撃と共に弾かれ、アウルは歯を砕かんばかりに噛み締めて耐えねばならなかった。
 尋常な人間には反応しきれぬ攻撃を察知し、防戦一方の状態から起死回生の一撃を必ず放ってくる。これがあるから、シンとの戦いは厄介だ。
 大きく万歳をする体勢にさせられたアウルが仮面の奥の瞳に、やられるかよ、と烈火の戦意を滾らせ、シンも等しく闘志の炉に新たな薪をくべた。
518660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:12:17 ID:???
『うおおおおおお!!!』

 二十倍に増幅された圧倒的な膂力に後押しされたアウルの唐竹割の一刀に、シンの肉体と思考、剣鬼と呼べるまでに研ぎ澄まされた本能が応じた。
 無形なる事霞の如く、柔靭なること柳の如し。切っ先を青眼の高さまで持ち上げた静かな構えの中に、無限の変化を秘めたカウンター狙いの防御型『雲霞渺々(うんかびょうびょう)』。シンの手の中で重さを失った阿修羅が閃く。

「でやああっ!!」

 まさしく裂帛の気合いと共に放たれた阿修羅の切っ先が、漆黒の風と変わった黒刀の刀身と交差する。



「…………」
 
 創作物の中の出来事としか見えないシンとアウルの戦闘の様相を、はじめて目の当たりにした新規のクルー達は呆然と眼を丸くして見ていた。高速移動に伴う衝撃波が乱舞し、トレーニングルームの中で荒れ狂っている。
 あの場に同席していたら到底立ってはいられず、木の葉の様に吹き散らされて壁面や床に衝突して赤黒い染みをまき散らしていたに違いない。
 タスクに誘われてシンの様子を見にきたセツコも、呆気に囚われて見学していた者達の一人だった。モニターの向こうでは絶叫と共に渾身の一撃を振るいあった二人が、相討ちになったのか、床の上に大の字になって転がっている。
 ロケット・ランチャーの直撃を受けても着用者へのダメージはほぼ完全にシャットアウトするメカニック・ウェアの保護を受けているアウルはともかく、持前の血肉と骨と皮膚しかないシンの安否を、誰もが気にする。
 高機動戦闘形態を解いたアウルが仮面を剥ぎ、彼方に転がっていた出刃包丁に黒刀を納め、阿修羅を杖代わりにして縋りつき、シンものろのろと立ち上がる。出血や肉が爆ぜ割れていたりする様子もない。どういう理由でか無傷の様だ。
 そのまま二人して互いの感想を言い合っているのか、身ぶり手ぶりを交えて何か言いあっている。傍目には何かのスポーツの試合後に、互いの健闘をたたえ合う青少年の様に見える。互いに頭のてっぺんまで昇っていた沸騰した血の気は引いたらしい。
 先ほどまでの馬鹿げた戦いを見ていなければ、清々しい光景と見えなくもなかったが、生憎と戦闘を目撃していたセツコはあんな戦いの後に、どうしてそんなさわやかな顔をしていられるのかしら? と首を捻りたくなった。
 眼にした一連の光景にちょっと現実が認められず、セツコは上手く思考をまとめる事が出来なかった。周囲では「人間じゃない」「サイボーグ?」「いやいやいやいや」、とか主にシンに対しての様々な感想が乱れかっていた。
 それぞれの獲物を肩に担いだ二人が、あー、疲れだぁあああ、と言った感じでトレーニングルームを出て、ギャラリー達の所へ顔を覗かせた。新規クルー達の呆気に取られた顔に、アウルとシンがあー、やっちまったか、という顔になった。
 以前はゼオルートやシン、スティング、アウル、ステラ達位しか知らなかった訓練風景が、一般常識人にとっては非常識なものである事をつい忘れて、模擬戦に熱中してしまった。
 なんと声をかけていいのか戸惑っている様子のセツコと眼があったシンは、美味しく頂かれてしまったあの悪夢を思い出して、ひっと叫びそうになるのを堪えた。背筋に冷たく粘々とした気色悪い汗が流れて、シャツをしとどに濡らしている。
 その様子を別の方向に勘違いしたアウルは、にやにやと笑いながら足音を立てずにシンから離れる。自然とセツコとシン二人だけの空間が出来上がる。
519660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/15(水) 23:13:58 ID:???
「えっと、その、お疲れ様、シン君」
「えー、あー……。は、はい」
「すごいね。あんな風に動ける人初めて見た。昔からああいう事を習っていたの?」
「ま、前の大戦の途中からです。おれが、その接近戦ばっかりやるもんだから、生身でもある程度できる様にしとけって、言われたのが始まりです」
「そう」

 なんだか緊張している、おかしいな、とセツコは思いながら忙しなく視線を泳がせているシンの顔を見つめる。セツコ自身に非はないのだがこの様子では今日明日の内は、シンはまともにセツコと接する事は出来なさそうだ。
 心の片隅で申し訳なく思いながら、シンもぎこちなく唇を動かして会話を試みる。

「せ、せセツコさんはどうしたんですか?」
「私はレオナにシミュレーターの相手をしてもらった帰りよ。タスク君にシン君がトレーニングルームにいるから来ないか、って誘われたの」
「そうですか、見ててもつまんなかったでしょ?」
「ううん、本当にすごくて息をするのも忘れちゃった。シン君はMSの操縦もすごいけどMSを降りてもすごいのね」
「いや、それ位しか取り柄が無くて。はは、でも褒められるとやっぱり嬉しいもんですね。ちょっとくすぐったいです」
「謙遜なんかしなくてもいいのに」

 朗らかに笑うセツコに見惚れたのか、シンのぎこちなさが少しずつ解れていた。その様子をこっそりのぞいていたアウルは、けけけ、と底意地の悪い笑いを浮かべていた。

「シンの奴、三年目の浮気か? ステラとセツコとどっち選ぶつもりだ、あの野郎」
「確かに、最近仲いいよな。ステラもセツコ少尉に懐いているけどよ」
「うおっ!? スティング、急に後ろから声掛けてくんなよ、驚くだろっ」
「おれは船内でビーム使う方が驚きだよ」
「!?」

 背後に立つスティングが醸し出す冷たい雰囲気にようやく気付き、アウルがさっと顔色を青に変えた。ぎぎぎ、と長い事油の注されていないブリキ人形みたいに背後を振り返る。
 腕を組み、やや胸を反らして仁王立ちしながらアウルを冷た〜い眼で見下すオクレ兄さんがそこにいた。

「いやあ、つい」
「ほう? “つい”でビームを撃つのかよ。安全装置はどうした? かけ忘れたのか、それともわざわざ解除して撃ったのか? ああ?」
「わ、若さゆえの過ちって奴だよ」

 じりじりとスティングから摺り足で離れつつ、どうやって逃げ出すかタイミングを計っていたアウルの背後に、いつのまにかスティングがいた。この動き、スティングも軍服の下にメカニック・ウェアを着込んでいたのであろう。
 驚きに目を見張る間こそあれぐっと襟を掴まれた上に、ムーン・スラッシャーを取り上げられてアウルはとっ捕まえられた。

「ぐえ」
「おれもちょっと体動かしたい気分でよ。付き合えや。後始末書書くのも忘れんなよ? 減給で済むなら御の字だからな」
「いや、そこはほら兄弟同然のよしみで誤魔化してくれよ」
「だ・め・だ」

 ずるずると売られてゆく子牛の様にアウルは再びトレーニングルームの中へと引っ張り込まれてゆく。アウルとスティングのやり取りがまったく視界に入っていないようで、シンとセツコは、どことなく甘酸っぱい世界を構築していた。

「軋れ、豹王《バンテラ》!!」
「ちょ、スティング!? おれのウェア、まだ冷却中で再起動出来ねえんだよ。てか、刀返せよ! おれ素手じゃん!? …………………………………………………………………ぎゃああああああああああ!!!!!」

つづく。
久しぶりにチャンバラ書きたくなったんじゃよ。しかし私はシンをどうしたいのでしょう? 自分でもわかりません。
では、ご助言ご指摘ご感想首を長くしてお待ちしております。おやすみなさい。
520通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 23:36:15 ID:???
乙苛礼

この作品のビアン、幼い頃に魔を断つ剣にでも出会ってるんじゃなかろーか、と
シンとアウルのジャンプ式対決見てて何故かふと思った次第
521通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 00:20:26 ID:???
GJ!

 シンが既にガンダムファイターの領域に……(苦笑)
 しかし、魔装機神はやった事なかったんですが、ゼオルートって強かったんですね。
 まぁ、同じウィンキーのライブレードにも、
ガンダムファイターみたいな達人は出てきたから、納得と言えば納得ですが……。

 主人公をピッコロとしたら、一人クリリンが居て、後がヤムチャの集団なんだよなぁ、あのゲーム。
 で、NPCに孫悟空とかベジータが……。
522通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 00:24:14 ID:ob8Mh2XC
総師さん乙です!!
ムーン・スラッシャーって・・・鰤ですかww
いい格闘小説でしたww
523通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 01:39:53 ID:???
総帥乙です

メックウェアと生身でやり合うとか…シンも立派な変態に成長したなあ
将来的には、師匠のように四分身かましたりするようになるのだろうか
既に紫電掌も体得してるみたいだし、今回はお披露目無かったけど、いつか使わざるを得ない局面も出てくるのかな
あの技は生身の敵相手だと役に立たない技だから、生身で戦う相手は影鏡連中がメインになるのだろうか
524通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 07:01:40 ID:???
総帥の方、乙でした。
……なんだろう、ジャンプのバトルものをみた気分だ。
525通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 07:56:42 ID:???
総帥乙!
地に足のついた堅実な特訓をする前半のせっちゃんと、ブッ飛んだ異次元バトルしてる後半のシンとの対比が面白かったw
これはGFや十傑集の域に達するのもそう遠い日の事ではないかもわからんね

>>523
対人の場合は黒手烈震破の方が有効だな
526通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 22:39:10 ID:9fMLJ+pE
>>521
そうか分かったぞ、シンの生身の戦闘技術が高いのはいつか作られるであろうデスティニーを
モビルトレースシステム搭載機にして石破天驚拳を撃てるようにするフラグなんだよ!
527通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 23:15:43 ID:???
>>526
総帥的にはDGG四号機じゃね?
回収前の雷凰を除くDGG系の操縦システムは、
ガンダムファイターに近いから……。
大トロンペの馬形態が非常に謎だけどなー。

528通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 00:24:16 ID:???
ダイシン・・・ダイシンオー・・・ダイシンゲキ
イマイチしっくり来ない
529通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 00:30:07 ID:???
剣士のシン専用機の名前、DGGのネーミングから外れてシンケンオーはさすがにまずいかw
530通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 00:49:48 ID:???
このシンどんどん人間離れしていってる、というか数多ある二次創作の中でも最強なのでは?
ここまで強いと最終機体が何なら釣り合うと言うのかw
なんにしても乙です。

>>528
ダイアスカ、とかはどうだろう?
531通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 00:49:53 ID:???
ダイシンケン!

しかしゼンガーと被るな
532通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 02:15:30 ID:???
竜殺しの剣から取って「アスカロン」というのはどうかね?
533通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 03:16:29 ID:???
>>531
ゼンガーの前に戦隊に被ってる
今やってるシンケンジャーの一号ロボシンケンオーと
三号ロボダイカイオーの合体形態が
ダイカイシンケンオーで
略してダイシンケンって言われてる

ちなみにダイシンケンに四号ロボもくっつくとシンケンハオウだそうな
534通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 06:56:39 ID:???
メックウェアとシンのスペックが変態すぎるwwwwwGJ。
このシン生身でたたかったほうがよくねぇ?
機体がそれ相応なのがあれば別だけど……。
しかし、一体何にすればいいのやら……。
535通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 09:12:50 ID:???
DGGも悪くないけど、ここのシンの超人っぷりを見てると
某MADの紫電掌と六塵散魂無縫剣使うバイカンフーが頭から離れなくて困る。
MX世界のデータあるしTRな機体も順調みたいだから、インパルスをコアにした巨大合体とか…さすがにないかw
536通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 11:42:18 ID:???
>>530
異能力やシステムに頼らないのに限定すると、これとタメ張れるのはワンピスレのシンぐらいかな
537通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 11:54:13 ID:???
>>529
アスカリバー

フルボッコ

強化

グレートアスカリバー

修行

開眼

真・アスカリバー
538通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 12:46:26 ID:???
飛鳥インパルス
↓強化武装
飛鳥デスティニー
↓新型スペースノア級と合体
アーク飛鳥デスティニー
↓ヴァルシオンとグランゾンも取り込む
神鳥アスカ
↓アメノミハシラも融合
運命神アスカ

なんぞこれ
539通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 15:14:06 ID:???
何このジャンプ的バトルはwww
シンが変態的強さを発揮したかと思ったら、アウルも死神代行となってるしww
540通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 16:42:57 ID:???
刹那が目をキラキラさせながら「流石ガンダムだ!」と言いながら弟子入りを希望しそうだな
541通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 19:12:17 ID:???
>>532
誰も突っ込んでないようだから突っ込むが

ユキムラ自重w
542通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 20:21:13 ID:???
>>527
DGG一号機ダイゼンガー、DGG二号機アウゼンタイザー、DGG三号機
大雷王とくればDGG四号機 『真飛鳥』登場か?ww
543660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/17(金) 21:26:24 ID:???
おおう、シンの最終機体につける予定の名前が挙げられ取りますがな・・・・・・。
ちなみに私はスクコマには手をつけてないのです。スクコマ1で、速攻でゲームオーバーになって以来積みゲーなのです。バトルコマンダーはクリアできたんだけどなあ。
とりあえずクライ・ウルブズの最終目標は、イデオン抜きのαナンバーズといい勝負が出来るくらいが目処だったりします。
544通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 21:41:45 ID:???
>>543
スクコマ2はスクコマ1を投げた自分でもクリア出来たから大丈夫だと思いますよ。

難易度をeasyに設定すればそれほど難しくありませんでしたし、
2のシナリオは近年のスパロボではかなりいい出来ですのでやって損は無いと思います
うまくすればワンコインで買えますのでお手頃かと
545通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 22:05:39 ID:???
 >>527
 ダイトロンベは、PTタイプの操縦システムですよ。
 ガンダムファイターぽい操縦システムのDGGはダイゼンガーと雷鳳(改修後)だけです。

 >シン後継機
 やはり、DGG系列の発展型、五号機『大飛鳥(仮称)』が本命かな。
 ちなみにアクアさんのインパルスに継ぐ後継機は「小型化・高性能化したWRX」なTEエンジンと複数(3〜4)のプラズマリアクターを搭載した『デスティニー』と予想。
 アレ? 誰かの悲鳴がキコエタキガ……
546通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 22:14:13 ID:???
>クライ・ウルブズの最終目標は、イデオン抜きのαナンバーズといい勝負が出来るくらい

これはまさかの「DCの決戦兵器=シンバスター」フラグ
547通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 22:32:14 ID:???
 ちょっ、α艦隊は、イデオンなくても、ガンバスターとか真ゲッターとかマクロス系の機体とか、ヤバイモノが色々あるんですけど……。
 つーか、設定上の能力なら、フル装備のバルキリーは、一機でプラント殲滅余裕でしたってレベル。
 ディストラのメスアッシャーは、理論上その気になれば銀河グチャグチャに出来るレベルの重力異常を起こせる筈だし、
アインソフオールも、バランスとって重力中和せずに中性子星そのままぶつければ恒星一つ位なら簡単に破壊できるよな……。

 ……あれ、けど良く考えてみると、ネオグランゾンとネオヴァルシオンがある時点で、

全力戦闘で銀河破壊余裕でした

ってレベルに達しているよな、DC……?
 つーか、設定から考えてみると、ネオグランゾン&それと同格のネオヴァルシオンでMS相手に地上戦闘って、
惑星破壊用の兵器で、周囲を壊さないように蟻を一匹一匹潰していっているようなもの……。
 ……スゲー、シュウスゲー、ビアン博士スゲー。
 なんか絶対間違っているけどスゲー。
548通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 22:41:25 ID:???
現時点でもMSで星薙ぎやってユニウスセブン落下阻止しちゃってるしね。
549通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 01:20:26 ID:???
なんだか今のシンには是非白のコートを着て喋る指輪付けて
ホラーハンターをやってきて欲しいわ

そして金色のメックウェアをですね……
550通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 09:55:57 ID:???
緑色の炎も必要だなw
でも赤い炎(ガイキングLOD的意味で)しかないから
Gストーンか螺旋力で代用せねば
551通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 10:06:14 ID:???
シンの「念」が師匠レベルに達すればサイコドライバーに対抗できるのだろうか?
そろそろ過去の「亡霊」であるサイコドライバーを打ち倒す力もつものがいなければ世界はだめかもしれません。
でもシンはともかくステラ・セツコの後継機体はどうするのだろうか?3機合体でその後継機になるか、それとも3機による合体攻撃を展開するのがこの3人の関係に合っていると思うけど。
552通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 10:43:09 ID:???
>>551
ステラはともかくセツコはあるじゃないか
553通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 13:09:41 ID:???
>>552
いえそれはそうなんですけどね。
別の意味で合体すると思われる3人(そうですよね総帥さん?)なので、どうせならと思ってしまいました。
554通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 14:42:51 ID:???
>>550
金色の騎馬も必要だよな
世界観ぶち壊しそうだけど……

総帥のシンだと轟天と剣さえあればMSとガチバトル出来そうなのが恐ろしい....
555通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 16:44:46 ID:???
轟天は再現余裕だろ、風雲再起とトロンベ的に考えて
556通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 20:09:10 ID:???
3機合体の後継機
シンとゲットした二人が乗り込むシン・ゲッ;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン
557通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 22:32:10 ID:???
俺としてはヴァンドレッドが良いんだが一人足りないか...
558通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 23:14:03 ID:???
>>557
こちらのラキはどうやらDエンディング後のラキのようだから
ひょっとしたらあるいはメイアポジに・・・
ファーストコンタクトがフラグ立ちかけぽいし
あるいは
559通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 02:49:12 ID:???
>>506
亀だが
>ヴィンちゃんとレモン姉さんが指摘してた禁断領域
なんだっけ?
560通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 16:44:32 ID:???
今真マジンガー見たんだが新しいOPのビッグバンパンチがメチャカッコいいわw
ぜひともシンの機体もビッグバンソード(仮)への変形機構を…
561通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 17:46:48 ID:???
>>560

 ダ・イスォウドですね、判ります。
 人型、剣、竜の三形態に変形で、最終必殺は、剣型に変形した機体を、巨大な幻のシンが振るう、と……。
562通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 17:59:08 ID:???
シンステラセツコの三機合体か…
セツコの機体はセレブレイターみたいなので良いんじゃね?
『シン君、私を握っ(ry』
563通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 18:06:05 ID:???
ヨロイよろしくシン・オブ・デイ
みたく武器に変形したりモビルトレースなシステム使ったり
564通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 18:11:04 ID:???
ヨロイ・インターフェースはIFSの近似機構よ〜
565通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 19:42:52 ID:???
ああそうかセツコの機体は剣になればいいんだ!!
566通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 19:47:36 ID:???
つまり仲間の機体がファイナルフォームライドするわけか
567通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 22:33:38 ID:???
人が乗ってるのを武器にするのは無茶だ!
つZZのダブルビームライフル
568通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 22:53:57 ID:???
>>567
こうすれば良い、コックピットのある部分はメインのパイロットの機体へ合体して、
残りの部分が巨大な武器になれば殆ど問題がない……多分。
569通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 23:17:04 ID:???
>>567
つR-GUNパワード
つAM-ガンナー(ほぼMk-Vがバイクよろしく乗ってるだけ)
つゴッドグラヴィオン・ソルグラヴィオン(ロケットパンチ)
つグレンラガン(ラガンインパクト)
オリ・版権でも軽くこんだけあるぞ
570通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 23:27:46 ID:???
有人ロケットパンチの元祖はダンガイオー?
571通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 12:59:52 ID:???
シタン先生謹製バントラインを忘れてもらっては困る
572通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 19:07:08 ID:???
妹の乗ってる帽子をシールドにするのに比べれば
なんだかマシに思える
573通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 20:13:31 ID:???
>>570
そして現状最新はマジンガーということになるのだろうか
574660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 20:54:46 ID:???
ディバイン SEED DESTINY 第十六話 氷雪と優風の心

 
 地球消失及び宇宙との連絡断絶と言う異常事態を迎えて既に二週間が経過していた。情報の隠蔽の行い様もないこの事態に、地球・宇宙の各国民は不安と言い知れぬ恐怖、そしてわけもなく胸の中に立ちこめる暗雲に怯えていた。
 数多くの異世界の死人達が所属し膨大な情報を有するDCにも、今回の様な事態に該当する情報はなく、またビアン・ゾルダーク総帥が低軌道ステーション“アメノミハシラ”に取り残される形となった為、事態の解決に向けた動きはいささか緩やかなものであった。
 その最中、プラントの軍事工廠アーモリーワンより帰還したクライ・ウルブズ母艦タマハガネは、オーストラリア大陸にあるカーペンタリア基地へと向かう、ザフト最新鋭艦ミネルバの護衛として同道していた。
 前大戦時、地球連合が行ったカーペンタリア基地攻略戦における戦災から復興したオーストラリア大陸の威容を、タマハガネの甲板の上で、シンは烏の濡れ羽色の髪を潮風に揺らしながら見ていた。
 無数の宝石が漂っているかのように海面を煌めかせる陽光が無く、また、数世紀に及ぶ大気汚染問題が解決して澄み切っていた青空も、その青さを失って時間が経っている。
 どっぷりと灰色に沈んでいる様な世界が当たり前になってきているようで、シンはかすかに苛立ちを覚えた。

「シン?」

 声に振り替えるまでもなく自分の横に立つのが、ステラである事は、ふわふわと風に踊っているような足音でシンには分かっていた。
 華奢な手で金糸細工を思わせる美しい髪を抑えたステラが、菫色の瞳の中にシンの横顔を映した。ステラに声を掛けられたシンが返事もせずに、んー、と唸っているのは珍しい。
 病的に近い白色の凝肌が眉間の位置でかすかに歪んでいる事から、ステラはシンの考えている事が、陽性のものではないと察する。
 前大戦の最終決戦時、大量の失血や壊死寸前まで酷使した脳の後遺症による身体機能の衰退に襲われた後、激しい苦痛を伴うリハビリを行っていた時も、お見舞いにきたステラ達に笑顔を向けるのがシンであった。
 そのシンがどことなく悩んでいるような、悲しんでいるような気配を漂わせているのは、本当に珍しい事であったが、そんなシンの横顔をステラは見つめていたいという衝動に駆られていた。
 たぶんシンの家族も知らないシンの顔を、今、自分が独占しているという事実を心のどこかで理解したからだろう。後ろめたさを伴うどろどろとした衝動から、ステラは心を遠ざけた。

「なに、考えているの?」
「……いや、さ、こういう風が強い日は久しぶりだなって思って」
「誰かを思い出した?」
「よく、分かったな」

 少し、瞳を大きく開いたシンに対して、ステラは小さく笑った。

「なんとなく」
「なんとなく?」
「うん。シンの考えている事、なんとなくわかる。悲しんでる、怒ってる、喜んでる、懐かしんでる、それ位だけど」
「おれ、顔に出るからなあ」

 ようやくステラを振り返り、シンは瞳を合わせた。少し照れくさそうなステラのはにかんだ表情に、シンは心の中の苛立ちが春の到来を告げる日差しに溶ける淡雪のように消えて行くのを感じた。
 シンはうっすらと笑んで瞼の裏に誰かの顔を思い浮かべる様に瞼を下ろしてから、深く息を吸った。
 肺の中を潮の匂いが満たした。まだDCの存在を知らず、ただの子供でいられた頃から慣れ親しんだ匂いである。それからゆっくり瞼を開いてゆく。
見る者の多くに血の様な、と喩えられるシンの赤い瞳に映っているのは暗い海に暗い空。けれどもシンの瞳が本当に“見ている”のは、宇宙の空に散ってしまったあの女性(ひと)の幻影。
575660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 20:55:53 ID:???
「風が強いと髪が長い人は大変だよなあ、なんて思ってたら、なんかオウカさん思い出してさ」
「オウカお姉ちゃん……それで?」
「守るどころか守られて、それで死なせて、悔しくて悲しくて、おれは無力だなって思いだした。でも、それだけなんだ。前は頭の中でいろんな感情がぐちゃぐちゃになって泣きそうになったり、てかボロボロ泣いたのにいまはもうそんな事もない。
 オウカさんが死んで一年半だ。“もう”なのか、それとも“まだ”なのか分かんないけど、忘れたってんじゃないんだけど、おれはオウカさんの事をある程度……なんて言うか、割り切っているんだなって思ったんだよ。薄情だよな」

 自分達の命を守るために死んだ女性の事を、そんな風に感じている自分に罪悪感を抱いているのか、シンは眉間を歪めながら懺悔の様にステラに告白する。
 シンの言葉を自分の心の中で咀嚼し、ステラは俯いたシンの頬にそっと手を添えた。暖かい。人肌のぬくもりは暗がりに陥った少年の心には何よりも心地よく感じられた。

「シンはやっぱり優しい。オウカお姉ちゃんに悪いって思ってる」
「うん」
「ステラもね、宇宙に上がった時にオウカお姉ちゃんの事思い出したの。似ている人に会ったから」

 ユニウスセブン落下阻止戦の時に共闘したオーブ宇宙軍預かりの、アリエイル・オーグの事であるが、流石にシンにはそこまでは分からない。
 アリエイルの色合いこそ違え艶やかなロングの髪や理知的で落ち着き払った印象の美貌に加えてオウカと良く似た声を持っていて、ステラは思わずアリエイルにオウカお姉ちゃん? と問い返したほどだ。

「懐かしくて悲しくて寂しかったけど、泣かなかった。分かってたから。オウカお姉ちゃんはもういないんだって。死んだ人は帰ってこないんだよね。一緒に居て欲しいって思う人でも死んじゃったら、もう傍にはいられないんだよね」
「ステラ……」
「ねえ、シン。難しい事、ステラは分からないけど、シンがそういう風に苦しんでいる時、シンの心の中でオウカお姉ちゃんはどんな顔してる?」
「……困ったような感じで、それでも笑ってるよ」
「ステラもそう。なら、それでいいんじゃないかな。オウカお姉ちゃんなら、許してくれると思う。時間が経つと大切だった人の事とかでも思い出したりする事が少なくなったりするけど、それも今日と明日を生きているってことなんじゃないかな。
 生きているって、どんどん新しい思い出ができて、自分が変わって行くって事だから。それが死んじゃった人と生きている人の違いだと思う」
「だから、昨日とか、過去の事は忘れても仕方ない? おれは、嫌だな。そんなの。おれ達までオウカさんの事を忘れたら、他の誰が憶えてるって言うんだよ。あの人はおれ達を庇って死んだんだぞ」
「本当の本当に、忘れたりしないよ、シンは。思いだす事が少なくなっても、ずっと、心の中にシンは残している。だってシンは優しくて暖かいから。そんな事、したくてもきっとできないよ」
「どうかな。おれには忘れないって自信はないよ」
「思い出す事が無くなっても、生きているって事だけでオウカお姉ちゃんは許してくれるよ。ステラと、シンの命はオウカお姉ちゃんが繋いでくれたものなんだから。
 明日に向かって歩き出せなくなる事、自分達の命を大事にしない事、たぶん、それがシンとステラが一番しちゃいけない事」
「……」

 がりがりと、音を立ててシンは頭を掻いた。ふと足を止めて過去を振り返り、いつのまにか心の中の迷い路に入り込んだシンを、ステラなりに励まそうとしてくれているのは分かる。
 ステラがシンの頬に当てていた両手を離した。頬に残るぬくもりに、これもオウカさんが残してくれたものだな、と思う。

「生きる、か。大変だよな。人の命まで背負うとさ」
「じゃあ、重たいって言って投げだす?」
「しないさ。それだけは。誰かがおれの分を背負うって言ってきても、譲れないよ」
「シンらしい」

 自分の命を守ってくれた人、自分が命を奪った人、自分が守れた人の事、頭の中で思い出せる限りのそれらの人達の顔や名前を思い浮かべて、シンは暗い空を見上げた
576通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 20:56:32 ID:???
真マジンガーのマジンガーは参戦したらマジでカイザー並みかも、弾数制のグレートブースターよりもビックバンパンチの方が使い勝手がよさそうだし。
577660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 20:56:39 ID:???
 生きる。ただそれだけで他の命を奪うのが生命。ましてや戦争という現実に身を投じたシンだ。生きる為以前に命令のままに敵となる存在を殺す事が必要と迫られる。これまで多くの敵を葬ってきたが、いつか自分にもその番が来るだろう。
 死んだら何もできない、死んだらそれまで。だから生きて帰って来い。生きているという事はそれだけで価値がある。
 戦場に身を投じればたまさか耳にする言葉だ。死地へ赴く新兵達に上官や先任達が、生きて帰って来いと言外に意味を持たせて口にする事もある。
 しかし、死んだらそれまでではない事をシンは体感している。ヴォルクルスと名乗った謎の生物兵器との戦いの時、シンは目撃し、耳にしている。プラントと地球連合との開戦以降に死した者達が、ヴォルクルスに喰われ苦しめられていた事を。
 死の後に救いはなく安らぎはなく只管に苦痛の鎖に縛られ、怨嗟の渦に引き込まれて苦しみ悶えていた十億を越す死者の魂達の嘆きや歪んだ顔は、今も鮮明に記憶に刻まれている。
 そして超重力の奈落の底で出会った銀髪の少年の力によって、その苦しみから救われた時の魂達の歓喜と感謝の念も覚えている。あの時銀髪の少年――クォヴレー・ゴードンは言った。魂をあるべき循環の中に戻すと。
 では、あのおぞましく邪悪だったヴォルクルスの滅びた今、死んだ者達はどうなっているのだろうか。クォヴレーが口にした死後、魂が還る循環、流れとは一体何なのか。
 死が親しい隣人の様に肩を組む戦場に長く身を置いたシンは、時折、死んだ後の事を考えるようになっていた。今日までシンが奪った無数の生命の行く末は? そしていつか戦場であるいは日常で自分が死んだ時、魂とやらが行き着く先とはどこだ?
 MSや特機では実感を抱きにくいが、生まれてまだ二十年も経っていない自分の両手どころか全身を濡らしても、有り余るほどの血を流して命を奪って来た事をシンは理解している。
 他者を殺した事を、守りたい人を守るためには仕方が無かったのだと免罪符を掲げて罪の意識から遠ざかれるほどにシンは割り切れてはいない。その癖そうしなければならない状況ならば躊躇せずに他者を手に掛ける事は出来る。
 資質と実力からみれば戦士としても兵士としても一流以上の域にありながら、その精神性に置いていまだ不安定な、矛盾に満ちていて割り切る事の出来ない境界線上を彷徨う脆弱性ないしは甘さが、シンには残っていた。
 守る為に戦うと口にはできても自分が手に掛けた者達の為にも、と嘯いて戦う事は出来ない。殺した側がそんな事を口にしても、殺された側や関係者からすれば自己を正当化する滑稽な物言い以外の何物でもあるまい。
 戦争だからと戦ってもそれはシン・アスカという個人が行っている戦いではなくて、あくまで国家を構成する歯車の一つとして、自分も敵も『個』を持たず『顔』も『名前』も知らず知らぬ者同士で行っている事。
 そう考えて、顔も名前もない者同士の殺し合いだと自分に言い聞かせて、隙を見て心を押しつぶそうとする罪悪感に囚われまいとする考え方もある。あいにくと、シンはそれが出来るほど器用でもなかった。
 自分が軍人で、敵も同じように軍人で、戦争をするからには殺し殺される覚悟があって当たり前。
 だから、戦闘で敵を手に掛ける事が法的に罪に問われる事もなければ、自身を苛む必要もないと頭では分かっても、ふとした拍子に自分が人殺しなのだと強く実感する瞬間は、いつまでたってもなくならなかった。
 そんなとき、シンの心の内には震える他ないほど冷たい風が吹き始めて、ひゅうひゅうう、と耳の奥で飽くことなく音を立てる。

「風、冷たいな。戻ろうか」
「うん」

 答えの出ない問いに対するジレンマに堪えかねたのか、シンが踵を返した。ステラもそれに続く。すると視界の先にセツコがいるのに二人は気付いた。シンとステラに向かって手を振っている。
 そろそろ昼食の時間だ。それで呼びに来たのだろう。強い風に晒されて、長い亜麻色にも見える黒髪を抑えるセツコの仕草に、シンはデジャ・ヴュの様なものを感じて、どうして自分が感傷の海の底に沈みこんだのか理解した。苦いものが唇を自嘲の形に変える。
 イザナミ海岸でマルキオ導師の世話している孤児たちと遊んだ時も、オウカはセツコと同じようにして緑色がかった黒髪を手で押さえていたものだ。その記憶と潮風が、シンにオウカの事を思い出させたのだろう。
 頬に掛かる髪を払いながら、シンはオウカの魂は今どこに行ったのだろうかと、今さらながらに気になった。
578660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 20:57:50 ID:???


「くしゅん」
「オウカ姉様、風邪ですか?」

 地球連邦軍伊豆基地の一角で、緑の薄衣を一枚羽織っている様な色合いの黒髪の少女が、口元に手をやって小さくくしゃみをしていた。隣を歩いていた二人の人影の内、短めの銀髪の少女が案じて声をかける。
 地球連邦軍内で結成された新教導隊に所属するオウカ・ナギサ少尉とゼオラ・シュバイツァー少尉である。
 かつて連邦軍内で行われた非道な人体実験の生き残りという経歴の持ち主で、扱いに手を拱いていた軍が、旧教導隊に所属していたカイ・キタムラが引き取る形で、新教導隊を結成し配属となっている。
 このオウカは言うまでもないかもしれないが、シンやステラ、ビアンを庇ってルオゾールに殺害された筈のオウカその人だ。
 クォヴレーの介入によってC.E.世界で改良を加えられたラピエサージュと共に、こちらの世界でのアインスト・インスペクター・シャドウミラーとの最終決戦に転移し助力して以来、弟妹達と共に暮らしているわけだ。

「もう暖かくなってきたのにね。誰か噂でもしているのかしら?」
「季節の変わり目だからなあ」

 のんびりとした声を出したのはオウカを挟んでゼオラとは反対側を歩いている、紫色の髪の少年アラド・バランガだ。教導隊の隊員というにはいささか能力的に不安定で、むらっ気が強いが、ここ一番という時での爆発力は目を見張るものがある。

「アラドはいいわよね〜。風邪なんか引く心配ないんだから」
「ゼオラ、馬鹿は風邪を引かないって言いたいのか?」
「あら、自覚があるの?」
「ふ、ゼオラそいつは間違いってもんだぜ」
「なにがよ?」
「馬鹿は風邪を引かないんじゃない。馬鹿は風邪を引いた事に気付かないんだぜ?」
「結局馬鹿って事じゃないの」

 アラドの言葉に呆れるゼオラと仕方のない子ね、と苦笑するオウカ。毎日が過酷な訓練とグロテスクな手術や実験の繰り返しだったスクールの日々で彼らは互いを支え合う家族となり、それは今も変わらない。

「ここにいたのか、お前達。もう準備は整っているぞ。オウカもデータの記録を頼む。お前はおれよりもいろいろと気がつくからな」
「はい。全力で任務に当たります」

 通路の向こうから口ひげを生やした四十代頃の顔立ちをした、アジア系の士官がオウカ達の姿を見つけて声をかけてくる。軽く手を上げて厳めしい顔立ちにしてはフランクな所作だ。
 新教導隊の隊長を務めるカイ・キタムラ少佐である。傍らには、薄菫色の癖っ気と眼鏡が特徴的な小柄の少女ラトゥーニ・スゥボータの姿もある。見た目はあどけなさの残る少女だが、屈強なSP五人分に匹敵する戦闘能力を持つ。
 仮に同じ経歴のゼオラやアラド、オウカも同様であったなら、下手をするとこの場にいる面子の中でカイが最弱かもしれない。
 これで新教導隊の隊員がほぼ全員揃った事になる。これから量産型ヒュッケバインMk−Uに続く連邦軍次期量産機のトライアルに向けて、出展された各軍事メーカーの機体のテストの為のミーティングを行う予定だった。
 ラトゥーニやゼオラ、アラドらはスクール在籍時に、肉体改造の手術や危険度の高い薬物の投与、記憶の改竄を含む精神操作を受けて機動兵器への適性を高められている。
 スクール解体以後はそれほど頻繁に、かつ大規模な手術を受けたわけではないから、こうして問題なく機動兵器のパイロットを務める事が出来ている。
 ただもっとも長くスクールに在籍し、時に人格をまるごと消去されたり書き換えられたりと、日常生活に支障をきたしてもおかしくない処置を受けたオウカに関しては、今もカウンセリングをはじめ、軍医から定期的に検査を受けている。
 C.E.世界に居た頃も記憶喪失から精神が不安定になり、時にそれが隊長に悪影響を与えた事もあった。
 クォヴレーの介入でこちら側に来てから立て続けに戦闘を行った時だって、その前にヤキン・ドゥーエ攻防戦に参加し、AI1セカンドやルオゾールとの死闘魔戦による精神と肉体の疲労を引き摺っていたのだ。
 アインストを撃破しひとまず戦いに終止符が打たれた直後、着艦したスペースノア級万能戦闘母艦二番艦ハガネの格納庫でオウカは倒れ、丸一か月軍病院のベッドの上で過ごしている。退院後も完全に体が回復するまでは機動兵器への搭乗を禁じられている。
 その影響で今は新教導隊隊長のカイの傍らで秘書の様なポジションに落ち着いていた。機動兵器のパイロットとしての腕は知っていたが、秘書としても中々に見所があってカイにとっては嬉しい誤算だった。
579660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 20:58:55 ID:???
 ゼオラとアラドはスクール時代の頃からと変わらぬ凝った意匠の服だが、アラドらよりも早く連邦軍に保護されていたラトゥーニや、オーブ軍のパイロットスーツとインナーだけでこちらに帰還したオウカは、そういった経緯もあって既定の軍服を着こんでいる。
 カイからトライアルに出された新型機各機のデータの入ったメモリーディスクを手渡され、Dコンに入れてオウカはすぐさま内容に目を通して、カイに頷き返す。
 軍内部からは歴戦のキャリアを積んだカイが女子供ばかりの新教導隊の隊長に任じられた事を閑職に追われたのではないか、と噂する声がある。
 所属する隊員の年齢のみならずカイ以外は残らず問題のある経歴の持ち主とあって、後ろ暗いその噂はまことしやかに流布している。
 カイ自身もその噂は耳にしていたが苦しい戦いを共にくぐり抜けた彼女らの人柄や実力を信頼していたから、気にはしていないし、またラトゥーニらにそのような噂が届かぬように出来得る限り配慮していた。
 だがオウカはその噂を耳にしていた。オウカもまたカイ同様にゼオラやラトゥーニ達の耳に入らぬよう心を砕いたのは、弟妹達に要らぬ心労を与えたくはなかったからだ。
 ただでさえラトゥーニ以外はノイエDCの兵士として連邦軍に敵対した為に、今も懐疑の目を向けられている。そんな自分達を庇い居場所を作ってくれたカイに対しては、皆大なり小なり感謝している。みっちりしごかれているアラドは愚痴ばかりだけれど。
 それなのにカイにとってよからぬ噂を立たせてしまっているとあっては、普段は陽気の塊としか見えないようなアラドだって落ち込んで、丼で五杯お代わりする所を二杯で留めてしまうだろう。
 オウカだってカイに感謝する気持ちは同じだ。オウカ自身敵対していたが、通常の連邦軍では全く歯が立たないような激戦を、スクールの落ちこぼれだったアラドが戦い抜けたのも、カイを始めとしたヒリュウ・ハガネ隊の仲間達のお陰だろう。
 戦後もこうして面倒を見てくれるカイには、いくら感謝してもしきれない。設定された事とはいえスクールの長姉として、長く弟妹達の面倒を見て来たオウカとしてはカイの様に目上ながら、親しくしてくれる人間との接触は経験のない事である。
 アギラ・セトメという母と偽っていた狂科学者はいたが、目上という立場は同じでもまったく接し方の異なるカイに対しては、たぶん、父性への憧憬に似た何かを向けているのだろう。新教導隊が外部からの風聞を覆す事に成功する日はそう遠くはあるまい。
 この様にシンの暗澹たる思いに反して、オウカは自分の居場所を見つけていた。その事をシンが知るかどうかは、まだ分からぬ事である。



「くしゅんっ! む……」

 冥府の銃神、悪魔王と畏怖され、無限に重なり存在する世界の機動兵器の中でも、最強の一角に名を連ねるディス・アストラナガンのコクピットの中で、体のラインも露わなボディスーツ姿の、やせっぽちな少年がくしゃみをした。
 造りめいた印象を伴うほどに整った造作の美少年である。銀糸を一本一本植えこんだ様な髪は緩やかに波打っている。オウカの生命をC.E.世界から新西暦世界へと還した張本人“因果の番人”クォヴレー・ゴードンである。
 十代半ばほどの顔立ちは薄く笑みを浮かべて、鋭すぎる目つきを柔らかなモノにすれば、たちまち同性も蕩かす様な美貌へと変わるだろう。その顔には相応しくない、あるいは相応しいくしゃみに、口元を押さえている。
 イングラム・プリスケンの使命を継ぎ因果の番人となってからは、食事や睡眠と言った通常の生理現象はなくなり、ディス・アストラナガンとリンクする事によって半永久的に生命活動を維持できるようになっていた。
 くしゃみをしたのは随分と久しぶりの事である。生命維持機能を常人とは大きく異なるモノに変えて以来といっていい。あらゆる世界を巡る因果の番人は、通常の人間の肉体では務まらないという事であろう。

「噂をされるとくしゃみをするというが、まさかな」

 クォヴレーはそれだけ言うと、あらゆる色彩を混ぜてどろりと粘っこく渦巻く世界の中に佇むディス・アストラナガンを操った。正確には因果の番人の使命を遂行するのに最も重要な機関ティプラー・シリンダーを稼働させたのだ。
 かつて介入したC.E.の世界へ再び転移する為に。しかし、それが果たしてうまく行くかどうか、クォヴレーにも分からぬ事であった。C.E.世界の宇宙全体を、次元転移さえ阻む強大な力が覆い尽くしているのだ。
 たとえディス・アストラナガンの力を持ってしても、謎の力が形成するある種の結界を突破する事は容易ならざる事だ。
580660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:00:26 ID:???
「破滅の王か、あるいは奴の力か。しかしすでにこれほどの力を手にしているとは、一刻の猶予もないか」

 静かに呟きながらも、クォヴレーの瞳の中には強い意志の炎が燃えている。受け継いだ因果の番人としての使命の為か、それとも自身の誕生にも繋がった輪廻の輪が手の届くところに存在している事を意識している為なのか。
 やがて、ディス・アストラナガンは操者諸共に次元の狭間から姿を消した。



 カーペンタリア基地に向かうミネルバと途中で別れ、タマハガネは大洋州連合が用意したダーウィンの近くにある軍施設で炉を休める事となった。
 タマハガネ艦長のエペソとアルベロ、ジニン、デンゼルの責任者組が、大洋州連合側の責任者達と会合を持つ間、シン達パイロット組には休息が出された。船旅に飽きていた若いパイロット達は、意気揚々とオーストラリア大陸の大地へと足を踏み下ろした。
 いつもの様にロックオンとデスピニスのコンビにティエリアが引っ張り出され、シンとステラ、セツコ、トビー、刹那の八人が先にタマハガネから降りて、残るレオナ・タスク・スティング・アウルが居残り組になる。
 レントンとエウレカはオノゴロで受領した新型試作機のテストの為に残るらしい。まだ後部格納庫で細かい調整を受けている段階だが、そろそろ外に出して実動データを取る事に決まったそうだ。
 数か月前に行われた適正テストで、シンやスティング達をはじめとした既存のパイロット達を上回る適正値を出し、レントンとエウレカが選ばれたらしい。詳細はシンも知らないが、おれはやりますよ! と燃えているレントンの姿を目にしている。
 その様を居残り組のスティングとアウルが目撃する事になった。後部格納庫に佇立している見慣れない機体の足元で、二人はその機体を見上げていた。全高十二メートルほどでMSよりもずいぶん小型に見える。
 白を基調に四肢のあちこちに赤色のラインが伸びている。胸部にはなにやら車のライトみたいなパーツがあり、頭部は額のあたりから上に伸びる角とツインアイを持っていて、ガンダムタイプとも異なる容貌を持っている。
 やや手足が長いように見え、背中にはバックパックというにはやけに奥行きのあるものを背負っていた。インパルスのコアスプレンダーの様な脱出機構だろうか?
 傍らにはサーフボードをこの機体に合わせたサイズに大きくしたものが立てかけられていて、他にも小型の銃器類などが並べられている。
 DCではビアンでも把握しきれていないんじゃないのか、と言う位無数の新型機やらパーツやらなんやらが立案・計画・実行・破棄がされているから、パイロットレベルではどういうコンセプトに基づく機体だとか新機種だとか、さっぱり分からない。
 いかんせん見た目からの推測を裏切る機体が少なくないのである。
 不思議とそれで組織がうまく回っているとはいえ、杜撰といえば杜撰な状況が、そのうち大問題になるのは火を見るよりも明らかだろう。DCの女帝ロンド・ミナ・サハクの辣腕と愛の鞭に矯正を期待するばかりである。
 グローリー・スターの扱っているバルゴラもそうだが、この機体の専属パイロットもいる筈だろうとちらほら周囲を見回す。思惑は外れなかったようで、真白い機体の足の影から、レントンとエウレカが仲良く顔を覗かせた。

「よう、レントン、エウレカ。なにこの機体、お前らの?」
「はい! おれとエウレカのニルヴァーシュです!!」

 気合いの入った返事をするレントンに、おーおー、気合入ってんなあとアウルは感心する。二人ともDC謹製の機動兵器を多く目にした事で、並大抵のトンデモ機体を見ても気にならなくなっているので、あんまり感心している様には聞こえない。
 アウルの生返事に気づいた風もなく、レントンは握り拳を作って興奮しているのかやや頬を紅潮させている。エウレカの方はそれほど感情を表していない様子なのが対照的である。

「ライト・ファイティング・オペレーション、略してLFO!! その一号機がこのニルヴァーシュっす。超小型超高性能のテスラ・ドライヴ内臓のボードと本体グラビコン・システムで通常の機体をはるかに上回る三次元機動を可能とする新種なんす。
 外装からフレームまでズフィルード・クリスタルっていう自己再生機能の素材でできてて、ちょっとやそっとのダメージなら勝手に再生するんですよ! 後ヴァルシオーネとサイバスターのと同じ特殊武装も後々追加予定!!
 他にもデータ貯蓄とパイロットの脳にそのデータを反映させる魂魄ドライブと、特別にその拡張パーツである阿弥陀ドライブ、それに疑似人格搭載学習型コンピューター搭載で乗れば乗るほど強くなる特製で、おれ、まじでライダーに選ばれて感激してるんです」
581660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:01:28 ID:???
「あーもー、分かった分かった。そんなに興奮すんなよ。これレントンがパイロットなのか?」
「私も乗るの。私がメインライダーで、レントンがサブ」

 レジを打っている時と変わらぬ調子で、エウレカが口を挟んだ。血が流れていないのではないかと疑ってしまうほど白い顔は、立て板に水を流すようにまくし立てるレントンを少し扱いかねているようにも見えた。
 感情を見せる事が滅多にないエウレカからすれば、今の鼻息の荒いレントンは珍妙な生物みたいに映っているのかもしれない。

「ふーん、複座式か。珍しいな。次からもうこいつで戦うのか? コンビニどうすんだよ」
「戦闘中は閉店する予定です。とりあえずはシミュレート通り動くのかってテスト段階すけど、待っててください。近いうちにおれとエウレカも、このニルヴァーシュでアウルやスティングに負けないくらい活躍して見せますから!!」
「ま、期待しないで待っとくよ」

 おもちゃを与えられた子供そのままに瞳を輝かせて、大量の唾液をアウルの顔面に浴びせ掛けながら、休むことなくニルヴァーシュの自慢をするレントンにスティングは呆れて溜息も出ない。
 そんなレントンに危ういものを感じて、スティングは正反対に落ち着き払っているエウレカに声をかけた。

「エウレカ、お前ははしゃがないのか? レントンの言っている通りのスペックなら、新型特機並みに価値はあるだろうな。感想はないのかよ」
「ニルヴァーシュは、私とおんなじ」
「?」
「何も知らない、真っ白なの」

 エウレカの言うニルヴァーシュは、たぶん搭載されているコンピューターの事だろう。AI1という雛型があるから、DCにおける人工知能の完成度は極めて高い。もともとオーブで疑似人格搭載型コンピューターが完成していたという土台があるのも大きい。

「親近感があるって言いたいのか?」
「たぶん似てるけど違う。私にもよく分からないの」
「自分の事も良く分からないってのか?」
「うん」
「ま、人間そんなもんだけどよ。ああ、それとなレントンがあの調子のままで戦場に出たらだいぶ危なっかしい。同じ機体に乗るって事は、お前がレントンの命を預かって、お前が自分の命をレントンに預けるって事だ。気を付けろよ」
「そういうものなの?」
「たぶんな。戦争に関しちゃおれの方が先輩だ。頭の隅っこに憶えておいて損はねえ。一応、忠告はしといたぜ」
「分かった」

 こくりと頷くエウレカを見て、スティングはかえって不安が増すのを感じた。レントンはレントンで不安材料が過剰満載だが、エウレカはエウレカで周囲の人間に不安を抱かせるものがあった。
 真っ白いものを汚す事への不安や罪悪感にと言えばよいか。無垢な者に穢れを与えるように、自らの行いに躊躇いを覚えるのだ。戦場に身を投じた後、はたしてエウレカはどうなってしまうのか。レントンはある程度予想は着くのだが、エウレカは予想がつかない。
 後で問題になんなきゃいいがな、とスティングは胸中で溜息をついた。なるだろうなあ、とほぼ確信していたけれど。



 現地のレストランに入って、ラズベリーソースのかかったカンガルーのステーキなどここでしかお目にかかれそうにないものを、注文しようかすまいか(カンガルーを食べるのに抵抗を示したものが数名いた)悩んでいた時である。
 シン達全員のポケットから無粋なシグナルが聞こえた。周囲の客達が迷惑気な視線を向けてくる中、慌ててスイッチを切って取りだす。Dコンと呼ばれる携帯モジュールだ。軍用に特別強力な短波通信の利く代物で、NJの影響もほとんど受けない。
 送られてきたメールの内容は、ギブソン砂漠のマッケー湖の付近で戦闘が行われており、それを大洋州連合の部隊と合同で調査する様にというものである。
 他国の領内で軽々しく行って良い行動ではないが、司令であるエペソは時折非常識な事や人命を軽んじた命令を出すものの有能である事は事実だ。こうして連絡を入れて来たという事は、大洋州連合から要請があったか了承を得たという事だろう。
 ロックオンが切り上げて船に戻るぞ、と言って勘定を払いに立ちあがる中、ステラとデスピニスが悲しげな顔でポツリと呟いた。

「コアラ、見たかった」

 しょんぼり肩を落とすステラとデスピニスの姿に、シンはエペソへの怒りを募らせた。仏頂面の司令への敬意よりも愛らしい少女と幼女が落ち込んでいる光景の方が、シンの心を動かした様である。時折悩む様子を見せても、基本シンはこんなもんらしい。
582660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:02:36 ID:???
 トビーとロックオンがレンタルした車に四人ずつ分けて乗り込み、買い込んだ荷物をトランクにしまいこんでから、予定よりもはるかに早くタマハガネへの帰路に着いた。
 タマハガネに戻ってからすぐさまブリーフィングルームに呼び出しを受けて全員着替えてから出頭すると、すでに居残り組と見慣れぬ白衣姿の男性と、大洋州連合の軍服を着た男女が二人室内にいた。
 待たせてしまったことを詫びつつ、全員がそれぞれ席につき、壇上に立つアルベロからの言葉を待つ。

「大洋州連合からの要請でおれ達が戦闘のあった地域の調査を行う事になった。また、今回は彼らがおれ達に同道する。こちらは大洋州連合軍設計局のフィーデル・バルクホルツ技術少佐と」

 アルベロに促されて、脇に控えていた白衣姿の男性と大洋州連合の男女とが前に出た。

「マリナ・カーソン少尉です」
「タック・ケプフォード中尉であります」

 丸い眼鏡をかけた温厚そうなバルクホルツに続いて、きりっとした印象のややきつそうな美人がマリナ・カーソン、同い年くらいの若い青年がタック・ケプフォードだ。いかにもマリナ生真面目な士官風であるのに対し、タックは気さくな感じがする。
 三人共女子供の目立つクライ・ウルブズの面子に多少思う所はあるのだろうか、居並ぶ面々のバラエティの豊さに訝しげな様子を見せている。
 若い連中はコーディネイターなのだろうと判断する事も出来るが、デスピニスくらいの子供となるともはや論外であるし、刹那やティエリア、ロックオンも私服姿で堂々と顔を出している。
 懐が広いというのとはまた違ったDCの内情を知らない人間からすれば、本当にここは軍隊かと疑いたくなる場所ではある。

「バルクホルツ博士」
「おほん。初めまして、先程ご紹介いただいたフィーデル・バルクホルツです。高名なクライ・ウルブズの皆さんとお会いできて光栄です。えー、今回高度な政治的判断によって、皆さんにご助力を仰ぐ事となりました。
 既に偵察の為に部隊が動いていますが、おそらくは戦闘になるものと思われます。微力ながら我々大洋州連合が開発したアークシリーズの新型機、ガンアーク二機と専属のパイロットを同道させます。二人とも優秀ですのでどうぞ、ひとつよろしく」

 設計畑の人間がここにいるという事は、バルクホルツ自身がそのアークシリーズの設計に関わった人間なのだろう。技術屋らしく長々と口舌を動かすかと思われたが、わりとあっさり話を終える。
 しかし、わざわざDCに助力を仰ぎしかも独自開発した機動兵器を同道させるとは。ザフトの地上拠点であるカーペンタリア基地とは目と鼻の先で、しかもつい先程ザフトの新鋭艦ミネルバと行動を共にしていたクライ・ウルブズに、だ。
 バルクホルツの言う通り高度な政治判断に基づく軍事行動なのだろう。大洋州連合がザフトひいてはプラントへの態度を決めたとも取れる。実際この事を知れば、カーペンタリアのザフトや、プラント本国の方から圧力がかかるのは目に見えている。
 アルベロが手元のコンソールを操作して大型モニターに画像を映し出した。

「先行した偵察部隊からの連絡で、砂漠の地下に相当規模の軍事基地が設けられているとの事だ。どこの部隊が戦闘を行っているかは不明との事だったが、こちらに回された画像がこれだ」
「あれは、あの時の」

 刹那とシンが息を飲んで、その画像を睨んだ。アクセルの駆るソウルゲインを襲い、また無人島の周辺で不審な行動をとっていた謎の機動兵器群。大洋州連合が捉えた画像に映し出されたのは、ルイーナの使用する機動兵器に間違いなかった。
 刹那とシンの二人掛かりでも苦戦した、あのイグニスという男の事が思い出され、刹那が眦を険しくする。高水準以上の兵器とパイロットしかいないクライ・ウルブズでも苦戦する相手だ。
 通常の戦力しか持たない大洋州連合の部隊では何倍もの戦力を用意しなければならないだろう。これまでの二度の戦闘は遭遇戦であったが、今度は連中の基地での戦闘となるだろうから、これまで以上の苦戦を強いられるに違いない。
583660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:04:01 ID:???
 あくまで調査が目的だが、クライ・ウルブズの性質と司令の性格からしてよほどのマイナス材料がない限りはそのまま、基地を攻略せよと暗黙の内に命じられるのは目に見えている。
 これまでの単艦での多数を相手にした圧倒的不利な戦いを経験している古参組は、自分達に付き合わされる形になったマリナとタックに対して、密かに同情していた。
 通常五機落とせばエースと言われる中、五十機落としたらエース扱いされるのがクライ・ウルブズなのだから。できるだけフォローしようと、数名が思った。
 南半球で唯一DCの勢力下にないのが大洋州連合であるし、色々と便宜を図っておくに越したことはない。



 ギブソン砂漠を眼下に、無数のアルゲンスが二機の機動兵器を取り囲んで無数のビームらミサイルを放っている。吹きつける熱砂は乱れる気流と爆発によって吹き散らされて、世界を黄色く変えていた。
 地下に設けられていた分厚いゲートはすでに破壊され、巨大な破壊孔を広げている。アルゲンスと刃を交えている二機の奇襲によるものだろう。
 ザフトと大洋州連合の監視の目をくぐり抜けて基地を建設した事から、隠蔽その他の技術もかなりの組織力を持つ事は、想像に難くない。
 ベルグランデやアンゲルスの波状攻撃を受けながら、反撃と共に確実にその数を減らしているのは、イグニスが血眼になって追いかけたラキと呼ばれた誰かの機体ファービュラリス。
 そしてファービュラリスと並んで、ルイーナの軍勢と砲火を交えているのは巨大な翼を持った人型の機動兵器だ。両手に盾と兼用になるだろう刃を備えている。黒と青の二色の装甲には、オレンジのラインが走っていた。
 ストゥディウムと呼ばれる機体だ。ルイーナへの反逆者はラキのみならずもう一人いたと言う事であろう。
 ファービュラリスと背中合わせになったストゥディウムが、くるくると独楽のように回りながら、サギッタルーメンとワイバーンショットの連射で瞬く間に自分達を囲む敵を減らす。
 機体の性能差もさることながら、パイロットの技量もかなり高い。爆発の輪が雪と風の巨人を取り囲む中、それぞれのパイロット達が通信を繋ぐ。

「ウェントス、機体に損傷はないか」
「大丈夫だよ、グラキエース。君の方こそ大丈夫かい?」
「問題ない。しかし私達の想像以上に戦力があるな」
「僕達がルイーナから離れている間に相当戦力を強化したみたいだね。流石に二人だけだと厳しい」
「だが諦めるわけには行くまい」
「そうだね」

 ラキというのはグラキエースという本名から取った愛称なのだろう。水色の長い髪を後頭部で結えて垂らし、前髪はきれいに切り揃えている。眼もとの紫の隅や、肉の薄い唇に刷かれた紅が雪肌に映えて妖しいまでの魅力を持っている。
 御伽噺の中の雪女や氷雪の妖精だと言われたら、思わず信じ込んでしまいそうな人間離れした美しさと、抱きしめたら腕の中で溶けて消えてしまいそうな儚さがある。
 ウェントスと呼ばれた青年は、病的な白さの肌にそれよりもなお白い髪を方々に伸ばした柔和な表情を浮かべている。
 戦闘の最中だけでなく何時でもどこか儚い様な笑みを浮かべているのではないだろうか。ひょっとしたら、苦しみに苛まれている時も、死を前にしても。
 二人の会話から推し量るに、グラキエースとウェントスの二人共がイグニスと同じルイーナに属する存在であったようだ。
 二人にいかなる理由があってルイーナの元から離れたのかは不明であるが、圧倒的多数を相手に戦いを挑んでいる事から並みならぬ覚悟を胸の内に抱いているのは間違いない。
 ファービュラリスとストゥディウムの同時攻撃で破壊したゲートの奥から、途方もない熱量が生じた事に気づき、二機が大きく離れた。ゲートの破壊孔をさらにどろりと融解させて広げる炎の竜。
 風に乱れて飛ぶ砂粒を悉く蒸発させながら、二十メートルクラスの機動兵器など丸ごと飲み込める巨大な炎の一文字が、天空まで両断する。一瞬モニターを埋め尽くした毒々しい炎に、グラキエースは真っ白な額に汗を浮かびあがらせる。

「ラキィイイイ!!!」

 共に出撃したアンゲルスとベルグランデが、インペトゥスから噴出する炎に飲まれて炎上する。イグニスの気迫がそのままインペトゥスに乗り移り噴き出す炎の勢いを増しているのだろう。
 まさしく死者をも焼く煉獄の化身の如き炎の魔神インペトゥスが、天をも焦がし尽さんばかりの勢いの炎と共に現れる。
584通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 21:05:21 ID:???
支援
585660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:07:20 ID:???
「イグニスか」
「相変わらずだね、彼」
「ラキ、なぜルイーナから離れた! なぜ破滅の王に反逆する!? 王の復活の為にのみ存在する。それがおれ達メリオルエッセ、その為のルイーナ!! なのに、お前は自ら自分の存在を否定するのか」

 ぼくの事はどうでもいいあたり、本当に変わらないな、とウェントスが思う中、グラキエースが外見と雰囲気を裏切らぬ、氷の鈴を鳴らしたように冷たく美しい声で答える。

「お前にとってはそうなのだろう。だが私にとっては違う。この肉体は破滅の王に造られた偽りの人形に過ぎない。だが私の心は違う。
 今も私の心の中にジョシュアがいる。そうである以上、私は誰かの人形にはならない。自分の意思で生きる事を教えてくれたのはほかならぬジョシュアなのだからな」
「何を言っている!? ジョシュアとは誰だ。おれとおまえは同時に造られた存在、ルイーナの中でも最も近しいはず。なのになぜ、お前はそれほどまでに違う」
「なぜ違うのか、か。再び破滅の王に造り出されたお前達が、あの時の記憶を持たなかったのに、私達は以前の記憶を持ったまま造り出された。それは私達が、ジョシュア達に心を与えられたからだ。
 心を持たず破滅の王の操り人形のままのお前たちでは、私達の事が分かる筈もない。私とて最初は自身の事が分からなかったのだから」
「ラキ、お前は壊されたんだ。そのジョシュアとか言う奴に! 分かっているのか? 破滅の王に逆らった以上、時を待たずしてお前は破棄されるのだ」
「元よりメリオルエッセとは王より生まれ、王に還る存在。王に還るのが早かろうと遅かろうと関係ない。私は自分の生き方を選んだだけ、後悔はない。もっともジョシュアに壊された、という言い方は的を得ているな」
「破滅の王には何人も抗えん。絶望と恐怖に包まれながらただ朽ちるのを待つ事しかできぬ。お前がしている事はすべて無為だ」
「それはどうかな。破滅の王のもたらす恐怖と絶望に抗い、生を勝ち得た者達もいる。イグニス、人間は強い。メリオルエッセが感じぬ恐怖や絶望に心襲われても立ち上がる強さを人間は持っている。
 その強さを知っているから、破滅の王の下へと還ったはずの私達があの時の記憶を忘れずにいられたのだ」
「……お前の言っている事はおれには分からん。だが、ラキ、お前が壊れてしまった事は分かった。いいだろう、おれの手でお前を破壊しつくしてやる。失敗作、貴様もついでにな!」
「……ぼくもラキもこんな所で終わるつもりはないよ。クリスとリアナのいない世界だけど、それでもこの世界はこの世界に生きる命のものだからね。破滅の王の好きにはさせるわけには行かないんだ
 破滅の王が壊そうとするこの世界を、王に造り出されたメリオルエッセであるぼくらの手で、ルイーナから守らせてもらうよ」
「ウェントス、貴様も戯言を抜かすかっ。諸共に消し炭になれぇええ!!」

 直径百メートルにも達しよう巨大な火球が、インペトゥスが突き出した両手の先に生じ、滾る熱が周囲の光景を陽炎の中に閉じ込めながら、ファービュラリスとストゥディウムへと放たれる。
 巡洋艦クラスなら容易く溶解させるだろう超特大の火球を左右に別れて、二人はかわす。やや遅れて、インペトゥスの背後から無数のアンゲルスとベルグランデが現れる。
 すでにグラキエースとウェントスで二十機近く撃墜していたが、それ以上の数がまだ残っていたようだ。

「イグニスの相手は私がする。ウェントス、回りのミーレスは任せるぞ」
「うん、分かったよ。気をつけて、イグニスはもう君相手でも容赦はしないよ」
「ああ」

 氷雪の魔女と炎の魔人は、オーストラリアの空で対峙する。ほぼ同時期に造り出されながら正反対の性質を与えられた二つの仮初の命は、心を持った者と持たざる者とに分かれ、雌雄を決せんとしていた。

つづく
586660 ◆4TnuOgvz4. :2009/07/21(火) 21:14:17 ID:???
タック・ケプフォードがNPCになりました。マリナ・カーソンがNPCになりました。
グラキエース・ラドクリフがNPCになりました。ウェントス・?がNPCになりました。

オウカ・ナギサとカイ・キタムラに『部下と上司を超えた関係』フラグが経っていました。

以上です。ご感想ご指摘ご助言いただけましたら幸いです。ラキの苗字はまあ、アレでいいとして、ウェントスはリムスカヤでいいですかね? ラドクリフ? 
なお、ラキとウェントスは二人とも生存できる捏造ルートクリア後ということにしてあります。Dで、主人公ルート両方クリアしたら二人とも助けられると信じていた名残です。
では、おやすみなさい。
587通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 22:46:23 ID:???
GJ!リムスカヤでいいんじゃないですか?ラキもウェンもジョッシュとリムの事覚えてて嬉しい。
タックとマリナの乗機は地味にチート臭いアーク系なんかね
588通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 23:41:23 ID:???
総帥乙!
レントン浮かれてるけど、オクレの危惧からして原作の展開が待ち受けてんのかなあ

ウェントスも来てたのか
しかしクリスとリアナが居ない世界ってことは、このCEにはジョッシュ達は存在しないということかあ
ともあれ、この二人が孤立無援の状況からどの勢力に流れ着くかが見物だ
589通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 23:56:17 ID:???
おおACE2からあの三人がきたか。
でもガンアークの衛星砲(名前忘れた)は脅威だけど
自前でアレレベルの火力持った機体ゴロゴロしてるというw
レントンは原作通りライダーズハイになって家出するかなこりゃ?
590通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 17:13:51 ID:???
世界を壁で覆っている?ひょっとしてクラインの壺か!?
仮にラスボスがナイアさんなら霊帝どころの騒ぎじゃねぇwwwwww。
591通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 18:25:23 ID:???
完璧親父はナイアさんどころか、アザりんに匹敵するチート野郎ですよ
592通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 20:37:20 ID:???
>>591
完璧親父=快眠魔王アザリンと言うのが通説

リムとリアナが居ないってのは
例え同じ人間でも自分と共に生きた彼等は居ないってことじゃないかねぇ

自分は相手を知ってても相手からしたら初めて逢った他人だし
593通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 20:54:57 ID:???
総帥乙です!
久保がCEに戻って来たときに何処に所属するのかが気になるw
サルファの事を考えればオーブが妥当なんだろうけど、シンと久保の絡みがもっと見たいからDCを熱望してみるw
594通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 21:08:14 ID:???
主人公の苗字がラドクリフだったり親父がアザトース神だったり
色々くとるふってるよねスパロボD。
しかもデモベと発売時期はほぼ同じと言う。


ちなみにウンブラとプリスクスノクスのルックスは
ナイアラトホップ意識らしいね。
595通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 22:50:19 ID:???
ウンブラには本体が美少女設定有ったり
フォルテギガスの無茶合体後は排熱追い付かない為熱くなるとか
種だとシンは移民とか調べないと解らん設定多いよな
596通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 22:51:30 ID:???
Jの後継機の乗り換えイベント設定もなwww
597通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:17:57 ID:???
シンは念を「法」レベルまで進化させないとヤバイな。
無論、3人による新しい戦闘スタイルも習得することが前提だけど。
インフレが加速しているな……。
598通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:22:15 ID:???
シンの飛鳥インパルスがピンチになった時
オーブのとある島に封印されていた大怪鳥メカが助けに来たり
599通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:28:22 ID:???
>>596
確かG・ドラコデウスは、グランティードのピンチに伝説の竜バシレウスが何処からともなくやってきて合体するんだっけ?
本編だと普通にモルゲンレーテに置いてあったけどw
600通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:49:20 ID:???
>>595
割と無茶ではないようだけどね
ttp://up.ultra-zone.net/up2625.jpg.html
601通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:51:03 ID:???
こういう設定を見てると携帯機にもロボット&キャラクター図鑑が欲しくなってくる……
いい加減つけてもいいころだと思うんだけどなぁ。
602通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 23:51:05 ID:???
あれは単なる脚本家の力不足。
前と後で話が食い違ってたり序盤で振った伏線を回収しなかったり
シャナが空気だったり、Jはそういうのが多い。
603通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 00:34:12 ID:???
>>598
勇者の祖たるTFでゴッドジンライがビクトリーレオに転生したように
前作で大破したグルンガスト飛鳥の生まれ変わった姿とか?
604通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 00:37:43 ID:???
>>603
ズフィルードクリスタル使ってた筈だから眠りについてた飛鳥の中で新しい機体に生まれ変わってて
光と共にG飛鳥の装甲等が吹き飛び現れるとか
605通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 01:04:30 ID:???
>>602
力不足っていうか前半と後半でライターが変わってる
前半のライターは鏡だから、Jの評価が低いのは主に後半担当のライターのせい
606通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 01:13:24 ID:???
・・・そういや斬艦刀受け継いだ時グルンガストにマシンセル付いていたような

あれって増殖するっけ?
607通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 01:49:44 ID:???
>>606
マシンセルは増殖・侵食・分解・自己進化のなんちゃってDG細胞兼月光蝶
ゲルミル系は各量産機にマシンセルが侵食して進化させた機体だぜー
608通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 08:06:31 ID:???
ダイゼンガーとスレードゲルミルの戦いの時に、マシンセルの中枢ユニットの一つを破壊するイベントがあったと思う。
ディバインSDDEのシンは念の力で無理やり操ったに過ぎないものの、DCの科学力ならマシンセルを解析して逆に制御系を作り出せていそうな気もするな。
一般化しないのはやはりコストパフォーマンス、それとも人体への侵食の可能性?
609通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 09:53:26 ID:???
いや、マシンセルは設定上劣化ズフィールドクリスタル(制御装置が必要)でしかないから、
ズフィールドクリスタルを生成操作する技術を持っているDCには、そもそも使う必要が無い。
610通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 19:39:25 ID:???

>>591
>>592
アザリン言うなw何処の幼女皇帝だw

それはそうとして、先日ACE2終わらせた俺としては、このバルクホルツが気になる・・・
やっぱあちら側から・・・なんでしょうな
そして同時に気付いたが、この分だと来てるのでしょうベルクトとル=コボルって
やろうとしたこと被ってるんですね、どの様に絡むのか非常に期待でかいっす

そういやベルクトの副官ってなんて名前だったっけ・・・こっちで会ったらどうなることか
611通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 01:12:07 ID:???
ベルクトが真ドラゴン付きで来たらC.E最後の日になるんじゃねと思ったが、
この面子だとすごいあっさり止められそうな気がしてきた。
612通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 19:08:52 ID:???
んなあっさりとはいかんだろ
腐っても真ドラゴンだぞ?ガニメデ(月よりでかい+インベーダーが強化してる)を
一撃で破壊する化け物なんだから。
613通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 19:32:16 ID:???
生でも真ドラゴン
焼いても真ドラゴン
ゆがいても真ドラゴン
614通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 19:41:36 ID:???
>>612
 いや、ネオ・グランゾンは同格の機体(アストラナガン)と本気で殺り合えば、余波で宇宙崩壊する怪物
 ほぼ同格のネオ・ヴァルシオンにサイバスター(精霊憑依)、サイコドライバーの駆るナシム・ガンエデンまでいる世界デスヨ
 ゲッターエンペラーならともかく、真ドラゴンなら止められそうです。
615通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 20:58:52 ID:???
>>614
舐めてんのかお前は。版権ロボは踏み台じゃないんだよ。
616通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 21:02:20 ID:???
所詮単なる設定だけのくせに実際の描写があった真ドラゴンを雑魚扱いとかないわ。
617通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 21:29:37 ID:???
乗ってんのベルクト一人だけだから本来の力は出せんと思うが…
CEの宇宙にゲッター線あるか分からんし
618通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 21:37:32 ID:???
そもそも真ドラ様来るのか?
むしろスパロボの真ドラポジション奪う方が速いような
619通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 21:43:51 ID:???
>>615
どう考えても舐めてるのはお前だろ
三つの心が一つにならない真ドラゴンがそこまで強いわけないだろJK
どんだけベルクト贔屓にしてるんだよお前は
620通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 23:12:26 ID:???
じゃあもう常々言われてきたネタで
ベルクトはアクラヴから真・龍王機を奪ってもらうということで
621通常の名無しさんの3倍:2009/07/24(金) 23:29:52 ID:???
深紅 var.OGが流れるのですね、わかります
622通常の名無しさんの3倍
>>620
確かアレって頭の上に乗ってるだけなんだよな。