新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦5戦目

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1通常の名無しさんの3倍
このスレは我らがパトリック・コーラサワー他00の面々とWの皆さんの
日常を描いた心温まるスレです。

00が終わってもコーラとカティがゴールインしてもこのスレはまだ終わりません

<<前スレ>>
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦4戦目
ttp://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1218545997/

<<過去スレ>>
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦3戦目
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1210763914/
新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦2戦目
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1204543589/
コーラーサワー主人公でW作り直そうぜ
ttp://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1191923320/

<<まとめ>>
ttp://arte.wikiwiki.jp/
ここのクロス(ガンダム)の「00-W」にあります
2通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:39:36 ID:???
主な登場人物

*プリベンターと、その関係者*
(日々、世界平和の為に戦ったり、戦わなかったりする)

パトリック・コーラサワー
 主人公。コードネームはプリベンター・バカ。
 プリベンターが誇る変態一号。
 何か行動を起こすたびに問題が発生するスペシャルバカ。
 元AEUの少尉らしいが退役した理由は不明。
 何が起きても生還率100%。
 今日もわが道を突き進む。

グラハム・エーカー
 コードネームはプリベンター・アホ。
 プリベンターの変態二号。
 独特の美意識を持ち、発せられる言葉はグラハム語と称される。
 ガンダムラブでプリベンターにきたらしいが詳細は不明。
 五飛の師匠(ガンプラの)

アラスカ野ジョシュア
 コードネームはプリベンター・マヌケ。
 プリベンターの変態三号。
 グラハムによってむりやり加入させられたかわいそうな人。
 あげくコーラさんによって呼称が「アラスカ野」になってしまった。
 すげえヘタレ。
 3馬鹿の中では意外とまとも。

ヒイロ・ユイ
 コードネームはプリベンター・ウイング。
 Wの主人公だがここでは影が薄い。
 MS(ミカンスーツ)の操縦から家事全般まで何でもこなす。
 リリーナの漫才がトラウマとなる。

デュオ・マックスウェル
 コードネームはプリベンター・デス。
 お調子者。
 立場上自然とつっこみ役になる(というか唯一の突っ込みキャラ)。
 喋る回数はコーラさんに次いで多い。

トロワ・バートン
 コードネームはプリベンター・ウエポン。
 口数は少ないがやるときはやる男。
 『しまっちゃうおじさん』を恐れる、妄想少年。
3通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:41:12 ID:???
カトル・ラバーバ・ウイナー
 コードネームはプリベンター・サンド。
 プリベンターの良心。
の筈だが意外と黒い。一度キレると誰も止められない。

張五飛
 コードネームはプリベンター・ドラゴン。
 得意技はコーラサワーいじり。
 強引すぎる手段で事件を解決しようとする。
グラハムの策略によってガンプラ作りにはまる。


サリィ・ポォ
 コードネームはプリベンター・ウォーター。
 プリベンターの現場部隊のまとめ役。
 コーラさんの暴走に頭を痛める毎日。

ヒルデ・シュバイカー
 コードネームはまだない。
 キレたら怖い。
 得意技はフライパン投げ。

レディ・アン
 コードネームはプリベンター・ゴールド。
 プリベンターのリーダー。
 本編にはあまり登場しないが、コーラさんやグラハムの加入を認めるある意味心のデッカイ人。

シーリン・バフティヤール
 コードネームはまだない。
 皮肉屋メガネ。
 レディ・アンの秘書みたいなことをしているらしい。

ビリー・カタギリ
みかんエンジンを発明した天才科学者。
喋りだすととまらない。
プリベンターに自身の開発した発明品を提供してくれる。
グラハムの一応友人。

マリナ・イスマイール
プリベンターのスポンサーその1。
この世界ではプチセレブ。
重度のショタコン。
20歳以上の男には容赦無くスタンガン攻撃を食らわせる
4通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:42:35 ID:???
ドロシー・カタロニア
 プリベンターのスポンサーその2。
 自身の屋敷の庭にはイカしたセンスの像が沢山立ち並んでいる。
 本編と同じく、気分屋と見せかけて意外と色々考えているお嬢様。


リリーナ・ドーリアン
 外務次官。
 ドロシーとお笑いコンビ『リドリロ』を結成。
 夢はM●1グランプリ優勝。
 ヒイロの恋人。


*マイスター運送*
(『24時間何処でも何でも運びます』がモットーの民間企業)

刹那・F・セイエイ
 マイスター運送の配送係。
 無愛想。
 ハローキ●ィちゃんマニア。

アレルヤ・ハプティズム
 マイスター運送の配送係。
 客に愛想の悪い刹那をたしなめた。

ロックオン・ストラトス
 マイスター運送の配達係。
 事実上マイスター運送のまとめ役。
 問題児が多く気苦労が絶えない。
    
ティエリア・アーデ
 マイスター運送の配送係。
 愛銃(水鉄砲)『ヴァーチェ』を携帯している。
 絶望するのが日課。

リヒテンダール・ツエーリ
 マイスター運送の配送係。
 陽気な性格。
 同僚のクリスティナ・シエラに片思い中。
 デュオと仲が良い。
   
スメラギ・李・ノリエガ
 ビリーの同窓(ビリーには九条君と呼ばれている)。
 一升瓶を持った酔っ払い。
5通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:44:37 ID:???
*人類革新重工*
(『揺り籠から墓場まで』が社訓。ここ数年、日の出の勢いで伸長を遂げている気鋭の企業)

セルゲイ・スミルノフ
 人類革新重工の商品開発部部長。
 心の俳句を詠む。
 俳句を詠む前は必ずブツブツと呟く。

ソーマ・ピーリス
 セルゲイの秘書。
 現在「バケラッタ」という言葉にこだわっている。
 コーラサワーと奇妙な友情が芽生える。

ミン
 人類革新重工の商品開発部係長。
 中間管理職。
 このスレでは数少ない普通の人。

*その他、頻繁に登場する人々*

カティ・マネキン
 元AEU大佐。
 現在は歌手デビューし、世界の歌姫として各地を飛び回っている。
 なんだかんだでコーラサワーの事が好き(?)

アリー・アル・サーシェス
 別名ゲイリー・ビアッジ、またはひろし。
 PMCのちょっかいかけ担当。
 世界が平和になって仕事がなくなったのでプリベンターを逆恨みしているが、  いつもやられている。
 武器はソッコ君もびっくりの異臭靴下と健康にいいアグリッサ。

トリニティズ
 トリニティ運送に勤める三人兄妹。
 ヨハンは腹黒、ミハエルは客にけんかをうる問題児、ネーナは天然。

コーラサワーの女たち
 何人いるかわからないコーラさんの愛人。
 コーラさんいわく、プリベンターに入ってからはそっち方面は自重しているらしい。

看護婦
 新人ながらコーラ番にされてしまったかわいそうなナース。
 コーラさんが入院するたびにさんざんな目にあっている。
6通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:47:25 ID:???
ラッセ・アイオン
 マイスター運送の配送係。
 このスレにおいては完全なるノンケ。
 ホモネタを振られると本気で泣く。

マリーメイア・クシュリナーダ(バートン)
 レディ・アンと共に暮らす幼女。
 年齢の割りに大人びておりクールな性格。
 コーラサワーに懐いている。

ミレイナ・ヴァスティ
 プリベンターを離れたシーリンの後任としてやってきた。
 重度のラノベマニアで、コーラサワーの天敵2号。

アンドレイ・スミルノフ
 セルゲイの部下にして実子。
 優秀な父親が重荷らしい。
 元OZだが、崩壊前に上手く離脱出来た様子。
 コーラサワーに「ドレイ」とあだ名をつけられる。

リボンズ・アルマーク
 世界的なアイドルグループ「イノベイター」のリーダー。
 なんかアリーを使っていらんことを考えているらしい。
 相当裏の世界に通じている様子。
 ちなみにマネージャーはあのアレハン様らしい。
7通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 17:53:38 ID:???
>>1
8名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:03:01 ID:???
 コーラとカティが夢の国 
 森の小さな教会で結婚式をあげました
 照れてないコーラに 客たちが
 くちづけせよと はやしたて
 ガッとコーラはいきました
 新 橋 色の 塗装をされた
 イナクトたちが しゃしゃり出て
 サンバに合わせて 模擬りだす
 まあるい まあるい ダブルオー
 愛の粒子で 微笑んで
 不死身は幸せになりました


 アザディスタンにおけるイザコザは終わった。
マリナをアリーにさらわせるのを忘れていたような気がするし、
ビリーが現地にすでに来ていたのも忘れていたようにも思うが、気のせいであろうということにしておく。
過去は変えられない。
変えるとタイムパトロールが時空間を越えてやってくる。
「ふわあああああ」
「欠伸をするな」
「いやだってよ、暇だしよ」
 プリベンターには平穏な時が戻ってきた。
いや、アリーの足取りを追ったり、背後関係を調べたりと色々しなけりゃならんことがあるのだが、
かと言ってコーラサワーやガンダムパイロットが無暗に動いても解決はしない。
保安局やその他の関係機関に協力を仰ぎ、情報が揃ってからでないと動けない。
天気も波も知らずに釣りに出かけても釣果は得られないのだ。
「暇って……それでいいのか」
「何が」
 かくして、コーラサワーとデュオ・マックスウェルの身内漫才が繰り広げられることになるのだが、
ちょっと以前とは状況が違っていた。
何故なら。
「お前、結婚するんだろうが。やらにゃならんことがたくさんあるんじゃないのか」
 そう、パトリック・コーラサワー推定34歳。
とうとう彼は、長年の想いを結実させ、愛しい人とゴールインすることになったのであった。

 ◆ ◆ ◆

「いやぁ〜、何? 語らせたい? 俺に言わせたい? いやぁ参ったなあ」
「マイってるのはお前の頭だ」
「式を挙げる六月までまだ間があるけど、式場の下見に新居の打ち合わせに、いやぁもう楽しくて楽しくて」
「聞いてないな、おい」
 パトリック・コーラサワー、彼のお相手は誰かと今更問うまでもなかろう。
かつての彼の上司であり、現在は歌手として活動しているカティ・マネキンその人である。
なお、ここでの最終軍歴はAEU軍大佐とさせてもらうので、以後そのようによろしく。
9名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:06:14 ID:???
「紆余曲折、千変万化、七転八倒の末に結ばれるんだ、ああ、俺って何て幸せなんだろう」
「四文字熟語が完璧に間違ってるな」
「ある意味あってるかもしれませんよ、デュオ」
 ポソリ、とカトル・ラバーバ・ウィナーがデュオの耳元で呟く。
彼の手には湯呑みが握られているが、今日のプリベンターのお茶は宇治の高級茶葉である。
レディ・アンが何かの式典に出た時にお土産として貰ってきたものだそうな。
どんな式典だ、とツッコミを入れないでもらえれば幸いである。
「しかし、コイツが結婚ねえ……」
 デュオは眉を寄せると、ずずずいとお茶を啜った。
ちょっとぬるくはなっていたが、さすがに高級だけあって香りと味わいが違うのが、彼にもわかる。
「よく出来たな。つうかよく結婚してくれたな」
 カティ・マネキンが天才と呼ばれた戦術予報士で優秀な部隊指揮官だった、というのは昔取った杵柄とやらで情報としては知っている。
だが、その人となりまでは詳しくはわからない。
パトリック・コーラサワーと一緒になろうというのだから、相当な人物であることは想像がつくのだが。
「タデ食う虫も、と言うとさすがに失礼になるのかね」
「大佐はなぁ、美人で頭が良くて、スタイル良くて美しい髪で、厳しいけれど優しくて、あったかくて……」
 軍人としては腕は確かだが猪突傾向で時々作戦無視、
私生活ではプレイボーイとして流した浮き名は数知れず、ひたすらにマイペースで素直なために周囲との軋轢も多い。
そんなコーラサワーと結婚するというのだから。
「傑物だな、マネキン大佐」
「あったり前だ!」
 色恋は算数ではない。
そちら方面の経験が少ないデュオでも、それくらいはわかる。
間に計算式が成立せずとも、答が出ればそれが事実であり真実なのだ。
少なくとも、目の前ではしゃいでいる男は幸せそうだし、相手のカティ・マネキンも幸せなのであろう。
「ならばよし、か。出来ればこれで少しはおとなしくなって欲しいもんだ」
「好きな人と結ばれる。人生においてこれ以上に大きなイベントがあるか? ないだろ? ないよな?」
「知らんよ」
「お前も結婚したらいいんじゃねーか? いいぞぉ結婚は!」
「……十代半ばの人間に結婚を勧めてどうする」
「歳は関係ねーだろ? そーだろ?」
「そもそも一人で出来るか」
 死ぬのは一人で出来るが結婚は一人では出来ない。
そう言ったのは誰だったっけか、と考えつつ、デュオは茶をすすった。
ドアの向こうから、「スペシャルさんにも春が来たですぅ」「頭は前からずっと春だけどね」という、
ミレイナ・ヴァスティとヒルデ・シュバイカーの会話が耳に届いてきたが、
敢えて同調もツッコミもせず、聞き流すことにした彼だった。

 ◆ ◆ ◆
10名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:10:00 ID:???
「やあやあ、お久しぶりだね、皆」
「おお、カタギリではないか。来るなら連絡を寄こせ」
 コーラサワーのおノロケが一段落した頃、プリベンターにいきなりの来客があった。
世紀の天才、ポニテの異才、ビリー・カタギリ。
ファッションセンスは斜め上だが、世界でも最高級の脳みそを持つ科学者である。
「いやあグラハム、最初はそうしようと思ったんだけどね」
「ふむ、理由があるのだな。我々を驚かせようとでも思ったか」
「うん、そんなところかな」
「よし、まあ入れ。入口で立ち話も何だ」
「あ、じゃあ僕がお茶を用意しますね」
「やあやあカトル君、おかまいなく」
 ミカンの皮を燃料として動くミカンエンジン、究極に近いエコドライブを開発した彼であるが、
それを搭載したMS(ミカンスーツ)の製造者でもある。
世界から戦闘用のMS(これはモビルスーツ)が姿を消した現在、
このMS(ミカンスーツ)が最強の人型兵器ということになる。
無論、プリベンターのタテマエ上、あくまで紛争が起きないための予防の道具ということにはなっているが。
「しかし突然だなカタギリ博士。……もしかして」
「流出経路がわかったのか?」
 張五飛とヒイロ・ユイが息をまくようにビリーに尋ねる。
先日のアザディスタンの一件において、
本来ならプリベンターとビリー・カタギリ以外に持ち得ないミカンエンジンを、あのアリー・アル・サーシェスが使っていた。
しかも、どの系統とも取れない謎のMS(これもミカンスーツ)に乗せて。
「いや、そちらはまだわかっていないんだ」
 ごめんね、と二人に頭を下げるビリー。
アザディスタンの事件直後から、彼は独自に捜査を進めている。
自分以外の誰かがミカンエンジンを開発していたとは考え難く、
そうなるとやはりハッキングされてデータを盗まれたという以外にない。
彼の研究所のPCには何重にもトラップと防壁が仕掛けられており、
そう簡単には侵入出来ないのだが、それを突破されてパクられた、というのが現状では一番の推測になっている。
「ヤラれたとしても、僕の知らないうちに、しかも痕跡も残さずだからねぇ……」
「相当な腕のハッカー?」
「うーん、そして、相当に強力な攻性システムを持っているコンピュータを使っているか」
 もうちょっと調べてみるよ、と言うと、ビリーは白衣のポケット(彼はいつでもどこでも白衣です)からホロ・ソフトを取り出した。
ホロ・ソフトとはホログラムを収めた小型の装置で、別にホロだからといってわっちが飛び出てくるわけではないのであしからず。
「今日来たのはこの件なんだ、やっと蜜柑エンジンMkUを搭載したMS(ミカンスーツ)の目途がたったんだよ」
 蜜柑エンジンMkU、すなわちミカンエンジンの改良発展型である。
カタカナが何故漢字に変わっているのかは、ビリー曰くハイカラだからとのこと。
しかし、ハイカラって死語ですな。
「おおっ、ついにかカタギリ!」
「ああ、ネーブルバレンシアよりも当然パワーアップしているよ」
 別にソンナコト・アルケーに対抗するためにビリーは作っていたわけではない。
が、結果的に強い剣に抗するには強い盾を、となってしまった感じがある。
仮にアルケーのミカンエンジンがビリーを出しぬいて奪われたものなら何ともやりきれない話になってしまうが、
現実としてあの分離式球体武装ハッサクを操るアルケーに立ち向かうには、
やはりそれに負けないだけの強さを持つ機体が必要になってくるのだ。
11名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:13:01 ID:???
「もちろん私の注文通りなのだろうな、カタギリ!?」
「ああ、出来るだけ君の希望に添えたと自負してるけどね……あ、その机の上に映像を出してもいいかな」
「かまわん! かまわんと言った!」
「はい、これがグラハム・エーカー専用のMS(ミカンスーツ)だよ」
「おおおおおお、おおおおおおおおおっ」
 机の上に現れた立体映像、それを見てグラハム・エーカー(今日は素顔である)は奮えた。
「フラッグの面影を残しつつ、全体的にサムライのイメージ……! 完璧だ、完璧だと言ったカタギリ!」
「お褒めにあずかって光栄だねえ。あ、名称は『カラタチ』だよ」
「うむっ! 爽やかなる名前だ!」
 グラハム・エーカー専用MS(ミカンスーツ)、カラタチ。
すらりとしたフラッグのスタイルを踏襲しつつ、鎧武者風のアーマーパーツがいかにもな感じ。
色もグラハムのパーソナルカラーと言ってもいい黒を基調とし、ところどころに緑と橙色で装飾されている。
「残念ながら可変機能は無理だったけどね。えーと、次はヒイロ君のだね、はい」
「む……」
 カラタチに替わって、次に映し出されたのは、まるで千切った蜜柑の皮を重ねたような背部ウィングを持ったMS。
見方によっては、天使の羽っぽくも見えないこともない。
「さすが顔も形もまんまと言うわけにもいかないからね、ある程度は僕の色が入ってるよ」
「いや、充分だ。感謝する、カタギリ博士」
 素直に礼を言うヒイロ。
言葉少なだが、普段は寡黙な彼であるから、これは最大限の謝意であろう。
「名前は『タンゼロ』」
「タ、タンゼロ?」
「そう、タンゼロ。さて、一気に行くかい」
 バッ、と映像が広がると、今度は四体のMS(ミカンスーツ)が皆の眼前の現れる。
それぞれ、かつてガンダムパイロットが駆っていた機体に、どことなく似ている。
女性に気は利かないが、メカになるととことんツボをついてくるビリー・カタギリである。
「デュオ君のはこれ、『マンダリン』」
「ほお」
「カトル君のはこれ、『シトロン』」
「わあ」
「トロワ君のはこれ、『タンジェリン』」
「ふむ」
「五飛君のはこれ、『バンペイユ』」
「むう」
「武装はネーブルバレンシアと変わってないけどね。要望があればいずれ応えさせてもらうよ」
 基本構造はどれも同じなれど、外観は全て異なる。
この製作を蜜柑エンジンMkUと並行して進めていたのだから、さてさてビリーは仕事が早い。
やはり天才である、この男。
「しかし、カタギリ博士」
「何だい、デュオ君」
「名前、どうにかならないか?」
 静かにケチをつけるデュオ。
逆に言えば、それ以外は特に不満はないということである。
まぁでも、そりゃ何ぞ言いたくもなろう、この名称では。
12名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:18:01 ID:???
「いやあ、最初は『トリファシア』とか『ヘスペレスーサ』とか『アタランティア』とか考えていたんだけどね」
「はあ」
「長くて呼びにくいしねぇ」
 トリファシアとかが何か、はそれぞれ柑橘類を調べてもらいたし。
響きはそれっぽいけど、何かねえ、ダサカッコイイ路線の方がやっぱりいいよね。
「気に入らないかい? なら『デコポン』とか『ブンタン』とか『カボス』とか候補はまだあるけど」
「……マンダリンでいい」
 デュオ、あっさり折れる。
まあ所詮名前は名前、中身がそれで変わることはない。
多少操縦者の士気に影響するが、それもまた試練であろう。
住めば都、呼べば名前、いずれしっくりくるはずである。
うむ、仮にこれに「ガンダム」をくっつけてみて、
ガンダムタンゼロ、ガンダムマンダリン、ガンダムシトロン、タンジェリンガンダム、バンペイユガンダム。
悪くない……と思う、きっと。
多分。
おそらく。

「ポニテ博士!」
 と、ここで我らがコーラサワー氏が介入。
この流れで行けば、次はもちろん彼の機体となる。
「やあコーラサワー君。今度カティ・マネキンと結婚するそうだねえ」
 ビリー・カタギリとカティ・マネキンは同じ大学の出身である。
それぞれの分野で類まれなる才能の持ち主と目されており、
これにリーサ・クジョウこと現スメラギ・李・ノリエガを加えた三人は『隠し砦の三天才』と呼ばれていた。
何が隠し砦なのかはまあ、さておき。
「いやぁ羨ましいなあ、僕も結婚したいね、早く」
「いや、つーかポニテ博士、俺、俺のMS(ミカンスーツ)は?」
「あるよ、ちゃんとある。一応イナクトとジンクスをベースにしてみたんだけど」
 ピ、とビリーがホロ・ソフトを操作すると、四体のMS(ミカンスーツ)が消え、
そこには一体の鮮やかな薄緑色の機体が現れた。
13名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/03/31(火) 22:19:40 ID:???
「はい、コーラサワー君の機体、『シークヮサー』だ」
「シー…く、わ、サー?」
「やあ、これが結婚祝いになるのかねえ」
「シーク、ワ、ワ、サーサー? えーと、どう発音すりゃいいんだ?」
「シークヮサー、だよ」
「……」
「何となくだけど、コーラサワーと響きが似ているねえ」
「し、シークゥ、ア、ワァ、サー?」
「そして次はジョシュア君の……あれ? おかしいな、データを入れ忘れたかな」
 首を捻るビリー。
そしてその横で、首と舌を思いっきり捻るコーラサワー。
どうやらシークヮサーをどう音声にすればいいか悩んでいる様子。
フランス人なんだからその辺りは華麗に発音してもらいたいものだが、どうもそうはいかないらしい。
「しィーキュ? シークぁ? あ? おえ?」
「悩むなよ……もうシーク『ワ』サーでいいだろうが」
 慰め成分が二割程混ざったツッコミを、デュオは入れた。
ガンダムパイロットも、グラハムもコーラサワーも、ビリー・カタギリ博士には感謝しなければならないだろう。
だが、胸の奥にモノがつっかえたような感覚がどうしても残るデュオなのだった。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅はまだまだ続く―――



 コンバンハ。
終わりましたね、そして結婚でしたね、嬉しさで胸がいっぱいですサヨウナラ。
……さて、いつまでこの話を続けよたものやら。
14通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 22:25:13 ID:???
リアルタイム遭遇ww
乙です! とうとうこっちでもご結婚キター!
15通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 23:02:56 ID:???
乙であります、『シークヮサー』ってww
16通常の名無しさんの3倍:2009/03/31(火) 23:16:00 ID:???
乙です!コーラさんおめw
新機体もらった皆もおめw
アラスカだけ可哀想だけど仕方ないw

いつまで、ってそれは土曜日氏のネタが尽きるまで末長く幾久しくお願いいたしますw
17通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 00:49:45 ID:???
キター!
ついに新型ミカンスーツが登場したか!つうか名前が個性的すぎるw

このスレのコーラさんも結婚とは! テンション上がりっぱなしだよwww
18通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 10:10:37 ID:???
他の職人も復活期待
19通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 14:26:00 ID:???
即死回避
20通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 17:31:35 ID:???
前スレを受けて勝手に人物録に手を加えるとしたらこんなかんじか

ダリル・ダッジ
 元グラハムの部下
 現在はラーメン屋「えむすわっ堂」の店主
 性格的に味作りに妥協しないようす

アリー・アル・サーシェス
 別名ゲイリー・ビアッジ、またはひろし。
 PMCのちょっかいかけ担当。
 世界が平和になって仕事がなくなったのでプリベンターを逆恨みしているが、いつもやられている。
 最近はリボンズとつるんでいる?
 武器はソッコ君もびっくりの異臭靴下と健康にいいアグリッサ、リボンズから貰ったソンナコト・アルケー

ロックオン・ストラトス(弟)
 マイスター運送に勤める
 兄と同じ名前を名乗っており、非常にややこしい

王留美
 なんかいろんなものに出資しているらしい
 マスドライバーとか

シーリン・バフティヤール
 プリベンターから反省府組織カタロンに転属
 過去の人類の悪い行いを全力で反省・見直しするクラウスを補佐しているらしい

ソーマ・ピーリス
 セルゲイの秘書。
 現在「バケラッタ」という言葉にこだわっている。
 コーラサワーと奇妙な友情が芽生える。
 マリー・パーファシーはもともと双子の姉らしいが、不幸な事故?で同体になっている
 マリーは好きな時に表に出てこれるが、ソーマは自分の意思でマリーと交代できないようす
 マリーはソーマに比べてまだ穏やかな性格、しかし結構イジワルだったりする
21通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 09:40:31 ID:???
ラノベの続きもね!
22通常の名無しさんの3倍:2009/04/02(木) 18:33:01 ID:???
何気に一期の一話辺りから続いているスレになった
23通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 12:23:18 ID:???
保守
24通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 07:59:20 ID:???
保守
25通常の名無しさんの3倍:2009/04/04(土) 17:29:53 ID:???
投下がある時とない時で寒暖の差が激しいスレだな
確かに雑談ばっかりになるのはアレだが
26名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/04(土) 21:24:54 ID:???
 シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
 シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you
 最愛のLady 展開に紛れ
 一途なLove call 繰り返している
 強がりなFace マジでタフで 撃ち落とされても
 そのオーラは 不死身な色 隠しきれない
 シュワ コーラ 弾けまくって 君の信じた愛
 シュワ コーラ その想いを 貫いたから
 シュワ コーラ 迷いはしない いつも素直なままに
 シュワ コーラ 今始まる 新しいストーリー Just for you



 女神、空にしろしめす。
なべて世はこともなし。
まったくもって世界は平和である。
まぁ今のとこはねー、という但し書きが付くが。
「ふああああ、暇だなあ」
「そ、そうですね」
 人界が平穏だということは、すなわちプリベンターも出動がないということになる。
とは言え、火急速やかなる解決が求められる事件がなくとも、仕事自体がまったくゼロというわけではない。
「何にもやることねー、まったく」
「はあ……」
 今日この日、プリベンターの本部には二人の男が詰めている。
我らが愛しき英雄、パトリック・コーラサワー。
そしてもう一人は。
「あ、お茶でも淹れ替えましょうか」
「おー頼むぜ、坊ちゃん」
 ぼっちゃん。
蛙飛び込む池の音、ではない。
カトル・ラバーバ・ウィナーである。

 ◆ ◆ ◆

 カトル・ラバーバ・ウィナー。
アラブの豪商、ウィナー家の現当主代理にして次代当主である。
代理で次代という肩書きは、父親がまだ存命中であり、後継ぎたる男子が彼しかいないからに他ならない。
ガンダムパイロットの五人の少年のうちでは最も温厚で礼儀正しく、感受性も高い。
もっともマジでブチ切れると一番怖かったりするけれども。
なお姉が全員で29人いたりするが、まぁこの物語では出てこない(はず)のでそれは関係ない。
27名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/04(土) 21:25:57 ID:???
「八女の玉露があるんですよ、家から持ってきました」
「ほー」
 で、何故この二人なのかと言うと、答は簡単で他は仕事で出払っているからに過ぎない。
レディ・アンは相変わらず政府のお偉いさんと頭を突き合わせて難しい会議のど真ん中だし、
ミレイナ・ヴァスティも秘書であるからして一緒にお供をしている。
サリィ・ポォは今度新たに稼働を始める太陽光発電システムの除幕式に呼ばれ、
デュオ・マックスウェル、張五飛、ヒイロ・ユイ、トロワ・バートンも警護を兼ねてくっついていっている。
ヒルデ・シュバイカーは連絡要員として本部に残っていたが、
ついさっき「必要な資料を持ってこいと言われた」とレディのところへ出かけていってしまった。
「ふーん、いい香りだな」
「最高級ですから」
 ま、そんなわけでこの二人が居残り組という次第。
普段ならコーラサワーの相方(と呼ばれると本人は凄く嫌がるが)はデュオなのだが、
今回もそうじゃなかったのは、厳正なるクジビキの結果ゆえ。
神はカトルに微笑まなかった、と言うとさすがにコーラサワーに失礼かもしれない。
ちなみにグラハム・ブシドー・エーカーさんだが、
盟友のビリー・カタギリが新型MS(ミカンスーツ)のデータを開陳してからほとんど彼の研究所に入り浸っており、
本部には朝と夕方しか顔を出さない。
おそらくビリーの背後に立って「まだかカタギリ!」と急かしていることであろうと思われる。
アラスカ野ことジョシュアも一緒だが、これは新型が待ちきれないと言うより、
グラハムに無理矢理引っ張っていかれていると言った感じである。
あ、前回ビリーがホロ・ソフトに入れ忘れたアラスカ野君のMS(ミカンスーツ)だが、
名前は『紅鮭』であるからよろしく。
ミカンは一切関係ない。
「しかしよ、ポニテ博士もひでーよな。データだけでまだ完成していないって」
「そうですね」
 はい、そいでコーラサワーとカトルだが、コーラとデュオ程には会話のキャッチボールが長く続かない。
やはりデュオはツッコミの盟主、じゃない名手であることが図らずも証明された形である。
何度も言うが、そんなんで褒められても間違いなくデュオは喜ばないが。
「なあ坊ちゃん、茶菓ないか?」
「岩おこしがありますよ、生八つ橋も」
「おー、どっちも貰う」
 何つーか、漫才にならない。
フツーの会話になってしまっている。
カトルは素で穏やかな性格なため、どうあってもぶつからないのだ。
これがヒイロやトロワならおそらくコーラサワーがただひたすら喋るだけになるだろうし、
五飛なら最初の一言で後ろ回し蹴りをコーラサワーの後頭部にぶちかましているだろう。
成る程、ガンダムパイロットのまとめ役の地位は伊達ではない、カトル。
ウィナー家の代理当主として商談をまとめたりもするので、
レディやサリィを除けば、『社会人適正』は間違いなくプリベンターの面子の中で最高であると思われる。
プリベンターが今後も隠密同心として世界を裏から守り続けるなら、次のリーダーは彼になると考えて間違いない。
28名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/04(土) 21:27:33 ID:???
「しっかし暇だよなー、早引けして大佐のところに行こうかな、でも怒られるかなー」
「カティさんはお仕事ですか?」
「大佐は今、仕事を全部休んでるんだよ」
「そうなんですか」
「当たり前だろ、何せ結婚するんだからよ、この俺と!」
 何が当たり前なんだろう、とカトルは思ったが、そこはデュオではないのでツッコまなかった。
あとこれも何度でも繰り返すが、こちらの世界ではカティ・マネキンの最終軍歴はAEU軍の大佐である。
連邦正規軍准将ではない。
正味の話、昇進はあるかもしれんなーと思っていたが、最終話では今更こちらに反映させられんので。
「カティさん、歌がとてもお上手ですよね」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」
「何だか懐かしい感じがするんですよ、昔、ずっと聞いていたような」
「当たり前だ、何せ大佐だからな!」
 何が当たり前なん以下省略。
が、何げにメタ的発言である、カトル。
「お茶、もう一杯頼むわ」
「はい、どうぞ」
 プリベンターは平和である。
「あ、八つ橋、まだあるか?」
「ええ、ありますよ」
 多分、当面はこんな感じに。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 映画まではさすがに続けられるかどうかわかんなコンバンハ。
ラノベ風味もいい加減どうにかしなきゃサヨウナラ。
29通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 00:58:16 ID:???
続きキター!!!

確かにカトル相手だと会話が普通にしかならないよな
まぁコーラさんもぶちギレ黒カトルに痛い目あわされたから波風立てる気は無いだろうwww

しかしイナクトとジンクスをベースにしたシークヮサーって、どんなのなんだ? 細身で手足が長いイナクトとガッチリしたジンクスだとミックス難いな…

まさかGNフラッグが出る前に予想された頭がフラッグ体がジンクスの『グラハム専用ユニオンフラッグカスタムカスタム』のイナクト版かwww
30通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 01:58:25 ID:???
マリッジブルーになる気配すらないコーラさんwww
31通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 12:18:46 ID:???
まとめ編集人乙
お前こそエースだ
32通常の名無しさんの3倍:2009/04/05(日) 19:20:06 ID:???
カトルの台詞がw
そういや、カティの中の人のユニットはまだ存続しているんだろうか・・・
33通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 08:18:41 ID:???
保守
34通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 18:09:09 ID:???
正直、ラノベ的SSがどんなものだったか忘れてしまった俺ガイルw
35通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 18:57:32 ID:???
住人が心に住む中学二年生を全開放して知恵をよせあって作るSS
のはずだが、ほとんど何も決まっとらん
導入だけ職人が書いて止まっている
36通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 19:44:03 ID:???
あげ
37通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 22:34:27 ID:???
>>35
MSの名前をもじったキャラが登場するんだっけ?
38通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 02:03:45 ID:???
精太頑駄無みたいな感じか>名前
39通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 02:12:23 ID:???
前スレの>>318を参照のこと
40通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 21:25:15 ID:???
これだなw

  英雄国原稲久斗(えいゆうこくばる・いなくと)→「AEU」で「イナクト」、国原はあの宮崎県知事から
  奈採場知恵(などれば・ちえ)→「ナドレ」と「ヴァーチェ」、などればーちぇ、などればちえ
  湯仁音坂風楽(ゆにおんざか・ふらく)→「ユニオン」と「フラッグ」、坂はまあ適当に
  陣角鉄人(じんかく・てつひと)→「人革」と「ティエレン」、まんま
  阿宮梨沙(あぐう・りさ)→「アグリッサ」、あぐりっさ、あぐうりさ
  有鳥有乃(あるとり・あるの)→「リアルド」、りあるどりあるどりあるど、あるどりあるどり、あるとりある、あるとりあるの
  蹴素手夢菜(けりすで・ゆめな)→「ケルディム」と「デュナメス」、けるでむでゅなめす、けるでゅめなす、けるすでゅめな、けりすでゆめな
  アルバート・蟻馬(あるばーと・ありば)→「アルヴァトーレ」と「アルヴァアロン」、あるばとーれあるばあろん、あるばーとあるばろ、あるばーとありば
  栗忍亜里栖(くりおす・ありす)→「キュリオス」と「アリオス」、きゅりおすありおす、きりおすありおす、くりおすありす
  陣角桃子(じんかく・ももこ)→「人革」と「タオツー」、これもまんま
  神薬(じん・くすり)→「ジンクスV」、じんくすすりー、じんくすりー、じんくすり
  荘礼須樽恵空紗(それすたる・えくさ)→「ソレスタル」と「エクシア」、それすたるえくしあ、それすたるえくさ
  富東嶺舞(ふとうれい・まい)→「プトレマイオス」、ぷとれまいおす、ふとれまいお、ふとうれいまい
  暗風華(くらかぜ・はな)→「アンフ」、暗風はあんふう、華は鼻から
41通常の名無しさんの3倍:2009/04/07(火) 22:04:45 ID:???
Gパイロットとコーラさんたちのまとめ役に必要なのは
ツッコミ以外で会話を成立させる能力か
難しいなぁ
42通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 10:27:10 ID:???
サリィとカトルしかおらんw
43通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 17:46:27 ID:???
結局ほぼ土曜日の人が独力でやってるようなもんだからな
ラノベ的なものは模倣の人の力が借りられればとは思うが、職人の都合は動かせないしな


しかし、職人もいつのまにか足が遠くなっているな…
44通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 14:49:08 ID:???
保守
45通常の名無しさんの3倍:2009/04/09(木) 17:37:17 ID:???
保管庫見てたら相当な話数になっててワロタ(管理人乙)
いったい何が職人をそこまで駆り立てるんだよw
46通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 10:26:57 ID:???
保守
47通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 10:16:13 ID:???
>>40
このセンスはバカすぎて笑えるw
土曜日の人は本当にアホだな

褒めてんだからなこれは
48名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/11(土) 22:08:58 ID:???
 あれは誰だ 誰だ 誰だ
 あれはコーラ コーラサワー コーラサワー
 不死身のエースの名を受けて
 カティのために戦う男
 コーラボディは 安全性
 コーライヤーは 集音性
 コーラマウスは 愛語り
 コーラスペシャル フラグ砕く
 不死身の力 身につけた
 我らのヒーロー コーラサワー コーラサワー


 辺塞に寧日無く、プリベンターにはあり。
何処が辺塞かはともかくとして、プリベンターの面々はここのところ穏やかな日々を過ごしている。
何しろアザディスタンの一件以降、さしたる事件がない。
「暇だなあ」
「最近そればっかりだな、お前」
「だってそうだろうがよ」
「いいこじゃねーか」
「俺にとっては良くない」
 平地に乱を起こしたがる輩と言うより、平地に乱が起こるの待つ輩というべきか。
まあコーラサワーは言動がプリベンターにとって乱ではあるので、両方である気もする。
「なら議事堂の周りを走ってこいよ、少なくとも時間は潰れるぞ」
 溜め息をつきつつ、デュオ・マックスウェルはコーラサワーに提唱した。
これで目の前から消えてくれれば、いささかの静かな時間が訪れるはずである。
「やだよ、ナルハム野郎じゃあるまいし」
 が、コーラサワーさんはあっさり拒否。
「あんな脳まで筋肉な奴はそれでいいかもしれんが、俺は違うんだよ」
「あっちは一応トレーニングでやってるはずだけどな」
 暇を感じるのは、ある意味幸せの証拠でもある。
何もすることがないのは裏返すと何にも追われていないわけで、そこは個人の捉え方一つなのであろう。
「よし、みつあみおさげ」
「何だよ」
「ジャンケンでもしようぜ」
「何でだよ!?」
 愛変わらず、もとい相変わらず、パスがどこへ飛んでいくかわからん男である、コーラサワー。
受け手のいないキラーパス、こんなのに司令塔を任せたら間違いなくサッカーは崩壊する。
ひたすら個人プレーで勝ちまくる可能性もあるが、それは多分「サッカー」ではないだろう。
「ジャンケンで時間を潰すのと、ジョギングで潰すのとにどう違いがあるってんだよ」
「走るのはしんどいだろ、ジャンケンはそうじゃない」
「お前の相手をする俺がしんどいつーの」
 嗚呼、やはりデュオはいい。
会話においてコーラサワーの相手を任せられるのはプリベンターではこいつしかいない。
60階建ての某塔の宝箱出現に必要な操作ばりに理不尽なコーラサワーの言動に対処出来るのは彼だけだ。
何度でも何度でも繰り返して言うが、それで褒められても絶対にデュオは喜んだりはしないが。
49名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/11(土) 22:12:08 ID:???
「別ににらめっこでもいいぞ」
「何が悲しくてお前とそんなことしなきゃならんのだよ」
「じゃあアヤトリでも」
「断る」
「ならメンコ」
「……なあ、想像してみろよ。三十男が半分以下の年齢の少年相手にそんな遊びしてる場面を」
「微笑ましいじゃねーか」
「んなわけあるか!」
 ここに卓袱台というものがあったらひっくり返したくなったであろうデュオだった。

 ◆ ◆ ◆

「だったら私がその暇をくっそみそに潰してあげるですぅ!」
「わっ、何だオデコ娘三号!」
「オデコ娘でもドリル娘でもツインロールパンでもないですぅ! ミレイナ・ヴァスティですぅ!」
「だーっ、ですぅですぅってうるせーよ!」
 と、ここで乱入してきたのはオデコ娘三号(一号と二号が誰かはもう説明の必要はあるまい)ことミレイナ・ヴァスティ14歳だった。
歳はまだ若いが、これでも各種資格を取得しており、
反省府組織カタロンに転出したシーリン・バフティヤールの後を継いでレディ・アンの秘書をこなす才女である。
マイスター運送の重役である、おやっさんことイアン・ヴァスティの実の子供でもある。
「スペシャルさんが色々もてあましていると聞いて飛んできましたですぅ!」
「いや、お前はいい」
「またまた、照れなくてもいいですぅ。このミレイナが直々に遊んでやるですから、喜びを隠さず表現するべきですぅ」
「隠してねーよ!」
 そいでこの娘、ソーマ(マリー)に次いでコーラサワーの天敵だったりする。
過去に彼女の趣味であるライトノベルで口論を交わしたことがあるのだが、どうにも趣味というかソリが合わない二人なのだ。
「スペシャルさんはとても強運の持ち主だと聞いてますけど、本当なのですか?」
「バッカヤロ、強運だけじゃねえ! 実力も兼ね備えたスーパーエース様だ」
「おっお〜、やっぱりこれは対戦するしかないですぅ!」
「は? 対戦?」
 ソーマリーといいミレイナといい、何よりペースを握れない。
ほぼずーっと持っていかれっ放しで、どうしても受身にならざるを得ないのだ。
コーラサワー相手に主導権を握り続けるのは、結婚相手のカティ・マネキンですら出来ない芸当なのである。
「おいおい対戦つっても、ジュードーもフェンシングも本気で出来るわけないだろ。ガキの、しかも女相手に」
「むー、そんな肉体的な対戦じゃないですぅ」
「じゃあ何なんだよ」
「ふっふ〜ん、ズバリ、コレですぅ!」
「……何じゃ、こりゃ」
 ミレイナが取りだしたのは、トランプより少し大きめのカードだった。
「トレーディングカードゲーム、ですぅ!」
 トレーディングカードゲーム、またはコレクタブルカードゲーム。
プレイヤーが集めたカードの中から、ルールに則って組んだデッキ(カードのセット)で優劣を決めるゲームである。
ひとつのトレーディングカードゲームには何百、多くて千の単位のカードがあり、
それぞれのカードごとに異なった能力・効果・数字が付記され、単体だけでなく組み合わせによってゲームに与える影響も変わってくる。
中には「レア」と呼ばれるカードも存在し、その価値の高さから時には目の飛び出るような金額で取引されることもある。
またカードには有名なイラストレーターによる絵が描かれているものもあり、コレクターズアイテムとしても珍重されたりもする。
50名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/11(土) 22:16:37 ID:???
「と、言うわけで、今日スペシャルさんとガチンコしたいのはこのゲーム、『Noir et blanc』ですぅ!」
「……黒白、ってか? 何だそれはってオイ! まだ俺はお前と何かするって決めたわけじゃねーぞ!」
「はいはい今からルールを説明するですぅ」
「聞けよ! お前とは遊びたくもねぇって言ってるんだよ! バーロー!」
「あ、スターターパックを用意したのでプレゼントするですぅ。すでに構築済みなので、とりあえず悩まなくてもいいですぅ」
「いや、だーかーらー!」
 ガンダムもののSSなのに『ガンダムウォー』じゃないんだ、とツッコまないでいただきたい。
正味の話、わたくし、トレーディングカードゲームをほとんどやったことがございません。
何しろカードを集めた記憶が、遥か昔幼き日々のSDガンダム・カードダスくらいしかありませんので。
なのでここから先はほとんど妄想珍想の類であり、
真面目にカードゲームに取り組んでいる方からすれば噴飯ものでしょうが、平にご容赦の程をお願いする次第。
「とりあえず『フォーリンエンジェル』仕様でいくですぅ。それ以降のシリーズだと拡張パックが必須になるですから」
「何だそのどっかの作戦名みたいなのは」
「えーとですね、このゲームのカードですけど、まず色に注目して欲しいですぅ」
「色?」
「はいそうですぅ。縁の部分が五色に分かれてるですぅ」
「……黒、白、赤、青、黄か」
「ピンポーン。で、それぞれ特徴があるですぅ」
「特徴?」
「黒のカードは主に攻撃能力に長けてるですぅ。で、白はその逆で防御ですぅ。赤は攻撃の補助で、青は防御の補助、黄色は特殊効果ですぅ」
「わけわからん」
「そのうちわかるようになるですぅ。スペシャルさんは頭もいいんじゃないのかですけど?」
「当たり前だろうが」
「なら心配ないですぅ」
 ああ、最早完全にミレイナのペース。
転がり出したら止まらない、まさにローリングストーン・ミレイナである。
いつの間にかコーラサワー、ゲームをやることになってしまっている。
「で、右上の数字がレアリティを示しているですぅ。この数値が小さい程偉いってことですぅ」
「つまり大将みたいなもんか」
「そう思ってもらって結構ですぅ」
 この世界において、語りだしたら止まらない人物は二人いる。
東の横綱がビリー・カタギリ、西の横綱がミレイナ・ヴァスティ。
専門はまったく違うが、得意分野についての語りはそれこそドラ○もんのコエカタマリンを飲んだとしたら、
間違いなく地球が半分埋まるであろう。
「そして左上の文字が属性ですぅ」
「属性?」
「風・土・火・水・光・闇・無の七つあるですぅ。それぞれに得手不得手があるですぅ」
「ジャンケンみたいなもんか」
「そんな感じですぅ」
 いつの間にか、部屋からはコーラサワーとミレイナ以外の火トカゲ、もとい人影が消えていた。
お守をミレイナが買って出た、と見たデュオがこれ幸いとトンズラこいたのだ。
隣の事務所に逃げ込み、ちゃっかりと鍵までかけていくオマケつきである。
51名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/11(土) 22:19:44 ID:???
「属性とレアリティの間にあるのがそのカードの名称で」
「ほぉ」
「イラストの下にあるのが効果の説明、さらにその下にあるのがレベルゲージとコストですぅ」
「ふーん」
「ちなみにこのカードゲームのイラストは有名な絵師さんたちの手によるものですぅ」
「このやたらと目がでっかかったり乳がでっかかったりする女の絵がかあ?」
「そのカードはそんな絵柄ですけど、他にもいろいろあるですよ」
「こいつは騎士か何かか? おい、こんなに素肌を晒してたら鎧の意味ねーじゃねーか」
「んー、わかってないですぅ。そこが逆にミソなんですぅ」
「八兆味噌か?」
「つまらんですぅ、スペシャルさん」
 デュオ以外にコーラサワーの相手を出来る人物、一人追加。
それはミレイナ・ヴァスティ14歳。
彼女のカードゲーム地獄、今ここに開幕せり。
次回、コーラサワー本気でキレるの巻でござる。
ニントモカントモ。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心のドロー俺のターンは続く―――


 アホでごめんなさいコンバンハ。
本当に何も知らないけれど勢いがあればどうにかごまかせるよねサヨウナラ。
しかしミレイナ、気をぬくと台詞が翠○石になりやがるです。
52通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 23:04:10 ID:???
今度はカードゲーム編か
>本当に何も知らないけれど勢いがあればどうにかごまかせるよねサヨウナラ。
ちょww
53通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 23:26:51 ID:???
ガンダムウォーのコーラさんは強いぞ!防御0だけど!
54通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 11:02:55 ID:???
保守
55通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 11:31:34 ID:???
これ、遊戯王っぽくねぇ?と突っ込んでみる俺はおかしいだろうか
56通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 12:09:03 ID:???
おかしくないよ!
57通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 12:27:49 ID:???
ガンダムウォーのコーラさんとそのイナクトは強いよ。
イナクトにコーラが乗ればエクシアに乗った刹那とも相打ち取れるよ。
カスタムフラッグにグラハムが乗ればエクシアに乗った刹那を一方的に落とせるけど。
58通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 12:36:58 ID:???
せっさん…なんか情けない話だなw
59通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 17:20:17 ID:???
>>57
さすがコーラさんだなw
60通常の名無しさんの3倍:2009/04/12(日) 17:25:38 ID:???
職人たちよ帰ってきてくれー!
61通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 14:06:37 ID:???
職人が複数いないとSSスレとしてキツイからな…
62通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 17:51:48 ID:???
でもここはひっそりと続けていくほうがあってる気もするけどな、なんとなくだがw
現時点では土曜日来なけりゃスレ倒れるみたいな状況だけどそれはしょーがねいよな、書くのも読むのも自由意思だし
63通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 21:17:54 ID:???
>>57
カスフラとハムはわかるけどイナクトとコーラは一方的に撃墜されるけど本国にはノーダメージで次のターンに復活してる方が似合って言うような気が
64名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/13(月) 23:18:46 ID:???
 チョイと一敗の つもりで落ちて
 何時の間にやら 出オチ役
 気がつきゃ 大佐の真横で運転
 これじゃ活躍 出来るわきゃないよ
 わかっちゃいるけど 出番がねえ
 ※アホレ シュワシュワ シュワララッタ
 シュワシュワ シュシュシュイ
 シュワシュワ シュラララッタ
 シュワシュワ シュシュシュイ
 シュワシュワ シュワララッタ
 シュワシュワ シュシュシュイ
 シュワシュワ シュワララッタ
 シュワララッタ シュワシュワ

 狙ったガンダム 見事に逃がし
 頭バッと壊れ 最終展開
 気がつきゃ 大佐に突撃のガガガガ
 俺の大佐に 何しやがんだよ
 ※繰り返し
 
 一発殴られて たちまちホレて
 よせばいいのに すぐ花持って
 オトしたつもりが チョイとオトされた
 俺はやっぱり アナタが好きよ
 分かっちゃいるから ヤメられねえ
 ※繰り返し


 はい、スーダラ不死。
……などとくだらないシャレを言っている場合ではない。
コーラサワーとミレイナのガチンコカードバトルである。
嗚呼、今日も世界は平和で、プリベンターも平和である。
チントンシャントン。

 ◆ ◆ ◆

 で、トレーディングカードゲーム『Noir et blanc』である。
美麗なイラストと独特のルールで、昨今人気のこのカードゲーム、
北斗七星の横で輝くオタクの一番星ことミレイナ・ヴァスティが手を出さないわけがなく、
何だかんだでコーラサワーの暇潰しがミレイナの暇潰しになってしまっているという次第。
古の偉人曰く、巻き込んだモン勝ちとはこのことである。
「レベルゲージはですね、つまりはパワーの値だと思ってもらって結構ですぅ」
「パワー?」
「ゲージが長ければ長い程強いってことですぅ」
「攻撃・防御・速さにそれぞれ分かれてるのは、別々の強さだってことか?」
「そーいうことですぅ」
65名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/13(月) 23:21:59 ID:???
 最初はやらねーだの何だのと抵抗していたコーラさん、すっかりミレイナのペースにぶちハマリ。
彼がこの世界において主導権を握れない人間が二人いる。
ソーマ・ピーリスとミレイナ・ヴァスティで、
何と言うかジェリーに振り回されるトム、
ロードランナーにひっかきまわされるワイリーコヨーテな感じだと思ってもらえればありがたい。
別にトムやワイリーコヨーテだからと言って、コーラサワーがソーマリーやミレイナを追いかけてるわけじゃないけど。
彼にはちゃんとカティ・マネキンという結婚相手がいますしね。
「さて、ゲージの下にある数字がさっきも言ったですけど、コストですぅ」
「何だよコストって」
「場に出せるカードは無制限じゃないのですぅ、上限があって、その中でしかカードは出せないんですぅ」
「面倒くせー話だな」
「でも注意が必要なんですぅ、場のコスト内だからと言っても、これまた自由気儘には出せないんですぅ」
「?」
「フィールド縛りというのがあるですぅ」
「??」
「属性によっては制限を受けるですよ、例えば海のフィールドでは火属性のカードはコスト二倍になっちゃうですぅ」
「???」
「逆に水属性のカードは半分で場に出せるですぅ」
「????」
「フィールドには何にも縛りを与えないノーマルの他に、水の海、土の緑地、火の荒野、風の空、闇の魔界、光の聖域とあってですね」
「?????」
「ノーマルでずっと進む非限定戦、どれか一つだけの限定戦、一定のターン数で変わるランダム戦というのがあるんですぅ」
「??????」
「あ、でも限定戦でも、無属性のカードの中には強制的にフィールドをチェンジするものがあって……」
 はい、ここで『初心者に教える玄人の法則その1』。
玄人は簡単に説明しているつもりでも、素人にはほとんど伝わっていない。
基本的に、人に教える時は口頭だけではムリ。
学校の授業でも、先生は言葉と黒板と教科書の三点を使って生徒に教える。
多少の知識があれば別だが、まったくのゼロからでは、喋りだけでは99%届きゃしないのだ。
百聞は一見に如かず、ってのも似たようなもんでしょうな。
「それで、カードには単体効果と補助効果、合体効果というのがあるですぅ」
「?」
「単体効果っていうのは簡単ですぅ、レベルゲージそのまま、カードの説明文そのままのパワーということですぅ」
「??」
「補助効果というのは、そのカードの二倍のコストを消費することで、別のカードにパワーをプラスするんですぅ」
「???」
「例えばですね、火属性の『溶岩の番犬(バウン・ド・ドッグ)』は攻撃値200、防御値100、速さ120、コスト55ですけれども」
「????」
「コスト110使用することで、別のカードのキャラクターに四分の一の力を分け与えるですぅ」
「?????」
「えーと、この『灼熱の天涯(トロ・ピーカル・ドーム)』というモンスターは攻撃値90、防御値180、速さ60なんですけど」
「??????」
「さっきの補助に使った分をプラスすると、攻撃値が140、防御値が205、速さが90になるってわけですぅ」
「???????」
「あ、でも相反する属性ではこの補助は使えないですぅ。火と水、光と闇みたいに」
「????????」
66名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/13(月) 23:23:54 ID:???
 ここで『初心者に教える玄人の法則その2』。
玄人は初心者がわかってなくても説明を先に進める。
巻き戻しはまずききません。
えーともう一度、なんて言おうものなら、もの凄く「え〜わかんないのぉ」って顔されます。
わかんねえから聞いてんだろうがバーロー。
「ま、とにかく一度やってみるですぅ! 体で覚えるのが一番、ポイントごとに教えてあげるですから!」
「えー、何か今までの説明ですっごくやる気失せたんだが」
 どん、『初心者に教える玄人の法則その3』。
長々と説明しておいて最後は「ま、やってみないとわかんないよね。やりながら教えるし、やってみよ」でシメる。
だったら最初からしろ。
スタートラインに立つまでが異様に長いってどうなのよ。
「正直、まったく意味不明なんだがよ」
「平気のへいちゃらですぅ、料理だって包丁持たないと始まらないし、スキーだって滑ってみないと上達しないですぅ」
 ぼん、『初心者に教える玄人の法則その4』。
例えが無茶苦茶。
料理やスキーは一人で出来るが、カードゲームは相手が必要である。
条件がまるっきり違う。
「でもなあ……」
「大丈夫! 誰だって最初は素人ですぅ。私だってそうだったですよ」
 ばばん、『初心者に教える玄人の法則その5』。
昔は私も初心者だった、と言って安心感を誘おうとする。
そんなの当たり前である。
ちょっと考えればわかる、そんなもんで誰が安心するか。
将棋の名人も街角のヘボ将棋チャンピオンもそりゃ最初は皆素人だ。
これ、ちょっと宗教の勧誘に似ているね、私も昔は不安でしたがカミサマに出会ってから云々。
誰だって産まれた時は無宗教だよ。
「さ、さ、始めるですよ!」
「えー……やるのかよ」
「イケイケゴーゴーですぅ!」
「そりゃやるからには負けるつもりはねーけどよ、なんつってもスペシャル様だし」
 で、『初心者に教える玄人の法則その6』。
やる時になったら初心者より玄人の方が嬉しそう。
何て言うんでしょうか、布教ってやつですか?
これでまた同じ趣味に一人ひきずりこんだ、っていう。
タバコも酒もパチンコも麻雀も競馬もね、こうやってハメられていくもんです。
ああ怖い怖い。
67名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/13(月) 23:26:28 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「どーん! 闇属性『黒い虚無の太陽(ソーラ・0)』を使用、場の敵キャラクターカードの防御値に一律50のダメージですぅ!」
「んがあああああ、何だよそれえええ!」
「さらに場に出ている土属性『悪魔の花(ラフレシア)』に追加効果がつくですぅ、ソーラ・0により茎が成長して相手を絡め取るですぅ」
「はああああああ?」
「これでスペシャルさんは場のコストが40減で、さらに3ターン新規カード使用不能、つまり何も出来ないですぅ」
「なんじゃあそりゃあああああ!」
「あ、40減ってことはさっきスペシャルさんが出した風属性『緑法の番人(イナクト・デモ)』がコストに引っかかるので強制消滅ですね」
「ええええええええええええええ!?」
 そしてこれがトドメの『初心者に教える玄人の法則その7』。
じゃやってみようか、で始めたプレイで絶対に玄人は手を抜かない。
こっちゃ波動拳すらまともに出せないのに、ジャンプ大パンチ→しゃがみ中パンチ→ソニックブーム→立ち大パンチの壁コンボを問答無用で使ってきたり。
そもそも技すらほとんどわかってないのに、めくり攻撃から地上連で浮かされて空中追撃→キャンセル→追撃→キャンセル→超必とかしてきたり。
練習にもなんねえってのよ、逆にコンボの練習台にしてんじゃねーっての。
「はいはーい、まだ私のターンですぅ。無属性『全て分け解す鍵(NJキャンセラー)』を使用、フィールドを一時何にもナシにするですぅ」
「ほはああああ?」
「全ての属性はこれで影響ゼロになったですぅ。そこで光属性『圧倒的なり我が軍(アエーテ・イオ・カースデーアールト)』ですぅ!」
「んあああああああああ!?」
「次のターンこちらが無防備になる代わりに、今ターン場のこっちのカードの攻撃力が二倍になるですぅ!」
「がああああああああああ!」
「んふふふ、次のターンと言っても、スペシャルさんは『悪魔の花』の効果で動けないですけど」
 ミレイナ、恐ろしい子。
ここまでイジメることもあるまいに。
だいたいゲームでもスポーツでも何でも、入口で引き返してそれ以後苦手にしちゃうってのは、
こうやって玄人にイジメられて嫌になっちゃって、ってパターンが非常に多い。
そりゃ何もわからんうちにコテンパンにやられて、それで好きになれってのも難しい話ですわなあ。
「あー、これだともうスペシャルさん、残りのカードにどれだけ強いのがあっても挽回は無理ですぅ」
「のががががががあ」
 さて、このように玄人の理不尽な蹂躙に、初心者は本当に対抗出来ないのか。
ただされるがままに踏み潰され、せせら笑われる以外にないのか。
否、ひとつ、手段がある。
それは。
「うおー! 模擬戦二千回ー!」
「きゃあ!?」
「やって、られっかーっ!」
 そう、キレる。
将棋台でもファミコンでも、ひっくり返したらその瞬間に勝負はパア。
「あーっ! 投げちゃだめですぅ! ルール違反ですぅ!」
「ルールもへったくれもあるかー!」
「ダメですスペシャルさん! 御里が知れるですぅ!」
「うるせーオデコ娘三号! それが知れるってんならお前の方だー!」
 うむ、コーラサワーのツッコミ(珍しい)は間違ってはいない。
ミレイナのこの容赦のなさ、単に玄人と素人の差だけではない。
あのパパ様の御教育がさぞかしよろしかったのであろう。
68名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/13(月) 23:29:24 ID:???
「認めねー、俺はこんなの納得出来ねーからなっ!」
「負けを負けと認めなければ、人間成長は無いですぅ!」
「負けてない! 俺は負けてない!」
「負けたですぅ! そうやって放り出したのは降参と一緒ですぅ!」
「降参じゃない! 全然対等じゃねーだろ!」
「パイロットなんでしょうスペシャルさんは! MSでの戦いはいつも条件が同じなのですかあ!?」
「カードゲームとMSの戦闘は違うわー!」
「戦いという点では同じですー!」
 ああもう、屁理屈なんだかそうでないんだか。
ぶっちゃけ、これはどっちも悪いっちゃ悪いんだが。
「よぉしわかった、オデコ娘三号!」
「ミレイナですぅ! 名前で呼んでほしいですぅ!」
「お前だって俺のことスペシャルさんって呼んでるじゃねーかっ!」
「呼ばれて嬉しいくせに、強がらないでほしいですぅ!」
 さて、ここで突然ですが質問です。
この二人の間には、いったいどれ程年齢差があるでしょうか?
「一週間よこせ! 一週間!」
「一週間? 何するですか!?」
「一週間でこのゲームを極めてやらあ! で、お前を倒す!」
「つまり、この場は負けを認めて練習してくるってことでいいですね?」
「ちーがーう! 負けてねーって言ってるだろ!」
「いくら不死身のパイロットが二つ名だからって、往生際が悪すぎですぅ!」
 はい答え。
20歳近くです。
それを忘れないでいただきたい。
 と、言うところでまさかの次回へ続く。
いいのかね、ほんと。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心のもうやめて放せは続く―――



 「明日お前、来なくていいから」といきなり職場で言われてコンバンハ。
クビかよ俺なんかしたかよと思ったら上司が俺の四月分の公休を日程表に入れ忘れてただけだったサヨウナラ。
ボロが出るから早く終わらせようとしているのに終わらないミレイナカードゲーム編……。
69通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 23:30:46 ID:???
乙wwwwww
スーダラ不死で早速吹いたwwwwwwwwww
70通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 01:16:53 ID:???

「あえて言おうカスであると」を横文字風にしたのに吹いたww
71 ◆ZUiqHOGvTU :2009/04/14(火) 16:52:52 ID:???
職人不足に俺惨状!

…って、種なのは続いてねーやorz
その上、腱鞘炎で肩から先は安静にしろ言われてるorz
種死SSスレ放り投げだorz
メンサロ板に帰ります(´・ω・`)
72通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 17:00:07 ID:???
北斗七星の横で輝く星とか不吉すぎw
73通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 17:45:49 ID:???
死兆星かw
74通常の名無しさんの3倍:2009/04/14(火) 20:12:24 ID:???
俺目が悪くて、死兆星どころか星が6つしか見えねぇ…
75通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 11:12:20 ID:???
しかしカードゲームとはw
幅が広いのかそれとも一種の迷走なのかわからんZE☆
7657:2009/04/15(水) 19:19:27 ID:???
>>63
確かにデモクトでは相打ち取れずコラクトでやっと相打ちだから、コーラの効果に絞って不死身って方を
強調したほうが良かったかもしれんが、単純な強さを強調したかったので。

とりあえず俺からのGWネタの最後に、このカードを紹介しよう。

AEUのエース

戦場に出ると、帰ってきます。(意訳)
77通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 19:20:41 ID:???
訳しすぎだwwwwwwwwwwww
78通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 19:25:49 ID:???
とあるリアル軍人の説話



―――あなたは戦場で多くの武勲をあげられました。勲章もたくさん授与されました。
それは、やはりあなたに軍事的才能があったからでしょうね。


「違うね。運と、他者より少し頑丈な体のおかげだよ」
79通常の名無しさんの3倍:2009/04/15(水) 19:27:48 ID:???
結局幸運の女神を惚れさせたコーラさんが最強ということか
80通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 13:58:16 ID:???
イエス
81通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 17:23:41 ID:???
いつのまにかまとめのほうが追い付いてるw
誰かはわからんが、編集人GJ
82通常の名無しさんの3倍:2009/04/16(木) 21:27:43 ID:???
>>79
御名答、00での一番の勝ち組はコーラさんさ!!
83名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:00:51 ID:???
 不死が出た出た 不死が出た シュワシュワ
 ガンダム最終回の 中に出た
 あんまり展開が 凄いので
 さぞや視聴者 嬉しかろ イヤホイホイ
 
 一落ち二落ち三落ち越え シュワシュワ
 気付けば未聞の 八回落ち
 何ぼ出番が 短いとて
 印象が強けりゃ 彼の勝ち イヤホイホイ

 コーラが本気で 慕うので シュワシュワ
 思い切ります 嫁ぎます
 カティ・マネキン 准将に
 なるけど 嫁ぎます イヤホイホイ
  

 はい、炭鉱不死。
二度同じネタを続けるとゲップが出るかもしれませんすいません。
歌詞ネタは必殺ネタより引っ張れそうだけど、どこまでやら。

 ◆ ◆ ◆

 さて、幸せ家族計画パトリック・コーラサワーと、
オタクの蒼き流星ミレイズナー、じゃないミレイナ・ヴァスティのトレカ対決である。
コーラサワーの暇潰しがミレイナの暇潰しになり、
トレーディングカードゲーム『Noir et blanc』で素人のコーラサワーを達人のミレイナがボコボコにしたのが前回までのお話。
どれくらいボコボコかって言うと、旅立ったばかりの勇者をいきなりラスボスの魔王が襲うくらい。
で、元来負けず嫌いで自称当方不敗のコーラサワーが我慢出来るはずもなく、
一週間の特訓期間を経て再度決着をつけるためにガチンコ勝負となった次第である。
やあ、今日も世界は平和でプリベンターも平和だね、と。

「ふっふっふ、とうとうこの日が来たな、オデコ娘三号」
 颯爽と青コーナー(ただの本部のドアである)から入場してきたのは、
不死身と幸せが同居している男、魂がパンジャンドラム、パトリック・コーラサワー推定33歳。
「一週間程度頑張ったところでこのミレイナに勝てるとは思わないことですぅ、スペシャルさん」
 対して赤コーナー(そんなもんはナイ)に堂々と構えるのは、
ツインロールパンナちゃん、無重力空間であのミニスカは誘ってるとしか思えませんぞ、ミレイナ・ヴァスティ14歳。
両者の間に横たわる年齢の大河、その幅実にほぼ20歳。
下手すりゃ親子で通じる差であるが、外はともかく中はほとんど対等であるのだから恐ろしい。
「後で吠え面かくな、オデコ娘三号」
「そっくりそのまま返すですぅ、スペシャルさん」
 バチリ、と二人の周囲の空気が帯電する。
超能力を持った人間がこの場にいたら、コーラサワーからもミレイナからも白いオーラが出ていたのが見えたことだろう。
84名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:04:32 ID:???
「今日は逃げられないですよスペシャルさん、ミレイナ、お仕事はぜーんぶ終わらせてるですから憂いはありませんですぅ」
「おおよ、邪魔も入らねーぜ。何故なら他の連中は皆出張しているからな」
 レディ・アンの秘書としての今日の分の仕事を全部終わらせたミレイナ、
そして本部に一人残されたコーラサワー、果たしてどちらが社会人として偉いのか、
これは語るまでもないというか語ること自体が間違っているので敢えて語らない。
「ルールは公式のトーナメント基準でいきますぅ」
「おうよ!」
「自信満々ですけど、わかってるんですかぁ?」
「スタート時のフィールドはランダム! 場の上限コストは両者700! カードは最新拡張版まで対応!」
「へええ、バッチリ覚えてるですねえ」
「模擬戦2000回不敗、不死身のスペシャル様を舐めるんじゃねーぞ」
「ま、あんまり威張ることじゃないですけどー」
 さて、『Noir et blanc』の公式対戦ルールである。
まず両者手持ちのデッキから一枚適当に引き、そのカードのレアリティが低い方が先行となる。
対して、レアリティで負けた後攻のカードの属性がその場のフィールドとなる。
ターンでいくと先行が有利だが、デッキによっては後攻めが強くなることもあるため、気を抜くことは出来ない。
そしてフィールドが決まれば、次は手持ちカード10枚の選択に移る。
双方デッキの中から所謂『スターティングメンバー』を決めるわけだ。
残りのカードはシャッフルして裏向きに伏せ、自分のターンで場に出したカードの分だけその山から引くことが出来る。
場の上限コストを、場に出したカードの合計コストが越えてはならない。
また、カードによっては相手の場の上限コストを減らすことが出来たり、自分の上限コストを増やすことも出来る。
強力なカードはその分高コストなため、場の整理は大変重要になってくる。
最終的に、相手のカードを全滅させる、
もしくはカードが出せない(手持ちカードでは単体攻撃出来ない、または上限コストが手持ちカードコストより下)ようにすれば勝利となる。
カードによっては単体より複合(コンボという)で使った方が強いもの、発動まで数ターン必要なもの、
特定条件ではレア並の破壊力を持ったカードも存在する。
出しどころ使いどころ、すなわち知略戦略をもって戦うことが、このゲームを制する秘訣である。
デッキはゲーム開始時の手持ちと場の山を含めて50枚でプレイヤーが自由に組むことが出来るが、
レアリティが10〜5の通称銀レア(レアリティ文字が銀色)は3枚まで、
レアリティが4〜1の通称金レア(レアリティ文字が金色)は1枚だけしかセット出来ない。
なお、普通に玩具店で購入するにあたって、銀レアは100枚に1枚、
金レアは300枚に1枚の割合でしか袋(5枚入り)に入っていない。
プレイヤー間の売買では、時に破格の値段をつけてしまうレアカードもある。
ちなみにロッチ製は存在しない。
「スペシャルさん、デッキ組んできたんですかぁ?」
「もちろんだ、オトナの財力をバカにしてたら泣きを見るぜ!」
 つまり、オモチャ屋にいって買い占めた、と。
箱買いまでならともかく、店の物を全部買っちゃうのは子供の敵以外のナニモノでもない。
子供同士なら「アイツ、金持ちー」「アイツすげー」と羨望の眼差しが入るが、
大人がそれをやると軽蔑の眼差ししか向けられないので要注意。
「じゃあ行くぜ、オデコ娘三号! 尻の毛まで毟り取って泣かしてやる!」
「スペシャルさん、きっと他意は無いと思うですけど、この御時世だと猥褻罪で逮捕されると思いますぅ」
 パトリック・コーラサワーとミレイナ・ヴァスティ、
どちらもある意味天才にして超人である二人の戦いが今、幕を開けた―――
85名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:08:46 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「ミレイナのターンですぅ! 無属性『愛が憎しみに変わる世界(ウボァー・ワールド)』を使用! こちらの単体攻撃の効果を二倍に引き上げるですぅ!」
「俺のターン! 風属性『撃ち砕けないとは違うのだよ撃ち砕けないとは(ランバラル・クシェル)』! 受けたダメージの3/4を反撃で返す!」
「ミレイナのターンですぅ! 水属性『頼れる相棒(シャーネー・ナシャーネ)』を使用! 相手の反撃限定でその分をさらに反撃で返すですぅ!」
「俺のターン! 土属性『静かなる帰還(ヤーラ・レチャ・イマ・スター)』! 発動中の補助効果を両方とも全て解除する!」
 まさに一進一退の攻防。
コーラサワーが攻めればミレイナが受け流し、ミレイナが寄ればコーラサワーがいなす。
や、攻防とは言ったものの、何だかどっちも補助系しか使ってない気もするが、まぁ気のせいということで東シナ海に流しておこう。
「ミレイナのターンですぅ! 火属性『四番目の子馬(ステレオ・ポニー)』を召喚! 付帯効果でフィールドを荒野にチェンジですぅ!」
「げっ、いきなりかよ!」
「ここが攻めどころですぅ、双方、残りカード数から言ってここを攻め切った方が勝ちですぅ!」
 コーラサワー、この一週間で集中特訓しただけあって、かなりの腕前に成長していた。
達人クラスのミレイナとここまで丁々発止のドツキあいを繰り広げており、
元エースの照合も伊達ではないことを改めて証明している(本当の意味でアタマが悪ければ、そもそもエースになれない)。
まあ特訓相手が天才戦術予報士のカティ・マネキンだったわけだから、上達しないほうがおかしいっちゃおかしいのだが。
はいそこ、何やってんだマネキンさんと突っ込まないように。
ねえ、仲睦まじくていい話じゃない。
推定33歳と推定37歳の結婚を控えた男女がカードゲームの練習だなんて。
「ちくしょう、有効な火属性のカードが手持ちにねーな……ならパスで一枚捨てて山から引くぞ……げっ、ダメだそれでも出せる札がねえ」
「んふふー、スペシャルさん、後手後手ですぅ」
「うるせーよオデコ娘三号、上限コストを考えると無駄にカード出せねーだろが」
「ま、それは正解だと思うですけれども、時には強引に打開策をうたないとダメなんですぅ」
 しかし、やはりそれでもミレイナに一日の長あり。
トレーディングカードゲームに限らず、こういった類のゲームは何でもそうだが、
経験者が持つ『流れを読む一種の勘』は非常に強力な武器である。
敵の弱点がわかっても、それを衝くタイミングを計るのは、結局どれだけ場数を踏んできたかにかかってくる。
コーラサワーも模擬戦2000回負けなしだから不足はないのだが、
どうしてもMSのパイロットとカードゲームのプレイヤーでは勝手が違うのだ。
「ミレイナのターンですぅ! 闇属性『問うべき王の器(オーマ・エホードゥ・ノゥ・トコガ)』を使用! 以後3ターン、任意のキャラカードの攻撃を二回に増やすですぅ!」
「俺のターン! 無属性『苛立ちの返信(ナ・ヌ・ティトゥワノゥ・ティサーイ)』! 水・風・闇属性の攻撃を次のターン無効化!」
「ミレイナのターンですぅ! 土属性『求めた母性(ラスン・ワ・ティシノハー・ファーニナ)』を使用! 今までのターンで受けたダメージを半分回復するですぅ!」
「俺のターン! 光属性『ラ・ラ(オカサ・ララガ・ウーワ)』! 相手の場の無属性の単体キャラに一律50のダメージを与える!」
「ミレイナのターン! 水属性『メビウスの大車輪(ビヨンド・ザ・タイム)』を使用! 先のターンで回復した分をそのまま次のターンの攻撃に上乗せするですぅ!」
 ミレイナ、トドメに向けて着々と下準備中。
コーラサワーもヤバイと感づいているが、今の時点では文字通りきれる手札がない。
逆に言えば、ミレイナがコーラサワーをじりじりと追い込む、そういう戦い方をしてきたとも言える。
「くそー、俺のターン! 風属性『固き肌と近き耳(アンゼンセ・シューオンセ)』! 次のターン、一時的に場のカードの防御力を1.5倍に上げる!」
 攻撃も単発なら、守りもその場凌ぎ。
パトリック・コーラサワー、敗色濃し。
「んっふっふ〜」
「な、何だよオデコ娘三号、気色悪い笑い方しやがって」
「スペシャルさん……チェックメイトですぅ」
「何ぃ!?」
 ミレイナは半目で薄く笑うと、手持ちのカードから一枚引き抜き、場にピシリと置いた。
86名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:13:21 ID:???
「ミレイナのターンですぅ。火属性『猛き黒の翼(エムス・ワ・ドゥ)』を召喚。無理を道理で押し通す、相手の全てのカードに200ポイントの攻撃ですぅ!」
「なんだっとー!」
「しかもレアリティが7の銀レアですぅ。これにより通常数値の二倍の攻撃となるですぅ」
「ぬがー!」
「さっきの『問うべき王の器』の効果で攻撃回数が二回に増えて」
「そんなぁ!」
「さらに『求めた母性』で回復した分が『メビウスの大車輪』で上乗せされて」
「なんじゃあ!」
 これぞ、このゲームの特徴である『コンボ』。
補助効果の上乗せで強烈無比な一撃を放つことが可能となる。
無論、それだけに準備が相手にミエミエなわけで防がれることもあるが、
それを簡単にさせないように場をコントロールするのが、このゲームの勝敗を分ける最大のキーなのだ。
上級者ともなれば、一手目から十数手分のコンボを考えてプレイすることもある。
無論、その途中でコンボが逸れることも十分考慮に入れて、だ。
「スペシャルさん、『四番目の子馬』でフィールドチェンジされた時点で負けが半分決まってたですぅ」
「……」
「ついでに言えば、それまでにも布石は打っておいたですけどね。補助系乱発とか」
「げっ、まさか」
「そうですぅ、終盤に補助キャンセルを使わせないために、敢えて中盤までこちらも補助系を多用したですぅ」
 恐るべしミレイナ・ヴァスティ。
やはり、カードゲーム勝負ではコーラサワーは勝ち目がないのか、そうなのか、どうするパトリック。
「『固き肌と近き耳』で防御上げても無駄無駄無駄ァーですぅ。場のスペシャルさんのカードは全てオーバーダメージですぅ」
「ぬ、ぐぐぐぐぐ」
「さて、場が全滅した場合にはペナルティがつくのは知ってるですよねー」
「……1ターン何も出来ない、ってか」
「その通りですぅ。で、ミレイナはその隙にこのカードを出しちゃうです」
 テーブルの上のコーラサワーのカード(今しがた全滅した)を押し退けて、ミレイナはまた一枚のカードを置いた。
「ミレイナのターン、闇属性『暴君の叱責(バンシー・ニア・タイ・スルー)』を召喚。スペシャルさんのターンをミレイナが3ターン分『前借り』するですぅ」
「なんじゃあああ、そりゃああああ」
「はいはい続いてミレイナのターンですぅ。風属性『超越兵士の夢想(アレ・ハーレー)』を使用、スペシャルさんの次回のターン、手持ちじゃなくて山から一枚強制的に場に出してもらうですぅ」
「なんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「まだまだミレイナのターンですぅ。土属性『狙撃手の告白(アイシー・テンヨー)』を使用、次のスペシャルさんのターン、カードの補助使用を使用禁止ですぅ」
「なんなんなんじゃあああ、そりゃああああ」
「で、これでトドメですぅ」
 ニヤリ、とミレイナは笑った。
そして彼女が出したカードとは。
「ミレイナの最後のターンですぅ。レアリティ3の金レア、無属性『酒豪の強行決議(ミッション・コンプリート)』を使用ですぅ!」
「ななななななななんじゃああああああああ、そりゃあああああああ」
「スペシャルさんの上限コストを1ターンだけ10にするですぅ!」
「むぐ、ぐ……」
「多少強引ですけど、これでデス・コンボ完成ですぅ。カードの単体での最低コストは20まで、補助系として使えないので絶対にそれ以下には下がらないですぅ」
「……」
「スペシャルさん、出せるものがないですぅ」
「……」
「で、『超越兵士の夢想』を使っているので、手持ちを一枚捨てて山から引いてもらった一枚を場に出してもらうですぅ」
「……」
「つまり、どのカード引いても上限コストで引っ掛かっちゃうので、スペシャルさん強制敗北ですぅ」
87名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:18:00 ID:???
 すなわち、王手詰み。
ミレイナの勝利宣言である。
「まあ、コストが0の超レアも存在するですけど、そんなの2000袋に1枚の確率でも出荷してないですぅ」
 ミレイナは笑みを浮かべると、足を組み替えて胸をそらした。
ここまでやった以上、千を越えて万分の一でも敗北はない。
なお、膝を組み替えた時にコーラサワーに下着がバッチリ見えちゃったわけだが、
勝利の確信でそこまで気が回っていないミレイナさんである。
「……そうかよ、コスト0、な」
「な、何ですぅ?」
「オモチャ屋で売ってる5枚入りの袋、それが2000袋あってもまだ入ってないとびっきりのレア・カードってか」
「え、え?」
「ふ、ふっふっふっふ」
 ツインロールパンツ、もといツインロールパンナちゃんの心にさざ波が起こる。
完全に追い込んだ、最早自身の勝利は動かないはず。
それなのに、負けが決まっているこのスペシャル男は、何故笑うのか。
「ふ、フンですぅ。強がりのハッタリはやめるですぅ」
「……まず強制廃棄の一枚を捨てさせてもらうぜ。ルールに従ってな」
「も、持ってるわけないですぅ……! だ、だいたいそんなドえらいカードを持ってたら、スペシャルさんは絶対に顔に出るですぅ……!」
「ふん、一週間俺を鍛えてくれたのが誰だと思ってんだ? あのカティ・マネキン大佐だぞう?」
「な……んで、す……?」
 何だか少年誌のバトルマンガのような台詞を口にしてしまうミレイナ。
彼女の視界の中では、コーラサワーが既に山から引いていた一枚のカードを持って構えている。
「確かに最後のターンになったぜ、オデコ娘三号」
「え……!?」
「俺のターン……レアリティ1、コスト0の金レアの無属性『泡沫世界の女神(シュワー・ザ・ワールド)』を召喚」
 コーラサワーはピッと、そのカードを場に滑らせた。
レアリティの金の数字が、天井の照明に反射してキラリと光る。
「な……!」
「強制効果発動。今まで受けたダメージ及びコストダウン及び減退系の影響……つまり全部だな、それをひっくるめて一気に返す」
「なあっ!?」
 まさにこれは、九回裏の代打逆転満塁ホームラン。
「な、な」
「つまり、デス・コンボは裏返る。俺の勝ちだ」
「な、な、な、なんですぅーっ!?」
「……へっ、模擬戦2000回不敗、パトリック・コーラサワーをコケにすんな」
 パトリック・コーラサワー、カードゲームバトルにおいて、ミレイナ・ヴァスティを完全撃破せり。

 ◆ ◆ ◆

「……で、あの子が泣きながら出て行ったのはそういうワケがあったのか」
「おうよ、まだまだガキだな」
 ずずず、とパトリック・コーラサワーは緑茶をすすった。
彼の目の前には、ミレイナ・ヴァスティではなくデュオ・マックスウェルが座っており、
挟んでいる机の上は、トレーディングカードではなくお茶とお菓子が乗っている。
88名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/17(金) 00:21:07 ID:???
「もう少し早くお前らが帰ってきたら、この俺の華麗な大逆転が見られたのによ」
「いや、見てもしょーがねーし、そんなもん」
 コーラサワーが逆転のウルトライーグルパットを決めた数分後に、
サリィ・ポォとガンダムパイロットたちがこのプリベンター本部に戻ってきた。
そして、入れ違い的に大泣きのミレイナが自分のカードをかき集めて出て行った、というわけだった。
「この一週間、遅刻と早退を繰り返していたのはこのためだったのかよ」
「おうよ」
「……サリィに首が二周半するくらい殴られて来いよ」
 デュオは溜め息をついた。
そして、テーブルの下に落ちていた紙の一枚のカードを拾い上げた。
「……無属性『永遠の円舞曲(エンドレス・ワルツ)』、なんだこれは」
「ん、オデコ娘三号が忘れていきやがったな」
「ふーん」
 デュオはそのカードをテーブルにそっと置くと、自分も湯呑を手に取った。
もう少し、あと一分もしないうちに、他の面子もこの部屋に茶を飲みにやってくるだろう。
「しかし、結局は運だけで勝つのな、お前は」
「運て言うな、実力だ、実力!」
「へいへい、運も実力のうちってね」
 ぐい、と湯呑を傾け、熱い液体を喉に流し込みつつ、デュオはさっきテーブルに置いたカードに視線を走らせた。
そのカード、『永遠の円舞曲』には、効果の欄にこう書かれていた。

   『この混乱の円舞曲は、沈静効果のあるカードを出すまで永遠に場の属性を無効化し続ける』

「……つまり、つきあって踊り続けろ、ってか」
「ん? 何だよみつあみおさげ、俺の顔に何かついてるのか?」
「いや、別に」
 デュオは小さく苦笑すると、きゅうすを持つと、腰を上げてポットに近づいた。
おそらく自分と同じ、コーラサワーの自慢話を聞かされるであろう後続のガンダムパイロットたちのために、お茶を淹れてやるために。



 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――



 コンバンハ。
カードゲーム編駆け足で終了、さて次からまたどうしよサヨウナラ。
89通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 00:30:21 ID:???
乙でした!
カードの名前に笑いまくりwww
90通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 01:14:19 ID:???
乙www
自分がイヤッフーするためならどんな努力もいとわないコーラさんwww
91通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 13:27:10 ID:???
この架空ゲーム、カードゲーマーから見てどうなん?
92通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 21:31:03 ID:???
コーラさん、子供相手にむきになるなんてww
93通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 17:54:57 ID:???
いつでも全力投球、それがコーラさんですw
しかし土曜日の人、ネタがないない言っときながら00開始時からほぼ毎週投下しとるな
何がガソリンなんだよw
94通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 10:18:10 ID:???
模倣氏はしばらく休むといってたが、不定期氏や水曜日氏はどうしているだろうか…
95通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 12:15:47 ID:???
読む側からなんかネタでも提供したらいいのだろうか>ネタ不足
そもそもこのスレのSS、ジャンルは何だ?
96通常の名無しさんの3倍:2009/04/19(日) 23:47:41 ID:???
>>95
コーラサワーしかないだろ
97通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 17:13:06 ID:???
次はオンラインゲームで対戦だな>コーラとミレイナ
98通常の名無しさんの3倍:2009/04/20(月) 22:17:28 ID:???
運だけでレアアイテムを稼ぎまくるコーラさんが見える
99通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 16:45:26 ID:???
ありそうだw
100通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 16:47:39 ID:???
>>97
ギャルゲとエロゲならコーラの必勝だろう。
BLならミレイナに軍配。
101通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 17:29:00 ID:???
>>100
後者は無理ゲーwww
102通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 18:00:03 ID:???
コーラ「男なんて落とす気にもなれねぇ!mjd無理!!」
ミレイナ「それじゃ勝ちはいただきですぅ♪」
103通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 07:18:08 ID:???
皆の思い出に残るゲームは?
104通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 09:04:10 ID:???
Wの格ゲーがあると聞いて探しまくったのは良い思い出
105通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 11:37:00 ID:???
アークザラッド
2のラストで泣いた。

決戦前のプロポーズはあれ以来最強の死亡フラグと思っていたが
コーラさんが見事にへし折ってくれたので漢として惚れたw
106通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 14:05:50 ID:???
マイクロキャビンの幻影都市(イリュージョンシティ)
PC98、ウンズ、ロッパー、MSXターボR、メガドラで出てたサイバーパンクRPG

20年近く前のゲームですがなにか
107通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 14:34:47 ID:???
黄金の羅針盤
ライラじゃないよ、リバーヒルの推理ものだよ

うんずでプレイしてラストでマジ泣きした
108通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 14:46:05 ID:???
マニアックな流れを読まずガンパレード・マーチと言ってみる
オーケストラは認めない……!
109通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 16:07:36 ID:???
なんか本スレといいここといい、微妙におっホイ化してないかw
格闘ゲームならやはりストシリーズだな、やりこんだのは後期シリーズだが
初代スト2をはじめて体験したとき、そのスピードの遅さに逆に新鮮だった記憶がある
あとは光栄(コーエーではない)の太閤立志伝と大航海時代のリコエーション系


コーラが主人公のゲームとかあったらいいのにな
110通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 18:15:46 ID:???
111通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 21:20:26 ID:???
やっぱりそういう系統になるわけだ…
112通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 23:30:49 ID:???
>>110
やってみたいなあw
113通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 23:42:06 ID:???
>>110>>112

イベントでwktk(ry

しかも最後は結婚式なんだぜw
114通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 23:49:46 ID:???
原作キャラでは真ヒロイン大佐ルートと、絹江さんルートと、ソーマルートがあるよ!
ソーマは恋愛にはならないけど
115通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 23:57:40 ID:???
スメラギさんはないのか?
まさかのルイスだと略奪愛。
アニューだったらリターンをどうすんだコーラw
116通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 07:11:32 ID:???
だめだ!
コーラは准将一筋だっぜ!
117通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 07:58:24 ID:???
真ED…妻子そろった至福のコーラサワー
カティノーマルED…結婚式で幸福のコーラサワー
ノーマルED…軍で不死身のコーラサワー友情ED…バーで意気投合したラッセと―
BADED1…生死不明で続く
BADED2…本編がシリアスで出番無くFO
BADED3…カティの部下止まりで終わる
BADED4…金髪女とイチャつきED


ちなみにEDはBADも含めてすべてアニメ付
118通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 09:31:15 ID:???
この説明だけ見るとBAD4がマトモなEDに見える件
119通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 10:15:58 ID:???
コーラは多分当たり判定が1ドットしかない
120通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 22:38:06 ID:???
>バーで意気投合したラッセと―
おいwwww
121通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 12:11:09 ID:???
どう意気投合するってんだw
122通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 13:09:25 ID:???
「テメェわかってねえだろ!、俺はドMで、2000人斬りで、ノンケなんだよぉ!!」

どう意気投合せよと(ry
123通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 14:23:13 ID:???
コーラはMじゃないと書いてありましたよ
殴られたことと惚れたことに直接の因果関係はないですよ
124通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 16:39:09 ID:???
>>123
Mじゃない>どこに?
「Mじゃない」とわざわざ書いてあることに今びっくりした。
教えて>>123orz!
125通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 16:42:58 ID:???
ttp://ranobe.com/up/src/up354569.jpg
はい。アニメディアのコーラ特集のときね。
126通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 16:47:40 ID:???
>>125
dクス!仕事の速さにも驚いた。

こんなこと書くんだメディア。
コーラ特集か。いいな。

小ネタ満載なんですね分ります。
127通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 17:40:17 ID:???
土曜日氏以外の職人、どうしちゃったんだ
128通常の名無しさんの3倍:2009/04/24(金) 22:49:50 ID:???
>>127
そういや音沙汰ないね・・・
129名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/25(土) 01:23:25 ID:???
 ちょっとあれ見な エースが通る
 スペシャルだぞと 軍内騒ぐ
 炭酸サンバ 炭酸サンバ 
 イヤッフサンバ イヤッフサンバ
 アイツの噂で女神も走る
 それにつけても コーラはなんなの
 言動一つにキリキリ舞いさ
 ヤッフヤッフヤッフ スペシャルアンドヤッフ
 最後に決めたぜカティをゲット
 そん時 コーラは スーパーヒーローさ
 ヤッフヤッフヤッフ ハッピーアンドラッキー
 萌えて映画も 駆け抜けろ


 さて、プリベンターである。
統一された世界政府において、治安を維持する各警備隊と警察を除けば、
唯一つの『犯罪と暴力を取り締まる』組織である。
その存在は公になってるのかなってないのかわからんが、
とにもかくにも、現在の政府が目指す恒久的な平和を守るためには欠かせない隠密同心的な集まりなのだ。
選ばれたメンバーも当然の如く、その道のスペシャリストで、
かつてOZの暴走を食い止めたガンダムパイロットをはじめ、錚々たる面子が名前を連ねている。
間違っちゃいない、うん間違っちゃ。
はいそこ、笑いを堪えないように。
笑うなら思い切り笑え、笑ったらいいじゃないのさ。
べ、別にアンタのために以下省略。

 ◆ ◆ ◆

「何時の間にやら花見のシーズンも終わっちまったなー」
「脳内が年がら年中花満開の奴が何言ってやがる」
 アザディスタンでの一件が終わってから、世界は実に無事平穏、荒々しい出来事はまったくない。
あの事件が世界的な出来事だったのか、という点については、
いささかの認識の差があるだろうが、プリベンターにとって大事件だったのは疑う余地の無いところである。
引き続きレディ・アンの主導の下で捜査が行われているし、
ビリー・カタギリなど外部の協力もあるものの、目立った進展は無い。
この辺りは、さすがにアリー・アル・サーシェスとその一党はそっちのプロであり、
またその背後にいるイノベイターの影響が強いというわけだった。
プリベンターがイノベイターの裏の顔を知る(表の顔はアイドルグループであるからして有名ではある)のは、ちょっと先のお話になる。
何しろ無計画にここまで書き散らしてきたわけで、
そんな先のことまで見据えて展開なんか考えてないとぶっちゃけておく。
ね、人生は臨機応変、行きあたりばったりが魅力なんです。
「桜の花を見ながら酒を飲む、春のイベントとしてこれ以上のものはないだろーが」
「お前は人生最大レベルのイベントがもう少し先に控えてるだろ」
「……まーな」
「いっちょまえに照れるな、鼻の下を伸ばすな、この極楽炭酸人間が」
「褒めるなよぅ」
「褒めてねーよ!」
130名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/25(土) 01:24:35 ID:???
 相も変わらず、プリベンター本部ではパトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの掛け合い漫才が繰り広げられている。
これなくして、何のプリベンターかな。
「招待状がもう少しで刷り上がるんだよ、大丈夫、お前らの分も用意してあっから」
「俺たちに出ろって言うわけ? 結婚式に」
「ありがたく思えよー」
「そりゃ礼儀として参列せにゃならんだろうが……」
 さすがに世界を守る隠密同心としては、全員が全員結婚式に出れるわけでもない。
何かあった時のために、本部に動ける人員は残しておく必要がある。
その座を巡って熾烈な争いがコーラを除くメンバーで繰り広げられることは必至である。
結婚式に出るための争い、ではない。
残るための争いであるので、あしからず。
「無難にカトルあたりにお願いしたいところだけどな」
 下手に五飛やヒイロを参加させようものなら、コーラサワーの言動次第では式が破壊されかねない。
そうなったらコーラサワーはともかく、相手のカティ・マネキンや両家の家族に申し訳が立たないというものである。
が、それもまた先に述べた残留争いの結果によるであろう。
全ては神の味噌汁、ではない神のみぞ知る、というわけだ。
「マスコミも呼んで大々的にやりたいくらいだぜ、ホントは」
「どこの芸能人の結婚式だよ」
 コーラサワー曰く、式のプログラムについてはほとんどがカティ・マネキンが主に取り決めているとのこと。
さすがに秀才と謳われた戦術予報士、コーラサワーに任せる気はなかったようだ、と思うデュオである。
「MS(ミカンスーツ)に乗って登場、とかな。やりたかったんだが」
「教会を潰すつもりかよ」
「俺の操縦テクは知ってるだろーが、俺はエースだぞ、スペシャルエース!」
「……教会は無事でも、式は潰れるだろうな」
「ライスシャワーも派手に飛行機から撒いたりだな」
「さぞかし痛いだろうな、降ってくるのに当たったら」
「ブーケトスもこう、ぶわっと100束くらい」
「どうやって放り投げるんだよ、一つ一つやるのか?」
 デュオは溜め息をついた。
そして思った。
結婚式だけではない、あらゆる行事でコイツに責任者を任せてはダメだ、と。
別の意味でマスコミに取り上げられることに成りかねない。
「でもノートルダム大聖堂でやりたかったなあ、パリの」
「……特級の世界文化遺産だぞ、オイ」
「じゃあランスの」
「戴冠式でも行う気か」
「アミアンでも」
「ハネムーンの代わりに巡礼に出ちまえ、いっそ」
 嗚呼、プリベンターは今日も平和である。
願わくば、この安寧の日々が少しでも長く続かんことを。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 コンバンハ。
自分でやってて何ですが、ミレイナ出すと話を持ってかれるので今後の使いどころが難しいですサヨウナラ。
131通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 02:07:12 ID:???
投下乙!
最終回のまともな結婚式の裏側に
こんな事情があったらと思いワロタw

思えばすごくまともな結婚式だった・・・。
コーラに何か!やられても困るんだが。

確かにミレイナの役どころは美味しすぎた希ガス。
あなどれない小娘でした。
132通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 17:04:12 ID:???
諸刃の剣だな、ミレイナ
133通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 20:51:12 ID:???
皆はコーラさん以外に誰が好き?
ここじゃなくて、本編準拠で
俺はグラハムになるなー、最後らへんは映画があるという点ではしょられた感じはあるけど

一本ネジが翔んだ感じのキャラは惹かれるよな、何故か
134通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 09:33:16 ID:???
>>129
ヤッフヤッフヤッフが沖田の声で再生されましたwwwwwwwwww
135通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 13:50:42 ID:???
映画って来年のいつだっけ?
136通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 19:16:52 ID:???
>>133
男ならアリーかハワード
女ならミレイナ一筋だが

まあ確かにぶっ飛んだキャラってはずしたらあれだけど、ツボにはまればかなり惹かれるよな〜
137通常の名無しさんの3倍:2009/04/27(月) 18:45:51 ID:???
そういう意味ではコーラはラッキーなキャラだったな
インパクトがものすごく強い
138通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 10:46:10 ID:mAyXTYqX
あげ
139通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 14:53:30 ID:???
ダイエットコーラサワー
140通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 21:56:52 ID:???
>>133
荒熊さんかな
141通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 22:10:52 ID:???
まとめがとうとう100話に達してる件
142通常の名無しさんの3倍:2009/04/28(火) 23:41:48 ID:???
100話達成おめでとうあげ
143名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/29(水) 16:57:05 ID:???
 不死身のように コランザム コランザム
 ここは宇宙(そら)の果て 流されて彼
 あぎゃに蹴られて 無傷で還る
 コーラサワー 癒し放って
 コーラサワー 弾ける力
 カティ目指して 心を開く
 不死身の肉体 奇跡を乗せて
 バカかエースか 新橋閃光
 不死身のように コランザム コランザム
 不死身のように コランザム コランザム



「あー、暇だなあ」
「口を開けばそればっかりだな、最近」
「ふあああああ」
「欠伸するな、コラ」
「春だし眠たくもなるだろーが」
「昨日、何時間寝たんだよ」
「八時間」
「十分じゃねーか!」
 今日も今日とて、パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの漫才が繰り広げられている。
いつもと違うのは。
「しかし、実際暇だしなー」
「いや、今仕事中だし……」
 プリベンター本部ではなく、仕事先で展開されていたことだろうか。

 ◆ ◆ ◆

 アザディスタンでの一件以降、プリベンターは穏やかな日々を過ごしている。
アリー・アル・サーシェスの追跡、
そしてビリー・カタギリのパソコンにハッキングした相手の調査は、遅々として進んでいない。
何しろ手掛かりが少な過ぎるので、いかにレディ・アンの捜査網が強力でも、
無に近いところから有を弾きだすことは出来はしないのだ。
「だいたいな、こんなの仕事って言うのかあ?」
「立派な仕事だろ、警備は」
「でもよ、ハッキリ言ってコレはテロの対象になるとは思えないんだが」
「物好きなテロリストがいるかもしれないだろ」
「どんな奴だよ」
「お前みたいなのな」
「……そうか」
「冗談に納得するのかよ! おい!」
144名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/29(水) 16:59:40 ID:???
 今日、プリベンターは警備の仕事で出張っていた。
彼らが守るのは、政府直属である『新軌道EV建設委員会』の面々である。
現在、世界には三本の軌道EVがある。
ソロモン諸島の『天柱』、南米の『タワー』、アフリカの『ラ・トゥール』であり、
それぞれ5万キロメートルの高度で、軌道上を囲むように太陽光発電システムに直結している。
そして、今日委員会が調査を行っているのは、四本目となる軌道EVの建設予定地の視察なのである。
「政府転覆を狙う奴らがまだ残ってるのは確かなんだぞ」
「でもなー、例えばどっか一本でも壊してみろよ、エネルギー問題で地上はてんてこ舞いだぞ」
「そういうことになるな」
「化石燃料がほとんど用無しになった今、そんなことしたら例え政府を潰しても自分たちの首を絞めるだけだろ」
 おおコーラサワー賢い、などと思ってはイケナイ。
この時代に暮らす者なら、これは常識レベルのお話。
実際にはまだ化石燃料によるエネルギー産出はある程度継続可能なのだが、
環境に与える影響等その他諸々を考えると、旧時代化しているというのが現状である。
ハラペコショタ姫ことマリナ・イスマイールのお国アザディスタンを始めとする中東諸国が、
世界に対する発言力を失ったのは、実にこの問題が大きい。
カトルの実家であるウィナー家も石油の利権で大きく富を伸ばした豪商だが、
エネルギー問題過渡期においてその立場を落とさなかったのは、
当主が代々目敏いタチで、先々を見据えて色んな手を打っておいたからである。
「思いつきやウップン晴らしで軌道EVに傷でもつけたら、それこそ下手すりゃ終身刑だろーがよ」
「だからこそ衝動的なテロリズムは怖いんだろ、ほれ、お偉いさんたちが移動するぞ」
 実は、正確には新たに建造計画中のこの軌道EV、『四本目』というわけではない。
現在建っている三本の、言わば補助的なものとなる予定である。
軌道EVはその性質上、赤道上に地上との隣接点があるのが望ましい(赤道上しかダメ、ということはないそうな)。
「でもよう」
「まだ何かあるのかよ」
「海のど真ん中だぜ、ここ。四方は見渡しがきくから、襲撃なんてやりにくいと思うんだがよ」
「海中と天空があるだろ」
「それぞれ警備隊が配置されてるじゃねーか。俺たちがいる意味ねー」
「……政治的な問題もあんだよ」
 この『補助EV』はそもそも、太陽光エネルギーのためというより、欧州側の発着拠点の意味合いが強い。
大西洋に移動式のメガ・フロートを作り、そこにアース・ポートをこしらえることで、
アフリカのラ・トゥールにかかる負担を少しでも減らそうというのが本当の目的だったりする。
宇宙に行く人、地上に戻ってくる人は多い。
物資の輸送などは、マスドライバーに頼る部分が大きいのも事実。
現在、宇宙は人類に残された数少ないフロンティアであり、
宇宙開発を進めることで人類の未来が開こうとするのは、これはSFでもなんでもなく、
地球上をほぼ押さえつくした人類が取るべき当然の方針なのである。
なお、プリベンターと調査団がいるのは、かつて海底資源を採掘するための海上ベースだったところ。
ここを基点としてメガ・フロートが作られることになっている。
「あのOZだってそうだっただろ、思いっきり強引に軌道EVの計画を拡張しようとしてたじゃないか」
「……そうだっけ」
「そうだっけってお前……本当に軍人だったのか」
 デュオは溜め息をついた。
軍人らしくない軍人コンテストがあれば、間違いなくコイツは上位に入っただろうな、と思わざるを得ない彼である。
145名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/29(水) 17:01:16 ID:???
「いずれはコロニーともどうにかして繋げるつもりだったらしい」
「出来るのか、んなこと」
「さあね、正直俺は無理だと思うが、そういうことを言うことでコロニーへの牽制になると考えたんだろ」
 現在、コロニーも統合政府の内。
過去の諍いなどから未だ地上とコロニーの関係はスムーズではないが、
それでも統一した政体の下で、関係者は足並みを揃えようと力を尽くしている最中である。
「おい、見ろみつあみおさげ」
「何だ、仕事しろ」
「ちんちくりんの奴、寝てるぞ、立ったまま」
「何ィ!?」
 デュオはコーラサワーの指差す方を見た。
丁度調査団を挟んで向こう側、確かにコーラサワーが言うところのちんちくりんことヒイロ・ユイは目を瞑っている。
「……いや、あれは寝てるんじゃないだろ。アイツはあんな感じだ、いつも」
「本当かあ?」
「ヒイロとは俺の方がお前より付き合いが長い」
 つまり、お前よりよく知っている、ということを暗に匂わすデュオ。
実際、ヒイロはそんな感じである。
「何か投げつけてやろうか」
「やめとけ、んなことすると後で仕返し喰らうぞ」
「フン、ちんちくりん一人に遅れを取るこのスペシャル様じゃねえ」
「いつだって遅れ取ってるくせに。それに、悶着起こすと多分五飛も関わってくるぞ」
「丁度いいじゃねーか。俺の真の実力を見せてやらぁ」
「そうなると、トロワも参戦だな。ついでに言うと俺もだ」
「フルボッコするつもりかよ!」
「あ、やっぱり四人相手は自信無いか」
 ちなみに、今回警備の仕事として来ているのは、
コーラサワーとデュオ以外では、現場指揮のサリィ・ポォ、ヒイロ・ユイ、張五飛、トロワ・バートンといった面子。
コーラサワーだけが異質だが、正味の話、警備の仕事だからといってあんまり彼だけをハブるわけにもいかないのだ。
仕事の機会は均等に、平等に。
いくら問題児だからと言っても、同じ組織にいる以上は、やっぱり同じ仕事をしてもらわなけりゃ困るって話である。
「んで、いつまで俺たちは海風に吹かれてりゃいーんだあ?」
「そりゃ調査が終わるまでだろ」
「げっ、まさか一か月とか言うんじゃないだろうな」
「……安心しろ、俺達がここにいるのは今日だけだ」
「何だそりゃ、やっぱり俺らが警備の仕事する必要ないじゃねーか」
「だから、政治的な問題でもあるって言っただろ」
 プリベンターはレディ・アンが結構無理をねじ込んで作り上げた組織。
政府内では、正直快く思わない連中も結構いる。
そういう人たちの誹謗中傷をかわすためにも、こういった仕事に出なければならないことは多々あるのだ。
もっとも、「一日だけか、お客さんだな」と結局言われちゃうわけだが。
「そろそろ私語は慎もうぜ、サリィに怒られちまう」
「うー、今日の晩飯、何にしようかなあ」
「……おいコラ」
 派手な仕事以外では、とことんやる気がないコーラサワー。
自分が輝ける舞台にしか興味はない、何ともスバラシイ性格な推定34歳童顔中年であることよ。
自らに正直に生きる、感情のままに生きるヒイロと似て……いや、何か違うな。
146名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/29(水) 17:01:58 ID:???
「ん……?」
「また何か?」
「いや、見知った顔が」
「ハァ? 何処に? 委員会の調査隊にか?」
「一番後ろにいる、あれは……」
「見間違いだろ、お前とは縁も所縁もないカシコイ人たちなんだぞ」
「いや、見間違いじゃねーな……ちょっと声かけてくるわ」
「お、オイコラ! 仕事ほッぽり出すな!」
「何、一声かけるだけだって」
 コーラサワーは持ち場を離れた。
調査隊の一番後方、やや離れた位置に立っている一人の人物を目指して、歩を進める。
黒い鞄を両手で持ち、学者とは呼べぬ若さの、何より雰囲気が全然周囲と違うその人物とは。
「よー、久し振りだなー」
「あ……貴方は!?」
 と、いうところで次回へ続く。
さて誰でしょうか、と。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――



 一年以上出てない人ですコンニチハ。
しかし自分ずっと何やってんだかサヨウナラ。
147通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 17:47:57 ID:???
ザブングル懐かしすぎて目からコーラが
148通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 19:16:25 ID:???
誰だ、コーラの知り合い…
149通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 15:39:26 ID:???
過疎
150通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 17:30:23 ID:???
続きがめっちゃ気になる…
151通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 21:43:13 ID:???
まとめ見てると語句がちょこちょこ改編されてるが、作者=まとめ人なのか?
もし違うのならまずくないか
そうでもないのかどうなのかイヤッフー
152通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 22:35:00 ID:???
でも本人じゃなきゃ改変しないんじゃないか?
自分なら絶対やらんと思うけど。

自分もコーラさんの知り合いが誰か気になるイヤッフー
153名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/04/30(木) 23:38:18 ID:???
私はまとめ人じゃないです。
全然構わないのでおかしいところがあったらガンガン編集して下さい。
154通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 16:56:18 ID:???
あっさりな人だな
155通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 17:04:44 ID:???
好感もてますw
太っ腹。

いつも楽しんでるよ〜アリがd。
156通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 09:44:28 ID:???
そういえばコーラ、結局最後まで少尉のままだったんだろうか
157通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 12:14:42 ID:???
かもしれん
158通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 12:53:55 ID:???
強いかどうかは気にしてる(実際強いと思ってる)けど

階級は全く気にしてなさそうだ。

嫁さんが准将になってるので中尉になってる可能性はあるが。
159通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 12:03:57 ID:???
さすがに連休中はアレかな
まったり逝こうか
160通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 16:03:51 ID:???
保守
161通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 11:25:42 ID:???
連休保守
162通常の名無しさんの3倍:2009/05/05(火) 16:01:53 ID:???
保守
163通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 20:57:26 ID:XwJ9SBi8
浮上
164通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 23:03:15 ID:???
便乗して保守。

でも実際、軍人同士で結婚する時に女性の方が階級が上だったり重役だったりした場合、体面の問題で男性の方を何かしらの功績を称えて昇進させる習慣はあったらしい。
どう見ても差別だろうから今はやってる国無いと思うが
165名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/06(水) 23:38:31 ID:???
 オー オー オー ダブルオー
 コーラサワー 123……2000回模擬戦だ
 アニメを揺るがす 超兵士コラ
 奇跡の戦士だ コーラサワー ブイ
 コーラサワースペシャル コーラサワー旋風
 コーラサワーボイス
 見たかコーラの 必殺の技
 愛情込めて カティを呼ぶぜ
 我らの 我らの コーラサワー ブイ!


 新たなる軌道エレベーターの建設、その予定地(海の上)にプリベンターは来ていた。
アザディスタンの事件以降、通常の業務に明け暮れる彼らであったが、
相変わらずコーラサワーはコーラサワーで結婚を控えている以外は特に変わりはない。
変わりがあっては困るのだが、だいたい損な幹事、じゃないそんな感じである。
はい、あらすじ終了。
ん、誰だねあらすじになってないとか言っている人は。
まぁとにかく、そこでコーラサワーは窮地、じゃない旧知の人物に会ったというわけですとさ。
よほほい。

 ◆ ◆ ◆

「よー、久し振りだなー」
「あ……貴方は!?」
 調査隊というのは、そもそもがお偉いさんたち学者さんたちであるわけで、つまりはそれなりにお歳を召された方々である。
最年少でもだいたい30過ぎ辺りだが、コーラサワーが声をかけたその人物は、
明らかにその年齢に届いておらず、20を越えたちょっとの外見だった。
つーか、男ではなかった。
「看護婦のねーちゃんじゃねーか。何でこんなところにいるんだ?」
「コ、コーラサワーさんこそ、ここで何をしておられるんですか……?」
 あ、もう答出ちゃった。
そう、コーラが見つけた知り合いとは、まだ一期の放映中の頃、
ここの物語の中でちょいちょい出ていたあの『看護婦さん』だった。
当時は事あるごとに入退院を繰り返していたコーラさんだが、
現在はとんとご健康になられ、お怪我の一つもなされない日々であるからして、
自然と出番がなくなってしまった彼女である。
つーか勢いと展開の関係でポッと出し完全にオリジナルなキャラですしね、看護婦さん。
かなり本編のキャラも引きずりこんできたことだし、そうそう出張らせるわけにもいかないわけです。
「何って、仕事だよ仕事、プリベンターの」
「そう言えば……プリベンターの皆さんが来てるんでしたね」
 思えば最後に彼女が出たのは果たしていつであったのか。
一年以上前なのは確かだが、細かいことは遥か過去に流れた時の大河の中である。
166名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/06(水) 23:42:51 ID:???
「で、ねーちゃんは何でここに?」
「私もお仕事です」
「仕事? ねーちゃんも調査隊のメンバーなのか。看護師やめたのか?」
「いえ、そうじゃないです」
 看護婦のねーちゃん曰く。
調査隊は当分の間現地(海の上のベース)に滞在するわけで、そうなると色々生活に関して専門スタッフが必要になってくる。
体調管理のために医療メンバーは特に重要であり、それに自分が選ばれた次第である、とのこと。
「へぇ、すげーじゃねーか。選ばれるってことはそーゆーのに適性があるってことだろ?」
「……院長先生が、私を推薦したらしくて」
「すげーすげー」
「半分以上はコーラサワーさんのせいで……おかげだと思います」
「へ?」
 彼女はコーラサワーが最初に入院した時、就職したての若手中の若手だった。
ほとんど人身御供的にコーラサワー番にされちゃったのだが、
それ以降どうやら病院の方でイロモノ的仕事……もとい、幅の広い仕事に向いている人材とみなされたようで、
コーラサワーが病院のお世話にならなくなった後も、
問題のある患者の当番に回されたり、今回みたいに外に出されたりと、まぁ色々とご苦労なさっている様子。
初めてうったパチスロが大量獲得ST機か裏モノでいきなりドハマリの末に天井に連れてかれてしかも単発REG、
みたいな人生と表現してはちょっと可哀想過ぎだろうか。
うむ、わからん人にはわからん例えであるな、失礼。
「はー、まぁとにかく医療スタッフとしてここに来たってことだな?」
「ええ、そうです」
「で、ねーちゃんが来てるなら医者も来てるはずだよな? 何処にいるんだ?」
「……私と一緒に来た医師は、船酔いでダウンしてます」
「ダメじゃねーか、おい」
「ダメだと思います、はい」
 何でも着くなりオエオエやってぶっ倒れてしまったとのこと。
船の上ならともかく、ベースの上で酔うとなるともはやこれは揺れに弱いというレベルではない。
彼女と違い、明らかに不適な人事であろう。
「しかしわかんねーもんだな、こーいうところで会うなんてよ」
「そうですね」
 クスリ、と看護婦は微笑んだ。
ここで笑えるのは、彼女の中にある程度の余裕が生まれている証拠であろう。
かつてはコーラサワーが入院する度にヒドイ目にあってぴぃぴぃ泣いていたわけだが、
それらの日々は確実に彼女の糧になっていたわけだ。
先程の例えの続きになるが、「最初がアレだからいくらハマリを喰らっても平気だぜ」というわけ……いや、糧じゃないなこれは。
167名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/06(水) 23:45:04 ID:???
「あ、そうだ」
「? 何です?」
「いや、ねーちゃんにも世話になったことだし、招待しねーといけないなと思ってな」
「招待……? お食事か何かですか?」
「いや、結婚式」
「けっこん、しき……?」
「そう、スペシャルな俺と、カティ・マネキン大佐の」
 ひゅう、と一陣の海風が二人を包むように吹いた。
コーラサワーの前髪が揺らされ、彼はそれが目に入らないように、目蓋を瞑る。
なので、彼は見なかった。
結婚するという話を聞いた後の、前に立っている、ようやく少女の面影が取れつつある彼女の表情の一瞬の変化を。
「……おめでとう、ございます」
「おう、まったくおめでたいぜ!」
「式は、いつ……?」
「六月だ」
「そうですか……」
 また、風が吹いた。
看護婦は頷いた。
そして、笑った。
「申し訳ないですけど、多分出席出来ないと思います。六月いっぱい、別のお仕事でアフリカの方にいかなければならないので」
「そーか、そりゃ残念だな」
「ええ……。でも、本当におめでとうございます」
 ではお元気で、と頭を下げると、彼女はコーラサワーの前から離れた。
いつの間にか、調査隊の列はベースの端の方へと移動していた。
「じゃーまたな、ねーちゃん!」
 コーラサワーの言葉に、彼女は立ち止まり、振り向くとまたペコリと頭を下げた。
そして歩きだし、二度と振り返らなかった。

 これが、コーラサワーと彼女が、最後に対面した機会となった。
この先、彼女は世界中の被災地、貧困地域を飛びまわって救済活動にあたり、『現代のナイチンゲール』と呼ばれるようになる。
100歳を前に死の床を迎えた時、彼女は最後にこう呟いたという。
神よ、このように素晴らしい人生をお与え下さったことに感謝します、と。
私が関わった人たちが、その子供らが、孫らが、いつまでも元気でありますように、と。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――



 連休は体調崩して寝てましたコンバンハ。
オリキャラはほったらかしで扱いが面倒になる前にスパッと消化サヨウナラ。
忘れてたわけじゃないんですよ本当ですよ信じてくだ(ry
168通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 23:48:26 ID:???
うわあ看護師さん懐かしいなwww
こうして幸せのコーラさんはまた一人幸せに…したんだろうか
169通常の名無しさんの3倍:2009/05/07(木) 09:09:45 ID:???
毎度乙です
今回はコンVですか!?

これだけは言える

コーラさん含むプリベンターならコンバインは絶対無理
170通常の名無しさんの3倍:2009/05/07(木) 22:12:01 ID:???
あの看護師さんだったのかww
171通常の名無しさんの3倍:2009/05/07(木) 23:30:54 ID:???
看護師さん出てきて実は・・・・・・付き合ってました!
だったらハラハラ展開だなあと思ってたけど安心した。
なんか今回はほのぼのホロリときましたよ作者氏GJ!!
172通常の名無しさんの3倍:2009/05/08(金) 00:23:44 ID:???
まさかの看護婦さんw
今回のは切なかったです。
173通常の名無しさんの3倍:2009/05/08(金) 11:03:25 ID:???
もしかして土曜日はシリアスが本領じゃねーのか
174通常の名無しさんの3倍:2009/05/09(土) 11:05:48 ID:???
職人カモン
175通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 12:07:42 ID:???
保守
176通常の名無しさんの3倍:2009/05/11(月) 12:18:45 ID:???
ほしゅ
177通常の名無しさんの3倍:2009/05/11(月) 16:36:57 ID:???
職人復活期待
178通常の名無しさんの3倍:2009/05/11(月) 17:20:56 ID:???
土曜の人しかいなくなっちゃったな
帰ってこーい!ここはいいところだ!(ロラン風)
179通常の名無しさんの3倍:2009/05/11(月) 22:03:11 ID:???
皆でネタを考えるのも良いかも
180通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 01:20:21 ID:XAujTHm3
保守
181名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/12(火) 23:11:44 ID:???
ちょっと肺を壊したかもしれない。
明日病院で検査してくるので、その結果次第ではちょっと次回まで間が開くかもしれません。

間も開いて肺に穴も開くのはシャレにならん。
182通常の名無しさんの3倍:2009/05/12(火) 23:16:38 ID:???
うわあ、お大事に
回復を祈っています
183通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:09:51 ID:???
土曜日さああああん!
どぞお大事に、↑の看護師さんのような方と出会い
本復されることを祈ってますよ!
184通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 00:38:43 ID:???
まじっすか

とにかくお大事に
185通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 09:44:54 ID:???
うわあああお大事に!
186通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 17:08:18 ID:???
>>183
看護師になぞらえると、二度と土曜日に会えなくなることになるからダメだ
187通常の名無しさんの3倍:2009/05/13(水) 21:39:52 ID:???
土曜日さん、お大事に・・・
188通常の名無しさんの3倍:2009/05/14(木) 09:22:06 ID:???
こういう時に他の職人が健在なら…
189通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 00:13:52 ID:???
よーしスレを盛り上げる為に書くぞ!!!明日から


土曜日さんお大事に。
あんたの投下が00見るきっかけになったんだ。
無事に帰ってこいよ。
190通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 11:46:10 ID:???
勇者あらわる
191通常の名無しさんの3倍:2009/05/15(金) 17:40:39 ID:???
まあ深刻ぶって騒ぎたてすぎてもいかんよ
2ちゃんに書き込みできる時点で重病ということはないだろう

居住まいを正して待機しておればそれでいやふっふ
192通常の名無しさんの3倍:2009/05/16(土) 12:48:39 ID:???
>>189に期待
193異常記録:2009/05/16(土) 17:44:56 ID:???
投下します。以下の事項にご注意下さい。

※読み切りです。
※本編と全く関係がございません。
※Wキャラがトロワしか出ません。
※トロワとコーラは喋りません。
194異常記録:2009/05/16(土) 17:46:20 ID:???


「大好きです、カティ」
「パトリック!!」


全身を強く打ち付けられる程の衝撃と
自分の体が突如閃光につつまれたのを感じた。
鼻が水に入ったようなツーンとする痛みと
全身の皮膚が焼けるような痛みで叫びと共に息を大きく吐き出す。
きっと俺はここで死ぬんだろうな
あーでも、カティを守れて死ねるなんて男としてはスペシャルな死に方だろう。
しかも、どさくさにまぎれて名前で呼べた。
(いつもなら嫌がるから呼べないし)
それに、名前で呼んでくれた………ような気がした。
(いつもならMr.コーラサワーだし)
比較的ミラクルスペシャルなこの状況の中なら死んでもいいかもしれない。
ああ、でもやっぱり大佐の膝枕で死にたかった…
遠ざかる意識の中でそんな事を想い馳せながら目を閉じる。
俺のスペシャルな人生はそんなに悪くなはかったな。
パトリック・コーラサワー享年33歳

宇  宙  に  散  る

(以上パトリック・コーラサワーcv浜田賢二のナレーションでお送りしました)
195異常記録:2009/05/16(土) 17:47:19 ID:???

「CP1応答しろ!CP1!!さっさと返事しやがれ!!!」

次にパトリック・コーラサワーが目が覚めた瞬間は
ビクッと体が痙攣して起きた所だった。
講義中に居眠り中にこの痙攣をして周りに注目され、
潔く起きるか、恥ずかしいので二度寝を決め込むか……
どっちにしようか悩む所という覚醒の仕方だ。
パトリック・コーラサワーは前者を選んでこの応答に答える所のようだった。
なお、毎回フルネームで筆記するのは少々手間なので下記よりコーラサワーとする。
「…………ここは何処だ?」
「はぁ?おいおいおいCP1!何寝ぼけてるんだよ!
つーかこの状況で眠れるってどういう神経してんだよ!」
野太い男の怒鳴り声がコックピットに響き渡る。
あまりの大音量にコーラサワーは顔をしかめた。
日曜日の朝、父親に起こされる時の憂鬱な瞬間のようであろうと推測する。
もしくは体育会系の後輩にモーニングコールを朝一番にかまされた瞬間。
どうせ眠りから覚醒するなら美女の声(っていうかカティ)
が良いとコーラサワーは思っただろう。
さてここでコーラサワーの現在状況を記述しようと思う。
彼はMS、所謂モビルスーツのコックピットで覚醒した所だ。
大き目のモニターに綺麗な青空と海が映っている。
どうやら宇宙ではないらしい。
巨大座薬のようなミサイルや飛行機・戦車っぽいものなど
戦争に使いそうな何かが転がってるのをみるとどうやら軍事基地のようだ。
残念ながらこの記録者は軍事関係にさほど
詳しい人間ではないので大雑把な説明で申し訳ない。
その軍事基地だと思われる場所は現在普通じゃない状態のようだ。
普通じゃない状況とは映画でよくあるような爆音と共に煙や火柱が
処々で上がっている、つまり軍事基地が攻撃を受けている状況である。
スペシャルで模擬戦2000回のコーラサワーも
どうやら瞬時にこの状況を把握したようだ。
(俺はさっきまで宇宙にいたはず…
 見覚えの無い基地だがここはどこの基地だ?
 敵はソレスタルビーイングか?っていうかカティは?)
196異常記録:2009/05/16(土) 17:48:11 ID:???
混乱する頭をおさえながら、いつになく
深刻な顔で野太い声の主に向かってコーラサワーは尋ねた。
「悪いが、現在の状況を確認させてくれ」
そのいつになく真剣な表情につられて、野太い声の主が
上官に報告するように淡々と現状を述べた。
「現在残り5機、各機の場所はモニターKで確認できます。
 あのガトリングのデカブツは司令塔に向かって
 移動しながら周りを破壊工作中…
 って何で上官の俺がお前に報告してんだよ!お前の仕事だろ!!」
右上のモニターからノリ突っ込みのをする髭面の男がアップに映る。
どうやら右上のモニターが野太い声の主であり、上官らしい。
しかしこの男、ノリやすい性格のようだ。
コーラサワーはこの上官らしい男の報告で『ガトリングのデカブツ』
という言葉より『上官の俺』という言葉に即座に反応した。
「は?上官?俺の上官は大佐だけなんだよ!!」
こんな事を平然といってのけるから
コーラサワーは昇進しないのではないかと記録者は推測する。
「だからその俺は大佐なんだよ!!寝ぼけるのも大概にしやがれ!!!」
「え、大佐?たたたっ、大佐……!?
 何があったんですか大佐!?その髭は!?
 イメチェンにも程がありますよ大佐ァァ!!」
右上のモニターに映る髭面の男を見ながらコーラサワーは叫んだ。
それはそれは子犬が悲しむときのように鳴くような
悲壮感漂う声であったと犬好きの記録者は記述しておく。
分かりやすく擬音で表現するならキャウーンという鳴声である。
「髭生やしたら似合うんじゃないかと言ったのはお前だろうが!
 そんな事より…くそっ来るか!!全機パターンCで迎撃しろ!!!」
(なんということだ……俺はカティに……大佐になんてことを)
どうやらコーラサワーはこの髭面大佐をカティと勘違いしてしまったようだ。
一応記述しておくがこの髭面大佐とカティ・マネキンはどう見ても別人である。
大佐は役職でありカティの名前では無いから
普通の思考回路なら別隊の大佐と考えるだろう。
だが、どうやらコーラサワーにとって
大佐=カティでありカティの下でずっと働いてきたせいか
カティ以外大佐と考えられない頭になっていたようだ。
よって現在この髭面がコーラサワーの中で【大佐】なのである。
カティがその場に居たら容赦なく鉄拳がコーラサワーの頬に降っていただろう。
これも寝ぼけているせいだと、彼をフォローする記述を追加しておく。
あと、モニターが不鮮明という事も付け加えておこう。
それから、音声もちょっぴり砂嵐まじりだということも。
197異常記録:2009/05/16(土) 17:49:30 ID:???
(いや、待てよ。俺のアドバイスを素直に聞き入れて
 イメチェンしたなんて可愛いじゃないかカティ!)
念のためにもう一度記入しておこう。
彼は先程眠りから覚醒にしたばかりなのだ。
コーラサワーがガッツポーズをした所で
左から大きな爆音と共に黒煙と火柱が立ち上る。
その中から赤と白色ベースのモビルスーツが一番大きいモニターに現れた。
「あれは……ガンダム?!だったら俺の敵に決まってんだろうが!!」
コーラサワーはすぐに敵機に接近し迎撃行動を無意識におこなった。
これも長年ガンダムとの敵対関係における職業病と言ってもいいだろう。
だが、このMSは彼の操縦していたイナクトやジンクスとは全く違うMSである。
どう違うかというと後々の記録を見ていただいたら理解していただけるだろう。
例えば西暦2009年の窓もしくは林檎使いが、
別次元OS、扉・蜜柑をすぐに使いこなせるわけがない状況を
考えていただければ宜しいかと思われる。
しかし、コーラサワーはそんな差があるとは分からないくらいに俊敏に動いていた。
「このコーラサワーがいただくぜェガンダムぅ!!!」
MSに装備されているライフルを2発打ちはなつコーラサワー。
1発はガンダムの腕にあたるがソフトボールを車に当てるくらいに
あまりダメージを与える事ができなかった。どうやら装甲がかなり固いらしい。
ガンダムは反撃で雑魚を殲滅というスーパーロボット大戦のセオリー通りに行動する。
しかし、もう1発の方が近くにあった巨大座薬の束………
いや砲弾の束に当たり連鎖反応でできた大きな爆風と火柱がガンダムを包み込んだ。
「イヤッフウウウウウウゥゥ!」
「何やってんだコーラサワー!お前が破壊活動してどうするんだよ!!」
ピっという機械音と共に盛大な野太い怒鳴り声がコックピット内になりひびいた。
モニターには血管筋が今にも切れそうな大佐がアップで映っている。
「いいえ、これで良いんですよ大佐ァ!これでガンダムをしとめ…」
そう、コーラサワーはこれでしとめられると思っていたらしい。
実際にはダメージを与えてから動きを鈍くしてから
ギッタギッタにしてやんよ、という状況を作ろうとしていたようで
彼はライフルを構えなおした。
しかし、煙の中からガンダムが現れた時にコーラサワーの表情が険しくなった。
煙でよく分からないが記録者の言葉で言えば
ガンダムHP残り70%ぐらいです!……大雑把にと推測する。
「ちっ…思ったより固いじゃないかガンダム!」
コーラサワーはどうやら残りHP30%ぐらいの
ダメージを与えられると思ったらしい。
ライフルの威力が弱いと察したコーラサワーは
ビームサーベルに持ち替えてガンダムに間合いを詰めて迎撃を開始した。
198異常記録:2009/05/16(土) 17:50:36 ID:???
ここで不用意に近づいたコーラサワー機はガンダムの攻撃で
「なんだそりゃああああ」となるのが普通の00風のオチとなる。
ではここで、普通とは何なのか考えていただきたいと思う。
普通とは
「普」段あるべき物象が
「通」常に行われている状況とここで記録者は定義しておこう。
では、普通では無い状況とは
軍事基地が攻撃にあっている状況
コーラサワーがカティ以外の人間を大佐(カティだと思って)と呼んでいる状況
コーラサワーがこのMSを操縦している状況………
「………当たり所が悪かったか…だが……」
ガンダム内の片側だけ無駄に前髪が長い男はそう呟くと
ペダルを大きく踏み込み右側のレバーを赤いラインまで押し出す。
すると、ガンダムは煙を引きつれるように空へと飛び立っていった。
スパロボ風に言えば敵機離脱しました!と、言ったところだろう。
記録者にはこの今の状況も普通では無い状況に思える。
あのコーラサワーが一人でガンダムを離脱するまで追い込んだ状況が。
「ちょっ…なんだよ逃げる気かよガンダム!!」
コーラサワーは追撃を開始しようとペダルを踏み込もうとしたが
右上のモニターから静止する声が、怒鳴り声が聞こえてきた。
「待て待て待て!追うな!
 お前はすぐに基地内の消火活動に専念しろ!
 っていうか自分の着けた火ぐらい消せ!」
「はーぁい…分かりました大佐ァ」
「ははは、だが良くやった!
 あのデカブツを退けたんだからたいしたもんだよパトリック!
 お前はできる男だって信じてたぜ!」
「…た、大佐!!有難うございます大佐ァ!!!」
コーラサワーは顔を赤らめて嬉しそうに叫んだ。
記録者には髭面の男に頬赤らめ喜んでるように見えるのだが
彼にとってはカティに誉めてもらい、
名前で呼んでもらい、
できる男の称号を貰えたという事になっているらしい。
これで大佐のキッスはいただきだ!!とでも叫べるような状況だろう。
実際叫んでたら、コーラサワーの人格を疑われる事になっていたはずだ。
なお、この後の消火活動時は特筆すべき点は特になかった。
ただのハイテンションになったコーラサワーの
ハイスピード消火活動であったと記録しておく。
199異常記録:2009/05/16(土) 17:52:31 ID:???

それよりも先程の片側だけ前髪の無駄に長い
ガンダムパイロットの様子を少しだけ記述しておこうと思う。
彼は鬱蒼と茂る森の中に損傷したガンダムを置いて修理に勤しんでいた。
どうやら彼は一人で修理を行っているようである。
先程から彼の仕事のペースを見ていたが、
多分3日くらいで修理を終えられると推測する。
「ozじゃない連邦のパイロット………
 ガンダニウムの起爆数値を知っている人間が連邦に………?」
やたら前髪の長いガンダムのパイロットは修理しながらそう呟いていた。
呟き声で少し自身はないが、
ダンバインの主人公を大人しくしたような種類の声だった。
200異常記録:2009/05/16(土) 17:55:11 ID:???

AC195年、オペレーション・メテオ。
一部のコロニー居住者達は流星偽装した新兵器を地球に投下する。
その運命に巻き込まれるかのようにパトリック・コーラサワーも
どこの龍神のイタズラかは存じませんが、この時代の地球に投下された。
さて00最終回をご覧になった方ならオチを理解していただけるだろう。
勿論コーラサワーはAC195年の世界から
無事帰還し不死身のコーラサワーから幸せのコーラサワーとなる。
コーラサワーがAC195年から帰還しないという事項はありえないのだ。
では彼はどうやってAC195年から帰還できたのだろうか?
そしてAC195年に居るはずの無い人間が居るという普通でない状況で
AC195年がこのままエンドレスワルツに進むことが出来るのだろうか?
Wの物語的には普通ではない状況になる事は避けられないと記録者は記述しておく。


なお大変時空流砂が多いため、この記録は一旦ここで終わりとする。
コーラサワーがどう帰還したのかは気になる所だが
私は次の時系列へと飛び、別人物の記録をしなければならないのが残念だ。
201異常記録:2009/05/16(土) 17:58:08 ID:???
追加報告:

消火活動を終えて一段落した所でようやくコーラサワーは大佐を探して基地内を探しまくっていた。
いや大佐だけでない。自分の知ってる人間を探していた。
先程から「今日はお手柄だったなパトリック」と、声を掛けられてはいるもののそれが誰なのかさっぱり分からな

い。
およそ分かった事といえばここが地中海基地だと言うことと、大佐は司令塔の司令室で報告中という事らしい。
(くそっ司令塔は!大佐はどこだ!?)
とにかく、大佐にあって自分の不安を落ち着きたい心境だったと思われる。
廊下を走りながらコーラサワーは考えていた。
(大佐をかばって俺は攻撃にあって……死んだはずじゃ……?)
先程見えた壁の矢印に書いてあったが、残念ながらその廊下の先は食堂になっている。
考えながら走ってると、こういった事になるのである。
(けど俺は生き残って……記憶喪失とか?大体大佐に髭生やしたら似合うなんて言った事無いしな)
彼は食堂に到着すると、一番近くの男をつかまえて訪ねた。
「おい、食事中悪いが司令室へは………」
「司令室?司令塔のところのって、ちょっおま、俺が今読んでた所なんだぜ!」
カレーライスを食べながら新聞を読んでいた男は、親切に答えようとしたが
突如コーラサワーに新聞を奪われ不機嫌になった。
「……隕石?………AC195……??」
「ニュース見てないの?隕石が地球に落下したって…5機だけね」
男は5機だけという言葉を強調して答えた。
(隕石が5機?いや、それよりもこのAC195ってのは何だ?)
西暦23××年くらいなら記憶喪失や宇宙空間における時間移動(ありえないが)という考えを持てるのだが
このACで195年という理解不能な記号にコーラサワーはますます混乱した。
そして、その混乱した脳にとどめをさす聞き覚えのある声が後ろから聞こえてきた。
「おうっ!パトリック!今日は俺の奢りで飲みに連れてってやるぞ!がはははは」
声で予測するに、あの右上モニターの大佐だろう。
恐る恐る後ろを振り返って【大佐】の姿を確認した。
モニターでは分からなかったが体格の良い、どことなく熊っぽい雰囲気の男である。
自分の事を呼ばれたものの全体像はコーラサワーには見覚えの無い人物だった。
だが、声は聞き覚えのある声と顔。つい最近聞いた声。
そしてやっとで気が付いたのだ。自分の探し人の大佐は、大佐≠カティだと。
「誰だてめえはああああああ!!!」
怒っているというよりは、悲鳴に近い叫びであった。
202異常記録:2009/05/16(土) 18:03:40 ID:???
以上で終わりです。

投下文に無駄なスペースが出てすいません。
軍事関係の表現の仕方が凄く難しい事と
ネタ交えながら書く事がとても大変な事がわかりました。
203通常の名無しさんの3倍:2009/05/16(土) 18:54:00 ID:???


今、スレに真のエース職人が誕生した瞬間を見た
204通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 01:38:47 ID:???
どこに行こうがコーラはコーラかw
205通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 02:02:21 ID:???
>>203
流石コーラ!善戦どころかヘビーアームズを追い返しちゃったよ!
それより新たな作者さんが降臨したよ!
206通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 11:48:05 ID:???
新職人支援
207通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 11:59:01 ID:???
ますますコーラが好きになってしまったw
208通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 15:04:31 ID:???
お前達も書いてください…orz
209通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 16:00:07 ID:???
>>208
↑の職人さんかい?
GJ!!面白かった!!コーラの勘違いの末の落胆ぶりが、可哀想だけど面白い。
ゴメン自分も職人なんだけど00しか見てないのでクロス書けないんだorz
応援してるぞー。
210通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 16:10:18 ID:???
スレタイはこうだが別にクロスにこだわらんでもよかろうもん

新人全力支援
今スレが新時代へ
211通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 17:23:59 ID:???
いや、流石にクロスしてなかったらこのスレの意味もないだろう
新人の芽を摘むつもりはないが、コーラさんとWキャラとの関わりという魅力が
今までこのスレを伸ばしてきたと思う
212通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 17:53:08 ID:???
スタートから今まではそうだったのは確かだが、スレタイを変えれば対応できないか?
無理にこだわるべき問題かどうかの判断は人それぞれかもしれんが、
敢えて間口を狭めたままでなくてもよくはないか


でも別に新しいクロススレ作ってもおんなじっちやおんなじか
213通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 18:28:14 ID:???
00とW両方のクロスオーバーなスレじゃなくなったら、
ここから出て行くだろうな、少なくとも俺は
214通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 18:33:10 ID:???
クロスさせないSSとか他クロスSSなら他にも投下場所あるから
スレタイ変えてまで順応させなくても良いんじゃない?

そんなことよりもW知らない住人にいたとは驚いたよ。
今からでもTSUTAYAやネットで一話から見てきたら幸せになれるよ!
215通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 18:35:29 ID:???
>>213
同じく。
っていうか00のキャラだけが書きたいのなら、他にスレあるんじゃないの?
スレタイ変えてまでやりたい訳?
216通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 18:36:16 ID:???
214と被っちゃった。
217通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 18:47:07 ID:???
コーラ「こまけぇことはいいんだよ!」(AA略)
218通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 21:25:02 ID:???
>>209だけど、
やっぱりここの面白さはスレタイ通りWとのクロスにあると思う。
スレのアイデンティティまで崩すのはもったいない。
W見たことないけど十分楽しめるのは
Wも00も熟知してて書いてる職人さんの努力とユーモアの賜物。

自分は普段の投下先は別のSSスレににあって、
ここでは読み手で感想くらいしかかけないけど、
ガンガレ。

>>214
時間あったら見てみるよ。
今自分の住んでるところ1stの再放送もやってて
連れ合いも子供も巻き込んで一家総出でガンダム月間。
ドサクサに紛れてW借りて来ても今ならおkかも。
219通常の名無しさんの3倍:2009/05/17(日) 22:04:41 ID:???
>>208
書いてみたいが文才が無くて・・・(´・ω・`)
220通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 07:09:42 ID:???
ネタだけ出すとか…
221通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 13:47:12 ID:???
このスレがはじまった時は、ここまでWキャラとコーラの相性がいいとは思わなんだ
しかし正直、一番評価されるべきはネタ度じゃなくて「ここまで続いてきた」という事実だと思う
222通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 14:51:28 ID:???
Wキャラとコーラさん交流記じゃなくて
W世界のコーラさん放浪記はスレ的にはNG?
223通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 16:08:09 ID:???
コーラさんが大佐を求めてAW世界で大暴れするのもありだろうね
そしてOZの一員となってガンダムと戦うも良し
マグアナック隊に属してカトルの手助けをするのも良し(落ちて良いかは怪しいが)
プリベンターの一員になってバートンの反乱を鎮めるのに一役買うのも良し
224通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 16:10:19 ID:???
>>222,223
Wとの接点があるなら大いにおkだろう。
楽しみにしてるぞー。
225通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 16:15:47 ID:???
書こうと思ってもねたがない件。 
文才もないし。 母の日ネタとかやろうと思ったんだけどね(´・ω・`)
226通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 16:41:41 ID:???
しまった、A.C.だった…A.W.じゃガンダムXじゃないかw
227通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 17:59:09 ID:???
コーラはU.C.以外のガンダムのほうがクロスしやすいだろうな


まとめ読み返して思ったんだが、コーラ以外の00キャラもグラハムを筆頭に結構はっちゃけてるよなw
一種の性格改編なのに、それでいて妙にグラハムはグラハムっぽく、ビリーはビリーっぽく、ソーマはソーマっぽいのは何故なんだぜ?
228通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 18:02:04 ID:???
やっぱコーラとハムはWキャラと親和性高いよな
アラスカ野はちょっとキャラが弱いけど、振り回されることでアイデンティティを確立させている
229名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/18(月) 22:09:01 ID:???
「俺様、生まれも育ちもAEUフランスだぜ
 ルルドの泉で産湯を使い、
 姓はコーラサワー、名はパトリック
 人呼んで不死身のコーラサワーってのは俺のことだ! イヤッフウ!」

  俺を倒さにゃ 主役と言えぬ
  わかってねぇだろ ガンダムよ
  いつかてめぇが 泣きだすような
  凄い勝ち方 やってやる
  奮闘努力の 甲斐も無く
  今日もイナクト 今日もジンクス
  また落ちる また落ちる


 フーテンのコラさん。
……などとバカなことを言っている場合ではない。
 オラァいいかてめぇら、軍は一流パイロット、フランス、イギリス、イタリアで、白黒目玉の凡人どもから模擬戦で勝ちまくってよ、
100が500、600が1000、1000が2000はする勝ち星だが、今日はそれだけで終わらない! イヤッフ、並んだ数字がまず一つ!
物のはじまリが一ならよ、国の始まりが俺の国、島の始まりが俺の島、
エースの始まりがやっぱりこの俺なら、英雄の始まりがやっぱりこの俺ってんだ、な!
笑うんじゃねえよ、スペシャルってわかるんだからよ、この目つき見りゃあよ!
続いた数字が二だ(ry
 最後まで口上やってられるかってんだよ、な!

 ◆ ◆ ◆

「暇だな」
「またそれか」
「だって暇じゃねえかよ」
「もういいっての……」
 プリベンターは暇だった。
新設の軌道EVの警備も一日の仕事、言わば「名前を出した」程度に過ぎないわけで、
とにかくアザディスタンの一件以降はほとんど事件らしい事件が起きていないのだ。
それだけ世界が平和であるという証拠でもあるので、まあ非常にいいことと言えばいいことなわけだが、
コーラサワー的に面白いかと言うと、やっぱり面白くないわけで。
凡才の安寧は天才の平穏ならず、というところか。
有閑とまでは流石に言えないが。
「暇でいいだろう、仮に仕事があったとして、お前だって結婚式まで引っ張られたくないだろ?」
「バカ言え、結婚式は最優先だ」
「……なあ、何度でも聞くが、お前本当に軍人だったの?」
「軍人じゃねえよ」
「は!?」
「スペシャル軍人だ」
「……ははあ」
「スペシャルエースとも言う」
「どう違うのか問いただしてみたいがそれをすると疲れると思うのでしてやらない」
 コーラサワーとデュオ・マックスウェルの漫才も相変わらずの応酬ぶりである。
本気でネタを作って本気で取り組めば、M1グランプリでいいところまで行くかもしれない。
230名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/18(月) 22:12:59 ID:???
「フン、平地に乱を起こすという表現があるが」
 と、ここで二人の会話に割って入ったのは、中国服とデコが眩しい張五飛さん。
かつてはアイアムジャスティスでゴーイングマイウェイな彼であったが、
ガンダムパイロット達と数々の死線をくぐり抜けたことで精神的に成長し、
今は立派にアイアムスーパージャスティスでゴーイングウルトラマイウェイにまで進化を遂げている。
なお、この世界では彼の『嫁さん』もきちんと存命しているが、まぁ間違いなく話の中には出てこないのでよろしく。
「パトリック・コーラサワー、お前の場合は存在そのものが乱だな」
「褒めるなよ」
「五飛は別に褒めてねーぞ」
「ははは、照れるじゃねーか」
「成る程、存在そのものが乱だなこりゃ」
 パトリック・コーラサワーは滅多なことでは動じない。
いや、動じないと言うか、余程のことがあっても常に「コーラサワー」であり続ける。
これがどれほどスゴイことかは、すでに諸兄もアニメ本編を視聴されてよくご存じのことであろうと思う。
例え野球で自分以外が全て負傷して試合に出られなくても彼は言うだろう、それがどうした俺がいる、と。
うむ、コーラサワーをちょいとイジれば島本○彦のマンガの主人公が務まりそうであるな。
無謀な目的が常識的な手段で達成されるはずがあるまいっ! てなもんで。
もう目を瞑っても浮かぶのはただひとつ、俺の准将が見えるッ、てな―――
―――話が逸れまくっているな、軌道EVいや軌道修正。
「どのみち、あと少しの辛抱ではある」
「へ? どういうこった」
「あの博士が先程連絡を寄こした。新型のMS(ミカンスーツ)、最終段階に入ったそうだ」
「おおお、やっとかよ!」
 はい、やっとである。
いや、作中時間からすればまったくやっとでもガチャピンでもコロコロPKでもないのだが、まぁやっとということにしておこう。
「動作チェックは俺達が行わなければならないだろう」
「道理であのナルハム野郎が朝からいないわけだ、ポニテ博士のところに行ってるんだな」
「あの男はここんとこずっと行ってるけどな」
 そう、ミスター・ブシドーことグラハム・エーカーさんは、
新型を作っているという話をビリー・カタギリが持ってきたその次の日から彼の工房に入り浸り状態だったりする。
定時に出勤、そして「では視察に行ってくる」とカタギリ研究所に向かい、定時に帰ってきて「さらばだ」な毎日。
プリベンターが忙しくないからこそ出来るわけだが、まあこの人は忙しくても同じことをやるでしょうな、きっと。
ちなみに最近エーカーさん、精神修養と称してビリー・カタギリの叔父であるホーマー・カタギリの邸宅の庭にある滝壺で打たせ修行しているとのこと。
「心を無に溶かし、煩悩から解放されることで真の武の境地に達するのが目的」だそうだが、
今のところニンジャシュギョーセットを通販で買ったアメリカンボーイ並に効果は現れておりませんな。
無我の武人がMS欲しさに日々「まだかカタギリ!」をするわけないもの。
あとホーマー・カタギリさんだが、取りあえずは巨大総合企業「アロウズ」の会長ということでヨロシク。
出番があるかどうかはまだ未定。
231名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/18(月) 22:17:39 ID:???
「あとだいたい一週間、という話だ。だからそれまでおとなしくしていろ」
「オッケー、そうと決まれば俺もちょっと行ってくるか、ポニテ博士のところに」
「ちょ、何しに!?」
「はやくしろ、って言いに」
「お前、人の話を聞いてたのか!」
 聞いてるわけないじゃないですかデュオさん、コーラサワーですよ?
しかし、十歳以上も年下にお前呼ばわりされる三十代男性というのは果たしてどうなのであろうか。
あの男扱いなグラハム氏も同じくだが。
敷居が低いというか、親しき仲に堅苦しい礼儀を要求しないと言うか、ええとだいたいそんな感じの日和であることよろし。
これ、仲良きことは美しきかなで纏めてしまっていいものやら。
いいや、纏めちゃえ。
プリベンターはそんな組織ですよ、と。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――



 検査の結果何もありませんでしたコンバンハ。
ただ過労と心労が重なって云々ということでそれが原因のようで、まぁ年度末から色々あって体重が7`くらい減ったし。
仕事行こうと思ったらニュースでインフルエンザで大変とかやってるし、現地ど真ん中だよバーロー!
でも仕事溜まってるんだよ、何で俺ばっかりにおしつけひぃjhjんkんぼbぐygh;l

 失礼、いや、新しい職人さんが来られてうれしい限りです。
さて、そろそろプリベンター外の人に出てきてもらいましょうか、アで始まる人かリで始まる人かソで始まる人か、はたまたサヨウナラ。
232通常の名無しさんの3倍:2009/05/18(月) 23:12:16 ID:???
土曜日氏乙!
なんともなかったのはいいことです、よかったよかった
そしてフーテンのコラさんで早々に吹いたwwwww
233通常の名無しさんの3倍:2009/05/19(火) 10:35:47 ID:???
新人さんの次回作期待
234通常の名無しさんの3倍:2009/05/19(火) 11:58:19 ID:???
土曜氏はタイムリーな男だったのかw
235通常の名無しさんの3倍:2009/05/19(火) 16:39:26 ID:???
>>231
ああ、関西人なのか

>>233
異常記録の人にはぜひ頑張ってもらって、新たなストーリーを作ってほしい
236通常の名無しさんの3倍:2009/05/19(火) 17:48:15 ID:???
>>231
心配させおって…馬鹿者がbyカティ
物語が動き出しそう?次回も楽しみにしてます!
毎回思うけど冒頭の替え歌がクオリティまじパネェっすwww
237通常の名無しさんの3倍:2009/05/19(火) 22:09:17 ID:???
>>231
近畿地方の方でしたか、身体には気を付けてください
238通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 13:55:01 ID:???
まだ出てきてない本編キャラっていたっけ?
239通常の名無しさんの3倍:2009/05/20(水) 21:41:38 ID:???
>>238
ジニンとかグッドマンはまだだったかな
240通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 10:00:34 ID:???
普通にアロウズの社員か>ジニンたち
241通常の名無しさんの3倍:2009/05/22(金) 11:04:36 ID:???
挿し絵師が欲しい
242通常の名無しさんの3倍:2009/05/22(金) 17:00:02 ID:???
>>241
そういうことを言うと「オメーが描け」とか言われちゃうザマスよニンニン
243通常の名無しさんの3倍:2009/05/22(金) 23:21:07 ID:???
>>240
グッドマンは、部下からの評判はあまり良くなかったりしてw
244通常の名無しさんの3倍:2009/05/22(金) 23:22:25 ID:???
リントって出てたっけ?
245名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/22(金) 23:24:02 ID:???
  「この世には 理では追えない不死身の人間がいる
   彼は癒しとして 息を抜き 視聴者を和ませる
   彼は 少ない出番ながら 好きな人を守るため
   地獄の門を蹴り飛ばして帰ってきた 正義のヒーロー

   ……なのかもしれない」

  こ〜ら〜

  この世は わからねぇことが たくさんある
  どんな事件起きても 気にしない人になろう イヤフー!
  それでも悩む奴 必ずいるもんだ
  笑って生きましょう それが強さなんだ
  いつでも一番 たくましいんだ
  お待たせしました 凄い俺
  いつでも一番 カッコイイんだ
  バリバリ最強 コーラサワー
  スペシャル!
  ホントいつでも不死身で幸せだ スペシャル!


 ミエナイチカラで守られている、それがパトリック印のコーラサワー。

 ◆ ◆ ◆

「では次はミレイナの番だな」
「はいですぅ、とっておきのお話、披露しちゃうですぅ」
「そーいうの得意そうだな、オデコ娘三号」
「ふっふっふ、二十世紀から現在に至るまでに発刊されたラノベを全て読破しちゃったミレイナを舐めないで欲しいですぅ」
「……それって凄いんですか?」
「読書時間の計算と年齢が合わない気がするが」
「カトル、トロワ、下手に突っ込むと噛まれるからやめとけ」
 プリベンターは今日も平和だった。
どれくらい平和かと言うと。
「怖くて夜中にトイレに行けなくなっても知らないですぅ」
「バーカ、このスペシャル様に限ってそんなことはない!」
 真昼間から怪談なんかしちゃうくらいに。
いや、何でこの時期に怪談が始まっちゃったかって、特に偉そうな理由はない。
デュオとヒルデが煎餅かじりながらテレビの情報トーク番組を見ていて、
そこで取り上げられていた『総量1dのサ○ンパスが未開封のまま投棄されていた事件』の現場というのが、
有名な心霊スポットだったから……というだけである。
そこからまあ、何となくなし崩し的に怪談大会になっちゃった、と。
まぁそこまで流れを拡大しちゃったのは、遊びに来たミレイナ・ヴァスティに負うところが大きいのだが。
しかし出すと勝手に動いて話をややこしくしちゃうが、同時に無理矢理な展開も全てひっ被せることが出来るコイツは実に使い出がイイ。
それだけに乱発するとシッチャカメッチャカになりそうなので怖いが。
246名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/22(金) 23:26:46 ID:???
「これは、数世紀前のとあるアニメ番組のお話ですぅ」
「おい、怪談じゃなかったのかよ」
「本題は先ですから、スペシャルさんは黙ってるですぅ」
 いいのかい、俺は何にだって一枚噛んじゃう男なんだぜ?
とばかりに怪談大会にノッたのが、まず我らが英雄のパトリック・コーラサワーさん。
これが小難しい学問関係のオハナシアイだったら、一番に蹴っていたであろうことは疑いの余地がない。
そしてデュオ・マックスウェルとヒルデ・シュバイカーもスムーズに輪に加入。
コーラサワー程に乗り気ではないが、だからと言って付き合いも決して悪くはない二人である。
それだけにババを引く回数がダンチで多い(特にデュオ)わけだが。
次にカトル・ラバーバ・ウィナー。
これはまあ、調整人事みたいなもんである。
ハンバーグの横の付け合わせの野菜みたいなもん、と言ったらカトルに失礼かもしれないが、そんな感じ。
最後にトロワ・バートン。
彼はサーカス団に居た経験からか、こういった類の話に案外通じている。
しかも何気にこの男はツボを突く話術の持ち主なので侮れない。
ヒイロ・ユイと張五飛は「バカらしい」と加わっていないが、
五飛はやんちゃくれのコーラサワーがいる限り何時でも乱入してくるであろう。
で、ブシドーエーカーさんはまたしてもビリー・カタギリのところに行っていて不在。
最近一言も喋ってない気がするが、まぁ新MS(ミカンスーツ)が完成したアカツキには出ずっぱりになるだろうから溜めておこう。
あ、アラスカ野ことジョシュア・エドワーズは場の流れが怪談に向いたところでトンズラこいて出て行きました。
ヘタレです、超ヘタレ。
おそらく怖い話にトラウマでもあるんでしょう。
夏休みに田舎に泊まりに行ったら、婆ちゃんに連夜寝物語代わりに怪談聞かされたとか、そんなの。
「とある局でアニメが放送されたですが、それにはきちんと原作がついてたですぅ、マンガの」
「よくある話だな」
「そしてそのアニメの前に、ドラマCDが出ていて、キャストや脚本も高評価だったですぅ」
「ふーん」
「しかしですぅ! アニメ監督が『マンガはマンガ、アニメはアニメ、ドラマCDはドラマCD』とバッサリ斬っちゃって」
「はー」
「出来上がったアニメは声優一新! 脚本は一話はともかく二話から原作を大きく逸れて大脱線!」
「へー」
「監督の好き嫌いでキャラの出番が決まり、マンガでのヒロインは中盤から空気!」
「ほー」
「それどころか突然出しゃばってきたアニメオリジナルのキャラが主人公を食いまくる活躍!」
「ひー」
「原作で地位を確保していた美形ライバルは最終回前に退場!」
「ぬー」
「ラスボス瞬殺! 挙げ句、そのアニメオリジナルのキャラが突如裏切って真のラスボスに!」
「めー」
「どうですぅ!? 滅茶苦茶怖いですぅ! こんなのあり得ないですぅ!」
 ミレイナ、一揆騙り、じゃない一気語り。
時々身振り手振りが入って大熱演。
んが。
「……よくわからん、どこが怖いんだ?」
 皆にはさっぱり伝わってなかったり。
途中で相槌打ってたのがコーラサワーだけだった、というのがこの場の空気を如実に表わしていると言えよう。
247名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/22(金) 23:30:42 ID:???
「実はまだ続きがあるですぅ」
「お、いよいよ本番か!?」
「これがですね、叩かれると思いきやウケたんですぅ」
「……は?」
「しかも続編まで決定してしまったですぅ! あり得んですぅ! 恐ろしいですぅ! 怖いですーぅ!」
「わからん! さーっぱりわからん!」
 このミレイナ、若干14歳ながら様々な資格を持ち、レディ・アンの秘書をソツなくこなす才子である。
性格だってちょっと小五月蠅いのとですです口調が気になる程度。
問題は趣味と言うか、ドが付くレベルのオタク娘なところにある。
怖いとか恐ろしいとか、何かその認識がゴールデンウィークに無理矢理くっついている飛び石休日並みに外れているのだ。
「もちろん原作支持者は怒り有頂天だったですが、何分その時代には意見を戦わせる場が無くてですね」
「おい、数世紀前の話じゃなかったのかよ」
 オタクと知ったかは見てきたように過去を語る。
語られたことに対して特に興味を持たない人間から嫌われる理由の一つである。
諸兄も注意されたし。

 ◆ ◆ ◆

 さて、そんな感じにプリベンターがのほほんと過ごしている頃、
プリベンターからちょいと離れたとあるビルの一室では、穏やかならぬ会話が交わされていた。
まぁ先に言っておくと、人類革新重工の商品開発部、通称『開発超部』の部長室なのだが。
「……と、言うわけだ。呑み込めたかな、二人とも」
「はっ、骨の髄まで理解したであります」
「おおまかなところは……」
 で、部長室と言うからには当然部長のセルゲイ・スミルノフおじさんがいる。
そして彼のデスクの前には、二人の若者が。
若者っていう時点でわかると思うが、セルゲイの養女のソーマ・ピーリスさんと実息のアンドレイ・スミルノフである。
「しかし父さ……部長、俄かには信じられないのですが」
「ほう、どうしてだアンドレイ?」
「あそこはここ以上に大手でしょう、何故そんなコソ泥紛いのことを……?」
 ここまで、ソーマはセルゲイの話をうんうんと素直に聞いてきていたが、
アンドレイは何度かこうして疑問という形で口を挟んでいる。
上司の言ったことが信じられない……ということではない。
優秀過ぎる父親を持った息子の、ある意味子供っぽい『抵抗』である。
「この業界、騙し合いや化かし合いは日常茶飯事ということだ、アンドレイ」
「ハーキュリー部長……」
 と、ここでセルゲイの代わりにアンドレイに言葉を返したのは、
現在この部屋にいる四番目の人物、人類革新重工の営業第七部部長パング・ハーキュリーだった。
「うちだってやっている。時にはニセの情報を意図的に流すこともある」
 営業第七部とはどういうところかと言うと、ぶっちゃけ他企業の情報収集が主なお仕事。
他社より優れたものを世に出すためには、自社の開発力を上げるのと同時に、他所がどういうことをしているかを調る必要がある。
敵を知り己を知れば、というわけだ。
また、露骨に妨害工作をすることはあまりないが、ハーキュリーが今言ったように、嘘情報で相手を惑わせたりすることはある。
「では、この件も向こうの嘘ということは?」
「その線も考えてある。君たちに依頼したのは、数ある手の一つだと思ってもらいたい」
 顎鬚を蓄えたハーキュリーは、セルゲイの頼れる同僚にして、心許せる親友でもある。
二人で多くの難関に立ち向かい、それらを跳ね除けて業績を上げてきた。
248名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/22(金) 23:34:31 ID:???
「アンドレイ」
「は、はい」
「あまり望ましい仕事ではない、といった感じだな?」
「いえ、父さ……部長、決してそんなことは」
「何、隠さなくてもいい。私とて似たようなものだ」
「……?」
 セルゲイは一つ、大きく息を吐いた。
会社のために働き、この地位まで来た。
そこに至るまで、気の進む仕事ばかりだったわけではない。
だが、揺り籠から墓場までを社訓とするこの人類革新重工が、
世界に大きく益をもたらすと信じてきたからこそ、彼はここまで「戦って」きたのだ。
そして今のところ、人類革新重工は、明るい未来を築く企業としての道を踏み外してはいない。
「だがアンドレイ、会社の利益のためだけに、この話があるわけではない」
「えっ?」
「あそこ……『アロウズ』には、いや正確に言うと『アロウズ』の一部には、前からキナ臭い噂があるのだ」
「……」
 ソーマ・ピーリスはここまでほとんど言葉を発していない。
セルゲイ、ハーキュリー、アンドレイに比べると、彼女が口にした言葉の量は全体を100とすると5もないであろう。
もともと、大恩あるセルゲイのためなら何でもする覚悟がある彼女である。
その恩人の親友の依頼とあれば、疑問や懸念なぞ挟むわけがない。
盲目的と言ってしまえばそれまでだが、それだけセルゲイの存在が彼女にとって大きいのだ。
だから、アンドレイの態度が「実の息子なのに何をグダグダと」と気に障ってしまうこともある。
まあアンドレイの中の事情は、ソーマにとってはどうしても理解出来ないので仕方ないっちゃ仕方ないのだが。
「その辺りも話しておかないとフェアではないな。ハーキュリー、頼む」
「そうだな。では、何故アロウズ……アロウズの『一部』がプリベンターに目をつけたか、ということだが……」
 まだ腑に落ちない様子のアンドレイを横目で見ながら、ソーマ・ピーリスは確信した。
これから自分が知ること、知っていくことは、間違いなくとんでもない事件に繋がっている、と。

 ◆ ◆ ◆

「よぉし、じゃあ俺の番だな!」
「正直期待してないぜ」
「バーカ、スペシャルホラーな話を聞かせてやる!」
 ずず、とお茶(今日はほうじ茶である)で喉を潤すと、コーラサワーは語り始めた。
「俺の軍人時代の話だが、同僚の日系パイロットが一人、官舎から突然失踪しちまってな」
「へぇ、何だか意外に本格的ですぅ」
「まあ黙って聞けオデコ娘三号。でな、消えたってのはすぐにわかったんだが、新聞がな」
「ああ、抜き取られずにポストにどんどん溜まっていったから、と?」
「バカ言えみつあみおさげ、軍隊だぞ、溜まるくらいになるまでほっておくかよ」
「じゃあ何だよ」
「いや、ある意味溜まったんだけどな」
「どっちなんだよ!」
「とにかくそいつが失踪したのはすぐにわかったんだが、新聞はいっぱいあったんだ」
 キョトンとするデュオたち。
まぁ無理もあるまいが。
249名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/22(金) 23:36:52 ID:???
「さっきと矛盾してるだろうが、いっぱいってことは長期間いなかったってことだろ」
「違うんだよ、いなくなった、ってのは一日でわかったんだよ。前日に模擬戦でそいつをコテンパンにした俺が言うんだから間違いない」
「……どんな覚え方だ」
「だからよ、問題はその『いっぱいある新聞』なんだよ」
「さっぱりわからん」
「そいつのポストに刺さってた一日分の新聞、それはな」
「……あ、ま、まさか」
「『読○』『朝○』『毎○』『中○』『聖○』『赤○』『産○』、さらに『ニッ○ン』『報○』……」
「うわ、うわああ」
「『デイ○ー』『サン○ポ』『エル○ラ』……」
「うわああああああああ」
「『セン○ジヤァナル』『小学生新聞』『日本農○新聞』……」
「ひいいいいいいいいい」
「とにかく、専門紙・業界紙・機関紙・趣味紙とあらゆる『一日分』の新聞がだな!」
「ここここ、怖いですぅぅううううう!」
「知りたくないです、その人がどんな人だったか……」
 プリベンターは今日も平和だった。
そして、もうちょっとだけこの平和が続く予定である。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は定期購読―――



 とりあえず最終話目標は映画公開日ということにしてそこまで頑張ってみますコンバンハ。
ラノベ的物語のあれ……ねぇ、どうしようサヨウナラ。

250通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 01:28:18 ID:???
土曜日さん仕事早すぎ乙&GJ
251通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 17:35:13 ID:???
ここらでまたひとつ、ネタじゃなくてキャラの魅力を全面に出した話をお願いしたい
252通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 23:01:54 ID:???
土曜日さん乙です!!
本編と同じく、アロウズとイノベイターは繋がってるのかな?

>>251
そんな事を言うと、「君が書いてくれ」と言われますぜ
253通常の名無しさんの3倍:2009/05/23(土) 23:19:31 ID:???
>「『読○』『朝○』『毎○』『中○』『聖○』『赤○』『産○』、さらに『ニッ○ン』『報○』……」
うわあああああああ(AA略

ちょ、ハーキュリー出るとは思わなかった。
嬉しいのは何故なんだぜ。
254通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 21:15:11 ID:???
保守
255通常の名無しさんの3倍:2009/05/26(火) 02:09:05 ID:???
ぷらら規制に巻き込まれたー
コーラさん助けて
256通常の名無しさんの3倍:2009/05/27(水) 11:21:11 ID:???
保守
257通常の名無しさんの3倍:2009/05/28(木) 16:47:35 ID:???
コココラサワ
258通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 12:27:03 ID:???
通常時は語ることがなにもないな
259通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 17:00:51 ID:???
新シャア板そのものが過疎気味だし、
ここも万人受けするようなスレじゃないしなw
260通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 22:40:14 ID:???
>>259
何で居るの?
261通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 23:19:27 ID:???
スレを潰しに来たが、叩くべき職人が今日は不在・・・
そんな所だろ
262通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 23:22:53 ID:???
いやいや、このスレが万人向けじゃないことは分ってるけど
コーラさん達プリベンターとWをこよなく愛し
職人さん来ないかなーとうろうろしてる住人の一人ジャマイカ?
263通常の名無しさんの3倍:2009/05/29(金) 23:30:33 ID:???
余計な一言しか云わない奴はイラネ
264通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 09:23:12 ID:???
コーラーメン食べたい
265:2009/05/30(土) 13:41:08 ID:???
こんにちは皆様ご機嫌麗しゅう。以前何度か来ていた模なんとかですご無沙汰しています。
正直今回も新作はありませんが手ぶらで来るのもあれなのでちょっとした物を持ってきました。
ttp://ranobe.com/up/src/up363446.jpg

あとおまけ
ttp://ranobe.com/up/src/up363447.jpg
266:2009/05/30(土) 13:43:57 ID:???
おっおう間違えて途中で投稿してしまった
上のおまけは脳内妄想の看護婦さんです。土曜日さん勝手に描いてすみません。
あともう一つやっつけ
ttp://ranobe.com/up/src/up363448.jpg

正直ね、おいら絵師じゃないからSS一本書いた方が断然早かった気がする、と描き終わってから後悔。
これ描くだけで物凄い時間が……世の絵師さんは本当に偉大です。
ではでは。
267通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 18:33:01 ID:???
SUGEEEEEEEEE
スレに命が吹き込まれた感があるZE

模の人、まさに神
268通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 18:46:01 ID:2qNt3P1v
>>266
ちょwwハムなにしとんwwww
269通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 19:58:03 ID:???
模倣氏GJ
素晴らしいのでもひとつGJ
270通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 21:59:07 ID:???
模なんとかの方GJでしたw
ところでハムのパンツは誰のなんだろう・・・・・・?
自分のなら別にいいが(多分いくない)、CBから盗んできたわけじゃないよね。
271通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 22:04:17 ID:???
刹那のかと思ったら、ラッセのでしたwww
なんてオチは嫌だw
272通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 22:10:47 ID:???
それはいやあああああああ
byリント
273通常の名無しさんの3倍:2009/05/30(土) 23:43:33 ID:???
>>270-271
ヒント → まとめwikiにある《模倣の人》のSSを読めば判ります。
274通常の名無しさんの3倍:2009/05/31(日) 09:20:52 ID:???
模倣さんの完全復帰希望
275通常の名無しさんの3倍:2009/05/31(日) 15:24:51 ID:???
>>266
お星様が最高に嫌ですねこの変態(誉め言葉)
276名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/31(日) 23:38:17 ID:???
  砂漠の空に 彼は何を見たのか
  届かぬ本部に 彼は何を聞くのか
  純粋なままで 生きているから
  その手で夢を 掴めるはずさ
  コーラサワー コーラサワー
  魂よ 魂よ イヤッフ弾けろよ
  コーラサワー コーラサワー
  そいつが 不死身の エースさ
  コーラサワー コーラサワー
  そいつが 幸せの エースさ


 天下の副将軍って俗称で正式なものじゃないそうで。
それでもまあ一般には通じていたようなので、つまりはコーラサワーの自称エースと似たようなもんかと。
何だ、水戸黄門ってコーラサワーなんだね!
水戸黄門は通算で1000話を超えて、コーラは模擬戦2000勝だ!
凄いや!

 と、いうことにしておこう。
反論は印籠の力で封殺です。
控えおろうフラグ折ろう。


 ◆ ◆ ◆

「……さて、次の刀を見てもらおうか」
「いったい何本あるんだよ、おい」
 プリベンターは今日は暇ではなかった。
いや、具体的な仕事がナイという意味では暇ではあるのだが、時間を持て余しているわけではなかった。
何しろ。
「これぞ五郎入道正宗の作、セキガハラバトルでミナモトヨシツネが振るったという長刀だ」
「明らかに偽物と一発でわかるな」
「ヨシツネはこれを構え、襲ってくる敵をばったばったと八艘飛びで」
「八艘飛びというより発想飛びだ」
 仮面の天使、じゃない仮面の戦死ことミスター・ブシドー、
つまりはグラハム・エーカーさんが所有している刀の自慢会を開いていたので。

 事の発端は今日の朝、出勤の時点にさかのぼる。
はよーす、と皆が顔を合わせたところで、ブシドーエーカーさんがご自身の趣味の品を大量に持って参上仕った次第。
それだけ。
いや、本当に深い理由なんてないんですってば、あのブシドーグラハムさんですよ?
持ってる刀について講釈したい、彼がそう思ったからであって、他に何ら事情があるわけおまへんがな。
彼とコーラサワーに前フリなんて言葉は八割八分存在しません。
見る前に飛べ、を常日頃から無意識に実践している二人であるからして、ハイ。
迷わず行けよ行けばわかるさ、ってやつですな。
何か違う気もしますが。
277名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/31(日) 23:41:20 ID:???
「その後、数多の武士、商人、政治家の手を経て、とある銀髪長髪の剣士の手に渡ったとされる」
「なんじゃそりゃ」
「そして今は私が所有している、といわけだ」
「胡散臭過ぎてどうツッコンだらいいかわからん」
 グラハム先生の私流刀剣教室を聴講しているのは、いつもの面子である。
ヒイロ・ユイ、デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナー、張五飛、そしてヒルデ・シュバイカー。
レディ・アンは相変わらずいない。
つーかあの人、自分の執務室ばっかりで本部の方にほとんど出てきやしない。
最終回までに喋れるのかしら、あの人。
「そしてこれが、中曽根虎徹」
「……長曽禰じゃなくて?」
「本物の証明に、在銘品だ」
「ダメじゃん」
 虎徹はとても贋作が多いことで有名だそうな。
銘があるものはほぼ十割パチモンで、刀剣商の間では「虎徹を見たら偽物と思え」という鉄則まであるらしい。
「しかも聞いて驚かないほしい。あの新撰組局長の近藤勇が持っていたものだと言われている」
「ますますダメじゃん」
 近藤勇の虎徹はニセ虎徹というのが通説である。
それでも名工・源清麿の無銘刀という話もあるので、名刀っちゃ名刀には違いないらしい。
まぁそんな博物館級のものがグラハム先生の手元に簡単にやってくるわけないし、
しかも「これは近藤勇が使っていたものと言われていましてねイヒヒヒ」なんて売り文句、
余程質の低い詐欺師でも使わないバッレバレのレッドな嘘であるからして、結論から言うとグラハム騙され過ぎ、と。
「別名、“月の輪の雷蔵”とも言われる一流の刀だ」
「それは虎徹じゃなくて小鉄だろ」
 トラのふんどしヒグマのパッチ。
関西地区しかわかりませんかそうですか。

 ◆ ◆ ◆

 マイスター運送。
ブラックキャットな宅○便などと違い、少数の職員で営まれているこの運送業者の知名度は高くはない。
とは言え、小さなものから大きなものまで、受けた依頼に関してはミスのない優良な会社である。
「次、Y57ブロック三丁目のヤマダさん家へ向かう。お届けの品は田舎からのミカン一箱」
『刹那、交通事故が付近の道路で発生。まっすぐ向かうと渋滞に巻き込まれる恐れがあるわ』
「了解。代替ルートの情報を転送してくれ」
 刹那・F・セイエイ、彼はマイスター運送のドライバーの一人である。
マイスター運送は優秀な運転手を抱えており、
彼をはじめ、ロックオン・ストラトス(兄)、ロックオン・ストラトス(弟)、アレルヤ・ハプティズム、ティエリア・アーデといった面々は、
その気になればF1だってサイバーフォーミュラマシンだって軽々と操ることが出来るだろう。
278名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/31(日) 23:43:10 ID:???
『刹那、ヤマダさんの次はU79五丁目のカトーさんのところね?』
「そうだ」
『なら、そこから次の十字路を右折、南東からラフレシア・ロードに入ってF91ブロックの方へ向って』
「ラフレシア・ロードに?」
『ラフレシア・ロードは現在空いているし、そこからならUターンの必要がなくなって時間のロスが省けるから……』
「了解」
 刹那と通信しているのは、同僚のフェルト・グレイス。
本来は会計担当なのだが、何分こじんまりとした会社ゆえ、色々な業務をこなさなければならない。
で、こうしてドライバーたちに道路情報を教えるのも彼女の仕事の一つというわけだ。
クリスティナ・シエラ、リヒテンダール・ツェーリといった面々も同様で、色々な業務を兼任している。
『……刹那、刹那?』
「何だ」
『ちょっと……緊急の用件が入ったみたい』
「緊急?」
『ええ、スメラギさんが戻ってこい、って』
「時間は?」
『一時間以内』
「了解。次の配達を終えたら帰社する」
『気をつけてね……』
 刹那はアクセルを踏む力をやや強くした。
サイドプレートに表示されている情報の中に、ラフレシア・ロードで警察が速度チェック中、という文字はない。
「緊急……?」
 どんな用件か、とは刹那はフェルトに問い返さなかった。
マイスター運送の社長であるスメラギ・李・ノリエガは飲兵衛ではあるが、天才的な経営者である。
彼女に従って、仕事で間違ったことはない。
だから、どんな用事か聞く必要はないのだ。
刹那が今するべきなのは、ヤマダさんとカトーさんへの配達を終え、会社へ急いで戻ることだ。
「……」
 刹那は感じていた。
今までに緊急の事態とやらで呼び戻されることは幾度かあったが、今回は特別なもの、大変なことになりそうだ、と。
ただの勘であり、理由はない。
だが、彼は確信していた。
「ここを右折……」
 トラックはラフレシア・ロードへと入った。
フェルトの情報通り、刹那の前に走る車は少なく、渋滞の気配は欠片もない。
「あとは直線」
 そして、ここでようやく正規のナビ・システムに交通事故の情報が入ってきた―――

 ◆ ◆ ◆
279名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/05/31(日) 23:46:20 ID:???
「あああああ、あああああああ」
「いや、悪気はなかったんだって」
「オガミイットーの胴田貫があああああ」
 プリベンター本部でのグラハム刀剣講座は、唐突に終わりを迎えることになった。
小鉄、じゃない虎徹の次に彼が出した“かの有名な子連れ狼が使っていた胴田貫”を披露している最中、
コーラさんがこれを折っちゃったのだ。
「でもよう、床に落ちたくらいで折れるって、あまりに弱過ぎねえ?」
「天下の名刀があああ」
 皆が会議室に集まっている、とサリィ・ポォから聞いた(彼女は講義に参加していなかった)コーラさんは、
何やってんだ俺をほったらかしにしてーと勢い込んで会議室のドアを開け、中に飛び込んだ。
で、その次の瞬間、ドアの前に立って高らかに胴田貫の解説をしていたグラハムに激突、
押されたグラハムの手から胴田貫が床に落ち、そして折れて半分になっちゃったわけ。
「床に落ちて折れるって……土産物の薄い木刀でもそんなことないぞ」
「お菓子のポッキーみたいですね」
「ポッキーだけにポッキン、ってか?」
「つまらんぞデュオ」
「つまりは明らかに偽物ということだ」
 五飛は席から立ち上がると、首を左右に振ってコリを解した。
武術に通じている彼は、当然武器にも詳しい。
日本刀はやや彼の専門外だが、それでも真贋を見抜けぬ程ではない。
つまりは最初から彼はグラハムの刀がパチモンだと気づいていたわけだが、
それを指摘しなかったのは、彼の優しさ……ではなく意地悪さであろう。
まぁ正味の話、知識は無くとも場の全員が偽物だとは思っていたけど。
「これら全て、いくらで購入したか知らないが、とんだ大損というわけだ」
「何とー! あの訪問販売は稀代の悪徳商人であったか! グラハム・エーカー、一生の不覚!」
「訪問販売なんか信用するからだ、ナルハム野郎」
「ぬううう、で、では、彼がイチオシしていたこの“切れぬものはこの世にない、隕石の欠片を鍛えて作った剣”も!」
「思いっきりウソモンだな」
「ならこの“刃が裏側にある不殺の剣”も、“あまりの軽さに二回攻撃になる剣”も!」
「エーカーさん……お気の毒ですが、全部ダメだと思います」
「何とォォォォオォ」
 コーラサワーとガンダムパイロットの容赦ない言葉に驚愕するしかないグラハム。
その彼の向こう側では、ヒルデがテーブルの上の湯呑みを片づけ始めていた。
無言で。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の剣優しさだよロンリーハートは続く―――



 じんわりと大きな流れにシフトしていきまコンバンハ。
模ナントカ氏、ttp://ranobe.com/up/src/up363860.jpgですサヨウナラ
280通常の名無しさんの3倍:2009/05/31(日) 23:48:50 ID:???
乙。
まさかここでアニメ水戸黄門の主題歌替え歌が出るとはwww
あれはよいネタアニメ
281通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 00:49:46 ID:???
>土曜日氏どの
すごく・・・オッサンホイホイな替え歌です・・・
○門といえば、某侍戦隊の夏映画に歴代格さんがゲストで出るとか・・・(現在の格さんは戦隊OB)

>模倣の人どの
不躾ですが、>>265-266の絵をまとめwikiにうpしたいので、許可を頂けないでしょうか?

しかし、文が書けて絵も描ける人って羨ましいです、ホント。
282:2009/06/01(月) 10:06:59 ID:???
>>281
画像うp超OKです。
でかすぎるようであればサイズ変更してもらっちゃって構いません。
むしろこちらこそありがとうございますですぅ。

土曜日さんに画像付きでGJもらってしまった……
これはもう婿養子に行くしk
あれ、誰だろうこんな時間に……くぁwせdrftgyふじこlp;@:「
283通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 10:23:44 ID:???
>とある銀髪長髪の剣士
セフィ○スのことかーッ!

>“切れぬものはこの世にない、隕石の欠片を鍛えて作った剣”
>“刃が裏側にある不殺の剣”
>“あまりの軽さに二回攻撃になる剣”
上二つは斬鉄剣と逆刃刀なのはわかるけど一番下はなんだろう……
FEの勇者の剣しか思い浮かばない
284通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 10:51:48 ID:???
つ DQのはやぶさの剣
285通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 10:54:42 ID:???
土曜日さん腹筋印壊れそうなハムネタとコーラさん絵投下乙でした。
胡散臭い感じがたまりませんでしたw

>>283氏の続きですが、
>あまりの軽さに二回攻撃になる剣
ってまさかDQのハヤブサの剣ですか?

違ってたらハズカシーですごめんなさい。
286通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 10:56:10 ID:???
>>285です。
うおーレスしてる間にもう一人の自分が!
ちょっとあたってるかなとwktkしてきたw
287283:2009/06/01(月) 10:58:48 ID:???
どらくえ
やってないの
ばれちゃった

てへっ
288通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 13:08:57 ID:???
まとめサイトといえば、ダンボールコーラネタのときに何人か来た職人さんの作品は
まとめに入れないのかね
記録係さんとかいた気がするけど
289通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 13:50:32 ID:???
>>283
俺はエルムドアかと思った
290通常の名無しさんの3倍:2009/06/01(月) 16:25:42 ID:???
模の人は自重せずにガンガンやってほしいですw
291通常の名無しさんの3倍:2009/06/02(火) 17:03:23 ID:???
保守
292通常の名無しさんの3倍:2009/06/02(火) 18:03:10 ID:???
>別にホロだからといってわっちが飛び出てくるわけではない

>今のところニンジャシュギョーセットを通販で買ったアメリカンボーイ並に

>60階建ての某塔の宝箱出現に必要な操作ばりに理不尽なコーラサワーの言動

>認識がゴールデンウィークに無理矢理くっついている飛び石休日並みに外れて




こういう表現・例えができるのはある意味特殊な能力だと思うこのごろ
293通常の名無しさんの3倍:2009/06/03(水) 16:37:30 ID:???
ここまで話が大きく広がるとは、スレの初期は思いもしなかったぜ!
294通常の名無しさんの3倍:2009/06/04(木) 10:04:22 ID:???
そーいやこれをベースに同人かニコ紙芝居かを描きたいとか言ってた奴が前いなかったか
295通常の名無しさんの3倍:2009/06/05(金) 13:34:06 ID:???
一日一保守
296通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 10:40:06 ID:???
規制中?
297通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 11:23:11 ID:???
まったりいこうぜ
298通常の名無しさんの3倍:2009/06/07(日) 11:13:03 ID:???
過疎化の農村
299名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/07(日) 21:23:30 ID:???
   重いテーマを詰めた 硬い調子のアニメキャラよりも
   天まで突き抜けるような コーラサワーが欲しい
   決められた筋の中 あまり出番が見られないのは
   二期で収めなかった 監督たちのせいです
   皆が笑う 癒しならば 恥じることはないのさ
   尺の陰に隠れた 幸せ探せ
   奇跡起こせ 戦場に
   遅れたコーラサワー
   巻き起こせ 熱い風
   冷めかけた展開に
   奇跡起こせ 戦場に
   不死身のコーラサワー
   叶えるのさ 誰もが
   望んでいた夢を


 ど真ん中一本の剛球男、パトリック・コーラサワー。
高校野球漫画は三つの系統に分けられる。
ドカ○ンの如き王道、タ○チの如き青春、緑○高校の如きハチャメチャ。
ソースは友人。
正味の話、どの系統にコーラサワーを放り込んでもあまり違和感ないのは気のせいか。
ルー○ーズでもイケるよ多分。
 だんだんと前フリがガンダムと関係なくなってきたが、ネタが無いんですすいません。
もうぼちぼち二部から三部に移行するので、そこで歌詞ネタも終わりにするとします。

 ◆ ◆ ◆

 世界は今のところ平和である。
すなわち治安維持の最後の砦たるプリベンターも平和である。
年間予算にして警備隊の十分の一以下、独自の施設も日中プログラムも無いプリベンターは、出動が無けりゃホントに暇なのだ。
レディ・アンが5mmの穴に10mmのネジを突っ込むが如き強引さで設立した組織だけのことはある。
何でも個人的に収集した政府閣僚の弱味を盾に迫ったとかナントカ。
がっぽり予算を引っ張ってこなかったのは、さすがに組織の体質を考えたからなのか、それともOZの轍を踏むべからずと自制したためか。
脅迫紛いで隠密同心を作ったんだから轍もクソも無いとも思うのだが、まあそれはそれとしておこう。
「もうぼちぼちじゃないのか」
「何がだよ」
 パトリック・コーラサワーはだらしなくソファに腰掛けながら、目の前に座っているデュオ・マックスウェルに質問した。
テーブルにはヒルデが持ってきたお茶の湯のみがあるが、ちなみに言っておくと今日のお茶は玄米茶である。
「ポニテ博士の新型」
 ポニテ博士ことビリー・カタギリお手製の新たなMS(ミカンスーツ)は、現在組み上げの最終段階である。
前代のネーブルバレンシアはほとんどパイロットごとに性能や特徴の差は無かったが、
今度の新型はそれぞれの特性や戦法に合わせたものになっており、外見もどこかかつての彼らの愛機に近いものになっている。
コーラサワーならイナクト、グラハムならフラッグという風に。
最も、まんまそのままではないが。
300名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/07(日) 21:26:50 ID:???
「ミカンエンジン自体は問題ないとか何とか。後は外装とか細々したものの調整だろう」
「何だよ面倒くせーな、ぱっぱと出来ないのか」
「あの博士一人でほとんどやってんだぞ、無理言うな」
 仕事が速いのか遅いのかわからないことに定評のあるビリー・カタギリ、
つうか一人でほとんどやっちゃうんだからやっぱり天才ではあるのだが、
何と言うか、変に職人気質なところもあって、『何故そこにこだわる』というところに力を入れちゃったり。
まぁこれは恩師であるレイフ・エイフマン教授譲りな面もあるのだろうが。
「我が盟友は信頼出来る。任せておけば問題ない」
「毎日催促に行ってる人間の台詞と思えねーな」
「頭では理解していても、急く心を抑えることは出来ないものだ」
「要はお前も早く欲しいんだろ、新型」
「無論、当然至極」
 かみ合ってるのかかみ合ってないのか、判断つきかねるコーラサワーとグラハムなのであった。

 ◆ ◆ ◆

 絹江・クロスロードは怒りに肩をふるわせつつ、歩いていた。
彼女はJNNTVの報道アナウンサーであり、
若いながら様々な現場に突撃取材を行い、局内ではやり手として認められている存在である。
が、その一方で直線的過ぎるやり方が、局の上層部からおもしろく思われていないのも事実だった。
「冗談じゃないわ、こんなところで立ち止まっていられるものですか……!」
 つい数分前、彼女は上司に呼び出された。
そして、今追いかけている取材を自重するように言われたのだ。
つまりは、もうやめろ、という宣告だった。
「くっ、せっかく情報が揃ってきたのに」
 彼女の亡父もまた、マスコミに身を置く者だった。
彼女と弟がまだ年少の頃、とある自然災害の現場を取材中に事故に巻き込まれてこの世を去ってしまった。
身内の前では温かき家庭人であり、仕事場では妥協を許さぬ厳しい記者だった父を、彼女は尊敬していた。
いつか、自分も父のような素晴らしい人間になりたい。
そう思って、絹江は自身の職場にテレビ局を選んだのだ。
「おうおう、またお叱りを受けたようじゃのう?」
「……」
「ふむ、図星というわけか」
 廊下をドスドスと速足で歩く絹江に、一人の老人が話しかけてきた。
この局の資料室を巣穴にしている非常勤職員で、局内で絹江が信頼を置く人間の一人でもある。
「まぁでも実際、色々ヤバくはないか?」
「どういうことです?」
「相手はあの今をときめく『アロウズ』じゃろう?」
「……ええ」
 絹江が今追いかけているのは、巨大企業アロウズの内部関係について。
急成長を遂げているアロウズには、以前からキナ臭い噂がついてまわっていた。
曰く、アロウズ内部に特別な部署があり、
その部署が真っ当ではない方法を使って自社の利益と勢力を伸ばしている、と。
その手の話は言わばお約束とも言うべきもので、根拠の無い一方的な叩きや、他社のやっかみが大抵根元にある。
が、火の無いところに煙はたたないものまた事実。
そして、アロウズの場合はその煙の量が半端ではないのであった。
301名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/07(日) 21:28:13 ID:???
「お前さんの猪突猛進主義じゃあ、ちょっと厳しいんじゃないかと思うんだがの」
「取材は適切な手段で行われるべきです、でないと……」
「裏口を漁るような方法で真実を解き明かしても意味がない、と言いたいのはわかる」
「……」
「だが、正面突破が通じるかどうかは、相手による」
「それは……」
「巨人に真っ向から挑んでも叩き潰されるだけじゃ、向う脛を蹴り飛ばすやり方が正しい時もある」
 絹江は何か反論しようとして、やめた。
相手の正しさを認めたからだ。
彼女だってわかってはいる、世の中は単純ではない。
魚を釣る時は釣り竿を、獣を狩る時は猟銃を。
正門が閉まっていたら裏門を……。
「お前さんが高潔だった父を尊敬しているのは理解出来る」
「……」
「しかし、父みたいになりたいと願うのだったら、尚更挫折するわけにいかんだろうに?」
「でも……」
「ペンは剣よりも強し、それを信奉するなら、剣に倒れるような真似はしたらダメじゃな」
 絹江は頷いた。
父は不幸にも、報道者としての人生を断たれた。
父の場合は完全に事故だったが、自分の場合には事故でなく人為的な事件が降りかかってくるかもしれない。
真実を暴こうとする者は相手が消えてしまうと困るが、
真実を隠そうとする者は相手が消えてしまえば都合がいいのだから。
「じゃあ、どうすれば……?」
「そうだの」
 老人は顎に手をあてて考え込むポーズを取った。
小指が立っているのがソレっぽいが、このイカツイ風貌に合っているように思えるのだから不思議である。
「まずは、昼食でもしてきたらいい」
「え?」
「つい十分程前からから、お前さんを待っている人がロビーに来ている、ってコトじゃ」
「……あ!」
 絹江は思い出した。
弟とその彼女と、昼食を共にすることを。
慌てて胸のポケットから携帯電話を取りだすと、そこには十回程、同じ相手からのコールの記録が入っていた。
上司に呼び出されたために消音にして振動機能も切っておいたのだが、それが仇になった形だ。
「腹が減っては戦は出来ん。ほれ、まずは目の前のことから片づけて来い」
「は、はい!」
 老人に一礼をすると、絹江はエレベーターに向かって一直線に廊下を走った。
これが学校ならば、先生に間違いなく叱られていたであろう。
「やれやれ」
 絹江の後姿を見送ると、老人は苦笑気味に一つ息を吐いた。
「熱くなると周囲が見えなくなるのは、オヤジにそっくりじゃな」
 そして、人差し指でサングラスの位置を直すと、アロハシャツの裾をはたき、歩き出した。
絹江が去った方とは、逆側に。

 ◆ ◆ ◆
302名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/07(日) 21:30:12 ID:???
「愛、まさしく愛だ、これは」
「俺の大佐に対する気持ちも愛だぜ」
「愛は全てを超越する、純粋で単純で、同時に無限の広がりを持っているのだ」
「七面倒臭い理屈を並べなくても、好きな気持ちは好きって言葉でしか表現出来ないってこった」
 プリベンターにおけるグラハムとコーラサワーの漫才はひたすら継続中。
つうか、漫才とも言えない様相を呈してきた。
「目を閉じれば目蓋の裏に浮かぶ、フラッグに乗って駆けたあのどこまでも続く蒼き天空が」
「思い返せば俺も色々な女性と付き合ってきた、小さい頃から何十人何百人と」
「あれはまさに至福にして至高。基地に戻るのが惜しいと思ったくらいだ」
「その一人ひとりに俺は真剣だった。適当に付き合ったことは一度もねー」
「今はフラッグはこの手の届くところにない。しかし、その面影を受け継ぎし機体が生まれようとしている」
「この掌は、彼女たちの柔肌の感覚を今でも覚えている。しかし、俺は大佐に出会ってしまった」
 果たしてどこで空き缶に躓いてしまったのやら、ポエムなんだかそうでないんだか、
どう表現していいかわからん『語り合い』の場になってしまっていた。
最早、デュオも五飛も突っ込めない。
つうか、彼らにしてどう突っ込んでいいのかわからない領域にコーラサワーとグラハムは今、いる。
「だから私は声を高らかにして請う! 盟友よ! その新たな剣を我に、一刻も早く我に与えよと!」
「だから俺は声を大きくして言う! 大佐ぁ! 大好きです、子供は三人欲しいですと!」
 今日も今日とて、プリベンターは平和も平和、三十路男がゴーイングマイロード。
そこに、騒乱の陰りは、まだ一片たりとも落ちてはいない。
そう、まだ。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――




サングラスでアロハと言ったらあの爺さんですコンバンハ。
ま、いずれまた出番がねサヨウナラ。
303通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 00:17:11 ID:???
GJです! 今回は替え歌のネタが分からない、チクショウw
しかしグラハムとコーラの異空間っぷりは凄まじいですな。次回も楽しみにしてます!
304通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 03:07:41 ID:???
緑○高校のOVAの主題歌はマイナーっす!
「遅れ/てき/た○者/たち」好きだけど
305通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 10:16:36 ID:???
コーラサワーなら良かったのに・・・


“コーラショック”を武器にキリンが切り開く新たなマーケット 2009年6月8日 08:58

キリンビールが日本初のコーラ系アルコール飲料の常時発売を発表した。果たしてキリンはパイオニアとして市場を開拓できるのだろうか?
キリンビールは7月8日からコーラとウォッカをブレンドした新しいアルコール飲料『キリン コーラショック』を発売すると発表した。

コーラフリークの筆者にとっては見逃せないニュースである。

みなさんは、たまにコーラが飲みたくなる時がないだろうか?
また、お酒を飲んで軽く酔いたい時はないだろか

そんな欲求が同時に高まった時、ウィスキーが自宅にあれば、コーラを買ってきて自宅でコークハイを作るのだが、
残念ながら筆者はヘビードリンカーではないために、これまでウィスキーなど購入したことがない。

そこで便利なのが初めからコーラにウィスキーをブレンドした『キリン コーラショック』のような飲み物なのだ。

http://www.insightnow.jp/article/3592
 キリンビール株式会社(社長 松沢幸一)は、近年伸長を続けているRTD※市場に向けた新しい提案として、
「コーラ×ウォッカ」の新しいお酒「キリン コーラショック」を7月8日から全国で発売します。発売品種は350ml缶と500ml缶です。

* ※Ready to Drinkの略。栓を開けてそのまま飲める低アルコール飲料。

【コンセプト】 大人の夜コーラ(コーラ×ウォッカ)、ビリッとくるうまさのコーラのお酒。
【製法・中味】 キリンビールが独自のコーラのお酒を作るために、15種類以上の天然精油成分などとウォッカをブレンド。
                     さらに高炭酸(自社製品比1.5倍)にすることで、コーラらしいうまさとビリッとくる刺激を実現した。
                     「刺激的なのに、飲みやすい」新しいコーラのお酒。
【アルコール度数】 5%

http://www.kirin.co.jp/company/news/2009/images/0507_01_s.jpg
306通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 10:28:35 ID:???
職人さんGJ!!
二人の平行線な自分語り(でも本人たちは多分会話してるつもり)がww

カテキン入りコーラとかコーラショックとか意識したの?っぽい飲料が
最近出ているが、グラスも出るしもう出しちゃえよYOU。

サンライズタイアップご成婚記念豪華イラスト入り
 カティサーク入りコーラ
 コーラサワー
どっか直球ど真ん中で出してくださいorz
ダースで買うから!!
307通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 12:20:41 ID:???
ウオッカと言えば酒であり競馬の現最強牝馬
ダービーを牝馬ながら勝ち、秋の天皇賞を勝ち、今年のヴィクトリアマイルでも他馬を圧倒、
昨日の安田記念でも鞍上の武豊の位置取りミスで一度は包まれながら、残り100メートルで前を抉じ開け勝った


コーラがジョッキーならウオッカの鞍上が似合うな
308通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 12:46:21 ID:???
作中でウォッカと言えば、スミルノフウォッカの荒熊さんなわけだが
コーラ×ウォッカ……
309通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 16:34:43 ID:???
アンドレイに妹がいれば…
て、コーラには大佐がっ
310通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 17:36:16 ID:???
>>309
ソーマは実質、荒熊の娘ではないか
311通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 19:32:32 ID:???
ソーマは別の酒の名前なのだよ。
312通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 22:06:47 ID:???
>>299-302
乙です!!
何だか、嵐の前の静けさ的なものを感じますねえ・・・
313通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 22:19:21 ID:???
♪嵐の中で輝いて
314通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 23:34:18 ID:???
♪そのコーラをあきらめないっでー
315通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 00:57:22 ID:???
♪傷ついた  あなたのコーラの
♪カティの羽  そっと抱いて
♪抱いてあげたい
316通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 12:15:37 ID:???
替え歌難しいネー
317通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 22:06:30 ID:???
元ネタは何の歌?
318通常の名無しさんの3倍:2009/06/09(火) 22:18:18 ID:???
08小隊だな
319通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 15:26:05 ID:???
>>318
d
320通常の名無しさんの3倍:2009/06/10(水) 16:48:05 ID:???
なんか徐々にシリアス路線にチェンジか?
321通常の名無しさんの3倍:2009/06/12(金) 18:31:07 ID:???
過疎なんだかそうでないんだかわからんなw
なんつーかほれ、開封時の炭酸バリバリ時とあけっぱなし放置の炭酸抜けちゃった時みたいだZE☆
322通常の名無しさんの3倍:2009/06/13(土) 15:25:14 ID:???
保守
323名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/14(日) 19:06:12 ID:???
ちょっと所用があるので自壊

次回は明日以降になります、すんません。
324通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 06:33:41 ID:???
>>323
お待ちしております!
325通常の名無しさんの3倍:2009/06/15(月) 16:13:54 ID:???
まったりいこうぜ
無理に一週一投下にこだわることはない
326名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/15(月) 22:33:50 ID:???
  Hitting Now マジでスペシャル Happy Wedding Colas' Talk
  映画タイムまで待てない
  被撃墜されても撃墜はNon Non Non
  精一杯 Shooting And Swing
  ワクテカが止まらない
  フルスロットルの脳内
  希望・欲望・煩悩 愛の告白ゴーゴー
  癒しどっさり持ちより
  New MOBILE SUIT 欲しがり 
  台詞・出番が少ない 死亡フラグも相殺
  模擬戦で2000値 こなしたら飛ぶよ
  一話より凄く 一期より不死身ぶり輝く
  Winning Now ガチで結婚 Never Ending Colas' Life
  嫁マジ  カティだし待ったなし
  活躍しても昇進はNon Non Non
  目一杯 Good Luck イヤッホイ
  ガチでスバラシ Never Ending Colas' Song
  ラストのシーンには持ってこい
  片想いでも最後は Shu-Wa We Go
  成就で Getting Beauty Bride


 たんさん! Colasuki!Ace!
……いや、特に視聴してたわけではないが、古い歌ばっかりだとダメだと思ったんだ。
それだけです、ハイ。



「ふあああああ」
「また欠伸か」
「だって暇でよー」
「もう何度繰り返した……このやりとり」
 プリベンターは暇だった。
大きな事件も今のところなく、式典の護衛程度は彼らにとって苦になるものではない。
世界を裏から守る隠密同心だからと言って、厳しい訓練のプログラムがあるわけでもない。
つうかここにいる面子は今更訓練の必要性がない程に全ての面においてプロフェッショナル揃い、
言わば完成品を選り集めてきた、レアル・マドリーもバルセロナもマンチェスターUも真っ青の集団であるからして。
あ、新聞でマンチェスター・ユナイテッドをマンUと略すのはどうかとずっと前から思ってるわけですが、まぁどうでもいいですねそうですね。
ほな何かい、アーセナルを略すとアナあわばばばばばば。
「だいたいあと少しで結婚式なんだろうが、欠伸ばっかりしてる場合か」
「……」
「ど、どうした」
「……む、むふふ」
「一瞬溜めて気色悪い笑い方をするな! 三十代!」
 何つーか平和である。
それはそれでいいことだ、きっと、多分。
327名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/15(月) 22:37:20 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「ふあああああ」
「また欠伸か」
「だって暇でよお」
「もう何度繰り返したろうね、このやりとりをにぃにぃズは」
 世界政府の議事堂からそれほど遠く離れていない路地の裏に、一つ小さな運送会社がある。
表通りから外れており、周囲は倉庫街なので人通りも少ない。
強化コンクリートうちっぱなしのそのビルに掲げられた看板には、
英語と日本語とエスペラント語とラテン語とサンスクリット語で詰め込み気味に社名が書かれている。
『トリニティ運送』と。
「ここ最近仕事が無いんだぜ? おまんまの食い上げじゃん」
「ならば、マイスター運送のように小口の仕事を拾ってくるか?」
「……それはカンベンだぜ」
「きゃはははは、ミハにぃ怠けものー!」
「うるせーよ、ネーナ」
 先程大きな欠伸をしたのが、ミハエル・トリニティ。
深い青色の髪と鋭い目つきを持ち、見かけは短気そのものといった感じの青年だ。
そんな彼を諭しているのは、彼の兄であり、トリニティ運送の社長代行でもあるヨハン・トリニティ。
冷静で沈着でもあるが、二十歳を越えて短パンを愛用するという愛嬌(?)もある。
そしてそんな二人をからかうように口を挟んでいるのが、末妹のネーナ・トリニティ。
無邪気で表情がコロコロ変わる美少女だが、何となく獰猛な山猫を思わせる雰囲気を持っている。
「別に構わないがな、今を生きるためには小さな仕事も必要だ。今までだってそうしてきたはずだ」
「んあー、でもよー」
「ミハにぃの性格に合わないだけだよねー、そーいうの」
「そうそう、そーいうこった! もっとこう、バーッとドカーンとズベーンと、大きな仕事がだなあ」
「……ミハエル、もうそのあたりにしておけ」
 ヨハンは語気を強めると、目を細めてミハエルを睨んだ。
一瞬何かを言おうとしたミハエルだが、結局はヨハンの眼光に押されるように口をつぐむ。
同時に、直接怒られたわけでもないのに、ネーナもまた押し黙る。
トリニティ運送としても、血のつながった兄弟妹としても、長兄のヨハンの命令は絶対だ。
「ラグナに連絡を取る」
「えっ?」
「あそこなら、幾らか運搬の仕事を貰えるだろう」
 ラグナとは、リニアトレイン社の総裁のことであり、フルネームはラグナ・ハーヴェイという。
かつてはOZの元、公社として軌道EVを全て管理運営していたが、OZ崩壊の前に協力関係を打ち切り、今に至っている。
以前程の影響力はないものの、それでも宇宙と地球を繋ぐ最大手の輸送・運送会社である。
「うー、仕方ねえかあ」
「お金なくなっちゃうと御飯食べられないもんね」
「……」
 弟と妹の言動に、ヨハンはやれやれと肩を小さくすくめた。
この二人を纏めるのは、なかなかに苦労が必要なのだ。
328名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/15(月) 22:41:08 ID:???
「まったく……ん?」
 そして席を立ち、通信用モニターに近寄ったところで、ヨハンは動きを止めた。
「……どうしたの、ヨハンにぃ?」
 ネーナがヨハンの背中にいぶかしげに言葉をかける。
「ミハエル、ネーナ」
 そんなネーナに返ってきたヨハンの声は。
「今すぐに臨時休業の張り紙を表に貼れ」
「えっ?」
「暗号通信が届いている。……動く時が来たぞ、どうやら」
 炎すら凍らせる吹雪のように、冷ややかで重たかった。

 ◆ ◆ ◆

「たーたーたー、タクラマカン砂漠!」
「く、く、く、車懸り!」
「りーりーりー、リボンアート!」
「と、と、と、東海一の弓取り!」
「りーりーりー、ってまたかよ! えーと……」
 プリベンターは絶賛お暇なら来てよね状態である。
で、とうとう耐えかねたオバカ二人組が、またぞろオバカな遊びを始めてしまった様子。
「何やってるんですデュオ、あの二人は?」
「見たらわかるだろカトル、しりとりだよ」
「……しりとりにしては、単語が微妙に反則気味な気もしますが」
「まーな、本来ならタクラマカ『ン』でアウトだし、懸『り』や取『り』もダメだろ」
 パトリック・コーラサワーとグラハム・ブシドー・エーカーのガチのしりとり勝負、これは双方真っ向勝負。
周りは引いちゃってるが、本人たちは退けないのだ。
仮にも一軍のエースだった人間が小学生レベルのやり取りをするのは何とも悲しい限りだが、
ある意味MS(これはモビルスーツ)の操縦に知性はともかく人格性格は関係ないとも言える一場面ではあろう。
「リンカーン大統領!」
「う、う、ウルトラ袈裟切り!」
「なんじゃそりゃあ! 滅茶苦茶だろ!」
「問答無用! 続行! それとも逃げるか?」
「誰が逃げるか! リー、リー、リー、リリー・マルレーンを聴いたことがありますか!」
「か、か、か、唐竹割り!」
「またかよー! リー、リー、リー、リゾートアイランド!」
「ど、ど、ど、道頓堀!」
「いーかげんにしやがれーっ!」
 デュオとカトルは大きくため息をついた。
お前ら二人がいい加減にしろよ、と思いつつ。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 あともうちょっとで二部終了ですかねコンバンハ。
そして、三沢光晴氏とテッド・タナベ氏のご冥福をお祈りします。
一時、日プもインディーもアメプもまとめて雑食ファンだった頃がありました。
今はすっかり離れてしまいましたが、知っているレスラーやレフェリーが他界してしまうのは寂しくて悲しいものです。
では次回までサヨウナラ。
329通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 09:49:15 ID:???
り縛りひでえwwwwww
そして運送会社がなにやら怪しげな雰囲気
続きが楽しみです
330通常の名無しさんの3倍:2009/06/16(火) 22:03:56 ID:???
トリニティ運送の裏の顔が気になりますなあ
331通常の名無しさんの3倍:2009/06/17(水) 00:57:09 ID:???
トリニティ経由でアリーにミカンスーツが渡っていたとかかな?
今回も乙でした!
332通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 16:24:25 ID:???
他の職人さん復活希望
333通常の名無しさんの3倍:2009/06/18(木) 16:36:32 ID:???
リボンアート言ったの誰だww
順番的に多分コーラだろうが、やってるの想像するからやめれw
334通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 16:41:13 ID:???
映画の公開日ってまだ決まってないっけ?
335通常の名無しさんの3倍:2009/06/20(土) 17:33:51 ID:???
たいさーたいさー!
336通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 11:39:12 ID:???
>>334
来年の何時になるかはまだの筈
コーラがどっちの姓になってるのか気になるなあ
337通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 19:56:07 ID:???
てかコーラが嫁の籍に入ったらコーラじゃなくなる件
338通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 19:59:07 ID:???
コーラはコーラだよ。
ってか結婚入籍しても職場じゃ旧姓の人も多い。
めんどくさいから。
339名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/21(日) 23:17:11 ID:???
  君は聞こえる? 彼のその声が
  尺に空しく削られた
  もしも不死身が意味を持つのなら
  少ない出番は無駄ではない
  他キャラに押しのけられて諦めてたんだ
  ラストシーンの逆転も知らないで
  一話からの想いが今でも
  この胸を確かにイヤフってるから
  コーラとカティが映画に続く
  彼らなりの未来を築いていく
  答えはそう いつも彼にある

 コラ色デイズ。
……って前にもやったっけか?
歌詞ネタは考えた端から忘れていくので困る。
まぁコーラサワーはとっくの昔に天も元も突破ということでイヤッフー。


「とうとう完成だ」
「とうとう完成か」
「ああ、とうとう完成なのだ!」
「よし、とうとう完成ってか!」
 何だこのW○Eの下手なマイク合戦みたいなの、と思わないでいただきたい。
彼ら二人、つまりはパトリック・コーラサワーとグラハム・エーカーであるが、ちょっと興奮しすぎちゃってるだけなのだ。
何故かというと。
「ついに我らの新しいMS(ミカンスーツ)が!」
「おうよ、出来上がりってな!」
 はい、そういうわけ。

 ◆ ◆ ◆

 どの時代だって、世界を動かすのはまず経済である。
思想や宗教はガソリンには成り得ても、エンジンには決して成り得ない。
金、労働、そしてそこから生まれたモノ、これらのために社会は動き、また動かされるのだ。
「諸君、忙しいところをすまんな」
「いいえ、会長直々のお呼びとあらば」
「そうですとも、我ら、月の裏側からでも駆けつけましょう」
「アロウズの……ホーマー・カタギリ会長の下に」
 OZが解体されて以降、限られた企業に利権が集中することはなくなった。
OZは所謂囲い込み式に『使える』企業や会社を勢力下に収め、その権力を増大させた。
第二のOZが誕生しないよう、また、経済競争が公正に行われるよう、現在の世界政府は細かい気配りを随所に行っている。
だがしかし。
340名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/21(日) 23:19:34 ID:???
「本来ならリョーテイでゆっくりと話し合いたいところなのだがな」
「急ぎの事態ですかな?」
「そういうことだ」
 公平、平等、そういったものは富と力を持った者からすれば、邪魔にしかならないこともある。
100あるうちの50を手に入れ、残りの50を他所に分けてやるより、100をまるまる一人占めしたいと考える。
完全なる独占は長くは続かない、というのは過去の歴史が証明している。
それでも、おそらく人類が滅亡するまで、100を求める行為は続くだろう。
「早速本題に入らせてもらおう」
 アロウズ。
現在の地球上において、トップクラスの巨大総合企業。
そして今、会長のホーマー・カタギリの元に、彼の子飼いとも言える人物が集っている。
欧州地区マネージャー、アーサー・グッドマン。
アロウズ・エレクトロニクス副社長、リー・ジェジャン。
アロウズ・セキュリティ・サービス警務部長、アーバ・リント。
いずれも、その手腕を持ってホーマー・カタギリに引き立てられた者たちである。
彼らのいる会議室は会長のホーマー専用のものであり、いかに役職が高い者でも滅多に入ることはない。
室内の調度品も質の高い物ばかりが揃っており、
壁にかかっているのが絵画ではなく掛け軸という辺りに、ホーマーの趣味が伺える。
「つまり……“イノベイター”の?」
「そうだ。それも“ヴェーダ”絡みのな」
「それはそれは……」
 銀髪、狐目の男―――アーバ・リントは口の端を釣りあげて笑った。
アロウズ・セキュリティ・サービスは表向きは警備会社ではあるが、
その裏ではアロウズに有利な工作を行っている、所謂隠し刀である。
そして彼はここ数年、その陣頭に立ってきた。
「とうとう動き出すということですな、あの若造どもが」
 恰幅の良い体を揺らし、アーサー・グッドマンも笑った。
彼は欧州地区にあるアロウズの関連会社全てを指揮、管理する立場にある。
権力的には、ホーマー配下の中で最大と言ってもよく、
やや短気な面はあるものの、地位に見合うだけの実力を備えている。
「しかし、何故この時期に?」
 リー・ジェジャンはリントやグッドマンと違い、先程から全くニコリともしていない。
性格的なものなのだろうが、それだけに静かな威圧感を醸し出している。
アロウズ・エレクトロニクスの副社長として、競争激しい電気製品部門を引っ張っている。
「さて、それはわからん」
「まったく、歌と踊りだけに集中していてもらいたいものですな、あやつらには」
「そうは言いましても、彼らあっての我らゆえ」
「何、今のうちですよ」
 リントの言葉に、ホーマーをはじめ、グッドマン、ジェジャンも頷いた。
彼らには彼らの目的、そしてイノベイターにはイノベイターの目的がある。
今は彼らの上位にイノベイターがいるが、全ての事が終った時、それが逆転していればいい。
341名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/21(日) 23:24:05 ID:???
「さて、仔細を説明したいのだが」
「会長、真に申し訳ありませんが、その前にご報告したいことがございまして」
「ふむ、私の言を遮る程の内容なのかね? リント警務部長」
「少なくとも、今回の件には絡んでいると断言は出来ます」
「うむ……よかろう、先に君の話を始めたまえ」
「ありがとうございます。……私だ、彼を入れてくれたまえ」
 リントはホーマーに頭を下げると、インターホンで会議室の外に控えさせていた部下を呼んだ。
本来なら彼とホーマーとの間には大河の如き地位の差があり、
さらに上司より先に話を進めるのも本来なら失礼の極みなのだが、あまりそれを気にしている様子は彼にはない。
ホーマーの度量の広さを理解しての行為であるものの、
こういう部分が『自己顕示欲が強い』と同僚たちに思われ、嫌われる一因にもなっている。
「失礼いたします、バラック・ジニンであります」
 リントに呼ばれて入ってきたのは、長身でがっしりとした体格の男だった。
セキュリティ・サービスの制服越しに分厚い筋肉がわかり、いかにも荒事に慣れているといった感じである。
「彼は私の部下で、実に優秀な“成績”を残しております」
「ほう、ブジュツに長けているのかね?」
「ジュードーやカラテ、その他諸々のマスター・クラスです」
「頼もしいな」
 ホーマーの視線を受け、ジニンは背筋を改めて伸ばした。
彼の立場なら、まず会うことのない、会えるはずのない人間が、目の前にいる。
「緊張しているようだぞリント、お前の部下は」
「彼は武骨者でしてね……ではジニン隊長、例のデータを出したまえ」
「……はっ」
 ジニンは胸のポケットから極薄型のデータ・カードを取り出した。
世間一般には流通していない、アロウズだけの、しかも限られた人間だけが使える特別な記録媒体だ。
それを壁のモニターに直結している差し込み口に差し、キーボードからコードを入力してデータを表示させる。
「実は、極東の某所でとある事件があったことを、嗅ぎつけましてね……」
 リントの声が、薄暗い会議室に響く。
彼の指示通りにキーボードを操作しつつ、ジニンは思った。
アロウズのために、家族のために彼は働いてきた。
今、自分は何か大きな“裏の動き”に関わり始めている。
願わくば、この行いがアロウズと世界に正しき結果をもたらすように、と。
よしんば咎を受けるとて、自らのみに留め、愛する彼の妻に、生まれてくる我が子に余波が及んでくれぬように、と。

 ◆ ◆ ◆
342名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/21(日) 23:29:44 ID:???
「……では、男らしくジャンケンで勝負をつけようではないか」
「ジャンケンだあ? そんなの実力もクソもないだろ、完全に運任せだろうが」
「天運を味方につけてこそ! そうは思わんのか?」
「いいのか? 俺には女神がついてるんだぞ、強運さでも負けねーぞ!」
 ええと、彼ら二人が何をしているかというと、
ビリー・カタギリがようやっと完成させたMS(ミカンスーツ)の試運転をどちらが最初に行うか、を決めようとしている次第。
アホか、同時に一緒に乗ったらいーじゃん、と普通は思うだろう。
が、仮にもどちらも軍でエースを張った男、そこは譲れないこだわりがあるらしい。
「では将棋だ、将棋で決めようではないか!」
「ショーギ? ルール知らねーぞ俺は」
「ならばよし! さあ勝負!」
「待てよ、何がよしなんだよ!」
 さっきからずっとこんな調子でずっとやりあっている。
あまりのアホらしさに呆れたのか、デュオやカトルも突っ込みを放棄して、隣の部屋に出て行ってしまった。
今頃はヒルデが作ったホットケーキで皆と一緒にお茶を楽しんでいることであろう。
ガンダムパイロットにとっても新型が出来たことは嬉しいが、
誰が一番最初に乗るかなんてことは正味のところーでもいいレベルの話。
それよりも、どれだけ自分に合った機体か、という方が重要なのだ。
「では剣玉ではどうだ!」
「なあナルハム野郎、お前はガキの遊び事でしか勝負を決められないのかよ?」
「笑止! 子供の遊び事と見る方が愚か者だぞ、自称エース!」
「自称じゃない! 模擬戦2000回無敗、リアルにスペシャルなエースだ!」
「ならば見事受けてみせるがいい! 如何なる勝負でも!」
「って、ショーギとかケンダマとかはないだろ普通!」
「ならば、センゴクブショーの名前を出し合って、多く言えた方が勝ちというのはどうだ!」
「マジでお前、有利な土俵に持っていこうとしやがるのな。なら落とした女の数で勝負ってのはどうだ!」
 三十過ぎた大人がやるこっちゃないと思うが、まぁこれも彼ららしいと言えば彼ららしいかと。
性格はばっちり合わないし、かけあいも合っているのか合ってないのかわからない二人だが、これでも世界の隠密同心プリベンターのメンバーです。
何と言うか、同じステージでもやっている演目が違うと言うか、同じ氏家でも卜全とト全の違いと言うか。
まあそんな感じでやってます、二人とも。
「都道府県の県花と県鳥の言い比べというのはどうか!」
「あー、昔居たなあ、世界の山や川のデータを全部覚えている奴とか。あれって正直、何かの役に立つか?」
 プリベンターは平和です。
あともう少しだけ。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 コンバンハ。
アロウズはまあパト○イバーのシャ○トのようなものだと思ってもらえればサヨウナラ。
343通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 23:34:59 ID:???
乙! あのアイドルグループがいよいよ動き出すのですね
シリアス展開に続きが楽しみで辛抱たまりません あっ、でも体はお大事に!
344通常の名無しさんの3倍:2009/06/22(月) 17:17:33 ID:???
でも完全シリアス展開には絶対ならないと思えるのは何故だw


まとめもいつのまにかラノベ風味まで収められてるな
まとめ人乙
345通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 01:02:15 ID:???
まとめサイトは外部の人間も見てるのかな
346通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 09:13:34 ID:???
見てると思うよ
俺も元々まとめサイトの別ジャンルから来たし
347通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 11:29:28 ID:???
さすがに板は過疎ってきたが、サイトの閲覧の上位数は凄いな
348通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 18:49:56 ID:???
三スレ目ぐらいから入って、まとめサイト読んでいるうちにどんどんはまって住人になりますた
349通常の名無しさんの3倍:2009/06/23(火) 21:56:50 ID:???
>>344
アロウズサイドのストーリーにも、ギャグシーンが入る事に期待w
350通常の名無しさんの3倍:2009/06/24(水) 23:12:34 ID:???
保守
351通常の名無しさんの3倍:2009/06/26(金) 16:51:10 ID:???
すでに故人なのは

・トレーズ
・デキム
・真トロワ
・イオリア

くらい?
352通常の名無しさんの3倍:2009/06/27(土) 12:43:53 ID:???
またキャラ紹介の改編時期に来たんかな?
353通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 08:35:00 ID:???
真トロワって何?
354通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 11:56:41 ID:???
>>353
トロワが名前をもらった人
元々その人がガンダムに乗って地球に降りるはずだったけど
性格最悪で、キレたメカニックに殺された
355通常の名無しさんの3倍:2009/06/28(日) 18:55:12 ID:???
>>353
d、そんなキャラがいたのか・・・
356名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/28(日) 22:01:33 ID:???
  パパパパ パパパパ
  パパパパ ポペプイヤッフー
  朝から晩まで 大佐大佐
  デートに成功 ヤタヤタ
  大事な時には アラアラ
  パペプピペポパポ パトリロ!
  戦闘起これば活躍
  飛んでけジンクス爆発
  撃たれてやられて墜落
  パペプピペポパポ パトリロ!
  カティも考えつかないことを するから不死身
  スペシャルに たいしたもんだぜ パトリロ!


 特に捻りなし。
美しさも不死身さもある意味罪で誰も殺せぬコーラサワー、と。



「ああ、天ぷらそば美味えなあ」
「ズルズル音を立ててそばをすするな、フランス人」
 プリベンターは平和だった。
それはすなわち、世界的な大事件が起こっていないことと同義である。
もちろん、色々な事件や問題は日々発生している。
が、彼らが出張るレベルの出来事は、ここ数週間まったく無い。
「やっぱり関西風だな、おい」
「知るかよ」
「おっ、シャレか? 知ると汁にかけた」
「違う」
「ついでに言っておくと、さっきの俺のもシャレだぜ。かけそばだけにかけた、なんてな」
「……」
 パトリック・コーラサワーは最近ご機嫌ちゃん。
無理もあるまい、愛しのカティ・マネキンとの結婚式を一週間後に控えているのだ。
テンション上がらない方がおかしいてなもんである。
「そばにはやっぱりいなり寿司だよな、もしくは玉子丼」
「だから知るかっての」
「そばやうどんに飯モンてのは何もおかしくねえよな! な?」
「ああもう、とっとと式を挙げてハネムーンに行っちまえよ!」
 相手をするデュオ・マックスウェルとしても頭が痛い。
いや、ずっとコーラサワー絡みでは頭痛しっぱなしなのだが、
この数日間の『多幸感いっぱいオーラ』を全身から振り撒きまくっているコーラさんは特にキツい。
単に浮ついているだけならいいのだが、同時にゴーイングマイウェイぶりもスパークリングで、
話がとにかくすれ違いまくること甚だしい。
「このネギがまたたまらんぜー」
「……」
 デュオは大きく溜め息をついた。
別にそばに罪は無いし、コーラサワーが悪いわけでもないのだが、
当分そばを食べる気になれなくなってしまった彼だった。
357名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/28(日) 22:05:11 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「ふいい」
 男は額の汗を手の甲で拭うと、仕事の手を止めた。
仕事と言っても、別に金稼ぎや社会貢献が目的のものではない。
単に自分の洗濯物の処理である。
太陽キラキラ、カンカン照りの下で、彼は自分の靴下を、物干し場の洗濯ロープに吊るしているのだ。
「あちーな、今日は」
 洗濯済みの靴下は、まだ桶いっぱいに残っている。
全部吊ったなら、物干し場は一面靴下の園になることだろう。
「ビール、ビールっと」
 一度男は、靴下を置いて部屋の中へと入った。
そして冷蔵庫からキンキンに冷えた缶ビールを取り出し、片手で器用に開けると、
ガブリと食いつくように口をつけ、ゴクゴクと一気に喉の奥へと琥珀色の液体を流し込む。
「ぷはー、うめえ!」
 飲み干すと、ぐしゃりと缶を握り潰し、ポイと部屋の隅にあるごみ箱へと放り投げる。
空になった缶は、見事な放物線を描きながら、ごみ箱に飛び込んでいく。
「ふーいぃぃ」
 男はご満悦といった感じに、口の端を上げて笑いながら、息をつく。
「あちぃ時はやっぱり冷えたビールだぜ」
 バリ島、ロヴィナ・ビーチのとある貸切型のリゾート・ハウス。
彼はここ数カ月程、ここを借り切って住んでいる。
せわしない社会を離れての魂の洗濯と言った感じだが、実際は金持ちの道楽と似たようなもんである。
金と暇が無きゃ出来ないのだ、こんなこと。
「旦那さん、いるだかねえ」
「おう、何だ、じいさんじゃねーか」
 呼び鈴も鳴らさずにハウスに入ってきたのは、赤銅色の肌と灰色の髪と髭の、年老いた小男だった。
彼はここの管理人で、ここ以外にもいくつか同じようなリゾート・ハウスを所有している。
ほぼ年中彼のハウスは貸し出されており、それだけでも彼の収入は結構なものとなっている。
「ほれ、注文していたもんを持ってきただよ」
「おう、ありがとうよ」
 懐からチップ代のお札を一枚取り出すと、男は管理人にそれを渡し、荷物を受け取った。
中身は当面の食糧で、彼の嗜好からか、肉類が多い。
「じいさん、どうだ? 今夜は一杯つきあわねーか?」
「いいだかね?」
「なあに、構わねえよ……っと、すまねえなじいさん、コレだ」
 彼は右手をあげると、指で『電話』のポーズを取り、ふざけたように舌を出した。
そして部屋の奥の机に歩み寄ると、卓上ホルダーから携帯電話を取り上げ、通話をオンにする。
「……」
 ひそひそ声で遥か遠くに居るであろう人物と会話する男の背中を、管理人は見るだけで、何も言わないし、何も聞かない。
それが彼が決めたルールだからだ。
金を貰ってリゾート・ハウスを貸し、金を貰って生活に必要なものを調達する。
関係はあくまでそこまでで、チップを貰ったり酒を奢ってもらったりはするが、客のプライベートには決して踏み込まない。
長年リゾート・ハウスの貸し出しを仕事としてきて、それを破ったことは一度もない。
もっとも、向こう側から勝手に喋ってきた例を除いて、だが。
358名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/28(日) 22:09:49 ID:???
「じいさん」
「ん?」
 携帯電話をパタンと畳むと、男は管理人へと振り返った。
その顔を見て、管理人は目をひとつ瞬かせた。
男の顔が、さっきまでとは違ったような印象を受けたからだ。
細かくは言えないが、どこか、獣に近くなったような……。
「すまねえが、酒の話はナシだ」
「そらぁ残念だ」
「酒だけじゃねえ、ここの契約も明日で切らせてもらう」
「ほぅえ?」
「急な仕事が入ったもんでよ」
 管理人はもう一つ、瞬きをした。
そしてたまにあることだ、と思った。
急ぎのホニャララを理由にして、貸し出しの契約を途中で打ち切る客は、今までにもそれなりにいたのだ。
「食いモンと酒はよ、残していくからじいさんの家族で処分してくんな」
「そらぁありがたいこったね」
「靴下だけは持って帰るから、後の荷物は捨てるなり何なりしてくれや」
「ほいよ」
 管理人としては喜ばしいことである。
つまりは、全部自分のものにしてしまっていいのだから。
古着屋や古物商に売るなり何なりすれば、少ないながらも小遣い稼ぎにはなる。
「そいでよ、悪ぃんだが」
「?」
「領収書、用意しておいてくんねえかな」
「あいよ、あいよ」
 首を二度、管理人は縦に振った。
すでに目の前の髭面の男は、『過去の客』になりつつある。
大きなトラブルもなく、金払いもよく、愛想も悪くなかった、いい客に。
「ええと、名前は……普通に書き込んでいいのかね、ゲイリー・ビアッジさんよぅ」
「ああ、構わねえよ」
 ニッ、と男は笑った。
その笑顔に、管理人は再び獣っぽさを感じた。
猛々しい虎ではない、剽悍な鷹でもない、冷酷な鮫でもない。
どれか一つに例えるのは難しいが、とにかく獣っぽい、と彼は思った。
そしてそれは、長くリゾート・ハウスを貸し出しでいる彼にとって、始めての感覚でもあった。
359名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/06/28(日) 22:12:32 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「しかし、いよいよカウントダウンって感じがして興奮するぜ」
「カウントダウンって何だ、天国へのか、それとも地獄へのか」
「バーカ、結婚式に決まってるだろ!」
「わかってる、わかってるがわかってないフリをしたかった」
「素直じゃねえなあ、全く」
「……」
 コーラサワーはとにかく心も体もテッカテカのワックワク。
ツッコミ役のデュオですらその幸せボケぶりに辟易しているのだから、他の面子は尚更である。
中でも最大の“被害者”はサリィ・ポォであろう。
適齢期ど真ん中な彼女はここ最近、コーラサワーに会うことすら避けている。
口には出さないが、やっぱり焦りに似たものを感じてしまうらしい。
「ポニテ博士のMS(ミカンスーツ)ももうすぐ完成だし」
「……」
「まったくよ、楽しいことばっかりだな、おい!」
「……そうだな」
 コーラサワーが幸せになることは、別にデュオは嫌ではない。
マイペースっぷりに加速がかかるのが嫌なのだ。
ツッコミも何も通じやしないのだから。
「ああ、早く一週間経たねえかなあ」
「まったくだ」
 とっとと結婚式が終わって、とっとと二人がハネムーンに行きますように。
そして出来れば、長く帰ってきませんように。
帰ってくる頃には、興奮っぷりも少しは冷めていますように。
そう祈らざるを得ないデュオ・マックスウェルなのだった。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 次回で二部終了、第三部までは間が空くかもしれませんコンバンハ。
ラノベ風味もどうにかせんといかんわけで、あと絶対にシリアスになんかなりませんのでよろしくサヨウナラ。

 マイケル・ジャクソンが亡くなったなんて何かまだ信じられない。
360通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 09:13:44 ID:???
乙ですー
靴下だけは持ち帰るのかビアッジさんよ、むしろそれは置いていけ

このスレというかこの板にはマイケル世代ど真ん中の人が多そうだな
なんとなく
361通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 11:26:49 ID:???
乙です! 着々と伏線まきの回ですな。
マイケルといえば、オーケンが老人センターに入ったマイケルとか数行出していた小説があったっけ…
362通常の名無しさんの3倍:2009/06/29(月) 12:57:54 ID:???
80年代〜90年代初期の洋楽に影響受けた人間が多そうなスレ
363通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 13:15:31 ID:???
マイケル・ジャクソンのスリラーを踊るコーラさん
364通常の名無しさんの3倍:2009/06/30(火) 22:22:57 ID:???
アリーの動向が気になりますねえ
365通常の名無しさんの3倍:2009/07/01(水) 16:46:21 ID:???
ありー?
366通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 13:22:38 ID:???
>>360
いや靴下置いてはいかんだろ、ソンナコト・アルケーの主力武装なんだからw
367通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 16:13:09 ID:???
洗濯したってことは今から汚すつもり(武器として準備する)だぜ、奴は


しかし、アリー=靴下臭い臭いが簡単に定着するのもスレとしてどうなのかw
368通常の名無しさんの3倍:2009/07/03(金) 17:11:31 ID:???
はやく映画の情報が来て板の活気が戻ってほしいのう
コーラがどうなるのかとても楽しみだぜ
369通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 09:18:11 ID:???
主夫だったり・・・
370通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 13:26:51 ID:???
そして謎の木星帝国襲来にパイロットとして復帰、もろちんエース待遇で階級は少尉
その後はお約束の展開でなんじゃそりゃー


で、ラストシーンは准将とコーラさんと子供たちのショットで映画館は大喝采
371模倣の人@番外編:2009/07/04(土) 15:27:03 ID:???
「『もしプリベンターが兄弟だったら』とか考えると笑えるよな!」
「はいぃ?」
 今日も今日とてコーラサワーの突拍子のない発言が飛び出し、隣でデュオが素っ頓狂な声を上げる羽目になった。
 暇を持て余していたプリベンターの面々は、くだらないとは承知していてもその話題を聞きつけ寄り集まってくる。
「どうした、○○が兄弟だったら系のスレにでも感化されたか」
「いや、この前21世紀のドラマ映像を再生している姿を見ましたから、その影響ではないかと」
「ああ、アタシんちの……」
「くだらん、そんなありえない仮定をして何になるというんだ」
「あーやだやだ、ネタをネタとして楽しめない頭でっかちはこれだからよう。そんなんだからデコッパチなんだよ。
まあ俺だって本当はお前らみたいな無愛想なガキじゃなくて可愛い女兄弟がいいんだけどな」
「ほう、どうやら死に急ぎたいようだな」
「駄目だって五飛、青竜刀しまって!」
 背中からぬらりと刀を取り出そうとするのをカトルが必死で宥めると、五飛は鼻息を荒くしながらもどうにか
踏みとどまった。
 ちなみに他の面子は五飛の殺気が膨れ上がった瞬間に退避済みである。
 自分勝手なのか統率が取れた行動といっていいのかは謎だが、とにかく要領はいいようだ。
「まあ、IFを考えるのは不毛とわかっていつつも楽しかったりするよな」
 場の空気が落ち着いたところで、ジョシュアが口を開いた。
「俺もユニオン時代はよく隊長の座に君臨する妄想をゲフゲフ」
「寂しいやっちゃなー」
 デュオが生暖かい憐憫のまなざしを向けると、ジョシュアは赤くなった顔を隠すように背を向けてしまった。
「しかし兄弟といっても」
「俺たち五人は皆同い年なわけだが」
 ヒイロとトロワが言うように、ガンダムパイロットの五人には年齢の上下がない。
 例え五つ子であったと仮定してもそこには必ず序列が存在するはずである。
 しかしコーラサワーは単純に答えた。
「そんなの昇順でいいだろ」
 周知のとおり、彼らの名は数字に対応している。即ち、
「認めん、俺が一番下などとは断じて認めんぞ!」
「ぎゃははは、五飛が末っ子! なんかウケる!」
「ほら五飛落ち着いて。僕たちのことをお兄ちゃんって呼んでくれていいんだよ?」
「誰が呼ぶか! そ、そうだ、俺たちよりも更に年下がいるだろう。ミレイナが……」
 きょろきょろと周囲に視線を巡らせるが、生憎今日はこちらには来ておらず、この場においては五飛が
一番下となる事実は変わらなかった。
 必死の形相になる五飛の肩に、グラハムがぽんと手を置く。
「己よりも下の者を探すことは戦士のすることではないな」
 この言葉は五飛の自尊心を大層傷つけたらしく、彼は酷くおぼつかない足取りでふらふらと部屋の隅まで行くと、
壁に額をつけて何事かを呟いた。
「俺は正義にはなれない……戦士失格だ、叱ってくれナタク……」
 彼のいる一角だけ恐ろしいほど陰鬱な気配が漂っている。
 デュオとカトルは弄りすぎたことに若干罪悪感を覚えつつ、ひとまず無視を決め込んだようだ。
 作り笑いで無理やり次の話題に移行させる。
372模倣の人@番外編:2009/07/04(土) 15:28:42 ID:???
「で、アラスカ野は何歳なんだ?」
「……」
 口をへの字に引き結んで立ち尽くすジョシュアの内心を、サーカスで動物とのコミュニケーションに慣れたトロワが
代弁した。
「“なんで公式で設定してくれなかったんだ”だそうだ。ろくに設定をもらえなかったことを相当恨んでいるようだな」
 脇役だから仕方がないとはいえ、同じくちょい役であったハーキュリーにさえ年齢の設定があるのだから
ジョシュアの言い分もわからないではない。あちらにはセルゲイとの因縁があるからだとしても、本来なら
彼にだってグラハムと何らかの因縁があったかもしれないのだ。
「いいんだ、どうせ俺なんて……」
 五飛と並んでどんよりと肩を落とす。陰鬱な影が強さを増したようだ。
 皆あえてそちらの方は見ようとせず、ヒイロが強制的に話を進めた。
「ではサリィが長女でヒルデが次女ということになるが、サリィは今何s」
「馬鹿、ヒイロ!」
 慌ててデュオがヒイロの口を塞ぎ、耳元で忠告を囁く。
(女性に年齢を訊くもんじゃないっつーのアホタレ!)
(む、そうなのか)
「ふ、ふふふ……」
 地を這うような低い笑い声が聞こえたかと思うと、空気が急速に冷え込んでいった。
 冷気の発生源はもちろんサリィ・ポォである。
「いいのよいいのよ、19歳説と29歳説があるけど、いずれにせよ貴方たちから見ればおばちゃんよね、ふふふ……っ」
 荒んだ目で少年たちを見渡してから、ふらふらと五飛やジョシュアがいる一角へ歩んでいった。
 そちらから漂う三人分のどす黒いオーラは尋常ではなく、肝が小さい者ではその場に立つことも敵わぬだろう。
 いくら数多の修羅場を潜り抜けてきた彼らであれ、流石にそろそろ無視を続けるのは苦しくなってきていた。
「……ところで、俺は今とても重大なことに気づいてしまった」
「どうしたんだいトロワ?」
「当然ながら最年長者が長男となるわけだが、我々の中でもっとも年嵩なのは誰だ?」
 少年たちの間に戦慄が走った。彼らの視線が一局に集中する。
 その視線の先には――
「あ、あれを兄と呼べというのか!?」
「あいつに『お兄ちゃん』って言ってる自分を想像して凄く鳥肌が立った!」
「そして次男はブシドー、か。……世知辛い世の中だな」
「個性的で楽しそうではありますけど、その……正直自分の兄弟だと思うとその……」

 で。
「皆一様に壁と対話するとは面妖な」
「おーい、なんでそんなに落ち込んでるんだー? 俺そんな暗くなるような話題出してねえぞー?」
 結果的に、事の発端であるコーラサワーと特に気にしないグラハムを残して全員が部屋の隅に蹲る事態と
なってしまったのだった。
 何故そこまで落ち込むのか理解できないコーラサワーが言う。
「なんつーか、たかがたとえ話でそこまで深刻に悩むって馬鹿みてえだな」
「馬鹿に馬鹿って言われたー!」
 とどめを刺された彼らは、立ち直るまで相当の時間を要したという。



ディシディアのシステムで00やWのキャラを戦わせたいです皆様ご機嫌麗しゅう。
今回は番外ということで。前に書いてた話の続きはいずれ書きますいずれ。
アタシんちのライダーは面白かったと思うのですが視聴率がアレで残念。それでは。
373通常の名無しさんの3倍:2009/07/04(土) 17:17:55 ID:???
模倣の人氏GJ!

長兄コーラ
次兄ブシドー

もうこれだけで壁に向ける |orz
爆笑させて頂きました。
374通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 11:51:52 ID:???
兄弟にコーラやグラハムが居たら、精神的に疲れるだろうなw
375通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 13:09:30 ID:???
>>374
多分、肉体的にも。
いちいち二人に振り回されてへとへとになり、挙句
超スルースキルが獲得できるような希ガス。

三男がアラスカ野なんだろうな多分。
でもポニテ博士も兄弟ならヤツが長兄だw
376通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 15:07:02 ID:???
乙です
模倣氏最高です
377名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/05(日) 23:27:27 ID:???
  これから始まる ダブルオー
  注目浴びて いななくは
  天下のスペシャル コーラサワー
  今日はお披露目 めでたいな
  出張れ 出張れ コーラサワー
  ガンダム ソレスタ 押しのけて
  出張れ 出張れ コーラサワー
  目立って 癒して ぶっこぬけ
  
  二話からいきなり 出遅れる
  どこまで行っても 離される
  ここでコーラが 出ないなら
  おいらの視聴は ままならぬ
  カマせ カマせ コーラサワー
  グラハム サーシェス かきわけて
  カマせ カマせ コーラサワー
  目立って 癒して ぶっこぬけ

  エーこのたび、00における敵キャラをどうするかという問題につきまして、
  監督と脚本とスタッフ一同慎重に検討を重ねてまいりました結果、
  本命はイノベイター、大穴はアッと驚くアレハンドロ・コーナーという結論に達したのであります。
  さて各キャラ、スタートラインからいっせいにアピール。
  第二クールを終わったところで先頭は予想通りリボンズ・アルマーク。
  さらに各キャラ一団となって、グラハム・エーカー、ソーマ・ピーリス、アリー・アル・サーシェス、セルゲイ・スミルノフ、ネーナ・トリニティ、
  アレハンドロ・コーナー、王留美、コーラサワーと続いております。
  さて今、第三クールを終わって第四クールにかかったところで、
  先頭は変わらずリボンズ・アルマーク、一方コーラサワーは大きく遅れて出番最下位というところであります。
  さぁ最終話の直線に入った、あっコーラサワーが出てきた、コーラサワー凄い、コーラサワー凄い。
  トップのリボンズ・アルマークが懸命の主張。
  これをコーラサワーが軽やかに追いかける。
  コーラサワーが持っていくか、リボンズ・アルマークが威厳を見せるか、
  コーラサワーかリボンズか、コーラサワーかリボンズか、他のキャラはどうしたー?

  ところが奇跡か 女神懸り
  いならぶキャラを ごぼう抜き
  いつしかラストに 躍り出て
  ついに嫁さん ゲットだぜ!
  ヤッホ ヤッホ コーラサワー
  本命穴馬 押しのけて
  ヤッホ ヤッホ コーラサワー
  目立った癒した ぶっこぬいた!

 走れコーラサワー。
ソルティー・シュガーよりも今だとマキ○オーの方が有名ですかね。
まぁ原曲は当然私もナマでは知りませんが。
つうか長いですが、これも歌詞ネタのやりおさめということで、ひとつご容赦を。
378名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/05(日) 23:31:50 ID:???
「ふわああああ」
「大欠伸とは、落ち着いているな」
「そうでもない、昨夜深夜映画を見てて寝不足なんだよ」
「何だ、『サンダ対ガイラ』でも見てたか」
「いや、『アタック・オブ・ザ・キラートマト』だ」
「趣味の悪い映画だったわね、ホント」
 パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの漫才―――では、ない。
今日のデュオの相手は、コーラサワーではなく張五飛とヒルデ・シュバイカーである。
何故なら。
「あー、とっとと終わってくれないかな」
「そうだな。カティ・マネキンには悪いが、心から喜べない行事だな」
「二人とも、さすがに酷いわねー」
 そう、今日は結婚式だから。
誰って、コーラサワーとカティ・マネキンの。

 コーラサワーはハンサム。
どれだけ他に欠点があろうとも、これだけは動かしがたい事実である。
幼い頃から「モッテモテやぞ!」であり、女で苦労したということはほとんどない。
今までに数多くの女性とイチャコライチャコラしてきた割には、暗い夜道でブッスリ背中を刺されちゃったりしてないので、
別れる時も結構さっぱりと別れて、向こうに引きずらせないタイプなのかもしれない。
何という男性の敵、スマキにして大阪南港に沈めちゃろかとモテない側からは思うわけだが、
まぁとにかく、今日という吉日に晴れて、そのハンサムなコーラサワーは、カティ・マネキンとゴールインの運びとなった次第だ。
 で、カティ・マネキンだが、歳はコーラさんより数歳上であり、三十路もそろそろ終盤を迎えるが、
容姿はコーラさんが心から惚れるだけあって、こちらもかなり美人さんである。
外見だけではなく、中身も素晴らしく、戦術予報士としてAEU軍で大佐まで上り詰め、
OZも引き抜きを画策したことのある優秀な頭脳の持ち主でもある。
コーラサワーを正面からヘコませることの出来る人間でもあり、
その意味では、この二人をくっつけたのはまさに天の廃材、じゃない配剤とも言えるだろうか。
「しかし久しぶりに着たな、タキシード」
「やはりこういうものは好かんな、仕方ないとは言え堅苦しい」
 デュオと五飛のタキシードは、レンタルではなく彼ら個人の所有物である。
プリベンターとして政府主催のパーティなどに警備で出向くこともあるので、レディ・アンが予算を割いて買ってくれたのだ。
「二人とも、着ていると言うより着られているって感じね」
 一方のヒルデは、タキシードではもちろんない。
ちゃんとしたフォーマルドレスである。
スカイブルー一色、肩口まで開いたトップスに、胸元に揺れる大きなリボン、
スカートは三段フリルで、膝上からふくらはぎまでのアシンメトリーラインが特徴的だ。
こちらは女の子ということで、レディ・アンもやや奮発してくれたようで、お値段も男性陣のタキシードに比べて結構お高いシロモノだ。
もっとも、ヒルデ自身は裏方をこなすことが多く、せっかくのこのドレスも着ていく機会がなかなか無いのが可哀想なところか。
「そういうヒルデも、『馬子にも衣裳』って感じだな」
「デュオ、後でビール瓶で後頭部殴っていい?」
「はいごめんなさい、すいませんでした」
「……さて、そろそろか」
 デュオとヒルデの夫婦漫才を横目に見つつ、五飛は時間を確認した。
コーラサワーとカティ・マネキンの結婚式が始まるまで、あと数分というところまで来ていた。

 ◆ ◆ ◆
379名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/05(日) 23:36:10 ID:???
「ふわああああ」
「大欠伸とは、落ち着いているね」
「そうでもないさ、昨日夜遅くまで映画を見ていて寝不足でね」
「ふうん、『エイリアン』の新作かい?」
「いや、第一作目だよ」
「相変わらず古いね」
 リボンズ・アルマーク。
世界的なアイドルグループ、“イノベイター”のリーダーが彼である。
“イノベイター”には彼の他に、リジェネ・レジェッタ、リヴァイブ・リバイバル、
ヒリング・ケア、ブリング・スタビティ、デヴァイン・ノヴァの四名がおり、
先程から彼と会話をしているのは、メンバー中唯一の眼鏡属性人間であるリジェネ・レジェッタだ。
なお、リヴァイブは居眠り、ヒリングは携帯ゲーム、
ブリングとデヴァインはあっちむいてホイをさっきからしており、二人の会話はとんと聞いていない。
いや、聞いていないのではない。
聞く必要がないのだ。
何故なら、情報を共有出来るという特殊能力を彼らは持っているのだから。
「リボンズ、おおぅマイ・エーンジェルぅうう」
 と、彼らのマネージャーを務めるアレハンドロ・コーナーが、何そのエセ若本節とツッコミが入らんばかりの口調で部屋に入ってきた。
名家の生まれであり、マネージャーとしての手腕も問題はないのだが、
キンピカ趣味にナルシスト気味、天然嫌味野郎と、好かれないタイプのスリーカードが揃っちゃってる男である。
「さあ、いざ隣室に行こうではないか。我らの華麗なる船出が今始まるのだ、その号令をリボンズ、お前が!」
 普通に喋ればこの半分で言葉は済む。
が、こういう言い方をしちゃうのがアレハンドロ様という人間なのだ。
グラハム・エーカーがグラハム語を喋るなら、彼は立派にアレハンドロ語圏の人間と言えるだろう。
「了解した。……さて、行こうか」
「いよいよだね、リボンズ」
「ふわぁ……何だ、彼らが揃ったのかい?」
「やっとって感じ? 待ちくたびれちゃった」
「よしデヴァイン、この勝負は俺の勝ちだ」
「次は負けんぞ、ブリング」
 リボンズを先頭に、返答は違えど、四人全員がまったく同じタイミングでソファーから立ち上がる。
それこそ、寸分の狂いもなく。
「直に彼らと会うのは久しぶりになるな」
 リボンズは四人を従えて、ドアをくぐり、隣室へと移る。
彼らが暮らすこの邸宅は、高台にポツンと立っている大豪邸であり、敷地面積は東京ドーム十個分はゆうにある。
だがこの購入・建設に費やした金も、彼らが稼いだうちの百分の一にもならない。
380名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/05(日) 23:43:21 ID:???
「なかなか壮観だ、こうして一同が揃うというのは」
 リボンズの目の前には、彼の“同志であり部下”が勢揃いしている。
「緊急の呼び出しにつき、我らトリニティ、ここに参上した次第」
「あー……どもッス」
「あれぇ、ミハにぃ、ちょっとビビってる?」
 ヨハン、ミハエル、ネーナのトリニティ三兄弟妹。
『すまないが、どうしても仕事で離れられなくてな。今日はモニター越しなのを許されたい』
「代理として、オホン、私たちが来させて貰いました」
「お久しぶり、と言うべきでしょうかな」
「どうぞよろしく……ふふふ」
「……」
 ホーマー・カタギリ、アーサー・グッドマン、リー・ジェジャン、アーバ・リント、バラック・ジニンのアロウズ組。
「よう大将! ついに旗揚げかい、派手にやろうじゃねえか」
「君まで来ているのか。頼むから、やりすぎないで欲しいものだ」
 ゲイリー・ビアッジこと、アリー・アル・サーシェス。
リニアトレイン社総裁、ラグナ・ハーヴェイ。
「有象無象、有能無能を全て使いこなしてこそのマイ・エンジェルだ。お前なら出来るはずだ、リボンズ!」
 そして、イノベイターのマネージャー、アレハンドロ・コーナー。
 それは、異様な光景ではあった。
並んだ面子は、普通なら、住む世界も職種も全く違う者達である。
「ふふ……じゃあまずは」
 全員の顔を見回すと、リボンズはドッカとソファーに腰を下ろした。
「説明から入ろうか。まず、ヴェーダからの情報だが……」
 口調、態度ともにリボンズはあくまでも穏やかだった。
しかし、その目は、部下を睥睨する王の如き光を放っていた。
そう、金色に。

 ◆ ◆ ◆

「あははははは、あっはははははははは」

 パトリック・コーラサワーは笑いっ放しだった。
さすがに宣誓や指輪交換は普通にやっていたが、それが終わってからはもうひたすら頬が緩みまくっている。

「いやあ、不死身のコーラサワー改め、幸せのコーラサワーになりましたあ」

 不思議なもので、苦笑は誘うものの、うっとうしさを一切与えない笑いだった。
それは、コーラサワーの一点の曇りもない心から喜びの現れだったからか、それともここが結婚式という特別な場だったからか。
とにもかくにも、デュオや五飛に至っても、参列した客と同様に、不快さは無かった。
「あいつ、心底嬉しそうだな」
「とは言え、悲しそうに結婚式を挙げる者もいないだろう」
「まあ、今日だけは祝ってあげてもいいんじゃない?」
 デュオたちは、コーラサワーとカティを包む輪からは、少し離れた場所に立っていた。
教会から出てからずっと、二人は集った客にもみくちゃにされんばかりに祝福を受けている。
そのうちの何人がコーラサワー関係で、カティ関係なのか、三人にはわからない。
拍手しつつも寂しそうな顔をしているあの女性はコーラサワーの元彼女なんだろうな、とか、
理知的な雰囲気の顔立ちの者たちはカティの知り合いなんだろうな、ぐらいしか見当がつかない。
小さな子供の姿がちらほら見えるのは、さて、両者の親戚なのか、それとも知人の息子や娘か。
381名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/05(日) 23:47:46 ID:???
「あっははははは、あっはははははっはははははー!」

 笑いが全く止まらないコーラサワー。
その横でカティ・マネキンが「やれやれ」といった表情をしているのが、三人にも見えた。
そして、これが結婚式でなければ多分彼女はコーラサワーを思いっきり怒鳴りつけてただろうな……と共通して思った。
「ところで、ヒルデ」
「なあに、デュオ」
「それ、どうするつもりだ?」
 コーラサワーの高笑いを聞きつつ、デュオはヒルデの腕の中にあるモノを指差した。
「うーん……ドライフラワーにするか、プリザーブドフラワーにするか、押し花にするか……」
 そこには、つい先程、新婦が投げたブーケがあった。
どういった神様のイタズラやら、放物線を描いたそれは、全然争奪戦に興味のなかったヒルデに向かって落ちてきたのだった。
なお、さすがにコーラサワーもガーター・トスはやっていない。
やってもいいと言われたら、きっと嬉々として実行しただろうが。
「え、保存するつもりか?」
「……だって捨てたらダメでしょ、バチ当たるわよ」
「よし、言い考えが浮かんだ」
「ん、何か案でもあるのか? 五飛」
 ブーケを受け取った女性は、次に結婚出来ると言われている。
で、ここで「お前ら二人結婚しろ」などと言う五飛さんではないのは、ご存知の通り。
「サリィかレディ・アンにプレゼントすればいい」
「えーっと五飛、それはどういう意味なんだ?」
「そういう意味だ、デュオ」
「……ヒルデ、どうする?」
「何でそんな核爆弾背負って地雷原に飛び込むような真似をしなきゃならないのよ、私が!」
「あ、お前何気にヒドイ」
 レディ・アンは仕事の都合がつかなかったが、サリィ・ポォは無理すれば参加は出来た。
が、していないのは、彼女にも色々思うところがあるためだ。
コーラサワーにではなく、結婚というものに対して。
「大丈夫だ、笑顔で一直線に渡せば、他意は与えないだろう」
「いやあ、無理だと思うぞ」
「やるならデュオ、あんたがやりなさいよ!」
「何で俺が!?」

 あっちであははは、こっちであわわわ。
今日も今日とて、プリベンターは平和なり。
裏の世界でどのような陰謀が育っていようとも、今はコーラサワーに幸よあれ。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は第三部に続く―――



 コンバンハ。
第二部終了、次回より第三部へ。
少し期間が空くと思いますが、その間にでも放りっぱなしのラノベ的ナントカをどげんかせんと……。
……しかし、スレが落ちない限りは映画公開まで継続するつもりですが、本当に来年なんでしょうねサヨウナラ。
382通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 23:51:03 ID:???
土曜氏GJ!!
コーラさんカティさん結婚式オメ!

ちょっと背後が不穏だが、
プリベンターなら大丈夫!そんな希ガス。
383通常の名無しさんの3倍:2009/07/05(日) 23:57:50 ID:???
結婚した!大佐と結婚したぞ!!

土曜日氏乙、コーラさんおめ
そしてヒルデたんのドレス姿を誰か描き起こしてくれないか
384通常の名無しさんの3倍:2009/07/06(月) 13:18:20 ID:???
GJ結婚オメ!
土曜日さんはB級C級映画好きなのか
キラートマトの悪名は聞いたことあるが見たことない……一度は見るべきだろうか
385通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 20:46:19 ID:???
実写北斗の拳とかもある意味B級だよな
浪人時代は勉強の息抜きに深夜に放送されてる謎映画をよく見てた
とある一家がいきなり宇宙に飛ばされて、異星人の王を助けたり(なんちゃらクルセイダーズ、だったか)、
刑務所でビシバシ拷問受けてたら拷問係が偶然死んじゃって、その服を着てオドオド脱獄したり(題か欠片も思い出せん)
386通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 21:02:08 ID:JoPJ3eAR
黒木メイサ、激しく“ショック”な初体験!
http://news.imagista.com/entertainment/

キリンは7日、新発売するアルコール飲料「コーラショック」(8日から発売)の
CMに女優、歌手の黒木メイサ(21)を起用すると発表した。
387通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 21:21:35 ID:???
思わず黒木メイサロリと読んでしまった俺はダメだ…
388通常の名無しさんの3倍:2009/07/07(火) 22:43:05 ID:???
土曜日さん乙です、第3部も楽しみにしてます
389通常の名無しさんの3倍:2009/07/08(水) 17:42:08 ID:???
ラノベ的SS、協力してくれ言われても結局設定らしい設定も出し切れてないよな
なんかこう、オサレというかわかってやる悪ノリ的なものを考えようぜ!




俺?
俺は、えーと
390通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 15:25:20 ID:???
保守
391通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 17:36:08 ID:???
結局ラノベ的はあんまり住人の関心を惹いてないのか
392通常の名無しさんの3倍:2009/07/10(金) 19:32:19 ID:???
まとめサイトのアクセスは多いみたいだから、
そっちで見てるんじゃないか。
393通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 11:19:19 ID:???
もう少し住人が多ければ盛り上がるかも試練
394通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 15:53:53 ID:???
>>391
一人熱心なのがいたけど、個人的には別に…
普通にコーラさんたちの日常の方が楽しいし
395通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 16:05:36 ID:???
ここが「何のスレ」かを考えれば答はおのずと明らかというわけか…
396通常の名無しさんの3倍:2009/07/11(土) 23:26:54 ID:???
そもそもちょっとした悪ノリみたいなもんだったわけで
本気で取り組むような類のネタとは思ってないや。書く人がいても別に止めないが
397通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 00:51:48 ID:???
・内容的には本来スレチ
・一時の悪のりの産物
・住人があまり望んでない

結局未完放置が妥当なところか>ラノベ的
まあ厳密さを追及しちゃうとコーラ以外の00キャラも本来は「コーラとWのクロス」の「クロス外」にはなっちゃうが…
398通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 17:39:08 ID:???
ラノベ的なのは、特に必要ないかな
399通常の名無しさんの3倍:2009/07/12(日) 21:12:06 ID:???
じゃああれは黒歴史ということでFA?
まとめにあるのまではさすがに消せないか?
400通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 02:35:43 ID:???
放置でいいんじゃない
気楽にいこうぜ
401通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 10:04:48 ID:???
黒歴史までは流石に行き過ぎだろ
誰も損してないんだから
402通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 15:35:08 ID:???
というわけで土曜日の人はラノベは隅において速やかに第三部に移れ
移るべし
移らねば
移って
移って下さい
移っていただけませんかホントナマ言ってスイマセン
403通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 18:04:07 ID:???
失礼な物言いの奴が多いスレですね
404通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 18:23:55 ID:???
無闇やたらに持ち上げる儲や根拠無しの見当違い嵐がいないだけいい
映画まで長いんだから意見出しつつまったり行こうや
405通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 19:41:35 ID:???
わりとラノベ好きだったんでそう目くじら立てないでほしい
406通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 21:37:27 ID:???
これが自治厨って奴だよ
自分で勝手にルールをつくって、それを押し付けるだけで誰も徳をしない
奴の要求を決して聞き入れてはならない
聞き入れたが最後、そのスレは衰退する
例外は無い!
407通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 21:43:06 ID:???
>>406
お前もな
408通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 21:58:47 ID:???
おまいらもちつけ
409通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 22:21:13 ID:???
うん落ち着いたよ
410通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 23:39:38 ID:???
誰も目くじらなぞ立ててない&押し付けという程の意見も出てないよね
最近の荒らしは過疎スレにまで来るほど暇なのかい?
411通常の名無しさんの3倍:2009/07/13(月) 23:49:28 ID:???
そもそもラノベ風を書くか書かないかは職人さん自身が決めることであって
読み手が勝手に放置しろだのなんだの言う権利はないな
412通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 00:00:20 ID:???
うーん、それもちょっと違うと思うけどな、ここが職人個人のHPならまったくその通りなんだガンダリウム合金
とか言っといてなんだが、そろそろやめとこうゼクスマーキス
ここはコーラさんとWのクロススレだと、それだけの共通認識さえあれば後はストライクフリーダムでもいいジャマイカンダニンガン
413通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 00:46:07 ID:???
もう職人は出てっただろうけどな
414名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/07/14(火) 00:52:13 ID:???
とりあえずラノベ的は一端脇に置くことにします。
内容がスレチだと言われれば確かにそうですし、他の職人諸氏や住人の方々に迷惑をかけてまで続けても心苦しいです。
永遠に放置かどうかはまた後の話ということで、その時に既に風化していたらもうそれはそれでいいかと。

第三部は八月に入ってからになると思いますが、
キャラクターや展開にご意見等ありましたら遠慮なくお願いします。
皆で一緒にスレを作っていきましょう(正味の話、ネタ的に助かります)。
415通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 09:20:25 ID:???
>>414
なんか余計な気遣いをさせたみたいで申し訳ない
土曜さんの判断にお任せします

キャラに関しては……出てないキャラいたっけ?
416通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 17:30:27 ID:???
アニューとかおやっさんて直接出てきたっけ?
あとは外伝組があぎゃ以外ないはず
417通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 17:52:20 ID:???
外伝は好きだが、あまり出てこられても分からん人がいそうだしなあ
しかしアニューとおやっさんがいないのは意外だったな
418通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 20:33:39 ID:???
電穂やらダムA読んでりゃわかるって
知らないから書くななんて奴が出て行けばいいだけの話
419通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 20:35:56 ID:???
そうやって敷居を高くして、結果更なる過疎を生むわけですね
420通常の名無しさんの3倍:2009/07/14(火) 21:55:17 ID:???
421通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 10:21:53 ID:???
ハワードって出たっけ
422通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 12:28:16 ID:???
ダリルのラーメン屋の話で一緒に出てた気がする うろ覚えすまん
423通常の名無しさんの3倍:2009/07/15(水) 21:46:25 ID:???
以前ゼクスとノインが出て来た話があったが、再登場して貰いたいなあ
424通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 09:41:45 ID:???
あの二人は今なにしてんだっけ
425通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 10:20:24 ID:???
二人とも原作どおり火星にいるんじゃなかった?
426通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 17:11:16 ID:???
往復五年かかるんだっけか>火星
427通常の名無しさんの3倍:2009/07/16(木) 20:19:27 ID:???
金星くらいまでは急げば比較的短時間で行けるようだから、火星には数日から数週間ってとこじゃね?
428通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 17:30:51 ID:???
テラフォーミングだっけか、ノインとゼクスがやってるのは
2300年代やWの時代の技術的に火星との往復はどれくらいかかる設定なんだろうか
429通常の名無しさんの3倍:2009/07/17(金) 20:23:30 ID:???
Wの時代のは惑星間航行用宇宙船を使えば>>427で示した通り
00の時代のはよく判らんな…
2220年代に木星まで6年かかるようだから、火星まではその半分の3年程度?
これが2300年代だとどうなってるかは全く判らん
太陽炉使うか使わないか、80年間の技術の進歩などなど
430通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 17:33:14 ID:???
トレーズは?
431通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 10:29:01 ID:???
test
432不定期じゃのう:2009/07/19(日) 11:58:31 ID:???
「おーいみなさーん。 こっちですよー。」カトルがプリベンターたちを呼んでいた。
だんだのは、競馬場の馬主席であった。
「さすがに、見晴らしがいいな。」五飛やトロワもご機嫌がいいようだ。
ここは阪神競馬場。 GTの宝塚記念を控え、ファンの出足もいい。パドックはファンでいっぱいである。
 「しかし、あいつだけは変わりがないようだな。」ヒイロやデュオがじと目を送った先にはそうコーラサワー氏がいた。
 コーラは阪神はおろか、裏の東京にも手を出し、♪あーちーちー、あーちー〜になっていたのである。
 JRAからみれば、大ガモがねぎをしょって鍋に飛び込んできたようなものだろう。
しかし、さすがに馬主席であの第1部の出番がなかったころのような醜態をさらすわけにはいかず、湯気を頭から出しながらも
耐えていた。 ここらへんができるようになったのは長足の進歩といえようか。
それよりも何故彼らが馬主席のスタンドに入れたのか。 カトルには人工授精で生まれた二十数人の姉がいることはみなさん
ご存知だと思うが、そのうちの一人がオーナーブリーダーとして世界的にも名高い五代ファームの嫡男と結ばれ、自らも馬主登録
をしたのである。 そして、このGTに有力馬を出走させるので、一度招待するわと招待券と航空代、宿泊券が送られてきた。
 ちょうど暇を持て余していたプリベンターの面々も渡りに船とばかりにジョシュアとシーリンを留守番にして来日したわけである。
 いつもは、制服やおもいおもいの格好をしているプリベンターだが、今日は馬主席とあって、ネクタイとジャケットを着用していた。
このメンバーでその格好に慣れているのはコーラとグラハムとカトル位であろう。
「タイを緩めるわけにはいかないしな。」「俺らだけならともかく、五代氏やカトルの御姉様まで恥をかかすわけにはいかんだろう。今は我慢のときだ。」
まるで我慢大会のときのような科白を五飛とヒイロはいっていた。
 昼になって、五代氏が取引先を接待するときに利用している料亭の特製弁当が運ばれてきた。
いままで頭から湯気を出していたコーラさんは突如機嫌がよくなり、「いやあ、競馬場を眺望しながら、吟味された弁当を食す。いい気分だ。」
などとのたまわっている。
 ほかの面々も其々の好みにあわせて用意された弁当を食し、その気使いとうまさに
満足したようであった。
 さて、これからどうなるか、午後も外しまくるコーラと馬主席で固まるプリベンターたちの運命は?。
今回はここまで。 いつかけるのか。 それは誰も知らない。
___________________________________

どうも、お久しぶりです。不定期です。 土曜日氏が孤軍奮闘されており、何とか書かねば
と思っていたのですが、串規制にひっかかり、なかなか書けずご心配をおかけしました。
模倣氏もあいかわらずの切れで私のような駄文書きが書いていいものかどうか考えてたのですが、
土曜日氏が昔書かれた病院での風景のものを見て、そこからネタを頂戴いたしました。
いつかけるかわかりませんが、続編は書こうと思ってます。
それでは、皆様ごきげんよろしゅう。
433通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 13:17:44 ID:???
おー
不定期さん乙!
434通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 23:38:47 ID:???
>>432
こちらこそお久しぶりです
435通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 04:05:57 ID:???
乙です
436通常の名無しさんの3倍:2009/07/20(月) 12:46:23 ID:???
>>432
おひさー
続き待ってます
437通常の名無しさんの3倍:2009/07/21(火) 10:12:25 ID:???
思えばW最大のインパクトを持つトレーズ閣下が不在のクロスってなかなか無い気もするな
まぁEW後だし、それにあの方が出ると全部持っていきかねんけど
438通常の名無しさんの3倍:2009/07/22(水) 17:19:38 ID:???
コーラとトレーズのかけあいはおもしろいことになりそうだけどな
トレーズがいないのはもったいない気もするが、まあしゃあないわな、いたら確かに周りを喰いまくるから
439通常の名無しさんの3倍:2009/07/23(木) 19:19:34 ID:???
保守
440通常の名無しさんの3倍:2009/07/25(土) 17:35:51 ID:???
期待保守
441通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 10:28:13 ID:???
過疎保守
442通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 16:14:42 ID:???
まあ今の時期人が少ないのは仕方ないわな
映画の情報もほとんどないわけだし、コーラ関連はGジェネくらいしかないし
443通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 16:18:42 ID:???
映画の情報とか外伝で布石出しているみたいだけれど
イノベイドの設定周りがほとんどだからなあ コーラさん関係ねえええ
444通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 16:21:40 ID:???
まあGジェネで本当にW連中とのクロスオーバーが来るかどうか
期待しようじゃないか
445通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 02:17:40 ID:???
Xとはクロスオーバーするらしいけどな
サテライトキャノンくらっても無事に帰ってくるんだろうな
446通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 23:00:13 ID:???
保守
447通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 07:11:35 ID:???
サテキャ直撃はさすがに無理だろう
直撃したように見えて実は直撃してない
448通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 17:02:44 ID:???
八月も目の前だぜ
449通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 17:32:43 ID:???
>>447
「おっとぉ!」
って避けるんだ
450通常の名無しさんの3倍:2009/07/30(木) 22:18:35 ID:???
Gジェネでコーラさん使ってみたいなあw
451通常の名無しさんの3倍:2009/07/31(金) 19:20:34 ID:zY7Awith
保守
452通常の名無しさんの3倍:2009/08/01(土) 15:55:40 ID:???
やっぱりみんなはGジェネ買うのかね
453通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 09:28:09 ID:???
ほっしゅ
454名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/02(日) 19:56:06 ID:???
仕事が忙しくてちょっと間に合わなかった。
今週中には第三部いきますです、すんません。
455通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 20:27:39 ID:???
おうよジェネ新作買うし第三部もゆっくり待ってるぜ!
456通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 21:12:09 ID:???
>>455
ガンガレ!!
457通常の名無しさんの3倍:2009/08/03(月) 16:37:39 ID:???
あれ、エイフマン教授やイオリアはこのスレでは生存してるんだっけ?
閣下はとりあえず故人みたいだけど…
458通常の名無しさんの3倍:2009/08/04(火) 22:23:24 ID:???
教授はともかく、イオリアはどうだろう・・・
459通常の名無しさんの3倍:2009/08/05(水) 17:41:54 ID:???
じじい組は欲しいな、Wのドクター連と絡めば老年パワー爆発だ!
トレーズはいないのはさびしいが、逆にマリーメイアが自立したキャラになると思うから故人でいいかも
ゼクスとノインはまだ帰還の可能性があるけど
460名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/05(水) 22:15:40 ID:???
イオリアはマイスター運送の創業者として一度名前を出しましたね、2スレ目くらいに。
まあ故人かどうかっていうのはね、さてどうしようかなー、と。
トレーズに関しては形的に一応EW後なので故人のつもりです。
エイフマン教授も故人のつもりでしたが、さて、どうしようかな(ry。


最低でも今週土曜日の夜には投下します。
映画の公開日によっては第三部はもしかすると一番の長丁場になるかもしれませんので、
ここはこうしろとかあのキャラはこう使えとか、ご意見をお聞かせ下さい、よろしくお願い致します。
461通常の名無しさんの3倍:2009/08/06(木) 22:00:47 ID:???
>>461
そろそろゼクスとノインを出して欲しいかも
462通常の名無しさんの3倍:2009/08/07(金) 02:08:32 ID:???
自レスして、どうするw
463通常の名無しさんの3倍:2009/08/07(金) 10:23:40 ID:???
ゼクスとノインはテラフォーミングをどうするかだな
結局火星往復はどれくらいかかるのやら
464通常の名無しさんの3倍:2009/08/07(金) 11:43:56 ID:???
おいおい、真剣に考える必要はないんだぞ
靴下が武器になる世界なんだからどこでもドアがあったって不思議じゃない
465通常の名無しさんの3倍:2009/08/07(金) 17:39:24 ID:p2WZuohD
Gジェネ買った人はいるか?
W勢との絡みはある?


俺もはやく買いたいぜ
ああ、夢がこーらさわーりんぐ
466通常の名無しさんの3倍:2009/08/07(金) 17:40:47 ID:???
ごめん、くだらねぇレスで間違えてageちまった…
ちょっとガガってくる
467通常の名無しさんの3倍:2009/08/08(土) 00:36:46 ID:???
髪の毛をオレンジ色にするのを忘れずにな!
468名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/08(土) 13:55:01 ID:???
 人類は争い続けることで人類であり得る。
戦争と平和を交互に繰り返す終わらないワルツのようなもの、それが人類の歴史である。
かつてマリーメイア・クシュリナーダは、リリーナ・ピースクラフトにそう言った。
確かに、競争意識や様々な欲望がある限り、人は争い、気付付けあうだろう。
だが、マリーメイアの言は全てが正しいわけではない。
人は進化する。
いつの日か、戦うことで自身を保持せずともよくなるように、人類が種としてステップアップを果たす時が来るかもしれない。
無論、そうなる前に滅ぶ可能性もあるのだが……。
 人は争いを求める。
同時に、その争いが起こらぬことを望む。
矛盾を抱えたエンドレス・ワルツは、全ての人間の心の中に流れているのだ。

 ◆ ◆ ◆

「暑いなぁ……」
「そうですね」
 デュオ・マックスウェルは前髪をかきあげると、額の汗を指で拭った。
その横で言葉を返すのはカトル・ラバーバ・ウィナーだが、彼のうなじや頬にも汗が滲んでいる。
「なんだってまあ、しかし」
「こんな真夏にあんなことするんでしょうね、彼ら」
 二人は今、海岸を望むとある小高い丘に立っている。
そして、その海岸には。

『あーあーあー、わりぇら、えー、我ら“SSGM”はこの海岸を当面に渡って占拠するものである!』

『我らの要求はシンプルである! 世界中の砂浜、海岸から観光客を排除せよ!』

『彼らが出しているゴミは、確実に地球を汚染している! 我らSSGMはそれを看過し得ない!』

『この要求が通らずんば、我々はここを動かない! 当然人質も解放するつもりはない!』

『世界統一政府に告ぐ、期限は設けない、だが早急に回答を発表せよー!』

 過激派が屯しているのであった。



「環境保護運動はもう少し穏やかに行うものだな」
「目的のみが肥大化した組織にありがちな暴走だ」
「ああいうのは団体とは呼ばんな、不良の集まりをそう変わらん」
 ヒイロ・ユイ、トロワ・バートン、張五飛の三人も丘の上にあがってきた。
海から吹きあがってくる風が、潮の臭いとともに五人を包む。
「連動はありませんか?」
「ああ、声明等はまったく出ていない。あのSSGMとかいう連中の単発行為だな」
 この五人は、かつてガンダムパイロットとして地球を守った少年たちである。
若年ながら身についた戦闘スキルは、生半可な軍人や傭兵を遥かに凌駕する。
現在は政府直属の組織“プリベンター”のメンバーとして、世界の裏から平和を守っている。
例えば、今日のように。
469名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/08(土) 13:56:13 ID:???
「ところで、SSGMって何の略だ? 知ってるか、ヒイロ?」
「……世界の砂浜をゴミから守る会」
「は?」
「せ(S)かいのす(S)なはまをゴ(G)ミからま(M)もる会、だ。デュオ」
「……」
 デュオは額を指先で抑えた。
何となく、頭痛を覚えたからだ。
「……バカか」
「紛れもなくバカだ」
 ヒイロの声に容赦はない。
ガンダムパイロットとして、またプリベンターとして幾多の騒動を乗り越えてきた彼にとってみれば、
SSGMなんぞという連中は、それこそ鼻で笑い飛ばすようなものに過ぎない。
「もうとっとと片づけようぜ」
「ダメですよデュオ、サリィさんからはまだ何も指示が出ていません」
「人質がいるからな、向こうには」
「MSで乗り込むわけにもいかないだろうしな」
「なら、生身だ」
 五飛の言葉に、四人は頷いた。
潜入工作にも彼らは長けている。
ヒイロとデュオがまず撹乱し、
拳法の使い手である五飛、軽業が得意なトロワが蹂躙、
その間にカトルが逃げ道を塞ぐように手配をすれば、まあSSGMとやらは10分かそこらで全滅であろう。
「どうせサリィも似たようなこと考えてるはずだ」
「まあ、もうしばらく待とう。サリィにはサリィで現場のリーダーとして責任があるからな」
「でも早くしないと、誰か日射病になっちゃわないか?」
「……人質が倒れたら問題ですね。ですけど、あのSSGMが日射病でバタバタいったりしたら」
「楽でいいな、それはそれで」
 五人は丘から降りはじめた。
おそらく、下に降り切ったところで、時間的にもサリィから何らかの指示があるはずである。
「ほんと、海にはレジャーで来たいもんだぜ」
「しかし、海と言えば何時ぞやの密漁騒動を思い出すな」
「……あれは大変でしたね」
 カトルは小さくため息をついた。
事件は解決したものの、犯人を逃してしまった。
「そういえば」
「ん? 何だ、カトル」
「いえ、別に」
 日差しを手で遮りながら、カトルは思った。
あの時、活躍した二人は今、プリベンターにはいない。
一人は修行の旅に、そしてもう一人は新婚旅行に。
彼らが帰ってくるまで、まだ当分ある。
その間は、残ったガンダムパイロットだけで事件を解決しなければならない。
もっとも、そっちの方が作戦を立てるにしても実行するにしても、スムーズっちゃスムーズに進むのだが。
「遅くても、夕飯までには終わらせたいもんだな」
「サリィもそこまで時間をかけるつもりはないだろう」
「人質の中には女性も子供もいる。この炎天下だ、さっさと解決した方がいい」
 五人の耳に、彼らの名前を呼ぶサリィ・ポォの声が聞こえてきた。
丘の向こうの砂浜では、未だにSSGMのリーダーが声高に演説を続けている―――
470名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/08(土) 13:57:02 ID:???
 コンニチハ。
コーラさんもグラハムもいませんがとりあえず第三部の導入ですサヨウナラ。
471通常の名無しさんの3倍:2009/08/08(土) 18:58:25 ID:???
乙です!  ついに土曜日さん始動ですな。
これからが楽しみです。
472通常の名無しさんの3倍:2009/08/08(土) 22:24:58 ID:???
>>470
乙ですとも!!
473通常の名無しさんの3倍:2009/08/09(日) 16:41:12 ID:???
test
474通常の名無しさんの3倍:2009/08/10(月) 09:12:37 ID:???
乙ですー
コーラさんの出番が楽しみッス
475通常の名無しさんの3倍:2009/08/11(火) 21:51:14 ID:???
保守
476通常の名無しさんの3倍:2009/08/12(水) 15:52:02 ID:???
test
477不定期じゃのう:2009/08/12(水) 17:23:15 ID:???
「なんだぁ、ありゃあ?」コーラが素っ頓狂な声を馬主用のパドックで挙げたとき、
五飛のみぞおちへの拳が炸裂した。 
「静かにしろ。他の人に迷惑だし、馬が驚くだろう。」と五飛はいったが、コーラは「だってみてみろよ。馬の上に
妙なものが乗ってるぜ。」と周辺の空気を読まずに妙な物体を指差していった。
 普通、五飛の拳を急所にくらって、崩れ落ちないやつはいないと思うが、さすが、絶望フラグを笑顔で
平気でへし折りまくるコーラである。 ちょっと痛そうな顔でみぞおちをさすっているだけである。
「あれが、ユキヒメのペットですの。とっても溺愛してるのよ。」といったのは、カトルの姉である。
五代氏とカトルの姉がデートでドライヴを楽しんでいたとき、道路沿いにあった小さな牧場で見つけ、一目ぼれしたのである。
雪のように白く、母馬に甘えるように寄り添っていた。
 だが、購入した後、調教に移ると足にバネがついているように軽快に走り、いつも先頭でゴールしていた。
「もしかしたら、こいつはとんでもない買い物をしたかもしれない・・・。」五代氏はひそかに期待を抱き始めた。
そして、牧場に来ていたビリー・片桐似の角田調教師が一目見てほれ込み、預託を願い出た。
リーディングトレーナー争いを毎年演じている若き調教師に預託されたその馬はユキヒメと名づけられ、厩舎に入ったとき
あてがわれたのが、その妙な物体緑ハロである。
最初は訝しげにその物体を見ていたユキヒメだったが、「オス、オラハロ。ヨロシク、ヨロシク。」と
いうと、たちまち気に入り、厩舎の中でのペットとして飼い始めたのであった。
調教にでかけるときも、帰るときもいつもユキヒメを励まし、孤独を支えてくれた。
ユキヒメは快進撃をし始め、牝馬ながら、牡馬三冠と有馬記念を無敗で制し、春の天皇賞では並み居る古豪を尻目に
20馬身以上の差をつけて、戴冠したのである。
ハロとのコンビはたちまち競馬界はおろか、一般にも席巻し始めたのであった。
 久しくスター不在であった競馬界に現れたスター、馬券の売り上げにも、また、キャラクターグッズとしても
大ヒットを放ち、日本経済の救世主とも言われた。
 そして、ハロを馬のペットにすることが大流行したのである。
このコンビをハンガリーの名馬、キンツェムが溺愛した猫になぞらえるようにいう人も出たほどである。
「この宝塚を勝ったら、凱旋門賞に遠征するつもりですの。」とカトルの姉はいった。
日本馬が何回も挑み、涙を飲んだ世界最高峰のレース凱旋門賞。 鞍上には武を迎え、万全の体制を敷いている。
 さて、レースの方はというと、まさにユキヒメのワンマンショーで他の馬が必死に走っているのに、
まるで異次元の足を持っているかのように軽々と放していていく一方のレースに、ファンは酔いしれた。
プリベンター達は、表彰式の後の口取りにも参加し、軽い祝勝会をやって、上機嫌になっていた。
ただ一人、コーラサワーを除いては・・・。
 ホテルのシングルルームで外れ馬券の山をポケットから取り出し、破り捨てていた。
「もう、馬はやんねえ!!。」と何百回目の雄たけび。
 満月が笑っているように、コーラサワーの部屋を照らしていた。
____________________________________________
どうも、長い間すいません。不定期です。 土曜日氏が新しい方面へ物語を展開されだして、
目の離せない話になっていきそうです。 楽しみにしております。
 こちらの方は初めてハロを入れてみましたが、どうしてもストーリーはつくりにくいですね。
もう少し今度は工夫してみます。 皆様のご健勝をお祈りします。ではm(__)m。
478通常の名無しさんの3倍:2009/08/12(水) 18:14:34 ID:???
おつー
無理せずによろしく頼む
479名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/12(水) 23:35:47 ID:???
 修行、というものに果たして諸氏はどのようなイメージを抱いておられるだろうか。
護摩行、滝行、断食、エトセトラセトセトラ……。
そういったものがすぐに頭に浮かぶのではないだろうか。
修行とは仏教用語で、人間的な欲望から解放され、あるがまま生きることに充足を覚える状態を追及する行為である、とされている。
つまりは絶対的幸福への道であり、負の感情を捨て去り、心を穏やかに保たねばならず、なまなかにたどり着ける境地ではない、という。
その過程は困難を極めるので、修行=苦行とも言えるだろう。
まぁ凡人である身からすれば、ゲームはしたいしテレビも見たい、おいしいものを食べたい、かわいい娘ともつきあいたいわけで、
ぶっちゃけやりたくありません、てのが修行ってもんじゃないかな、と思うわけだが、さて。
まあ絶対的幸福にしろ相対的幸福にしろ、成果を得るためには何らかの試練を乗り越えなければならないのは確かっちゃ確かなところ。
楽して目的達成したい、というのはおそらく地球に生きる八割以上に人間が思っていることだろうが、
実際のところ、大なり小なり、苦労せにゃ人間は成長出来ないので、人生これ全て修行とも言えるはずである。


 さて。
00において修行と言えば、まず誰を思いつくだろうか。
正直、愚問であると思うが、しばしの間考えていただきたい。

 <シンキングタイム・ご随意にご休憩下さい>

 では答え合わせ。
はい正解、あなた大正解。
ですよね、あの人しかいませんよね。
「ぬうううううう、心頭滅却すれば熱いコーヒーもまたぬるし」
 ご立派にも、堂々と作中で滝に打たれていた人がいましたね。
あれを見たときは思わずひっくり返りそうになりましたが。
「ナウマク・サンマンダ・ボダナン・ア・ビ・ラ・ウンケン・ホンワカテレビ!」
 センチメンタル大暴走。
ダイナミック乙女座。
鬼の仮面はサムライの証。
私色に染め上げマッシュポテト。
黒き翼で大空を舞うあのお方以外に誰がいるのか。
「喝ッ! 喝ッ! 敵に勝ツッ!」
 そう、ミスター・ブシドーこと、グラハム・エーカー氏である。
ガンダムの中で堂々と修行(訓練や覚醒にあらず)したの、この人とドモン・カッシュくらいなもんじゃないのかねえ、しかし。

 ◆ ◆ ◆

 場所は極東の島国のとある山中、木々を分けてやっと辿り着く卑怯、じゃない秘境の地。
最早誰が建てたか、そして宗派すらわからなくなった一軒の寺がある。
そこに最近、明らかにアジア系ではない人間がやってきた。
まぁ所有者がいないわけだし、近くに住人もいないし、不法占拠にもなりゃせんだろうが。
「よし! 滝行終了! 次のプログラムに移る!」
 で、その人間とは当然グラハム氏なのだが、さて彼が果たして修行のなんたるかを理解しているかと言えば、正直怪しい。
密教とか神道とか、多分彼にとってはどーでもいいことだと思われる。
要は“修行した”という実感が大事なのだ、彼には。
あくまでマイペースに物事を進める彼らしいっちゃ彼らしいことではあるが。
ま、病は気からとも申しますし、成果が得られりゃそれでいいってことでしょうな。
勘違いのトレーニングであっても、ホームラン打てりゃそれが正解ってことですわ、きっと。
480名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/12(水) 23:38:03 ID:???
「今より瞑想を始める! むんっ!」
 瞑想かそれとも迷走か。
しかし気合いを入れて荒れ寺の本堂で座禅を組む金髪人間てのもミョウチキリンではある。
や、ヘンケン・ベッケナー、もとい偏見かもしれないが。
「……」
 目を瞑り、結跏趺坐でピクリとも動かないグラハム。
形から入っているとはいえ、ここまでやれりゃある意味立派ではある。
ちなみに、彼の一日の“プログラム”はこうなっている。

 4:00  起床
      清水で口を濯ぎ、日が昇るまで崖の上で東の空を眺め続ける。
 7:00  朝食
      マッシュポテトとコーヒー
 8:00  読経
      般若心経をひたすら繰り返す
 12:00 滝行
      白衣(ビリーのではない)を来て決意を込めた言葉を滝の音に負けない声量で唸る
 14:00 瞑想
      心を無にする
 17:00 鍛練
      竹林の中で体術と剣術の稽古
 19:00 夕食
      マッシュポテトとコーヒー
 20:00 読書
      五輪の書とか柴田錬三郎とか司馬遼太郎とか池波正太郎とか、そんなの
 22:00 仏像製作
      カッターナイフでカリカリと
 23:00 就寝
      一日を反省しつつ、寝る

 うーん。
そのうち栄養失調で倒れてしまわないか心配ではある。
ま、彼が納得しているならそれでいいってことでしょう。
さっきも述べたが、本人がそう思っているならそれが正しいのだ。
そもそもこの果てしない勘違いを正せる人間など、今の彼の側にはいない。

「……」
 グラハム・エーカー、別名ミスター・ブシドー。
アザディスタンでとった不覚の汚名を晴らすため、自己研鑽の真っ最中。
盟友が作りし新たなMS(ミカンスーツ)に乗るのに相応しい漢(おとこ)になるために、
そして憎き敵を倒す力を得るために、奮闘努力の日々を送っている。
方向が斜め上どころかもう四次元の彼方でどっち向いちゃってるかわからないが、繰り返す、本人がそう思ってりゃそれでいいのだ。
で、いずれプリベンターに復帰する時、新たな何かを加えたニュー・グラハムを拝めるはずだ、きっと。
周りが何て言うかわからんけれども。
481名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/12(水) 23:39:34 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「う、う、うーん、うーん……」
 追記。
修行のパートナー(無理矢理連れてこられた)であるアラスカ野君は、初日の滝行で体調崩して療養中。
医者がいないので、布団にくるまってただ病が過ぎ去るのを待つのみの彼である。
嗚呼、この愛すべきヘタレに愛の手を。
そいで、グラハム氏に仏かなんかわからんが、何らかの加護があらんことを。

 プリベンターとパト……グラハム・エーカーとジョシュア・エドワーズの修行は続く―――



 不定期氏お疲れさまですコンバンハ。
お盆は投下出来そうにないので前倒しです、コーラさんの第三部登場はまだ引っ張りますのでよろしくサヨウナラ。
では、皆さま良いお盆休みを。
482通常の名無しさんの3倍:2009/08/14(金) 00:37:20 ID:???
>>481
乙!!それにしてもアラスカ野が不憫だなあw
483通常の名無しさんの3倍:2009/08/14(金) 14:41:22 ID:???
不定期氏、土曜氏乙
484通常の名無しさんの3倍:2009/08/14(金) 20:57:17 ID:???
不定期氏乙ー
ギャンブルは程々にな!
土曜日氏乙ー
ジョシュアかわいいよジョシュア
485通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 08:44:03 ID:???
朝食と夕食が同じメニューなのかww
486通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 09:37:04 ID:???
お昼抜きなんだなぁ。
彫刻刀じゃなくカッターナイフなのが笑えるw
アラスカ野不憫なり。

乙!

487通常の名無しさんの3倍:2009/08/16(日) 10:59:50 ID:???
>>477
不定期さんも乙!

コーラさんは大ハズレか大当たりのどっちかっぽいな。
今回は悉くハズレということでw

ハロかわいいよハロ。
488通常の名無しさんの3倍:2009/08/17(月) 17:24:56 ID:???
そろそろ第三部用のキャラ紹介一覧が欲しいです、安西先生
誰か絵付きでやってくんね(ry
489通常の名無しさんの3倍:2009/08/19(水) 11:44:06 ID:???
捕手
490通常の名無しさんの3倍:2009/08/21(金) 16:09:06 ID:???
誰もいない
491通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 13:58:12 ID:???
捕手
492通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 15:19:16 ID:???
斗酒
493名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/23(日) 22:25:50 ID:???
 マイスター運送。
会社としての規模は決して大きくはないが、政府のお膝元で日々仕事をこなす優良企業である。
創立者はイオリア・シュヘンベルグといい、今から300年も前の人物になる。
名門大学で教鞭を取り、世間にも名のしれた学者であり、自らが関わった太陽光発電の研究でノーベル賞の候補者になったこともある。
が、突然学会を去り、知人を募って小さな運送会社を興したのが、実にその候補者として選ばれた直後のこと。
本人はその理由を語らず、人々はこぞって推測を並べ立てたが、結局事実は公にされず、やがてイオリアの名前は時の流れの中に埋もれていった。
そして彼のマイスター運送は、300年後の今日も仕事を続けている。
血族後継の縛りもなく、高い業績をあげたわけでもないこの会社が、今の今まで他社に飲み込まれることなく立派に運営が保たれてきたのは、
その時代時代ごとのまとめ役の手腕と、経営理念が確かなものであったからに他ならない。

 ならない、のだが。
本当はここまで存続してきたのには、もう一つ隠された理由がある。
そう、決して外部の人間が知ることのない、理由が。



「刹那・F・セイエイ、出勤完了」
「おう、おはようさん、刹那」
 マイスター運送のドライバー、刹那・F・セイエイは、漆黒の髪と中東系特有の浅黒い肌を持つ青年である。
歳は20を越えたばかりで、人によっては美男子にも見られる容姿だが、無愛想過ぎるのが玉に疵で、同僚以外の交友関係は広くない。
運転の腕前の方は文句無しで、その気になれば特級免許が必要な大気圏往復型の大型高速貨物艇も楽々と乗りこなすことが出来る。
「何だか元気が無いな、朝飯ちゃんと食ってきたのか?」
 朝、刹那を本社事務所でまず一番に迎えたのは、ロックオン・ストラトスという名前の男で、
やはりマイスター運送のドライバーの一人だが、その中でも最年長であり、ドライバー達の纏め役を担っている。
口を開けば気のいい兄ちゃん、という感じの彼だが、彼には別のポイントがある。
「よし、今度一緒に朝飯食いに行こうぜ。いいモーニングを出す店を知ってるんだ」
「ああ、あそこだろ? ダイクン記念公園の裏手にある」
「そうそう、メニューが豊富で安いんだよ」
「俺もちょくちょく使うな、ランチもいけるぜ、量があるし」
 ロックオンと会話しているのは、刹那ではない。
「そういうわけだ、刹那」
「そういうことだ、刹那」
 ロックオンと話しているのは、これまたロックオン。
別に一人二役をやってるアブない人なわけでもない。
刹那の目の前にいる、ロックオンを名乗る青年は、二人いるのだ。
兄、ロックオン・ストラトス、本名ニール・ディランディ。
弟、ロックオン・ストラトス、本名ライル・ディランディ。
双子の彼らは、初見の人なら間違いなく見分けられない程にそっくりな容姿をしている。
494名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/23(日) 22:29:10 ID:???
「やあ、おはよう、三人とも」
「ああ、おはようさん、アレルヤ」
 刹那に遅れること数分、また一人の青年が出社してきた。
彼の名前はアレルヤ・ハプティズムといい、見かけはいたって温厚そのものの好青年である。
「昨日は出張ご苦労さん、遠出だったから疲れただろう?」
「……遠くに行くのは全然問題ないんだけどね」
「何だか含みのある言い方だな」
「仕事先がね……」
「人革重工の極東第一支社だっけか」
 しかし、ある意味彼はマイスター運送一の問題児でもある。
理由は至極簡単、彼は『ひとり』ではない。
「一緒に行った人間がね、その」
「ああ、あの娘か」
「……うん」
 彼の中には、もうひとりの彼がいる。
ハレルヤという名前で、言わば別人格であり、普段は表に出てこない。
「どうしても、彼女と顔を合わせると、ね」
「色々大変だな、お前も」
 もともとは彼は他の人間と同じように、人格は単一だった。
が、ある複雑な事情により、穏やかなアレルヤと、好戦的なハレルヤの二つに分かれてしまったのだ。
そして、その複雑な事情に絡んでくるのが、人類革新重工の企画超部、セルゲイ・スミルノフの部下である銀髪のとある娘である。
彼と彼女の間には、一言では語れないモロモロのジジョウがベルリンの壁の如くそそり立っている。
「これも運命だよ」
 肩を少しすくめて、苦笑するアレルヤ。
銀髪娘ことソーマ・ピーリスとは、犬猿とまではいかずとも、仲は決して良くはない。
もっとも、彼自身はソーマのことを嫌ってはいない。
彼女が抱える、自分と同じような問題を理解しているので、むしろ同情、いや親しさに近い感情さえ持っている。
が、彼の中のハレルヤはそうではない。
ソーマを見ると、半ば無理矢理表面に出てきて、挑発したり口喧嘩を始めたりするのだ。
そうなってしまうと、ソーマの中に眠っているマリー・パーファシーが出てこない限り、騒動は終わらない。
「いずれハレルヤもわかってくれるさ、ソーマも」
「難儀だな」
「ああ、難儀だ」
「……」
 ハレルヤの過去については、刹那をはじめとするマイスター運送の社員はあらかた事情を知っている。
しかし、だからと言って、簡単に力になれるわけでもない。
本人同士でしか解決出来ないことというのは、この人の世にいくらでも転がっているのだ。
ちなみに、ソーマ・ピーリスがあからさまに敵視しているのは、彼と現在新婚旅行中の某人の二人しかいない。
495名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/23(日) 22:31:31 ID:???
「どうした四人とも、入口に屯して」
 と、ここでマイスター運送が誇るドライバーチーム最後の一人がやってきた。
女性と見紛うばかりに整った容姿、眼鏡の奥の鋭い眼つきが特徴の青年、ティエリア・アーデである。
「ようティエリア、おはようさん」
「おはようさん、ティエリア」
 陽気に声をかけてくるロックオン兄弟に手を挙げて応えると、ティエリアは刹那とアレルヤにも挨拶をする。
色々と抱えるものが多いこの会社のドライバーの中で、彼の秘密は特に大きい。
過去の経歴は一切不明、現在の社長であるスメラギ・李・ノリエガですらそれを知らない。
幼少の頃、前社長が施設より引き取って育てた、とされているが、それにしても謎の部分が多い彼なのだ。
時に『コンピュータ殺し』とも言われる人間離れした情報処理能力を見せ、
感情が激発した時に見せる『金目』状態では、まとめ役のロックオン兄ですら制御出来ない苛烈な人間となる。
「さて、ここで留まっているわけにもいかないだろう、スメラギさんが待っている」
「大丈夫じゃないか? どうせ二日酔いで、朝礼がぐだぐだなのはいつものことだぜ」
「スメラギさんだって毎晩お酒を飲んでいるとは限らないけど……」
「……」
 性格も背景も異なる五人。
だが、互いの間にある絆は強く、信頼は深い。
「だが、他の者はもう来ているはずだ」
「ラッセが宿直だったかな?」
 マイスター運送の本社に勤める人間は、意外に少ない。
社長のスメラギ・李・ノリエガ、
事務とナビゲーションのフェルト・グレイスとクリスティナ・シエラ、
会計のアニュー・リターナー、
営業のリヒテンダール・ツェーリ、
副社長及び医師のジョイス・モレノ、
整備のイアン・ヴァスティ、リンダヴァスティ、
倉庫管理と警備、及びサブドライバーのラッセ・アイオン、
これらが、マイスター運送の『中枢部』ということになる。
一応各地に支社はあるのだが、支社というより車庫的なもので、大手運送会社に比べると、その規模は至って小さい。
「とりあえず、気を抜かずに行くぞ、皆」
「とは言っても、あれからまだ何もスメラギさんは言ってきてないぜ」
 一週間程前、ドライバーたちは仕事の途中で、急遽本社に呼び戻された。
そこでスメラギから、「近々、重大な発表があります」と直接聞かされたのだ。
だが、今もってその『重大な発表』はスメラギの口からは出ていない。
「おい、刹那」
「……何か? ロックオン」
 刹那はロックオン兄のことを『ロックオン』と呼び、弟の方を本名の『ライル・ディランディ』で呼ぶ。
兄貴も本名で呼べばいいのだが、そうしないのは、刹那なりに理由が色々とあるのであろう。
496名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/23(日) 22:33:50 ID:???
「今日あたり、スメラギさんからあると思うか? 発表ってやつが」
「それは、わからない」
「そうか、最近のお前はやけに勘が鋭いから、わかるかとも思ったんだが」
「未来がわかれば、苦労はしない」
「ま、確かに」
 ロックオン弟ことライルが煙草を吸い終えるのを待って、ドライバーズは社屋の奥へと入った。
なお、マイスター運送は所定の場所以外では全禁煙になっている。
もっとも、煙草を吸うのはライルしかいないが。
酒飲みは社長を筆頭に何人かいるが……。
「じゃ、いこうか、今日も」
「ああ、そうだな」
 前を行く四人の背中を見つつ、刹那は小さく笑った。
ここに勤め始めた時の彼は、喋るという行為をほとんどしない少年だった。
まして笑うなど、月に何度もない。
が、今ではこうして、それなりに感情を表に出すことが出来るようになっている。
それは、周りの人間が醸し出す空気のあたたかさによるところが大きい。
「……」
 刹那は制服の襟を手で直しつつ、思った。
さっき、ロックオン兄からスメラギの発表について聞かれたが、
実は今朝、目覚めた直後に、理由もなく頭に浮かんできたことがある。
『スメラギ・李・ノリエガが今日、何かを話す』と。
何故そういう考えが脳内に現れたのか、彼にはわからない。
わからないから、ロックオン兄の質問に「わからない」と答えた。
根拠の無い予知など、予想にもならない。
彼自身が言ったように、未来がわかれば苦労はしないのだ。
「ありゃ、スメラギさん、今日に限ってちゃんと朝礼に出てきてる」
 ロックオン弟の声を聴きつつ、刹那は彼らと社長室のドアをくぐった。
続いて、「皆、遅いわよ?」「いつもならそれを言うのは俺達なんですけどね」という会話が耳に届いてくる。
そして、視界の中に、彼にとって大切な人たちの姿が入ってくる。
「刹那・F・セイエイ、出勤完了」
 刹那は呟いた。
微笑みながら。


 この日、刹那は知る。
マイスター運送が現在まで存続してきた、本当の理由を。




 プリベンターとパトリック・コーラサワーの出番はまだひっぱります―――



 コンバンハ。
何度でも言いますが、風味は入っても全シリアスにはなりません、絶対にですサヨウナラ。
誤字・脱字がありましたら申し訳ありません。
497通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 22:36:57 ID:???
土曜日さん、乙です! モレノさん副社長とか意外に地位高いw(弟子出るのかしら)
続々と地盤が固まってきているようで、先の展開に眼が離せません!
498通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 22:40:59 ID:???
土曜日氏乙

>風味は入っても全シリアスにはなりません、絶対にです
なぜか安心したw
499通常の名無しさんの3倍:2009/08/23(日) 22:53:54 ID:???
土曜日さん乙!!

>マイスター運送が現在まで存続してきた、本当の理由を。
プリベンターやアロウズと関連するのかな?
500通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 00:46:46 ID:???
土曜氏乙!

ロックオン兄弟同時出演といつも悩んでるアレルヤ、
ちょっと愛想のよくなった刹那がいい感じ。
ラッセの警備と宿直は頼もしいなあ。

続きが楽しみです、ですが無理なくおながいしまつ。

コーラさん新婚旅行どこ行ったんだっけ?
501通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 09:38:51 ID:???
ああ、なんかこの和やかなマイスター運送の空気が好きだ
土曜日さん乙です
502通常の名無しさんの3倍:2009/08/24(月) 12:41:42 ID:???
土曜氏乙
アレルヤは原作みたく僕に娘さんを下さいというのだろうか
503通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 14:31:05 ID:???
本物の超兵ってやつをイヤッフゥー
504通常の名無しさんの3倍:2009/08/25(火) 23:00:47 ID:???
土曜日さん乙!
505通常の名無しさんの3倍:2009/08/26(水) 01:26:37 ID:???
まとめの方も結構な閲覧数になってるな
同じ人間が何回か重なって覗いてるにしても、実に結構なことだ
506通常の名無しさんの3倍:2009/08/27(木) 18:30:56 ID:???
捕手
507通常の名無しさんの3倍:2009/08/27(木) 19:15:14 ID:???
野手
508通常の名無しさんの3倍:2009/08/29(土) 00:11:58 ID:???
投手
509通常の名無しさんの3倍:2009/08/29(土) 16:18:54 ID:???
>>505
でもあのまとめの方からここに来た人っているのかね
510通常の名無しさんの3倍:2009/08/30(日) 22:19:11 ID:???
>>509
居るんじゃないかな?
511名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/30(日) 23:52:07 ID:???
 恐怖には大まかにわけて、二つの種類がある。
すなわち、既知の恐怖と、未知の恐怖である。
 既知の恐怖とは、言わば過去の経験に基づく恐れを言う。
例えば、宿題を忘れて教師にこっぴどく怒られたとする。
すると次回、再度うっかり忘れてきた時に、「また怒られてしまうのでは」と過去の記憶が蘇ってくる。
これが、既知の恐怖である。
 未知の恐怖とは、知らない物に対する恐れを言う。
暗闇に対する恐怖と似ており、つまりは知覚出来ないものや、未経験により誘発される怖さである。
どれだけ機知に富んだ人間でも、知らないこと、初めてのことに100%スムーズに対応することは、まず出来ない。
一体どうなってしまうんだろう、どうなっているんだろうという不安は、どのような感情よりも人間を緊張させ、強張らせる。
 では、既知と未知、両方が伴う恐怖というのが果たしてあるのかと言うと、これはある。
それは、経験から得た答を、逸脱してしまうのではないかという不安。
Aという失敗をした、正解はBであった。
次回は同じ過ちを踏まないように、Aを避け、Bを導けばいい。
だが、しかし。
そこで、Cという結果が出てきてしまったら―――



「……」
 ソーマ・ピーリスは、脳内の靄を振り払うかのように、頭を軽く左右に振った。
豊かな銀の髪が、始まったばかりの午後の陽光を受け、さらりと光る。
「ふう……」
 人類革新重工本社の中庭は、社員の心理的ケアを十分に考慮されており、
草木の手入れは行き届いているし、採光の面でも問題はない。
昼食を終えると、午後の仕事が始まるまで、ここに来て心を休めるのがソーマの日課の一つになっている。
お気に入りの場所というのがあって、そこのベンチは半ば彼女専用になっており、余程のことがないと、他の社員は使わない。
彼女が他の人間を追い払っているわけではないし、彼女が他の人間から嫌われているわけでもないのだが、何故か自然とそうなってしまったのだ。
それについていささか心苦しい気持ちはあるものの、一方で邪魔されぬ一人だけの時間を持てることがありがたかったりもするソーマである。
「私でない私、か」
 先日、出張で極東第一支社に機材の搬送があり、彼女はその機材の開発に関わった商品開発部、通称開発超部の代表として赴いた。
それ自体は普通の仕事であり、何も気に病むことはなかった。
問題なのは、機密以外の機材搬送を外部に一部委託したのだが、それがマイスター運送であり、
かつ、ドライバーが旧知の人物だったことに因る。
そのドライバー、アレルヤ・ハプティズムという青年は、ソーマと何かと因縁が深い。
思い出したくもない、OZの施設での人体実験。
神経反応と身体能力を無理矢理高め、究極のパイロットを“人為的”に作り出す、悪魔の研究。
その“素材”として集められた、身寄りのない少年少女の中に、アレルヤはいた。
ソーマも、姉のマリーと、母とそこにいた。
その施設に、人権などという言葉はなかった。
繰り返される、戦闘のための訓練と、投薬。
眠りに落ちて次に目覚めた時は、身体の調子が全く“別のもの”に変わっていることなど日常茶飯事だった。
512名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/30(日) 23:55:43 ID:???
「いつまでも、このままではない……と」
 アレルヤ、正確に言うと、アレルヤの分身とも言える人格であるハレルヤとソーマは仲が悪い。
ハレルヤは温厚なアレルヤを文字通り裏返しにしたような性格で、好戦的で粗野で、皮肉屋で、容赦がない。
普段はアレルヤの奥に居り、身体に危機が訪れるなどの状況にならなければ表に出てこないのだが、
何故かソーマと相対すると、瞬時にアレルヤと入れ替わってしまうのである。
 そしてそのハレルヤと彼女は、仕事の最中に大喧嘩をした。
主義が背景にあるわけでも、宗教が背景にあるわけでもない。
ただ感情が噛みあわず、互いに互いを挑発し、詰り、罵り、責めるというのが、彼女とハレルヤの現状唯一の“交信”となっている。
一度始まると、ソーマの中の“姉”であるマリー・パーファシーが出てこない限り、終わらない。
「悩んでいても仕方ないのは、わかっているが」
 ソーマは手の中のコーヒーの紙パックを、くしゃりと握り潰した。
先日のハレルヤとの喧嘩で、彼に言われた一言が、未だに心の奥にたゆたっているのだ。

 「アレルヤと俺、マリーとお前、二つが一つになっても、多分こうやって喧嘩するだろうよ、俺達は!」

 それぞれに避け難い事情があって、ソーマとアレルヤは、自分の中にもう一人の自分を抱え込むことになった。
施設から解放されて以後、社会に復帰して、周囲の理解もあって、今まではその状態でも、なんとか問題を起こさずにやってこれた。
しかし、数年先、十年先はどうなのだろうか。
何かがきっかけになり、二つの人格が一つに統合されるようなことがあったら、
その時、積み重ねてきたソーマ・ピーリスという人格は、果たしてどうなってしまうのだろうか。
マリー・パーファシーと融合し、新たな人間となるのか、それともどちらかが消えてしまうのか。
周囲はその時、自分を果たして受け入れてくれるのか。
そうなってもなお、アレルヤ=ハレルヤとは、いがみあい続けるのか。
「答の出ないことは、いくら悩んでもどうしようもないか」
 ソーマは立ち上がった。
最良の答を、実は彼女はわかっている。
ソーマもマリーもともにあり、ハレルヤと和解し、そして周囲の協力を得て、このまま社会で暮らしていく。
それが、一番望ましい、と。
でも、そこに至るかどうかの確信など、何も無い。
明日、いや今この次の瞬間に、脳内に雷鳴が落ち、ソーマがソーマでなくなってしまう可能性だってあるのだから。
それはまさに恐怖に他ならない。
「……」
 ソーマはダストボックスに、くしゃくしゃになってしまった紙パックを投げ入れた。
そして、不意に、自分と仲の悪いもう一人の人物のことを思い出した。
今、新婚旅行先ではしゃぎまくっているであろう、ひたすらにマイペースな男のことを。
「さて、あいつなら……」
 あいつなら、自分と同じ状況に置かれたなら、どう考えるだろうか。
いや、きっと―――悩みもしないだろうな。
そう思い、小さく笑うと、ソーマは中庭から社屋へと戻った。
まだ、先日の仕事は全て片付いてはいない。
上司であり、義父でもあるセルゲイ・スミルノフのために、やらなければならないことが待っている。
今も、これからも。

 ◆ ◆ ◆
513名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/30(日) 23:58:46 ID:???
「……」
 アンドレイ・スミルノフは小さく溜め息をついた。
彼は今、本社の屋上におり、金網の向こう、遥か下の方に、外に昼食を摂りに行って戻ってきた社員の頭がポツポツと見えている。
「ふむ……」
 アンドレイは、滅多に昼食を誰かと共にしない。
人付き合いは確かに上手い方ではないが、商品開発部の部長セルゲイの実子であり、
またOZといういわくつきの組織からの転入組であることもあって、アンドレイ自身が他者との間に線を引いてしまっている部分がある。
彼自身の業務能力は高く、評価もされているのだが、「さすが荒熊の息子」と呼ばれる度に、何となく苦々しくなる彼である。
「会社のため、か」
 何日か前、アンドレイとソーマは、セルゲイに呼ばれ、部長室で直接の密命を受けた。
セルゲイの親友である営業第七部部長パング・ハーキュリーも間に入り、それについてある程度の説明を受けたものの、
未だにアンドレイはすっきりしない気持ちを抱いていた。
内容は、大まかに言えばライバル会社でもある大手企業『アロウズ』の動向を探ること、
そして政府直属の組織である『プリベンター』を密かに支援することの二つ。
表立って動くことも出来ず、社会的な見返りもないこの“裏仕事”に、潔癖症な部分があるアンドレイはすっきりしない思いがある。
会社のため、世のためという建前はあるにしても、それを飲み込んでしまえないのは、
ひとえにアンドレイがセルゲイに対するこだわりのようなものを持っているからである。
公人としては、セルゲイ・スミルノフは文句のつけようがない。
数多くの仕事をこなし、会社に大きく貢献してきた。
私人としても、特に間違いを犯したわけではない。
だが、逆にその立派な人間ぶりが、息子であるアンドレイには辛いところもあるのだった。
ハイスクールを出た後に家を飛び出し、OZなぞに身を寄せたのも、父親に対する反発心があったからだ。
父が悪いわけではない、とはアンドレイはわかっている。
勝手に重荷にし、疎ましく思っている自分が若すぎるのだ、とも理解している。
しかし、どうにも咀嚼出来ない気持ちというのはあるのだ。
「そして、自分のため」
 密命を受けたその日、ハーキュリーに誘われ、アンドレイは飲みに行った。
そこで、色々と諭された。
ハーキュリーはアンドレイの抱える心情的問題をも見抜いており、アドバイスもしてくれたのだが、
そこで言われた一言が、未だアンドレイの腹の奥で未消化のままになっている。

 「俄かに納得出来ないことっていうのは、人生に山程ある。しかし、自分のためだと思って、一つ一つ片付けていくしかない」

 あのセルゲイの息子、という目で見られるのが、子供の頃から嫌だった。
自分は自分でしかない、アンドレイという人間でしかない。
いくら優秀であるとはいえ、父の名前が冠につく呼び方をしてほしくなかった。
セルゲイ・スミルノフの息子ではなく、アンドレイ・スミルノフという独り立ちした存在になる、それが目標だった。
だがしかし、現実は未だに父の影がちらついている。
反抗し、家を出て、OZに入り、その危険性に気付いて抜け出そうとした時、手を差し伸べてくれたのは父だった。
そして今、こうして父の下で働いている。
514名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/08/31(月) 00:01:35 ID:???
「出来ることと、出来ないことがある……今の自分には、山程」
 自分の無力さを認めたくないがために、父に反発しているだけなのかもしれない。
そう思うことが、アンドレイにはある。
いや、事実そうなのだと思う。
それを解消するには、二つの道がある。
父を凌ぐ実力をつけるか、それとも、自分は自分でしかないと腹の奥に流し込み“大人”になるか。
望ましいのは前者だが、それが何時叶うのか、はたまた本当に叶うのかはわからない。
また、希望は決してイコールで正しいとも限らない。
自分のエゴを押し通して手に入れたモノに、どれだけの価値があるというのか。
それは、恐怖とほとんど同じなのではないか。
「……」
 襟の歪みを直すと、金網から離れた。
昼休みがもうすぐ終わろうとしている。
そして突然、理由もなく、一人の人物のことを思い出した。
今、新婚旅行先ではしゃぎまくっているであろう、自分のことを勝手に『ドレイ』と略して呼ぶ男のことを。
「さて、あの人なら……」
 あの人なら、自分と同じ状況に置かれたなら、どう考えるだろうか。
いや、おそらく―――迷いもしないだろう。
そう思い、小さく笑うと、アンドレイは階段を降り、下の階へと戻った。
まだ、先日の仕事は全て片付いてはいない。
会社と、自分のために、やらなければならないことが待っている。
今も、これからも。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーはまだまだまだ引っ張りますよ―――



 コンバンハ。
何度も何度も言いますが(ry
ギャグの基本は「途中まで真面目にやっていきなり落とす」ことだってばっちゃが言ってましたサヨウナラ。
誤字・脱字がありましたら申し訳ありません。
515通常の名無しさんの3倍:2009/08/31(月) 01:08:35 ID:???
土曜氏乙!

二人が各々悩みを抱えながらコーラさんなら、と思うのが
面白かったw

そもそもそういうことじゃ悩まないかもなぁ…

516通常の名無しさんの3倍:2009/08/31(月) 02:07:23 ID:???
土曜氏乙
悩む様な男だったら大佐をゲットできなかったろうな
517通常の名無しさんの3倍:2009/08/31(月) 09:56:53 ID:???
出だしの二種類の恐怖の部分で唸ってしまった
相変わらず文章上手いなあ
518通常の名無しさんの3倍:2009/08/31(月) 16:51:52 ID:???
なるほど、コーラ登場までシリアスで引っ張るつもりだな…ッ
519通常の名無しさんの3倍:2009/09/01(火) 09:21:13 ID:???
この二人が前向きになって来てるのは、やはりコーラの影響が大きいんだろうなあw
520通常の名無しさんの3倍:2009/09/02(水) 17:09:41 ID:???
募集
521通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 18:02:47 ID:???
握手
522通常の名無しさんの3倍:2009/09/03(木) 18:41:56 ID:???
拍手
523通常の名無しさんの3倍:2009/09/04(金) 09:06:14 ID:???
コーラくえん遊園地で僕と握手!
524通常の名無しさんの3倍:2009/09/04(金) 15:56:06 ID:???
>>523
なんというか、色々とご利益がありそうだ
525通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 13:08:13 ID:???
猪木のビンタみたいなもんか
526通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 17:44:02 ID:???
出撃前にコーラに握手か何かを求めるパイロットは、普通にいそうだな
527通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 18:02:11 ID:???
ああ、もし出撃前にコーラサワーが居たら、験担ぎに握手貰うよ。
ひょっとしたらラックスティーラーよろしく運を吸い取られちまうかも知れないけど。
528通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 18:04:44 ID:???
疫病神か異能生存体か……
529通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 19:02:53 ID:???
なぁに、ただの“パトリック・マネキン・コーラサワー”さ
530通常の名無しさんの3倍:2009/09/06(日) 22:33:19 ID:???
友人だと苦労しそうだw
531名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/06(日) 23:32:32 ID:???
 幸運、不運という言葉は所詮後付けの言い訳である、と語った古人がいた。
つまり、全ては結果でしか判断出来ないのだから、評価するなら答のみで判断するべきで、
人智の及ばぬであろう奇跡的な目に見えざる力を考慮する必要はない、ということだそうな。
信じるという行為をすることによって、不安を取り除き、見事な結果を導き出す実例は多々あるが、
それもまた先の古人の言を借りれば、信じる信じないに関わらず、
もとからそうなる要素が揃っていただけだ、ということになるのであろう。
 これとは逆に、人生の大半は運が絡む、と見た古人もいる。
自分にいかに才能があろうとも、それだけでは人の世を乗り切ってはいけない。
その才能を生かせるような時流・土台は自らの力だけでは生み出せないのだから、という考え方である。
例えば、戦略戦術を理解・実践する才能が備わっていた人間がいたとしても、
彼の生涯が平穏で、戦争と関わりが無ければ、その才は埋もれたままで、生かす術は無い。
画期的な大発明をしても、それを必要とする人が多くいなければ、何も益とはならない。
 結局のところ、運なるものは形としては目に見えないので、答など無いのだ。
前者と後者、どちらの古人にしても、彼らの考えであり、絶対的な証明ではない。
ジンクスに科学的な根拠はないが、それを信じて成功している人はいる。
神を信じてなくても、お守りを買う人はいる。
決定論だろうが確率論だろうが、運というものをどう捉えるかは、所詮はそれぞれの考え次第なのだ。



「あーっ、畜生! そのリーチを外すかぁ!?」
 経済特区東京のとある繁華街、さらにその中のとあるアミューズメントパークで、一人の男が遊びに興じていた。
伸びた髪と髭、服の上からでもわかる鍛えられた肉体、そしてどこか肉食獣を想い起こさせる表情、
歳の頃は三十の半ばから、四十過ぎであろうと思われるが、その身体から発せられる精気は、決してくたびれた中年のそれではない。
「信頼率83.2%だろうが……ハロ群予告からのピキーンリーチで発展付きだぞ、外す方がおかしいじゃねーか」
 彼がやっているのは、所謂パチンコというシロモノ。
かつてはこの国で大いに流行ったギャンブルのひとつだが、
時代と技術と文化が進んだ今となっては、最早文字通りの『遊戯機』になり、
闇ギャンブルを除いては、換金や生活景品獲得の手段にはなっていない。
つまりは、単なるゲーム機のひとつ、という扱いになっている。
これに対して、競馬やカジノはまだギャンブルとして残っている。
世界的に広がっていたものか、それともそうでなかったものかの差である、と言ってしまえばそれまでのことではある。
「もうハマって1000回転だぞ、そろそろ当たってくれねーと、メダルが無くなっちまう」
 ギャンブルではなくゲームなので、金を直接投入することはない。
メダル(コイン)を買って、それで遊ぶようになっている。
「なかなか当たらんようですなあ、ボス」
「うっせーよ、お前はまだいいだろ、一回連チャンしてるから」
 さて、このパチンコに興じている男が誰なのか、最早言わずともわかるであろう。
天下のいらんことしいゲイリー・ビアッジ、またの名をアリー・アル・サーシェス。
傭兵として名前を馳せて、今ではアイドルグループ『イノベイター』の手足となっている男である。
532名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/06(日) 23:35:13 ID:???
「しかし、遠隔でもやってんじゃねーのか、この店は」
「まさかぁ」
「だってさっきのリーチで外すなんて、正直ありえねーぞ」
 イノベイターのリーダー、リボンズ・アルマークの招集を受け、リゾートを切り上げた彼であったが、
結局、具体的な指示はまだリボンズからは出ていない。
その間の行動は特に縛りを受けていないため、こうして部下ともども、アミューズメントパークで遊んでたりする。
ここ数日はずっと開店から閉店まで入り浸りなのだが、もちろん、それには理由がある。
「メダル一万枚で交換出来る『冬ドナセット』、どうしても手に入れてぇ」
 この男、傭兵としては凄腕なのに、その一方で趣味がちょっとミョウチキリンだったりする。
大人気ドラマの『冬のドナタ』のファンで、再放送は必ず見るし、関連グッズも集めている。
内容としては旧時代的なベッタベタ恋愛ドラマなのだが、
さて、それが野獣のような一面を持つこの男の心のどこにクリーンヒットしたものやら。
「それならいっそ、メダルを買いまくれば」
「ばぁか、それじゃあ意味ねえだろうが! こうやってゲームで手に入れたメダルでってのが、大切なんだよ」
「はあ……」
 このアミューズメントパークには、メダルゲームがたくさんある。
スロット、ビンゴ、その他諸々、それらに彼の部下が多く散って、上司のために奮闘している次第である。
「今日はイマイチだぜ、しかし」
「運が無いんですかねえ」
 運が無い、という部下の言葉に、アリーは再度ばぁか、と応えた。
「幸運だの不運だのって言葉で簡単に片づけられちゃあたまんねえな」
「そうっすかねえ」
「そりゃそうだろ、お前は今まで生き抜いてこられたのが、運によるもんだけって思うか?」
「まさか、俺だって努力はしてますよぅ」
「じゃあ逆に、その努力によって身に付けた技量だけで生き延びてきた、ってのはどうだ?」
 部下はパチンコ台から手を離すと、腕を組み、しばしの間考えた。
「うーん……それも違うって気がしますねー」
「だろ、そういうこった」
「どういうことっすか」
「だからよ、運って言葉で簡単にまとめちゃあ、何でもかんでもつまらんってことさ」
 アリーは傭兵である。
死が隣り合わせの戦場で、己の戦闘技術で道を切り拓いてきた。
自尊心も高い彼は、「俺が強いからだ」と常に言って憚らないが、それでも、全てが自分の力だけでやってこれたとも思ってはいない。
戦歴は百戦、されど戦績は百勝ならず。
自身の力でもぎ取った勝ちもあれば、及ばずしての負けもある。
楽して果実を手に入れたこともあれば、泥に塗れて無報酬だったこともある。
常に勝利を目指してはいるが、勝ちっ放しは決して出来はしない。
自分の実力が足りていても、それでも栄光に届かないなんてことはザラである。
533名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/06(日) 23:37:45 ID:???
「いいか? 俺は強い」
「わかってます」
「だからさ、運の善し悪しってのが実際あるにしても、それをこねくった言い方はしたくねえのさ」
「はー……」
「ツイてねえ、とか、ラッキー、とか、それくらいはもちろん言うけどな」
 部下は頷いた。
完全に理解したわけではないが、アリーの言いたいことが、何となくわかったからだ。
失敗したら運がなかった、成功したら運が良かった、そう簡単に言ってしまえる程、人生ってのは簡単ではないのだ、と。
「上手くいかなかったら腹が立つが、だからと言って運だけのせいにするのは」
「ああ、つまり自分を間接的にバカにしていることになる、と?」
「ん、そーいうことさ……ほい、お前の台、でっかいのが来たぞ!」
「え、えっ!? あ、あっ! 赤枠! 背景変化! パターン崩れ!?」
「九割鉄板だ、激熱だぞオイ!」
 九割なら鉄板じゃないだろう、とは野暮なツッコミである。
「おほっ、キター!」
「確変ですよ確変! 72%継続ですよ!」
「おっしゃ、ガンガン出せ! 俺も続くぞ!」
「ボスも来ますよ、きっと! 流れが来てます!」
「もちろんだ、コラ!」
 アリーは口の端をくわっとあげて笑うと、缶コーヒーをあおった。
彼のうつパチンコ台が爆発するか、それとも沈黙したままなのか。
それは、誰にもわからない。
ただ、一流の快楽主義者である彼は、「負け」を考えて行動しない。
ゲームだけではない、戦いにおいても、彼は自分のやりたいことを常に考えている。
雇われればその主の為にもちろん働くが、彼が生きるのは彼の為だけである。  
そこには、運という言葉が挟まる余地はない。
出た結果はともかく、己に素直に生きる彼が、幸運・不運という言葉によって左右されることは、決してないであろう。
他者がどう判断するかは、別にして。





  この世に運などない。全ては試練、刑罰、保証ないしは先見である。
                                              ヴォルテール


  人間の一生を支配するのは運であって、知恵ではない。
                                              キケロ




 プリベンターとパトリック・コーラサワーはまだまだまだまだ引っ張ります―――
534名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/06(日) 23:39:57 ID:???
 コンバンハ。
熱が出たのですわインフルエンザかと思ったらただの夏風邪だった模様サヨウナラ。
誤字・脱字がありましたら申し訳ありません。
535通常の名無しさんの3倍:2009/09/07(月) 00:12:45 ID:???
投下乙です。

土曜日さんの書くおじさんキャラは何とも味があっていいなあ。

冬ドナw

どうぞお大事に。 つ しょうが湯
536通常の名無しさんの3倍:2009/09/07(月) 12:44:06 ID:???
おっさん仕事しろwww

土曜日氏乙&お大事にー
537通常の名無しさんの3倍:2009/09/07(月) 13:25:34 ID:???
土曜日塩津

誕生日占いで、コーラさんはギャンブル嫌いと書いてあったんだ
案外実力主義だったりするのかな
538通常の名無しさんの3倍:2009/09/08(火) 21:02:03 ID:???
自分に自信があるだろうからな、負けても納得しないんじゃね
539通常の名無しさんの3倍:2009/09/09(水) 20:31:05 ID:AZySi2DP
hosyu
540通常の名無しさんの3倍:2009/09/09(水) 23:44:38 ID:???
徒手
541通常の名無しさんの3倍:2009/09/10(木) 18:37:46 ID:???
騎手
542通常の名無しさんの3倍:2009/09/10(木) 18:43:26 ID:???
馬主
543通常の名無しさんの3倍:2009/09/11(金) 08:09:12 ID:???
保守の方法も不思議なスレだw
544通常の名無しさんの3倍:2009/09/11(金) 18:11:43 ID:???
替え歌ネタが二期で終わったと思ったら、
三期は冒頭が哲学コーナーになっているなw


しかし、そろそろスレが始まって、つまりSSがスタートして二年経つのか・・・
光陰矢のごとしとはこのことだな
545通常の名無しさんの3倍:2009/09/12(土) 14:12:30 ID:???
一週間に約一回って投下ペースは早いほうなのか?
546通常の名無しさんの3倍:2009/09/12(土) 18:11:54 ID:???
>>545
SS書きだけど、早いほうだとオモ。自分は時々サボる。
週一が目標だけど、先月は月2だったorz
同じSS書きとしては、こちらの職人さんに敬礼!ってな感じ。
547通常の名無しさんの3倍:2009/09/13(日) 12:01:27 ID:???
書きだめしてるんで無ければ、週一で投下できるってのは結構な執筆速度だよ
つか定期的に投下できてる時点で賞賛に値する
548通常の名無しさんの3倍:2009/09/13(日) 12:04:06 ID:???
>>547
書きだめしてても多少時事ネタや新情報なんか取り入れて
手直しして出すとすれば、
結構な手間なんだよなあ。
ほんと賞賛に値するわな保守ですわ。
549通常の名無しさんの3倍:2009/09/13(日) 12:41:08 ID:???
ところで、最終回のコーラとカティの結婚式のシーンを再度見て思ったんだが、
ああいう「式典」みたいなものはフォーマットが300年後も変わってないってことだよな



しかしあのシーンは心癒される
…映画にどう繋がるかわからんが
550通常の名無しさんの3倍:2009/09/13(日) 13:11:58 ID:???
>>549
結婚しても別姓を名乗ってそうな気がするw
551名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/13(日) 23:01:38 ID:???
 人間とは、良くも悪しくも、流行に乗って生きる存在である。
猿人から進化し、生きる為の手段を集団で整え、文化が誕生したのと同時に、流行も生まれたと考えていい。
そして文明が発達するにつれ、流行が持続する期間は極めて短くなっていく傾向にある。
現代においては、一年どころか数カ月でモノは古くなっていく。
見方を変えれば、常に新しい何かを作り出さないと、人間というものはその存在を証明出来ないのだ、とも言える。
もっとも、次々に生み出される“流行”が、本当に“新しい”ものであるとは限らない。
過去に売れたことのある芸人を一発屋と称し、まとめてバラエティ番組を作る。
止まってしまったと思われる技術を発想転換することで水平移動させ、生まれ変わらせる。
はたまた、かつての流行に回帰し、原点を称賛する。
ある意味、流行とはメビウスの輪なのかもしれない。
 一方、流行を生み出す、またはそれに乗るのは、センスの問題であるとも言われる。
ファションなどはそれが顕著であろう、センスがある者は流行を作り、変えていく。
センスの無い者は、変わることが出来ずに取り残されていく。
しかし、ここで大切なのは、センスとは果たして何なのか、ということである。
とどのつまり、相対的な感覚がどうあるかが、センスの良し悪しに置き換わっているだけだ、とは言えないだろうか。
世間で持て囃されているからと言って、それが万人に通じるわけではない。
どこがいいんだ、どこがおもしろいんだ、という感想を持つ人間はたくさんいる。
ならば、それらの人間にはセンスが無いのだ、と言いきってしまえばいいのかというと、それもまたおかしい。
 尖鋭的な芸術は、時として同時代の人間に理解されない。
今、偉人として教科書に載っている有名な芸術家でも、当時はまったく評価されなかった、という者は多い。
狂人、とまで罵られて迫害された人物もいる。
彼らは当時の流行に逆らって、全く別のものを生み出した。
しかし、だからと言って今、彼らのことを“センスが無かった”とは考えない。
彼らは、己が信じる美意識、つまりセンスに従っただけなのだ。
当時の流行に迎合し、その中で素晴らしい作品や発明を作るだけなら、彼らの力なら十分に出来ただろう。
だが、そうしなかったのは、「社会ではこうでも、俺は違う」と強く思っていたからに他ならない。
おそらく、そこには他人の評価など、さしたる価値はなかったに違いない。
自ら望むまま、自らのセンスを頼りに、作品を作り上げる。
そしてそれは、遠く時代を経てから、ようやく流行になったりする。
 情報化が進み、また商業が社会の中心となった昨今、流行は金を目的に作りだされることが多い。
そしてそれを、盲目的に「流行っているから」と持ち上げるのは、果たして正しいことなのだろうか。
自分に、自分のセンスに嘘をついていることにならないだろうか。
もちろん、人間は集団で生きる動物であるから、世間的大多数に通じる価値観を持つのは大事なことではある。
それでも、己のみが持ち得る美意識を完全に殺してしまうことは、それこそ人間の否定に他ならない。
流行廃りが激しい現代だからこそ、人は個人個人のセンスを大切にしなければならない、時には大きな流れに逆らってでも。
 とある経済学者はかつてこう言った。
「大衆は新しい物ばかりを追いかけ続ける。だが、それが本当に新しい物なのかどうかは誰も考えない」と。
芸術、文学、科学、医学、その他諸々。
今でこそ当たり前となっているそれらの常識の中には、それが生み出された時は、異端と叩かれたものがどれだけあるか。
そして、明日には今の常識が、全く覆される新発見が世に出るかもしれない。
 別に才能のあるなしではない。
今を追いつつも、それらに疑問を持ち、自らの目を腐らせない。
流行に踊らされ過ぎず、常に次に生まれる何かを見続ける。
流行とは、徐々にその直径を増していく、一つの輪である。
その輪の上でどう生きるか。
それは、個人個人の“センス”にかかっている。
552名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/13(日) 23:06:52 ID:???
 ◆ ◆ ◆


「グレート! 実に素晴らしい、期待通り、いや、期待以上だ!」
「……まだ始まったばかりだよ、今からそんなに血圧を上げていると、幕の時まで持たないんじゃないかな」
 アイドルグループ“イノベイター”のリーダーであるリボンズ・アルマークは、タオルで額に滲んだ汗を拭った。
目の前では、彼のマネージャーである男が、恍惚に近い表情で踊りまくっている。
「さすがは私のマイエンジェルたちだ! ゴージャスでミラクルでウルトラ、そしてファンタジーでスペクタクルだ!」
「まあ、水でも飲んで落ち着いたらいいよ」
 マネージャー、アレハンドロ・コーナーの奇態を、敢えてリボンズは止めようとはしなかった。
他のメンバーも同様で、ある者は半笑いで見やり、またある者は完全に無視を決め込んでいる。
このアレハンドロという男、決してマネージャーとしては無能でも低能でもないが、
とにかく態度がうるさいと言うか、派手な方向にマイペース過ぎるのだ。
下手に制止してもまったくの無駄、聞く耳持たない、ということをイノベイターの面々は熟知している。
「次は『パラダイス木星圏』、そのまた次は『パイロットスーツを脱がさないで』だ。ここで一気に客のハートを鷲掴みにしようじゃないか」
「わかってるよ、大丈夫さ。僕も皆も、ね」
 今、イノベイターはコンサートの真っ最中。
ツアーではなく単発だが、北米はニューヨークのヤンキー・スタジアムを会場に、特大のイベントをブっているところなのだ。
何度か改装工事を行い、八万人を超える人員を収容出来る(注:あくまで作中での時代において、の話)ヤンキー・スタジアムを満員に出来る者など、
今の彼ら、イノベイターを除けば、おそらくほとんどいないであろう。
イノベイターが今日のコンサートで半年程の休養に入る、という事実もあって、会場は観客席はおろか、グラウンドの特設シートまで超山盛り状態になっている。
もちろん、その中に休養の真の理由を知る者は一人もいない。
それを知っているのは、イノベイター本人たちと、マネージャーのアレハンドロだけである。
「『オトナはキライ』から『私のかわいい道化』、そして『センチメンタルが止まらない』、『進化気分でロックンロール』と怒涛のメドレーだ!」
「やれやれ」
 まだ序盤が終わったばかりだというのに、アレハンドロは楽屋を飛びまわっている。
その運動量たるや、さっきまでステージで歌って踊っていたリボンズ達をすでに凌ぐ程であるかもしれない。
先にも言ったが、これでもマネージャーとしてはかなり有能ではあるのだ、この男は。
今回のコンサートも、彼が色々と骨を折ったからこそ、実現したと言っても過言ではない部分がある。
「さぁ、あと五分で再開だ。準備はいいね?」
 タオルをはしゃぎまくっているアレハンドロに投げてよこすと、リボンズは席から立ち上がった。
衣裳はとっくの昔にチェンジ済みである。
「もちろんさ、リボンズ」
 メンバーの中で唯一メガネをかけている、リジェネ・レジェッタがリボンズに応える。
リジェネ以外のメンバーも頷いて同様に立ちあがるが、ぶっちゃけた話、確認の言葉なぞ、彼らには本当は不必要だったりする。
何故なら、彼らは言葉ではなく、精神で互いに意思の交換が出来るからである。
イノベイターの歌と踊りは一分のミスもない、まさに完璧である、とファンや評論家からは評価されている。
そしてそれは、彼らの努力によって成されているものだ、と思われている。
だが実際は、このテレパシーとも言える力があるために、動きを合わせることなどは彼らには朝飯前だったりする。
もちろん、練習は練習でちゃんとやってるが。
553名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/13(日) 23:13:28 ID:???
「しかし、リジェネ」
「何だい、リボンズ」
「この衣裳……もう少し、どうにかならなかったのかい」
「どうにか、とは?」
「僕の趣味じゃあない」
「そうかい? 君の意見も十分尊重したつもりだけど」
 リボンズ・アルマークは知能や身体、そして先述のイノベイターとしての能力から見て、普通の人間より遥かに優れている。
イノベイターのリーダーに収まっているのも、彼らの中では最も力を持っているからに他ならない。
が、そんな彼にも唯一にして最大の欠点がある。
それは。
「僕としては、次の『パラダイス木星圏』はローラースケートでステージアクションをしたかったんだが」
 センスが凄まじく古い、ということである。
普段の会話でも、例えがとにかくジジ臭い彼だが、とにかく趣味のオールドっぷりは半端ではない。
そんなわけでグループ内での話し合いの結果(テレパシーの結果)、ファッション的には最もまともであろうと思われたリジェネが、
ステージ衣裳のデザインと選択、そして演出を担うことになったのだった。
何しろリボンズときたら、七色のカクテル光線で舞台をライトアップしようとしたり、
ステージに登場する時に花道をどっかの柔術道場よろしくトレイン状態で入場しようとしたり、
白いTシャツをジーンズにin状態で、ドラム缶やら廃タイヤやらの上で踊ろうとしたりするので、メンバー的にはたまらんもんがあったのだ。
なお、アレハンドロ・コーナーに任せるという案もあったのだが、それは即座に全員一致で却下された。
彼に任せると何でもかんでも金ピカになってしまうので。
「……次回の課題にするよ」
「何なら次は僕が全てステージ衣裳と演出を決めてもいいけどね」
 瞬間、リボンズを除くイノベイター全員が、脳量子派で彼にツッコミをいれていた。
それはやめてくれ、と。

「『形式番号のないエース機』、『なんてったってアクシズ』、『あの娘とデュランダル』、『抱きしめてバルジ砲』、『ギアナ高地で会いましょう』……」
 イノベイターたちはステージに戻っていった。
アレハンドロは取り残されてもなお、陶酔の表情であちこち動き回っている。
化粧台に片足を乗せてポージングしたり、手を使わずにブリッジしたり、逆立ちのまま楽屋を一周したり。
「『サテライトキャノンにはまだ早い』、『君のハートはマリンザク』、『淋しい月光蝶』……ああ、全部歌ってしまうがいい! マイエンジェルたち!」
 もう一度言う。
これでもマネージャーとしては結構な実力を持っている、この男。
「アンコールは『キンキラキンでさりげなくなく』だ! 客たちよ見るがいい! 新時代のアイドルの姿を!」
 
 この日のイノベイターのコンサートは、大成功のうちに終わる。
そして、彼らは“休養”に入ることになる。
表向き、は。




 プリベンターとパトリック・コーラサワーはまだ(中略)まだ引っ張ります―――
554名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/13(日) 23:15:51 ID:???
コンバンハ。
ここまで続けられているのも皆さんのおかげですサヨウナラ。
555通常の名無しさんの3倍:2009/09/13(日) 23:32:13 ID:???
土曜日氏乙www
556通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 10:22:36 ID:???
アレハンいつの時代の人間だよw
557通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 10:26:14 ID:???
土曜氏乙!
アレハンの
態度がうるさい>
的確すぎるよ。

曲名、腹筋よじれるかと思ったw
個人的には『あの娘とデュランダル』が最強
なんか土曜氏と同年代なのかなあ。

今日は休みなんでのんびり読ませてもらいました。
いつも乙乙です。

558通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 10:34:56 ID:???
土曜日塩津
曲名がいちいちツボに来て吹きっぱなしだwww
559通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 15:30:25 ID:???
土曜氏の歳が一回り上だという事がよく分かったw
560通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 16:28:15 ID:???
いやいや、単に昔の歌謡曲好きって可能性もあるじゃないかw
昔の歌って聞き出すと結構耳当たりがいいのがあってクセになるぜ、歌いやすいし
561通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 18:18:36 ID:???
元ネタ検証してみた


「オトナはキライ」→松任谷由美の「土曜日は大キライ」?(1986年)
「私のかわいい道化」→不明
「センチメンタルがとまらない」→C−C−Bの「ロマンティックが止まらない」(1985年)
「進化気分でロックンロール」→TOM★CATの「ふられ気分でRock'n' Roll」(1984年)
「パラダイス木星圏」→光GENJIの「パラダイス銀河」(1988年)
「形式番号のないエース機」→ラフ&レディの「背番号のないエース」(1986年)
「なんてったってアクシズ」→小泉今日子の「なんてったってアイドル」(1985年)
「あの娘とデュランダル」→チェッカーズの「あの娘とスキャンダル」(1985年)
「抱きしめてバルジ砲」→西城秀樹の「抱きしめてジルバ」(1984年)
「ギアナ高地で会いましょう」→「〜で会いましょう」が多数により絞り込み不可能
「サテライトキャノンにはまだ早い」→田原俊彦の「チャールストンにはまだ早い」(1984年)
「君のハートはマリンザク」→杉山清貴&オメガトライブの「君のハートはマリンブルー」(1984年)
「淋しい月光蝶」→Winkの「淋しい熱帯魚」(1988年)
「キンキラキンにさりげなくなく」→近藤真彦の「ギンギラギンにさりげなく」(1981年)


見事なまでに80年代だ
562通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 22:31:50 ID:???
>>561
見事に懐メロだなw
563通常の名無しさんの3倍:2009/09/15(火) 01:37:05 ID:???
土曜日さん乙!
見事に同年代だw嗚呼、素晴らしきかな80年代
564通常の名無しさんの3倍:2009/09/15(火) 12:57:28 ID:???
進化気分ならロケンロー♪
脳量子波のボリューム上げて♪
よれて鼻で笑ってイノベイッ♪
ドンストッ♪
ドンストッザアルマーク♪
ドンストッ♪
ドンストッザアルマーク♪
565通常の名無しさんの3倍:2009/09/16(水) 16:03:57 ID:???
保守
566通常の名無しさんの3倍:2009/09/17(木) 16:00:34 ID:???
保守
567通常の名無しさんの3倍:2009/09/17(木) 23:23:49 ID:???
保守?
568通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 00:23:31 ID:???
歌手?
569通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 09:07:08 ID:???
カティ「私の歌を聴け!」
570通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 11:27:11 ID:???
懐かしいな、中の人の歌
571通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 12:35:21 ID:???
 JUST COMMUNICATION (`・ω⊂)
572通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 16:03:05 ID:???
>>571
ヒイロポーズをコーラさんがやってた件
ttp://ranobe.com/up/src/up396631.jpg
573通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 16:05:40 ID:???
>>572
>>543も言ってるけど、ここの保守は連想ゲームなのかw
574通常の名無しさんの3倍:2009/09/18(金) 17:27:05 ID:???
楽しく保守できていいんじゃなかろうかw
575通常の名無しさんの3倍:2009/09/19(土) 16:33:46 ID:???
というわけで捕手

は、コーラサワー、投手グラハム
……だめだこのチーム、はやく何とかしないと
576通常の名無しさんの3倍:2009/09/19(土) 16:36:46 ID:???
そんなバット……私の魔球ですり抜ける!
577通常の名無しさんの3倍:2009/09/19(土) 18:25:59 ID:???
一番中堅・コーラサワー(塁に出たら絶対に死なない。必ず本塁に生還)
二番遊撃・アンドレイ(アシスト中心も、キレたら自分で決めに行く)
三番一塁・グラハム(侍打法、死球など武士道の意地の前には無意味)
四番投手・刹那(主人公特権、決め球は量子化して消えるボール)
五番三塁・アレルヤ(改造野球人。アレルヤは乱闘専門)
六番右翼・ニール(どんな球でも狙い撃つぜ!外野からの返球もストライクだ)
七番左翼・ライル(時々兄と打順が入れ替わる、こっちも狙い撃つぜ)
八番捕手・ティエリア(これぞ本物のID野球の申し子)
九番二塁・沙慈(地味だけど仕事するよ、遊撃手の視線が怖いけど)


控え
ソーマ(改造野球人。監督の指示は必ずこなす)
ラッセ(パンチ佐藤か川藤的ポジ。投手もこなせるよ)

監督
セルゲイ(人呼んで荒熊。フロントの邪魔さえなければ必ず結果を出す)

コーチ
カティ(戦力分析はお手の物、オーソドックスで穴がない)
スメラギ(敵の裏をかく大胆な戦術が得意、試合中にお酒飲んじゃダメよ)
ビリー(特訓用器材の開発専任)
578通常の名無しさんの3倍:2009/09/19(土) 22:49:18 ID:???
じゃあWチームも決めて試合しようか
579通常の名無しさんの3倍:2009/09/20(日) 11:01:00 ID:???
そういやドクターやプロフェッサーたちって出てきたっけ?
580名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/20(日) 22:00:11 ID:???
 人間は、生きていく為には、働いて代価を得なければならない。
何故かと言うと、そういう風に社会形態を発展させていったからだ。
生きていく為に必要なお金は、自らの労働で稼ぐ。
意にそまぬ仕事でも、やらねば食ってはいけないのが人の世なのだ。
無論、人間それぞれには色々と格差があるわけで、万人が額に汗水垂らして働かねばならないわけでもない。
一日寝て過ごしても暮らしに全く困らない人間もいれば、
どれ程働きたいと望んでも、職そのものが身近にない人間だっている。
 ある人物は仕事についてこう答えた。
「仕事なんてしたくない、自分の理想は無為徒食だ」と。
またある人物はこう答えた。
「自分の趣味が仕事に出来たらいいね」と。
 学校を出て、社会に船を出し、職を探す(選ぶ、では決してない)。
自分が望んだ職業に就ける者の割合は、決して大きくはない。
多くの者は、朝起きて、溜め息を吐きつつ仕事先に足を動かす。
無論、楽しいことを仕事に出来れば、それはそれで言うべきことはない。
だが、働くということは、楽しいとかつまらないとかの問題では、結局ない。
労働階級の差だとか、ワーキングプアとか、雇用差別とか、そういうものも社会制度の問題で、
人間が働くという行為から見れば、結局は末節に過ぎない。
 人間は、人間であるが為に働く。
働くことによって得るのは、金や物だけではない。
自分は人間である、という証を手に入れるために、仕事をするのだ。


「ふぅん……もうちょっと、データの上積みが必要かな」
 モニターが放つ青白い光を上半身に浴びながら、ビリー・カタギリは呟いた。
長身にポニーテール、身につけているのは作務衣の上に白衣、履いているのは健康サンダルと、
外見はちょっと浮世離れしているものの、頭の奥にある脳味噌は天下の一級品である。
今の肩書はしがない市井の一研究者だが、
その頭脳を欲しがる者は、企業だけでも両手両足の指、いや、千手観音の指でも足らないであろう。
「今のところ、一番エネルギー代替効率がいいのは、紀州有田の川田温州か」
 化石燃料、原子力、太陽光、今あるエネルギーは、全て何らかの問題を抱えている。
彼の目下の研究テーマは、究極のエコ・エネルギーを開発することである。
そして現在、ミカンの皮を燃料にするエコ・ドライブを、完成間近までこぎつけているのであった。
「うーん、でもやっぱり、品種による効率の差を埋めていかないとなあ」
 これを発表すれば、おそらく、いや間違いなく彼はノーベル賞を受賞出来るに違いない。
だが、その理論はともかく、現実問題として“画期的なエコ・ドライブ”として世に出すには、まだまだ色々と片づけなければならないことがある。
「ふわああ、休憩でもしようかな」
 物理化学一般を修めている彼だが、本来の専門分野は、『メカ』になる。
彼の師匠はレイフ・エイフマンといい、『汎用的特殊形態機械のバランス制御、及び複数の関節部の可動制御』において、大きく貢献した人物である。
MS(モビルスーツ)の進歩を速めたとも言われ、一時はOZに強制的に身柄を拘束されそうになったこともある。
現在は隠棲して悠々自適の身だが、その世界的科学者の、第一の弟子にあたるのが、ビリー・カタギリということになる。
「えーっと、確かドーナツがまだ残ってたはずだけど……」
 サンダルをパタパタと音たたせながら、ビリーはキッチンに向けて廊下を歩く。
彼の家は『研究所』と呼んで差し支えない程、様々な機器に満ち溢れ、広さも相当なものである。
自らも研究者のつもりで、特定の仕事には就いていない。
かつて開発した技術等を特許として持っており、その収入で暮らしている。
言ってみれば、日々の研究が彼の仕事である、ということになるだろうか。
581名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/20(日) 22:05:30 ID:???
「牛乳が古くなっちゃってるな、新しいのを買いに行かなきゃ」
 趣味と仕事が一緒になっている研究者、という言葉を使うと、何だか他人を受け入れない偏屈者にも思えるが、彼はそれには当てはまらない。
人付き合いが広い方とはさすがに言えないものの、友人や知人はそれなりに多く、それらに会いに表へ出ることに何の抵抗も感じない。
身内に総合企業の大手アロウズの会長、ホーマー・カタギリを叔父として持つが、こちらとは最近あまり繋がりがない。
以前はその能力を惜しんでか、アロウズに再三再四誘ってきたホーマーだったが、一年程前からはうるさく言わなくなってきている。
そんなホーマーに申し訳ないとは思いつつも、ビリーは今の生活を捨てる気はない。
人それぞれに生き方がある、というのが彼の考えである。
「牛乳と卵と……あと、お味噌も新しいのを買わないとなあ」
 冷蔵庫をのぞきつつ、買いこまなければならない食材をチェックするビリー。
基本、彼は食べ物に関してはあまり頓着がない。
料理は出来るが、シェフ並の腕前というわけでもなく、レトルト食品や外食にも特に抵抗はない。
好きな物はドーナツで、これはちょくちょく専門店に買いに行っている。
また、先祖に日本人がいるためか、和食をどちらかというと好む傾向がある。
友人のグラハム・エーカーもまた日本カブレなので、彼が遊びに来た時などは、酒も料理も全てが和風づくしになる。
まあ、納豆にワサビとカラシをたっぷりかけ、その上から味噌汁をかけてさらにタクアンと一緒に鍋に放り込む、なんて食い方もするもんだから、
本当に和風なのか何なのかワカランこともあるが。
「そうだなあ、せっかく買い物に行くのなら、プリベンター本部に寄っていこうかな」
 彼に妻はいない。
意中の異性がいないわけでもなく、結婚願望もあるが、そちら方面には上手く立ち回れないのがビリー・カタギリという男だったりする。
また、一人暮らしであり、生活を助けてくれる家事手伝いの類の人間も雇ってはいない。
自らの研究を外部に漏らすわけにもいかない、という理由があるからだが、
家電系は全てホーム・コンピューターで制御されているから、特に不自由をしているということはない。
まあ彼程の能力があれば、それこそ緑髪のドジっ娘とか、語尾に「〜ロボ」をつけるようなメイドロボの一体でも作れそうだが。
582名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/20(日) 22:06:36 ID:???
「MSもはやいところ、彼らに渡してあげなくちゃね」
 MS、すなわちミカンスーツ。
彼が開発したミカンエンジンを搭載した、人が乗り込んで操縦する大型ロボット。
プロトタイプ“ネーブルバレンシア”から、今度はプリベンターのメンバー個人個人に合わせた、所謂専用機を作り上げた。
本体そのものは完成はしたとはいえ、こちらもまだまだ発展途上、未だプリベンターに渡すには至っていない。
とはいえ、近日中には、プリベンターの新しい戦力として、世界の裏から平和を守ることになるであろう。
「それにしてもグラハム、どこに行っちゃったのかなあ」
 親友、グラハム・エーカーは最近全く姿をビリーのところに見せていない。
最後に会った時、「自らを厳しく鍛え直す!」と言っていたので、おそらく修行に出たのだろう、とはビリーも推測出来るのだが、
どこで何をどう修行しているかまでは、さっぱり見当がついていない。
付き合いもそれなりに長く、グラハムの性格ややり方もよく知っているので、心配こそしていないが、それでもやっぱり気にはなる。
「さて、それじゃ行こうかな……ええと、車のキーはどこにやったっけ」
 車庫へと向かいながら、ビリーは白衣のポケットを探った。
車庫には数台、車があるが、どれも高級車とは言い難い。
街の道路にいくらでも見かける普通車ばかりであり、彼による魔改造も受けていない。
一般の道路を走るにあたって、過度の改造は違法になるのだ。
さすがに、その辺りは心得ている彼である。
「ああ、あったあった」
 が、しかし。
この車庫の下にある、地下の倉庫には。
「さて、それじゃあ行くとしようかねえ」
 彼の能力の限りを尽くて作り上げた、魔改造どころではないMSたちが、眠っている。
目覚めの時を、近くに感じながら。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの出番はもうすぐ―――


 コンバンハ。
連休中も仕事があるのでたまりまサヨウナラ。
誤字脱字がありましたら申し訳ありません。
583通常の名無しさんの3倍:2009/09/20(日) 22:09:43 ID:???
土曜日氏乙wwww
584通常の名無しさんの3倍:2009/09/20(日) 22:20:48 ID:???
忙しいのか土曜氏乙! 連休中お仕事頑張ってなー。

独身男の哀愁がそこはかとなくビリーに漂っているw
585通常の名無しさんの3倍:2009/09/20(日) 23:42:47 ID:???
頑張れ土曜日氏とビリー!今週も楽しかったです
586通常の名無しさんの3倍:2009/09/22(火) 09:58:54 ID:???
捕手
587通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 10:16:43 ID:???
洋酒
588通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 10:17:23 ID:???
古酒
589通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 13:25:20 ID:???
老酒
590通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 15:51:59 ID:???
そういえばコーラサワーもエーカーもスミルノフもソーマもカティもお酒から取った名前だったね
2期ではそういう共通点のあるキャラが出なくて残念だった
591通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 17:44:05 ID:???
名前にできそうな酒がなかったのかな?
592通常の名無しさんの3倍:2009/09/23(水) 20:10:35 ID:???
それを言うなら普通は「コーラサワー」を人名にはしない
593通常の名無しさんの3倍:2009/09/24(木) 11:27:34 ID:???
もっともだw
594通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:33:43 ID:???
補習
595通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:40:44 ID:???
実習
596通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:46:18 ID:???
予習
597通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:46:52 ID:???
お前らww
598通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:51:18 ID:???
こら待て、24時間以上書き込みがなかったのにシャレ保守になった途端連発かよ
もしかしてこれがこのスレの本当のメインなのかw

・・・・・・まさか同一人物じゃないよな
599通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:52:27 ID:???
>>598
同一人物>違うぞ

バスカッシュ
600通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 16:54:02 ID:???
檸檬スカッシュ
601通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 17:16:40 ID:???
ドモンカッシュ


結論・ここの住人は変にノリがいい
602通常の名無しさんの3倍:2009/09/25(金) 17:23:06 ID:???
こういうところからネタが拾われることもあるしな
かに鍋とか
603通常の名無しさんの3倍:2009/09/26(土) 09:38:29 ID:???
ネタSSスレとしては正しい在り方だw
604通常の名無しさんの3倍:2009/09/26(土) 18:13:39 ID:???
ノリが重要だからな、こういうの
まー、あまりノリが良すぎて悪ノリになってしまうとアレだがw
605通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 01:03:40 ID:???
ホンキノラッシュ
606通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 01:06:13 ID:???
パトラッシュ

なんか微妙にコーラさんっぽいよ…
607通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 04:32:46 ID:???
ピンポンダッシュ
608通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 09:41:03 ID:???
無駄無駄ラッシュ
609通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 16:44:27 ID:???
奇面フラッシュ






このスレでの奇面が思い付かん
610通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 16:51:45 ID:???
>>609
顔芸ならコーラさんかな

ラッシュガード
611通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 17:54:38 ID:???
アンドレイに無視されたときの手の形が
どう見ても「うぃっしゅ☆」だった件
612通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 21:35:09 ID:???
ラッシュロッド
613名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/27(日) 22:15:11 ID:???
 女数人寄ると喧しい。
……とは、よく言われることである。
実際その通りで、ちょっと街に繰り出してみても、
喫茶店でも本屋でも、若かろうとそうでなかろうと、女性が集まっていれば、とにかく何かおしゃべりをしている。
まぁ男性だって数人集まれば騒がしいわけだし、別に女性に限ったことではないのだが。
それに、十人くらい集まってずっと無言の女性の集団なんぞ、気色悪くて仕方無いであろう。
「いいお天気ですわね」
「このような日は、お茶が実においしいこと」
 さて、ここにも女性、しかも若い女性が数人集まっている。
揃って『お嬢様』と呼ばれて差し支えない御身分であり、社会に与える影響力も、決して小さくない方々である。
「風が強いのが少し残念ですけれど」
「それにしても、この杏のパイはとても美味ですね」
 で、お嬢様方ってどいつらのことやねん。
そう思われた読者諸兄は、おそらく皆無であろうと推測する。
だって、この物語でお嬢様って言ったら、もう限られてますもん。
「それは、新しく出来たお店で買い求めたものよ、マリーメイア」
 統一政府の外務次官を勤める、リリーナ・ピースクラフト(ドーリアン)。
「新しいお店が出来たなんて初耳ですわ、どうして私を誘ってくれなかったのです?」
 故トレーズ・クシュリナーダの娘で、現在はレディ・アンの元で養育を受けているマリーメイア・クシュリナーダ。
「いけませんわリリーナ様、貴女は政府にとって大切な存在。軽々しく外出などをされては……ね」
 プリベンターの隠れスポンサーの一人、生き方と眉毛が逞しいドロシー・カタロニア。
「何なら私に声をかけてくれればよろしかったのに。私の護衛は無双ですから」
 世界的名家である王家の現当主にて、名うての投資家でもある王留美。
今日は四人、ティー・タイムを共にしているのだった。
リリーナの家のテラスで。


 リリーナ・ピースクラフト。
ドロシー・カタロニア。
マリーメイア・クシュリナーダ。
王留美。
何というか、揃いも揃ったりな面子である、と言わざるを得ない。
単純に家柄という面から見ても、サンクキングダムのお姫様に、
ロームフェラ財団代表のデルマイユ侯の孫娘、その遠縁で“あの”トレーズの子、
社交界だけでなく経済界でも大きな影響を持つ王家の当主と、
ロイヤルストレートフラッシュと表現するべきかそれとも九蓮宝燈か、はたまた三連単特大万馬券かといった感じである。
「こうして皆とお茶を飲める時間が持てることを、感謝しないといけませんわね」
 白磁のティーカップを実に上品に持ち上げると、リリーナは微笑んだ。
ちなみに言っておくと、もちろん彼女たちが飲んでいるのは紅茶、しかも超高級茶葉であるのでよろしく。
プリベンターの粗茶とは違うのだよ、プリベンターの粗茶とは。
614名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/27(日) 22:22:21 ID:???
「誰に感謝を? まさか、神に?」
 王留美はリリーナの言葉に、質問で返した。
この発言、顔も声もやや柔らかく、挑発をしていると言うより、彼女の素と言うべきであろう。
超セレブとして社交界では、望む望まないに関わらず、表情を変えていかなければならない。
挑発をするならもっとそれらしい表情を、彼女はいくらでも作れる。
このリリーナへの態度は、この場では彼女が自分を取り繕っていないことを示している。
 本来なら実の兄が王家を継ぐはずだったものの、その兄が所謂運営や経営等の才に恵まれず、
結果、そちら方面に非凡な才能を発揮した彼女に当主のお鉢が回ってきた。
そしてその兄は、自らの非力を悔い、一人のボディーガードとして彼女の側に付き続けている。
そんな複雑な家庭環境、そして王家の代表というプレッシャー、
さらに、ままならぬ世界に対する一種の絶望感、これらが留美を蝕むのは半ば当然であり、事実、彼女は一時自棄になりかけた。
だが、そんな折、彼女を暴発の危機から救ったのが、リリーナ・ピースクラフトだった。
完全平和主義はとても素直に受け入れられるものではなかったが、何より、リリーナの真摯な態度に打たれた。
自分より過酷な運命に翻弄されながら、決して諦めることなく、心の輝きを保ち続ける少女。
自分に無いものを見つけた王留美は、リリーナに近づくことで、精神のバランスを取り戻した。
無論、その感情は決して単純なものではないが。
「皆に、です」
 そして、そんな王留美にあっさりと答えるリリーナ。
この辺りは、さすがに彼女らしい言葉である。
完全平和主義を説くリリーナにとって、感謝とは、日常における全てのものにするべきことなのだろう。
世の中に対して若干冷めた目線を持っているドロシーや留美では、ここまで『純粋に』、ここまで『気高く』はなれない。
世間知らずの理想家と批判を受ける一方、
強烈に、半ば信仰に近い支持を受けたりと、リリーナの現在の評価が極端なのは、
完全平和主義の中身云々より、こういった彼女の徹底された人間性に寄るところが大きい。
「ならば、私たちはリリーナ様に感謝すべきですわね」
 切れ長の目をさらに薄くすると、今度はドロシーがリリーナに語りかけた。
この個性的過ぎる眉毛を持つ少女は、この面子の中では最もリリーナと縁が深い。
リリーナを尊敬しているが、その半面、どこかリリーナを観察し、また色々とけしかけようと画策している部分もある。
まぁこれでもゼロシステムをほぼ一発で使いこなしちゃったりと、単純な『才能』だけで言えば、この中ではおそらく最強ではあろう。
もっとも、昔ならともかく、今は進んでそちら方面の才能を開放したりはしないだろうが。
「私に? どうして、ドロシー」
「それは決まっていますわ、世界が平和なのも、リリーナ様が頑張っておられるからですもの」
 これ、この物言い。
皮肉、ヨイショ、挑発、その他様々にも取れるこの言葉遣いこそが、ドロシー・カタロニアの真骨頂。
その半面、他者がリリーナに対して非礼(と、彼女が判断した)な態度を取ると怒るのだから、まったく素直じゃないのだ、この娘は。
まぁそれでもベタベタした親友っぷりは彼女の柄ではないので、こういった付き合い方が彼女が出来る最大限の『友達としての態度』ではあるのだろう。
事あるごとに「リリーナ様の一番の親友はこの私」「リリーナ様の一番の理解者」と主張したがるので、本音としてはもっと距離を縮めたいのかもしれない。
615名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/27(日) 22:26:50 ID:???
「でも、それだと政府に勤める人間全ても同じことじゃなくて?」
 ここでさらに横合いから、鼻で嗤うかのようにマリーメイア・クシュリナーダが口を挟んだ。
この中では最年少、未だ10歳にもならない、文字通りの少女だが、
祖父デキム・バートンが幼い頃より洗脳教育を施してきたため、知識面でも精神面でも並の大人では太刀打ち出来ないものを持っている。
言葉遣いこそは丁寧だが、態度がどこか尊大なのは、その名残である。
現在はレディ・アンの元ですくすくと成長しており、もしプリベンターが組織として続くようなら、
いずれレディ・アンに代わってその代表の役に就くことになる可能性もある。
もちろん、マリーメイア自身がそう望めば、だが。
「リリーナ様は特別よ、マリーメイア・クシュリナーダ」
「そういった特別扱いこそが、リリーナさんが最も嫌うものじゃないかしら?」
「特別かそうではないかは、個人個人の考え方によるものだわ。また、意味合いも変わってくる。リリーナにだって特別な人がいるかもしれなくてよ?」
 ドロシーは「様」、マリーメイアは「さん」、留美は敬称無し。
呼び方がこのように違う三人だが、大きく共通する点が一つある。
それは、「リリーナに会ったことで、人生が変わった」ことである。
王留美は先述の通り、全てを投げ捨てる直前にリリーナに出会ったことで、再び『王留美』としての人生に立ち戻ることが出来た。
ドロシーは戦争を憎むが故に暴走しかけたが、リリーナに出会ったことで、争いを更なる争いで打ち消すことの無意味さを悟った。
マリーメイアはトレーズの娘という拠り所を持って世界を征服しようとしたが、リリーナに出会ったことで、デキムの傀儡に過ぎないことを知った。
それぞれ経緯は違うし、リリーナの方に明確に「この人を救おう」という意思があったわけでもない。
ただリリーナはリリーナとして彼女たちに接し、その結果、彼女たちが悪夢から目覚めた。
「リリーナ様に特別な人……?」
「リリーナさんに特別な人……」
「……リリーナに特別な人」
 ドロシー、マリーメイア、留美はリリーナに視線を集めた。
これが漫画なら、彼女らが首を動かす時に、間違いなく『ギギギ』という擬音が付いていたことであろう。
「えっ!?」
 同時に三人から意味ありげな目線を突き付けられて、リリーナは驚いた。
手にしていたティーカップがガチャンという音を立ててソーサーとキスをするが、幸いに割れることはなかった。
もしヒビでも入っていたら、リリーナの執事であるパーガンが悲しんだことであろう。
この白磁のティーカップ、かつてピースクラフト家からドーリアン家に贈られたもので、リリーナにとってもパーガンにとっても大切なものだからだ。
「リリーナ様、皆まで言わずともわかっていますわ」
「まずは、リリーナさんのお兄さんであるミリアルドさん」
「そしてもう一人は……」
 三人の目が、すっと細くなる。
社会的立場はどうあれ、彼女らはまだ若い女の子。
自分だけではなく、他人の色恋も気になる落とし頃、じゃないお年頃なのだ。
「ヒイロ、ですね」
 で、ぽんと答えちゃうリリーナ。
確かに最初驚きはした。
したが、ここで赤面してシドロモドロしちゃったりしないのがリリーナというもの。
そんな少女漫画のお約束的展開、この人に通用したりしませんとも。
616名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/09/27(日) 22:30:03 ID:???
「……あっさりですね、リリーナ様」
「お熱いことですわ」
「ここまで素直に認められると、こちらとしても何を言っていいかわからないわね」
 プリベンターに所属しているヒイロ・ユイとリリーナの間には、色々と簡単には語りつくせないことがあった。
だが、今は『恋人』と軽々しく呼べるような関係ではないものの、心は確かに繋がっている。
張五飛がリリーナの危機(嘘情報)を世界に流した時、行方を晦ましていたヒイロは早速姿を現した。
そして世界を裏から守ることはリリーナを守ることに繋がると判断し、プリベンターに加入した。
リリーナはリリーナで、ヒイロの想いをありがたく思いつつも、ヒイロが任務で危険な目に合わないか常に心配でしょうがない。
そんな二人の関係を、デュオ・マックスェルはこう表現したものだ。
「触れようと思えば触れられる程近くに居る癖に、言葉一つ交わすのにわざわざ地球を一周遠回りしている」と。
なお、現在絶賛新婚旅行中の某人も二人について語っているが、
「面倒臭いんだな。俺に相談すりゃ一発で解決だぜ」とのたまい、ヒイロから無視されたことを付記しておく。
さらにこの後某人は「一発で解決ってのはつまりベッドでいっぱ」と続けて、
ヒルデ・シュバイカーとサリィ・ポォによってフライパンで後頭部と顔面をクロスボンバーされ、昏倒しているが、これは余談に過ぎるかもしれない。
「ヒイロ……」
 憂いを瞳に忍ばせて、リリーナは空に浮かぶ雲を見上げた。
プリベンターは今日、出動中。
一般の人々からは見えないところで、世界を守っている。
プリベンターが世界から必要とされなくなる時、それこそが、ヒイロ・ユイが解放される時。
それを目指して、完全平和主義をリリーナは推し進めていかなければならない。
その道中が、いかに厳しいものであろうとも。
掲げた旗は、例え破れても、降ろすわけにはいかない。
「さぁ、そろそろ中に戻りましょう、本当に風が強くなってきましたわ」
「そうですね、リリーナさんは大事な体、風邪をひいては」
「私はそろそろお暇しようかしら。この後、新設のマスドライバー関係で話し合いがあるので」
 三人に促されて、リリーナは腰を上げた。
そして、もう一度空を見上げた。
先程と同じ場所、そこにはもう、さっきあった雲は無かった。
風に吹き散らされて。



 プリベンターとパトリック・コーラサワーは来週やっと出番ですよ―――


 >>612、ヤッサバ隊長で時間停止のオーバースキルですねわかりますコンバンハ。
とある理由でこの面子には某王女様は入れませんでした、まぁ後々ほにゃららサヨウナラ。
誤字脱字ありましたら申し訳ありません。
617通常の名無しさんの3倍:2009/09/27(日) 23:24:56 ID:???
土曜氏乙です。
あの人のこと、すっかり忘れてたw
618通常の名無しさんの3倍:2009/09/28(月) 16:40:09 ID:???
保守
619通常の名無しさんの3倍:2009/09/28(月) 23:09:45 ID:???
土曜日さん乙!!
来週コーラさんの出番ですか、色々と楽しみですw
620通常の名無しさんの3倍:2009/09/29(火) 09:51:25 ID:???
乙です
ようやく俺たちのヒーローが……
621通常の名無しさんの3倍:2009/09/30(水) 07:23:32 ID:L2b+e1ER
ほしゅまー
622通常の名無しさんの3倍:2009/09/30(水) 07:27:09 ID:???
どもん・ほっしゅ
623通常の名無しさんの3倍:2009/09/30(水) 07:38:36 ID:???
下げ忘れるとは…ちょっとずんぼりキャノンに蜂の巣にされてくる
624通常の名無しさんの3倍:2009/10/01(木) 01:49:42 ID:???
勝利の美保守
625通常の名無しさんの3倍:2009/10/02(金) 07:13:00 ID:???
金寿
626通常の名無しさんの3倍:2009/10/02(金) 19:02:03 ID:???
ガンクロ倉庫にも着実に追加されていってるな
まとめ人GJ
627通常の名無しさんの3倍:2009/10/03(土) 17:54:54 ID:???
これくらい過疎ってるほうがのんびりできていいかなー
しかし、映画のコーラの情報が欲しいな
628通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 13:41:49 ID:???
映画を見ていると、動体視力では見えないけれどコーラサワーの画像が
たまに流れて、みんな売店でコーラを飲みたくなるんだよ、きっと。
629通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 18:15:07 ID:???
キャラ改変SSは住人の受けが結構極端に分かれるんだが…ここはそうでもないよな
コーラサワーの人徳と言うべきかッ・・・!
630通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 19:09:46 ID:???
00の第一話直後からスレが続いてるんだ、しかも脇役が主人公で、かつクロスなんだ
コーラサワーの特異性がわかろうというものだ

正直、出番が少ないと言われても、ここまで「扱いがよい」キャラってガンダムの中でもそうはいないぞ
エクシアの初戦の相手で、物語の主軸である世界・人類の変革には何ら関わりなく、生き残って想い人と結ばれて…
一期の頃は絶対あっさりと退場すると思ってたもん、本当、コーラサワーを好きでよかったよ
631名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/04(日) 21:22:48 ID:???
諸事情により投下は明日に順延します。
出張→酒盛り→超ヨッパラーな状態なんで何書くか自分でもわかりゃせんですので。
632通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 21:32:00 ID:???
お大事に〜!

つ 新三共胃腸薬
つ あさりの味噌汁
633通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 21:38:46 ID:???
コーラは憎めないキャラだからねw
634通常の名無しさんの3倍:2009/10/04(日) 21:39:41 ID:???
>>631
お待ちしております、体に気をつけて!
635通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 02:08:27 ID:???
>>632
肝臓に良いのはこっちだよ

つ しじみの味噌汁
636通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 09:50:42 ID:???
つしめじの味噌汁

ジョシュア「俺を見るな!」
637通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 09:52:31 ID:???
エリンギ入れっぞコラw
638名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/05(月) 21:41:13 ID:???
 都会に住んでいると、微妙に田舎というものに対しての憧れが沸く。
街の喧騒とは無縁の、自然と共にある世界。
木々を揺らす風の音を聞き、空に溢れる太陽と星と月の光に目を細め、
川のせせらぎに素足を委ね、土の香りに心を癒す。
ビバ、ネイチャー!
守れ熱帯雨林、守れ綺麗な海!
人間よ、今こそ自然に回帰せよ!
 ……えー、まぁ何というか、隣の芝生は青いみたいなもんで、
勝手に幻想を作って有り難がっているだけだっちゅー話ではある。
確かに都会と田舎の差というものは、現在でも厳然としてある。
どちらにも良いところと悪いところ(つまりは住み易さ、暮らし易さ、過ごし易さのハナシ)があり、
一方的に『桃源郷』として崇めたてまつるものでは決してない。
それこそ、全人類が地球から離れて、コロニーで暮らすようにでもなれば違ってくるかもしれないが。
かつてエライ人も言っていた、「オラこんな村嫌だ」と。
 で、何の話って、パトリック・コーラサワーのことである。
彼は長年の恋を実らせ、元上司のカティ・マネキンと結婚した。
そして、新婚旅行に出て、はや二ヶ月。
カティと共に、世界中の自然豊かな地を中心に色々と巡っているとのことで、
カティはともかく、コーラサワーに自然の良さの何たるかがわかるのだろうか、と真剣に悩んでしまうわけだが、
ある意味彼も野生児っちゃ野生児なわけで、結構癒されちゃったりしているのかもしれない。
しかし二ヶ月も休み、そんだけ職場から離れるのを許すなんてプリベンターって何て寛容的なんでしょう……とは思ってはイケナイ。
ぶっちゃけ、通常業務においては、パトリック・コーラサワーの存在なんぞたいして役には立っていない。
非常事態においてはかなりの活躍を残しているが、要人の護衛であったり、危険物の処理であったり、
そんな地味(本当は地味でもないんだが)な仕事においては、ほとんどプラスになっていはいないのだ。
本部に留守番で残される率の異様な高さこそが、それが事実であることを如実に物語っていると言える。
普段は使わないがいざという時には、と考えると、何だかカバー付きの赤ボタンみたいな人間である、コーラサワー。
……ここで一瞬で『カバー付き赤ボタン』が想像出来た人は、結構アニメに毒されています。
何かあれ、分類上では『男のロマン』の範疇らしいです。
本当かどうかは知りませんが。

「よーう、スペシャル様が帰ってきたぞー!」
 そして今日、とうとうと言うか何と言うか、帰ってきちゃったのである。
「寂しかっただろ? このコーラサワー様がいなくて」
 新婚旅行から、プリベンターに。
639名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/05(月) 21:45:57 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「……ああ、おかえり」
「んー? 何だあ? みつあみおさげ、その冷めた態度」
「返事をしてやっただけでもありがたく思えよ」
「おいおい、このスペシャル様が帰ってきたんだ、紅白の幕に紙吹雪、ついでにくす玉のお出迎えがあってもいいだろ」
「何でそんなムダなことせにゃならん」
「ムダとは何だムダとは、それくらいしてシカルベキだろ!」
「俺は今、むしょうにお前を叱るべきかと考えてるよ」
 ああ、実に久しぶりである、コーラサワーとデュオ・マックスウェルの会話も。
実年齢にして二十歳近く違っているのに、それを全く感じさせないこの漫才然としたやりとりは、
プリベンターの名物の一つと断言してしまってもいいかもしれない。
まぁ、何度でも何度でも(中略)何度でも言うが、デュオはそんなんで褒められても全く嬉しくないわけだが。
「まあ、いいや」
「いいのかよ」
「結婚した身としては、くだらねえことで喧嘩はしないもんだ。何せスペシャルだからな!」
「結婚とスペシャルとは全然関係ないな」
 デュオのツッコミを受け流す(と、言うか聞いてない)と、コーラサワーは大きな風呂敷包みをドサリと机の上に置いた。
机には湯呑みの何も置かれていなかったので被害はなかったが、これがお茶の時間であったなら、
きっとヒルデがキレてフライパンの一つや二つもコーラサワーに投げつけていたであろう。
「新婚旅行のお土産があるんだよ、一人ひとりに」
「ほー、お前としちゃなかなかの心がけだな」
「当たり前だろ、何てったってスペシャルだぞ」
 だから何がスペシャルだ、とデュオは喉まで出かかったツッコミを飲み込んだ。
せっかくくれるというのだから、そこはありがたく貰っておけば良い。
文句や苦情は、受け取った後に言えばいいのだ。
どうやらデュオ以外の面子も同じ考えのようで、特に抵抗もなく、コーラサワーからお土産を受け取る雰囲気になっている。
もっとも、その目は全く輝いてはいなかったが。
いや、若干一名、オタクの彗星ことツインロール・ミレイナ・ヴァスティがワクワクした表情になっている。
これはおそらく、生来の純真さ(?)と、コーラサワーとの付き合いが他のメンバーより短いことが理由であろう。
まだ14歳、お土産というものにまだまだ期待を抱く年齢では、あるっちゃある。
「よし、ちんちくりんにはこれだ」
「何だこれは」
「ジャージだ」
「ジャージ?」
「ああ、だってお前、いつでもそんな涼しそうな格好しているからな」
 ヒイロ・ユイにコーラサワーが手渡したのは、ジャージだった。
色は青で、模様の一つも入っておらず、良く言えば実用性に富み、悪く言えばダッサダサのイモジャーである。
多分これを着たからって、S.A.S.と追いかけっこしても負けないくらいにもの凄い速さで走れたりはしないであろう。
「で、坊っちゃんにはこれ」
「……何です?」
「カモンキャットってんだ。金運上昇のお守りらしいぞ」
「ああ、招き猫ですか」
「坊っちゃん家の商売が上手くいくように、ってな」
 カトル・ラバーバ・ウィナーにコーラサワーが手渡したのは、招き猫の置き物だった。
三毛猫の柄で、腹に抱えた小判には『千万両』の文字が書かれている。
ウィナー家は十分お金持ちで、経営も安定しており、今更招き猫に頼らなければならないことは全くないのだが。
640名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/05(月) 21:47:54 ID:???
「前髪にはこれだ」
「……?」
「プロレスラーのマスクだ」
「マスク?」
「ああ、これを着けてサーカスに出たらきっと受けるぞ」
 トロワ・バートンにコーラサワーが手渡したのは、プロレスラーの覆面だった。
額の部分に『M』の文字が縫いこまれており、誰がどう見たってミル・マスカ○スの覆面そのものである。
トロワがサーカス時代にピエロのマスクを着けていたことからこれを選んだのだろうが、ぶっちゃけ大きく場外にファウルと言わざるを得ない。
「みつあみおさげにはこれ」
「何、この紐」
「ドラゴンの髭だ」
「……竜の髭?」
「それでおさげを縛れば、ハゲにならないらしいぞ」
 デュオ・マックスウェルのコーラサワーが手渡したのは、一本の紐だった。
どこからどう見ても、竜の髭には全く思えない、チンケなものである。
デュオは別に水を被ると女になるわけでもないのだが、どこでどう考えたらこんなお土産にしようと思いつくのか、この男は。
「五飛には、こいつ」
「……プラモデル?」
「ああ、何だかマニア垂涎の逸品らしいぞ」
「ガン……ガル?」
「300年も昔のもので、当時でもなかなか手に入らなかったとかナントカ」
 張五飛にコーラサワーが手渡したのは、『モビルフォース ガンガル』と名前のついたプラモデルだった。
箱絵がまたシュール極まりなく、ご立派に背中にウイングを背負っているが、とても強そうには見えなかったり。
確かに五飛はグラハムに感化されて以来、プラモデルに興味を持ってはいるが、別にここまで深いマニアではない。
「オデコ姉ちゃんズには、まとめてドーンとプレゼント!」
「……何よ、これ」
「私、いらない」
「わー、でもある意味、ネタグッズとしてはありがたいですぅ」
 サリィ・ポォには『精神根性注入』と書かれた肩叩き棒。
ヒルデには『お江戸』と書かれたペナントとミニ提灯。
ミレイナには東京タワーと大阪城の置き物。
コーラサワーが彼女らに手渡したのは、ベッタベタ、お土産の定番中の定番のシロモノばかりだった。
何かもう、考えるのすら箒、もとい放棄しているように思えてならない。
「ナルハム野郎にはこいつだ」
「む、私にもあるのか」
「ほらよ、これだ」
「何と、ぬいぐるみとは……しかし、赤備えの兜とな!」
「サムライかぶれのお前にはピッタリだろ」
 グラハム・エーカー(今日はブシドーモードではありません)にコーラサワーが手渡したのは、赤い兜を被った猫のぬいぐるみ。
どっからどう見ても彦根城のアレである。
それ以外のナニモノでもない。
「ふむ、猫のぬいぐるみにすら兜とは、やはりモノノフの文化は未だに息づいているという証拠であるな!」
「喜んでくれて何よりってもんだ」
「うむっ、気に入ったぞ。グラハム・エーカー、素直に礼を言う!」
 もう武士と関係しているなら何でもいいのかよ、とツッコミを入れたくなるが、まぁ当人が喜んでいるからヨシとしておくのが吉なのであろう。
山奥の滝に打たれて修行してきた割には、何か成長の欠片もない気もせんでもないが、
おそらくは精神よりも技方面に磨きがかかったんでしょう、このお方は。
多分、次の戦闘辺りに新技が出るよ、回転剣舞六連とかそんなの。
641名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/05(月) 21:52:54 ID:???
「えーと、それでアラスカ野にはだな」
「え、俺にもくれるのか?」
「ああ、そのつもりだったんだけどよ」
「ん?」
「悪い、買って帰るの忘れた」
「ええええー!?」
「でもそれじゃ悪いと思ってな、ほい」
「……何、これ」
「ここに来る前に角のコンビニに寄ったんだけどな、そこで買ったオニギリだ。お前、鮭が好きだったろ」
 アラスカ野ことジョシュア・エドワーズにコーラサワーが手渡したのは、コンビニのオニギリ。
もうお土産でも何でもない、ひたすらに哀れなり、ジョシュア。

「あと、レディ・アンにも買ってきたぜ。目尻のシワを取る化粧水」
「お前、ぶっ殺されるぞ」
「何か出張中でいないそーじゃねーか、彼女。仕方ないからオデコ娘三号、お前に預けるから渡しといてくれ」
「絶対イヤですぅ、そんな、キレたヒーローに真正面から突っ込むザコボスみたいなことしたくないですぅ」
「まーそう言うなよ。あ、そーだオデコ娘二号、お茶の準備してくれ」
「何でよ」
「一応、食いモンもお土産で買ってきたんだよ。ほい、クサヤにイカの塩辛、海苔佃煮、奈良漬け、千枚漬け、水茄子の浅漬け」
「お菓子じゃねーのかよ!」
「ご飯の友、って感じですね」
「ヒイロ、トロワ、取りあえず一発殴っておくか?」
「五飛、お前は右からいけ。俺は左からいく」
「なら俺は腹にしておこう」
「じゃあ私はせっかくだから、この精神根性注入棒で後頭部にしておこうかしら」
「ふむ、この緩やかな表情の中に潜むサムライとしての輝き……良きぬいぐるみだ、部屋の神棚に飾らせてもらおう!」
「……ああ、鮭うめぇ、うめぇよ……シクシク」
 パトリック・コーラサワーが帰ってきて、一気に賑やかになるプリベンター。
この男が、良くも悪しくも、ムードメーカーであるのは間違いない。
「お土産はモノだけじゃねーんだ、あのな、南の島でちょっとした盗掘騒ぎがあってだな」
「聞きたくねーよ、お前の土産話なんて誰も」
 何はともあれ、彼は戻ってきた。
結婚しても全く変わらない、以前と同じままで。
「まあ聞けよ、ちょっと忘れものしちゃってよ、港に行くのが遅れたんだが、その間に……」
「ヒルデ、キッチンの棚に煎餅が残ってたはずだ、それを出してくれ」
「お茶は玄米茶でいい? デュオ」
「おい、聞けよ!」
「聞かねえよ!」
 そして、第三部の本当の幕が、今、上がる。
実に、騒々しく。


 ……なお、コーラサワーが買ってきたお土産だが、
ギリギリまでお土産そのもののことを忘れており、最後に立ち寄った経済特区東京の空港で一気に買い集めたものである。
カティ・マネキンからレディ・アン経由でプリベンターにその情報がもたらされた時、一悶着起こるのだが、それはまた、別の話。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅がまた始まる―――
642名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/05(月) 21:53:44 ID:???
 コンバンハ。
本当の幕が、とか大見得切った割にはなんも考えていませんサヨウナラ。
643通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 22:17:28 ID:???
土曜日さん、乙です!
コーラお帰りィ──イヤッフー!
いやーすごい懐かしい雰囲気ですわwww
644通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 22:21:30 ID:???
土曜氏さん乙! 二日酔いはないですかい。
コーラさんが帰ってくると一気に賑やかになるなあ
ハムさんもだけど。ジョシュアやっぱり貧乏くじ、でもおにぎりが実は一番
迷惑じゃない希ガス…あとはいわゆる「いやげもの」w
645通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 22:29:53 ID:???
デュオは水を被ると女じゃなくてアヒルになるからなw
646通常の名無しさんの3倍:2009/10/05(月) 23:09:22 ID:???
>回転剣舞六連
るろ剣の蒼紫の技だっけ?w
647通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 04:31:25 ID:???
ブシドーなら天翔龍閃も使えそうだ
648通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 07:13:35 ID:???
土曜日氏GJ

>>644
彦にゃんはグラハムも喜んでいるし
相手によってはいやげものじゃないと思う
649通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 14:52:54 ID:???
土曜氏乙ー
コーラさんお帰りィー!
ジョシュア涙目──!!
650644:2009/10/06(火) 15:09:13 ID:???
>>648
それは彦にゃんにすまなかった
せんとくんだったら怒っただろうか
日本テイストのものは全部おkだろうか
651通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 17:18:17 ID:???
>S.A.S.と追いかけっこしても負けないくらい

ザwwカwwエwwフww
652通常の名無しさんの3倍:2009/10/07(水) 12:47:05 ID:???
模倣氏
不定期氏
水曜氏

お元気ですかー
653通常の名無しさんの3倍:2009/10/08(木) 20:06:51 ID:???
654通常の名無しさんの3倍:2009/10/08(木) 20:10:09 ID:???
655通常の名無しさんの3倍:2009/10/09(金) 02:10:04 ID:???
656通常の名無しさんの3倍:2009/10/09(金) 21:14:37 ID:???
657通常の名無しさんの3倍:2009/10/09(金) 21:21:27 ID:???
ふくしゅう
658通常の名無しさんの3倍:2009/10/09(金) 21:22:18 ID:???
ジ予習ア・エドワーズ
659通常の名無しさんの3倍:2009/10/10(土) 08:48:56 ID:???
どようびのにゃんこに出てきたぬこの名前がカティだったw
660通常の名無しさんの3倍:2009/10/11(日) 17:06:36 ID:???
いつの間にか登場キャラが結構な数になったな
しかし、スレが始まってから二年以上か…
661名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/12(月) 00:23:06 ID:???
「ああ、うめー! サイコーにスペシャルだ」
「うむ、サムライのテイストがする」
「鮭うめえ」
「三人とも、もうちっと上品に食べてくれよ」
 パトリック・コーラサワーが新婚旅行から帰還してこっち、プリベンターは暇である。
細々とした仕事はもちろんあるし、ビリー・カタギリが作ってくれた新型MS(ミカンスーツ)のテスト等もあるものの、
基本、大きな事件もなく、平穏な日々を過ごしている。
もっとも、プリベンターの長であるレディ・アンは何かと忙しく、
また、アザディスタンの謎集団事件や、
それに絡むカタギリ研究所(もうこの呼び方でいいや)のハッキング事件についても独自のルートで情報があったらしいが、
デュオやヒイロをはじめ、プリベンターのメンバーには何も言ってきてはいない。
サリィ・ポォもまだ知らないとのことで、おそらくレディのもとにある情報は未だ確定的なものではないということが伺い知れる。
いずれ、白なり黒なりが判明したら、メンバーの全員にレディから何かしらの報告が来るであろう。
そしてその時こそ、コーラサワー等が加わって以降では初めての大仕事が動き出すはずである。
「坊っちゃん、醤油取ってくれ、醤油」
「私にはワサビを別で頼む」
「鮭うめえ」
「……がっつくな、お前ら」
 で、今現在、プリベンターが何をしているのかと言うと。
「ネタとシャリの合わせ技スペシャル一本、て感じだな!」
「このイカなぞ、歯ごたえが実に良い。良いと言った!」
「鮭うめえ」
「まだまだ、模擬戦二千回不敗のスペシャル様の俺には、この程度はほんの序の口だ」
「エビも実に美味! センチメンタルで乙女座な私の腹には丁度良い!」
「鮭うめえ」
「喋りながらでないと食えないのか!」
 寿司を食っているのであった。
本部で。
662名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/12(月) 00:27:14 ID:???
 ◆ ◆ ◆

 そもそも、何故彼らが寿司を食べているのか。
発端は、数日前にさかのぼる。
 その日、コーラサワーは定時で実務を終え、本部から退出した。
実務と言ってもほとんどがサリィとヒルデ、カトルの仕事であり、彼の手元にはほとんどない。
あってもせいぜい始末書を書かねばならないくらいである。
超現場型の彼に机仕事をさせても、ぶっちゃけた話、職場の能率的にはプラスにならないどころか大幅にマイナスなのだ。
で、愛しい妻が待つ新居へとコーラサワーが帰る途中、道で倒れた男性に出会った。
さすがにほったらかして通り過ぎる程、コーラサワーも鬼ではない。
「どーしたじいさん」と助け起こしてみれば、額に脂汗を浮かべ、腹を抱えてウンウンと唸っている様子。
こりゃ何かの病気だ、と判断した彼は、すぐに救急車を呼んだ。
そして男を引き渡して、「いーことしたぜ」と口笛吹きつつ帰ったわけだが、その翌日、プリベンターに一本の連絡が届いた。
コーラサワーが助けた男は、街でも有名な寿司屋の店主だったのだ。
この時代においては、寿司は『低脂肪で健康的』な食べ物としてすっかり定着しており、
日本独特の文化食品といったオモムキは既になく、世界中に店がある。
で、病院に担ぎ込まれたその寿司屋の店主は、どうやらもう少し手当が遅かったら命が危なかったらしく、
命の恩人として、コーラサワーに何かお礼がしたいとのことだった。
ここで「別に気にするな、当たり前のことしただけだ」と答えていれば、それこそカミーユ、もとい美談で済んだわけだが、
そんなことコーラサワーさんが言うわけない。
「そーか、寿司職人だったのか。なら、美味い寿司でも食わせてもらいたいぜ!」と即答で返してしまい、
向こうも向こうで、「すぐにでも、ウチの若い連中に握らせます」と応じてしまったもんだからさぁ大変。
そういうわけで、それから連日、プリベンターには昼時に寿司が店から届けられるようになった。
つうか、なってしまった。
「おいアラスカ野、お前、ずーっとサーモンばっかりだな」
「いかんぞジョシュア! 男子たるもの、寿司ネタの選り好みをしていては!」
「鮭うめえ」
 ネタは上物、量もそれなり、さらにコーラサワーが頼めば何だって握ってくれる。
ありがたいことはありがたいのだが、世界の平和を裏から守る公的組織としては、あんまり奉仕されても困るっちゃ困る。
「くーっ、このウニの風味! たまんねーな」
「このタコも、コリッとした部分が残っていて実に美味い」
「ああ、鮭うめえ」
 コーラサワーとグラハム、そしてジョシュア。
まったく遠慮というものを感じさせず、ひたすらに寿司を食いまくっている。
三人ともちゃんと箸を使っているあたりは感心だが、問題はやっぱりそのがっつき加減にある。
「向こうだって商売なんだぞ。そろそろ恩人のお前から断りの連絡をいれとけよ」
「あー? 別にいいじゃねえか、向こうが望んでるんだから」
「だからってこのままずーっと昼食を提供してもらうわけにはいかないだろ」
「あー、わかったわかった、じいさんには言っとく」
「本当か?」
「あと一週間は堪能してからな」
 貰えるものは貰う。
そこに何ら抵抗感を覚えない推定34歳、既婚。
これでいいのだろうか。
663名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/12(月) 00:29:00 ID:???
「良くない」
 頭の中で問答し、思わず反語を使ってしまうデュオ。
しかし、彼も実際、寿司を食べているわけで、あまり強いことは言えないのも事実だったりする。
と言うか、プリベンター全員がいただいちゃっている。
もちろん、三人のオバカーズ以外は、ちゃんと節度をわきまえてのことだが。
「ですけど、デュオ」
「何だ、カトル」
「あと一週間というのも期間的にいいかもしれませんよ。その辺りが、お礼の区切りがつけやすい頃だと思います」
「時間的な問題はいいんだけど……」
「……量的な問題は、確かにちょっと自重してもらいたいですけどね」
 とにかくコーラサワー、グラハム、ジョシュアの三人は食いまくる。
いくらローファットな食品とはいえ、これだけ腹に詰め込んでたら間違いなく体に良くはないはずである。
「カリフォルニアロールも美味いな!」
「むっ、私はそんな邪道は好きではない」
「鮭うめえ」
 イカ、タコ、エビ、トロ、ウニ、イクラ、穴子、つぶ貝、はまち、サーモン、
ネギトロ、カニミソ、タイ、コハダ、納豆巻き、カッパ巻き、その他諸々。
安い回転寿司でもここまで食えない、そんな勢いで三人はとにかく箸と舌を動かす。
「そういや、何時ぞやのカニの時もまったく遠慮してなかったな」
「ああん? 何か言ったか?」
「何も言ってねーよ」
 デュオは溜め息をひとつつくと、熱いお茶を喉の奥へと流し込んだ。
三人の腹が壊れるのが先か、それとも店が音を上げるのが先か。
コーラサワーが助けた店主が退院してきた時、店が傾いていたら、本末転倒と言う他ない。
「やれやれ」
 溜め息をもう一回つき、デュオは茶を飲むのだった。
いい加減、三人のペースに慣れつつある自分に、ちょっと悔しさを覚えながら。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの悔いねえ寿司食いねぇは続く―――



 コンバンハ。
リボンズ軍団とのバトルもぼちぼち考えていかんといけませんねサヨウナラ。
664通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 00:30:55 ID:???
土曜日氏乙!
アラスカ野wwwww
665通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 00:37:24 ID:???
ジョシュア鮭しか食ってないwwww
土曜日氏乙です!
666通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 01:24:50 ID:???
土曜氏乙!
寿司食べたくなっちゃったよ。
やっぱりコーラさんがいると和む、いや緊張感がなくなるなあ……

いい歳したそれなりに美形の外国人が
ひたすら寿司むさぼり食ってるとこ想像して笑った。
やはりジョシュアの鮭がw
コーラさんなら納豆巻きもきっと余裕だ。GJ!
667通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 15:09:02 ID:???
アラスカならサーモンじゃないかと思うが変わらんかw
668通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 17:34:06 ID:???
乙!
ジョシュアどんだけ鮭好きなんだよwww
そして自重しないコーラさんさすがだwww
669通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 21:48:53 ID:???
寿司が食いたくなってきたなあw
670通常の名無しさんの3倍:2009/10/12(月) 23:48:28 ID:???
なんだかんだで結構住人いるんだな、このスレ
671通常の名無しさんの3倍:2009/10/13(火) 20:14:56 ID:???
保守
672通常の名無しさんの3倍:2009/10/13(火) 20:18:20 ID:???
お酢
673通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 12:32:43 ID:???
モス
674通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 17:05:44 ID:???
BOSS
675通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 17:45:08 ID:???
おい、モスバーガー食いたくなったぞどうしてくれる
676通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 22:22:43 ID:???
ごめん…
俺んちの近く、マクドナルドしか無いんだ…
677通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 22:28:53 ID:???
でっかいマッシュルームのバーガーはちょっとそそられる
678通常の名無しさんの3倍:2009/10/14(水) 23:11:25 ID:???
寿司とかバーガーとか小腹のすく時間帯になんてこといいやがるんだぁああ
はああ…食いてえ
679通常の名無しさんの3倍:2009/10/15(木) 09:21:37 ID:???
グラハム「おい、バーガーが小さいぞ。どういうことだ、材料をケチっているのかこの店は!?」
ヒイロ「日本サイズをアメリカンサイズで語るな」
680通常の名無しさんの3倍:2009/10/15(木) 09:46:54 ID:???
なにをどれだけ食べてもコーラさんは太らんだろうな
681通常の名無しさんの3倍:2009/10/15(木) 10:12:12 ID:???
スーパーサイズ・ミーか
682通常の名無しさんの3倍:2009/10/16(金) 18:15:30 ID:???
ホース
683通常の名無しさんの3倍:2009/10/16(金) 18:24:10 ID:???
ホル・ホース
684通常の名無しさんの3倍:2009/10/16(金) 18:26:34 ID:???
コーラ「俺は誰よりも強し!ンッン〜こいつは名言だな!」
685通常の名無しさんの3倍:2009/10/17(土) 15:02:00 ID:???
没収
686通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 09:49:31 ID:???
コーラサワーさんボッシュートです
687通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 12:03:57 ID:???
もし「結婚したい男性ランキング」とかあったら
以外とコーラは上位に入りそうだな。
688通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 13:38:07 ID:???
以外でもないんじゃね?
689通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 14:46:29 ID:???
それを言うなら意外だw
あの性格をどう捉えるかで評価が分かれるところだろうなあ。
だから1位にはならず5位から10位辺りと予想。

690通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 21:22:37 ID:???
5位から10位か、納得ww
691名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/18(日) 22:46:06 ID:???
「そう言えば、スペシャルさんはコーラサワーのまんまなんですかあ?」
 ミレイナ・ヴァスティがそうパトリック・コーラサワーに質問したのは、お茶の時間が始まってすぐのことだった。
シーリン・バフティヤールの後を継いでレディ・アンの秘所、じゃない秘書を務めている彼女は、
午前の仕事が終わるとプリベンターの本部に顔を出し、午後のティータイムを皆と共にするのが日課となっている。
歳は未だ15を越えず、趣味がとにかくオタクロードまっしぐらな彼女であるが、
各種資格を数々モノにした才女であり、十分立派にレディ・アンの秘書という大役をこなしている。
こうやって遊びに来るのは、プリベンターのメンバーの大半が彼女と年齢が近いということもあるが、
彼女にとってそれなりに居心地がいいからであろう。
「どういう意味だ、オデコ娘三号」
「だってスペシャルさん、結婚をしたですぅ」
 つまりは、姓が変わっていないのか、ということ。
コーラサワーの妻であるカティ・マネキンは、元AEU軍の優秀な戦術予報士として名を馳せた女軍人。
果たしてカティ・コーラサワーになったのか、それともパトリック・マネキンになったのか。
「別に二人ともそのまんまだ。強いて言うなら、パトリック・コーラサワー・マネキンってとこかな」
 この時代、夫婦の別姓は当たり前のことになっている。
無理にどちらかの姓に統一しなくても、社会制度上問題はない。
「そうなんですか。てっきり、奥さんはコーラサワーって姓を嫌がっていると思ったですぅ」
「そんなわけねーだろが」
 胸を張るコーラサワー。
しかし、周囲の面子、デュオ・マックスウェル、ヒイロ・ユイ、張五飛、カトル・ラバーバ・ウィナー、
トロワ・バートン、ヒルデ・シュバイカー、ジョシュア・エドワーズは心の中で瞬時にツッコんでいた。
いや、嫌がりまではしなくても迷いはしただろうよ、と。

 ◆ ◆ ◆

 現在、プリベンターで妻帯者はコーラサワー一人のみ。
レディ・アンを含むメンバーの中では最も年齢が上なので、その点は別におかしなことではない。
おかしなのは、このどこまでもマイペースな唯我独尊男が『結婚出来た』ことにある。
しかも相手が美人の上超才女とくれば、いくら恋愛が理屈ではないとは言え、もうお前そりゃ詐欺だろの範疇である。
「コーラサワー家は別に名家じゃないんだろ? 姓にこだわる必要もないだろうが」
 デュオがややイジワルな口調でコーラサワーを突くが、そんなもんでダメージを受けるコーラサワーではないのは周知の事実。
そもそも、コーラサワーという姓自体、全人類を探しても彼の一族以外にどれだけあるか。
あっても、おそらく片手の指で足りるであろう。
「何言ってやがる、コーラサワー家は超名家だぞ」
「そうなのか?」
「ああ、人類始まって以来続く由緒正しい血統だ」
「……そりゃそうだな、間違いない」
 デュオは素直に頷いてみせた。
茶々を入れる気力も失せたからだ。
腎臓人間、じゃない人造人間でもない限り、どの男も女も、人類誕生からずっと血は繋がっている。
「婆ちゃんの話だと、先祖の一人はあのナポレオンの将軍として活躍したらしいぞ」
「……マジかよ」
 ナポレオンの部下というと、軍事と行政に手腕を奮ったダヴー、勇猛な騎兵指揮官であったミュラ、勇者の中の勇者と言われるネイ、
ナポレオンに最も優れた指揮官と評されたスーシェ、フランス史上六人しかいない大元帥の一人であるスルト、
ナポレオンに信頼され最大の親友とまで言われたランヌ、参謀長として高い能力を誇ったベルティエ等、錚々たる面子が揃っている。
そんな中に『コーラサワー』がいたというのだから、驚きである。
あっ、何か今ランペルールが不意にやりたくなったぞ、と。
ファミコン版ではなくPC版を。
692名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/18(日) 22:51:14 ID:???
「おう、酒場のナポレオンのな」
「……なんだそりゃ」
「パリのナポレオンていう酒場の客の中では、群を抜いて酒豪だったんだと」
「はあ?」
「で、ついたあだ名が『酒飲み将軍』」
「はああ?」
「飲兵衛同士の酒量合戦ではいつも勝ってたそうだ。大活躍だな」
「はあああ」
 頭痛を覚えて、デュオは額を指で押さえた。
この先祖あって、パトリックあり。
コーラサワーの両親が果たしてどのような人物かは知らないが、
少なくとも、過去の『コーラサワー』がやっぱり『コーラサワー』であったのは確実であるらしい。
「それだけじゃねー、先祖はあのジダンとも一緒のチームでプレーしたことがある」
「もう信用しねーよ」
 ジダンとは、フランスサッカー界の英雄ジネディーヌ・ジダンのこと。
自国で開催されたワールドカップで大活躍し、優勝に大きく貢献、
パスからドリブル、シュート、全ての能力に傑出しており、300年近く経た今現在でもトップクラスのサッカー選手として称えられている。
彼とワールドカップ優勝時に共にプレーしていた主な代表選手は、GKのバルテズ、
DFのデサイー、テュラム、MFのデシャン、ジョルカエフと、これまた特級のプレイヤーばかり。
そんな彼らを率いていたジダンと一緒にプレーしたことがあるというのだから、驚きである。
あっ、何か今サカつくがやりたくなったぞ、と。
初作から全て一気に。
「おう、ちなみにユニフォームは新橋色だ」
「……ちょっと待て」
「何だ」
「確か、フランス代表のユニフォームは基本青色だろう」
「誰が代表のユニフォームって言ったよ」
「は?」
「何でも、好きな選手の名前をユニフォームに縫いこんでたらしいんだな」
「はあ?」
「で、俺の先祖の町内会チームの主将がジダンの名前を使ったんだそうな。本名は知らん」
「はああ?」
「他のメンバーもそれぞれお気に入りの選手の名前をユニフォームに使ったんだとさ。憧れの選手と一体感、てぇやつか?」
「はあああ?」
「そんな中で先祖はちゃんと『コーラサワー』と縫い込んだんだ。憧れの選手は自分自身! さすがだな!」
「はああああ」
 さらに酷い頭痛を覚えて、デュオは両の掌で頭を押さえた。
この先祖あって、パトリックあり。
コーラサワーの両親も何だか怪しくなってきた。
過去がこうなら、今もこうである可能性がある。
693名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/18(日) 22:54:41 ID:???
「まだまだあるぞ、先祖の英雄譚は。えーとだな」
「もういい」
「そう言うなよ、まあ聞け」
「聞かんわ!」
 気づけば、最初に話題を振ったミレイナはとっくにトンズラかましており、本部から姿を消している。
この娘、自分の得意分野とは土俵が違うと見るや即座に撤退をかます辺り、なかなかしたたかである。
さらに、ヒイロをはじめ、他の面子も既にティータイムを切り上げて、
部屋にはデュオとコーラサワー、そしてグラハムのみが残っている状態に。
「いやいや、聞けよ。俺の婆ちゃんの話だと……」
「カンベンしてくれよ、まったく」
 デュオはそう言い、席を立った。
遅ればせながら、退却である。
ここで不用意に付き合うと、どこまで話が転がっていくかわからない。
「おい、待てよみつあみおさげ」
「待たんよ!」
 パトリック・コーラサワーの婆ちゃんの話がどこまで本当かはわからない。
でも、大昔からコーラサワーはコーラサワーだったと、妙な確信を抱いた、いや、抱いてしまったデュオであった。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――





 なお、グラハム・エーカー氏だが。
「うむむ……悩む、実に悩む」
 一人、次に買うつもりの陣羽織の柄を考えるのにひたすら集中しまくっていた。
「やはりカモンが欲しい。ゲンジのササリンドーやサナダのシックスモンセーンのような、サムライの証であるカモンが!」
 ティータイムの最初から、ずっと。






 コンバンハ。
マジでランペルールやりたくなってきたサヨウナラ。
694通常の名無しさんの3倍:2009/10/18(日) 23:20:57 ID:???
この板で、その名を聞くとは思いもしなかった
695通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 01:03:05 ID:???
土曜氏乙!
奇しくも先日、ビリースレの前スレで
グラハム(いやブシドー)の陣羽織に刺繍を入れるという話題になってたんで
陣羽織の家紋ネタでお茶吹いたw

くそう、大航海時代とか大戦略、果ては三国志までやりたくなってきたジャマイカ土曜氏!
(もちろんPC版)
696通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 01:35:56 ID:???
土曜日氏乙です、個人的にはアンリも挙げて欲しかったッス
697通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 07:05:03 ID:???
今週も土曜日氏に乙を!
ナポレオン〜獅子の時代を読みたくなりました。
698通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 09:39:34 ID:???
光栄時代の歴ゲーは味のある作品が多い
パックで出てるし、まだ楽しめるよ


ランペにエディット機能があれば確実に将軍コーラサワーを作る!
699通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 17:30:32 ID:???
乙です、デュオも大変だなあw
700通常の名無しさんの3倍:2009/10/19(月) 23:00:59 ID:???
ガンクロのまとめ人も仕事が早いw
でも勝手に文章つけたしていいんか?ナポレオンの部分
701通常の名無しさんの3倍:2009/10/20(火) 16:02:33 ID:???
本当はご法度なんだろうけど、土曜氏本人が前に「別にいいよ」って言ってたからいいんでない
702通常の名無しさんの3倍:2009/10/21(水) 19:43:48 ID:???
じゃあ無問題
703名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/22(木) 02:43:59 ID:???
そこら辺はまとめの方の裁量で自由にやっていただいて結構です。
2chの性質上、投下した時点で私の手は離れていますし、ここまでまとめていただいて感謝こそすれ不満なぞあるわけありません。

まとめの方、本当にいつもありがとうございます。
704通常の名無しさんの3倍:2009/10/23(金) 12:17:45 ID:???
ラッシャ
705通常の名無しさんの3倍:2009/10/23(金) 12:18:58 ID:???
オッシャ
706通常の名無しさんの3倍:2009/10/23(金) 13:24:06 ID:???
ウッシャ
707通常の名無しさんの3倍:2009/10/23(金) 14:18:10 ID:???
ガッシャ
708通常の名無しさんの3倍:2009/10/23(金) 22:42:29 ID:???
職人帰還祈願…

ホワッチャーッ
709通常の名無しさんの3倍:2009/10/24(土) 12:20:46 ID:???
アチャーオチャー
710通常の名無しさんの3倍:2009/10/24(土) 16:09:01 ID:???
リョクチャー
711通常の名無しさんの3倍:2009/10/24(土) 17:08:43 ID:???
ウーロンチャー
バスターランチャー
エライコッチャー


しかし、そろそろ映画公開の時期が発表さんねえと土曜の人も延々続けなきゃなんねえな
712通常の名無しさんの3倍:2009/10/25(日) 21:37:47 ID:???
職人帰還祈願保守
713名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/25(日) 23:35:49 ID:???
 ヒルデ・シュバイカーの武器はフライパンである。
彼女が投げたフライパンは百発百中、ヒット時のダメージは軽くイオ○ズンを上回るとさえ言われている。
主な被害者はパトリック・コーラサワー、他にはパトリック・コーラサワー、
さらにパトリック・コーラサワー、ついでにパトリック・コーラサワー、とどのつまりパトリック・コーラサワー。
彼女がデュオ・マックスウェルと一緒にプリベンターに加わって以後、
果たして何度コーラサワーがフライパンアタックを喰らったか、正式な統計が無いので不明だが、
相当の数を後頭部、側頭部、前頭部に当てられている。
そのうち記憶を失うんじゃないか、いや命すら危ないんじゃないかとさえ思えるのだが、
そこはそれ、何たって不死身のコーラサワー、未だにピンピン状態で、
その時々で気絶はしたりするものの、生命上ヤバい状況に陥ったことはない。
「何すんだよオデコ娘二号! いてーじゃねーか!」
「デュオそいつ押さえて、そうしないと殺せない」
「落ち着けヒルデ、本音がダダ漏れだ、ってかさすがに過激すぎだ」
「どけデュオ、俺が代わりに押さえてやる」
「五飛、何をするつもりなんですか!?」
「決まっているカトル、フライパンと俺の拳でサンドイッチだ」
「ちょ、ちょっと!」
「うーん、ヒルデはともかく、五飛にはやらせてやってもいいかもしれないな」
「デュオ、またそんなことを……」
 で、今日も今日とてプリベンターは賑やかである。
原因はヒルデのオヤツのケーキをコーラサワーが食べてしまったから。
ねえ、お前ら本当に世界の平和を守る組織なのかと。
小一時間どころか終日問い詰めたい、牛丼食いつつ問い詰めたい。

 ◆ ◆ ◆

「あいててて……」
「合計六発か。しかし、それでタンコブすら出来てないお前は一体何者なんだ」
「冗談じゃねーぞオデコ娘二号め、頭蓋骨が割れたらどうすんだ」
「割れたらきっと中身のスッカスカ具合がわかるだろうな」
 騒動は、コーラサワーが代わりのケーキを買ってくることで落ち着いた。
喧嘩が始まってから十数分、その間プリベンター本部は上へ下への大騒ぎだったわけだが、
まあホント、世間が平和ならプリベンターも平和、脳味噌だって平和なんだと思わざるを得ない。
「ケーキくらいいーじゃねーか、腹が減ってたんだよ」
「だからって人様の物を勝手に食べていいってことにはならないだろ」
「別にケーキに名前が書いてあったわけじゃない」
「……子供か、お前は」
 デュオは溜め息をついた。
確かにケーキひとつでプッツンきちゃうヒルデも大人げないが、
その前に他人の物を許可も取らずに平気で食べちゃうコーラサワーはもっと大人げない。
714名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/25(日) 23:41:21 ID:???
「何でもあのケーキ、街で有名な店のもんで、並ばなきゃ買えないんだってさ」
「ケーキなんてどこの店のもんでも一緒だろ、いちいち並ぶ根性がわからん」
「それだけおいしいってことなんだろう」
「まあ、確かになかなか美味かったが」
 コーラサワーは大食いでもグルメでもないが、勤務中は結構色々と軽く何かをつまんでいる。
軽くどころか、蟹だの寿司だのとたいしたもんをつまみまくっている気もするが、まぁ今は忘れておこう。
で、それでいて中年太りの欠片も見せない体型なのは、これは体質と言いきってしまっていいかもしれない。
世の女性、メタボ予備軍の男性からすれば、何とも羨ましい資質の持ち主ではある。
「で? 俺はどうすりゃいいんだ? その店に行って、並んで買えっていうのか」
「そうなるだろうな」
「別にいいじゃねーか、そこらのコンビニのケーキでも」
「ふむ、お前がそれでいいならそうしたらいいんじゃないか。ただ、追加でヒルデのフライパンをさらに何発か喰らうだろうが」
「……わーったよ、ちゃんと買いに行けばいいんだろ、行けば」
 存外に素直なコーラサワー。
さすがに、イオナ○ン超級のフライパンを、これ以上喰らう気はないらしい。
いかに不死身とは言え、やっぱりダメージを受けちゃうのは、気分がいいもんではないのだろう。
「じゃあ、行ってくる」
「ああ、逝ってこい」
「おかしな発音すんな、みつあみおさげ」
 デュオ、ちょこっと嫌味。
ささやかながらもこうやってチマチマと皮肉なり嫌味なりをぶつけていくのが、デュオの対コーラサワー・ストレス解消法である。
肝心の相手がまったく堪えないので、虚しいっちゃ虚しい限りではあるのだが。
「ああ、ならお茶っ葉もついでにお願い出来ないかしら」
「すいません、茶菓も無いので、御煎餅か何かもお願いしていいですか」
「じゃあ俺は肉まんがいいな。久しぶりに食べたくなったぜ」
「おい、俺には鮭のオニギリを頼む」
「ならば私は『週刊サムライズスゥオード』を所望する。今号はマサムネ特集で、是非とも読んでおかねば」
「私はボッタクリマンチョコがいいですぅ、確か今月から新しいシールに変わってるはずですぅ」
「一発殴らせろ」
「……ちょっと待て、何で俺がそこまでしなけりゃなんねーんだよ! それに最後! 何かおかしいぞコラ!」
 さあ、上から順番に誰の発言でしょうか。
口調と内容でバッレバレではありますが。
なお、残りのメンバー……ってヒイロ・ユイとトロワ・バートンですが、
彼らが注文を何もしなかったのは、別に欲しいものが今はなかったから。
「清算は後でちゃんとしろよ!」
「ああ、駄賃も欲しいならくれてやるよ」
「俺はガキンチョかよ」
「振る舞い見てるとガキンチョだよ」
 で、ブツブツ言いつつコーラサワー、本部の外へ。
そして―――この後、注文組は後悔することになる。
ねえ、コーラサワーがまともに買い物なんかするわけないのよ、まったく。
715名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/25(日) 23:45:53 ID:???
 ◆ ◆ ◆

「ただいまーっと」
「……遅かったな」
「当たり前だろ、並ばなきゃ買えないって言ったのはどこのどいつだ」
 コーラサワー、二時間かかってようやく本部に帰還。
太陽は傾いて、西の空は薄らと赤くなっちゃっている。
「まさか一時間も並ぶとは思わなかったぞ」
「一時間で済んで良かったんじゃないか? 休日だと二時間待ちもあるらしいぞ」
「何でケーキ如きでそこまで苦労する意味がわかんねえよ。はいよ、そのケーキ」
 ポン、とコーラサワーは机の上にケーキの箱を置いた。
ヒルデが中身を確認し、よし、といった感じに頷く。
彼女の背中にはフライパンが二つ程隠されているが、
これはコーラサワーがトンチキなケーキを買ってきたら、思いっきり喰らわす予定だったのだろう。
「で? 忘れてないよな」
「忘れるわけねーだろ、鳥じゃねーんだから」
 コーラサワーは大きなビニール袋を、さらに机に置いた。
さあ、問題はここからである。
「えーとお茶だな、はいよ、ギムネマ茶に韃靼そば茶、タヒボ茶、アガリクス茶、サラシア茶にドクダミ茶」
「……何で普通の緑茶を買ってこないのよ」
「健康にいいだろ? あ、坊っちゃんの煎餅な、暴走激辛煎餅と覚醒激甘煎餅、納豆煎餅、餃子煎餅、ラーメン煎餅」
「……どうやって入手したのか、何だか知りたいような知りたくないような」
「普通の買ってもつまんないしな。みつあみおさげは肉まんだよな、ほい、イカスミ海鮮まん、プリンまん、ミルクキャラメルまん、ティラミスまん」
「……俺は普通の肉まんで良かったんだがね」
「遠慮するなって。えーとアラスカ野だな、ほらよ、梅干しとおかかと高菜のオニギリ」
「……俺は鮭ってちゃんと言ったような」
「無かったんだよ、それで我慢しろ。ナルハム野郎は本だな、『週刊日本刀』をちゃんと買ってきてやったぜ」
「……これは先月号だ。私は今月号が欲しかったのだが」
「そうなのか? だってお前、何月号かちゃんと言わなかったし。最後はオデコ娘三号だな、ほらよ、『ボッタブリマンチョコ』」
「……パチもんじゃないかですぅ、これじゃロッチですぅ、ロッチ!」
「ん? コンビニのは売り切れだったから、駄菓子屋のガシャポンで買ったがまずかったのか?」
 何ともかんともコーラサワー、ケーキはちゃんと買ってきたものの、後は御覧の通りの有様である。
確かにそれぞれ、基本的なラインは間違ってはいない。
だが、決定的に何かが違う、何かが。
いやまあ、注文通りに買ってきてない時点で何かもクソもないっちゃないんだが。
さすがは予想を裏切るコーラサワー、面目躍如……なのか、これは。
716名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/10/25(日) 23:48:52 ID:???
「さあ、清算しろ。レシート渡すから」
「誰が払うか! こんなひねくれた買い方しやがって!」
「文句言うな! 考えて買ってきてやったのに、何て言い草だ!」
「スペシャルさんは考えなくていいんですぅ! あーもう、紙に書いて店のお姉さんに渡してくれれば良かったんですぅ!」
「何だよ、それだとマジでガキの買い物だろうが!」
「笑止! これは子供以下なり! いや、比べることすら子供に対して失礼千万無礼千万!」
「普通に喋れ、ナルハム野郎!」
「鮭のオニギリ、食いたかったなあ」
「ならよ、窓から放り出してやるから空を飛んで買いに行けよ、アラスカ野!」
「貴方達、いい加減にしなさあい!」
「ぼ、僕はちゃんと清算しますよ。一応、御煎餅には代わりないんですし」
 あーもう、また喧嘩。
下らないことでここまで揉めることが出来るプリベンター、つまりは仲の良い証明なのかもしれない。
いや、それは褒めすぎか?
「よし、皆どいていろ」
 じゃあ、最後はこの人にシメて……もとい、閉めてもらいましょう。
「五飛、何をするつもりなんですか!?」
「決まっているカトル、こいつが出ていく前に言っただろう」
「えっ?」
「一発殴らせろ、とな!」
「ちょちょ、ちょっと!」
「構わんカトル、思いっきりやらせてやれ」
「デュオまでそんなことをー!」
 落ち込んだりはしないけど、プリベンターは元気です。
昨日も今日も、きっと明日も。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の度は続く―――



 コンバンハ。
ねえ、リアルに数年先とかはやめてよ映画サヨウナラ。
717通常の名無しさんの3倍:2009/10/26(月) 01:18:19 ID:???
土曜氏乙!

コーラさん「はじめてのおつかい」?
旅行のお土産に続きひどいww
でもケーキだけはちゃんと買ってきたのはフライパンゆえか。

多分映画は来年のはず…はず…
ここでコーラさんたちに会えなくなるのもさみしいんだけども。

面白かったよ。
718通常の名無しさんの3倍:2009/10/26(月) 01:46:41 ID:???

マクロスにUCもあるから早くて来年でしょうね
719通常の名無しさんの3倍:2009/10/26(月) 07:22:07 ID:???
種映画みたいに立ち消え(停止中?)にならんことを祈ろう
720通常の名無しさんの3倍:2009/10/26(月) 10:24:56 ID:???
土曜日氏乙
ヒルデたんケーキ食べれて良かったねヒルデたん
721通常の名無しさんの3倍:2009/10/26(月) 13:11:13 ID:???
えっと、先月号か今月号かは確かにちゃんと言わなかったグラハムが悪いと思うます。
しかしこういう『気を回しすぎたが故のへんてこな買い物』というのは現実にもありうる現象なので
案外馬鹿にできない……。
722通常の名無しさんの3倍:2009/10/27(火) 10:05:16 ID:???
捕手矢野


職人復帰祈願ダム
723通常の名無しさんの3倍:2009/10/27(火) 21:03:56 ID:???
捕手城島

自前で捕手をどうにかするつもりがないのか阪神
724不定期じゃーん:2009/10/27(火) 22:09:58 ID:???
 それにしても、仕事がない。
プリベンターたちにあまり仕事がないのは世界が平和な証拠であるからして
何ら問題はないはずだが、予算というものが限りがある以上成果を出していない
部署は必然的に予算を削られるという試練が待ち受ける。
 レディ・アンもサリィ・ポウも予算獲得に必死で要人警護やSP業務などの成果を
強調し、予算獲得に様々な説明資料を作成しなければならぬ。
 予算当局は要人警護費用であろうともなかなか金を出すごとには首をふらない。
ましてや隠密同心のようなプリベンターの重要性など日頃帳面と計算機の中で暮らしている人間には
雲をつかむような話でまるで話がかみ合わない。
 レディ・アンがこのことで100tハンマーを予算折衝で振り回そうとしたのも
一度や二度ではない。(このときはサリィが必死でとめた。 普段の鬱憤がよほどたまっていたのだろう。)
 ましてやMS(ミカンスーツ)の開発やテストには並々ならぬ費用がかかる。
マリナやカトルというスポンサーがいなければ、たちまち活動は破綻をきたすだろう。
 そこで、声優やテレビ映画などに進出し、少しでも金を稼ごうと仕事を取っている。
 幸い今は時間がある。 広報活動の一環としてテレビやインターネットのストリーミング
放送に出演し、ギャラから出演料のカスリをいただこうという寸法だ。
 コーラサワーは目立ちたがりだから、こういう方面では能力が発揮できる
と思っているというか、この仕事は俺しかできないという「天上天下唯我独尊」を
思想を思い切り持っている。
 しかし、来る仕事といえば、スタントや工事現場に設置してある100tハンマーの
直撃を受けて耐えられるかというような汚れ仕事ばかりである。
 「たまには俺にもヒーロー役をやらせろよ!!。」というのも無理はない。
 「じゃ、お前こんな役やってみるか。」と五飛がみせたのは、星野之宣氏原作の
「巨人たちの伝説」であった。
「ここで、お前は窮地にたたされた科学者夫妻のピンチを救うヒーローとして
活躍する。 それでどうだ。」
「うむ。 まさに俺にふさわしい役だ。 よし、受けよう。」とコーラは
上機嫌で言った。
「いいのか、あいつ調子に乗って芝居ぶちこわしになるぞ。」とデュオがいったが、
「何、俺に考えがある。それは後のお楽しみだ。」と五飛は不気味な笑みを浮かべながら
いった。
 さて、五飛の考えとは?。 コーラの前途に明日はあるか。 神のみぞ知る。
_______________________________________________________________________________

どうも、不定期です。 土曜日氏が毎回クォリティの高い作品を発表されているので、
いつも腹をよじれさせていただいてます。
 後半はいつになるかはわかりませんが、なるべく早くねた作りをしたいと思ってます。
 それでは、皆様お元気で失礼いたしますm(__)m
725通常の名無しさんの3倍:2009/10/27(火) 22:14:25 ID:???
不定期氏投下乙! こんばんはー。
おひさしぶりです。

コーラさんが何やっちゃってくれるのか、
ごひが何を企んでいるのか、

ぼちぼち続きを楽しみにしてます。

726通常の名無しさんの3倍:2009/10/28(水) 01:31:42 ID:???
おー、乙です
リアルで無理だけはせんといて下さい、マイペースが一番ですよ!
727通常の名無しさんの3倍:2009/10/28(水) 22:49:43 ID:???
土曜日さん、不定期さん、お二人とも乙です!!
728通常の名無しさんの3倍:2009/10/30(金) 11:02:17 ID:???
浮上保守
729通常の名無しさんの3倍:2009/10/31(土) 10:28:42 ID:???
私の保守は凶暴です
730土曜日@職場の携帯から:2009/10/31(土) 17:33:25 ID:???
何だかぷららの規制に巻き込まれたようで、日曜日は投下できそうにないです。
規制解除され次第次回を投下します。
731通常の名無しさんの3倍:2009/11/01(日) 07:00:53 ID:???
了解、お待ちしております!
732通常の名無しさんの3倍:2009/11/02(月) 19:31:22 ID:???
なんか今回の規制は長いようです……
733通常の名無しさんの3倍:2009/11/02(月) 22:51:44 ID:???
規制解除きたよ!
734通常の名無しさんの3倍:2009/11/02(月) 23:35:52 ID:???
ap.plala.or.jpは全鯖でまだ規制中のようです……
735通常の名無しさんの3倍:2009/11/02(月) 23:40:11 ID:???
おおっ、神よ炭酸よ煎餅よ!
736通常の名無しさんの3倍:2009/11/04(水) 07:55:50 ID:???
ocnも規制中…
737名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/11/04(水) 23:40:51 ID:???
 言葉は生まれた時には、意味を持たない。
それが他人の誰かの耳に届いた時に、はじめて言葉は『意味を持った音声、文字』になる。
ただし、生まれた意味はあくまで発した本人の意思と、聞いた人間の解釈によって『その場、その時で』のみ立つのでもない。
広く、そして時を経て伝わる程に、その瞬間に成立した内容と乖離していくことがある。
例えば、情けは人の為ならず、という諺がある。
これは、『親切はしておけ、必ず自分に返ってくるから』という意味であるが、
全く正反対に『情けをかけるのは、その人の為にとって良くない』という風に誤解している人が現代では多い。
これは、その顕著な例であろう。
 だが、『生まれた』からには、言葉は生き物でもある。
情けは人の為にはならない、という意味が本来の意味を押しのけて横行し続ければ、
いずれら抜き言葉のように『新たな言葉』として定着していってしまう可能性もある。
また一方で、『沈黙は金、雄弁は銀』のように、どこを出典と為すかで意味が逆になる言葉もある。
どういう風に理解するかは、結局は個人の判断による―――よってしまう、のだ。

 そして、プリベンターのパトリック・コーラサワー氏の言葉は。
「何するんだよナルハム野郎! このバカヤロー!」
「莫迦とは何か莫迦とは、そのように下劣な言葉をぶつけられる謂われは私には無い!」
「バカだからバカだってんだ! バカヤロー!」
 どこまでもわかりやすく、曲解も誤解もしようが無い程に一直線なのであった。

 ◆ ◆ ◆

 さて、パトリック・コーラサワーと、グラハム・“ブシドー”・エーカーは只今喧嘩の真っ最中。
事の発端はまったくもってアホらしい限りなのだが、
MS(ミカンスーツ)の疑似模擬戦(つまりはシミュレーション)のにおいて、
グラハム機がコーラサワー機を後方からぶんなぐっちゃったことによる。
ちなみに、両機は味方同士という設定である。
「俺が仕留めるって言ってるだろーが! 何でしゃしゃり出てくるんだよ!」
「今回の指揮官は私という決まりのはずだ! 指揮官の命に背いて突出する味方など、敵よりもタチが悪い!」
「ワンマンアーミーのお前に言われたかねーよ!」
 コーラサワーが指揮官役であるグラハムの命令に背いて、機体を前に出し過ぎたのは事実である。
だが、盗人にも一分の理ではないが、ある意味コーラサワーの指摘も間違っちゃいない感じもする。
ほれ、何せグラハムさんはブシドーですから。
これだけで00を視聴していた諸兄にはわかってもらえると思います。
「私が斬り込むから、そちらには援護と陽動を命じたはずだ!」
「前衛は俺だ、俺が直接やった方がいいに決まってる!」
「笑止! 露払いに幾ら程の価値があらんか! 敵を撹乱し、その後に本陣の強撃をもって叩く方が効率的なり!」
「またお前、サムライになってるぞ口調が!」
 世紀の天才ビリー・カタギリ博士の新型MS(ミカンスーツ)はすでに完成はしている。
しかし、微調整が必要な上に、各個人の操縦の癖を慣らすこともしていないので、本番にはまだ使えない。
実際にプリベンターのメンバーが乗って動かすのには、もう少し時間がかかるといったところである。
それ故に、シミュレーション・マシンを使った模擬戦が、訓練の主な内容になっている。
旧式となってしまったMS(ミカンスーツ)のネーブルバレンシアは、
靴下臭い臭い君ことアリー・アル・サーシェスとの一戦に受けた傷はすでに修復されているものの、
ぶっちゃけた話、乗り込んでガチャコンガチャコンとナマで実戦形式の訓練をする場所がない。
プリベンターの立場が立場だけに、そうそう何度も軍用跡地も公的空き地も借りれないのである。
738名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/11/04(水) 23:47:08 ID:???
「所詮、模擬戦のエースは模擬戦のエースに過ぎん! 大言壮語は誰にでも出来る!」
「何だあ、俺がウソっぱちのエースだってのか!」
「二千回も模擬戦に勝利したとて、実戦に敗れればそれまでのこと!」
 旧AEU軍、ユニオン軍においての二人のエースパイロットとしての格を比べれば、これは明らかにグラハムの方が上である。
階級においても、部隊指揮の経験にしても、個人の戦歴についても、どれもグラハムはコーラサワーを上回る。
「バカヤロー、模擬戦に二千回、まずは勝ってから偉そうにしやがれ!」
「道場剣術など役に立たん! 型をこなしても、本番で活かさねば絵に描いた餅と同様!」
 いくら模試の出来が良くても、本番で結果が出なければ意味がないのは、軍人に限らない。
だがしかし、かつてガンダムパイロットたちが検証したように、
『模擬戦を二千回“も”やってきた』ことがコーラサワーにとって大きいのもまた事実ではある。
普通、一回の入試のために、二千回も模擬試験は受けはしない。
予選ギリギリ通過で金メダルを一度獲得するのと、予選まで無敗で本番メダル無しでは前者に価値があるが、
予選が二千回戦だったら、普通は出来ない的な意味ではそれこそ後者に価値がある。
「とにかく! ちゃんと私の指示に従ってもらおう!」
「従わせたいなら、まともな命令出せ! 後ろからぶん殴るな!」
「まともな命令? 出したではないか!」
「私のために血路を開け、ってのがまともな命令かー!」
「私は我慢弱く、落ち着きが無く、センチメンタルな男なのだっ!」
「意味がわからねーっ!」
 惚れている惚れていないの差こそあったが、
本編でカティ・マネキンの作戦にきちんと従っていたのはコーラサワーであり、ブシドーグラハムではない。
一期でも、一話のお披露目会から、タクラマカンや宇宙でのCB追撃戦でも、コーラサワーはAEUもしくは合同軍の一員として作戦内で動いていた。
しかし、グラハム氏は振り返るに、エクシアに会い出向いて行ったり、道理を無理で押し通したり、
エクシアと一騎打ちしたいが為に魔改造フラッグが出来るまで決戦に参加しなかったりと、
後のワンマンアーミーっぷりを如何なく発揮しており、この辺りでは軍人としての節度はまだコーラサワーが守っていたことになる。
まあ、一期はオーバーフラッグスの隊長として、二期はライセンサーとしてある程度独自行動を許されていたという背景もあるっちゃあるが。

「……ふあああ」
「よう、欠伸なんかして暇そうだな」
 さて、疑似模擬戦は三人一組同士のバトルである。
コーラサワーとグラハムと、あともう一人がいるわけだが、その人物とは。
「止めなくていいのか? アラスカ野さんよ」
「その呼び方、やめてくれ……」
 アラスカ野こと、ジョシュア・エドワーズであった。
そして、彼と会話をしているのは、ガンダムパイロットのデュオ・マックスウェルである。
三人一組であるからには、当然、デュオとジョシュアは味方同士ではない。
「で、どうする? 俺たちはやっちゃってもいいんだけどさ」
「さすがにそれはちょっと」
「まあ、三対一って状況も訓練としては悪くないぜ?」
 デュオのチームは、他にヒイロ・ユイと張五飛がいる。
武断派二人、今はコーラサワーとグラハムの同士打ちを見学中だが(疑似空間内でも、現実でも)、
隊長役のデュオが一つ号令をかければ、容赦無くコーラサワーとグラハムに襲いかかるであろう。
739名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/11/04(水) 23:51:15 ID:???
「いや、勝負にならないな」
「へえ、えらく強気だな。俺たち三人を一人で相手すると?」
「いや、勝てるわきゃない、ってことだが。こっちが」
「……なあ、アンタ、もう少し自信なり何なり持った方がいいんじゃないのか?」
 シミュレーターの後ろ側、正確に言えばグラハムとコーラサワーのシミュレーターの後ろでは、
額に怒筋をいくつか浮かび上がらせたサリィ・ポォが身体を震わせて腕を組んでいる。
あと数分、いや一分程で我慢の限界が訪れるのは確実というところである。
「多少強引でなければ敵は倒せんのだ!」
「多少どころか相当強引だろうが、お前!」
「それはそちらも同じであろう!」
「俺のどこが強引だってんだ! 俺はちゃんとエースらしい戦い方を考えてるぞ!」
「喝ッ! どの口がッ! オン・ベイシラ・マンダヤ・ソワカ、毘沙門天の前に平伏せッ!」
「何がだ! お前こそ俺の前に平伏せ!」
 パトリック・コーラサワーとグラハム・エーカー。
二人の放つ言葉は、常に基準が自分である。
そこに、他者の解釈による意味など入り込む余地は無い。
コーラサワー語は一直線、グラハム語は超魔球、どちらも、簡単に捕手が受け取れない球である。
まあ、好んで撃ち返そうとする打者なぞ端からいないが。
「ならばッ、ここで決着をつけるか? 私はそれでも一向に構わんッ!」
「おうよ、望むところだぜ!」
 サリィ火山、噴火十秒前。
危険を察知して、デュオたちはそそくさとシミュレーターから退散する。

「ならば、来いッ!」
「おうさー! スペシャル様を舐めるんじゃねー!」
「あなたたちいいいいいいいいいいいッ!」
 プリベンターは今日も平和です。
ええ、本当に。


 規制解除されたようですコンバンハ。
今後投下出来ない週があったら、規制に巻き込まれたか急病かパソコンぶっ壊れたかのどれかです多分サヨウナラ。
740通常の名無しさんの3倍:2009/11/04(水) 23:55:23 ID:???
土曜氏規制解除投下乙です!

二人の掛け合いは面白いなあ、個人的には戦ってみてほしいけど怒られるからむりっぽいw
741通常の名無しさんの3倍:2009/11/05(木) 17:35:50 ID:???
乙です、二人の喧嘩を誰も止めようとしないのが笑えるw
742通常の名無しさんの3倍:2009/11/06(金) 23:56:59 ID:???
保守
743通常の名無しさんの3倍:2009/11/07(土) 00:00:49 ID:???
PASH!
744通常の名無しさんの3倍:2009/11/07(土) 09:54:06 ID:???
やべえ最後のサリィに萌えた
745通常の名無しさんの3倍:2009/11/08(日) 06:47:03 ID:???
保守
746名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/11/08(日) 22:27:52 ID:???
投下はちょっと明日になります。
休日出勤でやっと帰ってこれたところでして……これも延期の理由の一つに入りますね。
747通常の名無しさんの3倍:2009/11/09(月) 12:54:07 ID:???
了解しました!
748通常の名無しさんの3倍:2009/11/09(月) 16:13:21 ID:???
無理に週一にこだわらずとも、現実優先で
現実に支障をきたしてもよろしくないゆえ
749不定期じゃーん:2009/11/09(月) 20:31:06 ID:???
ロケは、宇宙空間で行われた。
ちょうど地球と月の間に撮影所ができ、そこでアクションシーンや宇宙空間での場面など
空気と重力がないせいでいろいろな形の撮影ができるので、よく使われていた。
 また、機動Evから相互に行き来できるので、いろんな文化が交じり合い、
撮影所の周辺は一種のバザールと化していた。
 そんな中、コーラをはじめ、プリベンターの面々は撮影所の中に入っていった。
 「まずは、顔合わせとあいさつをしなきゃな。」 五飛がそういって、スタッフに
挨拶にいくと、ダリル・ダッチとリンダ・ヴァスティがいた。
 「ダリル、何故おまえが?」とグラハムが尋ねると、「ラーメンを食べに来てくれた人が
この映画のプロデューサーで、映画にでてみないかとお誘いを受けたんです。
 はじめはお断りしてたんですが、断りきれなくなって・・・。 でもはじめはチョイ役の
はずだったんですが、いつのまにやら重い役になっていて緊張しています。」
 「ダリルさん、台詞の覚えも早いし、いろいろ修正もすぐできるから、監督やプロデューサーも
ほれ込んでるんですよ。 渋い役がとっても似合ってるわ。」とリンダ・ヴァスティがいった。
 「人にはどんな才能が隠れているかわからんな。」プリベンターの面々はうなずいた。
 さて、プロデューサーや監督などスタッフに挨拶をすませ、自分の役について、
どのように演技をするか、打ち合わせを行った。
 ただし、コーラについてはダリルやリンダが演じる科学者夫妻を助けるためにステーションに乱入して
大立ち回りをやるということだけがいいわたされた。
「まあ、俺様にヒーロー役がまわってくるのはわかったが、細かいアクションは
どうするのかわからんな。」とコーラは珍しく不安を口にした。
「なに、いつものとおりお前さんのイヤッフーアクションをやってくれればいい。
ちゃんと、突っ込むところはわかりやすいように印をしておくから。」と五飛。
「どうも、お前がからむと、いやな予感がするが・・・。」とコーラはいったが、
まあ、これ以上のつっこみはやめておいた。
 
750不定期じゃーん:2009/11/09(月) 20:32:17 ID:???
翌日、監督から指示をうける。「合図をしたら、ガラスを破って突入して大立ち回りをしてください。
そして、二人を避難させる役です。そして黒幕と対決するシーンに突入します」とコーラはいいわたされた。
 はじめにステーション内でのたちまわりの練習をやって、撮影に入った。
 「巨人たちの伝説」は、氷河期に入った地球を救うため、木星を太陽にしてしまうという
計画をめぐっていろいろな駆け引きが行われる。というストーリーだが、かなり
脚色してある。
 さて、コーラには五飛が言っていた。 「これを見ろ。 あのまどのところに
印が書いてある。 そこから飛び込んでアクションシーンに移るからな。」
3Dを見るみたいな装置で印を見せ、そこから飛び込むんだといった。
 そして、撮影がはじまった。
 ダリルとリンダが演じる科学者夫妻。 その手に握られているのは木星太陽化計画の設計書。
しかし、その逃亡を阻止しようとする組織に囲まれ、もはや絶対絶命のシーンだ。
 「コーラ、出番だ。」と五飛がいうと、「わかった。いくぜ!!。 イヤッフー!!。とロケットエンジンに火をつけて、
飛んでいって、ステーションに思い切り突っ込んでいった。
 「ゴン!!。」思い切りぶつかったのは、印のついていたところではなく、
隣のガラスであった。 「な、なんじゃそらー・・・・。」
コーラは、気が遠くなっていく意識の中で「五飛のやろー、恨むぞ・・・・。」
 「ふん、やっぱり俺の見立てたとおりだ。」と五飛は言い捨てた。
「なにを張ったんだよ、五飛。」デュオがたずねると、「なに、ガラスにアルテシアを
調合した超硬性ガラスを貼っといただけだ。」
「お前、防弾性能がガンダニウム合金よりも、硬度なものにぶつかったらコーラでも、無事ではスマンだろ。」
「あいつの体は不死身だ。 どうせ2,3日たちゃもどってくるさ。」
さて、ストーリーはヒイロが科学者夫妻を助け出し、大団円へ突入するストーリーに
発展していった。
 「ここのところ、影が薄かったら、久しぶりにいい役をもらった。」とヒイロは感激し、満足げであった。
 さて、コーラはと見ると、宇宙をさまようのかとおもったら、救出されたときには
ぴんぴんしていた。
 「五飛、どういうことだ、人を宇宙の塵にするつもりか!!。」とこうぎしたが、
五飛は「おまえがさいしょにいっていたところに飛び込まなかったのが悪い。」
と切り捨てた。
 本当のところ、五飛はコーラが素直に飛び込むとは露とも思ってなかった。
だからこそ、この計画が成功したのだが。
 なお、このシーンはNG特集として、世界中にばらまかれたのはいうまでもない。
際立ったのは、コーラ氏の鉄壁の体の丈夫さとアルテシアガラスの丈夫さであった。
ということであった。
_____________________________________________________________________
どうも、不定期です。
なんか最後はぐだぐだになった感はありますが、それはお許しください。
皆様にはたくさんの励ましのレスを戴き恐縮しています。
 それでは皆様健康管理にお気をつけて。
751土曜日@職場携帯:2009/11/09(月) 21:55:22 ID:???
不定期さん乙です


こちらはまたplala規制です……
752通常の名無しさんの3倍:2009/11/09(月) 22:29:24 ID:???
不定期さん乙!
ごひ…ごひ…w
イヤッフーアクション見損ねたけど面白かった!

>>751
土曜氏さん、最近どこもかしこも規制だらけですね。期間は短いけど乱発杉orz
続き楽しみにしてるんで、また規制の網が解かれるまでお待ちしてます!
753通常の名無しさんの3倍:2009/11/10(火) 15:28:53 ID:???
規制解除祈願保守
754通常の名無しさんの3倍:2009/11/12(木) 10:41:17 ID:???
募集
755通常の名無しさんの3倍:2009/11/12(木) 13:09:45 ID:???
規制早く解除にならないかな
756通常の名無しさんの3倍:2009/11/13(金) 16:39:26 ID:???
備中
757通常の名無しさんの3倍:2009/11/14(土) 09:51:56 ID:???
越中
758通常の名無しさんの3倍:2009/11/15(日) 06:48:01 ID:???
規制解除祈願
759通常の名無しさんの3倍:2009/11/15(日) 09:04:50 ID:???
準備中
760通常の名無しさんの3倍:2009/11/15(日) 15:00:26 ID:???
おしんとぷららは今後完全切断とか縁起でもない噂を聞いたんですが大丈夫でしょうか……
761通常の名無しさんの3倍:2009/11/16(月) 17:37:29 ID:???
歌手
762通常の名無しさんの3倍:2009/11/16(月) 19:10:16 ID:???
魔手
763通常の名無しさんの3倍:2009/11/16(月) 19:11:41 ID:???
>>760
ちなみにこれはデマだったらしい。
ただだからといって解除でもないというorz
764通常の名無しさんの3倍:2009/11/17(火) 17:32:43 ID:???
規制未解除
765通常の名無しさんの3倍:2009/11/17(火) 18:56:52 ID:???
中国
766土曜日@職場携帯:2009/11/18(水) 13:55:37 ID:???
長引きそうなら携帯からの投下かどこかのろだにアップも視野に入れます
当面今週は様子を見ます
767通常の名無しさんの3倍:2009/11/18(水) 17:35:13 ID:???
了解しました
しかし、この規制は何時迄続くんだろう…
768通常の名無しさんの3倍:2009/11/18(水) 17:36:03 ID:???
規制はどうしようもないよね
気長に待ってます
769通常の名無しさんの3倍:2009/11/19(木) 20:54:14 ID:???
保守です
770通常の名無しさんの3倍:2009/11/21(土) 12:05:54 ID:???
保守
771通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 00:11:34 ID:???
干す
772通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 00:17:57 ID:???
漉す
773通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 06:31:52 ID:???
ブラック・サバス
774通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 12:15:20 ID:???
ノートリアスB・I・G
775通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 14:30:50 ID:???
ぷららの解除が来ない…。
平日の明日に解除されなければ、携帯かろだによる投下を敢行します。
776通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 14:51:10 ID:???
>>775
了解しました!お待ちしてます。
777通常の名無しさんの3倍:2009/11/23(月) 21:58:20 ID:???
>>775
お待ち致しております!!
778土曜日@職場携帯:2009/11/24(火) 21:36:05 ID:???
とりあえず続きをろだにアップしました。
ranobeのuptest板、up45516.zipで、パスはcolaです。
779通常の名無しさんの3倍:2009/11/24(火) 22:40:01 ID:???
>>778
了解しました!!
780通常の名無しさんの3倍:2009/11/25(水) 23:01:28 ID:???
>>778
土曜氏さん乙です!
よかったらこちらのスレに、頂いたテキストを代理で投下しますが
いかがされますか?
781土曜日@職場携帯:2009/11/26(木) 13:55:37 ID:???
ぜひお願い致します…。
 人は誰でも、自然と『因るべきもの』を求める。
血液型による性格診断、星座による運命判断、または出生地による人格、行動原理等々。
血液型にしても星座にしても、人類全てに適用するには、あまりに幅が狭すぎる。
出生地による差異なぞ、それぞれの土地で文化や言語が異なるのだから、当たり前のことに過ぎない。
だがそれでも、人は「俺ってA型だからぁ」「私、蟹座だしぃ」「わて、浪速の生まれやさかい」と、それらを『言い訳』に使う。
これは、どれ程の自信家であっても、逃れられない人間の性である。
「イヤッホーイ! 今日の運勢で、一月一日生まれはスペシャルハッピーだってよ!」
 では、この男はどうか。
元AEU軍少尉にして、現プリベンターのメンバーである、彼は。
「こいつは朝から縁起がいいってもんだぜ」
「何言ってやがる、どこのテレビの目覚ましコーナーを見たか知らないが、あんなの気休め程度だろ」
「気休めとか言うなよ、せっかく人がいい気になってるのによ」
「あんなもん、いちいち気にかける方がおかしいだろ」
 同僚のツッコミも、彼にとっては無意味である。
何故なら。
「バァカ、気にかけてなんかいねーよ」
「気にかけてるじゃねーか、大喜びしてるくせに」
「確かに喜んではいる。だがな、それは俺が一月一日生まれだからってんじゃねーぞ」
「? どういう意味だ」
 彼は超の付く自信家なのである。
大切なことだから二度言う、バカと言ってもいいくらいに超の付く自信家、なのである。
「それは俺が俺だからだ、一月一日生まれが先に立つんじゃねえ、俺という存在の後に、一月一日生まれという事実と、そして」
「……」
「スペシャルハッピーだっていう運勢が続くんだよ!」
「成る程、スペシャルハッピーだよ。お前の性格と頭の中が」

 ……古来より、風習や俗習というものに誰しも人は捕らわれる。
そして、それらから後天的努力ではなく、先天的資質で解放されている人間を、こう呼ぶ。
すなわち、天才と。



 ただ、パトリック・コーラサワーが天才であるか否かは、非常に議論の多かろうところではある。
 ◆ ◆ ◆

「はいはーいですぅ、と言うわけで、いつも晴れ晴れ、快晴少女ことミレイナ・ヴァスティの登場ですぅ」
「わ、何だよオデコ娘三号! いきなり出てくるなよ」
「今日はレディさんがお休みなので、私もお休みなんですぅ」
「へえ、レディ・アンが? 風邪でも珍しくひいたのか」
 首を傾げるデュオ・マックスウェルだが、残念ながらそれはハズレである。
日々世界平和のために奔走するレディとはいえ、人間である以上休みは必要であり、
また文明社会における一労働者としての立場から見れば、当然公休というものは存在するのだ。
まあ、何にしても働き過ぎっちゃ働き過ぎではある、レディ・アンは。
彼女自身の強い意志と真面目な性格もあるのだろうが、敬愛するトレーズ・クシュリナーダの影響も大きいと言えば大きい。
あの御仁、人間としてはかなりぶっ飛んでましたが、手抜きということをまずしない人だったので。
「何だかおもしろそうな話を皆さんしているということで、すぐさま駆けつけたですぅ」
「どういう耳してるんだよ、お前はダ○ボか」
「言っときますけど、耳が大きいからって聴力が良いとは限らないのが生き物ですぅ。……いや、そーいう話じゃないですぅ」
「どういう話なんだよ」
 オデコ娘三号こと、ミレイナ・ヴァスティはレディ・アンの秘書を務めている。
反省府組織カタロンに転出した前任のシーリン・バフティヤールに負けず劣らず有能で、
齢十四にして、各特殊技能を修めているという才女である。
見かけと口調でまったくそうは見えないが、まぁ才能を持った人間というのは得てしてそんなもんである。
ついでに言うと、ウルトラド級のオタクなので、迂闊にそっち方面に暴走させると、語りが止まらなくなるので要注意。
喋らせるとノンストップという意味では、この世界では東の横綱ビリー・カタギリと対をなす西の横綱と言えるだろう。
「性格の話ですぅ。スペシャルさんは何故にスペシャルさんなのか?」
「つまり、バカはひっくり返してもバカってことを言いたいわけだな」
「おいコラみつあみおさげ、誰がバカだってんだよ」
「お前だ」
 パトリック・コーラサワーとデュオ、そしてミレイナの年齢差は実に二十近い。
時々忘れそうになるが、これはレッキとした事実である。
「だけど性格診断ってったって、ここにいる面子はコイツのことはよく知ってるぞ」
「はいはーい、そこで登場、『会話式性格診断ソフト・本性君一号』ですぅ」
「ホンショークン?」
 ノートパソコンを一台引っ張ってくると、ミレイナはそれを立ち上げ、さらにソフトも起動させた。
彼女の説明によると、これは「画面の中の疑似人格と会話をすることにより、会話した人間の性格を診断する」というソフトなのだという。
似たようなソフトは三百年も前からあるが、これはその正統たる進化版であるとのこと。
「はい、この画面の中のちょっとイケてる男の子が本性君ですぅ」
「おお、凄いな。まるで生きてるみたいだ」
「肌や髪の質感までちゃんとモデリングされてるですぅ。一見は普通の人間とまったく変わりないですぅ」
「軍用のナビで似たようなのがあったが、あれと同じか?」
「その従弟みたいなもんではありますぅ。ちなみに本性君は歳は十六歳、やや内気だけど芯は強い男の子ですぅ」
「?」
「そして妹さんがいて、名前をアリノちゃんていうですぅ」
「アリノ?」
「ありのまま、のアリノですぅ。これがまた美少女で、性格はお兄ちゃん子でツンデレ気味、世の中の仮想少女好きの男たちのハートを鷲掴みに」
「あー、そっち方面の話はいいから、どうすんだこれ?」
 ミレイナの暴走を未然に防ぎ、コーラサワーは話の軌道を元に戻した。
ここら辺り、彼一流の本能ではある。
「えーとですね、まず本性君が音声で質問をしてきますぅ。それにどう答えるかで、性格を診断するですぅ」
「えらく単純だな」
「もちろん、質問と回答の数が多ければ多い程、内容が深ければ深い程、より細かい診断が出来るという寸法ですぅ」
「面倒臭いもんだ。まぁいいや、とっとと始めろ」
 すっかりやる気になっているコーラサワー。
ミレイナに上手く能勢電鉄、じゃない乗せられた感じはあるが、元来首をつっこみたがる気質ではあるので、
こういう目新しい(性格診断ソフトそのものは目新しくも何ともないが)ものにはホイホイと食いついちゃうのだ。
「じゃあ本性君の質問はランダムにしときますぅ。……はい、じゃあ本性君、スペシャルさんに質問してくださいですぅ」
 ミレイナはノートパソコンをコーラサワーの前に持っていった。
本性君とコーラサワーが正対するような形になっている。
 
『僕には、気になっている子がいます』
「おおう、こいつ喋ったぞ」
「そんなところにいちいち驚かないで欲しいですぅ。ささ、本性君の話を聞いてあげて下さいですぅ」
『彼女は学校のクラスメイトで、とても明るい子で皆の人気者です』
「こいつ、学生なのか?」
「だから、本性君と会話して下さいですぅ」
『成績も良くて、スポーツも出来て、正直僕なんかとじゃ釣り合いがとれない程のいい子なんです』
「発音も正確だな」
「だーかーら、そこは問題じゃないんですぅ」
『だけど、この気持ちを抑えきれない。大好きなんです。どうしたらいいでしょうか』
「……」
「……」
『……』
「……」
「……」
『……』

「……え?」
「え、じゃないですぅ。本性君困ってるじゃないですかぁ、ほら、スペシャルさん、答えてあげるですぅ!」
「答えるったってよ……」
 コーラサワーは額をポリポリとかいた。
そして、咳払いをし、口を開いて一言。
「告れ!」
「告れ、じゃないですーぅ!」
 瞬間、彼の後頭部にハリセンがヒット。
スパカーン、という実に気持ちの良い音が部屋に鳴り響く。
空洞系とでも言えばいいのだろうか。
透き通って揺らめき跳ね返る、そんな感じの音だった。
「のわっ!? 何すんだオデコ娘三号! いきなり後ろからはたくな!」
「本性君の質問に色々と質問返ししたり具体的な提案をしたりして会話を続けないと意味ないぞですぅ!」
「えええ? だって好きなんだろ、じゃあとっとと告白した方がいいだろ!」
「だーかーらー、スペシャルさんは私の説明をきちんと聞いていたのかですぅ!」
「質問返しも提案もあるか! 好きなら告白! それ以外に解決策なんぞねえ!」
 何だかこのやりとりだけで十分コーラサワーという人間がわかる気もする。
脊椎反射的な即断即決主義こそが、コーラサワーの生きる道なのであろう。
デュオっぽく言うとつまりバカ、すなわちバカ。
「何時頃から好きになったのかとか、彼女のどういう部分が特に好きとか、色々あるですぅ!」
「そんなもん聞いたってしょうがないだろうが! 好きなもんは好きなんだろ!? 他に何があんだよ!」
「ほら画面を見て下さいですぅ! 本性君、ちょっとあきれてるですぅ!」
 本性君、困ったような苦笑のような、微妙な表情。
側でこっそり様子をうかがっていたデュオが、「本当の人間みたいだな」と感心している。
確かに表情操作のプログラムは凄いが、問題はそこではない。
コーラサワーがまともに答えてくれないので、本性君、先に進めないだけである。
いつまでたってもコマンドが入力されないようなもん、と言えばわかり易いか。
そう言えば大昔、『ド○クエ2』が発売された頃、戦闘画面でずーっとボタンを押さずにほったらかしておくと、
突然「何時まで待たせるんですか、コマンドは怒りますよ!」と画面に表示されるという都市伝説(?)が流行ったことがあって、
これはおそらく、かの有名クソゲー『た○しの挑戦状』において、
宝の地図を表示させるために一定時間ボタンを押さずに放置しなければならない、という恐るべき仕様が下敷きになってい―――脱線失礼。
「いやっ、その回答は正当にして正答! 男児たるもの、何事も快刀乱麻でないといかん!」
「サムライさんは出てこなくていいですぅ!」
 ここでいきなり、ミスター・ブシドーことグラハム・エーカーが乱入。
この男もこういう手合いにはついつい介入してしまう困ったちゃんである。
ある意味いっちょかみ。
 ちなみに、ミレイナは彼のことを“サムライさん”と呼ぶ。
スペシャルさんにサムライさん、もう何がなんだか。
「一押し二押し三に押し! 四と五が無くて六に押し! 恋路もまた戦いなら、ここで退いては名が廃るというものだろう!」
「お、おお。何だかよくわからんがそういうこった! 即告白! フラれた時のことは考えるな!」
「古人曰く、負けた時のことを考えて戦う奴があるか! やらねばならん時には男はただ行動あるのみ!」
「やらねばならんならいっそヤッちゃえってんだ! デキたらそん時だ!」
「お二人とも本当に軍人だったのかですぅ!? 戦術とか戦略とか端から無いも同然じゃないかですぅ!」
 ああもう無茶苦茶。
パトリック・コーラサワーやグラハム・エーカーの人生相談はそもそも成立し得ないのだろうか。
「だいたいだな、俺だって結婚するまで数年間ずっと求愛してきたんだぞ。態度に現わさなきゃ伝わらないだろうが!」
「その通り! 全てを投げ打ってこそ、まさしく愛! 想い通じるその日まで、追いかけまわすがよかろう!」
「あーもう、わけわかんないですぅー!」
 三人の狂態を、やや離れた場所からデュオは見ていた。
彼以外には誰もいない。
最初は何だ何だと見物に張五飛やヒルデ・シュバイカー辺りが顔を覗かせていたのだが、
結局はいつも通りのローリングストーン急勾配コロコロなやりとりに、とっとと見切りをつけてどこかへ行ってしまった。
「やれやれ」
 デュオは溜め息をひとつつくと、件の本性君が暇そうにしているであろう、ノートパソコンの画面に視線を移した。
「ありゃ?」
 が、画面は暗かった。
そして、そこには小さな文字でお知らせの一文が。


―――エラー報告・このプログラムは予期せぬ事態に遭遇したため停止します―――



 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――



 ぷららの解除は当分先になりそうですねコンバンハ。
とりあえず今週の土日は法事のため、次回はまた少し先になりますサヨウナラ。



代理投下完了。
土曜氏さん、レスの切どころがまずかったらすみません。
コピペしただけですが、万一抜けなどありましたら皆さんご指摘願います。
788通常の名無しさんの3倍:2009/11/26(木) 17:43:36 ID:???
>>787
代理乙
コーラの言うことは一理あると思う
789通常の名無しさんの3倍:2009/11/26(木) 22:52:42 ID:???
>>787
代理うぷ乙であります!!
790土曜日@出張携帯:2009/11/28(土) 08:25:09 ID:???
代理投下ありがとうございます。
791通常の名無しさんの3倍:2009/11/28(土) 10:48:22 ID:???
土曜日氏と代理氏乙
ドラクエ2もたけしの挑戦状もリアルタイム遭遇した世代だぜ…
両方クリアしたぜ…今ならWiiウェアかのう
792代理:2009/11/28(土) 14:02:28 ID:???
>>790
いえいえ。ぷらら規制が解除されることを祈りますが
長期化して当方のプロバイダが大丈夫なら
今後も喜んで代理投下させて頂きます。

たけしの挑戦状はほんとに自分の中で
東方見聞録と並ぶ印象に残る糞ゲ…いや不条理ゲーでしてw
ここの住人は同世代の人が多いんだろうか。

「…本性君ちょっとあきれてるですぅ!」
ミレイナのセリフがなんとも笑えました。
土曜氏さん、改めて投下乙です!
793通常の名無しさんの3倍:2009/11/29(日) 16:23:24 ID:???
>>792
>東方見聞録
EDで、主人公の精神が崩壊するんですよねw
794通常の名無しさんの3倍:2009/11/29(日) 16:26:19 ID:???
乙。
コーラをちょっと尊敬した俺ガイルw
795通常の名無しさんの3倍:2009/11/29(日) 17:02:54 ID:???
>>793
うわ、やっぱ同志がいたw
やったとき中坊だったんでまさかのサイケデリック鬱EDに呆然…
スレチ失礼した
796通常の名無しさんの3倍:2009/12/01(火) 22:48:34 ID:???
hoshu
797通常の名無しさんの3倍:2009/12/02(水) 22:12:01 ID:???
ranobeのuptest板、up45932.zipに続きをうぷしました。解凍passは引き続きcolaです


しかし、規制情報では解除されているようなんですが、
書き込もうとすると「規制されてまっせ」と言われるのでやっぱり書き込めません。
>>797
こんばんは、開いたらタイミング良く投下がw
では代理投下に行ってきます・・・
 音楽は人の感情を動かす。
楽しませ、喜ばせ、悲しませ、そして和ませる。
勇壮な行進曲を聞くと自然と心が弾む。
暗闇でおどろおどろしい曲を聞くと恐怖は倍増される。
時に、目で見えるもの以上に、耳に聞こえるものは人間に影響を与えるのだ。
「和太鼓は外せぬ、あの腹の底を揺らすような勇ましい響き! これに勝るものは無い!」
「相変わらずの東洋カブレ、それしかないんですか隊長」
「バーカ、腹太鼓か何か知らないが、いつだってスペシャルな俺にはスペシャルなテーマ曲だぜ!」
 んで。
今日も今日とてプリベンターは騒がしい。
そして騒ぎの中心はいつだって、あのパトリック・コーラサワーとあのグラハム・エーカーなのであった。

 ◆ ◆ ◆

 今日の騒ぎの内容は、特別たいしたことではない。
ぶっちゃけて言えば、下らない。
簡単に言うと、“自分の戦闘のテーマ曲”は何がいいか、である。
発端もそもそもしょうもない。
コーラサワーが結婚式の際、会場にはワーグナーの結婚行進曲が流れていたのだが、それをコーラサワーが自慢したのだ。
自分と愛するカティ・マネキンの船出に相応しい曲だ、と。
ワーグナーの結婚行進曲はメンデルスゾーンの結婚行進曲と並んでウェディングマーチとしては最も有名で、
それだけに使われる回数も多く、至極当たり前に過ぎる選曲であり、相応しいも何もないのだが、
それをまるでさも自分のために造られた曲であるかのように言っちゃうのが、コーラサワーのコーラサワーたるところだろうか。
で、そこにミスターお面さんことグラハム・エーカー(今日は素顔の彼である)が、絡んできちゃったからさぁ大変。
プリベンターの中でも暴走ドリブラーっぷりが際立つ二人が論争を開始したもんだから、
そりゃもう止めるも止めないもないわけで、デュオ・マックスウェルが生贄としてアラスカ野ことジョシュア・エドワーズを間に放り込み、
部屋に閉じ込めて蓋をしてしまったという次第である。
「津軽三味線の速いテンポに乗れば、いかなる敵も一刀両断に出来よう!」
「普通にワルキューレ騎行とか出てこないんですね、隊長……」
 そいでまあ、何時の間にやら『自分のテーマ曲』に話の内容がボタン、じゃないスイッチしてしまうのも無理からんことではあった。
何しろ地平線の果てまでも、自分の道しか敷いてない連中であるからして。
アニメにおいてはちゃんと00のために作られた曲が戦闘時に流れていたが、それはこの話では取りあえず横に置いておく。
「和楽器は良い、良いと言った!」
「なんかそのうちチョンマゲ結いそうだな、このナルハム野郎は」
 和楽器系で勇ましい曲、となると薄学の身としてはグレート・○タの入場曲しか思い浮かばないわけだが、
ブシドーモードで花道を歩いてくるグラハム・エーカーは何だか様になっているかもしれない。
その際、○タはム○でも『MUTA』ではなく『愚零闘武多協奏曲』の方が個人的にはよろしいかと。
和曲系の入場曲でも、Tajiriのエントランステーマではちょっとグラハムのイメージとは違うような気もする。
特にWWEの初期時の曲だと違和感バリバリ……って、プロレス好きでないとわからん話か。
脱線失礼。
「戦いにマッチした曲ならいくらでもあるでしょうが」
「む、ならば問おうかジョシュア、お前が思い描く曲は何だ?」
「そりゃあ……さっきも言ったけど、ワルキューレ騎行とか」
 ワルキューレ(ヴァルキューレ)の騎行とは、
ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指輪』の第一夜『ヴァルキューレ』の三幕の冒頭における曲である。
コッポラ監督の映画『地獄の黙示録』に使われて、“戦闘用の音楽”としてのイメージが強い人もいるだろう。
ちなみにさっきのプロレスの話を引っ張れば、“組長”こと藤原喜明の入場曲でもある。
「新世界より、とか」
 新世界よりとは、ドヴォルザークの交響曲第九番のことで、特に第四楽章が有名であろう。
物語の盛り上げにクラシック音楽をふんだんに使った『銀河英雄伝説』のアニメ版では、
大艦隊同士がぶつかりあうというアムリッツァの戦いにおいて話の冒頭から第四楽章が流され、同作の中でも際立つ演出となった。
「他は、えーとえーと」
「どうしたアラスカ野、それで終わりか?」
「えーと、えーとだな、ほら、アレだ。ナントカとかいう映画で使われていたナントカとかいう行進曲」
「ナントカって何だよ」
「笑止! 薄いぞ、ジョシュア・エドワーズ!」
 ここら辺りは、ジョシュア君の悪いところかもしれない。
仮にもアラスカ基地でエースを張り、パイロットとしての技術も十分に高いはずなのに、
強がったりイキがったりと一枚二枚と虚飾の重ね着を試みて、結局失敗してしまう。
アニメにおける着任早々中傷→戦場で独断専行→自業自得の流れはその典型と言えようか。
同じ金髪で同じ登場即退場でも、SEEDのハイネと比べるとえらいこと小物感ブリブリである。
まあ、グラハムやコーラサワーとはまた別の種類で、彼も“子供っぽい”とは言える。
つまりはヘタレ、簡単に言うとヘタレ。
「いや、何かほら、クラシックでカッコイイ奴でひとつ……」
「カッコイイどころか、今のお前はとてもカッコワルイぞ、アラスカ野」
「ぬぐぐぐぐ」
 いやはや、コーラサワーに言われたらおしまいな気もする、ジョシュア君。
ジョシュアの立場にコーラサワーを置いて同じ展開になれば、間違いなく胸を張って堂々と「知らん、しかしそれがどうした」と言っていたであろう。
それがカッコイイかはともかく、自分に下手に見栄を張らないだけ、まだカッコワルクはない(はず)。
 しかし、先程からの例を挙げるまでもなく、場を盛り上げるためのクラシック音楽は、結構身近にいくらでもあったりする。
例えばそれはゲームであり、アニメであり、ドラマであり、映画であり……。
『餓○伝説2』のラスボスのアレとか、『パロディ○スシリーズ』の全編のアレとか、
『エヴァンゲリ○ン』のアレとか、『101回目の○ロポーズ』のアレとか、『2001年宇○の旅』のアレとかその他諸々。
だが、それだけ多く使われるということは、すなわちその曲に魅力があり、また大きな影響力を持っているということに他ならない。
今の時代のパチンコ屋はさすがに店内曲が軍艦マーチのみというところは少ないだろうが、
ガンガンに洋楽やら邦楽やら勢いのある曲をかけているのは、客の金遣いを後押しするためであり、
デパートやスーパーの店内曲も、客の購買意欲を起こすためのものである。
逆に葬送行進曲なんぞを流したら、おそらくだが売上は下がるに違いない。
『六甲おろし』が暗く、低い調子の曲だったら、甲子園はタイガースが勝ってもほとんどお通夜状態になってしまうだろう。
「じゃあお前はどうなんだよ」
「俺か?」
 と、ここでジョシュアは改めてコーラサワーに矛先を向けた。
元はと言えば、ジョシュアはデュオによってこの二人の生贄にされたわけであり、被害者なのだ。
コテンコテンに言われまくったのでは、可哀想を通り越して哀れというものである。
「だから俺は言ってるだろ、スペシャルな俺に合うのはスペシャルな曲だ」
「つまり、それは何だとジョシュアは問うているわけだが」
「まあ極端に言うと、俺には何だって合うんだけどな。何せスペシャルだから」
「説明になってないな」
「俺に似合いの曲があるんじゃあない、曲が俺に似合わせるんだ」
 ダサい服でも、着る人が着ればカッコイイ。
もしくは、カッコイイ者には自然とカッコイイ物が集まる。
つまりはそういうこと的なコーラサワー理論と言えようか。
自己賛美もこの男の場合は陰湿なところがなくカラッとしているのが、まあ救いではある(そして時にそれは魅力に成り得る)。
「そうだな、強いて言うなら、やはり自分のために自分が作った曲っつーか歌こそが俺のテーマ曲になるだろうな」
「酔っぱらったオッサンが電信柱相手に聞かせる歌みたいなもんだな」
 今日はデュオがコーラサワーの側にいないため、自然とジョシュアがその役を負っている。
ツッコミ適性はそれなりにあるジョシュアだが、何しろヘタレなので、
コーラサワーとグラハムに挟まれたらどうしてもイジられ中心になってしまうのが悲しいところである。
ちなみに、新郎新婦が自作した愛の歌をプロのバンドが演奏して歌うというサービスを行った結婚式場があったそうだが、
間違いなく後年それは夫婦にとって黒歴史になると思うのだが、如何。
「例えばよ……んー、コーラサワーは凄い♪ コーラサワーはスペシャル♪」
「何だあそりゃあ」
「コーラサワーは天才♪ コーラサワーは不死身♪」
「これはひどい、と言わざるを得んな」
「コーラサワーは奇跡♪ さあ皆でパトリック・コーラサワーを讃えよう♪」
 何だか下手な洋画の字幕みたいである。
だが、歌っている本人は至って真剣、と言うか、その歌に何ら疑問の欠片すら抱いていない。
「模擬戦二千回不敗♪ スペシャルエース♪ 生ける伝説コーラサワー♪」
「もうやめろよ、おい」
「ふむ、音程が少し狂っているようだな」
「隊長、問題はそこじゃないから」
 以前、入院時にダウナー状態になった際にも歌っていたが、コーラサワー、基本的に音楽の素養ナシ。
いや、仮に才能が眠っていたとしても、それを生かす術がナシ。

「おー♪ パトリック・コーラサワー♪ 世界のエース♪」
「作曲も作詞もてんでダメだな、コイツ……」
「うむ。ある意味己に素直すぎて、飾りが出来ないのであろう」
「ああ隊長、アンタと同じですね」
「おー♪ パトリック・コーラサワー♪ スペシャルエース♪」
 
 コーラサワーのテーマ曲、それは、彼が作った、彼だけしか理解し得ない曲。
そして、彼の脳内で流れている限り、それはいかなる名曲をも凌駕する名曲なのだ。
周りに流れれば迷曲であるとしても。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――




 コンバンハ。
規制情報には解除されたって書いてあるんですが、書き込もうとすると何だかまだ「お前規制中じゃゴルァ」って怒られますサヨウナラ。
代理投下完了。土曜氏さん乙であります!

規制解除、解除出てからしばらくは投下できなかった覚えがあるので、
それだといいんですが。もし不備がありましたら、ご指摘願います。

ゲームときて今度はプロレス入場曲、どストライクでした。
ジョシュアのヘタレ具合とコーラサワーの音楽センスがもう・・・
最後のジョシュアのセリフが何気にきついw
803通常の名無しさんの3倍:2009/12/03(木) 16:13:43 ID:???
代理投下乙

だけど、あまり趣味に走られてもわからないジャンルだと困るw
804通常の名無しさんの3倍:2009/12/03(木) 16:21:02 ID:???
お二方とも乙

ブシドーのテーマは暴れん坊将軍でいいんじゃねえか?w
805通常の名無しさんの3倍:2009/12/03(木) 22:13:10 ID:???
>>804
案外似合ってるかもww
806通常の名無しさんの3倍:2009/12/04(金) 15:59:42 ID:???
規制は長いときはホント長い
もう「しょうがない」と思って解除を待つしかない、マジで
807土曜(ry:2009/12/04(金) 23:44:22 ID:???
代理投下ありがとうございます。
規制情報のplalaスレでは選手の土曜日には解除されてると書かれてるんですが…やっぱり書き込めないです。
何か他に原因があるのかもしれません。
808通常の名無しさんの3倍:2009/12/04(金) 23:46:47 ID:???
土曜日氏と代理人乙
コーラさんのテーマは既存のものが思い浮かばない
スペシャルすぎて
809通常の名無しさんの3倍:2009/12/05(土) 00:02:01 ID:???
大手プロバイダはやたらめったら規制されるのが難点だなぁ・・・
810不定期だお:2009/12/05(土) 23:45:23 ID:???
 パトリック=コーラサワーについて

宇宙神 オーディーン様
                   
                  神の使徒 NO.777
 ご依頼のありました例の件につきまして、ご報告申し上げます。
いわゆる、プリべンターの構成の件につきましては、先日ご報告
いたしましたが、中に特に異様な存在がいましたので、詳細に
調査したところ、とんでもないナマモノ(人間といえるかどうか自信がありませんので、ご容赦のほどを。)がおりました。
 それが、表題のモノです。
 私は、隠密同心組織プリベンターの面々が旧ガンダム・パイロットの 錚々たる少年たちと旧ユニオン、AEUのエース級パイロットの面々で構成された
地球平和防衛組織であるということは、知っていたのですが、表題に挙げたもの は、我々神界に住まうものにとっても、恐ろしきものであることを確信いたしました。
 まず、第一にどのような危険な目にあっても、絶対生き残るであろう不屈の生命力、
第二にどのような場面でも自分が最後には生き残っているという確信に満ち溢れていること。
最後に実際宇宙及び地球上での戦闘で天に召されたものが多数存在した中において、例え自機が大破あるいは爆砕されても、あのもの自身は全く無傷で戻ってくるといった具合です。
 神は当初、プリベンターに配属されている少年たちを纏めていく勇気と慈愛にあふれた 青年を地球に送り届けたはずだったようですが、他の天使たちに聞くと、途中でソフトに
バグが発生し、慈愛が自愛に、まとめ役がもつカリスマ性が俺様が主役主義に、冷静沈着な頭脳が
ギャンブルと食い物でイヤッフーな思考処理仕様になっており、まともに起動しているのは、
異様に丈夫な体と事故や事件での異様なまでの運の良さであります。
 あのものには、運命を司る女神たちが肩入れしているためでもありますが、他の天使たちも
生温くあのものの所業をみて、腹をよじらせている次第です。本来ならば天界のものが素早く回収して、
バグを修正したあと、再度降臨させるのが本筋ではないかと地球への派遣当初は考えていたのですが、
あのもののスーパーゴーイングマイウェイぶりを見ていると、オーディーン様直属の私でさえも「ま、いいか。」という気持ちにさせられます。
 気になるのは、地球平和を快く思っていない勢力が少なからず存在していることですが、そのときに
役に立てればいいかと最近思うようになってきました。
 昨日も、後ろから10tトラックに跳ね飛ばされたあげく、硫酸を貯蔵しているタンクに突っ込み、
タンクに大穴を明けて大騒ぎになりましたが、本人は傷ひとつなく検査のため
1日入院しただけでした。
 女神たちも、心よりあのものを応援しているようで、しばらくはあのものの
運はしばらく続きそうです。
 まあ、心には野望というものはなく、ラグナロック=ガイになる可能性もほとんど
0でありますので、今はこのものがどこまで体と精神が持つか、生温かく見物させていただく
つもりです。
 以上で今回の報告を終わりとします。
______________________________________

どうも、不定期でございますm(__)m。
土曜日氏が規制に巻き込まれ大変苦闘されてましたが、代理人様のおかげで、
拝読できるようになって、御二方には心より感謝申し上げます。
(それにしても、これだけ安定したクォリティを保持されているのは驚異的です。)
皆様方におかれましては、ご健勝とご多幸をお祈りしています。
 今回は当初に書いていた天界シリーズをちょっと発展させて見ました。
皆様のお好みに合うかどうかわかりませんが、そこのところは平にご容赦を
それでは、またネタができるまで。(いつのことやら・・・。)
失礼します。

811通常の名無しさんの3倍:2009/12/05(土) 23:49:58 ID:???
不定期氏乙
慈愛→自愛で腹抱えてワロタwwwwwwwwwwwwww
812通常の名無しさんの3倍:2009/12/06(日) 16:23:09 ID:???
>>810
こういう変わったネタもなかなか良いなあw
813通常の名無しさんの3倍:2009/12/07(月) 16:57:38 ID:???
不定期氏乙です

ぷららはなんか規制→解除→再発の連鎖で、相当長引きそうだね
下手すりゃ年をまたいでもずっと解除されない可能性も大
814通常の名無しさんの3倍:2009/12/07(月) 20:31:05 ID:???
マジでぷららはやめたほうがいいな
話にならん
815通常の名無しさんの3倍:2009/12/08(火) 15:40:05 ID:???
ガンクロ倉庫の更新も止まってるけど、まとめの人もなんかあったのだろうか
816通常の名無しさんの3倍:2009/12/08(火) 20:06:07 ID:???
2chで規制リストに載ったら、他所もそれに倣ったりする
おそらく他所でも規制対象にされて書き込み出来なくなってるんじゃないかな
817通常の名無しさんの3倍:2009/12/08(火) 22:35:48 ID:???
規制かあ、早く何とかして貰いたいもんだなあ・・・
818通常の名無しさんの3倍:2009/12/09(水) 17:29:40 ID:???
城島in

ジェフout
今岡out
藤本out
赤星out←New!


どうすんだよ来年
819通常の名無しさんの3倍:2009/12/09(水) 17:31:31 ID:???
誤爆乙
820818:2009/12/09(水) 17:32:00 ID:???
ごめん誤爆
821通常の名無しさんの3倍:2009/12/09(水) 19:33:27 ID:???
どこからいらしたんだwwwww
822通常の名無しさんの3倍:2009/12/09(水) 19:51:52 ID:???
>>818
たぶんそのレスどっかで見たぞwwww
823通常の名無しさんの3倍:2009/12/10(木) 18:14:18 ID:???
コーラさんは野球よりサッカーだな欧州的に
アメリカン2人は逆だろうが
824土曜(ry:2009/12/13(日) 01:25:51 ID:???
お疲れ様です。

ranobeのTEST板、up46286.zipに今回分うぷしました。passは変わらずcolaです。

解除はまだ来ないみたいです。
何だか久々に長期の規制巻き込まれ……。
>>824
こんばんは。起きてたので逝って来ます。
 今更だが、これは00とWのクロスの物語である。
基本的にどちらがベースということもなく、コロニーは存在しているし、OZは崩壊したし、ユニオンもAEUもあったことになっている。
で、暦は取りあえず西暦である。
作中では2313年で、来年は2314年になる。
それがどうしたかというと。

「おい、賭けをしようぜ、賭けを」
「また急に何を言い出すんだこの新婚ボケは」

 リアルの世界では来年は2010年。
2314−2010=304、304÷4は76。
つまり。

「ワールドカップだよ、ワールドカップ!」
「……来年の話だろうが」

 そう、フットボールの祭典はこの時代にもあるのであった。

 ◆ ◆ ◆

 サッカーは大人気のスポーツ。
ワールドカップは、オリンピックと並ぶ世界的な行事である。
利権絡みや国家統合の影響で、一時は開かれないこともあったが、何とか存続し、今もって権威のある世界的大会なのだ。
「前回はユニオン・ブラジルに優勝をかっさらわれたが、今回は俺の国が勝つぜ!」
 胸を張るパトリック・コーラサワー。
俺の国、とかいう表現を使っちゃう辺り、以外に郷土愛が強いのかもしれない。
いや、単純に表現力の問題なのかもしれないが。
「フランスがか」
 現在、世界は統一国家。
国家の壁は一応取りはらわれたが、その概念は残っている。
というか、統一国家は生まれて間もない、未だよちよち歩きの赤ん坊。
管理運営の点からみて、フランスだのアメリカだのという“括り”は当面使っていかざるを得ないのだ。
国ではなく、地区という扱いで。
「フランスは今回は凄いぞ、何せエースがジ○ンとマラ○ーナとベッケンバ○アーの血を引く男だからな!」
 それではフランス人とは言えないかもしれないが、これもまた時の流れというもの。
民族や人種という縛りが曖昧になっていると考えれば、国際的ではあるかもしれない。
「待て、それならばわがアメリカはペ○とロベル○・バッ○ョとブトラゲー○ョの子孫がキャプテンだ。優勝は我がアメリカに間違いない」
 で、負けず嫌いのブシドーさんことグラハム・エーカーが絡んでくるのは最早最近のお約束。
混ぜるな危険、コーラサワーとグラハム。
毒性のガスは発生しないが、空気は確実に変わってしまう。
「何を言ってやがるこのナルハム野郎、アメリカなんぞ新参じゃねーか」
「今更新参もなかろう、いったい今を何年だと思っている」
「どーでもいいさ、はぁ」
 デュオ・マックスウェルは溜め息をついた。
手にしている湯呑みの茶には茶柱が一本立っているが、どうやら今日の彼は特にツイているということもないようである。
まあ、コーラサワーとグラハムが側にいる以上、ツイているもツイてないもないのだが。
「何だよみつあみおさげ、冷めてんな」
「うーん、別にのめりこむ程サッカーに興味ないからな」
 デュオにとっては、サッカーのみならずスポーツそのものと縁が遠い。
彼自身、身体能力はあるのだが、幼き頃から彼がやってきたのは、まず闘うこと、そして生き残ることの技術の習得だった。
いくつかのスポーツは噛んだことがあるが、身を入れてやったということはない。
これは、他のガンダムパイロットも同様である。
 とは言え、デュオも全く関心が無いわけではない。
こうして世界的なスポーツ大会が開かれるということは、それだけ世界が平和であることの証でもあるのだから。
「そーいやナルハム野郎、お前はサッカーの経験があるのか」
「人を見て物を言うのだな。こう見えても私は、サッカー、ベースボール、バスケットボール、アメリカンフットボールと一通りはこなしてきた」
 グラハムの言葉を聞いて、デュオの脳に不意に奇妙な映像が流れ込んできた。
ユニオンの基地において、サッカーやバスケをするMSという……。
以前コーラサワーから聞かされた、AEUでは訓練としてMSに乗って野球をやっていたという話が未だにデュオの頭にこびり付いているのだ。
「スポーツは心身の健康にとって大切だからな」
「ジュードーやケンドーもやってたんだろうな」
「無論」
「やっぱり」
 野球やサッカーのユニフォームより、柔道着や剣道着の方が似合いそうな金髪男、グラハム・エーカー。
イメージというものは恐ろしいものである。
「ジョシュアも確かアラスカ基地ではサッカーチームの一員だったな?」
「へ? お、俺?」
 急にボールが来たので、じゃない、急に話が振られたので、思いっきり戸惑うアラスカ野ことジョシュア・エドワーズ。
まあ、ここで不意の事態に弱い男とジョシュアを責めるのは酷かもしれない。
何せグラハムの発言は、某旅人のキラーパスよりもっと速度もタイミングもいきなりだから。
正味の話、予測して走り込んで対応出来るレベルではないのだ。
「ま、まあ一応」
「へー、お前がなあ。で、ポジションはどこだ? ベンチか?」
「……取りあえず、ウインガーやらサイドアタッカーやら」
「中央のポジションじゃないって辺りが何となくヘタレなお前らしいな」
 結構失礼なことを言うコーラサワーだが、サッカーにおけるポジションの重要性というものは、その時代ごとのサッカーのスタイルによって変わってくる。
戦術やフォーメーションには栄枯盛衰があり、再評価があり、また新発見がある。
その繰り返しでサッカーは進化してきたのだ。
「逆サイドを必ず埋める男、とアラスカでは呼ばれていたんだぞ」
「それってつまり、球の流れとは関係ないってことだよな」
「ちゃうわい!」
 サッカーはボールがあるところだけが勝負の場なのではない。
フィールド全体が戦場であるからして、ボールがあるサイドとは逆側のサイドもケアしておかなければならない。
と言うか、裏のスペースを突くためにはボールばっかり追っかけてられないわけで。
「しかしまあ、お前はそんなんばっかりだな」
「ど、どういう意味だ」
「セコいってことだよ」
「失礼なことを言うなあ!」
 真正面から勝負しない、という一点で批難されるのもジョシュアにとっては可哀想っちゃ可哀想だが、まあ相手がコーラサワーなので仕方がない。
コーラサワーをポジションにあてはめると、さて、オレガ星人のクレクレストライカーか、
それともボールを持ったら離さないコネコネドリブラーか、多分どちらかであろう。
生き方そのものがファンタジスタではあるが。
「良かろう、ではフォーメーションの特訓だ」
「また脈絡ないな、ナルハム野郎は」
「ワールドカップで賭けをしようとか言い出すお前も相当脈絡ないけどな」
 今日はややデュオのツッコミも回数が少ない。
年末も近づいてきて、正直、ちょっと疲れてきているというのもある。
プリベンターが忙しくない、それイコール世界が平和であることの証だが、
実際のところ、「全く仕事をしていない」部署に金を出す程、政府の財布も紐は緩くはない。
これこれ活動しています、というところを見せる必要があり、微妙に便利屋扱いされて色々と駆り出されているプリベンターなのだ。
アザディスタンの一件から続く騒動の捜査は、今のところ大きな進展を見せておらず、これもまた、デュオたちを疲れされている一因でもある。
始終緊張を強いられているわけではないものの、全くの準備なしでピッチに出ても、思い通りのプレーは出来ない。
突然の出場があるかもしれず、のんびりと構えているわけにはいかないのだ。
「三人で針の陣! まず私が先駆ける! 次に私が斬り払う! 最後に私がトドメをさす!」
「全部お前がやってんじゃねーか! 違うだろ、俺が撃つ! 俺が叩く! 俺が勝つ! これだろうが!」
「あ、じゃー俺は最後尾で奇襲に対するケアをしとくわ」
「またそれかアラスカ野、このヘタレ野郎!」
 コーラサワーとグラハムがボールを奪い合いながら敵陣に突入、ジョシュアがカウンターに備えて(間違ってもパスは来ない)後方で待機。
これで勝てたら戦闘もサッカーも甘いもんである。
まあ、個人技が無茶苦茶高かったらどうにかなっちゃうかもしれないが。
一応この三人、軍時代にはエースと呼ばれた存在だったわけ、うん、どうにかなっちゃうかもしれない。
「……この三人で組ませるのは危険だなあ、やっぱり」
「そうは言うけどさ、デュオ」
 いつの間にか、ヒルデ・シュバイカーがデュオの側に来ていた。
手にはきゅうすと煎餅を持っているところを見ると、お茶の淹れ替えをしに来たのであろう。
「何だよ」
「危険物をひとまとめ、みたいな意味で組ませてるんじゃないの? あの三人」
「別に正式に組ませているわけじゃないと思うけどな、サリィもレディ・アンも」
 レディ・アンは直接現場には介入しない。
メンバーの運用は現場リーダーのサリィ・ポォの権限で決まっている。
サリィは常識人であるからして、非常識人のコーラサワー、グラハム、ジョシュアを一つに括って隔離状態にしておく傾向があるのは確かではある。
「だけど、バラしたらバラしたで、ヒイロや五飛と組ませられないぞ」
「まあ、多分だけど血を見るわね」
「だろ?」
 結局のところ、三人をひとまとめにしておくのが無難っちゃ無難なのだ。
それに一応、この面子でそれなりに結果を残している事実もある。
しかし、レディは何を思ってこの三人のプリベンター加入を許可したのか。
「ところでヒルデ」
「なあに、デュオ」
「背中に隠してあるフライパンにはどういう意味が?」
「決まってるじゃない、あんまり五月蠅くなるようだったら、これを使うのよ」
 どうやって、とはわかりきっているのでデュオは聞かない。
何だか、言葉のツッコミはデュオ、物理的なツッコミは五飛とヒルデと、プリベンターの中でも役割分担がハッキリしてきた昨今である。

「結局、賭けの話は有耶無耶になっちまってるな」
 このまま本人が忘れてしまうという可能性もあるが、そうなったらなったで、またいきなり思い出すかもしれない。
そうしたら、やっぱりL2コロニー代表に賭けようかな―――と茶を飲みつつ、思うデュオだった。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心のミラクルドリブルは続く―――



 スピードスター、球界を去る。
赤星憲広選手、今までお疲れ様でした。タイガースファンにとって貴方はまさに「星」でした。
コンバンハ、そして次回までサヨウナラ……。
代理投下完了。土曜氏さん乙です!
831通常の名無しさんの3倍:2009/12/13(日) 11:17:44 ID:???
赤星に敬礼しつつ土曜日氏と代理人氏乙
生き方がファンタジスタ吹いたwwwwwwwwwww
832通常の名無しさんの3倍:2009/12/13(日) 17:05:06 ID:???
土曜日さん&代理人さん、乙であります!!
833通常の名無しさんの3倍:2009/12/15(火) 22:40:04 ID:???
保守します
834名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/16(水) 23:53:11 ID:???
てす
835通常の名無しさんの3倍:2009/12/17(木) 00:01:48 ID:???
土曜氏さん規制解除オメ!
836通常の名無しさんの3倍:2009/12/17(木) 23:11:31 ID:???
>>834
おお、やっと規制解除されましたか
837通常の名無しさんの3倍:2009/12/17(木) 23:27:20 ID:???
土曜氏オメ
838通常の名無しさんの3倍:2009/12/19(土) 22:47:28 ID:???
保守
839名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/20(日) 20:55:32 ID:???
 天に、雲が疎らに点在している。
それらはまるで仲間を失った旅人のように頼りなく風に揺れ、まるで寄り添いを求めるかの如く、一分一秒ごとに形を変えていく。
朝方は一面の鈍色だった空も、今ではすっかり蒼い。
しかし、北より吹く冷たい風が、銀と白の結晶の侵略が間近であることを知らせている。

「……」
 とある公園のベンチに、一人の青年が腰を降ろしている。
癖の強い黒髪に、赤銅色を薄く溶かしたような肌。
見る人が見れば、彼が中東からアジア圏の生まれであることがすぐにわかるであろう。
もっとも、だからと言って彼がこの公園で浮いているわけではない。
混血がすすんだ現在では、肌や髪の色など、遠い祖先に繋がる小さな外見的特性にしか過ぎない。
公園には様々な肌の色、髪の色の人間が訪れており、それらは誰もその違いによって嫌悪感を抱いている様子はない。
確かに今でも、人種や民族による対立は厳然として存在している。
しかし、100年、200年、300年前と比べれば、明らかに壁は崩壊しつつある。
そして、つい先年、地球圏は一つにまとまった。
数多の血を代償に成立した統一政府の下、これからはさらに壁は取り払われ、
いずれは誰も肌や髪の色の違いなぞ気にしなくなる時代が来るはずである。
「やっぱりここにいたのね、刹那」
「……フェルト・グレイスか」
 刹那と呼ばれた青年は、声の主の方へと顔を向けた。
そこには、彼とそう歳が変わらないであろう女性が、手にバスケットケースを持ってたたずんでいる。
「お昼御飯、食べた?」
「いや……」
 フェルト・グレイスと刹那に呼ばれた、未だ少女の面影を残す女性は、小さく溜め息をついた。
元よりこの刹那という青年は、あまり自身の生活の充実に強い意識を持っていないが、
特にこの数週間、その傾向がより酷くなったと、フェルトは感じていた。
「お腹、空いていないの?」
「……そういうわけではないが」
 横に座っていいか、と確認を取り、無言の頷きという許可を貰ってから、フェルトは刹那の横に座った。
そして、持ってきたバスケットケースを、一瞬迷った後に、自分と刹那の間に置いた。
「サンドイッチ、食べない? 今日、作り過ぎて」
「問題は無い」
「そう、良かった」
 バスケットケースを開けると、フェルトは刹那にサンドイッチを一つ渡した。
パンの表面は薄く焦がしてあり、間には薄く切ったトマトとレタスとキュウリ、そしてハムが挟まっている。
「多分、もう少ししたらロックオンも来るわ。クリスもリヒティも、ラッセも」
「知らせたのか」
「……刹那を見つけた時に。もしかして、いけなかった……?」
「いや、問題はない」
 刹那はサンドイッチを口に運んだ。
じわり、と野菜の瑞々しさが舌の上に広がっていく。
ここ最近、まともに調理されたものを、彼は食べていなかった。
それだけに、旨味がひと際強く、感じられた。
840名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/20(日) 20:59:35 ID:???
「ねえ、刹那」
「……?」
「何だか最近……悩んでない?」
「悩む?」
 サンドイッチを口から離すと、刹那はフェルトの顔を見た。
その表情は、心配の他に、いくつかの感情の成分が混じっていた。
聞くべきか聞かざるべきか、その迷いの果ての質問であることを、窺わせる顔だった。
「特にそういうことはない」
「そう、だったらいいんだけど」
「そう思える……」
「えっ?」
「そう思えるような何かが、俺にあるのか?」
「……」
 数秒の時が、二人の間に流れる。
目の前を、子供連れの家族が一組、楽しそうに話しながら通り過ぎていく。
「……スメラギさんの話」
「……」
「あの朝、スメラギさんが話したことが、何かひっかかっているんじゃないか、って」
「……」
 フェルトの問いに、刹那は答えなかった。
そして、そんな刹那を見て、フェルトもまた、無言で小さく頷いた。
刹那が返答をしなかったのは消極的な肯定であることを、フェルトにはすぐに察することが出来た。
だが、その『ひっかかり』が何なのか、そしてそれがどう刹那に影響を及ぼしているのかまでは、フェルトには見えない。
刹那が語ろうとしない以上、彼女も、強くは聞けなかった。
もともと刹那は言葉の少ない男だが、言うべき時には自分の意思をはっきりと表してきた。
今そうしないのは、刹那もまた、自分の『ひっかかり』が上手く消化出来ていないがためでもあった。
「あっ」
「?」
「皆が来た」
 刹那は顔をあげた。
連れだってこちらに歩いてくるの彼の同僚たちの姿が、視界に入ってくる。
「お待たせ、フェルト」
「ようお二人さん、邪魔だったかな」
「そ、そんなことはないわ、ロックオン」
「おおう、美味そうなサンドイッチじゃないか。早速いただくぜ、フェルト」
「ラッセ、いきなりがっつくのは行儀が悪いよ」
 途端に賑やかになる、ベンチの周り。
「ライルはどうしたの、ロックオン?」
「あいつは彼女と一緒に食事に行ったよ。まったく、兄をほったらかしとは薄情な弟だぜ」
「ティエリアはスメラギさんと話があるとかで来れないとさ、もぐもぐ」
「アレルヤもどこかへ行っちゃったけど、何か用事があったのかな」
「あらフェルト、たくさん作ってきたのねー。これならモレノさんもヴァスティ夫妻も誘ってこれば良かった」
 ロックオンが肩をすくめて笑う。
ラッセが口にサンドイッチを複数頬張る。
リヒテンダールがそんなラッセをたしなめる。
クリスティナが途中で買ってきたのであろう、飲み物をフェルトに手渡す。
小さなパーティ会場が、瞬時に誕生した。
841名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/20(日) 21:02:47 ID:???
「おい、刹那」
「何か」
 ロックオン・ストラトス―――双子の兄の方である―――は刹那の横に座ると、肩をポンと一つ叩いた。
「何か、じゃないぜ。暗い顔して一人でどっか行っちまうもんだから、誰も彼も心配してんだ」
「……そうか」
「可愛げが無いな、オイ。心配かけてスマン、くらい言ってもバチは当たらないぜ?」
「そうか」
「だから、何か、とか、そうか、とかしか言えないのかお前は!」

 スメラギがあの朝、皆に語ったこと。
それが、刹那の頭にこびりつき、ずっと離れない。
マイスター運送を起こした、イオリア・シュヘンベルグの『遺産』についての話。
GNドライブ―――磁気単極子の作用で陽子を崩壊させ、陽電子と光子を電力に変換する動力炉。
理論上は半永久機関ながら、技術的な問題と、世情的な問題から、世に出ることはなかった。
そう、300年前は。
「世界の統一が成り、技術面の困難さも解決しうる今が、この封印を解く時」と、スメラギは皆に告げた。
そして同時に、「その独占を狙う者から、秘密を守ること。これがマイスター運送の裏の仕事よ」とも。
 刹那には、決して思い出したくない、しかし逃れようの無い過去がある。
彼が生まれた国、クルジスは、民族問題と化石燃料問題で乱れ、崩壊した。
クルジスが壊れ、アザディスタンに併合された時、争いに巻き込まれた彼の両親はこの世を去った。
あの時、すでにGNドライブが世に出ていれば、果たして国は滅びることなく、家族も無事だったのだろうか。
誰に問うことも出来ない、問うても答の出ない『ひっかかり』は、スメラギから話を聞かされた日より、ずっと刹那の心の奥にある。
クルジス紛争の時にGNドライブがあれば、OZによって悪用されていたであろうことは容易に想像はつく。
そして確実に世界の統一は遅れたであろう。
だが、それと『ひっかかり』とは、また別の問題なのだ。

「まぁた暗い顔しやがって。ほれ、サンドイッチを食え、食って笑え!」
「む、ぐぐぐぐ」
「ロ、ロックオン! そんなにしちゃ、刹那が!」
「いいのさフェルト、こいつにはこれくらやらないと、素直にならないからな」

 彼の周りには、今、新たな『家族』がいる。
GNドライブの秘密を守ること、世界を守ること、そして家族を守ること。
それが今の刹那に課せられた、重大な使命である。

「美味いか? 美味かったら笑うんだよ、刹那」

 ロックオンの手を払いのけ、口元のパン屑を指で拭うと、刹那は小さく笑った。
そして、空を見上げた。

「……了解した」

 そこには、もう一片の雲も無かった。


 ◆ ◆ ◆
842名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/20(日) 21:05:35 ID:???
 椅子やら机やらがひっくり返った床の上で、いい歳こいた大人同士が言い争いをしている。
彼らはまるでお子様ランチの旗を奪われた子供のように騒がしく、着地点の見えないまま、一分数分数十分と罵りあいを続けていく。
朝方はそれなりにご機嫌だったの彼らも、昼の今ではすっかりその欠片もない。
他のメンバーが彼らに刺す視線は冷たいが、まだフライパンや鉄拳などの暴風の気配をそこに感じることはない。
あと十分もすれば、ヒルデ・シュバイカーが喧嘩中の三人全てに血の化粧を施すだろうが、
少なくとも今は、まだ彼女の苛立ちは本格化してはいなかった。
「何しやがんだよナルハム野郎! 大佐の、カティの愛のこもったサンドイッチを勝手に食いやがって!」
「何を言う、そもそもそちらが私の握り飯を無断で食べたのが悪いのだ!」
「おー、サーモンサンドうめぇ。鮭の握り飯もうめぇ」
 世界の平和を密かに守る特務組織プリベンター、その本部では、三人の大人が喧嘩をしている。
パトリック・コーラサワー、グラハム・エーカー、ジョシュア・エドワーズ。
プリベンターの誇る(?)問題児三人衆である。
「このサンドイッチはなぁ、愛しい愛しい奥さんが丹精込めて作ってくれたんだよ! お前になんか勿体ない!」
「私の握り飯は、米は秋田の最高級ササニシキ、中身はホッカイドーはシレトコの鮭児だ! 年に何度も食べられるものではない!」
「サーモンサンドうめぇ、握り飯うめぇ」
 この三人、とにかく仲が悪い。
いや、仲がいいのかもしれないが表面上は仲が悪いかの如くに毎日喧嘩してその様はあたかもああもうどうでもいいや、とにかくそんな関係。
「お前のしょうもないオニギリとは格がまったく違うんだよ!」
「オニギリではない、握り飯と言うがいい! 握り飯と言った!」
「どー違うってんだ!」
「サーモンサンドうめぇ、握り飯うめぇ」
 コーラサワーとグラハム、どちらもとことんゴーイングマイロードな人間であるからして、衝突はもう日常茶飯事になっている。
ぶつかりあわない日の方が珍しいくらいである。
これでも両者、AEUとユニオンでは名の通ったMSパイロットだったのだが、さて、当時の同僚は果たしてどんな思いで接していたのであろうか。
ついでに言っておけば、オマケのジョシュアも、ユニオンのアラスカ基地ではトップエースだった。
何かすっかりその面影も無い感じだが。
「ねえ、どうするのデュオ?」
「俺に聞かれてもな」
 そんな三人の言い争いを、やや離れてたところで『観察』しているのは、
プリベンターの仲間であるデュオ・マックスウェルとヒルデ・シュバイカーの二人である。
デュオという男、とにかく貧乏くじを引く運命にある。
今日に至るまで『割に合わない』目にあいまくっているが、
プリベンターでもそのくじ運の無さは健在なようで、いつのまにやらコーラサワー番のような立場になってしまっているのだった。
「ところでヒルデ」
「なあに、デュオ」
「フライパン、新しく買い替えたのか?」
「うん。前のはちょっと底が歪んできたから」
 そうか、と答えて、それ以上はデュオは聞かなかった。
何故今フライパンがいるのか、そして前代のフライパンはどうして底が歪んでしまったのか、それは彼にとって聞くまでもない事である。
「しかし、俺も腹が減ったなあ」
「ヒイロと五飛がお弁当を買いに言ってるんでしょ、もうちょっと待ってたら?」
「あと十分くらいってとこかね」
「そうじゃない? ところで、そろそろいいわよね?」
「……問題はない」
843名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/20(日) 21:07:10 ID:???
 食事とは、楽しく行うものである。
と、デュオは思っている。
横でぎゃあぎゃあと喧嘩されたままでは、何を食べても集中出来ないし、味だって感じられない。
かつては喧嘩どころでなく、本当の戦争が側にある中で、食事をしてきた。
だからこそ、平和な今は、『美味しく食べられる環境』を整えるべきなのだ。
力づくでも。
「一発で終わらせてくれよ」
「手間はとらないわよ」
 張五飛がヒイロと共に昼食を買いに外に出ているため、今日はヒルデが一人で『始末』をつけなければならない。
相手はどちらもアンデッドかデーモン級に耐久力と生命力が強い存在だが、そこはそれ、今までの経験から、ヒルデも『黙らせるコツ』を体得している。
まあ、プリベンターから一歩表に出れば、まったく一銭の価値もないコツであるが……。

「一応、救急箱は用意しておいてよ、デュオ」
「りょーかいした」

 日常の光景とはいえ、やはり血の雨が降る惨劇はあまり直視したくない。
前髪をかき上げつつ、デュオは窓に近寄った。
そして、空を見上げた。

「お、こりゃ降るかな……雪が」

 デュオの視線の先、遥か遠くの天には、薄く揺れる灰色の雪雲があった。



 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――。



 

 そろそろ終わりに向けて話そのものを進めていかないと……とは言え、繰り返しますが絶対シリアスやらラブやらに偏ることはありませ(ry
今まで代理投下ありがとうございましたコンバンハ。
次回で年内最後になると思いますサヨウナラ。
844通常の名無しさんの3倍:2009/12/20(日) 21:41:17 ID:???
土曜日さん乙であります!!
前半のほのぼのとした雰囲気と、後半の騒々しい雰囲気のギャップがいいですねw
845通常の名無しさんの3倍:2009/12/21(月) 19:27:48 ID:???
土曜日さんGJです。
アラスカ野www
846通常の名無しさんの3倍:2009/12/22(火) 20:43:09 ID:???
相変わらず土曜日さんのストーリーの組み立て方は巧みですなあ。
847土曜(ry:2009/12/23(水) 17:35:26 ID:???
plalaが全鯖で永久規制されてしまいました。
どうしたものやら。
848通常の名無しさんの3倍:2009/12/23(水) 17:48:14 ID:???
もうぷららはお辞めなさい!
一日でも早く他のプロバイダに切り替える事をオススメします
849通常の名無しさんの3倍:2009/12/23(水) 22:28:46 ID:???
OCNも規制されてる…
850代理:2009/12/23(水) 22:36:20 ID:???
>>847
土曜氏さん、乙です!

アラスカ野がどこまでも鮭なのがたまりません。
ところで何気にブシが食べていた超レアアイテム鮭児はどうやって入手したものやら
…まさか獲ったのか!?お取り寄せだと言ってくれブシ!修行してたと思ったら何してんだw
とはいえコーラさんにとっては愛妻弁当以上のスペシャルレアアイテムはないんでしょうが。

せっかく解除されたのにまた規制とは泣けますね。
こちらのプロバイダは今のところ大丈夫ですので、規制中は代理投下させて頂きます。
851通常の名無しさんの3倍:2009/12/23(水) 22:46:37 ID:???
てゆうか大手は巻き添え規制率が異常に高い
変なのも沢山いるからな
地方ローカルだと規制されにくいかも
されても個別で対応してくれたりする
852通常の名無しさんの3倍:2009/12/26(土) 01:07:22 ID:???
規制解除祈願保守
853通常の名無しさんの3倍:2009/12/26(土) 02:52:05 ID:???
本来は所得税が0の年が一度でもあったら参政権を生涯剥奪するべきだが
少なくとも生活保護や自己破産は選挙権と引き替えにすべき
854通常の名無しさんの3倍:2009/12/26(土) 03:02:57 ID:???
こりゃまたお堅い誤爆で
855通常の名無しさんの3倍:2009/12/26(土) 17:17:50 ID:???
plala解除きたみたいだけど、また個別で規制されたみたいだ
それと、スレの残り(レス番的にも容量的にも)も少ないみたいだから、
今すぐじゃないけど年が明けてから新スレの準備もした方がいいかもシレン
856通常の名無しさんの3倍:2009/12/27(日) 08:34:08 ID:???
規制は本当にやっかいだなあ
857通常の名無しさんの3倍:2009/12/27(日) 16:48:29 ID:???
仕事で使うメールアドレスがぷららのだから、乗り換えたくてもできない人がいるそうな
858名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/27(日) 22:19:37 ID:???
 アロウズ・セキュリティ・サービス、通称ASSは警備保障会社である。
施設警備、交通警備、輸送警備、そして身辺警備を行い、警察とはまた違ったやり方で「平和」を守っている。
右肩上がりのアロウズにおいて、ASSの存在価値は大きく、警備業者中のランクも着実に上昇中であり、
近い将来、その業種のトップに立つであろうと噂をされている。

  事件が起きてから動きだすのが警察、
  事件が起きる前に動くのが警備業、
  そして事件を起こす気すらなくさせるのがASS

 という謳い文句を前面に押し出したそのやり方は時に非難を浴びる程強圧的だった。
しかし同時に、その解決手腕の高さに対する称賛の声もまた、大きいのだった。
「さて、直に動く時がやってきたというわけだ、ジニン隊長」
「は……」
 そのASSの本部、警務部長室にて、二人の男が会話をしていた。
一人はこの部屋の主で、ASSの警務部長、アーバ・リント。
そしてもう一人は、彼の部下、バラック・ジニン。
リントは銀の髪にひょろりとした身体で、一見して荒事に長けているとは思えない外見だが、
頭の中身は別で、謀略から情報戦まで、卑劣な手段も辞さない『策略家』である。
ジニンはと言えば、リントとはまったく逆で、鋼鉄が服を着ているかのように、隆々とした筋骨を誇っている。
各種の格闘技をマスターし、一人のファイターとしても、また部隊の長としても、現場レベルではASSに並ぶ者がいない。
「気の無い返事だが、やる気がないのか?」
「いえ、警務部長、そんなことは」
「ならばいい」
 ジニンは、今まで堅実に業績を上げてきた。
暴動紛い、銃撃戦紛いのトラブルも解決したこともある。
だが、これから彼が望む“任務”は、『トラブルを解決する』ものではない。
寧ろ逆で、彼自身がトラブルを起こす側になるのだ。
「まあ、君に躊躇いがあるとして、その理由はだいたい察しがつくが」
「……?」
「まだ信じられないのだろう? GNドライブとやらが」
「……」
 ジニンはリントに対して、僅かに頭を下げた。
つまりは、上司の言葉の正しさを認めたというわけだ。
「無理もないと言えばないが、これは事実であり真実なのだよ、ジニン隊長」
「疑っているわけではありませんが、しかし……」
「疑っていないのなら、働くことだ。兵隊はおかしな考えを持つものではない」
 リントは、早い口調で一気にジニンの口を封じた。
膂力に関してはジニンが圧倒的にリントに勝るが、しかし、このASSの中では、リントがジニンより圧倒的に権力を持っているのだ。
859名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/27(日) 22:21:07 ID:???
「君は私の命令に従えばいい、それだけだ」
「はっ」
「具体的な指示はさっき渡したファイルに全て載っている。速やかに行動しろ」
 ジニンはさらに一礼すると、リントの前から退去した。
ファイルに載っていない緊急事態に陥ったらどうするか、とは、彼は聞かない。
それを問うたら、リントは冷笑して言うだろうからだ。
「私が立てた計画に、割り込むべき緊急的事態などない」と。
自信過剰にも思えるが、確かにそれに見合うだけの成果を、リントが今まであげてきているのも事実ではある。
ジニンも、彼から直接指示を受けて、今まで失敗をしたことはない。
だが、だからこそ、不安の槍がジニンの心をちくちくと刺すのだ。
何しろ、今度は普通の任務ではないのだから……。

「……さて、どうなるか」
 廊下を歩きながら、ジニンは小さく呟いた。
与えられた任務を、おろそかにするつもりはない。
常に全力、が彼個人のモットーでもある。
リントは、兵隊はおかしな考えを持つな、と言った。
そう、結局のところ、バラック・ジニンは兵隊なのだ。
ASSの、いや、アロウズという巨大総合企業の。
「やるしかない、か」
 GNドライブ、人類におけるエネルギー革命と成りうる無限動力炉。
その存在を、信じる信じないの話では、もうないのだ。
彼はアロウズの歯車の一つとして、かけずりまわるしかない。
その結果が、どうなろうとも。

 ◆ ◆ ◆
860名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/27(日) 22:24:52 ID:???
「もういくつ寝ると、何だと思う?」
「何だよ急に」
「いいから答えろ、みつあみおさげ。もういくつ寝ると、何だ?」
「……お正月だな」
 年の瀬も押し迫り、プリベンターはにわかに忙しくなった。
年末年始は政府関係の催しものも多くなるが、それに伴い、ボディーガードとしての仕事が大幅に増えたのだ。
「違うだろ、わかんねーのか?」
「他になにかあるのかよ」
 そんなわけで、メンバーはパトリック・コーラサワーとヒルデ・シュバイカーを除いて、ここ近日は大わらわだった。
今日もひとつ、式典の警護を終えて本部に帰還してきた次第だ。
なお、何故コーラサワーとヒルデが除かれてるのかと言うと、答は至って簡単である。
まず、ヒルデの場合はその役目が所謂後方支援担当であるから。
もっとも、別に彼女に戦闘力が無いわけではない。
何しろ彼女には必殺の武器、フライパンがある。
関雲長には青龍偃月刀、加藤清正には槍、そしてヒルデにはフライパンてなもんで、これを持たせりゃ天下無双、十分警護役も務まりはする。
だがしかし、フライパンを実際に持たせて警護をやらせるわけにもいかないっちゃいかないであろう。
 で、コーラサワーは何でハブ……もとい、除かれてるのかと言うと、
何かもう説明の必要があるのかわからんが、ぶっちゃけ、生身ではそんなに役に立たないから。
参加している女性をナンパしたり、オエライサンに失礼を働いたりする可能性が実に大であり、
しょーがなしと言うかやむにやまれずと言うか、まぁ置いといて当然的に残留組になっている。
いや、人手というものがあるから、彼にだって出てもらった方が楽になるのは確かではあるが、余程でないとやっぱり駆り出せない。
正味の話、実際テロにあって要人に被害が出ても、そのガード役が無傷でピンピンというのもマズイであろう、色々と。
「誕生日だよ、誕生日!」
「誰の」
「誰の、ってお前……」
「ああ、ジグムント一世のか」
「誰だよ!」
「ポーランド国王。16世紀の」
「しらね―よそんな奴!」
「じゃあウジェーヌ・ドマルセーか」
「それも誰だよ!」
「お前んとこの国の科学者だよ、19世紀の。ユウロピウムの発見者だ」
「しらねーってばよ!」
「それならロベルト・リベリーノか」
「だから誰だよ!」
「左足の魔術師と言われた、20世紀のブラジルのサッカー選手だ」
「だーっ! そんな連中どーだっていいんだよ!」
「どーだってよくないぞ、誰も彼もお前よりよっぽど業績を上げた人物ばっかだ」
861名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2009/12/27(日) 22:28:08 ID:???
 コーラサワーと会話をしているのはデュオ・マックスウェルだが、
彼はコーラサワーが何を言いたいか本当はちゃんとわかっている。
わかっているが、敢えてそれから話を逸らしているのだ。
「俺だ! スペシャルエース、パトリック・コーラサワーのだな!」
「命日か」
「誕生日だ!」
 仕事から帰ってきて、茶の一杯でも欲しいところに、コーラサワーのあからさまな質問攻め。
正直、デュオとしても、意地悪の一つや二つもしたくなるところである。
だがまあむしろ、デュオは優しい方であろう。
コーラサワーが問うた相手がヒイロ・ユイやトロワ・バートンなら完全無視を喰らっていただろうし、
張五飛なら延髄に蹴り、サリィ・ポォなら張り手一つでも貰っていたであろうから。
メンバーの中でちゃんと答えてくれるとしたら、多分カトル・ラバーバ・ウィナーしかいないに違いない。
グラハムさんとかアラスカ野さんとかは、まずもって会話そのものがちゃんと成立するかどうか。

「つーわけでよ、何かくれるよな?」
「何でだよ」
「めでたい日だぞ!」
「つうか、三十路の既婚者が半分以下の年齢の少年にプレゼントたかるなよ!」
「じゃあお年玉くれ」
「お前、もう一回同じ台詞繰り返してやろうか」
 この五分後、ヒルデが「前倒しでプレゼントあげるわ、
もういくつと言わず一週間程眠ってなさい」とフライパンをコーラサワーの後頭部に投げつけることになる。
だがまあとにかく。
「スペシャル・バースデーなんだよ! スペシャル!」
「ああそうかい。こっちは警護の仕事明けで疲れてんだ、お前一人で誕生日会の準備でもやってろ」
「おめでとう、の一言くらい言えないのか、みつあみおさげ!」
「ああはいはい、頭の中がオメデタクておめでとうさん!」
 新しい年は、近い。
大きな事件が待っている年が。

プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は、来年も続く―――




 コンバンハ。
代理投下の方、まとめの人、そして住人の方々にお世話になった一年でした。
来年、映画公開まで無事続けられるよう頑張りますサヨウナラ。

良いお年を……。
862通常の名無しさんの3倍:2009/12/27(日) 23:22:00 ID:???
土曜氏乙。よいお年を
863通常の名無しさんの3倍:2009/12/28(月) 15:31:25 ID:???
乙です、アロウズの動向が気になりますなあ
それでは、よいお年を…
864通常の名無しさんの3倍:2009/12/29(火) 16:48:51 ID:???
今度はドコモとあーうーが規制されてる…
PCとかちあったら職人ヤバス
865不定期でってんでぇ:2009/12/29(火) 21:58:00 ID:???
年末である。
ヒルデとミレイナは大掃除な最中で、プリベンターの面々も今日はグラハムと
ヒイロ、トロワが護衛のため、出払っているほかは掃除を手伝っている。
「そこのテーブルを動かして、そう、もう少し、右の方向へ、そう、そこ掃除機
かけるから。」てきぱきとヒルデが指示をする。
珍しくコーラも真面目に手伝っている。
やはり、フライパンと最近は斬馬刀もマスターしたらしく、さすがに不屈の
生命力を誇るコーラも逆らうのは得策ではないと思ったようだ。
 ましてや、ジョシュアはヘタレであるがゆえに最初から逆らうのを放棄して
いる。
 まあ、命を大事にしたいのなら、その方が賢明だろう。
 「さて、掃除も大方片付けたし、仕上げはハロにやってもらいましょう。」
「おい、ハロッて、そんな高度なことできるのか。」とコーラが問うと、「少なくとも
グラハムやジョシュア、そしてコーラあなたに比べれば、ちゃんとやってくれるわ。」
本シリーズではソレスタルビーイングの中では、かなり高度な作業を行っていたが、
この世界では、いろいろな用途に使用されていた。
 例えば、馬の世話や調理場での手伝い、看護用のリハビリのパートナー、
子供の相手、精神心理の治療助手など用途は幅広い。
 コーラもハロと比較されて、内心は愉快ではなかったが、文句を言うと
ヒルデのフライパンが飛んでくるので、黙っていた。
「さあ、ハロ。 最後の仕上げお願いね。」 とりだしてきた青ハロは「ワカリマシタ。
ワカリマシタ。」といって、天井や掃除機が入らないところ、調理場を器用に掃除していった。
「ふーむ、ハロっていろいろなことができるんですね。」カトルが感心したふうに
うなづいた。
「まあ、最初は軍事用から始まったけど、あの丸っこい形をみていると、いまの平和的利用に
使われていることが幸せなんだろうな。」と五飛がいった。
すっきりときれいになった事務所と食堂で青ハロは「オワリマシタ。オワリマシタ。」といった。
「ご苦労様、ハロ。 さあ、汚れたでしょう。お風呂でクリーニングしましょう。」
「ハロもキレイキレイ。」嬉しそうにハロは風呂へ行き、ヒルデにクリーニング
してもらった。
 ヒルデの顔はフライパンをコーラほか3馬鹿にフライパンを投げるときとは
別人のように優しい顔をしていた。

866不定期でってんでぇ:2009/12/29(火) 21:59:58 ID:???
  「ああいう顔をおれたちにも向けてくれたらなあ。」とコーラがつぶやくと、
「人を混乱させまくっているくせによくいうぜ。」とヒイロがいった。
「さて、ご苦労様、ハロ。お蕎麦すき?。」とヒルデが問うと、「オソバダイスキ、オソバダイスキ。」
とハロは飛び跳ねていた。
「おい、機械なのに食いモンいいのか。」とヒイロがいうと、「この子は人間の食べるのは
大丈夫よ。」とヒルデがいった。
「テーブルには、天ぷらそばがならべられた。 ハロは、手をだして、器用に御蕎麦を
食べている。
「下手な日本人より、箸の使い方が上手だな。」ヒイロがいった。
「ゴチソウサマデシタ。ゴチソウサマデシタ。」とハロは礼を言い、ヒルデは
「今日はありがとう。またよろしくね。」とハロをしまった。
「さて、ハロも休んだし、今日はこれであがろうか。」とコーラはいい、事務所を
あとにした。
 雪がちらついていた。「十二月の雪・・・か・・・。」手のひらをコーラが
だすと、雪が手の上ですっと溶けていった。
「ふう、来年はどうなるのかな。」コーラはつぶやきながら、夜の街に消えていった。
それをみていた、五飛とデュオは「あわねえ・・・。あわねえ・・・。」と不安そうにいった。
「これが続いたら、このスレ終わるし、俺たちの立場がねえ。どうする、五飛。」
不安げにデュオが訴えかけると、「なに、明日になったら、イヤッフーなコーラに
なるさ。それ見ろ。 バスに思い切り跳ね飛ばされた。 ああ、電気屋の店頭につっこんんで、バスの運転手に
文句いってら。毎度毎度なんかにひかれてるな。あいつ。」と五飛。
「いつも、思うが、ほんとに超人的だな。 あいつソーラ・レイの直撃をくらっても
笑って生き残ってそう。」
 ま、明日からはノーマルにもどるだろう。 おい、チャーハン食いに行こうぜ。」
五飛はデュオをともなって、中華料理屋にはいった。
人それぞれの年末。また、年が変わる。
___________________________________
どうも、不定期です。
 皆様方ご多忙のところ、年始の準備で大変でしょう。
有馬はボロボロでした。Orz

皆様には来年のご健勝とご多幸をお祈りします。
また、職人の皆様にも神の祝福がありますように。
では失礼いたします。
皆様、よいお年をm(__)m。

867名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/02(土) 20:22:06 ID:???
不定期氏、お疲れ様です。

そして明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
868通常の名無しさんの3倍:2010/01/02(土) 21:06:29 ID:???
あけましてコーラサワー
今年も職人さんよろしくね
869不定期だっぺ:2010/01/03(日) 05:54:12 ID:???
 土曜日様、職人及び住人の皆様方、あけましておめとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
 コーラ氏をはじめ、キャラの面々が又大暴れしそうですが、まあ、そのあたりは
楽しみでもあり、不安でもあります。
 本年もよろしくお願いします。
870!mohou:2010/01/04(月) 09:04:14 ID:???
あけましておめでとうございます。
元日に来たかったのに携帯もパソコンも規制されてて書き込めないっていうね……。
とりあえず遅ればせながらご挨拶でーす!
ttp://ranobe.com/up/src/up423993.png

今年もよろしく……できればいいなぁ。
それではまた。
871通常の名無しさんの3倍:2010/01/05(火) 17:16:21 ID:???
諸氏方乙々
今年も無事にスレが進行してほしいものです

シュワー(祈りの言葉)
872通常の名無しさんの3倍:2010/01/08(金) 17:40:16 ID:???
まったり行こうぜ!
873通常の名無しさんの3倍:2010/01/08(金) 23:37:24 ID:???
OCNだが、やっと規制解除されたよ…
また規制されないか不安だなあ…
874通常の名無しさんの3倍:2010/01/09(土) 23:04:48 ID:???
保守
875通常の名無しさんの3倍:2010/01/11(月) 10:50:29 ID:???
>>870
何か可愛らしいw
876名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/11(月) 15:51:56 ID:???
 新年が厳かに明けた。
まだ生まれたばかりだが、統一政府は着実に足を前に向けて踏み出しており、
人類の未来に今のところ、暗い闇は差してはいない。
 とはいえ、全ての道が光溢れる晴天の下ということもなく、
年明けから大小様々な事件が起こり、世をちょこまかと騒がせていたりする。
「あー……疲れた」
 JNNTVの報道アナウンサー、絹江・クロスロードは大きく溜め息をつきながら、机の上に突っ伏した。
彼女は昨年末から『エベレストの初日の出』を取材すべく、現地に飛んでいたのだ。
無事仕事を終えさぁ本社に戻ろうと思った帰路の途中で、大規模な窃盗団事件の現場に遭遇し、
緊急で取材を行わなければならず、さらに帰社が遅れてしまい、ただ今ようやっと戻ってきた、という次第だった。
「ご苦労さんじゃの」
 絹江の鼻孔に、香ばしい良い匂いが届いてきた。
目の前に温かいコーヒーのカップが置かれたのだ。
「ありがとうございます」
「何、激務に対するボーナスということにしといてくれ」
 彼女にコーヒーを渡したのは、彼女がいまいるこの部屋、資料室の主で、ハワードという老人である。
夏でも冬でもアロハシャツにサングラス姿で、非常勤職員としてすでに一線より退いてはいるが、
JNNTVに現在勤める誰よりもJNNTVのことを知りつくしていると言われ、
重役ですらおいそれと干渉出来ないとまでされる人物なのだ。
故人である絹江の父と旧知であり、絹江と弟の沙慈も小さい頃から色々と世話になっている。
「窃盗団の方は大変じゃったの」
「取材は後任に引き継ぎましたけど……警察の方も、手間取っているようです」
「随分と鮮やかな手口だったとか」
「乱暴ではありましたけど」
 追加取材をする羽目に陥らせてくれた件の窃盗事件は、今のところ解決に向けての有力な情報は無い状態。
地面を掘り、壁をぶちぬくという力技ながら、現地のコンピュータ機材の保管倉庫の中身を丸ごと持っていったのだ。
犯行声明も何も出ておらず、盗まれた機材も何に使われるか全く不明のままである。
「それにしても、目の回る忙しさとはこのことです」
「ふむ」
 絹江はコーヒーに口をつけた。
芳醇な香りの濃い液体が、喉から胃へと流れ込み、全身の疲れを幾許か溶かしていく。
 絹江には、忙しさの理由がわかっている。
上の意向なのだ、余計なことをせずに、与えられた仕事だけをしていろ、という。
昨年からこっち、彼女は独自で世界的総合企業である『アロウズ』の陰部を探っている。
そんな彼女の動きが、上のオエライさんは気に食わないのだ。
「目立ち過ぎると叩かれる、ということじゃ」
「でも……」
「猪突猛進も時によりけり、じゃよ。お前さんとて、クビになってはおもしろくあるまい?」
 いっそフリーのジャーナリストに、と絹江は考えなかったわけでもない。
だが、彼女には圧倒的に『取材力』が足りていない。
父は偉大なジャーナリストだったが、彼女自身は未だ勤めて数年のペーペーに過ぎない。
それにJNNと喧嘩をして辞めたとなれば、協力してくれる人間も増えはしないだろう。
そうでなくても彼女は方々から血気盛んなイノシシ娘として目をつけられているのだ。
若輩の小娘に煽られて、波風を立たせようとする者もそうはいない。
877名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/11(月) 15:53:17 ID:???
「前にも言ったが、城を落とす方法は何も正面より攻めるだけがやり方ではない」
「……」
「窃盗団ではないが、穴を掘ってそこから忍び込むという方法もあるってことじゃよ」
 小さく頷くことで、絹江はハワードの正しさを認めた。
所詮、社会では彼女はテレビ局勤めのちっぽけな報道者、
蟷螂の斧も、相手があまりにも巨象過ぎれば、どこに切りつけようとも揺るがすことは出来はしないのだ。
「しかし、のんびりしているわけにも」
「まあまあ、新年明けの休みが貰えるんじゃろ?」
「一応……」
「ならば、まずはゆっくりと身体を休めるといい。弟も心配しておったぞ」
 ハワードの言葉は、何から何まで正しい。
それは理性ではわかるのだが、感情がどうしても急かしてくる。
絹江の性格と言ってしまえばそれまでだが、同時に社会人としての若さゆえの焦りでもあるのだろう。
「このままじゃと休みが終わってからも、お前さんはあちこちほうぼうに飛ばされるじゃろうの」
「……ですね」
「なれば、じゃよ」
 ハワードは、声をひそめると、若干前かがみになった。
「ひとつ、わしが手を貸してやっても良いが」
「え?」
「それはの……」
 絹江は耳を寄せた。
ハワードの『提案』を聞くために。

 ◆ ◆ ◆

 プリベンターにとっても、新年が厳かに明けた。
が、年明けから頻発した様々な事件にちょこまかと出張らねばならず、特におめでたさを感じることもない日々である。
「あー……疲れた」
 ガンダムパイロットの一人、デュオ・マックスウェルは大きく溜め息をつきながら、机の上に額を打ち付けた。
彼は一昨日から世界各地のユニバーサル・スタジオで発生した『キグルミ及び衣裳の窃盗事件』を調査すべく、現地に飛んでいたのだ。
ハリウッドの次はフロリダ、フロリダの次はオーサカ、オーサカの次はセントーサ、セントーサと、
地球を一周する勢いで調査を行わなければならず、ただ今ようやっと戻ってきた、という次第だった。
「ご苦労様」
 絹江の鼻孔に、ふわりと良い匂いが届いてきた。
目の前に温かい緑茶の湯呑みが置かれたのだ。
「サンキュー」
「ボーナスにもならないけどね、激務の」
 彼に緑茶を渡したのは、プリベンターの後方支援を任務とするヒルデ・シュバイカーで、
デュオをはじめ他のガンダムパイロットと同年で、未だ少女と呼ばれるべき歳だが、
プリベンターに勤める誰よりも手が速く、五飛と並ぶ武闘派とまでされる人物なのだ。
デュオとはOZ騒動以来の旧知であり、プリベンターに入る前は共にジャンク屋を営んでいた。
「窃盗団の方は大変だったみたいね」
「現地の警察に引き継いだけど……あっちも手間取っているみたいだな」
「随分と鮮やかな手口だった、って」
「つーか力技だけどな」
 新年早々世界中を駆けずらせてくれたこの事件は、今のところ解決に向けての有力な情報は無い状態。
地面を掘り、壁をぶちぬくという荒技ながら、映画キャラクターのキグルミ、衣裳の保管倉庫の中身を丸ごと持っていったのだ。
犯行声明も何も出ておらず、盗まれたキグルミ等も何に使われるか全く不明のままである。
878名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/11(月) 15:56:04 ID:???
「それにしても、目の回る忙しさとはこのことだぜ」
「ふうん」
 徒労の息を吐くデュオに対して、ヒルデは普通に頷くことしか出来ない。
彼女自身は調査に加わることなく、ずっと本部に待機しており、全く疲れなかった。
しかし、デュオはまだマシな方で、彼以外のメンバーは未だ本部に戻ってくることすら出来ていないのだ。
サリィ・ポォとヒイロ・ユイ、トロワ・バートン、張五飛は引き続き警察とは別方向から調査を続行中、
カトル・ラバーバ・ウィナーはウィナー家の次期当主としての仕事があるため、一時実家に戻っており、
グラハム・エーカーとジョシュア・エドワーズは新MS(ミカンスーツ)の調整のために、ビリー・カタギリの研究所に年末より籠っている。
「でも良かったじゃない、一足先に帰ってこれて」
「本当に良かったと思うか?」
「……えーと」
 デュオだけが先に帰されたのには、もちろん理由がある。
「おーい、ウニ煎餅無かったか? 確か取っておいたはずなんだけどよ」
「んなもん知るかい」
 そう、パトリック・コーラサワーがいるから。
つまりは、お守を押しつけられたのであった。

 パトリック・コーラサワーの誕生日は、一月一日である。
で、新婚ホヤホヤということもあり、年末年始は彼は休暇を貰っていた。
なお、正月くらい彼がいない本部を、とサリィが本気で考えたかどうかは定かではない。
「それにしても、新年早々仕事とはたまんねーな、おい」
「まったくだよ」
「まあ、俺は夫婦二人でバカンスを楽しんできたわけだが」
「……」
 皆がヒイコラ言って働いている間、のんべんだらりと休暇を楽しんでいたのかと思うと、
表現し難い怒りのようなものが腹の底から湧いてくるデュオであったが、その一方で、「コイツがいてもな」という思いがあるのもまた事実である。
パトリック・コーラサワーがまるっきり無能だとは、彼は思わない。
シャクではあるが、コーラサワーがいてこそ解決した事件も確かにあるからだ。
だが、地道な調査にコーラサワーはやはり向いてはいない。
いつぞやの海産物密漁事件、アザディスタンの不審集団事件は、現在進行形で犯罪が行われていたから、コーラサワーの介入力が生きた。
しかし、犯罪が起こった後では、コーラサワーの異次元パワーはどうにも使いようが無いのだ。
「……まあ、窃盗団の本拠とやらがわかったら、真っ先に突入させてやるよ」
「MS(ミカンスーツ)でか?」
「ああ、そういう状況ならね」
「どういう状況よ」
 本来なら、そういった任務は警察及び警備隊の仕事である。
SASやデルタフォースとまではいかないが、どちらにもそれぞれ、対テロ・対凶悪犯の専門チームがあり、
プリベンターを除けば、それらが現在の世界において最強の『公設の軍隊紛い』な部隊になるだろう。
もっとも、民間にはASSという『私軍紛い』の警備保障会社があるが……。
879名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/11(月) 16:00:11 ID:???
「生身でもいいさ、専門チームの一員に特別に加えてやればいい。レディ・アンならねじ込めるだろ」
「でも、突撃班が全滅して犯人には逃げられ、現場にはプリベンターからの派遣者一人、ってことになったりして」
「……うわあ、想像したくないが有り得るな」
「何をぐちゃぐちゃ言ってやがる」
 どうやら無事にウニ煎餅を発見したようで、それを片手に持ってバリバリと齧りながら、ウロウロと歩くコーラサワー。
お行儀が悪いことこの上ないが、いずれこういうところは彼の妻であるカティ・マネキン(現在夫婦別姓)が矯正していくであろう。
「MS(ミカンスーツ)でならいくらでも先陣きってやるぜ」
「生身じゃ嫌だってのか」
「AEU軍時代、一通り、様々な想定下での白兵戦の訓練も受けたけどな」
「ほう」
 デュオとヒルデは腕を組んで、その訓練の図を想像しようとした。
だが、どうしても『コーラサワーが勝手に突っ込んでパァ』な映像しか浮かんでこない。
「一緒に訓練した奴らは大変だっただろうな」
「だよね」
 過去、プリベンターもコーラサワーの独断で色々と大変だった。
規律のより厳しい軍隊では、周囲はなおのことだったであろう。
少なくとも、現場においては彼を駒としてきちんと扱える指揮官がどーしても必要である。
AEU時代はカティ・マネキンであり、プリベンターにおいては、さて、サリィはどうであろうか。
「ウニ煎餅、無くなっちまった。おいオデコ娘二号、餅を焼いてくれ」
「自分でやんなさいよ」
「面倒臭いんだよ」
「ヒルデ、焼いてやれよ。フライパンで」
「そうね、焼いた後に後頭部を一発、てのはどうかしら」
 新年が厳かに明けた。
この年は、後世、『統一政府最初の大苦難の年』と呼ばれることになる。
今現在、世界各地で起きている様々な小さな事件が、いずれ大きな一つの流れに合流するとは―――この時点ではプリベンターの誰も予測し得ていない。

 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は今年も続く―――。



 アケマシテオメデトウゴザイマス。
何時の間にやら三年目、に突入完結に向けてぼちぼち頑張っていきますサヨウナラ。
880通常の名無しさんの3倍:2010/01/11(月) 22:33:33 ID:???
GJです、嵐の前の静けさ、な感じがしますね
ところで、>>877のプリベンター本部でのシーンですが、
デュオが絹江になってますよ
881通常の名無しさんの3倍:2010/01/12(火) 18:12:45 ID:???
まだ出てきてないW&00のキャラっていたっけ?
882通常の名無しさんの3倍:2010/01/13(水) 22:34:37 ID:???
>>881
大方のキャラは出てる筈(名前だけ出たキャラも居るが)
883通常の名無しさんの3倍:2010/01/14(木) 17:59:51 ID:???
>>881
コーラのお守が嫌で火星に逃げだした人たちが約二名
884通常の名無しさんの3倍:2010/01/15(金) 22:39:04 ID:???
>>883
ゼクスとノインの事?
885通常の名無しさんの3倍:2010/01/17(日) 12:24:23 ID:???
保守
886名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/18(月) 02:49:14 ID:???
 その部屋に入った時、一瞬だがリジェネ・レジェッタは自身の身体が浮遊する錯覚に捕らわれた。
だが、あくまでも一瞬であり、すぐに足の裏にしっかりとした固い床の感触が戻る。
次いで、機械が放つツンとした臭気と、芳醇で芳しい香りが、エアコンの温かい風に乗って届いてくる。
「やあ、何をしているんだい? リボンズ」
「リジェネか。いや、暇だからね、昔の映画でも見ようかと」
 リボンズ・アルマークがリーダーを務めるイノベイターは、世界でトップクラスのアイドルグループである。
現在はリフレッシュを目的に、活動を一時休止しているが、
あくまでそれは表向きであり、実際はなんやかやと陰謀をめぐらしちゃっている最中なのだ。
「昔の映画?」
「最近の映画はつまらなくてね、金をかけたら何でも大作になるわけじゃあないのに」
 世界の各地に、イノベイターは『別荘』を持っている。
どれもが、広い土地に大きな屋敷で、それこそ『金をかけたら』の見本のような建物ばかりだ。
そして、中身の方も豪勢で、メンバーの個室以外に、それぞれの趣味に応じた設備も整っている。
センスが古い、と時としてメンバーに指摘されるリボンズの趣味の部屋は、
最新の映像設備と過去ほとんど全ての映画・ドラマを揃え、もう小さな映画館と言っていい程のものである。
先程リジェネが平衡感覚を狂わせたのは、部屋の中が真っ暗だったからだ。
「暇とは言うけれど、いいのかい?」
「何がだい」
「君の計画にほころびが生まれないか、ということさ」
「連中のことなら、当面放っておいて問題無いよ」
 リボンズが言う連中とは、彼の手足となっていろいろと『悪さ』を働く者達のことである。
巨大総合企業アロウズのホーマー・カタギリ、アーサー・グッドマン、リー・ジェジャン、アーバ・リント、
トリニティ運送のヨハン、ミハエル、ネーナの三兄妹、
リニアトレイン社総裁のラグナ・ハーヴェイ、
そして傭兵、盗賊、なんでも屋のアリー・アル・サーシェスといった面々だ。
彼らは今、大まかにはリボンズの計画の下であるものの、独自の判断で動いている。
「まだ始まったばかりだからね、正確に言えば、スタートラインにも立っていない」
「でも、ネジが一本緩んだだけで壊れるメカもあるわけだし」
「君は心配性だね」
 クスリと笑うと、リボンズはリジェネにソファを勧めた。
位置的には、リボンズの対面になる。
「コーヒー、飲むかい?」
「せっかくだからいただくとするよ」
 本来なら、こういった会話は彼らには必要ない。
その気になれば、音声に出さず、『脳内で』意思を疎通することが出来るからだ。
イノベイターのステージはダンスや歌の統一感が売りになっているが、
それは彼らがこのような特性を持っているからである。
もっとも、通常時はほとんどこの力は使わない。
それぞれが近い位置にいて、普通に生活を営む分には、声に出して言葉を交わす方が楽なのだ。
887名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/18(月) 02:51:47 ID:???
「インスタントとはいえ高級品だよ」
「そうなのかい?」
「我らがマネージャーが買ってきたのさ、ウルトラスーパーゴージャスミラクルゴールドブレンド、というらしい」
「香りは格別だけど、名前は上品とは言えないね」
 イノベイターのマネージャー、アレハンドロ・コーナーは豪華主義な側面があり、色々と派手さを好む。
アリーなぞは露骨にそんな彼を嫌っているし、トリニティの面々もあんまり関わりたくないのか、話しかけようとはしない。
イノベイターの面々でさえ、時としてそのキンピカ趣味が鼻についてイライラすることがある。
マネージャーとしての手腕は優秀で、それについては文句は無いのだが。
「まあ、君が大丈夫と考えているならそれでいいか」
「連中にミスがあっても、その反動が返ってくるのは結局連中までさ」
 リボンズはコーヒーの湯気を顎にあてつつ、微笑んだ。
実際、今の段階で多少の躓きが出ても、イノベイターには何もダメージはない。
もう少し『材料』が揃ったところで、リボンズをはじめメンバーが動くことになるだろう。
「ああ、邪魔した形になったけど、映画を見てくれていいよ」
「そうかい、なら君も見るかい?」
「内容によるね」
 リジェネはあまり昔の映画やドラマに興味はない。
彼はイノベイターの面子の中でも、趣味に重きを置かない性質なのだ。
「ホラー映画を楽しもうと思ってね、それもB級の……」
 リジェネが興味があるのは、あくまで現実の世界のこと。
世界を変え、そしてイノベイターが人類の頂点に立つ。
それが、目下最大の彼の興味であり、意欲の対象である。
「ああ、コーヒーのおかわりが欲しければ、好きに淹れてくれて結構だよ」
「そうさせてもらうよ」
 しかし、まるまるリボンズの計画ではおもしろくない。
リジェネ・レジェッタの計画で世界の変革を成し遂げても、何も問題はないはずである。
今のところは、リボンズに主導権があっても良い。
だが……。

「味はいいね、このコーヒー」
 リジェネは笑った。
無言の野望を、手元のコーヒーに溶かして。

 ◆ ◆ ◆
888名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/18(月) 02:54:04 ID:???
「はああ、つまんねーなあ」
「仕事しろよ、仕事」
 プリベンターは世界の平和をひっそりと裏から守る組織である。
暇な時もあれば、滅茶苦茶忙しい時もある。
現在は、その中間といった感じと言えようか。
「仕事ったってよ、書類整理くらいしかねーじゃねーか」
「あるじゃないか、それをやれよ」
「嫌だね」
「どうせいちゅうねん」
 只今本部にいるのは、パトリック・コーラサワーとデュオ・マックスウェルの二人だけ。
それ以外の面子は、先日より世界各地で頻発する奇妙な盗難事件の調査のために出払っている。
単なる泥棒というには、盗んでいく物が珍妙過ぎて、警察も正直首を捻る事件なのだが、
プリベンターとしてはいささか無視出来ない事態になっているのだ。
何しろ、盗まれた物の中に、『大量の靴下』があったとなっては。
「映画でも見っかなー」
「勤務中だぞ、コラ」
「でも仕事ないだろ」
「あるって言ってるだろ」
 コーラサワーとデュオは、遊軍扱いで待機中。
いざ火が起これば、即座に動ける消し手として本部にいなければならない。
まあ、この二人が残っているのは多分に現場リーダーのサリィ・ポォの意向が大きいわけだが。
すなわち、問題児とその監視役。
「いやさ、先日から243チャンネルで二十世紀の名画特集をやってるんだよ、終日」
「だから何だ」
 コーラサワーの怠慢を咎めるデュオだが、彼とて何か仕事をしているわけではない。
ソファーに座ってお茶を飲んでいるだけである。
書類整理をしてもいいのだが、コーラサワーが側にいる状態で紙やデータと格闘する気にはとてもなれないわけで。
何だかんだでデュオも現場の人間なのだ。
「見ようぜ」
「ダメだっつの」
 デュオは溜め息をついた。
コーラサワーが自分より二十歳近く年上にはどーしても思えない彼である。
889名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/18(月) 02:55:15 ID:???
「じゃあ酒でも飲むか」
「お前、ふざけてるのか」
「もうコーヒーは飲みあきたんだよ」
「なら、特別なやつを作ってやろうか」
 デュオは腰を上げた。
コーラサワーとくっちゃべっていても、メンタルポイントががしがし削られるだけである。
ちょっとでもいいから身体を動かさないと、精神的によろしくない。
「ミレイナが持ってきたインスタントコーヒーがあるんだけどな」
「オデコ娘三号が? 大丈夫なのかよ」
「高級品だぜ、一応」
 プリベンターに来てから、妙にデュオはお茶とかコーヒーに詳しくなってしまった。
単純に飲む機会が多いからだが。
「あったあった、ええと名前はな」
「名前は?」
「ウルトラスーパーゴージャスミラクルゴールドブレンドだ」
 おかしな名前だ、とデュオは思った。
そして同時に、スペシャルという言葉が入っていないことに、奇妙な安心感を覚えた。


 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――


 誤字脱字がありましたらごめんなさいコンバンハ。
映画、秋って情報は本当なんでしょうかサヨウナラ。
890通常の名無しさんの3倍:2010/01/18(月) 09:33:06 ID:???
乙です!
コーヒーの名前なげえwww
891通常の名無しさんの3倍:2010/01/18(月) 22:59:57 ID:???
土曜日さん乙!
リジェネの動向が気になります、00本編では看破されてしまっただけにw
892通常の名無しさんの3倍:2010/01/19(火) 18:23:40 ID:???
ゼクスとノインは一番最初の話に出てきてなかったっけか
それとWの端役連は全然出てきてないはず(ノベンタとか)
あれ、プロフェッサーたちは出てきたっけ?
893通常の名無しさんの3倍:2010/01/20(水) 19:36:29 ID:???
現在レスは900目前、容量は480KB後半
次スレをたてるタイミングはどれくらいがいいだろうか?
894通常の名無しさんの3倍:2010/01/20(水) 22:48:11 ID:???
>>893
もうそろそろたててもいい頃合かも知れないね
895通常の名無しさんの3倍:2010/01/22(金) 18:12:25 ID:???
このペースだとあと二週くらいかな、移行時期は
しかし6スレ目にいくとは初代の時は思わなんだ
896通常の名無しさんの3倍:2010/01/24(日) 19:08:40 ID:???
保守
897名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/25(月) 00:36:40 ID:???
すいません、所用につき次回分はちょっと遅れます。
898通常の名無しさんの3倍:2010/01/25(月) 16:32:45 ID:???
もうのんびり進めても大丈夫だ
ゆっくりまったりと行こうじゃあないか
899名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/25(月) 21:35:57 ID:???
 極東の島国の、とある山沿い都市の外れ。
かつて工業地区であり、多くの倉庫、工場が立ち並んでいるところである。
工員で賑やかだったそこは、しかし、今はもう廃れて人影の一つも無い。
都市そのものが山側から平地よりにその面積を伸ばしていったため、取り残されてしまった形である。
道路整備事情が充実していれば住宅地として蘇っていたかもしれないが、誰もいなくなってから百年も経った現在では、それも今更であろう。
かくして、買収と整地の計画だけがこの百年の間に出ては消えの繰り返しで、
気づけば都市行政側もほとんど管理を放棄し、荒れ放題の雑草伸び放題になっている次第だった。
この時代になっても、こういう所はあるのだ。
「おおらあ、ボスのご帰還だあ! お前ら、道を開けろお!」
 そんな場所だが、今日は事情が違っていた。
複数のトラックが、アスファルトの剥げかかった道路を通り、ここに集ってきている。
運転しているのは、どれも逞しい身体の持ち主で、明らかに一般人とは雰囲気が違っている。
「おい、外であんまり大袈裟に騒ぐんじゃねえよ、誰が聞いてるとも知れねえんだぜ?」
「へ、へい、すいません、ボス」
「まあ、こんなところにキャンプしにきている奴なぞいねぇだろうけどな」
 ボスと呼ばれた男は、蓄えた顎鬚は獅子を、鋭い眼光は鷹を思わせ、このゴツイ連中の中でも、特に醸し出す雰囲気が突出していた。
群れの先頭を行く、リーダーの風格があるのだ。
「おう、C組はどうしたあ? まだ着いてねえみたいじゃねえか」
「さっき、30分程遅れると連絡がありやした。何でも事故渋滞に巻き込まれたとかで」
「ケッ、どこのどいつだ、事故なんてしやがったマヌケは……まあ、しょうがねえか」
 男はトラックから降りると、地面にペッと唾を吐いた。
「よーし、B、D、E、Fは全部揃ってるかあ?」
 彼の名前は、アリー・アル・サーシェス。
かつて様々な組織で様々な活動を行い、裏社会に大きくその名を轟かせる人物である。

「へいボス! 誰も怪我も何もしちゃいませんぜ!」
「バァカ、人数の話じゃねえよ! 盗ってきたブツの数のことを言ってるんだ!」
 アリーをはじめとする彼の一党は、地区の中でも最も大きな廃工場の中に今、いる。
遥か昔は千人規模の人員が汗水たらして機械と格闘していたであろうこの工場だが、
今は機材も全て取り払われ、建物の壁の中には鉄筋の骨組みと、散乱した遺物があるだけである。
「B組は大丈夫ですぜ!」
「Dも問題無しでさあ!」
「Eも同じく!」
「F組はオマケまで持ってきましたぜ、帰る途中で閉店後の酒店から売り物をまるごといただいてきやした!」
 F組のリーダーの報告に、工場内にいる全員が「ひゅう!」「ヤッホウ!」と歓声を上げる。
アリーも、計画外のことをしやがってと小さく呟いたが、顔にはニヤリとした笑いが張り付いている。
今回、彼らがやってきたことに比べれば、深夜にシャッター閉めただけの無防備な店から品物をかっさらってくることなぞ、手で球を転がす程度の簡単さだ。
「よぉし、呑気なC組の連中のことは放っておいて、とりあえずその酒を全部運びこめ!」
「へい、ボス!」
「取りあえずは今回の計画はここで一段落だ、軽くだが、乾杯といこうじゃねえか!」
 先程に倍する歓声が、工場内に響き渡った。
荒くれ者たちの手が、酒瓶が運び込まれるや否や、我も我もと伸びていく。
「おい、とりえあず俺にはビールをよこせ、銘柄は何でもいい」
 部下が彼に渡した缶ビールは、丁寧にも冷えていた。
どうやら、F組が盗んできたのは酒だけでは無かったようである。
900名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/25(月) 21:41:34 ID:???
「全員に行き渡ったか?」
 アリーは錆びついた鉄階段を登ると、皆が見下ろせる位置に立った。
大昔、工場の関係者が稼働する機械の群れを眺めていたであろうその場所は、
今や数十人規模の部下を操る裏社会でも屈指の傭兵隊長のものである。
「……C組のアホウ共が遅れている以外は、ばっちり計画通りだ。お前ら、よくやった」
 アリーは今、彼が『大将』と呼ぶ男―――イノベイターのリーダー、リボンズ・アルマーク―――の下で動いている。
今日に及ぶ二週間程の、全世界規模の集団窃盗事件の実行犯こそが、彼である。
コンピュータ関連の機材からアミューズメント施設のキグルミまで、ありとあらゆる物を『集めて』きた。
無論、今後の彼らの活動に役立てるために、だ。
「俺のA組の方も成果はスゲェぞ、各地の美術館や金持ちからかっぱらってきたお宝がわんさかだ!」
 アリーが直々に指揮を取ったA組は、芸術品を中心に荒らしまわった。
繊細なそれらを傷つけないため、わざわざA組は振動対策、空調機能を強化した特別トラックを用意した程だ。
「ボッティチェリ、フェルメール、ゴッホ、ゴーギャン、ピカソ、スーラ、グレコ、雪舟、徽宗……」
 アリーが芸術家の名前を読み上げる度に、部下の間から「オゥ!」と合の手が入る。
今、アリーが挙げた名前が、歴史的、美術的にどれほどの巨名かを、彼らも十分熟知している。
「秦の銅剣、アッカドの石碑、エジプトの死者の書、エトルリアの彫刻、ローマ帝国の象牙板……」
 合の手の声が、徐々にだが、確実に大きくなっていく。
「全部合わせて100とちょっとだ! これが今、俺たちの側にあるんだぜ! 世界中は今頃大騒ぎだってんだ!」
 合の手が歓声、いや暴声に変わる。
うねりとなったそれは、天井にぶち当り、跳ね返り、工場そのものが吹き飛ばんばかりの勢いとなる。
「よっしゃ! 飲め! 飲んじまえお前ら!」
 アリーは缶ビールを開けると、乾杯の宣言も無しに口をつけ、一気に喉の奥に流し込んだ。
目の前の部下達も、引き続き狂喜の叫び声を上げつつ、それぞれの酒を口の中へと放り込んでいく。
「へ、へへへ……大騒ぎな上に、コロリと騙されてやがるぜ、間違いなく。これからが楽しみだってんだ」
 空になった缶を、指の力だけでくしゃりと潰すと、アリーは不敵に笑った。
「本当は、美術品がメインじゃあねぇんだなあ、これが」
 そう、部下達が盗んできた物に比べれば、アリーが奪ってきた物の方が、遥かに価値は高い。
だが、それはあくまで表面での話。
今からアリーがリボンズの計画で動くに当たって、本当に必要なのは、部下達の成果の方なのだ。
美術品は、所謂隠れ蓑であり、そして、更なる計画の下地作りの部品に過ぎない。
あと数カ月もすれば、また元の美術館なり、持ち主なりの手元に戻ることになるであろう。
リボンズの策によって……。

「C組のトラックのライトが見えましたあ!」
 宴が始まって十数分、酒盛りの間をぬって、遅れていたグループの到着が、アリーに届けられた。
アリーは新たなビールの缶を部下からひったくると、大声で叫んだ。
「渋滞なんぞに巻き込まれた罰だ! C組の連中には、酒を冷やしていた氷水を頭から被せてやれ!」
 語尾に、今日最大の歓声が重なった―――

 ◆ ◆ ◆
901名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/25(月) 21:46:21 ID:???
「たいへんだな、おい」
「大変なんだよ」
「すげえたいへんだ、おい」
「凄く大変なんだよ」
「何の漫才なの、貴方達……」
 統一政府の首府の中心、議事堂内にあるプリベンターの本部は、今日は賑やかである。
世界的な窃盗事件の捜査を完全に警察に引き継いだので、全てのメンバーがここに戻ってきているのだ。
いや、いつも賑やかやんけというツッコミが入るかもしれませんが、それは全てパトリック・コーラサワーがいるせいです。
彼一人で何時だって賑やかなんです、ハイ。
賑やかというのは、人数的な意味で、声の大きさという意味ではございません、今回は。
「色々なモンがパクられたかと思えば、今度は美術品かよ。合計被害額はいくらくらいなんだ、みつあみおさげ」
「さあね、計算するのも嫌になるくらいの巨額ってのはわかるがね」
「何だよお前、知らねーのか?」
「知ってたとしても、お前には教えたくないけどな」
 やれコンピュータの部品だの、やれキグルミだのと、無節操極まりない窃盗事件だが、
プリベンターは早くから、この事件がとある男の起こしたものではないかと睨んでいた。
それは、盗まれた物の中に大量の靴下があったからで、プリベンターのメンバーの頭では、靴下はイコールで『あの男』に直結している。
今まで幾度にも渡ってプリベンターの前に立ちはだかってきた傭兵、アリー・アル・サーシェス。
時には改造潜水艦で海辺の魚介類を密漁し、時にはMS(ミカンスーツ)ソンナコト・アルケーでプリベンターに甚大なダメージを与えたあの男だ。
だからこそ、今回の一連の事件において、世界各地にメンバーが飛んで調査をしてきたわけだが、
同様の手法(地下に穴を掘ったり壁をぶちぬいたり)で有名美術館から一流の芸術品が盗まれた現在に至って、
警察庁がプリベンターの協力を一切排した独力で捜査を行うことを決定してしまったのだ。
このままでは面目まる潰れ、さらに内部協力とはいえプリベンターに解決でもされた日には、二重で顔が潰れるといった塩梅だったのだ。
行政機関が体面を重視する気風は、この時代になっても、統一政府となっても、未だ変わっていないのであった。 
「しかし、いいんですか?」
「何が? カトル」
「僕たち、このままで……」
「無論、良いわけがないわ。捜査は続けます」
 カトル・ラバーバ・ウィナーに尋ねられて、サリィ・ポォはピシャリと言い放った。
サリィに言わせれば、これで迷宮入りにでもなったら、政府の大失態どころか人類の歴史上に残る汚点になるのに、
何を下らないことにこだわっているのか、ということになる。
盗まれた美術品は、どれも巨匠の作、歴史的名作ばかり。
謂わば地球人類の宝なのだから、使える物は何でも使って、協力してくれる手は何でも握り返して捜査に当たるべきなのだ。
「窃盗団ではなく、プリベンターは『アリー・アル・サーシェスの追跡』を名目にして捜査を続行するわよ」
 ゲイリー・ビアッジ(つまりアリー)という男が怪しい、という情報は、すでにその根拠と共に警察に伝えてある。
それをどう生かすかは、ここに至っては警察の勝手である。
プリベンターにとってはアリーが主犯なのは最早確信であるからして、迷いなぞない。
「つまり、警察の邪魔はしていない、と」
「そういうこと。いずれ向こう側の焦点もあの男に絞られるでしょうけど、スタート位置が前な分だけこっちが有利だわ」
「ですけど、窃盗のやり方を見ていると、結構大人数が動いているようですよ。僕らだけじゃあ手が足りなくなるかも」
「その時は、思いっきり高値で売り付けてやるわよ、犯人を。巣に踏み込む直前の状態でね」
 目の前に餌がある状態では、いくら面子がどうのこうのと言っても、警察も手を伸ばさざるを得ない。
表の手柄を押しつけることによって、今後同様の事件が起こった場合、警察は裏ではプリベンターに強く出ることは出来なくなるであろう。
プリベンターとしても、それでアリーが逮捕されれば、悩みの種が一つ減ることになる。
902名無しさん土曜日 ◆gLNd2xXs6c :2010/01/25(月) 21:51:35 ID:???
「でも私は、アリー・アル・サーシェスの裏にまだ黒幕がいるんじゃないかって思うのよ」
「……そう考える、何かがあるんですね」
「いいえ、確証も何もないわ。むしろ勘に近いんだけれど……」
 サリィは、ヒルデが淹れてくれた湯呑みの玄米茶に視線を落とした。
その表面では、写った彼女の顔と天井が、ゆらゆらと揺れている。
そう、想像に過ぎない。
だが、どうしても引っかかる。
やれデパート襲撃だ、やれ密漁だと小悪党紛いのことをしてきたアリーだから、何かを盗むこと、対象が無節操なのは別におかしくはない。
だが、今回はやたらとやり方が大胆過ぎる。
今までも大胆と言えば大胆だったが、その中身というか質がちょっと違ってきているように、サリィには思えるのだ。
「んなこたあ悩んでても仕方がないだろ、ぶん殴ってふん縛ってとっ捕まえる! これ以外にあるか?」
「貴方ね……簡単に言うけど、そこに至るまでが大変なんじゃないの」
 能天気とも言えるコーラサワーの発言に、思わずサリィは頭痛を覚え、右の目尻を指で押さえた。
あまり考えたくはないが、最近目尻にシワが増えたような気がする彼女である。
まだ三十路にも数年届いてない若さなのに。
「とにかく、今は情報を集めていくしかないわ。幸いアリー・アル・サーシェスが犯人であることは明白なのだから、彼に集中すればいいわけだし」
「ですが、万が一彼が犯人でない場合は?」
「その時は、お偉い警察様が見事に事件を解決してくれるでしょう」
 口調がトゲトゲしいサリィだが、やんわりとなら兎も角、居丈高に協力を撥ねつけられたのだ。
苦々しい気持ちにもなろうというものである。
ちなみに、プリベンターのトップであるレディ・アンは、警察の独力捜査を告げられた時、鼻で笑っただけで何も言わなかった。
別に警察が嫌いでも馬鹿にしているわけでもないが、今回については、サリィもレディも思っている。
出来るもんならやってみろ、と。
アリー・アル・サーシェスは並大抵の悪党ではない、馬鹿で何かと度が過ぎるが、それだけに一筋縄ではいかない強敵なのだ。
海辺では追いつめながらも逃げ切りを許し、またアザディスタンでは壊滅直前にまで叩きのめされた。
それらの事実は、組織の管理者として二人の心に強く悔恨として残っている。
「……だけど、馬鹿には馬鹿を、か」
 思えば、二度のどちらも、コーラサワーが局面打開の切り札になった。
いや、なってしまった。
もし、次にアリーと対することがあったら、またこの男が……。

「まあ、大船に乗ったつもりでとにかく俺に任せておけ! 模擬戦二千回不敗、AEUのスペシャルエースだった、このパトリック・コーラサワーに!」
「大船じゃなくて泥船に乗った気分だな」
「俺が出ればアリーだろうがキリンさんだろうが像さんだろうが、あっと言う間に刑務所にお引っ越しだぜ!」
「ほんまかいなーそうかいな、と」
「ポニテ博士の新型MSの調整が終われば、どんな敵でも俺が片づけてやらあ!」
「博士に言っておこうか、お前のだけ調整遅らせて下さい、って」
 いや、やっぱり綿密に作戦を練って、全員で勝負しよう。
例え切り札になり得るとしても、最初からそれに頼るやり方は現場の指揮官として失格だ。
それに、いくらスペシャル馬鹿パワーが土壇場で威力を発揮しようとも、コーラサワーに頼るのはちょっと複雑な気分になってしまう。
デュオのツッコミを聞きつつ、そう思うサリィなのだった。
  
 プリベンターとパトリック・コーラサワーの心の旅は続く―――

 誤字脱字がありましたらすみませんコンバンハ。
次回からは次スレになるでしょうかサヨウナラ。
903通常の名無しさんの3倍
土曜日さん乙です!!あと、新スレたてておきました!!

新機動炭酸コーラサワーW 模擬戦6戦目
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1264426682/