シン・刹那は仮面ライダーになるべきだ

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1議論スレにて1001変更案を相談中
ここはシンや刹那が仮面ライダーだったらというifを語るスレです。

参考
シンは仮面ライダーになるべきだ 4回目
 http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/shar/1171891882/
まとめサイト:31氏
 http://www15.atwiki.jp/sinatmaskedrider/

仮面ライダーOO セカンドシーズン
 http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/shar/1208357640/


2議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 09:42:37 ID:???
過去スレ見ると、種は平成と、00は昭和と相性が良いみたいだな
3議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 10:44:57 ID:???
|M0)ジー
4議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 12:30:32 ID:???
職人かえってこないかなあ
5議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 14:33:15 ID:???
シンも刹那も昭和ライダー系な感じがする
6議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 14:44:00 ID:???
いっそ シン1号 刹那2号でやってみたらどうだろう?
7議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 18:10:13 ID:???
ロックオン、ティエリアもライダーだな
8議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 19:17:06 ID:???
まさかアスランまでライダーになるとはな
9議論スレにて1001変更案を相談中:2008/10/31(金) 20:15:04 ID:???
アスラン三年連続で特撮出るなんてどうなってんだ
10議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/01(土) 10:22:21 ID:???
シンはクウガみたいな複数フォーム持ちで、
刹那やロックオンは龍騎系のひとつの戦闘スタイルを得意とする感じか。
11議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/01(土) 19:32:20 ID:???
仮面ライダー衝撃の続きがとても気になる
12議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 14:38:31 ID:???
愚痴スレ住人としては、シンと刹那のダブル主人公でやって欲しい。

ところでシンの境遇はV3的だが、刹那はどのライダーと似てるかな?
13議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 14:56:44 ID:???
とりあえず刹那は騎士、ロックオンはゾルダ、ティエリアは王蛇で決定。
アレルヤは何つったっけあの金色のカニみたいな早く死んだヤツ
14議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 15:24:31 ID:???
シザースの事か。
ダブルオー勢は色つながりかぃ。
15議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 15:25:32 ID:???
そんならハレルヤが王蛇じゃね?
16議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 15:54:16 ID:???
>>12に遅レスだが、例の仮面ライダーSPIRITSを読んで思ったが、
シンも刹那もZXに相当するな。
仮面ライダー00 SPIRITSも昭和ライダーのエッセンスをいろいろ足してたが、
刹那は最終的にRXのエッセンスも入りそうだな。
ブラック→RXになった時のエッセンスだが。
17議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 16:40:09 ID:???
刹那の場合、00のツインドライブとV3のダブルタイフーンのイメージが重なるな
18議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 17:02:39 ID:XxIGCa2L
はたまたツインドライブの稼働係数が高すぎてガンダムになってしまうか
刹那歓喜だな
19議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 17:17:16 ID:???
>>13
ティエリアはリュウガとも取れるな
20議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 21:11:30 ID:???
>>17
シンは中の人の境遇的に(父よ母よ妹よ)、刹那は乗機の能力的にイメージが重なるな
21議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/02(日) 23:55:51 ID:???
仮面ライダー衝撃を読んだからかクウガとのクロスオーバーをいろいろ考えてしまう。
22議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 08:42:27 ID:???
>>18
じゃあティエリアは人間として生きようとするガンダム…
いや、まさにその通りだったな
23議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 10:37:38 ID:???
シンは特定の因子を持つ者だけが使えるツールで変身する555や剣系
刹那は直接身体を改造されてGNドライブを移植された昭和ライダー系というイメージだな
24議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 11:07:01 ID:???
イオリアとともにGNドライブを開発する本郷猛と結城丈二という妄想から話は作れるかな?
25議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 11:13:55 ID:???
今回の00の引きが井上っぽくて吹いたw
新ライダー登場回と煽っておきながら最後にチラっと登場するだけという恒例の予告詐欺w
26議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 18:03:34 ID:???
あの引き方が井上の賛否両論っぷりを更に上げてるんだよな
27議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 21:32:32 ID:???
これってセイバーやアリオスみたいな可変系MSの場合、ライダーに変換したときにどう再現すればいいのだろう
28議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/03(月) 21:50:46 ID:???
a.アクセルフォームみたいな高速戦闘形態になる
b.バイクに変形する
c.キバってドラゴンに変形するよね
29議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 00:18:37 ID:???
種死のインパとセイバー以外のセカンドシリーズや、バクゥなんかの異形系はモンスターや怪人の方が使い勝手が良い気がする
30議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 12:32:56 ID:???
シンも刹那も剣を使った接近戦が得意な感じだから、ここは『牙狼』をベースに……
31議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 16:27:16 ID:EBCoR1GE
変形する敵役MSは激情態を持ってて、主人公側はカブトのように二段変身出来ると解釈してる
32議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 18:02:17 ID:???
シンと言えば
序章ライダーだな
33議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 23:44:52 ID:???
激戦の末、刹那やシンが、
ショッカーや黒い幽霊団の首領みたいな化物と、
対峙することになったらどうなるんだろう?
34議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/04(火) 23:45:27 ID:???
シンって絶狼のポジションなんだよなー。身内を亡くした復讐者ってあたりが。
35議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 09:27:38 ID:???
>>31
機械音声で「ハイパーデュートリオンパワー」とか出るとモロそれっぽいなw
36議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 13:11:27 ID:kSe0NLBa
その発想は無かったw
37議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 13:27:27 ID:???
( 0w0)オディノコトモワスレナイデホシイディス
38議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 14:07:55 ID:???
ブレイド:刹那
ギャレン:ロックオン
カリス:ティエリア
レンゲル:アレルヤ(暴走時ハレルヤ)
39議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 15:18:54 ID:???
ギャレンは凸以上の適任が考えられないんだよなボロボロ的に考えて
40議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 16:32:13 ID:kSe0NLBa
レンゲルがアレルヤなのは合ってるな。カテゴリーAに支配されたらハレルヤになって、ヴァーチェのカテKのカードはキャストオフなんだろうな
41議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/05(水) 17:21:55 ID:???
>>40
オーライザーはブレイドのJ、GNアームズは全てのスペードと融合かな
何故かギャレンも使えるが
42議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 00:24:29 ID:???
GNアームズ=ラウズアブゾーバー
どう見ても捏造だがオーライザー=キングラウザーじゃないか?GNソードUは小ぶりで最強形態の武器らしくないし。でもアギトのシャイニングカリバーの例があるからそうとも言い切れないな
43議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 02:11:57 ID:???
ところで種世界の人類が、SICだか何かで言われてたアギトになるかオルフェノクになるかのどちらかしかない状況になったら、それぞれどっちになるんだろうか
44議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 17:45:00 ID:???
>>43
オルフェノクの場合、ラクスがオルフェノクの女王になりかねんので
アギトである事を祈りたい…
45議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 18:01:55 ID:???
その場合、キラは反逆しないドラゴンオルフェノクだな
アスランはムカデか
46議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 18:06:08 ID:dvZ826Qs
その調子だとシンがたっくんでレイが草加君になっちゃうな。三原は…えっと誰にしよう?
47議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 18:10:02 ID:???
>>46
ユウナ何か良くないか?ヘタレ的な意味で。
48議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 18:14:17 ID:???
ヘタレキャラは合ってるなw
そうしたらアヴェリナがカガリになっちゃうから相思相愛でトールとミリアリアはどうかな?
49議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 18:44:57 ID:???
>>46
ルナマリアか西川
50議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 19:02:26 ID:???
ルナマリアは真理でいいんじゃないか
51議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 23:30:40 ID:???
ロードとアズラエルは「オルフェノクこそ最高の存在だ!」と、
お互い首社長になって、狂笑している姿が目に浮かぶ

ところで録画を見て思ったんだけど、二期に入ってから逮捕・祖国炎上。
不運続きのマリナは、野上良太郎のお姫様版じゃなかろうか。
もし、あの華奢な身体に、無理矢理タロスズを詰め込んだら、
きっと、あちこちで砂吐きまくるんだろうなぁ…

52議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/06(木) 23:55:40 ID:???
「駆け引き外交はお任せ!ウラタロス!」
「国難には強気で行くぜ!モモタロス!」
「政治は常に腰を据えて!キンタロス!」
「国民を躍らすのは僕が!リュウタロス!」

マリナ「……無理よ!こんな人達、大きすぎて私の中に入る訳ないじゃないの!」

シーリン「いいですか、無能な貴女に代り、難事は彼らが引き受けます。
     そして姫様は憑依中にダウンしなければいいだけなのです。
     もし、我慢できなければ、国の指導者として失格です。」

マリナ「…や…やるわよぉ…」
53議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/07(金) 00:07:02 ID:???
ティエリア「絶望した。刹那・F・セイエイ。
      君は、変な鳥とロックオンの見分けもつかないのか…!」
54議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/07(金) 01:02:14 ID:???
ロックオン「おいおい刹那!
ティエリアとそんな骸骨野郎を間違えんなよ!」
55議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/07(金) 16:03:48 ID:???
モモタロス「おうマリナ!お前の必殺技を決めちまえ!」
マリナ「えっと… 値切り!」
一同「え〜っ!」
56議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/07(金) 18:23:22 ID:???
>>13,19
刹那→ナイト
ロックオン→ゾルダ
アレルヤ→シザース
ティエリア→リュウガ
ヨハン→インペラー
ネーナ→龍騎
グラハム→オルタナティブ・ゼロ
ハワード→オルタナティブ
ダリル→ガイ
コーラサワー→ベルデ
ソーマ→ライア
アレハンドロ→オーディン

全部色で決めてみた
57議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/08(土) 01:06:40 ID:???
小ネタだけ。

「戦争が好きで好きでたまらない、人間のプリミティブな衝動に殉じて生きる最低最悪の仮面ライダーですよ」
−浅倉を殺して、デッキを奪い取ったアリーは、そう嘯くや二代目仮面ライダー王蛇に変身した。
58議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/08(土) 01:08:06 ID:???
ティエリア「…新たなハレルヤが出現した時のアレルヤの身体データ画像だ。何か気づかないか?」
ロックオン「何って……待てよ…内蔵も骨格の特徴も、全て鏡で写したみたいに逆じゃないか!?」

−正体がばれたと悟った、新たなハレルヤ=鏡像のアレルヤは、仮面ライダーリュウガに変身した。
 戦闘中にすり替えられ、鏡面世界に閉じ込められた本物のアレルヤは、ただ見ている事しか出来なかった。
59議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/08(土) 01:12:29 ID:???
「…ライダーシステムの性能の差が、勝敗を分かつ絶対条件ではない、と分かってはいます。
しかし、この乙女座のグラハム=エーカー!仮面ライダーの存在に心奪われた男である以上、私もなりたいのです!!」
−そう一気に告白するや、グラハムはBOARDの所長である烏丸啓に頭を下げた…

その後。
ビリー「それで…BOARDから借りたライダーシステムの調子はどうだ?」
グラハム「オデノカラダハボドボドダ」
ビリー「うん。分かるよ…どうやら言語野に障害が出てるようだね。やはり、あのシステムには副作用があったみたいだな。」
グラハム「ウゾダドンドコドーン!!」

更にその後。
カティ「…成程、その後遺症で、ミスター・ブシドーとかいう変態になったのか…」
60議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/08(土) 01:14:46 ID:???
レイ「これより、ロゴスの秘密基地に対する奇襲作戦について説明する。
   (中略)MSで強襲後、シン達には即座に基地に侵入し情報確保に動いてほしい。
   尚、その際には、電王ガンフォームを先頭に我々が後から続くフォーメーションで行く。質問は?」

リュウタ「ねぇ。何でいつも僕とシンちゃんが先頭なの?」

レイ「…いい質問だ。ガンフォーム時の君達は文字通りのワンマンアーミー、一騎当千の人間海兵隊だ。
   俺は、君達にその力を存分に発揮出来る機会を与えてやりたいんだ。頑張ればご褒美だって出す!」

リュウタ「わーい!」

ルナ「(小声で)…そりゃ、敵地に突撃する特攻隊・切り込み隊長・弾除け・囮なんて言えないわよねぇ…」

シン「(小声で)…おい、リュウタには言うなよ。」
61議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/09(日) 21:28:31 ID:???
妖怪ボタンむしりvsミスター・ブシドー
62議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/09(日) 23:48:49 ID:???
00とキバのクロスだと、

音也時代:00P時代のライダーマイスター達と音也達が共に戦う
渡時代:刹那達が渡達と共に戦う

って感じになるのかな
63議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/10(月) 13:27:22 ID:???
第一世代マイスターの頃はまだガンダムも試行錯誤の段階だし、戦力が十分でなかった頃の1980年代とは相性がいいな
64議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/10(月) 19:17:18 ID:???
仮面ライダー的主人公設定を考えてみた。
俺自身がこれでSSを書く予定はないけど。

シン……主人公その1。悪の秘密結社ヴァ・ンダイ(仮名)の怪人によって両親と妹を殺される。
      家族の仇を取るためヴァ・ンダイ(仮称)を付け狙うが瀕死の重傷を負い、改造され仮面ライダーとなる。
      ※V3・風見志郎がモデル

刹那……主人公その2。ヴァ・ンダイ(仮名)の幹部サーシェスが計画・指揮した改造人間部隊の一員だった。
      ふとした事から洗脳が解けヴァ・ンダイ(仮称)に敵対し、仮面ライダーとなる。
      ※ZX・村雨良がモデル

ヴァ・ンダイ(仮名)との戦いの中でこの二人が対立しやがて協力する。
その過程で復讐より護るための戦うようになる。
65通常の名無しさんの3倍:2008/11/10(月) 23:41:51 ID:???
シンの家族を殺したのが刹那だったりするのか?
ライスピで、ルミの父親を村雨が殺したかもしれない、みたいに。
66通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 00:01:31 ID:SoqAivYb
電王やイマジンに関わってはいけません!

【腐女子?】復帰を果たした電王・白鳥百合子のblogがまた荒らされる→IP開示で防御中

地元テレビ局での番組で芸能界復帰したタレント・白鳥百合子さんのblogが
荒らされている模様。これに対し、ファンからは応援のメッセージが多数寄せ
られている他、本人も荒らしコメント投稿者のIP開示に踏み切った上で
『関係先からも「コメント欄を閉じる」「ブログを一時閉鎖する」などの
アドバイスがありましたが・・・私がこんな理由で「魂のブログ」を閉じる
ことはありませんし』との気丈なメッセージをコメントしている。
※補足/問題のコメント荒らしは10/9付け日記に対するもの。
 以下の一文がそのひとつ(一部伏字にしてます)

「つかありえねーだろてめーから芸能界降りて、タレントとしてブログやってんの。
理不尽、筋通せつってんのつか※※でください」
Posted by あ at 2008年10月09日 23:53

これが電王にかかわった者の末路
             /    ̄ \   
            /     /\  \   
           /     /|  \  ヽ   
           /     / |    |   ヽ.
           !      /| |    |   |    
         ;|      |,|,,,     ,,,|   | 
          | /丿 _ |ィェェ、   ,'ィェ| | |   
         ://    |  -     -  | || 
         / へ | |  |    ::  ::  | |   
        /  へ|   i |     `― '● | |\    
      /   ノ |   | |ヽ  `-=ニ=- '|| 
        /    |  || ヽ   ─ /
              \ | ‐ ヽ──  
67通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 00:04:48 ID:???
ヴァ・ンダイってバンダイかよwww
68通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 00:12:24 ID:???
便乗してみた。

753…現在アロウズ所属。MSとライダーの併用による、
    実験的特殊攻撃部隊「ブルースカイ」からの転属組。
    装備が揃うまで、お荷物的立場のルイスのコーチを買って出る。
    戦闘中にあれこれ指示を出すが、成果は今一つ。

コーラ…お笑い担当。他の皆が格好良く変身するのに、
    何故か彼だけ「変身一発」を飲んでカイザになる。
    正し、毎回碌な事にしか使わず、しかも刹那達にやられるため、
    「また無駄な変身をしおって!馬鹿者が!」と大佐に怒られている。
    でも、大佐は最高です!だってさ。
    
    
    
    
69通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 11:04:08 ID:???
ブルースカイって名前カッコいいじゃねぇかw
70通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 22:20:53 ID:???
MSは人型兵器だけど、仮面ライダーは人間兵器なんだよな。

>MSとライダーの併用による、実験的特殊攻撃部隊
オートバジンと555や、ミラーモンスターと龍騎ライダーズの、
連携攻撃がそれに近いかもしれん。
ガンダムだとMSを援護か囮役にして、ライダー自身は内部に侵入して、
破壊に勤しむなんて戦法も使えそうだ。
71通常の名無しさんの3倍:2008/11/11(火) 23:28:31 ID:???
マリナ…実は新たな仮面ライダーキバ。三馬鹿モンスターからは、
    契約者扱いされず、寧ろ種族繁栄要員として見られている。
    夜な夜な使いもしないザンバットソードを泣きながら研ぐ姿が哀れ。
    実質戦闘能力0

キバット…シーリンに代わり、マリナの補佐を勤める。
     しかしアザディスタンの掟により蝙蝠は政治に関与できないため、
     表に出れない事を歯がゆく思う。

三馬鹿…世界の混乱を他所に、勝手にマリナを種族繁栄要員と決め付け、
    誰の種族の子を産んでもらうかを争っている。
    最近のライバルは「ガンダム族」の刹那。
    次狼「ガンダムってどんな種族なんだろうな?」
    

72通常の名無しさんの3倍:2008/11/14(金) 01:02:16 ID:???
バンダイってバダンの亜流っぽい名前だな
73衝撃1/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:46:19 ID:???
仮面ライダー衝撃(インパルス)

第十九話『暗躍』


「これはどういうことですか!」
 突如として直属の上司である警備部長室に呼び出されたタリアは、怒りもあらわに書類をデスクへと叩きつけた。万年筆がデスクの上を踊り、かちゃりと音を立てる。
 上司への振る舞いとしては、最悪といってもいい蛮行だ。だが警備部長であるアデスは、軽く眉をひそめただけで、あくまで静かだった。
「見てのとおりだ。何か問題でもあるのかね」
「当然です!」
 部屋に通された彼女に対し、アデスは一束の分厚い命令書を手渡した。何人もの警察幹部の印が入った、略式ながら正式なものだ。緊張に息を呑みながら、タリアは書類をめくった。
 極めて回りくどい言葉で長々と記述された命令は、要約すると実にシンプルなものだった。すなわち、
"自衛隊の特殊部隊と協力し、MSに対処せよ"

 血のバレンタイン直後に出現した異形の存在、MS。
 銃弾など軽くはね返す強靭な外殻、人知を超えた怪力、そして計り知れない超能力を秘めた、人外の怪物。その圧倒的な力の矛先は人類へと向けられた。
 MSによって繰り広げられる、数々の殺戮行為。怪物の前では、市民も当時の警察も無力であるということになんの変わりもなく、単なる殺戮の対象でしかなかった。犠牲者は増え続け、人々の間に恐怖と不安が広がっていく。
 MSによる直接の犠牲者が万単位に達した頃、数々の閣議を経て、ようやく自衛隊が出動することとななった。そのことに関しては、一部のメディアは黒い噂があるなどと報じていたが、真偽の程は未だ定かではない。
 これでMSと戦う手段を得たと思いきや、代償はあまりにも大きかった。
 自衛隊の装備は強力すぎたのだ。戦闘の度に、破滅的な被害が広がった。また、実戦を口実としての軍事増強までも囁かれる。それらの出来事は、自衛隊に対する国民感情の悪化を招いていった。
 決定的となったのが、グリマルディでの戦闘だった。
 数々の目撃情報から割り出された、MSが潜んでいると目された土地、グリマルディへの殲滅作戦。
 多数のMSと自衛隊、最初で最後の総力戦だった。
 戦いは、痛み分けという形に終わった。
 自衛隊は多くのMSを殲滅することに成功したものの、損害はそれをはるかに上回った。戦場跡には、幾多の壊れた兵士と兵器の残骸が、醜悪なオブジェとなって残されている。
 グリマルディという土地にも、取り返しのつかない凄惨な傷痕が刻まれた。使用された兵器の威力は、地形を変えるにとどまらず、酷い汚染をも引き起こした。
結果、この土地から生命の息吹は途絶えた。もう一度生命が芽吹くには、気の遠くなるような永い時間が必要となるだろう。
 この戦闘において、MSの殺戮行為は途絶えた。だが、それは一時的なものでしかなかった。
 グリマルディでの戦闘からしばらく経った後、MSによると思しき事件が再発した。しかも、前に比べて手口が巧妙かつ狡猾となって。
身を潜めていたことで、時間と知恵を手に入れたMSは、より恐るべき存在へと進化を遂げたのだ。
 知恵を身につけたMSの出現場所は、人の多い市街に集中するようになった。自衛隊は破壊力のある武器が使えずに、犠牲ばかりが増えていく。
 結果として"警備"という名目で、再び警察がMSへの対応を担うこととなった。
 だが、従来の警察の装備では歯が立たない。MSに対抗するためには、新しい力が必要となる。
74衝撃2/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:48:33 ID:???
 それがZAFTだった。
 機動隊を母体をして、最精鋭の人員が集められた実働部隊は、科警研や民間の企業と提携して新たに武器を開発、実際に運用することでMSに対抗するノウハウを作り上げていった。
 かつてのZAFTは警備部の1セクション、あくまで捜査本部の延長のような存在でしかなかった。だがMSが復活したことで再結成された現在のZAFTは、
通常の指揮系統から完全に独立した部署となっている。警備部長を上司とするのも、慣習が残っているに過ぎない。
 市民をMSら怪物の魔の手から守る。それがZAFTの職務であり、隊員の誰もが誇りを持っている。反面、MSを倒すことを優先して周囲に被害を与え、
あまつさえグリマルディのような事態を引き起こした自衛隊に対しては、良い感情を抱いてはいなかった。
 四年前の時点でも、自衛隊はZAFTの活動に幾度も横槍を入れてきた。対MS戦略を念頭に置いた強化外骨格の開発など、その際たるものだ。
民間企業と結託してまで開発された代物だが、MSの襲撃によってその計画は頓挫したはずだ。
 再び自衛隊が介入してくる。利権が絡んでいるのか、軍備増強の口実にでもするつもりなのか。どちらにしろ、警察として、ZAFTとして、許容できる話ではなかった。
「今さら自衛隊がしゃしゃり出てくるなんて……」
「何をそんなに息巻いている? 警察も自衛隊も市民を守る、という使命を持っている。その点については、同志といってもいいだろう。MSという脅威が再び現れた今、協力して市民を守るために活動するのに、いったい何の異存があるというのだね?」
「何を白々しいことを……」
「ユニウス署がたった一体のMSに壊滅させられてしまったというのは知っているだろう。そうでなくとも、MSは更に強力になってきている。警察の戦力だけでは、もはや対応しきれないのだ」
 反論のしようがなく、タリアは口をつぐんだ。事実、警察がいくら力を持ったところで、自衛隊との間には、絶対的な戦力差が存在する。
「これからは警察と自衛隊が連携して未知なる脅威、MSに対抗しなければならない。両者が手に手を取りあう時がきたのだ。そのために、自衛隊は対MS用の特殊部隊を結成し、
こちらに派遣してくる。ZAFTは彼らへの支援と協力を行え」
「しかし!」
「これは命令だ。分かっているな?」
「……了解しました」
 どんな理不尽な命令であっても従わざるを得ない。それが組織だ。
 タリアはぎりぎりと歯を食いしばった。
75衝撃3/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:49:55 ID:???

「お姉ちゃんたち、遅いね」
「まったく、退院祝いをやろうって言い出したのはルナだってのに……」
 寂しげなマユの言葉を受け、シンはテーブルの上に目線を落とした。
 このテーブルは、久々に食卓らしい活躍をしていた。
 そこにはさまざまな料理が並んでいる。そのほとんどが出来合いの惣菜だったが、中にはメイリンがつくってくれたものもある。だが、当のメイリンはこの場にいない。
言いだしっぺの、ルナマリアもだ。
 途中までは一緒にパーティーの準備をしていたのだが、用事ができたと言って、帰ってしまったのだ。シンはマユ、レイと共にテーブルを囲み、彼女たちが来るのを待っている。
「ルナマリアたちにも事情がある。仕方ないだろう」
「分かってるよ、それくらい。それより、レイのほうは大丈夫なのか?」
 シンは居間に新しく設置されたグランドピアノに視線を向けた。部屋が大きいのでこんなものがあっても窮屈さを感じることはなく、いいインテリアになっている。
レイが演奏するというので、倉庫代わりの部屋にあったのを協力して移動させたのだ。しばらく使われていなかったらしくうずたかくほこりが積もっていたが、まともに音がでるのだろうか。
「調律もした。十分使えるはずだ」
「楽しみにしてます。あ〜あ、お姉ちゃんたち、早く来ないかなぁ?」
 待ちくたびれたかのように、マユはテーブルに両肘を着いて、顔を支えた。

 突然の軽快な音楽。
 三人ははっと顔を上げた。インターフォンが鳴ったのだ。マユは顔を輝かせ、椅子を跳ね飛ばすようにして駆け出した。
「あっ、きっとお姉ちゃんたちだ。迎えに行ってくるね」
「転ばないように気をつけろよ」
「は〜い」
 ちょっとだけ振り向き、元気よく答えた直後、マユは敷居に足を取られた。
 前のめりにすっ転んで、うつ伏せに倒れたままのマユ。シンは呆れ気味に立ち上がって、手を差し伸べる。
「言ってるそばから……。大丈夫か、マユ?」
「えへへ。やっちゃった」
 ばつが悪そうに、マユは顔を上げて舌を出した。それを見たシンは思わず噴き出しかけ、差し出していた手で口を覆う。
「あれ、お兄ちゃん。どうかした?」
「いや、その……」
「変なの」
 シンはマユの顔を見ないように必死で顔を逸らし、必死で笑いを堪えている。
 怪訝な顔をするマユだったが、ルナマリアたちを待たすわけにいかない、とでも思ったのだろう。すぐに起き上がって、服をパンパンとはたいてから、そのまま玄関へと走った。
76衝撃4/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:50:44 ID:???
 マユは笑顔でドアを開けた。
「お姉ちゃん、いらっしゃい」
 案の定、入り口に立っていたのはルナマリアとメイリンだ。メイリンはお祝いのものと思しき花束を抱えたまま笑顔だったが、対照的にルナマリアは、彼女にしては珍しく不機嫌そうな顔をしていた。
「退院おめでと……ぷっ」
 マユの顔を見たメイリンは、お祝いの言葉を言おうとして、いきなり吹き出した。
「ぶ〜、いきなり何ですか〜?」
 顔をあわせた途端に笑われたマユは、わけが分からずに口を尖らせた。
「マユちゃん、か……顔」
「顔?」
 口を押さえて笑いを堪えながらも、メイリンはハンドバッグから小さなコンパクトを取り出した。ピンク色をした、いかにも女の子、といった感じの可愛らしいものだ。それを開いて、中の鏡にマユの顔を映し出す。
 マユは小さな鏡に映った自分の顔を、まじまじと見つめた。
 さっき転んだ時に、したたかにぶつけたせいだろう。鼻の頭が、まるで童謡に歌われたトナカイのように真っ赤になっている。
 ――わずかな沈黙。
 可愛らしい絶叫が家中に響いた。
77衝撃5/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:52:41 ID:???
 鼻の頭に絆創膏を貼り付けたマユは、背もたれを抱えるようにして座っていた。シンたちに思い切り背を向けている。その小さな背中からは、いかにも不機嫌です、というオーラを立ち上らせていた。
「マユ、いいかげんに機嫌なおせよ」
「みんなひどいです。マユのこと、笑いものにして」
 振り返ったマユはつんと口を尖らせて、半眼でシンを睨みつけた。本人としては怒っているのを表現しているつもりなのだろうが、まだ幼く愛らしい顔立ちのおかげでそんな仕草までも可愛らしく見えてしまう。
「だから、ごめんってば」
「ふん、だ」
 言えば言うほど、マユはますます機嫌を悪くしていく。シンはほとほと困り果てるが、もっと厄介なことがある。
 不機嫌なお姫様は一人ではなかったのだ。
「ほら、お姉ちゃんも〜。いつまで怒ってるの?」
 ルナマリアだ。さっきからずっと苦虫を噛み潰したような顔をして、テーブルに行儀悪く頬杖をついていた。
「ぶえつうにいい。怒ってなんかいないわよ〜」
 少し低めの声。あからさまに怒っている。常に明るい彼女のこんな姿を見るのは初めてかもしれないが、珍しがっている場合でもない。
「いいかげんにしろよ、ルナ。メイリンが困ってるだろ!」
「何よ、シンには関係ないじゃない。それともメイリンに気でもあるの?」
 空気が張り詰めた。シンが無言で立ち上がる。不穏な雰囲気に、マユとメイリンは身をすくませてしまう。
「ふざけるのもたいがいにしろよ! 大体……」
 爆発寸前で、美しい音楽が剣呑な空気を包み込むように流れた。
 先程シンとレイで一生懸命に運んできたものだ。レイの指が鍵盤の上を踊るたび、古めかしい外見からは想像もつかない美しい旋律を奏でる。
 気色ばんで立ち上がったはずのシンは、その音楽に憤りを洗い流されたかのように、椅子に座りなおした。
 シンだけでなく、マユやルナマリアも毒気を抜かれて、美しい音楽耳を傾けている。
 演奏が終わったとき、誰からともなく拍手が起こった。そして、わっと駆け寄っていき、口々に賞賛する。
「レイ、ステキだったわよ!」
「かっこよかったです、レイさん」
「なんていう曲なの?」
「別にタイトルはない」
「そうなの? でも、きれいな曲」
 メイリンに微笑を返して、レイはゆっくりとピアノの蓋を戻した。
78衝撃6/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:54:39 ID:???
 二人の機嫌は完璧に直っていた。もちろん、シンも今さら突っかかるような、情けない真似はしない。
 レイはいつも通りのポーカーフェイスに戻って、落ち着いた声音でルナマリアに尋ねる。
「何があった?」
「あ……その……」
 ルナマリアにしては珍しく言いあぐねていた。よほど言いにくいことなのだろうか。
「あのね、お姉ちゃんずっと家を留守にしてたでしょ? うちの寮、そういうの厳しいから。それでお姉ちゃん、寮母さんと大喧嘩しちゃって……、追い出されちゃったの」
 代わってメイリンが答えた。シンとマユは、揃って表情を曇らせる。
「それじゃあ……」
「マユのせい、なんですね」
 責任を感じて沈み込んだマユに向かって、ルナマリアはひらひらと手を振った。
「そんなことないわよ。もともとあそこは私に合わなかったし」
「だって、お姉ちゃんはマユの世話をしてたから……」
「違うって言ってるでしょ。いっても聞かない子は、こうよ!」
 ルナマリアはいきなりマユの小さな身体に両手を挟みいれ、わきわきと動かした。
「キャハハ! や、やめて!」
 ともすれば暗い気分に沈み込んでしまいそうなマユを、ルナマリアは強制的に笑いの渦に引きずり込む。
 遊んでいるルナマリアを尻目に見ながら、メイリンは深刻気にため息を吐いた。
「それでね、これからどうしようかと思って」
「なんだ、そんなことか」
「そんなことって言い方はないだろ。家を追い出されるのって大変だぞ」
 シン自身、前に住んでいたアパートを追い出されたことがあるので、メイリンの気持ちはよく分かった。遊んでいるとはいえ、ルナマリアもきっと同じ気持ちだろう。
「俺はここに住めたからいいけど……」
「なら、ルナマリアたちもここに住めばいい」
 こともなげなレイの言葉に、メイリンは虚を突かれて息を止めた。ルナマリアもその手を止め、ぜいぜいと肩で息をするマユの隣で素っ頓狂な声を上げた。
「え、嘘!」
「嘘や冗談でそんなことは言わない」
「じゃあ、本当にいいの?」
 なんとも心強い言葉だったが、メイリンは恐る恐るといった様子で聞いた。ポーカーフェイスのまま、レイはこくりと頷く。
「ああ、部屋は余っている。今さら二人くらい増えたところで、大して変わらない」
 その言葉を噛み締めるように、ルナマリアたちは頭の中で反芻した。そして、ようやく意味を理解したかのように喜色満面になった。
「ありがと、レイ!」
「よかったぁ。レイ、ホントにありがとう!」
「それじゃあ、お姉ちゃんたちと一緒に暮らせるんだ!」
 ルナマリアとメイリンだけではない。やっとのことで息を整えたマユも、うれしさに声を弾ませる。
「そうよね。これからよろしくね、マユちゃん」
「はい! メイリンお姉ちゃん、よろしくお願いします」
「ちょっと〜、私は?」
「ルナお姉ちゃんも。とってもうれしいです!」
 ルナマリアもメイリンもマユも、飛び跳ねるようにキャアキャアと騒いでいる。新しい家が見つかって、しかも一緒に暮らせるのだから、当たり前といえば当たり前だが、少しうるさい。
 やかましい、というより姦しい三人娘をよそに、シンは声を潜めて聞いた。 
「いいのか、レイ?」
「ああ、デュランダル教授も困っている学生を見捨てるようなことはしないはずだ」
「それはそうかもしれないけど……」
「不服か、シン?」
「そういうわけじゃないけどさ」
 ルナマリアたちが家なしになってしまったのは自分のせいだ。そう思っていたシンとしては、彼女たちが無事に新しい家を見つけたことはうれしかったが、
同じ屋根の下で暮らす、ということには若干の抵抗があった。トダカも父親も、そういったことには厳しい人だったのだ。気恥ずかしさもある。しかし、あの喜びようをみては、何も言えなくなった。
79衝撃7/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:57:19 ID:???
 ひとしきり騒ぎまわって疲れたのか、三人娘は料理に手を出し始めた。
「あ、そうだ。メイリンお姉ちゃん、お願いがあるんだけど、いいですか?」
「え、何? 何でも言ってよ〜」
「なによ〜、マユちゃんってば私じゃ駄目なの〜?」
 ルナマリアが冗談めかしてマユに絡んだ。マユは少し困った顔になりつつも、律儀に謝った。
「ルナお姉ちゃんごめんなさい。その……」
「お姉ちゃんじゃダメなんだって。で、何なの?」
 少し優越感を感じているのか、満足げな表情でメイリンが訊いた。
「あの……」
 遠慮がちになりながらも、マユは口を開いた。


「これで、最後!」
 どかっと大きな荷物を地面に降ろした。微かな砂ぼこりが舞い上がった。車が無い代わりに二台のバイクが停めてある駐車場には、引越し荷物が積み上げられ、小さな山を形成していた。
 力尽きたように、ルナマリアは荷物を背もたれにしてぺたんと座り込んだ。足を投げ出し、額に浮かんだ汗を拭って、天を仰ぐ。天気予報によれば、今日は真夏並の暑さらしい。
「あ〜、重かった。それにすごく暑いし……反則よ」
「ルナ達の引越しなんだから、文句言うなよ」
 ルナマリアの隣に腰を下ろしながら、シンは顔をしかめた。
「そりゃそうだけど。あ〜あ、メイリンってば今頃家の中で楽しく料理してるのよね」
「ルナが言い出したことだろ。自分の言ったことには責任持てよ」
 この引越しは、シンとルナマリアの二人だけでやっていた。レイはルナマリア達が入る予定の部屋掃除をしており、マユとメイリンは料理の練習だ。
 メイリンに料理を教わること、それがマユの頼みごとだった。
「うるさいわねぇ。退院したばかりのマユちゃんに無理をさせるわけにはいかないでしょ」
 はじめはマユも引越しを手伝おうとしていたのだが、せっかくだからとルナマリアが料理の練習を勧めたのだ。自分だけ手伝わないことに、メイリンも気後れしていたが、ルナマリアが耳打ちをすることで納得した。
 マユに対してはレイやメイリンも含めた全員で説き伏せた。好きな料理をしていれば、気も紛れるはず。
「それは感謝してるよ。あのままだったら、無理にでも手伝いに来ただろうし」
「そのうち何かおごってよ。けど、マユちゃんも熱心よね」
「高いのは無理。和食しかつくったことないって言ってたから。トダカさんも和食派だったし」
「ふ〜ん」
「そういや、メイリンもやけに張り切ってたな」
「あの子、前から妹欲しがってたもの。きっと、喜んでるわよ」
 ちょうどその時、家の中から少女のヒステリックな悲鳴が響き渡った。紛れもなく、メイリンの声だ。
「メイリン!?」
 妹の悲鳴を聞きつけ、ルナマリアは跳ねるように駆け出した。荷物の山を叩くようにして立ち上がり、その反動で勢いをつけて飛び出す。
「おい、ルナ!? ……ん?」
 追いかけようと腰を浮かせたところで、シンは後方に異変を感じた。振り向いた彼へと向かって、バランスを崩した荷物の山が、雪崩となって襲い来た。
80衝撃8/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 10:59:52 ID:???
「どうしたの!? メイリン!」
 ルナマリアは台所に飛び込むやいなや、妹の姿を探して首をめぐらした。
 所詮は狭い台所、すぐに見つかる。キッチンの真下。メイリンはなぜかまな板を抱えて、全身をがたがたと震わせ、腰を抜かして床にへたり込んでいる。
「お、お姉ちゃん。あ、あれ……」
 恐怖に怯える瞳で姉を見上げ、メイリンは震える指先で床の一点を指差した。
 黒光りする何かが高速で地面を疾走していた。残像が見えるかと思うほどの、驚異的なスピードだ。その姿には、ルナマリアも見覚えがあった。手足や触角の異常に長い、醜悪なシルエット。
地上最強とすら評価される脅威の生命力と適応力を持ち、黒い翅を広げ、自在に空中を飛び回る姿は黒い悪魔という呼び名にふさわしい。
 その名はゴキブリ。
 虫嫌いのメイリンにとって、おそらくMSよりも恐ろしい存在だろう。
 メイリンは、黒い悪魔から少しでも距離を取ろうと、キッチンに背中を貼り付けたままでずり下がる。盾代わりのまな板を顔の前に掲げ、その影から様子を伺っている。
「イヤアァァッ、こっち来る!?」
 なぜか、虫というのは嫌がる人に向かってくる傾向がある。まな板の影から、メイリンは悲痛な叫びを上げた。
「お姉ちゃん、助けてェッ!」
「ちょ、ちょっと待ってなさい!」
 ルナマリアとてゴキブリは嫌いだ。虫自体は平気な方だが、黒い悪魔だけは別だ。
 だが、可愛い妹のためだ。転がっていたスリッパを拾い上げたルナマリアは、武器を構えて及び腰で、そろそろと間合いを詰めていく。

 メイリンたちがパニックに陥っている中、マユは一人首を傾げていた。何が起こっているのか分からない、という風な顔で、騒動の中心、すなわちゴキブリに無用心に近づいていく。
「あの、なんですか、この虫」
 高速で床を疾走するゴキブリのすぐ近くまで来て、四つんばいの姿勢になって指さした。
 テーブルやまな板の影から、ルナマリアたちはマユのあまりにうかつな行動に声を荒げる。
「あ、危ないわよ! 逃げなさい!」
「マユちゃん、だめぇっ!」
 ルナマリアとメイリンが叫ぶが、マユには通じなかった。不思議そうに小首を傾げ、よりにもよってゴキブリの目の前でしゃがみこんでしまった。
 どんなものかよく見ようと、不用意に顔を近づけた。
 その鼻頭に、翅を広げた黒い悪魔が飛びつく。
 奇妙に長い手足、不気味に蠢く触覚が、顔の上で這いずり回る。理屈ではない、原始的、生理的な嫌悪感が、マユの頭をフリーズさせた。
 生理的嫌悪感が、ゆっくりと、背筋を這い登ってくる。
 それが頭に到達した時、マユはやっと今の状況を理解した。
「きゃああぁぁぁっ!!」
 すさまじいまでの絶叫が台所を、家全体を震わせた。
 あまりのおぞましさ、あまりの気色悪さ。頭の中が真っ白になり、後ろに飛びのく。
 ひどく慌てたせいで、テーブルの脚に引っかかって転んでしまった。
 テーブルが派手に倒れた。薄力粉がぶちまけられ、台所中が真白く染まる。食器が次々に砕け、卵が割れた。
「どっかいっちゃえェッ!」「きゃあっ、何これ!?」「痛っ、何か当たった!?」
 混乱を極める中、勢いよく扉が開け放たれた。
「どうした、マユッ!」
 マユの悲鳴を聞きつけ、シンが飛び込んできた。マユが絡むと迫力が違う。
 その瞬間、鍋が落下した。テーブルが倒れたせいでただでさえ危ういバランスだったものが、扉を開けたショックで完全に落ちてしまったのだ。一昔前のコントのごとく、運悪く真下にいたマユの頭に直撃する。
 目を回したマユは、そのままひっくり返ってしまった。
「マユゥゥッ!」
 絶叫したシンは、散乱する卵、食器の破片にも構わずに駆け寄り、目を回したマユの身体を抱き上げた。
81衝撃9/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:01:20 ID:???

「マユちゃん、大丈夫?」
「ぐすっ……。痛いよー」
 居間の椅子に座ったマユは目に涙を浮かべ、涙声で言った。メイリンは薄力粉で真っ白になった頭を、よしよしとばかりにさする。今のマユは、全身が薄力粉で真っ白に染め上げられ、服の色も分からないほどだ。もっとも、それはメイリンも同様だが。
「こぶになっているけど、これくらいなら平気かな。あっちに比べれば……」
 メイリンは視線を右へと泳がせた。つられてマユも首を動かす。そこでは互いの姉と兄が顔を突き合せ、遣り合っていた。

「さっさと足出してよ。包帯巻けないじゃない」
「そんなんいらないって。大げさなんだよ」
「私だっていらないと思うけど、マユちゃんが心配するでしょうが。大人しくしなさいよ」
「……分かったよ」
 仕方ない、とでも言う風にシンは右足を上げる。既に血は止まっているが、足の裏には無数の傷跡とともに2センチほどの、少し深い裂傷が刻まれていた。左足も似たようなことになっているだろう。台所に飛び込んだときに、食器の破片で切ってしまったのだ。
「まったく、裸足で飛び込むなんてバカなんだから」
 脚を掴んで、ルナマリアは消毒液をしみこませた綿棒を当てる。消毒液が傷口にしみて、シンは一瞬顔をしかめた。
「何? しみた?」
「……別に」
 シンは目を逸らし、口を尖らせる。途端、ルナマリアが悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「ふ〜ん……。これでも?」
 嫌な笑顔のまま、容器を傾ける。綿棒を伝って、消毒液が傷口に流れ込んできた。
「べ、別に……何とも!」
「もう、意地張っちゃって」
「いちいちうるさいな! 遊んでないでさっさと終わらせろよ!」
「あんたこそうるさい! 怒鳴らなくてもすぐに終わるわよ」

 半ば呆れ気味に二人の様子を眺めていたメイリンは、何かに気付いたかのように手を叩いた。
「そうだ、マユちゃんも消毒しなくちゃ」
「え? いいですよ、そんなの」
 消毒しなければならない傷など無いはずだ。そう思ったマユは慌てて手を振るが、メイリンはぐいと身を乗り出して否定する。
「ダメよ! ゴキブリが触ったんだよ! 消毒しなくちゃ!」
「あれがゴキブリ? マユ、はじめて見ました」
「知らなかったの?」
「うん。オーブじゃ見たこと無かったから……、カブトムシみたいなものかと思って」
 それでうっかり近づいてしまった。おぞましい感触を思い出したのか、マユは両肩を抱いて身震いした。
「消毒、するよね?」
 蒼白になったマユは、こくりと首を縦に振った。
82衝撃10/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:05:27 ID:???
「……ほら、終わったわよ!」
 ガーゼを当て、包帯をきつく巻いた。手際も悪く不恰好だが、ルナマリアは満足しているようだ。仕上げとばかりに、一発叩く。
「痛っ、叩くな!」 
「にしても、気持ち悪いわね。身体中、もうべとべと」
 ルナマリアは怒鳴りつけるシンを見事なほどに無視してマユ達のほうに向き直った。
 いくら叩き落としても、どうしてもまとわりつく細かい粒子まではどうしようもない。それは汗を吸収してべたつき、さらなる不快感を与えていた。特に、女の命である髪はひどいことになっている。
メイリンはすっかり白く染まってしまった片方のツインテールを愛しげに持ち上げ、手櫛を通す。髪の毛の途中で、細い指が引っかかった。
「うん。髪だって……」
「……ごめんなさい」
 思わずマユは、小さな身体をさらに縮めて謝った。メイリンは慌てて両手を振って否定する。
「ううん、マユちゃんが謝ることなんてないよ。あんな目に遭ったら……それに、マユちゃんだって大変だし」
 小さな頭をなでるようにして、髪をすく。引っかかるかと思いきや、すっと通った。
 驚いたメイリンはマユの長い髪をすくいあげた。掌に乗せ、感触を確かめてから、ゆっくりと離す。メイリンの手から離れた茶色い髪は、薄力粉であろう白い粉を舞い散らしながら、
さらさらと扇のように広がった。
「どうしたんですか?」
 不思議そうな顔で、マユがまっすぐに見上げてくる。一人ショックを受けていたメイリンの声は、ひどく上ずった。
「べ、別になんでもないよ! それより、服くらい変えたいな」
「そうよね。着替えたいわよね。けど、着替えがね」
「お姉ちゃん、まだ持ってきてないの?」
「……うん。荷物はまだ入れてないんだ」
「そうなんだ。このままは辛いな」

 三人で落ち込んでいると、扉が開いた。
「どうした?」
「レイこそどこ行ってたの?」
 あの台所の惨状を見てから、レイはいつの間にか姿を消していたのだ。部屋に入ってきたレイは、戸を開けたままでルナマリアたちの顔を見渡した。薄力粉まみれでべとべと髪と、べたべたの顔を。
「何よ?」
「風呂を沸かしておいた」
「え? 入っていいの?」
「ああ」
 ルナマリアはぱあっと顔を輝かせた。メイリンも同様に喜ぶ。
「サンキュー、レイ。さ、マユちゃんも」
「でも……」
「いいからいいから」
 この騒動の原因として責任を感じ、ためらっているマユの腕を取り、引っ張る。こういうときは、無理にでも連れ出すほうがいい。
 ルナマリアはそのままマユの小さな身体を引きずりながら、出入り口で振り返って手招きをする。
「ほら、メイリンも!」
「でも、着替えが……」
「それなら昔働いていた使用人の服が置いてある。古着で悪いが」
「ごめんね、何から何まで」
 本当に世話になりっぱなしだ。メイリンは恐縮したように謝るが、レイはいつも通りに言う。
「気にするな」
「荷物は俺とシンとで片付けておく」
「分かったわ。じゃ、シン、あとよろしく〜」
 ルナマリアはシンのほうを向けて笑顔を見せ、マユを引きずって廊下の奥へ行った。
 調子のいい奴、とは思うが、シンもこの笑顔だけは掛け値なしに可愛いと思った。
83衝撃11/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:06:53 ID:???

 この家のバスルームは広い。浴槽も個人の家としてはかなりの大きさであったが、三人で入るとさすがに窮屈だった。ゆったりくつろぐ、というわけにはいかず、
肌を寄せ合いながらの入浴だが、おしゃべりと笑い声が絶えることはなかった。
「やっぱり、いいですね。こういうの」
「え?」
「どうしたの、いきなり」
 ふと漏らしたマユに向かって、メイリンとルナマリアは口を揃えた。
「こんな風に誰かと一緒にお風呂に入るのなんて久しぶりだから」
「言われてみれば、そうかも」
 ルナマリアの顔を見上げながら、メイリンが呟いた。同じ部屋に住んでいたとはいえ、寮の風呂は狭かったし、第一この歳になってまで二人で入浴しようなどとは思わなかった。
「そうね。こういうのも、たまにはいいわね」
「昔はお兄ちゃんと一緒に入ってたんだけど、今はできないし。だから、今は楽しいんです」
 さらりと流れた衝撃的な発言に、ルナマリアは目を丸くしてマユの顔をしげしげと見つめた。メイリンも同じような表情で目を白黒させている。聞き間違いではないらしい。
「もちろん、うんとちっちゃかった頃だよ!? マユがまだ小学校とか、幼稚園とかその辺でっ」
 二人におかしな目で見られて、やっと自分の発言に気付いたらしい。顔を真っ赤にして、手をバタバタと振って、慌てて否定した。
 その仕草があまりにほほえましくて、ルナマリアとメイリンは二人揃って大きく笑った。

「マユちゃん、少し変わったね」
「そうですか?」
 メイリンの言葉に、マユは疑問符を浮かべた。
「うん。前は何ていうか少し遠慮しているような感じがしたもん。今はもう、親しみやすいっていうか……」
「そうそう。はじめはルナマリアさん、だったのがルナお姉ちゃんになったりして……いろいろあったものね」
 少し懐かしむようにして、ルナマリアも続けた。マユとしては特に自覚がなかったようで、少し戸惑った風に視線を右往左往させている。
「あの、迷惑でした?」
「ううん、全然! ルナお姉ちゃんって呼んでくれたときはうれしかったわ」
「私なんてお姉ちゃんって呼ばれたの初めてで、感動して倒れるかと思っちゃった」
「メイリン、いくらなんでもオーバーじゃない?」
「だって私、妹なんて居なかったから。ずっと憧れてたの」
「私に?」
「違うよ! お姉ちゃんって呼ばれるの」
 ゆっくりとお湯に浸かっていて、心身ともにとてもリラックスしていた。おかげで思ったこと、今まで言ってなかったことが、次々と浮かび、口に出てきた。
84衝撃12/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:09:13 ID:???
 温まった身体が、柔らかくほぐれる。ルナマリアは後ろのバスタブにもたれかかり、両腕をいっぱいに伸ばした。少し狭いが、やはり一杯に張ったお湯に浸かるのは気持ちがいいし、大勢で入る風呂は楽しい。
 あまりに気持ちよく、ついうとうとしはじめたとき、メイリンがふと言った。
「マユちゃんが来てからシンも随分変わったよね」
「え? どんなんだったんですか?」
 やはり、シンのことは気になるようだ。興味津々といった様子で、マユは身を乗り出した。メイリンは顎に指を当て、天を仰ぐようにして考える。
「え、え〜とねぇ」
「短気でぶっきら棒で無愛想で、そのくせ誰にでもすぐ突っかかって、まあとっつきにくい奴よ」
「……あ、あはは」
 言いよどんだメイリンの代わりにルナマリアが答えた。そしていかにも苦労した、という風にため息をつく。
 なんとも言いようがないのか、マユは苦笑いを浮かべた。だが、全部本当のことなのだから仕方ない。
「けど、今は少しは人の話も聞くようになったし、とっつきやすくなったよね」
「メイリンお姉ちゃん、ありがとう。でも、なんでお兄ちゃんと友達になってくれたの?」
「私はクラスが一緒だったけど、全然話さなかったな。お姉ちゃんだったよね、はじめにシンに声かけたの」
「ルナお姉ちゃんが?」
「そ。お姉ちゃん何度も私のクラスに来てたんだけど、なんかその度にシンのこと気にかけて……それで声をかけたんだよね」
「何でだったんですか?」
 マユだけでなく、メイリンも注視する。彼女も訊きたいのだろうことが、一発で分かる。
 二人に見つめられ、ルナマリアは耳まで真っ赤になった。長風呂でのぼせたわけではない。
「べ、別にいいでしょ、そんなこと。それよりマユちゃんたちのこと聞かせてよ! あいつ、昔のこと全然話してくれないし、オーブって聞くとすぐに怒るのよ。何かあったの?」
「あ、それ私も聞きたい」
 あまりにあからさまな話題転換。しかし、シンの昔のことを聞きたいというのは紛れもない本音だった。
 すると、マユは悲しげに目を伏せた。聞くべきことではなかったのかと後悔するが、もう遅い。
「お兄ちゃん、オーブのこと嫌ってるから……」
 さっきまでの明るさが嘘のように、マユは静かな調子でゆっくりと話し始めた。
「お父さんとお母さん、モルゲンレーテで働いてたんだけど、怪物に殺されて……」
 辛くなってきたのだろう。マユは顔をうつむけ、肩を震わせはじめる。
「もういい、もういいわ」
 こんな辛い顔をさせるとは思わなかった。ルナマリアは話を止めさせようとするが、マユは首を横に振った。
 そして、続ける。懸命に過去と向き合おうとしているのを止めさせる術など、ルナマリアたちには思いつかなかった。彼女たちにできるのは、ただマユの話を聞き続けることだけだ。
「それに、マユも離れ離れになっちゃって。お兄ちゃん、それ全部オーブのせいだって……。だからオーブのこと嫌いで、オーブにいたときのことも……」
 もう限界だったのだろう。ぽろぽろと涙が流れ始め、マユは顔を覆った。
「ごめんね、マユちゃん。辛いこと思い出させちゃって……」
 顔を上げたマユは、ゆっくりと首を横に振った。目には、お湯とはことなる液体が溜まっている。
「いいんです。お姉ちゃんたちには、聞いて欲しかったし、お兄ちゃん約束してくれたから。今度、一緒にオーブに帰って、お母さん達に会いに行こうって」
 マユは微笑んだ。上気した頬が、赤く染まっている。いかにも無理している、といった様子であまりにいじらしい。メイリンも涙声になっていた。
「そ、そうなんだ。良かったね、マユちゃん」
「はい……ルナお姉ちゃん?」
 ルナマリアはメイリンよりもずっと長くマユと一緒にいた。シンとの間にある絆も苦難も、誰より近いところで見ていた。それだけにマユの話は、ルナマリアの心に響いた。
「ご、ごめん。ちょっと湯気が眼にしみちゃって……」
85衝撃13/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:13:03 ID:???

 抜けるような青い空。遮る雲は欠片一つなく、太陽が容赦なく紫外線を照らしつける。
 降り注ぐ紫外線、薄着の人々は顔やシャツの中を手で扇いだりするが、気休めにもならない。夏と比べても、何ら遜色のない光景だ。
 まだ6月の初めだというのにこのありさま。本格的な夏になったらどうなってしまうのだろう。
 冷房の効いたスーパーから出てきたシンは強烈な陽光に眼を細め、何も持っていないほうの腕をひさし代わりにして空を仰いだ。
ビニール袋の持ち手が食い込み、そこに汗がたまって気持ちが悪い。
 額の辺りを腕で拭いながら、シンは手元のメモに目を通した。
「殺虫剤に、ゴキブリホイホイに中性洗剤に……、買うものはこれで全部か?」
 袋の中身と照らし合わせる。買い忘れはなさそうだ。
 またあんな騒ぎになってはたまらない。黒い悪魔の再襲撃に備え、装備を充実させなければ。
 ルナマリアたちが長風呂をしている間に荷物を片付け終わったシンは、レイに言われて買い物に来ていた。
「けど、こんなことなら掃除のほうがまだマシだったかなあ」

 レイに買い物を頼まれたシンは、一応渋い顔で言い返したのだ。
「俺、怪我してんだけど」
「できないのか? それはすまなかったな」
「何を!?」
「仕方ない、俺が買いにいってくる。シンは台所を頼む。小麦粉一粒残すなよ?」
「……行ってくる」

 今にして思えば、あまりに簡単に乗せられてしまった気がする。それでも砕けた食器が散乱し、小麦粉が撒き散らされた上に赤い血が彩られた台所を掃除するよりはマシだろう。
 バイクにビニール袋を収納し、グローブをはめ、ヘルメットを被る。あまり長時間かぶっていると、下手をすれば命に関わりかねない。脳みそが沸騰しそうだ。
 どっかで冷たいものでも飲んでから帰ろうかな?
 あまり早く帰ったら、結局掃除をさせられかねない。適当に時間を潰そうかなどと考えながらバイクに跨ったたところで、シンは奇妙な感覚にとらわれた。
 何かがいるのが分かる。身体の奥から、ここではないどこかで何かがあることを教えてくれる。
 既におなじみとなった、この感覚。
 間違いない。MSだ。
「この暑いのに!」
 シンはアクセルを踏み鳴らし、バイクをスタートさせた。

 気配を感じた場所、そこは川原だった。
 広い河岸には野球場に、広場もある。盛り上がった土手の道は長くて見通しが良く、ジョギングなども楽しめそうだ。
 そんな絶好の遊び場である川原であったが、今は地獄に近い状況だった。
 逃げ惑う、何人もの若い男女たち。おそらくキャッチボールでもしていたのだろう、活動的な服装だ。
 彼らを追い回すのは、複数のダガーLだ。ゴーグル状の目はのっぺりとしていて、意思というものを感じさせず、それが逆に、得体の知れない恐怖感を与えていた。
 さらにもう一つ、巨大な影もあった。
 上半身はダガーに似ていたが、下半身は蜘蛛のような胴体から三対六本の脚が生えている。
 MA、ゲルズゲー。その不気味で醜悪な姿は、異形の集団においてもなお圧倒的な存在感を放っていた。
86衝撃14/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:15:11 ID:???
 シンはバイクを停め、土手を駆け上がった。川原を見下ろすこの場所からは、MSらの姿を全体に見渡せる。
 金属的な光沢を放つ、不気味で醜悪な姿。それはまさしく、倒さなければならない敵の姿だ。
 走りながら、シンは腰に手を当てた。紅い輝きと共に、ベルトが出現。力が沸きあがり、みなぎる力が身体中に行き渡る。
 シンは右手を前に掲げた。そして、力の限り叫ぶ。
「変身!」
 ベルトの輝きが全身を包む。戦うために力が全身に行き渡り、その姿をも変えていく。
 腕が、脚が、徐々に異形の姿へと置き換わる。
 まだ人としての面影を残したまま、シンは強く地面を蹴って跳躍した。

 空中で青い装甲に包まれた戦士、インパルスが爆現した。インパルスはそのままダガーLの群れの中心へと飛び込み、拳を振るわせる。
 降下の勢いを加えた、着地待たずの一撃。振り下ろされた拳の一撃は、一番近くにいたダガーLの頭部を完全に粉砕した。
 頭蓋を砕かれ、顔の半分を失い無力化したダガーLには目もくれないままに着地する。全身を折り曲げるようにして、落下の衝撃を受け止めた。
 その隙に、残りのダガーLに取り囲まれた。前に二体、すぐ後ろに一体、そして、少し離れた所に一体。あのMAを除けば、残りは四体だ。
 インパルスは、屈めた身体をさらに縮め、力を蓄えた。そして、一気に解放。目の前のダガーLに身体全体でぶつかっていく。
 ダガーLの体勢が崩れた。その胸部に、とどめの右拳を叩き込む。
 銃弾など問題にならない、強靭なMSの外殻。その中でももっとも強靭な胸部外殻を貫いて、背部から青い拳が姿を現した。
 そこへ、他のダガーLが襲い来る。連携を取っている様子はないが、三体が三体とも、別方向からの攻撃だ。一番近く、右側のダガーLの突き出した腕が、青い外殻を傷つける。
 ダメージに構わず、インパルスはダガーLから拳を引き抜いた。勢いそのままに上半身を回転させ、手の甲を叩きつける。血に似た色の体液で染まった拳は、ダガーLののっぺりとした顔面を打ち砕いた。
 頭部に裏拳を喰らい、よろめくダガーLへとさらなる追撃を加える。左右の拳の連打、その衝撃は外殻を突き抜け、内部からダガーLを破壊する。
 続いて肘鉄。左側から襲い掛かってきた敵へ、カウンターとなって突き刺さる。
 自らの突進の勢いと、肘鉄自体の威力。二つの力によって倍化された攻撃は、ダガーLの顔面を砕くにとどまらず、首さえもへし折った。
 わずかな間に四体を撃破。残りは一体。
 動きを止めた獲物を打ち捨て、インパルスはわずかに後方へと顔を傾けた。最後の一体が目に入る。仲間が瞬殺されたのを意に介した様子もなく、最後の一体もまっすぐに突っ込んでくる。
 いや、そもそも仲間意識というものもないのかもしれない。戦っていても、ダガーLからは意思や感情というものは一切感じられなかった。
 ダガーLに背を向けたまま、インパルスは左足を跳ね上げた。右足を軸として、蹴りを繰り出す。
 インパルスの左足は、狙い違わずダガーLに直撃する。拳とは比べ物にならない威力の蹴りは、胸部外殻を破壊してダガーLの身体を吹き飛ばした。仰向けに倒されたダガーLは二、三度痙攣して完全に動きを止めた。
 最後のダガーLが沈黙したのが引き金となったように、倒された五体のダガーLからほぼ同時に炎が噴き上がった。
87衝撃15/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:16:19 ID:???
 だが、これで終わりではない。むしろ、これからが本番だ。
 その相手、ゲルズゲーはすぐ近くに迫っていた。その巨体からは想像もつかないスピードで、インパルスに襲い掛かる。
 巨大な前脚をあげ、振り下ろす。ゲルズゲーの前脚は他の四本の脚に比べて大きく、鋭く尖った上に先端が爪の二又に分かれていた。
 インパルスは横に跳躍し、それを避けた。突き刺さった前脚は道路を砕き、破片が飛び散る。
 撒き散らされた破片が肩に当たり、地面にできた巨大な裂け目を見て、息を呑む。こんなものをまともに喰らったら、ひとたまりもない。
 怯んだ一瞬の隙に、ゲルズゲーは更なる連続攻撃を加えた。蜘蛛のような巨体を起き上がらせ、覆いかぶさるかのようにして、両の前脚を次々と振り下ろす。
 体重の乗った攻撃の嵐は、アスファルトに次々と爪痕を残して地形を変えていく。
 確かに恐ろしい威力の攻撃ではあるが、かわせないスピードではない。
 接近して戦うのは不利だ。
 とっさに判断し、後ろに跳んでゲルズゲーの攻撃をかわす。空中でアスファルトに突き刺さったゲルズゲーの前脚を蹴り、その反動でもう一度跳躍し、一気に距離を取る。
 近くで駄目なら、撃ち抜いてやる!
 緑のインパルスに変わろうと、腰のベルトに手を当て気合を込める。
 ゲルズゲーは、両方の前脚を上げた。先端を向け、爪を上下に開く。
 とっさに何かを感じ、インパルスはそのまま横に跳んだ。
 ゲルズゲーの二又に分かれた前脚の中心が白く光る。
 光は無数の針となって、地面に突き刺さった。30センチ以上はある、長く鋭い針だ。

 下手に間合いを取るのも危険だ。
「なら、これで決めてやる!」
 右足を一歩引き、意識を集中させる。
 ベルトが輝き、溢れんばかりのエネルギーが右足に流れ込む。
 ゲルズゲーの前脚が、再び光った。身を投げ出すようにして前に転がることでそれを避け、同時に距離を詰める。
 一回転したところで、地面を強く蹴る。無理のある姿勢ではあったが、一気に跳躍。
 インパルスは空中で縦に回転し、体勢を整えた。そして、右足を伸ばして敵に向ける。
「うおおぉぉぉっ!」
 今まで幾多のMSを倒してきた、必殺のフォースキック。
 右足からほとばしるエネルギーと共に、ゲルズゲーめがけてまっすぐに突っ込んでいく。

 フォースキックに対し、ゲルズゲーは肩口から光を放った。ザムザザーのものと同様のエネルギーの障壁が発生し、フォースキックを真っ向から受け止める。
「なっ!?」
 エネルギーとエネルギーの、壮絶な力比べ。エネルギーの余波が稲妻となって、アスファルトの道路や草花を蹂躙する。
 拮抗は、長くは続かなかった。
 地にしっかりと脚を張って堪えることのできるゲルズゲーと違って、空中のインパルスは踏ん張りが利かない。障壁が生み出す斥力に負けてしまい、吹き飛ばされる。
 地面に叩きつけられながらも、インパルスは即座に半身を起き上がらせた。
 障壁とぶつかっていた右足は焼け付き、ぶすぶすと煙を立ち上らせている。何とか立ち上がったところで、ひどく痛んだ。足の裏の小さな傷が、今ので広がってしまったらしい。
 これでは、もう一度フォースキックを放つのは不可能だ。
 だが、ゲルズゲーのほうもダメージを受けていたようだ。六本の脚を動かし、後退を始めている。
「逃がすか!」
 獣の如く吼え、インパルスはベルトに手をやった。前にMAと闘ったときのように、赤いインパルスで両断する。
 ベルトの中心に意識を集中させた、その瞬間のことだった。
88衝撃16/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:18:08 ID:???

 不意に身体が後方に吹っ飛んだ。
 あまりに突然のことで受身も取れず、アスファルトの道路に背中から叩きつけられ、ごろごろと転がる。
 地面に手をつき、半身を起こす。シンは胸に、熱く鈍い痛みを感じた。
 青石の輝きを持つ強靭な胸部外殻、その中央が醜くへこみ、すり鉢のようにになっていた。
 立ち上がろうとして、膝が笑った。身体の自由が利かないのだ。前のめりに倒れそうになり、片膝を着く。
 抉られるような鈍い痛みが暴れまわっていた。それは、時間を追う毎にますます激しくなり、身体の自由を奪っていく。
 胸を押さえながら、シンは顔を上げて真正面を見据えた。

 対岸にある、倉庫のような小さな建物の屋上に置かれたものに気付く。
 見たこともないような巨大なライフルだ。地面に伏せ、狙いを定めている狙撃手よりも大きいだろう。
 インパルスの発達した視覚は、その銃口から立ち昇る硝煙をはっきりと確認した。
 ついで発達した聴覚は、バラバラとまばらな足音を捉えた。
 物陰にでもに隠れていたのだろう。完全武装の兵隊たちだ。10人ほどであろうか。ヘルメットの形状や防弾装備の下に着込んだ迷彩服から、明らかに警察ではないことが分かる。
 彼らは一糸乱れぬ動きで縦二列に整列し、銃を構えた。
 インパルスへと。
89衝撃 ◆orYN7qK/0E :2008/11/16(日) 11:21:06 ID:???
多分半年以上振りです。
お久しぶりです。
遅ればせながら>>1さんありがとう。

久しぶりだったので、今までと文章が少し違うかも……
90通常の名無しさんの3倍:2008/11/16(日) 11:29:33 ID:???
何という僥倖……待っていた甲斐があったというものだ!
謎の部隊は……
91通常の名無しさんの3倍:2008/11/17(月) 19:34:56 ID:???
初見ですが、激しく燃えました!乙です!!
92通常の名無しさんの3倍:2008/11/21(金) 07:23:16 ID:???
保守
93通常の名無しさんの3倍:2008/11/21(金) 10:13:37 ID:???
もう見れないと思ってた
これからもがんがれ、乙
94衝撃1/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 09:57:57 ID:???
仮面ライダー衝撃(インパルス)

第二十話『両雄』


 銃口を向けられても、インパルスは身動き一つとることができなかった。
 胸の銃痕が、ひどく熱を持つ。灼熱の蛇が暴れまわっているような痛みだ。時を追う毎に、蛇はますます激しく暴れ、身体の自由を奪っていく。
 狙撃で使われた対MS用弾丸、神経断裂弾は標的の体内で連続的に爆発することで組織の再生を阻害し、致命傷を与えるという特性を持つ。構造の複雑さゆえ弾丸自体がかなり大きく、
特殊な銃でしか発射できない上、貫通できないほど強固な外殻なMS等、相手によっては十分な効果を見込めない場合もあったが、効果を発揮すればほぼ必殺、対MS用装備として一つの到達点だ。
 シンにとって幸運だったのは、当たったのがインパルスの装甲の中でももっとも強靭な胸部外殻であり、角度が浅かったのか弾丸が体内にまで至らなかったことであろう。
 それでも、装甲表面での連続的な爆発はインパルスの右胸をずたずたにし、深刻なダメージを与えた。
 何より、危機はまだ去ってはいないどころか、現在進行形で続いている。
 向けられているのは、警察が使っている自動小銃イーゲルシュテルンの発展型、トーデスシュレッケン。
 口径こそはイーゲルシュテルンより小さくなってしまったがその分、装弾数が増加、弾芯の改良によって貫通力が増しているという代物だ。
 そんなものを10もの銃口から身に受けてしまっては、インパルスとて無事ではすまない。

「構え!」
 二列目中央、指揮官と思しき兵士の号令とともに、10の指がトリガーにかかった。わずかに力を入れるだけで、インパルスは銃弾の嵐に曝されることになる。
 なんで……なんでなんだよ!?
 理由も分からないまま、守ろうとした人間によって銃を向けられる。
 目の前で起こっている現実が信じられない。まさに、悪夢としか言いようがなかった。
「撃……!」
 今まさに引き金が引かれようとしたその時、間に一台のパトカーが割り込んだ。土手をジャンプ台にして、飛び込んできたのだ。
 勢いに負けパトカーは派手にスピンする。それでもパトカーは四つのタイヤの摩擦力を駆使して急停車。
 激しくうねった轍から白煙が立ち上り、煙幕の如くインパルスの身体を隠した。
95衝撃2/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 09:58:30 ID:???
 まるでインパルスの盾になるかのごときパトカーの挙動で、兵士たちの間に動揺が走った。
 ドアが開く。10もの銃口が向けられる中、三人の人物は臆することなく降り立った。
「貴様ら! 何をしている!」
 その中の一人、ZAFTの隊長イザークは、よく響く声で兵士たちに向かって怒鳴りつけた。銃口が向けられているとは思えないほど、堂々としている。
 既にインパルスは姿を消していた。兵士たちは銃口を下ろすが、敵意の視線は変わらない。
 警察が自衛隊を毛嫌いしているように、自衛隊も警察、特にZAFTを敵視していた。任務の妨害までされて、面白いはずがない。誤射が怒らなかったのが不思議なくらいに険悪な空気が流れる中、
特殊部隊の部下をかき分け、後方から一人の人物が出てきた。おそらくこの部隊の指揮官であろう。ZAFTの目の前で、指揮官は完全武装であることを誇示するように、アサルトライフルを持ち直した。
「あなたたちこそ、なんのつもりですか? 警察は我々に協力する、ということになっていたはずですが」
 だが、イザークとて負けてはいない。一歩前に出て、毅然として言い返す。
「それはあくまでMSから市民を守るためだ! それ以外の行為についてまで、協力するつもりはない!」
「それはおかしなことをおっしゃる。我々は市民の安全のためにインパルスを撃ったというのに」
「なんだと!?」
「あの力が市民に向けられたら、インパルスは間違いなくMS以上の脅威となるでしょう。危険の芽は小さいうちに摘むのに限りますよ」
 一瞬言葉に詰まり、何も言えなくなった。イザークはかつて、あれと同等の力の矛先を向けられたことがあり、その恐怖はよく知っている。
 第一、イザーク自身インパルスのことは何も知らないのだ。MSと戦い、人々を守ろうとしていること以外は、どんな人間が変身しているのかすら。幾度も共に戦い、同様の力を持った戦友もいる以上、信じたくはあったが……。
「いつか、特別視の代償を払うことにならなければよろしいのですが……。では、失礼致します」
 慇懃無礼、という言葉をそのまま体現したかのような態度で指揮官は形だけ頭を下げた。
96衝撃3/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 09:59:20 ID:???
「これはいったいどういうことですか!」
 ZAFTの司令室に勢い込んで飛び込んできたイザークは、司令専用の机へと荒い足取りでまっすぐに進み、机に両手を叩きつけてタリアに噛み付いた。
 自衛隊との共同戦線、それ自体はまだ理解できる。次第に強くなっていくMSに対して警察は常に後手に回っており、力不足が露呈してしまっている。
個人的な心情を別にすれば、自衛隊と協力するというのは市民を守るために有益な手段ではあった。
 だが、彼らのしたことはインパルスへの攻撃で、あまつさえ倒すべき対象であるMAを無視している。許せることではなかった。
「私の方も、聞きたいわね。なんであんな勝手なマネをしたのかしら? 自衛隊のほうから苦情が来てるわ」
「あいつらはあのMAを無視してインパルスを狙ったんですよ! 現に市民を襲っていたMAを! それを見逃せというんですか!?」
「あちらにとっての優先目標がそうだったということでしょう。インパルスも得体の知れないという点では変わりはないわ。
それよりも、今はあなたの行動のほうが問題になっているわ」
「ですが!」
「少し、頭を冷やす必要があるわね。イザーク・ジュール、命令違反と上官への反抗により一週間の自宅謹慎を命じるわ」
「なっ!?」
「司令、いくらなんでもそれは!」
 先程まで黙っていたディアッカまでもが、遂に口を出した。だが、二人の激しい反抗に、タリアは厳かな口調で繰り返す。
「これは命令よ。分かっているわね」
「くっ……、了解しました」
 イザークは懐から手帳と携帯用の拳銃、手錠を取り出し、タリアの机へと、叩きつけるようにして並べた。
「おい、イザーク!」
「命令だ、仕方なかろう!」
 
 憤然としてイザークが部屋を出、それをディアッカが追いかけていった。タリアは一人残ったシホへと視線を向ける。
「あなたは付いて行かないの?」
「あくまでも私は警察組織の者ですから」
「そう……。組織っていうのも厄介なものよね」
 タリアは深いため息を吐いた。同じ女性だということで、わずかに本音が漏れたのかもしれない。
97衝撃4/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:00:53 ID:???
「くそっ。なんなんだよ、いったい……」
 胸を押さえ、はげしく息を吐く。弾丸こそ排出されたものの、派手に組織を破壊された胸はいまだ熱くうずいていた。ハンカチを包帯代わりに当てていたが、いつまでもつだろうか。
「ただいま……」
「あ、おかえり〜」
 戸を開けた途端、視界に飛び込んできた光景に、シンは言葉を発することができなかった。
 メイリンが出迎えてくれたのはいい。問題は、その格好だった。
 濃紺のワンピースに純白のエプロンを組み合わせたエプロンドレス、純白のヘッドレスト。世間一般ではメイド服、と呼ばれているものだ。
「ゴキブリホイホイ買ってきてくれた?」
「う……うん」
 人間、あまりに予想外の出来事に遭遇すると思考が停止してしまうという。今のシンが、まさにその状態だった。一瞬胸の傷のことも忘れ、ただ呆然とスーパーのビニール袋を差し出した。
「よかった〜、これでやっとご飯つくれるよ」
「メ、メイリン?」
「なあに?」
「あの、その格好って……」
「お兄ちゃん帰ってたんだ。お帰りなさい」
「遅かったわね、何してたの?」
 聞きかけたところで、マユとルナマリアの声がした。
「ただいま。ところで……」
 二人のほうに目を向けて、シンは再度絶句した。
 マユこそいつも通りの格好だが、ルナマリアもメイリンとまったく同じメイド服を着ていたのだ。
「ちょっとぉ、人を指差さないでよ」
「ごめん。けど、その格好って……?」
 指摘されて、ようやくシンの動揺の原因に気付いたらしい。自分の服を見回すようにして、ルナマリアが答えた。
「ああ、これ? レイが貸してくれたの」
「レイが!?」
「うん。昔、この家の使用人が使っていたんだって。私はもっと可愛いのがよかったんだけど……フリルかなんか付けようかな?」
 文句を言いながらも、メイリンはまんざらでもない様子だ。
 確かに二人の着るメイド服はそういった装飾が一切ない。ややレトロな雰囲気だ。実際に古い物で、ちゃんとした実用品なのだろう。
「好きにしたら……」
 左手で胸の辺りを押さえたまま、よろよろとその場を後にする。
「あれ、どうしたの?」
「ちょっと疲れたから、先に寝てるよ」
 それだけ言い残して、部屋に入る。ルナマリアはつまらなそうに口を尖らせた。
「もう、ほかに何か言うことないの?」

 部屋に入り、ドアを閉めた途端に限界が来た。張り詰めていた緊張が解け、ベッドへ倒れ込むようにしてうつ伏せになる。
 余計なことを考える間もなく、シンの意識は、そのまま深い泥の中へと沈んでいった。
98衝撃5/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:03:38 ID:???
 翌朝、マユとメイリンは並んで朝食の準備をしていた。昨日中断した料理の勉強の続き、といったところだ。
 今日は学校があるので、マユはエプロンの下にアカデミー中等部の制服を着ていた。冬服はオレンジ色の詰襟だが、夏はワイシャツにオレンジ色のベストでなかなかに動きやすい。
スカートはルナマリアからもらったお下がりのミニスカートだが、マユが小柄なおかげでそんなに短くは見えなかった。
 一方、メイリンは昨日のメイド服を着ていた。気に入っているらしい。
「朝がご飯じゃないって何か変な感じです」
 今日の朝食はメイリンの提案でトーストにハムエッグだ。洋風の料理を覚えるため、朝食も洋風にしよう、とのことだが、マユは若干不満だった。
「そう? 私は朝からご飯だとちょっと重く感じるけど」
「う〜ん。マユ、やっぱりお米じゃないと調子が出ないなぁ」
「すぐ慣れるよ。そろそろお姉ちゃんたち起こしてきて」
「うん!」
 マユは元気よく返事をして、パタパタと駆けていった。

 転ばないように足元に気をつけながら、マユはルナマリアの部屋に入った。
 つい昨日に引っ越してきたばかりの部屋は、いまだ梱包を解かれていない段ボールに覆い尽くされていた。メイリンは部屋が決まってすぐに荷物を広げて整理をしたというのに、姉妹で随分と異なるものだ。
 その部屋の主は、ベッドで崩れた大の字になっていた。寝相が悪くて蹴飛ばされたのか、毛布はショートパンツからすらりと伸びた脚の先に引っかかるようなかたちでベッドから垂れ下がり、タンクトップははだけてへそが見え隠れしている。
「……うわあ」
 口元からは涎まで垂れていた。大好きな姉のあまりの姿に、思わず声が漏れた。こんな姿、とてもじゃないけどお兄ちゃんには見せられないと思いながら、マユはルナマリアの腕を掴んでゆすった。
「ルナお姉ちゃん、朝だよ!」
「……あと、五分〜」
 起きるかに見えたルナマリアは、お定まりの台詞を言って寝返りを打った。ちょうどマユに背を向けた格好だ。
「お姉ちゃん!」
 もう一度大声で呼びかけ、ルナマリアの肩を引っ張り、半ば無理やりに起き上がらせる。ルナマリアはとろんとした眼でマユの顔を見、そして段ボールだらけの部屋を見回した。
「あれ、マユちゃん……どうしてうちにいるの?」
「しっかりしてよ、昨日メイリンお姉ちゃんと一緒に引っ越してきたんだよ」
「そうだっけ? ……マユちゃん、制服似合うわね」
「え、ホント?」
「うん、とっても可愛い……おやすみ」
 言って、こてんと再び横になる。マユが何か言う間もなく、気持ちよさげな寝息が聞こえ始めた。
「もう、ルナお姉ちゃんってば!」
 マユは呆れた調子ながらも、どこか楽しげにルナマリアの身体をゆすった。

 続いて、シンの部屋。昨日のシンは様子がおかしく、結局夕飯も食べなかった。そのせいだろうか、部屋に入ってすぐに、マユは奇妙な違和感を覚えた。だが、部屋を見回したところで別に何もない。
おかしなところといえば、シンが昨日の格好のまま、着替えもせずにベッドにうつ伏せになっているせいでシーツがひどく乱れている、というだけだ。
「……もう、お兄ちゃんったら着替えもしないで〜」
 変な先入観があったから不気味に見えるだけ。きっと気のせい。マユは軽く考え、シンを起こそうと手を伸ばしたが、
「お兄ちゃん、起き――熱ッ!?」
 熱を伴う、ざらつくような不快な手触り。シンの腕に触れた途端、マユは思わず手を引っ込めた。
99衝撃6/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:04:23 ID:???
「ひどい熱……」
 ルナマリアはシンの額に手を当てつつ、もう片方の手を自分の額に当てた。トゲの如くざらつく額から感じる熱は、明らかに尋常なものではなかった。呼吸も荒く、全身が汗でぐっしょりと濡れている。
意識はなさそうで、時折苦しげなうめき声を上げていた。
「タオルだ」
「ありがと、レイ」
 濡れタオルを受け取ったルナマリアは、軽く汗をふき取りシンの額にのせた。

「お兄ちゃん、大丈夫なの!?」
「マユちゃんは入っちゃダメ!」
 部屋に入ってこようとしたマユを怒鳴りつける。それでマユは身体をビクッと震わせ、後ろからメイリンに捕まって部屋の外に引っ張り出された。
「あ、あの……お兄ちゃん、そんなにひどいんですか?」
 余計な心配をさせてしまったかもしれない。だが、うかつに近づけて、シンの風邪をうつさせてしまったりしたら大変だ。
「怒鳴ってごめんね。……ただの風邪よ。だからマユちゃんは心配しないで学校に行ってらっしゃい」
「けど、あんなに苦しそう……」
「大丈夫よ。メイリン、マユちゃんを学校まで送ってって」
 言うのと同時に、マユのすぐ後ろのメイリンにも眼で合図を送る。
 メイリンは小さく頷き、マユの手を取った。
「うん。マユちゃん、ほら」
「でも、お兄ちゃんが……」
 手を引かれながらも、マユは立ち止まったまま。
 メイリンはマユと目線を合わせるようにしゃがみこみ、両手でその小さな手を包み込んだ。
「シンは大丈夫だよ。久しぶりの学校なんだから、遅刻しちゃダメだよ」
「ああ、シンのことはルナマリアに任せておくといい」
「でも、お兄ちゃんのことでお姉ちゃんたちに迷惑かけちゃ……」
 マユの気遣いをうれしく思うが、それではいけないとも思う。長いこと病院生活で学校に行けなかったのだから、これからはなんとしてでも学校へ行くべきだ。
「大丈夫大丈夫、お姉ちゃんに任せなさいって」
 どんと力強く胸を張った。間髪入れず、レイが言う。
「何かあったらすぐに連絡してくれ」
「うん。レイこそメイリンとマユちゃんのこと頼むわよ」
「ああ」
 レイは頷き、メイリンに目配せをした。メイリンはマユの手を、今度はやや強引に引っ張る。
「マユちゃん、行くよ」
「う、うん。ルナお姉ちゃん、お兄ちゃんのこと……」
「任せてよ。シンが元気になったらごちそうよろしくね」
「はい……」
 掻き消えそうな小さな声だけ残して、マユは部屋から引きずられるように出て行った。
100衝撃7/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:06:04 ID:???
 ギルバート・デュランダルの専攻は遺伝子学であり、まだ30代前半という若さでありながら、DNA解析の世界的な権威といわれている。また、専門分野以外のことにかけても造詣が深く、
若さや知識の幅広さ、柔軟な発想や人脈の広さなど、優秀な教授陣の揃うアカデミーにおいてもなお一目を置かれる存在であった。研究室の扉一つをとって見ても、他とは一線を画する存在であることがよく分かる。
 彼を訪ねたイザークとディアッカの二人は、馬をかたどったいかにも高級そうなドアノッカーを二度ほど叩いた。
 少し待つと、厚く豪奢な木の扉が開いた。長い桃色の髪を垂らした、美しい少女が姿を現した。秘書だろうか? ディアッカがひゅうと口笛を吹いたのを目線で咎めてから、イザークは少女に訊く。
「デュランダル教授はいらっしゃいますでしょうか?」
「あ、ごめんなさい。先生は今留守で……」 
「待たせていただいてもよろしいでしょうか?」
「ちょ、ちょっと待ってて!」
 少女は慌てた様子で扉を閉めた。明らかに客人に対する態度ではない。
 教授の秘書にしてはなってないな。
 イザークは眉をひそめた。

「にしても、いいのかねえ。謹慎中にこんなことしてて」
 待っている間、ディアッカがふと皮肉っぽく言った。不真面目な同僚を、イザークはいつものように鋭い目つきで睨みつける。
「ならば、今すぐ引き返せばいいだろう! 付き合ってくれと頼んだ覚えはない!」
「へいへい」
 いいかげんな態度にいらつくが、今に始まったことではない。
 それに、こんな態度ではあるものの、ディアッカは謹慎中のイザークに付き合ってくれたのだ。そのことについては感謝をしないでもなかった。
 ドアノブが動く金属音がした。随分待たされたような気がするが、ようやくといった感じで再び扉が開く。
「申し訳ありません、お待たせしました」
 顔を出したのは、かつての同僚、アスラン・ザラだった。

 デュランダルの研究室は、ただ研究をするためだけの味気ない場所ではなかった。うずたかく積まれた書籍や散乱した資料といった乱雑さはまるで見られず、全てがあるべき枠組みにきれいにおさまった、整頓された美しさがある。
 柔らかいソファーに腰を降ろしたイザークらの前に、アスランは少し苦笑いをしながらコーヒーカップを置いた。
「すまないな。デュランダル教授は講義で留守にしているんだ」
「いや、いい。今日は貴様にも用があって来た」
「俺に? どういうことだ」
 いぶかしげに、イザークの顔を見る。かなり不機嫌な様子だ。
 奥のほうの扉が開いた。全身から元気をみなぎらせ、ミーアが奥の部屋から姿を現す。
「アスランったらまたコーヒーの出前なんてとって。それくらいあたしが淹れるわよぉ」
「お、うれしいねえ。やっぱりお茶は美人に淹れてもらった方がうれしいよなぁ」
「ディアッカ! そんな場合か!」
 茶化すような態度のディアッカを、イザークが怒鳴りつける。いつ見ても変わらない二人に、少し安心する。
 変わらないといえば、ミーアもだ。初めて逢ったときから、彼女はまるで変わることがなかった。コーヒーを入れる腕前くらいは変わってほしいものだが。
「で、話って言うのは?」
 アスランが促したところ、イザークはゆっくりと部屋を見回した。ディアッカと楽しげに話しているミーアに眼を留め、首を振る。
「場所を変えるぞ」
「分かった。ミーア、留守を頼む」
「え、うん」
「じゃあな。コーヒーは次に来た時に頼むぜ」
 三人が出て行ったのを見送ってから、ミーアは何かを思いついたのか両手をぽんと叩いて、慌ただしく部屋の奥に飛び込んだ。
101衝撃8/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:06:59 ID:???
 アスランはイザークたちを連れ、アカデミーの外の喫茶店に入った。他にも客はぽつぽつといたが、やはり学生が多かった。そんな中でアスランたちは、やや異質な存在に映って見えたことだろう。
「先生に教えてもらったんだが、人に聞かれたくない話をするのにちょうどいいんだ」
 店の奥の席に座り、アスランは言った。確かに他の席から離れており、観葉植物の鉢植えを少しずらせば死角になる。周囲に気を配り、小声で話せば秘密は守れるだろう
「で、何の話だ?」
 注文したコーヒーが届いたところで、膝の上で両手を組んでから促す。イザークは少しの間沈黙していたが、注文したエスプレッソを一息に飲み干した。
「自衛隊が出てきた」
「自衛隊が?」
 アスランは眉をひそめた。視界の端に、ベレー帽を目深にかぶった一人の少女が入店してきたのが映る。
 自衛隊という単語一つで、アスランにはイザークの不機嫌な原因がよく分かった。
 彼もかつては警察に所属していた。それに、他にも色々とちょっかいを出された経験があり、いい印象は抱いていない。今警察に所属している者には到底黙っていられることではなく、特に職務に対して高い誇りを持っているイザークはなおさらだろう。
「ああ。特殊部隊まで出してきた。MRを狙っている」
 この様子だと、その特殊部隊とやらは実際に活動したのだろう。
 MRといえば、アスランの知る限り自分を含めた三人しか存在しない。その内の一人はいまだオーブにいるはずだし、アスランも特殊部隊などに襲われた記憶はない。ということは……、
「インパルスか?」
「そうだ。MAとの戦闘中に割り込んで、襲撃したようだ。その時はインパルスは逃走したが、また狙ってくるだろうな」
「いいのか? 機密情報なんだろう?」
「うるさい! 奴らはMAを倒すことなど二の次らしい。貴様も注意しておけ」
「もしかして、心配してきてくれたのか?」
「誰が貴様の心配などするか! 警察として、ZAFTとして奴らがでしゃばるのが許せんだけだ!」
 あまりにも昔のままで変わりなかったイザークの態度に苦笑する。その隣で、ディアッカは呆れ気味に両手を広げた。

「一つ聞いてもいいか?」
 ふと、思い出したかのようにディアッカが言った。
「なんだ?」
「今までずっと聞きそびれたんだけどよ、お前、今まではオーブに居たんだよな」
「ああ」
「今はデュランダル教授の所にいるってことは、モルゲンレーテはどうしたんだ? クビにでもなったか?」
「何を馬鹿なことを……ちゃんと許可は取った。出向扱いにしてもらっている」
「へえ〜、よくそんな勝手なことができたな」
「まあな」
 言いながら、アスランはユウナに連絡した時のことを思い出して苦笑する。
 出向扱いになったのも、ユウナの提案だった。あれは傑作だった。

「じゃあ、君はデュランダル教授のもとに行くというんだね?」
「はい。今は、それがベストであると考えます」
「なら、君の部署には僕から連絡しておくよ。アレックス・ディノはアカデミーに出向するって」
「いいのですか?」
「構わないよ。君としても帰ってきたときに無職じゃ安心していられないだろう? 君のように優秀な社員が抜けるのは残念だが、仕方ない。後のことは心配しないで、ゆっくりしてきてくれたまえ。はっはっは」
 と、うれしそうに言ったものだった。
102衝撃9/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:08:23 ID:???
 唐突に、目が覚めた。
 随分と長いことうなされていたらしい。時計を見れば、時刻は既に二時過ぎだ。都合20時間近く寝ていたことになる。
 ずっと横になっていたおかげで少し頭痛がするが、それ以外はいたって健康だ。
 あの高熱も、爆発的な回復の反動だったのだ。
 骨折をも数時間で完治させるほどの治癒力が、今のシンには備わっている。その治癒力をもってしても半日以上、過酷な反動がかかり続けたということは、あの怪我はそれほど危険なものだったのだろう。
 だが、その甲斐あって胸の傷はすっかり塞がった。痕一つ残っていない。高熱もすっかりおさまった。生まれ変わったかのように気分も爽快だ。
 ずっと寝ていたおかげで、身体が少し硬くなっていた。身体を起こし、伸びをしようとしたところでシンの腕に何かが当たった。
「ルナ……?」
 赤いショートカットの少女が、布団に顔を埋めるようにして眠っていた。看病でもしてくれていたのかと思いきや、布団の上には雑誌やマンガ本が散らばっていた。
 呆れ果てながらもシンはルナマリアを起こさないよう、シャクトリムシの要領で布団から潜り抜けた。
 彼女が寝ているのと反対側から降りようとして、
「……あれ、起きたの?」
 聞き慣れた少女の声。動かさないように気を配ったつもりだったが、起こしてしまったらしい。
 ルナマリアは手の甲で猫式洗顔をしながら顔を上げた。しょぼしょぼとした眼、寝癖だらけの頭、可愛らしい顔も、起き抜けで台無しだ。
「……プッ」
「何よ、いきなり。感じ悪いわね」
「ひどい顔」
「……ひっど〜い! レディになんてこと言うのよ!」
 そのまま口げんかに移行するが、不穏な空気は全くない。レイあたりならば、苦笑して何も言わずに見守る程度のレクリエーションだ。
「あ〜お腹減った。ねえ、何かつくってよ」
「なんで俺が」
「お腹減ったんだもの、しょうがないじゃない」
 まるで理由になっていない。だが、たとえマンガ本を読みながらでも、アカデミーを休んでまで看病してくれたのだ。多分。
 それくらいはしてもいい。
 肩をすくめ、いかにも諦めた風に見せながらも、シンは頷いた。
「分かったよ。ルナは顔でも洗ってきたら」
「ホント? 言ってみるもんだね、半分冗談だったのに」
 そう言ってルナマリアは悪戯っぽい笑みを浮かべた。悔しいことに、寝起きの顔でも可愛く見えた。
103衝撃10/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:09:36 ID:???
 ルナマリアがシャワーを浴びて、濡れそぼった髪を拭きながら戻ってきた時には、既にシンは皿の前で待機していた。
「あれ、もうできたの?」
「ルナが長いんだよ。それに簡単なやつだし」
 シンの向かい側には、もう一つの皿があった。バスタオルをそのまま肩にかけて、ルナマリアは自分の席に座る。目の前の皿に盛られているのは、パスタをケチャップ等で適当に味付けしただけの、簡易ナポリタンもどきだ。
「いただきま〜す」
 両手を合わせて食前の挨拶。そしてナポリタンもどきにフォークを突き刺し、くるくると綿菓子のように回して小さな塊をつくって、口に運ぶ。
 少し大きな口を開けて口の中にそれを放り込み、もぐもぐとよく噛んで飲み込む。
「……あら、食べれるじゃない」
 意外そうに呟いたルナマリアに、向かいの席のシンも一口食べ、よく噛み、しっかりと飲み込んでから言った。
「一人暮らしが長いから、簡単なのはできるよ」
「ふ〜ん、ちょっと意外。でも、マユちゃんみたいな和食じゃないんだ」
「マユは母さんとかトダカさん譲りだけど、俺のは一人暮らしでの自己流だから」
「そうなんだ。けど、それなりにおいしいわよ」
「そりゃどうも。ところでルナは料理しないの?」
「もちろんできるわよ。面倒だからしないだけ」
「……見栄張るなよ」
「あ〜、メイリンに全部やらせてるから料理なんてどうせできないんだろ、とか思ってるんでしょ」
 即座に頷く。先程の彼女の台詞は、できない人の典型的な強がりにしか聞こえなかった。
 この態度にカチンと来たようだ。唇の端を少し震わせたルナマリアは、高らかに宣言した。
「なら、今日の夕飯は私がつくるわ。楽しみにしてなさいよ?」
「せいぜい楽しみにしてるよ」
 はやる彼女とは対照的に、気のない声でシンは応えた。
104衝撃11/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:10:24 ID:???

 久しぶりの学校だったが、マユは何も感じなかった。
 授業にもまったく身が入らず、赴任してきて二年目という若い社会教師に怒鳴られた。クラスメイトが話しかけてくるのにもほとんど上の空で返してしまって、こそこそと噂話をされた。
 学校復帰一日目にして大失敗だ。
 シンのことが心配、というだけではない。シンとルナマリアのことを考えると、心配なだけではない、何かもやもやとした嫌な気持ちになるのだ。
 未知の、得体の知れない気持ちを抱えたまま家に帰る気にはならず、マユは当てもなく歩いていた。

「あ……ここって」
 いつの間にかアカデミーの大学に来てしまった。
 周囲の全てが大学生で、まるで人の壁に囲まれているようだ。
 ルナマリアやメイリン、レイ達とは違う、無遠慮な好奇の視線に曝されたマユは、恥ずかしさに顔を赤くして駆け出した。
 途端に、壁にぶつかった。前も見ないで走ったため、人にぶつかってしまったようだ。
「ご、ごめんなさい!」
 背の高い人物らしい。大きく顔を上げて、マユは初めて相手の顔を見た。
 均整の取れた長身、たなびく漆黒の長髪は小柄なマユに威圧感を与えるのには十分すぎるほどの貫禄だったが、人柄が滲み出ているのか畏れは感じなかった。
「デュランダル……先生?」
「君は……マユちゃんだったかな?」
 デュランダルは知性を感じさせる切れ長の目を細め、柔らかな笑みを口元に浮かべた。
105衝撃12/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:13:14 ID:???
「今は助手が出払っているみたいでね。美味しくはないかもしれないが、ゆっくりしていってくれたまえ」
 そう言ってデュランダルは趣味のいいティーカップを目の前に置いた。紅茶の芳醇な香りが、部屋中に広がる。
 デュランダルの研究室に招かれたマユは、カチカチに固まっていた。
 このティーカップは、普段使っているカップなどとは桁違いの代物だった。全体に美術館に並ぶような緻密な絵画が施され、持ち手には壊れそうに微細な彫刻が刻まれている。
このカップだけではない。今座っている椅子や目の前にある来客用のテーブル、書棚といった家具から万年筆のような小物の一つ一つに至るまで、全ての物が高級品だ。
だが、それらもデュランダルという人物にかかれば、ただの脇役に成り下がってしまう。本来、デュランダルはマユのような一中学生がおいそれと会えるような人物ではない。
世界が違うということをまざまざと思い知らされ、この部屋において自分がまるで場違いであるというような気分になってしまったのだ、
 その上、彼直々に紅茶まで振舞われた。マユは緊張のあまり、上ずった声になってしまう。
「す、すみません! こんなことまでしていただいて……」
「君はお客だ。もてなすのは当然だよ」
「そ、そんな……」
 デュランダルは自分のような子供でさえも一人前として扱ってくれる。それがマユには非常に照れくさかったが、うれしくもあった。
「いただき……ます」
 折れそうにか細い持ち手を指で支え、落とすのを恐れて、もう片方の手をティーカップの底に添えて、口元に運ぶ。
「美味しいです」
 デュランダルは謙遜していたが、それは素晴らしい味だった。口から鼻へ、そして全身へと鮮やかな香りが清流となって駆け抜けていく。
 茶葉がいいのはもちろんだが、デュランダルの淹れ方も素晴らしかった。実際、謎のコーヒーで撃墜数を着々と伸ばしつつあるミーアやティーパック位しか使ったことのないアスランよりも、デュランダルのほうがよほど紅茶を入れるのは上手だろう。
「それで、今日はどうかしたのかな? 少し元気がないようだったが」
「その……先生にお話しするようなことじゃ……」
「私では力になれないかな?」
「いえ! そんなことはありません!」
 微笑みかけられたマユは、どぎまぎしながらも全力で否定した。するとデュランダルは落ち着き払った様子でふっと笑みをこぼした。
「では、話してくれないかな。これでも教師の端くれだからね」
「は、はい……」
 完全にデュランダルのペースだ。しかし、相手が相手だ。変な意地を張っても、惨めになるだけ。マユは諦めて、シンのことと自分の気持ちを話し始めた。

「シン君が病気に……。それは大変だね」
「はい。それでルナお姉ちゃんが一人で看病してくれてるんですけど……」
 マユはそこで言葉を切り、デュランダルから目線を逸らした。その動作だけで何かを察したのか、彼は諭すような口調で語りかけてきた。
「そうか。……兄妹というのは、本当に素晴らしいものだね」
「え?」
「私には兄弟がいないからね。少し、うらやましくも思うよ。もしいたのなら、そんな風に心配してくれるのだろうか……」
 彼の眼は、マユと眼を合わせながらも、どこか遠く、別のものを見ているようだった。
106衝撃13/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 10:14:56 ID:???
「さあて、これから――」
 ディアッカが言いかけたのを遮って、アスランが突然に顔を上げた。
「おい、どうした!?」
 問いかけるのと同時に、ディアッカの携帯電話に着信が入った。ZAFTの司令部からのものだ。
『――地区にMAならびに複数のMSが出現しました。非常事態です。ZAFTは非番、謹慎を問わず総員直ちに出動してください』
 ある特定の人物に向けた司令が紛れ込んでいる。ディアッカは嬉々として、相方に告げた。
「とのことだ。行くぜ、イザーク」
「分かっている!」
 声を張り上げてから、イザークはアスランのほうに目をやった。
「すまない。俺は少し遅れる」
「なんだと!? 貴様」
 アスランは顔を動かし、目線だけでカウンター席に座っている一人の少女を指した。アスラン達のすぐ後に入店して来た少女だ。
「あ〜、そういうこと」
 合点がいった様子でディアッカは相槌を打った。イザークにももちろん意味は伝わり、こんな時に何をしている、とでも言いたげに怒鳴りつけた。
「ならば、さっさと済ませて来い! 遅れてきても、貴様の分は残しておかんぞ!」
「罪な奴だねえ、お前さん。じゃ、後でな」
 それぞれに言い残して、二人は早足に店を駆けていく。アスランはやや遅れながらも、三人分の伝票をもってレジに向かった。
 その途中、カウンターに座る一人の少女の方に手を置いた。ベレー帽を目深に被り、薄く色のついた大きなメガネをかけている。アスランが近づくとその少女はビクッと身体を震わせ、縮こまってストローに吸い付いた。
「さて、ミーア。こんなところで何をしているんだ?」
「え、え〜と、何のことかしら?」
「とぼけても無駄だ」
 冷淡に言って、アスランはベレー帽に手をかけた。
「あ、ダメェ〜」
 少女が両手でベレー帽を押さえようとするが、もう遅い。ベレー帽の下から、ピンク色の長い髪がふわっと広がった。同時にずり落ちたメガネの向こうで、ミーアはばつが悪そうに上目遣いでアスランを見上げた。
「君には留守番を頼んでおいたはずだぞ?」
「ごめんなさい。けど、アスランのお友達がどんな人なのか気になって」
「まったく……」
 こんな下手な変装をしてまで。
 アスランはベレー帽をミーアの顔に載せた。眼の上辺りまでがすっぽりと隠され、彼女の視界を塞いだ。
「今度こそ、先生の研究室に戻っているんだ。いいな?」
「え、でも〜」
 口答えをするミーアだったが、アスランは有無を言わせぬ口調で、もう一度念押しした。
「いいな?」
「は〜い」
 両手でベレー帽の位置をずらしてちゃんと頭の上に載せ直してから、ミーアは元気だけはよく返事をした。
107衝撃14/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 11:01:30 ID:???
 再び出現したMAを前に、インパルスへと変身したシンは、苦戦を強いられていた。
 たった一人のインパルスに対し、その数倍はあろうかという巨体を誇るゲルズゲー、さらには昨日倒したはずのダガーLも、どこから沸いて出たのか群れを成して襲ってきた。
 インパルスはバイクに跨ったまま、片手だけでダガーLの攻撃を受け止めた。いかに数が多かろうと、一度に襲いかかれる数は限られている。そして、パワー自体はインパルスが上だ。
青い腕を振るい、ダガーLを弾き飛ばして、インパルスはバイクを急発進させる。瞬間的に前方に体重をかけてのロケットスタート。マシンスプレンダーはサスペンションの反発力でわずかに跳躍、まさしく爆発の如き勢いで飛び出し、ダガーLの群れを蹴散らした。
 インパルスの駆るマシンスプレンダーはさらに加速、重心移動と強力なサスペンションの反動で跳躍し、ゲルズゲーへと突進した。加速をつけた大質量の体当たりに、さしものゲルズゲーも弾き飛ばされてしまう。
 バウンドしつつも、かろうじて着地。タイヤやサスペンションでも吸収しきれない衝撃に翻弄されながらも、インパルスはマシンをほとんど横倒しにして、急激なターンをさせた。
大きく減速しながらも、やや膨らんだ弧を描いたマシンスプレンダーは再びゲルズゲーに向かって加速する。
 そこへ、銃撃の嵐が降り注いだ。着弾の火花が散り、地面に無数の小さな穴が穿たれる。特殊部隊の仕業だ。インパルスはとっさにマシンをスピンさせ、マシンを盾にした。
着弾の衝撃が伝わるが、シンと同様ベルトの力によって強化されたボディには傷一つつかなかった。
 インパルス自身も手傷を負うことはなかったが、完全に出鼻をくじかれた。そこへダガーLが襲い掛かる。また、特殊部隊も再び銃撃。
 まるで連携しているかのような波状攻撃だが、もちろん特殊部隊はダガーLのことなど構わない。弾丸の多くはダガーLの外殻で爆ぜ、残りはインパルスの元へと到達した。
 インパルスはマシンスプレンダーを乗り捨て、跳躍。
 その足元で、銃撃を受けたダガーLらが特殊部隊をも襲い始めた。狙いが若干逸れていたため、無事なMSが多かったのだ。
 こうなっては、特殊部隊もその力を自らの身を守る方向に使わなければならない。応戦する隊員たちだったが、反応が遅れ、統制が乱れた。
ここで自衛隊と警察との差が出た。装備や訓練の練度において警察をはるかに凌駕する自衛隊だが、実戦経験は少ない。MS事件への関与を禁じられた自衛隊は、偶発的なものを除いてはMSとの戦闘はほとんど行っていない。
もっとも、自衛隊がそう頻繁に実戦を経験するような事態になるのも困り物だが。その点、市民の盾として常に最前線で矢面に立っていた警察は、実戦のカンとでも呼ぶべきものが培われており、こと対MS戦闘に関しては一日の長がある。
対MS用の装備を整えているとはいえ、一撃で仕留められるわけでもない。離れた場所からの一方的な射撃だけならともかく、接近されての混戦となると、MSに対する有効な戦術マニュアルなどあるわけもなく、
ひとたまりもなかった。隊員は満足の行く対応もできないまま、次々と殴り倒されていく。
 狙われ、撃たれたとはいえ、特殊部隊も人間だ。駆けつけようとするインパルスだが、その前にゲルズゲーが立ち塞がった。
108衝撃15/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 11:05:13 ID:???
 特殊部隊の兵士たちが次々となぎ倒されていく。
 一方、インパルスはゲルズゲーとの戦闘により、助けに行くことができない。シンは徐々に焦燥を深めていった。
 そんなとき、突如として目の前のゲルズゲーが弾き飛ばされた。
 先程までゲルズゲーがいた空間で静止するライドセイバー・スライダーモード。ジャスティス――アスランはそれをサーフボードのように、やや前屈みの姿勢でバランスを取りつつ、インパルスに向かって叫んだ。
「バイクに乗れ!」
「けど……!」
 インパルスは特殊部隊らのほうに眼をやった。MSに襲われている彼らを見殺しにはできない。
「大丈夫だ、向こうはイザークたちが何とかしてくれる。俺たちはあいつを始末するぞ!」
 ジャスティスの言葉通り、サイレンを鳴り響かせながらパトカーが到着、ドアを開け、三人の刑事たちが飛び出す。
 インパルスはわずかに逡巡するが、即座にバイクへと駆け寄った。横倒しになったまま主を待つマシンスプレンダーを引き起こし、一気に加速、宙を舞うライドセイバーと併走する。

 併走する二台にマシンに、光の針が放たれる。マシンスプレンダーとライドセイバーは即座に散開、何もない空間を横切り、道路に突き刺さった。
 光の針をかわしたマシンスプレンダーは、急激なターンを決め、再度ゲルズゲーに向かって突進する。
 接触直前の距離でハンドルを引くとともに重心を移動させ、前輪を持ち上げさせる。いわゆるウィリー走行となって、前輪でゲルズゲーの前脚を殴りつける。
 続いて、前輪が着地した反動から後輪を浮き上がらせてジャックナイフ走行に移行し、そのまま後輪キック。
 舞踏のようなバイクの連続攻撃に、ゲルズゲーはバランスを崩すも、四本の脚を突き刺し、アスファルトを撒き散らして耐えた。
 後輪キックのせいで、インパルスはMAに背を向ける形になっていた。絶好の機会に光の針を放とうと、前脚を展開させる。
 しかし、それが逆にゲルズゲーの隙をつくった。空中から、風を切り裂いてライドセイバーが突進。ジャスティスはすれ違いざま、シャイニングエッジで肩口を斬りつけた。
 まさしく紅い閃光の如き、高速の攻撃だ。

 距離を取るように疾走するマシンスプレンダーに、ライドセイバーが追いつく。
 並んだところで両者はマシンを大きく傾かせて、180度ターン。
「シン、行くぞ!」
「はい!」
 ゲルズゲーと対峙する形となったところで、二台のマシンは再加速。
 みるみるうちに距離が詰まる。
 まっすぐに突っ込みながらも、二人は右足に意識を集中させた。ベルトのエネルギーが流れ込む。
 インパルスとジャスティスは、同時に自らの乗るマシンを強く蹴って跳躍した。
「うおおおぉぉぉっ!」
「ハアァァッ!」
 マシンスプレンダーの勢いが追加された跳び蹴り、フォースキック。
 ライドセイバーのスピードが加味された跳び回し蹴り、グリフォンブレイク。
 ゲルズゲーはリフレクターを使おうと肩を展開させるが、もう遅い。
 それぞれ槍と刃となった二つの必殺キックはゲルズゲーの巨体を貫き、引き裂いた。

 それでも二人の勢いは止められない。
 インパルスはそのままの姿勢で大地を滑る。地面との摩擦で火花が散り、地面を砕き、白煙の尾を引いて何メートルも進んだ末、ようやく停止。
 ジャスティスも同様、アスファルトの道路に軌跡を残す。
 二人の戦士の後方で、上半身を失ったMAが崩れ落ちた。
 前脚が力を失い、身体を支えていた四本の脚が折れ砕け、重い塊のような下半身が地面に落下して、地響きを起こす。
 直後、巨大な火柱が上がった。
109衝撃16/16 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 11:09:21 ID:???
 ジャスティスはバイクモードになったライドセイバーに飛び乗り、何処かへと走り去る。
 インパルスも無人で走ってきたマシンスプレンダーで、その場を後にした。
 その様子を、イザークたちは少し離れた場所から眺めた。だが、そんな余裕があるのはZAFTの三人だけだった。ZAFTが参戦したおかげでダガーLを何とか駆逐した特殊部隊だったが、
既に全員が半死半生といった様子で、疲弊しきっていた。殉職者が出なかったのが、せめてもの幸いだろう。あれだけ殴られて誰も死ななかったというのは、さすがは職業軍人といったところか。
「どうした? 捕獲しなくていいのか?」
 イザークは皮肉っぽく特殊部隊に言うが、彼らは口答えする元気もないようだ。虚ろな目を去っていくインパルスらに向けるだけで、げんなりとうなだれる。
 その様子に、イザークはやや子供じみた、言い知れない痛快さを覚えた。
 だが、これからどうなるだろうか。今回の戦闘は非常事態ということでどうとでもなるだろうが――事実、旧ZAFT時代はよくそういう無茶をした――、謹慎中に勝手に出歩いたという事実は誤魔化しようがない。
自衛隊が絡んでいるおかげで、事情も複雑になっている。
「おい、ディアッカ」
「なんだよ?」
「後で始末書の書き方を教えろ。俺は書いたことがないからな」
「は? 何言ってんだか」
 珍しいイザークの冗談に、ディアッカは大声で笑った。


「ふん、無能ものどもめ」
 報告を受けた男は憎々しげに呟き、手にしたティーカップを苛立ちのままに大理石のテーブルに叩きつけた。
 繊細で美麗な細工に醜いひび割れが入り、芳醇な香りを放つ紅茶が、隙間から滴って男の青白い指を濡らした。
「もういい」
 一度失敗したことを続ける気にはなれない。特殊部隊は早晩引き上げだ。
 紳士然とした男の態度は、自分の意に沿わぬものの存在によってメッキをはがされ始めた。あるいは、これが本性なのだろう。
 インパルス、ジャスティス……化け物の癖に人間の味方面をする、鼻持ちならない連中だ。
 味方の振りをして近づくものが、最も油断ならない。彼はそのことを経験から学んで知っていた。
 だからこそ、余計にMRの存在は許せない。
「やはり、化け物の相手は化け物が一番か。ファントムペインを呼べ」
110衝撃 ◆orYN7qK/0E :2008/11/23(日) 11:11:39 ID:???
二十話終了です。

久々にさるさん喰らってちょっとびっくりw
111議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/23(日) 11:15:24 ID:???
ダブルライダーキックが見事に決まりましたね。
これからどうなっていくのか、とても楽しみです。
112通常の名無しさんの3倍:2008/11/25(火) 17:33:22 ID:???
>>110
乙です。衝撃は好きな作品なので、再開してくれて嬉しいです
ところで皆さん、今仮面ライダーキバの主人公を刹那にしたSSを書こうと考えているのですが、完成次第投下してもよろしいでしょうか?
といっても、今日から試験週間なので投下するのは12月中旬頃になりそうですが(^^;
113議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/25(火) 17:36:38 ID:???
かまわないと思いますよ。楽しみにしています。
114通常の名無しさんの3倍:2008/11/26(水) 22:15:25 ID:???
保守
115通常の名無しさんの3倍:2008/11/28(金) 11:09:22 ID:???
衝撃にwktkしつつ保守
116議論スレにて1001変更案を相談中:2008/11/29(土) 17:06:43 ID:???
今週も衝撃は来るのだろうか。
次が楽しみだ。
117通常の名無しさんの3倍:2008/11/30(日) 13:16:33 ID:???
保守させていただきます!
118通常の名無しさんの3倍:2008/11/30(日) 13:26:16 ID:???
最近最も楽しみなスレになりつつあるぜ!
119通常の名無しさんの3倍:2008/12/01(月) 16:12:11 ID:???
衝撃再臨を願って上げ
120通常の名無しさんの3倍:2008/12/03(水) 21:25:09 ID:???
今週の00見たけど、アリーほど平成の悪のライダーにうってつけな人材はいないなあ
浅倉なみに痺れるキャラに久々に出会った
121通常の名無しさんの3倍:2008/12/05(金) 08:57:24 ID:???
ひろしは変身するとき滅茶テンション高そうだなw
シンは普通に熱血風味
刹那は静かにって感じかな
122通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 15:53:06 ID:???
ひろしの変身時のテンションは容易に想像できるww
刹那は変身は熱くなるかもね。
俺達がガンダムだみたいなテンションでさ。
123通常の名無しさんの3倍:2008/12/07(日) 22:20:04 ID:???
今日東映チャンネルでTHE NEXT観たけど、V3反転キックに感動した
シンはどっちかというと、こっちのV3に近い感じだな
124通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 20:30:35 ID:???
シン「古いんだよ、アンタは」

とか言っちゃうのか?
125通常の名無しさんの3倍:2008/12/08(月) 21:15:31 ID:???
そこんところは、実際にはシンの機体の方が性能低いわけだから違和感あるなw
ただ最後のダブルタイフーンで炎を吸い込んで、絶叫しながら怪物化した妹に引導を渡してやるシーンは、これでもかというぐらいにシンクロ
これだとシンの悲惨度がさらに酷いことになるけど
126通常の名無しさんの3倍:2008/12/13(土) 09:19:44 ID:???
保守だよ
127通常の名無しさんの3倍:2008/12/13(土) 14:57:08 ID:???
ディケイドは内容次第で、このスレ的に新境地開けるかなー?
期待していよう
128通常の名無しさんの3倍:2008/12/17(水) 09:39:37 ID:???
保守せざるをえない
129通常の名無しさんの3倍:2008/12/19(金) 00:15:02 ID:???
保守ですノシ
130通常の名無しさんの3倍:2008/12/21(日) 20:50:21 ID:???
刹那がV3どころかバイオライダーになっちまった件について
131通常の名無しさんの3倍:2008/12/22(月) 21:31:48 ID:???
00は一期のCBを正義とするか悪とするかで物語が全く違うものになるな。
132通常の名無しさんの3倍:2008/12/24(水) 23:28:01 ID:???
組織の善悪とライダーの善悪は別なのかな?
悪のCBと悪のライダーマイスターだとすると、誰が彼らと戦うのかね
133通常の名無しさんの3倍:2008/12/25(木) 11:04:15 ID:???
一期のCBを正義とするならグラハムたちは悪ってことになるのかな。
CBとの技術格差をどう説明するかといことだけで、いろいろ考えられるな。
134通常の名無しさんの3倍:2008/12/25(木) 12:53:40 ID:???
>>132
そのための種キャラじゃないの?
135通常の名無しさんの3倍:2008/12/27(土) 21:33:16 ID:???
保守
136通常の名無しさんの3倍:2008/12/30(火) 04:15:27 ID:???
ディケイド、過去ライダーが変形するってのは勘弁して欲しかったな……

お陰で龍騎なんかドラグレと融合したみたいな状態だし
137通常の名無しさんの3倍:2009/01/03(土) 00:17:10 ID:???
謹賀新年上げ
138通常の名無しさんの3倍:2009/01/03(土) 01:36:44 ID:???
種よりもOOのほうがクウガぽい空気を感じる
139通常の名無しさんの3倍:2009/01/06(火) 09:18:39 ID:???
シン・アスカは改造人間である!
悪の秘密結社オーブに改造されたシン・アスカは!
洗脳を直前に脱走に成功!
それ以来!日夜打倒オーブを誓い戦い続けるのであった!
140通常の名無しさんの3倍:2009/01/08(木) 18:14:03 ID:???
なんだそれは…最後は洗脳されるぞシン…
141通常の名無しさんの3倍:2009/01/10(土) 13:45:53 ID:???
スレ違いな気もするがアリオスはガタックカラーが合いそうな気がしてきた

ガタック買っておけば良かったな
142通常の名無しさんの3倍:2009/01/11(日) 22:59:09 ID:???
>>140
この世界に負債は居ないから大丈夫
143通常の名無しさんの3倍:2009/01/16(金) 07:36:38 ID:???
上げ
144通常の名無しさんの3倍:2009/01/19(月) 22:24:09 ID:???
保守
145通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 11:23:29 ID:???
ディケイド見て思ったけど、シンや刹那が他のライダー(ガンダム)と合体して戦うってのも有りな気がしてきた
146通常の名無しさんの3倍:2009/01/25(日) 16:46:05 ID:???
刹那が初代ライダー一号と自身のライダーエクシアと合体すると、
00ライダーと変身出来るのですね、わかります。
147通常の名無しさんの3倍:2009/01/29(木) 20:18:01 ID:???
保守上げ
148通常の名無しさんの3倍:2009/01/29(木) 21:33:18 ID:???
>>1
シン主役は無理だよ個人的な感情か命令以外ではシンは行動しないよ
種死見てないから言えるのだろうが、シン最後はディアンダル議長とレイに
利用されるぞ
149通常の名無しさんの3倍:2009/01/29(木) 22:03:06 ID:???
ディアンダル議長って誰だ?
ゼロ大帝の別名か何か?
150通常の名無しさんの3倍:2009/01/29(木) 22:40:05 ID:???
無双スレの次はこっちか 暇なんだな
151通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 08:05:23 ID:???


>>1

主役がこの二人では買う奴いなさそうだ
152通常の名無しさんの3倍:2009/01/30(金) 19:31:38 ID:???
ポプラン「ストライクフリーダム!いくぜ!」
イワン「フリーダム、出る」

キラ(´・ω・`)
153通常の名無しさんの3倍:2009/02/01(日) 17:47:20 ID:???
SMAPは仮面ライダーになってたぞ
二人とも頑張れ(笑)
154通常の名無しさんの3倍:2009/02/01(日) 18:32:53 ID:???
>>153

だが、SMAPが「仮面ライダーG」になったせいで、刹那は「仮面ライダーG(ガンダム)」って名乗れないだぜ?
155通常の名無しさんの3倍:2009/02/01(日) 20:14:24 ID:???
刹那は仮面ライダーGNだよ、うん。
156通常の名無しさんの3倍:2009/02/05(木) 07:26:44 ID:???
この前のディケイド観てたら…

士=刹那
ユウスケ=シン

という構図が頭に浮かんだ
157通常の名無しさんの3倍:2009/02/06(金) 00:46:40 ID:???
最初は己が戦う意味がハッキリとはわかっていなかったシンが、刹那との出合いをきっかけに「誰かの笑顔を守る為」に戦う事が自身の本当の願いだと悟り、覚醒する感じかな。
158通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 12:20:40 ID:???
刹那「この男(シン)が戦うのは誰も戦わなくていいようにするためだ!」
ガミオ「何…?」
刹那「自分1人が闇に堕ちたとしても、誰かを笑顔にしたい!そう信じてる!
   こいつが人の笑顔を守るなら…俺はこいつの笑顔を守る!!
   知ってるか……こいつの笑顔、悪くない」
ガミオ「貴様……何者だ!?」
刹那「通りすがりのガンダムだ、覚えておけ!!」
159通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 12:43:11 ID:???
>>158
ガミオはクルーゼにした方が良くないか?
160通常の名無しさんの3倍:2009/02/08(日) 13:03:02 ID:???
>>158
そのシーンは凄く良かったんだが、この後でシンが刹那に、背中に腕突っ込まれて「…ああっ!」とか喘ぐのかと思うと吹くw
161通常の名無しさんの3倍:2009/02/10(火) 19:29:36 ID:???
ベタだが地獄兄弟はXのフロスト兄弟だな
162通常の名無しさんの3倍:2009/02/11(水) 20:50:10 ID:???
>>161
地獄兄弟はそんなに悪じゃないがな
163通常の名無しさんの3倍:2009/02/15(日) 11:27:58 ID:???
>>154仮面ライダーエクシア
164通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 03:24:56 ID:???
刹那とシンの最強フォームはどんな感じだろうか。
シンだとブレイドのキングフォームやクウガのアルティメットフォームみたいな、ほぼ無敵だけど抱えるリスクがデカすぎるのが似合ってそうだ。
165通常の名無しさんの3倍:2009/02/18(水) 20:16:16 ID:???
シンだと乗機を参考にして、
仮面ライダーインパルスで、デスティニーフォームとなる気がする。
アギトのトリニティやキバのドガバキみたいな感じの。
166通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 16:41:22 ID:???
>>164
刹那だったらキバエンペラーフォームみたいに、内に秘められていた力を解放した最強フォームが似合いそう
167通常の名無しさんの3倍:2009/02/22(日) 22:48:40 ID:???
他スレでダブルオーが巨大鋏化したアリオス構えてるシーンを見て、モロにディケイド連想して吹いた
168通常の名無しさんの3倍:2009/02/23(月) 15:40:22 ID:???
『ファイナルフォームライド』

『アアアアアアリオス!』
169通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 08:30:18 ID:???
保守上げ
170通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 10:28:00 ID:2IM3m9n6
バイストンウエルに帰る為に早く浄化しろよ。
黒騎士と差し違えて!
171通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 22:32:52 ID:???
今週のライダーバトル、人が死なない設定だと面白そうだな。種キャラと00キャラオールスターで笑いあり涙あり萌えあり燃えありのバトルロイヤルとかできそうだ。
172通常の名無しさんの3倍:2009/03/01(日) 22:46:14 ID:???
羽黒レン=凸
前髪の量繋がりで
173通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 00:02:57 ID:???
>>172
髪なら仮面ライダーアビスの人もなかなかどうして……
174ライダー裁判・種ワールド:2009/03/02(月) 02:30:40 ID:???
 どうなっているんだろう……。
 目の前で倒れている男性と、自分の手に握られたナイフを交互に見つめる。銀色に輝く刃からは、独特の粘り気を帯びた赤い雫が滴り落ちている。
ブランド物のシャツもミニスカートも、血で真っ赤に染まっていた。
 信じられない出来事に呆然としていた私は、ドアが開いたことにも気付かなかった。
「すみません、アーサー先生。次の授業のことなんですが……あれ、ルナ?」
 部屋に入ってきたシンは、まず私を見て、そして倒れているアーサー先生に眼を向けた。そして、驚きに眼を見張る。
「ど、どうしたんですか!? アーサー先生! アーサー先生!」
 書類の束を取り落として、シンは倒れている男性に駆け寄った。
 アーサー先生は灰色のスーツを自らの血で紅く染め、仰向けに倒れている。シンがいくら揺さぶっても、全く反応しない。
「ルナ! これは一体どういう……」
 シンは私の手に握られているものに気付いた。
 そこではじめて、心の底から恐怖がわきあがってきた。真冬に氷水でも浴びせられたように身体が縮こまり、全身が小刻みに震える。
「お前、まさか……」
「ち、違うわ」
 鋭い視線に押されるかのように、一歩下がる。
 ふるふると首を振るが、シンの疑わしげな視線は私、正確には私の右手の中にある、赤い血の滴るに注がれている。
「キャアッ!」
 ナイフを放り投げる。磨き上げられたガラスのテーブルに赤い模様を作って、かちゃりと落ちる。
 でも、ナイフがなくなってもシンは私を睨みつけた。今までに見たこともないような、恐ろしい視線で。
「違う……」
 どたどたと足音が聞こえてくる。
 すぐに、何人もの顔なじみの学生たちが入ってきた。
 いつもは一緒にコンパをしたり、バカをしたりするみんながすごく怖い顔で私を見つめてくる。
 やめて、そんな眼をしないで。
 シンはアーサー先生から手を離し、私に向かって歩いてきた。怒った顔が、ガラスのテーブルにも写り込んでいる。
「私じゃ……私じゃない!」
175ライダー裁判・種ワールド:2009/03/02(月) 02:31:23 ID:???
『大学講師が白昼堂々と刺殺されるというショッキングな事件から、既に一週間が経過しました。少女Aはいまだ容疑を否認しており……』
 テレビでは変わり映えのしないニュースを延々と垂れ流している。
 俺はベッドに寝転んだまま、中央に金色のレリーフが刻まれた黒いカードデッキを薄汚れた天井にかざした。
 ルナは仮面ライダー裁判にかけられるというので、彼女の友達であり、事件の第一発見者でもある俺も、仮面ライダーに選ばれたのだ。
 仮面ライダー裁判とは、事件の関係者や弁護士、検事たちがミラーワールドと呼ばれる鏡の中にある世界で、裁判所から支給された
カードデッキで仮面ライダーとなって戦い、最後の一人になったものが判決を下すという変わった判決方法だ。
「けど、俺は……」
 両手を横に広げる。カードデッキが布団の上に投げ出された。
 カードデッキが失われてしまえば、仮面ライダーになることはできなくなる。その時点で仮面ライダー裁判に参加する資格を失ってしまうのだ。
重要なものだとわかってはいるのだが、今の俺には戦うことはできそうになかった。
 仮面ライダー裁判に参加する以上は、ルナが有罪か無罪かを決めなくてはならない。
 分からないのだ。
 俺はルナがナイフを持っていたのを見た。
 だけど、ルナが人を殺すなんて信じられない。
 自分が見たものを信じるのか、それとも俺が知っているルナを信じるのか……。
 思考の無限ループに陥りそうになった時だった。
 チャイムが鳴った。
 また記者とかかな……。
 あの事件の直後は、記者がひっきりなしの取材に訪れていた。話題不足のマスコミにとって、あの事件は格好の餌食だったのだ。
朝から晩まで、友達が逮捕された者の気持ちなんてまるでお構いなしに追い掛け回す。
 けど、俺はまだマシだったのかもしれない。未成年ということで実名報道こそされなかったものの、容疑者の妹ということでメイリンは、
マスコミだけでなく同じ学生にまで追い掛け回され、白い眼で見られ、いたたまれなくなって学校に来れなくなったのだ。
 そんなわけで、俺は出る気などなく居留守を決め込んだが、ドアチャイムはまたしつこくなり続ける。
 仕方なく、うんざりしながら起き上がって、扉を開ける。
「取材ならお断りですよ。もう離すことなんか……」
 開口一番に言ったが、目の前にいたのは記者、という様子ではなかった。
 年齢は、俺と同じ位だろうか。浅黒い肌に、黒い髪。背はそれほど高くはなかったが、その鋭い視線から発せられる迫力はただならぬものがあった。
「あなたは?」
 俺の問いに、男はきっぱりとした口調で答えた。
「俺が仮面ライダーだ」
176ライダー裁判・種ワールド:2009/03/02(月) 02:32:01 ID:???
「ソレスタルビーイング法律事務所……弁護士、刹那・F・セイエイ?」
 突然の来客に渡された名刺。刹那は見た目に似合わぬ落ち着き払った態度でこくりと頷いた。
「それで、弁護士様がなんの御用で?」
 訊きはするが、弁護士が俺を訪ねてくる用事など、一つしか考えられない。
「決まっているだろう。ルナマリア・ホークの裁判についてだ」
 案の定だ。俺はうんざりだという風にため息をついた。刹那は続ける。
「もう一度詳しい話を聞きにきた」
「ああそうですか。けど、俺が知ってることなんて、全部警察に話しちゃいましたよ。警察に聞きに行けばいかがです?」
「いや。目撃者から直接話を聞きたい」
「そうですか。職務熱心なことで」
 文句を言いつつも、俺はあのときに見たことを話した。とは言っても、大したことはない。ゼミ形式の授業だというのに全くアーサー先生が来なかったので、
呼びに言ったらナイフを持ったルナと胸から血を流して倒れているアーサー先生を見つけた、というだけの話だ。
新しく思い出したことなどもなかったが、一週間も経ったことで頭が冷えて、前よりも物事を整理して、少しは客観的な視点で話せたような気もする。
「そうか。では、お前はルナマリア・ホークがアーサー・トラインを殺した場面を直接見たわけではないんだな?」
 黙って首を縦に振る。
 そうだ。あの時は気が動転していたが、俺が見たときには既にアーサー先生は死んでいたのだ。
「お前はどう思う? シン・アスカ」
 思わぬ問いに顔を上げる。何があったか聞かれることはあっても、俺自身の考えなど誰も聞こうとはしなかった。刹那は重ねて問う。
「ルナマリア・ホークが本当に殺したと思っているのか?」
「俺は……」
 正直に言って分からない。でも、俺の中にあるルナへの疑いは、限りなく低くなっていた。
 答える代わりに、俺は問い返す。
「刹那は、どう思っているんだ?」
「依頼人の無実を疑わずに、弁護などできるわけがない」
 これ以上ないほど、確信に満ちた言葉。自らの職務に対する、絶対の信頼があって、はじめて導き出せる言葉だった。
177ライダー裁判・種ワールド:2009/03/02(月) 02:34:04 ID:???
 刹那の先導で、警察の廊下を歩いていく。清掃の行き届いた廊下だが、警察という先入観があるせいか、息苦しく感じる。
「ここから先は一人だ」
 刹那の言葉に頷き、一人で面会室に入る。刹那は外で待っているらしい。
 面会室の扉を開けると、ルナがすがるような目つきでこちらを見ていた。
「シ〜ン、助けてよ〜」
 いつも明るく元気なルナはそこにはいない。意外な姿に、心が痛んだ。
「ルナ、大丈夫?」
「大丈夫じゃないわよ……。毎日毎日取調べで……ぐすっ」
 口を開けば、泣き言しか出てこない。こんなルナを見るのは初めてだ。
「メイリンにも会えないし……友達も誰も来てくれないし。最近あった人って弁護士さんだけよ……」
 泣き言だけで既に十分が過ぎている。面会時間は残り五分。ここは心を鬼にしないと、話し一つ聞けそうにない。
「なあ、ルナ。一つだけ聞かせてくれ」
「何よ?」
「あの時、何があったんだ?」
「何って言ったって……。私、あの時はアーサー先生に呼び出されて」
「呼び出されたって、何やったんだ?」
「出席日数が足りないって。このままじゃ単位をあげられないって。ひどいと思わない? たかが八回くらい休んだくらいで」
 残り3分。時計を見て、はやる気持ちを抑えながら、軌道修正を呼びかける。
「いや、それはいいから話の続きを」
「あ、うん。そうよね。それで、叱られてて、顔を伏せてたのよ。そしたらいきなりアーサー先生が私の方に向かって倒れ掛かってきて……。
驚いて突き飛ばしちゃったら倒れて、いつの間にかナイフを握ってたの」
 まるでできの悪い三文少女小説のような話だ。胡散臭すぎて、かえって真実味すら感じさせる、かもしれない。
「何よ、その眼。シンまで私のこと疑ってるの?」
「そ、そんなこと」
「絶対に違うわよ! 私、人殺しなんて絶対にしないんだから!」
 アクリル板で仕切られた向こうの部屋で、ルナがどんと机を叩いた。先程の怪しい証言はともかく、到底嘘とは思えない。
「時間です」
 警察官がアクリル板の向こうから、無情にも時間を告げて、ルナを引っ張る。あたかも電車越しに別れを告げる恋人の如く、ルナはアクリル板に張り付いた。
「信じて! 私、殺してなんか……」
 目に涙を溜めて訴える。そうだ、何を迷うことがあるんだ!
「分かった! 俺が必ず無罪にしてやる!」
 警官に引きずられていきながらも、ルナは信じている、という風に頷いてくれた。
 そのとき、俺の判決は決まったのだ。
178ライダー裁判・種ワールド:2009/03/02(月) 02:35:25 ID:???
>>171を見てカッとなってやった。
反省はしている。
ごめんなさいorz
179通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 07:13:48 ID:???
>>178
いや、なかなか面白かったよ
GJ!!
180通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 07:47:50 ID:???
人間はみんなイノベイターなんだよ
181通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 15:18:52 ID:???
>>178
GJ!面白かった。
この状況だと凸の立場はどうなるだろう。シンに犯人呼ばわりされた挙げ句フルボッコされる先輩か、正義の名の元にお前ら全員死刑だー!と叫びながら暴れる検事さんになるのか。
182通常の名無しさんの3倍:2009/03/02(月) 16:00:02 ID:???
真犯人の鮫ライダーだろ
髪の毛の量的に考えて
183通常の名無しさんの3倍:2009/03/03(火) 01:07:45 ID:???
弁護士の刹那がハマリ役だったなw
なんというか、いろんな意味で頼もしい感じでしっくり来るわ。
物語も最近の風刺もあって、なかなか面白かったわ。

ついで、戦って勝った奴が審判を下すっていうのもいい。
真っ当な判断基準が無ければ、すぐに心が折れて負けるからね。
戦いに勝って審判を下せるのは、それこそ悪魔か神かって感じだ。

こうなってくるとティエリアの登場が欲しくなるな。
彼こそ一期では、ガンダムマイスターを審判に下す立場だったし、
(結局、トライラルシステムの中断のせいで、人間への道へ進む事になるのだが)
こういうシーンでは一番しっくりきそうだ。

自由とか出てくると盛り上がるな。
歪んだ正義とは、あいつの事だ。(ラスボス系の人物として褒めてます)
184通常の名無しさんの3倍:2009/03/03(火) 01:21:16 ID:???
http://imepita.jp/20090302/764380
刹那は、本格的に仮面ライダーになるようです。
185通常の名無しさんの3倍:2009/03/04(水) 22:13:45 ID:???
ニコ動にあった
http://www.nicovideo.jp/watch/sm2395007
仮面ライダーフラッグRX
186ライダー裁判・種ワールド:2009/03/05(木) 23:36:53 ID:???
 面会室から出ると、刹那が待っていた。
「話は終わったのか?」
「ああ」
 それだけの会話を交わして、無言のまま警察を出る。
 刹那は無口であり、俺自身もそんなに口がうまい方ではないので、俺たちは終始無言のままだった。

 ルナにはああ言ったけど、正直どうすればいいのか分からない。
 とりあえず地下鉄で家に帰ろうとしたところで、俺は何か不愉快な耳鳴りのような感覚に襲われ、耳を押さえた。刹那も同じように感じたらしいけど、
正体を知っているらしい。
「ちょうどいい。見ろ」
 刹那は近くにあったビルの良く磨きこまれたウィンドウを指した。
 そのウィンドウには、ビルの内部の景色、反転した俺達の虚像といったごく当たり前のものの他に、その場にいるはずのない二つの人影が写っていた。
 二つの人影は、紅と橙という色の違いこそあれ、とても似通った姿をしていた。騎士のような仮面を被り、甲冑で身を固め、腰には銀色のベルトを巻いている。
 ベルトの中央には、俺が持っているのと同じようなカードデッキが装てんされている。
「仮面……ライダー」
 思わず呟くと、刹那が横に立って、頷くように言った。
「ああ。これが、仮面ライダー裁判だ」

 俺の目の前で、紅と橙の仮面ライダーは拳をぶつけ合った。両者はそれぞれ相手の拳を捌き、さらに接近してもう片方の拳も振るった。
 紅の仮面ライダーは右腕で拳を逸らし、橙の仮面ライダーは右手で受け止める。
 力比べの様相を呈した瞬間、二人の仮面ライダーは地を蹴って距離を取った。
 そして、ベルトからカードを引き、腕や膝に滑らせる。
『シュートベント』
『ソードベント』
 耳を凝らせば、鏡の中の音まで聞こえるらしい。
 渋い声とともに、二人の仮面ライダーは武器を持った。
 紅の仮面ライダーは腰だめに二門の大砲を持ち、橙の方は両腕に剣を持った。
 紅のライダーはそのまま大砲を放つが、橙のライダーはそれを無視するように突進、みるみる間合いを詰めていく。
 そのまま至近距離まで来た橙のライダーは、剣で大砲を叩き落した。続いて紅のライダー自身までも斬りつける。
 胸を斬られたライダーは、のけぞりながらも踏みとどまった。そして、橙のライダーの腹に強烈な蹴りを喰らわせる。
 剣を取り落とし、橙のライダーは数歩下がった。
 紅のライダーはもう一度ベルトに手をやり、カードを引いた。
『ファイナルベント』
 先程と同じ声がして、紅のライダーは宙高く舞い上がった。そして橙のライダーめがけて急降下。
 爆発。
 その瞬間、目の前の鏡から、顔に傷のあるよく日焼けしたおっさんが飛び出した。
「うわっ!」
 慌てて飛びのいた俺には眼もくれず、おっさんは憎々しげに鏡の向こうをにらみつける。
「ガイアは、脱落だな」
 言いながら、紅のライダーはこちらに歩いてきた。鏡を抜けると、騎士然とした異形の姿が人間のそれになる。
187ライダー裁判・種ワールド:2009/03/05(木) 23:38:12 ID:???
 紅の仮面ライダーに変身していた人の姿を見て、俺は自分の目を疑った。
「ア、アスラン?」
「シン……お前も仮面ライダーに選ばれたのか」
 それは向こうも同じみたいだ。意外そうに形のいい眉を潜めている。
 俺たちが思わぬ再開に驚いている間に、橙の仮面ライダーに変身していた人は逃げていた。
「知り合いか?」
 俺達の間に入ってきて、刹那が口を挟んだ。
「ああ。アスランは俺とルナの昔の先輩で、今は刑事をしてる」
 仮面ライダーには、事件の関係者や検事、弁護士が選ばれる。なら、刑事が選ばれたとしても不思議なことはないのかもしれないけど。
 それでも知り合いが仮面ライダーだとは想像していなかった。
「こちらは?」
「弁護士の刹那・F・セイエイさんです。ルナの弁護をしてくれるそうです」
「そうか。アスラン・ザラ、セイバーだ」
「俺は仮面ライダーエクシアだ」
 刹那とアスランは、お互いに右手を預けた。

 だが、今の俺には気になることがあった。アスランが仮面ライダーということは……
「アスランは、ルナをどう思ってるんですか?」
 もし無罪と思っているのなら、戦わずにすむ。けど、有罪だと思っているなら、戦わなければならない。
 だが、アスランは答えなかった。その表情には、苦渋がにじみ出ているようだ。
「ルナが、本当に人を殺したと思ってるんですか!?」
 もう一度、強く聞く。しばらく黙ってから、アスランはようやっと重い口を開いた。
「俺の仕事は、知っているだろう。そういうことだ」
 はっと息を呑んだ。そうだ、警察はルナが犯人だと決め付けている。なら、刑事のアスランの選択肢など考えるまでもない。けど!
「ルナが、ルナが人殺しなんてするわけないじゃないですか! アスランだって知っているでしょう!」
「裁判はドラマのようにはいかない!」
 語気に気圧されて、俺は一歩下がってしまった。
「たとえ本当にルナマリアが犯人でなかったとしても、今はそれを証明することはできない。ルナマリアを助けたいのなら……」
 アスランはカードデッキを取り出し、俺に見せ付けた。
「お前が勝ち残って、無罪にするしかない」
「……分かりました」
 俺も、カードデッキを取り出す。アスランの覚悟の程は伝わった。なら、俺にできるのはそれを受け止めることだけだ。
 先程までアスランが戦っていたウィンドウへ向かって、ゆっくりと歩いていく。狙ったわけではないが、アスランも全く同じタイミングで歩き出した。
 ウィンドウの前に立つ。
 俺は、俺自身の虚像に向かって左手に持ったカードデッキをかざした。銀色のベルトが浮かび上がり、虚像、そして実態である俺にベルトが巻きついた。
「シン・アスカ」
「刹那、手を出さないでくれ」
 少しだけ振り返って、刹那に言った。刹那は俺の目をまっすぐに見返して、首を縦に振った。返すように、俺も頷く。
 俺はウィンドウへと向き直った。
「「変身!」」
 叫ぶとともに、銀色のベルトにカードデッキを滑り込ませる。
 俺の身体が一瞬にして、青い仮面ライダー、仮面ライダーインパルスへと変わった。
188ライダー裁判・種ワールド:2009/03/05(木) 23:40:47 ID:???
 ミラーワールドに飛び込む。
 何もかもが外の世界と同じでありながら、全てが反転し、動くものがない世界。
 はじめて見る世界に戸惑いながらも、俺は目の前を見据えた。この世界で動けるのは、仮面ライダーのみ。すなわち、俺ともう一人だけだ。
 先手必勝。
 即座に俺は駆け出し、紅い仮面ライダー、セイバーに殴りかかった。
 だが、セイバーは俺の突進を難なくかわし、カウンターで腹に膝をめり込ませた。
 息が詰まった。その隙を逃さず、セイバーは情け容赦なく攻撃してきた。
 顔を殴り、腹を殴り、腕を蹴られる。
 最後に肩口への強烈な蹴り。
 俺の身体は、なす術もなく吹き飛ばされ、背中から叩きつけられた。
 脊髄に電撃が走った。仮面ライダーの装甲を超えて衝撃が伝わり、肺の中から空気が強制的に吐き出される。
 だが、この程度で終わったわけではない。
 俺は肘を着き、半身を起き上がらせた。ハンパな体勢でセイバーを睨みつけると、向こうは一枚のカードを引き抜いて左腕のカードリーダーに滑り込ませる。
『シュートベント』
 音声とともに、虚空から二門の大砲が飛んできて、セイバーの背中に装着される。
 セイバーは大砲を構え、やっとのことで起き上がった俺に向ける。
 次の瞬間、赤い光の奔流が俺に襲いかかった。
 右へ転がるようにして、それを避ける。
 安心したのも束の間、セイバーは次々と砲火を放った。
 俺は走りながら、カードデッキから一枚のカードを引き抜く。
 すぐ後ろで大きな爆発。吹き飛ばされ、うつ伏せになりながらもカードを手放さなかった俺は、倒れたままで右腕のカードリーダー“インパルスバイザー”にそのカードを通させた。
『シュートベント』
 俺の背中にもセイバーのものと同じような大砲が装着され、青い装甲が緑に変わった。
 セイバーが赤い光が放つ。俺が引き金を引くのと、ほとんど同時だった。
 二つの光が中央で交差する。一方の光が俺の肩を掠める。肩を押さえながらも、俺はセイバーが大きくバランスを崩すのを見た。向こうは直撃したのだろうか。いずれにしろ、
この瞬間を逃すわけにはいかない。
 カードデッキに右手をかける。一瞬ためらうものの、俺はカードを引き抜いた。そして“インパルスバイザー”に挿入させる。
 切り札、最後の決め技だ。
『ファイナルベント』
『ファイナルベント』
 “シルエットバイザー”が告げるのと同時に、同じ声がした。
 セイバーも俺と全く同じ行動をしていたのだ。紅い閃光が宙に舞い、天空から俺へとまっしぐらに飛んでくる。
 負けずに俺も跳躍。青い光を放つ右足で、真っ向から立ち向かった。
189ライダー裁判・種ワールド:2009/03/05(木) 23:41:56 ID:???
 右足が砕け散り、四散したような錯覚を感じた。
 衝突したのは一瞬だったが、その威力は凄まじいものだった。純粋なエネルギーが弾け、コンマ一秒にも満たない間に太陽にも負けない光が物理的な力を伴って解放されたのだ。
 俺はまともに着地することもできず、無様に転がった。
 アスランは?
 倒れたまま、俺はセイバーの姿を探した。
 周りを見回すが、紅の仮面ライダーの姿は見当たらない。

 なんとか立ち上がって、もう一度顔をめぐらせる。
 ようやくアスランの姿を見つけた。鏡の向こう、ミラーワールドの外にいた。
「勝った……のか?」
 信じられなかった。声に出しても、まだ実感がわかない。
 初めての戦いに勝った。不思議な高揚が、胸の奥から泉の如く湧き出してくる。不思議な感慨を覚えた俺は、左腕の“シルエットバイザー”をまじまじと見つめる。
「これが、仮面ライダー……」

『フェザーベント』
 その瞬間、風を切る音が耳を打った。一瞬の後、登山ナイフのように巨大な羽根が、赤い嵐となって襲い来る。
 即座に飛び退る。
 地面に赤い羽根が、剣山の如く突き刺さった。コンクリートに生まれた亀裂が、その恐ろしい威力を物語っている。
 動くもののないミラーワールドにおいて、こんなことをしてくるものはただ一つ。
「まさか!」
「そうよ! そのまさかよ!」
 その声に振り向いた俺の目は、赤い仮面ライダーの姿を捉えた。巨大な剣を振りかぶった姿は、子供の頃に聞かされた悪鬼を思い起こさせる、禍々しいものだった。
190ライダー裁判・種ワールド:2009/03/05(木) 23:48:02 ID:???
本日は終了です
アスラン早速の退場ですが、活躍を期待してた人ごめんなさいorz
191通常の名無しさんの3倍:2009/03/06(金) 01:15:10 ID:???
!!
ここでいきなり最悪の戦争野郎アリーの出陣か!?
ここは刹那の活躍を期待したいところだ!
職人さん、GJっす!
192通常の名無しさんの3倍:2009/03/06(金) 04:06:34 ID:???
GJ!まさか続きを書いてくれるとは…
日曜日も近いし、ライダーバトルと共に真犯人が誰になるのか楽しみです。
193通常の名無しさんの3倍:2009/03/06(金) 08:34:15 ID:???
種ガンと龍騎って凄く相性良かったんだな、と今回見て改めて思った
システムとか、ライダー同士がお互いのエゴ剥き出しで戦い合うところとか
194通常の名無しさんの3倍:2009/03/06(金) 23:32:27 ID:???
GJだが ガイアのおっさんって誰? オリジナル?
195通常の名無しさんの3倍:2009/03/07(土) 00:52:44 ID:???
虎カラーの方だろう
だから、アンディのおっさんでFP
196通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 11:41:58 ID:???
ミラーワールドで負けても死なない+現実世界でも変身可という世界か。
197通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 22:28:54 ID:???
さて来週は「ヒーローなんていない。だから俺が守ると決めたんだ。」と宣言するオンドゥル星の王子の話だな。守りたいもの全て守る為に己を犠牲にした漢の生き様はシンや刹那の視点からどう映るんだろう?
198通常の名無しさんの3倍:2009/03/08(日) 23:44:56 ID:???
発音がいいオンドゥルなんて・・・
( 0w0)<橘さん!本当に裏切ったんですか!?
違和感あるだろ

逆に刹那はともかくシンにオンドゥル語を学ばせてみるのはどうだろう
ア゙ンタバイッタイナンナンダ!!
199通常の名無しさんの3倍:2009/03/09(月) 22:24:43 ID:???
ハム「ハワードネイサーン!」
200通常の名無しさんの3倍:2009/03/10(火) 03:12:19 ID:???
200
201通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 07:24:32 ID:???
保守上げ
202ライダー裁判・種ワールド:2009/03/11(水) 23:29:57 ID:???
『ソードベント』
 “インパルスバイザー”にカードを通す。
 持ち手の両側に刃の付いた、長大な剣が飛んできた。俺は右手でそれを受け取る。両手で持って、赤い仮面ライダーの大剣を受け止める。
「は? 色が変わるだと?」
 赤い仮面ライダーの言うとおり、俺の身体は青から鮮やかな赤に変わっていた。
 俺は剣に全体重をかけた。鍔迫り合いを、力任せに押し切る。
「おおっと」
 赤い仮面ライダーはおどけるように下がって、大剣を構え直した。
「おもしれぇじゃねえか。けどなぁっ!」
 カードデッキから一枚のカードを取り出した。俺は、何が起こるのかと身構える。
 おそらくカードリーダーなのだろう、赤い仮面ライダーは、大剣に取り出したカードを滑らせた。
『スチールベント』
 案の上、あの音声が流れた。
 途端、剣が俺の手から離れ、あろうことか向こうの手に握られてしまった。
「え!?」
「てめぇから死刑にしてやるぜぇ!」
 叫びながら、赤い仮面ライダーは大剣と俺から奪った剣の二刀流で襲ってきた。
『ガードベント』
 残っていたカードを使って盾を召喚し、大剣を受け止める。だが、その反対側から俺の剣で斬りつけられた。右腕に激痛が走る。
「うわっ!」
 右腕を押さえ、よろめいたところで蹴りがきた。
 その威力に負け、よろめくように後退する。
 相手のライダーに嘲笑された気がした。負けじと顔を上げたところで、俺は自分の身体に異常を感じた。
 指先が、まるでコーヒーに砂糖の塊を溶かしたように粒子状にぼやけている。
「どうやら時間切れみたいだな。そのままほうっておいてもゲームオーバーだが……」
 言いながら、俺の剣を後ろへ投げ捨てた。赤いライダーは、もともと持ってた大剣一振りを両手で持ち直して、
「どうせなら俺に殺られちまいなぁ!」
 大上段に振り下ろした。

203ライダー裁判・種ワールド:2009/03/11(水) 23:30:41 ID:???
 俺の脳天めがけて振り下ろされた大剣は、突如割り込んだ別の仮面ライダーの剣が受け止めていた。
「貴様か、アリー・アル・サーシェス!」
 刹那の声。目の前の青い仮面ライダーは、刹那が変身しているらしい。
「あぁ? 弁護士のガキか!」
 二人は知り合い、それも敵対しているようだ。鋭い剣戟音が大気を震わせ、数度ぶつかり合い、離れる。
 刹那は俺を庇うように、アリーと呼ばれた仮面ライダーの前に立ち塞がって剣を構える。
「へっ、やるじゃねえか」
 仮面に隠れて表情は見れないが、舌なめずりをしているのは間違いないだろう。言葉の端々から、隠しようもない愉悦がにじみ出ている。
「やっぱり最高だな! ライダーってのは!」
 剣を振り上げ、猛然と襲い掛かってくる。俺との連戦だというのに疲れは一切見られず、むしろ活き活きとしているようだ。
 一方の刹那は俺の様子を流し見た。青いカードデッキからカードを引き抜き、右手の剣に滑らせる。
『アクセルベント』
 その瞬間、刹那の姿が掻き消えるかのごとく、超スピードで動いた。
 アリーの剣は空を斬るにおわる。そして、いきなり俺の身体も高速で動かされた。

 通ってきた鏡を抜けた。現実世界に戻された俺は、地面に手を着いて激しく肩を上下させた。一刻も早く肺に酸素を送ろうと苦闘する俺を、刹那が見下ろしている。
「危ないところだった」
 超高速で俺を連れ出した刹那は、言葉とは裏腹なポーカーフェイスだった。
「ミラーワールドにいられる時間には限りがある。それを過ぎたら強制的に失格になっていた」
 その言葉も、ほとんど耳に残らない。俺はただひたすらに新鮮な空気を求めて横隔膜を動かす。
 どれほどそうしていたことだろう。時間にして一分も経ってはいないはずだが、何時間もかかったような気もする。やっと人心地付いて、俺は刹那を見上げた。
「あいつ、なんなんだよ……」
 まだ酸素を欲する肺に鞭打ち、俺はやっとの思いで言葉をつむいだ。
「仮面ライダースローネ、アリー・アル・サーシェス。この事件を立件した検察官だ」
「け……検察官?」
 顔は分からなかったが、粗野な言動、物騒な台詞、荒々しい戦い。あの仮面ライダーを構成する全てが、法律のプロフェッショナルたる検察官のイメージとはかけ離れていた。
むしろ、カタカナ三文字、その筋のプロフェッショナルとでも言われた方がしっくりとくる。
「厄介なことになった。アリー・アル・サーシェスはこれまでの仮面ライダー裁判においても高い勝率を誇っている」
「あんなのが検事かよ……」
 俺はがっくりとうなだれた。検察官である以上有罪を選んでいるに決まっている。
 はじめての戦い、その勝利の興奮もどこへやら、俺の決心は早くも揺らぎ始めていた。
204ライダー裁判・種ワールド:2009/03/11(水) 23:32:03 ID:???
「これから大学に行くぞ」
「大学? 何でまた」
 落ち込んでいた俺は、刹那の言葉にもうつむいたまま、投げやり気味に答える。
「警察全体ではルナマリア・ホークの起訴と結論付けたが、アスラン・ザラ自身は他に真犯人がいると考えていたらしい」
 意外な言葉に、俺は驚いて顔を上げた。打って変わって真剣に聞き入る俺に向かって、刹那は続ける。
「だが、警察全体ではルナマリア・ホークの逮捕で捜査を早々に打ち切ってしまった。だから、あの男はライダー裁判に参加して独自に捜査をしようとしていたそうだ」
「アスラン……」
 彼も本心ではルナを疑っていたわけではなかった。そう思うと、胸が熱くなる。
「けど、それじゃ俺のしたことは……」
 アスランの邪魔をしてしまったことになる。
「これが仮面ライダー裁判だ。あの男のやろうとしたことを、俺たちでやるしかない」
 またも落ち込みかけた俺に対して刹那が言った。これでも慰めようとしてくれているのかもしれない。
 俺は立ち上がって、刹那の方に向き直る。
 そうだ。こんなところで立ち止まっていたら、ルナを助けることなんてできやしない。
「……分かった。まずは大学だな」
「ああ」

 仮面ライダー裁判のカードデッキは、事件の関係者に託される。それは刹那のような弁護士や検察官も含むが、一番多いのは俺のような事件の直接の関係者だ。
 今回の場合は、事件が大学で起こった関係上、ライダーも大学関係者ばかりとなっている。ならば、捜査をするにも他のライダーと戦うにも大学に行ったほうが都合がいい。
 まず俺たちは現場へと向かった。
 事件が起こった講師室は警察の現場検証も終わっているから、俺たちもは入ることができた。既に裁判になっているんだから、入れて当然なのかもしれないけど。
 現場となった講師室には、既に先客が来ていた。
205ライダー裁判・種ワールド:2009/03/11(水) 23:32:56 ID:???
「やれやれ。もう何も残っていないようだね」
 一目で高級品だと分かるスーツを、完璧に着こなしている。ただ着ている、というだけの人ならいくらでもいるが、それが似合っているという人はあまり見ない。目の前にいる人は、
その数少ないであろう、紳士だった。けどこんな人、大学にいたかな?
「あなたは?」
「アレハンドロ・コーナー。ご覧の通り、ただの教授だよ」
 名乗られたが、まるで覚えがない。見たところ三十代半ばといったところだが、この若さで教授ともなれば、その名前を聞くことくらいはありそうなものなのに。
「私はあまり授業をとっていなかったのでね。しかし、まさかアーサー先生が……」
「お知り合いだったんですか?」
「少しだがね。学生の手にかかるとは、彼も無念だったことだろう」
「ルナは犯人じゃありません!」
 アレハンドロ教授の言葉に、俺は頭がかっと熱くなるのを感じた。教授は興味深げに俺の顔を見る。
「ほう? 確か君は第一発見者だったね。なのに違うと?」
「ええ、そうですよ。ルナは人殺しなんてするようなやつじゃありません」
「根拠もなく、ただ感情を吐き出すだけか。それでは人を動かすことなどで気はしない」
 見下したような態度に、俺はますます頭に血を上らせる。刹那も俺を停めるようなことはしないまま、ただ黙って俺たちの様子を見守っていた。
「なにっ!」
「言い合うことに意味はない」
 アレハンドロ教授は懐に手を入れた。 
「裁判の場で、決着をつけようではないか」
 スーツの内側から、金色のカードデッキを覗かせる。どうやら、この人も仮面ライダーだったらしい。
 俺もポケットからカードデッキを取り出そうとしたが、その手を刹那が押さえた。

「何すんだよ!」
「お前は疲労している。ここは俺に任せろ」
「そんなこと……!」
 食って掛かった俺は刹那の腕を振り払おうとしたが、右腕は全然動かなかった。まるで瞬間接着剤で固定されたように動かず、それどころか刹那につかまれたところから袖が赤く滲んできた。
「さっきの戦いだな」
 刹那が手を離した。俺は即座に右腕を引っ込めて、刹那を睨んだ。けど、刹那は全く堪えた様子もなく、俺の視線を受け止めている。
「どうするかね? 私は二人まとめてでも構わないがね」
「俺が行く」
 刹那は「いいな?」とでも言うように振り返って俺を見た。悔しいけど、刹那に任せるしかないみたいだ。
 こっちの様子を伺っていたアレハンドロ教授は、にやりと笑った。何か嫌なものを感じた俺は、刹那に向かって声をかけた。
「気をつけろよ」
「分かっている」
 鏡の前まで歩いていき、刹那は青いカードデッキを鏡の前にかざした。アレハンドロ教授も、同時にカードデッキを前に掲げる。
「変身!」
「変身」
 叫びとともに、両者の身体が仮面ライダーとなる。
 刹那は前にも見た青い仮面ライダー、エクシアに。右腕に持った剣が特徴的な、スマートな姿だ。
 アレハンドロ教授は、全身金色で背中にでかい羽根を生やした、……なんというか形容しがたい趣味の仮面ライダーになった。
「さて、このアルヴァにどこまで食い下がれるか、見せてもらおう」
 金色の仮面ライダーは、余裕もあらわに言った。
206ライダー裁判・種ワールド:2009/03/11(水) 23:34:22 ID:???
随分間が開きましたが、本日分終了です。
色あせないうちに終わらせたいものです。
207通常の名無しさんの3倍:2009/03/11(水) 23:44:34 ID:???
GJです
いや面白いなコレ
鎌田役は大使かw
208通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 18:50:28 ID:???
アリーが検察官w
でもゲイリー・ビアッジモードなら、全く違和感ないのが恐ろしい
209通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 21:02:58 ID:???
嘘みたいだろう?
あれで宗教の伝道師もやってるんだぜ?
その前に誘拐したとの事だが、それらしい言葉で洗脳するには、
それなりに宗教のノウハウが必要ゆえ、アリーが恐ろしいほどインテリな一面もあるって事だ。
どうでもいい事はまるで覚えないけどw
210通常の名無しさんの3倍:2009/03/12(木) 23:25:29 ID:???
アリーをライダーとして戦わせるとモロに浅倉っぽいが、獣性に加えて知性も兼ね備えてるところが違う点だな
浅倉も知能は高いと思うけど、知性というのは何か違う気がする
211通常の名無しさんの3倍:2009/03/13(金) 21:52:01 ID:???
GJ!元ネタ的には、刹那のファイナルフォームライドゥでシンが運命に変身。ファイナルアタックライドゥで刹那が運命のフルウエポンコンビネーションをやって勝利かな?ってベタすぎるかw
212通常の名無しさんの3倍:2009/03/14(土) 14:06:41 ID:???
>>211

コアファイターに変形だろ?>シンのファイナルフォームライド
213ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:22:05 ID:???
 鏡を通してライダーバトルを見るのは、これで二度目だ。
 アスランの戦いを見たときも思ったが、刹那も相当裁判慣れしているようだ。エクシアの動きは歌劇のごとく滑らかで、剣を構える姿も堂に入っている。
 対するアレハンドロ教授ことアルヴァは、立ったまま動こうとしない。ただ、エクシアの動きを首で追っているだけだ。
 一定の間隔を保ったまま、アルヴァの周囲を探るように回るエクシア。棒立ちに見えて、アルヴァに隙はなかった。
 アルヴァから見て、ちょうど90度左。そこでエクシアは足を止めた。手に持った剣のカードリーダーにカードを滑らせる。
『ソードベント』
 刃を回転させるように折りたたんだエクシアは、空いた両手に二本のダガーナイフを持った。そして、間髪入れずに投げつける。同時にエクシアも右手の剣を展開し、突進した。
 迫り来る二つの刃と、一人の剣士。
 アルヴァは金色の装甲に突き刺さる寸前、アルヴァは左腕と羽根でダガーナイフを二本とも弾き飛ばした。返す刀で、エクシアの剣の腹を跳ね上げる。
 剣ごと右腕が弾かれ、無防備になったエクシアの腹に、強烈なキック。
 吹き飛ばされつつも、エクシアは地面に手を着いて踏みとどまる。
 既にかなりのダメージを受けているエクシアを前に、アルヴァが嘲笑するかのごとく余裕たっぷりに杖型のカードリーダーにカードを通した。
『ファイナルベント』
「刹那!」
 俺は思わず大きな声を出した。そして、カードデッキを前に掲げる。

 アルヴァの羽根が展開し、太くなった先端がエクシアに向いた。光が集束していく。
 インパルスに変身した俺は、走りながら左腕の“インパルスバイザー”にカードを読み込ませる。
『ガードベント』
 召喚された盾が、左腕に装着される。
 黄金の羽根が輝きを増していく。
 俺はエクシアとアルヴァの間に割り込み、両腕で盾を構えた。
 その瞬間、凝縮された光が解放された。赤い光が一直線に道となって俺たちを飲み込んだ。
214ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:22:48 ID:???
「うわあぁぁっ!」
 特大の爆発に吹き飛ばされた俺は、鏡から弾き出された。
 エクシアも同じように飛ばされたようだ。エクシアは一瞬にして刹那の姿に変わる。俺も、変身が解除されていた。
「なんなんだよ、あいつ!」
 毒づきながら、俺は立ち上がろうと左手を着いた。途端に電撃が走った。
「うっ!」
「見せてみろ」
 刹那も相当なダメージを負っただろうに、おくびにも出さないで俺の腕を掴む。刹那が袖をめくると、俺の腕が血だらけになっていた。先程よりも広がった傷を見て、刹那が冷静に告げた。
「手ひどくやられたな」
「……ああ」
「おかげで助かった。感謝する」
「これからどうする?」
 派手に血が出てるけど、怪我自体は大したことない。だが、怪我が治ったところでスローネやアルヴァのような連中には勝てる気がしなかった。
「調査を続ける。無実だと証明できれば、再審請求をすることもできる」
「そうか! 戦うだけがやり方じゃないんだな」
「ああ。ライダー裁判にはこういうやり方もある」

 それから俺たちは独自に捜査を開始した。とはいえ、現場は既に警察が調べつくした上、綺麗に片付けられている。俺たちにできることといったら、刹那の弁護士事務所に行って、警察に提出された資料を読み込むことくらいだ。
 けど、それで分かったことといったら、刹那が働いているソレスタルビーイング法律事務所は美人が多いことと、俺は安楽椅子探偵にはなれないことだけだった。
 現場となった講師室は、出入り口のほかに窓もある、ごく普通の部屋だ。だが、ルナに気付かれないように部屋に入って、アーサー先生を刺し、部屋を出て行くとなるとどうやればいいのか想像がつかない。
 糸か何かでナイフを遠隔操作するとしても、叫び声がしてからすぐに俺が部屋に入って、警察も来て現場検証したんだから分からないわけがない。
 そうなると、
「ミラーワールドを使うっていうのは?」
「不可能だ。ミラーワールドに入るには仮面ライダーになるしかないが、カードデッキは裁判所で厳しく管理されている。それに仮面ライダーの力を私的に利用したら、仮面ライダーの資格を剥奪された上、ミラーワールド不正利用の罪で逮捕される」
「……だよなあ」
 そうだ。それくらい厳しく管理されていなければ、恐ろしいことこの上ない。
 何しろ、ミラーワールドを使えば完全犯罪などやりたい放題だ。鏡やそれに準ずるものがない場所など、この世の中では探すのが難しいほどなのだから。
 だが、これで手詰まりだ。どうやってルナの無実を証明すればいいのか……。
「どうぞ」
 振り向くと、事務員のクリスさんがカップを差し出してくれた。甘みを含んだコーヒーの香りが鼻腔をくすぐる。
「あ、ありがとうございます」
「たっぷりミルクを入れておいたから、疲れた頭にいいわよ。はい、刹那も」
 クリスさんは刹那にもカップを渡した。無言のままで受け取った刹那は、黙ってカップを口に運ぶ。なぜか無駄に落ち着いた貫禄があった。それを見てから、俺もカップに口をつけた。口の中で、ミルクや砂糖のたっぷり入ったコーヒーの甘みが広がった。
 ミルクたっぷりのコーヒーを飲みながら、ゆっくりと落ち着いてみる。
 ルナは、今も一人で寂しい思いをしているに違いない。それを助けられるのは、俺たちだけ……。
 こうやって考えている間も、時間が過ぎていく。既に仮面ライダーの生き残りは少なく、残り時間もわずかだ。
「どうした?」
「アスランの所に行ってくる」
「あの刑事のところか」
「うん。ひょっとしたら、何か新しい情報とかつかんでいるかもしれないし」
「俺も行こう」
「いや、いいよ。刹那はここで考えていてくれ」
 刹那が腰を浮かせたところで、俺は断った。情報収集なら、二手に分かれたほうがいいはずだ。
「……分かった」
 少し考えてから、刹那が応えた。彼の答えを聞いてから、俺はクリスさんに挨拶をして事務所を出た。
215ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:23:47 ID:???
「アスラン・ザラ刑事ですか? 少々お待ちください」」
 受付の女性は内線電話をかけた。いくつかの事柄を話して、内線電話を切った女性は事務的な口調で言った。
「申し訳ありません。ザラ刑事はただいま外に出ておりまして」
「ありがとうございます」
 俺は礼を言って、脇へどいた。すぐ後ろに並んでいたおばさんが、俺を弾き飛ばすかのような勢いで前に出て、何事かをまくしたてる。
 警察も大変だな。
 少し同情してから、俺はその足で出口へ向かった。
 警察署に来る機会など、そうはない。沈む気分を少しでも持ち上げようと、署内を見回しながら歩いていく。
 市民に安心感を与えるためか、室内はなかなか清潔に保たれていた。白い壁には、交通安全や指名手配に混ざって仮面ライダーのポスターが貼られていた。雑誌でもよく特集を組んでいたりして、警察も新しい裁判制度の普及に必死なんだとよく分かる。
 仮面ライダー裁判のポスターを眼で追っていくと、大きな鏡と電子掲示板が眼に入った。

 電子掲示板のほうには現在の裁判の状況、すなわち生き残った仮面ライダーの現況が映っていた。
 残っているライダーは、有罪派にスローネとヴェルデバスター。無罪派はエクシアとインパルス。既に残り四人にまで減っていた。
 アルヴァとかいう金色のライダーは脱落したのだろうか。
 大きな鏡のほうは、ライダー裁判の傍聴用らしい。見ているだけで傍聴というのもおかしなものだけど、法廷での裁判から続く慣習らしい。
 ちょうど今も、裁判の最中だった。スローネとヴェルデバスターが、激しい戦いを繰り広げていた。
 
 どっちも有罪派なのにと疑問に思いながらも、俺は鏡の向こうで行われている裁判に釘付けとなった。
 裁判はスローネのほうが圧倒的に優勢だった。砲撃戦向けのライダーであるヴェルデバスターには、中近距離向けのスローネとの一騎打ちは厳しいようだ。
 もはや、勝負は見えたも同然だった。
 尻餅を着いたヴェルデバスターが、スローネに向かって命乞いをする。
『止めろ! 無罪でいい!』
『そんなのどうだっていいんだよぉ!」
 叫んだスローネは、右手でカードを引き抜き、余裕たっぷりに見せ付けた。
 ヴェルデバスターは起き上がって、やけになったかのように殴りかかる。だが、スローネは一瞬にしてヴェルデバスターを叩きのめした。
 面で覆われたようなマスクに拳を叩き込み、腹部に膝をめり込ませ、くの字に折れた相手の首筋に肘が突き刺さる。
「ちょいさぁ!」
 完全にグロッキーとなったヴェルデバスターの脚を払った。倒れた相手のプロテクターに覆われた胸部を踏みつけ、その顔面に大剣を突きつける。
「や、やめろぉっ!」
 悲痛なヴェルデバスターの叫びもむなしく響くだけ。スローネはカードを無慈悲に、いや、むしろ嬉々とした様子で大剣にカードを通した。
『ファイナルベント』
 感情のない音声。太く厚い刃がエネルギーを帯びて赤く輝いた。
 スローネはそのまま、大剣を仮面の中央に突き立てた。
216ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:24:22 ID:???
 爆発のあとに残っていたのは、仮面ライダースローネだけだった。
 ヴェルデバスターは、ミラーワールドの外に弾き出されたのだろう。ライダー裁判の敗者は、仮面ライダーの資格を失ってミラーワールドから排出されることになっており、命の危険はない。それでも多少の怪我はするし、戦闘の恐怖は深く心に刻み込まれることとなるが。
「へっ、やっぱり最高だな! 裁判ってのは」
 表情が見えていたとしたら、舌なめずりしていたに違いない。炎の残滓に照らされたその姿は、まさに裁判狂と呼ぶのにふさわしい異様なものだった。
 某特大掲示板のライダー裁判板によれば、スローネは有罪無罪問わずに仮面ライダーを倒しまくっているらしい。
 スローネの赤く凶暴なマスクと目が合った。
「お前、弁護士のガキと一緒にいたガキだな。来いよ!」
 本当なら、こんな相手と一人で戦うのは避けるべきことだ。
 卑怯といわれようとも、ルナを助けるためには手段を選べない。刹那と二人がかりで戦うべきだった。
 でも、見つかった以上は戦わなければならない。ここで逃げて裁判所に資格剥奪を訴えられたら元も子もない。
 何より、スローネの残虐な行いに、俺は憤りを感じていた。全身の細胞が怒りに燃えている。
 俺はスローネの映る大鏡の前まで来て、カードデッキをかざした。
「変身!」

 ミラーワールドに入った俺は、武器を持たないままでスローネと対峙した。
 前に戦った経験から、下手にカードを使うのは命取りになると分かっていたのだ。
 この戦いには、俺じゃなくてルナの命運がかかっている。
 怒りで熱くなっていても、頭の中は水晶のようにクリアに冴え渡っていた。スローネの全てを視界に捉え、その動きの一つ一つを把握できる。
「前とは違うみてぇだな。けどよぉ!」
 スローネは弄んでいた大剣を構えなおした。
「今度こそとどめを刺してやるぜ!」
 突っ込んでくる。俺も、地面を蹴ってスローネに向かった。

「へっ、結構やるじゃねえか」
 スローネが愉悦を漏らす。けど、俺にはそんな余裕はなかった。
 意気込んで飛び込んではみたものの、やはりスローネは強かった。剣戟はかろうじてかわせても、とてもじゃないけど攻撃に移ることまではできない。
 かたやスローネにはまだまだ余裕があった。右腕で剣を振り回して俺を翻弄しつつ、左手でカードを引き抜く。
「やっぱり裁判ってのは、こうでなくちゃあな!」
『フェザーベント』
 ナイフの嵐が飛び出す。
 剣戟をしのぐので精一杯の俺は、至近距離での攻撃にまでは反応できなかった。棒立ち同然の俺に、無数のナイフが迫り来る。
『アクセルベント』
 敗北を覚悟した次の瞬間、俺の目の前に青い何者かが割り込んだ。
 青い影はナイフの嵐を切り払い、叩き落した。
 背中しか見えなかったが、その正体など考えるまでもない。
「刹那!」
「やはりこうなっていたか」
 さもありなん、といった風にエクシアは言った。そして、スローネへと向き直る。
「残っているのはスローネだけだ。エクシア、目標を駆逐する」
 切っ先を仮面ライダースローネへと雄雄しく突きつけたエクシアは、力強く断言した。
217ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:25:19 ID:???
 俺の蹴りとエクシアの斬撃。左右から迫り来る脅威にも、スローネは恐るべき反応を見せた。
 大剣でエクシアの剣を受け、俺の蹴りを膝で止める。戦鬼としか言い様のない戦いぶりだ。
「どうした! 二人がかりでそんなもんかぁ!?」
 嘲りの言葉とともに、俺たちを撥ね飛ばす。
 スローネは二対一でなお、俺たちを圧倒していた。一対一の、純粋な力勝負であったなら勝ち目はなかったであろう。
 けど、俺たちは一人じゃなかった。

 身を屈めて、バネに力を蓄える。
 跳躍。空中で体勢を整え、殴りかかる。
「見え見えなんだよ!」
 スローネの大剣が、俺の胸部プロテクターを斬り裂いた。
 青い装甲が傷つき、激痛が走るが構わない。俺はそのままスローネに飛びついた。
 揉み合いつつも、スローネの背に回ることに成功した。残る力を振り絞って、羽交い絞めにする。
「てめえ、何しやがる!?」
 振りほどこうともがくスローネだったが、体勢的には俺のほうが圧倒的に有利だった。外せるわけがない。
「今だ、刹那!」
 俺の呼びかけに応えるように、エクシアはカードを引き抜き、剣に滑り込ませた。
『ファイナルベント』
 相手のライダーにとっては最後通告同然の声が響く。
 エクシアは右手の剣をまっすぐに構え、赤い光をまとわせ、まっすぐに突進してきた。
 直撃の寸前でスローネを離し、背中キックもおまけしてエクシアのファイナルベントにぶつけさせる。

 すぐ目の前で生じる閃光。遅れて爆風が巻き起こり、傷ついた俺の身体に衝撃を与える。
 腕で顔を庇う。炎と爆煙の向こうから、エクシアが歩いてくるのが見えた。
「終わった、のか?」
 エクシアは首を縦に振った。
 全てのライダーを倒した。これで、全てが終わったはず。
 ルナは無罪確定、晴れて自由の身だ。
 そう思った、その時だった。
 どこからともなく極太の赤いビームが届き、俺とエクシアの間の地面を蒸発させた。
 異常事態ながらも、即座に反応できた。何度も実戦を潜り抜けた賜物だ。
 散開した俺たちは、それぞれにビームのきた方向へと顔を向けた。

「なんだよ、あれ!?」
 この言葉は俺の発したものだったが、おそらく刹那も同じ感想を抱いたことだろう。
 五メートルはあろうかという金色の巨体で、左右からは鋏がのび、背中には多数の大砲が装備されている。
 俺の知っている中で一番近いものといったら、カニだろうか。すくなくとも、仮面ライダーでは有り得ない。
 けどが、仮面ライダー以外はミラーワールドに来れないはず?
 困惑する俺をよそに、金色のカニは戦意を示すかのごとく、巨大な鋏を振り上げた。
218ライダー裁判・種ワールド:2009/03/18(水) 00:27:45 ID:???
本日分終了です。
裁判ネタも旬を過ぎてしまったようなので、次でラストです。
219通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 00:48:47 ID:???
GJ!しかしまさか蟹がラスボス!?うぅ……シザースさんこんなに立派になって(違
220通常の名無しさんの3倍:2009/03/18(水) 01:36:52 ID:???
バスターはシャムスなのかねやっぱ
221通常の名無しさんの3倍:2009/03/20(金) 05:27:17 ID:???
それにしても降伏宣言→不意討ち→卑怯もラッキョウもあるか!のコンボが出来ないとはまだまだヴェルデも未熟者だな。
222通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 08:47:17 ID:???
保守
223通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 14:06:44 ID:???
シンって仮面ライダー剣の映画でライダーやってなかったっけ
224通常の名無しさんの3倍:2009/03/22(日) 22:23:11 ID:???
調べてみたが中の人は電王まで特撮出演が無いような感じなんだが……間違ってたり何か勘違いしてたらスマン。
それはそうと今回のディケイドはカズマ=シン、サクヤ=アスランで出てきても全く違和感なさそうな感じがw
225通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 08:46:08 ID:???
任務より人の命を優先する所はシンっぽかっな
226通常の名無しさんの3倍:2009/03/23(月) 22:42:51 ID:???
>>223
映画版キバでシンの中の人がサッカー部員役だった
227通常の名無しさんの3倍:2009/03/26(木) 02:33:11 ID:???
側にフリーの味方がいるけど俺がシュート打ってもいいよね?答えは聞いてない!
228通常の名無しさんの3倍:2009/03/28(土) 18:56:17 ID:???
グラハム=後半の名護さん
ブシドー=前半の名護さん

だと思うのは俺だけだろうか?
229通常の名無しさんの3倍:2009/03/29(日) 01:22:02 ID:???
1期のグラハムは名護と違って個人的欲求より、軍人の義務を優先する所も
あった アザディスタンでガンダムよりも民間人を守ることを優先したり
2期でブシドーになってからは、OOを倒す事だけに執着して名護並みのDQNに成り下がった気がする。
230通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 23:26:59 ID:LyukRBdx
ディケイド見てると刹那=ディケイド、シン=クウガの珍道中が見たくなる。
231通常の名無しさんの3倍:2009/04/01(水) 23:40:33 ID:aXLeuhPv
仮面ライドゥ

ディディディディディディステニィ

232通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 19:56:43 ID:???
保守
233通常の名無しさんの3倍:2009/04/03(金) 20:21:35 ID:???
刹那とシンが愚痴るスレが1000まで行ったあと、
新スレが立ってないのですが。
234ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:25:29 ID:???
 金色のカニが赤い光を放つ。
 エクシアは即座に反応。仮面ライダーとしての身体能力を活かして跳んだ。かなりの余裕があったはずだけど、エクシアの青い身体はエネルギーの余波に煽られた。
 着地のバランスを崩したエクシアをねらって、鋏を振り下ろした。
 鋏一つだけで、人間よりも重そうだ。これだけ巨大な代物なら、ハンマーとしても恐ろしい威力を発揮した。
 屈んだままで、エクシアは前転のような動きで超重量の一撃を避けた。
 見るからに無理のある動きだったけど、そうしなかったとしたらエクシアは叩き潰されていたはずだった。
『ソードベント』
 前転の勢いを借りて立ち上がったエクシアは、光の剣を二振り、両手に構えて立ち向かう。
 対して金色のカニは、エクシアを追いかけるようにして身体の向きを変える。背中が見えた。
『シュートベント』
 緑色に変わった俺は、二門の大砲を背負いつつ金色のカニの背中へ走った。
 鋏のハンマーをかわし続けるエクシアの姿が見えなくなる。
 挟み討ちの形になった。
 少し卑怯な気がするも、俺は容赦なく引き金を引いた。二つの砲口から、赤い光の奔流が伸びて金色のカニを飲み込んでいく、と思った。
「なっ!?」
 二条の赤い光が金色の殻に届くことはなかった。見えない壁にぶつかったかのごとく光は流れを遮られ、消滅した。
 俺と全く同じタイミングで斬りつけたエクシアも、光の剣を止められた。
 金色のカニが身を縮こませた。瞬間、甲羅から無数の鱗が飛び出した。
「あの武器は……スローネと同じ!」
 エクシアの叫びが耳を打つ。そう、これは先程まで戦っていた赤い仮面ライダーの武器と酷似していた。動きもそっくりだ。だけど、数が全然違った。
 カニのファングは金色の軌跡を描き、俺とエクシアを同時に襲撃した。
 大砲が、光の剣が金色の嵐の前に砕かれる。
 もちろん、俺たちだって無事ではすまない。身を守る装甲が次々に斬り裂かれ、許容範囲を超えたダメージが激しい痛みとなって、身体を苛む。

 凄まじい猛攻の中、俺とエクシアは背中合わせになった。
 ファングは一旦カニの中に収納された。けど、金色のカニは圧倒的に優勢だった。すぐにとどめを刺しに来るに違いない。
 長期の戦闘による疲労と極度の緊張で、俺の肩は激しく上下していた。
「まだ行けるか?」
 エクシアが背中越しに聞いてくる。
 正直、俺はもう一杯一杯だった。
 カニの力はあまりに圧倒的で、単なる一学生にとって、あまりに過酷な戦いだった。
 俺は刹那のような弁護士じゃない。スローネの検事のように裁判を楽しむことなんてとてもできず、アスランみたいに使命感で支えられてるわけでもなかった。
 けど、絶対に負けられない理由はあった。
「約束したんだ。無罪にしてやるって!」
「……分かった」
 互いに背を向けていた上、仮面に顔を隠されていて刹那の表情は分からない。きっと、いつも通りのポーカーフェイスだったのだろう。
 けど、刹那はその時、笑ってくれたと思う。
「シン・アスカ、このカードを使え」
235ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:27:14 ID:???
 刹那は二枚のカードを俺に渡した。
「このカードは?」
 今までに見たことのないカードだった。俺のカードデッキに収納されているどのカードともまるきり異なる、不思議なデザインだ。。
 ファングが再び金色の鱗を放出した。もはや一刻の猶予もない。
 俺はそのうちの一枚を、左腕の“インパルスバイザー”に通した。
『ファイナルフォームライドゥ! エエエエクシア!』
 今までの無感情な電子音とは打って変わった、やけにハイテンションな電子音声。一瞬、カードデッキが壊れたかとも思った。
 次の瞬間、予想もつかない出来事が起こった。
 俺の目前で、エクシアが人体の限界を無視したような無理矢理かつ滅茶苦茶な動きで、巨大な剣に変形したのだ。
 エクシアの変形した巨大な剣は、吸い込まれるかのように俺の腕に収まった。
 俺が意識するよりも早く、2メートルを越える巨大な剣が勝手に動いた。目の前に迫ったファングの集団を、一度振るっただけで全滅させた。
 手応えはあった。だが、反動はほとんど感じない。これほど巨大なものにもかかわらず、ペンよりも軽く、字を書くよりも簡単に扱える。
「これは?」
 あまりの威力と扱いやすさに、思わず口を突いて出た。
「これが俺たちの力だ」
 剣になったままのエクシアの言葉。
 金色のカニは、焦ったかのように赤い光を放つ。
 俺はもう一枚のカードを使った。
『ファイナルアタックライドゥ! エエエエクシア!』
 剣から強大な力が溢れ、俺の身体までも巻き込んで赤く発光する。
 赤い光の奔流に飲み込まれる。だが、俺たちはその光を切り裂くように突き進み、跳躍した。
 空中で、巨大な剣を天に掲げる。
 目下に見えるのは、金色のカニ。
「うおおおおぉぉぉっ!!」
「はあああぁぁぁぁっ!!」
 俺と刹那の、二つの叫びが重なった。
 金色の甲殻に刃が食い込む。チーズを裂くよりも容易く、金色のカニを縦に斬り裂かれていく。
 着地待たずに剣を振り切り、横に振るう。
 ちょうど十文字に斬られたかたちのカニを蹴って、距離を取る。
 空中でエクシアは俺の手を離れて、仮面ライダーの姿になった。
 カニはもがくように蠢いてから、完全に動きを止めた。斬り裂かれた甲殻から、まるで流血のように火花が散って、巨体のそこかしこが爆発する。
 同時に着地した俺たち二人は、カニの断末魔を見届ける。
 これで、今度こそ戦いは終わった。そのはずだった。
236ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:28:17 ID:???
「まさか、仮面ライダー如きが私をここまで苦しめるとは……」
 炎を噴き上げ、崩れ落ちゆく金色のカニ。その背中の甲羅が開く。
 そこから金色の仮面ライダー、アルヴァが姿を表した。
 アルヴァは金色の羽根を展開し、手に持った銃を向けた。幾条もの光が、俺たちに襲い掛かる。
「あんたは、脱落したはずだろう!」
 ビームの嵐を避けながら叫ぶ。あの電光掲示板には、アルヴァの名は載っていなかった。
「私をただの仮面ライダーと一緒にされては困る」
 嘲笑するかのように、アルヴァは跳躍して俺の胸部に強烈な蹴りを入れた。たまらずに吹き飛ばされた俺などには目もくれず、高らかに宣言する。
「私は監視者。ミラーワールドの裁判を導く者!」
 銃、そして羽根の先からいくつもの凝縮された光が連射される。
「どういうことだ! 貴様が裁判をゆがめているのか!」
「違うな。まっとうな裁判だよ。ただ私が主役となるだけだ!」
 アルヴァのビームがエクシアの剣を捉えた。剣がその光の中に消えていく。
「しまった!」
「ライダー裁判は、私のもとで正しき方向へと導かれる。その礎となりたまえ、エクシア!」
 丸腰となったエクシアに、光の剣を引き抜いたアルヴァが斬撃を仕掛けた。
 俺はとっさにカードを使った。 
『ソードベント』
「刹那!」
 召喚した剣を、手に取ることないまま蹴飛ばしてエクシアのところへと飛ばす。
 振り返らないままに剣を受け取り、エクシアはアルヴァの剣を受け止めた。そして、力任せに押し返す。
 はじめてアルヴァに焦りが見えた。
 その間にエクシアは剣を二本に分割、両手に構え、流れるような乱舞でアルヴァを翻弄した。
 俺はカードデッキから最後のカードを引き抜いた。
『ファイナルベント』
 “インパルスバイザー”の最後通告にも等しい音声。
 なんの合図も打ち合わせもなかったが、エクシアは全てを察してくれた。
 俺はその場で跳躍。熱くなった右足からアルヴァめがけて突っ込んでいく。

 着地してなお、右足は熱を帯びていた。凄まじいエネルギーの名残が大気を歪め、右足から白い煙を立ち上らせる。
 必殺キックのファイナルベントを喰らったアルヴァは火花を散らした。
「バ、バカな……。この私が、このようなところで……!」
 金色のボディが仰向けに倒れかけたところで、視界が白く染まった。
 閃光。
 そして、ミラーワールド全てを震わす爆音。
 この爆発が、ライダー裁判の終焉を告げる鐘となった。
237ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:30:09 ID:???

「……アカデミー講師白昼刺殺事件において、殺人とミラーワールド不正利用の罪で逮捕起訴されたアレハンドロ・コーナー容疑者の公判を、
裁判所は仮面ライダー裁判制度でおこなうことに決定しました。アレハンドロ容疑者は自ら研究、自作したカードデッキを使用して同僚の
アーサー・トラインさんを殺害した事実を認めており、今回の裁判ではミラーワールドを殺人に利用した事実をどう判断するかが争点となると思われます」
 街頭テレビの巨大なモニターに映し出されたニュースを見ていた俺は、半月前の仮面ライダーとしての戦いを思い出した。
 あの戦いが終わったあと、アレハンドロ・コーナーは、既に彼をマークしていたアスランに逮捕された。アスランは前々から疑っていたけど、決定的な証拠がなくて
逮捕状が請求できなかったそうだ。俺が尋ねた時もアレハンドロ・コーナーを尾行していて、変身してミラーワールドに入ったのを目撃したのが証拠になったそうだ。
その後、アスランは鏡の前で張っていて、ミラーワールドからたたき出されたところをミラーワールド不正利用の罪で現行犯逮捕。俺たちの負けたのがショックだったのか、
アレハンドロ・コーナーはあっさりアーサー先生の殺害も自供。これで、ルナの無罪も公式に証明されて、釈放となった。
 自供に寄れば、アレハンドロ・コーナーは自作のカードデッキを使って裁判を裏から操ろうと計画していたそうだ。アーサー先生を殺した動機はカードデッキの実験を目撃されたからで、
トリックはミラーワールドからナイフを投げたという反則技だった。
 ミステリー小説だったら読者から剃刀レターが送られそうな反則トリックだけど、もし俺たちが負けていたら、ルナも自殺に見せかけて殺されていたかもしれない。俺は隣に眼をやった。
「何見てるの?」
 不思議そうな顔で、ルナが尋ねる。ちょっと気恥ずかしくなった俺は、視線を逸らした。
「え? ああ、ニュースやってたから」
 街頭テレビの方を向いたルナは、興味なさげというよりも事件の話には触れてほしくないみたいだ。少し強引に話を変えてくる。
「あ、そう。そんなことよりも何見る?」
「そうだなぁ……」
「今週は沈黙の裁判ってのが始まったみたいよ」
 ライダー裁判の影響なのか、今は法廷モノの名を借りたアクション映画が結構流行しているらしい。
「……裁判は自分で散々経験したからもういいや」
「あはは、そうよね。でも、おかげで助かったわ」
 嬉しそうに笑うルナ。彼女の笑顔を守れたのも、刹那のおかげだと思う。
 あの戦いが終わったあと、刹那は次の仕事があると言ってすぐに姿を消した。きっと今も、刹那は戦っているんだろう。
238ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:31:32 ID:???
「チョリィ〜ス!」
 今、どこかで聞き覚えのある声がしたような……。けど、なぜか頭が受け入れることを拒否した。きっと幻聴だ。
「チョリィ〜ス! 無視すんなっての」
 もう一度聞こえてしまった。幻聴でも空耳でもないみたいだ。
 恐る恐る振り向いた俺は見てしまった。原色バリバリの、謎のファッションに身を包んだ刹那・F・セイエイの姿を。
「何ィ? 何ガン見してんの? 俺ェ、そんなに珍しいワケ?」
「いや、だって……」
 色々と違いすぎる。一緒に戦った、頼りがいのある弁護士はどこ行った!?
「これぇ? 今ぁ、プライベェトだしぃ。かしこまる必要もないっていうかぁ。ってかデート中? パネェ、マジパネェ」
 これが地かよ……。心の中の何かがガラガラと音を立てて崩れていくのを感じながら、俺は頭を抱えた。
「あの……、で、何か御用で?」
 ルナがやっとといった風に刹那に聞く。彼女も一応刹那と会ったことがあるし、困惑しているのは眼に見えているけど……とりあえず聞いてくれてありがとう。
「そうそう、また仮面ライダーになったっていうか〜、選ばれたっていうか〜」
 言いながら、俺にカードデッキを投げつける。
 呆然としながらも、俺は半ば反射的に受け止めた。見覚えのあるデッキが、俺の手に収まっている。ルナも興味深げに覗きこんでいた。
「アレハン捕まえたしぃ。パネェ、マジパネェ」
 確かに事件関係者だ。もう一度仮面ライダーに選ばれても不思議じゃない。
「俺もぉ、今度は関係者としてやるからぁ、よろしチョリ〜ス!」
 既に裁判の鐘はなっていたようだ。鏡の向こうでは、既に何人もの仮面ライダーがしのぎを削っていた。
「ってかもう始まってるしぃ、てか俺たち遅刻? ありえねぇ、マジありえねぇ」
「……いや、あんたの喋りが有り得ないわよ」
 心の代弁してくれてありがとう。
 ルナに心の中で感謝しつつ、形だけちょっと謝ってから、俺は鏡の前でカードデッキを掲げた。
「いっちゃう? いっちゃうの?」
 そんなことを言いながら、刹那も隣に来てカードデッキを掲げた。
 そして俺たちは、裁判参加の意思表示を示す、あの言葉を叫んだ。
「「変身!」」
239ライダー裁判・種ワールド:2009/04/06(月) 03:35:38 ID:???
これでライダー裁判は終了です。もう続きません。
一人称形式で書いたのは初めてだったので、お見苦しいことは多々あったと思います。
読んでくれた皆様、どうもありがとうございました。

最後、ぶっ壊れた刹那に激怒した方もいるかもしれません。
だが私は(ry
240通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 07:04:04 ID:???
実は疑似人格R35が地の刹那かよwwww
最後の最後で使われたファイナルギャグに吹いたwwwwww
メリハリが効いた神作品認定ww
剣役にエクシアって言うのもらしいし、トランザムが伝達するのも燃えた!
241通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 07:40:54 ID:???
GJ 最後の最後で吹いたw
まさかドラマCDネタ持ってくるとは
242通常の名無しさんの3倍:2009/04/06(月) 22:51:25 ID:???
>>239
二人で協力してのトランザムカッコイイ!
最後まで楽しませていただきました。
GJ!!
243通常の名無しさんの3倍:2009/04/08(水) 22:51:39 ID:???
GJ!
さて次のディケイドはアギト編か。
予告を見て
議長やレイやステラの生きている世界で
シン「やっと見付けた…俺の居場所」
刹那と別れ、この世界に留まる決意をするシン。たが運命の歯車は戦士に休息を許さない。シンを、刹那を襲う新たなる敵の猛攻!
果たして二人の運命は!
とか妄想した。
244通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 00:51:32 ID:???
ライダー⇔ガンダムだとすると、怪人の類は何にするのが一番違和感ないだろう
245通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 02:25:40 ID:???
赤いGN粒子を過度に浴びた者が怪人ジンクスorアヘッドになる
イノベ達は元から人間ではないので、ガデッサやガラッゾ等に変身する
特別な改造を施されたブシドーはマスラオに、アリーはアルケーに
246通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 08:30:47 ID:???
焼き尽くせ!東京火の海作戦!!

     怪奇!
フリーダム怪人キラ男現る!
247通常の名無しさんの3倍:2009/04/10(金) 10:57:38 ID:???
まあ、たくさん出てくることを考えると量産機だよな

・・・ち、違うよ、キラさんが量産されてるなんて言ってないよ
248通常の名無しさんの3倍:2009/04/11(土) 01:19:25 ID:???
>>245
ガガは終盤に大量発生してくるシアゴーストやダークローチみたいな役回りになりそうだw
249通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 10:29:45 ID:???
>>245
それだとオーライザーはどうなるんだ?
250通常の名無しさんの3倍:2009/04/13(月) 10:41:08 ID:???
>>249
アギトみたいなもんだと思えばいいんじゃないか
251通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 06:32:36 ID:???
保守
252通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 23:12:31 ID:???
ディケイドのアギトでは悲しい思いを胸に秘め、大切な人を笑顔にする為奮闘するユウスケに泣けた。シンに置き換えると、自分がステラを守りたいけど、アウル、スティングと生きる事を何より願うステラの為に二人を守り、活を入れる役割かな?
253通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 14:17:17 ID:???
久々にリュウタロス出たから何かネタでも考えようかな
254通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 00:20:06 ID:???
秘密結社歌姫の騎士団の陰謀により、記憶を失ったシン・アスカ。ロミナ・アマルフィに救われ、ニコルの名を与えられ、第二の人生を生きていたが、やがてその存在は歌姫の騎士団の知るところとなり、ロミナを守る為仮面ライダーインパルスの力で戦う事を決意するのだった……
255通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 19:39:57 ID:???
>>254
あんた、逆シンスレの住人だな?
256通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 00:54:31 ID:???
>>255
何故、何故わかったんだ!
257通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 01:27:49 ID:???
逆シン以外でロミナママンの話なんかまず出ないだろ
258通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 13:55:05 ID:???
超電王見て来た
259通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 01:29:33 ID:???
>>38で出てるけどマイスターってブレイドのライダーっぽいな

ブレイド→刹那(終盤に強力な力を使うことで、敵と同じ性質に目覚める)
ギャレン→ロックオン弟(銃の使い手、恋人が死亡)
カリス→ティエリア(人外、周囲との交流で次第に人間に近づく)
レンゲル→アレルヤ(第二の人格で暴走)
260通常の名無しさんの3倍:2009/05/04(月) 17:32:56 ID:???
超電王の何でもありっぷりはクロスオーバー的に何か刺激されるものがあるな
リュウタロスがくっついて踊り狂う刹那とか面白いかな
261通常の名無しさんの3倍:2009/05/06(水) 09:55:34 ID:???
>>259
俺が昨日書こうとしたことが既に書かれていたなんて…
このスレの住人は侮れんな

>>260
そこはシンだろwww
262通常の名無しさんの3倍:2009/05/07(木) 22:24:00 ID:???
シンはもうライダーでいるから無理
263通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 19:31:10 ID:???
                        ,、     、
                         l;;ヽ    」:ヽ
                         l;;;l::`‐;;;;´;;l;;;;`ヽ__
                        7,;;/l;///;/l;;/l;l` <
                          l;;l.l;l.l;l.l_l l;l l;l .l;l ノ;;l
              /)        ト l.ll.l;l.Цl;l l;l/´ l;;l
            ///)      l  ヽ.l l;l lレ´    l l
          /,.=゙''"/       .l   ` ;l l     l;l
    /     i f ,.r='"-‐'つ     ヽ   ノll ヽ   ノ;/   電王カード使えなさすぎ!!(電王の武器であるデンガッシャーはベルトに装着されているので
   /      /   _,.-‐'~         .ト-イl.l;l l;l l;ン  l ディケイドでは仕様不能。また、必殺技を使うにもオリジナルのベルトとライダーパスが必要)
      /   ,i   ,二ニ⊃        ヽトll.l;l l;l l;l /;\    _
    /    ノ    il゙フ          _ j`- ;;_;;;-;;;;;;;;// ` ̄  ` >- _ニ- 、
       ,イ「ト、  ,!,!|    、_ ‐ - 7´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l´/;/ /    / ´_ /;;;_-‐´ ヽ
     _/ iトヾヽ_/ィ"\        /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/./;/ /  / _/´_-_ _´- ‐, /
    _(;;;;ヽ;;;;)_;;l、>_ノ ヽミヽ、`ヽ√;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/./;/ ` ´_,,-;;_´-_´/ヽ    l
264通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 19:38:51 ID:???
アタックライドゥ!コタエハキイテナイ!!
265通常の名無しさんの3倍:2009/05/10(日) 20:29:51 ID:???
アクセルVSクロックアップがカッコ良かったな
ガンダム的にはトランザムエクシア対分身デスティニーあたりか?
266通常の名無しさんの3倍:2009/05/11(月) 19:28:39 ID:???
>>263
フォーム自体に差別化出来る程の特殊能力がなくて、戦闘スタイルもイマジン側のセンスに
依存しきってるのよね。だからなんでもありなネガタロスはネガデンガッシャーを自在に扱える。
デンガッシャーのアタックライドがどうしても必要。
267通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 06:34:01 ID:???
シンは鍛えて鬼ライダーに
刹那は巻き込まれて企業系ライダーに
268通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 12:30:53 ID:???
ラッセ「お前達・・・知らないとは思うが、俺は仮面ライダークウガに出てたんだぜ?(数分くらいたけどな・・・)」
269通常の名無しさんの3倍:2009/05/21(木) 17:22:25 ID:???
ハーマン・ヤンデル「俺も俺もww」
270通常の名無しさんの3倍:2009/05/24(日) 18:35:39 ID:???
>>268>>269
一体何話ですか?
271通常の名無しさんの3倍:2009/05/31(日) 23:29:48 ID:???
今週はマジ心が震えた…米村って酷い時はどうしようもないが、いい時は神が降りたかと思うくらい良い話を作れるんだな。
272通常の名無しさんの3倍:2009/05/31(日) 23:39:16 ID:???
あいつはなんというか、
焦らすとダメなような希ガス。
273衝撃1/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:24:30 ID:???
 暗闇に包まれた夜の街を、一つの光が疾走する。
 バイクに跨ったシンは、目の前に人影の存在を認め、さらにアクセルを開いた。咆哮とともに加速したバイクは、人影めがけてまっすぐに突っ込んでいく。
 一切の躊躇はない。
 腹の中の石が教えてくれる。
 相手は人に似ていても人ではない。人を襲う怪物、MSなのだ。
 躊躇も遠慮もいるものか!

 衝突の直前で、MSの強靭な腕がバイクを殴りつけた。乗っているシンと共にバイクは撥ね飛ばされてしまう。
 横倒しとなったバイクは道路をがりがりと擦って火花を散らすが、地面を転がるようにして脱出したシン自身はかろうじて無傷だ。
 すぐさま立ち上がり、腰に手を当てる。
 赤い石をはめ込まれたベルトが現れ、光を放った。
 シンは右手を前に掲げる。
「変……」
 そこへMSが攻撃を仕掛けてくる。
 盾を装備したオレンジ色の左腕が、ほんの一瞬前まで頭部が存在した空間を切り裂いた。
 考えるより早く、身体が反応した。前転するようにしてMSの攻撃をかいくぐったシンは、あらためて相対する敵、その全体像を見渡した。
 今までに見たことのない、新しいタイプのMSだ。
 肩にはカーブのついた長いスパイクを生やし、両手にそれぞれ異なった武器を持っている。
 右手に持つ大剣は、大岩でもたやすく両断できそうなほどに重々しく、鉄塊とでも呼んだほうがふさわしい。
 左手に持つのは打突にも使えそうな、先の尖ったシールドだ。
 片膝を着いた姿勢で起き上がり、そのままシンは再び右手を前に掲げ、叫ぶ。
「変身!」
 輝きと共に、シンの肉体が戦うための姿へと変貌する。

 紅い瞳を持つ青い鎧の戦士、インパルスとなったシンは、軽く構えを取ってMSと相対した。
 目の前のMSは大剣とシールドという重武装だ。そんな相手に徒手空拳で挑むなど、普通に考えれば自殺行為でしかないが、既に数多くのMSと闘い、倒してきたインパルスの戦闘頭脳は、十分な勝算を弾き出していた。
 あんなにでかくて重そうな剣では、攻撃も大振りになる。シールドも動くのに邪魔になる。青いインパルスのスピードなら、攻撃をかいくぐって懐に飛び込んでの超接近戦も可能なはずだ。
 MSが大剣を振り下ろす。予想していたよりも重く、鋭い斬撃だったが、ステップを踏むようにして間合いを詰める。
 今が好機とばかりに、拳を繰り出す。
 だが、シールドに弾かれた。予想外の反応だ。
 そのせいで懐ががら空きになる。そこにMSが肩口からぶつかってきた。当初からカウンターを想定しての動きであり、青いインパルスの俊敏さ、反射神経でも到底対応できなかった。
 鋭いスパイクが胸部外殻に突き刺さり、その身体を後方へと吹き飛ばす。
 かろうじて踏みとどまったインパルスは、回し蹴りを放った。
 だが、通用しなかった。MSは膝の装甲で蹴りを受け止め、勢いを利用するように弾き飛ばし、バランスを崩したところへシールドの打突。
 何度攻撃しようとも、結果は同じだった。
 こちらの攻撃は防がれ、受け流されて、逆に強力な攻撃を返されてしまう。
 完全に動きが見切られていた。
 流れるような動きには一切の無駄がなく、一分の隙もない。
 その上、このMSの強さはそんな表面的なものだけではないと感じられた。もっと深いところで、今までのMSと一線を画しているのだ。
274衝撃2/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:27:14 ID:???
 戦闘、というよりは一方的に攻撃を受け続けたインパルスは、かなり疲労していた。戦闘中では、MRの爆発的な治癒力も大して役には立たない。
 だが、そんなことを相手が慮ってくれるはずがない。
 大剣を振りかぶり、袈裟切りに振り下ろす。
 その瞬間、強化された聴覚がサイレンの音を捉えた。誰かが通報したのだろう。間もなく警察が駆けつけてくるはずだ。
 MSにも聞こえたらしい。動揺したように、剣の動きが一瞬止まった。
「今だ!」
 剣を持った腕にキックを叩き込む。MSは大剣を取り落とし、腕を押さえた。
 このとっさの爆発力が、シンの強みだった。しかし、そこまでだ。苦し紛れに放たれたMSの蹴りが、強制的にインパルスの身体を後方に吹き飛ばした。
 怯んだ隙に、MSが後退していく。

「逃がすか!」
 横倒しになったバイクを起こし、すぐさま跨る。
 インパルスの両腕がハンドルを掴む。いつもならベルトの力でバイクも変化するはずだが、何も起こらなかった。
 怪訝に思うもアクセルを開く。バイクに火を入れるための、いつもの手順だ。
 排煙と振動。
 いつもどおりの鋭い加速で立ち上がるかに思えたが、マシンはわずかも前に進まなかった。
「おい、どうしたんだよ! 動けよ!」
 渇を入れるかのように、マシンの横にキックを入れる。
 その途端に、エンジンがかかった。しかし、それもすぐに止まってしまう。
 沈黙したままのバイクは、しまいにはエンジンから白い煙を立ち昇らせた。
 もはや、MSの姿はおろか気配すらも察知できない。
「何だよ、これ……」
 変身を解いたシンは、闇夜に溶けるような小さな声で呟いた。

仮面ライダー衝撃(インパルス)

第二十一話『来訪者』

275衝撃3/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:27:55 ID:???
 透き通るような青空。夏の匂いを肌で感じるも、気温はそれほど暑くはなく、時折吹く風との絶妙なバランスが心地いい。
 まさにスポーツ日和。それぞれジャージやTシャツなどの動きやすい格好で、シンたちはアカデミーのグラウンドまで歩いてやってきた。
 グラウンドに足を踏み入れたシンたちを見つけて、桃色の髪をたなびかせて一人の少女が駆け寄った。美しくも愛らしい顔に満面の笑みが浮かぶ。
「ルナ、メイリン! きゃ〜、二人も来たんだ」
「ミーアも参加するんだ。よろしく〜」
 メイリンも嬉しそうに返す。お互いかなり親密な様子だ。
 少し離れたところには、デュランダルとアスランが立っていた。彼らは軽く手を上げ、こちらに挨拶してきた。レイはすぐに二人のところへと挨拶に向かった。
 形だけ頭を下げてから、シンはルナマリアに尋ねる。
「ルナ、ミーアさんと知り合いだったの?」
「そうだけど、シンも?」
「うん。前にちょっと世話になったから」
「ふ〜ん」
 ここでミーアがシンに気付いた。振り向いて、驚いたという風に眼を丸くする。
「あ、シン君もひさしぶり〜。へ〜、みんな知り合いだったんだ。ところで……」
 ミーアはシンのすぐ後ろ、シンのTシャツを掴んで背中に隠れつつも、顔だけ出していたマユへと眼を向けた。
「その女の子は?」
「俺の妹で、マユっていいます」
「そうなんだ。可愛い♪」
 彼女はマユの顔を覗き込むような前かがみの姿勢になった。強烈な存在感を放つそれが、マユの目の前に来る。
 ルナマリアも大きく美しい形をしていた。だが、ミーアのそれは服の上からでも分かる、問答無用の大きさだった。たとえ同性であっても、目を離さずにはいられない。マユも視線を逸らせないまま、ただ気圧された。
「あたし、ミーア・キャンベル。よろしくね」
 ミーアは屈託のない笑顔で、白い手を差し出した。だが、マユはその手を取ることなく、シンの背中に完全に隠れてしまった。
「こら、マユ!」
 軽く背中を叩いて咎める。肩を押してミーアの前に出そうとするも、逆にシンの背中に腕を回してがっちりとしがみつく。何があっても離さない、といった様子だ。
 てこでも動きそうにない。シンはため息をついて、ミーアに軽く頭を下げた。
「……すみません、ミーアさん。マユ、人見知りしてて」
「いいのいいの。きっと、恥ずかしいのね」
 朗らかに笑う彼女につられるように、シンも笑った。
 背中に張り付いたたまま、シンの影から顔を出したマユは、仲が良さそうに見える二人の様子を見て、顔を俯けた。

 シンと一緒になって笑うミーアに、ルナマリアは割り込むようにして声をかける。
「今日はミーアも野球するの?」
「ううん。あたしはアスランの応援。ルナたちは全員?」
「私とレイとシンだけよ」
「私はマユちゃんと一緒に応援です」
 メイリンの言葉に、ミーアは再びシンの背中に隠れているマユに眼を向けた。顔を覗かせて様子を伺っていたマユは、そそくさと首を引っ込める。
「一緒に応援しようね、マユちゃん」
 そんなマユの態度にも、ミーアはまったく気にした風もなく、にこやかに微笑んだ。
276衝撃4/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:29:47 ID:???
 今日は親睦野球の日だ。主催者は他ならぬデュランダルである。
 相手はデュランダルの学生時代の知り合いの職場で、これから付き合いが多くなりそうだということかららしい。
 だが、少し早すぎてしまった。相手チームもまだ到着していない。
 今日は天気が良く、とても気持ちのいい日差しだった。挨拶を終え、やることもなくベンチに座っていたシンは、あまりの心地よさと眠気に誘われ、うつらうつらと舟をこぎ始めていた。
「おわっ!?」
 殴られたような衝撃につんのめる。危うく地面に顔面をぶつけそうになりながらも、かろうじて持ちこたえたシンは、起き上がって振り返る。
「痛てて……、何するんだよ」
「目を覚ましてあげたのよ。試合前に、随分な余裕ねぇ」
 呆れ顔をしたルナマリアが歩いてきた。Tシャツに真っ赤なジャージという、なんとも動きやすく勇ましい格好だ。左手にはグローブをはめている。彼女は右手を下ろして、シンのすぐ後ろに落ちていたボールを拾い上げた。
 どうやら頭にぶつかったのは、あのボールらしい。
「危ないだろ、それ!」
「大丈夫よ。軟式だもん」
「だからって……」
 シンの文句にも耳を貸さず、ルナマリアは左手にはめたグローブに、拾ったボールを投げ入れた。気持ちのいい音がして、使い込まれて少しくたびれたグローブにボールが収まった。
「ぼうっとしちゃってさ。そんなんで試合できるの?」
「試合って言ったってただの親睦野球だろ? そんなの別にどうだって……」
「何よ、らしくないわねぇ。負けても平気なの?」
「そんなわけないだろ。……ふわ〜」
 腕を大きく伸ばして、シンは大欠伸をした。それを見て、ルナマリアはますます口を尖らせる。
「しゃきっとしなさいよ。そんなんじゃ勝てないじゃない」
 昨日、MSに逃げられたのを追跡しようとしたら、バイクが故障してしまい、真夜中に夜通しバイクを押して帰る羽目になってしまった。おかげで今日は睡眠不足の疲労困憊。
試合の前から、既に体力の限界だ。ちょっと気を抜くだけで、上下の目蓋がくっついて、船頭が仕事を始める。
「ごめん、今日ばかりは無理……」
「あんたねぇ……」
「お兄ちゃん♪」
 なおもルナマリアが何かを言いかけたところで、マユがベンチのそばまでやってきた。バスケットと水筒を抱え、期待に満ち溢れた笑顔でシンを眩しく照らしつける。
「頑張ってね、お兄ちゃん。マユ、応援してるから」
 大きな瞳は一点の曇りもなく、きらきらと輝いている。シンが何も言えずにいると、ルナマリアがマユの背中から細い腕をまわして、平坦な胸の前で両手を組み合わせた。
 驚いたマユが顔を上げる。その大きな瞳には、赤毛の少女の意地の悪い笑顔が映っていた。
「あらら、可愛い妹にここまで言われて頑張らないわけには行かないわよね。お・に・い・ちゃん?」
277衝撃5/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:30:29 ID:???
 シンとルナマリアの二人が親睦野球に参加した理由は、言うまでもなくレイに声をかけられたからだ。誘われたときは、まさか前日にあんな苦労をするとは思わなかった。
体調は最悪だったが、マユの前で無様な姿をさらすわけにもいかずない。
 グラブをはめ、グラウンドに立つ。先程までシンがいたベンチにはマユが座っている。水筒とバスケットを脇に置いての観戦スタイルだ。ミーアの前での態度が嘘のように、快活に声援を送る。
「お兄ちゃ〜ん、ルナお姉ちゃ〜ん、二人ともがんばれ〜!」
 ルナマリアは笑顔で手を振ったが、シンにはそんな余力すらもなかった。シン自身としては笑っているつもりの強張った顔で、右手を上げるのが精一杯だ。
「さ、行くわよ!」
 そんなシンにもまるで構うことなく、掛け声とともに、ルナマリアが大きなモーションでボールを投げた。変な方向に飛んでいったボールを、腕を大きく伸ばしてグラブの端で受け止める。
「どこ投げてんだよ!」
 かなり力を入れて投げ返した。小気味いい音とともにキャッチしたルナマリアがむくれて怒鳴り返す。
「何よ!」
 そしてボールも投げ返された。先ほどよりも勢いよく、あらぬ方向に飛んでいったボールを、今度は右に大きくダイビングキャッチ。ごろごろとグラウンドを転がるようにして立ち上がったシンは、思い切りボールをぶん投げた。
「これじゃノックじゃないか! ちゃんと投げろよ!」
「うるさいわよ! そっちがちゃんと取ればいいじゃない!」
 大きな音でキャッチして、ルナマリアも全力で投げ返す。言葉とボールの騒々しい応酬。はじめは笑顔で観戦していたマユも、おろおろしながら、ボールの行方を視線で追っていく。
「あんなの取れるかよ!」
 頭に血が上ってコントロールが乱れた。狙いを大きくそれて、ベンチに座っているマユに向かって飛んでいく。
 思わぬ事態に、ただでさえ怯え気味だったマユはすくみ上がって硬直した。
「マユ!」
 叫ぶが、もう間に合わない。マユの顔にボールの影が重なった。
278衝撃6/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:31:19 ID:???
 マユの目前で、ボールが突如動きを止めた。
 横合いから伸びてきた腕がとっさにボールを掴んでくれたのだ。
「危ないな。怪我はないか、お嬢さん?」
 少し気取った調子の声。マユはギクシャクとした動きで顔を上げる。
 マユにはまるで見覚えのない顔だった。赤みがかった金髪に、切れ長の目をしたなかなかの美形だ。シンやレイより背が高く、体格もがっちりしていて、右肩にはザックをかけていた。
「す、すみません! ありがとうございます!」
 走ってきたシンは、必死な形相でやってきて謝る。そんなシンに、青年は屈託のない態度でボールを投げ渡した。シンは慌てた様子でボールを受け取る。
「おいおい、気をつけろよ。女の子は大事にしないとな」
「は、はい」
 ひたすら恐縮するシン。そのすぐ横では、遅れてやってきたルナマリアが屈み込んで、マユの身を案じていた。
「マユちゃん、大丈夫? 怪我はない?」
「う、うん」
 まだ怖いのか、マユはこくこく頷くだけ。だが、怪我はない。ルナマリアはほっと息を吐いてから、シンのほうへと向き直った。
 わなわなと両肩は震え、その目は吊り上がっている。大気が歪んでいるかと錯覚するかのような、怒りのオーラ。MSと対峙する以上の恐怖を感じて、シンは思わず身体を引いた。
「あんたって……あんたってひとはぁっ! なんてことすんのよっ!」
「おいおい、可愛い顔が台無しだぜ」
 ルナマリアの激情を完璧に無視した、あまりにもマイペースな青年の言葉に、空気が静まった。赤鬼すらも凌駕するような怒りを見せていたルナマリアさえも、毒気を抜かれてぽかんとしてしまう。
 自然、三人の視線が集まる。だが、青年はとくに意識した風もなく、実際まったく気にも止めていなかった。
「じゃ、また後でな」
 それだけ言い残して、後ろ向きに手を振って歩いていく。
 あまりにあっけらかんとした鮮やかな去り方に、三人揃って二の句が告げなかった。
 一呼吸置いてから、マユが訊く。
「えと……、お兄ちゃん、あの人誰?」
「さあ?」
 シンとしても、そう答える他なかった。
279衝撃7/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:33:00 ID:???
 左手にグラブをはめ、軽く身体をほぐしながら、アスランはシンたちの様子を見やった。
「あいつらは何をやってるんだ?」
「仲がいいのよ。ね、あたしたちもキャッチボールしましょ」
 毎度の如く、ミーアが腕を絡めてくる。その豊かな胸を押し付けるようにしてくるもの、いつものごとく。
「君は選手じゃないだろ」
 言いながら、さりげなく腕を外す。手馴れたものだった。何しろ、ミーアのこういったアプローチは毎日のように行われているのだ。それでも心臓のロデオはどうしようもなかったが。
「え〜、あたしもアスランと一緒に野球したい〜」
 甘えるような愛らしい調子で言ってくるが、ミーアはよりにもよってミニスカートだ。彼女は全く頓着していないようだが、ルナマリアのようなジャージ姿ならともかく、そんな格好で動き回ったら……。
「だめだだめだ! とにかく、君は大人しくしてるんだ」
「む〜」
「だから、離れるんだ」
 腕に抱きついてきたミーアの肩を掴んで、有無を言わさず引き離す。こうでもしないと彼女はいつまでも離れてくれない。
「アスラン、冷たい〜」
 案の定むくれるミーアに、アスランは嘆息する。
「はあ、どうして君はいつもこうなんだ?」
「え? 言っていいの!?」
 むしろ期待に満ち溢れた様子で、ミーアが眼を輝かせた。アスランはもういいとばかりに手を振って、天を仰いだ。
 なんで俺なんだ?
 近くでミーアがあれこれとアスランの魅力について語ってくれているようだが、当のアスラン自身にとってはどうでもいいことだった。ここまで好かれる理由も分からないまま、頭を抱える。
 愛らしい声をBGMに悩んでいると、明らかにミーアのものではない、男の声がかかった。
「仲いいんだな」
 声のした方を向く。そこには、先程シンたちと話をしていた青年がいた。
 あまりに突然すぎて、呆気に取られる。
「は?」
「もちろん! だってあたしたち恋人……」
「違う! 君は黙ってろ!」
「いいじゃないの。仲いいってことはいいことよ」
 笑いを必死で堪えながら、青年が冷やかす。
 大喜びでしがみついてくるミーアを振りほどきながら、アスランは青年に尋ねた。
「あの、あなたは?」
「向こう側も来たみたいだ。そろそろ試合が始まるぜ」
 さっさと先に行く青年。彼のマイペースに翻弄されっぱなしで、アスランは出遅れてしまう。
「おい、早く来いよ。アスラン」
 名前まで知っていた。彼の正体を気にしつつも、アスランは青年を追いかけた。言うまでもなく、ミーアも付いてきた。
280衝撃8/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:34:21 ID:???
 イザークらZAFTの面々は、非番の機動隊を引き連れ、アカデミーの運動場に足を踏み入れた。
 いかにも平和そうに遊んでいる学生の姿を見て、イザークが不満げに毒づく。
「全く……。ZAFTともあろうものが、こんなお遊びをするとはな」
「デュランダル教授とグラディス司令との間で決まったことだしな。まあ、いいじゃないか」
「こんなことをしている間に何かあったら、とは思いますが」
「シホも硬いねえ。一応副指令とオペレーターは待機しているんだし、何かあったらすぐに駆けつけられるよう、体勢は整っているんだ」
 不満げな二人。ディアッカはとりなすように、努めて明るく続ける。
「機動隊の連中と親睦を深めるのも、重要な仕事だと思うぜ。わざわざ非番の連中を引っ張り出してきたんだからな」
 残された副指令とアビーには気の毒な話だけどな、と声に出さずに心の中でつぶやく。このレクリエーションも、彼らの尊い犠牲の賜物なのだ。
「だいたいさぁ、そんなに文句を言うんなら来なければいいだろ」
「何を言う! やっと来たチャンスを逃すものか!」
 大声で息巻くイザーク。分かりきっていた答えとはいえ、あまりの迫力に圧され、ディアッカは一歩下がった。
「四年間……このときを四年間待っていた! ふふふ……待ちに待ったときが来たのだ! ここで決着をつけてやる!」
 鬼気迫る、という表現そのままにイザークは狂喜している。こんなのの相手をする方はたまったものではないだろう。
 ディアッカは同情と憐憫の情を込めて、かつての同僚に目を向けた。警察学校の頃から行方不明になるまで、イザークに幾度となく勝負を挑まれていた青年は、今は桃色の髪をした少女と仲良く腕を組んでいた。
 ディアッカはやっぱりイザークを応援することにした。

「なんか、やたらと体格いいのが多いわね」
 相手チームを見たルナマリアが言った。彼らに比べたら、シンやレイなどもやしも同然に思えてしまうのだろう。
「警察の人たちだろ」
 シンが言う。インパルスとして、MSと戦っているときに見た顔ばかりだ。
「そういえば、見たことある人たちもいるね」
「ええと、炒飯がうまい人だっけ」
 メイリンの中では、ディアッカはその程度の認識しかなかったようだ。

 デュランダル率いるアカデミーチームのメンバーは、アスランやレイたち3人の他は、彼の講義の聴講生たちだった。全員を知っているわけではないが、見覚えのある者も多い。その中に、先程の青年も混ざっていた。
「先生、この人は?」
 やっととばかりにアスランはデュランダルに尋ねた。思い出したかのようにデュランダルは、よく通る声で彼を紹介した。
「ああ、彼は私の友人でね。ずっと旅をしていたのだが、今回はこちらに来ていたのでね。声をかけさせてもらったよ」
「そういや、まともに挨拶もしてなかったな。ハイネ・ヴェステンフルスだ。よろしくな」
「こちらこそ。アスラン・ザラです」
 アスランは差し出された手を握り返した。すると、ハイネはにやりと笑った。
「知ってるよ。デュランダル先生からよく聞いている。それでお前がシンで、そっちの可愛いのがルナマリア。金髪がレイ、で合ってるよな」
「は、はい」
 次々と指名されて、シンたちは大いに戸惑い、ルナマリアはうれしそうに顔を押さえる。ハイネは構わずに続けた。
「それでツインテールのがメイリンで、小さいのがマユ、と。先生に聞いたとおりだな。すぐに分かったぜ」
 一通り指して、ハイネは一人満足した風にうなずいた。
「あの、あたしは?」
「もちろん聞いてる。ミーアだろ? けど、聞いてたよりも美人だな」
 まじまじとミーアの顔を見ながら言う。ミーアは恥ずかしそうに顔をそむけながらも、まんざらでもないという風に頬を紅潮させた。
「ねぇ、アスラン。美人だって」
「あ、ああ……」
 どうしたものかと口ごもるアスランの様子を、ハイネがニヤニヤと見守っていた。
「ホント、仲いいねぇ」
281衝撃9/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:35:45 ID:???
 アカデミーチームと警察チーム。二つのチームのメンバーが、ホームベース前に集合し、整列する。
 アカデミー側は整列するだけでもひどくもたついていたが、警察チームは瞬時に一直線の列をつくった。
 アスランは感心すると同時に、すでに勝負は決したと感じた。体格が違いすぎる上、錬度も勝負にならない。もっとも、常日頃から厳しい訓練を重ねている警察が単なる学生たちに劣るようでは一市民としては困るが。
 そんな逞しい漢たち――女性も一人だけ混ざっていたが――を率いる監督は、意外なことに女性だった。
 学生アルバイトのアンパイアの目の前、列の先頭に立ったデュランダルは、その女性へと親しげに声をかけた。
「やあ、タリア。久しぶりだね」
「お久しぶりです、教授」
「随分と他人行儀な言い方だね」
 デュランダルは残念だという風に嘆息するが、タリアと呼ばれた女性はあくまで事務的だった。
「よろしくお願いします。今日はいい試合をしましょう」
 機械的に手を差し出す。デュランダルも軽くその手を握り返した。
 こと男女関係においてはとことん鈍いアスランではあるが、二人の間に流れる空気に、単なる旧友というにはあまりに異質なものを感じた。

「お兄ちゃ〜ん、ガンバレ〜!」
「かっ飛ばせ〜、シ〜ン! 刑事さん相手だからって遠慮するな〜」
 一番に打順の回ったシンに、マユとルナマリアらの声援が飛ぶ。
 打席に立ったシンは、ヘルメットの角度を直してピッチャーのほうを向いた。
 右手のボールを左手のグローブに投げ入れているのはイザークだ。銀色の髪の上から、野球帽をかぶっている。さらにそのボールを受けるのはディアッカ。どちらもシンにとっては馴染みのある刑事だ。
「よお、随分と久しぶりだな」
 打席に立ったシンに向かって、キャッチャー用のマスクをかぶったディアッカがからかい気味に声をかけてきた。少しむっとして言い返す。
「ついこの間会ったばかりじゃないですか」
「は?」
 不思議そうに聞き返してくる。
 しまったと思うが、もう遅い。
「……忘れてください」
「ま、いいか」
ディアッカはさりげなくミットを動かした。白いボールがゆるい弧を描いて、気持ちのいい音とともに吸い込まれる。
「ストラーイク!」
 学生のアルバイトアンパイアの宣言。ディアッカはにやっとしながらボールを投げ返した。
「ちょっとシン! 何ボーっとしてるのよ!」
 スコアボードに記録され、ルナマリアの野次が飛ぶ。突然のことに、シンは全く反応できなかった。
「なんなんですか! いきなり!」
「油断をしてるお前が悪い!」
 ボールを受け止め、イザークはさも当然といった風に怒鳴り返した。シンはますますむっとして、大きく声を張り上げる。
「いつも助けてるって言うのに、ひどいじゃないですか!」
「何を言っているんだ、貴様?」
 また口が滑ってしまった。疲れているせいで、頭が動かないらしい。
 イザークが怪訝な顔をする。シンが口ごもっていると、アスランが口を挟んだ。
「イザーク、大人気ないぞ」
「黙れ! 次は貴様の番だ、見ていろ!」
 イザークは気色ばんで怒鳴り返し、ボールを握り直す。
 フォローに感謝しつつも、シンはバットを硬く持ち、正面を見据えた。
282衝撃10/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/01(月) 23:38:14 ID:???
 ベンチに座ったルナマリアは、タオルで顔中を拭いた。白いタオルがみるみるまだら模様になっていく。
「はい、ルナお姉ちゃん」
「ありがと」
 マユが差し出した紙コップを受け取って、ルナマリアはその中身を一息に飲み干した。ただの冷たい麦茶だったが、喉がからからに渇いている今は、どんなご馳走よりもうれしい。
「はぁ〜、お代わり!」
「はい、どうぞ」
「ありがと!」
 もう一度お礼を言って、新しく注いでくれた麦茶もルナマリアはがぶがぶと一気飲みした。その様子を見て、マユがくすっと笑いを漏らす。
「お姉ちゃん、一気飲みはよくないよ」
「仕方ないじゃない。暑いし喉渇いたし」
「おなか、冷えちゃうよ」
 言いながらマユは、水筒を抱えながらベンチに腰を下ろす。
「負けちゃったね」
 ルナマリアの隣に座ったマユはあっさりと言った。スコアボードには19対3という、とても野球の試合とは思えないような大差が記録されている。
「あれが相手じゃあ……ね」
「……そうだよね」
 二人の視線の先では、警察チームがすさまじい勢いでときの声を上げていた。芸術家であれば、野獣の雄叫びとでも題するだろうか。応援団も真っ青の声量と迫力だ。
 声ひとつ取ってみてもこれだけの差があった。戦う前からすでに決着はついていたようなものだ。
「こっちはこれだし」
 ルナマリアは隣のベンチで横になっているシンへとしらけた目を向けた。泥のように眠りこけている彼には、太陽の眩しさも冷たい視線も通用しない。
「試合終わった途端にこれだなんて、情けないわよね」
「そうですよね〜。お兄ちゃんってば、ひ弱なんだから」
 マユも一緒になって笑っている。この間は過剰なまでに心配していた。兄離れができてきたのだろうか。いい傾向だとルナマリアは思った。
「ところで、メイリンはどこ?」
「メイリンお姉ちゃんなら……」
 マユの指差した先では、銀髪の刑事がアスランに食って掛かっていた。アスランにホームランを食らったのが悔しいのだろうか。そのすぐ横で、メイリンが水筒を持ってハイネと楽しそうに談笑しているを見て、ルナマリアは苦笑する。
「あの子ったら、ちょっとイケメンを見たらすぐこうなんだから」
「あ、レイさん」
 いつの間にか、レイが来ていた。自分やシンたちと同じように動き回ったはずなのに、まるで疲れた様子がなく、汗一つかいていない。
「お疲れ様。どうかしたの?」
「記念写真を撮る。シンを起こして、先生の所に来てくれ」
「え? うん」
 ルナマリアは頷き、マユと一緒にシンの身体をゆすった。
283衝撃11/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:00:31 ID:???
「マユちゃん、どうしたの?」
 家に帰ってきてから、マユはずっと携帯電話をいじっている。怪訝に思ったルナマリアが尋ねてみると、
「ルナお姉ちゃん、これこれ」
 マユは嬉々として携帯電話を見せた。小さな画面には、先ほどみんなで撮った記念写真が映し出されている。
「ハイネさんに頼んで撮ってもらったの」
「へ〜、やっぱりプロね。きれいに撮れてる」
 詳しいことは言わなかったが、ハイネはフリーのカメラマンだそうだ。いろいろなところを旅行しながら写真を撮っているという。先ほどの記念写真のときに使ったカメラは立派なものだったが、こんなちゃちな携帯電話のカメラでもきちんと撮れるとはたいしたものだ。
「そういえば、メイリンもデジカメ頼んでたわね。けど、後で焼き増ししてくれるっていうんだから、わざわざケータイで撮らなくても……」
「うん、そうかもしれないけど。でも、マユの大事な思い出は、みんなここに入ってるから」
 そこまで言ってから、マユは恥ずかしそうに長い髪を掻いた。
「そうだ、そろそろご飯の用意しなくちゃ。今日はお客さんもいるし、がんばらないと」
 ぴょこんと立ち上がって腕まくりをするマユ。
「お、飯にするのか」
「ヴェステンフルスさん?」
「ハイネでいいよ。飯にするんなら……」
 ザックを下ろしたハイネは、ごそごそとその中をまさぐり、
「こいつがいいぜ。オーブの名酒だ!」
 こんな小さなザックのどこに入っていたのかと疑いたくなるような、大きなビンを取り出した。そのラベルには、でかでかとした達筆で“天御柱”と書かれていた。
「あ、この銘柄……。トダカさんの好きなのだ」
「知ってるのか。トダカってのは知らないけど、通だな」
「マユ! あの、俺たち一応未成年なんで、酒はちょっと」
「わかってるよ、そんなこと。料理酒だ料理酒」
 ハイネは平然として言い返した。確かに、うまく酒を使えば味に深みが出るのは常識であり、特にオーブの酒ならマユの得意なオーブ料理にも相性抜群だ。
「ありがとうございます! 早速使ってみますね」
 笑顔満面のマユが、重たげに一升瓶を抱えて台所に入っていく。
 その後姿を見送ったシンは、一抹の不安を覚えた。
284衝撃12/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:01:44 ID:???
 テーブルに並ぶ、数々の料理。ルナマリアは、舌なめずりをせんばかりに眼をきらきらと輝かせる。
「おいしそう、今日は豪華ね」
「すごいな。オーブ料理のオンパレードだ」
「うわ〜、マユちゃんってお料理上手いのね。あたしも習っちゃおうかなぁ」 
 アスランもミーアも口々に褒める。マユより先に、ハイネがおどけた調子で胸を張った。
「これも、俺のお酒のおかげかな?」
 マユはお土産の地酒のビンを持ち上げた。頬が赤く染まっている。
「トダカさんのことおもいだしちゃって、ついはりきっちゃって」
「そのお酒、トダカさんもよく飲んでたもんな」
「そうそう、このおさけって、りょうりにつかってもおいしくて、とだかさんも……」
 言い終わるか終わらないかのうちに、いかにも眠たそうにマユの目蓋がとろんと下がった。
「マユ?」
 怪訝に思って近づくと、シンは鼻に刺激を感じた。思わず鼻をつまんで後ずさったシンは、マユを怒鳴りつける。
「マユ、お前、酒飲んだろ!」
「だってぇ、お酒を入れたほうがおいしくなるし〜」
 道理で様子が変だったはずだ。頬が赤く染まっているのも、しゃべり方がおかしかったのもそのせいか。よく見ると一升瓶の水面が大分下がってる。
「だからって飲むやつがあるか! しかもこんなに!」
「おにいちゃんしらないの〜? キャハハッ! おりょうりはあじみしにゃいとだめにゃんだよ〜」
 ろれつが怪しくなってきた。変な笑い声まで上げている。酔っ払いのことをトラというが、見事な子トラだ。
「すみません、俺、マユを寝かしつけてきますから!」
 大慌てで頭を下げ、シンはマユをやや強引に背負い上げた。マユは舌足らずな調子でまくし立てていく。
「なにすんのおにいちゃん、おろひてよ〜」
「はいはい、大人しくねんねしましょうね〜」
「まゆ、まだねむくないもん〜。せくはらせくはら〜」
「少し静かにしてろ!」
「きゃははっ、おにいちゃんおこった〜」
 レイががらっと扉を開けてくれた。シンはマユを怒鳴りつけ、部屋の外へと出て行く。

 一人騒ぎまくっていたマユがいなくなったことで、ルナマリアたちは取り残されたような気分になった。箸の動きは誰一人として止まることなく、料理をおいしくいただいているものの、常にポーカーフェイスでいるレイを除いて、皆マユのあまりの豹変振りに唖然としていた。
「あんなマユちゃん、見るの初めて」
「ストレスとかたまってたのかな」
「あんなものを持ってくるから」 
 ルナマリアの言葉で、全員がいっせいにハイネのほうを向いた。
「あはは、俺、ちょっと様子見てくるわ」
 ハイネは愛想笑いをしながら、そろそろと部屋を出ていった。
285衝撃13/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:03:18 ID:???
「お〜い、大丈夫か?」
 一応は恐縮しながら、ハイネはマユの部屋に入った。机の上やクローゼットなど、そこかしこにぬいぐるみが鎮座しており、なかなかファンシーな印象を与える部屋だ。
「キャハハッ! ねむくなんてないも〜ん」
 ベッドの上では、マユが大きなパンダのぬいぐるみを抱え、嬌声を上げている。さらに酔いが回ってきたのか、ますます騒がしくなっている。
「あ、ヴェステンフルスさん……」
「ハイネでいいよ。けど悪いな〜。まさかこんなことになるとは思わなかったぜ」
「いえ、飲んだのはマユですから……」
「しかし、まさかこの子がこんな大トラだったとは」
「マユ、トラなんかじゃないもん〜。かわいいかわいいこねこだもん〜」
「さっきからずっとこの調子で。……寝てくれなくて」
 憔悴しきった様子のシン。たった数分で徹夜麻雀の翌朝のような状況にしてしまったことに、ハイネも罪悪感を覚えた。
「と、とりあえず水でも飲ませて落ち着かせるか?」
 ハイネが提案するも、シンは首を横に振った。
「……それが」
「すいどうすいなんてや〜。はうめあのおいしいわきみずがいい〜」
 二人はそろってため息を吐いた。
「なら、酔い止めの薬とか。買ってくるぜ」
 再度ハイネが提案するも、シンは首を横に振った。
「……それが」
「おくすりや〜。苦い〜」
 二人はそろってため息を吐いた。
「にしても、こんだけ酔っといて潰れないとは……。実は強いんじゃね? 10年後に一杯お付き合い願いたいな」
 シンが恐ろしい形相で睨みつけてきた。目の下にできた隈が、さらに凄みを強調している。
「ハハ、冗談だっ……」
「おじさんやだ〜」
 場が凍った。

「シン〜、マユちゃんどう?」
 ルナマリアの声に振り向く。見ると、ルナマリアが部屋の外から様子を伺っていた。レイや他の皆、すなわち全員で来たようだ。
「ルナ、皆でどうしたの?」
「様子を見に来た。放っておけないだろう」
「ありがとう、レイ」
「気にするな。それより、ヴェステンフルスさんはどうしたんだ?」
 部屋の隅で落ち込んでいるハイネを見やってレイが聞く。
「それこそ気にしないでやって……」
「……分かった」
 相変わらず察しが良くて助かる。
「わ〜い、みんなきた〜」
「マユちゃんは、相変わらずみたいね」
「……うん。寝かしつけようにも、ぜんぜん大人しくなってくれなくて」
「それなら、あたしが子守唄歌ってあげる!」
 ミーアが部屋に入ってきた。自信満々に、その大きな胸を張る。
「え?」
「ミーア、大丈夫なのか?」
「任せてアスラン!」
「そんにゃのいらにゃいもん! まゆこどもじゃにゃいもん!」
 ますますろれつが怪しくなった上、普段では考えられない失礼な態度。だが、ミーアは笑顔のまま、一つ咳払いをしてから、歌い始めた。
286衝撃14/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:04:29 ID:???
 澄み切った声が、清流のようなメロディに乗って部屋中に広がった。
 元気に暴れまわっていた子トラがおとなしくなる。
 落ち込んでいたハイネが顔を上げた。疲れきっていたシンから険が抜ける。アスランの頬が緩み、無意識のうちに微笑を浮かべた。
 やわらかい旋律のもたらす、美しくも優しい空間。その中心で、ミーアはただ歌っていた。

「もう、いいかな?」
 歌が終わった。ミーアは満足そうに笑顔でベッドを見る。マユはベッドに横になって、ぐっすりと寝息を立てている。そのすぐ横では、ベッドにもたれかかってシンまでも熟睡していた。
「あらら、シン君も寝ちゃった」
「しょうがないやつだな」
 アスランも苦笑するが、その言葉にとがめるような調子はない。
「シンも疲れてたみたいですから」
 言いながらルナマリアも笑って、肩から毛布をかけてやる。
「性格全然違うのに、寝顔だけはそっくりなんだ」
 気持ちよさそうに寝ている二人の顔だけ見て、ルナマリアは部屋を出た。既に他のみんなは外に出ている。

「ねぇ、アスラン。どうだった?」
「あ、ああ……よかったんじゃないか?」
 ミーアがすりより、アスランがたじたじになって対応する。野球のときからずっとこんな感じで、アスランに対しての警察チームの視線はすさまじいものだった。
「おいおい、全然褒め方がなってねえな。もっと言い方ってもんがあるだろう」
 そこにハイネが口を挟む。アスランたちと会ったのは今日が初めてだというのに、まるで昔からの旧友のような態度だ。
「は?」
「まったく、ホントに朴念仁だな、お前。ミーアも苦労するぜ」
「そうなのよ。アスランってば……ずっとこんなんで」
「ま、待ってくれ!」
「ハハハッ! いいっていいって。言わなくても分かってるよ」
 慌てて否定するアスランにも、ハイネは意地悪く大笑いした。
「だから俺は……」
「男の言い訳は見苦しいぜ。それより……」
 アスランの言葉をさえぎり、ハイネはひとつ欠伸をした。
「悪いけど、俺も眠くなってきたわ。そろそろ……」
「それなら、うちで仮眠を取って行かれてはいかがです?」
 帰ろうとするハイネを、レイが引き止めた。ハイネは少し意外そうな顔をする。
「そうかい? なら、遠慮なく」
「はい。空き部屋ならいくらでもありますし、教授のお客をそのままお帰しするわけにもいきませんから」
「助かるよ。それじゃあ、休ませてもらうぜ」
 また一つ大欠伸。そしてハイネは、大きく伸びをした。
287衝撃15/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:06:00 ID:???
「今日は楽しかった。ね、アスランもそう思うでしょ?」
 街灯だけが照らす夜道を歩きながら、ミーアがアスランの顔を見上げて聞いてきた。顔も見ないまま、アスランは適当に相槌を打つ。
「ああ」
「ハイネもいい人だし」
「……ああ」
「アスランったら、そればっかぁ。そんなんだから、ハイネに馬鹿にされるのよ?」
「うっ……」
 言い返すことができない。アスランは少しむっとして、足を速めた。ミーアが小走りに追いかけてくる。
「アスラ〜ン、待ってよぉ」
 再びアスランの隣に並んだミーアは、今度は離されまいとアスランの腕を取った。
 毎度のごとく、アスランはその腕を振り解いた。

 アパートまであと少し、そろそろ鍵を出そうかといったところで、アスランはMSの気配を感じた。かなり近くだ。
 アスランは、すぐ隣のミーアを見やる。
「すまない、先に帰っててくれないか?」
「え〜、か弱い女の子を一人にするの?」
 甘えた声を出し、腕をとってべたべたと身体を押し付けてくる。いつもなら、無言で振り解くところだが、MSの存在がアスランを苛立たせた。
「そんな場合じゃないんだ!」
 強引に腕を引き離し、強い口調で言い放った。
「ア、アスラン……?」
 ミーアは身体を離し、信じられないというように後ろに下がった。その眼には、怯えの色が浮かんでいる。
 そんなに怖い顔をしていたのか……。
 慙愧の念を抱きつつも、アスランはできる限り優しい口調で諭す。
「とにかく、君は先に戻っていてくれ」
「う、うん」
「……すまない」
 小さく謝る。アスランは踵を返し、駆け出した。
288衝撃16/16 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:07:09 ID:???
 目の前にいるのは、オレンジ色をした、見たことのないMSだった。両肩にカーブのかかったスパイクがつき、いかにも戦闘的なシルエットをしている。MSはアスランの存在にも気づかない様子で、さながら夢遊病のごとく歩いていた。
 アスランは身体を捻り、右腕を左肩の位置まで持ってきた。
 腰に、緑色の光を放つベルトが出現する。
 全身に力がみなぎるのを感じつつ、アスランは右手を握り締め、叫んだ。
「変身!」
 身体が赤い外殻に覆われる。
 四肢はスマートながらも触れれば切れそうなほどに鋭く、背中には一対の翼をマントの如くたなびかせていた。
 眼は緑、額に金色の二本角が輝かせた、紅の戦士、ジャスティスの出現だ。

 ジャスティスの出現に、MSははじめて反応を示した。
 オレンジ色のMS――グフイグナイテッドは左手の盾から大剣を引き抜き、大きく振りかぶって向かってくる。
 左腕のキャリーシールドで防ぎながら、シャイニングエッジに手を掛ける。
 抜刀と同時に斬りつけるつもりだったが、相手の反応は予想以上だった。
 即座にジャスティスから離れ、間合いを取った。
 両者は対峙したまま、互いの隙を探してゆっくりと足を運ぶ。

 わずかな膠着は、グフイグナイテッドの意外な行動によって打ち破られた。大剣を投げ捨てたのだ。
 手を離れた大剣のほうへと思わず目がいき、グフイグナイテッド自身に対する注意がおろそかになってしまう。
 その一瞬で、身軽になった右手から細い何かが飛び出した。
 避けるのは間に合わない。
 防がんとキャリーシールドを構える。グフイグナイテッドのシールドに比べたらやや小ぶりだが、防御能力は決して劣るものではないはずだ。
 だが、その何かはキャリーシールドをも巻き込み、左腕を拘束した。
「何!?」
 オレンジ色の右手から強烈なスパークが走る。
 電磁鞭、スレイヤーウィップから流れる凄まじい電撃が、巻きついた左腕から肩、そして全身に広がる。
 強固な外殻を貫き、壮絶な激痛が身体中を駆け巡る。
 倒れこそしなかったものの、ついには膝を着いてしまう。
 グフイグナイテッドはスレイヤーウィップを引き戻した。大剣を拾い上げ、悠々と近づいてくる。
 電撃が流れたのはわずかな時間だったが、それでも身体の自由を奪うのには十分すぎるほどだった。視界がかすみ、頭の中で激しい警鐘が鳴り響く。立ち上がることすらできそうにない。右手を動かし、地面をまさぐる。
 指先が何かに触れた。
 シャイニングエッジ。先ほどの電撃で取り落としてしまったものだ。
 痛みをこらえつつ腕を伸ばし、シャイニングエッジを掴む。
 そのまま持ち上げ、反動をつけて投げつけた。グフイグナイテッドはすぐ目の前にいる。狙いをつける必要などないはずだ。
 普段は剣のごとく使用しているが、本来はブーメランであり、正しい使い方であるといえる。
 だが、
「な……、いない!?」
 目の前から、あの鮮やかなオレンジ色の姿が消えている。シャイニングエッジは虚空を切り裂き、そのまま戻ってきた。
 受け止めたシャイニングエッジを構えたまま、慌てて首をめぐらすが、相手の姿が見えない。
 逃げたのか?
 そう思った瞬間、ジャスティスは後ろから首を羽交い絞めにされた。
「なっ!?」
 腕を外そうともがくが、グフの力は強力だった。太い腕は首をがっちりと固定し、びくとも動かない。
 今までにない、恐ろしい強さのMSだ。
 何者なんだ、こいつは……!?
289サボってた衝撃 ◆orYN7qK/0E :2009/06/02(火) 00:10:49 ID:???
これで21話終了です。
あまりに久しぶりだったため、タイトルを入れ忘れてましたorz

待っている方がいるかどうか分かりませんが、ゆっくりでも投下はしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
290通常の名無しさんの3倍:2009/06/05(金) 08:05:45 ID:???
GJ!
よくぞ、舞い戻られました!
次回も楽しみにしてます!
291通常の名無しさんの3倍:2009/06/06(土) 06:51:38 ID:???
やべぇ!久しぶりに着たら衝撃来てる!
これでまた楽しみが復活した!
292通常の名無しさんの3倍:2009/06/08(月) 21:35:53 ID:???
衝撃続き密かに待ってた!
続きもwktk
293通常の名無しさんの3倍:2009/06/14(日) 21:30:29 ID:???
294通常の名無しさんの3倍:2009/06/19(金) 15:25:20 ID:???
公務員試験のための勉強やら何やらでかなり間が空いております
ちょいと飛ばして、映画みたいにサクッと書きたい気がします


ユニウスセブンと呼ばれる隕石が地球に落下し、大惨事となった。隕石に乗ってやって来た地球外生命体・"ZAFT"。
数年後、活動を始めたZAFTは人類を襲った。奴らに対抗するため、人類は"ライダーシステム"を開発した。
通称"仮面ライダー"と呼ばれる彼らは何を知り、どこへ行くのか………

中略部分のあらすじ

ZAFTを敵視する組織、"ブルーコスモス"によって作成された殲滅用仮面ライダーデストロイ。全長6mにもなる強化アーマーであるが、変身者であったステラ・ルーシェは制御しきれずに暴走した。
無差別に破壊行動を行うデストロイを、キラ・ヤマト=仮面ライダーフリーダムは止めるためにやむを得ず殺したのである。
ステラと恋仲だったシン・アスカ=仮面ライダーインパルスは怒り、携帯電話型強化アイテム"フェイトフォン"を使用した。
最強形態である仮面ライダーデスティニーとなり、フリーダムはその圧倒的なパワーと超高速移動システム"ヴォワチュール・リュミエール"の前に敗北を喫した。
キラは死亡したが、隕石の落下地点にある遺伝子研究施設"メンデル"の地下室にて蘇生の可能性があると知る。
フレイとバルトフェルドはメンデルに向かうが、封印されていた古代神であるアムロ・レイ=仮面ライダーガンダムと出会う。
キラを蘇生させるには、アムロに勝利するしか無いという。一時的にキラは蘇り、ガンダムと対峙した。
Hi-νとなったガンダムに苦戦するが、最強フォーム"ストライクフリーダム"を手に入れて勝利
アムロの命を譲り受け、キラは完全に蘇生し、再びデスティニーへと挑むのであった。
295通常の名無しさんの3倍:2009/06/21(日) 17:07:51 ID:???
久々の衝撃氏!GJ!もう続きは無いとばかり・・・・嬉しいです!
296通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 07:01:27 ID:???
保守
297通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 07:27:51 ID:???
そういやシン(中の人)はホントに仮面ライダーになるな
リュウタロスじゃなくXに。
298通常の名無しさんの3倍:2009/07/02(木) 10:35:17 ID:???
>>294
旧き神アムロの命・・・だと・・・!
それじゃあシンは破壊と再生の新生神「刹那=F=清栄」へと進化していくソラン・イブラヒームと
共に戦うしかないじゃないか!!
299通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 10:49:22 ID:???
保守ついでに話題出し

ライダーじゃないけど変身ヒーローものの設定的にヒーロークロスラインなんて話作りやすくないかな?
作品的にもシェアードワールドで同一世界観で複数のヒーローや
世界観ぶち壊しな筈のファンタジーなのが同居してるからやり放題だ


問題はドマイナーって事か
300通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 13:39:45 ID:???
LOST CHいやなんでもない
301通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 13:48:31 ID:Jddjl1aY
そういや特撮にファンネルぽい武器ないな
302通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 14:00:35 ID:???
ヒーロークロスラインはジエンドとミィンしか読んだ事無いな
303通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 14:46:00 ID:???
>>302
クランドとシンソウガクシャ、アクセルレックスなんかも面白かったぞ

ヴォイドは打ち切りっぽい終わり方がちっとな……
304通常の名無しさんの3倍:2009/07/18(土) 22:50:08 ID:???
>>301
必殺技だが、電王のエクストリームスラッシュやロイヤルスマッシュはそれっぽい感じじゃね?
遠隔&オールレンジ攻撃な辺り
305通常の名無しさんの3倍:2009/07/19(日) 00:52:16 ID:???
>>301
敵キャラでいえばピーコックアンデッドとか
306通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 00:48:52 ID:eL6gt0/u
307通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 02:11:17 ID:???
>>300
あれの主人公もシスコンだったな
308通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 12:37:52 ID:???
シンと刹那が光太郎に会ったらどう接するかと今週のディケイド見てて思った
シンは目上には基本礼儀正しいから問題無いけど、刹那は士と大差無い対応取りそうだなあ
309通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 13:58:16 ID:???
両方とも「アンタ」呼びだとは思うが、シンは敬語も使う感じで
刹那は使わない対等な喋り方だろうか。接し方は士ほど無礼にはならないと思うけど
310通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 14:01:57 ID:???
どっちにしても昭和ライダーに比べたら十分礼儀正しいな
連中は上下関係キッチリなイメージあるけど、あれで結構先輩をお前呼ばわりしたりタメ口利いてる場面が多い
311通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 15:35:50 ID:???
中の人つながりでアポロガイストと戦うシンってのも良いな
312通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 20:40:14 ID:???
丁度ヒーロークロスラインのイベントやってたんで行って色々聞いてきた


イベント中に着ぐるみで5人出てきたが殺陣の後の皆ノリ良すぎ
ネクロマンがアルク兄さんに押し退けられたり転けたり色々張っちゃけてたかと思えば
クロスダイバーと女性の隣の席奪い合ったり
コスモXがカッコイいポーズ頼まれて"荒ぶる鷹のポーズ"してみたり
ジエンドが今日の主役は俺だと主張した後拗ねてみたりと
サイン終わるまで二時間待ったけど楽しかったわ

取り敢えず今度始まるジエンドはヤフーの一年後でコスモXとか登場するってさ
313通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 21:10:01 ID:???
>>312
何週か前のサンデーとマガジンにそれぞれ掲載された話は単行本化するのかな
314通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 21:41:33 ID:???
>>313
それは聞いてないな……

ヤフーで中途半端に終わったところの残りは回想とかで続けるってさ
あとラノベで展開する人が一人居て今執筆中だそうな

んでライスピの方は二号の話が前中後編構成でその後がコミックスの続きらしい
315通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 21:49:16 ID:???
へえライスピの過去編意外と早く終わりそうだな
これで年内一杯過去編だったらどうしようかと思ってた
316通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 22:24:59 ID:???
書き忘れてたけど
ヤフーで展開されてたのがHXL第一段階でこれから第二段階に移行
ジエンドのマガスペ移籍は第二段階の先駆けらしい
んでサンマガ合同のアレは時系列的にマガスペ掲載版の頃だそうな

んで本日御披露目されたbootsバイク、大阪のカスタムショップ製で
300万かかるけど注文有れば作りますってさ
317通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 22:53:44 ID:???
>>307
ぶっちゃけアレの影響で平成ライダー見始めた
剣が大好きです
318通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 23:47:50 ID:???
>>317
あれと種死のせいで中の人特撮では役は良くても
ストーリーに恵まれない印象があったけど電王に救われたと思う
ちなみタイツは見たことないけど面白いのかな
コスモXは面白かったけど
319通常の名無しさんの3倍:2009/07/26(日) 23:55:12 ID:???
ロスチャは設定・音楽・ビジュアル・戦闘シーンと全て良かったのに、ストーリーが投げっぱなしで壊滅してた悲劇の作品だからな
ぶっちゃけエロゲの中じゃ某怒りの日ばりの未完成作品だった

一時期、ロスチャの主人公にシンが憑衣したらってのを結構マジに書こうと試みたこともあったなあ
320通常の名無しさんの3倍:2009/07/27(月) 00:21:46 ID:???
>>319
むしろ書いて欲しい・・・
あれはストーリーがまともならフェンサーにハマーに思い切り燃えられたはずなんだ
321通常の名無しさんの3倍:2009/07/28(火) 06:57:34 ID:???
グゥレイト炒飯ライダー!…もとい、炒飯便参上!
ものっそい遅くなったが、シンと刹那宛に炒飯お待ちぃ!
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/shar/1243989792/487

      /巛 》ヽ
      ヾノ"~^ヽ,^ ヽ・_゚。_゚/
       リ ´∀`)  ヽ・゚。・゚/
     m/\__〕つ ̄
      /丶2    |
      / //7ゝ〇 ノ\
/   (_///⌒γノ/___)
 /  ///  ///ノ
//  |/  ///  ブォーン!
/ / /  //
 // V ノ

二人分ってことで半炒飯二人前にしといたぜっ!
そいじゃ邪魔したぜー
322通常の名無しさんの3倍:2009/08/02(日) 23:48:33 ID:???
今日のてつをで
仮面ライダーディスティニー「フリーダム、お前が一人で戦うというなら俺も一人で戦おう」→ジャスティス乱入→瞬殺→ディスティニー、インパルス「Wガンダムソード!」とか妄想しちまった。今日のてつをには死ぬほどシビれた。
323通常の名無しさんの3倍:2009/08/19(水) 15:53:38 ID:K0PO27LY
むしろ刹那はウルトラマンの方が・・・・。
324通常の名無しさんの3倍:2009/08/19(水) 22:04:38 ID:???
ウルトラマンはシンだろ
325通常の名無しさんの3倍:2009/08/20(木) 13:58:28 ID:???
>>324
アスカ・シン乙


ジエンド二期の一話読んだがいつものジエンドだった
導入としてはインパクト足りないかもしれんけど個人的には良かったな
ラフ・Jも健在だったし


入間のノッカーズ名が変わってたが流石にフルヌードは駄目だったか……
326通常の名無しさんの3倍:2009/09/05(土) 13:09:18 ID:???
シン「フリーダム、あんたみたいなやり方で戦争を止めようとするやつがいるなら、違う方法で戦争を止めようとするやつがいてもいい!
変身!よっしゃー!!」
刹那「俺は不器用だから、世界の歪みを正すことはできない。だが、歪みの源を断つことはできる!5、5、5、enter 変身!」「」
録音兄「フェルトちゃん、前が、見えないよ……」
ティエリア「やっと……ヴェーダの予測が……外れた……ガクッ」
アレルヤ「行くよハレルヤ!」
ハレルヤ「おう!行くぜアレルヤ!」「「変身!!」」



シンはむしろクウガか?そしてキラアスランは思い浮かばんかったorz
327通常の名無しさんの3倍:2009/09/06(日) 22:40:20 ID:???
レイ「ギルのことを好きにならないやつは邪魔なんだよ」
328通常の名無しさんの3倍:2009/09/06(日) 23:30:39 ID:???
ターミナルの陰謀かっ!
ラクス・クラインって奴の仕業なんだ
世界の破壊者フリーダム・・・お前のせいでこの世界も破壊されてしまった

とりあえず人のせいにするトリオ
どれが誰なのかは各自の脳内で適当に設定してください
329通常の名無しさんの3倍:2009/09/10(木) 12:22:57 ID:???
仮面ライダーどころかウルトラマンになってしまった件
330通常の名無しさんの3倍:2009/09/11(金) 15:19:02 ID:???
セブンの息子か
331通常の名無しさんの3倍:2009/09/12(土) 11:51:37 ID:GI1mWKUt
これでスパロボにダブルオーが出たら、
シンと刹那でウルトラマンネタをやるようになるのかな・・・。
332通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 21:16:05 ID:???
刹那が仮面ライダーだったら、00も爆死せずにすんだのになwww
333通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 21:26:58 ID:???
あんな主人公じゃ玩具売れずに爆死するわ
334通常の名無しさんの3倍:2009/09/14(月) 22:30:55 ID:???
種厨はゴキブリの如くわくな
335通常の名無しさんの3倍:2009/09/30(水) 21:49:18 ID:???
保守
336通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 05:56:31 ID:???
あげ
337通常の名無しさんの3倍:2009/10/06(火) 23:51:02 ID:???
丁度二人だし(ry
338通常の名無しさんの3倍:2009/10/07(水) 01:38:11 ID:???
刹那が右でシンは左?
339通常の名無しさんの3倍:2009/10/07(水) 11:51:03 ID:???
俺が本棚だ!
340通常の名無しさんの3倍:2009/10/15(木) 05:46:55 ID:???
シンは響鬼
刹那はカブト
341通常の名無しさんの3倍:2009/11/03(火) 19:19:38 ID:???
保守
シンと刹那以外でバイクに乗ってたキャラいたっけ?
342通常の名無しさんの3倍:2009/11/07(土) 03:38:49 ID:???
刹那は中の人がウルトラマンに
343通常の名無しさんの3倍:2009/11/14(土) 10:32:22 ID:???
344通常の名無しさんの3倍:2009/12/23(水) 20:41:46 ID:???
仮面ライダーダブルの面白さに早起きの週末
345通常の名無しさんの3倍:2009/12/25(金) 00:38:42 ID:???
在日同胞へ

http://changi.2ch.net/test/read.cgi/x3/1256314830/

日本人が妄言を繰り返しています。書き込みをお願いします。
346通常の名無しさんの3倍:2010/01/20(水) 22:27:00 ID:???
ほしゅ
347通常の名無しさんの3倍:2010/01/26(火) 14:57:41 ID:???
348通常の名無しさんの3倍:2010/01/30(土) 23:47:26 ID:???
349通常の名無しさんの3倍:2010/02/06(土) 20:07:51 ID:???
保守
350通常の名無しさんの3倍:2010/02/06(土) 21:02:37 ID:dXeag9NG
351通常の名無しさんの3倍:2010/02/21(日) 11:18:54 ID:qKqqYYSy
イオリアの正体はショッカー大首領ですか?
352通常の名無しさんの3倍:2010/02/21(日) 12:41:20 ID:???
風よ、雲よ、ナタクよ! 教えてくれ、なぜ俺は此の世に生まれてきたのだ!?
353久し振りに保守揚げ:2010/03/13(土) 21:03:58 ID:???
太陽炉の基に為ったのは木星で発見されたB52暗黒星雲からの……
354通常の名無しさんの3倍:2010/03/14(日) 22:19:40 ID:???
イオリア=マルキオ導師=園咲"Terror"琉兵衛 はガチですよ。
355通常の名無しさんの3倍:2010/03/17(水) 23:35:17 ID:rwNt2OtS
356ネタ振り。:2010/03/17(水) 23:40:34 ID:???
もしガンダム世界の登場人物はそのままで
MSなどの代わりに仮面ライダーの技術が在ったら……

アリー「ほんとに楽しいよなぁ、ライダーってのは」

グラハム「貴様! 命が惜しかったら、私の言う事を聞きなさい!」
357通常の名無しさんの3倍:2010/03/24(水) 07:00:03 ID:FR69v/56
何という神スレ!!

刹那=ブレイド
ロックオン=ギャレン
アレルヤ=カリス
ティエリア=レンゲル

シン=アギト
キラ=アナザーアギト
アスラン=G3
レイ=ギルス
358通常の名無しさんの3倍:2010/03/24(水) 19:22:44 ID:???
ショッカーに当たるのは地球連邦とソレスタルビーイングのどっちなんですか?
359通常の名無しさんの3倍:2010/03/24(水) 20:05:39 ID:???
もちろんCB
連邦は一期じゃCBに襲われてるだけだし、二期もリボンズ達上層部が連邦支配してるんだから
刹那達はライダー=ガンダムに改造され世界征服の為の走狗として戦わされるが、途中で人間の心を取り戻し離反する
360通常の名無しさんの3倍:2010/03/24(水) 20:32:37 ID:???
>>359
それだとソレスタルビーイングの創始者が ttp://kemisan009.web.fc2.com/sonota/blackg_d.png だったというコトに
なるんですが……
361通常の名無しさんの3倍:2010/03/25(木) 02:02:16 ID:???
原作に沿った扱いをするなら
もともとは正義の組織だったが
コーナー家によって気づかないうちに悪の組織に
変えられていたとかのがらしいと思う
362通常の名無しさんの3倍:2010/04/05(月) 20:07:44 ID:???
超兵やブーステッドマン&エクステンデッドは何故
生身での戦闘要素をもっと強調させなかったんですか?
折角の改造人間なのに……

取敢えずアレルヤはライダースーツと覆面ヘルメットを着用してバイクに乗って闘うんだ。
363通常の名無しさんの3倍:2010/04/11(日) 10:49:32 ID:???
アレルヤ「変身!」

仮面ハレルヤ「ケケー!」

アマゾンじゃないか
364通常の名無しさんの3倍:2010/04/24(土) 19:38:04 ID:???
コーラ「ふんわかいこうよ。ふんわか」
365通常の名無しさんの3倍:2010/04/24(土) 22:14:04 ID:???
>>364
マネキン「やめろコーラサワー! お前にはヒトを不安にさせる何かがある!」
366通常の名無しさんの3倍:2010/04/25(日) 22:26:37 ID:Kw+4Gj+N
エクストリーム=00ライザー はガチです。
367通常の名無しさんの3倍:2010/04/25(日) 23:28:52 ID:???
>>364
グラハム「知っているか?世界で初めてのガンダムの介入は2301年のクルジスで行われ(ry」

>>366
GNソードV=プリズムピッカーか
368通常の名無しさんの3倍:2010/04/26(月) 00:09:37 ID:???
>>367
>知っているか?世界で初めてのガンダムの介入は2301年のクルジスで行われ(ry

其の役目は刹那のほうが良いとおもいます。
369通常の名無しさんの3倍:2010/05/01(土) 23:39:34 ID:??? BE:24730122-S★(501888)
>>368
私も刹那のほうが良いとおもう
370通常の名無しさんの3倍:2010/05/02(日) 03:38:53 ID:???
ウェイクアップ!ザ・ヒーロー!太陽炉!
『愛』に勇気を与えてくれ

仮面ライセンス真っ赤な目
仮面ライセンス黒いボディ
仮面ライセンスブシドーアヘッド
371通常の名無しさんの3倍:2010/05/02(日) 09:53:48 ID:???
怒りの王子と悲しみの王子はマスラオとスサノオなのか
372通常の名無しさんの3倍:2010/05/03(月) 21:49:57 ID:???
>>369
刹那じゃないけど何と無く思い浮かんだネタです。

リボンズ
「ティエリア、イノベイドとは一体何だ?
わからんのか。対話すべき相手は中々来ない、だいいち我々イノベイドはイノベイターの為の捨石でしかない。
だから僕はイノベイドであることをとっくの昔に捨てているのだ。
誇り? 『来るべきイノベイター』なんてものの為に活かされているにすぎない我々に誇りだと!?
笑わせるな。ティエリア、僕達イノベイドは遊ぶぞ。この地球という星で思いっきり遊ぶ」
373372 訂正+α:2010/05/03(月) 21:54:29 ID:???
我々

僕達

イノベイドであることを

イノベイドの使命なんて

序でに『マイスターの握った物』より。
「そ…ソラン・イブラヒム、いや、刹那・F・セイエイ…
知って居るか……世界で始めてのガンダムマイスターは……
ガンダムマイスターは……」
374通常の名無しさんの3倍:2010/05/10(月) 23:52:50 ID:???
キラ・ヤマト=井坂 はガチです。過去に拘るのは嫌いでねエ……
375通常の名無しさんの3倍:2010/05/11(火) 06:51:38 ID:???
( 0M0)<イサカ!!
376通常の名無しさんの3倍:2010/05/17(月) 21:38:23 ID:???
ハレルヤ「はーはははっ!超兵復活といこうぜ!」

グリア細胞を強化されたアレルヤ・ハプティズムの肉体は、超兵として生まれ変わった!
そして純正GN粒子を浴びることにより、その超兵としてのパワーが発現するのだ!

長いから以下略で
377通常の名無しさんの3倍:2010/08/02(月) 00:19:20 ID:???
むー。さすがにそろそろ落とさざるえないか。
378通常の名無しさんの3倍:2010/08/03(火) 16:14:23 ID:7IhWCQlj
age
379通常の名無しさんの3倍:2010/08/13(金) 17:13:20 ID:???
翔太郎「仮面ライダーは戦争屋が名乗っていい名前じゃねぇ」
380通常の名無しさんの3倍
刹那「本当の俺は…クルジスで死んだ?……ウソだー!!」