もしジョジョキャラがC.E世界に来たら 第七部

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933通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 00:51:31 ID:???
支援するぜ!
934『PHASE 34:混沌の使者』:2009/04/17(金) 00:51:51 ID:???

    ガンダムSEED・BIZARRE




 『PHASE 34:混沌の使者』


 その日もオーブ政府は会議を開いていた。
 議題は、先日公表されたシュトロハイムの演説の内容に対し、オーブはいかなる態度を取るべきか。
 ロゴス打倒の為とはいえ、自分たちの国土を攻撃し、未知の生物兵器によって多くの死傷者を生んだ相手と、手を取り合っていいものか。ロゴスを討ったとしても、その後で連合は、疲弊したオーブを叩くつもりなのではないか。
 そのような反対意見も出たものの、同盟相手であるプラントのデュランダル議長が、シュトロハイムとの和議に同意したこともあり、ひとまずは連合と手を結ぶ方向で意見がまとまりつつあった。
 休憩時間、カガリ・ユラ・アスハはソファーにどっかりと腰を落とし、背伸びをし、肩を回した。
「まったく、決まるのによくもこう時間がかかるものだ」
 彼女は飽き飽きしたといったふうに、傍に立つアスラン・ザラに聞こえるように言う。
「父上が代表であった頃は、もっと早くすんだものだがな」
「あの頃とは情勢が違うんだ。仕方ないさ。会議制、民主主義というものはどうしても時間がかかる。話し合い、意見をまとめる時間がいるからな。独裁的な君主主義ならリーダーの鶴の一声で決まるが、それではそれこそジブリールが率いていた連合と同じだ」
「ジブリールか……奴はヘブンズベースに陣取っているということだが、まだ諦めないつもりだろうか」
 シュトロハイムの宣言の後、ジブリールはヘブンズベースからあくまで反プラントとコーディネイター廃絶の立場から徹底抗戦を唱え、賛同者を募る演説を行った。それによって、連合軍の一部から脱走者が出て、ヘブンズベースに入ったらしい。
「死ぬまで諦めないだろうな。だがロゴスのメンバーは既に五人まで逮捕したと、情報が入っている。中にはジブリールに助けを求めた者もいたらしいが、ジブリールに自分をクビにした相手を助けてやるほどの慈悲深さはなかったようで、叩き返されたということだ」
「そう、か。世界を裏から操り続けた組織といっても、白日の下に晒されたら最後、脆いものだな」
 ロゴス自体は、もはや戦い以前に滅んだようなものだ。
 財力は既に使うことはできず、利益を得るためにやってきた犯罪的行為の証拠は大西洋連合をはじめとする多くの国家から提出されてしまっている。武力や、軍内の反コーディネイター派への権力はジブリールに握られ、ロゴスメンバーにはもう何も残されていない。
 戦争の火種を育てた元凶は、戦争が鎮火される前に滅び去り、炎は最後の燃え上がりを見せている。
935『PHASE 34:混沌の使者』:2009/04/17(金) 00:53:13 ID:???

「そういえばポルナレフはどうしたんだ?」
 カガリはプラントからの使者のことを思い出す。
「ユウナのところだ。正確にはアヴドゥルさんとイギーのところかな。積もる話もあるんだろう」
「戦友なんだそうだな……それも、最初は敵としてあったのだとか」
「そうらしいな……」
 二人を思い出さずにはいられない。特にアスランにとっては、かつて友であり、そして敵になり、その後に友として手を取り合って、今はまた……心離れてしまった相手。

 キラ・ヤマト。そして、ラクス・クライン。

「また会えるかな……」
「会えるさ。いつか。その時はきっと……」

 そう話す二人は思いもしなかった。その時が、すぐそこまで迫っているということを。

   ―――――――――――――――――――――――

 アークエンジェルは、そのデッキからオーブの陸地が視認できるまでに近づいていた。オーブからもその機影は見えており、警告の通信が送られてきている。しかしルカ・リビコッコは通信を無視し、手にしたスコップでガツンと床を叩いた。
 それは、彼が凶暴性を発揮するときの仕草であった。
「ローエングリン、ぐすっ、発射準備」
 ルカは、ワーグナーのオペラの主人公、アーサー王伝説に登場する『白鳥の騎士』の名を持つ陽電子破城砲の、発射を命令する。
「……宣戦布告もなしでか?」
 ヴェルサスは期待せずに、一応言う。
「正義のためだ。手段を選んでいる場合じゃない。グス、口出しをするんじゃねぇ。この艦の指揮権は俺にある。貴様は俺の命令を聞いてりゃいい」
 涙に濡れながらも、充分に鋭く凶悪な視線をヴェルサスに向ける。
「このオーブを、ラクス様に捧げるのは……このルカだ」
「………邪魔をするつもりはない。ご自由に」
 ヴェルサスは敬意の感じられない言葉を口にし、身を退いた。
(けっ、そんなこと言ったところで、結局一番危険な任務は俺たちにやらせるんだろうが。自分は楽して手柄を得る気か。別に欲しくはねえけどよ、こんな手柄)
 内心大いに不満ながらも、ヴェルサスは反対意見を述べることも、任務を辞することもなかった。この作戦が成功しようと失敗しようと構わないが、まだ得るべきものを得ていない以上、ラクスの意向を無視するわけにはいかなかったのである。
(手駒は僅かなりとも集められたが、クソ、こんな馬鹿げたことで消費するなんてな。だが出し惜しみをしていたら、この俺が死ぬかもしれねえ。あとちょっとだってのに、死んでたまるかよ)
 これからヴェルサスは、敵陣に入り込まねばならない。常人相手であれば負ける気はしないが、オーブ内のスパイからの情報では、スタンド使いがオーブ首脳陣の護衛にあたっているとのことだ。
 護衛の外見から判断するに、そいつはまずモハメド・アヴドゥルに違いない。
(聞いた話じゃ、質実剛健にして、炎を操る強力なスタンド使い。よりにもよって……チクショウ! しかもポルナレフまで来てるって話だ! ラクス・クラインめ。どこまでこの俺の計画を乱しやがるッ!!)
 今は空の果てにいる歌姫へと、何度目かわからない殺意を抱きながら、それでもヴェルサスはこの危機的状況を是が非でも乗り越える意思を固めるのだった。
 そして、ヴェルサスの心のうちなど知らずに、ルカは命令をくだす。
「ローエングリン! 撃てぇぇぇ―――――ッ!!」
 光線が真っ直ぐに迸り、攻撃に備えていたオーブのMSを巻き込みながら、正面の港に炸裂した。灼熱と衝撃波の嵐が荒れ狂う。炎などという生易しいものではない、超高熱の光がオーブの地を走り、そこに居合わせた人間をすべて、影も残さず焼き殺した。
 天を焦がす勢いで膨れ上がった爆発は、直後に大量の煙を生み、一帯の視界を閉ざした。

 それが後に、『大天使事件』『テロリズム・フューリー』などと呼称される、戦いの序曲であった。

   ―――――――――――――――――――――――
936通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 00:54:11 ID:???
アスランきたあああ支援
937『PHASE 34:混沌の使者』:2009/04/17(金) 00:54:28 ID:???

 オーブ首脳部にアークエンジェル襲来の報が伝えられたのは、ローエングリンが火を吹いた直後であった。
 当然といえば当然のことながら、連絡を聞いた彼らは大いに動揺した。
「一体どういうことだ! なぜアークエンジェルが!」
「またカガリ様を誘拐しようというのか?」
「誘拐? これはもはやそんな生易しいものではないぞ! 戦争だ!」
「宣戦布告はおろか、なんの主張も要求もないでは、彼らの目的もわからない。どう対応すればいいんだ?」
「前の大戦を終わらせた英雄が、なぜこのような」
「不沈艦アークエンジェル、それにまだ姿を見せてはいないが、フリーダムもいるんだぞ」
「もともと我が国は連合軍と戦い通してきて疲弊している。対応を誤れば、オーブは軍艦一機分の戦力で堕ちることになる」
「どうする?」
「どうする?」
 もともとが宰相ウナト・エマ・セイランに牛耳られていた、能力が高いとはいえない者たちである。予想だにしないアークエンジェルの攻撃に、慌てふためきながら結論を出すことができない。
 しかし無理もない。前大戦で、オーブの味方として共に戦ってくれたアークエンジェルとフリーダム。それが式典に乱入しカガリを誘拐にはじまり、戦争に謎の介入をし続けると言う狂気めいた行動を起こしている。理解不能なだけに、なおさら恐ろしい。
 その混乱の中、テーブルを強く叩く音が響き、閣僚たちの不毛な会話が途切れた。
「……少し落ち着け」
 一泊の間を空けて、カガリ・ユラ・アスハの声が通った。
「いいか。お前たちは相手がアークエンジェルということでうろたえているようだが、相手が何者であれ、どれだけの戦力を持っている相手であれ、問答無用で攻撃してくる以上は、ただのテロリスト、犯罪者と同じだ。迎え撃ち、返り討ちにすればいい」
 厳しく、容赦ない言葉を、きっぱりと言い放った。
「………よろしいのですね?」
 ユウナ・ロマ・セイランが問いかける。彼女の覚悟を、この場の全員に伝えさせるために。
「軍部はすでにアークエンジェル撃退に向けて、そのように、動いている。とはいえ、我々が混乱していては、軍の士気に影響する。態度を決めろ。たとえ彼らが、最強の戦闘能力を誇る英雄だろうと、かつて共に戦った戦友だろうと」
 そして彼女の兄弟であろうと。
「今はただ、このオーブを乱す『悪』だ」

 そして、カガリ・ユラ・アスハは正義を背負う。正義も悪も、人の数だけ存在する曖昧な価値観にすぎないと言われるこの世界で、自分が選び信じた正義を、貫く覚悟を身に刻む。間違えであったとしても、やり直しはきかない。それでも、彼女は立ち止まらない。
 たとえその握り締めた拳が、兄弟を想う悲しみに震えているとしても。
938通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 00:55:16 ID:???
支援支援ゥ!
939『PHASE 34:混沌の使者』:2009/04/17(金) 00:55:40 ID:???

 その覚悟に感化されたように、閣僚たちも腹を据えたとみえて各々強く頷いた。
「私は軍の総司令部に向かう。ユウナ、貴君もだ。戦況がいち早くわかるところにいねばならん」
「了承しました。代表」
 ユウナの返答に頷きを返すと、カガリは行政府を出発した。
 そのとき、アークエンジェルがオーブの大地の上空まで侵入を果たしていた。迎撃に放たれたムラサメを中心としたMSの中隊を全滅させたうえで。そしてその7割は、かつてこの国のために戦った少年によって落とされたのだ。

『破壊(デストロイ)』を破壊し、『戦車(チャリオッツ)』に勝利したMSは、今なお自由に戦場を舞い踊っていた。

   ―――――――――――――――――――――――

 アスランはセイバーのコクピットで出撃のときを迎えていた。報告によると、先に出た部隊はすでに一人の生き残りも無く壊滅したらしい。
 ほんの僅かな時間でこれほどの損害を受けたことに、アスランは驚きに言葉を失った。相手が、そのくらいのことは『できる』だけの力があるとは知っていた。だが、その相手がそれを『する』とは思っていなかった。
「キラ……!」
 ポルナレフから、彼が最後に出会ったときよりもなお、悪い方向に変わってしまったことを聞いていたが、こうも怪物的な存在になっているとは予想できなかった。
「くそ……止めてやる。お前は俺が、止めてやる!」
 それが、友として自分がしなければならないことだと、アスランも覚悟を決める。毅然としてかつての仲間へと立ち向かう態度をとりながら、心の内で血涙を流し、慟哭を続ける、愛しい彼女のためにも。
 オペレーターの声が、出撃の準備が調ったことをアスランに知らせる。
「アスラン・ザラ、セイバー、出る!」
 真紅の機体が戦場へと飛び立つ。場違いなまでに青く澄み通った空を睨むパイロットの目には、漆黒の炎が燃えていた。

   ―――――――――――――――――――――――

 空で砲火の応酬が行われている頃、地上では静かに二人の男が歩いていた。
 彼らはアークエンジェルから地上に降り立った別働隊である。その目的は、オーブ政府の要所である、行政府と総司令部の占拠にあった。要するにアークエンジェルは囮であり、本命はこちらと言える。以前、連合がチョコラータを送り込んだのと同様の手だ。
 オーブ内のクライン派には、すでに連絡がいっている。彼らと合流、協力して行動する予定である。ただ少なくとも、この二人の片側は、この任務に熱心とは言いがたかった。
 その男にとって、心底願っていた屈辱を晴らす機会が。ほんの一週間も経たずに訪れたのだ。任務よりそちらの方が優先される。
940通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 00:56:28 ID:???
胃薬支援w
941『PHASE 34:混沌の使者』:2009/04/17(金) 00:58:38 ID:???
「今度は、前のようにはいかん。待っていろ……ポルナレフ」
 漆黒の怪人、ストレイツォは嬉しそうに呟いた。
 ベルリンでの戦闘後、彼はスタンドに対抗する準備を早くも済ませていた。ポルナレフへの再戦を挑みにいこうとしていたところを、アークエンジェルにオーブ戦の戦力として拾われ、渋々ながらここまで来た。
 しかし内通者からの報告で、ポルナレフがプラントからの使者としてこのオーブに来ているというではないか。ストレイツォは小躍りせんばかりの喜びを抱いた。
 これはまさに悪魔の采配というものだ。運命は是が非でも自分とポルナレフを戦わせたいらしい。
 ストレイツォはそう思い、軽い足取りで目的地へと進んでいた。

 一方、もう一人は無言のままに歩き続けていた。

「おい! お前たち! この非常時にのんびり歩きおって! 怪しいぞ!」
 その二人を呼び止める者がいた。民間人の避難の指揮を執っていたオーブ軍人の一人だ。
 ストレイツォは面倒そうに振り返る。そして彼が目にしたのは、左胸を貫かれ、血を流して絶命するオーブ軍人の姿だった。軍人は自分の身に何が起きたのかも、わからないままにこの世を去った。
 それはストレイツォがやったことではない。もう一人の方の仕業だ。
「ほう……大した早業だな」
「別に……そっちの反応が遅いんだ」
 男はストレイツォの素直な賛辞を、大したことじゃないと意に介さなかった。ストレイツォは少々気分を害したが、こんなところで争っても仕方が無いと、それ以上言葉を紡ぎはしなかった。
 ストレイツォと彼とは初対面だ。もう一方の男が何者なのか、どのような能力の持ち主なのか、ストレイツォも知らない。確かなことはスタンド使いであることくらいだ。だがその鋭くも暗い眼光に、只者ではないという印象を受けた。
 吸血鬼ストレイツォと、彼も一目置くスタンド使い。彼らが勝利するか敗北するか、それはわからない。確かなことは、彼らの行く手がどこであれ、そこには血の雨が降るということだ。



To Be Continued……
9422:2009/04/17(金) 00:59:42 ID:???
 以上です。
 久しぶりだと言うのにあまり筆が進まず、すみません。ひとまず状況を書き連ねてみた感じです。次回はなるべく早くしたいと思います。
943221 ◆OmAfLE8R1Q :2009/04/17(金) 01:00:34 ID:???
>>942
 名前書き込みきる前に投下してしまいました。すいません。
944通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 01:06:33 ID:???
GJGJGJGJGJGJ!!!!
生投下に出会えたのは運命なのか!!?
相変わらず読んでいく事の楽しさと共に、読み終わってしまう事の寂しさを感じる素晴らしい文章力!!

アスランとカガリの苦悩は凄まじい物だと思うが、それを乗り越える覚悟がベリッシモ良い!!
カガリが机を叩くシーンとか、漆黒の炎を宿らせたアスランとか、もう自動で荒木絵で浮かんでしまう!
「今はただ、このオーブを乱す『悪』だ」この台詞で生まれて初めて文章にシビレタ!!!

アヴドゥルとポルポルとイギーの話も気になるが、新手のスタンド使い・・・胸を貫く?単純なパワータイプ?
見当もつかない・・・。

次回も楽しみに待ってます!!!
945通常の名無しさんの3倍:2009/04/17(金) 07:21:49 ID:???
GJ!
相変わらずのクオリティの高さは流石です
カガリとアスランの苦悩、ポルナレフとアヴ、イギーの再開、そして新たなスタンド使いの存在、目が離せないッ!
946通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 01:00:40 ID:???
GJ!

これは・・・来ちゃうのか、ボス!?
947通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 10:59:35 ID:???
時間操作系に来られると歯が立たないぞ
(マンダムやバイツァ・ダストのように制約が多いならなんとかなるが)
948通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 14:29:02 ID:???
>>946
それは自分も期待したが、最初出た吉良以外でラスボス勢は出さないって明言されてんだよなw

まだ出てないパワー型スタンド使いでアナスイしか思い出せない自分に絶望した
949通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 16:05:06 ID:???
そうなるとだれだ?案外覚醒ペッシか?
950通常の名無しさんの3倍:2009/04/18(土) 22:37:36 ID:???
覚醒ペッシはヤバイな
老いてパワーダウンしてるとは言え
近接パワータイプのブチャラティを軽々とぶん回し
時計の針やウォークマン、心臓の音の様な小さい音でも感知し
列車先頭から中程まで糸を伸ばしても余裕があったりと
スゲーチートだからなぁ
951通常の名無しさんの3倍:2009/04/21(火) 07:06:58 ID:???
保守
952通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 06:55:12 ID:???
953通常の名無しさんの3倍:2009/04/22(水) 15:59:13 ID:???
自スレは>>955
と注文保守
954通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 17:46:06 ID:???
>>953
だが断る!!
955通常の名無しさんの3倍:2009/04/23(木) 20:25:24 ID:???
もう少しゆっくりでもいいんじゃあないかな
>>970あたりとか
956通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 07:52:13 ID:???
ほしゅ
957通常の名無しさんの3倍:2009/04/25(土) 18:58:31 ID:???
ゆっくりしていってね!
958通常の名無しさんの3倍:2009/04/26(日) 19:21:25 ID:???
保守した!
959通常の名無しさんの3倍:2009/04/29(水) 00:48:06 ID:FR1p8l66
ほす
960通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 09:15:33 ID:???
961通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 20:58:28 ID:???
962通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 21:36:12 ID:???
963通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 21:42:05 ID:???
964通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 22:20:51 ID:???
965通常の名無しさんの3倍:2009/04/30(木) 22:33:14 ID:???
966通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 06:33:36 ID:???
967通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 12:08:10 ID:???
そこは“ち”だろ……
968通常の名無しさんの3倍:2009/05/01(金) 21:17:16 ID:???
>>966
普通にがっかりした
969221 ◆OmAfLE8R1Q :2009/05/02(土) 00:50:32 ID:???
少しですが投下します。
970『PHASE 34:混沌の使者』:2009/05/02(土) 00:52:08 ID:???

   ―――――――――――――――――――――――

 カガリたちが離れた後、行政府では残された要人たちが各国への連絡や、民間人の非難指示など、彼らのするべき義務を混乱しながらもどうにか果たしていた。
 その中心には車椅子に座るウナト・エマ・セイランの姿がある。連合軍による謎のバイオ兵器(とされている)散布によって右足を失い、全身を深く侵食され、今まで入院していたが、この危機に無理矢理起き出し、閣僚の中心として指示を飛ばしていた。
「プラントは応援をよこしてくれそうか?」
 ウナトの言葉に、閣僚の一人タツキ・マシマが沈鬱な表情で答える。
「残念ながら、すぐにはとても……」
「そうか……そうだろうな」
 ヘブンズベースとの戦いのため、ザフトの主力はヘブンズベースのすぐ近くにあるジブラルタル基地に集められている。オーブ周辺の残存戦力は大したものではなく、助けは期待できない。
「やはり、私たちで何とかするしかない。か……」
 そう呟く彼の背後から、オーブ兵士の一人が声をかけた。
「セイラン様……ご報告があります」
「なんだ。報告は率直に、いちいち断るな。そんな呑気な事態ではない」
「はっ……実は、その報告とは」
 兵士は一礼し、顔を上げると同時に、腰に下げた拳銃を抜き放っていた。

「今日が、あなたの命日になるという報告でございます」
「なッ!?」
 額に銃口を向けられたウナトは反射的にのけぞる。兵士はそんなウナトに冷酷な視線を浴びせながら、引き金を引いた。だが、今度は兵士の方が声をあげた。
「な、なっ?」
 カチカチと音が鳴るばかり、まったく弾丸は出ない。
「セ、セーフティ・ロック(安全装置)は外したはず!」
 焦る兵士を、
「グウッ!?」
 駆けつけた別の兵士が殴り倒した。そのまま床に転がる裏切り者は、取り押さえられる。
「ご無事ですか閣下」
「う、うむ」
「どうやら、内部に何人か裏切り者がいるようです。人数は不明ですが……」
 連行されていく裏切り者を見送りながら、ウナトは安堵の息をつく。
「助かった。感謝しよう」
「いえ、これは私の手柄ではなく、この行政府に配置された兵士全体の指揮者である方の手柄です。私も、彼の人の指示に従ったからこそ、閣下をお助けすることができたのです」
「指揮者……その辺りはユウナの管轄だったが、誰だね?」
「礼のバイオ兵器事件を解決した一人ですよ。この銃の安全装置も、ひょっとしたら彼らのおかげかもしれませんよ」
 さきほどウナトに向けられ、さきほど取り上げられた拳銃を見て、兵士は言う。彼らには見えなかったが、その拳銃のグリップには、小さい虫のようなナニカが、自分の手柄を威張るように胸を張っていた。
「シシシ……オラノオカゲダ、ゾ!」

971『PHASE 34:混沌の使者』:2009/05/02(土) 00:53:30 ID:???

 裏切り者を取り押さえた兵士から、警備本部である部屋に連絡が入った。
「……どうやら事なきをえたようだな」
 連絡を受けた指揮官が笑みを浮かべ、隣にいた少年に声をかける。
「ちゃんと拳銃の安全装置もかかっていたそうだ。よくやってくれたな重ちー」
「シシシッ、この程度は朝飯前なんだど!」
 褒められて機嫌をよくした少年が、鼻の下を指でこすりながら言う。
「だが油断するなよ? この行政府で、誰がどう動いているか、不審な動きをしている者はいないか、それを見つけられるのはお前だけだ。ここの警備はお前にかかっているんだ」

 彼らがこの行政府の警備の指揮官にして責任者。
 依頼と報酬があれば、どんなきつい仕事でも請け負う、何でも屋。

 その名はスピードワゴンと重ちー。

 チョコラータとの戦いの傷がある程度癒えた彼らは、ユウナの依頼を幾度か受けていた。オーブ軍人への指導、訓練や要人警護、ブルーコスモス過激派の調査、発見、拘束などである。今回の警備もユウナの依頼だ。
 行政府を離れる前に、最も信頼でき、かつ、警備する兵士たちからも信頼されている人物に指揮を任せたのだ。
 警備にあたっている兵士たちの半数は、スピードワゴンたちのことを見知っている。スピードワゴンたちが以前受けた幾つもの任務に、関わった者たちである。彼らと触れ合った者たちは誰もが、彼らのことを信頼していた。

「ユウナの言うとおり、オーブのクライン派が動いているようだしな。注意してし過ぎるってことはないぜ」
 ユウナたちはカガリ暗殺事件以降、ブルーコスモスの調査を行っていた。そのとき行った国民の身辺調査によって、ブルーコスモスとは別のこともわかった。クライン派の存在と、彼らの強い忠誠心である。
 アークエンジェル襲来の報を受け、ユウナが心配したのはオーブ内のクライン派の動向であった。それほど人数は多くないようだが、ラクスのためならばどんなことでもするであろう者たちばかり。
 前回のカガリ誘拐のときも、多少の情報を流していたことがわかっていた。そんな者たちが軍部に紛れ込んでいると、対処は難しい。そこで役に立つのが、広範囲に渡って目を光らせることができる重ちーのスタンド、ハーヴェストである。
 ハーヴェスト自体の調査能力、精密動作性は低いが、ハーヴェストを行政府中に配置し、所定の位置にいない者、人がいてはおかしなところにいる者などを大雑把に調べ、他の兵士に連絡をとって、詳細に調べてもらうという手段がとれる。
 拳銃の安全装置程度ならいじくることも可能だ。しかし、彼らにしても守れるのは行政府だけだ。
「しかしモルゲンレーテから貰ったクライン派の資料によると、どうも司令部にいる連中にも裏切りそうな奴がいるんだよな……。そこは任せるしかないが」
 スピードワゴンの得意先であるモルゲンレーテ社もまたクライン派といっていい。その中で仕事をし、ラクスともよく会っていたスピードワゴンは、ラクスの奇妙な影響力も知っていた。
 ただモルゲンレーテ社もさすがに、今のラクスにはついていけないと感じたらしく、手は切って、ユウナたちに資料を提出するなど、積極的に協力している。ただしそれは上層部の話であって、下の社員がどうかはわからないが。
972『PHASE 34:混沌の使者』:2009/05/02(土) 00:54:45 ID:???
「それにしても重ちーよ」
「なんだど?」
「あの坊ちゃん嬢ちゃん、一体どうする気なんだろうな?」
「……知らないど。『キラ』ってのはどいつもこいつも何考えてんのかわかんねーど」
「悪意ねー分、余計にたちが悪いよな……」
 二人は知人たちの顔を思い浮かべてため息をついた。国際的犯罪者となってなお、キラとラクスに対して受ける印象は『邪悪』ではなかったし、嫌いにはなっていなかった。ただとことん『迷惑』ではあったが。
「『悪の化身』ってほど大物じゃあないよな。あいつら」
「つまり子供なんだど。大人の分別ってもんを身につけてほしいもんだど」
「……おめーより年上なんだけどな。まあ、その通りだが」
「んッ……54番の兵士が怪しいど。持ち場にいないみたいだど」
「了解」
 おしゃべりは中断され、仕事の続きが始められた。


 総司令部では、モニターを見るカガリの剣呑な表情が、更にしかめられていた。
「あれは、ザフトのMS……?」
 アークエンジェルから飛び出してきた8体のMSは、間違いなくザフトのザクであった。それらはフリーダムと共にオーブ軍へと向かっていく。その練度は中々に高く、まず一流といって差し支えないだろう。
 それでいて無理にムラサメ部隊に攻撃をかけることはなく、アークエンジェルを護り、牽制するにとどまっている。
「ア、アークエンジェルにザフトが協力しているのでしょうか?」
 オーブ軍人の一人が漏らした言葉を、ユウナはすぐさま否定する。
「そんなわけない。彼らは確かにザフトだろうが、ザフト全体が彼らに協力するなどありえない。ザフトのクライン派……おそらく脱走兵だろう」
「あれだけの兵力が脱走だと? 一体どこの部隊だ?」
 カガリは口にしながら、軍人に軍を裏切らせるほどのラクスの影響力に、内心脅威を感じていた。
「ザフトに連絡して調べてもらいましょう。向こうの戦力の予測が立てば、これから取る行動の判断材料にもなります」
 ソガ一佐が意見を出す。
「彼らの取る行動を予測する……ってのはかなり無理なような気がするが……ま、ザフトには連絡しておこう。脱走兵や盗まれた兵器については、彼らの責任であるわけだし」
 ユウナは傍らの兵に、ザフトへの連絡を指示し、また目の前の戦場に意識を集中させる。
 戦場はいよいよ本番を迎えようとしていた。蒼穹を我が物顔で貫き飛び来るアークエンジェルとフリーダムの前に、紅いMSが立ちはだかったからだ。

「さあ、主役同士の戦いだ。もちろん僕はセイバー(救世主)に賭けさせてもらうがね」
973『PHASE 34:混沌の使者』:2009/05/02(土) 00:55:53 ID:???

 ダーダネルスでの戦いでは、彼らが直接ぶつかりあうことはなかった。
 クレタでの戦いでは、すでにアスランはミネルバを離れていた。
 意外にも、キラとアスランが剣を交えるのは、この戦争が始まって以来、初めてのことであった。

 その戦いの結果に起こる事態から無関係の者ならば、この戦いは手に汗握る極上の試合(ゲーム)であろう。当事者であるオーブ軍人たちでさえ、キラとアスランのどちらが勝つかという問いの答えに、注目する想いはあった。
 しかし、彼らはすぐにこの戦いを悠長に見ているわけにはいかなくなった。

「……? 何か聞こえないか?」
 兵士の一人が、訝しげに言った。確かに司令部の外から、妙に騒がしい雑音が聞こえ、それが近づいてくるようだった。その音の正体はそれからすぐにわかった。いきなり総司令部のドアが激しい音を立てて破られ、
「全員、手を上げろ! 妙な動きをするものは即、射殺する!」
 重武装の兵士たちが、軽機関銃を向けて命令を叩きつけてきたが為である。

「なんだ!」
「これは一体」
「お前たち、何の真似だ!」

 司令部の面々が口々に叫ぶ。だがその驚きように、銃を突きつける側は薄笑いを浮かべていた。二十人ほどの乱入者のうち、一人が言葉を紡ぐ。
「ラクス様のため、あなた方には大人しくしてもらいます。カガリ様もです」
「私にまだ『様』をつけてくれるとはね。嬉しいよ。裏切り者諸君」
 カガリは指の動き一つで命を永遠に失う状況下に落ち、それでも恐怖をまったく見せなかった。恐くないわけではない。しかし、この乱入者たちに怯えた姿を見せるなど、彼女のプライドが許さなかった。
「申し訳ありません……。しかし、私たちは裏切り者ではありません。これはオーブを救うために必要なことなのです。このままでは、オーブはデュランダルの企みに乗せられてしまう。それを避けるためには、あなたに良からぬ考えを植え付ける……」
 自分に酔ったように語る兵士は、一度言葉をきって、銃口の向きを移動させた。
「セイランを討たねばならないのです」
 ユウナの額へと。
「丁度いいので、今ここで始末をつけてしまいましょう」
 兵士は狂気染みた笑みをネタリと浮かべ、引き金を、

 ボジュッ

 引くことはできなかった。
「は?」
 兵士は呆然として、消し炭になった自分の右手と、熔け落ちた合金製の機関銃の残骸を見ていた。自分が右手と武器を失ったことに気付く前に、兵士は、彼の目には見えない一撃をくらって吹っ飛び、気絶した。
「さて……ボディガードとしては、見過ごしては置けないな」
 これまでまったく口を開かず、アークエンジェルとの戦いを見守っていた男が初めて動く。荒鷲のように鋭い目で敵を睨み、激しく強い動作で、人差し指を裏切り者たちに突きつけていた。
「HELL 2U(地獄を、貴様に)!!」
 魔法使いを使う者が、彼の舞台において戦いを開始した。そしてその足元には、しょうがねーから付き合ってやるぜ、と言わんばかりの小犬が、裏切り者たちへ牙を剥いていた。
 しかし彼らはまだ気付いていない。裏切り者たちの影で、必殺の爪を研ぎながら潜んでいる、スタンド使いの存在に。




To Be Continued……
974221 ◆OmAfLE8R1Q :2009/05/02(土) 00:57:24 ID:???
すみませんが、今回はこれだけです。本格的なバトルは次回に。
975通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 01:14:46 ID:???
ブ男キター!!
976通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 09:06:43 ID:???
投下乙!
次なる敵のスタンド使いは一体誰だ!?

大火力が相手だが、小回りがきくタイプ…か?
977通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 09:14:15 ID:???
投下乙です
どうもアヴさんの死亡フラグっぽく見えるのは気のせいだろうか
あと重ちーが言いたい放題言ってるけど、俺もその意見に賛成だwww
978通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 09:27:40 ID:???
>>976
そういえばストレイツオも一緒だったから
重ちー&スピードワゴンVSストレイツオ
アヴドゥル&イギーVS謎のスタンド使い
の組み合わせかな?

ポルもいるけど、アークエンジェルの方をアスランだけに任すわけにもいかんからそっちの援護かな
979通常の名無しさんの3倍:2009/05/02(土) 16:29:41 ID:???
乙です。アヴさんとイギーの活躍に期待しつつ新手のスタンド使いはだれなのか
980通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 08:28:29 ID:???
>>979
コンビ組んでる+早業=ホル・ホースあたりか?
981通常の名無しさんの3倍:2009/05/03(日) 09:11:27 ID:???
ホルホル死んでないぜ
982通常の名無しさんの3倍
スト様と一緒にいたのと生前コンビプレーしてたかは別問題だと考えてよさそうだよな

高スピード高パワーみたいだし、やはり近距離パワー型スタンドか?