もしも、CCAアムロが種・種死の世界にいたら21

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6998 ◆TSElPlu4zM
『……キラ・ヤマト少尉。必ず帰ってきなさい。死ぬ事は許さないわ。これは命令よ』
「了解しました」
『頼むわね』

 キラは真剣な表情で頷くと、マリューは軍人としての表情を崩さぬまま画面から消えた。
 それから程なくして格納庫に整備兵の声が響く。

「ストライクの装備、完了しました!」

 作業終了の確認をしたマードックがアムロに向かって頷く。するとアムロを始めとする大人三人はストライクの元を離れた。
 コックピットが閉じられ、ストライクの目が光る。
 アムロはマードックからインカムを受け取り、耳に押し付けるようにしてキラに語りかける。

『キラ。気負って戦おうとするな。今のストライクとキラなら接近戦で敵う相手は無い。自信を持って戦え』
「はい」
「……良い返事だ。ストライク、カタパルトへ。出撃と同時に作戦開始だ。キラ、時計を合わせろ」
「了解」

 頷いたキラはコンソールのスイッチを押して時計を合わせると、操縦桿を前に押しだしてストライクをカタパルトデッキに進ませる。
 一歩一歩進んで行くストライク。
 その場にいた者達全員が、エアロックの向こうに消えて行くストライクの、キラの背中を背を正して敬礼をして見送る。
 エアロックが完全に閉じられ、ストライクの両足がカタパルトに乗ると、背にエールパック、両肩にバスターストライクの装備がほどこされて行く。
 心臓が高鳴りを抑える為にキラは目を閉じた。
 ――もう後戻りは出来ない。必ず生きて帰るんだ。
 そう心に誓い、キラは再びその眼を見開いた。

「――キラ・ヤマト。ストライク、行きます!」

 キラの声と共に灰色のストライクが膝を軽く曲げて前傾姿勢をとる。
 次の瞬間、カタパルトが稼働すると同時にスラスターに火が点り、焼けつくような砂の海へとストライクは飛び出して行ったのだった。